衆議院

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第4号 平成13年11月6日(火曜日)

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平成十三年十一月六日(火曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 御法川英文君

   理事 荒井 広幸君 理事 川崎 二郎君

   理事 渡海紀三朗君 理事 平林 鴻三君

   理事 田並 胤明君 理事 松崎 公昭君

   理事 若松 謙維君 理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      河野 太郎君    左藤  章君

      佐田玄一郎君    坂井 隆憲君

      坂本 剛二君    新藤 義孝君

      滝   実君    谷  洋一君

      野中 広務君    平井 卓也君

      宮路 和明君    山本 公一君

     吉田六左エ門君    荒井  聰君

      伊藤 忠治君    大出  彰君

      金子善次郎君    玄葉光一郎君

      武正 公一君    中沢 健次君

      中村 哲治君    山村  健君

      高木 陽介君    山名 靖英君

      佐藤 公治君    春名 直章君

      矢島 恒夫君    植田 至紀君

      重野 安正君    横光 克彦君

      中田  宏君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      中島 忠能君

   会計検査院事務総局第五局

   長            円谷 智彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官

    兼行政改革推進事務局

    長)          西村 正紀君

   政府参考人

   (人事院事務総局総務局総

   括審議官)        吉藤 正道君

   政府参考人

   (人事院事務総局勤務条件

   局長)          大村 厚至君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 大坪 正彦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員

   部長)          板倉 敏和君

   政府参考人

   (総務省郵政企画管理局長

   )            松井  浩君

   政府参考人

   (郵政事業庁長官)    足立盛二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   松田 広光君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事

   官)           金子 順一君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  坂井 隆憲君     坂本 剛二君

  横光 克彦君     植田 至紀君

同日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     坂井 隆憲君

  植田 至紀君     横光 克彦君

    ―――――――――――――

十一月二日

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

同日

 元日赤救護看護婦に対する慰労給付金増額に関する請願(鎌田さゆり君紹介)(第一七三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三九号)

 同(石井郁子君紹介)(第二四〇号)

 同(小沢和秋君紹介)(第二四一号)

 同(大幡基夫君紹介)(第二四二号)

 同(大森猛君紹介)(第二四三号)

 同(木島日出夫君紹介)(第二四四号)

 同(児玉健次君紹介)(第二四五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四八号)

 同(瀬古由起子君紹介)(第二四九号)

 同(中林よし子君紹介)(第二五〇号)

 同(春名直章君紹介)(第二五一号)

 同(藤木洋子君紹介)(第二五二号)

 同(松本善明君紹介)(第二五三号)

 同(矢島恒夫君紹介)(第二五四号)

 同(山口富男君紹介)(第二五五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五六号)

 同(金田誠一君紹介)(第二六八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)




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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官兼行政改革推進事務局長西村正紀君、人事院事務総局総務局総括審議官吉藤正道君、人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、総務省人事・恩給局長大坪正彦君、総務省自治行政局公務員部長板倉敏和君、総務省郵政企画管理局長松井浩君、郵政事業庁長官足立盛二郎君、外務省大臣官房長小町恭士君、財務省理財局次長松田広光君及び厚生労働省大臣官房参事官金子順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。おはようございます。

 九月の二十五日でしたか、閉会中の審査で、人事院勧告について私は質問をさせていただきまして、完全実施を要求いたしまして、閣議決定により速やかに法案を提出していただきたいと御要請をいたしましたところ、今回給与法案が出ておりますので、もちろん大賛成でございます、そして速やかに採決をし、かくのごとく執行していただきたい、そういう考え方を持っておりまして、きょうは、人事院制度の根幹でもございます公務員制度改革について、それに絞りまして質問をさせていただきたいと思います。

 さて、内閣官房の行革推進事務局において、本年三月に公務員制度改革の大枠が取りまとめられ、さらに六月には公務員制度改革の基本設計が決定され、現在、本年十二月の公務員制度改革の大綱の策定に向けて政府内で検討が進められているということでありますが、公務員制度改革の問題は、公務員のみならず国民にとっても大きな影響を持つ事柄でございますし、また、今後、国会においてこのことについて真剣に討議をしていかなければならない問題だと思っております。そこで今回は、この問題に関しまして、現在の検討状況を中心に行革推進事務局に御質問をいたします。よろしくお願いいたします。

 まず一問目でございますが、既に十一月に入り、大綱策定まであと一カ月を残すところとなった現在、大綱策定までの期間を考えますと、相当詰めた議論が行われていて、対立点といいますか論点といいますか、そういう絞り込みも明確になっているのではないかと思います。関係省庁を初めとする各省庁やいわゆる職員団体との意見交換はどのように調整し、まとめていくのか、この点について行革推進事務局にお伺いいたします。

西村政府参考人 お答えいたします。

 公務員制度改革につきましては、国民の視点に立った行政の実現ということと、それから、公務員が使命感と誇りを持って国民のために働くという制度を確立したい、そういうことを目指して今検討しているところでございます。

 今お話がございましたように、六月の基本設計に基づきまして、十二月を目途に公務員制度改革大綱という形のものを策定すべく作業を行っておるところでございます。もちろん、関係省庁とも十分協議をしておりますし、また職員団体とも誠実に話し合いを行ってきておるところでございます。既にこの間、大臣レベルでも七回、事務レベルではもう数十回にわたる組合との話し合いもやってきておりまして、これからも各省庁また職員団体を初め幅広く関係者と意見交換を行いまして、十二月の大綱策定に向けて努力をしていきたいと考えております。

大出委員 ただいま職員団体とも意見交換をしておるということでございますが、実は、本年六月のILO総会で日本政府は、基本設計は使用者としての政府の案であり、制度の具体的な内容を決定するものではなく、具体的内容の決定については、基本設計提示後も職員団体を初めとする関係者と誠実に交渉、協議するという旨明言しております。

 ところが、来月には政府において大綱が決定されるという差し迫った状況にもかかわらず、依然として職員団体との実質的な協議が進展していないということでありまして、この十月には職員団体から、連合官公部門連絡会の再三の要求にもかかわらず、依然として日本政府は交渉、協議に応じていないとして、再びILOに実情を報告したと実は伺っております。どうも今のと違うのではないかと思いまして、この点、早急に個別項目について職員団体との具体的な交渉に応ずるように、強く強く申し入れたいと思います。

 次に参ります。労働基本権問題についてお尋ねいたします。

 一部報道によりますと、十月二十六日の自民党行革推進本部と政府の行政改革推進事務局の会合の場で、公務員に労働基本権を付与しないとの方針で一致したという報道がございまして、これは事実でございましょうか。

西村政府参考人 お答えいたします。

 今、議員御指摘の報道につきましては、そのような事実があるとは聞いておりません。

 いずれにいたしましても、人事院制度につきましては、内閣、各府省の人事管理体制の確立ということを検討しておりますが、それとの関連で、人事院制度の見直しを行っていく必要があると考えております。

 また、基本権の制約のあり方につきましても、今、給与制度を初めとする勤務条件の制度の具体化に向けて検討しておるところでございまして、そういうことの中で基本権制約のあり方も検討していくべきものと考えております。

大出委員 そういう事実はないと。某新聞に書いてあったわけでございますが、そういうことはないということですね。そうだとすると、労働基本権を付与しないと決まったわけではございませんので、十二月までに公務員に労働基本権を付与することもあるというわけでございますね。

 実は、今大変、労働基本権の回復ということで、きのうも公務員労働者が五千人も国会の請願に来ていたところでございまして、私は、この際、ぜひ労働基本権を回復といいますか、付与することを決めていただきたいと実は要望いたしたいと思います。

 長い歴史的な議論になって、この場だけで簡単に議論を尽くせないわけでございますし、また時間もありません。もともとこの公務員制度改革が唱えられた初めのころには、新聞報道等で、後でもこういう話をしますけれども、労働基本権付与という形で新聞報道されたわけですね。やはり長い歴史的な経過がございますので、ああ、いよいよ、やっと公務員にも労働基本権を付与するのかなと期待したわけですね。その期待が高まっている中での公務員制度改革でございます。だから、私はぜひそれをお願いしたいと思います。

 もともと憲法二十八条の権利に公務員も民間も書いてございませんし、団結する権利並びに団体交渉その他の団体行動権を認めているわけでございますので、権利と書いてある以上は原則認める、認めて、そしてそれを制約するかどうかというのは後からついてくる話でございますので、認めるべきだと思っております。イギリスやフランスでも三権を認めております。ただ、イギリスの場合には三権とも認めていますが、フランスは協約締結権はないということでございますが、認めていくべきではないかと思います。

 さらには、国鉄が民営化されたり、専売公社が民営化されたとすると、即ストライキ権を認めているわけですので、その辺の垣根はないことでありますので、この期に及んで、やはり認めるのが筋ではないかと強く御要望をしたいと思います。

 それでは、三つ目の質問に参ります。

 労働基本権制約のあり方というのは、先ほど言ったように憲法二十八条の問題でもございますが、国家の基本的な枠組みにかかわる問題であるとともに、公務員制度全体のあり方を左右する重要な問題でございます。また、国民生活にも影響が及ぶ問題でもございます。したがって、国民的視野に立って、開かれた場で真正面から議論すべきだと思いますが、行政推進事務局のお考えをお聞かせください。

西村政府参考人 お答えいたします。

 労働基本権の問題は、先ほども申しましたように、給与制度を初めとする勤務条件に関する制度を具体的にどのようにしていくかということが明らかになった段階で、基本権制約のあり方も検討していく必要があるものと考えております。

 検討に当たりましては、今お話がありましたように、非常に重要な問題でございますので、職員団体を初め各方面との意見交換を含めて、幅広い議論を行っていく必要があると考えております。

大出委員 ぜひこの問題、本当は十二月まで時間がないわけなんですが、長年にわたる議論があったことでもございますし、本当に国の根幹を変えてしまうかもしれないような、あるいは民間のみならず、公務員の皆さんの活力にもかかわってくる問題ですので、やはりこれは国民的な議論をして、しかるべく決めていくべきではないかと実は思っております。

 次に質問させていただきます。

 基本設計を読ませていただきまして、私は大変危ないなという気がいたしました。というのは、先ほども申し上げたように、公務員制度改革と言われ始めたころには、新聞報道等で、公務員に労働基本権を付与するんだ、こうあったわけですね。ところが、基本設計では、給与等の勤務条件についての人事院の役割を減らして、各大臣の給与決定権限を強くするというような考え方のように見えるわけなんです。

 そうなりますと、さっきの新聞報道で基本権は付与しないというのは違うんだとおっしゃるんですが、仮に労働基本権を回復しない場合が基本設計の中であった場合、労働基本権は回復しないのに、基本権制約の代償機関である人事院の役割は減らされてしまいまして、職員の重要な勤務条件である給与を使用者が一方的に決めるということが起こってしまうわけですね。

 そうすると、これはやはり最高裁の判決、つまりは全農林警職法事件で構いませんが、その判決に照らしても、憲法に反するのではないかと実は危惧をするんです。労働基本権をもし回復しないのであれば、これまでどおり、やはり労働基本権制約の代償機関であるところの人事院が勤務条件に関する基準の設定を行うということにしなければ、憲法の関係でも問題が生ずることになると思うんです。

 私は、基本的には労働基本権を回復すべきだと思っていますが、この点について行革推進事務局のお考えをお伺いしたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 今回の公務員制度改革の基本設計の考え方は、各府省が主体的に組織、人事制度の設計、運用を行っていく、また内閣が責任を持って国家公務員制度の企画立案機能を発揮していくべきだということが基本にあるわけでございます。しかし、現在の人事院が、職員の救済機能とか労働基本権制約の代償機能というさまざまな機能を担っているということも事実であり、また、こういうことを十分認識をしております。

 したがいまして、これから具体的な勤務条件に関する制度の検討を進めていく中で、今の人事院の機能も十分踏まえまして、人事院の組織、役割の見直しを検討していく必要があると考えております。

大出委員 労働基本権の付与ということがやはり重要だと思っておりまして、どうも、マスコミ報道を通じてアドバルーンだけは上がっているんですが、アブハチ取らずといいますか、改革し終わってみたら、今の人事院勧告制度といいますか人事院制度よりも、いわゆる公務員労働者の権利が弱くなっているといいますか、少なくなっていることになったのでは、この五十何年間の日本の政治あるいは憲法政治といいますか、意味をなさないといいますか悪くなってくることになるので、やはりそこのところは十分考えていただきたいと申し上げたいと思います。

 私も再三申し上げていますが、ぜひ労働基本権を回復するという視点で物を考えていただきたいと御要請をいたしておきます。

 次に参ります。

 基本設計では、1種試験について合格者を大幅に増加させるということを実は言っております。ただ、私は、それをやりますと、情実任用といいますか縁故採用といいますか、そういったものがふえるのではないかという危惧をしていまして、そういうような改革であるならば、しない方がいいだろうと思っています。

 また、1種の合格者を大幅に増加させますと、1種試験と2種試験を重複して受けまして、残念ながら1種に落ちたけれども、2種の方に採用されるということが起こるわけですね。そうすると、今まで以上に、1種は合格したんだけれども採用されないで2種だという人がふえてくるわけで、1種と2種の昇進等の差をつける合理性が問われてくるのではないかと実は思っております。そうだとしますと、むしろ、1種、2種という試験区分の廃止に向かうのが筋ではないかと思うのですが、この点について、行革推進事務局のお考えをお伺いしたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 まず、1種試験で筆記試験段階の合格者が大幅増加ということでございます。

 これは、各省業務の実態に即して本当に必要な人材を確保するという観点から、やはり人物本位で採用ができるようにという観点から、筆記試験段階の合格者の増加ということを基本設計で言っておるわけでございます。しかし、当然、公開平等、成績主義の原則ということも十分配慮する必要があるということも基本設計で言っておりまして、情実採用につながるようなことはないと考えておりますし、そういうことがあってはいけないと思っております。

 それから、1種合格者での2種がふえるということが問題ではないかということでございますが、1種試験の合格者で2種に採用されるという人もあるのかもわかりませんが、直ちに1種合格者をふやしたからそういう人がふえるということでもない。また、現実に各省で今でも重複合格者がいるということは承知しておりますけれども、それは各省でその人の資質や能力を勘案して採用されているんだろうと思います。

 それから、採用制度につきましては、採用は、1種、2種等今の制度で当面はやっていく必要があるけれども、その後の昇進等については、そういうことにとらわれないようなやり方でやるべきだということも基本設計で言っておるところでございます。

大出委員 わかりました。

 時間がもうありませんので、最後に天下りについて、この前も質問いたしましたが、きょうは質問ではなく意見を述べさせていただきます。

 幹部公務員を中心とした天下りの問題に対し、国民の関心は大変強く、三月の大枠で、大臣の直接承認制を導入し、人事院の事前承認制度を廃止するとの方向性が示されて以来、マスコミからの批判が高まり、六月の基本設計後、一段と批判の声が高まっていることは御承知のとおりだと思います。天下り問題に関する国民の批判は、単に民間企業への再就職だけでなく、特殊法人や認可法人、公益法人への再就職やそれら特殊法人等における高額の報酬や退職金に及んでおります。

 民主党は、ほかの野党と共同いたしまして、特殊法人等への天下りも対象とする天下り禁止法案や特殊法人等の役員の報酬、退職金の見直し法案を前国会に提出いたしました。そして、天下り問題に厳しく対処しようとしております。この法案につきまして、マスコミや有識者から高く評価されているところでございます。この点について、政府においても十分重く受けとめていただくよう申し入れをさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

御法川委員長 次に、松崎公昭君。

松崎委員 おはようございます。

 本日は、公務員の給与問題の法案の審議でございますが、給与面から、待遇面から公務員をサポートしていく、それはそれで大変有意義なことでありますが、残念ながら、今回取り上げさせていただく問題は、いわゆる公務員の、国民に対してやはり全体の奉仕者である、そういう基本的な視点からもう一度この公務員制度を見直さなければならない。そのうちで特に、今委員会の総務省、総務省は特に人事管理を担っております旧総務庁もあるわけでありますし、そしてまた、総務省、今回のたくさんの、特に郵政関係の問題点があるわけでありますから、この辺をしっかりと姿勢を正していく。これが公務員の、制度面から今検討しておりますが、信頼という点で、我々はしっかりとチェックをし、特に今回、郵政庁関係でありますが、やはり公社化に移行をしようとしている。ですから、この際、さまざまなうみといいましょうか問題点をしっかりと断ち切って、清算をして新しい形に、公社化に向かうべきである。そんな観点から本日は、DM事件もございますし、それから、さまざまな郵政事業庁を中心とした問題点、高祖問題もしかりであります、その辺を少し広げて質問をさせていただきたい、そんなふうに思っております。

 最初に、前回も扱いましたが、関西の近畿郵政局を中心とした高祖違反問題に関連して御質問をさせていただきたいと思っております。

 この選挙違反の問題でありますが、これは相当の部分で服務違反、そういう関連があるのではないかと思っております。今回の摘発というのは、公選法を中心として摘発されておりますが、実際を見ますと、例えば、国家公務員法の九十六条、九十九条、百一条、百二条、それぞれ、服務規程でありますとか信用失墜あるいは職務に専念する義務だとか政治的行為の禁止でありますとか、こういう部分にかなり抵触をするということを、今までの報道やら、私の前回の質問でも明らかにしたわけであります。

 この辺の問題で、今回の処分は公選法違反の関連の処分だというふうには聞いておりますが、そのほかにも、今回の高祖さんを中心とした、この十六名の逮捕者を中心とした、選挙違反事件にかかわる、公務員として時間内に選挙運動をやっておりましたり、あるいは庁舎の中からいろいろな指令を出してみたり、非常に服務規程に関連する部分がある。その辺に関して、長官はお考えになったことがあったのかどうか。公選法違反だけの処分を中心に行ったのかどうかをお尋ねいたします。

足立政府参考人 さきの選挙違反関係の処分につきましては、国家公務員法の八十二条第一項によりまして、関係職員に事情を聴取いたしまして処分を行ったところでございます。具体的に八十二条の第一項一号では、法律等に違反した場合というのがございますが、今回の処分につきましては、これらに該当するものといたしまして、信用失墜行為の禁止、法令に従う義務あるいは職務に専念する義務に違反する行為があったとして問責を行ったところでありまして、いわゆる百二条、政治的行為の禁止ということは含めておりません。

松崎委員 百二条の件は、浅尾質問で随分大臣とも参議院でやっておりました。非常に公選法違反だからということでした。しかし私は、今おっしゃった八十二条の関連と九十六、九十九、こういうことでいけば、人事院の方からも指針が出ておると思うんですよ。それでいきますと、もっときつくなる。

 つまり、なぜかといいますと、この中に、十日以上の、選挙が終わってから逃げていたり、そういうことが四人、六人ぐらいですか、あるんですね。これは無断欠勤みたいなものなんですよ。これは、捜したけれども、ちょっとどこへ行ったかわからない。一応一人は有給休暇を出したとか言っておりますけれども、かなりの方々がメルパルクへ逃げ込んだり、いろいろなことをしているんですけれども、十二日間欠勤、十六日間欠勤、二十日間欠勤、こういうのがあるんですね。

 こういう問題からしますと、この中で訓告の方が多いんですね。ですから、これはこの人事院の懲罰の標準でいきますと、十日以内でも休みますと減給か戒告。それから、十一日から二十日以内になりますと、停職、減給になっているんですね。

 こういうので、今の八十二条に当てはめて国家公務員法の問題でやったとしたら、本来もっと重くなるはずですね。これはいかがでしょうか。

足立政府参考人 お答え申し上げます。

 一部の報道で、そういった雲隠れをしたといったような報道がなされたということは承知しておりますけれども、そのようなことが具体的に事実関係としてあったかということにつきましては、承知しておりません。

 なお、今般の近畿郵政局管内の公職選挙法違反に係る問題につきましては、郵政局といたしましても、警察、検察の捜査には、職員が参考人として事情聴取を受ける際の日程調整、そういったことなども含めまして、できるだけの協力はしてきたということでございます。

松崎委員 詳しく、この方々の出勤状況というのをまだいただいておりませんからあれですけれども、新聞報道云々といいましても、大体、実際に逃げ隠れして何日間もたってから逮捕されたことは事実なんですね。選挙違反をやりますと、この前も言いましたように、私どもはその辺のプロですから、必ず逃げ回るんですね。それで、ちゃんと中央から指示を出しながらやるんですよ。それで、何日間か、実際に二十日間も休んでいる人も、小山さんなんか、いるんですよね。

 だから、これを実際に認定すれば、今言ったようなことは甘過ぎるということが出てくるわけですから、これはまた後ほどしっかりやっていただかなければならないと思っております。

 人事院の方、こういうことはどうなんでしょうか。今、公選法違反以外にも服務規律違反があったというふうに認定しているわけですけれども、この辺の処分内容を、重いんだか軽いんだか、あるいは政府ではチェックするところはないんですか、人事院としては。規則をつくるだけなんですか。

中島政府特別補佐人 現在の国家公務員法上は、郵政事業、いわゆる国営企業ですが、国営企業に従事する職員につきましては、人事院の調査権とか懲戒権というのが適用されないようになっておりますので、私たちの方でそういうことについて調査するとか、あるいはまた、懲戒について相談に法律上あずかる、そういうような建前になっておりませんので、今お尋ねの件については、私たちはこういう場でしっかりお答えすることができないと思います。

松崎委員 今、私がお尋ねしたのは、各省でやりますね、この前外務省も財務省もやりました。そういうことに対して、政府のどこかの機関で、それが本当に重いのか、正しい処分だったかどうかという判断をする場所はないのかということで、この件じゃなくて一般論で結構ですから。

中島政府特別補佐人 各任命権者の方でおやりになるということ以外には、現在の国家公務員法上の体系ではございません。

松崎委員 今回の高祖事件のような選挙違反関係で処分が、今までに日本の省庁の中で国家公務員が選挙違反に絡んでこういう大きな事件になったという具体例はございますか。人事院で御存じの範囲で結構です。

中島政府特別補佐人 選挙違反に限らず、懲戒処分をするときには処分理由説明書というのを本人に交付することになっております。処分理由説明書が本人に交付されますと、その写しが我々の方に届け出られますけれども、私たちの方では、その保存権というのがございまして、それを見る限りにおいてはございません。例はございません。

 ただ、長い間こういう仕事をしておりますと、時々そういう話を聞きます。したがって、相当昔だと思いますけれども、幾つかの例はあったというふうに思います。ただ、それがどういうような件で、どういうような懲戒処分であったかということははっきり記憶いたしておりませんけれども、おぼろげに申し上げますと、たしか選挙違反関係では減給と戒告ということではなかったかというふうに思います。

松崎委員 ありがとうございます。

 大臣、足立長官なんですが、この前の質問でも、第四事業は一応は知っておられたようですね。この人事院の規定でいきますと、先ほどは多分現業の問題だったと思うんですね、現業。長官とか局長というのはそうじゃありませんよね。

 そうなりますと、この人事院の規定でいきますと、非行の隠ぺい、黙認、これは多分、足立長官に関しても、DM事件も含めますと、そうなるんですけれども、今回の大きな、局長が逮捕されるという前代未聞の大きな事件であります。これを知らないわけはないんでありまして、非行の隠ぺい、黙認、こんなことになるんではないかと私は思いますけれども、これでいきますと、免職になっちゃうんですよね、この規定でいくと。大臣、いかがでしょうか。

片山国務大臣 処分につきましては、もう松崎委員の御承知のとおりですが、検察の方が、司法当局、刑事処分の判断をしましたね。ただ、二人についてはこれから公判ですから、そういう二人を除きまして、これは起訴休職にいたしまして、残りについては、国家公務員法に基づく行政処分を行ったわけでありますね。

 そこで、今の人事院の標準例ですけれども、今言われましたように、これには指導監督不適正というのと非行の隠ぺい、黙認、こういうのがありますが、この非行の隠ぺい、黙認じゃないかと、長官や局長が。局長は当事者ですけれども、長官の場合には、この非行の隠ぺい、黙認というのは、部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、または黙認した職員、こういうことになるわけで、これは私は、長官は当たらないと思います。

 そこで、我々は指導監督不適正という判断で処分いたしたわけでありますが、この場合の職員は減給または戒告なんですよ。減給の方が重いんですよ、減給または戒告。そこで、減給をどうするかということをいろいろ考えまして、ほかの省庁の例その他も考えまして、最終的には、御承知のように、減給十分の一、三カ月、こういう判断をいたしたわけでありまして、私としては、適正なものであった、こういうふうに考えております。

松崎委員 もう長官とか局長クラスになりますと、今、私はたまたま出しましたけれども、標準でやるのは職員さんでありまして、もっと重い責任が国民に対してあるんですね。それを監督する大臣にも、やはりそれはあるんですね。

 そうなりますと、この基準で云々当てはめてというのは、ちょっと私、言いましたけれども、本来そうじゃないと思うんですね。これだけの大きな信用失墜を起こした、先ほど、冒頭に言いましたように、総務省というのは、そういう点では、もちろん郵政事業を総括するし、国家公務員を指導する旧総務庁も入っているんだと。そしてまた、この選挙に関しても、総務大臣は直接責任を持っている、公選法等ですね。そういう立場で、ほかの省庁とは違うんだ。そこでこれだけ大量な局長が逮捕される。これはやはりこの基準だけではどうにもならぬ話ではないか、そんなふうに思いまして、まだまだ、これからいろいろ、時間があると思いますので、再考をお願いしたい。

 そしてまた、全庁的な、全省的な本格調査をしないというお話がありましたけれども、この前、渡し切りでは十二月末までやるというお話でしたけれども、私は、ここまで服務規程違反もたくさん出てきているとなると、後ほどまたDM事件もちょっと出しますけれども、これも大変ひどい事件でありまして、こういうものがたくさん重なっている、そういう点では、本当に、さっき言いましたように、郵政公社化になるんですから、今までのうみをしっかり出す、そのためにも調査をするんだ、その意思は、大臣、ございますか。

片山国務大臣 委員が言われますように、二年後には公社化するということが決まっておりますから、その前に体質を強化する、特に経営体質を強化するということで、今全力を挙げて経営の刷新に取り組んでおりますけれども、同じように、今回こういう事件を起こしましたので、服務規律の方の徹底も期してまいりたい。そういう意味で、郵政監察局に特別査察を服務規律についてもやってもらおう、こういうふうに考えておりまして、再発防止と綱紀粛正には今後とも全力を挙げていきたい、いい形で公社に移行して、国民の信頼を取り返したい、こういうふうに思っております。その点はぜひ御理解を賜りたいと思います。

松崎委員 今、監察の話が出ました。

 私は、前回も扱ったDM事件、ちょっと調べてみましたら、大変な、組織上の問題、それから民営化の波もありますから、特にDM、いわゆる広告郵便物というのが競争が激しくて、そういう背景がたくさんあります。しかし、お話の監察が大分ひどいんじゃないんでしょうか。

 このDM事件というのは、びっくりしましたね、去年でも全国で四十億通、DMを年間扱っていらっしゃる。どういう事件かというと、簡単に言えば、東京でたくさんDM出しますから、そこで元請があって、そこからわざわざ関西まで持っていって、一晩で二十五台、トラックで持っていくんですね。十トントラックで五百万通運んで、向こうで下請がいまして、そこがまた特別な局へ持っていくわけですよ。そうすると、その特別な局には協力者というのがいまして、そこで持ち込んだものの一割ぐらいの確認をして、つまり、一割ぐらいのお金しか払わない、あるいは何分の一かのお金しか払わないでどんどん出していく。そこでピンはねが何カ所かで起こるんですね。ルートが二つあるそうです。エンデバー事件という、エンデバーという会社、それから郵和という事件。これは二通りある。両方で五十局ぐらいが、近畿郵政局だけでも関係していた、こういう事件なんです。

 それで、私がこの前ちょっとお話ししまして、平成十年の秋にエンデバー関係で摘発をした、これは確かに監察をやりました。でも、それ以上立件しないで、そして、警察かどこかわかりませんけれども、司法当局とも相談の上で立件を見送って、二十六人の処分にした。実は、このときずっと進行しているんです、この両方の事件が。エンデバーの、それぞれの局のかなりの方々が関係をし、わいろをもらい、一人大きいのは、大津中央局課長の伊藤さんというのは、収賄で四千万ですよ。関西で下請をやっている郵和の事件の社長は、五年で十億円も手にしている。OBも多数入っている。

 何でこんなことが起こったかというと、結局、さっき言った民間との競争もあるでしょう。あと、ノルマなんですね。各局に与えているノルマ、平成十二年のノルマが、全国で二兆一千億、近畿郵政局で三千六百八十二億円、これを各局に与えるわけですね。そうすると、やはり競争が激しいから、多少目先の数字に追われて、ほかの局に奪われちゃうんですって、ですから採算を度外視して、幹部も含めてでしょう、これだけ、百七十二人の処分を受けているわけですから、こういうことで、大変な汚職事件なんです。

 だから、問題は、このとき、十年の秋に一回調査して、姫路局なんかは十一人も課長と一緒に実行者が一応取り調べを受けているんですね。このときに甘くやったわけですよ。非常に甘かったわけですね。本部にも相談したけれども、これ以上表に出すとまずいからというので隠した。それで二十六人だけ処分をして、ところが、これは大がかりな事件でございますから、たくさんいるわけですね。だから、私は、この捜査をしたとき、わかっているはずだと思いますよ。

 だから、これが監察のやり方なんですね。内部でも言っています。監察というのは非常に甘い捜査だということを言っておりました。この点で、こういう問題を起こす、監察も含めて、関西のDM事件はこういうことだったんですね。

 ちょっと質問しますけれども、このとき、高祖さんが局長のときに、司法当局の判断もいただいて適切に処理した、最初の平成十年ですね、こういう答弁をされておりますけれども、これは警察なんでしょうか、司法当局と相談というのは。

足立政府参考人 お答え申し上げます。

 これは一般論としてでありますが、郵政監察が捜査をする場合は、事件の内容にもよりますけれども、検事と相談しつつ行っているところでありまして、犯罪容疑が認められた事案を認知した場合に、郵政監察がもみ消すということはできないということを申し上げたところでございます。

 なお、御質問の件でありますが、具体的な捜査内容については申し上げられませんが、当時、郵政監察は厳正に捜査を尽くしておりまして、結果として立件に至らなかったというもので、決してもみ消したということではございません。

松崎委員 いや、私は、きょうはもみ消しとは言っていませんよ、もみ消しとは言っておりません。要するに、非常に甘かったということですね。ただ、新聞報道だと、そのときに東京へ、本庁に行ってもみ消しらしい方策をしたんだ、議員さん対策だとか、そんなことが出たということをお話ししただけであります。要は、残念ながら、監察は非常に甘いということが現地でも言われております。

 さて、この問題で、やはり割引制度だとかノルマが非常に温床になっているというふうに言われております。非常に競争が激しくて、結局、多少目こぼししても、幹部の課長とか、かなりの人たちが一緒になって、ぐるでやっていたわけですから、五十万通持ってきても、それを一割でチェックして、あとは全部通過させてしまう。またもとへ、それが東京へ戻るんですって、これは私、全国的にやっているんじゃないかと。かなり全国的に、大なり小なりあるらしいんですね。

 そうなりますと、これもやはりきちっと調査をするべきだと思うのですけれども、DM事件のその後の調査というのはやられているのですか、全国的に。

足立政府参考人 近畿につきまして、こういったDM事件が発生いたしましたことの反省に立ちまして、全国的にこういったことを二度と起こしてはならないということで、対策をとったところでございます。

 具体的に申し上げますと、大量にトラックで郵便物を提出する場合につきまして、従来は料金を収納してから通数を検査するといったような手続にしておりましたけれども、今後は、必ず通数を検査した上、料金を収納するということを行うといったようなこと。また、従来は把束換算といいますか、いわゆる一束何通ということから全体を推計するということもやっておりましたけれども、今後は、いわゆる重量換算、計器に基づきまして正確な通数を把握するということにいたしております。

 このために、ある程度大きい局に提出してもらう必要があるということで、全国的にも約二百四十ぐらいの郵便局を指定いたしまして、こういう大量郵便物を引き受けるなどの措置をとったところであります。

 また、先生から御指摘がありましたとおり、営業に熱心になる余りといいますか、そういったことが過熱をしてこういった事件を起こす結果になったのではないかということであります。確かにそのような点もないとは言えないということで、このように郵便局同士が郵便物をとり合うといいますか、そして業績を競い合うというようなことは、こういう大量郵便物につきましては行わないようにやろうということで、これらにつきましても、この事件の反省にかんがみ、改めて全国に通達をし、指導を徹底しているところでございます。

松崎委員 今後のことはちゃんとやらなきゃいかぬと思います。私は、しつこく言うようですが、結局、第一回目のこのとき、実は、二十六人と百七十二人と、四人ダブっているんですね、処分が。これは四人ダブっているんですよ。ということは、やはり、これだけ大きな事件ですから、関西の近畿郵政局の中で大変な方々が、最悪でもこれは約二百人ぐらいですね、二百人ぐらいがかかわっていたということですね、処分された人だけでも。膨大な事件なんですよね。

 ですから、このときに、やはりきちっと、甘かったんじゃないかということを言ったと同時に、このとき足立さんも局長だったんですね、最初のころ。最初のこの事件が起こるころ、これはどちらの、エンデバーだか郵和だかわかりませんけれども、局長さんだったんですよね。ですから、私は、余り処分にこだわるのは嫌なんですけれども、こういう責任、今回百七十二人処分したんですけれども、ここは長官は入っていないと思うんですけれども、どうなんでしょうかね、自分が局長であったときにこういう事件を起こしていた、こういう責任感というのはないんでしょうか。

足立政府参考人 私が近畿郵政局長に在任期間中に、いわゆるこの事件が起こっていた。当時、私は承知していなかったものでありますけれども、今にして思えば、当時知らなかったとはいえ、私の在任中にこういうことが潜伏していたわけでありますので、その点は大変遺憾に思っておるところであります。

松崎委員 次に、またまた行ったり来たりして申しわけございませんが、渡し切り金の問題をもうちょっとやってみたいと思います。

 またまた出ましたね、東北郵政局が、この前、私は、七年で三億五千万と言ったんですが、二〇%の天引きというか、バックですね、いわゆる地域の局長さん、サービス向上対策費から出ているものですけれども、そのほかにまた一億一千万裏金をつくっていたと、この前、十一月二日に読売で書かれましたね。何でこんなに東北ばかり出てくるのか。約一千四百万円、年間、千八百四十六局で八年間で一億一千万。これは販売促進費から、特定局長会を通ってあっせんするわけですね、業者を。それで八%のバックマージンを局長会がとって、これを裏金にして、いろいろな、選挙を含めた会に使っていたんじゃないか、そういう報道であります。このことは御存じなんでしょうか。

足立政府参考人 報道のような事実につきましては、承知しておりません。

 販売促進物品の購入につきましては、強制されたということでなくて、個々の特定郵便局長がそれぞれ必要なものであるというふうに判断をして購入したものであれば、その限りでは問題はないと考えておりますが、現在、渡し切り費の調査を行っておりますので、問題となるような事例があるかどうかも含めて調査してまいりたいというふうに思います。

松崎委員 調査の項目が多くて大変だと思いますけれども、しっかりやっていただかないと。例えば、名古屋の方では七万円の自転車だと、ほかの議員さんが聞いてきました。郵政のその業者を通すと、郵便局で使う自転車は七万円なんですってね。今はせいぜい高くとも二万円とかそんなものですよね。だから、さっき言った八%のマージンというのは、こういうところで。聞いてみますと、事務費だとか、そういう細かい品物だから、ついつい、来れば頼んじゃうということで、これがマージンのもとになっているということでございます。

 問題は、こういう裏金が、確認はしておりませんけれども、きょうは東北の先生もいらっしゃいますね、自民党の有力な東北の先生方に、政治資金パーティーだとか地元事務所にも渡っていると、こんなことも言われておりますので、お気をつけいただきたい、そう思います。

 それから、同じ日に、関西でも、また新聞で申しわけないですね、毎日が、近畿の特定局長会でも渡し切り費の裏金を、やはり物品購入の水増しの領収書でつくっていると。これ以上言ってもしようがありませんけれども、全国的に、恒常的に行われているんだなということも、私は今ここで確認をするわけであります。

 この問題のサービス向上対策費というのは、いつごろからやられたんでしょうか。

足立政府参考人 昭和五十七年度以降、措置しているものでございます。

 このサービス向上対策費といいますのは、郵便局の所在地域の利用者の方々に対しまして、郵政事業のお知らせ活動の一環といたしまして、事業の現状あるいは事業に対する御理解を深めていただくといった説明会を開催する、また、意見をお聞きするなど、そういったことの目的のために流しているものでございます。

松崎委員 東北で特にこういう大きな問題になっているというのは、どうも、聞きますと、この向上対策費をつくった大物がお二人いらっしゃると。つい最近まで郵政局長だった方ですか、平さんだとか、それから、全特の副会長をやっていらした局長会の三浦会長さんだとか、この辺の方が大変熱心にこのサービス向上対策費をつくられたと。年間五千万を特に東北が、これは特に東北だとは私は思いません、ほとんど全国でやられているんではないかと。ですから、しっかり調査をと言っているわけであります。

 ブロックごとに全特へ上納金があるんじゃないかという話もありますけれども、これも、もちろん民間団体だから知りませんという答えですか。

足立政府参考人 今、本庁の首席監察官室から直接人を派遣し、また現地の監察局とも合同いたしまして、調査を進めているところでありますが、具体的には、渡し切り経費が適正に支給されているかどうかということを、まず私どもとしては見なければならないというふうに考えております。

 ただいま先生から御指摘がありました、特定局長会がどういう活動をしているかということは、直接私どもの調査する対象ではございませんが、関連がある範囲でそのようなことも含めて、視野に入れて調査をしたいというふうに思っております。

松崎委員 会計検査院さんにお聞きしますけれども、再三、これだけ話題になっておる渡し切り費なんですけれども、郵政省の方は認めておりませんけれども、随分たくさんの疑惑があるというふうに言われています。しかも、水増しの領収、領収書がそろっていると会計検査院は通しちゃうのかもしれませんけれども、これだけある疑惑を会計検査院としては取り組んで調査をされないんでしょうか。

円谷会計検査院当局者 お答えいたします。

 渡し切り費につきましては、一件当たりの支給額が比較的少額だったということ、あるいは郵政監察局におきまして毎年、内部監査を実施しておるという状況がございましたので、検査院といたしましては、重点的に今まで検査を実施してこなかったというのが実情でございます。

 しかし、この使途につきましてさまざまな報道がなされましたので、本年中の検査におきましては渡し切り費の運用の実態等を重点的に検査をいたしまして、その問題点等につきましては、現在、取りまとめをしているというところでございます。

 なお、今お話がございました東北特推連の問題につきましても、今事業庁と東北郵政監察局の方で調査をされているということでございますので、その調査結果を踏まえまして、本院としても検査の必要があるかどうかを検討したいというふうに考えております。

松崎委員 来年からこの渡し切りがなくなってしまうそうでありますが、やはり今までの公金をしっかりと調べる。それから次は、多分、公社化になるとどうなるんでしょうか、対象外になるかもしれませんけれども、どちらにしても、科目が変わってもしっかりと調査をしていただきたい。

 次に、郵政退職者東北連盟、これも新聞で出ましたね。これが二十年間無償で、郵政局の事務所をただで借りていた、これは事実でしょうか。

足立政府参考人 郵政退職者東北連盟に東北郵政局の庁舎の一部を無償で使用させていたというのは事実でございます。

 なお、この退職者連盟といいますのは、郵政事業の、例えば非常勤職員の確保とか繁忙時の業務応援、あるいはパソコン講習会の講師、それから職員が応募してまいります事業論文の審査、そういったことなど郵政事業に対して貢献する団体ということで、いわば庁舎管理の観点から、空きスペースの範囲で、事実上無償で使用をさせてきたところであります。

 しかしながら、御指摘を受けまして、最近のOB会の活動状況も見まして、今後、見直しの方向で検討したいというふうに思っております。

松崎委員 他の局ではどうなんでしょう。ないんでしょうか。

足立政府参考人 今回調べましたら、東北郵政局以外に東海郵政局及び九州郵政局において同種の事例がありました。したがいまして、先ほど申し上げましたような方向で、今後、見直してまいりたいというふうに考えております。

松崎委員 済みません。時間が来ましたけれども、最後に財務省さん、国有財産法違反だと思いますけれども、これは二十年前から今までですが、協議があったのか。それから、財務省としてはどういう見解か。今後、調査の必要があるのではないかと思いますが、まとめてお答えをいただきたいと思います。

松田政府参考人 お答えいたします。

 本件についての協議あるいは通知ということでございますが、協議、通知は受けておりません。

 それから今後でございますが、本件につきましては、事実関係を十分調査の上、法令に基づき適切に対処してまいりたいと考えております。

松崎委員 以上で終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。質疑の中で重複するところもありますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。

 さて、私は、去る九月二十五日の本委員会における人事院勧告に対する質疑の際に、IT分野の不況を背景に七月の完全失業率が五・〇%に達したことを申し上げました。

 その後の経済雇用情勢は、米国のテロ事件の影響などもありましてさらに極端に悪化し、九月の失業率はとうとう五・三%までに至ったところであります。サービス業の就業者数が前年に比べて七十一万人増加というプラスの面もあるわけでありますけれども、他の業種はほとんどマイナスであり、特に製造業は、中国へのシフト等による空洞化現象の産業構造変化の影響を直接こうむり、その就業者数の減少が特に大きく、前年に比べて六十五万人減少という非常に厳しい状況にあります。

 また、最近の新聞報道によりますと、民間企業の多くの労働組合は、昨今の急激な企業環境の悪化を考慮し、労働時間の短縮などによるワークシェアリングの導入へ柔軟な対応姿勢を示し、総賃金の減少を容認し、雇用確保を優先させる方向に転換されつつあります。

 このような状況の中で改めて公務員給与の問題について議論を行うことは、非常に大事だと思っております。そこで、まず、本日の主題たる、議題であります国家公務員の給与改定に関連して、人事院の民間給与調査についてお尋ねいたしたいと思います。

 本年の国家公務員給与の改定は、八月に行われた人事院勧告どおりに実施することが政府において十月五日に閣議決定されたと聞いております。その内容は、ボーナスの削減等により三年連続のマイナス改定でありまして、景気の低迷で民間も苦しい中にあるのでありますから、一応妥当なものと考えられます。

 ただ、自分が地元の人たちといろいろお話しするわけでありますけれども、民間の厳しさと比べてまだまだ公務員は恵まれているのではないか、そういうことを言われることが多いわけであります。特に、給与改定の基礎となっている人事院の民間給与調査が民間の厳しい実情を必ずしも十分には反映していない、そういう声も多いわけであります。

 これらを踏まえて、人事院に二点お聞きいたします。

 まず、調査時点と給与改定のタイミングのずれについてであります。官民給与の比較は毎年四月時点で行われるのでありますけれども、給与法の改正は十一月となり、その後の民間の厳しい状況が十分に反映されていないのではないでしょうか。

 また、総務省の労働力調査によりますと、平成十二年の百人未満の雇用者数は二千五百八十五万人であり、就業者六千四百四十六万人の約四〇%を占め、雇用者総数五千三百五十六万人の約四八%も占めるわけであります。民間調査はこの百人未満の中小企業が調査対象にはなっていないのでありますけれども、調査対象が大企業に偏っているのではないか、こう思うところもあります。

 これらについて人事院はどのようにお考えになっているのか、お伺いいたしたいと思います。

中島政府特別補佐人 タイミングのずれということでございますが、ことしのように月を追って厳しい状況が増していくというようなときとか、あるいは反対に月を追って景気がよくなっていく、そういうときに必ず出てくる議論でございます。

 ただ、私たちは、民間企業の方で働いている労働者の賃金水準が一番変動するのは四月でございますので、その四月の時点で民間企業で働いている労働者の賃金水準を把握する。その把握するときには、いわゆるベースアップを行った企業の労働者はもとより、ベースダウンをしたところとか、そのままの水準が維持されるということが決まったところ、あるいはまた、倒産した企業でも労働者に賃金を払っているようなところ、そういうところをすべて調査いたしまして、公務員の給与と比較しておるわけでございます。

 その比較をするのが非常に精密な調査でございますので、どうしても勧告するのが七月の末とか八月の初めになります。そして、その後、政府の方で検討されて、勧告どおり実施するということが決定されるのが十月の初めか中旬ということになりまして、審議していただくのはこの時期ということで、どうしてもずれるわけでございます。

 したがいまして、かつて議論されましたのは、人事院の給与勧告があった、そして、衆参両院の委員会で議論していただいて、いいだろうということになれば、人事院規則で決めていいじゃないかという議論までありましたけれども、やはり民主主義国家でございますので、勤務条件法定主義ということで法律で定めていただくということになりますと、この時期になるというのはやむを得ないかというふうに思います。

 ただ、おっしゃるような変動というものを正確に把握して反映させていくということが必要でございますので、私たちの方では、来年になりますけれども、その状況はしっかり把握して、来年のときにまた反映させてまいりたいというふうに思います。

 その次に、小規模企業の話でございますけれども、今、先生がお話しになりました総務省の方の調査というのは、臨時職員も含まれておる、あるいは個人事業主というものも含まれておるということで、数字が若干異なるんじゃないかというふうに思います。ただ、技術的な問題になりますので、また私たちの方の職員が部屋にお伺いさせていただきまして、御説明させていただきたいというふうに思います。

 小規模企業の話につきましては非常に難しい問題がございまして、私たちも調査をいたしましたけれども、中途採用者が多いとかあるいは賃金表がないとか、ひどい場合には賃金台帳もないということで、調査をいたしましても、比較をするにふさわしい資料がなかなか把握できないという状況でございますので、私たちは、今後もまた時折調査いたしまして、公務員の給与に反映できるかどうかということも検討してまいりたいというふうに思います。

黄川田委員 民間との格差是正が人事院勧告制度の基本でありますけれども、大変厳しいこの経済状況のもとで、わずかな差を埋めるために、一律に一時金という異例の手法までとって出す必要があるかという声も中にはあります。人事院には、さらに的確な対応を求めておきたいと思っております。

 それでは次に、国家公務員の定員管理についてお尋ねいたしたいと思います。

 給与問題は、給与水準のほかに、職員の人数とあわせ、給与総額で見ていかなければならないと思っております。

 行政機関職員定員法による国家公務員の定員の推移を過去十数年で見てみますと、現業は約一八%減少しておりますけれども、非現業は約九%の減少にすぎないのであります。

 これらも、民間のリストラの厳しい現実に比べればまだまだ甘いと思いますが、どうでしょうか。また、今後、国家公務員の定員を定年等の自然減以外に具体的にどのように削減していくことを政府として考えておられるんでしょうか。

片山国務大臣 この定数削減問題ですけれども、これは、定数削減方針というのを政府が決めておりまして、昨年七月の閣議決定でございますけれども、政府全体として、府省再編後といいますとことしの一月からですね、再編後の十年間で、二五%の純減を目指して定員削減に最大限努力する、ただし独立行政法人移行もその中にカウントする、こういうことでございます。

 そこで、今、黄川田委員が言われた数字なんですが、私どもの方で累計をとってみますと、過去十一年間で、非現業は九・〇%の純減、現業は一四・六%なんです。十四年間をとりますと、非現業が一一・九%の減、現業が一八・四%の減、こういうことでございますので、黄川田委員は九パーが非現業で一八パーが現業と言われましたけれども、私どもの方の一応の定削数の累計によると、こういうことになっておりますので、ひとつ御参照していただきたいと思います。

黄川田委員 この定員削減の中で、仕事の合理化が進まないで、単に残業だけがふえていくというようなことのないように、どうぞ特段の取り組みをお願いいたしたいと思っております。

 それでは次に、地方公務員の給与についてお尋ねいたしたいと思います。

 地方分権一括法が平成十二年の四月一日に施行されるなど、地方分権は大きく進められてきております。地方公共団体にあっては、広域連携やあるいは市町村合併など生き残りの時代であり、これまで以上に自覚を持って、自己責任、自己決定が求められていると思っております。それからまた、国と地方公共団体は対等あるいは協力の関係を基本とすべきだと思っております。

 そこで、地方公務員の給与改定については、それぞれの地方公共団体で責任を持って決定するべきものであると考えますけれども、地方公務員の給与改定について、基本的な考え方についてお尋ねいたしたいと思います。

遠藤(和)副大臣 地方公共団体の公務員の給与ですけれども、これは原則的に自己決定できる仕組みになっています。すなわち、各地方公共団体の議会の議決による条例で決定する、こういうふうな仕組みになっております。

 そして、地方公共団体の公務員の給与につきまして、これは地方公務員法第二十四条の趣旨にのっとりまして、国家公務員の給与を基準としていただく、そして、当該地方公共団体の組織の規模とかあるいは地域の民間の賃金水準であるとか生計費等、地域の実情を踏まえまして決定をしていただく、こういう仕組みになっています。

 十月五日でございますけれども、人事院勧告を受けまして閣議決定がございまして、国家公務員の給与の水準の決定があったわけですが、この日直ちに総務事務次官通知を全国の都道府県あるいは指定都市の市長さんに出しまして、人事院勧告の完全実施等を内容とする国家公務員の給与決定ができましたから、その趣旨に沿って国に準じて適正な取り扱いをしていただくように、地方公共団体に対して要請をしているところでございます。

 今後も、このような考え方に従って進めていきたいと思っております。

黄川田委員 地方公務員の給与につきましては、国家公務員の給与を基準として、国の助言のもと、適正化の努力が図られてきているとは思いますけれども、国家公務員の給与水準との比較としてのラスパイレス指数の推移と現状は、まずどのようになっているのでしょうか。あわせて、昨今の厳しい地方の経済情勢にかんがみ、地方公共団体の人事委員会の勧告状況はどのようになっているのでしょうか。何か特徴的なものでもあるのでしょうか。

板倉政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の給与水準は、国家公務員を一〇〇といたしました場合の全地方公共団体平均のラスパイレス指数で見ますと、昭和四十九年に一一〇・六という高い値をピークといたしまして、昭和五十年以降、二十六年連続で低下をしております。平成十二年四月一日現在では、一〇〇・七となっております。

 また、地方公共団体におきます平成十三年の人事委員会の勧告についてでございますが、都道府県、政令指定市等に六十二の人事委員会がございます。この人事委員会の勧告がすべて出そろっておりますが、主な内容といたしましては、国に準じた期末手当の引き下げについては、すべての人事委員会が勧告をいたしております。また、暫定的な一時金の支給につきましては、この六十二の人事委員会のうち五十三の人事委員会でそれぞれ勧告を行っている、そういう状況でございます。

 以上でございます。

黄川田委員 お話しのとおり、ラスパイレス指数につきましては、昭和四十九年ですか、これをピークとして地方公務員の給与水準は年々低下しており、適正化がされているというところでありますけれども、最近、民間企業の従業員の給与水準は、何度も言いますけれども、大変厳しくなり、また、いつリストラされるかなどの不安もあり、公務員の平均給与も最近は多少減少しているものの、公務員は身分保障がある点で特に恵まれているのかなという声も少なくありません。

 逆にその一方で、地方分権を担う地方公務員について、士気を低下させずに能力や業績を向上させるため、給与上のインセンティブを与えていくことも必要ではないかと考えるわけであります。

 そこで、そのための公務員の給与上の方策といいますか、それについてはどのような見解をお持ちでしょうか。

片山国務大臣 だんだんこれから給与についても能力や業績を入れていこう、こういうことになりまして、現在、国家公務員制度についてのいろいろな議論をやっておりますけれども、その中でもやはり能力給、業績給という議論が出ております。まだ議論過程でございますので、どういう結論が出るかは別ですけれども、そういう面をだんだん重視していこう、こういうことになるのではなかろうか、私はこう思います。

 地方公務員の給与制度の中では、国家公務員と同じように、成績がいい者には特別昇級ができるというわけでありまして、これは、一割から一割五分ぐらいの職員で優秀な者に特別昇級で一号なり二号なり上に行ける、こういう制度がありますし、また勤勉手当も、昔は〇・九から〇・四ぐらいまで上乗せができる、それが今回は一・二までですか、そういう意味で、差が広がった、勤勉手当の差が広がっているというのは、能力や業績を加味して、いい者はよくしていいよ、悪い者はそのままでいいよ、こういうことになってきたと思いますけれども、運用の細かいことは定かでありませんけれども、傾向としては今、委員が言われたような傾向がだんだん加えられていく、私はこういうふうに思っております。

黄川田委員 公務員が使命感を持って本当に一生懸命働けるような環境づくり、そのためのさまざまな具体策を取り上げていただきたいと思っております。

 それでは次に、公務員制度改革の検討状況についてお聞きしたいと思います。先ほど大出委員さんからもお話がありましたけれども、私からも改めてお尋ねいたしたいと思います。

 御案内のとおり、人事院の給与勧告は、労働基本権制約の代償措置として、公務員の給与水準を民間の給与水準に合わせることを基本としております。現在、年末の公務員制度改革大綱の策定に向けて、行革推進事務局において検討が進められると承知しておりますけれども、労働基本権に関する政労間の話し合いはどのようになっているのでしょうか。改めて行革推進事務局長にお伺いいたしたいと思います。

西村政府参考人 お答えいたします。

 職員団体との話し合いでございますけれども、これまでに、大臣レベルで七回、それからそれ以下、事務局長レベルで十三回、事務レベル二十九回、合わせて四十九回というぐあいに職員団体と話し合いを行っておりますし、また関係府省とも協議を行っておるところでございます。これからも引き続き、十二月の大綱策定に向けまして、関係者と幅広く意見交換を行っていきたいと考えております。

黄川田委員 この問題については、政府の公務員制度調査会においても、労使関係のあり方についてということで今まで議論されてきたはずであります。そこで、調査会の課題である労使関係のあり方は、これまた労働基本権にかかわる問題でありますので、同調査会と行革推進事務局が協調して進めるべきであると私は思っておりますが、これについて大臣の見解はいかがでしょうか。

大坪政府参考人 過去の経緯も含めてのお話でございますので、私の方からちょっと御説明申し上げたいと思います。

 先生が今言われました労使のあり方についての公務員制度調査会としての検討ということでございますが、公務員制度調査会のもとに、労使関係の在り方に関する検討グループというものが平成十年七月に設けられました。平成十年七月以降十回にわたりまして検討してきているわけでございますが、この検討のベースは、現行の公務員制度の枠組みを基本にしながら、労使関係を、どういうような円満なコミュニケーションをとっていけばいいのか、そのための労使の意思疎通をどういうふうに図るシステムがいいのかというような、かなりソフト的な面についての制度検討について検討が行われてまいりました。

 ことしに入りまして、先生が言われましたように、内閣官房を中心にいたしまして、公務員制度改革、白紙の段階からというような言葉も当初あったわけでございますが、そういうような検討が行われ始めましたものですから、その辺の状況を見据える必要があるだろうということから、実はことしの六月において、当面休会にしようというような話し合いになり、現状に至っているという経緯がございます。

黄川田委員 公務員の勤務条件等が大幅に見直されるわけでありますので、政府としても積極的に労働者側と意見交換をしていただきたいと思います。

 それでは次に、試験制度、人材育成制度の見直しについてお尋ねいたしたいと思います。

 公務員制度改革の検討に当たっては、公務員にいかなる役割を期待するかという視点が重要であると私は思っております。

 最近の新聞報道によりますと、京都大学の村松教授は、現代国家においては今後も公務員の役割が期待されており、公務員の質を維持し、政治的中立性を高めることが大事である、また一方、今は黙っていてもすぐれた若者が公務員を目指すという状況ではないが、平成十六年四月には法科大学院が創設されるという大きな人材供給構造の変化が見込まれるなどなど論じておられるようであります。

 また一方、多くの民間企業は、人事部門が事務局になりまして、各部門の代表者から成る人事考課システムを厳格に運用して、考課結果を個人に伝えるとともに、定昇等のテーブル改定に反映し、能力や成績給の要素の拡大を図っております。

 そこで、これらの点も考慮いたしまして、有能かつ多様な人材を確保、育成するために、どのように採用、試験制度、人材育成制度の見直しについて取り組むおつもりか、人事院の考え方をお聞きいたしたいと思います。

中島政府特別補佐人 おっしゃいますように、行政が複雑多様化してなかなか大変な時代を迎えそうでございますので、そういう行政需要に対応するような資質を持った人間というものを採用していかなければならないというふうに思います。

 ただ、昨今の公務員の世界をめぐるいろいろな事件を見聞きしておりますと、それにプラスしてというか、その基礎として、一体、公務員として全体の奉仕者としてのしっかりした意識を持っているかどうか、あるいはまた、倫理観というものをしっかり持っておるかどうかということも非常に重要な要素として私たちは試験の構成に当たっては考えていかなければならない、そういうことが確認できるような試験内容にしていかなければならないというふうに思います。

 それともう一つは、今、先生がお話しになりましたように、ロースクールというのが近々スタートするわけでございますので、それをにらみまして、公務員の世界に優秀な人間を誘致できるように、採用後の処遇とかあるいはまた育成というものについて、魅力のあるものを準備していかなければならないというふうに思います。

 そういうことを今急いで院内で検討しておるわけでございますので、先生が御心配になるようなことを私たち自身もしっかり認識して検討してまいりますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。

黄川田委員 それでは最後に、公務員制度に関連いたしまして、大使、公使など特別職の国家公務員の服務規程についてお聞きいたしたいと思います。

 昨今、外務省職員の不祥事が多数発生していることは、極めてゆゆしき事態であります。適切に調査し、服務義務違反が明確になれば厳正な処分を行うことは当然のことであります。

 これに関して若干懸念があるのは、在外公館の館長である大使などの取り扱いであります。これらの幹部職員は特別職の国家公務員であり、国家公務員法の規定の適用がなく、十分な責任を問えないのではないでしょうか。そこで、これら特別職の公務員の服務規程を整備すべきだと私は思っておりますが、見解はいかがでしょうか。

小町政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生御指摘の点でございますけれども、特命全権大使などの特別職の外務公務員につきましては、外務公務員法上第四条に基づきまして、服務の根本基準、法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止、信用失墜行為の禁止並びに秘密を守る義務に関する国家公務員法の諸規定が準用されております。さらに、特命全権大使及び特命全権公使につきましては、他の特別職の国家公務員と同様、官吏服務紀律の適用があると解されております。

 これに加えまして、御指摘の、別途、特別職の外務公務員に適用される服務関連の規定を整備するか否かにつきましては、関係省庁とも協議いたしまして、その必要性につき、よく検討していきたいと思っております。

黄川田委員 特別職には明治二十年の勅令である官吏服務紀律が現在でも効力を持つというふうに言われている現状であるようであります。

 もう少し議論を深めて、この服務規律の関係、早急な対策をしていただきたいと思います。要望であります。

 以上で終わります。

御法川委員長 次に、春名直章君。

春名委員 日本共産党の春名直章です。

 三年連続マイナスの人事院勧告をそのまま給与法に反映したこの改正案は、認められるものではないということをまず申し述べておきたいと思います。

 その上で、この人事院勧告、人事院の機能にもかかわる大変大きな問題として、公務員制度の改革問題について、私からもお聞きしたいと思います。

 六月二十九日に行政改革推進本部が公務員制度改革の基本設計を発表いたしました。十二月には大綱が発表される運びになっています。公務員制度改革というなら、絶対に避けて通ることができない基本問題が、労働基本権の回復問題だと思います。総務大臣も、行政改革推進本部の副本部長でございますし、公務員制度の所管大臣でもございますので、ぜひ責任ある答弁をお願いしたいと思います。

 この基本設計の中では、最後の第十の「改革に向けた今後の取組み」という項目の中で、「給与制度を始めとする勤務条件に関する制度改革の具体化に向けた更に詳細な検討を進めていく中で、引き続き労働基本権の制約の在り方との関係を十分検討する。」という表現が出てまいります。これは、何をどう検討するのか、いつの段階で一定の結論を出すのか、十二月の大綱でこれを一定の結論を出すのか、その点をお聞かせください。

西村政府参考人 お答えいたします。

 労働基本権制約のあり方につきましては、これが、給与制度を初めとする勤務条件に関する制度を具体的にどう改革していくかということが明らかになって議論ができるというものでございますので、今、制度の具体化に向けた検討を、勤務条件と人事制度について検討しておるところでございます。これらとあわせて、基本権制約のあり方も検討をしていきたいと考えております。

 これは、大変重要な問題であると認識しておりまして、できるだけ早く結論を出せるよう努力していきたい。そして、スケジュールといたしましては、年末に公務員制度改革大綱を策定したいと考えておりますので、これまでにはそれらも含めて結論を出したいと考えております。

春名委員 十二月までにそれらを含めて結論を出したいということを言われたので、そのことをしっかり記憶しておきますが、検討の方向が問題なんですね。

 これは大臣にもぜひ議論をしたいと思うのですが、労働基本権剥奪の代償措置として人事院勧告制度が今はつくられているわけです。ですから、検討の方向ということでいいますと、労働基本権を回復し、人事院勧告制度は廃止をする方向というのが一つ選択肢でありますね。二点目は、それとも現状の代償制度、人事院勧告制度をそのまま維持するということもありますね。二つに一つの選択の道しかないと思うのですが、総務大臣としては、これはどうお考えでしょうか。

片山国務大臣 今の公務員制度は、釈迦に説法でよく御承知のとおりでございまして、公務員としての地位の特殊性や職務の公共性から、人事院という代償機関を置いて基本権を制約していますね、団結権だけ認めて団体交渉権と争議権は認めないと。現業はちょっと違いますけれどもね。私は、これはこれで一つのしっかりした考え方だ、こう思います。

 そこで、これからの公務員制度ということでいろいろな議論が出ておりまして、今の行政改革推進本部等で盛んに議論が行われております。その場合に、今の西村局長の話のように、給与を初めとする勤務条件に関する制度をどう設計するのか、それによって代償機能をどうするのか、こういう議論になるんではなかろうかと私は思いますけれども、やはり私は、公務員、公務というようなことを考えると、ストレートの労働基本権を回復して、団体交渉あるいは争議を含めてということは、全体の奉仕者としての公務員の立場からいうといかがかなという感じをやや持っております。もう少し給与や勤務条件等の制度改革の深まり、中身が具体化してこないと今直ちに議論はできない、今の制度は今の制度として十分なる合理性がある、私はこういうふうに考えております。

春名委員 では、人事院はこの点はどういうお考えか、勧告にも一定触れられていますけれども、一応聞いておきたいと思います。

中島政府特別補佐人 両方の意見があるだろうと思いますし、それぞれについて国会の場を初め国民的な視野に立って議論をしていただく、そして出た結論については、いずれにしても整合性の保たれたシステムというものが重要だというふうに考えております。

春名委員 整合性が保たれたシステムが大事だということをおっしゃっておられます。

 それで、改めてこの点を議論したいと思いますのは、例えば先ほど事務局長が、勤務条件の具体的な検討にあわせて、それに連なって労働基本権がどうなっていくのかというのが検討されるとおっしゃったと思うのですね。この基本設計の中に、例えば信賞必罰、能力主義の人事管理を徹底するということがうたわれていて、そのかなめとなるのが能力等級制度というふうになっています。

 この能力等級制度は、役職段階ごとに必要とされる能力の基準を示したもので、この能力基準を満たさない職員は下位の職務段階に降任するというシステムになるわけですが、そこで、この基本設計の三ページには、能力等級ごとの人員枠を設定するということが明記をされている。一体、これはだれがどう設定するのでしょうか。

 それから、「各府省の人件費予算は、各給与項目ごとに、明確な統一基準に基づく積算により設定する。」これも基本設計の四ページに明記されています。統一した基準はだれがどう設定するのでしょうか。文言からそのまま読みますと、各府省の大臣としかとれないわけですけれども、これはどういうことになっているのでしょうか。

西村政府参考人 お答えいたします。

 今回の公務員制度改革の考え方でございますけれども、組織、業務の実態に即した人事管理を徹底するということと、時々の政策課題の変化に対応して行政が機動的、弾力的な対応を行えるというようにする必要がある、そのためには、各府省みずからの判断と責任で人事、組織のマネジメントを行っていく必要があるということでございます。このような認識のもとに、六月に策定いたしました基本設計では、各府省が自主的に組織、人事制度を設計、運用できるとした上で、各府省の責任ある人事管理体制を確立するという考え方を示したところでございます。

 お尋ねの、人員枠あるいは基準の設定をどのようにするかということでございますけれども、各府省ができる限り主体的に人事管理を行うことができるということが基本ではございますけれども、今の段階では、具体的にどのように設定するかということにつきましては検討をしているところでございまして、今後さらに詰めてまいりたいと考えております。

春名委員 だから私はちょっと不安なんですよ。総裁もいらっしゃっていますけれども、現行の級別定数の査定という人事院の機能は、実態上その配分が給与の部内配分としての意味を持っているわけで、実質、労働基本権制約の代償機能としての役割を持っているわけですね。これを廃止するのですね。もう非常に具体的なんですよ、これは廃止する。総人件費、総定員の枠内で各省大臣が組織、人事制度を設定する、運用するというシステムに変更していこうという基本方向が出ているわけですね。

 そうなると、具体的に聞きますが、賃金決定については、労使関係の当事者である使用者側の意向によって一方的に決定されていくということにこのシステムではなるのですけれども、そういうことでしょう。

西村政府参考人 お答えいたします。

 基本的な考え方は、各省の責任ある人事管理体制の確立ということでございますけれども、当然、これらはばらばらであってはいけないわけでございまして、統一的な観点からの調整ということも必要なわけでございます。

 繰り返しになりますが、これらを具体的に、だれがどのような形でということは、これからさらに検討を進めるということにしております。

春名委員 どうも各大臣の権限に移っていく方向なんですね、今の議論を聞いていても。給与水準を人事院が決めるという根幹を改変するという方向が見えるわけですよ。

 先ほど、勤務条件の検討の中で、人事院の機能も検討していく、労働基本権の制約問題を検討していくと言ったのですけれども、勤務条件の検討というのは、具体的に非常に見えているわけですね。その先は人事院の機能を縮小するという方向が非常に見えるじゃないですか。もしそういう方向に進むのであれば、当然、労働基本権が回復されて、各省庁ごとの団体交渉で決着していくということにならざるを得ないと思うのですよ、今おっしゃっている中身であれば。

 だから、労働基本権を回復するという道にきちっと進んでいくのか、それとも代償機能としての人事院の勧告制度をきちっと守っていくのか、二つに一つの道しかないと私は思うのですね。原理原則だと思うのですよ。ところが、それがなし崩し的に、人事院の機能は縮小していく方向、先ほど大出委員も質問していましたけれども、人事院の機能は縮小していく方向、労働基本権回復は先送り、しない方向。これは最悪のパターンになりますよ、こんなことをやったら。だから私は疑問を呈しているわけであります。

 具体的な疑問ですから、総務大臣、これはどうでしょうね。

片山国務大臣 今、西村局長のところでいろいろな検討をなされる過程ですから、考え方として、私はいろいろな考え方があってもいいと思います。しかし、公務員の勤務条件、給与が各省ばらばらで、労使の交渉の力関係と言ったら言葉が悪いかもしれぬけれども、労使の交渉で決まっていくのがいいのかどうか。

 国民から見て、ある省は高い、ある省は低い、これもおかしいので、だから考え方としては、今、やや固定、硬直的な感じがあるとすれば、やはり各省庁の大臣の主体性というものをある程度考えてやる、自由度を増してやるということはいいのかもしれないと私は思いますけれども、とにかく、全体としてその制度が国民から見て納得できるような、また国民に我々の方から説明できるような制度でなければいけませんよ。それは、今、西村局長のところで十分検討して、いい方向づけをしてもらえるものだと私は考えております。また、私も副本部長ですから、そういう場ではそういう意見を言おうと思っております。

春名委員 原理原則として、公務員の場合は、五十二年間になりますか、五十三年、労働基本権が剥奪されてきたわけですね。そして、これは大きな課題になってきて、公務員制度改革というのであれば、この問題を決して避けて通ることはできないと思うのですね。

 したがって、私、冒頭から御質問しているように、その代償機能として人事院の制度、人事院勧告の制度が今つくられてきている、これをきちっと残していくという道にするのか、それとも労働基本権を回復するという道に踏み出していくのか、この二つの道しかどう考えても改革の方向というのはないわけですね。しかし、今の議論を聞いていても、実態の中身は、各省大臣などの権限を強化する中身がずっと見えつつ、人事院の機能を縮小するという方向が非常に見え隠れしつつ、一方では労働基本権については不問に付しているような嫌いが非常にあって、それではまずいですよ、それは間違っているのじゃないかということを私は言っているわけなんですね。

 大臣に改めてはっきりしておいてほしいと思うのは、今、代償機能としての人事院勧告が、残念ながら三年連続のマイナス勧告も行うという状況になっている。公務員の側から見れば、労働者の側から見れば非常に矛盾がある。マイナス勧告という不利益な事態でも、ほとんど労働組合や労働者が口を出すシステムがない。これを解決していく、労働基本権を回復するということは、ILOの基準から見ても、改革というならその中心になる大きな問題。こうしてこそ公務員自身が、ねらわれているのかもしれませんけれども、意欲や能力発揮ができる環境にも寄与していく、私はそういうふうになっていくと思うのですね、それが基本的な憲法上の要請でもありますし。

 ですから、総務大臣としてはこの認識を持って、労働基本権回復という問題について、やはり真正面から取り組んでいくということを改革の柱に据えて取り組んでいく必要があると私は思うのですね。大臣、この点いかがでしょうか、認識を改めて問うておきたいと思います。

片山国務大臣 三年連続のマイナス勧告というのは、これは今の仕組みが民間準拠ですから、人事院は実態をしっかり調べて、民間の実態を踏まえて勧告をするので、プラスのときだけが民間準拠でマイナスのときは民間はどうでもいい、官だけいこう、これはいけませんよ、今の制度からいうと。それはしようがない、こういうふうに私は思いますが、言われるように、労働基本権と代償機能はパラレルな話でありますから、代償機能をだんだん弱めていくということなら労働基本権の方にという議論は、私は納得できる議論だ、こういうふうに思います。

 そこは、どちらをとるかというのはこれからいい案をつくって、最終的には国民の選択ですよ、私はそういうふうに思っております。

春名委員 次に、国家公務員の非常勤職員の問題についてお聞きします。

 きょうは厚生労働省に、一つの例としてお聞きすることで来ていただいております。

 労働行政の出先機関で働く非常勤職員、主に相談員ですが、現在どの程度いらっしゃいますか。

金子政府参考人 相談員制度についてのお尋ねでございます。

 現在、厚生労働省におきましては、多岐にわたりまして相談員制度が設けられております。具体的なものを、主なものでございますが、申し上げますと……(春名委員「人数でいいですよ」と呼ぶ)そうですか。

 各都道府県の労働局関係で総合労働相談員という方が五百七十二名、それから、主なものですが、公共職業安定所で職業相談員が一千七百八十二名、労働基準監督署におきまして労働保険相談員が六百八十名、社会保険事務所等におきまして社会保険相談員六百二十四名などとなっております。

春名委員 全労働省労働組合が全国的な調査を行っております。非常勤職員である、特にこの相談員ですね、近年急激に増加をして、二〇〇一年度時点では約一万二千人強という数になっているということが全国調査で明らかになっています。

 職業安定所には、うち一万人近い相談員が配置されています。職員の指揮管理のもとで、失業者や求職者の職業相談に当たっているという仕事に取り組んでいて、相談員の人数的に一番多い勤務時間は、月十五日勤務というふうに聞いています。そして、今日の高失業率のもとで、職員と同様に八時半から十七時まで、職安を頼ってくる求職者との対応に追われている状況だということです。しかも、組合の調査によりますと、約一五%が勤続五年以上、一年から五年未満が三七%、これを両方加えますと、一年以上の勤務が五割を超える、こういう状況です。

 つまり、私が言いたいのは、月十五日ということを除けば常勤職員とほぼ同様の仕事を継続してやっている、こういう相談員の方が非常に多数に上っているということだと思うんです。こういう実態は、これでいいでしょうか、御存じでしょうか。

金子政府参考人 相談員の実態についてのことでございますが、今御指摘のございました公共職業安定所で委嘱をしております職業相談員につきましては、御指摘のように、適正な職業選択及び就職後における職場適応に関しまして、求職者や事業主に対します必要な援助等の業務を行っているところでございます。

春名委員 もう一回お聞きしますが、こういう相談員には、ほぼ常勤と同じような仕事をしている多数の人がいらっしゃるわけだが、通勤手当とか採用時の健康診断とか年一回の健康診断とか、常勤であれば当然のことなんですが、そういうことが施されているでしょうか。

金子政府参考人 相談員の勤務条件に関します御指摘かと思います。

 まず、通勤手当、それから定期健康診断というお話でございましたが、各種の相談員につきましては、それぞれ処遇内容も制度によって一律ではございません。ということで、相談員制度ごとにそれぞれ設けられておりまして、勤務条件等も異なっておりますが、全体総じて申し上げますと、制度的にいえば、その業務について委託を受けている関係、委託関係にあるということでございまして、国との間にいわゆる使用従属関係はない、こういう立場に立っておりまして、そういう観点から、通勤手当の支給や健康診断につきましては、通勤手当を支給していないもの、あるいは健康診断を行っていないものが多いというふうに承知をしております。

春名委員 そのとおりなんですね。きょう私が議論をしたいのは、これは一つの例なんですけれども、大臣、非常勤職員というのは、一般職の約五十万人の正職員がいらっしゃって、非常勤職員すべての数でいえば二十二万人いらっしゃるわけですね。かなり多いわけですよ。ところが、実際は、例えばこの相談員の制度に見られるように、月十五日間ということの日にちは除いたら、ほとんど常勤と同じような勤務をし、労働の内容をし、やっているわけですね、それは省庁によって違うと思うんですけれども。しかし、例えばこの相談員であれば、委託契約という関係なので、国との雇用関係がないからということで、全然通勤手当もないんですよ、健康診断すらないんですよ。一年以上雇用されている人が五〇%を超えている。継続的に雇用されているんだけれども、健康診断もない、採用時の健康診断もしない、それから手当等々、いろいろな問題が、大きく後退しているといいますか、常勤よりも非常に劣悪である。その一つの例として相談員の制度のことを今聞いているんですけれども、こういう状況がある。

 一点だけ、私はこれはすぐ改善してほしいということでお願いをしておきたいと思うんです。先ほど申し上げた、例えば健康診断の問題なんですけれども、確かに、労働安全衛生法では、常勤者に対して年一回が定められているわけですね。それに準じて人事院規則が定められていて、非常勤にはそれは適用されていないということになっているわけです。

 しかし、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律がございますね、その法律の施行についてという通知には、八条関係の指針の説明でこうなっているんですね。健康診断は、短時間労働者が常時使用する者に該当する場合には実施する必要がある、常時使用する者に該当する場合には短時間労働者でもやる必要があるというふうになっていまして、その常時使用の基準として二つあるわけです。一つは、契約の更新により一年以上使用されることが予定されている者や労働契約の更新によって一年以上引き続き使用されている者、これが第一の基準です。第二の基準は、一週間の労働時間数が当該事業場において同じ業務に従事する通常の労働者の一週間の所定労働時間数の四分の三以上、一週間の常勤労働者の四分の三以上。これは、この二つの基準、要件を満たすものは常時使用という位置づけをして、定期的な健康診断はやらなきゃだめだという法律なんですよ。

 そこで、例えばこの相談員、いろいろな相談員の方がいらっしゃるので一律じゃないんですけれども、しかし、十五日間働き、そして一年以上契約され、雇用し、こういうふうにされている相談員などは当然こういう健康診断なんかは適用されるべきだと思うんですよ。されなきゃおかしいし、違法的な行為になっているとまで言ったらきついかもしれませんけれども、そういうことはすぐ改善してほしいんですよ。労働の最前線の現場を預かっている職場ですから、こういうことを調べて、すぐ改善するし、適用するということが必要じゃないかと思うんですよ。この点、どうでしょう。

金子政府参考人 相談員の制度につきましては、先ほども申し上げましたように、基本的には委託関係にあるということでございまして、国との間に使用従属関係がない、こういうことでございます。

 こうした制度的なことを前提としてやはり対応していかざるを得ないわけでございますが、これまでも、相談員の処遇につきましては、謝金単価の改善等、従来から努力をしてきたところでございまして、今後とも、類似の制度等の改善状況を見ながら必要な改善に努めてまいりたいと考えております。(春名委員「健康診断について」と呼ぶ)

 健康診断につきましては、先ほども申し上げたように、一部では実施をしている相談員もおります。それぞれ必要な予算の中で実施をするということにならざるを得ないかと思っておりますが、できるだけその改善に今後とも努力をして、検討していきたいと思っております。

春名委員 今度は総務省にお聞きします。

 今、相談員の例を一つ挙げたわけなんです。大臣にも最後にお聞きしますのでお願いしたいんですけれども、つまり、非常勤といっても、いろいろ千差万別なんですけれども、常勤者とほとんど変わらない仕事を一年以上継続して実施している労働者も少なくないということなんですね。これを一つの例として私は挙げたわけなんです。ところが、手当、賃金、社会保険、常勤者と大きな違いがあって、劣悪な状態になっているということはもう自明のことであります。

 今日の国家公務員の非常勤職員数、先ほど言いましたけれども、数は二十二万人程度というふうに聞いています。この非常勤職員の労働条件は人事院規則の一五―一五で示されているんですが、これは労基法に基づく最低限の労働条件であって、賃金、手当、一時金等の労働条件、処遇はすべて各省庁に任されている。

 そこで、私は改めてお聞きをしておきたいと思います。今、一つの例を私がつかんでお伝えしたわけですが、総務省は公務員制度の所管省でありますので、各省庁の非常勤職員の労働条件、またその処遇の実態、運用の実態はどれぐらいつかんでおられるのか、これをお答えいただきたいと思います。

大坪政府参考人 非常勤職員の処遇の問題でございますが、先生もう十分御承知のとおりでございまして、例えば給与法におきましては各省が予算の範囲内で採用しろというふうになっておりますし、あとそれぞれの、今健康診断の話がありましたが、必要なものにつきましては人事院規則等で必要な定めがある状況でございます。

 今先生御指摘の、総務省として全体的な実態について把握しているかという点につきましては、そういう意味におきまして、各省庁がどういうふうにやるかというような、各省庁の事務事業の実態に応じて行われるものであるということにおきまして、実は、私どもの方で押さえておりますのは、省庁別の非常勤の職員数ということでございます。

春名委員 最後に総務大臣に伺います。

 今、人事・恩給局長がおっしゃったとおり、各省庁別の数だけはつかんでいるんですね、数だけは。それだけなんです。私も聞いて、この質問の準備に当たっていろいろ教えてもらったんですが、なかなかわからないということで、こういう状況になっているわけなんです。

 そこで、総務大臣にお願い、要請を含めて最後に答弁いただきたいんですが、これから二五%定員削減でしょう。正職員が削減をされていく。しかし、行政への国民の期待は非常に大きくなって、業務もこれからふえていきます。そして、今私一つの例を挙げました、恒常的、基幹的な仕事についている非常勤も確実にふえてきていると。したがって、非常勤職員の占める位置はますます重要にならざるを得ないと思うんです。

 そこで、二点、総務大臣に要請として御答弁もいただきたいんですが、各省庁によって違う非常勤職員の処遇、労働条件などの実態をトータルにつかむ調査を実施していただきたいということがまず第一点。第二点は、きょう取り上げました例えば健康診断については、今私が述べた実態が限りなく違法に近い状況だと私は思いますので、そういう状況は直ちに是正する。相談員のことを言いましたので、厚生労働省とも相談していただいて、実態を調べた上で改善させる。他の省庁はどうなっているのか、実態をつかみ改善させる。この点、ぜひ今後取り組んでいただきたいということを総務大臣に強く要請したいと思います。いかがでしょう。

片山国務大臣 この非常勤職員というのは、答弁が既にありましたが、これは基本的には委託関係なんですね。臨時的に、まあこういうことをお願いするということで、いわゆる常勤職員の勤務形態と違いますし、各省庁が予算の範囲で、それぞれの判断でやれ、こういうことになっているんですね。春名委員のいろいろな御心配はよくわかりますけれども、そういう意味で、これを統一的に調べて統一的に処遇するとか、健康診断をどうするかということは、私はなかなかなじまないと思うんですよ。

 それで、基本的には、これから定数削減計画でやっていきますけれども、それは、仕事を残して定数を減らすんじゃないんです。行政改革というのは、やはり公の仕事を減らすんですよ。仕事を減らすことによって人を減らすことにつながっていかないと、それは大変ですわね。だから、そこのところは総合的に考えざるを得ない、こう思いますので、御要請は承りましたが、直ちに結構ですと言えないのが私も大変残念でございます。

御法川委員長 春名君、時間でございますから。

春名委員 もう時間が来ましたので終わりますが、統一した基準を設けなさいというのは難しいんです。ただ、その実態がどうなっているか、一端をきょう私は問題提起したので、そのことを頭に入れて、実態を調べるぐらいのことはまずやったらどうですかということを申し上げているわけであります。

 以上で質問を終わります。

御法川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 質問も最後になるわけですが、最後になりますとどうしても質問が重複する部分があります。その点についてはお許しをいただきたいと思います。

 まず、人事院総裁に質問をいたします。

 公務員労働者の労働基本権制約の代償機関として、官民較差を精査され、勧告されたことについては、制度上当然のこととはいえ率直に評価したいと思います。

 そこで、昨今の経済情勢を見るとき、景気はますます悪化し、失業率は五・三%、これまでにない高水準となっています。しかも、これにアメリカにおける十年ぶりのマイナス成長も重なる。雇用失業状況は、予断を許さないものになることが十分予想されるわけであります。こうした状況のもとで、人事院は民間給与の実態を適切に把握し、代償機能として課せられた役割を果たすべきものと私は考えますが、人事院としての決意を披瀝いただきたい。

中島政府特別補佐人 先ほどから議論されておりますように、私たちの勧告機能というのは、労働三権が制約されておる、そのことに対する代償機能として人事院勧告を行っておるわけでございます。

 この人事院勧告を行いますときに、従来から国家公務員法に規定されております情勢適応の原則というものはございますので、その情勢適応の原則というのは、長い間の積み重ねで、民間企業の労働者の賃金水準というものに準拠して公務員の給与を決めていこうじゃないかということでございます。したがいまして、昨年の本委員会の附帯決議にもございますように、私たちは、民間企業の賃金というものを正確に把握いたしまして、それを公務員の給与水準に反映させるということを行ってきたわけでございます。ことしの勧告もそういう考え方に基づいて行いました。来年についても、そういう考え方を基本的に堅持してまいりたいというふうに思います。

重野委員 ところで、今回の勧告には、地域の民間給与をより反映したものとなるように、民間給与の実態把握、公務部門の給与配分のあり方について検討、こういう文言がございます。そもそもこのような検討課題の設定は、現行公務員制度とは両立しないのではないかという疑問を私は持つものであります。その点で、この課題研究は慎重の上にも慎重を期すべきものであっていい、軽々な取り扱いは避けるべきものと私は考えています。

 もう一点は、現下の民間と公務員の給与に関する相関関係を見ますと、民間の解雇、賃下げが公務員給与の抑制になる、それがまた民間の賃金の引き下げとなるあしき下方循環過程に陥っているという認識を私は持つものであります。特に地方の中小企業では、その傾向は顕著となっています。この悪循環過程に公務員賃金が制度的に加わるということになりますと、我が国の賃金問題はある種泥沼状態ともなりかねない。それがもたらす影響は、全労働者のみならず、社会的給付水準にも影響をもたらすものであって、国民経済への影響ははかり知れないものがあると私は考えるんですが、総裁の見解、認識をお聞きしたい。

中島政府特別補佐人 まず第一番目の問題でございますけれども、いずれにいたしましても、国家公務員の給与というものは国民の税金に基づいて支払われているものでございますので、国民の声というものを謙虚に聞いていかなきゃならないだろうというふうに思います。

 その国民の声を代表しておられるのがやはり国会議員さんだというふうに思いますが、その国会議員さんの声というものを聞いておりますと、地域によっては、公務員の給与というものがその地域の民間給与より高いんじゃないかという声が、やはり私たちのところに届いてまいります。そのときに、国家公務員のことを言っておられるのか、地方公務員のことを言っておられるのか、それとも特殊法人のことを言っておられるのか、実はよくわかりませんけれども、恐らく公的部門に働いておるところのという意味だというふうに思います。

 そこで、私たちは、その声を率直に今度の給与勧告の際の報告文に記したわけでございますが、そのときに、公務員の給与を決めるときに民間給与というものを把握する、その民間給与というものを把握するときにそれぞれの地域の民間企業の給与水準というものを正確に把握しているのかどうか。すなわち、このところ民間企業におきましても、かなり給与制度というものも改革されておりますし、それぞれの民間企業の中の組織あるいは事務執行体制というものも変わっておりますので、そういうところも含んだ上で民間企業の給与の実態というものをよく把握していこう。そして、最近、民間企業の中でも地域別の給与というものが議論されておりますので、そういう地域別の給与というものもよく考えていこうということでございます。

 ただ、国家公務員の場合には都道府県の区域を越えて異動するというのがございますので、給与制度としてはやはり一本だろうというふうに思います。そのときに、地域ごとの給与水準というものをどのように考えていくかというところで、現在、調整手当というのがございますけれども、その調整手当も含めまして、地域ごとの給与というものがどうあるべきかということをこれから勉強していこうということでございます。

 いずれにいたしましても、私たちは率直に問題を提起したわけでございますので、この問題を議論するときには、各省の人事の責任者及び労働団体の意見というものもよく聞いて私たちは進めてまいりたいというふうに思います。

 もう一つの、給与のあしき循環というんですか、下方循環というんですか、そういう話がございましたが、私たちは、最初に御答弁させていただきましたように、民間企業の給与の水準というものを把握して、それで勧告いたしておりますが、その勧告というものに基づいて実施していただく、それがあしき下方循環ということになるというのは、ちょっと私たちの能力の範囲というか権限の範囲というものを超えた議論になりますので、仮にそういうことならば、それは政府でひとつ議論していただくという問題になろうかというふうに思いますけれども、そういうようなことが本当に実施をできるのかどうかということになりますと、かなり難しい問題かなという気がいたします。

重野委員 この点に関して総務大臣にお伺いします。

 地域の民間給与の実態を反映する、そのために制度のあり方を検討するということになれば、地方公務員給与にも重大な影響を与えることになります。法制度上、国家公務員準拠となっているわけですが、一方では地方人事委員会による勧告制度が保障されていることも現実であります。一方では地方人事委員会による勧告制度が保障されている、また一方では、国家公務員にある種の地域制度が導入された場合、地域によっては地方公務員給与にキャップ制がしかれる、頭を押さえられる、そういうことも十分予想されるわけであります。同時に、そういう事態になれば、地方人事委員会制度の存在意義も否定されることになりかねない。

 この点で、地方自治を預かる総務大臣として、地方自治の立場から、各省協議に当たって慎重にこの点は配慮、対処すべきものであると私は考えるのですが、大臣の所見をお聞きします。

片山国務大臣 地方公務員の給与は、基本的には国家公務員準拠ですよ。ただ、それは当然、各地方で地域性もある、地方団体の大きさもある、いろいろなことがありますから、そういうことはもちろんその中に加味しなければなりませんので、都道府県には御承知のように人事委員会がありまして、人事院と同じことをやっていまして、都道府県知事さんに勧告していますから、これはこれでもう独立した仕組みですから、人事院さんの方が地域的な給与水準を調べようが調べまいが、地方の方は地方の方で、都道府県の方は都道府県の方でやらせてもらうということですよ。

 国家公務員としての給与の方で人事院はおやりになるので、我々の方は、我々というとおかしいのでございますけれども、地方公務員の方は独立した仕組みでやる。ただ、それでは全く関係ないかというと、それはあります。恐らく調査の対象も相当ダブると思いますので、だからそういうことは、事実上の扱いとしては連動するということはあるかもしれませんが、制度としては独立しておりますから、それによって影響を受けずに勧告し、勧告をどうするかを決定して給与水準を直していく、こういうことになろうと思っております。

重野委員 次に、公務員制度改革問題についてお聞きします。

 六月八日の内閣委員会に私出席させていただきまして、公務員制度改革の基本設計においてそれぞれの省庁が給与決定できるようにすると書かれていることに関連して、私は、そうした給与決定については労働団体と話し合いをするポジションはどこか、こういうふうにお伺いをしました。石原担当大臣は、各大臣と認識していると答弁をされました。そこで、この石原担当大臣の答弁に基づいて、幾つか具体的問題についてお伺いいたします。

 まず一つは、基本設計の四ページにこのように書いております。「制度の適正な管理・運用」の部分で、各府省の人件費予算は、各給与項目ごとに、明確な統一基準により設定する、このように書いてございます。これは一体だれが決めるのかなということを私は思うのであります。六月八日の石原担当大臣の答弁からすれば、これは当然労働団体との交渉対象となる、このように私は理解をするのですが、行革推進事務局の見解をお聞きいたします。

西村政府参考人 お答えいたします。

 基本設計のところで、四ページに、「明確な統一基準に基づく積算により設定する。」ということが書かれております。基本設計の基本的な考え方は、各府省が組織、業務の実態に即した人事管理を行えるということで、大臣が主体的責任を持って人事管理を行うような制度設計をしたいと考えておりますが、具体的にこれを検討していくに当たりましては、各府省が主体的な人事管理を行うことによって違いが出たり、あるいはいろいろな問題も生じますので、統一的なルール、また全体のバランスをとるということが必要でございます。そういう観点も踏まえまして、これを具体的にどういうような形で進めていくかということは、今検討をしておるところでございます。

重野委員 今私が聞いたのは、この問題について、労働団体との話し合いの対象となりや否やということを聞いたのですね。それについてお答えください。

西村政府参考人 労働団体との交渉事項ということにつきましても、まさに基本のところの給与制度等勤務条件がどうなるかということとあわせて検討をしていく必要があるものだと思っておりまして、今段階でこれについて各省大臣の交渉事項であるというようなことでは決まっておりません。これから検討していくべきものと考えております。

重野委員 今私が質問した内容も含めて、ひとつ検討していただきたい。

 同様にもう一点お伺いしますが、同じく基本設計の十九ページ、「自主的な組織管理」の項で、「各府省ごとの課・室等の総数及び職責給総額の範囲内であれば、」云々、こういう記述がございます。この職責給総額は一体だれが決めるのかという点が一つ。また、先ほど指摘したように、これも大臣答弁からすれば、今触れましたように一つの交渉対象事項になる、このように私は考えるのですが、この点についてはいかがでしょう。

西村政府参考人 お答えいたします。

 各府省の課、室等の総数とか職責給の総額というものにつきましては、これは予算あるいは政令等で決まるわけでございます。その範囲で具体的に各省がどのように行うかということは、これから具体的に検討をしていくべき問題だと考えております。

重野委員 先ほど触れましたのと同じように、この点についても、ひとつ十分意見を受けとめながら検討していただきたい。

 次に、基本設計には、今私が指摘をした点以外にも多くの問題があると認識しています。基本設計に基づいて合理的公務員制度を確立しようとするならば、今私が指摘をした問題を解決する基本的条件、つまり労使関係について合理性あるものにしなければならないはずであります。その意味では、労働基本権の保障問題は避けて通れない課題ではないでしょうか。この点を強く指摘しておきたいと思います。

 最後に、基本設計に関連してもう一点聞きますが、各府省の給与総額について大臣が決めるとなりますと、各府省で給与水準が異なってくることは十分予想されます。このような大枠に基づいて制度改革を行うならば、私は、いろいろな問題が派生してくるということを認識するわけであります。したがって、そういう実態については国会に報告すべき事項になるのではないか、このように思いますが、見解をお聞かせください。

西村政府参考人 お答えいたします。

 給与等の決定につきましては、全体としての統一性、バランス等も非常に重要でございますので、具体的な設定に当たっては、基準の設定あるいは人員枠というような形での政府全体としてのコントロールが必要だと考えております。

 具体的にこれらをどのように設定していくかはこれから検討を進めますけれども、今の委員の御指摘も踏まえて検討したいと考えております。

重野委員 次に、再任用制度についてお聞きします。

 本年度から再任用制度が施行をされました。人事院として、現在、人数あるいは短時間勤務者の割合等についてどの程度の実績があると把握しているのでしょうか、お聞かせください。

吉藤政府参考人 各府省からのヒアリング等によりますと、平成十三年度に再任用を実施しているのは、本年七月現在で、二つの省、二つの特定独立行政法人で計十八名となっておりまして、その勤務形態は、フルタイム勤務が十四名、短時間勤務が四名ということになっております。

 このように数が少ないのは、大半の府省が、新再任用の本格実施時期を定年退職者について実際に雇用と年金の間にすき間が生じる来年度、平成十四年度からとしていることによるものだと考えております。

重野委員 来年度から本格的にこの制度が動き出すということです。各省における準備の状況について、人事院としてどのように把握しておられるか。また、本人が希望しても再任用をされないケースも出てくるのではないかというふうに思いますが、この問題についてどのように考えているのか、説明をしていただきたい。

吉藤政府参考人 平成十四年度からの再任用の本格実施に向けた各省の準備状況は、今年度末に定年退職者が予定されているすべての省庁で再任用のための運用方針を作成済み、あるいは検討、作成中でございます。また、ほとんどの省庁で職員の意向把握も実施しておりまして、全体的には順調に準備が進んでいるものと承知しております。

 それから、再任用も採用の一形態でございまして、また所与の定員内で行われるものでございますので、希望をすれば必ず再任用されるものではございません。しかし、任命権者には、再任用を希望する者につきましてできる限り採用するよう努めることが求められておりまして、人事院としましては、各省庁において、既存の業務運営や職務編成の見直しをも含めまして、適切に再任用ポストを用意すべく最大限の努力が払われるべきものと考えております。

 なお、このような努力にもかかわりませず再任用が難しい場合には、公務外への再就職に関する情報提供を行うこと等によりまして雇用の確保に努めることも必要であると考えております。

 人事院といたしましては、本省庁及び地方機関の各レベルにおきまして、検討が進んでいる省庁の工夫例でございますとか短時間勤務の実施例等の情報提供を行うなど、各省庁の取り組みを促しまして、再任用制度が適切に機能するように努めてまいりたいと思っております。

重野委員 この制度が本当に適切に機能して、退職者それぞれ事情がありますから、個別的に状況が違うわけですから、最大限そういう退職者の意向というものを受けとめて、最大限その期待にこたえるように頑張っていただきたいことを要望しておきます。

 最後に、これは質問通告しておりませんので、人事院総裁には大変恐縮でありますが、一点、見解を伺いたいと思います。

 昨日のある新聞でありますが、郵政事業庁は、郵政三事業の二〇〇三年四月の公社化に伴い、職員採用におけるこれまでの1種、2種区分をなくし、いわゆるキャリア制度を廃止するというふうな報道がありました。私は、このキャリア制度には反対でありますので、キャリア制度を廃止するというのは結構だというふうに受けとめるんですが、この点、総裁はどのように受けとめておられるか、所見をお聞かせください。

中島政府特別補佐人 なかなか難しいといいますか、興味のあるといいますか、議論の分かれる大きな問題だと思います。ただ、私たちも非常に高い関心を持って院内で時々議論をしておりますけれども、時代の流れかなという感じはいたします。

 ただ、多くの人たちがいろいろな意見を持っておりますので、そういう意見を聞きながら、いかにすれば日本の公務員制度が民主化できるか、そして国民から評価されるかという視点から、この問題を議論していかなきゃならないというふうに思います。

重野委員 以上で終わります。

御法川委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより討論に入ります。

 両案中、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。

矢島委員 私は、日本共産党を代表して、一般職の給与法改定案に対して、反対の討論を行います。

 反対の理由は、第一に、三年連続で賃金を切り下げ、国家公務員労働者とその家族の生活に打撃を与えるものだからです。ボーナスの〇・〇五カ月分、平均で一万六千円の引き下げ、三年間で見ると十八万円もの大幅な賃下げとなるもので、到底認めることはできません。

 第二は、今回の賃下げは、個人消費を一層落ち込ませ、不況克服にも一層の悪影響を与えます。国家公務員給与改定の影響を受ける労働者は、特殊法人職員、地方公務員、農協職員など約七百五十万人にも上ります。さらに、最低賃金、生活保護基準などにも影響が及びます。これは、消費不況を一層深刻化することにつながります。

 最後に、三年連続のマイナス勧告は、いわゆる労働基本権の代償措置としての人事院の役割を自己否定するものであり、公務員労働者の労働基本権回復がいよいよ求められていることを強く指摘しなければなりません。このことを強調して、討論を終わります。

御法川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより両案について順次採決に入ります。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 この際、ただいま議決いたしました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、平林鴻三君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松崎公昭君。

松崎委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び社会民主党・市民連合の五会派を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることにかんがみ、勧告制度を尊重する基本姿勢を引き続き堅持するとともに、給与勧告機能を十分に発揮させ、公務員の適正な処遇を確保するよう努めること。

以上であります。

 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。

御法川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

御法川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。

片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨に沿い、努力してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

御法川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。

 証券市場の構造改革に資する観点から、個人住民税について、所得税において源泉分離課税を選択した株式等に係る譲渡所得等を課税の対象としない措置の期限を平成十四年十二月三十一日までとするとともに、平成十五年一月一日以後に譲渡する上場株式等について上場株式等の譲渡に係る軽減税率の特例及び上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除制度を創設するほか、所要の規定の整備を行う必要があります。

 以上が、この法律案を提案いたします理由であります。

 次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。

 個人住民税につきまして、所得税において源泉分離課税を選択した株式等に係る譲渡所得等を課税の対象としない措置の期限を平成十四年十二月三十一日までとするとともに、上場株式等の譲渡に係る譲渡所得等について適用される税率を五%に引き下げるほか、上場株式等の譲渡により前年前三年内に生じた譲渡損失の繰越控除制度を創設することとしております。

 また、平成十五年から平成十七年までに所有期間が一年を超える上場株式等を譲渡した場合には、当該譲渡に係る譲渡所得等について適用される税率を三%に引き下げることとするほか、所有期間が一年を超える上場株式等の譲渡に係る譲渡所得の金額から百万円を控除する特例の適用期限を平成十七年十二月三十一日まで延長することとしております。

 以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明七日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十六分散会




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