衆議院

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第1号 平成20年4月9日(水曜日)

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平成二十年四月九日(水曜日)

   午後三時開会

    ─────────────

 委員氏名

  衆議院

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 臼井日出男君 理事 菅  義偉君

   理事 萩山 教嚴君 理事 船田  元君

   理事 宮路 和明君 理事 奥村 展三君

   理事 鳩山由紀夫君 理事 斉藤 鉄夫君

      伊吹 文明君    稲葉 大和君

      海部 俊樹君    武部  勤君

      谷垣 禎一君    津島 雄二君

      中川 昭一君    中川 秀直君

      中山 太郎君    二階 俊博君

      丹羽 雄哉君    保利 耕輔君

      谷津 義男君    柳澤 伯夫君

      赤松 広隆君    小沢 一郎君

      菅  直人君    高木 義明君

      平野 博文君    北側 一雄君

      志位 和夫君

  参議院

   委員長 山下八洲夫君

   理事 工藤堅太郎君 理事 前田 武志君

   理事 北川イッセイ君

      輿石  東君    芝  博一君

      長浜 博行君    平田 健二君

      藤原 正司君    円 より子君

      簗瀬  進君    小池 正勝君

      小泉 昭男君    二之湯 智君

      山谷えり子君    山本 順三君

      脇  雅史君    木庭健太郎君

      西田 実仁君    井上 哲士君

    ─────────────

 出席委員

  衆議院

   委員長 衛藤征士郎君

   理事 臼井日出男君 理事 萩山 教嚴君

   理事 船田  元君 理事 宮路 和明君

   理事 奥村 展三君 理事 鳩山由紀夫君

   理事 斉藤 鉄夫君

      秋葉 賢也君    伊吹 文明君

      稲葉 大和君    海部 俊樹君

      鍵田忠兵衛君    谷垣 禎一君

      津島 雄二君    中川 秀直君

      中山 太郎君    二階 俊博君

      丹羽 雄哉君    保利 耕輔君

      谷津 義男君    柳澤 伯夫君

      赤松 広隆君    小沢 一郎君

      菅  直人君    高木 義明君

      平野 博文君    北側 一雄君

      志位 和夫君

  参議院

   委員長 山下八洲夫君

   理事 工藤堅太郎君 理事 前田 武志君

   理事 北川イッセイ君

      輿石  東君    芝  博一君

      長浜 博行君    平田 健二君

      藤原 正司君    円 より子君

      簗瀬  進君    小池 正勝君

      小泉 昭男君    二之湯 智君

      山谷えり子君    山本 順三君

      脇  雅史君    木庭健太郎君

      西田 実仁君    井上 哲士君

 出席国務大臣

       内閣総理大臣   福田 康夫君

       総務大臣

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(地方分権改革))    増田 寛也君

       法務大臣     鳩山 邦夫君

       外務大臣     高村 正彦君

       財務大臣     額賀福志郎君

       文部科学大臣   渡海紀三朗君

       厚生労働大臣   舛添 要一君

       農林水産大臣   若林 正俊君

       経済産業大臣   甘利  明君

       国土交通大臣   冬柴 鐵三君

       環境大臣     鴨下 一郎君

       防衛大臣     石破  茂君

       国務大臣

       (内閣官房長官) 町村 信孝君

       国務大臣

       (国家公安委員会委員長)

       (内閣府特命担当大臣(防災、食品安全))   泉  信也君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、規制改革、国民生活、科学技術政策))      岸田 文雄君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(金融))        渡辺 喜美君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(経済財政政策))    大田 弘子君

       国務大臣

       (内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画))     上川 陽子君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官  岩城 光英君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官  宮崎 礼壹君

 委員外の出席者

  衆議院事務局

       国家基本政策委員会専門員    堤  貞雄君

  参議院事務局

       常任委員会専門員        田中 英明君

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  本日の会議に付した案件

国家の基本政策に関する調査


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    ─────────────

   〔山下八洲夫君会長席に着く〕

会長(山下八洲夫君) ただいまから国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 参議院国家基本政策委員長の山下八洲夫でございます。

 衆議院の衛藤委員長とともに、衆参両院の皆様方の御協力を賜りまして、その職責を全うしてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

 この際、本合同審査会における発言に関して申し上げます。

 野党党首及び内閣総理大臣には、申合せの時間内で活発な討議が行われるようにするために、御発言はそれぞれ簡潔にされるようお願いいたします。また、本日は時間表示装置を使用いたします。表示装置は発言者の持ち時間を示します。持ち時間が終了したときは赤色のランプが点灯しますので、御承知願います。

 それでは、国家の基本政策に関する調査を議題とし、討議を行います。民主党代表小沢一郎君。(拍手)

小沢一郎君 久しぶりに総理にお話を伺う機会を得まして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日は、今国民の皆さんが一番関心を寄せているガソリン税を中心とした道路財源のこと、それからもう一つは、従来からずっと大きな関心を呼んでおります年金の問題、それから時間がありましたらば、国際関係でチベットの、中国の問題についてお伺いしたいと、そう思っております。

 最初に、道路財源の問題ですけれども、四月一日に暫定税率の期限が切れまして今日で九日目でございます。総理始め政府・与党の皆さんは、これが失効し、切れると国民の皆さんの生活に混乱を来すと、そういうお話でありましたが、現実問題として私はそのようなことは決してないと、国民の皆さんは賢明であると、税率が下がって、なくなってガソリン等が下がったと、それは大変良いことだというふうに感じておられる国民の皆さんが大多数ではないかなと思っております。

 そこで最初に、福田総理・総裁に対して御要望でございますけれども、私どもは、この暫定税率といいましてももう三十年以上ですか、続いておりますが、今日の道路事情の中ではもはやこの分、二・六兆円は国民の皆さんに還元すべきではないかと、お返しすべきではないかというふうな考え方に立っております。

 といいますのは、まず、日本の道路事情ですけれども、これはもう総理も御承知のとおり、かなり整備をされてきております。私どもの調べたところでは、国土面積に占める道路の割合というのは、イギリス、フランスの日本は倍でありますし、アメリカ、まあアメリカは広い国ですから一概には比較できませんが三・五倍ほど、日本の道路は先輩たちの皆さんの御努力で整備されてきております。したがいまして、今までと同じような巨額の道路財源というのは必要ではなくなったんじゃないかと。特に、たまたまこの暫定税率、これが期限も来ましたし、この際はと、そういう考え方で今日を迎えました。

 それと同時に、二・六兆円という、国民の皆さんに対して還元するということは、特に最近、アメリカ経済の景気後退という中から日本の経済も不透明な状況になりつつあると、そして、一般国民の身の回りの日常必需品が軒並み値上がりしていると、このまんまだとまさに不景気の物価高というような形になりかねないと。そういうような意味におきましても、私は、この二・六兆円の国民に対する還元というのは大きな効果を持つんではないかなと、そういうふうに思います。

 特に、これはそれぞれの都道府県によって違うんですけれども、最近のいろいろな政治、行政の結果、大都会と地方の格差ということがよく言われております。事実そうだと思います。地方は、私どもの方はもちろんですが、総理もお分かりと思います。お互いに郷里のことを考えてみますと実感を持って感じられるんですが、やっぱり地方というのは非常に今は疲弊している状況にあると思います。そういうことも考えますと、平均してこれ一世帯当たり、各都道府県、五万数千円の減税になります。特に田舎の方、地方の方は最高八万数千円の一世帯当たりの減税ということになります。

 したがいまして、地域間格差というのはそういった問題だけで解決する話ではなくて、国の政治、行政あるいは社会の仕組みそのものを変えないと根本的解決にならないとは思いますけれども、当面こういうことも、大都会と違って地方は交通手段ありませんので、自動車、ガソリンに非常に負っている部分が多いので、そういう意味でも、私は是非、この暫定税率二兆六千億分、総理始め政府は、もう一度衆議院で再議決してガソリンの値段も元に戻すんだというお考えを表明されておりますけれども、今申し上げましたようなことを考えて、是非このままの状況で、せっかく国民の皆さんに還元したものでございますので、是非そのように御判断賜りますように、これは冒頭に要望として申し上げたいと思います。

 それで、同じ道路財源ですが、総理は道路の特定財源を一般財源化するという提案をなさいました。私どもはそれが本当に実行されるならば大賛成でございますけれども、政府・与党の中のことは、私とんと特に最近分かりませんけれども、今その一般財源化という総理のお考えは、これは政府で正式に決められたものなのか、あるいは自民党、与党であれば公明党もですが、正式に決定されたものなのでしょうか。その点をちょっとお伺いしたいと思います。

内閣総理大臣(福田康夫君) 百日ぶりのこの討論会でございます。百日間様々なことがございまして、私どももこの国会運営については大変苦労いたしております。なかなか結論が出ないということで、今も、四月中旬になりましたけれども、まだ二十年度の歳入法案が決まっていないと、こういう状況でございまして、そのことについて私は本当に憂慮いたしております。

 今の御質問のありました件でございますけれども、これには十分お答えしなければいけないと思いますが、その前に一つお尋ねしておきたいことがある。

 是非お願いしたいことは、今日実は決まったことなんですよ、日銀の人事の問題でございますけれども、これが本当に私は今回ではベストの選択ということでお願いをしたのでありますけれども、不幸にして渡辺副総裁が不同意と、こういうことになりました。

 私どもは、この日銀総裁人事についてはなかなか分かりにくいところがあるということがございました。今回もじゃなぜ不同意なのかと。天下りがいけないということが主たる事情だというふうに私は受け止めておるのでありますけれども、本当にそうなのか。これ、天下り人事なのかどうか。適材適所の場合に、かつて官僚であった者がそのポストに就くということはそんなに悪いことなのかどうか、人材を活用しない国家なのかどうか、そういうところを一つお尋ねを、確認をさせていただきたいなと、こういうふうに思いました。

 実は、このことについては今日、自民党・民主党幹事長会談が行われまして、両幹事長はオープンに日銀人事について話し合い、民主党内の雰囲気等を政府に伝えたと。それに従って政府は人事案を国会に提案したが、民主党内で同意を得られない事情について、天下りを認めないという強い意思があったと、鳩山幹事長から御説明があったと、こういうふうなことなのでありまして、是非、そういう適材適所と思ったその人物が不同意になったということについて、代表からひとつ御説明を願いたいと思っておりますが、よろしくお願いします。

 それから、続けてよろしいですか──はい。

 それで、その後で申し上げますけれども、このガソリン税にまつわる問題ですけれども、四月一日からガソリン税が廃止されました。そして、混乱がないというようなことをよくおっしゃるのでありますけれども、私は混乱がないわけではないと思っております。

 これは、各給油所でもってどういう値段を付けたらいいかという、そういうことで大変な混乱がございました。そして、各給油所とも自分の店の、中小企業が多いんですけれども、経営問題ございまして、そのことについて政府としては中小企業金融ということで何かの場合の対策考えておりますけれども、そういうような経営上の問題もある、こういうふうなことがあります。

 そして、各地方自治体は、四月一日を過ぎたんだけれども、予算の執行ができない分が出てきたと、こういうことでございます。このことは各地方自治体からよく私ども聞いておりまして、一体いつどうなるんだといったようなことを聞かれるわけでございまして、このことは一体いつまでこのガソリン税がない時代が続くのかということになりますけれども、そのことによっても大変地方は影響を受けるわけですね。予算を各地方自治体でつくっているわけですよ。これから議会で決定しますけれども、しかし、つくってそれを執行しようとしているときに足止めを食らってしまったという状態、このことを代表としてどうお考えになるのか。

 そして、この年間二・六兆円とおっしゃるけれども、二・六兆円とおっしゃるけれども、これ一体いつまで続けられるんですか。この一年間なんですか。一年間二・六兆円。この一年間二・六兆円も、これも大変でございます。だけども、これをあと何年続けられるんですか。その間の財源、一体どうするのか。そのこともお答えいただかなければいけない。私ども大変実は心配しているんですよ。大変心配をしておりまして、このことについての代表のしっかりした御意見をお伺いしたいと思います。

 こういう二・六兆円の財源が不足すれば、当然地方も困りますけれども、中央もこういう財源どうやって手当てしようかと。財源なくなれば社会保障とか教育とか、そういう分野にも食い込んでくるという結果になる。若しくは赤字国債を発行しろと、こういうことであるのかどうか。これも、今のような財政状況で、何とか財政再建しようというときにそういうことが許されるかどうかということもございますので、ひとつどうぞよろしく、その辺のお話伺いたいと。

 私も質問していますけれども、私の答えなんです、それがね。答えなんですから、それが。

 それから、地域格差の問題もお話しございました。これも大変重要だと思います。ですから、地方交付税を二十年度においてはこれは従来よりも重点的な配分をするということもしましたし、それから東京、名古屋、大阪、地方法人税の余分に、余分というわけじゃないけれども、多く上がった分を、それを地方に配分するというようなこともしているんですよ。そういう配慮はいたしております。

 それから、長くなりますからもうこれで打ち切りますけれども、一般財源化ですね。一般財源化は、これは私の方針でございますけれども、しかし、もちろん私は総理・総裁として申し上げたわけでありまして、もちろん党の方の了解も得ております。公明党の了解も得ております。内閣はよく閣議決定をしろと、こういうふうにおっしゃるけれども、それは必要に応じてやります。それから、今年、来年分、二〇〇九年の骨太方針、これにもきちんと盛り込みます。そういうような考え方をいたします。閣議決定は必ずしも今の段階で必要ない。

 その前に必要なことは、与野党で協議をすることなんですよ。どういう一般財源化が望ましいのか、社会福祉なのか教育なのか、そういったような分野をひとつどうぞ相談に乗っていただきたいと、こう思います。与野党協議をすることは私はもう既に申し上げております。しかし、なかなか、歳入法案、税法の法案も、なかなか国会でもって、参議院で委員会開かれない、審議されないんですよ。そういう状況でもってまともな議論ができるかどうかということがありますので、ひとつどうぞその点を、審議を促進し、話合いの機会つくっていただきたい。よろしくお願いいたします。

小沢一郎君 私の質問を申し上げましたのは……(発言する者あり)ちょっと体調を崩していまして、昨日、今日とおかゆしか食べていないんで勘弁してください。

 一般財源化という総理のお考えは、閣議決定は云々とおっしゃいましたけれども、党議の、自民党なら自民党の最終総務会の決定も経て、私の経験からいいますと、党議ということに、政府・与党一致の提議ということになるんで、そのことをやはりきちんとしていただいた上でないと、私ども幾らでも協議には応じますけれども、最終的に政府・与党の正式の決定がないものを協議するというわけにもいきませんので、そういう意味で、是非、私ども協議は幾らでも応じますので、そこのところは是非しっかりと政府・与党で決めた上で協議の話にしていただきたいと、こう思います。

 それから、逆にいろいろ総理に質問を受けましたけれども、クエスチョンタイムというのは野党の党首が主として総理に質問するものと思っていましたが、しかし、せっかくのお話ですから、(発言する者あり)これから答えますのでお聞きください、幹事長。

 まず、国会運営大変苦労しておられるとお話しでしたが、それは以前からのように自民党、与党が衆参で絶対多数を持っているという状況とは違うわけでありまして、私どもは少なくともこの間の選挙におきまして参議院で野党が過半数を国民からいただいたんです。ですから、内閣は二院制の中で一院しか多数を持っていないんです。そういう状況の中で政府・与党の出したことをみんなとにかくのまなきゃいけないということではそれはあり得ないんで、そもそも、本来ならば予算編成の段階からいろいろと協議しようというならば協議するのが当たり前でございまして、是非、私ども、多くの人が去年の七月の選挙でどういう事態が生じたのかということの認識が私はなさ過ぎると思っているんです。

 ですから、そういう意味において、私ども協議は幾らでもいたしますし、そして、その協議の中ではお互い、与党、政府・与党の主張もあれば、参議院で過半数をいただいている我々野党の主張もあるわけですから、それをきちんとお互いに主張を認め合って話ししなければ、政府・与党の出したものをさっぱり審議を促進しないとか、いや、どうだこうだというお話だけをされても、それはちょっと私は国民が与えてくれた過半数に対する認識が違うんじゃないかなと、そのように思います。

 それから、暫定税率の話でございますけれども、さっき申し上げましたように、これは旧来、そして今もなお政府・与党としては特定財源、道路特定財源として使用するんだという考え方の下におられると思いますけれども、さっき申し上げましたように、日本の道路はかなりの部分において整備されてきているという実情がございます。

 それから、年度が新しくなりましたから、総理おっしゃるように、僕は一般の国民、一般の住民は何も混乱していないし、私は喜んで受け入れていると思っていますよ。ただ、地方自治体が今までのことを前提にして予算編成していますから、その意味で、年度替わっちゃってこれが、当てにしていたものがなくなるというのではそれは困ると、そういう意味のことは分かります。

 ですから、我々は、それについては地方分九千億、特にそのうち市町村に道路の範囲ですけれども自主的に使ってよいという三千億、一番はこの三千億ですね。その点につきましては、私は、例えば道路特会に繰越金が一兆円近く現金であります。それから、一般予算でも繰越金が一千億以上あると聞いております。ですから、当面この年度の、市町村に道路財源として、固有のものとして与える三千億については、私は例えばそこから市町村に交付しても一向に差し支えないんじゃないかなと、そのように思っております。

 それから、何か僕が余り答えているのも変ですけれども、それから、長期的な財源につきましては、私どもは、今まで、総理も与党の方々も今までの仕組みを全部前提としてお考えになっておられます。私たちは、これは日銀総裁、天下りの問題とも関連するんですが、東京で、中央官庁ですべてのお金とすべての権限を持って、それを本当に身近な身の回りの、住民の身近なものまで全部中央の役所が決めていくと、こういうやり方はもはや現在の時代には適当でない、そういう前提に立っております。

 この中央集権、特に中央官庁を中心とした中央集権制度は明治以来のずっと仕組みの中から続いておりますので、我々の主張は本当に今までの行政、政治の仕組みをもう全面的に変える話になりますので、それは本当に大変なことでありますが、私は、そういう意味でいろいろな補助金、交付金等々は、その地域の身の回りに使う分については全部自主財源として交付すべきであると。そしてそれは、各地域で道路に使おうが何に使おうが、それは地方の自治の範囲でやるべきであると。そういうことによって、いろんな二重、三重、四重になっている行政の無駄も省けるんだと、そういうことを私たちは言っているわけであります。

 特に、その補助金や交付金のほかに、天下りと関係ありますけれども、国家公務員の天下りが二万人以上ですか、あるわけですが、その天下り先に国民の税金が十二兆数千億支出されているんです。ですから、我々は、その母体となる特殊法人や独立行政法人、あるいは公益法人、あるいはそれにぶら下がっている会社の組織を、形態を取ったのもありますけれども、これは原則としてもう私は目的を達成したと。したがって、これらは原則廃止か民営化すべきであるというふうな考え方に立っておりますので、そういう中で、私は大きな行政経費今百五十兆円、国と地方を合わせて、とも聞いておりますけれども、その本当にかなりの部分を私は無駄を省けると、そういうことによって私は財源の心配はないというふうに思っております。

 それから、(発言する者あり)日銀もですか、日銀の話は、私ども、今言ったように、中央省庁ですべての国民生活、行政を通じた国民生活を支配するという仕組みはよろしくないと。そして、例えば日銀でも大蔵省の経験をした人が入るというのがはなからいけないと言っているわけではないんです。ただ、現在の、(発言する者あり)ちょっと聞いてください。現在の日本のシステムは、日銀の総裁、副総裁、その中に必ず大蔵省がポストを占めると、そういう既得権益の中にあるからそれがいけないと言っているんですよ。

 例えば、総理、じゃこの日銀の副総裁に、例えばほかの省庁で適任の人がいたら、ほかの省庁の人を持ってくるんですか。ずっと大蔵省のポスト、それから各省各省、それぞれの団体にみんな、ここは通産省だ、ここは厚労省だ、ここは何だかんだって全部そういうポストになっているじゃないですか。それが官僚支配と行政の腐敗を生む最大の原因だと、だから、そういう中でのポスト、それはいけないと、そういう支配の構造を直さなきゃいけない、そういうことを我々は言っているわけでありまして、日銀の大蔵省のポストと言われている、それも、我々が言っているのはそういう観点から申し上げているということでございます。

内閣総理大臣(福田康夫君) 最後のお話から最初にさせていただきますけれども、日銀の話。

 これ、日銀というのはだれでもできるというポストでもないと思うんですよ、じゃないでしょうか。やっぱりその特殊性というものがあるんですね。目的、日銀法に書いてあるじゃないですか、中央銀行として、銀行券を発行する、通貨及び金融の調節をするということですね。ですけれども、それはやっぱりそういう目的を、これを考えていただいて、そして日銀法の第四条に、政府の経済政策の基本方針と整合的であると、政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければいけない、ここまで書いてあるんですよ。

 そういうときに、どういう人材が適切かということはもう私がこれ以上申し上げる必要もないと思いますけれども、よくお分かりだと思う。それは、既得権益にするとか……(発言する者あり)

会長(山下八洲夫君) 御静粛にお願いします。

内閣総理大臣(福田康夫君) そういうことがあってはいけない、特定の官庁がその場所を占めてしまう、私はそれはおっしゃるとおりだと思います。それは賛成、大賛成ですよ。だけど、やっぱり適材適所、人物本位、そのこともお考えいただきたい。

 もう一つ申し上げます。

 それは、総裁、副総裁二人、三人、これはパッケージですよ、パッケージ。パッケージ人事です。このやっぱりバランスを取らないといけないのでありまして、これはやっぱりそれぞれの分野で十分な機能を発揮できるようなそういう体制を総裁、副総裁で行ってほしいと、こういう考え方がありまして、そのことを常に考えながら今まで人材を選んできたと、こういうことでありますので、是非これは御理解いただきたい。

 そして、もう一つ申し上げます。

 権力は衆議院と参議院では分かれたと、時代が違うんだ、予算も、予算をつくる前から、つくるときから相談しなさいと、こういう御趣旨でございましたけれども、しかし、それは与野党の協議ができれば、政策協議できれば十分にできるんですよ。

 ですから、私は、昨年の十月以来、もう本当に何度も何度もその政策協議したいということは申し上げてきたんですよ。ですから、昨年の九月、十月、冒頭ですけれども、代表にお会いをしてお話ししましたね。あのときの代表のお気持ちというのは、まさにそういうことにあったんだろうと思いますよ。私は、代表の気持ちは、やっぱりこれ一緒になってやらなきゃできないということを考えてあの会談をセットされたと、こういうふうに思っておりますので、その気持ちは今でも忘れてもらっちゃ困るんですよ。あの会談以来、あの会談以来なかなかうまく話合いできるような機会がない、非常に残念なことだと思います。

 そして、一つ一つの大事なことについて結論が遅いですよ。民主党と申しますか、野党は遅い。テロ法だって……(発言する者あり)

会長(山下八洲夫君) 御静粛に願います。

内閣総理大臣(福田康夫君) 給油の新法だって、あれだって二回国会延長したんですよ。対案出してくださいと言いましたら、最後に出してこられました。だけど間に合わないですよね。この予算案の審議でもそうです。この日銀人事でもそうです。

 私どもは、本当に国会対策、そしてまたこの国会運営について、本当に苦労していますよ。それは、なかなか野党としての結論が出ない。特に、その中における民主党の結論がなかなか出ない。これは本当に困っているんです。その点は是非政治を前進させるために、二権の一つをお持ちなんだから、二権の一つをお持ちなんだから、やっぱり政治に対する責任もあるんですから、同じように責任があるんだから、ですから是非前進するように国会運営もやっていただきたい。

 そして、だれとお話をすれば信用できるのか、そのこともひとつ是非お示し、教えていただきたい。大変苦労しているんですよ。かわいそうなくらい苦労しているんですよ。ひとつどうぞ御理解いただきたいと思います。二権の一つ、一権を持っていらっしゃるというんで、日銀人事も正直言って翻弄されました。翻弄されたですよ。そんな思いがいたしておりますけれども。

 しかし、この人事権は政府にあるのであって、よっぽど変な人事をしないのであればそれをお認めいただくというのが、これが議会のこの国会人事の制度だと思います。それを、一つの権力を握っているんだといって、あたかも人事権をフルに発動するかのごとき、もう四人も否定したんですから、不同意で。そういうことは権力の濫用というんです。人事権の濫用というんです。それは私はいただけない。やっぱり、前に前進させるためには話合いしましょう。

 ですから、この道路一般財源の財源化についても話合いしたいということを申し上げているんですから、どうぞよろしくお願いいたします。これは閣議決定は必要なときにいたしますけれども、それはもし政府・与党で決めてくれというんなら、これはいたしますよ、いたします。なるべく早くいたします。そうしたら応じてくださいますか。是非よろしくお願いいたします。

 日本の道路は、あちこちに飛んで申し訳ないけれども、代表もそうなんでお許しいただきたい。日本の道路も、それはいいところもあるかもしれぬけれども、まだまだ地方はたくさん要求があるんです。そして、あとちょっとつなげればそこが全部つながるというふうなところもあるんです。そういう地方の声を私どもは真摯に受け止めております。それから、地方の格差をなくすためにも道路はやっぱり大事だと思います。

 それからもう一つ、昨今の経済情勢を見れば、やっぱり景気を悪くしちゃいけない、景気の足を引っ張っちゃいけない。この予算の審議が遅れて、そのことが景気の足を引っ張ることにつながるんであれば、これは私ども大変な責任を感ずるわけであります。是非、そういうことのないようによろしくお願いしたいと思います。

 天下り先を、これを、天下り、もう全部悪いんだというふうな御趣旨のようでございますけれども、それは悪い天下りもあります。今までの天下りも悪い天下りが随分あったからこれは是正しましたけれども、しかし更に厳しく是正をしてまいりたいと、こう思っております。是非よろしく御協力を賜りたいと思います。

小沢一郎君 総理からいろいろお話がありまして時間がなくなりましたが、私が言っておりますのは、日銀総裁の件、随分おっしゃいましたが、私が言っているのは、いわゆる日銀総裁の問題だけじゃなくて、この日本の政治、行政の機構が官僚機構という中央集権の中でがんじがらめになっていると、こういう状態ではいけないということを言っているんです。それで、日銀はさらにその中で一つの官僚の、大蔵省のポストという形になっていると、これだからこういうことはもう改めなきゃいけないと。それは、優秀な人材をあちこち使って働いてもらうと、そのこと自体を言っているんじゃなくて、制度的、仕組み的にその官僚機構が全部支配する形になっているのはいけませんというのを、我々の主張ですということでございます。

 それから、時間なくなっちゃいましたから年金の問題について申し上げますけれども、私どもはずっと一年以上も前から、とにかく全員に、国民全員に通知を出して照合してやるべきであるということを言いました。それから、本当にこの五千万件の問題も、本人確認できたのは、総理も若干不適切な言い方が、表現があったかもしれないとおっしゃったとマスコミ通じて聞きましたけれども、三月末にちゃんとやりますということを去年の選挙前にもお話しになったし、それから福田総理自身もお話しになった。ところが、実際に五千万件のうち確認できたのは四百十何万件ですか、九%でしかないわけですね。

 そういうことも現実問題としてあるわけで、ですから私どもはもう一つの主張として、今コンピューターにデータを入力して現在なっているんですけれども、その基になった紙台帳、これときっちりと照合すればもっともっと本人確認の実績が上がるだろうと、そういうことを言っているわけです。それで、舛添大臣にですか、役所にですか、一生懸命仲間の人がどのぐらい残っているんだということを聞きましたところ、八億五千万枚残っているそうでございます。これは厚生省が言ったことです。ですから、これときちっとコンピューターのデータとを突き合わしてやれば、これは完全な行政の怠慢、行政ミスなんですから。ですから、国民の皆さんの期待にこたえるためには本当に国家全体のプロジェクトとして総理が声を掛けて、そしてこの紙台帳、原本ですね、昔からの、この原本との突き合わせをきちんとやるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

内閣総理大臣(福田康夫君) 日銀の人事についてまだまだお話を申し上げたいところでありますけれども、まあ時間もありませんからこれはまた別にさせていただきますけれども。

 年金問題は、これは昨年の七月にできました方針がありまして、大体その方針に基づいて着々やっております。しかし、実行している間にいろいろ不便やら御迷惑掛けたり、そういったような問題も生じました。それはその都度対応してまいるというようなことで、基本的には昨年七月の方針で今進行いたしております。

 そういう中で、今、今月からは九千五百万人でしたか、今受給されている方々にねんきん特別便を出すということで確認作業を始めているわけでございます。これも人数が多いですから大変なことでありますけれども、人数も、対応する人数も増やしまして、そして今一生懸命鋭意取り組んでおるところでございます。

 今お話しございました紙台帳の話でございますけれども、いろいろなデータがございます、コンピューターデータ、それからマイクロフィルムデータ、紙台帳と。そういうようなデータを一つ一つ調査しております。そして、紙台帳につきましても、今年の初めからいろいろな角度から調査を始めまして、どこにどういうものがありどういうことになっているか、そういうふうなことも今鋭意調査しております。

 そういうことをしておりますが、ここに行くまでに、その前にやることは、やっぱり分からない、三月末までにコンピューター上の突き合わせをしたという分についてねんきん特別便を出して、そして今それの受け取った方が社会保険事務所に来ていろいろと正確性を期すという作業をしておりますけれども、と同時に、これから九千五百万人の受給者に対する分もありまして、この分で抜け落ちているところはないのかどうかといった細かいチェックをしなければいけない、そう思っております。そして、そういうような調査が進みまして、これはどうしても紙台帳に行かなきゃいかぬといったようなことがあるとその紙台帳の調査を始めるということになりますけれども、そこの段取りを今付けておる最中でございます。この夏からは紙台帳と突き合わせをするといったようなことを、これを始める予定でございます。

小沢一郎君 全員にねんきん特別便を送るということになったと、それはもう一年以上前から我々言っていたことで、まあ遅ればせでも始まったこと、そのこと自体については結構だと思いますが。

 それと同時に、やっぱり原簿、紙台帳との突き合わせを並行してこれ急いでやりませんと実効が上がらないわけで、今総理おっしゃったように、これこれこれこれいろいろやってみて、どうしても分からないときは紙台帳、原簿と突き合わせしてみるという作業では、いつのことやら分からなくなってしまうんではと。是非その点につきましては、何としても並行して原簿、紙台帳との突き合わせを政府総掛かりでやるということを是非実行していただきたいと思います。

 それで、もう時間本当になくなっちゃったので、最後にちょっと中国の問題についてお聞きします。

 胡錦濤総書記も来日されるということですのでお聞きしたいんですが、今チベットの問題で、チベットの住民、国民が今の政府に対していろいろな注文を付けてデモ起きたり騒乱が起きていると、チベットだけでないほかの省にも波及しているということは報ぜられているとおりでございます。それに対して治安当局あるいは軍、人民解放軍、軍隊を出動させてまで鎮圧していると。それが今、世界中の大きな人権の問題から、あるいは民族自決という問題から、大きな皆さんの関心事となっているわけであります。

 せっかくのオリンピックの聖火も、各国どこでもどこでも、このような人権の弾圧けしからぬという話になって抗議デモが各国全部で行われておるという状況であります。このことにつきまして総理はどのようにお考えになり、また胡錦濤総書記がおいでのときにそれを取り上げてその考えをお話しになるというお気持ちで、お考えであるかどうか。そのことを、ちょっと時間なくなりましたので、最後にお聞きいたします。

内閣総理大臣(福田康夫君) 今回のチベットにかかわる問題、これはもう大変、まあせっかくのオリンピックを前にして残念なことだと思います。

 しかし、これはやはり一番責任のあるのは中国だというように思いますから、中国がどのように解決するか、冷静に対応してほしい、そして平和的に話合いで解決してほしいというふうに思います。そのために中国政府も全力を挙げてもらいたいというふうに思います。私どもも、このことについては大変憂慮をいたしまして、いろいろな形でもって今申し上げたような趣旨で中国政府にも申し上げておるところでございます。

 そういうことで、せっかくのオリンピックが、世界中のスポーツ選手やら、もう本当に四年間楽しみにして一生懸命技を磨いてきたわけですから、そういう方々が無事に参加できるような状況をつくるために中国政府が一段と努力をすべきだ。

 そして、また同時に、各地区でデモがあります。人権という名のデモでありますけれども、このことが暴力ざたに発展する、これはやっぱり避けなければいけない。人権問題というのは、人権問題で運動することはいいですよ、それは。いいけれども、暴力ざたは、これはどうしても避けなければいけない、そんなふうに思いますので、そういうようなことが起こらないようなことを私どもも念じておりますし、もちろん日本にも聖火は来るわけですから、そういうことにならぬように努力をしてまいりたいというように思っております。(拍手)

会長(山下八洲夫君) 時間が参っております。簡潔にお願いいたします。

小沢一郎君 最後に一言。

 ですから、私が聞きたかったのは、このチベットの人たちのこういった行動の原因はどこにあるのかということを総理がどのようにお考えになっているか、そういうことを前提にしてお聞きしたいと思いました。

 時間がありませんので、これで終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

会長(山下八洲夫君) 以上で小沢一郎君の発言は終了いたしました。

 本日の合同審査会はこれにて散会いたします。

   午後三時四十七分散会


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