衆議院

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第10号 平成13年4月3日(火曜日)

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平成十三年四月三日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    阪上 善秀君

      滝   実君    橘 康太郎君

      谷  洋一君    野中 広務君

      菱田 嘉明君    平井 卓也君

      宮路 和明君    山本 公一君

      大石 尚子君    大出  彰君

      大畠 章宏君    玄葉光一郎君

      武正 公一君    中村 哲治君

      松崎 公昭君    松原  仁君

      山井 和則君    山村  健君

      高木 陽介君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   内閣官房副長官      安倍 晋三君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   経済産業副大臣      中山 成彬君

   総務大臣政務官      滝   実君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小川  洋君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長

   )            鍋倉 真一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長

   )            金澤  薫君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   高原 耕三君

   政府参考人

   (公安調査庁総務部総務課

   長)           荒木 俊夫君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    藤田 昌央君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    中村 利雄君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠治君     大石 尚子君

同日

 辞任         補欠選任

  大石 尚子君     大畠 章宏君

同日

 辞任         補欠選任

  大畠 章宏君     伊藤 忠治君

    ―――――――――――――

四月三日

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案(内閣提出第一六号)

 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案及び電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小川洋君、総務省情報通信政策局長鍋倉真一君、総務省総合通信基盤局長金澤薫君、総務省政策統括官高原耕三君、公安調査庁総務部総務課長荒木俊夫君、特許庁総務部長藤田昌央君及び中小企業庁長官中村利雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。

河野(太)委員 おはようございます。自由民主党の河野太郎でございます。持ち時間がありませんので、てきぱきといきたいと思います。

 まず、政府がまとめられましたe―Japan戦略の重点政策、超高速ネットワークインフラ整備というのがございますが、その目標の中に、五年以内に、三千万世帯が高速インターネット網に、一千万世帯が超高速インターネット網に常時接続可能となる環境整備という目標がございます。

 まず、その前提となります現在の接続世帯がどれぐらいあるのか、前提条件、計算方式はまた改めて後ほど聞きますので、世帯数が今どれぐらいあると政府で把握され、それを前提にスタートしようとしているのかをお聞かせいただきたいと思います。

金澤政府参考人 常時接続可能となっているのは何世帯であるかというお尋ねでございます。

 e―Japan戦略におきましては、超高速インターネット網の代表例として光ファイバーを利用したインターネット網が、高速インターネット網の代表例としてDSLやCATVなどを利用したインターネット網が、両方挙げられているということでございます。

 去る三月二十九日にIT戦略本部において決定いたしましたe―Japan重点計画におきましては、二〇〇一年三月現在で、DSLは約五百七十万回線、CATVインターネットは最大約千九百万世帯が高速インターネット網に常時接続可能というふうに推計されております。

 また、光ファイバーによる超高速インターネット網につきましては、常時接続可能な世帯数につきまして申し上げますと、平成十一年度末現在、全国のき線点約十八万五千ございますが、このうち既に全国平均で約三六%の光化が完了していますので、これを踏まえて単純計算いたしますと、約二千万世帯が対象となります。

 しかしながら、実際どれだけ加入者がいるのかということにつきまして申し上げますと、光ファイバーサービスにつきましては加入者数は約十七万加入、DSLについては三万四千加入、CATVインターネットサービスにつきましては六十二万五千加入ということでございます。

河野(太)委員 ありがとうございます。

 五年以内に三千万世帯あるいは超高速インターネット網に一千万世帯という数字と、今お伺いした数字と、多少差があるのかなという気はいたしております。

 本当に五年以内にそういう目標が実現するかどうかというのは、途中にチェックポイントを設けて、この施策でいいのか、あるいはスピードアップをするために何らかのドラスチックな政策をとらなければいかぬのかという判断をどこかの時点でやらなければならないと思いますが、どの時点でどれぐらいの差があったら、これは今のままではだめだ、そういう御判断をされるつもりでいるのか、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 河野委員の御質問に今、局長が御答弁しましたが、e―Japan戦略の超高速一千万、高速三千万というのは、私は現況から見て相当な可能性があると思います。

 ただ、これは民間が中心でやるということなものですから、民間に頑張っていただかなければいけませんが、そこで来年度から、今御審議をお願いしている法案にもありますけれども、民間に対する支援の拡充と、地方に対する需要の喚起のために補助事業等の、これも拡大をやっておりますから、そういうことをしながら様子を見ようと。

 それから、このe―Japan戦略やアクションプランである重点計画は毎年見直しをやるんです。見直しの前提で、毎年の春、見直しをやりますが、春と秋に状況の調査をいたしますから、平成十三年の措置等がどういう反応があるかということを見ながら、必要があれば、新たなてこ入れ、支援措置を検討してまいりたい、こう思っております。

河野(太)委員 ありがとうございます。

 今大臣から民間に少し頑張っていただかなければというお話がございましたが、IXについて政府の御認識を伺いたいと思います。

 今、日本にインターネットのIXというのが三つ、しかし、一つは設備が古いその他のことということで、事実上は二つだそうでございます。このIX、東京と大阪にあるものでございますが、本当にこの二つでいいのだろうか、災害の対策その他、あるいは料金体系やその他を考えると、各県に一つとまではいかなくとも、各地域に一つぐらい置いた方がいいのではないかという声は上げられております。

 ただ、これは伺いますと、どうも何か学術研究のようなことで今仕分けになっているそうでございますが、このIXの整備につきまして、これはもう純粋に民間がやればいいんだという御意見と、このIXの整備も、そういうことを考えると、少なくとも後に民営化するなどということはあるにしても、政府が少し突っ込んで整備をしなければいかぬのではないか、そういうお考えと、二つあると思うのでございますが、政府のお考えは基本的にどのようなものかをお伺いしたいと思います。

小坂副大臣 河野委員はもう既に研究をされて御存じのようでございますけれども、現在、我が国のインターネットエクスチェンジポイント、IXと呼ばれるものは、ネットワーク・サービス・プロバイダー・インターネット・エクスチェンジ・ポイント、これを略しまして、頭文字でNSPIXPと呼んでおりますが、学術研究、実験目的としてスタートをいたしまして、東京、大阪に設置をされました。ワイドプロジェクトという学者の皆様を中心に構成されて、一九九四年からスタートをいたしております。このIXとJPIX、すなわち、ジャパン・インターネット・エクスチェンジと呼ばれるものでございまして、これは一九九七年に設置をされまして、事業者でありますKDD、NEC、富士通等が出資をいたしましてつくった商用目的のIXでございまして、これは東京のみに設置されております。

 しかし、御指摘のように、近年の急激なインターネットの爆発的な需要増によりまして、この二カ所でインターネットの国際網との接続、エクスチェンジをやっているわけですが、このコンテンツも都市部に集中しております。また、大手のプロバイダーのネットワークも大都市部、特に東京を中心として構成されております結果として、主要なIXは東京にほぼ一極集中しているというのが現状でございます。そういう意味で、次から次へと容量に合わせてふやしていった結果、御指摘のように、古くなったという表現が当たっているかどうかわかりませんが、かなり負担が大きくなっておりますので、抜本的にこれを見直していく必要があるということは指摘をされております。

 また、御指摘のように、何らかの災害等がありました場合、この集中しているポイントが弱点になるということも考えられますので、地方分散を図ることの必要性も指摘をされております。

 この地方分散の手法をどのようにしていくかということについては、基本的には、民間の事業者が主導して整備をされることが一番望ましい形と思いますが、しかしながら、速度等の問題で、国が何らかの支援をする必要がある、このようにも考えておりますので、その支援の方策につきましては、私どもの方としても検討してまいりたいと思っております。

 この三月には、二十一世紀におけるインターネット政策のあり方について情報通信審議会に諮問しておりますので、この中で、IXの一極集中を解決する方策についても検討がなされる、このように思っております。

 また、平成十二年度の補正予算において、IX相互を効率的に接続する実証的な研究開発といたしまして、IXの地方分散の促進を図っていくような施策も講じておりますので、こういったことを踏まえながら、今後さらに検討を進めてまいりたいと思っております。

 今日の問題点は、そういった意味で、地方プロバイダーにとって、接続点が東京、大阪ということで料金がかかってしまうという問題点もありますので、こういった問題点を総合的に踏まえて対応してまいりたいと考えております。

河野(太)委員 e―Japan計画を拝見いたしますと、二〇〇三年までに電子情報と紙情報を同等に扱う電子政府を実現する、あるいは二〇〇三年に七十兆円を大幅に上回る電子商取引市場をつくり上げるという目標が書かれておるわけでございます。

 ところが、一番大切なセキュリティー面を見ますと、サイバーテロ対策として挙げられておりますのが、関係省庁の緊急対処体制の整備、これが二〇〇三年でございます。都道府県に情報セキュリティーアドバイザーを配置する、これは二〇〇四年、刑事基本法制の整備というのは二〇〇五年でございます。そうすると、二〇〇三年に電子政府が実現し、七十兆円を超えるeコマース市場があるのにもかかわらず、サイバーテロ対策というのが、この計画に沿いますと、後手後手に回るような印象がございますが、これで本当によろしいのでしょうか。

安倍内閣官房副長官 ただいま委員御指摘のとおり、このIT社会を、国民だれもがそのよさを享受できる社会につくっていくためには、サイバーテロ対策を十分に整えていく必要があるわけでございます。IT基本法におきましても、高度情報通信ネットワークの安全性と信頼性の確保を基本方針として定めているわけでございまして、サイバーテロなどの重要な情報システムに対する攻撃への対策は重要な課題である、このように認識をいたしておるわけでございます。

 先般も、自由民主党と産経新聞等に対して、同時にアクセスを呼びかけるという事案が日韓で発生をしたわけでございます。これが果たして犯罪かどうかということについても今後検討をしていかなければいけないわけでございまして、国の安全保障上におきましても、重要な課題であるというように認識をいたしております。

 その中で、政府といたしましては、昨年の十二月に、官民の連絡・連携体制の構築、緊急対処体制の強化等を内容といたします重要インフラのサイバーテロ対策に係る特別行動計画を策定いたしまして、官民が一体となって対応していくということが大切でございますから、この観点からも、この行動計画を策定いたしたわけであります。

 またさらに、本年一月に、IT戦略本部のもとに、民間の有識者と重要インフラの代表者に集まっていただきまして、情報セキュリティー専門調査会を設置いたしまして、サイバーテロからの重要インフラの防護等、情報セキュリティーに関する専門の調査を行うことといたしておりまして、本年中にサイバーテロに対する官民の連絡・連携体制を構築していきたい、このように考えております。

 そして、この関連の予算は、本年度、昨年度の二倍にするというように積極的に対応しておりますし、また、可能な限り迅速に対策を推進していきたい、このように考えております。

 つまり、技術的には防御できる体制を着々と構築しているわけでございますが、ただ一方、このハイテク犯罪に関する罰則や捜査の手続の整備につきましては、インターネットの性格上、これはまさに国境を越える国際的な犯罪ということになるわけでございますので、国際的な動向を見きわめながら、国際的にハーモナイズされた法整備、また捜査手続を定める必要があるというところから、現在、欧州評議会におきまして、総合的なコンピューター犯罪対策を内容とするサイバー犯罪対策条約の起草作業が行われております。

 また、G8リヨン・グループにおきまして、ハイテク犯罪の犯人を特定するための捜査手法、産業界との協力のあり方について検討作業が行われているところでございます。そうした作業を見きわめていく中で、やはりある程度の時間がかかるのではないか、このように思っております。

河野(太)委員 長々と御説明をいただきましたが、少し前倒しで、もう少ししっかりサイバーテロ対策をやらないと、非常に世の中不安ではないか。特に、ただファイアウオールを立てなかったところをハッカーにねらわれただけのホームページの改ざん事件をサイバーテロと言って騒いだ役所が幾つもあるわけですから、この分野におきましては、もう少しきちっとした対策をしていただきたいと思います。

 もう一つ、政府の基本方針の中に、民間の自由かつ公正な競争を促進する、そういうことが大々的にうたわれております。ところが、本当に言っていることとやっていることが合っているのかと思われることが幾つもございます。

 一つ例を申し上げますと、公安調査庁が平成十二年十一月三十日付の入札公告に基づいて実施した、納入期限を平成十三年二月一日とするノート型パーソナルコンピューター四百六十七台の入札というのがございました。ところが、この入札の仕様を見ておりますと、そこに指定されているソフトウエアが、正規流通をしているバージョンのものと比べ極めて古い。実際に市場で入手することができないソフトウエアが仕様に載っており、これでなければだめだということになっております。この入札に参加しようとした者の中で、この古いソフトウエアを入手することができずに入札を断念した、そういう事例がございます。

 実際は随意契約と似たようなことになってしまう、要するに、スペックで縛りをかけて随意契約のようなものにしてしまうというのが、これ以外にも、プリンターその他OA機器でも幾つもあるわけでございまして、政府みずからこういうことをやっていると、自由かつ公正な競争の促進にならないのではないかと思います。

 各省庁の入札に当たって、スペックの特殊性があればこれを排除することができるような、あるいは入札参加者が匿名で異議申し立てできるようなチェック機構が必要なのではないかと思いますが、いかがお考えでございましょうか。

小川政府参考人 我が国の政府調達協定と累次の対外交渉を踏まえまして、現在、我が国の政府調達手続におきましては、内外無差別、公正性、透明性、競争性を確保するために、予定価格が八十万SDR、現在価格で一億三千万でございますけれども、物品・サービスの調達につきまして、一定の場合、入札参加者が、仕様を作成する前に、参考となります資料や意見を提出することができるようになっております。

 また、作成された仕様書の案に対して意見を申し述べることも可能となってございます。

 また、御指摘の異議申し立てでございますけれども、必ずしも異議申し立てという言葉を使っておりませんし、匿名ではございませんが、現在、千七百万、十万SDRでございますけれども、これ以上の物品とサービスの調達におきまして、入札参加者が特定の事業者を利するような、仕様が中立的でない場合など、政府調達協定や自主的な我が国の措置に反する形で調達が行われたと判断する場合には、苦情を申し立てることができる苦情申し立て制度というのが整備されているところでございます。

 私どもといたしましては、我が国の政府調達におきましては、手続の公正を期しまして、機会均等、経済性を確保することが重要であると考えております。仕様の作成を含め、公正性、透明性、競争性がより確保された手続で行われますよう引き続き努力をしたいと思っております。

河野(太)委員 そうしたことが行われても、現にこうした入札が行われたわけでございまして、ざるであると言わざるを得ないと思います。再びこういうことがあれば、もう一度質問させていただくか、あるいは質問主意書の提出をさせていただきたいと思います。

 時間がありませんが、もう一つぐらいできるかと思います。

 先ほど料金の話が小坂副大臣の方からございました。インターネットアクセスの提供に関しまして、バックボーンとなる基幹回線の料金の引き下げというのが、最終的に個人が安くアクセスすることに対して非常に必要なことだと思いますが、この分野の価格低減及び高速化につながる競争促進に関しまして、政府はどのようなことをこれからやっていくおつもりがあるのか、あるいはどういうことが問題だと認識されているのか、お伺いしたいと思います。

小坂副大臣 手短に答えさせていただきたいと思います。

 インターネットのスピード、プロバイダーとお客様の間のスピードは、そのバックボーンのスピードに依存してまいりますので、スピードを上げるためにはバックボーンをどんどん更新していくことが必要でございます。

 バックボーンとして使われるものは、東西NTTの専用線、高速デジタルサービスでございますが、これを使う場合、あるいは光回線を使う場合等ございますが、まず、東西NTTのバックボーン、専用線につきましては、この一月に、キャリアズレートといいますか、卸の、インターネットの事業者向けの料金を認可いたしまして、一般料金に比べまして最大で二四・三%の割引が行われるということで、これは販売活動とか商品広告の経費が要りませんので、こういったことが可能になってまいったわけですが、こういったものを導入をいたしております。

 また、光ファイバーを使う場合には、これは丸ごと借りるような形、いわゆるダークファイバーの利用を可能とするように、光ファイバーのアンバンドル化、すなわち開放を、来る四月の六日に制度化いたしまして、省令の公布、施行を行います。これによって促進をされてまいると思います。この低廉化の環境づくりを実施しまして、一層の競争促進に努めたいと思っております。

 また、今後とも、東西NTT以外の電気通信事業者によりますバックボーン料金につきましても、線路敷設円滑化のためのルールをつくりまして、より引きやすい環境づくり、また、電力会社や自治体が余剰の光ファイバーを通信事業に提供し得るような卸電気通信役務制度の創設を今お願いいたしております。このような積極的な競争促進を図ることによりまして、低廉化を進めてまいる所存でございます。

河野(太)委員 ありがとうございました。以上で終わらせていただきます。

御法川委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。よろしくお願いいたします。

 本日、実は、インターネットを普及するためにはセキュリティーの問題が必要であるということで、暗号の質問をしようかと思いました。しかし、その前に、いわゆるECHELONの問題がありますので、その問題を通告いたしましたところ、どうも発言者が決まらないということでありまして、さらには、質問されてみても、事実関係がよくわからないからということでおしまいになってしまうだろう、こういうふうに言われたものですから、そんなばかなことがあるかと思いまして、順番を変えて、質問方針の後に、ECHELONの問題から入りたいと思います。

 両法案は、IT基本法を受けて決定されたIT国家戦略としてのe―Japan戦略に基づいて提出されているわけです。しかし、e―Japan戦略の中では、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成とか、あるいは米国を上回る高度なIT技術者、研究者を確保するというように、一部アメリカを意識した表現もありますが、全体としては対アメリカの戦略がないと感じますので、その観点から質問をいたします。

 本来なら光ファイバーから入ろうと思ったのですが、ECHELONの問題をちょっとお尋ねいたします。

 これを調べてまいりますと、最後はCIAにぶつかってくるということがわかりまして、機構図といいますか、系列図というのをしばらく私がしゃべりますので、眠い方は寝ていてください。お話をしようと思うのです。

 アメリカには、AICという米国情報機関共同体、これが十三機関あります。この十三機関も後で出てきますので、言うことにしましょう。一つはNSAと言われている国家安全保障局、次がDIA、国防情報局、NRO、国家偵察局、AIA、空軍情報局、ISC、情報保安司令室、DARO、国防空輸部隊偵察局、CIO、中央イメージ局、OIS、財務省情報支援部、ONI、海軍情報局、BIN、国務省情報部、OEI、エネルギー省情報部、NSD、FBI国家保安部という十三局がありまして、これを一括するのは、大統領の直接任命によるCIAの長官でございます。

 この中でNSAというところが問題になってきまして、ECHELONというのは何かといいますと、これは軍事用語で梯団という意味で、今言われているのは、いわゆる全世界通信傍受システムということで、昨年はヨーロッパで、議会でも取り上げる問題になっているのですが、日本ではどうもそうではないようです。

 このECHELONはどういう国が構成しているかというと、アメリカ、イギリス、カナダ、豪州、ニュージーランド。これ以外も入っているという説もありますが、とりあえずそういう構成でございます。

 これ自体がどのようになっているかというと、アメリカの国家安全保障局、先ほど言いましたNSA、ナショナル・セキュリティー・エージェンシーを中心とする通信監視システムで、CIAの二倍以上の職員がいるわけです。

 では、このECHELONはどんなことができるのかということなんですが、すべてECHELONは集められるし、集めている、何もかもすべてを聞いているというんですね。NSAは九五年の段階で一分間に二百万の通信を選別する能力があるというのですよ。

 どんなことができるかといえば、タクシー無線、警察無線、モニターカメラ、モールス信号、電話、ファクス、Eメール、ポケベル。元ECHELONのスパイのマイク・フロストという方、元カナダ軍の中佐で、九〇年まで元カナダ通信保全機構にいた方が、いろいろなところで発言をしているのです。

 例えば、ポケベルの場合だとどういうことになるかというと、ポケベルのすべてのメッセージを傍受して、キーワードを含むメッセージを選別する。選ばれたポケベルの番号は登録され、継続して監視をするというんですね。どんなことが起こるかというと、監視されている人が爆発という言葉を発信したとすると、ある日突然にパスポートが取れなくなるというようなことが起こるのだというのですね。

 どうやって全世界を通信傍受できるのかということなんですが、それは、スーパーコンピューターと世界のすべての通信を聞ける巨大アンテナとスパイ衛星のコントロール、特定の通信回線をねらうことによって、NSAが全世界通信傍受システムを実は実現したんだということなんです。

 では、そんな巨大なアンテナがあるのかということなんですが、これがあるのです。ECHELON最大の基地、イギリスのメンウイズヒルに巨大なパラボラアンテナが二十七基あります。巨大なゴルフボールのお化けのようなものです。全世界に十五カ所ぐらいあります。日本にもありまして、三沢基地に十七基、巨大なゴルフボールのお化けみたいなものがあるのです。

 三沢基地の場合には、セキュリティーヒルと呼ばれている山がありまして、九三年のレディーラブ計画というアメリカの計画のころから巨大ボールができ始めた。ところが、それ自体がすぐにECHELONなのかというのはわからないわけですね。

 では、どうして三沢基地がECHELON基地なんだと言えるのかということですが、それは、アメリカの情報公開法で二〇〇〇年三月に秘密解除された公文書、アメリカ空軍情報局、先ほど言いましたAIA、エア・インテリジェンス・エージェンシーの秘密だった文書が解除されたので、その中に、……とありまして、エシュロン・ユニッツ……となりまして、ミサワ、AドットB、と出てくるからなんだそうです。これを米軍基地を監視するNGOの代表のリンディス・パーシーという方が見つけたのでしょうか、あるいは見つけたものを見つけたのでしょうか、そういうことのようでございまして、ECHELONの基地だと言われているわけです。

 では、ECHELONはどんなことをしているのか、あるいはしたと疑われているのか。これが大変なことになっております。

 九八年のドイツ。風力発電メーカーのエネルコンが、より安く効率的な風力発電技術を開発し、アメリカに乗り込んでいった、しかし、アメリカのライバル会社が既に類似の特許を取得していた。新技術を先取りされた事件だったのです。

 唯一この件なんですが、この件に関してはドイツのメディアがNSAの職員から証言をとるのに成功しているのです。結局、どういうことだったかといいますと、エネルコン社の研究開発部門と製造部門の間のマイクロ波を使った電話回線がECHELONに盗聴されたということが証言からわかったのです。

 では、九〇年の日本。この九〇年が重要なんですが、NECが先行していたインドネシア政府調達の通信機器商戦が、先行していたにもかかわらず、突然に白熱し始めた。何でかというと、ブッシュがスハルトにプッシュをしまして、結局、アメリカのAT&Tが契約の五〇%を獲得したのです。

 このころ、当然、おかしいなと思うわけです。ECHELONが疑われました。なぜなのかというと、この九〇年という年は、CIAが、今後は日本とヨーロッパの経済情報をとると言い始めたのです、宣言したのです、新聞にも載ったのです。さらに、元カナダの通信保全機構にいたというフレッド・ストックという人が、九〇年の終わりごろからドイツ、ヨーロッパ、日本は新たなアメリカの敵になったのだと証言をしているのですね。まさに符合することなんです。しかし、確たる証拠は日本の場合にはないのです。

 では、その他にこういう問題が起こらなかったのかというと、実は起こっているのですね。

 サウジアラビアの旅客機商戦で、エアバス、これはヨーロッパです、VSボーイング、これはアメリカです。それから、アマゾン熱帯雨林監視システム商戦。このときにも、トムスン、フランスです、それに対するレイセオン、アメリカです。それからもう一つ、九五年の日米の自動車交渉の場合には、日本の新聞にも、十一月十五日ニューヨークタイムズが、日本側交渉団を盗聴と報道したわけですが、それは有名なことで、これ自体はECHELONを使うこともないようなただの盗聴だと思いますが、問題になっているわけです。

 これだけならただの事件なんですが、私が憤慨をしているのは、ヨーロッパではいろいろな議会が反応をしているのです。

 各国の反応はどうかという点なんですが、九九年EU議会、ECHELONに関する詳細な報告書を提出しているのですよ。インターセプションキャパビリティーズ二〇〇〇、盗聴能力二〇〇〇という報告書が出ている。

 日本は一体どうなっているのですか、質問にも答えられないというのですから。

 それで、フランスではどうなっているか。法務大臣エリザベート・ギゴウという方が、法務大臣みずからECHELONに反応しまして、ECHELONは経済スパイや競争相手の監視に使われているようだ、よって我々としても特別な警戒を必要とすると発言をしているのです。私はうちの立派な総務大臣に発言をしていただきたくて質問をしているのですが、余談でございます。フランスの国民議会議員ジョルジュ・サール氏は、かつてのローマ帝国のようにアメリカ帝国があると発言をしている。

 では、ドイツではどうかというと、これは経済関係の方ですが、経済安全協会会長ウォルフガング・ホフマン氏は、産業界は経済スパイによって失われる被害は七千五百億円とも一兆円とも言われる、米軍バート・アイブリング基地の存在を許していることに不満であると表明しているのですね。

 では、当のアメリカではどうなっているか。アメリカでも、実は動きがあるのですね。アメリカでは、共和党の下院議員ボブ・バーという人が、対外諜報活動との名目で非合法な米国民の情報収集が行われていると追及をしているのです。それに対しては、当然反論があるわけでございまして、二〇〇〇年四月十二日、アメリカの下院諜報特別委員会公聴会にNSAの長官のマイケル・ヘイデンさんが呼ばれました。そのときに反論をしておりまして、無差別な通信の傍受や処理は国防のために必要ありませんと答えているのですね。

 では、何で世界じゅうにパラボラアンテナがあるのかということになるのですが、先ほど申し上げたNSAの上に実はCIAがいまして、必ずしも生活情報ばかりをとっておるわけじゃありません。軍事もとるし、さまざまな情報をとる。先ほどの諜報関係の十三の機関がすべて、総動員で、戦争にもあるいは商戦にも手出しをしてくるというのがアメリカなんです。

 この問題の最後になりますが、では、その他にどんな発言がなされているかを参考に申し上げます。

 サッチャー首相は閣僚二人が反対派に回ったと疑った、イギリス諜報機関はカナダに二人の大臣の盗聴を依頼した、サッチャーはおのれの利益のためにECHELONを使った、先ほど出てきたマイク・フロストという方が言っているのです。これはうなずけるのですね。なぜかといいますと、ECHELON機構に入っている国は、通常スーパーコンピューターのことをディクショナリーと言うそうです。注文を出せば答えが返ってくる、そういう権利があるそうです。だから、この証言もあり得るということでございまして、ヨーロッパではあったんだと考えられているわけです。

 次に、プライバシー保護団体EPICで仕事をしている元NSA職員ウエイン・マドソン氏、この方は元NSAの職員でそういうのをやっていたのですね。だから逆に、プライバシーの保護団体に入っているのですね。その方がこう言っているのです。ダイアナ妃もマザー・テレサも、マザー・テレサを支援した慈善団体も、ローマ法王もダライ・ラマも皆ECHELONの標的だったと発言している。特にダイアナ妃については、彼女の国際的な地雷廃絶に向けた行動がアメリカの国策に反していたため、千五百ページにわたるファイルがあると語っている。こんなことがあるから、ダイアナ妃が暗殺されたのではないかというような説がなくならないのです。

 これが今までわかっているECHELONの実態だと思うのですが、今後、こういう問題にどのように取り組んでいただけるのか、取り組まなければならないのか、御答弁をいただきたくて発言をしているのです。そうでないと、セキュリティーの、暗号の問題をお話しするのがばかばかしくなってきますので、ひとつお願いいたします。

小坂副大臣 大出議員の御指摘によりますECHELONの件でございますが、昨年の四月、朝日新聞、毎日新聞等で報道されまして、私どももそういった新聞報道の内容から、ただいま委員が御指摘になりましたようなレベルの情報を把握はいたしておるわけでございますが、あくまでも報道から把握をしているわけでございまして、これについて外交チャネル等を通じて確認をするという作業ができません。

 したがって、今委員の御指摘のような点について、内閣としてどこが担当かということについては、きょうの御質問の段階ではなかなか決まらなかったということで、その中で総務省が情報通信関係のものであるし、これは通信に関連するものなので総務省で答弁をしようということで、とりあえず設定をさせていただきました。

 そういうことで答弁をさせていただくわけでございますが、もし必要があれば情報通信政策局長の方からもまた答弁をさせていただきますが、あくまでも、委員が御指摘になりましたことは報道の上から言われていることで、事実関係が相互に確認をされて成り立っている情報ではないわけですね。また、委員が御指摘になりましたいろいろな事故等の件につきましても、それは一つの説として指摘をされている部分もあります。そういった点を踏まえまして、今後とも、私どもも情報を確認するような作業を続けていきたいと思いますが、本日、ここの場におきましては、ただいま委員から御指摘もいただきましたことで、問題の認識をさせていただいていますということで、答弁にさせていただきたいと存じます。

大出委員 今後、ECHELONの問題、当然、事実としてあるんだとすると、とてもまともな議論ができなくなってしまいますので、それを踏まえて、今後も、ECHELONの本当のところをきわめていくといいますか、実態を調べていただきたいと思います。

 それで、本当は光ファイバーとインターネットの議論をやりたいということでありました。ですが、時間がなくなりますので、インターネットと光というのは、目的と手段といいますか、そういったものだと思います。それで、光をやってきたからインターネットがおくれたのかという議論もありますが、最近になって、必ずしもそうではない、光をやっていて、結局、両方やらなきゃならないんだから同じことだということを言い始めています。

 ただ、明確に違うことがありまして、アメリカはインターネットに途中シフトをしたんですね。日本との違いというのは何かといいますと、明確な意思を持ってアメリカはシフトしているんです。ところが、日本は、明確な意思を持って光ファイバーをやってきていたのはNTTだけなんです。NTTに対しては、接続料金の問題でも、ノーと言えばいいものをノーと言わなかったりする。どこか間違っているんじゃないかと私は思いますし、非対称規制の問題もそうですが、きょうはここでは質問しませんけれども、もっとしっかりした明確な国益を考えた対応をしてほしいと思っているんです。

 では、アメリカは何でインターネットにシフトをしたのかというと、もともと光でなければだめだと考えていたのは核戦争を想定しているからですね。すべてがだめになってしまって電磁波もおかしくなるということで、ところが、途中から核戦争はないなと考え始めたんです。だから、ではインターネットを先に普及させよう、こう考えたんですね。明確な意思を持ってシフトをしてきているというところが日本との違いでございまして、日本は明確な意思を持って行っていくべきだと考えております。

 そこで、光ファイバーのことについてひとつ特許庁の方に質問させていただきます。

 八七年十月に、光ファイバーの製法特許をめぐりまして、特許の均等法、均等法といいますが、これは判例法のようでございますが、違反で、住友電工USAが訴えられました。アメリカのコーニング社が最初に特許を取っていまして、しかしながら、その後、住友電工もNTTの研究所と協力して、コーニング社とは製法が違う方法で光ファイバーを製造する特許を実は取っていたんです。ところが、八五年の一月にレーガン政権のときに、産業競争力に関する大統領顧問委員会というのができまして、その委員長にジョン・ヤングさんという方が就任をしました。その方がヤング・レポートという、特許制度を改正しましょうというようなレポートを打ち出したんですね。これは、要するに、つくり方が違っていても両者を均等だとみなすということのようでございまして、私はよくわからないところがありますが、二千五百万ドル、実は住友電工はとられてしまったんですね。このときに、私はずるいアメリカの一面だと思うんですが、どうもアメリカは身勝手なことばかりしているのではないかと実は思っているところがあります。

 今ハーモナイゼーションというようなことが言われているときに、特許庁のお考えをお聞きしたいと思います。

藤田政府参考人 先生から今、御指摘がございましたコーニング社と住友電工の事件でございますが、アメリカにおきましては、均等論ということで、特許の権利の範囲につきましては、同一の機能あるいは作用を生ずる製品を容易に思いつく代替手段を用いてつくった場合には、侵害に当たるという判断でございます。これは特許制度の問題ではなくて、特許侵害訴訟における司法の判断、裁判所の方の判断ということでございまして、必ずしも特許制度及び特許行政判断の相違によるものではないわけでございます。特にアメリカにおきましては、特許権利者の権利を強く守るということから、八〇年代から均等論の適用がなされているところでございます。これの均等論の適用はまさに司法の判断であるわけでございますけれども、日本においても実は、九八年の二月でございますが、ボールスプライン判決ということで、初めて最高裁が均等論の適用を認めるという判決をしております。

 特許制度及びその運用が国際的に調和を図っていくべきであるということは、まさに先生の御指摘のとおりでございまして、特にアメリカの場合は、各国が先願主義を採用している中、アメリカだけが先発明主義を採用している国でございます。あるいは、アメリカの場合には早期公開制度というものがございませんので、出願から長期間公開されないまま潜伏して、あるときに浮上をして特許が成立するというようなサブマリン特許という問題がございます。

 こうした問題がございますので、日米間において二国間交渉あるいは多国間の交渉の場で、特許制度の国際調和に向けた働きかけを行ってきているところでございまして、そういう意味で、九九年の十一月、アメリカの特許法改正がなされまして、アメリカにおいても部分的に早期公開制度を導入するといったことがなされております。

 今後とも、あらゆる場をとらえまして、特許制度の国際的な調和に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

大出委員 ぜひお願いしたいと思います。

 先ほどECHELONの方を先にやりましたが、セキュリティーに重要であるのは、暗号制度というのがやはり重要であろうと思っております。

 なかなか紛らわしいんですが、アメリカではAES、さっきはちょっと違ったものですが、アドバンスト・エンクリプション・スタンダードというのですか、AESという計画で、政府が二〇〇一年から使う予定の高度暗号システムに公募いたしまして、日本のNTTも参加をしたらしいんですが、公募の中からベルギーのラインドール方式が採用されたというわけなんです。

 ではNTTはどうしたかというと、一次審査で落ちたということなんですね。日本でいろいろな、民間でも、NTTも含めそこらじゅうでさまざまな会社で暗号技術の研究をやっていると思うんですが、落ちたというのは日本の技術が暗号技術として劣っているのかどうか、その辺の認識をひとつお伺いをしたいと思います。

小坂副大臣 暗号化の技術につきましてでございますが、ただいま御指摘のAESの採用をいたしましたのは、あくまでも米国政府の標準方式でございます。AESという次世代の政府標準暗号の募集を行いました米国商務省の標準技術局、NISTと申しますが、こちらの方が今回、作業をいたしたわけでございますが、これに、我が方からはNTTが提案したE2方式というものがございました。これは、次世代の米国政府標準暗号の応募の中、二十一方式が応募しました、そのうち十五方式が残ったわけでございますが、その十五方式の中には残ったわけでございます。しかし、その後、いろいろな評価の基準があったと思いますが、これは米国側のことなので詳細な評価基準はわかりませんが、その中で、米国あるいは英国が提案した方式とともに対象外になってしまって、最終的に御指摘のラインドールというベルギーの方式が採用されることになったというふうに了解をいたしております。

 しかしながら、次世代の携帯電話でありますIMT二〇〇〇に採用されております暗号方式はKASUMIという方式でございまして、これは日本の企業が考案をいたしました暗号方式でございまして、これがベースになっております。そういう意味から、日本の暗号技術がそういう比較において劣っているという認識は持っておりません。

 また、米国標準のものが全世界の標準になってしまったらすべてアメリカが握ってしまうんではないかという御懸念もあわせてお持ちかと思うんですが、そういったことにつきましても、暗号かぎというのは、方式そのものは公開されておるわけですね。しかし、かぎ自身を解読するということでございますが、隠された方式で、簡単にわかってしまうというようなものであれば、これは評価の時点で落ちてしまいますので、かぎ自体を解読されない限り、たとえ米国標準の方式が全体に広がりましても、その暗号性というものは維持される。また、それをいろいろな方法で、スーパーコンピューター等で解読する場合に大変な年月がかかるということが暗号の特徴でございます。そういった方式をみんなで評価した上で採用していくということになりますので、そういった懸念もないというふうに理解をいたしております。

大出委員 質問をしていないことまで答えていただきまして、この後の規制緩和絡みの話に入りますと時間がなくなりますので、暗号の問題でとどめておくことにします。

 今そうおっしゃいますが、一番最初にECHELONの話でもしているように、ありとあらゆる手だてを尽くすわけですね、アメリカというところは。もしかぎを持っていれば、あるいは、暗号をつくること自体が、売りに出すときというのは必ず解読法を持って出すものでしょう。その意味では、今の御答弁だけではなかなか大変なんではないかと実は思っているところがあります。

 ということを申し上げまして、時間ですので、質問をやめます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、田並胤明君。

田並委員 おはようございます。

 それでは、今、議題になっております融合技術の法案と、基盤充実法の期限延長の関係の法律について質問をいたします。この二つの法律とも通信・放送機構に関係をしております。総務省のいわゆる認可法人ということですが、この問題について、まず共通の問題としてお伺いをしたいと思っています。

 まず第一点は、この通信・放送機構の本来業務といいましょうか、通信・放送機構法に定める業務というのは、衛星管制業務であるとか衛星所有業務、受信対策業務、研究開発業務が本来の機構の仕事だろうと思うんです。その後、平成二年以降、他の法律で定める業務ということで、開発法を初めとして既に十一の法律に基づいて機構が仕事をやっている、特例業務として。今度、新しくまた通信・放送融合技術法が入りますと、十二の法律に基づく通信・放送機構の仕事になる、こういうことになります。

 そこで、本来業務よりも特例の業務が拡大をしてきている状態について、これまで、この機構がやってきた仕事に対して、費用対効果という面で機構が十分その責任を果たしているのかどうか、こういうことについて検査といいましょうか、総務省として、従来は郵政省でしたが、そういうことをやったことがあるのかどうか。実際の調査をした結果によって、この十一の特例業務のうち、もうその役割を終えた仕事というのはないんだろうか。これらも含めて、もしそういう調査をしたことがあるとすれば、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。

片山国務大臣 今、田並委員から御指摘がありましたが、通信・放送機構というのは、委員も言われておりましたように、衛星の管制業務、通信・放送分野の研究開発業務を本来の役割としてできた認可法人でございます。その後、いろいろな法律、特例法で業務を追加していっているんですね。

 いろいろな事情がそれぞれあったと思いますけれども、旧郵政省関係の、郵政省の外で郵政省の業務と連携をしてやるような法人が適当なものがなかったということがあったと私は思います。ここが便利なものですから、これに業務をふやしていったようなあれはあると思いますが、今、委員御指摘のように、やはり、費用対効果等をきっちり検証する、全体、今までの成果も検証して、どうあるかということは考えた方がいいと私は思いますね。旧郵政省も総務省になったことでありますから、本来業務を含めてぜひ見直し、検討をいたしたい。今までいろいろな審議会での御指摘があって、費用対効果等の検討もしたことがあるようですけれども、それをもってどうこうということは今までは実はなかった、こういうことでございます。

田並委員 ぜひ今言ったような費用対効果の検証というものは行わなくちゃいけないと思うのです。

 私が調査室からいろいろいただいた資料によると、例えば特定通信・放送開発事業実施円滑化法、平成二年に法律が制定をされて機構の方に仕事が委託をされた内容なんですが、これを見ると、例えば債務保証は、平成三年度十五億、それから平成八年度に一億円、あとは全然なし、こういう結果です。さらに、助成金の交付についても、平成二年度からずっと見てまいりますと、助成金交付はずっとゼロなんですね、予算も決算も。利子補給が細々と、平成十一年度までの資料なんですが、予算が三千四百万で、決算が八百万円、こういう状態なんです。

 これをずっと見ていきますと、十一ある中で、実際にこの法律は必要ないんではないかというようなものもあります。例えば、放送番組素材法、これなんかを見ると、平成六年度に予算が四億、しかし、実際に決算はゼロ。平成七年度に同じく四億円の予算を組んで、決算が四億。それ以降はすべてゼロ、ゼロ、ゼロです。さらに、受信番組法。これは平成七年に法律として制定をされて機構に委託をされた内容ですが、これも債務保証が平成七年度に四千六百万あって、あと出資が、平成七年度、三億の予算に対して決算がゼロ。平成八年度が、三億に対して決算が三億。以降はゼロ。こういう内容になっているんですね、特例法に係る業務の予算と決算の調査室の資料によりますと。

 これは、通信・放送機構を維持するためにと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、衛星の管制というのは非常に重要なことですし、管制も必要ですから、こういう本来業務はやるにしても、それ以外の仕事というのは、先ほどの大臣の答弁ですと、何かどうも便利に機構を使っちゃったようだ、こういうお話ですから、あるいはそういうふうにとられると思いますが、何かこの機構を残すためにどんどん押しつけていったという気がするんですよ。

 ですから、昨年の十二月の一日の閣議決定の行政改革大綱とか昨年の暮れに出された行革新方針、こういうものから考えてみても、ちょっと肥大化を、肥大化というんじゃない、実際には事業が余りないんだけれども、法律によってこういう仕事をやりなさいよという格好でつけている、こういう気がしてならないのです。先ほど言った行革大綱でも、二〇〇一年度中に全法人の事業と組織形態の見直し、廃止、整理統合、民営化、独立行政法人などへの方向性を示す、このようになっていると思うのですね。

 したがって、とにかく不必要なものについては整理統合していくという方針を総務省としても持たなけりゃいけないと思うのです。これは、通信・放送機構だけに限らずに、総務省が持っている認可法人等についても恐らく見直しの対象になるんだと思うのですが、とりあえず通信・放送機構のこれからの対応について、大臣はどのように考えていらっしゃるのか、ゼロベースから見直すというのが新方針になっていますので、これも含めて大臣の所見をお伺いしたい。

片山国務大臣 委員言われますように、私も先ほど便利と言いましたけれども、ある業務があってそのために別の法人をつくるというのも大変だというので、とりあえず類似の業務をやっている通信・放送機構にやらせようか、こういうところは確かにあったと思うんですね。この機構を残すためというよりも、そういう考え方から業務を追加していったと私は思いますけれども、急激に変革するIT時代で、新しい時代ですから、やはりここはこの機構のあり方を抜本的に見直す、不必要なものは整理してやめる、こういうことを含めてしっかりと検討いたしたい。

 これも田並委員が言われましたように、行革大綱で全法人の事業と組織形態を見直す、どうするんだ、指針をつくれ、こういうことでございますから、私もその趣旨を体して、この機構の今後のあり方についてしっかりとした検討をいたしたい、こういうふうに思っております。

田並委員 ぜひひとつそういう方向で、全力を挙げて、特殊法人の見直し等の一環として放送機構の業務の見直しとか、とにかく国民の皆さんが見て、これはよくやっているという評価を受けられるような機構にしていただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。

 次に、今度、放送融合技術の法案の関係について幾つかお聞きをしたいんです。

 その第一点目は、通信・放送融合の技術の開発を行う者に対して支援を行う理由として、これも総務調査室の資料なんですが、この中で、通信と放送の融合への技術面での対応について、我が国の研究開発費の政府負担率が欧米に比較をして低い。これは九八年度の資料をもらったんですが、これによりますと、我が国の研究開発費の政府負担率が二〇%強なんですが、これに比較をして、米英が三〇%、ドイツが三五%、フランスが四〇%になっている。したがって、これからの高度情報通信社会を構築するためにはもう少し政府負担率が、開発負担率が高まらないといけないんじゃないか、こういう資料でございます。

 それと同時に、重要なことは、従来、情報通信分野の研究開発に重要な役割を果たしてきたNTTの研究開発費や研究員が減少していると。これも、この資料によると、どうも料金の競争が始まってからがくっとNTTは研究開発要員を減らしているようですね。

 というのは、平成八年度までは開発部門の要員が八千五百人、そして研究部門の要員が三千百人、合計一万一千六百人、NTTとしての研究開発部門に従事をしておった人がいるわけです。ところが、平成九年になりますと、開発部門の八千五百人が五千人になるわけであります。三千五百人、ここで減らされています。

 さらに、研究開発費の推移を見ても、平成八年までは三千億円の研究開発費を持っていたわけです。ところが、九年、十年になりますと、九年が三千億から二千五百億円に減少する、平成十年度はさらに二千二百億円になる、こういう状態なんですね。

 これは、結果的には、電気通信の値下げ競争というのでしょうか、これらも始まった経過の一つとして、こういう原因があるのではないだろうかと思うんです。

 その部分を何か、法律の説明によると、欧米の負担率に比較をして日本の研究開発の政府負担率が低い、それと、NTTの研究開発の要員、予算が減ったことによってますます政府の役割が重くなってきた、こういう言い方が書いてあるわけですね。要するに、政府がその部分をかぶらなくちゃいけないんじゃないかという、説明資料を見ると、私の誤解がなければそういう解釈ができるんです。

 しかし、この間、松下電器の情報通信の関連の施設を委員会として視察させてもらいました。そのときに、松下電器の方が話をするには、うちの方の荒井さんの質問だったと思うんですが、研究開発費にどのくらいかけているのですかと聞きましたら、松下電器だけで年間五千億、要員が三万人、こういうびっくりするような数字を松下電器は示しました。

 ですから、例えば、この調査室の資料で、いい悪いは別として、欧米の政府負担率よりも低い、あるいはNTTの研究開発部門が下がってきた、したがって、その充実のためにこの法律をつくったんだというような解釈ができるような文言になりますと、私は、そうじゃなくて、民間で、これだけの研究開発費を松下だけでも持っているわけですから、政府が微々たる支援措置をしなくても、こういう部門で民間に任せられる部門というのはあるんじゃないだろうか。財政も厳しい折ですから、民間、頑張れというようなことで、あえて政府がこういう新しいものを設ける必要があるのかどうかという感じがいたします。

 そこで、来年度以降、ここに書いてあるような欧米並みまで政府負担率を引き上げるつもりがあるのか、また、NTTの研究開発の充実について、逆に、もうちょっと充実をしていただけませんかという要請をする考えがあるのかないのかということをお伺いしたいと思います。

小坂副大臣 委員も同じ認識に立っておられると思うわけでございますが、インターネットの高度化やあるいはインターネットと親和性の高いデジタル放送等の普及を図る、こういう面におきまして、通信と放送を融合させた利便性の高いサービスをつくっていくということが、その開発、普及のためにいろいろとみんなが努力をしていかなきゃいけないという認識は共有をさせていただいていると思うわけでございまして、そういう視点に立っての御指摘と思うわけです。

 先月二十九日に決定をされましたe―Japan重点計画におきましても、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成ということで、通信・放送の融合サービスの開発を促進するための研究開発が具体的な施策として盛り込まれ、また、そういった意味で今回のこの法案をお願いいたしているわけでございます。

 御指摘になりました負担率でございますが、この負担率は、各国のあるデータを横断的に比較する都合上、人文科学とか社会科学を含む研究開発費を全部合わせた数字でございますので、その意味で、これによる政府負担率をそのまま電気通信分野における負担率等と比較することはなかなかできないわけでございます。

 総務省といたしましては、今御指摘になりましたような大手の、日本を代表する研究開発にも大きな資金を投入していらっしゃる企業の皆さんの御努力に加えて、また、いろいろなアイデアをお持ちのベンチャー等の皆さんの研究開発も支援していきたい、こういう観点から、この予算につきましては、十四年度以降も、本法案に基づく予算措置といたしまして、拡充をしてそういった面も支援してまいりたい、このように考えております。

 また、御指摘のNTTを含めた民間企業のこの面における研究開発の投資につきましても、本法案の制定を契機として、この技術開発の促進に向けて取り組んでいただけるように、いろいろな助成措置にあわせて、精神面も含めてお願いをしていきたい、このように考えているところでございます。

田並委員 関連してちょっと聞きたいんですが、この通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律に基づく本年度の予算というのは、間違いがなければ二十一億、全体で二十一億五千万円になると思うんです。今、副大臣が言われた、通信と放送の融合の問題については非常に重要だからこれからもどんどんやっていくんだ、当然、それはいいと思うんです。

 そこで、聞きたいのは、我が国の場合は、通信と放送の融合技術の現状は今どうなっているんだろうか。それでさらに、それをどの程度まで発展させることによって、この法律の考えている目標、水準に到達するんだろうか。政府が考えている通信と放送の融合技術の水準とそれに到達する目標年次というのは、どの程度に考えていらっしゃるんだろうか。

 これから未来永劫だということじゃないと思うんです。ということは、先ほどの大臣の答弁にもありましたように、常に見直しをして、とにかくこの目的が終わったらやはりそれはもうやめていって、また新しいものが出れば新しいものでやっていくという、常に見直し見直しをしながらやっていかなくてはいけないと思うんです。

 基盤法の場合は、十年の期限が切れるのでさらに五年延ばす、こういうふうになっています。これは時限立法になっています。この場合は時限じゃないのですね。いつ終わるかわからない、そういう法律ですから、これはいつまでも続くのだといえばそれまでかもしれませんが、私はそうではないと思うのです。したがって、本法案は、一応の時限立法にするか、あるいは一定の期間が過ぎたならばそれを見直しするとか、そういうものが必要になってくるのではないだろうか、こういう気がいたしますので、御答弁をお願いいたします。

片山国務大臣 我々は、通信・放送の融合ということを技術的にしっかりやっていこう、こういうことでございまして、現段階ではまだ一部の民間企業が着手したという段階でございますが、今、田並委員、それではどういう水準で、目標年次はいつまでだ、こういうことでございますけれども、これはe―Japan戦略の中でも重点政策として掲げておりますし、我々としては、目標年次は二〇〇五年、水準は世界で最も高い水準を目指す、こういうことでございます。そのためにこの法律を活用してまいりたい、こう思っております。この技術開発は今後とも我々は続けていかなければならない、こういうことを考えておりますから、この法案は一応恒久的な法案と位置づけているところでございます。

田並委員 私は、要望として申し上げておきたいのですが、基盤法と同じように常に見直しをして、一定の水準、一応目標が達成したならば、後は民間に任せて頑張ってくれという形で、一定の時限的な法律にすべきだろう、こういう気がいたします。それはぜひひとつ御検討をお願いしたいと思います。

 次に、これも大臣にお伺いをしたいのですが、前回のNHKの予算を審議するときにいろいろ出ましたように、どうも放送と通信が融合するということになると、NHKが今やっている、これは、一回テレビで放映したものを便宜見せているんだという格好で、インターネットを引くと幾らかニュースが見られますが、あれが今大変怒られているようでございます。この技術が進んでいくと、当然、放送法の九条にあるNHKの業務、日本放送協会の業務についても、その時点で放送法の見直しをしなくてはいけないのではないだろうか、そういう気がするのですが、いかがなものでしょう。

片山国務大臣 先ほどの答弁で落としましたけれども、我々は、ある程度この通信・放送の融合技術が進んだら、それは民間にお任せして、さらに先駆的な高度なものに政府としては手を染めていくべきではなかろうか。そこは、民間との連携、分担を考えながらということでございますので、田並委員お考えの趣旨とはそうは違わないと思いますけれども、一応、時限か恒久かは法律のあり方としてなお十分検討させていただきたいと思います。

 それから、NHKの問題は、例のインターネット放送等でいろいろ御議論をいただいておりますけれども、私は、情報通信技術が発展して通信と放送の融合がさらに進んでくるという場合に、NHKにどのようなサービスを行わせていくべきかについては、国民が公共放送であるNHKにどういう役割を期待しているかということを十分踏まえながら、中長期的な観点から結論を出していきたい、検討していくことが必要ではなかろうか、こう思っておりまして、広く関係の方面の御議論を承りたい、こういうふうに思っております。

田並委員 通信と放送の融合が進んでまいりますと、当然、検討しなくてはならない課題になると思いますので、またその時点で改めて提起をしたいと思います。

 それでは次に、飛ばしまして、電気通信基盤充実臨時措置法の一部改正法案について、何点か聞きたいと思います。

 第一点は、先ほど大臣が答弁されましたように、この間決定されましたe―Japan戦略において、五年以内に超高速ネットワークインフラを整備する、あるいはIT技術者の育成の必要性が重点政策として決められたようでございます。

 そこで、この基盤法をさらに五年間延長するということなんですが、この中身は、特に光ファイバー網の整備促進の支援措置が中心になるのですが、この光ファイバー網の整備促進は、五年間で果たして遅くないのか。もちろん、五年の延長ですから、五年以内にやればいいというのではなくて、恐らくもっと早く対応するのだろうと私は思うのですね。三年以内にやるのか、あるいは四年以内になるのか、とにかく五年後にはe―Japan戦略に基づく超高速のネットワークインフラを整備するという方針が出ている以上は、それ以前に整備をしないといけないのではないだろうか、このように考えるのです。

 したがって、支援措置を五年かけて行うのでは遅いのではないだろうか。もっと早く前倒しでやる必要があるのではないか。ということになると、この基盤充実臨時措置法の一部改正案も、期限を五年ではなくて三年で切るということはできないのだろうか。わざわざ五年まで延ばすことはないのではないか。予算措置もあるでしょうけれども、そのくらいの決意がないと、どうもe―Japan戦略の目的になかなか到達しないような気がするものですから、その辺について一点お伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 e―Japan戦略なり今度のアクションプランにおきまして、二〇〇五年までにと、こう言っておりますのは、実は、超高速ネットワークは一千万世帯、それから高速ネットワークが三千万世帯、そもそも二〇〇五年までというのが、田並委員御承知のように、本当は二〇一〇年までだったのですね。それを、前倒ししようということで二〇〇五年にしたので、それはかなりきついな、こういうふうに私は個人的には思っております。

 そこで、今回の法律でも、光ファイバー網だけではなくて、DSLだとかケーブルテレビ、無線系だとかも全部支援対象に拡大するとか、あるいは、例えば過疎地域的なところに対する融資の利率を下げたり、いろいろな手当てを考えたわけでありますけれども、それでも二〇〇五年までにはかなりきついかな、こう思っております。それでも進まないところがあったら、公的支援も場合によっては検討する必要があるのかな、こう思っている段階でございまして、田並委員が言われた、二〇〇五年を前倒ししろと、全力を挙げますけれども、今なかなか前倒しという状況ではない、こういう認識をいたしておるので、御理解を賜りたいと思います。

田並委員 努力を期待いたします。

 もう時間ですので、最後の質問になりますが、やはり基盤充実法の中に、人材研修事業というのがございます。それで、新しい法改正によると、幾つか従来の法律よりも後退をしているのではないだろうかという部分があるような気がするのです。

 というのは、第二条定義の中の第八項の人材研修事業の中に、これまでは、第一号イの業務のほかに、ロとして、特定専門技術に従事する人たちの知識や技能向上を指導する、要するにリーダーですね、指導者を対象とした業務が人材研修事業の支援措置の中に含まれていました。それからもう一つは、同じく第二号の中に、特定専門技術に従事する人の、研究成果や技術の情報交換のための交流促進事業が実は含まれていました。

 この二つが、今回の措置法の一部改正案によりますと消えているのですが、その消えている理由と、人材研修事業として、これらは今後どうしようとするのか、これをお聞きしたいと思います。

高原政府参考人 今、先生御指摘のように、今回の人材研修事業の定義でございますが、第二条八項第一号イの研修業務というのが従来から中心になっておりましたけれども、今回、従来の一号ロの実践指導業務、それから二号の交流促進事業というものをこの人材研修事業の定義から外しております。したがって、支援対象からは外れておるということでございます。

 ただ、従来もこの二つの業務というのは、一号イの研修業務に付随するものでございまして、単独では支援の対象となっていなかったものでございます。現行法の支援が施設整備をメーンに支援するものであったために、その施設を利用する業務として付加的に今の二つの業務を定めておったものでございます。

 今回の改正というのは、より効果的に対象となる能力の向上を促進するために、人材研修事業の内容を研修業務に絞ったということでございます。その一方、研修を実施する者、今までみずから施設整備を行うことを必要要件としておりましたけれども、この要件を外した。これに伴って、従来その施設整備に伴う実践指導業務と交流促進事業というものを、施設整備に伴って規定しておりましたけれども、これも同時に外したということになっておるものでございます。

 以上でございます。

田並委員 以上で終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 きょうは、二法案についての質問なのですけれども、まず最初に、電気通信基盤充実臨時措置法の改正案について御質問をさせていただきたいと思います。

 昨年来、IT、ITという言葉がずっと言われ続けておりまして、森内閣になりましてからも、ITが一つの大きな柱となって、政策として位置づけられてまいりました。そのような中で、昨年はIT基本法もできましたし、また、それに基づきまして、一月に入りまして、国家戦略としてe―Japan戦略も取りまとめた後、このe―Japan戦略を具体的に推進するための重点計画も決定されてまいりました。ITといった言葉、言葉だけが先行してまいりましたけれども、ここに来てようやくその具体像が見えてきたかな、そういう気もするのです。

 このe―Japan戦略において、これは一般質疑でも質問させていただきましたけれども、世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成、要はスピードのある、いわゆる速く、容量のある、そういった情報の伝達ということだとは思うのですけれども、特に、光ファイバーを初め、ラストワンマイルというふうに言われております。この整備が特に、情報インフラ、情報通信インフラがまだまだ未整備の部分で、ここにどう重点的に力を入れていくか、これがまた重要な問題だと思います。

 そういった中で、NTTの方も光ファイバーの方をかなり意識しながらやってまいりましたし、その上で、高速通信サービスということで、DSL、また無線など、多様な高速インターネット技術というものがここに来て出現してきております。

 そして、IT国家をつくり上げるためには、光ファイバー、DSL、また無線、そういった高速インターネットの普及は、もうとにかく早くやらなければいけない、こういうふうにだれもが思っているわけです。今回、この法律において高速インターネットの普及のためにいかなる措置を講じていくのか、そこら辺のところをまず最初にお伺いしたいと思います。

金澤政府参考人 先生御指摘のとおり、我が国が世界最先端のIT国家となるためには、光ファイバー網などの高速ネットワークを早急に整備することが必要不可欠というふうに考えております。

 光ファイバー網につきましては、政府目標として、二〇〇五年の全国整備に向けまして、民間主導原則のもと、従来から電気通信基盤充実臨時措置法に基づきまして、超低利融資制度や税制優遇などの支援措置を講じてきたところでございます。

 今回の法律案におきましては、電気通信基盤法の廃止期限を五年間延長いたしますとともに、支援措置の継続を行うということでございます。さらに、平成十三年度予算の中で、超低利融資制度について、過疎地域等における加入者系光ファイバー網整備に対しましては、現行二%となっている下限金利を一・六%に引き下げたということでございます。

 さらに、e―Japan戦略におきまして、DSL、デジタル・サブスクライバー・ラインといいますが、デジタル加入者回線、FWA等の無線設備、それからケーブルインターネットといった高速インターネットについても、できるだけ早期に整備を図ることを目標としておりまして、今回の法案におきまして、光ファイバーと同様に超低利融資や税制優遇などの支援措置の対象として追加することとしたところでございます。

高木(陽)委員 今お話がございましたように、さまざまな支援という形でこのインフラ整備が行われていくと思うのですけれども、そういった中で、このラストワンマイルの問題は、放送通信サービスを統合的に提供する地域に密着したインフラでありますケーブルテレビ、これも結構重要な役割を担っていくのではないか、そのようにも考えています。

 ただ、このケーブルテレビの方も、その環境を見てみますと、昨年の十二月BSデジタル放送が開始されました。また、地上波もデジタル放送となっていく、こういう流れの中で、放送のデジタル化が進展する中で、ケーブルテレビのデジタル化というものも早急に進めていかなければならないと考えていますけれども、今回の基盤法の改正において、このケーブルテレビのデジタル化を進めるために具体的にどのような措置を講じられているのか、ここをお伺いしたいと思います。

鍋倉政府参考人 先生御指摘のとおり、ケーブルテレビのデジタル化というのは非常に重要なことでございまして、デジタル化をすれば、多チャンネルで高品質、高機能な放送サービスの提供が可能になるということがございます。それ以外に、今、先生も御指摘になりましたように、家庭や地域における総合的な密着した情報通信基盤として、これからケーブルテレビというのは一層大きな役割を果たすのではないかというふうに思っております。

 これも先生御指摘になりましたけれども、放送メディアの、衛星ですとか地上放送全体のデジタル化がございますので、ケーブルテレビというのは再送信のメディアとしても重要な特質を持っておりますから、そのデジタル化というものを促進することは非常に重要であるというふうに認識をいたしております。

 そういう認識のもとに、今回の改正では、ケーブルテレビのデジタル化に必要不可欠なデジタル放送用光伝送装置、いわゆるデジタルヘッドエンドと言っておりますけれども、これを新たに利子助成の対象としてつけ加えるという措置をしようというものでございます。

高木(陽)委員 今、通信インフラの整備ということでずっとお伺いしましたけれども、ハードの部分はこれで意識的にやっているのですけれども、ハードができても、問題はそのソフトの部分というか、技術の部分がどうなっていくのか、これも重要な問題だと思います。

 特に、通信インフラを運用する上で技術者などの育成を図るということも重要な問題だと思うのです。IT基本法、さらにはe―Japan戦略等にもIT技術者の育成をする、その必要性が明記されておりますけれども、この分野における人材研修事業への支援はすごく重要だと私自身も考えています。

 その上で、今回の改正において、人材研修事業への支援についての改正を行うとしていますけれども、その趣旨は何か、また、この改正によってどのような効果が期待できるのか、お伺いしたいと思います。

小坂副大臣 今回の改正によりまして、一つは、人材研修事業の定義を変更いたしました。現行法では、研修を行う者がみずからそのための施設整備を行わなければならないとしておったわけでございますが、これは、既存の設備を活用してもよろしいわけでございますので、そういった面で、既存の施設を利用すればよく、そのためにみずからが施設整備を行うことを要件から除外をいたしました。人材研修事業に対する支援措置につきましては、現行法では、施設の整備に関する出資を目的といたしておりましたけれども、今回の改正によりまして、機器の購入だとか講師の謝礼金、あるいは教材作成費等の研修実施に要する経費全般にわたっての助成措置を対象として組み入れまして、人材研修事業実施主体のニーズに柔軟に対応できるようにして、より多くの人材研修事業の実施を図り、また効果的な知識、技能の向上の実現が期待できるだろう、こういう趣旨でこの改正を行ったところでございます。

高木(陽)委員 結局、IT、ITといっても、最終的にそれを使いこなすのは人間なわけですから、そういった意味では、人材をどう確保し養成、育成していくかということ、これもまたしっかりとやっていただきたい、そのようにも考えております。

 続きまして、通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案、こちらの方を質問させていただきたいと思います。

 これも、最近ずっと言われ続けております、もう通信と放送の壁がなくなってきたと。その上において、今回の法案、特にデジタル放送とインターネットのコンテンツをあわせて利用できるようにするための技術、すなわち、通信・放送融合技術の開発の促進に向けた支援措置を講ずるもの、この法律案はそういうものだと思うのですが、この開発を国が支援する意義、必要性、民間でもできるのじゃないかなと思う反面、これをあえて国の方でやっていく、応援していくという考え方をお伺いしたいと思います。

小坂副大臣 従来は、基礎的な研究を国が支援してつくっていくというようなことが多かったわけでございますが、今回のものについては、実用段階における技術課題を解決するようなものについても支援をしていこう。これは、欧米においても、通信・放送融合という現象の中で、それを組み合わせた双方向サービスが積極的にいろいろな形で実現をされて、新しいサービスを生み出している。

 これに追いつけ、追い越せといいますか、それをリードする立場で日本はこれから頑張っていこうということでございますので、IT産業の国際競争力の強化を図る観点から、民間によります実用段階における技術課題の解決に向けた取り組みを、より一層加速して推進していく必要性がある。このような認識に立ちまして、世界をリードする新たな通信融合サービスを日本が主導する、この観点から今回のこの形で法案の提出をお願いし、そして、この法案の中におきましては、技術開発を行う者に対する助成を行う、そして、民間における技術開発のリスク負担を軽減するということが一つの目的。

 またもう一つは、開発された技術の有効性を実証するためのテストベッドの整備を行う。これは、実証実験をするためのテストベッドを整備するといっても、小さな規模でなくて大きな規模でやりますので、やはり国が支援をしていかなきゃいけない、こういうことで、この措置を講ずることといたしました。

 この法案の制定を契機といたしまして、民間の実用レベルの技術開発も一層なされまして、また普及が促進される、このように期待しているところでございます。

高木(陽)委員 続きまして、この法案の通信・放送融合技術の開発の促進を図るための基本的な方向等を明らかにする基本方針が定められて、広く一般に公表していくことと思いますけれども、これは、施策の意義だとか具体的内容を知らしめる、さらには通信・放送融合技術の開発のインセンティブを高める効果があると期待しています。

 そこで、本法案で規定されている基本方針には、具体的にどのような内容があるのか、また、どのような内容を定める予定なのか、これを聞きたいと思います。

小坂副大臣 手短に、現段階における具体的な方針について述べたいと思います。

 その第一は、通信・放送融合技術の開発に関する基本的な方向でございますが、これにつきましては、内外における通信・放送融合技術の動向を踏まえまして、デジタル放送で送信される情報をインターネットで送信される情報で補完するサービス、こういうようなものも考えられるわけですね。こういったものを初めといたしまして、今後実現すべき通信・放送融合サービスのあり方等を記述してまいりたい、このように思うわけでございます。

 また、通信・放送融合技術の内容に関する事項に関しましては、基本的な方向に示されたサービスを実現するために必要な技術開発の内容、例えば、デジタル放送によって送信される情報に同期してインターネットから情報をとってきて組み合わせるような技術とか、こういったものを想定いたしております。

 また、通信・放送機構が整備する通信・放送融合技術の開発システムの内容に関する事項といたしましては、技術の有効性を実証するために通信・放送融合技術の開発を行う者の共用に供されるテストベッドの具体的な設備の内容等、こういったものを具体的に記述していきたい。

 また、その他通信・放送融合技術の開発の促進に関する重要事項としては、すべての国民が通信・放送融合技術の利便を享受し得る観点から、通信・放送融合技術の開発に当たり考慮すべき事項といたしまして、例えば障害者や高齢者にも優しいインターフェース、人間と機器とのインターフェースを考えるとか、こういったことを内容とするようにしております。

 また、この基本方針を公表することによりまして、本法案の支援対象とする通信・放送融合技術に関する基本的な方向等につきまして、通信・放送融合技術の開発を行う者に広く周知をしまして、民間における技術開発のインセンティブを高めることを期待いたしているところでございます。

高木(陽)委員 時間も限られておりますので、最後になりますが、通信と放送が融合される、これによってさまざまなサービスが提供されてくると思うのですね。

 要は、使う側、国民の側はどんどん便利になる。また、それによって便利だけではなくて、生活が豊かになる。いろいろなことがあると思うのですけれども、サービスのさまざまな展開によって、今、景気もずっと低迷していて、ITという問題でかなり突破口を開きたい、こういう思いもあるわけですけれども、我が国の国民生活、または経済にどのような効果を与えていくのか、ここのところを最後にお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今、高木委員からいろいろと御質問がありましたが、今後、通信・放送の融合、この中で特にネットワークのブロードバンド化や放送のデジタル化が進みますから、例えば、ある放送番組を今、英語でやっている、ドイツの方がそれを聞きたいというときは、インターネットを介してドイツ語でそれが聞ける、こういうこともできるようになります。

 また、放送によって商品情報を流している、それじゃ、これを買いたいのだ、インターネットを利用して商品の受発注を行う。一種の電子商取引になるのでしょうが、そういうこともできるようになりますし、大変多様な通信・放送融合のサービスが本格化してくるのではなかろうか。そういう意味では、国民生活は豊かになり、便利になる。

 一方、このような通信・放送融合サービスが出てきて普及するということは、ニュービジネスのチャンスが大変大きくなってくる。あるいは、中身のコンテンツの流通市場が形成される。あるいは、今言いましたような電子商取引が活性化してくる。こういうことをやりますと、私は、経済の活性化や効率化につながってくるというふうに思いまして、ぜひそれを、国民生活や国民経済の上に活用していく方途をさらに詳細に検討していくべきだ、こういうふうに考えております。

高木(陽)委員 特に経済分野、雇用の問題も含めて、このIT問題というのはすごくクローズアップされてまいりますので、総務省を初め、この問題については今後もさらに力を入れて取り組んでいただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 私は、昨年十一月、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案、いわゆるIT基本法の本会議採決の際に、同法案に対し幾つかの疑問点を提示いたしました。

 すなわち、第一に、情報化戦略上、目標設定において危機意識が不足している。世界各国がインターネットを初めとするIT戦略を進める中、我が国の立ちおくれている現状をどう改革していくのかの道筋が明らかにされていない。第二に、「すべての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会」、「利用の機会等の格差の是正」をうたっているが、国と地方、官と民との役割分担が明確にされていない。これでは、規制改革が徹底されず、光ファイバー関連の公共投資がいたずらにふえることにならないか。第三に、「世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成」と言いながら、そもそも基本法になじまない実行レベルの課題を取り上げているので、全体に抽象的表現が多く、あいまいな内容になっている。これでは、官僚主導の従来どおりの行政を助長するばかりで、肝心のIT革命がなし遂げられるのかなどなど主張したところであります。

 以上の基本認識を踏まえ、付託二法案及び関連する諸問題、特にIT革命を迅速かつ効率よく推進する観点から、幾つか質疑を行いたいと思います。

 御案内のとおり、同二法案は通信・放送機構法を根拠法としており、今回は、関連する特例法の一つの基盤法が改正され、新たに融合法が立法化されます。

 機構法は、今から二十二年前の昭和五十四年、通信衛星及び放送衛星の開発、運営を目的として制定され、その実施機関として同年、通信・放送衛星機構が設立されました。当時は、人工衛星の開発、運用という最先端の特殊任務を担う重要な法律であり、機構であったと思います。しかしながら、通信・放送の技術分野はその後著しい進歩をしてきており、IT基本法を見ても明らかなとおり、今後はさらにその進歩は加速されるでしょう。

 一方、機構法は、何度か改正されたものの、当時の姿とほとんど変わらず、両衛星にかかわる実務規定の域にとどまっており、将来確実に想定される厳しい技術革新への備えはほとんど規定されておりません。それのみではなく、今回の融合法を含めて十二本もの特例法を後追い的に補充してきているわけであります。これは、急速な技術進歩に法整備が追いついていけない姿を如実にあらわしているのではないでしょうか。まさに、朽ち果てそうな老木に小手先で何本もの小枝を接ぎ木しているようなものであり、このような法理念でIT革命の荒海を乗り切り、五年以内に世界最先端のIT国家になり得るか、大きな疑問を感じるわけであります。

 そこで、この実態を大臣はどう認識しておられるか、また、特例法を含めて機構法を早急に抜本改革する必要があると考えますが、総務大臣の御所見はいかがでしょうか。

片山国務大臣 黄川田議員の御質問でございますが、先ほども田並委員の御質問にお答えしましたように、通信・放送機構は、今もお話がございましたが、昭和五十四年に通信・放送衛星機構としてできまして、六十三年以降、新たな支援業務を追加して、平成四年に今の通信・放送機構ということに名前が変わったわけですね。

 それで、なるほど、本来業務から始まりながら、当初の本来業務以外の業務が加わっていきまして、今特例法が十一本ある、こういう状況でございます。それは、それぞれの業務のためにいろいろな法人をつくっていくよりは、似た業務をこの法人でまとめてやるということが一つの考え方だった、私はこう思いますが、先ほども申し上げましたように、これから新しい時代になる、本格的なIT時代になるわけですから、この通信・放送機構の今後のあり方について一遍抜本的に見直してみる、業務についても整理してみる。時あたかも、行革大綱で特殊法人を中心に認可法人を含めて法人の総点検をやろう、こういうことでございますから、私は、今までやむを得なかったし、それなりの実績を上げてきたと思いますけれども、今後については、抜本的に見直して、少し業務を整理して、新しいあり方をしっかりと打ち出していくべきではなかろうかと考えております。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

黄川田委員 戦後初のデフレ状態に陥った日本経済の立て直しに向けた構造改革のシナリオの中で、IT社会の未来図を描く基本戦略が抜け落ちていてはどうにもならないと思います。中途半端な内容にならないように、指摘しておきたいと思います。

 次に、通信・放送機構の目的、運営にも同様な疑問を感じるところであります。同機構、TAOは、通信・放送分野への単なる補助金の分配機関となっているのではないでしょうか。

 TAOに相当する経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOは、アルコール、石炭対策等の特殊部門を除いて、新エネルギー部門と産業技術開発部門の合計が約二百五十人と聞いております。また一方、TAOは、通信衛星、放送衛星の管制部門を含めて約百人と聞いております。

 そこで、両機構の技術開発部門の平成十三年度予算はおのおのどの程度でしょうか。また、研究員一人当たりの予算扱い額はおのおのどの程度でしょうか。まとめて総務省にお伺いいたします。

高原政府参考人 先生お尋ねの通信・放送機構及びNEDOの研究開発部門の予算と職員、あるいは予算扱い額についてお答えいたします。

 まず、通信・放送機構の研究開発部門における平成十三年度予算は、政府出資金及び補助金で合計約二百九十五億円となっております。そして、この業務に携わる職員は二十五人でございます。したがいまして、通信・放送機構における研究開発業務に携わる職員一人当たりの予算扱い額は約十二億円ということでございます。

 同様に、NEDO、新エネルギー・産業技術総合開発機構の研究開発部門における平成十三年度予算は、政府出資金、補助金、委託費及び交付金で合計約二千七百二十四億円となっております。この業務に携わる職員は三百五人でございます。したがいまして、新エネルギー・産業技術総合開発機構の研究開発業務に携わる職員一人当たりの予算扱い額は約九億円でございます。

黄川田委員 具体的にお話をいただきましたが、御承知のとおり、昭和六十年の基盤技術研究円滑化法に基づいて基盤技術研究促進センターが設立されました。同法では、出資から委託に制度を改めることを主体に改正案が今国会に上程されております。

 NTTの政府持ち株の配当金を原資として、過去十五年間に二千七百二十億円もの巨額の国費を百九件のプロジェクトに出資し、その結果得られた収入は特許料等で二十五億円にすぎません。無論、計量化が難しい研究成果はある程度得られていると思います。しかしながら、投資額の一%にも満たない二十五億円の収入は、幾ら基礎研究とはいえ、民間では考えられない話であります。

 研究成果の一部は確かに特許料で評価されますが、一級品の特許は参加民間会社に持ち去られ、国に残された特許は海外とのクロスライセンスが可能なレベルのものではない、そういうものは少ないと耳にしております。研究開発と資源開発の成功確率はどちらも低く、石油公団も政策の見直しを行っているところでもあり、基盤センターも、百九件すべてのプロジェクトの実績評価をしっかり行い、その結果を早急に開示してほしいものであります。

 昭和六十年当時、民間で金融機関が余剰資金をゼネコン等に積極的に貸し付けていたように、政府も、基盤センターを介してNTT株配当の余剰資金を活用し、民間企業の研究部門に強力に働きかけた、いわば官製バブルの不良債権処理とも言えるのではないでしょうか。

 昨年十二月、産業技術審議会総合部会と電気通信技術審議会総合政策部会の合同専門委員会で、簡単な評価報告書が出されております。しかしながら、これは民間の基盤技術研究への支援方法を論じており、研究内容の実績評価までは踏み込んでいないようであります。

 そこで、この点について、経済産業省、そして総務省、両大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

中山副大臣 お答えいたします。

 基盤センターの実績評価の開示についての御質問でございますが、結論を先に申し上げますと、既に開示しているところでございます。

 基盤技術研究センター制度につきましては、昨年の九月から十二月にかけまして、産業技術審議会、電気通信技術審議会におきまして合同専門委員会を設置いたしまして、外部評価を実施したところでございます。以上の外部評価に当たりましては、基盤センターの新規設立型出資制度における研究開発プロジェクトの実績評価を行った上で、今後の支援制度のあり方についての議論を行ったところでございます。

 この実績評価におきましては、全体として、論文や特許面におきまして国立研究所と比較しても良好な研究開発成果であるとされました。また、研究環境の整備や産学連携、人的交流、流動化、特に国際電気通信基礎技術研究所、これはATRと呼ばれています、あるいは、生物分子工学研究所、BERIと呼ばれていますけれども、これらの世界的に評価の高い研究所を輩出する等の意義について評価されたところでございます。

 これらの各研究開発プロジェクトの実績評価の開示につきましては、国民への説明責任の観点からも重要と認識しておりまして、研究実績をまとめた総括評価に加えまして、同評価の過程において、研究出資プロジェクトの全百九件につきましてそれぞれその実績の個票を作成しておりまして、これらを既に外部に開示しているところでございます。

 今後とも、国民への説明責任の観点から、基盤センター制度につきましては、可能な限り情報開示に努めてまいりたいと考えております。

小坂副大臣 総務省として答弁をさせていただきます。

 ただいまの答弁の中にもありましたけれども、百九件のうち、六十一件が電気通信関係の案件でございます。結論から申し上げれば、先ほどのように公表されているわけでございます。この内容につきましては、合同専門委員会の報告書は、総務省並びに経済産業省のホームページに本文は掲載してございまして、また個別のプロジェクトの実績評価を含む資料につきましては、要請に応じて配付をしているところでございます。

 このような公表の仕方でやっておりますけれども、基本的に、この報告書においても述べられておりますとおり、特許登録とか学術論文、研究人材の育成等の有形無形の知的資産の形成、それらを通じた社会的、経済的な貢献、ひいては我が国の産業技術力の向上という面における幅広い波及効果、こういったいわゆる国民資産の増進、パブリックリターンの視点から、個別プロジェクトの実績内容を評価し、取りまとめたものでございまして、当初予定しましたような特許収入によるリターンという形だけでは評価し得ないものであるということが改めて認識をされて、このような形で評価をさせていただいたところでございます。

 今後とも、我が国の基盤技術を広く向上していくものと評価されるところから、そういった実績につきましても公表しながら、的確な対策をとってまいりたいと存じます。

黄川田委員 今後は、官と民との役割分担が一層大事になる時代になると思っております。評価が公表されているということでありますけれども、プロジェクトの実績をしっかり評価されまして、情報通信の分野での民間の活動を活性化させる本来的な役目を大いに果たされるよう強く求めるわけであります。

 それでは次に、技術的な観点から幾つか質問をいたしたいと思います。

 国民の視点という観点で見ると、今回の電気通信基盤法の改正において、無線を活用したインターネット技術に対しても新たに支援対象として追加するとのことでありますが、こうした無線利用の分野については、ことし二月にiモードの加入者数が二千万人を突破するなど、今後、まさに爆発的な普及が予想される分野であります。

 しかしながら、こうした無線利用の拡大が進む中、東京大学社会情報研究所の木村忠正先生は、NTTデータ社の調査結果を引用し、iモードだけのインターネット利用者の大部分は、プライベートなショートメッセージの受発信と着メロのダウンロードであり、一般のインターネット利用者に比べて、情報を収集、加工、編成、発信する情報リテラシー力が極めて低いと言っておられます。

 先生は、iモードは確かに容易にネット接続を可能にするが、このように主な用途は限られていて、かえってインターネットが潜在的に保有する大きな可能性を引き出す情報リテラシー能力の開発において大きなマイナスになると警鐘を鳴らしております。

 私も、二千万人という突発的かつ表層的数字は着実なIT改革の進展のブレーキ要因になるのではないかと危惧しておりますけれども、総務省のこの点に関する見解はいかがでしょうか。

小坂副大臣 委員御指摘のように、iモード・イコール・インターネット、インターネットが急速に普及した、これで日本も世界に追いつき、すぐに追い越すだろう、こういうように手放しで喜ぶわけにいかないという意味では、そのとおりだと思っております。

 しかし、ショートメールも、携帯電話あるいはPHSでそれだけの機能のものもございますが、いわゆるiモードと呼ばれるような、あるいはEZウェブ、スカイウェブと言われるようなものは、ニュースを見ることができたり、音楽をダウンロードできたり、バンキングあるいはショッピング等、電子メール以外の機能を有しているものがございますので、使い初めはメールからスタートしても、使っているうちに、それだけではもったいないなと思っていろいろやってみるというのが一つの傾向だろうと思っております。

 そういう意味で、パソコンによるインターネットだけが本格的なインターネットという認識も、これまた誤りであろうと思っておりまして、このiモードによるインターネットはいわゆる入門編ということで、これがいずれ本格的なインターネット利用の導火線になっていく、このような面を期待している面も私どもあるわけでございます。

 そういった意味で、今後とも、今回の電気通信基盤充実臨時措置法の改正でお願いしているような専門家の人材育成のみならず、だれもがITを利用して情報を利用できる、おっしゃった、いわゆる情報リテラシーというのでしょうか、このリテラシーの向上に向けて努力をしていくことが必要である、このような認識に立って努力をさせていただく所存でございます。

黄川田委員 次に、マイクロソフトの前社長成毛真氏によりますと、有線・無線とも取り扱う情報の量と速度が最近飛躍的に増大し、我が国のIT化はハード面を主体に見るとほぼ終了した。もはや既に、しゃれではないが、「PostIT」の時代である。アメリカも日本もすぐれたベンチャー企業は地方から生まれている。今後の特徴は分散化の時代で、電力の地方の小規模分散型発電やコンビニ業界の地域に密着したワンストップサービスに代表される。サービス産業に限らず既存の製造業も、複数の仕入れ、ベンダーと不特定多数の買い手、顧客との間の複雑な関連性をうまく情報処理し、ビジネスモデル等を確立することにより新しいタイプの製造業に生まれ変わると言っております。

 ベンチャーキャピタルにかける氏の考えであるので、多少誇張もあるでしょうが、私も、古いタイプの製造業の復興、特に地方の地域に密着した中小企業の支援にIT改革の成果が貢献できる道があると考えるのでありますが、経済産業省の所見はいかがでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、ITの有効活用は、既存の中小企業、これは当然製造業も含むわけでございますけれども、大変有意義だというふうに考えております。例えば、生産の効率化でございますとか高度化、顧客ニーズへの迅速な対応、在庫の削減などによる生産の向上、さらにはインターネットを通じた幅広い情報収集、情報公開によるビジネスチャンスの飛躍的拡大、こういったことが可能になることから、ITは非常に重要であるというふうに考えております。

 そこで、政府におきましては、e―Japan重点計画におきまして、平成十五年度末までに中小企業のおおむね半数程度がインターネットを活用した電子商取引等を実施できることを目標として、必要な支援策を総合的に実施するということにいたしているわけでございます。

 インターネットを活用した電子商取引を実施できることを目標とするというふうにしましたのは、やはり社会的インパクトの深さとか業種別の広がりとして、メルクマールとしてはこれが一番いいのではないかというふうに考えて、こうしたものを目標にしたわけでございます。中小企業は、やはり業種あるいは業態等によって進展にも相当差があるわけでございまして、きめ細かな支援策を講ずる必要があるということで、この目標に従いまして、中小企業IT化推進計画を近々策定するということで準備を進めているところでございます。

 この中では、中小企業のニーズにこたえまして、標準的なソフトウエアやシステムの開発、普及、技能の客観化、マニュアル化、データベース化、あるいは電子商取引等の普及のための業務アプリケーションソフトの開発などを推進することといたしております。さらに、それに加えまして、中小企業の経営者の意識改革を図るためのITセミナー、研修事業、中小企業の状況に応じたアドバイスを行いますIT専門家の派遣事業、IT関連の情報提供事業、IT機器導入のための貸し付け、リース事業などを通じまして、総合的に中小企業のIT化推進を図ってまいる考えでございます。

黄川田委員 お話がありましたとおり、地方の振興に役立つような取り組みをよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、今回の電気通信基盤法の改正においては、従来から整備支援を行ってきた光ファイバーに加え、既存の電話回線を利用したデジタル加入者回線、DSLや無線などの新しい技術を使った高速インターネットの整備に対しても支援措置を講ずることとしており、IT国家の構築に向け、一層の普及促進を図る観点からは好ましいことであります。

 一方、高速インターネットについては、最近では既に、各家庭に引き込まれている電力線を活用して、安価に高速通信を実現する電力線インターネット等の新しい技術も開発段階にあると聞いております。

 そこで、開発段階ということで、今回の改正による支援対象となっていないものと理解しておりますが、この電力線インターネットの導入を検討している事業者の動向や技術的観点から見たシステムの実現可能性について、総務省にお伺いいたしたいと思います。

金澤政府参考人 お答え申し上げます。

 電力線インターネットは、既存の電力線を利用できますために、非常に安い値段で通信インフラが構築できるという長所を有しております。また、近距離の通信に適しているということでございます。このため、電力会社が通信機器メーカーと協力いたしまして、その実用化のための実験が現在進められているところでございます。

 しかし、実用化いたしますためには、まず、電力線に接続されます家庭電気製品から電力線に混入いたします雑音対策を行う必要がございます。また、電力線から漏えいいたします電磁波の抑制技術の開発が必要でございます。

 電力線通信、いわゆる高周波利用設備として現行で割り当てられている周波数は十キロヘルツから四百五十キロヘルツということでございまして、高速なデータ通信を実現いたすためには、まずこの周波数帯域を拡大する必要がございます。私どもとしては、二メガヘルツから三十メガヘルツの周波数をこのために用意したいというふうに考えておりますけれども、このような周波数帯域の拡大についても、現在研究開発段階にあるものというふうに認識いたしております。

 総務省としては、高速インターネットを実現するための手段、これが拡大することは非常にいいことだというふうに認識いたしておりまして、電力線インターネットの実用化のために必要なあらゆる施策を講じてまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 それでは次に、家庭等における高速インターネットの代表例として昨年から大きく取り上げられているDSLは、最近でこそ大きく普及が伸びておりますけれども、米国や韓国に比べると、大きく出おくれた感が否めません。その一因として、昨年までは、NTTが日本独自で開発したISDNとの干渉問題がその普及阻害要因になったと耳にしております。

 そこで、何が具体的な問題だったのか、またその問題は既に解消されたと考えてよいのか、総務省の見解をお伺いいたします。

小坂副大臣 御指摘のDSL、すなわち加入者デジタル回線の技術でございますけれども、韓国のような場合には、電話線に二本、そしてもう一つ予備の二本の線がありましたものですから、その線をDSLに使って爆発的な普及をしたわけですね。日本はそうはいきませんで、電話線は二本しかございませんでしたので、同じ電話線の音声通話とあわせてこのDSLを導入するということで、いわゆるラインシェアリングという技術を開発したわけでございます。

 これにおきましては、既存のISDNの信号とこの周波数が非常に似たようなところを使っておりましたので、相互に信号が漏えいして、DSLの伝送速度を著しく低下させるのではないかという懸念がございました。そんな点から、技術面での確認をとるために実証的な実験をして、その中で、ITUの規格でいいますとアネックスCという日本流の規格を採用いたしまして、この問題を解消してまいりました。

 したがいまして、十二年の十二月から本格サービスを開始いたしまして、本年の一月から二月には一月で倍に伸びるというような、当初からすれば十六倍に加入者がふえるというような爆発的な普及が始まっております。そういう意味で、御指摘の問題は既に解消されたと考えてよろしいかと思っております。

 今後とも、私も個人的にも、このDSLは光への橋渡しの技術と思って、何としても全国に早急に普及させたいという意思を持って取り組んでまいります。

黄川田委員 通告項目を数点残しておりますが、最後に一つお尋ねいたします。

 通信と放送を融合する新しい技術開発において、高齢者等の情報弱者や娯楽の少ない地方の中山間地域住民にどう配慮されているのでしょうか。テレビ等の家電製品と電話機等とが融合された身近な家庭商品にこそ現実的な開発の意義があり、IT改革の一翼を担うと考えますが、総務省の見解はいかがでしょうか。

小坂副大臣 御指摘のように、デジタルデバイド、すなわちデジタル化が促進されて格差が起こるということは極力避けなければいけませんし、生じるようであれば、それを補完するような技術的な、また政策的な支援を行わなきゃならないと理解いたしております。

 その面で、御指摘の点につきましては、最近は身近なテレビの画面をさわってページを繰ったり、あるいは二回さわればその部分が信号が大きくなって画面いっぱいに拡大されるような新しい技術もありまして、すなわち高齢者でも使いやすい、そして障害者の皆さんには、例えば目の不自由な方には音声で画面を説明する、あるいはキーボードも点字のキーボードのような形になって、さわっていればそれがわかるような、そういった技術もあわせて開発をされております。

 そんな意味で、御指摘のような部分に特に力を入れて、高齢者や情報弱者の皆さんに、そしてまた中山間の地域にお住まいの方々にも楽しんでいただけるような技術の開発により一層の力を尽くしてまいりたいと思っております。

黄川田委員 ぜひとも情報弱者に対しても特段の配慮をお願いいたします。

 時間でありますので、これで終わります。

渡海委員長代理 次に、矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。私は、提案されております二法案のうちの電気通信基盤充実臨時措置法について、まず質問したいと思います。

 最初に、一九九五年、平成七年三月十六日の逓信委員会で基盤法と通信・放送機構法の一部を改正する法律案を審議しましたけれども、そのとき、私は、三百億円の融資の中身と通信事業者の加入者系光ファイバーの投資計画について質問しました。政府の答弁は、割り振りは決まっていない、二〇〇〇年度までの投資計画、光ファイバー敷設についても決まっていないということでした。

 そこで、これは通告していないので、もし局長の方でわかったらお答えいただければいいんですが、一九九五年から一九九九年までのNTT、NCCあるいはCATVの融資実績額というのがわかりますか。

金澤政府参考人 今、手元に資料がございません。

矢島委員 相当額、つまり、当時の政府の答弁では八百億円を超えるだろうという答弁だったんです。ただ、実績として現在どうなっているのかなということが気になりましたのでお尋ねいたしましたが、後で結構です。

 次に、どれだけ光ファイバーの設置が進んでいるかという点で、これは前にも質問された方がいましたけれども、この臨時措置法によって加入者系光ファイバー網の投資への利子助成も行われてきました。そこで、現在、加入者系光ファイバーの整備はどれくらい進んでいるか、局長さんにお答えいただきたい。

金澤政府参考人 私ども、光ファイバー網については、将来の国民生活、経済活動全体を支える基幹的なネットワークインフラというふうに位置づけております。基本的には公正有効競争のもとで民間主導によりまして整備をしていくわけでございますけれども、電気通信基盤充実臨時措置法に基づきまして各種の優遇措置を講じてきたということでございます。

 光ファイバー網の整備につきましては、一九九五年の高度情報通信社会推進本部決定におきまして、二〇一〇年というものを全国整備の目標としていたわけでございますが、一九九七年の経済対策におきまして、二〇〇五年に前倒しいたしました。

 こういう動きの中で、都市部を中心に整備は着実に進捗しておりまして、二〇〇〇年三月末現在、き線点までの整備率でございますが、全国平均で三六%ということでございます。

矢島委員 き線点の数として、その割合が平均して三六%。恐らく都市部の方が、さらに設置されておると思いますので、敷設が進んでいると思いますので、さらに高いのではないかと思います。

 そこで、今全国で整備率三六%というわけですけれども、これはどれくらいのカバー率になっているか。都市部は人口集中、割合とカバーされているんだろうと思うんですが、利用可能な事業所あるいは世帯数、相当の数になると思いますが、どれくらいが利用可能か、お答えいただきたい。

金澤政府参考人 これは幾つかの仮定を置いて計算した数字でございまして、まず、全体のき線点数が十八万五千ということでございます。き線点整備率と申しますのは光化されたき線点の割合でございまして、それが三六%。それから、き線点当たりの平均加入世帯数が三百世帯ということでございまして、この数字をもとに単純に計算した場合、光ファイバーを用いたサービスを利用することが可能な世帯数は約二千万世帯ということでございます。

矢島委員 加入者電話約六千万としますと、その三六%ですから二千百六十万、今局長が答弁されたように、まあ二千万前後ということになろうかと思います。人口が集中している都市部分の方が整備率が高いんですから、あるいはもっと多く、いろいろ仮定を置いての計算だろうと思いますけれども、二千万をさらに上回る状況が今あろうかと思うんです。光ファイバーを利用しようと思えば利用できる人たちが二千万人、あるいはそれ以上いるということだろうと思います。

 そこで、局長にお尋ねいたしますが、現在、光ファイバーによるブロードバンドサービスを受けている人たちというのはどれくらいになるでしょうか。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

金澤政府参考人 整備された加入者系光ファイバー網はいろいろな形で今利用されておりますが、主に企業等の大口ユーザーが利用しているということでございます。東西NTTのINS一五〇〇の加入者が約八万ございまして、加入者数は、それを含めて二〇〇〇年三月末現在で約十七万ということでございます。

 一方、一般利用者向けの光ファイバーを活用したブロードバンドサービスにつきましては、東西NTTが昨年十二月から光・IP通信網サービスというものを開始いたしました。これは、二百五十加入者で十メガヘルツを共用する、料金一万三千円というようなサービスでございます。また、有線ブロードネットワークスという会社がございますが、これが世田谷地区で三月から光ファイバーによるサービスを開始するなど、サービス導入の動きは活発化しているということでございます。ただ、これらのサービスは開始されたばかりでございまして、東西NTTの光・IP通信網サービスにつきましては約三百加入ということでございます。

矢島委員 料金についても下がっていって、サービスもいろいろな種類が出てきているということですけれども、NTTの光ファイバーのサービスというのは、これまでは一カ月十五万円ぐらい、そうしますと年間で百八十万円、こんな額だったわけです。先ほど十七万件というお答えがあったわけですが、年間百八十万円の通信費を支出できるということになると、やはり企業あるいはビッグユーザーというような部分に限られてきていると思うんです。

 これまで利子助成としては二十一億円使っておると思います。光ファイバーの整備というのは、カバー率でいきますと二千万人以上カバーしているという状況だと思います。ところが、ブロードバンドサービスを受けているのはわずか十七万人。その後変化はあるかと思いますが、今までですとそういうことになる。やはり、これはほとんどビッグユーザーだということが言えるわけです。

 そこで、私は大臣にお尋ねしたいんですが、電気通信基盤充実臨時措置法というのをつくりました。この五年間、いろいろとやってまいりました。しかし、実際にこれを利用していくというと、いずれもビッグユーザーであって、国民利用者にとっては何の恩恵もなかったんじゃないか。国民利用者のサービスというのがどうあろうとも、それにかかわりなく、大きな企業、それからNTTや電気通信事業者を支援するための法律だったと言わざるを得ないんですけれども、その点についてのお考えを。

小坂副大臣 矢島委員の御指摘は、確かに、短期的にこの法律が施行されて今日までの期間を見ますと、それによって敷設された光ファイバーのユーザーは大口ユーザーが多いではないか、こういう御指摘になってくるわけでございますが、ではしからば、その光ファイバーの寿命が終わったかというとそうではなくて、これからずっと使っていけるわけですね。

 今日までは、いわゆるブロードバンドというような施設を必要とするアプリケーションサービス等が、小口のユーザーあるいは一般家庭向けのものが余り出ておりませんでした。そういう点から一般家庭加入者のニーズというものが余り出ておりませんで、結果としてそういうふうになっておりますけれども、今回のIT戦略会議等の審議において民間の皆さんから御指摘をいただきましたのは、そういったニーズが高まっている、しからば、そういった広帯域、ブロードバンドの家庭までのサービスを早期に実現するように、こういう御提言もいただいているところでございまして、そういう意味で、これからはそのニーズにおこたえしてそういうものができる。

 例えば、ただいま局長が御説明申し上げましたように、有線ブロードネットワークスさんが五千八百円、そして、今までNTTさんが一万三千円でございましたが、これがさらに同じような値段に下がるというふうに最近のニュースにも載っておりました。

 そういう形で、一般家庭向けに低廉な、そして常時接続の光ファイバーのサービスが入ってまいりますと、それに向けたニーズというものが爆発的に高まってくる、すなわちそれに向けたサービスが充実するということになります。それによりまして、今まで整備してまいりましたこの電気通信基盤法の支援を受けた光ファイバーが、一般家庭向けにも、小口ユーザーにも大きなメリットになってまいりますので、そういった面で評価をしていただきたい。

 このように、基盤法は、いわゆる企業の優先あるいは優遇のための法律ではなくて、光ファイバー網の整備を通じて利用者が広く高速、超高速のインターネット利用によって利益を受けることができる、そういう社会の形成を促進するための法律でありまして、世界最先端のIT国家の構築に貢献するためにもぜひとも必要ということで、今回の改正をお願いしているところでございます。

矢島委員 いろいろ言われましたけれども、将来のありたい形ということだろうと思うのですが、これだけの支援をしてきました。一九九五年から九九年まで八百億円程度という当初の政府の答弁だったわけですが、合計しますと、恐らく千七百五十億前後になっているのじゃないかと思うのです。それだけの支援をした。それから利子の助成も二十一億円やってきた。ところが、実際に十七万件という大口利用者しかない、これは厳粛な今日の事実なんですね。

 ですから、大容量の通信回線を必要とし、なおかつ負担能力がある、そういう大企業などのビッグユーザーは、需要がありますから、その需要にこたえていくという意味からすれば、助成がなくたって光ファイバーが普及する場所だということが言えると思うのです。そういう意味から私は先ほどの質問をしてきたわけですけれども、一部の大企業や、あるいはNTTや通信事業者を支援するための法律だったんじゃないかと言ったわけです。

 こうした光ファイバーというのを見ますと、電話局から出発いたしまして再び電話局に帰ってくる、いわゆるループ状の敷設になっているわけで、その経路はオフィス街などを通る、大体そういうような敷設の仕方をしております。これもやはりビッグユーザーがその対象になっているやり方だと思うのです。

 そこで、私は、今現在までの光ファイバーの敷設についての実態をいろいろ見てきたわけですけれども、これはき線点RTという装置が、NTTの接続料金問題で、交換機の一部なのか、それとも加入者回線の一部なのか問題になりました。電話局から各家庭まで送られてきた、き線点までこの光ファイバーでつないだ、しかしそこから各家庭に分配するのはメタル、そこの必要な装置としてき線点RTというのがあるということで、その部分を基本料金に入れるのか、あるいは接続料金をどうするんだというのが論議されたわけです。

 そこで私、一応き線点まで光ファイバーが来ているけれども、実際にそれが各家庭のところはまだメタルであるというような状況を見ますと、やはり、加入者系の光ファイバー化が進んできたのは、一部のビッグユーザーを除けば、ブロードバンドサービスのためと言うけれども、実際には電話サービス提供の効率化あるいはコストダウンのためではなかったのか。メタルケーブルよりも光ファイバーがコストダウンになるところでは、メタルケーブルを光ファイバーに張りかえてきたというのがその実態だろうと思うのです。

 つまり、大臣、この投資も加入者系光ファイバーへの投資ということで助成の対象になってきたと思うのですけれども、電話サービスの効率化というのが、そもそもこの法律の目的として今日までやられてきたのではないかと私は思うのですが、その点についてのお考えをお聞きしたい。

小坂副大臣 私の方から答弁をさせていただきたいと思います。

 先ほどの答弁とかなりダブってまいります部分が多いものです。また、若干見解の相違的なものもございますので、なかなか御理解いただきにくいのかもしれませんが、矢島委員御指摘のように、今日まで整備をしてまいりました光ファイバーが、その利用実態として電話サービスの提供にも活用されてきた、これは事実でございます。そしてまた、その中でのユーザーが大口ユーザーが多いということも、これは需給関係からすればそのとおりでございます。

 しかし、法律の精神も、また今回の改正によりましても、私どもの目的としているところは、光ファイバー網に対する支援によりまして、いわゆるファイバー・ツー・ザ・ホーム、あるいは光ファイバーのき線点までの部分を利用しながら、さらにはその先のDSL等が利用される部分も踏まえながら、全体的に高速な、あるいは超高速な、いわゆるブロードバンドのサービスを実現するための支援をしていきたい。また、今回の法律の改正によりまして、いわゆるDSLサービス、ケーブルインターネットあるいはフィクスド・ワイヤレス・アクセス、いわゆる固定無線加入者アクセス、こういった技術も支援の対象にして、そして加入者に対するブロードバンドサービスの総合的な充実を図っていく、こういう面に利用することを目的としているわけでございます。

 そういう点で、今まで整備してきたことがこれからのユーザーの料金の低廉化に大きく貢献をしてまいります。そういう意味で、今までの利用実態イコール今までの支援がそのためであったということでは必ずしもないということで御理解をいただいて、私どもも、これからの部分も踏まえながらコストというのを勘案していきたい、こういうことで評価をしているところでございます。

矢島委員 この法律の特別融資制度が制定されるに至った出発点、小坂副大臣もそのころ逓信委員会で一緒にこの問題をやったわけなんですが、九四年五月に発表されました電気通信審議会の答申である「二十一世紀の知的社会への改革に向けて」、これが出発点になっているわけです。その答申を見ますと、光ファイバー化はブロードバンドサービス提供のためということだったと思うのです。

 ところが、現在使われているのは、副大臣は今後の一つの布石としてこれだけ光ファイバー網をつくってそれを進めるんだと言うわけですが、私は、現時点での状況、これまでの状況というのを中心に話しているので、その点で違いがあるということだろうと思うのです。

 電話サービスを提供するために、メタルケーブルが古くなったからそろそろかえようというときに、その部分については張りかえコストが安くなるのでやろうとか、あるいは、全国を調べてみますと、現在もう張りかえなきゃならない時期に来ているメタルケーブルが依然としてまだ使われている部分があるのですね。これは、張りかえよりも維持コストが安いということだろうと思うのですが、そういう事態から考えても、現時点では電話サービスを提供するためにメタルケーブルのかわりに使われているにすぎないんじゃないか。

 だから、今三六%、二千万人以上をカバーしているわけですが、もしこの二千万人の人たちがブロードバンドで光ファイバーを利用しようと思えば、たちまち光ファイバーの増設が必要になってくるのですね、全員が使うようになれば。ところが、三六%というこの状態の中で、現在は十七万人前後、そういう実態だという点を私は指摘したわけであります。

 競争政策によって、NTTにしてみれば、もうかるところは投資するが、もうからないところは投資しない。そして、現在、ユニバーサルサービスの義務は電話サービスだけであります。電話サービスは、将来的にはブロードバンドサービスの中に吸収されていくことが予想されております。そこで、私が懸念していることは、ブロードバンドはユニバーサルサービスではない、いずれにしろ需要がたくさんある、もうかるところをやればよい、そうした動向あるいは法制度のもとで、今度五年間さらに延長するブロードバンドサービス投資への助成、これは、もうかる地域への投資はますます促進されるだろうけれども、もうからないところはどうなんだろう。これでは、地域格差といいますか、いわゆるデジタルデバイドを拡大するという方向の助成になるのではないか。大臣のお考えをお聞きしたい。

片山国務大臣 矢島委員の御心配はよくわかります。したがいまして、平成十三年度予算でも、できるだけ地域間格差を拡大しないように、過疎地域等における光ファイバー網の整備についてはいろいろな助成や支援措置を考えてまいっております。ただ、それでもやはり採算性を重視してなかなか過疎的なところは整備が進まないという事態になりましたら、何度も申し上げておりますけれども、公的主体による整備ということもあるいは検討の対象にしなければいかぬかな、こういうふうに思っているわけであります。

 いずれにせよ、二〇〇五年までに日本を一番進んだIT国家にするためには、インフラの整備は避けて通れないんですね。だから、なるほどタイムラグがありまして、最初に使うのは大口だったり企業だったり都市部かもしれませんけれども、インフラさえしっかり整備すれば、若干のおくれはあっても、インターネット利用等が相当進んでおりますから、爆発的に一般の方も利用されるようになる。

 ただ、そのためにおくれるところがあっちゃいけませんので、おくれるところがないように、地域的にも年齢的にも、特に高齢者や障害者の方に妙なしわ寄せが行かないように、そういうことを含めてしっかりと対応しなければならないということで、何度もここでも御答弁させていただきましたが、総務省の中にIT有識者会議をつくりまして、その中には地方の代表も障害者の代表も高齢者の代表も全部入れまして、今、どういうデジタルデバイド解消の具体策があるのか、検討いたしております。恐らく夏前ぐらいになるんでしょうか、結論をまとめたい、こういうふうに考えておりますし、今後とも、矢島委員御指摘の点はしっかりと念頭に置いて進めてまいりたいと思っております。

矢島委員 時間がなくなってきましたので、通信・放送融合法の方へ入ります。

 これは三月十五日付の日経新聞ですけれども、「携帯型端末共同で開発」という記事が載っておりました。「総務省は来年度からシャープやNHKエンジニアリングサービスなどと共同で、」というので、参加する企業名などもいろいろと書いてあったわけですけれども、開発される技術というのは、携帯端末で利用する閲覧ソフトやデジタル放送とネットを連動して情報の検索をする際に必要なソフトを開発するとあるわけです。

 これは、局長でいいですけれども、通信・放送融合技術の開発だと思うんです。この開発の支援というのは通信・放送機構によって行われるのだろうと思うんですが、それでいいのか。この開発支援スキームは、いわゆる委託とかそのほかの形がありますが、どういう支援なのか。その予算額はどれくらいか。お答えいただきたい。

鍋倉政府参考人 先生お尋ねの三月十五日の記事でございますけれども、これは、情報家電など多様な機器が接続されてIPバージョン6を備えたインターネット網に移行するという政府のIT戦略がございますが、この観点から通信・放送機構が実施する委託研究の一環でございます。

 既に十二年度の補正予算で情報家電のIPバージョン6化に関する研究開発ということで八十・五億円とれております。それから、十三年度予算で引き続きまして同じような項目で二十二・五億円をお願いしておるわけでございますが、こういうスキームの中で研究開発の受託者を公募して研究開発を委託するというものでございます。

 こういう項目につきまして、産業界においてもIPバージョン6を利用した技術開発を進めようという機運が非常に高まっていまして、昨年、IPバージョン6普及・高度化推進協議会という民間の協議会ができております。先生お尋ねの件は、ここが主体になりましてTAOに申請をしたというものでございまして、具体的な内容は端末の開発ということで、これはIPバージョン6に対応した高度な通信を行わせるというものと、それから付加してデジタル放送の受信も可能になる、そういう端末をやろうというものでございます。

 なお、これは、スケジュール的には四月の二十日に評価委員会で決めることになっておりますので、まだ採択はされておりません。

矢島委員 時間になりますので最後の質問になると思いますけれども、今局長の答弁にありましたように、それぞれ開発を始めていくわけですが、記事によりますと、この共同研究というのは、シャープだとかあるいは東芝、Jフォンなどなど、大企業が参加するわけだと思うんです。確定して、四月から始まる。開発のための資本を十分持っていると思うんです。

 そこで、私がお聞きしたいのは、放送融合サービスの基盤となる電気通信システムの開発というのでペーパーをいただいたわけですが、この中で、どんなところを助成するか対象が書いてあります。これが、前にも質問があったように、いわゆる基礎的な技術開発、そういう部分を今までは中心的にやってきた。既存の技術によって実現される機能をより安定化させる等、技術を実利用にたえるレベルに引き上げること、これをさすというお話です。高度通信・放送研究開発によって事業化に近い段階だというわけです。

 そうすると、今まで基本的な技術開発、基礎的なものをやってきたのが、今度は実利用にたえるような、いわば製品化する段階での助成、これだったら企業みずからできることではないか、なぜこの段階でこういう製品化開発に対して助成するのかという点についてお答えいただきたい。

小坂副大臣 時間が迫っております。手短に答弁をさせていただきたいと思います。

 御指摘のように、従来は、基礎から応用、実用化への橋渡しになる研究であって、民間においてはその実施が期待されないものを対象としてまいりました。今回、実用化段階における技術課題の解決というものをテーマに取り入れましたのは、欧米におきましても、通信・放送融合に向けた新しいサービスというものの開発が非常に積極的に展開されておりまして、我が国におきましても、IT産業の国際競争力を強化する観点から、民間による実用段階における技術課題の解決に向けた取り組みを一層加速し、そしてまた推進することによりまして、世界をリードするような新たな通信・放送融合サービスを実現していくことが非常に重要である、こういうふうな認識に立ちまして、今回このような形に少し衣がえをさせていただいた。

 そして、本法案におきまして、技術開発を行う者に対する助成を行い、民間における技術開発のリスク負担を軽減する。それとともに、開発された技術の有効性を実証するためのテストベッドの整備を行う。これは一社だけではなかなか難しい。また、一つの、いろいろなコミュニティー全体をテストベッドにするようなことも必要になってまいりますので、こういった意味でこの措置を講ずることとしたものでございます。

 本法案の制定を契機として、民間においても実用化に向けた技術課題の解決が進み、新たな通信・放送融合サービスの開発、普及が推進されることを期待し、それを支援する意味でこのような形に衣がえをさせていただいたところでございまして、委員の御理解と御支援をお願いする次第でございます。

矢島委員 一言だけ。

 支援する必要があるかどうか十分吟味してやっていくべきで、ITの看板をつければ中身は何でもいいということにならないことはもう御承知のとおり。財政破綻のこの状況の中で、十分中身を精査する必要があるということだけ申し上げて、質問を終わります。

御法川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 ここは経済産業委員会ではございませんが、今回の法案に関係いたしますIT革命、これは経済と非常に密接な関係がある、そういった認識のもとにちょっと経済問題を大臣にお尋ねしたいのです。

 昨年の秋口からアメリカの経済が大変な下降線をたどり始めた。そして、その最大の原因がいわゆるITバブルの崩壊ではないかということを言われておりますが、情報通信分野を所管します大臣に、この現実をどのように認識されておりますか、まずお尋ねいたしたいと思います。

片山国務大臣 今横光委員御指摘のように、米国におけるIT関連企業の株価が低落をしております。特に、ナスダック市場に見られるように、それが全体の株価の低落を引っ張っている、こういうことでございまして、今まで一九九〇年代はまさにITがアメリカ経済を引っ張ってきた、こういうことが言われておりますのが、少し様子が変わってきたかなと私も考えております。しかし、それは一種のバブル的な様相を呈したのが、それが破裂したというのはおかしいのですが、私は、バブル的な様相がある意味では正常化しつつあるのかなと。異常に高かったですからね、IT関連株価が。

 そういう意味では、これが我が国の経済にも影響を与えていることについてはそれなりに深刻に受けとめなければならないと思いますけれども、私は、我が国においてはITの普及を図るということが、国民生活の豊かさのためにも経済の活性化のためにも効率化のためにもまだ必要ではなかろうか。アメリカ経済のこの一連の状況を貴重なる教訓としながら、やはりIT革命の推進をやっていくことが我が国にとって課せられた課題ではないかというふうに理解しております。

横光委員 いや、私は何もIT革命を推進する必要はないと言っているわけではないし、この法案にももちろん賛成でございます。この国家戦略、五年以内に世界最先端のIT国家を目指す、すばらしいことだと思っているのです。

 ただ、現実に、今お話にございましたように、一九九〇年初頭からアメリカはIT革命を推進したわけですね。いわゆる国家的な財政を民間の側面的支援にも投入して投資を図った。その結果、産業の効率化あるいは産業構造の転換が図られて、あのように驚異的な景気回復につながった。しかも、それは約十年近い長期的な景気の拡大につながったということは事実だと思うのですね。

 そういった意味で、経済に与えるIT革命というのがいかにすさまじいものであるかという反面、結果的に、異常に高かった、バブル的な状況ではないかというお話も今ございましたが、そういったところまで長期間の間にいってしまったがために、結局ITバブルというような状況、バブルの崩壊というような状況を招いてしまって、あのような状況になっている。つまり、IT革命というのは非常にすさまじいプラスの面と、また非常に恐ろしい面と両方持っているのではないか。IT革命の推進が景気の回復につながり、またITバブルの崩壊が経済の沈下につながったという現実がアメリカに実際に起きてしまった。

 教訓にされるというふうにお話しでございますが、こういったことを踏まえて、今度、これからいわゆる国家戦略としてe―Japan戦略を行おうとしている私たちの国、IT革命を推進することによって日本の経済にどのような影響を与えるか。もちろんプラスの影響を与えてほしいわけですが、どのように今度の国家戦略と経済との関連を結びつけようとしているか、あるいは効果がそういったところにどのような形で出てくるであろうというような認識をお持ちなのか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。

片山国務大臣 横光委員言われるように、やはりIT革命、IT化ということはプラスとマイナス、光と影がありますよね。光は光としてしっかり受けとめなければなりませんが、私は影に対する対応もやはり考えていくべきであろうと。そういう意味で、余り浮かれないで、国家戦略やe―Japan戦略や、今度つくりましたアクションプラン、重点計画に従って着実に、経済の実態も見ながら、乖離することなく進めていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思っております。

 ただ、このところ日本の景気がアメリカ経済の減速に引っ張られてちょっとおかしくなってきましたけれども、これまではやはり設備投資を見ても雇用を見ましてもIT分野が大変引っ張ってきたな、こういうふうに思っておりまして、それはできるだけそのまま残していくような方途を考えていくべきではなかろうか、こういうふうに思っております。

 やはりITがこれからの景気回復の一つのてこであることは確かだろう、私はこういうふうに思っておりますし、雇用吸収力もあります。今、ITは介護や医療だと言われていますよね。数字上にも、私どもの統計でもそうなっておりますから、そういう面は助長するように、ぜひ関係省庁とも連携をとりながら進めてまいりたい、こう思っております。

横光委員 今大臣がお話しされたとおりだと思うのですね。これまでの日本経済をやはりIT、ハイテク企業が引っ張ってきた、牽引車であった。そしてまた、今は状況は悪いにしても、これからも景気に対しての一つのてこであるという認識をお持ちなわけで、そのことは私もそのとおりだと思うのですね。

 ただ、今回、アメリカが日本経済に大変な影響を与えている。それもとりわけITバブルが崩壊というような状況で、日本が大量に輸出しておりました、いわゆる半導体分野が輸出が非常に激減してしまった。このことによって、日本のハイテク関連企業は大変収益が厳しい状況になり、株価の暴落につながっているわけですね。ハイテク産業の株価の大変な暴落があります。それが、要するに日本全体の株価の下落ということにやはりつながっていると思うのですね。

 三月十三日には、とうとう一万二千円を割り込んでしまいました。現在は少々持ち直して、一万三千円前後を推移しているわけでございますが、これまでの経済を引っ張っていたハイテク関連企業の今回のアメリカに連動した形の株価の下落率、株式時価総額の下落率、これはやはりすさまじいのですね。昨年の三月に比べたら下落率の、ベストテンではなくてワーストテンですね、悪い方から十位以内に、何とIT関連企業が八社も入っているということですね。下落率の最大の、悪い方からすると、その中に八社もハイテク関連企業が入っている。それも、これまで日本の経済を引っ張ってきたそうそうたるハイテク関連企業でございます。

 このようなことを考えますと、本当に、今回の国家戦略、経済においても大きなてこになるべきだ、なってほしいとかなるべきだというような思いを大臣は申されましたが、全くそのとおりで、今の経済の沈下を、この国家戦略、e―Japan戦略によって、ハイテク関連企業をもう一度浮上させて、日本の経済の向上につなげていただきたい、私はそういった思いです。

 ただ、その場合には、先ほどお話がございましたように、必ず負の部分もある。IT万能主義といいますか、IT革命を進めればすべてのことがよくなるんだという考えは多少変えていかなきゃいけないのじゃないかということ、常にもろ刃の剣があるんだということを認識した上でこの国家戦略に取り組んでいただきたい、私はこういう思いがいたしております。

 次に、先ほどちょっと質問がございましたが、私はもう一度確かめたいのですが、いわゆるITの推進にこれまた非常に密接な関係があるのが雇用問題だと思うんですね。一年ぐらい前は、それこそIT推進により大変な雇用拡大につながると、夢のようなデータも出ておりました。しかし、現実はどうでしょうか。やはり依然として四・七、四・九あたりを推移している高い形での完全失業率です。

 二〇〇〇年、昨年の一月に、通産省とアンダーセンという非常に大きな調査会社、この共同調査で、今後五年間の情報化による雇用拡大効果推移というデータを出されておるのですが、そうしますと、やはりIT革命が進む、いわゆる情報通信が進めば進むほど、プラスの面もあればマイナスの面もある。

 その一つが、社長とか重役さんとか、会社の上層部と一般の社員がメールでやりとりができるようになる時代が来たわけですね。そうなりますと、中間管理職というのが余り必要でなくなってしまう、そういったこともだんだん起き始めているとも聞いておりますし、こういった部分はある意味では負の部分かもしれない。

 でも、そういった負の部分を補ってでも、マイナス部分を補ってでも、二〇〇一年は十二万人の雇用がふえるだろう、二〇〇四年は八十六万人の雇用が創出される、プラスマイナスして、プラスの面とマイナスの面を差し引いてもそれだけの雇用拡大につながるという、昨年の今ごろは非常に夢が大きかった。しかし、先ほど言いましたように、現実はなかなか失業率の面でも大きな効果をまだ発揮されていない。

 しかし、これから国を挙げてこういった問題を進める以上、新規産業を創出されるとかいろいろな形でIT関連産業の雇用拡大につながるのか、そしてまた失業率改善に幾分とも大きな貢献を果たすことができるのか、そのあたりの戦略もやはり考えておかなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

小坂副大臣 横光委員御指摘のように、このIT革命の中には光と影の部分もございますし、いろいろな側面がございます。

 今委員の方からもお話が出ましたけれども、米国におけるITバブルというのは、ある意味のIT万能というものに対する過大評価が株価を押し上げ、今それに対する見直しの局面にある、こういうふうに思っておりまして、いわゆるIT革命そのものの否定ではないというのは委員のおっしゃったとおり、大臣の申し上げたとおりでございます。

 そういう中にあって、いわゆるIT技術を使いますと中抜きが起こると今御指摘がありました。社長と職員の間が意思疎通がよくなって、中間管理職が要らなくなってくるのではないかとか、あるいは生産者と消費者が直結することによって流通機構が省略されてくる、こういうことがございます。

 特に、ITの関連分野はいろいろな分野がありますが、製造業関係は、ハードウエアの方における雇用創出効果というのは非常に低い、しかしながらサービスとかソフトウエアの部分においては雇用創出効果が大きい、こう言われております。

 そういう中にあって、IT戦略本部で決定いたしました重点計画におきましても、IT関連分野における雇用機会の創出を支援するための施策を講ずることというふうにされておりまして、総務省におきましても、次世代インターネットや光ファイバー網の情報通信インフラの基盤整備事業、あるいは高度道路交通システム、いわゆるITSあるいは放送のデジタル化等の推進、そしてまた情報通信分野のベンチャー支援制度の充実や新規産業の創出に資するための研究開発の推進、あるいはスモールオフィス・ホームオフィス、SOHOやテレワークの普及促進、こういった諸施策を推進することによりまして、新たな事業の創出を通じた雇用機会の増大に努めるとともに、これらの実効性のある政策を積極的に展開してまいる所存でございます。

 この労働力のシフトが一番の問題でございますので、ITにおけるリテラシーの向上あるいはIT講習会等を通じてITに対する人材の育成を図り、そしてまた関連のサービス産業等の支援策も講じながら、スムーズな労働力の移行というものを図って、そういった雇用のミスマッチというものをできる限り是正するように努力をし、またその辺に注目して政策を進めてまいりたいと存じます。

横光委員 よくわかりました。

 国を挙げて取り組む以上、新規事業あるいはソフトあるいはサービス、そういった分野で雇用機会の拡大に努めるというお話でございました。ぜひ全力で頑張っていただきたいと思います。

 次に、もう一つ、この負の部分でお尋ねします。

 私は悪いと言っているのじゃないのです。ただ、こういった技術革新がすさまじければすさまじいほど、負の部分、いわゆる被害の問題あるいはセキュリティーの問題、こういったものは必ず生じてくるのですね。

 ちょうど昨年の今ごろ、当時の逓信委員会で、私は実はインターネットの爆発的な普及に伴ってこういった事態が起きるぞということを申し上げまして、そのための被害防止対策をどのようにするのかということ、インターネット利用者に非常にわかりやすい形でそういったことに対応すべきではないかということを申し上げました。当時は八代英太大臣でございましたが、八代大臣も、「電気通信サービスの利用者が思わぬトラブルに巻き込まれる事例というのは、これからふえこそすれ減ることはないだろう」、こういう認識の上に立って、検討していきたいという答弁もいただいておるのです。それが昨年の二月二十四日の逓信委員会でございました。

 そのときに、非常にいろいろなトラブルが多発していたのですね。特に、無断でQ2やあるいは国際電話に接続して膨大な料金を請求されているというような事態が頻繁に発生していたので、私はそういった要求をしたわけです。そして、そういう答弁を受けました。それが二月です。

 しかし、結局政府が、とりわけ国際電気通信事業者に対して、こういった問題が多発しているために、被害防止のための要請というものを行ったのが十月なんですね。八カ月もたってから、いわゆる国際電話問題に対しての要請を行っている。それでも、やらないよりはよかった。八カ月たってからではありましたが、一応被害防止の要請を行ったわけです。

 その被害防止の要請を行ったのが昨年の十月で、それからさらに五カ月たっております。この間の、防止要請を行ってからの被害状況の推移をちょっとお話しいただきます。

金澤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十年ごろから、インターネットを利用いたしておりましたら、知らないうちに国際電話につながってしまう、それによって高額の国際電話料金を請求されてしまうというトラブルが多発いたしたということでございます。

 御指摘のように、八カ月おくれたというふうなお話がございましたけれども、昨年十月に、プロバイダーの業界団体に対しまして、接続先が海外に設定されている場合に警告を発するソフトの利用の奨励等さまざまな要請を行いました。国際電気通信事業者各社に対しましても、料金が一定額以上になった場合には請求書を随時発行するとか、特定対地あての……(横光委員「推移だけでいいです、その後どういうふうに改善されたか」と呼ぶ)はい、わかりました。

 件数でございますが、昨年九月の約八千八百件から、昨年十月には七千件台、十一月には六千件台というふうに減ってきたわけでございますが、昨年十二月、本年一月は七千件台ということで、ほぼ横ばいの状況ということでございます。

横光委員 少しは減った、しかしほぼ横ばい状態である。それほどに、やはり技術革新が進むとこういった問題は増大するんですね。ですから、要請したということは、増大に歯どめをかけたというふうに私は受けとめたい。

 ならば、何でもうちょっと早くやらなかったか。

 実は、郵政省からいただいた資料で、私が防止対策をやるべきだと言った二月が五千二百件ぐらい月にあったんですね。その後、三月、四月、五月、六月、七月というのは倍ぐらいにふえておるんです。そして、やっと十月に防止対策を一応要請した。横ばいということはそれに一応歯どめがかかっているということだと思うんですが、これだけ、もう三千五百万人以上のインターネット利用者がいるという状況の中では、もうちょっと国民にこういった被害に遭わないようにするにはどうしたらいいかという防止対策を、やはりこれは戦略の一つとして国が挙げて取り組む課題ではなかろうかと思うんです。

 この中で、いわゆるアダルトサイトを開いた際に自動的にQ2あるいは国際電話につながるソフトがパソコンに取り込まれてしまって、ネットを利用するたびに料金がかかるという形になっている。こういった業者がいるわけですね。これは、発見するのはなかなか難しいでしょうけれども、これを取り締まらない限りこの問題は解決しない。そしてもう一つは、そういったことにひっかからないという利用者の注意喚起が必要である。

 こういった形で国際電話の料金を取られた場合、この国際電話は、いわゆる発信国の電話会社が着信国側に回線使用料を支払うのがルールとなっているそうですね。つまり、かかった電話料金の半分は着信した国の電話会社に支払う。ところが、私は、こういった勝手につながれるようなソフトをつくる事業者は何でそういうことをするんだろうかと思ったら、やはり何らかの利益がある。つまり、着信国の電話会社と何らかのつながりといいますか、いわゆるリベート、そういったものがない限りそんなことをする必要はないわけで、そのあたりをやはりもうちょっと調べていただかなきゃならないんじゃないかという気がいたしております。

 いずれにいたしましても、技術が進めば進むほど負の部分でいろいろとトラブルとかセキュリティーの問題が発生してまいりますので、国民によりわかりやすくしていくためには、私はこの前もいろいろ提案したんですが、もう一つ提案すれば、何せ三千万以上の人たちが今インターネットを利用しようとしている時代です。四人に一人じゃないですか。とにかくすさまじい人たちが利用するような状況になったときには、こういったやり方では国際電話につながりますよ、こういったときにはこういう形で注意してくださいよというような、政府広報で、テレビでやるとか売れている情報通信雑誌に載せるとか新聞に注意喚起するとか、それぐらいのことももう取り組んでいってしかるべきだという思いをいたしておりますが、その点はいかがでしょうか。

小坂副大臣 悪徳ホームページの開設者を取り締まるという点についてまず御答弁を申し上げ、後ほどまた大臣の方から全般的な答弁をさせていただきます。

 一般論から申し上げれば、日常生活上違法であるものはインターネット上でも当然違法になるわけでございます。そういった点で、他人の権利侵害をした者については、不法行為が行われたということで、被害者はホームページの開設者に対して民事上あるいは刑事上の責任を問うことができるわけで、民事上の損害賠償の請求も可能だと思うわけですが、事実上は、実際にはそのサーバーが外国に置かれているとか、あるいは知らないうちに国際電話がつながってしまうと御指摘になったようなものがあります。

 しかし、国際電話に関して言うと、ホームページ上に何らかの記述があって、こういう情報にアクセスしたいところはここをクリックといって、クリックしたら国際電話につながってしまった。したがって、考えようによっては、そこをすればそういう情報が海外にあっても行くであろうということが想定できたんじゃないかと思われるような記述があるとか、訴訟上いろいろな条件が出てまいりますので、個別具体的に当たっていかないとなかなか難しい問題が絡んでおります。

 また、電気通信事業者に対して利用者は、通常、国際電話をかけた場合にはその国際電話の料金も負担をするということを約款上明記している部分もありますので、そういった場合には損害賠償を請求できないとかいろいろな問題がございます。

 こういった点について政府で今後どうするか、そういったような全般につきましては、大臣の方から答弁をさせていただきたいと存じます。

片山国務大臣 今横光委員から政府広報の話がありましたが、ITだとかインターネットの広報はやっているんですよ。ただ、今みたいな、具体的な被害を受けることを防止するような広報についてはまだやっていないと思いますので、よく検討して前向きに考えたいと思います。

 それから、横光委員、総務省になりまして最近こういうものをつくったんですよ。安心、便利に使うためのインターネットの、三十八万部つくりまして、それで、公的機関なり消費者団体なりいろいろなところにこれを配っていますから、見れば、今の御心配のようなこともある程度周知ができるんじゃなかろうかと思います。今後とも、こういう被害に遭わないように強力に推進してまいりたい、こういうふうに考えておりますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。

横光委員 今、自分の意思でない形で支払いを請求されても避けられない、支払い義務があるというお話でございましたので、であるならば、結局は、一番の問題は自衛するしか道がないということで、政府の取り組み、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、実は、今度基盤法が改正で延長になるわけでございますが、これは、十年前、平成三年に時限立法として成立したわけですね。十年前といえば、私なんかもちろんいませんでしたし、ここにいらっしゃる若い先生たちもいらっしゃらない時代の画期的な法案だったと私は思うんです。そのときに附帯決議が付されております。その後三回改正されておるわけですが、そのうち二回も附帯決議が付されているわけでございます。

 附帯決議というのは、申すまでもございません、法的な拘束力はありませんが、やはり政府としては、負託された事項についてはその実行についてそれなりの責任が伴う、こういう考えを持っておりますので、附帯決議のこの十年間の実行の検証といいますか、そのあたりをちょっと一、二お聞きしたいんです。

 もう時間がありませんので、昔、第一回目の附帯決議の三項目で、「地域の情報化に当たっては、情報の地域間格差、地域の実情等に十分留意し、均衡のとれた地域の情報化を推進するよう努めること。」と付されております。

 確かに、光ファイバー、先ほどお話がございましたように、大都市のビジネスエリアにおいては非常に整備が進んでいる。九九年度末で九三%ということでございます。他方、地方ではなかなか進んでいないというお話でございます。人口が十万人以下の地域ではわずか一四%。これはいわゆる情報格差に非常に大きな問題を与えます。

 そしてまた、四項目では、家庭や中小企業あるいは心身障害者がサービスを十分享受できるようにするということも付されておりますね。

 こういった地域間格差あるいは情報に対してハンディを持っている人たちに対する対策というものはこの十年間どのような形で進められてきたか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

高原政府参考人 先生御指摘のように、平成三年及び平成五年それから平成七年、平成三年と五年は衆議院の逓信委員会、平成七年は参議院の逓信委員会において、この電気通信基盤充実臨時措置法の採決に際しまして、均衡のとれた地域の情報化を推進するようといったような御趣旨の附帯決議をそれぞれいただいているところでございます。

 それから、先生が先ほどもおっしゃいましたように、光ファイバーの整備等も進んでおりますが、地域別のインターネットの普及率で見てまいりましても、やはりまだ都市規模が大きいほど高くなっているといったようなこと、例えば特別区とか政令指定都市あるいは県庁所在地のインターネット普及率は二四%でありますが、町とか村のインターネット普及率は一三・六%といったように、まだかなり格差が生じております。

 そのため、地域の情報化ということで、平成十二年度末までに、公共サービスの高度化のために地域イントラネット基盤整備事業というのを二百六十三地域で交付決定いたしております。それから、過疎地あるいは離島等でインターネットを活用するために、地域インターネット導入促進事業ということで全国六百六十一地域で交付を決定いたしております。さらに、移動通信用鉄塔施設整備事業ということで、過疎地において鉄塔をつくるということで三百三十六カ所に交付決定済みでございます。このように、地方公共団体等の地域情報化の取り組みに対しても支援してきておるところでございます。

 また、障害者あるいは高齢者の方に対する情報化施策についても、例えば字幕の作成を支援する、そういったようなことも推進をしているところでございます。

 このように、すべての人々がITの恩恵を享受できるように推進しておるところでございます。

横光委員 終わります。

御法川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。春名直章君。

春名委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました二法案について反対の討論を行います。

 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に反対する理由は、加入者系光ファイバー網整備への利子助成が、NTTを初めとする大手電気通信事業者への優遇制度となっており、こうした制度を延長する理由がないからであります。

 加入者系光ファイバーは、全国の三六%をカバーしていると言われていますが、この光ファイバーを家や事務所まで引き込んで使っている、いわゆるファイバー・ツー・ザ・ホームの利用者はわずか十七万件にすぎません。大半の光ファイバーは、電話サービスのために、老朽化したメタルケーブルを張りかえてきたものであり、あえて支援する必要もなかったものです。高速インターネットのためのファイバー・ツー・ザ・ホームやADSLサービスは、ユニバーサルサービスではありません。事業者はもうかるところに参入すればよいのであって、実際にそうしたサービスは都市部に限定されています。今求められているのは、すべての国民がこうした技術進歩の恩恵を受けられるようにする政策であります。

 次に、通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案に反対の理由は、この法案が支援の対象とする通信・放送融合技術の開発は、基本的には民間が行うべきものであるからであります。

 しかも、この法案によって助成の対象となるのは、通信・放送融合技術の研究開発費でもなく、既に開発されている技術の実用化のための経費であり、国が支援するほどの必要もないものであります。また、この法案によって整備される技術開発のための共用システムもむだなく利用されるほどの需要があるのかどうか疑問であります。

 本法案は、ITの看板を掲げた新たなむだ遣いとなりかねないということを指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。

御法川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、平林鴻三君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。平林鴻三君。

平林委員 私は、この際、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党の六会派を代表し、通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、通信・放送機構の業務について、平成十二年十二月に閣議決定された「行政改革大綱」の趣旨並びに同機構の創設の趣旨及び経緯を踏まえ、同機構の業務の在り方、国の事務・事業の執行体制の在り方及び国民の利便性等を勘案し、この法律施行後三年を経過した時を目途に、必要に応じて見直しを行うものとすること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。

御法川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められていますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案を御可決いただき、厚くお礼を申し上げます。

 御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の情報通信行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 次に、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十八分散会




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