衆議院

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第5号 平成13年3月1日(木曜日)

会議録本文へ
平成十三年三月一日(木曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      木村 太郎君    河野 太郎君

      左藤  章君    佐田玄一郎君

      阪上 善秀君    滝   実君

      橘 康太郎君    谷  洋一君

      野中 広務君    菱田 嘉明君

      平井 卓也君    福井  照君

      宮腰 光寛君    宮路 和明君

      大出  彰君    玄葉光一郎君

      武正 公一君    中村 哲治君

      松崎 公昭君    松原  仁君

      山井 和則君    山村  健君

      高木 陽介君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君

    …………………………………

   議員           金田 誠一君

   議員           山内  功君

   議員           矢島 恒夫君

   議員           植田 至紀君

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      滝   実君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   石川 重明君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  石井 隆一君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策

   局長)          村田 成二君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  橘 康太郎君     木村 太郎君

  山本 公一君     福井  照君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     橘 康太郎君

  福井  照君     宮腰 光寛君

同日

 辞任         補欠選任

  宮腰 光寛君     山本 公一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案(岡田克也君外七名提出、衆法第三号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案及び公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長石川重明君、総務省自治財政局長香山充弘君、総務省自治税務局長石井隆一君及び経済産業省経済産業政策局長村田成二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菱田嘉明君。

菱田委員 おはようございます。自由民主党の菱田嘉明でございます。質問の機会を与えていただきまして、大変光栄に存じております。

 ただ、本日は予算委員会と同時開催、こういうことで、片山大臣が欠席でございます。片山大臣には初代総務大臣に御就任になりましたお祝いを申し上げようと思っておりまして、大変残念でございますが、遠藤副大臣、また山名政務官、ひとつ大臣になられたお気持ちで御答弁をお願い申し上げたいと思います。

 特に山名政務官には、京都府議会では同期ということで活動させていただいておりまして、こういう場で質疑応答できますことを大変うれしく思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 地方分権推進一括法が昨年の四月に施行されましてから間もなく一年が経過をいたすわけでございます。地方分権への取り組み、これはまだその緒についたばかりでございまして、いよいよこれから本格化する、こういった段階でございますけれども、私の地元の京都府で地元の新聞社が市町村を対象に地方分権についてアンケートを行ったわけでございますけれども、分権が進んだと答えたのは約二割、そして、分権が進まない、あるいはどちらとも言えないと答えたのが八割でございました。その理由として、大半が、権限移譲に財源が伴っておらない、こういうことを挙げておるわけでございます。財源確保が分権推進を図る上で大きな課題である、実効ある地方分権を実現していくためには地方財政基盤の強化を図ることが不可欠である、このことが改めて裏づけをされた、このように言っておるわけでございます。

 ただ、地方分権推進のために新しい財源が必要、こういうことでございますけれども、現実の地方財政、むしろそれどころではなしに、もっと深刻な状態にあるわけでございます。地方の借入金の残高が今年度末には百八十四兆円、巨額の財源不足が生じております。極めて厳しい危機的状況にありますことから、この委員会におきましても、地方財政の現状をいかに打開していくか、こういう観点からさまざまな議論が交わされておるわけでございます。

 地方行政を経験してまいりました者といたしましては、財源不足の補てんに当たっては地方団体の意向を十分に踏まえていただきまして、所要額の確保はもちろんでございますけれども、地方団体が強く望んでおります一般財源の確保の面から、地方交付税制度の充実強化を図るべきだ、このように考えております。そしてまた一方では、安定財源の確保のために地方も努力をする、また国もこれに積極的に協力をしていく必要がある、このように思うわけでございます。

 しかし、基本的には、何よりもまず地方自治体が住民の行政需要に的確に対応しつつ、徹底して行政経費の抑制を図っていくこと、つまり、地方団体自身が歳出の削減と財政の効率的運用に引き続き最大の努力をしていくことだというふうに考えております。

 今回の地方交付税法の改正あるいは地方税法の改正につきましても、こうした観点から行われるもの、このように期待をいたすものでございますけれども、平成十三年度の地方財政対策の考え方について、また地方団体に対する対応等につきまして、何点か確認をし、質問をさせていただきたい、このように思います。

 今回提案をされております地方交付税法案の最大の改正ポイント、これは財源不足の補てん方式を見直したことであります。これまでは財源の不足分を国の交付税特会で一たん借り入れを行いまして、地方交付税の総額を増額して、そこから地方団体に配分をしていく、こういう方式がとられてまいりました。それが今回の見直しでは、財源不足の半分は各団体が赤字地方債を発行して補てんをする、つまり、自分たち自身が借り入れをする、こういうことになったわけでございます。

 これまで地方自治体に対して自治省は、赤字地方債の発行、これは基本的に好ましくない、こういう立場で、なかなかこれを認めてこられなかったわけでございます。国は、経済、金融あるいは通貨、税制、こういう面を自分でコントロールできるわけでございまして、赤字国債の発行が続けられるわけでございます。そして、新しい税も導入をできるわけでございます。しかし、地方はどんなに苦しくとも、国の定めた税財政制度の中で財政運営をやりくりしていかなければならない、こういうことになっております。

 余り名誉なことではございませんけれども、私が市長をいたしておりました市におきましては、平成元年度は公債費率が二一・五九、平成元年度では全国のワーストワン、こういう位置にあったわけでございまして、そういう財政状況で市政を引き受けましたので、当時は赤字国債を発行できる国を大変うらやましく思ったわけでございます。

 しかし、そうは申しましても、赤字財政を借金で穴埋めしていく、こういうことはやはり望ましいことではないわけでございまして、極力これは避けるべきである、このように思うわけでございますが、今回、総務省としては赤字地方債制度の導入に踏み切ったわけでございます。一昨日までの総務大臣の御答弁では、交付税特会の借入残高をもうこれ以上ふやしていくわけにはいかない、そういう判断がございましたし、また、地方団体の財政責任を透明化していく、こういう趣旨で今回のこの見直しが行われた、このようにお聞きをいたしておるところでございます。

 自覚と責任ある自治体運営、こういう面からこのことは一定、理解のできるところでございますし、また、これまで交付税特会の借り入れ方式で年間約八兆円という巨額の財政補てんを行っておったので、平成十三年度は、激変緩和、こういう意味から半分だけ新しい方式に移行して、残り半分については従来の特会借り入れと併用する、こういう方式をとったのもやむを得ない、このように思うわけでございます。

 ただ、一点疑問に思いますのは、特会の借り入れ方式が平成十四年度ですべてこれは廃止をする、こういうことにはならずに、平成十一年度から実施をされております恒久的減税による減収を補てんするための特会借り入れ、これは平成十三年度で約一兆五千億になる、こういうふうに見込まれておるわけでございますけれども、この分については存続をする、こういうことになっておる点でございます。

 財政の透明化という観点からいたしますと、この部分についても特会借り入れ方式を廃止する、こういう選択肢があり得たのではないかというふうにも思うわけでございます。恒久的な減税による交付税影響分の補てんについては、これまでどおり交付税特会借り入れ方式にする理由につきまして、財政局長から御説明をいただきたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 恒久的な減税に伴う地方財源の不足につきましては、将来、私どもとしては、税制の抜本的見直し等によって補てんされることを予定しておりまして、そういう意味では、今回の補てん措置というのはいわばつなぎの措置というふうに考えておる次第でございまして、将来の税制の抜本改正によって措置を講ずる場合には、そのときにしかるべき増収措置によって解消されるべきものだと考えておるわけでございます。したがいまして、通常収支の補てん対策につきましては今回見直しをいたしましたけれども、恒久的な減税の影響額につきましては、従来の方式を踏襲するということにさせていただいた次第でございます。

 その場合に、国税の減収に伴う地方交付税の減収ということになりますから、これは、地方団体に対しましては交付税という形で補てんする方がよいと考えられますことから、交付税特別会計借入金で対応することとさせていただいておるものでございます。

菱田委員 どうもありがとうございました。

 それでは次に、財政運営の基本路線についてお伺いをいたしたいと思います。

 平成十三年度の地方財政計画を見ますと、地方単独事業が前年度比で一兆円減額をされております。これは、地方団体の歳出決算との乖離を調整する規模是正であって、地方団体の予算の減額を想定したものではない、こういう御説明が前回の審議でございました。ただ、地方団体は、最近の財政状況の悪化で公共事業の実施に非常に慎重になっておるわけでございます。

 こうした中で、今回の見直しで赤字地方債が導入をされる、こういうことになりますと、各団体の地方債の残高がますます増加をするということになりますから、地方団体の公共事業に対する意欲、特に景気対策としての公共事業、公共事業にももちろんいろいろあるわけでございますけれども、これの実施意欲にブレーキをかける作用が働くのではないか、こういうことが懸念をされるわけでございます。

 そうしますと、国の財政は、景気の回復を最優先課題として引き続き積極財政路線をとっておる、これに対しまして、地方財政の方は、今回の見直しによりまして財政構造改革路線に転換をしたのではないか、こういう見方もできるかと思いますけれども、御意見をお伺いいたしたいと思います。この点は、既に議論の交わされておるところでございますけれども、私どもの党の政策の基本にかかわることでございますので、改めてお聞きしておきたいと思います。

遠藤副大臣 本日ただいまの時刻、片山大臣が予算委員会に出席をしておりますので、私が答弁をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 ただいま、長い間府議あるいは八幡市長として地方自治の経験を積まれました菱田先生から詳しくお話があったわけでございますけれども、今回の地方財政計画の見直しというのは、財政構造改革路線に転換したものではないのかという御疑念があるようでございますけれども、最初に結論から申し上げまして、転換したものではございません。したがいまして、なお一層景気対策の方に軸足を置いておる、しかし、将来の財政構造改革についても視野に入れている、こういうことだと思っております。

 と申しますのは、ただいまお話がありましたように、今回の地方財政計画の見直しにおきまして、交付税特会からの借り入れという形をとらないで、一部残しているんですけれども、国の方は国債を発行していただく、その財源不足分ですね、補てんでございますけれども、地方の方も独自に赤字の地方債を発行していただく。しかし、これは後で交付税措置をとるわけでございます。

 こういうふうにいたしまして、国の責任も地方の責任も一層明確にすることによりまして、地方におきましては、議会で、住民にそういう借金をして運用しているという構造を深く理解をしていただく。このことによりまして、今後とも経費支出の効率化、重点化を図っていただきますとか、地方財政を健全化していただくという気持ちになっていただく、こういう意味では視野に入れているという意味があります。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、当面の経済財政運営の基本姿勢といたしましては、なお景気対策の方に軸足を置いておりまして、既定経費の節減合理化に努めながら、公共事業の地方負担とか地方単独事業の所要財源というものはかっちり確保した。こうして、地方団体に対しましても、より一層景気対策へ積極的な取り組みを要請しているところでございます。

菱田委員 ありがとうございました。

 前回の審議でも、二匹のウサギを追うのかどうか、こういう議論が交わされたわけでございまして、私も国の財政の現状を見ておりますときに、構造改革にも目を向けていくべきだ、この時期に差しかかっておると思います。

 しかしながら、今の時期、最大の政策課題であります景気浮揚がまさに正念場に来ておりますだけに、地方においてもしばらく頑張ってもらわなければならない、このように思うわけでございます。また今後、安全な町づくり、こういう面での必要な公共事業までその意欲がなえていくことについては、十分に配慮をしていかなければならないのではなかろうかというふうにも思っております。

 次に、都道府県レベルでの安定財源の確保、こういうことから、法人事業税への外形標準課税の導入についてお伺いをいたします。

 法人事業税は、都道府県の基幹税でございます。所得を課税標準といたしておりますので、その税収は確かに不安定でございます。都道府県では、地方分権を進めていく上でも安定財源の確保が急がれる中で、基幹税である法人事業税の安定化を一刻も早く、こういうことで、外形標準課税の早期導入を強く望んでおるわけでございます。

 しかし、一方では、経済団体を中心にいたしまして、外形標準課税の導入は地方法人課税の簡素化の流れに逆行する、あるいは国際競争力へ影響する、雇用あるいは投資活動への影響、こういうことも挙げまして、逆に強く反対をされておるわけでございます。

 昨年の十一月、当時の自治省から外形標準課税の具体案が示された、こういうことで、外形標準課税について具体的な論議ができるようになりました。昨年の我が党の税調でも、まさにかんかんがくがくの議論が連日交わされたわけでございます。

 そこで、この外形標準課税について、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたしたいと思います。

遠藤副大臣 法人事業税の改正という意味で、外形標準課税を導入したらどうかということでございまして、これについて自治省の時代から総務省は熱心に取り組んできたわけでございます。現在、我が国の法人のうち約三分の二の欠損法人は、地方の行政サービスを受けているにもかかわらず、法人事業税を全く負担していただいておりません。したがいまして、残りの三分の一の利益法人にこれらの欠損法人が本来負担すべき分まで含めて負担を願っているという、少し不公平な状況になっているわけでございます。

 現在の法人事業税は、要するに、所得というものを課税標準にしておりますものですから、いわゆる応能負担ということになっているわけですけれども、やはり地方の行政サービスを受けているのだから、応益負担の部分も入れていただきまして、この応能と応益の調和のとれた法人事業税に改正する必要があるのではないか。このことによって、薄く広く公平に税負担を図っていただくということを考えているわけでございまして、これが結果的にも、地方の税が景気に左右されない形で安定的に得られるという改正になるわけでございまして、昨年十二月の政府税制調査会の答申、あるいは与党三党の税制改正大綱におきましても、地方税としては大変望ましい方向であるから、早急に実施を検討したらどうかというふうなお話をいただいているところでございます。

 現在、各地方団体の皆さん、特に課税団体であります都道府県の皆さんと連携しながら、特に産業界の皆さんとも深い理解をしていただくようにお願いをしているところでございまして、そうした形で理解をいただけましたならば、ぜひとも来年度の税制改正での実現をしたい、このように全力を挙げているところでございます。

菱田委員 ありがとうございます。

 遠藤副大臣の御答弁、いわゆる外形標準課税については来年度の導入を図って取り組んでいく、こういうお考えでございました。私も、応益課税、こういう観点から、また地方分権を支えていく安定的な地方財源を確立するということからも、外形標準課税を導入することには賛成の立場であるわけでございます。

 ただ、外形標準課税は一概には増税対策とは言えないとはいいますものの、やはり今の時期、景気の動向に与える影響も考えて、そのタイミングを十分見きわめていただきたい、このようにお願いをいたしておきます。

 次に、地方団体の自主財源、安定財源の確保、こういう観点から、市町村レベルでの基幹的税目となっております固定資産税についてお伺いをいたしたいと思います。

 バブル崩壊以降、地価は下げどまらない状態にあるわけでございます。かつては、土地の値段は必ず上がる、こういう土地神話がございました。固定資産税においても、地価は上昇する、こういう前提で制度設計がなされたと言われておるわけでございますけれども、依然として続いております地価の下落に対しまして、固定資産税はどのように対応をいたしておるのか、お伺いをいたしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 土地に係ります固定資産税の評価額につきましては、基準年度、最近でいいますと、平成十二年度になるわけですけれども、その価格を三年間据え置くことが原則でございます。

 ただ、今、委員が御指摘になりましたように、最近の地価の下落傾向にかんがみまして、地価の下落が認められる土地につきましては、本来、価格を据え置きすべき年度におきましても、簡易な方法で下落修正を行うことができる仕組みを平成九年度からとっております。したがいまして、十三年度、十四年度におきましても、地価が下落している土地につきましては、これに応じまして修正を行うことにいたしております。

 また、課税の公平の観点から、固定資産税につきましては、評価額に対する課税標準額の割合、これは負担水準と言っておりますが、この負担水準のばらつきを是正するために、価格の下落修正を行うことによりまして、負担水準が七五%を超しますと、七五%まで引き下げるといったようなことをいたしておりますので、先生御指摘のような、地価の下落が著しくて結果として負担水準がかなり上がってしまった、そこは七五%まで下げるというふうにいたしておる次第でございます。

菱田委員 いろいろ御配慮をいただいておるようでございますけれども、今後もこうした地価の下落状況が続いていくということになりますと、市町村の基幹税目であります固定資産税は減収になっていく、こういうことも考えられるわけでございます。市町村の税収の五割近くをこの固定資産税が占めておるわけでございまして、これが大きく変動していくということになりますと、市町村の財政運営にも支障を与えかねないわけでございますし、また、固定資産税がどうなっていくか、このことは住民の生活にも大変大きな影響を与えるものでございます。

 そこで、固定資産税の今後のあり方につきましてどのように考えておられるのか、また、そのために今検討しておかなければならない問題はどういうことがあるか、この点をお伺いしておきたいと思います。

山名大臣政務官 今、菱田委員がお述べになりましたように、固定資産税というのは地方における基幹税目でございまして、構成率としては、およそ四五%から五〇%近い、こういった構成比率になっているわけでございます。税源の普遍性あるいは税収の安定性に富んでいるというところからも、今後ともその安定的な確保に努めなければならない、こういう認識は同じでございます。

 また、この固定資産税に対する、何といっても住民の皆さんの理解を深めていく、そういうためにも、やはり負担の公平性というものが必要であろうかと思いますし、おっしゃるように、今土地に係る税負担の水準のばらつきというものがあるわけでございますから、そういったものについての水準のばらつき是正の必要性が叫ばれているわけでございます。

 そのために、平成九年度以降、いわゆる負担水準、評価額に対する課税標準額の割合、こういったものが、負担水準が高い土地については税額を引き下げ、低い土地についてはなだらかに引き上げる、こういうことによりまして、税負担の水準の均衡化、適正化というものを図ってきたところでございまして、当面、今後ともこういったことを推進を図っていく、このことが重要な課題だと思っております。そういう措置を今後とも引き続き講じながら、信頼される固定資産税制の確立に向けてしっかりと取り組みをしてまいりたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。

菱田委員 どうもありがとうございました。

 地方財政が非常に厳しい、こういうことで、国からの支援を充実させることも大変重要でございます。同時に、最初に申し上げましたように、地方団体自身が歳出の削減と財政資金の効率的運用に最大の努力をしなければならないわけでございます。そのためには、首長を初めとする職員の意識改革、そしてまた、行政改革に対する住民の理解と協力、その上に立っての思い切った施策の見直し、あるいは効率的な行政システムの確立などが求められるわけでございます。

 そこで、地方もいろいろ努力をしておるわけでございますけれども、現在の地方の努力をどのようにお考えになっておられるのか、私はこのことをお聞きしておきたいと思います。

 大変残念なことでございますけれども、地方分権に積極的でない方の一部に、地方には国に対しての甘えがある、借金をしても国が返してくれるのでむだ遣いをしておるところも多い、こういう見方もあるわけでございます。無論、行革努力の足りない自治体も一部にはあろうかと思いますけれども、しかし、財政危機と言われております今日、大半の首長はむしろ国以上に血のにじむような行革努力をいたしておるわけでございます。地方団体の首長もやはり選挙で選ばれるわけでございまして、住民やあるいはまた職員から不満を買うようなことはやりたくない、しかし、自治体の長としての重い責任を果たさなければならない大変つらい立場にあるわけであります。

 私ごとで大変恐縮でございますけれども、私自身も市長の立場にありましたときは、職員の昇給延伸、百に近い団体の補助金の一律一〇%カットあるいは幼稚園の再編成、いわゆる統廃合、祝い金のばらまきを廃止してデイサービスセンターを建てていく、あるいはまた、職員の数をふやさない、むしろ減らしていこう、こういうことから、退職職員の不補充などを実施してまいったわけでございます。多くの首長さん方も同じように大変な努力をされておると思います。こうした地方の努力をどのように受けとめておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。

遠藤副大臣 地方団体におきましても大変血のにじむような行政改革をしていただいていると認識をしております。

 ちなみに、地方公務員の総数ですけれども、平成十二年四月一日現在で、対前年比で二万七千八百六十一人の減少になっているわけでございまして、これは六年連続して減少しているわけでございます。

 あるいは、ラスパイレス指数ですけれども、これも昭和五十年以降二十六年連続して低下をいたしておりまして、今現在、ラスパイレス指数が百未満の団体数は、平成十二年度におきまして二千四百六十二団体。ですから、全団体の七四・六%が国家公務員より安い給料になっている、こういうことでございます。

 それから、行政評価につきましても、国に先んじまして地方で取り組んでいただいておりまして、これは平成十二年八月現在の数字でございますが、既に導入済みの都道府県の団体数は二十四団体でございまして、全体の五一%。

 このように人員管理の面、給与水準の面あるいは行政評価を行いまして、さらに行政の効率化、簡素化、透明化等を図っていただくことによりまして、地方行革に真剣に取り組んでいただいている、こういう現状でございます。

菱田委員 どうもありがとうございました。

 今の副大臣の御答弁を聞いておりまして、大変うれしく思っております。幾ら財政状況が苦しくとも、住民の皆さん方からは次から次へ新しいニーズが出てくるわけでございまして、首長も精いっぱいそれにこたえていこうと努力をいたしておるわけでございます。

 そういうことから、地方を信頼していただきまして、安心して積極的に地方への税源移譲に取り組んでいただきますようにお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。先ほど菱田委員の方からもお話がありましたけれども、大臣が予算委員会で質疑をやられておるということで、遠藤副大臣そして山名政務官、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、今回の法改正の問題等もあるんですけれども、全般的な話といたしまして、地方分権の考え方ということでちょっとお話をお伺いしたいと思います。

 地方分権、地方分権という形で今までも言われ続けておりまして、権限等が徐々に移譲され始めている。ところが、やはり一番問題なのは、財政的な自立ができるかどうか、ここが一番大きな問題だと思うんです。そのような中にありまして、やはり大半の地方公共団体が地方交付税に依存している状況。先ほど菱田委員からお話がありました、首長は頑張っていると。まさに首長は頑張っているんですけれども、これは地方だけではなくて国も、民間から見れば甘えているな、リストラをしているだとかいろいろと言われていながらも、民間の現状から比べたらまだまだではないか、こういうような指摘の方が多いのではないかな、そんな気もしております。

 そういった中で、この地方交付税、これにやはり依存しているということで、頑張ってはいるんだけれども、やはりこれがあるというところでの安心感、こういったものも、ないと言ったらこれは違うのではないか、そんな気もいたします。逆に、この地方交付税を減らしていく、もっと不交付団体をふやしていく中で自立させていくという、中央依存体質を改善させることも必要ではないか、そういった考え方もあると思いますけれども、この問題に関しまして、総務省としてどのような考えがあるか、お聞かせ願いたいと思います。

遠藤副大臣 地方分権の中で、地方の行う事務については、一括法によりまして機関委任事務制度がなくなったわけでございますけれども、税財源の地方への移管ということがこれからの最大の課題である、こういう認識は高木委員と全く同じ気持ちでございます。その中でも、やはり地方の自主財源でございます地方税を拡充する、これは最も基本である、こういう認識も全く同じでございます。

 しかしながら、この地方税というのは、税源が偏在をしているということがあるわけでございます。例えば、これは平成十年ですけれども、東京都は人口一人当たり十九万五千円という地方税になるんですが、沖縄県におきましては一人当たり七万三千円、この間、二・七倍の差がある。このように、地方税目が偏在しがちであるということが大変大きな心配事でございまして、そのために、それを調整するという意味で交付税というものが必要である、こういう御認識はぜひいただきたいと思います。

 それからもう一点は、各法律で国の行政支出水準を決めておりまして、例えば義務教育の学校の先生のお給料であるとか福祉の関係、そういうものが全部法律で決められているものですから、それをきちっと賄っていかなければいけない。これが交付税総額の大体半分に当たるということでございますので、地方交付税の健全化というものも考えていかなければいけない。ですから、地方税を主体にはするわけですけれども、交付税というものもあわせて考えていかなければいけない、このように考えております。

高木(陽)委員 まさにおっしゃるとおりだと思うんです。そういった中で、例えば、私も東京なもので、都市部の人たちの感覚というのは、何かいっぱい税金を払って、国に一たん集まって、それを何か地方に持っていかれてしまう、ここら辺の不公平感を感じている。一方、地方の方々から見れば、国でみんな一たん集めて、それで公平にという、ごく当たり前な感覚だと思うんですが、そこら辺のバランスというものがやはり重要だ。

 もう一つ言わせていただきたいのは、これは鶏と卵みたいな話になるのじゃないかなと思うんですね。地方が自立するから交付税がだんだん減るのか、減らすから自立していくのか、ここら辺のところで、これも一概には言えないと思うんですが、そういった観点というものをしっかりと持っていただきたい、そのようにも思います。

 その上で、地方交付税制度に関して、地方債の元利償還金を地方交付税で措置するという事業費補正という配分方式について、一部で批判があると思うんです。こうした配分方式は地方交付税の補助金化につながるのではないか、こんな批判が聞こえてくるんですが、そのことについてどのように考えているか、お聞かせ願いたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 地方交付税の基準財政需要額の算定というのは、人口とか面積を指標として、我々は静態的と言わせていただいておりますが、そういう算定を基本といたしておりますけれども、何十年に一回というような、小中学校の整備あるいは広域的に利益が及ぶような河川、港湾、こういった公共事業につきましては、特定の地域、年度によって事業に大きな偏りが出てまいりますので、事業実施の確実性を期するためには、各団体ごとの財政需要の実態をより適切に反映する必要があるということで、現実の事業費に即した算定、我々は動態的算定と言っておりますが、これを一部導入しておるということでございます。

 また、地方単独事業についても、例えば過疎債とかいったものが一番典型的な例でございますけれども、財政力の乏しい団体であっても、地域の活性化を図るとか、国庫補助金に依存しないでしかるべき規模の事業ができる、こういったことが可能であった方がよかろうということで、同様に一部動態的算定を導入しておるわけであります。

 これに対して、いろいろな御意見をちょうだいすることが多いのでありますけれども、あくまで基準財政需要額というのは、補助金のように使途を特定するものではございません。したがって、例えば起債を起こしてそういうことを実施するかどうかというのは、あくまで地方団体の主体的判断というのが前提になっておるわけでありますから、そういう意味で、箇所づけだとか事業のメニューまで決めておるような補助金とは基本的に質が違う。あくまで財政力の差がある地域でもいろいろな事業ができるということを保障するための仕組みであるというふうに考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。

高木(陽)委員 もう一つ、地方の自立ということを考えますと、これはやはり規模の問題も関係してくるかなと思うのですね。

 例えば、先ほど都市部と地方の比較ということで、都市部の方はかなり余裕がある。これはやはり人口も多いですし、それなりの産業もあります。そうなってきますと、例えば人口数千人の村だとかそういったところは、自立しろ自立しろ、努力はしても自立しようがない客観的状況というのがあると思うのです。そうなってきますと、やはりここは合併という話が出てくると思うのです。

 つい先日も、私の地元でもある多摩地域で保谷、田無が合併して西東京市というのができましたし、間もなく埼玉ではでかい合併が行われるわけですけれども、そういった中で、これは我が党も、地方自治体三千もあるものをやはり千ぐらいにしていくべきではないかという、これは党の方針としても打ち出させていただいておりますけれども、このことに関しまして、総務省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

遠藤副大臣 与党の合意をいただきまして、それを昨年十二月の閣議でも決定させていただいたわけですが、千ぐらいの程度、今三千二百二十六市町村があるわけですけれども、それをそれぐらいの規模にしていこうということで総務省も取り組んでいきたいと思っています。

 恐らく、二十一世紀、これからの世紀というのは市町村の時代だろうと思うのですね。市町村というところが住民に一番身近な基幹的な単位でございますから、そこが財政力を強くしていくということが大変大切なわけでございまして、この市町村合併というものを強力に進めていきたい、こう思っています。

 ただ、これは強制的にはなかなか難しいわけでございまして、地方自治は地方の皆さんの意思というものが大変尊重されなければなりませんから、それに誘導するような措置、環境づくりというものを総務省は行っていきたいというふうに考えているわけでございます。今後とも、御理解をいただきまして、推進に御協力いただければありがたく思っております。

高木(陽)委員 しっかりと啓蒙という形で頑張っていただきたいなと思いますし、私たち議員の方も、その問題に関して、やはり地元を含めて推進していかなければいけないなと強く感じております。

 その上で、今、副大臣のお話に出てまいりました、身近なという言い方をされましたけれども、やはり税金の使われ道というのが、国そしてまた自治体というような形の中で、国だとなかなか見えないというような形があると思うのです。もちろん今、予算案の審議をやっている真っ最中でございますから、これは一円たりとも、血税ですのでむだにはできない、そういった中での予算案の審議をやらせていただいていますが、正直、住民、市民、有権者の実感としてみれば、何兆円という話になりますと、なかなか実感がしない。やはり自分の市だとか町、村で、ではここに何をつくったとか、こういうサービスができたとか、そうなってくると、目に見える形で、自分の汗水流して働いて納めた税金がこうやって効果的に使われているな、こういう実感がわいてくると思うのです。その上で、見えるということはチェックができるということですから、そうなってきますと、行政の効率化も進んでくる。

 ここでまた最初の話に戻りますが、地方の自立をさせるために、これは先ほどの質問でも出ておりましたけれども、税源の移譲ですね、これを図ることが必要である。この税源の移譲、例えばたばこ税とか、今まで自治省時代にいろいろと工夫をされてまいったと思うのですが、そういった現状、そしてこれからの、今後の方針みたいな部分をお聞かせ願えればと思います。

遠藤副大臣 地方の自主財源でございます地方税を充実、拡大する、これにあらゆる知恵を絞っていきたい、こういうふうに考えているわけでございますが、方向といたしましては、やはり税源が偏在しない形で税収が安定する、こういうふうな税目ということになりますと、個人住民税であるとか地方消費税の充実、あるいは固定資産税の安定的な確保、こういったものがあります。それから法人事業税につきましても、応益負担分を加味いたしました改正を行う、いわゆる外形標準課税の導入ですけれども、こういった形のもので地方の独自財源というものを拡充していくということが大切だと思っています。

 いずれにしても、税の問題でございますから、やはり税収がふえるというのは、景気をよくしなければ税収はふえないわけでございまして、ぜひ景気対策をしっかりやりまして、日本の国を元気な、そして税収の豊かな国にして、その中で国と地方のあり方を抜本的に考えていく、今の制度をかなり大胆に変えていきまして、地方の課税自主権というものを拡大していく、こういう方向で取り組んでいきたい、このように考えております。

高木(陽)委員 ただいまも課税自主権というお言葉が出てまいりました。これはまさにここ最近、話題となっておりまして、外形標準課税、東京都は銀行税ですね。

 さらには、文京区では、またおもしろい角度というか、場外馬券税というのですか、例えば、文京区のウインズ、場外馬券場の後楽園では、平成十一年度で馬券の発売額が二千三百億円、全国一の場外馬券場で、ここで新税を導入しよう、そうなりますと、十五億円の税収を見込むという。

 さらに、山梨県河口湖周辺では、河口湖で、ブラックバスだとか、釣りのメッカとなっておりますので、そういったところでの遊漁税の新設、こういう話が出ております。

 自治体にとってみれば、これは本当にのどから手が出るほど欲しいというか、どんどんやっていきたい、こういう考え方があると思うのですが、まさに地方分権の推進の観点からいうと、こういった方向というのはどんどん出てくるだろう。出てくるのはいいのですけれども、景気の問題等々もあります。特に、銀行税、東京都の場合には司法の場に持ち込まれておりますので、こういった中でなかなか一概には言えないと思うのですが、地方分権の推進の観点から、新税導入に関してどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

山名大臣政務官 御承知のように、昨年四月の地方分権一括法によりまして、法定外普通税、従来、許可制であったものが協議制に改正をされ、とともに、いわゆる法定外目的税というものが創設をされたわけでございます。

 この法定外税というのは、地方団体にとりましても課税の選択幅を広げるわけでございまして、特に、この法定外目的税というのは、住民にとりまして受益と負担の関係というものがより一層明確になるという上でも意義あるものだ、こういうように思っております。

 そこで、今、例に何点かお挙げになった、いわゆる課税自主権に基づく法定外目的税の条例化を検討している市町村が出ているところでございますが、我々といたしましても、この課税自主権の活用をこれから検討する自治体がふえていくことはまず望ましい、こういうスタンスに立っております。でありますけれども、具体的な条例化につきましては、やはり税制の公平、中立、簡素という一つの原則、あるいは地方税法の趣旨、地方税法の趣旨というのは、どこまでも、国または地方、国税と地方税の課税標準といいますか、こういったものが同じではいけない、かつ住民の負担が著しく過重になっちゃいけない、それから物流面において障害を与えないとか、あるいは国の経済施策に照らして適当であるかどうか、いわば同意要件といいますか、三要件と言っておりますけれども、地方税法の趣旨に基づきまして、何よりも納税者の理解を得る、そして議会で十分な論議をしていただく、こういうところから、総務省といたしましても、個別に協議あるいは御相談があればしっかりと受けとめまして、そういった要件を踏まえつつ、あくまでも地方分権推進、こういう趣旨にのっとって支援を適切にしてまいりたい、このように考えているところでございます。

高木(陽)委員 あともう一つ、新しい税という観点で、これはおもしろいなと思ったのですけれども、例えば、三重県で産廃に関して税をかけていこうと。一トン当たり千円から千五百円くらいかけようかという、三重県の知事もなかなかいろいろとユニークなことを考えますが、また、杉並区では、レジの袋に五円課税しよう。これは、環境の問題という観点からいいますと、住民としても環境問題というのはかなり関心が高いですから、結構賛同を得やすい部分かなという気もしますし、また、グリーン税制等々、国の方もいろいろと環境問題ということで検討はしている中で、まさに住民みずからが地域の環境問題をしっかりととらえていこう、こういう意味で検討されているような税制、これは結構重要だと考えますけれども、これに関してどのようにお考えか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がございましたように、廃棄物あるいは下水の処理なんかに関連しまして、地域環境問題ということで、法定外税等の動きがあるわけでございます。総務省といたしましては、こうした住民に身近な地域環境問題について税制で対応するというのは、やはり地方の独自課税に大変なじむ分野ではないかというふうに考えております。

 それから、環境関連ということでは、最近、地球温暖化対策といったような地球環境問題等もあるのですけれども、委員が先ほど御指摘になりましたように、なるべくこれからは、分権ということもございますし、地方税の充実強化を図っていくべきだという点からいいますと、こうした分野についてもできるだけ地方税とすることを含めて検討していきたいと考えておる次第でございます。

 環境関連税制、いずれにしましても、国民の皆様に御負担をいただくということになるわけでございますので、国民の皆さんの御理解、御協力が得られることが必要不可欠でございますから、総務省といたしましても、昨年来、研究会等を開きまして、いろいろな手法、可能性について検討いたしております。今後、こうした研究成果も地方団体の皆さんに提供していきたいと思いますし、また、先ほど山名政務官からもお話がございましたが、各地方団体から御相談がございましたら、できるだけ私どもとしては、地方分権を進める、地方税財源の充実強化を図っていくという観点から、情報提供、助言、いろいろな支援を行っていきたい、こんなふうに考えております。

高木(陽)委員 あと、今回の地方財政の対策で、赤字地方債の制度が導入される。これは、国の方も赤字国債がどんどん累積しているということでかなり御批判を賜っておりますし、そういった中で、このような措置が地方団体の理解が得られるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。

遠藤副大臣 この委員会で大変熱心に御議論をいただいたところの最大の争点といいますか、今回の法律改正の一番大きな項目のところに対する質問でございます。今回、地方財政計画によりまして、従来は、地方に行く財源の不足分を交付税特会から国が半分、地方が半分借り入れてきまして、それを交付税として地方に渡す、こういうふうな制度をとってきたわけでございますが、特会借り入れという形は、いわゆる国民の方から見ると、見えにくい形になります。

 したがいまして、国も、その二分の一負担分の二分の一ですけれども、これは特会の借り入れではなくて、国債を発行していただきまして一般会計から繰り入れていただく、このようにいたしまして明確にいたしました。それから、地方の方も、この二分の一の二分の一、いわゆる四分の一ですけれども、これは赤字地方債の発行という形で地方の責任というものを明確にさせていただいたわけでございます。

 しかしながら、地方の赤字地方債につきましては、後で交付税措置をする、そして、それを元利償還金を含めまして後年度に全額財源措置する、こういうふうに法律で明文化いたしているわけでございまして、このことによって地方団体にいろいろな財政運営には実質的な影響が出ない、このように理解をしておりまして、地方公共団体の皆さんの理解を得られると思います。

 また、積極的に地方の議会でこのことを議論することによりまして、地方の責任という意味も明確になるわけでございまして、ある意味では地方の財政の透明化にも資する話になるのではないか、このように期待をしているところでございます。

高木(陽)委員 今のお話を聞きますと、まあそうなのかなと思う反面、基本的に手品のような形になっているな、最終的にはだれかが返さなければいけない、これはもう自明の理なわけでありますし、国の方の国債の問題もそうだと思うのです。

 そうなってきますと、地方団体が地方債残高が累積して元利償還の負担が年々増加している。今回の赤字地方債の発行で、最終的には地方団体がひっかぶる分もぐっとくるわけですから、財政悪化に拍車をかけないだろうか。

 国の問題でも言われるのは、孫子の代にツケを回すな、こういう言い方をよくされるわけですけれども、これは地方自治体においても全く同じことで、そこら辺の財政悪化に拍車をかけないのか、そうでなくても財政悪化しているじゃないか、ここら辺のところについて総務省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

遠藤副大臣 赤字地方債の発行をするといっても、後で交付税で措置するのであれば、もう間違いなく後で返ってくるんだからどんどん出せばいいわという形になれば、これはもちろん、非常に地方財政の累積赤字を増大させる、そういう懸念があるわけでございますけれども、私は、逆に、今まで交付税特会という形でわからないところで借りまして、それをいただいておりますから、余り自分の責任を感じないでいただいているところに、交付税というのは天から降ってくるんだという気持ちになってしまって、交付税の赤字が膨らんできたというところもあると思うのですね。

 今回は、そういう意味では、地方で赤字公債を発行するということになりますと、議会でも議論が進みますし、そのことについて住民も理解をしていただかなければいけないという形になりますから、私は、むしろ累積赤字を抑制する方に力は働くのではないか、このように思っております。

高木(陽)委員 責任の明確化だと思うのです。これはまさに、国の方も責任を絶えず明確にしながら、今抱えている借金の問題というのをしっかりしていかなければいけないなと痛感するところなんです。

 もう一つ、これはもう時間も参りましたので、最後の質問になりますが、バブル時代、金利が高かったです。きのうも公定歩合はまた引き下がりました。低いときに借りるのはいいのですけれども、高金利時代に借り入れた地方債の償還負担がまた地方財政を圧迫しているという現状があると思うのです。これに関しまして、どのような対策を講じてきたのか、また、今後どのような対策を講じていこうとしているのか、これについて伺いたいと思います。

山名大臣政務官 高木議員御指摘のように、過去の高金利時代に借りた地方債、その償還負担が地方財政を圧迫している、まことにそのとおりでございます。

 そのために、今までそういう地方債償還費に対する対策といたしまして、いわゆる公営企業金融公庫の借りかえ措置、あるいは地方債償還の負担が重い市町村につきましては、公債費負担の適正化計画を策定していただきまして、その上で地方債利子に対する特別交付税措置ということで対策を講じてきたところでございます。

 また、平成十一年度からは、普通会計におきます高利の公的資金に係ります地方債利子につきましても特別交付税措置を講じたり、またそれに加えまして、平成十一年度におきましては政府資金並びに公庫の繰り上げ償還、これにつきまして、平成十二年度においては、そのうち普通会計債についても借りかえ措置を実施している、こういうところで対策を今日まで講じてきました。

 平成十三年度におきましては、そういった措置に加えまして、公庫資金に係りますいわゆる公営企業債、これの借りかえ措置につきましては、利率要件、こういったものを、従来七・三%以上のものを七・〇%以上、こういう形で利率要件を緩和していきたい。

 さらに、高利の公的資金に係る地方債利子に対する特別交付税措置につきましては、対象要件を大幅に緩和いたしまして、従来一千二百団体、こういったものを二千六百団体に拡大しよう、こういうふうに対策として講じようと考えているところでございます。

高木(陽)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、これから本当に、地方も、独立しよう、自立しようと一生懸命頑張っている、もがいていると思うのです。これに関しまして、今回の地方交付税法または地方税法の改正等々だけではなくて、総務省といたしましては、本当に地方分権を、まさにそれを進めているのだというような形で頑張っていただきたいなと思います。

 以上で終わります。

御法川委員長 午後零時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十分開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田並胤明君。

田並委員 田並でございます。大臣、忙しいところ、本当に御苦労さまでございます。

 それでは、私の方としては、四十分ですので、地方財政の再建、つまり、大変異常とも言える現在の財政危機をどう克服するのか、さらに、地方税源の一つとしての外形標準課税の問題、この二つに絞ってお伺いをしたいと思います。

 大臣も御承知のように、先週、二十二日ごろだったと思うんですが、アメリカの格付会社S&Pが日本の国債について、これまで最高水準のトリプルAにしてきたのを、今度、格下げに踏み切ったようであります。これは、国債の大量発行、さらに急激な財政事情の悪化、そして金融機関の不良債権の問題、これら全部ひっくるめて、今の日本経済の構造改革に対する姿勢が疑問視をされてこういう結果になったんではないだろうか。

 もう一つアメリカの格付会社でありますムーディーズも、同じような理由で、ダブルA1からダブルA2へと日本の国債を格下げいたしました。ある新聞によりますと、これが日本とイタリーだと。はや日本は、もう先進国の仲間入りができなくなっちゃって先進国でなくなった、こういう評価すらある新聞はしておるようであります。しかも、今後の見通しについても大変弱含みだということで、さらなる格下げの可能性すら示唆している、こういう内容でございます。宮澤財務大臣はこれに対して、こんなことを言うのはちょっとおかしいということで、一応否定はされているようでございますが、しかし、国際的に非常に影響力の強い格付会社がすべて日本の国債を最上位から格下げしているのは、残念ながら事実でございます。

 私どもとしては、こういう格付会社の日本国債の格下げについてしっかりと受けとめないと、しかも、冷静に直視をせざるを得ないのじゃないだろうかと。その上、政府税制調査会の石弘光会長も、先週、二十三日の講演で、S&Pさらにムーディーズ、これが日本国債の格下げをしたということについては、世界の目から見て日本の信頼性がすごく落ちている、これは早晩、国債の価格に響いて、ひいては長期金利の引き上げにも響くんではないだろうか、原因になるんじゃないだろうか、こういうふうに指摘をされたそうでございます。

 このまままいりますと、必ずどこかで財政破綻を来す、そうした不安を恐らく多くの国民の皆さんが持っているんじゃないだろうか。場合によると、大臣も持っているのかもしれません。この財政破綻という最悪のシナリオは何としても避けなければいけませんし、絶対にあってはいけない、このように考えるわけです。

 そこで、国の財政破綻の危機というものが迫っておりますが、地方財政も国の財政と同じような形で非常に厳しい状況にあるわけでありますが、この地方財政の破綻を避けるための財政再建という重要なテーマについて、まず大臣の見解をぜひお聞きしたい、このように考えるところでございます。

 まず、我が国の天文学的な借金の状況を、フロー、ストックという両面で正確に把握をしておく必要があるのじゃないだろうかということから、平成十三年度末の国、地方の借金は平成十二年度末と比べてどの程度ふえているのか、どのくらいの額ふえているのか、また、その合計は幾らになっているのか、これはストックの部分になるんでしょうけれども、お聞かせを願いたい。これが一点目でございます。これは自治財政局長の答弁でお願いします。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 国の方の債務残高、十三年度末で五百六兆円程度でございまして、前年度末に比べまして二十二兆円程度の増と見込んでおります。それから、地方の十三年度末借金残高は百八十八兆円でございまして、前年度に比べて四兆円程度の増でございます。国と地方合わせた残高、これは重複分を控除する必要がありますが、合わせた残高は六百六十六兆円でございまして、前年度末と比べまして二十四兆円程度の増となっております。

田並委員 今の数字はもう前から聞いている数字なんですが、改めて今聞いたわけですが、六百六十六兆というのは本当にすごい数字だと思うんですね。また、余り巨額過ぎて実感がわかない。一兆円というお金を一人の人が毎日毎日百万ずつ使うとしても二千七百何十年、約三千年近くかかるんだそうですよ、一兆円というお金は。百万ずつ使っても、まあとても使い切れないでしょうけれども。それほどのものが六百六十六兆もあるというわけですから、これは大変な数字です。一億二千万の全国民に割り返してみると、一人五百万を超える、こういう借金です。そう言われてもまだぴんとこないんですが。

 逆に、国、地方それぞれの自前の財源に比べて、国でいえば租税と印紙税、地方でいえば地方税だとか交付税の中の法定されている五つの、いわゆる税金の戻しだとか、こういうものを一切入れて、要するに、自前の財源に比べて平成十三年度のフローの財源不足というのはどの程度か、どの程度のウエートを占めているのか、聞かせていただきたいと思うんです。平成十三年度の国の予算中、税収に対して赤字国債は幾らになっておるのか、た、地方財政計画で地方税収及び地方交付税、法定五税分、これに対して全体の財源不足、これは幾らになっているのか、改めてお尋ねをしたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 十三年度の国の予算案におきます国税収入は約五十・七兆円でございます。これに対しまして、いわゆる赤字国債、特例国債は約十九・六兆円となっておりまして、国税収入に比べまして三八・六%の比率になっております。

 それから、地方財政計画の方について申し上げますと、地方税、地方譲与税、地方交付税、この一般財源を合わせました合計、交付税については法定五税分でございますけれども、約五十・一兆円でございまして、これに対して、借入金に依存せざるを得ない財源不足額というのは約十四・二兆円、その比率は二八・三%となっております。

田並委員 今の局長の答弁でおわかりのように、四捨五入をしますと、国で約四割、それから地方で約三割ということになるわけですね。平成十三年度において、自前財源に比べて、今申し上げたように、地方が三割、国が四割、これにも相当するようなフローの財源不足があるわけでありまして、国の財政を、例えば月収五十万円の収入を得ているサラリーマン家庭に置き直してみると、五十万の収入というよりも、実際に五十万の収入に対してサラ金から二十万円の金を借りている、国の場合は。地方の場合は、五十万の収入に対して三割ですから、十五万円お借りしている、こういう状況にあるわけですね。これ以外にも、もう既に建設国債や地方債といった通常ベースの借金もあるわけですから、これはまさに危機的な財政状況と言っても過言ではないと思います。

 これはもう大臣がずっとこの審議の中で、大変な財政状況なんだということを言っておりますが、自治官僚も経験をされている大臣のことですから、この地方の財政状況についてどのようにお考えになっているのか、改めてお聞かせを願いたいと思います。

片山国務大臣 冒頭、田並委員からいろいろお話がございましたように、アメリカの格付会社が格下げをした、私は私なりに本当にショックを受けましたが、まあこれは会社がやることですから。ただ、国際的に信用がありますから、日本の評価がそれだけ少しおかしくなったな、こう思いますけれども、私は、公の経済の方は大変な、フローもストックも借金ですけれども、個人の金融資産はもう御承知のように一千二、三百兆円、対外資産も一兆ドルでしょう、外貨準備高は世界の最高ということで、トータルでは言われているほどなのかなという感じがいたします。

 しかし、今の累積の借入金高とか、あるいは今、田並委員が言われたような毎年の自前の収入に対する借入金なんかを見ますと、イタリアより悪くなっているんですね。そういう意味では、このところ欧米の国がみんな財政の改善をやってきた中で、日本がやや取り残されているかなという感じはいたしますので、いずれにせよ、財政再建といいますか財政構造改革の準備にそろそろ入るべきだろう。ただ、基本的にはやはり景気回復というのが一番基本で、景気回復に軸足を置かなければなりませんけれども、そういう中で、財政構造改革に対する準備といいますかその構えは、一兎を追うんですけれども、二兎を追う構えも要るのではなかろうかと私は個人的に思っております。

 今お話しのように、国、地方で六百六十六兆。地方が百八十八兆で、しかも、この三年間ぐらいはずっと経常収支の不足が十兆前後で、恒久的減税まで入れますと十三、四兆ですから、これは大変なことだな、こう思っておりまして、一日も早く、経済の回復を待ちながら、やはりもう少し将来は地方税源の移譲等も含めて、地方財政の抜本的な改善といいますか、財政構造改革を行うべきではなかろうかと私も同じ認識を持っております。

田並委員 今大臣が言われたように、格付会社の評価はいろいろあると思うのです。しかし、実際に、例えばストック面で見て、平成九年度末の国の公債残高というのは二百五十八兆あったわけですが、平成十三年度、来年度末になりますと三百八十九兆円になる。この五年間で百三十一兆伸びているのです。これは大変な数字だと思うんですね。それから、地方財政についても同じように、平成九年の長期債務残高ですが、百四十九兆、約百五十兆だったのが、平成十三年、五年たったらば百八十八兆、三十八兆伸びているわけですよ。ですから、一向に消えるような気配が見えない。

 しかも、御案内のとおり、経済が大変今、混迷をしております。きのう日銀が公定歩合を〇・一下げて、何とかひとつ景気をよくしよう、株価を少し上げようという努力をきっとされたのでしょう。しかし、きょうの午前の終わり値はきのうよりも百三十七円も下がって一万二千七百四十五円ということで、これはバブル崩壊後さらに最安値を更新した。午後になるとどうかわかりません、株というのはいろいろな要素で動くものですから。しかし、そこまでいっているわけですよ。ですから、はっきり言って、これだけ借金をふやしながら、何とか公共事業を中心にして日本経済をよくしよう、こういう努力をされたことはわかるんですが、結果としてはその結果が出ていない。

 ですから、大変言いづらいことなんですが、株価が下がる、さらに主要な経済指標である設備投資も個人消費も伸び悩んじゃっている、しかも、アメリカ経済の減速によって残念ながら輸出も落ち込んできている、本当に先行き不透明な経済状況です。ですから、経済が自律回復に向かってからやろうかなという話も今ありましたけれども、果たして、二兎を追うとそういうことになっちゃうのかなと思うんですけれども、しかし、先ほど大臣が言われたように、本当に今から準備をしないといけないような気がするんですよ。

 それで、地方においても、今申し上げましたように、大変厳しい状況ですから、非常に不安であります。一刻も早い財源不足の解消が求められているんですが、いつになったら地方の財源不足というのがなくなるんだろうか、これについて大臣はどうお考えか、きょうお聞かせを願いたいと思うのです。

片山国務大臣 きょうの午前中の予算委員会でも、今の景気、株価についての質問がございまして、麻生経済財政担当大臣は、厳しいと、厳しいけれども、政府の見通しのプラスの一・二はトータルで確保できるのではなかろうか、なかなかきついけれども、こういう答弁をされておりました。

 そこで、今の日本の株価や景気の低迷の一つは、やはりアメリカ経済の減速ですね。アメリカ経済が減速しますと、日本の輸出にもろに響く、アジアとの輸出入に響く、それが同時に、アジアと大変な関係にある日本にも響く、こういうことでございます。ただしかし、そうでも、恐らくアメリカは、悪くなっても二、三%の経済成長は維持すると私は思いますね。ただ、今までは四、五パーですから。その意味では、日本にどうしても影響がある。

 株価というのはどういうことで上がったり下がったりするか、私もよくわかりませんけれども、やはり先行きの不透明さを含めてそういうことになっているのではなかろうか、こういうふうに思っております。

 そういう意味でも、景気対策については引き続いて強力にやる、しかし同時に、財政構造改革も準備に入る。こういうことがやはり先行きに対する安心感をあるいは与えるのではなかろうか、私はこう思っております。

 いずれにせよ、抽象的な御答弁で委員には申しわけないんですが、それでは、何年に景気は直って財政改善のはっきりした兆しが定かになるかということは、今の時点では申し上げられませんけれども、とりあえず本年度は一・二の経済成長を確保し、来年度は一・七の経済成長を確保し、その次は、期待としては二%以上の経済成長で、民間需要中心の、官から民へのバトンタッチをして自律的景気回復の軌道にしっかりと乗る、こういう段階に立てば、その年かその次の年あたりからしっかりした国と地方の税財源見直しの議論を始めるべきではなかろうか、結論を得るということではありません、そういう感じを私は個人的に持っております。

田並委員 今の大臣の答弁でいくと、かなり明るい展望が持てるんですけれども、ただ、今までの経済運営の状況だとかを見ていると、そういうふうにうまくいくのかな、こういう気がしてなりません。

 これは質問じゃないんですが、今まで大型の公共事業をやっておったものを、特に今地方では、介護保険なんかが始まりまして、例えば特別養護老人ホームが足らない、あるいは軽費の、もっと値段の安い、しかも、自分だけではなかなか生活ができない、いわゆる介護を必要とするというのでケアハウスというのが今ありますけれども、このケアハウスも、はっきり申し上げて、厚生労働省がつくっている、いわゆる新ゴールドプラン21と比較をしますと、とてもとてもその進捗状況が遅い。あるいは、お年寄りの介護を必要とする人が大体全体の七割ぐらいが在宅で今介護を受けているそうですが、こういう方々に対する例えばバリアフリー化、住宅の内部を改装する仕事、あるいは保育所についても今かなりの人数の子供さんが待っている、なかなか入れない。しかも、女性の方の社会進出、あるいは働く意欲をきちっと保障するための保育所の保育内容の改善であるとかいろいろ考えてくると、あるいは下水道の普及率についても国際的に見ると、まだまだ日本は低いわけですから、公園の面積も狭い。

 ということで、確かに大きな公共事業もいいんですけれども、やはり地方経済を活性化させる意味でも、福祉や環境というものも大きな公共事業だと私は思います。しかも、地域の住民の人に喜ばれる公共事業というのは、まさに地方分権に合ったすばらしい仕事ではないかと思うんですよ。

 ですから、景気をよくするための一つの方策として、それは大型もよろしいでしょうけれども、もっともっと住民の皆さんのニーズに合った、しかも、住民の皆さん方の生活のインフラを整備する、こういう方向にも政策転換を、今しているんでしょうけれども、やはりもっと大胆に突っ込んでやっていかないと、景気というのが本当によくなるんだろうか、こういう心配があります。

 そこで、今申し上げましたように、景気が回復したら財政再建に取り組むんだと。これは橋本内閣のときでしょうか、財政構造改革法を制定して、一九九七年の十一月ですが、国と地方を合わせた単年度の財政赤字を二〇〇三年度までにGDPの三%以下にして、同年度以降、赤字国債の発行をゼロにする、こういうすばらしい方針を決めたんですが、一年後にこれがお蔵入りになってしまいました。

 これはもちろん、当時、消費税率の二%アップ、医療費の引き上げであるとか、あるいは特別減税の二兆円の中止、いろいろな悪条件が重なってこういう格好になったと思うんです。その反省を踏まえて、どうも大臣が言うように、景気が回復しないと、財政再建には取り組めないんだ、今言ってしまうとまた二の舞になるんじゃないだろうかというふうに考えるのかもしれませんが、今はもう状況は変わってきているんじゃないかと私は思うんですよ。

 これはまた、消費税の税率アップだとか何かと組み合わせちゃうと、おかしくなりますけれども、少なくも私は、五年ないし、場合によったら七年でも十年でもいいです。とにかく国民の皆さんに、この時期になれば少なくも収支がとんとんになるんだな、基礎的な財政収支がとんとんになるんだなといういわゆるプライマリーバランスを示す必要があるんじゃないだろうか。

 それは大変な努力だと私は思います。果たして五年になるのか、七年になるのか、十年になるのか、それはいろいろ計算をしないとわからないんでしょう。しかし、その辺の具体的な道筋を示さないと、またそれに向かって国も地方も全力を挙げて努力をしていく、こういうことをしていかないと、いけないような気がするんですよ。

 そこで、ぜひお聞きをしたいのは、非常に重要なのは、これから総務省として地方財政の収支がバランスする具体的な道筋を示していくべき重要な時期だと今申し上げましたが、特に、大臣は経済財政諮問会議のメンバーです。ぜひ国の財政の再建、あるいは地方の財政の再建も含めて、経済状況の、これからの経済計画をどうするかということも含めて、この諮問会議の中で真剣に論議を進めていただきたいと思いますし、またその責任が大臣にはあるんだろう、このように思います。

 その際、非常に重要なのは、税源移譲、税源の充実の観点が私は重要だろうと思うんです。地方公共団体にありましては、要するに、自前の財源がきちんとあって初めて地方自治にふさわしい一人前の仕事が自治体でできるのではないだろうか。例えば、地方分権の一括推進法でいろいろな権限が与えられてきましたけれども、実際には、財源がなければなかなか対応できないということだと思います。ですから、今後の地方財政の運営について、歳出削減を努力するのは当たり前でありますので、ぜひそれをやっていただくと同時に、税源の充実が非常に重要だと思います。

 したがって、大臣として具体的にどのような対策を考えられていくつもりなのか、見解をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今、田並委員から御指摘がありました経済財政諮問会議が、一昨日の夜六時過ぎから七時半ごろまでございまして、そこで私もいろいろ発言をさせていただきましたが、発言の一つは、割に田並委員と意見が似ているんですが、やはり景気回復を、後退はできない、だから、今進めている景気回復対策、一兎を追う政策は、引き続いてしっかりやるべきだ、またそういうメッセージを発信すべきだ、しかし、同時に財政構造改革にも準備に入るという、先ほども申し上げましたが、同時に二兎を追う構えが必要なので、私は、それは具体的には規制緩和と予算の重点化、選別だと。

 そこで、まさに今言われたように、大きな公共事業も必要だということはわかりますけれども、よりきめの細かい、例えば福祉や介護や医療も、産業的に見てこれはある意味では経済成長にプラスなんだ、それから、保育所の話がございましたが、女性の社会参加で、もっと多機能の保育所の整備をするとか、下水道はもちろんそうでしょうけれども、公共事業の選別というんですか、重点化というんでしょうか、そういうことの量はそのままにして、量の中において質を変えていったらどうか。そういうことが私は財政構造改革につながるので、国民の皆さんにも安心してもらえるのじゃなかろうか。それから、予算そのものの性格づけができる。

 こういうことを申しまして、ほかの委員さんも、ほぼ、それほど御異論はなくて、経済財政諮問会議としては、マスコミが報じていますように、五、六月ごろに予算大綱をつくって、各省庁の概算要求が八月末ですから、それについての一つのガイドライン的な役目をそれで果たさせたらどうだろうか、骨太の予算編成の大きな考え方を示したらどうだろうか、こういう議論になりましたので、ぜひ、今も御激励がありましたので、私もメンバーの一人としてそういうことの主張をさらに言わせていただきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、地方財政の今後にとりまして、冗費があれば削減していく、行財政改革をやっていく、リストラをやっていくということは、私は、これはどうしても必要なので、地方行革として引き続いて地方団体にお願いする。

 それからもう一つは、委員が言われるように、やはり財源の移譲なので、その財源の移譲をどういうものを想定するかといいますと、やはり地域的な偏在性が少ないということと税収に安定性があるということ、しかも同時に、地方税として公平だということですね。

 地方税というのは、私は応益的な性格が強いと思いますから、受益に応じていただくという、そういう意味では、やはり地方消費税みたいなものだとか固定資産税だとか、まあ個人住民税が割に伸びますから、そういうもの、できれば法人事業税の性格変更をして外形標準化にしていただければ、大変地方税としてはバランスのとれた格好になるのではなかろうか。

 そういうことで、これも委員が言われましたように、できるだけ早くプライマリーバランスを回復する。そういうことをまずやって、それから財政再建かな、こういうふうに思っております。

田並委員 かなり具体的な答弁をいただいて、ぜひそういう方向で全力を挙げていただきたいと思うんです。

 そこで、冒頭にも申し上げましたとおり、財政破綻という最悪のシナリオは何としても避けなくちゃならない。これはどなたもそのとおりだというふうに理解をしていただけると思うんですが、そうである以上、私としては、今、経済財政諮問会議でいろいろ大臣が提言をされているという、このことを聞いて心強く思ったんですが、本当に今から、現在の財政状況を再建するためにどうするかという論議をこのときからしなければいけないというふうに思うんです。

 それで、今大臣が言われたように、やはり地方の仕事というのは当然、地方の人の負担で、いわゆる受益と負担というんでしょうか、受益と負担という大原則をしっかりと持ってもらわなくてはいけないんじゃないかと思うんですが、この間、関西大学の林教授さんのお話を聞く機会があったんですが、この先生は、受益と負担の連動が現在、断ち切られている、これが最大の問題であって、コスト意識を持つことが歳出カットと財政再建につながるのではないだろうか、こういう話を聞きました。そのとおりだと思うんですね。

 サービスには負担がつきものなんですが、しかし、現在の国と地方の制度では、その負担感だとか痛みが地方公共団体や地域住民の皆さんにわかりづらくなっているんじゃないだろうか。ということは、ちょっと言い方が厳しいんですが、現在の国と地方の間の仕組みでは、どちらかというと、地方公共団体の自立を阻害しているんじゃないだろうか。ですから、そのことが結果的に受益と負担に対する意識を薄らげさせ、地方における自立、自主あるいは自己責任の意識を減退させているのではないだろうか、こういう気がするわけであります。

 去年の暮れもそうですけれども、毎年、年末になりますと、各地方から首長さん、議員さん総出で陳情に参ります、補助金をいただきたいということで。これは大変なエネルギーですし、むだなエネルギーじゃないかと思うんですよ。

 こういうことをしなくても、地方が自主財源をしっかり持って、地域住民のニーズに合った、それこそ、地域の住民の人がこういうことをやってもらいたいんですと言ったら、では、ひとつそれに合った負担もということで、まさに透明性の高い、情報公開をきちっとして、これだけの財源の中でこれだけの仕事をやるのに、これだけのことをすると実は足らないんだ、このサービスが欲しいんだったら、ひとつこういう負担もあわせてお願いをしたい、そういうふうに変えていかないといけないんじゃないだろうかと思うんです。

 ですから、今の状態では、恐らく、国がいいとか地方がいいとかというんじゃなくて、地方が悪くて国がいいとか、あるいは国が悪くて地方がいいとか、そういう卵と鶏の論議を幾らしていてもしようがないので、はっきり申し上げて、今の制度を変えないと、住民の皆さん、あるいは地方自治体の皆さん方の自立という意識は、とてもじゃないけれども、根づかないのじゃないんだろうか。また、それを今しないと、地方財政の危機は乗り切れない、こういう意識変革が、今、我々を含めて、国、地方が必要なんだ、住民の人も必要なんだということを訴えたいと思うのです。

 ですから、受益と負担の観点から見れば、地域の歳出は地域の収入で決めていく、こういうことが重要でありますので、それが真の財政再建につながるというふうに考えますけれども、大臣としてはいかがでしょうか。もう時間がなくなりましたので、簡単で結構です。

片山国務大臣 基本的には、私も、地方団体が賄う財政需要は地方税というのが筋だと思います。ただ、地方税でやりますと、これは何度も申し上げておりますが、富裕な団体は税収がたくさんとれて、そうでないところは税収が伸びませんから、大変なばらつきができて、仕事が大変なアンバランスで行われる、こういうことになります。そこで、もう御承知のとおりでありますが、地方交付税、財政調整のためにこういう制度があるわけですね。

 それからもう一つ。大きな仕事はどうしても地方だけの財源では賄えないんですね、大きい公共事業だとか、大きい土地改良事業だとか。そうなりますと、国も割り勘として出してもらって、地方もそれに、一緒に出してやるというような必要もありますので、私は、国庫負担金、補助金の必要性も、地方交付税の必要性もありますけれども、今の地方税の比率を上げていくことは必要だと思いますね、国税が六割、地方税四割ですから。それをせめてもう少し国と地方が接近した比率にしていく必要があると思いますし、そのことが本当の地方自治の育成につながっていくと思います。

田並委員 またこの論議をすると長くなりますが、次の機会にぜひお聞かせを願いたいと思っているのは、要するに、標準的な行政需要といいましょうか、各自治体、アンバラがなくて、バランスよく行政が行われる、その調整の原資というのは、大体総務省としてどのくらいのことを考えていらっしゃるのだろうか。これは、答弁は後でいいです。また別な機会にやりたいと思うのです。そのことが出てくれば、いわゆる統括補助金的なものも、かなりまた額が変わってくるんじゃないだろうか。そのもとをきちっとしないと、次の論議にはいかないんじゃないだろうか。

 そのことはまた後でやることにして、私としてももう少し財政再建問題についてやりたかったのですが、時間がございませんので、以上で終わって、次に、外形標準課税の問題について少し聞きたいと思います。

 ここ近年、法人事業税への外形標準課税の導入の問題が特に重要な課題として、例えば政府税調においても、あるいは与党税調においても、いろいろ論議をされているようでございます。特にこの問題が大きく論議をされるきっかけになりましたのは、御案内のとおり、東京都の外形標準課税、いわゆる銀行税と言われていますが、これが一つのきっかけになって、今あちらこちらで、各自治体で自主財源を確保するための法定外普通税だとか目的税であるとか、いろいろ論議がされております。私に言わせると、これは地方の反乱だと。ところが、これはいい反乱なんです。それこそ、地方分権を進めるための自主財源をどう確保するか。このお金は地方にだけ使われるわけですから、その集めたお金がどのように使われるかということは、きちっと住民の皆さんに見えるわけですので、そういう意味では、地方分権を進める上で、国に対していい反乱だという評価をするわけでございます。

 総務大臣にお尋ねをしたいのは、この外形標準課税を導入する意義というのはどういうところにあるのか、まず見解をお聞かせを願いたいと思います。

片山国務大臣 既に、これも釈迦に説法でございますけれども、私は、国税は応能的にやるべきだ、能力に応じて御負担いただく、所得再配分的な。ところが、地方税というのは受益に応じて、応益的に負担していただく。そうしますと、今の地方の、地方というのはおかしいのですが、全国の法人の状況を見ますと、三分の二が赤字法人ですね。黒字は三四%ぐらいで、黒字法人で、それで、所得課税ですから、収益が出ないと税を負担しない。ということは、三分の二の法人が税を負担してないわけですね、法人事業税、もちろん法人税もそうです。そこで、応益から言いますと、赤字であろうが黒字であろうが、それは地方団体のサービスを受けているのですから、そこは全体が広く薄く御負担いただいたらどうか。その方が公平になる。しかも、そういうことで税金を取りますと、大変安定するんですね。

 そういうことで、かねてから、全国知事会等地方六団体の、法人事業税の外形標準課税は悲願でございまして、前の自治省も今の総務省も、基本的には、地方税としては外形標準課税が望ましい、こういうふうに考えておる次第であります。

田並委員 大臣の答弁を聞いていて、まさに税負担の公平であるとか、地方分権の推進あるいは税源の確保、そういう意味では非常にいい税制だとは思うのですよ。

 しかし、私なんか、地元に行きますと、いろいろな意見を聞きます。というのは、一つは、どうも税収中立だというのだけれども、本当に税収中立なんだろうか。ちょっと質問を飛ばしますけれども、この外形標準課税というのは、所得課税と、今度は、事業標準課税というのですか、それと分けちゃうわけでしょう、今までの所得課税一〇〇%の半分半分に。そうすると、例えば、大企業の場合は大分減税になっちゃうのじゃないか。中小企業はその分かぶるのじゃないか。だから、中小零細企業にとっては増税になって、大企業にとっては減税になる、こういう話を実は聞くわけですよ、もちろん、それに対していろいろな意見を私も言いますけれども。だから、税収中立じゃなくて、どうも、大きな企業に対して有利で、小さな企業に対しては大変な負担になるんじゃないか、こういう心配が出されます。

 それと、もう一つは、雇用への不安ですね。要するに、実質的には、この事業規模額の大体七割から八割ぐらいを占めているのが賃金、給与ですから、外形標準課税が入ることによって、どうも労働集約型の中小企業だとか零細企業に多くこの外形標準課税がかぶってしまって、場合によると、賃金課税だから、今まで正規社員だった人を節税の意味でパートに変えたり、あるいは雇用を減らしてみたりということで、どうも雇用の不安というのが逆に出てくるのではないだろうか、こういう心配をいろいろと聞かされます。暮れに、地元の商工会議所から、田並さん、何としてもこれは反対してくれと。いろいろ調べたら、働く人が減ったり、中小企業が余り困ったんじゃ、どうもこれは弱ったなということで、私もそのときはサインをしましたよ。そういう心配がかなり全国的にあると思うのです。

 その辺をどのようにお考えなのか、ひとつお尋ねをして、私は時間がなくなりましたので、質問を終わりたいと思いますが、答弁をお願いします。

片山国務大臣 今、委員が言われましたように、反対される方々の宣伝がかなり行き届いておりまして、まさにそうなんですよ、全国の中小企業団体、経済団体が反対された論拠は。

 そこで、当時の自治省もかなり考えておりまして、全体では税収中立で、大企業と中小企業も税収中立で、そこで、大企業の方が資本金一億円を超える法人と資本金一億円以下の中小法人のそれぞれについて、最近十年間の税収の平均をとって、それで割り振っているのですね。だから、全体も税収中立、大法人だけとっても税収中立、中小法人だけとっても税収中立、一応そういう仕掛けにしているんですよ。

 ただ、一遍に外形標準にしますと、激変になりますから、そこで激変緩和で、所得課税も残して外形標準課税も入れるという、今ミックスにしているのですね。そして、何年間かたったら全体が外形標準に移行していく、こういう工夫をしているのです。それが一つ。

 それからもう一つは、なるほど外形標準課税というと、一番わかりやすいのは人件費なんですね。だから、人件費のウエートが高いものだから、これの課税を受けると、やはり人件費を削減せにゃいかぬということで、首切り、リストラにつながる、こういう反対なんですが、そこは当時の自治省案では相当工夫していまして、全部割り落としをしているのですよ。人件費が高いところほど割り落とす、そして中小企業ほど割り落とす。

 だから、世間に伝えられているほどの人件費のウエートを高くしないで課税することになっているのですが、ただ、そういう誤解がありましたので、委員、今度案をつくるときは、私は、いろいろなこれまでの外形標準化案についての批判や御指摘を入れて、もう少し工夫したらどうか、それから、中小企業の方に特に丁寧に説明したらどうか、これはそれぞれの都道府県の財政を強化する案ですから、全国の都道府県の知事さんにも御協力を賜ったらどうか、こういうふうに話している次第でございます。

田並委員 それでは、時間ですので、以上で終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 一昨日に引き続き質問いたしますが、質疑も二日目でありますので、地方自治、地方財政の具体的な課題について議論を進めていきたいと思います。

 新しい制度を生かして地方公共団体が自主的な地域経営を進めようとしても、そのための税財源がまだまだ十分ではありません。地方分権一括法の附則第二百五十一条におきましても、政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について必要な措置を講ずるものとすると定められており、政府は一刻も早くその責任を果たすべきであると私は思っております。

 地方分権の一層の推進のためには地方税財源の充実強化が必要だという私の立場を明らかにした上で、平成十三年度の地方財政に関する重要法案について、より具体的に質疑をさせていただきます。また、これまでの質疑により重複する質問があるかもしれませんが、確認の意味で私からも改めてお聞きするところがあるかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 そこで、まず最初に地方税法に関してお伺いいたします。

 自動車税のグリーン化課税について、環境対策の観点も含めて三点お尋ねいたします。

 第一に、今回提案されているグリーン化税制では、車を大事に長く使用する人には自動車税が今までより重くなるわけでありますが、なぜそのような仕組みにしておるのでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車税のグリーン化につきましては、窒素酸化物などの地域環境対策に役立てる一方で、極めて厳しい地方財政事情にも配慮いたしまして、税収中立の考え方のもとに、環境負荷の小さい車につきましては、その排出ガス性能に応じて税率をおおむね一三%から五〇%の範囲で軽減する、一方で、環境負荷の大きな車につきましては一〇%の重課を行うというふうにしております。

 その重課の基準につきましては、新車として発売されました時点におきます排出ガス性能が現在のガソリン車の排出ガス規制値の二倍以上悪い車を対象とするということを基本的な考え方としまして、また同時に、物を大切にする観点ですとか、あるいは早期廃車によります環境負荷等の点も総合的に考慮いたしまして設定したものでございます。したがいまして、重課対象の車等につきましても、現在の排出ガス規制値からしますと、明らかに環境負荷の大きい車に限定して実施している、こういうことでございます。

黄川田委員 クラシックカーの愛好者からは不満が出てきそうであります。

 そこで、第二に、今国会において、総理は施政方針演説の中で、大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会のあり方から脱却すると述べられておりますが、環境保全上の資源リサイクルの観点からも矛盾するのではないでしょうか。

片山国務大臣 これはいろいろな議論がありまして、環境省を初めとする方は、ぜひこれを入れて、地域の環境対策、特にNOxですね、それをやりたいんだ、PMをやりたい、こういうことでございますし、地方財政を考える方は、今地方税で減税をやるゆとりはない、こういうことのぶつかり合いの中で、税収中立で増減税を一緒にしよう、こういうことになったんですね。しかし、基本はやはり税収中立でも地域の環境をよくするということですから、環境負荷にとって悪い車、それは委員、やはり買いかえてもらうということなんですよ。仕方がないんですね。

 そういう意味では、買いかえ促進的ではないかというところは確かにあるんですけれども、今の新車よりも環境に対する二倍以上の悪化の原因になっているものは買いかえてもらう。ただしかし、それを一遍にやるというのは大変でございますから、重課の方は一割にして、軽課の方は一三%から五〇%、こういう配慮をいたした次第であります。

黄川田委員 第三に、このグリーン化税制が二年間限りの措置とされている理由は何でしょうか。また、二年後にはどのような見直しを行うつもりでしょうか。

片山国務大臣 これも今お話ししましたように、大変な議論のぶつかり合いの中で生まれましたので、それが本当に効果があるいい税制かどうか、その検証をした上で、なおこのままの形で続けるか、手直しして続けるか、あるいは別の形をとるか、二年間様子を見よう、こういうことで二年にいたした次第でございます。

黄川田委員 それでは次に、軽油引取税についてお伺いいたします。

 軽油に重油をまぜる方法で脱税が多く行われていると耳にすることがありますが、これについてどう対処しておられるのでしょうか。

石井政府参考人 今委員御指摘の、重油を例えば軽油にまぜて軽油を増量したり、あるいは重油と灯油をまぜて軽油を製造するといったような混和軽油による脱税事犯というのが最近ふえておるわけですけれども、これに対する対策としましては、平成元年度改正で混和軽油の事前承認制というのを設けておりまして、この承認を受けないで軽油の混和を行った場合の罰則規定を新たに設けまして、対策を講じております。

 それからもう一点は、現在の灯油や重油等の軽油周辺の油種につきまして、これは、本来の軽油と識別するためにクマリンという識別剤を添加することにいたしておりまして、各都道府県におきましては、これを活用しまして路上で軽油の抜き取り調査なんかを行いまして、そこで悪質な事犯を取り締まる、こういう仕組みにしております。

 今後とも、これを直接課税しておりますのが都道府県でございますが、総務省としては、都道府県ともよく連絡いたしまして、毅然とした態度で臨んで不正事案を取り締まってまいりたい、こういうふうに考えております。

黄川田委員 次に、株式譲渡益課税についてお伺いいたします。

 私もたくさんの陳情を受け、地方からは、申告分離課税に一本化する要望が強いわけでありますが、にもかかわらず、二年間延期する理由は何でしょうか。改めてお伺いします。

遠藤副大臣 株式譲渡益課税、いわゆるキャピタルゲイン課税についてのお尋ねがありましたけれども、現在は、取引ごとに申告分離課税かあるいは源泉分離課税か選択ができることになっておりまして、源泉分離課税を選択すると、地方税が非課税になるわけですね。したがって、地方税が入らない。こういうふうになっておるものでございますから、私どもといたしましては、一日も早く申告分離課税の方に一本化するということを願ってきておりまして、平成十三年度から、この四月一日から実施するという方向になっていたのですけれども、お尋ねのように、二年間現行のまま継続をするというふうな決定が政府部内で行われたわけです。

 これは、株価が低迷しておりますものですから、株式市場に新しく一本化すると影響を与えかねないということが強く懸念されまして、景気対策といたしまして、私どもも同意したという経緯があります。

 したがいまして、二年過ぎまして、平成十五年四月からはぜひとも申告分離課税の方に一本化するように強く願っていきたい、このように思っているところでございます。

黄川田委員 株価の動向を考慮してということでありますが、やはり総務省は筋を通すべきでありまして、それでは一年間延期をということにはなりませんか、二年間の延期ではなくて。

片山国務大臣 自治省サイドは、これは申告分離ということで主張したのです。だけれども、いろいろな調整の結果こういうことになりましたから、それはもう従わなきゃいけませんが、これは二年でございます。二年たてばまた一本化の方の努力をいたしたい、こういうふうに思っております。

黄川田委員 次に、既存の電話回線で高速なインターネット通信が可能なDSL、デジタル加入者回線等の広帯域加入者網を構成する設備に係る固定資産税の特例措置が創設されましたけれども、それはどのようなものでしょうか。そしてまた、それはIT化促進上、どのような効果を期待しておるのでしょうか。

石井政府参考人 お答えいたします。

 委員、今御指摘の広帯域加入者網、お話に出ましたDSLでございますとか、それから最近ではFWA、加入者系無線アクセスシステムと申しておりますが、そのほかのケーブルテレビのインターネットなどもございますけれども、これらを構成します一定の償却資産につきまして、電気通信事業者が電気通信基盤充実臨時措置法におきます認定計画に従って新設いたしました場合に、その固定資産税の課税標準を最初の五年間は四分の三とする、したがって、四分の一軽減する、こういうふうにしておるわけでございます。

 この措置を創設することによりまして、事業者に広帯域加入者網を構成する設備を整備しますインセンティブが働きますので、高速インターネットの利用環境の整備が図られましてIT化の推進に資するのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。

黄川田委員 次に、地方交付税関係についてお尋ねいたします。

 今回の地方交付税法の改正は、平成十三年度の地方財政対策を実現するため、地方交付税の総額を確保するとともに、新たなスキームの整備を初め多くの新規重要施策が盛り込まれております。

 また、地方分権推進計画等に基づいた交付税の算定方式の簡素化、また、東京都三宅村についての特例の規定整備など、地方公共団体の円滑な行財政運営のため重要な改正であると私も認識しております。

 そこで、地方交付税法について個別に幾つか質問させていただきます。

 まず、地方交付税法の単位費用の中で、平成十二年度までの措置とされていた農山漁村地域活性化対策費が今回削除されておりますが、これは特定課題として重要であると私は思っております。

 そこで、今回の財政対策で、農山漁村の活性化についてどのようなことに取り組まれたのか、お伺いいたします。

片山国務大臣 今、委員御指摘のように、農山漁村地域活性化対策費というのがありました。これは、例のガット・ウルグアイ・ラウンドの合意に基づきまして、ウルグアイ・ラウンド対策をやるということで、国も国費を六兆百億円ですか、何か出すということを決めまして、平成七年度から十二年度までやる。そういうことですから、地方財政措置の方もそういう対応をとったわけでありますが、それが十二年度で終わったのです。

 ただ、委員御指摘のように、農林漁業の担い手対策やいろいろなその他の対策が必要ですから、対策費としてじゃなくて、ちょっと形を変えまして、今度は対策事業費ということで、名前もほとんど同じですけれども、そういうことで新たな地方財政措置を行ったわけであります。ウルグアイ・ラウンド対策としては一応終了、そういう観点じゃなくて、新たに農山漁村の活性化対策を事業を少し組みかえてやろう、こういうことで四百五十億円、地方財政措置をとったわけであります。

黄川田委員 次に、単位費用の改定で、漁港について新たに単位費用を設けておりますが、その理由は何でしょうか。

香山政府参考人 これまで漁港関係経費につきましては、単位費用は基本的に通常の港湾を想定いたしました単位費用を積算いたしておりまして、漁港と通常の港湾では経費が違いますので、種別補正という補正を用いまして漁港分の経常経費について算定するという方法をとっておったわけであります。先般も御説明申し上げましたが、地方分権推進計画等で補正係数の整理、そういったことによって交付税の算定方法の簡明化を図れ、こういうような御指摘もございましたので、今回、漁港は漁港で独立した費目にしようということで起こしまして、新たに単位費用を漁港に見合うものとして決めようとした次第でございます。

黄川田委員 今後とも、補正係数を用いて算定している財政需要をできるだけ法律で定める単位費用として算定されるよう要望いたします。

 次に、平成十二年度の国勢調査を受けて三宅島の特例を定めることになっておりますが、その理由とどのような特例とするのか、その内容を改めてお伺いいたします。

 またあわせて、その数値を今後五年間使用するのか、お尋ねいたします。

香山政府参考人 三宅島に関するお尋ねでございますけれども、昨年十月に実施いたしました平成十二年の国勢調査でここは人口がゼロになりました。したがいまして、交付税の計算上、人口測定単位としての費目に関しては需要額がゼロとなるということで、これは同村の存亡にかかわる話でありますので、今回、交付税法の改正法において根拠規定を置きまして、同村の交付税の算定について特例を置くことができるように、規定を置かしていただくということで改正法案をお願いしている次第でございます。

 具体的には、前の国勢調査、平成七年の国調人口を基礎といたしまして、その後の住民基本台帳人口の変動を加味した数字を三宅村の人口として用いるという方向で検討いたしたいと考えております。

 これは、次の国勢調査、要するに、五年先の十七年の国勢調査の数字が出るまでは、基本的にはこういう形でいかざるを得ないのではなかろうかなと思っておる次第でございます。

黄川田委員 それでは、次に財政投融資改革関係についてお尋ねいたします。

 財政投融資改革により、平成十三年度から郵便貯金、年金積立金の資金運用部に対する預託は廃止され、市場運用を行うこととなり、財政融資資金は財投債の発行により調達し、融資されることとなるなど、公的資金のあり方が大きく変わると承知しております。

 そこで、財政投融資改革により政府資金のあり方が変わり、特に、年金資金については自主運用となりましたが、財投改革後の地方債の公的資金確保は大丈夫でしょうか。

片山国務大臣 財政投融資のシステムが大きく変わりまして、基本的には自主運用となりまして、私どもの方の郵便貯金や簡保資金も資金運用部にいかずに総務省で自主運用する、こういうことになりまして、地方債の引き受けも、それに伴いまして地方債資金としては財政融資資金、これは財投債等で調達する資金であります。それから、私どもの方の郵貯の資金、簡保の資金、それに公営企業金融公庫の資金、この四種類が公的な資金になりまして、公的資金で地方債計画の約六割を賄おうということは、今までと同じなんです。

 年金の方は国民年金の資金でございまして、厚生労働省で運用することになりますので、今までは、年金資金で主として病院や社会福祉施設にその資金を充てておったわけでありますが、これについては、年金資金は充てられませんけれども、今言いました四種類の公的資金で充てる、こういうことで、地方団体には御迷惑をかけないように措置いたしております。

 財政融資資金と郵貯資金と簡保資金と公営企業金融公庫資金、これで全体の地方債計画の六割を確保する、こういうことにいたしている次第であります。年金資金がなくなりましても支障はございませんので、その点は御安心いただきたいと思います。

黄川田委員 いずれ財政の脆弱な自治体にあっては政府資金の確保が喫緊の課題でありますので、自治体の財政運営に影響が出ないような対応をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、公営企業金融公庫関係についてお尋ねいたします。

 公営企業金融公庫は、地方公共団体共同の資金調達機関として市場から資金を調達し、良質な資金を地方公共団体に融通するという極めて重要な役割を担っており、財政投融資改革後もその役割を維持していくことが不可欠であると私は考えております。

 そこで、公営企業金融公庫が法律を改正までして財投機関債を出すことにしたのはなぜでしょうか。そしてまた、発行額が一千億円である理由をお伺いいたします。

片山国務大臣 今度の財政投融資改革の大きな柱は、財投資金というのは今まで特殊法人にかなりな分が流れておったんですね。それがかえって特殊法人がぬくぬくとして存続する事由になっている。だから、特殊法人が自力で資金調達できるように、自分で債券発行しろ、こういうことにいたしたわけですね。

 しかし、そうもできない、もちろん特殊法人その他がありますから、全体では財投債というものを別につくる。基本は財投機関債で、別に財投債をつくる、こういうことでございましたが、今なかなか、急に制度が切りかわっても、それらの特殊法人はそれだけの準備も力もないんですね。しかし、財投機関債で市場の、マーケットの評価にたえるということが財政投融資の基本的な発想ですから、財投機関債を出してくれと。ただ、無理はしないで出せる範囲で出してくれと。そういうことで公営企業金融公庫は一千億にいたしたわけでありまして、財投機関債が全体で一兆一千億でしょうかね、残りは財投債、これは財務省が政府保証をつけてまとめて出す。そういうことになりますと、どうしても政府保証がある財投債の方にウエートがいくんですよね。残りについてできるだけ、最初でありますけれども、各機関が自分の力を考えてやる。

 公営公庫の場合には地方団体に貸すわけですから、地方団体に貸した債権を担保にする、そういう機関債の発行ですから、我々としては一千億ぐらいが限度かな、こういうふうに考えているわけであります。

黄川田委員 また、財投機関債は政府保証債に比べて調達コストが上がるのではないかと心配されますが、財投機関債を発行することによって地方公共団体の貸付利率に大きな影響を及ぼすことがあってはならないと私は思っております。今後、財投機関債の発行額をふやすと、自治体への貸付利率に大きな影響が出るのではないかと思いますが、今後の発行額の見通しはいかがでしょうか。

片山国務大臣 公営公庫で全部発行するのが一・七兆ですから、そのうち一千億ですから、なるほどコストは財投機関債の方がどうしても高くなるんですよ。しかし、全体の公営公庫の資金の中ではそれがのみ込まれてしまうと思いますので、直ちにそれによって地方団体の利率をどうこうということはありません。

黄川田委員 それでは終わりに、特別地方交付税についてお尋ねいたします。

 まず、特別地方交付税が設けられた趣旨、目的、自治体ごとの算定方法、また算定、交付の時期など、特別地方交付税制度の概要についてお伺いいたします。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 特別交付税は、交付税総額の六%に相当する額によりまして、普通交付税のいわば画一的な算定方法においては捕捉できなかったような特別の財政需要を算定の対象にいたしております。

 災害等突発的な財政需要あるいは算定期日、こういった理由によりましてどうしても普通交付税に反映できないような経費につきまして、需要額を積算いたしまして、その額から、公営競技の収益金あるいは富裕団体の場合の財源超過額等を控除する、そういう形で個別の地方団体ごとに計算するものでございます。毎年度、十二月分と三月分の二回に分けて決定をし、交付をさせていただいておるものでございます。

黄川田委員 そこで、特別交付税は、突発的なあるいはまた特別な財政需要に対して交付されるものとのことでありますが、今年度、平成十二年度の特別な財政需要に当たる例にはどのようなものがあるでしょうか。

香山政府参考人 十二年度分の特別交付税の算定に当たりまして、突発的な財政需要というようなことの例示をという話でございますが、例えば、今回の場合は、北陸、東北地方での大変な豪雪がございました、また有珠山や三宅島における噴火災害、それから東海地域の豪雨、鳥取西部の地震などの災害あるいはサミット関連経費、それから口蹄疫の対策経費など、さまざまな財政需要がございまして、市町村課を通じまして市町村の特別な財政需要を我々がお聞きした上で、それを算定させていただいておるものでございます。

黄川田委員 ただいま局長からお話がありましたとおり、特にことしは例年にない豪雪でありまして、北国の自治体は除雪経費で大変四苦八苦しております。陳情も多く来ておりますので、特段の対応を強く望むものであります。

 最後であります。今後、地方分権、財源移譲など、地方財政をめぐる環境は大きく変化していくものと考えますけれども、この特別交付税制度は今の機能を維持していくつもりでしょうか、あるいはまた、新しい制度に変えていくような考えもあるのでしょうか。

片山国務大臣 できるだけ地方交付税制度は地方の財政需要を的確に反映する、こういうことで今算定いたしておりますが、単位費用や補正係数やいろいろなことでやるわけでありますけれども、どうしてもそれでは捕捉し切れない、把握し切れない特別の財政需要についてはやはり別の方式が必要だと思いますので、今の、九四%は普通交付税、六%は特別交付税という仕組みは当面は維持していきたい、こういうふうに思っておりますが、いずれにしても、税源の地方移譲等のこれから基本的な問題がありますから、そういう中で、地方交付税制度はどうあるべきか、地方交付税制度の中で特別交付税はどうあるべきか、こういうことは今後、中長期的にしっかり検討していきたい、こういうふうに思っております。

黄川田委員 時間でありますので、以上で終わります。

御法川委員長 午後五時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後一時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十分開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章です。

 一昨日の質疑の中で見過ごせない答弁がございまして、冒頭質問をしたいと思います。

 遠藤副大臣のお言葉だと思いますが、赤字地方債の元利償還を交付税で見るから国の責任が果たされている、だから今回の改正は、交付税法六条の三第二項の条文の許容範囲である、こういう趣旨の御答弁をされております。交付税で見ることがどうして国の責務を果たすことになるのか、そこがよくわかりません。真意を改めてお聞きしておきたい。

遠藤副大臣 お答えいたします。

 春名議員も御承知のとおり、平成十年度から十二年度までこの財源の不足分は国と地方が折半をして負担する、こういうことで対処してきておりまして、これがいわゆる交付税法第六条の三第二項の制度改正に相当する、こういうことで実行してきたわけでございます。今回もそのルールは基本的に変わっておりません。

 ただ、変わっておりますところは、国が二分の一持っていたそのさらに二分の一、いわゆる四分の一は、交付税特会からの借り入れをやめまして、国債を発行して一般会計から交付税特会に繰り入れる、こういうふうにいたしたわけでございまして、国の責任を一層明確にした。

 それから、もう一方におきまして、地方の負担分も、全体が二分の一ですけれども、それを今までは全額交付税特会から借り入れていたわけでございますが、この借り入れを半分にいたしまして、半分につきましては地方で特例地方債、これは赤字国債ですけれども、この発行によりまして補てんをいたしまして、その元利償還金の全額は後年度の基準財政需要額に算入することを法律で明文化した、したがって、交付税法第六条の三第二項に規定する制度改正として位置づけることができる、こういうふうな解釈でございます。

春名委員 私は、マクロなそういう制度改正の全体の話を聞いているわけではなくて、赤字地方債の問題でお聞きをしているわけなのです。

 それで、六条の三第二項は国の責務を言っていることは間違いない、一〇〇%地方が責めを負う地方債の発行というならば、国の責務を果たしていないということになるわけだが、今回の場合、後で元利償還するという国の責務が入っているものですから、六条の三第二項の国の責務を果たしている、したがって、この条文の許容の範囲のことをやっている、こういう御発言をされているわけですね、遠藤副大臣。

 つまり、今まで旧自治省は、地方交付税というのは、地方の共有財産、共有財源、こう言ってきたわけなのです。これは今も変わらないだろうと思うのです。地方の共有財源であるのが地方交付税であると。この地方の共有財源の地方交付税で元利償還をしていくというのが、本当に国の責務を果たしたことになるのかという問いなわけです。そういうことをもしおっしゃるようになりますと、地方交付税というのは、国の財源だという見解にまで行き着かざるを得ないということになります。

 ですから、今までの交付税に対する見解を変えたのかと私は疑ってしまったわけでありまして、国の責務を果たしたというふうに明言するというのは、私はやめた方がいいのではないかと思います。その点、いかがですか。

遠藤副大臣 交付税が地方の共有財源であるという認識は変わっておりません。

 また、二日前に質疑のときにたしかあったと思うので、過去の答弁で、いわゆる赤字地方債にある補てんはこの六条の三第二項に規定する制度改正に該当しないという答弁をされたことがありますね。この趣旨は、個々の地方自治体が自前で借金をして、財源を調達して穴埋めをするというのでは、国が責任を持って地方に必要な財源を確保したことにならないものですから、これは六条の三第二項に規定する制度改正には該当しない、こういうふうに私は理解しておりまして、今回は、償還財源をきちっと確保した上で、地方で赤字地方債を発行することを許している、こういうことでございますから、その確保したという面においてきちっと、しかもこの国会で、国の責任で法律に明記いたしましてそれを担保している、したがって、国の責任を果たしている、このように思っています。

春名委員 なかなか納得できる御答弁にはならないわけです。

 つまり、地方の共有財源を元利償還に充てるということは間違いない今回の方針なわけでして、だからそれで国の責務を果たしているというふうに直結することはできないということを、私は改めて申し上げておきたいと思います。

 これを議論すると、それだけで時間がかかりますので、続いて、市町村合併問題について大臣にお聞きをしていきたいと思います。

 国の行革大綱に市町村合併の数値目標一千という数字が明記をされています。本会議での我が党の矢島議員の質問に対して、大臣は「政府としても、それを一つの目標として念頭に置きながら一生懸命努力してまいりたい、」と答えています。政府としての目標になった、そういうことだと思いますが、なぜ一千なのか、これがどうもわかりません。与党の数字を十分配慮して閣議決定の文章に盛り込んでいるわけですので、政府としてその合理的な理由の説明が必要です。その説明をしてください。

片山国務大臣 この市町村合併の目標数については、何度も、当委員会でも、本会議でも、予算委員会でも御質問がありました。

 昨年の十二月に閣議決定しました行政改革大綱は、閣議決定ですから、これは政府の意思ですね。政府の意思で、そこに書いているのは千を目標とするという方針を踏まえてと、政府としては千を目標とするという方針を踏まえてやる、だから、政府としては、この与党の目標に十分配意して、重く受けとめて、簡単に言いますと、念頭に置くということですね。

 そこで、この千のあれはどうかというのは、与党がどういう積算をされたか私は知りませんけれども、我々は、今、全都道府県に市町村合併のパターン、たたき台をつくってもらっている、まだ全都道府県、出てきておりませんが、年度内には、恐らく三月中ぐらいには、一、二おくれるのがあるかもしれませんけれども、全部出てくると思います。その都道府県のパターンを今の段階で見ていますと、大体三分の一ですね、ある県内の市町村の数を三分の一ぐらいを目標にしたいというパターンを、具体的な組み合わせをつくっていますから。それから、県によっては五分の一ぐらいにしているところもございますので、三分の一ぐらいというのは、それは積み上げた数字ではありませんけれども、結果としては、私は、これは一つのそれなりに意味がある数字かな、こういうふうに思っているわけでありまして、政府は都道府県の合併のパターンを尊重してまいりたい、こう思っております。

春名委員 都道府県にげたを預けてはだめです。閣議決定をした文章の中で千という目標があって、それを配慮してその目標に向かってやるということをあなたはおっしゃっているわけですので、オール・ジャパンで千にするという根拠がないとだめなのです。それは、合併パターンが出ようが出まいが、あなた方の方針としてそういうふうになっているわけですから。

 しかも、十二月十日の読売新聞にこういう記事が出ています。「自治省は「なぜ千なのか、根拠を示すのは無理。自主的合併が建前であり、政府が数字を出すのは不適当」と猛反発した。」が、与党側に押し切られた形で数字が入っている、こういう記事も出ています。押し切られたのかどうかは私はわかりませんけれども、しかし、合併の目標としてオール・ジャパンで千にするということを配慮してそれでやるということを言っているわけだから、その合理的な根拠をきちっと説明をしなければ全くわからないじゃないですか。どうですか。

片山国務大臣 春名委員にお言葉を返すようですが、国が数を決めて、それでやるというのは、むしろそれは中央の押しつけなのですよ。一律なのですよ。我々はそうではないので、今回の合併は自主的な合併なのですよ。ただ、与党さんが十分協議して、千ぐらいの目標でどうかと言われるから、それを踏まえて進めますと。しかし、あくまでも自主的な合併ということは、都道府県が中に立って、市町村と相談してパターンをつくって、それをたたき台に進めますというわけですから、我々の方がずっと地方自治を尊重して、民主的であります。

春名委員 なかなか驚く発言が出るのですが、では、この一千という数字は削除しましょう。だって、地方自治体は、十二月の政府の閣議文書の中に千という数字が初めて入って驚いているわけですよ。おお、三千三百を千にするのか、そうやってやってくるのかと。みんな思っていますよ、そんなの。それは削除してください。撤回してください。

片山国務大臣 だから、行革大綱に書いているじゃないですか。目標とするという与党の方針を踏まえてと書いているのです。踏まえて市町村合併を促進します、こう言っているので、踏まえているだけで、それが目標だと一つも言っていない。目標を踏まえるのですから。

春名委員 おもしろい答弁をされるので、では、踏まえてと言われるということはどういう意味でしょうね、禅問答になるので、もうやめますけれども。

 しかし、実際に政府の方針の文書の中にその数字が出て、踏まえて実行するということは、それに向かって推進するという意味と同意語なんです。そういうものなんですよ。

 それで、少し議論を進めたいと思いますが、国や県が強制すべきことではないということを大臣は今基本認識としておっしゃって、総務省はその立場でやっているということをおっしゃいました。私は、そうであれば大賛成であります。

 ところが、今の国のやり方について、当事者の市町村や町村がどう受けとめているかというのは御存じかと思います。昨年の全国町村長大会、全国町村議長大会、「強制するな 市町村合併」の垂れ幕がかかり、緊急決議がおのおの上げられています。合併をする当事者は、これが強制だと感じているからこそ、こういう決議が上がっているんじゃないでしょうか。大臣はそう感じませんか。

片山国務大臣 それはいろいろな受け取り方はありますが、今の全国町村会や議長会が言っているのは、私も会長さんや幹部の方と話しましたが、皆さん、昭和二十七、八年から三十年代の初めにかけての合併のイメージがあるのですよ。

 これは、どうしても市町村を強化して、前回も言いましたけれども、小中学校のしっかりした管理をしてもらうための規模が要る、八千以上にしたいと、こういうことで、ある意味では、一律に、かなり強烈な勧告をしながら進めた合併ですよね。だから、今回も、そういう平成の大合併ですか、皆さんのこういう危惧があるので、そうじゃありませんということを申し上げているのです。あれは、法律をつくりまして、内閣総理大臣勧告や知事勧告を入れまして、かなり強力に進めた合併だったと私は思います。それによって全国の市町村が拡充強化されて、あの当時のいろいろな仕事ができるようになったことは事実ですけれども、今回は、もう時代も違いますから、地方分権の時代ですから、あくまでも自主的な合併だということで、それは町村会や町村議長会へも十分な御理解をいただいております。

 先ほどから千に大変こだわっておられますけれども、与党は千と言いまして、結果として、都道府県を積み上げてみると千に近いということは、そのくらいが国民的な常識、コンセンサスなのかなと私は思っております。

春名委員 地方分権の時代ですから強制しないということをおっしゃったので、私はそのことを信じてこれから議論を進めたいのです。

 確かに、国と地方は対等、協力というのが地方分権の最大のテーマであるし、最大のうたい文句ですね。大臣も御存じかと思うのですが、地方分権を進めるために、その受け皿として合併をしっかりやって行財政体制を強化しなきゃいけないという議論があります。大臣もそのことはおっしゃっている。しかし、地方分権推進委員会の少なくとも第二次勧告が出るまでは、受け皿論は排除するということがはっきりうたわれていました。

 西尾勝さんという地方分権推進委員がいらっしゃる。この方が、例えば「未完の分権改革」という文書の中でこういうことを言っています。

 受け皿論は棚上げだ、棚上げが必要だ、棚上げにしなければならない、そのことは、こういう受け皿論を議論し始めると、権限や財源の移譲が大事なのに、受け皿がないからできないといって、地方分権がはるか先に行ってしまう、そういう受け皿論はやめよう、こういうことを私が申し上げたら、思っていた以上に多くの人々の賛同を得まして、大体そういう線に固まって、そういう意味で、受け皿論というのは棚上げでいこうという議論になったという経過があるわけです。それは、合併して受け皿をつくってもらわないと権限や財源は移譲できないということになると、まさに地方分権そのものを後景に押しやるということにほかならないからだ、そういう認識からでした。

 地方分権一括法はどうなったでしょうか。国の関与を縮小するという戦略で行いましたので、自治事務と法定受託事務に機関委任事務を配分する、これはやりました。ところが、肝心の国からの事務や権限の移譲はほとんどありませんし、ましてや、議論がずっとなっていますが、税財源の移譲は全くないわけですね。

 いよいよこれから本格的な権限や財源の移譲ということが議論の中心に座っていかなきゃいけない、そういうときに、二〇〇五年までに合併をやったらうまくいきますよ、あめやむちということを言われていますけれども、合併という条件を出すようなことをすれば、地方分権そのものの足を引っ張ることになりかねません。そういう認識でこの問題に当たらなければならないのじゃないかと私は思うのです。大臣、どういう御見解でしょうか。

片山国務大臣 西尾先生も私、よく存じ上げておりますけれども、受け皿がないと権限や財源の移譲ができないというのは間違いです。しかし、同時に、受け皿がしっかりしていれば権限や財源の移譲がしやすいのですよ。だから、これは並行なんですよ。どっちかが先、どっちかが後ということじゃありません。ただ、受け皿がしっかりしていないと、権限や財源の移譲について中央の省庁がなかなか納得しないという事情は確かにあるのです。だから、受け皿がないとできないということはないけれども、受け皿がある方がずっとできやすいのです。

 そういう感じで、今の市町村の数や規模、能力を固定的に考える方が間違いだと私は思っているのです。介護の認定だって、市町村は大変苦労してやっているのですよ。そのために、全国で広域連合が幾つできましたか。もっとフレキシブルに、市町村の今後の状況を考えながら、我々は進めていきたい。固定するのは地方自治にとってよくないのです。

春名委員 今お話が出た、並行してやると言っているのですけれども、大臣、しかし、権限、財源の移譲についてはこの議論の中でどういう答弁をされているかといったら、景気が回復してから考えましょうという答弁でしょう。権限、財源の移譲は景気が回復してからでないと考えられませんとずっと言っているじゃないですか。一方で一千という目標を掲げて、合併特例法は二〇〇五年まででしょう、その間には一千の目標に向けて配意してやる、しかし、景気が回復するまでは財源、権限については今は問題にならない、特に財源については。並行じゃないじゃないですか。合併を先にやって、その先に権限、財源を移譲するのか知りませんけれども、そんな議論をされているじゃないですか。矛盾しているじゃないですか。

片山国務大臣 いや、一つも矛盾していませんよ。地方分権一括推進法というのは今の市町村の数を前提に、規模、能力でやったわけでありまして、だから、その地方分権一括推進法で我々は事が終わっていると思っていないと言っているのですよ。ただ、あれは一区切りではある。

 それから、税財源はまた別の議論なので、景気がこういう状況で、国の累積した借入金が五百兆を超すような状況で、直ちに国から財源をよこせ、税源をよこせというのは現実的な議論でない、こう言っているので、それを軽々に結びつけるというのは短絡だと私は思いますよ。

春名委員 世間がどういうふうに思っているかという一つの例を紹介しますけれども、一月二十二日付の私の地元の高知新聞の社説に、こういう記事が出てくるのです。「今、国がやみくもに進めようとする市町村合併は、ひっ迫する財政事情に背景がある。いわば、現状を維持できなくなった末に出てきたもので、そこに未来を託するビジョンは見当たらない。」「合併には将来へのビジョンが不可欠である。今回の合併でそのビジョンの土台となるのは名実共の地方分権にほかならない。大幅な行財政権限を地方に移譲すること、少なくともその保証を地方に与えることが合併の前提となる。」

 これは一つの新聞社の記事ですよ。ですから、これを全部うのみにとは私は言いませんが、しかし、そういう認識、そういう立場で物事に当たらないと、下はどう見ているかといえば、とにかく分権をするのであれば合併を先にしてもらわないと、受け皿がないとだめだ、そういうふうに思わされる。そして、お金もなかなか出てこない、交付税も減らされるかもしれない、戦々恐々としている。四千人の小さい自治体には交付税がだんだん減ってきている、真綿で首を絞められる。そんな状況が生まれている中で、合併は期限を切って合併特例法でやる、しかし、財源や権限の問題は全くビジョンが見えてこない、これは本末転倒だと私ははっきり申し上げておきたいと思います。

 議論したいことはたくさんありますが、時間が来ましたので、以後を期待して終わりたいと思います。

 以上です。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 最後の質問になります。大臣、副大臣を初め政府参考人の方々には大変お疲れのことと思いますけれども、ひとつ前向きに、積極的な答弁をお願いいたします。

 まず、問題になっております税の問題について、いろいろな角度からお伺いをしたいと思います。現行法人事業税の公平性という観点から、私の考えを申し述べたいと思います。

 景気対策と法人課税のあり方については、経済産業省も関心の深い点であろうと思います。現行法人事業税は、四業種を除き、所得を課税標準としておるわけです。現状では三分の二が赤字法人、残り三分の一が黒字法人でありまして、この三分の一の黒字法人が全法人事業税額を負担しているということになっています。

 法人の事業活動と自治体の行政サービスとの受益関係というものに着目をいたしまして事業に課税する応益課税である、これが本来の法人事業税の性格ではないのかな、このように考えますが、現在の負担状況の公平性についてどのように考えておられるか、お願いいたします。

遠藤副大臣 今おっしゃっていただきましたが、まさにそのような認識を私どもも持っております。

 現在のいわゆる法人事業税は、三分の一の方々が全法人の分を負担している。まさに所得という側面だけをとらえているわけでございますから、赤字法人は非課税になっているわけですね。これはやはり、地方では地方の行政サービスを受けているわけでございますから、応益の負担をぜひしていただきたい、このような観点を考えているわけでございまして、今は応能負担のみでございますけれども、応益負担を加味した新しい、法人事業税を改正する形で外形標準課税の導入を考えたい、このように考えているわけでございまして、それは、結果として景気に左右されないで公平に負担をしていただける、地方の安定財源になる、このように理解をしているところでございます。

重野委員 では、次の観点からお伺いしますが、現行法人事業税の景気変動性への適否についてという観点から考えてみますと、都道府県は単独事業の拡大あるいは信用保証、低利融資等に取り組んで、景気対策に一生懸命頑張っているわけであります。しかし、基幹税目であります法人事業税は大きく低迷をし、景気対策に取り組まなければならない地方財政は税収不足に陥っている、こういう状況なんです。

 必要な景気対策に適切に対応し得る財源をどう保障するか、このことは、地方分権による安定財源の保障という観点からも重要であります。税収変動の激しい法人事業税の現行のあり方、これは適切なものかという点についてどのように考えているか、お伺いします。

遠藤副大臣 ただいまも、いわゆる応益にのみリンクする形の法人事業税というのは景気の変動を直接受けるわけですね。そういうものではなくて、やはり――応能ですね。それから応益、いわゆる地方のサービスを受けているという意味で、外形標準課税の形で導入する今度の法人事業税という形になれば、これは景気の変動と直接リンクしない、したがって、安定的な財源になる、このように考えておりまして、地方の主な税目としては大変適当なものであろうという結論をいただいておりまして、今回も、与党の税制改正の協議の中でも、早期に導入を図るべきだ、このような結論をいただいておりまして、私どもとしては、来年度の通常国会ではぜひそうした法案を出して御審議を賜りたい、このように考えている次第でございます。

重野委員 総務省の考えはわかりました。

 それでは、経済産業省、どういう考えでしょう。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、地方の今の歳入歳出の状況というのは非常に心配を実はいたしております。したがいまして、その歳入について、歳出を見直しながらも、きちんとした対応策というのはやはり真剣に考えていった方がいいというのが基本的な立場でございます。

 ただ、御案内のように、今、赤字法人、大体三分の二ぐらいと御指摘がございましたけれども、この赤字法人がなぜ税金を払っていないかと申し上げれば、御案内のように、繰越欠損金の問題があるわけでございまして、そういった制度の改革だとか、いろいろな手だてを幅広く考えていく必要があるだろう、こう思っております。

 さらに申し上げますと、法人に対する課税というのは、ある意味で、経済それ自体に非常に大きな影響を与えるわけでございます。一つは、やはり税率それ自体の問題もございますし、それから、国際的にグローバルな経済展開の中で、果たして日本の負担というのは公正であるか、あるいは適切であるかという負担水準をまず考える必要があるだろうというふうに思っています。

 それから二つ目は、外形標準課税のお話がございましたけれども、賃金に対して課税するということになりますと、これはやはり、例えばこれからの日本の経済にとって非常に大事な研究開発ですとか、そういった部分、これは人件費の塊でございます。人件費に対する課税というのが果たして経済的にプラスの効果をもたらすかというと、私どもとしては非常に大きな懸念を実は抱いているわけでございます。そういった点も、国際的にいろいろ批判があったあげく、既に外形標準課税を導入しておりましたドイツですとかフランス、アメリカのミシガン州ですとか、みんなこれを廃止ないしは廃止する方向で今対応されている、こういうことでございます。

 したがいまして、そういった国際動向も踏まえて慎重に判断すべきである、こういうふうに思っております。

重野委員 今の答弁、一番最初は非常に外形標準課税に対し前向きに対処すると聞いておったのですが、後の方になったら、今度は非常に慎重に私は聞こえたのですが、どっちなんですか。

村田政府参考人 対応の仕方というのはいろいろ、もうちょっと幅広く工夫した方がいいのではないかということでございます。

 それから、外形標準につきましても、いろいろなやり方があるわけでございます。加算型もあれば控除型もある、そういったあたりも含めて検討すべきだ、こういうふうに考えております。

重野委員 わかりました。

 そうすると、いずれにしても、外形標準課税を具体的なスケジュールに上げて検討する用意があると私は受けとめたのですが、そうなった場合、総務省、それから経済産業省の方で、具体的にどういう方法がいいのかと。もう既に昨年の十一月には自治省案が出されました、日の目を見ませんでしたけれども、そういう経過もあるわけです。

 いずれにしても、都道府県財政はまことに厳しい状況にありますし、東京、大阪など、課税自主権の行使、そういう動向も出ております。したがって、この問題については可能な限り早く具体的な結論を出していただく。そういう意味では、総務省、それから経済産業省、同じテーブルの上でどうするという議論をする考えがあるかないか、それぞれにお伺いいたします。

片山国務大臣 遠藤副大臣からいろいろ総務省の立場についての御答弁をさせていただきました。

 私は、基本的には、地方税というものは、何度も言いますけれども、応益で。そういう意味では、今の赤字法人が持っていないというのは、赤字法人の経営状況やなんか、ぐあいはわかりますよ。しかし、これは不公平なんですね。というのは、そんな高いものをするのならいいんですけれども、赤字法人は安くするんですよ、極めて。不公平であるということが一つ。

 それからもう一つは、重野委員もいろいろ言われましたように、やはり地方の仕事というのは、特に都道府県の仕事というのは割に硬直的なんですよ。物すごく仕事をふやしたり、減らしたりするということが余りないのです。そうしますと、財源も安定的でなきゃいかぬということがある。そういう意味では、外形標準課税が公平性、安定性は満たしている、こう思うのですね。

 それから、今、村田局長から話がありましたが、日本は地方財政のウエートがよその国とは、圧倒的に高いのです、いろいろな中小企業対策、経済対策を含めて。ある意味では、経済産業省の仕事をやっているようなものですよ、そういう方面では。そういう意味では、そこにきっちり財源を与えることが、経済産業省もよくなるんですよ、中小企業が。きめの細かいことは都道府県がやっているんだから。経済産業省がやっているわけじゃないんですよ。

 だから、そういう意味で、安定的な財源を都道府県に与えるということは国のためでもあるのです。国というのは総務省じゃありませんよ、政府全部の。

 そういう意味で、外形標準課税はあるべき方向だと私は思いますが、中身については、今、村田局長が言ったように、人件費のウエートが高いじゃないか、人件費というのは研究開発する人もいるんだし、中小企業なんというのはかなり人がおる、リストラに影響があるじゃないか、前からそういう議論がありますよね。そこで、それは、去年の自治省の案は相当工夫をして出しているのですよ。出しているけれども、あれで工夫が十分かどうか、もう一遍点検せにゃいかぬと思います。

 そういう意味で、前回は、その当時の通産省の御理解を余り私は得ていないと思う。私が大臣になる前ですけれどもね。私が党の税調におったら、別の型にしておりますね。

 そこで、今回は、もう一度いろいろお願いをするのなら、きっちりと総務省も経済産業省と話せ、そこでまあ百点でなくても八十点かぐらいの合意には達しろ、こういうことを私は今税務当局に言っているわけでありまして、経済産業省もそういう立場で検討いただかないと、私はそれは困ると思っております。困るだけじゃなくて、私もいろいろ考えます。

村田政府参考人 所与の前提を置かずに、きちっと財政問題に対応していくという観点から、私どももできる限り議論に参加させていただきたい、こう思っております。

重野委員 それでは、そういうことでひとつよろしくお願いをいたします。

 次に、警察庁にお伺いしますが、これも以前の場面で私も何度か議論した経過があるわけですけれども、警察職員のいわゆる定員の問題であります。

 地方財政計画における職員数は、今の時代、清掃であるとか社会福祉、消防、そういうものを除いて軒並み減員とされております。そういう中で、警察官については、およそ二千五百名の定員増が行われたわけであります。財政危機を理由に給与費の抑制や職員の削減を自治体に求める、一方においては、こういう定員増を図った、総務省や警察庁にはそれだけの政策的根拠があるんだろうと思いますが、総務省、警察庁、それぞれの見解をお聞かせください。

香山政府参考人 後ほど警察庁の方から御答弁があろうと思いますが、昨年七月の警察刷新会議の緊急提言で、欧米諸国で警察官一人当たりの負担人口が三百人前後であるということを踏まえて、当面、五百人程度になるまで増員を行う必要があるという提言がありまして、警察の方からこれを踏まえた要求をいただきました。

 一方で、今、委員御指摘のとおり、地方財政は極めて厳しいですし、他の部門の職員については国の定数削減に準じた厳しい削減が求められているということで、両省で、必要要員数と、それから一方で徹底的な合理化をしていただく必要があるというふうに私ども、主張いたしまして、それぞれの数字を詰めた上で、結論的には二千五百八十人の増員を決定した次第でございます。

 お尋ねの、政策的根拠は何かといえば、したがって、警察刷新会議の提言にあります国民のための警察活動の強化ということになるのではなかろうかと思っております。

石川政府参考人 私ども、現在の警察事象というものを考えました場合に、平成元年と比較いたしまして、刑法犯の認知件数が約五割増加をしておる、交通事故の発生件数も四割増加をしておる、一一〇番の受理件数も約七割増加をしているという非常に増加の一途をたどっているということが一つございますし、また、犯罪の内容というものも質的に悪質巧妙化しているわけでございます。加えて、ハイテク犯罪とか国際組織犯罪といったような新たな治安課題というものも出てきているということでございまして、こうした中で、国民の身近な生活基盤を支えている治安というものをきちっと維持していかなければならない、こういうことで、委員御案内のような経緯で、先ほど総務省の方から御答弁がございましたような、刷新会議の御提言がございました。

 私どもとして、部内で検討いたしました結果、合理化を徹底的にこれから推進をしていく、それを前提としてもなお必要な警察官の増員というものはやはりお願いしなければならない、こういうことが今回の増員をお願いした背景にある、こういうことでございます。

重野委員 今、説明がありましたように、昨年の刷新会議の緊急提言に、確かに、負担人口が五百人となる程度まで云々ということがありました。それは私も理解をしておりますが、それでいくと、単純に計算しましても二万五千人なんですね。二万五千人の増員をしないと、五百人に一人、こういう数字にはならぬ。警察内部の合理化という表現が適切かどうかわかりませんが、職員配置等々も検討されておりますので、実際の増員規模というのはこんな数字にはならぬと思うんですが、今後の構想、どういうふうな構想をお持ちか、お聞かせください。

石川政府参考人 ただいま申し上げましたように、大変厳しい現在の治安状況に的確に対応していくためには、私ども、いろいろ増員所要というものを積み上げました場合に、一万数千人程度の増員が必要だ、こういうふうに考えたわけでございます。その前提といたしまして、やはり今ある人員の配置というものを極力見直していく、そういう合理化を前提といたしまして、数字をひとつはじき出しました。

 ただ、十三年度につきましては、単年度でこういったものを増員いたしますと、教育の問題あるいは採用する人々の質の問題、そういう問題もございます。そういうことで、大変今、厳しい状況にある十二県だけに絞って今回増員をお願いしました。残りの増員につきましては、さらに数カ年をかけて措置をしていく必要があるんじゃないかと今の時点で考えております。

 ただ、この数字そのものにつきましては、今後もさらに合理化というものについて取り組んでいかなきゃならない、そういうようなことも含めつつ、これから検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

重野委員 次に、条例定員と政令定員の実態が乖離しているという点ですね。都道府県の条例定員が国の政令定員を約四千人上回っているということは御案内のとおりです。この四千人は地方が単独で見るわけですね。警察というのは、人ですから、警察制度の根幹にかかわるこの定員について政令定員が実態を反映していない、これはやはり僕は大変大きな問題だと思います。警察庁みずから政令の意義というものを軽んじているのじゃないか、こういうふうな指摘すらできるわけですね。そういう実態との乖離を知りながらそのままにほうっておいたという、今度は総務省の責任もある。これはもう逃れられない。

 今後、政令定員の規模是正に当たって、条例定員とそれからその間に基本的な何かルールを設ける必要があるのではないか。合理化という方法でやっても、それにはおのずと限界があります。こういう条例定員と政令定員が乖離をするという事態をなくしていくために、どういう手だてを講じるおつもりか、それぞれ見解をお聞かせください。

石川政府参考人 ただいま御指摘のように、多くの県において条例定員が政令基準を上回っているという状況にございまして、そのほとんどは、一般職員として定員措置をされておりました交通巡視員とか、あるいは少年補導員等を警察官の身分に切りかえた、こういうものでございます。このことによりまして地方の財政負担がふえておる、こういうことは御指摘のとおりでございます。

 ただ、これは、各都道府県におきまして、地方警察官の増員というものがなかなか厳しい、そういう状況の中で、既存の体制で最大限の警察力を発揮するために、いわば苦肉の策として措置をされてきたというふうに承知をしておるわけでございます。

 しかしながら、政令基準と条例定員の乖離というものが地方の財政負担になっているということは事実でございますので、政令基準を引き上げるときに条例定員にどういう形でか近づけるということが必要なのではないかというただいまの委員の御提案というものも踏まえまして、平成十四年度以降の増員構想の中で、この問題につきまして、総務省等関係機関とも協議をして、その方策につきまして勉強してまいりたいというふうに考えているところでございます。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま警察庁の方からの御答弁で尽きておるわけでありますけれども、今年度定数を決定いたしました際に、適正な人員配置のあり方、それからさらなる合理化の方策、また、政令定数のあり方について徹底的に検討しようということに両者で合意をいたしております。

 私どもは、今、御指摘がありましたように、政令定数の増員があるようなときには、条例をオーバーしている職員の数だけはそれに吸収していただくようにということを基本に据えて、検討の場に臨みたいと考えております。

 そういうことで、今後、警察庁とこの点につきましては十分御趣旨を踏まえた検討をいたしたいと考えておるということでございます。

重野委員 それでは、以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、岡田克也君外七名提出、特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。金田誠一君。

    ―――――――――――――

 特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金田(誠)議員 民主党の金田誠一でございます。

 民主党・無所属クラブ、日本共産党及び社会民主党・市民連合が共同で提出しました特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案につき、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 本法律案は、三年前に全会一致で成立した特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法について両院で付されました、税制等を含めた制度の見直しについて施行後二年以内に結論を得るとの趣旨の決議に基づき、ますます重要性が増しているNPOの活動を税制面から促進するため、財務金融委員会で審議されております特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案とあわせ提出したものでございます。

 法律案の概要でございますが、第一に、特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案に基づき認定を受けた認定特定非営利活動法人が、支払いを受ける利子等で所得税が課されないものについては、道府県民税の利子割を課することができないものとしております。

 第二に、個人の道府県民税及び市町村民税に関し、条例で定めるところにより、特定非営利活動法人等に対する寄附金を寄附金控除の対象とするものとしております。

 政府のNPO支援税制案は、国税のみが対象であり、地方税について何らの措置が講じられておらず、まことに不十分であります。また、政府案における認定基準は、いわゆるパブリック・サポート・テストが厳し過ぎる上、一市区町村を超える広がりを必要としており、全国三千三百以上の特定非営利活動法人のうち、ほとんどのNPOがその要件を満たすことができず、支援税制の恩恵を受けることができません。

 市民の自発的な活動によって支えられた健全な社会を実現するためには、多くのNPOが国税及び地方税の両面で支援を受けることができるようにすべきであり、特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案とあわせ、本法律案の成立がぜひとも必要であります。慎重に御審議の上、全会一致で御可決くださいますようよろしくお願いを申し上げます。

 以上でございます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時一分散会




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