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第26号 平成14年7月4日(木曜日)

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平成十四年七月四日(木曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      河野 太郎君    左藤  章君
      阪上 善秀君    新藤 義孝君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      吉川 貴盛君   吉田六左エ門君
      吉野 正芳君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    玄葉光一郎君
      島   聡君    田並 胤明君
      武正 公一君    中村 哲治君
      前田 雄吉君    松崎 公昭君
      松沢 成文君    遠藤 和良君
      山名 靖英君    石原健太郎君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      小池百合子君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   総務大臣政務官      山内 俊夫君
   会計検査院事務総局第五局
   長            円谷 智彦君
   政府参考人
   (人事院事務総局公平審査
   局長)          北神  智君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            團  宏明君
   政府参考人
   (総務省郵政公社統括官) 野村  卓君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局長)      上杉 秋則君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    松井  浩君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月三日
 辞任
  佐藤  勉君
同日
            補欠選任
             小池百合子君
同月四日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     吉川 貴盛君
  谷  洋一君     阪上 善秀君
  島   聡君     前田 雄吉君
同日
 辞任         補欠選任
  阪上 善秀君     谷  洋一君
  吉川 貴盛君     大野 松茂君
  前田 雄吉君     島   聡君
    ―――――――――――――
六月二十八日
 法人事業税の外形標準課税導入反対に関する請願(大森猛君紹介)(第六三七六号)
 同(春名直章君紹介)(第六五〇二号)
 シベリア抑留者に対する未払い賃金支払いに関する請願(小沢和秋君紹介)(第六三七七号)
 国家公務員の残業改善に関する請願(安住淳君紹介)(第六五〇三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 日本郵政公社法案(内閣提出第九二号)
 日本郵政公社法施行法案(内閣提出第九五号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出第九三号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九六号)
 派遣委員からの報告聴取

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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、各案審査のため、去る一日から二日までの二日間、北海道及び熊本県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。
 まず、第一班の北海道に派遣された委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、私、平林鴻三を団長として、理事八代英太君、理事後藤斎君、委員大野松茂君、委員吉田六左エ門君、委員松沢成文君、委員山名靖英君、委員石原健太郎君、委員矢島恒夫君、委員重野安正君の十名であります。
 会議は、ロイトン札幌において開催し、まず、私から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序等を含めてあいさつを行った後、全日本郵政労働組合北海道地方本部執行委員長秋田喜美男君、北海道大学大学院文学研究科教授金子勇君、社団法人札幌消費者協会会長山本順子君の三名から意見を聴取いたしました。
 その内容について簡単に申し上げますと、秋田君からは、これまで郵便局が地域の振興や福祉の向上のために果たしてきた役割は三事業一体の国営でこそ可能であること、公社の国庫納付については認められないこと、公社の自由度を高めるための法整備が必要なこと、信書の定義を明確化すべきであることなどの意見が述べられました。
 金子君からは、郵便局をコミュニティーづくりの核、高齢社会の情報センター、過疎地域の自立振興の核として位置づけ、郵便局の潜在的機能をさらに活用すること、また、今回の法案についてもその点を勘案するとともに、ただ単に効率性だけを考えるのではなく、国家目標等から判断する必要があることなどの意見が述べられました。
 山本君からは、郵便局のネットワークは国民共有のインフラであり、これからも存続発展させるべきであること、その上で多種多様な地域のニーズにこたえられるよう郵便局の機能を拡充すべきであること、また、郵便局は地域のコミュニケーションの拠点とし活用するとともに、民間の力を活用したサービスを展開すべきであることなどの意見が述べられました。
 次いで、各委員から陳述者に対し、公社化のメリット、郵便事業への民間参入でユニバーサルサービスに悪影響が及ぶ懸念、公社の出資条項の必要、今まで郵便局ネットワークが地域に果たしてきた役割と公社化後、期待される役割、郵便局の顕在的機能と潜在的機能、ユニバーサルサービス維持のための税金の投入の是非、郵政事業の公共性と企業性のバランスの確保策、第三種・第四種郵便物の料金減免制度の維持の必要性などについて質疑が行われ、滞りなくすべての議事が終了いたした次第であります。
 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。議事録ができましたならば、本委員会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を初め多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。
 以上、御報告申し上げます。
 次に、第二班川崎二郎君。
川崎委員 熊本県に派遣されました委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、私、川崎二郎を団長として、理事安住淳君、理事黄川田徹君、委員左藤章君、委員佐藤勉君、委員新藤義孝君、委員武正公一君、委員遠藤和良君、委員春名直章君、委員横光克彦君の十名であります。
 会議は、熊本ホテルキャッスルにおいて開催し、大分県商工会議所女性会連合会会長今川敦子君、熊本県点字図書館館長西田洋一君、福岡県添田町長山本文男君の三名から意見を聴取いたしました。
 その内容について簡単に申し上げますと、今川君からは、郵政事業は、郵便が全国一律の安い価格で国民に提供されているなど、生活していく上で欠くべからざる存在であること、特に過疎地では貯金、保険の相談ができるのは郵便局だけであること、このような状況から現状の組織を変更して公社化する必要性は感じられないことなどの意見が述べられました。
 西田君からは、録音物及び点字図書は視覚障害者にとって唯一の情報源であり、盲人用郵便物の無料取り扱いが有料化されることは、点字図書館の施設運営が困難になるばかりでなく、視覚障害者の生存権をも脅かすものであるなどの意見が述べられました。
 山本君からは、郵便局は、ワンストップサービスや災害時の道路状況報告など、特に中山間地において地域の中心的存在を担っていること、公社移行後についても国民からの信頼感の確保が引き続き必要であることなどの意見が述べられました。
 次いで、各委員から陳述者に対し、地域生活のよりどころとしての郵便局の重要性及びその果たしている役割についての評価、郵政事業が民営化された場合に生じる影響、民間事業者が信書を取り扱うことについての信頼感の有無、盲人用郵便物が有料化された場合の点字図書館運営へ与える影響及び公社移行後も盲人用郵便物の無料取り扱いを継続する必要性、郵便のユニバーサルサービス確保の重要性、市町村合併推進の中でより求められる郵便局の役割などについて質疑が行われ、滞りなくすべての議事が終了いたした次第であります。
 なお、今回の会議の開催につきましては、地元関係者を初め多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。
 以上、御報告申し上げます。
平林委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
平林委員長 引き続き、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省郵政企画管理局長團宏明君、総務省郵政公社統括官野村卓君及び郵政事業庁長官松井浩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 この際、日本郵政公社法案及び日本郵政公社法施行法案に対し、八代英太君外二名から、自由民主党、公明党及び保守党の三派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。八代英太君。
    ―――――――――――――
 日本郵政公社法案に対する修正案
 日本郵政公社法施行法案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
八代委員 私は、自由民主党、公明党及び保守党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本郵政公社法案及び日本郵政公社法施行法案に対する修正案につきまして、その提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 まず、日本郵政公社法案に対する修正案について申し上げます。
 その一は、郵便局のあまねく全国における設置の明記についてであります。
 政府原案におきましては、公社は総務省令の定めるところにより郵便局を設置しなければならないこととしておりますが、現在、約二万四千七百の郵便局が離島や山間地を含め全国各地にあまねく設置され、その郵便局のネットワークを通じ、郵便事業のユニバーサルサービスを確保するとともに、住民生活に直結した各種の業務やひまわりサービス等の福祉施策等が実施されており、郵便局は地域社会の拠点として不可欠な存在となっております。こうした郵便局及び郵便局ネットワークの意義、機能は、公社化に際しましても、引き続き確保、充実させていくことが重要であり、現行の郵便局ネットワークを維持する必要があります。
 このため、修正案では、公社は総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならないこととしております。
 その二は、出資に関する規定の追加についてであります。
 今回の郵政事業の公社化の意義は、公社化により経営の効率化等を図り、公共性の高いサービスを全国あまねく提供することを可能とし、国民利用者の利益を増進することにあります。また、郵便事業への民間参入等を踏まえ、競争に対応しつつユニバーサルサービスの維持を図る観点から、公社の経営の自由度を高めることも必要であります。
 こうしたことから、公社の出資に関する規定を新たに設けることとしております。
 すなわち、公社は、郵便の業務の運営に特に必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、当該業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができることとしております。
 その三は、国庫納付金についてであります。
 政府原案においては、公社は、公社の経営の健全性の確保に支障を及ぼすおそれがないと認められる範囲内で政令で定める基準により計算した額を、政令で定めるところにより国に納付するものとすることとしておりますが、修正案では、公社の経営の健全性を確保する見地から、公社は、その経営に支障が生じないよう、積立金増加額の一部を納付することとしております。
 すなわち、公社は、中期経営計画の期間の最後の事業年度に係る利益または損失の積立金等としての整理を行った後、公社の経営の健全性を確保するため必要な額として政令で定めるところにより計算した額を超える額の積立金がある場合において、一定の要件に該当するときは、一定の金額について政令で定める基準により計算した額を、政令で定めるところにより国に納付するものとすることとしております。
 そのほか、これらの修正に伴う所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。
 次に、日本郵政公社法施行法案に対する修正について申し上げます。
 この修正案は、日本郵政公社法案を修正することに伴い、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 以上が、両修正案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより各案及び両修正案を一括して質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎二郎君。
川崎委員 先ほど、公聴会の御報告をさせていただきました。
 大臣、最初に、質問通告してないんですけれども、実は、そこで意見を聞いていますと、国営で税金も使わないでうまくやってきたじゃないの、何でここで公社化するんですかという議論が一つあるんですね。
 それから一方で、私ども、地元で国会報告しますと、川崎さんがやっているのは民営化法案ですか、こういう議論が出るんですね。国民に今回公社化ということは何ですかということがうまく伝わっていない。これはマスコミの責任もあると思いますよ、マスコミの責任も。しかしながら、場外から声もありますように、やはり総務省として、きちっとこの公社化という問題をうまく国民に説明する必要がある。法案が成立しましたらやはりきちっとやってもらわなきゃならぬだろうと思うんです。
 実は、国営の維持のままでいいんだという意見もあるんですね、地方へ行けば行くほど。ただ、私は、橋本行革のときに加藤幹事長や野中幹事長代理の下で、随分総務庁、また郵政省の間を行き来しながら公社化というものを取りまとめた一人であります。
 その中の一つの我々の感覚として、郵政事業をめぐる環境は大きく変わるぞというのが第一なんです。変わると思っておられない人たちと、これからかなり変わるぞと考えている人たちの根本的な違いは私はあると思っているんです。
 例えば、郵便事業につきましても、この間、郵便局も視察いたしましたけれども、請求書、領収書のたぐいがざあっと送られているんですよ。しかし、これを見たときに、さあ何年たったら電子メールに変わるのかな。正直言って、これは政府は一生懸命になって進めているんですよ、総務省が音頭取りしながら。最終的には、郵便の請求書というものは電子メールに変わっていくんだろうな、時代が変化していくんだろうなと考えざるを得ない。いや、新聞社は反対しているけれども、最後は、光ファイバーで新聞だって送られる時代に変わるかもしれない。それだけ大きな変化をIT社会というものは含んでいますよということが第一にあるんですよ。
 第二番目に、資金運用の問題というのはやはり大きな課題になってきますよ。
 環境は変わってきます。その中で、大臣は割合長い間の任期であります。しかし、短ければ二カ月ですよ。長くて、私も一年二カ月やりましたけれども、それは長い方ですよ。そんなもので、郵政三事業をまとめておれが先頭に立って全部新しい時代の変化に対応してやっていこうというのは、正直言って無理だ。郵政大臣が先頭になって全部やるのは無理だ。そこで、公社化をして、総裁は四年の任期ですね。この中で、経営者としてきちっとやってもらおうというのが、実はこの公社化の中の私は一番大きな議論だと思うんです。
 民間の知恵だからうまくいくとは思いません。大失敗した会社も多いんです。バブルの中で浮かれて、次から次へとゴルフ場をつくったり、過大の投資をし過ぎちゃって、今リストラ、リストラといって雇用者に大変迷惑をかけている経営者も多いんです。自分たちが過去にやったことの反省をしないでやっておる方々もいらっしゃるんです。
 しかしながら、我々の知恵として、優秀な経営者というものを選んで、そこへ託していく。そして、そこに対して、依存しながら、我々がどう目を光らせていくか、総務大臣がそことどう調整をしていくかというのは問われているところで、実は、民営化論議が出てきたり、片っ方で、今のままでいいじゃないですかという議論がいまだにこうやっている中で、今我々がやろうとしているところは今我々の選択肢としてベストですよということを国民に知らせなきゃならない、それが総務大臣のお務めであろうと思いますので、ちょっとそのことを、先ほど申し上げたように何も通告していませんでしたけれども、お話しいただければと思います。
片山国務大臣 川崎委員の言われるとおり、大変な議論を経て中央省庁改革基本法の中で、国がやっておった郵政事業を国営公社でやる。これは、今お話しのように、公共性は維持しながら、やはり民間的な経営の観点まで持ち込んで、もっともっといいサービスを国民の皆さんに提供するようにする、こういうことでございまして、そういう意味では、予算の制約、国会や役所の制約から、基本的なものを除いてある程度自由にして、思い切ってやってもらう、こういうことだと思います。
 そういう意味では、総裁に人を得て、その総裁が、任期の四年間、民間的経営で力いっぱいやる、これが必要でございまして、公社のメリットは、まさにそこにあるんですよ。
 大変私どもの方の役所が力不足で、PRがまだ不十分でございますけれども、法律が成立いたしますれば、私も先頭に立ちまして、省を挙げてこの国営公社、新しい日本郵政公社の今後の進むべき方向を含めて、大いにPRいたしたい、こういうふうに思っておりますし、まさにIT時代で大きく変わってくるんですね、郵政事業を取り巻く環境も。そういうことの中で、やはり我々は、より新しい、より国民のためにいい郵政公社、郵政事業サービス、こういうことに努力してまいりたいと思っております。
川崎委員 八代さん、御苦労さまです。
 まず、一方で民営化なんという議論がある中で、やはり公社でやっていこうという中の我々の思い、その思いというものが実は、この修正案の一番最初の「あまねく全国に」というところにかなり込められておると思うんです。
 郵政大臣も経験されました八代さん、先ほど趣旨説明でもありましたけれども、もう一度、「あまねく全国に」という修正案をあえて出された理由についてお話しいただきたいと思います。
八代委員 公社化になっても、やはり私たちの向こう三軒両隣の拠点として、郵便局は二万四千七百ございますが、人の住んでいるところに郵便局がある。それは私は、公社化になっても国民共有の財産として守っていかなければならない。ここが実は荒井部会長、また稲葉専任部会長の党内の議論の最大の焦点でございました。
 確かに、民営化という一つの流れはあるにしても、それであればこそ、守るべき地域の人たちの拠点というものは守っていかなければならない。その使命は、公社化になればなるほど責任は大きくなる。それには、民間との競争は激化するかもしれないけれども、しかし、公社は人の住むところには必ずある。どんな山の中にも、どんな離島にも必ず存在するんだということで、政府原案では「地域住民の利便の確保について配慮」、こういう文言になっておりますので、やはり郵便、郵便貯金、簡易生命保険などの国民の生活基礎サービスのネットワークというものを活用して、全国あまねく提供するという郵政事業の意義というのは公社化後もしっかりと、引き続き変わってほしくない、また変わるものではない、こういう思いで、法律上明確にするために「あまねく全国に」郵便局を設置する、これはもう魂のような思いでこの文言を修正の中に実は挿入させていただいた次第でございます。
川崎委員 それでは、大臣、私、運輸大臣してかなり自由化の方へカーブを切ったんですね。ただ、反省もあるんですよ。地元へ来て、バスの自由化の中で、路線から撤退、結局、走っているのは町営バスが走っているんですよ、町営バスが。自由化、規制緩和というのは小さな政府のはずだったのが、結局、まず補助金から始まりまして、補助金を出しただけではもう運行できないといって町営のバスをやっているところがかなりあるんです。JRもいろいろな問題を解消して、経営的にはうまくいくようになりました。しかし、現実問題として、自動車化、そして道路の整備が進んでいますから、やはりだんだん撤退せざるを得ない、こういう姿を地方の人たちは見ているんです。ちょっと、大都会にお住まいの方はわからない話なのかもしれないけれども。
 民営化でうまくいっているんじゃないか。確かに問題点はかなり解消された、この手法によって。JR東も完全な民営化になりましたし、うまくいった。しかし、一方で、問題点が出てきていることは事実なんです。総務省という立場からいっても、いつの間にか違う役所の予算がこちらに振りかわっちゃって、交付税で何とか面倒見てやってくれという話ばかり出てきておるのが実態ですよね。
 さあ、公社化ということだからそこは大丈夫なんだろうと思いながら、我が与党の中の議論で、自民党の中の議論で、まさか町営の郵便局なんという話にならぬでしょうな、補助金出さなきゃもうこの郵便局あしたからなくなるよ、こんな話にならないでしょうなと。
 一方で、しかし国鉄時代のように余りぎりぎりやったら、結局、最後は赤字体質になっちゃって、赤字体質になったらそれこそ民営化待ったなしという話になってしまう。そこはまさに経営の妙でやらなきゃならぬ。原則をきちっとやりながら、先ほど言った総裁のもとでやっていく、効率化もどう図っていくかということを検討していかなきゃならぬ、そこが一番大事なところなんです。
 そういう意味で、「あまねく」という表現で私どもは最終的な決着をさせていただいた。今ある数をきちっと守れという議論もあったんですよ。そういう中での結論でありますから、総務大臣としてどうとらえていただいて、今までは無修正で通してくれと言われましたけれども、きょうから変わってください。与党の言うことは大賛成でございますということで御議論いただいたらありがたいな。ちょっと御見解を。
片山国務大臣 今言われたとおりでございまして、郵政事業はユニバーサルサービス、こういうことを我々は何度も言っておるわけで、全国あまねく公平なサービスをすべての人に与える、こういうことでございまして、そういう意味では、今、二万四千七百の郵便局ネットワークは、これは維持していきたい。
 ただ、三事業一体でやっておりますが、郵便事業だけが、少し、消費税なんかの扱いの問題もありまして、何年間か赤字でございましたが、十三年度から黒字に転換すると思いますし、まもなく決算いたしますけれども、十四年度はもちろん黒字になる。こういうことで、経営体質を強化しながらサービスは落としていかない、郵便局の数も維持していく、こういうことが私はユニバーサルサービスではないかと。
 二万四千七百のネットワークが、そのもの自身が存立することが、安心、安全、安定、そういうお気持ちを国民に与える、こういうことでございますので、全国あまねく、こう入れていただきましたことは、我々も同じ思想で二項に書いておりましたけれども、一項にそれを入れていただいたことでより明らかになったのかな、こういうふうに思っております。
 閣法で出しましたときはベストだと思いましたけれども、ベストにもう少しベストが加わったのかな、こう思っております。
川崎委員 次に、具体的にお聞きします。
 出資については、大臣が既に委員会の答弁で、実は検討しておったんだ、しかしながら、今回の法律に間に合わなかったからという趣旨の御発言をされております。それを受けながら与党として取りまとめをしたということであります。しかし、現実にこの法案が出た以上は、出資というのは何をするんですか、具体的に教えてください。
片山国務大臣 我々も検討いたしましたが、詰め切れずに持ち越したものでございます。今回こういう形で修正案を出していただいたわけでありますが、我々検討いたしておりました出資対象事業といたしましては、例えばダイレクトメール等に関する発送準備や発送業務を行う発送代行業務、また、郵便物の追跡、車両予約、車両運行管理等に関する情報システム管理業務、こういうものについて専門の子会社ということになるんでしょうか、そういう会社が出て業務を一種のアウトソーシングでやる、そういうことがいいのかな、こういう検討をいたしておりましたが、この修正が正式に決まりますれば本格的な検討をいたしたい、こういうふうに思っております。
川崎委員 逓信委員会でも、かつて、NHKの出資について一覧表を出させまして、随分批判を浴びたことがあるんですよ。ぜひ、そういうことにならないように、経営の自由度というのは大事だと思いますよ、しかし、そこは透明性を持ったものにされること、これだけ要望しておきます。
 八代委員にお聞きいたしたいと思います。
 この国庫納付金、これ法律を読むとよくわからぬ、正直申し上げて。法律の書き方でしょうけれども。基本的には、一つは過少資本問題についてどう考えるか。第二番目の問題として、少なくとも、公社なりこれから新しい仕組みの中で独立行政法人がたくさん生まれてくることになる、こういうものとやはりきちっとした相関関係を持ちながらやるべきであろう。大臣のお答えを聞いていると、この納付金問題についてどうも将来像がわからぬということで議論があってこういう書き方になったんだろうと思うんです。独立行政法人といいますと、具体的にどんなところが同じような形をとっておるのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。
八代委員 独立採算型の独立行政法人というのは、いろいろありますけれども、例えば日本貿易保険みたいなところですね。中期目標期間終了ごとに期間中の積立金の増加額の一定割合を国に納付すること、こういうぐあいになっているんで、これは貿易保険法の第十六条等に定めてあります。
 今回の修正案については、独立採算型の独立行政法人の納付規定をベースとはしておりますけれども、独立採算の貯金、保険等の業務を営むという郵政事業の特質から、一定の水準の自己資本が必要となるだろうと思うんです。
 先ほど来、自立をさせていくにもがんじがらめに両手両足を縛ったままでは、自由度という点では、これから民間参入の中の競争の中においても、それは自立にならないだろうということを思いますと、そういう考え方に立って、国庫納付規定の修正ということで私たちは意見が一致したところでございます。
川崎委員 そうしますと、ちょっと具体的に議論を詰めますけれども、過少資本をまず解消しなきゃならぬ、特に金融の安定というものを考えますと、ここはやらなきゃならぬだろうと思うんです。
 それでは、来年の四月一日スタートができるとしましたら、今持っている資本はどのぐらいになるんですか。それから、では、公社が安定した資本を持ってしっかり国民の信頼の中でやっていけるにはどのぐらいの資本をお積みにならないと安定したと言えないとお考えなんでしょうか。そのことを片山大臣にお尋ねします。
片山国務大臣 私どもの方でつくりました郵政事業の公社化に関する研究会の中間報告におきます試算、平成十二年度決算計数等をもとにした試算で、できるべき郵政公社の資本金は約一兆九千億円、こういうふうに示されております。ただ、これは、今後、来年の四月までの金利、為替等の金融情勢その他によって変動し得るものであって、現在確定的にこうだということは申し上げられませんけれども、まあこの一兆九千億円程度が今の資本の状況じゃなかろうか。
 そこで、どのくらいあれば過少性がなくなるか、過少資本でなくなるか。これは難しい議論で、例えば金融機関の場合には、国内業務なら四パーとか、国際業務までやるなら八パーだとか、いろいろなことが言われていますね、資本の一つのメルクマールとして。例えば四パーでやりますと、郵貯が二百四十兆、それから簡保が百三十兆ですから、三百七十兆ですね、それで四パーをやりますと、十四、五兆になる。八パーならもっと大きい数字になる。
 この辺は、国営公社という性格を考えながら、どのくらいの資本が適正なのか検討いたしたい、公社化研究会の御意見もさらに聞こう、こういうふうに思っております。
川崎委員 正直言って、民営化なんという議論がなければ、国が担保しますよと一言言えば終わる話なんですけれどもね。
 そこが、今、十兆円とか、八パーだとかなり大きな金額になるのですけれども、提出者の認識として、どんなぐらいとお考えですか。
八代委員 地銀とか都銀とかというのは大体負債の四・七%ぐらいを資本にしているようですね。そういうことを考えていきますと、今大臣答弁の一兆八千九百億とかその辺の額では、これから激しい民間との競争それから金融のリスク、もろもろを考えたって、私は、四・七までいかなくても四パーぐらいはやはりそうした形の資本として存在すべきだ、こう思います。
 アバウトに、二百五十兆、こう思えば十兆、区切りよく十兆ぐらいは資本としての価値観は認めておくことが必要じゃないかと思うし、こんな話をすると財務省はびっくり仰天するかもしれないけれども、ここはやはり立法府として我々は声を大にして、最低でも十兆、四パー、これは私たちの意見として、今回はそういう思いでこの問題に修正案を出させていただいたというところでございます。
川崎委員 そうしますと、資本が積むまでは当面の間国庫への納付はない。
 国営でやっておりますときに、これも私の大臣のときですからまことに申しわけないと思っているのですが、国鉄の債務を助けてもらうために一兆円、毎年二千億円特別にもらった、こういうことでありますけれども、普通で考えたら、国営でありますから、一方で、税金を使わないと同時に、きちっとした経営をやっていたと同時に、国には基本的には税金を納めていなかった。
 では、公社がスタートして全く新たな負担はないんですかというと、それも間違いだろうと思うんですね。新たな負担というか、ある意味では地方へお返しする問題が出てくるんだろうと思いますけれども、そのことについて、少し大臣からお話をいただきたいと思います。
片山国務大臣 税金の関係は、これはいろいろ検討いたしまして、旧三公社と同様の措置がいいのではなかろうかと。
 国税については、法人税、所得税等は非課税にしてもらう。地方税についても、法人住民税、法人事業税、事業所税等は非課税にしてもらう。それから、本来事業用資産については、不動産取得税、固定資産税等を非課税としてもらう。ただ、固定資産税にかわるものとして、旧三公社も払っておりました当該固定資産の価格の二分の一を算定基準とする市町村の納付金を、それぞれの市町村に出させていただこう。これで、現時点での試算によりますと、年間約二百二十五億円を負担することになると思います。
 それから、公社は従来どおり独立採算制のもとで郵政事業を行うものでございますので、消費税は現在負担しておりまして約七百七億円、それから郵政職員の年金費用の、基礎年金の国庫負担分は、国庫からもらっているのじゃなくて郵政事業そのものが負担しておりますが、これが年間約三百二十億円でございまして、この辺の負担は、今後公社化後も引き続き公社の負担としてまいりたいと考えております。
川崎委員 現状と比べて新たな負担が生じるということだけは理解をいたしました。
 これはお答えいただかなくて結構ですけれども、そうなると不明確なのは、基準額を決めていただいてある程度の資本が積まれる、そこできちっと国庫納付を行いますよ、これは明記してあるわけですね。さあ、何%払うんですかというところがない。
 例えば、公益法人の収益事業、これは二二%の税金である。私は、横並びと申し上げましたけれども、大体こんなところがいい感じだなと思うのです。大臣の時代にお詰めになるのか、もう少し先でお詰めになるのかわかりませんけれども、基本的な認識としてまあまあこんなところであるという意見があったということだけ記憶にとどめておいていただきたいと思います。
 それでは、ちょっと次の法案について申し上げたいと思います。
 ガイドラインを国会へ提出しろ、正直言ってよくわからぬですから、議論の中で、これは与野党通じてガイドラインを出せという話がずっとある。しかし、大臣は、パブリックコメントを求めて最後は責任を持っておれがやるからここは信用してくれ、こういう答弁で終始されてきた。
 そこで、ガイドラインまで出すのはなかなか難しいかなという中で、ガイドラインの概要を出していただいたんです。文書で我々の目に入っているわけですけれども、国会ですから、委員会の場で、概要を手短にちょっとお話しいただけますか。
片山国務大臣 信書の定義、それに基づくガイドラインでございますけれども、定義の方は、何度も申し上げましたように、特定の受取人に対し差出人の意思を表示しまたは事実を通知する文書だ、こういうことでございまして、基本的にはこの考え方、解釈は従前から今回まで同じでございまして、これを書くことによって物を変えるなんということは全く考えておりません。
 ただ、個別の当てはめについてはいろいろな議論がございますので、これは幅広い意見を聞きながらガイドラインではっきりしよう、こういうことでございますが、一番問題になっているのは、御承知のようにダイレクトメールですね。多数に差し出されることをもって信書に当たらないというわけにはいかない、我々はこう考えておりますが、ダイレクトメールの中で、公然公知、例えばチラシのようなもの、街頭における配布や新聞折り込み等を前提としてつくられるチラシのようなもの、これは実態から見て信書の定義に該当しないのではないかと考えております。
 また、クレジットカード、地域振興券については、これもいろいろな議論がありますけれども、少なくともこれは支払い手段でございまして、それに対する通信文が添えられているということは、貨物に添付する無封の添え状または送り状として考えることも可能ではなかろうかと現在の時点では考えておりますが、こういうものについても、先ほども言いましたように、幅広い御意見を聞き、パブリックコメントにもかけまして確定いたしたい、こう考えている次第でございます。
川崎委員 ダイレクトメールについては、基本的には現状認識をしっかり踏まえながらやっていきたいと。
 それから、クレジットカードについては、今までいろいろな議論がありました。特に、中村さんがされた議論なんというのは、我々聞いていてううんと思わせる議論もされたと思っているんです。
 その中で、添え状と決済機能を持ったカード、ここを分離してお考えになって一つの結論を出されたということは、私は、郵政省にとっては痛手でしょう、役所にとっては痛手ですよ、公社にとっては痛手ですけれども、そこをきちっとされたということは評価をしておきたい、こう思っております。
 そこで、ちょっと数値的にみんながとらえていないんじゃないか、ダイレクトメールと言われるものはどのぐらいあるんですか。事務的にで結構です、どのぐらいあるんですか、数と金額で教えてください。
 それからついでに、それじゃ、メール便と言われるのは、これは国土交通省に聞いてもらったと思っていますので、どのぐらいあるのですか。それをちょっと教えてください。
團政府参考人 御質問のダイレクトメールの数でございますが、これは郵政事業庁がアンケート調査でやっております結果によりますと、手紙、はがき、普通通常郵便物と申しておりますけれども、その約四分の一、二四・三%という数字が十三年度のデータというふうに出ております。これを通数にしますと、約六十二億通というふうに推計しております。これは一日だけの調査でありまして、サンプル調査でございます。
 それから、もう一つは、この調査方法が、受取人が自分でダイレクトメールと認識しているものを記載していただいているということでございますので、この中には、例えばカタログのようなものということで、従来から信書として考えていないものも入っているというふうに思われるところでございます。
 収入にしますと、これは平均単価もいろいろでございますけれども、一定の前提を置いて計算しますと、約三千億円を超えるぐらいの金額かなというふうに、これも推計をしているところでございます。
 それから、チラシなんか、公然、公開ということとの関係だと思いますが、メール便の数値でございますが、これは我々の把握しているデータによりますと、最大手の会社で取り扱っているメール便の数というのは約六億通というふうなことでございます。
川崎委員 今、いわゆるダイレクトメールが三千億から三千五百億ぐらいの市場。その中で、メール便として取り扱われているのが、クロネコさんで六億、他を合わせて七、八億になるんでしょうか。そうすると、一割の三百五十億ということなんだと思います。
 これで、十月、パブリックコメントを出されて、きちっと法律に担保された中で信書というものは決まります。そうすると、やはり法治国家ですから、決まった以上は、難しいグレーゾーンはあるんだとは思いますよ。しかし、そこはきちっとしていかなきゃならぬですね。
 例えば、先ほど、クレジットカード、今まで議論してきたけれども、これはいいですよとお認めになって、約二百億の市場でしょうか、これはきちっとまとめた。そして、今のダイレクトメールについても考え方をきちっとまとめた。
 それでは、そこがきちっと担保されて、これから四月一日以降は動いていかなきゃならない。そのときに、いや、まあまあということで、今度は勝手に民間業者の方が広げたり、出す方、実は私は、業者側よりも、大口の出す方がきちっと認識をすることが大事だと思うんですよ、法律でこうやって定まりましたよと。一円安いからといって脱法行為をされるということではなくて、この法律に従ってきちっとお互いにやりましょうということが大事だと思うんです。
 さあ、それをどうやって担保しますかというところです。これは、今までだったら監察局なんかがおやりになったんでしょうけれども、そういうわけにはいかぬと思いますよ、そこは。きちっとやはり司法というものでおやりになる必要があるんじゃなかろうかなと思いますので、その点の見解、これからどうされていくのか。
 まず、国民に理解してもらうことが大事ですよ。先ほど宣伝のことも申し上げましたけれども、国民に理解をしてもらう。そこをぜひお話を聞かせていただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおりでございまして、この定義が入りまして、さらに、ガイドラインでこの具体的な当てはめについても明確にしていくということでございます。その過程につきましても、透明性を持ちましてきちんとしたものをつくっていくということでございますが、これは幅広く利用されている郵便でございますので、差出人の方、それから運送事業者の方には、これが固まった時点で一層広く周知徹底しまして、理解をいただくということを行うことがまず一番重要だろうというふうに考えております。
 その上で、これは法治国家でもございますので、罰則の規定もございます。そこら辺の罰則の適用につきましては、これはこれから、これまでは事業と一体としてやっておりましたが、基本的には公社から離れまして、行政ないし捜査当局におきましてよく連携をとりまして、法を守っていただくということについても、これは公正に対処していくことが必要だろうというふうに考えております。
川崎委員 重ねて申し上げておきますけれども、国民によく理解してもらうことが大事です。これは何よりも総務省の務めです。したがって、業者の方々、差出人の方々、特に、ダイレクトメールですから、大口の方々によく理解をしてもらうということが大事だろうと申し上げておきたいと思います。
 それでは、参入条件のところ、ちょっと時間がなくなりましたので、簡単に疑問点を聞きたいと思います。
 信書箱をきちっと設ける。それはこういう条件できちっと管理されなきゃならぬよ。さあ、そうなりますと、赤ポスト、青ポストが必ず規制されるんですか。それとも、例えば、デパートの中とか商店街の中に置かれて、きちっと箱が管理されて、もちろん見られないように、そして、抜き出しなんかできないように。しかしながら、そのお店に来た人が簡易に入れて、そして、それを一日、必ずとりに来て。こういうところもいいとお認めになるのでしょうか。そこのところの見解を聞かせてください。
團政府参考人 お答えいたします。
 信書便の差出箱につきましては、これはあくまで個人または小口の利用者の簡易な利用を確保するというのが目的でございますので、満遍なく設置され、また非常に利用しやすいということが必要条件でもあり十分条件というふうに考えております。
 したがいまして、御指摘のありましたように、今郵便局で使っておりますような、公道にありますような大きなポストということもありますけれども、これは、郵便局におきましてもやや小ぶりのポストを使っているところもあるわけでございます。
 それからまた、設置の場所でございますけれども、これは、郵便局の場合は郵便局の前とか公道とかいうことが多うございますが、なかなかその場所を確保しにくいだろうというふうに考えておりますので、利用者のことを考えますと、公衆が自由に出入りできるというふうな場所で使いやすいという場所であれば、コンビニエンスストアとか、あるいは代理店とか百貨店とか、そういうような中ないし外で設置されるということについても問題はないというふうに考えております。
川崎委員 省令案で総数については書いていないのですけれども、各地方ごとにこのぐらいだよという基準が出てきた。それをずっと足すと、基本的に全国で何本設置しなきゃならぬのか。
 この議論の中でクリームスキミングの問題が最大問題でありまして、郵便事業の収益を見せていただくと、全部で二兆円の売り上げ。四千八百億が東京都内。二五%が東京都内に集中しているというのは、一〇%ぐらいの人口のところに二五%ですから、極めて情報集中の東京都だな、こう思うわけであります。そこで上げる利益が一千億以上。大阪、名古屋がべたべた。北海道から東北、北陸、中国、四国、九州、みんな約二割の赤字。
 したがって、一定地域だけやらせてくれよ、そして、先ほど言いました、大きな需要をお持ちの差出人のところだけ行って、東京都内だけ、関東だけ、大阪だけ配らせてもらおうという事業者が出てくると、基本的には地方は五十円のものを七十円、八十円に上げざるを得ない、どう考えても上げざるを得ないということになって、どうぞ全国一体でやってくださいよということが我々の強い要求なわけであります。
 それも、民間業者、クロネコさんは、やれるけれどもやらないと言われた。しかし、そのときの答弁でも数社出てくるだろうと。さあ、数社出てくるとして、それが、とりあえず三万本ぐらい関東、大阪に設置しましたからこれでスタートしますよというのは、認めるのですか、認めないのですか。
團政府参考人 お答えいたします。
 郵便事業は、今先生がおっしゃったような、地域の経済力を反映した非常にアンバランスな収益構造でございます。したがいまして、このクリームスキミングを避けるために、全国において一通からの引き受け、配達を行っていただくということを条件にしておりますので、この一般信書便事業につきましては、一部地域においてサービスをスタートするということは想定していないというものでございます。
川崎委員 時間がありませんので、公聴会で次に出ました四種問題。
 大臣は、もう既に踏み込んで、無料でやる、こう言われている。しかし、我々委員の中に多くあるのは、片山さん、いつまでやられるのかな、かわっちゃったらこれは変わるんじゃないかなという思いがあるのですね。
 そこで、国会の意思というのはどこで担保していただけますか、ずっといけますかという話と、もう一つは、さっきのように、総裁が最終的には運営されていくのですね。そして、総裁が料金の認可をもらって、そこは、ですから総務大臣のチェックも入るわけですよ、もらってこれをやっていくということになる。そうすると、無料化はしますよともう一度言明をしていただくと同時に、そこをどうきちっと担保されていくか、中期計画等を通じて。また、設立委員になるんでしょう、とりあえず、その人たちに片山大臣の意思をどうお伝え願うか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
片山国務大臣 大臣というのは個人ではなくて機関ですからね、機関としての意思は続くんです、これは。継続、安定するわけでございまして、私が言っておりますのは、この国会でのいろいろな議論を踏まえまして、やはり三種、四種の重要性というのは十分認識しておりますので、減免の規定は置いていますよね。ただ、具体的には認可になるわけです。そこで、機関である総務大臣としては、特段の事情の変更がない限り無料を基本としなければならない、無料でなければ認可しない、こういう感覚で対応したい、こういうふうに思っております。いずれにせよ、法律が成立しますれば、早い時期に設立委員さんを決めまして、これですぐ公社移行の準備に入るわけでありますけれども、設立委員の皆様にもその意思を国会の御議論を踏まえてしっかりとお伝えいたしたい。
 我々の方はチェック権があるわけですから、何度も言いますように認可でそこは担保したい、こういうふうに考えております。
川崎委員 これから同僚議員からもう少し詰めが出ると思う。
 私から最後に委員長にお願いしたいと思います。
 普通の独立行政法人ですと、決算をして担当大臣に出す、担当大臣はそれを内閣に送って会計検査院の意見をつけて戻す、一年か一年半後に、国会でいえば決算行政委員会でその審議がされるということになるわけでありますけれども、今回の立法は、基本的には三カ月で総裁は決算をまとめて総務大臣に報告を行う、そして、総務大臣はそれを国会に提出する、こういう規定が特別に書かれております。
 そうしますと、受けた方の委員はどうしますかということが、これは法律で書くのか、我々がどうするのかということを決めなきゃならぬと思うんです。
 理事会で御協議いただいて、法律で決めるということでありませんから、委員長の見解というものを最後にお示しいただければありがたいと思いますので、理事会での協議をお願い申し上げておきたいと思います。
平林委員長 ただいまの川崎委員の御発言は、新しい公社の決算の国会における取り扱いの問題でございます。
 理事会において協議をいたしまして、決算が提出されましたらその決算について当委員会で調査審議をするということにつきまして、理事会協議をいたしたいと存じますので、理事の方々はどうかその点を御了承願いたいと存じます。
川崎委員 では、終わります。
平林委員長 次に、吉田六左エ門君。
吉田(六)委員 おはようございます。日本全国が注視しているというこの公社化に対して、一言質問させていただきたいと思います。
 筆頭理事の川崎先生から大臣に向けて冒頭御質問がありました。大臣の公社化に向けての強い指導力も含めた御発言がありまして、意を強くしております。ぜひひとつその方向でお願いを申し上げたい。
 まず、かかって、ポストに限って御質問させていただきたいと思います。一般信書便事業の参入条件ということでございますが、信書便差出箱、これに関する総務省令の具体的な内容を、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 信書便差出箱についてでございますけれども、これは省令で、まず形状等の基準を定めるということにしてございます。これにつきましては、差出箱の機能として、簡単に壊れにくく施錠可能なこと、それから差し入れ口から信書便物を抜き取ることができないこと、見やすいところに取扱事業者の名称を表示しまして、他の事業者の差出箱と紛らわしい外観を有しないこと、それから利用の可能な時間及び取集の時刻を表示する、こういうふうに利用者から見てわかりやすい、使いやすい基準を設けたいというふうに考えているものでございます。
 それから、次に設置の基準ということになりますけれども、設置の基準につきましては、この法律の趣旨でございます全国の利用者が民間参入の効果を享受できるというための制度でございますので、具体的には、全市町村につきまして一定の人口当たり設置すべき最低限の本数という基準を策定しまして、この基準によって設置していただく。それから、その基準の中におきまして、当該市町村の中でも一部に偏ることなく満遍なく設置していただく。それから、場所としましても、一般公衆が利用しやすい場所に設置していただく。こういう基本的なものを定めて、この基準に合わせていただくことを予定しているものでございます。
 設置数につきましては、資料でお配りしてございますが、市町村を政令指定都市、過疎地などにより五つに区分しまして、人口当たりの設置本数が人口集中度の低い地域に相対的に厚くなるというふうなことを基準とすることを予定しているものでございます。
 この基準の算出につきましては、現在、郵政事業庁が設置しております差出箱がございますけれども、この差出箱も市町村によってかなり疎密がございます。その最も密度が低い水準の市町村と同程度になるということに調整いたしまして、お示ししている基準によりますと、現在の郵政事業庁の設置本数の約六割ということを目安として、結果的に全国合わせますと約十万本、そういう基準を設けたいというふうに考えているものでございます。
吉田(六)委員 ありがとうございました。細かく、現状の郵政事業庁と同水準というレベルで御精査いただいた結果であると思いますものですから、ぜひこれをひとつお守りいただくべく明快に省令に定めていただきたいと希望いたします。
 そして、信書便差出箱以外の引き受け方法に関するこの省令の内容も、コンビニでありますとか、いや、今度はとりに行くんだとかといろいろなことが話題になっていますが、ここのところをひとつ明快にお聞かせいただきたいと思います。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
團政府参考人 お答えいたします。
 百三十年前から、新しくポストをつくってだれもが利用できるようになったというのが新式郵便の始まりでございますので、伝統的にポストの設置というのがやや郵便の常識のようなところがございますが、民間が今度参入をされるということになりますと、そうじゃない方法でもっといい方法があるんじゃないかというふうなこともあれば、別にポスト以外にそれを認めてもよろしいんじゃないかというふうなことでございまして、そういう趣旨から、ポスト以外の引き受け方法に関する規定を設けさせていただいているわけでございます。
 その場合に、その基準を設けるわけでございますけれども、この基準につきましては、新しい提案でございますので、これはパブリックコメントを通じまして関係事業者等から幅広く提案、意見を求めまして、これを公正、透明に策定していくという手続を考えているわけでございます。
 その場合も、この信書便差出箱と同様に、その基準に当たるかどうかにつきましては、やはり、全国すべての地域において一通からでも利用者が随時かつ簡易に差し出す、そういうシステムになっているということ、それから、信書の秘密保護が確実である、これは当然の前提ということでありまして、これに合致するものを募集しまして、この基準としていきたいというふうに考えているものでございます。
吉田(六)委員 全国の業務開始時期、このことについて、一般信書便事業の許可に際して業務開始当初から全国における引き受け、配達を行うというこの条件、屋上屋かもしれませんけれども、機会をあたわったものですから、いま一度このことをひとつ念を押させていただきたいと思いますが、お願いを申します。
團政府参考人 お答えいたします。
 今回の法案におきましては、全国全面参入ということでございまして、すべての信書の取り扱いが可能となる一般信書便事業者というものを予定しているわけでございますが、この事業者につきましては、基本的に、クリームスキミング的な参入は認めないという仕組みで御提案しているわけでございます。ということは、すなわち、全国における引き受け、配達などを条件とするということで法案に明記させていただいているところでございます。
 したがいまして、この一般信書便事業の許可に際しましては、業務開始当初から全国において引き受け、配達を行うという事業計画を出していただきまして審査する、その上で許可するというふうになっておりますし、また、この事業計画に従って、当然のことながら、一般信書便事業者が事業を行っていただくということになっているわけでございます。
 したがいまして、この制度、仕組みからいいますと、一部地域において業務を行うというふうな事態は想定していないというものでございます。
吉田(六)委員 段階的な参入はない、こう明確に御返事いただいたものと理解させていただきます。
 三種・四種郵便物についてでありますが、先人の、本当に我が日本民族のハートを感じるようなこの制度、これを私は強く主張したいと思うんです。農林関係の種まで送り届けることには特別な配慮をしたという、これらも大事なよい制度だったと私は思っています。
 特に、きょうはここで、盲人用郵便物が今無料で配達していただいているということでありますが、公社ということに移行していくわけですけれども、総理大臣、いみじくも、公社にはユニバーサルサービスを義務づけるんだ、こうされておりますけれども、こうした義務感を持ってやるという中に、第四種郵便、盲人用郵便物に対して引き続き無料で配達をしてさしあげる、このことを必ず実行し続けていただきたい。これについて一言、御返事をちょうだいしたいと思います。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 先ほども川崎議員にもお答えいたしましたが、我々は、公社になるわけでありますけれども、盲人用郵便物の役割の重要性にかんがみまして、特段の事情変更がない限り無料を基本とした、こういうことで公社には認可を行ってまいりたい、こう思っておりますが、それでは、なぜ無料にしないんだと。
 今回の公社制度の考え方は、できるだけ自由度を与えて、自律的、弾力的な運営をしてもらう、がちがちの制度にしない、こういうことでございますから、減免の規定は置いておりまして、当面スタートは、我々は無料、こういうふうに考えておりますが、ずっと未来永劫無料を押しつけていくのがいいのかどうか。当委員会でも御議論がありましたように、公的助成というようなことも選択肢であるわけでありますから、こういう特に政策的な、福祉的なことには。そういうことを踏まえて、今回は法律はこの程度にさせていただこう、こういうことで閣法を出した次第でございます。御理解を賜りたいと思います。
吉田(六)委員 大臣、ありがとうございました。
 この質問を用意しているときにはまだ思いそこまで至らなかったんですけれども、きょうここでいろいろとお話を聞きながら感じたことがありますので、一言申し上げます。もし御答弁がちょうだいできれば幸せ、差し支えがあれば、そんな思いでいるんだということをお聞き届けいただきたいと思います。
 民間参入業者が法を犯したとき、郵政監察という、枠の中は監察で取り締まりができるわけであります。ですけれども、民間業者の場合にはどうした対応をするものかな、お考えになっておられるのかな。僕が雑駁に感じるには、総務省はこれを告発するようなことになるのかなと思ったりもしますが、この辺、もし何か御返事がいただければと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 参入した民間信書便事業者につきましては、いろいろな条件とか法律に従っていただくということが大前提でございます。そこにいろいろな問題がありました場合には、当然のことながら、法律に基づきまして業務改善命令というようなもの、その前の注意指導もあると思いますが、業務改善命令、こういうものを行いまして、最終的には許可の取り消しとかいうこともあるわけでございます。そういうことで是正していくということになりますが、何よりも、注意指導ということで、許可の条件等を守っていただくということを最大の眼目にすべきではないかというふうに考えております。
吉田(六)委員 公平な中で競争をする、ひとつこの根本的なことだけは整えていっていてやりたい、そんな思いからであります。
 最後になりますが、私どもは、幼いときから、一番最初に使いにやられたのは、たしか背が届くか届かない郵便ポストへ手紙を入れてこい、このことでなかったかなと今思います。それから長じて、ラブレターを出したりもらったりという、そのときの、いや、私じゃないですよ、一般的な日本人ということであります。そして、生意気になって車などに乗るときになりますと、親から手紙を、六ちゃん、ついでにこれをポストへ入れてらっしゃいと。急ぐものですから、どこのポストだったら、左側を走っていって、そして乗ったまま車からほうり込むポストはあそことあそこならという、そんなふうに、そのジェネレーションジェネレーションでなじんできたポストであります。
 民間が参入し、いろいろな場面が想像されますけれども、こうした我が国、我が民族のよき慣習、これがいついつまでも御啓蒙がいただけるような形で、津々浦々バランスよくポストの配置を監視いただければ、こう思います。
 ありがとうございました。
平林委員長 次に、左藤章君。
左藤委員 では、質問をさせていただきます。
 一昨日、熊本に私も公聴会で行って、いろいろ川崎委員から御説明がありましたけれども、三人ともはっきりしていることは、ユニバーサルサービスは担保してくれ、民間も同じであります、民間が参入していただいてもこれをしてくれと。そして、三種、四種は守ってほしい、そして信書の秘密はどうなるか、こういうことも含めて質問させていただきたいんですが、先ほど大臣、ちょっと気になる答弁をなさったので、ひとつお願いを申し上げたいと思います。
 先ほど吉田委員のお話で、四種の問題、要するに点字物無料化の問題ですが、当面は無料のままでいく、しかし、公社になると自由度があるわけですから、これについては考えるかもしれない、こう言われているわけです。そうすると、公聴会でもお話があったように、今のままでいいじゃないか、何のために公社化するんだ、こういう議論に戻ってしまう可能性があるわけですね。
 やはり弱い方々、不自由な方々、通信教育とかそういうところもありますし、田舎へ行くと新聞が来ないから三種で送ってもらっている、こういう方々がたくさんおられるわけですから、こういう課題に関して、今おっしゃった、将来どうなるかわからぬと言われると我々は非常に納得しがたいということになってしまうので、これはやはりしっかりと立法府として、法律に書くなり、もっと改めた答弁をひとつお願い申し上げたいと思います。
片山国務大臣 現在の郵便局で政策料金をやっておりますけれども、これは変えない、公社になっても我々は認可ということで関与させていただくわけでありますから、この政策料金の重要性にかんがみて変えない、こういうことを言いましたが、未来永劫、永久に固定した制度にするかどうか。
 先ほども言いましたように、そういう政策料金は、将来、私はかなり遠い将来を言っておるわけでありますけれども、公社の経営の大変な負担になるというようなことになれば、政策料金を維持する場合には公的な助成その他という方途も考えられるのではないか。
 そういうことを含めて、現在、がちがちの制度にするよりは、減免はする、こういう規定を置いて、ある程度公社の判断を含めて事を処理した方がいいんではないかという感じで閣法を出させていただいたわけでありまして、それを状況によっては直ちに変えるなんということは、全く考えておりません。
左藤委員 はい、わかりました。
 公的補助をするということになったら、郵便局というのは、ありがたいことに税金も何も、補助もなしでやっているわけですから、やはりその辺はしっかり頑張って、逆に公社を合理化するなりして、そういう方面の担保をしていただきたい、このように思います。
 それと、先ほどの話で申しわけないんですが、團局長にちょっと再確認をさせていただきたいんですが、差出箱及びその他の方法についてどう考えるのか。ざっとアバウトの考え方で結構ですが、公社と同水準でちゃんとしてくれるのか。それが一つ。
 それを担保していただきたいのと、もう一つ、コンビニの話が出ましたけれども、コンビニの内側だったら、入りたくないのに入らなあかんわけですね、言い方は悪いですけれども。ポストはみんな道路側にあって、ぽっとだれにも遠慮せずに差し出すわけです。コンビニに入ったら、何か買わなあかんのと違うかな、こういう話になるわけですから、その辺の考え方をちょっと返事していただきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 ポストを設置する場合の水準でございますが、先ほど申しましたとおり、現在の郵政事業庁の配置状況を参考にして、その水準を配慮して決めていきたいというふうに考えているものでございます。その水準の設定に当たりましては、疎密がありますので、密度が一番低いところに合わせていきたいというふうなことで考えているわけでございます。そこが、お示ししております人口比の本数の考え方でございます。
 それから、先ほど設置場所のことがございました。一般に、民間事業者になりますと公道等の設置は難しかろうというふうなこともありますので、一般の方が使いやすい場所ということで、先ほど申しました、例えばコンビニの前とかコンビニの中とか、いろいろなやり方があろうかと思います。ビル内の郵便差出箱などにつきましては、現在の郵政事業庁も二十四時間利用できないところもございます。確かに、公道等、建物外であれば二十四時間使えるというメリットがありますし、建物の中であれば、閉店時間は使えないというふうなマイナスもございます。しかし、店内でありましても、あるいは時間的な制限がございましても、それを一切認めないということになりますと、かえって設置の普及が進まないということも考えられますので、完全に店内を認めないということもいかがなものかというふうに考えている次第でございます。
左藤委員 團局長のお答えを聞くと、何か参入者のことばかり考えて、我々ユーザーのことをちっとも考えてないのと違うかなというような感じがします。それはちょっと、我々は国民の権利としてそれを使う、民間が入ってきても同じように使う権利があるわけですから。それをきちっと、いいかげんな話になってしまうと、どないしたらいいんだということになってしまうわけですね。
 差出箱の話はありました。その他の手法についてというのはどういうことなのか。これも十分、同水準でいけるのか。もう一回、再度ちょっと確認をお願いします。
團政府参考人 お答えいたします。
 差出箱の設置、それから差出箱以外の引き受け方法ということがございます。いずれも、今案を示しておりますけれども、これにつきましては、パブリックコメント等を求めてさらに固めてまいりたいというふうなことでございまして、現時点の案でございます。
 後段の、差出箱以外の方法ということにつきましては、先ほども申しましたけれども、これは新しいアイデアを募るという考え方でございます。したがいまして、どういうアイデアが出るのかということについて現時点で我々は確たるものは持っておりませんので、これはパブリックコメントによりまして、どういうアイデアがあるのかなということをお聞きしまして、それが差出箱と同様の機能を果たすということであればそれがよろしいんではないかというふうなことでございます。
 いずれにしても、この省令につきましては、そういう透明性を持った手続の中で基準を保ちまして決めていきたいというふうに考えているものでございます。
左藤委員 はい、わかりました。
 それでは、ちょっと質問を変えさせていただきます。川崎委員ともちょっとダブるんですが、もう簡単で結構です、大臣からひとつ御答弁をお願いします。
 信書の定義、そしてガイドラインについてお願いを申し上げたいと思います。そして、ガイドラインは大体いつまでに示されるのか。この件をひとつお願いを申し上げます。
片山国務大臣 ガイドラインは、ぎりぎりと言えば施行前ですよね。しかし、それよりある程度我々はゆとりを持ちたい、こう考えておりまして、成立後、移行のための全体のスケジュールを考えないといかぬのじゃなかろうか、こう思っておりますし、また、参入を検討される民間事業者の立場もありますので、一定のゆとりを持って示したい。ただ、いつまでということは現時点で申し上げられる状況にはない、こういうふうに思っております。(左藤委員「なるべく早く」と呼ぶ)なるべく早くということであります。
左藤委員 定義は。信書の定義。改めて。
片山国務大臣 定義につきましては、川崎委員にお答えしましたとおり、法律の中に定義を書かせていただいて、あと個別具体の適用はガイドラインで示させていただく、こういうことでございますが、一番問題になっているダイレクトメールにつきましては、申し上げました。基本的には今の考え方と同じでございますけれども、例えば公然公知の折り込みや街頭配布みたいなチラシは信書性が薄いんではなかろうか、こう考えておりますし、同じように、クレジットカードや地域振興券も、むしろ支払い手段としての側面の方が強いんで、それに添えるものでございますから、これも信書性がやや薄いんではなかろうかと現時点では考えております。
 いずれにせよ、ガイドラインの概要、基づいた案をつくりまして、パブリックコメントその他幅広い御意見をいただきたい、こういうふうに思っております。
左藤委員 今、チラシ等についてはダイレクトメールであろう、こういうことになっておりますけれども、昭和三十三年の判例とか、それから郵政省が出した「信書のしおり」というのは、ダイレクトメールとクレジットカードは信書になっておった。
 確かに、公然公知のものはチラシと見ていいんだろうと思いますが、クレジットカードなんですね。例えば、私の家の隣が片山大臣のおうちだ、間違ってクレジットカードが来た、これに片山虎之助と書いて僕がばんばん使う、こういう問題だってあり得るわけですね。だから、送る人はそれでいいけれども、もらう人はたまったものじゃないわけですね。逆に、公務員というのは確実に、万が一のことがあったときは、公社ですから何か担保もしなきゃならない。そういう問題もあるし、秘密性もあるわけですね。あそこはVISAを使っている。あれのところには、おれ、JCBを頼んだのにVISAを使いやがった、こういう話は信書の秘密ですとわからないわけですね。ところが、民間は果たしてこの信書の秘密というのをどこまで担保されるのか。そういう誤配とか、いろいろあります。これについて、クレジットカードを信書便としてどう考えるかという問題が一点。
 そしてもう一つ、こういうことに対する郵政監察ですね。郵政省は、全部監察しています。監察局がそれぞれあって、やっているんです。これについてチェックをどこでするのか。今度の法律の中で、郵政監察について、郵便物、もう民間参入していただくのは大いに結構ですけれども、それについての監察、チェック機能というのはどこにあるんだろう、この辺のお答えをお願い申し上げたいと思います。
片山国務大臣 クレジットカードについては、前から議論がございましたね。それで、今までは、なるほど郵政省当時のしおりにはこれは信書だと書いておったと思いますけれども、いろいろな議論、検討の中で、やや信書性が薄いんではなかろうかというのが現在の立場でございまして、これはきのうの総務委員会の理事会ですか、理事懇ですか、そこにもう概要としては出させていただいたわけでありますが、最終的に確定するのは、パブリックコメント等幅広い御意見を聞いた上での判断にさせていただきたい、こういうふうに思っております。
 また、他人のクレジットカードを使って……(左藤委員「いや、間違って、誤配するんです」と呼ぶ)誤配だけれども、自分で誤配をそのまま受け入れて使ったら、これは刑法犯になりますね。(左藤委員「いや、それはわからないでしょう、来た……」と呼ぶ)
平林委員長 発言を求めてください。
片山国務大臣 別のそれは担保、チェックの方法があるんではないかと思いますが、いずれにせよ、少し研究させていただきます。
 それから、監察につきましては、今度公社に変わりますので、我々は内部監察であり、総裁直属であり、独立して業務をやる、こういうふうに考えておりますが、内部監察ですから、あくまでも郵政事業、今度の国営公社郵便事業の中でのことか、こう考えておりますけれども、外部との際どいところもございますので、その辺については一応整理をして、公社発足までに新しい郵政監察のあり方について結論を得たい、こういうふうに思っております。
左藤委員 それは公社の問題で、郵政事業に参入する民間のそういう郵政監察といいますか、それについての考え方をお聞きしたいんです、私は。
團政府参考人 今大臣御答弁されましたように、内部監察というのが基本でございます。新しい信書便事業者、あるいは信書便法、それから郵便法の所管は、これは引き続き総務省ということで分かれてまいりますので、従来は司法警察職員として郵便法違反の摘発等もやっていたわけでございますが、大臣申されたように、多少の整理が必要でございます。今度は事業を行う公社の監察でございますから、そこが直ちに競合相手の摘発までやってしまうのはいかがなものかということがございますので、その所掌はむしろ総務省なり一般の司法を中心として行う。ただ、情報提供等はこの監察が行うこともあり得べしというふうに考えているところでございます。
左藤委員 もう時間なのでやめさせていただきますけれども、改めてユニバーサルサービス、そして民間が参入しても三種、四種についてはひとつ、公聴会、本当にすごい意見でございましたので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 以上です。
平林委員長 次に、松沢成文君。
松沢委員 この関連法案について四度目の質問になりますので、もう総務大臣もかなり私の質問に飽きてこられたと思いますが、あと一時間、よろしくお願いいたします。
 まず、信書の定義のあり方については、この委員会でも最も大きな議論を呼んだ一つのテーマであったと思います。それで、これについては、できるだけ民間にもやってもらおうという考えの人も、あるいは公社の経営をここは大事に考えようという人も、両サイドから、大臣にとっては、信書の定義というのはしっかり決めないとだめだというふうに言われてきたわけですね。ですから、本来であれば、ここは非常にあいまいな形だと民間業者も判断できないわけだから、きちっと法案に、今ある文書としての定義じゃなくて、具体的に何が信書で何が信書でないかということもきちっと法案に入れるべきだというのが両サイドから意見としてあったわけであります。
 それに対して、非常に信書の定義を細かく法案に書くというのは難しいんだ、逆に基本的なところを書いておいて、何が信書で何が信書でないか、そういう列挙についてはしっかりとガイドラインを設けてそこに書くから、そういう方法でやらせてほしいというのが大臣の答弁だったわけですね。
 そこで、「信書の定義に関する政府の考え方」というペーパーが出てきました。私、これを読んでみて全く理解できないなと思ったのは、まず、一のところは、信書の定義はこういうふうに今回はしましたよと。
 二のところに、「この信書の定義規定に基づき、信書の概念への個別具体的なあてはめについてできるだけ分かりやすく示すために、関係者から様々な事例についての照会や意見を求めた上で、法案成立後施行までの間にガイドラインを作成することとしている。」と。要するに、いろいろ信書の定義ではもめてきたので、関係者からよく意見を聞きます、また、専門家にも意見を聞いて、その上で決めて提示しますよと二で言っているわけですね。
 ところが、今度、三になると、いよいよ問題になっていたダイレクトメールについては、「その内容が公然或いは公開たりうる事実のみであり、もっぱら街頭における配布や新聞折込を前提として作成されるチラシのような場合には、それが差し出される場合にも」云々ということで、かなり断定的に、ダイレクトメールでチラシやビラのたぐいはこれは信書じゃないというふうに決めているんですね。方向性を決めちゃっています。それでまた四番では、これまた民間事業者との間で今まで信書論争があったクレジットカードや地域振興券、これについては、これは信書じゃありませんというふうにほぼ明言されちゃっている。大臣、こういうのをダブルスタンダードと言うんじゃないでしょうか。
 信書の定義についてはさまざま意見があるから、これから関係者の意見を聞いて慎重に決めていきますよと言っておきながら、それだけだと法案が通らない、双方から文句も言われる。だから、問題になっているところは、一番これは問題になっているところですよ、むしろここの問題で意見を聞いて、どうするか決めなきゃいけないところに関して、もうこれは、クレジットカード、地域振興券は信書じゃありません、あるいはDMについても、この部分は、ここまでが信書でここまでは信書じゃありません、ほとんど断定的に答えちゃっている。
 これじゃ、これから意見を聞いて、では、この方向変わらないですね。こういうのをダブルスタンダードと言うと思うんですが、大臣いかがですか。
佐田副大臣 質問通告も受けておりますので話をさせていただきますけれども、先般の理事会でこの文書を出させていただいたわけでありますけれども、先ほど大臣の答弁にもありましたように、あくまでもガイドラインにつきましては施行までの間に確定をしてやっていきたい。ただ、なかなかそういう基盤になるものがないということで、考え方の基本を出させていただいた、こういうことであります。先ほど申し上げました、要するに、今まで非常にいろいろな議論がありまして、信書の定義、それは昭和三十三年の判例、もう言うまでもありませんけれども、特定の方に対する事実であるとか意思を伝えるということでありますけれども、そういうものに対して基本的にどういう解釈がされるかということは、いろいろな議論があったわけであります。
 そういう中において、今お話がありました、例えばダイレクトメール、これにつきましては、広く、そしてまたその外形を見て基本的には信書として判断をしてきたわけであります。そしてまた、今、四のお話が出ましたけれども、例えばクレジットカードであるとか地域振興券、この辺につきましては、これも先ほどの答弁にありましたけれども、要するに決済性が非常にあるものですから、その中におきまして附帯しているいろいろな文書がありますので、添え状というふうな形で判断もできるんではないかということでここに書かせていただきましたけれども、これからいろいろな、パブリックコメントであるとか事業者の皆さん方の御意見も聞いていきたい、こういうことであります。
松沢委員 佐田副大臣は、信書の問題、今回専門家になったと思うんですが、うちにも中村君という専門家がいますので、この中身の、具体案については中村君に譲りたいんですが、私が言いたいのは、結局、こうやって、要するに大臣なり副大臣の、省庁あるいは官僚の裁量で信書の定義というのはどうでも動かせるということを証明しちゃったわけですよ、今までのをがんと変えちゃうわけだから。これこそ官僚の裁量権が暴走しちゃう可能性があるということをまざまざと今回のこのペーパーで見せちゃったんですね。
 簡単に言えば、この信書便法案を通すには小泉総理の意向が大事だ、余り反対し過ぎると、ぶち切れちゃって解散か何かされたらたまらないということで、小泉さんが言っているクレジットカード、地域振興券あたりはきちっと外すと言っておかないと、これはもう小泉さん怒っちゃうなと。しかしながら、抵抗する人たちもいます。その人たちにしてみれば、ダイレクトメールも一緒に外せとなっちゃうと、これはまた大変だ、この法案はまたぶっつぶれちゃう。だから、ダイレクトメールについては、両方がどうにか満足してもらえるような妥協案を図って、チラシ類は信書じゃありません、でもそれ以外はやはり信書だ、基本的には信書だと書く。こうやって政治的な決断をして、この結論を導き出しているわけですね。
 ですから、簡単に言えば、政府の側がこの法案を通すために、推進勢力と抵抗勢力、両方をはかって、通させていただくためにこうやって信書の定義をどんどんつくっていける、これを証明しちゃったわけですよ。もしそうなるとしたら、こういうことがあるから、民間事業者にしてみれば、こんなのは危なくて入れないとなるわけですよ。
 例えば、総務大臣が、今度内閣改造があって、かわる予定かわかりませんが、かわられて、その次の総務大臣に、例えば荒井代議士がなったとする。荒井代議士の持論からしてみると、DMは絶対信書だ、もう一回クレジットカードも信書にしちゃえ、これは変えられるということを示しちゃっているわけですね。
 では、その次に、総選挙があって政権交代がある。政権交代があって民主党が政権をとって、万が一私が総務大臣になったとしたら、私は、民間参入大賛成ですから、民間で運べるものはできるだけ民間にやらせてあげるという考えですから、DMは信書じゃない、クレジットカード、地域振興券、当然信書じゃない、そんなものガイドラインを変えれば済むことじゃないか、こうやってガイドラインの定義がころころ、官僚、政府の裁量によって変わるということを証明しちゃったんですね。
 一事が万事こういうことだから、結局、民間事業者としてみれば、こんな官僚の裁量を残した法案じゃとても入る気がしない、入ったってまたいじめられるだけだと。ですから、こういうことになっちゃうんじゃないですか。
 総務大臣、この考え方というのは、官僚の裁量で幾らでも信書の定義が変えられるということを示しているんだと思いますけれども、これはいかがですか。
片山国務大臣 行政というのは、役所というか行政機関の恣意的な裁量で左右されるものじゃないんですよ。あくまでも、法治国家でございまして、法律や政令や、その法律や政令の具体的な執行に当たってのいろいろなもので進められるわけでございまして、例えばこの信書の定義も、どういう仕分けをするかは、それなりの客観性、合理性、公正さがなければ、これは受け入れられませんよ、今の民主主義の世の中で。勝手なことを総務省が決めてこれで押しつけたって、それは国民が納得しない、国会も納得しない。我々は、そういう意味で、何が公正で何が客観的で合理的かという判断を求めている。
 ただ、信書性も、信書も時代によって変わってくるのです。昔のと今のいろいろな信書と、私は、こういうIT時代にどんどん変わってきて、大量にいろいろなものが出てくる、広告が優先するような時代になってくると、信書そのものの性格も変わってくると思うのです。そういう中で、一番いい、国民の納得するような判断をいたしたい。
 そこで法律に書けと言われるんですが、書き切れません、あらゆるものを。しかも、これから新しいものがどんどん出てくる、いろいろな知恵があって。そういうことを全部固定的な法律で書いてフォローするということはできない。そこで、法律は基本的なことを書いて、あとは、具体の判断はガイドラインという形で示させていただこうと。しかし、最終的な判断は、松沢委員には釈迦に説法ですが、最終的には司法ですよ。信書かどうかの判断は、最終的には司法の判断、裁判所の判断になるわけでありますが、一次的には我々が、幅広く国民の皆さんの意見を聞いて、現在の時点における信書というのはどういうものか、こういうことの集約をして、集約的な意見をまとめて、これが信書ですということをお示ししたい。
 今書いているのは、これはパブリックコメントにかける、あるいは広く御意見を聞くための原案ですからね。例えばチラシは、今までは信書ということを言ったかもしらぬけれども、今の時代では信書でないという方が国民の理解が得られやすいんではなかろうか。クレジットカードや地域振興券も、その時点では信書だった、しかし、今の時点でもう一遍きっちり考え直してみると、信書性が薄くなっているんではなかろうか。
 最終的には国民の皆さんの意見を聞いて判断をしていきたい、こういうことでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
松沢委員 いつも大臣の雄弁に惑わされちゃっているんですが、もし、客観的に、合理的に、公正にというのであれば、それこそパブリックコメント、あるいは専門家の意見を聞いて、その上で最終的に決めるべきなんですよ。それなのに、今回、こんなままじゃ、はっきりさせないと通らないぞというと、恐らく、大臣か副大臣かわかりませんが、これを通すためにはどうしたらいいだろうと、鉛筆なめなめ、両方に納得してもらうために、こうやって極めて裁量権を駆使して文書が出てくるということ自体、私は大変おかしいと思っていまして、これは押し問答になりますのでこの辺にいたします。
 それで、次に、信書の定義ではなくて、ユニバーサルサービスの中で料金の問題がありました。基本料金を八十円以下にするという規定が法律の中に入っていたと思うんですが、この基本料金八十円ですが、今、郵便料金の中でさまざまな割引制度というのをやっていますね。
 例えば、郵便局に大量の差し出す封筒を持っていってやると、何通以上かわかりませんけれども、十円ぐらいたしか割引があって、またその割引を、例えば各あて名地域に割り振って持っていくと、また十円ぐらい割引になるんですね。それは恐らく、郵便局での手間が省けるからということだと思います。そしてまた、大量のメールをそうやって出していただければ、非常にありがたいということだと思うんです。
 では、この割引制度というのは、民間業者が参入する場合も自由にやらせるんでしょうか。あるいは、今後公社になって、民間業者が参入した場合は、料金もある意味では競争になりますから、公正な料金体系が必要だと思いますが、公社の割引制度というのも、今のとおり続けるんでしょうか。
團政府参考人 料金についてのお尋ねでございます。
 確かに現在、ちょっと今正確なデータを持っておりませんが、郵便におきましても、御指摘のとおりいろいろな割引をやっております。例えば、市内特別郵便というのは、一つの配達局で、ほかの局に行きませんから、御指摘のとおりその分安くするとか、あと、区分を済ませてくれば、手間がかかりませんから、コストに応じた割引をしているという考え方でございます。
 この考え方は、先ほどの八十円の規制の関係で御発言がございましたけれども、八十円というのは上限でございますので、郵便局と同様とは申しませんけれども、そういうコストとかサービスに見合った割引、これは八十円が上限でございますので、幾ら安くてもいいということでございます。合理的な割引につきましては、料金は事前届け出制で済みますので、これは認められるというふうに考えております。
松沢委員 では、割引制度は認められるということですね、民間事業者も含めて。わかりました。
 それで、その中で、先日私がこの委員会の場で切手制度についての御指摘をさせていただいて、切手類によって物品購入が行われているんではないか、そのことを調査してほしいということを申し出ました。それで、郵政事業庁の方で、緊急に調査をしていただきました。その調査結果が届いております。
 これに関して、ちょっと確認の意味で二、三質問させていただきたいんですが、今回は、時間がなかったので、百二十三局に調査をかけたと。いわゆるK価格、切手で物品を購入するためのカタログに示されたK価格での切手支払いというのは、調査の百二十三局ではなかった。しかし、このパンフレットをつくった業者に確認すると、東北郵政局管内の二局から三、四万程度の切手購入の事実はあったと業者は言っている、こういうのが出ていました。それで、これを調べている中で、切手での購入はないけれども、いわゆる官製はがき、要するにはがきに切手が印刷してある官製はがき、この官製はがきで物品を購入したという例が六局見つかったと。
 これは、業者の言も含めますと、切手で購入していたのが百二十三分の二、はがきを使って購入していたというのが百二十三分の六。恐らく、当局側は、二局しかありませんでした、はがきの方も、ちょっとあったけれども、六局でした、ほとんどやっていませんという思いを込めてこの報告書をつくったと思うんですね。
 ただ、何せ分母が百二十三でありますから、もし百二十三局のうち二局で切手購入があった、これを、二万五千はちょっと多いかもしれませんが、その二万五千全体にしてみると、やはり四十局前後と、数字的には、比例配分すればなるわけですね。六局がはがきを買っていたとすれば、百二十局程度になるわけです。ですから、全体からしてみて、四十局、百二十局、微々たるものじゃないかと判断するか、やはりこういうことが……(発言する者あり)四百か、失礼しました、ちょっと算数を間違えました。四百だって、これは大変なことになる。これだけの四百近い数で行われている可能性もあるわけですね、確率の問題でありますけれども。そうであれば、これは大変なことであります。
 この局については、これからきちっと今後の是正措置もするということでありますが、まずお願いをしたいのですが、この百二十三局ですが、今後、全郵便局で、切手並びに官製はがきで物品を購入したことがないのか、それを全部調べていただくと、確率の計算をしなくても今の郵便事業でのその実態がわかるということになるわけですが、郵政事業庁、いかがでしょうか、今後の調査、全局でやっていただけるんでしょうか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 今後の調査の予定についてのお尋ねでございますが、その前に、ちょっと一点だけ申し上げたいと思います。事前に御説明させていただいたんですが、私の方で、きちっとお話をしづらかったタイミングだったからかもわかりませんが、ちょっと誤解がありましたので正させていただきます。
 業者から話がありまして、二局、例の割高のK価格で売ったことがあるという話がありましたのは、調査対象の百二十三局の中にはございませんでした。それは、業者が、ほかにそういう記憶がある、ただし、どの局かというのは、今残っていないしわかりませんという話だったんです。それは、松沢先生御指摘の、その他の局の今後の調査の中で、私どもそういう意識を持って点検したいと思っております、それにつきましては。
 それから、六局というのは、先般の委員会で先生が御提起されましたカタログの業者ではなくて、調査の過程で偶然ほかの業者と取引のあることを聞き及んだものですから、そういうことで、別の業者なんです、それが六局。それは、はがきでございます。はがきが中心でございます。
 それで、お尋ねのことでございます。
 今後の業務考査それから会計監査できちっと把握はしていきたいというふうに思っておりますが、ただ、事前に業者名だとか何かありませんと、実際の手続を申しますと、現金で支払われた、それから、はがきや切手の売り出しがあるという形で残っておりますので、帳簿だけからではすぐにはわかりませんので、業者と取引があって、その出入りの関係をよく見ませんと、監察官等がそういう目で見て、端緒で聞き出していくという対応をしておりますので、いずれにしろ、きちっとやっていきますけれども、また、そういう中でK価格という不適正な割高で取引する例がありましたら、きちっとした厳しい処置はしていかざるを得ないと思っておりますが、いずれにしろ、全局についてやっていきたいというふうに思っております。
松沢委員 では、その調査結果をぜひとも総務委員会に出していただきたいというふうに思います。
 そこで、先般、この切手の議論のときに、郵政企画管理局長の方から、一般事業者がもし参入する場合に、この切手制度に似たような制度を導入してできるのか、それは一般事業者の裁量で自由にできると思います、このような答弁をいただいたんですね。
 それで、その場合は、これは切手の場合は、ある意味でプリペイドカードと似たような、金銭を扱う、政府が発行する証書でありますから、民間業者もそういう同じシステムを使うわけですから、何らかの規制が必要である。そうすると、この民間業者が発行する切手に似たようなシステムは、いわゆるプリペイドカードとかあるいは国鉄のイオカードとか、こういうたぐいのものを規制した法律である前払式証票法で対応するということになるという判断でよろしいんでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおりだと考えております。
 つまり、信書便法案におきましては、決済方法につきましては特に規制をしていないということでございます。郵便事業の場合は、切手の発行が義務づけられております。そういう義務づけはしていない。しかし、発行してはいけないということもございませんので、これはどういう決済方法をとるかということは決めていただく。ただ、信書便約款におきましてその利用関係を明確にしていただく、それだけの義務づけにしてございます。
 一方、御指摘のとおり、証票類の発行に当たるというふうには考えられます。したがいまして、仮に信書便事業者が切手あるいはこれに類するものを発行する場合には、これは前払式証票法の適用を受けることになるというふうに考えております。
松沢委員 私もこういう法律を初めて調べてみたんですが、この法律の第十三条の「発行保証金の供託等」という項目があるんですね。そこに、「当該基準日未使用残高の二分の一以上の額に相当する額の発行保証金を当該基準日の翌日から二月以内に主たる営業所又は事業所の最寄りの供託所に供託しなければならない。」こういう規定があるんですね。つまり、切手みたいなものを民間業者がつくったとして、それの未使用の残高の二分の一の額を供託しなければいけない。
 ですから、民間事業者は新たな負担がここで生まれるんですね、供託をしなければいけないという負担が。ですから、これは今まで議論されてきた、公社と民間業者とのイコールフッティングの問題で、また新たな負担が民間参入業者に課せられることになるわけだというふうに私は判断します。
 そうしますと、公社は国から独立して企業会計でこれから事業を行っていくわけですよね。これはまた法改正が必要だと思いますが、公社の切手制度というのもやはり前払式証票の中に入れて、公社も、民間事業者と同じようなシステムでやるわけですから、その負担を行うべきと私は考えますけれども、局長はいかがでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 前払式証票法の趣旨でございますけれども、これは金融庁の所管でございますが、我々の理解するところでは、プリペイドカードなどの発行を行った場合に、この発行者が破産するというようなことがありますとカード購入者が不測の損害をこうむるというようなことから、こういうカードの購入者を保護する観点から、一定の金額の供託義務を課しているというふうに理解しているところでございます。
 一方、郵政公社でございますけれども、これにつきましては、他のこういう法人と同様に日本郵政公社法によって監督されて、郵便法の切手の規制もございます。それで、国営で行われる事業ということでございますので、民間事業のように破産、倒産というものを前提とした制度ということにはなじみにくいんじゃないか。従来とも、また今後の公社におきましても、そういう制度、仕組みから、この前払式証票法の適用にはならないというふうに考えているところでございます。
 イコールフッティングというお話がございますけれども、郵政公社の義務づけ、これはユニバーサルサービスの義務づけの程度も相当に違いますし、郵便切手の発行義務もございます。そういう条件の違いから、こういう前払式証票法の適用の違いというものはやむを得ないのではないかというふうに考える次第でございます。
松沢委員 国の全額出資の法人というのは、前払式証票法の対象外のようなんですね。今の法体系では仕方がないと思います。
 もう一点切手についてお聞きしたいんですが、先般も私指摘させていただいたように、いわゆる記念切手、特殊切手、これの乱造というか乱発が目に余る。これは、記念切手は売ったが勝ちですから、シートにして売って、それで、ほとんど使われないだろうという発想のもとに、売れば売るほど郵便事業の収益が上がるということでこれまで乱発してきたんですね。これはもう途上国並みであります。日本は、特殊切手、常に上位五本の指に入っているんですね。途上国の目的は外貨を稼ぐことでありますけれども、日本の場合は郵便事業の収益を上げるためにとにかく乱造して売りまくる。その結果どういうことが起きたかというと、額面割れであります。コレクターからは、今、日本の切手制度は何なんだということで文句が出ているわけでありますね。
 そこで、これまで国営の郵便事業であったならば、さまざまな国の記念とか、あるいはさまざまなイベントで切手をつくって発行するというのは一つの国の役目でもあったというふうに思うんですよ。ところが、今度、独立採算で独立して企業会計でやる。それで公社という新しい、ある意味で国営企業になったわけでありまして、この国営企業が切手を、特に特殊切手を乱造する、乱発していくということを続けていいものかどうか。
 今後この特殊切手の発行のあり方について、公社になった暁にきちっと対応されるということがなければ、コレクターは本当に怒り心頭で、日本の切手制度も私は崩壊していくんじゃないかと思いますが、その辺は何か方針があるんでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 そういう特殊切手の発行方針、これはやはり新しい公社において決められることになるだろうと思いますが、記念切手というものは、いろいろな行事の周知とか寄附金を集めるとか、そういうこともございまして、やはり大きな意義はあるんじゃないかというふうに考えております。
 ただ、御指摘のとおり、収集家の間ではちょっと最近乱発ぎみじゃないかという声もありまして、切手についてはいろいろな意見がございます。専門家の方からも一般の方からもございます。
 現実の数字でございますけれども、十二年度では七百億程度発行いたしておりますけれども、これは、二十世紀記念切手というようなシリーズを出したということもありますが、多少増発行ぎみになっておりましたので、最近においては少し抑制ぎみに発行しているという実態はございます。
 いろいろまた幅広く御意見を伺いながら切手というものは発行していくべきものだというふうに考えております。
松沢委員 ぜひとも公社になった暁には、きちっとした国民に理解される特殊切手の発行の形態を目指していただきたいと思います。
 次に、ユニバーサルサービスの規定について、これまた政府の方からも基本的な考え方の提示がございました。そこで、先ほど来お話がありますけれども、ポストの設置義務について御意見をお聞かせいただきたいんです。
 郵政公社と同水準にする、市町村ごとに最低設置数をしっかり決めていきますということですね。この計算によると、新規参入業者は最低十万本ぐらいのポストを設置するということになるかと思います。現状では、こういう厳しい参入条件のもとでは参入するという一般信書便事業者はないわけでありますけれども、仮に将来あらわれたとして、例えば単純に、今公社は約十八万本のポストがある、それにもし二社参入したら、では、あと二十万本のポストができるわけですね。町の中あるいは室内かもしれません。
 この日本に現状十八万本のポストで、そんなに私は不便は感じていないというふうに思います、今は手紙を出す人自体が少なくなってきているから。ポストがなくて困った、とにかくポストをたくさんつくってくれという要望がそんなにあるのか。将来二社入ったとしたら三十八万個のポストが町の中にあふれる。それもほかの社とは区別できるようにするということですから、郵便がオレンジというか赤をとっていますから、では例えば、A業者が入るとしたらうちは青だとか、B業者が入るとしたらうちは黄色だとか。それは町が赤青黄色の信号みたいにきれいになるかもしれませんが、これは私は、過重投資というか二重投資、三重投資、やはり社会資本のある意味でむだな設置とも考えられるんです。この基準に従っていきますとこういうことが起こり得ると思うんですが、いかがでしょうか。
團政府参考人 お答えを申し上げます。
 算出して十万本というふうなことで今考えているということで、これもまたパブリックコメントに出す案でございますけれども、そういうふうに考えております。多いか少ないか、いろいろ議論はございますが、今の郵便事業におきましても、ポストの設置を要望する声が結構ございます。また、人口が減りましてもなかなか撤去は難しいという状況もございます。この十万本につきましては、先ほど申しましたように、公社並みといっても公社の一番薄いところということになりますから、結果的に六割程度というふうに考えております。
 多いか少ないかという議論はございますが、我々が考えた一つの数字としましては、現在、宅配便の事業者がいらっしゃいますけれども、取次店というのがそれぞれ第一位の事業者が三十一万とか第二位の事業者が二十二万とかいうふうにありますので、例えばそういうところ、三十万であれば、そのうちの三軒に一軒ポストを置かせていただくということについてはそう無理がないんじゃないのかなというふうな気もいたしております。
 十万本というと多いようでもございますけれども、さていろいろな実感はあろうかと思いますが、そういう現在の宅配便というシステムができた中での数としてはそう過重でもないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
松沢委員 これは信書の秘密がしっかり守られるかということでこのポストの問題も関連していると思うんですが、信書の秘密というと、例えば封書の中を見られないという意味で信書の秘密が守られるかということと、あと投函のときに秘密性が保たれているか、だれかに監視されていないかという、ここの投函の秘密というのもあるわけですね。
 そこで、先ほど来質問が出ていますが、例えばコンビニだとか、あるいはお米屋さんでもいいです、いわゆる民間業者が取扱所として、多いところは三十一万カ所、業者で持っていると思います。だから、そういうコンビニのカウンターの横に簡易ポストを設置する。コンビニにしてみても、ポストに入れに来る人がまたコンビニで何か買っていってもらえばいいから、これはお互い業者同士の取引が成り立って、うちに置いていいですよということになると思うんですが、そういうカウンターの横に簡易ポストを置くということは投函の秘密が守れないという判断も成り立ちますけれども、コンビニ内に簡易ポストを置くということはそういう観点からしてよろしいんですか。
佐田副大臣 先生の言われるとおりでありまして、基本的に差出箱につきましては、随時、簡便ということと、今言われましたように信書の秘密が確実に守られる、このためにはやはりそれなりにポストが堅牢でなくちゃいけないわけですね。そういうことを含めて、取次店に設置するということが今言われたような形になってくるんじゃないか、こういうふうに思っております。
松沢委員 では、コンビニの中でカウンターの横に簡易ポストがあってもそれはオーケーなんですね。
佐田副大臣 それで結構です。
松沢委員 さて、ちょっと発想を変えて、ポストを各参入事業者すべてにつくらせるというのは、先ほど言ったように、ある意味で過重投資になる可能性もあると思うんですね。そこで、今ある郵便局のポスト、これは郵政公社のものだというよりも、これまで国営の郵便事業で、ある意味で公金によって投資をされてつくってきたものでありますから、そういう意味では国民のものというふうにも判断できると思うんですね。そうであれば、この今ある十八万本の既存のポストを有効利用しようと考える考え方があっても私は当然だというふうに思うんです。
 ヤマト運輸の元会長の小倉さんが論文を、対談を書いておりまして、その中で非常におもしろいアイデアを言っていたんですね。
 例えば、ヤマト運輸は黄色い封筒をヤマト定形封筒とします、その中に自由に信書なりを入れてくださいと。それを既存のポストを利用させていただいて、郵便局の信書を利用したい人も、あとヤマト運輸の黄色い封筒で信書を利用したい人も既存のポストに入れる。集めるのは郵便局の局員さんです。集配局に行って、そこで、ヤマトの封書は色もわかりますし大きさも決まっていますから、すぐ仕分けられます、すぐ勘定ができます。そこでヤマトはその黄色いヤマト用の封筒に入った信書をいただいて、ヤマトのシステムに乗せて、今度輸送して配る方はヤマトでやらせていただきますと。しかし、集める方は郵便局のポストと郵便局員さん、収集員さんにお世話になるわけですから、そこで委託料金みたいなものを払う。例えば六十円をヤマトの基本料金にしたならば、そのうちの十円は郵政公社に払うというようなシステムも考えられるんじゃないか。
 結局、ポストの過剰投資も避けられますし、ヤマトの方は、一軒一軒、一通集めるだけの、それだけの手間というか、力はないわけでありますから、既存のポストを、逆にお金を払って利用させていただく。これは郵政公社にとっても決して悪いことじゃない、その料金設定が難しいと思いますけれどもね。
 私は、それこそ民間と、あるいは公営の郵政公社が、ある意味で共存できるというか、協力し合って、より広い選択肢を利用者に提供するという方向もかなえられるんじゃないかと思いますが、こういうアイデア、私は望ましいと思いますが、いかがでしょうか。
團政府参考人 お答えいたします。
 そういうお話はいろいろなところでございまして、確かに郵便局というものは郵便局員のためじゃなくて国民共有の財産でございますから、有効活用できればそれはいいということが一般的な原則だろうと思います。
 ところで、電気通信なんかの場合にも、接続ポイントを設けまして、市内回線を使わせるということで接続料をとっていく、そういう類似のことでお考えかというふうに思いますが、郵便がちょっと違いますのは、私も昭和四十九年に郵便課長をやりましたけれども、郵便で一番大変なのは波動性でございます。それからスピードでございます。つまり、ある時間で集めて持ってまいりますが、その後なるべく早い時間に、輸送の車が来ますから、それに積まなくちゃいけない。物すごく限定された時間で集中処理しなくちゃいけない。そういう中で日々大きな変動がございますので、一番労働力が不足する時間でもございます。したがいまして、そのスピードの管理をやるために、部数の予測、そういうものをどうやっていくかが非常に難しいということが一つございます。
 それからもう一つは、カウンティングといいますか、何通来たかということの把握でございますけれども、通信の場合はアクセスポイントをつくりまして、そこでソフトを入れればこれは通話数が自動的に出ますので、ソフトの改修だけでカウントができます。ところが、郵便につきましては、いろいろな種類がございますし、そのカウントが非常に難しいということがございまして、なかなか、概念としてはなるほどというところはございますけれども、郵便のシステムと特性からいってかなり難しいのではないかというふうに考えているところでございます。
 この件につきましても、民間参入の研究会の中でも多少議論になったようでございますけれども、一つは、参入で想定されている事業者さんの方からも、こういうふうにやりたいという具体的な提案もなかったようでございまして、突っ込んだ検討には至っていないというのが現状だろうと思っております。
 したがいまして、当面、今の仕組みでは難しいのかなという感じを持っているところでございます。
松沢委員 現状ではその程度しか答えられないと思いますが、これは、あくまでも民間業者に条件をつけて、全部独立で参入するというのではなかなか難しいと思いますので、既存のそういう資本を共有して、民間と逆に協力しながら選択肢を広げていくという方向も今後模索していっていただきたいと思います。
 さて、最後にこの問題で大臣に伺いたいんですが、今のところ、一般信書便の方では、民間業者、この厳しい条件ではとても入れないということで、参入意思を示しているところはありません。特殊信書便の方では二、三検討しているところがあるようですが、この法案のメーンは、やはり全国でやる一般信書便業者だと思うんですね。
 さて、例えば一年間たっても全く参入業者はないということであれば、この法律自体が無意味になってしまうんですね。ユニバーサルサービスの義務を負って、民間事業者の参入を求めて、それでサービスの向上、安い料金、そして国民に選択肢を広げるというのがこの法案の目的ですから、一年たっても二年たっても全く業者の参入が見込めず、その目的が果たせないという場合には、当然この法律を見直すべきだと思うんですね。
 大臣、この法律は、一年後なり、あるいは最長二年でもいいですが、どこも一般信書便業者の参入がなければ、もう少し入りやすいように見直していく、私は、こういう方向が必要じゃないかと思いますが、その辺は大臣はいかがお考えでしょうか。
片山国務大臣 我々は、世界でも例のないような、最初から全面参入、ただしユニバーサルサービス確保、こういう条件をつけての今度の制度を、公社化研究会の御提案もいただきましたが、まとめたわけでありまして、そういう意味では、意欲的な民間事業者にぜひ入ってきていただきたい。そういう意味での有効な競争をやっていただいて、国民へのサービス向上を図っていただきたい、こう思っております。
 現在のところ、それではやろうというようなお申し出はないように我々も承知いたしておりますが、ただ、特定信書便事業の方は、これはもう何社か、既にいろいろな御研究を始めているようでございます。いろいろな意味でこっちの方が入りやすいんですね、もう松沢委員御承知のとおり。最初から全国で全面参入なんていうのは、これだけの大きな国で、それは普通の民間事業者ならちゅうちょしますよ。はいはい、入りますという方が、やはりそれは大変なんですよね。小さな国で、ニュージーランドやデンマークや、そういう国なら、私は、あるいはそういうことのあれもかなり実現性が高いと思いますけれども。
 そういう意味で、今度大体制度の全容が固まっていきますし、ぐあいがわかるわけですから、関係の民間事業者の方には引き続いての前向きの御検討をお願いいたしたい、こう思っておりますけれども、それだから、この条件をどんどん緩めていく、バナナのたたき売りみたいなことは、なかなかそれは難しいと思います。
 いずれにせよ、この法律の附則に、委員御承知のように、五年たったら見直せ、こういうこともありますので、別に五年でなくても見直すことにはやぶさかではございませんから、状況に応じてさらに見直し、検討をしていきたいと思っております。
松沢委員 これは、公社化法案の方の修正の条項についてお伺いをいたしたいと思います。
 その第一点目に、全国あまねく郵便局をつくるんだということをきちっと法案に盛り込んだわけですけれども、この「あまねく」という言葉が非常に抽象的でわかりにくいんですが、全国あまねくとはどういう定義なのか。あまねくじゃなくなるのは、どういう状況があまねくじゃなくなるのか。それについてはいかがでしょうか。
八代委員 平仮名で「あまねく」でございますので、非常にわかりやすい言葉だろう、このように思います。
 とにかく、日本は、国土形成全般を見ましても、遠い山の中に住んでいる集落もあれば、あるいは離島というところもあれば、しかしそこが、公社化になって、あるいは民間参入によって、ユニバーサルサービスという基本原則が衰退していくようなことになっては、百三十年の文化、歴史と言われるこの郵便というものが非常に形骸化されていってしまうという思いで、やはりどんなところにどんな人が住んでいても、そこには必ず町の声が、村の声が届いていく、こういうことの原則論は、やはりこの郵便事業の中では、ほかの公社化とかあるいは民間とかというものとは違った、心と心を結ぶ、そういうものでございますから、ここは原則論としてやはりあまねくということをやっていきたい。
 かつて、テレビとか、あるいは例の放送法のときにそういうことが、電波があまねく津々浦々に放送されるようにというような言葉がございましたから、非常にこれも法律語としてはひとり歩きをしてしっかりしているという感じがいたします。したがって、あまねくでございます。
松沢委員 本当に抽象的でわかりにくいんですが、例えばポストのように人口基準があれば、何人以上いたら一つ郵便局がなきゃいけないというのは非常にわかりやすくなりますね。あるいは地域基準みたいなものがあればいいんですが、そういうものを全くなしに、とにかくあまねくだ、あまねくだと。そこらじゅうにつくれと言っているんでしょうか。そこらじゅうの郵便局が大事だと言っているのかわかりませんが、この言葉というのは非常に理解が難しいと思うんですね。
 さて、八代代議士も以前郵政大臣をやっていたので実情は知っていると思いますが、あまねく置かなければいけない郵便局が、この十年間をトータルしますと徐々に減っているんですね。一九九一年から二〇〇〇年の十年間に、特定局では百七十九局が廃局になっている。そして、簡易局では二百五十局が廃局になっているんです。ただ、特定局がなくなった近くに簡易局ができている、あるいは簡易局がなくなった近くに新たに特定局ができているというのもありますから、だから増減両方あるわけですね。ただ、トータルでやはり二百五十局ぐらいの郵便局がこの十年間でなくなっているんですね。
 これは、八代委員、あまねく郵便局を配置しようというふうになっているのに減っているわけです。これを続けていくと、だんだん減っていっちゃう可能性がありますね。さあ、どうするんでしょうか、あまねくじゃなくなっちゃいますが。
八代委員 そういう形になりまして、スクラップとビルドの関係で、簡易郵便局になったり、あるいはまた人口の密集地には郵便局をつくったりという、バランスを考えながら、効率性も考えながら、しかし、その地域に住む人たちにとって、おおむね一・一キロには一つの郵便関係の局舎がありますよということが、言ってみれば国民の安心、安全だ、このように思うんですね。小中学校も大体一・一キロに一カ所ということだし、あるいは消防署とか警察署、こういう配置を考えましても、これからだんだん地方分権時代になっていきますと、郵便局というものが、また地方自治体の一つのお手伝い役としても、ひまわりサービスとかあるいは地回りサービスとかいろいろなことで、やはり地域の中に大変便利になっていくだろうと。
 まあ、地回りという言葉は、つまり、どこどこが陥没したとかあるいは橋が流されそうだ、これは私がちょうど大臣のときにこの新語をつくったんです。いろいろなところを回っていただける、地域を回っていただくから地回り、こう言っているので、別に誤解しないでください。
 そういうふうなことを踏まえて、それは確かに少しは減るところがあるかもしれません。しかし、そこがまた人口が移動していく、そして、それにまた新たなそういうものがつくられていくということを、自由裁量の中で公社が、やはりユニバーサルサービスを原則としながら、地域の皆さんの利便性を確保しながら、そういう考え方を持っていくことは必要だろう、こんなふうに思うんですね。
 ですから、ゼロになることはあり得ない、少しは。しかし、大体二万六千から七千、そのあたりが推移している状況ではないでしょうか。これは私はずっと変わらないだろう、このように思っております。
松井政府参考人 手を挙げさせていただきましたが、数字に関する話でございますので、ちょっと私の方から申し上げたいと思います。
 考え方は、今八代先生がお答えされたこととずれはございませんが、数字でございますが、郵便局は、普通局、特定局、それから簡易局、簡易局も含めて郵便局でございますが、総数で申しますと、平成元年以来、平成十三年度まではほとんど毎年微増はしております、総数で。そして、平成十二年度から十三年度にかけて、トータルでは五局マイナスになりました。それが私の手元の数字でございます。
松沢委員 私の持っている数字がちょっと違うかもしれません。
 皆さんは公社をつくるときに、やはり公社の経営の健全性、これは大変重要だということで、できるだけ効率的に運用していきたいと。さて、そうであれば、今、特定局と簡易局、町には、普通局もありますけれども、身近なところにある郵便局は二種類あるわけですね。この特定局、簡易局、効率がいいのはどちらかとなると、これは私は簡易局の方が非常にコストレスで経営ができるというふうに思っているんです。それは政府の機関も証明しているんですね。
 これは、一九九九年八月に、当時の総務庁の行政監察局が郵政事業に関する行政監察結果というのを公表いたしました。そこでどんなことを言っているかというと、無集配の特定局と簡易局はほとんど同じ仕事をしています、簡易局の取扱業務の範囲は近年どんどん拡大されて同様のサービスになってきた、そこで簡易局は無集配の特定局と比べ郵便局経営で経済的だと。つまり、無集配の特定局と簡易局の業務範囲の差は小さいにもかかわらず、特定局のコストが高いことを指摘している。この監察結果の中で、特定局の高コストを示す具体的事例が相当挙げられています。最終的には、郵政事業の経営効率化を図るために、新設に当たっては、簡易局で対応できる場合は簡易局で対応することを勧告しているんですね。
 これまで特定郵便局のさまざまな問題についてはこの委員会でも指摘があったところですが、やはりどんな小さな局にも一人特定郵便局長さんがいるわけですね。普通、民間の発想であれば、特定局長一人が幾つかの局を監視して、支局みたいな形で、それでやっていけばこれは経営の効率化にもつながるわけなんです。簡易局の場合は民間に委託していますから、簡易局の人々は民間人でありますね。こうやって特定局では、お給料の面でも、あるいは、渡切費はなくなりましたけれども、局舎の借り上げ料の面でも非常にお金がかかるシステムで、むしろ簡易局でやった方が経営効率化につながる、これが政府の行政監察局の答申で公表されているわけなんです。
 さて、それを受けて、今後公社は、新しい局を設置する場合はできるだけ簡易局で行っていくべきだと私は考えますけれども、いかがでしょうか。
松井政府参考人 平成十一年度の行政監察の勧告の受けとめについてのお尋ねというふうに受けとめまして、お答え申し上げたいと思います。
 平成十一年の八月の行政監察では、「郵便局の新設に当たっては、想定される利用形態、取扱業務量等、地域特性を十分勘案しつつ、簡易局の設置で需要にこたえられる場合は、簡易局で対応すること。」というふうな勧告がございました。実際に勧告の中で指摘された事例というのは、地域の開発計画の遅延などによりまして特定局の利用人口が当初の見込みを下回っている例だとか、あるいは、逆に地域の予想以上の発展によりまして簡易局の利用人口が当初の見込みを上回っている例を踏まえて行われたものでございますが、郵便局の設置に当たって、設置の判断基準に従って適切に対応しろという指摘だったというふうに受けとめております。
 ただ、特定局と簡易局の特性の違いでございますが、特定局は、専門の訓練を受けた職員、これは国家公務員になるわけでございますが、これを配置しまして、月曜から金曜まで毎日一日八時間、三つの事業のすべての窓口サービスを提供しているわけでございます。
 簡易局は、先生御指摘のように、民間等に委託しているものでございまして、公務員ではないんですが、実際の窓口開設時間も局によってまちまちでございますし、提供するサービスも受託者の取り扱いが容易な一部なものに限られておりますし、受託者の都合で一時閉鎖だとか廃局する場合もございます。実際にはほとんどのケースは兼業なんですね。お店と兼業だとか、それから主婦兼業だとか、そういうふうな方、個人でやられる場合もそうです。そうでなければ役場だとか農協さんにお願いしている、そういうふうな形です。
 そういうことで、私どもといたしましては、郵政窓口サービスをきちっと全国均一条件で安定的に提供することが基本だと思っておりますので、そういう意味では、特定郵便局を設置することが原則だというふうに考えております。簡易局につきましては、極端に利用人口が少ない、つまり、一人分の仕事もないような、兼業でやる程度の、それでなければ完全に窓口がもう置けない、そういうところにやむを得ず簡易局、そういう兼業でお願いするということを想定してやっているわけでございます。補完的な位置づけで考えております。
 あと、事務量もそうなんですが、例えば郵貯等の受け払い高も、けたが一けた違うんですね。ですから、郵便貯金のお金の出入りだとか簡易保険のお金の出入りはありますが、こういった金銭の仕事もやっておりますので、やはり直轄の職員による郵便局が基本だというふうには考えているところでございます。
松沢委員 郵政公社の経営が大事だというのであれば、私は、この特定郵便局制度、恐らく三分の二の特定局は今赤字だと言われておりますが、ここにやはりきちっとメスを入れていかない限り健全な経営というのはできないわけでありまして、これは今後の改革に期待をしたいと思います。
 もう最後の質問になりますが、これは大臣、最後に大臣の御決意をお伺いしたいんですが、公社化法案、私たちはさまざま異議がありますけれども、これは採決に持ち込まれて通るんでしょう。それで公社化が実現するわけでありますが、小泉総理は、とりあえず、まず公社なんだ、公社化以降は、またその経営のあり方は自由に議論していいんだ、自分も民営化の持論を持っている、その方向で行くんだ、こういうことで一応、一里塚発言もしのいだわけですよね。
 さて、小泉総理は、御自身の私的諮問機関で、ちょっと正式名は忘れましたが、懇談会を持っております。田中直毅座長が、この夏にも懇談会の最終報告を出す、その最終報告は郵政事業民営化に向けてのものです。というのは、民営化に向けてのプランをつくれというような総理の諮問があったわけでありますから、そういうものが出るわけですね。
 そうすると、今度は、もう公社ができましたから、それ以降の経営形態についてはまた議論が始まるわけですね。当然、小泉総理は、郵政事業の民営化に向けてのプランづくりの議論を始めると思います。それは恐らく、政府の中でもスタートしろ、内閣の長である小泉総理はこういう方針を出してくると思うんですね。そうしたら、今までは今までとして、総務大臣、内閣改造もうわさされていますから、もうこれ以上はやらないよ、そうは言わないで、これは大臣は機関でありますから、これからも総務大臣をやると仮定して、総理が民営化に向けての議論をスタートしようということになったら、きちっと協力をなされるんですか、政府として。
片山国務大臣 総理直属の今の田中座長の懇談会、政府の方から総理と私と官房長官が入っておりまして、私も一員ですから。このところちょっとこちらの方が忙しいもので、今有識者の方々だけの懇談会での御議論をやっておりますが。
 いずれにせよ、しかるべき時期には意見の集約の結果をお出しになる、こういうことでございまして、その中身がどうなるか、まだ私は、これからどういうふうになるのかな、こう思っておりますが、出ましたら、その扱いにつきましては総理ともよく相談しまして、この所管の総務省という役所がどういう対応をするか、しっかりと考えてまいりたいと思っております。
松沢委員 以上です。ありがとうございました。
平林委員長 次に、中村哲治君。
中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。
 昨年六月十二日、そしてことしの六月六日、六月二十七日に引き続きまして、四回目の信書の定義についての議論をさせていただきます。
 先ほど川崎二郎委員からも言及していただきましたし、松沢成文議員からも、また突っ込んだ議論をすると言っていただきましたので、「信書の定義に関する政府の考え方」という文書について質問をさせていただきます。
 昨日の総務委員会理事会で、この「信書の定義に関する政府の考え方」という文書が出されました。そこについては、先ほど川崎委員も申されましたが、時間の都合がありますので簡単に評価を申しますと、五項目あります。一は定義を書いてあり、二の部分というのはガイドラインを定めますよということが書いてありますね。そして、第五項目のところは、「いずれにせよ、あくまで法律に規定された定義規定に基づき、それに正確に沿う形でガイドラインを作成することとしている。」と結んだだけであって、実質的な内容は第三項目と第四項目であります。
 第三項目というのは特定性の要件、また、第四項目というのは文書性の要件について書かれている。まず、そういうふうに整理させていただきますけれども、それでよろしいですね。
佐田副大臣 いろいろな主観的な問題はあろうかと思いますけれども、基本的にこれをたたき台みたいな形で、まだこれが決まったわけじゃなくて、ぜひ御理解いただきたいのは、これから、これを基礎としていろいろな御意見を聞いて決めていくということでありますので、そういう内容であろうと思っております。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
中村(哲)委員 そういう内容ということですので、細かく議論に入らせていただきたいと思います。
 まず、特定性の要件に触れている第三項目についてです。議事録にきちんと残すために朗読させていただきます。
 3 なお、信書性についてこれまで議論のあったもののうち、商品などの広告を内容として同一内容の文書を多数の受取人に差し出す形態をとるいわゆるダイレクトメールについては、多数の者に差し出されることをもって信書に当たらないものとは考えられないが、例えばその内容が公然或いは公開たりうる事実のみであり、もっぱら街頭における配布や新聞折込を前提として作成されるチラシのような場合には、それが差し出される場合にも「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する」という実態を伴わず、信書に該当しないものである。
これが内容です。
 さて、ここで議論をさせていただかなくてはならないのが、この中にあります、内容が公然あるいは公開たり得る事実のみであり、何々のような場合にはという部分でございます。この内容については、前回、私が副大臣と議論させていただきましたように、信書の秘密、また、副大臣がおっしゃった秘匿性の要件が深く関係していると思います。
 この「公然或いは公開たりうる事実」の解釈として、また、その背後にある理念として、いかに通信の秘密、また秘匿性というものが関係しているのか、それについて副大臣にお聞きいたします。
佐田副大臣 秘匿性ということでありますけれども、これは憲法上の要請で、先生ももうよく御存じのとおり、通信の秘密の保護の必要性、こういうことが非常に重要になってくるわけであります。
 ただ、一番重要なことというのは、今度、今も委員が言われました、これは判例になっております「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する」、これが法文にも入っております。これが一番の原点になっておるわけでありますから、これから類推しても、特定の方に対する通信でもありますから、これは当然秘匿性も出てくる、こういうふうに判断しております。
中村(哲)委員 私が議論させていただきたいのは、まさに副大臣がおっしゃったことはそのとおりだと思うんですよ。私が申し上げたかったのは、その特定性の要件の判断のときに、通信の秘密や秘匿性の要件というものがどういうふうに影響するのか、そこについてもう一度確認させていただきたかったわけですね。
 つまり、一般人を基準として外形的に通信の秘密を守らないといけないものなのかどうか、それが特定性の要件について大きな判断基準になるんじゃないか。そこをまず確認させていただきたいわけでございますが、いかがでしょうか。
佐田副大臣 非常に難しい言われ方なんですけれども、基本的に通信は、公開していいものも悪いものもあるわけですね。
 ただ、この間も申し上げましたように、常識的に考えたときに、それを差し出した人、それを受け取った方が、どれほどの秘匿性を持っているかどうかということを御本人たちがどのぐらい意識しておるか、これがわからないものでありますから、それはやはり基本的にはすべて外形で判断をさせていただきましてその秘匿性を勘案している、こういうふうに判断しております。
中村(哲)委員 おっしゃるとおりだと思いますね。特定性の要件に関しては、通信の秘密というものを外形的に判断していくことが大切である。
 つまり、例えば私が佐田副大臣に何か信書を送ったとする。しかし、これはみんなに見られてもいいよという意味で、自分は通信の秘密を放棄しますよと。では、それが信書性がなくなるのか、ここでいえば特定性がなくなるのかといったら、やはりそうではない。そういうふうな主観的な事情よりも、この通信の形態が、客観的、外形的に見て通信の秘密を保護しないといけないと客観的に、先ほど常識的にとおっしゃいましたけれども、客観的、外形的、法的に言えば常識的に評価されるものでなければいけない、そこが明確な基準としてあらわれてくる。
 ガイドラインを策定する基準として常識が必要だということは、客観的、外形的だという意味は、立憲主義の要請から考えるとそこにあるのではないかなと思っておりますので、まず、またガイドラインをつくるときにも、そういうふうな観点で策定をしていただきたいと思います。
 しかし、そういう抽象的な議論だけでは話は進みませんので、限界事例について少し考えていきたいと思います。
 と申しますのは、これは信書に当たるかどうかということは、罪刑法定主義の要請から明確性の原則が必要になってくることですね。もし信書であるものが明確でなければ、なかなか、メール便などで、ある人は信書で考えるようなものを送った人が非常に営業がしづらくなるということもありますから、信書というものがどこぐらいの限界性があるのか、具体例を交えて議論させていただくことが必要だと思います。
 まず、前回もありましたが、契約書の議論をさせていただきます。
 前回も申し上げましたが、契約の申し込みの意思表示の部分に関しては信書性が認められるというのは、論をまたないことだと思います、争いがないことだと思います。例えば、私の名前が書いてある、住所が書いてある、このサービスを申し込みますというようなことが書いてある場合、特定人に対する、つまり、営業の主体に対する私の意思表示になるわけですから、それが信書に当たるということ、特定性の要件を満たすということは、争いがないと思います。つまり、契約の申し込みの意思表示に関しては、これは信書の要件を満たすというのは、争いがない、ここは確認させていただきたいと思います。
 問題となるのは、契約の勧誘の部分でございます。ここが恐らく、ダイレクトメールをいかに考えるかというところで分かれてくるところだと思います。
 ここで、この「政府の考え方」の部分には、「例えばその内容が公然或いは公開たりうる事実のみであり、もっぱら街頭における配布や新聞折込を前提として作成されるチラシのような場合には、」とありますので、ここはどこまでが特定性の要件があるのか、その公開の部分とそうでない部分とを考えておく必要があると思うんですね。
 私が考えるには、例えば生命保険とか損害保険などでダイレクトメールが送られてきます。そのときに、自分の名前や住所などが契約の勧誘、申し込みの勧誘のところで直接書き込まれている場合、これはやはり信書だろう、特定性の要件を満たすだろうと思われます。しかし、こういったものが入っていない場合、個人の属性がその申し込みの勧誘の中からは読み取れないような場合、これはやはり信書性を帯びない、特定性を帯びない、ここで書かれているような「公然或いは公開たりうる事実のみ」というふうに言えるのではないかと考えますが、その点についていかがでしょうか。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
佐田副大臣 先生の言われることはよくわかるんです。私も非常に難しいところだと思います。
 客観的に、外形という話がありました。それが基本になろうかと思いますけれども、例えば、送られてくるものが物すごく広く、全く、先生言われたように契約じゃなくて、書き込むものも何もなくて、配っても、どこにあってもいいというものならば、それは薄れてくると思うんですけれども、そこのところに名前を書く欄と住所だとか契約の内容で書いてあった場合は、差し出す方は契約をしてほしいわけですね、その個人の方に。だから、そのときには、これもある程度の信書性があり、秘密性が出てくるんじゃないかな。
 そういう方々が、例えば御婦人の方が何か、まさか男性の方にやるわけじゃないけれども、女性の方だったら、女性の服を買ってくれませんかねということになれば、その方に対して、やはりある程度送る方は契約してほしいという意思が働いておるわけでありますから、ある程度その辺のそういうニュアンスが出てくるんじゃないか、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 ただ、佐田副大臣のそのような御答弁では、違う例を考えると、なかなか同じように考えられないんです。例えば、通販のカタログなんかで送られる場合、これは信書でないと考えられますよね。そういうことを考えると、必ずしも、申し込みの勧誘の意思表示が含まれていても、それが特定性の要件に該当するかどうかということは言えないと思うんですね。
 今、社会通念上、勧誘をしているんだけれども、それは特定性がないと思われているようなカタログとか、そういったものと並びで考えると、やはり、特定性の要件を満たすというときには、その個人の属性がその書面から判断できる、そういった要件が必要なんじゃないか、そういうふうに思うわけなんですが、いかがでしょうか。
佐田副大臣 広くカタログだけ送って、見てください、カタログにはいろいろなものがあると思うんですけれども、ただ見てください、こういうものについては信書性が非常に薄くなる、先生言われるとおりだと思いますね。
 ただ、その中に、最初に言われた契約なんかがありますね。それが前面に出て、契約というものの意思があるとしたら、これはまた非常に微妙なところでありますけれども、ある程度の秘密性が出てくるんじゃないかと思うんです。
中村(哲)委員 佐田副大臣、取引の現実問題として、カタログには、後ろに申し込みのはがきなり申し込みをするためのファクスのひな形みたいなものが入っているんですね。佐田副大臣の御答弁をそのまま現行の取引に当てはめると、今こういうカタログをメール便で送っているのは違法になるわけですよ。それはそうではないでしょう。
 だから、私は先ほどからこだわっておりますが、特定性の要件を満たすためには、送り先に対する特定性がその文書、書面から読み取られる、そういう可視性が必要なのではないかということを申しているわけでございます。いかがでしょうか。
佐田副大臣 それは先生の言われるとおりでありますけれども、カタログにしろ、いろいろなものにつきまして、いろいろなものがあると思うんですね。確かに先生の言われるように、特定性に対していろいろな内容が書かれているもの、これについては、私は、確かに秘密性がありますから、信書性が出てくるんじゃないか、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 副大臣と私が言っていることは、実はそうは違っていないんじゃないかなと思っております。違っているなら違っているとおっしゃっていただきたいんですけれども、違っていないと思う……(佐田副大臣「同じです」と呼ぶ)同じですね。
 だから、やはり申し込みの勧誘のレベルでは、個人を特定するようなものが中に書かれていて、そこから見て特定性があると判断できるような場合は信書である。しかし、その申し込みの勧誘の書類に対して、それはほかの人に渡しても、ほかの人が申込用紙を書いて送ったような場合で成立するような場合もありますよね。こういった場合にはやはり信書性がない、特定性がない、そういうふうに言えると思うんですよ。いかがでしょうか。
佐田副大臣 それもまた難しい話ですけれども、要するに、送られたものをまた違う方に何か添え状みたいなものをつけて送るわけでしょう。(中村(哲)委員「いや、違います」と呼ぶ)ちょっと済みません、もう一度。
中村(哲)委員 例えば、私にある業者からDMが送られてくる、しかし、その中に入っている契約書が、契約の勧誘の申込書が、私は要らないから、例えば第三者にお渡しさせていただいて、例えば田並さんにお渡しさせていただいて、田並さんが、御自分の名前と住所と、また申し込みに対するいろいろな要件についての申し込み事項にチェックを入れられて、記入されて送られたような場合、これは田並さんと業者との契約が成立しますよね。だから、そういうものの場合にはやはり特定性がないと言わざるを得ないんじゃないかというのが私の考えなんです。それは外形的に見て、客観的に見て、そういうものだと判断できるからです。そういったものを例として意見させていただいているんですけれども、いかがでしょうか。
佐田副大臣 先生が言われるとおり、送られてきたもの、それを田並先生にお渡しするということについては信書性はないということになりますね。ただ、田並先生が送られる場合は、またこれは信書として成るわけですね、送っていけば。
中村(哲)委員 確認させていただくんですが、田並さんから業者に申込書を送るときは、一番先に申しましたように、これが信書であることは争いがないわけですよ。だけれども、業者から私に来たときに、ここが信書性があるかどうかということに関しては、私がこっちに渡して、こっち側から送ったら成立するような場合は、こっちというのは、第三者に渡して第三者から申込書を送られたような場合、送られてそれが契約として成立するような場合、それに関しては特定性はないと。特定性というのは、業者から私に対する通信に関しては特定性がないと考えざるを得ないと思うんですけれども、いかがでしょうかということなんです。
佐田副大臣 そのとおりです。
中村(哲)委員 非常にクリアな御答弁をいただいたと考えております。
 もう一つは、前回議論させていただいた、大学入学者に対するパンフレット。合格通知はもう既に行っていて、その対象となっている人、入学対象者に対して、学校はこういうふうな形で授業をしていきますよなどを書かれたパンフレット。こういった、一定のカテゴリーの人に送られるけれども、例えば冊子になっていたり、冊子でなくてもペーパーになっているだろうけれども、これは、私、特定性があるとは言えないんじゃないかと。こういうのは、社会的実態として恐らくメール便で送られていると思うんですよね。こういうふうなものに対してはどういうふうに考えるのか、副大臣のお考えをお聞かせください。
佐田副大臣 その辺もまた、どの辺のレベルかという問題があると思うんですね。
 この間も議論させていただきましたけれども、広くどこでもいいというんじゃなくて、やはり例えば大学であるとか会社であるとか、もちろんそれはもう通知は行った後ですね、簡単なその会社内容だとか学校内容とか、そういうことでしょう。ですから、それにつきましては、一つの事実として、非常に議論のあるところでありますけれども、特定な方に対してやはりそれは事実を通達しておるわけでありますし、全体に幅広く、全部にというわけじゃありませんから、そういう意味におきましては信書性はあると思います。
中村(哲)委員 ただ、副大臣、これが信書であるのか、特定性があるのかということの判断において、先ほど副大臣とのやりとりで申しましたけれども、通信の秘密が外形的、客観的に認められるかどうか、そこがやはり基準になるんじゃないかなと思うんですよ。そうすると、シラバスのたぐいとかそういう学校のパンフレットのたぐいでは、どういう授業をどの先生がこういうふうなことでやりますよというのは半ば公開された状態で、恐らくほとんどインターネットとかでも公開されているような情報なんじゃないかなと思うんですね。
 しかし、副大臣の想定されているような内容というのは、例えばこれが学外の人に知られちゃいけないような機密情報であったら、やはりこれはどれだけ大部のものであっても特定性の要件は満たすと思うんですよ。だから、客観的、外形的に見たときの通信の秘密の保障の度合い、そこがやはり基準になるんじゃないかなと思うんですね。
 だから、先ほど佐田副大臣がおっしゃったのは、やはり機密文書にかかわる部分、そういったものであればなのであって、一般的な合格予定者に対するガイドブックなんというものはやはり特定性の要件を満たさないんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
佐田副大臣 その辺が非常に難しいところだと思うんですね。ですから、私は、先生も、外形的、客観的に見て、通信というような中には、秘密であるかないかというものは、その差出人と受け取った人のやはり考え方だと思うんですね。そういう中において、では、それは随時随時判断できないから外形的にその判断をしていこうということでありますから、そういうことを考えたときに、どこどこの会社、どこどこの大学だとか学校、高校、そういうところから個人にあてたものは、やはり外形から見て信書性は出てくるんじゃないかと思っているんです。
中村(哲)委員 これは恐らく、副大臣がおっしゃりたいのは、結社の自由との関係が非常に強いんじゃないかという話だと思うんですね。
 個人と個人が通信をさせていただくというのが近代国家の原則なんですが、個人というのはそれだけでは社会的に大きなインパクトを持てない。だから、自分の自己実現、自己統治のためには結社をつくらないといけない。だから、結社のメンバー相互間の通信というようなものは必ず守らないといけない。そういう感覚でおっしゃっているんだと思うんですよね。外形的なものというのは、確かに、結社を考える、結社の自由ということで考えると、お答えのような答弁になると思いますし、それが正しいと思います。
 しかし、結社の自由なんだけれども、その結社の自由が認められている趣旨からして、立憲主義の要請から、そこまで通信の秘密を守ることが必要ないなと思われるものに関しては、やはり、結社間、結社と個人との通信であったとしても、そこは必ずしも信書性があるとは言えないんじゃないかなと思うんですね。
 先ほども申しましたけれども、ガイドブック、パンフレットがすべて信書に当たるのであれば、今メール便でそういうふうなことを送っているのは違法だということになりますよね。違法だという評価でいいのかどうか。私は、違法なものもあるし、違法でないものもあると思うんですよ。そこは、客観的、外形的に通信の秘密を守るべきかどうか、それが基準になると思うんですよね。改めて聞かせていただきたいと思います。
佐田副大臣 先生の言われるとおり、非常にそこは難しいところなんですけれども、結社対結社ということよりも、むしろ私が申し上げたいのは、最初の一番の原点の、特定の人に対して、特定な者に対して意思もしくは事実を送達する、そういうことを考えたときに、やはり、常識的にと言うとまた怒られますけれども、基本的に、例えば入学通知だとか、こういうことはもう言うまでもなく当然信書になるわけですけれども、例えば内容的に、こういう本を読んでおいてくださいとか、その本を入れられて持ってきたとか、そういうものについては、これはもう全然秘匿性もないですし、メール便で送られてもこれは問題ない、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 改めて確認させていただきたいと思うんですけれども、合格内定者に送られるようなパンフレット、シラバスのようなものであっても、やはりこれは外観的、客観的に見て、通信の秘密を守らないといけないかどうか、それを判断する、それで信書を判断すると考えていいということですよね。うなずいていただいていますので、それで次の質問に移らせていただきたいと思います。
 「信書の定義に関する政府の考え方」第四項をまた読ませていただきます。
 4 また、「文書」とは、文字、記号等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物であり、物の素材は問わないものであるが、物に記載された通信文が物の送付と密接に関連し、その物に従として添えられている場合にあっては、その記載された通信文を、郵便法第五条第三項ただし書において信書の送達の独占の例外とされている「貨物に添付する無封の添状又は送状」として扱うことができるものである。
   具体的には、一般にクレジットカード、地域振興券などの金銭の支払手段としての機能を有する物に記載された通信文がこれに該当するものと考えている。
とされております。
 私は、これを読んで、率直に、かなり踏み込んだ書き方をしたんだな、そういった意味で、評価をさせていただいております。過去の二回の佐田副大臣との議論がこういう形で結実したのかなということを理解しておるわけです。
 そこで、今回、改めて確認させていただきたいのは、郵便法五条三項ただし書きにあります「貨物に添附する無封の添状又は送状」の部分であります。そこの「添附」、その文言の解釈であります。
 この「政府の考え方」によりますと、クレジットカードや地域振興券というものが五条三項ただし書きに当たるものに当たる、そういうふうな主張なわけですね。つまり、クレジットカードに書かれている特定の相手に対する意思表示、事実の通知というものの部分は信書である、しかし、金銭の支払い手段としての機能を有する物の部分はまた別にあると。つまり、信書部分と物として機能する部分とは、物理的には一体だけれども、法的には別物と観念して、物と信書が添えられている、そういうふうに解釈すると考えていいのかどうか。つまり、この添付というものが物理的に別々のものでなくてもいいのか、一体であってもいいのか、そこの確認をさせていただきたいんですね。
 これは、前々回、六月六日に、私が佐田副大臣に詰めて、きちんとお答えしていただけなかった部分なんですが、この点について、いかがでしょうか。
佐田副大臣 今度のガイドラインの基礎になるものは、まだこれからいろいろ、パブリックコメントをいただいたり、事業者の方々の御意見を聞いていくということ、その前提でお答えをさせていただきますけれども、基本的に、今先生が言われたように、クレジットカードという、要するに支払い手段ですね、支払い手段があるわけでありますから、その機能は非常に重要なことであります。したがって、それに、例えば使用の仕方とか名前を書いてある、これはあくまでも、今の文書においては、要するに添え状というか送り状というか、そういうふうな判断をさせていただいてもいいのではないか、こういうふうに今考えておるわけであります。
 また、先生が言われました、では、例えば物と違うものが、離れていた場合、離れてつけてあった場合。ただ、離れてつけておっても、そこに添え状としてついておるならば、これは別に、信書ではあるけれども、それは例外規定に入る、こういうことであります。
中村(哲)委員 信書であるけれども例外規定に入る、そこが僕はみそだと思うんですね。
 そこをそういうふうな考え方をするというのは、ある意味、正当だと思っております。私の見解、従来から言わせていただいた見解、文書性の要件とは異なりますけれども、そういった総務省の御見解というのは、論理的には筋は一応通るものだと考えています。より論理的かというのは、私の定義の方が論理的だとは思うんですけれども、そこまでやっても神学論争に入りますから、そこの議論はさせていただかなくていいと思っております。
 しかし、総務省の今回出してきていただいた定義、そして、今副大臣がおっしゃった、クレジットカードの定義というのは、支払いの手段としての機能がある、そこに注目しているんだという御答弁で、もう一点詰めておかないといけない部分があります。
 それは「「文書」とは、」の定義のところで、「紙その他の有体物であり、物の素材は問わないものである」と書いてあるわけですよね。つまり、何に書いた場合には例外であって、何に書いてある場合では例外でないのか、そこの基準というのを示さないといけないと思うんですね。私がこのペーパーから推測させていただきますと、恐らく、その書かれている物の本来の機能がどこにあるのか、そこでやはり判断を変えているのじゃないかなと思っております。
 例えば石に書かれているような場合、これは総務省の中でも普通に議論されているところですが、石盤に書かれるような場合というのはあるわけですよね。また、木札、きょうもここにありますけれども、木札に書かれるような場合もあるわけです、もともと通信というのは紙がない時代には木簡でされているわけですから。こういうものは信書であると。だから、「紙その他の有体物であり、物の素材は問わない」。これは端的には石であったり木簡であったりする場合を想定されているんだと思います。
 しかし、その石自体が非常に高価であったり、それ自体で経済的な価値を持っている場合や、木簡であっても、その木簡自体がすごく希少性が高いものであって、例えばそれ自体ですごく経済的価値を持っているような場合には、やはり別の評価をするんじゃないかなと思うんですね。
 だから、本来の機能はどこにあるのか、そこがポイントになると思うんです。クレジットカードにしても地域振興券なども、本来の機能が支払い手段としての機能であるから、五条ただし書きの対象となる物となる。物理的には一体であるけれども、そこは法的には別物だと観念することになるんだと思いますね。法的になぜ別物だと観念できるのかというのは、社会通念で、やはりこの物の本来の機能というのはこっちにあるんだな、信書の部分じゃないよね、そういうふうに判断されるからだと思うんですよ。だから、本来の機能性というものが文書性の判断においてはポイントになってくるんじゃないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
佐田副大臣 先生の前の御質問を今思い出しておったんですけれども、冷蔵庫の機能であるとか。ただ、先生が今言われた、例えば石ならば全然価値はないですよね。それで、またそれが物すごく貴重なものだったら、これはまた別なのでありますけれども、あくまでもやはりこれは物にはこだわらない、素材にはこだわらないということでありますけれども、それは私は先生の言われるところは正しいと思います。
 というのはどういうことかというと、要するに書かれたものが、今回このように、例えばクレジットカードならクレジットカードの支払いの機能というものが非常に重要なわけですね。したがって、そこに添えられておるいろいろな文章は、これは添え状というふうな形になるわけです、要するに価値が下がるわけですから。
 だから、私は、それは先生の言われたとおり、違うものでも、例えば商活動に非常に重要なものであるとか、常識的に考えた場合に、そういうものに文章がついていた場合は、いわゆる信書ではあるけれども、添え状、送り状、こういうふうに判断していくものだと思っております。
中村(哲)委員 私が考えている定義とだんだん近くなってきているんですよね。本来の機能というものが大切だ、それは社会的な常識の範囲で判断する、外形的に判断する、客観的に判断する。だから、一般人の目から見て、その本来の機能というものがどこにあるのか、そこでこの五条三項ただし書きの物に当たるのかどうかということを基準として判断する、私の言いたいのはそこなんですよね。
 私と副大臣との見解で違う例というのは、例えば冷蔵庫にラブレターを書いたような場合なんですよ。この場合は、佐田副大臣の見解では、これはやはり書いた部分はラブレターであって、そして物の本来の機能と直接関係ないから、やはりこれは信書なんですよねと。でも、私は、これは信書と言えませんよと。
 私の見解では、これは本来の機能というものとその書かれた文字との関係性を考えたときに、その物理的一体性を見たときに、本来の機能というのが冷蔵庫にあるんだったら、やはりこれは信書でないし、こういうものを送るということを国家が保障する必要はないんじゃないか。立憲主義の要請からしてみて、人の意思を伝えるということにおいては、そんな冷蔵庫に書かれたラブレターみたいなものを送るというのはおかしいということなんですよね。ただ、そこの定義の妥当性を話していると神学論争に入りますから、私はそこまで詰める必要はないと思うんですよ。
 一言コメントをお願いいたします。
佐田副大臣 本当に先生の言われることはよくわかります。
 ただ、先生、例えば冷蔵庫の機能と、書いてあるラブレターの秘匿性がありますよね。これはどっちが重要かというふうになると、これは常識的に考えたらまずこういうことはあり得ないと思うんですけれども、その辺が非常に客観的に判断に苦しむところだから、やはり外形で判断していくとか、そういうふうに考えざるを得ないんじゃないかと思うんですね。
中村(哲)委員 ここは非常に難しい話になってくるんだと思うんですよ。
 ただ、大事なことは、物の本来の機能がどこにあるのか、それを客観的、外観的に判断する、そこで五条三項ただし書きに当たるのかどうかというのを判断していく、そこだと思うんですね。
 私にしてみれば、冷蔵庫にラブレターを書いたものが、それが保障すべきであるとも思えませんし、それは皆さん一緒だと思うんですね。ただ、総務省の考え方では、これは信書に当たるんですよ。これはやはり非合理じゃないかな。うなずいていただいていますが、どうですか。
佐田副大臣 今回、これからパブリックコメントをもらったり、事業者の方々のいろいろな意見を聞くわけであります。先生の言われていることもよくわかるんですけれども、やはり原則としてきちっと、例えば冷蔵庫に相手方に対する手紙が、いろいろな、その物に密着していない、例えばラブレターだったら、それは話が冷蔵庫には密着していないわけですね。それはやはり原則として信書と判断せざるを得ないんじゃないか、こう思っております。
中村(哲)委員 信書というのは非常に深遠な世界がありますよ。立憲主義の要請ですから、ここはきちんと、しっかりと議論していかないといけない。
 最後に、この項の最後に、サイン入り本というのは、そう考えてくると、物理的には一体だけれども、やはりサインの部分なり手紙の部分というのは添え状、送り状に当たる、だから、五条三項ただし書きの物であると考えてよろしいですね。
佐田副大臣 先生の言われているとおり、そのように解釈しております。
中村(哲)委員 この「信書の定義に関する政府の考え方」の議論というのは、きょうさせていただいた議論で、かなりの部分が明らかになったと思います。また、非常に突っ込んで書いていただいたなと私は評価させていただきます。
 次に、ユニバーサルサービスの内容について、昨日出されました「信書便差出箱に関する省令案及び信書便差出箱その他の引き受け方法に関する省令案について」という文書についての質問をさせていただきます。
 まず、信書便に関する省令案なんですが、信書便差出箱の設置の場所なんですね。道路使用許可の話が出てくると思います。先ほど松沢委員の質問では、コンビニに置いても構わないという話がありました。それと同時に、今のポストのように、公道に置くということを事業者が希望する場合もあると思うんですよ。
 そういったときに、道路使用の許可の根拠条文は何で、そしてどういう決め方になるのか、また料金は幾らぐらいになりそうなのか。今まで使っている電柱とかの例も踏まえながら、どのように考えていくべきなのか、お答えください。
佐田副大臣 これは、料金についてはちょっと細かく承知していないんですけれども、民間の信書便事業者に対しましては、道路法第三十九条の規定によりまして、道路占用料を徴収されることになりますけれども、その具体的な額は、今後、要するにこれは全部規定してあるんですけれども、これから所管の国土交通省で決定していきたい、こういうふうに思っております。
 郵政公社に対する料金につきましては、国土交通省で決定すると今言いましたけれども、現行の郵便事業を継承し、引き続きユニバーサルサービスを提供する事業体でありまして、旧三公社も公共性がありまして、これは免除されておった、こういうことがあるわけであります。ただ、先生、これは原則は有料であります。
中村(哲)委員 料金の基準については、これは、今後、なるべく明確に、明らかにしていく必要があると思うんですね。そうでないと、なかなか民間の事業者が入りづらいということになってくると思うので、総務省だけではできないことですから、今、明確な御答弁は難しいと思うので、そこについては、まず要請だけさせていただきます。
 さて、この間、前回の質問で、どれぐらいの基準で置いていくんですか、十万本という話がありましたけれどもという話をさせていただいたときに、副大臣が五つの分類をするとおっしゃいました。それがこのところに出てきている基準ですね。過疎地には千人当たり一・九本、二万五千人未満には千人当たり一・二本、以下、十万人未満の場合は〇・八本、十万人以上の場合は〇・六本、政令指定都市には〇・五本だということを定めております。
 この間の議論でも聞かせていただいたんですが、私は、やはり立憲民主主義の要請であるのならば、人口何%の人が徒歩何分以内に届く、ポストに行ける、そういうことを基準にすべきだと考えているわけですね。
 そういうことを考えると、この基準というものは、そういうふうなユニバーサルサービスとしてのアクセスの問題と考えたときに、人口の何%ぐらいの人が、徒歩でいうと何分ぐらいで行けるのか。そういう想定がされていなかったら仕方ないですけれども、そういうふうなアクセス的な観点から見て、この基準というのはどういうふうに理解していいのか、お答えください。
佐田副大臣 この基準は一応案ということであります。先生の言われるとおり、例えば、これは人口の、要するに過疎地に対しましてはできるだけ手厚くやる。それはなぜかといったら、先生も言われたとおり、過疎地で手厚くしてやらなければ、千人が、物すごく広いところに千人いる場合もあるわけですから、そういうことも加味して考えて、だからできるだけそれは多くしてあるわけですね、ポストを。
 それで、こういうふうな基準にのっとって多分考えていくと、これから事業者の方々やら利用者の方々に意見を聞いていくと、では、先生の言われたとおり、ここは確かにこれに該当しているけれどもこんなに遠くなるよ、こういうことも出てきますので、そういうこともしっかりと議論をして、問題のないようにしていきたい、こういうふうに思っています。
中村(哲)委員 この基準でいくと、大体全国で何万本になるんでしょうか。昨日の、事前のお話では九万八千本から九千本という話もあったのですが、具体的な数についてできるだけ細かく教えてください。
佐田副大臣 そちらに資料はないかもしれませんけれども、これは五つに分けておりまして、では細かく言わせていただきます。
 政令指定都市が、この計算によって、千人当たり〇・五本で一万三千八百八十九本でありまして、人口十万人以上の市の場合は、人口千人当たり〇・六本で二万九千七百五十五本、そして人口二万五千以上の市町村、この場合には人口千人当たり〇・八本、そして人口二万五千人未満の市町村につきましては、千人当たり一・二本で一万七千三百五十八本、そしてそれ以下のところ、いわゆる非常に人口の少ないところでありますけれども、千人当たり一・九本ということで一万六千三十八本、これを全部合計いたしますと、九万九千四百五十六本、こういうことであります。
中村(哲)委員 非常に明確な答弁をいただいたと思っております。
 ちょっと、質問通告になかったのですけれども、先ほど松沢委員の話で、ポストの民間開放の議論というのを一言しておかないといけないなと思っております。
 先ほど團局長の方から、なるべく早くやらないといけない、それからカウンティングの問題がある、そういうようなお話がありました。ポストの民間開放というのは、私はこれは非常に難しい話だなと考えています。例えば、三日以内に送らないといけないという条件がある中で、それなら三日以内のどこの部分を公社が責任を持って、何時間以内に渡さないといけないのか、それは契約違反になるのか、そういうことも詰めていかないといけないなと思うのですね。
 私は、将来民間開放という議論があってもいいと思うのですけれども、ここをNTTのような、長期増分費用方式の導入のときのようなことにしてはならないと思うのですね。やはり、例えば公社が、着いてすぐ渡すのであれば一通当たり六十円取るよ、そういうことも交渉で決めていく、それが嫌だったら、信書便事業者の皆さんで共同出資してもいいからポストを置いてくださいよ、そういう議論にもなると思うのですね。そこは一律にやるのではなく、やはり公社と交渉力を持つような形、公社が交渉力を持って信書便事業者に対して議論をしていく、そういうふうな過程というのが物すごく必要になってくるのだなと思います。
 一言でよろしいですから、ポストの民間開放についていかに考えていくのか、これは今やらないというのはそのとおりだと思うのですけれども、今後どういうふうに考えていくのか、お聞かせください。
佐田副大臣 私、今先生の話を聞いて、それは非常に含蓄があるというところは、競争がなくなってくるというのは確かだと思いました、今聞いていて。それを一番、今LRICの話が出てまいりましたけれども、あれによって非常に強制的になってしまいましたし、そしてまた、そういうことで競争がなくなったんじゃ意味がないわけですから、それは御意見として私も考えていきたい、こういうふうに思っております。
 ただ、今回の法案には受託が入っておりませんので、こういうことが行われることは、要するに、受託されてほかの、郵便ポストの開放ということは考えてはいないということであります。
中村(哲)委員 この議論は非常に難しいんですね。立憲民主主義の要請として信書の送達というものを国が国民に保障していかないといけないという要請と、もう一方で、きちんと競争を促進することによって公社なり信書便事業者なりの営業の透明性を確保していくという要請と、二つの、相異なると言っていいのかわかりませんが、そういった違う要請を同時に満たしていかないといけないという意味で、非常に難しい話だと思います。そういった観点が、先ほど松沢議員がおっしゃった官僚の裁量の問題というのがこの法案でやはりつきまとっているのかなということを私は感じます。
 民間参入を今回してもらわないといけないわけですね。私は民営化論者でないですし、公社というのは公社でいけるのであればそれはいいと思うのですが、ただ、仮に民営化された場合にあっても、この信書の送達という業務に関しては、国が国民に対してあまねく保障していかないといけない、そういう事業である、すごく公益性の高い事業であるということは論をまたないわけですね。しかし、その事業の運営に関しては、効率性と採算性の確保をしっかりしていかないといけない。そして、それを客観的に言うためには、公社とは別に参入される民間業者があって、そことの競争の中から、競争することによって効率性の確保や採算性の確保というのがなされる。今回の信書便法の位置づけ、憲法的な位置づけというのはそういうことになるのかなと思うわけですね。そうしたときに、参入条件が明確でないといけない、官僚の裁量が強過ぎてはいけない、そういう議論になるんだと思うのです。
 きょうの読売新聞の二面に、「今回の解釈変更については、大手宅配便業者からは「あいまいな定義を都合良く解釈する総務省の姿勢にはあきれるばかりだ」との声も出ている。」と書かれております。こういうふうな姿勢がやはり問題なんですね。官僚が裁量を振るっている、だから参入したくない、そういうふうに思われることが問題だと感じるんですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
佐田副大臣 裁量というお話がありましたけれども、これはあくまでも法律で決めていくわけでありまして、その政省令につきましても、しっかりと意見を聞きながら慎重に決めていきたい。また、先生が言われたとおり、公益性もありますし、本当に信書の送達ということは憲法にもかかわることでありますから、非常に私は重要なことだと思っております。これは電気通信でも同じことであります。
 そういうふうな基本的なことを考えて、また、ただ、国民に対する利便性、こういうことも含めてこれから議論をしていかなくちゃいけないんじゃないか。その中に、今回はいわゆる条件をつけて、ユニバーサルサービスを確保し、そしてクリームスキミングを防止する、そういう条件を、三条項をつけさせていただきました。これはかなり厳しいものだ、そして厳格なものだ、私はそういうふうに思っておりますので、御理解いただきたい。
中村(哲)委員 官の裁量が強いということになるとどういうことになるかというと、私が危惧しているのは将来の話です。民間が参入しない、そして、かつ公社が信書の送達について独立採算を維持できなくなったときのことを危惧しているのです。
 信書の送達は国が国民に対して保障しなくてはいけない事業である。にもかかわらず、民間が参入しないし、公社は採算がとれなくなってきた、そういったときに、官の裁量が強いと、ユニバーサルサービスは、さはさりながらやはり提供できないよ、独立採算とれる範囲でやればいいじゃないか、そういう議論が出てきかねないわけですよ。
 だから、きちんと民間が参入できるようなやり方、それはユニバーサルサービスですからハードルは高くていいと思うんですよ、立憲主義の要請から。しかし、そのハードルの高さというのは明確でないといけない。今、民間が批判しているのは、ここで批判しているように、明確でないということなんですよ。立憲主義の要請から考えると、そこをきちんと議論していく。先ほど大臣は、信書性が薄くなった、濃くなったというような議論をされているのですけれども、信書性は、やはりあるかないか、そこを明確にしていく、その官の姿勢が必要だと思うんですよ。そこについていかがでしょうか。副大臣、大臣、両方できれば答えていただければいいと思います。
佐田副大臣 決して信書性が薄くなるとかそういうこともありませんし、また、では、事業者が入ってこなかったらどうするんだというお話が今ありましたけれども、特定信書なんかの場合は、なかなか三時間以内であるとか重さの問題であるとか言われていますけれども、かなり考えられている方もいらっしゃいます。これからの議論のうちに、私は、一般信書の方も入るチャンスが相当出てきますし、また逆に、公社の方もそういうふうな形で競争心というものがわいてきて、国民に対する、もちろん信書の送達を守る、秘密を守っていくということは当然ですよ、かつ、緊張感を持っていわゆる競争が保たれていくんじゃないか、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 あるべき姿にきちんと近づけていく、それが政治の役割だと思っておりますので、事態の経緯を見ながら、また参入してくる業者が出てくれるように運営を変えていくことが必要だと思っております。
 時間がほぼなくなってきましたので、残りの質問、いっぱいあるんですが、これは次回に回させていただいて、もし次回がなければ質問主意書ということになりますので。
 その前に、官公庁の問題があると思います。信書便事業者が参入されたときに、官公庁はこの信書便事業を使うかどうか、そういうのは経営に対する非常に大きなインパクトがあると思うんですよ。例えば、裁判所が国民に対して出すもの、今は郵便ですが、これを信書便でもできるようにするのかどうかなど、官公庁が使うものというのを、今度は郵便と信書便とが競争することになるわけですね。このあたりについてどのようにお考えになっているのでしょうか。
佐田副大臣 これは、もう先生も御存じのとおりで、郵便料金につきましては確定しておるわけでありますから、それではほかにどういうものがあるかといったら、官公庁であっても、例えば普通の会社であっても、これは料金水準や利便等を勘案してやるわけでありまして、もっとサービスのことを言われるのであるならば、例えば特定信書なんかで東京都内でやるときなんかはいろいろなサービスが考えられると私は思うんですよ。一般信書じゃなくても、特定信書の場合は非常にふえてくる、こういうふうに思っております。
中村(哲)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、最後に、その官公庁への提出の場合も、ちょっと裏なので聞かせていただきますが、今は、郵便の場合は官公庁に提出する場合にはある程度の特例がありますね。発信主義なのか到達主義なのかという問題なんですが、そのときの発信主義、到達主義の問題については郵便と同じように信書も扱われるように法律はなっていると考えてよろしいですね。
佐田副大臣 そのとおりです。
中村(哲)委員 丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございました。これで終わらせていただきます。
平林委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十一分開議
平林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、政府参考人として人事院事務総局公平審査局長北神智君及び公正取引委員会事務総局経済取引局長上杉秋則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 各案審査のため、会計検査院事務総局第五局長円谷智彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑を続行いたします。武正公一君。
武正委員 民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。郵政関連四法案並びに修正案に対する質疑を行わせていただきます。
 まず、修正案提出者に伺いますが、郵便局のあまねく全国における設置の明記ということで修正案を出されておりますが、この郵便局には簡易郵便局も含まれるというふうに考えてよろしいかどうか、お答えをいただきたいと思います。
八代委員 簡易郵便局法の第七条第二項は、公社法第二十条第一項の規定の適用については、簡易局を公社法の郵便局とみなす、こういうぐあいに規定していますね。したがって、含まれる、こういうことでございます。
武正委員 簡易局も含めてあまねく郵便局を配置するということでの修正案でございますが、これまでのユニバーサルサービスということで来ました、全国津々浦々あるいはあまねくということでございましたので、郵便局をあまねく設置というのは、何か非常に違和感のある法案になっているなというふうに私は感じます。
 ユニバーサルサービスということであれば、やはりサービスについてあまねくというのであればいいんですが、郵便局というハードをこのユニバーサルサービスということでとらえるというのは無理があるのではないかという点が一点と、こうした形で公社に郵便局のあまねく設置を義務づけるのは、公社の自由な経営を縛ることにならないか。
 以上二点、修正案提出者にお伺いします。
八代委員 人の住んでいるところには、国民共有の財産として、ほかの公共機関というのはだんだん山里から消えていくというような状況下でございますけれども、最後のとりで的に、私はこの郵便局というものは国民共有の財産だと思っているんですね。
 そういう意味では、全国津々浦々、あまねく郵便局というものが地域の利便性のために存在する、その拠点として位置する、しかも三事業というものは、身近な人たちの便に供するために、二万四千七百という数からしてみても、私は大変利便性のあるものだというふうに思っておりますので、あまねく設置すると同時に、あまねくサービスというものは、言ってみれば表裏一体的なものだというふうに思っておりまして、そういう意味でも、御指摘のようなサービス面からもユニバーサルサービスの確保が規定されているのであり、ユニバーサルサービス、そのサービスという言葉をとってしてみても、このサービスというものはこれからも普遍なものでなければならないというふうに思っております。
 しかし一方、民間参入ということもございますから、今までのような何でもかんでも縛り切っているというような形ではなくて、自由な、いろいろ経営ということにも期待を寄せなければならないのではないかというような思いを持っておりますので、したがって、御指摘のように、郵便局の、全国に、自由な経営を阻害するということではなくて、自由な経営をむしろ付与することによって、やはり競争の中においてユニバーサルサービスが担保されるような方向が望ましいのではないか、こんなように思っているところでございます。
武正委員 大臣にも修正案について御意見を伺いたいんですが。
 私は、午前中松沢委員も指摘したように、全国で郵便局が置かれていないのが十町村ですか、簡易郵便局がカバーをしているのが五百町村。私は、農協さん、JAさんなど含めてさまざまな形でこのユニバーサルサービスを補完できるとすれば、何もここであまねく全国に設置という書き込みが必要あるんだろうかということで、この公社の自由な経営を縛るのではないかというふうに危惧するんです。
 ぜひ大臣の御所見を伺うと同時に、もともとこのユニバーサルサービスというのは、セオドア・ベールAT&T社長が一九〇七年に、ワンシステム、ワンポリシー、ユニバーサルサービスということで発言したことがもととされておりまして、その発言は、当時司法省からAT&Tの独占に対する批判にこたえる形でこのユニバーサルサービスというものを持ち出したというふうに言われているわけであります。このユニバーサルサービスが、そうした司法省からの独占批判への抗弁といったことがもともとの発端であるということも含めて、これについて、大臣どのようにお考えになるか。
 以上二点、お伺いしたいと思います。
片山国務大臣 我々は、今の国の郵便局ネットワークサービスを、今度は国営公社に変えますけれども、それは全国あまねくユニバーサルサービスを、生活へもたらす基礎的なサービスをそのまま保障していく、こういう考え方でございます。
 政府の案、閣法では、地域住民の利便の確保について配慮して郵便局を設置、こういう条文を置いたわけでありますが、今回与党の方であまねく全国に郵便局設置ということを追加する、こういうことでございまして、それは、そういうことではユニバーサルサービス確保がより担保される、明確になる、こういうふうに思っているわけでございます。
 サービスと郵便局ネットワーク、ハードな方は、今もお話がございましたが表裏一体でございまして、今の二万四千七百の郵便局がネットワークを組んでいることでユニバーサルサービスが確保されていると我々は考えておりますから、そういう意味で、今のネットワークの仕組みや数を後退させていくということは考えていないわけでございます。
 それから、二点目の、ユニバーサルサービスという言葉は、なるほど一九〇三年に、私も委員の御指摘で勉強させていただいたわけでありますが、AT&Tのセオドア・ベールという社長が言われた、ワンシステム、ワンポリシー、ユニバーサルサービス、こういうことでございます。
 これは、当時AT&Tが反トラスト法上の問題を指摘されていましたので、競争を回避するための発想からの主張ではないか、こう受けとめられた向きがございますけれども、その後の歴史を見ますれば、全米どこでもだれもが電話サービスの利用が可能になってきた、現在のFCCも、アメリカの競争政策の柱の一つがユニバーサルサービスの確保だ、こういうことを言っておりますので、私は、セオドア・ベール社長がどういうお考えで言ったかは定かでございませんけれども、結果としては、ユニバーサルサービスが言葉としては独立して現在根づいているのではないか、こういうふうに考えております。
武正委員 そのAT&Tも分割ということで、やはり百年たちますと世の変遷があるということでございますし、この明治四年に始まりました日本の郵便制度も、約百三十年を経て、さまざまな技術の進歩によって通信手段が確保されているという中で、このユニバーサルサービスも変容を遂げていくべきものというふうに考えるところであります。
 特に、大臣には、当総務委員会で、国土の均衡ある発展から個性ある発展に日本の国づくり、地域づくりは変えなきゃいかぬというようなことも言っておられますので、この全国あまねく津々浦々、NTTの法律のときにも議論がありましたが、これについてもやはり変容を遂げていってしかるべきというふうに考えるわけでございます。
 続いて、修正案提出者にお伺いします。
 今度、この第二項というんでしょうか、二番目の修正として、子会社への、あるいは公社からの出資を認めようということを修正案として提出されております。今、この公社ができる暁には、総資産四百三十八兆、資本金は一・九兆。その資本金の比率が〇・四%ということで、過少資本ということが指摘をされている中で、この公社が出資をする余裕があるんでしょうか。これについてお答えをいただきたいと思います。
八代委員 公社が出資を行えるようにするということは、郵便事業に民間が参入をする、そういうことですから、おのずと競争原理が働いていきましょうし、公社に経営の自由度を付与しようとするものだというふうに思っております。
 公社は、出資を活用することによって参入企業との競争に適切に対応しつつ、さらに一層のサービス向上を図ってもらうと同時に効率化も含めてやっていただく。そのためには、自由裁量の出資があってもいいのではないかという思いから、こういう修正を求めたような次第でございます。
武正委員 私が聞いているのは、余裕がないんじゃないか、お金がないんじゃないかと、公社が。資本金が一・九兆しかない。ですから、その資本金をふやさなきゃいけない。まず自分の資本金をふやさなきゃいけないのにという指摘があるのに、出資をする余裕があるんですかというふうに伺ったんです。
八代委員 今のは出資の部分ですけれども、その資本金の問題も、やはり一兆九千億というようなものでは非常に過少資本だというふうに私たちも午前の答弁でさせていただいたんですね。
 ほかの都銀、地銀等々は、大体四・七ぐらいの資本を有するような状況になっておりますので、二百五十兆からの郵便貯金があるとしたならば、三事業一体なものですから、四%ぐらいはやはり自己資本として確保すべきだ、基本額として確保すべきだ、留保すべきだということも御答弁させていただきました。そうすると、十兆円ぐらい。そして、その十兆円をしっかりいろいろな意味で担保しつつサービスをし、そしてまた経営の健全化を図る。こういうことですから、一兆九千億をどのように使っていくかは別としまして、私はそういうことでたえ得るのではないかというふうに思っております。
武正委員 ちょっとお答えいただけなかったので、私は、自己の資本を十兆にしたいという今のお話でしたが、そうするとあと八・一兆ふやさなきゃいけない。その一方、子会社に出資する余裕がないんじゃないですかということをお聞きしたんですが、ちょっと御答弁いただけないので次に移らせていただきます。
 きょう、お手元に、理事会の御承認をいただきまして、また先般と同じ資料を配らせていただきました。
 副大臣、この間もこれ、やりとりしたので、また同じ表なんですが、今回の修正案では、郵便の業務に関連する事業には出資できますよという与党からの修正案が出ております。
 この企業のリストは郵便の業務に関連する事業になるのかどうか。この社名ですね。これがまず第一点。
 これをざっと分類しますと、投資顧問会社、ビルメンテナンス会社、建設会社、設計会社、資材会社、損害保険代理店、機械メンテナンス会社、運送会社、商社、データ入力会社というような形で分類ができるんですが、このような分類された事業、これはやはり郵便の業務に関連する事業になるのか否か。
 以上二点、お伺いしたいと思います。
佐田副大臣 先般も先生の方から御質問があったところでありますけれども、この間、ファミリー企業というようなお話があった。ファミリーというよりも契約があるということでありまして、今回の法案につきましては、修正案にもありますように「業務の運営に特に必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、当該業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができる」、こういうことでありまして、要するに、一番密接に関係する業務をやっておるところをこれから政令で定めて出資していくということであります。
 それと、先生が言われたように、過少資本じゃないかという話でありますけれども、あくまでも、そういう意味においては、何でも出資するというのではなくて、出資することによって効率がよくなり、そして収益が上がる、こういうふうなことも踏まえてこれは政令で定めていきたい、こういうふうに思っております。
武正委員 では具体的に、このリストなりこういった業界、業務についてはいかがですか。
佐田副大臣 まだ検討中でありまして、これがやれるとか、これはやれないとか、そういうことは現時点ではちょっと申し上げられないということです。
武正委員 午前中も、裁量行政いかにということで、総務大臣ともやりとりがありました。こういう国権の最高機関の国会での立法の論議であっても、詳しいことは政令で、これは今言えません、後で決めますと。こういったことは各委員会ですべて見られることでありまして、私は、政令、省令で定めたからといっても、やはり裁量行政に変わりはないというふうに思うわけでございます。
 続きまして、修正案提出者にお伺いします。
 出資企業と公社との関係というのが契約だというお話でしたが、それでは、公社と出資企業の間の契約関係に、公取やあるいは会計検査院からもこれまで、郵政事業庁、旧郵政省のさまざまな事業、委託など含めまして、あるいは発注、これまで言われていたように、一般競争入札をできるだけ取り入れなさい、こういったことも言われているんですが、出資企業と公社の契約関係に何か変化が生まれるのかどうか、これまでどおりなのか、あるいはこれまで以上に一般競争入札をしなければならない、こういったところで御所見を伺います。
桝屋委員 私の方からもお答えを申し上げたいと思います。
 今委員の方から、公社と、それから出資を可能とするわけでありますからその出資された企業といいますか子会社、その両者の契約の関係、お尋ねがございました。
 最初に委員に申し上げたいんですが、やはり我々も、出資は何でもかんでもやればいいということではない。今佐田副大臣からお答えがあったとおり、特に必要と認める場合、それはもう端的に合理化といいますかコストダウンが期待できる、こうしたものであろうというふうに私たちは思っておりまして、そこは相当限定的に考えているわけであります。
 その上で、公社とその公社が出資する企業の契約関係でありますが、一般競争入札かあるいは随意契約かということでありますが、これはまさに調達するサービスの性質によって決まるものでありまして、今回出資するということに決めたことによってその関係が変わるとは考えておりません。
 委員から御指摘があったように、私どもも、与党三党もいろいろ議論する中で、やはり随意契約ではなくて一般競争入札、これをふやしていかなきゃいかぬというふうには思っているわけでありまして、そういう意味では、確かに委員の御指摘のような、この出資ということについては私は、おのずと限界がある、制限があるのではないか、こう思っておるわけであります。私たちも今委員の御指摘の方向を大事に、これから総務省令等の内容もあるわけでありますから、しっかり見守っていきたい、このように思っているところでございます。
武正委員 出資企業こそ契約関係はガラス張りにしなければならないし、今の桝屋委員のお話では、より以上、出資企業だからこそ、一般競争入札の適用を当然受けるべきであろうというふうに私は理解をいたしました。
 さて、先ほど来、出資企業は限定される、公社の効率的な経営、特に必要がある場合ということでお話がございます。ただ、今NHKの肥大化でも既に指摘されておりますのは、出資企業が出資をした、いわゆる孫企業、あるいはそれからまた出資をされたひ孫企業、こういったところが実は問題を生じているということなんですね。
 まず、会計検査院さんお見えでございますが、発注者、ここでは公社でございますが、公社が公社の利益を損なうような契約を出資企業と結んだ場合、これは公社をチェックする立場の会計検査院さんから見てどのようにお考えになるか。また、出資企業が出資をした企業が公社と公社の利益を損なうような契約を結んだ場合はいかに。お答えをいただきたいと思います。
円谷会計検査院当局者 契約の相手方が、公社の出資企業、あるいはそのさらに出資企業、国から見ますれば孫出資企業ということになりますけれども、それだからといいまして、直ちに公社の利益を損なうということにはならないかと思いますけれども、契約の相手方を選定するに当たりましては、その契約の性質が許す限り、やはり競争原理というのは導入すべきであろうと思いますので、検査院といたしましては、公平な、公正な競争が確保されているかどうかという観点から、契約事務が適切に行われているかどうか、あるいは経済性、効率性に配慮した契約になっているかどうかということを今後とも検査してまいりたいと考えておりますので、公社の利益を損なうような契約かどうかというのは、個々の契約ごとに判断させていただきたいというふうに考えております。(武正委員「もう一つありました、出資企業が出資した」と呼ぶ)
 出資企業が出資した、孫出資企業ということになりますけれども、これにつきましても、基本的には同じ考えでございます。ただ、検査権限ということに関して言いますと、公社の出資企業は国から見ますれば孫出資企業ということになりますので、会計検査院法二十三条の一項第五号によりまして検査対象になり得るということで、必要があれば検査をするということになりますけれども、孫出資企業まではその権限がありませんので、そういう点では若干の制約がございます。
 以上です。
武正委員 孫出資企業まではなかなか検査ができないということで理解をさせていただきたいと思いますが、こうした孫企業あるいはひ孫企業、これがやはり今回の出資のときに忘れてはならない点だなというふうに思うんですね。
 それで、公取さんもお見えでございますが、公取さんは、平成十二年十一月三十日、「郵便事業への競争導入と競争政策上の課題」ということで、次のように述べておられます。「郵便事業体が国営の公社として維持されることも踏まえつつ、郵便事業体が自己の施設及び設備を利用して、他の事業分野に進出することによる当該事業分野の公正な競争に与える影響を考慮して、検討する必要がある」ということでございまして、さまざまな分野に進出することについてはやはりクエスチョンがあるということで、公社がいろいろな事業をどんどんふやして進出することは問題あり、こんなことも公取さんは指摘をされているんです。先ほど桝屋委員とのやりとりでもありましたが、出資企業を含めて一般競争入札の割合をふやしていくべきというふうに私は考えるんですが、この点について御所見を伺います。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 公正取引委員会の所管いたします競争政策の観点から申し上げますと、競争が確保されるということが非常に大事でございまして、そのような意味でも、これから民間事業者との競争が始まるということでございますので、そのような場合の、独占禁止法に違反するような行為が行われることのないように、厳正に対応したいと考えております。
 特に、発注についてお伺いがございましたけれども、私どもは、やはり競争を導入するという意味では、競争入札というものが基本になるという考え方が一番大事ではないかと思いますので、随意契約ということでありますと、これは競争が予定されていないということで独占禁止法の適用を受けないあるいは独占禁止法の適用ができない、こういう関係になりますので、できるだけ競争を生かすような、そういうふうになっていただきたいと思っている次第でございます。
 以上です。
武正委員 公取さんからも強い希望があったんですが、修正案提出者におかれましては、出資企業も含めてやはり一般競争入札の割合をふやしていくべきと考えますが、この点の御所見を伺います。
桝屋委員 先ほどから委員が議論されていることは、私ども提出者としても全く同じ思いであります。
 ただ、一つは、出資は、先ほどから何度も申し上げておりますが、何でもかんでも出資するということではないわけでありまして、本当に、公社化後の経営の状況、特に郵便事業の効率化という観点で出資をするわけでありますから、中には契約、発注が全く関係のない、例えば午前中話がありました発送代行業務のようなものは、私は、これは契約の問題がにわかに出てくるかな、こういう気もするわけであります。あとは出資と契約の関係については、委員の御指摘も、やはり我々も十分認識をして、これからの政令の策定等についてしっかり見守っていきたい、こういうふうに思っているところでございます。
武正委員 こうして与党の方に提案をいただいてのやりとりというのは初めてなもので、なかなかなれないところがありますが、多分これからこういったケースがふえるんではないかという報道もありますので、練習のつもりできょうはやらせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)はい。こういうような力強い御発言もございますので。
 人事院さんにお伺いします。
 国公法百三条、公社は国の機関と考えるわけでありますが、こうした密接な関係にある営利企業、これまではファミリー企業という形容もございましたが、そしてまた今回は、公社が出資した企業について国公法百三条は適用されるのかどうか。並びに出資した企業が出資した企業、孫企業あるいはひ孫企業、これについてはいかに。お答えをいただきたいと思います。
北神政府参考人 お答えいたします。
 国家公務員法上の再就職規制との関係でございますが、今回の公社法施行法案におきまして国公法百三条第二項の改正が盛り込まれておりまして、郵政公社の職員が密接な関係にある営利企業に再就職する場合には、国の機関の職員の場合と同様、同項が適用されるということになってございます。
 それから、今先生の御質問の、公社が出資した企業について密接な関係になるかどうかということでございますけれども、これまで国が出資している企業につきましては、あわせて行政上の権限関係もございまして、そういう中で密接な関係を判断してきたところでございます。
 出資の関係だけで密接な関係を判断するとなると初めてのケースとなるものでございますので、人事院としましても慎重に方針を検討していかなければならないというふうに考えておりますが、その際には、出資の状況とか出資に伴う郵政公社と出資先企業とのもろもろの関係の状況等を踏まえまして検討する必要があるというふうに思っております。
 それから、出資先企業とその出資先企業がさらに出資した企業ということでございますけれども、今現在におきまして、例えば国の機関と営利企業が密接な関係にある場合におきまして、その営利企業と商法上の親会社、子会社の関係にある企業につきましては、直接国の機関と関係がなくても、親会社と国の機関が密接な関係にあります場合には密接な関係にあるものとして取り扱っておりまして、今回の場合も同様に取り扱われるものになるというふうに考えております。
武正委員 人事院さんとすれば、孫企業、ひ孫企業も同様に扱うというような御答弁があったわけでございます。
 さて、先ほどちょっとお話ししましたが、子会社の子会社ということでございます。NHKさんは子会社の売り上げが二千七百七十億、九八年度ですね。日テレ、日本テレビさんと同じということで、当時の朝日さんが社説で肥大化がとまらないということを書いております。
 また、当時、八代委員におかれましては郵政大臣でございまして、そのときの御答弁で、これは二〇〇一年五月十七日、読売新聞、同じく社説ですが、昨年の通常国会で八代郵政大臣は、NHKが普及途上のインターネットで事業を行うことに強い難色を示す答弁をしていたということでございます。NHKについては、同じところに書いてあるんですが、子会社が出資した孫会社の情報は公開していない、ですから、未公表の関連企業は七十社に及ぶと指摘されているということでございまして、子会社がまた出資をして孫会社をつくっていくというところにはなかなかガイドラインが及ばないんだといったところでございました。
 大臣にお聞きします。
 NHKの場合も子会社が出資することには禁止規定が及ばないといった指摘があるんですが、同様のことがこの公社でも危惧をされるわけでございます。先ほどからるるお話をしてまいりましたが、こうした点、子会社が子会社にどんどん出資をしていく、孫会社、この点をどういうふうにして規制するのか、お答えをいただけますでしょうか。
佐田副大臣 先生も大変お詳しいですからあれですけれども、NHKなんかの場合も、ガイドラインをつくって、時代に即応して関連企業がふえてきていて、またインターネットも始めておるわけであります。昔でしたらば、例えば地上デジタルなんかありませんでしたから、これは地上デジタルがこう進んでくると、やはり地上デジタルにおける資金を相当NHKも出しておりますから、もちろんこれは関連企業としてインターネットなんかもやっていかなくちゃいけない、そういう時代の必要性に合わせてやってきているんじゃないかと思っております。
 また、今の、本題に入りますけれども、いろいろな契約におきましては、公社は総務大臣の任命するところによります監事が検査をしたり、今お話がありました会計検査院が検査していくわけですね。そして、出資会社についてもそれを検査していく。
 それでは、出資会社のまた孫の会社はどうなるのかという話でありますけれども、私は、出資をしているということは、それだけの、公社の方には、元請というかもとの会社の出資する方については、相当な権限ができてくるわけでありますから、一つ一つの契約であるとか事業経営についていろいろな指導ができるわけですから、その中で孫請というか出資会社の下請をやっている方々に対するいろいろな指導もできてくるんじゃないか、こういうふうに思っております。
武正委員 それがやはり焼け太りという批判のもとだというふうに思うんですね。NHKについても、第三者的機関とする審査委員会の委員の大半がNHK幹部である上、事業活動と直接的な利害関係を持つ者からしか苦情を受け付けないなどというような、こんな記事もあるといった、ある面の先例があるんですね。
 ですから、私は、今は、公社が判断するというような形での御答弁でありましたが、こうした子会社が子会社に、孫会社にといった野方図な出資がこれから起こらないためにも、やはりこれは第三者のチェックが必要だというふうに何度も申し上げているわけでありますし、政府提案の公社化法も、独法よりも国会のチェックはできないという根本的な問題点が解決されていないということは引き続き指摘をさせていただきます。
 さて、提出者に伺います。
 この三項めの修正でありますが、国庫納付金についての修正をした目的、もう趣旨説明に書かれていますので、これと重複しないところでもしお答えいただければというところ。
 あと、私がこれを読みますと、要は、簡単に解釈しますと、中期経営計画の中で利益が出れば納付しますよと、そうすると四年ごとの納付というような形にもなるんですが、果たしてそれがいかにといったことと、特に二号を加えております。一号、二号のうちの二号、これはどういった理由で二号を加えたのか。
 以上、お答えいただけますでしょうか。
桝屋委員 四年ごとに納付するというこの修正の趣旨、提案理由以外のところをもしあればということでございましたが、私も後から参加した一人でありまして、八代先生からまた後から私の知らない話があるかもしれませんが。
 ここは、国庫納付については、私どもも当初は、私は自民党と違いまして公明党でありますから、今の政府原案を見ていて、まあまあ基本的なことは政令にあるわけでありますから、これからの議論かなと思っておりましたけれども、郵政公社が独立行政法人と同様に複数事業年度に係る経営目標、経営計画を策定する、こういう形になっているわけでありまして、これに沿って国庫納付のあり方について入念に規定をしたいという御説明をいただいて、まあそれは私たちの党としても理解をしようと、了といたしたところであります。
 それで、二号。一号、二号、実はこれも独法と同じ法文の形になっておりまして、極めてわかりにくい表現でありますが、いずれにしても、公社の経営の健全性を確保するという観点で、中期経営計画期間中に積立金が増加した場合に、期間中の損益を通算したときに黒字であった場合であって、かつ、中期計画期間終了時点において基準額を超える積立金の額がある場合に限って国庫納付を行う。それで一号と二号分けているわけでありまして、一号は先生も御理解されて、二号、これはどういうことかということですが、前期間の終了時の積立金の額が基準額を超える場合には当該期間中の積立金の増加額を納付額の算定基礎とするということでございます。
 これも、私どももぎりぎりのところで自民党さんからお聞きしたわけでありまして、これはやはり、一つは基準額というものを設けたということがあるんだろうと思うんですね。さっきから申し上げておりますように、まさに経営の健全性をより確保するという観点で、中期計画四年ごとに、しかも基準額を設けて、そしてそれ以上出た場合にということでありまして、しかもそれが、二号の方は前期と比べて、比べた部分でふえた部分について一定割合を納付する、こういうことでありまして、より入念に規定をされているわけであります。
 これは、午前中も議論がありましたけれども、四%、十兆円、こういうざっくり言っての話が八代提案者からもありました。これをどのように考えるかということでありますが、私どもといたしましては、経営の健全性をより確保するということでこの表現でいいのではないか、こう考えた次第であります。
 いささか長くなりましたが、そんなことでございます。
武正委員 与党三党での御協議が大変最後までもつれて、御説明が桝屋委員の方にはなかなかぎりぎりだったということはよくわかりました。
 さて、今の御説明でありますが、大臣、企業会計原則を取り入れようという公社ですよね。大臣は、自由な経営でやらせたらいい、だから国会の関与もできるだけさせないんだ、事前チェックじゃなくて事後チェックだよということを何度も言われるわけなんですが、今回、国庫納付金が四年で利益が出れば納めてもらおうよという修正案、並びに二号に至っては前期四年間での利益よりも上回った利益が出た場合その上回った部分で納めなさいということは、前期の四年間で上げた利益よりも今回の四年間が少なかったら納めなくていいよというふうに私は理解するんですが、これでは、企業会計原則を入れて自由な経営をさせて、そして官から民へという流れの中でせっかく公社をやろうというのに、何かもう、もうからなくてもいいよ、別にもうからなくても、利益上げなくても、国に対して納めなくていいからというような形でとらえられて仕方ないんですね。
 やはりこれは四年に一回じゃなくて年度ごとに、財務諸表も総務大臣のもとに毎年提出するんですから、毎年毎年、一年一年で企業会計原則に基づいてやってもらう、こういうのが当たり前だというふうに思うのですが、これについて、大臣、御所見いかがでしょうか。
片山国務大臣 郵政事業、郵便だけじゃなくて郵便貯金、簡易生命保険、これは基礎的な国民に対するサービス、いわば生活のインフラだ、こういうわけでございまして、しかし、そういうことからいうと、やはり経営が大変健全でなきゃいかぬ。
 これが公社に変わってこれからスタートする。しかも、それが大変な過少資本だ。今十兆円と言いましたが、郵貯だけでも四パーなら十兆円ですが、簡保まで入れますと十五兆円ですよ。一兆九千億と十五兆円というのは全然違うので、だから私は、今までも答弁しましたように、最初の中期経営計画が終わる四年間は恐らく納める見通しにならないでしょうということを私の見通しとして申し上げたのです。
 そういう意味では、四年ごとに区切っていくというのは一つの考え方です。それは、やはりこの公社そのものの経営の健全性に大変おもんぱかっていただいたんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
 そんなにこれからこんな生活のインフラのような事業がどんどんもうかるなんということは余り想定できませんよ、またそんなことをもうかるようにやるべきでもない。経営の効率化はやらにゃいけませんよ、サービスの向上はせないけませんけれども、しかし、そういうことで、国庫納付金について、我々が出した案よりはかなり丁寧に、詳細に書いていただいたということは、それはそれで一つの考え方であるなと私は思っているわけでありまして、とにかく公社がスムーズにスタートして、国民のための事業をしっかりやるということが一番肝要ではないかと考えております。
八代委員 その修正につきましては、公社の経営の健全性をより確実に担保する観点、特に、いろいろな公聴会に行きましても、いろいろな意見の中でも、公社化はやはりあまねくサービスを含めて健全でなければならない、こういう意見が大多数であった、このように私は思うのですね。
 そういう意味では、政府原案を修正して、納付金算定の考え方をより具体的かつ丁寧に規定しまして明確化を図ることとしたものでございまして、公社に国庫納付金を免除するという趣旨じゃないんです。
 ですから、大いにもうけてもらって、そして上回ったものは国に納めてもらうなんというのは、これは至極当然のことだと思いますが、やはり健全経営ということをまずスタート時には私たちは担保しておく必要があるのではないか、こういう思いでございます。
武正委員 健全な経営ということをお二人とも力説されるわけでありますし、大臣に至りましては、もうからないというような明言がありまして、もうからないところに民間が参入するかということが、結局名乗りが上がってこない。いや、もうからないことはない。そのかわりハードルを下げてさまざまな規制をなくしていけば、十分経営とすればもうかるんですね。だから、やはりそれは考え方の違いといったところを認識したわけです。
 公取さんに、今八代委員から免除じゃないというお話もあったんですが、納税免除は九九年度でいうと千二百八十五億、預金保険料でいうと、〇・〇八四六%ですから約二千億。これに加えて、今回の国庫納付金についても、私はやはり免除になるというふうにとらえるのですが、公正競争の点からどのように考えられますでしょうか。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 公正取引委員会の所管いたします競争政策の観点から申し上げますと、事業者の間ではできるだけイコールフッティングが確保されていることが重要であるというふうには考えておりますけれども、個々の事業者はいろいろな条件のもとで活動しているものでございまして、ただいまのように国庫納付金を免除になるのかどうか、私もよく存じ上げませんけれども、御指摘のようなことがあったからといって、公正な競争が阻害されたり、あるいは独占禁止法上問題となるというようなものではないと考えております。
武正委員 公取さんにはぜひ、先ほど来さまざまな形で御提案あるいは決意をお聞かせいただいておりますので、やはり健全な競争にさらに御尽力をいただきたいと思います。
 さて、副大臣にお伺いをいたします。
 郵貯、簡保三百五十兆円の運用、これが国債を幾らお買いになっているのか。十三年度末の数字が出るといいんですけれども。また、財投債は幾らか。並びに、国債、財投債それぞれ十四年度はどの程度の購入予定があるのか。さらに、財投債は七年間の激変緩和で幾ら購入を予定しているのか。
 以上、お聞かせをいただきたいと思います。
佐田副大臣 平成十三年度末における郵貯、簡保本体の国債保有額は、現在決算の取りまとめ中でありますけれども、郵貯が約五十三兆円でありまして、簡保が約三十七兆円となる見込みであります。なお、財投債は、市場においてこれまでの国債と何ら変わりがないために、保有国債をこれまでの国債と財投債とに区別はなかなか難しいものですから、一緒に今言わせていただきました。
 また、平成十四年度における国債、財投債の運用予定額は、昨年末の郵政審議会に諮問の上策定、公表した郵貯、簡保の資金運用計画におきまして、郵貯が、国債市場購入が約八兆円、そしてまた、経過措置による、経過措置というのは例の七年の話でありますけれども、経過措置による財投債引き受けが十三・六兆円。簡保の方が、国債市場購入が約六兆円、そして経過措置による財投引き受けが三・一兆円となっておるところであります。
 なお、平成十九年度までの激変緩和措置としての財投債引き受けにつきましては、今後の経済情勢等により、財政投融資の規模や財投機関側の資金需要及び調達動向等に応じ財務省が決定する各年度の財投債発行額そのものが未定であることから、これからの検討である、こういうふうに理解しております。
武正委員 大臣に、前回もお聞きをしたんですがお答えいただけなかったので、今回質問として項目立てをさせていただいたんです。平成十四年度も十六・七兆円の国債、財投債も一緒なんですね、分けられないということなんですが、これを購入される担当大臣として、国債のランクが今二ランク、ムーディーズとスタンダード・アンド・プアーズで下がりました。こうした国債のランクが下がっていることについて、どのようにお考えになりますか。
片山国務大臣 今言いましたように、私どもの方の郵貯、簡保の運用では、国債が一番大きいですね、額が。だから、国債については大変関心を持っておりますが、格付をどうやってやるのか、この仕組み。それから、それがどれだけの権威、信用があるのか。
 いろいろなことをいろいろな人が言っていますね、意図的にやったとかやらなかったとか。わかりませんよ。しかし、私は、日本のファンダメンタルズや将来のいろいろな要素を勘案して、ここで二段階も下げることは必ずしも適当でないと考えております。
 しかし、それは向こうは向こうの都合でやるのですから。おまえらが文句を言ってもやるという。おやりになれば結構なんで、それはやむを得ませんけれども、この格下げによって国債の価格が大きく下落しているような状況じゃございませんので、私どもは、今それをもって郵貯、簡保の運用を考え直すとか検討するとかということは全く考えておりません。
武正委員 MITのドーンブッシュという教授が、日本の長期債務は七百兆じゃない、千二百兆だと。それは、何がプラス五百兆かというと、年金の返却というか、今の日本の年金では年金制度が破綻して返せないだろうということで、プラス五百兆見ている、そんなことで千二百兆円、二四〇%。そんな指摘もございます。
 今、これはランク会社がランクしたことでということで、塩川財務大臣と同じような御答弁だなというふうに伺うのですが、ただ、国債を買う立場の大臣としては、一方的な見方というのは、やはり郵貯、簡保の利用者に対する説明責任、責任としてはやはり問題があろうというふうに思うのですね。
 ぜひ、この点については、さらにそうした説明責任ができるように、国債のランクが、じゃ、どうしたら上がるのか、やはりそれはちゃんとした評価として前向きに受けとめていただきたいとお願いを申し上げます。
 さて、副大臣には、簡保事業団、これは今度なくなるわけです。簡保事業団がこれまで運用していたわけなんですが、この理由と、廃止する理由。また、簡保事業団が有していた施設、これは公社が有するのかどうか、また統廃合の計画があるのかどうか。
 あわせて、郵貯振興会もどんな組織に変わるのかということと、郵貯振興会の施設、これはまた公社が保有するのかどうか、統廃合の計画があるのかどうか。
 以上、お答えをいただけますでしょうか。
佐田副大臣 多岐にわたった御質問なんですけれども、前の郵貯、簡保の運用に当たりましては、これは国でありましたから、直接株を保有するということが民間企業の支配につながるということもありましたので、これはまずいということで、簡保事業団を通じまして指定単運用を行っていたというのが現実であります。
 ただ、今度は、公社化に当たりましては、特殊法人等整理合理化計画、これは平成十三年に閣議決定されておるわけでありますけれども、簡保事業団の資金運用事業は「郵政公社化に合わせ、郵政公社に移管する。」とされておりまして、これを踏まえまして、簡保事業団の資産及び負債を郵政公社へ承継する、こういうことになっております。したがって、それを承継することによって、その中において指定単運用をこれからも行っていく、こういうことになっております。
 また、今御指摘がありました、簡保事業団を廃止する理由ということでありますけれども、公社化になりまして、これは特殊法人になるわけであります。自律的また弾力的な運営をやっていくわけでありまして、これを存続させるということは全く、簡易保険事業団自体もこれは特殊法人でありますから、そういう意味におきましては、その存在価値がなくなってきましたので、公社に一元的に統合していく、こういうことであります。
 それだけですね。(武正委員「施設のことと、あと、郵貯振興会もあわせて。簡保の施設と」と呼ぶ)失礼しました。
 郵貯振興会の方でありますけれども、郵便貯金振興会は郵便貯金の普及に寄与することを目的としておりまして、郵便貯金に関する調査研究や、また郵便貯金会館、いわゆるメルパルク等の施設の運営に携わってきたわけであります。郵便貯金振興会は、もともと郵便貯金の普及に寄与することを目的に設立された財団法人でありましたけれども、運営を受託している郵便貯金会館等が、これはさっき言ったメルパルクでありますけれども、国有財産であるために、これを明確化するために、昭和五十二年に認可法人としたわけであります。
 また、今般の公社化に伴いまして国から公社に承継することとなったものでありまして、したがって、郵便貯金振興会については、運営を受託する施設が国有財産から公社財産になるために、認可法人である必要がなくなってきたものでありますから、今度はまた逆に財団法人に組織変更していく、こういうことになっております。
武正委員 施設がどこに所属するのかと、統廃合の計画はいかがですか。
佐田副大臣 加入者福祉施設につきましては、昨年十二月十九日に閣議決定した特殊法人等整理合理化計画におきまして、不採算施設の統廃合や、競争条件を付した外部委託の拡充など、効率化に向けた改善を実施しまして、宿泊施設またレクリエーション施設に係る運営費交付金を縮減いたしまして、平成十九年までには、これはいわゆる運転資金みたいなものでありますけれども、運営費交付金を廃止する方向で今進めております。
 したがいまして、公社化後は、日本郵政公社において、この閣議決定に伴いまして、不採算施設の統廃合等について具体的に検討しまして必要な措置を講じていきたい、こういうふうに思っております。
武正委員 これまでは、国による直接の支配がいかぬ、株を持つのは。そういったことで、簡保事業団を通して運用してきたということでありましたが、今度は公社が直接やるということでありますので、余計、運用の影響がさまざまな形で、ある面の企業支配だったり、そしてその企業との不透明な関係につながらないように、やはりさまざまな形でのチェック体制が必要だというふうに考えるわけであります。
 そこで、この間も質問したのですが、会計監査人の任期を一年強としているのですが、先ほども、中期経営計画、四年ということを非常にこだわられます。四年で利益が上がればという修正案も出す、そういったところでありますので、では逆に、そのチェック体制ということであれば、会計監査人の任期は、この中期経営計画と同じであってしかるべき、四年あっていいんじゃないかというふうに考えるのですが、大臣、御所見を伺います。
片山国務大臣 これは、株式会社の会計監査人の任期が一年なんですね。それから、独立行政法人、これも公社と同じように、中期的目標管理の仕組みというのでしょうか、中期経営計画的なものを目標と計画に入れているのですけれども、これも約一年なんですね。そこで、そういうものを見ましてこの法律の中では一年にいたしたのですが、言われる点はよくわかります。
 これは再任が可能ですから、スタートして、再任を含めて、状況を見て万般考えていきたい、こういうふうに思っております。
武正委員 続いて、公社の資産の評価について、これも大臣にお伺いをしたいのです。
 施行法ですが、公社が承継した財産、資産、負債の価額は評価委員が評価した価額とし、その額を決定しようとするときは、公社の設立のときにおける時価とすることとしている。ただし、当該財産の種類、用途などを勘案して時価によることが適当でないと認めるときは、承継財産の時価によらないことができるとしているということなんですが、この評価委員の構成、そしてまた、やはり私は第三者機関に評価させるべきではないかということと、それから、時価の例外を設けるというのはいかがなものかな。
 今、企業会計原則が既に時価会計ということで一部導入をされております。二〇〇六年には全企業で導入ということも、当初は二〇〇二年でありましたが、考えられておりますので、公社は、企業会計原則、しかも時価会計でやるべしというふうに考えますが、大臣の御所見を伺います。
片山国務大臣 今言われたように、郵政公社に引き継ぐということについては、時価を基準にして総務大臣が任命する評価委員が評価した価額とする、こう書いていまして、評価委員の構成については、具体的には政令になりますけれども、一般的にはこれは独立行政法人や特殊法人にいっぱい例がありますから、その例を見て考えたいと思いますけれども、学識経験者はもちろん入っていただく。公認会計士の方や不動産鑑定士の方、それから、所管省庁といいますか総務省の代表として総務省の職員に入ってもらう。それから、財政当局、国庫当局の代表として財務省の職員に入ってもらう。それから、新しい法人、公社の代表にも入ってもらう。こういうことを今念頭に置きながら検討いたしておりまして、これは今までいろいろな例がありますから、それを見てやりたい。第三者機関と言われますから、できるだけそういう第三者機関的な、そういう方を選んで全体をまとめていく、こういうことを考えております。
 そこで、評価について、なるほど法律には、財産の種類、用途、その他の事項を勘案して時価によることが適当でない場合には、時価でなくてもいい、こうしておりますが、今考えられておるのは満期保有目的の債券だけですね。場合によっては、これは償却原価でやる。会計基準がそういう基準になっているものですから。残りは時価でやる。こういうふうなことを今考えておりまして、そう委員が御心配のようなことにはならないし、しない、こういうことであります。
武正委員 ちょっと時間がかなり押してきましたので、二問ほど飛ばしましていきたいと思います。
 大臣の方に、この一般信書便事業者に対する立入検査、三十六条でありますが、私はこれはかなり厳しいなというふうに考えるんですが、この点。
 それから、これは最後の質問になりますが、信書便法では、総務大臣の許可、六条から九条、二十九条から三十一条、十五条、そして認可は十二条、十三条、十四条、十七条、二十二条、二十三条、二十四条、二十五条、届け出が十条、十六条、三十二条ということで、総務大臣が次から次に出てくるわけなんですが、こうした総務大臣の許認可、これがやはり信書便法、余りにも多過ぎるんじゃないかというこの指摘。二点、お伺いします。
片山国務大臣 立入検査ですね。この信書の送達の仕事というのは、立憲民主主義に基づきます表現の自由に関係がありますので、信書の秘密の保護を十分に確保しなければならない、こういうことでございます。やはり必要最小限度の立入調査等はやらせていただかなきゃいかぬ、それは、ほかの似たような法制も全部そういう仕組みになっておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
 それから、なるほど、認可、許可、届け出が多い、そうなんですが、これもほかのこういう種類の公益事業法制に比べて多い方じゃないんです。多い方じゃないんです。極めて少ないとは言いませんが、そういう意味であとは運用上いろいろ透明性その他考えることもあると思いますが、これも御理解いただきたいのは、やはりユニバーサルサービスの確保ということが大命題でございますので、あるいは信書の秘密の保護ということが大命題でございますので、そこの担保のためには我々としては必要最小限度のチェックはさせていただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
武正委員 やはりユニバーサルサービスの概念も変わってきましたし、信書の秘密の概念も変わっているんですね、百三十年で。ですから、それでぎりぎりとやってしまうとどこも参入したくないということになったんじゃないかなというふうに私は考えます。
 最後に、たくさん、多いですよということなんですが、特に、その中で、総務大臣の許可。許可というのは、行政法上、法令による特定の行為の一般的禁止を特定の場合に解除し、適法にこれをすることができるようにする行政行為をいう、釈迦に説法でございますが、一般的禁止を解いてやることを許可というんだということなんですね。特に十五条、一般信書便事業者の休止、廃止、解散、これは許可を受けなきゃいけないんですね、総務大臣の。特定信書便事業者は届け出でいいんですね。何でこれは違うのかなといったことも含めて、ここは、大臣が言う事後チェックということであれば、やはり許可から認可へ、認可から届け出へというふうに垣根を下げてやらないと民間事業者は入ってこないと思うんですが、最後、この十五条の点、いかがですか。
片山国務大臣 休廃止をされる場合に突然やられるとみんな迷惑するんですよ。あらかじめ、ちゃんと予告期間をとって、その間受け付けないことにしてもらわないと、受け付けて途中でやめたということになりますと、それこそユニバーサルサービスも信書の秘密も全部吹っ飛びますので、そこで、そこの一つの手続をとらせていただいている、こういうことでございますので、ぜひこれも御理解賜りたいと思います。
武正委員 もう時間となりましたので終わりますが、最後の点は、やはり、十五条は許可だけれどもいわゆる特定信書便事業者は届け出でいいというのは、今の御答弁は納得できません。
 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
平林委員長 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)委員 公明党の遠藤和良です。
 いよいよこの法案も大変大詰めの状況、審議になりました。きょうは、与党から修正案も出されまして一括して審議しているわけです。
 おとといは地方公聴会もありまして、私は熊本に行ってきたんです。ちょっと残念でありましたことは、国民を代表する三人の方から御意見を伺ったんですけれども、大変素朴な意見として、郵便局は今本当に国民の中に定着をして、空気のようにその存在が、日常的に、わからないけれども安心のできる存在である、かつ、国民から見ると何の不便も来していない、何で改革をしなきゃならないのか、その意味がわかりませんと。この大改革は国民に対してどういう利便性をもたらすものでしょうか、そうしたはっきりしたメッセージをぜひ届けてもらいたい、こういうふうなお話がございました。これは、政府の責任でもあるし、国会で審議をしている私どもの責任でもあるなと思って帰ってきたんですけれども。
 明治五年ですか、この国に全国展開の官製の郵便局制度ができて百三十年ぶりに、この経営形態を国直営ではなくて別個の国営の公社でつくり直そう、それから、国家独占であった信書便の送付の事業についても、条件つきですけれども、全面参入して民間の方にも入ってもらって、お互いに切磋琢磨、競争して国民のためのサービスを展開する、その大法案だ、こういう位置づけで国会では審議しているんですけれども、国民の皆さんのもとにはそのメッセージが届いていない、こういうふうな印象を受けました。
 そこで、大臣の声で直接国民の皆さんに、今回の改革は国民の皆さんにとってこういう意味で行うものでございますということを少し丁寧にお話ししていただきたいと思います。
片山国務大臣 言われるとおりなんですね。国民の皆さんに対するそういう意味でのメッセージを有効に出しているかどうか、それが大変心もとないような気がいたしております。
 今、国がやる郵便局、郵政事業、これを国営公社にしようということは大変な議論で、国会で基本法をおつくりになって、基本法の中でフレームを決めていただいたわけですね。そういう議論の中で、私は十分その際に国から公社にすることの利害得失の御検討はあったんだろうと思いますけれども、それが国民の皆さんに十分な御理解をいただいていない、こういうことだと思います。
 基本的な考え方は、郵政事業の特異性というんでしょうか、特性を踏まえながら、いわゆるユニバーサルサービスを確保していく、これは守っていく、その上でできるだけ民間との競争を踏まえてよりいいサービスを導入していく。こんなに便利になったじゃないか、料金も下がったじゃないか、こんないろいろなことを郵便局がやってくれるじゃないか、あるいは、民間も競争して頑張っているじゃないか、こういうことを恐らくイメージしてこの制度の改革はできた、こう思いますけれども、そのことを強烈にアピールできないというのは我々の責任だ、こう思っております。
 この法律が国会の御了承でできて、来年の四月の発足を考えておりますから、その間さらにいろいろな形で国民の皆さんに御理解いただくようなPRをしてまいりたい、こういうふうに思っております。
遠藤(和)委員 私は公社法と信書便法は一体のものだと思っているんですね。これは一体となって、国民に対してどういうサービスが具体的に展開できるのか。
 ですから、国民から見て今回の改革によって具体的に身近な問題としてどんなことができますか、そういう具体的なサービスの青写真といいますか、身近な問題としてどういうふうなことを私たちは期待していいんでしょうか、その期待の方の答えを欲しいと言うんですね。そうじゃなくて、いたずらに不安の方が多いと言うんだ、逆に。これをすると身近な郵便局はなくなっちゃうんじゃないのかとか、料金が高くなるんじゃないかとか、田舎の料金が高くて都会の料金は安くなっちゃうんじゃないかとか、そういう不安の方が先に行っちゃって、安心のできるようなメッセージは伝わってこないんです、こういうふうな不安をおっしゃる方がいらっしゃったんですね。
 ですから、青写真を積極的に示していただきたいということをお願いします。何か具体的に今考えている青写真はございますか。
片山国務大臣 なかなかそれが難しいんですけれども、今まで、例えばATMですね、あれは今郵便局に入っておりまして、大変重宝に使っていただいております。今だと国の予算で決まるものでなかなか自由に置くことができないわけですが、これから公社になれば、そこはかなり弾力的、自由な対応が可能になるということもありますし、今郵便局等を合築するなんという話が時々あるんですけれども、国有財産ですから、なかなか簡単にいかないんです。これは公社になればもっとそれがスムーズにいくんじゃなかろうか、こういうことも考えております。
 それから、全体の郵政事業なり郵便局の経営の中身や財政の状況をもっと国民の皆さんにわかりやすい形でPRできるんじゃなかろうか。そういうことができると思いますし、それから、当委員会でも御議論いただいておりますように、弾力的な人事配置や能力、成績を反映した給与や、いろいろな、今までの役所流のやり方とは違うことも考えておりますから、そういうことで職員の皆さんに元気を出していただけるようなこともあるのではなかろうか。
 いずれにせよ、遠藤委員からの御指摘でございますので、公社に変わる、ではどういうメリットが国民の皆さんに直接あるか、その具体的な青写真をぜひ検討してまいりたいと思っております。
遠藤(和)委員 同じような視点から、きょうの公社法の修正案を出された提案者にも聞きたいんです。
 三点の修正案を出されていますけれども、その三点がいずれも国民にとってはどういう意味があるのかというものを国民の皆さんに伝えてほしい、こう思うんですね。そうでないと、何か、コップの中のあらしでそんな話をしているんじゃないの、国民のわからないところで何か勢力争いみたいでやっているんじゃないのというふうな話になっちゃうんですね。そうではなくて、与党が出された修正点というものが、国民の皆さんにとってこういう意味があるんですよという説明をぜひしてもらいたいと思います。いかがでしょう。
桝屋委員 我が党委員の質問に答えるのはいささか抵抗がありますが、最初に、実は我が党は、さっきも申し上げましたけれども、この国会が始まりまして、この郵政公社法案、この国会最大の法案であったと思いますが、実は、総理と自民党の皆さんが大変に激しい、熱い議論をされておったものでありますから、私どもは、与党ではありましたけれども、いささか、入ろうかと思ったんですが、余りにも熱いものですから、足を踏み入れることなく、冷静に、どこまでも国民の立場で、サービスを利用される国民の立場で冷静に議論していこうということで今日まで議論をしてまいりました。
 そういう意味では、先日、修正案をお示しいただいたわけでありますけれども、基本的には、今、遠藤委員もおっしゃったように、郵便事業について国家独占を排して全面参入を図るという法律の大枠、基本的な枠組みが守られておりますので、私どもはその流れでいいと思っておりましたから、そういう意味では修正案に賛成をした、了として一緒に提案をさせていただいた次第であります。ただ、全国あまねく公平に、なるべく安くというユニバーサルサービスとしての郵便事業の意義、機能、これをしっかりこれからも拡充していかなきゃいかぬ、守っていかなきゃいかぬという意味で実は修正案にも臨ませていただいたわけであります。
 三点は、もう午前中からずっと議論が出ておりますが、あまねく全国に郵便局を設置する、この修正案はまさに入念規定でありますけれども、今の郵便局のネットワークをぜひとも維持、拡充したい、こういう思いであります。
 それから国庫納付金、これも先ほど厳しい御指摘もありました。ともすると公社を守ろうというふうにとられるかもしれませんが、コップの水のあちこちではありません、やはり公社の経営の健全性をより確保する、そして結果的に、三事業あわせて一層質の高いサービスが受けられるということを期待したわけであります。
 あるいは、出資条項の追加につきましても、これはもう前から公社化研究会の中間報告でもそういう方向が出されていたわけでありまして、まさに経営の自由度を付与するという観点ではこれは大事な点だと思っております。これによりまして、一層の経営効率化あるいはサービス向上が図られるということで、これも結果的にユニバーサルサービスの維持が確保できる、このように考えたわけであります。
 いずれにしても、利用者利便の維持向上が期待できるということで、この修正案に我が党としても賛同し、提案をさせていただいた次第であります。
八代委員 今、遠藤委員からお話がありましたし、桝屋委員の方から修正の三つの点についてお触れをいただきました。
 大変熱い議論を、荒井総務部会長、また稲葉専任部会長のもとで連日のようにやってまいりまして、それはまさに遠藤委員がおっしゃったように、地方公聴会での声にあるように、ひょっとしたら郵便局はなくなっちゃうんじゃないの、今までの利便性が欠落していくんじゃないの、こういう不安の部分が大変声として多かったと思うんです。そういう意味では、あまねくサービスという点が修正されたことによって、どうぞ国民の皆さん安心してください、今まで以上に、公社になってサービスは津々浦々まで届きますよという一つの気持ちを伝える思いが集約的に出てまいりました。
 それからまた、出資の件につきましては、これから民間参入という新たな問題が提起されておりましたので、民間参入していくのに、また公社を、一方では半官半民的ではあっても縛りをつけるようなことはいけないんじゃないか。しかし、もっとそれには経営の合理化あるいはサービスの向上を図るためにも、その自由裁量が必要ではないかという思いで、二点目の修正ということにこぎつけました。
 それから、納付金の問題は、やはり過去のJRにしても、あるいはたばこにしましてもNTTにしましても、移行期においては、いろいろ中期的に経営形態というものの健全性を確保する上で大変だろう、それならば、ある一定期間そこには資本的なもの、留保金のようなものがあって、そこから上積みして経営が黒字になっていったら、そういう部分を国に納めるというのは一つの流れではないのかということで、いろいろもっとたくさんありましたが、三つに絞り込んで、与党三党で最終的には修正をさせていただいた、こういうことでございます。
遠藤(和)委員 あまねく設置するというのは、国民の方から見ると、公社になると民間的手法を取り入れてくるから、田舎の郵便局はなくなっちゃうんじゃないかなということを未然に、そんなことはないですよという国民へのメッセージを出した。それから、あとの二つはそれぞれ、発足をする公社が健全な経営ができて、そして国民に安心していただける公社がスタートできるような配慮をした。簡単に言えば、このような理解でいいんでしょうか。
八代委員 そのとおりでございます。
遠藤(和)委員 それからもう一点、公聴会で特に強調されたのは、第三種・第四種郵便を現状のまま維持してほしいという願望ですね。特に、中でも点字郵便物の無料制度、これを今後もぜひ維持してほしい、これは強く要望されました。
 特に、点字郵便物の問題については、万国郵便条約で、要するに国際郵便は無料になっているわけですよね。国内郵便がもし有料ということになれば、国際郵便と国内郵便の間にそごが生まれる、これは大変な問題だ。それから、全国に三十万一千人視覚に障害のある方がいらっしゃるわけですけれども、その方々にとっては生存権に匹敵する話である、そういうものを奪うというのはいかがなものか。
 それから三点目は、いわゆる脆弱な経済基盤にあって、多くのボランティアの人に支えられながらやっている視覚障害者のための図書館、こういうものがもう経営が不能になってしまう、そういうことが憂慮されますから、これはぜひ、点字郵便物の無料は公社化後も継続をしてもらいたい、こういう強い要請でございますけれども、これは何度か大臣も御答弁されておりますけれども、今後もずっとこれは維持される、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
片山国務大臣 現在の三種、四種の政策料金は現行のまま維持する、こういうことで公社の方にお願いしたい。また、そのお願いを担保する意味で、私どもの方の認可その他がございますので、そこで担保いたしたい、こういうふうに思っております。
 特に四種の点字、これにつきましては、遠藤委員言われるとおりなんです。国際間は無料になっているんですね、万国郵便条約で。国内も、先進国はほとんど無料です。ただ、これを法律でやっている国はほとんどありません。みんな法律じゃなくて事実上やっているわけでございます。今回も、法律上規定しろという議論もあったんですけれども、法律上は今のような書き方をして、実際は無料にしていただこうというのが我々の考え方でございまして、今後ともそれは維持するように我々としては考えております。
遠藤(和)委員 法律の枠組みからいうと、公社の総裁の方がお決めになるんだけれども、それに対して総務大臣が認可しますから、点字郵便物は無料ということでなければ認可しませんよ、こういうふうなことを代々の総務大臣に継承していく、こういう理解でよろしいですか。
片山国務大臣 先ほども答弁で言いましたが、機関としての総務大臣にしっかりとこの点は守らせていくようにいたします。
遠藤(和)委員 それから、信書に対する定義の問題ですけれども、これは本来は、全面参入する信書便事業者を認めているわけですから、そこに入ってきていただければ何も信書に対する定義の議論は必要ないんですね。全面参入していただいた信書便事業者が扱うものはすべて、信書であろうと信書でなかろうと全部扱えるわけですから、これが信書です、これが信書じゃありませんということを明確にする必要はございません。
 しかし、法律の立場上、やはり信書とは何かということは明確にしておく。そして、明確にしておくことによって、これは要するにメール便で扱えるものなのか、信書便事業者にならないと扱えないものなのかということがより明確になる、こういう意味の効果はあると思うんですね。
 それで、お尋ねしたいんですけれども、ダイレクトメール、これは基本的には信書だ、このように理解してよろしいんでしょうか。
佐田副大臣 先ほど来からいろいろ信書の議論がなされてきたわけでありますけれども、信書であるかどうかというのは、基本的に昭和三十三年の判例がありまして、その判例が今回は法文化された、これは非常に大きなことだ、こういうふうに思っております。
 先生が今言われましたダイレクトメールにつきましては、基本的にはこれは信書であります。しかしながら、ダイレクトメールそれ自体の定義というものがあいまいなわけであります。そういうことを考えたときに、先ほどの法文化されたものを基準にして、ちょっとあいまいなところがあるものにつきましては、法律の施行に当たりましての要するにダイレクトメールも含めたガイドラインをつくっていきたいと思いますので、そのガイドラインの基礎となるような文書を先般理事会にも出させていただいたわけであります。これは当然、先ほども議論をさせていただきましたけれども、これからも施行に向けて、事業者の方々または利用者の方々のいろいろな御議論を賜って決定をしていきたい。
 繰り返しになりますけれども、ダイレクトメールは基本的には信書であります。
遠藤(和)委員 それから、よく出てくるのは、地域振興券あるいはクレジットカードにつける添え状をどう読むかという問題があるわけですけれども、これは従来は信書で扱ってきたんですが、今回は信書じゃない、このように理解していいんでしょうか。
佐田副大臣 先般出させていただきまして、今お話がありましたけれども、委員会に提出をさせていただきました、今度のガイドラインを検討する前段の基礎的書類でありますけれども、その中に、今先生言われましたクレジットカードであるとか地域振興券、この辺の解釈の話が出ておりました。
 先ほども議論をさせていただいたんでありますけれども、要するにクレジットカードは支払い手段である、その非常に大きな役目がありまして、それでまた地域振興券も支払い手段という大きな役目がありまして、そこにいろいろな使用方法、そして名前であるとか、それにつきましては、その支払い方法の必要性の大きさから考えてみて添え状というふうな形になりますから、それ自体は信書なんですね。それ自体は信書でありますけれども、五条の、要するに例外規定の中に入ってもいいのではないかということを書かせていただきました。
 これは、今まで信書でありましたけれども、これから信書でなくなるということではなくて、繰り返しになりますけれども、先般出させていただいた書類をしっかりと事業者、利用者の方々に御議論を賜って決めていきたい、こういうふうに思っております。
遠藤(和)委員 基本的な物の考え方を少し変更した、したがって、そういう考え方でもってガイドラインをつくること、そして国民の皆さんの意見も聞いて、それから実際にそういう理解でスタートするのは来年の四月一日、こういうふうな理解でよろしいんでしょうか。
佐田副大臣 先生の言われるとおりであります。そのとおりです。
遠藤(和)委員 それから、今度は信書便の条件つき全面参入ということについてお伺いしたいんですが、これは国家独占の排除というふうな理解で基本的によろしいですね。
片山国務大臣 そうです。今の郵便法は国以外はできない、こういうことでございますが、今回は、郵政公社はもちろんやれるわけでありますが、参入業者もやれる、こういうことでございます。
 五条のことをよく言われるんですけれども、あれは参入とは関係ないんで、今遠藤委員言われましたように、参入していただいたら全部やれるんですよ。ただ、あれをいじれということは、だれでもが信書の配達ができるようにするということなんで、これはなかなか、結構でございますと言うわけにはいかないわけであります。
遠藤(和)委員 参入条件について若干議論をさせてもらいたいんですが、二つの種類の信書便事業者があるんです。私は日本全国で展開する方の一般信書便事業者の方についてお聞きしたいんですが、ユニバーサルサービスを担保するという観点から、三点の角度から参入条件をお決めになっていると思います。
 一番目の点は、利用しやすい全国統一料金。日本全国どこにいても同じ料金で配達します。東京都内から都内も、東京から北海道も、北海道から沖縄も、全部一緒の料金というふうな、現在もそうですけれども、そういうものを今後も料金体系として行っていく。かつ、八十円を超えない最低料金ですか、こういうことを決める、これは一つの条件である、こういうふうに決めております。
 このことについてちょっと具体的に、どういうふうな政令になるのかも含めて教えてください。
佐田副大臣 これは先生が今言われたとおりでありまして、基本的にこの条件をつけたというのは、クリームスキミングを防ぐということであります。クリームスキミングを防ぐということは、ひいてはユニバーサルサービスを確保していく、こういうことでありまして、おっしゃるとおり、利用しやすい全国均一料金であるとか、原則毎日一通からの引き受け、配達、そして随時、簡便、かつ信書の秘密が保護される。
 これはポストの件がいろいろと議論をされましたけれども、要するに省令につきましての五段階に分ける話、これにつきましても先ほど御説明をさせていただきましたとおりであります。これも要するに案でありますから、もしも将来、例えば北海道みたいに物すごく広いところで、やってみたけれども非常に距離があったとか、そういうことは利用者の方々、または事業者の方々にこれからもいろいろと御議論をしていただきたい、かように思っております。
 また、先生が今おっしゃられました八十円の問題、これはやはり料金はきちんと設定しておかないと、これもクリームスキミングに関係することでありますけれども、例えば都市部では物すごく低くして、そして過疎地においては高くして、全然利用ができなくなる、まさにクリームスキミングになる非常な危惧があるわけでありますから、この八十円、こういう最低価格、また、二十五グラム以下の信書便物についての現行郵便料金八十円を超えないというのは、そういうふうな例でつけさせていただいているわけであります。
遠藤(和)委員 私は、この八十円というのは、本当は、はがきは五十円、郵便物、封書は八十円というふうにした方がよかったんじゃないかなと思うんですけれども。例えば、八十円ということになると、最低料金が八十円です、ただし、たくさん例えば年賀状のような形ではがきを出してもらうのは四十円でいいですよ、こういうふうな業者があらわれて商売すると、四十円のところだけいっぱいお客さんがついちゃって、八十円の方は、郵便局の五十円の切手でいいやと全部郵便局に行っちゃう。こういうふうな形で、結果的にはクリームスキミングになるんじゃないかなという心配があるんですが、そういう懸念はないんですか。
佐田副大臣 重量が二十五グラム以下で信書便にかかわる料金の制限規定につきましては、省令で八十円とするところであります。五十円とはしないんでありますけれども、はがきの件、この料金は、国民の非常に簡易な通信手段であることを考慮いたしまして封書よりも割安に設定させて、このために二種郵便の収支は近年ほぼ収支均衡が、年度によって赤字のときもありますし、よって、このはがきの料金である五十円を上限とするのは民間事業者に対してちょっと過重になるんじゃないかというふうに判断をしておるわけであります。
遠藤(和)委員 今、例えば宅急便の場合なんかでも、田舎の方は、切手を張って宅急便事業者が出しちゃって、自分たちでは配達しないということがあるんですね。ですから、そういう心配を私は言っているんですが。
 例えば、もうかるところは自分で配達するんだけれども、もうからないところは切手張って出しちゃう、そういうことをやった信書便事業者がいた場合は、全国あまねく配達するという趣旨に照らすと、これはおかしいことになるわけですよね。それはきちっと行政指導していくということの理解でいいんでしょうか。
片山国務大臣 それは、参入のときに事業計画を出していただきまして、それについて認可いたしますから、そういうことは今の法律上認めておりませんので、今言ったようなことは。だから、そこでチェックいたしますし、それを聞かなければ法的ないろいろな手段がとれるようになっておりますので。
 それから、先ほど言われた、本当は八十円取らなければいかぬものを四十円にして、ただ、ユニバーサルサービスの確保はしてもらいますから、ポストは十万件と決まれば十万件つくってもらうわけで、そういうことを仮にやったら、私は採算が合わなくなると思います。だから、恐らくそういうことはしないと思いますけれども、それは自由でございますので、届け出ですから、八十円以下なら。どういう戦略というのか、営業上の戦略を考えるのかわかりませんが、クリームスキミング的にはならないんではないかと思っております。
遠藤(和)委員 それから、信書便事業者が設置するポストですけれども、これを総務省は十万本とおっしゃっていたんですが、今、現行の郵政事業庁が持っているポストは十七万五千本ですか。ですから、今の郵政事業庁水準ということでいえば十七万五千本になるんですね。ところが、実際は十万本ぐらいでいいですよ、こういうふうにしているようですけれども、その十万本という算出の基準はどういうふうにしているんでしょうか。
佐田副大臣 それは先生、先ほどちょっと私も御説明させていただいたんですけれども、例えば政令指定都市であるとか、または十万以上の都市であるとか、五段階に分けさせていただきまして、最終的には過疎地ということになるわけでありますけれども、要するに、過疎地になるに従って、より本数を多く設定しております。そしてまた、それを全部数えていきますと十万本という形になる。ほぼ十万本です。九万九千何百本という形になるわけでありますけれども、先ほども申し上げましたように、これはあくまでも千人に何本という話になっておりますから、これをこれからパブリックコメントにかけて、いや、ちょっと遠過ぎるよとか、そういう話が出てきたときにはまたそれは議論をしていかなくちゃいけないことだ、こういうふうに思っております。
遠藤(和)委員 今郵政事業庁が持っているポストは十七万七千本ある、日本全国。でも、それは疎密がある。最も疎なところを基準にしていくと十万で足りる、こういうふうなことですね。
佐田副大臣 先生の言われるとおりであります。基準はそういうふうな形でつくっていこうと思っています。
遠藤(和)委員 ですから、この差し出し方法については、通信の秘密を守るということが前提になるわけですけれども、ポスト以外の方法もあればこれを妨げない、こういうことで、いろいろなアイデアを出してもらうということを想定していらっしゃるようですけれども、そういうアイデアが出なかった場合は、結局ポストということですね。
佐田副大臣 先生の言われるとおりで、私もいろいろ考えてみるんですけれども、なかなか、例えばコンビニでやったらいいんじゃないか。確かにそれは随意で簡便であって、これは憲法にもかかわることですから、信書の秘密をしっかりと守れる、そういうことになってくると、やはりそれなりの方々に送達をしていただかなくちゃいけないですし、差し出しをしていただかなくちゃいけませんから、そういうことを考えますと、やはりコンビニであっても、そこに例えば差出箱、いわゆるポストをつけなくてはいけないんじゃないか、こういうふうに考えざるを得ない、こういうふうに思っております。
遠藤(和)委員 それから、日本全国で展開するんですけれども、一社が全部やるんじゃなくて、九州はこの会社がします、四国はこの会社がします、中国地方はこの会社がしますという形でゾーンディフェンスにして、その会社が全部で一体になって持ち株会社をつくる、あるいは協業組合ですか、同業者組合、そういう組合のようなものをつくってお互いに連携をとってやります、したがって御許可ください、こういうふうな申請があった場合は、これは認めるんですか。
佐田副大臣 繰り返しになって恐縮なんですけれども、やはり信書の送達ということは非常に重要なことで、公的なことでもあるわけでありまして、そういうことを考えてみますと、例えば差出人が不明であるとかそういうことも起こってきまして、還付の問題やらいろいろ出てくるわけであります。そのときに責任関係というものが出てまいりまして、例えば、九州はここ、関西はここというと、やはり責任関係が明らかになりませんから、そういう場合はやはり一社でまとめてやっていただいて、資本をきちっと一社に集中して、メーンはどこであるとかそういうふうにやっていかないと、なかなかそれは認可できない、こういうふうに思っております。
遠藤(和)委員 窓口は一つ、一社が受ける、それは実態的にはその一社がどこかと契約をしてお願いする、こういうことはあり得るわけですね。
團政府参考人 いろいろな形態が想定されると思います。一番大事だと思いますのは、今先生の御指摘の中で、九州とか四国とかあります。では、九州から東京に出した場合に、例えば三日以内の送達をしますけれども、おくれた場合、だれが責任をとるのか、その追跡はどうするのか。例えばそういうことについて一元的に責任をとれる体制がないとまずいだろうということで、九州プラス東京とかというのはまずいのではないかということで、そういう同格な者の連合は認めないということにしているわけでございます。ただし、どれか一元的に全国に責任を持つ、部分だけ業務委託するというふうなことは、責任主体がはっきりしていますから業務委託という制度は認めるということでございます。
 先生もう一つ今おっしゃった、持ち株会社とか組合というのをつくってどうかということ、その実態はちょっとわかりませんけれども、それも私が申したような趣旨で、全国のサービスについて一元的に責任を主体が持っているという実態があれば、それは許可の余地があるのではないかというふうに考えます。
遠藤(和)委員 法律をつくっても実際に参入する事業者がいないと、それは余り意味がなくなっちゃうんですよね。そうするとまた信書論争が起こって、せっかく表玄関をあけたのに、木戸口で何か議論をしているという話になっちゃうものですから、それは悲しいことですよね。
 ですから、条件つきですけれども、せっかく全面参入ができますよというものをつくったわけですから、民間事業者に参入していただいて、公社と民間事業者、これは複数になればもっといいんですけれども、そういう方々が国民のために切磋琢磨し、そしてお互いに競争し合う、これがそもそもの法律案のねらいでございますから、それが確保できるように対処をお願いしたいということを希望します。
 総務大臣、どうですか。感触として、全国展開できる、参入できる事業者は、ここ二、三年のうちに出てきそうでしょうか。
片山国務大臣 午前中も申し上げましたが、一遍に全国展開というのは企業にとっては大変な冒険になりますね。十分な検討、準備が私は要るんじゃなかろうか、そういうように思っておりまして、特定サービスの方、特定信書便の方は、これは入りやすいですからね、こっちの方から入っていくと。よその国の例を見ましても、部分参入、段階参入なんですね。それが入ってこられる方も入る方も現実的なんですね。
 ただ、今回我々は思い切った、条件つきではありますが、全面参入の方途をとりましたので、参入の決意をされる、あるいは準備をされるにはなお少し時間がかかるんではないか、こう思っておりますけれども、我々は状況をしっかりと見守っていきたい、こう思っております。
遠藤(和)委員 それから、参入されるとき、仕事を始めるときは条件を全部満たしていたけれども、結果的に、だんだん会社が採算性の悪いところを切り捨てちゃって、最初の許可基準を満たさなくなってしまったと。いろいろな指導をして、それでも聞かない、改善命令をかけても聞かない、そういう場合はその許可を取り消す、こういうことになるわけですね。
 それから、今度は、会社の勝手でやめたいといったときも、やはり退出規制をかける。これは国民に対してユニバーサルサービスを提供している会社ですから、会社は勝手にやめられない、国民に周知徹底する期間を設ける。そして、退出するときにも許可が必要である、このようにするということが大事だと思うんですね。この点はそうなっていると思いますので結構ですけれども。
 最後に、現在の郵政企画管理局ですけれども、内局ですが、これは公社が発足した後どうするのか。これは公社を見るところと、それから信書便事業者を見るところと必要なんですけれども、一つの課で見るのか、別のところで見るのか。内局の構成をどのように考えていらっしゃいますか。これを聞いて終わりにしたいと思います。
片山国務大臣 今、この郵政企画管理局は大所帯ですね。これが移行しますと何が残るかといいますと、郵政事業全般の制度の企画立案、それから日本郵政公社の監督ですね、広い意味での監督。それからもう一つは、信書便事業の方の監督ですね。
 そこで、日本郵政公社と信書便事業の監督、これは分けなければいけません。課はしっかり分けて、ファイアウォールということもないんですが、そこはきっちり分けていく。それから、局は企画管理局でやる、こういうことになると思いますし、私は、その方が、前に答弁したことがありますが、両方がわかって、きっちりしたことができる、合理的な監督ができる、こう考えております。
 今、ほかもそうなんですよ、ほかの役所も。それから、私どもの方でいいましても、テレコミュニケーションはまさにそうなんですね。NTTを監督しながら、その他を監督している。放送でいえば、NHKを監督しながら、その他の民放も監督している。こういうことで十分な収れんを受けておりますし、基本的には法治国家で、法律に基づく支配ですから、それに従って監督をやっていきたい、こういうふうに思っております。
遠藤(和)委員 それでは、この改革が、本当に国民の皆さんから歓迎され、国民の皆さんがよかった、こういうふうに実感をしていただけるような成果を上げられることを祈りまして、質問を終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 一月にわたります質疑を踏まえまして、順次質問していきたいと思います。
 まずもって、この郵政公社法の基本課題であります。この日本郵政公社法案につきましては、そもそも、中央省庁等の改革基本法におきまして既に規定されていることでもありまして、公社を設立すること、そしてまた、その制度設計の大枠については議論の余地は余り多くはないと思っております。
 これまでの代表質問及び当委員会での審議において大きな議論となったのは、出資そして国庫納付、さらには過少資本、この三点ではなかったかと思っております。
 そこで、これらの重要な論点につきまして、いま一度、問題の本質を明らかにするために、修正案の内容も含めまして、確認的に聞いていきたいと思っております。
 それでは、まず第一に出資の問題について、公社による出資を認めるべきか否か。
 政府原案には出資を可能とする条項がないわけでありまして、公社は出資を行うことは、このままではできません。今回、修正案が提出されております。これにつきましては、特に、出資によってファミリー企業と言われるような子会社をつくり、不明朗な契約を結ぶ等の問題が発生するのではないかといった指摘も、この委員会でたびたび指摘されました。
 そこで、最初に、こうした質疑を踏まえまして、この公社による出資に関しまして、改めて、その必要性、出資の分野、また修正案によってどのような効果を期待しておるのか、提案者の見解を求めておきたいと思います。
八代委員 黄川田委員も御案内のように、この議論を四十数時間やってまいりまして、民間参入という一つの新たな時代を迎えたことによって、公社が健全な経営を保っていくためには、やはり公社の出資というのは郵便の業務に密接に関連する事業を行う者に限って行えるようにして、公社化と同時に郵便事業への民間参入が可能となることから、特に郵便事業に関連する分野だけにおいて公社に経営の自由度を与えて、そして公社がユニバーサルサービスの維持を図れる、さらにまた、経営の効率化も図っていく、こういう流れも当然必要だというような御議論があったように思っております。
 公社の出資は、公社が競争に対応しつつユニバーサルサービスの維持が図られるように、公社に経営の自由度を付与するのが目的でございますけれども、今おっしゃったようなファミリー企業、契約企業ですね、契約企業や天下り先の確保を目的として出資を行うなんというようなことは、あってはならない、許されないことだ、このように思います。
 そのために、出資に当たっては、総務大臣の許可を受けることとしたところでございますし、また、それによって関連会社の概況等の事業報告等も義務づけておるわけでございますから、目的を逸脱した出資というものは防ぐことができるのではないか、このように思っております。
 この修正させていただいた効果としては、公社は、出資を活用することによって、参入企業との競争に適切に対応しつつ、一層の経営効率化やサービス向上を進めることができて、さらに、ユニバーサルサービスの維持を図ることができるものではないか、このように考えて修正をさせていただいたところでございます。
黄川田委員 いずれ、出資によって足腰が強くなるということだと思っておりますが、それでは第二に、国庫納付の問題について伺いたいと思います。
 この問題については、国庫納付の内容及び納付開始時期について、政令に委任されていることに関しまして、その具体的な内容を求める質疑が多かったのではないかと思っております。中でも、この国庫納付の時期に関して、片山大臣は、公社の経営の健全性を確保する観点から、四年サイクルの最初の中期経営目標期間が終わるまでは公社が国庫納付するような状況にはならないのではないかとの見解をこれまで示されてまいりました。
 そこで、今回、この国庫納付の必要性について修正案が提出されている次第であります。民間金融機関とのイコールフッティングを確保する上で必要性が高いと私は思っておるわけでありますけれども、今回の修正案の国庫納付の概要はどのようなものであるのか。特に、公社の経営の健全性を確保するために必要な基準額はどう設定することになるのか、これまた提案者の見解を求めておきたいと思います。
八代委員 この委員会でも、まさしくその点はよく議論されました。郵政公社の国庫納付金につきましては、公社の経営の健全性をより確実に担保する観点から、政府原案というのはちょっとその辺があいまいだったと思うんです。そういう意味でもここは修正をして、納付金算定の考え方をより具体的にかつ丁寧に規定しまして、そして明確化を図ることとしたところでございます。
 具体的には、中期経営計画の期間を四年、これが終了するごとに、この期間中の通算損益が黒字となって、利益が積み立てられた積立金の額が、公社の経営の健全性を確保するために必要な額として、政令でこれは定めるんですが、そして計算をした額を超える場合に限って、黒字になった場合に限って、政令で定める基準に沿って計算した額を国に納付する。非常に言葉ではわかりにくいかもしれませんが、中身はわかりやすい形になっております。
 この基準額というものを設けるということですが、その具体的水準について、これはこれから検討することが必要だというふうに思っております。しかし、その計算方法といいますと、類似の業務を営む民間企業と同等の水準になるようにした方がいいんじゃないかというような気がするんですね。
 大ざっぱな話ですが、民間金融機関における預金等の負債に対する資本金等の自己資本の比率というのは近年四%、四・七とかそういう形になっておりますが、郵貯の預かり負債が約二百五十兆円であればその四%で十兆円、それに簡保を入れたら十六兆とかなんとか、こうなっています。そこまでいかなくとも、この三事業一体という考え方に沿ってすれば、アバウトで四%で十兆円程度の資本は我々は必要であろう、こういう思いでございますから、これから総務省が財政当局としっかりやってもらって、これは担保していただくことを私たちは願っておるような次第でございます。
黄川田委員 大臣は、公社は余りもうけなくてもいいということを先ほどお話しされましたけれども、これは公社化に当たっての職員の士気にかかわることでありますので、しっかりとした経営効率化を図りまして、市町村の固定資産税の二分の一相当額や、あるいはまた国庫納付金をしっかりと納めていくんだ、やはりこういうふうな決意が必要だと思うわけでありますけれども、大臣から所感をお尋ねいたしたいと思います。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
片山国務大臣 国営公社ですからね。営利事業じゃございませんので。
 それから、事業の性格が、大いにもうけた方がいいなんということでは私はないと思っているので、むしろ、そういうゆとりが出てくれば国民へのサービスは上げていく。例えば、料金が下げられるなら下げていくとか、もっとサービスの質を高めるとか、そういうことを含めて物を考えるべきではなかろうかと思いますが、とにかく、国営公社でも一つの事業体として必要最小限度の自己資本を持っていなきゃいかぬ、それをまず充足するのが先で、それが私はかなり時間がかかると。
 今、提案者の八代先生は十兆円と言われましたが、我々は簡保もカウントしてもらわにゃいかぬと思っておりますから十兆円じゃ少ない。そうしますと、それだけの積立金をつくるというのは、私は今の状況ならなかなかそうは簡単ではないな、こう思っておりまして、中期経営計画の当初の四年間、四年間に国庫納付できるような状況には私はならないのではなかろうか、こういうふうに思っております。
黄川田委員 自己資本の関係も改めてお聞きしようと思ったんですが、答弁の中で触れられました。
 私が先ほど言いたかったのは、公社化になる、自主、自律の精神が大事だ、そこでやはり職員も一生懸命働いて、市町村に迷惑をかけないように固定資産税の二分の一相当額はきっちり払おうとか、そういう気概を見せてほしい、そういうことであります。
 それから、八代委員から、自己資本比率四%程度、どうだ、それで持っていけば郵貯は十兆円ですか、それから簡保を含めれば十六兆円という話でありますけれども、資本金の額、それから自己資本比率について、役所の総務省の方はどんな形で考えているでしょうか。大臣、それから八代さんがいて変な話なんですけれども、総務省としての答弁をいただきます。
野村政府参考人 お答えいたします。
 具体的な額は今後の検討課題という形で考えておりますけれども、今、大臣の御指示、それから立法者の八代先生の御意見等々を踏まえながら今後検討していきたいというふうに考えているところでございます。
黄川田委員 まさか、総務省が大臣を越えた形で答弁はできないと思いますけれども、機関としての大臣は一生懸命やれということですので、よろしくお願いいたします。
 それでは、ここで視点を変えまして、在籍専従問題について一点伺いたいと思っております。
 労働組合の役員が公務員の地位を保持したまま組合業務に従事する、この現業国家公務員の在籍専従の期間は、国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律の附則で、現在、七年以内で労働協約で定める期間とされておるようであります。
 そこで、まず、公務員のこの在籍専従制度の七年以内と定めた経緯、経過あるいは根拠をお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 国家公務員法には職務専念の義務ということが定められておりまして、本来は職務だけをやる、こういうことでございますが、これがまた別の法律がありまして、組合の役員として組合の業務に専ら従事することとして、例外的にそういうことを認める、いわゆる在籍専従ですね、籍を持って、こういうことが法律上認められたわけであります。
 最初は三年だったんですね、昭和四十年が始まりでありますけれども。それがその後いろいろな観点から四十六年に五年になり、昭和六十三年に、当分の間、七年以下、こうなったわけであります。
 したがって、現在は七年でございまして、郵政関係につきましても、現在ある法律の規定に基づいて、関係労働組合との間で通算七年とする労働協約を締結いたしております。
 公社化後どうなるかにつきましては、職員は引き続いて国家公務員法の適用がある国家公務員でありますし、また、国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律がこれまで同様適用されますので、そういうことで現行と同じ、こういうことであります。
黄川田委員 分けて聞こうと思って、とりあえず過去の経緯を聞いてからと思いましたけれども、公社化後にあっても原則これまでどおりだというお話であります。
 さらにそれを踏み込んで議論するという部分はあるんでしょうか、これまでの七年をということの今答弁でありますけれども。
片山国務大臣 これは前からいろいろな議論もありますし、ILOも絡みますし、そこは関係の省庁で十分相談してまいりたいと思います。
黄川田委員 それでは次に、信書便法の基本課題であります。
 この法案の審議を振り返りますと、信書便法における郵便のユニバーサルサービスの確保と、それからまた民間参入による競争促進とのバランスですか、これをいかに図るかの問題が最大のテーマであったかと私は思っております。
 そこで、この郵便のユニバーサルサービスの確保は最重要な課題でありまして、特に中山間地あるいは過疎地におけるサービスの低下を招くことがあってはならないと思っております。
 政府からは、民間参入に条件を付することによりましてユニバーサルサービスが損なわれることはないとの答弁がなされておりますけれども、当委員会では、このユニバーサルサービス確保への不安の声が各党からあったやに思っております。そしてまた、先般の参考人質疑でありますか、離島から来られた方も、これまでの郵便局の果たした役割等々を切々と話されておりましたし、それからおとといの地方公聴会、私は熊本に行ったわけでありますけれども、そこでもこのユニバーサルサービスへの心配の声が少なくなかったわけであります。
 そこで、まず大臣は、信書の定義など基本課題を、会期を延長する段階で小泉首相及び自民党の郵政族との調整に手間取るなど、国会審議の軽視も甚だしいと言われてもしようがないような状況なのでありますけれども、郵便のユニバーサルサービスの確保について、大臣の所見、いま一度確認いたしたいと思います。
片山国務大臣 ユニバーサルサービスの確保は常々当委員会でも御答弁させていただいておりまして、我々は最重要の課題だ、法律の中にもユニバーサルサービス確保のための条件を書かせていただいている、こういうことでございますし、今回は、与党の方の修正で、郵便局の設置について全国あまねく、こういう言葉も入るようになりました。そういう意味では、今後とも、サービス面でも郵便局のネットワーク維持の面でもユニバーサルサービスを確保してまいりたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 そしてまた、午前の質疑でもありましたけれども、近年、ITの進展によりまして、ブロードバンド化の普及は目覚ましいものがありまして、最近は電子メールで年賀状を送る人もふえておるわけであります。すなわち、郵便の需要がITに代替されていくのがこれからの趨勢ではないかと思っております。そして、郵便市場はいわば縮小していく傾向にあるものと私は思うわけであります。
 そこで、IT化が進展する中で、郵便事業の将来像について、これまた大臣に再確認しておきたいと思います。
片山国務大臣 平成十三年度の郵便物の引き受けは約二百六十七億通でございまして、前年度よりも〇・七%の増加であります。このうち第一種郵便物、封書などでございますが、これが約百三十二億通で、前年度よりも〇・三%増加。年賀状、年賀郵便物が約三十五億通で、前年度よりも二・九%の減少。年賀を除くはがきなどは約七十七億通で、前年度よりも三・一%の増加。微増なんですよ。IT時代でございますけれども、全体的に郵便物は微増になっております。
 それから、小包の方は、これもいろいろな議論がありますけれども、電子商取引の拡大によって市場が拡大するという見方もございますし、また、ダイレクトメールなどの利用は今後ともふえていくのではなかろうか、こういうことでございます。
 まとまったようなことを今申し上げるあれではございませんが、いずれにせよ、公社になれば直ちに中期経営目標と経営計画をつくらなければなりませんから、郵便物の将来像について、あるいは郵便事業の将来像について、十分な検討の上にしっかりしたものを樹立していきたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 総務省として、電子政府あるいはまた電子自治体というふうな形の中で、官公庁の通信手段もいわゆる郵便等からIT化の媒体に変わりつつあると思うわけなのです。個人の郵便もさることながら、公の郵便もどんどん減っていくのではないかと思っております。大臣は、IT化を推進する大臣、そしてまた公社の主務大臣として、それぞれの事業が両立しなきゃいけないということでしょうけれども、特段の配慮なり御指導をいただきたいと思っております。
 それから次に、この法案の目的はユニバーサルサービスを確保しつつ民間参入を進めることとされております。なかなか難しい話であります。
 郵便への民間参入につきましては、公社化研究会におきまして、たしか昨年八月から十二月まで検討されてきたと思っております。この研究会では、条件つきの全面参入、部分自由化あるいはまた段階的自由化の選択肢の中から、結果として全面参入を選択することが提言されておりました。
 そして、また一方、諸外国の事例では、ニュージーランドあるいはスウェーデン等において全面参入を実施しておりますけれども、これらの国における民間参入は必ずしも成功しているとは言えないと思っております。
 そこで、それにもかかわらず、我が国では全面参入方式を選択することといたしましたけれども、その理由は一体何であるのか、これまた原点に立ち返りまして大臣にお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 公社化研究会で去年の八月から十二月まで御検討賜りまして、三つの案が考えられる、条件つき全面参入、段階的参入、部分参入、こういう三つの案の併記がございました。この中では、ユニバーサルサービスを確保した上で、競争を促進して、サービスの質の向上のためには条件つき全面参入がベターであろう、こういう御答申をいただきました。我々も内部で検討しまして、この際、世界では数少ない例しかありませんけれども、条件つきの全面参入に踏み切ろう、ここでユニバーサルサービスと競争促進、サービス向上との両立をぜひ考えていこう、こういうことにいたしたわけであります。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
黄川田委員 そしてまた、この法案をめぐっては、信書の秘密の保護に関しては、憲法に定められた重要な権利であるにもかかわらず、十分な議論がなされなかったのではないかという印象がちょっとありますので、私もまだ聞いておりませんので、改めてお聞きいたしたいと思います。
 民間にも秘密は守れるとは思いますけれども、悪質な事業者も当然あり得るわけでありますので、信書便事業者やその従業員に秘密を保護させるため、しっかりした制度が必要と考えております。そこで、この法案では、信書便事業者や従業員にどのようにして秘密を保護させることになっているのか、これは事務方、総務省に改めてお尋ねいたしたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 信書便を扱う以上、通信の秘密の保護というのが最も重要な事項は、そのとおりだと考えております。
 そこで、御提案しております信書便法におきましては、まず、第四条におきまして「検閲の禁止」ということで、「取扱中に係る信書便物の検閲は、してはならない。」それから、五条におきまして「秘密の保護」といたしまして、「取扱中に係る信書の秘密は、侵してはならない。」というふうなことを明示しておりますとともに、「秘密の保護」の二項におきまして、「信書便の業務に従事する者は、在職中信書便物に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」というふうな規制をしているわけでございまして、これらに違反した場合には刑罰規定がかかるというふうな罰則の担保がございます。
 もう一つは、刑罰に至る前の手続といいますか、社内的な担保ということといたしましては、信書便管理規程というのを設けることを義務づけてございます。これは二十二条でございます。ここにおきましては、一般信書便事業者は、その取り扱い中に係る信書便の秘密を保護するために、信書便管理規程を定めて認可を受けなければならないというふうなことにしてございます。
 信書便管理規程の中におきましては、具体的な項目は省令で定めさせていただくことを考えてございますけれども、適正な作業方法、教育訓練、責任体制、こういうものを管理規程で明示しまして、これを守っていくことによって現実に取り扱い中の信書の秘密を確保していただく、こういう措置を提案しているところでございます。
黄川田委員 それからまた、私、この法案の審議の初日に、許可基準を省令で規定することは行政の裁量が拡大するばかりで、国民や民間事業者を軽視するやり方だと指摘いたしました。その後の審議で、総務省が省令で許可基準の何を定めようとしているのかについて、次第に明らかになってきているところであります。
 そこで、今、法案の第九条の許可基準では、具体的内容を省令で規定しようとしておりますけれども、その基本的な考え方を、これまた総務省に再度確認しておきたいと思います。
團政府参考人 お答えいたします。
 第九条の許可基準の内容ということでございます。
 九条におきましては事業許可の条件を定めておりまして、その二号におきまして、全国の区域において信書便物を引き受け、配達する計画を含む、その中での事業計画に含むべき事項ということでイとロというのがございます。イの方に、信書便差出箱の設置その他の一般信書便物を随時かつ簡易に差し出すことを可能とするものとして総務省令で定める基準というものがございます。
 したがって、ここにおきましては、まず信書便差出箱の基準に関する省令としましては、一般的な基準としまして、信書便差出箱が簡単に壊れにくく、施錠可能なこと、差し入れ口から信書便物を抜き取ることができないこと、見やすいところに取扱事業者の名称を表示し、他の事業者の差出箱と紛らわしい外観を有しないこと、利用可能な時間及び取集の時刻を表示するというようなことで、利用者にとりましてこの差出箱の構造、外観等がわかりやすく使いやすいということを規定することを予定しているわけでございます。
 もう一つ、随時かつ簡易な差し出しが可能な引き受け方法ということの省令につきましては、信書便差出箱を設置する場合の全国の市町村におきまして、人口当たり一定数を満遍なく、また一般公衆にとって利用しやすい場所に設置すること、二番目に、信書便差出箱以外の引き受け方法による場合には、今後パブリックコメント等で決めてまいりますが、随時かつ簡易に差し出すことを可能とする引き受け方法があればそれを採用するというふうなことを明定すること。
 それから、一週間につき六日以上の配達の方法に関する省令におきましては、配達日には一日一回以上の配達を行うこと、年末年始等を除きまして原則六日以上配達を行うこと、特に交通困難な地域を除いて戸別配達を行うこと、言ってみれば当然のことでございますけれども、こういうのを具体的に明定させていただきたいというふうに考えているものでございます。
黄川田委員 それでは、これまで後回しにしておりました会計監査と業務監査の仕組みについてお尋ねいたしたいと思っております。
 今、法案においては、郵政公社は、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けることになっている一方、郵政監察官も置くこととされております。そしてまた、これらのほかに、総務大臣が郵政公社を監督することにもなっております。
 民間企業や地方自治体における監査ですが、いろいろな動きがありまして、先進的なものとなりつつあるのに比べまして、どうも国の行政機関の方がむしろこの監査に関してはおくれておるような気がしてならないわけであります。それからまた、公社における会計監査、業務監査の仕組みは非常に重層的でありまして、なかなかわかりにくいところでもあります。
 そこで、現在の郵政事業庁におきます会計監査と業務監査の仕組みについてまずお尋ねし、あわせて、こうした現状と比較しまして、公社化後における会計監査と業務監査の仕組みがどう変わるのか、これまた総務省の見解を求めておきたいと思います。
野村政府参考人 監査と考査の関係でございますけれども、現在、郵政事業庁におきまして内部監査といたしまして、二つございます。
 一つは、会計監査というものでございまして、これについては財務部門が担当いたしまして、会計及び財務に関する事務が合法的かつ経済的かつ効率的に処理されているかを監査する。
 それからもう一つは、業務考査ということで、監察部門が担当しておりまして、業務運行の実施状況を調査いたしまして、違則または不当な取り扱いがないかどうかを考査しております。
 そのほか、外部からの検査といたしまして、会計検査院による会計検査、これは現在の検査、監査体制でございます。これについては公社化後もそのまま引き続いて実施するという形になりますけれども、それに加えまして、先ほど先生おっしゃいましたように、公社におきましては、総務大臣が任命する監事が、郵政事業の適正かつ確実な実施を確保する観点から、郵政公社の業務全体を監査いたします。
 それからもう一つは、これも総務大臣が選任するんですけれども、会計監査人が、郵政公社の財務諸表等が郵政公社の財政状況及び経営成績を適正に表示するものであるかどうか、こういった点を担保する観点から、財務諸表や事業報告書等を監査するという形になろうかと考えております。
黄川田委員 そしてまた、この法案では、現在郵政事業庁に置かれている郵政監察官は公社化後も引き続き存続されるということになるようであります。
 この郵政監察官は、総務大臣が任命する刑事訴訟法に規定する司法警察職員として行う監察業務と、そしてまた、公社の総裁が任命する業務監査の職務を行う監察業務との二つの任務を同一監察官が担うということになると思います。
 現在の郵政監察官は、とかく身内に甘く、そしてまた民間に厳しいとの批判もあるわけでありますが、この法案ではどこまで司法権限が及ぶのかの範囲に関する規定が明確ではないと思っております。民間事業者からは、民間への捜査権を乱用して民間参入を阻害するのではないかという心配もされるわけであります。
 そこで、公社においては、郵政監察官の職務範囲はどのように変わることになるのか、また、郵政事業にかかわる犯罪を未然に防止する観点から、公社化に際し、どのような体制、ルールが新たに工夫されるのか、重ねて総務省にお尋ねいたしたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 公社の郵政監察官も引き続き内部監査の仕事もありますが、司法警察員としての職務について特にお尋ねでございます。
 これにつきまして、その職務範囲は、郵政事業に対する犯罪の捜査とされておりまして、このこと自体は現在の郵政監察官の捜査範囲と変わりがないものというふうに考えております。
 また、公社におきます犯罪の未然防止につきましては、郵政監察が持つ内部監査機能のより一層の充実が必要と思われますし、この面につきまして郵政監察官の機能を最大限に発揮し得るような組織体制の効率化、能率化を図りながら、郵政監察官の能力向上にもまた努めてまいる必要があるというふうに思います。
 それから、特に民間事業者との関連で、民間への捜査権を乱用して民間参入を阻害するのではないか、こういった心配の声についての御指摘でございます。
 この点についてでございますけれども、郵政監察官の司法警察員としての職務は、総務大臣の特別の監督に服するものでございまして、刑事訴訟法の規定に従いまして厳正中立に行われるものでなければなりません。その職務執行に公社の経営上の判断が入ることがあってはいけませんし、またそのような懸念はないというふうに考えておりますけれども、御指摘のように、そういった懸念をお持ちだということについても十分留意して当たっていく必要があるというふうに思います。
 さらに、特に信書便法違反ということで新たな秩序ができるわけでございます。そういう中で、郵政監察官は、従来は郵便法だけでしたから、郵便だけが独占でございましたので、監察官が直接当たっておりますけれども、先ほど来郵政企画管理局長の答弁にもございましたように、これからは郵政監察官の捜査の対象とならないで、一般警察の捜査にゆだねられるものというふうに私どもは考えております。
黄川田委員 信書便の関係で、民間の方は一般警察ということでありますけれども、それでは、公社の職員と警察との人事交流みたいなことは考えておるのでしょうか。
松井政府参考人 お答えを申し上げます。
 今具体的にはそういったケースはございませんが、過去には、警察から来ていただいていたり、あるいは警察にかつての郵政省から出向していたり、そういうこともございました。
 いずれにしましても、捜査能力の向上そのものは非常に重要でございますので、今でも研修で警察の方にお世話になっていたりしておりまして、実際に、御指摘の交流そのものについてどう考えるかについて、まだ全然考えが煮詰まっておりませんけれども、新たな総裁候補など、新体制の整備を待って煮詰めていくことになるのかなと思っております。
黄川田委員 わかりました。
 それでは、時間も残り少ないわけでありまして、また、公社の総裁が任命いたします郵政監察官が会計監査、業務監査を行うとすれば、まさに公社の中に、今まで言われておりますが、プレーヤーと審判とが同居しているのと同様でありまして、監査業務に厳格に対処できないと思われるところがありますが、これもさまざま大臣も答弁されておりますけれども、改めて見解を求めておきたいと思います。
 そしてまた、公社化後も七百人もの多くの郵政監察官は引き続き配置しなくても済むような、監察制度自体をこの際見直すべきではないかと私は思っておりますけれども、重ねて大臣の答弁をお願いいたします。副大臣、お願いいたします。
佐田副大臣 先生おっしゃるように、郵政監察官の行う会計監査、業務監査は一般企業で言うところのいわゆる内部監査業務でありまして、業務の性格上、経営者に直属した内部組織で行うべきものと考えるところであります。
 郵政監察の組織につきましては、本社においても地方においても、ほかの業務執行部門から独立した総裁直属の組織とすることを考えておりまして、御指摘のようなことが、懸念がないように、直属でありますからしっかりとやっていきたい。
 また、新たな公社におきましては、公社の自律的かつ弾力的な経営を支えるために内部監査機能の充実が必要と考えるところでありまして、この観点からも、郵政監察についても、その監査能力向上を図ってしっかりとやっていきたい、こういうふうに思っております。
 公社化後の郵政監察の要員、組織につきましては、効率性と能率性も十分配意しつつ、郵政監察がその機能を十分、七百がいい悪いということは別にいたしましても、発揮し得るように配意していきたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 残りわずかでありますので、最後に、簡保事業団等の関連事業の競争力の強化についてお尋ねいたしたいと思います。
 今回の法案で、簡易保険の加入者福祉施設を設置、運営しております簡易保険福祉事業団が廃止されまして、これを公社が、施設は公社が引き継ぐ、こういうことになっておるわけでありますが、今回の公社化によりまして、この簡易保険事業自体、より一層の効率的な経営が求められることになると私は思っております。
 そこで、この加入者福祉施設についてでありますけれども、バリアフリー化などいろいろ力を注いでおると聞いておりますけれども、今後、加入者のニーズに適切に対応するために、この経営の健全性の確保に努めていくことがこれまで以上に重要でありますけれども、具体的にどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたしたいと思います。
山内大臣政務官 お答えさせていただきます。
 簡易保険加入者福祉施設、つまりかんぽの宿というのがほとんどでございますが、あと、二、三、テニスコートとか、そういった健康施設がありますけれども、加入者の健康を維持し、福祉を増進するのみならず、加入者とのつながりを確保することによりまして、死亡率の安定とか契約の維持を通しまして、健全な事業経営基盤を確保するという観点から、簡易保険創始以来、事業の一部として実施をしてきておる事業でございます。
 先生お尋ねの、加入者のニーズに適切に対応しているかというような御質問でございます。これまでも、施設のバリアフリー化等、加入者ニーズに対応するよう努めてきたところでありますが、御指摘のとおり、公社化に伴い、これまで以上に自律的、弾力的な経営によりまして経営の健全性を確保していくことが求められるものと思われます。
 このために、宿舎・レク施設の運営費交付金を平成十九年度までに廃止するといったこと、加入者福祉施設の健全な運営に努めていきたい、このように考えております。
 具体的には、昨年十二月十九日に閣議決定をいたしました特殊法人等整理合理化計画の趣旨を踏まえまして、まず不採算施設の統廃合、二つ目には組織・定員の削減、これは合理化が中心でございます。三番目には利用料金の適切な見直しなど、徹底した効率化と採算性の向上を図ることが必要である、このように認識いたしております。
黄川田委員 いずれ公社化後に当たって、補助金が削減されても自立できるような、そういうかんぽの宿にしていただきたいということを望みまして、終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 私は、きょうの朝からの質問の中で九番目でございまして、政府が出しました省令案についての問題も、それからさらに信書の定義に関する政府の考え方にしても、それから与党三党が提出されました修正案の中身にいたしましても、相当この間論議が詰められてまいりました。しかし、私自身といたしましても、私自身が確認しておきたいという部分もございますので、重複するところがあろうかと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
 やはり「信書の定義に関する政府の考え方」、ここの部分についてまずお聞きしたいと思います。大体、佐田副大臣が、同じことをまた私が聞くかもしれませんが、ぜひ懲りずに、同じことでもいいですから答弁していただきたい。できるだけ違う観点から私はお聞きしますので、その趣旨を踏まえていただければと思います。
 私、この「信書の定義に関する政府の考え方」、非常に文章が難しいというか、このことに関心を持っている一般の国民の皆さん方から、ここはどういう意味だというので、わかりにくさを指摘されたところがございます。それは、例えば三の方でいえば、否定の否定の文章になっているんですね。ですから、これは肯定になるわけですけれども、初めから肯定してしまえばいいんじゃないかなと思いますけれども、そういう意見もあったということの上に立って、まず最初にお尋ねしたいことは、この「定義に関する政府の考え方」によりますと、先ほど来出ておりますように、一つはクレジットカード、それから地域振興券、これらを一つの例といたしまして、信書の例外。ですから、クレジットカードあるいは地域振興券は信書ではない、こういう解釈であることは、これまでの御答弁の中ではっきりしております。
 そこで、このクレジットカード及び地域振興券が信書でないとする理由を、できるだけ一般の人でもわかるように御説明いただきたい。
佐田副大臣 先生、別に反論するわけじゃないんですけれども、この出させていただきましたのは、要するにガイドラインをつくるに当たっての基礎的な考え方ということでありまして、あくまでも、これがもうすべてコンクリートされているということじゃなくて、これからも、繰り返しになりますけれども、事業者の方々、それからパブリックコメント、いろいろな御指導をいただきながら確立していきたい。
 この文書の中ということで発言をさせていただきますけれども、今言われましたように、クレジットカードであるとか地域振興券、今までは信書として扱われておりましたけれども、よく考えていきますと、これは非常に微妙なところがありまして、いわゆる支払いの手段であるということになりますと、例えば、クレジットカードそのもの自体の効用というか、商取引に関与する重要性であるとか、こういうことをかんがみた場合に、これに例えば使用の仕方やら名前が書いてあっても、これは添付しているんだろう、添付してあるんだろうということで、要するにあくまでも信書なんです。クレジットカードも地域振興券もあくまでも信書ではありますけれども、五条の例外規定としての添え状としての考え方でそれをお考えいただきたい、こういうことでございます。
矢島委員 大体、この「定義に関する政府の考え方」を読めば、そう書いてあるわけです。同時に、佐田副大臣が言われたように、これから意見をいろいろ聞いて決めようとしているんだ、それはそのとおりだと私も受け取っております。
 ただ、やはりここで政府の考え方として出してきている以上は、それなりの説明というものをやって、それに対して国民や、広くいろいろな意見が出てくるというのは、これは大いに参考にしていただきながら、最終的には確定していくということになると思いますが、ぜひそういう方向で、私も十分その点は理解しながら質問しているつもりですから。
 さてそこで、つまり、佐田副大臣も言われたように、前は信書だった。これをずっと読んでいくと、例外規定に入ってきている。クレジットカードとか地域振興券というのも、今までこれは、旧郵政省の時代からこういうものを一つの信書とするというのがございました。これは「信書のしおり」というのを旧郵政省が出しておりますけれども、その中で、信書の具体例は次のとおりというので、いろいろ並べてあります。その中に、もちろん、ダイレクトメールあるいはクレジットカードあるいは地域振興券というようなものもずっと入っているわけです。その時点では信書、こう言ってきたわけです。
 当時、信書だと解釈してきた理由、どんなことなんでしょうか。
佐田副大臣 これは、過去からのいろいろな裁判事例の中で、監察局がいろいろ調べてまいりまして、昭和三十三年に、先ほどもちょっと読ませていただいたように、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する」、この文章にのっとって判断をしていった、こういうふうに理解をしております。
矢島委員 そこで、私、先ほどもありましたけれども、百八十度変わったということについては、大体みんなそういうふうに思っていると思うんです。
 つまり、今までは信書だったけれども、信書じゃなくなったんだなと、その時点を見れば。今副大臣が説明したような状況を全部踏まえた上で考えていけば、必ずしもそうではないという部分もありますけれども、表面づらを見ますと、これは政府の考え方、百八十度転換したんだなと。余りにも極端な転換ということが、これは新聞でもそういうふうな書き方をしている新聞もあるくらいですから、ましてや一般の人たちが、変わったのかな、前に片山総務大臣が答弁していたのと違ってきたぞ、こう思うのは当然だと思うんですね。
 そこで、これがこうくるくる変わりますと、意見を聞きたいといってもなかなか、では何を基準にして私は意見を言おうかな、きのうまではこうだったけれども、きょうからはこうなっちゃったというような戸惑いがあるわけなんですよ。ですから、そういう点をきちんとする必要があるという点では、やはり確定、これが確定じゃないけれども、後でいろいろ意見を広く聞いた上で定義というものをつくっていくんだけれども、これが政府の今の考え方なんだと。これはよろしいんですね。
佐田副大臣 一般的に、これは表面的に見ると、くるくるとは言いませんけれども、必然性がなく変えた、こういうことでは決してなくて、先生ぜひ御理解いただきたいのは、先ほども申し上げましたように、ちゃんときちっとした理屈を持って、例えばクレジットカード、地域振興券は商取引に使うものですから、その部分が非常に大きいと。木のへらに書いてあるというか、そういうことではなくて、これは非常に重要なものですから、そこの重要性をかんがみたときに、昔から、何かプレゼントを贈るときにはいわゆる添え状というものが実際問題としてありましたから、そういうふうな一つの解釈として、その重要性をかんがみて、これは添え状、送り状というふうな形で理解をしていただく。
 もちろん、先生、そんなのはおかしいじゃないかと言う方もいるかもしれませんよ。いるかもしれませんけれども、そういうふうな解釈で今進めておる。これは御意見をこれから聞いていきますので、これを御理解いただきたいと思います。
矢島委員 なかなか微妙な答弁でございまして、御理解と言われましたので、簡単に、そうですねとはなりませんが。
 ところが、一つだけ確認したいことがあるんです。「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」、この定義は一貫しているんでしょうね。
佐田副大臣 これは、今度は新たに法文にも入っておりますから、確定しております。
矢島委員 そうすると、例えばクレジットカードとか地域振興券そのものがくるっと変わっちゃったわけでもない。それから、定義もきちんと前に決めて、それは今もこうなっている。
 では、変わった、こう思わせるのは何かというと、政府の解釈だけなんですよ。ほかは変わったわけじゃないんですから、周りの条件は。ですから、この辺やはり、これは理由を言えますか。どうしてこう変わっちゃったのか。
佐田副大臣 先生、これは確定したわけじゃないですけれども、前にも大臣の答弁の中にありましたように、ダイレクトメールを一つの例で挙げさせていただきますと、ダイレクトメール自体が、これは定義もしっかりしていないわけでありまして、そういう中におきまして、例えば今回の非常に、不明確と言っては悪いですけれども、信書の中には、もうこれは完全に信書だとかそうでないとわかるものと、中間的なものがあったわけであります。
 例えば、先ほども申し上げましたように、何かの贈答品がありますね。贈り物の中で、贈り物自体はいいですけれども、例えば本なんかがありますね。本を贈るときに、それに対して簡単なものを、簡単な文書というものは、これはもう信書なんですね。信書ではあるけれども、その本を読んでいただきたい、これがメーンでありますから、それは信書であるけれども五条の例外規定に入れさせていただく、こういうことでありまして、何でもかんでもというわけじゃなくて、この辺が非常に難しいんですね。
 だから、要するに、有用性がどのぐらいの程度なのかということをこれから皆さんの意見を聞いて判断をしていく、こういうことでございます。
矢島委員 わかったようなわからないような、いろいろな話を一遍にされちゃいました。
 そこで、では次の方へ行きます。ダイレクトメールです。
 「商品などの広告を内容として同一内容の文書を多数の受取人に差し出す形態をとる」、この上に立って、多数に差し出されることをもって信書に当たらないとは考えない。否定の否定ということで、わかりにくい文章ですが、ここで、その内容が公然あるいは公開たり得る事実のみであり、専ら街頭における配布や新聞折り込みを前提として作成されるチラシのような場合は信書に該当しないものとすると。つまり、ダイレクトメールというのは原則信書だということがまず基本にあって、チラシなどというようなものは信書ではないんだ、こういう例外規定を置いたわけです。
 ただ、実際の問題として、こうなりますと、原則的には非信書、つまり圧倒的な部分は信書でなくなっちゃうんじゃないかと思うんですよ、この解釈でいけば。
 つまり、第一種と第二種の郵便物の二割以上を占めていると言われるような広告郵便、このほとんどが信書でなくなる可能性があるんじゃないだろうかと私は思うんですが、この辺についてはどうお考えですか。
佐田副大臣 先生、先ほども私申し上げたんですけれども、ダイレクトメール自体が基本的にはこれは信書であるということです、今までの経験学的に。そしてまた、先生にも先ほど申し上げましたように、これは昭和三十三年の判例に基づいて今までずっと判断してきておるわけですね。そういうことを考えますと、その中において、ダイレクトメールは基本的には通信として、信書として考えておるわけであります。
 また、差出人と受取人が、例えばそれが秘匿性があるかどうかということは、その人たちが判断することであって、一つ一つそれを確認するということは非常に難しい問題でありますから、そういう中において、基本的にダイレクトメールは信書ということで、今進めさせていただいておるわけです。
 したがって、同じ印刷物で、ここに書いてあるように、同じことでありますけれども、たくさんの方々にやるということは、これが必ずしも信書でないということはないというふうに書いてあるわけであります。
矢島委員 否定の否定ですから、肯定になっているということになると思いますがね。
 そこで、副大臣に聞くんですが、広告というのは大体公然、公開するものであるというのは、当たり前のことであります。そうであるならば、商品などの広告を内容として、そういう文書を多数の受取人に差し出す、これは信書ではないですね。
佐田副大臣 これも基本的に、物すごく広い範囲でやるとか、中に申込書があってそれをそういう関係の人にやるということになれば、これは信書性が出てくる。だから、これは配ってもいい、要するに公然の、公開の場で配ってもいい、こういうものにつきましては信書ではありません。
矢島委員 そこで、それでは副大臣、信書であるダイレクトメール、例えばどんなものがあるんですか。
團政府参考人 ダイレクトメールは、定義がございませんので、いろいろなものがございますが、最近ポスティング事業者というのがありまして、チラシを封緘も何もしないで受け箱に入れていくということがございまして、結構ふえているようでございます。そういうものをたまたま封に入れて名前を書いたようなものは、これは信書とは言えないでしょうということだろうと思います。
 それから、これは業界のことでよくわかりませんが、最近、ダイレクトマーケティングといいますか、ダイレクトメールを使っていろいろなことをやっていく、例えば会員で、会員の中の情報とか非常に特定的な者の間の通信、そういう中には、やはり会員情報が入ったりしていることも結構多いと思います。
 それから、特定の属性に基づいてターゲットを絞ってマーケティングをやっていく、そういうようなこともあろうと思いますので、その広告を出す内容の中で、特定性といいますかメッセージ性といいますか、そういうものがやはりいろいろなものがあるんじゃないかというふうなことでございまして、一概に、こういうことをいったらすべて、例外のものが多いかどうかというのは、もう少しいろいろな実態を聞いたりしないとわからないものではないかというふうに考えております。
矢島委員 その説明を受けると、またわからなくなるんですが、特定の会員にあてた広告というのが公然とか公開性がないとは言えないと思うんですよね、これは。ですから、特定の会員にあてた広告を街頭あるいは新聞折り込みしてまずいことは何もないんですね。
 だから、その辺になりますと、例えばこういうことだと思うんですよ。公然、公開性を持つとする街頭、町の中、あるいは新聞折り込み、こういうチラシにしても、やはりすべての街頭やすべての新聞に折り込むわけではないんですね。ある一定の地域だとかある一定の新聞ですね。ですから、広告がどれだけの範囲に配布されるか、いわゆるマーケティングの問題にすぎないわけで、特定会員にも発送したが、別に街頭でまいても構わないとする場合は、差出人が言えば、それは信書ではなくなる、こう考えていいですね。
團政府参考人 お答えいたします。
 確かに、あて先、だれに出すかということがありまして、あて先が限定されておっても内容は折り込みと同じものが配られるということであれば、その場合は、チラシのようなものという分類に入るのではないかというふうなことだと思います。
 しかし、さらに、会員と限定された場合には、会員に関する情報が入っているということがやはり多いのではないか。そうしますと、内容についての特定性が入るということでございますので、そういう場合にもやはりいろいろなケースがあるのではないかというふうなことではないかと思います。
矢島委員 これからいろいろと広く意見を聞いて確定していくわけですから、ぜひひとつきちんと確定していただく、いろいろと解釈上の違いが出てくるというのはまずいわけですから。
 そういう意味では、ついでだから、私、立ったついでに言いますけれども、先ほど来第三種、第四種の問題が出てきました。これも法律にきちんと決められないのか。もう答弁いいです、それはもう大臣が言う言葉はわかっていますから。ただ、私としては、やはりこういうものもきちんと法律にしておくということが重要ではないかな、こういう意見を申し上げておきたいと思います。
 それでは次に、いわゆる公社の出資に関する与党側の提案の方へ行きたいと思います。
 初めに、総務省の方にお聞きしたいんですが、平成八年の九月二十日に閣議決定したところの公益法人の株の保有等の、その中の六項目のところで、公益法人は、幾つかの場合以外、株式の保有を行ってはならない、いわゆる出資を停止したということがありました。そのときの、その理由は何だったんでしょうか。
團政府参考人 御指摘のとおり、平成八年九月二十日の閣議決定、公益法人の設立許可及び指導監督基準の中におきまして、営利企業の株式保有を公益法人は行ってはならないということがございまして、一部の例外がございますけれども、平成十一年の九月末までに処分することとされました。
 この理由でございますけれども、これは、公益法人が積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とする非営利の法人であることから、営利企業への設立に関与したり、出資を行ったりすることが不適当であるという考えに基づくものでございます。
 なお、出資に関しまして、その必要性から法律上の出資の根拠を有しているというふうなもの、そういう特殊法人については、この考え方は該当しないというものでございます。
矢島委員 当時の状況、時代背景といいますか、要するに、今局長に答弁いただいたようなそういう理由でなっていきましたが、同時に、当時、天下り問題というのが相当世間的な批判の的になっていたんですね。そういう意味もあって、天下り先をこんなに持っているのかと。
 私、資料をお配りしておりますので、見ていただければと思いますが、一番最初のページ、第一ページ、「公益法人が出資していた民間会社一覧」というので、当時の郵政省関係のそれぞれの公益法人が、それぞれ子会社、あるいは孫会社はこれは書いてありませんが、子会社に対する出資という状況を一覧にしたものであります。
 それで、これらのところには大変たくさんの天下りの人たちがいるということは、例えば、人の資料を使って申しわけありませんが、先ほど武正委員が、「松原委員からリストアップのあった企業との契約の状況等」の中の一番後ろに、やはりここにも、どれだけの天下りがあるかというのがあります。
 その中の総合資材サービスとあるんですが、このことについて郵政省に聞いたんだけれども、どうも天下りの人数を見ますと、非役員で、十年が九名、十一年が十二名、十二年が九名、こういうのが、松原委員からリストアップのあった企業への再就職状況。私が、同じ総合資材サービスに聞いたんですが、十三年度ゼロと言うんですが、そういうことなんですか、これは。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 十三年度のものとして、国家公務員は、その在職中に関係のあった営利企業には再就職できないことになっておりますから、例のそういったプロセスを経て、審査を経て承認した件数がないという意味でございます。
矢島委員 そこで、その総合資材サービスという子会社について、平成十一年の八月の総務庁の行政監察局が監査した結果報告を載せております。それが実は、その次のページにある「ガソリン一括購入事務の部外委託契約」というものであります。この会社は、いわゆる郵便車両のガソリンというものを一手に引き受けてきた子会社であって、そのことについて、この行政監察の結果が出た当時の新聞にはいろいろ書かれているんですね。
 例えば、こういう報道もあるんです。郵便車両のガソリン購入をめぐる郵政省のファミリー企業優遇の実態が十一日明らかになった、これは九九年の五月十二日の読売新聞の朝刊です。この中で、大体百四十三億円の売り上げがある、約百人の社員がある、大多数が郵便局のOBだということ。そして特に、契約単価に最大で一リットル十円程度の一般のスタンドとの差がある。安いんじゃないですよ、これは高いんですよ。ですから、こういうような一手引き受けをやって大もうけをする、そしてしかも、そこは天下りの職員あるいは役員などによって進められる、こういうことがある。
 そこで提案者に、こういう懸念、つまり、子会社をいろいろつくって天下り先をつくる、そういうような事態というのは、先ほども八代議員の方から答弁ありましたけれども、もう一度、こんなことは絶対ないという約束をひとつしてもらいたい。
松井政府参考人 恐縮ですが、事実関係について一つだけ御指摘申し上げたいと思うんですが、一リッター当たり十円高いということで、かつて平成十一年に、当時の衆議院逓信委員会でそういったやりとりがございましたが、当時の郵政大臣から、事実と違うということを御答弁申し上げております。
桝屋委員 お答えを申し上げます。
 今、出資に関して、ファミリー企業あるいは天下りというものをふやすだけではないか、こういう御指摘がありました。先ほども八代さんからお答えをいただいたところでありますが、私どもも、提案議員としてここは一番気にしたところであります。
 今回のこの出資については、先ほどから申し上げていますように、やはりあくまでも公社に経営の自由度を付与するというのが目的でありまして、この点については、その必要性というのは委員もある程度御認識をされているんじゃないかと思うんです。しかし、今申し上げましたように、それがファミリー企業あるいは天下り先の確保ということになったんではとんでもないことでありまして、私どもは、天下りについてはずっと関心を持っている部分でありまして、間違ってもそういう方向になってはならないと思っているわけであります。
 したがいまして、出資に当たっては、総務大臣の認可ということ、それから、政府においても行革プログラムにおきましてしっかりディスクローズしていただく。これは子会社、関連会社等の概況等もしっかりとディスクローズしていただく、こういうことで、我々政治の舞台でもしっかりと見ていかなきゃならぬというふうに思っているわけでありまして、委員の御指摘を私どもも全く共有したいと思っております。
 なお、再就職につきましても、これは委員も随分、御党も検討していただいておりますが、あくまでもこれは、本人の知識、経験、技能等によりまして再就職先に評価をされるということでありまして、あくまでも国家公務員法の手続に従って適切に措置されなければならないと我々も思っているところであります。
矢島委員 けさの読売の社説に、いわゆる子会社づくりということについての社説がありまして、その弊害は道路公団で証明済みだという中身なんですよ。つまり、道路公団が子会社をつくったりあるいは孫会社を抱えて、そして天下りがどんどん行って、道路公団に関していろいろな利権に絡んだ問題が起きました。道路公団本体は大赤字だ、ところが関連会社の方は黒字という事態も指摘されてまいりました。そういうことを心配する向きもあるので、これについてはぜひきちんと対処してもらいたいという意向が、やはり新聞の紙上からもうかがわれるんですね。
 八代議員の方が何か言いたそうなので、ひとつよろしくお願いします。
八代委員 まさしくそのような思いでございます。そして、きょうもそれぞれ社説にこの問題が掲げられておりますが、かなりマスコミも間違いが多い主張がありまして、あたかもそれによって改革がとんざされているような論調もあるわけですけれども、そうじゃなくて、これはもう一大改革だと私たちは思っているんです。それゆえに、国民の皆さんが心配をされてはいけない、不安になってはいけないという思いの中で、私たちも幾つかの修正案を出させていただいたんです。
 出資の方にいたしましても、これから郵便に民間が参入するということになっていきますと、これは公社の手足を縛ってはと。やはり自由度を与えなければならない。そして、斜陽と言われる郵便であっても大いに頑張っていただいて、国庫に納付するくらいの思いで頑張って成績を上げていただくように、そういう思いを私たちは心に刻んで修正案を提出した次第でございます。
矢島委員 私も、郵政改革は必要だと思っているんですよ。今言われたように、一大改革に取り組んでいるんだと。今の状況を変えるということは必要なんだけれども、問題は、国民が願う方向の改革が行われているかどうか、ここだと思うんですよ。
 そういう意味では、私は、いわゆる政官業の癒着のところにメスを入れたり、あるいは特推連や特定局長会の問題、あるいは例の、それによっての選挙違反の問題、あるいは渡切費の問題、いろいろ問題があるけれども、そこのところの改革というメスはどうなっているんだという意味から、実は、松井長官には何回もまた渡切費でこれからやろうと私は執念を持ってやっています。それから同時に、来年の四月からいよいよ公社です。事業庁あるいは郵政省時代の負の遺産というのは、ここできっぱりと断ち切っておいて、きれいにして公社へ移行する、これは非常に重要だと思うんです。
 それで、何回も私が長官に質問している中で、まだ解明されないで残っている問題があるんですよ。この問題は、ここですっきりしてもらわないと今後困ると思うので実は取り上げたんです。
 時間がなくなりますので簡単にその部分だけ申し上げますと、四月九日の決算行政監視委員会で私、この問題を取り上げました。その中で、一つの問題として、東北地方特定局長会の事務局長の問題ですけれども、特定局長、地区会長あてに出したサービス向上対策経費の二〇%上納問題というのを取り上げたわけなんです。これが、平成十一年度のいわゆる流用した裏金疑惑のまず発端になっているわけなんですね。そこで、この問題については、郵政監察は調査していないと当時長官はお答えになりました。それは、資料がなくなっているんだということだったと思います。
 そこで、私がそのときに質問したことは、サービス向上対策費として支給した額、私がお配りした資料の一番後ろについておりますので、見ていただければいいんですが、その二〇%額というと、ずっと見ますと、大変な額なんですね、上納額は。平均すると、大体二百万円前後になりますね。表を見ていただきたい。ずっと読みますと、上納総額というのが四千四百六十五万六千八百万円、こういう額になっているんです。
 実は、その当時、自分のポケットマネーとして出して、局長は年収がどれくらいあるかわかりませんが、九百数十万円だと聞いておりますが、その中から毎年毎年二百万円も上納するというのは大変なことだというので質問したら、長官は、いや、二百万円上納というけれども、何人でやったか、つまり、大勢の局長さんがいるんだからそれぞれ分担してやったんでしょうというお答えだったわけです。それだったら、そのことを調べれば、なるほど、大勢の人から集めたんだなということがわかるんですが、それは調査いたしましたか。
松井政府参考人 お答え申し上げます。前回も答弁が長いという御指摘をいただきましたので、簡略にさせていただきます。
 その後の調査はやっておりません。その当時、調査に当たりました東北郵政局から、月々にも集めているし、臨時にも集めているし、そういうことを言った会長がいるということを聞き及んだからでございます。あとは、それぞれ任意団体でございますので、それ以上の具体的証拠がないので、せんさくしておりません。
矢島委員 やはりはっきりしないんです、ここの部分が。つまり、大勢から集めたのか、それとも渡切費をほかに流用したのかという重大な疑惑の問題なんですよ、ここは。そのためには、渡切費じゃなくて、みんなからポケットマネーを少しずつ集めて、全体が一人当たり二百万ぐらいになりますけれども、それがそれになったんだというのならば、ぜひそのあたりの事実関係を調べて、そして渡切費がそんなことには流用されなかった、こう大見えを切れるように、長官、ひとつやってください。
松井政府参考人 簡略に申し上げます。
 読売新聞の記事は、私どもが調査いたしました年度まで含めて、七年間で三億五千万裏金を集めているという記事が一つございました。それは、私どもの監察組織を通じて、実際に監察官が本庁と東北監察局と合同で特別調査した中に入っております。それから、ほかにもう一つ、「百万買えば領収書二百万 水増しで裏金ねん出」というふうな記事も読売新聞にございました。こういった新聞記事に留意した上で、実際に帳簿を調べまして、そういうことがないことを確認しております。それが一点目です。
 それから、東北郵政局を通じて関係者から聞きましたところ、集めた側の人は公金を下さいと言ったことはないという認識であるのと、集められた側の特定局の会長さんの方が、当然そんなものは公金じゃない、私金だと思っていたということで皆さん一致しているという、この二つ。
 それから、もう一つは、三点目、矢島先生の御指摘の、一人二百万は多いじゃないか、こういう話ですが、一つの会に大体八十人くらいの会員がいるわけです、局長さんが。ですから、そういう意味で、月会費か臨時会費かは知りませんが、労働組合の例から見ましても、私自身はそんなに大きい金額だとは思っておりません。
矢島委員 大勢から集めたんだということについて、確かにそうなんだということさえわかれば私はいいんですよ。
 時間が来てしまいました。
 というわけで、もう一つ、例の近畿郵政監察局管内で都島大東郵便局の、特定郵便局長が渡切費横領で逮捕されて、実は、これは免職になっているんですね。これはわずかに一万円ですよ、結果を言っちゃいます。ところが、私がずっと取り上げてきた飲み食いというのは莫大な金だったんです、これに比べたら。ところが、そういう人たちは何ら、今も免職になっている人はいませんし、何か注意ぐらいは受けているかと思いますが、そういう片手落ちのないようにしてもらいたいということと、もう一つ、最後に言います。
 監察は必要なのかどうかという問題なんです。昨年度の部外者犯罪が四千四百十二件、部内者の犯罪は百十四件、圧倒的に部外者が多いんです。部外者のやるのは、郵便のいろいろなものを壊したりなんたりするわけです。ですから、こういうのは警察に任せればいい。ところが、この渡切費の問題やそのほか部内の犯罪について、とりわけ監察はこの特定局長会に対して大分甘い、弱腰だ、タブーがあるのか、こういうことを言いたいんです。ぜひ、監察のあり方についてもう一回やっていきたいと思います。
 終わります。
平林委員長 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。よろしくお願いをいたします。
 この郵政公社法案、そしてまた信書便法案、いよいよ大詰めを迎えまして、今国会で成立するという方向になりました。そして、いよいよ来年の四月一日からスタートするわけでございます。
 これから四月一日に向けて、この法案が成立すると同時に設立委員会等を設置して、いわゆる中期経営計画、四年間の計画づくりに郵政事業庁は全力を挙げて取り組んでいかれると思うわけです。その一番の責任者が片山総務大臣でございますし、四月一日にいわゆるユニバーサルサービスを大前提とした郵政公社、いわば郵政公社丸が出航する。民間参入もできるわけで、民間も一緒に出航するはずだったが、民間参入はない、特定郵便事業で一、二あるかもしれないけれども、いわゆる郵政公社が中心に出航して、真に国民のための郵政公社であるためにスタートするわけでございます。
 その船長がいわゆる片山総務大臣、四月一日にスタートするときは船長かどうかわかりませんが、今、その準備をしているときの船の船長であることは間違いない。そういったときに、そういった大きな立場であると同時に、一方では、いわゆる小泉総理の民間参入は民営化の一里塚というあの叫びはトーンダウンして、一政治家としての思いであるということになりましたが、しかしまた、その火は完全に消えたわけではない、くすぶっておる、今燃え広がろうとしている。
 とりわけ、総理直属の私的諮問懇談会、ここが八月には意見をまとめようという方向になっております。これは、ある意味では総理の私的諮問機関ですから、総理はあくまでも民営化論者ですから、そういった意味での懇談会ですね。当然、結論としてはそういった民営化の方向の結論が出される可能性が非常に高い。そこの政府側の一員として片山総務大臣もいらっしゃるわけですね。片や郵政公社、ユニバーサルサービス大前提でいかなければならない大責任者、片やそれを真っ向ぶっ壊そうとする民営化論者の一員である、私は非常に難しいお立場にあるだろうと。実際あるんですよ。
 そうした場合、この私的懇談会の位置づけ、一政治家としての意見は自由です、論議するのは。ただ、総理の私的懇談会としての位置づけというのはどれほどの力があるのか、あるいは影響を及ぼすのか、ここが非常に心配なんですね。というのは、全職員がこれから郵政公社丸として出航して一致団結してやろうとするときに、そういった民営化の声が、真っ向違う声が吹き荒れる。いわゆる船は進むが後ろから民営化のあらしが追いかけてくるようなものでしょう。それは落ちついて四月一日に向かっていくわけにはいかぬですよ。
 そういったことを考えますと、この私的懇談会の位置づけというもの、結論が民営化という形で出た場合の位置づけというのは、この今回の公社法案のスタートに向けてどれほどの影響を及ぼすのか、あるいは影響は一切ないのか、そこのところをお聞かせいただきたいと思います。
片山国務大臣 現在、総理直属の郵政三事業に関する懇談会というのが、去年の、あれは何月だったでしょうか、小泉内閣発足が四月二十六日ですから、五月か六月から発足して、ことしの夏を目途に意見集約、こういうことでやっておりまして、民間の有識者の方を中心に、政府からは、先ほども言いましたが、総理と官房長官と私がメンバーになっている、こういうことでございます。
 それで、なぜこの懇談会ができましたかというと、小泉内閣発足のときの与党三党の党首の合意で、郵政事業についてはまず公社化をやる、公社化後のあり方については、民営化問題を含め、直属と書いてあるかどうか忘れましたが、総理の懇談会で検討して結論を得る、こういうことになっておりまして、それは与党三党の合意の上に今の懇談会がスタートしているわけであります。
 そして、今鋭意検討をいたしておりますけれども、特に最近は有識者だけの、政府側が入らない有識者だけの議論を重ねておりますが、いずれにせよ、夏といいますと八月になるんでしょうか、八月のいつになるのか知りませんが、あるいはもうちょっと遅くなるかもしれませんが、意見集約をやる、こういうことでございます。
 この取り扱いについては、私は、何度もここで言っておりますように、それが出たら、それを国民的な議論の中で、国民の合意で方向を決めていくべきだ、こういうことをいつもここでも言っておりますし、総理にも言っておりますので、出ましたら、国会になるのか、与党になるのか、与野党になるのか、また別の形になるのかわかりませんが、それは大いにその結論を一つの案として議論をして、国民的な合意を収れんさせていく、こういうことになるんじゃないかと思いますね。
 それで、この公社化の方は、もうこれは国会でこの法律を通していただければ、正式な国民の代表の先生方による意思ですから、粛々と来年四月一日を目指して進んでいく。その後どうなるか、まだ一つも決まっていないわけでありますから、総理のお考えはお考えでございますけれども、その総理懇の結論を案にして、下敷きにして、私は国会あるいは国民に広く御議論いただくことが適当ではないかと考えております。
横光委員 今回も、国民の声を聞くために地方公聴会も先般行われたんですね。そういった中で、私は熊本の方に行ったんですが、出席者の方は三者とも、公社化になることにさえ非常に危惧を抱いている。とりわけ、私が民営化のことについて三者にお尋ねいたしましたら、ある方はとんでもないと言うぐらい、要するに今の形がいいんだ、何で今のままを変える必要があるのかというような、非常に素朴な、素朴というより、あの声が私は地方の人たちのほとんどの声の代表者じゃないかなと思うぐらい、すっと心に入ってくるほど郵便局そのものがもう生活に溶け込んでいるわけですね。
 そういった国民の声が、今これを論議すると言っていますが、その私的懇談会の結果が出て、そして、それがどういう形になるかわからないにしても、秋の臨時国会でこういうことがまた問題になる。片や、もう郵政公社に向かってスタートをする形を全員でつくり上げていこうとしているんでしょう、国民のためのと。それなのに、片一方で違った方向の動きが出てきたときに、国民は論議をまとめるどころか迷ってしまうだろう、さらに混乱するんじゃないかという気がしてならないんですね。
 例えば、大臣が言われておる公社化の大前提であるユニバーサルサービス、これと、総理の言われている完全民営化、これは全く相反するものですよね、民営化になったらユニバーサルサービスなんかあり得ないんですから。それほど違うことが、これからの時期に論議がまたぶり返されそうになっているということに私は危惧を覚えているんで、その懇談会の位置づけというものはどれぐらいの力があるのかということをお聞きしたんですが、ちょっと心配な状況になってまいりました。
 いずれにしても、先ほど、最初に言いましたように、総理はこの公社丸の船長なんでございますので、あくまでも、郵政懇談会の方の意見は意見として、こちらの方に全力投球をしていただきたいということをまず冒頭お願いをしておきたいと思います。
 次に、私は、先般質問をしたときに、いわゆる誤配された民間のメール便ですね、これが非常に最近多いんだということを聞きましてちょっと質問したんですが、そのときの答弁でちょっと解せない部分がありますので、もう一度お尋ねをいたします。
 まず、誤配の通数、推移、どれぐらいあるのか、そしてまた今増加傾向にあるのかどうか、そのことをまずお聞きして、あるとしたら、その処理方法について改めてお尋ねをいたします。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 六月六日の総務委員会で先生から御質問があった件でございます。
 郵便ポストに投函されました民間メール便がどういった通数になるかということにつきまして、全国の約一千の普通局で調査した結果について御報告申し上げたいと思います。平成十二年度は九万四千通でございました。それから、平成十三年度は十一万二千通でございます。パーセントで申しますと、一年間で二〇%ふえております。大変ふえております。そういう状況でございます。
 それで、処理方法でございます。一部非現行な答弁をさせていただきまして、失礼いたしました。この機会に補正もさせていただきたいと思いますが、平成十一年の七月以降の処理体制でございますが、基本的には、郵便業務へ差しさわりがありますよということを説明した文書をつけまして、荷送り人の方に無料で配達をしております。郵便局の方で、メール便の荷送り人の方に、郵便業務へ支障がありますという通知文書をつけてお送りしております。
 この気持ちですが、こうしたポスト投函される民間メール便がそういったことによりましてこれから自発的に減少していくように、荷送り人とメール便を取り扱う運送事業者との間で必要な措置が講じられることを期待してとっているものでございます。そういう願いを込めてやっているということでございます。
 ところが、いろいろ経費の問題もございますので、これからちょっと見直しが必要かなと思っておるところでございます。
横光委員 とりに来なければ警察に届けるというようなことを聞いたんでびっくりしたんですが、それはないと。実態としては、いわゆる差出人、配送業者に郵便局から返しているということですよね。そのために大変なコストがかかる。これは、本来やるべき業務じゃないわけですよね。こういったむだをまず直していっていただきたい。これはこっちは、ある意味じゃ皆さん方は犠牲者ですよね、処理に困ってポストに投げ込まれてくるわけですから。ある意味で犠牲者ですが、それにしても、要らないコストがかさむわけですから、こういったことは順次改善していかなければならない。
 これは、信書便では当然ですが、こういった民間メール便も、今お話しのように二〇%の増加傾向にあるような状況ですから、やはり一刻も早く国交省と、誤配の通達義務を課するべきだとか、いろいろな改善に向けて協議していただきたい、このように思います。
 次に、これも先ほどから随分質問されておるんですが、いわゆる簡保事業団、これがこれから郵政公社に吸収されるということになるわけでございます。
 交付金と出資金がこれまで出されていたわけですが、今年度、平成十四年度からは出資金はゼロになった。そして、交付金が約二百億円交付されている。十九年度までにはこの交付金も廃止するという方向になっておると聞いております。十三年度も間もなく決算が出ようかと思いますが、それまでは交付金と出資金を合わせると五百億近い金がどんどん交付された中で運営されていたんですね。
 特殊法人等整理合理化計画で、先ほど言いましたように、郵政公社に吸収、移管するわけですが、先ほど、不採算施設の統廃合や徹底的な合理化の上で移管をするという答弁がございました。そうなりますと、そこで働いている職員の方、これはいわゆる特殊法人からいわば国家公務員になるわけですね。こういった特殊法人から国の行政機関、今度は郵政公社は行政機関ではありませんが、そういったところに逆のような形で吸収、移管されるというようなことは例があったんでしょうか。
團政府参考人 簡保事業団の今後のあり方と職員の雇用の継続の関係ということと思います。
 御指摘のとおりでございまして、簡保事業団は郵政公社に吸収されるというふうなことで、一部事務の整理合理化も行っていくということになるわけでございます。
 そこで、お尋ねの職員の取り扱いでございますけれども、この場合、ちょっと前例はよく存じ上げませんが、事業団の扱いについてはいろいろ検討しております。それにつきましては、公社の職員は国家公務員でございますので、特殊法人から今度は国家公務員になるということになるわけでございます。その場合に、事業団と職員との間の雇用関係、これは、公社が当然に承継することは困難というふうなことでございます。
 しかし、これまでの経緯もございますし、そういう特殊法人の整理合理化計画によって行う計画でございますので、十二月十九日の閣議決定におきましても、雇用の安定にも配慮するということが求められているわけでございます。したがいまして、現在の簡保事業団の職員につきましては、国家公務員の選考採用手続によって公社の職員にするという道がございます。これには人事院との調整が必要でございますが、この調整を図った上で選考採用の手続によってこの職員を移行するというふうなことを本筋としまして、移行が円滑に進むように調整してまいりたいというふうに考えているところでございます。
横光委員 つまり、今までと逆のような形で特殊法人から国家公務員という形になるわけで、また、当然のように、人事院の国家公務員の採用試験を受けなければならないというのはよくわかりますが、これは恐らくそんな難しい試験ではないでしょうし、望む人はほとんど移管できるというような状況をやはりつくっていかなきゃならない。
 これから郵政公社をスタートすると同時に一万五千人の削減、合理化に取り組むという方針も出ていますが、簡保事業団の皆さん方はこの一万五千人の枠とは別なんですね。
團政府参考人 これは簡保事業団の吸収といいますか、そういう別の要因でございますので、その一万五千人合理化計画とは別の問題というふうに考えております。
 そこで、採用の関係は、一般の採用試験とは状況が違いますので、選考採用手続によることが適当じゃないかということで人事院と協議しているというものでございます。
横光委員 私のところにもかんぽの宿がございまして、近くにも二、三あって、物すごく地域住民から利用されているところ、あるいはかなり古くなって営業が厳しいところ、いろいろあるんです。そういったところでも、今度の移管のことでは、全員が行けるというのではなくて契約制度になるんじゃないかというような声も広がっているとか、非常に不安の声が広がっていたものですから、ちょっとお聞きしたんです。
 それでは、今度の修正案についてちょっとお尋ねをいたします。
 まず、郵便局の設置でございますが、先ほどから随分質問が出ております、「あまねく」という意味、非常にわかりやすくていいじゃないかという言葉でございます。あまねく、どういうことですかね、すべてというか満遍なくというか、これは、ここにも書かれておりますように、ネットワークを通じて郵便事業のユニバーサルサービスを確保するために、地域住民に直結した各種の業務、ひまわりサービス等の福祉施策、そういった意味から、必要不可欠な局としてあまねく設置しなければならないと。
 前よりは私は前進したと思っております。先ほど言いましたように、地域の住民の声がなぜあそこまでああいった声になるかというと、本当にあまねくネットワークというものがむだになっていない、そのまま地域で生かされているということが大きな形になっているんだと思いますし、それが壊れていくというのを非常に心配しているんですね。そういった声があったものですから。私は前進だと思っているんですよ。
 ただ、これから市町村合併というものが大きく動きますよ。そうした場合は、行政機関とかあるいは学校とか、こういったことまで統廃合の動きが始まるんです。そういったこと、いわゆる市町村合併とはあくまでも別の問題として、郵便局の配置はこれまでどおり維持していくということでよろしいでしょうか。
八代委員 横光委員におかれましても、いろいろ御指摘をいただき、ありがとうございます。まさに郵政公社丸の大いなる船出でございますので、またいろいろサポートしていただければと思っております。
 そういう意味では、あまねく、津々浦々、いろいろな表現の仕方があるにいたしましても、あえて私たちは修正の中にこの言葉を挿入させていただきました。
 いろいろな公共機関が山間地域、離島から撤退をしていくという状況の中で、最後の国民共有の財産は私は郵便局だろうと思うし、また、そこに暮らしの一番拠点としての安心、安全なものとして、わからないことがあったら郵便局へ行く、何でも相談事があったら郵便局へ行く、また地方自治体のバックアップも郵便局がやっていこうという方向性にも今なってきておるだけに、人の住むところには何はなくとも郵便局はあるということは大切だろう、このように思っております。
 そして、だんだん効率化、効率化ということになっていってしまいますと、奥山の人は町へ出てこい、離島の人も離島から離れなさい、こういうことを私たちが呼びかけていくような、そんなことは、農耕民族たる日本にとってはまさに文化だ、このように郵便局の存在を思っているところでありますから、あまねく、津々浦々、隅から隅まで、こういう気持ちをしっかりと修正の中に明記させていただいたような次第でございます。
横光委員 市町村合併等には余り影響を受けないということでよろしいんですね。
 では次に、質問が重複いたしますが、ちょっと確認の意味でもう一回質問させていただきます。国庫納付の件ですが、まず、積立金と資本金の関係、これはどのようにとらえているんでしょうか。
野村政府参考人 御案内のように、郵政公社が独立採算制のもとで健全な経営を確保していくためには一定の資本が必要ということでございます。
 そういった意味で、資本の充実が必要でございますけれども、具体的に資本の中身といたしましては、公社のバランスシートの資本の部に計上されるものということでございまして、具体的には、資本金、これは今郵政事業をやっているものを政府出資金として公社が引き継ぐものということで、これが一・九兆円ぐらい、十二年度の決算でいくとそのぐらいの金額になる。それで、非常に過少だということで、それ以外に自己資本、資本の部に入るものといたしましては、利益の集積である積立金というものがございますので、こういったものについて今後充実していくべきではないかなというふうに考えているところでございます。
横光委員 積立金というのは、いわゆる内部留保であり、利益を積み立てておいて、もし赤字になった場合、それを取り崩してでも補っていく、そういった意味のお金だと思うんですね。
 今回の修正で、ちょっと私なかなか理解できないんですが、この積立金の基準額を政令で定めるということになったのは、これは具体的にどのような考え方で計算するんでしょうか。
八代委員 「公社の経営の健全性を確保するため必要な額として政令で定めるところにより計算した額」、こういうことになっていますよね。これが基準額なんですけれども、これは公社の経営の健全性を確保するために必要な積立金の額、これもまた基準額でございますけれども、今後具体的な水準について検討することが必要である。いかんせん、一兆八千九百億ですか、これでは余りにも過少過ぎるのではないかということで、類似の業務を営む民間企業と同等の水準になるようにその計算方法を定めることが必要ではないか、こういう思いでございます。
 大ざっぱな話ではございますけれども、民間金融機関における預金等の負債に対する資本金等の自己資本の比率というのは、近年、四%、このように言われております。郵貯の預かっているお金も、簡保は別にしてですが、二百五十兆円ということであるならば、四%という計算が成り立つとすれば、十兆円程度の資本は必要ということになる、こういう計算でございます。
 そんなことで、今回の修正案に際しましても、その辺もやはり明確に規定した方がいいのではないか。政府の原案にはちょっとあいまいな部分があって、納付金はどうなっていくんだろうという、ちょっと霧にもやんだところがあったものですから、このあたり、修正をお願いしたということでございます。
横光委員 ということは、積立金の基準額、政令でこれから決めるわけですね。この基準額というのは、いわゆる国内金融のBIS規制の四%、これが、今言われたように、郵貯だけで約十兆、簡保を入れると十五兆になる、これが積立金の基準額になるということでよろしいんですか。例えば十兆になろうが、あるいは十五兆になるか、それはわからないにしても、これを基準にして決めるということですか。
八代委員 これは、具体的内容につきましては今後の事業の経営状況や金融情勢等を踏まえて検討していただくことになりますし、新しくこれからスタートするに際しましても、この問題は財務省当局と総務省、総務大臣がしっかりと議論をしていただかなきゃならない問題でありますが、私たちは、やはりこの四パーという類似金融機関等の現状を踏まえて、このあたりが妥当な線ではないだろうか。十兆でなくて、十六兆でも二十兆でもそれは構わないと思いますが、その辺はなかなか難しいところがあろうかと思います。こんな数字を出しますと財務省は目をむいているだろうと思いますが、しかし、それが、新しく船出する公社丸にとっては大切な資本金である、基準額である、こういう思いを私たちは込めて、こういう修正をした次第でございます。
横光委員 つまり、国内金融の自己資本比率の一応の規制、上限であります四%、ここに必要なのが、郵貯の約二百五十兆からすると十兆だと。この十兆の積み立てができるまで、これができるまで、要するに資本金ですよね、資本金と同等、そこに到達するまでは国庫納付は免除するということでよろしいんですか。
八代委員 そうです。
横光委員 それでよくわかりました。
 それでは次に、もう一つ、出資の件をお聞きしたいと思います。
 この出資、修正の中では今度出資が追加になったわけでございますが、これは、先ほどから質問ございますように、いろいろな問題を含んでおります。プラスもあればマイナスもある。
 ただ、この中で、私は、いわゆる国際的な事業展開、国際宅配事業者等にも、外資系の企業にも出資できるのかと。これはもう外国では当たり前になっておるんですが、これから国際企業競争の時代も始まると思いますし、そういった意味で、外資系企業にも出資できるのかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。
野村政府参考人 お答えいたします。
 今回の修正案のとおり法律を通していただけたらという前提でございますけれども、修正案によりますと、出資対象事業が、郵便事業に密接に関連する事業として政令で定められるというのが一つの要件でございます。それから、もう一つといたしまして、出資について、郵便の業務の運営に特に必要があるということで総務大臣の認可を受けたもの、こういった条件に当てはまる事業であれば出資できるという形になってございますので、制度上は、今先生おっしゃるような国際的な企業についても出資も可能ということでございます。
横光委員 経営の自由度とか、あるいは、先ほど言いましたように、国際間の競争の時代になったときには、やはり、出資条項の追加というのは、私は大きなプラスになると思うんですね。
 と同時に、先ほどからしつこく各委員が質問しておりましたが、やはり、ファミリー企業の増大とか天下りとか、どうしても出てくるんですね。これは国民がまた一番嫌がる問題なんです。こういったところは、極力批判を招かないような努力をしていかなければならない、いわゆる規律確保の仕組みを考えていく必要があると思うんです。そこのところはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
野村政府参考人 お答えいたします。
 今の修正案、政令で非常にきちっと条件が書いてございまして、ただいま申し上げましたように、政令で具体的に出資対象事業を決めます。もう一つは、今申し上げましたように、総務大臣が認可をするという条件がございますので、その二つの関門をきちっと通るというのが一つでございます。それから、もう一つといたしましては、出資子会社になりますので、企業会計原則上も連結決算の対象になりますので、その情報がきちっと出ます。それから、先ほどの行革プログラムの関係でも情報開示になりますので、そういった、御懸念のような事態にはならないというふうに考えているところでございます。
横光委員 ぜひ、そういったことを努力してくださいよ。これは、私が先ほど言いましたように、確かにプラスの面もある。しかし、本当に、焼け太りという印象を国民は持つことだってあるわけですから、非常にここのところは努力していただかなきゃならない。
 それから、これは公社にとって、合理化あるいはコストダウン、こういったもののプラスになる出資、そういった出資があると思うんですね、当然のごとく。いま一つ、今度、利用者のためのプラスになる出資ということもこれから考えていかなきゃならない。ただ公社のいろいろな合理化とかコストダウンとか利益とかいうだけの出資ではなくて、利用者のための出資ということもこれからは考えていく必要があるんではないかと私は思うんですね。
 例えば、これは私だけのちょっとした私案でございますが、非常にこれから高齢化、過疎化が地方では急激に進んでいく。そういった中で、私、非常に感じますのは、お年寄りの方たちの病院通いですね。これは非常に交通費もかかる。それから、行って薬をもらうまで待ち時間がかかる。今でも田舎はそうなんです。ある意味では非常に大変な、いろいろな意味での苦痛が伴うわけですね。
 こういったことを考えた場合、例えば、病院とその地域のキーの郵便局とをネットワークで結んで、いわゆる院外処方、あそこ、一番問題になるのは薬なんですね。病院が院外で薬を処方するという手法が今広がっている、いわゆる院外薬局です。こういったところに出資、あるいはつくって、郵便局がネットワークで、処方せんだけを送ってもらえば、その処方せんでそこの薬局で、院外薬局に出資したところで薬を処方して、それを配達する。しかも、決済は総合口座あるいは郵貯カードでできる。
 そういったことでやれば、お年寄りは薬をもらいに行くときだけでも助かる。いろいろな意味で信頼性はプラスになる。言えば、郵貯、簡保の加入促進にもつながる。公社の経営にもこの院外処方ということはプラスになる。公共サービスにもつながる。まさに一石二鳥、三鳥、四鳥もあるような、いわゆる出資の一つの案でございますが、こういったこともこれから考える必要もあるんじゃないか。
 いわゆるひまわりサービスアルファ、アルファですよ、ひまわり薬局とかそういったことでも言えますし、これから出資する場合、ただ公社の利益とか合理化とかコストダウンとかだけではなく、利用者のためにいかにプラスになるかという出資もいろいろな意味で考えていく必要があるんではなかろうか。今のは地方の声でございます。ただの案でございますが。
 最後に、いま一度お聞きしたいんですが、今回この法案の審議が始まる前に一番多かったのが、三種、四種の問題でした。物すごい陳情、物すごい懸念を皆さん持っておられる。
 先ほどから各者の質問で大臣も、これはもう盲人用の郵便物については無料化を維持するんだというお言葉をはっきり述べられております。ただ、いつまでかということは、確かにそこまで言えるわけではないと思います。しかし、現行これは維持するんだというお言葉がございまして、陳情された方々もほっとしたと思うんですね。
 そういった中で、盲人用の郵便物の無料化だけでなく、四種、三種のいわゆる政策料金の減免というのは、これも現状維持が望ましいと思うわけです。ちょっとお聞きしたいのですが、政策的な料金制度、これは国の施策ですよね、政策料金というのは。国の施策ですよね。今回、この郵政公社というのは、これは経営形態は国営、つまり、資本金は国が出資するとみなすという形で、経営形態は国営なんですね。しかし、組織的には国の行政機関ではないわけでしょう。だから、ここのところは非常にわかりにくい。
 そうすると、経営形態は国営だけれども、組織的には国の行政機関ではない。その国の行政機関ではない公社が国の施策である政策料金をやる。もちろん維持してほしいわけでありますが、行う。となると、これはある意味では、国の施策を公社が肩がわりするというふうにも私はとれるわけですね。
 であるならば、あってはならないんですが、もしこれが運営が厳しい状況になったときは、当然のごとく、国の施策を肩がわりしているんですから、国からの何らかのサポートが必要ではなかろうか。そこで、先ほどから言っております公的な補助という問題につながるんですが、こういったことも、やはり公社がこれから国の施策を担っていくんだということになるわけですから、もし最善の努力をした結果厳しい状況になったときには、こういった政策料金減免の維持のためにも公的な補助というものをぜひ考えていただきたいし、そのことを最後に大臣にお聞きして質問を終わりたいと思います。
片山国務大臣 今度できます公社は国営の公社です。法的には特殊法人でしょうね、やはり。公的な、公共性の強い特殊法人。したがって、その構成員も国家公務員、こういうことでございますから、そういうものが国策をやっても構わないわけですね。それを、法律上、そういう政策料金をやるということを書くわけですから、それには国営公社はこたえてもらう、こういうことですけれども、ずっと将来、大変経営上の負担になるような事態になれば、私は公的助成も一つの選択肢だ、こういうふうに思っております。
横光委員 終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、小池百合子君。
小池委員 保守党の小池百合子でございます。原案を踏まえまして、そしてまた修正案の提出者として何点か押さえておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。最後の十分でございます。
 まず、公社化でございますが、そもそもの目的、これは行革会議の最終報告を見ましても、公社化の目的は、企業的な組織、業務運営の実現にあるとしているわけでございます。やはり、これによってサービスの効率化、そしてまたユニバーサルサービスはもちろんのこと、これから国営の特殊法人の公社というふうにおっしゃいましたけれども、やはり国民とすれば、郵便局が、公社化することによって何らかサービスがよくなるとか、かつての国鉄からJRに変わったときの職員の意識の変化等々みんな肌で感じることもできたわけでございます。
 そういったことも期待を込めたいところでございますが、一方で、今回の法案にしょっちゅう出てくる言葉で、私は党内でそれを発言したんですが、結局受け入れられなかったんですが、そもそも総裁という名称も、これはまさに国家の権威というか、今どきソウサイという言葉が喜ばれるのはデパ地下で売っているお総菜ぐらいかなと思ったりもするわけでございます。だから、この総裁という言葉を選んだのは、そもそもやはりお役人の発想ではないかというふうに思うわけです。ましてや公社ですから社長としたっていいわけですね。法案はこのまま総裁という形にはなっておりますけれども、しかしながら多くの国民が望んでいることは、公社化という、単にここの永田町の中と若干の関係者でわあわあやっているのではなくて、いかにこれによって国民が、利用者が、サービスがよくなったと感じるかどうか、ここが最大のポイントだと思うんですね。
 今この議論は、実際には国民、何やっているのと思って、余り大きな広がりになっていると残念ながら私は思いません。その意味で、ああ、こういうことだったのかということを知らしめるということは一番重要なポイントではないかと思うわけでございまして、社長にするかどうかは別にいたしましても、私が言いたいことはこれでおわかりいただけると思います。
 それによってまた、職員の意識、これはまだ国家公務員のそのままでございますから、郵便に従事しておられる方々、大変使命感に燃えて一生懸命やっておられるということはきょうの毎日新聞のコラムでも出ておりました。しかしながら、そこで、やはりもう一度生まれ変わるんだという意識を、発想を変えるということが実はこの一番大きなポイントではなかろうかと思います。
 この法案によってその項目がちゃんと読み取れるような形、それプラス、大臣からの、今私が申し上げました点についての御感想、そしてまた御決意を聞かせていただきたいと思います。
片山国務大臣 そうですね。公社総裁というのは、やはり古いといえば古いかもしれませんね。私も、公社はもう基本法で決まっていますから公社という名前を使わざるを得ないんですが、総裁は何かもっといいのはないのかなといって探したんですけれども、社長にすると民間になっちゃう。これはこれでまた抵抗があるものですから……(小池委員「公社だから別にいいじゃないですか」と呼ぶ)公社の社長、公社の社だから社長。そういうことで、やむなく総裁という言葉を使わせていただいたわけであります。
 言い方はともかくとしまして、今、小池委員が言われますように、やはり公社になるんだから、国民から見て変わったということじゃなきゃいかぬと思いますね。職員も変わった、郵便局のあり方も変わった、サービスも変わった、ぜひそういう公社を我々は目指したい、こういうように思っております。
 国鉄からJRになったのは、国鉄は公社だったんです、あのとき。JRは民間になったんですね。完全民営化じゃありませんが、ほぼ民営化になった、こういうことでございます。この郵政公社の方は、国から公社になった、こういうことでございまして、今、小池委員の御指摘を体して、国鉄がJRに変わって、国民の目から、変わった、よくなった、そう評価されたように、努力をいたしたい、こういうふうに思っております。
小池委員 ぜひとも肌で感じられるように、そういう変革を職員の皆様にももう一度呼び起こして、そして新しくスタートしてほしいというのが、私どもの大きな願いでございます。
 それからもう一点、ユニバーサルサービスの問題、それと相反するクリームスキミングの話なども出ておりますけれども、ちょっと違う観点で、各党もおっしゃっていましたけれども、例えば、盲人用の郵便物の無料制度、郵便法によって定められているわけでございます。今後、民間参入がどの程度になるのかは別にいたしましても、郵便事業に参加する人たちは、例えば石油の輸入をし石油の精製をしといった会社等々の民間会社は備蓄を条件づけられるわけですね、ですから、これはむしろ参入する人はみんなそうするんだというぐらいのことをして初めて、日本の国土において郵便事業に参加できる、それぐらいのことをすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
佐田副大臣 先生言われるように、政策的にやるもの、そしてまた電気通信なんかでも、これは今、ファンドをつくってユニバーサルサービスをきちっと確保していかなくちゃいかぬ、こういうことも言われているところであります。今回のことも、国民に対するサービスを向上させるという半面はありますけれども、また、民間参入する際におきましては、条件をしっかりと確立していく。そして、クリームスキミングにならないように、例えば、前から申し上げておりますように、全国一律料金であるとか、全国一通からの引き受け、受け渡しであるとか、送達であるとか、そしてまたポストのしっかりとした確保であるとか、こういうことによって、クリームスキミングが行われず、なおかつ、ひいては、公的な要素を含めて、しっかりとしたユニバーサルサービスを確保していく。そしてまた、二万四千七百の郵便局のネットワークをしっかりと確保していく。こういうことが日本の政策としても非常に重要なことだ、私はこういうように思っております。
 また、今言われました盲人用点字郵便物の問題でありますけれども、これは先ほど来から大臣が答弁していますように、郵便料金を認可するのが基本でありますけれども、これはしっかりと無料ということを確保していきたい、こういうふうに考えております。
小池委員 ぜひともよろしくお願いを申し上げます。
 先ほど、通信サービスの際のファンドをつくるという話がございますよね。そういったものを応用した形をつくってもいいんじゃないかということを提案もさせていただきたいと思います。
 また、政治というのは、歴史から学び、さらにはだれよりも先に将来を読むということが必要な職業だと思うわけでございます。今、私がこの質問を終わりますと、この法案についての審議、四十五時間を超えるわけでございますが、いま一度、大もとに戻りまして、今後の郵政事業、特に郵便事業がどうなるのか、五十年後はどうなんだ、百年後はどうなんだ、前島密の百三十年前とは今や全く状況が違うわけでございます。
 ですから、今、目の前の問題で、ポストを十万にするかどうかもその一つではございますけれども、今の子供たちは信書と言われる部分はもうほとんどメールで済ませている。それから、最近出てきたいろいろなベンチャーの新しいソフトは、自分の字が、約二十字ぐらい書けば、全部その人の癖を取り入れて、自筆の書がすぐ書けちゃうんですね。そういうものに信書というものが今後取ってかわられるのではないか。結局残るのは、分厚いダイレクトメールだけになるのではないか。そうなったときに、公社もしくは郵便というものは一体どういう形になるんだろうか。実際にそういったことを、想像をうんと膨らませて、そして、あるべき姿から逆算した改革というのが本来は求められるものではないかな、私はこう思うのでございます。
 ちょうど四十五時間たった切れ目でございますが、いま一度、あすの総括の二時間に入る前に、頭の中をもう一回転させて、また、あすの総括に臨んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
平林委員長 次回は、明五日金曜日正午理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十五分散会
     ――――◇―――――
  〔本号(その一)参照〕
    ―――――――――――――
   派遣委員の北海道における意見聴取に関する記録
一、期日
   平成十四年七月二日(火)
二、場所
   ロイトン札幌
三、意見を聴取した問題
   日本郵政公社法案(内閣提出)、日本郵政公社法施行法案(内閣提出)、民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出)及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)について
四、出席者
 (1) 派遣委員
      座長 平林 鴻三君
         大野 松茂君   八代 英太君
        吉田六左エ門君   後藤  斎君
         松沢 成文君   山名 靖英君
         石原健太郎君   矢島 恒夫君
         重野 安正君
 (2) 意見陳述者
      全日本郵政労働組合北海
      道地方本部執行委員長  秋田喜美男君
      北海道大学大学院文学研
      究科教授        金子  勇君
      社団法人札幌消費者協会
      会長          山本 順子君
 (3) その他の出席者
      総務委員会専門員    大久保 晄君
      総務省郵政企画管理局参
      事官          伊東 敏朗君
      総務省郵政企画管理局職
      員課長         栗田 純一君
     ――――◇―――――
    午前十時開議
平林座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院総務委員長であり、今回の派遣委員団長の平林鴻三でございます。
 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、当委員会では、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査を行っているところでございます。
 当委員会といたしましては、各案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、御当地におきましてこのような会議を催しておるところでございます。
 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、意見陳述者の方々からそれぞれ十分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの御質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 まず、派遣委員は、自由民主党の八代英太君、大野松茂君、吉田六左エ門君、民主党・無所属クラブの後藤斎君、松沢成文君、公明党の山名靖英君、自由党の石原健太郎君、日本共産党の矢島恒夫君、社会民主党・市民連合の重野安正君、以上でございます。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 全日本郵政労働組合北海道地方本部執行委員長秋田喜美男君、北海道大学大学院文学研究科教授金子勇君、社団法人札幌消費者協会会長山本順子さん、以上三名の方々でございます。
 それでは、秋田喜美男君から御意見をお述べいただきたいと存じます。
秋田喜美男君 おはようございます。全郵政北海道地方本部執行委員長の秋田でございます。
 本日は、公聴会において、郵政関連法案に関する私どもの意見を述べる機会をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。
 さて、北海道管内における郵便局のネットワークでございますけれども、北海道の広さは、皆さんも御存じのように、国土の二二%強を占めておりまして、東北六県に新潟県を加えた面積より大きく、道内人口は約五百八十万人、二百十二市町村となってございます。郵便局のネットワークは、千五百五十六局が管内に設置をされておりまして、職員数は約一万五千六百人となっております。文字どおり札幌を中心に広範な郡部、さらには離島を郵便局がカバーしている状況でございます。
 二つ目は、北海道の郵便局の活動状況の特徴について、若干御説明をさせていただきます。
 北海道経済は全国的に見ても大変低迷をしておりまして、失業率も大変高くなっております。とりわけ過疎過密の差は大変大きく、過疎化が進んでいる状況でございます。郵便事業においては、管内の年間目標を一〇〇%の推進率で目標を達成しておりまして、各郵便局の懸命な努力がうかがえるところでございます。
 特に、北海道が発祥の地と言われる、地場産品をゆうパック、郵便小包で届けるふるさと小包は、地域産業の活性化に大変役に立っておりまして、郵便局が地元の取扱業者とタイアップいたしまして、全国に直接届けている状況でございます。特に、昭和五十八年度の取り扱い開始以来、地域の特産品の販売拡大、地方公共団体が推進する一村一品運動、町おこしや村おこし運動の地域振興に貢献をしておりまして、全体の経済波及効果は約三百億とも言われておりまして、利用個数は平成十三年度で四百万個を扱ってございます。
 さらに、地域との連携を強化するための、地方公共団体が処理をする事務のうち特定の事務の取り扱いを開始、平成十三年十二月一日から郵政官署法が施行されております。証明書の交付、戸籍抄本や謄本、あるいは住民票の写しや印鑑証明等々でございまして、市町村の公共機関の出先の窓口として、新しいサービスも現在提供しているところでございます。
 さらに、住民の安全を守るための防災協定、あるいは子ども一一〇番、道路情報提供、SOSネットワーク、土砂災害協定、ひまわりサービス等、外務労働に従事する職員が地方自治体に郵便局を通じて情報を提供することを実施しておりまして、防災に大変大きな役割を果たしているところでございます。
 特に、北海道は、過疎化が進む中で高齢者の地域が大変多くなっておりまして、ひとり暮らしの老人もふえ続けている状況でございます。SOSネットワークによる、お年寄りが徘回の末に死亡して発見されたのをきっかけに、平成四年の十二月でございますけれども、北海道の釧路市内で組織されまして、現在、全国にこの制度が広がっているという状況にございます。
 また、ひまわりサービスや老人宅への一声サービスもだんだん定着をしてきておりまして、郵便局の職員がお年寄りのお宅を訪問するのを大変楽しみに待っている、こういう国営企業としての持ち味が年々拡大をされてきている、このように思っております。
 さらに、二百十二市町村に千五百五十六の窓口でサービスをいたしておりますので、自動車の運転のできない利用者にとっては、郵便貯金口座による年金の支給、あるいは郵便振替口座による送金のサービス、簡易保険の特約による入院費の補償など、文字どおり地域のコア、地域の核として、住民生活と一体化した機能を有していることを御理解いただきたい、このように思います。
 三つ目は、郵政関連法案についての要望でございます。
 郵政事業の公社化による自律的、弾力的経営を実現し、そのメリットをお客様に還元すること、また、郵便事業への民間企業の参入により、国民利用者にとって選択肢が大きく広がることを否定するものではございません。しかし、北海道の広範な地域における現在のユニバーサルサービスを確保する上には、その公社化のあり方、民間参入条件について、私は慎重に検討する必要があるのではないかと思っております。
 私どもが郵便事業を推進する上においての苦労は、郵便の利用の少ない地域を守りながら郵便事業を経営することにございまして、民間参入に当たってのポストの設置や、コンビニのない地域、現実に、私のふるさとであります道南の寒村ですけれども、コンビニはございません。今、私の母親、九十三歳になるおふくろがひとり暮らしをしているんですけれども、頼りは唯一郵便局しかない、こういう状況も現実であります。
 公社法案については、過疎化が進む不採算地域にあっても郵便局ネットワークを維持していくには、私は、国庫納付は大きな懸念材料であると思いますし、認めることはできません。また、公社の経営の自由度を高めるための法整備がもう少し必要だと考えてもおります。
 信書便法案については、現在のクレジットカードやDM等を、信書の定義において、できれば明記することを求めたいと思っております。その基準が不明確なままでは、ユニバーサルサービスの確保に必要な事業収入を確保し、国営企業としての役割を果たすことができなくなることから、私は反対と言わざるを得ません。既に札幌等の大都市では、いわゆるグレーゾーンを拡大解釈した民間事業者によるクリームスキミングが起きていることも、信書の定義の明確化を求める大きな理由であります。
 四つ目は、郵政三事業が一体経営についての要望を申し上げます。
 郵便局の機能は、郵便、貯金、簡易保険事業が一体で初めて機能を発揮していると考えます。コスト面から見ても、一人の職員が内務事務の窓口で三事業を行います。総合担務の導入によって、多くの外務員の職員も同様の業務を行っております。利用者の少ない地域において、三事業が一体で運営されなければ、郵便局の経営は成り立たないことは明らかであります。
 特に、郵便貯金事業、簡易保険事業は、資金の運用も自主運用となっているだけに、将来の地方の時代における社会資本の整備事業への活用、有効性ある資金の活用など、国営企業としてより地方に還元できるように改革を図ることも、私は検討に値するものと思っております。
 また、郵便貯金は、小口、個人に対する基礎的な貯蓄手段、まさに勤労者が生活を守るための貯蓄であり、ペイオフが解禁されている中で、少しでも安心して利用できる金融機関が存続することは、私は、生活者のセーフガードとしての役割を果たしているものと考えます。
 五点目、最後でありますけれども、雇用と地域の活性化であります。
 さきに北海道の雇用の厳しさを申し上げましたが、道内の郵便局では、常勤の職員約一万五千六百人と非常勤の職員で業務運営をしております。来年度の私ども北海道における新規採用者の見込み数は、二百人であります。年々常勤の職員の定員は削減されておりまして、支出の削減と業務の効率化がどんどん進んでいる状況であります。
 私ども働く者の立場からは、事業の健全経営を確保するには、郵政事業に携わるすべての関係者がひとしく痛みを分かち合う、このことなくしてなし遂げられないとの認識を強く持っておりますし、総務省、郵政事業庁にも郵政改革を私どもは強く求めているところでありますし、労働組合として、事業の健全化に向け精いっぱいの努力をしているところでございます。
 私たちは、地域住民、利用者にとって利用しやすい郵便局づくりを目指す努力は当然でありますが、郵便局の存続が成り立たない内容が万が一明記されるような郵政公社関連法案だけは何としても避けていただきたい、このことを重ねて要望を申し上げたいと思います。
 市場万能主義の導入は、時には経済活動に活力を与えることもあるでしょうが、少子高齢化社会、過疎地域で暮らす先人たち、これまでこれらの先人が日本国にひたすら貢献してきたことは事実でありますし、郡部に住むそのような多くの人々を少しでも守ることができるとしたならば、私ども郵便局で働く三十万人の職員は、郵便局の仕事をしてきてよかったなとだれもが心から感じているものと確信を申し上げまして、私の意見とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
平林座長 ありがとうございました。
 次に、金子勇君にお願いいたします。
金子勇君 おはようございます。北海道大学で社会学を担当している金子でございます。こういう機会をいただいて、ありがとうございます。
 私は、仕事は地域の少子化と長寿化の研究でありますが、そこから、少し違った角度で郵政関連法案に対しての意見を申し上げたいと思います。
 郵便局への関心がこれほど高まった時代はないので、これをいわばプラスに生かすためにはどうしたらいいかということを申し上げたいと思います。そのためには、今、お手元に、私が書いた資料が、とじて三ページ分ありますので、それを参考にしていただきながらお話をさせていただきたいと思います。
 立場としては、郵便局の機能を、国民が利用する、そういう立場から考えていくとどういうことが言えるかということでございます。これからの二十一世紀は、少子化と長寿化がすべてのところで、つまり都市でも、地方の町村、農村でも進む時代でございますから、それに対して何をどういうふうにするかということが一番大きな内政の課題でございまして、それに対して郵便局がどのように役に立つのか、あるいは役に立つためにはどういうことをすればいいのかという角度からの、郵便局も含めた郵政関連法案についての判断でございます。
 この法案のねらいとされていることは、一番わかりやすく申し上げると、民間にできることは民間に任せる、税金のむだ遣いをなくす、それから国民ないしは住民、ないしは消費者に対するサービスの向上を図る、こういうことでつくられたというふうに承知しておりますが、民間に任せたら、住民サービスが向上する場合もあるけれども、向上しない場合もあるというのが私の判断でございます。
 なぜかと申し上げますと、今の郵便局が維持されて、そしてそれに対して民間が入ってくることは、それだけ郵便の配送も含めたサービスが向上するので、確かに国民ないしは消費者に対してプラスになることが大きい、これは事実でありますが、そのかわりに、郵便局の数が徐々に減ってきて、この百年間、日本の地域の隅々まで張りめぐらされた郵便局のネットワークが緩んでくると、それは便利さと引きかえに、住民の間に不安さが強くなるというのが私の地域研究の一つの成果でございます。
 したがって、判断をする場合には、郵便局としての目に見える、つまり、郵便を受け付けて配達をする、貯金業務をする、簡易保険業務をするという、当然みんなが知っている、そういう目に見える機能と同時に、地域の中で郵便局が果たしている、これまで果たしてきた、例えばまとまりの機能、そこに国の出先機関があるという機能、そういうもの、つまり、通常は目に見えないわけですけれども、それが実に地域社会の安定に役に立っているということも、あわせてぜひお考えになっていただきたい。
 そういう意味からすると、単に賛成、反対ということを超えて、もっと国土づくり、二十一世紀の社会づくりの手段としてこの郵便局、郵政の法案を考えてみたいと思います。
 その補助線は三つあります。
 一つは、私の仕事でありますコミュニティーづくりの核として、郵便局プラス日本の地域社会の伝統的な良質の資産である警察・交番、それから地区センター・公民館、そして小中学校、これは二ページ目の資料に表の一という形でまとめておりますのでごらんになっていただきたいのですが、この表の一「現代日本の地域社会における結節機関までの平均距離」というものをごらんになっておわかりのように、郵便局と小中学校と公民館・地区センター、それから警察・交番は、すべて歩いて十分、せいぜい十五分、一キロ圏内に、日本の地域隅々まで張りめぐらされている。これは、世界的に見ても非常に遜色のない地域のネットワークの核になってきているわけでございまして、そういうものをこれからつないでいかないと、少子化と長寿化には対応できない。政治の課題というのは、恐らく十年後、二十年後、三十年後を見越して手を打っていくことであるとすれば、ただ単に民営化するということのみを判断基準にして郵便局の問題を議論すべきではないというふうに考えます。
 二番目の補助線は、今申し上げましたように、高齢社会の情報センターとして郵便局を使いこなす。現在でも、子ども一一〇番でありますとかひまわりサービス、過疎地域で歴史を持って行われてきているのでございますが、そういうものをもっと活用して、高齢者対策の一部にこれを転用する。これの法律のバックグラウンドは、平成七年につくられました高齢社会対策基本法ないしは昨年閣議決定された高齢社会対策大綱、こういうものが補助線になるだろうと思います。
 そして、もう一つは、北海道や大分県で実に七五%、過疎地域の指定を受けている、そういうところの自立、振興の核になる、あるいは核として位置づけ直していただきたい。これについての補助線は、平成十二年につくられました過疎地域自立促進特別措置法、こういうものとあわせてぜひ政治の世界では総合的に議論していただかないと、これからの地域づくり、日本づくりが十分見えてこない。政治というのは、そういうものを含めてぜひ考えていただければというふうなことをお願いしたいと思います。
 それから、資料の一ページ目の三番目、今申し上げましたように、したがって、目に見える、ただ単に郵便を受け付けて配る、貯金あるいは保険の仕事をするということを超えて、目に見えない、今まで果たしてきた機能を、郵便局をもっとこれからつくり直すということを考えてこの問題を判断すると、ただ単に、速い、安い、仕事きっちりというコマーシャルの話でいいますと、効率性だけで判断することは、やはり非常に危険ではないかというふうに思います。
 それぞれの立場で将来の政治理念あるいは国家目標をおつくりになった中で、この問題、地域のネットワークをどういうふうにつくり、そしてそこの中に、今申し上げた郵便局と、それから警察・交番、小中学校、地区センター・公民館、そういうものをITで結び合って我々国民の生活の質を上げていくか、そういうようなことを次のステップとしてぜひお考えになって、そういう立場からこの問題について御審議、御判断をお願いしたいと思います。
 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
平林座長 ありがとうございました。
 次に、山本順子さんにお願いいたします。
山本順子君 資料を拝見しますと、郵政事業は公社化によって、時代の変化に対応し、日常生活に不可欠なサービスをあまねく公平に、なるべく安く提供し、地域社会の発展に貢献するとしております。
 この公社化の目的として次の点を指摘しているわけです。一に、実施主体を国から国営公社に改めることに伴って、組織、予算、定員等の国に係る制約を外して、自律的、弾力的な経営を可能にする。経営の効率化を図り、事業のより適切かつ確実な提供を実現する。二、自律的、弾力的な経営で以下が可能になる。柔軟な業務運営の実現、経営責任等の明確化、そして、国民利用者の視点に立った弾力的なサービスの提供。これは、言いかえれば、現状のさまざまな制約が郵政事業の弾力経営を阻害し、利用者の視点に立ったサービスの提供を困難にしているということではないでしょうか。
 また、議論の中では、郵便事業に民間事業者の参入を図るべきである、民営化すべきである、貯金、保険の資金をこれまでのように財投資金として運用することをやめ、自主運用に切りかえるべきである等の多くの課題が提起されております。また、そうした役割を担う郵政公社の組織機構や運営はいかにあるべきかも大切な課題です。
 かつて、国鉄、電電、専売の三公社は既に民営化されました。五現業、郵政、林野、アル専、造幣、印刷の現業も、時代の変化に対応していかなければなりません。巨大な組織と長い歴史を持つ郵政事業を、時代の変化と社会の変化に対応してどう変革することが望ましいのかが主要な課題です。
 この半世紀、我が国社会は大きく変貌して、国民生活も変容を遂げました。国土総合開発計画は均衡ある発展をうたってきたにもかかわらず、高度経済成長と並行して過疎過密が進行、地域格差は増大しております。加えて、超高齢化社会を迎え、生活面での地域間格差はますます大きくなっております。
 私は、百三十年の歴史的所産で、国民生活に深く根差している全国二万四千七百の郵便局のネットワークは、最も重要な国民的資産であると考えます。これは何としても存続、発展させて、時代のニーズに合った役割、機能を果たすようにすることを、ぜひとも第一義的にお考えいただきたいと思います。郵政三事業の長い歴史によってつくられ、国民的資産として残すべきものは、全国津々浦々に張りめぐらしている郵便局のネットワーク機能と、それをベースにしたユニバーサルサービスだと思います。それは、従来の郵政三事業に限定せず、もっともっと地域が求めているさまざまなニーズにこたえるものとして、多様で多面的な機能や役割を果たしてもらうような郵便局のネットワークを展望していただきたいものです。
 二十一世紀は、知識・情報社会と言われています。科学技術の目覚ましい発展によって、交通、通信は大きな変革を遂げてきました。同時に、これらは地域社会をも大きく変えてきました。子供たちは都市に流れ、親たちは過疎、高齢の農山村に取り残されております。郵便局の消滅は、過疎に拍車をかけることになります。過密化した大都市では、核家族、単身世帯の増大で、隣の人は何をする人ぞという人間関係の砂漠化が進んでいます。そうした地域に暮らす人々は、地域を支えるきずなとして、郵便局の存在を大切にしてほしいと願っております。
 ここで考えなければならないことは、社会経済の変化に伴って地域は変貌している、多種多様な地域が求めるニーズは多種多様であり、地域に根差した郵便局のあり方も多種多様でなければならないということです。しっかりと地域のニーズに対応して、なくてはならない郵便局として発展していくことが求められていると思います。
 それは、これまでの旧態依然の郵政三事業ではないということです。過疎、高齢化の進む地域のニーズと大都市の人口密集地域のニーズでは大きく違っております。求められるサービスの内容も方法も、千差万別、多種多様です。ユニバーサルサービスの維持のためには、郵便局が津々浦々になければなりません。それが、さらに、それぞれの地域に根差したニーズにこたえるさまざまなサービスを展開することによって可能になると考えます。郵便局は地域にあるのですが、それは全国のネットワークで結ばれた小さな巨人です。地域のニーズに沿ったサービスを縦横無尽に展開するならば、ユニバーサルサービスを確実にするでしょう。
 全国二万四千七百店舗は、オンラインで結ばれたネットワーク機能で、いつでもどこでもだれでもというネットワーク社会を形成可能にしました。さらにこれを発展するために、見習うべきはコンビニエンスストアだと思います。食品や生活雑貨の小売店から始まって、日本に上陸してから三十年余り、日本的な土壌、ニーズに適合して、すさまじい勢いで成長してきました。今では、コンビニエンスストアが生活に欠かせないインフラとなっております。わずか百平米の異業種の店舗というだけではなくて、政府や行政機関も秋波を送る。小さな巨人は、社会の仕組みをも変えつつあります。
 沖縄県で行われたサミットのPRに告知機能として利用されたこととか、二〇〇〇年問題のときに、短い期間で国民に周知させるために三万四千の全国のコンビニの店頭にポスターが張られたとか、それから、阪神大震災のときでしたけれども、災害時の機敏な営業体制は群を抜いていたわけです。食品や生活物資を絶え間なく送り届けて、ライフラインの一翼を担ったことです。
 今、東京都は、昼間の震災に備えて、帰宅できなくなった人々への飲食物の提供などをコンビニ業界と協議しているといいます。また、福祉の面では、徘回痴呆性高齢者の発見、保護など、幅を広げた活動を進めているわけです。コンビニの一店の一日の来客数は約千人と言われているわけですが、銀行とか行政サービスに手を伸ばしてきているわけでございます。銀行とか、税金とか、選挙の面にもかかわるようになってきました。
 しかし、過疎地域には、コンビニすら来ない地域もございます。そうした地域に合った、郵便局は何でも引き込めるプラットホームという発想や感覚が、郵政事業に求められていると思うわけです。多様な地域のニーズにこたえられる郵便局、多様な地域の多様なニーズにこたえられる、存在意義のある、生活のライフライン、国民生活を支えていただきたいと思います。
 郵政三事業は、国民サイドから見れば郵便局とネットワークの総体ですけれども、郵便局への期待や役割も大きく変わって、国民のニーズは多様化してきました。責任と権限をできる限り現場におろして、現場の判断、現場に近いところで自由な営業活動を展開できるようにしていただきたいものと思います。
 国民の利益は一色ではございません。時代の流れは速く、社会の変化とか地域の変化、ニーズの変化が進んでおります。地域にある郵便局も、その一つ一つの局についてのユーザーサイドのニーズに違いがあります。フレキシブルに対応可能にすることで、違ったさまざまなサービスの提供を可能にする郵便局が望まれているわけです。
 郵便局の今までのイメージにとらわれるならば、どこにでもあるだけで、国民的利益の増進につながり貢献する郵便局のイメージがわかないように思えます。郵便局ネットワークは百三十年余りの歴史を持つ国民共通の資産であり、生活のインフラです。もっと積極的にこのよさを活用させて発展していくべきだと思います。金子先生がおっしゃっておりましたけれども、コミュニティーの拠点として郵便局がこれからその役割を果たしていくことが必要だと思います。アメリカ前大統領のクリントンも、大事にすべきはコミュニティーであると言っておりましたけれども、家庭やコミュニティーの拠点にしていく必要があると思います。
 秋田さんがおっしゃっておりましたけれども、郵便局の機能と役割、仕事の内容を広げていくニューマーケットとかニュービジネスを考えていきますと、人員削減をしないで職種転換とか能力開発で雇用確保が可能になるのではないでしょうか。雇用形態も画一的だと高齢者雇用や女性雇用を制約いたします。
 それで、官と民という考え方ですけれども、私は、官も変われば民も変わると思います。ただサービスをしていただくだけの民ではないと思うわけです。私ども札幌消費者協会では、消費者協会の多くはそうですけれども、今、啓発活動だとか消費者教育、それから消費者、市民の苦情相談、こういう点において地方自治体より委託を受けた事業を展開しております。こういった場合に、本当に限られた人員で、限られた予算の中で、民のパワーを発揮して、行政の役割に両輪の力をもって活躍しているわけです。こういったコミュニティーの活力を支えるために、新しい民のパワーというものがぜひとも必要だと思います。
 そういう点で、郵便局のこれから、郵政のこれからの発展の中で、こういった変わりつつある、変わってきている、今までの民の力を大いに活用して、地域のために発展させていただきたいものだと思います。
 終わります。(拍手)
平林座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
平林座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野松茂君。
大野(松)委員 自由民主党の大野松茂でございます。公述人のお三方には、貴重なお考えをお示しいただきまして、まことにありがとうございました。
 郵政公社への移行という問題でございますが、百三十年に及ぶ郵政事業の歴史の大転換でございます。今日まで郵便局の果たしてきた国民との信頼は失ってはならないものであるということは一番基本だろうと思っております。まさに郵便局は安心のネットワーク、そして信頼のネットワークであったと思いますし、また、今後もそうあってほしいと願っている立場でもございます。このたびの改革に当たってこのことは最も大事にすべきことである、こう思っております。
 民間企業との競争の中で、今までのネットワークを維持していく上には相当のコストがかかります。民間企業と郵政公社が担う役割は違うのではないか、こうも思っております。今日まで築いてきたネットワークを駆使して三事業一体となった推進をしていくべきものである、こう思っているところでございます。
 そこで、お三方に順次お尋ねをさせていただきます。
 秋田公述人にまずお尋ねをさせていただきます。ただいまの御意見とはちょっと離れますが、せっかく労働組合のお立場でもございますので、過去のことでお尋ねいたしますが、お許しをいただきたいと思います。
 たしか昭和五十年代でございましたが、長きにわたって特定局制度撤廃闘争というのが組合でございました。たしか全逓だったと思うんですが、全郵政はどうであったかはありますけれども、ともかくこのスローガンを掲げて運動を展開された一時期があったように記憶いたしております。その当時、目標として掲げた背景というものはどういうものがあったのか、あるいはまた、しばらくの後にそのスローガンを転換したわけでありますけれども、そんな経緯もちょっと教えていただければと思います。そして、大事なことでございますが、現在のこの特定局の事業にその運動がどんな形で生かされているのか、これをお示しいただければありがたいと思います。
秋田喜美男君 簡単に申し上げます。
 先生の御指摘のように、全郵政は、撤廃闘争じゃなくて、特定局存続改革闘争ということで、私有局舎も認めながら郵便局を整備していこうという考え方でございましたので、一方の組合とは若干違います。
 しかし、私は、当時の闘争の背景には、一つは、新しい時代に向けた郵便局づくりというものをすべきではないのか、国営企業であればやはり国営の局舎があり、あるいはまた、向こうの運動の説明をさせていただいているんですけれども、郵便局の中の小さな局であれば特定局長という存続を、ある意味で分局化した方がいいのではないか、あるいは、官からの貸し付けを受けて局舎をつくって局舎料をいただくという制度について問題があるのではないか、世襲制度が問題があるのではないかというようなことで闘争を展開したように思います。
 しかし、やっていっての結果でございますけれども、一つは、郵便局が、大変古い時代の私有局舎であっても、やはりお客様のためのニーズに合わせた郵便局づくりをしようということで大変きれいに新しくなってきたことがあります。
 もう一つは、世襲が、大変すばらしい方が局長になる場合もありますけれども、そうでない方もあるわけですから、そのことによって弊害が起これば困るということから、郵政省は一歩乗り出して、試験制度の導入、あるいは選考する過程の厳しさというものをつくり上げてまいりました。
 それから、郵便局はひところ大変サービスが悪かった時代もございますけれども、やはりそういうものを通して、新しい時代にふさわしい郵便局だということで、いらっしゃいませとかありがとうございますとか窓口で言うように、職員の意識の改革につながってきたわけです。
 そういうことを考えまして、やはり現代の事業を競争化していくにはどうしても撤廃闘争だけでは改革ができないということから、現行の制度を改革するという運動に全逓自身も転換をした、こういうことでございます。
大野(松)委員 現在、特定局は、二万四千七百七十八ということでありまして、この五年間で二百六十二局ふえております。このネットワークがまさに拠点になるわけでありますけれども、地域に欠くことのできないものとなっております。この認識は共通だろうと私も思っております。
 ところで、これからのことなんですが、郵政事業、中でも郵便事業の厳しい経営状況からいいまして、一段の効率化が必要となってくると考えられます。組織の中においでになりまして、どのような効率化が必要であるか、あるいはどのような事業体制の構築が必要と思われておいでか、その点をお示しいただきたいと思います。
秋田喜美男君 お答えいたします。
 私は、やみくもに郵便局をふやしていくということについては反対です。むしろ、効率性のあることが大事でありまして、実は、北海道においても十キロ範囲に二局あったりするところがございます。そういうところはやはり統合することが必要でございます。そして、サービスの低下をしないような統廃合、効率化というのは、私は必要だと思います。
 それから、どうしてもふえているのは都市部でございまして、郡部からの移転をするとか、あるいは都市部で、一局が建つのじゃなくて、ビルの中に郵便局をテナントとして入れていく、こういうふえ方が大きくふえている現状でございます。
 これからの効率化ですけれども、私どもは、当然、雇用を守らなきゃならぬという立場はありますけれども、先ほど先生がおっしゃったように、本務者が減っていっています。そのために、短時間職員だとか非常勤だとかいろいろな方が採用になってございまして、それぞれが機能を果たせる役割を、実は本務者だけじゃない、そういう人方によって運営をしていく、これが一つであります。
 それから、効率的な運営というのは、当然、請負化、機械化等々も導入してございますので、できるだけサービスは低下しないで効率的運用を図っていくということで、労働組合としては効率化については真正面から取り組んでおりまして、五年間で一万五千人の定員削減も了承しているところです。
大野(松)委員 ありがとうございました。
 時間の都合もございますので、金子公述人にお伺いいたします。
 先ほど、幅広い分野で今当面している課題についてお話をいただきましたが、この法案を審議しておりましてもあちこちで言われてまいりますことは、公社で何がどう変わるのかという問われ方があります。今よりどのような形でよくなるのか、あるいは民間参入というのはどのようなことなのか、それがはっきりと見えてこない、こういう疑問の声も実はあちこちで聞くわけなんですが、先生のお立場で公社化のメリットは何だとお考えになりますでしょうか。
金子勇君 一言で言うと、周りから注目を受ける、つまり周りの視線がそれだけ多くなるということだろうと思います。したがって、それは逆に言うと、情報公開と裏腹になる。それで、従来のやり方を一歩進めて、とにかくオープンにするということが一番のメリットではないかと思います。
大野(松)委員 民間参入をするとユニバーサルサービスはどうなるのかと、不安や心配する声が随所で実は聞かれております。
 だれもがこれからも公平、平等に郵便サービスを受けられるためには、クリームスキミングは何としても避けなければならないことである、こうも思います。このことは郵政公社を守るものではなくして、お話がございますように、大都市と地方との地域間格差の拡大が懸念される中で、真に国民利用者の生活を守るために不可欠である、このようにも思います。
 この点に関しまして、先ほども先生、関連のお話がございましたが、さらに詳しくお願いしたいと思います。
金子勇君 ユニバーサルサービスの反対の言葉は、特殊な、パティキュラリスティックという言葉でございますが、ユニバーサルのためには傾斜配分をしなきゃいけない、つまり、公平さを維持するためには不平等でないといけない場合が出てくるわけです。これは現代社会の一つの特徴なので、公平イコール平等というわけではないところがこれから各部門で出てくる。恐らく、今お尋ねの問題も、大都市部の郵便局と過疎地域における郵便局ではその問題に直面するはずで、もっとはっきり言うと、過疎地域を維持するためには不平等に、つまり、肩入れして傾斜配分をして支援しないといけないということは当然あると思います。
 それが結局、全体としてユニバーサルサービスになるということでございます。
大野(松)委員 ありがとうございました。
 この郵政の事業を続けていく上で、殊に郵便業務の事業をさらに強化していく上で、実は事業に出資をする出資条項は今回の法案には盛り込まれておりません。このことについて、お考えがありましたら。
金子勇君 これについては、ちょっと判断の材料がありませんので、発言を控えさせていただきたいと思います。
大野(松)委員 山本公述人にお尋ねいたしますが、先ほど来ずっと御意見をいただきましたように、今、全国各地で、既にワンストップサービスやひまわりサービスなど、郵便局が地域に密着したサービスを展開されております。
 公社化によって、さらに地域社会に充実したサービス提供が期待されているわけなんですが、郵便局の機能の、言うなれば多機能化を求める上で、身近な郵便局に期待するものがありましたら、今のいろいろな事業に加えてさらに何かこんなものをやったらどうかということでも、あるいは今の郵便局を利用されている上での感じ方でも結構でございますが、お願いいたします。
山本順子君 国会でも答弁されておりますように、コミュニティーの特性、必要性に適合することなら何でもできるように、もっと前向きに郵便局の機能と役割、仕事の内容を広げるべきだという国会の御論議がございましたけれども、情報ネットワーク、オンライン化されて二万四千七百の郵便局があるということは、本当に国民の生活上の資産だと思います。こういう伝統を生活インフラとして大いに活用していくことが、私ども二十一世紀に生きる国民に求められていることだと思うんです。そういう面で、本当に、地域でどういった郵便局の活用の仕方があるかということは、やはりこれから住民参加の中で大いに議論をしていくべきではないかと思うんです。
 卑近な例を言いますと、北海道では北海道特産品を送っておりますけれども、そういったふるさと小包も北海道が発信地でございまして、北海道の郵便局の活躍は大変なものなんですね。そういった北海道産の素材を全国ネットで配送する、プリミティブな見方ですけれども、こういったものもあると思います。
 少子高齢化社会の中で、これから郵便局に期待されるものはたくさんあると思いますので、ぜひ地域住民や代表といろいろな面で話し合ってみてはどうか、そういう参加形式を大いに望みたいものだと思います。
大野(松)委員 郵便局が今までネットワークとして果たしてきた役割、これは極めて大きいわけなんですが、これから公社という新しい対応をする中で、今まではできなかったんだけれどもこれからはできますよというものを、私は、郵政の関係者もいろいろな場面で知恵を出してもらうと同時に、また利用する立場からもいろいろな注文をつけてくることの必要性を、今、さらに強くしたところなんですが、くれぐれもよろしくお願いいたします。
 これで私の質問を終わります。
平林座長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 まず、お三方の公述人の方、大変お忙しい中ありがとうございます。
 まず最初に、金子先生にお尋ねをしたいと思います。
 先生が冒頭お話をしました基本的な議論のスタンスというのは、あくまでも国民が利用する立場から郵便局の機能を考えるべきだと。まさにごもっともだと思います。その中で、先生に何点か御質問を申し上げたいと思います。
 一点目は、先生の論を突き詰めていくと、公社という機能はある意味では逆に中途半端かなという感じが、お聞きをして思いました。
 要するに、国家機関としての機能をもっともっと充実しなければいけないという点で突き詰めていきますと、公社の一つの大きな経営の自由度ということで、企業会計原則を採用することになっております。これは、まさに民間の活力的なものを高めるという視点だと思います。コミュニティーの機能という、この社会学的な先生の論点に対応していくと、本当に郵便局にその機能が全部求められるのかなと。であれば、現行の、官、国家機関にもっと近い部分に置いておくべきだという点に戻ってしまう部分があるのかなと思うんですが、その点、まずいかがでしょうか。
金子勇君 そういう面はあると思いますが、これは、大都市部と地方の都市、それから過疎地域において、私が申し上げた四つの、郵便局、小中学校、公民館・地区センター、警察・交番、どれを核にしてもよろしいと思うので、郵便局が使えない場合は、ほかのところを重点的に、少子化と長寿化の支援情報センターに位置づけ直すということが考えられてよろしいだろうと思います。
 お尋ねの、公社化は中途半端であるということは、つまりその先に民営化があると。民営化を一直線にすると、今までの郵便局の持ってきた、隠された地域のまとめ役としての機能が低下することは、間違いないと思います。
 つまり、民間企業の配送、運送関係の出張所では、やはり郵便局の肩がわりはできない。地域住民にとっての安心という問題や、それからまとまりという問題、私の資料の二枚目の図の一をごらんになっていただきたいのですが、そこに、郵便局と小学校と交番、それぞれの潜在機能と顕在機能を分けて書いておりますが、そういうものは恐らく民間企業では肩がわりできないということは、はっきりしております。
後藤(斎)委員 もう一点先生に、今の点で、顕在的機能、これは三事業の実際のビジネス、仕事の部分であります。ですから、この部分を突き詰めていくと、民の部分に近くなる。それで、先生がおっしゃっている潜在的機能というものを突き詰めていくと、国家機関というものに近づく。これは、都市と地方という点でも分けられると思うんです。
 ですから、いずれ税金投入というものが、先生がおっしゃっておられます潜在的機能というものを、限りなく現行のネットワーク、ユニバーサルの部分も含めて対応していくと、その部分が多分発生をしてくると思うんですが、最終的な税投入という点については、いかがでしょうか。
金子勇君 私が重視するのは潜在的な機能の面でもありますから、それは、維持できるような形で支援するというのは望ましいことであるというふうに思います。つまり、税投入もあり得るだろうというふうに思います。
後藤(斎)委員 もう一点、金子先生にお尋ねをしたいと思います。
 その場合でも、ネットワーク機能の末端の郵便局、現場に近い局が、人的な部分で本当にその機能にたえられるかどうかという点が、私は一番重要だと思うんです。秋田委員長からも山本会長からも同様な御趣旨のお話がありましたが、まさに人的な部分でそれがたえられるかどうか。これによって、先生がおっしゃっておられる基本的な、国民が利用する立場から、これはいろいろな、三事業にもありますし、それ以外の潜在的な部分もありますけれども、その人的な部分ということについては、先生、どのようなお考えでしょうか。
金子勇君 それは、特定局みたいに局長さん一人あるいは局員の方一人というところでは、十分できない場合があると思いますが、それこそ地域の中の郵便局あるいは情報拠点という観点からすると、例えばボランティアの方をもっとオープンにして参入していただくとか、そういう人的な資源の面では、もっと工夫ができるのではないかと思っています。
 ただ、職員にそれもあれもということでは必ずしもない。つまり、そこに拠点としてあることの意味の方が大きい。それを利用するのは職員であり、局長であり、そして地域の住民であるというような位置づけ方でないと、例えば徘回老人のためのITのネットワークセンターというのは、非常に難しいだろうと思います。
後藤(斎)委員 秋田委員長にお尋ねをしたいと思います。
 最後に、雇用と地域の活性化という点で、郵政事業に携わるすべての者がひとしく痛みを分かち合うことなくしてなし遂げられないということで、健全経営を確保するんだという御指摘がございました。
 私も、先週の委員会でその点について、まさに同趣旨、同じ思いなんですが、いわゆる中間管理の部分、地方郵政局の部分ですね、この部分をどの程度現場に近づけることができるのかという点が、私は、全体の健全経営という点では、公社化スタートしてすぐその部分が求められていると思うんですが、その点につきまして、秋田委員長の御見解をお伺いしたいと思います。
秋田喜美男君 お答えいたします。
 先生のおっしゃることはごもっともだと思っております。それは、中間管理機構が、今までの郵政の時代ですと、本省があり、地方郵政があり、そして郵便局ということでございまして、すべからく画一的に、中央からおりてこなければ現場が動かない、こういう機構が実は現実にあります。今でもあります。そういうことでございますので、実は、頭でっかちの、大変な融通のきかない、そういう企業体になっていたことは御指摘のとおりでございますので、これを直していかなければ本物にはなりません。
 したがいまして、現在、中間管理機構を見直すという作業が公社を進める上での一番大事なことではないかということで、最低限の中間管理機構なり指導部門を設置してはいかがか、そして現場に判断をゆだねる、あるいは地方の郵便局に権限を持たす。こういうことでなければ、東京でやる仕事と北海道でやる仕事は全く違うわけですから、そのことをやはり生かしていかなければ、公社になっても自律的、弾力的な運営なんというのはできないということは、労働組合としても強く申し上げております。
後藤(斎)委員 引き続きまして秋田委員長にお尋ねをしたいと思います。
 冒頭に、ふるさと小包、これは北海道が発祥の地であって、地域産業の活性化に役立っておられるという御指摘がございました。
 ただ、全国で見ますと、この小包郵便のシェアというのは、十年ほど前は二六%、三割弱だったものが、もう昨年度は一〇%を切ろうとしている。非常に、いわゆる宅配便を中心とした民間の事業者の方に、競争に敗れていると言っても、数字的に見ると過言ではないかなと。ただ、ふるさとという一つのキーワードで対応なさっている。
 これからこの競争はまさにもっと熾烈になると思うんですが、北海道という視点で、ゆうパック、ふるさと小包を、どんな形で地域産業の活性化にもっともっと近づけるべきかという点で、もしお考えがありましたら、お聞かせください。
秋田喜美男君 お答え申し上げます。
 クロネコヤマト、それから佐川急便、郵便局はもう三位以下に取り扱いが減っているというのは、先生の御指摘のとおりです。
 したがいまして、私どもは、北海道における地場産品をふるさと小包を通して売っていこうと。今、郵便局ではふるさとフェアとか、全国の窓口にいろいろなチラシを配って、お客様の管理と、それから継続してとっていただける、こういう計画を立てまして、年々ふえているんです。
 ですから、従来は三百万個から、今、ことしは四百万個にふえてきていまして、このことが小さな町や村で、例えばの話ですけれども、アスパラを製造しているところがあります。そこにふるさと小包の固定客がどんどんふえて、一度食べていただいたら固定客でございます。これを今まできちっと管理していなかったところにふえていかない原因がございまして、それを管理して、継続してお客様をふやしていこう、こういうこともやっておりますし、東京中央郵便局やいろいろな大きなところへ出向いて、ふるさとフェアをやったり、そういう宣伝をしていっているというのが実態です。
 ただ、私ども、小包はなぜ減っているのかと先生御指摘がありますけれども、これは、共存、競争しても、宅配便のシェアには全く勝てないというのが今日の実態です。それは小包の、十キロ以上は扱わないとか、制限が結構ございますし、宅配の場合は何でも持っていける、ゴルフバッグや何かでも持っていけるという、全然シェアが違いますし、取り扱える種類が違うわけでありまして、ですから競争にならないですね、郵便局とは。一生懸命やっても競争にならない。
 それに、小包は非常にコストがかかっておりまして、収入がたくさん上がっても、プラスに転じることが極めて大変なんです。一個当たりの小包のコストが、郵便局の場合は非常にかかっている。こういうところも改善をしないと、幾ら個数をふやしても収入増にはつながらない、こういう一面もございます。
後藤(斎)委員 秋田委員長に引き続きお尋ねをしたいと思います。
 最後のところで、郡部、地方に住む方々を少しでも守ることができたらという御指摘、お話がございました。三十万職員だれもが心から感じているというふうなお話がございました。
 先ほどの中間機構とあわせて、これから公社になったときに、今の法律の構成では、企業会計原則、要するに自由度も高めて、三事業をそれぞれの部分で独立採算で対応するということになっております。今、現行では、大変言いにくいことかもしれませんが、労働組合も幾つかに分かれて対応しております。労使という部分でこれから賃金決定をしていくという点になりますと、私は、ある意味では、働く、現場に近い方と、管理をされる方、この部分での大きなまとまりが双方あって初めて、まさに三十万職員の方が仕事をしてきてよかったという部分につながっていくのではないかなと。
 確かに、過去いろいろなことがあったというお話は、先輩方を含めてお聞きをしておりますが、そういう方向性につきましては、委員長、いかがでしょうか。
秋田喜美男君 明快なお答えということは、なかなか、組織ですからできないまでも、労働損失力というものを職場に持っておっては新しい事業展開はできないということは、先生の御指摘のとおりです。労働損失力は、労働組合が二つあることによってかなり生まれております。同じ要求が二カ所から出てくるわけですから、これは大変ですね。そういう意味での改善は、私は図る必要がある。
 もう一つは、組織の統合という問題については、決して無関心ではいないということです。あるいはまた、当時の、過去のいろいろな歴史はありますけれども、その歴史は乗り越えないと、労働組合が二つ職場に存在することで企業が弱体化するようであってはならないと私は思っておりますので、これは全逓と全郵政と、将来にわたって真剣に考えるべき大きな課題だというふうに思っています。
後藤(斎)委員 ありがとうございます。
 最後に、山本会長に一点お尋ねをしたいと思います。
 官も変われば民も変わる、非常にいい、わかりやすいキャッチフレーズだと思うんですが、先ほどもお話がありましたが、消費者団体というお立場で、これからの郵便局はどう変わるべきだというふうにお考えでしょうか。
山本順子君 この九月の上旬に、私ども、市と協会と市民ネットさんなどと皆協力をしまして、三十五回目の消費者祭りというのを開くんです。それに北海道郵政局さんにも御参加を呼びかけましたところが、喜んで参加してくださいました。それで、どういう店舗展開ができるのか、とても楽しみにしているところなんです。
 先ほど秋田さんからお話のあったふるさと小包郵便もそうなんですけれども、これは競争の中でしていくことだと思うんですけれども、やはり知恵だと思うんですね。民の知恵も大いに加えていく。例えば、クリーンな北海道農業を大いにアピールするとか、アスパラの話がありましたけれども、それは、冷蔵庫の中に真っすぐに立てておくと何週間もちますよというような親切な情報とか、それからまたレシピをつけてあげる。ジャガイモは、おつゆにしたりカレーライスに入れるだけではないんだよというところを、レシピを添えてあげるというような、これから知恵の競争だと思うんです。そういう点で、郵政局側と消費者側とが大いに切磋琢磨し合っているところでございます。
後藤(斎)委員 ありがとうございます。
平林座長 次に、山名靖英君。
山名委員 山名靖英でございます。
 お三人の陳述者の皆さん、大変御苦労さまでございます。また、ありがとうございます。今までの議論の中で重要なテーマも大分出てまいりましたが、若干重複する部分もございますが、私も三人の先生方にお伺いをしたいと思います。
 まず金子先生にお伺いしたいと思います。
 先ほど、郵便局、郵政事業が持ついわゆる顕在的機能、そして潜在的機能、これについてお触れになりました。私も、そういう意味では、百三十年の歴史を持つこの郵便局の持つ役割、機能というものを大変高く評価している一人でありますが、今後ともその機能をしっかりと維持し、またある意味では発展させていかなければならない、こういうことでございます。
 とともに、それはどこに視点があるかといえば、やはり利用者国民の目線といいますか、目の高さといいますか、この部分を抜きにして、単に公社のためだとかあるいは一部参入事業者のため、こういう視点では、私は片手落ちになってしまう。その基本部分に、いかに国民のニーズにこたえるか、新しい時代にふさわしい郵便局がどうあるべきか、そして、顕在的あるいは潜在的機能をさらに高めるためにはどうするか、この部分のこれからの論議は、まだ必要ではないかと思っております。
 先ほど先生が、効率化だけではよくならないんだ、それだけではまさに地域の活性化はない、こういう論旨でございました。
 私もそう思いますが、現実問題として、公社に移行して、自主的、弾力的な経営、独立採算制、企業会計の導入、こういった行政と民間の中間的な立場になるわけであって、そうなりますと、どうしても経営の効率化というところにシフトせざるを得ない部分も出てくるのではないか。
 企業でもそうでありますが、やはり、そうなりますと、どうしても都市型に移行せざるを得ない。企業収益という企業性を考えれば都市型に、公共性を考えれば当然、今の維持ということで、採算に合わなくても、それを維持するためにはその不採算の部分もやはり見ていかなければならない。ここのところのバランスですね。これがやはり、公社化後の経営論としては極めて大事なポイントではないか、こういうように思っております。
 そういう意味で、公共性というものと企業性、このバランスをどのように先生としてお考えになっているのか。果たして、今後の公社化後の経営の中でそういうことが可能なのかどうか。その辺について、まずお伺いしたいと思います。
金子勇君 公共性の一番反対側には民間企業の企業収益性みたいなものがあると思いますが、その間にやはり二つばかり補助線がありまして、一つは共同性、公共性ではなくて共同性というものがあって、みんなで一緒にやるというようなものがあります。それから、もう少し企業の側にいくと、相互性、お互いさまみたいなところがありまして、パブリックという側面を考える補助線というのは、実は、民間、私企業、私というものだけではなくて、相互性と共同性というものを地域の中で見ていく。
 その手段は、やはり先ほど申し上げたような、例えばボランティアであり、NPOであり、地域の各種伝統的な集団、町内会や老人クラブというようなさまざまな団体を間に挟んで、公社化あるいは民営化した郵便局も含めた、私が申し上げた、良質のコミュニティーの資産はみんなで維持してみんなのために使いこなす、そういうことになるんだろうと思います。
 したがって、公社化して、民営化して、企業内部の会計原則でいえばそのとおりだと思いますけれども、通常の企業と違うところを十分お考えになっていただきたい。その補助線が、先ほど申し上げた高齢社会大綱であり、過疎地域自立促進特別措置法であろうというふうに考えられます。
 したがって、内向きは企業原則で効率性、しかし、その施設が持つ外への機能、地域社会への機能というのは、必ずしも効率性ではない。むしろ、むだといいますか、効率性の反対でも、やはりそれは、やるべきときはやった方がいいんだろうというようなことでございます。
山名委員 その点では、秋田委員長の側も、それから山本さんの方の、消費者側の立場からも、これは総合的な検討といいますか、こういったものが必要であろうかと思います。
 一方で、いわゆる労働者側から考えて、要するに、今後公社になって、今までの立場は国家公務員のままではありますけれども、やはり一歩、思いとしては下がった、後退した、こういう思いというものがあっては、今後の発展につながらない、郵政公社の発展につながらない。そこにはやはり、労働者側としての職員の皆さんの士気というか自覚というか、先ほどもありましたように、社会の目にさらされるわけですから、今まで以上に郵便局のあり方というのは、国民、庶民の見る眼は厳しい、そういう中で、公社化することによって士気が衰えていく、そういったものがあれば、これはもうとんでもない法案になってしまうわけです。
 それなら初めからそんな改正をやる必要はないわけであって、やはり少なくとも国家独占的な企業形態にしたのは、そこに郵政事業の占める機密性、公共性、こういったものを高く認識しているがゆえに独占ということを、当然、これは裁判で判決まで出たぐらいの、認めたわけです。それを今回、公社化という形で大きく開いていこうとしているわけですから、その辺の、いわゆる職員の皆様、組合員の皆様、そういった皆さんの思い、士気、こういったものをどう高めていくか。これは、成功するかどうかの大きな分岐点だと私は思っております。その観点から見て、委員長のお考えをお聞きしたいと思います。
 とともに、同じ観点で、山本さんからは、消費者から見て、先ほど出ましたけれども、ここで一層、いわゆるクリームスキミングを排してユニバーサルサービスを今まで以上に向上させて、地域のまさにコミュニティー拠点としての機能を果たしてもらう、こういう思いから、いろいろな提言をまたお願いしたいと思います。先ほどの御答弁もありましたが、それにつけ加えることがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
秋田喜美男君 お答え申し上げます。
 もっともなことでございます。私ども、効率はどういうふうにできるかは、推移を見ないとわかりません。しかし、どんな形態になっても、労働者を守ったり、雇用を守ったり、現場を守るのは当然我々の使命でございますから、どんな民間との競争の中でも、公共性を守りながら事業を守っていくという使命は、これは労働組合としても、私は郵政人としての使命だというふうに思っております。
 もう一つは、先ほどから人的な問題ということが言われておりまして、従来型でありますと、国家公務員であって、決められたことをある程度やっておけば何とか無難に過ごせるという時代は、この百三十年の間、大半がそうだったというふうに思います。
 ところが、企業会計が導入され、あるいはコスト感覚をきちっと位置づけ、赤字であれば企業はつぶれてしまうわけでありますから、当然、企業性をしっかり持っていかなくちゃならぬということになりますと、片方では効率化、当然です。片方では人材の育成が当然でありまして、今、本省と私どもの段階で人事制度を見直そう、今までの制度を見直して、能率的なあるいは成果配分主義的なそういうものをつくり上げて、今いる職員の意識を大幅に改革しよう、こういうこともあわせて公社に向かっていこうということで、現在、労使関係で話し合いが進んでいるということでございます。要は、結論は、職場を守るのは我々だということです。
 ですから、とにかく、職員がその気でなければ、どんないい事業をつくってもらっても衰退の一途しかありませんので、できるだけ頑張っていきたいということです。
山本順子君 効率的にとか効率化ということですが、経営である以上、効率を追求するのは当然だと思うんです。ただ、それが利益追求、利益第一主義に陥らないということが基本だと思うんですね。
 それで、公社化に向けて、郵政では、今、コンサルティングのお勉強であるとかあるいは税務のお勉強であるとかが進められていると聞きます。それは、都会であろうと過疎地であろうと、やはり経営に参画する局員は本当に一生懸命やってもらわなければならないと思うわけです。
 ただ、過疎地の場合など、北海道で見ておりますと、今、不況の中で、タクシー運転手さんが福祉業務の資格を取ってそして介添え役をするとか、建設業者が公共事業の衰退によって急遽変えて福祉の事業をしているとか、いろいろなニュースを聞くわけなんですけれども、郵便局でもやはり、そういった面で時代のニーズに合った、先取りした経営姿勢をとっていけば、過疎地といえども郵便局を核にして活性化の芽が出てくると思うんですね。そういう意味で見ると、本当に効率化とか公共性というのは相対峙するものではないのじゃないかなと思います。
 そして、今、秋田さんがお話しになりましたように、給与体系も変える、成果配分なども考えていらっしゃるということで、やはりそういった公社化の中で刻々と変わっていくものではないかと消費者は見ております。
山名委員 ありがとうございます。
 時間がありませんので、最後の質問として、これは金子先生にお聞きしたいと思うんです。
 今回の関連四法案、特に信書便法、これについて、今、国会でいろいろな論議がされ、小泉総理との間でいろいろと信書をめぐる最終の詰めをやっているわけであります。一部、この指針に盛り込む信書の定義というか信書の中身について、いろいろ、多数に配布する、特定性が薄い、こういったもの、特定性の薄い広告なりチラシは信書から除外する、あるいは、いわゆるあて先の特定性が高いダイレクトメール、これは信書に定義づける、こういったことも言われております。
 とともに、今問題として出ているのが出資の問題。郵政公社として、今後いろいろな意味で、新商品を開発したりサービスを向上させるためには、私は一定の出資というものは当然必要だというふうに認識をしておるんですが、それは法案に盛るかどうかということもございます。
 それから、国庫納付金の問題。国が、財務省がなかなかうんと言わないわけですけれども、利益もないのに納付できるはずがないし、一定の期間を設けた、中間計画のもとでの一定基準に基づく納付ということは将来の課題としては考えられるでしょうけれども、そこをがんじがらめにすることはなかなか難しいのじゃないかと思っております。
 その辺をひっくるめて、先生の御見解なり御意見がございましたら、最後にお聞きしたいと思います。
金子勇君 なかなか、大きな問題なので。
 一つだけ言えることは、国民の大半はダイレクトメールの送り手にはならない、受け手ではあるけれども送り手にはならないので、信書、非信書という議論は、恐らく国会で議論されておられるほど国民にとっては重要ではないと思っているだろうということだけ申し上げます。送り手の場合は非常に大事だと思いますけれども、受け手ですから、どこが持ってきてもそれは構わないというふうに思っている方が大半です。
山名委員 出資と納付金問題はどうですか。
金子勇君 公社化して民営化ですから、当然それは応用としては今後出てくるはずであろうと思います。
山名委員 どうもありがとうございました。
平林座長 次に、石原健太郎君。
石原(健)委員 自由党の石原でございます。公述人の皆様には、御意見ありがとうございます。
 初めに、金子先生にお伺いしたいのです。
 先生のお話はよく理解できますし、そのとおりだと思うのでありますけれども、一方に地方分権とか地方自治とかということも強く言われているわけですね。今度の公社化の場合も、従業員の方が国家公務員という立場でおられるわけでありますけれども、その辺をどういうふうにとらえていらっしゃるかということと、国が関与するからこそ今の郵便局のネットワークは維持できるとお考えになっていらっしゃるのか。それからまた、三事業を併合してやっているから存続可能なんだとお考えになっていらっしゃるのか。その辺をお聞かせいただけたらと思います。
金子勇君 まず、地方分権につきましては、国と地方、特に自治体やあるいは住民各団体、そういうものとのせめぎ合いの中でそれぞれに情報発信し合って、最終的には、それこそ国民の立場から判断するということでございまして、分権ということをお決めになっていただいて、これは地方に住んでいる者としては非常にありがたいことであると思います。それを生かさないといけない。恐らく、日本を一色に塗れないので、例えば、年をとった男女もいるし、若い男女もいるし、仕事をしている方も、しておられない方もいるし、健康な人も病気の方もいらっしゃるわけですから、そういうさまざまな事情を勘案して、地方からそれぞれの立場で物事を発信するというのが基本原則だろうと思います。
 そういう中で、三事業のみを問題にすれば、これは当然、郵便は宅配業、貯金は銀行、それから簡易保険は生命保険に移すということは時の流れとしてはあるだろうと思います。移すというか、それは競合をする。つまり、それを広げていくということは当然だろうと思いますけれども、ただ、最初から申し上げているように、郵便局のこれまで果たしてきた機能はそれだけでは済まない面があるので、そこのところをぜひ、別枠でもいいから位置づけ直して、もっと積極的にそれを活用していただきたいということを申し上げているわけです。
 したがって、そっちの方には、国もしくは行政としては応分の負担は当然だろうというふうに思います。
石原(健)委員 ありがとうございました。
 山本さんにお尋ねをいたします。
 私が日ごろ感じていることは、郵便局は、預金はあちこちからいっぱい集めるけれども、小口の金融というのですか、消費者ローン的なものあるいは商工ローン的なもの、そういう分野がまだちょっと不十分じゃないかというふうに私は考えているんですけれども、山本さんはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
山本順子君 やはり郵政は、若干ずれはありますけれども、郵便と貯金と簡保と三事業一緒に国民生活を支えてきたという点に役割があると思います。
 それで、今の御質問ですけれども、小口の貯金は集めているけれども消費者金融とか商工ローンとかの方は手薄だとおっしゃって……(石原(健)委員「はい」と呼ぶ)そうですね、それはちょっと違うのでないかと思うんです。小口、大口もいろいろありますけれども、やはり、小口の貯金を郵便局が集められて、そしてその先どこに持っていくかがかえって問題でないかと思います。
 今度、財投の方も改革されたようですけれども、やはり地域で集めたお金はぜひとも地域に回してほしいと思うんですね。循環型の、静脈の、毛細血管型の金融システムというのがぜひ必要だと思って、お願いしたいと思うんです。北海道の中小企業の方は本当に困っております。大手の銀行は本当に貸さないのです。中小企業の人は本当に苦しんでおりますので、地方で集めた資金はやはり地域で還元するという形にぜひ御考慮をお願いしたいと思います。
石原(健)委員 金子先生は、今の、金融についてはどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
金子勇君 郵便局がそういう小口の消費者金融みたいなこともということでございましょうか。
 それは、なかなか難しい面があると思います。やはり、そういう専門の業者も、それから銀行なんかもおやりになっているので、そこまで参入して守備範囲を広げなくてもよろしいのではないかと思います。
石原(健)委員 秋田公述人にお尋ねします。
 現場で業務に携わっていらっしゃると、いろいろ、地元の信用組合とか農協とかそういうところと競合する部分が出てくると思うんです。その競合するときにどういうふうなお考えになられるかということと、北海道は寒冷地域でありまして、北海道なりの御苦労とか、また郵政職員としての北海道での御苦労とかあると思うんですけれども、そういうことについてお話しいただけたらと思います。
秋田喜美男君 お答え申し上げます。
 現実にお金を集める段階で、運用利回りがよかった時代だとかあるいは信用組合が貸し付けをしたくてもなかなか預金が集まらないとか、そういうときに、地元の郵便局と競合するという場合は確かにありました。農協の関係もございました。郵便局の方にお金がシフトしてなかなか集まらないという時代もあったと思います。
 ただ、大きな銀行はつぶれていますけれども、北海道は、信用組合も、古い信組で歴史のあるところが小樽とか旭川で破綻したわけなんですけれども、統廃合だとかいろいろなことで今しのいできております。
 ただ、北海道特有の信組というのは、地元に根差した貸し付けと取引というのが固定化しておりまして、一般のサラリーマンが信組からお金を借りるというのではないものですから、郵便局に来るお客様の層と、それから信用組合、農協に行くお客様の層がきちっとすみ分けがされております。ですから、そういう面では、地方における同じお仕事をしております信用組合と郵便局が全く仲が悪いというところは、ほとんどないんです。郵便局が貸し付けをやっているわけじゃないので、自分のお金を自分で借りるだけが精いっぱいなものですから。お客様の層が全く違う、こういう状況がございますので、そういう面では、余り郵便局とのトラブルはございません。
 それから、寒冷の地域でございます。これはもう本当に、郵便の配達をしている方々を見ればわかるんですけれども、北海道で冬にバイクで走っているのは郵便局員だけです。あのてかてかした道路を郵便配達しているのは、郵便局員だけ。稚内、今回大火がありましたけれども、年じゅうストーブをたかないと寒い状況がございまして、真冬になりますと、ブリザードといって、前が見えないぐらいふぶくわけです。零下何度と下がりますので、そして、家がぽつんぽつんとしかない地域を配達しますので、それはもう組合員には大変苦労をかけております。しかし、生まれが北海道の人がほとんどですので、なれといいますか、そういうのもあると思いますね。よくやっているなという感じです。
石原(健)委員 今回は公社化ということですけれども、いずれ完全民営化という話もちらほらあったりするわけです。
 そういうことに関してどういうふうにお考えになっているかということと、今回、公社化されるということで、今までより仕事がやりやすくなっていくとお考えか、仕事がどんどん発展していくとお考えか、その辺、お聞かせいただけたらと思います。
秋田喜美男君 民営化に向かってはどうかという考え方ですけれども、基本的には、地方自治体のかわりの仕事や、それから防災協定なんかはありますけれども、例えばSOSネットワークは、百九十五の市町村との提携をして、徘回老人の情報とかをやっているわけなんです。今、公社になっても、すべて、自分で働いて、自分で独立採算で経営をしながら、そして一面、公共的な仕事がサービスできるという機関は、私は郵便局よりないと思っています。
 役場は当然税金で食べなくちゃいけませんし、あるいは一般の民間企業であれば当然営利目的でやらないとできませんし、税金を投入して公共事業をやるというのは簡単なことでしょうけれども、しかし、自前で働いて自前で地域に貢献する仕事というのは、私は郵便局よりないような気がしております。
 そういう意味では、民営化というものについてはできるだけ避けていただいて、より民営に近い運営をしながら公共事業のことをしっかりやれということを、むしろ附帯事項としてつけていただいた方が、私は、社会資本整備も含めて、社会のためになっていくんじゃないかというふうに思っております。
 それから、仕事がやりやすいかどうかという問題は、絶えず民間の仕事との競争がありますので、これはもう、仕事もだんだん難しくなっているんです。
 自主運用なんかも難しくなっていますし、貯金、保険の利回りが本当に利息がないくらい低いですから、今、郵便局にはお客様は金庫がわりに持ってくるという状況なんですね。もう本当に、金庫だという感じなんですね。それから、簡保については、運用利回りがだんだん下がっていっていますので、幾ら頑張っても、お客様に対する還元がだんだんできなくなって、保険料がどんどん上がらなくちゃいけない。
 こういう現象も出ておりまして、これは、私は、社会構造が変われば変わるほど、仕事は大変だなと。むしろ、自律的、弾力的運営をするなんということを言っても、やはりかなり厳しくなっていかざるを得ないというふうな認識は持っております。
石原(健)委員 どうもありがとうございました。
平林座長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。三人の公述人の皆さん方、本当に御苦労さまでございます。貴重な御意見を拝聴いたしました。ありがとうございます。
 そこで、私、まず最初に金子先生にお尋ねしたいんですが、御意見の中で、法案のねらいというところで、民間でできることは民間にということなんだと。小泉首相もよくこういうことを言うわけで、私もいろいろとこの問題でやり合ったことがありますが、結局、住民サービスという面から見れば、前進することもあるが後退することもあるんだ、こういうお話でした。
 そこで、阪神大震災のときの先生のお書きになった、これは五月十四日の北海道新聞だと思うんですが、「私の発言」という欄、実はちょうどそのころ私も関西へ行きまして、震災の状況などを見てまいりました。
 先生のこの記事の視点というのは、いろいろな官庁があるけれども、地域社会レベルで連携できるかどうか、いわゆる中央官庁の縦割りという問題を指摘されておるわけですけれども、私、見に行ったときに、郵便局に働く人たちが非常に懸命に、寝ないで努力され、そして自分の家も家族も被災しながら、特に、中央郵便局へ行ってみたんですけれども、局舎は大体半壊状態でしたけれども、皆さん方が一生懸命やっている。
 その中で、特に、印鑑も、それから貯金通帳もなくなっちゃったけれども、何とかならないかということで、二十万円まで身分証明なしでも近所の人が承認してくれれば利用することができた、三千六百件もこの中で非常に助かった方がいるとか、あるいは小包の問題もそうです。六十一万個がそれぞれ配達されたとか、あるいはまた、すごい瓦れきの中を二十八万二千枚のはがきを配ったというような話だとか、いろいろ聞いてまいりました。
 そういう中で、民間ができることは何でも民間にというけれども、こんなことは民間がやるわけがない。大体採算は合いませんし、これはやはり、今の郵便事業というものが国営の中で進められてきた結果だと思うんです。そこで、私、民間参入によってサービスというのは後退する、このように考えております。
 先生が言われた中で、例えば郵便の送達の問題でも、結局、民間が入ってくることによっての問題点が指摘され、私が聞き間違えていなければ、そういうことによって郵便局が減っていくんだというお話もあったかと思います。その辺について、お話しいただければと思います。
金子勇君 民間に任せればすべてサービスが向上するというわけではないというのは自明でございまして、国は貧しくてもやらなきゃいけないことはたくさんあるということが、私たちの学問の根幹にあります。
 今お手元に配付しております資料の二ページ目の「コミュニティ機能の新拠点としての郵便局」、それの一番上にあります「地域社会の一般的機能」の中の二、三、四、五というのは、基本的には民間でやりにくいものでございます。特に二と三は、いわば次の世代を担う、あるいは社会の秩序を維持するわけですから、民間に任せられない、国の仕事の一部である。その次に、四番目と五番目、これも、特にコミュニケーションの機能でいえば、先ほど先生がおっしゃったように、非常に危機的な状況の中でコミュニケーションをどう維持するかというところでは民間は難しいので、それは国もしくは国の機関が代表として取りまとめることになります。
 ただし、阪神・淡路大震災のことで申し上げると、国も兵庫県庁も神戸市役所も機能を低下させたときに、一番活躍したのは町内会であり、あるいはボランティアでありますから、そのあたりはやはり、排除するのではなくて、タッグを組まないといけない。
 これは、全部が国がやる、あるいは全部が民間がやるという趣旨のものではなくて、まさしく危機状態で出てきたように、市役所がやれなくても県庁がやれなくても、町内会でやる。民の力が、そこに出てくる。それには当然ながらいろいろな企業が応援をするわけでございますから、あらかじめそういう風通しのよさを、地域のレベルで、官民共同で、つまり、公共性を維持するために総合的に協力し合う。コラボレーションという言葉がございますが、それが一番ふさわしいのではないかと思います。
矢島委員 さらに金子さんにお聞きしたいんですが、先ほどもユニバーサルサービスの問題が出されました。このユニバーサルサービスと、それからいいとこ取り、いわゆるクリームスキミングというものは、両立するものなのかどうか。
 これは、実は、国会で私が小泉首相に質問した中身なんです。そういうことは非常に難しいんじゃないかと私自身は思うんですけれども、先生はどのようにお考えか。
金子勇君 ユニバーサルサービスというのは、まさしく普遍的でありますけれども、その普遍性を受ける条件は、各人あるいは各地域によって違うわけでございまして、先ほど申し上げたように、過疎のところもあるし密集した大都市もあるし、健康な方もいらっしゃるけれども健康を害しておられる方もいらっしゃるし、男女の違いもありましょうから、一概に一色で塗れない。
 そこで、ユニバーサルデザインあるいはユニバーサルサービスを利用するためには、やはり細かいところでは特殊化しないといけないということが原則になろうかと思います。それをやらないと、単に普遍化するということでは、多分それを受けられないところ、あるいは受けられない方々が出てくるはずで、そこのところは別枠で、先ほど傾斜配分と申し上げましたけれども、むしろ特別に扱うというようなことが、あわせてそこに原則として取り入れられる必要があろうかと思います。
矢島委員 同じことですけれども、秋田さんもユニバーサルサービスの問題とクリームスキミングの問題をお話しになりましたので、どんなお考えか、ひとつ。
秋田喜美男君 お答えします。
 よいとこ取りだけで競争をやれということであっても、今、はがき五十円、封書八十円で、離島やあるいは全国津々浦々まで配達をしているわけなんです。そういう状況から考えますと、絶対に競争はできないし、私は、守ることは不可能だというふうに申し上げます。
矢島委員 続いて秋田さんにお尋ねするわけですけれども、郵便局に働いている皆さん方が、いろいろな面で懸命な努力をされている、このことはお話の中でも十分受け取ることができました。
 そういう中で、雇用と地域の活性化の問題をお話しになりました。私は、今、郵便局に常勤の職員の皆さん方がどんどん減っているという状況、非常勤の人、パートの人が非常にふえているということを、いろいろ見せてもらう中でつくづく感じました。
 こういう中で、それでなくても厳しい、いろいろな労働条件だろうと思いますけれども、労働強化とかあるいは長時間労働というようなしわ寄せが常勤の職員に来ていないのか。また、こういう事態の中で、つまり常勤の職員が減るという状況の中で、これをどう改善すべきなのか。御意見がありましたら、お聞かせいただきたい。
秋田喜美男君 お答え申し上げます。
 現実に、本務者はふえておりません。むしろ減少傾向でございます。その反面、転力化といいまして、非常勤への労働力の転力化がどんどん職場は図られておりまして、一人本務者を減らすことによって非常勤を確保する、そういうシステムをとっております。それから、短時間でできる仕事をこなすために、四時間だけの短時間職員というのを採用しておりまして、この短時間職員というのは、トータルして、お給料制になって、非常勤とは若干身分も、国家公務員と同じ状況で採用されているということでございます。
 そういう状況の中で、確かに、常勤の方々に対するウエートはかなり高くなってきていることは事実でございますけれども、ただ、反面、従来、単なる非常勤、単なる短時間職員なんだという位置づけを職場ではしておりません。
 これは、公社に移行する段階で、非常勤にもランクづけをしよう、職種によって給与も変えようという提案が今出てきておりますし、あるいは、職種によっては、面談する仕事だけは本務者がお客様にしっかりやろう、あとは陰の方、裏の仕事の方は、事務処理だけは非常勤でもいいのではないか、そういうことをやっておりまして、それぞれ、やはり本務者にかわる労働力としての機能を高めていこうということで、ですから、雇用形態も労働契約をきちっと結んで、今までのようなあいまいな契約でない、そういう雇用をしているというのが実態でございます。
矢島委員 それでは、山本さんにお尋ねいたします。
 利用者の視点でのサービス、非常に重要なことだと思います。先ほど、いろいろなお話がある中で、福祉タクシーのお話も出ましたけれども、今、郵便事業の中で、特に第三種、第四種という特別に減免措置をとっている、政策的な面あるいは福祉の面というあたりでの減免制度があるわけですね。これを公社化する中でどうするのか、こういうことが非常に大きな問題になっております。
 とりわけ第三種につきましては、それぞれ、いろいろな障害者の団体の皆さん方だとかあるいは文化的なサークルの皆さん方だとか、非常に重要な情報提供手段としての三種の郵便の特例がなくなったら大変だということ。あるいは、目の見えない方々のための点字図書、第四種の方ですね、これは無料なんですけれども、この無料制度がなくなっちゃうんじゃないか。これは法律の中から落とされちゃいましたから、果たしてどうなるかはこれからの政策の中で決まっていくことですけれども、多くの方々が心配しております。私は、引き続き、こういう福祉的なサービスだとか、日本の文化的ないろいろな発展のためにも寄与してきた三種郵便だとか、こういうものを守っていくべきだと。
 ただ、確かに非常に赤字なんですよ、これを運ぶということは。ですから、それをどう財政的にやるかは、これから国も一緒に考えていく、公社だけに任せるんじゃなくて国も一緒に考えていくのが必要じゃないかなと思うんですが、この点について、山本さんの御意見がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
山本順子君 おっしゃるとおりで、ごもっともだと思います。それで、ぜひ国会討議の中で、この線は守っていただきたいと思います。
矢島委員 最後に、一つだけ秋田さんにお聞きしたいんですが、改革改革ということで、私、郵政改革は必要だと思うんです。ただ、今の改革の方向というのは、必ずしも国民の願う方向じゃないんじゃないか。やはり、改革を言うのならば、政官業の癒着の問題だとか、あるいは特定郵便局長会等、特推連の問題だとか、これは高祖事件もありますが、こういう問題、あるいは天下りの問題など、そういうところにメスを入れるのが本当の改革だと私は思っているんですが、その辺について、何か御意見がありましたら最後にお聞かせいただきたい。
秋田喜美男君 お答えいたします。
 私ども、労働組合として、先生のおっしゃったように、聖域なき改革をしてほしい。天下りをどんどんつくったり、あるいはコストがかかるようなことが平気で行われておって、現場にしわ寄せだけが来るというようなことであっては、公社に移行しても経営はできない。むしろ現場に視点を当てていただいて、直すべきところは、特定局長会であろうがどこであろうが、本当にみんなから言われないような形態に、今直しつつありますけれども、もっときちっと直してほしい、それが改革だというふうに私は申し上げてはおります。
矢島委員 ありがとうございました。終わります。
平林座長 次に、重野安正君。
重野委員 社会民主党の重野安正です。
 意見陳述者の皆さん方には、きょうは、貴重な時間を割いて、そして、今また貴重な御意見をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。
 私は、出身が、九州は大分県でございます。御多分に漏れず、高齢化、過疎化が同時進行、そのカーブは急激に上向いておるという地域から出ております。したがって、そういう地域の代表者として、今問題になっている二十一世紀の郵政がどういう方向でいくのか、そういう視点から、極めて重要な時期を迎えておる、そういう時代認識を持ちながら、それぞれ、陳述者の御意見を拝聴したいと思います。中には重複する部分もございますけれども、お許しをいただきたいと思います。
 まず、金子先生にお伺いいたします。
 この郵政改革論議と同時に、今、地方自治体は、平成の大合併に向けて真剣な論議が行われています。私の県においても既にこの具体的な作業が進んでおりまして、たまたま私の選挙区にあります佐伯市とそれから南海部郡という郡が一つになっていこうということが決まりまして、十七年に向けて、その作業が進められておるところです。
 この地域は、本当に過疎化が最も進んでいる地域、そしてまた高齢化が最も速いテンポで進んでいる地域、海岸線が長くて、宮崎県境まで延びるわけでありますが、一戸の家に、集落に行き着くまでに大変時間を要する、そういう地形の中での今回の合併問題ですね。地域に入りますと、今、八つの自治体がありますが、これを広域合併いたしますと、佐伯市に新しい自治体の役場がつくられて、今ある町村の役場は支署みたいになるのかわかりませんけれども、今ある役場の機能が果たして維持できるのか、こういう不安を地域の皆さんは持っています。
 そういう状況が郵政改革と同時進行しているということを私考えますのに、平成の自治体再編と郵政の改革論議というものをどう連結して考えていくかという視点が、残念ながら、今まで私は落ちていたような感じがするんですね。郵便局の持つ機能というのは、単に郵便物を配達するだけではない点についてはるるお話がございました。そういう観点を並べてみて、この自治体再編という今の流れと郵政の改革というものをどう結びつけていくかということは、私は決して過小評価してはならぬと思うんですが、そこについての先生の御意見をお聞かせください。
金子勇君 そのとおりでございます。
 まず町村合併の問題で申し上げますと、既に、恐らく先生のところの八つの自治体も、例えばごみ処理や介護保険のサービスの問題では、協力ないしは連携をおとりになっているのではないかと思います。それは、社会資源の問題がありますから、人口二千人、三千人だけではやれないので、つまり既に現実は先行している部分があるので、それは、したがって、合併することによって一本化して、むしろ足腰を強くするという側面がございます。
 したがって、そのことと、それを今度は今の郵政関連法案、例えば郵便局のあり方を考えた場合には、つまり、合併してごみ処理を一緒にできる、あるいは介護保険のサービスが一緒にできるということを前提にして郵便局のあり方を考えれば、当然、それは重なり合うところがたくさんあって、むしろ合併して足腰を強くするための手段としても郵便局は活用できるのではないか。
 例えば、介護保険は要介護認定をされた方のためでございますけれども、基本的には、もちろん介護認定されない、つまり予防が一番大事でございまして、その予防のためにそういう地域の施設、郵便局や小学校や地区センターを活用するということは、配慮された方がよろしいというふうに思います。
重野委員 ありがとうございました。
 それでは、秋田さんにお伺いしますけれども、私の県でも、郵便局の仲間の皆さん方がふれあい郵便というのを、全国に先駆けて先駆的に取り組んでおられます。これは、地域のお年寄りにとっては本当に安心感を与えるセーフティーネットとしての役割を、ソフトの面ですけれども、果たしていると私は高く評価しているんです。
 そういう意味では、郵政事業の持つ社会的インフラとしての価値、これをこのときに、今、改めて見直す必要があるだろうというふうに私は思うんですね。貯金をするところ、郵便物を配達するところ、保険を掛けるところという、郵政三事業という概念だけではなしに、こういう少子高齢化社会が進行する、その地域のインフラの一翼を担う、そういう仕組みを、長い間時間をかけてつくり上げてきていると思うんですね。それが今、我が県においてはふれあい郵便というふうな形で花が開きつつある。
 私の地域の状況でいえば、私の住んでおります町、昔の五つの村が合併した町でありますが、旧村単位に郵便局があります。簡易郵便局、特定郵便局、普通郵便局という違いはありますけれども、拠点が必ず旧村単位にあるということですね。
 それから、地域のことでこれほど道に詳しい部門はないと思いますよ。本当に、僕は冷やかすんですが、役場の人も詳しいけれども郵便局の人は詳しいぞという話が専らなされる。そして、ふれあい郵便という言葉に象徴されるように、地域の皆さんの信頼も高い、そういうようなものをトータルしたときに、今郵便局の持つ潜在的な能力というのは、私は大変大きいものがあるだろうというふうに思うんですね。
 そういう意味で、単に郵政事業という概念だけではなしに、そういう社会的インフラとしての役割と、いや、うちはやれるんだというところの評価を労働組合の方はどのようになさっているのか、お聞かせをいただければありがたいと思います。
秋田喜美男君 お答えいたします。
 先生のおっしゃったふれあい郵便、これは独居老人なんかに一声かけようというのが、大分から、発信地で始まりまして、北海道は遠軽で、それを受けて実施をしたという経過がございます。ボランティアとしての大変高い評価を受けております。
 実は、郵便局は、今まで、郵便配達が郵便を届けるところだけ、真っすぐにバイクで配達をして、そして郵便を届けて帰ってくる、あるいは貯金、保険の募集の方はまた違った人が行ってその募集をしたり、郵便局へ帰ってくる。ですから、郵便が行かないところだとか、あるいは一人で暮らしている、そういう需要のないところは余り顔を出さなかったというのが今日までの実態なんです。
 そういう状況であってはならないということから、実はSOSネットワークだとか、あるいはごみの投棄を防ぐための、どこでも今投棄されますので、それを発見したら自治体に報告しようとか、そういう郵便局の機能を必然的に生かせる部分があるわけです。一々お金をかけてやらなくても、Aさんというところまで行く間には、何軒もうちがありますし、道路を必ず走るわけですね。そういうときに見つかったものを情報提供するという自治体との協定が実はかなりのものがふえてきているわけです。
 道路情報の問題であっても、北海道は、例えば百九十四市町村と郵便局が提携を結んでおりまして、あそこに穴があいているとか、橋が落ちそうだとか、あるいは木が倒れているとか、こういう情報を逐一役場の方に連絡をする、こういう社会的な役割を、実は郵便局として必然的に果たせる要件を持っている。これを生かしていくということですから、お金がかかるわけじゃありませんし、余分な仕事としてどんどんふえていくというものではないわけですね。
 ですから、このことによって人をふやしたり、郵便局の経費がふえていくということではないわけで、もっと考えていけばもっとあるんじゃないかということで、今、介護をするためのいろいろな研修もやっていまして、とにかく、何でもできるものをやっていこうということで、一々お金を出してつくらなくてもいい、そういう機能を郵便局は持っているんだということを、労働組合としては積極的に進めていきたいと思っています。
重野委員 ありがとうございました。
 それでは、最後に山本さんに、今のことに関連をいたしますが、郵政事業の多様性、必然的に多様化していくと。ある意味では時代の要請だろうと思うんですが、そういう今後の郵政事業のあり方について、消費者運動をされている山本さんの立場としてどのような評価をなされるのか、お聞かせいただければありがたいと思います。
山本順子君 北海道では、炭鉱地帯が寂れて過疎化して、銀行もなくなる、出張所もなくなるというような状況が多いわけなんです。
 そういう中で、例えばお葬式を出すときに、郵便局がなくなったら大変だというような声も上がっているわけなんです。局員の方は、お葬式を全部取り仕切っていらっしゃるわけなんですね。お葬式だけではなくて出産だってあるわけです。そういう場合、いやしのサービスといいますか、やはり公社化、民営化というような議論がなされたときに、刺激剤になって、どういったことがニューマーケットとして、ニュービジネスとしてできるのか、やはり地域に密着したニーズ、ウォンツに基づいた事業展開というものを真剣に考えていただきたいと思います。
重野委員 ありがとうございました。以上で終わります。
平林座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 意見陳述者の皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
 本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げ、御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
 これにて散会いたします。
    午後零時六分散会
    ―――――――――――――
   派遣委員の熊本県における意見聴取に関する記録
一、期日
   平成十四年七月二日(火)
二、場所
   熊本ホテルキャッスル
三、意見を聴取した問題
   日本郵政公社法案(内閣提出)、日本郵政公社法施行法案(内閣提出)、民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出)及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)について
四、出席者
 (1) 派遣委員
      座長 川崎 二郎君
         左藤  章君   佐藤  勉君
         新藤 義孝君   安住  淳君
         武正 公一君   遠藤 和良君
         黄川田 徹君   春名 直章君
         横光 克彦君
 (2) 意見陳述者
      大分県商工会議所女性会
      連合会会長       今川 敦子君
      熊本県点字図書館長   西田 洋一君
      福岡県添田町長     山本 文男君
 (3) その他の出席者
      総務省郵政企画管理局総
      務課長         江嵜 正邦君
      郵政事業庁郵務部運行課
      長           安村 幸夫君
     ――――◇―――――
    午前十時開議
川崎座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院総務委員会派遣委員団団長の川崎二郎でございます。
 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、当委員会では、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査を行っているところでございます。
 当委員会といたしましては、各案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、御当地におきましてこのような会議を催しているところでございます。
 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただくようよろしくお願いいたします。
 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、意見陳述者の方々からそれぞれ十分程度意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。
 まず、派遣委員は、自由民主党の左藤章君、佐藤勉君、新藤義孝君、民主党・無所属クラブの安住淳君、武正公一君、公明党の遠藤和良君、自由党の黄川田徹君、日本共産党の春名直章君、社会民主党・市民連合の横光克彦君、以上でございます。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。
 大分県商工会議所女性会連合会会長今川敦子さん、熊本県点字図書館長西田洋一君、福岡県添田町長山本文男君、以上三名の方々でございます。
 それでは、今川敦子さんから御意見をお述べいただきたいと存じます。
今川敦子君 皆様おはようございます。
 私は、大分県商工会議所女性会連合会会長の今川敦子でございます。きょうこうした場において発言の機会を得ることができましたことは、大変ありがたいことだと思っております。
 私は、特別にこの郵政事業について専門的な知識があるわけでもないし、また勉強しているわけでもございませんが、私たち女性の集まりの中で、今まで非常に身近な空気のような存在であった郵便局、その他郵政事業に関する事柄が公社化されるとか、いろいろ変わってきておりますことに対して、非常に皆さん、普通の政治以上に関心を持ちまして、一体どうなるんだろうか、こうしたらいいんじゃないだろうかとか、寄るとさわるといろいろな意見が出ております。
 そうしたときに、こうした場での発言を得ることができました。それで、大変幼稚で稚拙な意見だとは思いますが、素直に、私たち女性あるいは民間の主婦みんなで話し合った内容を少しまとめて今から申し上げさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、郵政事業の公社化についてでございますけれども、国会では、郵政事業庁の公社化や郵便事業への民間事業者の参入について議論が大変なされております。ですが、今も申し上げた私たち女性仲間は、なかなかそれに対して理解できない点があり、また疑問があります。
 その理解できない点というのは、なぜ公社化しなくてはならないのだろうかなということ、そして、今のままで何が悪いのか、公社になったらどういうふうに違ってくるんだろうか、あるいは民間事業者が参入することによって今までの私どもの郵便環境がどこか変化するんだろうか、本当にもっと今まで以上によくなるのだろうか。そして、これからの具体的な姿が見えないということは、非常にみんなは不安な気持ちを持って疑問を持っていることでございます。
 今までも郵政事業は独立採算で、税金を一切使わずに運営されていると聞いておりました。また、全国一律に安い料金で手紙やはがきをきちんと届けてもらっております。郵便貯金についても、身近で手軽に利用できますし、何の不自由も感じていない。むしろ、今さっき申し上げたように、非常に身近な空気のような存在の事業体と思っておりました。郵便局は私どもにとっては大変なくてはならない生活の拠点になっているんだということを、こうした政府の論議が出てきて非常に感じているようなことでございます。
 私たち民間の者も、無論、長い歴史の中で培われてきたノウハウというものがすべてよいものではないと思います。よいものは残し、弊害があるものは当然、時代の流れに応じて改革すべきだとは存じております。でも、これほど身近にあり、きちんとしたサービスがなされている事業体の郵政事業を今なぜあえて変えていかなければならないのかということが、もう少し私たちにわかりやすい説明があってもいいのではないかなということでございます。そして、国民の立場で議論をしていただけるのがいいのではないかと思っております。
 公社化になってその後どうするのか。一部には、すぐに民営化という話も漏れ聞いておりますけれども、これはやはり、私たちから見ればとんでもない暴論だと思っております。また、民営化になっても郵便局はなくならないんだよと言う方もおられるようですが、これはやはり少しまやかしの言葉ではないかなという感じがして、皆さんだれもそのことに対しては信じてはおりません。
 私も民間事業を、ささやかですがやっております役員でございます。そして、民間事業というのは営利を目的といたしますので、やはり営利上、平たい言葉で言えば、もうからないことは当然切り捨てていって、いわゆる経営の正常化というものをしていきます。これが民間企業の経営ということの鉄則なんですけれども、民間企業ということになってきますと、営利を目的とした、一番にそれを挙げていきますときに、私たちの不安はまた非常に募るわけでございます。
 そして、近い例として、現にJRが民間、半民のような感じでしょうけれども、サービスがよくなったと言われておりますけれども、大分においては、赤字路線というものはことごとく廃線になりました。そして、ある町名を申し上げますと、佐賀関町というのがございます。関サバ、関アジの町です。それから大分市坂ノ市を結ぶJR九州の定期路線バスも、赤字を理由に来年の春に廃止することが決定されております。
 こういうことになりますと、今までの通勤通学だけじゃなく、どんどん高齢化していくお年寄りの足も奪われることになり、ああ昔の国鉄の方がよかったのになというような、繰り言ではございましょうけれども、皆さんにそういう不安と不便を大変与えることになると思います。さらに、第三セクターで運営されているところは、自治体が多くの予算をつぎ込んで運営しているというような状況でございます。
 それからNTTも同じじゃないかと思います。携帯電話の普及で公衆電話のボックスがもう町中から割合引き揚げられております。ですが、携帯電話というのは、若い人あるいは本当にビジネス、用事で持つ人以外、そんなにだれもかれもが持っているものでもございませんし、どっちかというと高齢の人たちは、使い方のややこしさもあって持たないというようなことがございます。そうなると、やはり公衆電話というものも絶対に必要じゃないかなと思っております。
 少子高齢化がどんどん進んでおりますが、もう交通の利便さから見放され、そしてそういう通信手段さえも奪われてしまう、そんな人たちが大分県にもどんどんふえていくのではないかなというふうな感じがいたしております。
 次に、ペイオフ騒ぎでいろいろな銀行の淘汰があり、ペイオフも解禁されまして、そんな中で、私たちは普通の感覚として、郵便局に多くの期待を持っております。それはなぜかというと、官営、国営だから、郵便局に預けておけば大丈夫だわ、みんなそういう感覚でございます。まして地方の田舎の方に行きますと、貯金や保険の相談ができるというのは郵便局だけでございますし、しかも、近いところにどこでも郵便局があるということで、効率の悪い金融機関は、ペイできなかったらもうどんどんシャッターを閉めて撤退をいたしております。そうなると、なお郵便局の存在というものが大事な庶民の窓口になるのではないかと思います。
 私たちは、周囲には、郵便貯金の国際ボランティア貯金に加入しておられる方がたくさんいらっしゃるんです。それは、汗を流したりあるいはたくさんのお金を出したりして日ごろボランティア活動ができないというような人たちが、わずかな利息でそれが積もり積もって山となるという感じになるんだという説明を受けて、そうしたボランティア貯金にも加入したりして、そういう話が気軽にできるのも身近に郵便局があるからではないのかなというふうに思っております。
 そして、郵便局のPRをするわけじゃないんですけれども、私も職業柄、いろいろな県、市の委員になったりいろいろなところに代表として出ていくんですけれども、郵便局というのは地域に大変貢献しているネットワークではないかと思います。
 例えば、ひまわりサービスとか道路情報提供サービスを初め、福祉関係でも地域住民の生活のよりどころになっております。
 そしてまた、大分は、ことし初めて九州で唯一のワールドカップの開催地でございました。今回の大会の実施に当たっても、県内の約四百の郵便局がそのネットワークをフルに活用して、ポスターの掲出やそれから記念切手の販売に大変力を入れ、そして会場であるビッグアイの場所で大型イベントを実施するなどして前景気を大いに盛り上げ、大会を盛会に導いたと思っております。私、ワールドカップの推進委員になっておりましたので、知事を初め皆さん、郵便局には今度は本当によくしてもらったというようなことを言っておられました。
 それからほかには、毎年大分で国際車いすマラソンというのが開催されます。二十二回目を迎えるわけですけれども、郵便局は、この大会においても毎年、県内各地から郵便局を挙げてお客様の募金活動を行って、そしてその活動の成果を県の施設に全部寄附をするなどして、いわゆる車いすの国際大会にも貢献をなさっていたりすることも、私も何遍も出席して聞いております。
 新しい公社は民間手法に近い形になると伺っておりますが、私としては、こうした民間手法になって、真に地域住民の声を聞いて、そして今までのような、こういう郵便局がなされていたようなことができるのだろうかというようなことを、さらにさらに本当に不安に疑問に思っております。ぜひ、こういうことも踏まえて国会でも慎重な御検討もお願いしたいと思っております。
 次に、大変関心のあることについては、郵便の民間参入でございます。
 郵便関係では、私は民間参入に反対はいたしておりませんが、一つお願いしておきたいと思うことは、ユニバーサルサービスはきちんと確保していただきたいと思います。全国どこに住んでいても国民一人一人が平等にそうしたサービスを受ける権利があると思います。
 確かに、都市部では効率的に配達ができるかもわかりません。しかし、田舎ではかなり非効率になるのは明白です。田舎に出す郵便は高い、都会間の郵便は安い、それでは大変地域格差を生じ、不公平になるのではないかと思います。ポストに気軽に出せる今の制度はやはり維持していただかなくてはいけないのではないかと思っております。
 もう一つ郵便で忘れてならないのは、ふるさと小包というものがございます。大分県では特に、特産のカボスを初め一村一品運動が活発に行われておりますが、このふるさと小包を通じての全国の方々への展開、流通というのが地域振興に大いに役立っておるということは、郵便局が地域振興の役目も大いにしているのではないかと思います。
 まず、私どもが見ていることは、郵便局の皆さんたちも地域のために、そしていろいろの自分たちのPRあるいは営業に本当に一生懸命なさっております。こうしたことは一朝一夕ではなかなかできることではないと思いますので、いいものはやはり残すということを念頭に入れていただきたいと思います。
 終わりになりましたが、私どもが住む大分県というのは、平松知事という大変すばらしい名知事さんはいらっしゃるんですけれども、道路事情は大変おくれておりまして、その部分でかなり過疎化も進んでいる地方でございます。こうした過疎化をやはり過疎化にしない郵便局の存在というのが大変大事じゃないかと思っておりますし、もし民営になり、いろいろなことがどんどん進んでいきますと、過疎化はますますほっておかれる状態になるのかな、そういう心配もいたしております。
 どうぞ日本全国がすばらしい国でありますように、今こそ地方に目を向けていただきたいと思います。二十一世紀は確実に高齢化の波が押し寄せてきますし、私たちは、お年寄りや弱者に優しい心の通ったサービスを、やはり今までのように郵便局から享受したいと思っております。そのために、国民共有の財産である郵便局のネットワークを大事にしていただきたいなと思っております。
 以上、私の意見を申し上げまして、大変不行き届きではございますが、この意見が全然不毛の提言とならないように、少しでも何かお取り上げいただいたらと祈念いたしまして、私の意見発表を終わります。ありがとうございました。(拍手)
川崎座長 ありがとうございました。
 次に、西田洋一君にお願いいたします。
西田洋一君 おはようございます。
 今回、このように私どもの意見を聞いていただける場を設置していただき、また私に発言の機会を与えていただきましたことに関しましては、心より感謝を申し上げる次第でございます。
 私も、専門的なことにつきましては本当に恥ずかしいぐらい無知で、何もわかりません。ただ、私自身が視覚に障害のある者として生をうけ、弱視ということで、極端に言えば点字も余り読めない、普通の字も小さいのはほとんど見えないということで、全国に仲間は約四十万人おるわけですが、そういう方々の少しでも福祉の向上なり、あるいは後でいろいろ述べさせていただきますが、ひいては知る権利さえこの改正によって奪われようとするならば、私は、きょうは声を大にして、この現実を皆様に理解していただければなということで、つたないレジュメもつくったつもりです。これは、私が点字を知っていたということで、きのう十時半までかかってパソコンをいじりながらできたものです。読みにくいと思います。自分で書きながら、実際全文読むことも不可能かと思いますが、私の気持ちの一端を感じていただければありがたいなと思っております。
 私は、現在、熊本県には約一万人おられるという視覚障害者の方々の自立と社会経済活動への参加を促進すべく、援助、サービスを目的に昭和四十五年に設置されました熊本県点字図書館におきまして、三百名を超える多くの点訳あるいは音訳ボランティアの方々の絶大な協力をいただきまして、情報の提供と支援サービスに毎日専念しているところでございます。これは、きょうお持ちしております私どものパンフレットを見ていただければありがたいと思います。
 さて、今回の郵政関連法案の改正に関しましては、今お話もありましたように、あちこちで身近な庶民の問題として議論されておりますが、今回、特に私ども視覚障害者にとりましては、この第三種郵便、第四種郵便の取り扱いに関して非常に関心も深く、また重要な意味があると思っております。これは大きな不安と危機感もあわせて持っておるところでございます。
 それは、改正案によりますと、現行の郵便法第二十六条第三項で規定されている点字郵便物、盲人用郵便といいますが、これが改定案の条文から外されているということです。これは、将来、公社化あるいは民営化とか、今お話がありましたように、営利目的に企業、民間というのはやられるわけですが、それが進みますと、この種の扱いについては有料化への道を認めてしまうということに危機感を持っているところでございます。
 私ども、全国で約四十万人視覚障害者がおりますが、このことを受けまして、関係機関、団体、施設におきましては一丸となって、この点字無料扱いの現行維持、これしか私どもが情報を得る手段はない立場から、現行の維持を強く求めておるところでございます。どうしても改定が必要であり、されるとなれば、削除されました現行の条文をぜひそのまま生かしていただきたいと思っておるところでございます。
 このことは、先月の十九日だったと思いますが、きょう先ほど名前を伺いますと全部聞いたことがある名前の総務委員会の先生方、衆参両院の事務所をお訪ねしまして、この陳情の意をお願いし、私ども日盲連の会長名あるいは点字図書館を束ねる理事長名連名をもちまして、この実情をお願いしに上がったところでございます。お許しを得まして、そのときは、この資料には先生方お一人お一人に切にお願いしたいということで名前を記してお届けしたところですが、きょうはあえてこの先生方へということでそのコピーを持ってきているところでございます。ぜひ御一読いただき、私どもの事情を御理解いただきたいと思っております。
 全国の視覚障害者の自立と社会参加を促進すべく、この事業、施設は、身体障害者福祉法の第五条、第三十四条に規定されておりますところの更生援護施設であり、視覚障害者の情報提供施設として位置づけられております。この事業が遂行できるのは、車の両輪とも言われる郵便法第二十六条の、今申し上げました盲人用郵便物の無料取扱規定と、著作権法第三十七条の、視覚障害者のための複製、録音についてはその著作権の適用を除外する、いわゆる著者の方々は、本当は本がたくさん売れてその利を生活の糧としておられるわけですが、見えない人が読むことについては点字化、録音化することはどうぞやってください、見えない人が鑑賞する分については著作権の適用を除外しますというような規定、この二つの規定によって、私ども点字図書館、視覚障害者の方々の知る権利、これは言いかえますと、このように高度情報化社会の中では、まさに生きる権利を保障する任務に我々携わっていると自負するところもあるわけでございます。
 そして、この身体障害者福祉法の二十七条には、国にその施設の設置を義務づけております。いわゆる我々の知る権利というものは、国はこれを義務としておるところです。国民一人一人に知る権利は当然あるわけですが、私どもの実態は、さっき言いましたように、点字になるかあるいは声になるか、こんなに字を大きく書いても弱視の方はやはり見ることができないという事実において、この郵便法と著作権法は、私どもにとって知る権利を保障されているものと考えるわけです。
 視覚障害者にとって、必要なときに必要な情報を即時に提供することができることは、まさに生きる権利にも直結しているものだと思います。この即時という部分については、お手元に点字資料を準備しました。これは昨日の日経新聞の朝刊を午前のうちに東京で点字化いたします。もちろん、全部じゃございません。ポイントだけです。これをインターネットに載せまして、私ども熊本におりましても、午後になりますとそれをダウンし、点字化し、見えない人が閲覧できるというすばらしいシステムです。でも、点字図書館に視覚障害者、見えない人が訪ねてくるということは、非常に行動の不便さがある我々にとっては厳しいものがありまして、これを即私どもは点字郵便として県内の利用者にお届けをしておるところでございます。
 余談になりますが、先生方皆様、点字というものについてはもちろん御存じかとは思いますが、実際目をつぶられて、左の人さし指で左からそっとこの点を触れられて、見えない人がどういう思いで、必死に、この書かれたものを自分の知識なり情報として得ようと努力をしているかということも、きょう理解していただければありがたいなと思っております。
 今言いましたように、情報障害者とも言われている視覚障害者にとって、点字図書館の果たしている役割は重要不可欠なものがあると言っても過言ではないと私どもは思っております。もし今回の改正に伴い、将来に郵送の経費が有料化とかそういう問題が起こったときには、私どもの現在の施設経営はとてもできなくなります。これは先ほどの陳情書にも記しているところです。いわゆる視覚障害者の知る権利さえ保障されなくなるという危機感を感じております。
 よって、今回の郵政関連法案の改正につきましては、現行のままでいかれますことを切望するものであります。どうしても改正がなされるとすれば、さっき言いましたこの無料化という条文を改正案の中に明文化していただきたいと思っております。
 最後になりましたが、先生方には、関係者の方々を含めて今後建設的な真剣な御審議と、私どもの意を酌み入れていただきながら今後の対応に当たっていただければ幸いと思っております。
 なお、今回の私の発言の根拠を少しそこに示しておりますが、視覚障害者にとってこれしかない、唯一の読み書きできる点字の扱いについて、現行の制度をやはりぜひ維持していただきたい。これは、明治二十三年に日本点字というのがつくられました。これによって、何百万の先輩方の情報、知る権利が保障され、あるいは学ぶ、楽しむというものが自分の手で確認されてきた、日本の点字制定以来の最大の危機であると先日の新聞にも私どもの日盲連の笹川会長は述べておられます。
 私ども、身近なのは熊本ですけれども、点字図書館の点字による、あるいはカセットによる蔵書はそこに示しているとおりです。この大半が点訳、音訳ボランティアの方々によってつくられているということも御理解いただきまして、せっかくつくられた本がもし有料にでもなれば、これは読者への手渡しが非常に阻害され、利用者の半減にもつながるということもあるわけです。
 また、その他、先ほども出ましたが、ユニバーサルサービス、行政ほかいろいろな情報が今刊行物として点字化、録音化され、それを私どもは県内の方々に提供しているわけでございます。この辺がもし今の法案の中で条文が削除されて将来有料化にでもつながるとすれば、私どもの経営ができなくなるだけではなくて、やはり見えない方々の知る権利も奪ってしまうということも含んでいるということをぜひ御理解いただきまして、このままの制度での存続、あるいはどうしても改定されるとなれば、今の条文を改定の中にも明記していただきたい。そういうことを切にお願いいたしまして、本当に意を尽くせなく、無学でございまして、この気持ちの一端、半分も表現することができなかったわけですが、現場で働く者の切実な気持ちとして御理解いただければありがたいと思っております。
 まとまりのない話になりましたが、私の意見を終わりたいと思います。(拍手)
川崎座長 ありがとうございました。
 次に、山本文男君にお願いいたします。
山本文男君 私は、福岡県の添田の町長の山本でございます。
 本日は、先生方には平素から国政に対して大変な御尽力をいただいております、そういう御苦労をかけておる先生方がわざわざこの地までおいでになりまして、今回の郵政四法案に対します私どもの意見を聞いていただく機会を設けていただき、まことにありがたく存じておるところでございます。心からその御熱意と御好意にお礼を申し上げたいと思います。
 さて、その法律案に対して私の考えていますことを少し申し上げさせていただきますので、お聞きいただければ幸いと思います。
 さて、郵便局というのは、ちょっと古びたことを言うようで恐縮でございますけれども、私どもの小さいころは、地域の中心的な存在でした。郵便局と小学校、これが地域をつくり上げているのですね。物理的なものだけでなくて、精神的なよりどころでもあったんです。ですから、先生方御存じのように、今中山間部と言うと怒られますけれども、地域の方に行かれますと、大体小学校か郵便局が中心になって集落ができております。最近は大分集落形成も変わってまいりましたけれども、かなり長い期間、郵便局や小学校が中心となってまいりました。これだけは事実だと思います。
 それから、その次にできたのが税務署、法務局なんです。これはもう我々の生活と密接な関係がございますので、いつも私は思っているんですけれども、郵便局、小学校、それから法務局と税務署、これはもうなくてはならない、地域の生活と関連の深い国の機関である、こういうふうに思っております。
 ですから、地域の人たちも大事にすると同時に、また国側もこういう機関については十分な配慮をしてきて今日に至っているのではないかと思います。その点を最初に、何か少し精神論的で申しわけありませんけれども、申し上げさせていただきたいと思います。
 さて、郵便でございますけれども、郵便で一番大事なことは何かといいますと、信書の秘密を守るということだったわけです。これが守られないならば、郵便というものの、言うなら事業というのはあり得ない、こういうふうに昔から言われてきたと私は思っています。ですから、信書の秘密は何人もこれを侵してはならない、こういうことでございます。
 したがって、国営でやっているからこそ、国民の皆さんは安心をして郵便局へ信書を託してきたんです。これはもう、百年有余の歴史を持っていることは御承知のとおりです。どうぞひとつこれを念頭に置かれて今回の法案の御審議をしていただければ、おのずからこの法案のあり方がおわかりになっていただけるんじゃないかな、そういうふうに思います。
 さて、私自身でございますけれども、平成十二年の半ばごろまででしたけれども、郵便局と市町村との協力のあり方についてという検討委員会を設けました。私もその委員の一人として参加をさせていただきまして、約一年間この検討をしてまいりましてまとめたことを答申させていただきました。そのときにも私は意見として申し上げたんですが、どうせ郵便局は公社化されるんだから、もうそれが決まっているのに、どうして今こういう検討をしなきゃならないのかということを疑問に思っておりましたし、同時にまた、そういう意見も申し上げました。
 ところが、公社化されてから市町村との緊密な連携がなければ、郵便局の信頼性を失っていくことになりかねない。同時に、もう一つは、都市部の郵便局は現行のままでも運営ができるかもしれないが、中山間地域の郵便局というのは、唯一、金融も郵便も簡保もやっている。ほかにない。だから、そういうところがもし公社化されていって、だんだん民営化という方向へ進んでいきますと、もう消滅する以外たどる道はない。こういうことを考えるときに、市町村との協力関係はかくあるべきだということをつくり上げていくことこそ、郵便局の将来への存続を保障することになる、だからこの検討委員会で検討するんだ、こういう話でございます。
 その検討委員会で決められたのは、例えば市町村が行っている極めて簡略な事務を郵便局に代行していただこうということでお願いをしたわけです。言葉は、ワンストップサービスと言っておりますけれども、住民票をいただくのも郵便局の方が住民の方は近い、そこからとっていただこう、あるいはまた、印鑑証明にしても。あるいはまた、一番大事なのは、都市では余り考えられませんけれども、中山間地域に行きますと、年老いた老人の方が多いんです。高齢化率が非常に高いんです。
 これが一つの問題でもございますけれども、そういう人たちの連絡、今いろいろなことでやっております。電話を直接つないだり、あるいはブザーを持っていただいて、何かあったときにブザーで知らせるというようなことなどをやっておりますけれども、やはり一番大事なのは、いつも見て、お元気ですか、おじいちゃん、おばあちゃん、こういうふうに声をかけられるのが、そういう老人の方々にとっては一番楽しみであるし、生きがいでもあるんです。そういうことを郵便局の外務員の人にしていただこうと。
 あるいは、子供さんがよそへ出ている。そのよそへ出ている子供さんから手紙が来た。その手紙を届けてあげて、そのときに一言、おじいちゃん、返事を書くならば書きなさい、私がまたそれを郵便局から出してあげますよ、こういうふうに言われると、非常な喜びを感ずるんです。ですから、そういうような世話もしてあげたらどうだということなどで、これは郵便局の方が考えたんですが、先ほどもお話が出ておりました、ひまわりサービスということを言われている。
 あるいはまた、中山間地帯になりますと、山間部の方の道路などは、今ちょうど梅雨期で、ここのあたりは大分雨が降ったようですけれども、御承知のように、大体三十分で四十ミリの集中豪雨がありますと災害が発生することになっております。それで、山間部の方の道路というのは災害がよく起こりやすい状況下にございます。そういうときにすぐ連絡をしていただくと、それを最小限度に食いとめることができることと、そこら付近に住んでいる皆さんたちの利便を確保することができるんです。こういう仕事も郵便局の外務員の皆さんに頼む。
 こういう市町村との協力をやることによって、先ほど申し上げた、郵便局が今後その運営をしていくことができる、それを保障することができる、こういうことで、私ども、その結論を出して答申をさせていただきました。それが先生方の御努力によりまして法制化されましたことは、御承知のとおりです。
 そこで、お手元にこの新聞記事を、大変失礼と思いましたけれども、お配り申し上げております。私はそういう立場でございましたので、できるだけ早く、私の町には、市町村合併を三十年代に行いましたので、その昔の、言うなら村が二つありましたが、そこに役場がございます、それを出張所に変えて運営をしておりました。だから、もう今のような時代ですから、出張所もだんだんその業務内容が変わってまいりまして要らなくなってきている。そういうときにこれができたものですから、そこに郵便局がございましたので、早速、郵便局とそういうことで協定をすることにして、今実施をしているところでございます。
 皆さんに大変喜ばれております。役場の人に頼むよりも郵便局の方が、頼んだにもかかわず、逆に、ありがとうございましたとお礼を言ってくれる。役場の職員なら、礼など言ってくれない。また来たかというような顔をしているというふうに地域の皆さんは喜んでおられるんですね。そういうことで、郵便局に対する地域の皆さんとの間柄というのは、もう自分たちの家族というような感じで、そういうところの郵便局は皆さんたちが利用しているんです。その点をひとつ先生方に特に強調しておきたい、そういうふうに私は思っているところでございます。
 さて、その次でございますけれども、よく国鉄の赤字ローカル線と対照されるんですね。赤字ローカル線は廃止をして国鉄は再建をすることができた、そういうことを報道されております。当時、この赤字ローカル線が私のところは日本二番でございまして、一番と二番。一番が例の、私どもの町と姉妹町を結んでおります北海道の美深町に美幸線というのがございます。これはもう建設途中でやめてしまったんですけれども、私どものところは私の町、添田町ですけれども、添田町の名前をとって添田線といって、一市三町をつないでいたローカル線です。長い歴史を持っておりましたけれども、時代の波に勝てずに赤字日本一から二番、いつも一番か二番になっておりましたが、廃止対象の路線になりました。
 そして、私は、今の財務大臣、塩川大臣がそのときの運輸大臣でございましたが、何回も大臣室に行って、廃止をするのは反対だと随分言いました。あるいはまた大臣に、では、現地に来て皆さんに話してくださいよと言って、現地にも来ていただきましたし、東京で二、三回、大会も開きました。関係する多くの皆さんたちが集まって、ローカル線の廃止反対を唱えたものでございます。
 ところが、そのうちに、私どもの意見を吸収していただけることなくして、国鉄の再建法というものができ上がりました。それが成立したので、もう私は、法律ができた以上は抵抗するのはむだである、やることではない、だから、後はもう法律の趣旨に従って粛々とこの整備をすべきである、こういうふうに思って、私ども、今、その添田線というのは道路に変えてしまいました。かえって道路にした方がよかったなと、今はそう思っております。
 さてそこで、では、国鉄の再建というのはこのローカル線廃止で成功したのかな、そういうふうに私は思うんですけれども、当時随分私自身も苦労しまして、悪くも言われました。何でおまえは反対ばかりするんだ、こういうことばかり言われました。
 それでずっと関心を持って今日まで至っておりますが、私は今でもローカル線を廃止して国鉄の再建がなったとは決して思っておりません。すなわち、ローカル線を廃止することによって国鉄の再建の一つのきっかけを見つけ出そうという考え方があったに違いない。ですから、職員を大量に解雇していった。いまだに片づいておりません。御承知のとおりです。結局は、そういうような経費の切り捨てを行っただけであって、では、当時の乗客の数と現在が大幅に伸びていったのか、あるいはコストダウンになったのかということについては、いささか疑問があるんじゃないでしょうか。
 ですから、郵便局も、下手をしてこの赤字ローカル線の整理のようなやり方をすると、決して将来、郵便はこのためによくなったとは言えないと私は思いますから、第二の国鉄の、言うならば縮小論あるいはまた廃止方式にならないようにぜひひとつ考えていただきたいというふうに思います。私は当時そういう体験をしてきて、しかも、多くの皆さんに呼びかけて東京で三回も四回も大会を開いた責任者の一人でございましたので、そういうふうに思います。
 だから、郵便局は、国鉄と違った意味での住民との密着性があるということでございます。国鉄のローカル線を廃止してよくなったんだという、そういう論拠はないと私は思いますので、どうぞその点、大変失礼なことを申し上げるようですが、御理解をいただければと思います。
 さて、その次でございます。さっきお話が出ておりましたユニバーサルサービスのことについては、もう私が申し上げる必要もないと思いますけれども、私の町は大分県と境を接しておりまして、面積の非常に広い町でございます。福岡県では二番目に広い。北海道と比べるとちょっと狭いんですけれども、百三十二平方キロメーターございます。ですから、非常に広いと私は思うんですが、山の中にも人々が住んでおります。そこへ郵便を持っていっていただきましても、非常に安く、今の料金は、都市部に配達する料金と山間僻地に運ぶ料金は違いはございません。同じ切手でちゃんと届く、こういうことでございます。
 したがって、私は、離島も同じことだと思います。離島も同じである。だから、同じ料金で同じようなサービスをしていただいているのが現在の郵便局ではないでしょうか。これはもう、明治四年の郵便の創設以来の実績ではないでしょうか。どうぞひとつ、これをお忘れのないようにしていただければと思います。ユニバーサルサービスこそ郵便局の本来の使命である、私はそういうふうに思います。
 さてそこで、今度は民間参入の話になってまいりましたけれども、この民間参入がどうなのかということでございます。例えば民間が参入することによって競争原理が働く、この競争原理が働くことによってサービスが向上し、かつ料金が安くなってくる、こういう言い方をなさっている方もおられる。
 それは、地域によってはそういうこともあり得るかもしれません。例えば大都市ならばあり得るかもしれませんが、大体、大都市というのはそんなに日本の国にはたくさんありません。きのうも、大都市というのはどうあるべきかという議論をすることが地方制度調査会で提案をされました。ですから、大都市というのはそんなにたくさんあるものでないわけですから、そういうところでは、さっき言ったように、料金が安くなったり、サービスが向上したりすることはあり得ると思います。これは、競争原理が働いてまいりますから、当然出てくる、出てこなければうそだと思います。
 ところが、それ以外の地域は、我が国では、そんなに料金が安くなったり、競争原理が働いたためにサービスがよくなったということはないと私は思います。むしろ逆の現象が出てくるんじゃないでしょうか。これでは不採算になるから料金を少し上げていただく。
 ちょうど私、きのうは地方制度調査会と介護保険の分科会の二つに出たんですが、よくヒアリングをやりますと、すぐ出てくるのは、今の介護費用ではとてもやれませんという言葉が必ず出るんです。私どもは保険者側ですから、それをまともに聞いて、ああそうですね、それでは値上げしましょうなんて言ったら、立っていきません。
 だから、そういうことで、恐らく大都市以外の地域で民間がこういう郵便事業を行うということになってまいりますと、すぐこれはとても大変ですからというのが出てくると思いますから、料金が安くなったり、サービスがよくなったりすることはないと私は思いますので、その点は重々先生方に御認識をいただければ、そういうふうに思っておるところでございます。
 同時にまた、民間参入しても、このユニバーサルサービスというのは絶対に守っていただかなければならないというふうに思っておるところでございまして……
川崎座長 山本さん、ちょっと時間が経過していますので、そろそろ結論をお願いいたします。
山本文男君 そうですか、済みません。
 そういうことで、では、まとめを申し上げておきますが、外国でもこういうふうにやっているところは、もう先生方の方が御存じだと思うんですけれども、決して順調にうまくはいっていない、こういうふうに思いますので、どうぞひとつ……。
 そのほか、公社になった場合に、通常言う税金を納める、国庫納付をやれ、こういうことなんですが、これだけは先生方にお願いしておきたいんですが、郵便局が三百三十兆円余の簡保、郵貯を持っているのは信頼があるからなんですよ。国営だからですよ。もし民営だったら、とてもそんなことはでき得ない、あり得ないと私は思うんです。だから、信頼を失うような制度をつくっていくことはやめるべきだ、そういうふうに私は思いますので、公社がこれからも今までより以上の信頼を得るように、運営ができるように配慮してやることこそ大事なことだと私は思いますので、もし形を変えて、民間でもどんどんさせるようになりますと、あの三百三十兆円はあっという間になくなっていくだろう、そういうふうに私は思います。
 ですから、信頼の確保というのは、もちろん民間でもできないことはありません、十分できると思いますけれども、国であればこそ信頼を持つものである、だから公社も国が運営するのと同じということを、そういう認識で公社をこれからも守り立てていってあげれば、安心をして喜ぶのは国民じゃないでしょうか。国民のためにも、これからの郵便局というものをぜひひとつつくってくださることをお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。どうも、時間超過して申しわけありませんでした。(拍手)
川崎座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
川崎座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。
左藤委員 自由民主党の左藤章でございます。
 参考人の方々、御苦労さまでございます。座って質問させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 今、るるお三方のお話を聞きながら、まことに恐縮ですが、順番にひとつ御質問させていただきたいと思います。
 それではまず、西田参考人にお願いを申し上げたいと思います。
 実は、三種、四種の問題、いろいろ我々の中でも非常に問題になっておりまして、きのうも実は身体障害者団体連合会の兒玉さん初めたくさんの方が陳情に来られて、三種、四種の郵便制度に対しての要望がありました。今、西田さんから特に点字郵便物の盲人用のこれがございましたけれども、御存じのようにこれは無料でなさっています。今いただいた中で、ちょっとしただけでもこれだけのすごい量になるわけでありまして、これは、現実有料になるとかなりの重さになって、郵便料金にするとかなりになるんじゃないかなという懸念もあるわけであります。
 その中で、今四種についてはいろいろ御説明をいただきましたけれども、それ以外に三種では、一般の身体障害者の関係の方々、また新聞というのもありますけれども、四種でも、盲人用、点字物以外に通信教育のものだとかこういうのもございます。この、ほかの三種ですね。障害者全体の方々の御意見というのは、西田さんから見て、これも当然御希望どおりだと思いますが、ひとつ御意見を賜りたい、このように思うわけであります。
西田洋一君 おっしゃるとおりでございまして、私たちは視覚障害と、私自身がついそういうことで感情的になりましたが、やはり不便な部分が少しでもそうでないように配慮された部分、おっしゃるように共通の目標で、現行の維持というのは切望するところです。
 済みません、質問とはちょっとあれかもしれませんが、先ほど言い落とした点、二点ほどよろしいでしょうか。
 外国における、国際郵便条約の中で、もちろん日本も批准していると思うんですが、すべてとは言えません、私も資料不足かもしれませんが、この間サミットが行われたようです。少なくともその関連各国におきましては、当然無料化で維持されている、国際条約の盲人用郵便物については無料になっているということも踏まえると、日本の立場もぜひこれを維持していただきたいということです。
左藤委員 ありがとうございます。
 その中で、私ども、障害者の方々というのは、別に都市部だけじゃなくて田舎と言ったら、過疎地も含めて離島も含めてたくさんおられると思うんですよね。それについて、特に無料化だけじゃなくてユニバーサルサービスについて、これは私どもも必要じゃないかと思うんですが、西田さん、その辺は障害者の立場から見てどのようなお考えでしょうか。
西田洋一君 この最後に私どもの所蔵の部分を若干紹介しておりますが、これはあくまでも点字化あるいはテープ化された数であって、今御指摘のように、大体四分の一、普通の字を点字、テープにしますと四倍の量になるということを考えたときに、今熊本県の場合でも県立図書館には四十万冊の本が所蔵されている。
 本当だったら、知る権利が一緒であれば、これが全部点字化、音声化されるべきであろう。そうしないと、視覚障害者はその中を選ぶことができない。今はたまたまこれを読みたいという部分を申し出ていただいて、点字化あるいはテープ化をしておりますが、まさにユニバーサルサービスの観点からいうと、すべての資料がだれもがわかる状況であり、それが今の制度の中で安価で全国どういうところにおってもそれが届けられるというのが当然だろう、いわゆる知る権利が保障されているのだろうと思います。
 そういう意味で、現実的にはならないにしても、少なくとも利用したい、知りたいという情報については、体の不便な人、例えば手が悪くて字が書けない、でも形は見えているという部分は確かにあります。そういうことも含めてぜひ現行の推移と、やはり民間参入になりますと、先ほどから話が出ておりますように、これが有料化のことを認めるとなると、そこに不平等性が生じてきはしないかという心配をしております。
 よろしいでしょうか。
左藤委員 ありがとうございます。その辺のことを参考にさせていただきながら、三種、四種、いろいろ検討させていただきたいと思います。
 それでは、まことに恐縮ですが、今川参考人にお尋ねを申し上げたいと思います。
 今、いろいろ公社化の問題で、民間参入したときどうなるのか、いろいろな御不安もあると思います。特に、今川さんはお仕事をなさっていますけれども、一般の主婦の方々、また農業をしている方もおられると思いますけれども、そういう方々は、このように、今おっしゃった普通の感覚で、この郵便局というものとの接し方、そしてまた郵便物が毎日届けていただけているこの現状というのは、どうしても必要かどうか。また、先ほど空気みたいだとおっしゃっていましたが、その辺はもう一度ちょっと参考に教えていただきたいと思います。
今川敦子君 別にこれは、事業、起業しているとか商売、農業をしているとかにかかわらず、一般の主婦として、私は大方八割ぐらいが一般の主婦としての感覚で申し上げているんですけれども、現状で不都合を感じていないということは、いわゆるいい政策なんじゃないのかなと思うわけです。
 それで、いろいろな心配、そうじゃなくてもいろいろな面でストレスも大変多い世の中ですけれども、もし民間にかわったときに、果たして着くのかなと。どうも郵便配達をするあの人は、今までの局なんかでいわゆる公務員扱いされていた人とちょっと違って、何かすぐ頭が切れてぱっとやめてしまうような無責任な人が途中でどこかへ捨ててきちゃって、いつまでたっても届かないなんということがあるのかもわからないなんて思いながら、日々自分のうちの郵便受けの中を調べるとか、そういうような気持ちを持つようでは皆さんやはり大変心配だと。信書に対してはそういうことですね。
 そして、その他いろいろな簡易保険とかございますけれども、そういうものの郵便局の恩典というのが非常に長く皆さんにもしみついているわけです。今まで国営、まず国がついていて、よその何とか銀行だろうが何信用組合がひっくり返っても郵便局だけは絶対大丈夫だわということで、大体一人頭一千万という、もう郵便局は規定をしておりますけれども。そういう面でも、皆さんで名分けをしたりして大変なにしておりますから、その点の安心感というものも、郵便局の人たちも、公社化されても絶対大丈夫ですよとは言っても、公社化の内容をちょっと見ると、やはり営利を主体にするような感じになってくると、今までの郵便局の郵政省の感覚と違うのかなとか、そういう不安は皆さん持っていらっしゃるので、たまたまきょう取りとめのない、まとまりのないことでしたけれども、一般主婦の声として聞いていただけたらと思っております。
 以上です。
左藤委員 ありがとうございます。
 今おっしゃったように、郵便局の方が安心、公務員だということもあるんだろうと思いますが。その中で、ひまわりサービスという、先ほど添田の山本町長さんもおっしゃいました。皆さんおっしゃいましたけれども、これの、地元で、今川さんのところはやっておられるのかどうか知りませんけれども、それについては、町長さんは皆さん喜んでいるとおっしゃってはいますけれども、実際どうなんでしょうか。
今川敦子君 私は、大分市のど真ん中に住んでいるものですから、その点についてはもう少し人数が少ないところで、ちょっと私は理解できないんですけれども、私から言わせれば、ふるさと宅急便とかボランティア貯金ですね。百円について昔は幾らかついていた。そういう利息をもう当てにしないで全部利息だけを寄附しよう、そしてどこか、まとまったら国際的にも役に立つかわからないし、いろいろなところにということで、非常に力を入れている一つの活動も、自分もその委員になっておりましたので、体験していましたので、そういうほかの面のことについての従来の郵便局のよさというものを十分知っていますけれども、今のひまわりという部分はちょっとお答えできません。
左藤委員 ありがとうございます。
 それでは、山本町長さんにひとつお尋ねを申し上げたいと思います。
 先ほど九州で第一番目にワンストップサービスをなさったと。きょうたまたま熊本日日新聞で見ましたら、また同じように、県内初の代行交付ということで百済来局でなさっているということでございます。昨年の十一月に通った法案でございますけれども、その進捗状況、そして百済来局の方は何かそれによって出張所の業務は六月で停止ということで、はっきり言ったら役場の業務を出張所が郵便局に委託をしたというような格好になりますけれども、添田町の方はその進捗状況とそういう方向性はどうなんでございましょうか。
山本文男君 私どもの出張所が二つあったんですね。そこへ郵便局があるわけです。だから、出張所で行っている事務を全部郵便局へお願いしたわけです。ですから、言いかえると、今まで出張所でやっておっただけの量はきちんとしておる。さっき言ったように、全然愛想が違うわけですね。役場の職員ですとつんけんとしている、片一方はありがとうございますと礼を言ってくれると。喜ばれているんですね。件数も、日を追うごとにだんだん多くなってきております。
 もう一つは、その出張所そのものよりも、もう直接本庁に行った方が早いという人たちが多くいたものですから、その出張所を飛び越えておったこともあるんですね。今度それを委託することにしたものですから、飛び越えをなくして郵便局でお願いしようということに皆さんが考えていただいておりますから、これからはどんどん伸びていくと思いますよ。
左藤委員 ということは、いずれ出張所も含めて合理化ということになるわけですね。
山本文男君 そうでございます。
左藤委員 そうすると、非常に行政コストが下がってくるということですね。お互いにいいことということになりますね、住民にとっても。
 それと、そういうことで、市町村合併もあります。そうすると、そういう郵便局の役割というのは今の出張所の統廃合も含めてますます出てくると思うんですが、その辺のお考えはどのように考えておられますか。
山本文男君 合併をしていきますと、どうしても周辺部のところは行政の目が届かなくなる。顔が見えなくなってきますから、郵便局の存在はだんだん大きくなっていくと思いますね。
 ですから、市町村合併の一助には確かになると思います。もう今合併が避けて通れない状況下にありますから、これから郵便局の存在が合併を促進していく、言うならば力になっていくんじゃないでしょうか。私はそういう認識をしています。
左藤委員 ありがとうございます。
 もう時間がありませんので、お三方ともユニバーサルサービスということを特におっしゃっておられました。絶対これは守らなきゃならないということと、先ほどおっしゃったように、民間が参入していただいてしっかりそれがキープできるのかどうか、民間がしていただけるのかどうかという不安もあるようでございますが、改めてちょっと今川さんから、民間がいいとこ取り、クリームスキミングというんですが、そうじゃなくて、山間僻地、離島までというお考えについて、ちょっと一言だけお願いできませんでしょうか。民間が入った場合に。信書についてですけれども、封書、はがき。
今川敦子君 どうしてもそういうふうな決着になるのであるとしたら、やはりかなり国民に対して不安の解消とか、それから細部の内容をまず知らせて、そして納得をさせるということが大事ではないかと思うんです。
 それで、私たちは、無政府主義の国じゃないんですから、法律を決めるために、法を定めるための国会であり、また議員の方々なんですから、その方たちを選挙でお任せしているわけだから、しょせん、形として、もしかしたらきのうあたりのニュースでももう何か決着がつくんじゃないかなというような感じもしているんですけれども、もし信書だけを民間扱いという人があらわれて、そしてペイできなくても何でも今までどおり郵便局のように私たちがやりますということであれば、それはもう仕方がないとしても、もう少しそれだけの安心感を与える青写真を国民に見せていくのが、小泉さんも一言二言で解決しないでちゃんとなさるのが本筋じゃないかなという感じがしております。
左藤委員 どうもありがとうございました。質問を終わらせていただきます。
川崎座長 次に、安住淳君。
安住委員 民主党の安住です。
 きょうは、三参考人、大変御苦労さまでございます。私も時間がありませんので、疑問といいますか、ちょっと形を変えた質問をさせていただきたいと思います。
 今川参考人にまずお伺いをいたしますけれども、宅急便はよくお使いになっていらっしゃると思いますが、この宅急便は、郵便局に比べて信頼できますか、できませんか、いかがでございますか。
今川敦子君 物によりますね。やはりクールとか、あるいは産地に毎年お願いして、できたサクランボとかリンゴとか、そういうのを送ってもらう場合は、これはもう宅急便になりますけれども、宅急便は宅急便の使命で、それが破損したり何かしていたら早速申し上げて、そしてちゃんと弁償してもらいますし、郵便の小荷物というのは、やはり昔ながらの郵便小荷物ですので、私たちとしては、それなりの扱いで見ているから何の疑いもございませんけれども、そういうふうに自分の頭の中で選別しております。
安住委員 今川参考人に伺いますけれども、宅急便の中に、例えば、たまに家族なんかに添え状を添えて送られることもあると思うんですね。私なんかも、例えば田舎の母から来たときなんか。
 信書の信頼性は国でないとできないという意見もあるんですが、本当だろうかと。もし民間会社がその信頼を裏切るようなことをすれば、民間は成り立っていかないわけですね。ですから、そういう点では、宅急便がここまで浸透しているということは、意見陳述にありました、郵便局でなければできないというところと、そういう今の世の中の流れというのはどこがどう違うのか、ちょっとわからなかったものですから、もし端的に説明できるんであれば、教えていただければと思うんですね。
今川敦子君 私たちの息子ぐらいの年齢ではないかなと、今発言されている方のあれも見ておりますけれども。
 要は、時代の変化で、私たちは、郵便局、郵便の小荷物というのが一番でしたけれども、流通経路あるいは交通アクセスの関係で、非常に全国くまなく宅急便が随分あちこちにできまして、そして宅急便も、本当にこんな人が宅急便を扱っていいんだろうかというような人までもが個人的に引き受けて持ってきてはおりますけれども、やはりそういう人のものに対しては注意深く見ます、あけられていないかなとか。ちょっと荷物が崩れているときに、そんな荷姿で来たのかなとか思ったりはしております。
 郵便局の場合には、そんなようなことは今までは一切ございません。先入観と言われればもうそれまでですけれども、そういうことでございます。
安住委員 山本参考人に伺いますが、衆議院にヤマト運輸の有冨社長がいらっしゃいまして、そこで意見陳述をした意見を私がこれから申し述べますから、それに対する感想を聞かせていただきたいと思うんです。
 先ほどユニバーサルサービスの件でJRの例をお使いになりました。それでお話をなさいましたね。有冨参考人はそのときに、委員会に来てどういうことを言ったかというと、もうからないところをやらない、もうからないところは商売であればもうやらないから、だから田舎は切り捨てられるんだという意見にはくみしない、なぜならば、ネットワークをきちっと結んで、赤字のところであろうと、つまり、本当に小笠原諸島のもう何百人しか住んでいないところにも宅急便会社は全部そのネットワークを張っていると言うんですね。それは、その信頼、つまりネットワークの信頼があるからこそ大都市圏での集配もうまくいっていて、結果的にそれが利益を出しているそうです、宅急便会社というのは。
 それからいうと、クリームスキミングという、いいとこ取りだけ民間がするんではないかという意見が国会の中でも随分出ているんだけれども、それは民間会社を非常にばかにした話であって、我々も、今見ていただければわかるように、十万の拠点を持って郵便局と同じように宅配をしているので、やろうと思えば民間会社も責任を持ってそれはやっていけるということを言っているんですけれども、これについてどういう御感想をお持ちでございますか。
山本文男君 郵便事業だけならそういう論理はあると思いますよ。例えば、さっきの宅急便にしても、郵便局で小包で扱っているものとそれから宅急便で送るものはおのずからやはり変えていますね、利用者の方は、いわゆる国民の皆さんたちの方が。
 ですから、郵便だけで言うならば今おっしゃるようなことも通用すると思うんですけれども、郵政はそれだけじゃないと思うんですね、三事業ありますから。問題は、郵貯と簡保だと思うんです。これは民間になると、もう私がここで申し上げる必要もございません、さっき申し上げたように、やはり信頼の問題が出てくるんですね。ですから、そう一概にいかないと思うんです。
 ただ、問題は、郵便局がやっているコストと民間がやっているコストのコスト差があると思いますよ。これはもうやむを得ない。公社になったら、完全に考え方を変えて、民間がやるような考え方で公社は運営しないと、今おっしゃるように、民間との競争に負けてしまうということになりかねないと思いますから、これは今回の切りかえで公社側が十分配慮すべきことじゃないでしょうかね。
安住委員 大きな話をさせていただくと、やはり山本参考人がおっしゃるように、今我が国で最も問題なのは、戦後、国土の均衡ある発展という政策の大きな共通の認識があって、地方と都市の、都市部というか、格差を縮めていこうということでやってきたわけですね。その政策が、道路にしてもこの郵便局の問題にしても、もしかしたら、大きな曲がり角に来た時点で問題になっているということは言えると思うんですね。そういう中で、郵便局をより公共性の高いものというふうに位置づけて、山本参考人の町ではワンストップサービスなんかを始めていらっしゃる。
 今後、より公共性の高いものとして郵便局を位置づけた方がいいのか、それとも経済合理性の中でより多くのサービスやコスト軽減に向けてやっていった方がいいのか、そこが非常に国会の中で議論を呼んでいるところなんです。このことについていかがお考えでございますか。
山本文男君 私どもの一番望んでいるのは、信頼と、それから業務のあり方なんですね。ですから、コストが一番問題になるわけですから、公社になっても、国営であろうとも、やはりコストダウンだけは努力をしていかなきゃならぬと思います。
 それをしないで、今までのような、言うならば役所方式の業務を進めていきますと、どうしてもコストが高くなってくると私は思います。だから、そこらあたりの切りかえは必要でしょうね。よく言われる、バランスシートを出せ出せという、そこらあたりを頭の中に入れた公社としての運営をすることが必要じゃないでしょうか。
 それからもう一つは、公社が仕事をしていく上で、これは自分の方の子会社にやらせた方がコストダウンになるというようなこともあり得ると思います。そういうのはどんどん取り入れていってもいいんじゃないでしょうか。だから、競争力を高めていくということが一番大事なことだと思います。
 それから、大都市と我々のような中山間地帯の格差をどうして埋めていくかというのは大変難しい。これはいつも議論になるんですけれども、都市では成功するけれども、中山間地帯では成功しないということはあり得ると思います。そこを成功するようにするためにはどうしたらいいかというのは、さっき言ったように、信頼と、いわゆるコストダウンをやっていくことで私は解決すると思いますから、そう余り深刻にとらえて考える必要はないんじゃないかな、そういうふうに思います。
安住委員 すると、郵便事業に競争原理をもっと入れてもいいというお考えですね。
山本文男君 郵便事業でしょう、それは当然働きますから、出てくると思います。
安住委員 それでは、ちょっと今川参考人にもう一度、もう一点だけお伺いさせていただきます。
 ゴルフバッグの往復便とか、先ほどおっしゃいましたクール宅急便、それから深夜の集配、こういう国営で今まで郵便局がもう及びもつかなかったことを宅急便会社はできるようになった、そういうことでいかに国民に便利になったか、もう少し目を開いてみんな見るべきだというふうな意見があるんです。これは紛れもなく、実は小泉総理が本会議で言ったことなんです。
 この意見からいうと、どんどん今後公社からさらに民間の自由な発想でやった方が、英語で言うとクリエーティブな事業展開というのができるんじゃないかという意見もあるんですけれども、これは利用者の側から見ていかがでございますか。
今川敦子君 私のところは別に業者ではないんですけれども……(安住委員「利用者」と呼ぶ)利用者、はい。
 ゴルフバッグとか海外行きのトランクをとりに来て、持っていって、また持ってきてくれるとか、今までは重いのを提げていくとかいろいろしていた、そういう便利さというのはありますけれども、では、郵便局がそれをできないから不便だとかいうように並列して考えたことはありません。
 佐川にしてもヤマトにしても、やはり自分たちのお仕事でしているわけでしょう。一つの会社じゃないですか。そして、それを夜中に届けようが、利用者の希望に応じて朝方の早くに届けようが、これは自分のところの会社経営の中の一つの利益を生む手段でやっているわけです。ですから、私たちは、その人たちがそれをやっているから非常に便利だとか、では、郵便局だけだったら郵便局がそれをできないから困るとか、そう極端には考えていません。
 大体、宅急便屋なんというのは、何遍も言うように、今のいわゆる道路網の整備によってこういうことができ上がったんであり、また非常に自由競争というものに対しての参加ができるようになったからこそできているんであって、そういう点、価値観を一緒に考えておりませんが……。
 以上です。
安住委員 最後に、西田参考人にお伺いをさせていただきます。
 我が党にも、また私のところにも随分要請をいただきまして、本当にありがとうございました。
 今回、点字郵便一部録音物の無料扱いというところは、確かに政府は削除したわけですね。皆様方に対して法案の説明等々あったと思うんですけれども、そのときに総務省側は、公社が発足した後、例えばこれを今後有料にする可能性があるとか、そういう話を西田さんの側になさったんでしょうか。そういう話を伺っていらっしゃいますか。
西田洋一君 いや、それはありません。ただ、では、今まであったのがなぜ外されたのかというところに、そういう不安がどうしても起こるわけです。
 さっきから出ておりましたように、民間参入とかいろいろなことになりますと、今は、どこかほかのところで少し黒字が出て、こっちは損ですが、押しなべてちょうどいいあんばいということになっているようです。そういうふうに聞きました。直接は聞いていませんが、今言いましたように、では、そのままにしておいていただけなかったのかということを痛感するわけです。
 以上です。
安住委員 このことについては、法案の修正で盛り込むべきだという意見も非常に強くて、我々も何とかそうしたいとは思っているんですね。ですから、きょうのお話を聞いて、東京に戻りまして、皆様方の御要望をぜひかなえられるよう最大限頑張っていきたいなと思いますので、また何かありましたら御要望いただきたいと思います。
 きょうは、皆さんありがとうございました。
川崎座長 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)委員 公明党の遠藤和良です。私も座ったまま失礼します。
 きょうは、お三人の意見陳述をしていただきまして、本当にありがとうございます。
 最初に今川敦子さんにお聞きしたいんですけれども、郵便局は空気のような存在で、国民の皆さんに愛されているし、今のサービスで十分満足をしているのに、何で変えなきゃならないの、国民を忘れたところで何かやっているみたいだというふうに、何かおしかりを受ける気持ちがしたんです。やはり今のこの法案の論議、私どもは一生懸命議論しているつもりなんですけれども、大多数の国民の皆さんから見ると、直接国民のための改革であるというものが具体的に胸をつかないといいますか、心に刺さらないというか、何か国民を忘れたところで議論がされているんじゃないのというふうな印象をお受けになっているというふうに理解してよろしいんでしょうか。大変テーマの大きい質問で申しわけないんですが、確認の意味でちょっとお聞きしたいと思います。
今川敦子君 まことにそのとおりでございます。
 とにかく、国民を主体にして考えている国会であるならば、少なくとも自分たちだけの理解じゃなしに、その中に賛成もおれば反対もおるやに聞いていますけれども、何事もそうです、世の中は。でも、やはり国民は全く白紙の状態で物を聞くわけですから、こうしたときにはこういうメリットがあるんですよ、でも、こういうふうにしたときにこれがデメリットになって、もう少し我々国会でも討議してみましょうというような、せめて地方から出ている国会議員の人から、つまらない年賀状など要らないので、そういうようなお便りを、いや、別に大分のことを言っているわけじゃないんですよ。そういうような、今、こうした、こうした、こういうふうになっていますよという、国会便りというようなことはいつもありますけれども、選挙が近くなったらそうすることじゃなしに、やはり平生非常に関心を持っています。特に郵便とか、あるいは道路なんかは県の知事さん初めいわゆる行政体が関心を持っていますけれども、私たちは、情報公開もさることながら、この郵便というのは本当に関心を持っているわけです。二年ぐらい前に入った十年掛けの簡易保険はどうなるのかなとか、もうとにかくみんな本当に、言っちゃおかしいんですけれども、自分のことに関しての不安は全員がそういうことで不安なんですね。
 ですから、今遠藤議員さんがおっしゃったようなことを、私もお返しさせていただきます。
遠藤(和)委員 ありがとうございます。
 本当にこの改革は、ある意味では明治以来の大改革なんですね。前島密という人がこの国に郵便制度をつくられてもう百年以上たつわけですけれども、ずっと国家独占でやってきた事業に対して、条件つきですけれども、国家独占を一切認めないで、民間の方にも、ユニバーサルサービスをできるのであれば参入しても結構ですよ、それからもう一点は、経営主体も、国が直接やるのではなくて、公社という形で、国と別の経営主体で行いましょう、そこで自己責任できちっとやっていただきましょうと。
 そういう意味では本当に大改革法案なんですけれども、それが国民の皆さんにとってみれば、今で十分にやっているのに何でそんなに急いで改革をしなきゃならないのというのは、やはり具体的に何を目指しているのかというものをはっきり国会の方から国民の皆さんに示さなければいけないということだと思うんですね。
 この改革ができ上がった姿というものはいろいろにイメージできるんですけれども、一つは、独占ではないというふうに、みんなで郵便事業を国民のためにサービス競争しましょう、そしてさらに今のサービスよりもいいサービスになるようにしましょうということですね。
 それからもう一点は、公社という形になるわけですから、より民営化に近い経営手法でもって、効率のよい、そして今まで以上の成果が上がるような方法を考えましょう、公社と民間事業者がお互いに切磋琢磨し、国民のためのよりよい競争合戦をしましょう、こういうふうなところにねらいはあるんですけれども。そういうねらいは、今までの国会審議の中では心の方には伝わっていないということでしょうかね。
今川敦子君 そうですね。いつも興味を持って審議の成り行きを見ていればともかくですけれども、私は平凡な主婦として、主婦の感覚で申し上げれば、恐らく、今そちら側でおっしゃっているようなかみ分けた内容というのはわかっておりません。ですから、とにかく入り口がまだ全然わかってなかったら、中身も少しまだ見えにくいんじゃないかなと思っております。
遠藤(和)委員 ありがとうございます。
 次に西田さんにお伺いしたいんですけれども、いわゆる点字郵便物の無料扱いを初めとする第三種・第四種郵便を現行どおり公社になっても扱ってほしい、これは私は当然のことだと思うんです。また、国会の審議でも総務大臣がそのように答弁されております。
 私は、今回の信書便法案の方で、例えばこの信書便を扱う、全国展開できる事業者を認めているわけですけれども、この事業者にも第三種、第四種ということをユニバーサルサービスの一環として、みずからの経営判断として実行をしていただいた方がいいんじゃないかなという考え方を持っているんですね。
 と申しますのは、今、例えば運輸の事業者等、鉄道だとか飛行機だとか、こういう民間の事業者も身体障害者に対して割引する料金をみずからの経営判断としてされていますね。ですから、私は、日本全国で展開する信書便を取り扱う民間事業者が参入された場合、公社が行っている第三種・第四種郵便の扱いのようなものをみずからも会社の経営方針として採用されてもいいのではないかな、このように思っていますけれども、あなたはどのように感じておりますか。
西田洋一君 私は、あえてそれは、現行が守られればいいのかなということで、民間の方へ託すというのは、先ほど両方で出ておりますが、やはり信頼性あるいはいろいろなことからして余り思いつきません。
 むしろ、これまでやはり安心と信頼の中で、しかもサービス、知る権利を保障していただいている、国の法律のもとに保障されているというスタイルをぜひ継続、維持していただきたい、そういうことしか今考えておりません。
遠藤(和)委員 私は、法律で義務づける話をしているんじゃなくて、民間の事業者がみずからの経営方針としてそういう方針をされると、国民の皆さんはその会社に対して多大な信頼を増すのではないか、こういうふうに思うわけですね。
 それは、現に飛行機の会社にしても鉄道の会社にしても、自分の持ち出しで身体障害者に対する割引をしておりますね。これに対して国は補助金を出していません。こういう仕組みがあるわけですから、その程度のサービスはされてもいいのではないか、皆さん方の方からもそうしたことを民間の事業者に対しても御要望されてはいかがかな、こんなふうに思ったわけです。
西田洋一君 わかりました。ちょっと聞き違い、勘違いがあったようです。それはもうおっしゃるとおりだと思います。信書便と言われますと、どうしてもやはり大事な部分というのが意識にありましたので。
 今おっしゃっていただいたのは、本当に、まさに建設的で、私どもにとっては今後ぜひ考えたい問題です。
 といいますのが、先ほどの郵送件数に書きましたように、点字の図書あるいはカセットというのはかなり場所をとる。郵便を現在のものでやったら、郵送、大きな袋にでも三冊ぐらいしか入らないですね。多くて四冊ぐらいしか入りません。ところが、やはり業務上大きなものを何十冊、あるいは選挙公報も含めて、まとまったものをお願いするときには、さすがにやはり郵便局に申しわけないなという気はいたします。そういう折に、宅配関係を含む民間の方々へのユニバーサルサービスの一環として考えていただけないだろうかというのは、今後、具体的に私どもからの要望という形も含めて前向きに考えて、もし対応していただければありがたいなという思いを今しました。
遠藤(和)委員 ちょっと勘違いされているようです。
 今の、現行の宅配便事業者に対するお話ではなくて、今度の信書便法案の中で全国に展開する信書便を取り扱う事業者が参入できるようにしてあるわけですね。その方々に対してそういうふうな三種・四種郵便のような扱いを会社の方針として採択されることを陳情されてはいかがかなと。まだその参入事業者が確定しておりませんから、これは将来の話ですけれども、そういうことをちょっと申し上げてみたかっただけでございます。
    〔座長退席、佐藤(勉)座長代理着席〕
西田洋一君 はい、わかりました。
遠藤(和)委員 山本さんにお伺いします。
 山本さんは、地元の町長さんであるとともに、日本全国の町村会の会長さんを現在もしていただいておりまして、本当に日本全国の町村の実情を詳しくお知りだと思うんですね。
 私は、郵便局とワンストップサービスというものが国と地方全体の大きな行政改革になるのではないかという視点からお伺いしたいんですけれども、国民に対する行政のサービスの窓口、これを郵便局に集約することによって、市町村も県も、あるいは国もその窓口を集約化できるのではないかと思うんですね。
 今はまだワンストップサービスの業務の形態が数が少ないです。これからさらにたくさん、国の各省庁が行っている業務だとか県が行っている業務だとかそういうものを郵便局で取り扱えるようになっていけば、それぞれの住民への窓口を集約化できますよね。こういうふうな意味で、このワンストップサービスというのを国全体の行政のスリム化というものに考えて行うことはできないのか、このように考えますけれども、どのような御意見をお持ちでしょうか。
山本文男君 ごもっともなことだと思うんですけれども、ただ、問題があるんです。その委託をする郵便局側に能力が求められるわけですね。私のところでやったのは、そんなにたくさんのものをやれるだけの能力のある郵便局ではないわけです。
 ですから、これから、さっきもお話がありましたように、合併が進んでいきますと、どうしても郵便局というものの利用価値が高まってくることは確かです。だから、今先生がおっしゃるように、そういうワンストップのような事務事業が国にも県にもたくさんあると思いますから、そういったものを、郵便局を選択して、これを例えばABCぐらいのランクにして、Aのところにはこれだけの事務をやってもいい、Bのところはこれだけ、Cのところはこれだけということで、そういう委託をやっていきますと、行政のコストダウンは、これは、とても今の状態で地方自治体が運営することは不可能ですから、だんだん縮小していかなきゃならぬ時代に入ってきておりますから、そういうふうに郵便局が側面的なそういう行政の一端を担っていただけるということになれば大助かりじゃないでしょうか。これは活用すべきです。
遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。
佐藤(勉)座長代理 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 私は東北出身でありまして、そして、中山間地のさまざまな現状でありますけれども、これは九州も東北も共通の悩みがあるのではないかと思っております。
 そこで、先ほど町長さんから、過疎地域を含めまして全国津々浦々に展開する郵便局が地域に果たす基本的な役割をお話しいただいたわけでありますけれども、その中で、法務局と郵便局ですか、国の機関として最も身近なものといえば法務局と郵便局です。法務局については、であったと言った方がよろしいかもしれません。市町村の事務として人の関係は戸籍あるいは住民基本台帳ということで行政をやる、国の方は土地であるとか家屋とか法人とかそういうものの戸籍といいますか、そういうことで登記簿でやる。本当に身近な国の機関であった法務局の方は、多分九州においてもこの何十年と国の行政改革の中で統廃合が進んでおる。その中では、市町村との連携の事務というのは、これは別な仕事だということで、なかなか難しい形になっている。
 郵便局については、本当に全国二万四千七百余ということで、住民にとっては物すごく身近なものなのでありますが、公社化の中で、さて郵便局はどうあるべきか、そして、昨年郵政官署法案を通じまして連携という形になりました。今、遠藤委員からもお話しのとおり、市町村との連携あるいはワンストップサービス、さまざまあるわけなんですが、また一方で、合併推進する中での郵便局の果たす役割も町長さんからお話をいただきました。しかしながら、私、東北の人間でありまして、合併しやすい地域もあるわけなんですが、周りを見れば五千人とか三千人の町村でありまして、一緒になれば面積が広くなって、確かに五万人ぐらいの地理的に広い面積の市というものができるんでしょうけれども、果たしてそれが行政として成り立つのか、そういう課題もまた一方であるわけなのであります。
 そこで、まず第一に基本的な話なんですが、もう一度、公社化の流れにあって市町村にとって郵便局のあり方といいますか、全国町村会でも論判されておりますでしょうし、これがまず第一点。
 それからもう一つは、先ほどお話ししたとおり、町村合併の中で、熊本城を見ますと、一層、二層、三層としっかりしておりまして、本当にすばらしいお城だと思います。今、行政は国、県、市町村と三層構造になっておるわけなのでありますが、地方分権の中で、その部分も合併できない事務は県がやるべきではないかとか、あるいはまた道州制であるとかさまざまなところ、町村会長さんとしてかかわっておられると思うのでありますが、その部分とあわせて御意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
山本文男君 郵便局を行政の一端として我々が活用していくということについては、一つは時代の要請かもしれません。それから、合併をして行政区域が広くなることは確かですから、そうしますと、広くなった上に、しかも合理化を推し進めていくのが合併なんですね。ただ一緒になっただけじゃありませんから、いろいろな面が合理化されてくることになります。これがやはり合併の効率化をねらうことになるわけですから、やむを得ないと思います。そうしますと、そういうときに、郵便局というのはますます必要性を高めていくということになっていくんじゃないでしょうか。私はそんなふうに思います。
 それから、あとの部分で、今の合併に対していろいろ垂直、水平を言われておりますけれども、垂直は、これは少しおかしいと私は思うんですよ。なぜかといいますと、地方分権で対等、協調の間柄にしましょうと言っているわけでしょう。それをまた改めて垂直を設けるなんというのは少し逆行しているんじゃないでしょうかね。だから、これはどんなことがあってもやるべきでないと私はきのうも申し上げたんですけれども、垂直をやるなら地方分権の必要がなくなってくるわけですよね、逆になるわけですから。
 だから、そういうやり方をするというのはやめるべきだと思いますね。むしろ、言うならば、まず権限縮小する、削減するというそれそのものが私は住民の自治権だとか団体自治権の侵害になると思うんですよ。だから、それも私は余り賛成できませんけれども、ただ、メニューをこしらえておく、それを選択するのはその自治体、その市町村に任せるというようなことをやれば抑えつけにならないわけですから、そういう選択をする中に郵便局の存在もあっていいんじゃないかな、私はそういうふうに思いました。
 だから、これからの地方自治体の、いろいろな言葉を使っておりますけれども、基礎的なとか小規模とか使っておりますけれども、そういうことなしに合併というのはどんどん進んでいくわけです。合併というのは合理化じゃない。合理化をやっていくためには、そういうような弊害が出てくるから、そこでまた郵便局というものを活用していってその弊害を除去していくというやり方もある。
 それからもう一つは、垂直なんということは、これはもう完全におかしいと私は思いますから、水平線の上にまた事務の展開をしていくということを考え、かつその中に郵便局というものを見ていけば郵便局の存在価値はまだあるんじゃないでしょうか、私はそういうふうに思います。ちょっと答弁にならなかったかもしれませんが。
黄川田委員 二〇〇五年三月までに合併ということで、今、総務省の一番重要課題ということでこれから議論されるところでありますので、それで御意見をいただきたいと思いまして質問しました。ありがとうございました。
 それでは、残り時間半分ぐらいになりましたので、次は今川さんにお願いいたしたいと思います。
 お話の中で、ふるさと小包ですか、これが全国津々浦々のネットワークを使いまして全国に届けられる、地域おこしに大変役立っておると高い評価をされております。そこでまた、大分といえば一村一品運動ということで、本当に知事さんが頑張られまして、何を植えてハワイに行こうでしたっけね、あれは。たしか梅でしたな。何かそういう感じ、東北の者ですから、情報が来るまでにちょっと勘違いがあるかもしれませんけれども、いずれ、地域おこしには本当に元気な県だと思っております。
 そこで、地域振興あるいは観光振興の中で、これまでもいろいろ利活用されてきたと。公社化の流れの中で、さらに何か求めるものといいますか、ふるさと小包みたいな形の中身であるとか、あるいはまた、それと別個に、こういうものも観光振興あるいは地域振興の中で利活用したいという何かあればお話しいただければと思います。
今川敦子君 まず、郵便事業というのは明治時代以来国がしてきたんですけれども、もう今や国民共有の事業だろうと思うんです。それで、それがいろいろな経済的な相乗効果とか、政府の方々の話を聞くとあるということで、あえて公社化にしていこう、あるいは民営化、民間参入もしようというような事柄であり、私たち国民が一応抵抗しても恐らくむだな抵抗という形になって、何かの形で決着していくのかなと思ってあきらめはしておりますけれども、あえて言えば、やはり公社化になっても現状の体制が大きく崩れないようにしてほしい。恐らく当分そういうことでいくというふうにおっしゃられるかもわかりませんけれども、それはもう詭弁のような感じがします。
 そしていろいろな、この間の北海道の飛行機会社じゃないですけれども、とにかく何か悪くなったときには雇われ経営者が頭を下げて、国民の皆さんに御迷惑をおかけしました、申しわけありません、そういうことで非常にやりいいわけですね。ですから、公社になれば、今の国営よりは、今のまま郵政大臣ですか、総務大臣というんですか、その人が、国が頭を下げるよりは公社の方がよっぽど軽いですよね。公社のそのとき選ばれたその人が、このとおりでございますと三、四人が頭を下げて陳謝する。それで事を片づけるような事態にならないように、というのは、私たち国民が目をあけてちゃんと見ているわけですから。
 そして、何だか知らないけれども、何が何でも変えると言うのなら、やってみるしかないじゃないかと。それを実行に移すのは政府ですから。ですから、それはそういうふうにならざるを得なかったら、そうなったとしても、今言ったことのそれぞれの、私を初めあとお二方の意見は全体の意見としてぜひ反映をさせていただいて、そして実際の話、それが反映するような公社化であるのならもう、自分だけ嫌だと言ったってしようがないですからね。だから、そういうことでいけるものならばいいと思いますし、あえてそれ以上に望みません。現状が崩れないことを望みます。それだけです。
黄川田委員 それでは次に、西田館長さんにお尋ねいたしたいと思います。
 先ほど来の質疑の中で、意見陳述、我が党もよく理解いたしました。それで、かんぽの宿とか、今後の宿泊施設なんかのバリアフリー化ということで取り組むということなんですけれども、現状の郵便局、いろいろあるわけなんですけれども、障害者の方々にとってバリアフリー化について何か御意見があれば、個々の郵便局にお話が何かあるか、バリアフリー化へのかかわりの中で。
西田洋一君 郵便局は、バリアフリー化については本当に郵政行政の中で取り組んでいただいていると思います。
 郵便貯金の点字表示、預金口座の点字化ということもやっていただいております。また、これまでできなかった部分で、仕組み上ちょっと違うかもしれませんが、どうしても家族とか知人の方に私どもが送った郵便物の返却については郵便局の窓口ということになっておったわけですが、最近では、集配の方に依頼してその返却についてももちろん無料で協力していただいている。そういうことを思うと、やはり我々の立場に立った考え方でそのバリアフリー化には努めておられる。
 また、施設あたりでも、スロープ化とか、これはもうハートビル法とかも含めて率先して取り組んでおられるように聞いております。前向きに取り組んでおられると思います。
黄川田委員 では、残り時間あと一分少々でありますので、最後に山本町長さんにまたお伺いいたしたいと思います。
 市町村、例えば学校をつくる、あるいは公民館をつくるとなれば、単独のお金じゃできないですから、補助金であるとかまたその補助裏に地方債を発行いたします。発行すれば、その引受先として、特に学校とか公民館は簡保資金ということになると思います。それで、縁故資金と比較すれば優良な財源だということで、これまた果たした役割は大きいわけでありますし、そしてまた郵政の方でも、皆様方からいただいたお金がこのように使われているということで、還元融資の看板でありますか、そういうものも立っていると思いますけれども、公社化後のそういう資金の融資とか簡保資金の関係に何か御意見なり要望なりがあればいただきたいと思います。
    〔佐藤(勉)座長代理退席、座長着席〕
山本文男君 今までそういう制度で随分つくらせていただきました。ですから、より緊密感を持っているんです。もしそれがなくなっていきますと、我々のような、言いかえると、町村あたりでは、そういうような施設をどんどんつくっていくことはもう不可能でしょう。また、つくるべきものは全部つくっているかもしれませんけれども、もっとほかの利用がございますから、それらがうまく活用できないということになりますと、どうしても事務の、言うならば縮小化を行わざるを得ない。そうしますと、それによって住民へのサービスが低下するということになりますから、それはこれからもずっと持続していくことが必要だと思いますね。今の簡保の貸し出し、これはやはり持続すべきだ、継続すべきだと私は思います。その点、御努力を願いたいと思います。
黄川田委員 時間でありますので、終わります。
川崎座長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 きょうは、三人の陳述人の皆さん、本当にありがとうございました。
 最初に、今川さんと山本さんにお伺いしたいと思います。
 今川さんの方から最初に、なぜ今さら公社化しなきゃいけないのかと非常に根本的な意見を言っていただいたと思うんですが、お二人が、今の郵便事業あるいは郵政事業で一層ここを改善してほしい、それから一層こういう部分を改革してほしいということで頭に浮かぶことがありましたら、その点について、まず最初にお二人から伺いたいと思います。
今川敦子君 少し不満に思うのは、いわゆる営利団体でないということで、公務員的な、応対の場合そういう要素が少し出ていることもあって、御近所のお年寄りの人たちなんかは、何かこのごろ郵便局の人が威張っているななんという話もあるみたいなので、今回のこの話は、もう一回自分たちを見直す起爆剤になって、そして従来の、私たちが信頼している郵便局のようなことであってほしいな、そういうふうに思います。
山本文男君 郵便局の経営は、それに携わっている人たちがやはり使命感と責任感を強めなきゃいけないと思うんです。これは郵便局に限らず、そんなことを言うと怒られるかもしれませんが、大体公はそうなんですね。公はそうなんですよ。これは変えなきゃいかぬと思います。例えば、我々町村でも、むだなことをやったってつぶれることはないや、こういう感覚は皆持っているんですね。だから、やはり経営感覚というものを持っていくことが必要だと思います。郵便局は、特にこれからは経営努力というものをやっていく必要があると思います。
春名委員 続いて、西田さんにお伺いします。
 今、無料化条項の削除ということについて、どうしても復活してほしいという切実なお話を聞かせていただきました。無料化条項を削除するということは、次は有料化するという選択肢しかないわけですから、もし有料になった場合は、図書館の経営上、どんな事態が想定されるか。それから、皆さんが点字などを郵送されていらっしゃる視力障害者の皆さんの生活にとってどんな事態が想定されるのか、このあたりをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
西田洋一君 ちょっと現実的な数字には遠いかもしれませんが、私の一番最後に、年間に何万件という件数の数字を挙げております。
 その前に、私どもが今点字図書館を経営するための委託料、これははっきり申し上げまして、標準七名の賃金分しかありません。これは調べていただければすぐわかります。事業費というのが実は図書館運営管理の中には全然入っていないんですね。
 では、どうしているかというと、私たちは、平たく言いますと、広報とかその他の事業で、点字印刷物、ユニバーサルサービスを目指す、普通の文字を点字にしていただきたい、テープにしていただきたいということで、最近、行政関係あるいは公共関係の資料が点字化、音声化が少しずつ進んでおります。そのわずかな委託料から原材料を引いた部分で事業を展開しているのが現実なんです。そこにもし将来有料化とか、発送に関して幾ばくかの経費が要るとすれば、もう全然経営は成り立たないというのは明らかであります。
 また、仮にこれを、どこかの話で、国が補てんして、税金補てんがあるやにも聞きますが、これは今度は送ったときに、返す人がまた経費が要るとなりますと、御承知と思いますが、最近の視覚障害の大半の方々ははり、きゅう、マッサージの三療業を、大半といいましてもパーセントでいえば二十数%だそうです、あとは高齢化で、ほとんど年金、あるいは無職なんですね。そういう方々のことを思うと、将来有料化になった場合にはもう本が読めなくなる、情報がとれなくなる。一方的にこちらから刊行物とかは流すにしても、自分の好きな分野についてはもう全然読めなくなるという状況が予想されます。
春名委員 ありがとうございました。
 そういう深刻な状況が想定されるにもかかわらず、無料化条項が削除されるということを実施しようとしている理由として、私たちが国会で質問しますと、公社になるので、自由裁量の経営がやられなければならないんだ、裁量があるんだ、そこまで無料化条項をそのまま残して縛ることは国としてはできないんだという答弁がずっと返ってくるんですね。私は、それはおかしいと言っているんです。これは自由裁量の枠外に置くべきものなんだ、だから、公社になるからこそ、余計に意図的に残すべきなんだということを私は言っているんですね。
 この今の政府の答弁、自由裁量になるから無料化条項は削除しないとまずいんだ、経営を圧迫するからまずいんだというこの見解は私は承服できないんですが、西田さんはどうお考えですか。
西田洋一君 おっしゃるとおりです。
 まさに有料化を認めざるを得ない、将来公社が経営が苦しくなったら、今まで無料化したものを少し取ってもいいんじゃないのというのがもう見え見えだと思います。
 一方で、そういう施設を、さっきも言いましたように、義務づけなさい、設置しなさい、知る権利が保障されているといいながら、一方でそれと逆のことをしておられるのかな、非常にその辺は危惧しておるところで、公社であればこそ、やはり法の上にそれをこれまでのとおりに、無料化という部分を動かないようにしていただきたいなというのが私たちの切実な願いです。
 以上です。
春名委員 公社になっても、アメリカ、カナダ、フランスは、無料化にしても構わないという法律と政令をちゃんとつくっているんですよね。公社になったから無料化条項を削除しなきゃいけないといういわれは全くありません。そのことをぜひ、さらに声も大きくして私たちも頑張りますので、そういう方向になるように努力をしていきたいと思います。
 それから、今川さんと山本さんに続いてお伺いします。ユニバーサルサービスの維持、確保についてです。
 今、郵便局、郵政事業庁が行っているこのサービスの水準を、民間業者がもし参入することになったとしても、やはりこれを守るということが私は大事だと思うんですね。もしこの法律、私たちはこの法律に余り賛成じゃないですけれども、信書便法で参入することになっても、その水準を守ることがユニバーサルサービスだと思うんです。
 二点、私は疑問があるんですよ。御見解を聞きたいんです。
 一つは、ポストのことなんです。民間の業者が参入するとするでしょう、全面参入で。差出箱については、随時かつ簡易に差し出すことを可能とするものを置きなさいという規定だけなんですよ、この法律の中では。それから、その事業を適確に遂行するに足る能力を有するものじゃないとだめだと。何のことやらようわからぬことが書いてあるんですよ、基準で。ポストは、例えば郵政事業庁は十七万七千本設置しているわけですね。どこでも随時、簡易にいつでも一通から出せる。しかし、その本数もこの法律には明記されていないわけです。政令で後で具体化していこうということなんですよ。そうなると、本当に大丈夫なんだろうかと不安になりますね。それから、信書の秘密を守るような随時かつ簡易な差出箱というのは一体どういうものだろうかというのも疑問になりますね。持っていかれたりしたら困りますので。
 それから、もう一つは料金なんですよ。料金は、二十五グラム以下の場合は「総務省令で定める額を超えないものであること。」こうなっているんですよ。これは八十円以下というのを想定されているようですが、法律にはないんですね。その料金が一体どうなるのか。小泉総理大臣の答弁、私たちの同僚議員の質問で、将来は地域間で料金格差が出てくることもあり得るんじゃないか、そういう議論もあり得るというような答弁を小泉総理大臣はされているんですよね。それも非常に心配している。
 つまり、本当にユニバーサルサービスをきちっと守っていくというその基準をこの法律の中で十分示し切れていない。私たちは、そこはきちっとしないとだめだというふうに感じるんですね。私も高知県出身で、過疎の県ですので、そのことは非常に心配をしていることなんです。その辺についてお二人から御見解をお聞かせいただきたいと思います。
今川敦子君 あなたがおっしゃるとおりでありますが、そもそも小泉内閣が出発して以来、だんだん何か私たち地方に住んでいる者は、地域の切り捨ての政策が少しずつ出ているんだろうかなというような不安がちょっとよぎるようなことがたまたま発言されたり、あるいは取り上げられたりしております。
 きょうは郵政の方の話なので、今言いましたように、あくまでもユニバーサルサービスというのは、これは本当に国民ひとしく、都会に住んでいようが山間の僻地に住んでいようが、そういう条件というものは最初から討議されないでみんなが同じように受けてきた利益です。ですから、今さら町の真ん中に住まなくてはいけないとかあるいは都市部ではどうだとかいうようなことでは、非常に、明治以来の、江戸の飛脚の時代から文明開化で発展してこうなったわけですから、原点に返って、その原点の意思というものは、みんなが平等にひとしく受けられるようにそういうことは絶対守ってほしい、たとえ民間がしようがどこがしようが。
 それと、やはり信書の秘密というのは絶対にあります。要らぬことをしゃべられたら困る人もありましょうし、大変な騒ぎがあってもいけませんし。
 とにかく、最初に申し上げたように、私なんかとしては、信用、信頼というものではまだ大いに欠けるものがたくさんあるので、そういう点をどのように私たちに補ってくれるんだろうかということの答えも欲しいと思っています。
 以上です。
山本文男君 一つ心配なのがあるんですね。おっしゃるとおりで、ユニバーサルサービスがちゃんと守られるかという担保をしていなければ、そういうことが言えると思いますね。
 もう一つは、民間が入ってきて事業を行う場合に、これをやられたら困ると思うんですね。独立採算制で全部グローバルでやる場合、例えば、九州はもう半分半分にしてそこに支社みたいなのをずっと置く、そして独立採算でやれ、こういうことになってきますと、さっき言ったように、サービスだとか料金だとかというのは、上がったり悪くなったりすることはあり得ると思うんですね。
 その場合に、例えばこの地域に支社を置いてやっておったけれども、もう採算に合わないから、不採算だからやめますといっても、ユニバーサルサービスを侵害することにならぬわけですね。そこらあたりがやはり心配な点だと思います。だから、それをさせないようにすることこそ大事じゃないんでしょうか。それを一つ私は思います。
春名委員 三人の皆さんの貴重な声をしっかり国会論議にも反映できるように努力していきたいと思います。どうもありがとうございました。
川崎座長 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。
 きょうは三人の陳述者の方、本当に御苦労さまでございます。
 きょう、お三方のお話を伺っておりまして、やはり郵便局というものが、生活あるいはハンディを持つ人たちあるいは自治体、いろいろなところにいかに生活として密着しているかということを今また改めて強く感じたんですが、実は今度の公社化法案がこうして国会で審議されておりますが、五年前、行革のときに、郵政三事業の民営化ということが大変大きな論議になったんですね。そのときには、国民の方から郵政三事業を民営化してほしいという声はそんなに高くなかったんです。ですから結果的に、公社ということ、事業庁を経て国営三事業一体ということで、今度の法案が今審議されているんです。
 それから五年たった現在、小泉総理が総理になった。そしてあの方は以前から郵政三事業の完全な民営化論者ですね、激しい民営化論者。そういう政治家が総理大臣になってしまったんですね。そのことによって、さらにこの問題が改めて国民の論議の的になった。そして、民営化すべしという声も五年前に比べたらかなり高くなっているんです。小泉さんの考えに賛同する人がふえたということもあるでしょう。しかし、ふえた人たちというのは都市部の人たちだと私は思うんです。
 今お話を聞いていると、やはり地方の人たちからの民営化してほしいという声は五年前と変わらないと私は思う。ふえたのは恐らく都市部の人たち。都市部の人たちは、たとえ民営化されても、それこそ競争原理が働いて便利になるは、料金は安くなるは、そういった可能性が高いですよ。ですから、そういったことでは、民営化すべしという声は当然上がるでしょう。しかし、先ほどから言われているように、何といっても国民全員が利便を受ける権利、シビルミニマムというのがあるわけですから、そういったことから皆さん方の意見は非常に貴重だと私は思うんですね。
 それで、今川さんにまずお聞きしたいんですが、本当に、先ほどのお話の中で、なぜ今のままで悪いんだろうという御意見がございました。それが私はすべての人たちの声を代弁しているんじゃないかと。今のままでいいじゃないかという声が地方の方は多い。しかし、これが今度公社化になるわけです。でも、公社化になっても、いわゆるすべての権利だけは、これまで享受しているものだけは維持してほしい、その体制を維持してほしいという声でございました。
 これから公社化になったとして、そしてまた、さらにこれをきっかけにして、小泉さんは民営化の一里塚だという発言もしていますし、小泉さんが総理大臣でいる間に、もう一段階、もう一段階進む可能性があります。いわゆる郵政三事業の民営化に対してどのようなお気持ちでしょうか。
今川敦子君 もう全くお話にならぬと思います。
 信書の民間参入というのも、今言ったように、それぐらいの危惧と心配を持っておりますけれども、一応あの方のメンツということでいけば、信書の民間参入、だれか受け手があれば、だれも嫌だと言えばしようがないでしょうけれども、受ける人があるならば、やはり今の状態を維持しながら、そこは損しようが得しようが、いわゆる一律な今までのような料金であり、そしてこうした視覚障害の方たちのための福祉の方の厚い手も変わらないようにしてほしいとは思いますけれども、ほかの二事業は、これはもう根本からちょっと信頼できないですね。
 ですから、銀行でさえ、預けたら担保をくれと言う人があったと言って銀行員さんは笑っていましたけれどもね。本当に大丈夫か、おまえ担保を出せと言ったというぐらいに、やはり今すべてに対して私たちは疑心暗鬼です。
 ですから、それがどういう立派な企業だろうが何だろうが、今まで大きな倒産を見ていますけれども、えっ、あそこがここがというようなところでございますので、この二つを民営化するというのは、恐らくさっさと皆さん入れているものは出すとか、そういうことになって、アブハチ取らずになるんじゃないかなという感じに、そこに手を挙げたところはそういうふうになりはせぬかなとは思いますけれども、私は絶対、百歩譲っても、信書だけはどうしてもやらせたいのならば、小泉さんもあれだけ言っているんだから、それ以上は言いませんけれども、それで落ちついてくれればまあまあだけれども、落ちつく内容をきちっとそういうふうな形で整えてほしいと思ってここにあえて来ております。どうぞよろしくお願いします。
横光委員 ありがとうございました。
 民営化そのものはもう論外であると。恐らく民営化ということは、ユニバーサルサービスなんかは全然取っ払われてしまうわけですからね。そういった意味で、やはりただただ競争がすべてだという考えでは、いろいろな権利を奪われる人たちが出てくるということだと思います。
 西田さんにお伺いしたい、後から山本さんにもお尋ねしたいんですが、一つは、強者と弱者の関係、あるいは都市と地方の関係、これがこれまではその格差を埋めよう、あるいは強者と弱者の面、福祉の面でいえば、その福祉ということで補って、いわゆる法のもとの平等を少しでも保とうというこれまでの福祉国家であったと思うんですね。それがだんだん競争原理の導入によって弱肉強食の姿が徐々にあらわれつつある、その端的な例が今度のこの郵便物の無料削除というところに出てきているんだと私は思うんです。
 これは時代の流れとはいえ、公的な分野で守っていかなければならない部分、そういったものをしっかりと守っていって初めていわゆる法のもとの平等というものが成り立つんであろう、このように私は考えております。
 実はこの前、民間事業者の方々に国会で私もお聞きしたんですが、要するにこういった郵政三事業が今いろいろな分野で、福祉の面でも貢献をしているわけですね。こういったところはもう一切やる気がないと言っているわけです。つまり、民間が参入しても、声かけとかふれあいとか盲人用の郵便物の無料化とか、こういったことを民間ができるわけがないし、そもそもやる気がないわけですね。
 そういった意味で、今回この法案の審議に入るに当たって皆さん方の陳情が一番多かったのは、盲人用郵便物の陳情でございました。それほどやはり情報源を奪われかねないという大きな問題でございますので、私たちは何としてもこの無料化を継続していくという形をこの審議の中でしっかりとかち得ていかなきゃならないなという気がとても強くしているんです。
 それで、改めてもう一回お聞きしますが、いわゆるこれは公社化です。さらに小泉さんは民営化と言っているんです。この民営化についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
西田洋一君 今おっしゃったとおりです。
 あえてなぜ今改革かという原点に返った部分で、私もうんとうなずいて、本当に同感でございます。ましてや、公社化あるいは民営化になった折になぜこの条文を外したのかというのは、繰り返しですが、やはり非常に不安と危機感を持っております。片や知る権利を保障しながら、片や知るためにはお金を払いなさい、極端に言えばそういう論法かなと。
 民営化の一つの大きなプラス、いい面は、やはり生産活動、その部分については、これを繁栄のためにされているのは本当にわかるわけですが、最低限必要である、最低限生活権にも直結するような情報を知る、あるいは知らないという部分では、これは非常に大きなウエートがある中で、将来の有料化にもつながりかねないというこの改革の骨子というのは私は非常に疑問であるわけです。
 いろいろな面での議論の中であろうかとも思いますが、なぜ削除したかということにはぜひ答えていただきたいし、当然、どこでしていただくにしろ、やはり知る権利、最低これだけはという保障されている部分については継続、維持ということでお願いしたいところです。
 以上でございます。
横光委員 ありがとうございます。
 山本陳述人にお聞きしたいんですが、山本さんは、先ほどから、やはり公社化になったとしてもユニバーサルサービスが第一だと。それで、郵便局員は家族みたいなものだというお言葉がございました。その上に、自治体の長として、郵便局との提携にも取り組んでおられる、いろいろな意味で、信書を配るだけでない、プラスアルファの郵便局の価値というものを非常に認識されている立場だと私は思うんですね。
 そういった中で、公社化になりますと、先ほどから言われていますように、これから経営は責任が伴ってきます。これから一万五千人の削減にも取り組む、効率化、効率化ということになっていくわけですね。そうしますと、先ほどから言われている災害のときとかあるいはひまわりサービスとか、今自治体で郵便局と提携しているいろいろな業務とかそういったものが、だんだん局員の、とりわけ外務員のそういうことをしているようなゆとりがなくなってくるんじゃないかと私は非常に心配しているわけです。
 せっかく自治体と郵便局との連携、協力関係ができつつある中に、今度は公社化になってそういったことが逆に停滞してしまうのではないかという気がいたしておりますが、その点はいかがでしょうか。
山本文男君 そういう点は心配されますね。
 ですから、私が思うのは、郵便局も、公社化になったから、そのまま横滑りをするというような考え方で公社化したら、これは私どもの言っているような郵便局にはなれないと思います。こういう機会に体質改善を当然行うべきだと思います。そして、いかなる民間の人と競争しても競争力が高いものは培っていかなきゃならぬと私は思うんですね。
 だから、あれだけ郵便局は仕事をやっているのに、民間は入れないよというぐらいの郵便局の体制を整えることが必要であろうと思いますね。そういう仕事をしないと、すき間だらけの仕事をやっておりますと、あそこに入っていこう、ここに入っていこうということになるんじゃないでしょうかね。だから、その点をまず一つ申し上げておきたいと思います。
 その次は、市町村との協力の関係なんですが、これはさっき申し上げましたように、私どももさらにこの合理化を進めていかなければなりません。その有効な最大の手段が市町村合併なんですが、合併をしていきますと、どうしても辺地のデメリットの面が出てきます。それらを郵便局が活用して、そのデメリット部分を抑えていくというやり方をすることが非常に求められると思いますね。
 その場合に、郵便局は体質改善したために余裕の人材がない、こういうことを言われると、なるほどそうかなとは思うんですけれども、ところがそうじゃなくて、今一人の外務員が朝八時半から夕方の五時まで働いている間に、それこそゆとりの時間というよりも、言うならば時間の間があるわけですね、それを活用していただこうというわけです。だから、八時間のうち詰めて六時間働いていると言われればそれまでかもしれませんが、そこをひとつ自分自身の努力のあり方を考えていただいて、十分でも二十分でも三十分でもそういうものに使っていただく、そういう改善をしていただかなきゃ競争には勝てない、こういうことですから、私は、決して余裕がなくなってしまうということにはならないと思います。
横光委員 本当にありがとうございました。非常に私はいい提言だと思っております。
 ちょっと時間が来ましたので、最後に一言。
 お二人にも聞きまして、山本さんにお聞きしたいんですが、さらにこれからいわゆる民営化という動きを今小泉さんは考えているわけですが、民営化ということにつきまして、最後、一言御意見を。
山本文男君 私は賛成ではありません。反対です。
横光委員 ありがとうございました。
川崎座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 意見陳述者の皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
 本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして心から感謝申し上げ、御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
 これにて散会いたします。
    午後零時二十六分散会

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