衆議院

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第2号 平成14年6月12日(水曜日)

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平成十四年六月十二日(水曜日)
   午後三時開会
    ─────────────
 出席委員
  衆議院
   委員長 池田 行彦君
   理事 新藤 義孝君 理事 中馬 弘毅君
   理事 牧野 隆守君 理事 池田 元久君
   理事 石井  一君 理事 北側 一雄君
      麻生 太郎君    虎島 和夫君
      中山 太郎君    橋本龍太郎君
      蓮実  進君    堀内 光雄君
      町村 信孝君    宮下 創平君
      山崎  拓君    小沢 鋭仁君
      佐藤 敬夫君    手塚 仁雄君
      羽田  孜君    鳩山由紀夫君
      肥田美代子君    冬柴 鐵三君
      東  祥三君    志位 和夫君
      土井たか子君    野田  毅君
  参議院
   委員長 広中和歌子君
   理事 河本 英典君 理事 矢野 哲朗君
   理事 今泉  昭君 理事 木庭健太郎君
      有村 治子君    加藤 紀文君
      小泉 顕雄君    後藤 博子君
      西銘順志郎君    舛添 要一君
      吉村剛太郎君    輿石  東君
      角田 義一君    直嶋 正行君
      日笠 勝之君    富樫 練三君
      筆坂 秀世君    西岡 武夫君
      大渕 絹子君
 出席国務大臣
       内閣総理大臣   小泉純一郎君
       総務大臣     片山虎之助君
       法務大臣
       外務大臣臨時代
       理        森山 眞弓君
       財務大臣     塩川正十郎君
       文部科学大臣   遠山 敦子君
       厚生労働大臣   坂口  力君
       農林水産大臣臨
       時代理
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
       国土交通大臣   扇  千景君
       環境大臣     大木  浩君
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (男女共同参画
       担当大臣)    福田 康夫君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (防災担当大臣) 村井  仁君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  中谷  元君
       国務大臣
       (沖縄及び北方
       対策担当大臣)
       (科学技術政策
       担当大臣)    尾身 幸次君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
       国務大臣
       (規制改革担当
       大臣)      石原 伸晃君
 出席内閣官房副長官
       内閣官房副長官  上野 公成君
 出席政府特別補佐人
       内閣法制局長官  津野  修君
 委員外の出席者
  衆議院事務局
       国家基本政策委
       員会専門員    鳥越 善弘君
  参議院事務局
       常任委員会専門
       員        宍戸  洋君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
国家の基本政策に関する調査


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    ─────────────
   〔広中和歌子君会長席に着く〕
会長(広中和歌子君) ただいまから国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。
 本日、会長を務めます参議院国家基本政策委員長の広中和歌子でございます。よろしくお願いいたします。(拍手)
 この際、本合同審査会における発言に関して申し上げます。
 各党首及び総理におかれましては、申合せの時間の中で活発な討議が行われるよう、御発言はそれぞれ簡潔にされるよう御協力をお願い申し上げます。また、本日は時間表示装置を使用いたします。表示装置は残り時間を示し、配分時間が終了したときは赤色のランプが点灯しますので、御承知願います。
 それでは、国家の基本政策に関する調査を議題とし、討議を行います。民主党代表鳩山由紀夫君。(拍手)
鳩山由紀夫君 今日は自由党さんのおかげで、特に小沢党首から四分時間をいただきましたので、三十分党首討論をやらせていただきたいと思います。
 猫もしゃくしもワールドカップ、総理も日本とロシアの試合ごらんになって感激しておられたようです。それは結構なことだと思います。
 ちょうど七十年前に「スポーツを語る」という本が出まして、その本は実は鳩山一郎、私の祖父が書いたのでありますが、スポーツは最高の外交であると、そのように語っています。正にそのようであって、今回のワールドカップ、大変外交という意味で非常にいい結果をもたらしているんだと思います。
 ただ、一方で、本来なら外交をしっかりやらなきゃならない特に与党の政治家また外交官、様々発言をミスったり、あるいは失態を演じたりして、国益を大いに損なってしまっていることを大変情けなく思っています。
 その中でも、つい最近発言されました福田官房長官、そして安倍官房副長官の不用意な核に対する発言、私は言ったとか言わないとかそんなことを議論するつもりはいささかもありません。むしろ議論したいのは、アメリカの核戦略が変化をしていく、その中で日本はどう対応するか、そういう議論が私は非常に重要だと感じています。
 アメリカのブッシュ大統領が、御承知のとおり、国家安全保障会議において、ならず者国家とか、あるいはテログループに対しては核兵器を含むオプション、先制攻撃もあり得るというような検討を始めた。このことに関して、日本の政府は、特に小泉総理はどのようにお考えになるか、まずお聞かせください。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 外交・安全保障政策に関しては、それぞれの国でそれぞれの国が考えるべきことでございますが、私は、日本国家として日本の外交、いわゆる平和外交に徹すると、安全保障、この問題についても日米安保条約というものを締結して日本の安全を図る、これがまず基本政策であります。
 そういう中で、核戦略の話につきましても、私がブッシュ大統領日本訪問の際にも会談をいたしましたけれども、アメリカ側の考え方につきましても伺いました。また、日本としても、現在の世界情勢、また日本の対応、率直に意見交換をいたしました。その中で、今、鳩山代表言われましたように、核の問題、そしてイラン、イラク、北朝鮮、こういう問題についてアメリカ側の発言がありましたが、基本的にはブッシュ大統領も平和的解決を望んでいる、話合いの門戸は広く開けていると。しかし、アメリカ側の戦略上、また安全保障上、あらゆる選択肢は残しておくと。しかしながら、基本的には話合いで解決するという首脳会談をしたわけであります。
 日本としても、この核戦略につきましては日本としては核廃絶の方向に向けて日本は全力を尽くしていると。核兵器のない平和な社会を作るために、私どもとしては、一地域の安定、不安定の問題、地域にとどまらない。アフガンの状況を見ても、一地域の不安定が世界の安全を損なうということを見れば、地域の問題についても十分関心を持って対応していく必要があるという意見交換をいたしました。
 核問題につきましても、日本の国是として核廃絶に向けて努力をするという方向につきましては何ら今までどおり変わらない、非核三原則も堅持していくという方針については何ら変わりないということをお伝えしたいと思います。
鳩山由紀夫君 私が伺っているのは、その後様々な変化というのがまた起きていると。特に、最近では、ラムズフェルド国防長官が特に核兵器を小型化して、コンパクトにして実戦に使えるようにしたい、それを例えば地下を攻撃するような場合に核兵器のこういったオプションというものは大変に有効である、そういうような検討がされている。こういうことに対して、日本政府としてやっぱり今、小泉総理がいみじくもおっしゃった核廃絶を望むのであれば、核を使ってはならない、核の先制使用なんというようなことは決してあってはならないことだ、これは核戦争を誘起するに決まっているからやってはならないことだと自制を促されたのかどうか、そのことをお伺いしたい。特に、ブッシュが来られた、大統領が来られたときではなく、その後の対処の問題として伺いたい。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本としては常に核兵器のない世界に向けて努力を続けていくということ、また自制心を持って安全保障の問題、それぞれの国に対応を働き掛けている。アメリカに対してはもちろん、さらにインド、パキスタンにおいても同様でございます。この問題につきましては、日本としては平和外交に徹するという基本姿勢は微動だにいたしません。
鳩山由紀夫君 今の、それでは小泉総理の発言は、ブッシュ大統領あるいはアメリカが、当然のことながら核の、先制使用とすることに関しては反対をするというメッセージを出したということでよろしいわけですね。
 私は、申し上げたいのは、こういう例えばインドとパキスタンにおいても、私も参りましたけれども、カシミール、大変天国のようにきれいなところです。あのきれいな天国のようなところが、今核戦争の脅威、正に一触即発の状態になっている、こういう環境があるわけですね。こういうときに、誤解であっても、誤解を招くような発言を一国のこの官邸の中で官房長官やあるいは副長官、総理が外遊されていたときですから、実質これは総理であったと。代行されていたその代理の官房長官が、世論が変わればとか、あるいは憲法も改正するような状況なんだからと、紛らわしい発言をされる。
 その結果、ここに今日持ってまいりましたが、ニューヨーク・タイムズのこの一面に、日本は五十年間守ってきた核のタブーに対して挑戦を始めたという記事が載っているわけです。これは事実として載っているわけで、何百万人の方がこれを見てしまっている。そのことに対して、例えば日本政府が果たして、こんな考えでは我々はないんだよと、訂正を求めるような事実があったのかどうか。正にこういうときにも、いや、非核三原則を厳守するから問題ないんです、大したことじゃありませんと、そんなふうに済ませる問題じゃないから、私どもはあえてこの問題を最初に取り上げさせていただいた。これでもやはりこの問題、すなわち福田官房長官の発言は大したことがないというふうにこれからも言い切るつもりなんですか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 新聞がどう報道するか、これは私どもが言っても聞くものじゃありません。それは、日本の新聞も外国の新聞も我々が……(発言する者あり)少し静かにしなさいよ。少し静かにしなさい、私が話しているんだから。少しぐらい礼儀を守ってください。
 私としては、非核三原則変わらないんですから、官房長官の発言あるいは副長官の発言、それも今の非核三原則を変えるなんて一言も言っていないんですから、それを誤解しないでください。それは何度も答弁しているように、今までの非核三原則、何ら変更はありません。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) お静かに願います。
鳩山由紀夫君 私どもは別にあえて誤解しようと思ってお尋ねしているわけではないんです。ただ、こういうものが事実として報道をされてしまったということは大変……(発言する者あり)いや、報道されたことは事実なんですから、そのことに関してどうかとお尋ねをしている。それを事実でないからといって話が済む問題ではないこと、お分かりだと思う。
 これは、皆さん、外交というのは、日本がこう考えているということを伝えるのは重要な外交の役目ですが、同時に、相手が日本をどう認識しているかということは極めて大きな問題なんです。したがって、間違った報道だということであれば、それをきちっと訂正を求めなければ、何百万人も読むようなそういう新聞が誤解のまま、日本は危ないのではないかと、日米安保も、ここに書いてありますよ、日米安保もまた新しい状況に変わっていくんではないか、そういう心配を今起こしてしまっていることだけはこれ事実ですから。どうも総理は外交に対して余り責任感を持っておられるとは思えない。
 このことを申し上げ、私たちは、言いたいことは、アメリカのような親しい国であればあるほど、はっきりとして、間違ったことは間違っていると言うべきであると、その勇気を持つことが私は尊厳のある国づくりだと思っていますが、なかなかまだ尊厳のある政府ができていないと、外交ができていないことを残念に思います。
 そこで、話を転じます。
 この通常国会、いよいよあと一週間で終わりですから、この通常国会の総括をやっぱりしなきゃならない。とすれば、この通常国会、国民があきれ果てるように余りにも多くの様々な不祥事が続いた。鈴木宗男さんの問題、加藤紘一さんの問題、そして井上裕さん、参議院の前議長、こういった問題がもう山のように起きてしまった。本当に国民は政治を信頼できない状況になってしまっている。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
鳩山由紀夫君 その原因は、一言で言えば、国の税金、国民の税金を自分たちのお金のように思って、公共事業をやるぞ、有り難く思え、ならば選挙で応援しなさい、リベートも下さい、こういう政治がまかり通ってきたからじゃありませんか。
 私は、だからこの通常国会の総括として、政治家とお金の問題というものを厳しく律する法律というものを作り上げていかなきゃいけない。これは、与党も野党もなく、お互いの努力の中で作り上げていきたい。
 そこで、これは総理も一時お話をされた、公共事業を受注している企業、その政治献金というものを一切禁止するという法案を野党四党、我々提出しました、既に。でも、まだ宙ぶらりんで、与党が審議に応じてくれていません。こういう状況、小泉総理、一国の総理として、また自民党の総裁として、政治と金を、この通常国会の反省として、まずは公共事業受注企業からの政治献金禁止やろうじゃないかとここで一言言っていただければ大きく展開しますよ。どうですか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 既に、あっせん利得罪の問題につきましても審議をいただいており、そして今までよりも一歩進んだ対応措置ができたわけであります。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) さらに、公共工事の問題につきましても、現在、与党間で協議を進めております。今後、これらにつきましても、国会におきまして審議を願えるような今準備を進めているわけであります。
 我々、もとより政治資金の扱い方につきましては国民の理解を得られるように、それぞれ努力が必要だという認識を持ちながら改善策を講じなきゃならないということで、それぞれの場で今審議を続けているところでありますので、今会期中には一歩でも二歩でも前進できるような対応をしたいと思っております。(発言する者あり)
鳩山由紀夫君 正に、今やじが飛んでいますが……
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
鳩山由紀夫君 自民党をぶっ壊すと、正に構造改革の本質は、政官業の癒着、正に政治と金、この問題を解決をすること、私はそう信じています。それだけに、今の小泉総理の答弁は余りにももう自民党的であって、自民党を壊すどころじゃない、自民党の一人の人間となって発言をしている。人ごとで任そうという発想じゃありませんか。せっかく最初に公共事業受注企業からは献金禁止しようじゃないかと発言されたように伺ったものですから、どうして最後までリーダーシップを発揮されないのかなと、本当に残念であります。
 そこで、今、小泉総理から発言がありました、もう一つのあっせん利得収賄罪のこの問題も、処罰罪、失礼しました、処罰罪、この問題も大変大きな問題だと思います。
 今、総理が私設秘書の問題に関して、ただ枠組みを少し広げて私設秘書もやっぱり中に入れなきゃならないなということで法案を通す、参議院の方に回っているように伺っていますが、私はこれだけでは極めて不十分、前回にも、あっせん利得処罰法出たときに私はここで申し上げた。これはもうざる法になっている、しり抜けの法案になっていると。正にこの私設秘書の問題すら、これは非常にあいまいな部分が残っているし、しかも請託というものがないといけないということになると、秘密の中でお金が受理されて、請託があったかどうか分からないんです。職務権限も基本的に残っているじゃありませんか。
 こうなると、せっかく法律を新しくしても、その法律で処罰されない、抜け道だらけ、自民党のやり放題のような、そんな法案になってしまっている。そこを是非、総理、これ真剣に見ていただきたい。この問題の解決に向けて更に参議院で努力を願いたい。これからお願いします。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現在……(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今までの状況、あるいは不祥事の事件というものを反省しながら改善策を講じて、参議院に法案が回っていると伺っております。その委員会の場で十分御議論をいただきたいと思っております。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
鳩山由紀夫君 不祥事を繰り返しておられる自民党の総裁として、指導力を発揮していただきたい。
 今、多分、参議院で議論されているのは、衆議院と同じような話でお茶を濁すのではないかというふうに思われてならない。したがって、ここで皆さん方に、特に与党の皆さん方にくぎを刺しておきます。皆さん方が第二、第三の、正に今度新しい議員が誕生しても第二、第三の鈴木宗男さんにならないように、こういったあっせん利得処罰法、公共事業を受注している企業からの献金禁止、こういったものに対して是非リーダーシップを発揮をしていただきたい。繰り返し、このことをお願い申し上げておきます。
 さて、時間が少しなくなってまいりましたが、個人情報保護法案の議論の最中に、福田官房長官がどうも、官僚というのは悪いことはしないんだと、そういう発言があったと。その発言には大変耳を疑ったわけでありますが、それから数日後にあの防衛庁のリスト問題が発覚をして、何だ、やっぱり官僚も悪いことをするんだということが明らかになってしまったと。本当に寂しい限り、その発言の軽さというものにもあきれ果てるばかりでありますが、この防衛庁のリスト問題、昨日のあの衆議院の有事特別委員会、その理事会で何が起きたか。政府がうそをついているじゃないですか。
 本来なら、私も今日持ってまいりましたが、こういった分厚い調査報告書というものがありながら、この薄い、四ページ、四枚紙の調査報告、これでお茶を濁そうとした。これしかないと政府はうそついたわけですね。どうしてこういうことをやるんですか。これ、与党は人間だけれども野党は人間でないのか、うそをついてもいいか、そんな発言に思えてならない。
 これ、総理は、小泉総理はしばしば言論の自由だというふうにおっしゃるけれども、言論の自由はこういう国会の中でうそをついてもいいなんという話ではないですよ。このことに関して総理はどのように認識されているか、まず意見を伺いたい。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が防衛庁のこの個人情報リストの問題に関しては、よく調査して、それをすべて明らかにしなさいと、そして分かりやすい説明をしなさいということであります。
 うそをつけなんて一言も言っていませんよ。
鳩山由紀夫君 結果としてね……(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
鳩山由紀夫君 結果として、与党と、これはうわさによると官邸も指示をして、分厚い報告はなかったということにしようと。もう新聞見りゃみんなそう書いてありますよ。新聞が全部うそついているという話ですか。私はそうは思わない。これは新聞の方が正しいというふうに認識すべきだと。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
鳩山由紀夫君 とすれば、私は申し上げたいのは、小泉総理がうそついたんじゃないですよ、うそを、政府の役人が理事会に来て虚偽の報告をするということに対してどういうふうに思われるんですかと、そういうふうに伺ったんです。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、よく調査して、きちんとそれを分かりやすく国民に対しても国会に対しても報告しなさいと、説明しなさいということであります。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
鳩山由紀夫君 全然答えになっていないのでありますが、よく洗いざらい出しなさいという発言があったというふうには伺っていますが、しかし、昨日の段階で、どうもそのようには思えない。むしろ、与党あるいは官邸の方から、これ出したらこれはまずいぞと、三日間も集中審議しなきゃならなくなるからなというような発言があったというふうにうわさをされていると。これは事実かどうか分かりません。
 ただ、そのような状況の中で、本来なら防衛庁が洗いざらい述べようと思った報告書を出すなと止めたのは与党のあなた方じゃありませんか。そのことに対してあなたは、じゃ、指示を出したとしても、その指示が与党に全然通っていない話を一体どう考えるのかと伺いたい。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、防衛庁にきちんと調査して分かりやすい説明をしなさいという指示を出して、後、どういう状況になっているのか、今後その委員会の状況を見て、しっかりと、批判された点あるんだったらばそれに答えるように、反省すべき点があるんだったらば反省するように指示しております。
 今後の状況というのは……(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) それぞれの政党の理事も出席されているようであります。与党側の理事もいろいろな意見があるようであります。その状況を見ながら、今回の問題についてはきちんと国民に説明できるように、また反省すべき点は反省して、再発防止策等しっかりとした対応を取るように指示しております。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
鳩山由紀夫君 総理が幾らお話をされても、これは、こういう問題に対してもまたしても人ごとなんだなと、何で総理としてリーダーシップを発揮されないのかなと、本当に寂しい思いでございます。
 この報告書自体も、最初はこの四枚紙の小さな概要書も、この中で証拠隠しがあったと思われてもやむを得ないというような文言があったのを削除したわけでしょう。それを与党の発想で削除されている。ですから、報告書と、分厚い報告書と薄っぺらい概要の要約版とで言っている内容がずれているわけですね。こういうことがあれば、報告書の内容、読みました報告書の内容、信用できないじゃありませんか。これは、瀋陽事件における、あの総領事館における外務省の報告と同じですよ。大本営発表と同じで、自分たちが自分たちを調査すりゃ甘くなる。結果として大甘のものが出てきてしまったという話でしょう。
 私はここで、じゃ、総理に是非やっていただきたいことがある。第三者機関でしっかりと調査を行ってください。これ、やはり外務省もできなかった、防衛庁もできなかった。ならば、ここで第三者機関にしっかりと調査をさせる、そして虚偽の報告があったということに対してもどういう責任を取るのか、ここで明言してください。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) まず、防衛庁からの報告も私も聞きました。法に触れる点、あるいは法に触れなくても不適切な点、あるいは防衛庁職員の認識の点、甘い点、あるいは不十分な点、それぞれあるなと。そういう点については、いろいろ御批判、指摘の点もよく聞き入れながら、このような不信を解消するような調査をして、不信を少しでも解くように分かりやすく説明しなさい、なおかつ、国民に対して不安と混乱を招かないような再発防止策というものもしっかり取るようにという指示をしたわけであります。
 今、第三者機関のお話がありましたけれども、正に国会なんです。国会の場で、どういう点が不十分なのか、どういう点が問題なのか、これから、今既に……(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 担当委員会で、理事会で協議が進められていると思います。そういう点を聞いてしっかりした対応をしていく必要があると思っております。
鳩山由紀夫君 あのいい加減な報告書を、報告書自体がいい加減であれば、幾らそれを国会の中で議論しようといったって、正直な、正確な情報がなければ、これは判断のしようがありません。
 だから、くどいようですが、第三者機関で、それこそだれが見ても、これは防衛庁の意向によってねじ曲げられていないな、与党や官邸によってねじ曲げられていないな、そう分かるような報告書を作ってください、それが国民のためだと、そういうふうに申し上げているんです。
 今のお話をずっと伺っていますと、総理は、やっぱりこの通常国会じゅうずっとそうでしたが、結局は自分がリーダーシップを発揮されていないんです。改革のお気持ちがあるいはおありになったのかもしれない。でも、その改革の気持ちも今はうせて、自民党の中で、それだけの仕事をすればいいんだと、一日でも長く総理をやればいいんだという発想になったら、本当に国民にとって残念な話でならない。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に願います。
鳩山由紀夫君 総理がなぜ改革ができないのか。この通常国会を通じてずっと見ておりまして、なぜ改革ができないのか。私は、大きく三点あると思う。
 その一つは、先ほども申し上げたように、政治と金のような本当の意味での構造改革というものをなさっていない。構造改革というのを何か別の次元の方に持っていって、これが改革だとパフォーマンスされる。そうじゃない。政治改革、本当の意味での政治の構造改革を行って政官業の癒着を断つという、そういう政治にすることが構造改革じゃありませんか。そういうものを残念ながら総理は目指しておられないという構造改革の間違い。
 それから第二点目、これは総理が内閣を作られたときに官僚機構をそのまま残された。今まで森総理の下で働いていた方々をそのまままた官僚組織お願いしますということで、政策というものの打合せもほとんどないまま続けて総理に就いてしまった。官僚の結局手のひらに乗って、既得権を守ろうとする官僚の抵抗勢力の前に改革がとんざしたり、あるいは総理自身が抵抗勢力になってしまったりして、だから何も、正に森政権よりも改革が進んでいないという評価もあるぐらいじゃありませんか。それが二点目。
 三点目は、言うまでもありません、そちらに今やじを飛ばしておられる皆さん方、自公保政権、森内閣と同じ自公保政権をそのまま続けられたものだから、皆さん方、族議員と一緒に行動しなければ政権もたない。だから、族議員と一緒に発言がどんどん族化してしまっている。こういう状況で、国民の皆さんはどう考えているのか。やっぱり支持率がどんどんどんどん下がってしまっているでしょう。国民はよく見抜いているんです。
 私は、その意味で、政治一新、もし総理に改革の志がわずかでも残っているんであれば、政治一新をされなきゃならない。その政治一新とは何か。解散ですよ、解散。解散・総選挙を行って、国民の皆さんにもう一回信頼を回復させる、そういう政治を作り出すこと、それができなければ駄目だ。解散すらできないんですか、総理。解散をする勇気を今こそ持つべきじゃありませんか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 野党だから私のことを批判するのは仕方ありませんけれども、わずか一年足らずでこれほど着実に改革進んでいるというのはありませんよ。(発言する者あり)
会長(広中和歌子君) 御静粛に。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、鳩山代表は政権の延命を考えていると言っていましたけれども、それは鳩山さんは考えているかもしれませんが、私はそんなことちっとも考えておりません。いかに改革を実現するかなんです。
 現に鳩山代表を始め、今まで、昨年からもう、正月危機が来る、一月危機、二月危機、三月危機、三月には小泉政権行き詰まって投げ出す、金融不安が起こると言っていたじゃないですか。現在どうですか。私は、今までなし得なかったような、自民党も与党も反対して当然と思われたような改革が、今自民党も変わってきている、賛成して進んでいるんですよ。
会長(広中和歌子君) 総理、お時間でございます。簡潔にお願いいたします。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 族議員政治も排除している。変わったのは支持率だけれども、私の改革の決意、全く変わっていないんです。解散解散と言いますけれども、私は実績を残して、時期が来れば国民に信を問う。それは私の判断なんです。全般の状況を考えて私はしかるべきときに国民に信を問う。それは私が判断します。
会長(広中和歌子君) お時間でございます。
 以上で鳩山由紀夫君の発言は終了いたしました。(拍手)
 次に、日本共産党幹部会委員長志位和夫君。(拍手)
志位和夫君 この間、福田官房長官による非核三原則の見直し発言が国内外で大問題になりました。私は、今唯一の被爆国として、日本政府が核兵器というものにどういう基本姿勢で臨むかということが深刻に問われていると思います。
 核戦争といいますと、インドとパキスタンの緊張が核戦争に発展するのではないかと世界じゅうが心配しました。我が党も両国政府への働き掛けを独自にやりましたが、国際社会が全面衝突の回避の努力を図る中で、緊張緩和の方向に向けた一歩も報じられておりまして、この問題は平和的な解決を切実に望みたいと思います。
 しかし、私、世界を見ますと、核兵器の使用のより深刻な現実的な危険があると思います。それは、アメリカのブッシュ政権が今年一月に米国議会に提出した「核態勢の見直し」という報告書の中で、テロへの対抗、あるいは大量破壊兵器への対抗という名目で七か国を具体的に名指しをして核兵器の使用計画の策定を指示している、こういう事実が明らかになったことです。七つの国の中には、核兵器国である中国、ロシアだけではなくて、北朝鮮、イラン、イラク、リビア、シリアという非核保有国も含まれております。
 アメリカはこれまで、核兵器を持たない国に対しては核を使わないということを世界に公約してきました。ですから、今度のこの「核態勢の見直し」というのは自らの公約をも踏み破るものです。ですから、この四月に非同盟諸国の外相会議が行われておりますが、この「核態勢の見直し」に対して、重大な約束違反だと非難するコミュニケが上がっていますよ。
 そこで、私、伺いたい。
 私は、核兵器というのはどの国に対してであれ絶対に使用されてはならない兵器だと思いますが、その使用を核兵器を持たない国にまで広げようというこのアメリカの方針ですね、拡大しようという方針、これは被爆国の政府としては断じて容認し難い、これは反対であると明言すべきではありませんか。いかがでしょうか。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本国政府としては事あるたびに核廃絶への努力を継続していかなければならないと思っております。アメリカ政府に対しても日本の立場を伝えております。そして、アメリカ・ブッシュ大統領も、話合いの重要性、平和的解決、これは十分認識していると思っております。
 現に今年の二月、ブッシュ大統領が日本に訪問された際、現実に多くの国民が関心を持ったイラクやイランや北朝鮮のブッシュ大統領の発言に対しまして、関心を持っておりましたから、その問題も会談の際に当然話題になりました。そういう際にもブッシュ大統領は、話合いの重要性、これを十分アメリカ政府も考えているし、日本の平和的解決、そして核の問題に対する極めて被爆国としての感情、よく理解していると。核兵器を使用しない、そういう形での平和的解決が望ましいということの中で、しかしアメリカは独自の安全保障政策上、あらゆる場合の選択肢というものを閉じることはないんだ、しかし最も重視しているのは平和的解決、話合いによる解決なんだという話をしているわけであります。
 現に、それぞれの場でアメリカと日本の対話におきましても……
会長(広中和歌子君) 簡潔に願います。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国連の場におきましても、日本としては核廃絶への努力を傾注している外交的な努力はお認めいただけると思っております。
志位和夫君 総理は長々と答弁されましたけれども、私の質問に答えておりません。ただ、一点、アメリカはあらゆる選択肢を排除していないんだということをおっしゃいましたね。
 じゃ、このあらゆる選択肢の中に、非核保有国に対する核兵器の使用、これも含まれるということを総理はお認めになるのか。これを是とするのか非とするのか、この是非について端的にお答えください。簡単でいいですから。
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本としては核廃絶に向ける努力をアメリカもしてもらいたい、日本もそのような方向に向かってこれからも外交的努力を続けるんだ、しかしアメリカはアメリカの考えとして選択肢を残しておくということを言っているわけであります。
志位和夫君 結局、非と言えないんですよ。これが情けない。
 私、昨年十一月二十九日の国連総会で、非核保有国に対する核攻撃を禁止する国際協定を締結すべきだという決議を上げられているんです。日本は賛成しているんです。日本もこれ、賛成せざるを得ない決議だったんですよ。こういう国連の場でともかく核兵器持たない国には核使っちゃならないという態度表明やっておきながら、その後で、一月にアメリカが核戦略変えて、非核保有国に対しても核を使うんだということを言い出したら、平気で方針変える、言えなくなる、非と言えなくなる。こういう私はアメリカ追随外交こそああいう福田発言のような核兵器に対する無感覚を生み出している、この根本にある、このことを指摘して、終わりにいたします。(拍手)
会長(広中和歌子君) 以上で志位和夫君の発言は終了いたしました。
 次に、社会民主党党首土井たか子さん。(拍手)
土井たか子君 防衛庁の情報請求者リストの問題、もう大問題になっております。
 先ほど総理は、有事法制特別委員会のこれからをひとつ見守ってということもおっしゃいましたけれども、特別委員会が具体的な場所とはいえ、私は一委員会の問題ではなくて国会という立場においてこれは考えなければならない大きなこれは問題だ、ゆゆしい問題だと実は思うんですね。
 報道によれば、十一日の、昨日ですね、与党の幹事長、国対委員長の会談で、予定をされた防衛庁のリスト問題の報告書について詳細にわたる本体といいますか全文、これに対してはそれ隠して、報告書の提出は行わないで、報告の概要、報告書の概要の、の概要を削って報告書ということだけにしてこれ発表することを求められたというのが伝わってきております。
 先ほども鳩山代表が示されておりましたけれども、本体これなんです、三十九ページあります。これは出す必要なしと、公表は差し控えようと。そしてもう一つ、その報告書の概要というのはこれなんです。そして、これを、の概要を削って単に報告となっていますが、四ページです。これしか実はあの特別委員会の野党の出席する理事会にはなかったわけです。この中身も改ざんされておりますよ。これは与党の手によって改ざんされて出された中身です。
 したがって、これを考えてみると、野党が追及しなければ今日ここに私はこの原文も持って出てくることができませんでした。全文を目にすることはできませんでした。国民の立場からすれば、これは随分ごまかし策に遭うという格好じゃないんですか。そして、行政によって作成された報告書というのが、与党によってその取扱いということを指示して、しかも一部の改ざんまでこれが受け入れられて、調査報告の中身というのに対しての信憑性が疑われるということにもなっていくということを考えますと、政府・与党による総ぐるみの事実隠ぺいそのものだというふうに言ったって言い過ぎではないんだと思うんですよ。国民に対するこれは情報操作にもなりますよ、こういうことやったら。国民を愚弄するものだ、国会軽視も甚だしい、こういうことを私は思うんです。
 そうしたら、また情報がございましてですね、報道によれば。自民党の山崎幹事長は、全文を公表するなというふうに言ったわけではないんで、意見を述べただけで命令したわけではないと、このように言われているわけですから、実は圧力を掛けられたということを自ら自認しておられるんですね、一方では。しかし、責任逃れも甚だしいと私は思います。
 こういうやり方は、しかし私は、これ驚いたと思うんです。申し上げますが、六月の七日付けで与党「政と官のあり方等検討協議会」とりまとめというのが出ております。これは、ここに与党の皆さんいらっしゃるから、皆さんよく中身について御存じだと思いますが、この(2)のところを見ると、「官僚が、大臣、副大臣・政務官に都合の悪い情報を秘匿し、重大な政策判断の誤りを招くことや、既得権益を優先するなど偏った情報の提供を行ってはならない。」と書いてあるんですよ……
会長(広中和歌子君) お時間でございますので、簡潔にお願いいたします。
土井たか子君 むしろ情報に対して偏った中身にすることを幇助されたんじゃないんですか、今回は……
会長(広中和歌子君) お時間でございます。
土井たか子君 せっかくのこの取りまとめも意味がないと私は言わなきゃならないと思いますが、こういうことに対して総理はどのように判断され、どのようにこれに対しての取扱いを進められるか。
 そして、申し上げておきたいんですけれども……
会長(広中和歌子君) お時間でございます。
土井たか子君 今、正に国民の基本的な権利にかかわる重要法案というのが掛かっている最中です。今こういうふうな隠ぺい工作等々に対して、これは白昼堂々これまかり通っているわけですからね……
会長(広中和歌子君) お時間でございます。
土井たか子君 そんな中で、法案に対してのまともな審議ができるはずはないですよ、こんなことになると。国民の皆さんからすると、いよいよこれは不信が募る一方だと言わなきゃなりません……
会長(広中和歌子君) 小泉内閣総理大臣。
土井たか子君 そして、こういう姿勢で臨まれる行政に事を預けるわけにはいかない。断じて……
会長(広中和歌子君) 土井さん、お時間でございます。
土井たか子君 会期延長というのはもってのほかであるということを申し上げて、私は言うことを終えます。
 ありがとうございました。(拍手)
内閣総理大臣(小泉純一郎君) 政府も与党も、隠ぺい工作などする気は全くありません。(発言する者あり)情報を公開して、国民に分かりやすく説明しろ、この方針には全く変わりありません。
会長(広中和歌子君) 以上で土井たか子さんの発言は終了いたしました。
 以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。どうもありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会

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