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第27号 平成14年7月5日(金曜日)

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平成十四年七月五日(金曜日)
    午後一時三十分開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      河野 太郎君    左藤  章君
      新藤 義孝君    滝   実君
      谷  洋一君    谷本 龍哉君
      野中 広務君   吉田六左エ門君
      吉野 正芳君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    玄葉光一郎君
      島   聡君    田並 胤明君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      石原健太郎君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    小池百合子君
      三村 申吾君
    …………………………………
   内閣総理大臣       小泉純一郎君
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        佐田玄一郎君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   総務大臣政務官      山内 俊夫君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本郵政公社法案(内閣提出第九二号)
 日本郵政公社法施行法案(内閣提出第九五号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律案(内閣提出第九三号)
 民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第九六号)


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案並びに八代英太君外二名提出、日本郵政公社法案及び日本郵政公社法施行法案に対する両修正案を一括して議題といたします。
 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安住淳君。
安住委員 総理、御苦労さまでございます。
 本当に長い質疑が行われまして、いよいよきょうは、採決という日を多分迎えるであろうということになりました。
 国会を、通常会を延長までして、改革の本丸というふうに総理はおっしゃって、この法案を出してきたということをずっと総理は主張なさっておられます。しかし、本丸でないということは後で言いますけれども、総理、あと二時間でこの法案が採決をされますが、今の御心境をまず伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 ようやくここまで来たなというのが率直な感想ですね。よく、与野党ともに言い出せなかった、どの政党も提案できなかった郵便事業の民間参入法案、まず郵便事業に民間参入を可能にするような法案が、自民党初め与党の賛成、また野党の皆さんの審議への協力という形で、こうして成立に向けて多くの方々が御努力いただいたということに対して感謝をしております。
 これからいろいろな改革をしていかなくてはなりませんが、今回の、民間にできることはできるだけ民間にゆだねよう、そういう意味において、なかなか多くの皆さんの反対、抵抗があった法案も、賛成者もたくさん出てまいりましたし、多くの世論も、むしろこの法案では不十分ではないかという議論が出てきたことこそ、私は歓迎したいと思います。よくぞそこまで世論が醸成されてきたな、今までは何だったのか、何でこの法案に、みんな言い出さなかったのか、反対していたのか。それが、むしろこれよりももっと前へ進めという議論が出てきたことを私は歓迎したいと思います。
安住委員 総理、返す刀というのは嫌ですけれども、きょうは私は、恐縮ですが、ほとんど通告していないのは、政治的な議論、細かいところに入らないでと総理はいつもおっしゃいますから、私もほとんど何も見ないで質問しています。
 総理、やはり郵政公社法案というのは、そうは言っても、橋本元総理が言った公約ですよね。それを今回、大変失礼ですけれども処理をした。ようやくというのは、残念ながら、この委員会では再三議論になったクリームスキミング、いいとこ取りと言うんだそうですね、総理、いいとこ取りしていらっしゃるという話になるんじゃないですか。いかがでございますか。
小泉内閣総理大臣 私は、橋本内閣の閣僚でありましたけれども、そのときは郵政公社にするというところまでだったんですよ。民間参入で当時の閣僚で賛成する人は一人もいなかったんです、最初の議論で。私が民間参入を主張したんです。しかしながら、自民党内はもちろん、民間参入を認めない、国営でなくてはいかぬというところだったんですが、閣議は、最終的に私が最後まで民間参入を主張したために閣議決定できなかったんです。
 結局、かんかんがくがくの議論の末に、橋本総理一任になったんです。一任になって、最終的に私の意見、民間参入を橋本総理は受け入れてくれて、反対していた閣僚も、総理に一任したんだからということで、この法案を承知して、それでは今日に法案を出そうというところまで至ったんですよ。だから、その当時から、郵政公社には賛成はしたけれども、民間参入は、私の意見は少数意見だったんです。それがいつの間にか、今国会で多数意見になったこと自体、大きな変化、進歩なんです。
安住委員 すばらしい意見を聞かせていただきましたが、しかし、私は違うと思いますね。総理、それはやはり、まず橋本行革の流れで、そのときは公社にしようというのは与野党ともにある程度のコンセンサスを得て、だから今日あるんだと思うんですよ。それは、私も確かに一歩前進だと思うんです。
 さてそこで、では、全面参入という話ですね。信書便法については、昨年の十二月十四日以来の方針として、確かに総理の主導で来たんだと思うんですね。これも法案としては成立するわけですから、確かに、総理がおっしゃっているように、この法案ができるというのは、総理の立場から見ると、サッカー以上に感激、感動しているんではないかとそれは思うんですよ。
 そこで私は、委員会の中で非常に疑問だったことがあるので、一つだけぜひ御指導いただければと思うんですが、ああ、なるほど、この信書便法が成立すると、民間参入をする会社の名前を具体的に教えていただいて、それでどういう競争になって、なお郵政公社もよくなるのか、ぜひ私に教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
小泉内閣総理大臣 私は、特定の民間企業の活動がどうなるか、それは具体的にわかりません。しかし、民間企業というのは、規制が緩和すれば、私が想像する以上に、国民が要望する商品は何だろうか、また求めているサービスは何だろうかということを考えるのが、民間企業の成功する一つの大きな道だと思います。だからこそ、民間企業の創意工夫を損ねないように、むしろ促すような規制改革が必要だ。
 今回もむしろ、今まで民間参入を認めていない、国家独占でなくてはいけないというところに風穴をあけたんです。あとは、民間企業が考えることです。私は、特定の民間業者を頭に置いてこの法案をつくったものではありません。
安住委員 総理、やはり私は個人的には、今回、いろいろこの法案の質疑をさせていただいて、郵便事業は公共性の非常に高いものだと、後で郵貯と簡保の話は聞きますけれども。
 総理の考え方もそれはあると私は思うんですね。しかし、総理、現実には業者の皆さんにもおいでをいただいてお話を聞いたわけですね。その中では、やはり民間官業化法案であると。つまり、これは何を言っているかというと、一言で言うと、やはり規制が厳しいということだと思うんですね。だから、簡単にはこの法律では入れませんよと。
 そこで、どうせ入らないんだったら、総理もそう言っていることだし、政治的状況を考えれば認めてやってもいいと。総理が言うほど、理解をしてこの法案が通るとはだれも思っていないと私は思うんですよ。そういう状況の中で、総理は、ここにいらっしゃったときも、私の政治的立場は際どいというか綱渡りの状況で今この法案が通っているんだと。私もわかります。その中で、妥協もしないといけない、だから、それで通るだけでも一歩前進だと。
 しかし、そこで、もう一つあるわけですよ。私はこれは議会人として申し上げますが、総理、省令で全部決めると。ガイドラインなんて、出しましたけれども、ごらんになりましたか。ガイドラインと呼べるようなものでないんですよ。私は、総務省を信頼はしていますよ。しかし、ハウスと行政府の関係を考えたときに、本当に何でも省令で決めて、あとは任せてください、大丈夫ですというやり方は、これは官主導になっちゃうんじゃないですか。そこは、今回、やはりきちっと出すべきだったですよ。それを全然今回出さなかったということは、総理、やはり反省を含めて考えてもらわないといけませんよ。
 今、参入と言いましたけれども、ということは、片山総務大臣、余り答えを言わないでください。いいですか、総理、私はこう思うんです。そうはいったって、本当に参入をしてこなければ総理が言う競争になりませんから、では、省令の中でハードルを随分下げていくということになるんですか、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 かなりはっきりしたものが出ていると思います、ガイドラインで。そして、今までだと、例えて言えば、クレジットカードは信書である、チラシの面におきましても信書である、地域振興券も信書である、民間はできなかった。今度はもうはっきり、できるようにわかっているでしょう。今までのは民間側の誤解ですよ、民間規制法案というのは。余りにも旧郵政省にいじめられたような経験があるから、民間企業は信用していない面もあると思います。
 しかし、今回は違うな、やはり多くの国民の意見を聞いて、できるだけ民間企業も参入できるような方法、規制緩和を考えているなということが、この法案が通ればわかります。ガイドラインも、これから多くの方の意見を聞いて、法律で書けないような面もあると思います、いろいろ規定が。公選法でもそうです。全部一々書けという意見もありますけれども、書けない部分もあるということはおわかりでしょう。そういう面は、法律と行政で国民の声を聞いてやっていけばいいんじゃないか、そう思っています。
安住委員 それは、もう総理が総理である限り、総理の傘下にある総務大臣にその意向を伝えて、それが反映するようにやっていくということですね。そういうことでいいですね、総理。
 そういうことになると、総理は、極端なことを言うと、何か内閣改造で総務大臣を兼務なさった方がいいんじゃないですか。総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 総理大臣というものをやってみればわかりますけれども、ほかの省の仕事を兼任するなんというのは、これは体が幾つあっても足りませんよ。今、総理大臣というのは全省府の仕事に責任を持っているんですから、それだけでも大変なのに、それを、また特定の省の専任大臣を兼ねるというのは、超人的な精神、体力を持っている人じゃなきゃできないんじゃないか。私はか弱いですからそんなことはちょっと無理で、もっと私よりその省に詳しい片山大臣は適任だと私は思っていますので、これからもしっかりやってくれるんじゃないかと私は思っております。
安住委員 きのう私は新聞を見まして、おもしろいあれがあったんですよ、風刺画というのか。総理、ごらんになりましたか。これは産経新聞だったかな。はがきの表紙に総理の切手が張ってあるんですが、住所が泥沼県修正郡手打ち村九三一、臭いというらしいんですよ。小泉純一郎様と書いてあるんですよ。
 マスコミは厳しいですね。私じゃないですよ、これは産経新聞か何かですから。ふだん総理を大変かばう人が、だから多分そういうふうに見えちゃっているんですよ、総理。いかがですか、御感想。
小泉内閣総理大臣 おもしろいなと思っていますよ。何をやっても批判されますよ。では、今まで私が総理になる前から民営化論を主張していた、もう無視とか、あんなのは少数意見で小泉が言っているだけだとみんな言っていたじゃないですか、マスコミも含めて与党も野党も。実現可能性のないことばかり言っていると。だからこそ変人扱いしたわけでしょう。
 今回、こういう問題も、何か与党と協力してやると、すぐ手打ちをしたとか、批判というのはわかりますよ。しかしながら、では、国会議員の多数の賛同を得ないで自分のしたいことだけぶっていて、あとはつぶれてもいいのか、それが妥協しないからいい姿勢なのかといったら、政治家は務まらない。
 私は、そういう意味において、こういう批判というものが出てくるのはやむを得ない、こういう批判に耐えていくのが政治家だと思っております。
安住委員 このはがきでは受け取りがないので戻ってくるということになるかもしれませんが、私は届くんじゃないかなと思うんですね。正しい住所のような気がしてなりません。
 そこで、総理、私どもは原案は賛成なんです。だけれども、修正の部分はやはりちょっと反対と。信書便は反対です。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください、川崎さん。もう川崎さんと議論するのも疲れましたから。つまり、何といいますか、公平でフェアというのは、総理、これからやはり大事なことだと思うんですよ、私は。それは民間にとってもそうだし、公社にとってだって、公正でフェアだというのがルールとしてはもう一番大事。
 この委員会でも、行司がふんどしをとって自分で相撲をとるんじゃないかというようなことをさんざん言われて、それに対して片山総務大臣は、ここは立憲主義の国家だからそんなことはあり得ないということをずっと言ってきた。総理が郵便事業について今まで、御批判があった本、松沢委員や何かと書いた本も、私も総理の話はもうさんざん聞きました。しかし、それは、官のやり過ぎ、やはり官に対する国民の不信感というのがあって、大変恐縮ですが、あなたが総裁をやっている党の高祖事件だってまさにそういう延長線上ですよ。特定局だって、多分みんないいとは思っていない部分もあるから改善しないといけない。
 しかし、今回は、信書便については官のやることを信用してくれという話になったって、国民はやはりそうかなと思うんですよ。業者もそう思っていると思うんです。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 官に対する国民の信頼というのはやはり強いですね。官業に対する信頼というのは依然として強いですよ、根強いものがあると思います。しかしながら、最近は、民間が、むしろ官の事業も行いながら多くの国民の信頼を得てきた。だからこそ自由主義経済というのは社会主義経済に比べて発展してきたんだと思いますけれども、私は、今回の郵便事業の問題を論ずるにおいても、依然として、民間よりも官に対する国民の信頼感といいますか、信書の秘密を守るという定義、その一つをとっても、いまだに民間では信書の秘密を守れないという議論が一部で出てくるのにびっくりしていますよ。公務員じゃなきゃどうして信書の秘密が守れないのかという議論を国会議員の中でもしている人がいる。
 だから、そういうことを考えると、国会議員も国民の代表ですから、そういう国民がたくさんいるというのも、一部かと思いますが、私は、これからは、官業は民業の補完というよりも、今まで官業しか行えなかった、役所でなきゃできなかった、公務員じゃなきゃやっちゃいけないという事業にも、むしろ民間企業なり民間人が参加できるなら参加してもらうということによって、よりよいサービスなり商品が提供されてくるんじゃないか。
 一番いい例が宅配便です。これは、今では全く当たり前、民間の人たちが小包を配達している。当時もこれはだめだと言っていたんですが、それがいつの間にか、今や、役所のやる小包配達よりも民間でやる小包配達の方がサービスもよく、全国くまなく行くようになって、むしろシェアも民間企業の方が圧倒的に多くなってきたということを見れば、官しかできない、公務員しかできない仕事を民間が巧みに国民の要望にこたえてやっているということを見れば、官業じゃなきゃだめだという時代ではもうないのではないかと私は思っております。
安住委員 わかりました。総理、私は、きょうは自分の自説じゃなくて、総理の高い志を、ぜひその先も聞かせていただきたいと思いますから、お伺いします。ということは、やはりここで改革は足どめではないということですね。つまり、一里塚の次は二里塚、三里塚とあるんだということですね。よろしいですね。
 具体的にそれは何ですか、具体的に。私、自分の意見は後で言いますけれども、総理、どうぞ。具体的に言ってください。
小泉内閣総理大臣 私は、総理就任前から、民間でできることは民間に任せなさい、地方にできることは地方にゆだねていこう、これがこれからの時代で必要だと主張していたんです。その中で、郵便問題も、あるいは郵政三事業も、これは民間でできるのではないかということで、いわゆる郵政民営化論を主張していたわけです。
 今回は、橋本内閣時代に決まっていた郵政公社化の法案です。そして、この先は、まず今回の法案が成立したら、それは自由に議論してもらおう。そして、国民の間に、ああ、やはり郵貯も簡保も民営化した方がいいな、財政投融資制度も問題があるな、特殊法人の事業も、これは統合できる特殊法人もあるんじゃないか、廃止、民営化できる特殊法人もあるんじゃないか、国民の税金、郵便貯金の資金はどう使われているんだろうかというような問題も含めて、私は議論をしていただきたい。まずは一歩一歩進むのが大事だと。
 ここまでも、今でこそ、民主党も今度はこの法案に賛成だという提案をされているようでありますけれども、私はこれをもっと早く言っていただきたかったですね。自民党、与党が出したからこそ民主党が賛成してくれた。私がこの郵政三事業民営化論を出して、まず信書便にも民間参入しようじゃないかという議論が出てきたからこそ、これでは不十分だ、もっと民営化につなげろというのが出てきているわけでしょう。
 しかし、まずこの法案を成立することに今国会全力を尽くさなきゃならないのが私の立場である、その後はもう自由闊達に、いろいろなあるべき姿を議論していただきたいと思います。
安住委員 総理の私的懇談会、田中直毅さんが座長をやっていらっしゃいますね。これは、秋口にはそういう議論をしていくということなんです。
 総理、総理ははっきり物を言われるから人気があるんですから、今はちょっと人気ありませんけれども、やはりはっきり言った方がいいですよ。(発言する者あり)まだあると言う方もいらっしゃいますけれども……(小泉内閣総理大臣「民主党よりはな」と呼ぶ)民主党よりはあるというのは、それは失礼ですよ、本当に。でも、それはまあいいんですけれども。委員長、不謹慎な発言を注意してください、総理に。(発言する者あり)静かにさせてください。
平林委員長 お静かに願います。
安住委員 それで、時間がありませんから無視しますけれども、総理、やはり改革の本丸というのは、おっしゃるとおり簡保と郵貯ですよ。三百五十兆円、公的な金融がそれぐらいあるというのは社会主義国家みたいだと言う人もいますよね。いや、私が持論を展開してそのとおりだと言われてもおもしろくないんですけれども、しかし、それが行政の肥大、そして、まあ不良債権とは申し上げませんけれども、いろいろなところに使われているという問題は、これは本当にあるんです。国民の皆さんは郵便局は安心だと言うけれども、そこのところの情報公開というのが、もしかしたらないからそう言っているかもしれないんですよね。
 総理、あなたが次にやらないといけないのは、そういうことにメスを入れるということじゃないんですか。はっきり自分の言葉で言った方がいいですよ、それは。それがなくて、それは、例えば自分の抱えている政党や何かを気にして奥歯に物が挟まったようなことを言ったならば、もっと支持率は下がっちゃいますよ。
 だから、総理、信念があるんだったらきちっと言ってくださいよ、きちっと。
小泉内閣総理大臣 私は、支持率が高かろうが低かろうが関係ないんですよ、改革を実現するために総理大臣に就任したんですから。
 前から言っているように、私は、郵政三事業民営化が必要だと思っています。しかし、今回は郵政公社化するための法案なんですよ。そのために全力を尽くすのは当然じゃないですか。その後のことは自由に議論してもらえばいい。私も自由に議論しますよ。
 しかし、それを、実際に法案を出すためには、国会議員の皆さんの多数の賛同を得なきゃならないし、国民の理解も得なきゃなりません。郵政三事業が民営化された場合にはどうなるかということについても、私が総理に就任して、懇談会をつくって今議論していただいているわけでしょう。いずれ近いうちに、郵政三事業を民営化したらどうなるんだろうか、あるいは民営化の姿という案を懇談会で今検討しているということでありますので、それが出てきてからまた国民がいろいろ議論されるでしょう。
 しかし、今回は、これはその議論とは別に、郵政公社のための法案、郵政事業庁から郵政公社になる、そして民間も信書を配達していいというような法案ができる。一歩一歩進むのが大事だ。この会期においてはこの法案を成立させるために全力を尽くすのが私の立場である。今、安住委員が言われたような方で、郵貯にも問題がある、簡保にも問題がある、あるいはこれからの資金の使われ方という問題について、私と似たような考えを持っているようでありますが、そういう場合は一緒に共同してできる場合も将来あるかもしれないし、どんどん建設的な議論は、今後展開していただければ、私も謙虚に耳を傾けたいと思っております。(発言する者あり)
安住委員 ちょっとやじがうるさいんで、無視します。
 総理、政治家的な言葉を使わない方がいいですよ。それと、例えば、いいですよ、郵貯のことなんか私はこう思っているんですよ。では、本当にその三百三十兆、五十兆をどうやって市中にもう少しシフトして、公的機関として持ってる額はどれぐらいが適正なのかというようなことは、これはやはり総理としてはもっときちっと話すべきだと私は思うんです。そのために、例えば今一千万円の上限額をどうするかとか簡保のあり方をどうするかという話は、やはり総理のリーダーシップじゃないでしょうか。
 国民的議論なんといったって、私はこの政策はそういうわけにはいかないと思うんです。なぜかというと、問題があるからです。出口のところに大きな問題があることは総理が一番言っているんじゃないですか。そのことについての所見を伺いますと言っているんです。
 ですから、私も今のことはわかっています。この国会でこの法案というのはわかっています。先のことを聞いているんですから、先のことを答えてください。
小泉内閣総理大臣 私は、この法案がこの委員会に提出された際に、出席していろいろ質問に答弁いたしましたね。たしかそのとき議員も出席されて、はっきり言ったでしょう、私は郵政民営化論者だ、総理になってから変えるわけにいかぬ、この持論は変わらないと。しかし、今これは郵政公社のための法案のためにやっているんであって、将来この私の議論を縛ることはできないということをはっきり言っているんです。
 いまだに私は郵政三事業民営化論者ですよ。変わりないんです。全然変わっていない、総裁選以来変わっていない。総裁選にもこの主張を掲げて当選したんですから、多くの自民党議員もわかっていますよ。全然変わっていませんよ、持論は。おわかりでしょう。
安住委員 わかっているということと支持をするということは多分別の話だろうと思うんですね。ですから、なかなか話も進まないと思うんです。
 一応私の時間が間もなく終わりますが、総理、秋に多分臨時国会をやるんでしょう、だって、デフレ対策とか景気対策をやらないといけないですから。そういうことになりますよね。内閣改造はなさるんですか。
小泉内閣総理大臣 これは、まだ国会が閉会していないんですよ。今、各大臣は、この国会、自分の抱えている法案なり国会での議論に対応しようと思って精いっぱい全力投球しているんです。そのときに、この先自分はやめるんだとか、かわるんだという気持ちを持ったら、これは余り元気が出てきませんよ。これは、今を精いっぱいやるんだという気持ちを持つのが、私は大事じゃないか。私もこれから臨時国会のことを考える余裕はありません。今の国会でいろいろ法案を抱えています。この成立に向けて全力投球するのが私の責任ではないか。
 それで、将来のことは、政治ですからいろいろと時代状況があります。その時点で政治状況を判断して考えればいい問題ではないかと思っております。
安住委員 私は、最後にこの国会について、国会で総理と議論するのは、この通常会ではもう最後でしょうから申し上げますが、やはり、鈴木宗男議員の逮捕を初め、本当に政治とお金に関する問題というのは、国民は非常に思っているんですよ。総理は、公共事業を受けた、もらっている会社というか、受注している会社からの献金の規制等々について言いましたね。しかし、物事は全く進んでいないのですよ、総理。つまり、構造改革や何かも進んでいると言いますけれども、総理、一番国民がやってほしいということに対して、あなたは与党のリーダーシップをちゃんと発揮していないと私は思うのです。このことで、まず政治とお金の問題について、きちっとリーダーシップを発揮されたらどうですか。七千近くもの政治資金支部をつくって、わけのわからない支部たくさんつくって、事実上、献金をたくさん、今までと同じぐらいもらっているんじゃないですか、本当は。
 総理、そこを変えてください。そこを変えなかったら自民党を変えるという話にならないでしょう。うなずいていらっしゃるから認めていらっしゃると思いますが、私は、そのことをちゃんとやらなければ、この国会というのは実は何の成果にもならないという話になってしまうんじゃないかなと思いますから、最後にそのことについての御所見を伺って、私の質問を終わります。
小泉内閣総理大臣 現在、今言われた問題につきましても、自民党で鋭意検討中であります。
安住委員 終わります。
平林委員長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 先ほどもお話がありましたように、最後の締めくくりであります。郵政関連の法案に入ります前に、一点、総理にまずお尋ねをしたいと思います。
 住基ネットの問題であります。八月五日、施行日が目前に迫っております。ただし、この問題につきましては、今、各地方自治体から、いろいろな意見書が参っています。昨日の午後三時現在では、五十五市町村議会、二県議会、そして要望書が五市町村から参っています。あわせて、七月一日に世論調査が、通信社が行ったものでは、五〇%以上が延期し、再検討という数字もございます。
 先ほど、安住議員から、最後に、総理のリーダーシップというお話がありました。国民の声を一番聞く総理だというふうに私は思っておりました。私は、あと一カ月ちょっとの八月五日、この地方の声、そして国民の声というものを聞きながら凍結をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 住基法の問題につきましては、各地方自治体、既に準備が進んでいるんですよ。そして、この八月に向けての施行にそれぞれ一生懸命苦労されている方々、あるいは国民の皆さんも、電子政府、電子自治体、より利便性を求めて、こういう法案が必要だということで、そのために各自治体が努力されていることにやはりこたえなきゃならないのが、政府として法案を成立させた責任だと思っております。その準備に向けて、これからも懸命に努力したいと思っております。
後藤(斎)委員 今の点につきまして、では、地方の意見書並びに世論調査の数字というのは無視なさるということですね。
小泉内閣総理大臣 それは、いろいろ御意見があるのは承知しております。反対ばかりじゃないですよ、賛成の意見もあるんです。どっちを無視するか。そうしたら、賛成の意見も無視するわけでしょう。そういう意見も聞きながら、国民のサービスをどのように向上させていくか、また利便性を図っていくかということに努力を向けるのが、私は自然の姿ではないかなと思っております。
後藤(斎)委員 引き続き、また来週以降の総務委員会で、この辺は大臣等を含めて議論させていただきますので、よろしくお願いします。(発言する者あり)いや、ほかにたくさん質問がありますので。
 修正案の提案者にあわせてお伺いを申し上げます。
 出資規定の新設と納付金規定の修正の条項が法案の提出修正案にございます。その中で、出資規定を新たに新設したこと、これは、具体的にどのような分野にどの程度の金額を出資することを想定なさっているのか、お尋ねを申し上げます。
 あわせて、納付金規定の修正、これに修正をかけますと、中期経営計画の最後の年という規定がございます。大臣も委員会で何度か御発言なさっていましたが、明確に四年後にしか納付金は取らないんだと。あわせて、納付金額も積立金額の増加額の一部だという規定になっています。なぜこういう修正をなさったのか。納付可能金額の額、そしていつから具体的に納付が始まるのか、提案者にお尋ねをしたいと思います。
八代委員 お答えをいたします。
 出資の方は、これから公社になってまいりますから、いろいろ民間参入等々を考えましても、余り縛りをかけずに自由度を大切にしたいという思いですね。しかし、何でもかんでも出資ということじゃありませんので、例えばダイレクトメールの集配とかあるいは送達とか、そういう業務なんかには、当然連携を保つという意味で出資が必要かもしれません。あるいはまた、情報通信時代ですから、例えばトラックがどこを走っているのだろう、誤配はないだろうか、あの荷物は一体どういう方面へ行っているのだろう、そういう送達業者との連携なんかにもこれは出資が入るだろうと思いますが、その辺の細かいことは、公社がスタートしてしっかりとその辺はやってもらわなければならない。
 ただし、出資という形は当然必要になってくる。これも小泉総理の大英断によって、民間参入ということが審議の上に決まっていくわけでありますから、公社も民間に負けないように頑張っていただくには、そういう出資規定を設ける必要があった、こういうことでございます。
 それから、納付の問題は、これは一般の地銀であれ都銀であれ、その資本金と申しますか留保金、基準額とでも申しましょうか、こういうものは大体全体の負債額の四・七%とか四%以上というのが、今、通り相場的な数値になっております。中には八%という人もいますけれども、まあ四%として、二百五十兆が郵貯だとすると、簡保は別としても、ざっと十兆円になるだろう。
 今、これも、数字は十兆円がいいのか、十六兆がいいのか、二十兆がいいのかわかりません。これも、総務省と総務大臣のもとに、これからしっかりと、留保金と申しますか、基準額というものを決めてもらって、そこから健全な経営になって、やがて国庫に納付するような形をとっていく。こういう意味で、この一つの納付金の設定を中期計画の中でやっていくということを修正させていただいたというところでございます。アバウト十兆円、こういう思いで答弁させていただきました。
後藤(斎)委員 総務大臣、今の話のように、要するに出資が先行して対応されるであろう、もちろん四年の間ですね。積立金にも多分影響を与える。そして、国庫納付金の納付時期がおくれるということでマイナスの影響が出る。要するに、公社の肥大化という問題が国民の声として私は出てくるんじゃないかなと思うのです。
 あわせて、新公社になって、国民、消費者利益として何が具体的に出てくるかということも、一方で、現時点では明確になっておりません。ですから、私は、修正案の出資規定、納付規定の評価とあわせて、具体的に新公社になってからどのような形で国民、消費者にサービスが具現化されるのか、その点について御評価をお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 出資は、今提案者の八代先生が言われたように、郵便事業に密接に関連するものに限定いたしますので、それによって経営の効率化を図ろうということですから、ぜひそれはそういうふうに御理解いただきたいと思います。
 納付につきましては、我々は我々の考えがありますが、これは財務省や金融庁とも相談しまして、国営公社の性格等を含めて、どのくらいの積立金というか基準額を持つのがいいのか、これは十分検討してまいりたい、こう思っております。
 そこで、公社になってどういういいことがあるんだ、こういうことなんですが、国でなくなるわけですね。例えば、ATMは今予算で決まっているんですよ。今度は需要を見て、あるいは地域のいろいろな要望を聞いて自由に置くことができる。あるいは、今は国有財産ですから、民間との合築なんかできませんよ。今度はそれも、場合によっては合築等の有効利用を考えることもできる。それから、基本的には任用や給与の体制はもっと民間的な柔軟なものにしますから、思い切ったアイデアを出したり、成績を上げる人にはそれなりの給与を払う、任用も考える。
 それから、これは今後検討しなきゃなりませんけれども、本来の郵便局の仕事以外のいろいろなことも、今、ワンストップサービスやひまわりサービスをやっておりますけれども、それ以外のいろいろな、コンビニエンスと言うとまた語弊があるかもしれませんけれども、そういう郵便局ネットワークをうまく使った仕事というのをもっともっと民間的に考えていきたい、そういうことで経営の効率化を図り、健全性を高めよう、こう思っております。
後藤(斎)委員 総理、七月の二日、札幌と熊本へ公聴会に行ってまいりました。そのときの意見では、要すれば、郵便局の業務は三事業だけではない、社会政策的、福祉的な業務をワンストップサービスということで既に取り扱っている、そこにむしろ、地域、過疎地というところは目を向けるべきだという議論がたくさんございました。そんな中では、逆に言えば、官に近い公社でなければいけないんだと、要するに自治体の業務とか福祉の部分を取り扱うわけですから。
 先ほども安住議員がお尋ねをしておりますが、総理は公社を一里塚と称して、あくまでも民営化というところにこれから考えを及ばせていくのか、お尋ねをしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 今の郵便局の仕事が官でなければできない事業か、私は必ずしもそう思っておりません。しかし、今回は、郵便局の今までの国営の事業が公社になって展開していく、民間の手法も取り入れていく、企業会計原則も取り入れていくということでありますから、私は、今までとは違ったサービスも可能になると思っております。
 同時に、民間が参入してくれば、民間に負けないような効率性、合理性も考えてくるでしょう。そういう点から、今我々が思っている以上の努力を郵政公社がしてくれれば、これは国民にとってプラスになるわけですから、今後、民間との競争によって、郵政公社が多くの国民のいろいろな要求にこたえて、それにこたえるような努力をしていただきたい。それが今回の郵政公社に進むということで促進されれば大変いいことだと思っております。
後藤(斎)委員 わかりました。
 ただ、総理、私がお尋ねをしたのは、特に自治体の行政サービスと兼務の部分、そして福祉、ひまわりサービスの部分、これが地域コミュニティーにとって非常に大きな役割を果たしているという北海道大学の先生の見解でもございました。むしろ、郵便局や小学校はほとんど一キロちょっとの部分にございます。それに合わせて交番、公民館、これをネットワークした形で、仮に民営化という議論が将来進むのであっても、過疎地や地域対策として新たな自立コミュニティーネットワーク法みたいなものをつくって、そこの上でまず対応をするんだということであれば議論は進むと私は思うんですけれども、今は、郵政三事業の部分と自治体やひまわりサービスも一緒になった郵便局というものを一つの固まりとして考えて議論をしているわけですね。
 例えば、これから二十一世紀の地域育成ということも含めて、新たな自立コミュニティーネットワーク法みたいなものも新たに仕組むべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。
小泉内閣総理大臣 今の御意見は、将来どうあるべきかという議論と関連してくる問題でありますので、郵政公社になって、その仕事ぶり、そして、実際民間企業が参入できれば、どういうサービスに参入してくるか、また、今郵便局が考えていない商品、どういう商品を提供してくるか、それは実際この法案が成立してみて、民間がどういう反応をするかを見ないとわかりません。それを見て、これから、いろいろなあるべき将来の郵便局のあり方という議論が起こってくると思います。その際に、いろいろな各方面の意見を聞きながら、今後郵政公社というのはどうあるべきかという議論をしていけばいいのではないかと。
 現在の時点でまだ公社になっていないのに、その先の議論をしたって、これはまた別の問題であります。私は、そういう御意見を持っているというものを否定しませんよ、また、どんどんこれからの議論で展開されて結構でありますけれども、それは今回の法案とはまた別の角度から議論していただければいいのではないかなと思っております。
後藤(斎)委員 今のようなお話ですと、あくまでも公社は公社としてもちろん対応していくという場合、ただ、三事業別々に、独立採算でこれから業務を営んでいくことになります。先ほど申し上げました社会福祉政策的な観点も現行ございます。あるにもかかわらず、そこではプラスアルファの、もしかしたらビジネスではない部分にも郵便局は対応している。
 税金投入ということは、公社には絶対行われないということでよろしいんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは企業会計原則にのっとって運営するんですから、税金投入ということは考えておりません。
 ただ、いろいろなサービスで福祉的な面があるということについては、優遇措置というのは考えてもいいんじゃないでしょうか。私は、そう思っております。
後藤(斎)委員 まだ、郵貯、簡保の国債のウエートが九十兆と非常に高い。地方債は十七兆と逆に低い。私は、国から地方へ、官から民へ、そして地方の時代の育成とか日本経済の活性化という点で、国債の運用のウエートをもっと切りかえるべきだというふうに考えております。それをつけ加えさせていただいて、質問を終わります。
 ありがとうございます。
平林委員長 次に、遠藤和良君。
遠藤(和)委員 公明党の遠藤和良です。
 法案の最終的な審議に当たりまして、こうして総理と一対一で質問させていただきますことを大変光栄に思います。どうぞよろしくお願いします。
 総理、我が国に郵便制度がスタートいたしましたのは明治五年、北海道の一部を除きまして、ほぼ全国に郵便局が設置されました。新しい政府ができてわずか五年のうちに、しかも実際には一年足らずでできたようですけれども、できたのは、地域の素封家の皆さんが自分の屋敷とかそういうものを提供して、官の仕事に協力をしようというみずからの申し出があったということを聞いているわけでございます。
 そんなことがありまして、私は、今回の改革は我が国の郵便制度を百三十一年ぶりに改革する大改革だ、こう認識をしております。
 一つは、今まで官営、いわゆる国営でやってきておりました事業を、国とは別個の公社という経営主体にいたしまして、国の関与を極力少なくいたしまして、企業的な発想も取り入れた公社という形で自己責任で運営をしていただきましょう。もう一点は信書の取り扱いですけれども、国家独占をしてきたわけですけれども、これを排除いたしまして、条件はあるんですけれども、全面参入を認めた、これは画期的な判断であったと思うんですね。この二つのことを中心にいたしまして改革をしよう、こういう大改革でございまして、私は、国会の審議でも、すばらしい改革になるだろうと思って取り組んできたんです。
 この間、地方公聴会がございまして、私も熊本に行ったんです。国民の代表の皆さんからいろいろな声を聞きまして、ちょっとこれが現実かなと思ったんですけれども、実際、今全国にある郵便局は、空気のような存在、親しみのある存在になっていまして、国民から見ると何の不便も感じていない、それを何で変えなきゃならないの、その具体的な、どんな青写真を国民に提供してくれるのですか、そういうメッセージを直接国民に伝えてくれませんかと。そうでなければ、何か国会の中ではやっているようだけれども、私たちの身の回りで実際どういうふうな利便性があるのですか、メリットがあるのですか、どんなことが今後考えられますか、そういうものをぜひ教えてほしい、伝えてほしい、こういうふうなお話があったものですから、ぜひ総理の口から直接国民の皆さんに、今回の改革が国民のための改革である、国民の皆さんのためにこんな形で青写真が描けますよ、こういう具体的なメッセージをぜひ伝えてほしいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、その公聴会に行って御意見を聞いたわけではありませんので、その御意見については、今、遠藤議員が言われた範囲内でしかわからないのですが、今、遠藤議員が言われたことを聞いていますと、一足飛びに民営化の議論がされているようですね、公聴会で。今回は、そうじゃないんですね。まず郵政事業庁から公社になる法案なんです。そして、国家独占であった信書が民間も可能になる法案なんです。民営化になったらどうなるかという法案じゃないんですよ。それを、既にもう民営化の議論をしているということは、これはいいことだなと私は思っているのですが、それとはまた別問題なんです。
 私は、郵便局がここまで発達してきたというのは、これは日本の発展にとって郵便局は必要だった、また、国家公務員がしっかりしていた、国民のサービスによくこたえてきた。そして、当時は、お金を扱う人も、両替商、信用できるのもあったし、かなり高利貸しで苦しんだ庶民もたくさんいたでしょう。同時に、飛脚の時代、これも高く取られたでしょう、江戸時代を見れば。それを、低料金で全国どの国民も同じサービスが受けられる郵便局を考えたというのは、大したものだと思いますよ。そしてお金も扱う、秘密の文書も扱う。だからこそ、官に対する信頼が寄せられて、優秀な人材が国家に集まってきた。それがやはり明治時代の近代国家の発展する大きな基礎をなしたと言っても過言ではないぐらい、郵便局というのは多くの国民に親しまれてきた、また公務員のやる官業というのは信頼を得てきた。
 しかし、今の時代におきまして、今回のこの法案に関していえば、まず、それでは、国家独占されていた時代に、小包の配達、民間が参入してきて、本当に国民は不便になったのか。これはもう明らかでしょう。民間企業が小包配達に参入してきたからこそ、私が言うまでもない、今、いろいろなサービスが展開されている。私は、そういうことから考えてみれば、国鉄だって、民営化されて、国民は不便を感じていないどころか、むしろサービスの面においてもいろいろ民営化になってよくなったという評価を得ている。電電公社がNTTになったといって、それでは国民が不便を感じているか。鉄道だって、あるいは電信だって、民間が参入してきて、今まで国家独占の時代から考えてみれば、思いも寄らないサービスが展開されている。
 同じように、信書だって、今、民間企業がやりたいというふうに出てきているわけです。そうすれば、国営だからといって、サービスがないから料金は赤字になったら上げる。今まで国営の郵便事業で料金を下げたことありませんよ。赤字になれば上げる。民間が参入してくれば、私はそんなことできないと思いますよ。高かったら必ず民間は参入してきます、利益が上がれば。そうしたら、もう上げることができないとなると、結局、合理化を考えなければいけないでしょう、サービスをどうしたらいいか。
 私は、今回の民間参入法案が成立すれば、今我々が想像していた以上のサービスを、何万社、何千社ある企業が必ず考えてくれる。参入してくる。これで利益が上がるとなれば、一社だけじゃない、数社が参入してくる。そうなれば、公社の方もこれに負けないように努力する。私は、今よりもいろいろなサービスが展開されてくるんじゃないかということを期待して、この法案成立に全力を尽くしているところでございます。
遠藤(和)委員 公社と民間がお互いに切磋琢磨し、競争し、国民のための利便を提供する、そして国民から歓迎される、これが改革の骨子だと私は思うのですね。それが具体的に、国民の目から見て、本当にそうなるの、ひょっとしたら小泉改革は弱い者いじめになるんじゃないの、地方いじめになるんじゃないの、こういう心配を持っている国民がふえているんですね。ここのところが小泉総理の趣旨と全く違った理解だと思うんですけれども、この疑問を払拭する必要があると思うんですね。その国民に対するアピールをお願いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 遠藤議員、最初に御指摘いただきましたように、百三十年余の郵便事業にこういう改革をするというのは大改革だ。いざ改革が始まると、大した改革じゃないという批判が出る。出ているでしょう、今。今までこういうことを想像できなかった、私は大きな改革だと思っていますよ、第一歩だと。
 しかし、改革には、必ず現状維持したいという勢力が出てきます、改革に反対する。そういう心配もできるだけ除去しながら改革を進めていくというものも民主主義の時代に大事じゃないか。そのような不安というものを払拭する努力を続けながら、新しい時代に日本の発展を促すことができるような改革をしたいというための努力は今後も続けていかなきゃならない。
 決して、弱い者いじめとか地方切り捨てとかいうものじゃない。現にいろいろな民間企業も地方でも行われておりますし、あるいは、民間参入してくる企業は恐らく大企業だけじゃないと思います。むしろ、特定信書便なんというのは中小企業が参入してくるんじゃないかということを考えてみれば、これは、そういう民間企業が発達してくれば、雇用もふえる、設備投資もふえる。私は、いろいろな経済活動が活発化するということを期待して、この法案を提出して成立を願っているわけでございます。
遠藤(和)委員 弱い者いじめじゃないという一つの証拠として、例えば第三種・第四種郵便に対する不安を持っています。特に点字の郵便物は無料なんですけれども、それは法律に明文化されなかった。ぜひこれは継続してほしい、こういう希望がありました。それからもう一点は、地方切り捨てじゃないという証拠に、公社になったら田舎の郵便局はなくなるんじゃないの、こういう心配を持っています。そんなことはないよと、この二つの点について、総理の見解を述べてください。
小泉内閣総理大臣 点字の信書に対しては、既に総務大臣が無料継続と答弁されていると思います。私は、それでもう十分じゃないかと思っております。
 また、地方の郵便局の問題につきましても、私は、地方の住民が不便ないようなサービス展開というものを公社は考えるでしょうし、すべての郵便局は、一局も変わらないんだということはあり得ないと思いますけれども、要は、サービスが地域の住民にも十分提供されるような事業展開がなされるべきである。それはむしろ、民間が参入することによって、公社も努力することによって可能であると私は思っております。
 公社だけがいろいろな今必要なサービスを展開されているとは限りませんし、むしろ郵便局のないところでも民間がサービスを展開している面がたくさんあるわけですから、そういう心配がないような努力がこれからも必要ではないかと思っております。
遠藤(和)委員 民間の参入がぜひ期待されるわけですね。特に全面参入ですね、部分参入じゃなくて。
 そのためには、やはり公社も民間も日本全国で消費者のために、国民のために競争する、そういう姿をこの法案は想定しています。ところが、具体的に、今のところ名乗りを上げる民間の業者がいない実態ですね。これは残念だと思うんですね。これをもっと理解を深めて、必ずそういう業者があらわれてくる、そして国民のためにとって大変いい結果になる、こうならなければ意味がないんじゃないかなと私は思います。
 そういう目で見て、この全面参入の参入条件について、総理の見解はどのように思っていらっしゃいますか。
小泉内閣総理大臣 まずは、全面参入しようと思えば可能だという法案をつくったことに大きな意義があると思います。そして、一挙に全面参入する企業が出てくるというのは難しいかもしれませんが、ほかの企業が、こういうサービスをしているんだ、しかも利益を上げているんだと見れば、他の企業は黙っていませんね。部分参入から、いずれは、その部分参入に勝ち抜くためには、できるだけサービスを展開する地域をふやした方がいいと考えるのが民間企業であります。
 そういうことを考えますと、一挙にはいきませんが、各社のサービスをにらみながら、これはまさに経営者の経営感覚の問題ですけれども、ああ、この産業は国民の需要があるな、やりようによっては利益が上がるなと思えば、必ずほかの企業は参入してきます。そうしたら、どういう事業をすればもっと国民の期待にこたえられるかというのが民間企業のすぐれた経営者の考えですから、私は、日本の経営者の中にもすぐれた方がたくさんいますから、そういう面において、徐々に徐々に、少しでも多くの国民にこたえようとする事業を企業が考えてくれることによって、将来、全面参入する企業が生まれてくればいいなということを期待しております。
遠藤(和)委員 最後に一問。
 三種・四種郵便の扱いなんですけれども、全国展開の民間の信書便事業者が、これは義務づけの話じゃありません、会社の経営方針、ステータスとして、そんなことも我が社としてはやりましょう、こういうことが出るぐらいのプライドのある、そして、日本全国でやるんですから、そのぐらいのことは当然やりましょう、こういうふうな参入事業者が出ることを私は歓迎するんですね。
 今、飛行機の会社でも、民営の鉄道会社でも、身体障害者の割引料金をやっていますよ。これは国の補助金を受けてやっているんじゃない。みずからの会社の経営判断でやっています。したがってそういうことを、法律の世界ではありませんよ、法律で義務づけることは考えていません、参入条件ではありませんけれども、そうした民間の信書便事業者が出ることを歓迎したいと思いますが、総理はどう考えますか。
小泉内閣総理大臣 民間企業が伸びていく大きな要素だと私は思います。そういう、今まで役所が考えつかなかったようなサービスを展開する、今、遠藤議員指摘されたような、今我々が想像していた以上のサービスを展開する企業が出てくるということを私は歓迎します。
 特に、郵便事業一つとっても、夜間配達は郵便局はやっていなかったんですよ。民間がやり始めたんです。民間がやり始めてから初めて郵政省はやったんですよ、休日に。冷凍食品、生もの配達、これも民間企業は税金を使わないで自分の金でやったんですよ、冷凍庫をつくる、冷蔵庫をつくる。民間がやって利益が上がるとなると、後から役所がやるわけでしょう。すべてと言ってはなんだけれども、ほとんど、では時間サービス、これも民間がやってから、後で役所がやったんですよ。私は、そういう面において、民間企業は我々が考えが及ばないようなサービス展開をしてくれることを期待しております。
遠藤(和)委員 終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 持ち時間が十五分でありますので、通告に従い順次質問していきたいと思います。
 まず、総理、国を離れまして海外に出ますと、自分の国のこと、あるいは郷里のこと、あるいはまた家族のことなど、ふだん国内の喧騒に紛れておりまして気づかないことが不意に思い起こせるものであります。総理は常々、改革なくして成長なしとの政策理念を掲げております。
 そこで、今回カナダ・サミットに参加しましたけれども、この風光明媚なカナディアンロッキーを目前に仰ぎ見る中で、日本における構造改革の進展、その状況、あるいはそれらこれら、構造改革、どのように実感したか、その率直な印象を伺いたいと思います。
小泉内閣総理大臣 まず、外国に行っていろいろな方々とお話をすると感ずるのは、それぞれの国が困難を抱えているな、日本だけじゃないなということを痛感しております。そういうお話を聞くたびに、改革が必要なのは日本だけじゃない、また各国も懸命に改革に取り組んでいる、日本も改革に断固として取り組んでいかなきゃならないということを痛感するわけであります。
 現在、外国の中には、やはり日本の経済の発展に大きな期待を寄せている国が、実に強いということを外国に行くたびに感じます。だからこそ、いろいろな改革に取り組まなきゃいけない。わけても日本の今日までの経済発展、むしろ敗戦後、驚異の発展を遂げてきた日本の経済の秘訣は何か、私が面映ゆくなるぐらい日本のすばらしさを聞く場面にも遭遇しますが、いや、実は日本も今経済停滞で苦しんでいるんだ、日本も改革しなきゃならないんだ、過去の成功例というのはもう通じないんだ、過去の成功例と同時に失敗例もあるんだ、だからこそ今改革をしなきゃいけないんだという話をする機会が多いわけでありますが、今私が進めている改革におきましても、それは全部とは申しません、それぞれ改革には反対する勢力もございます。
 しかしながら、今この法案につきましても、初めて民間企業が新しい事業に参入できるという法案でありますし、これだけではございません、いろいろな問題を多くの方々の理解を得ながら進めていく、いわゆる改革なくして成長なしというのは日本だけに当てはまらない、すべての国がそういう困難に直面しているんだから、日本も勇気を出して、この困難にめげず、改革に取り組んでいかなきゃならない。
 ただ、その効果が出ない、改革の成果が見えないじゃないかということを言われますが、私は、それは時間の経過とともに着実にその効果も出てくる、またそのための改革を実現しているということをたびたび申しているわけでありまして、改革のためにはある程度時間がかかるのもやむを得ない。特に民主主義の時代でありますから、多くの方々の、特に国会の中での過半数の議員の賛同を得ながら改革を進めていくということでないと、ただ言っただけで終わってしまう。そうでなく、言ったからには、多くの方々の賛同を得て、実現に向けて軌道に乗せていかなければならないと考えております。
黄川田委員 大変総理の答弁、長くて丁寧なわけなんでありますけれども、諸外国の改革は進んでいるということはよくわかりますけれども、我が国の構造改革は日暮れて道遠しというふうな感じを持ちますので、どうぞぜひとも頑張ってください。
 我が自由党は、改革の理念として、官僚支配の旧来システムから脱却しまして、フリー、フェア、オープンな、そういう国家を、そしてまた、国民が主役の社会をつくりたい、それを目指しております。
 そして、この理念のもとに、金融市場における公正かつ自由な競争を促し、また一方、国民生活における郵便の重要性及び郵便局の地域社会の役割もこれまた重視しております。
 その中で、郵貯・簡保事業の民営化並びに郵便のユニバーサルサービスの確保及び郵便局の経営の弾力化を内容とします郵政事業の改革方針を定めて、そして、市場経済の健全な発展、住民の利便性の向上を目的といたしまして、今般、郵政事業改革基本法案を、質疑にはなりませんでしたけれども、提出しておるところであります。
 そこで、この我が党の改革の姿勢を総理はどのように評価するか、そしてまた、今回、郵政事業の改革の本丸はやはり郵貯、簡保にあると思いますので、その視点でどう考えられるか、お尋ねいたしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 私は、自由党が郵政三事業民営化に関する提言をされている、あるいは将来それを目指すことを掲げたということに対して歓迎したいと思います。
 ただ、今回は、まず郵政公社にする法案、同時に、今まで国家独占だった信書便に民間参入が可能になるような法案でありますから、自由党の立場から見れば不十分だという御意見は甘受しますが、そのような法案を一政党が出してきたこと自体、私は大きな変化だと思います。
 私にとりましては、そういう議論を今後展開していくことに対して、否定するどころか、むしろどんどんしていただければ結構だと思いますし、私は、この法案が成立後、公社が事業展開する中で、恐らくいい面、悪い面、国会で御指摘いただければ、改善に向けて進んでいけばいいのではないか。
 特に自由党の案を、要約して拝見しましたところ、二〇一五年でしょう。(黄川田委員「いや、十二年後です」と呼ぶ)だから、二〇一五年を目指してその民営化をやると。今二〇〇二年ですよ。小泉内閣、何もやっていないなんて、一年ですよ。すぐやれという。十二年後のことをやって、今やっていないというのは、これはいかがな批判かと。私は、今、現時点を論じているんです。そこもよく考えていただきたい。それをどう思われるか。十二年後の将来を話せといったら、私もいろいろなことを話せますよ。私は、将来は、長年言っている、郵政三事業民営化論だということは否定していないでしょう。変わっていないと言っているんです。
 しかし、その話と今の郵政公社化法案とは別だと。まず第一歩の改革が必要だと言っているということを御議論いただきたい。
黄川田委員 いずれ、これからすぐにでも、やはり財政投融資制度であるとか日本の金融システムにメスを入れていく、こういう決意が必要だと思っておりますので、それこそ構造改革だと我々は思っておりますので、その辺を御理解いただきたいと思います。
 大分時間がなくなってしまいました。それでは、私、田舎から来ておりますので、地方の立場で一点お尋ねいたしたいと思います。
 最近、政府は景気の底入れ宣言をしまして、日銀の短観の景況感も改善されつつあるということでありますけれども、地方の経済は、五月の完全失業率が五・四%に悪化しております。そしてまた、大手企業の事業所や工場の閉鎖が相次いでおりまして、中小企業は中国の輸出攻勢で疲弊し切っているなど、地方の雇用経済環境は一向に改善されておらないわけであります。これが現状であります。
 そして、また一方、改革工程表では、人口三十万人以上の自治体にはより大きな仕事と責任を与え、小規模団体には仕事と責任を小さくし、都道府県が肩がわりするなどとしております。
 大都市の再生を目指す構造改革には反対するものではありませんけれども、やはり地方の活性化も図るべきである、こう思っております。特に地方の市町村は切り捨てられるのではないか、そういう不安に駆られております。
 そこで、都会出身の小泉総理は、地方住民の痛みを、私、本当に国政報告があるたびに言われるものでありますから、その痛みをどう認識しておるのか。
 そしてまた、総理の改革理念は、最近とみにかけ声倒れといいますか、そういうふうに映るわけでありますけれども、総理のメッセージは地方で毎日汗をかいている国民一人一人の心には響いていないように思っております。そこで、この実態をどう認識しておるか。
 加えて、総理が言うところの今回の郵政改革法案は、地方経済の改善にどのように寄与するか。
 以上、三点まとめてお尋ねいたしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 たくさんの御質問で、漏れたらお許しいただきたいと思うのでありますが、私は、景気底入れ宣言がなされたといっても楽観はしておりません。まだまだ失業者も多いですし、中小企業が苦しんでおられる実情もよく伺っております。そういう点にも配慮して、中小企業対策、また雇用対策というものをしっかりやっていかなきゃならないということには変わりありません。
 同時に、地方切り捨てじゃないかというようなことをよく耳にしますが、決してそうじゃありません。都市再生事業というのも、別に東京とか大阪だけを考えているわけではありませんし、これから都市再生事業をやる際にも、例えて言うならば、札幌にしても、これは百万都市で、世界で最も降雪の量が多い都市だそうであります。だから今、都市再生事業の一つの方針として、札幌は雪をいかにエネルギーに変えるか都市にしよう、民間の知恵、地方の知恵をかりながら、札幌というものを雪をエネルギーに変える都市にしよう、そういう都市再生事業を今計画している。今進もうとしている。
 仙台、杜の都というけれども、現実はそんなに森がないということを聞いております。それを、今、国道が八車線。この八車線の国道を、今まで住民が、少しうるさ過ぎるからもっと緑を多くしてくれ、訴訟によって緑を植えようという運動が起こったことがありますが、むしろ国、地方が主導で、この八車線を、片側四車線ですけれども、六車線にして、一車線を一人一人木を植えてもらって百万本の道路をつくろうじゃないか、広げていた道路を、八車線を六車線にして、本当の杜の都らしい仙台の都市をつくろうじゃないか、こういう計画も今、ことしじゅうに始まるんですよ。
 広島、太田川。川というのは市民に親しまれている。この川を、もっと市民に親しまれる、景観も考えながら、そして都市づくりに生かそう、川のよさというものを考えながら都市づくりをしていこうということで、東京、大阪だけじゃない、地方のことを考えながら都市再生事業を始めるという事業を小泉内閣として始めているんですよ。
 さらに稚内から石垣まで、こういうスローガンのもとに、この事業、地域づくりを行おうじゃないかということで、もう地方切り捨てなんというのはとんでもない誤解です。そういう地方の意見を聞きながら……。
 なおかつ、かけ声倒れじゃないか、とんでもない。かけ声どおりに進んでいるんです。かけ声をかけないでどうして実現できるんですか。去年の四月から、かけ声どおりに今着実にそれぞれ進んでいるということを私はぜひとも理解していただきたい。
 何をやっても批判されますけれども、ああやればこう言う、こう言えばああ言うというのを耐えながら、改革は着実に進んでいるということをぜひとも御理解いただきまして、今の郵便事業の参入法案もあるいは郵政公社法案も、成立すれば今までより以上のサービスが展開されるということを期待してこの法案の成立を願っているということも御理解いただきたいと思います。
平林委員長 黄川田君、もう一問お願いします。
黄川田委員 総理には、やはり国民の生の声を聞くべく、岩手になんか選挙時だけに二度ほど入るんじゃなくて、やはり平時に地方を行脚すること、これが最も大事でありますから、指摘したいと思います。
 最後に一つ、あと一分だけでありますが。私の質問、この法案の、改革法案でありますが、これが成立した後も、国民に対する何か効果があるのか、どう変わったのか。何か訴えることがあったら、一言、簡潔明瞭にお願いします。短くお願いします。
小泉内閣総理大臣 それはもう、民間企業が創意工夫を発揮してくれることによって日本経済は発展してきたんです。世界も、社会主義経済から、統制経済から市場経済へ移行しているというのも、やはり民間企業の活発な活動を促そうということでやっているわけですから、今回も、国家独占でなくて、民間の創意工夫を発揮することが可能になる法案ですから、私は、民間企業のそういう創意工夫を発揮した企業展開を切に望んでおります。
黄川田委員 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。
平林委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章です。
 総理は、「郵政民営化論」というこの本を九九年の十二月にお出しになっていますが、ここで、郵政のぐるみ選挙への批判を展開しております。その後、この本を出した以降、昨年、国民的批判を浴びた高祖事件が現実に起こりました。国民が求める郵政改革というのは、こうした政権党との癒着、不正、これを断つ、腐敗を断つ、ここにあると私は思います。今回の郵政公社法は、ここに一体メスが入っているのか。とりわけ、癒着、ぐるみ選挙の根源である特定局制度にメスが入っているのか。端的に答えてください。
小泉内閣総理大臣 これは公社法案とは直接関係ある問題ではありません。国家公務員が選挙運動を、どうあるべきかという問題だと思います。特定局長さんは国家公務員ですから、私は、本当に国家公務員が選挙運動あるいは政治からの中立というものをどう考えるのか。同時に、郵政省は、旧郵政省、国家公務員、労働組合をつくっています。全逓にしても全郵政にしても、あるいは郵産労、これは共産党系だと言われていますけれども、よくはつまびらかには知りませんけれども。国家公務員が本当に選挙運動していいのかということは、これはよく考えなきゃならない問題だという点につきまして、この法案とは直接関係ない。これは、私は国家公務員というのは選挙から中立であるべきだと思っております。そういう改革に向けて、与野党が真剣に考えるべき問題じゃないかと思っております。
春名委員 本委員会で私は論議したんですが、例えば、特推連と特定局長会の会長が表裏一体、九四%、こういう事態になっていること、近畿であれだけ問題になって辞任をされた三十一名の会長の中で二十一名が四月一日に復活していること、全然実態は直っていないです。ここを正さなければ、国民の期待する改革にはならないと思うんですね。このことを明確に指摘しておきたいと思うんです。
 もう一つ聞きます。
 年間一千億円近くに上る渡切費が特定局長会の活動の原資の一部になったり、あるいは自民党の選挙費用への流用など、裏金の温床となってきたことも発覚をいたしました。こうした疑惑は以前から国会でも指摘をされて、総務大臣に私たちは調査を繰り返し要求してきました。しかし、率直に言って、まともな調査もやられませんでした。
 質問ですけれども、今度、その郵政公社法の中で、総務大臣に役員の任免権、経営目標、経営計画の許認可等々、ほとんどすべての権限が集中する、こういう仕組みになっている。今まで行われていた国会の予決算のチェックが入らなくなる。こういうことになる。総務大臣、静かにしておいてくださいね。入らなくなる。人事への国会関与もなくなる。それから、審議会の役割も、公社の経営陣への人事に関与できないようになる。これは研究会報告よりも後退をしているわけですが、こういうことになっていると断ぜざるを得ません。
 逆に、国民のチェック、監視から公社の経営が隠されていくという仕組みになっているんじゃないでしょうか。これでは何のための改革かと思わざるを得ません。この点を総理に御見解をお聞かせいただきたいと思います。
小泉内閣総理大臣 それは、いかなる公社であろうが、いかなる企業であろうが、社会的責任を果たす倫理観を持ってもらわなきゃ、これは成り立っていかないわけでありますし、同時に、いろいろな国民の要求にこたえることはできない。それは当然であります。
 今回の公社、成ったとしても、そういう点につきましては、経営者あるいは職に当たる職員がしっかりとした責任感、使命感を持って当たっていかなきゃなりませんし、同時に、国会でのそれぞれの議論というものをよく聞きながら実際の事業展開に当たっていくべき問題だと思っております。
 それは、具体的にいろいろな問題につきましては、今までの御指摘の点も踏まえて、改善すべき点は改善してきているわけでありますので、まだ不十分な点があったら、今後、国会の場でも議論されるでしょうし、そういう指摘については謙虚に耳を傾けながら、信頼が得られるような事業活動を展開していくべきだと思っております。
春名委員 私は、制度の仕組みそのものを問題にしているのです。どういう公社になろうが、今おっしゃられたように、国民の信頼を確保するために努力しなきゃいけないのは当然であります。今回できる公社の仕組みそのものが、例えば、予決算の国会のチェックがなくなるとか、あるいは、総理も以前言われたことがありますが、ほとんど内部の犯罪には役に立っていない郵政監察はそのままにしておくとか、そういう問題。制度としてそういうことを温存する仕組みを、隠していく仕組みをつくっているんじゃないかと私は言っているわけです。努力をするのは当然であって、その点を総理大臣はどういう認識をされているのか、私は聞いているんです。
片山国務大臣 国会との関係のお尋ねですけれども、今回は、できるだけその自律的、弾力的な経営を可能にするように、監督官庁や国会からある程度関与を縮小しようということが建前ですから、必要最小限度の財務諸表等の国会提出、総務大臣経由ですけれども、そういうことは考えております。
 それから、今渡し切り経費等のことを言われましたが、これはもう本年度から廃止しておりますし、これはしっかりした透明性のある経理手続をやる。それから、任免権については、必要最小限度のものをこれは残していかざるを得ません、公的な国営公社でございますから。ぜひ御理解を賜りたいと思います。
春名委員 それどころか、郵政公社の出資条項が盛り込まれた修正案が出されまして、一層、癒着、天下りがはびこりかねない改革になっているんですね。
 読売新聞の七月四日付の社説、ごらんになったと思いますが、「公社が民間企業に出資して子会社や孫会社を作る弊害は、日本道路公団のケースで既に証明済みだ。」こういう懸念を率直に述べております。
 小泉総理、こういう懸念はないのでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは国会のいろいろな御指摘もありますので、そのような懸念がないような努力をしていけば、私は解消される問題ではないかと思っております。
春名委員 懸念がないようにという精神論はいいんですが、実際、九六年の九月の二十日に、総理、閣議決定で、「「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について」という閣議決定をしておりまして、公益法人が営利企業の設立などを行うのは不適当であるという観点で、原則として出資を禁止する。九六年九月に閣議決定しております。
 今度は公益法人じゃないんです。国営の公社が直接出資する、そういう方向に道を開くことになるわけです。私、この趣旨にも、この閣議決定の趣旨にも真っ向から逆行することになるんじゃないかと思うんです。しかも、総理、あなたが書いているこの本の三ページの中には、特殊法人を初め、公団、公庫、さらにはこれに関連する民間会社と役所を中心にした一家体制ができるということを批判して、だから民営化なんだということをおっしゃっている。そういう総理の持論からいっても、私は逆方向に進んでいるとしか思えないということを明確にしておきたいと思います。
 さて、総理、私はもう一つの法律である信書便法案について質問いたします。
 郵便事業への民間参入に道を開いたことが大きな改革だと先ほども言っておられます。確かに、今回の信書便法は、あいまいな信書の定義と信書の独占の例外をつくることで、二重に民間参入の道を開くことになりました。
 実際、今は信書便法に基づく参入が現時点では見込めないということから、今回の「信書の定義に関する政府の考え方」というのが出されまして、従来、信書としていたクレジットカード、それからダイレクトメールの少なくない部分を信書から外して、信書便法の外でのクリームスキミングを拡大していく、こういう方向に進んでおります。
 お聞きしたいと思うんですが、このことによって国民にはどのように利便が拡大するんでしょうか。全く見えません。それどころか、自由化を実際全面的にやった国は、結局、このクリームスキミングによってユニバーサルサービスを危機に陥れているのが常の状況です。こういうことにはならないんでしょうか。どのように、今度の修正、この「考え方」、それから信書便法で国民の利便が拡大するんでしょうか。いかがですか。
小泉内閣総理大臣 それは、民間ができることを民間がやる。公社を選ぶか民間を選ぶかというのは、国民の選択ですよ。選択の幅を広げるということは、とりもなおさず国民の利便を広げるということです。共産党は国営が全部いいと思っているんでしょうけれども、自由民主党はそう思っていないんです。そこら辺は、共産党とは全く違います。どのようなサービスが展開するか。それは、国営がいい、民営がいい、それぞれあると思いますが、競争によって国民がどっちを選択するかであります。
 現に、クレジットカードがなぜ民間がやって発達してきたか。郵便局よりも安いから、国民は民間企業を選んだんでしょう。それが、クレジットカードは信書だからいかぬといって、いちゃもんつけたのは旧郵政省ですよ。それは、こんなことはさせません。地域振興券でもそうです。役所にとりに来い。民間は、自分が配達しますよと言ったんだ。それをストップしたのは旧郵政省でしょう。今度はそんなことはやらないとはっきり提示しているじゃありませんか。どっちを選ぶかは住民です。国民であります。国民はサービスを選ぶに決まっています。
 私は、そういう点において、国民をもっと信頼すべきだと思う。その信頼によって、国営を選ぶか、公社を選ぶか、民間を選ぶか決めていけばいい。サービスのいい方を国民は選ぶと思います。それによって、日本の経済が発達する。
春名委員 一般論として競争原理を否定はしませんけれども、私は、事郵政事業については特性をよく考えなきゃだめだと思うんですよ。
 要するに、郵便事業というのは、日本のように都市部と地方が歴然としているところでは、もうかるところともうからないところが必然的に生まれるんですね。当然のことなんです。
 実際に、東京都だけで郵便事業の収入の二〇%を占めているんです。地方はほとんど赤字です。そこにもうけ本位の、民間企業というのはもうけ本位、追求することは当然の使命ですから、もうけを目的にしているわけですから、もうかるところだけ参入する。とりわけ、今回、ダイレクトメールやクレジットカードへの参入、こういうクリームスキミングを認めていけば、全国一律のサービスが、第三種・第四種郵便とかそういう政策料金サービスが成り立たなくなるという方向になるのは、だれが見ても明らかなことです。
 実際、全面自由化した外国の例を見たら、どうでしょう。アルゼンチンは、郵政事業体が倒産しました。ニュージーランドは、同一都市内の値下げ競争は実際あるそうです。しかし、地域別の料金が今検討されている。フィンランドは、参入業者への免許条件として売上高課税があって、参入する新規事業者はゼロ。スウェーデンが一番ひどくて、競争地域内と大口料金の値下げはされたけれども、小口料金は大幅値上げ。全面自由化によって全面的にサービス向上という状況は、各国見ても皆無なんですね。
 そういう状況であり、その中でこういう「考え方」が出されて、信書の例外がたくさんできて、そこに入ってくる、こういう仕掛けをつくったわけですね。私は、ユニバーサルサービスが危機になることは明らかだと思うんです。その証拠に、私、最後に質問しておきたいと思いますが、どうしてもお聞きしたい。
 民間参入によって収入が減ること、このことへの保険として、第三種、第四種を廃止、値上げできるようにしようと当時検討されました。障害者団体を初め、多くの国民から反対の声が上がって、法律上は第三種、四種の種別は残りました。しかし、法律の文面は、第一種料金より低いことだけが認可の基準になっている。点字郵便無料の規定は削除されたままで、法律上の値上げ、これは禁止をされていない。
 総理は、民間参入によって国民へのサービスが向上すると言う。そうであれば、そのサービス向上の証拠として、少なくとも無料条項復活の修正を総務大臣に指示すべきだと私は考えます。いかがでしょうか。
平林委員長 小泉内閣総理大臣、質問時間が切れておりますので、簡潔に願います。
小泉内閣総理大臣 既にこの問題は総務大臣も答弁されているとおり、障害者に対しては今までのような利便を阻害するようなことはしない、無料で配達するということを総務大臣は答弁されています。
 そして、民間企業は利益のところばかり考えると言っていますけれども、そんなことをやったら、小包配達なんか民間企業はやりませんでしたよ。全然採算がとれないようなところでもやる、そうして利益を上げてきたんでしょう。共産党の考えと我々と全く違う、そういう点は。
 何で国が、国じゃなきゃサービスを展開できない、民間は営業利益のことばかり考えてサービスをしないのか。電力会社、ガス会社、民間じゃないですか。今のいろいろな事業というのは役所がやらなきゃいけない、必要なサービスは公務員がやらなきゃいけないというんだったら、役人をどれだけふやさなきゃならないんですか。この負担は、国民が税金で負担しなきゃならないんじゃないですか。そういうことを考えれば、共産党が、国営じゃなきゃサービスが展開できない、民間は営利しか考えないと言うことは、民間企業に対して甚だ失礼だと私は思っております。
平林委員長 春名君、質問時間が切れております。
春名委員 ヤマトが利益を上げているのは、六百四十円の付加価値の、あの小包を中心にやっているから利益を上げているんですね。五十円、八十円じゃないんですよ。そういうことをよく考えてください。
 余りにもやるべきことをやらないで、やってはならないことをやっているのがこの法案です。私たちは、これは到底認めることはできない。はっきり申し上げて、質問を終わります。
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、総理に質問をいたします。
 郵政公社法の質疑も大詰めを迎えております。このときに、あとわずかの時間で採決されるわけでありますが、政府を束ねる総理大臣としての見解を明確に出していただきたいと最初にお願いしておきたいと思います。
 まず、与党自民党が公社化法案に対する三つの修正を迫っております。また、信書便法についても厳しい条件設定を求めておりますけれども、およそ議院内閣制のもとで、法案を出す前段ならいざ知らず、大詰めのこのときにこういうふうな状況になっておる。まず、このことに対する総理の見解を示していただきたい。どのように受けとめておられるか。
小泉内閣総理大臣 前にも申し上げましたが、ようやくここまで来たかと。
 事前審査抜きの、与党の、自分の政党の了解を得ずにこの法案を出した、これ自体、異例でありましたけれども、それだけ、今までこういう法案は出すような状況ではなかったんです。
 しかしながら、時代の変化といいますか、事前審査抜きの法案が、最終的には、反対していた方々も賛成に回ってくれて、協力を得ながらこういう法案が成立に向かって進んでいるということは、やはり自由民主党だな、与党だなと。時代の認識を共有して改革に一歩一歩歩みを進めていかなきゃならない、そういう大きな判断が作用したことによって、この法案の成立に向けて一致結束して向かってくれたのだと私は感謝しております。
 今回、私は、この法案がようやく最終段階に向けて進むということにつきまして、ここまで努力してくれた方々に対して感謝を表明したいと思っておりますので、どうか、野党であった皆さん方も、できるだけこの問題について御理解をいただきまして、今後とも少しでも改革に向けての激励、御支援をいただければありがたいと思います。
重野委員 今、自民党が三つの事項を具体的に示して修正するということです。我が党は、公社化法については、かつて自社さ時代の経過もあり、党としてはこの法案成立に向けて賛成をするという立場を明確にしておりますけれども、私は、そうであっても、今日までに至る経過の中で、今指摘をしました、このときに政府・与党があえて修正を出していくというこのさまを、今総理が言うような形で至極当然のこととは到底受け取ることはできない。その点は指摘をしておきたいと思います。法案の賛否とは別の問題として、指摘をしておきたい。
 そこで、私は、政治家小泉純一郎さんがずっと厚生大臣のときからこの間に至る、この郵政問題に対してどういう発言をしているか、どういう答弁をしているか、ずっとおさらいをしてきました。そうしたら、ちょっとこれは看過できないものがありました。
 それは、いわゆる財政再建という見地から執拗に指摘をしている時期があるんですね。今は余りその発言は出ていません。つまり、鉄道と同じように、電電公社と同じようにというその目線で、郵政公社、郵政の民営化という問題について国会で答弁している時期があります。そういうことが伏線としてあって今日があるのかという点については、これはやはりきちっと一度確認しておかなきゃならぬ、このように思うんですが、そういうことを思い起こして、今私の質問に対しどのようにお答えなさるのか、お聞かせください。
小泉内閣総理大臣 厚生大臣当時の答弁かどうか、記憶は定かではございませんが、たしか私から求めて発言したのではないと思います。いろいろな質問の中で、厚生大臣として答弁したことを指摘されたのではないかと思いますが、そのときには、当時は郵政民営化に対して反対論が強かった時期でありますので、なぜ厚生大臣なのに郵政民営化を言うのかという御批判を受けたことは覚えております。
 そういう中での答弁の一部を引用されたのだと思いますが、私は、そのときに、郵政三事業民営化ということは、郵便局がなくなってしまうという議論が地方にあるけれども、そうじゃないんだということについて、国鉄と電電公社の例を出したんだと思います。というのは、では、国鉄が民営化して鉄道がなくなったのか、電電公社がなくなって電話がなくなったのか、見てごらんなさい、なくなるどころじゃない。
 そういう意味において、私の郵政民営化論というのは、郵便局をなくすなんということは一つも言っていません。郵政三事業は、将来民営化されたとしても、郵便局の事業はなくならないでしょう。郵政三事業の事業の重要性は私も十分認識していますということで言ったのであって、民営化したら郵便局がなくなるというのは誤解であるということを言って、国鉄と電電公社の例を見てくださいと言ったんだと私は思います。
重野委員 総理の答弁はだんだん脱線して、いたずらに時間を、総理答弁の時間をとって、質問する時間が少ない。簡潔に要領よく答弁してください。
 これは、ちょっと総理、今の答弁は僕は勘違いしていると思うので、かつてそういう答弁をしているので、一遍読み直していただきたい。今、そういうことで答弁していないですよ、この答弁は。
 それで、ほかに項目をたくさん用意しているので、それはもうそこでとめますけれども、これは大事な問題ですから、今後、随分引きずっていく問題ですから、やっていきます。
 そこで、先般、マスコミの報ずるところによると、総理は、やはりこの法案は郵政民営化の一里塚、私は変わりません、私個人としては、こう述べたと報道されておりました。まず、それは間違いないかということをひとつ確認しておきたい。
 間違いないとすれば、これは内閣の政策の基本にかかわる問題と私は受けとめるわけですね。この期に及んで今なお、内閣を束ねる総理大臣が、それを個人的発言というふうに使い分けをするということについては、私は余りにも無責任ではないのかと。憲法七十二条に明確に記されているように、「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」これがいわゆる憲法七十二条、内閣総理大臣。それに照らしてみても、私は、この間の総理の答弁について、今私が申し上げたことについてはどうしても納得できない。
 この点について、総理はどのように考えますか。
小泉内閣総理大臣 この言論の自由が保障されている民主主義の時代において、個人的な考えを変えろといったって、それは無理ですよ。総理大臣としてもいろいろな考えを持っているんです。それでは、今、それぞれの大臣が内閣の方針の考えしか持っちゃいかぬ、今までの考えはどうなんだと言われて、そんな考えは持っていませんなんて言えますか。
 私は、言っているのは、もう二十年近く前から郵政三事業は民営化すべしという議論を展開していたんです。初めて七年前に総裁選挙に立候補したときも二回目も、その議論を展開しました、いずれも敗れましたけれども。三回目にも、昨年、総裁選挙のときも同じような主張をしているんです。
 そして、それを今変えろといったって無理ですよ。総理大臣になったとしても、私の長年の持論というのは変えることはできない。しかし、内閣総理大臣として、現実の政治課題にのせるということと日ごろの持論というのは、当然、政治家ですから、変わってもいい。あるいは、課題にするかどうかというのは、そのときの政治情勢による。
 だから、自民党議員というのは、党是でみんな憲法改正論者ですよ。それを現実の政治課題にのせるかどうかというのは、また別問題です。私も、できたら憲法を改正した方がいいと思っています。しかし、今の小泉内閣では憲法改正を政治課題にはのせないと言っているんです。それは、全然おかしいことではないと私は思っています。むしろ、長年そういう考えを持っているんだから、総理大臣だからといって変えた方がよっぽどおかしいじゃありませんか。一貫していますよ。将来、郵政三事業民営化の議論が出てきたときにそれを論ずればいいのであって、今は郵政公社化のための法案であり、信書に民間参入がされる法案であり、そういう法案をしているから今までの持論は変えましたと言った方がよっぽどおかしいじゃないですか。私はそう思いますよ。
平林委員長 簡潔にお願いをいたします。
重野委員 この法案の提出者は、その束ねる役は内閣総理大臣でしょう。そして、今、政府を支える与党が三つの修正案を出した。その自民党の総裁は小泉純一郎です。あなたの言葉の使い分けというのは聞き捨てならないですよ。私は、内閣総理大臣はこう思っている、しかし、与党なり自分が束ねる党がだめだと言えばやめるべきだ。そこら辺の言葉の使い分けをもって逃げるというのは、ひきょうだと思うのです。
 これはどう考えたって、今でもあなたはまだこの期に及んで、郵政は民営化すべきである、さっきから言っているけれども、しかし、出している法案は、あなたが言っていることと随分違った内容になっているじゃないですか。いいですか。そのことを、私は、法案を提出する方がそういう言葉の使い分けをするというのは容認できない。問題がある。その点についてどうなんですか。もう一度答えてください。
小泉内閣総理大臣 今御審議いただいている法案は、民営化法案じゃないんですよ、公社化法案なんです、信書便法案なんです。それを、将来の問題はどう考えるかということだから私は丁寧に質問に答えているのであって、それをおかしいというのは、それは意見が違う、いいですよ、私の意見はおかしいという御指摘は結構ですけれども、私の考えを変えろというのは、政治家としてそれは無理ですよ。政治家個人の考え方として今まで長年言ったことを変えろというのは無理だし、これからも……(発言する者あり)そうそう、変えるのが不自然ですよ。しかし、今はこの法案を成立するために努力しているんですから、それはそれで分けていいんじゃないですか。将来そういう民営化の議論をするんだったらまたして結構ですけれども、当面はこの法案を成立するために努力する。
 そして、それを修正したからおかしいとか言っておられますけれども、それは国会議員の多数の賛成の議論を得るための努力の過程なんです。独裁で、言っていること全部私の言うとおりになるなんてありっこないじゃないですか。世の中、思うとおりにならないのが世の中ですから。そういうことを考えれば、できるだけ多くの意見に謙虚に耳を傾けて、国会の多数の意見を入れながら、少しでも一歩前進するような法案を出す、民間参入できなかった法案をまず可能にする、まず一歩の努力が大事だということを言っているんです。
平林委員長 質問時間が切れておりますが、もう一問質問を許します。総理も簡潔に御答弁を願います。
重野委員 もう時間が来ていますし、なかなか議論がかみ合わないのですが、一つ、私は九州の大分県という、しかも私の家というのはもう山の中だ。以前は、魚屋さんが売りに来る、それから車でみんな物を売りに来よったんですよ。今全然来ないんです。来たって商売にならないんです。いいですか。民営化の問題というのはそこが理屈なんですね、合わぬことをせぬのですよ。
 それは、東京とか大阪みたいな大都会、密集しているところというのはいざ知らず、日本の、面積的に言ったらほとんどの部分は過疎地ですよ、過疎地です、商売にならない地域。いいですか、そういうところから出る我々からすれば、あなたのような形でこの郵政問題を語るというのはなかなかかみ合わないので、そこら辺は、あなたやはり日本全土を束ねる総理大臣だから、そういうところの思いというのをどう体現して受けとめていくか、そのことが問われている、この問題については。その点をひとつしっかり受けとめていただいて、今後の政策判断に生かしていただきたい。そのことをお願いして、終わります。
平林委員長 次に、小池百合子君。
小池委員 最後のバッターでございます小池でございます。バッターになったり、投げたり打ったり忙しいのでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 きのうも総務委員会の方で、提出者であり質疑者でもございましたけれども、信書とは何かということなどで、中には禅問答的なやりとりもあったかとは思うのですが、法律をつくっているわけですからいろいろと決めていかなければならないということで、それもこの審議の場においては必要なことだと感じております。
 ただ、やはり私は、改革というのは目の前のことだけでなくて、中長期的なことをにらんでこそ政治家としての先を見通す能力であり、またそれが責任であるというふうに思うわけでございますけれども、信書の定義は何ぞやと言っている間に、もうだんだん手紙そのものが、通信手段の変化によってEメールとかネットに取ってかわられちゃっているんですね。実際に郵便物の数は減ってはおりませんけれども、その中身の、いわゆるあいさつであるとか、かつてのラブレター的なものとか、ちっちゃな子供たちでさえメールでやっているということで、今後考えていかなければならないのは、そういう大きな話も含めてではないかと思うんですね。
 そこで、これはもう法案の成立を目の前にしてはおりますけれども、やはりここのところの将来の展望ということもきっちりと踏まえておくのが必要だと思いますので、総理に伺います。
小泉内閣総理大臣 世の中の進歩は驚くべきものがありまして、日進月歩といいますけれども、私どもいわゆる古い世代に属する人間にとってみては、今、若い人たちが歩きながら携帯電話で話している、固定電話がもう携帯電話より少なくなっちゃった、公衆電話の中で携帯電話をかけている人の姿を見るとびっくりしますよ。何で公衆電話に入って携帯電話をかけているのかと思うぐらい、ちょっと理解できない行動を、最近の若い方、されていますね。そういう点において、Eメールあるいはファクス、携帯電話で、今は外国に行っても携帯電話で話していますよ。どこと話しているんだと、カナダで。そうしたら、鹿児島、東京、大阪、自由に話している。こういう時代が来るとは予期しないことだったわけでありますが、それがもう当たり前の時代になっている。ファクスにしてもそうです。これも、本来役人でなくては、公務員でなくては信書の秘密は守れない、これもおかしなもので、ではファクスはどうなんだ。役人がやっているのか。民間企業がやっているんじゃないですか。
 そういうことを考えると、私はやはり、現在のいろいろな問題も変えていかなきゃならない、時代の要請にこたえていかなきゃならぬ問題がたくさんある。この信書の問題についても、定義についても、かつては信書と定義したかもしれない、しかしこれからは、信書と言われたものでも民間企業でも秘密は守れるんじゃないか、民間も配達できるんじゃないかという時代が必ず来るし、あるいはまた、今我々が想像していた以上のいろいろな通信手段が発達してくるのではないか、そう思っています。だから、時代にこたえるような改革は常に心がけていかなきゃならないなと思っております。
小池委員 e―Japan政策というのも今推進しておられるわけで、ということは、ますます信書とは何ぞやという定義も、時代とともにどころか日進月歩で変わっていくんじゃないか、そういうぐらいの発想を持っておかないと、なかなかすべて固定化してしまうわけにはいかないのではないかと思っております。
 それから、今回の法案で、結局全面参入を認めつつも、クリームスキミングさせずにユニバーサルサービスを求める。なかなかこの辺のところは難しいところですけれども、その結果として、最大の、業界最大手と言われるようなところは参入をしないというふうに実際おっしゃっているわけでございますね。
 今後、これまでも民営化ということを、それが百里なのか五十里なのか十里なのか存じませんけれども、そういった意味では、今回の一里塚という表現、半里塚ぐらいで終わっちゃっているんじゃないんでしょうか。
小泉内閣総理大臣 これは昔からの慣用句なんですよ、一里塚というのは。第一歩と同じなんです、千里の道も一歩から。ことわざじゃないけれども、慣用句でしょう。東海道五十三次の時代に一里塚、これはもうすごく当たり前の議論なんです。半里塚だろうが一里塚だろうが同じなんですよ。千里の道も一歩から。まだ大きな改革の第一歩なんです。
 それを、表現について現代に合わせなきゃならないという問題もありますけれども、今の人は一里というのは何キロかというのを知らない人がたくさんいますね、小学生、中学生。そういう表現の問題であって、私は大きな改革もまず第一歩から、小さな改革から始まるんだということを言っているわけでありまして、私は、これですべて改革が終わったとは思っていませんよ。
 そういう面において、これは大きな前進である。それは、後退後退と言っている人たちは今まで何も言い出さなかったじゃないかと言いたいです、私は。私が言う前に、一体先に提案したのかと。提案をしていってから初めて言った。改革を言い出したから、不十分だと言い出している。それまで、それでは不十分だと言ったこの改革を言い出した人たちがいるのかと言いたいですよ。改革をすると、不十分だ。しかし、それまでは改革を言い出さなかったじゃないですか。
 そういうことから見れば、私の進める改革というのは一歩一歩着実に進んでいる。この法案も大きな改革に向けた第一歩だ、改革のための一里塚であるという考えには変わりありません。
小池委員 いろいろな見方があるとは思いますけれども、しかしながら、今回の公社化の目的ということも、基本的には、コスト感覚とかコストパフォーマンスであるとか効率性であるとか、そういった企業的な組織、業務運営、これを実現するということが行革会議の最終報告の中にも盛られているわけですね。
 ところが一方で、職員は国家公務員のままであるし、これはきのうも申し上げたんですけれども、何か権威だけを振り回すような、総裁みたいな名前はやめた方がいいんじゃないか、むしろ公社長とか社長ぐらいにした方がよかったんじゃないかと。これまでもいろいろな総裁がおられましたけれども、経営責任をとった総裁というのを私は知らないんですね、自民党総裁はどうかわかりませんが。
 いずれにしましても、せっかく公社化するわけですから、職員を、全体を含めて意識改革しなくちゃ、国民にとっても、まず公社化したなんということでさえ、何が変わったのという話になってしまうんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。
小泉内閣総理大臣 これは大事な御指摘だと思います。まず意識改革ですよ。郵便局の仕事は国民のサービスのためにあるんだ、総裁だから偉いんじゃないと。
 名称のことを言われましたけれども、私も自民党総裁ですから、名前はどうこう言いませんけれども、野党も、総裁だって党首だって同じでしょう、名称が違うだけで。それに、そういう名称には私は余りこだわりません。要は、公社になってもどういう意識改革をして国民にサービスを提供していくか、これが大事だと思いますので、今言った意識改革、それは、私は民間企業が参入することによって意識改革は促進されると思っています。
 国家独占、この仕事は役所でしかしないんだ、民間はできないということによってよりも、民間参入することによって、おちおちできないな、民間とサービス競争しなきゃならないなということが意識改革につながっていくんじゃないでしょうか。しかも、今回は公社になっても企業会計原則にのっとって経営しなきゃならないんですから、これは大きな意識変革になると思っております。
小池委員 ちょっと視点を変えまして、金融の観点から私ちょっと心配していることがございまして、これで公社化を進めていくと。最大の改革の本丸は、以前から私もそう思っているんですけれども、財投。ですから、簡保、郵貯の問題で、これは非常に大きな問題であって、また、論議はこの後しっかりと積み重ねなければならない。
 一方で、ことしの四月からいわゆるペイオフが始まったわけでございますけれども、しかしながら、来年の四月からついに流動性預金と決済性預金のペイオフが完全実施ということがスケジュール化されておりますね。そうなりますと、ことしは定期性預金のペイオフをしたということですけれども、今お金の行き場をどこにしようかというふうにもうみんな迷っているわけです。
 その中で、例えば郵便局の郵便貯金そして郵便振替口座、こういったところに、これまでの委員会の方で、まだそれは余り大きくは生じていないというお話ではございましたけれども、しかし、今度の四月のときは本当に行き場がなくなってしまうということを考えなくてはならない。
 そうすると、民間でできるものは民間でというその改革の精神は私は賛成でございます。しかしながら、結果として、このペイオフという全然別の、金融機関の不良債権の処理と、また金融機関の再編という大きなテーマによって、郵便貯金の部分がなだれ込んできたときには、これまで銀行業界が訴えてきたところのいわゆる民業圧迫になってしまって、お金の流れがむしろ官の方に行ってしまうという一種の合成の誤謬が起きてしまうんですね。
 今、やはり金融の問題というのは、都市銀行その他の金融機関からは、貸し出しというよりも貸しはがし状態になっている。その中で、実際に国民のお金のみならず、県などが持っているお金の行き先なども含めて、むしろ郵便の方に行ってしまったりすると、これは逆行するんじゃないかと思うんです。
 我が党といたしましては、そういったこともかんがみて、来年の四月からの本格的なというか、ペイオフの全面解禁、これについてはかなり問題があるんじゃないか。国際公約ということもあります。しかしながら、結局、それによって税金でもってその後の穴埋めをするということを考えれば、社会的コストとしてむしろそれを延期するもしくは凍結するという方が政策的に正しいのではないかと思うわけでございますが、この見解をお伺いしたいと思います。
小泉内閣総理大臣 小池議員には、いつも保守党の立場から、いろいろ安全保障の面から、今言った金融の面あるいは国会対策の面で、いろいろ御協力いただいて感謝しております。
 今の御指摘も大変大事な点でありまして、私自身、中小企業に対する配慮というのは大事だと思っていますし、今回、ペイオフ実施に伴いまして金融機関がより一層国民の信頼を得られるような強固な経営基盤を持っていただかなきゃ国民の信頼を得られないという中で、郵便局が一番安全だということでこの移動が起こるんじゃないかと言いますけれども、これは、民間金融機関も一千万円なんです。郵便貯金も上限が一千万円なんです。
 だから、国民の中には、それは民間金融機関でも分散することが出てくるのは私、否定しません。郵便局にも流れるお金があるでしょう。それも否定しません。しかし同時に、このペイオフというのは、民間金融機関に対して、より経営の健全性を確保してもらいたい、情報を開示して国民から信頼ある金融機関をつくってもらいたい、国際競争にも勝ち抜けるような、そういう経営基盤をつくってもらいたいと。
 今、一国内で問題を論ずることができない時代で、世界的な視野で経営強化というものを考えていかなきゃならない時代でありますので、ペイオフを予定どおり実施するという方針でやっておりますが、今言ったような中小の問題、国民の不安に対する問題、郵便貯金の御指摘されました大きな官の資金の流れの問題、これは将来の問題でありまして、御指摘の点を十分踏まえて、公社化に当たりましても今後の公社の運営、経営に当たりましても配慮しなきゃならない問題だと思っております。
小池委員 将来の問題ではあるんですが、しかし、このペイオフについてはもう来年の四月ということに迫ってきているわけでございます。最近のニューヨーク等々の動きなどを見ておりましても、非常に不安定なところが私どうしても気になる。一方で、国際公約ということはそれはもう十分わかっている。そして、金融の再編をしっかりやっていかなければ、それもやらなければならないこともわかっている。不良債権の処理もしなければならないことはわかっている。
 しかし、やはりここは総合的に一度せきとめて、しっかりと優先順位を決めておかなければ、本当に大変重要な局面を迎えてしまうことになるということだけ最後に指摘させていただいて私の質問を、最後のバッターを終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
平林委員長 これにて各案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより各案及び両修正案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 私は、自由民主党、公明党及び保守党を代表いたしまして、ただいま議題となっております郵政公社関連四法案、与党三党提出の修正案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 まず、日本郵政公社法案及び日本郵政公社法施行法案は、中央省庁等改革基本法第三十三条の規定に基づき、郵政三事業を一体的に経営する国営の新たな公社として日本郵政公社を設立するものであります。
 これにより、郵便、郵便貯金、簡易保険など国民の生活基盤サービスを郵便局ネットワークを活用して全国あまねく提供するという郵政事業の意義は引き続き確保しつつ、予算の国会議決等の事前管理から中期目標管理による事後評価に移行するなど、独立採算制のもと、郵政事業の自律的かつ弾力的な経営を可能とし、引き続き全国公平なサービスの提供を確保しつつ、より一層の高いサービスを国民が利用できるものであります。
 次に、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案についてであります。
 郵便事業は、明治四年の創業以来百三十年にわたって、ポスト投函や全国均一料金といった、全国あまねくできるだけ安い料金でサービスを提供するといういわゆるユニバーサルサービスを提供し、国民生活に定着するとともに、全国的に統一された政治、社会、経済、文化その他の諸活動が信書送達サービスによって可能となり、国家国民の一体感を醸成し、大きな貢献をしてきたものであります。このユニバーサルサービスを確保するために、郵便事業は、信書の送達を独占としてきたところであります。
 このような郵便事業に対する民間参入のあり方については、平成十年、中央省庁等改革基本法におきまして、「政府は、郵便事業への民間事業者の参入について、その具体的条件の検討に入るものとする。」と規定されていたところであります。また、平成十二年の行政改革大綱においては、民間参入について、公社化にあわせて実現するとされてきたところであります。これまでの間、総務省において民間参入に関する制度設計につき着実に検討を進め、その成果を踏まえて法案が提出されたものであります。
 賛成する理由の第一は、郵便事業への民間参入に当たって、郵便のユニバーサルサービスの確保を大前提としつつ、競争導入により、利用者の選択の拡大や料金の低廉化を図ることとしている点であります。具体的には、クリームスキミング防止のための一定の条件を課しながら全国全面参入を行う一般信書便事業、及び高い付加価値などの特殊な需要に応ずるための特定信書便事業を設け、ユニバーサルサービスと競争導入の成果のバランスを図っております。
 第二に、民間事業者が信書の送達の事業を行う場合にあっては、憲法上保障された信書の秘密が郵便事業の場合と同様に確保されるなど、利用者保護が十分に図られております。具体的には、信書便事業に従事する者が信書の秘密を侵した場合には、郵便事業に従事する者と同様に加重された罰則が科されるほか、信書便管理規程を通じて適切な業務運営が確保される等、信書の秘密を確保しております。
 第三として、これまでいろいろ議論のあった信書の定義につきまして、判例に従い、法律に定義が定められたことについて、信書の秘密及びユニバーサルサービスの確保の観点から一定の評価ができると思います。そして、この法律の定義の範囲内で総務省においてガイドラインを作成し、具体的な当てはめについては、一層の明確化を図るという方向性が示されたことについても評価できます。
 次に、与党三党提出の修正案は、郵便局のあまねく全国における設置を明記するとともに、郵便事業への民間参入を踏まえ、郵政公社の経営の自由度を付与する観点から、郵便の業務に密接に関連する事業を行う者への出資規定を追加するほか、国庫納付金については、郵政公社の経営の健全性をより確実にする観点から、中期経営計画の期間中の積立金の増加額の一部を納めることに改めることとしています。
 これらの修正は、郵政のユニバーサルサービスを確保するとともに、国民生活に不可欠なサービスを提供する郵便局ネットワークを引き続き維持するものであり、適切かつ妥当なものと考えます。
 以上のような理由により、修正案に賛成の意を表するものであり、さきに述べた四法案とあわせ、引き続きユニバーサルサービスの提供を確保しつつ、より一層質の高いサービスを国民に御享受いただけるようにするものであり、平成十五年四月一日の設立に向け、一日も早くこれらの法律が成立することを強く要望いたしまして、私の賛成討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
平林委員長 次に、荒井聰君。
荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表いたしまして、日本郵政公社法案及び同施行法案に賛成、与党提出の日本郵政公社法案及び同施行法案に対する修正案には反対、民間事業者による信書の送達に関する法律案及び同施行法案には反対の立場から討論を行います。
 まず、日本郵政公社法案についてであります。
 小泉総理は、さも自分が遂行した大改革であるように宣伝しておられますが、これは行政改革会議最終報告及び中央省庁改革基本法の基本的枠組みを出るものではなく、橋本元総理による行革の実務的な整理というべき法案であります。
 また、内容的にも、橋本政権時の改革案に比べ前進したと胸を張り得るほどのものでは決してなく、おおよそ改革法案と呼べる代物ではありません。まして、このレベルの法案に対して抵抗する自民党の族議員と妥協に妥協を重ね、修正を行うことは論外であります。郵便貯金、簡易保険の改革には皆目手がつけられておらず、総裁人事も役所の一存で決めてしまうなど、不十分な内容であります。
 しかしながら、同法案は、郵政公社に民間と近い条件を付与し、民間との競争から活力を見出さんとする意図も認められます。公社化そのものについては、かねてから民主党も認めているところでありますので、賛成としたいと考えております。
 続きまして、与党三党から提出された郵政公社法案及び同施行法案に対する修正案ですが、これは、自民党の族議員とパフォーマンス先行の小泉総理との妥協の産物であり、その内容は改革を大きく後退させるものであります。
 国庫納付金については、当初、法人税、預金保険料相当を納付するものとし、民間とのイコールフッティングを図るとされておりましたが、今回の修正案は実質的に預金保険料相当額の納付を免除するものであり、競争政策上、大変な問題があると考えられます。また、出資条項については、経営の自由度の確保を図る意図もあろうかとは思いますが、それよりまず効率化するべき分野は幾らでもあります。
 一方で公社という特権を与えながら、一方で出資を柔軟に認めようというのは、まさに官のいいとこ取り修正としか言いようがありません。さらには、天下りあるいはファミリー企業問題の新たな温床となる懸念もぬぐい切れません。この焼け太り修正案に対しては反対するものであります。
 次に、信書便法案についてですが、信書の定義を初め具体的な事項が法案に明記されておらず、民間の事業者からも、いわゆる抵抗勢力からも批判を受ける結果となっております。また、同法案は、総務省の許認可によってがんじがらめに民間を縛る内容となっております。最も参入に近いと言われた大手宅急便業者でさえ、既に、一般信書便事業には到底参入できないとの見解を示しております。民間が参入できない民間参入法案では何の意味もありません。このような法案を提出して改革、改革と振る舞う小泉総理は、まさに国民を欺くものだと考えます。
 さらに、ほかにも小泉総理のこのような振る舞いにより大きな被害をこうむった方々がおります。それは郵便局で今日も汗をかく一人一人の郵便局職員の皆さんであります。不明瞭な法案の定義、総理の発言、そしてまさに郵政事業を政治のおもちゃとしてしまった政府・与党間の一連の騒動、これらがどれほど三十万人近い郵便局職員の仕事に対する情熱を奪ったことか、想像するにかたくありません。
 このような法案は即刻撤回し、民間事業者が意欲を持って参入でき、かつ、郵便局員にとっても民間との競争を活力に意欲がわく真の民間参入法案の提出を求めるものであります。
 以上で討論を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
平林委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 私は、自由党を代表して、政府提出の民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に反対、日本郵政公社法案、日本郵政公社法施行法案に賛成、与党三党提出の修正案に反対の討論を行います。
 政府提出の郵政関連法案は、小泉総理の言う郵政民営化を推進するものでは全くありません。総理にとっては、内容はなくとも法案を通したという名をとる。自民党は、法案は通したが中身は何も変わらないという実をとる。その結果が、この関連法案と自民党の修正案提出をめぐるてんまつであって、郵政民営化を進めると言いながら目先のごまかしを行う小泉政治の象徴と言わざるを得ません。
 自由党は、郵政事業改革基本法案を対案としてこの国会に提出いたしました。郵政三事業をそれぞれに分割した上で、郵便貯金と簡易保険事業はどんなに遅くとも十二年後までには完全民営化し、郵便局については、住民に身近な地域社会のサービス拠点と位置づけ、郵便の役務を日本全国あまねく公平に提供する体制を整備するという考え方に立つものであります。
 郵貯、簡保の民営化は、経済構造の改革そのものであり、自由で健全な市場経済を発展させるために、また官僚主導の資金運用を排除するために、必要不可欠であります。民営化の準備活動のプロセスとして、郵政事業を公社化することは否定いたしませんが、一番肝心の郵貯、簡保の民営化についてメスを入れることのない小泉総理の改革は、看板に偽りありと言わざるを得ません。
 郵便事業については、たとえそれが赤字になることがあっても、国が責任を持って維持しなければならない性格のものであります。政府案は民間参入を認めると言いますが、郵便事業を今後どうすべきかという明確なビジョンに基づくものであるとは到底思われません。
 また、与党提出の修正案は、郵便局の整理合理化など郵便ネットワークの合理的な整備に支障が生ずること、出資を認めることにより、子会社や孫会社をつくって天下るなど、公社の焼け太りにつながるものであることなどから、反対することを申し添えて、私の討論を終わります。(拍手)
平林委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、小泉首相が郵政民営化の一里塚と位置づける郵政関連四法案に反対の討論を行います。
 第一に、信書便法案についてであります。
 法案の根幹である信書の定義があいまいだということです。時の政府の解釈でくるくる変わるような定義を根幹に置く本法案は、そもそも欠陥法と言わなければなりません。加えて、土壇場の政府と自民党の合意で、これまで信書とされてきたダイレクトメールの大半を信書でないとして、民間に解禁する道を開きました。民間によるいいとこ取り参入を進めれば、もうからない地方や第三種・第四種郵便の切り捨てに進むことは必至であります。
 次に、日本郵政公社法案及び施行法案についてであります。
 第一は、予決算という国会の最大のチェック機能を排除し、国民利用者による新たなチェック機関を一切設けず、役員の任免権、経営目標、経営計画の認可権など日本郵政公社の支配権を総務大臣に集中することで、官僚の権限を拡大していることであります。事業経営は国民の目から遠ざかり、腐敗、癒着の解決に逆行するものと断ぜざるを得ません。
 第二は、国営企業である日本郵政公社に民間企業の企業会計原則を持ち込むことによって、郵便事業部門では新たに一兆六千三億円という巨額の会計上の負債が計上され、郵便事業が債務超過とされることであります。その解消のために、サービス切り捨てと労働者への犠牲のしわ寄せが進まざるを得ません。
 第三に、障害者の情報保障に不可欠な点字郵便、盲人用点字録音物を無料とする郵便法第二十六条第三項を削除していることです。
 なお、与党三党提出の修正案については、郵政公社が出資を可能とするもので、国民の批判を浴びている郵政利権の巣窟であるファミリー企業の拡大をするものであり、反対であります。
 以上、郵政四法案は、大銀行の新しい利権を拡大する郵政民営化に道を開く一方、古い利権である郵政ファミリー企業群や腐敗の温床である政権党と特定郵便局長会、郵政官僚の癒着には一切メスを入れず、改革の名に全く値するものではない、このことを強調して、反対討論を終わります。(拍手)
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、日本郵政公社法案及び日本郵政公社法施行法案、民間事業者による信書の送達に関する法律案、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対し、公社化関連法案及び修正案に賛成、信書便関連法案に反対の討論を行います。
 さて、社会民主党は、国民共通の財産である郵便事業の民営化について、不採算部門を切り捨てユニバーサルサービスを崩壊に導くことから、かねてから反対してきました。少子高齢化社会が急速に進展し、二〇二五年には三人に一人が高齢者となる中で、国民生活の観点からも、郵便局とそのネットワークを社会的なインフラとして、住民への公共サービスの拠点として、積極的に活用していくことにこそ大きな課題があると考えます。
 公社化自体についても、種々の問題がないわけではありませんが、与党時代に社民党も入って決めた経緯があり、法案に賛成するものであります。しかし、国民にとっての公社化の積極的なメリットを明らかにし、真に国民から信頼され愛される郵政事業になるよう、特定郵便局長会の見直しや郵政ファミリーの改革が前提であることを強調したいと思います。また、公社といっても経営最優先に流されるのではなく、国民的労力の積み重ねの上に今日の郵政事業があることを忘れることなく、公共性をしっかり発揮していくことを期待するものであります。
 あわせて、今後とも二万四千七百の郵便局数の現行水準を全国あまねく維持するなど、ユニバーサルサービスの提供、福祉施策としての第三種・四種郵便の堅持と財政支援、公社の経営力の補強などにより、郵政事業の公共性を守っていかなければならないと考えます。その意味で、与党の修正案は、こうした課題を最小限満たすものと認めます。
 なお、郵便事業への民間企業参入によって郵政公社が打撃を受ける代替措置として、郵政公社の経営の自由度を高め、郵便事業に民間が参入しても経営の安定を確保するために、民間企業への出資を認める旨の修正が行われますが、いやしくも官僚の天下り先、利権の増殖とならないよう、徹底した透明化と情報開示を行うなど厳に留意すべきと考えます。
 信書便法案関係については、ダイレクトメールやクレジットカードが信書に当たるかなどの詳細を法案に明記せず、省令、ガイドラインにゆだねることは、典型的な裁量行政であり、厳に慎むべきものであることは言うまでもありません。基本的に民間参入を認める法案であり、民営化の一里塚になることが懸念されるため、反対であることを申し添えます。
 なお、三種・四種郵便物の無料化、減免について、現行制度維持の方向が出されている点については率直に評価し、討論を終わります。(拍手)
平林委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
平林委員長 これより各案について順次採決に入ります。
 初めに、日本郵政公社法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、八代英太君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
 次に、日本郵政公社法施行法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、八代英太君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 この際、ただいま議決いたしました両法律案に対し、稲葉大和君外二名から、自由民主党、公明党及び保守党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。稲葉大和君。
稲葉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、公明党及び保守党の三会派を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    日本郵政公社法案及び日本郵政公社法施行法案に対する附帯決議(案)
  政府は、左記事項について所要の措置を講ずべきである。
 一 日本郵政公社は、郵便、郵便貯金及び簡易生命保険などの国民の生活基礎サービスを全国あまねく公平に提供する事業を運営するとともに、国民共有の生活インフラ・セーフティネットである郵便局ネットワークを運営するものであり、二十一世紀においても国民生活の安定・向上に極めて重要な役割を果たすことから、これを円滑に発足させるとともにその後の着実な運営が確保されるよう万全を期すること。
 二 日本郵政公社は、全国の郵便局ネットワークが今後とも、ひまわりサービスやワンストップ行政サービス等地域社会におけるコミュニティ機能の中核を担うことを可能とするため、郵便局ネットワークの有効活用を推進するよう努めること。
 三 日本郵政公社は、郵便事業及び郵便局ネットワークの意義にかんがみ、郵便局ネットワークが現在と同水準に維持されるよう努めること。
 四 公社は、さらに一層国民・利用者の視点に立った経営を行うため経営の効率化とサービス改善に努めること。
 五 公社が出資を行う際には、その対象範囲・規模等について国営事業としての節度に留意し、透明性の確保に努めること。
 六 公社の経営の健全性を確保するため、法第三十七条の積立金の「基準額」については、公社の負債に対する自己資本の比率を踏まえ公社と類似の業務を営む民間企業と同等の水準となるよう、その額の計算方法を定めること。
 七 総務省及び日本郵政公社は、郵便法第二十六条第二号及び第三号の盲人用郵便物について、無料の取扱いとするとともに、心身障害者のための政策的軽減料金の維持に特に配慮すべきこと。
以上であります。
 何とぞ皆様方の御賛同をお願い申し上げます。
平林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本動議のとおり両法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
平林委員長 次に、民間事業者による信書の送達に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 この際、ただいま議決いたしました両法律案に対し、稲葉大和君外二名から、自由民主党、公明党及び保守党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。稲葉大和君。
稲葉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、公明党及び保守党の三会派を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    民間事業者による信書の送達に関する法律案及び民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、左記事項について所要の措置を講ずべきである。
 一 信書の送達に当たっては、ユニバーサルサービスを確保するための必要な措置をとること。
 二 信書の定義に従い信書の範囲に関するガイドラインを作成するに当たっては、あくまで国民・利用者の立場から法文に忠実に基づいて行い、「民間事業者に業務を行わせるため」の意図的な解釈は行わないこと。また、ダイレクトメールについては基本的に信書に当たること。さらに信書による通信が国民の思想、表現の自由に密接な係わりを有するものであることを踏まえ、信書の秘密の確保に悪影響を及ぼすことがないようにすべきこと。
 三 民間事業者によるクリームスキミングを防止するため、信書の範囲についてのガイドラインが遵守されるよう、国民・利用者への周知をはじめ必要な措置を講じること。
 四 民間事業者の参入条件に関する省令を定めるに当たっては、全国のすべての地域において民間参入の効果が享受できるように、地方自治体や地域住民の意見を十分に尊重すること。特に信書便差出箱の設置基準については、概ね公社の郵便差出箱と同水準のものとし、市町村毎に最低設置数を設けること。
 五 信書便差出箱の設置以外の引受け方法に関する省令を定めるに当たっては、信書便差出箱の設置による場合と同様に、全国すべての地域において住民がいつでも簡便に利用でき、かつ、信書の秘密が確実に確保されるように、基準を定めることとし、利用者の意見を十分に聴取した上で決定すること。
以上であります。
 何とぞ皆様の御賛同をお願い申し上げます。
平林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
平林委員長 起立多数。よって、本動議のとおり両法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
平林委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
平林委員長 この際、一言申し上げます。
 本日の委員会で郵政公社法案が修正議決されました。今後法案が成立されますとすれば、公社の決算については総務大臣より国会に報告されることとなります。報告されましたら、できるだけ速やかに当委員会で調査を行うことが必要であります。
 その取り扱い方については、理事及び関係委員会と協議を進めたいと存じます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十分散会


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