衆議院

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第30号 平成14年9月6日(金曜日)

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平成十四年九月六日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 稲葉 大和君
   理事 川崎 二郎君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      伊藤信太郎君    上川 陽子君
      熊谷 市雄君    小西  理君
      河野 太郎君    阪上 善秀君
      新藤 義孝君    滝   実君
      野中 広務君    松島みどり君
     吉田六左エ門君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    玄葉光一郎君
      島   聡君    田並 胤明君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      石原健太郎君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    小池百合子君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       熊代 昭彦君
   内閣府副大臣       松下 忠洋君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      河野 太郎君
   総務大臣政務官      滝   実君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君
   政府参考人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (人事院事務総局人材局長
   )            石橋伊都男君
   政府参考人
   (人事院事務総局勤務条件
   局長)          大村 厚至君
   政府参考人
   (内閣府大臣官房審議官) 谷内  満君
   政府参考人
   (総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          荒木 慶司君
   政府参考人
   (法務省大臣官房司法法制
   部長)          寺田 逸郎君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月四日
 辞任         補欠選任
  小池百合子君     井上 喜一君
同月五日
 辞任         補欠選任
  井上 喜一君     小池百合子君
同月六日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     熊谷 市雄君
  左藤  章君     上川 陽子君
  谷  洋一君     阪上 善秀君
  谷本 龍哉君     小西  理君
  吉野 正芳君     松島みどり君
同日
 辞任         補欠選任
  上川 陽子君     左藤  章君
  熊谷 市雄君     大野 松茂君
  小西  理君     谷本 龍哉君
  阪上 善秀君     谷  洋一君
  松島みどり君     吉野 正芳君
    ―――――――――――――
七月三十一日
 一、国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第五八号)
 二、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第五九号)
 三、特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第六〇号)
 四、聴覚障害者の利便の増進に資する字幕番組の提供の促進のための放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(大畠章宏君外二名提出、第百五十三回国会衆法第三号)
 五、特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案(岡田克也君外八名提出、衆法第六号)
 六、行政機構及びその運営に関する件
 七、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件
 八、地方自治及び地方税財政に関する件
 九、情報通信及び電波に関する件
 一〇、郵政事業に関する件
 一一、消防に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――
平林委員長 これより会議を開きます。
 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官春田謙君、人事院総裁中島忠能君、人事院事務総局人材局長石橋伊都男君、人事院事務総局勤務条件局長大村厚至君、内閣府大臣官房審議官谷内満君、総務省人事・恩給局長久山慎一君、総務省自治行政局公務員部長荒木慶司君、法務省大臣官房司法法制部長寺田逸郎君及び財務省大臣官房審議官加藤治彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
平林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
平林委員長 去る八月八日の一般職の職員の給与についての報告及び給与の改定に関する勧告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁中島忠能君。
中島政府参考人 人事院は、八月八日、国会と内閣に対し、公務員の給与に関する報告及び勧告並びに公務員制度改革が向かうべき方向についての報告を行いました。
 早速その内容について御説明申し上げる機会を与えていただき、厚くお礼申し上げます。
 以下、その概要を御説明いたします。
 まず、職員の給与に関する報告及び勧告について申し上げます。
 本年は、かつてなく厳しい経済雇用情勢を踏まえ、民間企業における給与の抑制措置や雇用調整の実施状況等について例年以上に詳細に調査を行ったほか、各府省の人事当局や職員団体、全国三十八都市の中小企業経営者など各方面からも幅広く意見聴取を行い、勧告に臨みました。
 本年は、官民給与の調査、比較の結果、厳しい民間給与の状況を反映し、四月時点における月例給与の官民較差はマイナス七千七百七十円、率でマイナス二・〇三%となることが判明しました。
 人事院としては、民間の給与水準が上がるときだけでなく下がる場合においても、情勢適応の原則に基づいて公務員給与を適正な水準に設定することが基本と考え、戦後初めて、月例給与を官民較差に見合うよう引き下げることとしました。また、ボーナスの支給月数についても、民間に合わせるため〇・〇五月分引き下げることとしました。
 この改定により、勧告による改定後の職員の年間給与は平均約十五万円減少することとなり、四年連続の減少となります。
 本年は、このように厳しい措置となりましたが、公務の活力を維持するためには、実績を上げた職員に対してはそれに応じた処遇をすることが重要です。各府省においては、現行の成績反映の仕組みである特別昇給や勤勉手当などをその本旨に即して活用することが必要と考えます。人事院としても、よりめり張りのある運用の推進を図るための指針を示すこととしております。
 続いて、勧告の主な内容について御説明いたします。
 まず、基本的な給与である俸給については、すべての級のすべての俸給月額について、平均二・〇%引き下げることとし、級ごとに同率の引き下げを基本とすることにしていますが、民間の初任給の動向及び管理職給与の動向等を踏まえ、初任給付近の引き下げ率を若干緩和するとともに、管理職層について平均をやや超える引き下げ率としております。
 また、扶養手当については、民間における配偶者手当の動向等を考慮し、配偶者に係る手当額を二千円減額することとする一方、子等を扶養する職員の家計負担の実情に配慮し、三人目以降の子等に係る手当額を二千円引き上げることとします。
 ボーナスについては、民間のボーナスの支給割合との均衡を図るため、支給月数を〇・〇五月分引き下げることとするほか、民間の支給回数に合わせるため、三月期のボーナスを廃止し、六月期と十二月期に再配分します。さらに、民間ボーナスの成績反映の状況に合わせるため、期末手当の割合を縮小し、勤勉手当の割合を、一般の職員の場合で一・一五月から一・四月に拡大することとしました。
 実施時期につきましては、不利益不遡及原則を踏まえ、四月に遡及しないこととしております。一方、年間における官民の給与を実質的に均衡させるため、不遡及部分については、十二月の期末手当の額で所要の調整を行うこととしております。
 以上のほか、各地域に勤務する公務員の給与については、その地域の民間給与の実態を必ずしも的確に反映していないとの指摘等を踏まえ、本年の民間給与実態調査においては、より的確な実態把握のため、調査方法の見直しを行いました。
 この問題については、今般、内閣からも、地域ごとの実態を踏まえて給与制度の仕組みを早急に見直すなどの取り組みを行うよう要請がございました。この問題は、関係者も多く深い検討を要する課題ですが、学識経験者を中心とする研究会を直ちに設置するなど、関係各方面と幅広く意見交換しながら、早急に結論を得るよう取り組むこととします。
 また、公務員給与制度の基本的見直しについては、民間における年功的な職能給の見直しなど賃金制度改革の動きを踏まえつつ、公務においても、職員の職務、職責を基本にその能力、実績等が十分反映される給与制度を構築していく必要があると考えています。
 なお、人事院では、可能なものから順次基準化を実施し、現在、本府省の課長等への抜てき者については、各府省の責任において、年齢や経験にかかわらずポストにふさわしい処遇ができるようになっております。ぜひとも各府省におけるこの制度の活用が望まれます。
 最後に、独立行政法人等の給与水準を国として把握することの必要性や、人事・給与業務のオンライン化と共通データベースによるバックオフィスの電子化の推進についても報告いたしました。
 続きまして、公務員制度改革について申し上げます。
 現在、公務員制度改革の検討が進められておりますが、人事院として、国民の期待にこたえる公務員制度改革に向けて、各方面での広範な議論に資するよう、公務員制度改革が向かうべき基本的方向と今後改革を進めるに当たっての留意点等を示しました。
 公務員制度改革の具体化に当たっては、公務員が国民全体の奉仕者として中立公正に職務を遂行するという基本理念を改革の原点として、セクショナリズムの是正、キャリアシステムの見直し、退職管理のあり方などについて、国民の批判に十分留意しつつ検討される必要があると考えます。
 また、外部専門家の積極的な登用や公務内においてスペシャリストを計画的に育成することにより公務組織の専門性の強化に努めることや、能力、実績を重視した昇進管理、給与処遇を支える新たな人事評価制度の整備等を進めていく必要があると考えます。
 以上、本年の報告及び勧告の概要を御説明申し上げました。
 総務委員会の皆様方におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割に深い御理解を示され、この勧告を速やかに実施していただけるよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。
平林委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。
    ―――――――――――――
平林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎二郎君。
川崎委員 昨年、給与法の改正で質問に立たせていただきました。
 昨年の人事院の認識、一つは極めて厳しい経済情勢、もう一つは公務員の人事管理に対する国民の声、両サイドから極めて厳しいよという中で人事院勧告をされた。私自身、その議論の中で、民間準拠、これをきちっと貫いてくださいよ、やってないものがありますねという議論をしました。
 一つは、ボーナスを三月に支給するという慣行は民間では極めて異例であると思う、それは直してほしい。ただし、調査をした上で、民間と違いがあれば直しますという御回答であったと思います。それからもう一つは、退職金の問題。これについては、二十一年前に是正されたまま放置されていますね、その間二回ほどお調べになっているけれども、どうもその数字も明確になっていない、そこはしっかりやってくださいよ、ことしへ向けての課題ですよ、こういうことで議論を閉じさせていただいて、給与法の改正を採決したという経過があったと思います。
 ことし、そういった中で、今お話しいただいたように、ボーナスについては、民間の実態をお調べいただいて、結局、なくそうということで改正をされることになった。そのことについては後で御見解をお聞きしたいと思います。
 実は、十年間の統計をとってみたんですけれども、平成五年と比べますと、消費者物価は、一たん上がって下がって、結局一〇〇・四ということになります。ことしは消費者物価が一・一%下がった。今回の勧告は二・三%給与を下げる。二・三、ことしの給与改正の方が多いわけですけれども、結果で見るとやはり一〇〇・四。結局、十年前と比較すると、消費者物価と、官民較差是正をする公務員給与ですから、民間も実は一〇〇・四ということになったという結論を人事院がお出しになったということになる。ただ、ことしの給与は二・三下がり、消費者物価が一・一。ですから、ことしだけで考えると、かなり厳しいということになる。長い時間で考えると、まあこういうことなのかなという感じを実は受けるわけであります。
 私も民間企業出身者でありますから、まず、企業がコストダウンを求められますと、例えば電気を消しなさいということから始まるんですね。鉛筆は二本だけだよ、このぐらい短くなったら持ってきなさいよ、消しゴムがどうのこうの、交際費がどうのと、まず経費の節減から始められます。二番目に購買、資材、研究投資、こういうものが徹底的な見直しが行われる。しかし、それでも足りなくなると、結局、最後は人件費に入っていきます。これが大体民間企業の流れだろう。
 そういう意味では、人件費が最後にどんと落ちてきたというのは、民間企業の経営からいうと大体そういう方向づけなんだろうという意識を私はしているんですけれども、総裁、極めて厳しい勧告だというお話で、私もそうだと思います。しかしながら、大方針の民間準拠からやれば、やらなきゃならぬ、これは当たり前のことでありますけれども、先ほどのボーナスの問題も含めてお話をいただければと思います。
中島政府参考人 先生よく御存じのように、民間の給与をめぐる情勢というのは非常に厳しい、雇用情勢も厳しいけれども給与についての情勢が非常に厳しいということはもうよく知られておるわけでございます。そこで私たちは、今回は民間の給与の状況、ボーナスの支給の状況というものを例年以上に詳細に調べた、また調べる方法についても改正すべきところは改正して調べたということでございます。
 その結果、公務員の場合には、昨年の四月からことしの四月までの間に、定期昇給というのが制度的に確立しておりますので、やはり徐々に給与水準というものが引き上がってきている。ところが、民間の場合には、昨年の四月からことしの四月までに給与水準が上がってきているかというと、実はそうじゃないという状況も判明しております。むしろ、ことしの一月から賃金カットとかそういうものが行われるようになりまして、若干下がりぎみになってきておるという状況でございまして、そういうところを正確に把握して、ことしの春の賃金闘争でベースアップをした企業もベースアップをしない企業も、あるいは賃金カットをした企業もしない企業も、すべてことしの四月現在の給与水準というものを正確に把握して、そしてそれと公務員の給与水準を把握する、ボーナスも同じでございます。そういう状況を比較いたしましたところが、ことしの勧告でお示ししましたように、官民が七千七百七十円の逆較差になった、ボーナスも〇・〇五月、官の方が多いというような状況が出てまいりました。
 したがいまして、今まで確立されました、民間企業で働く労働者の賃金水準というものを基本に公務員の給与水準を考えるということになりますと、非常に厳しい、公務員諸君にとってはまことにつらいことでございますけれども、こういう勧告をさせていただいた。そして、その勧告のもとにおいても、やはり公務員は国民全体の奉仕者として国民に行政サービスをしていただかなきゃなりませんので、成績主義の原則に基づいて我々が用意しております特別昇給とかあるいはまた勤勉手当というものの運用を、制度の趣旨に従ってしっかりやっていただくということもあわせてお願いしたわけでございます。
川崎委員 大臣、実はこれを議論したいんですけれども、時間がありませんので、ちょっと申し上げておきますと、十年前に我々、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたときがある、世界で一番だ。しかしながら、生活実感としてどうだ。いや、それは感じないね、日本の物価が高いからだ。これは下げなきゃならぬというのが政府の大方針だったんです。その中で、一番下がったのが実は電気通信料金。十年間で八六・九、一三%ほど下げてきた。電気料金が一〇%ぐらい。建材関係、重立ったものが落ちてきた。これは我々が目標として下げてきたんですね、実は。
 しかし、現実問題は、NTTの今回の給与三割ダウンという一つの大きなリストラといいますか改革、そういうものに結びついていく。結果として、やはりこういう数字にあらわれてくる。そういう意味では、我々も、方針としてやってきたことと、これからどうしていくんだということをもう少し切り分けて国民にわかるようにしていかなきゃならぬなという感じはしています。ただ、これは議論をすると時間がありませんので、きょうは避けさせていただきます。
 実は、この勧告の中で、地域における公務員の給与のあり方という段があります。人事院は、各地域に勤務する公務員の給与について、その地域の民間給与に比べて高いのではないかとの指摘が多くなっている、これは人事院の文章であります。一方、マスコミでは、中でも国家公務員の給与に右へ倣えしている地方公務員給与は、地元民間企業の給与水準を上回っているところが多い、これはマスコミの認識であります。
 人事院、マスコミの指摘に対して、今回、総務大臣、総務庁と自治大臣が統合された中で、どうお答えになるか、また今後どういうふうに行動されていくか、ちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 今、川崎委員言われましたように、特に田舎の方、地方の市町村の職員の給与が民間に比べて高いんじゃないか、大きい企業がありませんから、ある意味では役場や農協が一番大きい事業体ですから、そういうことが言われておりまして、今回も、人事院が勧告の中で、地域における給与の状況を調べる、こういうことでございますので、私はその結果を見たいと思いますが、地方公務員全体の給与水準というのはもう国と同じになっているんです、一〇〇・五。高かったのは大都市の衛星都市ですね。
 それで、今、市町村だけを見ますと、ラスパイレスという一つの基準をとりますと、四分の三は一〇〇を割っているんです。町村は特に国家公務員の給与に比べまして九割未満というのがかなりありますので、私は、ひところに比べると相当適正化したと思いますけれども、しかし、それでも高いという御指摘があるということは、一部にそういうことがあるのかもしれませんので、人事院の調査の結果を待って我々としても適切に対応いたしたい、下げるような、そういう意味の指導をいたしたい、こういうふうに思っております。
川崎委員 それでは、退職金問題に入ります。
 これもマスコミの認識でありますけれども、人事院は給与勧告には熱心だが、退職金になると総務省の所管とばかり腰が引けて、何もしようとしない、本来は賃金と退職金は一元的に扱うべきもの、これは中島総裁、意見があると思いますけれども、きょうは聞くだけにしておいてください。もう一つは、毎月の給与だけでなく、退職金も含めた生涯賃金の官民格差も調査し、民間準拠の原則に立ったより透明度の高い公務員給与制度の確立が求められる、これは各社大体そろいましたよ。
 去年、私はずっとこれを申し上げたんだけれども、一年おくれでマスコミも追いついてくれたかな、こういう認識をしているんですけれども、そうなりますと、去年の質問の中で、人事・恩給局、調査します、人事院にはやらせません、今回は私どもでやりますということで、自分たちでやられた。我々のところへ伝わってくるのは、二月ごろに調査はもう終えられていた、しかしながら、その精査に時間がかかるからといって六カ月間置かれたわけでありますけれども、どうですか、いいかげんにもう公表しませんか。ちょっと教えてください。
久山政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十三年に総務省が行いました民間企業退職金実態調査につきましては、現在、その結果の最終的な取りまとめを行っているところでございまして、近日中に発表することといたしております。
川崎委員 きょうの新聞報道では、十月上旬に何かあるらしいですから、余り時間がないなという感じがするんですよ。去年の議論の続きだから、もちろん、大臣続投かもしれませんけれども、やはり一つの節目のときも来るから、それまでには。大臣、来週は外国に行かれるようですから、大体再来週だろうなとお互いに見当をつけているんですけれども、しっかりしたものを出してほしいと思います。
 大臣には、調査結果が出たらそれに基づいて、やはり勇断を持ってやってもらわなきゃいかぬ。国民の声は、先ほど言いましたように厳しいと思います。
 そこで、二つだけお願いをしておきたいんです。
 一つは、民間の退職金調査、先ほど申し上げましたように、七年前にやったり五年前にやったり、調査をする時点も決まっていないんです。それから、今回は総務省、その前は人事院、その前も人事院、これはどこに方針があるのか。総務省がちょっと手があいているから今度はやるよ、忙しいとちょっと人事院、下請してくれと。これではやはり、先ほど言いましたように、民間準拠で公務員の給与を決めていくんだよという大方針の中で、多くの人が生涯賃金として給与と年金とそれから退職金とはセットだよと言われている時代に、ばらばらではだめです。そういった意味では、やはり三年に一度ぐらいはきちっとやる、そして、人事院の応援をするわけじゃないけれども、ここは人事院にやらせた方がいいですよ、と私は思います。それが一つ。
 もう一つは、公務員の退職金を是正する以上は、問題点ありと言われたものはやはり少し手を入れておく。去年も言いました。大臣も大体、私もそう思いますと。というのは、例えば旧自治省から副知事に出向する、仕事は勤めてくる、それで大体復帰しますよ。そのときに副知事の退職金はもらわないんですよ。それは、本来業務は国家公務員だと思っているからでしょう。もらってこないんですよ。
 大臣をそういう扱いとイコールとは申し上げませんけれども、我々国会議員は、基本的には特別の年金制度ということで担保されているんですよ。大臣の期間もそれに通算するんですよ。そこで、大臣の退職金なり副大臣の退職金なりをもらってくるというのはちょっとおかしいと思うので、そこはやはりおやめになった方がいい。国民に、また公務員の皆さん方に場合によっては差がある、そのときに、我々もきちっとしますよと言ってやった方が実はいいと思う。
 退職金の問題でまだあるのは、例えば特殊法人、月数を掛ける、それと一緒のように知事さんも地方自治体の三役も月数を掛ける。これは民間でどうもなじまない、こんな感覚があります。そういう意味では、そういったもの全体をやはり洗い直してほしい。公務員だけやらせてはだめですよ。全体を洗い直す、それの作業にぜひ移っていただきたいな、こう思っております。
 国会でお願いしたいのは、実は最高裁判所なんです。これだけ特例を設けて、大変高い退職金にしています。これは正直申し上げて、大臣にはいじれません。やはりこれもきちっとしなきゃならぬ、これは国会の役目であろうと思います。含めて、大臣の御回答をいただきたいと思います。
片山国務大臣 給与と退職手当は考え方が違うということになっているのですね。給与は、これはいわば勤務条件でございますが、退職手当の方は勤続報賞なんですね。長く勤めてくれて御苦労さんといういわば功労金なんですね。
 そこで、勤務条件に関するものは人事院が所管して、勤続報賞的なものですからこれは総務省の人事局が、こういう仕分けになっておりまして、しかし考え方は、今委員が言われたように生涯給与の一環をなすものですし、やはり民間準拠ですよ、官民均衡ですね。そういう意味では、民間の状況を調べてそれにそろえるということが必要なんでございますが、今までは人事院にお願いしておったのですが、今回は総務省でやる。人事院でやる、総務省でやるといっても、かなりの部分は民間にやってもらってですから、そのやり方はいろいろあるんですけれども。
 ただ、今までは、五十六年に退職手当を下げてから後、調査をしたのは五十八年と平成元年と平成八年ですね。ちょっと期間がばらばらなんですよ。今委員が言われますように、やはり定期的に調べる必要がある。調べて、やはり格差があれば格差をなくす、こういうことが必要だと思いますので、近々数字がまとまりますので、発表させていただいたら、退職手当引き下げのアクションを起こします。具体的には、法律改正は通常国会ということになるんでしょうか、そういうふうに考えております。
 そういう中で、例えば国会議員が大臣になる、副大臣なり政務官になった場合に、今の制度では退職手当は出るんですよ。勤続報賞ですから御苦労さんで、わずかですけれども。そこで、一方では年金をもらうので、制度がそういう意味ではクロスしているんですが、これはそれぞれの制度の言い分があって、ダブって受けられるようになっているんですが、国民の皆さんから見てどうだという議論は確かにあると思いますので、私は検討の必要があるのではなかろうか、こういうふうに思っておりますし、知事さんや特殊法人の役員が、最終俸給月額掛ける在職全部の月を掛けて、支給率は落としているんですよ。ただ、この支給率が知事さんなどの場合で見るとばらばらなので、この辺はどう考えていくかというのはありますね。
 特殊法人の方はそろえるように、これは申し合わせでやりましたけれども、三役の方はどうするのか、地方の特別職の方はどうするのか、これも今後の検討課題ではなかろうか。基本的には条例で決めるんですよ、地方自治ですから条例で。ただ、我々としてはどういう態度でそれに臨むかということは一つあるな、こういうふうに思っております。
川崎委員 時間がありませんので、最後の質問なんですけれども、そこで、もう少し踏み込んで、これは総務大臣というより内閣全体の話なんですが、退職金制度というのをどう考えるか。
 二十二歳で入った子、十八歳で入った子、これからは定年六十五ですよ。そうすると、四十何年後の退職金を保障してやらないという、そして日本の高額な制度、欧米と比べて明らかに乖離してきた。年金と給与、そしてもうかったときはボーナス、この三つの体系がヨーロッパ、アメリカでは基本。日本は、先ほど言いましたけれども、勤続年数による成果だというけれども、会社の役員さんまで全部そこへ入ってしまっているんですよ、ボーナスでもらわないで。ゴーンさんだけだ、ボーナスでもらったのは。あとはみんな退職金で退職金でと積んでいる。それで、何ぼもらったかわからない話になっている。そこへ入ってしまっている。
 何ですかというと、基本的に退職金税制なんですよ。公務員で一回もらう、そのときは年数を引いてもらうけれども、掛ける二分の一ですよ。そして今度、二年間特殊法人の役員をやる、そのときの退職金もまた掛ける二分の一ですよ、税金は。そしてまた関連会社に天下る、四年やったらまた退職金、また税金は掛ける二分の一でもらう。全部退職金だけは、長い間お勤めいただいたから御苦労さんと。長い間といったって、特殊法人二年ですよ、関連会社四年ですよ、それで長い間お勤めいただいた。合わなくなっていますよ。
 しかしながら、税制というものができますと、民間はどんどんそこに合わせていくんですよ。私は経営者にも会いました。私の友達の、大企業の人事本部長にも会った。どうも退職金税制全体を少しいじってもらわないと、世の中だんだん変わってこないよと。民間給与も、どうするんだ、四十年後に退職金やろうか、それとも今六%給与上げようか、こんな選択制にもなってきた。民間は変わってきているんですよ。それに合わせて税制も少し検討する時代になってきた。
 ちょっと財務省、このことについて簡単にお答えいただきたいと思います。
加藤政府参考人 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘のとおり、退職金につきましては、勤続年数に応じて一律に控除額が算出されて引かれる、それからその後の所得については二分の一課税ということで、これは政府税調でも議論をしております。
 特に、今先生まさに御指摘のとおりで、社会全体、中途退職とか転職が増加する、それから退職金と給与の選択制の導入とか、いろいろな変化が生じておりますので、私どもとしても、退職金課税というものは、今後のあるべき税制の構築の中で、就労とか退職金支給の実態を踏まえて、今後、税制の公平中立を確保する見地からも、検討課題であるというふうに認識をしております。
川崎委員 スピードを持っておやりになることを期待して、終わります。
平林委員長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 先ほど人事院総裁から、今回の人事院勧告についての報告がございました。
 給与の勧告、そして公務員制度の改革ということで、大きく二つについて勧告、報告がなされております。
 特に、給与勧告につきましては、俸給表の引き下げ、扶養手当の改定、ボーナスの引き下げ、差額の調整と、いろいろな、地域における公務員給与のあり方も含めて、先ほどの総裁の言をかりれば、従来以上に細かく調査をして対応したというお話でございました。
 ただ、この点につきましては、ミクロの個人ベースの、例えば職員の年間給与は四年連続マイナスで、行政職では年平均十五万円の減少になる、四年間で三十三万円減額になるというふうなことは理解できるんですが、マクロのベースでは今なかなか議論が見えにくいものになっております。
 昨年の今ごろは、まだまだ小泉内閣自体大変な期待感があり、何とか経済改革も進み、民間の経済も元気になるのではないかなということの中で、この議論がなされたというふうに理解しております。ただ、それ以降失業率も増大をして、私は、経済失政という点も今回のマイナス勧告というものにはあるのではないかなというふうに考えております。
 大臣に冒頭ちょっとお尋ねをしたいと思います。
 マクロで見れば、多分、単純にこの二・〇三%を掛けてみると、大体今、国家公務員の予算の人件費部分が十兆円強、地方公務員で三十兆弱ですかという予算を人件費で要しておりますので、国家公務員で二千億強、地方公務員で六千億弱の削減がされる。むしろ、それを前提で対応したような感も、正直言って見え隠れすると思います。
 今回の人事院勧告について、公務員の生活という点、そして国民経済に与える影響、両点につきまして、大臣の率直な御見解をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 経済の状況は、後藤委員御指摘のようなあれですね、四―六がプラス〇・五になって喜んでおりましたら、御承知のようなドル安、株安で、そういう意味では今いろいろな議論がなされているところでございますが、政府としては全力を挙げて景気の回復あるいは雇用対策に今後とも努めていく、こういうことだと思います。
 そういう中で今回の人事院勧告が出たわけでありまして、これは御議論はいろいろあると思いますね。御議論はいろいろあると思いますけれども、専門的な第三者機関である人事院が、民間のことを調べて、民間準拠という大方針で勧告を出したものですから、これは昔から尊重しなきゃいけません、人事院勧告は。その上で、今委員御指摘のような、公務員の生活状況あるいは我が国のマクロ経済に与える影響等もあわせて考えて、総合的な観点から結論を出していく、こういうことではなかろうかと思っておりまして、御認識は私も十分理解できるわけであります。
後藤(斎)委員 先ほども御指摘をしました、今回の人事院勧告、報告の中には、公務員制度の改革という点が大きく取り上げられております。これは、十二月に閣議決定をされました公務員改革の大綱、これとは若干違った視点も正直言ってあるのかなというふうに思っております。
 昨年の大綱、まだ十二分に詰まっていないようですが、地方公務員法、国公法を含めて、来年の通常国会には実質的な法案の審議が始まるというふうな日程になっております。大綱の中では、今回の人事院が御指摘をしているような部分とは若干違って、大臣に人事の権限を従来以上に与えて、よりそれぞれの省庁の中で人材を活用していくという視点が強いというふうに認識しています。
 一方、今回の人事院勧告につきましては、公務員制度、オープンな議論をするという点はもちろん強調されておりますが、先ほど川崎委員からも御指摘がありましたように、第三者機関としての人事院の有用性というものをむしろ強く位置づけているのではないかなという観点もございます。
 大臣、公務員制度というものを所管している大臣として、今回人事院が報告をされている公務員制度の改革を、昨年の閣議で決定されております大綱とも比較をしながら、どんな御認識を持っているのか、御見解をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 今言われましたように、昨年の十二月に公務員制度改革大綱を閣議決定いたしまして、現在それの具体化だとかさらなる詳細な検討だとかを行っている段階でありまして、私どもの方も、内閣官房が今中心でやっておりますが、そこと緊密な連携協力をいたしております。
 一方、今回の人事院勧告に合わせて、公務員制度改革の向かうべき方向について人事院から意見表明がされました。いろいろな留意点、人事院の考え方、そういうことをここで明らかにされていると思いますが、私は、我が国の公務員行政において人事院が果たしてきた役割、実績等は、これは評価しなきゃいかぬ、こういうふうに思っておりまして、今回のこの意見表明についても、内閣側と申しますか、政府の方はしっかりと受けとめて、留意点については留意しながら、詳細な具体化を図っていく必要があるのではなかろうか、こう思っておりまして、我々も、かなりな部分妥当な意見だ、こういうふうに思っておりまして、公務員制度改革大綱と今回の人事院のお考え、そこの調整をどうやるか、こういうふうに今考えております。
後藤(斎)委員 先ほど総裁から、今回の今年度の人事院勧告、昨年に増して詳細にやられたという御報告がございました。ただ、昨年の資料を見ますと、昨年もとりあえず七千九百事業所、約四十四万人を対象にして実地調査をやったというふうなことを記憶しております。ことしの報告でも、母体数、サンプル数につきましては、七千八百八十六の事業所を対象にしまして、三十二万人と七万人ですから三十九万人ですか。従来以上というのは、そうでもないのかなという感じもあります。
 いずれにしましても、今回の報告、先ほども御指摘をしましたように、マイナス二・〇三%という水準になっております。ただ、私どもはこの内容を細かく、どんな形でやったかは承知をしておりません。先ほど川崎委員から逆説的に御指摘がありましたが、私はあえてお話をしたいのは、民間の春闘相場の妥結額がマイナス〇・三%程度だというふうに承知をしております。逆に言えば、事業所の規模とか地域によってもちろん違うわけですが、今回の給与勧告のマイナス二・〇三%、この比較もちょっと違うのかなというふうな感じも、春闘相場と比較しても、そんなような感じがします。
 あわせてもう一点御指摘したいのは、四月に調査をする、今もう九月ですから五カ月以上たっている。実際給与が改正されて実施されるのが大体十二月ぐらいが例年のパターンであります。
 なかなか、データが公表されていない以上、この二・〇三というものが本当に正しいのかどうかという議論は別に置いておいても、官民較差の是正はもちろんよく理解はできるものの、これから公務員制度全体を改革していくという視点も含めて今回の勧告を、春闘の相場も含めて、総裁、もう一度御見解を確認したいと思います。
中島政府参考人 先生、恐らく御存じな部分を隠して質問しておられるのだと思いますけれども、民間の春闘相場というのは、実は賃金を引き上げた企業の、それのみを対象にして調べたものでございます。また、私たちの方が調べておりますのは、引き上げなかったところ、賃金カットしたところ、そういうところも含めて賃金水準を調べておるわけでございますので、その差が一つあるということを御認識いただきたいと思います。
 もう一つは、よく新聞で春闘相場ということで出ますけれども、その春闘相場ということで出てくる数字というものが一体日本の産業構造というものを正確に反映した結果の統計かどうか。例えて言いますと、製造業に少し重きを置いて民間の方はお調べになっておるんじゃないかとか、あるいはまた正規職員だけではなくしてアルバイト職員も含めて出していやしないかとか、単純平均ではないかというようなことも含めて、実はそこを比較していただく必要があるだろうというふうに思います。
 そういうところを既に御認識の上で質問されたというふうに思いますから、私たちの方も、もう一度その点について、先生の時間をいただいて御説明をさせていただくような機会があればというふうに思います。
後藤(斎)委員 先ほど私の方で試算を簡単にした、十兆円に、人件費に掛けていくということでございますが、人事院の中で検討した中では、今回のマイナス勧告がどの程度総人件費を引き下げるというふうに試算をなさっているんでしょうか。
大村政府参考人 人件費につきましては、財務省の方で最終的に計算されておるわけでございますが、その点でお答えしますと、一般会計で二千三百億円のマイナスということを聞いております。
後藤(斎)委員 先ほど総裁の御報告の中に、三パラで、勧告の主な内容という一番最後のところに、実施時期につきましては、不利益不遡及原則を踏まえ、四月に遡及しないこととしております、一方、年間における官民の給与を実質的に均衡させるため、不遡及部分については、十二月の期末手当の額で所要の措置を行うこととしておりますという御報告がございました。
 これにつきましては、いわゆる減額調整ということにつながっていくと思います。この点につきましてはいろいろな議論がございます。一点は、労働組合は、この点につきましては違法性の疑いが高いということで、既に総裁や大臣の方にいろいろな申し出があると思います。
 いろいろ調べていきますと、平成八年に朝日火災海上保険事件という最高裁の判決がございます。これはもちろん公務員と民間ということでその差はあるものの、この最高裁の判決の結論は、具体的に発生した賃金請求権を事後に変更された労働協約や就業規則の遡及適用により処分または変更することは許されないという結論になっております。
 今回の、先ほど御指摘をした、一方で不利益不遡及の原則を踏まえるというふうなことを言いながら、不遡及部分については十二月の期末手当の額で所要の措置を行う、実質、ボーナスの部分で調整をしちゃうんだ、さかのぼって減額をするという趣旨でまずいいんですよね、総裁。
中島政府参考人 恐らく次に御質問なさるであろうということも含んで答弁をさせていただきますけれども、不利益不遡及の原則というのは、法律を一通り勉強した人間には非常に大切な法原則だということは心得ているというふうに思います。
 ただ、今回の場合に我々がよく考えましたのは、プラスの勧告のときには四月にさかのぼって差額分を支給する、しかしマイナスの勧告のときには四月から、恐らくことしの十一月になるでしょうけれども、十一月ごろまでの差額分というのはそれは知らない、もらい得だということを国民が果たして納得するだろうか、そういうような官民の給与の均衡というもので国民が納得するだろうかということを考えますと、そうではないだろう、そうしますと、どういうような方法によってそこの調整をしていくかということを真剣に考えなければならないということでございました。
 今、朝日火災海上保険の最高裁判決の話もございましたけれども、昨晩その判決を読んでみました。あれは明らかに遡及適用をしておるわけでございますし、またあそこには官民均衡というような要素もございませんでした。
 したがいまして、私たちは、遡及適用はしないけれども国民が納得するような調整というものを考えた、しかも法律上それが通る方法というものを考えて今回勧告をさせていただいたということでございます。
後藤(斎)委員 その視点も一つ理解はできます。
 ただ、総裁、実質的にもう適法に、現行の給与法に従って支払われた給与、それを返還させるという点もございますよね。その点については、まさにこのお書きになっている、御報告をいただいたように、不利益不遡及の原則、利益を遡及することについては、もちろん、これは国民全体の声と公務員の生活というその二つの視点があるという総裁がお答えになることはよく理解はできます。ただ、過去の労働債権について、またその返還も一方的に求めるというのは、確かに法という中で国会で最終的に決めればいいという趣旨も理解はできますが、そうはいっても、労働基本権の代償であるという憲法の要請に基づいている人事院の存在もそうです。今までその制約の代償として対応していたものを、不利益不遡及というものは、まさに今回初めてでございますよね、過去にさかのぼるという点につきましては。という点も含めて、やはり総裁、考えていただく必要があると私は思うんです。
 大臣、この点につきましては、まさに今回のマイナス勧告というのが、要するに、健康保険法の議論もそうでした。今、民間がこれだけ厳しいというのは、先ほども冒頭御指摘をさせていただいたように、やはり今までの政策の失敗、そして元気でなくなってしまった日本経済の民間の活力がなかなか出てこないという、私はその部分に起因をする。民間との格差是正という人事院の存在ももちろんよくわかりますが、その点、やはり今回の公務員の給与のマイナスというのが一層デフレスパイラルに拍車をかけるという指摘もございます。国民というか、特に公務員の生活に痛みを押しつけることだけでそれが済むのか。もちろん、痛みは分かち合わなきゃいけないという点もあると思いますが、大臣、今の不利益不遡及の部分も含めて、公務員の生活だけではなく、ひいては全体の個人消費がマイナスになってしまうというデフレスパイラルの部分も含めて、今回どんな御見解を持っているのか、お尋ねをしたいと思います。
片山国務大臣 この不利益不遡及の原則というのは、法律上の考え方としてあることは事実でございますけれども、先ほど人事院総裁も言っておられましたが、官民均衡、民間準拠が大原則ですね、勤務条件の。そこで、いいときだけ民間と一緒で、悪いときは官は別だ、これはなかなか国民の理解は私は得られないと。そこで、減額の方法がなきゃ、調整の方法がなきゃこれもあるいはいろいろな対応があるのかもしれませんが、調整の方法があるわけですからね。それは国会の意思として決めれば、私はそれを排除するものではない、こういうふうに考えております。
 しかし、現下の景気の状況、特にデフレの状況、これは一日も早く克服するということがやはり国にとって大きな政策だ、こう思っておりますので、健康保険の今度の改正のことも今御指摘ございましたが、そういうことを万般全部含めまして、政府としてどういう結論を出していくか。給与関係閣僚会議を一回やりましたけれども、さらに給与関係閣僚会議で総合的な突っ込んだ検討をして結論を出してまいりたい、こういうふうに考えております。
後藤(斎)委員 最後に、ぜひ御要望をしたいと思います。
 一方的な不利益不遡及の対応は少なくともしていただきたくない。先ほども、既に働く公務員の方とも大臣や総裁はお話し合いをされております。その中で、一方的ではなく、真摯にそういう部分にも耳を傾けながら、先ほどもお話をしましたように、公務員全体の改革が国、地方を問わず、多分ことしの秋から来年にかけてはもっと大きな枠組みで議論がされると思います。
 そういう中で、おとといまで総務委員会の中でヨーロッパの視察をさせていただきました。我が国の公務員の実質的な人数というのは、ヨーロッパやアメリカの水準から見ても大変低い水準になっています。経済が悪いときには大体公務員と国会議員がたたかれるというのが世の常に最近なっておりますが、そうではなくて、きちっとした実態を国民の方にもきちっと示していく。その中で、本当に国民から支持をされる公務員制度というものを、給与の問題や人事の問題も含めてぜひお考えになっていただけるように、人事院総裁と大臣にお願いをしまして、質問を終わります。
平林委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。休会中の委員会でありますが、二十分おつき合いをいただきたいと思います。
 今回の人事院の勧告、先ほどから議論が出ておりますが、ある意味では極めて暗い話でありまして、この夏、長い長い国会が終わりまして、ずっと地元でさまざまな方とお会いしても、特に私は地方の職員でありましたから、同窓会をやりましても、何とも言えない顔を皆されておられまして、お互いに言葉が出なかったわけであります。それぐらい国民にあるいは地域経済に与える影響というのは相当大きいものがあるのではないかとまことに心配をしております。
 一つは確認でありますが、今回の引き下げが二十三年以来の月例給に及んでいる、さらにはその幅も相当大きいものでありますから、この影響はまずどれぐらいあるのかということについて確認をしておきたいと思います。恐らく、今概算要求が終わって、来年度の予算も今からいよいよその形ができ上がるわけであります。この概算要求にも影響を与えることではないかなと思っておりますが、仮に今回の人事院の勧告どおり実施した場合の財政影響はどの程度の規模になるのか、確認をしたいと思います。七千億を超える相当大きい数字になるというふうに思っておりまして、この数字をまず確認させていただきたい。
 それから、これは総務大臣にお伺いしたいんですが、かつて引き上げるときに、それほどの大幅な引き上げはできないよということで、逆のケースで勧告どおり実施されなかったこともあるわけであります。第一回の給与関係閣僚会議があったようでありますが、この勧告どおり実施をされる方向なのかどうなのか、秋の臨時国会でありましょうが、その辺の動向、大臣のお気持ちをお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 今回の人事院勧告が、財政といいますか予算上どうなるかということですが、国の場合には、財務省の試算によりますと、一般会計、特別会計で合わせてマイナス二千四百十億円程度、地方団体につきましては、これは地方財政計画ベースでやりますとマイナス四千五百二十億円程度、決算はちょっとこの地財ベースよりは高いと思いますけれども、そうしますと約七千億、桝屋委員言われたとおりでございます。
 第一回目の給与関係閣僚会議で意見交換をやりましたが、今までの例だと秋の臨時国会に法案を出させていただく、こういうことでございますから、この臨時国会の日程が今必ずしも定かではありませんけれども、できるだけ早い時期に給与関係閣僚会議としては結論を出して閣議決定いたしたい、こう思っておりますが、きょう、総務委員会でもいろいろな委員から御意見がありますように、いろいろな御意見がありますから、ぜひそれを踏まえての結論にさせていただきたい、こう思います。
 もう人勧の完全実施はこれで二十六、七年やっておりまして、かつては人勧を少し値切るということはありました。だが、このところはもうずっと完全実施でやっておりまして、人勧制度の最大限の尊重をやる、こういうのが政府の立場でございます。
桝屋委員 先ほど大臣は、総合的にこれから検討したい、恐らく年末へ向けての経済動向等も踏まえて総合的にということでありましょうが、私は、完全実施がなくてもいいのではないか、ない案が出ても受けとめていきたいな、こう思ったりしているわけであります、ひとり言でありますが。大変に悩んでいるわけであります。先ほど一番最初に議論された先生の話は、退職金まで話が行きまして、ますます暗くなるわけでありまして、私はやはり、十二月あたりの我が国経済の動向をどうしても考えなきゃならぬと思っております。
 そこで、非常に国民から見てわかりにくいのは、今回の概算要求も、どうでもいい話でありますが、まず二〇%ぐらい新規事業をどんと積んで、でき上がりベースは三角になるというようなわけのわからない話で、概算要求の内容だけ見たら、地方団体あたりは大変喜んでいるわけでありますが、喜んじゃいけませんよと私は言っているわけであります。その要因の一つにこれがあるわけで、簡単な話ではない。
 加えて、公務員の給与、昔の同僚に会いますと、十二月のボーナスで全部整理されるんでしょうと相当覚悟していまして、これは個人消費に相当な影響を与えるな、こう思っているわけであります。
 そこで、十二月のボーナスでありますが、今回は三月期分を廃止すると。私は十七年間、三月期分をずっといただいた地方の職員でありましたけれども、大変ありがたかったものでありまして、女房にもないしょにしていた時代もありますけれども、大変にこれは残念だなという思いもありますが、その三月をやめて十二月と六月分に回すということで、ことしの十二月のボーナスにどういう影響があるのか。平均で十五万円ぐらい減るという話もありますからこれは大きい数字でありまして、それがどのようになるのか、ちょっとわかりやすく、不利益不遡及の問題はもう言いませんから、ことしの十二月のボーナスはどうなるんですかということでお聞きしたいと思います。
    〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
大村政府参考人 今御指摘で、十二月のボーナスがどうなるかということでございますが、今年度の三月のボーナスのうち〇・三カ月分を十二月の方に持っていきますので、平均的には大体九万八千円ぐらいふえるということになります。ただ、先ほどから申しましたように、調整する額が大体七万九千円ほどでございますので、これは超過勤務等を全然無視しました数字でございますが、平均的には一万九千円ぐらいふえるという状況でございます。
桝屋委員 だまされたような気がするわけでありますけれども、今の話では、十二月は大丈夫だと。三月はへこむわけでありまして、そんな今のような単純な話では多分ないんだろうと思いますが、どうぞ大臣、全体的な経済動向を総合的に勘案の上、御判断をいただきたい、このように思っております。
 そこで、今の三月期分がなくなる話でありますが、あわせて、今までもありましたけれども、勤勉手当のめり張りをつけようという話、ちょうど私が地方公務員をやめるころこの話が出てまいりまして、私は非常にいいことだと思っておりました。公務員給与をまさに能力給として格差を設ける、傾斜配分をつけるということはあっていい、これからの時代ぜひそうあるべきだ、私はこう思っておりましたけれども、私の経験では、ほとんど傾斜配分をされた、私は人より働いたつもりなんですが、全然その恩恵を感じたことがありません。
 そこで、今回は、三月期分をやめるということを契機に、さらにこの勤勉手当についてめり張りをつけるという方向で新たに人事院として指針をお出しになるというふうにも書いてありますけれども、これは非常に大事なことだなと思っております。能力給、そういう世界をさらに広げていくということでは極めて大事な話だと思いますが、実は、やはり公務員給与は、私が経験したように、余り差がついていない、能力評価というものが給与に影響していないということがあるだろうと。やはり中間層で、特別劣っている人と特別頑張っている人と、余り数字を整理してもないようであります。この辺、今までの認識と、これからめり張りをつける意味での指針づくり、どういう方向でおやりになるのか、人事院にお伺いしたいと思います。
    〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
中島政府参考人 公務員の給与制度の中で、成績主義というものを取り入れて運用していただかなきゃならないのが、一つは特別昇給制度がございます。もう一つは、今先生がお話しになりました勤勉手当がございます。
 そこで、私たちの方では、特別昇給につきましては、持ち回り的な運用というものをやめていただくように、各省に機会があるたびにそういう指示をいたしております。なかなかその指示のとおりにはなされていないようでございますけれども、こういう時代でございますので、その指示をさらに強めていかなきゃならないなというふうに思います。
 もう一つの勤勉手当でございますけれども、昨年の十二月の実績で申し上げますと、これは一般職員の場合ですが、〇・五五月というのが勤勉手当の標準でございます。そこで、〇・五五月というのが標準でございますけれども、〇・七五月以上の勤勉手当を支給した職員というのが全体の一・三%だということでございます。標準の〇・五五月を超えて〇・六五月の間の職員というのが一九・六%。だから、標準以上に二〇%の職員が位置しておる。そして、標準が七八・七%だということでございまして、標準以下が〇・四%でしかないというような状況でございます。
 したがいまして、私たちといたしましては、なぜこういうふうな運用を各省が現在おやりになっているのか、また、こういうような運用しかなぜできないのかというところをヒアリングを通じて細かに調べまして、そして新たにどういうような指針を出し、どういう指導をすれば制度の趣旨に従った運用がなされるかというところに少し力を入れていきたいということでございます。
桝屋委員 ありがとうございます。
 今の公務員制度そのもの、本体に手を入れないとなかなかここは進まないんだろうと思いますが、いよいよその段階に、公務員制度改革大綱もできましてその方向で進んでいるわけでありますから、それに見合った指針を私はぜひつくっていただきたい。あえて申し上げますと、どうも今総裁がおっしゃった数字は、管理職と一般職を比べますと、やはり管理職の方がめり張りをつけているのかな、それでいいのかなという気が私はします。一般職も含めて考えるべきではないかな、こう思っておりまして、時代に合った指針づくりをぜひお願いしたいと思います。
 それで、もう一点、公務員制度改革についても若干の議論をしておきたいと思います。
 今回は、勧告に合わせて公務員制度の報告も人事院としての意見が示され、先ほど大臣からは、受けとめる、大筋了解できる内容だと。了解できない内容もあるのかもしれませんが、先ほどのお話では。ただ、その中に、今回はわざわざ、今回の勧告に合わせて報告をされ、なおかつ、中に、私も読みましたけれども、人事院の役割と反省というようなことをシビアに整理していただいている。これは私は注目しなきゃならぬと思っておりますが、総裁、簡単で結構でございます、今回あえて報告されたその思いというものを一言でお話しいただきたいと思います。
中島政府参考人 簡単にということでございますので、要点を申し上げますと、戦後五十年ばかり、人事院は、憲法十五条の全体の奉仕者としての公務員、それに基づく行政の中立公正性というものを確保するための公務員というものの採用から人事管理全般についてのいろいろな仕事をしてまいりました。また、それとプラスいたしまして、労働基本権制約の代償機関としての仕事もしてまいりました。
 こういうものを五十年余りやってきまして、その中で、私たちが今までやってきたことの中で反省すべき点はある。現在、行政改革本部の方でいろいろ議論されておりまして、その中でも指摘されている問題がございます。そういうものは謙虚に受けとめて、我々の反省すべき点は反省していこう。しかし、また、今申し上げましたような、代償機関として、また中立公正な行政を確保していくために、人事院としてやはり主張していかなければならない問題もあるというところを意識いたしまして、そういうような反省の上に立った私たちの役割の再認識というものをしていきたいということでございます。
桝屋委員 ただいま議論が進められております公務員制度改革に対して、その議論の中で、人事院のあり方、今までの人事院の存在についてやはり批判もあるということを受けとめているというふうに私は理解をさせていただきました。
 そこで、今議論されていることでありますが、公務員制度改革の中で、特に1種の採用試験の問題、これは、昨年の十二月の大綱でも、合格者を四倍にするというような、具体的に数字まで出て閣議決定されている。ちょっと私は奇異に感じているところでありますが、この四倍については我が党内でも随分議論があります。ここはやはり慎重に行うべしという声が強いわけであります。
 今年度は二・五倍を採用するということで作業が進んでいるというふうに理解をしておりますが、どうぞこれは、この二・五倍にしたその検証結果を、まだ合格が決まっていないと思いますが、ぜひともこの九月、十月、急いでこれは人事院においてもあるいは内閣官房においても検証をしっかりしていただきたい、そこを注目していきたいというふうに私は思います。時間がありませんのでここは質問いたしません。
 そこで、1種の採用試験の最大の問題は、四倍とか二・五倍とかということを申し上げましたが、そのことよりも最大の問題は、採用試験の中で、内々定という各省がやっている仕組みがある。この内々定という仕組みがあるがゆえに、各省が内々定を打っても、最終合格にその内々定の人が入らないというようなことがあって、試験制度に対する信頼を損なっているんじゃないかという議論が今あります。私は、倍率よりも、この仕組みということが極めて大事でありまして、内々定あたりはぜひやめていただく、やはり人事院できちっと選んだ人の中から各省が採っていくというすっきりした形にすべきではないかと。
 内々定をやめるという方向になりますと、ぜひこれは気をつけていかなきゃいかぬのは、地下に潜るんじゃないかという心配をしております。そうしたことをぜひとも気をつけていただきたいと思っておりますが、この内々定、これを今後公務員制度改革の中でやめていくという方向性、これについて、まず内閣官房、行革事務局がきょう来られているかと思いますが、御決意を伺いたいのと、あわせて人事院総裁のお考えも伺いたいと思います。
熊代副大臣 御指摘の内々定の件でございますが、その前に、四倍にふやすということでペーパーテスト重視から人物採用重視ということでやらせていただいているわけでございますけれども、それでも内々定というようなものが残るんじゃないかというお話でございますけれども、御承知のように、現在は、一次試験が六月の上旬にございまして、二次試験が、筆記試験が七月の中旬にある。そうしますと、そこまで待っていると民間の採用におくれるということでございますので、一次試験と二次試験の間に面接をして合格者を決めるという内々定というのがあるわけでございます。
 これを、桝屋先生初め与党の先生方も大変精力的に御議論いただきまして、十二分に参考にさせていただきまして、例えば、一次試験と二次試験を非常に短縮する、そうしますと素早く決まるわけですね。現在でも、一次試験の合格者は四倍、合格者の四倍でございますが、ことしは四・五倍ということでございますけれども、これは、一次試験、二次試験をぐっと短縮しまして、二次試験の結果が素早く出る、そういうことになりますと、内々定をしなくて、二次試験を通った者について、幅広い人材を面接して人物本位で採用することができるということでございますので、御指摘を受けまして、ぜひそういう方向でやってまいりたい、人事院さんの方でも十二分に検討していただいていると思いますが、そういうことで制度を確立してまいりたいと考えているところでございます。
中島政府参考人 結論だけ申し上げておきます。
 一次試験合格発表後の内々定というものは取りやめる方向で意見をまとめていきたい。また、取りやめなければ、恐らく公務員試験というのは、特に地方大学の人たち、私立大学の人たちから見放されていくだろうというふうに思います。
桝屋委員 ぜひ、まずことしの検証を両省しっかりやっていただくことが大事だと思っております。お願いをして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
平林委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 まずもって、我が国の経済情勢は、本当に引き続き厳しい情勢にあります。八月の月例経済報告では、「一部に持ち直しの動きがみられる。」とありますけれども、先日発表された四月から六月期のGDPは、前期比〇・五%の伸びとなりましたが、生活実感として、私は地方に住む者でありますので、本当に伴わないわけであります。また、米国経済に陰りが大きくなってきたことや、あるいはまた、昨今の国内大手企業の相次ぐ不祥事の影響を受けまして、去る九月三日の株価はバブル期以降十九年ぶりに最安値をつけるなど、世界同時株安の様相を呈しまして、日本経済はこの先どうなるのか、金融不安の再燃も懸念されるところであります。
 また、賃金、雇用情勢を見ますと、七月の完全失業率は五・四%と最悪の状況が続いており、その中にあって、ことしの春闘は、経団連の調査で一・五九%と、実質定昇割れとなりました。それに加えて、その後、大手電機会社などは、定期昇給の凍結、延期、さらには賃金カットを行うなど、極めて厳しい状況となっております。
 このような中で、本年の人事院勧告が去る八月八日に勧告されました。冒頭、人事院総裁の説明のとおり、月例給で初の二・〇三%、金額で七千七百七十円のベースダウン、ボーナスも〇・〇五月のマイナスということでありまして、本当に厳しい内容であります。しかしながら、これも民間の厳しい内容を反映したものでありまして、やむを得ないのではないかと私は思っております。
 本日は、この勧告内容に関連して幾つかお尋ねいたしたいと思っておりますけれども、その前に、公務員制度改革について、時節柄、採用問題を一点質問したいと思います。先ほど桝屋委員から質疑がありましたけれども、私もこれは重要な課題と思っておりますので、重ねて質問いたしたいと思います。
 お話しのとおり、現在、公務員制度改革の中でこの採用試験改革について検討されてはおりますけれども、国家公務員の採用試験に関しまして早急に是正する必要があるものとして、内々定の慣行があります。先ほど人事院総裁からも、これは取りやめるということで決意をされたところであります。この内々定でありますけれども、1種試験の一次試験が終わった段階で各府省が受験生を面接しまして、二次試験による最終合格前に採用者を決めてしまうという今の仕組みでありますけれども、私も本当にこれはおかしい仕組みであると思っておるわけであります。
 去る八月十九日には1種試験の合格発表がありましたけれども、ことしも内々定がまかり通っているように私は感じております。この暑い夏に最終合格発表の後、各府省を訪問したところ、もう既に決まっていると言われた学生は私どもが住む地方の大学の学生に多いと聞いております。そしてまた、このような仕組みは、地方の学生にとって不利であるだけでなく、全体の奉仕者である公務員の採用を不透明にするものでありまして、重ねて早急に是正すべきものと思っております。
 公務員の採用の不透明さについては、新聞報道でもありますけれども、公務員制度改革を特集しましたジュリストの七月一日号でもこの内々定の問題が取り上げられております。著名な大学教授らは、試験と並行して各府省が面接をして採用を決定するこの悪い慣行を直ちに改める必要があると厳しく指摘しておるところであります。
 そこで、重ねての質問なのでありますけれども、採用試験の改革をする上で、まず初めに、内々定を来年から廃止すべきであると思っておりますが、この点について改めて行政改革担当の副大臣の考え方を求めておきたいと思います。
熊代副大臣 先ほど桝屋先生の御質問にも申し上げたとおりでございますが、内々定の慣行をやめるということで、法律を順調に通していただきますと、内閣の方で今進めておりますことは、十六年度以降の採用になるということでございます。そのときは実施時期も内閣で決めますので、内々定をする必要が全くないというか、もう内々定ができない。そういう状況で、二次試験に合格してから、四倍の人たちが合格して、そして面接、人物評価に移る。ことしも二・五倍にふやしましたので、地方の大学の人も合格がふえているという現状でございまして、あとは人物試験で勝負ということでございます。
 そういう状況をしっかりとつくってまいりたいと思いますが、来年は現行制度でございますので、先ほど人事院総裁の御答弁もございましたが、来年は人事院さんにお願いしてそのようにするということを私どもも希望しているところでございます。
黄川田委員 副大臣からお話がありましたけれども、この内々定の関係ですね、廃止するということ、そしてまたくれぐれもかけ声倒れに終わらないように、よろしくお願いいたしたいと思います。
 ところで、今回の公務員制度改革については、政治主導のかけ声を唱えつつ、実は一部の官僚主導あるいはまた与党主導で、国民各界との合意形成を図ることなく進められているのではないか、そういう批判がありますし、具体的に二十一世紀臨調の西尾代表などからもそういう意見が出されておるところであります。そしてまた、先ほども取り上げましたジュリストでは、公務員制度調査会答申までの議論の積み重ねを何の説明もなく白紙撤回していることが問題だとの指摘もあります。
 これは、早期退職慣行是正やあるいはまたセクショナリズムの問題などについて、これまでの議論を無視しているのではないかという点を指摘しているものと私は思っておりますけれども、今回の改革も、その不透明な進め方あるいはまた内容の面で非常に問題があると思っております。いずれ臨時国会でさまざま、一般質疑等で議論する機会があると思いますので、その辺をお酌みおきいただきたいと思っております。
 それでは、本題の人事院勧告についてお尋ねしていきたいと思います。
 まず、本年の勧告は、月例給の給与水準を引き下げる改定であるため、遡及することなく実施するとした上で、年間で見て官民給与が均衡するよう冬のボーナスで調整するというお話であります。この措置については、先ほど来議論があるとおり、不利益を実質的にさかのぼるものとして批判的な意見があるようでありますが、官民比較の時点である四月では官が民を上回っているのでありまして、公務員の皆さんにとっては厳しい措置かもしれませんけれども、納税者である国民の立場からすれば、勧告で示されているとおり、十一月あるいはまた十二月と想定される給与法改正の施行日までの間の払い過ぎの分を差額調整するのはいたし方ないと思っておるところであります。
 そこで、質問でありますけれども、この手法として十二月の期末手当から減額するという、過去に例のないところでありますけれども、このような措置をするに至った基本的な考え方を人事院総裁にお尋ねいたしたいと思います。
中島政府参考人 今、先生がお話しになりましたように、国民の受け取り方というものを考えると、やはり減額調整せざるを得ないだろうと。そこで、どこから減額調整するかということなんですが、一つは、仮に給与法が十一月の末までに成立した場合、新しい法律が十二月から施行されるというふうに想定させていただきますと、十二月以降の月例給で調整するという方法が一つあるだろうというふうに思います。もう一つは、今回私たちが御提案申し上げておりますように、十二月で支給する期末手当から調整するというこの二つの方法だろうというふうに思います。それ以外にいろいろ考えられることは考えられるというふうに思いますが、私たちはこの二つを想定して詰めていったということでございます。
 そこで、月例給から減額調整するということになりますと、一つは、やはり月例給というのは生活に直結する給与でございますので、できるだけこれは触れたくないという気持ちがございました。そして、期末手当ということになりますと、月例給ほど生活給に密接に関係していない、少し距離があるだろうということでございます。そういうことで、私たちは月例給から調整することについて避けた。
 もう一つは、月例給から調整するということになりますと、かなり事務手続が煩瑣になるということもございますので、一回、できるだけ早く十二月に減額調整させていただく方がいいだろうということで、十二月に支給する期末手当から調整させていただこうというふうに考えたわけでございます。
黄川田委員 それでは次に、この人事院勧告でありますけれども、地方における公務員給与のあり方についても、これは波及するところであります。
 そこで、昨年九月に本委員会の人事院勧告の質疑でも私申し上げましたけれども、私も地元の人たちと話す際、この夏もさまざま国政報告ということでいろいろ話したわけなんですけれども、この厳しい経済状況の中にあって、やはり地方公務員の処遇といいますか待遇といいますか、いつもさまざま指摘されるところであります。公務員給与は納税者である国民の理解と納得が得られる、そういう必要がありまして、各地域、地域の公務員給与はその地域の民間給与をよりよく反映する、これが大事だというところだと考えております。
 本年の勧告では、内閣からの要請も踏まえまして、俸給制度やあるいはまた地域関連手当を初めとする諸手当のあり方の抜本的な見直しを行うために、先ほどもお話がありましたけれども、学識経験者を中心とする研究会を設けて検討する旨、表明されているところであります。
 そこで、質問でありますけれども、この問題は国家公務員に限らず地方公務員にも影響する大きな課題であり、具体的な検討内容や今後の検討スケジュールについて、より具体的に人事院総裁の見解を求めておきたいと思います。
中島政府参考人 国家公務員の中でも、全国異動する国家公務員と、主としてその地域に勤務し続ける公務員がおります。私たち、数年前から、地方から選出されております国会議員さん、これは与野党問わずおっしゃるわけでございますけれども、やはりその地域にずっと勤務し続ける国家公務員というものを考えた場合に、その地域の民間企業に勤める人たちの給与とのバランスというものがあるだろうということを問題点として指摘を受けております。指摘を受けておりましたし、私たちもその点は問題意識を持っておったわけでございます。
 昨年、この委員会でも御議論いただきましたけれども、今回、やはり私たちは本格的にその点について勉強してみよう、そして、新しい、国民といいますか、地域の人たちに納得されるような給与体系、給与制度というものをつくっていこうというふうに考えたわけでございます。
 この研究というのは、地方公務員の方にも関係してまいりますので、地方団体の皆さん方の協力も得なければならないというふうに思います。昨年、主としてその調整というのは調整手当でやったらどうかというような話もございましたけれども、調整手当ではもう調整できないほどの大きな格差があるというような意見もございますので、給与制度、給与の仕組みそのものの本体に切り込んで議論しなければならないだろうというような気もいたしております。その点は、今、先生がお話しになりましたように、賃金問題の専門家を集めまして、本当に幅広く、そして深く研究してまいりたいというふうに思います。非常に関係の深い、広い議論になるだろうというふうに考えております。
黄川田委員 それでは、この問題に関連しまして、地方公務員制度を所管します総務大臣にお尋ねしたいと思います。
 去る八月二十二日の朝日新聞によりますと、地方公務員の昇給停止年齢を五十五歳とする自治体が合計九百五十四に増加したと報じられております。しかしながら、全国には約三千三百の自治体がありまして、それと比べると大体三分の一程度かなというところであります。五十五歳の昇給停止は、国は既に九九年から実施している措置でありまして、各自治体も、それぞれの事情はあるかもしれないし、各首長の判断ということでさまざまあるかもしれませんけれども、早急に導入しなければならない、そして導入して、住民の理解を得られる必要があると思うのであります。
 そしてまた、八月二十八日の毎日新聞によりますと、政府は地方公務員の給与抑制措置を要請すると報じております。
 そこで、この問題について総務省としてどう各自治体にかかわり、そして指導していこうとしておるのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 お話のように、国家公務員につきましては平成十一年度から昇給停止年齢は五十五歳にしております。地方公務員の給与も、基本的には国家公務員や民間事業者の給与と均衡をとる、こういうことが大原則でございますから、私は、地方も国に準じて昇給停止年齢を五十五歳にすべきだ、こういうことで指導してまいっておりまして、これも黄川田委員からお話がありましたように、現在約千団体ぐらいがそういう措置をとっておりますが、とっておらないところもまだかなりある、こういうことでございますので、今後そういう団体に対しましてはいろいろな機会を通じまして強く指導してまいりたい、こういうふうに思っております。
 地方公務員全体の給与は、ひところに比べるとこれは相当適正化しておりますので、そのことはぜひ御理解を賜りたいと思います。
黄川田委員 特に大都市の中での民間会社と公務員の関係、あるいはまた地方にあっての企業と公務員の関係、いみじくも大臣、前の委員の質問に答えていましたけれども、地方の大企業はどこかというと、県庁であったり、あるいはその市町村の役所であったりということになりまして、なかなか、田舎から国会に来るというときにはさまざまたたかれる部分がありますし、実は私は市の職員をしておりましたので、その反対の意見を申し述べなければならないわけでありますけれども、それでもあえてそう言う状況なのであります。
 最後、三分ほどありますので、川崎委員からもお話がありましたけれども、これまた退職金の見直しについて、ちょっと重ねてお尋ねいたしたいと思います。
 お話のとおり、今回の勧告に関する新聞の社説でありますけれども、全国紙のすべてでこの公務員の高額な退職金の見直しを求めておるわけであります。いずれ給与については、人事院の勧告で毎年民間に準拠しましてそろえておるのでありますけれども、この退職手当については、前回の水準見直しは二十年も前の昭和五十六年でありまして、長期間放置しているのではないか、問題があるのではないか、こういう気持ちでおります。
 また、七月二十三日の閣僚懇談会で、小泉総理は片山大臣に退職金の見直しを指示したと聞きます。それを受けまして、国家公務員の退職金の一律一〇%カットの検討を開始したとのうわさも耳にしているところであります。そこで、退職手当の所管は人事院ではなくて総務省ということなので、総務大臣にこの問題についてまず初めに見解をお伺いいたします。
 そしてまた、先ほど、昨年二月に行われた民間の退職金調査の内容及び調査結果について、私も聞こうとしたのでありますが、その概要はといいますと、川崎委員の質問に対しまして、近日中に報告という答弁でありましたけれども、もう既に国民に明らかに説明できるぐらいの資料は整っておるのでありますか。これまた改めて質問したいと思います。
片山国務大臣 退職手当のお話でございますが、昭和五十六年に直しました。それ以降三回調査しましたが、余り官民の格差が出なかったんですよ。だから手直しせずに今日まで参りまして、昨年から調査をしておりますのがもう近々、恐らく今月の半ば過ぎぐらいまでにはまとまると思いますので、それは公表いたしますし、それによって格差が出ますれば、国家公務員の退職手当については見直しをいたしたい、こういうふうに思っておりますが、一律一〇%なんかじゃありませんから。仮にそういう報道があるとすれば、それは正確じゃありませんので、ぜひお願いいたしたい。
 それから、せんだっての経済財政諮問会議の集中審議で、総人件費の抑制ということが議論になりましたので、私は、退職手当についても民間との状況をよく調べて、その結果、官がいい、格差があるとすれば、これは手直しいたします、こういうことをそこで発表したわけであります。
平林委員長 久山さん、何かありますか。
黄川田委員 後段の部分、すっきりしたものが、概要を報告できるという中身になっておりますか。重ねての質問であります、川崎二郎先生からは質問されたところでありますけれども。そうだといえばそうで結構ですから。
久山政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま総務大臣から御答弁のあったとおりでございます。
黄川田委員 時間も参りました。
 大臣から答弁があったということで、事務方とすればすばらしい答弁であります。昨年二月の調査が一年半もたってなかなか表に出てこないということは、私からすれば悠長な話だと思っております。この問題、国民の関心も高く、そしてまた長期間この結果が公表されないと、調査自体に何か問題があるのではないか、そういう懸念も持たれますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 最後の最後であります。
 例えば、地方分権の中で税財源の移譲も、景気回復が大事だ、そうすればいつでもできるということで、税財政で質問しますと大臣はお答えになるわけでありますけれども、この人事院の、月例給もマイナス勧告になるというふうな事態が生じるのは、とりもなおさず、日本の経済が軌道に乗っていない、安定成長になっていないというところであります。ぜひとも早い、産業、そしてまた経済の構造改革を果敢にしなければならないということを指摘しまして、質問を終わります。
平林委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 ことしの人勧は、今議論されていますように、給与勧告制度創設以来初めて月例給の二・〇三%の引き下げ、ボーナス〇・〇五カ月引き下げなどで、年間給与は二・三%引き下がる、平均十五万円もの大幅賃下げを行うというものです。人勧は労働基本権の代償機能ではなくて賃金引き下げ機構になったという怒りの声が広がっています。
 何よりも、完全実施した場合、国家公務員と地方公務員全体で六千八百二十億円という大幅な賃金カットになります。さらに、人勧の影響を直接受ける労働者はそれにとどまらず、合計七百五十万人に及びます。これらの労働者の生活を直撃して、家計消費を大きく冷やすことになることは必至であります。さらに、民間中小企業では公務員の給与を参考にするところも多いです。来年春闘への悪影響、そしてそれが民間準拠という形でさらに公務員の給与を引き下げる、賃金引き下げスパイラルになるんじゃないかと私は思います。
 さらに、年金給付の切り下げにも影響が出ます。既に財務省は、人勧をてこに、物価スライド凍結を過去三年間に上って実施をし、二・三%もの給付引き下げを目指すという発言も飛び出しています。さらに、地方交付税も二千億円程度カットされる、そういう試算もございます。これらすべてが長引く不況をまさに一層深刻化させることは必至であります。国内総生産を〇・一から〇・二%押し下げるという、ニッセイ基礎研究所などの調査も衝撃的に出されております。
 政府が今一番力を入れていると言われるデフレ克服についても、それを大きく悪循環の方向に持っていく、加速させることになりますので、そういう政府の姿勢からいっても、私は、これは到底認められるものではない。日本共産党も、これは到底認められるものではないと、まずはっきり申し上げておきたいと思います。
 そこで、まず、なぜ月例給の二・〇三%もの切り下げなのかということについてです。
 ことしの春闘の結果を見ますと、昨年二〇〇一年と二〇〇二年の比較で、連合の集計がマイナス〇・二一%、全労連の春闘共闘の最終集計がマイナス〇・二四%、厚生労働省の最終集計がマイナス〇・三五%、日本経団連の集計がマイナス〇・三四%、いずれも〇・二から〇・三五%の間のマイナスになっているわけですね。昨年の人事院勧告が、そういう中でプラス〇・〇八%であったわけです。ですから、仮に民間春闘結果を反映したとすれば、ことしの勧告は〇・二から〇・三%程度のマイナスにとどまるということが当然想定されるわけなんですね。なぜことしの人勧がそれとは大きく開いた二・〇三%なのか、余りにも開きが大きいように感じてなりませんが、この点について、いかがでしょうか。
中島政府参考人 昨年もことしも同じですが、春闘の賃金引き上げ率というのが、どういうようなデータに基づいて、どういうような基礎で算出されているかということをよく検討していただく必要があるだろうというふうに思います。
 私たちは、それとは異なりまして、賃金を比較するということになりますと、職務が類似しておる労働者同士をまず比較する必要があるだろうということ、そして、賃金というのは職責に応じて、また年齢に応じて、そしてまた勤務地域に応じて異なってまいりますので、それらが類似する者同士を比較して給与を比較する、いわゆるラスパイレス方式というわけでございますけれども、その方式で計算しております。私たちのこの計算方式について、賃金専門家からそれはおかしいという意見は聞いたことがございません。
春名委員 厚生労働省の毎月勤労統計の所定内賃金でも、昨年の同月、四月比ですが、一・三%のマイナスなんですね。今お話が出たラスパイレス方式で精緻にやっておられるということなんですが、これらの指標から見ても、調査方法の違いはあると思いますが、マイナス二・〇三%というのは非常に、いかにも過大だなと私は率直に感ぜざるを得ないわけですね。
 それは、今回の調査方法の変更に一つは起因しているような気がしてならないんです。その点をお聞きしたいと思います。
 私、昨年、総裁への質問で、公務員の給与が高過ぎるとの声があるので検討するという姿勢をお示しになった人事院に対して、総裁に対して、今まで民間準拠で精緻に調査されているじゃないか、その調査の信憑性が問われることになるんじゃないですかという御質問をいたしました。総裁はそのときに、実態把握については今まで精いっぱい詳しくやってまいりましたということを言われた上で、けれども、ここ二、三年、地域の経済構造も変わってきた、民間企業のあり方も変わってきておる、給与制度も変わってきておるだろう、そこらの実態把握をしっかりやって、公務員給与のあり方について検討してみたい、こういうふうに御答弁されているわけです。
 要するに、この答弁のとおり、今回、調査方法をまず第一弾で変更しまして、大くくりにする、抽出方法を変更するということなどをやられているわけですね。そういう調査方法を変更したことが調査結果に影響を与えているんじゃないかと感じるんですが、その点はどうなんでしょうか。
中島政府参考人 これは春名先生も大分勉強されたらしいですけれども、賃金を比較するときに、民間賃金を調査するときに、それぞれの県ごとに民間企業を層化いたします。そして、その層ごとに調査対象企業を抽出するわけでございますけれども、昨年までのやり方というのは、どちらかというと、先生は高知県出身でございますので高知県の例を申し上げますと、大企業というのは悉皆調査に近い調査を行ってきた。そして、数の多い中規模企業といいますか、企業規模は百人、事業所規模が五十人ということになりますと、高知県あたりは中核企業ということになるかもわかりませんが、そういう企業については抽出率が非常に少ないということでございまして、県の人事委員会の中では、そういうやり方をいつまでも続けておると民間企業の労働者の賃金調査というものが徐々に住民から、県民から疑問を呈されるようになるだろうというふうに懸念しておったところもあるようでございます。
 したがいまして、私たちは今度は、今先生がお話しになりましたように、日本の産業構造も変わってきた、そして地域における産業構造も変わっておる、しかもそれに対応して賃金の類似する企業グループも変わってきておるということでございますので、新たに層をつくり直そう、そしてそれぞれの層ごとの抽出率をできるだけ同じにしていこうということで今回調査をしたわけでございます。
 今、先生がおっしゃった、懸念されておりますように、だから、私たちが意図的に公務員の賃金を低くするために調査方法を変えたということではなくして、より実態に適した調査をするという方向で見直したということでございます。
春名委員 公務員の賃金が高いという声を受けとめて調査方法を変更した、その結果二・〇三%のマイナスになって、春闘相場などから見てもかなり大きな開きができているというように、状況としてはそう受けとめざるを得ません。
 そこで、総裁に、説明責任を果たすという意味で、今回の場合の調査方法での結論と昨年と同じ方法、やり方でやった場合との比較対照、これをやはり公務員労働者にきちっとお示しする、そういう説明責任を果たしていただいて、労働者にきちっと納得を得る材料を示すということは最低必要だと思いますね。その点をぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
中島政府参考人 私たちは、今回の調査方法については適正なものだという自信を持っておりますので、昨年と同じ方法でもう一度調査してみるというようなことは大変な作業を要しますし、そういうことをやる意思はございません。
春名委員 労働者の納得を得るということが、国民の納得を得ることと同時に非常に大事です。これだけ不利益を得るわけですから、それをどう甘んじるか、そういう非常にぎりぎりの議論になっているわけですから、そういう説明責任は最大限果たすということをぜひお願いしたいと思っております。
 私は、今回の人勧の最大の問題だと考えていますのは、不利益不遡及の原則を破っているという問題だと思います。まず、この原則の基本的考え方を簡潔に述べていただきたいと思います。
大村政府参考人 御指摘の点につきましては、講学上法律不遡及の原則と言われるものでございまして、その中身としては、法的安定性の観点から、過去に適法に成立した法律関係を事後的に不利益に変更することは原則できないこととしている考え方でございまして、法律の原則的な取り扱いであるというふうに理解しております。
春名委員 過去に確定して適正にやられているもの、とりわけ金銭債権、それをさかのぼって覆すことはできないというのがこの原則だということで、人勧の中にも明記をされているわけです。
 ところが、勧告は、不利益不遡及の原則に基づいて勧告実施時期は四月に遡及することはしないが、年間における官民給与を均衡させる観点から十二月期の期末手当で所要の調整を行うということになっている。先ほど同僚議員からも質問がありましたが、これは要するに、一度払った給与を実は払い過ぎていたので一時金で調整するというもので、今おっしゃった、過去に確定し、執行し、適切とされていたものをさかのぼって否定するというものにほかならないわけであります。まさにそれ自体不利益遡及そのものではないでしょうか。これはどうお考えですか。
大村政府参考人 今回の調整措置につきましては、改正給与法をさかのぼって適用するということではございません。そういうことをやって減額分を返納ということではございません。
 公務員給与につきましては、四月で官民を合わせるというルールをやっておりますので、年間における官民の給与の均衡を行うために、改正給与法施行後に支給される給与である本年十二月の期末手当の額を将来に向かって調整するものでございます。
 こういうものでございますので、先ほどの不利益不遡及の考え方には当たらないというふうに考えております。
春名委員 それはあなた方が言っているへ理屈でして、実質なんですよ、問題は。四月に勧告を実施したと仮定して、そのマイナス分を時期だけずらして十二月に実施するというものでしょう。形式だけ繕った不利益遡及じゃないですか。だれが見たってわかることじゃないですか、それは。こんなことをやられますと、一体どういうことになるかということなんです。
 民間の場合、仮に労働協約を労使で合意をして、もし労使で合意をして変更すれば、過去にさかのぼって不利益変更があり得るということはあるかもしれませんね。しかし、それも、その民間でも、経営側の一方的な労働条件不利益変更にかかわって、その妥当性をめぐる争いが今多発しているわけですね。
 例えば、昭和四十三年の秋北バス事件の最高裁判決、新たな就業規則の作成または変更によって既得権を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課すことは原則として許されない、こういうふうになっているわけですね。これが不利益変更に関する民間の到達点でしょう。民間でも、一方的な不利益変更は許されないんだということになっている。
 いわんや、公務の場合、どうでしょう。公務員労働者には協約妥結権がないわけです。それを人勧で、給与勧告で出される。にもかかわらず、この労働者の不利益変更、不利益の遡及を人事院が一方的に勧告する。私は、民間と比べても労働基本権が剥奪されているんですから、こういう不利益不遡及の原則を踏み破って、労働の基本的なルールを踏み破るような勧告を出す、これは人事院による労働基本権の侵害に当たるんじゃないかというぐらいの重い問題じゃないかと思いますよ。そういう御認識はあるんでしょうか。
中島政府参考人 先生は一方だけをごらんになっているんじゃないかというふうに思います。むしろ私は、官民を均衡させるためにどういう措置をとるのか、とるべきなのか、それによって、どのようにして国民に公務員給与というもののあり方について納得してもらうのかという視点からやはり考えていただくことも重要じゃないかというふうに思います。
 公務員の給与とか待遇というのは、国民の理解、納得があって初めて成立するものでございますので、その上でお考えいただく、こういう方面からの思考といいますか、議論というのもひとつよく吟味していただきたいというふうに思います。
春名委員 国民の理解ということを先ほどからおっしゃっているんで、私、国民の理解という土俵に乗って一言言いますけれども、こういう不利益遡及を実質進めてしまうようなことを許せば、労働債権について、事後に決定された契約が不利益であっても遡及できるという労働法上の先例になりかねぬわけです。そうすると、民間の労使関係にも重大な影響を与えるわけですね。つまり、今、総裁が国民の納得が得られるかと言っておられましたけれども、民間で働く多くの労働者や国民に、このような勧告がもし実施されたら、持ち込まれたら、それこそ大きな不利益になるんですね。そういう問題でもあるんですよ。
 しかも、先ほど私の、労働基本権の代償措置としての人事院の役割から逸脱して、これは侵害しているということになるんじゃないかという質問には答えていないんです、国民の利益との関係はおっしゃったけれども。そういう問題としてこれは提起をされているんじゃないかと私は思うんですよ。
 総裁にもう一回聞きますが、実際に労使の紛争が持ち込まれている労働基準監督署の現場で、就業規則の一方的不利益遡及にかかわって、勧告がもし実施されれば指導が難しくなるなという現場の労働者の声が出されていますよ。こういう問題だと。私、これは禁じ手じゃないかと。改めて再考を促したいと思うんです。いかがですか。
中島政府参考人 民間の例をよくお挙げになりますけれども、それは官民均衡ということを考える余地のない分野の話でございます。私たちは、官民均衡というものを考えた場合に、やはり、今回のような措置というものは許されるだろう、そのことを国民は評価してくれるだろうという考え方でございます。
春名委員 そこから一歩も出ない話をされるので困るわけですけれども、やはり、人事院は労働基本権の代償機能を持った組織ですから、その労働基本権の代償機能をきちっと果たすという角度から考えて、こういう一方的な不利益遡及というようなやり方を持ち込むということを私は再考してほしいと改めて要求したいと思うんですね。
 それで、私は、総裁の話を聞いても全然説得力がないわけですが、何でこのような禁じ手まで導入する勧告をお出しになるのかと考えざるを得ないわけです。私は、はっきり言って、政府の賃金抑圧圧力といいますか、そういうことについてやはり加味したというふうに考えざるを得ないんですが、それは、例えばことしの人勧を出す過程で、政府の介入的姿勢が異常だったからです。
 例えば、閣僚の発言を見ますと、五月の二十六日、竹中大臣、税の負担を見直すに当たって、納得できる政府のスリム化が必要で、そのためには公務員給与の削減問題は避けて通れない、勧告制度は右肩上がりの時代の遺物である、ここまで言ってのけましたよ。五月の二十八日、小泉総理は、これからあらゆる歳出を見直していく、公務員給与削減も検討していく課題だ、こういうふうにおっしゃる。
 五月の二十九日、財政制度審議会の建議では、公務員給与のあり方の検討を進めるべきだ、総人件費抑制ということが盛られる。六月の十三日の骨太方針では、公務員の定員削減、給与引き下げ、これを求める閣議決定をやる。
 人事院がまだ調査をしてどうするかという議論をしているときに、もう五月の段階から次から次へと、給与引き下げ、総人件費引き下げ、これは絶対やらなきゃいけないと大合唱をやって、方針にまで出す。これを四月に遡及しなければ、人件費抑制、余りできないわけですね、十二月まで。
 やはり、そういう状況を見たら、こういう問題がここに色濃く出て、本当はやりたくないけれども、禁じ手として、人勧として提起しているというように思わざるを得ないわけです。この点は、率直な話ですけれども、私は非常に疑念を持つわけですが、総裁、いかがですか。
平林委員長 時間が来ておりますので。
春名委員 はい、これで終わります。
中島政府参考人 そういう懸念は全くございません。そして、そういうことを人事院におっしゃった政治家は一人もございません。
春名委員 人事院に直接おっしゃっていなくても、そういうことを発言しておるんです。政府には、こうしたひどい人勧は実施すべきではないということを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
平林委員長 次に、重野安正君。
重野委員 それでは、質問に入ります。社会民主党の重野安正です。
 まず最初に、今年度の勧告におきまして、年間給与で実質的な均衡を図るために不遡及部分については十二月期の期末手当の額で調整とあります。質問が重複して恐縮ですが、一体この調整とは何を意味するのかということがまず第一であります。これを率直に読みますと、十二月期の期末手当で減額する。結局、公務員にとってみれば、この措置は不遡及どころか遡及適用そのものではないか、こういうふうに言えると思うんです。こういう表現をしたのは、結局は、行政法上明確な原則となっている不利益不遡及原則に抵触することを恐れたためにそういうふうな形にしたのではないかと私は理解をするわけです。
 また、調査時点における官民較差分をなぜ期末手当で調整するのかという点です。これでは、給与と期末手当の性格の相違がなくなるではないか。今後もマイナス勧告となれば、新たな調整制度が生み出されてしまうことになる、こういう懸念を持つわけでありますが、まず、人事院総裁の見解をお聞かせください。
中島政府参考人 四月時点の官民の給与を比較いたしますと、月例給で二・〇三%の逆較差が出てまいります。それをどのように取り扱っていくかということを考えるわけでございますけれども、従来はプラス勧告でございましたので、四月に遡及して差額分を支給したということでございます。マイナスのときには、今度は、今までもらったものは、平たい言葉で言いますともらい得だ、今までのことはもう触れないというやり方もあるかもわかりません。しかし、今の厳しい公務員給与に対する国民の目というのは、それでは許してくれないだろうと。
 そこで、どういうふうにしてこの減額調整というものをやっていくかということでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、やはりこの際、十二月に支給する期末手当からその分を減額させていただこうということでございます。十二月以降に支給される月例給というものでやるやり方もございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、月例給というのは生活給に直結しておりますので、期末手当の場合にはその距離が少し遠くなりますので、期末手当でやらせていただこうということでございます。
 そのようにいたしまして、やはり私は、人事院でございますので、できるだけ公務員の立場、公務員の利益というものを擁護しなきゃならない立場はよく存じておりますけれども、その前に、やはり公務員の給与とか待遇というものは、国民から理解される、納得されるということが前提でございますので、今回のような措置をとらせていただかなきゃならないというふうに考えたわけでございます。
重野委員 ちょっと視点を変えまして、民間給与と公務員給与というのは決定方式も違います。違いますけれども、非常に密接に関連していることは紛れもない事実ですね。人事院が公務員の給与をこういう形で決定していくということが、今度は民間のいわゆる層にどういう影響を及ぼすかというのは火を見るよりも明らかですね。多分、今後の民間の給与決定の段階においてはこのことが一つの目安にされるであろう。こうなっていくと、この国の労働者の賃金というのは、どんどん縮小均衡化していくおそれが出てくると思うんですね。
 私は、この国の経済立て直しの極めて重要な要素に、労働者の消費マインド、消費意欲をどう高めていくかということは決定的な意味を持っていると。そういう大きな、大局的な見地から見て、今回のこの人事院の決定というのは大局観がない、私はこういうふうに言わざるを得ないと思うんですね。その点について、総裁、どのように受けとめますか。
中島政府参考人 私たち、公務員給与を決めるときに、公務員給与についての勧告をするときに、現在、国家公務員法に基づいて、一定の権限といいますか、一定の職責が与えられております。情勢適応の原則というものでございますが、この情勢適応の原則というものの意味するところは、長い間の先輩諸氏の御議論の結果、民間の給与に準拠するというふうに現在なってきております。
 したがいまして、その原則に従って給与の勧告をさせていただいたわけでございますけれども、その給与勧告の結果が、日本の経済情勢とか景気、あるいはまた、かつて議論されましたように、財政にどういう影響を与えるのかということは議論されなきゃならない問題だというふうに思います。
 ただ、そのことまで考えて人事院が勧告をするということになりますと、とても現在の人事院の権限とかスタッフでは及ばないところでございますので、それだけの立場が与えられていない。やはり、そういうことを議論していただくというのは、いろいろな閣僚の方がお集まりになって、その場で御議論していただくということに性質上ならざるを得ないだろうという気がいたします。
重野委員 不利益不遡及の原則という原則、これが今回のこの人事院勧告をめぐっての大きな争点になっております。
 労働基準法で、一方的に不利益変更を行うことを禁止しています。人事院勧告は労働基本権の制約にかわる代償措置として、人事院勧告がこの間この国の制度として定着をしていった。ここのところのかかわりを、今回の勧告においていわゆる遡及をして、言うならば公務員からその分は返してもらいますよということなんですが、それとのつながりをどういうふうに理論づけるんでしょうか。そこについてお聞かせください。
中島政府参考人 おっしゃるように、労働基本権制約の代償措置として人事院が給与についての勧告をするわけでございます。通常、その勧告内容というのは公務員の給与を引き上げる勧告ということになろうかというふうに思いますけれども、やはり法律にも予定されておりますように、官民比較して逆較差の場合にはマイナス勧告というものもせざるを得ない。そういうことが適正な公務員給与の実現といいますか、適正な代償機能の行使の仕方だというふうに考えざるを得ない、それが今の国家公務員法の仕組みだというふうに思います。
重野委員 それでは、総務大臣、不利益不遡及の論議が今行われているわけですが、立法府の、総務大臣、いわゆる所管の大臣として、不利益不遡及の原則、この点について、今回の勧告とこの原則のどこにその整合性を求めるのか、その点について聞かせてくれませんか。
片山国務大臣 これはいろいろな考え方があると思いますけれども、恐らく人事院はストレートな不利益不遡及には抵触しないと。何度も総裁が言っておりますように、トータルで官民のバランスをとる、民間に準拠するというのが基本的な官の方の、国家公務員の方の勤務条件のあり方ですから、やはり較差が出ている、官がもらい過ぎている、それを年間としてどこかで調整する必要がある。調整の方法がなければ別ですよ。しかし、調整の方法が、十二月の期末手当があるので、そこで調整する。こういうお考えで勧告を出されたのじゃないかと思いますよ。私は、そういうことで出されていると。
 先ほども言いましたが、いいときだけ民と一緒で、悪いときは官だけが免れるというのは、これは国民感情からはなかなか御理解いただけない。そういうお考えでこういう勧告をお出しになったのじゃないかと思いますが、私どもの方は、この勧告を受けまして、給与関係閣僚会議で十分な議論をしまして、総合的な観点で物を考えて結論を出したい、こういうふうに思っておりまして、きょうの総務委員会での御議論も十分我々としてはそれなりに受けとめさせていただきたい、こういうふうに思っております。
重野委員 この遡及という事態は、結果的に、民間賃金が四月、いわゆる春闘の中で決まっていく、公務員の賃金は秋から最後は年末ぎりぎり、この時間的な差が今の議論のもとになっておるんですね。本来ですと、やはり新年度から新年度の給与が支給されるようにすべきことなんですね。その点を忘れぬで物を言うてもらわぬと、私もちょっと困るなという感じですが、それはもうその程度でやめておきます。
 次に、一九四八年度にこの勧告制度が始まって、初めて完全実施されたのが一九七〇年度、こういうふうに理解をしています。しかし、それも一九八一年度から一九八五年度までの五年間は不完全実施、あるいは見送り、こういう歴史があります。言うならば、もらう側からすれば極めて理不尽な扱いをされ続けた、そういう点についての払う側の補てんというものは一切行われておりません。今回のことは、私に言わせれば行政府の御都合主義だ、そしてそのことが結果として勧告の無視につながっている。にもかかわらず、それに対する反省はされない。今年度は、そういう経過というものも含めて、ある意味ではこの間のそういう不合理というものを清算する、そしてまさしく今後新しい形で決められていく、そういう一つの転換点という時代認識を持つことも私は大事ではないかと。
 総務大臣、それから人事院総裁、そういう歴史的な意義というものを私は踏まえていただきたいというふうに思うんですが、それについてお聞かせいただきたい。それから、いよいよ給与法の審議等々が行われる段階が来ると思うんですが、少なくともそれまでにそういう点についてのきちっとした政府の考え方、これをひとつ示していただきたい、このように思うんですが、それについての答弁をお願いいたします。
中島政府参考人 今、先生がお話しになりましたように、かつて人事院の給与勧告というものが部分的にしか実施されなかったという歴史がございます。私たちといたしましては、人事院の代償機能が十分発揮されなかった時期については非常に遺憾に考えております。ぜひともそういうことがないようにしていただきたいというふうに思います。
 ただ、そのことと今回のことを結びつけて、今回、だから減額調整するのはやめろというふうにおっしゃるのは、少し議論としていかがなものだろうかというふうに思わざるを得ないというのが率直な感覚でございます。
片山国務大臣 この人事院勧告制度というのは、長い歴史がありまして、いろいろな議論の中で経緯をたどってまいりまして、二十何年前から完全実施、こういうことになったわけであります。そういう意味では、今の総裁のように、人事院の持つ基本権制約の代償機能が完全に果たされてきた、これはやはり私は今後とも尊重していかなきゃいかぬと基本的には思っております。何らかの都合でそれを不完全に実施する、値切るというようなことはあるべきではない。今までの過程の中で、おまえ、不完全実施を昔やったんだから、積み残しみたいなもので、この際借金返せと。これはしかし、それぞれ毎年度でその実施を決めてずうっと積み上がってきたわけですから、なかなか今回のあれには結びつかないと思います。
 いずれにせよ、人事院の勧告をいただきましたので、これをどういうふうに受け入れて、それを給与法に反映して国会で御審議を願うかについては、慎重に、総合的にこれから検討してまいります。
重野委員 次に、この勧告によりまして給与費の減額分を推計しますと、国家公務員で二千四百十億円、地方公務員で四千五百二十億円、こういうふうな試算が出されております。これに関係する人々が公務員関係だけで七百万、さらに地方の地場産業等々に働く労働者等々をしていくと一千万人に影響する、こういうふうに言われているわけです。そうなると、この給与費の減額によりGDPにどういうふうな影響を及ぼすのかということをやはりきちっと示してもらわなきゃいけない、こういうふうに思います。
 あるシンクタンクが出しておる数字は、〇・一%から〇・二%下がる、こういうふうに試算をされておりますけれども、その点について、経済財政担当副大臣、明らかにしていただきたいと思います。
松下副大臣 今回の人事院勧告は、民間企業の最近の動向を踏まえて、公務員給与水準の引き下げを勧告したものというふうに承知をしております。今おっしゃったように、これが仮に実施された場合にはやはり家計消費等にある程度の影響が及ぶことは考えられる、こう思っております。しかしながら、公務員給与を含めた歳出面の改革というのが、やはり中期、長期的な民需主導の持続的経済成長を実現するためには必要だというふうに考えておるわけです。
 目下のところ、十四年度の我が国経済については、おおむね政府経済見通しの想定の範囲内、GDP成長率で〇・〇%を想定しておりますけれども、その中にあるものと考えております。四―六月期のQEも〇・五%ということでございますから、これが横ばいで続きますとそういうふうに考えられるということでございます。
 今後の動向について、今回の人事院勧告の影響も含めて、引き続き内外の経済状況は十分注意していかなきゃいかぬ、こういうふうに考えております。
重野委員 それでは、時間もありませんので、最後に、公務員の上級職、1種試験について伺います。
 端的に申しまして、先ほどから問題になっていますが、いわゆる面接問題ですけれども、これは官報等において、いつどこで、そしてその手続はこうするんですよ、こういうふうなものがすべて平等に周知徹底されて、全国各地の志望者が平等にそういう場に出ることができる、そういうふうな仕組みをつくっていくということが第一点。それから、そういう志望者全員が平等に面接を受ける、あるいは公正な基準によって判定される、そういう明確なルールをこの際きっちりつくっていくべきではないかというふうに考えるんです。
 同時に、正直言って、地方と東京の学生の有利不利というふうなことが公然と言われるような今の姿というのは、私は問題がある。そういうふうなことがもし明らかになった場合には、そういう不利益を起こした場合には、きっちりそれに対するけじめをつける、そういう仕組みをつくっていく必要があるのではないかと思うんですが、この点について、行革担当副大臣、さらには人事院総裁の見解をお聞かせください。
平林委員長 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
熊代副大臣 簡潔に答弁させていただきます。
 一つは、合格発表の時期を、一次、二次を縮めて、内々定というのをなくして、面接の時期を地方の学生にも非常にわかりやすくするということでございます。
 全国津々浦々で、いつから面接が始まって、どういう手続なんだ、どういう基準なんだ、透明性を図る、それから公平性でございますね。そういう、各省に面接を任せますけれども、内閣において共通のルールを設定して透明性、公平性を確保してまいりたいということでございます。そういうことで、四倍になりますと地方からの合格者もふえますし、チャンスがふえますので、人物試験で十二分に同じ条件で頑張っていただける、そういう環境を内閣でも進めてまいりたいと思います。
 十五年度につきましては、人事院総裁から御答弁いただきます。
中島政府参考人 一次試験の合格発表後の内々定をやめさせるということは、熊代副大臣のおっしゃるとおりでございますし、私たちも同じように考えております。
 問題は、最終合格発表後の各府省の面接を公開平等、成績主義に基づいて行う、そういうルールをしっかりつくるということだと思います。平成十五年度は、私たちの方でそういうようなルールをつくって実施をしていただくようにしてまいりたいというふうに思います。
重野委員 まだあったんですけれども、きょうは時間がありませんので後日にまたやらせていただくことを申し上げまして、質問を終わります。
平林委員長 次に、小池百合子君。
小池委員 保守党の小池でございます。最後の質問をさせていただきますので、極力重複を避けてまいりたいと考えております。
 まず、今回、一九四八年の勧告史上初のベースダウンということで、特に基本給、俸給表の引き下げ改定というのがやはり一番大きなテーマではなかろうかと考えております。
 そこで、いきなり憲法問題になるわけでございます。新聞などにも報道されておりますように、裁判官に対してこの人勧をそのまま当てはめていった場合には、憲法の文言では、減額してはならない、減額することができないということが憲法の第七十九条、そして八十条にうたわれているわけでございますけれども、今回のこの措置で明らかな減額になるわけでございます。これによりまして、最高裁の方でも、これは違憲か合憲かといったような討議といいましょうか、検討が行われたということで、結局これは合憲であるというふうにみなされたと伺っております。
 直接最高裁の方から、今回の経過、そしてその結果についてお伺いしたいところではございますが、残念ながら立法府にはお越しいただけないということでございますので、法務省の方から、今回のこの問題につきまして、どのような経過があり、そしてどのような判断に基づいて結論を出されたのか、御報告を願いたいと思います。
寺田政府参考人 おっしゃるとおり、最高裁判所の裁判官会議におきまして御議論が行われたようでございまして、法務省としてこれを詳細に承知しているわけではございませんけれども、ただいま委員が御指摘になりましたように、裁判官の報酬の引き下げにつきましては憲法上の問題があるということから、司法行政上の決定をする前提として御議論をされまして、たとえ今回の人事院勧告が完全実施されて報酬が一般的に引き下げられる、これに伴いまして裁判官の報酬も引き下げられるということになりましても、必ずしも憲法の言う報酬を引き下げてはならないということに抵触して違憲であるということにはならない。これは、司法の独立を侵すものではないという趣旨からして、そういうことにはならないということで、一定の結論をお入れになられたというふうに私どもは受け取っております。
小池委員 実際の相手といいますか、お伺いしたいところの最高裁がおられないので、なかなか法務省には聞きにくいところでございますが、ただ、日本国憲法の文言からいいますと、「この報酬は、在任中、これを減額することができない」、それ以外の読み方ができないわけでございまして、私は、今回、この人事院の勧告をそのまま完全実施いたしますと、これは明らかに違憲ではないか、これは違うのではないかというふうに思わざるを得ないわけでございまして、むしろ、これは憲法改正をすべきではないかというようなことも思うわけでございます。
 これで、もし裁判官の皆さんが、これは違憲ではないかということで訴えられてきたときに、法的にもつのでございましょうか。だれにお答えいただいたらいいのかわかりませんが、法務省としてはいかがでしょうか。
寺田政府参考人 私は、ここで確定的に憲法解釈を申し上げる立場にはございませんが、かねてからこの問題につきましては、おっしゃるとおり、文面上全く留保なく、報酬を在任中は引き下げることができないという規定ぶりがされていることから、これを違憲とする考え方が一方でございます。
 しかし他方で、今回と同様に、国家の財政上の理由あるいは経済情勢からいたしまして、一般的に公務員すべて、国家公務員すべてが報酬、給与を引き下げられるというような場合に、これに伴いまして裁判官も相応の引き下げがされるというような場合には、これは憲法の趣旨からいきまして司法の独立を侵すことはないということで、憲法に必ずしも違反するものではないという見解がありまして、私どもといたしましては、最近では、私が今申し上げました後の方の見解、すなわち、必ずしも違憲ではないという見解が有力になりつつある、こういうふうに承知しております。
小池委員 社会情勢からいって、必ずしも違憲ではないととらざるを得ないからそうしているのではないかなと私は判断をするところでございます。
 事ほどさように、世の中、考えられないようなことが幾らでも起こるわけでございまして、憲法のあり方その他も含めて判断をしていかなければならない、立法府としても判断をすべきではないかというふうに思っております。その点、ありがとうございました。
 今回の完全実施で俸給表まで改定をするという事態に陥っているということは、我が国の経済が極めて厳しいということでございまして、今回の完全実施を行うに当たりましては、私は、賛成せざるを得ないわけでございます。財政的には当然であろうし、また、民間の給料が下げられ、ましてや最大の違いは、倒産をするかしないかというような一番大きな違いがあるわけでございまして、この国民感情の点からいきましても、これは当然完全実施を行うべきであろうと思います。
 ただ、経済の観点となりますと、私は、やはり若干問題が生じざるを得ないと。先ほど来お話にもございましたけれども、このところのデフレ状況の中にあって、公務員の給与の引き下げというのは、これはまたさらに、特に個人消費が冷え込んでいるという現在の状況を考えますと、どう考えてもプラスの方向には行かないわけでございまして、また、デフレを加速させる要因であるということは認めざるを得ないというふうに思います。
 失われた十年ということが残念ながらよく使われております。そういう中で、こういう大きな流れの変化のときは、むしろ歴史から学ぶべきではないかと私は考えております。では、どこにそのアナロジーを求めるかといいますと、やはり一九二〇年代かなと思うわけでございます。
 人類の歴史はインフレの歴史ということで、これまではずっとインフレの状況が続くというのが当然のように思われてきた中で、このデフレという局面に面することも現実には何回かあったわけでございます。その意味では、一九二〇年代、申すまでもなく、世界大恐慌の時代でございます。
 日本とすれば、第一次大戦でいわゆる戦争特需があって、それの反動がいわゆるバブルの崩壊に匹敵をする。また、関東大震災がある。そしてまた、それぞれの政党が入り乱れて、緊縮財政と財政出動とのストップ・アンド・ゴーが繰り返し繰り返し行われていく。そういった中で、一九二九年に浜口雄幸内閣が誕生して、金解禁を訴えてきたあの井上準之助大蔵大臣がさらに緊縮財政を進めていく。その中に、この今回のマイナス勧告と同じように、公務員の、役人の給与の引き下げというのも、その緊縮財政のテーマの一つに入っていたわけでございます。
 ですから、ストップ・アンド・ゴーが続くという点、そしてまた、このように財政緊縮の中で、これは当然かもしれませんけれども、当時も公務員の給与の引き下げが実際にあったという点。そしてまた、もう一つ類似点をここで挙げるならば、浜口雄幸内閣、浜口ライオン宰相と言われていて、小泉さんがライオンハートと言われていること、そんな言葉を使われたりとか、もう一つ言うならば、浜口内閣のときの逓信相、かつての、この総務、郵政委員会の、そこのベースを持っていた逓信省の大臣であったとか、そういう点、似ているところを探せば、無理してひっつければ幾らでもあるんですけれども。
 いずれにいたしましても、余りないデフレという局面と、そのときにとった政策と、やはりそこでいろいろな歴史から学ぶという点で言うならば、先ほどの、経済的にはいかがなものかというところに帰結していくわけでございます。
 先ほど、民間の調査で、今回の、地方と合わせれば約七千億近いコストダウンになるわけでございますが、しかしながら、それが、個人消費の可能性を秘めている部分がその分削減されてしまうわけでございますから、そのあたり、経済に、GDPに対してどれほどの影響が出るのか。先ほど松下副大臣の方からのお話もございましたけれども、いま一度そういった歴史的な観点、そしてまた今回のマイナス勧告が経済全体に与える影響、内閣府としてどのような分析、また御認識をお持ちなのか、教えていただきたいと思います。
谷内政府参考人 お答えさせていただきます。
 今御質問のございました、歴史的な経験と現在との比較という点でございます。いろいろな考え方ができるかと思いますけれども、井上財政のときにはかなり大幅な歳出カット、それに加えて金融も大幅に引き締める、さらに加えて金解禁ということで円も大幅に切り上げる、半年で二割も切り上げるということで、その分輸出が抑えられてこれも緊縮的ということで、大変な緊縮度の強い政策でございました。その状況と、現在の小泉内閣の進めている政策とを比較しますと、必ずしも同じようなものとは言えないのではないかというふうに考えます。さらに、小泉内閣の場合には、構造改革を進めて経済の成長率を引き上げるということも柱にしておるところでございます。
 お尋ねの人事院勧告の経済に与える影響という観点でございますけれども、先ほど松下副大臣から御答弁させていただいた内容と基本的には同じでございます。政府としての決定はこれからということでございますけれども、仮に今回の人事院勧告がこのまま実施されるとした場合には、家計消費に対してある程度のマイナスの影響が出るということは考えられますけれども、現在の直近までの経済情勢を分析いたしますと、今後の成長率の動向につきましては、今年度の経済成長についての政府見通しの想定の範囲内にあるというふうに考えております。
 今後の経済の動向につきましては、今回の人事院勧告の影響を含めまして、引き続き内外の経済情勢を見ていきたいというふうに考えております。
 以上です。
小池委員 決して経済にいい影響を与えるということは考えられないわけでございます。もっとも、こういうものというのは、ワールドカップの経済効果とか、いいときにはすごくばんばん報道もされたりするんですけれども、景気が悪くなるときの話というのは余り出ませんもので、またこれも、どの部分でどういうマイナスがあったかという仕切りもつけづらいということもありますけれども。
 基本に戻りますと、やはり何よりも景気の回復ということを進めていかなければ、まさにデフレスパイラルのモデルにばちっと当てはまってしまうということを大変懸念もし、また、それだけに、そういった政策を、正確な政策をスピーディーに仕上げていかなければならない、そういう思いを自分自身確認をさせていただいたわけでございます。
 もう一点、全く切り口が変わる点でございますが、今回の人事院勧告の中で、バックオフィスのオンライン化等々の、いわゆる人事院としてのIT化によっての公務の効率化ということ、これについてもおまとめになったわけでございます。
 これについて、e―Japan計画ということと、それから電子政府の大きな流れもございます。この人事院勧告の中の部分も含めて、総務省として、これからどのぐらいのスパンでどれほどの効率化を、できれば数値的に示していただければと思うのでございますけれども、今の進捗状況並びに見通しについて改めて伺わせてください。
片山国務大臣 e―Japan戦略は去年の一月に決めまして、それに基づくアクションプランを去年の三月に、さらに本年度やるべきことを二〇〇二プロジェクトということで決めております。
 その中で、電子政府、電子自治体が大変大きなテーマでございまして、とりあえず、行政手続、国民の皆さんが政府や地方団体に対する申請、届け出を全部インターネットによりオンライン化しよう、それから行政機関相互のものもしよう、こういうことでございまして、国民と行政側の件数が二万一千、行政機関相互が三万件あるんです。このうち、国民の皆さんとの関係のものは十五年度中に九五%以上オンライン化しようと。ところが、問題は、行政手続オンライン化法関係三法が参議院の方で継続審査になっておりまして、これをぜひ次の国会では通していただかないと、十五年度までになかなか間に合わないのでございますが、それをやる。
 それから、行政機関相互の方は、十五年度中に四分の三、七五%ぐらいオンライン化しよう、こういうことでございまして、地方団体もほぼ同じでございます。ぜひ、そういうことをやることによって、公務全体の効率化を図っていこう。
 申請、届け出の次は電子調達、電子入札、その次は電子申告、電子納税、あるいは電子投票、こういうふうないろいろな計画があるわけでございますが、とりあえずしっかりしたアクションプランに入っておりますのは申請、届け出で、あとはもうちょっと時間がかかると思いますけれども、いずれも、そういうIT化を図っていく。
 それによって、公務員を幾ら削るかということにはなかなかなりませんが、それだけ楽になりますから、本来ふえるべきものが抑制されるという効果がある、こういうふうに我々は考えております。
小池委員 これについてはいろいろなやり方があるかと思います。特に、国民との接点の中での業務の軽減と迅速化、それがまた国民にとってよりよいサービスにつながるということが理想だと思います。
 一方で、各企業も、やはり会計業務とか給与業務であるとか、さまざまな旅費にかかる費用がどうだとかこうだとか、そういった庶務の部分の、ですから、まさにバックオフィスという言葉で総合されるんですけれども、こういったところのIT化はどの企業もどんどん進めているわけでございまして、これを私は、政府、中央と地方と両方進めることは、事務の効率化、そしてまたそういった意味で人件費のコストダウンに大きくつながると思います。
 例えば、いろいろなシミュレーションがあるんですけれども、海外の例では、ある軍事基地のそういったバックオフィスのIT化を徹底してやった場合には、労働力のコストダウンが約五〇%、それから、これはアメリカの例ですけれども、ある州政府、これも同じようにIT化を徹底して進めた結果、六七%のコストダウンにつながる、そういった例もございます。ただ、公務員の場合ですけれども、これはいろいろと労働条件が民間と違っておりますけれども、いずれにせよコストダウンにつながる。
 これは、私、よく地元の方からも陳情を受けるんですけれども、ハードの、例えば橋つくります、道路つくりますだったら、国の負担と地方の負担が別々であって、その後のメンテナンスの部分もケアがあったりするんですが、こういったソフトについてはなかなか、地方でそういった事業をするにしても、その後の、そのソフトのところが実は一番お金がかかるんですね。そこに対しての国との仕分けが、もしくは国の方からそこで全くなくなるとか、そういったケースが実際あるわけでございます。
 私は、今回約七千億のコストダウンがこういう形でなってしまうということをある意味では大変残念ではございますけれども、その部分、また、いろいろな税収、今後の予算の組み方次第ですけれども、橋、道路云々で目に見える形ということよりも、本当の意味の将来の日本の設計をするという意味では建設国債と全く同じじゃないか、何でだめなんだと私は思うんです。この辺のところはちょっと発想を変えていかないと、本当に将来の投資につながって、それがある意味で効率的な本当の電子政府をつくり上げる最大の、そして最短の方法ではないかということを、私自身の提言を最後にさせていただいて質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
平林委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時八分散会


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