衆議院

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第18号 平成13年6月5日(火曜日)

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平成十三年六月五日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      坂井 隆憲君    新藤 義孝君

      高木  毅君    滝   実君

      谷  洋一君    中本 太衛君

      野中 広務君    平井 卓也君

      山本 公一君   吉田六左エ門君

      大出  彰君    大島  敦君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中村 哲治君    永田 寿康君

      松崎 公昭君    松原  仁君

      山井 和則君    山村  健君

      高木 陽介君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   坂  篤郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局東京証

   券取引所監理官)     三國谷勝範君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  塚本 壽雄君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  石井 隆一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 竹内  洋君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   藤井 秀人君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    村上 喜堂君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     中本 太衛君

  宮路 和明君     高木  毅君

  伊藤 忠治君     永田 寿康君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     宮路 和明君

  中本 太衛君     佐田玄一郎君

  永田 寿康君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  大島  敦君     伊藤 忠治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第九八号)

 行政機関が行う政策の評価に関する法律案(内閣提出第八七号)

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件

 消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官坂篤郎君、金融庁総務企画局東京証券取引所監理官三國谷勝範君、総務省自治財政局長香山充弘君、総務省自治税務局長石井隆一君、財務省大臣官房審議官竹内洋君、財務省主計局次長藤井秀人君及び国税庁課税部長村上喜堂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。

松崎委員 おはようございます。民主党の松崎でございます。

 片山大臣とはきょうは初めてということで、私には七人目の大臣でございまして、白川さん以来、分権論とかずっと闘わせてきたわけでありますけれども、その中でも最も手ごわい相手だろうというふうに、今までの議論の中で見させていただいております。

 さて、地方税法の一部を改正する法案でありますが、これは今回の緊急経済対策という森政権の、いわば亀井さんを含めた今までの体制の中で、今の経済状態の中で何とかしなければいかぬということから出てきた緊急経済対策の一環というふうに承っております。個人投資家を呼び込むのだということで大変大々的な宣伝といいましょうか、大きく言われているわけでありますけれども、どうも中身を見ますと、果たしてそうなのだろうかという疑問を呈しているのがこの法案であろうと思います。

 いわば、小泉政権ができてからとそれ以前では、経済に対するベースは変わっておりません。相変わらずよくないわけであります。しかし、雰囲気が変わってきているということが、とんでもない発言をしてもそれほどマスコミからはたたかれない、そういう一点を見ただけでも随分時代が変わっているのかなと。そういう中での、かつてのこういう優遇といいましょうか、株式投資家を、少しでも個人の投資家を呼び込もう、これが果たしてどうなのだろうか、私はそう思っております。

 特に問題にしなければならないのは、やはり源泉分離を、本来もう既になくなっているはずでありますけれども、これを継続するというところから百万円の控除をするという問題が出てきたと思うのでありますけれども、この併存するということ、かつての特に亀井さんを中心に、どうも我々は、あの介護保険制度を半年延長したとか、取らないとか、ああいう系譜で感じてしようがないのでありますけれども、源泉分離と二本立てであと二年やるのだと。併存するということに関して、大臣はどのように思っていらっしゃいますか。

片山国務大臣 私は、大臣にしていただく前は、ずっと党の税調に長くおりまして、この問題にもかかわってまいりまして、本来ならことしの四月から申告分離に一本化する、こういうことでございましたけれども、去年の税制年次別改正の中で、株式市場をこのままにしておいてはだめだと。やはりその意味では関係者の方から強い要望がありまして、大議論をした結果、これを二年延ばそう、こういうことが決まったわけですね。

 そうしているうちに、緊急経済対策を決めなければいかぬ。金庫株の解禁だとか、ETF、新しい投信制度をつくるとか、いろいろなことが議論された中で、やはり税制上は少額のものについての税をまける、こういうことをする必要があるのではなかろうか。これを幾らにするか、二百万にするか、百万にするか、五十万にするか、大変な議論があったわけでありますけれども、これも採用しよう。最終的には百万円以下ということに決まったわけであります。

 併存するのは、委員が言われるようにいかがかなという議論がありますけれども、全部申告分離ですから、今回の少額の非課税は。申告分離になれていただけるのではなかろうか。恐らく、百万円以下の少額の方は、こっちの申告分離の方を選んでいただいて、これで手続をとっていただけるようなことになるのは、二年後の申告分離一本への伏線というかレールになるのかなという感じを個人的には持っております。これは実際は、やってみないとわからないというようなところもございますけれども、そういう考え方でこの並立になったわけであります。

松崎委員 実際には、今九割方が源泉を選んでいるということは当然であります、一・〇五ですから。私も株のことはそう詳しくはないのですけれども、やはり申告は問題がある。調書が出てしまうとか、いろいろな問題があって、なかなか今の段階では選ぶ人は少ないということになっておりまして、もちろん、税調でも延期すべきではないということを言っているわけであります。では、なぜ二年にしたのか、どうもそれがはっきりしない、そのように思うわけでありまして、二年という期間限定、しかも二年間、これはどういう理由でございましょうか。

片山国務大臣 二年やれば株式市場の低迷、あるいは景気の低迷から脱却できるのではなかろうか。それまでの緊急的な、例外的な措置として延長しようという発想だったと思います。こういう特別措置は、委員御承知のように、二年とか三年とかというのが多いのですね、五年もありますけれども。そういうことで、最小限度二年、こういう議論になったと思います。

松崎委員 今の冷え切った株の市場の状況を見ていますと、こういうものがどこまで申告分離をとる方がいるか、この十月から始まるわけでありますけれども。

 さて、これは地方税が減るわけでもあります。その減るぐあいを今回の措置でどのくらいに見ているのか。九百億というふうに言っていらっしゃいますが、これは国税でございます。国税のこの九百億のもとですね、どういう計算で、つまり今、申告分離を採用されていた方の実際の実績がちょっとわかりません。この辺をひとつ実績を含め、それから九百億の減収、初年度で四百億というのはどういう根拠なのか、それから地方税はどのくらい影響を受けるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

石井政府参考人 本制度におきます地方税の減収の方は、初年度数億円、それから平年度十億円程度と見込んでおります。また、所得税関係につきましては、今、先生おっしゃいましたように、初年度は四百億円、それから平年度は九百億円程度と見ております。

 この計算に当たりましては、過去の申告分離課税における課税の実績でございますとか、それから株式の保有状況に関する調査結果に基づきまして、特別控除の対象となる譲渡所得を推計する等の方法により見積もったものでございます。

松崎委員 かなりこの見積もりはいいかげんというとおかしいのですけれども、なかなか数字的にはあいまいであるというふうに私は思っておりまして、現在の、長期保有している株の保有者の実態というのは、相続などで持っていたり、ほとんどやられちゃっているわけですね、いわゆる塩漬け、そういう状況になっています。ですから、私は余りその方々が市場の参加者となるというふうには思っていないわけでありまして、これから一年半という間に、果たして利益が百万ということで本当に参入する方々がいるのか。つまり、余り意味のない政策ではないかというふうに私は思っております。

 ただ、諸外国との関係でありますとか、ほかの国ではかなりそういう優遇制もあります。それから、今もゴルフ会員権でありますとかいろいろな取引で特別控除があったりしますから、その公平性という点でいけば、確かにこういう制度を入れることも、全く間違いというふうには思いません。

 ただ、どうもかいま見えてくるのが、将来の銀行の株式の保有制限が導入された場合に、いずれつくられるでありましょう銀行保有株式取得機構ですか、仮称の、この辺が大体四十兆ぐらいと見越しておりますけれども、いずれ、銀行から放出されざるを得ない。そうすると、またいずれ個人投資家を呼び込まないと、今までの投資家はほとんど、塩漬けやら大損をしてなかなかその気にならぬ。しかも、利益がたった百万ですね。こういう状態になりますと、個人投資家を呼び込むというのは将来のためにということもあって、先ほど大臣も、なれるということも言っていましたけれども、どうもその辺に政策の目標があるのかな、そんなふうに思っております。ですから、どうもこの政策は余り効果がないというふうに私たちは思っておる次第であります。

 さて、明後日審議される、私も審議いたすのですけれども、政策評価法というのがあるのですが、緊急経済対策のうちのいわば重大な経済政策ということになりますと、もう既に四月から政策評価というのが各省庁で始まっております。特に総務省は管轄の省ということで、二重の意味でやるわけでありますけれども、これの政策評価、一つのテストとしてお聞きするわけでありますけれども、この法案に対しましての政策評価というものは、どうでしょうか、おやりになっていらっしゃるのか。また、これは事前評価になると思いますけれども、対象に当然なっていると思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。

遠藤(和)副大臣 この法案を要するに、政策評価したかどうかというお尋ねだと思います。

 総務省といたしましては、ことしの三月に政策評価実施要領を定めまして、政策評価の方式といたしましては、事業評価それから実績評価、総合評価の三方式を定めたところです。このうちのいわゆる事業評価と言われるものが、特定の事務事業につきまして事前の時点で評価する、こういうふうな制度でございます。

 同じく三月に、総務省としましては政策評価実施計画をつくりまして、事業評価をいかにして行うかということについて、本年度からその評価手法等について研究開発等を進めているところであります。段階的に試行実施していきたい、このように考えているところでございます。

 お尋ねの、今回の地方税法の改正につきましては、政府の緊急経済対策の一環として、個人投資家を育成していこうという政治判断のもとに行われたものでございまして、これについては今回、政策評価の対象としておりません。ただ、その結果、どういうふうな効果があったのかということは事後の評価できちっと対象にいたしたい、このように考えているところでございます。

松崎委員 この政策評価の問題はあさってからまた始まりますので、しっかりやりたいと思います。

 金額が十億であるとか、確かに少ないかもしれませんけれども、緊急経済対策という、内閣が大上段にかぶった政策の一環ですね。よく新聞にも出ています、個人投資家を呼び込む優遇策。これだけ大々的に言っている政策で、政策評価を今回、事前にしなかったというのはどうも納得いかないのですけれども、これは本来の、導入したてですから云々ということもあるかもしれませんけれども、やはり最初からちょっとボタンをかけ違えているのじゃないでしょうか。

遠藤(和)副大臣 ただいま国会に提出しております行政評価法案、その法案の文面を見てみましても、このような政府の総合的な経済対策、内閣の高度の政治判断を内容とする緊急対策、緊急政策というものにつきましては、これを直接の行政評価の対象としておりません。したがいまして、この政策の判断についてはむしろ国会で評価をしていただく、こういうことになろうかと思います。

 しかしながら、これは実施された後、各省におきまして、その政策決定がいかなるものをもたらしているのかということについては評価の対象としていく、こういうことでございます。

松崎委員 この問題は、またゆっくり法案でやらせていただきたいと思っております。

 要は、この百万円の控除の問題、これは個人投資家を呼び込もうという思いでつくられたということはわかりますが、どうもねらいは違うのじゃないか。もちろん、二年後の一本化ということを目指しているかもしれませんけれども、むしろ、それであれば、二年後の一本化が始まるときにこの優遇制をずっと続けていった方がはるかに個人投資家は呼び込めるのではないか。もちろん減収はありますけれども、目的が個人投資家を呼び込む、将来、多分、銀行保有株が出てくるような場合に、今の状態ではとても吸収できないそうであります、四十兆円。ですから、個人投資家を呼び込むというそちらであったら、むしろ二年後の一本化のときからこの優遇策をやるべきではないか。

 そしてもっと言えば、株の市場そのものを信用のある、魅力ある、そして不正のない、今までいろいろ問題を起こしました、ですから、株式市場そのものをしっかりと直す、きちんと整備する、そちらの方が本来は私は筋である、そんなふうに思いまして、この問題はここで終わらせていただきます。

 次に、今、大変問題になっております経済諮問会議、新聞紙上では、自民党さんの方と諮問会議の中枢メンバーとの考え方、党をどう思っているんだとか、いろいろあります。しかし、これは、総理大臣小泉さんが、しっかりとした理念のもとに日本の改造をするんだよ、構造改革なくして景気回復なし、そうおっしゃっている。そういう強烈な中での諮問会議でございます。これは、与党、野党問わず、国の根幹を変えていくという点では非常に我々も興味を深く持つ。そして、基本的な改革の方向性ということでは、私たちもかなり共鳴するところがあるわけであります。

 ですから、ある意味では、日本の改造のために、日本を変えるためには、やるべきこと、今の時期にやらなければならないことは、与党、野党問わずしっかりとやっていくべきだ、こういう立場からお尋ねをしているわけであります。

 特に、地方行政に関する問題点も幾つかかいま見られるわけでありまして、その中で、おとといですか、さきおとといか、諮問会議がいわゆる骨太の基本方針というものを出されました。

 この七つの改革プログラムの中で、地方の自立、活性化、そして地方交付税の簡素化というところまで踏み込み始めているわけでありまして、この辺の中身が、特に地方の分野に関しまして、大臣も参加されていらっしゃるようでありますので、どんな中身になっているのか、簡単にお願いをしたいと思います。

片山国務大臣 今、委員お話しのように、私も経済財政諮問会議の閣僚側のレギュラーメンバーの一人でございまして、割に詰めて精力的に議論いたしておりますが、ちょっと世間で誤解されているのは、この前発表しましたものは中身じゃないんですね。あれは目次なんです。フレームなんですね。こういうことを中心にこれから詰めていきますよということの一覧表で、竹中さんと民間側の四人の委員さんが原案をつくって、それを、目次ですよ、フレームをたたき台に出されて、おおよそそれでいこう、こういうことになったようでございます。

 実は、あの日は私、総務委員会、ここで御審議をさせていただいておりましたので、遠藤副大臣にかわりに出ていただいたわけでありますが、事前に竹中大臣が来られまして、いろいろ話し合いました。

 そこで、あの諮問会議自身は、経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本方針、さらに来年度の予算編成の基本方針を六月中にできればまとめたい、こういうことでございまして、大きな項目は、一つは経済の活性化、もう一つは社会保障制度のあり方、さらに公共事業を中心に社会資本整備のあり方、それからもう一つが国と地方の関係のあり方について集中的に議論しておりまして、これが即来年度予算編成の大きな柱になるし、財政運営の中心に私もなると思いますので、そういうことの議論をしております。

 国と地方の関係のあり方では、私は地方の自立性を強化してもらいたいということを中心に言っておりまして、そういう意味では、地方税を充実して税財源の基盤を強くするということ、地方税の充実。地方税を充実することによって国庫支出金を減らすとか地方交付税を減らすということはあってもよろしい、しかし、全体で地方税の充実なく、例えば地方交付税を頭から縮減するなんということは制度的にもあり得ない、こういうふうに言っているわけであります。

 それから、地方の歳出の方は、御承知のように七割が国絡みですから、国が法令で義務づけている、行政指導で義務づけている、基準をつくっている、あるいは補助を出している、そういうものが七割でございますので、まず国の歳出の見直しがなければ、先行しなければ地方の歳出の見直しはありませんよと。国の歳出の見直しをやる過程で地方の歳出が合理化される、縮減されるということがあっても結構ですと。

 それから、地方単独事業についてはかねがねいろいろな議論があるので、私個人としては現実に合った形で縮減していきたい、こういうことを言っております。

 とにかく今、地方が取る税と地方が出す歳出との乖離が大きいんですよね。何度も言いますけれども、税金は国が六で地方が四で、ところが実際の支出は地方が三分の二で国が三分の一なんですね。私は、できるだけ取ったものがそのまま使えるようになるのが一番いいので、ただ、都道府県間で、あるいは市町村間で大変な経済格差があり財政格差がありますから、そのものを、税をもらったってばらばらになってしまいますから、どうしてもそれを調整する地方交付税制度は要るんですけれども、基本的には自分で取る地方税をふやしていただくことが一番だ、こういうふうに申し上げて、それじゃ、そのほどをどうするのか、こういうことが大きな議論になろうと思いますが、基本的には、竹中さんやほかの委員とも地方の自立性を強化していくこと、こういうことでは一致いたしております。

松崎委員 いろいろ報道が出たりして、また八回目の会議でもかなり細かく、牛尾さん、本間さんが論点整理を出したりして、かなり突っ込んでいますね。また、塩川さんが一兆円の削減の問題でありますとか、それから、いつの間にか人口での合併まで、千と大臣もおっしゃっていた、たしか千のはずが三百になってみたり、まだ始まったばかりですから、これを本格的な議論とは言いませんが、どちらにしても、骨太という大きな枠組みと、それからもう一つ、具体的な来年度予算という個別の問題とがごちゃごちゃになっていますから、非常にこれ、我々もどう整理していいかがわからない。

 ただ、言えることは、私たち民主党は、この前、先月ですか、うちの中川委員がきちんと申し上げましたとおり、そういうごちゃごちゃしたことはあるけれども、遠い将来、五年なら五年というスパンの中で、きちんと税財源を所得税から地方住民税へ移転させる、その手順は、一括交付金を五段階に分けながら、徐々に減らしながらやっていく、それで五年後にはがらっと変えるんだと。これは、我々の方は骨太なんという、これと同じようなことをまた大臣の中にはおっしゃっている方もいらっしゃいます。

 さて、そこで、先ほどフレームだけだということをお話しになりましたけれども、その割には、大臣、あそこで修正意見を出しているんですよね。ですから、これは、骨太に修正意見というのはどういうふうに出されたかよくわかりませんけれども、それは、今までの八回なりの会議の中でいろいろな議論があった。それを踏まえて、フレームといっても既に議論が重なってきていますから、それを踏まえたフレーム、それに対して修正意見を出されていますね。受益者の適正な負担、これを削除しろとか、段階補正の縮小の削除、この辺が、今おっしゃっていたこととどういうふうにつなげながら削除をされたのか、ちょっとそれをお聞かせいただきたい。

片山国務大臣 詳しくは、むしろ、出席されて意見を述べられた遠藤副大臣や、あるいはいろいろ案を調整してその作業をしてくれた財政局長の方が適当かと思いますが、これは、フレームですけれども文書としてまとめるということですから、文書について修正いたしまして、受益者の適正な負担のところは似たような表現がほかにもう一カ所ありましたので、ダブるから落としてくれと。

 それから、段階補正については我々も見直そうと思いますけれども、大変今、地方団体が神経質になっているので、これを麗々しく書きますと、これを合併のてこにするんじゃないか、そういう誤解を市町村で生んではいかぬので、段階補正の見直しは制度として見直すから、特に麗々しくそういう表現をとっていただかなくても結構だと。

 それから、地方税の充実のところは充実だけでは不十分で、これは国から地方への税源移譲を書いてくれ、こういうふうな何点かを申し入れております。ただ、それをどうするかはこれからでございます。

松崎委員 今おっしゃった地方から云々言われるというのは、いわゆる諮問会議の竹中さん初め小泉さん、思い切って、まさに革命的な改革をやるのだ、もう十年もおくれちゃっているわけですから、ここでがつんとやるのだよという意味でこれをつくろうとしているのですね。そこに現実論的なものを余り入れ過ぎてもいけない。

 もちろん、来年度予算編成の場合には、若干これは現実論が入るかもしれませんけれども、その辺は、骨太をねらうというところであれば、こういう出し方というのはどうもブレーキをかけるようなふうに私には感じまして、この辺はしっかりと骨太のフレームをつくるという点。つまり、それは、今まで抵抗のある、もちろん、道路財源の問題だって何だって、みんなそれは既得権を持った皆さんの牙城でありますから、これを壊していこうということ、これが小泉流の改革だろうと私は思っていますので、当然それをやるには抵抗がある、あるけれどもやるのだよということを、この諮問会議のメンバーである以上は、その辺を余り現実的な問題を取り入れて配慮する必要はないのじゃないか。

 ですから、幾つかの御意見というものは、文言の細かいことは別としても、その精神というものに私はちょっと残念だなという感じをいたしまして、諮問会議の今後がまたある意味では楽しみかな、そう思っています。

 さて、大臣も長い政治経歴のある方でありまして、ちまたでは諮問会議側と党側の考えというのがいろいろ報道されています。この辺は、諮問会議のメンバーとしてもいろいろお立場が複雑だと思いますが、この辺の違いというか、例えば党側の政調会長が初めて文句を言ったということもあります。麻生さんですか、手法の批判を初めて三役でやったとか、新聞に出ておりますけれども、その辺の党側と諮問会議との関係というのは、大臣から見て、どんな状況で、諮問会議の側に、逆に党をこうだというようなことで、自分はしっかりと代弁して抑えるのだよ、そんな意気込みはあるのでしょうか。

片山国務大臣 まず最初の方ですけれども、我々は、竹中さんや本間先生や牛尾さんのレポート、そういうものについて、基本的には違わないということはみんな確認しているのですよ。ただ、そこのフレームの文言については、やはり適切なものに改めた方が世間に出たときに理解されやすいから、文言を直してくれと私は言っているのですよ。精神を直せなんて言っていません。文言を直せ、表現を直せと、誤解されないように、わかりやすく、こういうことを言っておりまして、基本的には、地方の自立性を強化するという点では、本間・牛尾レポートも、竹中さんの考えも、我々の考えも変わっておりませんので、それはひとつそういうふうに御理解を賜りたいと思います。

 それから、ただ、経済財政諮問会議はまだこれから本格的な中身の議論が始まるのですけれども、いっぱい漏れるのですね、しかも正確でなくて、部分的に。それがまた新聞、テレビが大きく、場合によったら誤って報道するのですよ。そこで、党側にしてみれば、何だということになるのですよ。

 そこで、議院内閣制ですから、政府と与党は一体でなきゃいかぬので、この前、急遽、政府・与党の会議が官邸で開かれまして、私も出ました。与党三党の幹事長、政調会長の皆さんが来まして意見の交換を行いました。経済財政諮問会議で何かをまとめる、ペーパーをまとめるだけではそれこそ何の意味もないので、それを予算にし、法律にして実現するということに意味があるので、そのためには、国会、特に議院内閣制の場合には与党の了承というのは不可欠ですね。そういう意味で、与党側から、もう少し事前の連絡や何かが欲しいというお話がありまして、それはそうします、こういうことになりました。

 ただ、まだ経済財政諮問会議自身が結論を何にも出していないので、これは六月中に出していく過程で、政府と与党との関係は、私は、コミュニケーションを重ねて御理解をいただくようにしていただかないと、諮問会議で案はつくった、それはなかなか簡単にいかないよというようなことでは、かえってぐあいが悪いのではなかろうかと考えておりますので、私も、メンバーの一人として、今後、努力をいたしてまいります。

松崎委員 諮問会議はたくさん課題がございます。いろいろお聞きしたいのでありますけれども、一つ、二兎を追う論がありましたね。どうも片山大臣は揺れ動いているのかなというふうに感じておりまして、この前、中川さんの質問では、初めて、六対四から一対一にするという御判断を出されましたけれども、その次の黄川田さんの意見では、また、ある程度景気回復をしてからでないと財源の移転だとかそういうものはできないんだ。これは、かつて私も、宮澤さんやらどなたか、二、三の、野田さんもそうでした、同じような意見でございました。

 今の内閣は、二兎じゃなくて、二兎を一つにして追うんだということを言っております。ですから、内閣の一員として、今この辺をどのように集約されているのか、一度しっかりお聞きしたいと思っております。もう一度確認をしたいと思いますが、どうでしょうか。

片山国務大臣 これも何度も御答弁申し上げましたが、今までは一兎主義、景気回復を最優先、景気回復をした上で財政構造改革に入る、私は、こういうのが小渕内閣、森内閣の基本的な方針だったと思います。

 小泉内閣は、構造改革なければ景気回復ないということですから、私は、これは竹中さんが予算委員会でいみじくも言ったように、景気回復と構造改革は一体だ、我々が二匹と思っておったのは実は一匹なんだ、短期的には景気回復、中長期的には構造改革、しかし、それは連携がとれて一体でなければ効果がない。これはこれで私は一つの正しい意見だと思いますので、今の小泉内閣はそういう方針でいっている。

 私は、森内閣のときから、二兎を追う構えと言って、経済財政諮問会議で何回も発言しております。景気は最優先だけれども、同時に財政構造改革の路線を敷く準備をする、レールを敷くということがなければ、そういう構えがなければ、これは景気回復につながりませんよということを何度も私は諮問会議では申し上げてきている、そういう意味では、私よりさらに徹底した考え方を小泉さんは出されて、それでいこう、こういうことであろうと思います。

 そこで、国と地方の税源は今四対六ですけれども、私は、せめて五対五にしたい。ただ、それでは今すぐできるかというと、それはできません。国の財政がこういう状況で、国から税源をよこせ、税源を地方がとったら、国も国債がふえるだけです。私は、今のこういう財政が大変窮迫をした時期には、そんな基本的な見直しはできないので、やはり景気回復を待ってから税源移譲というのをやってもらいたい、四、六を五、五にしてもらいたい、こういうふうに思っております。

 今、国が五十兆、地方が三十五兆ですから、八十五兆ですから、せめて四十二、三兆に地方税をふやす、国税を減らす、これは国にとってみればなかなか大変なことですね。だから、今回の分権推進委員会がもう間もなく任期切れになりますということで、最後のおまとめをしておられますけれども、これは国からの移譲を言っていますね。

 ところが、例の財政何とか会議、こっちの方は、それは課税自主権でやってくれ、国税の移譲なんかとてもできないよ、こういう考え方のようでございます。その辺は、今後、景気回復を待って、私は、抜本的な見直しをせざるを得ないのではなかろうか、急ぐけれども、今やれと言って、現実的な議論にならない、こういうように思います。

松崎委員 大変表現がお上手な大臣ですから、こっちでも何を言っているかわからないなという話を今したのですけれども。

 結局、余り小泉さんばかり言うと、私は与党じゃありませんけれども、やはり徹底的な改革ということで、特殊法人もやります、要するに、今まで、明治以来の大きな中央集権体制の中でふやけちゃっているのですよ。それをぐっと圧縮するために、そういうことをやっていけば、財源もかなり出るのですよ。だから、それはただ景気回復を待つのじゃなくて、そういうむだを体内から出していこうというのが小泉改革の本髄だろうと私は思っております。

 ですから、それを徹底的にやることが、結果として景気回復になるんだということでしょうから、そこは、地方分権に関しても、改革というものを徹底的にやる、それをぜひ大臣にはしっかりと決意をしていただきたい、そういうふうに思います。

 さて、最後にどうしても聞きたかったのは、郵政の民営化の問題なんですね。ここに小泉純一郎さんのお書きになったもの、郵政民営化研究会、があります。これは実は七割方民主党の若手が参加しているのですよ。この中に入っております松原先生も、今回の、きのう始まりました懇談会のメンバーとして出ておりますね。

 これは、自民党の郵政懇話会ですか、この郵政事業懇話会に大臣は入っていらっしゃいますか。

片山国務大臣 余り確認しておりませんが、恐らく入っていると思います。

松崎委員 ここの会長さんが今、野中さん、きょうはいらっしゃいますか、野中さんですね。絶対、民営化はさせないということをこの前言っておりました。そういうお立場もわかります。平成会の一員、郵政懇話会のメンバー。

 そして、今、小泉内閣の目玉商品でありますね、郵政。きのうから懇談会が始まった。いろいろ言われておりますけれども、かなりの民営化に対するフルメンバーで出てまいりました。

 これに対して、そのお立場で、今この郵政の民営化という問題に関しまして、御自身はこれを進めようと思うかどうか。公社化云々なんて答弁は要りませんから、やる気があるか、内閣の一員としてこの目玉商品をしっかりやっていくのだ、いや、余りやりたくないか、どちらでしょうか。

片山国務大臣 公社化のことを言うなと言われましたが、二年後に、平成十五年中に公社化に移行する、それから郵便事業へも民間参入を進める、これはそう法律で決まっておりますから、やらせていただきます。

 その後のあり方については、私は閣僚になったときもその後も小泉さんと話しまして、公社化まではちゃんとやらせてもらう、その後については国民的議論の中で決めましょう、そのために総理が私的懇談会を立ち上げるのは大いに結構です、そこで有識者に議論してもらって、意見を集約してもらって、その後は国民に選択してもらいましょう、一番国民にいいように、国民の皆さんに選択してもらうことによって結論を出したらどうでしょうかと。民営化がいいという方も大勢おられます、しかし、国営で、例えば国営公社で残せというのももっとあるかもしれぬ、あるいはそれ以外の方途も場合によってはあるかもしれぬ、それはこれからの議論で決めていきましょう、予断を持たずに白紙でと、こういうことで完全に意見は一致しておりまして、総理と私の間には何の立場の相違もありません。

松崎委員 この民営化論にはむしろ、郵政省の三十万の職員がいらっしゃる、これが今のままでいけば国鉄の二の舞になりますよと。まして、情報化社会が進んでおります。ですから、信書を含めた郵便物というのもどんどん減っていく可能性がある。これは大臣、お立場でよくわかりますね、IT革命が進んでいますから。そういうことを考えたとき、将来の三十万の方々のことを考えたら、特に、ここは民営化をし、お互いに競争をする力を持っていく方がいいのだよという趣旨も書かれておりますね。

 ですから、そういう意味では、私は国民に投げかけるというのはわかります。しかし、政治主導でやらなければならないこと、国鉄の場合もそうでした。これは政治主導だと思いますよ。

 そうなりますと、そうお逃げにならずに、私の先ほどの質問、これを積極的に進めるのかどうか、国民に投げるのじゃなくて、政治家主導として、政治主導として、内閣の一員としてどうなんだということをお聞きしているので、そこをお答えいただきたいと思います。

片山国務大臣 この懇談会は、民営化問題を含めて今後のあり方なんですね。ですから、総理も、自分は皆さんよく御承知のとおりの民営化論者だけれども、押しつけません、それは自分の考えだと、自由な立場で、白紙の立場で議論していただきたい、自分は偏見や何かで物をまとめるつもりはありませんときのうもはっきり言われまして、そこでその松原先生も、私も実は、本に参加しましたけれども、もう一遍民営化がいいのか悪いのか根っこから考え直します、こういう発言をされました。

 そういう立場で皆さん議論されるでしょうから、私も同じ立場で議論いたします。

松崎委員 どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 おはようございます。

 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 まず軽く、この地方税法の一部を改正する法律案によって減ると言われている十億円の地方税なんですけれども、この十億円というのは、減った分は地方が負担するのか、それとも国が何らかの形で面倒を見ていくのか。その点だけ、まずお聞かせください。

片山国務大臣 これは、十億という数字が多い、少ないという議論じゃなくて、そういう減収は地方財政計画の中で十分吸収され得ると私は思いますし、もし大きな穴があくようなら何らかの補てんは考えなきゃいかぬ、こういうことになると思います。

 減税をやるのはこれからですから、十月からですから。

中村(哲)委員 地方財政計画において吸収されるというのは、国が最終的に面倒を見ると考えてよろしいのでしょうか。

片山国務大臣 私が今申し上げているのは、これはやってみなきゃいけませんね、申告ですから、申告分離課税ですから。幾ら出てくるのか、それは締めてみなきゃいけません。

 その結果、それぞれの団体で大変財政運営に支障があるようなら、国が責任を持って面倒を見ます、こういう意味であります。

中村(哲)委員 細かい話をうだうだ言っても仕方がないのですが、イメージとしては、国も負担するし地方も負担するというようなイメージでしょうか。

片山国務大臣 これは、緊急経済対策で国が決めたことは事実でございまして、特に、個人投資家に株式市場に帰ってきてもらいたい、できれば一年を超える株式投資をしてもらいたい、株式市場を活性化してもらいたいという考え方でございます。

 そのための一つの方途として減税をやるわけで、その減税については、額が、これはきちっと幾ら幾ら、どの団体で幾らというのが出てくるのはずっと先ですから、もしそういうことが出て、先ほど言いましたように、その団体の財政運営に支障が出るようなことがあれば、国としても考えなきゃいかぬ、こういうふうに申し上げているわけであります。

 だから、そういう意味では、どっちがどう責任を持つかということではなくて、全体で責任を持つ、こういうことであります。

中村(哲)委員 全体で責任を持つということは、痛みを分かち合う、地方と国とで分かち合うということですね。大臣、うんうんとうなずいていただきましたので、そういうことだなと認識いたします。

 そういう話をさせていただいた後に、今、松崎委員がるる質問させていただきましたように、小泉政権にかわりまして、地方財政のあり方というのをもう一度考えていかないといけないのだなと思います。だからこそ、今までにいろいろなところで議論されていること、そういうことについてこれから聞かせていただこうと思います。

 まず初めに、地方債についてお聞きします。

 例えば、五月三十一日の衆議院の財務金融委員会での質疑がありました。その中で、地方債についても聞かれております。

 地方債の最終的な負担について、いろいろ段階を分けて考え方があると思います。まず、国が法律上の保証を地方債にしているのかどうか。次の段階として、法律上の保証はしていないとしても、何らかの面倒を見ていくということなのか。そういうことを踏まえて、地方債は国が面倒を見るのかどうかということを確認しておかなくてはいけないということになると思います。

 まず最初の段階の、国が法律上の保証をしているのかどうかということについて、さきの五月三十一日の財務金融委員会で議論がされていました。その中で、仙谷委員の質問に対して塩川大臣が、地方債は、それぞれ地方の自主的判断と実行において募集するものでございまして、国は関与しておりませんと御答弁なさっております。そしてまた、総務省の山名大臣政務官も、今、大臣がお答えになりましたように、地方債の債務につきましては、いわゆる政府保証債でございませんので、法律によるところの債務保証はありませんとお答えになっております。

 まず、法律上の保証について、御確認になるのですけれども、国は法律上の、民法上の債務保証を地方債においてしていないということでよろしいですね。

片山国務大臣 塩川大臣、山名大臣政務官の答弁の詳細を私は存じておりませんが、基本的にはそれでいいのだと思いますよ。法律上の保証はしておりません、地方債については。

 ただし、国が関与するといいますか、国が同意をする、地方債について同意をしますよね、協議を受けて同意をする、同意をした地方債につきましては、地方財政計画や地方交付税制度を通じてその元利償還については財源保障をする、こういう建前になっております。だから、法律上の保証はないけれども、元利償還については、国が関与したものについては、その元利償還については担保している、こういうことです。

中村(哲)委員 次の段階のことを今、大臣が御答弁なさったので、まず、段階として、いわゆるごんべんのついている保証については、法律上の保証のことですけれども、それはしていないということの確認をさせていただいたのですけれども、それはしていないということで改めてよろしいですよね。

 だけれども、次の段階として、法律上の保証はしていないけれども、地方財政計画や地方交付税制度によって、そのことは国がすべて面倒を見ているということでよろしいのでしょうか。

片山国務大臣 国との協議で、国が合意したものについては、今の地方財政計画で、元利償還は交付税その他を通じてしっかりと補てんする、こういう建前になっておりますから、それはそうしていると考えていただいていいと思います。

中村(哲)委員 その御答弁は、ある意味、二月二十七日に私が質問させていただいたときにお答えいただいた答弁の筋だと思うのですね。そのときに、私は、地方債の格付と申しますか信用について聞かせていただきました。そのときに遠藤副大臣から「地方財政計画や地方交付税制度を通じた財源保障をしておりますから、元利償還等について不安は起きない、こういう仕組みにさせていただいているところでございます。」と御答弁いただいておりますので、その件について、今、大臣がおっしゃったようなことは認識しておったところでございます。

 ただ、私がその次に疑問に思うのが、地方債というものが、すべての元利償還について交付税で賄われておるわけではないのですよね。そこのところとの整合性をいかに考えていったらいいのかというところが疑問なのですね。その点についてお答えください。

片山国務大臣 地方財政計画というのは三千三百に近い地方団体の全部の財政を集約するのですね。そこで、元利償還については公債費という形で歳出の方に載りますよね。地方財政計画というのは三千三百、財政を全部まとめるのですから、歳入の方はこうなる、歳出の方はこうなると。歳出の方には経常経費と投資的経費があって、それ以外に公債費がありますね。公債費は、全団体のその年度に返す公債をそこへ全部挙げるわけですよ。それで挙げて、収入、支出を見てつじつまが合わなければ、足りないものは交付税で全額補てんする、こういうことですから、その公債費で各地方団体、元利償還するものは国、トータルの中で財源保障している、こういうふうにお考えいただいていいと思います。

 具体的には、交付税で見ておるものはいっぱいありますよ。交付税で見なくても、地方財政計画というのは交付税だけではありませんよね、地方債もありますし、地方税もありますし、その他の収入もありますし、収入の方はいっぱいあるので。トータルとしての歳入と歳出、地方全体の歳入と歳出がバランスがとれている、こういうことですから、公債費についても、個々の団体の、それもトータルの財源保障がされている、そして個々にはそれが交付税になる場合もかなりある、こういうふうに思います。

中村(哲)委員 今、地方財政計画の方の収入の方で、地方税などもあるからそれとトータルとして判断していくのだという御答弁だと思うのですね。それは本当に私どももそうだと思うのです。

 ただ、現実問題として、今年度も十兆五千九百二十三億円の収支の不足があるわけですよね。地方財政対策を見直していく中で、赤字国債と特例地方債という形で最終的にこの穴を埋めていくという形になりますよね。そして最終的に、地方の負担分と言われる特例地方債については一〇〇%交付税で元利償還を見ていく、そういうふうなことになりましたよね。だから、最終的にはやはり国が面倒を見る、それも交付金で面倒を見るということになるというふうに理解しているのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

片山国務大臣 財源不足対策として赤字地方債を本年度から発行してもらう、これについては、後年度、その元利償還を丸々交付税の基準財政需要に入れるということですから、交付税計算のそれが算定になるわけですね。

 ただ、そこで、丸々それが交付税になるかどうか。その団体の地方税がどのくらい入るか、その他の歳入がどうなるかというのも絡みますけれども、交付税の基準財政需要額には丸々一〇〇%入れる、こういうことであります。

中村(哲)委員 問題になるようなケースというのは、地方税で賄えないような、そういう団体だと思いますから、ある意味、地方税がたくさんあるから交付税をもらっていないという団体はほとんどないわけですから、基準財政需要額に入るということは、交付税で面倒を見る、最終的にはそうなるのだということだと理解をしているわけですけれども、その点について御確認をよろしくお願いいたします。

片山国務大臣 極めて言辞を正確に言うと、少し違うのですけれども、交付税で丸々見るということと理解していただいていいと思います。

 基準財政需要額に全額入れるということは、交付税で面倒を見る、こういうことと理解していただいていいと思います。

中村(哲)委員 一連の御答弁を総合いたしますと、最終的に、地方債というものは国が面倒を見るということでよろしいのですよね。

片山国務大臣 地方債というのは、それぞれの地方団体の借金ですからね、国が全部面倒を見るということでは必ずしもないのですけれども。今言いましたように、財源不足に対する赤字地方債、その他特別のものについては国が丸々面倒を見る、その他のものについても、トータルとして地方財政計画で手当てをしているとお考えいただきたいと思います。

 そこがちょっと、なかなかわかりにくいかとも、私、しゃべりながら思っておりますけれども、基本的にはそれぞれの団体が起こす借金ですから。基本的にはそうですが、その団体の財政運営に支障がないような措置をトータルとしてはとっていると。

中村(哲)委員 その支障がないトータルな対応をするのが、最終的には特例地方債ないし赤字国債で担保されているわけですよね。だからこそ私はそのようにお聞きしているのですけれども、その点についてもう一度御確認をよろしくお願いいたします。

片山国務大臣 特に地方債の中で、その元利償還を後年度、交付税で丸々見るというのが大変多うございましたし、それから丸々見ないでも、かなりな程度見るというのがありますので、今回はその本来の、地方債は自分の責任と権限で借金をして、返すめども自分で考えてやる、こういうものですから、そこのところは、やや過保護だという意見もありますので、少し今後は財政構造改革の中で考えていかないといけないのかなと私個人は思っておりまして、これからいろいろなところと協議をしてまいりたいと思っております。

中村(哲)委員 大臣がおっしゃるように、区分ごとに、それぞれ元利償還についてどれだけ交付税で見るかというのは、私も表をいただいておりますから、それは理解しておるのです。区分ごとに対してさまざまな対応をしていく必要がある。だけれども、地方財政計画で、収入と収支を比べて、足りない部分が出てくる、その足りない部分について、最終的には赤字国債と特例地方債で面倒を見ていく、その特例地方債については一〇〇%後年度措置で、交付税で見ていくという話ですから、最終的には、地方債すべてのものに対して国が面倒を見ていくということでよろしいのですね。そうじゃないと、地方債が不安のない状態にしておりますということにはならないと思うのですけれども、いかがでしょうか。

片山国務大臣 今までは許可制ですからね、本当に全部面倒、トータルでも見ていき、個別でもかなり見てきたんですけれども、今後は、協議制に平成十八年度から変わっていくでしょう、そういうことの中で、地方債の位置づけや何かも検討していく必要があるのかな、私はこう思います。今の委員の御議論、大筋では私もそれでいいと思います。

中村(哲)委員 今、許可制と協議制による同意は違うとおっしゃいましたけれども、それは今までの答弁と違うと思うんですね。

 いろいろ省庁の方からも話を伺いますが、許可と協議による同意は原則同じだと。確かにそうですね。何が違うかというと、協議制になったら同意がないものに対しても公債が、地方債が発行できるようになるということにすぎないわけで、許可制から協議制に変わったからといって、国の面倒を云々という話にはならないと思うんです。それはそうですね。

片山国務大臣 許可制のときは許可しないと発行できないんですよ。協議制のときは協議が調わなくても発行できるんです。ただ、協議が調えられないものは国がトータルで責任は持ちませんよ、こういうことになる。そこだけの差です。発行はできるんです。許可制のときはできません、法的に。

中村(哲)委員 だから、私は、許可を与えたものと協議をして同意を与えたものは違いがないはずなんだから、許可制が同意制に移るからといって違わないというふうに認識してもらわないと、今までの答弁と違ってくるんじゃないですかということを申させていただいたわけです。それは、今まで片山大臣、それから遠藤副大臣がおっしゃっていた答弁を総合したらそれしかないと思います。

 私が申しておるのは、協議制になって、それで同意を与えた地方債について、それはやはり最終的には特例地方債に対して一〇〇%元利償還を見るという形で、最終的に制度的に担保するという形で地方債については面倒を見る、そういう仕組みだということで認識しているんですけれども、その点について御確認をよろしくお願いいたします。

片山国務大臣 許可された地方債と協議をして同意をした地方債は、結果として同じですね。ただ、その発行が、許可制の場合には許可されなきゃできないけれども、協議制の場合にはできるというわけですね。それはできる。できるけれども、同意を得ずに発行した地方債については、元利償還等の将来の補てんの約束はない、こういうことですね。だから、許可された地方債と同意をされた地方債は、委員が言われるように同じです。それは同じ。

 それから、赤字地方債は、財源不足の一環で、本来、交付税で補てんすべきものを赤字地方債にしたわけですから、これはもう丸々国が面倒を見る、こういうことであります。

中村(哲)委員 何遍も繰り返しになるんですけれども、最終的に、制度として最初に出てくるのが特例地方債じゃないですか。そこの部分を一〇〇%国が後年度面倒を見ていくという形になることが、すべての地方債の元利償還について不安がないような形にするということになることだと思うんですけれども、そこをもう一度御確認させていただきたいんです。

片山国務大臣 同じ答弁になるかもしれませんが、赤字地方債は交付税の身がわりですから、これは元利償還、丸々面倒見ます。個々の地方債については、地方財政計画上、同意を得たものについてはトータルで財源の手当てをする、そういう建前でありますが、同意を得ずに発行した地方債については面倒は見ない、こういうことになると思いますね。

中村(哲)委員 私が言っているのも、大原則論を言っているわけで、許可を得たもの、それから協議を経て同意を得たものの地方債についてということで、私が今、地方債と言っているものはそのものだと認識してください。そういう意味で、地方債、もう繰り返しになりますけれども、許可を得たものと協議の上同意を得たものについては最終的には国が面倒を見ていく、そういうことでよろしいんですね。

片山国務大臣 もう簡単に答えますと、その元利償還については財政上の担保をいたします、面倒を見るということです。

中村(哲)委員 そうすると、私は素人ですからよくわからないんですけれども、国債の信用と地方債の信用度合いというもの、従来はその財政力に応じて格差があるんじゃないかというふうなことを思われていたイメージもあると思いますが、論者によってはそういう考え方をされていると思います。それはやはり今の、地方債については国が最終的に面倒を見るとおっしゃったので、地方債というのは国債とほぼ限りなく信用度が近いというふうに思ってよろしいんですね。

片山国務大臣 許可を受けた地方債について言われるならば、国債と同じです。それは国が責任を持つということですから、リスクはありませんね。そういう意味では同じだと思います。

中村(哲)委員 繰り返しになりますけれども、許可を得た地方債及び協議の上同意を与えられた地方債については信用度は国債と一緒だ、それは最終的には国がその信用について担保しているからだ、それでよろしいですね。

片山国務大臣 そのとおりです。

中村(哲)委員 次の質問に移るんですけれども、交付税との関係で、地方団体が財政的に非常に危なくなったときに財政再建団体になる制度がありましたね。今いろいろと地方財政について、かなり、第三セクター絡みで非常に危ない状況にあるとも言われております。今までは本当に何十年で十何件、二十件ぐらいで、今、赤池町の例だけがあるというふうなことを言われておりますけれども、今後、資産デフレに伴って、ある日突然、巨額の債務保証が地方団体に来るという可能性もあります。そうすると、何十、何百という地方団体が財政再建団体の申請をしてくる可能性がありますね。その審査能力とかそういうことに対しては、今、総務省としては不安はないでしょうか。

片山国務大臣 今、委員が言われたように、何千、何百と、今三千三百ぐらいしかありませんからね、都道府県入れましても。これを入れましても、そんなものですね、三千三百ぐらい。だから、何千、何百ということはないと思いますよ。

 今、財政再建団体はほとんどないと思いますけれども、出てきた場合に、それはノウハウが残っていますから。特に、昭和二十年代から三十年代にかけて財政再建が大はやりになりましたね。あのころは本当に地方財政が悪うございまして、そのときにいろいろな審査をし、財政再建をした。そういうふうなノウハウのストックが残っております。

 それから、総務省の関係の人はみんな優秀ですから、その審査能力については大丈夫であります。

中村(哲)委員 私は、何百、何千と言っていませんで、何十、何百と言ったんですけれども、その点は結構です。

 ただ、今、大臣がおっしゃったのは、今までフローベースでのお話をされていると思うんですよ。財政再建団体の制度というのは、フローが厳しくなってきたものに対してフローの手当てをきちんとすることで再建させていこうという制度だと思います。しかし、民間企業でも見られるとおり、最近はフローがだめだからというのではなく、過去にやった投資の資産的な被害によって大きなダメージを受けるというケースが出てきているわけですね。だから、ここで大きく枠組み、パラダイムの変換が起こっていると思うんです。

 再建制度におきましては、今までのようにフローだけを前提にして考えるのでなく、ストックの大幅な目減りについて手当てするような財政再建の仕組みというのをやっていかなくちゃいけないんじゃないでしょうか。フローというのは年度内の収支で、ストックというのは、資産とか債務保証したりしていて突然、第三セクターが破綻したときに、その被害が直接公共団体にかぶさっていくということを申しておるわけですけれども、その点について大臣は、それはもう心配ない、これからストックの目減りによってある日突然、巨額な債務保証が来たりしたとしても、それは何十、何百というレベルじゃないよ、少なくとも十件内におさまるから総務省の審査能力では十分だよ、そういう御答弁だと理解してよろしいのでしょうか。

片山国務大臣 今、委員が言われるように、何十、何百と出るようなことは、地方財政の破綻ですから、それは地方財政計画の策定でしっかりと財源手当てをしますから、私もそんな何十、何百ということは出ないと思います。例外的に、財政運営で大きなミスを犯したり何かが起こって、そういうような事故が起こって、そういうところは出てくると思いますので、そういうものについては、私は、恐らく大変特殊な、レアなケースだと思いますので、ちゃんとその団体の財政のフロー、ストック両方見まして、一定の財政再建期間を設けて、累積の債務は棚上げにしながら一定の期間の中でフロー対策、ストック対策をやって財政再建をしていく、こういうことになると思います。

 何十、何百と出るような事態があったら、地方財政全体の破綻につながりますから、そういうことは起こさないようにするのが我々総務省の役割だ、こういうふうに思っております。

中村(哲)委員 何十、何百も出てきたら地方財政の破綻だから、それを阻止するのが私たち総務省の役割であると御答弁なさいましたが、何十、何百出てこないように総務省として努力するとは、具体的にどういうことでしょうか。

片山国務大臣 何十、何百出てくるというのは、それぞれの団体の財政運営がどうにもできないようになるということですよね。例えば、昔は人件費が払えないということがあったんです、職員の給料が。そういう事態が仮に起こったら、それは地方財政そのものの崩壊ですよ。だから、そういう場合には国が責任を持って、地方交付税の増額だとか、税源の移譲だとか、特別の地方債を出すとか、いろいろな方途を講じます。それをやってきたのが昭和二十年代から三十年代にかけて、あの時期なんですよ。そのために地方財政再建特別措置法という法律もつくったんです。

 だから、私は、何十というのも大変だと思うけれども、何百なんということはちょっと、なかなかイメージとして想定できないのですけれども、そういう危機的な状況になったら、地方財政がひっくり返るということは国民の福祉に大変な重大な影響がありますから、政府としては全力を挙げて手当ていたします。

中村(哲)委員 大変よく理解できましたけれども、片山大臣がやはりイメージされている昭和二十年代以降の話というのは、フローの話だと思うんです。ある日突然、資産デフレによって巨額の損失が顕在化するというのがバブル崩壊以後の企業の破綻とかに出ているケースですから、それを想定しているのかどうかということは、頭に入れておかないといけないと思うんですね。

 その点に対して、大臣、資産のデフレ、資産の目減りに伴って巨額の損失がある日突然、顕在化するようなケースというのは、そう起こらないと考えておられると認識してよろしいでしょうか。

片山国務大臣 いろいろな、例えば箱や埠頭、土地やテーマパークやそういうものに地方団体が投資をしている、ストックの投資をしている、それが物すごく価格が低落している。これは複式簿記ではありませんし、価格の低落というのは大変資産として減りますよ。しかし、それが直ちにその団体の財政そのものに、大きな支障に私はならないと思います。

 だから、今、委員の言われたことが、私、少し理解力が弱いのか、もう一つぴんとこないんですけれども、基本的には、例えばシーガイアが、これは宮崎県、宮崎市もかかわり合ってのテーマパークというのかレジャー関係の投資でございますけれども、その段階で債務保証したり出資をしたものについてはどこまで返ってくるかということはあります。しかし、そういう場合について、私もそのときの答弁で申し上げましたが、それによって当該団体の財政運営に支障があるようなら我々は援助するけれども、そうでない限りは自己責任だ、こういうふうに申し上げました。基本的には、今のお話もそういうことじゃなかろうかと理解しております。

中村(哲)委員 大臣の御答弁をいただきまして、例えば第三セクターの資産の目減りによって大きな債務保証を地方団体が受けることになるかもしれない、そういう手痛い財政的なダメージを受けた場合は国が最終的に面倒を見る、そういう意気込みを聞かせていただいたということでよろしいですよね。

片山国務大臣 委員が言われるように物すごい債務保証は余りやっていないですよ。私が思ったより第三セクター等に対する債務保証はそんなに大きくないんですが、ケースとしては委員が言われるケースもあり得ますので、その結果、その団体の財政運営に致命的な支障を来すようなら、それは何らかの対応を考えます。

中村(哲)委員 今、大臣がおっしゃった、最終的に国が助けるという意気込みですよね。

 それが、私どもが調べて、勉強不足なのかもしれませんが、法律上に規定されていることなのかなということがあるわけですね。先ほどお話しさせていただきましたけれども、例えば、地方債の元利償還についてどれだけ見ていくのかということに関しても、法律ですべて決まっているわけじゃなくて、政令なり省令で決まっている部分もありますよね。そういう意味では、ある意味、口約束じゃないかというふうに地方団体から思われている部分もあると思うんですよね。

 私が勉強不足なのかもしれませんが、法律上の根拠、何法の何条がこういうふうなものになっているのかということについてお聞かせください。

片山国務大臣 何条何かと、いろいろ調べてもらいますけれども、私の認識では、明確にそれを規定した条文はないと思います。

 しかし、地方団体というのは国と同じなんですね。これは、地方団体は自治権というのがもともとあるんだという説と、国の統治権の一部を譲られているんだという両説ありますけれども、後の方が今行政法の世界では通説ですけれども、いずれにせよ、国と同じなんですよ、地方団体というのは。そうでしょう。国は主権と領土と国民ですよね。地方も同じなんですよ、自治権と固有の都道府県の区域と住民がおるわけですから。そういう意味で、憲法なり地方自治法なり地方財政法全部を見れば、それは今、委員が言われたような保障が根底にあると我々は考えるべきだと思っております。

 関係の条文についてはちょっと調べさせますので、また別の機会にでも御答弁いたします。

中村(哲)委員 地方自治体が、自治権というのがその団体にあるのかという説と国の一部だという説があって、今、通説は後ろの方だなというふうにおっしゃったので、その点に対し、私もちょっと勉強不足なので衝撃を受けているわけなんですけれども、国の出先機関が地方自治体なのかなというふうなイメージでとらえられているんだったらすごく問題ですが、そうじゃないですよね。今そうじゃないと首を振っていただきましたから、それはいいんですけれども。

 最終的に、実質的に国がすべて面倒を見ていく、地方債についても面倒を見ていく、それは憲法上、憲法の理念からして最終的にそれは確定しているんだ、それを動かし得ないんだということで認識しておいてよろしいのですね。

片山国務大臣 憲法の九十二条だったか何か、地方自治の本旨に基づいて法律で定めるとありますよね、地方自治は。だから、それが地方自治法なんです、あるいは地方財政法なのです。

 そういう意味では、私は国と同じと言いましたけれども、法律学者の間でいろいろな議論があるんですが、地方団体の存立というのは、もともと固有の自治権というのを持っているんだという説と、大きな国の統治権というのがあって、その統治権を分割して譲られているんだ、だから、これは出先という意味じゃありませんよ、自治権という権限が国の大きな統治権の一環なんだ、こういう説があるので、今の通説は、多数説は、国から分割して譲られているんだという説だ、こう申し上げたので、出先機関なんかということじゃ全くありませんよ。国と同型なんですよ、全く地方団体は。国と対等、協力の関係にあるのですよ、特に今の憲法の考え方は。

 具体的なことは地方自治の本旨に基づいていて、その地方自治の本旨が何かというのは、委員御承知のようにまた大分議論があります。それで、これは住民自治と団体自治だというのは、これもまた通説ですよ。我々が大学で教わった。これもいろいろな議論がある。

 そういうことによって、地方財政法や地方自治法や地方税法や、すべての地方自治に関する法体系ができていますから、そういう中で、今の地方債も国が関与して、その関与の限り国が責任を持つ、全体でこういう仕組みは法律上担保されている、条文についてはもう少し調べてもらいますけれども、私はそういうふうに思っております。

中村(哲)委員 経済財政諮問会議において、今後、交付税の議論がなされると思います。その中で、今の全体の枠組み、最終的には地方債というのは国で面倒を見るというその仕組みについては、財政構造改革の中でもそこの部分はいじらないと考えてよろしいですね。

片山国務大臣 基本的に、地方財政計画、それに基づく担保ということについてはいじらないというのか、今特に議論はありません。我々、自立性の強化は、国から来るお金を少なくして、地方がみずから取るお金をふやしてほしいと。だから、それは地方税の充実だ。その見返りで、負担金ではなくて国庫支出金が減るのはやむを得ません、特に補助金が。これはやむを得ません。地方税が充実すれば、その限りでは財源保障がそれだけ厚くなりますから、地方交付税は財源保障の部分を少し減らして、財政調整、財源調整の方を主にしていく。そういう意味では、地方交付税が減るのもやむを得ません。それは地方税が充実する、そういうことが前提ですということを諮問会議では申し上げているわけであります。

中村(哲)委員 確認なのですけれども、だから、経済財政諮問会議で、地方税は最終的に国が面倒を見るという枠組みに対しては、変更はないと考えてよろしいですねという一点をお聞きしたいわけです。

片山国務大臣 今の地方財政計画の仕組みを変えるつもりはありません。

中村(哲)委員 最後に、税財源の移譲についてお聞きいたします。

 前回の私の質問に対しまして、何らかの権威ある機関でやらなくてはいけないとお答えされていました。六月で地方分権推進委員会が終わりますので、その後に何らかの機関を設けないといけないとおっしゃっていましたけれども、この点についてどのようなことを考えておられるのか、お聞かせください。

片山国務大臣 今の地方分権推進委員会が七月二日で任期が終わります。法律を去年一年延長していただきましてありがとうございました。一年延長しましたので、再延長を考えずに、地方分権推進委員会としては一応これで閉幕にしよう。今度は税財源問題もやるということを前提に、それにかわる新しい権威ある中立の機関を立ち上げよう、こういうことでございまして、現在、官邸や関係のところと調整をいたしております。

 どういう形式というのか、根拠を法律にするのか政令にするのかとか、つくったものの任務をどうするのか。私は、地方分権のフォローアップをやってもらうということと、税財源の問題あるいは市町村合併の問題、そういうことになるのかな、こう思っております。その機能、任務をどうするかということ、あるいは何人ぐらいにやっていただく、何年間置くか、そういうことについては現在調整中でございまして、できるだけ今月中ぐらいには結論を得たい、こういうふうに思っております。総理も、それについては意見が一致しております。

中村(哲)委員 片山大臣の御持論である税財源の移譲というものが、この後の何らかの機関、今おっしゃった機関によってなされるということですから、三年なり、景気が回復されてからとおっしゃいましたけれども、そのことについて、きちんと早くやっていただくことをお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 現在、個人が株を譲渡した際、住民税として納める譲渡益税は、取引ごとに申告分離課税と源泉分離課税のいずれかを選択できるようになっておりますけれども、課税の適正化上、申告分離課税へ一本化するよう法改正がなされております。しかし、それも残念ながら二年間延期され、平成十五年度から実施されることとなっています。

 そして今回、緊急経済対策の一環として、最近、格段に減少している個人株主の活性化を図るべく、株式等の譲渡益に係る個人住民税の申告分離課税制度において、一年を超えて所有する上場株及び店頭登録株を個人が証券会社等を通じて譲渡した場合、株式譲渡益について損益通算の上、譲渡に係る所得額から百万円を超えない範囲で特別控除を行う暫定措置であります。

 そこでまず、この制度改正の質疑の前に、先ほど松崎委員からもお話がありましたけれども、私からも改めて、地方行財政にかかわる基本的課題を幾つかお伺いいたしたいと思っております。

 小泉総理は、聖域なき構造改革をにしきの御旗に掲げ、来年度の国債発行額を三十兆円以内に抑えるべく、三兆円の歳出削減を唱えております。これに関し、我が党の中塚議員は、去る五月二十八日の予算委員会で、財政構造改革の基本的課題を塩川財務相に問いかけたところであります。塩川大臣は、来年度予算での地方への支出削減について、基準財政需要額を一兆円ほど減らしてもらうと答弁しておられます。

 御案内のとおり、基準財政需要額は、自治体が標準的な行政サービスを実施するのに必要な一般財源を算定するための基準額でありますが、機械的試算にすぎないでしょうが、「財政の中期展望」によりますと、来年度の地方交付税は三兆円近くふえる見込みになっています。地方交付税は、基準財政需要額と基準財政収入額の差を埋めるものとして結果的に算定されるわけでありますけれども、景気動向の落ち込みが大きい昨今、増加分の三兆円はさらにふえるおそれがあります。現時点での予測は難しいと思いますが、教育、福祉、公共事業等、国の方針に約七割も準拠し固定化している基準財政需要額を、仮に一兆円程度削減できたとしても、結果として必要とされる地方交付税額は、地方税収の動向にも左右されるので、減少するかどうかはわからないのであります。

 また、宮城、岩手、三重、高知など七つの県の知事は、六月二日、宮城県の気仙沼市において、国による一方的な交付税制度の見直しなどに反対する緊急アピールを発表し、短絡的議論に重大な疑念を抱いております。

 そこで、地方行財政に明るい片山大臣は、塩川大臣の考え方と異なる認識をお持ちではないかと私は思っておるわけでありますが、最初に、総務大臣に御意見、御所見をお伺いいたしたいと思います。

片山国務大臣 塩川大臣、いろいろなところでいろいろな御発言をされておりますが、基本的にはこういうことですね。小泉総理が言う聖域なき構造改革、そのためには国も地方も聖域なく歳出の見直しをやろう、それは私は賛成だと言っているのですよ。

 ただ、地方の場合の歳出は、今も委員が言われましたように、七割は国絡みです。国が法令や基準やいろいろな規制で、国絡みですから、まず国の歳出を見直してください、そうでなければ、地方だけの歳出の見直しというのはあり得ませんよと、こういうことを言っているので、国が歳出を見直しすることによって地方の歳出が減るのならそれはそれで結構ですと。地方単独事業については、これは国絡みではありませんが、しかし、国の公共投資計画の中に、長期計画の中に、単独事業といって額が皆載っているわけですよ。だからこれもある意味では、やや薄うはございますけれども国絡みなんで、そういうところの見直しがまず先行せねばいけません。その結果、地方の歳出でさらに効率化や重点化をやれる余地があったら大いにやりましょう、地方財政計画をつくってみて、ゆとりがあるのなら交付税の削減ということもあり得ます。しかし、頭から、例えば公共事業を一割切る、社会保障をどうする、交付税も一律削減だ、こんなことは制度としてあり得ないと言っているんですよ。

 だから、それは塩川大臣はどう言われているかわかりませんが、地方の歳出を見直そう、国の歳出を見直そう、こういうところであろう、こう私は理解しております。そこのところはこの前も、参議院だったと思いますけれども、予算委員会で塩川大臣の前で同じ答弁をいたしましたら、塩川大臣は私の後の答弁で、地方交付税の一律削減は考えておりませんと、しかし、地方の歳出については、来年、国債を三十兆以下にするんならどうしても今の中期見通しか何かでは三兆円ぐらいオーバーしそうなんで、その三兆円ぐらい切り込まなきゃいかぬのです、だから、国が二兆円ぐらい歳出を落としますので、地方の方も、本年度の地方財政計画は八十九兆ですから、一%といったら九千億ですよね、そのぐらいの歳出の切り込みをやっていただけぬかと思っております、こういう答弁をされておりましたので、そう大きな認識の違いはありませんが、時々また答弁が変わられることがありますので、今後とも注意してまいりたいと思っております。

黄川田委員 大臣からさまざまお話をいただきましたけれども、アピールで言われているように、地方財源の保障を目的として計上される地方財政計画、これの歳出の中身が時代のニーズに合っているかどうか、かけ離れていないか、総点検する必要があると私も思っております。

 財務大臣は、国から地方への支出を一兆円程度削減したいと発言されておるわけでありますけれども、具体的な発言内容は日によって変わるわけでありまして、真意をはかりかねておりますけれども、いずれにせよ、地方の歳出を云々する前に、税源移譲にかかわる基本的な問題を解消すべきであると思っております。

 すなわち、国は地方に対して、その仕事の量に応じた税源を与えずに、法令による仕事の義務づけや国庫支出金を通じた事業の誘導を行っており、その見直しが必要であります。また、国も小さな効率的政府の実現を目指すなど、行政改革を強力に推進し、地方とともに痛みを分かち合う改革を促進すべきであると思っております。

 そこで、地方交付税の見直しに着手するためには、この仕組みを見直し、国から地方への税源移譲を実行して、地方に自主財源を確保する筋道を立て、三割自治を解消することが必要と思いますけれども、財務省としては、この問題についてどのように考えておられるわけでしょうか。

藤井政府参考人 まず、法令による仕事あるいは国庫支出金を通じた事業の見直しという御質問に対してお答えをさせていただきます。

 御案内のとおり、財政健全化の第一歩といたしまして、十四年度予算におきましては歳出の聖域なき徹底した見直しということに努めていくということでございます。地方交付税あるいは国庫補助金など国から地方への支出の見直しにつきましても、このような観点のもと検討を行っていく必要がございまして、具体的な内容は今後の課題であるというように考えております。

 地方歳出の見直しに当たりましては、自治体の基本的な経営については保障しつつも、国、地方を通じましてシビルミニマムの水準を見直す、あわせまして、今御指摘がございました、また総務大臣からはお答えもございましたけれども、国庫補助金の見直しを初めといたします行財政改革に取り組んでいく必要があるということでございまして、国と地方が協力して聖域なき歳出の見直しを行い、財政健全化の第一歩を踏み出してまいりたいというように考えております。

黄川田委員 いずれ、国栄えて地方が滅ぶということのないように、特段の対応をお願いいたしたいと思います。

 現在、経済財政諮問会議などで交付税の抑制の議論が盛んに行われております。しかしながら、地方交付税は、各地方公共団体が、国の法令等で義務づけられた行政事務など、一定の行政水準を確保できるよう必要な財源を保障する制度でありまして、一律のカットができる話ではありません。確かに、交付税の算定の簡素化、合理化のために、見直すべきところは見直さなくてはなりません。しかし、単に交付税の削減を目指すだけでなく、並行して広域連携や市町村合併を積極的に進め、広域行政化を図らないと、本格的な効率化は期待できないと私は思っております。

 すなわち、行政事務においても規模の経済、いわゆるスケールメリットが働くことが考えられ、これは合併時に行われるサービスや負担の調整などを差し引いても、十分大きな財政効果があると思われます。

 そこで、市町村合併は、我が国の将来の本格的な地方分権時代を見据えると、スケールメリットを生かした大きな効率化が期待できるわけでありますけれども、その財政面での効果はどれぐらいと想定されるわけでありますか、大臣にお伺いいたします。

遠藤(和)副大臣 現在、市町村の数は三千二百二十四でございます。各県がまとめていただきました合併パターンの例によると、このままいけば恐らくその三分の一から五分の一になるだろう、与党の方は千ということですが、大体そういうところでございます。そうなると、これは当然、現在の交付税等を考えている基準から申し上げても、大幅に予算が削減されることは可能であろうと思っておりますけれども、それは仮定の話でございまして、どのように算出するかというのはいろいろ難しい技術的な問題でございます。

 例といたしましては、実際にやっているところで自分で計算した例がたくさん発表されておりまして、田無と保谷の市の合併による財政効果についてみずから試算をしている例によりますと、大体百八十九億円ですか、その程度削減ができるのではないか、こういうふうな例がございますから、それぞれ合併パターンによりましていろいろな計算をしていただきまして、削減が可能であろう、こういうふうに思っております。

黄川田委員 引き続いて、交付税の見直しについてお伺いいたしたいと思います。

 小泉内閣においては、構造改革を進める観点から、公共事業の見直しもテーマに掲げられております。公共事業では、国庫補助金以外の地方負担の部分について地方債の充当が認められており、この地方債の元利償還金について、交付税措置が講じられているという意味で交付税が関係してくるわけであります。また、地方単独事業の一部についても、同じように地方債の発行を認め、その元利償還金について交付税措置をとっておる制度があります。

 これらの措置により、事業を実施する団体は自主財源による負担が緩和されることになり、我が国、特に地方の社会資本、公共施設等の整備に果たした役割は大きなものであったと私は考えております。

 公共事業について、最近いろいろ見直しの議論があるものの、地方にあっては、下水道の普及率の向上や救急医療機関への搬送のための高規格道路の整備など、重点的に対処していかなければならないという状況にもあります。

 しかしながら、近年、こうした地方債と交付税を組み合わせた支援措置については厳しい批判が聞かれるところであります。例えば、借金の返済を交付税で補てんする措置はモラルハザードを招く、あるいはまた、国庫補助金と相まって地方団体自身の財布が痛まないためにむだな事業が実施されているなどのような意見が聞かれるのであります。

 このあたりのことは、構造改革の視点から経済財政諮問会議等でも議論されていることではありますけれども、こうした公共事業等に充当した地方債の元利償還金に対する交付税措置について、今後どのように取り扱う所存なのか、大臣にお伺いいたしたいと思います。

片山国務大臣 今言われましたように、公共事業の裏負担を地方債で見て、その元利償還金をまた交付税で補てんする、特に補正予算に係るそういうものについては丸々見て、何年間か見てきたという例もありますし、地方単独事業もほとんどは地方債で事業をやって、この元利償還金も一定の割合を地方交付税で見てきた、事業費補正という名前で呼ばれますけれども、これが、今、委員御指摘のように、一種のモラルハザードを起こすということもあると思います。

 こういう構造改革の大きな流れになってまいりましたので、交付税制度そのものの見直しは経済財政諮問会議でもやろう、その中の一つに事業費補正等が取り上げられております。一遍にこれをなくしてしまうとか、ひっくり返るようなことをするとかいうことは私はできないと思いますけれども、内容を吟味して、適正化、健全化、合理化を図りたい、こういうふうに思っておりますが、今までは一定の役割を果たしてきたことは事実でございます。それはそれで評価をしていただかなきゃいかぬと思いますけれども、今後はやはり見直していった方が私もいいと思っております。

黄川田委員 交付税の削減については、最近、新聞紙上に載らない日がないと言った方がよいような状況であります。こうした記事の中で、先ほどの質疑のように、基準財政需要額を一兆円減額すると書かれておりますが、これは、本来、目標とすべきは交付税の総額の圧縮なのでありましょうが、そうするためには、交付税総額の決定プロセスを踏まえれば、まずは地方財政計画の歳出を圧縮した上で、地方歳入の財源不足額を圧縮し、もって交付税の総額を抑えるという手順となるのではないかと私は思っております。基準財政需要額とは、基本的には個々の地方団体の交付税額を算定するときに用いられるものであって、交付税の総額が決定される前に基準財政需要額がカットされるというのはおかしいと思います。

 また、あたかも交付税の総額が頭からカットされるような記事も見かけたりいたしますが、実務上どのようなプロセスを経て交付税の総額を抑制することとなるのか、これは総務省の見解をお伺いいたしたいと思います。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 地方交付税の総額は、地方財政計画の策定を通じ決定されるものでございまして、あらかじめ一定の数値目標を定めて削減されるような性格のものではないというのは、大臣からお答えのあったとおりでございます。

 その地方財政計画でございますけれども、これは国の予算編成作業と連動した形で策定をするわけでございまして、地方財政計画の歳出につきましては、国の補助事業等の場合は、国の予算の数字を私ども、いただいた上で規模を確定いたします。それから、地方単独事業にありましては、国の予算等を勘案しながら、合理的かつ妥当な水準ということで額を決定いたします。

 一方、収入の方でございますけれども、これは経済見通しに基づきまして地方税収入の見通しを行います。また、国庫補助金につきましては国の予算に対応する額を計上いたしますし、地方債につきましては、ルール分の地方債というように御理解いただければよろしゅうございますけれども、歳出に計上いたします投資的経費に対応する額を見込んだ上で地方財政計画全体の収支を見るということになります。その収支に不足が生じますれば、ある場合には交付税の増額、ある場合には地方債の増発といったような補てん措置を講ずるわけでございまして、そのようなプロセスにおいて交付税総額が決定されるということでございます。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

黄川田委員 いずれにせよ、まず一律の交付税削減ありきという議論は間違っていると私は思っておりますし、片山総務大臣も同じ認識であるようでありますので、安心しておるわけでありますけれども、国と地方の役割分担を見直して、自治体に自主性と自立性を認め、住民のコンセンサスを得た上で、自治体の行政サービス水準がどの程度であればよいか、そういうことをよく議論しないと、単純に交付税が多いとか、少ないという議論は本来できないものでありまして、これまでの質疑でそのことが明らかになったのではないかと私は思っております。

 そこで、質疑時間が残り少なくなりましたので、次に本題でありますが、私は株のことはよくわからないのでありますけれども、今回の地方税法改正による長期保有株式に係る少額譲渡益非課税、すなわち、特別控除制度の創設問題に移りたいと思います。

 個人の金融資産全体の残高に占める株式残高の割合は、我が国では、九九年末で六・四%となっておりますが、アメリカでは二四・二%、ドイツでは一二・七%と高く、他の主要国に比べて低い水準にとどまっております。個人投資家の株式保有を促進し、証券市場を活性化するためには、むしろ、安易に税制に頼るのではなく、規制緩和などにより個人投資家が証券市場に参加しやすいような環境整備を図ることが第一であると私は考えております。

 そこで、金融庁にお尋ねいたしますけれども、個人投資家が証券市場に参加するに当たり、現在どのようなことが障害になっていると認識しておるのでしょうか。また、個人の市場参加を促進するために、今後、税制以外の措置として、どのような改善策を講じようとしておられるのか、これら二つをあわせてお伺いいたしたいと思います。

三國谷政府参考人 お答え申し上げます。

 税制以外の課題ということでございますけれども、我が国証券市場につきましては、事前予防的な商品あるいは業務規制が商品、サービスの利用者の選択の余地を狭め、仲介者による創意工夫を妨げているのではないか、あるいは投資家をリスクから遠ざける対応が市場参加者の主体的な取り組みや自己規律の精神を弱めているのではないか、こういった指摘があったところでございます。

 そこで、私どもといたしましては、こうした点を改革いたしまして、投資家にとって魅力と信頼感のある市場を育成するとの観点から、先般の金融システム改革等におきまして、多様なサービスの提供を可能といたします株式委託手数料の完全自由化、あるいは市場間競争を通じまして効率的な市場の整備に資する取引所集中義務の撤廃、こういった各般の市場インフラの整備に努めてきているところでございます。

 また、今般の緊急経済対策におきましても、例えば証券決済システムの改善、あるいは株価指数に連動する現物出資型上場投資信託、ETFでございますが、個人投資家による長期安定的な株式投資の促進等の観点から、証券市場の構造改革に関することにつきまして作業を進めているところでございます。

 私どもといたしましては、個人投資家を含めまして、幅広い投資家の参加による厚みのある株式市場の形成を通じまして直接、金融の発展を促すことが重要と考えており、引き続きインフラ整備等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

黄川田委員 税制の分もありますけれども、小手先だけではなくて、やはり個人投資家が証券市場に参入できるような基本的な環境整備をお願いいたしたいと思います。

 現在の株式譲渡益課税は、申告分離課税と源泉分離課税の選択制となっておりますけれども、源泉分離課税が選択された場合には住民税が非課税となっており、極めて不公平な税制となっております。地方からも申告分離課税への一本化の要望が強く、早急に一本化を実現すべきであると思っております。

 そこで、今回の百万円の特別控除制度について言えば、申告分離課税への一本化が図られるまでの間の措置と聞いておりますが、これはそれぞれの認識の違いでありますけれども、百万円というのは額が大き過ぎるのではないでしょうか。住民税の場合、例えば基礎控除の額は三十三万円となっており、これと比べても今回の百万円の特別控除というのは優遇し過ぎではないかと思っておるわけでありますが、自治税務局長の御見解はいかがでしょうか。

石井政府参考人 特別控除の額、百万円の根拠ですけれども、これによりまして個人投資家の長期の株式投資をできるだけ促進するとか、あるいは株式を実際に日本の家計部門でどの程度保有されているか、こういった実態、それから、欧米の、例えばイギリスですとかフランスとか、ああいったところの実態等も調べまして、百万円とするものでございます。

 例えば、一〇%の利益率を想定いたしますと、百万円の譲渡益が発生するためには一千万円程度の株式の譲渡が必要になるということでありますので、この控除によりまして、広く個人の投資家が利益を受けることになる、また、個人投資家の市場への参加が進む、こんなふうに考えております。

黄川田委員 最後にちょっと自治体の状況を聞くわけであります。

 地方財政でも、財政構造の硬直化が引き続き進んでおりますけれども、財政力指数について、最近の都道府県の特徴並びに大都市と町村の近年の変化について、そしてまた、これらの変化を見た場合、総務省はどう考えるか、御見解をいただきたいと思います。

香山政府参考人 財政力指数についてのお尋ねでございますけれども、基準財政収入額を基準財政需要額で除して得た数値というものの三年間の平均を私ども、使わせていただいておりますけれども、平成十一年度の数字で申し上げますと、都道府県の場合は〇・四六、大都市は〇・八二、町村は〇・三四となっております。

 推移でございますけれども、都道府県の場合は、平成四年当時は〇・五一ほどございまして、それから見ますと、低下傾向。それから、大都市におきましても、平成七年度から四年ほど低下いたしておりますけれども、町村の場合はほぼ横ばいという数字になっております。

 この基準財政需要額は、先ほども少し御説明申し上げましたが、地方財政計画でどのような財源補てん措置を講ずるか、地方債をどういうふうに導入するかというようなことによって左右されるわけでありまして、これは必ずしも財政硬直化の傾向をそのまま反映するわけじゃありませんけれども、全体としてはただいま申し上げたような傾向に相なっている次第でございます。

黄川田委員 地方の財政は相変わらず厳しいということでありますので、自治体の自立を促す、そういう環境、構造改革を強く求めまして、時間でありますので、私の質問を終わります。

渡海委員長代理 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章です。

 地方税の改正問題からお伺いしたいと思います。

 株式譲渡益の百万円控除制度を創設する直接の意図、今、議論もありますけれども、改めて私からも、この制度を創設する直接の意図についてお聞きしておきたいと思います。

片山国務大臣 既にお答えいたしましたけれども、今回の特別控除制度につきましては、最近の経済情勢や株式市場の動向等を踏まえまして、できるだけ個人投資家に株式市場へ参加してもらう、これを促進したいという観点から創設したものでございます。

 それで、どのくらいの効果があるのかということは、これはやってみなければわからないと言ったらあれでございますが、具体的に予測をするのは困難でございますけれども、百万円という特別控除の額はまあまあの額でございますので、広く一般投資家が利益を受けることができるだろうと私は考えておりますので、一定の効果をぜひ期待いたしたい、こういうふうに思っております。

春名委員 もう一つお聞きしておきますが、この法案は緊急経済対策関連の法案の一つですね。したがって、この法案によって景気回復にかなり資する、こういうお考えなのかどうか、お聞きしておきたいと思います。

片山国務大臣 それは、例の政府・与党が決めました緊急経済対策の一環でございまして、金庫株の解禁だとか新しい投信制度の創設だとかございますけれども、その一つで、税制上は、譲渡益の特別控除制度を創設して、先ほども言いましたように、個人投資家に株式市場に帰ってきていただきたい、こういうことを税制面から促進するというねらいでございます。

春名委員 その二点をちょっと聞いた上で議論を詰めていきたいんですが、東京証券取引所が発表した最近の投資主体別動向の調査によりますと、個人投資家を見てみると、昨年の九月からことし、この三月まで、二月の一カ月を除いてすべて売り越しになっているんですよ。つまり、買った株の代金の総額よりも売却した株の代金の総額の方が多いという状態がほとんど続いているわけなんですね。

 確かに、譲渡益に対する特別の控除制度の創設というのは、売り越しの傾向を促進することになると私は思うんですよ、それは控除されるんですから。そういうものにはなるけれども、一方、新たな個人投資家の参入を大いに促進するということが期待できると私には思えないんですね。その点はどのようにお考えになっているのか、お聞かせください。

片山国務大臣 これはなかなか、正直言っていろいろな見方があると私は思いますよ。税調でもいろいろな議論が本当にあったようです、私は、今回は政府ですから加わっておりませんけれども。

 そういう中で、いろいろなメニューの一つとしてこういうこともやってみる必要があるんではなかろうか、こういう議論が大勢でございまして、額も、委員御承知かもしれませんが、いろいろな額が言われたんですけれども、最終的には政治決断で百万という額になったと承っておりますので、我々はこれで大いなる効果を期待いたしたい、こう思っております。

春名委員 その効果のほどについて少し聞きますが、どのくらいの規模を想定されているのか。個人投資家のすべてがこの制度の対象になるわけではございませんので、申告分離課税で納税する人だけですので、そういう人が一体どれぐらいになるのか、この点はどういうふうな想定をされていますか。

石井政府参考人 正確に幾らというのはあれですけれども、先生今、申告分離課税から移るのはどのぐらいというふうなお話がございました。

 現在、申告分離課税をやっている方々の比率は少ないですけれども、当然こういう方々は対象になると思いますし、それから、従来、九割方は源泉分離課税でやっていらっしゃると思うんですけれども、その大半はやはり小口の投資家でございますので、そういう方々はこの百万円控除を相当活用していただけるんじゃないか、こういうふうに期待をしているわけでございます。

春名委員 九九年度で申告分離を選択してやっておられる方が二万七千四百二十七人ですね。

 一方、お聞きしておきますが、個人住民税所得割の納税義務者、これは現在何人でしょうか。

石井政府参考人 個人住民税所得割の納税義務者数ですけれども、十二年度の場合は五千百六十万人、こういうふうになっております。

春名委員 申告分離課税を選択した人が二万七千四百二十七人で、これは九九年度ですので、同じく九九年度の個人住民税所得割の納税義務者を調べてみると、さっき十二年度で五千百六十万人と言われたんだが、九九年度の場合は五千二百三十二万人というふうに数字が出ています。申告分離課税を選択した人は、個人住民税所得割の納税義務者全体の、率直に言ってわずか〇・〇五%なんですね。〇・〇五%、もうごくごく一部なんですよ。もちろん九割が源泉だから、これからこの制度をやれば申告の方にどんどん行ってその割合がふえていくだろうということもおっしゃるのかもしれませんけれども、しかし、〇・〇五%の方に、これが少しふえたとしても、〇・〇一%ふえるんでしょうかわかりませんが、こういう方法で景気回復を図れるというふうにお考えになることが私は不思議でしようがない。本当にお考えなんでしょうか。

石井政府参考人 先ほど片山大臣からも御答弁申し上げましたように、これは全体の中の一つでありまして、金庫株の解禁でございますとか、老人マル優の問題ですとか、それからETFの問題ですとかいろいろな対策を講じまして、何とか株式市場の活性化も図りたい、それがまた同時に経済の緊急対策にも資する、こんなふうに考えておるわけでございます。

春名委員 私、二月でしたか、大臣と地方税の改正の議論をしたときに、二年間一本化の先延ばしはだめだという論議をいたしました。そのとき、地方財政の観点からもそれは許されないと批判したときに、申告分離をすると事務的に煩雑なんです、投資家の株離れが起こるんです、景気がまた大変になるから、だから二年先延ばしということにせざるを得ません、こんな話をこの間していたばかりでしょう。この法律をつくって、今度は申告納税の方にどんどん行くでしょうと。私から言わせると、全然整合性がないんですね。

 しかも、〇・〇五%という状況であって、控除ができるからといって、どんどん申告分離を選択する人がふえていくとはならないと思いますし、先ほど言ったように、ずっと売り越しの傾向ですから、売る方がふえていくんですよ、これをチャンスにして。もうはっきりしているんじゃないですか。先ほどだれか言われましたが、小手先だなと私は非常に感じますね。

 結局、個人が株式に投資するようになるのは、株価が上がる傾向にあるときなんですよ。それははっきりしています。今のように下落のときには投資しないというのが一般的に言われていることで、ふえるといっても、そんなにふえることは期待できません。最近では、調べてみますと、最も株価が高かったのが一九八九年ですよ。そのときに申告分離で納税した人がやはり最も多かったんですが、その人数でも三万四千五百七十七人ですよ。納税義務者全体から見れば、本当にごくわずかの限られた人です。こんな状況だということを改めて認識しておく必要があると思うんです。

 その上で、少しお聞きしたいんですが、株式取得者は全体として高額所得階層が多いというふうに私は認識していますが、大臣はどう御認識されていますか。

片山国務大臣 我々は、地方税の立場からいうと、申告分離一本がいいんですよ。だから、それは大議論して、二年前の税調でことしの四月から一本化することになっておったんですね。

 ただ、景気がこういう状況ですから、やはり関係の方からも強い要望がありまして、そこで大議論をして、実は本年度税制改正、昨年年末に決めるわけですから、そこで二年だけ源泉を延ばそう、こういうことになって、株式市場の活性化がどうしても大きなテーマですから、そういう中でいろいろなメニューを探した中で、やはり百万といっても、大体百万ぐらいの利益といったら一千万ぐらいの売買ということのようですから、今の源泉だと五パーですからね、御承知のように。だから、かなり乗ってきていただけるのではなかろうかと。

 それからもう一つは、やはり申告分離に二年後には一本化するんですから、申告分離になれてもらわなければいかぬ、手間や何かに。そういう教育効果も考えまして、今回、緊急経済対策で採用いたしたわけでありまして、小手先といったら小手先かもしれませんが、これはいい小手先ですよ。お面やお胴までいきませんが、小手というのもありますからね。これはいい小手としてお考え賜れば大変ありがたい。

 株式については、一般的に言うと、委員言われるように、やはり高額所得者の方が私も多いのではないかと思いますが、ちょっとデータはあれですから、税務局長から答弁させます。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

石井政府参考人 高所得者の金融資産に占める株式保有の割合は低所得者の方と比べますと高いのはおっしゃるとおりなんですけれども、一方で、個人が所有します株式の約半分は、年収一千万円以下の世帯によっているところであります。

 そういうことでございまして、今、大臣からも御答弁がありましたけれども、今回の改正によりまして、小口投資家を含めて広く個人投資家による長期安定的な株式保有の促進等が図られるのではないか、こういうふうに期待をいたしているわけでございます。

春名委員 大臣は言えば何でも言える人だなと私は非常に思いました。

 先ほどの税務局長のお話ですけれども、高額所得階層が実に多いんですね。政府税調の資料を私も見ますと、勤労世帯を年間の収入によって五段階に分けますでしょう。そうすると、五つの階級がそれぞれどれぐらいの貯蓄を保有しているかという統計があるんですが、それを見ますと、年間収入一千八十万円以上の第五階級が保有している株式が株式全体の五三%を占めていますね。先ほど一千万円以下は個人投資が結構あるんだと言われていましたが、ただ、第四階級八百二十四万円以上を加えますと、全体の保有の七七・三%にはね上がるんですね。だから、圧倒的には高額所得者の方々が株式を保有してその収入を得るという形にこれは歴然となっています。

 「地方税」という雑誌の中でも、旧自治省の税務担当者の座談会が載っているんです。そこを見ましても、実質株主数は約七百万人であり、高額所得階層が多い、このように税務担当者の方も明確に言っていますよ。ですから、これは国民的な常識の範囲だと思うんです。

 一方、今どなたか御質問もありましたけれども、住民税の基礎控除は今幾らになっていますか。

石井政府参考人 住民税の基礎控除額は三十三万円でございます。

春名委員 一年間懸命に働いても、三十三万円の控除しかない。もちろん、生命保険に入っていたりとか、それであれば控除もありますし、家族があれば扶養控除もありますけれども、本人のかかる基礎控除は三十三万円しかない。それに比べて、総体的に高額所得者である方が株でもうければ百万円までは税金がかからない、こういう仕組みを導入するんですよ、時限であっても。

 ですから、私、別の角度から聞きますけれども、景気対策に役に立たないということはさっき言いましたけれども、他の住民税の控除との税制のバランスを著しく崩してしまうことになる、そういう問題でもあると私は思うんです。この点はどういうふうにお考えでしょう、バランスの問題。

石井政府参考人 その点はいろいろな議論があると思いますけれども、しかし、あくまで譲渡益百万円までの少額の譲渡益についての非課税でございますから、必ずしも、先生おっしゃるように、非常に何か金持ち優遇ということでもないのではないか。

 一例を挙げますと、例えば五百万円ぐらいの株を五百五十万ぐらいで売った、大体一割ぐらい利益率と考えまして。そうしますと、これは、現在の源泉分離課税と比較しましても、源泉分離課税が大体六万円弱、五万七千円ぐらいかかる、それがゼロになるということなんですけれども、このぐらいであれば、一般の庶民の方、小口の投資家の方もあるケースと。

 しかし、先生おっしゃるように、非常に高額の方はそうじゃなくて、例えば何千万と株の取引をされる方を先生は想定されているんじゃないかと思いますが、例えば一千万円で株を買ったものを一千百五十万円で売った、一割ぐらいの利益率と考えますと、この場合は、申告分離課税の現状ですと、三十九万円が確かに十三万円まで下がりますけれども、一方で、もともと源泉分離課税がありますから、源泉分離課税を選択しますと十二万円そこそこであります。

 そういう意味では、もともと源泉分離課税を非常に高額にかつ多数選択される投資家を想定しますと、もともとそういう方々は源泉分離課税を選択されているわけですから、今回の百万円ぐらいまでの少額の譲渡益課税を非課税にするということは、必ずしもえらい金持ち優遇とかそういうことではないんじゃないか、こういうふうに理解をしているわけでございます。

春名委員 今のお話は、要するに小口の金額のことを言っているのですけれども、そもそも持っている階級が、第四分位階級以上の人たちが七十数%、八割ぐらいを占めているのだ。そのお金の使い方、売り越し、買ったり、その株のやり方については知りませんよ、そんな金額は。そもそも保有している人が、七割以上が八百二十四万円以上の世帯なのだという冷厳たる数字が出ているのですよ。だから、それとすりかえて議論をしないでいただきたいと私は言っておきたいと思います。

 株式譲渡益は不労所得の最たるものでしょう。そういうものを百万円も控除する。これは、他の控除とのバランスを考えたら、このバランスを崩すことは余りにも明らかであります。しかも、私、言いましたように、恩恵を受けるのは住民税所得割納税者のごくごく一部の高額所得者に限られている。

 私は、これは本質的な問題なので大臣に問いたいと思いますが、こんなことをやりますと、所得間格差がますます拡大することになると思うのですよ。これは望ましい方向と言えるのでしょうか。私は言えないと思うのですが、どうでしょう。

片山国務大臣 我が国の景気を本格回復の軌道に乗せるということは、国民的な大きな課題ですよ。国民皆さんの願いだと私は思う。そういう中で、資産デフレ対策というのはどうしても要るのですよね。株式が上がって怒る人というのは余りいないのですよね、持っていない人が怒るのかもしれませんが。土地と違うのは、株というのは、個人もにこにこ、企業団体もにこにこなのですよ。だから、今の低迷する株式市場を活性化するということは、私は景気回復に大変有効な手段だと思います。

 それは、この百万が大政策かと言われると、いろいろな見方、議論があると私は思いますよ。思いますけれども、いろいろな他の方法と総合的に株式市場を活性化して、特に個人投資家に株式市場に返ってもらう。我が国はよその国と比べて物すごく個人投資家の株式市場への参加率が低いわけですから、そういうことのために、時限を限って、しかも、その二年後には申告に一本化するわけですから、そういうことを全般的に考えますと、私はこの政策は大きな意味がある、こういうふうに考えております。

春名委員 株価が上がるのにも余り役立ちそうにないなというふうに私は申し上げていまして、本当に景気対策を真剣にやるのであれば、やはり一番考えてもらいたいのは、個人の消費が経済の六割を占めているのに落ち込んでいるということについて、そこに本気で光を当てる、それこそが本当の景気対策だと私は思いますので、こういうやり方だけではだめだということを改めて私の実感として申し上げておきたいと思います。

 次に、国から地方への税源移譲問題について少しお聞きします。先ほどから多少議論になっているのですが、大変新聞紙上等をにぎわしています、新聞に惑わされるなというふうに先ほど言われたので、私も惑わされているのかもしれませんが。一つは、五月の三十一日に経済財政諮問会議の基本方針が明らかにされて、これは大臣の言葉によれば目次であるということだそうですが、このことを基本に骨太という方針が六月下旬に出ることになっている。

 第四章を読んでみますと、年限を切った市町村の再編、財源保障の縮小、それから地方税の充実という言葉は出てまいります。そしてそれを、税源移譲という問題もその中で検討してほしいということでつけ加えて提案しているというお話がさっきありましたが、骨太中の骨太の目次でありますので、その目次の中に、税源を移譲するという決定的な骨太の問題が出てこないなということを非常に私は危惧したわけであります。

 これはどういう議論まで進んでいるのか。私が危惧しているのは、そのことは先送りをしながら、一方で、六月一日の毎日新聞なんかによりますと、三、四年で三百の自治体に大再編してしまうのだということを決めようとか、あるいは、そこは新聞に踊らされているのかもしれませんから、間違いであれば間違いでいいのですけれども、そういうことが先に出る。それで地方交付税の一兆円削減等々の話が出る。逆ではないかと思うのですよ。一番大事なのは税源移譲なのであって、そこの骨太の方向が全然出ないで、地方に負担を押しつける話ばかりが聞こえてくる。そこのところをちょっと、一体どうなっているのか。

遠藤(和)副大臣 五月三十一日の財政諮問会議のお話がございましたものですから、こういう大事な会合は本当は大臣が出るべきなのですけれども、このときは国会の方にどうしても出席ということで、私が代理で出させていただきましたものですから、若干御報告を兼ねてお話をしたいと思います。

 今の税源移譲の問題については、確かに私のいただいたペーパーには入っておりませんでしたから、片山大臣から修正のペーパーを用意していただきまして、その中で、地方税の充実の中で地方への税源の移譲ということをきちっと明文化して入れるように、こういう修正意見をいたしたところでございます。

 それから、段階補正の話があったわけでございますが、これは今、自主的に市町村の合併をお願いしているところでございます。そのときにはむちは当てないということを言っているのに、段階補正を明文化して目次の中に入れる、段階補正を縮小するという文言を入れるということは、今行っている政策と矛盾する話でありまして、これはきちっと削除をすべきだ、こういうふうな意見も申し上げました。

 それから、大きな問題といたしましては、大臣も先ほど何遍もおっしゃいましたけれども、初めに地方交付税の一律削減ありきのような報道は全く地方税のことを理解していない暴論である、地方交付税というのは、地方の皆さんにとっては固有の地方財源、税源でございまして、これは国から与えるという性格のものではない、そういうふうな仕組みになっていることをよく理解してこの議論をしてほしい、このことを強く冒頭に私は申し上げまして、竹中さんも確かにそのとおりだということでございまして、地方財政計画というものをどのように考えていくか、そして、国も地方も一体になって歳出を削減する、こういう方向で議論をするということについては、私たちも同じような意見でございますと。こういうふうなことをさまざまに論じたものでございまして、新聞はいっぱいいろいろ書いていますけれども、大変冷静に議論は進んでいる、このように理解をしている次第でございます。

春名委員 それでは、危惧していることが幾つもありますので、確認します。

 一つは、今、副大臣がおっしゃったのだが、地方交付税は地方の固有財源、共有財源であって、その総額の確保は国の責任であること、一貫して言い続けてきたことですが、そのことが何かがらがら一言で崩されるかのような発言がされています。政府としてこの認識はそのとおりであるということでいいですね。これは大臣、もう一回。

遠藤(和)副大臣 この五月三十一日の会議で私がそのことをはっきりと皆さんに申し上げてまいりまして、そのような認識をしていただけるように努力をしていきたいと思っております。

春名委員 努力ではなくて、これは事実の問題としてそういうものだということを政府として明確にしておいていただきたいと思うのですよ。

 五月の三十一日の日経新聞には、塩川大臣が、「一言で言えば交付税は国税だ」なんというとんでもない発言をしているという記事が出ているのですよ。もしこれが事実であれば、認識が根本から間違っていますので、そういう方が財務大臣をやられていたら大変なことになるのですよ。ですから、改めて明確にしてもらいたいのです。大臣、どうぞ。

遠藤(和)副大臣 塩川財務大臣が答弁されました同じ席に私、おりましたものですから、それは参議院の委員会で私の隣に座っていらっしゃいまして、質問者から財務大臣と総務副大臣双方に同じ問いがございまして、そういうふうなお答えを財務大臣がいたしたものですから、私は、私たちの立場といたしましては、これは固有の地方税である、地方財源である、このようにきちっと答弁をさせていただいた記憶がございます。

春名委員 それでは、「一言で言えば交付税は国税だ」なんと言っていることは、間違いであって訂正するというふうにもうなっているんですね。

片山国務大臣 地方交付税というのは、御承知のように、国税五税の一定割合を地方交付税特会に振り込むんですよね。法人税の三五・八だったかな、それから所得税、酒税の三二、それから消費税の二九・五とたばこ税が二五・六だったかな、その五税を国税として取るんですよ。だから、塩川さんはそこのところを言っているんです。国税という格好で取るというところ、国税の形をしていますけれども、それは交付税特会に振り込まれる。

 それでは、何のためにこの制度をつくったかといったら、地方税を本来補てんすべきなんだけれども、地方税をやるとばらつきが大きくなるから、国税の形をかりて地方税の身がわりをしてもらっている、こういうことなんですね。だから、型式は国税、実質は地方税だ、こういうことでございまして、それは塩川大臣もほぼ認識していると思いますよ、ほぼがつくからちょっとあれですけれども。再度これはしっかりして、政府内で詰めますので、ひとつよろしくお願いします。

春名委員 その辺は根本の認識の問題ですので、ほぼでは困るんですよ、はっきり言って。地方の固有の財源であるというのを統一的な見解にしてほしい。

 あと一点だけ聞いておきますね。十八日の議事録を私、全部読んだんですよ。そうしたら、片山大臣は、国庫補助金や地方交付税からの振りかえを行い、地方歳入は地方税を中心にするという御発言をされているわけなんです。大臣の、交付税から地方税への振りかえということについて、下手をすると、そういう振りかえということが、塩川氏が言っているような交付税の削減論に乗ぜられるという危険性を私は非常に感じましたものですから、そうならないという保証がちゃんとありますかということだけ確認しておきたいと思います。

片山国務大臣 私がそのとき諮問会議で言いましたのは、まず地方税の充実だ、そうすると、地方税を充実するために国庫支出金を減らすとか地方交付税を減らすとかいうことがあってもよろしいと。振りかえとは言いませんけれども、基本的には今、国と地方の税財源の配分は、地方に厚くしてもらうということが根っこにあるんですよ、厚くしてもらう。その仕方は地方交付税や国庫支出金じゃなくてあくまでも地方税だ、だから、地方税を充実することによって国庫支出金が減ったり地方交付税が減るのは結構です、こう申し上げたわけでありまして、その点は私の言っていることは一貫しておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

春名委員 税源移譲が最大の問題ですから、その前に地方の歳出削減とか合併を、数百にするだとかいうようなことをどんどん押しつけていくというやり方は本末転倒ですので、その点、改めて申し上げておきます。その点を確認して私の質問にしたいと思います。

 以上です。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党・市民連合の重野安正です。地方税制改革案を中心に、現在問題となっております経済財政諮問会議の方針等について幾つか質問をいたします。

 まず、個人株主は延べ三千万人で、重複分を除けば約七百二十万人とされております。発行株式の約七割は法人の相互持ち合い、この相互持ち合いは最近減少しているというふうに聞いておりますが、残りの三割が市場取引と言われる我が国の株式市場の実態です。個人を市場投資に誘導しようとしても極めて限界があるのではないか。証券会社といえば、週刊誌によれば、小口の個人投資家などごみだというふうなことを言う向きもあるようでありますが、そうした実態のもとで控除額を百万円に引き上げて、株式市場の活性化にどれほどの効果があるのか、実証的数値を示していただきたい。今までも幾人かの方も質問いたしましたが、重複いたしますが、その点についてお伺いをいたします。

片山国務大臣 もう何度もこの問題にお答えさせていただいておりますが、個人投資家の株式市場への参加をぜひ促進いたしたい。百万円の特別控除で今の実態から見て効果があるのかな、こういう御議論ですが、我々としては、広く投資家が利益を受けることができるために、小口投資家等の株式市場への参入や、申告分離課税に二年後には一本化をするわけでありますが、そういうことについて一定の効果が得られるのではなかろうか。

 ただ、重野委員、この見方はいろいろな意見が確かにあると私も思います。税調でも相当議論してもんだあれであります。しかし、先ほども言いましたが、総合的なほかの施策と相まって、やはり株式活性化のための一つのメニューの中にこれも入れようではないかという判断だ、こういうふうに考えております。

 数字の点については税務局長から少しお話をさせていただきます。

石井政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、最近の株の売買でそんな大きな利益を得られるということはなかなか想定しがたいんですけれども、大体一〇%程度の利益率を想定いたしますと、百万円の譲渡益が発生するためには一千万程度の株式の譲渡が必要になるということでございますから、実際に国民の皆さんの株式の保有状況を見ますと、小口投資家を中心にかなりの方がこれを機会に株式投資に参加していただけるんじゃないか、こんなふうに期待をしているわけでございます。

重野委員 先ほどもこの点についてはかなり突っ込んだ話がなされましたので、もうこれ以上は申し上げません。いずれにいたしましても、我々が指摘しているように、それほど期待できるものではない、こういう認識を示しておきたいと思います。

 今回の控除制度の期間を十五年三月末としたことについてでありますが、譲渡益課税について、すべて申告分離制となるわけであります。そうなりますと、金融商品にかかわる所得を的確に把握する課税制度というものが必要になってくるのではないかと思うんですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

石井政府参考人 おっしゃいますように、二年後には申告分離課税一本化ということでありますので、そうなりますと国税当局とよく連携をとりながら対応していきたいと思いますけれども、現在でも申告分離課税については、国税、地方税、特に支障なく徴収いたしておりますので、そんなに実施面で非常に問題が多いというふうには考えておりません。準備をしていきたいと思っております。

重野委員 そういう認識をしっかり持って対処していただきたいと思います。

 次に、ネット取引について伺いますが、ネット取引の国際化は、ネット取引の複雑化、取引の匿名化、さらにはデータ消去の容易性も拡大するのではないか、こういうふうなことが懸念されます。つまり、納税者の把握が大変難しいのではないかというふうに考えるんですが、これは、まさに国際化の時代でありまして、一国だけでは非常に困難な問題があると思うんですが、これについて財務省の認識はいかがでしょうか。

村上政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、電子商取引は通常取引とやや異なりまして、ネットワークを通じて取引が国際化、広域化する、あるいは匿名性が高く、納税者の把握が困難である、あるいは電子的な取引情報の把握が困難である、こういった事情があるかと思います。

 したがいまして、これは制度、執行、両面があるわけでありますが、執行面におきまして、国税庁におきましては、すべての国税局に電子商取引専門調査チームというのをつくっております。コンピューター関係であるとか海外取引の精通者を置きまして、こういうチームが中心になって、電子商取引を行っている者あるいはその関連業者に対する調査であるとか資料、情報の収集を行っているところであります。

 今後とも、こういったことを通じまして、適正、公平な課税に努めてまいりたいと思っております。

重野委員 その対応で今私が質問しました国際化という点について対処できる、そのように思っているんですか。

村上政府参考人 これは制度問題と執行があるかと思いますが、いわゆるデジタルコンテンツ、その消費課税の問題があります。こういった問題につきましては、現在OECDでそういうルールをつくるべく鋭意検討中であります。これにつきましては、主税局も国税庁も参加して各国と協議を行っているところであります。

 あるいは、同じテーマでありますが、例えばサーバーが恒久施設に該当するかどうか、こういった問題があります。さらに加えまして、執行当局としても、諸外国も税務当局も同じような問題意識を持っておりますので、さまざまな会議、現に、今現在もモントリオールで会議が開かれておるわけでありますが、会議を通じまして、お互いの情報の交換、それからノウハウの交換、そういったことを通じまして課税の適正化に努めているところであります。

重野委員 次に、今回の改正で、国税は初年度四百億円、平年度九百億円、地方税で十億円の減収見込み、このように言われております。国税の減収に伴う地方交付税の減収分については、今後減額補正するというふうなことはよもやないと私は受けとめるんですが、これについてはいかがでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税交付金につきましては、歳入予算上、所得税を含めまして国税五税の一定割合を基準として予算に計上しているということは御案内のところでございます。税収などの歳入予算、これは、歳出予算の財源といたしまして一つの見積もりを示すものでございます。

 したがいまして、年度途中の税制改正等によりまして税収が当初見積もりに比べ減少すると仮に見込まれましても、歳入予算を必ずしも直ちに補正するという必要はございません。現に、従来より、歳出予算の変更が伴わないという場合には補正は行っていないということでございます。

 したがいまして、今回の措置によりまして税収が当初見積もりに比べまして減少するといたしましても、必ずしも直ちに補正をする必要はない。したがいまして、地方交付税交付金につきましても直ちに減額補正をするということはないというように考えております。

重野委員 次に移ります。

 五月三十一日の経済財政諮問会議の基本方針について質問をいたします。

 これによりますと、七つの改革プログラムと主要課題を挙げ、地方財政については、「個性ある地方の競争――自立した国・地方関係の確立」と題して、六つの課題を挙げております。私なりに見ますのに、焦点は地方交付税制度の見直しにあるように思われてならないわけであります。

 そこで、お聞きいたしますが、「自立した国・地方関係の確立」において地方交付税制度に焦点を当てているのはいかなる理由なのか、内閣府の見解をお伺いいたします。

坂政府参考人 お答えいたします。

 必ずしも地方交付税制度だけではなくて、例えば地方の自治体の規模とか、そういったことについても活発な議論が行われたというふうに私ども承知しております。

 一つ御紹介させていただくと、これは公表されておりますが、五月の十八日に実は牛尾、本間両議員のペーパーというのが出されておりまして、そこでの問題意識というのをちょっと御紹介させていただきますと、「我々が」、我々がというのは諮問会議の議員さん方がという意味でございますが、「これまで検討してきた、社会資本や社会保障についても共通することであるが、これらの制度は、戦後、非常によく機能し、高度成長を支えてきた。しかし、現在ではそれが無駄を生む」、正確に言うと、多分、ややもするとむだなものも生んでしまうということなのかもしれませんが、そういう「仕組みになってしまっている。近年、経済の力強さが失われてきた大きな要因は、無駄なことをしてきたことだと考える。」こういう問題意識でございます。

 その中で、例えば、地方の国への過度の依存と個性の喪失といったことが論じられておりまして、ローカルな道路とか空港、港湾、橋、あるいは田畑の整備まで一々国が関与しておる、補助金や地方交付税による財源手当て、すなわち、お金は国が出すという仕組みのもとでは、地方自治体は陳情するということが合理的、そういう仕組みになっちゃっていると。また、教育とか社会保障についても、国が仕組みや基準を決めて、地方自治体は苦労しながらその実施に当たるだけというのが実情ではないか、こういった問題意識。

 こうしたことを仕組みを変えていかなくてはいけないのではないかというような問題意識から、地方交付税についても、例えば地方債を、ローカルな公共事業についてまで事業ごとに地方債の充当あるいは事業費補正といったことをしているのは、仕組みとして本当に合理的なんだろうかといったようなこと、そういう問題意識で論じておられるというふうに私どもは理解をいたしております。

重野委員 私の質問に答えていないような感じがするんですが、地方交付税制度に対してどういうふうに考えていますか、その点についてもっと詳しく。

坂政府参考人 失礼いたしました。

 地方交付税制度につきましては、やはり同じペーパーで、自助と自律のためには地方交付税の仕組みを改めよう、こういうことが書いてありまして……(重野委員「大きな声で言って」と呼ぶ)自助と自律との観点から、地方交付税の仕組みを改めてはどうかという提起がしてあります。

 例えば、先ほどちょっと申し上げましたが、ローカルな公共事業については、事業費補正とか、地方債の起債許可をしてその償還費を各自治体の基準財政需要に算入するという仕組み、そういった仕組みは見直すべきではないだろうか。これは、問題意識としては、こういうふうになっていると各自治体が、どういう事業が効率的でどういうふうにやっていくか、御自分で判断される、そういうインセンティブが薄れていくのではないか、こういうことを論じておられます。

 また、当然のことながら、だからといって交付税は必要なんだ、なぜ必要かといえば、各地方間の財政力の格差というのがあるのだから必要なんではあるけれども、ただ、交付税を交付する基準について、現在よりも客観的かつ単純な基準にしてはどうかということを論じておられます。

重野委員 今の点は、これは今後相当に我々としても議論していかなきゃならぬ内容を提起したと私は受けとめました。

 そこで、ちょっと方向を変えてお伺いします。

 この間、総理は、国、地方の歳出全般の見直し、抑制、そして塩川財務相は、地方交付税の基準財政需要額あるいは地方財政全体で一兆円減額など、地方財政の圧縮に言及しておられます。この財務大臣の発言は、中央財政と地方財政との制度的関係について、ちょっと誤解あるいは理解不足があるのではないかと私は危惧をするわけであります。

 具体的に申しますと、五月三十一日の財務金融委員会における答弁でありますが、要約いたしますと、シビルミニマムの水準をきっちり決めていくべきであり、それに対する負担がどうなるか、これが地方財政計画となる、それが決まれば基準財政需要額が決まる、それを基礎にして交付税が組まれる、したがって交付税をどのくらい削るとは言っていない、地方財政全体で一兆円程度節約いただきたいと言っているんだ、こういう答弁をされております。

 私は、この答弁には誤りがあるのではないかというふうに理解をするわけです。

 一つに、シビルミニマムは地域で異なるものであるという点です。地方財政計画におけるミニマム水準は、あくまでもナショナルなものであります。もっとも、ナショナルミニマム・イコール地方財政計画における標準的経費とは言えないと考えますが。二つ目に、したがって制度として、あくまでも標準的経費と標準的収入が算定され、その差を埋めるものとして地方交付税額が決まる、その後個々の自治体の基準財政需要額が算定される、そういうことですね。

 大臣の答弁は、こうした地方財政計画と地方交付税、そして個別自治体の交付税額決定という制度上のプロセスを履き違えているんじゃないか、こういうふうな気がいたすのですが、これについては、財務省、総務省、それぞれ見解を伺います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の五月三十一日の財務金融委員会におきまして、大臣、大要、次のように答弁をされております。シビルミニマムの基準等に応じまして地方行政の負担が地方財政計画において見積もられる、そして地方財政計画が決まれば当然に基準財政需要の考え方が決まってくる、そして基準財政需要を基礎にして交付税が組まれていく、こういうことかと思います。

 財務大臣の御発言の正確な趣旨あるいは真意、私ども事務当局がかわってお答えするということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、近年の地方財政の状況あるいは財政改革ということにかんがみますと、地方財政計画と並びまして、基準財政需要というのも今後の一つの検討の観点として御発言があったのかなというように考えております。

香山政府参考人 基準財政需要額でございますけれども、これは地方財政計画に計上された経費のうち一般財源の所要額を算定するものでございます。先生御存じのとおり、財源不足があります年度で申しますと、やむを得ざる措置として、財源対策債でありますとか、今年度の場合は臨時財政対策債等が導入されまして、その後で交付税総額が決まるわけでございます。これらの点がセットされた地方財政計画を受けて一般財源所要額を決定して、その上で、単位費用、測定単位、補正係数とを乗じて基準財政需要額を計算するわけでございます。

 そのような意味におきまして、実務のプロセスで申しますと、地方財政計画の交付税総額が前提となり、それを受けて基準財政需要額が決まっていく、そういうことになるものと理解をいたしております。

重野委員 今の財務省の答弁、差し控えるという部分がありました。この問題がはらんでいる内容は非常に大きいものがあるんです。これは一番最後に委員長にお願いしようと思っているんですけれども、やはり真剣にこの問題は突き合わせた議論をしておく必要がある、ぽっと簡単に通過するわけにはいかない問題がある、そういう点を私は申し上げて、それ以上ここでは申し上げません。地方財政計画と地方交付税、そしてこの配分という制度的プロセスを歪曲して財政構造改革を図ることはできないということを私は特にまず指摘をして、次の質問に入ります。

 中央政府の財政支出が制度的に地方財政支出を規定する関係にあることは指摘するまでもありません。ただ、その制度的財政関係の割合を、一般歳出の大半、つまり七〇%という総務省の主張をとるか、それとも厳密に見て四五%と見るか、割合の大小を論議することが現下の課題とは考えませんが、重大なことは、今後地方財政計画ベースで一兆円を削減するというときの手順ないし方法にこの財政関係は重要な意味を持つということであります。

 つまり、中央、地方の財政関係に立って今後地方財政計画上一兆円減額するというのであれば、まず中央政府の事務事業の見直しが先決ではないか。それなくして、最初に一兆円ありきと言っても、それは制度的に不可能ですという点を私は強調するんでありますが、この点について、財務、総務、両省の見解を伺います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税あるいは国庫補助金などの国から地方への支出の見直し、これにつきましては、その具体的内容は今後の検討課題というように考えております。

 地方歳出の見直しに当たりましては、自治体の基本的な経営につきましては保障しつつも、国、地方を通じてのシビルミニマムの水準を見直す、そして、今先生御指摘のとおり、国庫補助金の見直しを初めとする行財政改革に取り組んでいく、そして、国と地方が協力をいたしまして、聖域なき歳出の見直しを行い財政健全化の第一歩を踏み出していく、こういうことであろうというように考えております。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 交付税の削減が論議される場合に、私ども、あくまで地方財政計画のレベルで議論をすべきであるというふうに申し上げておるのはこれまでのとおりでございますが、その場合には、地方財政計画の歳出で見ますと、国の施策のウエートが大変大きい公共投資、社会保障あるいは教育、こういった分野が大半でございまして、地方財政計画の規模を抑制するためには、これらの分野につきまして国の施策の見直しを行うということがどうしても必要になろうと考えております。

 これとあわせまして、地方単独事業につきましても、こういう財政健全化の要請を受けて重点化、効率化を図ることはもちろん必要でありますけれども、基本的にはやはり国の施策の見直しというのがどうしても地方財政計画の根本になるものと考えておりまして、そういう観点で国、地方を通じた行財政改革の取り組みが進められるということを我々も強く主張いたしてまいる所存でございます。

重野委員 仮に一兆円を地方財政計画規模において削減するという前に、今それぞれありましたように、まず国がどうするかがやはり先だ、これが我々の立場であります。

 反面、地方財政計画において、これまで旧自治省時代以来講じてきたいろいろな措置があります。それが不問にされていいとは思いません。補助金と地方債、そして交付税をリンクして自治体の事業をこの間どんどん拡大を図ってきたわけですね。それは間違いない事実です。特に、交付税算定における事業費補正、これは昭和三十七年以降ずっとやられてきているわけですが、その事業費補正は、この間の国と地方の関係、今日の地方自治体の財政ということを考えるときに、やはり避けて通れない、これは国がしっかり認識しなければならないものだというふうに考えるわけですね。

 二年間一兆円ずつ地方単独事業を規模修正してきたわけですが、このように自治体の財政需要に的確にこたえる計画策定がなされるべきだ。今、財政を語るときにこの視点をしかと踏まえて考えていかなきゃならぬと私は思いますが、総務大臣、見解をお聞かせください。

片山国務大臣 今、財務省、総務省からるるお話がありましたが、いずれにせよ「聖域なき構造改革」ということで、国の歳出も地方の歳出も見直していく、これは私は賛成であります。

 ただ、地方の歳出が先行するんじゃなくて、何度も同じことを言いますが、国の歳出絡みが地方歳出の七割を占めますので、まず国の歳出をしっかりと見直すことが前提で、それに応じて地方の歳出も見直します。また、地方単独事業につきましても、今、国の各種の公共投資長期計画にリンクされておりますから、これをちょっと自由度を高めてもらいまして、そういう中で地方単独事業を合理的に縮減することも検討する必要があると私は思います。委員が言われましたように、交付税制度も長い間かかって積み上げてこれだけ精緻な制度にしたわけでありますけれども、この機会にその精緻な部分を含めて見直していくことは必要だ、こう考えております。

 認識はほとんど一致いたしておると私は思いますが、関係者と十分調整しながらこういうことをやってまいりたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。

重野委員 時間が来ましたので終わりますけれども、最後に委員長に要請したいと思うんです。

 今回の構造改革に関する基本方針は、地方財政のあり方にも大変重要な影響をもたらすことは明らかであります。これに対する経済財政担当相並びに財務相の答弁は、私は納得しがたい。したがって、この問題について、二十一世紀の地方財政という視点から見て大変大事な節目のときと私は認識いたしますので、どうか本委員会に出てきてもらって十分審議する場をつくっていただきたいことを要請して、私の質問を終わります。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、理事会の協議により、討論は御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。

 これより採決に入ります。

 地方税法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件及び消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 両件につきましては、先般来理事会等において御協議を願ってまいりましたが、協議が調い、お手元に配付いたしておりますとおりの草案を得た次第であります。

 まず、行政書士法の一部を改正する法律案の起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 行政書士は、昭和二十六年の行政書士法の制定以来、目まぐるしく変貌する社会にあって、次々と制定、改廃される法律や条令等に精通し、かつ、高度な知識をもって国民の利便の向上等に貢献してまいりました。

 しかし、制度発足から半世紀を迎えた今日、行政書士を取り巻く環境は大きく変化し、規制緩和や行財政改革等の推進に伴い、行政手続の合理化、効率化が求められる中で、行政書士の果たす役割はこれまで以上に大きくなっております。

 このため、官公署への書類の提出手続の代理、代理人として契約等の書類を作成すること等を行政書士の業務としてその明確化を図ることなど、行政書士制度のさらなる充実を図る必要があります。

 以上のことから、行政に関する手続の円滑な実施及び国民の利便向上の要請への的確な対応を図るため、本起草案を提出することとした次第であります。

 次に、本案の内容について御説明申し上げます。

 まず第一に、目的規定の整備であります。すなわち、行政書士法は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的とすることといたしております。

 第二に、業務の明確化であります。すなわち、行政書士が作成することができる書類に係る官公署への提出手続の代理、代理人としての契約その他の書類の作成等の業務を行政書士の業務として明確化することといたしております。

 第三に、日本行政書士会連合会は、行政書士の登録をしたときは、申請者に行政書士証票を交付しなければならないことといたしております。

 なお、この法律は、平成十四年七月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 行政書士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 次に、消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律の一部を改正する法律案の起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 消防団は、消火活動のみならず、地震や風水害など大規模災害時の救助救出活動などに重要な役割を果たすとともに、地域に密着した組織として、住民に対するきめ細かい予防活動、啓発活動等幅広い分野で活躍しておりますが、その活動はしばしば危険な状況のもとで遂行されるため、消防団員等が公務上の災害に遭遇する事例も少なくありません。

 このような消防団員等の公務災害に対する補償等については、市町村の責任において実施しなければならないとされており、この市町村の支払い責任の共済制度として、消防団員等公務災害補償等共済基金が設置され、公務災害補償責任共済事業のほか、退職報償金支給責任共済事業及び福祉事業を行っております。

 一方、消防団活動の実態を見ますと、団員個人の自家用車の使用に依存する度合いが高く、その過程でこうむった損害についても、多くの場合、団員個人の負担となっており、これが消防団活動の支障ともなっているのではないかと懸念されます。

 そこで、基金の行う福祉事業の一環として、このような負担を軽減することにより、消防団員等の活動環境の整備と地域防災体制の充実を図る必要があると思料するものであります。

 以上のことから、消防団員等による消防等の活動に係る環境のさらなる整備を図るため、本起草案を提出することとした次第であります。

 次に、本案の内容について御説明申し上げます。

 本案は、消防団員等公務災害補償等共済基金等が行う福祉事業に、消防団員等がその所有する自動車等を消防団等の活動の円滑な遂行のために使用し、または使用させたことにより当該自動車等に損害を受けた場合の見舞金の支給を追加しようとするものであります。

 なお、この法律は、平成十四年四月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました両法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、行政機関が行う政策の評価に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長塚本壽雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、これを許します。滝実君。

滝委員 自民党の滝実でございます。

 最近まで総務省に籍を置かせていただきました者でございますから、この法案につきまして質問をさせていただくのはいかがだろうかというふうにも思っているのでございますけれども、明確にさせていただく必要があるところもございますものですから、そのような観点から、質問をさせていただきますことをお許しいただきたいと存じます。

 今般のいわゆる行政評価法につきましては、法案の目的にございますように、三つぐらいの目的が掲げられているわけでございます。しかし、何といっても最大の目的は、中央省庁の改革基本法、その中で、中央省庁改革のいわば主な柱の一つというふうに位置づけられていることが、やはり一番大きな意味があるように思います。

 その中では、当然のことながら、行政の説明責任を明らかにするというようなこと、効率的で質の高い行政を実現するために評価を行うのだというようなこと、あるいは、結果と申しますか、成果重視の行政へ質的に転換させていく、その原動力をこの行政評価法で与えていくのだ、こういうことでございまして、その評価の観点と申しますか、そういうものについては法案の三条に掲げられております。主なものは三点ございまして、必要性あるいは効率性、有効性、こういうような一連の評価の観点が法案の三条であるわけでございますけれども、それに加えて、公平性あるいは優先性というものもガイドラインでは示されているように思います。

 そこで、このような評価の観点は、法案の三条で規定されているわけでございますけれども、これは前々から片山大臣が本委員会でもたびたびお述べになっておられますように、そのほかに何かあるのではなかろうかな、こういうような思いもいたします。それは何かと申しますと、大臣がしばしばおっしゃっていますのは、やはり総務省という大きな中央省庁が出現したことでもわかりますように、そういうような大省庁に編成されたことによるメリットをどうやって生かしていくかというのもこの中央省庁改革の大きな課題だ、こういうことを指摘されているわけでございます。

 私は、そういう意味で、この法案の三条に掲げられている評価の観点以外にも、この省庁の再編ということに絡んで、やはりもう一つ、二つ、そういう観点からの、いわば姿勢と申しますか評価の観点を加える、そういうものがあっていいのではなかろうかなというふうに実は考えてまいったわけでございます。この点について、まず大臣から、この辺のところの姿勢と申しますか、考え方をお聞かせいただければありがたいと思います。

片山国務大臣 滝委員は、前に総務省の大臣政務官として、我々も大変御指導、御交誼いただいた方でございます。

 今、政策評価についてのお尋ねがございました。

 中央省庁再編の大きな柱として政策評価というのはある、我々もまたこういうふうに考えておりまして、これによって政策の決定、選択を科学的な手法でやる、国民にもわかりやすくする、あるいは政策の見直しや改善をこれによってさらに進めていく、こういう効果もあります。さらに、新しい府省の体制になったわけでありますから、政策の構造的な融合と改革もこれによってできるのではなかろうか、こう思っております。

 滝委員が言われますように、必要性、効率性、有効性の三つの観点を法律に書いておりますけれども、これ以外の観点で、いわば政策の融合性ですか、融和性、そういうものもつけ加えていただけるのなら、私は大変幸いではなかろうか、こう思っております。

 例えば、私どもの方は、郵政省と自治省と総務庁が一緒になりまして、IT革命の推進、IT社会の構築ということが我が省の大きな政策でございますから、そういうことの中では、まず地域的にも年齢的にも、あるいは障害者か健常者かということを含めてデジタルデバイドを解消する必要があるので、ぜひこれは旧三省庁が一緒になってこういうことを議論してはどうだろうか。こういう観点から、IT有識者会議というのをつくっていただきまして、そこに障害者の代表やお年寄りの代表や地域の代表、すべての人に入っていただきまして、今それのガイドラインをつくっておりますが、こういうことも一種の政策の融合性ではないか、今まではばらばらにやっておりましたものを三省庁一緒にやると。

 あるいは、電子政府というのがIT革命の大きな課題でございますけれども、これも国だけでやるのではなくて、国、地方一体でやる。電子政府と電子自治体をそれぞれやるのではなくて、つながってやる。いわゆる中央政府も地方政府も、自治体のことを仮に地方政府と言わせていただくと、全部まとまった電子政府をつくっていく。こういうことで、この方の協議も今していただいております。

 そういう意味では、郵政省と自治省と総務庁が一緒になって国民に対するメリットが大きくなったな、こういうことにいたしたいと考えておりまして、委員の御指摘は全く同感でございます。ひとつよろしく御指導のほどをお願いいたします。

滝委員 今、大臣から政策の融合性というような考え方をお示しいただきました。私は、そういうものが、大臣がたびたび指摘されるようなことをこの評価法の中で取り組んでいただくということが、やはりこの際、成果を上げるための大事なことだろうというふうに考えておりますので、事務当局におかれましても、あるいは各省庁の評価される場合におかれましても、よろしく御配慮をいただきたいと思います。

 次に、この評価の体制の問題でございます。

 これは法律のずっと後の方の条文でございますけれども、二十九条に掲げられているわけでございます。法律の二十九条に、明確に位置づけられた評価部門を設ける、こういうことが各省の課題、義務として実はあるわけでございます。これは、そういう具体的な組織がなければ各省庁がおやりになる評価が進まないということは明らかでございますから、むしろ当然とも言える条文だろうと思うんでございます。

 しかし、総務省における評価は、担当所管省でございますから当然、当たり前というふうに思われているわけでございますけれども、今まで評価になじみのない省庁になりますと、組織は設けたけれども省の雰囲気としてなかなか動きがたいという面があったように思います。例えば公共事業でございますとかODAあるいは研究開発、そういうように今まで多少なりとも事前評価という観点からおやりになってきた省は、それはなじみがございます。しかし、それ以外のところは、今回、この一月から既に始まっているわけでございますけれども、なかなかなじみがない。

 そういう意味で、今、各省の中では当然担当課の方は大体位置づけられております。大体各省庁の中で、官房に行政評価担当課長という位置づけられた課長職を指名しているわけでございますけれども、私は、この評価が円滑に、しかも各省庁の中でそれなりの評価を得て遂行されるためには、だれか旗振り役がきちんとしていなければぐあい悪いんじゃなかろうかな、こういうふうに思います。法律の目的も、国民的視点に立って行う、こういうことでもございます。

 そこで、私は、その旗振り役はだれがいいかといえば、国民的視点というふうなことから考えますと、政治と行政との接点に当たる各省の大臣政務官あたりがやはり責任を持ってこの旗振り役として位置づけられてしかるべきではなかろうかな、こういう感じがございます。これも口で言っていてもなかなか明確にならないものですから、この際、そういう観点で総務省がひとつ各省に呼びかけをする、そして、もう少しきちんとしたことを総務省として明らかにしていくということがあってよろしいんじゃなかろうかと思いますけれども、この点についての姿勢、考え方をお聞かせいただきたいと存じます。

新藤大臣政務官 大変実務に通じていらっしゃる滝委員のまことにごもっともな御指摘だ、このように思っております。そして、ただいま片山大臣からもお話がございましたように、この政策評価、中央省庁改革の目玉の一つと私どもも大きく期待をしているところでございまして、この実効性が上げられるかどうかは、これにいかに政策を融合させるか、それから実務においてもいろいろな人たちの意見が融合できるようにしていく、そういう工夫が必要だろう。

 まさに御指摘のように、我々政務官というのは、国民の代表として選ばれた議会の立場もありますし、また一国民の立場もやはり忘れてはいけない、そして、それに行政のお役をいただいているということでございますから、これはぜひとも、私ども政務官としても実務の中に入っていきたい、このように思っております。そして、それはまずは総務省から範を示す必要があると思いますし、既に前任の大臣政務官会議でもお話が出ておるようでございますが、全省庁の大臣政務官会議というのがございますから、ここで提案をして、そして実際の評価をする作業チームに政務官が入っていけるように全省庁の各政務官に私どもの方からもお願いをしていきたい、このように思っております。

滝委員 これはやはり総務省が音頭をとっていただかないとなかなかきちんとした位置づけが進まないと思いますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、評価の観点ということで、先ほど申しましたように、法案の三条に三項目がございますし、それから、ことしの一月十五日に定められた評価実施に当たっての標準的なガイドラインの中でも、三点に加えて公平性あるいは優先性というような二つの観点が加えられております。そして、その観点には、大なり小なり一般的な基準と称されるものが少し付加的に説明されているわけでございますけれども、こういった観点というのはそのときそのとき、時代の流れによって多少変わっていくような要素もある。

 そういう中で、全省庁がそういうような観点あるいはそれに基づくガイドラインの一般的基準というものに従って評価をしていくには、もう少し何か具体的な尺度と申しますか、考え方の基礎となるようなものをつけ加えていきませんと、なかなか具体的な評価が動きにくいんじゃなかろうかなという感じがあるんでございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

塚本政府参考人 委員御指摘のように、政策評価につきましては、今御指摘の一般的な観点と一般基準を示しております。この点につきまして、政策評価の具体的実施の中でさらに深めたものが必要ではないかという御指摘でございます。

 個別具体の対象にこういうものをどういうふうに適用するかという点につきましては、本当に一律の尺度ができるのかどうか、この点についてはやや検討を要するかと思いますけれども、いずれにいたしましても、やはり時間の経過あるいは社会経済情勢の変化というものに対応した形で、各府省における評価でこれを十分に深めてもらうということが必要でございますし、私ども総務省といたしましても、制度を推進する立場から、そこを十分見守り、必要な御意見等も申し上げていく、こういうことではないかと考えております。

滝委員 やはり、とにかく始まったばかりですから、実績の積み上げというのはそれほど多くはないんですよね。ODAとか研究開発あるいは公共事業、そういうような事前評価を多少なりともやってきた段階で経験があるという程度でございますから、各省がこれはという項目について評価をするというのはやはり積み重ねが必要だと思います。この点については、総務省の評価局が精力的に事例を積み重ねて整理をしていただくという作業がどうしても必要だろうと思いますので、よろしく御努力をいただきたいと思います。

 そして、法律以外にガイドラインで示された項目の中で、例えば公平性とか優先性という項目が観点という格好で示されておりますけれども、私は、これは大変すばらしい項目、観点が示されたというふうに思うんです。

 例えば、公平性ということを考えてまいりますと、これは考え方によっては国が行う事務事業の整理の大きなてこになるんじゃなかろうかなというふうに考えられます。というのは、従来、割と安易に、各省の事業の中でモデル事業とかパイロット事業とか、要するに、地方から見るとある意味ではおせっかいみたいな事業が多いわけですよね。

 それは、行政を誘導する、リードしていく、そういうためには何らかの方策を示す必要があるということでモデル事業とかパイロット事業がある、そういう時代がずっと続いたわけでございますけれども、考えてみれば、これは、そういう事業がある、補助金がつく、手を挙げてみても補助金の限界があるからあなたはだめよ、あなたはまた顔を洗って出直していらっしゃいみたいなことですよね。何年たって、何年先にそれが順番が回ってくるかわからないという事業がかなりある。たまたま幸いに指名された地域、指名された事業者は大変メリットを受ける、しかし、指をくわえて待っている人たちは大変ハンディが大きくなる、こういうような事例があるわけでございます。

 そういうものについて、いいとか悪いとか、そこで改めて公平性の観点から議論してもらうということは少なくとも必要じゃなかろうかな。それから優先性、なぜそういうパイロット事業、モデル事業が必要なのかという優先性を改めて議論してもらうという場面が必要じゃなかろうかな、こういう感じがあるわけでございまして、私は、そういう意味でも、中央省庁の中での大きな意識改革、事務事業を組み立てる際の意識改革に大きなてこになるように思うんでございますけれども、この辺についての総務省のお考え方をお聞かせいただきたいと思うんです。

遠藤(和)副大臣 滝先生におかれましては、この画期的な法律の作成に当たりまして本当に多大な御尽力をいただいたことを心から感謝したいと思います。

 私、画期的と申しますのは、日本の国の今までの長い行政制度の中で、みずからが行っている行政の政策について、自分でそれを評価し、それを国民の前に公表して、その結果、国民から行政自体を評価される、こういうことを法律で義務づけるということはまさに画期的なことだと思うわけでございます。

 ただいま公平性ということについて特段のお話があったわけでございますが、この法律の施行に当たりましては、政策評価を計画的に、かつ着実に進展を図るために、政策評価の基本的事項につきまして、政府全体として基本方針を閣議決定するという仕組みになっております。

 その際に、必要性とか効率性とか有効性、それから、ただいまお話がありました公平性だとか優先性といった政策評価の観点についても基本的な事項といたしましてきちっと盛り込む、このようにいたしておりまして、総務省としては、その公平性というものはいかなるものであるかということは、政策評価・独立行政法人評価委員会におきましてしっかり議論をしていただきまして、明確に書き込めるようにいたしたい、このように考えているところでございます。

滝委員 ありがとうございました。

 政策評価・独立行政法人の委員会で議論をされていく、こういうような考え方でございます。ここら辺のところはやはり専門家を交えての議論が当然必要だと思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 次に、この評価の結果、成果を具体的な政策に反映させていく、こういうことが当然問題になるわけでございますけれども、この法案の四条では、予算との兼ね合いの問題で、成果を予算に反映させるように努力するという趣旨の条文が設けられているわけでございます。もともと、義務化すべきではなかろうかとかいろいろ議論があった中でございますけれども、技術的な問題もこれあり、あるいはまた、評価としての考え方の問題もあって努力目標ということになっているわけでございます。

 問題は、ことしの一月から始まったわけでございますので、来年度、平成十四年度の予算にできるならば少しでも反映させるようなスケジュールがあってもいいんじゃなかろうかなという感じがあるわけでございます。なかなか一遍にはいかないような問題だと思いますけれども、その辺の予算への反映のスケジュールというものをどうお考えになっているのかをお聞かせいただきたいと思います。

新藤大臣政務官 御承知だと思いますが、既に一月に、法施行前でございますが、この制度を導入するということに伴いまして、ガイドラインを策定し、そして、今度はそれに基づく運営の方針というものを各省ごとにつくっていただいているわけなんでございます。

 今回提出しております法律におきましては、三条において、各省が政策評価を当該政策に適切に反映させなければならないということで、省ごとの政策評価を予算に反映させるように、こういう規定を設けております。そして、政府予算全体を作業する部分においては、四条において、これは適切な活用を図るように努めるということでございます。

 したがいまして、十四年度から、特に、予算を編成するに当たって、ODAであるとか長期的な影響を及ぼすようなものについては当然のごとく事前評価も含めてやっていっていただきたい、このように思っておりますし、何よりも、各省が政策評価のための運営の方針というものをきちんと定めて、やることは決まっているんですから、これは一日も早くこの政策評価を基礎にした政策運営、そして予算編成をできるように我々も見守っていきたいし、また働きかけてまいりたい、このように思っております。

滝委員 時間が参りましたけれども、最後に総括的に御意見を承りたいと思うのでございます。

 今のお話の政策評価の委員会が、これは総務大臣の諮問機関という格好でしょうか、既に稼働しているわけでございます。

 そこで、今も副大臣あるいは政務官からも御答弁いただきましたように、各種の問題をこの委員会で御議論していただいているようでございますけれども、やはりタイミングの問題が一つあると思うんです。

 例えば、来年度、平成十四年度の予算編成へどう反映させるかということで、私はこの評価委員会で二段階に分けて議論をしていると思うんですね。今、六月、七月の概算要求を取りまとめるに当たって、評価委員会としてどういうふうに議論をしているのか。各省がどう取り組んでいるかということをまず議論しよう。それから今度は、実際に予算要求を受けて、査定する段階でどうするのか、どういう動きをするのかという意味で、もう一遍評価委員会で議論をするというような段取りをお考えになっていると思うのでございますけれども、少なくとも、議論するだけではなくて、それが、評価委員会の一つのプログラムが各省庁に徹底するように、そういうような姿勢を、この際予算編成当局あるいは各省庁にやはり早目にお示しをしていただく必要があるんじゃなかろうかというのが第一点です。

 それからもう一つは、これも今政務官がおっしゃったように、事前評価に関連いたしまして、事前評価ですから当然来年度の予算には間違いなく評価を反映させなければいけませんけれども、どういう項目が事前評価の対象になるかというのは、これは政令で定めることになっているわけですね。その辺のところの評価委員会の作業も、やはりそれに間に合うように十分時間をとって決めていただく必要があろうと思いますので、その辺のところのプログラムを最後に明らかにしていただきたいと思います。

塚本政府参考人 委員会の運営に関することでございます。御答弁させていただきます。

 御指摘のとおり、委員会におきましても、御指摘のような機能というものについて、十全な準備を図った上でこれを進めていく必要があるということでございます。ただいま各府省の状況についてヒアリングをいたしております。こうしたものも、御指摘のようなタイミングというものを踏まえた各省庁の動きを推進していただくということの一つの機能と考えております。

 また、政令の問題でございます。これも当然のことでございまして、法律上は政令で定める委員会の諮問でございますが、具体的にはこの委員会でございますので、この法律案を成立いただきました暁には、当然それに間に合うように、委員会の審議についても推進をしていただくようにお願いしてまいりたい、こう考えております。

滝委員 以上、私なりに、この際明らかにしておいた方がいいんじゃなかろうかなという幾つかの点について御答弁をいただきました。

 もともと、これは中央省庁の改革という大きな中で確立されたシステムをつくろう、こういうことでございますけれども、そのもとをたどれば、今から四年ほど前に、決算行政のあり方について衆議院、参議院でそれぞれどうするかという中で出てきた問題でもございます。その際には、アメリカのGAOに倣って、そういうような特別な組織をつくったらいいじゃないかとか、イギリスのNAOだとか、自己評価がどうだというような、いろいろな問題の中で出てきた問題でございますけれども、そういうことを整理して、こういう格好で出てくるということの意味は大変大きいと思います。

 ぜひ、この行政評価法を所管される総務省におかれましては、今までの議論を踏まえて、ひとつ十分にこの成果が上がりますことを心から御期待を申し上げまして、多少時間が余っているようでございますけれども、これで私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

御法川委員長 次回は、来る七日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十九分散会




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