衆議院

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第23号 平成13年6月19日(火曜日)

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平成十三年六月十九日(火曜日)

    午後一時二十分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    坂井 隆憲君

      新藤 義孝君    滝   実君

      谷  洋一君    野中 広務君

      林 省之介君    平井 卓也君

      宮路 和明君    山本 公一君

     吉田六左エ門君    伊藤 忠治君

      大出  彰君    大島  敦君

      玄葉光一郎君    今野  東君

      武正 公一君    中川 正春君

      中村 哲治君    松崎 公昭君

      山井 和則君    山村  健君

      高木 陽介君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (総務省郵政企画管理局長

   )            松井  浩君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局

   経済取引局長)      鈴木 孝之君

   政府参考人

   (郵政事業庁長官)    足立盛二郎君

   政府参考人

   (社会保険庁次長)    小島比登志君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  山本 公一君     林 省之介君

  松崎 公昭君     中川 正春君

  松原  仁君     大島  敦君

  山井 和則君     今野  東君

同日

 辞任         補欠選任

  林 省之介君     山本 公一君

  大島  敦君     松原  仁君

  今野  東君     山井 和則君

  中川 正春君     松崎 公昭君

    ―――――――――――――

六月十八日

 情報格差是正に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第二九三一号)

 離島航空路線に係る地方公共団体の財政負担に対する特別交付税の拡充に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第二九三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 郵便振替法及び簡易郵便局法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)(参議院送付)

 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、郵便振替法及び簡易郵便局法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省郵政企画管理局長松井浩君、公正取引委員会事務総局経済取引局長鈴木孝之君、郵政事業庁長官足立盛二郎君及び社会保険庁次長小島比登志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。

松崎委員 民主党の松崎公昭でございます。

 郵便振替法、簡易郵便局法の改正案に関しましてまず御質問をいたします。

 六年前にATMのサービスが始まったようでありますけれども、六年じゃありませんね、六年間かかって導入された。大変、最初は抵抗がいろいろあったというふうには聞いております。これは民間と郵便局を結んだわけでありますが、どちらにというのはなかなか難しいんでありますけれども、結果としてメリットはどちらにあったのか、あるいはどんな結果を生んだのか、まず、お答えを願いたいと思います。

足立政府参考人 お答えを申し上げます。

 CD、ATMというものが郵便局の普通局、特定局を中心にほぼ行き渡りましたのが平成四年ぐらいになるわけでありますが、それから、その後、民間との接続という形になりまして、現在では二千三十七の金融機関と接続をいたしておるところでございます。

 この接続をした結果、郵便局と民間金融機関、どちらが有利になったのかということでありますが、これは、お互いに設備投資というものをしないでお客様のアクセスするATMがふえるということでありますので、お互いにメリットがあるというふうに考えております。設備投資の節約、そしてお客様の利便性の向上という二つの観点から、国民経済的にも大変メリットがあることではないかと思います。

 具体的に、利用がどちらがどのような状況かということでありますが、サービスを開始いたしましてから現在まで、平成十一年一月以降でございますが、郵便局のATMを利用いたしまして民間の方が利用された件数が約三千五百万件でございます。一方、民間のATMを郵便局のカードをお持ちの方が利用された件数が三千四百万件でございまして、ほぼフィフティー・フィフティーというような利用になっておるところでございます。

松崎委員 確かに利便性は上がったということでよろしいと思うんですね。今回の振替法の法案は、お金のやりとりの時間的なロスをなくして危険性の回避、解消をしよう、これはこれでよろしいと思うんですが、去年の十二月に経団連のシンクタンクの21世紀政策研究所、田中直毅さんが理事長ですから、方向性は大体出ていると思いますけれども、ここにかなり具体的なことで、民間と郵便局を結ぶことによってどうなんだろうかという懸念が出ております。つまり、公正競争の阻害をしている。例えば、印紙税にしたって非課税でありますし、もちろん、各種の税金は納めていない、それから、振替口座は限度がない、これは恐らくペイオフのときにも限度がないということで保証されるんじゃないかと思いますね。

 これは、あくまで郵便局は行政機関なんですね。その行政機関が、民間の企業のいろいろな販売をやりますね。金融関係の販売もやったり、振替口座を使いながら、あるいは郵便局の貯金口座を使いながら郵便局で民間のいろいろな販売ができる、こういうことは、ある意味では、公の行政の機関でやっているということは、その業務を介して民間への補助金の供与にもなるんじゃないか、こういう指摘もしております。ですから、条件の違いを放置したまま郵便局と民間の決済のシステムをつなぐ、これは将来、特にペイオフに向かって、法人を含めた決済の郵便局への依存が非常に高まるんではないかというのが、このシンクタンクの主張なんですよね。

 こういう見方も、民営化論が今、渦巻いていますから、特にその中での発言ではありますが、同時に、郵政事業そのもの、郵便事業そのものがいろいろな目で、今さまざまな懇談会やら研究会で提言をされている。そういう中で、国民みんながそういうことに気がついてきた。便利であるということは確かだ、しかし、よくよく奥を見てみたらそういう危険があるんじゃないかということが指摘されているわけですけれども、こういう見方に対しては、大臣はどういう思いでいらっしゃいますか。

片山国務大臣 今、松崎委員からお話がありましたが、今回の改正は経営形態論には我々は中立だと思っておりまして、あくまでも郵便振替業務そのものの電子化、効率化を図るということと、今お話しのように、振替サービスを利用している民間金融機関の業務の効率化もあわせて図る、こういうことでございまして、これは経営形態論には中立でございますので、いろいろな見方があると思いますけれども、そういうつもりで提案させていただいた次第であります。

松崎委員 これは法案の少し横出しでやったわけですから、本質論としてはいずれ、きちんとやる時期が幾らでも来ると思いますけれども、こういう提案を、ATMの便利さはあるけれども、その奥にはさまざまな本質論につながる問題があるんではないか、それをひとつ御承知おきいただきたいと思います。

 同じ法案の中で、年金の問題がかかわっております。国民年金が、来年でしょうか、四月から収納事務が市町村から社会保険庁に移るんだ、そういう内容を含めた法案でございますが、この際、年金そのものが、特に国民年金は非常に今、危機の状況になっている、そこでの一括法の関係で法律が変わったものですから、こうなったと。いまだにきっと議論はいろいろあると思うんですね。地方の事務官だった者が国へ召し上げられたということによってこういうことにもなったのかもしれませんが、ここから出てくる問題が、実は非常に国民年金の収納が悪いんではないか。現在も七四・五ということですね。

 本当に社会保険庁は、数が少ないんですよね。たしか五千でしたかね。今、市町村で一万一千六百七十五人従事している、そこへプラスアルファで、非常勤でよく、年金のお金が集まらないから、特別の徴収とか説得要員で、これは何人いるかわかりません。各地区で相当いると思うんですね。ところが、社会保険事務所は全体で一万六千四百六十七、しかし、そのうちの国民年金の事務が五千五百十六ということなんですね。

 ですから、今までの年金にかかわっていた市町村の半分以下というのが実態で、来年の四月からこの事務を、窓口はまだ残るわけですけれども、特に徴収が、こういう人数が少ないところで果たして今の七四・五維持か、あるいはこれを向上なんということができるのでしょうか。そういう心配を大変しておりまして、これは国民みんなが心配していることであります。

 あるいは、年金制度そのものの根幹に関係をすることでありますので、この辺、本当にやり切れるのかどうか、それから、来年度からそれに対する方策を特に考えているのかどうか、社会保険庁の方にお聞きをいたしたいと思います。

小島政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、平成十四年四月から国民年金保険料の徴収が社会保険庁に移るということでございまして、現在その準備を鋭意進めているわけでございます。

 御指摘がございましたように、一万一千人余りの職員の方が今、市町村で国民年金事務に従事していただいているわけですが、その事務は法定受託事務ということで一部は残ります。それからまた、印紙売りさばき事務というのが今あるわけですが、これは廃止されますので、この事務は市町村におきましても、国におきましても廃止をされるということでございます。

 それにしましても、保険料の徴収その他市町村でやっている事務を社会保険庁に移管するに当たりまして、相当な業務量が生ずるわけでございますが、それにつきましては、極力、事務処理の共同化あるいは外部業者への業務委託ということで人員の削減、効率化を図って、収納事務の効率化を図りたいというふうに思っているわけでございます。

 それから、収納率が下がるのではないかという御苦言でございますが、私どもといたしましては、一層国民年金の保険料の納めやすい環境づくりを図るという観点から、口座振替の推進とか促進をやってきたわけですが、来年の四月からかなり環境が変わります。

 今までは市町村で金融機関あるいは郵便局の取扱機関としての指定を行ってきたわけですが、必ずしも全部の銀行、郵便局が指定されてきたわけではございませんでした。しかし、来年から国の直接の扱いということでございますので、すべての日銀歳入代理店のほか、農協、漁協、信用組合、労働金庫、できる限り広く納付受託機関に指定してまいりますし、また、本日御審議いただいております法律案によりまして、すべての郵便局で国民年金保険料の自動振替ができるようになります。

 それからまた、今までは、簡易郵便局は国民年金を取り扱っておりませんでした。これが、四千五百三十九カ所余りあると聞いておりますが、そこで国民年金の納付ができるようになるということでかなり納付しやすい、環境としては改善をされるのではないかというふうに考えております。それに対応して、口座振替を行っていない人全員に対しまして、定期的に口座振替の申込用紙を送付して促進を図るとともに、未納者に対しましては、年六回催告状を送付する、そのほか電話による納付督励などを実施しまして、収納率の維持向上に努めてまいりたいと考えているわけでございます。

 以上でございます。

松崎委員 極めてお役人の答弁でございますね。

 収納していない人は、今も現状を見ていますか。市の担当の特別の方々は、私も一度テレビで見ましたけれども、夜討ち朝駆けで、日曜日でも土曜日でも夜、行ったりしている。そうやって無理やりいただくか、あるいは説得して、なぜ年金が大事か、そういうことまでやっているのですね。それを、お聞きすると、年六回督促状を出したり、それから電話でやる、振り込み先がたくさんふえたから、そんなもので上がるわけがない、どんどん下がる一方ではないかと。

 地方の担当者に聞くと、ちゃんと行く、やはり行って、払ってくれる。本当は、自分のためなんですから払わなきゃいけませんよ。一番最初にやるのは、年金の重要さを説得しなきゃいけないのですけれども、現実はそうじゃない。これだけ年金が危ない危ないと言われていますと、特に国民年金の場合は、決して安くありませんね、一万三千三百円というのは、四人ももしいたら、大変な金額になりますよね。

 そういうことで、抜本的に年金の問題はやらなきゃならないのですけれども、少なくとも今、維持している七四・五というのを下げてはいけないだろう。それには、これでは、申しわけないけれども、お役人さんのお答えですねということしか言えない。

 そこで、途中で社会保険庁は、何か地方に何とか協力してくれというようなことを申し込んだ。しかし、それをどこから聞きつけたか、分権推進委員会が社会保険庁に、五月十四日に呼び出してほとんど撤回させてしまったということなんです。法律が一括法で変わったのですけれども、どんなことを地方に再度お願いをしようとしたのか。

 それから、総務省の方も、そういう内容を社会保険庁から聞いていらっしゃるのかどうか、そしてどういう結末を出したのか、お答えいただきたいと思います。

小島政府参考人 お答えいたします。

 国民年金事務の市町村との協力連携につきましては、住民の福祉サービスの確保といった観点から、市町村の自主的判断のもとに御協力いただくということで、幾つかの協力連携策を提案してまいりました。

 具体的には、国民年金の加入年齢であります二十到達者の届け出の勧奨をお願いできないか。それから、社会保険庁が今度は徴収責任者になりますので、納付書を各住民の方に発行する、その未着返戻分に係る、住所不定等の分があるわけでございますが、それに係る調査をお願いできないか。納付組織の管理をお願いできないか。あるいはまた、市町村の国民健康保険の徴収員の方に、国民年金の納付督励といったこともあわせてお願いできないか。市町村の公金とあわせて、国民年金を徴収します集合徴収というものを実施できないか。あるいはまた、資格取得時における納付督励、口座振替、前納の促進、あるいは市町村で行われる広報紙への掲載、年金制度の周知に関する相談業務といったところを御提案申し上げたわけでございます。

 地方分権推進委員会と調整を行った結果、いわゆる納付督励につきましては、個別の債権に着目した納付督励は地方分権の趣旨から認められない、また、納付組織の管理についても困難であろうということでございます。また、適用促進や未着返戻分の調査につきましても、市町村に負担がかからない方法で、例えば二十到達者や住所変更についての情報の提供を社会保険庁が受けるという形であれば、地方分権の趣旨に反しないものとして協力をお願いできるということになったわけでございます。

 その他の資格取得時の納付督励や広報業務については、私どもの提案どおり御協力をお願いすることができたというふうに考えております。

 以上でございます。

山名大臣政務官 今、議員のお話にございましたように、国民年金に関する事務が地方自治体から社会保険庁に移管となる、これについて社会保険庁からるる各市町村に協力要請があったということでございまして、そういうお話は総務省といたしましても、社会保険庁を通じてお聞きをいたしております。

 それについて、各公共団体に対して総務省として通達を出すなりそういったことはいたしておりませんで、そういう内容等につきましては、当然、所管の庁である社会保険庁から各地方公共団体にその旨の趣旨のお話があることが筋ではないか、このように考えているところでございます。

松崎委員 ほとんど分権推進委員会経由で断られたということなんですね。

 役所の持ち分それから法体系の中で、分権推進一括法、地方は地方のことということでやったのですけれども、どうもこの辺は何か、法律ができたのですけれども、すっきりしないなと。現実に困るのは末端の一般の国民なんですね。ですから、この辺、両庁が協力すべきところはしながら、せっかくつくった法律をルーズにしてはいけませんけれども、国民の側に立った場合に工夫をしなきゃいけないので、これは両省がしっかり相談をしながら自治体に指示をお願いしたい。

 自治体は、来年度から変わるとなると、人数が一万一千人も抱えていて、人数を変えるわけですね、そうすると、今ごろちょうど定数配分をやっているのですね、つまり、夏ぐらいに次の職員を募集しますから、募集をするには事務の配分をどうするか、そうすると、来年の保険業務の人員をどうするかということを今やっている。ですから、保険庁からそういうお話が出て、推進委員会から待ったがかかった、そのままになっていますから、果たしてどのくらいの業務がまた来るのかどうなのかということを現場は心配しているのですね。ですから、そういう現実論にも影響しますから、ぜひしっかりお願いしたいと思います。これは専門の委員会でまたしっかりやっていただきたいと思います。

 次に、郵政事業の民間への問題は、もうたくさんの委員会等で、またマスコミそして諮問会議でも、今回、素案の中にも、民営化問題を含めた具体的な検討ということではっきりと明確に打ち出されました。もちろん、懇談会も始まっているわけでありますけれども、ここに一つ取り上げてみたいのは、公正取引委員会の政府規制等と競争政策に関する研究会報告書というのが昨年の十一月三十日に出ております。これは、中央省庁再編の三十三条の六の「見直しは行わない」という法律ができて、小泉政権ができる前なんですけれども、昨年の十一月に公取が研究会をつくって報告書を出した、ここにいろいろな意味があるだろう。公平な競争という公取の本来的な使命のレベルから物を見て、いろいろな社会的な情勢の中からこの研究会がつくられ、そして、報告書が出されたのではないかと思います。

 公取の政策の提言の部分になろうかと思いますけれども、この研究会の検討はどういう時代認識の上で、先ほど言いましたように、法律では、中央省庁再編の三十三条の六では「見直しは行わない」と言っている段階で、もちろん、この中には民間の一部参入ということがあったと思いますけれども、そういう背景を含めてこの研究会がつくられたとは思いますけれども、どういう視点を中心にこの研究会では検討されたのか、公取の方にお願いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会では、郵便法上の信書の解釈に関連して、当時、種々の問題が生じていることや、それから郵便事業を取り巻く最近の動きといたしまして、例えば、諸外国においても、郵便事業における競争の導入等の制度改革が行われていること、それから、郵便小包の分野において、民間の宅配便事業者との競争が一層進展していること、さらに、ただいま御指摘いただきましたように、中央省庁等改革基本法において、郵便事業について、二〇〇三年、平成十五年から国営の公社に移行し、政府として、郵便事業への民間参入について、具体的条件の検討に入るものとされておりました。

 したがいまして、私どもといたしまして、研究会を開催し、郵便事業への競争の導入のあり方について、競争政策の観点から検討を行ったものでございます。

松崎委員 はい、わかりました。

 それで、その内容に少し入っていきたいと思うんですけれども、その競争状況と問題点というのはどんなふうにこの中では指摘されているのでしょうか。

鈴木政府参考人 この研究会報告書におきましては、郵便事業における競争状況と問題点ということで、まず競争状況につきましては、郵便小包及び宅配便を含みます小型物品輸送市場においては、宅配便事業者の創意工夫による新たなサービスの開拓や、料金競争が行われ、また、郵便事業体もこのような宅配便事業者の動きを受けてサービス改善に努める等の動きが見られ、これらが一体となって、競争の活発化による利用者利便の向上がもたらされている。

 さらに、問題点につきましては、宅配便事業者と郵便事業体との競争の一層の進展に伴い、先ほど申し上げました郵便法上の信書の範囲が不明確なことに起因して、宅配便事業者の円滑な事業活動の展開が阻害されているとの問題が生じていると指摘したところでございます。

松崎委員 たびたび、こういう議論の中では、信書の範囲ということで、平成十年には例の地域振興券の騒ぎを起こした、ヤマトが公取へも申告をした、そういう問題を起こしているのですね。我々も、素人ですけれども、確かに小切手とか株券は信書ではなくて、クレジットカードやら地域振興券が信書だというのはなかなかわかりづらい、DMは大口ですから信書だと、そんなふうなことで、今後、この辺のことは本当にしっかりと議論をしなきゃいけない問題を公取では指摘している、そんなふうに思います。

 次に、競争を導入していこうということなんですが、それに対してはこの委員会では基本的にどんな考え方を示されたのでしょうか。

鈴木政府参考人 競争政策の観点から、現在、国の独占とされている信書の送達を原則として全面自由化し、郵便事業体と民間事業者との競争を促進していくべきであると考えられると、この報告書では指摘をさせていただいたところでございます。

 しかしながら、例えば、郵便事業体がこれまでの独占体制から競争の導入に適応していくための準備期間が必要と考えられること、それから、ユニバーサルサービスを民間事業者にゆだねたとしても支障がないとのコンセンサスが、現時点では必ずしも得られていないこと、さらに、ユニバーサルサービスの内容として、全国均一料金制ということが前提となるか否かについて、今後、さらに検討する必要があるということで、原則全面自由化を前提とするものの、段階的に競争を導入していくとともに、全面自由化までの過渡期においては、引き続き、郵便事業体がユニバーサルサービスを提供していくことが適当であると考えられるとしたところでございます。

松崎委員 この公取さんの研究会報告は、今お話しになりましたように、原則全面自由化である、しかし、段階的に競争導入はすべきである、明確に全面自由化ということをおっしゃっております。

 同じように、昨年、十二月四日に、総務省がユニバーサルサービスのあり方の研究会もされましたね。ここでは明確に逆なんですね。今までの政府の方針どおりユニバーサルサービスは確保して、公社は独占をほぼ続けて、部分自由化のみ、これは多分重量なんでしょう、そういうことを強くうたわれている。ここで、総務省と立場は若干違いますけれども、公取も総務省の中にあるということで、これはなかなかおもしろい議論だなと思っております。

 確かに、今まで独占の理由としておりましたユニバーサルサービスの確保にしても、これはやり方によれば民間業者はできますよと、ヤマトは三十万九千、日通は二十一万四千、こういう取次店があって、これは田中直毅さんが先ほどの研究会でも、民間でもきちっと法律でうたってやればできることである、また民間同士が提携してもできることである、こういうことを言っております。そういうことで、ユニバーサルサービスの問題では、全面自由化という、この研究会の方向性というのは非常によかったのではないか。

 同時に、ここで多分問題になっていたと思いますけれども、通信の秘密、これも考えてみたら、具体的に法律を私は見ていませんけれども、電話にしても何にしても、もう民間がやっているのですね。ですから、これは通信の秘密をきちっと義務づければ問題がない。これもクリアされてしまう。そういうことで、全面自由化という皆さんの、公取のいわゆる競争を公正にさせるという立場からの見方からいくと、これはなかなかおもしろい指摘だな、そんなふうに思っております。

 さてそこで、これから改革基本法の公社化ということに入っていくわけでありますけれども、今後、公正取引委員会は、小泉政権もできたという、状況が変わっております。民営化を頭に考えながら、さらにいろいろな議論を進めていくよというところで、これは公正取引委員会の範囲じゃないかもしれませんけれども、経営主体全体が、さっきの議論でお話ししましたように、不公正な、国営であるということで、民間との競争の原理に合わないんだ。

 そういうところまでいきますと、今、研究会が指摘したような方向で自由競争、自由化しなさいよといったときに、経営主体の民営化まで本来は入っていかないと、公平な競争の社会をつくるという公取の立場からおかしいんじゃないかと思うんです。これは答えられるかどうかわかりませんけれども、公取が経営主体の自由化、民営化の方まで検討に入るのかどうか、お答え願います。

鈴木政府参考人 一般論として申し上げれば、これまで国営事業として営まれてきた事業分野に競争を導入する方法の一つとして民営化という選択肢も考えられていることと存じます。

 ただ、私ども、競争政策を所管する立場から申しますと、いずれにいたしましても、そういった事業分野に競争を導入する場合に、既存の事業体、これはかなり大きな独占的な事業体として存在するわけでございますが、それと、民間事業者との間の公正な競争条件を整備していくことが重要であると考えますので、そこを中心に経営形態がその後どうなるかも考えてまいりたいと思います。

松崎委員 なかなかお答えしにくいお立場だったようでちょっと歯切れが悪いんですけれども、今後もそういうことがあり得るかもしれませんけれども、ここまで一つの研究会として公取が御意見を述べられたということは、今後の民営化論に大変に大きな力を与えるのではないか、そんなふうに思います。

 さて、ここで総務省、大臣に、この公正取引委員会の報告書、さまざま言いました。信書の範囲が不明確だよ、その辺を宅配業者の活動を阻害しちゃっていますよ、それから、信書は原則全面自由化ですよ、しかし段階的にということ、ユニバーサルサービスも通信の秘密も、これは私の解釈をしましたが、問題ないですよ、そんなことで、そういう意見が出た、これに対してどのように受けとめられたか。

 それから、再三おっしゃる郵政公社化、原案がこの前新聞に出ました。もし原案をお持ちであれば、それも出していただきたいんですけれども、その公社化原案にこの公正取引委員会の報告書の中身を反映させるかどうか、ちょっとお答えしづらいかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。

片山国務大臣 今、松崎委員からお話がありましたが、公取が研究会の報告を出しまして、それから、当時の郵政省の方もユニバーサル確保の研究を出しまして、似ている点もかなりあるんですよ、似ている点もある。ただ、公取さんの方は全面自由化が原則で、しかし、ユニバーサルサービスは確保しなきゃいかぬ、したがって段階的である、それから、競争導入範囲の設定は定額基準と重量基準だ、それから、郵政省の方の研究会は、あくまでもユニバーサルサービスの確保が大原則だから、どうしても限定的になると。こういうあれであったと思いますけれども、私は、全面的でも限定的でもないと言っているんですよ。予断を持たずにどういうものがいいかということを検討して、その結果、結論を出したらどうだろうか。

 信書につきましては、従来の長い有権解釈や判例から見ますと、郵政省の解釈ももっともな点があるんですよ。ただ、国民から見て本当にわかりやすいかという点も確かにあります。それで、予算委員会等で私も答弁し、小泉総理も答弁したんですけれども、私は、伝統的な考え方は尊重しながらも、この際、公社化とあわせて郵便事業にも民間に入ってもらうんですから、もう一遍そこはしっかりと検討し直すということが必要だろう、こういうふうに思っております。

 それから、今、委員言われた、何か新聞に出ましたね、郵政公社の原案が。私も全く知らないんですよ、全く知らないんです。だから、これからよく聞いてみようと思いますが、なかなかよくできていると思いますよ。思いますけれども、もう少し、あれはたたき台の恐らくたたき台で、どなたかお答えになるかもしれませんが、ああいう考えも一つの根っこに据えながら、国民の目から見て国民の利益を最大にするという観点から郵政公社の制度設計をしていこう、こういうふうに思っておりますので、ぜひともそういう意味での御指導や御支援を賜りたい、こういうふうに思います。

松崎委員 スタートラインでしょうかね。会議も、郵政懇談会、それから財政諮問会議、それから夏にまた公社化の諮問機関をつくられるということですから、ここでスタートラインに立って、なぜ私はそれを言うかというと、郵政公社は再来年ですか、公社の法案は来年ですね。となると、今から公社が動き出して、その先が、やはり民営化の可能性があるのか全くないのかによって、公社の性格づけは大分違ってくるだろう。そうなると、もう法案をことしいっぱいぐらいにつくらないとおかしくなる。だから、今、物すごい勢いで質の深い検討をしていただきたいという要望でございます。

 さて、時間がなくなりまして、にぎやかですね、二、三日前に日経ビジネスに「郵政は民営化できる」なんて大変なものも出ました。ところで、ちょっと一点だけ、この前、大出さんが触れました郵便局の渡し切りの経費の問題なんです。

 実は、これはいろいろ問題点がセンセーショナルに書かれております。つまり、非常にわかりづらい経費、これは外務省、在外公館も入っていたということで、この前のキューバ大使のお金もそんなうちなのかななんということになっていますけれども、この非常に不明瞭な渡し切り経費に関して、この記事でも相当詳しく書かれております。

 要は、選挙が近いこともありまして、どうしても政治的にばかり扱うんですけれども、非常に百万票という物すごい数字の票をとる特定局長会ですか、これが、この渡し切り経費というのがまた一番大きいところで一千万を超す。平均で五百万、年間で約一千万近い、九百何十万ですか、こういうお金を、正直言いまして、監査をしていると言っていますけれども、この記事によりますと、監察局は二、三年に一回しか総合考査が入らない。

 そういうことで、内部的な局の監査はしているでしょうけれども、これは仙台のオンブズマンが調べたという数字がありましたが、非常に不明瞭な領収書がいっぱい出てくる。ラーメン屋だとかすし屋だとかいろいろな会合、しかも、この会合が非常に問題なんですね。郵政省の政策の勉強会をするといいながら、五時以降になると大樹会の政治の集会になる。当然、このお金はそういう不明瞭なところに使われているんではないかという疑惑が出てまいります。

 その辺で、局長は政治活動できないと言っておりますけれども、この記事によると、一万八千人が逮捕されるおそれがあるという恐ろしい記事にもなっておりまして、余りにも多過ぎて警察も手を出さない。実際、この内容を見てみますと、私もずっと昔は自民党におりましたから、特定局長さんとのおつき合いもあります。お願いをしました。しっかりと政治活動、選挙活動をやっていただいています。ここにもし渡し切り経費みたいなものが、この内容でいくと非常に危ないんですね、非常に不明瞭な、本当に渡し切りなんですね、家計簿みたいな通帳でつけていますから。

 この辺、一万八千八百人が逮捕されないように、政治活動に重々気をつけていただきたいと思いますが、この渡し切り経費との関係で、そういう不明瞭な点はあるかどうか、ないかどうか。これは大臣じゃなくていいんですか。

御法川委員長 時間がないから、短く。

足立政府参考人 渡し切り経費のことにつきましていろいろ御指摘をいただいたわけでありますが、これはあくまで、特定郵便局というものが極めて小規模な官署であると、例えば、局長一人職員一人の局が全国二千局あります。それから、局長一人職員二人というのが三千局といったような状況でございます。そういう小規模な局におきましては、一般のいわゆる会計支出に基づく契約書の立案とか、支出決議の文書を立案するとか、あるいは検査調書をつくるといったような、そういう一般的な手続を経ないで処理するということにされたものでございます。

 しかし、そういう簡便な支出の方法であるからといって誤解を与えるような不明朗なことがあってはいかぬということでありまして、現在、私どもの会計監査それから郵政監察局の総合考査、総合いたしまして年に一回は会計帳簿の監査に出かけるというようなことなどをいたしておるところでございます。さらに一層、そういうような光と影といいますか、簡便な手続というのはそれ自体意味があるわけでありますが、一方で、支出がルーズになってはいかぬといいますか、そういった問題の対処に当たっていきたいというふうに考えております。

松崎委員 時間ですから、今日は野中会長もいらっしゃいますので、全特の総会があったそうでありますけれども、そういうところでもこの高祖さんという候補者が来てやっている。これは完璧な政治活動でありますので、その辺の、逮捕者の出ないように、我々もこれから監視をさせていただきます。よろしく。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 先ほど、松崎委員さんからの質疑と重複するところもありますけれども、私も地方行政に携わった者として改めて質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。

 郵便振替法及び簡易郵便局法の改正案の目的は、第一に、郵便振替の加入者である金融機関による払い出しの特例を設けること、第二として、国民年金の保険料の収納に関し、郵便振替口座の預かり金を払い出してこれに充てる取り扱いを設けるとともに、簡易郵便局の窓口において現金で納付することができるようにすることであります。

 今回の法律案は、国民年金の保険料の納付に関係しておりますので、最初に、地域住民に密着した国民年金制度の基礎的な事項について少しお聞きいたしたいと思います。

 国民年金制度は、地方分権一括法により、これまで都道府県の機関委任事務とされていた事務は国の直接執行事務となりましたが、市町村の機関委任事務とされていた各種届け出の受理などの事務は、住民に密着したものであるということで、市町村の法定受託事務とされたところであります。実施に当たっては、さまざまな事情が考慮され、段階的に実施されることになっているようであります。

 その一つとして、現在、市町村が行っている保険料収納事務については、平成十四年四月からは国が直接収納を行うことになっております。

 国民年金の加入者は、現在、約二千百二十万人でありますが、社会保険庁が平成十一年末時点で調査した国民年金被保険者実態調査によりますと、保険料を二年以上滞納している人と制度に加入していない人の合計は、加入対象者の約一六%に当たる三百六十四万人で、平成八年末の前回調査より三十四万人もふえているのであります。

 この原因は、若い世代を中心に公的年金への不信感が高まっているほか、景気低迷の影響で保険料の負担感が重くなっていることであると言われております。また一方、地方の収納率は、納税貯蓄組合などで国民年金も扱うなどの工夫もあり、未納者が多い若者の構成の高い都市に比べて高いと聞いております。このような状況の中で、保険料収納事務が市町村から離れて、国の社会保険事務所に移ると、さらに状況が悪化するのではないかと懸念されるわけであります。

 そこで、初めに、ここ十年間の保険料の収納率は、どのように推移しているのでしょうか。また、収納率に関して、都市と地方の差異はあるのでしょうか。さらに、全国的に見てほかに特徴的な違いの傾向が何か見られるのでしょうか。そして、それらの原因は何であると考えられるか。あわせて社会保険庁にお伺いいたします。

小島政府参考人 お答えいたします。

 まず、国民年金保険料の収納状況でございますが、その指標であります検認率は、平成四年度をピークとして近年低下傾向を示しておりまして、平成十一年度において七四・五%ということでございました。ピークのときは平成四年度の八五・七%でございましたから、約一〇ポイントほど収納率として減少しているということでございます。

 なお、時効成立まで国民年金の保険料は二年間ございまして、過去の例により、最終的な収納率はこれより四ポイントほど高くなっているということでございます。

 さらに、収納状況を都市規模別に見てみますと、全国七四・五%でございますが、政令都市、二〇万以上の市の場合には六八・二%、その他の市の場合には七五・七%、町村部八六・四%、こういうようになっておりまして、やはり大都市の方が低くなっているということでございます。

 年令別に申し上げますと、先ほど御指摘がございましたように、総数の未納者の割合は一六%でございますが、これが二十から二十九歳に限りますと二四・四%に、一方で、五十歳代ということになりますと八・三%ということでございますので、やはり大都市部あるいは若年層というものがかなり未納率が高くなっているということでございます。

 これらの人たちは、やはり年金制度への関心が薄く、年金手帳等を送付しまして適用対策は講じているんでございますが、やはり保険料を納めるという意識が希薄な方も多くありまして、またさらに、昨今の厳しい経済環境のもとで、検認率が全国的に低くなっているものと考えているわけでございます。

黄川田委員 お話をいただきましたけれども、国民年金は、未加入者やあるいはまた免除者を加えると、対象者の約三分の一以上の方が保険料を負担していないというのが現状であります。

 そこで、保険料収納事務が国に移ることに伴って、収納を確保、向上するため、どのような対策をとられるのでしょうか。また、このような収納率の地域間格差等を是正するため、どのような対策を講じるつもりでしょうか。あわせてお伺いいたします。

小島政府参考人 一つは、先ほど申し上げましたように、さらに納めやすい環境づくりということでございまして、収納金融機関が広がりますので、それに対して口座振替を推進していくということでございます。

 さらに加えまして、都市部におきまして若年層を中心に非常に未納率が高いということでございますので、これらの方々に年金制度への理解を求めるとともに、ぜひ納入したいというふうな動機づけをできるような広報をさらに積極的にやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。

 特に若年層の方は、老齢年金ですと遠い未来のことというふうに思いがちでございますが、国民年金には障害年金も遺族年金もございます。この辺はまだまだPRが足りないのじゃないかと思いまして、この辺についても重点的な広報啓発をやってまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 お話を承りましたけれども、さまざまな対策を予定しているようであります。

 これまで市町村では、職員のほかに非常勤の専任徴収員というような職員も雇って、保険料の収納に努力しているところもあると聞いております。そこで、保険料収納事務が国に移ることに伴って、国としてはこのような事務処理体制面での対応は考えているのでしょうか。お伺いいたします。

小島政府参考人 市町村の専任徴収員ということでございますが、国に、社会保険庁への徴収の移転に伴いまして、市町村の職員としてはもうなかなかお願いすることはできないだろうというふうに考えております。そういった方たちにやっていただいていた業務を今後どうするかということにつきましては、さらに今後、最終的な事務処理の検討を今、進めておりまして、その必要性も含めてさらに検討してまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 検討のための検討では、収納率がどんどん下がっていくんじゃないかと本当に心配するわけであります。

 それから、もう一つ心配されることなんですけれども、今まで住民の皆さんは、年金についてわからないことがあれば身近な市町村の担当者に気軽に相談していたわけであります。市町村の国民年金事務の相当部分が国に移ることによりまして、市町村では住民からの相談に応じてもらえるわけでありますけれども、ちょっと遠くなったなという気がする方々も多くおられると思います。地方分権によって、かえって住民サービスが低下してしまうことがあってはならないと思いますけれども、国としてはどう考えておるのでしょうか。

小島政府参考人 分権一括法の施行に伴いまして、来年四月から事務が国に移るものもありますけれども、例えば第一号被保険者に係る届け出や第一号被保険者に係る期間のみの年金裁定につきましては、市町村が法定受託事務として受理をすることとされております。そういった観点から、市町村の住民の方々はやはり市町村に年金などの相談、制度の相談などをされる方、ケースが多々あろうかと思います。それにつきましては、私どもといたしましても、市町村におけるより精緻な住民福祉サービスの観点から対応をやっていただきたいというふうに考えておりまして、今後とも十分連携を図りながら、住民サービスが低下することのないよう対応してまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 重ねて申し上げますけれども、国へ事務移管されると、地道な督促が本当に難しくなると思っております。年金の空洞化が進むおそれを本当に強く感じております。年金は、老後の生活を支える大変重要な制度であります。事務が国へ移ることによって住民にかえって不便になったり、制度運営がうまくいかなくなったりということのないように、万全な対策を強く要望するわけであります。

 そしてまた、当委員会は国民年金のあり方を議論するところではありませんけれども、未納、未加入という負担逃れが横行している現実を見ますと、公的年金制度に対する基本的な認識がどこまで浸透しているか、甚だ疑問な点もございます。また、年金不信の根を探っていきますと、保険料の引き上げと給付の引き下げが繰り返された近年の年金制度の改定に突き当たるのではないかと思われます。

 年金、医療、介護など、基本的な社会保障、これのシステムを確立することは、本当に重要課題であります。我が自由党は、消費税を年金などの社会保障の基礎的分野にのみ当てはめて、安定した制度を確立していきたいと考えております。ここではそう述べておくにとどめておきたいと思います。

 それでは、ここで視点を変えまして、もう一点予備的なことを伺っておきたいと思います。

 郵便局は、平成十三年五月現在、普通郵便局が一千三百十二局、特定郵便局が一万八千九百二十一局、簡易郵便局が四千五百四十七局、合計で二万四千七百八十局あると伺っております。

 そこで、今回、法改正の対象になっている簡易郵便局とはどのようなものでしょうか。局舎や設備の所属、職員の身分、契約形態など、普通郵便局や特定郵便局と対比しまして具体的にどのような形なのでしょうか。総務省に御説明をいただきたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 郵政事業は、公共性の高いサービスを全国あまねく、公平に、しかも、安定的に提供する必要があるということで、特定郵便局を含む国の直轄の郵便局で営むことを原則としております。簡易郵便局はこの例外でございまして、山間、辺地、離島等の地域で直轄局を設置するということが著しく非効率となる場合、例外的に地方公共団体や個人、そういった方々に委託して簡易郵便局を設置しているところでございます。

 先生お尋ねの局舎につきましては、普通郵便局や特定郵便局が国有または国が所有者から借り入れるという形をとっておりますが、簡易郵便局の場合は、簡易郵便局法の規定に基づきまして、受託者が設けるという格好になっております。

 設備でございますが、普通郵便局や特定郵便局は当然、設備は国の方で用意しますが、簡易郵便局の場合は受託者が設置しているのが通常でございます。ただし、窓口端末機だとか日付印、こういったもののように簡易郵便局法の規定に基づきまして国が受託者に無償貸与しているものもございます。

 職員の身分でございますが、普通郵便局や特定郵便局は国家公務員でございます。簡易郵便局は職員ではございません。受託団体等の場合はその受託団体の職員という場合がございますが、そうでなければ個人でございまして、国家公務員ではございません。このため、兼業が可能でございまして、特に個人受託者におきましては、商工自営業等を兼業している者が多いという状況でございます。

 また、契約形態でございますが、これも郵政事業庁長官と受託者の間で郵政窓口事務を行う委託契約を締結しております。

 また、簡易郵便局のサービス内容でございますが、その性格上、簡易で基礎的なものに限定されておりまして、内容証明郵便だとか財形定額貯金だとかそういったものは取り扱わないことになっております。そういうことで、国庫金なんかも原則的にはやっておりません。それから、受託者の御都合で貯金とか保険の事務を全く取り扱わない、こういう簡易郵便局が約三割ございます。

 以上でございます。

黄川田委員 それでは、今回の法改正についてお伺いいたしたいと思います。

 平成十一年一月から、ATM提携など民間金融機関等と協力した郵便貯金のネットワークを活用したサービスが開始されておるところであります。例えば、ATM提携について見ますと、現在、二千三十七社と提携していると聞いております。このような状況の中で、提携サービスの実施に伴う資金決済について、提携先金融機関の負担を軽減するため、現在、郵便局との間で現金または小切手を授受して行っている資金決済を、日本銀行を通じて行えるようにするとのことであります。

 そこで、今回、法改正の目的の一つとして、郵便振替の加入者である金融機関による払い出しの特例を設けるとしておりますが、その具体的な内容はどのようなものでありましょうか。改めてお伺いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の払い出しの特例の具体的内容でございますが、ATM提携を行っております金融機関が提携サービスの資金決済に使用します郵便振替口座からの払い出しにつきまして、当該金融機関が日本銀行に保有しております預金口座へ振り込む方法によって払い渡すことができるということが一つでございます。

 それから、提携先の金融機関が日本銀行に保有しております預金口座への振り込みに係る資金でございますが、その資金の日本銀行への交付につきまして、国庫金を払い出して行うこととし、その方法については、総務大臣が財務大臣に協議して定める手続によるということで、この改正法規定を提案させていただいているところでございます。

 具体的に申しますと、国庫金の払い出し及び提携先金融機関が日本銀行に保有する預金口座への振り込みに関する事項を、日本銀行に対しデータ通信によって通知して行うことができるということにしようというものでございます。

黄川田委員 ATM提携サービス等の実施に係る資金決済が、今回の改正で今までより安全あるいは確実というような形になると思います。そしてまた、ATM提携サービス等の提携先金融機関は、そのすべてが日本銀行に当座預金を有しているわけではないと逆に聞いております。

 そこで、郵便振替の加入者である金融機関の払い出しの特例の対象となる金融機関はどれくらいあるのでしょうか。また、それらは全金融機関のどのくらいの割合を占めているのでしょうか。さらに、日本銀行に当座預金を有していない提携先金融機関との間の資金の決済はどうなるのでしょうか。あわせてお尋ねいたしたいと思います。

松井政府参考人 ATM提携を行っております金融機関の総数が、六月十一日現在で二千三十七金融機関でございます。これらの金融機関の内訳でございますが、日本銀行本店に当座預金口座を保有している金融機関が百ございます。それから、この百の金融機関を決済に当たる決済幹事金融機関とする金融機関が一千八百五十九機関ございます。それ以外で今回の払い出しの特例の対象とならない金融機関が七十八機関になります。

 したがいまして、今回の払い出しの特例の対象となる金融機関は合計で一千九百五十九機関でございまして、全提携先金融機関の九六・二%となっております。

 この払い出しの特例の対象とならない七十八金融機関は、これまでどおり現金または小切手を授受する方法によっていただくか、あるいは日本銀行本店に預金口座を保有している提携先金融機関に委託して資金決済を行っていただくということに、今回対象にならないところについてはそういうことになろうかと思っております。

黄川田委員 重ねて、このような資金決済について、これまで日本銀行を経由して電子的に行う方法によりできなかった理由は何でしょうか、お尋ねいたします。

小坂副大臣 これまで日本銀行を経由して電子的に行う方法によらなかったのは、会計法第四十九条において準用規定しております第十五条におきまして、国庫金の払い出しに当たっては、日本銀行を支払い人とする小切手を振り出さなければならない旨規定いたしておりまして、これまで郵便局と民間金融機関との間では、電子的な資金決済を行うことができなかったところでございます。

 しかしながら、近年のIT化の進展に伴いまして、二〇〇三年四月から国庫事務電子化を図ることが予定されておりますことから、その先駆けとして、今回のスキームによりまして資金決済を行うことについて関係機関の了解が得られ、本法案の提出に至ったところでございます。

黄川田委員 それでは、時間も間もなくでありますので、終わりに、これまでの提携サービスの資金決済に関する質疑を踏まえまして、郵便貯金のネットワークを活用した民間金融機関との提携の今後のあり方について、総務大臣の所信をお伺いいたします。

片山国務大臣 今るる御問答がありましたように、郵便局を通じて我々は国民に基本的な貯蓄サービスや送金決済サービスを提供する、こういう立場でございまして、したがって、このネットワークをできるだけ効率的に使ってもらうというのが我々の考えでございます。

 そういう意味で、民間金融機関とのネットワークの提携をやりまして、接続をやりまして、御承知のように、ATM提携サービス、デビットカードサービス、相互送金サービスを現在、提供いたしております。現在、いろいろ実験中でございますけれども、今後、ICカードサービスや郵貯インターネットホームサービス等においても、民間金融機関との連携の上に、安全で使い勝手のよい決済サービスの確立に向けて努力してまいりたい、こういうふうに考えております。よろしくお願いいたします。

黄川田委員 時間でありますので、これで終わります。

御法川委員長 次に、矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 提案されております法案は、郵便貯金事業で受け入れたお金が国庫金であるということによって、その決済方法を変更する場合に法律の改正が必要となるわけです。今回の改正はそのために必要な改正であります。我が党といたしましては、賛成するものであります。

 その国庫金にかかわる問題で、事業経費支出というところで渡し切り費というのがあるわけです。この渡し切り費は主として特定局の経費に使われてきているわけですが、この渡し切り費が国民の納得できる使い方がされているのかどうか、そのことで質問したいと思います。

 小泉首相も、民営化の根拠の一つに、特定郵便局長が自民党の集票マシンになっているということを言っております。自民党の問題が国民の財産である郵政事業の民営化を進める材料となっていることに対して、到底納得できるものではありません。

 そこで、全国特定郵便局長会、いわゆる全特と呼ばれておりますが、これは任意の団体ということですけれども、その組織構成というのは、郵政事業の正規の業務組織である特定郵便局長業務推進連絡会、略して特推連と呼んでおりますが、お配りいたしました資料の一ページをあけていただきますと、そこの左側が全特の組織、右側が特推連の組織であります。まさに同じ組織形態をとっている。実際に、全国会あるいは地方会、それに対応して全国連合会とかあるいは連合会、括弧の中はそれぞれの組織の郵便局数であります。

 こういうふうになっておりまして、さらに次の二ページを開いていただきます。そこにはそれぞれの組織の役員があります。全特の役員、それから上の方が特推連の役員であります。全く同一の人物になっていることがおわかりいただけると思います。つまり、任意組織である全特というのと郵便事業の正規の業務組織である特推連というのは、いわばコインの裏表と言われているわけです。こうした特推連の活動が郵便事業にふさわしい活動になっているのか、国民から見て何ら問題のないものなのかどうか、そのことが今、問われているわけです。

 そこで、特推連の業務というのは特定郵便局の業務の推進をするということにあると思うんですけれども、その経費は何の費用で賄われているのか。足立長官にお聞きしたいと思いますが、私の持ち時間は物すごく短いので、私の質問だけに的確に答えていただければと思います。

足立政府参考人 業務費、渡し切り費という項目によってそれぞれ支出しておるものでございます。

矢島委員 そこで、渡し切り費の問題なんですけれども、特定局の事務費、光熱水料あるいは切手販売手数料など、いわゆる自局経費と呼ばれているものと、それから部会長や連絡会長などがいるいわゆる役員局に渡すところの、主に会議費だと思いますけれども、特推連経費あるいは役員局経費とも呼ばれておると思いますが、そういう二つに分かれていると思います。

 そこで、役員局では、一般用の整理簿とそれから特推連用の整理簿の二種類の整理簿、すなわち、帳簿によって管理されていると聞いているんですが、そのとおりでしょうか。

足立政府参考人 現在、渡し切り経費につきましては、先生御指摘のとおり、自局用のものと特推連用のものという二通りの経理簿を備えて経理をするように指導しておるところでございます。

矢島委員 渡し切り費というのは、自局用というのは自分の局、つまり、一般的経費といいますか、それと特推連の役員用経費、こういうものに分かれているわけです。

 調べてみますと、九九年度、それから二〇〇〇年度、二〇〇一年度、この三年間の渡し切り費の予算額を見ますと、それぞれ、千四十四億円、九百九十三億円、九百九十四億円、こう出ておりますが、このうち特推連用の経費はどれくらいになるんですか。

足立政府参考人 実は、各年度ごとに自局用が幾ら、特推連用が幾らといったことは調査いたしておりません。しかしながら、私どももいろいろ実態を把握する必要がありますので、直近の調査、平成十年度で調査をしたものがございますが、それを見ますと、全体の渡し切り経費の一四%が特推連経費という形になっております。

 先生御案内のとおり、いわゆる局単位で、一局一局で支出するよりもいわば一括購入した方がいいといったようなもの、あるいは一局一局でPRするよりも地域全体で事業のPRをした方がいいといったようなもの、そういう特推連活動を推進するためにそのような区分をしておるところでございます。

矢島委員 平成十年度で一四%ということで、金額はお答えいただけませんでした。

 予算段階においては幾つかまとまって使うという場合は私も考えられると思います。しかし、特推連用というのはそれぞれの局に渡っていくわけですから、その局が幾ら特推連用、いわゆる役員用経費として予算化するかというのは、これは必要なことであると同時にやっていることだろうと思うんですね。それぞれ各年度において幾ら特推連用に使われたのか、あるいは使われようとしているのか、これが出てこないというのは、どうも甚だ不明朗な部分、あるいは予算がないということではないのか、こんなふうに思うんです。

 そこで、余り、全体のということになると集計するのが大変なことになると思いますので、幾つかの局についてお尋ねしたいと思います。

 現在、特推連の会長局は松戸根本局だと思います。松戸根本局というのは連絡会や連合会の会長でもあろうかと思いますが、渡し切り費の自局経費と、つまり、一般経費とそれから特推連経費、この松戸根本局についてはわかりますか。

足立政府参考人 松戸根本局につきまして申し上げますと、平成十二年度でありますが、自局用が三百八万八千円、それから、特推連分が千七百四十四万八千円、合計二千五十三万六千円となっております。

矢島委員 今、松戸根本局という一つの局について、会長がいらっしゃるのでお聞きしたんです、昨年までは副会長で現在、会長さんかと思いますが。特推連経費というのは自局経費の五倍以上、六倍近く、千七百四十四万八千円、こうお答えいただきました。大変な額がそれぞれ役員局の経費として支払われている。

 それが主にいろいろな事業費として使われるわけですが、お聞きしますと、特推連用の経費というのは、区分によりますと、いわゆる光熱費だとか事務費、予算額の中でいろいろな区分がずっと支出項目であるんですが、その他の事業運営経費というところにその大部分が入っている。主にその他の事業運営経費というものの中では会議費として使われている、こういうことで間違いありませんか。

足立政府参考人 最初に、自局分に対して非常に特推連分が多いという御指摘でありますが、御承知のとおり、この松戸根本郵便局といいますのは千葉県の一連絡会で、全局で九十八局ございます。この九十八局を、いわば全体で物品を一括購入する場合、あるいは何か地域のPR施策を共同で行う場合といったような経費がこういった会長局に配算されておりますので、勢い大きくなるということでありますので、その点は御理解賜りたいと思います。

 それから、具体的に、自局分の中でどういう内訳になっているかということを、松戸根本局につきましてちょっと御紹介させていただきたいと思います。

 先ほど言いましたものの自局分でありますが、営業物品の購入代が七十二万円、電気代が五十三万円、そのほか消耗品代三十六万円、通信費十三万円、そしてその他二十八万円というものがありまして、自局の特定郵便局を年間運営していきますために必要な諸経費が含まれておるところでございます。

矢島委員 長官、私が聞いたのは、自局費じゃなくて、特推連経費の中で使われているのは主に会議費ですかと。わからなければわからないでいいんですが、そうならばそうだけでいいです。

足立政府参考人 会議費もありますが、例えば営業物品の購入費が一千四百三十五万円、それから打合会の経費が二百七十一万円ということでございます。そのほか細かいのがございます。

矢島委員 そこで、長官にお尋ねいたしますが、先ほどちょっと同僚議員の方からもお話がありましたが、宮城県の仙台オンブズマンの情報開示要求で宮城の一部の特定局の渡し切り費の整理簿と領収書が公開されております。それによりますと、宮城県庁内郵便局、仙台中央三郵便局それから泉・七北田郵便局の昨年度の特推連用の経費は、それぞれ、三百十五万、七十二万、二百二十五万、このようになっていると思います。

 その使われ方を見てみますと、資料の方は三ページです、三ページ以降ということになりますが、これが県庁内郵便局の特推連用のいわゆる整理簿であります。

 それを見ますと、三ページ、一番左側の日時のところです、四月十八日の食事代八千百円、七月十八日一万七千円、翌日の七月十九日に一万六千円。それから、四ページを見ますと、八月一日の食事代九千円から始まって、三日の欄、八月三日にはずっと食事代が並んでおります。そして、八月四日には七万五千四百四十四円食事代と支出されているわけですね。それに見合う領収書というのが、次のページ、五ページから十ページまでの六枚であります。

 渡し切り費の使われ方ということで見てみますと、これは皆さん御存じだと思いますが、それぞれの特定郵便局がその役員、例えば部会を開くということで、そこにこれだけの会費というのか食事代というのか、一つ一つです。ですから、一人で八千百円食べたり飲んだり、一万七千円というのが、食べたり飲んだり、一人当たりです。渡し切り費の特推連用の経費の相当の額が飲食代に使われている。長官、こういう使われ方をどのようにお感じになっていますか。適当だと思いますか。

足立政府参考人 八千百円の領収書がついておりますが、これは副部会長会議で使ったものであります。部会が恐らく七人おりますので、七人程度で使ったものでありますので、一人当たり千円ちょっとだと思います。そのほか、御指摘いただいた一万七千円、一万六千円等につきましても、それぞれいわゆる部会内の、職場訓練の後、一人当たり千円程度のもので十六人で弁当を食べたといったようなものであります。

 一般論から申し上げますと、私は、単なる士気高揚で、自分たちで何か食事をしたり一杯飲むといったことは、自分のお金でやるようにということを指導しておるところでございますが、いわゆる部会内の年度の立ち上がりあるいは中間点、そして年度の終了した反省会、そういったところにつきまして、会議を行い、その後、いわゆる社会常識的な範囲でこういった食事をするということにつきましては、現在の渡し切り経費の使用の中でも常識的に処理すべきであるというふうに考えておるところでございます。

矢島委員 一人当たりにすればというお話ですが、七万五千四百四十四円は八月四日に支出されております。ただ、ずっと足していきますと、ここだけでも相当な額になるのですよ。これは本当に一つの部会ですよ。集まったのは、局数にすれば十か十一だと思うのですよ。そこから職員が集まったら、実際には会議に出席した人というのは、人数は多くなるかもしれませんよ。しかし、トータルすると相当の額になるということは、間違いないのですよ。

 だから、こういう使われ方を今、長官は世間常識並みだと肯定されたわけですが、ひとつ、この特推連用の渡し切り費のうちのここ二年ないし三年の主な使途と金額、これを示していただけませんか。

足立政府参考人 ちょっと過去の資料がございませんが、例えば、平成十三年度の渡し切り費予算、総額九百九十四億円でございますが、これの内訳といったようなものを簡単に申し上げたいと思います。(矢島委員「いいです」と呼ぶ)

 先ほど来から申し上げています事務費、光熱費等でございますが、事務費が四十五億、光熱水料が百三十四億、その他、庁舎維持管理費が四億、それから区内の切手売りさばき販売者の方にお渡しする手数料が二百九十一億、その他事業運営経費として二百八十億で、合計九百九十四億でございますが、その他の中身を見ますと、いわゆる郵便貯金の奨励費が百十三億、簡易保険の奨励費が四十七億、窓口環境の整備費三十億といったようなものが主なものでございます。

矢島委員 長官、私は十三年度の予算の中を聞いたんじゃないのですよ。この間の、二、三年ぐらいの総額と、それから主な使途と金額を示せと言ったら、わざわざその予算の中でこうなっている、こうなっている、時間ばかり食って困るのです。

 次へ行きます。この問題は、実は特推連の整理簿だけに限らないのですよ。先ほど出てきているいわゆる自局の経費、一般用の渡し切り費の整理簿にも大変中身のわからない不審なものがあるのです。

 そこで長官に聞きますが、仙台の荒町郵便局、九九年四月部会全体業務研修会、以下、九九年七月同じ局、二〇〇〇年の四月同じく部会全体業務研究会。それから、宮城県庁内郵便局、二〇〇〇年の十二月、三事業販売対策打合会、仙台の中央三郵便局、これが同じものに参加していますが、その日時、会場、参加者数を言ってください。

足立政府参考人 仙台荒町郵便局のものでございますが、平成十一年四月二十一日、これは事故、犯罪の防止、それから十一年度の営業対策を内容とする打合会で、参加者が六十人でございます。一人当たり三千円ということで六十人でございました。

 十一年の七月七日の件でございますが、これは第一営業期の成果と反省、それから防犯関係の業務研究会を実施したものでございまして、参加者は六十名、これにつきましては一人当たり二千円の支出となっております。

 それから、十二年の四月二十七日でございますが、これは三事業の営業推進、それから郵便営業自主研究会の設立についての業務研究会を実施しているということで、参加者が五十八人でございます。一人当たり千五百円の支出をしているということで、いずれも仙台市内のビブレデパート内の会議室を借用しているということでございます。

 それから、仙台中央三郵便局が参加した平成十二年十二月十六日の会議でございますが、これはいわゆる防犯対策、それから年末繁忙対策、第四営業期の販売対策ということで、参加者が九十八人でございました。一人当たり千円の経費を使っているということでございます。

矢島委員 その会議の領収書が資料の十一ページ以降、今長官が答弁されたそれぞれの会議です。

 仙台第三部会長名で自分のところへ一万二千円の領収書、以下、宮城県庁内郵便局長あて、それから仙台荒町局への一万五千円、一万円、六千円、受領証が出ています。この受領証にあるように、会場雑費というわけですよ。

 それで、つまり、各局から集められた額、相当額が会場雑費となっている。何に使われたのかわからないのですよ。その領収書を見て、みんなから集めたお金が会場費となったのか、それとも飲み食いに使ったのか、何に使ったか全然わからないのです。部会長名で、それぞれの局長あての領収書しかないのですよ。こういうやり方というのは非常に不明朗なのですよ。つまり、集めたお金が何に使われたか、会場費として幾ら使ったか、そういうのがあってしかるべきなのです。

 それから、最後になりました。時間になりました。

 各局からずっとお金を集めますと、相当の額になると思うんです。今言いましたように、会議費というのは、おおよそ特推連の経費の中から賄われるというのが、ところが、これは、各自局の費用を全部持ち寄るんですよ。費用として出すわけですよ。この使われ方にも私は問題があると思うし、何に使ったかわからないという点も問題があるのです。

 こういう点を明らかにしないと、いろいろ疑われなくてもいいことを疑いの目で見られるという可能性だってあるんです。だから、そういう点をきれいにすることが必要だと思うのです。

 時間です。済みません、大臣、最後にそれについての感想だけお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 いろいろ今やりとりをお聞きしておりましたが、小規模官署は、簡便な会計処理というのは、私はあっていいと思うのです。また、現業で営業をやっていますから、そこで余り厳重なきしきしした、普通の役所とは違う点はあると思います。

 しかし、そうはいってもちゃんとせなければいけませんので、私も、事情に必ずしも詳しくありませんが、さらに指導を徹底してまいりたいと思います。

矢島委員 終わります。

御法川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 郵貯と民間金融機関とのATM接続が開始されましてから約二年半になろうとしているわけでございますが、現在、郵貯との提携民間金融機関の機関数は、二千三十七というお答えでございました。この短期間で大変な数の提携ができているんだなという思いを私はいたしております。

 先ほどお答えがございましたように、双方にメリットがあるということでございますが、私は、むしろ民間金融機関の方に大きなメリットがあるから、ここまで提携が進んだのではないかという気がいたしております。

 現在でもそうですが、これまで郵貯と民間金融機関との対立というものが非常に激しかったわけですね。国の信用をバックに民業を圧迫しているではないか、不公平ではないか、こういった民間金融機関サイドの主張が強かったわけでございますが、その民間金融機関が、むしろ望んだ形でこのATM提携を求めてきていると言えるわけでございます。

 その最大の理由は、もちろん国民の利便性でございますが、では、どこにその利便性があるのか。それはもちろん、何といいましても、全国二万四千七百の郵便局のATMの存在だろうと思うわけでございます。郵便局のATMとの提携をすることにより、双方のATMで相互に預貯金が引き出せるようになった。つまり、郵貯オンライン網の開放は、民間金融機関のオンライン網を補完し、まさに国民の利便を一層向上させるものにつながっている。郵貯、民間の利用者あわせて、全国民がメリットを享受できるようになったとも言えるわけでございます。

 そういった状況の中で、小泉総理の持論は郵政三事業の民営化でございますし、また、政府もそのような方針を打ち出しておるわけでございますが、郵政公社化後の検討課題にするということになっております。ワンストップサービスも国民に求められておると思いますし、このATMの提携により、私は、郵便局の存在は国民にとってはさらになくてはならない存在になった、このように、まず冒頭、自分の思いを述べさせていただきます。

 それでは、本法律の改正案について質問をさせていただきます。

 まず、ATM提携サービスの資金決済の現状でございますが、これは、利用者による預貯金の出し入れにより郵便振替口座の資金が増減するわけでございますが、これにより口座の預かり金の過不足が生じた場合、金融機関の郵便振替口座の預かり金を調整することにより資金決済を行っているわけですね。この資金決済の方法なんですが、いわゆる金融機関による現金の運搬という方法、そしてまた、手形交換所を介した小切手払いという方法、二つあるわけでございますが、いずれの方法によって現在この決済が行われているのでしょうか。

足立政府参考人 その資金の調整につきまして、民間金融機関がどのような方法でやっているかということでありますが、現金の引き出しあるいは手形を発行するという方法があるわけでありますが、具体的にどのような方法でやっているのかということにつきましては、私どもとしては承知しておりません。

 そこで、一部の民間金融機関にヒアリングをいたしまして、いずれの方法を用いているのかということでありますが、ほとんどの金融機関が小切手払いによる資金決済を行っているという実情でございました。

横光委員 わかりました。それぞれの利用者がカードによる出し入れの資金移動、これは平成十二年度、一カ月平均、郵便局から民間金融機関に一千百一億円、そしてまた、民間金融機関から郵便局には九百二十九億円という資金の移動が行われているという資料がございます。大変な利用状況でございますが、これはそれぞれの利用者のカードによる資金移動でございますが、郵便振替口座の預かり金の調整による資金移動の状況、現状はどのようになっているのでしょうか。

足立政府参考人 郵便振替口座の預かり金の残高調整でございますが、具体的にどのくらいの頻度で民間金融機関が行っているのかということにつきましては、私どもとしてつまびらかに承知しておりません。

 そこで、先ほど来申し上げております、金融機関にヒアリングを行いまして、どのようにやっているのかということを聴取いたしましたところ、最も頻度の高い金融機関におきましては、週に二、三回程度預かり金の残高調整を行っているということでございます。そのほか月に五、六回とか、あるいは、少ないところでありますと、月に一回程度の残高調整を行っているという状況でございました。

横光委員 先ほどから聞いていると、資金決済の方法、あるいは今回の預かり金の調整の状況というのはなかなかわかりにくい、ヒアリングでしかわからないというのですが、これはもうちょっと密接にお互いに連絡をとり合ってはっきりしておいた方がいいんじゃないかという気がするのです。

 いわゆる今度のオンライン化によって、小切手を使わないでできるようにしよう、もちろん、これは併存でございますが、その手続ができるようにするわけでございますが、オンライン化した場合、金融機関による払い込み請求につきましては、今回、日本銀行が郵政事業庁に対しファクス通知することとなっております。

 ところが一方、金融機関による払い出し請求、先ほど払い込み請求でございましたが、払い出し請求、つまり、基準額をオーバーしたり、たまり過ぎた場合、払い出し請求が行われると思うのですが、これについては、本法律案では規定はしておりませんが、この場合ももちろんオンラインによる処理を予定しているのでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 民間金融機関による払い出し請求のオンライン処理でございますが、今、考えておりますのは、あらかじめ提携サービスの提供に必要な郵便振替口座の残高を協議して決めておいて、郵便振替口座の実際の残高がその額を超えている場合に、その超過金額を払い出すことを検討しているところでありまして、個々の日々の払い出しの請求についてオンライン処理をいたしますと、システムが非常に複雑になりますし、関係経費の増加も見込まれますので、今、予定していないところでございます。

横光委員 金融機関は、市場で運用すれば運用益も得られる十分な資金を無利子の郵便振替口座に預けなければならないわけです。しかも、同口座の預かり金の調整のための払い出しまたは払い込みの料金を負担しているわけですね。郵便振替の払い出しまたは払い込みの料金をこれからいかに安く設定しても、金融機関が一方的にこの料金を負担することには変わりがないわけでございます。これまで郵便振替で無料としているものはないとは思うんですが、今回の資金決済のために利用する場合に限り、特例として利用料金は無料とすべきではないかという考えもあるんですが、この点はいかがでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の郵便振替の加入者であります金融機関によります払い出しの特例でございますが、具体的なやり方といたしまして、郵政事業庁と日本銀行の双方に端末設備を設置いたしまして、日本銀行に対して、端末設備から電子データを送付することによりまして国庫金の払い出し及び提携先金融機関の日本銀行の預金口座への振り込みの内容を通知することとしているところであります。

 この端末設備の設置にかかる費用でございますが、当該設備が今回の払い出しの特例を実施するために設置するものでありまして、他の一般郵便振替の利用に関して使用するものではございませんので、提携先の金融機関に相応の郵便振替料金として負担していただく必要があるという考え方でございます。そういう意味で、無料とすることは困難だというふうに考えております。

横光委員 資金決済の改善のためにオンラインシステムを構築した、それに要する費用が約四千万円郵政事業庁の方にはかかっているわけですね。システムの維持費あるいは専用回線の通信費等々の関係経費、これを含めて約四千万円を郵政事業庁が全額負担することとされておりますが、今お答えがございましたように、これが今後も金融機関に郵便振替の料金を負担させることを考慮したためのものなのか、ちょっとお考えを伺いたいんです。

松井政府参考人 繰り返しになろうかと思いますが、振替口座の場合は本人自身に対する払い出しというのは本来無料なんでございますけれども、先ほどのは残高調整のために、振替と御本人の関係だけではなくて、金融機関が振替口座に持っておられるものを郵政事業庁でない別の日本銀行の預金口座に振り込むための特別の措置ということで、これに対応するものは何がしか料金という形でいただくという考え方でございます。

 ちょっと繰り返しになって恐縮でございますが、答弁とさせていただきます。

横光委員 それでは、提携手数料、これは郵政事業庁と金融機関の間で締結した契約に基づくものでございますが、この提携手数料というものは定額制度なんでしょうか、それとも利用した件数あるいは金額、いわゆる従量制、こういったものによって決まるものなのか、お答えいただきたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 利用者がお支払いになる手数料と、金融機関相互で、つまり、郵政事業庁はこの場合、金融機関としまして、郵政事業庁と金融機関が相互に後で処理するものとが違った仕組みになっておりますので、その関係について申し上げたいと思います。ATM提携におきまして、それぞれのATMが提携先のATMとして機能するわけでございますので、民間金融機関の預金者が郵便局のATMを利用した場合には、民間金融機関が郵政事業庁にコスト分を手数料という形で支払うことになっておりますし、逆に、郵便貯金の預金者が民間金融機関のATMを利用した場合には、郵政事業庁が民間金融機関に手数料を支払うという仕組みになってございます。

 この決め方でございますが、郵政事業庁と民間金融機関が相互にATMを利用するやり方と、ワンウエーで片方だけが一方的に利用するという場合で違ってございます。

 相互に利用する場合でございますが、時間内と時間外で料金が違います。時間内と申しますのは、平日の八時四十五分から十八時まで、それから土曜日の九時から十四時までの時間帯を時間内と言っておりますが、この時間内で、また金額によって違うんですが、利用金額が十一万円以下の場合は一件について二百十円、十一万円超の場合は一件で三百十五円でございます。時間外になりますと少し高くなりまして、利用金額が十一万円以下の場合は一件当たり三百十五円、十一万円超になりますと、一件当たり四百二十円ということで、同額の手数料を相互に支払うという関係になってございます。

 また、さっき申しましたように、民間金融機関が郵便局のATMを一方的に利用する、逆の利用関係はないという場合でございますが、この場合は、民間金融機関は郵政事業庁に対して、時間内につきましては、利用金額が十一万円以下の場合一件で五百二十五円、十一万円超の場合一件七百三十五円、時間外につきましては、それより高い金額でございます。

 なお、こうした一件当たりで金額を決めている以外のやり方がございまして、民間金融機関が郵便局のATMを一方的に利用する場合に、民間金融機関は利用金額に応じた従量制の料金を選択することも可能になっております。この場合の払い方ですが、時間内の場合は利用金額掛ける〇・七%プラス百円、これに消費税が乗ります、こういうやり方。それから、時間外につきましては、さっき百円と申しましたところが二百円というふうにちょっと高くなっておりますが、こういった仕組みの契約も選択することができるという仕組みになっております。

 なお、年間を通しての手数料額が十一年度決算でどうなっているかということで申し上げますと、郵政事業庁が民間金融機関から受け入れた金額が十八億一千万円でありまして、逆に郵政事業庁が民間金融機関に支払った金額が十九億五千万と、ほぼ同額となっているところでございます。

横光委員 日銀ネットワークシステム、民間金融機関同士がここの当座預金の間でオンラインでやりとりしているわけですが、今回の決済も含めてこういったシステムがございます。旧郵政省は、当初、旧大蔵省に対しまして、この日銀ネットワークシステムで決済する方法を要求していたと思うんですが、それが認められなかったわけでございます。これはどうしてなのか、そしてまた、もしこれが認められればどのような利点があるのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

小坂副大臣 まず、民間金融機関相互間の資金決済は、日本銀行の金融ネットワークシステム、いわゆる日銀ネットを通じて電子的な資金決済を行っているということについては、今、委員が御指摘のとおりでございます。

 それでは、なぜ日銀のネットワークシステムの利用が認められないのかといいますと、このネットワークシステムを利用するためには日本銀行に当座預金口座を保有する必要があるわけでありますけれども、郵政事業庁は国の機関でありまして、国庫金の処理の一元的運用の観点から、日本銀行に当座預金口座を保有することはできないところでございまして、そういった点から、現時点では日銀ネットの利用ができないとされているところでございます。

 その中で、今回の問題も踏まえまして、民間金融機関と郵政事業庁との間の資金決済につきましては、民間金融機関が郵政事業庁に開設をした郵便振替口座を利用する方法によることが妥当と判断されているところでございます。

横光委員 これから二〇〇三年、郵政公社に移行するわけですが、郵政公社に移行した場合は国庫金ではなくなるのでしょうか、どうでしょうか。

片山国務大臣 当然そういうことになりますね。

 そこで、今の委員の御指摘の点も、どういうふうに制度設計の中でうまく位置づけて利用することができるようにするか、今これも検討したいと思っております。

横光委員 いわゆる国庫金そのものではなくなった場合、先ほどの副大臣の説明の問題はクリアできるのではないかと思いますし、そういった場合、また新たに日銀ネットで決済できる可能性を求めていっていただきたい、このように思っております。

 終わります。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 郵便振替法及び簡易郵便局法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方自治法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。

 この法律案は、住民自治のさらなる充実及び自主的な市町村の合併の推進を図り、もって地方分権を推進するため、地方制度調査会の答申及び地方分権推進委員会の意見にのっとり、直接請求に必要な署名数の要件の緩和、議会制度の充実、住民監査請求制度及び住民訴訟制度の充実、中核市の指定要件の緩和等の措置を講ずるとともに、合併協議会の設置に係る直接請求制度の拡充及び住民投票制度の創設を行い、あわせて法律において地方公共団体の規則等に委任している事項のうち、必要なものについて条例で定めることとするほか、所要の規定の整備を行おうとするものであります。

 以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。

 次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。

 第一は、地方自治法の一部改正に関する事項であります。

 まず、直接請求に関する事項として、地方公共団体の議会の解散請求及び長等の解職請求に必要な署名数要件につきましては、現在、有権者数の三分の一とされているところでありますが、これを、有権者数が四十万を超える場合について、四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数に緩和することとしております。また、教育委員会の委員について同様の措置を講ずることを内容とする地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正をあわせて行うこととしております。また、条例の制定改廃請求において、請求代表者に議会の審議において意見を述べる機会を保障することとしております。

 次に、議会制度の充実に関する事項として、議員派遣の根拠及び手続を明確化するとともに、議会における選挙において、点字投票の導入を図ることとしております。

 また、住民監査請求制度及び住民訴訟制度に関する事項として、住民監査請求について、監査委員による暫定的な停止の勧告制度を創設するほか、学識経験者等から意見聴取ができることを明確化するなど審査手続の充実を行うこととしております。住民訴訟については、個人を被告とする訴訟を地方公共団体の機関を被告とする訴訟とするなど訴訟類型の再構成を行うとともに、違法な財務会計行為の差しとめを求める訴訟の対象を拡大し、あわせて、差しとめに当たり公共の福祉との調整を図る規定を設けることとしております。また、住民訴訟における原告の弁護士費用についても、公費負担の対象を拡充することとしております。

 さらに、中核市の指定要件の緩和に関する事項として、人口五十万以上の市については、面積要件を廃止することとしております。

 第二は、市町村の合併の特例に関する法律の一部改正に関する事項であります。

 まず、合併協議会の設置に係る直接請求制度の拡充及び住民投票制度の創設に関する事項として、合併協議会設置の請求に基づく議案が議会で否決された場合に、市町村長からの請求または当該請求がなかった場合に有権者の六分の一以上の署名によって行われる直接請求を要件として住民投票を実施し、過半数の賛成があった場合に議会が可決したものとみなすこととするほか、請求代表者に対し議会の審議において意見を述べる機会を保障し、直接請求により置かれる合併協議会については、請求代表者を委員に加えることができることとするとともに、合併に関する協議の状況を設置後六月以内に請求代表者に通知し、かつ、公表しなければならないこととしております。

 次に、一部事務組合等に関する特例の創設に関する事項として、合併により消滅する市町村以外の構成団体が一団体であることから合併時に解散すべき一部事務組合または広域連合を、規約変更等により存続することができる手続を創設することとしております。

 また、地方税に関する特例の拡充に関する事項として、合併後に不均一の課税をすることができる期間を合併年度及びこれに続く五年度に延長するとともに、当該期間内に限り、事業所税や都市計画税といった税目について、課税している団体と課税していない団体との合併により新たに課税されることとなる区域において課税免除を行うことができることとするほか、合併により新たに人口三十万以上の市となった団体に対する事業所税の課税団体の指定は、一定の場合を除き、合併後五年間は行わないこととしております。

 さらに、流域下水道に関する特例の創設に関する事項として、合併により流域下水道に該当しなくなる下水道を、都道府県及びすべての合併関係市町村の協議により、最長で合併日から起算して十年を経過する日の属する年度の末日まで、流域下水道とみなすことができることとしております。

 第三は、法律において地方公共団体の規則等に委任している事項のうち、必要なものについて条例で定めることとするものであります。

 権利義務規制を行うための基本的な規範の定立を地方公共団体の法規に委任する場合に、地方公共団体の規則等に委任しているものについては、原則として条例に委任することとすべきであるという地方分権推進委員会の意見を踏まえ、化製場等に関する法律、クリーニング業法、河川法及び湖沼水質保全特別措置法の四本の法律について、所要の改正を行おうとするものであります。

 その他、地方自治法別表の規定等所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、地方自治法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十七分散会




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