衆議院

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第24号 平成13年6月21日(木曜日)

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平成十三年六月二十一日(木曜日)

    午後三時十分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 川崎 二郎君 理事 渡海紀三朗君

   理事 平林 鴻三君 理事 荒井  聰君

   理事 田並 胤明君 理事 若松 謙維君

   理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    坂井 隆憲君

      下地 幹郎君    新藤 義孝君

      滝   実君    谷  洋一君

      谷本 龍哉君    西川 京子君

      野中 広務君    宮路 和明君

      山本 公一君   吉田六左エ門君

      伊藤 忠治君    大出  彰君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中村 哲治君    前田 雄吉君

      牧  義夫君    松崎 公昭君

      山井 和則君    山村  健君

      久保 哲司君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   総務大臣政務官      景山俊太郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長

   )            鍋倉 真一君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   高原 耕三君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十一日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     下地 幹郎君

  平井 卓也君     谷本 龍哉君

 吉田六左エ門君     西川 京子君

  中村 哲治君     牧  義夫君

  松原  仁君     前田 雄吉君

  高木 陽介君     久保 哲司君

同日

 辞任         補欠選任

  下地 幹郎君     河野 太郎君

  谷本 龍哉君     平井 卓也君

  西川 京子君    吉田六左エ門君

  前田 雄吉君     松原  仁君

  牧  義夫君     中村 哲治君

  久保 哲司君     高木 陽介君

    ―――――――――――――

六月二十一日

 法人事業税の外形標準課税導入反対に関する請願(春名直章君紹介)(第三二八二号)

 同(藤木洋子君紹介)(第三二八三号)

 同(松本善明君紹介)(第三二八四号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第三二八五号)

 同(山口富男君紹介)(第三二八六号)

 情報格差是正に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第三二八七号)

 離島航空路線に係る地方公共団体の財政負担に対する特別交付税の拡充に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第三二八八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気通信役務利用放送法案(内閣提出第六七号)(参議院送付)

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案(内閣提出第七四号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、電気通信役務利用放送法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長鍋倉真一君及び総務省政策統括官高原耕三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山村健君。

山村委員 このたび電気通信役務利用放送法案につきまして質問させていただきたいんです。参議院先議ということで、参議院の方でかなり進んでみえた議論を受けまして、衆議院も会期末といいますか、長い通常国会ではあったんですが、私自身としては最後の質問かなというふうにも思います。ただ、今回のこの法案、参議院の場合ですと、私どもの内藤議員の方から、冒頭に、賛成の立場から質問に立たせていただきますというような発言もあったようなんですが、私は、その発言に対してもちょっと疑問を持った立場から、またしても民主党は何やっているんだと言われるかもわかりませんが、質問させていただきたいと思います。

 ただ、一般論といたしまして、情報通信の事業法等、いわゆる放送と通信の融合というのは時代の要請として差し迫っております。そういう観点から、まず大臣に、放送と通信の領域をいわゆる区分けしていること自体が私は時代おくれだと思うんですが、大臣の所見を聞かせていただきたいなと思います。いかがですか。

片山国務大臣 これもこの委員会でも御議論があり、参議院でも議論してまいりましたが、通信と放送の距離がだんだん縮まってくるということは確かだ、私、こう思います。そういう意味では、通信と放送はサービスの融合や伝送路の融合など、幾つかの側面では近寄ってくると思いますが、一方では、電話は典型的な通信、地上波の放送は典型的な放送、こういうサービスも今後残っていくわけでありますから、これらのサービスもサービスとして適正に提供していく必要がある、そういうわけでございまして、似てくるところと、それぞれ独自で残さにゃいかぬところと、私は両方あるんではなかろうかと。

 よその国の例を調べてもらいましたら、諸外国においても通信と放送を区別せずに一体的な概念に基づき規制している国はないようでありますから、通信の秘密を確保すべき通信と、表現の自由の保障を確保すべき放送とは、そこは、私はやはりそれぞれの法体系で維持される必要があると思いますけれども、しかし、これだけ近づいてきますと、一遍その区分、区別を見直す必要があるだろう、私はこういうふうには思っております。

山村委員 結論から言ってしまいますと、この間、この国会の期間中に電波法の改正法案等々いろいろございまして、その時々に大臣の御答弁をいただきますと、我々民主党といたしましては、いわゆるFCCという委員会を導入すべきじゃないか、こういう時代だからということに関しまして、一貫して大臣の方は、今の内閣制度で、いわゆる省庁主導型の方法でいいんじゃないか、そうあるべきだという強い意思のもとに進められていると思います。

 それが一番の大きな差異かなと思うんですが、今回の電気通信役務の利用放送についても、まず目的の中で、もう一度再確認したいんですけれども、この目的というのはどういうところから発生してきたのかということをお聞かせいただきたいんです。

小坂副大臣 これは大臣の趣旨説明でも御説明申し上げましたように、最近の通信・放送分野における技術革新等による電気通信回線の広帯域化、いわゆるブロードバンドと最近は呼ばれているようですが、その進展にかんがみまして、通信と放送の伝送路の共用に係る規制の合理化を図る必要があるということが一点。それから、電気通信役務を利用して行う放送を制度化して、電気通信役務利用放送の受信者の利益を保護し、そして、その健全な発展を図る観点からこういった法制を早急に整備する必要がある、このようなことから提出をさせていただくわけでございます。

山村委員 受信者の利益、いわゆる国民の利益という観点から考えた場合なんですけれども、私、この法案が、それこそ冒頭に申しました内藤議員とちょっと観点が違いますよという部分を感じたというものが、非常に怖いなと思ったんです。といいますと、今ブロードバンドを初めとして、民間の部分で、インターネット放送であるとかインターネットラジオ、インターネット電話、まさに技術革新のもとに、あらゆる領域が先に出発してしまっているんですよね。それに対して、いわゆる総務省という省庁が、今回は許認可というものじゃないですけれども、登録をするということで、事業者認定をしていこうという方向に行くんじゃないか。やはり、いわゆる電気通信の行政に関しては総務省抜きにはできないよというような、何か官が網をかぶせているような、それを制度化するような意図をちょっと行間に私は感じたんですが、その辺、いかがでしょうか。

小坂副大臣 利用者のというのは、技術革新によっていろいろな事業が出てまいります。しかし、その事業がどういう形で行われているかということをどこかで把握しておかないと、それを利用している人たちが、これは国の中である程度制度的にも整備されているんだろうと信頼関係を持って利用されている。ある日突然、その事業主体がやり方を変えてしまうというようなことになりますと、これは利用者が大変な被害に遭うことになります。

 ですから、電気通信関係におきましては、一つの技術基準を設定するとか、あるいはメーカーの皆さんにも技術基準に基づいた製品を開発していただくとか、そういうようなことで、管理するというよりは、むしろ利用者が事業者の突然の変更によって被害をこうむらないような、そういうセーフティーネットを張っていく必要があるということから私どもは整備をさせていただいて、今回のこの法律案でも、登録という形で、事業者がどこでされているのかを把握するという形にさせていただきまして、許認可というようなものよりは、もっと自由にやっていただきながら、利用者が突然被害に遭わないような枠組みをつくるという趣旨でやらせていただいておりますので、その辺、よろしく御理解のほどお願いします。

山村委員 それですと、今インターネット放送というのがかなりの部分、インフラ整備ができていまして、スピードが速くなっているということもありまして、この国会中継にしてもそうですけれども、インターネットがビデオ映像で先に流れていますよね。国会中継というか、委員会中継にしましても、国会の衆議院のホームページをクリックしますと、この議論の様子というのがそのままのライブで流れているという状況にはなっているんですけれども、そういう事例というのが、この国会内だけでもそうなんですけれども、民間の場合、いろいろなところで今もう実用化されているわけですよ。その民間が、一個人でやったとしても、企業でやったとしても、それらをすべて登録するということにしなければいけないわけですか。

鍋倉政府参考人 現在、提供されておりますいわゆるインターネット放送でございますけれども、これは今、先生がおっしゃいましたように、クリックをしてということで、受信者の方から個々の求めに応じて個別に送信する形態でございます。私ども、放送という概念は、一斉に、同時に流して同時に見るというのを放送というふうに概念しておりますので、このインターネット放送というのは、放送という名前はついておりますけれども、私どもの概念からいきますと、通信というふうに整理をされるものでございます。

 したがいまして、今の世の中で行われておりますようなインターネット放送というものは、本法の対象とはならないということでございます。

山村委員 通信という概念でくくりますということだと思うんですけれども、そうなった場合に、この国会でも地上波デジタルのことを電波法の改正案のときにお話しさせていただいたと思うんですが、地上波がなぜ必要かという議論をしたときに、いわゆる携帯電話というか携帯端末でテレビ放送をいつでも見られるよと。当然、携帯電話というかそういうパーソナルの部分で、それは電話もできるわけですけれども、今、巷間、コマーシャルといいますか、民間企業がやっていることを見ますと、結局、携帯電話でテレビも受信できるよ、ナビゲーターとしても使えるよと。

 端末というのは多分、多分と私がこの場でどういう方向に行ってしまうのかということを勝手に決めつけても、あくまでも主観ではあるわけですけれども、パソコンじゃなく携帯電話というか、それぞれの端末機器でテレビも見られて、電話もでき、メールもできというふうな機能、今のままe―Japan戦略のもとに推し進めたならばそうなっていくんであろうと思うんです。その第一歩が、今回の通信と放送の融合というような形で整備していこうという流れでもあるとは思うんですけれども、それが、放送と通信、概念が違いますというその区分け、いわゆる事業者と、では、普通、例えばの話、NHKさん、民放局というようなところがインターネットでそれを流しているということは、事業者になるんですか、それとも通信として利用しているのか。

鍋倉政府参考人 繰り返しになりますけれども、NHKあるいは民放がいわゆるインターネット放送で流すというものは、通信になります。

山村委員 ということは、これは事業者じゃなく、登録しなくてもそのままできるわけですね。

鍋倉政府参考人 通信の世界は自由な世界でございますので、おっしゃるとおりでございます。

山村委員 といいますと、この法案でいわゆる登録をしなければいけない、業者といいますか事業者というか個人になるのか、その範囲というと、どういうところからスタートするんでしょう、起点として。

鍋倉政府参考人 この法案の対象になりますのはいわゆるCATV事業者と、それから、私どもが考えておりますのはCS、百十度に上がりますこれからのCS放送以外のCS放送を対象に考えております。

山村委員 百十度のCS放送以外の事業者ということですか。わかりました。前まで出ていただく必要はないと思うんですけれども。

 そうしますと、CS百十度の衛星についてはまた後ほどの時間で質問させていただこうかと思っているんですが、そこまで飛ぶ前に次の質問といいますか、考え方としてなんですが、今回のこの法案も含めて、非常に私自身が、この総務委員会、この百五十日近くの議論の中で感じたところといいますと、いわゆる省益というか局益というか、個別の法案そのものを見ている。電波法の改正案のときも、電波法の個別の法案だけ見ていると、なるほど、e―Japan戦略にのっとって、放送と情報通信の融合化を図りながら進展していくんだなという方向性は見えるわけなんですけれども、個々ではすばらしいんですが、全体として見た場合、日本のいわゆるIT政策、放送政策、情報通信政策というのはどういう方向に向かって走っているんだろうということが非常に見えにくいと思うんです。

 それが、今回、特に一月六日に総務省という形で、旧自治省、郵政省というようなところが一緒になりまして、ある意味では、今国会冒頭といいますか、一月の末、二月を通じて考えたときに、事務方の皆さんの整理整とんといいますか、それもまだできていない段階なんだろう。ただ、半年近く、五カ月たちました。

 これは大臣にお伺いしたいんですけれども、我々が見ていると、局益といいますか、部局同士の引っ張り合い、綱引きというのが非常に感じられるんですが、その辺の組織の見直しということは考えていらっしゃるのかどうか、融合化に向けて、それに絞っていただいていいんですが。

片山国務大臣 そういう見方もあるのかもしれませんけれども、ある意味、三省庁が統合してまだ日も、御承知のように五カ月程度ですけれども、私は割に、局益が表に出ていないあれだと思いますよ。

 それから、今の委員の言われる関係は、鍋倉局長のところは情報通信政策局でございまして、今まで分かれておったものを一つにまとめておりますから、そういう意味では、通信と放送の融合の先取りをしたような局でございます。

 今のところは、私は、割に局間の連携はうまくいっておりますから、できるだけ人事交流その他も加味しながら、融和、結束、一体化ということを進めていきたいと思いますので、また委員、お気づきの点があったら言ってください、直しますから。とにかく、結婚でもなかなかうまく最近はいかないのが多いのに、企業の合併でも大変ですから、これだけ、生まれも育ちも文化も違う役所が一緒になって、すぐ、三カ月や四カ月で、足並みそろえて一、二、三とはなかなかなりませんけれども、それにしては、私は大変努力して成果が上がっている方だと思いますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。

小坂副大臣 今、大臣から答弁申し上げたことを具体的に少し申し上げさせていただきますと、旧郵政省時代は、通信政策局と放送行政局というのは分かれておったわけですね。この一月六日の省庁再編によりまして、今、大臣が答弁を申し上げたように、情報通信政策局というふうに統合されまして、通信・放送融合の時代に対応できる体制の整備を図ったつもりでございます。

 そういった中で、e―Japanの重点計画に盛り込まれております政策を実現するために、今回の、CSデジタル放送、ケーブルテレビ等の電気通信事業者回線の利用を可能とするための法律を出させていただいた、これがこの役務利用法でございます。

 それから、あわせて、通信・放送融合サービスを開発するための研究開発を促進するために、過日、六月一日に成立をさせていただきました通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律、これを出させていただいたところでございます。

 さらに、通信、放送にかかわらずコンテンツの制作、それから流通環境の整備について一元的に推進するための組織の設置をいたしました。私どもの情報通信政策課の中にコンテンツ流通促進室というのをつくっておるんですが、こういった組織的な整備もさせていただいているところでございます。

 このように、現在の組織で通信・放送融合の状況に適切に対応していく、そういう体制を整備しているつもりでございますが、今、大臣が御答弁申し上げましたように、委員の御指摘を初めとして、皆さんの御意見を聞きながら、一つの時代の進歩にあわせて組織というのは柔軟に対応していくものだというのが大臣の基本的な考えでございますので、私ども、その考え方に従って、鋭意努力をしてまいりたい、このように考えておりますので、よろしく御指導のほどお願いします。

山村委員 今、小坂副大臣の方から、くしくも具体的な御答弁もいただきましたので、ちょっと横道にそれますけれども、もう一点だけ、それに関連して御質問をこの際させていただきたいと思うんです。

 そうしますと、総務省内において、情報通信、コンテンツまで含めて、いわゆるIT戦略といいますか、政策として落とし込んでいくための作業はしていると。ただ、では、今度は他の省庁につきまして、具体的には経済産業省になるんですが、いわゆるEコマースについて他の省庁との融合化ということは考えていらっしゃらないんでしょうかということを、ちょっと一問、質問させていただきたいんです。

小坂副大臣 特に経済産業省は、この情報通信分野におきましては大変密接な関係にございますので、私ども、柔軟に、副大臣会議を初めといたしまして、各レベルにおきまして、各部局におきましても日常的な連絡体制をとっておりまして、こういった法案の提出も、共同で提出する必要のあるものはそれぞれに調整をさせていただいておりました。

 今回、省庁再編で、それでは一緒の方がよかったんじゃないかという御意見があることは承知をいたしておりますけれども、その切り分けがこういうふうになされた中で、私ども、そういった弊害のないように十分な連絡体制をとって進めさせていただいておりますので、その辺も御理解を賜りたいと思います。

山村委員 具体的な名前は出なかったんですけれども、まさしくIT革命を、まさに革命という言葉がついているものですから、それを二十一世紀の日本の経済といいますか社会そのものの基軸として考えるのであれば、やはり情報通信省といいますか、各庁からえりすぐりの人間をプロジェクトチーム、省までしなくてもいいと思うんですけれども、まずつくっていただいて、方向性というのをしっかりとつくっていただいた方がよかったんじゃないか、これは、総務大臣の管轄というよりも、まさに総理大臣の管轄になるのかなと。名前だけの諮問機関だ何だ、審議会だというようなわけのわからない組織を幾つもつくるよりは、IT革命をどのように見せていくのか、わからすのかということを踏まえた上でそういう組織を、これからでもまだ遅くないと思うんです、つくっていただければなと。

 そういう観点からしますと、総務省内だけでも、まず、そのIT革命をなすためにどういうふうな体制づくり、いわゆるスキームは今もうできたわけですから、これから国民にわかりやすく、まさに国民益ということを基点に考えていただきたいなと思うんです。

 質問といいますか、本線に戻させていただきますと、先ほども革命という言葉を使わせていただきました。個別の法律の改正、何度も申しますが、電波法の改正案であり今回の法案であり、いわゆる旧法律を改正するという手続でIT戦略というのをなしていこうというやり方は非常にわかりやすいんですけれども、ただ、このITの領域といいますか、情報通信、放送の領域も含めて、今までと全く違う観点から二〇〇五年のスタイル、二〇〇五年を基点として、その時代にはどうなっているということを、今までの過去の部分、制度というのを全く考えずに一度考えてみる、そういうようなシミュレーションというものは、今まで総務省の中でやってこられたことがあるのかどうかということをまず御質問したいんですが、いかがですか。

鍋倉政府参考人 二〇〇五年について、総務省独自でということはございませんけれども、今、先生るる御指摘の、政府内の統一につきましては、内閣官房にIT担当室というのを設けまして、内閣官房副長官補をヘッドに、私も副で入っているのですが、そこを事務局にしまして、IT戦略本部の事務局的な立場でいろいろな検討をしてまいりました。

 その中で、二〇〇五年のその目標については、例えば一千万の超高速ネットワークの加入、それから三千万の高速加入という目標ですとか、あるいは、具体的な数字はちょっと忘れましたけれども、何万人の技術開発者の育成であるとか、そういった二〇〇五年に向けての具体的な目標を個々に定めまして、それに向かって政府一丸となってやるために、法律を出すものは出すということで各省協力をして、私どもの場合には、今、御審議いただいているこの法律も含めまして、IT関連法ということで、これは私ども総務省だけではございません。経産省の関係ですとか、そういった関係でのITの関連法案を含めて、統一をとって、政府一丸となってやっているということでございます。

山村委員 まさにそういう具体的な取り組みをなされているというのはわかるんですが、これは、いずれにしましても、今までの議院制の内閣のもとでFCCを導入するか、今までの方式の方がいいかというような論点が解決しないことには始まらないのも同じような部分だと思うんです。やはり革命と名がつく以上、今までのやり方というのを基本的にスクラップ・ビルドといいますか、制度として、やり方として、全く破壊した上で新たな部分も創造するという取り組みをされた方がいいんじゃないかなというのが、これはあくまでも私の個人的な主観としての意見ではあるわけですけれども、IT革命というのは、社会全体に及ぼす影響というのはやはり非常に強いんです。そういう意味から、今までの制度にとらわれずに、まず制度改革というのも、現実、政治は生ものですから、それを離れてはいけないのですが、シミュレーションの世界といいますか、そういったこともあわせて研究していただいた方がよろしいんじゃないかなというふうなことを、ちょっとこの場をかりて……。

 次の質問に移らせていただきたいと思うんです。

 今回の法案につきましてなんですが、既に事業を始めている事業者、スカイパーフェクTVであるとか、ヒットポップスといいますか三菱商事、宇宙通信、東京電力さんであるとかソニーさんとかが配信サービスという名のもとにやってはいるんですが、既に出発してしまった業者というのは今現在あるんでしょうか。

鍋倉政府参考人 ちょっと先生の御趣旨があれなんですけれども、出発してしまっている事業者ということになりますと、例えば本法では、先ほど申しましたように、CATVの関連の事業者も対象になるわけですので、CATV事業者、既に数多くの方が事業者としておりますし、それから、百十度以外のCS放送というふうに申し上げました。そういったCS放送の事業者の方はたくさんおられます。

山村委員 まさにCATVは、今、若い世代にとりますと、多くのチャンネルの番組が見られるというよりも、インターネットインフラというような概念のもとに、CATVを引いているよというと、当然インターネットもケーブルテレビを通じてやっている、しかも今度は、Eコマースだ何だというような、近々にテレビショッピングだどうのこうのというような、もうITの最先端を行ってるんじゃないかというふうにとらえている、特に若い世代はそのように思っているんです。そのCATV業者であり、百十度以外のCSの事業者というのも、新たに今回のこの法律が通った場合、登録として、その申請書類を上げなければいけないわけですか。

鍋倉政府参考人 二つ分けてちょっと御説明いたしますが、CATVの場合は、今、五百端子以上は許可でございます。許可を受けてやっておりますので、その施設というのは、全部自分で施設を持っている方が許可を今受けているわけですが、その方々が本法適用になるのかというと、その方々はもう許可を受けているわけでございますから、そのままやっていただければそれでいいということでございます。

 それから、CS百十度以外の場合ですと、今は委託放送事業者ということで認定を受けておりますが、その方々が本法上の登録をするかしないかということは、それぞれの事業者の方の選択に任せるということでございまして、認定のままの委託事業者でも構いませんし、本法の登録をされても構いません。

 どこが違うかと申しますと、今度の法律の方が、いろいろな規制緩和がございますので、かなり自由度があるということで、私どもは、CS百十度以外の今のCS事業者は、委託放送事業から恐らく本法の適用の方に、規制緩和ですので、自由度が増しますから、そちらの方に移っていただくことになるんじゃないかなというふうには思っておりますが、それは御本人の選択の自由でございます。

山村委員 CATVに関してもよく理解できましたし、CS放送事業者に対しても非常に理解はさせていただいたんですが、百十度衛星というのがことしの秋に打ち上げを予定されていると思うんですが、百十度CS放送の事業者に関してはいかがなものなんでしょうか。

鍋倉政府参考人 CS百十度の場合ですと、やはり希望をされる方の方が割り当て可能のチャンネルよりも多いということ、それからもう一つは、全国にBSと同じように一波で届くというような社会的影響力というものも大きいということから、私ども、CSの百十度については本法の対象外でいきたいというふうに思っております。

山村委員 CS百十度の今、参画予定企業というのは希望者が非常に多いとおっしゃられるんですが、今のところ、総務省として把握している企業数としてはどのぐらいの数があるんでしょうか。

鍋倉政府参考人 四十一社から申請がございまして、昨年十二月に十八社を認定いたしております。

山村委員 そうしますと、CS百十度の認定したその十八社につきましては、ことしの秋からスタートされるということでよろしいんですか。

鍋倉政府参考人 大半は来年の春からというふうにお聞きしております。

山村委員 実働としましては、いわゆるCS百十度の放送を見ようとしたら来年の春からということになるとは思うんです。そうしますと、CS百十度以外の事業者で、これからこの法案にのっとって登録申請をやってくるといいますか、予想される企業の数というのは具体的には調査しておられるんでしょうか。

鍋倉政府参考人 現在、百十度以外のCSは百十七社ございますけれども、先ほど申しましたように、その方々がどれだけ規制緩和の、法律上の登録に乗ってくるかということは、私ども、まだ把握はいたしておりません。

山村委員 ちょっと私も質問の順番が、段取りが狂ったかなというところもあるんですが、その百十七社から、今度、百十度のCS放送へ乗りかえると言ったらおかしいんですが、そのような企業群というのはあるんでしょうか。

鍋倉政府参考人 百十度は百十度で別に去年の十二月にさせていただきましたので、乗りかえるということはございません。

山村委員 乗りかえる云々かんぬんといいますか、結局、CSの事業者は、どこもかしこもとは言わないんですけれども、やはり経営的には非常に厳しいところが多いと思うのです。百十七社のうち数社といいますか何社かが、例えば今までのCS以外のところを取りやめて、新たにその十八社の方にコンテンツも含めて移行していくということは、別に問題はないわけですか。

鍋倉政府参考人 百十度の場合、先ほど認定をさせていただいたというふうに申しましたけれども、希望者が四十一社あったにもかかわらず認定できた数は少なかったということで、今のところそのあきがございませんので、乗りかえてCSの百十度以外のところから百十度に来るということは、今のところないというふうに考えております。

山村委員 ということは、基本的に、今現在の百十度以外のCS放送事業者百十七社というのは、このままと言ったらおかしいですけれども、よほどのことが、経営的な問題がない限りは続いていくということでよろしいんですか。

鍋倉政府参考人 今の百十七社以外に、この法律を通させていただきますと、CS、つまり、通信衛星上でさらにあきがあれば登録をされて、新たに参入される方も自由になりますので、登録はしていただくわけですけれども。百十七社に固定したことではなくて、それ以外にも恐らく参入者の方が出てくるんじゃないか。

 そこの部分については、今、通信に利用している回線等をCSの放送に利用するということもこの法律で可能になりますので、新たな参入者も出てくるのではないかというふうに期待をいたしております。

山村委員 その新たな参入者の中に、いわゆる外国企業といいますか、外資系の企業というのが、今回また少し緩和されているとは思うんですけれども、何社かオファーがあるか、そういうようなことはいかがですか。

鍋倉政府参考人 今回の法律で外資規制がなくなりますので、例えばちょっと固有名詞を、例えばの話ですが、ディズニーですとかそういったところが、これは動きがあるわけではございません、そういう方々が、優秀なコンテンツを持った外国の企業の方が参入をしてくるということは期待をされるんだろうというふうに思っております。

山村委員 時間もあと五分ほどになりましたので、次の質問に移らせていただきます。

 コンテンツというものがあって初めて、IT社会といいますか、いわゆるデジタル放送の世界においても非常に飛躍的な、生活においても利便性といいますか、高まると思うんですが、そのコンテンツの管理といいますか、いわゆる法体系の見直しというようなことも総務省内で研究なりをしておられるんでしょうか。

高原政府参考人 先生お話しのように、これからブロードバンド時代を迎えますと、どうしてもコンテンツの流通ということがテーマになってまいりますが、その中で、今一番問題になっておりますのが、全体的に見ますと、著作権処理等の知的所有権の問題でございます。特に、映像のコンテンツの処理をめぐって著作権処理をどうするのかということが問題でございます。

 この辺をe―Japanの重点計画の中にも書き込んでおりますけれども、著作権を含む知的財産権の保護と利用を両立させる仕組み、システムをどういうふうに構築していくかということを今、研究会で研究いたしております。このシステムをこれから構築していこうということを今、検討しておる最中でございます。

山村委員 実際に、コンテンツの流通というテーマといいますか、さまざまな分野でいわゆる情報がデジタル化されたおかげといいますか、その功罪として出てきていると思うのです。

 コンテンツの取り扱い、その権利というものを含めまして、これは一刻も早くその法整備をしなければならないんじゃないかというふうに思いますので、その辺のところはよろしくお願いいたします。

 ほかの、今回、この国会中、電波法の改正案からも出ましたけれども、地上波デジタル放送、そしてまたBSデジタル放送、それぞれの加入世帯といいますか、その進捗度合いというのはどのように進んでいるのかということもちょっと聞かせていただきたいのです。

鍋倉政府参考人 先生、今、二つ御質問があったと思います。

 地上デジタル放送の準備ぐあいということで、まずお答えをさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、関東、中京、近畿の三大広域圏は二〇〇三年から、その他の地域は二〇〇六年からデジタル化を開始するということで、NHK、民放、総務省三者で構成します共同検討委員会で、デジタル放送用の親局、大規模中継局のチャンネルプランとか、それから、アナログをアナログに変更しなければいけませんので、その対策について検討を行ってまいりました。

 電波法改正も成立させていただきましたので、これから、今年度からアナログ・アナログ変更対策を今後五年間でやっていくということでございまして、今年度は、関東、中京、近畿の三大圏以外に、岡山、香川、福岡、長崎、熊本、鹿児島の八地域の一部から開始をする予定でございます。

 それから……

御法川委員長 局長、時間がないから簡単に。

鍋倉政府参考人 はい、済みません。

 これは、いろいろスケジュールですとかアナログ・アナログの変更の宣伝をしなければいけませんので、皆さん方に周知をしなければいけませんので、全国三十二の放送対象地域に地上デジタル放送推進協議会を設置しまして、これから体制を整えてやっていくということでございます。

 それから、BSの普及率でございますが、BSにつきましては、デジタルを含めまして、千四百九十二万件普及をいたしております。

山村委員 地上波デジタルについて、私も二つあわせて質問してしまったものですけれども、そこまで進んでいるということを、非常にこれはスケジュールどおりといいますか、ハードの整備は進んでいても、今度はデジタル放送になったときに、その時点で、いわゆるコンテンツといいますか、著作権の取り扱いというのが非常に大きな命題になってくると思うんです。だから、二〇〇三年までに、ことしの秋に臨時国会があるのかどうかわかりません、来年の通常国会にいたしましても、その辺のコンテンツに関する法案というのも早速に取り組んでいただきたいというふうにお願いいたしまして、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 いよいよ本日の法案の質疑で、当総務委員会は実質的に今国会の最終質疑を迎えることになると思います。御法川委員長、そしてまた委員各位とともに、多くの法案に対しまして私にとって大変有意義な質疑を行えたことは、片山大臣以下政府関係者及び委員部の方々の御理解と御協力のたまものだと思っております。本当に感謝しております。

 それでは、通告に従いまして質問いたします。

 CSデジタル放送は、現在、放送法による受委託放送制度に基づいて行われております。ハード事業者である受託放送事業者は、国が指定する放送用の周波数に関して免許を取得し、放送のみに使用することとされているところであります。また一方、ソフト事業者である委託放送事業者は、国が定める普及基本計画の番組目標数の枠内で、国の認定を得て参入することができるわけであります。また、CSデジタル放送の加入世帯数は約二百五十万世帯で、BS放送が約一千万世帯以上に普及しているのに比べて、普及が大幅におくれているのが現状であります。

 こうしたことから、今回、ケーブルテレビ放送も含めまして、CSデジタル放送におけるハードとソフトの分離を徹底して、規制緩和を行うことによって、CSデジタル放送の普及を促進しようとするものであると私は理解しております。

 電気通信の世界は、技術革新が非常に速く、今まで利用する設備がそれぞれ分かれていた通信と放送が、電話線で映像を送ることができるなど、いわゆる通信と放送の伝送路の融合が進展しており、その中で、できるだけ効率的に融合が図れるよう、制度を整備していかなければなりません。この通信と放送の融合の進展に対応した規制緩和を行うことが、本法案の特徴であると理解しているところであります。

 BSデジタル放送は高画質で、CSデジタル放送はチャンネルが多くとれるなどの特徴がありますけれども、情報通信分野は技術革新のスピードが速く、技術の素人の私には、勉強しても理解できないことが多くなってきているわけであります。今では、伝送路の融合、サービスの融合、事業体の融合、端末の融合と、融合について多角的に言われておるわけであります。

 ここで少し歴史を振り返ってみますと、BS放送が発展し、通信衛星、CSの放送利用が進む中、東経百十度に新たなCSを打ち上げ、放送に利用したいとの要望が強くなったのを背景に、周波数、軌道位置の確保のため国際調整手続を行い、平成三年十一月ですか、ITU、国際電気通信連合に事業の申請がなされたところであります。御案内のとおり、その後の十年の宇宙通信技術、宇宙ビジネスの発展は目覚ましいものがあります。

 そこで、旧郵政省は、十年前から通信の世界と放送の世界の融合をある程度は頭に置いていたと私は思っております。確かに、その後の十年の情報通信の技術進歩は予測しがたかった面もあると思いますけれども、当時の通信と放送の融合を視野に入れた長期基本政策は、どのようなものであったのでしょうか。また、海外事情を考慮し、この十年を踏まえて、大きな視点での現在の課題は主に何でしょうか。先日、衆議院を通過しました政策評価法的な考え方での御答弁をお願いいたしたいと思います。

小坂副大臣 委員から、もう既に、ずっと十年間を振り返って御指摘をいただきました。思い返せばといいますか、私が初めて当選をさせていただいたころから、この通信・放送融合という言葉は聞かれたわけでございまして、そんな意味からは、もう十年以上前からこの問題は旧郵政省において検討されたと認識をいたしております。

 平成元年に、通信衛星を利用した放送が可能となるように、おっしゃいました受託委託放送制度を導入いたしました。また、平成三年には、放送衛星と同じ軌道位置、いわゆる東経百十度と言われるここの位置に通信衛星を打ち上げることができるように、国際的な周波数調整を行ってきた。また、当時開催されました、すなわち、平成二年の末から開催をいたしました放送の将来展望に関する懇談会というのがあったんですが、この懇談会において、また、平成六年の夏から開催をいたしました二十一世紀に向けた放送通信の融合に関する懇談会におきまして、放送と通信の融合に対応した制度の整備の必要性が指摘をされておりました。

 そういった過去を振り返りながら、先ほど御指摘をいただきましたように、CSは二百五十万世帯、BSは一千万世帯という視聴者を取り込み、そしてCS放送では百十八社が百九十の番組のテレビジョン放送を提供いたしております。また、二百一社のケーブルテレビ事業者がインターネット接続サービスを提供するなど、一定の政策的な成果が上がってきた、このように認識をいたしているところでございます。

 しかし、当時、もっと急速な放送・通信の融合現象というのが起こってくるだろうと思っておりましたけれども、その範囲は思ったほど広範ではなかった。むしろ、近年、インターネットの爆発的な普及、それから携帯電話の普及、そしてデジタル放送の開始、こういったデジタル通信技術の技術的な進歩が相まって、このような新しい状況のもとで柔軟な事業展開が可能となるような、そういった事業側からの要請も出てまいりました。

 適正な情報流通ルールを確立するために、適切に制度を見直していくことが現在の一番重要な政策課題、このように認識しておるところでございまして、そのために、今回の法案の提出をさせていただくこと、それから、先ほども申し上げたわけでございますが、通信・放送融合技術の開発を促進するための法律案、こういったものを提出させていただいているところでございます。

 今後とも、例えば、インターネット上での放送に該当するようなサービスが、先ほども別の委員からの御指摘もありました、委員からの御指摘もありましたが、こういった問題、それから、社会的な要請に的確に対応するように、また、諸外国の対応状況等も見た上で、さらなる法律の整備、政策課題の実現に向けて研究を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

黄川田委員 私は、国政に参画したのが最近でありますので、過去の経緯について不案内でありますけれども、まだまだ課題はあるようでございます。時代の進歩に取り残されないように、どうか特段の積極的な対応をお願いいたしたいと思います。

 それでは次に、規制緩和についてお尋ねいたしたいと思います。

 放送事業者を登録制として、一見、参入が容易になったように見えますけれども、登録の要件として技術基準などのさまざまな制約を設けており、参入障壁は依然高いと思われます。

 電気通信役務を利用した放送形態は、インターネット放送など今後さまざまな形態が出てくると思われます。そこにこのような参入障壁を設けることは、新しい技術を用いた事業者の新規参入による市場の活性化を否定しかねず、既存の放送事業者の保護を意図している感じを抱かざるを得ないところもあります。

 もちろん、技術基準は、放送が過不足なくテレビに映るために必要な規格を定めて、消費者を保護するために不可欠なものであります。しかしながら、時代の変化、技術の進歩とともに、その内容を精査し社会ニーズにマッチするよう適切に随時改めてこそ、IT改革につながる真のイノベーションをもたらすものと思っているわけであります。

 そこで、参入要件については、思い切った緩和策が必要と考えますが、今回、どのような規制緩和が行われ、またそれがIT改革の推進にどのような役割を果たすことができるのか、あわせてお伺いいたしたいと思います。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

景山大臣政務官 先生がおっしゃいますように、通信と放送の伝送路の融合に対応いたしまして、電気通信事業者の電気通信サービスを利用いたしました放送を可能にするとともに、そうした場合、放送事業への参入につきまして、従来と比べて非常に要件の緩和を行うということでございます。

 具体的には、まずCS放送の参入でありますけれども、これは、今までは認定制で比較審査で入れていったものを、今度は登録制の導入によりまして、今後は比較審査を行わない、こういうことでございます。だから、これによりまして、経理的な基礎とか技術的な能力、そういった資格要件を満たしさえすれば参入が可能になる。それから、外資規制も撤廃することにいたしております。

 ケーブルテレビにつきましても、電気通信事業者の設備を利用する際には、これもこれまでのような許可を必要とせずに、登録だけで参入を可能にするということであります。

 それから、公衆に直接受信されることを目的とするということが放送にとっては必要でありますので、先生のおっしゃいますように、電気通信役務利用放送設備の技術基準の適合維持義務につきましては、電波の送信技術とか受信技術を日本全国あまねく同じにしておかないと、例えば、メーカーが違ったら受信ができないようなことがあってはいけませんので、そういった点はきちんとしておかなくてはいけないと思っております。

 このような中で、規制緩和することは、国民の利益を非常に増進することでありますと同時に、e―Japan重点施策のIT戦略本部でも決定されましたように、今後、この法律は、IT革命を推進する上で非常に重要な通信と放送の融合に対しまして、初めて制度的に、また体系的に整備をした法律であると思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

黄川田委員 本法第十一条の総務省令で定めるとされている類似の技術基準などから想定いたしますと、従来のCS放送と有線テレビジョン放送を前提にしていると思われます。しかし、今現実に起こりつつある通信と放送の融合では、従来の枠にはとどまらない形態が出現しつつあります。例えばインターネット放送などの新しい放送形態には、本法案は対処し得ないのではないかとも思われます。

 そこで、本法案の範囲をより明確化するとともに、インターネット上での放送に対する規制の考え方を明示すべきであると考えますけれども、これについて、私からも改めてお伺いいたしたいと思います。

小坂副大臣 委員が御指摘のように、インターネット放送という名前で呼ばれておりまして、実際に画面上で見ますと、放送と同じように動画と音声が提供される。しかしながら、インターネットの接続によりまして、これはクリックをして自分からとりに行かないと受信ができないという形でございますので、放送というふうに位置づけることはできません。これは通信と現状では位置づけているわけでございます。

 したがって、本法の対象となるものではございませんけれども、将来、いわゆるIPマルチキャストということがよく言われておりまして、多方向に同時に投げるということですね、したがって、放送のように多数に同時発信ができるような、放送に類似した、概念的にも似通ったものがインターネットで提供されるような、非常に広範に行われるような状況が出てまいりましたときには、そういった状況を見まして、これに対して直ちに放送と同様の規制をかけるかどうかというのは、慎重に考えていかなければなりませんけれども、何らかの規制というものが必要なのかどうか、これを慎重に見守っていかなきゃいけない、このように考えているところでございます。

 諸外国におきましても、インターネット放送について、米国の場合には、我が国と同じく通信というふうに整理をされております。また、英国、フランスにおきましては、広くは放送の概念に取り込んでおりますけれども、コンテンツ規律の適用を差し控えるというような状況でございます。

 いずれにいたしましても、こういったインターネット放送の出現など、通信・放送融合の技術的な、あるいは実態的な進展という状況を十分に見きわめまして、この規制のあり方について、時代におくれないように鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

黄川田委員 電気通信事業法改正の質疑の答弁にもありましたけれども、また、最近の新聞報道によりますと、総務省は、NTTグループのインターネット関連事業への進出に関し、公正競争を確保するための指針を年内にも策定するとのことであります。音楽や映像などコンテンツの制作、配信会社への出資に制限を設け、ネット配信について子会社や関連会社などを優遇する行為も禁じる見込みのようであります。

 先般の電気通信事業法、NTT法改正の質疑の結果、地域通信網を独占するNTT東西地域会社にネット事業への進出などを条件つきで認めることになっております。しかし、NTT東西は、NTT法で放送への参入を事実上禁じられておりますが、疑似放送とも言えるネット配信事業への進出については明確なルールはありません。

 そこで、NTTが電気通信市場での支配的地位を用いて、放送市場において独占的な地位を築くことが懸念されるわけであります。現状の枠組みでは、NTT東西以外のNTTグループ会社が当法案に言う放送事業者に登録することに何ら制限がなく、NTTコミュニケーション、NTT東西の一〇〇%子会社も参入が可能であります。そこで、少なくともNTT東西の一〇〇%子会社には何らかの参入の制限を設けるべきであると考えますが、総務省の見解はいかがでしょうか。

小坂副大臣 委員の御指摘のとおりでございまして、NTT東西は、放送法に規定する放送や電気通信役務利用放送を行うことは認められません。

 また、NTT東西の一〇〇%出資子会社が放送事業へ参入することにつきましても、NTT東西が実質的に放送事業を支配し、行うこととなりまして、これはNTT法の脱法行為に該当すると認識されますので、これは認めることはできないわけであります。

黄川田委員 できるだけ多様なネット配信会社の規制をよろしくお願いいたしたいと思います。これは要望であります。

 次に、ケーブルテレビ放送についてお尋ねいたします。

 ケーブルテレビ放送は、光ファイバー網による加入者系ネットワークの構築が進み、地域における総合的な情報通信基盤として根づいてきております。

 総務省によりますと、平成十二年度末における自主放送を行うケーブルテレビの全国の加入世帯数は一千四十八万世帯で、対前年比一〇・六%の増加となっておるところであります。また、施設数及び事業者数は、それぞれ九百四十六施設、六百四十六事業者となっております。

 私の地元でも、九社のケーブルテレビ事業者が合計五万六千五百三十世帯の加入を得て、放送デジタル化への対応や、インターネットなどの新しい通信サービスの展開、新たな広域サービスの創造など、地域の情報インフラの担い手として期待されているところであります。

 そこで、本法案によって、これからのケーブルテレビ事業の発展にどのような効果が生じてくると考えられるのか、総務省にお伺いいたします。

景山大臣政務官 先生のおっしゃいますように、ケーブルテレビ放送は、放送サービスのみならず通信サービスを合わせて提供いたしまして、地域におきましては、総合的な情報通信基盤として非常に大きな役割を果たしておるのは、先生のおっしゃるとおりでございます。

 現在、先生がおっしゃいますように、自主放送を行うケーブルテレビの加入世帯は一千四十八万世帯、普及率二二・一%であります。それから、インターネット接続サービスを提供しますケーブルテレビ事業者数は全国で二百一社、ケーブルインターネットサービス利用者数が七十八万四千人というふうな数字が出ております。

 こうしたケーブルテレビのネットワーク整備に当たりまして、みずから設備を整備する以外に、NTT東西等の電気通信事業者の電気通信サービスの提供を受けて整備することを可能とするものでありまして、そのネットワーク設備に当たりまして、事業者の選択肢をふやすとともに、施設の設置のための初期に行います投資部門につきましての負担の軽減につながっていくと期待をされておるところであります。

 それから、登録制の導入等の規制緩和措置とあわせまして、より広い地域でのサービスの提供とか非常に多彩な番組の提供を容易にいたしまして、国民視聴者にとっていろいろな番組が見られるということが期待されるわけであります。

 この平成八年から十二年度の四年間で、先ほど数字は申し上げましたけれども、五百万世帯から一千四十八万世帯へとケーブルテレビの加入世帯数は倍増いたしておるところでございます。

黄川田委員 今後の方向といたしまして、地方にあっても広域共同サービスの体制の整備が求められておるわけでありますので、特段の配慮をよろしくお願いいたしたいと思います。

 先ほど外資規制についてお話がありましたけれども、私からも一つお伺いいたします。

 外資規制を撤廃することによって、視聴者から見た放送は今後どのように変化すると考えられますでしょうか。また、完全撤廃は国民の利益に反することにならないか。あわせて総務省の御見解をお伺いいたします。

鍋倉政府参考人 先ほどちょっと申し上げましたけれども、外国の番組が放送しやすくなるということで、例えばディズニーみたいなところが出てくるかもしれないということで、より多彩な番組が放送されるのではないかな、そういった外国の良質なコンテンツと、それから我が国のコンテンツが一層切磋琢磨する状況が生まれるということで、CS放送の質が向上することを期待しているところでございます。一般的に申し上げますと、視聴者からすると、番組の選択の幅が広がるのかなというふうに考えております。

 それから、完全撤廃による国民への影響ということでございますけれども、先ほども申しましたように、このCS放送は、地上波のように国民に広く視聴されている基幹メディアではございませんし、それから、放送をしたいという需要に対して、中継器もその需要にこたえられるというようなものでございますので、御心配の点はないのではないかなというふうに思っております。繰り返しになりますけれども、いろいろな外国の方々のコンテンツも幅広く参入ができるような制度になって、かえって逆に幅が広がるという、メリットの方が大きいのではないかなというふうに思っております。

黄川田委員 有力なコンテンツを保有する外国企業の参入ということで、番組内容の充実が見込まれるという話であります。私も、CSデジタル放送市場の活性化になることを期待するものであります。

 それでは、時間でありますので、最後の質問に移りたいと思います。

 放送関連の法律には放送法、電波法、有線テレビジョン放送法などがありまして、地上放送、衛星放送、ケーブルテレビ放送など、さまざまな形態で放送サービスが行われております。今後、新しい技術がますます発展し、通信と放送の融合が進む中で、それに合わせて多くの法律の制定あるいは改定がなされ、今でも複雑な法体系がますますわかりにくいものになるのではないかという懸念を私は持っております。

 私は法律の専門家ではありませんが、最近、本法案のように、新しい技術の変化や新しい社会の出来事に対して、後追い的な立法措置が多いように私には見受けられるのであります。この側面はある程度やむを得ないことと思いますけれども、国は将来の技術変化や社会変化をしっかり見定めて、あるべき方向に国民を導く立法措置が重要と考えております。

 このような観点を踏まえまして、私も立法府の一員として前向きに取り組んでいかなければなりませんけれども、今回、新しい制度をつくる意義を、最後に総務大臣にお伺いいたしたいと思います。

片山国務大臣 いろいろ御議論をいただきましたが、今回の法案が、今その状況が大変進んでおります通信と放送の融合問題について初めて体系的、制度的な取り組みを行うものでございまして、伝送路における通信と放送の融合を促進するための基本的な枠組みをつくったものだと私は理解しております。

 これを出発点としまして、状況はさらに変化し、進んでまいると思いますから、先ほども申し上げましたが、通信のあり方、放送のあり方、その融合の進みぐあいについてしっかりとした、それこそ基本的、体系的な法整備についても検討してまいりたい、それによってIT革命をさらに加速させたい、こういうふうに考えております。

黄川田委員 時間でありますので、これで終わります。

渡海委員長代理 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章でございます。

 法案審議に入る前に、一点お聞きしておきたいことがございます。現在、電力線搬送通信設備に使用する周波数帯を拡大できないかどうかという検討がされております。要するに、電力線をインターネット配信に利用することができないかどうかということであります。これは規制改革三カ年計画の中での提案でもあります。

 現在、電力線は十キロヘルツから四百五十キロヘルツ以下の周波数帯を使用していますけれども、スピードアップのために、もっと上の周波数帯、二メガヘルツから三十メガヘルツの短波帯を使えるかどうかを検討するということになっていると聞いております。

 ところで、その周波数帯には、約百万局のアマチュア無線、短波放送、船舶無線などが含まれております。私のところにも、アマチュア無線家の方々から、こんなことをしたらアマチュア無線ができなくなるんじゃないかという不安の声が寄せられております。実態はどうなっていますか。

小坂副大臣 春名委員のところにも多くの御意見が寄せられているようでございますが、私も、アマチュア無線を以前やっていました経緯から、連盟の会員の方々から大量のメールをいただいておりまして、それぞれにお返事を書いているところでございます。

 電力搬送通信は、今まで、軽微な、屋内インターホンで、配線をしないで、差し込みに差し込めば二階と一階でも通信ができるような、そういうものに利用された経緯がありますけれども、使用する周波数帯を、御指摘のように二メガヘルツから三十メガヘルツに拡大して、電力線の搬送通信を高度化するという動きがあるわけでございます。これが実現しますと、既存の家庭内の電力線を用いてインターネットを容易に行うことを可能といたしますし、また、インターネットの利用について多くの選択肢が用意されることになりますので、国民の利益につながると認識をいたしておりまして、この研究については促進をしているところでございます。

 他方、御指摘の、アマチュア無線家からの、電力線からの漏えい電波がアマチュア無線の受信に妨害を与える、あるいはほかの通信に対しても妨害を与えるのではないかという懸念が寄せられております。総務省といたしましては、アマチュア無線のみならず、その周波数帯を使用している、今おっしゃった船舶通信とか短波放送受信など、既存の無線通信に妨害を与えないことがあくまでも前提であるという認識に立って研究を進めております。

 このため、総務省では、e―Japan重点計画に示すように、最初に放送その他の無線業務への影響について調査を行い、その調査結果などをもとにしてその帯域の利用可能性についての検証をして、利用が可能であることが確認できた段階で必要に応じて技術基準の改正等に向けて取り組んでいく、こういうステップを踏むようにいたしております。

 現在、電波産業会におきまして、アマチュア無線製造機器メーカー、まさにこのアマチュア無線の利用実態について一番詳しいメーカーの方、それから妨害を受ける側の立場として日本放送協会などが参加して、その技術的な検討を行っておりまして、厳密、厳正な影響調査に基づいた検討を行うことができると考えているところでございます。

 総務省では、既存の無線通信への影響に十分配慮した上で、電力線搬送通信の高度化について取り組んでいく所存でございます。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

春名委員 先ほど副大臣は、妨害を与えないことが前提であるということをおっしゃったんですが、妨害を与えるということになりますと、もしなった場合には実施しないということでいいかどうかの確認と、その妨害の影響が出る内容なんですが、小坂副大臣のところの方がたくさん行っていると思うんですが、九八年の規制緩和要求では、例えば、アメリカでは、漏えい電波の電界強度が三十メートル法で三十マイクロボルト・パー・メーター以下の程度までは許容されているという表現が出てきて、規制緩和の中身としてそういう要望が、アメリカの程度にこういうのがある、アメリカはこうなっているんだということになっている。

 しかし、日本とアメリカは条件がまるで違う。電力線が地中でなく空中にある、家屋の多くが木造で遮へい効果がない、それから、狭い国土に百万局ものアマチュア無線の局が密集している。アメリカと条件がまるで違うわけなので、アメリカの基準をそのまま横滑りさせて、そこから影響がないというような話になると、それは話が違いますよ、こういう懸念もあるわけですよね。

 その二点、影響が出るということがもしわかれば実施をしない、そして、その影響の中身が、アメリカの基準なんかを影響の基準にするということはない、そのあたりを明確にしておいた方がいいんじゃないでしょうか。

小坂副大臣 その点につきましては、米国と日本の国情の違いも勘案に入れまして検討してまいりたいと思いますが、しかし、同時に、アマチュア無線の利用者におきましても、アマチュア無線を発信しますと、家庭のいろいろな受信機、テレビとかラジオに電波障害を起こす場合もあるわけですね。そういう場合に、個別に対策をちゃんととって、そして、理解を得てアマチュア無線の局を開設するようなことをやっております。

 それと同じように、この電力線搬送通信が実現をいたしましたときに、もし個別の障害が起こるようであれば、それを除外するにはどのような対策があるのか、それによる実施のメリットとその対策とのバランスというものも考えながら、具体的な技術基準というものを設定していくことが必要だ、このように思っているところでございます。

 例えば、今のインターネットのDSL通信のように、音声通話と同じ回線を利用しておりまして、従来でありますと障害が起こったんですが、これを、同じ回線を使っても障害が起きないようなDSL方式を日本流に開発して実施に踏み切ったところでございます。

 このような技術的な検討をさらに進めて、今のお説のように、障害が起こらないような最大限の努力をしてまいりたい、また、そのような事故が起これば、それは直ちに対策をとって、お互いに通信の可能な状況というものをつくり出していく、このように対策をとってまいりたいと思っております。

春名委員 改めて、影響がそういうことでもし出るというような結論になれば、検討し直しということも含めて確認しておきたいと思いますので、よろしく。

 それでは、本法案の質疑にいきたいと思います。

 本法案は、免許制から登録制にする、それから外資規制の撤廃、CSデジタル放送の規制緩和をそういう形で進めて、早い話が、事業者の参入を容易にするというところに大きな目的があると思います。

 最初に、局長で結構ですので、外資規制の撤廃についてなんですが、そもそも、放送に外資規制があるのはどういう趣旨かということが一点と、先ほどの答弁でもありましたが、この法案でCS放送についてはどうなるのかということ、この点、まとめてお答えください。

鍋倉政府参考人 放送局、放送をする無線局でございますけれども、一般には外資規制がございます。

 その理由は、電波は、御承知のとおり、国際的な周波数分配によって各国に割り当てられているものでございまして、言ってみれば、有限希少な電波ということでございます。そういったことから、この有限希少な電波の利用というのは、自国民の利益を優先して図ることが必要であるというのが一つでございます。それからもう一つは、放送局は、言論報道機関として、その社会的影響力が非常に大きいということから、一般の無線局以上に、より厳格に制限する必要があるということで、外資規制が設けられているということでございます。

 それから、CSの外資規制、今回の法律でございますが、今回の法律の制度によるCS放送については外資規制はございません。それから、従来のCS放送につきましては、放送法の受委託制度によるCS放送でございますけれども、それは外資規制が存在をします。

春名委員 続いて、もう一回確認の意味で、先ほどもお話が出たんですが、東経百十度衛星はCSですけれども、この適用は受けないのか、外資規制はどうなるのか。

鍋倉政府参考人 先ほども御答弁いたしましたけれども、東経百十度CS放送につきましては、利用可能な周波数に比べて今後とも多数の参入希望者が予想されるということと、それから、BSと同じように非常に社会的影響力も大きいと予想される放送であるということで、今回、この法律の適用除外にしております。ということで、外資規制がかかるということでございます。

春名委員 それは法律上ではなくて、政令の世界ですか。ちょっと確認しておきます。

鍋倉政府参考人 私どもで周波数割り当て計画というのがございまして、これは電波法に規定する周波数割り当て計画、告示でございます。

 ここの周波数割り当て計画の中に、電気通信役務利用放送に使用することが可能とされる周波数を用いたものが本法の適用対象となるというふうに、要するに、そこに規定をするということでございます。

春名委員 今、御説明の中で、多数の参入が見込まれるということが大きな理由として言われました。

 では、逆に聞きますけれども、百十度以外のCSには余り参入が見込めない、だから、外資規制を外すんだ、こういうことになるかと思うんですが、そういうことですか。

鍋倉政府参考人 CS百十度に比べまして、それ以外のCSは中継器の数も多うございますので、参入が少ないということではなくて、多くの参入が見込まれておりますけれども、現在、既に百十七社あるわけでございますが、もっと多くの方々が参入をしても十分賄えるだけの中継器があるということでございます。

春名委員 そうすると、もう一回、逆の聞き方で申しわけないんですが、中継器があって余裕があるということなんですが、多数の参入がこれからあって、視聴者もふえてくれば、外資規制の撤廃もまた見直すということになるんですか。

鍋倉政府参考人 ちょっと誤解があったのかもしれませんけれども、CS百十度の場合には、非常に限られた中継器しかないというのが大前提でございます。それともう一つは、先ほど申しましたように、CS百十度の場合は、BSと同じ位置にございますので、影響力も非常に大きいだろうという二つの観点からでございます。

春名委員 私が想像するに、この外資規制を外すことによって、CSチャンネルに競争が起こるほどの参入が広がるのかというのが非常に疑問でありまして、それはどういう見通しを持っておられるのか、それを聞きたいと思います。

鍋倉政府参考人 今よりも参入が容易になりますので、私どもは、多くの方々が参入をしていただけることを期待をしているということでございます。

春名委員 しかし、今、CS放送事業者、百十八社ですか、百十七かと思っていたけれども、さっきの答弁では百十八になっていたようですが、百十八社のうち既に十八社は外資が入っているのです。つまり、外資規制よりも基準が低いレベルで外資が入っているのです。そこの中には、欧米の有力コンテンツを持った、保有企業が既に出資をしているわけでしょう。

 それで、これからそういう外資規制を完全撤廃するということによって、これからどんどん競争が始まるような、そういう参入が本当に広がっていくというのが私はどうもイメージできない。既に十三社は外資が入っているのに、そして有力コンテンツを持っている企業が出資しているのに、あえてまた緩和をするという意味合いがどうも私にはよく見えないのですが、その点はどうでしょうか。

鍋倉政府参考人 先生御承知のとおり、今のCSですと外資規制がございますので、その範囲の中で十数社入ってきているということでございますが、今後、そこの撤廃があれば、もっとより多くの有力コンテンツの方が入ってくるのではないかということを私どもは期待しているということでございます。

春名委員 本当に良質のコンテンツの競い合いになるのかということが、私はなかなか見えないわけなんです。今回の改正でそういう外資規制の撤廃をすれば何とかなるだろうと、安易とは言いませんけれども、小手先といいますか、そういうニュアンスしか私には伝わってこないわけなんです。

 要するに、今のCSの困難というのは、資料をもらったのですけれども、二年前の数字で見れば、百十八社のうち黒字は十五社しかないのです。どちらかというと、撤退があるわけでしょう、それで穴があきつつあるわけでしょう、チャンネル数は多いけれども。だから、市場原理だけで新たな事業者を集めてみても、視聴者を獲得することにすぐつながるというふうに私は思えないのです。もうけにならない事業者の撤退を一層激しくするようなことにもなりかねないんじゃないか、逆に、質の低い番組が横行しかねないということも非常に私は心配をしているわけなんです。

 そこで、私は、こういう規制を緩和するということを進める前に、もう少し政府として検討をしてほしいことがあるわけなんです。つまり、CSの最大の魅力、また特徴というのは、多チャンネルをどう生かすかということだろうと思うのです。そのためにどのような対応をとっていくのかということが大事かと思うのです。

 平成八年十二月の例の多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会の報告書、これを興味深く私も読ませていただきました。今から五年前の報告書でありますが、視聴者の側から見た多チャンネル化の意義として、多様な分野、内容の番組が多く登場し、番組の選択の幅が広がることにより、従来の総合放送では十分満足できなかった需要を充足させ得る。従来の総合放送では十分な量の情報を確保することが困難であった障害者、外国人等への情報提供を目的とする放送が可能となり、これらの人々の放送への需要を満たすことでより積極的な社会参加の契機に貢献できる、私、非常に共感を持ってこの報告書を読ませていただいたわけです。

 そして、そういう総括的な提起をした後に、論点の第一として、多チャンネル化の意義を最大限発揮するための方策や、国会テレビ、障害者向け専門放送など、各種専門放送の積極的活用が第一に挙げられています。その具体化として、障害者向け放送、外国語放送、高齢者向け放送を分野として特筆して挙げています。

 この報告が出て五年たちました。総務省としては、こうした分野の放送番組の充実のためにこの間何をされてきたのか、この点をお伺いしたいと思います。

小坂副大臣 委員がおっしゃいました多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会、これの報告にありますように、私も、多チャンネル化によりまして多種多様な放送番組が提供され、その中で障害者や高齢者のニーズに対応した番組がふえることを希望している者の一人でございます。

 今現在はどうかといいますと、障害者や高齢者のニーズを視野に入れた番組の認定といたしましては、現在、委託放送事業者二社、ウェルフェアチャンネル、それから医療関係のチャンネルで医療福祉チャンネルという、この二つが障害者向け及び高齢者番組を放送いたしております。

 さらに、今後、デジタル技術を活用しまして、高齢者の方でも聞き取りやすいような話速変換技術、同じ時間内に、最初はゆっくり、途中で耳がなれてきたときにおくれを取り戻して、最後は画面とぴったり同じに終わるというような、こういった話速変換技術というのがありますので、高齢者にも聞きやすい放送を提供する事業者が出てくるというようなことも期待をされます。

 また、外国語放送の充実につきましても、平成十年及び十二年にそれぞれ三チャンネルの外国語放送番組が認定をされておりますが、現在、英語以外に五カ国語、九チャンネルの外国語放送が実現をいたしておりまして、具体的には、韓国語、中国語、フィリピンを中心とするタガログ語、そしてスペイン語、ポルトガル語が行われているところでございます。

 今後とも、まだまだ十分ではないかもしれませんが、それぞれの事業者の意欲をお願いいたしまして、技術の進歩に合わせて高齢者や障害者に優しい放送の実現に努力をしてまいりたいと存じます。

春名委員 私、政府としての取り組みの内容を聞いておるわけなんです。障害者向け、高齢者向け専門放送、今、小坂副大臣はおっしゃったけれども、今やっているのはウェルフェアチャンネルと医療福祉チャンネル七七四、日本福祉放送というのは残念ながら休止に追い込まれて再開のめどが立たずということで、今二チャンネルになっているということです。

 ちょっと教えてほしいのですけれども、こういう障害者向けや高齢者向け放送がなかなか進まない、おっしゃったとおり公共性は高いです。専門的で非常にニーズもあるし、求められていると思うのです。ただ、実態としてはそういう貧困な状態でずっと過ぎているわけで、むしろ、休止をせなければいかぬという事態に追い込まれている。なぜ、進んでいないのか、その辺はどんな原因なのか、分析されているのか、ちょっと聞かせていただけませんか。

小坂副大臣 具体的な数字は用意をいたしておりませんが、私の範囲で答弁をまずさせていただきますと、委員が御指摘のように、採算性という問題がどうしても事業としてやる場合には出てくるわけでございます。

 私は、高齢者、障害者向けの放送の充実という中では、NPOのような活動が支援をしてくれるような一つの環境の整備というものがやはり必要なんだろうと思います。これから十分に研究をして、そういった方々がCSという多チャンネルのメディアを利用して福祉に取り組んでいただく、こういうことに私も政治家としては協力をしていきたいというように考えているところでございます。

春名委員 今、大事なことを私はおっしゃっていると思っています。確かに採算性だと思うのです。対象もたくさんじゃないですし、限られていますし、それから、番組をつくるのはいろいろ苦労も要るでしょうし、魅力も必要です。今、NPOが取り組めるように支援する環境整備とか研究をしたいということをおっしゃったわけですが、非常に大事だと思います。

 三百チャンネル以上あるのでしょう、CSというのは。その中で、やはり特定のものを、差別的に優遇するという意味ではなくて、公共性が高くて、あえて公式な文書の中で今後の多チャンネルの発展方向として示されているようなものについては、特別のいろいろな努力あるいはどういうことができるのかという研究に、もう少し身を入れてほしいという思いが私はあるわけなんです。

 どうもこの五年間、今のお話を聞いても、市場原理に任せていて、実態はこうなっておりますという、現状は言われるんだけれども、では、政府としてどういうかかわり方をしてこれを発展させるのかという方向性が、今の話を聞いても全然見えないものですから。

 だから、NPOの話をされて、ああなるほどと僕はすぐ思ったんですけれども、そこのところを形にしていく。やはり、CSの一つの発展方向としてこのことが提案されているわけですから、このことなどにもっと力を注いで、規制緩和で外資が入ってくれば質が高まっていくなんという、そんな甘いものじゃないですから、そこのところをもっと形にしていくような姿勢と努力と研究が必要なんじゃないかと私は思うんですよ。

 その点を私、大臣としても、ぜひ決意もしていただいて、検討するし研究もしていただきたいというふうに思っているわけです。その点での見解を聞かせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 基本的には、やはり規制を緩和して競争を促進していく、それから、それぞれの当事者がやはり自分で努力していく、こういう方向が正しいと思います。委員の言われることも全く理屈がないわけではないと思いますけれども、何でも公的、何でも政府、何でも依存と、やはりこれからは自立自助ですから、そういう意味では、今、副大臣が言いましたように、まず環境を整えて事業者の努力、それから需要を掘り起こすんですよ。

 そういうことをやった上での話で、すぐ公的にということは、これからの時代にはいかがかな、こう思いますが、御趣旨は御趣旨として承っておきます。

春名委員 せっかく小坂副大臣がいいことを言ったのに、何か打ち消すようなことを言われたので、一言言わないと、終われなくなっちゃったじゃないですか。

 要するに、何でもかんでも公共的に手を差し伸べたらええということを言っているんじゃないといって、今、私は限定的に議論をしたんですよ。あえて皆さんがおつくりになったこの報告書の中でも、多チャンネル時代の発展方向として大事な方向だ、社会参加を進める大きな手だてになるという提案がされているわけなんで、そこにしっかりと、それをぽうんとすぐ放るんじゃなくて、では、この角度からどういうことができるのかを研究しましょうということを言っているのであって、ですから、今の前段の部分はちょっとやめておいていただいて、ぜひ研究してほしい。

 大臣、ありますか。そういうことをお願いしておきたいと思います。これで終わりにしますから。

小坂副大臣 今、大臣の答弁は決して矛盾していることを言っているわけではなくて、やはり放送の原則は、民間に努力をしていただいて、民間が意欲を持って取り組んでいただいて、幅広い放送というものを確保すること。しかし同時に、民間事業者の皆さんが、やはり高齢者そして障害者に対する優しい心を持って、自分たちの事業の範囲内においても、先ほど申し上げたような話速変換とか、あるいは障害者のための字幕の提供をするとか、そういったいろいろな放送をまぜて、そして、幅広い視聴者を取り込む努力もやはりしていただかなければいけない。

 そういう面において、私どももできることがあると思いますので、委員の御指摘もありますので、また頑張っていきたい、このように考えております。

春名委員 以上で終わります。

御法川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 今、民間の意欲が大切だ、大事だ、重要だというお話でございましたが、ある意味では、民間の意欲をかき立てるような今回の法案ではなかろうかと思っております。とりわけ、CATV分野では、これまでは事業者は自前でケーブルを引いて、放送事業を展開していくということだったんですが、今回の法案によりまして、電気通信事業者の設備を利用して放送事業を行うことができるということでございます。規制の緩和により、初期投資がこれによって随分少なくなる、小さな事業者も参入でき、事業展開が容易になったということでございましょうが、このことによって、放送の多様化につながっていけばという思いを強くいたしております。

 そういった中で、CATVの分野で、とりわけこの中の再送信制度、いわゆる再送信義務ですね、このことについて、ちょっと私、お尋ねをしたいのでございます。

 有線テレビジョン放送法では、CATV事業者に対し、総務大臣が指定した受信障害発生区域内、いわゆる難視聴地域ですね、ここについては、地元で放送されるすべてのテレビジョン放送を同時再送信する義務を課している、いわゆる再送信義務制度というものがあるんですが、この趣旨は、CATVはテレビ放送のいわゆる難視聴地域での受信障害解消の有力な手段である。再送信を中心として、補完的なメディアとしてこのCATVが誕生した、存在があるということだと思うんですが、そういった意味から、この再送信の義務は、受信障害地域における受信者の保護を図るため、こういうふうに私は受け取っているわけでございます。

 そこで、今回の新制度では、法案では、この再送信義務が外された、いわゆる緩和されたということでございますが、その理由について、まず説明いただきたいと思うんです。

小坂副大臣 委員の御指摘のように、有線テレビジョン放送法の第十三条第一項におきまして、義務再送信制度というものが規定をされております。

 これは、テレビジョン放送について受信の障害がある、相当範囲にわたって発生しているような地域、または発生するおそれがあるような場合に、地域独占的な設備の設置について許可を受けている有線テレビ放送事業者に対して、その事業者の地域における影響力というものに着目をいたしまして、テレビジョン放送の再送信を行うことを義務づけている、こういう制度でございます。

 一方、今回の法律における電気通信役務利用放送事業者というものは、みずから設備を設置しないために、複数の放送事業者の参入が同一地域においても想定されることから、地域独占性があるとは必ずしも言えないのではないか、こういった観点から、義務再送信規制というものは課さない、このように考えたところでございます。

横光委員 そのことによって、CATV事業者については、これから、現行法の再送信義務を負っている、いわゆるこれまでの許可事業者、そしてまた、これから新制度で始まります再送信義務を負わない登録事業者、これが併存することになるわけでございます。しかしながら、既存の事業者も含めて、これからCATV事業を行おうとする事業者、この両者を自由に選択できるわけですね。そうなりますと、多数の事業者が規制の緩い登録事業者にシフトをするんじゃないかという思いを持っておるんですが、総務省の見通しは、どのようにお考えなんでしょうか。

鍋倉政府参考人 CATVで、今後、自分で有線テレビジョン放送施設を設置して放送を行うか、あるいは電気通信事業者から設備を借りまして利用して放送を行うのかは、基本的には事業者みずからの経営判断でございますが、一概に、どちらが有利不利というのは、私ども、言えないんじゃないかなというふうに思っております。

 みずから設備を設置した方がいい場合と、電気通信事業者から設備を借りた方が有利な場合と、両方あるのではないかな、それはサービスの内容ですとか提供地域の事情によっていろいろ異なりますので、一概にどちらかを論ずることはできないんじゃないかなというふうに思っております。

横光委員 一概に言えないなんて言っても、では、何でこんな法案をつくるんですか。こういうふうに参入しやすい、許可が登録になるというような、いわゆる参入しやすいような法案なんでしょう。これをつくったからといって、一概に利用することはわからないなんて、それはちょっとあれじゃないですか。やはりそういった人たちのためにこの法案が出たわけでしょう。それを、結果は一概にはどうなるかわからないと言う。規制緩和によって、今、言われたように、独占的なものを排除するためにもどんどん参入してほしいという法案の趣旨と今の答弁は違うんじゃないですか。やはりそういった流れになるだろうというふうに思っていないんですか。

鍋倉政府参考人 ちょっと言葉が足りなかったのかもしれませんが、みずから設備を設置して許可を受けて事業を行う従来のCATV事業者もありますでしょうし、それから、規制緩和になりまして、回線を利用してやることもできるようになるということで、選択の幅が広がるということでございまして、そういう趣旨を申し上げました。

横光委員 いや、ですから、そういう状況になりますと、登録制度でこれから事業を展開しようとする事業者が恐らくふえてくるだろうと私は予測しているわけですよ。そうなりますと、受信障害地域、難視聴地域ですね、ここではこの登録事業者が新制度によってサービスを開始することはもちろんできるわけですよね。それはそうでしょう。

 そうなりますと、私がちょっと懸念するのは、いわゆる登録事業者には再送信義務がない。そうすると、難視聴地域では、もしこれまでの許可事業者と違って登録事業者が中心になってくると、いわゆる受信者の利益というものが損なわれる可能性をちょっと心配しているんですが、そういうことはあり得ないんでしょうか。

鍋倉政府参考人 そもそもCATVの発祥がその地域の難視聴解消ということから始まったというのは、先生も御承知のとおりでございます。仮に、受信障害発生地域において登録事業者がいろいろ事業を行う場合に、その基本になりますその地域のテレビの再送信というものを行わないというのは、やはりそこの地域における視聴者のニーズを踏まえますと、余り考えられないのではないかなというふうに基本的に考えております。

横光委員 わかりました。そういった懸念はない、私の杞憂であるということでございます。ぜひそうなってほしいと思います。

 そうしますと、この義務再送信制度というのは、大臣がそういった地域を指定するということになっているんですが、指定したことはあるんですか。

鍋倉政府参考人 実際には、そこの地域のCATV事業者が再送信をやっておりますし、実害もございませんので、今まで例がございません。

横光委員 必ずそのCATVの事業者が再送信をやっているということでございますので、これはもう義務再送信制度なんて、正直言って必要ないんじゃないか。そういう指定もしていないというお答えでございますし、むしろ、こういったものは必要ないんだ、そういう制度がなくたって十分再送信をやっているんだという今のお答えでございますので、むしろ、必要ないんじゃないかという気がするわけでございます。

 それはそれとして、次に、アメリカにおける地上デジタル放送の再送信についてちょっとお聞きしたいんです。

 私たちの国でも、二〇〇三年から大都市を初めとして地上波デジタルがスタートするわけでございます。アメリカではもう一九九八年から地上デジタル放送が開始されております。しかも、二〇〇二年、来年までには、全商業放送局、いわゆるコマーシャルベースに乗った放送局ではデジタル局を開設する、つまり、デジタル送信を始めるようにという、二〇〇二年までにそういった期限を定めているわけですね。さらに、二〇〇六年末にはアナログ波を停波する、こういうスケジュールになっております。

 そこで、アメリカのデジタル放送のカバレッジ、これが約一億世帯ある中で六〇%、これは二〇〇〇年四月の報告ですので、今はもうちょっと多いかもしれませんが、六〇%以上のデジタル放送のカバレッジの状況だと聞いております。それで、地上デジタル放送の現在のアメリカの普及状況なんですが、CATVを通じての視聴状況、デジタルの普及状況の中で、その中でCATVを通じてデジタルを視聴しているような状況というものはどれぐらいあるかわかりますか。

鍋倉政府参考人 デジタル化されたCATVの加入世帯というのは、本年三月末現在で約一千万世帯でございますが、このうち地上デジタル放送をCATVを通じて視聴している世帯というのが公表されておりませんので、先生のお答え、私ども、ちょっと把握しておりません。

横光委員 CATVで一応デジタルは見られるけれども、結局、デジ・アナ変換をしていなくて、要するに、デジタルの放送のメリットを享受することができていないという現状だというのを、私、調べてみたらアメリカではそういう状況らしいんですね。このため、アメリカの方では、先ほど申しましたスケジュールがあるだけに、予定どおりデジタル放送を普及させるために、CATV事業者に対して、デジタルで再送信を義務づけるいわゆるマストキャリールール、これを検討していると言われております。この動向をちょっと説明いただきたいんです。

鍋倉政府参考人 御承知のとおり、アメリカでは、ケーブルテレビは七〇%の世帯普及率ということで普及をしているわけでございまして、従来からマストキャリールールが定められております。

 現在、先生のお尋ねのデジタル放送についてのルールでございますが、地上放送事業者の主張としましては、当然、地上デジタル放送の普及促進の観点から、デジタル放送への移行期において、ケーブルテレビ事業者にアナログ放送とデジタル放送の両方の再送信を義務づけることを求めております。一方、ケーブルテレビ事業者は、同じ内容の番組を二チャンネル再放送することを義務づけられることについて反対をしておりまして、二〇〇一年、ことしの一月でございますが、FCCは、ケーブルテレビ事業者側の主張を受け入れまして、デジタル放送、アナログ放送の両方を再送信する義務はないという見解を示したものというふうに私ども、承知をいたしております。

横光委員 今、説明があったように、アメリカでは本当に七〇%のケーブルテレビのシェア、しかも、そのかなりの部分がデジ・アナ変換している、要するに、デジタルの恩恵を享受しておらぬ、そういった中でマストキャリールールというものを政府が検討しているということなんでしょうが、今お話がございましたように、事業者から見ますと、これは大変な設備投資がかかる、あるいは七〇%というCATVのシェアの力、こういったものからして、非常に容易には進展しない問題ではなかろうかと思うんです。

 例えば、日本の場合はどうかといいますと、昨年十二月、BSデジタル放送が開始されましたね。この普及率がことしの四月の時点で百八十万世帯と聞いております。当初の目的からすると、余り進んでいないんじゃないかという気がするんですが、このBSデジタル放送の普及の状況が、要するに、デジタルテレビの出荷台数が二十万台、あるいはチューナーの出荷台数が四十万台、そうすると、残りの大体百万世帯ぐらいがケーブルテレビを通じての視聴者数ということになるんでしょうか。

鍋倉政府参考人 おっしゃるとおり、ケーブルテレビを経由しているものが百二十万でございます。

横光委員 CATVの普及率、これはどれぐらいあるんでしょうか。

鍋倉政府参考人 十二年度末での調査でございますが、加入世帯数が千四十八万世帯、普及率二二%でございます。

横光委員 自主番組を流さずに他局の送信だけを行っている局を含めると、もっと多いんじゃないんですか。

鍋倉政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、許可施設で見ている者、それを含めますと、五百一以上の許可施設で千二百六十三万八千五百二十九世帯という数字になっておりますし、それ以外のもっと小さなものも含めますと、一千八百万ぐらいになります。

横光委員 かなりのCATVの普及だと私は思うんですね。

 では、CATV事業者のデジタル化率、これはわかりますか。

鍋倉政府参考人 デジタル化をして、今のBSデジタル放送をデジタル方式によって再送信している事業者の数は百二でございますが、加入世帯からいいますと、五百五十万世帯に達しております。母数を先ほどの千四十八万ということでとりますと、五二%がデジタル化をしているということでございます。

横光委員 そんなにデジタル化しておるんですか。自主放送をする事業者が今六百八十六あると聞いておりますが、ということは、半分、三百以上の、三百四十ぐらいの事業者がもうデジタルで放送できるようになっているんですか。

鍋倉政府参考人 事業者の数は百二でございますが、大規模なものがデジタル化しておりますので、世帯数からいくと、五百五十万世帯ということになります。

横光委員 それでもまだ半分近くはデジ・アナという形で、日本でも、CATVでは放送していると思うんですね。

 となりますと、先ほど言いましたように、BSデジタル放送をデジ・アナ変換して見ているということになりますと、やはり将来的には、我が国においても、このCATV事業者のデジタル化のおくれがBSデジタル放送の普及の足かせになるんじゃないかという気がしておりますが、そこのところはどのようにお考えでしょうか。

鍋倉政府参考人 私どもは、今申し上げましたように、五〇%以上がデジタル化を既にやっているということで、ケーブルテレビ事業者は、BSデジタル放送の開始時から着実にデジタル化に、大きいところからでございますが、取り組んでおられるんじゃないかなというふうに思っております。

横光委員 このデジタル化には、先ほどからお話がございますように、いろいろな経費、設備投資がかかるわけですから、そのためにも国がいろいろな支援措置に取り組んでいるのはよくわかるんですね。

 しかし、これから地上波を含めてBSのデジタル化という大きな流れの中で、私は、先ほどのCATVのシェアを見ると、CATVのデジタル化のおくれがあると、非常に日本全体のデジタル化の足かせになるという気がいたしております。

 日本でもアメリカのようにマストキャリールールというものを検討していることはあるんでしょうか。

小坂副大臣 このCATVのデジタル化、すなわち、今二つのことが同時に議論されておりますが、CATVを通してデジタル放送をアナログに変換して流している部分と、CATVそのものがデジタル対応に変えてデジタルで流すという方式と、二つ議論されているわけでございます。いずれにいたしましても、デジタル化にはやはり投資が必要でございますし、デジタル放送を流すためにデジタル化して、同時にまた、アナログ放送も受信して同じように流さなきゃならないということになりますと、投資面でも大変に過大な負担になってまいります。

 そういった意味から、今回は、そういった義務づけによってCATV事業者が、過大と言っては言い過ぎかもしれませんが、過重な負担を受けるよりも、むしろいろいろな、NTTのダークファイバーを使ったり、いろいろな回路、回線を使って、このCATV事業に多くの事業者が参入して、多様な自主番組の制作だとか、あるいは多様な事業者の進出ということが期待されるところでございます。

 そういった意味で、また、デジタル化対応にいたしましても、デジタル放送を流しましても、受信機が今度はデジタル対応になっていなければ双方向のメリットはないわけでございますので、受信機の普及、デジタル放送の、地上波放送の普及状況、それからBSデジタルの受信状況、こういったものを見ながらやはり判断すべき問題だと思っております。検討は常にいたしたいと思いますが、今その方向にあるということではないということでございます。

横光委員 いずれにしても、今大変な、CATVのシェアが大きいということを聞きましたし、これからのデジタル放送の普及のためにはこのCATVのデジタル促進というものが欠かせない、非常に大きなかぎを持っているのではなかろうかということを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。

矢島委員 私は、日本共産党を代表して、内閣提出の電気通信役務利用放送法案に対して反対の討論を行います。

 技術進歩によって可能となった多チャンネル放送の意義について、九六年十二月の多チャンネル懇談会報告書は、従来の総合放送では十分な量の情報を確保することが困難であった障害者、外国人等への情報提供を目的とする放送が可能となり、これらの人々の放送への需要を満たすことでより積極的な社会参加の機会に貢献すると、社会の民主主義的発展への放送の新たな貢献を挙げていました。

 そうした取り組みが極めて不十分なことが我が党の質問で明らかになりましたが、その本格的な追求なしに、商業主義的な方向での自由化を強めることは、もうかる番組への資本の集中を加速させ、多チャンネル懇が指摘したような多様な番組を発展させることに逆行することは明らかです。こうした流れの中で、安易に外資の解禁を図ることは、この方向を強めるだけであります。

 最後に、通信と放送の融合に伴って、放送の制度改革を言うのであれば、まず、政府が直接、放送局を規制するという、世界の主要国に例を見ない放送法制の見直しをまず最初に行うべきであるということを申し添えて、反対討論を終わります。

御法川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより採決に入ります。

 電気通信役務利用放送法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 独立行政法人及び特殊法人の情報公開に関しましては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律において、政府は、平成十一年五月の同法の公布後二年を目途に法制上の措置を講ずるものとされたところであります。

 このため、行政改革推進本部の下に置かれた特殊法人情報公開検討委員会において、独立行政法人及び特殊法人のみならず認可法人も視野に入れて専門的かつ広範な調査審議を重ねていただき、その結果、昨年七月に、内閣総理大臣に対し、特殊法人等の情報公開制度の整備充実に関する意見が提出されたところであります。これを受けて、政府は、同意見に沿って、このたび、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案を取りまとめ、御提案することとなったものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 この法律案は、国民主権の理念にのっとり、法人文書の開示を請求することができる権利及び独立行政法人等の諸活動に関する情報の提供につき定めること等により、独立行政法人等の保有する情報の一層の公開を図り、もって独立行政法人等の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的としております。

 この法律案の要点は、第一に、対象となる独立行政法人等を、行政機関と同様にその諸活動について国民に対する説明責務を有する独立行政法人、特殊法人及び認可法人とすることとするものであります。いかなる法人が対象法人となるかについては、当該法人の設立の根拠となる法律の趣旨から判断することとし、独立行政法人は六十法人すべてを対象とし、特殊法人及び認可法人は、大臣等が理事長等を任命する法人または政府が出資できる法人等、それぞれ六十一法人、二十四法人を対象としております。

 第二に、何人も、独立行政法人等に対し、法人文書の開示を請求することができるものとするとともに、開示請求があったときは、独立行政法人等は、不開示情報が記録されている場合を除き、当該法人文書を開示しなければならないこととするものであります。不開示情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律において定める不開示情報と基本的に同様とし、各類型ごとに、その範囲を明確かつ合理的に定めております。

 第三に、独立行政法人等は、その組織、業務及び財務に関する基礎的な情報等を記録した文書等を作成し、適時に、かつ、国民に利用しやすい方法により提供することとするものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十一分散会




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