衆議院

メインへスキップ



第3号 平成13年9月25日(火曜日)

会議録本文へ
平成十三年九月二十五日(火曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 荒井  聰君 理事 田並 胤明君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      後藤田正純君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    坂井 隆憲君

      新藤 義孝君    滝   実君

      谷  洋一君    谷本 龍哉君

      野中 広務君    平井 卓也君

      宮路 和明君    山本 公一君

     吉田六左エ門君    伊藤 忠治君

      大出  彰君    加藤 公一君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中村 哲治君    松崎 公昭君

      松原  仁君    山村  健君

      山名 靖英君    佐藤 公治君

      春名 直章君    矢島 恒夫君

      重野 安正君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官

    兼行政改革推進事務局

    長)          西村 正紀君

   政府参考人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   政府参考人

   (人事院事務総局総務局総

   括審議官)        吉藤 正道君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長

   )            藤原 恒夫君

   政府参考人

   (人事院事務総局勤務条件

   局長)          大村 厚至君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 大坪 正彦君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十五日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     後藤田正純君

  平井 卓也君     谷本 龍哉君

  山井 和則君     加藤 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤田正純君     河野 太郎君

  谷本 龍哉君     平井 卓也君

  加藤 公一君     山井 和則君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件(人事院勧告)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官兼行政改革推進事務局長西村正紀君、人事院総裁中島忠能君、人事院事務総局総務局総括審議官吉藤正道君、人事院事務総局人材局長藤原恒夫君、人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君及び総務省人事・恩給局長大坪正彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎二郎君。

川崎委員 私は、初当選が昭和五十五年の七月ですけれども、その八月に国会議員として初めて質問させていただいたのが人事院勧告でございまして、以来、二十二年ぶりに質問をさせていただくことになりました。

 公務員の人事院勧告に対して、まず基本的な認識が「厳しい社会経済情勢」。我が国の社会経済情勢の動向を見ると、グローバリゼーションなどに伴う厳しい市場競争に勝ち抜くため、民間企業は事業の再構築や従業員の削減などにより大胆なコスト管理の徹底等、経営努力に努めている、これが第一の下敷きになっています。

 第二番目が「公務員人事管理に対する国民の声」。1種試験採用職員を中心にして行われている、こうした人事慣行は、閉鎖的な公務員社会を維持し、国民の感覚から乖離した公務員を生む土壌となり、たび重なる不祥事の要因となっているとの声が強くなっています。また、社会経済環境が厳しさを増す中、再就職について権限を背景とした天下りが行われているとの習慣等々。

 基本的には、経済情勢は厳しいですよ、もう一つは公務員を見る目は極めて厳しくなっていますよ、この認識の中で人事院勧告がなされたのだろうと思います。そして、人事院勧告がなされるに当たって、基本的な考え方として民間準拠方式、民間のそうした厳しい状況というものをしっかり調べながら、それをベースにやりますよということが基本だろうと思うのです。

 私は、実はきょう質問に立ちましたのは、三、四年前ですか、民間の皆さん方と話していて、公務員の皆さん方は三回ボーナスをもらうんですかという単純な質問をもらった。考えてみれば私ももらっている。六月、十二月、三月。それで、〇・五カ月分多いんですかと言うから、違いますよ、総額は変わりませんよ、こう申し上げたのだけれども、民間の皆さん方からすれば実は単純な疑問なんですね、うまいことやっているのではないかと。やはりこういう制度というものは、簡単な話ですから直された方がいい。私が大臣のときにもちょっと申し上げた。昨年は自民党の総務会で、給与を上げるときに、正直この問題がありますから私は反対したいけれども、きょうはおさめておくと申し上げた。そしてこの間、部会でも実は申し上げたところであります。

 民間準拠と言われるならば、ぜひ民間がやっているやり方と公務員の給与、ボーナス一つ挙げても大体イコールにしていただきたい、こう思うのです。したがって、この民間準拠方式の中で、何で三回やっていたのだろうか、ぜひ二回にしていただいて、私は総額はいじる必要はないと思いますよ、きちっと計算された上で出されているのだから。そのことについて、人事院総裁のお気持ちをぜひお聞かせいただきたいと思います。

中島政府参考人 ボーナスを六月、十二月、三月と三回に分けて支給しておりますが、これを始めましたのは、昭和三十七年からこういう方式をやっております。当時、三公社五現業の状況とか、あるいはまた四月というのは就学とか就職で若干家計が、それだけのお金を要するというので始めたようでございますけれども、それ以来四十年たっておるわけでございます。

 したがいまして、今おっしゃるように、一度民間の状況というのをしっかり調べまして、その上でどういうふうにするかを考えたいと思いますけれども、実は、三、四年前に一度調べたことがございます。そのときには、三月支給という民間企業がたしか一〇%を少し超えておったように思います。今度は制度改革というのも視野に置きながらしっかり調べて、そしてその結果、善処いたしたいというふうに思います。

川崎委員 JRもNTTも、民間になられてそのような習慣は変えられたと聞いております。そういう意味では、三、四年前よりも逆にもっと年二回というのはふえてきておるのではなかろうかなと思いますので、そろそろ急いでもらいたいな、こう思います。

 人事院総裁の立場からいえば、今、回答にあったように、民間の声を聞きながら、もう一度来年調べて再来年からやってみよう、こういう感じなんですけれども、大臣、どうですか。私は、実は議運の理事をしている我々の仲間の大野さんに、国会議員はこうなっているんだよ、国会議員、二回にしてしまったらどうだ、もっと言えば、国会議員の給料を減らせなんという議論もあるから、〇・五カ月分、来年は返上しますぐらいやったらどうですかねという話を申し上げておいたのです。大臣の御見解をちょっとお聞きしたいと思います。

片山国務大臣 今、人事院総裁から御答弁ありましたけれども、昭和三十七年に、当時の国鉄その他の状況を見てということにしたわけでありますが、恐らく、民間は今三回というのはないでしょうね。ほとんど二回なので、公務員の処遇、勤務条件があくまでも民間準拠なら、私は、しっかり調査して検討すべきことではなかろうかと思います。

 今の我が国の公務員制度の基本的な仕組みは、特に勤務条件は、人事院が勧告をして政府がそれを受けるという、受け身なんですね。大変パッシブでございますので、人事院の方で勧告を出していただければ、我々は十分それを受け入れて検討する用意があると思いますし、私も、個人的な見解を言えと言われたら、どちらかというと川崎委員に近いわけであります。

川崎委員 余り細かいことばかりやりたくないのですけれども、諸手当というものがずっとありますね。期末手当から勤勉手当、調整手当、扶養手当、住居手当、通勤手当、超過勤務手当、特殊勤務手当、夜勤手当、宿直何とかと、いろいろあるのですよ。これは毎月支給なんですね、毎月なんです。これは当然だろうと思うのです。

 ところが、寒冷地手当というものだけは過去の踏襲があるらしいのですね。戦前なのかどうかわかりませんけれども、冬に入るから今のうちに燃料を用意しておいた方がいいと。まき手当なんという表現もあったかどうか知らぬけれども、それで六カ月分まとめて、過去は九月にやっていた。それを今は十月に変えた。改善ですよと言われるけれども、民間や我々の立場からいうと、どうも改善のようには思えない。途中で転勤される人もいる。いや、転勤になったら返すのですよというお話もいただきましたけれども、この問題もぜひ、民間の状況をよくお調べいただいて、疑念が生じないように処理してもらいたいと思います。

 総裁にちょっと御答弁願いたいと思います。

中島政府参考人 先ほど申し上げましたように、民間の状況を調べるときに、この問題も一緒に調べてみたいというふうに思います。

川崎委員 次に、私もサラリーマン経験者ですけれども、サラリーマンの議論の中で、一つは、自分が年間に得られるもの、まず月々の給料ですね、それから賞与、ボーナス、それに退職金と年金でしょうか。要するに、七十まで生きたら、八十まで生きたら、一生にどのぐらいもらえるのかな、これは普通だと思うんです。常にこれが基本的にサラリーマンの頭の中から離れない。

 そこで、ボーナスの話は今お話しさせていただいて、人勧でボーナスまで含んで調整せい、こういうことで結論が出ていますから、給与、ボーナスについては、民間準拠という形でやろうとまず骨格ができている。さあ、年金問題。これは、ここの委員会が所管ではありませんから、社会保険庁等を中心にしながら、公務員の年金と一般サラリーマンの年金、それから我々もそうですけれども国民年金というものを比較しながら、さあどうであろうか、官民格差というのがあるんですかどうですかというのが当然議論されるんです。この二つは割合議論が盛んだと思います。また、この議論がオープンになっている。しかし、退職金になりますと少しオープンになっていないのではなかろうかな。

 まず大臣、これはいつ調べたんですかというと、五年を目途に調べますという御回答なんですけれども、昭和四十六年に調べて、五十三年に調べ、七年間があいた。次は五十八年に調べて五年、その次が平成元年に調べて今度は平成八年、それで今やっていますと。七年目にやったり八年目にやったり五年目にやったり、やはり一つはルールをおつくりになった方がいいんじゃないですか。

 それから、それでは平成八年、民間と比較して一〇三%、三%ほど高いけれども下げる必要ないという結論を出された。では、その基礎データというのをきちっと出してくれますかと言ったら、残念ながら、好意的に考えれば時間がなくて、金曜日に申し上げたものですから、私のところには届かなかった。しかし、三%高かったのですが、何で高かったのですかというデータはない。少なくとも私は今知らない。そんなことでいいんでしょうか。私は、退職金というものも基本的には透明性を持って議論をして決めていく、これがやはり大事だろうと思うんです。

 それで最初に、総務省、今私が申し上げたように、五年置きとか七年置きとか、割合行き当たりばったりで調査しているというのは事実ですか。

大坪政府参考人 今先生言われました退職金に関する民間の調査の件につきましては、御指摘のとおりでございまして、昭和四十六年、五十三年、五十八年、平成元年、平成八年ということで、必ずしも定期的には行っておられません。

川崎委員 おらないということでいいのかな。

 そこで総裁、さあ今度は、よく調べたら人事院が平成八年まではずっと調査されてきた。そういう意味では、人勧をやるためのノウハウというものを生かしながら、人事院は退職金制度まで調べながらやってきた。それは総務省の依頼によってやってきたんだ。ところが、今度、十三年の調査は総務省みずからおやりになるということになるんですね。私は、人事院というものの一つの性格から、先ほど言いましたように、給料を変えるには人事院から出てこなきゃ変えられないと総務大臣が言われたぐらいの格式をお持ちになっているんだから、退職金についても自分たちがきちっとやって公表していきますよというルールづくりが大事なんじゃないかなと思いますけれども、総裁、どう思われますでしょうか。

中島政府参考人 昭和四十年に総理府に人事局ができまして、退職金制度を所管されるようになりました。当初といいますか、しばらくの間は、人事局の方に人的なスタッフがない、あるいは調査をするときの設計能力がもう一つ乏しいというので、私たちの方でお手伝いしてきた。

 それが随分長く続いてきたわけでございますけれども、やはりその制度を所管する役所が退職金制度についての現状認識、また将来設計というものをしっかりお持ちになって調査をなさるのが筋だろうということで、人事局の方に、これからおたくの方で調査をしてくださいというお願いを申し上げて、今度は現在人事局の方で調査中だという話を聞いておりますが、それと並行いたしまして、実は毎年毎年定員削減で非常に厳しくなっておりまして、私たちの方も本当は民間企業の給与を調べるのに精いっぱいという状況でございますので、これから制度を所管しているところでしっかり調べていただくというふうにお願い申し上げたいというふうに思います。

 ただ、過渡的な状況でございますので、私たちの方でいろいろな技術的なお手伝いといいますか、そういうアドバイスは申し上げたいというふうに思います。

川崎委員 大臣、今の人事院総裁の答弁でいいのかなと思いますね。給与はきちっとお調べになって毎年こうやって出しますよ、しかし、退職金は所管が違いますから総務省でおやりくださいと。機能を持たれているんですからね。それは総務省も機能を、両方持っているんだったら、両方合体しちゃって少しスリム化を図ってくださいよ。

 いずれにせよ、今、総務省でおやりになる、そして、基本的に公務員制度改革もあわせながら抜本的にやろうというお話も聞いておるんです。そこで一番大事なことは、やはりオープンにすることだと思うんですね。定期的にきちっとおやりになって、今回の人事院勧告と同じように、退職金問題もオープンにする、年金問題もきちっとお調べになってオープンにする。そして、国民から変な形で見られない公務員、公務員が胸を張って仕事をできるようにするには、やはりつまらぬことで公務員が文句を言われるような制度はよくないですよ。

 ぜひ大臣に、公平とオープンということをお話しいただけたらありがたいと思います。

片山国務大臣 人事院と人事局、今は人事・恩給局になりましたけれども、名前が似ているものですから関係はどうかとよく言われるんですが、我々の総務省の人事・恩給局というのは、国家公務員の雇い主の方の立場でいろいろ人事管理その他をやる。それから、人事院は、御承知のように、公務員は現業以外、非現業が団結権以外認められておりませんので、団体交渉権、争議権がありませんから、その労働基本権制約の代償機関として中立第三者機関、こうなっているんですね。

 だから、そこはおのずから立場が違うんですが、まあ似ているところも実はあるわけで、退職金は我々の所管だったんですけれども、なかなか、スタッフや専門的ないろいろな能力からいって、人事院に給与とあわせてやってもらった方がいいんではなかろうかということで今までお願いしてきたんですよ、人事局の方が人事院にお願いして。だけれども、おかげさまで人事局も大分育ってまいりましたので、今度は本来の所管でございますからうちの方で調査しよう、こういうことに今後はしてまいろうと思っております。

 そこで、川崎委員が言われる公平とオープンですね。行政というのは公平じゃなきゃいけません。そういう意味では、給与、退職金に係る関係も公平にやりたいと思いますし、今まで細部については必ずしも公開していなかったということがあるようですけれども、今後はできるだけ公開するようにいたします。

川崎委員 もう一つ退職金の問題。必ずしも公務員の話ではないんですけれども、この間、内閣委員会で民主党の代議士が質問したものをそのまま持ってきちゃったんですけれども、ある官僚A氏が受け取った退職金、次官として五千五百十二万円、公団総裁として三千六百九十万円、関連団体理事長として三千七百三十六万円、また天下って○○会社社長二千百万円、一億五千万円退職金をもらった。民主党がお出しになったから事実だと思っているんですけれども。

 さあ、特殊法人整理、小泉さんのもとで民営化か廃止しろ。しかし、現実問題、この間、道路公団等、具体案が出てきても、基本的には少し年数がかかるなという感覚がありますね。それから、スリム化を図って、ここの分だけは国が関与せざるを得ない、例えば道路公団が持っている土地、これはここで持つけれどもあとは民営化で運営しようとか、いろいろな案が出てくるんだろうと思うんです。いずれにせよ、特殊法人を全廃しろというのはなかなか難しいなということだろうと思うんです。総務大臣の管轄でも当然そういう議論になる。

 したがって、スリム化の問題なり、そういう問題はやはりこれからどんどん詰めていくとして、すぐできる問題としてこの退職金の問題。官僚でもらって、そして天下って今度公団でまたもらって、公団でそんなに年数勤められるわけがない、何でこんな高給になるんですかというと、公務員の退職金制度というのが、特殊法人、一般の人たちはそういう制度だけれども、理事以上の人たちは特別で、最後の月給に在職月数を掛けて〇・三六という数字を掛ける、こういうことになっているんですね。特別なんですよ。

 例えば、竹中さんが民間から大臣におなりになった。公務員の退職金制度が採用されて、竹中さんがおやめになるとき、例えば一年何カ月お務めになったら〇・何カ月かの分の退職金をもらうんですよ、政務官でも副大臣でも、みんなもらいますから。

 しかし、何で公団のこういう人たちだけもらわなきゃならぬか。特殊法人でも、NTTとかJRとか、民間経営をし、株式を公開し、そして株主総会で諮りながらいろいろな議論をしていくところはいいですよ。しかし、国が本来やるべきもののアウトソーシング、その方が経営効率がいいよという形でやっているもののところまで、要は経営のリスクのないものまで民間と同じような退職金制度、これはおやめになった方がいい。基本的には公務員同様な計算式にしていただいたらいいと思うんです。

 また一方で、今度は大臣、私、もらっちゃったから申しわけないんだけれども、大臣の退職金というのは、アメリカの大統領でもそうですけれども、我々は国会議員として特殊な年金制度というのを持っているんですよ。したがって、退職金はないんですよ。国会議員として大臣になられた方は、政務官も、退職金要らないんじゃないかな、そんなふうに思いますよ。そういった意味で、これは所管外だと言われるかもしれないけれども、閣僚として、ちょっと見解だけ、勝手な質問をして申しわけないですけれども、よろしくお願いします。

片山国務大臣 二つ御質問ございますが、まず最初の、特殊法人の役職員の関係でございますけれども、特殊法人については、今、全般的な見直しをやる、業務形態ですね、そういう中で役職員の給与や退職金についても見直そう、行革本部でそういうことを決めまして、特に公務員出身の役職員については厳格に見直してしかるべき措置をとる、こういうことを決めておりますので、これは時期はいつか、できるだけ早い時期になると思いますけれども、結論は出ると思います。ぜひそうしたいと思います。

 それから、国務大臣等の退職金の問題、これは制度がそうなっているんですね。公務員なんですね、我々は。公務員ですから、六カ月以上勤務しますと一定の計算式で退職金が出る。大した額じゃないと思いますが、まだもらっておりませんが、川崎委員はもうもらわれたようでございますけれども、これも検討の対象になると私は思いますよ。アメリカと違うのは、向こうは大統領制ですからね。我々は議院内閣制で、議員が国務大臣や副大臣や政務官になるもので、なったらこれは特別職の公務員でございますから、公務員一般の勤続報賞としての退職金の制度の適用がある。しかし、全く検討課題でないかというと、私は検討課題の一つだとは思います。

 以上です。

川崎委員 ありがとうございます。

 もう回答は結構でございますけれども、例えば、自治省の役人がある県の副知事になられる、三年務めようが四年務めようが、お帰りになって公務員に戻るだけ、退職金は一切受け取らないということもありますので、公務員だからということではないように思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。

 私の方は一年生でございまして、初めて人事院勧告という質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。

 民間の方が下がっているということなんですが、民間も上がり、公務員も上がるということが一番ハッピーではないかと実は思いますが、なかなかそうはいかないようで、本来ならば、コストインフレになるかもしれませんが、個人消費が伸びていないんだからこそ上げたらどうだと。ところが、民間の方は不況で上げる原資がないということなんでしょう。何とか両方とも上がる方向でいっていないということは、本当は政治の指導者の責任なのではないかと実は思っております。

 さて、このたび、公務員の職員の年間給与が三年連続マイナスだという勧告でございます。今申し上げたように、現在の厳しい経済雇用情勢を考慮いたしますと、やむを得ないのかなと思っているところです。しかしながら、このような連年の給与引き下げ勧告というのは、実は国家公務員法三条の二項で、人事院というのは職員の利益を保護する役割がございますが、この点から問題があるのではないかと思うんですが、人事院総裁の御所見はいかがでしょうか。

中島政府参考人 私たちが給与勧告をいたします前に民間の状況を調査いたしますが、その調査をするときに、月例給与は月例給与同士比較する、そしてボーナスはボーナス同士比較するということを行っております。

 ことしは、月例給与につきましては非常に較差が小さいといいますか、若干といいますか、〇・〇八%民間の方が高かったということ、三百十三円ということになりますが、そういう較差が出てきた。ところが、ボーナスの方は、昨年の五月からことしの四月までに支給された民間のボーナスをもとに対比いたしますと、公務員の方が〇・〇五カ月高いというので、その引き下げ勧告をした。合わせまして、年収がマイナス、こういうふうな勧告になったわけでございます。

 これは、公務員の給与というのは、先ほどから議論されておりますように、民間との正確な比較の上に決めるというのが原則でございますし、そういう考え方に立って今までも仕事をしてまいっております。したがいましてそういう結果になるわけですが、なお、引き下げというのは、国家公務員法でもそういうことが予定されている条文がございますので、私たちは、人事院の基本的な立場と矛盾するものではない、むしろそういうことをきちんと行うことによって公務員の給与に対する国民の理解というものが得られるというふうに考えております。

大出委員 二十七日から臨時国会が始まるわけですが、その間に、いわゆる給与関係の閣僚会議というのが八月の九日に一回だけ開かれておりまして、その後、どうも政府においてこの勧告についての取り扱いが検討されているようには見えません。そこで、先ほどからもお話がありますように、労働基本権の制約の代償措置として人事院勧告があるということでございますので、直ちにこの点についての完全実施を閣議決定し、法案を提出すべきではないかというのが一点でございます。

 そして、もう一点は、この勧告とともに、報告の中で、育児休業制度と介護休暇制度の改正に関する意見の申し出というのがございまして、この点については、私は大変高く評価していいんだと思っております。ですから、この点につきましても、直ちに育児休業法の改正案と勤務時間法の改正案を出すべきではないか。完全実施とともにこの二つを、法案が違いますので当然時期がずれることはございますが、その辺を総務大臣の方にお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 八月八日に人事院から給与勧告を受けまして、十日に第一回の給与関係閣僚会議をやりまして、取り扱いの議論をいたしました。結論を得ずに二回目以降に持ち越しましたが、御承知のように、このところいろいろばたばたいたしまして、私も、第二回を早急にお願いせなければいかぬな、こう思っております。まだその時期を決めておりませんが、事務的には今関係のところで十分な検討をいたしておりまして、できれば完全実施、こういうことでまいりたいと思っておりますけれども、いろいろ財政、経済の状況その他、国民の御意向その他を、万般、総合的に勘案して結論を出していく、こういうことになろうと思いますし、もしそういう結論が得られますれば、できるだけ早く立法化をいたしまして、国会に御審議をお願いする必要があるんではなかろうか、こういうふうに思っております。

 それから、育児休業等の人事院の御意見をいただきましたので、これまた最大限尊重して対応いたしたいと思っておりまして、こちらについては今相当なすり合わせが進んでおりますので、できればこれも給与関係法とあわせて出せればいいな、こう思っておりまして、こちらの方もできるだけいろいろな検討、結論、対応を急ぐつもりでございます。

大出委員 今まで人事院勧告等ございまして、今回は三年連続でマイナスだということもございます。いろいろなところで政治的な影響を受けたりして、政治の道具に使われたりすることもございました。そして今、不況、不景気でございますので、この勧告が下がったりすることがないように、ぜひ完全実施ということで、閣議決定、法案提出をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、ちょっと前後いたしますが、育児休業と介護休暇の点についてなんですが、公務員の場合ですと、育児休業の取得者が五千四百六十七人だというんですね。そのうち男性が四十四人、実に〇・八%しかとっていないんですね。介護休暇の取得者は公務員でどれだけいるかというと、二百十六人。そのうちの男性が四十七人だそうです。そうすると、二二%ということだそうです。このように、男性の育児休暇あるいは介護休暇の取得率が大変悪いというのが現状でございます。

 そうだとしますと、この報告の中にもございますが、職業生活と家庭生活の両立を一層容易にするための環境整備だ、こう言っているんですが、このように言いましても、女性職員からいたしますと、職場復帰はできるといたしましても、実は、使ってもらえるのかなという不安があって、なかなか休業や休暇がとりにくいということになっているようです。

 ですから、人事院総裁、ここはどうかぜひとも、男性職員の取得を促進させるために、勧告といいますか申し出といいますか、口を出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 公務員の人事管理をめぐる流れというのを見ておりますと、男女共同参画というのがことしの大きなテーマになるだろうということで、私たちは、ことしの六月ですか、公務員白書の中に相当なページを割きまして、これについての分析をし、提言をしております。そして、その中でも、育児休業等につきまして男性職員がもう少し積極的にとるようにということも、私たちの考え方を述べております。

 おっしゃるように、確かに〇・八%ですか、その率は低い。したがって、これをもう少し高くして、男性も同じように家庭責任というものをしょうようにしなければならない、御指摘はごもっともでございます。したがいまして、私たちも時々各省の人事担当の課長を集めまして会議等をいたしておりますので、そういう場を通じまして、男性職員の育児休業、介護休暇等の取得というものについて意識をしていただくように、自覚を持っていただくように進めてまいりたいというふうに思います。

大出委員 大変心強いお言葉、ありがとうございます。公務員の女性職員が大変喜ぶことだと思います。

 続きまして、ちょっと前後いたしますが、人事院勧告の方ですが、今回初めて、暫定的な一時金三千七百五十六円という仕組みを勧告しているわけです。俸給表や手当等の改定を行わないで、このたび一時金を支給するとした理由は何でしょうかということをお尋ねしたいんです。

大村政府参考人 先ほどから総裁が申し上げていますように、本年の月例給の官民較差、これは三百十三円でございました。これは、昨年が四百四十七円と、昨年よりも低い。昨年も俸給表の改定を見送りまして、扶養手当の改定を行ったわけでございます。従来から、俸給表を改定する場合には、私ども世代間の配分の適正化をきちっとやっていくということを考えておりまして、そういう形で俸給表が昨年もできなかったということでございます。また、諸手当について、昨年のように扶養手当はどうかということも検討いたしましたが、ことしの諸手当につきまして、民間の各手当の支給状況と公務員の支給状況が均衡しているということで、それの改定の必要性もないというところでございました。

 ただ、一方では、昨年における国会の附帯決議、それから四現業の賃金の改定状況等を見れば、本年もやはり何らかの方法で月例給の官民較差を埋める必要があるという判断をいたしまして、その年額相当額、三千七百五十六円でございますが、それを暫定的な一時金として三月に一括して支給することとしたものでございます。

大出委員 そういうお答えなんですが、例えば前倒しといいますか、いろいろな俸給表のあり方があると思うんですが、初任給を上げればよかったとか、そうは言いませんけれども、そういう前倒し的なものをお考えにはならなかったんでしょうか。

大村政府参考人 そういうことも我々いろいろ検討いたしましたが、やはり初任給の方も余り民間が上がっていないという状況もございます。したがいまして、今回暫定的な一時金として支給しまして、来年度、較差等が出た場合にはそれもあわせて改定していくということを考えております。

大出委員 次に、本年の月例給の水準が引き上げられていないということが先ほどからあるわけですが、そうしますと、民間準拠で来年の官民較差を算出するに当たって、ことしの一時金三千七百五十六円の取り扱いというのはどのようになるんでしょうか。

大村政府参考人 人事院では、公務員給与を検討する場合には、毎年、民間の給与の調査、それから国家公務員の給与の実態調査を行いまして、毎年四月分の給与額を精密に比較して官民の水準を均衡させることを基本としてきております。

 今回の一時金でございますが、官民較差を埋めるために支給するわけでございますので、来年度の官民較差を計算する場合に、当然国家公務員の給与のベースに算入されるということになります。

大出委員 まだ時間があるようですので、次の質問です。質問通告しておりませんけれども、時間がありますので少し質問します。

 今度の報告の中だと思いますが、「公務員人事管理について」という中の2で「今後の公務員制度改革の視点」、(2)で「公務員制度改革の具体化に向けた協力」というところで、「幹部公務員の早期退職慣行の是正に向けて計画的に取り組む必要があると考えている。」と書いてあるわけなんですが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。

 先ほど川崎さんの方からの御質問もありまして、国家公務員法の百三条には、いわゆる天下り禁止の規定があるわけですが、天下りはなくならない。そして多分、こういうものがあるにもかかわらずなくならないから、この慣行を是正しようという認識があるんだとまず思うんです。

 それで、ここでは慣行と言っているのですが、調べてみると、慣行といいますか制度としてどうもそれを助長しているんではないかというふうに思うところがございます。と申しますのは、定年前の早期退職者に対する退職手当に係る特例の五条の二というのがございまして、その中で、早く退職しますと割り増し退職金を支払う制度が実は法律としてございます。これがあるとどういうことになるかというと、早期退職勧奨といって、要するにいわゆる肩たたきというのがございまして、それと同時に、肩たたきを行うとその方がやめるわけですから再就職探しをするということが、これは慣行だと思いますが、そうなってくるから実は天下るのではないか。悪循環といいますかイタチごっこといいますか、こういうことになっているのではないかと思います。

 これは大もとをただせば、同期の方が事務次官におなりになるとほかの方がやめるというようなことがあるからなんでしょうけれども、このようないわゆる割り増し制度というもの、あるいはこの法律を廃止したり改正するというのも今回の報告の中で視野に入っているのかどうか、お尋ねをいたします。

中島政府参考人 幹部公務員の人事管理をめぐりましては、いろいろな議論が行われております。その中で、やはりいわゆる天下り問題というのも大きな問題だというふうに思います。

 幹部公務員といいますか、1種試験を合格して公務員の世界に入ってきた人間、この人たちは、人事管理の実態を見ておりますと、大体五十三歳までに五〇%を超える幹部公務員が退職しておる、そしてどこかに再就職しておるということでございます。このことがいろいろな問題を引き起こし、いろいろな議論を呼び起こしておるわけでございますから、六十歳定年という制度があるわけでございますから、もう少し長く公務員の世界で働いていただいたらどうだろう、そうすることによって天下り問題というのも、その限りにおいて若干緩和されていくだろうというふうに思います。

 ただ、この問題につきましては、いずれまた国会で集中的に議論されることもあるんでしょうから、そのときに私たちもいろいろ勉強いたしまして考えを申し上げたいと思いますけれども、とりあえずは、やはり手っ取り早く幹部公務員というものを公務員組織の中でもう少し長く働いていただくようにしよう、また働く場所があるというふうに私たちは考えております。

大出委員 時間ですので、やめにします。

 多くの国民の皆さんが公務員の皆さんに期待をいたしております。にもかかわらず、国民の皆さんとのずれがございますので、そのずれをいち早く直さないと信頼が戻らないと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。

 二十分間いただきまして、まず最初に、二人の委員から質問が出ましたが、恐らく同じような内容になろうかと思いますが、もう一度総務大臣にお聞きしたいと思います。

 人事院勧告が出てはや一カ月半が過ぎたわけですが、給与関係閣僚会議が八月十日ですか、開かれたのみという状況になっておりまして、このまま宙ぶらりんではやはり公務員の皆様はかわいそうではないか、そういうことで、労働基本権の代償措置という観点から見ますと、政府としては早期にこの完全実施の決定をすべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 先ほど二人の委員の方の御質問にお答えしましたが、八月八日に人事院から給与勧告をいただいて、十日に第一回の関係閣僚会議をやりまして以降やっておりませんで、現在は事務的にいろいろ検討していただいております。

 しかし、今、若松委員が言われますように、臨時国会も明後日から始まる。我々は、やはり年内まで、年内に改正をやるならしたい、こういうことになりますと、そう時間を置かずに法案をまとめて国会に出させていただく、こういうことではなかろうかと思っておりまして、あれは官房長官が一応関係閣僚会議を主宰するようになっておりますので、できるだけ早く官房長官とも相談しまして、第二回以降の閣僚会議を開きまして結論を得たい、こういうふうに思っております。

若松委員 改めて早期の実施をよろしくお願いいたします。

 それでは次ですけれども、これは人事院総裁でしょうか、地方勤務の公務員の一部の給与を見ますと、その地元の民間賃金と比べて高いという批判が、私も時々聞きます。そこで、人事院がことしの報告でも記述されておりましたが、いずれにしてもそういう見直しが必要でしょう、こういう主張がございました。

 全国を移動する国家公務員の給与の場合、代償機関である人事院がいわゆる統一的な給与体系を確保する必要があるんではないか、こういう議論もあるわけですが、同時に、国家公務員が地域の実情を反映した処遇となるように、例えば人事院が地域ごとに基準の設定を行うことが必要ではないか、そう考えるんですね。当然、東京のいわゆる生活コストと、大変失礼ですけれども、四国とかそういうところですとどうしても差がありますから、それを、東京の生活基準で決めた給与をそのまま地方へ持っていくと、当然ゆとりがあるというか、そういうことも、ちょっと民間企業からすれば不公平ではないか、そんな議論もありますので、やはり見直しが必要だと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

中島政府参考人 私たちは、毎年全国各都市で、それぞれの地方の企業の経営者あるいはまたジャーナリズムの方々、いろいろな方々と懇談しながら、公務員給与をめぐる話を聞いております。その中で、今先生が御指摘になられましたような意見も私たちは聞いておりますし、また、国会議員さんの中にもそういうことをおっしゃる国会議員さんがいらっしゃいます。

 そういう声を受けまして、私たちは今回の報告の中で率直にその問題を指摘したわけでございますけれども、とりあえず私たちといたしましては、民間給与というものを把握するときの把握の仕方について、もう一度よく考えてみようじゃないか。

 と申しますのは、それぞれの地域におきまして、このところの経済変動の結果、産業構造というものも変化しておるだろう、また各企業の給与制度も改革をされておるだろう、あるいはまた組織も変わってきておるだろうというようなことがございますので、改めて民間企業の給与実態の把握の仕方というものも原点に立ち返って勉強してみよう。そしてまた、それぞれの企業が給与配分というものを地域ごとにどのように行っておるかということも、問題意識を持って調査設計をして、調査をしてまいりたいということを、率直に今回の報告の中で申し上げたわけでございます。

 したがいまして、これから具体化の検討というものをしていくわけでございますけれども、関係各省の意見とか労働団体の意見とか、いろいろな方の意見を聞きながら、私たちの考え方をまとめていきたいというふうに思います。

若松委員 これは質問通告していないんですけれども、今、行政改革推進事務局で公務員制度の改革の取りまとめを行っておりますが、行革推進事務局から見て、この点についてどのようにお考えですか。

西村政府参考人 お答えをいたします。

 今、私どもの事務局では、ことしの十二月に向けまして、国家公務員の人事制度全般について検討をしておるところでございまして、それらの具体化を踏まえて、地方公務員についても検討をしていきたいと考えております。

 それから、国家公務員の地方勤務ということにつきましては、給与の具体的な内容等につきましてはまだ具体的な検討は進んでおりませんでして、今事務局で検討しておりますのは、国家公務員全体、各職種ごとの人事制度の中での給与のあり方、能力を活用した給与制度にしていくというようなことについて、これから具体的な検討をしていくというところでございます。

若松委員 当然、人事院が今そういう機能をお持ちでやられるということですので、ぜひ、連携を密にしていただいて、民間との給与の格差がないようにしっかりと対応をお願いしたいと思います。

 続いて総務大臣にお伺いしますが、同じような問題なんですけれども、今度は地方公務員の給与についてなんです。

 これについても、民間賃金に比べて高過ぎるんではないか、いわゆる課長職、結構高いんですよね。いわゆる一部上場というか並の給与でそれだけ、民間ですと、かなり厳しい経済状況で、まさに会社の浮き沈みの中で今一生懸命やっている。それに比べて地方公務員の方が同じ、それ以上の気持ちで仕事をしているかというと、やっている人もいるんでしょうけれども、案外五時にぴたっと帰る方も多いようであります。別にサービス残業をしろと言っているわけじゃなくて、一生懸命やっているかどうかということなんですけれども、そういうふうに考えると、やはり地方公務員の給与水準の見直しの方がある意味では国よりも重要ではないか。こちらの、地方公務員の給与の見直しの方が、かえって官民格差が大きくて、地方の見直しというものに積極的に取り組むべきではないかと思いますが、所管の総務大臣の御見解をお聞きします。

片山国務大臣 地方公務員の給与についてのお尋ねですが、地方公務員の給与は地方公務員法第二十四条の趣旨にのっとりまして、こういうふうになっているんですね。国家公務員の給与を基準としつつ、当該地方団体の組織、規模、地域、民間の賃金水準、生計費等地域の実情を踏まえて決定することが原則なんですね。

 具体的に、都道府県の場合には人事委員会がありまして、そこで人事院と同じように勧告をいただいて、どういうふうに決めるか、こういうことをやっておりまして、かねがね、地方公務員の給与は国家公務員に比べて高いではないか、こういう御指摘がありましたので、仕組みや運用についての適正化をかなり積極的に指導してまいりまして、地方公務員の給与水準はラスパイレスという指数で見ますと、昭和五十年以降二十六年連続して低下している。

 私も大臣にしていただいてから地方公務員の給与水準をいろいろ聞いてみますと、昔と比べると相当適正化されたな、こういうふうに私は思っておりますが、それではそれで十分か、まだ十分ではないと思いますので、引き続いて適正化の努力をしてまいりたい、こういうふうに思っておりますし、基本的には、その地域の実情に合った民間準拠の給与であるべきだ、そういうふうに考えております。人事院さんの方で地域間の状況についてもお調べになるような御意思もあるやに承っておりますから、そういうことと連携をとりながら、さらに努力してまいりたい、こう思っております。

若松委員 今の総務大臣のお答えですけれども、人事院としっかり連携をとりながらということで、人事院もその点はしっかり協力をいただいて、私の質問の意図にこたえていただける、そういう理解でよろしいですか。

中島政府参考人 総務大臣とよく連携しながら、遺憾のないようにしてまいりたいというふうに思います。

若松委員 何か模範解答で、ありがとうございます。

 次は、これは技術的なので勤務条件局長なんでしょうか、今、民間では御存じの、いわゆる倒産、失業が大変大きな問題になっておりまして、今回の勧告ですと、従来どおり企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上、全国の民間事業所のうち約七千五百事業所を対象に民間企業実態調査をしているという大変膨大な調査をしているわけです。そういうことで公務員の給与と民間の給与の比較をしているわけですけれども、では果たして、この厳しい民間の勤務状況というんですか、そういったことも加味して調査しているのか、その点についてはいかがでしょうか。

大村政府参考人 私どもの民間の調査におきましては、先生御指摘のように、企業規模百人、事業所規模五十人でございますが、そういう規模が適格であれば、企業の業績とか給与の改定の有無にかかわりなく、層化無作為抽出法、これは統計法上のあれでございますが、そういう方法で事業所を選定しているところでございます。

 したがいまして、民事再生法等の適用申請中のいわゆる倒産企業でありましても、企業として存続しておりまして企業活動を行って、その従業員に対して給与が支払われている場合には調査対象事業所としているところでございます。この辺の区別は全くしておりません。

 具体的にことしの調査を申しますと、ことしの調査においても、実際に民事再生法とか更生特例法等の適用申請中の企業の事業所が含まれております。そういうところに私ども出かけまして、個人の従業員の四月分の給与を実際に調べてきているところでございまして、その結果も当然、今回の官民給与の比較におきまして反映されているところでございます。

若松委員 次に、行革推進事務局にお伺いします。

 先ほど大出議員からも御質問がありました天下りの問題なんですけれども、今ちょうど行革の中で、特殊法人等の廃止、民営化に向けての取り組みが行われております。一方、公務員制度の面から、幹部公務員の特殊法人等への天下り、これは現在も続いているわけでありますが、国民一般の感情からは非常に厳しい批判がおさまっていない、こういう状況にあろうかと思います。

 そこでお伺いしますが、行革推進事務局、今、公務員制度の改定の中で、これは私も当事者で非常に関心を持っているわけですが、この天下りというものをどちらかというと積極的に活用せよという考え方も実は盛り込んでおりますが、しかし、マスコミ等は非常に批判が大きい。そういう状況に今どう取り組んでいるのか、それについてお伺いいたします。

西村政府参考人 特殊法人等につきまして、公務員からの再就職、いわゆる天下りの安易な受け皿になっているのではないかという批判があることは、私ども事務局も十分承知をしているところでございます。

 特殊法人につきましては、今、委員お話ございましたように、昨年の閣議決定、行政改革大綱で、特殊法人等の事務、それから組織のあり方の抜本的な見直しを行っております。これにつきましては、ことしの十二月に抜本的な見直しの整理合理化計画をつくるということで、今作業を行っております。こういう、法人自体の改革を今行っておるところでございます。これらとあわせまして、特殊法人等への再就職につきましては、国民の批判を招かないような厳格かつ明確なルールを設定していく必要があると考えております。

 いずれにいたしましても、公務員制度改革の中では、再就職、天下り問題に対する国民の批判が大変厳しゅうございますので、適正な退職管理、再就職のルールを確立したいと考えております。

若松委員 再就職も非常に大事なので、国民の、ある意味では誤解ですね、間違って批判を受けないような形の制度設計をしっかりやっていただきたいという趣旨も含めて、この点、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 そこで、最後の質問になりますが、これは人事院総裁と行革事務局にお伺いします。

 公務員制度改革、今行革事務局が大枠とかかなり具体化した制度設計をやっていると思いますが、では、率直に申し上げて、人事院としての機能のいわゆる代償措置ですか、このあり方についてもいずれは結論を出さなくちゃいけないという問題なんですね。それについて、やはり、今いわゆる行革事務局の推進している公務員制度改革というのは、どちらかというとイギリス型というのですか、内閣主導に持っていくという流れではないかと思います。ところが、イギリスは、いわゆるスト権、労働三権はしっかり与えておりまして、警察と軍事を除いてスト権を与えております。日本は与えておりません。

 こういう状況でこの公務員制度改革について、大きな話ですよ、まず人事院総裁としてどのようにお考えになるのか。この代償措置というあり方についてどのようにお考えになるのか。総裁と推進事務局にお伺いしたいのです。

中島政府参考人 なかなか大きな、基本的な問題についての御質問でございますので、簡単に答弁申し上げると誤解が生ずるかもわかりませんが、やはり、労働基本権を制約しておる、その制約されておるもとにおいて公務員労働者の勤務条件というものを確保するということで人事院が設置され、人事院に代償機能というものが付与されておる。この仕組みで従来公務員の勤務条件が確保されてきたわけですが、これを仮に労働三権を付与するということになれば、仕組みは変わってくるだろう。また、労働三権を付与しない、そして人事院の代償機能というものを制限していくということになりますと、制度としてのバランスがとれないということになりますので、そこは一般公務員の勤務条件を確保するためのバランスのある制度というものを目指して努力していかなきゃならないというふうに思います。

 私たちは、労働三権を付与するあるいは付与しないというのは非常に高度な政治判断を要する問題だと思いますけれども、いろいろな議論の中でその方向性が定まれば、定まったということを前提にしてバランスのある制度というものをつくっていくようにしなきゃならない。そういう意味において、私たちもその過程において積極的に発言してまいりたいというふうに思います。

西村政府参考人 労働基本権の問題につきましては、六月二十九日に行革推進本部で決定しました公務員制度改革の基本設計がございます。人事院制度全般の検討をしておるところでございます。当然、基本権ともかかわりがあるわけでございまして、この基本設計では、給与制度を初めといたします勤務条件に関する制度改革の具体的な検討がこれからでございますので、その中で、労働基本権が制約されております今のあり方との関係もこれから十分検討をしていきたいというぐあいに考えて、今検討しているところでございます。

若松委員 これは第一回目ですからこのくらいにさせていただきますが、総裁のおっしゃったバランスというのも大事でありますし、かつ、時代の変化に応じた公務員制度改革の議論も大事でありましょうが、いずれにしても、これは縦割りの議論でやっちゃうと公務員制度改革は失敗すると思います。関係者、ぜひとも虚心坦懐に率直に意見交換をして、まさに世界に誇れる公務員制度というものを構築するための前向きな検討をお願いしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。重複する質問もありますけれども、よろしくお願いいたします。

 八月の完全失業率も発表予定であり、大変気にかかりますけれども、御案内のとおり、七月の完全失業率はついに五・〇%に上昇し、現在の調査形式が始まった一九五三年以来初めて五%台に乗りました。IT分野の不況を背景に製造業の就業者が大幅に減少し、希望退職などによる自発的失業者もふえました。特徴的なことは、製造業が前年同月から五十八万人減り、前月の四十三万人以上に急ピッチで従業員の削減が進みました。また、建設業は八カ月連続して前年同月を下回ったところであります。民間企業のリストラに伴う希望退職などを含めた自発的失業者は四カ月連続のプラスとなっております。

 具体的に見ると、電機、情報各社が大幅な人員削減を進められているのは、IT不況という循環的な景気要因にとどまらず、根深い構造要因によるからであります。すなわち、海外への生産移転の加速や電子機器の製造受委託サービスの普及という根本的な課題があると言えます。半導体を初めとするハード部門の急激な需要減退と、価格競争に勝ち抜くため、製造業の東南アジア、中国等へシフトする空洞化現象が同時に進行し、人員削減を加速したと言えると思います。つまり、経済社会がグローバル化する中、人件費、土地代、エネルギーコストなどの高コスト構造が我が国製造業の国際競争力を急激に弱めていると思っております。こういう状況の中で、我が国の人件費の指標となる人事院による給与勧告等をここで論議することは本当に意義深いことであると思っております。

 そこでまず、人勧と地方の給与水準の見直しについてお尋ねいたしたいと思います。

 本年の勧告は、暫定的な一時金の支給はあるものの三年連続のマイナス勧告でもあり、現実に沿った対応であると私も思っております。その一方、私も地元の人たちといろいろ話すのでありますけれども、公務員給与のあり方についてさまざま批判的な意見を聞くことが多いのであります。本年の勧告においては、初めて「公務員給与水準の在り方の検討」と題して、地域の公務員はその地域の民間給与をより反映したものとなるよう速やかに検討すべきである旨表明されております。公務員給与はやはり納税者である地域住民の理解と納得が得られるものであることが基本でありまして、今回の検討表明は極めて重要なことであると思っております。

 そこで、同時に民間給与の実態把握、公務部内の給与配分のあり方についても検討するとありまして、ぜひその検討を早急に進めるべきであると思っておりますけれども、その具体的な検討課題や今後の検討スケジュールにつきまして、私からも改めて人事院総裁にお聞きしたいと思います。

中島政府参考人 今、先生がるるお話しになりましたように、私たちも公務員給与というものが国民の理解と納得が得られるように努めていかなきゃならない、そういう基本認識でおります。

 そういう基本認識の一つとして、今回、公務員の給与についての地域別のあり方ということで問題提起をしたわけですが、先ほども答弁の中で申し上げましたように、私たちが全国いろいろな都市に出かけていってそれぞれの都市の有識者と話をしておりますと、そういう声が聞こえる。また、国会議員さんの中でもそういう指摘をなさる国会議員さんがいるということで、それを受けましてそれをそのまま表現したのが、今回の我々の報告の中の文章でございます。

 したがいまして、それを具体的にどうだということになりますと、私たちは、一つは民間給与の実態把握というものについて、今までのやり方でいいのかどうかということをひとつ考え直してみようじゃないか。と申しますのは、このところの経済変動の中で、地域の産業構造も変わってきておる、そして企業の給与制度というものも変わってきておる。そういう中にあって、今までの調査の方法で正確に地域の民間給与というものを把握し切っておるのかどうかということについて、改めて勉強し直してみようというのが一点でございます。

 もう一つは、中央と地方の給与配分の問題がございます。各企業においてもそういう問題意識を持ってそれぞれ給与制度をお決めになっておるのかどうかということがございます。

 ただ、国家公務員の場合非常に難しいのは、国家公務員というのは全国異動がございます。したがいまして、全国異動させる国家公務員について、東京から地方に行った場合に、どういうような給与制度ならば異動していく国家公務員が納得してくれるのかということも考えなければならないということで、多方面からいろいろな意見を出していただいて総合的に検討しなければならない大変大きな複雑な問題だという意識を持っておりまして、具体的にどうだこうだというところまで我々は今整理をし切っておるわけではございません。一つの問題意識を報告の中で正直にそのまま提示したというふうに御理解いただければというふうに思います。

黄川田委員 現実社会に対応した取り組みを着実に今後とも推進していただきたいと思っております。

 それでは次に、地方公務員への影響についてお尋ねいたしたいと思います。

 今回の人事院の検討はあくまで国家公務員についてのものでありますけれども、地方公務員の給与は地方公務員法で国家公務員に準拠することが定められており、地方公務員にも大きな影響があると思っております。実際いろいろ議論があるのは、地域住民に直接対処する県や市町村の自治体職員の処遇についてであります。憲法第九十二条の地方自治の本旨を踏まえると、国と地方は対等の立場にあり、既に地方分権推進一括法等の幾つか法改正により地方分権は大きく進められております。さらに、骨太政策では、地方交付税の見直しを含めて地方への税財源の移譲も議論されております。そのためにも、地方公務員の質的な向上を早急に図らなければならないと私は感じております。

 この点について、地方公務員の給与制度を所管する総務省はどのようにお考えか、お尋ねいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 地方分権、そして、国と地方の新しいあり方ということを展望いたしますときに、地方が事務を分担し、かつ財源も地方の独自の財源を強くしていただく、こういうことになりますと、そこで働いてくださる地方公務員の皆さんの力量というものが大変重要になってまいります。

 したがいまして、総務省といたしましては、地方自治体の職員の皆さんに対する研修を今後も、今、例えば自治大学校がございますけれども、ここで研修をやっているわけですが、六カ月あるいは三カ月あるいは三週間、二週間という全寮制で合宿していただいて研修をしたりしております。そうしたことも今後さらに強化していきたいと思っております。

 それからまた、これからの時代は、地方がある意味で国際化というものを考えていかなければならない時代だと思います。

 先日、私、シンガポールに参ったんですけれども、そこに地方自治体から駐在員がたくさん来ておりまして、二十二人の方と懇談をしたわけですけれども、これからは地方も国際社会に目を向けて、その中でどういうふうなことを考え、あるいは立案をし、あるいはそこでいろいろな貿易等にかかわっていくか、こういったことも大事だ。そうした問題も、我が方のCLAIRがそれを駐在員の皆さんといろいろ協力して実地に研修されているわけですが、そうした研修の機会というものをさらに拡大していきまして、地方公務員の皆さんが国際感覚を持ち、財源のことも考え、あるいは地域のことも考えて新しい政策が提案できるように、しっかりした基礎体力、基礎知識、そして見識を持っていただけるような制度をつくっていきたい、このように考えております。

黄川田委員 副大臣御答弁のとおり、自治大学校の充実もよろしくお願いいたしたいと思っております。

 それでは次に、公務員制度改革の検討状況についてお尋ねいたしたいと思います。

 本年一月に行われた中央省庁の再編は、行政における器の改革であります。この器に魂を入れるのが公務員制度改革でありまして、両者が車の両輪となって我が国の行政改革が進むのであると私は思っております。

 また、我が国の社会経済システムが大きく変化していく中で、多くの民間企業においては人事、賃金制度の改革を進めております。公務の分野においても、国民のニーズに合った行政を進めていくためには、その基盤となる公務員の人事制度を抜本的に見直ししていく必要があると考えます。

 この点について、政府においては、去る六月、公務員制度改革の基本設計を決定し、十二月の大綱作成に向けて検討を進めていると聞いておりますけれども、その主な論点と現在の検討状況についてお尋ねいたしたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 公務員制度改革につきましては、国民の視点に立った行政を実現するとともに、すべての公務員が使命感と誇りを持って国民のために働くことができる制度を確立するということを目指しまして、今検討を進めているところでございます。

 去る六月二十九日に、新たな公務員制度の骨格とこれを具体化するに当たってのいろいろな検討課題がございます、こういうものを内容といたしました公務員制度改革の基本設計を政府の行政改革推進本部で決定したところでございます。

 その中には、能力主義、実績主義を導入していく、民と官との人材交流を進めていく、それから各府省の主体的な組織、人事マネジメントを確立していく、また、公務員の再就職、いわゆる天下り問題に対応していくというようなことを主な視点として、これらを中心にして今検討を行っておるところでございます。

 今後、十二月を目途に策定を考えております公務員制度改革大綱では、この改革に向けました法制化の具体的な内容と、それから平成十七年度までが集中改革期間となっておりますので、これらの期間でのスケジュールを明らかにしたいと考えておりまして、今六月の基本設計を踏まえまして、各省初め関係者の意見交換を行いながら具体的な制度設計の検討を行っているところでございます。

黄川田委員 その中には天下りの問題などもあると思います。身内に甘い改革とならないように、国民の厳しい批判にたえられるようなそういう案をつくっていただきたいと思っております。

 それでは次に、人材確保の重要性と官民の人事交流についてお尋ねいたしたいと思います。

 国民に対して良好な行政サービスを提供していくためには、やはり活力のある、多様性豊かな、優秀な人材を確保することが大事だと思っております。そのためには、官民の人事交流をさらに進めていくべきであると私は思っております。

 例えば、技官や研究者などを中心に、専門性の高い民間人を積極的に中途採用したり、あるいは若手の公務員が民間企業に移籍するなど、人材の交流を進めていくことは重要であると思っております。特に、先日発表された政府の総合雇用対策のミスマッチ解消等にも役立つと考えております。もちろん、幹部職員の天下りはやはり大きな問題であり、例えば人事院など独立機関による規制は、私は従来どおり必要だと思うわけでありますけれども、官民交流と天下り問題とはすみ分けして対処していく必要があると思っております。

 そこで、最近、官民人事交流法や任期付職員法の制定など、あるいはまた、大学教員の役員兼業の承認など、官民の流動化を促す枠組みがいろいろと整備されておるところでありますけれども、その現状、取り組みの状況について人事院にお伺いいたしたいと思っております。

藤原政府参考人 ただいま先生からお話がありましたように、国民に対して良質な行政サービスを提供していくためには、有為な人材を公務に確保していくことが必要であり、その一環としまして、官民の人的交流を推進していくことが重要と考えまして、人事院では、公務の中立公正性にも配慮しつつ、各種の仕組みを整備してきたところでございます。

 まず、中途採用者を積極的に活用する観点から、高度の専門性や多様な経験を有する民間の人材を円滑に採用する制度を平成十年四月から整備しております。これまでに、弁護士、公認会計士など約三百五十名の採用がなされております。

 次に、任期を付した中途採用として、昨年十一月から、高度の専門性や公務に有用な専門的な知識、経験等を有する民間人材を採用する任期付職員法が施行されました。これまでに大学教授、IT専門家など十二の府省におきまして四十九名が採用されておるところでございます。

 また、民間企業と国との間の相互理解を深めるとともに、組織の活性化等を図ることを目的としまして、官民人事交流法が昨年三月から施行されております。これまでに交流派遣、官から民へでございますが、交流派遣は五府省で七名、交流採用、今度は民から官へでございますが、八府省で三十七名という実績が上がっているところでございます。

 さらに、研究機関におきます研究活動の活性化等を図るための研究員の任期付採用法が平成九年六月から施行されておりまして、これまでに三百七十八名の採用がなされております。このほか、国立大学教官等の役員兼業制度を昨年四月に導入いたしました。これまでに九十八名の兼業が認められているところでございます。

 人事院としましては、官民の人的交流の重要性にかんがみまして、その実効が上がりますよう、引き続きこれらの制度の積極的な活用を各府省、経済団体等に要請いたしますとともに、人材情報の提供を行うなど、さらに努力してまいる所存でございます。

黄川田委員 お話は伺いましたけれども、交流の促進には、給与体系あるいは給与の水準といいますか、そういう違い等もあるので、そういう垣根も取り払っていかないと、なかなか大変なところがあるということを耳にしておりますので、その辺もよろしくお願いいたします。

 それでは、時間も時間ですので、最後になります。地方分権における市町村の企画立案能力の強化についてお尋ねいたしたいと思います。

 先ほどの公務員制度改革の基本設計においては、企画立案部門と執行部門のそれぞれの機能強化がうたわれておるようであります。これは地方自治体、特に市町村にも当てはまる話であります。

 さきにも述べましたとおり、地方分権を進めていくためには、税財源の移譲とともに、地方自治体、特に都道府県、政令市以外の組織体制が弱体な市町村の自立を促すためには、市町村における政策の企画立案能力の強化を図っていくことが最も必要であるかと思っております。

 国においては、閣議決定で国家公務員の定員を十年間で二五%削減が決定されているほか、行政のスリム化、減量化の一環として民営化や外部委託を進めることが決定されていると承知しております。

 そこで、例えば、この中で浮いた貴重な人的資源やさまざまなノウハウを国から県へ、さらには県から市町村へシフトしていくことが市町村の企画立案能力の向上に大きく貢献するものと思っておりますが、総務大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 片山総務大臣も二十一世紀は市町村の時代であると常々おっしゃっているわけですが、私もそのように思っております。特に、住民に一番身近な地方自治体であります市町村をいかに充実していくかということは大きな問題ですし、そこに人材を集める、特に政策立案能力のある人材を育てていく、これは大事な視点でございます。

 私どもが行っております市町村合併もまさにそうしたことを考えているわけでございまして、市町村の規模を大きくいたしますことによりまして、そうした企画立案部門の充実ということに財源を振り向けることができますし、そうした意味で専門的な人材の配置も可能になってくるわけでございまして、今後とも、市町村合併を進めていく、その中で政策立案能力のある市町村をふやしていく、そして、そうした専門の職にある職員もこれから育成をしていきたい、このように考えているところでございます。

 また、国の行政改革等の話もございましたが、スリムな国全体の行政にいたしまして、財源を地方に配分をしていただきまして、そうした能力が十分に発揮できるような支援もしていきたい、このように考えているところでございます。

黄川田委員 副大臣お話しのとおり、合併による足腰の強化ですか、それとともに、実は私の地元の県庁では市町村への人材のシフトということでこれを大きな課題として取り組んでおりますので、総務省でもそのアドバイスなり後押しなり、いろいろ考えていただきたいと思っております。

 終わりになります。公務員の人材確保に関連して要望であります。

 先日、1種、2種の公務員試験の合格発表がありましたけれども、試験に合格したが採用されない人が多いと聞いております。地方の大学出身者にも優秀な人材は少なくないわけでありますので、それらが採用に結びつきやすい仕組みの整備についても御検討をお願い申し上げまして、時間でありますので終わります。

 以上でございます。

御法川委員長 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章でございます。

 今回の人事院勧告は、ボーナスの〇・〇五カ月分の引き下げ、官民較差の年額相当額を暫定的な一時金として支給するということが柱になっている。そのことで職員の平均給与が年一万六千円のマイナスになる。三年連続のマイナスで、この三年間で十六万円もの大幅なマイナスになる。

 さて、基本的なことを聞きます。

 人事院勧告というのは、労働基本権を放棄させられた国家公務員労働者の代償措置として実施されています。代償というのは、国語辞典等々を見ても、ある不満をほかのもので償うこと、こういうふうに出ています。少なくとも賃下げというのは償うということにならないんじゃないでしょうか。しかも三年連続です。

 代償措置としての根本が問われている事態と私は考えますが、今、総裁はどういうふうな御認識でしょうか。

中島政府参考人 現在の国家公務員法では、公務員労働者に労働三権を制約するようにいたしております。そして、そのかわりに人事院というものを設置いたしまして、人事院に給与勧告を初め勤務条件上いろいろな機能を付与しております。そして、その人事院の権限の行使についてそれぞれいろいろな条文がございますが、給与については、国家公務員法の第二十八条とか六十七条を見ますと、給与の減額というのもあり得るという前提で法文がつくってあります。

 したがいまして、社会一般の情勢、民間企業の労働者の賃金水準というものをもとに我々が判定いたしますと、やはりマイナスになることもある。それは国家公務員法の仕組みに何ら反するものではないというふうに私たちは理解しております。

春名委員 総裁が言うように、この二十八条に百分の五条項もあって、増も減も勧告義務を課すということになっているのを私も知っております。ただ、そういう減についても勧告義務があるとしていても、それでもなお、賃下げまで代償措置にゆだねることで労働基本権が保障されている、こういうふうに言えるんだろうかということが今私は問われていると思うんですね。

 私、きょうの質問のために調べた限り、ことしの春闘で労働組合みずからが賃下げ要求をした組合はないですよ。労使交渉の中で結果的にベアの切り下げになった企業も確かにあります。しかし、みずから切り下げましょう、そんな要求をした組合を私は知りません。そんなことをすれば、労働組合自身の自己否定になりますから。代償措置というのは、労働基本権の代償としてそれをふさわしく保障していくということであれば、そういう問題が三年連続保障されていないわけで、それが今問われている事態じゃないでしょうか。

 そこで、もう少し角度を変えて総裁にお聞きしますけれども、かつて八〇年代の前半に四年連続人勧が値切られたときがあります。そのとき、完全実施がされない事態が続いた八〇年代の前半に、ILOが幾つかの勧告とかあるいは意見表明を日本に対して行っています。その勧告や意見表明、いろいろあると思いますけれども、特にどういうことが言われてきたのか。今、突然かもしれませんけれども、御存じだったらお話しいただきたいと思います。

中島政府参考人 突然のお話でございますので、私は二十年近く前のことを詳細に記憶いたしておりませんけれども、恐らく、当局側といいますか、人事院を含む当局側としては、労働者の意見をよく聞きなさい、そんなことが書いてあったように記憶しております。

春名委員 そのことは正しいです。

 例えば一九八四年の十一月十二日、ILOの結社の自由委員会というのがございますね。そこの報告書等々を私も読んでみたんですが、人勧が政府によって値切られた事態について、例えばこう言っていますね。

 一九八一年以降、人事院勧告が完全には実施されていないという前提に立って、公務における現在の雇用条件決定制度が関係当事者の信頼を確保するものであるということに本委員会は疑問を表明しなければならない、信頼を確保するものになっていない、そういう事態だということをまず言っているんですね。

 もう一つは、労働者が現在享受していない基本権に対して、これらの労働者に適切な代償を与え、かつ労働者がその雇用条件の決定に参加し得る、公務における賃金及び労働条件の決定手続を確立することを政府が可能ならしめるよう、本委員会はかたい希望を表明すると。公務における賃金及び労働条件の決定手続を確立するように、労働者が、こういう値切りなんという事態が何年も起こるものですから、これじゃだめだ、代償制度にならないということで、そういう労働条件の決定手続を確立することを政府が可能ならしめるよう、そういうふうにしなさいと、本委員会はかたい希望を表明する、こういうのが幾つか出ているんですね。

 ですから、先ほど総裁が言われたように、労働者の意見をもっと聞きなさいというのは、ばくっと言えばそれもこの中に入っているわけですが、人勧の四年連続値切りという八〇年代の事態と、それからマイナス勧告が三年連続しているという今現在、率直に言って、労働者に、働く者に不利益を与えるという点では、全く私は同じことだろうと思うんですね。そういう御認識はないかどうか。そして、八〇年代のこういうILOの勧告をどう受けとめるのか、こういうことが今問われているんじゃないでしょうか。その点の総裁のお考えを聞きたいと思います。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

中島政府参考人 お話を伺っておりますと、いろいろ勉強をされたようですが、八〇年代の状況と現在の状況は問題が少し本質的に違っておるということも御承知の上で、そういう議論の展開をなさっておるんだというふうに思います。

 ただ、私たちが注意しなければならないのは、国内法で現在、公務員の給与を決めるシステムというものがどういうふうになっておるか、そのシステムに基づいて我々が仕事をしているかどうかということだと思います。

 先生も恐らく心の中では、公務員給与というのは国民の税金で支払われているんだ、したがって、国民の納得を得るものでなければならないというふうにお考えになっておると思います。先生がそのそこの議論というものを少し回避されて理論をつくり上げておられるんじゃないかということを私たちは意識しながら、今聞かせていただいたわけでございます。

春名委員 国民の納得を得るなんというのは当たり前のことでして、回避しているつもりは全然ありません。ILOのこういう考え方をあなたはどんなふうに受けとめるのかと聞いているんですよ。茶化さないでくださいね。

 それで、そういう場合には、労働者にとっては給与の切り下げになるということは同じなんですよ。同じ事態なんですよ。ILOのその勧告や意見表明の趣旨は、少なくともそういう不利益を与えるときには労使の話し合いのルールをつくりなさい。よく話し合いをしなさい、聞きなさいというのはそういう意味ですけれども、話し合いのルールをつくりなさい。人事院があれば代償措置が果たされているというわけにはいかないんだ、人事院があっても、労働者の不利益になるような事態が想定された場合には労使の話し合いのテーブルに着かなきゃだめなんだ、そういうことを言っているわけでしょう。つまり、労働協約権を認めていく方向で八〇年代のILO勧告とか意見表明が出されている。

 だから、代償というんだったら実質的な中身に即して判断しないとならないと思うんですよ。形式はこうだから、その全体を人事院勧告、人事院でやっているからもう代償はオーケーなんだ、そんな話にはならないんだということを問題提起されているんですよ。例えば、ボーナスの〇・〇五カ月分をいつの時点で支給するのか、こんなことだって話し合いの対象になるんですよ。代償という以上、少なくとも今回の事態のように労働者の給与を引き下げるような場合は労使の話し合いのルールが必要だ、私はそう思いますね。総裁はそういうふうにはお感じになりませんか。そのようなことを検討するつもりはないでしょうか。

中島政府参考人 私たちは、人事院勧告をつくり上げる過程におきまして、労働団体の方から勤務条件にかかわることについて話し合いをしてほしいという申し入れがあればこれを積極的に受け入れて、よく議論をしながら作業をしてきたつもりでございます。したがいまして、そういう姿勢というのは今後もとっていくつもりでございますので、そのそこはひとつ御理解いただきたいというふうに思います。

春名委員 協約締結権に至らないまでも、使用者の政府と公務員の労働者との団体交渉のルールを、こういう形で不利益を与えることがはっきりしている場合はちゃんとつくる、そういう方向に前進しないと、一体、代償とは何なんだという話になるじゃないですか。

 総務大臣に私はお聞きしておきますけれども、一点、そういう代償ということをどう考えるか。今回、この三年間、こういう形になっていますので、胸が痛まないのかどうかお聞きしたいのですけれども、そういう点と、もう一つは、先ほどどなたかが言われていましたけれども、最悪の不況のときでしょう。人事院勧告というのは、国家公務員の給与というのは七百五十万人に影響を出すんですよね。そして、その給与がまた基準になって、そして民間もまた減ったからということで、また下がっていくというようなことになりかねぬわけですね。負のサイクルじゃないですか。こんなことをしたら、消費不況にますます拍車がかかって、経済を本当に立て直すということに大きな足かせになる、そういう認識も持ってこの問題に対応しないと、私はだめだと思うんですよ。

 この二点、大臣、どう思っていますか。

片山国務大臣 人事院総裁がるるお答えしましたように、労働基本権をなるほど制約していますよ。しているから、中立で公平で、労でも使でもない第三者機関の人事院をつくって、人事院に民間を丁寧に調べてもらって、民間に準拠しなさい、公務員の給与、勤務条件、特に給与はそうしなさいと。労に偏ってもだめなんですよ。使に偏ってもだめなんです。中立公平、第三者機関として、民間をしっかり調べて、民間と同じようにしなさい、公務員の給与は税金ですよと。民間の実態を大幅に上回って労の給与だけよくしろなんというようなことは、代償機関を私ははみ出したことになると思う。中立公平な第三者機関じゃなくなる。そういう意味で、私は今のシステムはやむを得ないと思いますよ。ただ、その結果、三年連続マイナスということは胸が痛みますけれども、民間がそうなんだから、官だけよくなるという理由はない。そこは民間と合わせるべきだと私は思います。

 それから、なるほど消費不況につながるという意見は確かにありますよ。だから、それはそれとしながら、全体的な、不況脱出や景気回復をどうやるか、構造改革と相反しない範囲でどうやるか、今みんなで知恵を絞っているところでございまして、給与さえ民間より上回って与えれば不況が克服できるというのは、私は、一面的だ、こういうように思います。

春名委員 そういう一面的な答弁をしないでいただきたいと思うんですが、私はそんなことを言っているつもりはありません。消費不況にマイナスの影響を与えるのは間違いないということを私は言っているわけなんで、それから、私が言っているのは、ILOの基準、水準というのは、こういう不利益を与えるときには、労働者にちゃんと意見を表明する、話し合いを持つというぐらいのことはやるべきだということをちゃんと受けとめてくださいという話をしているわけなんで、マイナスだから絶対だめだということだけをかたくなに言っているわけではないわけです。そのことをちゃんと言っておきますので、改めて要望しておきます。また議論したいと思います。

 もう一つ、どうしてもきょう聞いておきたいことがあります。

 今度の人勧の中で黙過できない問題として、「公務員給与水準の在り方の検討」という項目がございます。ここには、先ほど議論もありましたが、各地域の公務員の給与水準について、民間給与より高い場合があるという指摘もあるので、民間賃金をより反映したものにしていく必要があるということで、民間給与の実態把握及び公務部内の給与配分のあり方について幅広く見直しを行う、そういうふうに述べております。

 これは、端的にお聞きしますが、地域の公務員給与、つまり人勧だから国家公務員の給与ですが、これを引き下げていくという意味でしょうか。改めてお聞きしておきます。

中島政府参考人 非常に単刀直入にお聞きになりましたけれども、先ほど来私が御説明申し上げておりますように、いろいろな声を聞きながら、現在私たちが問題として受けとめた、そして、これから具体的に検討していくんだということを先ほど答弁いたしましたけれども、その答弁につけ加えることは何もございません。したがいまして、現在そういうような声を受けとめまして、民間の給与の実態の把握の仕方について、また給与配分というもののあり方についてこれから検討して、公務員給与のあり方について私たちの考え方をまとめていこうということでございます。

春名委員 素朴な疑問ですのでお聞きをしたいと思います。

 今まで人事院は民間準拠ということで勧告を行ってこられました。そして、最近では勧告どおりに給与改定が行われています。その勧告を出すための民間給与の調査も、大変詳細になってきているということを私も勉強して存じているつもりです。しかも、民間準拠といってもこれはオール・ジャパンの話ですので、声には出てこないと思うんですが、一方では民間より低いところもある、その一方で高いところがある、その両々が相まって全国的に民間準拠という結果で出されてきていると思うんですね。低いところもあれば高いところもある。それがオール・ジャパン一本となって、民間準拠を指針にして勧告が出される。技術的にも非常に詳細な努力をされている。その上に、地域による格差を是正するための調整手当がある。既にそういう制度もつくって地域の格差も対応している。本俸とこうした手当を組み合わせることによって民間に合わせてきたのが、この間の人勧だったと思うんですね。

 それにもかかわらず、民間より高いという声が日本全国で上がっているみたいなことをおっしゃっているわけだが、もしそうだとしたら、これまで人事院が行ってきた民間準拠という勧告の内容そのものが問われることになるんじゃないかというふうに私は思えて仕方がないわけです。非常に詳細にやってこられているというのを、私、初めて今回勉強して、努力されているなと思ったわけですが、にもかかわらず全国で高い高いと出ている。これは一体どういうことなんでしょうか。

中島政府参考人 少し先生の議論というのは飛躍があるんじゃないかというふうに思います。私たちは、そういう声を聞いたので、その声というものを受けとめて一つの問題を提起したということでございまして、今、先生がいろいろおっしゃいましたように、余り極端な物の考え方、極端な言い方というものをひとつお避けいただきたいというふうに思います。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

春名委員 いやいや、極端に言っているんじゃなくて、事実に即して私は聞いているのです。

 民間準拠という努力をずっとされて、ちゃんと勧告どおりにやってきているわけでしょう。その差もなくなってきているという努力をされてきているわけでしょう。しかし、声を聞いたら高過ぎる高過ぎると言われたから、その声に、率直に言いましたら、飛びついてと言ったら失礼だけれども、すぐ見直しますと。何でそんな見直しになってしまうんですか。正確にやっているんでしょう。そして、調整手当もちゃんとやっているわけでしょう。なぜ、何を見直すんですか。高過ぎるという意見があるから低くするようにしたいということを表明しているのと同じ意味じゃないですか、これ。その辺、どうなんですか。

中島政府参考人 私の答弁をよく聞いていただきたいと思いますけれども、おっしゃるように、民間給与の実態把握については、今まで私たちは精いっぱい詳しくやってきました。やってきましたけれども、ここ二、三年といいますか、一、二年といいますか、地域の経済構造も変わってきた、そして、民間企業のあり方というものも地域によって変わってきておる、給与制度も変わっておるだろう、あるいは給与の組織内の配分というものも変わってきたかもわからない。そこらを実態把握をしっかりやって、公務員給与のあり方についての検討をしてみたい、そういうことを申し上げているわけでございます。

春名委員 九九年と二〇〇〇年に、今まで百人以上、五十人以上という基準でお調べになって、この二年間は三十人以上百人未満の事業所も御調査をされているというふうに聞いています。いろいろな努力をその意味ではされて、それが一〇〇%正しいというふうには私は確信、よくわからない面もあるのであれですけれども、やられてきているわけですね。その中で、民間に準拠するという基準をつくってやってこられているわけでしょう。だから、これ以上見直すということになると、その声がたくさん出てきた、高過ぎるという一般的な声が出てきたので見直したいという話になると、今までの民間準拠ということを、それを不確かだからこれからもっと引き下げていくということにつながるような表現なんですよ、これは。ですから、非常に心配しているわけですよね。

 そんなことはないんだ、極端だと言われるんであればそれでいいかもしれないけれども、極端というふうに読めない、そういう見直しの方向が出ているので、私は問題提起をしているわけです。もしこれが本俸を下げるというようなこと、地域ごとに下げるということになると、いろいろな問題が出てきますからね。例えば、地方交付税にはね返ってきますし、それから、同じ仕事をしていてもそうやって給与の格差がつくということになりますし、これは公務員制度全体の根幹を揺るがすような問題になりかねないですから。

 きょうは時間が来ましたので、これ以上議論ができませんけれども、こういう問題として、この見直しということは、そういう意味での見直しは必要ないというふうに私は思っております。そのことを申し上げまして、きょうの質問にかえたいと思います。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 この国は不況感に覆い尽くされております。そういう経済状況のもとで人事院勧告が持つ意味は、単に公務員の権利問題のみならず国民経済上も影響の及ぼすところ非常に大きいものがあると思います。そこで、社会民主党を代表しまして、今回の勧告とその基本にあります公務員制度問題について幾つか質問をいたします。

 まず、給与関係閣僚会議に出ておられます総務大臣に質問をいたします。

 勧告がなされて以降、これまで一回、関係閣僚会議が開かれたと承知をしております。八月八日に勧告がなされましてもう一カ月以上経過しているわけであります。今後いつまでに閣僚会議として結論が出されるのか。よもや勧告内容を値切るような不利益な決定はないだろう、先ほどの答弁でもそういう内容の話を承りました。今後の閣議決定、さらには臨時国会における提出時期等について、具体的な今後のスケジュールをお聞かせいただきたい。

片山国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、八月の上旬に人事院の勧告をいただきまして、十日だったと思いますけれども第一回をやりまして、それから一カ月半、約一カ月半ぐらいになるんでしょうかね、時日が経過しておりますが、いずれにせよ、早急に第二回目を開きまして、できれば三回目ぐらいには結論を得たい、私自身の腹づもりは来月の早い時期に、こういうふうに思っております。

 給与関係閣僚会議の議長というんですか、主宰者は官房長官でございまして、御承知のようないろいろなことが起きますので、大変官邸も忙しい状況にありますが、ぜひその点は私の方からも、臨時国会が始まりますし、私どもの方はこの国会に法案を出して通したい、こう思っておりますから、今言いましたような方向で調整をさせていただきたいと思います。

重野委員 当初、その座長であります官房長官に出ていただくようにお願いしましたけれども、今ごらんのような状況もこれあり、また官房長官は内閣委員会に出られるというような事情もありましたので、今の片山大臣の答弁はそのように受けとめておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、完全失業率が五%、本年の春闘結果に至っては過去最低の賃上げ率と聞いております。賃上げ状況は極めて険しいものがあったわけでありますが、そうした中で人事院勧告も三年連続のマイナス勧告、二年連続の俸給表改定の見送りという極めて厳しい内容となっておりますが、一方、暫定的なものとはいえ、一時金支給という措置もあり、こうした状況下で、人事院がみずからに課せられた役割を果たそうとした努力の結果なのかというふうな受けとめを私はしたい。

 そこで、今回の勧告に関する人事院総裁の所見、先ほどもるるお話がありましたが、改めてお伺いしておきたいと思います。

中島政府参考人 今回の給与勧告をするに当たりまして、私たちは、民間企業の給与実態というものを正確に把握しよう、四月一日現在の民間の給与水準はどういうものかということを随分気を用いて正確に把握いたしました。ベースアップをした企業、賃金カットをした企業、あるいはまた破産手続中の企業、給与というものを従業員に支払っている限り、すべてそれを対象にして調査をいたしました。初任給の状況、月例給の状況、あるいはボーナスの状況、そういうものを調査いたしまして、私たちは勧告に当たっての資料を把握したわけでございます。

 その上で判断要素として用いましたのは、一つは本院の昨年の附帯決議がございます。その附帯決議、そして四現業についての閣議決定、第三番目に民間企業の過半数がベースアップをしておるということ、そういうものをもとにして、非常に較差が小そうございましたけれども、三百十三円、〇・〇八%というものを月例給の較差として勧告を申し上げた。そして、ボーナスにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、昨年の五月からことしの四月に至る状況というものを調査して、マイナスの〇・〇五カ月というものを勧告したわけでございます。非常に厳しい状況のもとにおける勧告でございましたけれども、やはり民間給与の実態というものを正確に把握してそれを反映する給与勧告であれば、公務員というものの給与について国民の理解が得られるだろう、そういう意識のもとに私たちは勧告に臨んだわけでございます。

重野委員 今の総裁の所見について、私も理解をいたします。代償機能を果たすというその役割、それに向かって努力をされたという点についての理解であります。

 しかし、今回の勧告について問題なしとは言えません。今回の一時金について、それが俸給表の改正に至るほどの額ではないとしても、官民較差の結果から生まれたものである以上、支給対象者をなぜ三月の支給時点の対象者に限定したのかという点について、ちょっと私なりになぜかなという感がするのでありますが、説明をお願いいたします。

大村政府参考人 先生御指摘のように、本年は月例給の官民較差で三百十三円ということでございまして、これを原資としましてめり張りのきいた俸給表をつくれないということを判断したわけでございます。ただ、較差を埋めるための暫定的な支給方法として年度末の一時金という仕組みで勧告したわけでございます。

 先ほども御指摘のように、なぜ三月の在職者に限るのかということでございますが、これは、一つはこの仕組み自体が当分の間の暫定措置であるということ、それから一時金の支給額が小さいということもございます。こういうことを考えますと、その支給事務に要する事務量というんですか、そういうのをできるだけ簡便にしたいということを考えまして、したがいまして、その支給日にその在職状況が十分に把握できる者に限って今回の一時金の支給対象者としたものでございます。

重野委員 次に移りますが、勧告の性格について質問をいたします。

 公務員といえども、当然、労働基本権を有していることは言うまでもございません。しかし、それが法的に制限されている。その代償措置の一つとしてこの人事院勧告があるわけです。代償措置のそうした性格を考えれば、マイナス勧告というのはいかがなものか。先ほども質問がありましたけれども、再度お伺いいたします。

中島政府参考人 労働基本権が公務員について制約されておる。したがって、仮に公務員に労働三権が完全に付与されておったならば、どういう結果になったであろうかということを私たちはやはり頭に描いてみるわけでございます。

 そのときに、民間企業の労働者というのは労働三権を完全に持っておるわけでございますけれども、その労働三権を完全に持っておる民間企業の労働者が今現在どういう賃金水準にあるんだろうか。その賃金水準というものを正確に把握し、それに公務員の給与水準を合わせるということが私たちは代償機能として一番重要なことじゃないかというふうに考え、従来からそういう措置をとっておるわけでございます。

 その結果、ことしあるいは昨年、また一昨年というものがマイナスになりましたけれども、このマイナスというのは、先ほど来御説明させていただいておりますように、国家公務員法上もそういう場合があり得ることを想定した条文がございますので、私たちのとった措置というものが代償機能から外れているというふうには私たちは考えておりません。御理解いただきたいと思います。

重野委員 その点については、やはり長い長い歴史があります。かつて民間準拠という基本がありながら、しかし、勧告が値切られたという歴史が事実あるわけですね。だから、そういうふうな歴史を振り返って今日を考えるときに、今私が指摘したようなそういう支障が出るのは当然だと私は思います。

 総裁の答弁は答弁としてそうなのかという感じですけれども、やはり受ける側からすれば、そういう歴史的な経過に立ってそういう主張があるということは正面から受けとめていただきたい、そのことを申し上げておきます。

 次に、今回の勧告で、地域における公務員給与水準のあり方について検討する、このようになっております。勧告の文脈からいたしますと、調整手当での是正という、そういう感じではなくて、地域別給与表のような制度化に検討の比重があるように私は受けとめました。そうなれば、同一労働、同一賃金の原則は壊れる。公務員内部に、そういう意味ではある種の亀裂が生ずるわけであります。公務労働にも支障を来しかねない懸念がされます。これは、国家公務員だけではなく地方公務員、ひいては民間賃金制度にも重大な影響を持つことになる。

 地方においては、いわゆる公務員の賃金あるいは人事院勧告というものを参考にする民間企業というのはたくさんあるわけですね。したがって、この結果のもたらす影響というのは非常に大きいものがある。したがって、検討に当たっての手法も含め、慎重な配慮が必要である。当然のごとく、関係労働組合と十分意思の疎通を図っていくことが必要だと私は思うんですが、総裁の考え、よろしくお願いいたします。

中島政府参考人 結論から申し上げますと、関係労働組合の意見もよく聞いてみたいと思います。また、それぞれの省庁の官房というのが人事管理の責任を持っておりますので、そういう官房の意見もよく聞いてみたいというふうに思います。

 その上で、いかなる制度にするのが国民全体の納得を得られやすいかということをよく考えてみたいというふうに考えております。

重野委員 よろしくお願いいたします。

 では次に進みますが、次に、能力等級制度の導入について質問をいたします。

 この中で、官職に求められる職務遂行能力だとか職務段階ごとに職務を遂行する上で通常期待されている職務行動の基準を策定し、これを各等級の職務遂行能力基準とする、こういうふうにその項で書かれているわけであります。

 ここで重要なことは、この能力評価が任用及び給与の基準として活用されることが明示されているということです。これについては、出先機関においては大変不安な要素となっているようでありまして、ここの部分に大変多くの関心が寄せられております。

 そこで聞きますけれども、これを実施しようとするなら、まず、どこか一つの省をサンプルに選んで、本省の一つの課、ブロック機関の一つの部とか、県単位機関のすべての役職段階について、そしてさらに県単位機関の下にある出先機関の役職段階について、この職務遂行能力基準を早急に、かつ具体的に示していただきたいと思います。そうでないと、公務員制度のあり方について関心を持つ者には、今回の公務員制度改革の可否あるいは妥当性について十分判断する材料に欠けるということになります。

 そういう意味で、この内容について、具体的なサンプル基準を提出していただきたい、検討する材料を与えていただきたい、このように考えますが、いかがお考えでしょうか。

西村政府参考人 能力等級制度につきましては、六月の基本設計でそういうことを報告の中に入れたわけでございます。

 今、具体的な検討をしておりますが、まだ能力等級をどんな段階でどのように分けていくか、また、給与についても、能力、職責、業績、それぞれごとに分けて、それと一般職あるいは管理職という特性と組み合わせた給与制度にしていきたい、そして、それを給与あるいは任用について反映させたいという方向で検討しておりますが、まだそういうサンプルでやるというようなところまではいっておりません。そして、当然、これを具体化するに当たりましては、関係省庁また組合等ともよく話をして進めていきたいと思っております。

重野委員 今の答弁については、大変不満であります。任用や給与の基準になるものができる見込みがあるから、こういう記述が基本設計に盛り込まれたんではないんでしょうか。今回の公務員制度改革の基礎になるものとして位置づけられていると私は理解をいたしました。

 そうした重要なものが今日段階で出されない、具体化していないという点については、やはり問題がある。これは早急に、そこら辺を我々が見てわかるようなものを出していただきたい。委員長、そのように取り計らいをお願いいたします。

御法川委員長 要望ですか、重野先生。

 西村局長。

西村政府参考人 十二月に向けて、今、公務員制度改革大綱というようなものを検討しております。ここで、なるべく具体的な形のものをお示ししたいと思っております。

 しかし、公務員制度改革、大変広範、抜本的なものでございますので、ここですぐ実施されるというものではございませんでして、これを、具体的な法制化等については、平成十七年度までのスケジュールを示して実施していきたいと考えております。十二月に、できる限り具体的なものをと考えております。

 その過程では、先ほども申しましたように、具体化したものについて、関係方面によく相談をしていきたいと考えております。

重野委員 時間が来ましたので、以上で終わりますが、人事院総裁、三年連続マイナスなんということが、これが、客観的なそういう状態だから、そうですというふうにさらっと流されたんでは、私はやはり問題がある。したがって、この問題については、労働基本権の代償措置としての人事院勧告という重みをしっかり受けとめていただいて、頑張っていただきたいことをお願いして、終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.