衆議院

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第13号 平成13年4月12日(木曜日)

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平成十三年四月十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    植竹 繁雄君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    阪上 善秀君

      滝   実君    橘 康太郎君

      谷  洋一君    野中 広務君

      林  幹雄君    菱田 嘉明君

      平井 卓也君    宮路 和明君

      山本 公一君    五十嵐文彦君

      大出  彰君    玄葉光一郎君

      武正 公一君    中村 哲治君

      松崎 公昭君    松原  仁君

      山井 和則君    山村  健君

      池坊 保子君    漆原 良夫君

      東  順治君    丸谷 佳織君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   総務大臣政務官      滝   実君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長

   )            鍋倉 真一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長

   )            金澤  薫君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  浅野 勝人君     植竹 繁雄君

  橘 康太郎君     林  幹雄君

  伊藤 忠治君     五十嵐文彦君

  高木 陽介君     漆原 良夫君

  山名 靖英君     東  順治君

同日

 辞任         補欠選任

  植竹 繁雄君     浅野 勝人君

  林  幹雄君     橘 康太郎君

  五十嵐文彦君     伊藤 忠治君

  漆原 良夫君     丸谷 佳織君

  東  順治君     池坊 保子君

同日

 辞任         補欠選任

  池坊 保子君     山名 靖英君

  丸谷 佳織君     高木 陽介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長鍋倉真一君、総務省総合通信基盤局長金澤薫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 おはようございます。

 火曜日に続きまして、本日、二日目の電波法改正に関する法律案質疑に立たせていただくことを、委員長、委員の皆様に感謝申し上げるとともに、大臣、副大臣、そして政府参考人の皆さんにおかれましては、火曜日も大変活発な質疑が行われたこと、電波法改正の趣旨が徐々に明確になってきているということで、本日も明確なる御答弁をお願いしたいと思います。

 まず第一に、「我が国の電波の使用状況」ということで、総務省さんからこういうような資料もいただいておりますが、我が国において国、地方公共団体などの公共機関が使用している電波はどの周波数か、また、あいている周波数はどの部分か、これを例示して御回答いただきたいと思います。

小坂副大臣 武正委員の御指摘のように、例示をしながらということで御説明をさせていただきたいと思います。

 国や地方公共団体などの公共機関が使用しております周波数は、短波帯からマイクロ波と呼ばれる帯域まで、広範な周波数帯におきまして公共の業務用として割り当てられておりまして、電波の特性に応じて、それぞれの利用形態や無線システムに対応いたしまして、ふさわしい周波数の電波を割り当てておるわけでございます。

 例えば、代表的な例として申し上げるならば、市町村の防災無線用といたしましては、六十メガヘルツ帯、百五十メガヘルツ帯、四百メガヘルツ帯を割り当てております。また、国土交通省や防衛庁の航空管制無線用といたしまして百二十メガヘルツ帯、それから、地方自治体の消防無線や警察無線用といたしまして、百五十メガヘルツ帯と四百メガヘルツ帯、また、国土交通省の気象レーダー用といたしましては、大変高い周波数でございますが、五ギガヘルツ帯、また、国土交通省や警察庁や各都道府県の固定中継無線用に、すなわち、マイクロ波と呼ばれているもの、六ギガヘルツ、七ギガヘルツ帯等を提供いたしております。

 また、現在、三十ギガヘルツ帯以下のほとんどの周波数帯は既にもう何らかの業務に割り当てられておりまして、現在、いずれの業務にも割り当てられていない周波数帯が存在しているのは、近年、利用技術の開発が進んでまいりました、いわゆるミリ波帯と呼ばれる大変に波長の短い周波数帯域、三十ギガヘルツ以上の周波数帯域に若干あるということでございます。

 これを総称的に申し上げますと、VHF帯、すなわち、三十から三百メガヘルツにおきましては、公共業務用の周波数幅は百十三メガヘルツ、全部で、トータルの幅でそれだけ適用しておりまして、これは全体の四二%。UHF帯、すなわち、三百メガヘルツから三ギガヘルツ、この部分で、比率でいいますと四〇%。また、マイクロ波帯で残りの二七%強程度を提供いたしております。このような比率で公共業務用に割り当てているところでございます。

武正委員 今、御説明があったんですが、先ほど示しましたこういう帯状のグラフを見ても、私もこの帯状のグラフの割合で調べたんですが、三十メガヘルツから三百三十五・四メガヘルツの半分が公共業務、航空管制、船舶通信、九百六十メガヘルツから三千メガヘルツも、今、言われたような、約半分、四〇を超えるパーセントということだというふうに理解をいたしました。

 実は、この周波数のキャパシティーを数値化できないかということなんですが、これは電波資源の有効活用方策に関する懇談会、平成八年四月二十三日に第一回が行われましたときに、やはり委員から出されまして、事務局からは、できるだけ数値化を検討したいという答弁がございました。そういった意味では、まだまだ我が国の電波の利用状況というものがなかなかわかりづらいといった意味では、何か数値化をしていくということは、さらに、これからデジタル化を進める意味で必要なことではないかと思うんですが、重ねて御所見をお伺いしたいと思います。

金澤政府参考人 情報公開法の制定に伴いまして、私どもも、できるだけ詳細に周波数の利用状況を公開したいというふうに思っております。

 まずは、周波数使用計画的なものを一般に公開するということでございますが、それでは、具体的にどういう波が個々の局に割り当てられているのかという個別の問題もございまして、それについては、個別の局のパワー、それからエリア、その他詳細なデータがないと、具体的に新規の免許人に割り当てられるかどうかということが明白ではございませんので、その点も含めて、先生のおっしゃいますように、できるだけ数値化したいというふうに思っております。

武正委員 次に移りますが、今、それぞれの電波帯では四〇%を超える部分を国が使用しているわけであります。この電波利用料を国は払っているのかどうか、これについてお答えをいただきたいと思います。

小坂副大臣 電波利用料につきましては、国につきましては、電波法の第百三条の二に電波利用料の徴収ということが定められておりますが、電波法の第百四条の規定によりまして、各種手数料と同様に、第百三条の二のほか適用除外となっておりまして、電波利用料を支払ってはおりません。

武正委員 私の方に、「電波利用料ガイドブック」という、電波政策研究会が出した本の写しがございまして、その五十六ページで、「電波法は、電波を国家のものではなく、国民のものと位置づけ、その利用についても国民の自発性を尊重することを基本精神に作られたものである。」というふうに書かれております。

 先ほど、それぞれの電波帯で四割を超える部分を国が使用している。ここに書かれておりますように、電波法の基本精神は、国家のものではなくて国民のものであるというような趣旨からすると、国が電波を利用するに関して適用除外とするのはいかがなものかな、ここも見直しが必要ではないかなというふうに思うわけであります。

 先をまた急がせていただきますが、平成五年度から電波利用料財源で実施している二事業、電波監視、総合無線局管理ファイル、これが平成五年以前、どうしていたのかということであります。

 それぞれ平成四年は、電波監視が約五億円の予算、それから総合ファイルは四億五千万円の予算。それが平成五年には、電波監視が二十八億円、総合ファイル化が十九億円というふうに膨れ上がりました。また、同じく平成七年に十二億円だった技術試験の費用が、平成八年、電波法改正により三十四億円にふえまして、先ほどの、先に平成五年から始まった二事業は、平成五年には合わせて四十八億円だったのが、今年度、百九十二億円の予算。並びに、試験の方は平成八年、三十四億円だったのが、今年度、百二十三億円の予算と膨れ上がっているわけであります。こういったところを見ますと、電波利用料財源での事業が、利用料がふえていくからそれにあわせて事業をふやしているように思えてならないわけでございます。

 こういったところを踏まえて、時間の関係もありますので、ちょっと先を急がせていただきます。

 今回、アナ・アナ変換を行うということでありますが、先ほどの事業にアナ・アナ変換を加えていくということでありますが、このアナ・アナ変換の目的は、携帯電話等に適した新たな周波数の確保と、デジタル受信機が普及するまでの間、アナログ放送を維持するためと考えておりますが、地上テレビジョンのデジタル化の目的は何でございましょうか。

小坂副大臣 地上デジタル放送は、高品質な映像、音声サービスが可能である、またデータ放送が可能となり、通信網と連携した高度な双方向サービス、そして安定した移動体による受信、また話速変換等の高齢者、障害者にも聞きやすい、見やすい、そういったサービスを充実させることができるなど、多くのメリットを有しております。

 こういった視聴者、国民に対するメリットとともに、今、御指摘がございましたが、アナログ方式と比較いたしまして使用周波数を大幅に削減することができる。そういうことから、次世代の情報通信基盤として電波需要の増大する移動体の通信分野を初めといたしまして、いろいろな新しい電波利用分野に周波数の再配分をすることが可能となる、こういったメリットがございます。

 さらに、大手家電メーカーの試算によりますと、家庭におけるIT基盤の形成を通じまして、今後十年間に四十兆円にも及ぶ端末、放送機器市場を創設することができ、情報家電産業の発展に寄与するということにもなりますし、インターネットとテレビを組み合わせたテレビショッピングのような新しいビジネスも創造するということから、我が国経済の新生に大きく貢献することが期待されるところであります。以上のような点を実現するために、今回の地上放送のデジタル化、BS放送のデジタル化等を行うことにいたしたわけでございます。

武正委員 今、小坂副大臣の方から、今後十年間で四十兆円という経済波及効果が述べられております。火曜日にも再三出てくるこの四十兆円という経済波及効果でございますが、このうち、テレビ受信機はどのぐらい占めるのでございましょうか。

鍋倉政府参考人 この試算を行いました大手の家電メーカーに確認をいたしましたところ、デジタルテレビの受信機への買いかえがもたらす効果というのは、家庭用の受信機が十二・九兆円、それから、車載で受信をするような車載用の受信機も開発されますので、これが五・六兆円、合計十八・五兆円というふうに聞いております。

武正委員 十二・九兆円というお話ですね。これが一台幾らで換算をしているか、これはおわかりになりますか。

鍋倉政府参考人 そこまで確認はいたしておりませんが、単純に計算をいたしますと、電子情報技術産業協会の試算で、十年で六千三百四十万台というふうに予測が出ておりますので、これは単純に割りますと、約二十万円ということになります。

武正委員 一台二十万円なのか、あるいは、以前よくこの四十兆円というお話が出るときには、一台五十万円というようなこともその試算の根拠になっていた時期もあったようでありまして、いずれにせよ、デジタルテレビの値段をいかに安くするか、あるいはまた、既存のアナログテレビで、附属装置をつけることによっていかにデジタル放送を受信できるか、これが二〇一〇年に向けて非常に大事であるということは、もう火曜日、再三答弁の中でも言われているところでございます。

 次に移らせていただきますが、二〇〇三年に東京圏あるいは中京圏、そして近畿圏で先行して地上波デジタルを行うんだということでございます。その中で、東京圏で地上テレビジョン放送のデジタル化のためのタワー構想、これが昨年十二月に結論が出されたんだと。その位置とかタワーの場所、どういう形で行うか、これについてお答えをいただきたいと思います。

鍋倉政府参考人 関東広域圏のタワー構想につきましては、関係の放送業者、これはNHKと広域の民放五社でございますけれども、そこが検討いたしております。現在の東京タワーの建てかえということも検討の中にはあるわけですが、これ以外に、さいたまと多摩と新宿、それから秋葉原等複数のタワーについて、現在まだ、コストやあるいは航空法上の問題とかいろいろな観点から比較検討しているということは伺っておりますけれども、詳細については承知をいたしておりません。

武正委員 私、埼玉県出身なものですから、さいたまタワーの誘致というような形でいろいろと関係各位のところをお伺いする、郵政省といろいろやりとりをする、あるいは県議会当時に県議会を挙げて、県を挙げてさいたまタワーを誘致しようというようなことに取り組んでおりました。議員連盟にも入っておりました。

 そういったことからいろいろとこの経緯を承知しているわけでありますが、今の御答弁でも、わからないというようなお話でありまして、二〇〇三年には東京圏のデジタル化を始めるにもかかわらず、どこにタワーをつくるのか、あるいはどこから地上波デジタルを発信するのかわからないということでございますが、これは副大臣、いかがでしょうか。御答弁いただけますか。

小坂副大臣 武正委員には、さいたまタワーで大変に積極的なお取り組みをいただいて、御指導もいただいておるわけでございますが、このタワー構想につきましては、これは利用するのが放送事業者でございます。そういった点で、どれくらいの高さのタワーをどこに設置するかといったような設備の仕様等につきましては、まず、放送事業者が事業経営の観点から決定すべき事項である、このように認識をいたしておりまして、ただいまお答え申し上げたように、NHK及び広域民放五社によりましてこの検討が進められていると認識をいたしております。

 総務省といたしましては、放送局の免許申請に際しまして、放送事業者が設置する設備を前提といたしまして、周波数の割り当て可能性がどうであるか等、電波関係の法令に基づきまして放送設備等の審査を行うこととしております。現在、候補に挙がっております五つのタワーにつきましては、いずれの候補についてもデジタル化という観点からいいますと、支障はないものと考えております。

 また、二〇〇三年の実施に対して間に合うかどうかということでございますが、期間的な問題につきましては、とりあえずその間を中継ぎする方策というものを考えております。具体的には、現有の東京タワー等の利用による、少しパワーを落とした形で混信のないような状況をつくり出して、しばらくしのぐということは可能かと思っておりまして、そのような中で新たなタワーの選定に向けて事業者のお取り組みを見守っているという状況でございます。

武正委員 火曜日には、大臣からデジタル化は国策なんだという御発言があったり、二月二十二日の小坂副大臣は、八五%普及を抜きにして、抜きにしてという言い方が当たっているかどうかわかりませんが、二〇一〇年にはアナログ放送を停波するというような発言をしているわけであります。例えば、今の東京圏の地上波テレビジョンのデジタル化についても、タワーについては、やはり放送事業者が決めることなんだというような御答弁に終始するというのはいかがなものかなというふうに思うわけであります。これについては、総務省として主体的な取り組みにぜひ乗り出していただくことも必要なんではないか。これは放送事業者ですよ、これは総務省ですよというような形で、かなりそういった対応を、今回のタワーの件だけでなくて、電波関係の免許申請あるいは今回のデジタル化、いろいろなところで感じるわけであります。これは意見としてとどめさせていただきます。

 さて、デジタル化のメリットとして、双方向が可能としておりますけれども、実際に、受信側にとりましては、情報をシャワーのように受ける一方となることが危惧されるわけですが、受信側において情報の取捨選択ができるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。副大臣、お願いします。

小坂副大臣 おっしゃるように、メディアが多様化してまいりまして、いろいろなルートで私どもは情報を入手することができるようになりました。そういった中から、情報の洪水の中で、有用な、自分に有益な情報、あるいは有害な情報等を聞き分ける、また見分ける、情報リテラシーといいましょうか、最近、そういう言葉で言われておりますが、そういった能力を各人が身につけていくことが大切だと思っております。情報の洪水の中で取捨選択をしていくことが必要だ、このように認識いたしております。

武正委員 Vチップということも議論がありますけれども、受信者側での情報の取捨選択ということは必要なことではないかなというふうに考えるわけであります。

 そこで、規制改革委員会が三カ年計画で打ち出したNHKの衛星デジタル放送のスクランブル化についての御所見をお伺いします。

小坂副大臣 NHKのBSデジタル放送のスクランブル化につきましては、今、御指摘の規制改革委員会の見解が出ておりまして、平成十三年三月三十日の閣議決定を得ておりまして、その中におきましても、NHKのBSデジタル放送をスクランブル化することにつきましては、いろいろな問題が指摘をされております。

 私どもの認識をいたしておりますところは、視聴の有無にかかわらず、NHKを維持、運営するために徴収する特殊な負担金という形でいただいております受信料制度にかえて、いわゆるスクランブルを解くためには料金を払っていただくという形の、その対価としての形をとる、有料放送としての性格を有する料金制度を導入することとなるわけでございます。そういった意味で、NHKに期待されている公共放送としての役割を維持することが困難になってくる可能性があるという御指摘が出ております。

 また、BSアナログ放送については二〇〇七年ごろまで実施されるわけでありますが、BSデジタル放送のみにスクランブルを導入する、まあこれは技術的にそちらができるということでそうなるわけですが、ということになりますと、いわゆるサイマル放送と言われる、両方が電波が出ているにもかかわらず、スクランブルのかからない従来のアナログ放送と混在することになってしまいまして、片っ方は取る、片っ方は取らない、こういうことになって、それならばデジタル放送にわざわざスクランブルを解くための料金を払う必要はないじゃないか、こういうことで逆にデジタル放送の普及に支障が生じるおそれがある等の問題があると認識をいたします。

 したがって、総務省といたしましては、BSデジタル放送のスクランブル化につきましては、今後ともNHKに期待される役割、他の民間放送事業者との公正有効な競争の確保の観点、そしてまた、サイマル放送期間を勘案して慎重に検討させていただいて、決して今、結論を出すということではなくて、そういった動きも見ながら慎重に検討させていただく所存でございます。

武正委員 先を急がせていただきますが、CS放送がなぜ赤字になっているか、四月十一日現在でディレクTVを初め二十四社が撤退したというわけでありますが、この理由をどのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。

鍋倉政府参考人 先生御承知のとおり、CSデジタル放送というのは、映画とかスポーツだとか、専門的な放送を中心に有料放送で多チャンネルで行われているのが現状でございます。現在、放送事業者が百十六、チャンネルが三百三十一、加入者が約二百六十二万人ということでございますが、御承知のとおり、CSデジタル放送というのは、平成八年の六月に開始されましてまだ五年を迎えたところということで、言ってみればメディアとして創成期にあるのかなというふうに思っております。

 そういうことで、専門的な放送あるいは有料放送、多チャンネルの放送メディアというあり方とか、そういったものの利用の仕方というのが国民全般にまだ浸透し切れていないというようなことも考えられます。ですから、今後、本当に視聴したい放送については有料、お金を払ってでも見たいというようなスタイルが浸透すれば、経営状況も好転するのではないかなというふうに思っております。まだまだ赤字は多いんですけれども、毎年とってみますと、収支率は着実に上がってきておりますので、放送会社全体をトータルしますと、収益と支出の収支率が毎年毎年増加をしてきておりますので、もう少し見守っていただければというふうに思っております。

武正委員 電気通信役務利用放送法案にまとめられた外資規制の撤廃ということは、そういった意味では、CSに新しい参入を認め、そこでまた新たな事業者がふえる可能性がありますので、それは私としても歓迎をしたいというふうに思っております。

 今まで電波についていろいろと述べてまいりましたが、これに、ケーブルテレビジョンやインターネットということで、さまざまな情報提供がなされてまいります。多様な選択肢があってしかるべきと考えるわけでありまして、通信・放送の融合化法もその趣旨に沿っているものと思うんですが、さまざまな情報メディアのいわゆる競争政策についてどのように御所見をお持ちか、お伺いしたいと思います。副大臣、いかがでしょうか。よろしくお願いします。

小坂副大臣 それぞれのメディアの特性に応じて利用形態を変えてきているわけでございますが、CSデジタル放送、それから地上ラジオ放送、衛星デジタル放送、また地上デジタル放送、ケーブルテレビ、いろいろなメディアを通じて有効な競争が起こってくること、それが私ども、通信・放送融合の時代にあっても、それぞれの特性を利用しながらお互いにそのコンテンツを競い合っていく、それが利用者にとっても利便性を向上させることにもなりますし、また、そのコンテンツがお互いに共有されるという部分も出てきて、また、それが融合して新たなビジネスやサービスを生み出すということにもなりますので、そういった意味で、それぞれのメディアの特性に合った中でデジタル化を推進していくということが、結果としてそれぞれのメディア相互間の競争を生み出し、また、その競争によって新たなサービスを生み出すといういい循環が生じてくるというふうに思っておりまして、そういった意味での競争政策というものを考えております。

武正委員 競争政策についても前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 さて、大臣にお伺いをしたいんですが、大臣が盛んにデジタルデバイドの解消ということを口にされるわけであります。私も妻が長野県の松本の北の出身なものですから、よく、妻の実家に帰りますと、地元のミニコミ紙というかタブロイド判の新聞、でも、これは三十二ページぐらいの分厚いものでして、小坂副大臣も御案内かと思いますけれども、松本市民タイムズ、固有名詞を挙げて恐縮ですが、それが毎日送られてくる。それこそ、どこのどなたが亡くなられたか、そういう細かい情報も拾っております。

 また、町には有線放送が、有線が張りめぐらされ、電話回線を利用しているんでしょうね、それが絶えず町の情報を流してくるというようなこと、あるいは、農協を初めいろいろな団体がコミュニティーを密に保っている。

 あと例えば地方紙ですね。これは二〇〇〇年十月の日本ABC協会の調べですが、徳島新聞のシェアが八五・〇七%、これを筆頭に地方では地方紙が非常に地元メディアとして発達をしている。これはもう片山大臣も御案内のことだと思います。

 そういった意味では、私は埼玉なんですけれども、都会の方が実は、地域でどんなことが起こっているのか、かえって、情報が非常に入ってこない。人の生活というのは、自分の足で歩いたり、自転車で行ったり、車に乗ったり、もちろん、電車で通ったりありますが、やはり生活圏というのがありますから、そういった情報が、地方がデジタルデバイドなのかというと、実は都会でもあるんだということなんですけれども、これについての御見解を大臣、お答えいただけますでしょうか。

片山国務大臣 武正委員言われますように、地方紙だとか有線放送だとかケーブルテレビだとか、そういう面では、地方も相当今、整備が進んでよくなってきていると思いますけれども、客観的に見る場合、例えばケーブルテレビ、コミュニティーFM、インターネットのホームページなどは、私はやはり都市の方がそういう環境は整備されていると思います。新聞紙も、地元紙以外に五大紙、六大紙が簡単に手に入るような状況もありますから、私は、客観的な環境は都市の方が上だと思いますけれども、一つ、都市に住む人は忙しいですよね、職住近接じゃなくて。それからもう一つは、コミュニティー意識が乏しいんですよね。だから、地元のこと、必ずしも住んでいるところのいろいろなことを知らなくても生活できるようなところもありますし、そういう差があるんじゃないかと思いますけれども、いろいろな数字を見ますと、やはり都市の方が進んでいると私は思いますが、利用する状況、意識は、あるいは都市でない地方の人の方がそういうことをうまく利用して、ちゃんとした意識でつながっているんじゃないか、私はこういう気がいたします。いずれにせよ、今、デジタルデバイドを解消することは大きな課題だと思っておりますから、私どもの方で有識者会議をつくりまして、七月までぐらいにはまとめていただこうと思っております。

 今、我々の念頭にありますのは、地域的な差、地方の方を引き上げるということ、あるいは年齢的な差、高齢者や障害者の方にどういう対応をするかということを中心に考えておりますけれども、今、委員が言われましたような都市における一種のデジタルデバイド的状況についての対応も少し議論してみたい、いい御指摘をいただきました、そういうふうに考えております。

武正委員 大変前向きな御答弁、ありがとうございます。

 火曜日にも、同僚委員からコミュニティー放送のことが出ました。実は、このコミュニティー放送も、都会の中で、地域の情報を地域にということの新たな試みということで評価をしているのです。

 重ねて申しますと、今、大臣からコミュニティー意識が薄いというお話があったんですが、逆に言うと、都会というか都心部というんでしょうか、都市部というのは、逆に地元情報がなかなかわからないからコミュニティー意識が薄くなってしまうということでございますので、やはり何とかコミュニティー意識を高めるためにも、地域の情報をみんな切望しているものですから、ぜひ、その切望している情報が手に入るような、より細かな対応を要望として述べさせていただきます。

 次に移らせていただきますが、政治的公正をだれが判断するかということについて、郵政省時代に、テレビ朝日の椿局長問題の答弁で、これは平成五年十月二十七日でございます、逓信委員会で当時の放送行政局長がこのように述べております。「これは最終的には郵政省において、そのこと自身の政治的公正であったかないかについては判断するということでございます。」ということでありますが、今回のアナ・アナ変換で各メディアに国のお金が投じられるということについて、政府あるいは国家権力の放送への介入ということを危惧する質問が火曜日にも多数出されております。この平成五年十月二十七日の答弁について、この真意をどのように御理解されているか、お願いいたします。

鍋倉政府参考人 私の前任でございますので、私の方から御答弁させていただきたいと思います。

 当時の局長が申し上げました趣旨は、放送法といいますものにつきましては、私ども、法律の執行について、その法を所管する省が責任を有するという意味合いから、放送事業者が放送法に違反したか否かについて判断をする必要がある場合には、当時の郵政省、今の総務省が判断できるという旨を述べたものでございます。

 ただ、御承知のとおり、放送法では放送番組の編集の自由を保障しておりますし、それから、放送事業者の自律によって放送番組の適正を図るというのが放送法の考え方でございますから、行政として政治的に公平であることに違反するということを判断して行政処分を行う必要が生ずるというのは、ごくごく例外な場合に限られるものであろうというふうに考えております。

 もうちょっと具体的に、お時間をいただきまして申し上げますと……(武正委員「いいです。大体わかりましたので」と呼ぶ)よろしいですか。

武正委員 ちょっと時間がないので、急がせていただきます。

 ただ、放送免許ということがございますので、この免許をある面ちらつかせるというような形で、どうしても放送事業者に対して何らかのプレッシャーというか圧力がかかりやすいのではないかなというようなことを、私はこの審議を通じて感じております。

 先ほど国の金が入ることによっての危惧が、火曜日も出されたわけです。ところが、国の金と言いながら、電波利用料の大半は携帯電話を利用している国民のお金ではないかというふうに私は思います。

 無線局、五千七百四十七万有余のうち、五千二百万有余がいわゆる携帯電話ということでありまして、単純に五百四十円を掛ければ三百億弱ということであります。六千万台を超えたという報道もありますので、平成十三年の今回の歳入予算は四百五十一億円ですから、かなりの部分を携帯電話が占めているということでありますが、この認識についてお伺いしたいと思います。

小坂副大臣 武正委員から今、お話をいただいたことをずっとしんしゃくしてまいりますと、すなわち、アナ・アナ変換において国のお金、御指摘の利用料収入を充てるのであれば、それによって放送の中立性が左右されないか、こういうような趣旨の御質問かと思います。

 いずれの場合にいたしましても、憲法が保障する表現の自由を確保するということは非常に重要な問題、これは絶対に侵してはならない部分でございます。放送法は、この観点から放送番組編集の自由を規定いたしておりまして、その上で放送事業者の自律を基本として番組の適正を図る仕組みをつくっております。

 アナログ放送からデジタル放送への移行期に伴いまして、アナログ周波数変更対策として助成をするわけでございますけれども、このようなことがありましても、放送法の基本的な考え方は何ら変わるものではございません。

 また、今回のアナログ周波数変更対策におきまして、給付金の支給につきましては、民放ローカル局につきましては全額支給、広域民放局であります関東、近畿等の地域におきますいわゆるキー局、準キー局と呼ばれるようなものについては、関東、近畿等の地域では支給しないことを決めておるなど、給付金の支給につきましては定型的なパターンを決めてやっておるわけでございます。ここには、行政の恣意的な判断によって助成の金額が左右されるというような性格は入っておりません。そういった意味で、これによってそういった中立性が阻害されることのないように配慮をして運用してまいる予定でございます。

武正委員 私の趣旨は、さらに加えて、国の金というよりも、実は、電波利用料は国民の金なんだということでありまして、これについては先を急がせていただきます。

 今お手元の方に、委員長のお許しをいただきまして、また理事会での御承認もいただいたということで、過日、報道がありましたように、民主党のコマーシャルの放映を求めたわけでありますが、なかなか折り合いがつかず、一部の民放局では放映できなかったというものを文書に起こしてお手元の方に配らせていただいております。

 実際に今、放映をされているのは、「銀行篇」、「公共事業篇」ということで、上から二番目、三番目でございます。一番下の「入札篇」についてはペンディングということで、交渉中ということであります。

 民主党のコマーシャルが具体的にどこら辺で放送事業者といろいろな議論があったかということをちょっと御紹介しますと、「銀行篇」については、「日本の非常識」、「世界標準」という表現があるけれども、何をもって世界標準あるいは常識とするかについて見解の分かれるところということで、これは特に日本テレビさんからのお答えでございます。こんなことがあって、これは、欧米では引き出すのは、というような言葉を入れて、テレビ朝日さんの方では流しているということであります。

 そしてまた、「公共事業篇」の方では、新聞にも書いてありましたが、「こんな時代に毎年四十兆円の公共事業ですって」という言葉に、「向こうには減らせない訳があるんだよ」と。この「向こうには」というのが問題であろうということが出てまいりまして、これは放送基準の百十七条、百十八条でという日テレさんの指摘もあり、またテレビ朝日さんからの指摘もあり、これをテレビ朝日さんの方では、要するに、ということで直して今放映をしているわけであります。

 ただ、「しがらみの無い民主党」ということに対して、これは日テレさんの方で、間接的ではありますが、他党にはしがらみがあると受け取れる表現なんだということでクレームがつきまして、これは折り合いがつかず、「公共事業篇」も「銀行篇」も日テレさんでの放映ができないといったことになっております。

 さらに加えて、「入札篇」の談合でございます、「エクスキューズ ミー ホワット イズ ダンゴウ?」「談合!?日本には目に見えない決まりがあるんですよ」ということでありますが、これは、日テレさんからの指摘では、現政府が談合を容認しているかのような誤解を生じかねない表現ですということでございまして、この「入札篇」は今ペンディングということだそうであります。

 こういったことは、放送の自律あるいは報道の自由といったものを放送事業者は堅持してほしいということは、先ほど来、重ねて申し上げていることでありますので、誤解のないようにまず申し上げさせていただきますが、ぜひ大臣に、これらのやりとりをお聞きの上で、私はやはり、有権者の意識を高める、あるいは投票率を向上させる、そして、政治に対する参加を促す、そういった意味では、政党のコマーシャルというのも、アメリカではかなり有名でありますが、日本でもこれからどんどんと取り組んでいくべき分野ではないかなと思うんですが、この一連のいきさつも踏まえての御所見をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 今、委員みずから言われましたように、放送法におきましては、憲法に規定する表現の自由を最大限尊重する、こういう立場から、番組を自由につくれる、こういうことを保障した上で、番組準則を放送法の中に規定しておりますよね。それを参考に各放送事業者はそれぞれが放送番組の編集基準をみずからつくっているわけであります。だから、この場合、日本テレビさんがどういう判断をしたかというのは、日本テレビさんとしてのいろいろな基準があってのことでございますので、私の方から、それがいい、悪いと言うことは差し控えたい、こういうふうに思います。

 いずれにせよ、テレビというのは大変影響力があるんですよ、今。そういう意味で、放送事業者さんの方も慎重になることはあると思いますが、委員が言われる、いいテレビコマーシャルで政治の関心を高めていくということは、それも一つの方法だ、こういうふうに私は考えております。

武正委員 いいコマーシャルというのがどういうものかというのはそれぞれが分かれると思うんですが、私は、やはり問題点を明らかにする、有権者の方にその問題の所在を明らかにするということは大変有効なものである。あるいはまた、政党なり候補者が、候補者のコマーシャルが許されるかどうかはまた議論は別でありますが、政党の主張がやはり明確に伝わる、こういったことが大事なんじゃないかなということでの観点からいえば、やはり前向きに政党のコマーシャルについて放送事業者にも勉強もしてほしいというふうに考えるわけです。

 ただ、ちょっと気になるのは、先ほどの「入札篇」のところの、現政府が談合を容認しているかのような表現になるというような指摘でございます。

 次に移らせていただきますが、電波利用料なんですけれども、火曜日からもう議論が出ておりますが、今の日本では、いわゆる電波の監理に当たる費用をデータ量に応じて分担をしよう。先ほど触れたように、国民一人、携帯電話がもう六千万台を超えている、その方々が一人五百四十円。一方、放送事業者、無線局一基当たり二万三千八百円。これは余りにもおかしいんじゃないか。

 先ほど言ったような、利用料の過半を国民が負担をしているといったことを考えるときに、放送事業者の自律、独立、放送の自由をある面、保障する意味でも、電波量に応じて、あるいは電波を使っている分量に応じて、放送事業者には堂々と電波料を払ってもらう。政府の免許は、確かに免許のやりとりはありますが、堂々と放送の事業者として毅然たる態度で放送に臨んでほしい。何かちょっと、政府や、権力に対して、時として非常に気を使っているようなことが今の表現からも感じ取れるわけなんですね。

 そういった意味で、この際、電波を使用する対価として電波料を支払うべきではないかというふうに考えるわけでありますが、先ほど、国が四割も使っている、でも電波料を払っていません、使用料を払っていませんということがありました。こういった意味では、国も含めて、電波を使用している分量に応じて電波料を払う、これについての御所見を、小坂副大臣、よろしくお願いします。

小坂副大臣 委員ただいま、放送が毅然とした態度でなかなかできない、おもねているような形になりはしないかという懸念を表明されましたけれども、そのような懸念は全くないんではないかと。今現在でも放送局は中立性を保ち毅然とした姿勢で放送をしておりますし、反権力というような立場も貫いて、また、その中での調和というものをとりながら、自律性を持って運営をされているという認識を持っておるわけでございます。

 御指摘の、電波利用料をもっと資源的な観点から、あるいは経済的な効果に着目してやるような形にした方が、利用者はもっと堂々と何か使用できるではないか、こういうことでございますが、現在の日本の電波利用料は、もう委員御存じのとおりでございます。無線局全体のための共益的な行政事務の経費、いわゆる電波利用共益費を、放送の受益者である無線局の免許人の方々に均一に負担していただき、それを支えていただく。そして、電波の経済的価値や周波数資源を占有することに対して課されるものではなくて、むしろ行政的な経費を分担していただいて、新たな電波の利用分野を開発したり、あるいはお互いに電波が妨害を受けることなく安定した利用ができるような環境づくり、こういうことを志しているわけでございます。

 しかしながら、今委員の御指摘をいただいたようなものが、将来的にそういうものも検討しないでいいのかという御指摘であれば、これは、e―Japan重点計画におきまして、御指摘の入札制度など諸外国で行われている割り当ての実施状況を、問題点も含めながら調査いたしまして、これを踏まえて、我が国における最適な周波数の割り当て方式を、公平性、透明性、迅速性、周波数利用効率性等の観点から検討を行ってまいりまして、二〇〇五年度までに結論を得ること、このように重点計画でしております。

 こういった観点から、今後とも、最適な割り当て方式の検討に当たって、電波の経済的価値や電波を利用する受益等も踏まえて、私どもも積極的に検討を継続してまいりたい、このように思っております。

武正委員 先ほど話に出しましたが、放送局は、無線局一個当たり二万三千八百円という金額を払っております。ということで、地上系民放テレビジョン放送事業者別中継局数を見てみますと、いわゆるキー局はいずれも百を切っております。ですから、二百三十八万円以下の電波利用料を払っている、キー局ですね。

 それに対して、やはり放送が遮へいされてなかなか飛ばないような山の多いところとか、広いところとか、そういったところの放送事業者さんは百局を超えております。北海道が、北海道放送以下四局さんで百六十六局、百六十八局ということですね。それから、やはり関西、毎日放送、朝日放送、関西テレビ放送、読売テレビ放送、いずれも百八十四カ所ということですから、二万三千八百円掛けるということですから、東京キー局の倍、倍近いということです。それから、サガテレビ、長崎放送、テレビ長崎さんも百局を超える。鹿児島、南日本放送、鹿児島テレビ放送さんも百局を超えるということであります。

 今回、ローカル放送に対してアナ・アナ変換をやるわけですが、やはりこういうところも何か公平性を欠いているんではないかなというふうに感じるのは私一人だけでございましょうか。

 これについて、御所見をお伺いします。

小坂副大臣 委員御指摘の点は、概念的には私も理解できるんですね。しかし、放送局の存在というものが、公益性に着目をして、大きい局であろうと小さな局であろうと、それぞれ公共の利益を勘案しながらニュースの送信を行ったり、また、その中で地域情報に密着した番組編成等を行って貢献をしているところでございます。それが、影響力が大きいから電波利用料を多くするとか、あるいは営業範囲が大きくて収入も大きいだろうからよりたくさん払えとか、そういう観点で今日、形成されていないわけでございます。

 そして、委員の御指摘のように、山間僻地の地域に行けば、特に中継局をたくさん必要として、その到達のために必要な経費が多いのに、電波利用料はそれに従って逆に負担も大きくなっちゃって、逆に経営の体質を弱める結果になりはしないか、こういう御懸念が生じるところでございますが、今の制度として維持しております、先ほど申し上げましたような共益費用を分担していただく、あるいはデータファイルのその分を応分に負担していただく。これによる経費全体は、準キー局、キー局クラスで一社当たり三百万から五百万程度、またローカル局では、規模により異なりますが、五十万程度から五百万程度ということで、価格自体からはそんな大きな差がない部分もあるわけであります。

 しかし、いずれにしても、全体の収益構造等から見ると、収入構造から見ると、負担としてはそんなに大きな部分ではないということもありまして、公益的な部分に着目した行政経費を分担していただくという制度で、合理性を欠いていないというふうに理解をいたしておりまして、この方式で続けさせていただきたいと思っておるところでございます。

武正委員 先ほど入札制について触れて、二〇〇五年に結論を出すというお話でございました。アナログの停止ということで、ああいったところについてというようなお話で、それは二〇一一年なんだというお話もありますが、先ほど来、国が使っている電波の領域というのが、ある周波数帯では四割を超えるということでありまして、それが電波利用料を払っていないということであります。やはり国が使っているからといって、本当にどの程度使っているのか精査が必要ではないか。実は余っているのではないか。もっと有効に利用できるのではないか。こういったことをもし今からやれば、二〇一一年から電波の入札制、実際に実施ですよというような先の話ではなくて、今からでも取り組めるのではないか、このように考えるわけでございまして、これについて最後に御意見を伺って、終わらせていただきます。よろしくお願いします。

片山国務大臣 入札制度につきましては、当委員会でも再三委員の先生方からの御質疑がございまして答弁させていただいておりますけれども、いずれにしろ、今、我々の考え方は、二〇〇五年までには結論を出したい、こういうことでございまして、確かに入札制度のよさが私はあると思います、透明性、その他ですね。しかし、外国の例を見ますと、問題点が出て、やり直したり改めたりもかなりしているものですから、そういうことを踏まえてしっかりと精査をして、二〇〇五年までには結論を出したい、こういうふうに考えております。

 武正委員、国がかなりな電波を使いながら電波料を払っていないというわけでありますが、払うとなると、また予算に組みまして、国が自分で払って自分で取るわけですから、そういう意味で、こういう国にかかる使用料や手数料は、ほかのものを含めて、国の場合には免除しているわけでありまして、その辺はひとつ御理解を賜りたいと思います。

武正委員 質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、山村健君。

山村委員 おはようございます。

 火曜日から続きまして、きょう、電波法の一部を改正する法律案につきまして質問に立たせていただくわけです。

 私、先月のNHK関連の質問に立たせていただいた席で、地上波デジタル反対の立場からというようなことをいきなり申し上げまして、きょうも、どういう形で今回の質問といいますか、大臣、副大臣にお伺いさせてもらおうかなと思っていたんですが、実は民主党は、この法案に対して部門会議で盛んに議論を重ねまして、やはり必要じゃないかということで、賛成という立場できょうは質問に立つという、まことに私にとりましては複雑なところなんです。

 複雑な心境といいますと、きょうですか、本日、自民党さんの方におきましては、次期の総理といいますか総裁選挙というようなことになります。そうなると、必然的に森内閣がどうなるのかといいますか、大臣、副大臣のポストということがどうなるのかというようなことも含めまして、複雑さは同じかなと。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、森さんが就任されてから一年になるわけですが、この一年間のいわゆる森内閣、そして、ことしの一月六日からの省庁再編成というようなこともありまして、この間の大臣としての御感想といいますか成果評価といいますか、そういったことも含めまして、一言冒頭にお話をお伺いさせていただければと思います。

片山国務大臣 森内閣は、去年の四月五日に発足いたしました。

 小渕前総理が大変不幸なことになられまして、その後、おっつけて当時の自民党の森幹事長が後を引き受けた、こういうことでございまして、最初は居抜きといいますか、閣僚そのままでおやりになって、七月のサミットの前ですか、あのときに内閣改造をされて、さらに十二月に再度の改造をされて、一月の新省庁体制に備えられたわけであります。

 私は、森総理の発言その他で世上いろいろなことが取りざたされ、にぎわしたということも確かにありますけれども、森内閣そのものとしては、それぞれの課題には着実に取り組んできたのではなかろうか、こう思いますし、特にIT革命の推進については、森総理自身も大変強い関心を持たれて、昨年の臨時国会でIT基本法を通されまして、いろいろな準備を進められて、e―Japan戦略もお決めになり、三月末までにそれに基づくアクションプランもつくられて、そういう意味での評価はやはりしっかりしていただく必要があるのではなかろうか、私はこういうふうに思っております。

 それで、中央省庁の再編は、実は橋本内閣時代に法律ができまして、あといろいろな準備が進められて発足いたしたわけであります。新体制が発足して三カ月半ですから、まだいろいろその成果を云々するところには至っていないと思いますけれども、私は、総務省が、三つの省庁が統合されまして、統合の実が次第に上がってきている、あとはやりようだ、あるいはみんなの意識の改革がどうなるか、こういうことだと思っております。

 私は、幸い初代の総務大臣にしていただきましたので、一つの省庁としてのレールをしっかり敷いていこう、こう思っておりますし、もう既に答弁いたしましたけれども、例えば国、地方を通じる行革の推進は我が省であって初めてできる、あるいは電子政府、電子自治体の連携した、こういうことも我が省でなければできないだろうし、官と民と中央、地方の一体の情報化戦略もやはり総務省でなければできないのではなかろうか、こう思っておりますし、現場の話では、郵便局と市町村行政の連携等も国民の皆さんの便宜のためにやっていこう。

 そういうことで成果を出したい、国民の皆さんにメリットがあったら、ぜひわかっていただくように今後とも努力しよう、こう思っておりますので、ひとつ御指導、御支援をよろしくお願いいたしたいと思います。

山村委員 本当に長い間というか短い間というか、実を言いますと、私、前回のときにも、次の電波法のときには片山大臣のもとでまた御質問させていただきたいというふうにも述べさせていただいたんですが、確かに、大臣の任期といいますか、単に三カ月半でレールを敷くということよりも、これは自民党さんといいますか与党の考え方次第なんですが、特に今のような難しい時代に、大臣の任期というのはもう少し長目にとっていただいた方が、それぞれの政策に関して整合性といいますか方向性というものもよく見えるようになるんじゃないかなというふうに思います。

 本来といいますか今回の法案につきまして、これが本論ですから、これからいろいろ議論させていただきたいんですが、今もお話に出ました森内閣、森さんの方が最初にイット革命と言い出したときには、一体、日本のITはどうなっていくんだろうというような不安も抱いたわけですけれども、確かにITという言葉が国民の間に広まったということでは、私も大きな評価をさせていただいております。

 それに伴いまして、ITの基本法であり、e―Japan戦略でありというような、次々と打ち出されるその源泉というのは、やはり旧郵政省、今の総務省、そして通産省、経済産業省、各省庁こぞって二十一世紀の基幹産業という、まさにIT革命にどのように取り組んでいくかということが、日本の未来といいますか、そういったことを志向しているんだなというふうなことも感じたんです。

 そこで、今回の地上デジタル放送について、この構想といいますか政策、先ほど来、国策という言葉が非常に耳に残っているんですが、もともとの始まりというのは、いつからこのような政策は始まったんでしょうか。これは副大臣にお伺いさせていただきます。

鍋倉政府参考人 先生のお尋ねの観点から申しますと、デジタル懇談会というのを郵政省に設けたときからでございますから、平成九年からということになります。

山村委員 ありがとうございます。

 確かに平成九年からスタートしたということだと思うのですけれども、ことしのe―Japan戦略というものを読ませていただきますと、九八年の懇談会で出たときの報告書と少しばかり整合性というところで疑いを持たざるを得ない部分がございまして、総務省としてはどちらを優先していくのかなと。

 特に、今回の省庁再編ということで、一番大きなメリットとしましては、縦割り行政というものの弊害を横断的に解決していこうというような意図もあったと思われるのです。e―Japan構想の冒頭の部分に、「知識創発型社会の実現に向けて、既存の制度、慣行、権益にしばられず、早急に革命的かつ現実的な対応を行わなければならない。」というような文言がございます。

 今回の地上波デジタルの導入に関しまして、私が感じるところによりますと、どうしても、既得権益者といいますか従来の放送事業者、そしてまた、大手の家電メーカーさんを中心に、どうもこれは、何か恣意的に導入されたような気もしないでもないんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 このデジタル化のメリット、あるいはいろいろな影響、波及効果については、既にこの委員会でも何度も申し上げておりますが、これは単なる既存の放送事業者や家電等のメーカーのためのデジタル化じゃございません。

 これは、国民全体にデジタル化の恩恵を及ぼしたい、それによって経済にも活力を与えたい、インパクトを与えたいと。また、逼迫する電波需要にゆとりを持ちたい、さらに世界の潮流ともはずを合わせていきたい。こういうことでございまして、単なる放送事業者や家電メーカーのためではございませんので、そこは御理解を賜りたいと思いますし、e―Japan戦略にも、あるいは戦略に基づくアクションプランにも、はっきりとそのことは位置づけておりますので、ぜひその点はよろしくお願いいたしたいと思います。

山村委員 その中でなんですけれども、総務省の中で、いわゆるIT関連、放送・通信の関連を、融合ということは近い将来どうしてもしなければいけないことだと思うのですけれども、ブロードバンドという言葉が最近、社会の方に出回ってきております。いわゆるインターネット放送といいますかインターネットテレビというか、そのようなものが着実に、まだマウスイヤーとはいかないまでも、急速なスピードで動画が各家庭に入り込んでいるんですけれども、いわゆるブロードバンドと、十二月に始まったBSデジタル放送、今回の地上波デジタル放送、あとCATV、その四本の柱というのが、一般の家庭から見たら同じテレビのブラウン管から見えるものなんですけれども、そういうもので扱われる。

 それで、総務省として、優先順位というようなことからいきますと、その四つの方法、何を優先していこうか、そういう点をお伺いしたいんです。

小坂副大臣 委員のおっしゃっているブロードバンドという概念でございますが、今、通信は、主に電話に代表されますように、音声通話等が行われている。しかし、これは、おうちの電話線を見ていただくとわかるように、細い電線で結ばれているわけでして、この中を通っている信号の運べるデータ量というのは、いわゆるナローバンドと言われるような少ないものなわけですね。これを、インターネットの普及によりまして、インターネットでも、単なるメールだけやるのじゃなくて、その中に、今度はメールに絵をくっつけたり、画像をくっつけたり、あるいは動画像をつけたりということで、より幅広い帯域を使うけれども、より多くの情報を瞬時に送るようなブロードバンド化を図っていく必要がある、こういうことが言われて、ケーブルテレビ等を使ったブロードバンドの通信インフラが出てきたり、携帯電話も、従来の音声通話だけじゃなくて、今度、次世代のIMT二〇〇〇のように、最大二メガの帯域を使って画像が送れるようにしたりということで、ブロードバンド化が出てきている。こういう流れが一つ指摘をされているわけです。

 今、委員が御指摘になりましたように、BS放送があって、これがデジタル化をされる、また、地上放送がデジタル化をされる、あるいはケーブルテレビが同じようにデジタル化をされてくる。こういうものに対して、この順位づけはどうなんだというような御指摘の中で、それぞれの役割を見ますと、それぞれ違った役割を持っているんですね。

 放送というものはそもそも、簡易かつ安価に受信機で受信できるということ、それからまた、国民にとって身近な情報入手手段であるという位置づけ、それから、送り出せば、どこにいても、だれでも、受信機さえ持っていれば受信できるという利便性、こういった特徴があるわけですね。そういう特徴は、今後とも放送としての特性は残るわけで、放送の重要性というのはなくならないと思うんですね。

 その中で、地上放送は今、ほぼ全世帯に普及をするような身近な放送としての役割を持っている。それから、BS放送というのは、CS放送とBS放送という、衛星から落とすものは、全国を一波でカバーできる、中継局ごとに電波を変えなくても、一つの周波数でぼんと落とすと、どこででも同じ放送が受信できるという特性を持っています。地上放送はそうはいかないわけですね。一方、ケーブルテレビは、インターネットのように双方向機能を持っていて、送るだけじゃなくて、線がつながっていますから、何か信号を返してもらえば返ってくるということで、双方向性のある通信・放送融合メディアとしての地域に密着した役割を持ってきている。

 それぞれの特性がありますので、順位をつけていくという形ではなくて、それぞれが順次にデジタル化をされることによって、そのコンテンツ、放送内容あるいは番組内容、あるいはソフトウエアも含めたコンテンツが融合して、いろいろな幅広いビジネスを創出してくる。こういうメリットが出てくるわけなんで、これは、どれから先にというような順番ではないわけですね。

 しかし、一方では、BSをやろうというのは、電波が、たまたま衛星のトランスポンダーというものがあいているので、これは早期に、すぐ実施できる。ただ、地上デジタル放送はどうかというと、もう電波が全部逼迫しておりますので、どこかすき間をつくりながら、順次に引っ越してもらわなきゃいけない。そのために、三大広域圏を先にやって、それからローカルに行くというステップを踏まざるを得ない。こういう状況がありまして、それによる順位づけが今、起こってきたということで、結果としてこういう順番で進んでおりますが、プライオリティーによって、これが重要だからということでつけたわけでは必ずしもないというふうに御理解をいただきたいと思います。

山村委員 わかりました。

 財政が潤沢にある時期であれば、それぞれの方法というのを一気に進めていただければと思うんですが、いずれにしましても、これは総務省には直接的には関係がないのかもわかりませんが、六百六十六兆円というような大きな負債を抱えている我が国にとって、お金の使い方ということは十分に勘案していただきたいと思います。

 それと同時に、地上波デジタルのメリット・デメリット、デメリットの議論は余りされてはいませんけれども、今回の地上波デジタルを導入することによって四十兆円もの経済波及効果があるというようなことで、盛んに経済性のことも言われるわけなんですが、前回もお伺いさせていただきました。すべてのテレビ、ビデオが、現状のアナログ方式がデジタルに変わるとなると、今あるテレビの受信機、受像機一億台、そして、ビデオが約六千万台ですか、それだけの数のいわゆる家電の廃棄物というのがどうしても出てくるんですけれども、その辺の費用、コストというのは、この四月からリサイクル法案も施行されましたけれども、いかがなように考えてみえるのか。

小坂副大臣 当委員会でたびたび議論が出ているように思うわけでございますが、デジタル放送の実施によりまして、廃棄物がふえるという形ではない形に実際の流れはなっていくのではないか。

 すなわち、あるとき突然、大量の廃棄物が出てくるというよりも、むしろ、新たなデジタル放送によってデジタルテレビを購入されますけれども、そこでもし要らなくなったものは、今のリサイクル法によって販売者を通じてリサイクルのサイクルに乗っていく。そしてまた、お持ちのアナログテレビが、途中でセットトップボックスをつけて見ようという方はそれで見られるでしょうが、それでは耐用年数が来たということであれば廃棄される、いわゆる自然的な耐用年数の買いかえサイクルに従って廃棄をされていく、これもまた、リサイクル法等によって製造業者の方に五五%以上のリサイクルの実施が義務づけられているということですが、そういうサイクルに乗っかっていくだろう、こう考えるわけですね。

 それらのコストは、すべての今日のごみの問題等を勘案しながらつくった、資源の有効利用というリサイクル法の趣旨に沿ってまさに受け皿がそういうふうにできたものですから、適切に廃棄が行われていくというふうに期待をしているところでございます。

 また、もしそういった問題について不都合が生じる、不法投棄が発生するとか問題が出ましたら、これは関係省庁と廃棄物処理という観点からしっかりと対策をとっていかなきゃいけない、こういう認識を持っているわけでございますが、デジタル化によってテレビの不法投棄がふえる、あるいはリサイクル法が機能しなくなるとかいうような形ではないだろうと思っているところでございます。

山村委員 確かに、リサイクル法によってということもあるんですけれども、ただ、国策として二〇一一年までにすべてデジタルテレビに交換するんだ、いわゆるあおるような形で年限を切って導入しているわけですけれども、そうなると、イコールどうしても廃棄物がふえるというようなことにもつながっていくと思います、それは、だれがそれを始めたんだというようなことが、これは総務省の管轄ではないにしましても。

 ただ、今、副大臣がおっしゃられましたとおり、一つの二十一世紀型の生活のスタイルとして、買いかえるという概念から、引き取ってきたテレビのいわゆるパーツを交換するだけでまたお戻しするというような、大量消費の時代じゃなく、多少コストはかかっても環境に配慮したような転換方式ということも、またこれはメーカーの皆さん方と御協議いただければと思います。

 それともう一点、その前の答弁にもございました、二〇〇三年に三大広域圏から始めますというようなことが実施予定になっているわけですけれども、この三大広域圏の中の、関東、中京、関西とあるわけですが、具体的にはどの都道府県までが含まれるのか。関東一円といいますか、その辺のエリアはどこまでの行政区を指しているのかということをお伺いしたいんです。

鍋倉政府参考人 一都六県でございまして、具体的には、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、それに東京ということでございます。

山村委員 済みません、質問の仕方が悪かったのか、中京圏、関西圏についてもお願いします。

鍋倉政府参考人 失礼しました。

 中京圏は岐阜県、愛知県、三重県でございます。それから、近畿広域圏は滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、それから和歌山県ということになっております。

山村委員 その中で、今、各圏域の中に含まれない隣接県の地域が先取りをして、二〇〇六年でいいところが二〇〇三年に進めようとした場合、ローカル局、その中継局というものをやった場合というのは、今回の百二十三億円の支援には当たるのかどうかということをお伺いしたいんです。

鍋倉政府参考人 今のところ、計画で二〇〇三年という中にその隣接県まで含まれているわけではございません。

 ただ、デジタル化の加速化によりまして、そういう隣接県でもう既に声が起こっているんですが、その地域は二〇〇六年までなんだけれども、もっと前倒しをしたい、特に、先生御指摘のように、二〇〇三年から始まるようなところの隣接県でそういう希望が出てきております。

 ですから、それは電波の玉突きの問題もございますので、即二〇〇三年からということが可能かどうかはまた検討しなければいけませんが、できるだけ前倒しをする方向で、その場合にはトータルの七百数十億円のお金の前倒しというようなものも必要になってくるかなというふうに思っております。

山村委員 特に今回の場合、地上波デジタル、いわゆるアナ・アナ変換に関してはローカル局の負担というのは非常に大きいと思います。隣接県等がなぜ急ぐのかということをいいますと、実はおくれてしまえばおくれるほど、民放局にとりましては、いわゆるコマーシャルの営業に関して出おくれてしまうというようなことから非常にコストがかかるということと、収益が減るという双方の不安感が非常に強いというふうに感じていますので、その辺はなるべく、それこそ平等に行き渡るようにお願いしたいと思います。

 今回の地上波デジタル、二〇一一年という年限を切っているわけなんですけれども、ここで大臣、副大臣それぞれに、テレビを取り巻く、テレビだけじゃなくそれぞれのIT機器を含めて、二〇一一年の日本社会のイメージというのを少し所見として聞かせていただければと思うんです。

小坂副大臣 十年一昔という言葉を時々思い出すわけですが、十年後の世界というのはどうなっているか。

 今のドッグイヤーと言われ、あるいはそれ以上だと言われるような急速な技術的な進歩、環境の変化に二〇一一年の社会が一体どうなっているか、なかなか見通しにくい部分があるわけですが、今、e―Japan戦略等を通じて描いている世界というのは、二〇〇五年には光ファイバーが各家庭に普及するような状況になって、先ほど言われたいわゆるブロードバンドというようなものを通じて、インターネットあるいはBSテレビ、地上テレビ、ケーブルテレビ等を通じて送られてくるいろいろな情報が融合して、自分に合った情報を自分に合った時間帯、自分のライフサイクルに合わせて取り出すことができるような社会になっている。

 一方では、携帯電話にニュース等も送信されるようになってくる。人間というのは移動する動物でございますので、移動しながら情報を入手することができて、お互いにコミュニケーションを図ることができる。そういう意味合いでは、非常に便利な側面が強調されてきております。

 しかし一方では、高齢化社会を迎える中で、そういった急速な変化に対してなかなかついていけない、機能的に操作はできても概念的になかなか理解できないとか、あるいは情報のはんらんに対して生活パターンとしてどうも合わないと感じる方が生じる。そういった両面が出てくるんだと思うんですね。デジタルデバイドと言われるような影の部分をいかに減らしていくかが今の政策課題であり、私どもは、この委員会を通じて皆さんの御意見をいただきながら努力する部分だと認識をいたしております。

 二〇一一年には、世界の情報の流れというものが、言語の上でも自動翻訳機の進歩とかそういうもので飛躍的に拡大をして、お互いの国同士の理解が促進されてより平和な社会になっている、やはりそういったいい面を描きたいな、そういう夢を持って進みたいな、こういうふうに考えているところでございます。

山村委員 確かに、十年一昔といいますか、今から十年後というのは特にその変革のあらし、これは、政治もすべて含んで日本社会というのは難しい状況になるのかなというふうに、私も予想はしているわけなんです。

 ただ、私も、議員になる前の職業を勘案した上で、二〇一一年にテレビの業界といいますか放送の業界が今のようなシステムにはなっていないんじゃないか。いわゆる、番組の合間にコマーシャルを流して、その収入で番組をまたつくっていくというスタイルじゃなく、デジタル化の時代というのは、企業にとってはよりメリットのある方法を今探していますし、現実的には、先ほどありましたブロードバンドといいますか、インターネット放送でそれを提供していると、それをクリックするだけで即ショッピングにつながってしまうというようなときに、不特定多数にテレビを通じて情報を伝えていいイメージを持っていただいて、お客さんに販売店に行ってもらってそれを購入するという生活パターンというのは、まずかなりの部分減ると思うのです。

 そのときに、テレビがいきなり小売店の窓口になる、まさにEコマースといいますか、そういうような方向性も、今、少しずつであるにしろ、インターネットの世界がどうしても先取りしてしまっているようなところもあると思います。その間に、結局、流通業者、そういったところがIT革命に対して、はっきり言いまして、恐れおののいているという側面も、先ほど副大臣がおっしゃられましたとおり、影の部分の対策も必要なのかなと思うのですけれども、ただ、決して放送メディアとして暗い話ばかりじゃない。

 それはどういう方面かといいますと、インターネット社会になったときでも、デジタル化をされれば、そのコンテンツの制作能力というのを、一番持っているのは、日本の場合、放送局にあると思うのです。

 そういう中で、先ごろNHKさんの件が一部の新聞でも書かれておりましたけれども、テレビ局にとりましても、本来の放送業務より横に、極端な言い方をすれば、テレビショッピングだ何だという方向性をどんどん膨らませていく可能性があると思うのですが、その辺に関しての、放送法との兼ね合いということもあるとは思うのですが、業務領域を拡大していくということについて、副大臣の御所見をお聞かせ願いたいのです。

小坂副大臣 山村委員は、広告あるいはイベント等の企画に精通をされておられますので、そういった側面からも、放送局の経営のあり方、今後の経営資源というものに着目をされているんだと思います。

 今御指摘の部分は、民放の今後の収入構造がどのように変わっていくのか、あるいはNHKの今後のいろいろなサービスのあり方、コンテンツのビジネスの中でどういう地位を占めていくのか、こういった問題の指摘があったと思います。

 放送局がEコマース等の分野でも収入を上げる比率が高まっていくんだろう、これはおっしゃるとおりだと思うのです。いわゆるホームサーバーというようなものがどういう形で発展するかわかりませんが、いろいろなルートでここに蓄積をされた番組、コンテンツ等を視聴者が自宅で引き出すわけですから、コマーシャルが必ずそれに芋づる式に引っ張って出されるとは限りませんので、そういう意味で、広告の収入形態とかあり方というものも変化をしてくるのだと思います。

 そういう中にあって、Eビジネスの分野では、必ず在宅でいろいろな買い物をするというものがふえてくるでしょうから、そういう部分の収入が拡大してくる、そういった企画が拡大をしてくる構造があると思っております。

 一方で、コンテンツ供給源はどうかといいますと、いわゆるイベントや広告を企画されている会社が、また新たにコンテンツクリエーターとしてビジネスを拡大する分野もあると思いますし、放送局は、著作権の問題をクリアすることができれば番組の二次利用という分野が拡大をいたしますので、そういう分野でコンテンツの販売による収入源というものも確保されてくると思います。

 そういう中にあって、NHKの役割はどうかというふうに考えますと、NHKは、公共放送としてのNHKの役割、そして、負担金という特殊な収入構造の中で維持をさせていただいているNHKの役割というものをしっかりと認識をして、民間の放送局との友好な、そして節度ある競争関係というものを構築して、お互いにいい意味の刺激をしながらともに発展していくという構造を変えてはならないと思っております。その意味で、今日の放送法の基本的な精神は維持していかなきゃいけない。しかしながら、インターネットのような一つの大きな技術的な流れといいますか、情報通信分野における一つの流れ、こういったものを無視して放送局の存在がないということもやはり事実だと思うのです。

 ですから、そういう面で、今、NHKのあり方という問題について総務省の方でも研究会等においてお願いをいたしておりまして、公共放送のあり方についての民間、有識者の皆さんのいろいろな御意見をいただきながら、その中で、どういう方向性を持って今後、維持していくべきかということの結論を得てまいりたい、こういうことで研究を進めさせていただいておりまして、放送法の現在の規定に照らし合わせながら、問題を検討してまいりたいと存じます。

山村委員 確かに、本当に放送業界というのは、特に放送も含めて情報通信の世界というのは、業態というのが非常に早く変わってしまうというふうに思います。

 そういう意味では、我々といいますか、法律をつくる側、そして、それを実施していく側というのはそのスピードに負けないということで、自分自身も含めてのことなんですけれども、まさにドッグイヤー、マウスイヤーに負けないような社会の変化というのをなるべく先取りできるように頑張りたいと思ってはいるのですけれども、与党の、いわゆる内閣の中枢にみえる皆様にはその辺のところをよろしくお願いしたいということを、まず私の口からは言いたいんです。

 実際のところ、日本の場合、非常に私、気になるのが、コンテンツクリエーターと言われるような若い世代、新しい世代が、こういうことをやりたいんだ、こういう形でメディアを利用したいんだ、これがインターネット放送なのか、はたまたテレビの放送になってしまうのか、いろいろな垣根を越えて新しいビジネスというのを立ち上げようとしています。ただ、そのときに、どうしても日本の場合といいますか、特に放送、情報通信の世界というのは規制が多過ぎるというふうなことを感覚的に感じております。

 かつて二十代のころ、私も、電波監理局の目を盗んではといいますか、ミニFMがブームになったときに、もう少し電波出力を上げてもいいんじゃないかとか、公共の福祉のためにやっているんだからと、一々電波監理局の目を盗んでといいますか、めったにこんな田舎まで回ってこないよというようなことをやった記憶もあるわけなんです。技術的な進歩、まさに極端な話をすれば、微弱電波のミニFMでインターネットの回線を通じてやれば、本当にコミュニティーFMにまさるだけのものができてしまう。ましてや、デジタルというような手段を使えば、ほとんど音質もクリアな状態で、いわゆるミニFMでありながら既存のFM局に負けないような放送局というものを立ち上げることができる。

 それをやってしまうと、多分しかられるだろうなと思いまして、実は十年近く前になるのですが、初めて東海電波監理局へ相談に行ったのです。私たちの立場でいいますと、法律に決められていないすき間だからやってもいいじゃないかという発想でどんどん前へ進みます。ただ、行政当局の皆さんの考え方ですと、あいまいな状態はだめだということでストップをかけられました。これだったら相談に行かない方がよかったなというのが、今、自分のことに顧みましても、当時の事情と今の事情も含めますと、今の時代の方がいわゆるベンチャー的な発想を持って行動してみえる方が多いんじゃないか。

 特に、光ファイバーの敷設も含めまして、情報通信の部分には、ラストワンマイルも含めて、民間主導で、民間主導でというような言葉が出てきます。民間主導でというのも国策の一つであるとするならば、放送デジタル、地上波デジタル、その辺を含めまして、もう少し民間への移行といいますか、そういった考え方というのはないのかということをお伺いしたいのです。

鍋倉政府参考人 確かに、通信と放送というのが全く別の体系で規定をされておりますので、あいまいな部分というのはどっちかに確定しないとなかなかサービスが開始できないということで、行政当局の方も逡巡をするということはあったんだろうと思います。

 ただ、政府全体としましても、ノーアクションレターの導入というようなことで、これはどっちに属するんですか、放送なんですか、通信なんですか、やっていいんですか、悪いんですかというようなことの問い合わせの制度というものができました。

 それから、諸外国のいろいろなものを勉強しますと、通信として始めるのか、放送サービスとして始めるのか、どっちかわからないときに、例えば、通信として始めますということで始めた場合に、もう始めていただいて、その後に私どもが検討をして、これはやはりちょっと放送の部分もあるので、こちらはこういう手続をとってくださいということを、業務を開始した後にそういう手続をするという制度も諸外国ではあるようでございますので、そういった方法についても勉強してまいりたいというふうに思っております。

山村委員 今後とも、その辺を社会の流れにおくれることなく、早急にまた詰めていただければと思う次第なんです。まさに通信と放送との融合というような形で、私、質問事項にも入れさせていただいたんですけれども、具体的なスケジュールといいますか、何年ぐらいまでにはそういうものが必要なんだろうか、当然、今の段階ではクエスチョンマークのつくような状況だと思うんですけれども、具体的な年限といいますか、そういったものがありましたら、お願いします。

鍋倉政府参考人 私どもは、やはり通信と放送の融合時代になるということで、私どもの基本的な姿勢としましては、通信と放送の融合をどんどん進めていただく、新しいビジネスをどんどん立ち上げていただくということが基本的に大切じゃないかなというふうに思っております。

 そういうことで、今国会におきましても、通信・放送の融合サービスの開発をする通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案というものを提出させていただいております。これは、通信・放送融合サービスの開発をする方々にテストベッドを用意するとか、研究費を助成するとか、そういった制度を導入しようというものでございます。また、同じ通信と放送の融合の観点から、伝送路の融合、通信と放送の伝送路が融合してまいりますので、その融合に対応した制度を設けようということで、これも今国会に電気通信役務利用放送法案というものを提出させていただいております。

 そういった融合をにらんで、やらなければいけないところは、これは部分的に今はなってしまいますが、まず伝送路の融合ということでこういう法律も出させていただいているということで、融合の進展に合わせて、私ども、時期を失しないようにいろいろな制度を導入していきたいというふうに考えております。

山村委員 まさに今国会、伝送路の融合を含め、研究開発も含め、先日、法案審議をさせていただいたわけです。日本国内の方法、制度というのはもちろんのことなんですけれども、IT時代といいますか、インターネット時代というのは、国際的なルール決めというのも非常に大きくなってくると思うんです。国際化も含めた諸外国との法制度の違い、その辺の、日本国内だけのいわゆる電波法だ、放送法だ、情報通信法だという形じゃなく、諸外国とも共通した形で門戸を開いていくという方向性についてはいかがでしょうか。

鍋倉政府参考人 御指摘のとおりだろうと思います。

 それで、特にインターネットの時代になりますと、グローバルなことになってまいりますので、一つだけ、我が国だけ違う制度を設けるというわけにも、恐らくインターネット放送の国際化においてはいかないんだろうと思います。ということで、諸外国の動向も私どもは勉強しておりまして、国によりましては、インターネット放送というものを通信ではなくて放送の概念に移行しようという国が、私の承知している限りではドイツだとかイギリスとか出てきております。

 ただ、放送というのは、各国どこでも、我が国と同じように放送の規律というものがありまして、通信ほど自由ではございません。では、インターネット放送に放送の規律をかけますと、現行の放送法のような規律をかけるのかということでございますけれども、これも、国際的にグローバルにやりませんと、我が国でかけたところで、諸外国からインターネット放送が来れば無意味でございます。

 そういった意味で、国際間の協調というのが大切なんですけれども、今申しましたように、放送の方に概念を含めるけれども、まだ規律はしていないというのが諸外国の動向のようでございますので、私どもは、やはりそういうものも見据えながら、グローバルに、なるだけ統一をした規律といいますか制度に持っていくということで、勉強をしてまいりたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、平林委員長代理着席〕

山村委員 確かに、今、規制というより規律という言葉を使われて、さすがだなというふうに思ったんですけれども、それは私どもがどうしても被害者意識が強いのかもわかりませんし、民間というのをもう少し信頼してほしいなという気持ちが余りにも強いからかもわかりません。先ほど来申し上げていますとおり、本当に民間主導で、特に今の時代、インターネットであり情報公開制度でありというような状況の中で、民間に対してもう少し信頼した形で、権利といいますか、監視するシステムも含めて、NGO等に権限をゆだねていただければなというふうに願う次第です。

 質問の方に移らせていただきますと、先ほど武正議員の方からも御質問させていただきました、政治権力が放送内容に関して物申すということはないのかというような質問、これも今回、多くの議員さんの方からも質問させていただいたと思います。

 その構造は何にあるのかといいますと、当初の話に戻るんですが、余りにも日本の場合、いわゆる官庁が権限を持ち過ぎているんじゃないか、そういうように思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 よその国と比べてどうかという議論は確かにあると思いますが、このところ、規制緩和ということを大きな課題にしまして、御承知のように、今回もこの十三年度を初年度とする規制緩和三カ年計画をつくりまして、これを強力に推進し、フォローアップしていこう、こういうことでございますから、私は、状況はかつてとはかなり違ってきている、しかし、まだまだ規制緩和をやる、いわゆる官から民へ、中央から地方へということを強力に進めたいと思っております。

 そのための機関を内閣府の中につくろう、規制緩和何とか会議ですね、総合規制緩和会議でしょうか、そういうものもできますから、今、委員の御指摘のように、官の持つ権限というものを縮小していく、こういうことは基本的に今後とも進めてまいりたいというふうに思っております。

山村委員 方向としては、政府もそのように進んでいるということは承知はしているわけなんですけれども、具体的な考え方として、総務省という大きな省庁になりました、それは合併したから必然的にと。国民世論としたら、あとはいかに省庁の人員削減という方向を打ち出していくんだ、重複している部分をもっとすっきりさせればいいじゃないかというような議論もございます。

 私なりのアイデアといいますか、放送行政、情報通信行政というのを踏まえてなんですが、日本の場合、アメリカのFCCというような、それぞれの委員会を導入していくお考えというのはあるのかないのかということを、お聞かせいただきたいんです。

片山国務大臣 アメリカという国は合議制の執行機関というのが好きなんですよ。だから、戦後日本が、例えば教育委員会だとか、公平委員会だとか、人事委員会だとか、農業委員会だとか、そういう合議制の執行機関制度を入れたんですね。ただ、これは手間がかかって、時間がかかって、スムーズにできないんですよ。そこで次第に変わってきておりまして、よくこのFCCの議論も言われるんですけれども、これは合議制の執行機関というだけで、ここで企画立案もやる、規制もやる、いろいろな調整もやるんですよ。そういう意味では、私は、日本の場合には、合議制よりは、今の単独執行機関の大臣が責任を持ってやる。合議制というのがもう一ついかぬのは、責任が不明確なんですよね。我々は、国会に対して、国民に対して責任を持ってやっています。

 そういう意味で、議論は議論として承りますけれども、私は直ちにFCC方式がいいとは今のところ考えておりません。

山村委員 時間も迫ってきた中で、片山大臣に非常に今、力強い御答弁をいただきまして、やはり、内閣であり大臣でありという責任を持って施行していただければいいんですが、余りにも無責任な方が今まで多かったんじゃないか。冒頭にもそれぞれ、大臣の任期が余りにも短過ぎるということも含めまして、今後、その辺のところは、まあ一刻も早く我々の政党が政権をとらせてもらうといいんですが、まだもうしばらくかかりそうですので、その間に貴党の方で変えていただければいいかなと思います。(発言する者あり)外野席がちょっとうるさくなりまして申しわけないんですが。

 ということも踏まえまして、省庁再編から来たこの三カ月半、そして、IT社会、まさにその法律を扱ってきた省庁といたしまして、次の大臣になるのか留任されるのか、それはわかりませんが、今後の放送行政に関しての申し送り事項と言ったらなんですが、提言として、総務省、どのようにレールを敷いていかれるのかということだけ、最後に聞かせていただければと思います。

片山国務大臣 今回、森総理がああいう形で自民党総裁としての辞意表明で、今、総裁選がきょうから始まりまして、いずれ総裁が決まりますれば、あるいは首班指名、こういうことになると思いますが、どういう内閣ができようが、IT革命はもう最大の課題として二十一世紀に推進していかなければならない、こういうふうに私は思いますし、委員が言われるように、なるほど総理の任期も閣僚の任期も結果としては短いですね。

 私は、やはり政治の安定がなければ思い切った改革ができないので、そういう意味では、与野党、マスコミを通じまして、やはりそういうことの配慮は今後、要るのかな、こう思っておりますけれども、いずれにせよ、IT革命はしっかり推進いたしますし、そのための戦略本部ができまして、私も副本部長の一人でございますから、私が残ろうが残るまいが、それは十分配慮してまいります。

山村委員 では、どうも本当にありがとうございました。

平林委員長代理 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 一日目と重複する質問があるかと思いますが、確認の意味で二日目の質疑をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

 電波資源は、国民全体の便益向上のために利用されるべき貴重な共有財産であります。電波資源は土地資源に似ており、どちらもその最大容量には限界があり、使っても消耗するものではありませんが、過度に、かつ無秩序に使うと社会的混乱を来します。電波の場合、極めて安い管理費に相当する額が電波利用料として徴収されますが、土地の賃貸料に相当するものはなく、基本的に無料で利用できるものであります。

 電波が余っていた時代のぜいたくな割り当ての結果、その多くがそのまま残り、携帯電話など電波の新規利用の急速な拡大で、今や電波は希少資源になり、新規サービスの電波利用が狭い周波数帯域に無理に押し込められてしまいます。少々オーバーな表現ではありますが、今までの周波数割り当てなどの電波政策は、土地利用に例えて言えば、きちんとした土地開発計画がない状態で、駅周辺に工場、商店、住宅などが虫食い状態で開発されているのに似ております。

 私はそう考えるのでありますけれども、土地は一たん利用されると理想的な再開発計画の実行は極めて難しいわけであります。同様に、周波数帯域の利用に関して、技術進歩に対応した社会環境の変化の方向を的確に把握した電波政策がなされてこなかったと思えてならないのであります。

 そこで、最初に、電波資源の管理の基準となる周波数に関して幾つかお尋ねしたいと思います。

 通信・放送分野の昨今の急速な進歩を的確に読み切ることは易しくはなかったと思っております。しかしながら、欧米の先進事例を熟知するなど、電波監理制度をさらに充実させ、申請の都度もっと適正に処理されていたなら、地上テレビジョン放送のデジタル化を準備するため約八百五十億円もの巨額な経費を要して現行のアナログ放送の周波数を移しかえておくアナ・アナ変換という大引っ越し作戦も、変更すべき局所数が小規模で済み、大幅な節約がなされていたと私は思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。

 もう一つ伺います。

 また、無線局免許の再免許を繰り返すうちに、申請内容の審査が空洞化し、電波が希少化し始めたときには既に既得権が成立していたのではないでしょうか。すなわち、過去において電波資源の効率的な利用を図る割り当てと再配置が進まなかったとみなす識者が多いのでありますが、この点も重ねて大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

    〔平林委員長代理退席、委員長着席〕

片山国務大臣 御承知のように、我が国は山国でございまして、凹凸が大変激しい国でございますから、こういう国で全国あまねく放送を普及させる、こういうことになりますと、無線局、中継局が要るわけですね。我々はユニバーサルサービスということを放送事業者に対しても要請しておりますので、委員が言われますように、できるだけ電波の有効活用を考えなければなりませんけれども、それでも一万五千局にも及ぶ膨大な数の中継局を必要とするわけであります。しかも、そういう中でいろいろな新しい電波需要が発生しますから、周波数が極めて逼迫してくる。こういうことが、アナログ周波数変更、アナ・アナ変換を八百何十億かけてやらなければならない理由だ、こういうふうに私は考えております。

 そこで、既得権擁護ではないかというようなお話もありましたが、ある意味では、既存無線局の再免許の機会には、他の周波数への移行だとか、必要な周波数を確保するための再配分だとか、こういうことは今までもやってきたわけであります。やってきましたけれども、一方では、今言いましたように、移動体通信や放送その他で大変電波利用がふえておりますから、そこの調整が今回のこの電波法による措置だ、こういうふうに私は考えております。

 さらにもう少し詳細なことは、副大臣ないしは局長からお答えさせていただきます。

小坂副大臣 ただいま大臣が答弁申し上げたように、周波数の利用については、国内の事情とともに、近隣の諸国との電波干渉、それから衛星を初めとした世界的ないろいろな通信の利用に対する割り当ての問題があるわけでございまして、こういった中で、我が国が利用できる電波の割り当て周波数の中でそれぞれ利用特性に応じた周波数の割り当てを行ってきております。

 そういった意味では、最初に委員が御指摘になりましたように、再免許の際にちゃんと考えていればこんな大移動は必要なかったんではないかという状況では必ずしもなく、また、放送局等を考えていただくとわかると思うんですが、受信者がその周波数を覚えておりまして、なるべくそこに合わせるという傾向がございますので、再免許の際に大幅な移動を繰り返してその場その場で変えていくというのも、これまた地域において受信者の利便を損なうということにもなるわけでございます。再免許に際してそういった意味での継続性が必要とされる部分もあるわけでございます。

 委員が御指摘なのは、それが既得権化してそこに居座っていて、それの結果として新しい需要が出てきたときにうまく機能しないんではないか、こういう御指摘かと思いますが、そのようなことのないように今日までやってきておりまして、今回のデジタル移行に伴います大幅な移行も、あいている周波数を何とかつくり出そう、そういう意味での、利用者と事業者、そしてまた行政担当側との綿密な連絡の中で合意をつくって、ひねり出してきたというのに近い形でございまして、これは適切であって、なおかつ最良のものであった、こういうように考えているところでございます。

 また、既得権化しないように、これはあくまでも、公共の有限である資源をみんなで活用し、そして公共の福祉に利用するという観点で電波の監理行政を行ってきておりますし、技術の進歩によりましてその有限性というものは若干幅が出てまいりましたが、新しい分野の利用については、そういうことのないような有効な活用方法を引き続き検討してまいりたいと存じます。

黄川田委員 先ほど申し上げましたとおり、電波資源は国家国民の貴重な財産であります。我が国は、米国と比較し国土も狭く、かつ山間地が多いなど、特殊要因もあるかもしれませんが、米国の周波数利用率は日本の五十分の一であると聞いております。

 周波数帯域の長さは、VHFであれUHFであれ万国共通であり、ゴムひものように国によって伸び縮みするものではありません。単に地勢学上の問題以外に、今申し上げたように、再免許申請等がなされる都度、的確なスクラップ・アンド・ビルドを行うなど、周波数に余裕があったときから周波数管理をもっと適正に行っておくべきであったと私は考えます。

 そこで、米国の事例と対比して、大臣の御見解はいかがでしょうか。重ねてお伺いいたします。

小坂副大臣 今御指摘の部分については、総務省では、未利用周波数帯の開発やより効率的な周波数の利用研究を進めるとともに、既存の無線局の周波数を他の周波数へ移行させる周波数の再配分を今までも積極的に実施してきておりまして、適切な周波数管理を行ってきたところでございます。

 この中には、国際的なITUの周波数割り当ての変更に伴って移動したような事例もあるわけでございます。例えば、一九九二年に世界無線通信主管庁会議によりまして二十一から二十二ギガヘルツ帯の電気通信業務用の移動無線局の周波数を変更したり、あるいはIMT二〇〇〇の導入に伴いまして二ギガヘルツ帯の公共事業用の固定局等の従来の周波数を移動していただいたり、そういったことを指導してまいりまして、その都度、有効に活用できるような方策をとってきたところでございます。

 御指摘のように、スクラップ・アンド・ビルドという考え方をもって今日までも可能な限りやってまいりましたが、地形、国土の広さ、人口密度、分布状況、こういったもの、それから、電波にはそれぞれの周波数に特性があって、それによって機器の使用できる周波数帯というのが限られてくる、そういった相互関係の中でやってきておりますので、御指摘のような、単純に何か、うまく移動すればすきがもっと出てきたではないかという状況にはなかったということを御理解いただきたいと思います。

黄川田委員 時間ももう半分過ぎちゃいましたので、いろいろお話をいただきましたけれども、以上の観点を踏まえて、地上テレビジョン放送のデジタル化を開始するに際し、周波数の割り当て方法をどう考えているのでしょうか。従来どおりの比較審査方式にかえて、新しく入札制度を導入する予定はありませんか。

 米国を初め多くの先進国では、入札による競争原理を導入し、電波資源の配分制度の改革が進んでおります。昨年、イギリス、ドイツでは落札価格の暴騰を招きましたが、オランダ、スイスでは、工夫を凝らし、妥当な価格に落ちついたと言われております。

 我が国も、このヨーロッパの教訓を糧として、今から公聴会を開くなど広く意見を求め、日本にふさわしい入札制度を検討すべきであると私は考えます。また、二〇〇五年までに結論を出すということでありますが、改めて総務省の見解をお伺いいたしたいと思います。

小坂副大臣 まずもって、今回の地上テレビジョン放送のデジタル化によりまして、アナログ周波数帯の変更によってどのくらいの周波数帯域が生じるのかということを頭に入れながらお話をしたいと思います。

 アナログ放送の終了後、すなわち二〇一一年以降におきまして、テレビジョン放送に必要な周波数は現在より少なくなるわけでございまして、いわゆるVHF帯は全部あいてまいりますし、またUHF帯におきましても、テレビジョン放送以外の用途に割り当てが可能な周波数が出てくるというふうに考えられております。

 この幅は、現在割り当てておりますテレビ用の周波数、VHF、UHF合わせますと三百七十メガヘルツの周波数を割り当てておりますが、これの四分の一以上があいてくると思われます。恐らく、百二十から百三十メガヘルツぐらいの周波数帯域が新たに再配分可能となってくると思います。

 その中で、それを入札方式等を導入してやっていったらどうだ、こういう御指摘があるわけでございますが、再三御答弁申し上げておりますが、落札金額のサービス料金への転嫁の懸念、資金の豊富な者による周波数の独占の懸念、資金を準備できない新規参入者が排除されるというような懸念、また、最も公益性の高いものに周波数が割り当てられない可能性が出てきてしまう、落札したけれども実施できなくて返還が起こり、また再入札等の手間がかかってしまって逆に電波の有効利用が阻害されるという懸念等々が指摘をされているところでございます。

 しかし、委員御指摘のように、一方、そこに知恵を出せ、限定的な分野で入札というのは考えられないのかという御指摘に対しては、それはあり得ると思うんですね。ですから、欧米で今まで行ってこられた入札方式ではない、新たな日本型の入札方式というものを研究して、そういったものを限定的に導入していくということも踏まえながら、この電波の再配分については幅広く検討を進めていくことが必要だと考えております。

 e―Japan戦略の中でも、電波の有効利用についての指針が述べられておりますので、今後ともそういった形で検討を進め、そして二〇一一年以降の再配分に当たってそういった方式を検討してまいりたいと存じます。

黄川田委員 電波資源の非効率な利用を放置する一方で、高度利用技術の開発だけに依存することは、やはり国民全体にとって有利な方策ではあり得ませんので、今後の検討を指摘しておきたいと思います。

 それでは、時間もありませんので、最後に二つまとめて、難視聴対策についてお尋ねいたしたいと思います。

 私の地元の岩手県は、御案内のとおり、県土が広く山間地域が少なくありません。テレビの難視聴世帯はいまだ県内全体の約八%、約三万八千世帯にも及んでおります。特に、山間の集落は電波の受信状態が悪く、共同アンテナを建てるなど対策を講じてまいりました。また、施設の古い長大トンネルも多く、地震発生時の災害情報や津波情報の迅速な入手に支障を来しております。

 そこで、このような状況のもと、国は難視聴対策として各種格差是正策を行ってきたと思っておりますけれども、これまで具体的にどのような支援策を講じてきたのでしょうか。また、現状はどう支援しているのでしょうか。

 また、今回の地上テレビジョン放送のデジタル化に際しましては、今年度は、アナログ周波数変更対策として、受信側はアンテナ等の交換、調整について国が所要の措置を講じるとしております。そこで、デジタル化が終了するまで、難視聴対策として国は具体的にどのような支援策を講じる予定であるのか。すなわち、過去の経緯を踏まえ、今後も同様な格差是正がなされるよう強く求めるわけでありますけれども、その取り組みについてお尋ねいたしたいと思います。

鍋倉政府参考人 平成三年度から、民放テレビジョンの難視の解消施設の整備事業としまして、民放テレビが一波も良好に受信できない地域につきまして、市町村が中継施設ですとか共同受信施設を設置する場合に、国がその経費の一部を補助するという制度を続けてきております。この実績でございますけれども、平成十二年度末までに全国で中継施設百十三施設、共同受信施設五百六施設が設置されておりまして、これによりまして約十三万五千世帯の難視聴が解消されたところでございます。

 それ以外に、平成元年度から、補正予算によりまして衛星放送受信対策基金というのを創設しまして、NHKの地上テレビも見られないところの難視聴の解消には、衛星放送の受信設備を一部助成するという制度がございます。この助成制度によりまして、十二年度末までには、約二万五千世帯に助成をしているという実績になっております。

 それでは、今後の支援ということでございますが、これにつきましては、当委員会でも何度か御答弁申し上げましたが、百四十五回の国会で成立されました高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法等によりまして税制、金融上の支援を講じてまいりたいと思っておりますし、なお、この地上デジタルテレビジョン放送の普及状況を注視しながら、どのような支援が可能かを含めて、今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。

黄川田委員 全国に情報格差が生じないように特段の配慮をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

御法川委員長 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章です。

 私、地上デジタル放送の送信側の問題点に絞って質問をさせていただきます。

 小坂副大臣は、一昨日、二〇一一年までにデジタル波のカバー率一〇〇%は譲れないということを御答弁されています。当然、カバー率が一〇〇%いっていませんと、二〇一一年にアナログ波終了の大もとが崩壊することになってしまいますので、カバー率一〇〇%が前提の計画だと思います。

 ところで、このカバー率というのは、基本的な確認なんですが、現在アナログ波がカバーしている地域を一〇〇%カバーするという意味と理解したいと思いますが、それでよいか。と同時に、それはNHKも民放各社も同じで、そういう共通認識でこの対策を進めるということで考えていいか。これは確認だけです。

小坂副大臣 確認ということですので、簡単に答弁申し上げますと、結論はイエスでございまして、アナログ放送のエリアを一〇〇%カバーするというふうに考えております。

春名委員 このカバー率の達成というのは、NHK、民放がそれぞれアナログ放送で電波を送っていたエリアについては、二〇一一年までにはNHK、民放がそれぞれ一〇〇%デジタルの電波が送れるようになっている、そういうことで確認したいと思いますが、そういう意味でいいですね。

小坂副大臣 NHKにおきましてはあまねく受信が義務となっておりますし、民放におきましては努力目標となっております。

 そういった点で、NHKを例にとりますと、現在、アナログ波で受信ができないところには受信対策を行っているところでございまして、アンテナを高いところに設置して共聴受信システムをつくるとか、こういったことをして対策をとっておるわけですが、これはデジタル波におきましても同じ対策が有効でございますので、こういった形で対応してまいりたいと考えております。

春名委員 おっしゃったとおり、NHKについては日本全国を対象とした義務であるし、民放についても各放送地域を対象にした努力義務ということになっていると思うんですね。ですから、これが、その意味でアナログ波がカバーしている部分をきちっと一〇〇%カバーしないと、二〇一一年、デジタル波に移行するということの前提が崩れるわけです。

 そこで、三者の検討会を設けてこの点の検討を加えてこられて、三月一日の予算第二分科会の我が党の矢島議員の質問に対して鍋倉情報通信政策局長が、「今後十年間でデジタル放送への全面的な移行が十分可能であるという共通の認識に至った」こういう御答弁をされておられます。

 ところで、この共通認識というのはいつの時点でできたのか、これをお答えいただきたいと思います。

鍋倉政府参考人 三者で共同検討委員会を設けて、一昨年の九月からやってまいりましたけれども、昨年の四月に、国による負担を求めるとした場合には、アナログ放送の終了は二〇一〇年を目途に計画的に確実に実施することが必要となるという集約が三者で行われたということでございますので、そういう三者共通の認識を持ったという御答弁をいたしました。

春名委員 そうしますと、「地上デジタル放送に関する共同検討委員会の検討結果について」という文書が昨年の四月二十六日に出ておりまして、私も読ませていただきましたが、この中にも、アナログ放送の終了時期、二〇一〇年目途というくだりだとか、二〇一〇年を目途にアナログ放送終了という点について、段階的に進める中で何らかのアローアンスがあることが望まれるとの意見もあった等々の表現が出てきますので、改めて大臣に確認しますが、四月二十六日のこの共同検討委員会の検討結果についてを出した時点であの三者の共通認識が得られたということで理解してよろしいですか。

鍋倉政府参考人 先生お手元に資料があると思います。繰り返しになりますけれども、アナ・アナの変換を国による負担を求めるとした場合には、デジタル放送の開始は、広域圏の放送局が二〇〇三年末、それ以外が二〇〇六年末までということで、あまねく普及、あまねく普及というのはデジタル放送のあまねく普及、それからアナログ放送の終了の時期、先生おっしゃるように、この時点では確かに二〇一〇年を目途とは書いてありますが、アナログ放送の終了の時期は、計画的に確実に実施することが必要だというふうに書いておりまして、私どもはそういう認識をいたしております。

 なお、現在、こういう認識のもとに、今後十年間で、これは二〇一一年ですが、デジタル放送へ全面的に移行するということを前提として、この検討会で、アナ・アナ変更の局所ごとの実施スケジュールやデジタル化の意義、それからスケジュールの周知活動、これは二〇一一年のスケジュールについて周知活動を行うような協議会を設立するべく検討している、そういう状況でございます。

春名委員 もう一回確認しますね。

 四月二十六日は二〇一〇年を目途にするということになって、この法案は二〇一〇年に打ち切るんです。目途じゃないんです。ですから、その打ち切るということの共通認識を得たのは、四月二十六日でいいのか、それとももっと先なのか、いつの時点かというのを明確にしてくれませんか。

鍋倉政府参考人 何回も答弁をしておりますように、私どもはこの時点で三者にそういう認識ができたというふうに認識をしております。

春名委員 それでは、そういうことを認識した上で進めたいと思いますが、ここに平成十二年の九月に発表された民放連のアンケート結果がございます。昨年七月二十一日から八月十一日にかけて、民放連加盟の百二十六社にとったものでございまして、去年の九月にこれが発表されたものです。

 このアンケート結果を見ますと、デジタル放送で現在のアナログ放送と同じエリアをカバーするためにはデジタル放送開始から何年程度の期間が必要かという設問がございます。十年程度と答えているのが六十三社で五〇%、十五年程度というのが三十一社で二四・六%、五年程度でできるが十五社で一一・九%、その他の回答の中には、十五年から二十年はかかるというところとか現時点では予想が立たないという社もあった。四月二十六日の三カ月後の七月にとったアンケート、九月に発表された結果です。

 このことを当てはめてみますと、地方でいえば、デジタル放送開始が二〇〇六年でございますので、それから同じエリアをカバーするのに必要な年限が十年から十五年程度、つまり二〇一六年から二〇二一年まで必要という放送業者が何と全体の七五%、四分の三を占めることになります。二〇〇三年から大都市圏で始まりますので、それで当てはめても二〇一三年から二〇一八年までかかるというのが七五%という数字になってしまいます。このアンケート結果は総務省も御存じだと思います。昨年夏の時点でこういう現状です。

 もう一度お聞きしますけれども、二〇〇一年から十年間であまねく、カバー率一〇〇%いけるという認識に一体いつ達したんですか。なぜこういうアンケート結果が出ているのか。その矛盾が私はどうしてもわからない。どの時点でどういう根拠で言っておられるのか、そのことを明確にしていただきたいと思います。

鍋倉政府参考人 アンケート結果というのは、それぞれ各社の経営状況によりまして、自分たちで自信があるとかないとかということも含めてのお話だろうと思います。ですから、それは正直なアンケートの結果だろうと思います。

 ただ、私ども、そういうローカルの民放の局の方々にも入っていただいてこの三者の検討会は検討しております。その検討の結果、繰り返しになりますが、四月の時点で私どもはそういう認識に至ったというふうに理解をしております。

春名委員 なかなか理解しがたいことでして、正直な結果として各放送局は、百二十六社全部とっているんですよ、七五%が二〇一一年までには到底無理だ、一番長く言えば二〇二一年ぐらいまでかかりそうだということを率直な実感としてアンケートで答えられているわけですね。ところが、出てきた法案は二〇一一年までに全部やるんだと。カバー率一〇〇%というのはアナログ波がカバーしているのを一〇〇%やるという意味であって、それをやらなかったらえらいことになるんだ、それは先ほど確認したとおりで、その点でいいますと、このタイムラグというのは一体どういうことなんだろうか。私は非常に不思議でしようがないわけです。

 そこで、私、この四月の七日に、私は高知県出身なもので高知放送とテレビ高知の担当者の方にお話を伺ってまいりました。その中で、二〇一一年にアナログ打ち切りということにも驚いていられたんですが、デジタル波の発信のための設備投資への苦慮がこもごも語られて、少なく見積もって四十億から六十億ぐらいですね、一局当たり大体それぐらい要るということだと思うんですが。

 特に高知県は、御存じのとおり、東西に長くて山ばかりですので、親局で六〇%程度はカバーする、ところが、東西に長くて山ばかりで海岸線も入り組んでおりますので、地域もそういう地域が多いし田舎の県ですから、中継局が八十五局要るんですよね。二〇〇六年に親局が開局して六〇%をカバーする、その後一年間に二から三局をデジタル対応に変えていくとしても、二〇一一年には十一局程度の開局と見込まれる、それでやっと二〇一一年にはカバー率は八五%から九〇%にしかならないな、こういうお話なんですね。

 今度大臣に聞きたいと思うんですけれども、同じくテレビ高知も、八十局あって、二〇一一年で重要局十八局を開局するようにしたら八〇%のカバー率となるだろう、それ以上あまねくをやるというのはなかなか大変なことですとはっきり言っているといいますか、これは代表的な二つの、私がたまたま高知ですから聞いてきたんですけれども、特に地方局の皆さん、大体こういう心配をされているわけなんですね。

 ですから、アンケートに正直な結果が出ていて、今の経営実態を考えたときに二〇二〇年ぐらいまでかかる、そういうことを率直に言われていて、二〇一一年までにはできぬ、四分の三は無理だという状況になっているんだと思うんですよ。ですから、どうして二〇一一年に打ち切るということが突如として共通認識として確認されて実施されるということになるのか、そこら辺のからくりが私はよくわからないわけでして、その点について総務大臣あるいは小坂副大臣、御答弁いただきたいと思います。

小坂副大臣 委員の御指摘の意味は私も理解できるんですね。

 しかし、十二年の九月に出たアンケート結果を踏まえて、その後検討委員会が開催をされて、そういった問題も全部テーブルの上にのっかってきた。そういう中で、鉄塔についてはそれじゃできるだけ共同して設置してもらいましょう、送信設備についても民放とNHKといろいろな、協調できる部分は協調してやってもらうようにしましょう、こういった話し合いも進んだと思います。こういう中には、中継局舎とか電源施設というものがかなり価格がかかってまいりますので、そういった部分を共通にしようとかといういろいろな話し合いが行われた中で、最終的に、民放の代表の方も出ていて、ローカル局の代表の方も座長を務められたりしていろいろ御活躍になる中で、いきましょう、こういうことになったわけですので、それは、民放の皆さんも、ただほっておいて今までのような設備率でいくとアンケート結果のような時間がかかるだろうという認識を持たれ、その中で、デジタル化というものが経営にもたらす影響、それから社会的な影響力、こういうものを頭の中に描かれて、これは急がにゃいかぬという観点も踏まえてそういう結論に至ったというふうに思うわけでして、突然その結論がアンケートとは別に出てきたというわけじゃなくて、アンケートを踏まえた上で、やはり努力目標、我々もやろうという決意がそこに入っているというふうに思うんですね。そういった皆さんの決意が民放連というところに集約された形でここに反映された、このように理解をいたしております。

春名委員 少し御答弁が矛盾されているのではっきりさせてほしいんですけれども、四月の二十六日に三者、三者というのは民放連も入って、それで最終検討結果の報告が出て、その時点で共通認識を得ることができましたと。つまり、十年間でやれます、展望がありますと明確になったとおっしゃった。そして、その後にこのアンケートが出されて、実態は、特に地方局でしょうけれども、なかなかそこまでいくのは難しいという結果も冷厳に出ている。しかし、そういう結果は出たけれども、二月に出た電波法の一部改正によれば、そこがいろいろあって、結論としては、先ほど努力目標とおっしゃったけれども、私もそういう面が強いのかなと思うんですけれども、総務省の努力目標としてこれはもう決断するという方針が出されて、しかし民放連そのものだってなかなかそこにいく確信がない、こういう経過じゃないんですか。そこが全く矛盾しているものですから、明確にする必要があると思うんですよ。

鍋倉政府参考人 先ほどから、四月とそのアンケートの時期とが、アンケートの方が後だということで御指摘を受けておりますけれども、この四月の時点で、国による負担を求めるとした場合にはというのがございまして、要するにアナ・アナ変更の部分について国が金を出すということであればこれでいこうということが確認されたわけです。実は、このアンケート調査が行われましたのは、国費投入が決まる前でございます。アナ・アナ変更にお金が出せるということが決定する前でございますので、こういうアンケート結果になっているというふうに思われます。

春名委員 アナ・アナ変換に国費を投入するということを想定したとしても、これからデジタル対応に対してどれぐらいのお金がかかるのか、そしてどれぐらいの年限がかかるのかということをそれぞれ検討しているわけでしょう。その年限が十年間で切られていいんだろうかという正直な現状がこの数字にも率直にあらわれているんじゃないでしょうか。

 平成十年三月に、地上デジタル放送経営シミュレーションの試算結果も出ています。売上高の経常利益率が、小規模局、特に財務体質の弱いローカル局はデジタル化と同時に赤字に転落し、その後も二〇一〇年までの期間では単年度黒字への転換さえ難しい、こういう結論も一つの調査結果で出ています。こういう背景がありますから、期限を十年間に切られても、率直に言ってなかなか大変だというのは、これはやはりよく見ないと誤ってしまうという気がするんです。

 その点で、二月に出された電波法が、そういうのはあるけれども、総務省の決意として打ち切りを法律として決めて、そこにみんなでやってもらおうということで出したのであって、その点で私は、三者の認識が強固なものとして確立してやられているというふうにはなかなか思えないということを一点言っておきます。

 そして、こういう実態が一方であるのに、本法案には、ある時点でカバー率が一〇〇%いかない可能性がある、あるいは普及率も一〇〇%いかない可能性が高い、こういう事態が起こった場合に、きちんと見直しをして打ち切り期限の延長を行う措置をとる、こういう項目が入っていないと思うんですが、改めて確認します。

小坂副大臣 今鍋倉局長の方からも答弁を申し上げましたけれども、アンケート時点では、放送局の皆さんは、国が支援してくれればそういうことは可能かもしれないけれども、今の時点でアンケートをとられてもこれは無理だろう、こういう考え方ですね。ですから、予算措置が行われてそれが確定したのが昨年末ですから、そういう時点で初めて、そういうことをやってくれればという条件が満たされたわけで、法律の根拠というものがそこに出てくるわけですね。

 そういう点で、十年間で、私どもが勝手に決めて打ち切ってしまうので、そこにただただいけということじゃなくて、いろいろな援助施策、支援策をとって、そしてその中でお互いの合意のもとで進めていただく。そしてまた、ローカル局を初めキー局、ローカル局の経営的な判断からしても、これは広告収入をどうやって確保するかとか、やはり多機能を導入しなければ放送業務としておくれていると言われてしまうとか、そういったことを懸念する中で、自分たちでも努力をしなきゃいけないという認識がおありだからこそこうなってくるわけでして、そういう意味で、二〇一〇年のこの目標、十年間の目標というのは無理なく円滑に推進することができる、また、そういうふうな共通の認識を得ているというふうに思っているところでございまして、その辺は重ねて御理解を賜りたいと存じます。

春名委員 私の質問に答えてください。この法案の中には打ち切り期限の延長を行う措置をとるという項目は入っていませんねということを聞いているんです。

小坂副大臣 再免許を行わないので、この法律施行から十年の期限でこれは打ち切られる、それを見直す条項は入っておりません。

春名委員 ですから、非常に乱暴な法案だと私は言っているんです。こういう大問題を消費者にはもちろん、やはり一番視聴者が影響が出るわけですが、相談もしない、三者の認識といってもまだそれもおぼつかない、そんな状況の中で、見直し条項も設けないで一方的に二〇一一年にアナログ波を打ち切っていくというやり方は改めるべきだ、私はそのことを厳しく指摘して、質問を終わりたいと思います。

御法川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。

 本当に今、同僚議員だけでなく、本委員会で二日間にわたって本法案を審議しているわけでございますが、やはり問題点というのは集約されていますね。確かに国の政策の大転換である、そのためには、いわゆる二〇一一年という年月を区切ってそれに向かって進めよう、努力目標だというお話でございました。やはりこれだけ大きな政策を進めていくためには、そういった期限を切って進めるということはやむを得ないという気は私もするわけでございます。しかし、そのためにはあらゆる努力が必要であろう。

 私は、国の政策によって二〇一一年にアナログ波を停波するということになった場合、何の落ち度もない視聴者がテレビを見られなくなるということだけは絶対にあってはならない、これが大前提であるということを前回も申し上げたわけでございます。そして、テレビを見られなくなる可能性のある人たち、いわゆる地上波のデジタル受像機を買えない人あるいは買う意思のない人、こういう人たちも必ず出てくるわけで、こういった人たちの対策はどうするのかということを前回お聞きしたわけでございます。

 きょうは、そういった可能性のあるもう一つの分野についてちょっとお聞きしたいのでございます。それはCATV、とりわけ小規模な、零細とも言えるCATV事業者、この人たちのデジタル化というのが私は非常に心配されるんですね。大手のCATVもございますが、いわゆる都市難視対策で、ビルあるいはタワー、そういったもののために現在のアナログ画像がダブって見えない、それを解消するために、ビルの持ち主あるいはタワーの持ち主、そういった原因者がCATVという形で、難視の人たちを解消するためにCATVをつくって運営をしている。これは営利でも何でもないんですね。難視解消の一環である。自分たちが建てたビル、タワーのために見られなくなる人たちのために、CATVという形でテレビを見られるようにしているわけです。それはみずからの意思でやってくれている。

 ところが、今回、それを国の政策によってデジタル化しなきゃならないわけですね。そうなると、みずからそういった形で難視解消に取り組んできたけれども、自分が望んで今度デジタル化をするんじゃなくて国の方がやれといっても、零細のCATV事業者というのは負担が非常に大きいと思うんですね。限度があるんじゃないか。

 そういったいわゆる営利でもないCATV事業者に対するこれからの支援、でなければ本当に二〇一一年の時点でデジタル難視という事態さえ起きかねないという懸念があるものですから、そういった本当に力の弱いところのCATV事業者に対してはどのような対策をお考えに、まあなっていないと思うけれども、なろうとしているか。やはり対策をせにゃいかぬと思うので、どういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただけますか。

小坂副大臣 今委員が御指摘になったケーブルの施設については、共聴施設といわゆる再送信のケーブルテレビジョン施設とがあるわけですね。

 共聴施設というのは、ビルの谷間でアンテナが十分な能力を発揮できない、ゴーストが生じたりいろいろになってしまうということで、それを解消するようなところにアンテナを立てて、アンテナ線のようなものを引き込んできて、それに受信機を設置して受信している。こういう単なるいわゆる共聴アンテナみたいなものであれば、デジタルでも、そのまま周波数等の特性を変えたり方向性さえ調整すれば機能するわけです。ですから、そこにデジタルテレビをくっつければ見られるという状況にあるわけです。

 そうではない、いわゆるケーブルで再送信を行う。そうすると、デジタル化になると、今度はデジタルの再送信を行うか、そうでなければデジタルで受信した番組を大もとでアナログに変換して流してやらないと絵が見えないという状況になります。フル機能をやろうとしたら、デジタル化して流してやる、こういう状況になってまいります。

 これについては、各家庭におけるデジタルテレビの導入も、買いかえ、それから受信アンテナの設置も、基本的には、購入者御自身がそれぞれの立場で行っていくのが原則なんですね。その観点でいえば、共同受信施設についても、その所有者や利用者において個別に独自の対応をしていただきたいというのが基本的な考え方であります。

 しかし、共同受信施設に対する支援ということに関して今御指摘でございますが、その点につきましては、個別に受信されている方との公平性ということもやはりある程度考えておかなければいけません。その中で、不利益が自分に帰するのではないのに負担があるんだから何とかしてくれという御要望も理解できるわけであります。

 今年度からそういった実態調査、デジタルで送信した場合にこの部分がどうなるのか。物によっては、共聴のケーブルが要らなくなってしまう場合があるんですね。というのは、デジタルの方が明確に、反射波がなくて、ゴーストのためにやっていたものが逆に要らなくなってしまう。そういう部分は要らない。これは独自に対応していただく、従来どおり普通の受信ができるんだから。しかし、そうでない場合にはそれなりだということになりますと、それは一体どのくらいの範囲で、どういう理由によってそれが生じて、そこの世帯の状況はどういう状況か、それを把握させていただく中で、今後支援策を検討してまいりたい、このように考えます。

横光委員 よくわかりました。

 今お話しの中で、自助努力というような意識のお言葉が結構多いんです。確かにそれも必要でしょう。でも、今お話ししたように、自助努力にも限界のある、そういった事業者もいるということですね。これからデジタル化になれば、まず難視の数が減るだろうということ、そしてさらに、見られなくなる可能性のある人たちがどれだけいるかということをこれから把握するということでございます。ぜひ進めていただきたい。

 私、一昨日、実はこの質問で総務省に、今どれぐらい都市難視あるいは辺地、こういうところでケーブルテレビの事業者がいるのか、また、どれだけの世帯の人たちがこれの恩恵を受けているのかというデータをちょっと頼んだら、即持ってきてくれました。それを見て私はびっくりしたんですが、都市難視あるいは辺地難視、またビル共聴、こういったものが、六万一千四百八十八施設もあるんですね。そして、受信世帯数が四百九十一万五千。四百九十一万というと、四千五百万世帯ですから約一〇%がこういった難視世帯数である。こういった施設は、五百端子以下のケーブルテレビですね。五百端子以下ということは、五百世帯のためにやっている小さな事業者でございます。

 ですから、そういったところでは、これからデジタル化になればまず混合波が少なくなるだろう、そしてさらに、四百九十一万の中のすべてが中小あるいは零細の事業者でないということもありますし、少なくなると思います。少なくなるとは思いますが、私はゼロではないと思う。

 そこのところを、さっき小坂副大臣もしっかり答えていただきましたし、十年のスパンがあるわけですから、これからその数を把握して、そしてその中で、どうしても自助努力の限界を超えるという人たちには何らかの検討策というものをしっかりと対応していただきたいということをお願いいたしたいと思います。

 また、私、イギリスのデジタルテレビ普及についてどういう状況かということを一昨日お尋ねしたら、これまた早速状況を報告していただきました。デジタル化のメリットを実際に体験してもらうために、小規模地域を選択してデジタルテレビを全世帯に無料配付してパイロットプロジェクトをやる、そういうようなこともイギリスではことしからやろうとしているんですね。国民の中に、デジタルというのがいかにいいかということを国を挙げて見せようとしている。

 大臣、小坂さんは、先日もすばらしいんだと口では確かに言うけれども、視聴者にはそれがどれだけすばらしいかというのが本当にまだ浸透しているとは思えないんですね。そういった中で、こういったことをやろうとしている、国民の中に知ってもらうということを国を挙げてやろうとしている、こういったことも報告がございました。

 そういったことから、アメリカ、イギリスでは既に地上波のデジタルはもう先行しているわけですが、アメリカの地上デジタル放送の動向といいますか進捗状況、普及状況、これをちょっと説明いただけますか。

鍋倉政府参考人 アメリカでは九八年十一月から地上デジタル放送が開始されておりまして、全世帯の六七%以上が受信可能、カバレッジになっているということでございます。

 ただ、デジタルの受信機の普及状況は、本年一月現在で約七十八万台ということでございます。

横光委員 アメリカの場合は大変大きな国ということでCATVが中心であろうかと思いますが、それにしても、余りにもBSデジタル受信機の普及が進んでいませんね。これはどこに原因があるというふうに分析しておりますか。

鍋倉政府参考人 実は、今ちょっとあれですけれども、BSの方は一千五百万世帯普及しております。これはケーブルで伝送している以外の世帯でございます。先生御指摘のとおりケーブルが普及しておりますから、ただ、ケーブルでどのぐらいBSを見ているかというデータがちょっとございませんので、直接BSを受信している個別の世帯で千五百万世帯、アメリカで普及しております。

横光委員 それにしても、地上波デジタルはそんなにうまくいっているような状況ではないなという気が私はしているわけです。二〇〇六年にはアメリカではもうアナログを停波するという予定になっているそうですが、これができるかどうか、今非常に際どいという話も聞いております。

 そこで、日本ではBSデジタルが昨年の十二月からスタートしたわけですが、この視聴世帯数が百五十万と言われておりますね。この百五十万の中で、BSデジタルチューナーの内蔵型テレビ、これの出荷台数はどれぐらいなんでしょうか。

鍋倉政府参考人 チューナー内蔵型のテレビは十七万三千台、チューナーが三十五・四万台、ケーブルで経由して見ておられる方は九十八万、こういう数字になっております。

横光委員 今のお話のように、やはり内蔵型テレビの出荷台数はそんなに多くない。ケーブルテレビといいましても、これはBSデジタルを見ることはできるんですが、アナログに変換して、画質はアナログで見るわけです。そうしますと、やはり一番大事なBSデジタル内蔵型の受信機がそんなに普及していると私は思えないんですね、百五十万世帯が一見順調なような気はしますが。

 BSデジタル対応型のテレビを購入すれば、三年後、二〇〇三年から始まります地上波デジタルの放送を見ることができるんですか。

鍋倉政府参考人 BSデジタルの受信機でそのまま地上放送を見ることはできません。

 ただ、BSのデジタルあるいは地上デジタル、これはCSのデジタルも含めてでございますが、私ども総務省の方で共通の仕様というか共通の技術基準というのをつくっておりまして、それに基づいて今民間で共通の標準の仕様をつくっておりますので、簡単な付加装置で可能になるというふうに思っております。

横光委員 簡単なというのは、どれぐらい費用がかかるんですか。

鍋倉政府参考人 二万円ぐらいだというふうに承知しております。

横光委員 簡単に二万円と言いますけれども、決して簡単ではないと思います。

 このように、BSデジタルのテレビを買っても、三年後に大都市圏では地上波デジタルも始まる。だから、普通の人は、当然地上波デジタルも見られると思いますよね。ところが、詳しい人はそれを知っている。新たにチューナーが要る、二万円かかる、今買ってもまた三年後には新たなチューナーをつけなければ地上波デジタルは見られない、ならば三年待とうかということにもなりかねない。それが、この普及がおくれている一つの原因ではなかろうかという気が私はいたしておりますが、そこの点はどうお考えでしょうか。

鍋倉政府参考人 御指摘の点でございますけれども、そういう意味も込めてなるべく共通の仕様でということを考えておりまして、共通の部品の部分が非常に多くなりますものですから、その部品の価格というのが急速に安くなっていくんじゃないかなというふうに期待をしているところでございます。

横光委員 そういうふうに普及して安くなるのが一番いいんですが、逆に、このことを知らない人、詳しくない人は、BSデジタルの受像機を買った、それで今度二〇〇三年、三年後から東京で地上波デジタルも始まる、同じデジタルだから当然見られるだろうと思う、ところが見られない、そういったことも起こり得る。そういったことも、やはりいろいろなことで説明をしていかなきゃならない一つではなかろうかと思っております。

 ちょっとこれは確認なんですが、今回のアナ・アナ変換の影響世帯数二百四十六万、そしてまたそれにかかる対策費が八百五十二億となっております。この積算根拠なんですが、例えば、一世帯に今はもうテレビは二台も三台もありますね、平均して二・二台ですか。そしてまた民間の事業所がある、あるいはホテルがある。ホテルのテレビなんて、これは膨大な数になる。あるいは公共施設もある。こういったチャンネル設定変更の費用もこの八百五十二億の中にすべてカウントされているのかどうか、ここを確認させていただきたいと思うんです。

鍋倉政府参考人 アナ・アナ変更が必要な局所というのは、四百十八カ所ございます。私ども、ローラー作戦で足を使いまして、この四百十八カ所について、二〇%の世帯の方のサンプリング調査をやっております。実際にこれは足で動いて調査をしております。ただ、その中には事業所等は含んでおりません。一般の世帯だけでございます。

 ということで、今の御質問の百二十数億円の中には、事業所は含まれておりません。

横光委員 一般世帯の何台ものテレビも一台ずつチャンネル変更をしなきゃいけないんですよ。これは含まれておるんですね。一家の、一世帯の中の何台も。

鍋倉政府参考人 アンテナ、ブースター等、実態調査をしておりますので、その取りかえ費用が入っております。

横光委員 ホテルも含まれていないんですね。

鍋倉政府参考人 含まれておりません。

横光委員 事業所とかホテル、膨大なテレビの台数だと私は思うんですね。そこのチャンネル変更の対策費が含まれていないということは、これから実際に対策を進めていく過程の中で、この対策費増大の可能性、懸念はあるわけですね。

鍋倉政府参考人 一般世帯につきましては、二〇%という、それは足で稼いでおりますし、実際に目でアンテナを見ておりますので、この中でできるというふうには思っております。ただ、サンプリングでございますから、多少の誤差は出ることはあるかなというふうに思っております。

横光委員 いずれにいたしましても、国の政策の大転換でございます。

 私、先ほどから、前回もそうですが、しつこくというぐらい言っておりますことは、国策であるだけに、国民に強制的な感じを与えるのではなくて、本当にコンセンサスをしっかり得る、その努力をして、十年間にわたる一大事業でございますので、先ほどから御答弁がございますように、本当に無理なく円滑にこの一大事業が移行できるように取り組んでいただきたいということを切にお願いして、最後に大臣のお考えをお聞きしたいと思うんです。

片山国務大臣 このアナ・アナから始まるデジタル化は、我々は大きな国策だと思っております。そのためには、今委員が言われますように、できるだけ国民に周知、御理解、御協力をいただいて、円滑に、スムーズに、いろいろな障害が出ないように最大限努力をしてまいりたい、こう思っております。

横光委員 終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、本案に対し、矢島恒夫君外一名から、日本共産党の提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。矢島恒夫君。

    ―――――――――――――

 電波法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

矢島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。

 今回の法改正は、二〇一一年には地上アナログ放送を終了することを事実上決定するものになっています。

 民放連のアンケートによれば、現行アナログエリアをデジタル放送で一〇〇%カバーするのに、五年以内で可能と答えた局はわずかに一二%、六年から十年と答えた局が五〇%となっており、二〇一一年にはデジタルの電波が届かないエリアが生まれる可能性があります。また、テレビの買いかえサイクルは八年から十年であるにもかかわらず、移行期間は三大広域圏で八年、それ以外では五年しかありません。

 二〇一一年にスムーズにアナログ放送を終了できないことを示す根拠がこれだけあるもとで、終了時期先にありきは実態に合うものでないことは明らかです。

 本修正案は、アナログ放送の終了時期の決め方として、これまで政府が公約していた要件、すなわち、カバー率や普及率の達成を条件とする内容に切りかえるものです。

 具体的には、附則に一条を追加し、総務大臣は、新規開始のデジタル放送による便益の程度その他の政令で定める基準がアナログ放送周波数の使用期限の一年前に満たされないときは、周波数割り当て計画等の変更その他必要な措置を講ずるものとするとします。

 以上が提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたしまして、趣旨説明を終わります。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。春名直章君。

春名委員 私は、日本共産党を代表して、電波法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、国民視聴者のデジタルテレビへの買いかえを、終了期限を切ることで、自発的な買いかえから強制的な買いかえへと根本転換させるものだからです。

 これまで、政府は、野田郵政大臣が九九年に明確に答弁したように、デジタルテレビの「八五%普及によってアナログ放送を終了するというものではなくて、その時点になって具体的に終了時期を決める」というものでした。アナログ放送の終了は、消費者の自発的な買いかえのスピードにゆだねられていました。

 テレビの買いかえサイクルは、八年から十年です。ところが、電波法の改正によって、二〇一一年アナログ放送終了となれば、移行期間は三大広域圏で八年、それ以外では五年しかありません。国民は、テレビの買いかえサイクルではなく、この決定に沿って買いかえなければなりません。買いかえの強制となります。

 デジタルテレビは高価であり、アナログテレビ並みの価格まで低下するには一定の期間がかかります。買いかえる余裕がない世帯は、テレビが見られなくさえなる、そういう可能性があるのであります。

 反対の第二の理由は、国民の基本的な情報手段であり、国民生活に不可欠なメディアである地上テレビ放送を受信できなくなる世帯が新たに生まれる危険性が高いことです。

 質問でも明らかにしたように、放送局の半分以上が、二〇一一年までに現行のアナログ放送がカバーするエリア全体をデジタル放送でカバーすることは難しいと考えています。国民生活に不可欠な地上テレビ放送が映らない地域を新たに生み出すことは、到底容認できません。ところが、改正案には、そうした危険性に対応するための見直し条項さえありません。

 最後に、今回の二〇一一年打ち切り提案は、国民生活に不可欠なテレビ放送を終了するという重大な問題にもかかわらず、国民視聴者の意見も聞くことなくなされたものであり、そのやり方も到底容認できるものではありません。必要な見直し条項を追加する我が党の修正案に賛成、原案に反対であることを表明いたしまして、私の討論を終わります。

御法川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより採決に入ります。

 電波法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、矢島恒夫君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、渡海紀三朗君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。荒井聰君。

荒井(聰)委員 私は、この際、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守党の六会派を代表し、電波法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、左の点についてその実現に努めるべきである。

 一 放送が社会に及ぼす影響の重大性を深く認識し、放送の不偏不党と表現の自由をより一層確保するよう努めること。

 二 有限稀少な資源である電波の利用料額について、電波利用の拡大や利用形態の動向等を踏まえ、その見直しを行うこと。

 三 地上放送のデジタル化については、視聴者の立場にも配慮し、柔軟な対応を行うとともに、その必要性について周知・徹底を図ること。

 四 いわゆるアナ・アナ変更に関わる経費については、それを最小限とするよう努めること。

 五 地上放送のデジタル化により地方民間放送事業者の経営への影響が懸念されることにかんがみ、地方における安定的なデジタル放送の実施のため、公的支援の充実等に努めること。

 六 電波の割当てについては、オークション方式等も含め、公正、透明な方式について検討を進めること。

 七 公益法人への特定周波数変更対策業務の移管については、行政改革大綱(平成十二年十二月)の趣旨を踏まえ、その実施に当たり、透明性の確保と業務運営の効率化に努めること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ皆様方の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

御法川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められていますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 電波法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚くお礼を申し上げます。

 御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の情報通信行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

 まことにありがとうございました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十九分散会




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