衆議院

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第3号 平成13年11月1日(木曜日)

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平成十三年十一月一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 田並 胤明君 理事 松崎 公昭君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      左藤  章君    佐田玄一郎君

      坂井 隆憲君    新藤 義孝君

      砂田 圭佑君    高木  毅君

      西野あきら君    野中 広務君

      林 省之介君    菱田 嘉明君

      平井 卓也君    森岡 正宏君

      山本 明彦君    山本 公一君

     吉田六左エ門君    伊藤 忠治君

      大出  彰君    金子善次郎君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中沢 健次君    野田 佳彦君

      伴野  豊君    山村  健君

      高木 陽介君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    重野 安正君

      横光 克彦君    中田  宏君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   会計検査院事務総局事務総

   長官房総括審議官     重松 博之君

   政府参考人

   (内閣府情報公開審査会事

   務局長)         松村 雅生君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 衞藤 英達君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  坂野 泰治君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長

   )            高原 耕三君

   政府参考人

   (総務省郵政企画管理局長

   )            松井  浩君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任

  野田  毅君

同日

            補欠選任

             中田  宏君

十一月一日

 辞任         補欠選任

  河野 太郎君     高木  毅君

  佐田玄一郎君     西野あきら君

  滝   実君     菱田 嘉明君

  谷  洋一君     林 省之介君

  野中 広務君     森岡 正宏君

  宮路 和明君     山本 明彦君

  荒井  聰君     野田 佳彦君

  中村 哲治君     伴野  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     河野 太郎君

  西野あきら君     佐田玄一郎君

  林 省之介君     谷  洋一君

  菱田 嘉明君     砂田 圭佑君

  森岡 正宏君     野中 広務君

  山本 明彦君     宮路 和明君

  野田 佳彦君     荒井  聰君

  伴野  豊君     中村 哲治君

同日

 辞任         補欠選任

  砂田 圭佑君     滝   実君

    ―――――――――――――

十月三十一日

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第七四号)

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 第百五十一回国会、内閣提出、独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、第百五十一回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として情報公開審査会事務局長松村雅生君、総務省大臣官房審議官衞藤英達君、総務省行政管理局長坂野泰治君、総務省自治財政局長香山充弘君、総務省情報通信政策局長高原耕三君、総務省郵政企画管理局長松井浩君及び財務省主計局次長牧野治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局事務総長官房総括審議官重松博之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山村健君。

山村委員 おはようございます。民主党の山村健です。

 さきの国会の折にこの特殊法人の情報公開法案が上程されていたのですけれども、あれからしばらくの間お休みがありまして、九月十一日のテロの大きな事件と、この国会が始まってもうテロ一色というような状況でございまして、なかなかこの法案、ぴんとこなかったのですが、川崎先生もおみえになりますが、我が三重県は情報公開先進県というありがたい称号をいただいておりまして、情報公開に対しては、やはり一言、私は質問に立たせていただきたいなと思いまして、本日この席に立たせていただいたわけなんです。

 この法案、いろいろ読ませていただきますと、やはりことしの四月から実施、施行されました行政機関の情報公開法、この行政機関の情報公開法というものの目的であります、国民主権の理念にのっとり、主権者たる国民に対する政府の説明責任が全うされるようにするということと同一の考え方であるということ、これが非常にひっかかりました。

 何ゆえにそのときに一緒に法案化されなかったのか。今回あえて単独法案にされたということに対して、まず第一に質問したいと思うのですが、行政管理局長でお願いいたします。

坂野政府参考人 ことし四月から施行されております国の行政機関に関する情報公開法、この法案を国会で御審議いただいておりました際に、特殊法人等に関して情報公開法制を早急に整備すべきである、そういう御指摘をいただき、また法案の修正でもその趣旨を明記していただいた、そういう経過から、私ども、政府内で特殊法人等に関する制度のあり方を検討して今回提案をさせていただいておる。そういう経過の中でこの法案ができたものであるということをまず御理解いただきたいと考えるわけでございます。

 また、特殊法人等につきましては、当然、御承知のことながら、国とは別の法人格を持っておる。あるいは、その経営形態、業務、それにはさまざまなものがございます。また、国の関与その他についても実にさまざまなものがある。そういうものについて、国の行政機関と同様の、あるいは国の行政機関の制度そのものを適用するということ、これはふさわしくないと考えられるわけですが、さてそれではどのような制度として仕組むべきかということについては、かなり専門的な検討も必要だということで、若干お時間をいただいて、今回提案をさせていただいておるというわけでございます。

 基本的には、御指摘のとおり、国の行政機関の情報公開法の制度とかなり同一の考え方に基づいた制度を適用したいという考え方からつくったわけでございますけれども、例えば、適用する法人の範囲でありますとか、単に開示請求の対象とするということだけではなくて積極的な情報提供の制度をビルトインする、あるいは不開示情報の規定のあり方についても国の行政機関とはやや異なる規定が必要になる、そういうことをいろいろ法案として盛り込んで、一つの体系的な形として御提案をさせていただいた方が適当であると私ども考えて、このような形にさせていただいたものでございます。

 もとより、趣旨としては、淵源をたどれば、国民に対する説明責任を全うする、その趣旨に立つことは御指摘のとおりでございます。

山村委員 趣旨は非常によくわかったのですけれども、今回の特殊法人といいますか、さまざまな形態で国が関与している法人、いわゆる公益法人、独立法人等々あるのですけれども、それらの数を数えますと、本当に六百とか七百とか、国のお金が入っている法人といいますと非常に数多くございます。そういったものを一くくりにはまずできないということは、これは常識的な判断として納得できるのですが、その中で、まず、行政が委託しているような公益法人の数というのは今現在どれほどあるのでしょうか。

衞藤政府参考人 御説明いたします。

 現在といいますか、平成十一年十月一日現在の調査になりますが、国所管公益法人が六千八百七十九ございまして、このうち行政委託型法人の数は延べで六百二十六法人ということでございます。

 ただ、この行政委託型法人の定義のとり方でございますが、公益法人白書におきましては、特定の法令等によりまして各官庁から制度的に行政事務事業の委託等、推薦等を受けている公益法人ということでございます。

 以上でございます。

山村委員 ちょっと横道にそれると思うのですけれども、六百二十六法人、行政委託型の法人に対してのいわゆる情報公開といいますか、国のお金に対する報告制度というものは現存しているのでしょうか。

坂野政府参考人 ただいまのお尋ねは、行政委託型の公益法人について情報公開制度というものを今回の法案でどう考えておるか、そういうお尋ねとして理解をして、お答えをさせていただきたいと思います。

 行政委託型であるかどうかを問わず、公益法人というのは、基本的には、民間の自主的な発意によって、かつ民間の主体的な意思によって運営をされる、そういう法人でございます。したがって、行政機関あるいは独立行政法人等とは異なる位置づけ、一口で申し上げれば民間そのものであると私どもは考えておるわけでございます。

 ただ、その公益法人の中で、例えば法律の規定に基づいて国から一定の行政事務の委託を受けるものがある、そういうものについて、その業務の内容あるいは国民との関係について情報を公開する、あるいは提供するということが必要ではないかという御議論があることは御指摘のとおりでございますし、私どももそう考えておるわけでございます。

 ただ、先ほど申し上げたそういう基本的な法人としての性格というものを考えますと、直ちに行政機関と同様あるいは特殊法人と同様な形の制度を適用するわけにいきませんものですから、基本的に、行政機関が持っておるものは当然のことながら積極的に公開をし、あるいは提供するわけですが、それ以外に、当該法人にどのような形で提供あるいは開示についての制度化を行う必要があるか、できるかどうかということについては、私ども、研究課題としたいと考えております。

 今回の法案を提出するに際して、専門有識者から成る検討委員会をつくっていただいたわけですが、その中でも種々御論議をいただきましたけれども、基本的に、相当いろいろな形のバラエティーもあるし、また、一口に公益法人、指定法人といっても範囲がなかなか確定しがたい、そういうこともあるので、これは少し研究をすべきだという御指摘もいただいておりまして、私ども、そのようにしたいと考えておるわけでございます。

 なお、補足で申し上げますれば、公益法人それ自体の運営のあり方について国は指導監督を行う任務を持っておりまして、政府全体として通ずるその指導監督の基準なども設けておるわけでございますけれども、その基準にあっては、特に財務等を中心として、そういう情報については可能な限りこれを国民に提供する、あるいは国民の閲覧等の要請にこたえる、そういうことにするという形で現在各省にお願いをし、またそのようにするように運営に努めていただいておるものと考えております。

山村委員 行政委託型の公益法人について、それぞれいろいろな事情があるということは理解できたのですが、当法案について、それでは、対象法人を今回百四十五選定されたのですが、その選定基準というものを、どのような形で基準にされたのか。

片山国務大臣 今お話がありましたこの選定基準でございますけれども、昨年七月の特殊法人情報公開検討委員会においていろいろ議論がなされまして、その際、政府の一部を構成すると見られる法人については、行政機関と似ておるからやはり国民に対する説明責任があるのではないか、だからこの法案の対象にしよう、こういうことにしたわけであります。

 それでは、政府の一部を構成すると見られるかどうかについては、それぞれの法人の設立法その他の趣旨によって判断したらどうだろうかと。具体的には、設立法において、理事長等を大臣等が任命することとされているもの、また当該法人に対して政府が直接出資することとされているもの、こういうものについては、政府が深くかかわっておるから、これは政府の一部を構成すると見てもいいのではなかろうか、こういうことにして選別いたしたわけであります。

 この一般的基準以外でも、例えば公営競技の関係法人をどうするか、これは対象にしよう。特殊会社はどうするか。関空は、これは御承知のように特殊法人的な特殊会社ですから対象にしよう。共済組合等は、これは御承知のような目的を持つものですから対象外。NHKも対象外にしよう。日本銀行は対象にしよう。こういうことで選別いたしたわけでございます。

山村委員 その中でちょっと気になった点といいますと、関空の場合はその建設費用が、運用といいますか、その部分は除いて、対象になっている。今、二〇〇五年に中部国際空港というのが、またこれは株式会社の制度としてやっているのですが、では、中部国際空港というのはこれから入ってくる予定はあるのでしょうか。

坂野政府参考人 ただいま御指摘の中部国際空港株式会社は、法人の設立形態からいたしますると、商法上の株式会社として設立をされておるものでございます。したがって、私ども、今回検討対象としました特殊法人あるいは認可法人とはその設立形態は全く異なる、いわば民間会社であると考えておるわけでございます。

 ただ、御承知のとおり、空港建設に当たって多額の資金を必要とすることから国の資金が投入をされておるということになりますし、また、空港の建設あるいはでき上がった後の運営についての一定の運営管理等に関する権限が、指定法人という形で法律上与えられることになっておるわけでございます。

 したがって、広い意味で申し上げれば、先ほど御答弁申し上げた指定法人の一つになると考えておるわけでございますが、今申し上げたような法人の性質にかんがみ、どのような形で制度化することができるか、必要かということについては、改めて今後いろいろ研究をさせていただく課題の一つであると考えておるわけでございます。

山村委員 そういいますと、現在、政府の別のセクションで、特殊法人の見直し等々改革を進めていらっしゃる部署もあるようなんですが、中部国際空港もこれから加わってくる可能性もある。ということは、逆に、百四十五の中から、民営化されることによって減ってしまうということもあり得るわけですね。

坂野政府参考人 御指摘のとおり、特殊法人等改革によりまして、現在の特殊法人あるいは認可法人が純粋の民間会社に改組される等のことがあれば、当然のことながらこの制度の対象からは外れていくことになるものと考えております。

山村委員 民営化されれば外れてしまうというようなことはわかったのですけれども、今回の選定基準の中から一つだけまた気になるのが、同じように民営化と言ってしまっていいのかわからないのですが、日本放送協会、NHKが対象外になっているのです。これは、国の資本が入っていないから等々の基準にはもちろん違いないのですけれども、やはり受信料という形で、国民の側からしましたら、ある意味で税金と同じような考え方ができるのじゃないかと思うのです。

 NHKを対象外にした根拠といいますか、それについて一つ質問したいのと、もう一点、では、総務省がNHKに関して指導監督といいますか、そういったことができるのかということもあわせてお願いいたします。

遠藤(和)副大臣 NHKは、放送法上、一般放送事業者と同様に「放送の不偏不党」だとか「真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」というふうにされておりまして、今お尋ねのように、税金でやっているわけではない、いわゆる国営放送ではございません。そして、NHKの放送が受信者からの契約による受信料の収入によって維持されているという観点を考えまして、いわゆる政府の諸活動としての放送を行わせている、そのために設立した法人ではないということから、本法の対象としてはおりません。

 しかしながら、お尋ねのように、国民の多くの方々から受信料をいただいているわけですから、その皆さんにみずから自主的に情報公開の仕組みをつくっていくということは当然そうされるべきでございますし、特殊法人情報公開検討委員会の意見もありまして、ことし七月から、NHKが独自で情報公開の仕組みをつくりまして、それを開始している、こういうところでございます。

 こうした仕組みが今後とも的確に運用されることによりまして、視聴者の要望にこたえまして、NHKの視聴者に対する説明責任を全うするだろう、このように総務省としては期待しているところでございます。

山村委員 NHKの情報開示といいますか公開に対して、異議申し立てといいますか、そういったものはNHKの中の審議会の方で解決していくということでよろしいのでしょうか。

遠藤(和)副大臣 そのとおりでございます。

 また、NHKの予算、決算等については国会でこれを承認することになっておりまして、そのときに国会の皆様の御意見も、情報公開についてはどうかということも適時ただしていただく、こういう仕掛けにもなっておりますものですから、そういうことで見守っていきたいと思っております。

山村委員 私も、昨年当選させていただいて最初の質問がそのNHKの決算であったという非常に思い出深いことがありまして、ことしもまた、機会があれば、NHKの件についてはもう少し踏み込んだ質問をさせていただければと思う次第です。

 次の設問についてなんですけれども、ことしの四月一日から行政機関の情報公開法が施行されたわけです。四月以降半年たったのですが、その間の開示請求件数の状況、その数字をできたら教えていただきたいと思うのです。

坂野政府参考人 四月二日から開示をいたしておりましたので、四月二日から九月三十日までの間の開示請求件数を申し上げます。合計で二万六千八百三十六件となっております。

山村委員 その二万六千の中から、不開示の件数であるとか回答拒否、不存回答といいますか、そういう細かい数字というのはわかりますでしょうか。

坂野政府参考人 ただいま申し上げました二万六千超の件数のうち、開示、不開示の決定が行われたものは、二万四千百二十七件が決定が行われた状況にございます。そのうち不開示、これは応答拒否も含めておりますけれども、不開示は三千四百八十六件、約一四%が不開示の決定でございます。

 なお、請求のうち、全部ではなくて一部のみ開示をするというのがこのほかにございまして、これは部分開示と申し上げておりますが、この部分開示は七千九百三十一件、三三%程度となっております。

山村委員 予想外といいますか、初年度ということもあって、この二万六千という数字が多いのか少ないのかというのはちょっと判断には苦しむのですけれども、部分開示ということも含めまして、情報公開の基準といいますか、本法案の中にもありますが、その中で、行政機関の情報公開法の附帯決議によって示された知る権利について、今後検討していくというような文言があったのですけれども、この二年間、その知る権利についてどのような経緯を今回の法案は盛り込んでいるのでしょうか。

坂野政府参考人 ただいま御指摘の知る権利についてでございますけれども、これは、現在施行されております行政機関の情報公開法の立案及び審議においても種々御論議をいただいていた点でございました。

 私ども、提案者として当時申し上げ、また現在もそのように考えておることでございますけれども、この知る権利という概念については、学問上、特に憲法学上まだなおさまざまな見解がある、また、最高裁においても政府情報の開示請求権としてこの知る権利ということを正面から認めたものがないということなど、いろいろ総合的に勘案をいたしまして、法律上の文言としては用いない。もちろん、既に御承知のとおり、国民主権の理念にのっとって、国民に対する説明責任を全うする、そういう目的規定としてはきちんと入れておるわけでございますけれども、直接文言としては用いないということにしたわけでございます。

 それで、この附帯決議にあっては、そういうことの論議を踏まえて、今後いろいろまたなお検討しろということでございました。そこで、この四月からいよいよ施行に着手をしたということでございますから、私どもとしては、この法律の趣旨に沿って的確に施行をするということにまず全力を注ぐ必要があると考えておりますし、その施行に当たっては、国民に対する説明責任を全うするというこの法律の趣旨を確実に実現していかなければならぬと思っております。

 このような施行状況を踏まえて、当時の御論議を踏まえて、四年後に法律について検討を加えて、必要があれば見直しを行うという規定がございます。それまでの間、引き続きなお検討は続けてまいりたいと考えております。

山村委員 国民主権といいますか、国民の側から見たときに、特殊法人に対して何が一番興味深いか、批判の対象になっているかということは、私自身が一国民という立場から見たときに、マスコミ等をにぎわしております官僚の天下り、二年、三年在職しただけで数千万という退職金をもらってというようなことがございます。そういったこともやはり個人情報として公開の対象にはなっていないのでしょうか。

坂野政府参考人 行政機関の情報公開法と今回御提案を申し上げております特殊法人等のこの制度については、個人情報については同様の考えをとっておりまして、個人を識別することができる情報については不開示情報とするというのが基本的考え方でございます。

 したがって、ただいま御指摘のそういう案件が、これは具体的に請求があって検討しなければなりませんけれども、個人情報に該当する、個人を識別する情報に該当するということになれば、不開示の決定がなされるということになるのではないかと思っております。

山村委員 個人情報の扱いについてなんですけれども、また先ほどの四年後に見直すということも含めまして、これは与党の先生方にもぜひともお願いしたいのが、私自身の見解といたしましては、公務員という立場である以上、公の皆さん、いわゆる税金で給与、退職金等をいただいているその分については公開してもいいのじゃないか。それが私人に戻ったときに、いただいた退職金なり給与をどのように使ったかということはあくまでもプライバシーの問題であり、個人の秘密としてくくってもいいのじゃないか、そのようにも思うわけです。見直しについては、まだ時間もございますので、そのときにまた議論させていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、今回の法案の中で、異議申し立てをする場合に、情報公開審査会というもの、諮問機関といいますか、そちらの方へ訴えるということになっているのですが、その委員についてはどのような形で人選されるのでしょうか。

松村政府参考人 お答え申し上げます。

 情報公開審査会の委員の人選につきましては、情報公開法第二十三条において、すぐれた識見を有する者のうちから任命する、こういうふうにされているところでございます。

 審査会は、行政機関の長に対する不服申し立てがあった場合に、第三者的な立場からの判断を加味することによって客観的で合理的な解決を図る、こういうことを目的に設置されているわけでございます。このような審査会の役割から、委員につきましては、行政運営の実態にも精通しつつ、国民全体の観点から公正な判断ができる人、あるいは情報公開法制とその運用に造詣の深い方、あるいはまた、争訟実務に精通している方、こういう方であることが重要であると考えております。このような観点から総合的に検討し、人選を行うことといたしております。

山村委員 確かに今、行政機関の情報公開についての審査ということなら、そういう形である種の統一性というものはとれていると思うんですけれども、今回の特殊法人、単独法人も含めさまざまな形態の法人、それを同じようなメンバーで、幾ら学識、知識がある、国民の側に立って、人格がすぐれているというような委員であったとしても、それをそのまま当てはめていいものかどうかという疑問があるんですが、いかがでしょうか。

松村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の独立行政法人等を対象といたします情報公開制度の中で、どのような開示請求がどの程度参るかということは定かではございませんけれども、そういう中でどのような人選が適当か、これからまたよく検討してまいりたいというふうに思います。

山村委員 時間も参りましたので、今の審査委員といいますか、そのメンバーの構成につきまして、最後に、できますればそれぞれの事例に合わせて専門の人を随時任命できるようなシステムにぜひともまた改善していただければと思います。

 時間が来ましたので、以上をもって質問を終了させていただきます。

御法川委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。山村議員に続きまして、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の独立行政法人の情報公開に関する法律案というのは、四月一日から施行されている行政機関情報公開法、その議論があったときに、特殊法人が蚊帳の外にあるという批判があって、二年以内にその情報公開の制度をつくるという宿題を今回出されてきたというふうに受けとめていまして、その基本となる行政機関情報公開法のときには、いろいろな議論がありましたけれども、私どもも賛成をしています。ということで、その制度の根幹、骨格は今回も基本的に変わりませんので、余り細かい質問をするつもりはございません。

 ただ、今回出てきた宿題で、私、その回答として残念に思っているのは、まずはやはり対象法人の問題でございます。今回、特殊法人情報公開検討委員会、いわゆる塩野委員会で指定法人等も対象法人の視野に入れて検討をされてきたけれども、やはり実態の把握であるとか、理論武装であるとか、いろいろな意味で時間が間に合わなかったんでしょうが、指定法人が入っていないんですね。これは、私は残念に思うんです。

 というのは、過去四回にわたって特殊法人改革が言われている。特殊法人が批判にさらされると、認可法人がふえていく、認可法人が国民の注目を浴びてくると今度は指定法人がふえていくというように、どんどんと政府の一部の機能を果たすところが外縁を広げていくという構図で、情報公開の網が間に合っていかないという構図が一番の問題だと思っておりまして、その意味で、今回、指定法人が入らなかったということは、また新たな宿題が残ったというふうに私は思っているわけであります。

 先ほど、山村議員が空港の問題をお話しされていました。私も、このことにもすごくかかわりがあると思っていまして、例えば、新東京国際空港公団、これは特殊法人であるということで、情報公開の対象なんですね。だけれども、関空は特殊会社で、基本的には特殊会社は対象法人ではないんだけれども、建設業務だけでは対象となっている。先ほど出ていた中部国際空港は、それこそ指定法人なんです。指定法人は情報公開の対象外。だけれども、今の特殊法人改革の議論というのは、新東京国際空港も関空も中部も一緒くたになって、例えば統合して民営化とか、いろいろな話が出ていて、特殊法人改革の議論と今回、情報公開制度の整備がかみ合っていないように思っていまして、そのことが私はとても残念に思っています。

 したがいまして、指定法人等の情報公開の制度化に向けても早急に調査、検討をすべきだと思いますが、いかがでございますか。大臣にお尋ねをしたいと思います。

片山国務大臣 今、野田委員御指摘のように、指定法人の情報公開をするかということは大変大きなテーマでございましたが、ただ、指定法人というのはいろいろありまして、やっていることもいろいろなんですね。だから、それを一律にこの情報公開の対象にするかというのは大変議論があって、指定法人そのものに説明させるか、あるいはその指定法人を指定した行政機関に説明させるか、こういう議論もありまして、これはなかなか一律にはいかないな、もう少し実態面や理論面を通じた検討が必要じゃなかろうか、こういうことになったわけでございまして、それはもう野田委員とっくに御承知のことだと思います。

 そのために、政府としては、昨年十二月の行政改革大綱で指定法人の情報公開のあり方の検討を行うことを決定しまして、現在、鋭意調査、検討を進めているわけでありますが、これは、委員が言われましたように、まさに宿題として残っていることは事実でございます。

野田(佳)委員 今の大臣の御答弁のとおり、検討されているということでございますし、でき得ればなるべく早く法案として出てくることを願って、次の質問といいますか、関連をするんですが、今の大臣の答弁の中にもありましたとおり、指定法人がみずから国民に直接説明責務を果たすのか、あるいはそれを指定した行政機関がその説明責務を果たすのかということです。

 指定法人が情報公開の今回の制度化にまだ間に合っていないということは、当然のことながら、指定をした行政機関の側が積極的に指定法人の情報公開に努めていくことが、今の段階では必要なんだろうというふうに思うわけであります。その意味では、行政機関情報公開法で適切に対処するとかを含めて、その基本姿勢を改めてお尋ねしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 野田委員おっしゃるとおりでございまして、指定法人に関して行政機関が保有する情報、これは当然、現在の行政機関情報公開法に基づきまして開示請求の対象になるわけですね。したがって、行政機関は、所管する指定法人に関する必要な情報を十分に把握いたしまして、これをきちっと開示請求にこたえて情報公開に努めていく、これは当然のことでございまして、そうした側面から、指定法人に対する情報が所管の行政機関から開示されるように努めていきたい、このように考えている次第でございます。

野田(佳)委員 対象外になったところで、これはまた、関空の一部を除く特殊会社があるんですね。理由を見ると、もっともらしいなということはわかるんですが、ただ、例えばJT、日本たばこだと、三分の二は株式を政府が所有している。あるいはNTTも、政府が最大の株主であり、代表取締役の選任あるいは事業計画などは認可をしているというように、私は、やはりまだまだ政府の規制の強い企業だというふうに思うわけであります。

 そういう意味では、こういう特殊会社というものも、やはり基本的には対象に含むべきではなかったのかというふうに私は思うんですが、これについての御見解をお尋ねしたいと思います。

坂野政府参考人 今御指摘のJTあるいはNTTでございますけれども、既に御承知のことではございますけれども、この会社は、確かにその設立手続については特殊法人に当たる、国が責任を負って設立する手続をとってはおるわけでございます。しかし、その法人そのものの形態は商法の適用を受ける法人、通常の株式会社の一つということになるわけでございますし、商法の適用を受ける株式会社として、民間の経営手法をそのまま導入し、活用するわけでございます。また、市場からの監視、規律も受ける、そういう位置づけにあるわけでございます。したがって、基本的には、こういう形態の株式会社については、通常の株式会社と同様に、市場におけるさまざまな監視等の機能の中で評価を受け、また経営について批判を受けるということが最も適当であろうと考えておるわけでございます。

 なお、政府がJTあるいはNTTの事業活動について一定の関与を行っておる、そのこと自体は否定するわけではございませんけれども、その関与については、JT、NTTが政府の一部そのものである、あるいは政府諸活動そのものであるという見地からではなくて、それぞれの事業会社が行っております事業の性質に着目して関与が行われておる、そのように私どもは考えておるわけでございます。

野田(佳)委員 理屈では、商法上の適用の問題とかマーケットの監視とかというのは、それはよくわかるのですが、株をたくさん持っている政府の支配力、影響力というのは間違いなく存在をするわけで、そのことについてはやはりもう少し踏み込んだ検討が必要だったのではないかというふうに私は思います。

 次に行きますが、特殊会社よりもある意味ではもっとわかりにくいというのが、民間法人化された特殊法人並びに認可法人というたぐいのものでございます。民間法人というのは、土光臨調のときに出てきた概念、それを踏まえて出てきた法人ということなんですが、これは一体何なのかなと思うわけなんですね。設立の根拠法は残っている、政府との人事交流もある、だけれども行政上は民間とみなすという、いわゆる特殊法人なんです。だけれども、一連の特殊法人改革の議論の俎上には上ってこない、総務省の行政監察の対象にもならない。要は、いろいろな監視の目が入らないという存在になってきています。特殊会社ならばまだ完全民営化を目指す途上にあるんだけれども、これはもうとまっている存在なんですね。

 このことについて少し触れたいと思うのですが、私は、民間法人化された特殊法人並びに認可法人というのは、今回の本法案の中の情報公開の対象外となったということは、政府の一部ではないということを認定されたと判断されたわけであります。国民に対する政府の説明責務あるいは法人の説明責務はないということは、これはもう当然のことながら、残っていると言われている設立根拠法を廃止して、例えて言うならば日本航空のように、設立根拠法を廃止して完全民営化するか、廃止をするかというのが、私は理屈の上では筋ではないかと思うんです。

 これは一般論で言ってしまうとお答えにくいと思うので、例えば民間法人化された認可法人で、総務省の関連では郵便貯金振興会というのがあるんですが、これについて、では今の私の考え方で処理をするとするならばどうなるか、大臣にお伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 今御指摘のように、臨調答申で特殊法人や認可法人のものを民間法人化したんですね。それで、例えば役員の任命権だとか出資だとかは全部やめたわけです。

 ところが、そういう中で完全に設立根拠法を消してしまいますと、別の公益上の不都合が出てくるのです。例えば、当該業務はどこかではやってもらいたい。最低どこかでやるということは確保したい。しかし、それは根拠法がなくなればもうやらないということになると、困るというものが出てくる。あるいは、その業務を公正中立にやることを担保する必要がある。これも根拠法がなくなるとその担保ができなくなる。こういう理由がありまして、それじゃその設立根拠法を残そうかと。委員が言われるように、ちょっとおかしい形態であることは私は認めます。

 したがいまして、今回の特殊法人等改革、公益法人等改革の一環で、それぞれの所管の省庁において、どうあるのか、それは検討してほしい、こういうことにしておりますから、これも近々に各省庁、各府省が結論を出すことになると思います。

 私のところにも幾つかありまして、御承知のように、今御指摘がありました郵政振興会ですか、これはメルパルク等の管理委託を受けてやっているものでありますけれども、いろいろございます。これについても、実態を見て、今見直すことを考えておりますから、私どもの方も結論を急ぎたい、こう思っております。必要性は、別の公益上の必要があってやむなく残しているというふうに御理解賜れば大変ありがたいと思います。

野田(佳)委員 今の大臣の御答弁で、この存在というのはおかしな存在であるというふうに認識をされて、早急に結論を出すように検討を急いでいるという御答弁をいただきましたので、これはもうそれでよしとしたいというふうに思います。

 それでは、NHKの問題は、私もちょっと今回、この立法措置に先駆けてどういう情報公開制度をと聞こうかと思ったのですが、先ほど山村議員の方で質問をしていましたので、これは重複をしますから、局長が答弁をする予定でございましたが、割愛をさせていただきたいというふうに思います。お許しをいただきたいと思います。

 でも、せっかくNHKのお話をしましたので、特に今回の情報公開の話とは関係はしませんが、最近、NHKの、例えばデータ放送がどうのとかインターネットの配信がどうのということで、業務の拡大、肥大化を懸念する声が出てきたり、経営形態を見直す話が出てきたり、NHKに関するいろいろな議論というのが出てきているところなんですね。

 全く私見なんですけれども、そのこともあるけれども、この際、今回特殊法人改革の中で、NHKも当然、これは廃止、民営化の対象として行革推進事務局からも意見が出されているわけで、それを踏まえて、私は、抜本的にNHKのあり方というのを見直すときが来ているというふうに思っているのです。

 情報通信と放送との融合、これはもう間違いなく必然であって、その中で大変技術を持っているNHKが、言ってみればガリバーみたいな存在ですが、放送法の枠で手足を縛りつけて何もさせないということも問題がある。かといって、ほかの民業に圧迫を加えるようなことも問題がある。だけれども、これから二十一世紀、日本が何で飯を食っていくかということを考えたときに、私は、NHKをいつまでも縛りつけておくことが得策だとは決して思っていません。

 そうした意味では、私は、民営化という基本的な考え方も深く検討していくべき時期が来ている、そのやり方はいろいろあると思いますが、その考えに、これは大臣の御所見を賜りたいと思います。

片山国務大臣 我が国の放送は、御承知のとおりなんですが、NHK、これは受信料収入を財源とする、それともう一つは民間放送、これは広告収入等を主とした財源とする、こういう二元体制の中で、今までお互いに競争する、切磋琢磨してやってきた、こう思いますけれども、ここでNHKを全く民営化してしまう、こういうことはいろいろ問題があると私は思いますね。

 例えば、広告主の意向や視聴率にとらわれないで、大変レベルの高い、学術的な、そういう番組をつくる、あるいは山間僻地への放送の普及、維持や、少数者向けの番組の提供などですね。例えば字幕放送なんかも、民間では採算があって、なかなかやりたがらないんですよ。NHKは率先してやってもらっておりますから、こういう収益性の低いサービスの実施をやってもらうとか、また、放送技術に対するいろいろな先導的な試験研究、技術開発なんかも、やはりNHKにお願いせなければいかぬので、委員の御懸念のような肥大化は困りますけれども、公がやるべき仕事を担ってもらう必要はあると私は思うので、そこの接点をどうするかですね、結局は。

 そこで、現在、私どもの方に、一つは学識経験者による研究会をつくっておりまして、公共放送のあり方について検討してもらっております。それから、今月末にもっと広い、ブロードバンド時代における放送のあり方、役割、分担、こういうものについて幅広い、三十何人かの委員さんに御議論を賜ろうという懇談会も考えておりまして、そういう中で、公共放送のあり方、NHKのあり方、これについては私は御検討を賜ろうと思っております。

 NHKを民営化するというお考えはお考えとして承りましたけれども、私は、なかなか今そういうことにはならないのではないかと考えております。

野田(佳)委員 このことでは本当にもっと議論したいんですが、実は、今回の情報公開からは横道に外れた話なのでさらには言いません。ちょっとほかに質問項目がありますので、次に行きます。

 今回の情報公開の制度化で、例えば日本道路公団であるとか都市基盤整備公団などは本当に数多くのファミリー企業を抱えていて、例えば日本道路公団などは、そのファミリー企業が随意契約で仕事をとっているというのがほとんどです。一般競争入札なんというのは一%ぐらいというような状況の中で、こういう法人のかかわっているファミリー企業等について十分にこれは光を当てることができるのか。子会社とか関連会社というのは、公団の出資があった場合にはそうやれるけれども、お互いに株式を持ち合っていて、だけれども完全にその公団の支配下にあるというのは実はたくさんあるわけですね。そういうものにも今回の情報公開で光を当てることができるのかどうか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。

坂野政府参考人 今御指摘のファミリー企業の範囲というものをどう考えるかということが具体的にはちょっとあるかと思いますけれども、少なくとも、まず、公団本体がみずから出資をしたり、あるいは業務の関係があってその公団自体が情報を保有しておる、そういう情報について情報公開の請求があれば、まさに公団が保有する情報についての開示請求としてこれにこたえるという仕組みになるのは当然のことだと考えております。

 さらに加えまして、この今回御提案しております法案の中では、請求を受けるまでもなく法人自体が積極的に情報を提供する、そういう仕組みを導入することとしておるわけでございます。その提供する情報の中に、子会社、関連会社等の情報を提供するということにすべきだということを私ども考えておるわけでございます。

 それで、この子会社、関連会社の範囲というのは、今回御提案をしております法案では、具体的には政令で定めて、そういうものについて積極的な提供をするようにということにしたいと考えておるわけでございますけれども、その際の範囲の基準のとり方は、単なる出資関係だけではなくて、例えば現在民間でとられておりますような支配力基準等についても考えて基準をつくっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。

野田(佳)委員 この法案が通ったら各法人が積極的に情報公開に努めるということはわかるんですが、それは、実は、この法案が通る前からぜひやっていただきたいことなんですね。というのは、今回もう既に特殊法人改革の議論というのは大詰めに来ています。少なくとも、小泉総理が力を入れている、先ほど申し上げた日本道路公団や都市基盤整備公団など七公団については先行して今月中に結論、方向性を出す、十二月中にはすべての特殊法人、認可法人等についての整理合理化計画をつくる、こういう大事な改革を議論するときに、国民にとっては判断材料がない。国民だけではなくて、その仕事をしようとしている行革推進事務局も情報入手に困っていて、その壁に当たっているというふうに聞くわけであります。

 私は、今、局長の答弁で出てきた、積極的にそれぞれの法人が情報公開に努めるというのは、この法案が成立するとか成立しない以前に今の時期に必要だと思っていまして、その意味では今回の宿題が提出が少し遅くなってしまったのは残念ですが、やはり気持ちの問題で、どんどん前倒しで、少なくとも特殊法人情報公開検討委員会が示した開示事項、こういうものについては事前にどんどんと前倒しで公表できるものはしていくということを総務省として督励すべきであるというふうに思いますけれども、総務大臣の御所見をお伺いします。

片山国務大臣 大変重要な御指摘がございましたが、ことしの八月に、閣議において、私から各閣僚に対しまして、この法案の成立を待つまでもなく情報提供をやってほしい、今インターネットのホームページなんというのは大変花盛りでございますので、そういう意味での情報開示をさらに徹底してほしい、こういう話をいたしましたし、これはいつだったかちょっと忘れましたが、それより後の閣議で、行革担当大臣から積極的な情報開示の要請もあり、また総理からもお願いするという要請がございましたので、各関係のところはその趣旨をしっかりのみ込んでいると思いますので、今後ともそういう意味での情報公開の、前倒しの情報提供の推進に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

野田(佳)委員 総務大臣がそういう御発言をされたり、行革担当大臣や総理大臣がそういうことを何度も要請をするということは、それだけやはりまだその壁があるんだろうというふうに思いますので、もうあと限られた時間になってきていますので、ぜひその督励を一層強めていただきたいというふうに思います。

 次に、政府系金融機関。今回の特殊法人改革の中では、最近、言ってみれば、狂牛病だとかテロの問題だとかマイカルだとか、政府系金融機関の存在感が増してきて、余り、改革の切り込みが弱いんですが、私は、基本的にはやはりタブー視せずに議論をしていくべきだと思うんです。

 住宅金融公庫だけが出ていますけれども、私は、その他の政府系金融機関についてもやはりさまざまな改善の余地というのがあると思っていまして、その中で、総務省所管の公営企業金融公庫、ほかの政府系金融機関と比べて、地方公営企業などへの融資などですから、実務的には随分違うかもしれませんが、この公営企業金融公庫についてのお尋ねをしたいと思います。

 これは少し先走っているのかもしれませんが、地方共同法人化というような議論もあるようであります。これは具体的にはどういう組織になるのか。公営企業金融公庫の場合は、低利の資金を円滑に調達し、そして政府保証にかわる仕組み、これが基本的にはあるんですが、これはどういうふうに担保していくのか、ちょっと基本設計みたいなお話をお尋ねしたいと思います。

香山政府参考人 公営企業金融公庫につきましては、行革推進事務局の方から地方共同法人とすることを含め引き続き検討という意見が示されておりますが、率直に申し上げまして、地方共同法人につきましては、現段階ではその概念は明らかでありません。そういうことでありますので、我々はこれについて明確なことを現在申し上げることはできないわけでありますけれども、私どもといたしましては、地方団体に公共料金の抑制とかそういった目的で長期、低利の資金を安定的に供給する、これは国としての役割と私ども思っておりますけれども、そういった公庫の機能を維持するということを前提として、この改革問題について適切に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。

野田(佳)委員 その行革推進事務局は、公営企業金融公庫の貸付規模の縮減あるいは特利対象の見直しを指示しています。それに対して総務省は、基本的には措置予定なしという回答なんですが、これについての理由をお尋ねしたいと思います。

香山政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、公庫は、公共料金の抑制といったことで、長期、低利の資金を供給するという役割を担っておりまして、こういう役割は今後とも引き続き維持する必要があるというふうに私ども考えております。その場合に、資金の量とか金利水準といったものは、地方団体のニーズ、市場の動向等に応じて決める必要がまずございます。

 それからまた、この公庫に対しましては、国費が一切投入されておりません。そのようなこともありまして、直ちに今、形の見えるような形での措置は約束できないということでこのような要約になってしまったのであろうと思いますけれども、私どもは、貸付規模、金利等を含めまして、公庫の合理化、効率化には努めていただくという考えでおります。

野田(佳)委員 では、引き続いて総務省所管の特殊法人のお話をしたいと思いますが、簡易保険福祉事業団、これは廃止となって、そして必要な業務に限定して二〇〇三年からスタートする郵便公社に移行するということなんですが、どんな業務が移行し、どんな業務がなくなっていく方向なのか、お尋ねをしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 簡易保険福祉事業団のあり方につきましては、先般、郵政公社化に伴いまして、この事業団を廃止して、必要な機能に限定して公社に移行する方向で検討をせよということで総務大臣から私どもに指示がございまして、今検討しているところでございます。

 事業団で現在やっております事業と申しますのは、郵貯、簡保の資金運用事業、加入者福祉施設の設置、運営事業、それから土地高度利用事業でございます。

 このうち、郵貯、簡保の資金運用事業につきましては、資金のより効率的な運用を図る観点から、公社の制度設計にあわせて公社に移行する方向で考えております。それから、加入者福祉施設の設置、運営事業につきましては、郵政事業のより効率的な運営と適切な加入者サービスの提供という観点から、不採算施設の統廃合、組織、定員の徹底したスリム化等の抜本的改革を行うとともに、公社の制度設計にあわせて公社に移行する方向で考えております。それから、土地高度利用事業でございますが、これは土地を貸し付けている郵政事業特別会計が廃止されることに伴いまして、業務自体を廃止する方向でそれぞれ検討しているところでございます。

 いずれにいたしましても、事業団のあり方につきましては、特殊法人等改革の議論を踏まえつつ、総務大臣が主宰しております郵政事業の公社化に関する研究会でも御審議をいただいて、検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

野田(佳)委員 情報公開の話から特殊法人改革の関連の話に移ってしまいまして恐縮なんですけれども、この特殊法人改革というのは、世界一貯蓄性向の高い国民の郵貯とか簡保であるとか年金、それをある意味では世界一無責任に放漫に使ってきたというのが根本的な構図だと私は思っております。これはもう当然改革の大なたを振るっていかなければならないと思うわけですが、今の簡保の問題も含めまして、特殊法人改革に向けての総務大臣の御決意を最後に聞いて、私は質問を終わりたいと思います。

片山国務大臣 小泉改革の中で特殊法人等改革は大変重い重要な課題だ、私はこういうふうに思っております。現在、総理を本部長にしました特殊法人等改革推進本部というのができまして、私も行革担当大臣、官房長官、財務大臣とともに副本部長を命ぜられております。そこでいろいろな段取りや進め方を今議論いたしておりますが、やはり、戦後今まで続いてきた特殊法人のあり方を二十一世紀になったこの機会に改めて国民の視点から見直すということは大変必要なことだ、私もこう考えておりますので、一生懸命やっていきたいと思います。

野田(佳)委員 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、若松謙維君。

若松委員 公明党の若松謙維です。

 先ほど野田議員から指定法人の情報公開についての質問がございましたが、私も同じ観点からまず大臣に質問させていただきます。

 この指定法人は今回の情報公開法には対象になっておりませんが、特に事例をいいますと、試験、登録事務を行う指定法人として厚生労働省所管の財団法人社会福祉振興・試験センター、また業界団体の指導、苦情処理等事務を行う指定法人、これは国土交通省所管の社団法人日本建築士事務所協会連合会、今二者がどうのこうのというわけじゃないんですが、これはほとんど補助金、またはその立場でいわゆる独占的な作業をやっているというところがあります。こういった指定法人につきまして、本来この法律はことしの通常国会で通る予定だったんですが、総務委員会の法案が多過ぎるということもありまして今議論になったわけですが、ことしの三月にも我が党として、指定法人についても、法律の対象に含まれないものの、総務省としてはやはり何らかの対応をすべきではないか、そう政府側に申し入れた経緯もあり、今回のこの法律案の審議に際して附帯決議を提案させていただきました。

 そんな事情も含めまして、改めて大臣に、この指定法人の情報公開についての取り組み、特に何か最近研究会なるものをつくったようですけれども、それも含めて、どんな状況に今なって、今後どのようにされていくか、決意も含めてお願いします。

片山国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、指定法人というものの態様が千差万別、いろいろあるということが一つのネックになりまして、もう少し実態面をきちっと把握してから、それともう一つは理論的な詰めをしてから、こういうことになって残ったものでございまして、これも先ほど申し上げましたが、昨年末の行政改革大綱において、この指定法人の情報公開のあり方を検討しよう、急いで調査、検討してくれ、こういうことになりましたので、現在研究会等をつくって鋭意調査研究をいたしております。

 特にこの問題は、行政委託型公益法人の改革というのも今回の行革の大きなテーマになっておりますが、これとかなりダブるのですね。行政委託型公益法人と指定法人はかなりダブりますので、この公益法人等の改革の動向も十分踏まえる必要がある、こう考えておりまして、できるだけ速やかにその調査結果の結論を待ちたい。方向としては、若松委員御承知のように前向きです。我々は、前向きに取り組もう、こう思っております。

若松委員 研究会等の状況は今どうなっていますか、事務方でも結構ですので。

坂野政府参考人 研究会はこの秋、十月から開始をいたしておりまして、主として行政法学あるいは行政学あるいは経営その他に関して専門的な、造詣の深い先生方が集まって研究会を開催しておるわけでございます。事務的な形の研究会ということで、理論的な詰めをまずやらせていただきたいと思っております。

 事務局は、私どもと、それから財団法人で行政管理研究センターという研究組織がございますが、そういうところの研究員の方にも入っていただいて、私ども現在進めておるということでございます。

若松委員 後でそれにちょっと触れると思いますが、二番目の質問として、独立行政法人等の情報公開制度ができるわけですが、大事なのは、情報公開される情報をだれがチェックするかという第三者チェックの観点がしっかり入らないと意味のない情報公開になってしまうと思うのですね。そういった観点から、この情報公開される情報をどうチェックされるのか、その情報の信頼性をどう確保するのか、その点からどのように対応されているのか、御説明願います。

新藤大臣政務官 委員仰せのとおりでございまして、大変重要な、これがいわゆる行政機関の情報に開示請求権制度をつくることのかなめだ、このように承知をしております。

 そして、この場合には、当該不開示決定等について第三者的立場から客観的に審議、評価をする、こういうことが大事である。そのために、既に、これは委員の先生方に、インカメラ手続ということになっておりますが、文書を直接見る権限と、それらの文書を分類、整理された、そういうインデックスについても提示請求ができるという行政の内部に入っていけるような権限を与えて、客観的な審議、評価をできるように担保をかけております。そして、独立した事務局を設置して、これは二十人ぐらいでございますが、事務局を設置のもとに委員の先生が九名、総理大臣が任命をして専門性の高い方々にお願いをするということになっているわけでございます。

 今回の独立法人等の情報公開法は、行政機関情報公開法、既にもうこの四月から施行されておりますが、これにおける情報公開審査会に独法の方も同じ役目を与えようということで考えておりまして、今回、今まで九人の委員でございましたが、これを十二名に増員をさせていただいて、うち常勤の先生も三人から四人に、本法でそのようなことをやらせていただきたいというふうに思っておりまして、御指摘のような第三者的な客観的、厳格な評価、審査をできるように努めてまいりたい、このように存じます。

    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕

若松委員 そういうことで、特に情報公開審査会ですか、これが重要なチェック機能の役割を果たすと思うのですが、何といっても、国民にとってこの情報公開でやはり関心があるのは、税金がどのように使われているのか、そういった観点からだと思うんですね。そうしますと、国民が求める、また多く使われるだろう情報は財務情報だと思うんですね。

 そういう意味で、独立行政法人及び特殊法人について、財務情報をチェックする、いわゆる監査というのですか、この制度がやはり充実しないと結局意味のないものになってしまうのかなと思うんですが、今、特に特殊法人、独立行政法人の外部監査制度についてどうなっていますでしょうか。

坂野政府参考人 外部監査の導入についてのお尋ねであると存じますが、独立行政法人を制度化いたしましたときに、独立行政法人については、一定の資本金規模以上の法人については外部監査の導入を義務づけるという形にいたしたわけでございます。具体的にその資本金規模は政令で定めることにいたしまして、資本金規模百億円以上の独立行政法人についてはそのようにいたしたということでございます。

 それから、特殊法人でございますが、特殊法人については、一般的にこのような法律上の義務づけはございません。政府の方針として、大規模な事業を行う法人については外部監査の導入を積極的に進めるという方針をとっておりまして、逐次、法人ごとにその導入を進めつつある状況と私ども認識をしておりますが、まだ広範に外部監査の導入が広がっている現状にはないと思っております。

 今般、特殊法人等改革の中でも、この特殊法人に関する外部からのいろいろな監査、評価の機能についても、積極的にこれを導入するという視点も入って検討が進められておると思いますので、その動向も踏まえながら、政府全体として、必要があればまた適切な対応をとりたいと考えております。

若松委員 片山大臣にお伺いしたいのですけれども、独立行政法人、特殊法人、この情報公開の内容で、財務情報の重要性というのは御認識をどのようにお持ちですか。特に、先ほど言ったようないわゆる外部監査のチェックを受けるとか、そういった観点からどのような御理解をされていますか。

片山国務大臣 私も外部監査の必要性というものは十分認識しておりますけれども、今回の通則は、今答弁がありましたように、資本金の特に大きいものについて会計監査人による監査の義務づけを行っている。若松委員、こういうところからやってみまして、状況を見ていくということも必要ではないかと思います。

 余談になりますけれども、私は、地方団体における内部監査だけではだめだということを強く主張いたしまして外部監査制度を導入した経緯もありまして、その結果、かなり成果が上がっている、こう思っておりますから、この関係についても引き続き検討課題にさせていただきたい、こういうふうに思います。

若松委員 済みません、ちょっと私の質問の趣旨がよく伝わらなかったので。いずれにしても、今回の情報公開における財務情報の占める位置は大きいという御認識を大臣はお持ちだということでよろしいですね。(片山国務大臣「はい」と呼ぶ)はい、わかりました。

 そこで、では坂野局長にお伺いしますが、特に独立行政法人、政令で資本金百億円以上となったその根拠を教えてもらいたいのです。商法の大会社ですと資本金が五億円以上ということなんですけれども、なぜ百億円以上なのか、なぜ五十億円以上ではいけないのか、その点についてお願いします。

坂野政府参考人 今御指摘のように、商法の特例法では資本金五億円以上、この考え方は、運営規模が五十億円以上の株式会社ということで資本金五億円になっておるわけでございますけれども、独立行政法人については、民間の株式会社と事業規模、資本金の関係が同じという関係ではございません。それの業務の特性、法人の性格、そういうことについてそれなりの実態に即した検討を行う必要があると当時考えたものと私ども聞いておるわけでございます。

 そこで、民間会社で運営規模が五十億円以上、そういう規模を念頭に置きながら、その規模に相当する資本金規模、これは株式会社の資本金とはかなり性格の違う資本金でございますが、そういうものを実態に即して調べて基準を引いたところ、百億円という線が適当であろうと当時判断をされて、この通則法の制定にあわせて政令で定められたものと私ども承知をしておるわけでございます。

若松委員 引き続き局長にお伺いしたいのですが、例えば商法ですと資本金五億円以上で大会社ということですけれども、これは、株主にとっては五億円投資するからいわゆる五億円の有限責任という範囲です。では、国民から見て、百億円、この出資金はやはり税金から来るわけですけれども、株主の五億円、そして税金の百億円、これはなぜイコールなんですか。私はちょっと理屈が納得できないのですけれども、納得のいく説明をしてください。

坂野政府参考人 ただいま私、当時これを検討しました組織から詳細なデータ等を入手いたしておりませんので、先ほど私がお答えしたことを繰り返し申し上げることになろうかと思っております。

 この独立行政法人の事業、性質にふさわしく、事業規模から資本金を想定すると百億円以上というふうになった、私どもそういうふうに承知をしておるということでございますが、必要があれば、なお後日いろいろ資料を調べまして、また御説明もさせていただきたいと思っております。

若松委員 いずれにしても、はっきり言えることは、やはり民に対しては非常に法律が厳しいのですよ、官に対しては甘い、これは明確じゃないですか。大臣、どうでしょうか。聞いていらっしゃいましたか。済みませんね、いきなり振っちゃって。

片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、この百億円が何で百億円かというと、今、独立行政法人の政府からの現物出資に係る評価の額を見ていますと、大体百億円で重立ったものは全部入っていますね。そういう意味では、具体の判断として、とりあえずこのくらいでということになったのではないかと思いますが、先ほども答弁しましたように、今後これをどうするかについては引き続いての検討課題にさせていただきたい。今、局長も言いましたように、いろいろな資料をまた提出させていただきますし、説明させていただきたいと思います。

若松委員 説明は後で十分時間をとって聞きますが、だけれども、今の答えは出ないと思いますよ。ですから、もっと検討した方がいいと思いますので、一応それを要求して、今度、特殊法人の外部監査なんです。

 これは法的な義務はないということなので、とりあえず会計検査院が近いものをやっているということなんですけれども、その実施状況を簡潔に御説明いただけますか。

重松会計検査院当局者 お答えいたします。

 会計検査院は、会計検査院法二十条の規定によりまして、検査対象機関の会計に関しまして、正確性、合規制、さらには経済性、効率性、有効性等の観点から検査を行うこととされておりまして、特殊法人等の政府出資法人等についても同様でございます。

 このうち正確性、合規制の観点は、会計検査の最も基本的な観点でございまして、特殊法人等については、財務諸表がその実際の会計経理や財産の状態を正確にあらわしているか、それから経理処理が予算や法令等に従って適切に処理されているかということが検査内容になっております。したがいまして、公認会計士等が行います監査とは目的、手法は異なると思いますけれども、特殊法人等の財務諸表の表示が妥当かどうかということについては検査、確認をしているところでございます。

 なお、本院といたしましては、決算の透明性や説明責任の向上ということで、特殊法人等についてもその決算や財務の分析を充実強化することとしておりまして、本年一月にそのための組織を立ち上げたところでございます。

    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕

若松委員 今、重松さんの方から、会計検査院の方から、特殊法人等の財務諸表の表示が妥当かどうか検査、確認しているということですけれども、やはりこれは責任持てる検査をしているかどうかという観点が必要だと思います。

 そういう観点になりますと、特に公認会計士の監査は、私もそうなんですけれども、監査する以上は責任を負います。それで、適正だったのに会社が翌年つぶれたということで、株主から会計事務所が二千億とかそういう膨大な賠償を受けて、アメリカでは、当時ビッグナインとかビッグテンといって、一万人ぐらいいる事務所がつぶれました。そういう意味合いの検査、確認なのか。はっきりしてください。

重松会計検査院当局者 私どもの検査対象は民間企業と違うということでございます。私ども、検査の結果については国会の審議の対象となっておりまして、そういう意味では、国会、ひいては国民に責任を持って検査をしているということでございます。

若松委員 では、それはいわゆる財務諸表監査とか公認会計士監査とは違うんですか、一緒なんですか。かつ、会計検査院の、先ほどのいわゆる財務諸表の検査、確認につきまして、では、例えば資産については、通常の会計士監査ですと、本当に資産としての実在性があるか、例えば債権評価も行うし、棚卸しも行う。そういう実在性を行っているのかどうか。また、負債であれば、本当に簿外負債がないか、そういう網羅性もちゃんとチェックしているかどうか。それについてちゃんとしているという意思表示ができますか。

重松会計検査院当局者 私ども、公認会計士監査の内容についてはつまびらかにしておりませんけれども、対象が、公認会計士監査は基本的に民間企業、私どもは国または国の政策目的に沿って設立された団体等の検査ということで、おのずとその目的が違う、あるいはそのために手法が異なってくるということでございます。そういうことで、例えば委員御指摘のような簿外資産ということは、手法等は異なりますけれども、私どもとしては、そういうことがあってはならないということでしっかり検査をしているつもりでございます。

若松委員 ちょっと会計検査院、私もずっと質問していなかったので、この間、変わっていないですね。アメリカですとGAOがありまして、アメリカの政府並びに日本で言う特殊法人とかそういう準政府機関を連結して、それぞれ各省庁並びに準政府機関はみんな外部の監査、会計士監査を受けて、それを積み上げて、GAOとして、適正だとか不適正だとか限定意見だという形でしております。それだけGAOはその監査結果に対して、監査報告に対して、責任を持っているのですね。ところが、そういった観点からの今のお話じゃないですね、どう考えても。ただやっている、やっていると。だから、それをやっているから拡大適用して信用してくれということであって、私はそんなことを言っても余り意味がないと思うんですね。

 だから、私は、これは大臣、副大臣、政務官、どなたでも結構ですが、はっきり言って、やはり会計検査院というのは、別にかばうわけでもないのですけれども、所掌事務に従ったことだけであって、ちょっと重松さんの表現は適切ではないのですよ。要は、見ていないところもある。先ほどの資産の実在性、負債の網羅性等も実はやっていないのですよ。そういったところも何かやっているような表現をしているんですけれども、いずれにしても会計検査院には限界があります。それは、本当ははっきり言ってもらえればいいのだけれども、ちゃんと親切に言っているんだけれども、言わないのですね。だけれども、では本当に、先ほどのGAOの監査報告みたいな、検査報告書に対して責任を持つかどうか。それは検査していないから知りませんと言えないんですよ、そういう答弁をしていると。

 ですから、これはこれで言いませんが、いずれにしても特殊法人については、会計検査院の検査には限界がありますので、いわゆる独立行政法人と同じように民間並みに、民間規模並みに外部監査の義務化を導入すべきだと思うんですが、それについていかがでしょうか。

新藤大臣政務官 私の認識では、会計監査人による監査の対象は、民間並みに独立行政法人も行われている、それが今の基準だと認識しております。

 それはなぜならば、運営規模が、先ほど先生五億円以上の株式会社について監査を義務づけていると。これは、民間の、資本金と売上高の割合がおおむね一対十、こういう前提に立って、資本金が五億円であれば運営規模は五十億以上の株式会社を会計監査人による監査の対象としている。同じ割合で言うと、独法の場合は資本金と運営規模がおおむね二対一の規模というふうに分けられておりまして、その範囲で、民間の運営規模五十億の株式会社というのは、これは独法においては、運営規模五十億以上の独法ということは資本金が百億以上になるということで、民間並みの基準で今設定しているんだと。ただ、今後のことについてはさらに検討しなきゃいかぬ、こういうことだと思います。

若松委員 いずれにしても、私自身はさっきの、民間が五億でそちらが百億というのは納得しておりません。ですから、引き続き検討していただきたい。

 あわせて、特に、情報公開審査会の委員、九名から十二名にされるということですけれども、結局、先ほどの、情報公開の中で財務情報というのは極めて重要なんですね。ですから、私は会計士だから利益誘導するわけじゃないのですけれども、弁護士が二人、あと行政学者が多いわけですけれども、日本の行政学者というのは情報公開を前提とした行政学者じゃないのですよ。いわゆる身内の業務効率とか業績評価、そういった形で、発想的にはまだまだおくれていると思います。そういった方で固めないで、少なくともそういう財務に明るい専門家もやはり入れるべきだと思うんです。それについてはいかがですか。

新藤大臣政務官 これは先生、トータルで、御趣旨も踏まえて検討しなきゃいけない問題ではないかな、このように思います。

若松委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、残り五分なので、三番目の質問に移らせていただきますが、ちょうどことしの六月に、「民間企業と同様の会計処理による財務諸表の作成と行政コストの開示」という報告書が出ました。これは、特殊法人に対するいわゆる財務諸表作成、そして行政コスト開示の一つの、何ですか、本当は会計基準と言えばいいのだけれども言っていない。ところが、昭和六十二年には、同じく、特殊法人の会計処理基準があります。これはダブルスタンダードなんですね。同じ特殊法人を、二つの基準があって、それぞれ報告している。報告するのは、目的が違うからいいのですけれども、では、それぞれ二つの報告書のいわゆるリコンシレーション、調整というか、何が違うのかはっきりつながらない、意味のない数字だと思うんです。

 ですから、私は、結論を先に言いますと、昭和六十二年の特殊法人の会計基準とこの報告書、これをやはり一つにして、シングルスタンダードにして、かつ、これは会計基準とする、基準にしなければいけません。

 この報告書というのは、これは英語で何と言うんですかね。決算書をつくるには必ず、例えば訳す場合には、何々の基準に基づいてつくりましたと。これは、何々の報告書に基づいて、いわゆるガイドラインですよね、何々のガイドラインに基づいてつくりましたと言ったら、海外の人は信用しませんよ。

 ですから、これはどなたが答弁されるかわかりませんが、結論を申し上げますと、その六十二年の特殊法人会計基準、さらにことしの六月の報告書、これを一つにして、しっかりと会計基準として認知していただきたい、そのための改善、工夫をしていただきたいのですが、大臣はどうですか。ちょっとあれですかね。任せます。

牧野政府参考人 お答えいたします。

 今お尋ねがございました特殊法人等会計処理基準、これは昭和六十二年の作成でございますが、これは、特殊法人等の予算統制、それから各法人の業務の実施状況の把握、こういったことを目的としてつくっているものでございます。

 他方、今おっしゃいました行政コスト計算書類でございますが、これは、各種特殊法人等がみずからその財政に係る透明性の向上を図り、それぞれ説明責任を果たすという観点から、財政制度審議会公企業会計小委員会がまとめました、委員もおっしゃいました行政コスト計算書作成指針というものに従って、各法人が民間企業として活動を行っているとの仮定を置いた場合にどういう財務諸表になるかということを計算したものでございます。

 このように、二つのものはそれぞれ目的が違っておりますので、それを一つにするということは、これは難しいと考えております。

 ただ、先生おっしゃいましたように、その二つの関係がよくわからないという御指摘でございますので、我々としても、その二つがなぜ相違しているのか、その二つの関連がどういうものなのかということについては、これからもよく説明をしていくようにしてまいりたいと思っております。

若松委員 あと、先ほどの報告書と会計処理、やはりこれは一つにするとか、特に、報告書は報告書じゃだめなんですよ、ちゃんとスタンダード化しないと。それについてはどうですか。

牧野政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたように、二つの財務諸表がそれぞれ目的を異にしておりますので、それを一つにするということはできないだろうと。

 コスト計算書作成指針というのはガイドラインじゃないか、もっと強制力のあるものにするべきではないかということでございますが、基本的には、今は、こういう新たなことを導入いたしまして、各法人の自主性をある程度尊重しながら、そういいながらも、各法人はそれぞれ、大体ほとんど全部が監査法人の御指導をいただきながらそういう民間企業と仮定した場合の財務諸表をつくっておりますので、それはそれで、今後とも、ことし始めたところでございますし、引き続きやらせていただきたい。

 両者の関係につきましては、くどくなりますが、きちっと説明できるようにしてまいりたいと思っております。

若松委員 時間がありますから終わりますが、いずれにしても、先ほどの六十二年の財務省がつくったいわゆる特殊法人の基準というのは、これは弾力的な運用が強過ぎる、要はばらばらなんですよ。ではそれに対して会計士が何を基準にチェックするかというと、その基準が、実は運用もばらばらですから、チェックになっていないんです。かつ、先ほどの昭和六十二年の決算書と今回の報告書の計算では数字が違う。目的が違うだけじゃ済まないんですよ。

 だから、これはぜひ、大臣、副大臣、または政務官、やはり、どうも財務省に何度言っても変わらないので、ひとつ政治家のリーダーシップで改善するような形を求めて、終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 重複する質問もありますけれども、改めてお聞きいたしますので、よろしくお願い申し上げます。

 二十一世紀を迎え、我が国の行政の仕組みや運営のあり方が問われています。このような中にあって、情報公開制度は、行政情報を広く国民に公開することによって、政府はどのような課題に直面しているのか、どのような政策をどのように実施しているのかを国民の前に明らかにし、国民一人一人が自分自身でこれらを確かめ、みずからこれらの問題について考えることができるようにするものであり、この変化の激しい時代において必然というべきものであります。

 約二年前の平成十一年五月、この法案に先駆けて行政機関の保有する情報の公開に関する法律が成立いたしまして、本年四月一日から施行されております。また、この間、政策形成過程においてその政策を国民に広く問いかける、いわゆるパブリックコメント制度が設けられ、また、さきの通常国会で成立した政策評価法においても、国民に対する説明責任が目的規定に盛り込まれるなど、相通ずる理念を持った制度も充実してきております。政府が国民に対して積極的に発信する、これが極めて重要であると私は基本的に認識しております。

 むしろ、情報公開、政策評価については、国よりも地方自治体の方が先駆けて実施しているところであります。

 行政機関の情報公開法は、開示請求権制度、すなわち、政府が国民の請求を待って、請求に応じて開示するという仕組みを中核としております。情報公開というと、今ではオンブズマン的というか暴くというイメージもありますけれども、私は、政府が、請求を受けたから、あるいは何か言われたから出すということだけではなくて、むしろ進んで、国の諸課題の現状、それらの課題に対応するための政策の実施状況等を国民にわかりやすく伝えていくことが重要であると考えております。

 特に最近では、情報技術の発達により、インターネットを活用し、地方に住んでいても容易に行政情報を入手できるようになってきております。また、この法案の対象となる特殊法人、認可法人等については、ディスクロージャーの必要性が従来から議論されているところであります。

 そこで、インターネットなどによる政府情報の提供についての取り組み及びこの法案における情報提供制度の意義の二点について、最初にお尋ねいたしたいと思います。

片山国務大臣 今、黄川田委員が言われますように、国民皆さんに知っていただく必要がある情報については、国民の皆さんからの請求を待たずに政府側から広く国民に提供される方が私もベターだと思いますので、そういう意味では、情報提供制度の充実ということが大変重要だと思っております。

 今、これもお話がありましたように、インターネット等による政府情報の提供につきましては、本年三月に行政情報の電子的提供に関する基本的考え方というのを取りまとめておりまして、各省におきましては、十三年度から、本年度から十五年度までを重点取り組み期間として、提供内容の充実、アクセス方法の改善等を図ろう、こういうことになっております。

 また、本年四月から、全府省のホームページから提供する情報に、国民の皆さんが一元的にアクセスできる電子政府の総合窓口システムの運用を開始いたしまして、九月までのアクセス件数は約百二十万件となっておりまして、相当国民の皆さんに広く利用されているものと考えておりますが、今後とも積極的に進めたい。

 そこで、この法律でございますけれども、この法律におきましては、開示請求権制度に加えて、情報提供制度をこれと並ぶものだ、こういうふうに明確に位置づけておりまして、インターネット等を活用して提供することをはっきりと打ち出しておりますので、今後とも、両者が相まって、独立行政法人、特殊法人等の情報公開がさらに推進されるものと私は考えております。

黄川田委員 役割の終わった特殊法人あるいは認可法人がいつまでも廃止されずに、乱脈とも言われるような経営を続けてこられたのは、情報が十分に国民に伝わっていなかったからだと私は思っております。そしてまた、国民の監視が行き届かなかったということだと思っております。請求がなくても積極的に開示する姿勢を強く求めておきたいと思っております。

 それから、この法案は、行政機関の情報公開法の延長線上の課題として、政府の諸活動を担っておりまして政府の一部を構成すると見られる独立行政法人、特殊法人等を対象としております。

 私も、政府の諸活動は、行政機関という狭い意味での政府のみならず、この四月から発足した独立行政法人のほか、特殊法人、認可法人などによって担われていると考えております。政府の範囲を狭く形式的にとらえるのではなく、現実に行政を担っているという観点から、これらの法人も対象としたことは当然と言えると思います。

 ただし、本来であれば、行政機関の情報公開法と同時に特殊法人、認可法人についても情報公開法が制定されるべきであったと思っておりますけれども、私、一回生でありますので、その経緯がちょっと不案内なところもありますので、なぜ行政機関と同時にできず、二年おくれになったのでしょうか、お伺いいたします。

坂野政府参考人 行政機関の情報公開法を政府が提案をするに際しては、それに先立って政府内の行政改革委員会、第三者機関において専門的な検討を行っていただいて、これを出したわけでございます。最も核心的な部分は国の行政機関まさにそのものであるということから、国の行政機関の情報公開法制についてまず御検討をいただいて、その結果に基づいて御提案をさせていただいたということでございます。そこで、その検討の過程で、ただいま御指摘のとおり、特殊法人等について、これを政府の一部とみなすべきではないかという観点からの御論議もあったわけでございます。

 一口に特殊法人等という概念でくくられるものの中には、さまざまな、経営主体としての法的性格、業務の性質あるいは国との関係というのが多様でございまして、そういうものについてきちんとした実態的、理論的な検討を踏まえないと、法律の制度としてはきちっとした法案として提出ができないという判断から、きちんとした検討をする、そういう宿題を当時いただき、国会でもその旨御報告をさせていただいたという経過の中で、国会で特殊法人等について法律案を二年以内に提出をせよという御修正をいただいて、その指示に従って出した、まさにそういう経過として私ども、理解をしておりますし、また、そのように御理解をいただきたいと思っております。

黄川田委員 情報公開法では、開示請求者から、開示するか否かの行政機関の判断に対する不服の申し立てがあった場合には、情報公開審査会に諮問し、その答申を尊重して開示、不開示の判断をしなければならないこととなっております。また、情報公開審査会は、不開示とする理由となる情報が行政文書に現実に記載されているかなどを判断するために、その行政文書を実際に見聞する権限が与えられております。このような点においても、情報公開審査会は、行政機関の行った開示、不開示の判断が適切に行われるために、情報公開制度においてそのかなめというべき重要な役割を担っております。

 今般、独立行政法人等が追加されることにより、情報公開審査会の役割はますます高まってくると思っておりますけれども、この法案において、情報公開審査会の委員を現在の九人から十二人へと、三人追加するだけで万全の体制と言えるのか、これはちょっと懸念があります。また、例えば、あわせて事務局体制の充実等により、情報公開審査会がその役割を十分に果たすことができるようにしないと、情報公開制度に対する国民の期待にこたえられないのではないかとも思っております。

 インカメラ審査の実施状況なども含めて、この四月からスタートしている審査会における事案の処理状況及び審査会において万全の体制が確保されているかについて、これも先ほど質疑がありましたけれども、改めて内閣府の情報公開審査会事務局長にお伺いいたしたいと思います。

松村政府参考人 お答えいたします。

 審査会における事案の処理状況についてお尋ねでございますけれども、十月末時点で、審査会に対する諮問件数は百七十二件、答申件数は二十三件となっております。私どもに諮問がまとまった形で来るようになりましたのはこの七月からでございまして、七月末までに諮問された五十六件について申し上げますと、約半数の二十二件が答申済みとなっております。

 また、開示請求の対象となった文書を実際に見聞して開示、不開示の是非を判断する、いわゆるインカメラ審理につきましては、審査会におきましても大変重要なものと考えられておりまして、これまで、六十の事案について既にインカメラ審理が行われているところでございます。引き続き、文書の不存在などインカメラ審理が適当でないものを除いて、積極的にインカメラ審理が行われるものと承知いたしております。

 次に、現在の審査会の審査体制についてでございますけれども、審査会では九名の委員がそれぞれ三名ずつに分かれまして、三つの部会を構成いたしております。その部会それぞれ、毎週一回開催いたしまして諮問事件の処理に当たるほか、九名の委員のうちの三名の常勤委員が情報公開法第三十条の指名委員といたしまして諮問庁や不服申立人の意見を聴取するなど、日常的に諮問事件の処理に従事いたしております。

 また、独立行政法人等情報公開法の施行後の体制についてお尋ねでございますけれども、独立行政法人等については、研究、融資、公共事業等、さまざまな活動を行っております。また、今回対象となる法人も百四十五と多いことから、これに対応する新たな部会を設置する、そのために、三名の委員の増員が必要と判断されたものと承知いたしております。また、この新設される部会の事務を補佐するため、現在、事務局職員二十三名おりますけれども、さらに来年度の予算要求の中で増員を要求し、その充実を図っていきたいというふうに考えております。

黄川田委員 お話を伺いますと、施行半年間の審査終了件数は百七十二の諮問のうち、二十三件でありますか。少数の委員による審査のおくれといいますか、そういうものは否めないというような感じがするわけでありますけれども、省庁側は半年間に約九百件の不服申し立てを受けていながら、審査会に諮問したのは一七%だけではないかと思っております。

 審査会は訴訟よりも簡単に開示、不開示の結論が得られるということで、そこに存在理由があると私は思っております。審査のおくれを放置すれば、審査会に対する不信が生まれます。その不信の払拭のために、万全の体制をよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは次に、この法案の対象となる法人の範囲の問題に移りたいと思っております。

 対象外とされている法人の一つに、NHKがあります。先ほども議論されたばかりでありますけれども、言うまでもなく、NHKは法律に基づいて国民のほとんどから受信料を徴収しており、その公共性は極めて高いと考えるのが常識であります。また、NHK独自の情報公開がスタートしたわけでありますけれども、法のもとに他律的に行うのでないと、どうしても自分に甘くなってしまうのではないでしょうか。他の特殊法人と同様に、この法案のもとで情報公開をした方が国民にとってはわかりやすいと私は思っております。

 そこで、私はNHKをこの法律の対象とすべきであると考えておりますけれども、遠藤副大臣の所見を改めてお伺いいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 NHKは国営放送ではなくて公共放送をしているわけでございます。その趣旨は、政府の諸活動としての放送を行わせるために設立した法人ではない、こういうことでございます。したがって、本法の対象とはしなかった。

 しかしながら、国民の多くの方々から受信料をいただきまして、それを財源にいたしまして放送しているということから、受信料を納めている視聴者の皆さんに対して、NHKは情報を公開する義務を負っていると私は考えております。

 NHK自身も独自に情報公開の仕組みをつくりまして、この七月からそれを運用しているわけでございまして、この結果を見て、NHKが受信料を払っている視聴者の皆さんに対して適切に説明責任を果たしていくものと期待をしているところでございます。

黄川田委員 NHKに対しては、この五十年間に会計検査院は一度も問題点を指摘したことがありません。私からすれば、聖域化といいますか、そういうものにされているのではないかと思われるところがあります。いずれ、独自の基準に基づき七月一日から情報公開を始めたということでありますので、しっかりとした対応を求めておきたいと思います。

 それでは次に、地方公共団体の情報公開について考えてみたいと思っております。さきに申し上げましたとおり、行政機関の情報公開については、都道府県レベルでは、神奈川県において昭和五十七年に初めて情報公開条例が制定されたのを皮切りに、平成十年六月までにすべての都道府県において情報公開条例が制定されております。国の情報公開法が制定されたのは平成十一年五月でありますから、この情報公開については、国よりも地方公共団体が先行していると思います。

 しかしながら、地方公共団体が出資している団体の情報公開については、難しい問題がさまざま横たわっております。例えば、私の地元の岩手県の場合、情報公開条例について平成十年に見直しを行った際、県が二分の一以上出資する法人は条例に準じて開示請求に応じ、四分の一以上出資する法人は財務諸表等の公表の義務づけを、おのおの要綱として新たに定め、積極的な情報公開に努めておるところであります。

 本法案は独立行政法人等を対象とするものでありまして、地方公共団体の出資している団体の情報公開はこれまた一応別の話でありますけれども、特殊法人情報公開検討委員会の検討過程において、地方公共団体にとって参考になる議論が多かったと聞いております。そこで、具体的にそれはどのようなものであったか、総務省にお伺いいたしたいと思います。

坂野政府参考人 検討委員会では、御指摘の問題についてそれぞれ所管省からヒアリングが行われたと承知をいたしております。そのヒアリングの際、それぞれの所管庁から、地方自治法上あるいは各公社の根拠法上、各公社を対象にした情報公開制度を設けることについては法令に違反するものではない、そういうお答えがこの席上行われ、この検討委員会もそれを了とされて、自治法上、各公社の設立法上禁じられていないので、これは条例をもって措置し得るし、また措置することが適当なものと判断されたと承知をいたしております。

黄川田委員 それでは、行政機関の情報公開法でも、また今回の法案においても、開示請求がなされた行政文書は原則として開示される仕組みとなっておりますけれども、他方、個人のプライバシーに関する情報や国家機密に関するような情報など、公開することが適当でない情報があります。どのような情報を公開し、どのような情報を公開しないかとすることは、この情報公開制度の根幹にかかわることであります。

 本法案第五条では、不開示情報として、個人に関する情報、法人等に関する情報、審議、検討等に関する情報、行政機関の事務事業に関する情報の四分野を定めております。行政機関の情報公開法では、さらに、国の安全、外交に関する情報及び公共の安全、秩序維持に関する情報の二分野を規定しております。

 そこで、独立行政法人や特殊法人でも、国の安全や公共の安全等に係る業務を遂行していると考えられるところもありますが、本法案ではこの二分野の不開示情報を規定していないのは整合性に欠ける部分もあると思っておるんですが、その見解はどのようなものでしょうか。

坂野政府参考人 ただいま御指摘の、国の安全あるいは公共の安全等にかかわる情報のカテゴリーについての規定ぶりの問題だと思っております。

 国の行政機関の情報公開に関する法律にあっては、このような情報については、例えば国際機関との交渉上、あるいは他国との信頼関係その他、そういう観点からして不利益をこうむるおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある、そういうカテゴリーとして国の行政機関の情報公開法は表現をしておるわけでございます。

 今回御提案をさせていただいています法律案では、このように、行政機関の長が相当と認めることにつき相当の理由がある、これを置き直せば、法人の長が相当と認めることにつき相当の理由があるということで、そのまま移しかえればそういう表現になるわけでございますけれども、法人の長についてそのような位置づけを行うのは適当ではないということから、カテゴリーとしては別の号ではございますが、国の安全等に関する情報については不開示情報のカテゴリーに当たるということを設けましたものの、全体としては、事務事業の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがある情報として位置づけて、他のカテゴリーと同様な形の規定ぶりといたしたということでございます。このようなカテゴリーの情報があること自体は、国の情報機関の情報公開法、それから今回御提案申し上げております特殊法人等に係る情報公開法、ともに認識をし、必要な規定を置いておると考えておるわけでございます。

黄川田委員 それでは、時間も経過してきておりますので、次に、特殊法人の情報公開についてお伺いいたしたいと思います。

 御案内のとおり、特殊法人等の情報公開は、行政改革推進本部のもとに設置された特殊法人情報公開検討委員会で、認可法人等も視野に入れて検討が行われ、昨年七月、基本的な方向づけがなされたところであります。また、特殊法人ごとに財務諸表等の作成公開推進法があり、特殊法人がみずから情報を提供する制度でありますけれども、今回の情報の開示請求にかかわる法案とも密接に関連しております。すなわち、形式的に今でも特殊法人は財務諸表の公開が義務づけられており、主務大臣は、予算や事業計画を認可し、業務を監督することになっております。

 しかしながら、実態は、主務官庁の監督が甘いこともあり、特殊法人の運営の透明度は低く、財務諸表は経営の実態を的確に反映していないように思えるわけであります。したがって、特殊法人改革上からも、当法案の早い成立が望まれるところであります。

 また一方、同検討委員会は、特殊法人に、最新の企業会計制度を取り入れた財務諸表、関連会社の情報、天下り情報などを開示するよう求めていると耳にしております。

 そこで、年内にまとまる予定の特殊法人改革案の議論に、本法案の施行が間に合わないことでもありますので、同検討委員会が提示した開示事項を各特殊法人に公表させてはどうかと思っておりますけれども、これについて見解はいかがでしょうか。

坂野政府参考人 先ほど総務大臣からも答弁がありましたように、この法律の施行を待つまでもなく、各特殊法人等について、その財務、業務等に関する情報を積極的に提供するよう、既に政府としては各省に対して方針を指示し、また各省はそれを受けて各法人にそのような努力を促しつつあると私どもは認識をしておるわけでございます。

 御承知のことだと思いますけれども、特に財務内容に関する情報については法律等を設けて各特殊法人には既に義務づけを行っておりますし、それ以外につきましても、各法人について積極的な提供に努めるよう閣議決定等においてもその方針を決定し、かつ最近におきましては、総務大臣が閣議において発言され、行革大臣あるいは総理大臣もその後においてもまた閣僚懇談会で御発言をされ、インターネットの活用を含めて積極的なディスクロージャーに努めるよう要請を行ったところでございます。

 ただいま先生の御指摘の趣旨に沿って、引き続き私どもとしても各省庁にその努力を促したいと考えております。

黄川田委員 不都合な情報を隠す、あるいはまた、情報の独占を図るということになれ切ったような風土が霞が関にはあるように、地方から来ると思うところがあります。ぜひとも透明な行政へ転換されることを求めておきたいと思っております。

 それでは、時間でありますので、最後に文書管理についてお伺いいたしたいと思います。

 行政機関情報公開法に基づいてこれまで文書管理をどのように進めてこられたか、これが第一点。そしてまた、本法案に基づいて独立行政法人等がどのような形の中で文書管理を行っていくのか、あわせてお伺いいたしたいと思います。

新藤大臣政務官 委員の御指摘のとおりでございますが、この情報公開制度が的確に機能するためには文書管理ができていなければ話になりませんから、いわばこれは車の両輪だ、このように位置づけております。

 そして、まず行政機関の行政機関情報公開法におきましては、三十七条になりますけれども、適正な管理をしなさい、こういう規定がございます。それのもとで施行令を定め、さらにはそれぞれの行政機関の長が管理規定を設けなさい、こういう三つの段階になっているのです。

 文書管理に関する施行令というのは、要するに、系統的な書類の分類基準を定めなさい、それから、行政機関の意思決定であるとか事務事業の実績についても原則文書を作成しなさい、それから、最低保存期間基準、これは一年、三年、五年、十年、最長三十年、こういうものがありますが、保存期間の基準を各省申し合わせで決めております。それから、行政文書ファイルの目録をデータベース化すること、これは、近年はとみにデータベースが充実すればするほど迅速な検索ができる、こういうことになるわけでございますし、加えて、文書管理事務の職員を指名する、こういうような形で管理を適正に行えるように図ってきております。

 今回の独立行政法人等の法令におきましては、まず文書の適正な管理の規定は第二十三条で決めております。そして、施行令は行政機関の方の情報公開法の施行令を準用する。そして、そのもとで定める規定におきましては、それぞれの内容に応じまして独立行政法人等の長が定める、こういうことになっておりまして、総務省といたしましては、これに適正な文書管理が行われるように支援、協力をしてまいる、こういう枠組みで担保していきたい、このように思っております。

黄川田委員 あるべき文書がない、あるいは探しあぐねているというようなことになりますと、本当に行政への信頼が損なわれますので、適切な対応をよろしくお願い申し上げまして、時間でありますので、終わります。

御法川委員長 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章です。

 国の行政機関の情報公開法が施行されて六カ月、今回の法案はこの情報公開法に準じて提案されているものです。六カ月の中での問題点について、まずお聞きをしておきたいと思います。

 情報公開の請求者が非公開決定に不満な場合に、担当省庁に不服を申し立てるということになっています。各省庁は諮問を行って、それに基づいて情報公開審査会が非公開決定の適否についてチェックする仕組みになっているわけですね。

 先ほども質問がありましたけれども、ところが、この施行半年後の九月末現在では、審議終了件数が百五十一件中わずか八件、十月末現在でも、諮問件数百七十二件に対して答申件数二十三件で、傾向は変わらないということになっています。

 先ほどいろいろ努力をされているという御答弁もあったのですが、率直に聞きますが、どうしてこのように不服審査がおくれてしまうのか、その辺の実情をぜひ言っていただきたい。

松村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、十月末時点では、諮問件数が百七十二件、答申件数二十三件となっておりますが、月ごとの答申件数は徐々にふえてきておりまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、七月末までに諮問された五十六件について申し上げますと、現時点で約半数の二十二件が答申済みでございます。

 それから、調査審議の状況について申し上げますと、諮問がありました場合に、諮問庁から不開示の具体的な理由を書いた理由説明書を提出いただきます。それを不服申立人の方に送付いたしまして、それに対する意見があれば意見書を提出していただくということでございます。それから、諮問庁、希望があれば不服申立人からの意見陳述をそれぞれ一回行います。あと、その事案の内容について検討し、あるいは答申案を検討するということで、一つの事案につきまして大体五回から六回の調査審議を行う。

 簡易迅速ということも当然、最大の重要なことでございますけれども、一方では充実した審議も必要かということで、五回か六回の慎重な、かつ充実した審議を行っているということを御理解いただきたいと思います。

春名委員 充実した審議をやられることは大賛成であります。と同時に、申し立てた国民の側からすればゼロか一〇〇ですので、ですから、たくさんの数がまだ残念ながらナシのつぶてにさせられているということについて、事務局長の責任ということを言っているわけではなくて、これで三名、体制をこれから補強するという方向になっているのですけれども、この法案によりますと、特殊法人と独立行政法人が新たに百四十五法人加わることになるわけですね。かなり膨大なことになりますね。三名の増員で賄うことが果たしてできるのだろうかという心配があります。

 行政側の不適切な扱いを第三者の目でチェックするという点で、非常に大事な機関です。国民の側から情報公開法を実体のある効果あるものとしていくという上で、非常に大事な機関だと私も思っています。この法律が通ると、さらに審査がおくれてしまうのじゃないかという心配もあります。増員三名で賄うので大丈夫かという心配もあります。その点、事務局長さんは実感としてはどうでしょうか。

松村政府参考人 今回の独立行政法人等を情報公開の対象とするに際しまして、委員三名の増員が措置される、これは新たに独立行政法人等からの諮問に対しての部会を設置して審議をするということを前提といたしておりますけれども、事柄の性格上、独立行政法人等から現実にどのような諮問がどれだけ来るかということは、定かではないわけでございます。

 そういう中で、新たに設置されました部会の活用、それからまた事務局の充実、あわせまして、現在、審査会といたしましては審議を通じていろいろ経験を蓄積しているところでございますので、そういう経験を生かしながら、審査会全体として充実した、かつ迅速な審議に努めてまいりたいというふうに考えております。

春名委員 ぜひ充実した方向に進むように私も期待したいと思いますし、総務大臣は、審査会は所管ではないと思うんですけれども、ぜひそういう実態も目配りしていただいて、審議が充実し、しかもスピーディーにもいくということで十分な配慮をしてほしいと思います。

 もう一点、今回の情報公開対象の団体について次に伺っていきたいと思います。

 国の行政機関の情報公開法には、第四十一条で「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」という条文がございます。しかし、本法案には地方自治体の公社あるいは第三セクターに関する同様の規定は明記されておりません。これはなぜでしょうか。

片山国務大臣 地方の問題ですから、これは非常にいろいろな議論があると思いますけれども、私も地方団体にいろいろなそういう意味での整備を図る必要があると思いますが、地方団体そのものの情報公開についてはかなり条例ができていますよね、御承知のように。そういうことも一つあったと思いますし、残るのはやはり外回りですね、公社だとか第三セクターだとかその他の外郭団体でございまして、そこまではこの法律では言及しなかった、こういうことだと思います。地方の問題として考えなさい、こういうことだと思います。

春名委員 三公社については、要するに、一〇〇%の自治体出資で条例での情報公開ができるし、そういう議論をされて進めなさいというふうになっていると思うんですよね。

 同時に、問題は第三セクターですよね、皆さん、問題意識があると思いますけれども、この破綻が自治体財政に非常に重大な影響を与えている。最近でも宮崎のシーガイアが破綻をして五十数億円ですか、県が持ち出さなければならなくなっているとか、いろいろな問題が出ていますよね。これに対して、厳しいチェックの目がいかに入るかというのがこれから非常に大事なポイントになってくると思うんですね。第三セクターも、そういう意味でいえば、自治体の出資が入っている、だから、自治体が関与すべきである、住民が情報公開を請求できる権利はあると考えるのが私は自然だと思うんですね。しかも、今言ったように、破綻が非常に大きな社会的な問題にすらなってきている。

 今回の法案でも、独立行政法人、特殊法人を、政府出資が入っているという観点を重視して、一部をなしているという観点の中の一つとして、そういう位置づけで公開対象にするという方向になっているわけです。ですから、私、こういう第三セクターも対象になり得るように、国が何か一律に決めてやれということではそう単純にはいかないわけですけれども、第三セクターも実際は情報公開の条例の対象にできるような方向に誘導するような検討にもう入っていいんじゃないか、私はそういうふうに考えるわけですが、その点、大臣、今後の見通しといいますか、お考えはどうでしょう。

片山国務大臣 第三セクター、大体公益法人の格好ですね。財団法人がほとんどだと思います、それは中に株式会社なんかありますけれども。しかし、いずれにせよ民間なんですね。それで、認可だとか指定だとか、国の場合にはそういう公との絡みが明らかになれば、まあ指定は別ですけれども、独法だとか特殊法人は、もちろんこれは法律に根拠がありますからそういうことなんですが、第三セクターは千差万別、態様がばらばらですから、何をどうつかまえるかという一つ議論がありますね。

 ただ、第三セクターに対して、地方団体がお金を出したり出資したり補助したり融資をしたり、いろいろな形で便益を与えている場合には、地方団体の方の情報公開、ディスクロージャーはできますから、そっちの方から攻めるということはあるのかな、こう思いますけれども、しかし、今、委員が言われるように、第三セクターがうまくいっていないのが多うございますから、そういう意味で何らかの手当てが要るか要らないか、それを含めて検討させていただきます。

春名委員 その点で、今、大臣からお話があったんですが、自治法と施行令で、地方自治体が二分の一以上出資している団体については、首長が調査するなどの権限を持って、中身、その内容を議会に報告するということになっていますね。

 それから、監査委員の監査が入れるのは、四分の一以上の出資をしている団体は対象にできる、こうなっていますね。つまり、今の施行令や自治法でも、地方自治体が一定の出資をしているという団体については、そこに着目して、やはり関与する、情報も得るという仕組みが既に自治法上ではそういう形であるわけなんですね。ですから、第三セクターも、地方自治体のそういう出資があるものは、すべて公開対象にできるように道をあけていくという方向が大事じゃないかと思うんですよね。

 それで、御存じかと思いますけれども、例えば、日弁連がこういう提案をしていますよね。第五章の補則の後に第六章を設けたらどうかという提案をしていますね。地方公共団体の設立する法人等の情報公開を設け、地方公共団体に、みずから出資する法人などについて、この法律の趣旨にのっとり情報の開示、提供が進むよう条例上の措置をとるというような趣旨を入れたらどうかという提案も具体的にあるわけですね。実際は、今回はそれはちょっと、今言ったような理由でやっていないわけですが、ただ、今後、今、大臣からもお話がありましたが、これは非常に大事なポイントになってくると思うんですね。ぜひ今後検討していただきたいということを、改めて要望しておきたいと思います。大臣、どうぞ。

片山国務大臣 今のいろいろな調査や報告の徴取や監査委員の監査は次第に拡大していったんですね、いろいろ問題があるから自治法や施行令を直していきまして。そこで、そういう意味で今度は、先ほども言いましたように、地方団体そのものに対する情報の請求、開示というのは条例に基づいた手続でやれるわけですけれども、第三セクターそのものを真正面からつかまえてどうするか、これについてはいろいろな議論が実はあるものですから、御趣旨を体して、そういうことも含めながら幅広く検討させていただきたいと思います。

春名委員 次に、この法案の情報公開の対象に、公営競技関係法人の日本中央競馬会、地方競馬全国協会、日本自転車振興会、日本小型自動車振興会、財団法人日本船舶振興会が情報公開の対象となって加わっております。しかし、宝くじ関係の団体は対象となっておりません。これはなぜでしょうか。

坂野政府参考人 日本中央競馬会や財団法人日本船舶振興会のような特別の法律に基づきまして設立された公営競技関係法人につきましては、刑法上処罰の対象とされている賭博行為の違法性が特に阻却された上で実施される公営競技、それに関連するものであって、その施行者から納付された、あるいは公営競技をみずから実施して得た公的資金ともいうべき収益金を公益事業に公正に配分するために、先ほど申し上げた特別の設立法によって設けられたものだ、そういう点に着目をして、これを政府の一部を構成する法人とみなすべきではないかということから、今回の情報公開制度の対象にしたということでございます。

 他方、財団法人の日本宝くじ協会についてでございますけれども、これは宝くじの普及宣伝を目的として宝くじの売上金の一部によって公益事業の助成等を行う法人ではありますけれども、地方公共団体が発売する宝くじに関連するものであること、また個別の設立法によるものではなくて、民法に基づいて設立された民間の法人であるということから、今回の制度の対象外といたしたものでございます。

春名委員 最後のところで、民法に基づいてつくられた法人だということなんですが、ただ、日本船舶振興会は財団法人で、民法でつくられているじゃないですか。入っているじゃないですか。どうして入れないんですか。

坂野政府参考人 先ほど申し上げたことを繰り返しますが、特別に個別の設立法によるものではなく、民法に基づいて設立された法人が財団法人宝くじ協会である。財団法人日本船舶振興会は特別の、個別の法律に基づいて設立されたものである。ここが大きな違いになっておると思います。

春名委員 刑法の百八十七条で、富くじは禁止となっております。今お話がありましたように、その例外規定で特別の法律をつくるわけです。個別法を制定します、そして競馬、競輪等々ができるようになる、そこに着目して対象を入れているというお話でした。

 宝くじも実は同じなんですね。当せん金付証票法という特別の法律をつくって、賭博行為全体は普通の人はやってはいけないけれども、その特別の法律に基づいて宝くじは運営をされるという仕組みになっているという意味では、同じ範疇に入るじゃないですか。すべて情報公開の対象になっているのに、宝くじ関連だけなっていないのは不自然じゃありませんか。

坂野政府参考人 繰り返し申し上げることになって恐縮でございますけれども、日本中央競馬会や財団法人日本船舶振興会は、特別の法律に基づいて設立をされ、また、その法律に基づいて公的資金ともいうべき収益金の配分等を行う、そういう法人でございます。宝くじ協会については、この宝くじ事業そのものは、地方公共団体が実施する事業として法律に基づいて行うものでございますけれども、地方公共団体が行ったその収益金の使途の一つとして、宝くじの普及宣伝を目的とする事業を行う、そのために必要な資金を宝くじを行った地方公共団体から提供を受けて、その配分を行う。

 事業の性質、位置づけについて相違があると考えておるわけでございます。

春名委員 今の御説明は、個別の法律に基づいてその団体自身が、競馬とか競艇とか、船舶振興会だから競艇じゃなくて、小型自動車振興会とか、個別の法律に基づいてつくられていると。しかし、宝くじ、僕、宝くじ協会だけとは言っていないですよ、いろいろな団体があるんで、宝くじ関連は。宝くじの関係のいろいろな団体は、その団体自身が法律に基づいてつくられているものじゃないから、そこで区分けをしているという説明なんですね。

 しかし、同じ財団法人であっても、船舶振興会はやっているわけですよ。同じ財団法人で宝くじ協会もほかの団体もできているわけでしょう。宝くじ協会だけじゃないですよ、いっぱいあるんですけれども。だから、何かその区分けが非常によくわからないんですよ。

 それで、先ほど御答弁があったんですけれども、地方自治体が実施主体になっておるので、国とは直接関与していない、それから、国のお金が直接入っているわけではないということだったと思うんですが、しかし、この宝くじの事業は、はっきり言って全部国の許可事項なんですよね。そうでしょう。年間の計画を全部、インスタントくじがどう、サマージャンボがいつごろやる、年間の計画をまず出しますわね。それを全部確認を、許可を得る。年間の計画だけじゃないんですよ。それから、一本一本の宝くじも全部国が、総務大臣が許可するんですよね。もう御存じのとおりです。

 例えば、第四百十八回全国自治宝くじ発売要領、グリーンジャンボ、発売の理由、都道府県及び十二指定都市が、各種公共事業等の費用の財源に充てるために共同して発売する、名称は四百十八回全国自治宝くじ、発売総額は五百十億円、証票の金額、一枚三百円、証票の型式は開封式、発売期間は平成十三年二月二十日から平成十三年三月九日まで。非常に細かい、全部これは国が、全体の計画も一本一本の発行の計画も許可制なんですよね。

 なぜかといいますと、私が思うに、やはりこれは賭博性があって、富くじは禁止されていて、別個の法律によって例外規定でこれも許しましょうという仕組みになっている以上、国がそういうふうに、ちゃんと管理もしましょう、許可もしていこうという仕組みになっているわけでしょう。そして、平成十一年でしたか、年間の売り上げ九千億円でしょう、収益。膨大なお金が入っているわけですね。国民のなけなしのお金というか、夢が入っているわけですが、そのお金が扱われている。

 ですから、僕は、自然に考えて、同じ財団法人で、日本船舶振興会も入れている、何で宝くじ協会などを初めとした宝くじ関係だけ除外してしまうのか、不思議で仕方がないんですね。これ、どうも私、納得できないので、もうちょっと明確なお答えをいただけませんかね。

坂野政府参考人 繰り返し申し上げることになって恐縮でございますけれども、中央競馬会や日本船舶振興会のような法人につきましては、特別の法律に基づいて公営競技を実施し、あるいは公営競技の施行者から納付された収益金を公益的な事業に配分する、そういう法人として位置づけられているということでございます。

 他方、財団法人日本宝くじ協会は、個別の特別な法律に基づいて設立されたものではなく、民法に基づいて設立された民間の法人であるということから、この法律の対象外にしたものでございます。

春名委員 先ほどから同じことしか言われないんですけれども、それでいいのですかという御質問をしておるわけなんですね。地方公共団体がやっているからということでいっても、国が全部許可する。個別の法律といっても、その団体自身を、個別の法律をつくっているわけではないけれども、その事業全部は個別の法律でできているわけですからね。それを支えている団体ですからね。そうでしょう。だから、不自然だなと私は思うんですよ。何で入れないんでしょうかね。ちょっと、同じ答弁になりますので、大臣、どう思われますか。

片山国務大臣 宝くじは、もちろん、刑法の富くじ罪ですか何かの除外例というようなこともありますし、これは、地方団体が共同でつくって、その収益が出れば地方団体に還元して、しかも、チェックも地方団体が共同でやる、こういうことが一つあるんですね。

 それからもう一つは、局長が何度も言いますように、民法上の財団法人ですから、そういう意味で、これは、地方団体のいわば共同のチェックに任せよう、地方自治を尊重しよう、こういうことも私はあったんではなかろうかと思いますけれども、こういうものまで今度の情報公開の対象にするかどうかというのは大変議論がある、私はこう思いますよ。

 それで、我々の方もかかわり合いがありますから、宝くじの関係の団体とはいろいろ話し合いをしていますし、今後とも、宝くじ協会を中心にしたそのグループの情報提供について、さらに我々も指導してまいります。

春名委員 情報提供を指導することは、非常に重要だと思います。なぜこうしつこく、私、入っていないかということを追及するかというと、やはりどうも、関連団体をめぐって、国民にわかりにくい問題がいろいろ出ているという思いがあるからなんです。

 宝くじに関連する団体には、収益金の一部で宝くじの普及宣伝に努めるための組織として、今お話が出ていた日本宝くじ協会、これはハードを担う、ハードの助成をする。それとは別に、自治総合センター、これはソフトを担うんだそうですが、どう違うのかよくわかりませんけれども、二つある。それから、市町村も実施主体となっているサマージャンボ宝くじの各市町村への収益金を一部配分されてできているのが全国市町村振興協会ですね。それから、各都道府県が特定の事業を推進する目的で収益金を拠出して事業を実施している団体として、自治体衛星通信機構、地域創造、自治体国際化協会、地域活性化センター、地域医療振興協会、実に多種多様な団体がある。

 例えば、これは毎日新聞の去年の十二月二十九日付の記事ですけれども、「自治官僚天下り先「宝くじ」関連三財団 売上金使い“肥大化” 昨年度運用益三十四億円」という記事が出ています。この三団体というのは、自治体衛星通信機構、地域創造、全国市町村振興協会の三つです。それぞれの宝くじの売上金を資本金に当たる基本財産に増資をしたり、市町村への融資などで、一昨年の一年間だけで実に運用益三十四億円を上げて、随分肥大化しておる、そういう記事です。

 こういう報道のような実態が常態化しているのでしょうか。実態はどうなっているのでしょうか。ちょっとお答えいただけますか。

香山政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、昨年十二月のこの記事の内容につきましては、読んでおりまして、承知をいたしております。

 これらの団体、それぞれの寄附行為に定めた事業を実施しておるわけであります。基本的な仕組みを申し上げますと、宝くじの発売権を持っております全都道府県と指定市が、自治法に基づく協議会というのを設立いたしております。この協議会の議決に基づきまして、こういう目的に宝くじの収益を使おうということで意思決定をして、宝くじを発売いたします。それが一たんそれぞれの都道府県、市町村に入りまして、それから、その発売の目的に対応いたしまして収益金を拠出して、こういうふうな事業を行う各財団をつくっておるという仕組みになっております。

 そういう意味で、地方団体の意思に基づいて、しかも各方面から必要性があって、意義ある事業というものに対して使われておるものというふうに、私どもは評価をしておる次第でございます。

 それぞれの団体の性格として、例えば、文化、スポーツ事業を振興するとかいったような場合には、基金を持つという形をとりまして、その基金の運用益によって仕事をするという方がうまくいくわけでありますから、そのときには、宝くじの発売、そして、その収益金を拠出する段階で、基金をつくろうという目的意識を地方団体が持ってそういう仕組みをつくっているわけであります。その意味で、運用益というのが出てくるのはけだし当然のことでありまして、その運用益を各団体がその寄附行為に定めた目的に沿って有効に活用していただいておるものというふうに考えておる次第でございます。

春名委員 大臣に、もう一つ気になることがあるので聞いておきます。

 こうした団体が、率直に言って、自治省などの官僚の天下り指定席になっているということは御存じでしょうか、理事長とか。その辺の御認識はありますか。

片山国務大臣 状況を正確に把握しておるわけではありませんが、そういう話は聞いております。

春名委員 まさにその話は事実でして、宝くじ協会の歴代理事長は、初代荻田さんから始まって、この人が自治庁時代の次長なんですね、二代目以降、全部自治事務次官なんですよ、全部。二代目柴田さん、三代目細郷さん、続いて、今、九代目小林さん。自治事務次官の指定席。

 それから、自治総合センターは、一九七七年に設立されているのですけれども、七九年以来全部自治事務次官。これは全部ポストを占めている。この間、八名の元事務次官が理事長ですよ、全部。そして、宝くじの収益金の使う範囲を公共事業等から広げていく。そのたびに新しい団体ができて、そこに自治省のOBの方が全部入っていく。もう完全にそういうふうになっているのですよ、これは天下り先に。

 ですから、こういうことに対して、本当にいいのかと私は思いますけれども、そんな団体をつくる前に配当金をふやした方がいいのじゃないですかと私は思うぐらいですけれども、そういう問題があるからこそ、逆に言えば、情報公開のこの制度があるわけですから、同じ財団法人の船舶振興会は入れているのに、宝くじ協会等を含めたものは一切入れない。何で入れないのかなと。入れて、国民の監視の目もちゃんとつけるという方向に進むべきじゃないのですか。私ははっきり言いたいと思いますけれども、大臣、どうでしょう。

片山国務大臣 委員の意見は意見として承っておきます。

春名委員 もう時間が来ましたので、最後にもう一回言っておきますけれども、途中で情報の公開を自主的にさせるように督促させるというお話もされました。それから、今回は団体として対象にはしなかったけれども、こういう問題提起もし、国民の批判もあるということを総合的に勘案して、きょう問題提起をしましたから、新しくちょっと検討してください。大臣、最後にもう一回決意を言って。

片山国務大臣 先ほども言いましたように、できるだけ情報提供するような指導をいたします。

春名委員 余り色よい返事ではないですが、以上できょうの質問は終わります。

御法川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 行政機関の情報公開法が四月からスタートしているわけで、半年が経過をいたしました。この趣旨は、行政の透明化、そしてまた、国民本位の行政の実現ということにあるわけでございますが、こういった重い課題を担ってのスタートでございます。約半年の間に二万六千八百三十六件という要求があったそうでございますが、この数が多いか少ないか、それは皆さん方それぞれの受けとめ方はあろうかと思いますが、私は、国民の関心、要求、非常に高いものがあるなという気がいたしております。

 この国民の開示請求に前向きな省庁もあれば、また非常に消極的な省庁もあるということが今回かなりはっきりしたわけでございますが、今までなら恐らく公開されることはなかっただろうなというようなことも公開されているところがあります。

 一つの例でございますが、厚労省が公開したいわゆるヤコブ病の問題でございます。これは、旧厚生省が、手術のときに使う硬膜、これが大変汚染されて、ヤコブ病という大変な病気になるわけでございますが、この硬膜の輸入販売会社からの聞き取りを公開したのですね。以前なら恐らく難しい情報であったと思うのですが、公開した。つまり、輸入販売会社の社長が、八七年末までに硬膜の在庫を売れるだけ売った、こういうふうに答えたことを公開したわけですね。

 八七年というのは、つまり、アメリカで、硬膜が非常に危険であるということで、使用禁止ということが出された年なんですね。それ以後、日本では約十年間野放しにされたわけですが、業者としては、それまで持っていた在庫をすべて、売れるだけ売ったという答えを出したことを公開した。この情報の公開によって、やはり被害拡大の背景の一端が国民に示されたわけですよ。

 ですから、これらの情報の公開によって、政府と国民が情報を共有することができる、それを土台にして議論することができる、そして、議論の過程からいろいろな情報が積み重なれば再発防止ということにもつながる。私は、この法案の趣旨であります国民本位の行政の実現に、これは一歩近づいたなという気がするわけですね。そういった意味では、法案の大きな効果であるし、前進だと思うわけでございます。ただ、これはほんの一部ですよ。ヤコブ病のことに対してもっともっと情報を提供してほしいという要求があったにもかかわらず、出たのはこの一部なんですが、それでも前進である。

 また一方、外務省の姿勢はどうか。外交というのは、もちろん情報提供者との信頼関係を保つことが必要であるわけですから、情報を公開できない部分も確かにあります。しかし、組織ぐるみの不正流用疑惑に発展した今回の外務省の機密費の問題、国民の怒りはもう頂点に達して、物すごい開示要求があったにもかかわらず、これに関してはほぼ全面拒否。つまり、この法案の趣旨がなかなか浸透していない省庁もある。

 この半年の間に、各省庁の情報公開に対する姿勢が非常に浮き彫りになったなということが見えたわけでございますが、この半年の運用状況あるいは情報開示の成果といいますか、そういうことに対しまして、大臣はどのようなお考えをお持ちなのかをお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 横光委員から御指摘がありましたように、この半年で二万六千八百三十六件の開示請求があった。私は、国民の皆さんにこのことを知っていただき、相当利用されているものと考えております。

 それから、行政側も、確かに今御指摘のように変わりました。やはり、情報公開があるから、国民の目を常に意識していろいろ行動する。政策の展開を初めとして、そういうことは相当姿勢が正された。いろいろな意味で、それは大きな効果ではなかろうか。

 それから、ちゃんと説明ができないとと、説明責任ですね、こういうことも相当各省庁の皆さんに浸透してきたのではないかと思います。またお話がありましたように、省庁間でやや取り組みに温度差があることも事実でございますし、省庁の仕事はいろいろありますから、まあ外務省についてはいろいろな御議論、見方があろうと思いますけれども、外交や防衛については比較的開示できないような事情があるものも多々あろうと思いますから、やむを得ないところもあると思いますが、今後とも、全体を進める立場の私どもといたしましては、この制度が積極的かつ円滑に運用され、活用されるように、各省庁とも連携をとりながら、さらには万般の啓蒙も進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

横光委員 今、各省庁の姿勢が正されたというお言葉がございました。それでもまだ不備な点があるというお答えでもございますし、さらにその姿勢を正していく意味から、一歩おくれましたが、今回の独立行政法人の情報開示、非常に重要な法案だろうと思うわけでございますが、今回、独立行政法人あるいは特殊法人等百四十五の法人に広げようとするわけです。

 その特殊法人なんですが、報道によりますと、自民党の住宅土地調査会では、都市基盤整備公団の廃止と住宅金融公庫の民営化には反対であると決議を採択した、あるいは麻生政調会長は、道路関係の改革は当然だが高速道路の全面凍結は乱暴であると強調した、また、古賀誠道路調査会長も、凍結はあり得ないと声高に話していた情景がテレビニュースに流れておりまして、私もこれは見ましたが、多くの皆さん方もこれらを見たんじゃなかろうかと思います。

 麻生さんは、党の政策、すなわち、党の総裁である小泉総理を政策の面で側面から推進する立場にある方、また古賀さんは、前幹事長として森内閣を支えてきた立場にあった方、本来なら行革担当の、行政改革の担当大臣であるはずの総務大臣ですね、現在でもその改革の必要性を十分に感じられておるでありましょう片山総務大臣は、今私が説明したような特殊法人改革に抵抗している自民党内の実力者たちの動きといいますか、騒動について率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。

片山国務大臣 先ほどの質問にもお答えしましたが、もともと行革、特殊法人の問題は旧総務庁の所管でございますが、昨年の森内閣から、第二次改造から行革担当大臣というのが決まりまして、そこが中心にやっていく、こういうことでございます。これも先ほど言いましたように、特殊法人改革推進本部というのができまして、私も副本部長の一人になっておりまして、このところ副本部長会議でいろいろな議論を進めておりまして、できるだけ円滑に特殊法人改革の具体化をしてまいりたい、こう思っております。

 いろいろな問題について、今までの経緯もありますし、いろいろな見方もありますし、特に自民党というのは、議論を自由にさせるというか、してもらうところでございますから、やや百家争鳴的ではございますけれども、意見が集約されればまとまって行動する党ではないか、こう私は思っております。そういう意味では、大いに議論を深める、国民的議論を活発に行う、こういうことはいいことじゃないかと思いますけれども、いずれにせよ、議論の締め切りがありますから、締め切りに向かっては、集約する動きがこれから出てくるんではなかろうかと期待いたしております。

横光委員 もちろん議論は大いに結構でございますが、先ほど申しましたように、総理を支える人たちが総理の意向と違うような発言をしたりということは、国民にとっては非常にわかりにくい。この特殊法人改革が、すべて我々も賛成であるわけでもないし、国民の生活に密着した特殊法人のありようというのは私たちなりにも意見があるわけでございますが、とりわけ今お話しした状況では、国民からすると、非常にわかりにくい姿が見え始めたなという気がいたしております。

 さて、十二月を目途に進められております特殊法人の整理合理化改革案の進捗状況ですが、これも、行革担当の指示を受けて当該特殊法人を所管する各省に特殊法人等の経営情報の開示を請求しても、省庁がなかなか応じない。そのために、例えば政府金融機関の融資先とかあるいは高速道路の路線ごとの将来収支の見通しとか、改革を検討する上で不可欠であります情報が出ない。そのために、立ち往生して実効ある改革案づくりができずにいる、そのような状況であると聞いているわけですね。このため、小泉総理みずからが閣僚懇で、これまで以上に情報の提供を行うように各閣僚に指示しなければならない。

 そういうことは、これは異常な状況にあると認めざるを得ないわけでございますが、特殊法人を所管する省庁が情報の提供を拒むということは、一体どういうことなのか。私なりに勘ぐれば、何か情報を提出することによって自分たちに都合の悪い情報が明るみに出ることを恐れているのではないか、また、天下り先を温存したいとか、自分たちの権益を死守するための抵抗としか理解できない、そう疑わざるを得ない。もし、そうでないとするならば、国民の前にすべての情報をオープンしても何ら後ろめたいことはないはずなんです。それがなかなか現実では進んでいないということでございます。

 親法の行政機関の情報公開法において、今、特殊法人等の改革の俎上に上がっております都市基盤整備公団あるいは住宅金融公庫、日本道路公団の財務状況等に対して開示請求があった場合、これは不開示情報に該当しなければ当然公開されることになるんでしょうか。

坂野政府参考人 ただいま御指摘の特殊法人の財務状況に関する資料について、その法人を所管する省庁に対して情報公開請求がある場合、当該行政機関が保有する情報としてその請求に対応することになると考えております。

横光委員 それがなかなか出てこないわけですよね。そこには行政機関を通さなければならないといういわゆる一つの壁があると私は思うのですね、情報の壁。この情報の壁に風穴をあけるのが、私は今回の法案であろうと思うわけでございます。結局、行政機関を通さなくても、直接これからは、国民が特殊法人等に法人文書の開示請求をすることによって情報を公表させることができる、つまり、特殊法人改革を拒む抵抗勢力への対抗策が、私はこの法案だと思うわけですね。この法案の施行日が一年以内の政令で定める日となっておりますが、行政機関の情報公開法が四月一日から施行されたこともあって、常識的にはこの法案の施行は来年の四月一日となることが大体予想される、あるいはそれよりおくれるかもしれませんが、予想されるわけです。

 しかし、この際、私は、片山総務大臣にお願いしたいのですが、大臣といういわゆる絶大な権力を駆使して、ぜひとも、特殊法人改革のための情報については、法律の施行日前であっても前倒しをして、情報公開法の趣旨を徹底させ、特殊法人の改革を実行すべきと考えておりますが、大臣の明確なお答えをいただきたいと思います。

片山国務大臣 これは法律を間もなく通していただけるものと期待いたしておりますけれども、一応法律が通りましたら、公布後一年以内に政令で決めよう、こう思っておりまして、今、委員の御趣旨もありますので、法律が通りましたらできるだけ早い時期を考えたいと思いますが、ちょっと四月は無理かもしれませんね。対象になるところの各省庁及び各機関に準備をしていただかなきゃいけませんし、その辺の調整をこれから、今やっておりますけれども、それが四月までは私は無理ではなかろうかと思いますけれども、できるだけ早く実際動くように考えたい、こういうふうに思っております。

 しかし、その間どうするのだ、こういうお話がありましたので、私は、八月に閣議で、法律は今こういう状況だけれども、この対象になる機関につきましては、この法律の成立を待つことなく、インターネットの活用を含めてディスクロージャーをやってほしい、こういうことを要請いたしました。特にそれについては各閣僚、異議はございませんでしたので、御協力いただけるものと考えております。

横光委員 私は、非常にいい発言だと思います。あとは各省庁がその重みを受けて実行していただきたい。法律は確かに成立しても、施行されていないわけですから、効力は発揮できませんね。でも、この国会の中で成立したという重み、これは非常に、開示していくための根拠の一つになり得る、私はこのように考えておりますので、その上に大臣の今のような発言でございますので、ぜひとも施行前にも積極的に国民の前に開示していただきたい、このように思うわけでございます。

 次に、今回の法案、これは行政機関情報公開法に準拠しつつも、その目的において説明する責務、これは行政機関の法案にも、今回の法案にも両方ございます。しかし、国民の的確な理解と批判のもとにある公正で民主的な行政に資するというところが、親法にはあるのですが、今回の法案には、この公正で民主的な行政の推進に資するという目的項目がなくなっているのですが、これはどのような理由でしょうか。

坂野政府参考人 行政機関の情報公開法の立案に際しましては、我が国にとって初めての画期的な制度をつくるという立法趣旨から、法の趣旨や意義、目的を条文上も詳細に表現することが適当であるという考え方から、ただいま御指摘のような文言も目的規定に入れておるということでございます。

 他方、この法案は、今申し上げた行政機関情報公開法を受けて整備するものでございまして、公正で民主的な行政の推進に資することは、国民に対する説明責任を全うする情報公開制度の性格からして当然の帰結であるということでございまして、改めて規定する必要はないと考えたわけでございます。

 公正で民主的な行政の推進といった普遍的な目的は、他の行政法規においても広く該当するものでございますが、必ずしも各行政法規、その目的規定にこれが置かれるということにはなっていないというわけでございます。

横光委員 独法、特殊法人、認可法人が政府の一部を構成するから公開の責務があるということになっていますよね。であるならば、当然のごとく、この公正で民主的な行政の推進に資するということにつながるわけですから、今これはもう当然のことだから書かなかったと言っておりますが、当然のことだから書いたっていいわけです。前の責務があるのなら、こういった公正で民主的な行政の推進に資するということは当然であるから、今もう書かなかったという説明ですが、当然であるなら書いていたって同じことですから、余計重要な意味が私はあると思うのですね。そこのところをどうかもう一回、私は、非常にこれは問題だなという気がするのです。

 それから、対象法人の判断基準、これまで各委員が質問いたしましたが、いわゆる理事長等の任命、大臣が理事長等を任命する、あるいは法人への政府の出資金、こういうことが判断基準になっているわけですが、この基準は、私は形式的過ぎるのではないかと思うのですね、実態を見ていないのではないかという気がするのですね。

 この基準に該当しなくても、非能率的な経営をしているところ、あるいは天下り等の問題が生じておりますし、実質的に政府の諸活動の一部を担っているのかどうか、そこが私は重要だと思うのですね。ですから、事業内容あるいは国による監督の状況、また事務委託、補助金、貸付金、債務保証、税制支援、こういったことまで含む実態上の基準を用いるべきだという気がいたしておりますが、このことに対してはどういうお考えでしょうか。

遠藤(和)副大臣 政府の一部を構成する法人であるかどうかという一般的基準といたしまして、任命とかあるいは出資ということを挙げたわけでございますけれども、一方、この一般的基準によらないで、実態的な側面を重視してこれを考えたというところもございます。

 例えば、先ほども議論がありましたが、公営競技関係法人ですね。これは、刑法上の違法性を阻却されているわけでございますから、特典が与えられているわけですから、これを対象とする。あるいは、特殊会社は原則対象としないけれども、関空の、特に建設部分は対象とする。あるいは、共済組合は対象としない。それから、NHKも対象としないけれども、日本銀行は対象とする、こういうふうに実態に即して判断したところもございます。

横光委員 いや、そういった部分も確かにありますが、まだまだ実態に即してやっていないところもあるという思いで今質問したわけでございます。

 これまた多くの委員が質問いたしましたが、NHKは今回、今お話がございましたように、対象外でございます。これは、政府の諸活動としての放送を行わせるために設立された法人ではないということで対象外となっているわけでございます。しかし、受信料を広く国民から徴収していることから、今回の立法措置に先駆けて、NHK内部で情報公開制度を整備したと聞き及んでおります。総務省として、NHKの情報公開制度のあり方について、指導監督できるのか、あるいはこの情報公開制度のあり方についてどのように評価しているのか、お聞かせいただきたいと思います。

高原政府参考人 今、先生がおっしゃいましたように、NHKにつきましては、政府の諸活動としての放送を行わせるために設立された法人ではないということで、今回の独立行政法人等情報公開法の対象外となっているところでございます。しかし、NHKは、NHK情報公開規程というのを自分で定めまして、既に本年七月一日から情報公開を行っているところでございます。これに関しましては、総務省といたしまして、NHKも指導しながら、この情報公開規程をつくっていただいたということでございます。

 この内容でございますが、例えば対象文書ということでございまして、こういうのを見ますと、原則として役職員が業務上共用するものとして保有する文書といったようなものが対象文書になっています。

 また、不開示情報といたしましては、特定の個人を識別できるもの、あるいは他の法人等に関する情報で権利等を害するおそれのあるものなどが列挙されているところでございます。

 また、請求できる者としてはNHKの視聴者というふうになっておりまして、実質上何人も請求できるという扱いになっております。

 また、救済手段といたしましては、第三者機関が設置されておりまして、こういうことから、実質的に今回の独立行政法人等情報公開法案とほぼ同一の内容が確保されているというふうに理解をいたしております。

 先ほど申し上げましたように、七月に開始されたばかりでございますので、我々といたしましては、その円滑な実施あるいは定着ということを期待しておるというところでございます。

横光委員 今、本法案とほぼ実質的には同じぐらいの制度になっているということでございますし、それならば非常に結構ですが、本当にNHKの制度は、この対象外でありますが、本法案と実質的には同様のものにするべく、努力していただきたいと思っております。

 今回の附則において、親法の附則において、政府は、施行後四年を目途に法律の施行状況及び情報公開訴訟の管轄のあり方に検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずると。いわゆる裁判所の箇所の問題ですが、これが今回の法案には、政府は、行政機関情報公開法の検討状況を踏まえて検討を加えるとしている。つまり、これは四年後の後に検討するというふうに見えるわけですが、法の目的は同じなんですから、行政機関情報、親法の結果を見てから検討を行うのではなく、同時並行して検討を加えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

坂野政府参考人 提案しております法案が成立をした上での見直しにつきましては、御指摘の趣旨も踏まえまして、行政機関情報公開法の見直しと一体的に行ってまいりたいと考えております。

横光委員 どうもありがとうございます。

 もう一つお聞きします。手数料の件ですが、核燃料サイクル機構、これは、まだこの法案ができていないのですが、いろいろな不祥事のため、みずから情報公開に取り組んでいるわけですが、この核燃料サイクル機構の手数料が非常に高いと言われているのですね。

 今回は手数料は各法人が定めることとされておりますが、各法人が円滑に定めることができるように、総務省がやはり国の手数料等を参考にするなどしてアドバイスすべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

坂野政府参考人 御指摘のとおり、この法案では各法人が手数料を定めることにいたしておりますが、この手数料を各法人が定めるに当たっては、私どもといたしましては、各行政機関の情報公開法の施行に当たって手数料を定めたその考え方等、必要な情報を各法人に適切に提供いたしまして、手数料の額がこの制度に照らし適切なものとなるように指導もしてまいりたいと考えております。

横光委員 最後に、この特殊法人改革につきましては、平成七年、村山内閣において、当時の政府・与党が一体となって特殊法人の見直しに取り組んだわけでございます。その結果、すべての法人事業の合理化、効率化を実施するとともに、十六の法人を八法人に、そして五法人については廃止、民営化を行ったことがきっかけである、つまり、今日の改革の第一歩であると思っているわけでございますが、片山総務大臣のそのことについての感想を伺って、質問を終わりたいと思います。

片山国務大臣 今、横光委員が言われましたように、村山内閣における特殊法人改革は、私は成果を上げたと思っております。ずっとやってきておりますけれども、なかなか難しいのです。あのとき、十六が八になりましたり、財務諸表の大幅なディスクロージャーとか、私は相当進んだと思っておりまして、今回の特殊法人等改革はその路線に沿うものでございまして、さらにできるだけ大きな成果を上げるように、私も努力いたしたいと思っております。

横光委員 終わります。

御法川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、平林鴻三君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。若松謙維君。

若松委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六会派、全会派を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、行政事務を行政機関から委任を受けて実施している、いわゆる指定法人等の情報公開の制度化について、情報公開が政府の諸活動についての国民に対する説明責任の確保であることにかんがみ、行政機関情報公開制度等の運用の実態等を踏まえつつ、検討を進めること。

以上であります。

 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。

御法川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本年八月八日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律について所要の改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。

 法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、十二月期における期末手当及び期末特別手当の支給割合をそれぞれ〇・〇五月分引き下げることといたしております。

 第二に、当分の間、民間における賃金との権衡を考慮して講ずる特例措置として、各年度の三月一日に在職する指定職職員以外の職員に対し、原則として三千七百五十六円の特例一時金を支給すること等といたしております。

 以上のほか、施行期日、適用日その他この法律の施行に関し必要な措置を規定することといたしております。

 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定にあわせて、所要の改正を行おうとするものであります。

 法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 秘書官について、当分の間、一般職の職員の例により、特例一時金を支給することといたしております。

 以上のほか、施行期日及び適用日について規定することといたしております。

 以上がこれらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

御法川委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案及び地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案及び地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、人事院の国会及び内閣に対する平成十三年八月八日付の意見の申し出等にかんがみ、職員がみずから育児または介護を行う場合における育児休業、介護休暇等の制度を拡充するものであります。

 この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、一般職の国家公務員及び防衛庁の職員について、育児休業等の対象となる子の年齢を、現行では一歳未満とされているものを三才未満に引き上げるとともに、育児休業をした職員の業務を処理するため、臨時的任用のほか、任期つき採用を行うことができるよう措置することとしております。

 第二に、一般職の国家公務員について、介護休暇の期間を、現行では連続する三月の期間内とされているものを連続する六月の期間内に延長することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、平成十四年四月一日から施行することとしております。

 引き続きまして、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、人事院の意見の申し出を踏まえ、国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正するための法律案を提出することとなりましたので、地方公務員についても、国家公務員の場合と同様、育児休業制度を拡充するものであります。

 この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 一般職の地方公務員について、育児休業等の対象となる子の年齢を、現行では一歳未満とされているものを三歳未満に引き上げるとともに、育児休業をした職員の業務を処理するため、臨時的任用のほか、任期付採用を行うことができるよう措置することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、平成十四年四月一日から施行することとしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 以上であります。

御法川委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会




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