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第4号 平成14年3月5日(火曜日)

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平成十四年三月五日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      河野 太郎君    左藤  章君
      佐藤  勉君    新藤 義孝君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
     吉田六左エ門君    吉野 正芳君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      田並 胤明君    武正 公一君
      中村 哲治君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    遠藤 和良君
      山名 靖英君    高橋 嘉信君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   外務大臣政務官      今村 雅弘君
   財務大臣政務官      吉田 幸弘君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 岡本  保君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 谷内  満君
   政府参考人
   (内閣府地方分権改革推進
   会議事務局長)      伊藤祐一郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (総務省自治税務局長)  瀧野 欣彌君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            團  宏明君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    松井  浩君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   牧野 治郎君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           加茂川幸夫君
   政府参考人
   (厚生労働省職業安定局長
   )            澤田陽太郎君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月五日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     高橋 嘉信君
同日
 辞任         補欠選任
  高橋 嘉信君     石原健太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官岡本保君、内閣府地方分権改革推進会議事務局長伊藤祐一郎君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省郵政企画管理局長團宏明君、郵政事業庁長官松井浩君及び厚生労働省職業安定局長澤田陽太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 今国会には郵政公社へ向けての法案も準備されているわけで、そのための本格的な論議というのは法案を審議する際に行っていきたい、こう思っておりますけれども、きょうは、それに先立って、郵政事業の根本的な問題にかかわるということで幾つか大臣のお考えを聞きたいと思います。
 その第一は、一月十七日の夕刊各紙は、あの高祖派選挙違反の判決が報道されております。その報道は、どの新聞を見ましても、「組織ぐるみ犯行」、朝日。あるいは、読売も「「役所ぐるみ」批判 前近畿郵政局長ら有罪」、こういうような見出しが各紙に見られるわけです。
 結局、あの判決では、組織ぐるみの犯罪だったということが指摘されているわけですが、大臣に最初にお聞きしたいのは、組織ぐるみの犯罪だったという認識がおありかどうか、お聞きしたいと思います。
片山国務大臣 今矢島委員からお話ありましたが、前近畿郵政局長等に対しまして一月十七日に判決が言い渡されたことは御承知のとおりでございまして、まことに遺憾でございまして、このような事態に立ち至ったことにつきまして、厳粛に受けとめ、深く反省しております。
 今御指摘の判決におきまして、ぐるみという言葉を使われておりますので、私は、ぐるみということの意味が必ずしも定かでないと思いますけれども、しかし、判決にそういう指摘がありましたことは、これは謙虚に、かつ厳粛に受けとめて、大いに反省しなければならない、こう思っておりますし、既に当委員会でもいろいろ答弁させていただきましたように、このような事態が二度と起こらないように再発防止に万全を期したい、このように考えております。
 この事件につきましては、繰り返しますけれども、大変遺憾でございまして、大いに反省いたしております。
矢島委員 昨年来、この問題については、大臣は、極めて遺憾なことだということについては、またこの判決が出た当日についてもそれぞれコメントを発表していらっしゃいます。
 ぐるみということについて、判決で出ているから、謙虚に受けとめてと。私、判決文を持ってきていますので、ぐるみということがどういうことなのかという点について、ちょっと御説明したいのです。その認識の上に立って、二度とこういうことが起こらないように郵政事業の改革を進めるということが必要だと思います。
 そこで、判決文の中では、「特定郵便局事件は、近畿郵政局のトップである被告人三嶋が、被告人西田らの発案を了承してその実行を積極的に指示し、同郵政局内で選挙対策を事実上担当していた総務部総務課長の被告人西田が、同藤永や同部職員らと具体的な計画・準備を進めた上、さらに相当数の近特幹部らと謀って実行に移したものであって、被告人三嶋及び同西田が(中略)同局長らが公務として出席を義務付けられている特定郵便局長会議の場を利用して行われたとの一事をもってしても、まさに近畿郵政局による組織ぐるみの犯行と認められる。」こういうように、ぐるみということを指摘しているわけです。
 さらに、この判決の要旨の方では、「合計十五回にわたり、千二百名を超える特定郵便局長らに対して選挙運動を指示した大規模な犯行であること等に照らすと、その犯行態様は相当悪質といわなければならない。」「本件は、近畿管内の多くの特定郵便局長らの政治的な意思決定の自由を根底から脅かしたばかりか、現職の近畿郵政局長らによる職務犯罪として、公務員の中立性に対する国民の信頼を大きく損なったといえ、その社会的影響は大きく、結果も重い。」というような文章があります。
 今、大臣もこの判決文のぐるみということについて率直に認められていると思います。私は、やはり組織ぐるみというのは、こういう判決文の中にもあるように、そういう形で行われた犯罪だったということですから、再発防止ということを大臣がおっしゃられるならば、こういう組織的な面での問題点をきちんと改革していく必要がある、この点を強く指摘しておきたいと思います。
 ところで、全国特定郵便局長会といわゆる特推連とあるわけですけれども、現在の特推連の会長さんはどなたがやっていらっしゃるか、ちょっと。
團政府参考人 お答えいたします。
 特推連の全国連合会の会長でございますが、現在空席になっております。実は、会長でありました竹内清史会長から辞任の申し出がございまして、一月二十二日で会長職を解いております。残りの在任期間が短いということもございまして、後任は指名していないという状況でございます。
矢島委員 現在特推連の会長は不在ということですが、この竹内さんという前会長ですが、昨年の十一月二十一日、朝日新聞のインタビューでこんなことを言っていらっしゃる。「もともと全特は政治集団ではなかった。それが特定郵便局長制度を守っていこう、地域の声を国政に伝えようと政治とかかわった。選挙に力を入れ出したのは六〇年代半ばごろから。それが知らないうちに選挙活動に傾きすぎるようになった」。
 六〇年代半ば以降、政治集団として選挙活動に傾き過ぎたということを認めているわけですけれども、私、ここでさらに指摘していきたいのは、昨年の十月三十日のこの委員会で、いわゆる全国特定郵便局長会という組織と郵政事業庁のいわゆる特推連、特定郵便局業務推進連絡会、この二つの組織が全く一体だということを、東北郵政局内の資料を使ってお示しした。今も、竹内さんが特定郵便局長会をやめられたら、特推連の方も同様にまだ決まらない、つまり表裏一体だというのはこういう点でも問題があるし、本気でそういうところへメスを入れる、まさにこの特推連というのは実際必要なのかどうか。
 票集めと、それからもう一つ私が指摘したのは、裏金問題をそのとき取り上げたわけであります。いわゆる渡し切り費の問題というのを取り上げ、その中で実際に裏金づくりが行われているという読売新聞の指摘を使いながら、どうするんだと言ったら、当時の足立前長官は、本件に関しましては、報道もされ、そして大臣からの御指示もございますので、現在、首席監察官のもとで特別にこれを調査することにしました、こう答弁された。さらに足立長官は、東北以外の管内についても調査すると考えております、私の質問にこう答えられました。
 さらに、同じ日に松崎議員の方からこの問題が質問されたときに、足立長官は、「十二月末ごろを一応のめどとしております。」つまり、調査の最終的なめどを十二月の末、こういうように答弁されたわけであります。
 つまり、十二月末には、東北のこの郵政局管内の問題だけじゃなくて、全国的にこの疑惑について調査して、その結果を出したい、こう言われ、大臣の指示でもある、こう答えていらっしゃる。結果はどうなっているか、お答えいただきたい。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 渡し切り費の調査につきましては、昨年の十月の二十四日に、東北管内の特定郵便局長業務推進連絡会の会長局に支給されております特推連経費に関しまして報道されました。このことを受けまして、東北管内につきましては十月の二十五日から調査を実施しておりますし、その他の管内につきましても十一月の八日から調査を実施しているところでございます。
 先生御指摘のように、当初十二月末を目途にして、臨局調査及び支払い先につきまして調査が必要なものについて一つ一つ確認を行い、一月末には調査結果の取りまとめもできるというふうに見込んでいたところでございます。
 しかしながら、渡し切り費によります物品購入等の支払い件数、取引先、これは大変多数に上っております。また、事柄がお金に関することでございますので、きちんとした調査をしなければいけないということもございまして、予想外に時間がかかっております。
 いまだ終了することができない状況でございますが、私どもとしては、できるだけ早く結論を出したいというふうに考えて鋭意取り組んでいるところでございます。
矢島委員 昨年の十月の段階で問題を提起し、調査の約束をし、既に三月になっております。今長官が言われるように、大変多岐にわたり、内容も細かい点もあり、相当の時間を要するという方向はわかりましたが、しかし、こういう問題は、いずれにしろもう三月ですから、来年度予算をいろいろと審議したりなんかしているこの時点でまだ調査中ですというのでは、これは本当に調査しているのかと言いたくなるような問題だ。なるべく早くというのは、これはなるべくというのはいつごろ、今月いっぱいには出ますか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどもお答えいたしましたように、お金に関することでありますし、きちんとしたことをしていかなきゃならぬわけでございます。その調査によりまして、使い道について私的なものにわたっているかどうかということも視野に入れた調査も必要でございますので、時間がかかりますし、確定的な期限を申し上げるというのは非常に困難であるわけでございますけれども、今の先生のお話も頭に置きながら、できる限り早く結論を出したいというふうに思っております。
矢島委員 ぜひ早急に調査結果を発表していただきたいと思います。
 いずれにしろ、先ほど私、ぐるみ選挙体質の問題を取り上げました。もう一つ、郵政事業改革というのならば、こういう点を十分考えていかなければならない、この点についてもう一つの問題を取り上げていきたいと思います。
 大臣は所信の中でも、郵政事業、とりわけ郵便事業への民間参入の問題に言及されて、そしてユニバーサルサービスというものを十分考えた上で郵便事業に対する民間参入というものを考えていくということを所信の中で述べられております。
 そこでお聞きしたいんですが、この郵便事業への民間参入、私たちは実はこれには批判的な見解を持っておりますけれども、民間参入によって、現在行われている国民へのサービス、こういうものが後退するようなことがあったら、何のための改革だ、何のための民間参入だ、こういうことになるわけです。ですから、お聞きしたいのは、第三種、第四種郵便の廃止問題でお尋ねしたいわけです。
 初めに、第三種それから第四種の郵便というのは、定期刊行物やあるいは身体障害者の方々や障害者団体、こういうところが発行している刊行物、あるいは研究発表のものもありますし、点字やあるいは目の悪い方々の録音したもの、そういうような郵便物を低い価格で送ることができるという制度ですけれども、こういう制度がある理由、その意義、これについて答えていただきたい。
團政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の第三種及び第四種郵便物の割引の理由でございますけれども、これは郵便法において設けられている制度でございます。
 まず第一に、第三種郵便物でございますけれども、これは国民文化の普及向上に貢献すると認められる新聞、雑誌などの定期刊行物の郵送料を安くするということによりまして、購読者の負担の軽減を図り、もって社会文化の発展に資するという趣旨で設けられております。
 第四種の郵便物の制度でございますが、これにつきましては、学術、教育の振興、普及や目の不自由な方の福祉の増進などを目的とするものにつきまして、やはり郵送料を安くするということによりまして、具体的には通信教育のための郵便物、盲人用の郵便物、これは無料でございます。それから、農産種苗を内容とする郵便物、学術刊行物を内容とする郵便物、この四種類が設けられているというものでございます。
矢島委員 まさしく国民文化の発展だとかあるいは教育や福祉、こういうものの増進に資するという点などなど、公共的な目的のために設けられている。
 郵政省にお聞きしましたところ、全体で二万件近い郵便物が第三種、第四種の郵便物として認定されている、十二年度の数値ですが、約十一億通も利用されている、こういうことでした。まさしく障害者団体の皆さん方やあるいはNPOなど各種団体の機関紙、こういうようなものにこの制度が利用されているというわけであります。
 そこで、大臣、大臣の所信の中で、このことを全面的に私は否定するわけじゃありませんが、これがしわ寄せになっちゃ困るというので取り上げるわけですが、郵便事業については、「経営の黒字基調への転換を目指し、収益の確保と大幅な定員の削減など、」以下云々。つまり、第三種、第四種の郵便について、これは十九日の新聞ですけれども、廃止されるんだという報道がされたんですね。その結果、多くの障害者団体の皆さん方それからNPO関係の団体の皆さん方から、これでは、つまり、月三回発行しているんだけれども三回発行できなくなっちゃう、月一回も難しいとか、あるいは機関紙の発行が今後できなくなるというような、いろいろな苦情やあるいは声が私のところにも届いてまいりました。
 そういう点から、大臣、民間参入において、この条件を検討する中で、最低限、現在のサービスが後退しないように、そういうことを重要な条件として入れていくべきだ。そういう点からいえば、第三種、第四種の果たしている公共性の観点から、現在のこの割引の制度、これは後退させない、こういう決意をぜひひとつ大臣にお願いしたいんです。
片山国務大臣 今御指摘の新聞記事は、郵政事業の公社化に関する研究会の中間報告に絡んでの記事だと思いますが、研究会の中間報告では、郵便物の種別の見直しをしたらどうか、それからもう一つは、郵便事業への民間参入をさせる場合には、政策的な料金減免が公社の事業財政の過度の負担とならないように、競争の進展状況を見きわめながら公社が判断できることとする必要がある、こういう御指摘をいただいたわけですね。
 そこで、今公社化の法案、制度化を懸命にやっておりますけれども、そういう中で政策的減免料金のあり方をどうするのか、今我々は検討いたしております。
 そこで、それは公社が料金をまけるのがいいのか、こういうものについては別の公的支援のやり方があるのか等含めまして、少し幅広の議論をいたしたい、矢島委員言われましたことも念頭に置きながら、さらに検討を深めたい、こう思っております。
矢島委員 民間にできることは民間にというのが郵政事業への民間参入のキャッチフレーズ。
 そうしますと、この第三、第四種の郵便、今やっているような制度を民間としても本当にできるのか、そういう点についてはいろいろな疑問が出されているわけです。ですから、民間との競争で現在の国民に対するサービス、こういうものが後退するとしたら何のための民間参入かということが言えるわけで、国民に納得のいく説明が必要だと思うんです。ぜひそういう後退のないような方向での論議を引き続きやっていただきたいと思います。
 時間の関係がありますので、次の問題に移りたいと思います。
 お配りした資料についてであります。地方税と社会保障のあり方についてただしていきたいと思います。
 一ページを開いていただきたいと思います。
 このグラフは、一九九〇年度の地方税収の国民負担と大企業の負担、これを一〇〇といたしまして、以下年度を追って指数であらわしてみたわけです。
 このグラフからおわかりいただけるように、地方税の国民負担指数というのはどんどんふえていっております。それに対して、地方税の大企業負担の指数というのは、一九九〇年を一〇〇といたしますとずっと減少している。そして、その中に白い矢印のグラフがありますけれども、これはいわゆる大企業の内部留保の増大を示しております。数値につきましては、四ページ以降、それぞれの省庁からいただいた資料を数字であらわしております。それをグラフにあらわしたのが今お示ししている資料であります。
 ここで私がまず言いたいのは、担税力のある大企業の税負担を拡大して社会保障の充実を図ること、これが今必要なことだ。なぜならば、国民の負担増というのが個人消費をどんどん冷え込ませている。そういう中での景気の後退がある、深刻な不況がある。ところが、大企業は内部留保を年々増大させているんですね。その数値については後ろにありますので、具体的な数値は後でごらんいただければいいかと思います。
 今必要なのは、この税の負担のやり方、これを転換して、担税能力のある大企業からの税を拡大していく、そして社会保障、こういうものに重点的に税金を使っていく、そのことが求められているし、そういう方向での税制の改革が必要だろう。
 時間の関係がありますので、二のグラフの方へ参ります。二ページです。
 これは、一九九〇年度をやはり一〇〇といたしました固定資産税のグラフであります。固定資産税収入とそれから地価の問題です。地価はグラフに示してありますように年々下落し続けている、ところが固定資産税の方は増加の一途をたどっている、こういう状況を示したグラフであります。バブル後八年間で、国民は一・四兆円もの固定資産税の増税となっている。
 ですから、今、固定資産税の大幅引き下げの要求というのが各地で出ている。東京では、固定資産税の二割削減、年間約二百六十億円を見込んでいるというようなのがあります。
 そこで、既に始まっている再来年度の評価がえ、この取り組みの中で、固定資産税制度の仕組みを抜本的に見直すべきだと思う、これが二つ目の問題です。
 三つ目の問題は、三枚目のグラフであります。
 これは、地財計画上の投資的経費、それと社会保障関係費、これをグラフにあらわし、棒グラフがそれで、その間、折れ線グラフは高齢化率をあらわしたものであります。
 つまり、私が言いたいのは、公共事業費というのがいかに社会保障関係費よりも多く年々支出されていったか。そして、高齢化社会がどんどんと進展する中で、これに対応できなくなっているのが現在の状況だと。ですから、全国各地からいろいろな悲痛な叫びが出ています。
 例えば、「特養待機者 定員の三・四倍 病院出されても行き場なく」「福祉の谷間で夫の死“見失い” 痴ほう症の妻、一カ月食事の世話」、挙げれば切りがないんです。「寝たきり両親絞殺 介護の三十八歳「頼まれ」」、あるいは「寝たきり「つらいので殺して」 九十三歳が八十七歳妻殺害」。以下たくさんあるんです。時間の関係で全部挙げられませんが、こういう事態が起こっているんです。
 ですから、私が言いたいのは、今こそ本当に、この高齢化社会に対応できるような、そういう支出の仕方、税金の使い方にすべきだ。
 以上三点について、大臣のお考えをお聞きしたい。
片山国務大臣 三点でございますが、御指摘ございました。今まで企業負担が大変高いということで、法人税や法人事業税を引き下げてまいりましたね。
 今矢島委員御提示の資料につきましては、我々も精査をさせていただいて、委員の御指摘のとおりかどうか、さらに検討を深めてまいりたい、このように思います。
 それから、固定資産税につきましては、御承知のように、公的評価一元化ということで公示価格の七割にしたんですね。その関係で、それまで比較的安かったところはやや高くなっている、こういう事実がありますが、このところの地価の下落で、十二年度から固定資産税も落ちてまいっておりますから、ダウンしておりますから、その点を申し上げたい、このように思います。
 それから、最後の公共事業と社会保障の関係ですが、なるほど、一時、バブルの後の景気対策で公共事業や単独事業をふやしてまいりましたけれども、このところ全部抑制基調でやっておりまして、来年度も単独事業を一割カットいたしますし、箱物はもうやらない、あるいはレジャー関係も抑える、こういうことでございまして、社会保障の方はもう制度の充実があって、逐次この経費が充実強化されておりますから、そういう点もお考え賜れれば幸いだと思います。
矢島委員 このグラフそのものの資料、出どころは、後ろの四ページ以降にありますように、総務省も含めて、それぞれ関係する省庁からいただいた資料をもとにしてつくってみたものです。ですから、正しい内容を私はそのグラフにしたと思っておりますので、ぜひその点も含んで考えていただきたいということ。
 それから、私がここで言いたいのは、やはり国民の中にいろいろな社会保障に対する不安というものがたくさんある。そういう中で個人消費というものが依然として伸びないでいる、そのことが景気を悪くする、デフレという問題が今論議されている。こういう事態の中で、ぜひ、急激な高齢化への変化に対する日本社会の構造の変化、こういうものに対応できるような地財計画というものが必要になってきている。この問題点を私は指摘いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党・市民連合を代表しまして、総務大臣の所信表明を中心に、現下の諸課題について質問をいたします。重野安正です。
 まず、所信で大臣が強調しておりました問題について具体的に質問していきたいと思います。冒頭、大臣は、国、地方を通ずる行財政改革及び地方分権の推進など、着実に成果を上げてきたものと考えております、このように述べておられますが、ここで言う着実な成果とは何なのか、まずお伺いいたします。
片山国務大臣 委員御指摘のように、私、所信ではそういうことを申し上げましたが、具体的に言いますと、一つは、政策評価につきましては、平成十三年一月の省庁再編時に導入いたしまして、昨年の六月には行政機関が行う政策の評価に関する法律の制定をさせていただきました。年末にガイドラインをまとめまして、本年の四月から、新しい年度になりまして、本格施行を予定いたしております。現在、各省庁、その準備をいたしているところであります。
 電子政府につきましては、これは電子政府、電子自治体でございますけれども、とりあえず、国が扱う申請、届け出あるいは地方団体が扱う申請、届け出の手続を、原則として平成十五年度までにインターネットでオンライン化する、こういうことでいたしたい。その後に、電子調達、電子入札、電子納税等を引き続いてやることを考えております。
 それから、大きい三つ目といたしましては、特殊法人等改革、公務員制度改革、行政委託型公益法人等改革につきましては、行政改革担当大臣と連携をして検討を進めておりまして、年末に、特殊法人整理合理化計画あるいは公務員制度改革大綱などの行政改革大綱を具体化する計画をまとめたところでございます。実際の制度化等はこれからやるというわけでございまして、十五年が一つの大きなあれになろうと思います。恐らく、この通常国会ではちょっと間に合いませんので、臨時国会以降、来年の通常国会等がそういうことの制度化の国会になるのではなかろうかと思っております。
 地方分権につきましては、地方分権推進委員会の後継機関として、七月三日に新たに地方分権改革推進会議を内閣府に設置いたしまして、現在いろいろな御審議を賜っておるところでございます。
 今後、これらの実績を踏まえながら、さらに大きな成果を目指しまして行革の推進に取り組んでまいりたい、地方分権の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
重野委員 大臣、幾つか自分なりの評価を挙げられましたけれども、こういう点からちょっと指摘をしたいと思うんです。
 例えば、赤字地方債による地方交付税の補てんがなされました。また、長期にわたる不況である、だからこそ求められる法人事業税の外形標準課税への転換、これも大きな課題としてこの間議論されてまいりました。そういう点から見ますと、地方分権という視点から見ると、地方分権に成果じゃなくて、結果として逆行する、そういう部分が非常に目立つではないかという指摘をしたいのであります。しかも、自治体から強い要請のあります税財源の移譲については、残念ながらその展望が開けているとは言えません。
 今、大臣、六、七点、具体的な成果を述べられましたけれども、そういう面から見ますと、着実に成果を上げたというふうには言えない側面もあること、そこについて、大臣はどのように認識されておるか、お伺いいたします。
片山国務大臣 着実に成果の、成果をどういうふうに考えるかということにもあるいはなると思いますけれども、地方交付税の特会借り入れをやめるということは、平成十三年度の予算編成におきまして、当時の大蔵、自治で合意いたしたことでございます。来年度は、地方税収が我々が思ったより大きく落ち込みましたので、このままその方式をやりますと、国の方も一般会計の調達が大変でございますけれども、地方も赤字地方債が三倍になるんですね。これは、地方の方の実情を聞きますと、それは幾ら何でもちょっとというような意見もありまして、半分だけにいたしまして、財源不足額の四分の一だけ特会借り入れを残したわけでございまして、これは十五年度にはやめたい、こういうふうに思っております。一年先送りしたではないかというと、半分を先送りしたということは言えると思いますけれども、半分はそれをなくした、こういうふうに我々は評価いたしております。
 それから、外形標準課税は、こういう景気のときに何だ、こういう意見が相当ございましたが、税制改正大綱には、平成十五年を目途に導入を図る、こういうことが明記されましたので、我々としては、そういう意味では一歩も二歩も前進ではないか、こう考えております。
 それから、税源移譲につきましては、これまた骨太方針をまとめますときの大議論がございまして、いろいろな反対論もございましたが、大方の納得を得て、税源移譲が初めて閣議決定する骨太方針に明記されたわけであります。また、「経済財政の中期展望」につきましても同じようなことが書かれたわけであります。
 ただ、例えば、私が言いますように、今の六対四を五対五にするといいましても、国税から地方税への大変な移管でございまして、これはなかなか今の経済状況、財政状況の中では直ちにということは私は困難だと考えておりますが、いずれにせよ、着実に議論を積み重ねて道筋をつけたい。我々が言いますように、できるだけ六対四を五対五にしたい、こういうふうに考えておりまして、そういう意味での認識を深めたという意味では、私は着実な成果と言っても許されるのではなかろうかと考えております。
重野委員 もう少し具体的にお伺いしますが、昨年の六月十四日、地方分権推進委員会は、その任務を終了するに当たって最終報告を明らかにいたしました。その中で、地方税財源の充実確保策についてかなり詳細に提言を行っていることは御案内のとおりです。このことについては、大臣も言われるまでもなく十分承知をしていることと思うのでありますが、まずこれについて、大臣の評価、どのように評価されているか、お伺いいたします。
片山国務大臣 地方分権推進委員会が、委員会としては一応その任期を終えるに当たりまして、委員会としての見解を示したい、こういうことで報告という形でお示しになったわけでありまして、本来、委員会としては、法律に基づく勧告や意見提示権があったわけでありますが、わざわざ報告という形でまとめられた、こういうふうに思っております。
 あれは、簡単に言いますと、地方税源を充実する、そのためにはそれと同じだけの額、国庫支出金の削減、地方交付税の削減を図る、まあトータルとしての収入中立でございまして、今の国庫支出金カット、交付税を落とすことによって地方税源の充実を図ろう、同額でどうか、こういうふうな御報告でございまして、私は、かなり現実的な、具体的な見解の表明であった、こういうふうに思っております。
重野委員 そういう評価だろうと思いますけれども、そういう評価をされておるにもかかわらず、この一月十八日に出されました中期展望における「国と地方の役割分担」、その中では「地方分権改革推進会議における調査審議を踏まえ、」さらに「地方財源の在り方」の部分について、「今後必要となる税財源を具体的にどのように確保していくのか引きつづき検討する。」こういうふうになっております。
 地方分権推進委員会の最終報告では、個人所得税に焦点を当て、それと連動した地方交付税等の役割について明確に述べております。
 そうした報告内容からしますと、中期展望は後退しているのではないか、こういうふうに思うのでありますが、大臣の見解をお聞かせください。
片山国務大臣 確かに、地方分権推進委員会の最終報告の方が具体的ですね。骨太方針や中期展望は、税源移譲を含む国と地方の税財源配分について根本から見直す、こういう書き方ですから、具体性においては私は分権推進委員会の最終報告の方が上だと思いますけれども、ただ、骨太方針や中期展望は閣議決定したんですね。税源移譲を含む抜本的見直しを閣議決定しておりますから、私は、そういうことでは骨太方針や中期展望の意味は大変ある、こういうふうに考えております。
 まだ具体的な、どの税をどうだというところまでなかなか、最高方針がまだ固まっていないといいますか、検討中である、こういうことだと思いますけれども、基本の考え方は分権推進委員会も骨太方針、中期展望も同じだ、こういうふうに思っております。
重野委員 閣議決定がなされているか否かの違いというのは、今言われたとおり、重みが違います。であるならば、地方分権推進委員会の最終答申をいわゆる閣議決定に持ち込む努力、それはいかようになされたのかということをお聞きしなければなりませんが、どうでしょう。
片山国務大臣 まさにそこなんですね。そこで、基本的な方針を、税源移譲を含む国と地方の税財源配分のあり方を見直すということをまず閣議決定してもらって、それじゃ、それを見直すということは決まったんだから、その見直しの具体的なあれはどうか、それが次の段階になると思います。それを決めていただくように、再度、経済財政諮問会議その他で私としても最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
重野委員 それでは次に、今議論になっておりますように、地方分権推進委員会がその任務を終えて地方分権改革推進会議が設置され、この中期展望が出されました。地方分権推進会議の調査審議を踏まえての地方財源のあり方を考える、小泉内閣の地方財源に関する立場というのはそういう立場だろうと思うんですね。しかし、今も指摘しましたように、この問題に関する出発点、これは紛れもなく地方分権推進委員会の第二次答申及びこの最終報告にあると私は思います。なのに、なぜ今なのかということを、くどいようですが言いたくなるわけですね。
 この具体的改革方策は相当煮詰まっているはずだ、そういう思いがありますが、大臣、どのようにお考えですか。
片山国務大臣 地方分権推進委員会やそういうところでは、私、かなり煮詰まっていたと思います。しかし、例えば経済財政諮問会議等では、今、構造改革ということに焦点を当てて全般的な議論をしておりますから、国と地方の税財源配分のあり方についてはこれからの議論になりますね、特に税制改革に絡みますから。恐らく、今月から来月にかけて議論がスタートして、夏ぐらいまでには方向を出す、こういうことでございますから、私は、そういうことの中で煮詰まっていくんではなかろうかと。
 それから、地方分権推進委員会の後継の機関として地方分権改革推進会議ができました。ここは今、権限移譲、事務移譲、関与縮小のフォローアップみたいなことをやっていただいておりまして、それが六月ぐらいで一区切りつけば、後は税源移譲を中心に税財源配分のあり方についての議論を始めていただける、こういうふうに聞いております。経済財政諮問会議あるいは政府税調等と相呼応して、地方分権改革推進会議でも大いに御議論賜ろう、そういう意味でのいろいろな検討、議論を積み重ねていきたい、こういうふうに考えております。
重野委員 税源移譲の問題が焦点になるわけですが、今大臣の答弁で、いつということは明示できない、しかし、早期に税源移譲について実施される方向が出るというふうに思っていいのかどうか、一体いつごろまでをめどにその検討の結論を出そうとされておるのか。
 これについては、総務大臣並びに経済財政担当事務局、また地方分権改革推進会議事務局、それぞれの答弁を求めます。
片山国務大臣 総理は、税制改正の議論はいつもは秋でございますけれども、早急に、二月、三月、四月ごろから始めてほしい、こういうことでございまして、特に経済財政諮問会議では、税制を正面から取り上げて、今言いました国、地方の税源配分のあり方も見直す、できれば方向づけは夏ぐらい、こう言っておりますが、正直言いまして、まだスタートしておりませんので、論点整理から、恐らく今月中ぐらいから始まると思いますけれども、夏ごろに基本的な考え方、それから恐らく案としてまとまるのは年内かかるのではなかろうか、こういうふうに私は考えております。
岡本政府参考人 「改革と展望」の中では、今後、地方税の充実確保を図るという観点から、そのあり方を検討するということにされておりまして、今後、地方分権改革推進会議と諮問会議の直接の意見交換でございますとか、あるいは分権推進会議での調査審議を踏まえるということになっておりますので、そういうものを十分踏まえて検討がこれから進められるというふうに考えております。
伊藤政府参考人 お答えいたします。
 地方分権改革推進会議は、国と地方の役割分担に応じた事務事業のあり方と税財源の配分のあり方について調査審議することを求められております。
 当会議といたしましては、当面、事務事業のあり方から重点的に審議をすることとし、昨年十二月にその中間論点整理を取りまとめたところであります。
 税財源の配分のあり方につきましても、経済財政諮問会議等におきまして審議が開始されておりますので、その議論の動向等を見定めながら、必要なときには当会議としての考え方を申し上げることができるように検討を進めることといたしております。
重野委員 今それぞれから答弁をいただきました。期待いたしますのは、可能な限りピッチを上げて、そして、それぞれが目指すものをやはり一にして取り組んでいただきたい、このことを強く指摘をしておきたいと思います。
 次に、市町村合併問題についてお聞きいたします。
 昨年の三月二十七日、閣議決定に基づきまして、内閣に、総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部が設置されました。二月二十一日にも四回目の会議が開催されたと聞いています。
 内閣の中にはいろいろな本部と名のつくものがありますけれども、この支援本部もそれと同じように、国家行政組織法に基づく行政機構、組織ではなく、国の施策に関する関係省庁間の連携を図るための調整会議、こういうふうに理解をしていますが、本部長たる総務大臣の見解をお聞きいたします。
片山国務大臣 委員の言われるとおりだと思いますね。市町村合併の重要性にかんがみまして、政府を挙げて関係府省が一体となって総合的、効果的な施策の推進を図るため、こういうことで閣議決定で設置いたしたものでありまして、単なる調整会議等とは違うわけですね、閣議決定という重みを持っておりますから。
 その本部長は私がならせていただきまして、すべての副大臣が本部員でございまして、副本部長に総務副大臣と官房副長官になっていただいておりまして、ここで決めたらそれは最大限各府省がその具体化を図る、こういうふうなことになっております。
重野委員 そうなりますと、国家行政組織法上何ら根拠を持たない支援本部の決定というものはいかなる性格を持つのかという疑問が出ます。それは、国民に対し行政上いかなる責任関係にあるのか。
 しかも、この支援本部は、市町村合併支援プラン、昨年の八月三十日に決定していますが、この支援プランの法律上の行政責任、これはどこにあるのでしょうか。
片山国務大臣 市町村合併支援本部は、国家行政組織法に基づく行政組織に準ずるものと我々は位置づけております。支援本部において一定のことを検討、議論して意思決定をいたしますと、各府省はそれに基づいてやっていただく。しかし、それは各府省の権限と責任でやっていただく。ただ、そこで合意いたしておりますから、合意したことは守っていただく、こういうふうに私どもは各府省にお願いいたしております。
重野委員 そうすると、この支援本部で出される決定というものは、当然この問題に対し、各府省の意思決定に一定の拘束力と申しますか、そういうものを持つことになるというふうなことでしょうか。
片山国務大臣 法律上拘束力を持つということではなくて、そこで合意して、各府省のメンバーも同意いたしておりますから、そういう意味では、最大限尊重するという意味で、一種の心理的な拘束力等を持つのではないかと私は考えております。
重野委員 もうそれ以上申しませんが、いずれにいたしましても、この合併問題というのは、当面、地方自治体にとりましては最大の課題であることは間違いありません。
 そこで、住民自治と合併との関係についてお聞きいたします。
 昨年十二月末の合併協議会等の設置状況、四百四十、参加市町村は二千二十六、こういうふうに聞いております。
 そこで、例えば、これが文字どおり合併するとなりますと、市町村の議員総数は大きく減少することになります。例えば、合併前の市町村の住民は、最低でも十二人の議員を選出する権利が保障されていますね、現行。これが、地方自治法の本則に言う五万の市となった場合に三十六人、現行そうなんですね。つまり、一合併協議会等に参加する市町村は、今二千二十六の状態の中で平均しますと大体五市町村、こういうふうになっていますが、機械的に計算しますと、最低でも六十人から三十六人に減る。しかも、人口の少ない町村が比較的人口の多い市に、吸収合併という言葉は適当でないかもしれませんが、合併した場合には、最低当選ラインのアップによって、旧町村地域を代表する議員の選出は非常に少なくなってくることが予想されます。
 これでは、市町村合併とは、住民の選挙権あるいは被選挙権の制限となりかねない、住民自治に重大な制約を与えかねないことになると思うのですが、その点について大臣はどのように見解をお持ちか、これが一点。
 もう一点は、住民自治の最も基本的問題である、このことを直視するならば、現行地方自治法に定める規模別議員数について、上限制でなく下限制として、自治体の条例で自由に定め得るものとすべきではないか、このように思うのですね。地方分権について着実な成果を上げてきたというふうに大臣のお話がございましたけれども、その土台である住民自治の基本的手段について根本的に見直すべきではないか。
 以上二点、お伺いします。
片山国務大臣 まず第一点でございますが、御指摘のように、市町村合併に伴い、市町村の議会の議員数は、従来の議員数を足したものよりは必ず減少する、こういうことになると思います。
 そこで、我々の方では、旧市町村単位に地域審議会を設けていただいても結構です、限定的な自治ということになるんでしょうかね。その地域についてのいろいろな御提言をいただく地域審議会をつくっていただいても結構だということを申し上げております。その場合、運用上どの程度の発言権を持たせる、提言の拘束力を持たせるというようなこともそれぞれお考えいただいたらどうだろうか、こう言っております。
 それから、直接的な住民参加をさらに促進する地域ごとの公聴会だとか行政モニターだとか、インターネットによる意見提示だとか今はやりのパブリックコメントだとか、そういうことを図ることによって、IT時代ですから、いろいろな方途が考えられるのではないかということを申し上げております。
 御承知のように、地方自治法では、議員数の上限は設けておりますね。というのは、何らかの基準が要るのではないかという意見が通説でございまして、そういう意味で上限にいたしております。それは上限でなくて下限がどうだ、あるいは標準的な数でどうだといろいろありますが、地方分権推進委員会からも、上限を決めて、あと減員をどうするかは地方団体の自主的な選択に任せたらどうかという御提言もいただきましたので、我々としては上限が適当である、こういうふうに考えた次第でございます。
重野委員 もう時間もありませんので、最後に雇用問題について聞きたいんですが、大臣の所信の中に雇用という文字を一生懸命探したんですが、ありませんでした。しかし、自治体はこの雇用問題の推進役として大きな役割を担わざるを得ないわけですね。自治体における雇用あるいは失業行政の比重が非常に高いものになっているにもかかわらず、地方分権一括法によって職業安定行政は国の直接執行事務とされました。都道府県の雇用失業行政は、結果として大きく後退しているのが実態であります。
 そうした実態にもかかわらず、法制定もないままに緊急地域雇用創出交付金事業が予算措置だけで自治体の仕事にされている。都道府県の行政上の権能との関係からして、これはちょっと厚生労働省も勝手なことをするなあというふうに私は思わざるを得ない。総務大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
 それから、雇用創出事業の半分は、先ほども申しましたけれども、自治体が担うわけであります。したがって、職業安定事務の帰属の問題については、議事録を見ましたけれども、かつて牧野労働大臣は、必要があれば見直すと答弁している。そういうふうなことを考え、現状の雇用失業問題を考えるならば、職業安定行政事務について、せめて法定受託事務、こういうふうにしなければならないんじゃないかと思うんですが、この問題について厚生労働省の見解、そして、さきの部分については総務大臣、見解をお聞かせください。
平林委員長 時間が来ておりますので簡潔に。
片山国務大臣 緊急地域雇用創出特別交付金につきましては、私の方からも、閣議で厚生労働大臣に、できるだけ地方団体の自主的な運用ができるようにしてくれ、お金は出すんだけれども口は余り出さぬでくれ、それぞれの地域の雇用にプラスになるようにしてくれと。そういうことで、法律でなくて予算補助にいたしたわけでございます。
 それから、恐らく厚生労働省から説明があると思いますけれども、例の職業安定行政につきましては、雇用保険の一元的な運営、あるいは広域的な職業紹介等の観点から、現在の国と地方の役割分担になったと理解しております。
澤田政府参考人 雇用対策に関します国と地方の役割分担につきましては、先生御承知のように、地方分権推進計画等におきまして、国は全国的な観点からやる必要があるもの、例えば職業紹介、雇用保険業務等々をやる、地方は地域の実情、ニーズに即して自主的に雇用対策を講ずるように努めるという整理がなされております。
 今回の御指摘の緊急地域雇用創出特別交付金は、自治事務として行われる都道府県、市町村が行う自主的な雇用対策を国が交付金をもって応援するという仕組みでございまして、勝手なことをしたという御意見がございましたが、そういうふうに私どもは考えておりません。都道府県が行う自主的なものを応援するという位置づけでございます。
 現在、雇用情勢は大変厳しいということでございますので、職業紹介事務を含めた国と地方の役割分担のあり方については、議論を深めていくというよりは、両方の連携をいかに図ってこの厳しい雇用失業情勢に対処していくかということで努力することが肝要というふうに考えております。
平林委員長 時間ですから。
重野委員 以上で終わります。
     ――――◇―――――
平林委員長 次に、内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官谷内満君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治財政局長林省吾君、総務省自治税務局長瀧野欣彌君、財務省主計局次長牧野治郎君、財務省理財局長寺澤辰麿君及び文部科学省大臣官房審議官加茂川幸夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。
吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。地方財政についてお尋ねをしたいと思います。
 今、各地方とも大変な財政で苦しんでおります。もう大分前ですけれども、景気を回復するということでいわゆる財政出動を国がやってまいりました。事業をやるのは地方でございますから、それの裏負担の財源として、多くの地方債も発行してまいりました。当初予算ではいいんですけれども、補正予算で緊急経済対策を国の方でやる場合に、地方はやはり補正予算債という、そういうところも借金をして財源をつくってまいりました。
 私は福島県なんですけれども、県議会時代にこういう例があります。県が出資している会社があります。お金をつくるに当たって減資をしました。会社を減資して、そしてそれを県の方に組み戻して裏負担にした、これは大分前の話なんですけれども、そこまで私たちの県はやって、いわゆる緊急経済対策、国の景気対策に協力をしてまいったところが今までの姿だったと思います。
 でも、もうこれ以上国のそういう部分に対して協力したくても、するだけの体力がなくなった。もう待ったなしで行財政改革をせねばならないということで、私たちの福島県では、平成十三年十月に行財政改革プログラムという、これなんですけれども、中身をちょっと紹介してみたいと思います。
 十四年、十五年、十六年、これを集中改革期間、三年で改革をしよう、十七年度は収支を均衡させよう、これを第一目標に掲げています。それをやるためには、いろいろなことが書いてあるんですけれども、まず、県でできる仕事、町でできる仕事、この守備範囲を見直そうということなんです。
 私も、県会議員時代に、自分たちの会派でいろいろな資料をつくってそれをコピーするわけですけれども、今はあるんですけれども、当時私たちの会派ではコピー機がなかったものですから、コピーを議会事務局でしていました。この間、私たちの会派の代表に聞きました。議会事務局からこう言われたそうです、今までやっていたコピーはやめてほしいと。結局これも、県でやらねばならないその守備範囲という、ここからきている、そういうふうに議会事務局からうちの方の代表が言われたので、びっくりをしたというところが現状であります。
 また、いわゆる一般の管理経費を削減するために、三年間で百名の定員を削減する。そして、事務用品、事務用の備品、これは三年間購入中止にする。印刷物は二〇%削減する。アルバイト、臨時職員も二〇%削減する。職員の海外研修は、一カ月以内の短い研修は取りやめる。事務事業、一五%量を減らす。そして、事務事業をつくる場合、いつ終わるかという終期を定めて、いわゆるサンセット方式もきちんと導入していく。こんな形で一般経費というか、そういうものを削減していく。
 公共事業の削減、これはバブル期以前の水準に戻す。私は、これを進めていくと、国でこういう事業をやりたいんだといっても、裏負担がないからできませんという形で、全国でこれが始まっちゃうと、もう国の思っていた事業が一〇〇%できないかもしれないのかな、そんな気もいたします。そして、公共事業のいわゆるコスト削減です。八%という形で数値目標を決め、公共事業の効率的な執行というところにも努めてまいります。
 公社等の外郭団体、国でいういわゆる特殊法人の改革等々、血のにじむような努力をして、そして、三年後はプライマリーバランス、収支が均衡し、黒字にするというところの改革プログラムを福島県ではやっているわけですけれども、こういう地方の血の出るような改革に対して、いわゆる地方のあり方、地方財政のあり方について、大臣の御所見はいかがなものでしょうか。
片山国務大臣 今、吉野委員からお聞きしまして、福島県も大変御努力をしているな、こういうふうに思います。私は岡山県でございますけれども、相当前に岡山県で副知事なんかを私はやっておりましたが、今は岡山県も大変財政が悪うございまして、大変な行財政改革の努力をしています。国もしておりますけれども、私は、場合によっては、地方の先進的な都道府県の方がもっとやっておるんじゃなかろうか、こう思っております。公共事業も全部受け入れないというんですね、裏負担が。もったいないじゃないかと私自身は言うんですけれども。
 それだけの厳しい中で、地方財政の健全性を回復する、自立できる地方財政にする、こういう努力をしているのは、私は地方自治の上から見ましても、大変立派なことではないか、あるべき地方自治の姿じゃないか、こういうふうに思っております。国もやりますから、国、地方が相連携して、この際、今までのバブルのころあるいはバブル崩壊後のいろいろな行財政について、抜本的に見直してみるということは大変いいことではなかろうか、こういうふうに私は思っております。
吉野委員 それで、県の方から見ると、今の交付金制度は、国の財政と直結して地方の財政が大きく影響されるという仕組みになっているかと思います。それではやはり県としても、地方としても、中期的な、長期的な県土づくりの計画を立てているわけでありますので、国の財政悪化がイコール地方の財政悪化に結びつくような今の交付金制度では、私はいけないのかなと思うんです。
 地方地方の財源、財政確立のためには、どんな方法があるのか。先ほど質問の中でいろいろ答弁されていたと思うんですけれども、重複になっても再度お答えを願いたいと思います。
片山国務大臣 地方交付税は、地方にとっては一般財源なんですね。何にでも使えるお金、特定財源ではありません。一般財源ですが、しかし、国から来るという意味では依存財源なんですね。だから、やはり依存財源を少なくするということが一番で、それはやはり税源の充実なんですよ。地方税を充実する。
 そのためには、新しい税金をつくるのも結構でございますが、今の税体系の中で、国、地方の税源の配分のあり方を見直す、こういうことが私は必要だと。仕事は六五%やっているのが税は四〇%しか取れないというのは、ここに不合理があるんですね。だから、せめて四〇パーを五〇パーにしたいというのが我々の願いでございまして、経済財政諮問会議その他でも強くそういうことを私は主張いたしております。
 ただ、今の四〇を五〇にするといっても、国税から地方税への移管がそれだけでも六兆から七兆円なんですよ。それが今の財政状況の中で可能かというと、私はこれはなかなか難しいだろうと。それは、日本の景気が民需中心に回復して安定してくれば、ぜひ税源移譲はやってもらわなければならない。税源移譲することが地方財政の抜本的な安定につながる、こういうふうに思っております。
 それまでは、やはり地方交付税をいろいろな形で確保していかなきゃいけません。今回も、赤字地方債と地方交付税を合わせますと二十二兆八千億なんですよ。二十二兆七千七百億でございまして、そういう意味では、来年度の地方財政、地方団体の財政運営は支障がないのではないか、こういうふうに私は思っております。
吉野委員 今の税財源の移譲、これはもう確かにそのとおりなんですけれども、そこまでやるに当たって、やはり国の守備範囲、役割、地方の役割というところまで踏み込んだ中で議論していくべきだと私は思います。今の国の仕事、地方の仕事、そこでの税財源の移譲という形だけではなくて、国の役割、地方の役割はどうあるべきかというところまで議論をすべきではないかと思っています。
 それで、地方独自の財源確保の中で法定外の税制という部分があります。福島県でも、原子力発電所がありますから、原子力発電所に関する税というものを今検討しています。また、産業廃棄物に関する税等々も検討しています。東京では、ホテル税なんかはもうでき上がったわけですけれども、そんな形の、地方独自の財源確保のための取り組みがなされていると思いますけれども、その状況と、それについて総務省はどんな見解を持っているか、お答えを願いたいと思います。
瀧野政府参考人 法定外税の導入の検討、取り組み状況につきまして御質問がございました。
 御案内のように、地方分権一括法によりまして、平成十二年四月に制度改正が行われましたが、それ以降新たに導入されました法定外税は、三重県の産業廃棄物税など三件ございます。また、従来からの法定外税の継続、拡充につきましても四件ございまして、それぞれ総務省として同意したところでございます。
 このほか、各地方団体でいろいろなアイデアが出されておるところでございますが、個々の地方団体におきまして、地域の実情を踏まえまして、課税自主権の活用を検討すること自体、望ましいことというふうに考えております。ただ、条例制定など、具体化に当たりましては、税制の公平中立といった原則とか、あるいは地方税法の趣旨に沿いまして、納税者の方々の理解も得ながら、議会などで十分な議論を行って、適切に判断していくべきものであるというふうに考えております。
 今後とも、各地方公共団体から総務省に対しまして個別に協議や相談がありますれば、法律に定められております要件も踏まえて、情報提供その他の必要な支援を行うなど、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
吉野委員 次に、十五年度の、十四年は今大臣おっしゃったように確保されました、十五年度の交付税、本当に来るのかなというのが、地方の本当の偽らざる気持ちでございます。十四年度は地方交付税の総額十九兆五千億、これだけ見ると四%の減少ですけれども、地方負担分、いわゆる赤字公債、赤字地方債を発行して、臨時財政対策債、この三兆二千億を入れますと四・五%の増になっておりまして、そういう意味では、地方の分の財源は、十四年度は確保することができたわけであります。
 十五年度について、その辺の心配をしておりますので、大丈夫だという明快な答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
片山国務大臣 今の地方財政の仕組みは、もう委員に釈迦に説法ですけれども、毎年度、地方財政計画をつくりまして、地方の全部の収入と支出を見込んで、足りないものをきちっと国の責任で補てんする。しかも、地方財政計画で国会に報告する。だから、十五年度についても、同じことをやらせていただいて、大きな不足額が出れば、それはきちっと交付税その他で手当てをする、こういうことになると思いますので、その点の御心配はないと思いますが、交付税特会の借り入れを、委員御承知のように十四年度は四分の一残しましたから、これは十五年度では解消したい、こう思っておりますから、その分は交付税ではなくなるんですね、赤字地方債がふえる。その分は交付税がやる。
 しかし、全体の財源不足額がどうなるのか、それから景気と財政がどうなるのかというのは、今はちょっと、もう少し先ですから見通し立ちませんけれども、いずれにせよ、どういう状況になろうが、地方団体の財政運営に支障がないように、しっかりとした地方財政計画をつくって、その計画に基づいて地方交付税その他の一般財源を手当ていたしたい、こういうように思っております。
吉野委員 ありがとうございます。
 でも、結局、不足額の二分の一は地方の赤字、借金ということで、そこをしたくないというのが地方の気持ちなんです。総額は、お金は、現ナマは来るけれども、その地方の負担分は交付金で国が責任を持つと言っているんだから大丈夫だ、こう言っても、やはり借金当事者は地方でありますし、交付金で後でよこすといっても、結局基準財政需要額が小さくなってしまうものですから、借金はそのまま残っていく、そういう心配があるわけなんです。
 私も、実は、基準財政需要額というのは積み上げだというふうに理解していたんです。単位費用があって、学校の数があって、だからこれだけのものがある、単位費用があって、市町村道があって、だからこれだけのものがあるというふうに積み上げたのが基準財政需要額、いわゆるシビルミニマムの確保というふうに私は理解していたんですけれども、今回これを質問するに当たって勉強しました。違うんです。何と、地財計画でこれだけの基準財政需要額、まず国にこれだけがあって、それをようかんのように切っていって、福島県の分、私いわき市ですけれども、いわき市の分という形で、基準財政需要額が伸び縮みしちゃうわけなものですから、そこら辺の不安。
 そして、質問なんですけれども、いわゆるシビルミニマムの確保という観点から見て、基準財政需要額が簡単に動いてしまうというところはどうなんでしょうか。
片山国務大臣 今の地方財政計画、地方交付税制度というのは、地方団体が標準的な行政を行うための財源は国が保障する、こういう制度なんですね。
 そこで、しかし、今吉野委員が言うように、伸び縮みするじゃないかと。するんです。例えば、公共事業は地方財政計画上は補助事業になるんですけれども、これは国から補助事業をもらうわけですね。これは、国が公共事業を一割カットしましたから、地方財政計画上の補助事業は減るんです。それから、平成十三年度は一般単独事業も十七兆五千億だったんです。ただ、実際は、決算との乖離がかなりありますから、それから今地方団体も起債でいろいろな事業をやるという意欲はちょっと衰えておりますから、これは一割、我々はカットしたんです。だから、十五兆七千億か何かになりましたから、そこで総量が減りますから、それは地方財政計画や交付税にはね返ってくるんです。
 しかし、それ以外の、例えば経常的な、福祉や教育や産業振興や、そういうものはちゃんと積み上げて、そこで全体の財源保障ができるようになっておりますから、総体と、マクロとミクロが、これはジョイントできるようになっているんです。
 だから、総体が決まるから全部積み上げの方が機能していないということはありませんので、その辺はひとつ御理解を賜りたいと思いますが、吉野委員、大変わかりにくくなっていることは事実ですね、今の仕組みが。私も、もう少しそういう意味ではわかりやすく簡素にした方がいいなとは思っております。
吉野委員 留保財源についてなんですけれども、地方団体が税収確保に努力をする、その努力をさせるインセンティブの効果があるわけなんです。この留保財源率のアップ、平成十五年度以降、十四年度はございませんけれども、十五年度以降になされていこうと思います。これは、豊かな地方自治体にとっては有利になる場面もある、そんな効果があるんですけれども、財政力の低い自治体にも配慮した、いわゆる基準財政需要額を小さくするわけですから、圧縮するわけですから、その圧縮する計算に当たっての一工夫をしていただきたいんです。その辺の一工夫はどういうふうになっているんでしょうか。
林政府参考人 留保財源率の見直しにつきましての御質問にお答えをさせていただきます。
 留保財源率は、確かに御指摘のように、現在、その見直しの検討を行っているところでございます。この留保財源率は、御承知のように、基準財政収入額の算定に当たりまして、都道府県におきましては百分の二十、市町村におきましては百分の二十五に相当する部分を留保財源と称しておりまして、この留保財源は、それぞれの地域の実情に応じた自主的な独自施策等を行うために確保いたしているものであります。留保財源率の引き上げを検討する場合は、こうした施策のための財源の充実につながるとか、あるいは、御指摘ございましたように、税収確保努力へのインセンティブが高まるということになるわけであります。
 しかしながら、留保財源率を引き上げることとする場合は引き上げに見合います基準財政需要額を減額する必要が出てくるわけでありますが、全団体一律の形でやりますと、各団体、財政力等々の差によりまして影響がいろいろ出てまいります。したがいまして、御心配のような点も踏まえまして、私ども、この検討に当たりましては、条件不利地域も対等なスタートラインに立って地域の自立、活性化に取り組めるよう配慮してまいらなければならない、こういうふうに考えております。
 各地方団体への影響を十分見きわめながら、また、税収動向等も勘案いたしまして、導入時期等を含め検討いたしているところでございます。
吉野委員 今の見直しについて、本当によろしくお願い申し上げます。
 次に、ペイオフなんですけれども、いろいろ地方ではこの対策で悩んでいます。私の市はいわき市というところで、日本一大きな面積を持っているところなんですけれども、この間、担当者からこんなことを言われました。日本銀行に口座を開設できないかと言われました。日本銀行に口座を開設できればこれはもう一〇〇%大丈夫ですから、そこまでやはり地方はペイオフに対して、預かっているいわゆる公金でありますから、大変心配をしております。
 総務省でもいろいろな角度からペイオフ対策、検討を重ねたと聞いておりますし、私も部会で勉強をさせていただきました。そういう総務省の指導と今地方が取り組んでいる状況について、お聞かせを願いたいと思います。
片山国務大臣 言われるとおりなんですね。日銀口座という一つの考え方ですけれども、地方団体の公金の管理というのは、地方の金融機関と不可分に結びついているんですよ、指定金融機関あるいは指定代理、収納代理。そういう意味で、なかなか難しい点がありまして、私も、総務大臣になってから、ペイオフ対策はどうだということを財政局を中心にいろいろ相談しましたけれども、相当研究はやったようです、研究会をつくって。しかし、結論は、結局自己責任を前提にしっかり管理してもらうことしかないという結論になったと思いますね。
 だから、ペイオフ解禁になっても絶対そういう意味での不安は起こさないということを総理も国会で確言しておりますから、地方団体もそのことを強く期待しておりますし、今やっているのは、もう委員御承知だと思いますけれども、指定金融機関の借入金と相殺にする、公金を。それをオーバーしたら担保をとれと。あるいは、債券管理をやれと。今は預金にしていますよね、定期預金や。それを、国債や地方債や政府保証債を買ったらどうか。あるいは、どうしても困れば、それは普通預金にすればいいわけです。
 そういういろいろな知恵を今出しておりまして、それぞれの団体で相当突っ込んだ研究をしておりますから、私は、当面直ちに問題が起こることはないと思っております。詳細には場合によれば財政局長から御答弁させてもらいたいと思いますけれども、そういう十分な準備をしてペイオフ解禁に突入してもらって、後、状況を見て、我々としても何らかの対応ができるのなら、応援ができるのなら、考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
吉野委員 詳細には後で伺いに参ります。
 最後ですけれども、地方債の消化なんです。
 これは、民間から借り入れる地方債は、大体民間の金融機関で引き受けて、一般の個人は買えない、一部の地方債、東京都みたいなところは個人でも取得ができると聞いておりますけれども。国債なんかは、銀行とか郵便局の窓口で個人でも買えます。地方債も個人で取得できるようにすれば、例えば、私の福島県は、福島県の地方債を買えば、おらが町の、おらが県の地方債を買ったんだということで、福島県の財政も県民にきちんと意識づけもできるかと思いますので、その辺の御所見はいかがでありましょうか。
若松副大臣 私も実は福島県生まれでありまして、福島県債ができましたら私も購入したいなと考えております。
 委員の御質問に際して、まず、地方債の特徴というんでしょうか、これは、御存じのように、国債とは異なって発行団体が非常に多い、かつその財政規模もさまざま、こんな状況で、一挙に地方債を全面的に市場公募化するのは難しい、そう考えております。現在のところ、市場公募債を発行している団体が二十八団体ありまして、これらの団体については、今積極的に発行ロットの拡大とか個人消化の推進、こんな努力をされて、流通性の拡大に努められていると理解しております。
 それで、今後のあり方なんですけれども、今言ったような地方自治体のさまざまな特徴にかんがみながら、いずれにしても、やはりこの地方債につきましては、私個人としても、市場公募債の拡大、さらに個人消化を進めていきたい、このように考えております。
 特に、平成十四年度から、地域住民を購入対象者の中心とした住民参加型ミニ市場公募債、いわゆるコミュニティーボンドの発行がいよいよ推進されることになっておりまして、このようなコミュニティーボンドを通じて、地方公共団体のいわゆる資金調達手段の多様化が図られるんではないかということで、具体的に、この先行事例が、群馬県の「好きです群馬 愛県債」ということで、今月ですか、発行されます。
 こういったことがどんどん広がっていくことを期待しながらも、先ほど申し上げましたように、各地方自治体の特徴がありますので、そこらは慎重に見きわめながら、こちらとしては見守ってまいりたいと考えております。
吉野委員 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
平林委員長 次に、谷本龍哉君。
谷本委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。質問をさせていただきたいと思います。
 他の委員と少し重なる部分もあるかもしれませんが、御容赦をいただきまして、通告と少し順番を変えますが、一問目に、沖縄における金融特別地区の点について聞かせていただきたいと思います。
 ことしの四月施行される沖縄振興特別措置法、これによりまして、名護市が金融業の特別地区ということで、国内で初めて特別地区ができることになります。地方税関連としましては特別土地保有税が非課税になるというふうに伺っておりますが、そのほかにも、法人所得の方を十年間三五%控除する、そういった特別措置が行われると聞いております。
 これは、今回、普天間飛行場が、この名護に代替空港ができるというふうに決まったことをある意味では受けて、こういう特別な取り扱いをするという点があるかもしれませんけれども、私自身は、この特別地区という構想を以前から少し勉強をしておりまして、これからの日本の地域振興策を考えたときに、この特別地区構想というのは真剣に検討していく価値があるんじゃないか、そういうふうに実は思っております。
 といいますのは、今まで我が国は、国土の均衡ある発展、こういう理念のもとにいろいろな政策を進めてきたわけですが、誤解を恐れず言えば、今この理念というのは非常に行き詰まっている。この理念を基礎に置いていると、この日本の社会というのは今の困難な状況をなかなか乗り越えられないんじゃないか。言い方を間違えるといけないんですけれども、逆に不均衡の容認、つまり、これは弱者を切り捨てるという意味ではなくて、同じようなモデルをつくって各地域をそれに合わせていくという発想ではなくて、やはりそれぞれの地域がそれぞれのモデルをつくってそこに向かって発展をしていく、これはある意味で地方分権とつながるわけですけれども、こういう発想に考え直さないといけないんじゃないか、そういうふうに実は考えております。
 そういう中で、この特別地区構想、税制と規制緩和というものをうまく組み合わせた中でいろいろなモデルが考えられるんじゃないか。例えば、私の地元の方では、今、公立学校の教育に対して非常に不安を持っているために、みんなが私立へ私立へ行こうとする傾向があります。これは地域によっていろいろ違うとは思いますけれども、それは、以前のように進学校に行かせたいということではなくて、その学校における生活環境というものを、子供を取り巻く生活環境を心配して、私立の方がその辺がしっかりしている、公立はちょっとその辺が心配だというような親がふえております。
 そういう場合に、例えば、教育特区というのをつくって、今文部科学省が必死になってやろうとしている教育改革を前倒し、あるいはそれよりさらに厳しい基準をつくった中で、うちの地域だけはしっかりとした教育をするんだ、そういった地域をつくれば、そこに例えばテレワーク、在宅勤務なんかの制度とうまく組み合わせれば、いろいろな地域から人が移り住んでくる、これは単純なモデルですけれども、そういったものが考えられるんじゃないか。あるいは、電波特区や環境特区といったいろいろなパターンが考えられるんではないかというふうに思っております。
 当然、これをどこでもやっていいというわけではなくて、それは基準をつくって、人口が減少していく局面にある地域において、いろいろな基準をクリアしたところが可能になるというような形で考えていくべきではないか。今回、沖縄が、名護市がそういう形になりましたけれども、沖縄に限らず、同じように苦しんでいる地域は地方にはたくさんございます。そういうところにこういうアイデアを導入できないものかというふうに考えております。
 当然、この考え方には、これは一国二制度になるんではないかとか、あるいは本則の方が空洞化してしまうんじゃないかと、いろいろな批判もあるとは思います。総務大臣に伺いたいんですけれども、当然これは、財務省とか経済産業省とか、さっきの例でいえば文部科学省であるとか、いろいろな他省庁ともかかわる問題ですから、簡単には答えられないとは思いますが、これからの日本の地方の振興というものを考えた上で、この特別地区というものの構想についてどういったお考えをお持ちであるか、伺いたいと思います。
片山国務大臣 去年の八月、私も沖縄に参りまして、沖縄の稲嶺知事からは、沖縄をIT特区にしてくれ、こういう話がありましたね。IT産業の集中立地をしたいと。それから、名護市に行きましたら、名護の市長さんは、この金融特区をと。これはイギリスにあるんですね、この金融特区は。これは大変成功しているんです。ただ、今、私、資料をちょっと、何かあるんですが、間違ったことを国会で言っちゃいけませんから、また調べて言いますけれども、イギリスは大変成功しているんですね。そこで、税制改正のときにそれが大変な議論になりまして、沖縄の特殊性あるいは名護市の置かれた地位等を考えて、金融特区構想が制度化されたんですね。
 国税、地方税をまけるということです。委員が言われたとおりです、国税も地方税も。地方税の場合には、特別土地保有税は免税ですけれども、その他の、事業税、不動産取得税、固定資産税等を減免した場合には交付税で減収補てんをやる、こういうことですね。法人税は、所得控除三五%、十年間。投資税額控除、機械・装置、備品・器具が一五%の税額控除。地方税は、特別土地保有税の非課税と、事業税、不動産取得税、固定資産税を不均一課税にしたり減免した場合には五年間補てんする、こういうことなんです。
 私は、委員が言われたように、この国は今までは均衡ある発展だったんです、これからは個性ある発展なんですね、そういう意味では、この特区構想というのも一つのあれだと思いますが、これまた委員言われましたように、一国二制度、三制度になるというのが国としての安定性からいっていかがかな、こういう議論もありまして、金融特区があっちこっちにいっぱいできたり、教育特区がもう至るところにできる、これまた一国の制度としていかがかなということがありますから、金融特区はこれが一つのスタートでございますけれども、この状況を見ながら、その他の特区あるいは金融特区をふやすことについても私は検討していくべきではないかと。
 IT特区構想は、いろいろな県や市町村から私のところにも要望が来ております。そういうことを踏まえて、今後十分検討させていただきたいと思います。
谷本委員 ぜひ前向きな検討をしていただきたいと思います。
 かつて、ある地方の首長だったと思いますが、地方から国に対して魚をくれと言っているのではない、釣りざおが欲しいんだという発言がたしかあったかと思いますが、予算をいただいてどうこうというよりも、努力をしてその地域が自分たちで経済を育てていく、そういう手段が欲しいというのが、本当に地域を活性化させる大きなポイントになると思いますので、ぜひ検討していただきたいです。
 また、大臣、今イギリスという例を言われましたけれども、私の知っている例では、アイルランドのダブリンが金融特区ということで、イギリスの方もどうか僕はちょっとわかっていないのですけれども、アイルランドのダブリンは金融特区で非常に成功して、地域だけではなくて国の経済を引っ張っている、牽引役となっているという例もありますので、地域、国両方の経済面で、言われたようにどこもかしこも特区ではおかしくなりますけれども、ぜひ十分に検討していただきたいなというふうに思っております。
 特区構想についてはそれだけですが、次に、地方の行財政について質問したいと思います。
 これはよく言われていることですが、日本の長期債務残高は、昨年はたしか六百六十六兆円。昔、オーメンというホラー映画がはやりましたけれども、そこで六、六、六というのはけものの数字ということで非常に不吉な数字だと言われたわけですけれども、それがさらにこの平成十四年時点で国、地方合わせて今約六百九十三兆円。地方だけを見ましても、今百九十五兆円の債務残高がございます。その中で、年間のこれに対する返済というのが一年間で今九・六兆円ございます。これを単純に計算をしてみますと、一時間で十一億円。ということは、私のきょうの質問が三十分ですから、この間にも五億五千万円返済をしている、イメージ的な話ですけれども。この状態を見れば、財政の立て直し、これが急務であることは国も地方も明らかな状態にあるわけです。
 そういう状況の中で、先般新聞報道を見ておりますと、各都道府県の当初予算案、これがすべて出そろいました。それを見ますと、全体として総額で三・八%減。これは、国の一般会計当初予算案が一・七%減ですし、先ほども話に出ました地方財政計画におきましては一・九%減というふうになっておりましたが、それをはるかに上回る削減幅である。こういった財政の立て直しという中で、超緊縮予算を各都道府県が組んできたのかなというふうに思いますが、このことについて、総務省はこの状況をどういうふうに判断されているのか、お答え願いたいと思います。
林政府参考人 御質問の各都道府県の当初予算案についてでございますが、私ども、まだ総務省として正式に調査をいたしているわけではありませんが、先ほどの新聞等によりまして各県の当初予算の状況が報道されておるのを承知いたしております。
 これを見てみますと、各県におかれましては、平成十四年度の地方財政計画等を参考としながら、各地域における現下の経済動向あるいは歳入の状況等を踏まえて編成されたものでありますけれども、全体的に地方財政の厳しい状況を反映しているものではないかと思っております。
 平成十四年度の地方財政計画は、極めて厳しい地方財政の状況を踏まえまして、再三大臣からもお答えを申し上げておりますが、歳出面におきましては、徹底した見直しを行うことによりまして歳出総額を抑制する。また、歳入面でも、大変厳しい状況にありましたけれども、財源不足につきましては地方財政の運営上支障が生じないよう対処して、適切な補てん措置を講じたところでありますが、その規模は前年度に比しまして一・九%の減という形になっているわけであります。
 地方財政は、景気の低迷による地方税収の落ち込みや公債費等の義務的経費の増嵩によりまして、全体的にも極めて厳しい状況にございますが、個別の地方団体におかれましてもこのような財政の厳しさは共通しておられるのではないかと思います。そういう中で、この当初予算の編成に当たりましては、各県ではいろいろと工夫をなさっておられるわけでありまして、いろいろな面で行財政の見直し、行政改革を推進しながら財政の健全化に努めるという目標も置かれまして、限られた財源の効率的、重点的な活用に工夫されながら当初予算を編成されたものと私ども理解をいたしております。
 大変厳しい中ではありますが、いろいろとお聞きをしてみますと、各地方団体は、そういう中であるからこそ、地域経済の振興や雇用の安定を図りながら、地域で必要な社会資本の整備あるいは総合的な地域福祉施策の充実等、地域の重要な課題には積極的に取り組むような工夫もされておられます。
 私どもといたしましては、平成十四年度の各種の地方財政対策を考えておりますので、これらを活用しながら、必要な事業、特に地域の活性化に必要な事業等につきましては積極的な財政運営をお願いしてまいりたい、こういうふうにも考えているところでございます。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
谷本委員 わかりました。
 債務がふえない状況で予算がふえれば一番いいことなんでしょうけれども、この三・八%の減という中には工夫して減らした分もあるであろうというような回答であったと思いますが、これも新聞報道ですが、わずかに愛知県と大阪府だけがプラス、あとはすべてマイナスの予算であった。これを何とか早く立て直さないといけないなというふうには思っております。
 その財政状況を改善していくという中で、当然行政改革というものが必要になってくるわけですけれども、我々国会議員が来年度一年間歳費を一〇%カットするという話がございます。これは若い政治家としては非常に厳しいことなんですけれども、甘んじてというか、進んでこれには応じようと。ただ、国会議員一〇%カットだけでは、総額では借金に比べれば本当に微々たるものではないか。個人的には、どうせするのであれば、国家公務員、地方公務員全員一割をカットすればかなりの額の節約になるのではないかと思いますが、そういうことを言うと嫌われますので強くは主張いたしません。どちらにしても、国とともに地方も行政改革というものを急いでやらないといけないという状況にあると思います。
 そこで、平成九年十一月に示されました地方の行革推進の指針におきましては、数値目標を設定する、取り組み内容を充実させる、そして住民に対しこれをオープンにする、こういった指針が、約五年前、四年少し前ですが、示されておりますけれども、その後、この四年数カ月たった段階で各地方公共団体の行革がどういうふうに進んでいるのか、どのように把握されているか、総務省の方の見解を伺いたいと思います。
芳山政府参考人 ただいま御指摘がありましたけれども、平成九年に地方行政改革の指針を策定しまして、具体的な数値目標を定める、住民にオープンにするという形で行政改革大綱の見直し等の取り組みを地方団体に要請してきております。
 具体的に、地方公共団体におきましては、定員管理、給与の適正化への取り組み、また組織、機構の見直しなどとともに、事務事業の見直しなど行政評価システムの導入などの新しい行政改革手法への取り組みも積極的に取り組まれているというぐあいに理解をしております。
 具体的に申し上げますと、地方公務員数でございますが、平成十三年四月一日現在で三百十七万でございまして、対前年度比で三万三千人の減少ということで、平成七年から七年連続して減少をしております。また、給与でございますが、十三年四月一日現在の地方公務員の給与水準は全地方団体で一〇〇・五でございまして、二十七年連続して低下をしております。
 そのほか、都道府県の部局数の推移につきましても、平成十二年度現在で三百五十二ということで、平成九年度に比較して二十七の部局が減少しております。また、そのほか、今先生御指摘がありました給与の抑制措置についても、三役を含めて、また職員を含めての給与抑制措置も地方団体においてはとられておるところもございます。
 そういうことで、厳しい財政状況の中で、住民ニーズに的確にこたえられる簡素で効率的な地方行政体制が推進されますように、引き続き情報の提供等を行いまして、地方団体の自主的な行政改革の促進が図られますように、我々としても取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
谷本委員 我々国政に携わる者がしっかりと行政改革を進める、それは当然のことでありますが、同時に、有権者、国民にとっては最も身近な地方自治体、こういうものに対する目も非常に厳しいものがあると思います。その辺もしっかりと進めていただきたいと思います。
 続きまして、この行政改革を進めていく上では、当然、一律に何でもカットをしていいというものではないと思います。何を削るか、あるいは中には、何を守り、伸ばしていくか、こういう判断が必ずなくてはならないと思います。こういう各政策に対する行政評価、これに対して各地方公共団体がどのように取り組んでいられるのか、どう把握されているかをお答え願いたいと思います。
若松副大臣 委員の御質問でございますが、特にこの行政評価の手法につきましては、アメリカのGPRAとかイギリスのとか、さまざまな国があるわけでありますが、今、日本の、国はもとより地方公共団体も、特にこの行政評価という観点から、例えば住民に対する説明責任の徹底、効率的で質の高い行政の実現、成果重視の行政サービスの確立、こういった形で行政運営の質を高める大変有効な手段として注目されていると理解しております。
 そこで、平成十三年七月末現在、都道府県では四十三団体がこの行政評価手法を導入済みまたは試行中ということでありまして、導入を検討しているものも合わせますと、ほとんどの都道府県でこの行政評価の導入に取り組んでいる、そう理解しております。また、政令指定都市につきましては、すべての団体で導入済みまたは試行中ということであります。
 また、市町村の行政評価の取り組み状況ですが、まず、導入済みとする団体は百五十団体、約五%です。試行中とする団体は百四十団体、四%、そして導入を検討中という団体は千五百十九団体、四七%ありまして、合わせて過半数の市町村、約五六%が何らかの形でその取り組みを積極的に行っていると把握しております。
 今後とも、この行政評価の導入でありますが、この行政評価制度も、いわゆるニュー・パブリック・マネジメント、そういった観点からどう位置づけていくのか、これは日進月歩の世界でありまして、総務省としてもこの地方公共団体の行政評価導入を積極的に進めていきたい、そのように考えております。
谷本委員 ありがとうございました。
 本来、どの政策が一番重要であるか、そういうことは議員が議論をして決めることではあるんですが、どうしても、決めるまではしっかりと見ておりますけれども、それが決まった後、進んでいく段階ではなかなか評価がされにくいのが実情でありますので、その辺をしっかりと総務省の方からも指導していっていただきたいと思います。
 時間が余りありませんので次に行きますが、次は、先ほども他の委員からも質問がありましたが、税源の移譲の問題について少し伺いたいと思います。
 平成七年に地方分権推進法が成立してから、地方分権についてはさまざまな議論がなされてきていると思います。当然、各地方自治体間の格差の是正というのは重要なことではありますけれども、それが行き過ぎることで、これはもう既に議論されていることですが、地方における行政のサービスと自分たちが納める税金との関連、関係性というものに対して非常に意識が薄くなってしまっている。あるいは、地方の方がなかなか、政策の優先順位をつける場合に、本当に必要なものからという優先順位よりも、予算のとりやすいものからというような、そういう問題点、いろいろ出てきていると思います。
 先ほど言った地方分権推進法六条においては、地方税財源を充実確保する、それが国の義務であるというふうに明記されております。権限を移譲していくのは当然でありますが、同時に税源を移していかなければ実質的には地方が機能しないという状況があるとは思いますが、先ほど一問目に言った特別地区構想とも似ておりますが、全国一律横並びという政策ではなくて、しっかりと地方の特色を生かしていくためには、ぜひともこの税源移譲というものを進めていくべきだと思います。大臣の御所見を伺いたいと思います。
片山国務大臣 言われるとおり、地方分権一括推進法でかなりな事務権限の移譲が行われ、国の関与はかなり縮小いたしましたが、それを裏打ちする税財源の配分が少ないというのが、今、地方六団体等の不満でございまして、できるだけこれは早急に解消していくということが私は正しい方向だと思います。
 また、今谷本委員が言われましたように、負担とサービスというのか、給付が乖離しているというのが一番いかぬのですね。だから、今は地方が中心に仕事をやっておりますが、できるだけ今の四割を、四〇を、五〇あるいはそれ以上にふやしていく方向でこれから議論を重ねていく、それを実現を図っていくということがどうしても必要だと思います。
 税源移譲については、さらに頑張ってまいりたいと思っております。
谷本委員 ぜひ、その点を早急に進めていっていただきたいと思います。
 次に、都道府県の税源という問題の中で、基幹税となるのは、地方においてはやはり法人事業税でございます。法人事業税をめぐる議論として、昨年末、外形標準課税の問題が非常に大きな、また激しい議論になったと思います。私もその議論の輪の中にいていろいろな意見は言わせていただいたわけであります。先ほどの他の委員の質問に対する答えの中にも既にありましたが、今回は導入という話ではありませんでしたけれども、昨年十二月の平成十四年度税制改正与党大綱、これは与党三党で出した中、また、ことし一月の閣議決定「構造改革と経済財政の中期展望」、この両方の中で同じ表現で「平成十五年度税制改正を目途にその導入を図る。」というふうに明記をされております。
 ただ、昨年末の議論を見ていますと、その議論の中にはいろいろな意見を持った方がいて、全面的に賛成する方もいれば、あるいは、理念的には賛成ではあるけれども時期的にどうかという議論をする方もいらっしゃいました。また、内容に関して、その課税基準等に関しての異論を言われる方もございましたし、全面的に反対という方もございました。
 こういういろいろな議論がある中で、ただ、今言いましたように、しっかりと十五年度というのが明記をされている。これについてどのように大臣としては取り組んでいかれるのか、そこを伺いたいと思います。
片山国務大臣 法人事業税の外形標準課税化というのは、これもまた古くて新しい問題で、毎年税制改正では議論されているわけでありますが、我々の考え方は、今の日本の税制の中で、やはり税の空洞化と言われていますよね、いわゆる税の空洞化。納める人が少なくなっているのです。法人税も法人事業税も七割が非課税なんですよ、三割しか納めていないのですね。それでは所得税や住民税の方はどうかというと、これは四分の一ぐらい、二割から三割ぐらいが納めていない。だから、広く薄く、やはり国民としては、憲法にも納税の義務というのを書いていますしね、広く薄くと。
 法人事業税の外形標準課税化というのはまさに広く薄くなので、一番問題は、赤字法人まで課税されるということへの反対ですね。今七割は赤字ですから法人事業税を払っていないのが、わずかでも、しかし課税される、増税だ、こういうことなんですが、外形標準としては、全体としては税収中立なんですね。だから、今三割の方が全部背負っているものを、全体で広く薄く、こういうことでございます。
 こうしますと、私は、地方税は応益課税だ、国は応能課税、国税は応能、地方税は応益だ、こう思っておりますから、受益と負担の関係がはっきりしますし、地方からサービスを受けながら税を納めていない企業等も納めてもらうわけですから公平ですし、それから外形ですから、税そのものが安定してきます。
 そういう意味で、ぜひ推進したいと思いますけれども、谷本委員が言われましたように、いろいろな反対がございまして、これをどうやって説得していくかということにこれから努力していかなければならないと思いますし、自治税務局には、できるだけ反対のところといろいろな話し合いをして納得してもらうように、今私からもお願いしております。
谷本委員 わかりました。
 では、時間がありませんので二つまとめて、反対論の中にある懸念として二問まとめて聞かせていただきますが、外形標準課税の中の課税標準に付加価値割というのがあって、その中に賃金課税というのが含まれている。これに対して、ただでも雇用が厳しい中で、雇用情勢に悪影響を与えるんではないかというのが一点、批判があります。
 それと、先ほども、今大臣みずから言われましたが、赤字法人というものにも課税がされる。この場合に、やはり経済基盤の弱い小規模な法人、あるいはこれから立ち上げていこうという新しい企業、ベンチャー企業等にとっては重い負担になるんではないか、ある意味で新規産業を抑えてしまう側面があるんではないか、こういう心配の声もあります。
 この二点について、どのように考えられているか、お答えを願いたいと思います。
瀧野政府参考人 お答えいたします。
 まず、外形標準課税を導入した場合の雇用の影響でございます。
 御指摘のように、外形標準課税の基準の一つといたしまして付加価値額というものを私どもの案として出しておるわけでございます。この付加価値額は、企業の活動規模を全体としてとらえていこうという考え方のものでございまして、給与そのものに課税するというものではないわけでございまして、仮に給与を削減して給与対象分を減らしましても、単年度の損益がふえる、そういう関係にございますものですから、給与についての削減ということによって付加価値額が変わってくるわけではないという意味で、雇用との関係というのは直接の関係はないというふうに考えております。
 しかしながら、いろいろな御意見があるわけでございますので、我々といたしましては、外形基準といたしまして、付加価値額のほかに資本等の金額というものを補完的に用いまして、全体の中に占めます給与の割合を大幅に引き下げるというようなことで一定の対応をいたしまして、雇用に対する懸念ということに配慮を行っているところでございます。
 もう一点、創業期のベンチャーあるいは中小企業に対する考え方でございますが、基本的には、外形標準課税導入の趣旨というのは、大臣からも申し上げましたように、薄く広く公平に税負担を求めていきたいということでございます。
 ただ、御指摘のように、経営基盤の脆弱な小規模法人とか創業期のベンチャー企業などにつきましては、その担税力につきましても配慮することが必要であるというふうに考えますので、まず、資本金一千万円未満の小規模の法人に対しましては、外形標準にかえまして定額で年四万八千円というような課税を選択できることにしたい。それから二つ目といたしまして、創業期のベンチャー企業に対しましては、最大六年間の徴収猶予が受けられるということで、その立ち上げを応援していきたいというようなことを考えておるところでございます。
 また、外形標準課税の実施の当初三年間は外形基準の導入割合を四分の一に低めていくというようなこともいたしまして、急激な税負担の変動が生じないように配慮していきたいというふうに考えているところでございます。
谷本委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。
平林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。荒井聰君。
荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。きょうは、地方自治、地方財政計画、あるいは、それにかかわります公務員制度の問題について少し御質問をさせていただきます。
 最初に、今村外務政務官がおられますのでお聞きしたいんですけれども、去る何日でしょうか、小町官房長と重家局長が更迭をされるという事件がございましたけれども、この理由が、鈴木宗男議員とすり合わせをした、あるいは適当でない時期に、適当でない議員かどうか知りませんけれども、その方と懇談をしたということで更迭をしたというふうに伝えられていますけれども、実際のところはどうなんですか。
今村大臣政務官 お答えいたします。
 今回の人事は、正確に言うと三月八日付ということで予定されておりますが、理由につきましては、数多くの懸案を抱え、そしてまた外務省改革をしっかり進めていくという上で、新しい、人事の刷新をするということで行ったものでございます。
 特に、官房長等につきましては、これはまさに扇のかなめということで、適材適所という考えに基づいて行ったものでございます。
荒井(聰)委員 いや、全然回答になっていないよね。僕は、更迭の理由は何ですか、新聞紙上で伝えられているようなことが本当なんですかということをお聞きしたんだけれども。
今村大臣政務官 委員がおっしゃったようなことが原因ではございません。
 これにつきましてはきちんと注意もいたしておりまして、先ほど言いましたように、今後、新しく進めていくという中で、適材適所ということで、総合的に判断して行ったということでございます。
荒井(聰)委員 小町さんは何カ月ですか。適材適所じゃない人材を、そんな頻繁に外務省というのはやっていたんですか。どうですか。
今村大臣政務官 いろいろ評価はあるかと思いますが、先般の国会の対応等を見ますと、私個人としては、いかがなものかなというふうに思っておりました。
荒井(聰)委員 私は、この問題をそんなにぎりぎりやるつもりはないんです。というよりも、むしろ……(発言する者あり)隣で言っていますけれども、今回の人事というのは、こういうふうにやっていたら、霞が関から局長はいなくなりますよと。特定の議員と懇談した、あるいはすり合わせをしたということで、伝えられるような更迭の理由であれば、霞が関の局長はみんなやっていますよ。その理由で更迭をするということになるならば、霞が関から局長はいなくなる。
 何をもって外務省改革と言っているのかよくわからない。もしもやるのならば、政と官との役割というものをしっかりと整理していく、そういうことが必要なんじゃないですか。単に個人的な、個別の案件として、これは不適当だとか適当だとか、そういう判断で人事をやっていくというのは、私は適切ではないと思いますけれども、どうですか。
今村大臣政務官 先ほど委員からも御指摘がありました、こういう人と会ったから、この時期どうだった、これはそういうことが原因ではないということを先ほど申したつもりでございます。
 やはりそれぞれに向き不向きということもありますし、そういった観点から行ったものでございまして、ほかの役所の局長さんたちも、ちゃんとしっかりやっておられる方も多いわけでございます。
荒井(聰)委員 それはちょっとおかしいわな、そんなの。
 それは、数カ月でもう向き不向きがわかったのかね。あるいは決めるときに、数カ月前には適当だと思っていたんですか。そういう回答の仕方をしたら、だれも信用しないって。今みたいな回答の仕方をしていたら、もう霞が関の役人になるのはいないよ。人事院試験受けるのはいなくなるよ。どう思います。
今村大臣政務官 しっかりやっておられる方はやっておるわけでありますから、役所に局長クラスがいなくなるということはないと思います。
荒井(聰)委員 きょうは人事院総裁が来られていますから、人事院総裁に少しお聞きしたいんです。
 今回の外務省の人事問題というのは、今の与党と政府との関係、つまり、政府が意思を決定するためには与党の了解あるいは事前審査を経なければ、法律にしても予算にしても成案にならないというそのシステムを温存しておく限りは、それはいつまでたったって、与党の有力議員が政府の局長クラスあるいは課長クラスを呼びつけたら、それは行かなきゃいけませんよ。行って説明しなきゃならないですよ。そういうシステムがもう何十年も続いているでしょう。そういうシステムはかえって、むしろこのごろ強まっているんですよ。そこのところを温存しておいて、個別の案件で、あいつはけしからぬ、更迭だ、それは、私は公務員制度の安定性を欠くことになると。
 公務員制度の安定性、あるいはすばらしい、よき人材というものをこの霞が関の中に極力導入しようというのは、人事院の大きな仕事でしょう。この点について、人事院総裁はどうお考えですか。
中島政府特別補佐人 与党と政府との関係、あるいは政と官の関係というのは、それぞれの国の長い政治、行政の歴史の中で形成されているんだというふうに思います。
 現在の日本の姿も、明治時代から続いてきた政と官の関係の現在の姿だというふうに理解いたしますけれども、ただ、今、委員が指摘されますように、政と官の関係というのは、一歩踏み外すと官の方にかなり大きな衝撃が走るということは、今までの幾つかの例で申し上げることができると思います。
 そこで、私たちは、ずっと見ておりまして、今回、副大臣制とか政務官制というのが新たに採用された。したがって、政と官の関係というのは、副大臣とか政務官を通じて政と官の関係が運営されるというふうに持っていくのが私は一番いいんじゃないかというふうに今見ております。
荒井(聰)委員 私は、それも理想だと思うんですね。そういう形で整理されていけばいいと思うんです。
 それでは、お聞きしますけれども、今村政務官は、どなたか自民党の有力な議員から、予算の問題あるいは条約の問題で、どこかに呼ばれて御相談を受けたことはございますか。
今村大臣政務官 今のところ、具体的なことは余りありません。まだなったばかりでございます。
荒井(聰)委員 なったばかりですか。そうですか。
 私は、やはり今の政と官との関係からいけば、局長を呼んで、あるいは実務担当者を呼んでいろいろ話を聞く方がはるかによくわかる、よく承知する、そこのところはそのままにしておいて、そして副大臣をもっと活用するべきだ云々という議論をしたとしても、空論になるというふうに思うんですよね。もしも本当に政務官や副大臣をもっとどしどし使うのであるならば、それは制度的に、あるいは法律といってはそこは無理かもしれませんけれども、与党あるいは政府全体がそのしっかりとした方向性をつくってやるということが必要なんじゃないでしょうか。
 そういう提議、提案というのは、公務員制度の根幹にかかわる問題であって、人事院がもっと主導的に、もっと前へ出て提案、提言していっていいんじゃないですか。いかがですか。
中島政府特別補佐人 おっしゃることはよくわかります。私たちは、この副大臣制、政務官制というのが導入されることを目前にいたしまして、二年前の公務員白書でその関係を分析しております。そのときに、政と官の関係というものをきちんとしていくためには、少し一歩踏み出したことを申し上げたんですが、やはり副大臣とか政務官というのが短期間で交代するようなことはいかがなものかというふうに申し上げております。
 やはり、今委員がおっしゃいますように、副大臣あるいは政務官がそれぞれの省の仕事について精通されるというのが、副大臣、政務官の機能を十分発揮する上で必要でございますから、そういうようなことを申し上げながら、そしてまた、それぞれの政党、それぞれの部署において、アメリカ並みのシンクタンクを育てていくというようなことをおやりになって、政治家個々人の政策立案能力というものが高まっていくことが必要じゃないかということもその白書で申し上げたことでございます。
 二年前でございますので、お読みいただいて、もうお忘れになったかもわかりませんけれども、もう一度お読みいただくと非常に有益なことが書いてあるというふうに思います。
荒井(聰)委員 それでは、じっくり読ませてもらいます。
 ところで、この数年、国会改革なり政治改革というのが大きな政治テーマになっておりました。その国会改革や政治改革の中で、政と官との関係をどう整理するのかということも随分議論をされてきたと思うんです。国会改革はまだまだ進んでいるとは言えませんけれども、公務員制度の改革が行政改革の一環として橋本内閣のときに提案された。公務員制度の抜本的な改革、大きな改革が、今、緒につこうとしております。
 そんな中で、一体どういう方向へ公務員制度を持っていこうとしているのか、その中で人事院制度というのはどういう形で変化しようとしているのか、あるいは維持されようとしているのか、そんなところがまだまだ聞こえてこない、見えてこないんですけれども、そのあたりについて御所見があればお聞かせください。
中島政府特別補佐人 国民から見て、今、公務員制度のどこに問題があるというふうに国民は感じているかということをできるだけ正確に把握しようというので、ここ一年ばかり、どういうような投書が新聞になされておるか、あるいはまたどういう論調が新聞上にぎやかなのかということを分析してみました。そうしますと、私は、三点あるというふうに思います。
 一点は、やはり天下りの問題でございます。この問題についてきちっとした制度をつくって、国民から非難されないようにしてくれというのが第一点。第二点目は、やはり不祥事というものが非常に頻繁に起こっております。リクルート汚職以来、もう不祥事というものがほとんど絶えないと言ってもいいほど、中央官庁を中心として不祥事があった。この不祥事の防止施策をどうするのかというのが第二点だと思います。そして第三点は、先ほど委員がおっしゃっておりますように、行政執行の公正性、中立性というものを確保するための施策をきちんとしてほしい、この三点だと思います。
 したがいまして、これらについて、今後、国会等でいろいろ議論をいただくと思いますけれども、できるだけ十分な時間をとっていただいて、また、その議論には私たちも参加させていただいて、十分これは議論を展開しながら、国民が期待するような制度というものにしていかなきゃならないというふうに思います。
 そういうふうな大きな項目がございますけれども、少し公務員制度に精通した人間ならば、現在の昇進とか給与処遇というものを能力・実績主義にしなさいとか、今のキャリア制度をどうするんだというふうな指摘がございます。そういうような少し専門的な問題も含めまして、荒井先生も公務員の御経験があるようでございますので、いろいろな方々の御意見をこの場で十分闘わせていただきたいというふうに思います。
荒井(聰)委員 人事院の役割というのは、官民格差を是正していくということが大きな役割だろうと思うんですね。それは、民間で常識的なものは公務員の社会でも常識なんだ、そういうことなんだろうと思うんです。
 ところが、公務員制度、私の知る限りで、公務員に対する批判が強くなったのは、八年か九年ぐらい前でしょうか、大蔵省の当時主計局の中島次長の事件、あのときには、辞職をさせるべきだという意見もありましたけれども、結局は自主退職という形になりました。私は、あれを契機にして公務員制度に対する信頼感というのは世の中で非常に失われていった。
 今回、去年でしょうか、やはり似たような事件として、農林省の事務次官がBSE、狂牛病事件が起きているその真っ最中に、八千五百万という高額な退職金をもらってやめられた。これは本当に、官民格差を是正する、そういう形態から見て、民間の常識に適合しているのかどうかというようなことを思うんです。このあたり、所管が違うのかもしれませんけれども、総裁としてはどんなふうにお考えでしょうか。
中島政府特別補佐人 公務員の処遇というのは、在職中の処遇、そして退職時の退職手当の処遇、そしてまた年金、この三つで公務員の処遇というのが実は評価されなきゃならないというふうに思います。
 ところが、在職中の給与については人事院が所管している、退職手当については総務省が所管している、年金は大蔵省だということで、この三つを統一して把握して、そして官民比較をして責任を持つ官庁がないというのが現状でございます。したがって、これはいつも議論されることでございますけれども、結局、議論だけ行われて、結論はそのままだということでございますので、私たちもなかなか難しい立場に立つわけでございますけれども、今先生がおっしゃいますように、公務員の処遇というのは、基本的には官民間で均衡していなければならないということだと思います。
 したがいまして、私たちは、在職中の給与につきましては、詳細な民間状況を把握いたしまして、毎年八月に勧告するようにいたしておりますけれども、それぞれ、総務省においてもあるいはまた大蔵省においても、退職手当、年金について官民比較を厳密にやっていただきまして、適時適切に改正していただくということが必要じゃないかと思います。
荒井(聰)委員 いずれにしても、これだけ不祥事が続いている、あるいは民間との間の常識外れ的なことが横行している、それによって公務員全体の信頼性が失われている、制度が信頼されなくなってきているということは、私は、大変重く受けとめるべきであって、本来国を担う非常に優秀な人たちがこの世界の中にもっと採用されなければならないのに、そうではないという形になることは、大変ゆゆしき状態だと思うんですよ。
 人事院として、もっと前に積極的に出ていいんではないか、出るべきではないか。政治の世界が政府の人事に介入をするというようなことが見られるならば、私は、積極的にその防波堤になってもいいんではないか、そんなふうに考えてございますので、ぜひ人事院、いろいろな形で制約はあるんだとは思いますけれども、公務員制度全体を守る、そういう使命で、もっと表に出ていくということを、積極的な姿勢があってもいいんではないかということを指摘して、外務省の今村政務官と人事院総裁、もう結構でございます。
 ところで、似たようなことは地方議会でも、地方制度でも大変たくさんあるような気がしてなりません。政治家の行政への介入というのは、むしろある意味では地方議会の方が、あるいは地方自治体の方が激しいんではないか。
 昨日ですか、徳島の圓藤知事が逮捕されましたね。これは業際研という事件が発端となって逮捕されたわけですけれども、どうしてこんなことが起こるのか。いや、業際研という会社がなぜビジネスとして成立するのか。それは、公共事業に絡んで特定の業者を受注させることができるということが前提になっていなければ、こんなことビジネスとして成立しないでしょう。片山総務大臣は地方自治体の経験もありますから、そのあたりどうお考えなのか、お聞かせください。
片山国務大臣 業際研究所というんですか、その問題、あるいは徳島県知事のきょうの問題については、これは司直が今事態を解明中ですから、ここで特にコメントするのは御遠慮申し上げたいと思いますけれども、地方の場合には、国と違いまして本来大統領制ですよね。中央は議院内閣制ですから、立法府の議員が行政府の長になる、責任を持つ、こういうことですが、地方の場合には、知事さんも市町村長さんも直接公選で、部長さんや副知事、助役に議員さんがなるわけじゃありません。なる場合にはやめなければいけませんね、アメリカと同じように。そういうことで、中央よりはずっとわかりやすくなっていると私は思います。
 しかし、今荒井委員が指摘したような事件がないかというと、それはありますね。ある。しかし、それはやはり、中央と同じような政と官の関係というものを、私はしっかりいい関係に確立しなければならないと。それは、私、中央の場合でもそう思うんですけれども、やはり官の方が、行政サイドがもっと主体性を持つということですね。主体性を持つ、自信を持つ。
 議員さんはみんな選挙で選ばれる方ですから、国民の代表であり、地方住民の代表ですから、それはいろいろな御注文を出される、御要請がある、御意見があるというのは、私は聞かなければいかぬと思いますけれども、しかし、理不尽なことやおかしいことは、それは理由をつけてきっちり断ればいいので、それをずるずる聞いて、仮に聞くとすれば、そこに問題があるのです。私は、官の方がより主体性を持っていくということが中央でも地方でも必要じゃなかろうか、こういうふうに思います。
 そういう意味では、地方の場合にもいろいろなケースがありますが、地方の方はお互いが大変よく知って懇意なものですから、ある意味では、ビジネスライクというか、中央がゲゼルシャフトなら、ゲマインシャフト風なんです。ゲマインシャフト風ですから、ちょっと難しさはあるんですが、それだけに、私は、けじめをしっかりつけるということが、官と政の関係、議員さんと行政サイドの関係では必要じゃなかろうか、こういうふうに思っております。
荒井(聰)委員 今、片山大臣、とてもきれいに答えたんですけれども、僕が言っているのはそうじゃなくて、業際研の人が八百万円を出した。出したら受注できると。受注できるということは、その背後に官製談合というものが厳然として存在しているということを意味しているんでしょうということを私は言ったつもりなんですよね。つまり、公共事業に絡んで、地方自治体の官製談合というのは広く広く行われているんじゃないですか、それについてどうお考えなんですかということを私は指摘したんですよ。もう一度お願いします。
片山国務大臣 そういうことがよく報じられます、官製談合だとか口ききビジネスだとか。ただ、私どもの方は、実態を必ずしも詳細に知る立場にもありませんからよくわかりませんが、仮にそういう疑いが持たれるようなことは、これは地方団体の行財政運営として慎まないといかぬ、こういうふうに思います。
 今、公共事業、単独事業の関係でも、電子入札というんでしょうか、そういうのがかなり取り入れられつつありまして、我々としては、二年ないし三年かけて全部そういう発注の関係は電子調達、電子入札でやってもらうと。こういうことになりますと、今実験している市の市長さんや皆さんの意見を聞きますと、そういういわゆる談合的な疑いがなくなる、コストも下がるということですから、そういう意味でも、総合的な今の談合防止対策は国土交通省が中心で法律をつくったりいろいろなことをやっておりますけれども、私の方の担当のITの推進という意味では、そういうこともやっていく必要があるのではなかろうか、こう思っておりますが、やはり首長さんや行政側の、ぜひ、そういうものは起こさないという節度と決意が必要かな、私はこう思っております。
荒井(聰)委員 私は後で国保の話もちょっとやろうと思っているんですけれども、この官製談合が行われて一番損しているのは地方自治体なんですよね。官製談合を行うことによって、割り増し、割高な公共事業をやらざるを得なくなっているんですよ。本来、もっと競争社会、競争的な入札制度が確立しているならば、もっと価格が下がってもいいはずなんですけれども、それが高値に安定している。だからこそ、いろいろな業者がこういう業際研みたいなところに群がっているんですよ。
 私は官製談合防止法というようなことが今恐らく国土交通省で議論されていると思うんですけれども、国土交通省に対して、官製談合防止法を早くつくれ、もっと積極的につくれと言うのが総務大臣の役割、役目なんじゃないかと私は思うんですよ。いかがですか、この官製談合防止法について。
片山国務大臣 今与党を中心に議論されておるのは、あっせん利得防止法や何かの関係で、官製談合防止法ということじゃなくて、公共事業の適正化法だとか、そういう関係のあれですね、国土交通省の関係は。
 それは我々も、こういう問題が起きますと、公共事業、補助事業の関係は国土交通省ですけれども、単独事業は我々の方ですから、我々も同じ立場でそういうことの指導や助言はしていきたいと思いますし、仮に、あっせん利得防止法ですか、こういうものが法制化されるとすれば、それによってかなり状況は変わってくるのではなかろうかと思いますし、そういう面に関しては、我々も促進側でございます。
荒井(聰)委員 公共事業をめぐってのさまざまな不透明な形というのは、私は、公共事業を担当している人はかわいそうだと思うんですよね。夜も昼も寝ずに一生懸命仕事していますよ。しかし、しているにもかかわらず、公共事業に携わっているというと、何か特定のよくわからない政治家や業者がどんどん乗り込んできて、わからない圧力がかけられていくという社会の中で役人生活をしているというのは、私は非常に不幸な時代だと思うんですよね。そこはやはり法律的にガードしてやる、整備してやるということが絶対必要なんだと思うんですよ。そこのところがなされていないというのは、私は、法体系として、法律制度として不十分、不適切なんだというふうに思います。そういう点を指摘したいと思うんです。
 ところで、そういうものの温床というか、あるいはそういうものの展開する場というのが一体どこの場なのか、これは政と官とがどういうところで癒着になっていくのかというと、私は、議会の答弁のすり合わせということがかなり行われているんですけれども、そういう場で行われているんじゃないかと。議会ですり合わせが、行われていない地方議会もたくさんあるのかもしれませんけれども、少なくとも私が北海道でいたときには、議会というのは形骸化していた。なぜならば、議会答弁は、答弁が始まる前に全部すり合わせをする。小町さんが、鈴木宗男さんとすり合わせをした、一回のすり合わせかどうかわかりませんけれども、恐らく一回ぐらいだと思いますけれども、それだけで更迭されるのなら、地方議会の部長クラスはみんな更迭されるんじゃないかと思います。
 こういう地方議会の形骸化というのは、私は百害あって一利なしだと思います。地方議会の形骸化、地方自治というものの誇りを失わせている、その原因の一つなんではないか、そんなふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 すべての地方団体で議会と執行部との間に答弁のすり合わせが行われているとは思いませんけれども、中央と同じように地方でも質問の通告というのを議員さんから執行部の方がもらいますから、そこでいろいろな打ち合わせが行われる、場合によってはすり合わせに近いことが行われるという可能性はあるんじゃなかろうか、私はこう思っております。
 基本的には、何度も言いますけれども、やはりとにかく、私は、特に地方の場合は先ほども言いましたように大統領制ですから、執行部と議決機関である議会とはチェック・アンド・バランスでなきゃいかぬ。日本語で言えばつかず離れずですよね、つかず離れずと。一種の緊張関係が必要だと思いますので、緊張関係がなくなるということは、大統領制、チェック・アンド・バランスの関係からいったら問題なので、特に議会の窓口になるようなセクションや職員は、やはりそういうきちっとした考え方が必要じゃなかろうか、その考えに基づいて行動することが必要じゃなかろうか、こういうふうに思っております。
荒井(聰)委員 私は地方分権論者です。日本の国を大きく変えるのには、地方分権を大きく進めなければならないというふうに思います。しかしそのためには、地方分権がしっかりと国民の間に根づく、あるいは、信頼感をかち得るには幾つかの、やはり地方自治体側に、あるいは総務省を中心としたいろいろな法体系の整備をする必要があると思うんです。
 地方自治が自立している、あるいは自治体としてしっかりとした存在になっているというのには、幾つかの条件があると思うんですよ。例えば、自主的な財源を持っていて自主的な財政構造を持っている。これは自分でお金を集めるということです。あるいは、借金をするにしても、自分で借金ができるかどうかということを把握するということですよ、財源の問題。
 それから、仕事の面についても、自分の本当にやりたい仕事、やらなければならない仕事を選択して、その仕事をできるような体制になっているかどうか。今地方自治体の仕事の六割から七割ぐらいは恐らく国からの委任事業、委託事業だと思うのですよ。しかし、本当にしたい事業、するべきな事業というのは、そのために横に置かれているんではないか。
 そしてもう一つは、議会と官との関係が本当に緊張関係になって、お互いに切磋琢磨し合って、地方のために、地方自治体のために議論し合う、そういう環境がつくられているのか。ともすれば、政と官との癒着の場として議会が存在していると見間違うようなことが現実にこうやって起きているわけですから、そんな状態があるんではないか。こんな状態の中で本当に地方分権をしてもいいのか、そう言う人もいます。でも、私は、やはり地方分権を進めるべきだという意見なんです。
 そういう意味で、地方自治体が本当の意味で自立した、尊敬される、信頼される団体になっていくんだ、そういうことを、私は、総務省や地方自治体も含めて、もっと意識の中でしっかりとしたものを持っていくべき、持つべきだと思うんですね。そのあたりについて、大臣、どうお考えですか。
片山国務大臣 基本的には私も荒井委員と考え方はそんなに違わない、こういうように思います。やはり自主財源をしっかり持って、財政的な主体性をしっかり持つ、自立する、こういうこと。
 それから、やはり補助事業というのは、私はできるだけ縮小したらいいと言うんですね。補助事業というのを地方は優先するのですよ、特定財源という補助金がついてくるから。それは、だれが補助を決めるかといったら霞が関ですから、地方に本当に必要なことよりも、補助金がついて、霞が関で決めてもらった方を優先するというのは、地方自治からいうとちょっと困りますね。そういう意味では、やりたいものをやるような、そういう仕組みにできるだけした方がいい。
 それで、最後はやはり議会のチェック機能ですね。それと、執行部と議会が車の両輪ですから、どっちか大きくなり過ぎたり、両輪がくっついたら、車は前へ進みませんよ。そういう意味では、議会と執行部は健全な緊張関係に立つということは必要だと私も思っております。
荒井(聰)委員 ぜひ、健全な地方自治体あるいは理想とする地方自治体、その精神は何なのか、そういうものを地方と一緒になって議論していく、そういう環境を整備してもらいたいということを思います。
 ところで、国の財政も厳しい、地方の財政も厳しい、そういう状況の中で地方財政というのはいかにあるべきなのか。どちらかというと、今、国の財政の方が厳しいから国の財政再建の方を優先して、こういうふうに見る人が多いのですけれども、私はちょっと違うんじゃないだろうかと。それは、地方の財政が厳しいということではなくて、国の財政の三分の二以上は地方で使われているのですね。だから、地方の財政がしっかりとした効率的な財政の構造になっていない限り、いつまでたっても国の財政の赤字要因というのは減らないんではないかと。その意味で、国から財政再建をしていくのではなくて、むしろ地方から財政再建をしていく、必要でないものはもう要らないと地方から発信していくということの方がはるかに効率的であり、適正なんではないか、こんなふうに考えるのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 それも一つのお考えですが、やはりそういう意味では、今の国の仕事、地方の仕事と、国の収入、地方の収入、このアンバランスを、何度も言いますけれども、これは私は是正してもらわないといかぬと。六五の仕事をやっているものが、四〇しか自前の収入がない。二五は国からですよ。二五は国から補助金と交付税で来ている。この仕組みをやはり直すということがまず基本ですね。それによって地方の財政は安定して自立してきますから、それによって国も変わってくる、私はこういうように思います。
 ただ、数字上だけ見ますと、六百九十三兆のうち、地方は百九十五兆でしょう。国は、ちょっとダブっていますから差し引きではありませんが、五百何十兆ですよ。もう五百兆を超えた数字で、それの数字上だけ見ると国の財政の方が大変だ、そういうことを言われる方が大勢おります。しかし、今の状況は、国も地方も大変財政は厳しい状況だということは言えると思います。
荒井(聰)委員 四百兆以上の財政赤字というのは実は地方でほとんど発生しているということを、私はもう少し国民全体が理解するべきなんだろうと思うのですね。
 そこで、地方財政の特色、市町村財政と都道府県財政とを比べると、どういう特色になっているのか、どちらの方が今緊迫した状況になっているのか。地方財政計画は、全部一本で、一遍に議論していますので、わかるようでわからない。どういう具体的な問題が発生しているのだろうかというものを、もう少し精緻な議論をするべきではないかと思うのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。
片山国務大臣 地方財政というのは国の財政と違いまして、国は一つの財政ですけれども、地方は三千三百の地方団体の財政が合わさって地方財政なんですね。私は、アジサイの花だと言っている。アジサイは一つ一つが花で、全体も花ですよね。
 そこで、どっちがより悪いかというと、悪さの競争みたいで余りあれなのですけれども、それは、都道府県の方が規模が大きいだけに悪さが安定していますよね。市町村の方が悪さにばらつきがある、物すごくいいところや悪いところもある。そういう状況で、むしろ本当に難しいのは、私は市町村の個々の財政だと思います。
荒井(聰)委員 私も、市町村の財政というのは非常に悪いところは危機的な状況になっているのではないか、それをどういうふうに再建していくのかというのは大変難しい問題だというふうに思うのですね。その一つが、市町村合併、そういう手段なんだろうと思うんです。
 今、市町村の中で、極めて悪い財政状況で、ひょっとすると財政再建団体になる可能性のあるものというのは、全体としてどのぐらいの感じなんでしょうか。
林政府参考人 市町村の財政状況についてのお尋ねでございますが、平成十二年度の決算の概況がまとまってきておりまして、それによりますと、実質収支で見ました場合に、市町村で赤字になっている団体は二十二団体となっております。
 市町村の財政状況を見ます場合に、決算から実質収支で見ますとそういうことになりますが、そのほか、個別に見ていく際には、例えば、起債制限比率の状況であるとか、公債負担比率の状況であるとか、経常収支比率の状況であるとか、またトータルとして財政力指数がどういうふうに推移しているか、こういう指標で見ていく必要があろうかと思いますが、現在、個別にはそういう指標を持っておりませんので、そういうことで失礼させていただきたいと思います。
荒井(聰)委員 これは、地方の市町村で財政破綻に陥ったときに、今の制度で十分なんだろうか、この制度で財政破綻をリカバーしていけるんだろうか、そういう懸念も持っているのですけれども、どうでしょうか。
林政府参考人 委員は財政破綻という言葉をお使いになられたわけであります。財政破綻という概念をどのような趣旨で用いられているか、ちょっと明らかでないところはございますが、いずれにしても、債務の返済が不可能な状態になる、こういう意味でお使いになっておられるとしますと、我が国の地方財政制度におきましては、地方財政計画及び地方交付税制度を通じまして、地方公共団体の財源保障をする、その一方で、地方債の許可制度という制度を現在とっておりますが、この制度、あるいは財政再建を支援する制度もございまして、これらの制度を通じまして、個別地方公共団体の財政の健全性を維持する仕組みをとっておりますので、このような事態は事前に抑止されるという意味で、破綻というような事態は起こらない、こういうふうに考えております。
 なお、地方団体の財政再建等を支援する制度といたしましては、例えば起債制限比率が一定以上になりますと起債制限をするとか、あるいは財政再建計画を策定して財政を再建する場合でなければ地方債の発行を制限するというようなことで、財政状況の悪化を事前に抑止しながら指導する制度もございます。また、財政再建制度のもとで、準用再建というような制度をおとりになって再建に取り組む団体につきましては、これを支援する制度を設けておりますので、それらの制度によりまして、地方団体が御心配のようなことにならないよう私どもも指導をしてまいりたい、こう考えております。
荒井(聰)委員 今の御説明では、総務省の、旧自治省の仕事の仕方というのは、財政破綻を起こさないというような形ですべて制度を仕組んでいる、起きたときには余り物を考えていないということなんだろうというふうに思います。行政というのはそういうものなのかもしれません。
 しかし、今の状態、デフレスパイラルのこの状態の中では、地方公営企業の赤字というのも大変深刻になっているし、また地方自治体が債務保証をしている第三セクターの赤字というのも、これもまた大変大きな負担になっているんだろうというふうに思うんですよね。そういうものを一括して全部見て考えておられるんだろうか。このあたり、どうですか。それでは、ちょっと回答をいただけますか。
林政府参考人 地方団体の財政状況を考えます場合に、もちろん、一般会計を含めました普通会計で見ると同時に、地方公共団体が経営いたしております地方公営企業それぞれの健全性につきましても注意を払ってまいらなければならないと思っております。
 また、第三セクターはちょっと様子が違いますが、地方団体が一定水準以上の出資等を行っております場合におきましては、地方団体もその範囲で責任を負うことになりますので、そういう第三セクターの運営等につきましても目配りをしながら、地方団体の財政全体としてその健全性が維持できるように配慮してまいらなければならない、こういうふうに考えております。
荒井(聰)委員 私は、これから市町村の合併というものは、行政サービスを充実させていく、それから財政の効率化を考えていくという上でも避けられない事態なんだろうというふうに思うんですよね。そのときに個々の市町村の財政格差というものをどういうふうに勘案していくのか、そこは極めて大きな問題で、昨年、地方自治法の改正で、住民訴訟の訴訟形態について随分議論をしたんですね。
 それで、私たちは、何で市町村合併の特例法の法案とこの住民訴訟の関係があるんだ、切り離すべきだという主張をしたんですけれども、よく考えてみると、恐らく、市町村合併の担当官としてみたら、これから市町村合併を進めていくに当たって、進めれば進めるほどこの第三セクターだとか公営企業の赤字という問題の責任を問われて住民訴訟が発生しかねない、その住民訴訟をクリアしない限り市町村の合併はできない、そういう思いから、あの住民訴訟の訴訟形態の変更と、そして合併の促進の法案というものを対に出したんだろうというふうに思うんです、恐らく総務大臣は違うと言うのかもしれませんけれども。――それでは、答えてもらえますか。
片山国務大臣 いや、それは全く、全然違うんですね。
 住民訴訟の方は、前からそういう問題性の指摘がございまして、どうやって是正するかということで、地方制度調査会を中心にいろいろ議論してまいりましたし、合併の方は、これはずっと合併特例法というのがありまして、それが次第に、行革大綱をつくることとあわせて議論されてきて、一昨年十二月の行政改革大綱で初めて大々的に打ち出して、市町村合併支援本部ができたのが去年の三月の終わりですしね。
 そういうことでございますので、たまたま一つの法律にしたのは、立法技術上の便宜性その他でございますけれども、そこは別に、その二つがくっついているということではないので、ぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。
荒井(聰)委員 それなら別々にすればいいのであって、議論をそのあたりでしても意味がありませんから、それでやめます。
 ところで、今度の地方交付税制度の改正の中でも、市町村が赤字地方債を発行していく、これは、地方自治体が本当に自分たちの財政がどういう状態になっているのかということを再認識する上では、ある意味では必要なことなのかもしれないなという認識を私はしているんです。
 でも、もっと進めて、本来、地方債というのは、企業だと社債に相当するわけですね。社債を発行するといったら、その企業がどのぐらいの業績を上げているか、利益を上げているかによって社債の利息というのは変更しますよ、マーケットがそれを評価するわけですから。逆に言うと、それがその会社のランクづけにもなっていくわけですよね。私は、そういう仕組みが地方自治体にあっていいんじゃないかと。
 今、地方自治体は、例えば自分たちでせっかく自主財源を見つけて財政を豊かにしようとしたら、地方交付税がかえって減らされる。これでは、一生懸命自主財源を探そうとか、あるいは企業を誘致しよう、そういう意欲は失われますよ。そうではなくて、自分たちが本当にしっかりとした財政基盤を持った地方自治体をつくれている、そのときには低利の利息で地方債を集めることができる、そういう仕組みにしておく方が、地方自治体は、今、自分たちの市町村あるいは都道府県というのはマーケットでどのぐらいの評価を受けているのかということに認識をしっかり持つことができるんじゃないでしょうか。
 そういう意味で、私は、この地方債の調達の仕方というのは、もっと市場で調達されていく仕組みなり制度というものを充実させるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
片山国務大臣 市場公募債のシェアをふやすというか割合をふやしていくということは、今後の調達の多様性その他からいって一つのお考えだ、こう思いますけれども、社債と地方債が違うのは、赤字地方債じゃないですよ、普通の地方債というのは。荒井委員よく御承知のとおり、大きな公共施設を単年度の住民の負担だけでやるのは酷だから、将来の住民まで均等に負担してもらおう、それで大きな施設整備なりプロジェクトをやろう、一つはこういうことですね。
 それから、赤字地方債というのは、これは簡単に言いますと、交付税が足りないので交付税の振りかわりとして赤字地方債を出していただいて、後年度、それを交付税で見ていきます、こうことでございますので、基本的には、やはり余り、その地方債の発行状況に差があって、金利に差があって、ランクに差があってということは、私個人は望ましくないのではなかろうか、こういうふうに思っております。
 今言った市場公募の割合をふやすことは我々としても大いに研究していかなきゃいかぬと思いますけれども、今、シンジケート団をつくってもらいまして、そこで一括して引き受けてもらっているような方法もとっておりますから、その辺の兼ね合いもありまして、これはマーケットの方の都合もあって、よく、今後とも御趣旨の点については私、研究していきたいと思います。
荒井(聰)委員 いずれにしても、市町村というものがどういうふうに評価されているのか、その評価システムが確立していない、あるいはもっと充実させるべきだ、あるいはもっとオープンになるべきだ。その一つとして、地方債というものは、マーケットがその地方自治体の内実というものを評価していくわけですので、そういうシステムをもっと取り入れた方がいいのではないか、そういう私の意見であります。
 次に、国保財政について少しお伺いをさせていただきます。
 国保の財政は全国的に恐らく相当な赤字になっていると思うんですけれども、そのために、今回の予算でも、国保に対する補充の制度というものが結構充実されたように思います、それは暫定措置なわけなんですけれども。
 この抜本的な改革に向けて、あるいは今回のこの暫定措置について、どのような評価をし、そして将来どのような形で国保制度というものを位置づけていくのかということについて、総務大臣、御所見をお伺いしたいのです。
片山国務大臣 医療制度そのものは私の所管ではございませんが、国民健康保険制度は総務省とは大変密接な関係のある制度でございます。特に地方団体は、国保では保険者、老人保険制度については公費負担者、病院を経営している団体については医療機関という、いろいろな立場があるわけでございます。
 そこで、我々も今回の医療制度改革には大変関心がございまして、私自身も政府・与党社会保障改革協議会のメンバーでございまして、私もいろいろ、特に国保を中心に発言してまいりましたけれども、今回の改革の考え方については、国保については私は大変好意的にやっていただいた、こう思っております。
 ただ、これから抜本的な改革を十四年度中に方針を出す、こういうことでございまして、特に高齢者医療制度、それからいわゆる保険の一元化というようなことについては、我々としても国保を中心にこれは大いに意見を言わせていただこう、こういうふうに思っております。
 いずれにせよ、国民皆保険で持続可能な医療保険制度である、これをぜひ守っていきたい、こう思っておりますし、市町会や町村会の意見も十分聞きながら今後とも進めてまいりたいと考えております。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
荒井(聰)委員 私は介護保険制度の創設の制度設計に当たったのですけれども、あれをつくるときに町村会ですとか知事会からも随分意見を聞きました。従来の厚生省のやり方だけでは、医師会だとかあるいは看護婦協会だとか、そういう団体だけでは、あの制度というのはできなかったと思うんです。この医療制度改革にしても、私は、地方自治体側がもっと積極的に意見を言うべきではないか、この医療制度の問題点を十分熟知しているのはむしろ地方自治体ではないかというふうに思います。
 介護保険制度のときの、私たちが当初考えていなかったメリットとして、この制度を導入することによって地方自治体の職員が、地方分権というのはこういうことなのか、自分たちの考え方でいろいろな工夫ができるんだということで、非常にエネルギッシュになったという実態もございます。
 今、地方自治体の職員というのは、仕事の七割から六割ぐらいは国からの押しつけの仕事、これではやはりエネルギーはつくれていけない。そういう意味で、国保の医療制度の改革にしても、あるいは年金制度の改革にしても、地方自治体と密接不可分の行政の一部分だという形で、自分たちの創意や工夫がもっと生かされるような、そういう発言を地方からしていくべきだというふうに私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。
片山国務大臣 言われるとおりですね。言われるとおりでございまして、今後とも、十四年度には大きな方針を出す、こういうことになりますと、今まで以上に地方の立場で、私どもも市町会や町村会と連携しながら発言してまいりたい、こう思っております。
 介護保険というのは、今言われましたけれども、大変いい学習効果を与えたと私も思いますね。あれで、なかなか小さな町村じゃこれはこなし切れないというのが合併の一つの動機になっているんですよ。それも一つ、あわせて申し添えておきます。
荒井(聰)委員 私は、医療制度改革というのは、これからまだまだ議論していかないといけないと思っているんですけれども、医療制度改革に当たって、医療機関の情報の開示というのは極めて大きいと思うんですね。
 しかし、これは医師会の反対によってなかなかそういう開示ができない。私は、地方自治体が、国保が、健康保険組合が、この病院は少なくとも一人当たり医療費はこのぐらいかかっているとか、あるいは薬剤費はこのぐらいかかっているというような情報開示を地方自治体の立場からするべきではないかと。そうすることによって国保全体の赤字の削減につながっていく。どこかがやらないと、医療費の合理的な削減、まあ削減になるかどうかわかりませんけれども、透明性の高い医療制度というのはつくれない。そのときに一番その役割を担うのが地方自治体ではないかというふうに私は思います。これは私の意見でございます。
 最後に、外形標準課税についてちょっとお聞きをいたします。
 今、全国で、資本金一億円以上の大きな法人のうち、法人事業税を払っていない法人というのはどのぐらいの割合で存在していますでしょうか。
瀧野政府参考人 資本金一億円超の大法人で赤字法人はどのぐらいあるかという御質問でございます。
 私どもの方で、平成十一年度分でございますが、課税状況調べというのを取りまとめておりますが、それを見ますと、全法人二百四十五万社ございまして、全体では七割弱が赤字でございますが、資本金一億円超をとりますと約半数というものが赤字になってございます。
荒井(聰)委員 私は、国の法人税は利益に応じて富の分配、再分配、そういう整理でいいと思うんですけれども、地方自治体の税財源というのは、地方自治体の固有のサービスに対する対価であるという考え方で整理をするならば、むしろ外形標準課税、法人税はもう全部国に渡してというぐらいの大胆な、税制度の抜本的な改革というものを行ってもいいのではないかと思うんです。
 ただ、そのときに、これだけ景気が悪いですし、特に中小企業の経営が非常に悪化しているときに新たな税を設けるというのは極めて問題が多い、あるいはなかなか困難な状況なんだろうというふうに思うんです。
 そういう状況の中で、我が党が社会保障について、特に年金の基礎年金の部分については税で対応するべきではないかという提案をしているんですけれども、税で対応するとすれば、企業が負担している社会保険料というのはそこは免除されるわけですから、企業が負担している免除された財源について外形標準課税に切りかえていく、その部分をもって外形標準課税に切りかえていくという考え方があるのではないかというふうに考えているんです。総務大臣、何か御意見ございますでしょうか。
片山国務大臣 法人事業税の今度の外形標準課税化は、全体としては税収中立ですね。今三割しか納めていないものを全部納めてもらう。そのかわり、納めている三割は恐らく相当安くなって、七割の方は広く薄く負担してもらう、こういうことでございます。その赤字法人について、今、社会保険料なら雇用主負担というのがありますから、それを払っている、それを税にすればなくなるから、それをちょっとぐらい回せ、こういう御意見は確かに一つの御意見だと思いますし、かつてどなたかもそういうことを言われたかと思います。
 ただ、社会保険のと税そのものは違いますので、その辺が直ちに連動するのがいかがかなと私は思いますけれども、負担という面から見れば言われるとおりですよね、その分軽くなるんだから。外形標準で赤字法人でも負担してもらったらと。
 いずれにせよ、外形標準課税については、十分、再来年度の、十五年度の税制改正を目指しまして、我々としても大いに議論し検討してまいりたいと考えております。
荒井(聰)委員 これで終わりますけれども、いずれにしても、地方自治というのは一体何なのか。自主的な財源を持って自主的に決めていく、自分の判断で自分の仕事を自主的に決めていく、その精神と体制をつくるということが地方自治というものだと思うのですね。その方向に向けて、毎年毎年、一歩でもいいからその方向に、理想に向かって進めていくというのが国の役割だというふうに私は思ってございます。そんな思いを込めて、総務大臣に地方自治の確立ということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
平林委員長 次に、武正公一君。
武正委員 地方税法、地方交付税法改正につきまして質疑をさせていただきます。民主党、武正公一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 もう既に総務大臣からはお話がございますが、まず第一に、平成十四年度予算で交付税特会からの借り入れをなくすというふうに、ちょうど一年前のこの地方交付税法の質疑で明言をされた総務大臣でございますが、今回、八分の一ずつ国と地方の借り入れを残した理由、これがいわゆる国債発行額三十兆円枠の堅持のためなのか。そして、そもそも交付税改革を三年以内で行うことを前提に、十三、十四、十五ということでの赤字地方債発行ではなかったのか。果たして、これで来年度、先ほども総務大臣はゼロにするというふうに言われましたが、交付税特会借り入れゼロにできるのかどうか。
 以上、総務大臣並びに財務省にお聞きをいたします。
片山国務大臣 確かに去年の総務委員会で、十三年度の地方交付税法改正の御議論の際に、私は、これは当時の宮澤大蔵大臣と私の方で合意をしまして、二カ年で交付税特会借り入れはなくします、十四年度でなくしますということを申し上げたことは、確かにそのとおりでございます。
 ただ、その後、いろいろ予算編成で財務省と協議をしてみまして、我々が思ったより大変財源不足額が多額に上がる、想定よりも相当多額に上がるということもありましたし、もしそれでやりますと、地方の方は赤字地方債の発行が三倍になる。十三年度の赤字地方債に比べて十四年度は三倍になる。三倍はちょっときついという意見が地方の財政関係者からもありまして、また、国の方は一般会計の調達でございまして、これは私の方がとやかく言うことではありませんが、国債発行三十兆円という一つの枠もある。こういうことを考えまして、財務省と相談しまして、半分だけやろうと。残りの四分の一は平成十五年度に解消することにして、十五年度からは交付税特会の借り入れはなくしよう、こういうことの相談をいたしたわけでございます。
 その間、おまえの方は見通しが大変甘いのではないかというと、景気やあれについての見通しが、そういうことがあったということは率直に認めなければなりませんけれども、税万般の事情をぜひ御理解賜りたい、こういうふうに思っております。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 ただいま総務大臣から御答弁があったとおりでございますが、我々も、非常に財政事情が厳しいという中で、国税、地方税が大きく落ち込みまして財源不足が拡大するという状況にあります。
 その中で、特会借り入れを解消しようといたしますと、さらに交付税を削減するということが必要になりますが、そういったことは地方財政の運営に支障を来すという事情もございますし、それから、特会借り入れを解消して赤字地方債で賄おうとすれば、その発行額が三倍にも膨張する、そういった事情もございまして、残念ながら、二分の一から四分の一に借り入れ幅を圧縮するということで、財政の透明化に一歩進んだわけでございますが、一部は残さざるを得なかったということでございます。
 十五年度はどうかということでございますが、これは、財政の透明性を確保するということは非常に重要なことでございますので、十五年度におきまして交付税特会借り入れが解消できますように、国、地方が協力しながら引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
武正委員 赤字地方債が三倍になるから問題だ、さらにまた財源不足が予想以上だった、これは理由になっていないと思うのですね。
 税収不足あるいは財源不足、これについてはやはり予想の範囲といったことも言われますし、あとは、赤字地方債は、特会からの借り入れは要は際限がない、国、地方の負担を明確にしよう、赤字地方債で明らかにしようということで言っていたわけですから、三倍になろうと、これははっきりと、三倍なら三倍、それだけ地方財政は大変なのだということが昨年の大臣の発言であったのではないですか。
 これについてはもう一度、大臣、御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 我々も、交付税特会の透明性、それから地方全体で責任を持ってもらうという意味で、借り入れ方式をやめて、半分が赤字地方債、半分が一般会計加算、これは正しいと思っております。ただしかし現実に、委員、三倍になるといいますと、それは発行する方も大変でございますし、そこのところはなかなか理屈どおりにいかないところがあるな、こういうように思います。
 地方団体の意見も聞いたのです。倍ぐらいなら我慢しますと、もともと予定しておったのだから。十三年度から予定しておったのだから倍ぐらいは、ただ三倍はちょっときつい、こういう意見もありまして、そこで、御承知のように、四分の一だけ借り入れを残したわけでございます。
 そういう意味では事情が変わったということで、その事情が変わったことについての見方が甘いと言われれば、私はもう甘んじて受けなければならないと思いますけれども、再来年度はぜひ本来の、三年の約束で交付税制度の見直しをやったわけでありますから、十五年度は最終年度でございますので、再来年度には特会借り入れは解消いたしたい、こういうふうに改めて今決意いたしております。
武正委員 赤字地方債、三倍で大変だというお話ですが、後ほど触れますけれども、地方債は今人気なのですよね、大変買い手市場ということで。ただ、これが問題だということは改めて指摘をさせていただきますが、そういった事情と、三倍ということでは四兆円ということですかね。ただ、もう百九十兆円も発行しているのですよね。百九十兆円も地方債をこれまでどんどんと膨らませてきて、特にこの十年間で地方の借金を三倍にしながら、ここで三倍にするのは問題だというのは到底理解できないわけであります。
 地方の財政が厳しいことを明らかにすべしということで赤字地方債を取り入れながら、それが、一兆が四兆弱になるのが大変だというのは、やはり国債三十兆円枠の堅持という、この大命題があるがゆえに、総務省としては譲ったということではないでしょうか。いかがでしょうか、大臣。
片山国務大臣 赤字地方債というのは今まで地方財政法上認めなかったのですよ。十三年度から認めようということにしたので、これは普通の地方債と同じだから、もう二倍も三倍も四倍も一緒だということには、私はちょっとそこは、地方の財政の関係者からいうとなかなかならないのではなかろうか。なだらかにふえていくならともかくも、一挙に三倍ということについてのいろいろなお考えがあったと私は思います。
 それから国の方のことは、余り言いますと牧野次長は困りますので、私はなるべく言わないようにしているのですが、言われるとおり、三十兆円と全く関係がないかというと、それはあります。
武正委員 三十兆円枠と関係があるというふうに認めていただきました。
 さて、赤字地方債は違うのだというお話なのですが、だからこそ私も去年、赤字地方債は国の赤字国債と同じにならないですねというふうに質問したのですね。それで、それは違うのだと。三年に限ってということを大臣は明言されたわけです。だから、そういったことでいえば、今回、一兆が四兆であっても、来年で終わりなんですよ、赤字地方債の発行は。だからそれは、そこを明らかにすべきなんです。
 それを大臣、もごもごというふうに言われましたけれども、来年で交付税改革、そしてこの交付税特会の借り入れゼロに本当にできるのですか。もう一度明言をお願いいたします。
片山国務大臣 しかし、世の中、何が起こるかわかりませんからね。それはあれでございますが、我々としては、現時点ではゼロにしようと思っております。
武正委員 昨年、ゼロにしようというふうに明言をされたのですが、今回八分の一、両方足して四分の一借り入れをしていると。今、思っていますということで、甚だ弱いなといったところでありまして、到底そういった答弁は認めることができない。去年赤字地方債を導入したときのあの明言と、交付税改革を三年でやるんだ、そして景気を回復する、これはもう三年以内でできるんだというような力強い発言もあったわけでありますから、やはり今回の、赤字地方債を抑え交付税借り入れをしたのは問題であるということを改めて指摘させていただきます。
 さて、第八回経済財政諮問会議で、本間議員が三十兆円枠について発言をされております。これを読みますと、「三十兆円に国債の制限をして地方債で増大させることは技術的には可能だろうが、非常にクレディビリティーに欠ける。国債の上限と、地方債の上限をリンクさせ、国と地方が併せて合理化をしていくスタンスを国民に見せることが必要。」ということで、国債を三十兆円で抑えて、そのかわり地方債の発行をしてはいけないよといったことを、本間議員は大臣も御出席の諮問会議第八回で指摘をされたわけでありますが、この発言について、今回の平成十四年度予算、改めてどのような見解で今回の予算を組まれたのか、本間議員の発言と絡めて御答弁をお願いいたします。これは総務大臣、財務省、お願いいたします。
片山国務大臣 本間議員が今委員が読まれましたような発言をされたことは私も聞いておりますし、私自身も、表現は違いますけれどもそういう趣旨のことを、そのときか別のときかはわかりませんけれども、言ったことを覚えております。やはり、国債が三十兆円という節度を設けるのなら、地方債についても節度が必要ではなかろうかと。
 ただ、地方債の場合には、委員、赤字は十三年度初めて出したわけでございますので、国の場合にはもう赤字はかなり前から出しておりまして、そういう関係もあると思いますけれども、考え方としては、やはり地方債にも一定の節度を持つようなことは考えていくべきだと。ただ、地方債というのは、先ほども言いましたように三千三百の地方団体の財政の総和でございますから、国のような単一の財政体じゃありませんから難しさはありますけれども、我々はそういうつもりで今地方債計画等を策定いたしておるわけであります。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 平成十四年度の地方財政計画の策定におきましては、地方税収や地方交付税の原資となる国税収入が大幅に落ち込みまして、そのために国と地方が折半して補てんする財源不足が大幅に拡大いたしました。このために、地方の特例地方債が大幅に増加いたしまして、地方債総額も増加することになったわけでございます。ただ、申し上げておきたいことは、国も折半分として、国債を財源といたしまして一般会計繰り入れを行っております。そういう意味で、地方債を一方的に増大させたということでないことだけは御理解いただきたいと思っております。
 それから、本間議員の御発言についてでございますが、この点につきましては今総務大臣からお答えがあったとおりでございますが、今後とも、国、地方を通じまして、借金に依存しない財政運営が望ましいということでございますので、現在非常に景気情勢等でやむを得ない面はございますけれども、できるだけ財政の効率化を図って収支ギャップを縮小していきたいと考えております。
武正委員 先ほど同僚委員の質問に対して総務大臣は、交付税は八千四十九億円減だ、ただ、いわゆる赤字地方債、臨対債を合わせると九千七百二十四億円、二十二兆七千七百十億円しっかりと確保したよ、地方に迷惑かけないよというようなことを言われたんですが、これでは、先ほど来財務省さんも言っておられる、そしてまた昨年の骨太の方針でも示した地方交付税を減らすということ、これは結局赤字地方債を足して約一兆円ふえているではないかといったことであります。単に、財務省さんの発言のように、三十兆円の枠を守るために赤字地方債の額が減っただけであって、交付税特会の借り入れをやっている。そして、この赤字地方債と交付税総額は、骨太の方針や地方分権推進計画の報告にあるような地方交付税を減らすといったことはせずに、結局は赤字地方債を合わせてふやしていると。
 この点について、総務大臣の御見解、結局は特会借り入れを残したのでそのかわりなのかといったことがあるわけなんですけれども、この点についての御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 交付税制度の見直しは、骨太方針や三十兆の前ですよね。これは平成十二年十二月の十三年度予算編成のときに、当時の宮澤大蔵大臣と、私も自治大臣でございましたけれども、自治大臣との間の合意で、三年で交付税制度をとりあえず見直しましょう、そのうちの二年で交付税特会の借り入れはなくしましょう、こういうことを決めたわけでございますから、三十兆なり骨太方針が念頭にあってこういうことを決めたわけじゃございませんので、そこのところは御理解をいただきたい、こういうふうに思います。
 それと、地方財政計画は初めて、地方財政計画が始まって以来、前の年よりマイナス一・九にいたしたわけでありまして、そういう意味では、補助事業はもとよりでございますが、単独事業も一割カット、経常経費も相当見直す、定数も落とす、給与も落とす、ラスパイレス指数のことですけれども。そういうことをやりましてこれだけの地方財政計画の規模を固めまして、そのための財源として、交付税と赤字地方債で二十二兆七千七百億円確保いたしたわけであります。
 地方財政計画が想定している標準的な地方団体の財政運営については、この交付税と赤字地方債で財源補てんができた、私はこういうふうに考えて、せんだっての質問の方にも申し上げたわけであります。
武正委員 交付税改革、そしてまた地方の税財源の移譲ということも、先ほど来閣議決定ということでお話がありましたが、やはり交付税を減らしていくんだというのがこれの方向ですよね。
 これについては塩川財務大臣も、そのために基準財政需要額を一兆円減らしてくれと。あのときに片山大臣がかみつきまして、交付税額一兆円減とは首相もあるいは財務大臣も言っていないよと。それで、慌てて塩川財務大臣は、基準財政額を一兆円ほど減らしてもらって、それに対する地方財政計画を編成してもらう、こういった答弁をされているわけなんですね。塩川財務大臣に言わせれば、国債を三十兆円でとめなきゃならない、そのためには三兆三千億円どこかでカットしなきゃならない。であるから、国の方で二兆円ばかり、地方で一兆円を負う形ということを今年度発言されているわけなんですね。
 そういった中で、今地方財政計画は減らしているよと、一・六兆。それから地方一般歳出二・二兆、地方単独事業一・七五兆減らしましたよ、地方交付税総額も八千四十九億円減らしましたよと。しかしながら、いわゆる赤字地方債と交付税を足した額は一兆円ふやした、これで地方に迷惑はかけないよと。これがやはり矛盾したように私は感じてならないんですね。
 それと、その裏づけになるのが、やはり地方債の総額を七千三百八十六億円ふやしていることなんですね。これについては、次の質問で再度取り上げてまいりたいと思います。
 それでは財務省さんに、今四十六兆円になりました交付税特会の借り入れは、財投の改革によって市中から借り入れを入札等で行うようなやり方を平成十三年度からやっておられると聞いておりますが、どのようにこの交付税特会の借り入れを市中から行っているのか、御説明をお願いいたします。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 交付税特別会計の市中からの借り入れにつきましては、借入利率を競争入札に付す、いわゆるコンベンショナル方式によりまして借り入れを行っております。これは平成十二年の七月から実施しているところでございます。なお、入札事務につきましては、十三年六月からインターネットによるシステムを使用して実施しているところでございます。現在、原則といたしまして週一回入札を実施しておりまして、市場の動向等を見きわめつつ入札を行っているところでございます。
 入札の状況を簡単に申し上げますと、約二倍程度の応募倍率がございまして、順調に借り入れが進んでいると認識しているところでございます。
武正委員 二倍ということでありますが、これが一倍を切ったのが、平成十三年九月二十一日から二十八日のときに〇・九三倍といったことがありました。最近は二倍ということで、今は国債の人気が高いわけですね。ペイオフを前にして、またお金の使い道がなかなかないということで、国債、地方債、大変人気が高い。後で触れますが、ペイオフ解禁を前にして、地方公共団体が他の団体の地方債を買っているんではないか、こんな話もあるわけなんですね。
 さて、今人気が大変高い交付税特会、大変いいというふうにも言えますが、これは国の十六兆円分だけ入札をやっていて、地方の三十兆円分については財政融資資金ですか、そこから借り入れている、地方の三十兆円は入札をやっていないということを聞いております。この点についてはもう一度御答弁をお願いいたします。また、なぜなのか。国だけ十六兆円入札をやって、なぜ地方はやっていないのか。
寺澤政府参考人 お答えをいたします。
 平成十二年度予算編成のときに民間借り入れを導入したわけでございますが、そのときの考え方は、当時、十二年度の資金運用部の原資の状況は郵貯の集中満期を見込んで非常に厳しいという状況がございましたので、従来からの資金運用部からの借り入れに加えまして新たに民間からの借り入れを導入することにしたということで、基本的には新規の借入金について民間から入札により調達をするということで、既存のものにつきましては、現在、財政融資資金と言っていましたが、財政融資資金から引き続き貸しているということでございます。
武正委員 地方分も新規の借り入れがあるんじゃないでしょうか。それをなぜ入札にしないんでしょうか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 新規の借り入れの負担が地方か国かということとは関係ございませんで、特会の新規の借り入れについて入札で行い、既存のものは財政融資資金で引き続き融資をしているということでございます。
武正委員 ちょっときょうは日銀の方は来ておりませんけれども、日銀の方にお聞きいたしますと、入札を行っているのは国の十六兆円であって、地方は財政融資資金であるというようなことを私は聞いております。
 次に移らせていただきます。
 景気回復による国、地方の税収増、あるいは地方行財政改革を含めての歳出減、地方税財源の国、地方再配分、これは総務大臣の御答弁なんですが、いわゆる交付税特別会計借入金を償還できるのかどうかといったことについて、引き続き述べますと、これをプラスにしないと、今の償還計画どおりで巨額な交付税特会の借り入れの償還は大変かなと思っていますから、総合的な戦略でこの返済を推進したいということを昨年述べておられるんです。
 この交付税特会の償還について、総務大臣として、これは法律に明記をされておりますが、なかなかこの償還計画どおりでは大変なんだということを総務大臣は述べておられますが、赤字地方債を発行し、また交付税特会からの借り入れを行った平成十四年度予算を今審議中でありますが、改めて、その自信ありという御答弁をお願いいたします。
片山国務大臣 交付税特会の借入金の残高は、今お話しのように四十六兆一千億で、地方負担分が三十兆三千億になる見込みでございます。このうち、国の負担分は平成三十年度までに返す、償還してもらう、地方負担分は平成三十八年度分までそれぞれ法律に基づく年次計画によりまして、法律に書いておりますからね、これによって償還していくことになっております。
 それだけの、法律に書いてあるけれども、償還に必要な財源の確保をどうするんだ、こういうことでございますが、これは毎年度の地方財政計画の策定を通じてその財源を確保していきたい、法律による義務づけでございますから、これは確保させてもらう。こういうことでございますけれども、それはそれで置いておいて、基本的には、この巨額の借り入れそのものは、やはり景気の回復、経済の活性化、地方行財政、国の行政とあわせての簡素合理化、さらには、何度も私は申し上げておりますけれども、税源移譲による地方税財政基盤の強化、こういう総合的な対応によって償還していきたい、こういうことであります。
武正委員 やはりなかなか明確な御答弁は得られないところが大変つらいところかなと思っておりまして、やはり交付税改革を三年で思い切ってやらないとこれもだめなんですよね。ですから、もうあと一年しかないわけなんですけれども、果たして本当に三年で、集中期間、構造改革もこの集中期間でありますが、思い切った改革をやらなければならないということで、今回さまざまな改革がありますが、もっともっと大胆にやらなければ交付税特会の償還も今のままでは難しいんではないかといった感想を持つわけであります。
 さて、財務省にお聞きしたいんですが、そもそもこの交付税交付金総額はどのように決まっているのか。あわせて、大臣が、税財源の移譲、国対地方が六対四、これは実際支出面は四対六だからせめて五対五にしたい、これを何度も言っておられるんですが、実は税財源の移譲を行うと交付税が減るという相関関係にあるという話があるんですけれども、これもやはりきちっと押さえておかなければならないポイントだと思うんです。財務省さんに以上二点についてお聞かせをいただきたいと思います。
牧野政府参考人 お答えいたします。
 まず、交付税交付金の総額はどのように決まるかでございますが、地方交付税の総額は、予算編成過程におきまして、地方財政計画の策定作業を通じて地方の財源不足額が出てまいりまして、それに対応して決定されております。
 もうちょっと具体的に申し上げますと、平成十四年度におきましては、地方財政収支上大幅な財源不足が見込まれましたので、国税の一定割合としての法定の交付税額、これが十二兆六千四百四十八億でございますが、これに加えまして、国、地方折半による財源補てん措置としての一般会計繰り入れ等を行いまして交付税総額の増額の措置を行いまして、地方財政計画上の地方交付税総額を十九兆五千四百四十九億としたところでございます。
 それから、もう一点、税源移譲と交付税の関係という御質問でございますが、仮にでございますが、現行の制度を前提といたしまして、地方税が増収になった、そういう仮定を置きますと、それで地方の歳出が一定であるならば、地方の財源不足は縮小いたしますので、地方交付税の総額は減少することとなります。
 ただ、税源配分のあり方の見直しといいますのは、それ単独で取り組むべき問題とは考えておりませんで、骨太の方針にもございますが、地方行財政の効率化を前提としまして、国と地方の役割分担の見直しを踏まえ、国庫補助負担金の整理合理化や地方交付税のあり方の見直しとともに、根本から検討していく必要があるとされておりまして、そういう総合的な地方行財政改革の一環として取り組むべきものと考えております。単純に税財源の移譲だけを仮定しまして交付税総額がどうなるということをお示しするのは困難だと考えております。
武正委員 単純に示すのは困難だと言いながら、先ほどの前段ではやはり相関関係にあるということをお認めになられましたが、総務大臣、今のことをお聞きになって、やはり税財源の移譲をしたら交付税総額が減るんだと。これでは、税財源の移譲をしようといったら、地方の、まあ、それは自分でお金を集めよう、そういった自主財源をふやしていく、これはいいことなんですが、結局交付税が減っていくというこの相関関係にあると、地方とすると、では、どうなのかなというふうに思うと思うんですが、これは総務大臣としてはいかがお考えですか。
片山国務大臣 私が言っておりますのは、今の公の収入、税は、国が六〇、地方が四〇で分けている、仕事は、今の役割分担でいきますと、大体地方が六五やって国が三五をやっている、こう言っているんですよ。四〇しか収入のないものが六五の支出を受け持っているんですから、二五は国から流れてくるので、それが地方交付税と国庫支出金だ、補助金ですね。だから、五〇対五〇にしても、地方が今の役割分担で六五の仕事をしていれば一五は国から流れてくるんですよ。それを交付税にするか、国庫支出金にするか、その辺は総合的に考えないといけません。
 だから、トータルとしては地方の取り分は変わらないんじゃないか、変わりません。地方税になるということが地方の自主性強化、自立性強化のためには必要だ。依存財源である交付税や、さらに依存の上にひもがついている補助金よりも、自前の地方税のウエートを高めていく、こういうことが必要だ、こう言っているのです。
 だから、国と地方の、今の六五対三五を見直すということは必要かもしれませんよ、地方が七〇にして国を三〇にするとかあるいは国をもう少しふやすとか。それは、これからの今の事務配分、権限移譲を含めての総合的な議論の中で結論を出していくことで、主計局次長が言っているのも、私の言うこととそうは変わっていない。ただ、どっちかというと国の立場で言っていますから、私はどっちかというと地方の立場で言っていますから、それだけの違いでございます。
武正委員 総務大臣も国の立場だというふうに思うんです。
 今のお話なんですけれども、総額は変わらない、要は、税財源の移譲を行って交付税を減らすんだといったことですよね。(片山国務大臣「国庫支出金」と呼ぶ)国庫支出金、さっき交付税と言われましたけれども。交付税を減らすということでよろしいんですか。
片山国務大臣 今の役割分担を変えないという前提ですよ、武正委員。国と地方の役割分担を変えないで、私は、地方税のウエートを高めていく、今のように四〇を五〇にしていくと。まず減らすのは国庫支出金なんですよ、まず減らすのは。しかし、国庫支出金の中でもどうしても残さなきゃいかぬものがありますから、そういうものを残した残りは地方交付税、こういうことになるわけです。減らす順番は国庫支出金、地方交付税、ふやすのは地方税、こういうことでございます。
武正委員 ことし閣議決定で税財源の移譲が言われているわけですから、そして三年以内に交付税改革をやるんですから、そうすると、地方交付税を減らしていく、国庫支出金を減らしていくといったことだと思いますので、平成十四年度、八千億余を減らしたけれども、果たしてこれで、十四年度で、最終年として交付税改革は十分なのかどうかといったところだというふうに思うんですね。
 時間が限りがありますので先を急ぎます。
 ここで総務副大臣にお聞かせをいただきたいんですが、特別地方交付税、一兆余あります。十二月とか三月で、各地方自治体が大変お金がない、ある面厳しいなといったときに配賦をされる大変ありがたい特別地方交付税と聞いております。これが、東京都以外、全自治体に配賦をされる。これが、交付税法第一条との関係で果たしてどうなのかなといったことも言われているんです。しかも、これが法律で明記をされているのではなくて、交付基準はすべて省令であるといったことも、やはり大変不透明な、あるいは恣意的な配賦が行われているのではないかと言われるこの特別地方交付税、省令から法律に書き込むべきではないか。これについて、総務副大臣の御意見を伺いたいと思います。
若松副大臣 武正委員の御質問ですが、まず特別交付税の役割とでも申しましょうか、いわゆる普通交付税の大変画一的な算定方法で通常捕捉されない、予定されない特別な財政需要を算定の対象としているということで、御存じのように、例えばことしですと、鹿児島県の大浦町にたくさんの鯨が陸揚げというんでしょうか、あの処理というのは大変お金がかかるんですね。そういう、次から次へと、当初予定されない事象が起こるわけでありまして、そういう特殊な需要に対してどう対応するか、こういった観点からこの特別交付税が今運営されているわけであります。
 そういうことで、平成十三年度におきましては、池田小学校事件を踏まえて公立学校への緊急安全対策経費とか、またBSE対策、こういった経費を新たに算定の対象にするということで、毎年毎年、動いている、その中でも大きな変化がある、それをタイムリーに反映するには、正直言って法律というのはかなり窮屈ではないかな、そう私どもは理解しております。
 しかし、この特別交付税の性格からもやはり省令という、いずれにしてもはっきりと出るわけですけれども、やはり透明性というのは、また客観性というものは非常に重要な観点ではありますので、この点は、今後も総務省としてしっかり対処してまいりたいと考えております。
武正委員 先ほど触れました交付税法第一条は、この法律は、財源の均衡化を図り、並びに地方行政の計画的な運営を保障と。東京都以外のいわゆる不交付団体、大変豊かな団体にも、この特別地方交付税が配られている。果たして、これが財源の均衡化を図ることになるのかという疑問があります。やはり透明性を図る意味でも、特別地方交付税は法律に、さまざまな指標、基準は盛り込むべきというふうなことを申し上げて、次に移らせていただきます。
 さて、今回の地方交付税法の法案でありますが、単位費用についてちょっとお聞きをしたいと思います。
 単位費用で見てまいりますと、都道府県と市町村で一〇%以上伸びたりあるいは下がっているところをラインマークしていくんですね。そうすると、まず、都道府県も市町村も、河川の延長の投資経費が都道府県で一五・二%、河川は市町村にはありませんね。それから、港湾費が、港湾の外郭施設の延長投資経費が一〇%伸び、市町村も同じということであります。河川、港湾、これは国の事業費も年々下がっているわけなんですね。港湾整備事業費は平成八年度六千九百九十五億が平成十三年度六千十五億、河川事業費は平成八年度一兆一千二百十二億が平成十四年度に至っては九千四百十億ということで、下がっているんですね。これだけ下がっている。並びに、それこそ昨年の塩川財務大臣の発言でいえば、物価が下がっているんだから基準財政需要額の単位費用が下がっていいんじゃないの、それで一兆円減らしてくれよというような発言があった中で、なぜ河川と港湾の基準財政需要額の単位費用が上がっているのか不思議でならない。
 さっき伸びたり縮んだりと、同僚委員からお話がありましたよね。私は大変いい質問だなというふうに思っておるんですけれども、本当に基準財政需要額が伸びたり縮んだり、結局、何か数字合わせをしているんじゃないかということなんですね。これが典型的なのが単位費用の河川と港湾、伸びているわけなんですね。
 あわせて、人口は急減をしているんですね。六十五歳以上あるいは七十歳以上の人口を取り入れるもの、この単位費用は七〇%とか、三〇%、五〇%、伸び率が下がっている。これらの理由をお聞かせいただきたい。
 また、警察官と消防署、警察官の警察費、それから市町村にあっては消防費、この単位ですね。警察費は、その基準財政需要額の算定、警察職員数に単位費用を掛けるんですね。ところが、では市町村の消防費は消防官の数に単位費用を掛けるのかというと、消防費は、人口に単位費用を掛けているんですね。警察費と消防費、単位費用はあったとしても、どうしてこう掛けるべき対象が警察官数と人口で違うのか。これも不思議でわからないんですね。これをちょっとあわせて御説明をいただけますでしょうか。
林政府参考人 お答えをさせていただきます。
 御提案を申し上げています法律の中にございます単位費用の単価の動きについての御質問でございますが、基本的には標準的な経費を算定するための基礎として単位費用を定めるものでございますので、物価等にスライドをするものが基本でございますが、ただ、御指摘をいただきましたものにつきましては、本年度の地方財政対策の変更等に伴う結果といたして変化が出ておりますので、多少御説明をさせていただきます。
 まず、河川費等について御質問がございました。
 これは、交付税改革の中で事業費補正の見直しをすることにいたしておりますが、それと関係するものでございまして、事業費補正の見直しに伴いまして、公共事業の地方債の充当率、従来九五%といたしておりましたが、それを九〇%に引き下げたことに伴い、当該年度に一般財源として支出する部分が増加することになるわけでございまして、これによりまして単位費用を増加させる必要があるということで、御指摘いただきましたように、例えば都道府県の土木費の河川費につきましては、事業費補正の見直しによりまして、単位費用が一五・二%伸びる、こういうような形になっております。河川費であるとか港湾費は、その理由であります。
 それから、一番大きな増加理由になっておりますが、臨時財政対策債、先ほど来御議論いただいておりますが、臨時財政対策債の発行額が、平成十三年度一・四兆円でございましたが、これが三・二兆円に増加することになりまして、これに伴いまして基準財政需要額からの振りかえ額が増加することになりますので、関連する単位費用につきましてはこれが減少をしていく、こういうことになるわけでございまして、その他の土木費であるとか企画振興費につきましてそのような単位費用の変更を御提案申し上げているわけであります。
 それから、測定単位で、人口についても御指摘がございました。
 実は、これは交付税の算定に用いております人口が国調人口の置きかえをする必要が出てまいっております。現在、平成十四年度から測定単位の数値といたしまして六十五歳以上の人口を用いることにいたしているわけでありますが、従来の、平成七年の国調の調査数値を平成十二年の国調の数値に置きかえてまいりますと、六十五歳以上人口が二〇%増加をするということになりますので、全国的な標準的な経費を算定する際の基礎となります単位費用につきましては、逆にそれに見合った減少をさせなければならないということで、減少いたしているわけであります。
 それから、警察費と消防費についての御質問がございました。
 私ども、測定単位を定めます場合に、確かに警察費につきましては警察職員数を、また消防費につきましては人口を用いております。何を測定単位とするかということを考えます場合に、私ども、地方行政の種類ごとはもちろんでありますが、当該行政に要する経費の多寡を最も的確かつ合理的に反映するものを用いることといたしております。つまり、財政需要との間に高い相関関係があることが一つでありますし、また、用いる数値は、客観性があって公信性の高いものを用いる必要があります。
 以上の二つの条件を満たすものを探しているわけでありますが、警察費につきましては警察職員数といたしておりますのは、警察に係る財政需要と警察職員数との間に高い相関関係がございますし、また、御案内のように、その数値は政令定数となっているということで、公信性があるので、それを用いております。
 なお、消防費につきましては、消防職員につきましてそのような政令定数のようなものはございません。ただ、消防力の基準におきまして一つの考え方が示されてございますが、その数値は地方団体によりまちまちでございまして、全国的な客観性あるいは公信性のあるものとしては用いることができないのではないかということで、消防関係の財政需要と相関関係があると考えられております人口を採用いたしているところでございます。
武正委員 総務大臣、とにかくこれは複雑で、非常にわかりにくい。要は、今の人口の測定単位の費用が減った理由が、臨対債に振りかえていたのが原因だと。各費目の、その他とか企画振興費とかいった費目の実態があやふやなものを合計で約一兆七千三百七十億、県と市町村合わせて減らしているんですよね。こういった、何か、ふやしたり減らしたり、しかも河川や港湾の事業費がどんどん下がっているのに単位費用だけ上げていく。
 確かに、これは単位費用を上げろと都道府県から随分要望が出ているんですね。人口の要件はもっと減らしてくれと。これは私は、人口の要件を減らしていくというのは逆じゃないかなというふうに思うんです。ある面、やはり人口とか面積とか、もっと単純化していいと昨年も申しましたが、そういったことについて、再度、総務大臣、交付税改革を来年度でやるんだ、三年でやるんだという中で、基準財政需要額の算定の単位費用をもっともっとシンプルにすべきだろうと考えますが、いかがでしょうか。
片山国務大臣 日本の交付税制度は世界で一番精緻だといって半分は褒められているんですよ、半分はやはり冷やかされているというようなところがあると私は思いますが。長い間、地方財政平衡交付金が地方交付税になってきてからもう四十年近くなるんですよね、三十何年。その中で、私は大変精緻な仕組みになってきたと思うんだけれども、しかし、もっとわかりやすくした方がいいですね。透明にした方がいい、簡素にした方がいい。そういう意味では、今できるだけ簡素化を心がけておるんですけれども、しかし、やはり限界がありますね、今もらっているところが大幅に変動するようじゃみんな文句を言うから。
 そうなんですよ。基本は人口と面積ですよ。しかし、人口や面積だけでは把握できませんよね、今の話のように。例えば福祉や介護なんというと、人口じゃないんですね。お年寄りの数が、介護を要する人がどのくらいおるか、こういうことですね。教育でいうと、人口じゃなくて、子供さんがどのくらいおるか、こういう議論になるので、そこは委員の御心配も我々はよくわかっておりますから、それはしっかり受けとめて簡素化にさらに努力していきたいと思います。
 ただ、今回は、交付税が今、赤字地方債だとかいろいろな地方債の制度とリンクしていますから、この辺が単位費用が、いわゆる基準財政需要との出入りが非常にあるわけですね。起債に振りかえる、起債から交付税に返す、こういう点がありますからちょっとわかりにくくなっておりますけれども、ぜひ交付税制度改革の一環としてさらなる簡素化を進めてまいりたい、こう思っておりまして、補正についてもいろいろ今簡素化する努力をいたしておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
武正委員 もうあと一年しかないわけでありますから、もっともっと大胆に変えていかなければならない。そのときに、先ほど話したように、三十兆円枠という歯どめが一つあったり、交付税特会の借り入れをしてしまったり、そしてまた基準財政需要額を減らしてその振りかえに臨対債を発行というような形で、ちっとも、交付税改革、あるいは国と地方のともに改革をするんだといったところが逆に後退をしているんではないかということを改めて指摘をしたいと思います。
 さて、地方単独事業、これは予算と実態の乖離が四兆円とか五兆円とか、地方自治体は、もう地方単独事業はできません、地方債の発行はもうできません、平成三年から十年で地方債は三倍になっている、もうこれ以上、地方で単独事業をやれ、地方債発行して将来交付税で面倒見るよ、これはもうたまらぬというのが正直なところで、今回はやっと一〇%減らしましたけれども、これでも多過ぎるんじゃないかと。実はこれを十五兆七千五百億円やっているのは地財計画で総額を維持するために、目標を減らしたといっても一〇%しか減らせない、これもやはり構造的な欠陥じゃないかなと思うんですね。
 地財計画で総額を維持するために投資的経費である単独事業の額を下げられない、地方での実際の支出との乖離は四兆円、五兆円あるのに、またこれをやる。これについて総務大臣の御所見を伺いたいと思います。
片山国務大臣 地方単独事業については、かねてから大変議論があるところでございまして、バブルの前までは単独事業の方が少なかったんですね、補助事業、公共事業よりも。多いときは倍になったんですよ。それが結局、バブル崩壊後、景気対策で、公共事業には限界があるから地方単独事業をやってくれ、起債の元利償還は交付税で面倒見ましょうということで、地方にやってもらったんですよ。だから、これは、私は地方だけの責任でないと思いますよ。国の責任も半分ある。
 そういうことで、やはりアクション・リアクションで、今、地方団体が、借金をしてまで単独事業をやることには大変憶病になっていますよ、憶病になっている。しかし、私は、箱物やレジャー関係の投資はやめてもらった方がいいと思うけれども、生活インフラはこれからやってもらわなければいけません、生活道路だとか、廃棄物の処理だとか、環境関係だとか、都市計画だとか、下水道だとか。そういうことのためには、場合によっては公共事業、補助事業とリンクしながら、地方単独事業をやってもらうために、やはりこのくらいの額は地方財政計画上確保しておく必要がある、こういうふうに思っておりまして、精査をして、いいものをやってもらう。昔は何でもやったんですよ。今は、いいものだけ精査してぜひやってもらいたい、地方の社会資本の整備をさらに進めてもらいたい、こういうふうに思っております。
武正委員 この十年を総括したときに、地方が悪いという、先ほどそんなお話をしたやに御答弁がありましたが、私はやはり国の責任だと思います。国がもう地方自治体のしりをたたいて、金を使え、物をつくれ、第三セクターつくれと、この十年、景気浮揚だ、雇用創出だと盛んに地方を使って借金をさせた。これが、やはり国に問題がある、原因があるというふうに言わざるを得ないんですね。
 今、地方自治体がそのあおりを食って、財政逼迫でもう大変です。そのときに、まだ十五兆七千五百億円も地方単独事業、そしてまた地方債も今回八千億円弱増額と。また、地方債もさらに発行しなさい、交付税でまた面倒見ますよということをまだ続けている。もっともっと地方単独事業は減らしていいというふうにあえて申させていただきます。
 時間も限られておりますので、本来は総務省に地方債の市場での消化状況を聞きたいんですが、こちらの調べた話では、現状は大変順調だというような話を聞いているんですけれども、実は、これから、いわゆる国債の暴落、そして需給事情が逼迫したときにまず地方債からお金が逃げていく、地方債に金が集まらなくなるということが言われております。
 これについて、今は地方債は、特に縁故債なんかは公募債と違って大変融通の悪い債権ですし、東京都債はある程度市場で流通していますが、ほかはなかなか流通性も悪い。こういったことも含めて、地方債の改革というものなしには、これも絵にかいたもちになる。資金需要が逼迫したときには、国債、そして都道府県債、市町村債、特に市町村債が消化できなくなっていくんではないかというふうに危惧をするんですが、この点について総務大臣の御所見を伺います。
若松副大臣 ただいまの地方債の今後の売れ行きの御懸念の件でありますが、この地方債の販売、処分でしょうか、過去をずっと見てまいりますと、当然景気がよくなった時期があったわけでありますが、そういった民間の資金需要が多くなった時期であっても、いわゆる市場公募債が市場で消化されなかったというようなことは、私どもは経験しておりません。また、縁故債による金融機関からの資金調達が行われなかった、こういうことも経験しておりません。そういうことで、将来においても、そんな、委員の御心配には至らないのではないかと私どもは認識しております。
 ただ、やはり、今後の流れといたしましては、市場公募債の拡大は時代の流れでしょうし、また、いわゆる地域密着型というんですか、住民参加型ミニ市場公募債、いわゆるコミュニティーボンド、先ほどほかの委員からも御質問がございましたが、こういった個人消化等もやはり進めざるを得ないのではないかと思っております。地方債の流通性の向上とか資金調達手段の多様化、こういったことにしっかり努めながら、長期的視点に立った民間資金の安定的かつ有利な調達を目指して頑張ってまいりたいと考えております。
武正委員 今、地方の金融機関がどんどんと破綻をしている中で、状況はもう激変をしている。国債の暴落も近いというふうにも言われているわけですから、今、状況は変わっているということで、副大臣との認識は残念ながら一致をしなかったわけであります。市町村債を共同で発行するなど、さまざまな取り組みが必要だろうというふうに思うわけであります。
 さて、今年度地総債をやめたんですね、約十二兆円ぐらい残高がありますが。ただ、これを見ると、地域活性化事業というのを新たに創設しました。それから、これまでの継続事業分と新規の合併特例事業、防災対策事業、これを合わせると、昨年の地総債の一兆八千六百億とほぼ同額なんですね。だから、結局これは地総債のつけかえではないかなというふうに思うわけなんですね。これは指摘ということで次に移らせていただきます。
 先ほど、個人でというお話なんですけれども、個人で地方債を買ってもらうのもいいんですね。ただ、これが、それぞれの地方自治体自由にということなんですが、国債の場合は変動金利で、しかも途中で国債返して換金ができる、こういうことを考えられているんですが、地方債が固定金利でやった場合は、先ほどの国債暴落や、地方債の買い手がなくなる、地方債の方が先に暴落するといった状況では、地方債を買った人に負担を押しつける結果になるんではないかなというふうに私は危惧をするんです。この点については、これも指摘とさせていただきたいと思います。
 最後、これはちゃんと聞かせていただきます。
 小樽市で、チームティーチングや少数人数の学級編制といったことで教員の加算配置をやった。ところが、小樽市ではその先生を適正にそういったチームティーチングや少人数学級の方に充てないで、ほかの形で分散をさせてしまったということが地元の市議会で取り上げられている。
 これについて、文科省さん、総務省さん、文科省さんについては国庫負担金について、そして総務省さんについては地方交付税について、どのようにこの小樽市の実態を把握され、どのような方策をとろうとされているのか、御答弁をお願いいたします。
加茂川政府参考人 お答えをいたします。
 小樽市におきます指導方法の工夫、改善を実施するために定数加配された学校におきましては、私ども、北海道教育委員会を通じまして小樽市の教育委員会の調査によったものを入手いたしておりますが、平成十三年度につきまして、定数加配のある小中学校二十校ございますが、このうち十九校の指導方法が適切でない、本来の指導方法の工夫、改善の取り組みを全く行っていない、あるいはほとんど行っていないという状況であることがわかりました。
 委員御指摘のように、この定数加配は、少人数指導でございますとかチームティーチング等による指導を行いまして、子供たちにわかる授業を行う、そして子供たちの学力の向上を図る観点から、特別に加配をされておるものでございます。今回の事例では、教育に携わる者がこのための指導を行わずに、いわばみずからの負担を軽減する等のために活用したということでございますので、明らかに本来の目的、趣旨に反する使い方でございまして、私どもも大変遺憾なことだと認識をいたしております。
 そこで、我が省としましては、引き続き北海道教育委員会による実態の確認、原因究明、さらには責任の所在等、詳細で徹底した実態調査を行うようお願いをしておりますし、あわせて再発防止策の策定についても依頼をしておるところでございます。事実関係が確認され次第、道教育委員会に対しまして、御指摘のございました義務教育費国庫負担金の返還ということも選択肢に含めながら、今後厳正な対処方針について検討してまいりたいと思っております。
平林委員長 林自治財政局長、時間が経過していますので、簡潔に頼みます。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘の件につきまして、私ども、普通交付税の算定上は、法律に基づく教職員の定数を用いております。もし事実関係が確認された場合に、算定に用いた教職員定数の異動が確認されました場合には、錯誤等により是正措置を行う必要があるのではないか、こういう制度になっておりますし、そういうふうに考えております。
武正委員 次の中村委員からちょっと時間をおかりいたしまして、今の点なんですけれども、確かに大変問題である、これは文科省さんも総務省さんも一致をされ、国庫負担金並びに地方交付税の返還、返納、こういったことも視野にという御答弁でありました。
 ただ、また一方、小中学校の教員の定数を初め、地方が保つべき行政水準は法令で細かく決めているんですね。この水準を財政的に保障しているのが地方交付税で、法令による規制を緩和しなければ地方交付税の大幅な削減や算定方法の簡素化というのは難しいということであります。
 先ほど同僚委員が教育特区というお話をされまして、私はこれはまたすばらしい質問だなというふうに聞いておったんですが、いわゆる全国一律の均衡ある発展、そしてまたユニバーサルサービス、シビルミニマム、これは総務大臣がよく口にされることなんですけれども、北海道には北海道の、あるいは沖縄、九州には沖縄、九州の、やはりそれぞれの事情があろうかと思うんですね、北海道小樽の事情はまだまだ定かではありませんが。
 そういった意味では、やはりそれぞれの地方にある面任せていくべきではないか。税財源の移譲もそうですが、交付税についてもさまざまな算定で細かく基準財政需要額を算定していっていますが、ある面そこら辺は大くくりに、人口とか面積とかで先ほど言ったようにどばっと出して、それであとは任せる、自由にやってくれと。これでなければ、今回いろいろ問題はあろうかと思いますが、これでまた地方が萎縮して思い切ったことができないというのはやはり本末転倒になろうかと思います。
 私は、今回の問題は大変問題があろうかと思いますが、その意味では基準財政需要額の算定についても、そして先ほどの教育特区の話も含めて、任せるべきものは任せていく、それが交付税改革、平成十四年度、ラストイヤーの、やはり総務大臣として臨んでいただきたいということを、最後に御決意をお伺いして質問を終わらせていただきたいと思います。
片山国務大臣 先ほども言いましたが、これからは均衡ある発展でなくて、個性ある発展なんですよ。個性ある発展を我々は応援していきたい、こう思います。
 地方交付税は、全国に標準的な行政確保のための、ナショナルミニマムというんでしょうか、シビルミニマムというんでしょうか、そのための財源保障と財源調整の制度なんですよ。だから、突出したものを面倒見るようなことにはなっていないんで、そのために留保財源というのを委員御承知のように認めているわけですよ、二割なり二割五分なり。私はそういうことの方で措置すべきことではないか、こう思っておりますが、せっかくのお申し越しでございますので、全般的に研究してまいります。
武正委員 地方交付税法第一条を持ち出されましたが、であるならば、特別地方交付税は何なんだ、財源調整なのか、違うではないかといった、今の地方交付税制度は大変矛盾が多いということを指摘して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
平林委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 法律の審議に入る前に、大臣に一言御意見と、少しの議論をさせていただきたいと思います。
 昨年の十一月八日に、私は大臣に対して、公務員の育児休業法、介護休暇法についての質問をさせていただきました。そこでメーンに聞かせていただいたのが、官僚の働き方の問題です。
 昨日、夜分遅くになってから総務委員会のこの日程がセットされました。そしてその時間から、どういう質問をするんですかということでレクの依頼が入る、そういうふうな状況です。私は、この公務員の働き方自体を私たち政治家が変えないと、この国はよくならないんじゃないか、そういうふうに思うわけです。
 それで大臣、十一月八日に大臣もそのとおりだなという趣旨のことをおっしゃっていただいたと思います。もう一度繰り返すことになりますけれども、端的に申させていただきます。議事録からそのまま、私が読んだところをもう一度読ませていただきます。「私は、この国の根深い問題というのは、政策立案にかかわる霞が関の皆さんが滅私奉公を強いられているところにあるのじゃないかなと感じています。」もう少し、「公務員の働き方いかんによって、この国が変わってきます。天下りの問題にしても特殊法人改革の問題にしても、ある意味、霞が関の皆さんが一般国民と違う生き方を強いられているところにも、感覚のずれというのは起きてくると思うのですね。公というものを極大化し、私というものを極小化していくようなあり方というものは、政治家の方が認識しないといけないと思うのです。」と申させていただきました。
 そして、最終的に大臣は、「いろいろな要因があるのですよ、超過勤務をせざるを得ないということには。一つは、確かに国会がありますね、本当に。もう一つは、やはり予算ですね。私は、そういうことについて総合的に改善の検討をすべきだと思いますし、委員の言われた点については関係の閣僚と十分相談してまいりたいと思います。」と大臣は述べられております。
 三カ月たちました。どういう検討がされてきたんでしょうか。
片山国務大臣 まあ中村委員、三カ月しかたっていないんですよ、三カ月もたったんではなく、三カ月しかたっていないんですが、国家公務員というか中央の国家公務員は、本当にそういう意味では言われたように超過勤務は多いですね。答弁で申し上げましたが、仕事は夜するようになっているんですよね。それを一つ直さなければいけません。それから、やはり予算や国会でなかなか夜が遅くなるんですね。そういうことで、こういうことは総合的に改善しなければなりませんけれども、しかし、一朝一夕にいきませんね、国会も予算も。
 そこで、閣僚懇なんかで国家公務員の超過勤務についての議論をしたことはあります。そこで私が中村委員に答弁したのは、関係閣僚間で一遍相談してみましょう、こういうことを言いましたので相談はしましたけれども、いい知恵は出ないんですよ。だって、国会というのは政府だけで決まる話じゃないんですから。国会の先生方のいろいろなことで決まるわけですから、なかなか政府だけで決まらない。予算だって、もう長い間の、今までのやり方というのは少しずつは直っておりますけれどもね。そういうことで、短兵急に直ちに結論は出ませんけれども、引き続いて、言われたことはよくわかりますから、関係閣僚間で相談させていただきたい、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 荒井聰議員の質問とも関係してくるんですけれども、与党の事前審査をなくせばかなりの部分は解決されることにもなるんじゃないでしょうか。
 それから、きょうもレクにいらっしゃったときに政府参考人の登録の話が出ましたが、国会改革によって政治家同士の議論をする、そういうことを前提として国会の審議をしていく、そうしてきたら私は、レクそのもの、公務員の皆さんによる質問の事前のレクというものが要らなくなってくるんじゃないかなと思うんです。これは国会議員なり政党なりがこの問題にどれだけ真摯に取り組むのかということではないかと思うんです。
 こういうことをなぜ私が申すかと申しますと、この国の問題というのはやはり官僚の働き方にあると思うんです。大臣もこの間、十一月八日の答弁でもおっしゃっていましたけれども、今、日本の家庭というものが、ある意味、問われている時代に入っています。父親というものが家にきちんと帰って、子供の面倒を見れるのかどうか、封建的な父性という意味ではない、新しい時代の、二十一世紀型の、また、それには古い日本のいい伝統も関係してくるんですけれども、そういうふうな父親のあり方、そういうものとも関係してくると思うんです。そのことは、大臣も十一月八日の答弁でお認めになっておりました。
 私は、総務省に限らず、各省庁の公務員の方が私の部屋に来たときに、いつもお話しさせていただきます。今週、何回お子さんと夕食を一緒に食べられましたか。ほとんど、そういう機会がなかなかないですよね。大体、帰るのも日が変わるか変わらないか、早いときで十二時ぐらいですよね、そういうふうなことが多いわけです。
 国家の根本を左右する、政策立案を左右する官僚の皆さんが、私を極小化していく、そういう生き方が強いられると、これは国民の感覚とずれてきますよ。それはしんどいですよ。これがこの国の、ある意味、根本的な問題として根強く残っているというか、根強い問題として認識しないといけないんじゃないですか。短兵急にすることはできないということをおっしゃいます。それもわかります。しかし、変革の時代です。変革の時代において力強い方針を示していただくのが大臣のお役目だと私は思います。
 大臣のリーダーシップということに関しては、昨年の数回の審議のときにも常に申させていただきまして、そのことに関しては大臣と言い争いになったこともあります。例えば、研究会をつくったのは泥縄だというふうなことを私が申しまして、大臣がお怒りになったこともあります。しかし、大切なことは、この変革の時代だからこそ、時代に応じて、変えるべきものは何なのか、変えてはならない普遍的なものは何なのか、きちんと大臣の言葉で国民に、そして公務員の皆さんに御説明していただいて、方針を示していただくことが必要なのではないかと私は思います。
 大臣、もう一度覚悟をお聞かせください。
片山国務大臣 今、中村委員が申されましたように、今の勤務のあり方については、前からいろいろな御指摘があり、御意見がありますよね。そういう意味で、関係閣僚間で相談と言いましたが、関係の役所の事務方も入れて、一番実態を知っているのは皆さんですからね、そういう方々に集まっていただいて、どういう改善の方法があるか、変革の方法があるか、そういうことの議論を少ししてもらおう、こういうふうに思っております。それは、ぜひやらせていただきます。
中村(哲)委員 大臣にお願いしたいのは、まず総務省から始めていただけないかなと思うわけです。
 私の大学の同期、先輩、後輩、そして地元の中学、高校のときの仲間も総務省に何人かいます。十時ぐらいに訪問して、初当選して、当選してあいさつに行ったら、なかなか、まだまだ帰れないよねということをこぼしておりました。こういう同世代の若者たちが、ある意味、理想に燃えて総務省に入って、しかし、結婚して、というか結婚がなかなか、結婚もしんどいよねという話になってくる中で、私も独身ですけれども、そういう中で、本当にやっていくことができるかというのは、大臣の決意次第で総務省はまず変えることができる。公務員制度を管轄する総務省だからこそ、大臣のリーダーシップをもって、まず総務省から始めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
片山国務大臣 今いろいろなお話をお聞かせいただきまして、同期の方もおられるのでしょう、総務省も超過勤務が少ない役所では決してないと思いますが、不必要な超過勤務はやめてもらうように私の方から強くお願いをいたします。
中村(哲)委員 必要か不必要かということは、またそこも議論がありますよねという話になってしまいますから、本当に必要なのかどうか、それを大臣の目で確認していただいてやっていただく。
 例えば、製造業でコストカットするときに、二〇%のコストカットは非常に難しいんだけれども五〇%のコストカットは、ある意味しやすいという話があるんですよね。やり方を抜本的に変えることによって、大きく仕事を減らしていくということができると思います。しかし、それができるのは経営のトップである大臣だと思います。だから、大臣に本当にそのことをお願いいたします。
 さて、本題に入らせていただきます。
 地方財政についてお話しするわけでございますから、昨年質問させていただきました二月二十七日の質問、そして六月五日の質問に引き続いて、同じ観点からの質問をさせていただきます。
 さて、大臣、国と地方公共団体の関係、役割分担についてまず押さえていく必要があると思います。大臣は、六月五日の答弁でこのようにおっしゃっています。「憲法の九十二条だったか何か、地方自治の本旨に基づいて法律で定めるとありますよね、地方自治は。だから、それが地方自治法なんです、あるいは地方財政法なのです。」また、「今の通説は、多数説は、国から分割して譲られているんだという説だ、こう申し上げたので、出先機関なんかということじゃ全くありませんよ。国と同型なんですよ、全く地方団体は。国と対等、協力の関係にあるのですよ、特に今の憲法の考え方は。」とおっしゃっております。
 私も、この後、憲法の教科書を読まさせていただきました。地方自治の本旨とは一体何なのか、地方自治というものが何のためにあるのか、そういうことを勉強させていただきました。通説的な見解は、住民自治と団体自治という言葉で示されております。しかし、結局、この地方自治の本旨というものが現代国家においてどういう意味があるのかな、その住民自治、団体自治という言葉の意味を考える上でも、そこをもう一度考えていく必要があるのではないかなと思います。
 佐藤幸治教授の本を手元に持ってまいりました。ここで、この本に書いてあって私が理解したことを申させていただきますと、やはり、ファシズムの経験、それから社会権が人権としてできて国家が積極化していく中で、中央集権のある意味弊害と申しますか、それを除去していくために、地方のことは地方の住民が団体をつくってそこで決めていく、そういうふうな仕組みになっていると私は理解しております。
 佐藤幸治先生の言葉によりますと、「このように、地方自治制度が立憲民主制を維持して行く上で不可欠な機能、すなわち、権力の抑制機能と“民主主義の学校”としての機能を果たすという認識は、第二次大戦後の政治社会の展開過程の中で経験的に実感されて行くことになる。」というふうに書いております。
 大臣、この今の時代において、地方自治体というもののあるべき姿は、国との関係というものはどういうものだとお考えになっておられるでしょうか。
片山国務大臣 国と地方の関係は、対等、協力の関係ですね。分担と協力と言ってもいいのか、対等で、お互いが役割を分担して、協力していく関係だと私は考えております。
 地方自治は民主主義の学校だということがよく言われますけれども、民主主義のしっかりした国は地方自治がしっかりしているんですね。そういう意味で民主主義の学校だと私は言われると思いますし、憲法は、せんだっての答弁でも恐らく言ったと思いますけれども、団体自治と住民自治が確保されるような地方自治を想定して今の地方自治をつくっている、こういうふうに私は考えております。
中村(哲)委員 団体自治と住民自治の具体的な内容については、大臣流に定義すると、両者はどういうふうな定義になるでしょうか。
片山国務大臣 住民自治というのは、住民が選挙で執行機関である首長さんを選んで、意思決定機関、議決機関である議会も住民が選ぶ、これが住民自治ですね。あるいは、部分的には直接民主主義でリコールその他をやれる、これが住民自治です。
 団体自治というのは、国とは別の独立した人格を持つ団体として意思決定ができ、行動ができる、こういうことですね。
 だから、昔の幕藩体制、徳川時代の幕藩体制では、団体自治はあったんですね。だけれども、住民自治はなかったんです、殿様はああいうことで決まったのですから。今は住民自治と団体自治がある、こういうふうに理解すればいいと思います。
中村(哲)委員 ありがとうございます。
 手元に「地方財政計画の歳出の分析」という紙を総務省からいただきました。このように網がかかっている部分がたくさんあります。これによりますと、多くの部分の地方の歳出が国によって決められているということになっております。
 事前の説明では、七割の地方歳出が国によって定められているとおっしゃっているのですけれども、この七割という数字はこれでいいんでしょうか、大臣。
片山国務大臣 ざっと集計すると七割、こういうことでございまして、国が法律なり政令なりあるいは省令等で決めているもの、あるいは通達で決めているもの、あるいは補助金を出して拘束しているもの、そういうものを入れますと、地方団体の収支の七割は国の影響下にある、こういうふうに我々は考えております。
中村(哲)委員 七割という数字は多いとお感じでしょうか、少ないとお感じでしょうか。
片山国務大臣 私は多いと思いますね、多いと思います。
 だから、やはりそれは、国と地方が協力してやる仕事はたくさんありますけれども、この七割はもう少し少なくてもいいんではなかろうか。そういうことで、地方分権一括推進法だとか、機関委任事務をなくするとか、関与を縮めるとか、いろいろなことをやってまいったわけでございまして、そういう意味では、端的に七割は多いか少ないかと言われると、私は、まだ多い、こう考えております。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
中村(哲)委員 七割が多いという御認識だと確認させていただきます。
 多いのであれば、やはり少なくしていく努力をしていかぬとあかんのじゃないかなと思うんですね。それが本当の意味での地方財政の改革なんじゃないかと思います。
 例えば、手元に「地方財政 二〇〇一・四」というものがあります。そこの百二十九ページには、こう書かれております。
  自治体の経費は住民の負担で賄うべきというのが、地方自治の考え方である。地域間で税収格差があり、財政調整が必要であるとしても、税収が主であり、交付税が従であるべきであろう。残念ながら現状は、理想とはかなり離れている。
また、百三十七ページには、
  地方自治を充実するためには、「護送船団方式」で国がこれまでのような財源保障を続けるわけには行かない。もちろん、地方団体が行っている事務の多くは国が義務づけたものであり、財源保障は事務の義務づけと表裏一体になっている。
  地方が自立するためには、この事務の義務づけを解き放ち、そして自ら徴収する税にシフトしなければならない。そのためには、自治体が自分で住民に「負担」をお願いしなければならないし、地域間格差が拡がることは避けられない。
このように書かれております。
 このことに対して、大臣はどのようにお感じになられるでしょうか。
片山国務大臣 全文を読んでみないとわからないと思いますけれども、基本的には、やはり税を中心に物を考える、それから、国がいろいろなひもをつけない、こういうことは私は正しいんじゃないか、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 総務大臣であられればこの論文は読まれているだろうという認識で質問させていただいたんですが、結構でございます。総務省の方が書かれた文章でございます。
 七割の部分をいかに今後減らしていくのか、そのタイムスケジュールが必要だと思うのですね。大臣としては、国務大臣のお一人として小泉改革を支えていかれるお立場ですから、この七割をどのような形で減らしていこうとお考えになっておられるのか、それをお聞かせください。よろしくお願いします。
片山国務大臣 地方分権一括推進法が一昨年の四月から施行になりまして、その後どうするかということを地方分権改革推進会議がいろいろアフターケアを含めて現在御議論いただいておりますので、一定の御提言か御報告はいただけるんじゃなかろうか、こう思っております。
 私は、今、経済財政諮問会議なんかで言っておりますのは、できるだけ国庫補助金をなくしていく、零細、少額なものや地域の事業と一体になっているようなものはやめていく、そういうものを、特定財源じゃなくて、税か交付税か一般財源で交付してほしい。これによって、相当、七割の制約が減ってくるわけですよね。そういうことをお願いしておりますし、まだ残っております必置規制、国が指導して、これは必ず置けとか、このポストはどうだとか、そういう必置規制や関与についてもこれは縮減してもらう、こういうことを言っております。
 どうしても補助金で残すものも、箇所づけその他は地方団体が自由に選べるように、大きい用途だけ決めて、個別の使い方や箇所づけは地方団体の自由にする、総合補助金というのですけれども。そういうことを私としては意見を言っておりまして、来年度の予算で総合補助金が九千億になりました。今まで七千億だったのが九千億。非公共も今度は総合補助金化しよう、こういうことになりまして、まだまだ九千億が多いか少ないかというところはありますけれども、そういう努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 非常に努力はしていただいているような気もしますが、まだまだ足りないんじゃないかなと思うのですね。
 具体的に、なぜ大臣がおっしゃっているような方向に進まないのでしょうか、それを聞かせていただきたいのですね。国庫負担金がなぜ減らないのか、そういうことを具体的に問題として考えていかないと、なかなか改革というのは進まないんじゃないかなと思います。ほかの省庁の抵抗があるのであればそのように言っていただきたいですし、何が問題なのか、おっしゃってください。
片山国務大臣 各府省は、自分の仕事を一生懸命やっている、こういう認識で仕事をやっておりますから、補助金というのは、こういうことをやってください、やっていただければ国が財政的に応援しますよ、そういうのが補助金ですから、なかなかそれを、地方の自由にする、一般財源にするとか、あるいは今の総合補助金にするとかということには各省的な感覚だと抵抗があると思いますね。
 しかし、そこは説得をして、できるだけ地方の自由な裁量の余地が大きくなるような形にする必要があると思いますね。
 地方団体に全部任せると何をやるかわからぬというような、やや地方不信も中にはあるんではなかろうか。地方はもう何をやるかわからぬし、そんな、人材といいますか、ちゃんとできる人もいるんだろうか、あるいは範囲も狭いではないか、そういう意見も中にはあると思いますので、私どもは、市町村合併を推進して、地方団体を大きく強く元気にして、人材も集まるようにして、財政的にも強くして、そこで仕事をやってもらう、地方団体の自分の判断で仕事をやってもらうようにしようというのも、市町村合併を我々進めている理由の一つであります。
中村(哲)委員 市町村合併は一つの方法だとは思うんですが、これは鶏が先か卵が先かみたいなところもあります。
 小泉総理は、民間でできるものは民間でやっていこう、地方でできるものは地方でやっていこうとおっしゃっています。やはり、箇所づけを伴うようなものというものは地方自治体に移していくという大きな方針を示して、僕は総理は示されていると思うんですね。それにやはり各省庁は従わなくちゃいけないんじゃないかなと思うんです。
 なぜ総務大臣の意見が通らないのか。そこはどのようにお感じになっておられるでしょうか。
片山国務大臣 経済財政諮問会議なんかでそういう話をしまして、総理も賛成、財務大臣も賛成なんですが、各府省、各府省の立場と言い分はありますよ。だから、それは強権を持ってやるんではなくて、やはりある程度話し合って、納得してもらってやっていく方が私はベターだと思いますので、七千億が九千億になって、大したことないじゃないかと言われればそうかもしれませんが、着実に毎年度ふえているという意味では、私は前進していると考えております。
中村(哲)委員 吉田政務官はそのことについてどのようにお考えでしょうか。
 話をお聞きにならなかったんでしょうか。
吉田大臣政務官 中村委員の質問にお答えいたします。
 積極的に取り組んでいるというふうに認識をしておるところでございます。
中村(哲)委員 政務官はなぜ国会で答弁なさるんでしょうか。そういう構造的な役割というものを認識してここにいらっしゃっているのか、それを自覚していただきたいわけでございます。
 言うまでもなく、政府参考人制度に政府委員制度がなりました。つまり、国会の答弁というのは政治家同士でやるということが前提になると思っております。なぜ本日、吉田財務大臣政務官をお呼びしたのか、来ていただいたかということに関しては、総務省と財務省の見解が、ある意味食い違う部分があるんじゃないか、そういうことの確認で、きょう予算委員会もありますから副大臣もいらっしゃることができない、だから政務官に来ていただいているわけでございます。
 だから、その御答弁であるならば、別に政治家がいらっしゃらなくてもいいわけだと思うのですね。そして政務官というものがこの国になくてもいいと思うのですよ。ちょっと厳しい御意見を述べさせていただいたかもしれないのですけれども、これがやはりこの国の政と官の問題だと思うんです。
 先ほど最初の方にるる述べさせていただきましたけれども、政務官がなぜこの国に制度としてあって、官僚の人たちの仕事を、ある意味引き受ける立場にあるのかといったら、やはり政務官が政治のリーダーシップで、今までメリットシステムで上がってきた、積み上げ型で仕事をしてきた行政官、公務員の皆さんじゃできない仕事をする、改革の時代だからこそ政務官がそういうふうな仕事を担う、そういう意味で設けられるんだと思いますので、その点ぜひ御認識をしていただきたいと思いますし、ぜひそういうふうな制度という建前を本音で、本音になるように、この国の国会のあり方それ自体をともにつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。本番に入らせていただきます。地方債の問題でございます。
 大臣、大臣は地方債についてこのようにおっしゃっております。まず、私が述べましたのが、これは最終的な結論部分だけですけれども、
 地方債については国が最終的に面倒を見るとおっしゃったので、地方債というのは国債とほぼ限りなく信用度が近いというふうに思ってよろしいんですね。
片山国務大臣 許可を受けた地方債について言われるならば、国債と同じです。それは国が責任を持つということですから、リスクはありませんね。そういう意味では同じだと思います。
中村(哲)委員 繰り返しになりますけれども、許可を得た地方債及び協議の上同意を与えられた地方債については信用度は国債と一緒だ、それは最終的には国がその信用について担保しているからだ、それでよろしいですね。
それに対して片山大臣は「そのとおりです。」とお答えされています。
 地方債と国債が、信用度が同じである、これは非常に大きな御答弁だと思っております。その点について、大臣、今も御認識は変わっておられませんね。
片山国務大臣 全く変わっておりません。
中村(哲)委員 吉田財務大臣政務官、同じでしょうか。
吉田大臣政務官 地方債についての御質問でありますが、地方債というのは、各地方自治体が将来の歳入を、返済のためのその原資としてみずからの責任において借り入れるものと認識しております。その返済についてですが、各地方自治体が責任を持って行うべきである。
 そして、その政府保証債と全く同様の意味であるのかということに際しましては、政府による債務保証は付されていないというふうに私は認識しておるところであります。
中村(哲)委員 吉田政務官、それじゃ答えていないのと一緒ですよ。それは御認識されておりますか。もう一度わかるように説明してください。
吉田大臣政務官 今、中村委員からさらに説明せよということでございましたので、続けさせていただきますと、一方では地方財政計画において歳入に計上されております地方債の元利償還金につきまして、地方行政の計画的な運営を保障する必要があることから、後年度の地方財政計画において公債費としてこれを計上いたし、地方財政計画の歳出全体に対し地方交付税も含めて必要な財源を確保することとしておるわけであります。
 以上であります。
中村(哲)委員 吉田政務官、それじゃ国債と地方債と信用度が同じでないケースというものは、今からあることはない、どういうふうに国家のシステムが変わっても、あることはないとお考えでしょうか。
吉田大臣政務官 差があるかどうかというような御質問であるというふうに認識をしました。私自身は……(中村(哲)委員「違います、違うよ」と呼ぶ)では、まず答えてからいきましょう。
 基本的には国債と差はないものというふうに考えております。
中村(哲)委員 差がないというのはもうわかっているのですよ、総務大臣がそういうふうに答弁しているのだから。どういう仕組みで差がないことになっているのか。その仕組みが今後どういうふうに、変わるかもしれない、変わる余地はあるのか。そこを財務省の立場としてどのように考えているのか、それを聞いているわけです。(発言する者あり)
吉田大臣政務官 先ほどお答えをしたことに尽きるわけでありますが、もう一度お答えをいたします。
 地方財政計画において、歳入に計上された地方債の元利償還金につきまして、地方行政の計画的な運営を保障する必要があることから、後年度の地方財政計画において公債費としてこれを計上し、地方財政計画の歳出全体に対し、地方交付税も含めて必要な財源を確保することとしております。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
中村(哲)委員 そうすると、吉田政務官、地方債はどういうケースにデフォルトするとお考えでしょうか。
吉田大臣政務官 ただいまの質問でありますが、地方債は総務省がしっかりとその指導を行っているというふうに認識をしております。したがって、そのようなことは発生しないのではないかというふうに私自身は認識しております。
中村(哲)委員 地方債はデフォルトしないとおっしゃったのですか。もう一度答弁をしてください。
吉田大臣政務官 私自身はそのように考えております。しないと考えております。
中村(哲)委員 地方債はデフォルトしない、それは国会の議事録に残りました。
 地方債はデフォルトしない。総務大臣、地方債はデフォルトする可能性はないのでしょうか、お答えください。
片山国務大臣 財務省の大臣政務官が答えているとおり、地方債がデフォルトすることはありません。そのための許可制度です。しかも、ちゃんとアフターケアの制度まであるのですよ、元利償還は地方財政計画をつくり地方交付税で見るという。トータルですよ、トータル。
 それから、地方団体そのものが赤字をたくさん出すことはありますよ、地方団体のデフォルトというものが。その場合には財政再建、地方財政再建制度というのが御承知のとおりありますし、だから、そういうことで、地方債そのものがデフォルトすることはありません。
中村(哲)委員 国債がデフォルトされた場合はどうなんでしょうか。
吉田大臣政務官 全く想定しておりません。
中村(哲)委員 国債がデフォルトした場合にはどうなるかということを聞いているわけです。それは想定していないという答えで、仮定の話でデフォルトした場合というのを聞いているわけですから、それに対する誠実な答えをお願いいたします。(発言する者あり)
 もしデフォルトの意味がおわかりでないのならば隣から聞いていただいて、きちんと答弁をなさってください。
吉田大臣政務官 国債の債務不履行というのは想定をしておりません。
中村(哲)委員 このまま同じ質問をしてもらちが明かないので、なぜ私がこういうことを聞いているのか、そういう観点から申させていただきます。
 ムーディーズが二月十三日に日本国債の格下げの検討に入りました。国債の格下げに地方債の信用がかかわってくるというふうに私は感じておるんですけれども、この国債の発行額と地方債の発行額、これが国債の格付にどういう影響を及ぼすのか、吉田政務官の御見解をお聞きいたします。
吉田大臣政務官 お答えをいたします。
 国債市場への影響ということでありますが、国債の需給のみならず、景気や為替の動向、財政金融政策等、複合的な要因によって変動するものである。また、ムーディーズ等の格付の見直しという特定の要因の影響に基づいて分析、予測することは、そうそう簡単ではないというふうに思っております。
 いずれにしろ、政府といたしましては、財政構造改革に積極的に取り組むことにより財政の規律を確保し、国債の信認を維持すること、そして、国債の発行に当たっては、市場情勢を反映した発行条件の設定、個人向け国債の導入等を通じた保有者層の多様化、市場との緊密な対話を行うことにより、国債の確実かつ円滑な消化に万全を期してまいりたいというふうなことを申し述べて、そして、影響というのはあるかないか、それを答えろということだと思います。直結して大きな影響はないというふうに考えております。
中村(哲)委員 国債の発行に対する信頼、信用というのは、私が聞きたかったのはこういうことです。問いを変えます。
 格付機関が日本の国債を格付することの材料として、一、国だけの残高四百十四兆円を想定するのか。二、国の長期債務を合わせた五百二十八兆円に対するものなのか。三、国と地方を合わせた残高は六百九十三兆円になるものなのか。この一、二、三の選択肢、どれだとお考えでしょうか。(発言する者あり)
吉田大臣政務官 これ以上、個々の会社、格付会社に対するコメントというのは控えさせていただきたいというふうに思います。
中村(哲)委員 私は、国債と地方債の関係がどういうふうに市場の評価につながってくるのかという認識を聞いているわけですよ。何も一つの格付会社に対する対応を聞いているわけではありません。そのことについて最初から聞いているのに、なぜ答えられないんですか。もう一度答えてください。
吉田大臣政務官 先ほどお答えをいたしましたように、ムーディーズという言葉が出た以上は個々の格付会社に対する評価あるいはコメントとしての発言になるわけでありますので、控えさせていただきたいと申し上げたわけです。
中村(哲)委員 もう一度繰り返します。ムーディーズという言葉を使っておりません、私は先ほどの質問においては。国債と地方債の関係が市場における評価にどう結びついていくのか、そのことをお聞きいたします。
吉田大臣政務官 ムーディーズ云々ということは、その点に対しては、私、今委員がお話をされたということに対しては、おっしゃっていないということであればおわびを申し上げるわけでありますが、いずれにしても、格付の、おのおのに対する、先ほどの一番、二番、三番、一体何なんだというような感じの質問というのは、それぞれの格付会社に対する、中に対する質問に対する答えになるわけですから控えさせていただきたい。
 その後の御質問に対しては、明確な影響は出ないというふうに考えるというのは、先ほど申し上げたと同様のお答えをさせていただきます。
中村(哲)委員 らちが明かないので、私の見解を述べますので、それに対する御感想をお願いいたします。
 総務大臣が答弁されたように、地方債の信用度が国債と一緒である、そうであるならば、国債の評価というものは国、地方を合わせた債務の総額六百九十三兆円に対して評価されると私は考えますけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
吉田大臣政務官 すべてそれだけで評価をするということは私自身はしないわけでありますが、先生のお考えというのは、そのようなことであれば、それぞれの人がそれぞれの意見を持っているというのが我々人類のあかしであるわけでありますので、先生の意見としてはしっかりと承ります。したがって、それだけではちょっと評価がしにくいというのは私自身の考えであります。
中村(哲)委員 政府答弁でありますから、政府の見解をお聞きしたいということでございます。そして、私の考えと違うのであれば、その理由は何なのか、論理的な答えをお願いいたします。
吉田大臣政務官 中村委員の質問にお答えをします。
 先ほど、一番か二番か三番か、いかがなものかという質問がございました。その点に対しては、格付会社の、その格付の中にかかわる、あるいは会社の中に非常にかかわることであるからコメントすることは差し控えたいということは申し上げました。
 今の、自分の考えに対していかがなものかというような質問を政府に求めていらっしゃるということですので、それこそ個人の先生の御意見に対する政府としての見解というのは、私自身一人の議員としては、それこそ政府の見解を先生の意見に対してここで述べるというのはいかがなものかというふうに思います。
中村(哲)委員 それでは政務官が政府答弁をできないということになるのではないでしょうか。それは非常に大きな問題だと思うんですが、その点についていかがでしょうか。
吉田大臣政務官 政府答弁として先ほどお答えをしたのは、格付会社のその格付の内容に対してかかわることであるので、一つ一つコメントすることは差し控えさせていただきたい、これが政府の答弁として御理解をいただきたいです。
中村(哲)委員 何回も繰り返すことになりますけれども、私は、格付機関の評価に対してどういうふうに考えるかと聞いているわけではないわけです。国債と地方債の関係というものが市場の評価にどういうふうに結びついていくのか、そのことについてお聞きしているわけです。
 そして、私が先ほど自分の見解を申させていただきました。吉田政務官が、それについて、どの点がどういう理由で私と違うのか、それを述べていただかなければ政府答弁とはならないと私は思います。いかがでしょうか。
吉田大臣政務官 影響が出ない、影響があるとは思わないというのを、先ほど私がお答えをしたわけであります。そして、その一番、二番、三番、これに対して答えろという質問に対しては、コメントすることは差し控えたいというふうに申し上げたわけでありまして、さらにそこからの質問であるのか、もう一回答えろという、同じ質問に対してもう一度答えなさいという質問なのかというと、私は、同じ質問であると認識をしております。したがって、先ほどと変わらないお答えになるかと思います。
平林委員長 答弁がありましたが、中村君、いかがですか。質問をなさいますか。
中村(哲)委員 納得できないですね。
平林委員長 今まで答弁したとおりだという趣旨だと私は解釈しました。
 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
平林委員長 速記を起こしてください。
 吉田財務大臣政務官。
吉田大臣政務官 先ほどもお答えしたと思いますが、地方債だけでは影響は、地方債の発行高だけでは決まらない、そして、国債市場というのは、国債の需給のみならず、景気や為替の動向、そして財政金融政策等複合的な要因によって変動するものである、ムーディーズ社の格付の見直しという、特定の要因による影響に基づいて分析そして予測することはそうそう簡単なことではない、困難である。先ほどお答えしたとおりであります。
平林委員長 中村君、質問時間がほぼ経過しておりますので、簡潔に御質問を願いたいと存じます。
中村(哲)委員 委員長、これは先ほど私が冒頭に申しました政と官の役割分担の問題です。何のために政務官が政府の代理人として、代表として総務委員会で答弁しているのか。あるべき姿というものは、与党議員の意見というのを政務官が集約して、それを政府に持っていく、そしてガバナンスを行っていくというのが政務官制度のあり方だと思います。
 与党の議員の皆さんがきょうは大分やじられましたけれども、本当にきょうの御答弁で政府答弁として成り立っていくのか、国会審議の基礎をなすものであるのかどうか、そのことを実感されているのかということを私はお聞きしたいと思います。
 委員長、こういうふうなやり方では国会はなかなかいい方向に向かっていかないと思います。人事権、任命権、それから、政党から与党議員としてだれを政務官で出すのか、その専門分野は何か、そういうことを議論されなくてはならないんじゃないでしょうか。
 私、きょう、吉田政務官に余りこういう口調で議論したくなかったんですよ、個人攻撃みたいになるのも嫌なんで。きょうも、口調に関しては、吉田政務官、不快に思われたことがあるかもしれません。その点に関しては私も陳謝いたします。
 しかし、職責とその態度とかいうのは別の問題です。国家の機関として政務官はここに答弁なさっているわけでございますから、きちんとした答弁をしていただきたい。そして、そのことを、その答弁が返ってきて、さらに私は深い議論をしたかったんですけれども、それができなかったことに対して非常に残念に思っております。
 最後に、吉田政務官に本日のこの答弁に関して御感想をお願い申し上げて、そして、その後に大臣に聞かせていただきますけれども、吉田政務官と大臣、順に、きょうの質疑に関する感想をお願いいたします。
平林委員長 吉田政務官、時間が経過しておりますので、簡潔におっしゃってください。
吉田大臣政務官 御理解をいただけなかったことは非常に残念ではありますが、今、中村委員のおっしゃったことに対しても十分私自身理解をしながら、今後またこの機会をお与えいただきたいと思うわけであります。
 何度も同じような答弁をさせていただいたわけでありますが、あくまでも私と委員との質問のやりとりということでありまして、その辺も一言申し上げたいというふうに思うわけであります。
平林委員長 大臣、ありますか。よろしいですか。それじゃ大臣。
片山国務大臣 今言われた格付は、我々が頼んだ格付じゃないんですね。勝手格付というもので、民間の。全部じゃなくて二つだけやっていますね。それで、若干差がありますけれども、何度も吉田政務官も答弁しておりますように、国債と地方債は差は基本的にはありません。こういうことでございます。ひとつよろしくお願いします。
平林委員長 時間が経過しておりますので、終わってください。
中村(哲)委員 この続きはまたさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
平林委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 総務委員会、本日の最後の質疑バッターでございます。委員長も大変お疲れのようでございますが、私は久々にこの委員会に帰ってまいりました。帰ってみてびっくりいたしましたのは、かつては地方行政委員会でありましたけれども、今は総務委員会、我が党の総務部会長の任命をいただいて、今必死になって勉強しておりますが、いや、大臣、本当にすさまじい守備範囲だなということを改めて驚いております。宇宙の果てから飛んでくる電波から、三千三百の市町村の財政一つ一つに至るまで、片山大臣の責任、本当に大きいものがあるなというふうに思うわけであります。そういう意味では、日々大変御苦労も多いかと思います。
 本日は、平成十四年度の地方財政計画、さらには地方交付税、地方税法等の法律でございます。
 私は、衆議院議員になる前に地方の県の職員をいたしておりましたので、しばらく厚生労働省に行っておりましたけれども、帰ってまいりますと、やはり地方という立場からこの問題については極めて重要な関心を持っておりますし、特に、久々にこの委員会に帰ってきて、この十四年度の地方財政計画、つらつら眺めてみるに、いやいや、二、三年前から厳しかったけれども、どうしようもないぐらい厳しい。与党の議員として余り不穏当な発言はできませんけれども、本当に心配をいたしているわけであります。
 大幅な財源不足は今日なお続いております。十兆六千七百億円、通常収支の不足というもの、これは大変な数字でありますし、私は、前、この委員会にいるときに、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当する、これは何じゃろうかと思って随分議論したものでありますが、ずっとそれが続いているわけでありまして、言ってみれば、異常事態がずっと今日なお続いているというこの状況があると。
 そうした中にありまして、十四年度の財政、地財対策を見ておりますと、一般会計から加算措置もされておりますし、これは恐らく可能な限りのぎりぎりの折衝が財務大臣とあったのではないかと想定をするわけでありますが、さらには特例地方債で対応すると。きょうはずっと日中そういう議論が行われているわけでありますが、しかし、それでもなお、やはり特会の借り入れということを起こさなければならない実態がきょう明らかになったわけであります。先ほどからの大臣の答弁を聞いておりまして、その辺は大体理解ができました。
 いずれにしても、十四年度においても相当の借り入れを立てなければならぬと。八分の一、双方で合わせて四分の一ということになるんでありましょうか。それとても一兆、二兆という大変な数字であります。これを実際に特会の借入金、累計で見ますと、これはお尋ねしようと思いましたが、きょうの質疑の中で、四十六兆一千億ですか、その中で地方の負担が三十兆円というこの状況を考えておりますと、果たして、それは返済が、償還が可能なのか、どういう見通しなのかという議論が野党の皆さんからずっと行われたわけであります。
 私も与党の議員の一員として、本当に地方交付税、三年で見直しをする、集中的に改正をする、改革をする、こういう議論が今行われているわけでありますが、なかなか、大臣の御答弁を聞いておりましても、いや、三年後あるいはその十五年という時点を見ても、地方財政は大丈夫だということは安易に言える状況ではないだろうというふうに思います。
 そこで、大臣に改めて、きょうの最後の質問の冒頭にお伺いしたいと思いますが、今の四十六兆円、さらには三十兆円という状況の中で、これからどうするのかと。もちろん十五年度においてはこの借り入れはやめなきゃならぬという大臣のお気持ちはよくわかりましたし、それも大変な決意であるということは厳しい状況の中で理解ができるわけでありますが、中長期的に見て、これからどうするのかと。
 きょうの議論の中では、大臣もおっしゃいましたけれども、ともかくも経済がよくなるということを期待したいと。これはもう与野党超えて同じ思いだろうと思います。税収がアップする以外にないということは、ひとつ、もちろん期待をしなきゃなりませんし、そのために万全の対策を政府も講じておられるというふうに思っております。それを期待するとしても、しかし、かつてのバブルほどの経済成長ということは多分望むべくもない、こういう状況があるわけであります。
 そうした中で、それでは一般財源でということにいたしましても、きょう三十兆円のルールという話がるるありましたけれども、こうした制約も多分あるんだろう。では、特会の借り入れをしない、これから十五年しないということになりますと、地方に地方債で計上していただくのか。確かに、財政の透明性ということは一歩前進にはなりますけれども、しかし、それで地方の財政状況が解決をするわけではない。
 そういうことを考えますと、大臣は盛んに総合的にとおっしゃったんだけれども、恐らく今大臣のお立場で、総合的にこれから取り組んでいくということをお答えする以外にないのではないかと、私も先ほどから委員席に座って感じているわけでありますが、最後の、きょうの締めくくりとして、いま一度大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 今、桝屋委員からお話ありましたが、四十六兆一千億ですね、交付税特会の借入金残高。地方負担が三十兆三千億。これはいずれもそれぞれの法律で法定いたしておりますから、地方は三十八年度までにこれを返していく、こういうことでございます。それで、毎年度地方財政計画でその財源は調達していく、こういうことでございますけれども、基本的には、今委員も言われましたが、経済の活性化、景気を回復して経済の活性化、税収を上げるということ、それから国と地方の行政をもう一度本当に抜本的に見直して、公がやることは何なのか、そうでないことはこれから少なく、やめていく、こういうことと、さらに、私はやはり税源の移譲だと思っているのです、税源の移譲。ただ、これはなかなか問題ですから、将来の国民負担率のあり方等も考えながら税源移譲をしてもらうことも必要ではなかろうか。
 そういうことを含めて私は総合的にと申し上げましたが、大変大きな借入金残高でございまして、これはそれこそ一朝一夕にはなかなかどうにかなるものでございませんけれども、やはり粘り強い議論によって、あるいはこれからの推移を見ながら、ぜひこれを解消していきたい、こういうふうに思っております。
桝屋委員 小泉改革、私も副大臣として随分悩んでまいりましたけれども、私は、小泉改革の中で、三年間で集中的にできる改革というもの、それと、そうはいいながら、大きな基本路線は決めながらも、その後しばらく随分頑張らないといかぬ部分というのはあると思うのですね。
 やはり、先ほどから野党の皆さんから、一気に決着をつけるべきであるという厳しい御指摘もありましたし、私もそのお気持ちは痛いほどわかるわけでありますが、少なくとも地方財政については、大臣がきょうも何度もお答えになっているように、一本の財源ではない、財政ではない。まさに三千三百の市町村がそれぞれの地方自治の本旨に基づいて議論されること、それを待たなきゃならぬということもあるわけでありますから、何を言いたいかというと、やはり集中期間にしっかりと大きな路線を決めて、あとは私は、小泉改革、このもとで、理想を高く掲げながらも、粘り強く本当に一歩一歩進むしかないんだろうというふうに、実は地方のこの状況を見て思っております。
 そういう意味で、今大臣がまさにおっしゃった税源移譲の話であります。一つの大きな改革のツールとして税源移譲の問題は確かにあろうかと思いますが、ちょっと順番を変えて、大臣がおっしゃいましたので税源移譲の話に入りたいと思うのですが、国と地方の税源配分について根本的な見直しが必要であると今大臣もおっしゃった。それは、優先順位からしても相当高いところに大臣もお感じになっている。
 そうしましたときに、私も随分、前の地行のときから、税源移譲については、もう本体を税源移譲しなきゃだめだということをずっと言い続けてきはしましたものの、一つは、内閣府、きょう来ておられますね。――いらっしゃいますね。十三年十二月、経済財政政策担当大臣、竹中大臣でしょうか、の報告、十三年度「改革なくして成長なし」という内閣府の報告書がございます。この中で、税源移譲について一定の前提を置いて大胆なシミュレーションをしていただいているわけであります。
 このシミュレーションの結果ということが、私大変に気になるわけでありますが、ちょっと内閣府の方から、シミュレーションの前提と、それからシミュレーションしてみた概要とその総括、まだ時間はじっくりありますからかなりじっくりやっていただいて結構でございますが、ポイントを御説明いただきたいと思います。
谷内政府参考人 今御質問がございました地方財政改革のシミュレーションについてお答えいたします。
 今年度のいわゆる経済財政白書におきまして、全国の都道府県と市町村の約三千三百団体を対象にいたしまして、現行制度に一定の歳出の削減それと税源移譲の変更を行った場合に、各地方公共団体の歳入構造がどのように変化するか、あるいは地方交付税の総額がどのように変化するかなどにつきまして、地方財政改革のシミュレーションを行って定量的な分析を行いました。
 シミュレーション分析に当たりましては、当然幾つかの大胆な前提を置く必要がございます。今回の試算におきまして使いました主な前提は、次のようなものでございます。
 第一に、各地方公共団体の普通建設事業費を一割削減するということであります。
 第二の大きな前提は、国から地方に税源移譲を行うと同時に、地方交付税と国庫支出金を税源移譲の額と同額だけ減額するということであります。つまり、地方の歳入に中立的な税源移譲を行うというものであります。この場合の具体的な税源移譲の額につきましては、国税と地方税の比率を現行の六対四から五対五にするように、約七兆円の税源移譲を行うという前提を置きました。
 三番目の大きな前提は、地方交付税の財源となっています所得税とか消費税といった国税のうち一定額を、地方の税金でございます個人住民税や地方消費税に振りかえるというものでございます。
 以上のような前提を置いてシミュレーション分析を行いましたが、シミュレーション分析の結果からは次のような点が指摘できます。
 第一に、このような税源移譲によりまして、地方の財政基盤が強化されるということであります。例えば、地方交付税の不交付団体に居住する国民の割合は、現在約一二%程度でございますが、これが三九%に増加するなど、大都市圏を中心に地方公共団体の財政的な自立が図られます。一方で、地方圏を中心に小規模の地方公共団体の財政状況は、このような税源移譲を行いましてもさほど改善しないということもわかります。
 第二の点でございますが、この第一の点に関連しますが、税源移譲のみで地方財政の問題が解決するわけではないという点でございます。国の地方に対する関与の廃止とか縮減とあわせまして、地方単独施策の見直しを初め地方の歳出の見直しを進めることが不可欠であります。同時に、市町村合併などによります地方の行財政基盤の充実を図るということが必要であるということも、今回のシミュレーションの結果から読み取れる重要なポイントでございます。
 以上でございます。
桝屋委員 ありがとうございます。
 私は、税源移譲がもちろんすべてではないというふうに思っております。もちろん地方財政の改革のためには、大臣がおっしゃったように、国庫支出金、こうしたものについても今、改善が逐次進んでいるというふうに私は思っているのですが、そうした中で、この税源移譲については大事な論点だろう、こう思っていたわけであります。そこで、この報告書を目にしたわけであります。
 経済財政政策担当大臣の報告でありますから、いささか抵抗もあったのでありますが、それはそれとして、この前提も若干私、疑義があるわけであります。この前提のもとでやってみて、結果、一番私が感じましたのは、全体としては確かによくなる、しかしながら、そのよくなる傾向が都市部においては相当顕著であるけれども、特に人口十万を境に、小さい市町村にとっては、税源移譲をいたしましても市町村格差、地域格差というものは決して是正されないという状況であります。
 したがいまして、これだけではだめだ、合わせわざでさまざまな政策を展開しなければいかぬということにはなっているわけであります。今御説明があった例えば合併にしても、それから歳出の徹底的な見直しをするといいましても、これはなかなか時間がかかる。これから三年、五年というスパンで考えたときに、私は、地方財政、長期借金の状況を見ても、これから二〇〇五年、二〇〇六年、七年、相当ピークになるのではないか。そういうときにあって、これから税源移譲を展望するときに、私は、合併もなかなか時間がかかる、歳出の見直しもなかなか時間がかかる、そんな中で、税源移譲はしなければいかぬと思いますが、もう一工夫要るのではないか。
 特に、私は山口県でありまして、五十六市町村の中で人口十万以上というのは五つしかないのですね。もちろん、合併をやればいいわけでありますが、合併はまだ時間がかかる。そういう中で、大臣、もう一工夫、地方財政ということを考えたときに、私は何かツールが必要なのではないかなというふうに、実は一人小さな胸を痛めているわけでありますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 ツールといいますか、我々の考え方は先ほども申し上げましたし、今の、内閣府がやりました竹中さんのところのシミュレーションも、大体私が経済財政諮問会議で言ったことを取り入れていただいております。
 あそこで一つ気になるのは、結局は、地方分権推進委員会が言いましたように、税をふやすけれども同額を交付税と国庫支出金で減らすという点なんですよ。私は、そこはいいのですが、やはり地方税財源の総量はだんだんふやしてもらいたい、こう思っておりますので、税だけ五対五にしても地方税財源そのものが同じなら、中立なら、地方にとっては財政は豊かにならないのですね、交付税や国庫支出したものが税で入るということで。それはいいのですよ。自前だからいいのだけれども、トータルでは一つも豊かにならないですよ、模様が変わるだけですから。だから、そこだけはちょっと気になりますが、あとは基本的には、内閣府のあれはあれでいいと思いますが、もう一つのツールというのは難しいのですよ。
 私は、市町村合併が進んでいけば府県制度の改革にいくと思っているのです、府県制度の改革。そこで、本当に二十一世紀、この国を変えるには、府県制度の改革を本気で考えないとだめだと思っているのですね。そのためにも、その前提の市町村合併を、市町村の再編をしっかりやっていく、こういうことだと考えておりまして、今、直ちにいい知恵は浮かびませんけれども、ひとつ桝屋委員の御指導もいただきながら、新たなるツールの発見に頑張ってまいりたいと思います。
桝屋委員 ありがとうございます。
 今大臣おっしゃったように、確かに地方の全体をふやす、これは私も前提条件で一番感じたことでありまして、その方向で私どもも努力をしたい、大臣も頑張っていただきたいというふうに思います。
 府県制については、私はそれほど遠くの状況ではなく、大いに検討しなければならぬ課題だろうというふうに思っております。
 そこで、中長期的な展望はそれぐらいにしまして、十四年度の話でありますが、一つは、しばらくぶりに帰ってきた私として気になっているのが地方債、公債費対策であります。
 ちょっと具体的な話になって恐縮なのですが、私の記憶では十一年度に、本当に高利の地方債を借りて苦しんでいるというところがありまして、ここは十一年度、繰り上げ償還ということを初めてあのとき認めていただいて、やれやれという思いであったわけでありますが、その後どうも、資料を見ておりますと特交で対応するということになったようであります。
 この特交での対応、特に、公債費負担適正化計画をお立てになっている市町村あたりに対する対応が現状どうなっているのか、概要だけで結構でございます、御説明をいただきたいと思います。
林政府参考人 お答えをいたします。
 公債費負担対策についてでございますが、委員御指摘をいただきました、平成十一年度に新設いたしました制度は現在も続いております。現在の制度は、起債制限比率が全国平均以上、あるいは経常収支比率が全国平均以上、財政力指数が全国平均以下、これらのいずれかに該当する地方団体を対象といたしておりまして、七%以上の公的資金に係る地方債の利子のうちの五%を超える部分につきまして措置する、こういう制度は現在続けております。
 平成十三年度の実績で申し上げますと、該当いたしました団体は約二千五百団体に上っておりまして、対象の利子額は、実績見込みでありますが、四百九十一億円程度になっております。
 なお、平成十四年度におきましても、ほぼ同じような団体なり利子を対象としながら制度的に支援策を講じてまいりたい、こう考えております。
桝屋委員 ありがとうございます。
 余り詳しく聞きませんが、特別交付税での対応、今の二千五百という数字と四百九十一億、現場の市町村にとっては大変にありがたい、地方団体にとってはありがたい状況だろうと思いますが、いかんせん、大臣、特交は全体がずっと下がっておりますから、ありがたみというものが、なかなかに苦しい状況があるのではないか、こう思ったりいたしております。
 それからもう一点、十四年度の事業で地域活性化事業、これを創設するということになっているわけであります。その背景と目的をわかりやすく御説明をいただきたいと思うのです。
 特に、地域総合整備事業、地総債を廃止する。大臣のお話では、箱物はもうやめるのだ、こういうお話をいただいたわけでありますが、やはり地方にとってはいささか気になるところでもありまして、この趣旨と、それから目的なり状況を御説明いただきたいと思います。
林政府参考人 今回廃止をすることといたしました地域総合整備事業債でありますが、これは、創設の趣旨といたしましては、地方団体が国庫補助金に依存することなく、単独事業によりまして自主的、主体的に、個性的で魅力のある地域づくりを推進できるようにしよう、こういう趣旨で設けたものでございまして、このような取り組みは御案内のように全国に幅広く浸透し、大きな成果を上げたものと私どもも認識をいたし、評価をいたしているところであります。
 しかしながら、一方では、この制度の中に組み込みました、事業費補正方式によりまして地方債の元利償還金の相当部分を後年度に交付税措置する仕組みが、安易な事業実施を誘発しているのではないか、こういうような指摘もいただくようになったわけでございます。
 いろいろな問題点も踏まえながら、また制度の創設時の趣旨も踏まえながら、今回この制度について見直しをいたしたわけでありますが、必要な経過措置を講じながら、今年度限りで地域総合整備事業債の制度につきましては廃止をさせていただくこととし、平成十四年度からは、いわゆる重点七分野などに係る基盤整備事業など真に必要な事業に限りまして、従来の財政措置に比べて簡素で措置率も引き下げた形で財政措置を行うことで、地域活性化事業を創設することといたしたわけであります。
 なお、箱物につきまして御指摘がございましたが、この中で、私どもはいろいろ実態を判断いたしまして、原則として箱物は対象外にしたい、こう考えております。しかしながら、特別養護老人ホームであるとか、あるいはU・Iターンのための貸付住宅であるとか貸し工場であるとか、いろいろなものを考えてまいりますと、重点七分野等の政策課題に対応するために必要不可欠な機能を有するような施設につきましては配慮してまいらなければならないのではないかと考えております。
桝屋委員 今の説明で大体わかりました。
 箱物については、私も大変心配をしておりました。箱物は悪いということだけではない、真に、現状において、まだ住民ニーズに応じてどうしても対応しなきゃいかぬものもあることも確かでありますから、そこは機械的に処理をすることなく、経過的措置も含めて、私は慎重な取り扱いをぜひお願いをしたいというふうに思っております。
 それからもう一点、十四年度の段階補正の見直しであります。これからちょっと、私、地方にどういう影響があるのかということでお伺いをしたいと思うのであります。十四年度、地方交付税の算定において段階補正の見直しを行うということでありまして、これはもうマスコミにも随分市町村の悲鳴のようなものもあわせて書かれているわけでありますが、先日も私、広島県内の市町村を回っておりましたら、大変このことも気にされておられました。小さい市町村は死ねということだな、合併をしろ、兵糧攻めにするんだなというようなことを言われて、いや、そうではありませんということも申し上げたわけでありますが、この辺ちょっと、段階補正の見直しについて御説明をいただきたいと思います。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 標準的経費の算定に当たりまして、交付税算定の中でありますが、小規模団体につきましては、人口一人当たりの行政経費が割高となるという実態を踏まえまして、一人当たりの経費の割り増しをするために設けているのが段階補正でございます。
 この段階補正につきましては、実態を踏まえて補正の係数等を設定いたしておるわけでございますが、地方団体におきます行政の合理化や効率化への意欲を弱めることにならないよう見直しを図るべきであるというような指摘もいただいているところでございます。
 したがって、私ども、実態を調べます際に、小規模団体にありましても、例えば職員が兼務をしたり、あるいは外部委託をする等の工夫によりまして合理的、効率的に行財政運営を行っている地方団体もあるわけでありますので、そのような実態を反映した見直しを進めることといたしたものでございます。具体的には、全団体の平均を基礎として割り増し率を算出いたしておりました方法を改めまして、より効率的な財政運営を行っていると考えられます上位三分の二の団体の平均を基礎として割り増し率を算出するような方法に見直しをさせていただきたいと考えております。
 もとより、これらの団体が法令で義務づけられました事務等を行うことに支障がないよう財源保障をすることは必要でございますので、合理化や効率化の努力で対応できる範囲で見直しを行うものでございますし、また、いろいろと地方団体、小規模団体への影響について御心配をいただきました。これは私ども現在考えております見直しによります影響でございますが、基準財政需要額の算定の中で、段階補正によります割り増し額の約一六%程度に相当するものでありますし、市町村需要額の全体から見ますと約〇・八%の範囲におさまるものであります。
 なお、この見直しにつきましては、平成十四年度から三年間かけて行うことといたしておりまして、無理なものではないと考えているところでございます。
桝屋委員 人口四千人というこのライン、かなり現場には切実な数字でありまして、今〇・八%という数字を伺いましたので、そうしたことをしっかり現場の市町村にも十分御説明をいただければ、このように思っております。
 それからもう一点、公共事業の事業費補正、これも私、この委員会に帰ってきて、だんだん厳しくなっているな、こう思っているのであります。先ほども若干地総債の話が出ましたが、公共事業の事業費補正、この見直しについて、これもやはり小規模な団体、財政力の弱い団体に対する影響があるのではないか、こう心配しておりますが、この御説明をいただきたいと思います。
林政府参考人 御指摘をいただきました事業費補正につきましても、この補正の方式が地方の負担意識を薄める仕組みを縮小し、みずからの選択と財源で効果的に施策を推進する方向に見直していく必要がある、こういう意見を各方面からもいただいているわけでありまして、こういう御指摘を受けまして、地方債の元利償還金について、事業費補正方式等による交付税算入の見直しを行うことといたしたものであります。
 内容につきましては特に御質問ございませんでしたけれども、算入率を現行の約半分程度に、ただ、的確に捕捉する必要のある事業につきましては、例外として三分の二程度に引き下げ率を設定することを考えております。
 これにつきましての影響について御心配をいただいたわけでありますが、今回の見直しによる地方公共団体に対する影響につきましては、現行の事業費補正方式は、公共事業に係る地方債の元利償還金を措置するものが大半でございまして、その措置の対象となる元利償還金の償還は二十年程度の長期にわたるものとなっております。したがいまして、事業費補正方式による算入率を縮小することとなりましても、各年度におきます影響額は少額にとどまることとなりますし、また、標準事業費方式への振りかえにより対応することとしておりますので、単位費用分につきましては増加することとなりますために、もちろん事業量の多寡で異なるところはありますが、各団体への影響は大きなものではないと考えているところであります。
桝屋委員 わかりました。
 いずれも、今まで伺ってまいりました対応については、じわりじわりと経済財政諮問会議の改革の方向が、これは大臣、本当に全部納得されて、よしわかった、恐らく大臣のことだからこうおっしゃらなかったのではないか、随分抵抗もし、厳しいつばぜり合いがあったのではないかと思っております。
 内容をいろいろと配慮していただいているということも理解をしながら、もう一点、きょうも話が出ました、留保財源率の見直しであります。
 これはまだ結論が出ていないというふうに理解をしておりますが、これも骨太方針から改革工程表の中で留保財源率の見直しということが議論されてきたように聞いておりますけれども、これもやはり小規模な団体については私は心配をしております。
 この留保財源率、財源保障という機能、それから先ほどどなたかがおっしゃっておられましたが、税収確保へのアプローチだ、インセンティブを図るんだ、こうおっしゃったんだけれども、これも先ほどのシミュレーションじゃありませんが、しっかり税収が期待できるところはそれはそれで頑張れるわけでありますが、財源の保障ということになりますと、どういう影響が地方に出てくるのか、これはこれからどう進められるのか、御説明をいただきたいと思います。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘をいただきました留保財源率の見直しにつきましては、現在検討をいたしているところでありますが、御指摘をいただきましたように、この留保財源率の引き上げを行うということになりますと、こうした施策のための財源の充実につながるとか、あるいは税収確保努力へのインセンティブが高まる、こういう効果を持つものでありますが、反面、この留保財源率を引き上げることといたしますと、引き上げ見合いの基準財政需要額を減額する必要が出てくるわけであります。留保財源率の引き上げを行った場合は、財政力の高い団体ほど留保財源額の増加は多くなるわけでありますが、総体としてそれに見合った基準財政需要額の削減をもし一律に行うようなことになりますと、その影響がどちらかといいますと財政力の弱い団体に出てくる、こういう問題も持っております。
 したがいまして、この検討に当たりましては、今後、慎重に各地方団体への影響を見きわめながら、各地方団体の税収動向等も勘案して結論を出す必要があるわけでありますが、条件不利地域も対等なスタートラインに立って地域の自立、活性化に取り組めるよう配慮してまいらなければならないのではないか、こう考えているところであります。
桝屋委員 大臣、留保財源は、一連の先ほどから私申し上げたようなことをまとめて、先日の部長会議が終わりましてから全国の都道府県なり市町村は大変関心を持って、今まで、何だかんだ言いながら、現場、住民のニーズに対応するために懸命に頑張ってきているわけでありまして、そうした中で財政規模の小さい市町村が大変に心配をされておられます。検討に当たりましては、特段の、小規模市町村というものをしっかり意識して御検討いただきたいと思いますが、大臣の御意見を伺いたい。
片山国務大臣 地方交付税の見直しでは、お話ありました段階補正と事業費補正と留保財源率が、何か三点セットみたいになっているんですね。
 そこで、段階補正につきましては、お話ありましたように一六、七%のカットを三年でやろうと。それから事業費補正については、地方債というものをやめて、地域活性化事業を持ち込んで事業費補正の率を下げると。そこで、この上、留保財源率までやると、やはり私は影響が大きいと思いまして、これはもう一年見送ろうと。
 それから、今やる場合に、お話ありましたように、やはり基準財政需要額をいじらにゃいかぬのですね。小規模なところをこのままにすると大変影響がありますから、そこを救済する手だてを考えた上でないとやれないだろうと。
 こういうことで一年見送りましたので、一年間かけて、小規模町村が極めて不利にならないような、そういうあれを考えて、やるんならやりたい、こういうふうに思っております。
桝屋委員 大体質問、予定は終わっておるわけでありますが、まだ何点かお伺いします。
 それで大臣、私が与党の一員ではありながら、地方財政、地方交付税等の変革はしたい、改革はしたいが、しかしこれから五年六年というスパンで、地方財政が一番厳しいことが想定される中で改革というのはまことに難しいな、こういうことを思っているわけでありまして、私も精いっぱい、ない知恵を出しながら大臣を応援して、副大臣を応援して頑張りたいと思うんでありますが、少し明るい話をしたいと思うんであります。若松副大臣におかれましては、ぜひ大臣を補佐して頑張ってもらいたいと思います。
 先ほどからずっと地方財政の話をしてまいりましたが、一つは、やはり地方の行財政改革というものをこれからどう進めるかということも、これまた大なたを振るって、ある意味では、小規模市町村のところばかり見ているということではこれは済まぬわけでありまして、そこはバランスが大事だろうと。ただ、若松副大臣にお願いしておきたいのは、若松副大臣は、先ほどの同僚委員が議論されておりましたが、埼玉ですよね。都市部ですから、埼玉の地元のところばかり見ないで、例えば私の山口県の川上村とか、ぜひそういう、もともと副大臣は町場の御出身でありますから、地方をしっかり見て、副大臣のお立場で改めて頑張っていただきたいと思うんでありますが、その辺のまず御決意を。
若松副大臣 同僚議員の御質問でございますが、一度桝屋委員にも私どもの選挙区に来ていただきました。何だ、この土地は真っ平らじゃないか、町と町の垣根がないという印象を残されましたが、反対に山口は山あり谷あり、谷は余りないでしょうけれども。町が離れているというんでしょうか、そういうやはり地方の特色は、私どもも大変重要な、またその分いろいろと地方財政上配慮しなければいけない観点ではないかと思っております。
 しかし、御存じのように、今、国も地方もこのままいけばタイタニック号になるのはもう見えておりますので、やはりこの際しっかりと大きな構造改革をしなければいけないと。そこに地方公共団体の改革もありまして、従来の交付税改革だけでも十分ではないだろうし、また、現在の三千二百という地方自治体の一つ一つの単位ということの改革だけでも十分でないだろうし、やはり総合一体的な改革が今まさに必要ではないか、そういう認識を持って片山大臣とともに構造改革に挑戦してまいりたいと考えております。
桝屋委員 まず地方の小さな村から見ることから始めるというお答えがなかったんで大変寂しいんでありますが、でも覚えていただいて恐縮であります。
 大臣、今の話は、私、若松副大臣の地元へ行きましたら、本当に山がないんです。家がだあっとつながっておりまして、道がだあっと行って、これは合併は見やすいなとつくづく思ったんです。どこでも一緒になれば、どこでもというのは御無礼でありますが、比較的見やすいなと。私の地元なんかは、町と町の間には山があり、川があり、それをひっつけるというのは大変なことでありまして、しかも旧来からの伝統と文化がありまして、これは難しいというようなことを若松副大臣と話しながら、それでも頑張ろう、こう確認をし合ったわけであります。
 そこで副大臣、重ねてお伺いしますが、私は、平成九年十一月十四日「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針の策定について」、これが今当面の、旧自治省から引き継いでおる地方行革の一つの方向だというふうに思っております。ただ、いささかこれは古いわけでありまして、きょうの大臣の御答弁の中にも新しい、例えば行政評価であるとかあるいはPFI事業とか、そうした新しい手法が今どんどん言われているわけでありまして、若松副大臣、こうした指針あるいはこの指針に基づいての取り組みということもあるでありましょうが、若松副大臣がずっと取り組んでこられた行政改革、行財政改革という観点で、どういうお取り組みをされようと決意されておられるのか、お伺いしたいと思います。
若松副大臣 いろいろと考えております。
 まず、今おっしゃった新しいいわゆる行政改革手法というんでしょうか、よくニューパブリックマネジメントという言葉がありますが、この言葉の定義は今学者の間でも、また各国いろいろと試行錯誤しておるわけでありますが、その中でもやはりあえて二つ大きな項目立てとして、まずPFI事業というんでしょうか、これはイギリスがかなり先駆的にかつ成功している事例でありますが、こういった、まず民間も国もお互いのリスク分担をしながら、かつ民間の経営手法をいわゆる行政の効率化という点でつなげようと。こんなPFI事業は、やはりこれから重要であろうかなと思っております。
 現在、ちょうどことしの二月現在ですが、四十三事業の実施方針が公表されているということで、既にいわゆるサービスを提供したのが三事例ある、こういうことで、これはぜひともさらに拡大していきたいなと思っております。
 あとその次は行政評価、先ほど午前中の委員からも御質問がございましたが、行政評価法、国では去年制定いたしまして、ことしの四月からいよいよ施行となるわけです。この行政評価も、四十三都道府県が今その導入または試行中ということでありまして、ぜひともこの行政評価については三千二百すべての自治体に適用してもらいたいな、そのように考えております。
 さらに、その他いろいろとお話しでありますが、どこまでお答えすればいいのか。あといっぱい考えておりまして、それは委員の質問に応じて出してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
桝屋委員 老婆心ながら、余りたくさんお考えになって、どれもこれも中途半端にならぬように頑張っていただきたいと思います。そういう意味では、副大臣の作業を確認する意味でもお尋ねしたいんでありますが、若松副大臣は、税財源移譲と地方税プロジェクトというものを副大臣中心になっておつくりになったというふうに漏れ聞いております。先ほど片山大臣と税源移譲について議論させていただきましたけれども、極めて私は大事なプロジェクトではないかと思っておりますが、このプロジェクトの中で、どういう内容を検討されるのか。いつまでに、どういう内容、どういうメンバーでお考えになっているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
若松副大臣 ことし私が副大臣の任命を受けまして、そこで、ぜひ片山大臣とともに、副大臣としての一つの機能をうまくかみ合わせて、新しい地方自治のあり方について貢献できないか、こんな問題意識から、一方、小泉改革が、特に税制改正、本来ですと秋口から始まるわけですが、一月から政府税調を中心に精力的に行っております。
 こういう状況にありまして、私は、税源移譲等地方税の議論は早急にしなければいけない、そういう問題意識を持ちまして、去年の八月にも片山プランと称しまして、特に税源移譲、いわゆる国税と地方税の比率一対一、こういった一つの提言も出されておりますし、先ほどの内閣府でのシミュレーション等もありますが、この考え方というのは、かなり内閣全体として共通化しているのも事実ではないかと思っております。
 そういう大事な時期だけに、私どもの副大臣室に、まず総務省の税財源移譲等地方税プロジェクトを協力していただくための担当幹部、それと私の仲間であります公認会計士、税理士、ボランティアを募りまして、二月二十五日から第一回目の勉強会を始めて、二週間に一回ぐらい、例えば地方財政の問題、地方税制の問題、財源移譲の具体的な手法等、この勉強会を重ねながら、ぜひとも四月ぐらいには論点整理なりをして片山大臣に報告してまいりたいと考えております。
桝屋委員 ありがとうございました。
 いつになく、ことしは税制改革議論全体が早く動くようであります。こうしたお取り組みをいただいて、また、これは与野党を問わず、この委員会の極めて重要なテーマでありますから、場合によっては我々にも御提示をいただきながら、論点等もお示しをいただきながら、この委員会でもしっかりと議論をさせていただこう、このように思っております。
 最後になりましたが、大臣に。
 私、副大臣のときに、副大臣会議で合併の支援会議をつくっておりまして、私も一生懸命応援させていただいたのですが、先日、ある中国地方の長の選挙に応援に行きました。その中で、それぞれの候補が、普通、選挙になりますと、合併は避けるのですね、合併議論は。何を論点にしているかわからないような雰囲気があるのでありますが、実はそのほとんどの党派の議員さん方が、一生懸命になって合併のメリットを叫んでおりました。これは余り見ない光景でありまして、今まで一生懸命合併のメリットというのを訴えてきた、そのことが大分浸透したのかなということで感動したのでありますが、残念ながら首長さんが余り本気でなかったものですから、ちょっと心配をしておりますが。
 そういうことで、現場でもそうでありましたが、合併のよさをしっかりみんなで議論し合っているという状況になりました。先ほどからの一連の地方交付税の措置あたりを見ておりますと、どうも厳しく財源的に追い込んで合併に向けているのではないか、こう思われる節があったのでありますが、そうした状況を見ると、非常にいい状況になったなと思っております。
 今後、ますます合併のよさを訴えることができる市町村になるように、現場になるように、総務省としても、大臣としても、特段のお取り組みを最後にお願いして、何か一言ありましたら伺って終わりたいと思います。
片山国務大臣 桝屋委員、ありがとうございました。どこの町村か、後でちゃんとお聞かせいただきたいと思いますけれども。
 やはり現職の首長さんや議員さんは考えることが多いものですから、なかなかもう一つというところがあるのですけれども、大分私も全国的に見て大きな流れができつつあるな、こういうふうに思っております。
 我々は、あくまでも、むちをやるとか真綿で首を絞めるとかいうようなことはやりません。それは、交付税の見直しも、こういうことでこうやりますということを堂々と言って、合併とは連動しないのですよ。そういうことで見直しをやっていきたいと思いますし、あくまでもメリットを表に出して、自主的にお考えいただいて合併を選んでいただくように、省を挙げて頑張ってまいりたい。各省にも大変な応援をいただいておりますから、ぜひ連携も強化してもらいたいと思っております。
 ありがとうございました。
桝屋委員 以上で終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十五分散会


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