衆議院

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第12号 平成13年11月27日(火曜日)

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平成十三年十一月二十七日(火曜日)

    午後二時一分開議

 出席委員

   委員長代理理事 川崎 二郎君

   理事 荒井 広幸君 理事 渡海紀三朗君

   理事 平林 鴻三君 理事 田並 胤明君

   理事 松崎 公昭君 理事 若松 謙維君

   理事 黄川田 徹君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      伊藤信太郎君    河野 太郎君

      左藤  章君    佐田玄一郎君

      坂井 隆憲君    新藤 義孝君

      滝   実君    谷  洋一君

      野中 広務君    宮路 和明君

      山本 公一君   吉田六左エ門君

      荒井  聰君    伊藤 忠治君

      大出  彰君    金子善次郎君

      玄葉光一郎君    武正 公一君

      中沢 健次君    中村 哲治君

      山村  健君    高木 陽介君

      山名 靖英君    佐藤 公治君

      春名 直章君    矢島 恒夫君

      重野 安正君    横光 克彦君

      三村 申吾君

    …………………………………

   総務大臣         片山虎之助君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   総務大臣政務官      新藤 義孝君

   総務大臣政務官      山名 靖英君

   政府参考人

   (人事院事務総局総務局総

   括審議官)        吉藤 正道君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  香山 充弘君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長

   )            高原 耕三君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君

   総務委員会専門員     大久保 晄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方自治法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百五十一回国会閣法第六四号)




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     ――――◇―――――

川崎委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長所用のため出席できませんので、その指名により、私が委員長の職務を行います。

 第百五十一回国会、内閣提出、地方自治法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局総務局総括審議官吉藤正道君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治財政局長香山充弘君、総務省情報通信政策局長高原耕三君及び財務省主計局次長牧野治郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川崎委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川崎委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子善次郎君。

金子(善)委員 質問させていただきます。

 平成十二年の十二月一日の閣議決定、いわゆる行政改革大綱でございますけれども、ここで地方分権の推進が取り上げられているわけであります。

 その表現でございますが、「市町村合併の推進」についてでありますけれども、「地方分権の推進や少子・高齢化の進展、国・地方を通じる財政の著しい悪化」、基本的にはこの三点が市町村行政を取り巻いている、大きく変化しているというようなことで、基礎的な市町村の行政サービスを維持して向上させる、また、行政としての規模の拡大あるいは効率化を図るというような観点から、与党行財政改革推進協議会における市町村合併後の自治体を千を目標とするという方針を踏まえて、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化する、こういうふうな表現がとられているわけでございます。大臣の基本的な考え方はこれに尽きるかどうか、ちょっと御質問を申し上げます。

片山国務大臣 今、金子議員の御指摘のように、昨年十二月に閣議決定しました行政改革大綱で、地方分権の推進の中に市町村合併をやると、市町村合併の推進を中に盛り込んだわけでございます。

 私は、基本的には、やはり二十一世紀は地方の時代、とりわけ住民に身近な市町村の時代だろう、こう思っておりますが、そのためには主役である市町村の規模、能力が今のままでは不十分でございますので、規模、能力を強化していく、分権の受け皿にしていくということが一つと、それから同時に、地方行財政の効率化、合理化ということもあると思いますし、それによってより高いサービスを住民に提供するということもあると思います。

 今まで、明治維新の歴史を見ますと、大きな町村合併というのは、今回を入れて三回なんですね。最初が明治二十一年から二十二年、市制町村制という法律をつくるときにいわゆる明治の大合併が行われまして、その当時七万一千あった市町村が一万五千になったんです。それは、我が国が新しい近代国家になるためには、やはり、一番末端といいますか、住民に身近な行政体制を整備する、戸籍や民生やいろいろなことをやらせる、こういうことで明治の大合併が行われました。その後は、太平洋戦争後、昭和二十八年に町村合併促進法をつくりまして、三十一、二年までかかりまして一万強あった町村を四千弱に合併いたしたわけでありまして、この際は、戦後の新しい自治制度で、小学校のみならず新制中学校も市町村にやらせよう、こういう発想があったんですね。

 今度は平成の大合併でございまして、二十一世紀になりましたし、市町村が本当に地方の時代の中心になるならば、やはりその規模、能力を強化すべきではなかろうか、こういうことでございまして、与党の方は千ぐらいを目標に、こういうお話でございますので、我々もそれを念頭に置きながら合併を進めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

金子(善)委員 私が申し上げたかったのは、この行政改革大綱でございますが、地方分権の推進、少子高齢化、それから財政問題など三つのいろいろな要因が合併を進めなきゃならないというような観点から書かれているわけでございますが、今、大臣の御説明になられたことにしましても、もう少し大きな観点と申しますか、財政が大変だから進めるんではないよ、あるいは少子高齢化というようなことだけではなくて、むしろ、日本の国家のあり方というものをどうするかというような観点から、地方団体の体系というものも考えていかなきゃならないんではないか、そういう観点から実は御質問させていただいた次第でございます。

 どこの国でも、それぞれの歴史やいろいろな背景というものがあって地方制度というものができていると思います。そういう意味で、今、日本で一番これからやらなきゃならないのは、行政改革あるいは地方分権の推進ということが大事な点ではないかと私は思います。むしろ、財政問題あるいはいろいろな社会情勢の変化というのはもちろんでございますけれども、地方分権を進めるんだ、そういう観点から、この市町村合併というものがその流れの中で必要なんだというような、この行政改革大綱を読む限りは、「地方分権の推進や」と並列的に書いてあるわけなんです。それで、その力点の置き方が非常にあいまいになっているんではないかというようなことで指摘をさせていただいたところだったんですが、その点、大臣としては、この行政改革大綱の表現でございますけれども、どのようにお考えになられますか。

片山国務大臣 書き方はやはり少し言葉足らずな点があったかもしれませんが、基本的には、やはり地方分権を推進することが日本のために必要だという考え方でございます。地方分権ということは、地方が自分で物を考えて、決めて、それがやれるだけの力を与えるということですね。そのためには、今より権限や税財源や、そういうものを持たなきゃなりませんし、例えば市町村なら市町村がそれだけの意欲と能力がなきゃいかぬのですよね。意欲や能力がある市町村は多いと思いますけれども、もっと全部の市町村にそうなってもらいたいと考えております。そのための有力な手段が市町村合併ではないかと私は思っておりまして、あくまでも地方分権の推進であります。その点は、今後とも我々、はっきりさせていきたいと思っております。

金子(善)委員 ところで、長きにわたりまして精力的に地方分権の問題について審議を進めてこられました地方分権推進委員会は一応の終止符を打たれたわけですが、その中で、平成十二年の十一月二十七日の市町村合併推進についての意見というものがここから出されているわけでございます。この点につきまして御質問したいと思っております。

 市町村合併推進についての意見でございますが、その中で、「市町村合併の推進方策」の項目で、合併特例法の期限である平成十七年三月までに十分な成果が上がるように、必要な措置を加えて、新たな措置を講ずることというような意見が出されているわけでございます。

 このうちでございますけれども、まず、第一点といたしまして、「財政上の措置」、これがこういう表現になっております。合併特例法の期限内に合併する市町村に対し、合併後の財政需要に対する交付税を一層充実する、こうなっているわけでございますが、これはどのような措置となっているかということをお聞きしたい。

 それから、合併すれば必ず財政需要がふえるというような印象、この地方分権推進委員会の意見のようにも印象的には思うわけでございます。合併すれば増の分と減の部分もあるんではないか、そのように思うわけでございますが、この点についての総務省のお考えをお示し願いたいと思います。

芳山政府参考人 市町村合併の推進に係る交付税の措置の拡充でございます。

 従来からの合併特例債等の措置に加えまして、今、委員御指摘のように、新たに合併を機に行うコミュニティー施設整備、また、公共料金格差是正に伴う包括的な特別交付税措置及び合併前に要する電算システム統一等の合併移行経費について、特別交付税措置を平成十二年十二月から創設したところでございます。

 また、今御指摘ありましたように、市町村合併に際して一定の財政需要が生じる、また、総務部門、企画部門等の管理部門を中心に効率化が図られ、コスト削減が図られるというぐあいに存じております。財政需要については、一時的な増加もありますが、中長期的にはコスト削減効果が及んで市町村合併は行財政の効率化にも資するというぐあいに考えております。

金子(善)委員 これに関しましてもう一点でございますけれども、意見の中に、「国は、住民サービスの維持向上を図り、住民の意向がより反映されるよう、地域審議会の活用、当分の間旧市町村の意向が議会において反映される措置、災害等緊急時の役場機能の維持」云々というようなことで意見が出されているわけでございます。

 私がちょっと気になりますのは、特にこの中で、「当分の間旧市町村の意向が議会において反映される措置」をつくりなさいという意見が出されているわけでございますけれども、これについて総務省の方でどのような対応をなされているかという点。

 もう一点でございますけれども、そもそも、合併して、心情的にはわかるわけでございますけれども、そのような制度的なものをつくれと推進委員会の方で言っているんではないかと思うんですが、本来、新しい地方政府が常識を持って、合併した地域が一体感を持つような行政執行といいますか、政策を進めればそれで十分なわけでございまして、わざわざ「旧市町村の意向が議会において反映される措置、」措置ということは常識的に考えれば制度をつくれというようなことだろうと思うわけでございますけれども、この点につきまして総務省としてどのように考えておられるか。

遠藤(和)副大臣 市町村合併した後のその市町村のあり方というのは、進んで新しく誕生する市町村が考えるべき課題でございます。それは自由に決めることができる。

 ただ、その中にはいろいろな選択肢がありまして、旧来の市町村のコミュニティーというものをやはり継続したい、こういう考え方もあろうかと思います。その場合に、旧の市町村の役場を新しい市町村の支所とするとか、出張所として活用していくとか、コミュニティーの窓口として活用していくということもあるでしょうし、あるいは旧の市町村の議会の議員の皆さんの意思というものが継続して反映されるためには、新しい市町村の議会の選挙区の特例を設けまして、そうした古い市町村でもそこを選挙区として対応ができる、そういう措置も可能かと思います。

 したがいまして、総務省といたしましては、新しい市町村が進んで選択する問題ですけれども、その選択の際に、古い市町村の意思、古い市町村の形というものを新しい市町村の中でも残していく、そういう選択をされた場合にも対応ができますよ、こういうふうなことをお示ししているところでございます。

金子(善)委員 ただいまの答弁については、時間もありませんので、これ以上あれでございますが、要は、基本的には確かにいろいろな事情があるということ、これはおありなんですが、そういうものを制度的に盛り込む方向というのは果たして妥当なのかどうかは十分お考えいただきたい、このように指摘をしておきたいと思っております。

 次に、中核市について質問させていただきます。

 今度の地方自治法の一部改正法におきまして、中核市の要件緩和が盛り込まれております。これは五十万以上の市に限り面積要件を廃止するとなっておりますけれども、まずその理由と、本来、中核市は人口三十万以上と承知しておりますけれども、五十万との間で差があるのかどうか。

 それともう一点でございますけれども、市町村合併推進本部のプランを見ますと、政令都市についても指定の弾力化を図っていくというようなことで、大規模な都市をふやそうという方向性が見受けられるわけでございますけれども、この点について御説明いただければと思います。

遠藤(和)副大臣 現在、中核市になる指定要件といたしましては、人口が三十万人以上ある、かつ面積が百平方キロメートル以上ある、こういうことが条件になっておりますが、今御審議をいただいております改正法案におきまして、人口が五十万以上の市につきましては面積要件を廃止する、こういうふうな提案をさせていただいているところでございます。

 その趣旨は、中核市になりますと、都道府県が持っている権限の一部を直接行使できる、こういうことになるわけでございますけれども、人口が五十万以上あるにもかかわらず、面積要件で中核市になれないところが若干ございます。そこからの強い要請もございますし、総務省としては、それらの市が移譲される事務に関する行政需要のまとまりがある、これに対応する行財政能力がある、都道府県の行政サービスの効率性にもなる、こういった観点から、この面積要件を廃止して、これを指定できるようにしようということを考えているわけでございます。

 それからもう一点ありました、政令指定都市の指定の弾力化ですけれども、これは、この間合併支援プランというものを発表させていただいたわけでございます。その中で、市町村合併特例法の期限である平成十七年三月までの間に、大規模な市町村合併が行われ、かつ、合併関係市町村及び当該市町村を包括する都道府県の要望がある場合においては、政令指定都市の弾力的な指定を検討する、こういうふうにさせていただいたわけでございます。

 具体的には、人口が今七十一万人になるだろうと推定されており合併の協議が行われております静岡市と清水市の合併が実現いたしますと、この指定の対象になるもの、このように考えているところでございます。

金子(善)委員 そういう流れを総務省の方ではつくっている、政府の方としてはつくっているということでございますけれども、市町村の合併特例に関する法律でございますけれども、平成十七年三月まで、実質でいえば約三年の間に千ぐらいまで持っていきたいという大臣のお考えでもあるわけでございますが、見通しを本当は聞きたいのですけれども、とても三年間でそんなに進むとは思えない行政改革大綱になっていると私は思います。

 そこで、千の市町村ということになりますと、ほとんど町とか村はなくなって、市と中核市と政令都市だけができてくるというような日本になってしまうと思います。

 そういう中で二つの問題があると思います。一つは、市町村の機能を、基礎的な自治体の機能を強化するということは、地方分権推進の観点からも極めて結構なことだというふうに評価しているわけでございますけれども、では、現在の都道府県はどうなっていくのか。それから、市町村の区域が広くなって人口がふえればそれでいいというものでもないということも、これまた地方自治の観点から考えれば、その二つの点があろうかと思います。

 民主党といたしましては、市町村合併については、特にこのコミュニティーと申しますか、市町村の中の地域社会についてどうするかという手当てをしていかなきゃならない、これは制度的なものもつくっていかなきゃならないのではないかというような議論も党内では行っているところでございます。

 そういう意味で、この都道府県制との関連、要は、日本の行政体系というものをどうやっていくおつもりであるのか、それから、合併後の地域社会への目配りというものをどうしていくのか、大臣からその決意をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 十七年の三月までですからあと三年ではないか、千になるのかな、なかなか難しいのではないかと。私も、なかなか難しいと思います。

 ただ、私が思っているよりは、はるかに雰囲気が出てまいりました。例の合併の協議会や研究会をつくっているところは市町村数の半数を超えているということ、また、合併重点支援地域が二十三県、四十四地域、百九十一市町村に、これは合併の予備軍というのか、マージャンでいうとリーチがかかった状態でございますので、そういう意味で、私は、雰囲気ができればかなり進むのではなかろうか、こう思っておりますが、緩めちゃいけません。今後とも大いに啓蒙し、御理解をいただいて、合併の大きな流れをつくっていけばいいな、こう思っております。

 それから、市町村が広域化しますから、やはりコミュニティーの育成というのはどうしても残りますね。これはこれで私は考えなければいけないと思いますし、今の自治法の中に、地縁的団体の法的根拠を与えました。町内会や自治会、こういうものの育成もあるし、NPOとの連携もありますし、そういうものが、これから合併がかなり進むとした場合の次の課題ではなかろうか、こう考えております。

 そしてまた、合併がかなり進むとすれば、金子委員が今言われたように、百何十年続いた都道府県をどうするんだと。都道府県をどうするかというのは次の大きなテーマだ、こう私は思っておりますが、そこで、一部では、道州制だとか連邦制だとか府県合併だとか府県連合だとか、いろいろな案がありますけれども、まず、市町村合併を着実にやる、市町村の再編成をやるということが前提で、それと並行して都道府県の議論をやっても余り現実的ではないのではなかろうか、こう思っております。

 我々としては、市町村合併を推進していく中で将来の都道府県制度について研究をしていく、こういう姿勢で、この間、学者や有識者の方々に集まっていただきまして、将来の地方制度のあり方についての研究会を発足いたしました。また、地方分権改革推進会議や第二十七次の地方制度調査会でそういう議論もあわせて始めていただければ大変ありがたい、こういうふうに思っております。

金子(善)委員 質問しようかと思いましたが、大臣も触れられたのですけれども、やはりこれからは、NPOの活用とか、その辺に力を入れていかなきゃならないのではないかというふうに思います。

 これは私が本年の二月の二十二日の予算委員会でちょっと質問したことでございますけれども、外国人によるいわゆるピッキング、板橋区で商店街の方々が立ち上がりまして防犯パトロールを始めたと、三カ月間、警察と協力しながらやったという一つの事例でございますけれども、犯罪発生率がたしか五分の一ぐらいにあっという間に減っちゃったというようなことでございます。それはNPOではございませんけれども、いわゆる単なるボランティアに頼るというようなことではなくて、やはりいろいろな形のNPO、多少の行政経費の負担をしながらやっていくというようなこともぜひお考えいただければと思うところでございます。

 ただ、一つ、これも大臣が触れてしまわれたわけでございますけれども、地方分権改革推進会議でございますが、これは法律に基づかない政令設置のあれになっているわけでございます。これまでは法律で、地方分権推進委員会が勧告権を持ち、意見提出権を持っていたのですけれども、今度は勧告権がない会議になっている。委員になられた方々には恐縮ですが、若干格下げ的な形になっている。

 これは、今、大臣が言われました、これから府県制度を考えるという場合には、恐らく市町村合併どころじゃない、もっともっと大変な作業になってくる問題だと思いますが、その辺をよく考えられまして、やはり強力な機関による、勧告権などを持った会議にしていく必要があるのではないか。時間の関係もございますので、これはあくまでも意見として言わせていただきます。

 それから、実は今、内閣の行政改革推進室、いわゆる行革大臣のところで公務員制度の改革が進められようとしております。これは私どもの目から見まして非常にいびつな形と申しますか、本来の姿ではないような形でどんどん進められようとしている。これはいずれ、国会でもただしていきたいというふうに民主党としては考えているところでございますけれども、現在の作業の進め方について大臣はどのように承知して、また認識されているか、その辺についてちょっと答弁をお願いしたいと思います。

片山国務大臣 これは、行革担当特命大臣のところで、できれば十二月中に公務員制度の改革大綱をまとめたい、こういうことでございまして、今、審議の途中経過の報告は事務局から何度もいただいておりますが、一番のポイントのところが、正直言いましてまだ決まっていないんですよ。これはやはり労働基本権との絡みがあるんですよね。人事院の関係、労働基本権制約の、もう委員は十分御承知のことでございますが、この辺のところが決まっておりません。しかし、いずれにせよ、公務員制度というのは大変重要な影響がありますから、十分私どもも意見を言わせていただこう、法案が通りますと、どうせ所管はこっちになるわけですから。

 それから、職員団体の皆さんも大変な御心配なり御意見がおありのようですから、皆さんとの連携も十分図ってまいりたい、こういうふうに思っております。

 今は、全くいろいろな提案が出ている、提案を中心に議論の真っ最中でございます。今ここでこの辺が決まったということではないので、一部の報道が先走りまして、部分、部分のつまみ食いで報道しておりますけれども、ああいうことでも必ずしもありません。

金子(善)委員 総務大臣はそう言われますけれども、実際はもうちょっと違った形で、まあ、内閣におられるわけでございますから、一番承知していると言われればそれまででございますけれども、我々も、決して不注意で見ているわけじゃなくて、注目して見ているわけで、大体の動きはかなり承知しているつもりでございます。

 どう考えても、今の進め方はちょっと問題があるなという認識を持っているところでございまして、その点、地方公務員にもいずれ影響が大きい問題でございます。それから、総務大臣は地方公務員の担当だけではなくて、間違えだったら申しわけないのですが、たしか、総理大臣の権限を補助するような立場での人事・恩給局、国家公務員を担当なさってもいらっしゃるわけでございますので、その点、ひとつくれぐれもお願いしたいと思います。

 最後になりますが、実は、今回の地方自治法の一部改正の中で、住民訴訟制度の改正を行おうとされていますけれども、これについて、こういうことがなければいいのですけれども、一つだけ、あるかないか明確に答弁をお願いしたいと思うんです。

 この制度があるがために、地方団体の職員が業務の執行の過程で第三者からある種のおどかしと申しますか、表現が適切ではないかもしれませんけれども、言ってみれば、訴えるよというようなケースがあって、職員が業務執行をする際に若干のちゅうちょを、嫌な思いをすると言った方が簡単な表現になろうかと思いますが、こういうことがあるというようなことをうわさとして耳にするわけでございます。私は、現場を見たこともありませんし、どうなのか実際のところはわかりませんが、総務省としてこのような具体的な事例を、具体的な内容は結構ですけれども、あるかないか、それをちょっとお答え願いたいと思います。

山名大臣政務官 今御指摘がありました住民訴訟制度でございますが、当然、一般的には正当な目的で利用されているわけでございますが、今お話がございましたように、一部の地方公共団体におきまして、特定の職員の態度やあるいはその対応に不満がある、こういうことで住民訴訟を起こすぞというような態度といいますか、おどしといいますか、威嚇といいますか、こういった言動が若干あった、こういうふうに聞いているところでございます。

金子(善)委員 それでは最後に、総務大臣に御注意を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 さきの参議院選挙で、総務省では大変なぐるみの選挙違反事件がございました。公務員は常に公正中立でなければならない、そういう観点から申し上げまして、全く国民の信頼を裏切るものだったと思います。大臣も常々国会で答弁なさっておりますけれども、こうしたことは極めて遺憾なことだと私は思っております。

 そういうことで、答弁は結構でございます。その点を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

川崎委員長代理 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、この間の連休に入る前に、急に質問をしなさいということで、地方自治について初めての質問でございます。

 まず、地方自治法の一部を改正する法律案の概要というのをいただきましたので、それには、第二十六次地方制度調査会答申(平成十二年十月)及び地方分権推進委員会意見(平成十二年八月及び同年十一月)を踏まえ、地方分権を推進し、住民自治のさらなる充実を図るという観点から、直接請求の要件緩和や住民監査請求制度、住民訴訟制度等の充実を行うとともに、市町村合併に係る住民投票制度の創設、条例、規則等への委任のあり方の見直し等を行うんだと概要を述べているわけでございます。

 そこで、私もまだ地方行政の方がわかりませんので、地方分権がどうなっているかという大枠がまだつかみ切れておりませんけれども、どうも見ていると、国の関与を廃止したり縮小したりすることによって、それを方針として地方分権を進めていて、その結果、事務権限がどっと広がったわけでもなく、そして当然、事務権限とともに財源がついてくる性質のものだと思うんですが、地方財源の方もちょっと問題があるということがあって、それがあるものですから、一方では合併ということを言い、もう片方で地方財源の充実ということを言っているのではないか、そんなふうに読み取ったわけなんです。ですから、それがあるものですから、地方分権の推進の受け皿として市町村合併をやろう、こういうふうに流れができているのではないか、そんなことを実は思ったところでございます。

 そこで、地方分権のことをまた後で質問しますけれども、ここで住民自治のさらなる充実を図るということを言っておりますので、基本的な地方自治の本旨というところから徐々に聞いていきたいと思います。お答えください。

片山国務大臣 地方自治の本旨、憲法にもありますけれども、これは今有力な学者の方を含めまして、定説は、住民自治と団体自治の両方が満足できる状態だ、こういう話でございます。

 住民自治は、簡単に言いますと、知事さんや市町村長さんや地方議会の議員さんを住民が選ぶ、それが中心で、議会制民主主義でやる。ただ、国と違って大統領制ですよね。国は議院内閣制ですけれども、地方は大統領制である、それを補完するものがリコールだとか直接請求だとか監査請求だとか住民訴訟だとかがある、こういうことですね。

 しかし、団体自治というのは、国とは別の、都道府県、市町村が一つの団体として、国とは独立してそこで意思決定ができ、意思決定に従っていろいろな行動ができる、こういうことが団体自治ですね。

 だから、両方が充足していないと地方自治でない。よく小泉さんが幕藩体制の話をしますけれども、昔の三百諸侯のころは団体自治はあったのでしょうね。ただ、住民自治じゃありませんね、殿様はみんなが決めたわけじゃないので。

 そういう意味で、戦後の、明治以降の時代は中央集権ですよね、効率的な近代国家にするために。そこで、住民自治は一定のものは認められたけれども、団体自治が余りなかったのじゃなかろうかというのが今いろいろな説になっています。

大出委員 住民自治の御説明をいただきました。ここでは、さらなる充実を図るということになっておりますので、今御説明があったそのお話が、さらなる充実というのはどういうことなのかを御説明ください。

片山国務大臣 今でも住民自治はかなり私は満たされていると思いますけれども、今の直接請求をもう少し使いやすい制度にする、監査請求も効果的なものにする。

 住民訴訟については、これは今、アメリカの制度をそのまま入れましたから、大変、職員や長、個人のねらい撃ちになっていますから、これは団体を訴えるべきなんだ、職務ですから、何度も言いますけれども。団体を訴えて、団体が仮に負けた場合に、職員や長によって団体が負けたのなら、今度は団体が職員や長から損害賠償を取るという、求償する、こういう仕組みにした方がずっと使いやすいのじゃなかろうか。制度をもっと住民に使いやすい、効果的なものにするというところが、さらなる充実の意味であります。

大出委員 きょうは私どもの方は住民訴訟の方は質問しないことになっておりまして、今お答えをいただきましたけれども、使いやすい効果的な制度にしたいということでございます。

 順次質問してまいります。

 解散、解職の直接請求の署名収集要件の緩和を行おうとしているわけですが、その点について、これ自体、直接請求の署名収集要件を緩和するということなんですが、この問題についてさらなる充実というのはどういうことなのか、御説明ください。

芳山政府参考人 地方分権の推進に伴って、選挙で選ばれる長や議会の役割また責任がこれまで以上に大きくなります。一方、多様な住民のニーズをより適切に地方団体の行財政運営に反映させるために、代表民主制を補完する制度、また住民自治制度の一環をなす直接請求制度の充実を図るということは、極めて重要と認識をしております。

 直接請求制度でございますが、現在、要件が三分の一というぐあいに署名要件がなっておりまして、特に人口が多い地方公共団体では事実上、署名の収集が困難、また事実上、機能していないという指摘がなされております。

 そういうことから、今回の改正案ではその要件を緩和して、解散・解職制度のより実効的な運用を確保することが、御指摘のように、住民自治のさらなる充実に資するというぐあいに考えております。

大出委員 実効的にするというところで、多過ぎると機能しないということのようですが、そうすると、それが四十万人以上でということなんでしょうか。四十万人という数字を出してきているのは、どういうことなんでしょうか。

芳山政府参考人 ただいま申し上げましたように、収集が困難という団体、特に都道府県、指定都市において、これまで、地方自治法施行以来、収集の事例がないという状態でございます。そういうことで、少なくともすべての都道府県、指定都市を含む人口規模の大きな団体について要件緩和の対象としたいというぐあいに考えております。

 今回の改正案においては、有権者数四十万、人口規模で申しますと、大体五十万程度でございますが、有権者数四十万を超える団体について要件緩和をするというぐあいにしました。その理由としては、県として最も人口規模の小さい鳥取県の人口が六十一万三千でございます。これを含み、すべての都道府県を署名数要件の緩和対象としたい。また政令都市につきましても、地方自治法上の規定では人口五十万以上ということが指定の要件となっております。そういうことで、今回、有権者数四十万を超える団体を対象としました。

 今回、緩和の対象となる団体は十三年六月現在で、四十七都道府県、十二政令都市、十一のその他の市及び七の特別区の合計七十七団体というのが対象となります。

大出委員 そうしましたら、現実問題、よくいろいろな署名の問題のときに思うんですが、それぞれの自治体というのは、一枚に一人ということではないと思いますので、それぞれの方々がダブって署名する方もおられると思うんですが、そういうのを実際にチェックしているのかどうか、ちょっと気になったものですから、お尋ねをいたします。

芳山政府参考人 署名の審査につきましては、市町村の選管が行います。形式的審査と実質的審査がございまして、必要署名数また請求代表者の資格などの形式要件の審査、また実質的な審査権限も有しておりまして、個々の署名の有効、無効を職権で審査するということで、自筆でない署名や代筆署名の、要件に該当しない署名については無効というぐあいにしております。

 また、市町村選挙管理委員会は、審査の過程を通じて効力の判定が困難なものについて、関係者の出頭、証言を求めるということで、また、代筆署名の偽造については罰則も担保されているというようなことでございます。

大出委員 法律がありますからそうだと思うんですが、一般の方々はほとんどそういうふうに思いませんので、質問してみたわけでございます。

 続きまして、条例の改廃請求の点についてなんですが、この条例改廃請求の中で、いわゆる請求代表者に対し、議会審議の場での意見陳述の機会を保障するということになっております。この意見陳述の機会なんですが、一回与えればいいというものなのか、あるいは議会の裁量によって何回も与えていいのか、その辺についてお聞きしたいんです。

芳山政府参考人 御指摘の点ですが、今回、請求代表者への機会の保障を通じて審議の充実を図るという趣旨でございます。改正案の規定の仕方は、議会は、請求代表者に意見を述べる機会を与えなければならないというぐあいに規定をしておりまして、議会において請求代表者に少なくとも一回以上は意見を述べる機会を与えることが義務づけられるというぐあいに理解しております。

 今御指摘がありましたような、一回以上の機会、これ以上の機会を与えるかどうかについては、各地方団体の議会の運営上の判断というぐあいに認識しております。

大出委員 続きまして、住民訴訟の方はいかなくて、監査請求の方なんですが、監査前置主義というのがとられていると思うんです。この前置主義というのはアメリカ制度にない制度だと思うんですが、これを置いた経過といいますか理由といいますか、それをお尋ねしたいんです。

芳山政府参考人 御指摘がありました前置主義でございますけれども、二十三年の自治法改正のときに導入されたものでございまして、導入時より、住民訴訟を提起するには住民監査請求を経なければならないと、今御指摘のいわゆる住民監査請求前置主義がとられております。

 この趣旨は、住民訴訟の対象が財務会計行為に関する問題でありますので、地方自治の観点から見ても、問題をまず自治体内部で自治的に解決させるということが適当というぐあいに判断されたものと承知しております。

 なお、住民監査請求は、違法行為のみならず、不当な行為も対象になるということでございまして、訴訟については当然、違法な行為のみということですから、対象が違うようになっております。

大出委員 若干今お答えはあったような感じがするんですが、今度は、監査委員による暫定的な停止の勧告制度というのがあるわけですが、これまでの制度の場合に、民事訴訟法に基づく差しとめ請求というのはできなかったんでしょうか。

芳山政府参考人 今回の暫定的な差しとめ制度の趣旨でございますけれども、損害賠償等の事後的な措置ではなくて、当該行為が執行されない、執行を事前にしないということを求める住民監査請求を通じて行政がみずから事前に判断するという趣旨でございまして、これまではそういうことができなかったということで、今度暫定措置で講じたわけでございます。

 それで、お尋ねがありました民事保全上の仮処分についてでございますけれども、二十六次の地方制度調査会の答申の中で、民事保全上の適用関係については判例、学説に議論があるわけでございますけれども、住民訴訟が客観訴訟である、民衆訴訟であるというような性格も踏まえて、その明確化を図りなさいという御答申が出ました。

 今回の改正案においては、この答申を踏まえまして、住民訴訟が客観訴訟としての性格を持つ、また住民訴訟が個人の利益保護を目的とするものではない、また行政事件訴訟法においても、公権力の行使に当たる行為については、仮処分の対象としていないというようなことも考慮しまして、今度の住民訴訟で民事保全上の仮処分をすることはできないということを明文化しております。

大出委員 その監査制度の中で、専門家への意見聴取の場への請求人の立ち会いというのが規定されることになりまして、その立ち会う場合、立ち会いだけで意見陳述はできないのかどうか、お尋ねしたいんです。

芳山政府参考人 御指摘がありましたように、監査委員の判断によりまして、審査の際に請求人及び関係機関または職員を立ち会わせて陳述の聴取を行うことができるというぐあいにしておりますが、今御質問がありました請求人の意見陳述については、現行制度でも明文で認められておりますけれども、今回の改正によって、監査委員の判断によりまして、関係機関等に対する監査時の意見聴取の際に、請求人が立ち会った上で、請求人が意見陳述をすることが可能になるということでございます。

大出委員 次に参ります。

 先ほど、同僚の金子善次郎議員から中核市の質問がございまして、それに関連するんですが、中核市のメリットというのはどんなことがあるんでしょうか。

遠藤(和)副大臣 中核市の市長さんとこの間も懇談をさせていただいたんですけれども、中核市になることによりまして、例えば行政サービスがスピードアップできるようになったとか、効率化してやれるようになったとか、あるいはきめ細かな行政サービスを提供することが可能になったとか、地域の実情に応じた独自の町づくりを展開しやすくなったとか、あるいは職員の意識が高まるとともに、より総合的な行政が展開しやすくなり、市政全体が活性化したとか、そういうふうないろいろな声が寄せられました。やはり県のやっている行政を一部、直接、中核市には移転しておりますから、それだけ住民にきめ細かな行政サービスがより迅速にできる、こういうところが大きなメリットかと思います。

大出委員 大変丁寧な説明をありがとうございます。

 中核市のうちの面積要件については先ほど金子善次郎さんのときに質問がありましたので、それはおきまして、実は、私は神奈川に住んでいますが、神奈川に相模原市というところがございまして、その相模原市の方から、中核市の問題で、早く法案を上げてくれ、こう言われておりまして、相模原市の現状はどのようなものか、ちょっとお尋ねをいたします。

遠藤(和)副大臣 相模原市から、当方にも強い希望が伝えられております。

 相模原市は、今、面積が百平方キロメートルに満たないのですけれども、人口は五十万人を超えております。今回の法改正によりまして、新たに中核市の対象市になります。

 法案成立後はできるだけ速やかに中核市に移行したい、そういう要望も出ておりまして、平成十五年四月の中核市移行を目標に準備に取り組んでいるところと聞いております。

大出委員 今回の臨時国会で通らないと一年ぐらいおくれるのだ、こういうふうに言われておるわけでございますが、なかなか議論がございまして、住民訴訟の問題があったり、きょうはそれを質問するなということで、まだ進んでおりませんので、これは通したい、あれはちょっと待てみたいなのがいろいろありますので、そんな意味でちょっと質問いたしました。

 次に参ります。地方議会制度の充実の点でございます。

 実は、地方議会、いろいろあるわけでございますけれども、どちらかというと、中にはオール与党化いたしまして、住民の側から見ると、どうも行政と議会がぶつかっているのではなくて、議会も行政も行政側だといいますか、そのように見えるようなケースもあるわけでございます。

 そんな意味で、地方議会制度を充実するということを考えたときに、どんな方法があるとお考えなのか、お聞かせください。

山名大臣政務官 委員も御承知のように、地方議会というのは、選挙を経ました地方議員の皆さんが、行政の議事機関あるいはその監視機関、こういう意味で極めて重要な役割を担っておるわけでございます。特に各地方自治体の自己決定権の拡大、こういったものに伴って、住民の代表である議会が果たすべき使命といいますか役割は年々高まっている、こういうふうに認識をしております。

 そこで、さらにこの議会制度の充実をさせていくためにも、議会の運営に対しては、やはり透明性を保たなければいけませんし、何よりも議会と住民との意思疎通を図るといいますか、こういった観点からも今それぞれの地方議会でも工夫をいたしまして、ウイークデーなら議会が開かれるのですが、なかなか傍聴等にも参加できない、そういう中で、例えば、休日、夜間、議会を開催するとか、あるいは公聴会制度だとか参考人制度、こういったものをフルに生かしながら議会の活性化を図っているところでございます。

 さらに、議員さんもしっかり勉強していただく、幅広い知識や見識を持っていただく、こういうことも含めまして、議会の調査機能といったものも強化しなければいけない。こういうことで、今回提案させていただいている議員派遣制度の根拠というものを明確化していこう、こういうふうに考えておりまして、地方自治の本旨に基づいて、議会がしっかりとそういった機能をますます果たせるように、これからも努力していきたいと思っております。

大出委員 ありがとうございます。

 私も、どういう活性化方法があるかということでいろいろな市会議員の方とかにお話をしたりとかしているのですが、一度、いわゆるナイター議会というのをやってみたらどうかという話をしたのですが、余り賛成しないのですね。なぜかといいますと、職員の方がとにかくいなければならないわけですから、お金がかかるということがまずネックになって、これはなかなか難しいという話で、ビデオとかで見ているというのはあるようですが、現実にはナイター議会というのはなかなか難しいようでございます。

 続きまして、地方議会制度の充実の中の話なのですが、いろいろなところで、合併をやるところもありますが、住民の皆さんの中から、条例制定要求の中で住民投票を要求するというようなケースが多々出てきているのです。条例制定要求の中での住民投票というのは、憲法上といいますか、法律上といいますか、これは可能なのでしょうか。

山名大臣政務官 御指摘のように、最近、幾つかの地方公共団体におきまして、住民の意向を問うための住民投票が実施をされておるわけでございます。現行制度上、一般的な住民投票につきまして法律の規定はないわけでありますが、それぞれの地方公共団体が、少なくとも住民の関心が非常に高くて、地域においても影響が非常に大きい、こういったものに対しましては、住民の意向を聞くために、首長さんや議会の権限を制約しない、こういう形で、任意に住民投票を行っている、こういうことにつきましては、法律上、特に禁止をいたしておりませんので、おやりいただければ結構ではないかと思っております。

大出委員 首長さんか議会の権限を害さないようにということでございまして、後で、余り時間がないので、これはちょっとおいておきまして、次に参ります。

 似たようなもので、いわゆる首長さんの多選禁止条例というのは制定できないのでしょうか。

山名大臣政務官 この問題につきましては、いわゆる公職選挙法で被選挙権の要件について定めておりまして、いわゆる多選について禁止する規定は設けてはいないわけであります。

 多選禁止というのは被選挙権の制限ということになるわけでありまして、現行法で首長の多選を禁止する規定を設けていない、こういうところでありまして、条例によって多選を禁止する規定を設けることはできない、このように認識をしております。

大出委員 何かで見たところ、総務省の方の意見として、当時の自治省でしょうか、できないではなくて、効力がないというようなことを言っているようなのですが、その辺、どうでしょうか。できないとおっしゃったのですが、つくっても効力がないという意味で、できないということですか。

山名大臣政務官 当然、公職選挙法上の整合性との問題がありますので、そういった条例をつくったとしても、やはりそういった意味での効力についてはいささか疑問があるのではないかと思っております。

大出委員 続いて、政令指定都市の区長さんをいわゆる政治職、助役さんにするという条例というのは制定できるのでしょうか。

山名大臣政務官 これにつきましても、御指摘があったように、指定都市の市長さんの権限に属する事務を分掌させるために「条例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置く」、こういうふうに地方自治法の二百五十二条にうたっているわけでございまして、その上で、「区の事務所又はその出張所の長は、事務吏員を以つてこれに充てる。」こういうこととされておりまして、行政区の区長あるいは助役や収入役、こういった人たちは議会の同意を要する職ではないということになるわけでございます。

 したがって、行政区の区長を条例で助役のようないわゆる政治的任用の職というふうにすることはできないこととしております。

大出委員 もう一つ。私は横浜市に住んでいるわけですが、詳細よくわかりませんが、今回の地方分権の中で地方財源がすぐに多くならないということで、逆の意味で課税自主権を強めたというようなところがございまして、横浜市の方から勝馬投票券というものの税制の問題が出ていると思います。その今の経過といいますか、どのような流れになっているかをだれかお答えください、これは通告しておりませんけれども。

遠藤(和)副大臣 この件につきましては、横浜市から、そうした課税自主権を使って、勝ち馬の券でございますね、それに対して税金をかけられるようにしたいということがありまして、総務省は同意できないと言いましたら、それを調停機関にかけられまして、それが差し戻しになって今双方で再協議をいたしておる、こういうところでございまして、一生懸命熱心に議論を今しているところでございます。

大出委員 ぜひお願いしますと言うのがいいのか、まだ議論をしているところだと言うので、それを受けながら、時間もございませんので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

川崎委員長代理 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。

 これまでの質疑で重複するところもありますけれども、私からも改めてお聞きいたしますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 さて、九月の鉱工業生産指数は、前年対比で過去に例がないマイナス一二・七%の大幅な落ち込みを示しております。また、大手銀行の赤字決算が相次ぎ、金融システム不安の再燃を懸念する声も出るなど、我が国の経済は景気の悪化と物価下落が同時進行するデフレスパイラルへ突入寸前の危機的状況にあります。

 実体経済が予想以上に深刻さを増しているにもかかわらず、小泉総理は、国債発行額を年間三十兆円以下に抑える方針にひたすらしがみつきながら、一次補正に引き続き、先日、やっと二兆五千億円の二次補正を決断いたしました。この程度の小刻みな後追い的な財政出動で、どの程度景気浮揚策として効果があるのか、疑問視をする声も多いわけであります。一方、地方の経済は、中小企業の倒産が相次ぎ、雇用情勢がより一層厳しさを増し、過去に例を見ない本当に厳しい状況になっております。

 そこで最初に、このような認識を踏まえ、今回の二次補正についてお尋ねいたしたいと思っております。政府・与党の一部には地方優先の声もありますけれども、経済財政諮問会議の大勢は、構造改革を促進すべく、都市再生型の大規模プロジェクトに集中投資を優先させたい等の意見が少なくありません。片山大臣は、現下の地方経済の窮状をどのように乗り越えようとしておるのか、その辺まず第一にお聞きしたいと思います。

 また、地方は、御案内のとおり、税の減収はもう確実視されておりまして、一次補正の対応でさえも苦しい中にあるわけでありまして、今回の二次補正の事業費規模四兆円と言われておりますけれども、この地方の裏負担分をどう求めていく方針なのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。

片山国務大臣 今、黄川田委員が言われましたように、国全体の経済もよろしくありませんし、地方の経済も同じであります。全体がどうもマイナス〇・九%ぐらいの経済成長になるのではなかろうか。来年度の経済成長がどうなるかと今いろいろそれについての検証をいたしているわけでありますが、大変厳しい状況が続くということを前提に物を考えなければならない、こう考えております。

 一次補正は、御承知のように、雇用や中小企業に係るセーフティーネットの充実ということが中心でございまして、このための施策が盛り込まれたわけでありますが、地方分については、交付税の減収については全額を補てんする、それから、投資的経費の地方負担については地方債を認める、こういう措置がとられたわけであります。

 第二次補正については、昨日の臨時閣議で総理より編成の指示がございまして、編成作業が進められております。これは御承知のように、国債の増発でなくて、NTTの売却代金のうち国債整理基金特別会計が持っております二兆五千億を財源にしてやる。そこで、全部の事業規模は四兆円ぐらいだろう。

 こういうことでございまして、NTTの売却代金の使い方としては、ABC、三つのタイプがあるんですね、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプと。そのうちBの地方団体に対する無利子貸し付けが中心になると私は思いますけれども、その場合、国の持ち分はそれが充てられるわけでありますが、地方の持ち分についてどうするか。地方負担ですね、裏負担、これについてはこれから財務省等と十分に協議していきたい、こういうふうに考えております。

黄川田委員 この二次補正で本当に景気の下支えをできるのかどうか、私も本当に疑問としておるところであります。国も地方も共倒れにならないように願うばかりであります。

 そして、今、大臣お話しされましたけれども、二次補正の財源については、竹中経済財政担当相は、国債整理基金特別会計に繰り入れられているNTT株の売却収入分から二兆五千億円を先取りすることを表明しております。同特別会計には、国債等の償還や利払いなどの財源を確保すべく、一般会計などから毎年、前年度当初の国債発行残高の一定割合を繰り入れられることになっておりますが、時々繰り入れられないときもあったみたいであります。

 将来の国債償還のために蓄えられているこの特別会計の取り崩しは、適正な基金残高を維持すべく近々一般会計などから大幅な資金を投入しないと、国債の市場評価といいますか、それが下がるというような懸念もあると私は思っています。本当に問題点の先送りだというふうに私は感じておるんです。したがって、このことは新たに二次補正のために公約の三十兆円の枠を超えて新規国債を発行することに類似しておりまして、小泉総理がうまいへそくりがあったといみじくも言っておりますけれども、これは国民を侮るばかりで、むしろ国民は、とんでもないことをするんじゃないか、本当にまた借金のための借金になるんじゃないかと心配する声が多いと私は思っております。

 そこで、実務的な話をお尋ねいたしますけれども、今回の二次補正に関係して、NTT株式売却益の活用の仕組みはどのようになっているのか、改めてお伺いしたいと思います。また、この売却益は過去においてどのように活用されてきたのでしょうか、財務省に説明を求めたいと思います。

牧野政府参考人 お答えいたします。

 まず最初に、今回の二次補正に関連してNTT株式売却益の活用の仕組みはどうなっているかということでございますが、今回の二次補正は、総理の御指示にもございますように、厳しい財政の状況を踏まえまして、構造改革をさらに加速してデフレスパイラルに陥ることを回避するということを目的といたしております。このような観点から、構造改革に資する重点七分野、これに該当します事業に、まず、民間投資の創出、就業機会の増大に資する事業であり、かつ、事業の早期執行が可能で経済への即効性が高い事業であって、緊急に実施の必要があるものにつきまして、無利子貸し付け等の制度を設けまして、前倒しで実施することにしたものでございます。これによって構造改革を加速させることができるというように考えております。

 具体的なスキームといたしましては、政府が国債償還のために保有しております資金のうち、NTT株式売却収入相当額の一部を一時的に活用いたしまして、地方公共団体や公共的施設を整備する民間事業者等に無利子貸し付け等を行いまして、後日、当該無利子貸し付けの償還等に伴いその全額を国債整理基金特別会計に繰り戻すという仕組みになっております。そういう意味で、国債の償還に支障が生じることはないと考えております。

 それから第二点目でございますが、NTTの株式売却益は過去どのように活用されてきたかということでございます。これまでNTTの株式売却収入につきましては、国債の償還財源に充てるということがまず原則でございますが、国債整理基金の運営に支障が生じない範囲内でこれを活用いたしまして、社会資本の整備の促進を図ることとしております。

 先ほど大臣からもお答えございましたが、NTTの無利子貸付事業は、まずAタイプ、公共施設の整備によって収益が生ずる施設に融資する、そして当該収益で償還をするというものがAタイプでございます。それから、面的な開発事業等の一環として、一体的、緊急に実施することが必要な公共施設整備を国からの無利子貸し付けで促進して償還時に補助金を交付する、これがBタイプでございます。それから、民間事業者等の行う民間事業等を促進するために無利子貸し付け等を行って当該事業の収益で償還するものがCタイプというようになっております。

 具体的にというお話でございましたが、Aタイプでございますと、例えば、地方道路公社が行う有料道路の整備、これと一体的に整備されるアクセス道路を整備するというような事業はAタイプでやってまいりました。それから、Bタイプでございますが、例えば、幕張新都心整備とかみなとみらいといった大規模な地域開発、これに伴って必要になります公共施設整備を一体的に行うというようなものをやってまいりました。これがBタイプでございます。それから、Cタイプでございますが、これは、例えば、民活法を活用しました国際会議場施設でございますとかリサイクル施設でございますとか、こういったものを整備いたしてまいりました。

黄川田委員 確認なんですけれども、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプ、お話しされましたけれども、二次補正では、地方公共団体が主体となって、そしてまた、将来の国庫補助金で返すという補助金型の事業というのがBタイプなんですか。そういうことではないのですか。それは最近使っていないようですけれども、それも活用するということなんですか。復活するということなんですか。

牧野政府参考人 今回の無利子貸し付けのスキームにおきましても、まず無利子貸し付けを行いまして、地方公共団体等に事業をやっていただきまして、将来、補助金で返済していただくという、いわゆるBタイプが当然入っております。

黄川田委員 それでは、ここで本題に戻りまして、地方自治の改正案の質疑に移りたいと思います。

 今回一回目ということで、住民訴訟を除いた分野についてお尋ねいたしたいと思います。

 去る六月十二日、本改正案が衆議院本会議で片山大臣より趣旨説明がなされました。そして、私は自由党を代表してさまざま質問をさせていただきました。

 その際、最後に、現在、地方自治は民主主義のかなめとして制度的には確立している、憲法においても第八章で独立した章を設け、地方自治に関する諸原理と基本的制度を保障しているが、あくまでも制度的に保障されているにすぎない、地方の自立性が阻害されている現状は言うまでもなく、早急に本当の意味での地方自治を確立する必要があると述べさせていただきました。この考えのもとに、地方自治の本旨に照らし、今回の改正事項について幾つかお尋ねしていきたいと思います。

 まず、中核市の要件緩和についてお伺いいたしたいと思います。

 この中核市制度は、社会的実態としての規模、能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにするために平成六年に創設されたものでありまして、これまで対象三十四団体中二十八団体が既に移行し、また、来年四月には二団体、奈良市及び倉敷市の移行が決定されており、さらに、今回の改正案により、相模原、船橋、東大阪の三市が新たに指定の対象となると聞いております。

 経済財政諮問会議のいわゆる骨太の方針では、「自助と自律の精神」のもとで、各自治体がみずからの判断と財源で、行政サービスや地域づくりに取り組める仕組みに変える必要があるとされております。

 市町村の規模、能力、態様は千差万別であります。そしてまた、地域的な発展の状況もさまざまであることを考慮すれば、市町村の規模、能力に応じた事務配分を進めていくことが重要であると私も考えます。

 そこで、初めに、中核市の指定を受けると、具体的にどのような事務や権限が移譲されることになるのでしょうか。また、権限等の移譲の範囲は、中核市の前に特例市という指定がありますけれども、この特例市と中核市とではどう異なるのでしょうか、総務省の見解を求めます。

芳山政府参考人 中核市に指定されますと、指定都市が処理しております事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが効率的な事務などを除く事務につきまして、政令で定めるものを処理することになります。

 具体的には、飲食店営業の許可等の保健所設置市が行う事務、また、身体障害者手帳の交付等の民生行政に関する事務、屋外広告物の条例による設置制限等の都市計画、町づくり等に関する事務、また、ばい煙発生施設の設置の届け出等の環境行政に関する事務を処理することと相なります。

 また、特例市につきましては、今御指摘がありましたように、十一年の一括法で制度化されましたが、中核市に権限移譲されている事務のうち、引き続き都道府県が一体的に処理する方が効率的な事務を除いて、事務が移譲されております。

 具体的には、都市計画法に基づく開発行為の許可、また騒音規制法に基づく規制区域の指定、計量法に基づく定期検査などの事務権限が移譲されております。

黄川田委員 今回の法改正で中核市の指定対象となる自治体等から、法案成立後できるだけ速やかに中核市に移行したいとの要望が出ていると聞いております。

 そこで、中核市となるための手続といいますか、そういうものはどのようなもので、また、通常どのぐらいの期間を要するものなんでしょうか、あわせてお伺いいたします。

芳山政府参考人 手続は、自治法の二百五十二条の二十四に規定されておりますが、順に、関係市議会の議決、関係都道府県議会の議決、総務大臣への指定の届け出、政令の立案、閣議決定というぐあいになりまして、おのおのさまざまな準備期間を要しますけれども、これまで指定されている例として、通常一年三カ月ほどの期間を必要としております。

 今回の法改正で新たに中核市の指定対象となる三団体のうち、千葉県船橋市、神奈川県相模原市から、法案成立後できるだけ速やかに中核市に移行したいという要望が出ておりまして、今後とも、法案の成立状況を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。

黄川田委員 中核市へ移行してから逆に行政サービスが低下するなどということでは元も子もないわけであります。当然、中核市になれば自治体としての行財政の効率化をしていかなきゃなりませんけれども、ここに来て、財政的に厳しいというようなことで、東京都内の市で何かあるようでありますので、財源の移譲といいますか、その辺も十分考えていかなきゃならないということを指摘しておきたいと思います。

 それでは、次に住民投票についてお尋ねいたしたいと思います。現行地方自治制度において、住民投票制度は、議会の解散請求、長等の解職請求、条例の制定、改廃の請求及び事務の監査請求の四種類の直接請求の一環として取り入れられているほか、地方自治特別法にかかわる住民投票制度以外、一般的な制度としては採用されておりません。

 近年、住民投票は、岐阜県の御嵩町等で行われた産業廃棄物処理施設の設置等に関連して、条例に基づき十例以上の実施例が見られます。また、最近の三重県海山町の原発住民投票は、原発の必要性の是非は別にして、住民投票のあり方に多くの課題を残したのではないかと私は思っております。

 この地方自治制度の根幹は代表民主制でありまして、住民投票などの直接民主制的な手法については、代表民主制の補完手段としての意義を有するものでありますが、住民に開かれた議会といいますか、そういうこともまた求められていると思います。しかしながら、欧米諸国と比べまして、我が国ではまだまだ住民投票というものが根づいていないこともまた現実だと思っております。

 そこで、昭和五十一年の地方制度調査会にて、初めて住民投票制度導入の問題提起がなされてから、何度かいろいろ議論がされたと思うわけでありますけれども、既に二十五年、四半世紀が過ぎようとしております。総務省としてどのように方向づけする考えなのか、大臣の見解をお聞きいたしたいと思います。

片山国務大臣 今言われましたように、昭和五十一年の地方制度調査会において問題提起がされて、かなりたっていますね。それで、今回、合併の協議会をつくることについて住民が発議したものを議会が否決した場合に、住民投票で設置の是非を問おう、こういう制度を入れさせていただきましたけれども、一般的な住民投票制度をどう考えるか、難しいですね。

 一つは、やはり委員が言われるように、議会制民主主義との兼ね合いの問題ですよね。今の仕組みは、国もそうですし、地方もそうですけれども、やはり住民なり国民の代表である議員さんを選んで、その議員が構成する議会で物を決める、意思決定する、これが基本的仕組みです。住民の皆さんが投票して物を決めるということになっていない。あくまでも間接民主主義が中心で、直接民主主義はそれの補完ですよね。だから、その補完をどこまで認めるかということですね。

 それから、議会が決めたことと住民投票が別の結果になった場合、これはなかなか難しい。もちろん、住民投票というのは事実上のものですから、その拘束性の問題、尊重の問題、何を対象にするのかという問題、いろいろ難しい問題があります。住民投票の効用、意味を私は否定するものではありませんし、既に幾つかの市町村で住民投票の制度が、県でもありましたけれども、制度が条例によってできて、その結果によって、それを尊重するということで事柄が決まったようなことも承知いたしておりますけれども、地方自治法上の制度にするかどうかについては、なお私は慎重な検討が必要だと考えております。

黄川田委員 地方にあっては、大事なことは自分たちで決めたいというふうな住民がふえております。そしてまた、地方分権の時代にありまして、住民投票を実りあるものにするためには、行政の説明責任と情報公開が本当に必要不可欠であります。大臣、なかなか難しい課題でありますけれども、住民投票の仕組み、引き続き検討し、できれば具体を構築していただきたいと思っております。

 今回の法案では、合併特例法の改正により、合併協議会の設置に関して住民投票制度を導入することとしております。住民発議による合併協議会設置の請求が議会の議決により否決された場合、首長の請求または住民発議によって住民投票を実施するものでありますけれども、実際に、住民の発議による請求があったにもかかわらず、合併協議会の設置に至らなかった、このような例は平成七年の改正以降どの程度あるのでしょうか。また、この合併協議会の設置に至らなかった市町村のその後の動向はどうなっているでしょうか。あわせてお願いいたします。

山名大臣政務官 この住民発議制度は平成七年の改正によって導入されたわけでございますが、きょうまでに四十の地域、九十件の発議が起こっております。そのうち、合併協議会の設置に至らなかったのは二十八地域、六十五件、このようになってございます。

 それから、その後の動向でございますが、住民発議による請求があったにもかかわらず合併協議会の設置に至らなかった、その後、首長の発議によりまして法定の合併協議会を設置した地域は三地域でございます。さらに、任意の形で研究会を立ち上げた地域というのは五地域ございます。

黄川田委員 ちょっと私、聞き漏らしてしまったので改めて聞きますが、大臣、答えたんですけれども、都道府県による重点支援地域指定の状況、たしか都道府県二十三で、市町村が幾つ、地域が幾つになっていますか、その具体の数字を、通告しておりませんけれども、ちょっとお教えいただきたいと思います。

芳山政府参考人 都道府県の合併重点支援地域の指定状況ですが、十一月二十六日現在でございますけれども、二十三県、四十四地域、百九十一市町村でございます。

黄川田委員 ありがとうございます。

 それでは次に、市町村合併の啓蒙などについてお伺いしたいと思います。

 総務省は、シンポジウムで合併にかかわるさまざまな課題を議論すべく、昨年は合併の意義やメリットあるいはデメリット等の基本的課題を啓発、啓蒙されておるところでございます。そこで、ことしは二年目ということで、具体的な合併上の課題を議論すべく、全国の主要都市を回るリレー形式でシンポジウムを開催していると聞いております。そこで、先月は東京で中間総括シンポジウムも行われたそうでありますけれども、そうした場で参加者からは主にどのような意見が出されているのでしょうか。そしてまた、全国を回ってみて地域的な特徴があるのであればお示しいただきたいと思います。

遠藤(和)副大臣 本年度は八月上旬から始めまして、四十七都道府県においてリレーシンポジウムをしていますが、きょう現在で三十三の道県において開催が終わっております。

 今回は、市町村合併の一般論を語り合うというのではなくて、既に市町村合併の重点支援地域に指定されるところとか、もう熟度が大変高いところを中心にやっておりまして、より具体的な議論を深めていただく、そういうところを中心にやっております。また、参加対象の方々も、住民の皆さんに参加していただく。市町村合併は住民の皆さんのために行うものでございますから、住民の皆さんが積極的に参加できるように土曜日あるいは日曜日というものを中心に開催をしております。

 先ほどもお話がありましたけれども、十月三十日には、全国から市町村長や市町村議会の議員の皆さんにも出席をしていただきまして、約千名参加しまして中間総括シンポジウムを開催いたしたところでございます。

 私も六回ほど出席させていただいたんですけれども、それぞれのシンポジウムではパネリストを中心にかなり多方面から議論が出ておりまして、共通して出てくる意見といたしましては、地方分権の時代にあって市町村合併は避けて通れない課題であるという問題意識でございます。それから、特例法の期限が平成十七年三月でございましてもう間近に迫っておりますから、早急に市町村合併の是非について検討をする必要がある、こういうふうな認識でございます。それから、やはり市町村合併は住民の皆さんに情報を提供いたしまして住民の参加のもとに議論をしていく、こういうことが必要だ、こういうふうな意見が出ております。一方、中山間地域とかあるいは離島のところがあるわけでございまして、ここについてどうするかという議論をやはりする必要があるのではないか、そうした問題提起もされているところでございます。

黄川田委員 先ほど話題になりました神奈川県のように、本当に大都市を抱える県、あるいはまた私の地元のような小さな市町村を抱える県、それぞれ課題があると思います。しかしながら、国の姿の中で地方自治はいかにあるべきか、大いに議論されることを期待したいと思います。

 それでは、残り時間が少ないので、最後の質問であります。

 合併特例法では、市町村合併を推進するため、さまざまな税財政上の特例措置が設けられているところでありますけれども、今回新たに追加されたものも含め、主な税財政上の特例措置の具体的な内容を簡潔にお示ししていただきたいと思います。

山名大臣政務官 まず、財政措置といたしましては、普通交付税額の算定の特例といたしまして、合併後十年間、合併しなかった場合の普通交付税額を全額保障する、こういうことです。さらには、合併後の市町村の町づくりのための建設事業に対しては、合併特例債を充当いたします。あと、電算システム統一等の合併前に要する経費及び合併後の市町村が行う新たな町づくりや公共料金格差是正に要する経費に対しては、特別交付税によりまして措置をすることといたしております。それから、合併した市町村に対しましては、市町村建設計画に基づく事業に対しての合併市町村補助金により措置をする。それから、都道府県が実施する体制整備に必要な経費に対しては、都道府県体制整備費補助金により措置をする。こういった極めて幅広い支援策を講じております。

 税制上の措置といたしましては、合併後三カ年度、地方税の不均一課税をすることができる、このようにしておりましたが、今審議をいただいております地方自治法改正案の中で、この不均一課税をすることのできる期間を五年に延長することといたしておりまして、さらに、この期間内における課税免除ができる、こういった特例措置を図っているところでございまして、ぜひ御賛同いただきたいと思っております。

黄川田委員 時間でありますので、以上で終わります。ありがとうございました。

    〔川崎委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕

渡海委員長代理 次に、矢島恒夫君。

矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。

 私、提案されております地方自治法の質問に入る前に、極めて重大な問題として、さきの通常国会で審議した電波法、地上波デジタル化の問題で、その審議の根底にかかわる変更が報道されました。この問題でただしたいと思います。

 NHK、民放、総務省などから成るところの全国地上デジタル放送推進協議会は、十一月二十日、「地上デジタル放送の進め方について」を発表いたしました。この報道資料によりますと、地上放送のデジタル化に伴う周波数変更対策、いわゆるアナ・アナ変換は、対策実施段階に入って、各地域ごとに詳細に電波状況について測定調査した。その結果、どうなったかといえば、対策局所が物すごく増大した。その数は、資料によりますと、アナログ対策局所数で、通常国会のときに出した資料は四百十八だったのが八百八十八、二・一倍、要対策世帯数二百四十六万世帯が四百三十六万世帯、一・八倍、そのうち、いわゆる対策単価の高いケーブルによる対策を要する箇所というのが、当初、通常国会では七千世帯と出ているのが三十五万世帯、五十倍に増加しているわけです。

 この結果、周波数変更対策、これが大幅に増大することになると思うわけですけれども、一体幾らぐらいになるんですか。

高原政府参考人 今先生お尋ねの、アナ・アナ変更対策経費でございます。

 先ほど先生がおっしゃいましたように、NHK、民放、総務省の三者から成る全国地上デジタル放送推進協議会において積算をいたしましたところ、二千億円を上回るという見込みになっておるところでございます。

矢島委員 二千億円を超えるという試算が出されておりました。私、試算してみましたら二千七十五億円と。前回、通常国会の平均単価を基準にして計算してみました。当初の予算では、六年間で七百二十七億円、今年度、二〇〇一年度は百二十三億円の予算だったわけです。ところが、例えば二千億円ということになれば、二〇〇二年度からは電波利用料の八割近くをこの周波数変更対策のために充てなければならなくなる。

 資料によりますと、セットトップボックスの使用というようなことも何か考えられているようですけれども、そもそも、この周波数変更対策がこれを使って不要となるんだというわけですが、ことしの春の通常国会で論議した電波法改正のスキームが予定していなかった方法だと思うんですね。

 そこで、大臣、これではあの電波法、私は一般質問を含めて三回もこのアナ・アナ変換の問題をやったんですよ、ところが、あの審議は何だったんだろうかと。審議の前提が全く違っているんですよ。きちんと調べたら対策局が二倍になる、あるいは対策経費は三倍にもなる、こんなでたらめなデータ、ずさんなデータ、これを国会に提出したわけですよ、通常国会で。これは総務大臣の責任も重大だと思うんです。なぜこんなでたらめなデータが出てきたのか、まず国会に説明する責任があると思うんですけれども、大臣、いかがですか。

片山国務大臣 通常国会で電波法の一部改正の際に御審議をいただきまして、あのときは、予算の関係もありますから、一応の調査をしての見積もりをやったわけでありますが、その後精査をしてみますと、特に周波数事情の厳しい九州等の西日本と関東で電波の状況が極めて複雑で、混信を回避する上で対策を要する局所数が当初の見込みより増加いたしました。また、対策単価の高いケーブルによる対策世帯も増加したことに伴いまして、私どもは七百何十億か八百億ぐらいの話を聞いておりましたら、専門家が入って精査をしてみますと、二千億ぐらい、こういう話でございますので、見込み違いというのは大体五割ぐらいまでだと私も言ったんですよ、三倍に近いようなのはおかしいと。ただ、それは電波事情で、混信や何かは、きっちり調査をしてみないと簡単にわからないんですと。空の上のことですしね。

 そういうあれでございまして、しかし、国の予算はそういうことで一応の、当時の大蔵省とセットしましたので、そこで、どういうことをやるか、三者で、民放、NHK、総務省で十分話し合えと。そこでセットトップボックス方式の導入、こういうことをやったのです。結局、アナ・アナは何のためにあるかといったら、デジタル化をうまくやるためですよね、アナ・アナは。そこで、セットトップボックスをやりますと、これは受信者の方につけていただくわけですから、アナ・アナをやらぬでもそのままデジタルになるわけで、その辺のいろいろな功罪はありますよ、委員。功罪はありますけれども、来年度の予算の折衝もありますので、そこは十分その対策協議会で議論してどうするか、そういうことにいたしているわけでありまして、調査自身が結果としてはかなりな見込み違いであったということについては、私は大変遺憾だと思います。

矢島委員 いろいろと、セットトップボックスの話まで出ましたが、私が言いましたように、春の通常国会にこのやり方というのは出てこないんですよ。これはアナログのテレビでもずっと見られるんですよ、買いかえなくたって。ですから、私の論議なんというのはもう根底から崩れるんです。

 そこで、委員長にお願いしたいんですが、こういうふうに通常国会での論議が、論議したときの前提が変わったわけですから、このまま二〇一一年のゴールに向けて突っ走るというようなことは到底認められない。この問題で、委員会での集中審議、これを要求しておきたいと思います。

渡海委員長代理 ただいまの要求につきましては、理事会で協議いたします。

矢島委員 法案の中身に入りますので、高原局長、結構でございます。

 それでは、提出法案について質問します。

 出されておりますこの法案、随分いろいろな問題が、十把一からげと言っては悪いですが、なっているんですよ。本来別々に取り扱うべき市町村合併の特例に関する法律、これを一括して改正する法案となっている。直接請求に必要な署名数の要件緩和の問題、地方議会制度の充実の問題、住民監査請求制度及び住民訴訟制度の見直し、中核市の指定要件の緩和、市町村合併における合併協議会の設置における直接請求制度の拡充及び住民投票制度の創設、法律委任に基づく自治体の規則事項の条例化などなど、まことに盛りだくさんなのです。

 そこで、私は、この改正案審議は十分時間をかけて論議する必要がある。とりわけ、日弁連あるいは地方六団体、住民運動団体あるいは行政法についての学者や専門家、こういう人たちの意見を十分聞いて、慎重に徹底した審議を尽くすことが必要であるということをまず指摘しまして、この中の重要な問題の一つである市町村合併について質問していきたいと思います。

 まず、その中の住民投票の問題でお聞きしたい。

 第二十六地方制度調査会の審議の中で、これまで一般的住民投票について論議されてきた。昨年九月六日の専門小委員会では、答申案の意見集約を事務局から説明した、こういうふうにされている。ところが、その後突然、合併のための住民投票制度導入方針が出てきた。そして答申案に盛り込まれた。何のためにこんな不可解な行動をとったのか、非常に問題だと思う。その経過について、総務省、説明してください。

    〔渡海委員長代理退席、川崎委員長代理着席〕

芳山政府参考人 住民投票制度の論議につきましては、住民自治の充実ということで、具体的論議が小委員会で進められてまいりました。

 ただ、その中で、積極意見また慎重意見と両方出たわけでございます。積極意見としては、住民参加の機会の拡大のために住民投票制度の導入を検討すべきではないか、また議会の活性化のためにも住民投票制度を導入すべきである。慎重な意見としては、議会や長の本来の機能と責任との関係をどう考えるのか、地域社会の合意形成に及ぼす影響はどうなのか、また、住民投票に適する事項、適さない事項はどういうのかという両方の意見が見られたということで、さらに引き続き検討というぐあいに相なったわけでございます。

 ただ、十月の答申の段階で、御議論の中で、合併については地域の問題等々あり、また地方団体の存立そのものにかかわる問題ということで、住民投票になじむということで答申がなされたというぐあいに承知しております。

矢島委員 この日に調査会に配付された資料によりますと、この日の議事日程は、意見集約取りまとめの段階、こうされていたんですよ。なぜ、それまで出ていなかった合併のための住民投票制度導入、こういう方針が唐突に第二十六地方制度調査会の答申に盛り込まれたか、極めて不可解であります。

 この問題で、少し論議したいと思うんですが、これは先ほど黄川田議員からも出された問題で、私もそうだろうと思うんですが、あれは三重県の海山町の原子力発電誘致の是非を問う住民投票なのです。その結果についてはもう繰り返しません。黄川田議員も言ったとおりであります。原発反対の住民の意思が約七割に達した。

 地方自治の制度の一つとして、一般的な住民投票、こういう中で住民の声を安定的、普遍的に反映する機会を保障するというのは、やはり重要な問題だと思うのです。なぜ合併のための住民投票として、一般的住民投票の制度を使わなかったのかということについては、先ほど総務大臣も、なお慎重な検討が必要だと幾つかの問題点をお挙げになりました。

 国民主権や住民自治の考え方は、代議制度あるいは代表民主制の仕組みとともに、いつでもどこでも住民が主人公なんだという立場を徹底することを求めていると思うのです。したがって、住民の意思を安定的、普遍的に反映する機会の一つとして、住民投票制度の必要性を否定することはできないと思うのです。住民投票で住民の意思を問うことというのは、首長あるいは議会にとってみずからの判断の正しさを検証する機会ともなる、地方自治の発展にとっても有効だと私は思うわけです。

 そこで、お尋ねいたしますが、過去の合併に関する住民投票制度というのは、一九五三年に制定された旧町村合併促進法では、有効投票者数の三分の二以上、制定当初は有権者の五分の四以上となっておりましたが、この賛成で決めることとされていました。その後、一九五六年制定の新市町村建設促進法では、合併に関する住民投票では有権者の過半数で決める、こうされていた。ところが、この法案では、有効投票数の過半数で決める、こういうふうになっている。

 過去の制度から見て大幅に緩和しているわけですが、大臣の一般的投票というものについての問題点、今後検討という中にもありましたが、代議制あるいは代表民主制、この議会決議を無効にするという住民投票の成立要件票数を緩和したわけですから、大臣の先ほどのお答えと矛盾するんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

片山国務大臣 いや、それは一般的な住民投票制度じゃないんですね。今回の住民投票制度は、住民発議で合併協議会をつくれという発議をやったものが関係の議会で否決された場合なんですよ。その場合に、住民投票を再度求めて、住民投票で協議会を置くんですよ。合併そのものの是か非かじゃないんですよ、合併協議会を置くか置かないかで。私は、今の考え方でいいと思います。

 基本的には、やはり今の間接民主主義といいますか、議会制民主主義を否定するような住民投票というのは、なお慎重に検討しなければいけません。私は、そこの兼ね合いというので、住民投票ということの意味を否定するものじゃありませんけれども、それが議会制民主主義にとってかわるということなら、なお慎重な検討をして、国民的なコンセンサスがない限りそれは軽々にはいかないな、こう思っておりまして、今回は、何度も言いますけれども、協議会設置が議会で否決された場合のもう一遍揺り戻しなんですね。そういう住民投票であります。

矢島委員 それでは、お尋ねしますが、地方自治法等の一部を改正する法律案の中の市町村合併の特例に関する法律の一部を改正する部分、つまり、第四条の十項、合併協議会設置協議について、合併請求市町村の議会が、先ほど挙げられた否決した場合、合併請求市町村の長は、十日以内に限り、選挙管理委員会に合併協議会設置協議について選挙人の投票に付するよう請求することができるものとする。第十四項の方を見ますと、選挙管理委員会は、政令で定めるところにより、投票に付さなければならない。第十七項を見ますと、住民投票において、合併協議会について有効投票の総数の過半数の賛成があったときは、合併協議会設置協議について合併請求市町村の議会が可決したものとみなす、こういう規定になっていると思うんです。

 これは、議会が住民の合併反対の意思を反映して合併拒否の態度を決めた場合に、長の意思でそれをひっくり返してあくまで合併を推進しよう、こういう措置なんですか。

芳山政府参考人 御指摘がありましたように、市町村の議会で否決をした場合に、市町村長が投票に付するのを判断するか、または判断しない場合に六分の一の署名要件を集めて、集まった段階で、過半数の賛成があれば議会の議決とみなすというぐあいにしておりますが、これはあくまで合併協議会の設置のことであります。

 合併協議会の設置は、合併協議会そのものは合併の是非を判断する協議会でありまして、それについて十分関係市長で御協議の上合併についての検討をする、そして合意がまとまった段階で改めて地方自治法の世界に行きまして議会の議決をとる、こういう段取りでございます。

矢島委員 だから、私が聞いたのは、議会が住民の合併反対だという意思を反映して議会の方で合併拒否の態度を決めた、ところが、長の意思でそれをひっくり返すことができるんですねということで、これはできるんですね。

 私は、この法案というのは、合併反対の住民の意思を初めから無視し切り捨てていくんじゃないかと思うんですよ。合併の推進という目的を推し進めるための制度になっているんじゃないか。つまり、ここには、合併の可否を住民自身の手で決めるという考え方が極めて薄いんではないか。

 そこでお尋ねしますが、住民の意思を聞かずに合併協議会を設置しないことに問題があるという認識から住民投票制度を導入するというのならば、逆に、今度は住民の意思を聞かずに合併協議会を設置することにも問題がある、こういう認識に立つのが当然だろうと思うんです。つまり、住民の意思を安定的、普遍的に反映する機会の一つであるこの住民投票制度の立場に立てば、議会が合併協議会の議案を審議する前に、本来ならば合併そのものに対する住民の意思を投票で問う制度とすべきではないか。このことについてはどういうお考えですか。

片山国務大臣 何度も言いますけれども、基本的には議会制民主主義で、その市町村の議会の意思が団体の意思なんですよ。

 ただ、住民が発議して合併協議会をつくってくれと言ったものを議会が否決したんですから、もう一遍住民にチャンスを与えよう、議会にもう一遍考え直してくれと。合併そのものを決めるんじゃないんですよ。住民がもともと発案した合併協議会を置いてくれというものを否決したんだから、もう一度住民からそういう請求をさせて、住民投票で置くことをあれしたらどうか、こういうわけでございまして、本来、そういう意味では、この部分については、間接民主主義、議会制民主主義の一部の修正なんですね、その限りでは。しかし、これは極めて限定的な修正だから私はそれは容認できる、こういうわけでございます。

 合併をしようということを議会が決めた場合は、本来は議会の意思でいいんですよ。合併の是非じゃないんですよ、何度も言いますように。協議会を置くか置かないか。しかも、それは住民が提案したものでありますから、もう一遍投票で議会に考え直してもらおう、こういうことであります。

矢島委員 私は、その問題では、いわゆる反対の場合、今の合併協議会の設置という問題で、住民の意思を聞かずに合併協議会を今度は逆に設置してしまう、そのときに住民の意思というものも反映できるような制度にすべきだ、このことを指摘しておきたいと思うんです。

 次に、片山大臣は十一月十三日の当委員会で、春名議員に、「市町村としては適正規模があるんですよ。適正な規模と能力を与えるということも必要なので、そこの兼ね合いなんですよ。」、こういう答弁をしておられるわけですが、適正な規模とは人口どの程度のことをお考えになっていらっしゃるんですか。

片山国務大臣 これはなかなか一義的にいかないんですね。昭和の大合併のときは、何度も言いましたけれども、あのときは八千人にしよう、少なくとも八千人、こういうことで、あのときの住民投票は五分の四の四分の三ですけれども、これは内閣総理大臣勧告、知事勧告をやりまして、それを拒否した場合に住民投票にかけたんですね。だから、ある意味では強力に、強制的と言いませんけれども、強力に全国の市町村の再編成を図ったんですね、やはり戦後の自治制度をしっかりしたものにするために。

 今回はなかなか、それでは人口は幾らだと、これは私はいろいろな条件があるから言いにくいと思います。しかし、今の、例えば五千未満だとか、そういうことなら十分対応できるのかなという感じはいたしておりますので、そこで我々が一律の人口基準を示すんじゃなくて、都道府県知事さんに、その都道府県内の事情を考えて合併のパターンを、たたき台をつくってくれ、それによって議論を起こしてもらってくれ、こういうことをお願いしておりますので、合併のパターンが、ある意味ではその都道府県知事さんが考えた、都道府県が考えた一つの適正規模だと私は考えております。

矢島委員 時間がなくなりそうなのですぐ先へ行きますけれども、適正規模というのがどういうものなんだと。例えば離島だとか過疎自治体、こういうところに住む人たち、要するに憲法の実現ですね、自治体の行政サービスを通して福祉を保障する義務、こういうものは適正規模以下の自治体には必要ないのか、こういう問題があるわけです。

 というのは、ある自治体の場合、実際に出ているんですから挙げてもいいでしょう、上尾の場合です。これは、さいたま市への合併問題がいろいろと論議されて、住民投票が行われて合併しないという結果になったんですが、一緒にならないということになったんですが、そのときに、合併推進派の方々の、「政令指定都市を目指して!」、あげおの未来・市民委員会というところがつくったビラなんですが、「すべての状況が、単独市で生き残ることが難しくなっている」「このまま単独市で残れば、住民サービスの低下か、市民税の増税しか考えられない。」というニュースがあるんです。

 政府は全国の自治体に、単独市、過疎の村ではなくて例えば上尾のような市のことですが、この単独市では生き残れないような政策を進めているんですか。そんなことないんじゃないですか。

片山国務大臣 いや、全くありません。しかも今度の合併は、何度も言いますように、明治の大合併とも昭和の大合併とも違うのは、あくまでも自主的に、関係の皆さんの総意を集めてと、こういうことをお願いしているわけであります。

矢島委員 そこで、私は財政効率の問題で質問したいんです。というのは、今日、地方財政の危機という状況にあります。しかし、この原因は政府の景気対策で地方財政を動員した結果で、当時のあの宮澤大蔵大臣も、地方に迷惑をかけた、こういう答弁をしていらっしゃる。やはり、私は、地方自治体というものの適正規模と財政効率という問題、これをもう少し深く検討する必要があるだろう。

 総務省に聞きますが、自治体の人口数と公共事業関係を除いた住民一人当たりの歳出額について、大阪市の場合と三重県の御薗村について数値を示していただきたいのです。

香山政府参考人 十一年度の決算で申し上げますけれども、大阪市の場合は、人口が二百四十七万人強で人口一人当たりの歳出は六十万六千円、三重県の御薗村の場合は、人口八千七百五十人強で二十二万六千円となっております。

矢島委員 合併して自治体を大規模にすれば、一人当たり歳出額が減るから財政効率が高まる、こういう主張は、残念ながら客観的事実に反していると思うのです。

 私、お手元に資料を配付させていただきました。その中で、大変時間をかけてつくり上げたグラフが入っていると思うのです。そのグラフは、二千五百八十一の市町村、僻地だとか離島というのは大都市と同列に見ることができませんから、常識的にこれは外しました。そして、二千五百八十一の市町村について、財政効率を自治体の人口規模比較で、人口一万人前後から三百三十七万人の横浜市程度までの状況を調べたわけです。それを点でそれぞれあらわしました。これを見て、いわゆる相関関係というのは出てこないんですね。ちょうど円形になっているんですよ、一つの半円形に。つまり、一直線上に両側に並ぶという形にはなっていない、そういう一つのグラフであります。

 時間が来てしまいました。

 私、資料も後ろにずっとたくさん重ねてあります。これは、財政効率の問題をいろいろ論議したいということ、あるいは合併が自主、民主、公開を原則としたものでなければならないということ、あるいは合併についての総務省の通達の問題などなど、質問通告の中で既に出しておいたのです。しかし、きょうの質疑時間では到底そこまで行くことはできません。しかし、まだ質問する機会があると思いますので、そのときに譲りたいと思います。

 終わります。

川崎委員長代理 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党を代表しまして、ただいま議題となっております地方自治法等の一部を改正する法律案について、特に市町村合併と直接民主主義の問題を中心に質問をいたします。

 まず、憲法との関係について質問をいたします。

 明治憲法と異なりまして、憲法第八章において地方自治の章が設けられたことは、戦後民主化の象徴と考えます。その九十二条では「地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とありますように、憲法は、地方自治の本旨について、自明のものとして定義づけてはおりません。要するに、団体自治と住民自治、これが憲法に言う自明の理としての地方自治の本旨の内容、このようにされているところであります。

 そこで聞きますが、この地方自治の本旨としての住民自治と、憲法九十三条の、長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、住民がこれを直接選挙するとの規定は、どのような関係に立つのでしょうか。つまり、九十三条の規定からしますと、住民自治とは間接民主主義であり、直接民主主義は含まれないと考えるのか、大臣の見解をお伺いします。

片山国務大臣 基本的には、地方自治は住民自治と団体自治がある。住民自治は、何度も言いますように、長、議員は住民が直接選ぶという間接民主主義で、住民が物事を決めるということですね。団体自治というのは、国と独立した団体をつくって、その機関で、機関は議決機関と執行機関がありますけれども、議決機関で決めたものを執行機関がやれる、国とは独立して。

 そこで、議員の選挙という九十三条ですか、この規定は、私は、住民自治の中身を書き、かつ団体自治の中の議決機関を規定している、こういう規定だと思います。

重野委員 間接民主主義も直接民主主義も、住民自治にとってどちらも重要な構成要素である、そのように今の大臣の答弁を聞きますと受け取ることができます。また、当然そうであろうと考えますが、その意味で、両者の間には理論上の優劣というものはないというふうに思いますが、それでいいんでしょうか。

片山国務大臣 理屈上の優劣はないんでしょうけれども、我が国憲法は間接民主主義を、今の規定によって、九十二条、九十三条によって書いているわけですね。長とその他の吏員及び議会は住民の直接選挙で選ぶ、これが意思決定の議決機関であり執行機関だと明定していることは、私は、間接民主主義が基本で、あくまでも直接民主主義が補完である、こういうふうに思います。

重野委員 いわゆる九十三条の規定に基づく間接民主主義に対し、直接民主主義はどのような制度関係にあるとお考えでしょうか。

芳山政府参考人 ただいま大臣がお答えいたしましたように、憲法八章の規定は、住民から直接選挙で選ばれた長と議員で構成される議会とが当該地方団体の意思決定及びその運営に当たるという意味で、いわゆる間接民主制を基本にしているというぐあいに考えます。

 その上で、地方自治の究極の責任は住民自体に帰するという基本的な考え方をより実効あるものにするために、間接民主制を補完する意味で、住民が直接行政に参画するための直接民主制的な制度として、議会の解散請求、また解職請求等々の直接請求制度等が設けられたというぐあいに理解をしております。

重野委員 今の局長の答弁を私なりに理解をしますと、両者には法理論上の優劣はない、制度的には直接民主主義は間接民主主義を補完するものということになりますが、そういう理解でいいのかどうか。

 それからもう一つは、地方自治法九十四条に定める町村総会について、総務大臣のお考えをお聞かせください。

芳山政府参考人 地方自治法は代表民主制を原則として採用しているというぐあいに思いますが、今御指摘がありました町村総会でございますけれども、非常に人口が少なく、社会的構成も比較的単純で、その住民全体が一堂に会して議論ができるというような団体については、例外的に、議会を置くまでもなく、条例でその意思決定機関として、選挙権を有する者の総員によりまして構成される会議体である町村総会を置くことができるという規定があります。

 現行の町村総会でございますけれども、地方自治法の制定のときに、地方自治法の前身であります戦前の町村制において採用されていた制度を、一部修正の上、設けることができることとされたところであります。

 なお、事例としまして申し上げますと、町村制が施行されていた当時は、神奈川県の足柄下郡芦之湯村、現在の箱根町の一部でありますが、町村総会が設けられていたということでございますけれども、二十二年四月に議会が設置をされました。また、地方自治法施行後でございますけれども、東京都八丈支庁管内宇津木村、人口六十一人、有権者数三十人ぐらいですけれども、そこに設けられておりましたが、町村合併によりまして八丈町の一部とされております。

 現在、町村総会は設けられていないという状況でございます。

重野委員 今、例外的という言葉があったんですが、地方自治法九十四条に明確に書かれていることが例外的というふうな形で表現されるというのは、ちょっとおかしいんじゃないですか。

芳山政府参考人 町村総会の規定の仕方でございますけれども、自治法で議会を設置するということでありますが、町村総会においては、議会を設置しないで全員でもって構成することができるという規定になっていますので、基本に対する例外ということで使わせていただきました。

重野委員 次に進みますが、現行地方自治法九十四条では、「議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。」このように書かれているわけです。つまり、議会に取ってかわって町村総会を設け、議決機関とすることができることが保障されている。これは、先ほどからの答弁に言う間接民主主義の補完というふうな受けとめになるんでしょうか。私は、これはまさしく直接民主主義そのものではないかというふうに理解をするんですが、大臣の見解をお聞かせください。

片山国務大臣 まさにこの町村総会は直接民主主義なんですよ。これは、明治二十二年にできた町村制、あそこに規定があるんですよ。明治の町村制ができたときは町村が七万一千あったんです。だから、恐らくいろいろな小さな町村があったと私は思いますね。そこで、町村制は、特別の事情があって知事が認めたら、町村議会にかえて町村の総会でもいいよと。その規定がずっと戦後まで来まして、自治法をつくるときに残したんですね。だから、そういう意味では、歴史的な遺物と言っちゃいけませんが、歴史的な制度をそのまま残したんですね。しかし、それは自治法制定の、そのときの考えですから、今、例えば六十人だとか、神奈川県が何人だったか知りませんが、恐らくそのぐらいの単位の話なんです。

 だから、あくまでも例外としてあって、しかも市制町村制のそのままの仕組みを残した、こういうことでございますので、私は、いい悪いじゃなくて、そういう経過があると。これこそ、まさにある意味では直接民主主義ですね。それはそういうふうに思っております。

重野委員 大臣も局長も例外的という言葉を再三使われますが、この町村総会の経緯をずっとたどっていきますと、例えば、私が見た資料の中で、昭和二十二年三月二十五日、第九十二回帝国議会、この議会の中で、地方自治法案の審議録を取り出して読んでみますと、当時の政府委員でありました内務事務官の林敬三さんという方の国会の答弁は、「此の町村の中の組織の問題と云ふものが矢張り町村民の自主性を貴んで、其の點特に町村會を設けずに、自分の村は小さいから總會で行きたいと云ふ所があれば、其の自主性を尊んでやつて宜いのではないか、斯う云ふ風に考へまして此の規定を此處に存置して、」「さう云ふことを認める」、こういうふうに議事録に載っております。

 この答弁からしましても、町村総会は、制度上間接民主主義の補完ではない、まさしくこの直接民主主義というものに対する評価というか、積極的な、そういう思いというものが読み取れるのではないかと私は理解をするんですが、どうですか。

片山国務大臣 いや、それはもちろんそういうことなんですよ。間接制民主主義が全部正しくて、直接制民主主義はおかしいということはないんです。私は同じだと思っている。

 ただ、今のいろいろな、市町村の規模等を考えると、直接制民主主義はなじまないだろうと。何千人、何万人が集まって、総会をやって細かいことを決めていくということはなかなかできないので間接制民主主義を憲法が書いているわけですから、憲法が書いていないからといって、それではこの町村総会の規定が違憲かといったら、そんなことはありませんね。憲法に根拠はありませんよ。しかし、これは地方自治の本旨で読めるんですよ。ただ、憲法は間接制民主主義だと。

 だから、そういう意味では補完だと私は思うんですけれども、しかし、町村の中で希望して、うちは全員集まってやる、どういう場所でどういうふうにやるのか知りませんよ、何千人も何万人も集まってやると。やれるのなら、その市町村がそういうことをお選びになるのなら、それはそれで制度としては認められている、こういうことだと私は思います。

重野委員 では、ちょっと角度を変えて、今行政改革大綱をめぐっていろいろな角度から議論がされておりますが、その中で、与党は市町村を一千程度にまとめる、内閣はこの方針に基づいて行革大綱をつくる。そうなりますと、二〇〇五年以降には現在の市町村の数は約三分の一になる。そうなると、ほとんどの町村は、合併によって新しい市をつくるか、あるいは中核的な市に吸収されることになるわけで、要するに、合併によって一自治体の人口が現在よりふえることは間違いないでしょう。

 そうなりますと、この九十四条というのはどうなるんだろう。現実にこれを採用し得る自治体があるかないかという問題ではなく、法理論上、現に地方自治法に規定されている九十四条に基づく町村総会は、条文上全く意味のないものになるのではないかと思います。

 憲法に定める地方自治の本旨の構成要素が一つの特例法によって空文化する、そういうことが許されるのかという理屈も成り立つのではないか、このように思うんですが、いかがですか。

片山国務大臣 重野委員、千にはなかなか大変ですね。これはあくまでも目標で、できるだけそれを目指してこれから三カ年努力していくということだと思いますけれども、仮に合併が我々が思うように進んだ場合に、それじゃ自治法九十四条の町村総会ができるかというと、今ですら町村総会を選択している町村はないわけですから、今度の合併によって私はもっとなくなると思いますね。そういう意味では、制度としてはあるけれども実際は使われない、そういうことになると私は思いますね。しかし、町村総会という制度というものを残す意味は私はあると思います。

重野委員 地方自治法上、町村総会は残す、一方では、この規定はどんどん空文化していくという現実がある。そういう、町村合併、大きくしていこうという国の意思があるわけですね。何か私は理屈の上で大きな矛盾を感じるんです。そうであれば、この町村総会の規定というものをすぱっとなくしていけば、もうそういう悩ましいことを考えることはないんですが、大臣、そんなことはお考えになりませんか。

片山国務大臣 それは、重野委員、町村制のときだってほとんどなかったんですよ。神奈川県で一つでしょう。それから、地方自治法のときに八丈村ですか、何かでございますから、もともとこの制度を使うというところはなかったと思います。しかし、それは、落とすか落とさないかは立法政策の判断で、最終的には国会がお決めになることですけれども、今、我々としては、総務省としては、この規定を削除するということは考えておりません。

重野委員 現実問題として、町村総会を採用する可能性のある町村があるかないかというと、それはもうわかっておるんですね。それはもう百も承知するわけです。しかし、市町村数を合併によって再編するという政府、内閣の目的があります。憲法九十二条に基づく地方自治法の個別条文が実体的に意味のないものとされることが、これは許されることなのかという思いがあるんですね。

 しかも、一九八九年十二月の第二十二次地方制度調査会の答申、大臣も知っていると思うんですが、このときの答申では「小規模町村がその判断により、町村総会の制度の活用を図ることができるよう、検討する。」こういうふうに制度調査会は書いているわけですね。そういう経過について、大臣はどのように受けとめるんですか。

片山国務大臣 それぞれそのときのいろいろな状況に基づく判断があると思いますし、私は、重野委員の思いは十分わかります。

 だから、これは私個人の考えですけれども、ITがずっと進みまして、インターネット、オンライン時代になるんですよ。そういうことになるときに、市町村の住民の意思を直接聞いてみよう、そういう制度ができれば、町村総会は形を変えて生まれ変わってくる、私はこう思いますけれども、最終的には、何度も言いますけれども、国会の御判断、立法府の御判断なんです。ただ、この制度はもう長い、町村制からの制度ですから、これをどこも使っていないからといって今回積極的に削除するという、私はその必要はないんではないかと思っております。

重野委員 私は、これをなくせばいいというふうな理解で言っているわけじゃないんですね。いわゆる住民と為政者との距離がより近い、近くあるべきだということを象徴的にこのことは言っているんじゃないか。だから、政府もそうそう簡単に、もう時代に合わないからこれはというふうには言わないだろうと。問題は、この条文が言わんとしていること、これをどう受けとめて実行するかということが問われている、こういうふうに私は思うんです。

 結局、そういうものがありながら、地方財政は非常に厳しくなってきている、このもとで自治体の行財政運営の効率化ということが非常に強く強調されて推進されていく、そのためには平成の市町村合併だ、こういうふうになるわけですね。内閣の本音も、私はそこに尽きるんだろうと思いますが、しかし、今私が申しましたように、この法理論上の自己矛盾こそが、私は、地方自治の本旨というものを曲げないあかしになるのではないか。そういう意味では、整合性を欠くけれども、これが言わんとしているこのことはやはり積極的に受けとめていかなきゃならぬ、そういう思いを持つんですが、大臣の見解をお聞かせください。

片山国務大臣 スイスが地方自治や民主主義の大変進んだ国だ、コンミューンというのがあって、そこはどうも全員参加で、まさに町村総会みたいで物を決めていくということを我々も教わりましたよね。だから、これが一つの理想であるということは事実ですけれども、しかし、それは、現在のような状況の中で町村総会という形で町村議会のかわりができるかというとなかなか難しい、こういうことではないかと思いますね。

 ただ、先ほども言いましたが、将来、世の中がずっと変わってきますから、おかげさまで電子投票のトライアルの法案も参議院で御審議を賜るようになりました。トライアルでございますけれども、ずっと将来は、そういうことで、形の変わった直接民主主義が、また地方自治制度の中に導入していくべきだということになるかもしれないと思います。そういう意味では、この規定は大切に残しておきたいと思っております。

重野委員 また、先ほど言いました一九八九年の二十二次地方制度調査会、この答申の中にこういうことも書かれております。「小規模町村の実情及び事務事業の性格に応じ、広域市町村圏の中心都市等又は都道府県のいずれかが、事務を補完・代行することができるよう新たな仕組みを検討する。」「事務配分の特例についても、今後、検討する。」

 このことは、地方分権を市町村中心にさらに進める上でも検討しなければならない重要な課題ではないのか。合併によるいたずらな規模拡大よりも、規模に応じた事務の再配分、そしてこれと都道府県による補完、代行、そういうありようこそが分権にふさわしいのではないかという私の思いもありますが、そこら辺、大臣はどのように考えていますか。

片山国務大臣 何度も答弁させていただきましたように、私は、二十一世紀は地方の時代であり、それは住民に身近な市町村の時代だと考えております。

 そこで、委員が言われました、人口規模による差をつけろ、これは今もうかなりできているんですね。政令市、中核市でしょう、特例市、普通の市、町村、こういうふうになっていまして、現に過疎山村では都道府県代行で道路や下水道を代行しているんですね。

 そういう意味では、そういうことがかなり進んできておると思いますけれども、まあ二十一世紀に入りましたので、今の都道府県、市町村という二層制を含めて、全体のこの制度をもう少し勉強してみる、研究してみる必要があるのではないかということで、せんだって総務省の中に研究会をつくらせていただきましたので、委員のいろいろな思いやお考えも体しながら研究会でいろいろ勉強させていただきたい、こういうふうに思っております。

重野委員 時間も来たようですので終わりますが、きょうは、住民自治における直接民主主義と間接民主主義の問題を町村総会の規定に基づきながら質問させていただきました。

 必ずしも大臣の答弁、うん、なるほどそうだとすべて言えない部分もたくさんあります。そこで、次の機会があれば、間接民主主義と今回の市町村合併にかかわる手続問題を中心に、また大臣の話を聞きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

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川崎委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査中、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川崎委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十九日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十一分散会




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