第1号 平成27年5月20日(水曜日)
平成二十七年五月二十日(水曜日)午後三時開議
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委員氏名
衆議院
委員長 逢沢 一郎君
理事 小此木八郎君 理事 田中 和徳君
理事 野田 聖子君 理事 馳 浩君
理事 浜田 靖一君 理事 安住 淳君
理事 松野 頼久君 理事 井上 義久君
稲田 朋美君 岸 信夫君
熊田 裕通君 高村 正彦君
佐藤 勉君 塩谷 立君
高木 毅君 棚橋 泰文君
谷垣 禎一君 二階 俊博君
細田 博之君 御法川信英君
茂木 敏充君 枝野 幸男君
岡田 克也君 高木 義明君
柿沢 未途君 漆原 良夫君
志位 和夫君 園田 博之君
小沢 一郎君
参議院
委員長 小川 勝也君
理事 鶴保 庸介君 理事 松山 政司君
理事 林 久美子君 理事 儀間 光男君
青木 一彦君 岩井 茂樹君
北川イッセイ君 小泉 昭男君
高階恵美子君 二之湯 智君
長谷川 岳君 藤井 基之君
郡司 彰君 榛葉賀津也君
羽田雄一郎君 西田 実仁君
山口那津男君 山下 芳生君
浜田 和幸君
―――――――――――――
出席委員
衆議院
委員長 逢沢 一郎君
理事 小此木八郎君 理事 田中 和徳君
理事 野田 聖子君 理事 馳 浩君
理事 浜田 靖一君 理事 安住 淳君
理事 松野 頼久君 理事 井上 義久君
稲田 朋美君 岸 信夫君
熊田 裕通君 高村 正彦君
佐藤 勉君 塩谷 立君
高木 毅君 棚橋 泰文君
谷垣 禎一君 二階 俊博君
細田 博之君 御法川信英君
茂木 敏充君 枝野 幸男君
岡田 克也君 高木 義明君
柿沢 未途君 漆原 良夫君
志位 和夫君 園田 博之君
参議院
委員長 小川 勝也君
理事 鶴保 庸介君 理事 松山 政司君
理事 林 久美子君 理事 儀間 光男君
青木 一彦君 岩井 茂樹君
北川イッセイ君 小泉 昭男君
高階恵美子君 二之湯 智君
長谷川 岳君 藤井 基之君
郡司 彰君 榛葉賀津也君
羽田雄一郎君 西田 実仁君
山口那津男君 山下 芳生君
浜田 和幸君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
総務大臣 高市 早苗君
法務大臣 上川 陽子君
外務大臣 岸田 文雄君
文部科学大臣 下村 博文君
厚生労働大臣 塩崎 恭久君
農林水産大臣 林 芳正君
経済産業大臣
国務大臣
(原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当) 宮沢 洋一君
国土交通大臣 太田 昭宏君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(復興大臣) 竹下 亘君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当) 山谷えり子君
国務大臣
(沖縄及び北方対策担当)
(消費者及び食品安全担当)
(科学技術政策担当)
(宇宙政策担当) 山口 俊一君
国務大臣
(経済財政政策担当) 甘利 明君
国務大臣
(規制改革担当)
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 有村 治子君
国務大臣
(国家戦略特別区域担当) 石破 茂君
内閣官房副長官 加藤 勝信君
内閣官房副長官 世耕 弘成君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 横畠 裕介君
衆議院国家基本政策委員会専門員 木下 一吉君
参議院常任委員会専門員 工藤 政行君
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本日の会議に付した案件
国家の基本政策に関する件
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〔逢沢一郎君会長席に着く〕
○会長(逢沢一郎君) これより国家基本政策委員会合同審査会を開会いたします。
本日は、私が会長を務めさせていただきます。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
衆議院国家基本政策委員長の逢沢一郎でございます。
参議院の小川勝也委員長を初め、衆参両院の委員の皆様方の御指導、御協力をいただきまして、その職責を全うしてまいりたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
国家の基本政策に関する件について調査を進めます。
これより討議を行います。
討議に当たりましては、申合せに従い、野党党首及び内閣総理大臣は、決められた時間を厳守し、簡潔に発言を行うようお願い申し上げます。
また、委員及び傍聴議員各位におかれましても、不規則発言等、議事の妨げとなるような言動は厳に慎まれますよう、御協力をお願い申し上げます。
発言の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。(拍手)
○岡田克也君 民主党の岡田克也です。きょうはよろしくお願いいたします。
総理、まず本論に入る前に、やはりこの党首討論、たしか各党で合意した国会改革の中で、月に一回ということが決められたはずですね。私は総理がアメリカに行く前にぜひ一度やりたかったわけですが、今後この国会も長くなると思います。月に一回はやるということをぜひお約束いただきたいと思います。
さて、まず安全保障法制について、基本的な質問を幾つかしたいと思います。
まず、総理も言われたように、戦後七十年、日本は非常に平和な時代でした。これはいろいろな理由があると思います。政治の力もあったし、外交もあったし、自衛隊の皆さんの頑張りもあったし、運もあった。しかし、大きく言って私は二つだと思うんですね。
一つは、やはり日米同盟です。日米同盟の米国による抑止力によって日本の安全は保たれてきた。これは間違いのない事実だと私は思います。
そしてもう一つは、やはり憲法だと思うんですね。平和憲法、憲法九条があって、日本の武力行使、海外での武力行使を封じてきた。そういう中で日本の平和は保たれてきた。そういうふうに私は思います。
総理は、この憲法の果たしてきた戦後七十年の役割、平和についての役割についてどう考えておられるのか、基本的なことを簡単にお答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、岡田代表、岡田さんとはこの党首討論で初めて相まみえることになりました。
私自身、政治家にとって健康はとても大切だということを身をもって経験をいたしました。手術を乗り越えられて元気でここに立っておられること、私も大変うれしく思いますし、国民の皆様も安心しておられるんではないか、このように思います。
ちょうど私が当選したころはもう既に岡田さんは自民党にはおられませんでしたので、ともに仕事をすることはできませんでしたが、しっかりとした信念を持って筋を曲げない岡田さんの姿勢には、敬意を持って注目をしてきたところでございます。
そこで、党首討論においては、まさにこれは党首と党首の基本的な考え方、見識をぶつけ合う場でありまして、有効に活用していきたい、このように思っております。その中において、予算委員会等々もございますが、そうした他の委員会との関連ともこれは関係してくることでございますが、国会においてお決めいただきたいと思います。
そこで、戦後のこの七十年の日本の平和、安定がどのように守られてきたか、私の考えを披瀝せよということでございますが、まずは、もちろん、日本の憲法における平和主義というものが断固としてあるわけであります。そして、この平和憲法というのは、いわば平和主義、そして主権在民、基本的人権、この三つの基本的な原理があるわけでございまして、今後、憲法改正の議論が進んでいく中においても、この基本的な考え方を私たちは全く変える考えはないわけでございます。
しかし、同時に、この戦後の日本を守ってきた、当時は冷戦構造も厳然としてあったわけでございます。そういう中において、しっかりと抑止力をきかせてきたのは、私は、二つであって、一つは日米同盟であろう、このように思います。もう一つは、やはりこれは自衛隊の存在であります。自衛隊の諸君が、日夜訓練に励み、しっかりと日本の国土を守っていく強い意思のもとに任務に当たっていることによって、戦後の日本は平和を享受することができた。
もちろん、外交力によって多くの国々と友好な関係を構築してきたということも大きかったのではないかと思います。
○岡田克也君 その平和憲法が、今回の、総理の考えておられる安全保障法制の全面的な見直しの中で揺らぐのではないか、そういう不安感が国民の中にある。いや、私の中にもあります。
そのことについて、きちんと、正直に説明をしていただく必要があるというふうに私は思うんです。国民の命や平和な暮らしがかかっている話ですから、これは大事なことですからしっかり語っていただきたい。まず、そういうふうに思って質問をさせていただきます。
まず後方支援です。これは武力行使ではありません。しかし、今までの後方支援、非戦闘地域においてのみ認める、つまり、現に戦闘が行われておらず、今後とも戦闘が行われていないと予測されるそういう地域に限って自衛隊の活動は認められてきた。しかし、それを外して、現に戦闘が行われている現場以外であれば自衛隊は活動できるということになりました。
私は、どう見てもこれは、活動の範囲は飛躍的に広がったというふうに思います。行動の中身も変わります。
ですから、端的に言えば、武器や弾薬も輸送はできます。武装した兵士も運べます。それは戦闘の現場ではないかもしれないけれども、その近くまで行く。糧道を断つという言葉がありますが、相手から見たら、それは敵と同じですよ。
例えば、米兵を運んでくる自衛隊、武器を米軍やその他の軍に供給する自衛隊に対して攻撃をしないという方が私はおかしいと思う。あるいは、戦闘地域の近くでいれば、米兵、米軍その他と一緒にいれば、戦闘に巻き込まれるリスクもある。つまり、自衛隊のリスクは飛躍的に高まるんじゃないかということを、実は私、一年前に予算委員会で総理に申し上げたんだけれども、総理のお答えははっきりしなかった。
やはりリスクがあることは、きちんとリスクも国民に説明する。そして、同時に、必要なことは必要なことで、こういうことで必要だという説明をされればいいんです。
そういったことを正直に説明する中で私は安全保障の議論は深まると思うわけですけれども、まず、この後方支援について、総理、自衛隊のリスクは高まるんですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、いわゆる後方支援については、今回、二つの法律にかかわってくることでありまして、重要影響事態安全確保法と、そして国際協力支援法であります。
今までの法律の枠組みの中におきましては、今、岡田委員が指摘をされましたように、非戦闘地域で行うということが法律上明記されていたわけでございます。非戦闘地域とは何かといえば、戦闘が行われていない地域、そしてこれは、かつ、この活動を行う期間を通じて戦闘が行われない地域ということになっていたわけでございます。
しかし、私たちはその後、後方支援を実際に経験する中において、なかなかこの概念においては自衛隊は機敏に活動することができないという経験を積んできたわけであります。兵器の進歩もあります。そういう中において、当時も議論があったわけでございますが、この期間を通じてそうした戦闘が起こらないということを明確に規定することが果たして可能かどうかということは、当時からあったわけでございます。
そこで今回は、戦闘現場ということにさせていただいて、そこで戦闘が起こったときには直ちに部隊の責任者の判断で一時中止をする、あるいは退避をするということを明確に定めているわけであります。
つまり、今までのたてつけは、その活動期間を通じてずっとこれは戦闘が行われないということを決めていたわけでありますが、しかし、そのことによって果たして柔軟な体制ができるのかどうかということが大きな課題であって……(発言する者あり)皆さん、ちょっと黙って聞いていただけますか、少し。こういう議論は大切な議論ですから、冷静に議論しましょうよ。よろしいですか。
そこで大切なことは、そういう決めつけを行うのではなくて、戦闘現場になり得ることがあり得るという中において速やかに作業を中止する、あるいはまた退避をするということを定めているわけであります。
そして、もちろん食料等を輸送するわけでありますが、こうした部隊は重武装をしているわけではありません。もちろん武装はしております。でも重武装をしているわけではありませんから、そもそも、戦闘に巻き込まれることがなるべくないようなそういう地域をしっかりと選んで行くのは当然のことであり、安全が確保されているというところについて活動していくのは当然のことであろうと思うわけであります。
そもそも、しっかりと物資を持っていくわけでありますから、これが奪われる蓋然性が高いところに行くわけはないわけでありまして、ですから……(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 安全が確保されている場所に我々はいわば輸送を、後方支援を行う。安全が確保されている場所で後方支援を……(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 済みません、先ほどから余りにもやじがうるさ過ぎますよ。
そういう場所でしっかりと支援活動を行っていくことにしたい、こう考えているわけであります。
そもそも、先ほども岡田さんから指摘がありました。なぜ七十年間日本の安全が保たれているか。これは、今後の五十年、七十年が果たしてどうかということを見据えれば、岡田さんは、運もあったかもしれない、そうおっしゃった。しかし、これからは、まさに地域や国際社会が平和で安全であることこそが日本の平和と安全につながっていく。そのために日本も求められる活動を行っていくのは、皆さん、当然のことではありませんか。
私たちは……(発言する者あり)毎回毎回、皆さん騒がないでくださいよ。私と岡田さんの議論なんですから、少し静かにしていただけますか。済みません、もう少しで終わりますから、皆さん静かに聞いていただければ、簡潔にわかりやすくもっと説明できると思います。
そこで大切なことは、よくこうした議論を深めていくことなんだろうと思います。
私たちの考え方では、今までの非戦闘地域という概念よりも、戦闘現場という概念を持って、しっかりと安全が確保されている、戦闘行為は行われていない、しかし、行われれば直ちに現場の指揮官の判断で中止あるいはその後退避をするということが機動的にできるようにしていきます。
しかし、基本的に、こうした後方支援活動を行うことは戦闘は行われていない場所であるということは申し上げておきたいと思います。
○岡田克也君 総理、もう少し簡潔にお願いしたいと思います。
今言われたことで簡単にコメントしますね。
まず、部隊の中断とか撤収、これは今でも、今の法律でも認められていることですね。それから、食料を運ぶと言われましたが、食料だけじゃありません。先ほど言ったように、武器弾薬も運ぶんですよ。武装した兵士も輸送するんですよ。そこをきちっとお話しになるべきですよ。
そして、私が一番申し上げたいことは、私の質問に全くお答えにならなかったんです。リスクは高まりますよ。私は高まると思いますよ。そのことについて一言もお話しになっていない。ちゃんと事実は事実としてお話しにならないと、きちんとした豊かな議論にならないから私は申し上げているんです。
次に、集団的自衛権の限定的行使、存立危機事態について一つお聞きをします。
新三要件が満たされれば、例えば、米軍とある国が戦争している、戦っている。それは新要件に該当して、日本の自衛隊も出ていって戦う。これは限定的な集団的自衛権の行使ですね。そのときに、その場所は相手国の領土、領海、領空に及ぶのは当然だと私は思いますけれども、いかがですか。そういうことは制限されているんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどの質問の答えにちょっと戻りますが、私が申し上げたのは、いわば戦闘現場ということについて、非戦闘地域において作業をしている間、ずっとこれは戦闘地域にはならないということを前提としているわけであります。前提としていることによって機動性がややこれは、現場の方々がそうなったときの備えについて、しっかりとした心構えについて、これは危うくなるかもしれないという議論は当時もなされていました。ですから、果たしてまたその概念が成り立つのかということも議論になっていたんですよ。
まさにそういう意味においてもう一度私たちは合理的な整理をし直したということであって、リスクとはかかわりがないことであることは明確に申し上げておきたい、このように思います。(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そして、いわば存立事態でございますが、この存立事態のまず要件についてでありますが、この存立事態において、いわば三要件に当てはまらなければ我々は武力行使をしないということは明白になっています。
この三要件がとても大切なんですが、新三要件というのは、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、または他国に対する武力攻撃が発生し、そのことによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることということがまずあります。これが前提としてある。その次に、これを排除するために他に適当な手段がないことであります。そして最後に、必要最小限度の実力行使にとどまることと書いてあるわけであります。
必要最小限度の実力行使にとどまることがこれは重要なことでありまして、必要最小限度の実力にとどまることというのは、これはかつてからの古い三要件にもあるわけでありまして、その中において、今、岡田代表がおっしゃったように、一般に海外派兵は認められていないという考え方、これは今回の政府の見解の中でも維持をされているということであります。
つまり、外国の領土に上陸をしていって戦闘行為を行うことを目的に武力行使を行うということはありませんし、あるいは、大規模な空爆をともに行う等々のことはないということははっきりと申し上げておきたい、このように思います。(発言する者あり)もう再三申し上げますが、議論をしているときに後ろの方でどんどんやじをするのはもうやめてもらいたいと思いますよ。(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○岡田克也君 今の総理の答弁は私は納得できないんですね。
大規模空爆というのは確かに必要最小限を超えるという議論はあるかもしれませんよ。だけれども、武力行使をするというのは、これは存立事態のそのものじゃないですか。だから、それ自身、相手国の領土、領海、領空でやらないんですか、本当に。公海上でしかこの存立事態における集団的自衛権の行使はやらないんですか。それは総理、間違いですよ。法制上はそれはできるんじゃないですか。どうですか、総理。(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今私が申し上げたような三要件に当てはまらなければ武力行使は行わないということであります。
そして、同様の質問を私は再三再四国会で受けてまいりました。その際に申し上げたように、一般に海外派兵は行わない。これは最小限度を上回るということで、我々は行わない。この立場は全く変わっていないということであります。
ですから、我々は、外国の領土に上陸をしていって、それはまさに戦闘作戦行動を目的に武力行使を行うということはしないということははっきりと申し上げておきたい、こう思うわけであります。
だからこそ、私たちの集団的自衛権の行使については、一部の限定的な容認にとどまっている。この三要件があるからこそ限定的な容認にとどまっているわけであります。
ですから、例えば、これは日本をめぐる状況が緊迫をしているという状況があるとします。緊迫をしているという状況の中にあって、自衛隊の艦船あるいは米国の艦船が警戒に当たっているということは十分にあり得るというわけであります。そのときには、これは武力攻撃事態の予測事態にはなっているかもしれない。そうなれば自衛隊に待機命令が出ている。
しかし、そうなっていたとしても、我が国に対する武力攻撃が発生しなければ、他国に対する武力攻撃があったとしても、それは、例えば米艦に対する武力攻撃があったとしても我々は武力行使をしない。これは明確なことであります。これは今までの法解釈では明確なことであって、これは国際法的に集団的自衛権の範疇に入るということは明らかであります。
そしてまた、明白な危機が切迫をしているという、これは武力攻撃事態でありますが、その中において武力攻撃が発生する、または切迫な危機が明白であったとしても、それはまだ武力攻撃が発生をしていないわけでありますから、この武力攻撃事態になったとしても、まだ武力攻撃が発生していなければ、米艦に対する武力攻撃があったとしても、我々はこの米艦を守ることができないというのは厳然とした事実としてあるわけでございます。
そのときに、しっかりと我々が、今回のような存立事態になってそれを守ることができるということになれば、より日米同盟は、きずなは強くなり、効率的にこれは抑止力を発揮できるということになるのは自明の理であろう、このように思うわけでございまして、そうした中において我々は限定的な……
○会長(逢沢一郎君) 簡潔に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 限定的な解釈をしているということは申し上げておきたい、このように思います。
○岡田克也君 総理はほとんど関係ないことを大分お述べになったんですが、もう一回確認しますね。
相手国、つまり、例えば米国と戦っている相手国、その国に対して新三要件は満たされている、その場合に、日本の自衛隊がその国の領土、領海、領空で武力行使をする、集団的自衛権を行使するということは、それはないんですね、総理のお考えは。大規模とか、そういう話じゃないですよ。しかし、およそないというふうに総理はお考えなんですね。確認です。(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、先ほどから申し上げておりますように、三要件の中には、最後にはっきりと書いてあることでございますが、「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」ということが書いてあります。そこから導き出される結論として、今までと同様、いわば海外派兵は一般に禁止されている、認められていないということは、これはもう今まで何回も私が申し上げているとおりでございます。
その中で、今、岡田代表がおっしゃったように、他国の領土にいわば戦闘行動を目的に自衛隊を上陸させて武力行使をさせる、あるいは領海において領空においてそういう活動をする、派兵をするということはないということは申し上げておきたい、このように思います。
○岡田克也君 総理の明確な御答弁をいただいたと思います。ただ、私の政府案に対する解釈は違いますね。
つまり、今までは、個別的自衛権の場合は、日本国に対して攻撃を受けた、だから、日本の領土、領海、領空、あるいはそこに連なる公海に限って武力行使ができる、それが第三要件に該当するということなんです。
でも、今回の場合は明らかに、例えば米軍との戦いが相手国の領土、領海、領空で行われているときに、そこまで行かなければ集団的自衛権の行使はできないじゃないですか。だから、そういう場合も当然あるというのが、私は、これは政府の本来の解釈だと思います。
だから総理、いいです、ちゃんと答弁されましたから。もしこれが間違っていたら、総理、法案修正してくださいね。他国の領土、領海、領空ではやらないとはっきりと法律に書いてくださいね。そのことを申し上げておきたいと思います。
あと、時間も非常に限られているんですが、総理、アメリカの戦争に巻き込まれることは絶対ありませんとこの前言われましたね。本当に絶対ないんですか。
例えば、朝鮮半島有事というのが二十年ぐらい前にありました。アメリカが北朝鮮の核兵器を攻撃しよう、こういうことが現実にありました。そのときに、日本として何もできないのか、いや、周辺事態法をその後つくりました。つまり、武力行使ではないけれども、日本は後方地域支援をすることでそういうものをサポートすることが想定されていたわけですね。今も想定されているわけです。
だから、アメリカが武力行使することによってそのはね返りが日本に来るということは、これは当然考えられること。私はそれが悪いと言っているんじゃないんですよ。好ましくないですけれども、しかし、日米同盟でアメリカの抑止力に期待する以上、その負の側面としてそういうこともあり得るということは当然じゃないですか。それを総理は絶対ありませんとおっしゃるから、そういう断定的な、ある意味では粗雑な物の言い方で、国民の理解は深まらないし、ちゃんとした議論にならないんですよ。だから、大事だからしっかり議論してもらいたいんですよ。
きょう総理の言われたこと、私、一つも納得できませんよ。お答えになっていませんよ。あるいは間違っていますよ。どうなんですか、総理。(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 何をもって間違っていると言っておられるのか私はわかりませんが、我々が提出する法律についての説明は全く正しいと思いますよ、私は総理大臣なんですから。
そこで、先ほど……(発言する者あり)皆さん、少し静かにしてくださいよ。
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我が党の議員はみんな静かに岡田さんの議論を聞いているじゃないですか。少しは皆さん、ちょっと静かにしていただきたいと思いますよ。安住さん、ちょっと指導してください。
その中にあって、先ほどから申し上げているのは、三要件という明白なこれは要件がかかっている。これはまさに、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険と書いてあるわけであります。
それはすなわちどういう状況かといえば、他国に対する攻撃があって、武力を用いなければ、武力を用いて対処をしなければ、これはまさに我が国が攻撃されたと同様の、そして、深刻重大な被害をこうむることが明白な状況であるということを明確にこれは述べているわけでございます。
その中において我々は集団的自衛権の一部を行使することになるわけでありますから、日本と関係がないにもかからず、今はアメリカの例を挙げられましたが、アメリカとどこかの国が戦闘をしていて、そこに我々が自動的に、例えば助けてくれと言われても、ここに行くということはあり得ないわけであります。つまり、三要件にこれはしっかりと照らして、それに合致をしなければ、この三つとも合致をしなければあり得ない。
その中で、最終的に必要最小限度を超えるかどうかということについて、一般に海外派兵は許されていないということは、これはもう何回も何回も申し上げていたわけでございまして、当然、その中から導き出されるのは、武力の行使を目的として、あるいは戦闘行為を目的として海外の領土や領海に入っていくことは、これは許されない。
機雷の除去というのは、これはいわば一般にということの外において何回も説明をしてきているところでございます。
そこで、もう時間が参りましたので最後に簡潔に申し上げますと、巻き込まれるかどうか、日本の意思に反して日本が戦闘活動に巻き込まれていくということは当然ないのは当たり前のことでありまして、今申し上げました、我が国の存立が脅かされない限り、我々は武力の行使はしないし、後方支援活動におきましても、戦闘現場になれば直ちにこれは撤収していくわけでありますから、この巻き込まれ論というのはあり得ない。
この巻き込まれ論というのは、かつて、一九六〇年の安保条約改定時にも言われたわけでありまして、これが間違っていたことはもう歴史が証明しているわけでありまして、我々はあくまでも日本人の命と……
○会長(逢沢一郎君) 総理、簡潔に整理願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 平和な暮らしを守るために全力を尽くしていきたい、このように思います。皆さんも真摯に議論をしていただきたいと思います。
終わります。
○会長(逢沢一郎君) 岡田克也君、簡潔に願います。
○岡田克也君 総理、巻き込まれ論というのは、これは安保改定時の巻き込まれ論と今の話は全然違う話なんですよ。それを一緒にしてしまっている。総理にはトラウマが一つあるのかもしれませんが、それは全く間違いであります。
今回、きょう議論してわかりましたが、いろいろなことを、私は三つほど議論して、いずれも満足のいく答えをもらっていませんよ。総理自身が、これは命とそして平和な暮らしにかかわる……
○会長(逢沢一郎君) 岡田君、簡潔に願います。
○岡田克也君 大事な問題だとおっしゃるのだから、これはちゃんと正直に、国民に対して正直に、こういうリスクもある、だけれどもやはり必要だ、そういう議論をしないと絶対理解されませんよ。
私は集団的自衛権の行使は反対ですが、しかし、やはり総理が必要だと言うなら、では、本当にこういう場合必要だということをきちんと説明してもらいたいし、第三国に行かないなんて、これは法律から読めないようなことをおっしゃらないでいただきたい。
○会長(逢沢一郎君) 岡田君、簡潔におまとめ願いたいと思います。
○岡田克也君 そのことを申し上げて、終わりたいと思います。(拍手)
○会長(逢沢一郎君) これにて岡田君の発言は終了いたしました。
次に、松野頼久君。(拍手)
○松野頼久君 維新の党の松野頼久でございます。
きのうの夕方、まだ党首に選出をされたばかりですから、本当にきょうが初めての党首討論、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
我々の政党は、去年の九月に、改革勢力の結集を目的として、改革を政府が進めるならばきちっと協力をする。もし後退するならば、これはしっかり追及していく。今までのような何でも反対の野党をつくるつもりはありません。
特に、今総理がおっしゃっている憲法改正、我々も、統治機構改革、いわゆる首相公選制だとか一院制、道州制、これが一丁目一番地の政党ですから、どうか憲法改正、胸襟を開いて話し合おうじゃないですか。しっかりやりたいと思います。
ぜひ総理も、憲法改正、戦後七十年の節目に堂々と出していただきたい、このように思っています。
そして、今、岡田代表との議論を聞いていました安保法制、今聞いていただいても、ほとんど国民の皆さんはわかりづらいと思うんですね。
きょう、私は十一分という時間ですから、もう安保の議論はしませんが、どうも聞くところによると、八月までの国会の中で、衆参、この安保法制を通してしまおう、こんなことが聞こえてきますけれども、よもやそんなことはないと思います。ないですよね。
前に、PKO、停戦合意がなされて平和維持活動のところに自衛隊を送る法案でも、三国会、先人たちはかけているんです。こうやってしっかりした国会の審議をすることによって国民の間にも理解が広がり、問題点やリスクも理解され、それによって今PKO、しっかりやっているじゃないですか。
とにかく法案を通すことだけを優先にした安保法制の議論、特に今度は、今聞いていただいたように、戦闘中のところに自衛隊員が送られる可能性を秘めている法案、これが十本も出ているわけですから、どうか国会をまたぐ覚悟で、国会審議に重きを置いて、この国会審議によってさまざまな問題点が国民に伝わり、そして国民が覚悟ができる、そういう時間をつくっていただきたい。しっかりした審議をお願いをしたい。
そのことについて御答弁いただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) しっかりとした審議を行うのは、まさにこれは立法府の務めであろう、責任であろうと思います。
だからこそ、先ほど岡田さんもおっしゃったように、この審議、早くやりましょうよ。本当はあしたからでもちゃんと審議をやりたい。この時間は限られています。限られていますが、説明するにはやはり時間がかかりますよ、それは。
先ほど、新三要件について説明したら、そんな説明はわかっているという声があった。しかし、これは皆さんがわかっているかどうかではなくて、国民の皆さんに御理解をいただきたいから、私はあえて三要件について説明をさせていただいたわけであります。
説明を始めたら何かやじがごうごうと来る、こういう姿勢では冷静な議論はできない。しっかりと冷静に、起こっている現実を見詰めていく、このことが私たちに求められている。起こっている現実はどうなのかということもしっかりと頭の中に置かなければ……(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 例えば、北朝鮮は数百発の弾道ミサイルを配備をしていて、それに載せることが可能な核開発も今進んでいるわけであります。この十年間で自衛隊のスクランブルは、これは七倍にふえたわけであります。
これが現実なんですから、こういう現実を踏まえ、立法府の責任とは何かを考え、決めるべきは決めていく、やるべき立法はつくっていくという姿勢が私はとても大切なんだろうと思いますが、国会においてこの審議時間がありきではもちろん我々ありません。しっかりと深い議論をしていただきたいと思います。
○松野頼久君 今回の法案は、やはり、日本の今までの安全保障の状況が一変するターニングポイントになるかもしれないぐらいの大きな法案だと私は思っています。私たちも、野党という立場ですが、この時期にバッジをつけてこの法案の審議に携わる、この法案にかかわることに対して、後世に責任が持てるような姿勢でしっかりと審議をしてまいりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
さて、今週の日曜日、都構想、我々はこれは大阪のために必ずなるという思いで推進をしましたが、残念ながら住民の皆さんには、わずか〇・八%という差ですけれども、否決をされました。これは負けは負けです。
我々は、この大阪都構想を原点にして、究極的な行政改革をやらなければ、国の借金が一千兆たまり、ことしの税収は約五十兆、予算は百兆、またことし一年でも五十兆近い赤字国債がふくらむ。そうするとどんどん税金が上がってくる、国民の負担がふえてくる。だから行政コストを下げなければいけないという思いで、我々はこの統治機構改革、道州制やコストの削減を訴えているわけです。それが大阪都構想の二重行政を排除する、それも目的でした。
今、日本は少子高齢化の社会になり、今申し上げたように、財政的にも本当に苦しい、税金はどんどん上がってくる、この状態に対して総理はどのようにお考えなのか。
我々は、去年の衆議院選挙で、身を切る改革というのを訴えて選挙をしました。それは、行政に対して無駄遣いを言うならば、国会議員みずからが身を切る姿勢を見せなければとても言うことを聞かないんではないかという思いからです。国会議員定数の大幅削減、歳費の大幅削減、文書交通費の公開、ありとあらゆる、考えられる、身を切る改革の法案も出し、法案が通らなくても、我々、実現できるものは実現をする、こういうふうに思ってやっているところです。
さて、そこで伺いたいのは、まさに総理、この場ですよ。当時の野田総理と安倍総裁、自民党がまだ野党の時代、この場で、国会議員定数の大幅削減を国民の皆さんに、消費税増税をする前までにやるという約束をして、当時の野田総理は、ある意味負けることを覚悟しても解散したんじゃないですか。それがいまだにできていないというのは一体どういうことなんですか。
国民には増税を押しつけ、国会議員だけはのうのうと同じ歳費をもらい、どころか、歳費がもとに戻って値上げをされ、そして、国会議員の定数は全く変わらない、〇増五減の五を切っただけで。
これで果たして国民に増税がお願いできるのか、あのときの約束がなぜ守られていないのか、そのことをお答えいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それでは、はっきりと申し上げたいと思います。
今は相当、松野代表、若々しくて私はすばらしいなと思っておりますが、大分はしょっておられましたね。
私と野田さんがどういう約束をしたか、定数削減について。消費税の引き上げを行っていく以上、私たち国会議員も身を切らなければいけませんねという話をいたしました。そこで、まずは定数削減について進めていくということで同意をしたわけでありますが、私からは、しかし、私と野田さんが決めれば直ちに決まることではありません。国会というのは少数政党もあります。そういう少数政党の……(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 意見も聞いていくべきです。共産党の志位さんもおられますが、共産党とか社民党、そうした少数政党の意見も聞いて、これは土俵をつくっていくべきだということを私は申し上げたわけであります。その意味において、やるべきことをやっていこうという強い意思を示したわけでございます。
そこで、私たちは既に三十人を削減するという案をお示しをしているわけであります。だったら、私たちは国会で多数を持っていますから、直ちにこれで決めていっていいんですか。私たちはそうは思わないんですよ。これはやはり国会のことでありますから、ちゃんと各会派が理解し合っていくということが大切であります。(発言する者あり)
今、都合のいいときに都合のいいことを言うという声がございますが、では、私たちはそれをやってもいいんですか。そうではないでしょう。(発言する者あり)
○会長(逢沢一郎君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) だから、私たちは今、第三者機関にそれを委ねているわけであります。ですから、私たちは第三者機関に委ねた、第三者機関から出てきた定数削減案に対してみんながでは賛成しようということになれば、そこで決まるわけであります。
このように、まさに民主主義の土俵のことについては議会で各会派がしっかりと議論をして結論を出していく、私は、その結論を出していく上において、自由民主党においてしっかりとリーダーシップを発揮しております。
○会長(逢沢一郎君) 松野頼久君、簡潔に願います。
○松野頼久君 やればできるんですよ。切るものは切る。国民に聞いてくださいよ。やはり国会議員だけがのうのうとしているということは、とても理解できないと思いますし、また、今総理は急に、失礼ですが、調子がいいときに、少数の意見を聞く。きのう採決された安保の委員会、四十五人委員会ならば少数政党が入れないから、我々は五十人にしてくれと言ったんですよ。全く聞かずに、四十五人委員会で少数政党を排除した委員会をつくっているじゃないですか。
どうか、しっかり国民の声を聞いて国会議員定数の大幅削減をやっていただきたい。このことをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○会長(逢沢一郎君) これにて松野君の発言は終了いたしました。
次に、志位和夫君。(拍手)
○志位和夫君 ことしは戦後七十年です。この節目の年に当たって、日本が、そして総理自身がどういう基本姿勢をとるかは、大変重大な問題であります。
戦後五十年の村山談話では、我が国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んだと述べ、過去の日本の戦争に対して、間違った戦争という認識を明らかにしております。
総理に端的に伺います。
過去の日本の戦争は間違った戦争という認識はありますか。事は、日本自身が行った戦争の善悪の判断の問題です。歴史の研究の話ではありません。日本の平和と安全に責任を負う政治家ならば、当然判断しなければならない問題です。
間違った戦争という認識はありますか。端的にお答えください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) ことしは戦後七十年の節目の年であります。七十年前、戦争は終結をしました。しかし、さきの大戦において多くの日本人の命は失われたわけであります。同時に、アジアの多くの人々が戦争の惨禍に苦しんだ。日本は、その後の歩みの中でまさに塗炭の苦しみを味わったと言ってもいいと思います。
戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない。我々はこの不戦の誓いを心に刻み、戦後七十年間、平和国家としての歩みを進めてきたわけであり、その思いに全く変わりはないわけでございます。そして、だからこそ地域や世界の繁栄や平和に貢献をしなければならない、こう決意をしているわけでございます。
当然また、村山談話あるいは小泉談話、節目節目に出されているこの政府の談話を私たちは全体として受け継いでいく。再三再四申し上げてきたとおりでございます。
○志位和夫君 私が聞いているのは何も難しい問題じゃないんです。過去の日本の戦争が間違った戦争か正しい戦争か、その善悪の判断を聞いたんですが、全くお答えがありませんでした。
この問題は、既に七十年前に歴史が決着をつけております。
戦後の日本は、一九四五年八月、ポツダム宣言を受諾して始まりました。ポツダム宣言では、日本の戦争についての認識を二つの項目で明らかにしております。
一つは第六項で、日本国国民を欺瞞し、これをして世界征服の挙に出るの過誤を犯した勢力を永久に取り除くと述べております。日本の戦争について、世界征服のための戦争だったと明瞭に判定しております。日本がドイツと組んでアジアとヨーロッパで世界征服の戦争に乗り出したことへの厳しい批判であります。
いま一つ、ポツダム宣言は第八項で、「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク」と述べています。
カイロ宣言とは、一九四三年、米英中三国によって発せられた、対日戦争の目的を述べた宣言でありますが、そこでは、三大同盟国は日本国の侵略を制止し罰するため今次の戦争を行っていると、日本の戦争について侵略と明瞭に規定するとともに、日本が暴力と強欲によって奪った地域の返還を求めています。
こうしてポツダム宣言は、日本の戦争について、第六項と第八項の二つの項で間違った戦争だという認識を明確に示しておりました。
総理にお尋ねします。総理は、ポツダム宣言のこの認識をお認めにならないんですか。端的にお答えをください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) このポツダム宣言を我々は受諾をし、そして敗戦となったわけでございます。
そして、今、私もつまびらかに承知をしているわけではございませんが、ポツダム宣言の中にあった連合国側の理解、例えば、日本が世界征服を企んでいたということ等も今御紹介になられました。私はまだその部分をつまびらかに読んでおりませんので承知はしておりませんから、今ここで直ちにそれに対して論評することは差し控えたいと思いますが、いずれにせよ、まさにさきの大戦の痛切な反省によって今日の歩みがあるわけでありまして、我々はそのことは忘れてはならない、このように思っております。
○志位和夫君 私が聞いたのは、ポツダム宣言の認識を認めるのか認めないのかです。はっきりお答えをください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今申し上げましたように、まさにポツダム宣言を私たちは受け入れて、これがまさに戦争を終結させる道であったということであります。我々は、受け入れることによって終戦を迎え、そして、まさに日本は平和国家としての道をその後歩き始めることになったということではないかと思います。
○志位和夫君 私は、ポツダム宣言が認定している間違った戦争という認識を認めないのかと聞いたんですから。認めるとおっしゃらない。これは非常に重大な発言であります。
戦後の国際秩序というのは、日独伊三国の戦争は侵略戦争だったという判定の上に成り立っております。ところが総理は、侵略戦争はおろか、間違った戦争だともお認めにならない。
総理が今進めようとしている集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、アメリカが世界のどこであれ戦争に乗り出した際に、その戦争に自衛隊を参戦させるというものであります。
しかし、米国の戦争の善悪の判断が総理にできますか。日本が過去にやったみずからの戦争の善悪の判断ができない総理に、米国の戦争の善悪の判断、できるわけないじゃないですか。
戦争の善悪の判断ができない、善悪の区別がつかない、そういう総理が、日本を海外で戦争する国につくりかえる戦争法案を……
○会長(逢沢一郎君) 志位君、簡潔におまとめください。
○志位和夫君 出す資格はありません。撤回を強く求めて、終わります。(拍手)
○会長(逢沢一郎君) これにて志位君の発言は終了いたしました。
以上をもちまして、本日の合同審査会は終了をいたしました。
これにて散会いたします。
午後三時四十九分散会