衆議院

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第2号 平成13年10月30日(火曜日)

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平成十三年十月三十日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 田並 胤明君 理事 松崎 公昭君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    坂井 隆憲君

      新藤 義孝君    滝   実君

      棚橋 泰文君    谷  洋一君

      野中 広務君    平井 卓也君

      宮路 和明君    山本 公一君

     吉田六左エ門君    荒井  聰君

      伊藤 忠治君    大出  彰君

      金子善次郎君    桑原  豊君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中村 哲治君    山村  健君

      白保 台一君    高木 陽介君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    野田  毅君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山内 俊夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長

   )            鍋倉 真一君

   政府参考人

   (郵政事業庁長官)    足立盛二郎君

   政府参考人

   (消防庁長官)      中川 浩明君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    北島 信一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           上原  哲君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 鈴木 隆史君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     棚橋 泰文君

  中沢 健次君     桑原  豊君

  山名 靖英君     白保 台一君

同日

 辞任         補欠選任

  棚橋 泰文君     河野 太郎君

  桑原  豊君     中沢 健次君

  白保 台一君     山名 靖英君

    ―――――――――――――

十月二十四日

 元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関する請願(今野東君紹介)(第一一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第六五号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 この際、山内総務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。山内総務大臣政務官。

山内大臣政務官 去る九月二十一日に総務大臣政務官を拝命いたしました山内俊夫であります。

 山名大臣政務官及び新藤大臣政務官とともに片山大臣を補佐し、全力を尽くしてまいりますので、御法川委員長初め、理事、委員の皆様方の格段の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

御法川委員長 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山本繁太郎君、防衛庁運用局長北原巖男君、総務省総合通信基盤局長鍋倉真一君、郵政事業庁長官足立盛二郎君、消防庁長官中川浩明君、外務省経済局長北島信一君、文部科学省大臣官房審議官上原哲君、資源エネルギー庁次長鈴木隆史君及び国土交通省住宅局長三沢真君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。

松崎委員 おはようございます。トップバッターを務めさせていただきます民主党の松崎公昭でございます。

 きょうは、高祖問題を中心に質問をさせていただきます。

 六月の十九日の委員会で、きょうもお見えの野中先生もお見えでございましたが、この郵政関係の選挙違反が非常に、一万八千人にも及ぶのではないかという違反事件があるのではないかという危険を私も警告したわけでありますが、残念ながら、今回の高祖さんをめぐる違反事件が起こってしまいました。

 これは、今さら申し上げるまでもなく、民営化の問題、小泉総理の登場から民営化が非常に高まった、それから、非拘束制名簿方式の導入によりまして大変激しい選挙になった。今回、特に比例区において違反が増大をしております。前回の四十三件という検挙数から百九十八件、逮捕者も十四人から百四人。特に公務員の地位利用が大変ふえました。一件から十六件にふえました。そして、逮捕者も、三年前はゼロでありましたが、今回二十六名。この中にこの十六人の逮捕者が出ている。

 また、この郵政一家の皆さんには、野中代議士も出席の五月の二十八日の長野県の大会、こういうところで百万票とれ、こういうプレッシャーもかかっていた。こういったことで、大変大きな違反事件を引き起こす土壌があった。そして、簡単に申しますと、まさにこの近畿の郵政局、局長を中心として、総務部を中心に、いわゆる特定郵便局長会のルートと普通局のルート、こういう形で十六名もの逮捕者を出す、そういう結果になったわけであります。

 四名が今公判請求中でございまして、大変大きな大きな、しかもこれは、総務省は選挙を、公選法等をつかさどるところであります。その足元でこれだけ大きな選挙違反を出したということは、国民に対してしっかりとけじめをつけ、今後のことを考えながら、どこに問題があったか、そして、公務員のあるべき姿というものをしっかりと総務省そのものが指導すべきであろう、また、粛正をして綱紀を正すべきであろう、私はそんなふうに思っております。

 さて、きょうはそれらの細かい問題を少し掘り下げていきたいと思っております。

 まず、片山大臣と高祖氏、三嶋近畿郵政局長、三人とも同じ御出身ですか、大臣。

片山国務大臣 今、松崎委員からいろいろ御指摘がありましたが、七月の参議院議員の選挙におきまして、近畿郵政局管内におきまして多数の逮捕者を出し、それが刑事当局の判断として、起訴、略式起訴、起訴猶予、こういうことになりましたことは、郵政事業を所管するトップとしましてまことに遺憾なことであり、大変責任を痛感いたしておる次第でございます。

 いろいろな事情があったと思いますけれども、やはり、今、委員御指摘のように、選挙制度が変わったというのも私は一つあったと思いますね。それから、高祖さんが近畿郵政局長で在勤したというようなこともいろいろあったと思いますけれども、今後二度とこういうことが起こらないように服務規律の徹底その他、いろいろなチェックの仕組みも再検討して整備いたしたい、こう考えておりますが、今御指摘の高祖さん、三嶋さん、偶然私と同じ岡山県出身でございます。

松崎委員 三人でお会いになったことはございますか。

片山国務大臣 全くありません。

松崎委員 足立長官は、高祖氏と三嶋氏、歴代の近畿郵政局長だったと思いますが、三人でお会いになったことはありますか。

足立政府参考人 三人で一緒に会ったことはございません。

松崎委員 それぞれ、同じ局でございますのでお会いになっていると思うんですけれども、ばらばらに、長官の頭の中では、あるいはその三人の中で、一緒に会わなくても第四事業の話というのは時々しておりますか。

足立政府参考人 そういう話はしたことがございません。

松崎委員 第四事業というのは、足立長官はどこかで聞いたことがあると言ってはおりますが、このことは認識していらっしゃいますか。

足立政府参考人 以前私の記者会見で聞かれたときに、耳にしたことはあるということを申し上げたと思いますが、殊さらそのことを私、認識したり、内容について承知しているということではございません。

松崎委員 足立長官は、平成八年七月から近畿郵政局長でございましたけれども、そのころ、近畿管内におきましてのDM不適正取り扱い事件というのが何年間かにわたってありました。このことは当時知っておりましたか。

足立政府参考人 私、近畿郵政局長でありましたのは平成八年の七月から一年間でございましたが、当時、このDMの問題というのは具体的に表に出ておりませんでした。営業のあり方につきまして、取り組むべき課題というのはいろいろあったわけでありますが、本件そのものに関しては、まだそのようなことは出てきていない状況でございました。

松崎委員 DM事件というのは、最初は平成八年ぐらいからあるわけですね。ですから、八年十一月に一人の、今逮捕されておりますけれども、懲戒免職になった方の事件が、ちょうど足立長官が局長のときに起こっております。これは、逮捕とか警察が入ったのは昨年のことですけれども、全く知らなかったのですか。

足立政府参考人 私が在任した当時はまだ表に出ておりませんでした。その点は、十分よくわからなかったといいますか、不明であったということであると思います。

松崎委員 平成十年の三月から六月、高祖さんが郵政局長時代、同じく二件のDM事件、この逮捕者は全体で四名おりますが、そのうちの二件がこの高祖さんの局長時代に起こっておりまして、実はこのときに、もみ消しをしているんですね。

 そして、近畿郵政監察局は立件を中止して、そしてもっと悪いことには、そのとき、発送代行業者から、これは持ち込んだ代行業者から少ない数に申請を受けてバックマージンを取る、その発送業者から振り込みを恐らく局は取ったんでしょう。それを一千万円、裏金としてプールした。

 こんなことがあるんですけれども、長官はその当時どこにいらっしゃったかわかりませんけれども、恐らく同じ局長同士の高祖さんの時代でございますので、しかも、足立さんが以前に局長を務めていた、そこでこういう事件があったわけですけれども、このもみ消し等の問題は御存じですか。

足立政府参考人 このDM事件につきまして、初めて事件としてこれを調査し、そして行政処分をしたというのは高祖局長のときでございまして、言ってみれば、それまでいわば潜在しておったという状況であったと思います。

 なお、当時のDM事件につきまして、もみ消したといったような報道がなされたわけでありますが、私自身、今現在改めてその問題を事業庁長官として、この六月ぐらいに処分もしたわけでありますけれども、調査いたしましたけれども、当時は、郵政監察局の調査も行い、また司法当局の判断もいただきまして、適切な処置をしたものでございます。決して、当時もみ消したとかそういったことはございません。

松崎委員 その当時、中央へ来て、関係する国会議員にいろいろ根回しをするとか、やはりそういうことをやっていたわけでありまして、であれば、何で去年になって京都府警がこの四件を摘発し、逮捕したか。大変ここは不明朗な、内部的な、監察室を含めて、監察室が承知していたにもかかわらず、立件しても郵政省に何のメリットもない、そんなことを言いながら、郵政局郵務部と十分な打ち合わせをして表に出さないと決めた、こんなことが報道されております。

 こういうことを、私は大変問題だろうと思っておりますが、この当時、長官は高祖さんとそういうもみ消し関連の、あるいはもみ消しと言うと非常に問題があるかもしれませんけれども、対応策というものを話し合ったことはございますか。

足立政府参考人 高祖局長のときに、この問題につきまして、私は簡易保険局長でございましたので、そのような相談とか処理の仕方をどうするといったようなことなどは一切いたしておりません。

 なお、重ねての答弁でありますが、高祖局長がこの問題につきまして行政処分をいたしましたときには、当時、監察が調査をし、また、検察等とも相談をした上で適切な司法的な処置をいたしておりますので、その点は御理解を賜りたいと思います。

松崎委員 それはおかしいですよね、適切な処理をして、京都府警に、去年の十一月になって逮捕者を出すというのは。どう見ても、それは日本語としても通じないんじゃないですか。キャリアの方がそんなばかなことを言ったらどうしようもないんじゃないですか。

 このときは、高祖さんは三十何人処分しているんですよね、おっしゃるとおり。裏で処分して、警察問題にしないで、監察でどういうふうにしたか。それで、今度は京都が去年になって、どういう経緯かわかりませんけれども明らかにして、逮捕者を出している。そして、今度は百七十二人の処分をまた出したんですね。何をやっているんですか、これは。そのときにきちんとやれば、次の事件なんか起こらない。

 次に、八月二十八日、毎日新聞、「全郵便局にカンパ指示」、こういう記事が出ております。「高祖陣営へ一億円」「局長一万円、課長代理五千円」。選挙活動はお金がかかります、皆さんも選挙をやっていらっしゃいますから、やはりどこから持ってくるかということがなかなか大変だと思いますが、ここで、今回の違反事件に関連して、資金の問題を少し洗ってみたいな、そう思っています。

 幾つかのルートがございます。ここに出したのは普通の郵便局ですね。特定局じゃありません、普通局ルート。これは、郵政事業庁が普通局の管理職からカンパを募って、一億円を高祖後援会に寄附した。これは八月二十八日の毎日新聞の記事でございますけれども、これは郵政事業庁として、真実だと、真実ですか。

足立政府参考人 ただいま先生御指摘の八月二十七日の新聞でそのような報道がなされましたので、私どもといたしましては、そのような事実はないということで、当該報道機関に対して抗議をいたしますとともに、記事の訂正を求めたところでございます。私どもとして組織的に関与した、そのようなことはございません。

松崎委員 郵政事業庁の総務部広報課長の、大部さんというんでしょうか、大部修司さん、今おっしゃったとおり、承知してないから訂正記事を出せ、そういうことも言ったそうでありますけれども、これはちゃんと調査をしたんですか。

足立政府参考人 選挙関係の事件の中でそういう報道がなされたわけでありますが、事業庁としては、先ほども申し上げましたように、組織的に関与したわけではございませんし、また、カンパといったようなものは、個人的に、あるいは自発的に行われることは、個人のいわば行動として許されることではないかということで、先ほど申し上げました新聞社に抗議をいたしておるところでございます。

松崎委員 では、調査したんですね。したから、これは個人的なカンパだから問題ないんだというふうに認識したんですね。

足立政府参考人 具体的にこのこと自体につきまして調査はいたしておりません。平素から国家公務員としてそのようなことはしないように注意いたしておりますし、あってはならないことであるというふうに考えております。

松崎委員 関係者の証言では、近畿郵政局の管内では、昨年の十月、郵政局の総務部が管内十九のブロック、二百五郵便局に対しまして、課長代理以上の管理職は五千円、局長は一万円、徴収期間はことし二月に徴収、こういう、どういう形で、総務部のどなたかはわかりません。これはさっきの選挙の構造でいけば、見事に構図ができ上がっておりますので、はっきりするんですよね。これはどこが指令したかというのは、司令塔は西田総務部長で、いろいろ、お金も全部やっているんですから。これは近畿のことでございますが、管理職五千円、局長一万円、この事実は把握しておりますか。

足立政府参考人 そのような事実は私、承知しておりません。

松崎委員 承知しているとは言えないんでしょうけれども、実際に公判、今始まっているんでしょうかね、裁判で全部出るんですよね、皆さんがうそを言っているかどうかということは。それははっきりしますから、今しっかり答弁しておいてください。後で取り消しなんということになると、よくないですよ。

 これは、普通の局、全国千三百十二局ですか。大体一億円集められたんではないかと。これはカンパなんですよね。ですから、関東でも、大体今回のものは十二の郵政局、同じような選挙活動をやったと思うんです。

 ただ、私の解説では、関西が非常に悪かったですね、票の出方が。特定局長一人当たりの票の出方が、十二郵政局の中で十番目ですよ。下から三番目なんですね。都市部ほど少ないんです。こういう選挙情勢があったので、この違反事件が起こったのかなと思いますけれども、でもこれは、こういうことで全国一律で、大樹の会でありますとか特定郵便局長会、それで裏側では特推連、そういう形で動いているわけですから、全国一緒だ。

 関東の郵政局でも多分こういう集金があったというふうに聞いていますけれども、関東郵政局管内では聞いていませんか、このカンパ問題は。

足立政府参考人 聞いておりません。いろいろ選挙に絡みまして報道があるわけでありますが、平素、やはり国家公務員としての服務規律の指導、徹底、そういったことを、今回の反省にかんがみ、重ねて徹底してまいりたいというふうに思います。

松崎委員 先ほど長官は、郵政事業庁の大部さんが新聞社に事実でないので訂正を要求というふうに言ったんですが、これは長官が知っていて指示をしたんでしょうか。記事に対する訂正記事。

足立政府参考人 新聞で郵政事業庁が組織的に関与したといったような報道がありましたので、郵政事業庁、私も判断いたしまして、新聞社に対して抗議を申し入れ、訂正の記事を求めたところでございます。

松崎委員 指示したのかしないのかわかりませんけれども、要するに、長官の判断も含めて抗議をしたということでございますね。調査はしていないと。

 それでは、特定局ルートに関してお話をお聞きしたいと思いますけれども、特定局長会も九九年から高祖氏に毎年一億円、計三億円を資金提供した、こんな報道もあるんですけれども、これは聞いていますか。

足立政府参考人 特定局長会がどのようなことをしたかということにつきまして、特定局長会は任意の私的な団体でありますので、私、承知する立場にはございませんので……。

松崎委員 OBが出馬する際に、郵政省関連の場合、全特、いわゆる全国の特定局長会から資金提供が毎回あるというふうに言っているんですけれども、郵政事業懇話会に入っていらっしゃる大臣は、そんな話は聞いたことはございますか。いろいろな団体が自民党の中にたくさんございますね。建設関係、お医者さん関係。今回も、看護婦さんの方も逮捕されたり、建設も逮捕されていますけれども、そういう団体が資金提供を出馬者に対してする、そんな話は、特にこの郵政関係では、大臣も懇話会に入っていらっしゃいますけれども、資金提供、聞いたことはございますか。

片山国務大臣 今の懇話会関係では聞いたことはございませんが、いろいろな団体が政治資金規正法の手続に従って献金をやっているということは、私は、政治資金規正法の所管大臣でございますから、それは承知いたしております。

松崎委員 もう一つ、郵政監察ルートというのがあるんですね。これが、どうなんでしょうか、監察の内部でも年二回、ボーナス時に三千円から六千円のカンパをOBが徴収している、こんな話もあるんですが、長官は御存じですか。

足立政府参考人 承知しておりません。以前、たしか委員会でもそのようなお話があったかと思いますが、そのときにも申し上げたとおりでございます。

松崎委員 それは調査をした上でお答えですか。

足立政府参考人 そのことにつきまして調査をしたということではございません。そういうことは、うわさとしてあるけれども、平素、職員の服務規律等について十分徹底をしているということでありまして、調査をしておりません。

松崎委員 こういった事実があるとすると、国家公務員法違反、百二条の違反になるんですけれども、こういうことがもしあったとしたら、当然告発の義務はありますし、国家公務員法の違反になるんですよね。確認しておきます。なりますか。

足立政府参考人 組織的に関与するということになりますと、あるいは公務員としての立場を利用してということになりますと、そのようなことになるというふうに思います。

 ただ、具体的に、カンパをする、個人的にする、あるいは個人として党費を払い込む、そういったことは国家公務員法の範囲内で許されていることでございます。

松崎委員 組織的はもちろんのこと、個人だっていけませんよね、公務員さんがそういう政治活動をあるいは資金に絡んでやるということは。全くの個人の活動との問題、なかなか線引きは難しいかもしれませんけれども、今お話ししているのは、いわゆる組織ぐるみの活動を今お話をしているわけであります。

 それで、もう一つあるんですね。先ほどのはカンパが中心だったんですけれども、常時、政治献金をしているという話なんですが、課長会と局長会というのがあるらしいですね。課長会というのは各局にあるんでしょう。毎月五千円で年六万、ボーナスのとき一万円、年二回、三月の管理職手当が二万円、年間計十万円、課長会、一人ですね。局長会は、毎月一万円で年十二万、ボーナス時に二万掛ける二、三月に管理職手当四万、計二十万円を徴収していると言っております。

 それで、いろいろな名目をつけた会でしょうから、これが政治団体なんて言っていませんよ、言っていませんけれども、この課長会、局長会が、通常は余りお金のかからない郵政局の会議室で、ビールや簡単なつまみでお金をかけずにやっている。残ったお金がどうも裏献金とか政治献金に流れているんじゃないか、そんな証言があるんですが、長官はこのことは御存じですか。

足立政府参考人 課長会、局長会というのも恐らく全国の郵便局の中にあるのかもしれませんが、私、そのようなことは承知しておりませんし、また、具体的に幾らの金額を積み立てているといったようなことなどにつきましても承知しておりません、そこは。

松崎委員 足立さんも課長をやったことももちろんありますよね。局長もございます。各郵政局の管内に、普通局の課長会、局長会があるのは知っているんですね。

足立政府参考人 私も郵便局の課長、局長それぞれやりましたけれども、年に一回お別れの旅行をするとか、そういったことの積み立てといいますか天引きをするといったようなことはあったような記憶もいたしますが、必ずしもそういったことが一般的に全部行われているとか、あるいは集めたお金が何か選挙に絡んで使われているといったようなことは、私、全く自分の経験に照らしてもそのようなことはありませんし、また承知しておりません、そこは。

松崎委員 一応これだけ大きく、これは調査に基づいて報道もしているという自信を持っているようでありますので、これは調査が必要じゃないんでしょうかね。長官は、私は払ったことはない、入ったことない、あるかないかわからない、払ったことない、そうおっしゃっていますけれども、調査が必要じゃないですか。

足立政府参考人 何か具体的に、そしてそれが犯罪を構成するといったような事実が指摘されますれば調査したいと思いますが、一般的にそのようなことがうわさにのっているとかいうことでは、なかなか調査が難しいと思います。

 先ほどから申し上げたとおりでありますが、やはり国家公務員としての服務規律の徹底というものにつきまして、今回の事件の反省にかんがみ、さらに十分なことを取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

松崎委員 私も選挙を何度もやっております。選挙違反のかかわりもないことはないですね。例えば今、あなたも局長をやっていた近畿で大がかりなこれだけの動きがありますと、これは必ず金がかかりますよね。逃亡の教唆もしているんですよね。六人も逃亡させているんですね。あなたの関係の、何でしたかメルパルクだか、泊まらせたり、全部金がかかるんですよ。そうすると、必ずこれは検察も裁判所も金の出どころが中心ですから調べます。そうすると、どこからこういう金が集まったんだということが出てきますから、そのとき、よろしいんですね、そんなこと言っていて。

 それで、もう一つ別の不正流用らしきものをお話ししますと、例の評判の悪い渡し切り費ですね。何か急遽来年からやめちゃうなんという話でございますけれども、これは特定局長への渡し切り費の中のサービス向上対策費というのがあるんですか。これは何でしょうか、長官。

足立政府参考人 サービス向上対策費といいますのは、郵便局の所在地のいわばオピニオンリーダーとかあるいは事業の協力者、あるいはいろいろな事業の現況等を説明する、そういった場合にいわゆる説明会を開催したりして、事業のいろいろなPRや理解を得るために使ってもらいたいということで立てているものでございます。

松崎委員 東北六県の二十五のブロックの役員の局長に、こういうお金が三億円ぐらい支給されているんですか。

足立政府参考人 平成十二年度で三億円程度になります。東北管内六県でございます。

松崎委員 これは渡し切り費の一部なんでしょうか。

足立政府参考人 そのとおりでございます。渡し経費の中の一つの項目としてサービス向上対策費というものがあるということでございます。

松崎委員 つまり、このブロックの役員、二十五人でしょうか、一千二百万ぐらい、普通の特定局よりも多く行っているんですよね。特定局さんは平均四百五十万です。実際に私の仲間の特定局さんに聞いたら、冗談じゃない、百万から二百万だよ、そこは三人局ですけれども、何でこんな金額が大きいんだって怒っていましたけれども、もらっていない、評判ばかりこれが金額が大きくて迷惑だという言い方をしていました。

 いろいろな形で出ているんでしょうが、このお金から二〇%上納する、そういうことになっていたということで、この前、読売新聞ですか、七年間ためて、一年間五千万になります、五千万掛ける七年、三億五千万、これが東北管内で裏金としてあったという報道が大きく出ましたが、これは知っておりました、御存じですか。

足立政府参考人 先般そのような報道がされたということは承知しております。また、本件に関して大臣から指示もありまして、現在、郵政事業庁の首席監察官に対して、このような事実があるかどうか調査するよう指示を行っているところでございます。報道された内容については全く承知しておりません。

松崎委員 承知していないんですね。でも、三億円が出ているのは御存じ、あの報道ですと、かなりペーパーが出ていましたよね。その渡し切りの一千二百万が入ると同時に、上納してくれという文書が局から来るということで証拠物件が出ていましたけれども、それでも御存じないということでございますね。

 これは先ほどから言っておりますように、さっきは近畿、今回は東北、これは十二の局、大小ありますけれども、ほぼ同じことをやっているであろう、選挙運動なんか全国一律で、皆さん百万票を目標にノルマをかけてやっているわけですから、これは当然全国でやっていると思いますよ、思われてもしようがない。全国で二百三十八の役員局長がいまして、これが二〇%、二百万ですね。単純計算しますと、これだと一年で四億七千六百万になるんです。これが驚くべきことに水増し領収書でごまかしている、二百万、証言していますよね。公的なお金ですから、それはどこかで二百万抜いて払うわけです、上納するわけですから。水増しの領収書をつくっているということをはっきり言っていますけれども、これも知らないとおっしゃっているんですか。

足立政府参考人 そのような報道がなされましたので、非常に遺憾なことであるというふうに思います。ですから、事実かどうかきちんと確かめる必要があるということで、大臣の指示もいただいておりますので、調査をしたいというふうに思っております。

松崎委員 いつごろまでを目標にしているんでしょうか、どうぞ。

足立政府参考人 特別の調査チームをつくって行っておりますので、現在の見通しですと、十二月末ごろを一応のめどとしております。

松崎委員 十二月ですね。まあちょっと時間がかかり過ぎますね。そんなにかからなくてもすぐわかるはずですよ。これはもう早急にやるべきだと思いますよ。皆さんが何もないというんであれば、なおさら早くやらなきゃいけない、時間をかけるとやはり裏工作しますから。ぜひそこを早目にやってください。

 それから、特定局長さんが、党員集めのノルマがございますよね。通常は毎年八人、それから選挙のときは十三人、党員集めということは党費を払う。大体このくらいの人数ですから、皆さん立てかえちゃいますね。立てかえるらしいです。これを計算しますと、特定局が一万八千九百十六ありますから、通常では六億五百三十一万円になるんですね。それから、選挙時ですと、九億八千三百六十三万円、単純計算。

 これが実は、どうも渡し切り費というのは大変あいまいだということがもう再三証明されてきております。だから、来年やめようという話なんでしょう。これはかなり大ざっぱなんです。ですから、特定局、平成十二年で七百九十六億円行っていますから、渡し切り経費の総額ですね、このくらいの党費立てかえぐらいは何ということない。それぞれ細かくやるわけですから、五万とか三万、通常では三万、選挙時で五万、そうすると、これは一局に平均四百二十万も行っているのですから、当然この辺でうまく出しますよ。領収書は幾らでも、皆さん、先ほど言いましたように、水増し領収書をつくっているということでございますから、そうなりますと、渡し切り経費というのは公金でありまして、そこから党費が出ている可能性がある。これはまさにKSDと同じですね。こういう認識、大臣、お持ちでしょうか、今のお話。

片山国務大臣 いろいろ御指摘がありますが、渡し切り経費というのは、もう釈迦に説法ですが、会計法の根拠に基づいて予算決算、会計の政令でちゃんとやっているのですね。

 ただ、いろいろ問題が起こるとすれば、制度ではなくて運用なのですね。ある程度相手を信用して渡し切りでやらせるということですから、運用に問題があるとすれば運用を改めればいいのですけれども、この際、二年後には公社にも移行しますし、二年後にやめようと思いましたけれども、いろいろ御議論があったり、仮に疑惑があるとすれば、それは国民の皆さんに申しわけないものですから、来年からもうやめよう、こういうことにいたしたわけであります。

 今、東北局につきましては首席監察官に調べてほしいと私は長官にお願いしましたし、ほかのところについても会計検査なりあるいは特別考査ですね、監察人、そういうことで実情の把握をしよう、こう思っておりますので、今いろいろお話がありましたが、私は事実関係は全く承知いたしておりませんので、とにかく渡し切り経費についての国民の信頼は明らかにする必要があると考えております。

松崎委員 ちょっと不幸な話なんですけれども、この東北の郵政局の局長さんの三億五千万、この問題のときに、新聞報道されたその日に、お気の毒なんですが監察局長さんが亡くなりましたね、自殺されました。お聞きしますと、家庭の事情だというお話でしたけれども、三億五千万の不正流用だという新聞報道のその日の朝に自殺されたということで、大変心を痛めると同時に、やはりこれは監察局長さんですから、ことしからたしか東北に移られたのですね、だから、歴代の監察局長の責任だと思いますけれども、その問題とは関係ないというお話でありましたけれども、どう見ても余りにも日にちが合い過ぎているのですね。この辺、余り亡くなった方を責める気はありませんけれども、どう見てもおかしいんじゃないか。また、その方は、東北へ来る前は近畿郵政の研修所長さんだったのですね。その研修所の教頭さんが同じく高祖事件で逮捕された方でしたね、大嶋さんですか、中京局の副局長さん。いろいろ関連があるのかどうかわかりませんが、この辺は死者にむちを打たない程度でお調べをいただいた方がよろしいのじゃないかと思いますが、むしろ歴代監察局長の責任の方なのですね。これは今は認めていないというのですから、なかなかそこまでいかぬでしょうけれども、それを含めてよく調べていただきたいと思います。

足立政府参考人 渡し切り費のことが報道された日と監察局長が自殺した日がたまたま重なりましたので、そのような先生の御質問になったと思われますけれども、本件につきましては全く関係のないものでございます。

 御本人から私あての遺書も残されておりましたけれども、業務にかかわる悩みを全く動機とするものではございません。純粋にプライベートな問題でございまして、申し上げられませんけれども、純粋に私生活上の問題であるというふうに私は判断しております。

松崎委員 要は、先ほどからずっとお聞きしてきたのは、いわゆる組織ぐるみの選挙ではないか、これはもう明々白々ですね。ですから、それでもそう認めないということであればもう少しお話ししなきゃいけませんけれども、もう時間もないものですから、全容解明のために、やはりこれは高祖さん集中審議をするか、高祖問題、あるいは喚問を要求したいのですが、委員長、お計らいをいただきたいと思います。高祖さん自身を呼ばないといかぬと思っております。いかがでしょうか。

御法川委員長 ただいまの要求につきましては、後刻、理事会で協議いたします。

松崎委員 ありがとうございます。

 それから、今回の、喚問はそれでよろしいのですが、非常に処分が甘いのではないか、私たちはそう思っております。

 その辺は、ほかの、一連の大蔵省、これは百十二人、過剰接待事件で大蔵省は大臣も事務次官もおやめになった、それから、外務省の問題も歴代の四次官が更迭された、こういうような厳しい対応をしております。今回は、五十七人、あと大臣以下政務官まで六名が自主返納、こういうことになっておりますけれども、これは国民から見ても大変甘い処分だろう、極めてそう思うわけであります。

 先ほど言いましたDM事件でも、百七十二人、懲戒免職六人。あの事件はむしろ、こそ泥みたいなものですよね。ところがこれは、国民の信頼感を失う、しかも、総務省という選挙をつかさどるところで組織的に、局長という長官のすぐ下にいる大変重い方々が中心になって起こした犯罪であります。ですから、これに対する処分は極めて甘いと私は思いますが、いかがでしょうか、大臣。

片山国務大臣 御承知のように、二十六日でございましたか、私を含めまして五十七人の処分を発表させていただきました。この処分についてはいろいろな見方、考え方があると私は思いますけれども、いろいろなケースを調べましたし、当省関係で、かつての、似たようなことはありませんけれども、そういうことをいろいろ比較検討して人事当局が案をつくったものを、私の注文も入れまして、いたしたものでございます。

 今まで、例えば起訴猶予になるとかといったら訓告なんですね。略式起訴についてもせいぜい戒告か訓告でございますけれども、今度は大幅に減給を入れましたし、そういう意味では、私個人の感じを言えと言われれば、幾らか重い感じがするということは申し上げましたが、これは委員その他いろいろなお考えがありますから、それはそれで甘受しなければなりませんけれども、とにかく再発をしない、国民の信頼を回復するということを最重点に我々は責任をとってまいりたい、こう思います。案件がいろいろ違いますので、それをもって横に並べて、重い軽い、いい悪いということは、私はなかなか言えないのではなかろうかと考えております。

松崎委員 ここで甘いかどうかという論争をこれからする気はありませんけれども、どう見てもこれは、国民から見ても、つまり、外務省にしても大蔵省にしても、個人的な問題というか、公金をごまかしたとか、先ほどのDM事件もそうですよ、それは個人で完結していくんです、たくさんいる中では悪いやつがいるよという程度で終わっちゃうんです。それでも、国民に申しわけないということで、これだけ大臣も次官もやめたりしているんです。

 これは何ですか。これだけの違反ですと、二百人から三百人は呼ばれていますよ。それで局長さんが逮捕になっているんですからね。それに対して先ほどもちょっと、大臣も甘いような話をされておりましたけれども、これは絶対に我々は許せないものでありまして、今後ともしっかりとこの問題は追及をさせていただく、そういうつもりでおります。

 最後に、全くこの問題とは関係がないのですけれども、選挙に関係するところでございますので、大臣のお考えを伺いたい。

 最近非常に浮上をしてきました、衆議院選挙制度に中選挙区を一部入れるという、これは裏側では随分、自民党の方々とお会いしますと、本当に困ったねという話をされておりますけれども、よく水戸黄門のテレビをやっていますけれども、悪代官が自分の都合のいいように法律を変えて年貢を取り立てる、それと同じだと私は言っているんですよ。自分の都合のいいように法律を変えて自分の身の保全を図る、こんなことをまともに議論しているというのですから。ですから、きのうだって、自民党さんの選挙の何か会合で、どうにもならぬと、みんな、ふざけるんじゃないという話だったというふうに書いてありますけれども、選挙をつかさどる大臣として、個人的な意見で結構でございます、この制度に対してどう思われますか。

片山国務大臣 松崎委員御承知のように、選挙制度は百点というのはありませんね。(発言する者あり)だから、いろいろな議論があって、選挙制度は何がいいかということを模索していかざるを得ないので、現在報道されているものは与党間でいろいろ御協議されているとは聞いておりますけれども、それ以上は私は承知いたしておりませんし、選挙制度は議会制民主主義の根幹でございますので、各党各会派で十分御議論して適正な結論を出していただくのがいいのではなかろうかと私は思っております。

松崎委員 こちらから、今度の案は点数をつけたら何点ぐらいになりますかと聞いてくれということでございますが、大臣、いかがですか。今までは何点で、今度の点数は何点ですか。

片山国務大臣 大議論で、現在の小選挙区比例代表並立制というのが採用されたわけでありまして、それについてはやはりいい点、悪い点がありますので、私は、いろいろな議論があっていいので、まだそれにかわる案が正式に決まったわけではなくて、与党の中でいろいろ今御調整中、御議論中だ、こう承知いたしておりますから、私は採点なんかする資格も識見もありませんので、そこはひとつ御容赦いただきたいと思います。

松崎委員 時間が来ました。

 どちらにしても、社説も、恥ずべき政党エゴだ、党利党略で選挙制度をもてあそぶな、余りに身勝手だ、理念不在、内閣の信頼を失う、無理が通れば道理が引っ込む、こんなような各社の社説をお読みして終わらせていただきますけれども、よろしく御検討ください。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 大臣、御苦労さまでございます。さまざまな大きな問題をお抱えになって大所高所の目配り、御苦労だと思いますが、きょうは、大臣と小坂副大臣、外務省の北島経済局長、来ていただいていると思いますが、お三人に集中的に質問と、私の考え方を述べまして、責任ある答弁をひとついただきたいと思っています。

 まず第一に、見解を伺いたいのです。

 国会において我々は法案を審議いたしますね。そうしますと附帯決議をつけます。大体、附帯決議というのは、全会一致が多いのですが、法案を審議します、当然意見が出されます、要望も出されます、それらを集約いたしまして、法案成立後に政府が法の執行、行政権がそこで法の執行ということになるわけですが、十分その意を生かして行政の対応をしていただきたい。法案審議というのは法律で明文は限界がありますから、言うならば、その行間を埋めると言ってもいいと私は思うんですが、そういう意味合いを持っていると思います。したがって、私ども立法の立場にある者にとっては、そういう意味から附帯決議の位置づけというのは非常に重い、このように重視をしております。

 ところが、これは行政サイドに立ってみれば、よもや大臣や副大臣はそうではないと思うんですが、お役人の皆さんにしてみれば、法案審議は国会でがたがたやる、成立した、附帯決議をつけておかないと、いろいろやかましく言うから附帯決議をつけて一丁上がり。言うならば、附帯決議というのは飾りみたいなものじゃと。こういうお役人の、昔からの、ちょっと軽視したというのですか、附帯決議はそういうものだというふうな考え方があると聞くのです。だから、あとは裁量権ということになるわけですが、よもや大臣や副大臣はそんなお考えではないでしょうねということを、ここではっきりしてください。

片山国務大臣 今、委員言われましたように、附帯決議については当該法律の運用についてのこの委員会、総務委員会でございますれば総務委員会の意思を正式に表明していただいた、こういうことになりますから、これは立法府の御意思でございますので、行政の上で執行上最大限の尊重、配慮をすべきことは当然でございまして、委員は昔の役所のことを言われたのかもしれませんが、総務省になりましてからは、最大限尊重しろ、こういうことでやってまいりますので、ひとつそういうふうに御理解賜りたいと思います。

伊藤(忠)委員 正直なところをおっしゃっていただいたのですが、もしそういうことがあるとするならば、政省令、規則、これをこの場で審議をいたしますから、その点は踏まえてこれから対応していただきたいと思うんです。

 さて、二つ目の問題ですが、附帯決議といいますのは、抽象的では話になりませんが、具体的に申し上げますと、二〇〇〇年の四月二十六日につけました、言うならばLRIC方式導入に伴う附帯決議がございます。私は、この附帯決議は、いろいろな法案の附帯決議をずっと見ましたが、非常に具体的に言うているわけですね。附帯決議もさまざまございまして、抽象的な附帯決議もあれば、具体的な附帯決議もあるんですが、この附帯決議というのは、法案審議の中で出された意見を、時の大臣だとか答弁に立たれたお役人の皆さんが省の見解としてまとめられたものを、附帯決議に実はきちっと明記しているわけです。

 その中身を申し上げますと、簡単に行きますが、四点ございまして、一点目はLRIC方式のケースAを採用すること、二点目は実施期間は四年間で二二・五%下げること、三点目は四年間の下げ幅配分はNTTの経営判断によること、四点目は四年間経過後にモデルの更新を行う場合も、当該企業の実現可能性を考慮して段階的に実施すること、このことも委員会審議の過程では確認をしまして、そのことがずばり、ちょっと表現は変わっておりますが、この四月二十六日の附帯決議の第一項、第二項できちっと踏まえられているわけです。

 私も審議に参加しまして経過をそう理解しておりますから、第二項に言われておりますとおり、「十分な検証を行い、必要な見直しを行う」というのが第二項にございますし、それから、第一項では、モデルの見直しも含めて、どういう立場でやるかということが明記をされているわけです。

 ここまでよかったのです。ここまではよかったのですが、その後、政府は、沖縄サミット直前の日米交渉で、当時、交渉が三月段階で決裂していました。余りにもアメリカ政府の要求がきつ過ぎて、四一%下げよ、こういうのがのっけから出てきたものですから、それはだめだというので、日本政府、言うなら当時の郵政省でしょうか、これはけっていたわけです、決裂状態でございました。棚上げ状態になっていたものを、突然、沖縄サミットが近づいてまいりました四月段階から日本側から早期決着を申し入れまして、それで、森政権にかわりまして、最終的には、森さんがクリントンとの間に、二年間で二〇%下げる、残り二・五%は再協議という内容で大幅にこれは譲歩したわけです。

 こういうような日米交渉の舞台に上がるということは、しかも、そういう内容でアメリカ政府に大幅譲歩をするということは、一連の国会審議から見ればあり得ないことなんですね。なぜそれをやったのかということで、その後大臣がかわられまして、平林大臣だったのですが、私たちは平林大臣に抗議に行きましたよ、正直言って、これはおかしいじゃないのと。平林さんはいい方なものですから、私もそう思うけれども、なかなか両国間の交渉はということでございました。どう考えたっておかしいじゃないですか。

 これは、時間がありませんから、私は先を急ぐのですが、ちょっと余談を申し上げますが、そのときは、また振るっているんですね。時の新聞記事を私は大事にとっていますが、これは、ワシントンの五日の、記者が日米首脳会談の要旨を書いているわけです。この中で、何と、森総理はクリントン大統領に対して、規制緩和の一環として、継続協議している電気通信分野の接続料金については、日米双方の努力で可及的速やかに解決したい、日本側から持ち出しているわけですよ。それに対してクリントン大統領は、電気通信分野の問題について個人的な関心を示してくれたことは大変うれしいというので感謝しているわけですね。そういう局面展開にがらっと変わっているわけです。

 そこで外務省にお聞きしたいのですが、当時、経済局長は田中さんでした。田中さんに申し上げたのです。これは、委員会の審議がこのようになって附帯決議がついているから、見直しは近い将来、あり方を含めて必ずやるわけですから、今の日米交渉のペースでいったら大変なことになりますよ、外務省が大体舞台を設営するから、あなたが担当なんで、よもやこれは促進するような、そういうアクションは起こさないでしょうね、このように田中局長に当時言いました。そうしたら、私は絶対そんなこといたしませんと言うて、昼からワシントンへ飛んでいった。それから舞台ががらっと変わったのですから、何をか言わんやですが、そういう状況なんです。

 だから、これは日本の政府が最終的な責任を持つことですし、実務の内容は現在で言うと総務省が当たるわけですが、交渉の舞台設定や、この辺まで来たから、おい、どうや、この辺やというようなことを間に入ってやるのはきっと外務省じゃないでしょうか。だから、外務省の責任も、同時に極めて大きいと私は思っておるんです。

 しかも、なぜ私はこれは不平等な交渉かというと、アメリカはUSTRがすべて前面に出るわけです。FCCは出てきませんよ。ところが、日本は、実務者協議は総務省、舞台設営は外務省というのでそれぞれやるじゃないですか。向こうは一本立てで来るわけですよ。しかも、がんがん押してくる。要望事項を見ましたけれども、日本政府もアメリカに通信分野だとか情報の分野でいろいろ要望を出しています。これは少ない項目ですよ。小坂副大臣に私は資料をいただきました。ところが、アメリカが日本に出してきておる要望事項というのは何百項目とあるんですよ。

 それで、このLRIC方式がアメリカは一部しかやられていないということを日本の政府も指摘しました。これは主体的にやるものですから、日本は日本でやっていけばいいのです。ところが、アメリカもやられていない問題を、なぜ日本が全面的、画一的にこれを導入するのかということの不平等な関係は、アンバラな関係というのはわかるじゃないですか。そのことについてかなり主張したと思うんですが、アメリカ政府は一切聞かない。それは、日本に対して、アメリカはLRIC方式の導入を求めるんだといったら絶対引かないわけですよ。こんな不公平な、不平等な交渉をなぜやるのか。これは明らかに審議権、我々が立法府でやってきた国会審議の、その審議の中身を体していないじゃないか、後ろを向いた話じゃないのかというふうに私たちは断言してはばからぬと思うんですが、この点について、大臣の見解あるいは副大臣の見解を聞いておきたいと思うんです。いや、正しかったと言われるのか、国会の意を体してやったと言うのか、いや、それから見たらかなりアメリカの圧力で押しまくられたと言うのか、そこのところをはっきりしておきたいと思います。

北島政府参考人 外務省の経済局長でございます。田中の後任でございますが、去年の交渉の際にはワシントンの大使館で経済班長をしていまして、去年の経緯をよく覚えております。

 去年につきましては、NTTの接続料に関する日米間の話し合いにおいて、接続料引き下げの実施期間を当初の我が方提案である四年間から三年間に短縮した上で、日米間で最終的に決着したわけですが、これは当初、平成十年度の決算結果をベースとした東西NTTの三カ年の収支見込みに基づいて四年間としていたわけですが、昨年五月末に発表されました平成十一年度の決算結果が当初見込みより好転したということで、東西NTTが収支見込みを変更したことを受けてというふうに認識しております。

 したがって、東西NTTの経営状況等に配慮するものとした当時の国会の審議に沿ったものであったというふうに認識しております。

 それから、外務省は、昨年アメリカ側と話をするに当たって、郵政省とはもちろん二人三脚で一生懸命努めたということでございます。

片山国務大臣 今、北島局長からお答えになったことと私も同じようなことになるんですけれども、最初は、平成十年度の決算をベースに三カ年の見通しで、まあ四年二二・五%、こういうことでございましたが、十一年の決算がわかって、それはよかったものですから、恐らくそれは、両国の交渉の経緯の中で私はいろいろな議論があったと思いますよ。そこで、それはこれだけ好転したのなら三年でもできるじゃないか、いや、そうではないとかといういろいろな議論があって、最終的に私は合意したことなので、国会の御意思を完全に無視したとか軽視したとかということでは必ずしもない、こういうふうに思います。

 恐らく、国会は十年度の決算をベースに御議論があって、まあ四年間でそのぐらいかなと。恐らく、伊藤委員専門家ですから、そういうことをおっしゃったに違いないので、政府の方もそういうことを答えたと思いますけれども、環境が変わったというのか状況が変わった中で、これだけアメリカから強い御要請があるのならということに私はなったのではなかろうか、こういうふうに思っております。

伊藤(忠)委員 私が言いたいのは、状況というのは刻々変わりますものね、これはドッグイヤーと言われるような世界ですからね。それだったらそれで、国会の審議ではまじめにやっていまして、データがその後変わってきたというのだったら、そのことによって日米交渉だってやはり変わるじゃないですか、ある意味では。おっしゃるとおりだと思いますよ。そうしたら、国会でやはり相談をしてもらわないと、これは、国会を横に置いて、それで走っていったら、審議機関の立法府は一体何だったのかということですよ。そこが問題なんですよ、僕が言っているのは。だから、附帯決議と国会審議、それから行政府の対応ということを一番初めに申し上げたのは、そのことなんですよ。

 しかし、実際の話が、私は第一段階の日米交渉とあえて申し上げますが、二二・五%の二〇%は二年間でやった後、二・五%が残っていますよね。こういう決着のつけ方についても、全然報告が国会、議会にあるわけでもなし、結局それはもう裁量権で全部やっていく、こういうことなんですよね。だから、そういうことは僕はよくないと思うんですよ。

 だから、常々言っておるように、それは小委員会を設けて、そこでいろいろな細かいことが行政府にも報告があり、これからどうしようかという議論もそこでやっていこうという意味からも、小委員会をつくれ、つくってほしいということを僕は常々言っているわけです。これは、そのようにひとつ御理解いただきたいと思います。

 問題なのは、そういう日米交渉が行われまして、これからまた第二段階の交渉ということになっていくと思うんですよね。ところが、今の置かれておる情報通信の現状は一体どういうことか、この認識を共有しておかないと、またぞろ、アメリカというのはもうとにかく独善的ですから、自分のところが言うことは正しいんですから、がんがん押してまいりますので、その辺を、私、こういうことを言うと、失礼な言い方で、大臣もそれから外務省も、いや、そんなことないと言われるかもわかりませんが、平林さんの前の大臣に言ったんです、どうせ日米交渉をやられても、私は国益を、日本を代表して行きます、こういうふうに大きなことを言われていますけれども、実際、交渉やったらやられますよと言ったら、伊藤さん、それは失礼じゃないか、そういう言い方は失礼だと言われたが、そのとおりになりましたものね。

 だから、第二段階の日米交渉も、いや、そんなことありませんと行きますけれども、行ったら必ずやられる、舞台に乗ったら必ずやられる。だから、それは舞台に乗れないわけです。なぜかというと、乗るような状況にないということを私は認識を共有させていただきたい、こう思っておるんです。

 それはつまり、もう固定電話は商売にならないという状況でしょう。これはもう専門家は御承知のとおりですよ。固定電話はもうかるなんて話をするような人がいたら、それはもう音痴も甚だしいということなんです。

 それは、マイライン競争で料金値下げで収入はどんどん落ちてきて、LRIC導入だけで二千億へっこんでいますからね。結局、このLRICがどんどん下がってくるということは、NCC、新規参入業者が有利じゃないか、これは違うんですよ。クリームスキミングではなくなるわけですよ。ウオータースキミングです、僕に言わせたら。もう薄い薄いものになるわけです。

 だから、日本テレコムのように、参入して自前のネットを少し張った、中継持ったけれども、採算がとれぬものですから、設備投資を減らしまして引き揚げますよね、自分のところのネットワークを縮小するわけですよ。携帯はそれなりにいっているものですから、ボーダフォンに結局買収されまして、日本テレコムはボーダフォン経営になったわけですよ。

 そうすると、先行きこれは、固定電話というのは定額制に走りますよね。必ずそうなります。僕はそう思っています。そうすると、ますます幅が狭くなってきて、固定電話の世界ではクリームスキミングは、どんな条件をつくっても共倒れしかならぬ、こういう傾向がますます強まっていくと私は思っておりますし、この認識は共有できると思うわけです。

 あれやこれやの財務状況が厳しくなり変化が起こる中で、西会社は約千三百億円の赤字じゃないですか、当期。東の方だって、わずか二十億ですよね。そういうふうな状況で、下手したらこれは、一〇%の配当益は、もう資金繰りに困って、聞いてみたら、配当、九百億円あるわけですよ、この資金のやりくりが困る、できないものですから、どうしようかというところで、銀行で借金しようか、いや、それやったらもう八%に減らせやと。配当一〇%を削るというわけです。

 そうしたら、日本の株式市場にどういう影響を与えますか、皆さん。景気が不況になりつつある中でそんなことをやったら、言うならば、与える影響の大きい企業がそんな傾向で走ったら、これは一体どうなりますか。小泉内閣の言っていることはだんだん厳しくなりますよ。

 雇用問題にもこれは波及しまして、今、NTTの職員は十万人首切るんですよ、五十歳で。五十歳で十万人首切って、後、五十一歳から働きたいという人をアウトソーシングで下請会社へ行って働いてくれという。平均して賃金は二〇%減ですよ、ボーナスもありません、厚生福利も全部見直すと言っておるわけです。血の出るような努力をやっても、私は限界があると思っています。またぞろ同じような局面が出てくる。ということになったら、これは、そこに働いていることをもう考えなきゃいけないというところまで危機感が迫っているわけですね。そういう状況が今日だということ。

 もう終わりますが、ところが一方、アメリカの方は逆なんです。アメリカ志向で日本は来ましたが、これはもう、大臣や副大臣御承知のとおり、アメリカは腹切りで分割じゃなくて、むしろ、ベル会社はこれから長距離に進出することについてFCCはオーケーしているじゃないですか。ATTとベルサウスなんかは合併しているじゃないですか。小さく割るんじゃなくて、大きく統合していく、縦統合していくという傾向を強めているわけですよね。どうにも成り立たないから、それでしか業界は生きる道がないわけですよね。アメリカは日本ほど規制がききませんから、そういう状況なんです。だから、アメリカはそういう傾向でずっとこれから、小さいものを飲み込んで、垂直統合でどんどん大きくなっていこう、フルライン機能を持っていこうというような時代に今動きつつある。

 その中で、日本だけが相変わらず、従来の考え方で審議会の先生方がああいうふうに言う、それは、片山大臣もはいはいと受けないと思いますけれども、経済財政諮問会議はああいうことを言いますよね。私は長谷川平蔵さんは正義の味方で大好きなんですが、火盗改の長谷川平蔵は大好きでございますが、そういうことなんです。

 ですから、いずれにしても、やはり自分の二本足で、言うならば、日本の情報通信産業、IT革命を日本流でどうやっていくのかということをきっちり踏まえないと、アメリカから言われて、ああそうですかというような、これまではどちらかというと、やはりアメリカ流で来ましたから、ヨーロッパのことも学んでください。ヨーロッパはLRIC方式、それなりにイギリスは導入していますよ。

 しかし、よく考えていますね。これはプライスキャップだとかそういうものできちっと帳じりをつけておるわけですよ。しかも、フルラインじゃないですか、イギリスなんかは。日本のように腹切りでもってやられていないですよね。その強みがありますから、やはりヨーロッパのそういう政策にも学んでやっていただかないといけないなと。

 こういう点について、時間があと三分ぐらいしか残っておりませんので、現状認識は共有できるかどうか、大臣、ひとつお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕

片山国務大臣 せんだっても、NTTさんに自主的ないろいろな計画をつくっていただくよう要請しまして、返事をいただきまして、その際に宮津社長とも話しましたが、今、伊藤委員が言われるように、NTTの経営は大変状況が厳しくなっていますね。

 それから、今言われたようなことも含めまして、相当部分は私と認識が共有できるのではなかろうかと思っておりますし、特に、情報通信の主権あるいは国際競争力の保持というのはやはり一国にとって大変重要な課題でございますので、そういうことを念頭に置きながら、今後、いろいろなことを処理してまいりたい、こういうふうに思っております。

伊藤(忠)委員 最後に、外務省と大臣に一言ずつお聞きします。

 ということで、第二段階の日米交渉、相手はそういうふうにどんどんと攻めてきますが、外務省に聞いていただきたいのですが、どうしてもアメリカが言うのでしたら、LRIC方式はアメリカの最高裁で今係争中でございます。アメリカ自身が導入をめぐってもめているわけで、少なくともその最高裁の判決が出るまでは、アメリカはこの問題で主張する立場にないではないかということで、当面はこれは凍結してください。交渉をやらないでいただきたい。アメリカの最高裁判決が出たら、同じ立場に立つからやりましょうということにされたらどうですか。これはどうぞ、外務省と言っても、局長がそのことを外務省を代表して物はちょっと言いにくいでしょうが、そういう立場で、これはもう第二段階の日米交渉には踏み込まないでください。

 それから総務大臣にお願いします。そういう立場で、ちょっとこれは、第二段階の日米交渉はやらないでいただきたい、このことを申し上げたいと思います、お願いしたいと思います。どうでしょうか。

片山国務大臣 今の伊藤委員の御意見、御指摘はしっかり承って、後の対応を考えさせていただきます。

伊藤(忠)委員 外務省、よろしいですか、別にありませんか。

 どうもありがとうございました。

渡海委員長代理 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 きょうは、九月一日の新宿雑居ビル事件につきまして、また、昨日、同じく歌舞伎町三洋ビルで火災が発生ということでございます。二名が亡くなり、五名がけがをされたということでございますが、亡くなられた方また御遺族に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。

 相次いでこうした新宿雑居ビルでの火事が発生をしているということでございます。報道によると、一月の新宿消防署の立入検査ではビル全体で二十一件の指摘があり、火元の五階部分は四件の指摘があった。共同防火管理事項一部未決定、消火・避難訓練の未実施、自動火災報知設備感知器未警戒、避難器具操作障害。三月、オーナーからは改修計画書が出されたが、その後どうなったのかはわからない。店舗もかわっている、把握できない。しかも今回、九月一日の四十四名の亡くなられた明星56ビル以降の緊急査察では千平米以下を対象としたものですから、対象外といったことも重なっていたわけでございます。いろいろとこうしたことが、またかといったことで言われておりますが、現場の区役所の方あるいは消防署の方、いろいろやっているのだけれども、把握できなかったり、郵送しても戻ってきたり、なかなか難しいのだということがきのうも記者会見であらわれておりました。

 続いて、こうした火災が起きたことも踏まえて、大臣の御所見をお伺いします。

片山国務大臣 今、武正委員お話しのように、今回のビル火災でございますけれども、このビルは、本年一月に行われた立入検査の際に指摘された事項が守られていない、今日までそのままにされているということについては、まことに遺憾だと考えております。

 また、今お話がございました一千平米未満のものについては東京消防庁は立入検査する、こういうことでございましたが、今回のこともありまして、一千平米未満にこだわらずに速やかに立入調査したいという話を聞いておりますので、ぜひこれをやらせよう、こう思っております。

 新宿というところの特性もあるいはあるのかもしれませんけれども、こういうことが二回も起こり、さらに今後もその危険がかなりあるとすれば、これは大変なことだ、早急な対策の取りまとめと実施が必要ではないか、こういうふうに私も考えておりまして、関係のところと、例えば警察庁や厚生労働省ともできるだけ早く協議いたしたい、こう思っております。

武正委員 大臣にも大変前向きな御答弁をいただいておりますが、今回のこの件は、明星56ビルからの一連の流れでございますので、まず明星56ビルについて。

 消防庁さん、全国で査察を実施されて、中間報告も四千七百七十六対象まとめておりますし、東京消防庁の結果も九月二十一日までの結果が出ております。二千四百六十九棟の対象について、違反は二千百六十棟、違反率八七・五%。二万五千十件の違反件数について、実際に改修した件数は千六百四十八件ということでありますから、違反を指摘して改修に至るということも事実でありますので、やはり査察がいかに大事かといったことと、そうはいっても二万五千のうち千六百しか改修していない。また、では残りについて警告をどのくらいしたのかというと、三十九件しかしていない。警告した上で、今度は命令を下したのは二件。命令を実際に下せばやはりすぐ改修した。命令を出せば改修するわけですので、やはり警告というものをもっとどんどんと出していくべきではないかというふうに私は思うのですけれども、警告件数を多くすべきではないかということについて、これは消防庁長官に。

中川政府参考人 ただいま御指摘のように、東京消防庁におきましては、今回の火災にかんがみ、九月三日から立入検査を実施いたしておりまして、九月二十一日までの集計が公表されておりますが、その集計の結果、警告件数は三十九件となっております。確かに二千四百六十九棟の二万五千件の違反に対する件数としては数が少ないという実態にございます。

 ただ、これはもう先生御案内のように、立入検査において明らかになった違反について、改修指導、警告、命令などを順次行って、改善を図る措置をとっているものでございまして、現時点において、九月二十一日時点において改修指導を行ったものが五千四百、警告が三十九件でございまして、これから必要に応じて、さらに警告がふえていくということは十分予想されるところでございます。

 東京消防庁におきましても、今後、改修の実態を見ながら、必要な措置を行い、是正を進める、このように聞いているところでございます。

武正委員 やるのだというお話ですが、実際はやっていないというのが実態でありますから、今の答弁では私は満足できません。

 実際に告発に至るのも大変少ないわけなのですけれども、告発した例も、これは一九七八年十一月、渋谷東口会館についてあるといったことでございますが、建築基準法の改正が、遡及条項ということでされなかったといったことが、実はこういったいろいろな意味での、消防庁としての違反事例への厳しい対応を鈍らせているのではないかといったことで、やはり建築基準法改正といったものが大変大事ではないかなと思っております。

 これについて消防庁長官の御所見をお伺いします。

    〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕

中川政府参考人 予防査察によりまして告発に至るケースというのはなかなか数は少ないものがございます。平成十一年度に発出した命令等について、告発をした結果を聞き取り調査をいたしましたら、今年度一件の告発を予定しているということでございまして、全国的に見ても、ただいま御指摘のように、告発の件数というのは非常に少ない実態にございます。

 ただ、告発の件数が少ない理由についてでございますが、我々がそんたくいたしますところ、あくまでもその改修、改善を目的とするということで、極めて悪質な事例に関して告発をしているということが実態にあるのではないか、このように考えておりまして、ただいま御指摘のように、昭和四十九年に提案されました建築基準法について遡及適用の規定が削除されたということがこの告発を抑制している原因ではないかという御指摘は、我々としては、必ずしもそういう実態ではなかろうというように考えているところでございます。

武正委員 ぜひそのとおりしていただきたいと思います。

 佐世保市の消防局の石田良文さんがこう言っています。法的信頼の保護という観点から、関係行政機関での措置などで火災危険などの排除を図れないか、もちろん努力は行う必要があるのは言うまでもないが、結局は消防がやれるかどうかの問題に帰すると言われなければならないということで、いわゆる五条のただし書きについては、他の関係行政機関について余り考慮する必要はないんだ、余りに消防は気にし過ぎているよといったことだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、十月二十七日の朝日新聞夕刊に、当該明星56ビルから、一一九番要請が当日十本あったうち四本が四階からあった、三階からは一本もなかったと。なぜなのかということも書いてありましたが、四階からは、九月一日一時一分、三分、五分、七分ということで、六分間その電話がかかっていたわけですね。横浜国立大学教授の佐土原聡教授によると、明星56ビルの規模の通常の火災であれば、六分あれば十分に避難できるんだといったことを新聞でも言っております。

 そういった意味で、私は、歌舞伎町のような特定の地域では、用途を限らず建築物には二方向避難を義務づけるべきではないか、こういった意見について、これは国土交通省さん、おいででございますので、御所見をお願いいたします。

三沢政府参考人 二方向避難の基準について、建物の用途を限定せず、特定の地域ではすべて義務づけてはどうかという御質問でございます。

 地域を限って規制を強化するということについては、やはり公平性の観点からどうかという御議論があるということと、それから、その用途にかかわらず、風俗営業にかかわらず、一般の事務所、店舗まですべて一律に規制を強化するということがやはり規制としては過重ではないかという議論がございまして、これについては慎重な検討の必要があるというふうに考えております。

 ただ、今回の火災を教訓といたしまして、避難上支障の大きい風俗関係用途につきましては、十分な安全性の確保という観点から、二方向避難の規制対象の見直しも含めまして検討する必要があるというふうに考えております。

 これらの点につきましては、現在、小規模雑居ビルの建築防火対策検討委員会において御検討をいただいているところでございます。

武正委員 先ほど大臣が新宿という特性ということをまず開口一番言われましたし、今、一般店舗までというお話でしたが、今回の明星56ビルは一般店舗で建築許可申請、確認をとっているわけですね。ただ、一般店舗でとっても、あれだけの繁華街で当然、転用が予想される、そういったことに対する、今の御答弁ではやはり納得できないということを再度申し上げておきます。

 さて、共同防火管理者でございますけれども、昭和四十三年の法改正で、共同で防火管理者というものを設けなければ、いわゆるテナントが階ごとに違うような雑居ビルへは対応できない、しかも、昭和四十七年の千日デパートビルなどを教訓に施行令で強化もしたといったことでございますが、先般の明星56ビルの東京消防庁の八項目の指摘には、この共同防火体制、統括防火管理者未選任、あるいはビル全体の防火計画なしということは東京消防庁は触れていなかった。

 これについて、先般、当委員会で質問をしましたら、消防庁長官からは、個々のテナントにおける防火管理が確保された上で共同防火管理は初めて有効なので、まず個々のテナントの防火管理者の選任を優先させて行う、こういう取り扱いをしたんじゃないかというふうな答弁なんですが、実は、例えばこの千日ビルの後、「近代消防」昭和四十七年七月に、消防庁予防課長の話として、複合用途ビルを何とか一つのビルとしてとらえ整備させるようにしたい、こういった座談会での発言もあるんですね。建物は一つなんだということで考えていかなきゃいけない、だから、共同防火管理者というものを強化したんですが、この御答弁では、やはりまた今回も、指摘をされておりましたように、共同防火管理体制が未整備と。同じことがまた繰り返されている、これについて、大臣、御所見をお願いいたします。

片山国務大臣 いや、なかなか難しい問題なんですね。今の法制では、個々のものについての責任体制を固めた上で共同で、こういうことになっているんですね。今の委員の御指摘は、個々が必ずしも全部そろわなくても、全体として一つの建築物ととらえて責任者を決めろ、こういうことなんですが、今の法制でそれがすっといくのかどうか、少しそれは、武正さん、研究させてください。私も、基本的には思想は委員と似ているんですけれども、法制論としてうまくそれがフィットできるのかどうか、そこのところの研究をしたいと思います。

武正委員 私は、共同防火管理者を優先とは言っていないので、長官の答弁が個々を優先という話でしたから、これは同時にやっていくべきだということですので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、自治体消防の限界ということを、大臣が消防庁の次長さんのときに「自治研究」六十四巻一号でも触れておられます。ちょっと引用しますと、もとより市町村消防であることに問題点もないわけではなく、都道府県消防制度の主張も一部にある、中略で、「引続き市町村消防維持の方向が基本的には正しいと考える。」というふうに結んでおりますが、やはり市町村だけにこの消防を任せて果たしていいものかということで、消防力の強化ということ、これは、阪神大震災のときも破壊消防ということで非常に議論もあった点でございます。消防審議会からも国、県、市の役割分担のことも出ておりますので、この国、県の果たすべき役割について、大臣の御所見をお伺いします。

片山国務大臣 御承知のように、警察は、警察制度は、昭和二十九年までは国家地方警察と自治体警察だったんですね。そこで、これではなかなか機能しないのではないか、アメリカ風ではというので、今の都道府県警察につくり直したんです、御承知のとおり。

 そこで消防は、戦後、市町村が中心の市町村消防になったんですね。それで、消防というのは、住民の生命、身体、財産を守る地方自治の原点だ、それは一番住民に身近な市町村でやってもらおう、こういう思想なんですね。

 だから、それはそれで私は正しいと思うんですけれども、災害や事故や火災が広域化したり複雑に高度化したりする場合に、それでは普通の市町村で全部対応できるか、こういう議論があるんです。

 そこで、都道府県消防論というのを、昔からあるんですけれども、私は「自治研究」にかつて書いたように、やはり市町村消防が基本だなと。基本ですけれども、それで機能しないところは補わないといかぬですね。その一つが、例えば広域消防で、一部事務組合その他で消防をやってもらう、あるいは都道府県単位の緊急消防援助隊というのをつくりまして、手薄なところに応援に行ってもらう、こういう仕組みを考えてきております。今後とも、委員が言われるように、消防防災における国の責任分野、都道府県の責任分野、市町村の責任分野というのをもう一度見直してみる必要があるのではなかろうかと私は思いますが、市町村合併が進めばその問題はかなり解決できるのではなかろうか、こう思っております。

武正委員 今回の明星56ビルの火災の後、ちょうど九月一日でしたから、首相は徹底究明を求めましたし、総務大臣も、事故対策委員会を設けたいということを九月一日に申されております。ただ、つくられたのが小規模雑居ビル火災緊急検討委員会、しかもこの間会合を二回しかやっていない。果たしてこれで国としての責務を果たしているのかどうか。

 いわゆる再発防止、原因究明、これはやはり国でなければできないのじゃないかなと思うんですが、消防法三十五条の三の二では、消防長や都道府県知事から要請がなければ調査できない。この法律では国としての責務を果たせないのではないかなというふうに思うわけでございますが、この新宿56ビルのことにつきまして、いろいろな方も意見を言っています。

 また、過去にも、尼崎で長崎屋の火災があったとき、神戸大学の教授がこんなことを言っています。この火災で火災学会などが調査団を派遣したが、中に入ることを拒否された、専門家に現場が公開されたのは、あらゆる証拠が持ち去られ、きれいに掃除されてからのことであった、そのため、消防機関の概要報告と一部の専門家の印象記はあっても、科学的な報告はどこにも発表されることはなかった、刑事責任も明らかにすることも大切だが、予防のために原因を明らかにすることも大切である、予防という見地からの科学的調査を行う道が閉ざされたままであるが、この問題を解決しなければ防災科学の発展も建物の安全化もなし得ないと思うだけに、航空機事故のときのような第三者機関による災害調査委員会などのシステムをつくり上げる必要があると考えるというふうに、この神戸大学教授は言っております。

 私もこの意見に賛成でございますが、かねてからこの委員会では、私は独立行政委員会の設置ということを大臣に何度もぶつけておるわけでございますが、三条でなくても八条でも、とにかく独立性の高いそうした災害の調査委員会の必要性を感じるのであります。これは、大臣、御所見はいかがでしょうか。

片山国務大臣 足らざるは長官に補っていただきますけれども、事故の原因究明なんというのは、これは一つは捜査権の問題があるのですね、警察庁その他の。あるいは、私は厚生労働省の関係もあるのかと思いますけれどもね。

 委員の言われるのも一つの考え方ですが、なかなか、しかし、そこまで、独立した行政委員会でというのは、三条はまず無理ですね。八条について、今の警察庁の捜査権その他を含めてどこがどう所管するのか、その辺の議論がありますので、御意見を承って、これまた検討課題にさせていただきたいと思いますし、長官からもう少しあれがありますれば答弁させていただいて……(武正委員「時間がないので手短に」と呼ぶ)

中川政府参考人 火災の原因調査は、消防庁の権限ということで消防法で規定されておりますが、現実にはいろいろな問題があってなかなか難しい場面がございます。そしてまた、犯罪が関係する場合には、警察が中心となって捜査をするということも実態としてございます。

 ただ、ただいま御指摘のように、民間有識者のいろいろな知恵をおかりするということも原因調査で必要なことだと思いますので、消防機関において必要があればそのような措置をとることができるように、我々としても消防機関に対してその旨指導をしてまいりたい、このように思っております。

武正委員 実は、きょうの質問で、昨日の新宿の事件のいろいろな資料請求をしたのですが、東京消防庁がばたばたしてなかなかやりとりできない、こういった対応がございました。我が党から長妻議員もいろいろと告発について質問主意書でやっていますが、確たる答えがありません。

 私は、今回、こうしたいろいろなやりとりを通じて、国の責任といったものでの原因究明、再発防止、これが非常に重いのではないかと。消防法の改正、あるいは、実は改正しなくてもやる気になればできるのだといったところも各方面から言われております。ですから、これについて、先ほど大臣から御答弁いただけなかったのですが、最後に警告などやれるところから前向きに取り組んでいくのだという御決意をお示しいただいて、質問を終わらせていただきます。

片山国務大臣 小規模雑居ビル等の火災が引き続いて二件も起こって、前回相当な方がお亡くなりになりましたね、四十四名。今回は少のうございますけれども、やはりこれも放置できないと私も思います。

 今の法律でどこまでやれるか、それから法律を改正するとすれば、どういう改正の方向か、これについては、至急消防庁を中心に検討をさせていただきます。

武正委員 質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 世界の自由主義経済の根幹を揺るがしかねない米国の同時多発テロへの対応や、IT産業の不況に代表される昨今の厳しい経済状況への対応策等に追われ、小泉内閣が目指す本来の構造改革はどこまで進んでいるのでしょうか。

 米国の本心は、我が国が遠く離れた他国へのテロ対策を図るより、今回のテロの影響で世界景気の後退局面入りの懸念が出ている中で、まずもって自分の国の景気回復の必要性が従来以上に高くなってきており、経済構造改革の早期実現が重要であり、その上でできたならば戦後の新しいアフガニスタンの社会の安定と経済復興に貢献してもらうことを望んでいるのではないでしょうか。このことは、このたび上海で開かれたAPECの首脳会議でも明らかになっておることと思っております。

 最初は、小泉内閣が「聖域なき構造改革」の柱に掲げる特殊法人の改革の行き先、これも最近ではぼやけてきているように思えてなりません。

 このような状況のもと、九月二十六日に発表された改革工程表を拝見いたしました。確かに、フォーマット上はきれいに整理されております。しかしながら、個々の内容は、これまでの概算要求ベースと同様、細かい記述で埋め尽くされているものの、総花的であり具体的にどこまで実効性があるのか疑問を感じるところであります。特に、地方行財政の効率化、健全性の向上に関して、具体的な将来展望が描かれているとは思えないのであります。

 そこで、まず最初に、この点に関して片山大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。

片山国務大臣 私どもの方の地方行財政の改革につきましては、せんだって経済財政諮問会議に改革案を出させていただきまして、そこで、国と地方が構造改革のパートナーになると。基本的には、小泉総理がいつも言われますように、地方にできることはできるだけ地方にゆだねるということで、地方分権をさらに進める、徹底する。それからもう一つは、体制の方では、住民に身近な市町村の強化を図っていく、市町村合併を推進する。

 それで、地方財政の方では、一つは歳入面においては、地方税のウエートを高める、それは国からの税源移譲だ。国からの税源移譲によって地方税のウエートを高めることによって、国庫支出金を減らしていく。それから、地方交付税も合理的な範囲にしていく。財源調整。今、財源保障の方の機能が強うございますけれども、本来は財源調整の制度だから、地方税が充実されれば、保障の方の役割は少し減って調整の方の役割が強くなるのではないか。それから、国の補助金は、縮減の方向でございますけれども、すぐできなければ、私は、総合補助金、一括補助金にして、箇所づけ等は地方の裁量でできるようにしてほしいと。

 それから、歳出面では、いつも当委員会でも答弁させていただいておりますように、地方の歳出の七割は国のコントロール下にありますから、これについてはできるだけ国の関与を減らしていく、地方が独自に選択できるようにしていく。それとともに、今相当膨大な量になっております、本年度でいいますと十七兆五千億ですが、地方単独事業の見直しをやるということを歳出面ではやってまいりたい、こういうふうに思っております。

 そういう絡みの中で、地方交付税の総額を減らすのじゃなくて、地方交付税制度の見直し、例えば、何度も申し上げましたが、段階補正や事業費補正の問題についても見直しを図っていきたい、こういうことを申し上げまして、経済財政諮問会議でも、その方向でぜひやってほしい、こういうことを言っていただいておりますので、その方向で進めたい、こういうふうに思っております。

黄川田委員 大臣からお話をいただきましたけれども、以上の認識を踏まえて、地方自治の課題について伺いたいと思っております。

 まず、具体的課題に入る前に、先ほど武正委員からも質疑がありましたけれども、一点、都市再生本部にお伺いいたしたいと思っております。

 去る二十五日に第二回の小規模雑居ビル火災緊急対策検討委員会も開催されたようでありますけれども、九月一日の歌舞伎町ビル火災から二カ月もたたない昨朝、またしても歌舞伎町で同類の小規模雑居ビル火災事故が発生し、死傷者も出たところであります。前回の火災事故はまだ原因も特定されておらず、現地では対策用の青いテントや多くの花束もそのままであります。

 消防法、建築基準法や風営法など個別の法令に基づく地道な取り締まりや監督も重要でありますけれども、都市再生の観点から、明るく健全な地域づくりを目指し、視点を変えて、府や省、東京都等の役割分担を超えた基本問題への対応を早急に図るべきではないかと思っておりますけれども、所見を伺いたいと思います。

山本政府参考人 都市再生本部事務局でございます。

 都市政策の重点を、従来の新市街地の開発から既成市街地の整備に大きく転換していく、現に人が住んでいる既成市街地を将来にわたってきちんと使えるように再生させていく、そういうことで都市再生に取り組んでいるわけでございます。一番基本的な目標は、そこに住む人たちの生活の質を高めていくということだと認識しております。その中でも、人々が安心して安全に暮らせるというのが最も基本的な課題であるわけでございます。

 御指摘のように、各省各部局が責任を全うするというのが基本でございますけれども、その責任の範囲に埋没することなく大きな視点でこの問題に取り組む必要がある、そういうふうに考えております。そういう考え方に立って都市再生に関する政策を推進してまいる考えであります。

黄川田委員 特段の対応を強く求めておきたいと思います。

 それでは、具体的に、交付税削減問題について伺いたいと思っております。

 このことについては、構造改革の柱の一つとしていろいろ議論されてまいりましたが、最近は経済財政諮問会議でも活動が鈍いように感じます。改革工程表にもまだ明確な方向が提示されておりません。すべては地方分権改革推進会議の審議結果待ちなのでしょうか。

 大臣は折に触れ、例えば交付税算定のあり方について、小規模町村に手厚く交付する段階補正を引き続き見直していくなどと表明しておられます。例えば、割り増し率の頭打ちを行っている人口段階の四千人を引き上げるのではないかなど耳にするわけであります。このような一方的な話は税財源の乏しい弱小町村の切り捨てにつながると思われるわけでありますけれども、来年度の予算編成を受けて、総務省は段階補正の見直しについてどのように方向づけをしようとしておるのでしょうか、お尋ねいたします。

片山国務大臣 地方行財政の見直し、改革は、十二月の来年度予算編成のときまでにと、改革工程表ではそういうふうになっていますから、地方交付税についても年末までに方向づけをいたしたい、こう考えておりまして、交付税の中で一つ検討しなければならないのが段階補正なんですよ。

 段階補正は、もうよく御承知のとおりでございますが、規模の小さい市町村ほど行政コストが高くなるので割り増しをしてやろう、こういうことで、私はそれはそれで理屈があると思いますけれども、その割り増しの率がよ過ぎるではないか、こういう御指摘があるんですね。そこで、役所の方で実態を少し調べてくれと。実態を調べて、もしそれがやはりよ過ぎるんなら、本来のところに返した方がいいのではなかろうか。段階補正をやめるというんじゃありません。段階補正のあり方の程度を見直していこう、こういうふうに考えております。

黄川田委員 いずれ、厳しい市町村運営に対応するため、自治体の生き残りをかけてさまざま選択をしなければならない時代になった、そういうふうに私も思っております。

 その中にあって、まず総務省は、自主的な市町村合併を促進し、個性にあふれた町づくりを実現すべく、総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部を設置して、数々の支援策を盛り込んだ市町村合併支援プランを発表されております。また一方、平成十七年度末で期限切れになる合併特例法ということで、各自治体に合併の機運が徐々に高まりつつあることも事実であります。岩手県でも、私の選挙区の大船渡市と三陸町が来月、十一月十五日に正式に合併することになっております。

 この合併問題を考えるときには、地域の将来像をどう描くか、あるいはまたその具現化のためにどのような自治体をつくり上げていくか、そしてそれを住民の目線で一緒に考えていく、そういうプロセスが一番大事であると私は思っております。

 改革工程表では自治体規模に応じて仕事や責任を変える新しい仕組み、例えば、人口三十万人以上の大きな自治体にはより大きな仕事と責任を与え、逆に小規模な自治体には仕事と責任をより小さくし都道府県に肩がわりさせるなど、第二十七次地方制度調査会にてこの十月から二年がかりで都道府県、市町村の抜本的見直しに着手する予定と聞いております。

 そこで、中山間地の少子高齢化の激しい人口一万人未満の小規模町村の合併問題を総務省は基本的にどう認識しておるのでしょうか。企業の合併問題と同様、合併したくても相手がいない、かつ周りは類似の町村だけであるというところも少なくありません。しかも、現状は一部事務組合や広域連合でそれなりの効率化も図られているということもあります。一部の経済学者が言うように、きれいな水、澄んだ空気、あふれる美しい自然があるから、それなりの犠牲は我慢しろと言うのでしょうか。地方自治の本旨に立ち返って、大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 ただいまたくさんの観点から市町村合併につきましての御質問をいただいたわけですけれども、概括的に申し上げまして、二十一世紀は市町村の時代である、いわゆる住民に一番、最も身近な基礎的自治体である市町村がより住民のサービスに適応できる体力をつけていただくことが大変大事だろうと思っております。

 今、市町村合併は国が強制的にやるものではない、市町村の自主的な判断でお願いをしたい、このようにお願いをしているわけですけれども、状況を見ますと、やはり中山間地の地域が取り残されてしまう形で進むような心配もありますものですから、県にきちんと中に入っていただいて市町村合併の支援本部をつくっていただく、あるいは合併のパターンというものを県に考えていただく、こういうふうな、県に市町村合併の仲介役と申しますか、大局的な見地から、孤立される市町村が残らないように調整をお願いしているところでございます。

 それから、市町村合併に対してもう少しインセンティブが働くような制度設計にしたらどうかというふうな御議論もたくさんいただいているわけです。例えば、先ほど段階補正の話が出たわけですけれども、現在の少し手厚過ぎるような段階補正が継続することがかえって市町村合併の足を引っ張っている面があるのではないかという指摘もございます。したがいまして、段階補正につきましても行政の効率化といった面でできる問題はやはり考えていただく。それから、標準的な行政のことをやっていくために必要な財源を確保する、こういう意味での段階補正は必要だと思いますけれども、そうした意味で若干段階補正を縮小する方向で今検討をしているところでございます。

 それから、一部事務組合等でいろいろな福祉行政等を推進している、あるいは消防行政を推進している場面があるわけですけれども、一部事務組合の場合は関係団体が多いものですから決定するまでにかなり時間を要する問題があります。したがいまして、それはやはりきちっとした市町村合併を推進していただくことによりまして一体的に行政サービスが図られる、こういう利点があるわけでございますから、一部事務組合にとどまらずに市町村合併の推進をお願いしたい。

 このような感じで、きょうも昼から、午後一時からでございますが、市町村合併全国リレーシンポジウムの中間総括シンポがございまして、全国の半分ぐらい終わったわけですけれども、市町村合併のシンポジウムをやりまして住民の皆さんの意識をいただいて、さらに強力に推進できるように取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。

黄川田委員 合併したくないが考えなければ取り残される、あるいはまた合併で行政サービスが向上するという保証もないなど、いろいろ首長さん、お話しされる方がたくさんおります。小規模町村の戸惑いを除いていただく、そういうことが大事でありますので、よろしくお願いいたしたいと思っております。

 次に、林業の振興に関連して伺いたいと思います。

 我が国の林業は、もはや産業として成り立ちいかない構造に追い込まれており、若く活力ある担い手も育ちにくくなっております。広大な森林県である私の住む岩手県は、既に木質バイオマス資源普及促進対策事業の実施方針を定めて、各所でペレット燃焼等の具体的取り組みを始めております。主要課題は、木材需要の拡大を図るべく、製材加工廃材等を円滑に処理し、エネルギー利用のための個別事項の克服にあります。

 一方、御案内のとおり我が国のエネルギー事情は、国際エネルギー機関によると、エネルギー自給率は二二%であり、先進国中で最も低いわけであります。エネルギー全体に占める石油依存度は五一%にも達しており、その八七%もの多くを目下紛争中のアフガン近傍の中東産油国から輸入しております。

 木質バイオマスのエネルギー利用は、環境対策上CO2排出規制にカウントされず、新エネルギー分野の柱の一つとして推進していくことが必要であると私は思っております。その中で、地域ニーズに密着した分散型の電熱供給、いわゆるコジェネが最も有望であると思っております。その場合、間伐材等の木質バイオマスの量的変化や熱的不安定性等を補うべく、石油系燃料と混焼させ安定したシステムにすることが効果的であると思っております。

 しかしながら、現在の会計制度では、木質バイオマス発電は電源開発促進対策特別会計、石油コジェネは石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計でおのおの扱われ、担当部署、補助金交付先法人も分かれております。

 そこで、混焼方式など、より安定した高効率な木質バイオマスエネルギーシステムを開発する場合、この縦割り行政と特別会計制度は円滑な事業運営に支障になるのではないでしょうか。大胆な構造改革を進めるべく、この際、一般会計化を図るか、または少なくとも特別会計の目的意識にとらわれ過ぎないで、より使いやすい会計方式に改めてむだを省くべきと考えておりますけれども、資源エネルギー庁の見解はいかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 木質バイオマスエネルギーの開発、導入、促進についての御質問でございますが、バイオマス、太陽光発電などの新エネルギーは、エネルギーの安定供給の確保、地球環境問題への対応を図る観点から、その開発導入を積極的に推進することが重要だと考えております。当省といたしましても、これまでも低コスト化、高性能化のための技術開発や新エネルギー設備の設置に対する補助を通じた導入促進に取り組んできております。

 委員御指摘の木質バイオマスエネルギーにつきましては、これまで我が国におきましては、製紙工程の廃液である黒液や、製材工程からの木くずや廃材を燃料として熱利用や発電などに用いる方法を中心に導入が進展しております。他方、間伐材を燃料として利用する方法につきましては、燃料収集コストや輸送コストが高いなどの課題がありまして、発電効率の向上や低コスト化等のための技術開発、それから実証試験を推進することが現時点では重要だと考えております。

 本年六月に取りまとめられました総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会報告書におきましては、バイオマスエネルギーを新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法における新エネルギーとして位置づけ、特に石油代替エネルギー効果の高い取り組みについて積極的に導入促進を図っていくことが適当であるというふうにされております。

 これらを踏まえまして、当省としては、現在、必要な政令改正の作業を行うとともに、委員御指摘のように、幾つかの特別会計に関与する予算業務が円滑に進むよう工夫をすることを含めまして、具体的な支援のあり方について検討するなど、新エネルギーの一層の導入促進に今後とも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

黄川田委員 第一次産業あるいは建設業に依存して、将来の展望を描きにくい地方経済の活性化につながる利点があると私は思っております。木質バイオマスなどの新エネルギー事業へ腰を据えて取り組んでいただきたいと思っております。

 次に、国民体育大会について伺います。

 ことしの国民体育大会は宮城県で開催されましたが、六年後の平成十九年は秋田県で開催される予定であります。新聞報道によりますと、秋田県六十九市町村のうち、これまでに五十一市町村で競技会場地が決まっておりますけれども、西仙北町がバドミントンの会場地を返上したとのことであります。これは極めて異例のことであると報じておりました。

 日本バドミントン協会の開催規格に合わせるには、町の古い体育館を新たに建てかえねばならず、同町は、こんなに立派な体育館を抱えては、将来維持費がかかり過ぎお荷物になると判断し、分不相応との結論に達したようであります。隣の秋田県のこの町の決断は賢明であると私も思っております。

 地方経済が深刻さを増して、今後も今までのような景気回復が望めず、将来の税収減が確実視される中、また国は、先ほどから言われておりますとおり、地方交付税削減の検討を始めるなど、地方自治体の財政事情は厳しさを増しております。秋田県に限らず、多くの地方自治体が箱物行政を見直して、施設建設に慎重な姿勢をとり始めております。隣町が建てたからうちもという時代ではもうなくなりました。大きな施設をつくっても、跡利用が期待できず、身の丈に合った整備が求められておるのであります。

 国体は、文部科学省、日本体育協会と開催都道府県の三者の共催で開かれ、既に各都道府県の開催が一巡し、国体をもとにして県勢振興を図る時代は、秋田県の例に見るように、ある意味では過ぎ去ったと思っております。そこで、文部科学省は、この状況を踏まえ厳しい開催基準要項の柔軟な運用に努めていると伺っておりますけれども、今後の国体のあり方をどう認識しているのでしょうか。

 スポーツの種目ごとに全日本選手権大会が毎年行われておるのでありますから、それらを総合したスポーツの祭典である国体は、例えばオリンピックのように四年に一回と開催頻度を延ばし、開催都道府県を複数化してブロック単位に広域化するなど、時代のニーズに合った開催方針に変えて、マンネリを防ぐなど、そういう工夫も凝らすべきではないかと私自身思っておりますけれども、いかがでしょうか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地方財政も非常に厳しい折でございますので、運営とか施設建設についての見直しは必要だというふうに私どもも考えてございます。

 それで、昨年の十一月でございますが、文部科学省と財団法人日本体育協会、それから開催都道府県の方々と御協議をいたしまして、基本的な、今後の国体の簡素化に関する基本方向というのをまとめてございます。

 それによりますと、今お話のあった、例えば秋田県のケースのような場合でございますと、当然のことながら、新設するよりは既存の施設を利活用しなさいとか、仮に新設する場合でも、新設したものの跡利用がきちんとしていないものは、新しくするのは必要最小限度にしなさいとか、仮に今ないものであって、近隣のブロック内、他県にあるようなものがあれば、そういうのも利用しなさいとかいう形で、施設はそういう形の指導も行っていると同時に、用具なども高いものもございますのでレンタル方式の導入とか、それから競技種目自体も今体協の方で見直しを行っておりますが、そういう国際的動向とか競技水準などを踏まえました見直しを行うという方向性で考えてございます。

 他方、スポーツの振興に関しましては、スポーツ振興計画というのを昨年の九月につくってございまして、そこで、国体のあり方につきましては、今後とも開催して、スポーツの振興に果たす役割があるという御結論をいただいてございます。

 ただ、先生御指摘がありましたように、開催頻度の問題とか複数県開催につきましては、既に実施したもの、これから検討するものもございますが、例えば複数県開催の問題でございますと、過去三回複数県開催をいたしておりまして、最近のものでございますと、平成五年の第四十八回大会で香川県と徳島県の開催が行われているような形で、今後とも、いろいろ工夫をいたしまして、簡素化、それから効率化に努めてまいりたいと思ってございます。

 以上でございます。

黄川田委員 同じくことし八月に、秋田市を中心に、オリンピック種目に含まれないスポーツの総合競技会、ワールドゲームズが開催されました。世界の七十七カ国十地域からの参加で大盛会でありました。ワールドゲームズの特徴は、大会のために新しい施設建設を望まないということであります。金のないときは知恵を出すと言われておりますので、新しい国体のあり方をさまざま検討していただきたいと思っております。

 残り時間がもうほとんどなくなってきました。電気通信分野について三つほど項目を立てておりましたけれども、一点だけ、光ファイバー網の整備についてお伺いいたしたいと思います。

 高速・超高速インターネットに係る加入者系光ファイバー網の整備状況は、これは平成十三年三月末でありますが、全国平均四三%でありますけれども、政令指定都市や県庁所在地の主要エリアは九四%も普及しているのに対し、人口十万人未満の地域は二二%にすぎません。

 このような地域間格差、デジタルデバイドを是正すべく、条件不利地域における地方公共団体等の公共ネットワークを活用した加入者系光ファイバー網の整備が、平成十四年度概算要求の構造改革特別枠で新たに申請されております。民間では整備が進まない過疎地での光ファイバー網を整備し、インターネットで各種証明書の手続が可能になる電子政府の実現を目指すものであります。しかしながら、最近、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会では、費用対効果で判断すべきであるとか、基本的に民間に任せるべきであるなどの意見が出ていると聞いております。

 採算性に問題があるからこそ、民間事業者による光ファイバー網整備が進まない条件が不利な地域において、公共サービスの高度化を図ろうとするものであり、先ほどの地方交付税問題と同様地方切り捨て論の加速を阻止したい、そういう私の気持ちからも、総務省として強力に推進していただきたいと思っております。

 そこで、具体的に伺いますけれども、この事業では、だれが加入者系光ファイバー網を整備することになるのでしょうか。市町村であるのか、または電気通信事業者等であるのか。加えて、二〇〇五年までに高速・超高速インターネットアクセス網への常時接続を可能とする環境整備の政府目標は達成可能であるのでしょうか。あわせてお伺いいたします。

鍋倉政府参考人 今回、私どもが予算要求しておりますスキームでございますけれども、いわゆる条件不利地域におきまして、地域の公共ネットワークを活用して、国の補助事業で整備をしようというものでございます。ということで、整備主体については、地域公共ネットワークと同様に地方公共団体等としているものでございます。ただ、実際に超高速インターネットのアクセスサービスの提供者となりますと、この整備されたネットワークを借りることによって、主に民間の電気通信事業者がサービスを行うことになるというものを想定いたしております。

 それから、二つ目の御質問でございますが、先生御指摘のとおり、e―Japan戦略あるいはe―Japan重点計画におきまして、二〇〇五年までに、少なくとも三千万が高速インターネット、一千万世帯が超高速のインターネットアクセス網に常時接続可能な状況を整備するということ、それからもう一つは、加えて、御指摘のデジタルデバイドの是正、この二つが掲げられているわけでございます。

 今月の十六日に、総務大臣の方から全国ブロードバンド構想を発表していただきました。この中身でございますが、いわゆる三千万の方につきましては、民間事業者によるインフラ整備によりまして、デジタルデバイドなく全国で常時可能になるのではないかというふうに考えております。一千万の超高速の光ファイバー網についてでございますが、二〇〇五年度までに、民間事業者は都市部を中心にやりますので一千万という目標は達成をされますけれども、いわゆる条件不利地域については、民間が行わないということで、この地域におきます光ファイバーの超高速インターネットアクセスサービスの提供が見込まれない、いわゆるデジタルデバイドが発生をするというふうに考えておりまして、この防止のために、先ほど申しました条件不利地域における加入者網の整備について、私ども、財政当局に要求をしているところでございます。

 以上でございます。

黄川田委員 時間でありますので、最後に要望といたします。

 マイラインシェアの七割以上を持つ独占的事業者のNTT東西が、ADSLに関し、自分の回線とマイラインセット割引することは、公正な競争促進上問題があると私は思っております。また、単純な届け出制も、個々の事案により取り組みを変える必要があるのではないかとも思っております。今後の適切な対応を求めまして、質問を終わります。

御法川委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 私は、この高祖事件で郵政ぐるみ選挙の中心の一端になったいわゆる特定局長、この問題について、六月十九日の本委員会で、特定局長というものがまさに自民党の集票マシンになっている、その際、表の組織であるところの特推連と、これと表裏一体であるところの特定局長会の問題、これを取り上げてまいりました。とりわけ、その中でもこの特定局長に業務用費用として渡されるところの渡し切り費について質問したわけであります。

 私がそのときに取り上げましたのは、東北郵政局管内の宮城県の仙台地区の特定郵便局、仙台荒町郵便局、宮城県庁内の郵便局、それから仙台中央三郵便局、こういうものを取り上げました。これらの局がお互いに郵便局長あてに会場雑費という形で切ったところの、領収書ではなくて受領証というのを資料として提出いたしました。私は、最終的に何に使われたかわからないこうした受領証というのは国営事業として到底認められない、このことを指摘したわけです。

 ところで、大臣はそのとき、小規模官署は、簡単な会計処理というのはあってもいいと思うのです、このように私に答弁いたしました。渡し切り費の存続を容認されたわけですが、今でもそういう認識かどうか、大臣にお尋ねいたします。

片山国務大臣 午前中にもお答えいたしましたが、渡し切り経費というのは簡易な経理方法として会計法及びそれに基づく政令でも認められておりますから、制度そのものは私はあってもいいと思いますけれども、それはあくまでも運用する人がしっかりやる、こういうことが前提でございますから、その運用上いろいろな問題が出るのなら、やはりそれは考えなければいけないのではないかというふうに今は思っております。

矢島委員 私は、渡し切り費というのは廃止するのが当然だと思っております。しかし、廃止するというだけで問題は解決するのか、こういう問題です。つまり、最終的に帳簿や領収書がきちんとチェックされなければ、裏金づくりというような事件が起こり得るということです。

 この六月十九日の委員会で、仙台荒町郵便局、それから宮城県庁内郵便局、仙台中央三郵便局、この領収書のコピーを私は資料として提出いたしました。それはまさに、普通の会社なら税務調査に到底たえられないような極めて不明朗な領収書だということを指摘したわけです。大臣は、渡し切り費は必要だとしながらも、「そうはいってもちゃんとせなければいけませんので、私も、事情に必ずしも詳しくありませんが、さらに指導を徹底してまいりたいと思います。」このような答弁をされました。その後、どういう調査、どういう指導をされたか、お答えいただきたい。長官の方で結構です。

足立政府参考人 お答えを申し上げます。

 六月十九日の御質問をいただきました領収書につきましては、会場雑費というふうになっておりましたが、これらはそれぞれ、営業対策の打合会あるいは防犯関係の業務研究会等を実施した後に一人当たり千円から三千円の範囲内で簡素な懇親会を行ったものでございました。

 また、御質問がありました後、八月二十三日付で、渡し切り経費の適正な支出方法についてあるいは会議費の適正な支出方法についてということで、改めて各郵政局に対して指導通達を発したところでございます。

 なお、ただいま御指摘もありました局長が局長に対して領収書を出しているという問題でございますが、これは、いわゆる会社に対して代表して部会長が支払っている、その支払いを各郵便局でそれぞれ負担をしてもらうというときに、その部会長が各局に対して事務処理上の手続としてそのような領収書を出したということでございます。

矢島委員 今の答弁の中で、いわゆる受領証、何に使ったか、こういうことをこれから書くようにするとか、いろいろ適正支出について八月二十三日に指導を行ったようですが、その中の一つの、部会長が一括して支払って、局から局へのそれぞれの負担した、支出した金の領収書をつくる、こういう形態だと。部会長のところには、実際に支払ったわけですから、全体の領収書があるのだろうと思います。ぜひその領収書を、後ほどで結構です、私の方に提出していただければと思います。

 そこで、次に、資料をお配りしてあるわけですが、資料の一という一番最初のページです。これは、私が六月十九日に取り上げた宮城県庁内郵便局の問題での別の領収書であります。新しい領収書です。これを見ますと、もちろん六月十九日にも申し上げましたけれども、県庁内郵便局長というのは特推連の理事局でありますから、その役員向けの渡し切り費関係の領収書だということが言えると思います。

 この領収書を見ますと、右側、平成十三年までは書いてありますが、何月何日に領収したのかもわかりません。左側の見積書に至っては、年月日ともいずれも書かれておりません。とても税務調査にたえられるような領収書ではない。しかも、買ったのはタオルを買ったことになっています。販売したのが工大事業部、こうなっております。工大事業部というのは、書籍とか雑誌の小売りとか、あるいは従として家電、機械小売りというのもありますが、販売先は東北工大、教職員、大学生、附属高校生、こういうところが主な販売先です。

 この東北工大関係者向けに小売りをしているところの工大事業部がどうして特定局長にタオルを大量に販売するのか、これも非常に疑問ですけれども、その見積もりも領収書も極めてずさんだ、こんな領収書はそのまま、はい、そうですかとはならない、こう思うのですが、大臣、これを見てどういうふうにお感じになりますか。

足立政府参考人 先生の方からこの見積書と領収書が提出されましたので、急いで現地に照会したところであります。

 これは、ちょうどこの領収書の右上に、支払い番号第四十九号というふうに出ておりますが、これが渡し切り経費の整理簿の番号の四十九というところに該当する領収書であるということの意味でございます。

 その渡し切り経費整理簿を見ますと、三月二十九日にこの内容でタオルを買ったということでありまして、内容等を聞きますと、年度末あるいは新年度の立ち上がりに当たりまして、管内約百局ほどの特定郵便局に十本ぐらいのタオルをそれぞれ配るということで、これは郵便担当理事の局でございますが、そのような支出をしたということでございます。

 当該局にはたくさんの領収書があるわけでありますが、この領収書につきましては、たまたま業者の方が書き忘れたということで日付がなかったということでございまして、なお、こういったことも含めまして、さらに徹底するようにいたしたいというふうに考えてございます。

矢島委員 領収書の日付を書き忘れた、それをそのまま持って帰ってきて、領収書がここにございますというようなこと一つとってみても、いかにずさんかということが言えるんですよ。

 そして、長官、もう少し調べてもらいたいのは、今後こういうところをきちんと調べてもらいたいのですが、この工大事業部というのはもともと天下りのあれでしょう、理事長か何かやっているんですよ。ですから、いろいろなつながりが、疑惑が持たれるんです。そういうのをなくしていかなければいけないのですよ。国民の信頼というのはそういうことをきちんとやって初めて得られるのであって、ますます疑い深いことが次々とあちこちで起こってくるのでは、国民の信頼というものをますます悪くしていくという状況だろうと思うんです。

 そこで、こういうものをきちんと調べてもらうということと同時に、こうした役員局の渡し切り費のチェックをしてこなかったという点が、先ほども出されましたが、十月二十四日の読売の報道でいろいろと明らかになったわけです。

 東北特推連の役員局に渡された役員局用の渡し切り費、いわゆる特推連分というのは一九九九年度は十三億六千九百万円、こういうことですけれども、その中のいわゆるサービス向上経費、これの二〇%が裏金として任意団体であるところの東北特定局長会にプールされている、七年間で三億五千万円に上る、こういう報道であります。

 その二〇%を割り当てる連絡文書と東北地方会の事務局長の領収書が写真に載っております。その裏金をつくる手口がいろいろと紹介されております。例えば、郵便局の新規契約者にはよくタオルが渡される、依頼を受けると、一枚五十円の中国製のタオルを国産の百円ということにして領収書を書いたという物品納入業者の言葉が載っておりますが、これは極めて重大な疑惑だと私は思うんです。大臣、この疑惑についてどう思いましたか。いや、大臣がこれを見て何かを感じたか、あるいは知っていないかということで大臣に聞いたのです。

足立政府参考人 渡し切り経費につきまして、さらに徹底した、適正な指導方を行っていきたいと思いますが、本件に関しまして、報道もされ、そして大臣からの御指示もございましたので、現在、首席監察官のもとで特別にこれを調査するということで進めておるところでございます。

片山国務大臣 私も、経理内容その他は詳しくないものですから、この見積書や領収書を見せていただいておりまして、やはり日付がないのはちょっといけませんね。そういう基本的なことはこれからしっかりやってもらうということだと思います。

矢島委員 こういうような問題をほうっておくわけにはいかないと思います。当然調べなければならないことですが、今、長官から、監察が入っていろいろ調べていると。これは東北の地域だけじゃなくて全国的に調べる必要があるんだと私は思うんですが、そういう用意はあるんですか。

足立政府参考人 渡し切り経費につきましては、やはり東北管内だけではなくて、他管内にも不適正なものがあってはいけませんので、現在、それ以外の管内についても調査することを考えておりまして、具体的な調査方法とか内容について詰めているところでございます。

矢島委員 ぜひしっかりと監察を入れて調査してもらいたいと思います。結果については、また当委員会に報告を願いたいと思います。

 ところで、東北特定局長会の裏金疑惑ということで報道されたわけですが、その捻出された裏金が国会議員のパーティー券購入などにも使われた、こういう報道もあります。特定局長会の政治活動資金に公金が流用された、こういう疑惑ですけれども、大臣、やはりこういう疑惑を大臣が本気で解明していくんだ、このことが今問われていると思うんですよ。それはなぜかといいますと、高祖陣営による選挙違反事件、この解明に余りにも大臣が後ろ向きだと国民は見ているんですよ。

 時間の関係で全部いろいろ挙げられませんので、既に刑が確定して、総務省からも処分を受けている人たち、近畿特定局長会幹部、この公職選挙法違反の事例についてお聞きしたいと思います。

 法務省のペーパーによりますと、近畿特推連連合会会長で、任意団体である近畿特定郵便局長会長の馬場惇夫、近畿特定郵便局長会の理事で三島特推連会長の夛田衡作、近畿特推連連合会の副会長、南和特推連会長で近畿特定郵便局長会副会長の前川藤吾、それから近畿特推連連合会副会長、丹波特推連会長で近畿特定郵便局長会副会長芦田昌徳、これら職務上の地位を利用して選挙運動を行ったことで公職選挙法違反となったものである、こう出ております。

 国民全体の奉仕者である国家公務員が特定候補、特定党派のために職務上の地位を利用する、あってはならない事件だと思うんです。大臣、認識をお伺いいたします。

片山国務大臣 矢島委員が言われるとおりでございまして、公務員は全体の奉仕者でございまして、公選法の制約、国家公務員法上の制約、いろいろございますから、そういうところはしっかり認識をして対応してもらうということが国民の信頼をかち取るゆえんだ、こういうように思っております。今回の件は、地位利用と事前運動に抵触している、こういうことでございますので、大変遺憾だと思っております。

矢島委員 まさに、地位利用をした極めて悪質なものだと私も思います。

 私も六月十九日の委員会で指摘しましたが、同時に、我が党の宮本岳志参議院議員は、この問題は何回も取り上げているんですよ。昨年の十一月七日、ことしの三月二十二日、それから五月二十四日、三回にわたって、具体的な資料を委員会に提出して、近畿特定局長を初めとするこうした違反行為の調査をぜひやるべきだ、このことを要求したわけです。大臣は、残念ながら、そういう要求に対して実際には聞こうともしなかった。特定局長会は任意団体で、調査する立場にない、こういう答弁をされた。あの事件が起こって逮捕されるというような状況の中で、公私混同があったというような発言もされています。

 私は、この特推連と特定郵便局長会との関係というのは、公私混同なんというものでは到底言えないんだ、そんな生易しいものじゃないと。

 私の資料の二を見ていただきたいと思います。これは、東北地方の特推連連絡会の各連絡会の役員、今回の裏金疑惑の対象となっているところですが、どのように選ばれているのかを示してみました。

 特推連の連絡会の役員、これは上に書いてありますように、毎年、一九九九年から二〇〇〇年、二〇〇一年、いずれも四月一日に指名されております。そして、その指名される前、それぞれの名前の右側に地区特定局長会総会の月日とありますが、これが今度は、特定局長会の地区総会で特定局長会の地区会長が選ばれた日であります。見てみますと、二月から三月にかけて、先に地区特定局長会の地区会長が選ばれるんです。そして、その後、全く同じ人物が四月一日になりますと、地区会長、役員、そういう者はすべて特推連の会長に選ばれている。

 大臣、これは全くの一体化したものであって、混同なんかしていないのですよ。もうこれは分けられないのです。特定局長会の地区会長というのは、自動的に特推連の地方の連絡会の会長になっている。事実上、表と裏というよりは本当に一体化しているものだ、こういうものじゃないかと思うんですが、この辺の認識はどうですか。

片山国務大臣 これは、あいているところは違うんですね。ここ、何行かあいていますよね。そこは違うので、だから全部一緒じゃないのですね。全部一緒じゃないのだけれども、しかし、今委員言われるように、ほとんど一緒は一緒ですね。

 それで、特推連の方が後で指名しているんですね。恐らく、人望がある人が総会で選ばれたから、その人がするのが無難かというような考えもあるいはあるのかもしれませんが、やはり私は、個人的には、任意団体の特定郵便局長会の会長さんと業務連絡組織の公の特推連の会長さんは分けた方がいい、たまにダブるということはあってもいいですが、ほとんどが一緒というのはいかがかな、こういう感じを持っております。

矢島委員 確かに、すき間があいているところは二つか三つ、全体の数からいったらほんのわずかで、いろいろ言われましたが、実は、事実は雄弁に物語っているんですよ。

 調べてみますと、全国各地方の特定局長の地区大会、地方大会、これは北海道を除いて大体三月中に終わるんです。そこでこの特定局長会の地区会長が選ばれちゃうんです。これは全国どこでも同じなんです。北海道だけは違っておりました。そして、そのまま特推連の役員になっていく。

 今回の事件の検察の公訴事実の要旨というものをお読みになったかと思いますが、この中で、特推連と密接な関係がある任意団体、こうある。検察ですらこの二つは物すごく密接な関係があるんだという認定の上に立って公訴事実を述べているわけですよ。公私混同などとうやむやにする、生易しいものじゃないということがはっきりしていると思うんです。

 そこで、特推連の人事というのは、事実上特定局長会が握っています。それを地方郵便局が容認する。その表にありますように、組織上の地位を利用して選挙活動をする、表の組織の方へ今度はいろいろと働きかける、これが今回の事件の大きな部分だろうと思うんです。そして、この特定局長会の活動資金を公金であるところの渡し切り費から流用する、これが今東北で起きている裏金疑惑ということなんですね。

 ところで大臣、特定局長会が使うところのいわゆる総合政策という言葉、御存じでしょうか。

片山国務大臣 私は全くわかりません。

矢島委員 大臣、もう国民、相当周知しているんですよ、あちこちで使われているんですから。総合政策ですよ。後でひとつ調べてください。

 国民がこれだけわかっているようなことを、その監督する大臣がわからないのかということになりますが、というのは、実は、総合政策という言葉を使って参議院で大臣に宮本議員が質問しているんです。質問を聞いていらしたのかどうかわからないのですが、資料の三、四、五と、一番最後の方の三つです。これを見ていただきたいと思います。

 この中で、違反で処分を受けた近畿特定郵便局長会の副会長で南和特推連会長の前川藤吾、この人は南和地区会総会で、総合政策で単純に結果を出すだけでなく、大台に乗せなければ組織としての評価が左右される、こういう発言をしているんですよ。この大台というのは、小泉流の郵政民営化を阻止するためには、特定局長会の集票能力が百万票、こういう最盛期と同じ力を持っていることを示す必要があるということなんですね。やはり処分された三島特推連会長の夛田衡作という人も、総合政策についても重要性を強調し、認識の共有化を図った、こう報道されている。馬場惇夫氏の場合にも、これはもちろん処分されておりますけれども、この総合政策について、新任特定局長研修会、こういうものの中でやっている。

 それは近畿だけじゃないのですよ。時間がありませんから後で見ていただくということで、資料の四には、北海道の特定局長会地方会総会において富居会長がやはり、総合政策では具体的なデータを示しながら、目標達成に強い危機感を持っている。それから、資料五の方へ行きますと、九州の地方会総会、柿野新会長が、大台突破を目指す取り組みにも、総合政策は特定局長の本質であり、当然のことと受けとめている。四国の地方会総会です。ここでは副会長が、総合政策では、最終的には地域住民から信頼を得ることが大切であり、日ごろから地域の世話役として誠実に対応することが求められる。

 大臣、こういうふうに、近畿だけの問題じゃなくて、まさに全国各地域においてこういう事態が進んでいるんです。こういうものをきちんと全部調査する必要があるんですよ。ここで幕引きをしちゃったら、国民は絶対に納得しませんよ。やはり国民の信頼を回復することは幕引きじゃできない。

 これだけの事実を私は示しましたけれども、全国的な調査、近畿のこの事件の解明、積極的にやりませんか、大臣。

片山国務大臣 今、後ろで秘書官から資料をもらいましたが、何か宮本さんが、総合政策、質問していますよ。そして、そのときに、ああ、そういう言い方というのを初めて知りましたと言って私は答弁しておりますけれども、しかし、これはどういう意味なんでしょうか。やはり郵便局の存在意義を明らかにする、イメージ、評価を高めるというようなこともあるんでしょうね。私は、よくわかりませんよ、わかりませんけれども、ただ、服務規律は、これは公務員としてしっかり守っていただかなければいけませんので、ここでも答弁いたしたと思いますけれども、監察局の機能も活用しまして、今後そういうことの実情の把握と徹底を図ろう、こう考えております。

 具体的には、公選法、国家公務員法のいろいろな形の研修も考えておりますし、それから、特推連と特定局長会はしっかりと分けていただく、こういうことも、どういうやり方がいいのか、今いろいろ検討しておりますので、矢島委員、御趣旨の点は承って対応してまいります。

矢島委員 時間になりました。

 総合政策というのは、こちらの、この人たちの隠語なんですよ、第四事業の。つまり、選挙運動ということを言わないで、総合政策という言葉を全部置きかえてもらえばいいかと思います。

 私は、実は処分の問題についても少し触れたかったんです。

 やはり、全体の奉仕者である国家公務員が、地位を利用して特定党派の利益のために奉仕するなどというのはとんでもない。そうした警告、大臣にしてみれば、参議院と衆議院で何回か、こんな問題が起きている、集票マシンになっているんじゃないかというような指摘があったんですよ。あったんだけれども、実際にそのままになっていたからこういうような重大な事件を起こしてしまったわけですよ。その責任は非常に重大だと私は思うんです。警告を受けながら、そのままにしていた。つまり、郵政事業の根幹にかかわる重大問題だ。

 処分についても、新聞では「「けじめ」トップに大甘」とかいろいろなあれがありましたけれども、大臣、自主返納十分の一という、私たちに言わせれば軽い処分で済まされる問題ではない。片山大臣みずから、指導監督、こういう責任を負って、大臣の職を辞する、このことこそ国民の信頼を得る道ではないか。私はそのことを特に申し上げまして、終わります。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 質問も最後になりまして、それぞれ議員から重複するような内容もありました。しかし、私は私の立場で質問をいたしますので、大臣並びに関係者の誠意ある答弁を期待して、質問に入ります。

 まず最初に、公務員の地位利用及び事前運動の禁止違反で近畿郵政局長並びに同局総務部長の二人が起訴され、六人が略式命令による罰金刑を受けるなど、同局挙げての選挙違反が明らかになりました。これに対し、総務大臣は、国家公務員法によるもの十名、総務省の内規によるもの十五名の処分を行うとともに、大臣、副大臣については給与の自主返納となりました。

 これだけの組織ぐるみの違反に対する処分の軽重及び大臣の責任認識、まず最初にこれをお伺いいたします。

片山国務大臣 これから三嶋さん、西田さんについての公判が行われますから、今、刑事処分として確定いたしましたものは略式起訴と起訴猶予の者でございますので、私は組織ぐるみではなかったろうと思いますけれども、これは今後の公判による解明を待たなければならないと思いますが、少なくとも、組織ぐるみではないか、そういう疑惑を持たれたということについては、私も大変遺憾だと思っておりますし、それについてのトップとしての責任は痛感いたしております。

 そこで、今回、御承知のように、五十七名にわたる処分をさせていただきまして、我々は特別職でございますから、私と副大臣は給与の自主返納でございますけれども、あと政務官三人の方も、我々も一緒に、こういうことで申し出がございましたので、政務官まで含めて自主返納ということにさせていただきました。それ以外の一般職の職員につきましては、御承知のような処分をさせていただきました。

 これについて、甘いとか甘くないとかどうだ、軽いとか重いとかいろいろな評価がありますけれども、我々はこの処分が妥当ではないかということでそういう結論を出させていただきましたので、その評価は甘んじて受けますけれども、今後は二度とこういうことが起こらないように、服務規律保持の指導徹底によって再発防止を図りたい、そのことも我々の責任を全うするゆえんではないか、こういうふうに考えておりまして、今、そのためのいろいろな手だてを省を挙げて取り組んでいるところでございますので、ぜひそういうことで、国民の皆さんの総務省あるいは郵政事業庁、さらには郵政事業に対する信頼を回復してまいりたい、それが当面の最大の責任ではないか、こう思っております。

重野委員 今の答弁を聞いていまして、総務省を預かる者として、その責任に対する大臣の認識、僕はやはりもっと厳しいものがあっていいというふうに受けとめるんですね。郵政事業の所管省たる総務省の大臣である以上、まず今回の組織ぐるみの選挙違反に対し責任があるのは、これはもう当たり前のこと。重要なことは、その負うべき責任を、あるいは責任内容を十分認識して、その上で、行政責任と政治責任を峻別することではないか、このように私は思うんです。

 両者の別を認識しない責任論は問題の本質をゆがめるだけで、そもそも総務省設置法によれば、郵政事業を所管することはもちろんですが、選挙の公正な執行も所管事項となっているんです。これはもう言うまでもありません。ですから、右手に選挙の公正な執行、一方の左手では組織ぐるみの選挙違反、これは非常に僕は重要なことだと思うんですね。こんなことが総務省内でどう両立するのか理解できない。これが他の省庁と違う総務大臣の行政責任の重さ、このように私は認識いたします。

 これを十分認識していれば、国家公務員法上極めて軽微な処分で事を済ますなどということは到底できないはずです。実際、私もかつて公務員でしたから、処分といいましても、訓告処分と戒告処分というのは内容が違いまして、戒告処分を受けますと昇給延伸等々の実害を伴いますけれども、訓告処分の場合にはそういう実害はないわけですね。ですから、本当の意味で罰を受けた数は非常に少ない、こう言わなければなりません。まず、その点を大臣はもっと厳しく認識すべきだ。

 総務省は、かつての郵政省と自治省、それから総務庁が合併したわけですね。私は、極端に言わせれば、郵政省の方々はまだ、総務省のいわゆる公職選挙法に基づくそういうものも執行する、そういう省の一員だという認識が薄いんじゃないか。これは、僕はそう思うんですが、そういう点も含めて、答弁してください。

片山国務大臣 総務省は、今お話しのように三省庁が合併いたしましたが、その中で郵政事業というのはこれは現業ですから、郵政事業庁という外局をつくりまして、外局というのは御承知のような形態でございまして、そこのところでやはり、選挙の管理、執行を適正に行うという総務省の本来の役割についての認識が、やや郵政事業庁の外局の皆さんには少し薄かったのかなという気がいたします。

 私も長官も、今回の参議院選挙の前に、いろいろな意味で、通達を出すなり、会議その他でそういうことの徹底はかなり図ってきたつもりでございますけれども、結果としてこういうことになったのは我々の力が不足であったのかな、こう思っておりますし、そのためにも、この新しくできた省をしっかりと立て直して、再びこういうことがないように、服務規律の徹底を図っていく、再発防止を図っていく、事業を適正に執行していく、こういうことに全力を挙げたいと今考えているわけでございまして、重野委員御指摘の点についてはさらに内部的に徹底をしていこう、こう思っております。

 我々の今回の行政処分は、これはまた青臭いことを言うようですけれども、特別権力関係における内部の秩序保持のための処分でございますので、刑事処分とはちょっと分けて考えていただきたい。刑事処分は、お二人を除いては、公務員については刑事処分の判断が下されたわけでありますから、それに基づいて内部の処分をした、こういうことでございます。

重野委員 では、ちょっと視点を変えまして、特定郵便局長会、これは自民党にとっては大変有力な集票組織であるということは、私も選挙する身でありますからよく存じておるし、広く知れ渡っているわけです。ところが、国家公務員たる特定郵便局長の採用に私はいささか疑義を感じるわけです。

 特定郵便局長の採用は、部内で普通の郵便局からずっと上がっていく人が八三%、部外が一七%、こういう数字になっています。問題は部外採用で、国家公務員法第三十六条に基づき選考採用が認められ、人事院規則八―一二、職員の任免に関する九十条では「選考は、任命権者が選考機関としてその定める基準により行う」とされています。医者等の専門職の採用ならいざ知らず、一般公務員たる特定郵便局長が、公募を経ることなく、非公開で、任命権者の定める基準によって選考採用をされているということについて、私は問題を持つわけであります。

 となれば、任命権者の定める基準作成について、今後、国の機関であります人事院等々がありますが、そういう外部の意見を参考にしながら、国民だれもが納得する公正なプロセスを経て定めるべきではないのか、こういうふうに考えるのですが、大臣の見解をお伺いいたします。

足立政府参考人 お答え申し上げます。

 特定郵便局長は、その地域にありまして郵便、貯金、保険と極めて庶民の生活に密着した仕事をやっておりますので、やはり地域の信望を担い得る人を持ってくるというのが最も大切なことであるわけであります。そういう観点から、現在、大量に新規学卒を採用するような競争試験、公募による競争試験というのを行わないで、その局にふさわしい人を個別に選考する必要があるということから、現在の国家公務員法、人事院規則に認められておりますいわゆる選考採用というものを採用しているところでございます。

 運用につきまして今後いろいろ改善することは考えるにいたしましても、基本的に、特定郵便局長というものの、どのようにしたら最もいい人が選ばれるかという観点で考えてまいりたいというふうに考えております。

重野委員 今の質問、やはりだんだん窮屈になってくるのではないでしょうか。

 普通の郵便局はそういうふうにして局長ができてくる。特定局だけ今長官の言うような形で選ばなければならぬという合理性は非常に乏しいような感じがするのです。そういうふうなことが結果として今回のような事件に発展をしたとなれば、この機会に、やはり国民に向かって、郵政行政、こういうふうにきちっとやりますということを宣言することが求められている、このように私は思うのですが、長官、どう思いますか。

足立政府参考人 部内外を問わず適任者を選ぶということが最も大切なことであると思いますが、さまざま指摘されておりますいろいろな採用の手続について、透明性を高める方法がないかといったことなどにつきましては、今後の研究課題として取り組んでまいりたいというふうに思っております。

重野委員 それでは違った視点から。

 今回の選挙違反で明らかになったことは、少なくとも郵政事業庁職員、それも幹部職員においては、全体の奉仕者たる意識、政治的中立性の重要性についての意識がいささか欠如していたのではないか、このように私は思います。少しでもそうした意識があれば、幹部による組織ぐるみ違反はなかったはずであります。

 ところが郵政事業庁長官談話では、服務規律の保持を図るため部外専門家等による国家公務員法、公職選挙法に関する研修を実施するとしまして、服務規律の保持に関する研修については、人事・恩給局や自治行政局選挙部の協力も得つつ、順次開始していると言っておられます。これはちょっと、国民の側から見れば、何だ、身内で身内の研修をするのやないか、こういうふうに言われると思うのですね。要するに、この長官談話の意味するところは、実際には総務省内ですべて事を済ませる、そういう意図が見え見えと言わなければならぬですね。

 大臣、全体の奉仕者としての意識と政治的中立性の確保を徹底させるため、新任の特定郵便局長等に対して、やはり外部からいろいろな方々を呼んでそういう観点の研修をする、外部からの風をもっと入れるということ、それはまた、今大事ではないかと思うのですが、どうですか。

片山国務大臣 研修の必要性は重野委員も御理解いただいたと思いますが、どういう講師をどういうふうに選ぶか、私も詳しく説明を受けておりませんが、全部内部である必要はありませんね。外部の人も入れたらいいと私は思いますので、それは一番いい講師を選ぶようにさせていただきたい、こういうふうに思います。

 それから、重野委員、前に言われましたね。特定局長さんというのは、私も私の地元の局長さんを見ていまして、これはやはり仕事ができるということはもちろんですけれども、地域を知り、地域の人を知り、しかも、そこで一種の連帯意識があるような人が一番いいのですよ。仕事だけではないのですね、特定局というのは。コミュニティーセンター的な役割もあると私は思うので、そういう意味では、必ずしも公募で、ペーパーテストで選ぶのではなくて、人を見て、人物評価をして、総合力を見て決めるということが私はあってもいいのではないかと。これは役所の意見ではありませんよ。私個人はそういうふうに思っておりますので、その点、いろいろ御指摘がありましたので、長官ともよく相談して、今後の対応をしてまいります。

重野委員 それでは、もう時間もだんだん少なくなりましたので、今度は違う視点について。

 自衛隊法の一部改正案における内閣総理大臣と都道府県知事との関係について質問をいたします。

 さきに本院を通過しました自衛隊法一部改正案第八十一条の二第二項では、内閣総理大臣は、自衛隊に警護出動を命ずる場合には、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聞くものと規定されています。この場合の意見を聞くとは、具体的に何について意見を聞くのか、防衛庁の見解をお聞かせください。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日国会でお認めいただきまして、新たに設けられました警護出動を内閣総理大臣が命じるに当たりましては、先ほど先生御指摘のとおり、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聞くことといたしております。これは、各都道府県知事さんが当該都道府県の民意を反映するお立場にあることなどから、その意見を聞くことによりまして、出動を命ずるに当たり民意を考慮しようというものでございます。

 それで、法律上の要件といたしましては、都道府県知事さんに対してどのような意見を聞くのかといったことにつきましては規定はいたしておりませんけれども、都道府県知事さんは、警護対象施設等に対しまして大規模テロが発生した場合の住民等への影響などを考慮された上で、民意を代表するお立場から種々の御意見を述べ得るもの、そのように考えております。

重野委員 それでは、事によっては、知事が意見を述べます、その意見を受けとめて計画等々が変更することもあるわけですね。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、例えば関係都道府県知事さんが拒否した、あるいは反対された場合ということでございますが、こういった場合に内閣総理大臣が警護出動を命ずることができるかどうかにつきましては、当該意見を十分考慮する必要はあると考えておりますが、法律上の要件といたしましては、その意見に必ずしも拘束されるものではございません。大規模なテロ攻撃が発生する蓋然性ですとか、それによります被害の重大性など、もろもろの事情を勘案いたしまして出動を命ずることは可能でございます。

 いずれにいたしましても、大事なことは、先生御指摘のような関係都道府県知事さんが反対している場合等につきましては、これを見直すかどうかといった点につきまして、これは命令権者でございます内閣総理大臣の判断に係る問題ではございますけれども、内閣総理大臣は、もろもろの事情、種々の状況等を総合的に考慮いたしまして、慎重かつ的確に判断をされる、そのように考えているところでございます。

重野委員 次に、自衛隊がみずからの基地を通常警護しているのと違いまして、この改正案に基づく警護出動は、それがたとえ政府の言うテロ対策であっても、武装した自衛隊が県民と向き合うわけですね、対峙するわけです。そうした事態がこの改正案によって生まれることになります。

 今までの災害出動とは全く異なる出動となることを考えますと、単なる手続規定で済むのか。特に沖縄においては、そうした出動自体が不測の事態を生みかねない。そういう意味では、この条文は重大な問題を含んでいる。したがって、その運用については、内閣として相当いろいろな角度から議論をし方向を出さなければならないだろう、私はこう思うんです。その点について、どのように考えていますか。

北原政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、私ども政府といたしましても、この新たな警護出動につきまして、その運用、発動に当たりましては、総合的観点から、また県民感情等も踏まえ、総合的に的確にこれを運用してまいりたい、そのように考えております。

重野委員 では具体的にお伺いしますが、例えば自衛隊が米軍基地に対して警護出動をする場合、基地内での警護が基本となっていますが、基地の内外を問わず、自衛隊の警護出動における権限は警察官職務執行法第二条、四条、六条並びに五条、七条の準用、このように書かれております。これらはあくまで警察比例の原則に基づくものであって、それ以上の権限行使は許されない、私はそのように理解しますが、そういう理解でよろしいのでしょうか。

北原政府参考人 この新たな警護出動につきましても、これは一つの警察行動でございまして、この行動も警察比例の原則に沿う行動が求められるものでございます。

重野委員 では次に、自衛隊が警護出動する場合、基地外警護もないとは言えないのではないかなと思うんですが、その基地外警護の場合どのような形態が考えられるのか、具体的に示していただきたいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 警護出動をいたしました自衛隊によります在日米軍施設・区域あるいは自衛隊施設の警護の要領につきましては、これは原則的には、自衛隊の部隊は当該施設の中、内において侵害行為の発生を警戒あるいは周囲の監視を行うことに考えております。

 ただ、当該施設の警護のためやむを得ない必要があるときは、その必要な限度におきまして、当該施設の外部において施設に対する侵害の排除等も行うことはあり得るわけでございます。この点につきましては、先ほど先生御指摘いただきましたけれども、警護出動した自衛官は、警察官がその場にいない場合に限り、先生が挙げられましたが、警察官職務執行法に規定されている質問ですとか住民の避難等の措置をとることは、これは可能でございます。

 他方におきまして大事なことと認識しておりますのは、自衛隊が警護出動をした場合におきましても、警察は引き続き施設周辺におきまして全般的な治安の維持の責任を有しております。したがいまして、警護対象施設の周辺におきまして、当該施設の直近に常駐したり、あるいは施設周辺のパトロールを実施するなど所要の警戒を行うことになるのではないかと考えております。そこで、先生御指摘になりましたが、私どもといたしましては、この法律に基づきまして自衛隊が警護出動を命ぜられた場合、何よりも大切と考えておりますのは、施設周辺におきます治安維持の全般的な責任を有します警察と密接に連携し、また協力をしていくことが大事である、そのように考えております。

重野委員 具体的に聞きますが、そうして基地の外で警護をするという事態が起こった場合、例えば、今、国会の周辺でも、警察の方が車通行どめのあれを立てますね。警察の場合はできるのですが、自衛隊がそういうふうな形で道路を占有使用するという必要があった場合、現行の道路法にはそのようなことを可能ならしめる規定はないと私は理解をしています。したがって、当然その占有使用は認められない、道路管理者たる国あるいは県も、また市町村長もこの規定に反して勝手に認めるということはできないという仕組みなのかなと私は理解をするのですが、その理解に対してどうですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 警護出動をいたしました自衛隊につきましては、先ほど私が申しましたとおり、まずは警察と連携、または協力しながら対応していくことになると思います。今先生御指摘されました遮へい物みたいなものでございますが、そういった設置を含めまして、その具体的な警護要領につきましては、想定されます脅威の内容ですとか警護の対象となる施設の特徴、さらには自衛隊と警察との役割分担等に応じまして決まるものではないかと考えておりまして、一概に申し述べることは難しいのではないかと考えております。

 しかし、いずれにいたしましても、警護対象施設を警護するに当たりまして先生御指摘の法的手続が必要な場合、これにつきましては、私どもも速やかに手続を行い警護に遺漏なきを期したいと考えておりますが、先ほど先生道路法のお話をされましたが、確かに、道路法の規定を見ますと、例えば道路に工作物あるいは物件、施設を設け、これを継続して道路を占有するというようになっておりますので、これは警護のところには該当するのは難しいと思っております。

 ただ、道路交通法の面で、道路の許可ということで、工作物を設ける者は管轄の警察署長さんの許可を得よというような規定もございますので、先ほど申しましたが、基本的にはその状況状況に応じて決まるものでございまして、一概に申し述べることは困難でございますが、必要な場合には、例えば道路交通法の規定に基づきまして所要の法的措置をとるといったような対応はできるもの、そのように考えております。

重野委員 もう時間が来ましたから終わりますが、いずれにしても、法案が成立したことを通して、国民と武装した自衛隊、自衛官が向き合うことになる。今まで、そういう経験を我々は持っていません。したがって、そういうものがまた新たな緊張感を高めるという可能性もなきにしもあらず。したがって、警護出動、法律的にはできるようになったわけですが、その現地における判断というものについては、慎重の上にも慎重を期して運用していただきたいことを要望して、終わります。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、第百五十一回国会、内閣提出、地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案につきましては、第百五十一回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 また、本案は、第百五十一回国会におきまして質疑を終了いたしております。今国会は、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、平林鴻三君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松崎公昭君。

松崎委員 私は、この際、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守党の五会派を代表し、地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方公共団体の特定の事務の郵政官署における取扱いに関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、左の事項について善処すべきである。

 一 郵政官署において取り扱うこととなる地方公共団体の特定の事務には、戸籍に関する事務その他国民のプライバシーと密接な関連を持つものがあることにかんがみ、プライバシーの保護に十分配慮し、人権侵害を引き起こすことがないよう特に留意すること。

 二 住民の利便の更なる向上を図るため、本法における地方公共団体の特定の事務を郵政官署以外においても取り扱うことができるよう検討すること。

以上であります。

 何とぞ皆様方の御賛同をお願いしたいと思います。(拍手)

御法川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 次回は、来る十一月一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十八分散会




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