衆議院

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第1号 平成20年1月9日(水曜日)

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平成二十年一月九日(水曜日)

    午後三時開議

    ―――――――――――――

委員氏名

  衆議院

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 臼井日出男君 理事 菅  義偉君

   理事 萩山 教嚴君 理事 船田  元君

   理事 宮路 和明君 理事 奥村 展三君

   理事 鳩山由紀夫君 理事 斉藤 鉄夫君

      伊吹 文明君    稲葉 大和君

      海部 俊樹君    武部  勤君

      谷垣 禎一君    津島 雄二君

      中川 昭一君    中川 秀直君

      中山 太郎君    二階 俊博君

      丹羽 雄哉君    保利 耕輔君

      谷津 義男君    柳澤 伯夫君

      赤松 広隆君    小沢 一郎君

      菅  直人君    高木 義明君

      平野 博文君    北側 一雄君

      志位 和夫君

  参議院

   委員長 山下八洲夫君

   理事 工藤堅太郎君 理事 前田 武志君

   理事 北川イッセイ君 理事 脇  雅史君

      小林 正夫君    輿石  東君

      芝  博一君    長浜 博行君

      平田 健二君    円 より子君

      簗瀬  進君    小池 正勝君

      小泉 昭男君    二之湯 智君

      山谷えり子君    山本 順三君

      風間  昶君    西田 実仁君

      井上 哲士君

    ―――――――――――――

 出席委員

  衆議院

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 臼井日出男君 理事 菅  義偉君

   理事 萩山 教嚴君 理事 船田  元君

   理事 宮路 和明君 理事 奥村 展三君

   理事 鳩山由紀夫君

      愛知 和男君    伊吹 文明君

      近江屋信広君    高木  毅君

      谷垣 禎一君    津島 雄二君

      中川 昭一君    中森ふくよ君

      中山 太郎君    二階 俊博君

      丹羽 雄哉君    保利 耕輔君

      谷津 義男君    柳澤 伯夫君

      小沢 一郎君    菅  直人君

      高木 義明君    松野 頼久君

      北側 一雄君    志位 和夫君

  参議院

   委員長 山下八洲夫君

   理事 工藤堅太郎君 理事 前田 武志君

   理事 北川イッセイ君 理事 脇  雅史君

      小林 正夫君    輿石  東君

      芝  博一君    長浜 博行君

      平田 健二君    円 より子君

      簗瀬  進君    小池 正勝君

      小泉 昭男君    二之湯 智君

      山谷えり子君    山本 順三君

      風間  昶君    西田 実仁君

      井上 哲士君

    …………………………………

   内閣総理大臣       福田 康夫君

   総務大臣

   国務大臣

   (地方分権改革担当)   増田 寛也君

   法務大臣         鳩山 邦夫君

   外務大臣         高村 正彦君

   財務大臣         額賀福志郎君

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   厚生労働大臣       舛添 要一君

   農林水産大臣       若林 正俊君

   経済産業大臣       甘利  明君

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   環境大臣         鴨下 一郎君

   防衛大臣         石破  茂君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     町村 信孝君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)

   (食品安全担当)     泉  信也君

   国務大臣

   (沖縄及び北方対策担当)

   (規制改革担当)

   (国民生活担当)

   (科学技術政策担当)   岸田 文雄君

   国務大臣

   (金融担当)       渡辺 喜美君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   大田 弘子君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   上川 陽子君

   内閣官房副長官      大野 松茂君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   衆議院国家基本政策委員会専門員          堤  貞雄君

   参議院常任委員会専門員  田中 英明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国家の基本政策に関する件


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     ――――◇―――――

    〔衛藤征士郎君会長席に着く〕

会長(衛藤征士郎君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。

 本日は、私が会長を務めさせていただきます。

 国家の基本政策に関する件について調査を進めます。

 これより討議を行います。

 討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び内閣総理大臣は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。

 また、委員各位におかれましても、議事の妨げとなるような言動のなきよう、御協力をお願いいたします。

 発言の申し出がありますので、これを許します。小沢一郎君。(拍手)

小沢一郎君 総理、明けましておめでとうございます。

 新年早々から、総理にとっては余り気分のよくない、愉快でない話をしなくてはならないんですけれども、内閣総理大臣は、国民の生活、暮らしを守る、また生命、命を守る、そのための国民から最大の権限を与えられ、そしてそれを国民のために行使するという日本の政治、行政の最高の責任者でありますので、そういう意味において、本当に、国民に目を向けた、国民のための政治そして行政を心がけねばならない責任と使命があると思います。そういう意味で、ぜひ、誠実に、本気で、全力で取り組んでもらいたい、そうまず願っておきます。

 そこで、今、国民の多くの皆さんの中で、現在の政治、行政に対する不安やらあるいは不満あるいは不信感というのが非常にこの日本の社会の中に充満していると私は思います。そういういろいろな問題が明るみに出ておりますけれども、その中でも、やはり最も個々人の将来の生活あるいは現在の生活に関連を持っている年金の話というのは、本当に切実な問題だと私は思っております。

 したがいまして、ほかにもいろいろ問題はあると思いますけれども、きょうは、その問題につきまして、まずは総理のお考えやら政府の方針やらをお聞きしたいと思います。

 この問題につきましては、私どもの同僚、仲間の議員が一昨年からいろいろ国会で質疑を政府にいたしておると思いますが、特に昨年の通常国会から、この年金問題について、そのずさんな現状についていろいろ政府の姿勢や考え方を問いただしてきたと思います。

 当時は安倍さんが総理大臣でありましたけれども、そのときの総理や政府の答弁、姿勢は、そんなことを言うと人心を惑わすあるいは社会を混乱に陥れる、そんなことをおまえたち言うなという趣旨の答弁がありました。しかし、私どもの仲間の議員は、しかしこれは本当に個々の国民の皆さんにとって大事であるということと同時に、それは日本社会の安定のために、これが全く崩壊してしまったら社会そのものが大混乱に陥ってしまう、そんな危惧の念からいろいろとまた国会で取り上げてきたと思います。

 そうこうしている間に、国民の間でも非常に大きな批判が高まって、政府・与党としても、参議院の選挙も近づいて、これは何とかしなきゃいかぬということになったんだろうと思いますけれども、その対応策を打ち出した経過があります。

 そして、参議院の選挙中も自民党は、これは、特に失われた五千万件の年金の問題については、三月末日まで、ことしの年度末までに完全に名寄せをして、照合して確認をいたしますということを選挙の公約として国民の皆さんに示された、これは事実だと思います。

 そして、安倍さんがおやめになって福田総理ということになりましたが、総理御自身も、やはり施政方針演説やらあるいは答弁やらでもって同様の趣旨の話をしてこられたと思います。

 それが突然、十二月ですか、年末に、厚生労働大臣の方から五千万件の処理についての話が、報告があって、そのうち二千万件はとにかくこれはもう照合が不可能だという話、他の三千万件についても、若干、私どもから言わせるとあいまいな感じでありますが、いずれにしても、最低二千万件は照合不可能である、こういう話があった。

 そのことについて、公約違反ではないか、公約と違うじゃないかという批判に、総理は、公約違反というほどのことじゃないじゃないかとか、官房長官の、選挙だからという発言もあったんですが、これを、国民の批判が高まって、総理自身それはおわびをしたという経過です。おわびをしたことそれ自体はそれで結構なことだと思いますが、おわびしただけでは解決しないのでありまして、これは何としても、どんな方法あるいは知恵を出してでも、国民が汗水垂らして掛けた保険料の話ですから、何としても解決しなきゃいけないと私は思います。

 そういう意味で、私は、年金の勉強をそんなにいっぱいしたわけではないので、まさに素人なんですけれども、まずはその基礎的な、初歩的な質問として、五千万件、あるいはどうしても困難だという、わからないという二千万件でもいいですけれども、それは金額にするとどの程度のものなんでしょうか。細かい数字は結構です、大ざっぱな数字で結構ですが、お伺いいたします。

内閣総理大臣(福田康夫君) 冒頭、小沢代表から言われました、国民の立場に立った政治を進めなければいけない、私、全く同感でございます。私の十月の所信表明で、そのことを明確に申し上げたわけでございます。

 そういう観点からしますと、この年金問題というのは、今までどうしてこういうことが起こってきたのかということでございまして、まさに国民の立場に立っていない行政をしてきた、そういうように思っております。それも、その後何十年、四十年にもわたってそういうことがずっと行われてきた。今、代表、ずさんなというようにおっしゃいましたけれども、壮大なずさんなことをしてきたというように私は思っております。ですから、これは何としても、国民の皆様のためにこの制度は必要であるという前提に立って、皆様に理解のできるようなしっかりした制度にしなければいけない、そんなふうな思いでございます。

 ただいま、その年金問題、表へ出てきてからの経緯を御説明になられました。正直申しまして、この問題については、私どもはそういう過去のことを考えておわびを国民の皆さんにするしかない、こういう思いでいっぱいでございます。何度もおわびを実は申し上げてまいりましたけれども、しかし、これからもそういう反省に立って、本当にいい年金制度を仕立てていきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、今お話ございました。これは決して、公約を違反したかどうかということについては、これはもう世間がどういうふうに認めるかということでございますので、私から言いわけがましいことを申し上げることはありません。ですから、そういうことは申しませんけれども、申しませんけれども、私自身は、七月五日に政府・与党で決めた方針、これに基づいて今粛々と作業を進めている、こういう状況でございます。私は、あの七月五日の政府・与党の決定に従って、総理になってからもその方針どおりにやってきているというように考えております。また、その作業も着々と進行している、こういう状況でございますので、その作業の状況を皆様にお知らせしながら信頼回復の道につなげていきたい、こういうふうに思っております。

 ただいま御質問ございました、どのぐらい不明のものの金額なのかということでございますけれども、これはなかなか計算難しいんですよ。どういうところにどういうレベルの受給者がいるのかというようなこともありますので、私もこの質問をしたことありますけれども、相当複雑な計算をしなければいけない。また、そのことよりも、いかにして今千九百七十五万件のわからない分があるというその分についての解明を進めるか、そのことの方がはるかに大事だろうというようなことでございますので、いずれは千九百七十五万件は減ってまいります、これは間違いなく。ですから、この千九百七十五万件が幾ら減るか、そして残った分について幾らの損害を国民に与えることになったのか、そういう計算をした方が現実的ではなかろうか、このように私は考えておるところでございます。

小沢一郎君 この問題は福田総理一人の責めに帰す話ではもちろんないんですけれども、しかしながら、今日こういう状況が起きて、そして現在は総理大臣が福田さんですから、したがって、福田総理がこれをきちんと対応して、国民の納得のいく解決策を見つけなきゃいけない、これはまた当然のことだろうと思うんです。

 今、一応初歩的な前提として金額の話を聞いたんですけれども、そういうことも、複雑な計算をして云々というお話がありましたが、これがきちんと整理されておればすぐわかるはずですし、またそれ以外のものについては、完全に正確かどうかは別として、わかっているはずなんですね。そうすると、それから、素人でいえば、単純に差し引けば、私はその金額というのも出てくるんだろうと思っていますが、それをなかなか、私どもの同僚もずっと以前から政府に対して求めているんですけれども、何回言っても、今総理の答弁と同じように、絶対明らかにされなかった。私は、その金額の多寡というよりも、そういうようなことをきちんとオープンにできないということ自体が行政の大問題だと思うんです。

 本当にあらゆる問題、政治も、また政治家ももちろんそうですが、やはり国主権者たる国民の目にきちんとさらされて、オープンにされて、そしてそのオープンにされた事実を主権者が判断するということでなければ民主主義は成り立たないわけでありますので、ずさんと言っても、余りにもひどいような状態だったことは総理もお認めになりました。

 そこで、私どもは、それこそ一年も前から、これを解決する一つのというよりは、まずすぐ取りかからなきゃならない唯一の策として、全員に、一億人と言われておりますけれども、全員に直ちに年金の状況を送付して知らせて、そして確認をしてもらい、あるいは、これとは違うという人は申し出てもらい、そういう、まずは往復のはがきでいいから全員に送付して、そして国民みんなの判断と申し出を受け付けるべきじゃないだろうか、そういうふうにずっと主張しておったんですが、それがずっとなされていない。

 今、特別便ですか何かということでやっておられるそうですが、一億のはがき、これを郵便で、はがきで送るということは、そんな困難な作業では私は決してないと思うんですけれども、どうしてこれは政府はやれないんでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君) ごもっともなお話でございまして、私もそう思っておりました。

 そこで、そこに至るところまでどういうふうにするかという手順を少し説明させていただいてよろしいでしょうか。

 ただいまやっておりますのは、今、五千万件あるうちの千百万件について、これを特別便を出すという作業を始めました。本日までに六十万人分出したわけでございます。そして、反応も相当程度今来ております。そこで、確認をまずいたします。

 そして、その次に、千九百七十五万人の分について、もう一度名寄せをしたいと思います。これはコンピューターのソフトを変えるといったような手続を踏んで名寄せをしたいと思います。そういうことによって、先ほど申しましたように、この千九百七十五万人のうちの相当、どのぐらいになりますか、ちょっとまだわかりませんけれども、数が出てくる。そうしましたら、それもねんきん特別便を出しまして確認をするという作業を、これを千百万人プラス今のアルファ分ですね、これを合わせて三月までにやろうということを、今作業を始めたところでございます。

 そして、四月以降は、この特別ねんきん便を、特別便を、加入者そしてまた受給者全員に対して出そうということを考えております。計画をいたしております。これは十月までに完了しようと思います。

 そして、ただいま代表の言われました全加入者に年一回定期便を送ろうということは、二〇〇九年の四月から実施をしたい、このように考えております。そういうことをすることによって毎年確認ができるということになりますので、この辺になりますと国民から信頼をされるようになるのではないかなという感じを持っておりますので、そういうことをちょっと手順を申し上げましたけれども、そういうふうなことで、これから年金の制度をしっかりしたものにする、そういう一歩を踏み始めたというように御理解いただきたいと思っております。

小沢一郎君 現在の政府、行政の手順についての説明をいただきましたけれども、私は、まず個々の、いろいろ今総理がおっしゃったようなことをする前に、その前提として、とにかく全員に通知を出して、そして、かなり多くの人は僕はそれでいいというふうに言うんじゃないかと思うんです。あとは、そうではない、これは違っているという人ももちろん出てくるでしょう。しかし、いずれにしても、そういうことをやって、そこから整理していくというのが一番わかりやすい簡単な方法じゃないでしょうか。

 一億のはがきを出すのにそんなに何カ月も何年もかかるとは私は思わないんですけれども、どうしてそれが、総理もそう思うと最初におっしゃった、なぜ、それは総理の権限で、総理の号令でできることじゃないでしょうか。

内閣総理大臣(福田康夫君) それを四月から十月にかけてまずはやるということを決めているわけです。そして、それをやりますと、またそこからフィードバックしてきたものがこの千九百七十五万件の中でいろいろ出てくる可能性があるんですね。ですから、そういうような作業をした上で、より確かなものにした上で、毎年一回各個人に、ねんきん定期便というふうに言っておりますけれども、それを出そう、こういう計画でございます。

 ですから、代表の言われるような方向で今着々と準備は進んでおるということを申し上げたいと思っております。

小沢一郎君 事務作業がえらい膨大にかかるとか、いやどうだという話ならば、それは何カ月かけてやるということもわからぬでもないですけれども、私は、その一億なら一億のはがきを出す作業がそんなに何カ月もかかるとは到底思えないんですよ。

 例えば、総理、我々、わかりやすい例をとれば、衆議院の選挙のときに、私たちは、候補者一人一人、三万五千の選挙はがきがありますよね、それから党の分を入れれば二万で五万五千、全国区の比例区では十五万、候補者一人一人で出せるんですよ。ですから、その意味で、本気になれば、自分のことになれば、あの選挙のごたごたの大変なときでも短期間でそのぐらいのことをやっているわけです、事実。

 それで、今、本当に、社保庁で一万八千人ですか、それから、厚労省だと全部で三万六千人ですか、合わせて五万四、五千人の職員の人がいるわけですから、本気になってこれをやろうとしたら、本当にこれは短時間で私はできる作業だと思うんです。

 まずそれをやってみて、それで、これで結構ですという人はそれでもういいわけですから、そうすると、あと残った人たちだけについていろいろと具体的にやっていけばいいことで、それで、そのことを、同僚議員からもいろいろ聞くと、それを言うと、何かうそをついて年金をごまかしてもらおうとする人が多くなるとか、いろいろ混乱が起きるとか、そんな理由でもって答弁がなされておるそうですけれども、それは、日本人がそんなごまかして国から年金を横領しようなんて、そういう人は私は本当にごくわずかだと思いますよ。ですから、余りにもひどい申告、申し出は、余りにも筋道の通らないおかしなのはわかるんですから。

 ですから、そういう意味で、本当に、まずは、どうしても僕は今総理の説明、何カ月後、十月に云々とわかるけれども、何でこんな簡単なことがすぐできないんだろうかということは、僕も素人だからあれですけれども、一般の国民の人はみんなわからない、詳しいことはわからないんですから、そして、本当にはがきを出すという作業だけならばそれはできるよということになるわけですから、私は、ぜひそれは総理の決断でやってもらいたいし、それができない、徐々に十月までにはやります、そういう悠長な時間をかけた問題ではないと思うんですが、いかがですか。

内閣総理大臣(福田康夫君) おっしゃることはもっともですと言いたいところなんですけれども、この四月から十月までに九千万人分出します。出しますが、これは確認作業なんですよ。確認作業です。また、確認作業ですから、一件一件出せばいいという話じゃないんですね。返ってきたものを一々チェックしなければいけない。そういうことがございますので、結構手間がかかるんですよ。

 また、知識がない人がやるわけにいかないというようなこともございますので、そこはやはり、基礎台帳はしっかりしなければいけない、そういう考え方に基づいて、できるだけ十月までに正確なものをつくって、それができた後で定期便という形で一年に一回出そう、こういう考え方をいたしておるところでございます。今、確認の作業の途中であるということをひとつお考えいただきたい。

 それからまた、この作業のためには、社保庁の人間だけじゃありません。社保庁以外で、各市町村の年金の窓口、こういう方々にも全部応援をお願いいたしておりますし、そしてまた企業、企業も言ってみれば年金を扱っていただいておるわけでございますから、各企業にもお願いをしている。言ってみれば、政府も、そしてそういう民間の方も一緒になって、総動員体制で今やっているんだということを御理解いただきたいと思っております。

小沢一郎君 総動員体制でというお話がありましたけれども、現実にまず社保庁の作業を聞いてみますと、国税庁から三人ですか、民間から十一人ですか、の応援をもらってやっているにすぎないということでありますが、いずれにしても、さっき言ったように、社保庁、厚労省だけで五万四、五千人もいるんですから、それに、総理が言ったように、市町村の皆さんの協力も得てやれば、できないはずはないと思うんですよ。これは絶対、一般の国民の皆さんには納得いかないことだと思います。

 それで、私は、そういうことをまず実施して、そして、国民の皆さんからの、これは違うという人たちからは申し出を受けて、これは安倍総理のときにも言ったんですよ。基本的にこの問題を解決するには、国民の皆さんからの申し出を原則的に認める以外ないと。それは、本当におかしな、つじつまの合わない話は別といたしまして、本当にそれ以外に解決の方法はないじゃないですか。これは行政のずさんなやり方によって起きたことなんですから。

 そして、私は、やはり政府は、総理大臣は、みずからの国民の善意を信じてやってもらいたい。そうでないと、この問題はいつまでたっても、大体二千万件はもう絶対困難だと、厚労省ですか、厚生省自体が、大臣が言っているわけですから。それを解決するためにも、私どもが主張してきた、まず全員にとにかく年金記録を通知して、それで確認してもらい、あるいは、そうでないという申し出のある人は申し出てもらう、そういう作業をした上で、基本的に国民の申し出を原則として受け入れる、そういうことしかないんじゃないかと私は思っております。

 安倍総理は、そんなことを全員に認めるということをあなたは言っているんですかと言って、そのときはおっしゃいましたけれども、そうです、私はそれ以外に方法はありません、そういうふうに申し上げました。どうか総理、本当に、最高の責任者であり、最大の権限、権力を持っておられる方ですから、そういう意味で、最初に申し上げたように、国民の皆さんの立場に立って、その不安の解消と、そして、これが全く国民から信頼されないということになっちゃうと、単に金目の話だけじゃなくて、日本の社会そのものが私は崩壊しちゃう、そう思うんです。

 ですから、そこはぜひ、官僚の壁を破って、乗り越えて、総理の権限をフルに発揮して、ぜひとも国民の皆さんの期待にこたえるようにしていただきたいと思います。

内閣総理大臣(福田康夫君) 私も、本当に考え方は同じだと思いますよ。この問題を早く解決することが信頼につながるというように思いますから、それは人間もたくさん投入しなければいけない、それも事実ですよ。ですから、人が足りないからという言いわけはできないというように思っております。

 今現在、一万七千人社保庁の職員がいるんです、一万七千人。そのうち四千人をこの問題の対応に当たらせている。そして、外から五千人来ていただいておる。九千人体制なんですね、九千人以上でございますけれども、そういう体制を組んでやっておるところでございます。

 そして、社保庁も全員がこの問題をやるわけにいかない。今、実際問題として、年金を徴収するとかいろいろな業務がありますから、そういう業務に支障があってはいけないという、しかし、ぎりぎりのところまで社保庁から出てきてこの問題に対応しているということでございます。

 今やっております作業が予定どおりいくのであれば、これも随分急いでやっておるわけでございますけれども、この体制を維持する。しかし、民間の方々にも応援をいただいておるということもございますし、それは臨機応変で対応は考えさせていただく、こういうふうに思っているところでございます。

 それから、だれにでも年金の申し出があったらば支払うようにというお話がございました。そういうような丁寧な対応というのは、これは私は絶対必要だと思います。

 ですから、そのところについては、いわゆる第三者委員会をつくりまして、そこに御相談をいただくという仕組みはつくっております。この第三者委員会は極力丁寧に対応するように、相手の気持ちをよく考えてやるように、こういうような指示もいたしておりますので、そこで何か問題があるのであれば、私どもはその問題を取り上げて対応を考えなければいけませんけれども、今そういうような姿勢でやっておりますので、御安心というまでいけないかもしれないけれども、できるだけのことはやっておるということを御理解いただきたいと思っております。

小沢一郎君 総理の御説明はお聞きいたしましたけれども、今お話のあった第三者委員会も、私の聞いたところでは、三万件ですか、何か申し出があって、そのうちのほんの数%しか、三%ですか、四%ですか、それしかできていない、こういう実態もあります。

 ですから、とにかく、このままの状況でいくと本当に国民の不信が高まっていっちゃって、そして、さっき言ったように日本社会そのものが崩壊してしまうという、私はそのぐらいの大きな問題だと思っております。ですから、今の行政の実態、事実関係を、状況を総理説明されましたけれども、それでは決して国民は納得しないんじゃないかというふうに思います。

 時間が経過してしまいましたので、次の問題に移りたいと思います。

 政府は、臨時国会、二度延長されて、年越しの国会になっているわけですけれども、それは、ひとえに米軍等の艦船への自衛隊の給油、これを何とか再開したいという一念からだと思いますので、そのことに若干最後に触れたいと思います。

 自衛隊、すなわち事実上の軍隊を海外へ派遣する、派兵するということは、私は、本当にきちんとした基本的なルールあるいは原則、それに基づいてなされなくてはいけない。特に、過去の歴史を我が国自身も考えた場合においても、そして、現在の憲法の問題を考えた上においても、これはたまたまその時々の必要性あるいは政府の状況判断だけで行われるべきものではない。それは、結局国を誤るということに私はなると思います。

 今現在、政府自身はどういう原則で、どういうルール、基準をもってこの自衛隊の海外派遣ということをなされておるのか、憲法解釈も含めまして総理のお考えをお聞きしたいと思います。

内閣総理大臣(福田康夫君) 自衛隊の海外における活動ということについては、我が国は極めて慎重な姿勢で今までやってきたわけですね。そのために、一九九〇年の湾岸戦争のときには小沢代表も、当時、自由民主党の幹事長として大変御苦労されたということはいろいろな記録で拝見いたしております。あの思いは今でも変わらないということ。

 それは何かといったらば、海外で何かあったときに、そしてそれも日本の力を求めているというときにはできるだけ協力してあげたい、これは当然のことですよね。あのときまさにそういうお気持ちだったというように思います。特に中東のことでございますから、我が国のエネルギー資源の調達の一番大事なところですからそう考えるのは当然かもしれませんけれども、いずれにしても、何か国際的な活動で、そしてお役に立ちたい、これは我々日本人みんな持っているのではなかろうかというふうに思います。

 ただ、無原則に出すわけにいかない、出てもらうわけにいかないということでございまして、そういうことで、今回のインド洋における洋上補油そして給水というこの活動については、これは我々も慎重に検討した結果、テロ特措法というような形でもって法律化して、そしてその法律に基づいて出ていってもらっている、活躍をしてもらっている、こういうことでございます。

 その原則というか理由は、これは武力行使とかそういうことに当たらない国際平和協力活動である、そういうことで考えておるわけでありまして、インド洋でもって武力行使はしているわけじゃないんです。あくまでもテロを抑制しよう、テロを撲滅しよう、そういう行動の一環として、そういう具体的な行動をしている艦隊に対して補油をする、給水するという作業をしてきた、そういうことでございます。

 これは、あくまでも国際平和協力といったような観点からの活動でございまして、何も憲法という問題を持ち出すまでの話ではない、そのように考えております。憲法ということになれば、それは武力行使とかいうこととの関連だと思いますけれども、そういうことをしているのではないということは、これはもう今までずっと御説明を申し上げてきているところでございまして、今度、今お諮りいたしておりますこの新法につきましても同じような考え方でやるということでございますので、ぜひどうか、あと会期わずかでございますけれども、参議院における審議、この結論をぜひ出していただきたい、そのように考えておるところでございます。

小沢一郎君 今総理は、日本国憲法というのとは、持ち出すまでのあれではないという趣旨のお話をしましたけれども、それは本当に重大な私は発言だと思います。これは、時間がありませんのでまた次の機会にそのことについては議論したいと思いますが、そうすると、総理の今のお話ですと、国際平和、国際貢献のためだというふうに政府が判断すれば、どういう場合でも、いつでも海外に自衛隊を派遣できるということですか。

内閣総理大臣(福田康夫君) それは、ただいま申しましたように、憲法九条に抵触しないかどうかということは、もう長年の議論なんですね。ですから、一九九〇年の、小沢幹事長が法律、法案を考えられたようでございますけれども、それは憲法に抵触するのではないかといったような意見があって、そしてそれを一たん取り下げたというような話も伺っておりまして、まさに憲法九条との関係なんですよ。

 それで、今回の法律については憲法九条には抵触しない、憲法九条に言うところの武力行使に当たらない、そういうことでございますから、ですから、これがもし国際社会の役に立つことであるならば、それは自衛隊としてそこに参加する、国際社会に貢献しよう、こういう考え方で出動したわけでございます。

小沢一郎君 ですから、今、総理のお話のとおり、日本国憲法には九条があります。その九条の問題だということをおっしゃいました。ですから、やはり、特に戦後日本の場合には、日本国憲法第九条の解釈あるいは自衛権の解釈等が今までいろいろ問題になり、そして議論があったわけです。

 ですから、私は、そこのところを、ただ単に政府が、憲法九条には該当しません、抵触しません、そう言えば、それがもう自衛隊を海外に派遣してもいいということに今のお話では聞こえますけれども。

 ですから……(発言する者あり)ちょっと、静かに言っているんだから、聞いてください。

会長(衛藤征士郎君) 静粛にお願いいたします。

小沢一郎君 ですから、私は、憲法九条というものをどういうふうに解釈した上で、それで自衛隊の海外派遣は憲法に抵触しないのかと、そう主張しておられるのか、その総理の主張、お考えをお聞きしたいということを先ほどから尋ねております。

内閣総理大臣(福田康夫君) 今、私申し上げたとおりなんでありますけれども、そういうようなことを前提に今までこのテロ特別措置法というのは二〇〇一年に成立したわけですね。これはもう今の新しい法律も基本的には同じなんです。仕事の中身はちょっと違いますけれども、限定しましたけれども、基本的にはこの憲法解釈、憲法との関連においても、よくそのときから、二〇〇一年から御説明を申し上げてきているところでございます。

 そして、当時のことを、私、官房長官をして担当大臣でございましたので覚えておりますんですけれども、当時、民主党はその考え方には賛同していただいたというように記憶をいたしておるところでございまして、以来、私どもはその考え方は一切変えてないんです。ですから、ひとつどこか過去の記録をちょっと調べていただいて、ぜひその点についての御懸念はないんだということで御理解を賜りたい、そのように思っておるところでございます。

小沢一郎君 また次の機会にやりますけれども、今の総理の御答弁では、私の質問に対する答弁になっていないのではないかと私は思います。

 例えば、法律をつくってその法律に基づいてやっているんだからいい、こういう趣旨の話も今なされました。しかし、その法律は、憲法の前提があって法律というものは成り立つので、憲法に反する法律というのはあり得ないわけで、ですから憲法の基本の原則をどういうふうに解釈するかということが大きな問題なんですね。

 ですから、福田内閣はどう考えて、どういう基準で憲法解釈をどうして、そしてこういう行動をしているのか。例えばアフガンの協力に対しても、オーストラリアもカナダもアメリカとの集団的自衛権の行使ということで参加しているわけです。じゃ、日本政府もそういう考え方に立っているのかどうか。そういう点を、そうでないのなら、どういう理由、根拠で、どういう解釈でやっているのかということを明確にしないままに、私は、自衛隊、軍の海外派遣というのをすべきではない、そう思います。

 それから、武力の行使というこの言葉の意味も、今やっていることは、直接的な戦闘行為ではないですけれども、兵隊さんだって食料、御飯を食べなきゃできないわけですから、戦闘も。水を飲まなきゃできないんですから。また、いろいろな武器だって車両だって飛行機だって何だって、油がなければ動かないんですから。それはまさに、米軍を中心としたあの作戦の兵たんの一部を担っているんですよ。戦争というのは兵たんそのものなんですよ。これは、その他の例をとっての時間はありませんから申し上げませんけれども。

 だから、現に事実上ドンパチやっていないんだからいいじゃないかとか、アメリカから頼まれたからいいじゃないかとか、そういう、私は、日米同盟……(発言する者あり)

会長(衛藤征士郎君) 静粛に。静粛にお願いいたします。

小沢一郎君 わかりやすい言葉で言っているだけで、日米同盟だからそういう行動をしなきゃいけない、あるいは国際貢献だからとかという、単にそれだけの理由では、じゃ、その時々の政府の判断でできるということになっちゃうわけで、どうにでもできるので、やはり福田内閣としてきちんと憲法解釈、他の国のようにアメリカとの集団的自衛権の行使だと言うのなら言うで、それは私は反対ですけれども、それも一つ論理的筋道ですし、結論だと思うんです。

 だから、そういうことをきちんとやはり国民に明確に、あるいは世界に明確にして、自衛隊の派遣というもの、軍を動かすというのは政治の最終の手段なんですから、これをその時々の、いいかげんなと言っては失礼ですけれども、そういうことでもってやるべきではない、私はそう思います。(拍手)

内閣総理大臣(福田康夫君) テロ特措法でインド洋に行く日本の艦隊が、艦船が、これが国際社会に対する貢献だと私は思っております。例えば、米軍に対する補油、補給、これはありますよ。しかし、圧倒的に多いのはフランスとかパキスタンとかほかの国々なんです、今。そして、今、そういう国々の艦船は、わざわざ港まで油をとりに行かなければいけないということで、二日三日、余計時間を食ってしまう、そういうような状況にあるわけで、フランスからは早く来てくれ、こういう要請もあるということを聞いております。決して、特定の国のためにやっている活動ではない。

 また、そういう艦船があの洋上にいるということにおいて、不審船のようなものがどんどん減っているという事実もあるんです。もしあの活動を洋上でやめてしまえば、そういう不審船がまた急にふえてくるということもあるわけですね。それはテロの跳梁する機会を与える可能性が……(発言する者あり)

会長(衛藤征士郎君) 静粛に。静粛にお願いいたします。

内閣総理大臣(福田康夫君) 大いにあるというように思いますので、私どもはこれは非常に意義のある活動であるということを考えていることを一つ最後に申し上げたいと思います。

 いろいろこれは議論をするところは多いと思います。特に、今回、民主党の提案をされました対案、自民党のテロ新法に対する対案、これの中身につきまして私も拝見いたしましたところ、大変意欲的だなというように思っております。そういうような意欲的なところも含めて、これから国会で大いに議論をさせていただきたい、そのように思っているところでございます。よろしく御協力をお願いいたします。(拍手)

会長(衛藤征士郎君) これにて小沢君の発言は終了いたしました。

 以上をもちまして、本日の合同審査会は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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