衆議院

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第1号 平成14年10月29日(火曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成十四年十月十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   委員長 平林 鴻三君
   理事 荒井 広幸君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    遠藤 武彦君
      上川 陽子君    左藤  章君
      佐田玄一郎君    滝   実君
      谷  洋一君    谷本 龍哉君
      野中 広務君    林  幹雄君
      宮路 和明君   吉田六左エ門君
      吉野 正芳君    赤松 広隆君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      山岡 賢次君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    小池百合子君
      三村 申吾君
    ―――――――――――――
十月十八日
 平林鴻三君委員長辞任につき、その補欠として遠藤武彦君が議院において、委員長に選任された。
平成十四年十月二十九日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 後藤  斎君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    滝   実君
      谷  洋一君    谷本 龍哉君
      野中 広務君    平林 鴻三君
      宮路 和明君   吉田六左エ門君
      吉野 正芳君    赤松 広隆君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      武正 公一君    中村 哲治君
      松崎 公昭君    松沢 成文君
      遠藤 和良君    山名 靖英君
      山岡 賢次君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務副大臣        加藤 紀文君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   総務大臣政務官      岸  宏一君
   政府特別補佐人
   (人事院総裁)      中島 忠能君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   小平 信因君
   政府参考人
   (総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  芳山 達郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          荒木 慶司君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            團  宏明君
   政府参考人
   (総務省郵政公社統括官) 野村  卓君
   政府参考人
   (郵政事業庁長官)    松井  浩君
   政府参考人
   (厚生労働省社会・援護局
   長)           河村 博江君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十八日
 辞任
  小池百合子君
同日
            補欠選任
             佐藤  勉君
同月二十九日
 理事稲葉大和君及び川崎二郎君同月十七日委員辞任につき、その補欠として林幹雄君及び佐藤勉君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十月十八日
 国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第五八号)
 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第五九号)
 特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案(石井紘基君外六名提出、第百五十一回国会衆法第六〇号)
 聴覚障害者の利便の増進に資する字幕番組の提供の促進のための放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(大畠章宏君外二名提出、第百五十三回国会衆法第三号)
 特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案(岡田克也君外八名提出、第百五十四回国会衆法第六号)
 日本放送協会平成十一年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
 日本放送協会平成十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書
は本委員会に付託された。
十月二十五日
 国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(第百五十一回国会衆法第五八号)の提出者「石井紘基君外六名」は「上田清司君外五名」に訂正された。
 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(第百五十一回国会衆法第五九号)の提出者「石井紘基君外六名」は「上田清司君外五名」に訂正された。
 特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案(第百五十一回国会衆法第六〇号)の提出者「石井紘基君外六名」は「上田清司君外五名」に訂正された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 このたび、総務常任委員長の重責を担うことになりました遠藤武彦でございます。
 申し上げるまでもなく、当委員会は、国民生活に密着した多種多様な課題を抱えております。職責の重さをかみしめながら、円滑なる委員会運営をいたしたいと思いますので、どうぞ委員各位の御指導、御鞭撻、御協力のほどを心からお願い申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
遠藤委員長 続いて、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に
      佐藤  勉君 及び 林  幹雄君
お二方を指名いたします。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国政に関する調査を行うため、本会期中
 行政機構及びその運営に関する事項
 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項
 地方自治及び地方税財政に関する事項
 情報通信及び電波に関する事項
 郵政事業に関する事項
 消防に関する事項
以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 この際、片山総務大臣、加藤総務副大臣、吉田総務大臣政務官、岩永総務大臣政務官及び岸総務大臣政務官から発言を求められておりますので、順次これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 総務委員会の御審議に先立ち、一言ごあいさつ申し上げます。
 総務委員会におかれては、法案の御審議等を通じ、総務省所管行政の推進に御理解と御尽力をいただいておりますことに厚くお礼を申し上げます。
 小泉内閣は、改革なくして成長なしとの基本認識のもと、聖域なき構造改革を断行することとしております。総務省は、国民生活に密着した極めて広い行政分野を所管し、我が国の行政の基本的構造に大きな責任を有する役所であり、私としてもこうした立場から引き続き構造改革に積極的に取り組む所存であります。
 総務省といたしましては、特に、行政改革の推進、地方分権の推進、IT社会の実現、郵政事業の公社化等に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 行政改革につきましては、行政改革大綱等に基づき、行政改革担当大臣と連携しつつ、特殊法人等、公益法人制度及び公務員制度の抜本的な改革に取り組んでまいります。
 また、国家公務員の定員についてめり張りのきいた定員配置を進めるとともに、十年二五%純減を目指したスリム化を推進するなど国の行政組織の減量、効率化や、各府省における政策評価の取り組みの促進及び評価専担組織としての評価の着実な実施、評価結果の政策への適切な反映の確保、情報公開制度の積極的かつ的確な運用、行政機関等における個人情報のより適正な保護への取り組み、電子政府、電子自治体の実現に向けた取り組みなど、公正、透明で効率的な行政の推進に努めてまいります。
 国家公務員の給与改定につきましては、去る八月の人事院勧告どおり改定を行うため、所要の法律案を今国会に提出したところであります。また、退職手当について、先日取りまとめた民間企業退職金実態調査の結果に基づき支給水準を見直すこととしており、次期通常国会に所要の法律案を提出すべく、準備を進めてまいります。
 地方分権につきましては、国と地方の関係を見直し、地方にできることは地方にとの原則に基づき、その積極的な推進に努めてまいります。特に、市町村合併につきましては、現在、全体の八割を超える二千六百余の市町村が合併を検討しており、去る八月三十日に改定、拡充した市町村合併支援プランに基づき、関係府省と連携を図りながら、市町村、地域住民や都道府県と一体となって、市町村合併特例法の期限である平成十七年三月までに十分な成果が得られるよう、積極的に取り組んでまいります。
 また、地方税財政制度につきましては、地方公共団体が自立的な財政運営を行うことができるよう、国庫補助金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方の三位一体改革を積極的に進めてまいります。さらに、法人事業税への外形標準課税の導入については、「平成十五年度税制改正を目途にその導入を図る。」と閣議決定されており、引き続き全力を挙げてその実現に取り組んでまいります。
 なお、住民基本台帳ネットワークシステムにつきましては、去る八月五日に運用を開始したところであり、今後とも万全な個人情報保護対策を講じ、その円滑な運用に努めてまいります。
 IT社会の実現につきましては、世界最高水準のネットワークインフラの整備、ネットワークの利用促進が不可欠であります。これらの課題は、e―Japan戦略に掲げられた二〇〇五年に世界最先端のIT国家の実現という目標を達成するためのかぎであります。
 ネットワークインフラの整備につきましては、全国ブロードバンド構想に沿った高速、超高速ネットワークインフラの整備、国際競争力の強化に向けた戦略的な研究開発、電気通信分野における新たな競争政策を着実に推進してまいります。なお、実行段階に入った地上テレビジョン放送のデジタル化については、関係者が一体となってこれを円滑に実施し、全放送メディアのデジタル化を推進してまいります。
 ネットワークの利用促進につきましては、デジタルコンテンツの流通の促進やインターネットのIPバージョン6化の促進、ITネットワーク化投資促進税制の実現などの諸施策に取り組んでまいります。
 また、特定地域において、インフラ整備、ネットワーク利用促進、人材育成の三本柱を一体的、先行的に整備するITビジネスモデル地区構想を推進するとともに、国際戦略の推進の観点から、アジア・ブロードバンド計画を本年度中に策定します。
 さらに、電子政府、電子自治体につきましては、平成十五年度までに原則すべての行政手続をオンライン化することとしております。このため、その基盤となるシステム整備を推進するとともに、さきの通常国会に行政手続オンライン化関係三法案を提出したところであります。本法案のできる限り早期の成立にぜひ御理解、御協力をお願いいたします。
 このほか、いわゆるワン切り問題に対応するため、有線電気通信法改正法案を今国会に提出したところであります。
 郵政事業につきましては、さきの通常国会において、日本郵政公社法等関連四法が成立し、来年四月一日に日本郵政公社が発足します。現在、その設立に向け、公社総裁となるべき者及び公社設立委員を任命し、所要の準備を進めております。
 郵便事業につきましては、来年四月の民間参入の実施に向け、政省令の策定等の準備を進めております。また、先般、最高裁判所において、郵便法の規定が部分的に憲法違反であるとの判決があったことを受け、郵便法改正法案を今国会に提出したところです。
 消防行政につきましては、昨年九月に発生した新宿・歌舞伎町ビル火災を踏まえて改正した消防法に基づく防火安全対策を推進するとともに、救急救命士の処置範囲の拡大、大規模・特殊災害等に備えた消防防災対策の充実強化に取り組んでまいります。
 委員長を初め、理事、委員各位の格段の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げ、以上、簡単ではございますが、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
遠藤委員長 次に、加藤総務副大臣。
加藤副大臣 このたび総務副大臣を拝命いたしました加藤紀文でございます。
 若松副大臣とともに片山大臣を補佐し、全力を尽くしてまいりますので、どうぞ遠藤委員長初め、理事、委員の先生方の御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。(拍手)
遠藤委員長 次に、吉田総務大臣政務官。
吉田大臣政務官 このたび大臣政務官を拝命いたしました吉田六左エ門でございます。
 岩永、岸両大臣政務官とともに、ごくフレキシビリティーに片山大臣をお支え申し上げて、二十年前に政治に思いをいたしたときの初心であります、民の声を通してというこの精神で精力的に努力をしたい、この決意であります。
 遠藤委員長様を初め、理事、委員の皆様の格段なる御理解と御指導を賜りますように心からお願いを申し上げて、ごあいさつとします。終わります。(拍手)
遠藤委員長 次に、岩永総務大臣政務官。
岩永大臣政務官 このたび総務大臣政務官を拝命いたしました岩永峯一でございます。
 ほとんど吉田大臣政務官からお話がございましたとおりでございます。若松、加藤両副大臣の御指導を得ながら片山大臣を補佐してまいりたい、このような決意でおります。
 どうか遠藤委員長初め、理事の皆さん方、委員の皆さん方、何とぞよろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)
遠藤委員長 次に、岸総務大臣政務官。
岸大臣政務官 このたび総務大臣政務官を拝命いたしました岸でございます。
 吉田大臣政務官及び岩永大臣政務官とともに片山大臣を補佐し、全力を尽くしてまいりますので、遠藤委員長初め、理事、委員の皆様方の格段の御指導、御鞭撻をお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
遠藤委員長 引き続き、行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省人事・恩給局長久山慎一君、総務省自治行政局長芳山達郎君、総務省自治行政局公務員部長荒木慶司君、総務省自治財政局長林省吾君、総務省郵政企画管理局長團宏明君、総務省郵政公社統括官野村卓君、郵政事業庁長官松井浩君、内閣府政策統括官小平信因君及び厚生労働省社会・援護局長河村博江君、以上の方々の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。
荒井(広)委員 おはようございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 今、国民の皆さんも景気が悪いということで非常に苦しんでおられますので、我が委員会でも、景気も含めた町づくり、そして国づくり、さまざまな観点で議論をさせていただきたいと思います。
 きょうは、目的と手段ということをテーマに二つ、町村合併と郵政公社化に向けて、また、その二つが連携をいたします、これらについてお話を、ぜひまた注文をさせていただきたい、このように思います。
 こちらに福島県の三春町というところが町民の皆さんに配っている資料がございます。この三春町は、町村合併につきまして住民といろいろコミュニケーションを図っているんですが、合併した場合としない場合、どのようになるかということで、事細かく五年後を想定して、例えば国の補助事業は五〇%削減になるであろう、地方交付税については、これは国が決めることではありますけれども、約二〇%減にしよう。同時に、この三春町は行財政改革を進めておりまして、職員の定数は五%削減しよう、あるいはソフト事業について、今もう大体受け皿のハードが終わりましたからソフトに行きたい、そのための起債の返還やら、あるいは新たな仕組み、これらにどういった投資的経費が経常経費のほかにかかるかなどということで試算をいたしました。その結果、行財政改革をきっちりやっていくと、住民サービスを向上するに合併という手段を通じなくてもできる、こういう結論なんです。
 つまり、町村合併は目的ではありません、手段なわけです。住民サービスと、一言に言えばそういうことなんでしょうか、この向上です。こういうふうに行財政改革をしっかりやっていこうという、目的を持っている町村も非常に多くあるんではないか、このように想像いたします。そういったときに、一万人以下の町村について、合併をしない場合ならば、県やその周辺の中核的市に窓口業務をやらせるんだ、あるいは仕事をさせるんだというような話も一部で始まっている。そうなると、合併が目的になってしまう。
 こういったことを考えていきますと、まず審議会において、また大臣において、結果的に合併をしない、こういうケースはたくさんあるわけですよ。しかし、一生懸命創意工夫して、努力をしてサービス向上しようという場合に、その支援措置はこれからどのようにお考えになるのか、お尋ねをいたします。
片山国務大臣 今、荒井委員言われるように、我々は合併そのものが目的であるとは考えておりません。地方の時代を実現するためには、やはり市町村が中心の行政運営にこの国の仕組みを変えていく、こういうことでございまして、そうなると、もっと市町村に権限を移譲する、税財源を移譲しようという場合に、今のままではなかなかこれが、皆さんがそうだということにならないんですね。規模が小さいではないか、能力がないではないか、行政能力も財政力も乏しいではないか、こういうことを言われるものですから、それじゃ、市町村の行財政基盤を強化して、もっと強く、大きく、元気にしますと。だから、そうなるんですから、ぜひ権限移譲や税財源移譲をやってください、こういうことで自主的な合併を推進しようということで、合併特例法もつくりまして今一生懸命やっておるところでございますが、最終的に合併が目的じゃないんですから、市町村を元気にする、大きくする、強くなればいいんですから、いろいろなやり方がそれはあると思いますね。
 ただ、私は、これだけITが進んで、交通事情がよくなってくれば、少々遠いからとか面積が広いからということが合併を阻害する原因には割になりにくいんじゃないか、こう思っておりますから、ぜひ将来の地域社会のあり方を考えて、そこはよく判断してください、こういうふうに申し上げているわけでありますが、それでもどうしても合併できないところが残りますね。
 それで、残ったところをどうするか。例えば、人口が千未満の市町村も大分ありますし、五千未満はもっとあります。こういうところをどうしていくかについては、現在、第二十七次の地方制度調査会でいろいろ御議論いただいておりまして、市町村合併で市町村が再編成された後の府県制度のあり方、小規模市町村のあり方、これについては来年の三月までに中間報告をいただく、こういうことにしております。
 今ちょっと荒井委員が言われた、小規模な市町村については権限も税財源も少し限定的に考えたらどうか。これは、自民党の総務部会か何かにあるPT、プロジェクトチームがいろいろ御議論の成果としてまとめられたものが報道されて、そういうことがちょっと一部の市町村では心配の種になっていると思いますけれども、政府としては、地方制度調査会の中間報告を受けてどういうふうにするかの結論を出したい、こう思っております。
荒井(広)委員 結果的に合併ができなくても、自分たちが住民サービスをするために顔が見えるように努力をしているところには、大臣、支援してください。やはりそういう審議会の議論でないといけないと思うんです。結果ですよ。ですから、そういったことを十分配慮しないと、合併が目的になってしまう。党の中でも一万人以下ということで出ましたけれども、私はやはり賛成できないですね。村や町が住民との関係で何をやろうかが問われるべきですよ。そういったことで、こうした三春町などの取り組みというものもあるということで、評価したいと思っております。
 二つ目ですが、島根県に金城町という町があります。この町は、町村合併を昭和の大合併で三つやりました。ところが、非常に財政負担そして高齢化が多いので、福祉にぜひサービスの重点を置きたい、こう町長が目的をはっきりしました。そのために、住民票の交付などをやっているいわゆる出先、二つあるんですけれども、専らそこは係として印鑑証明などの出入りだけなんです。昔で言う役場の跡地ですね。それが支所になり、係を置くだけになった。この二人と、それから二、三千万の費用というものを福祉に向けたいとはっきり目的を持っているんです。
 さあどうしたものかということで、去年の十二月一日に、委員会で通していただきました郵政官署法案、郵便局で役場のいわゆる交付業務、いろいろな印鑑証明などの手続がとれるということをやりました。その結果、官署法を受けて郵便局二つに代替をしていただきまして、そして二人の職員さんと二、三千万の費用を福祉に向けているんです。明確な行財政改革なんですよ。こういうふうに頑張っている町村があるんです。そこに役立っているというのが郵便局なんです。
 町村合併の時代に郵便局の新たな活用というのが非常に重要になってくる、こういうことでございまして……(発言する者あり)皆様方がわかったというふうに言っていただいているわけですけれども、まだまだわかっていただけないと思います。目的意識を持っていないと、すべて事は足りないということです。ですから、郵便局、郵便局といっても、例えば町村合併の視点で目的意識を持ったらもっと使い勝手があるじゃないか。これが、小泉総理大臣には全くこの創意工夫というのがない。これが本当に残念なところなんです。庶民感覚がないと言ってもいいかもしれません。
 そして、このような視点が、大臣、設立会議が起こされましたけれども、設立会議の議論の中でさっぱり見えてきませんよ。効率、効率の議論ばかりですね。実は、こうした郵政官署、いわゆるワンストップサービス、こういった議論というのが、示された設立会議の工程表、日程表にはない。そういうものを郵便局だと思っている人はだれもいませんよ。郵貯、簡保、郵便だけだと思っている人はいません。存在する価値だけだって大変に重要視しているんです。そういった議論がないではありませんか。この点についてきっちり日程に入れていただきたい、いかがですか。
片山国務大臣 先日設立委員を決めさせていただいて、十月十五日に初回の会合をいたしました。いろいろな説明を私どもの方からしましたが、私は、設立会議というのか、まあ会議ということになっておりませんが、設立委員の皆さんは法律で設立委員に課せられた任務、それをしっかりとやっていただきたいということをまず申し上げました。それは、荒井委員御承知のように、例えば、中期経営目標、中期経営計画、業務方法書、郵便約款、簡易生命保険約款だとか窓口事務の委託基準だとか、いろいろなことが法律上、設立委員さんで議論してまとめてもらって私が認可するように、こうなっておりますから、そのことを当面はやっていただく。
 その余力があれば、今委員さんが言われましたように、郵便局の地域社会におけるあり方、私も、市町村合併が進む中で、郵便局はコミュニティーセンター的な役割を担ってもらわないかぬのじゃなかろうかと。もちろんいろいろな証明書、諸証明の申請、交付の窓口は郵政官署法でやっていただくんですが、それ以上に、やはり一つのコミュニティーの、ここが求心力のある、そういう拠点になってもらう必要があると私も考えておりまして、そういうこともこの設立会議で場合によっては議論していただくこともあるなと。
 ただ、当面は、法で決まったことが相当ありますから、それをやっていただかないと。そして、四月からの公社発足をスムーズに進めなきゃいけませんので、そういうふうに考えておりまして、委員の御指摘は十分念頭に入れて今後対応してまいります。
荒井(広)委員 大臣の最後の方、非常にありがたく思っております。
 しかし、これはやはり目的と手段なんですよ。中期経営目標というのは、あくまでも手段なんです。その手段に効率性を入れるとか民間の手法を入れるというのはいいでしょう。ところが、高らかにうたっている日本郵政公社法の第一条「目的」というのは、まさに、三事業をきちんと行って国民の福利厚生に役立てるということと同時に、この三事業のいわゆるさまざまな資源、人材、ネットワーク、これらをさらに活用する。あるいは、百件のうち五十五件を配達しているのが郵便ですから、最大手のクロネコでも一日に百件のうち五件ですよ。十倍以上配達している。だから、安否確認やお元気ですかということができるんですよ。現行の延長上に上乗せサービスができる。さらに、今の資源や人材、ネットワークを活用して、厚生労働省的に介護保険でいえば、横出しサービスもできるわけですよ。こういったところこそ目的であって、その手段を議論する設立委員の方は、効率は決して結果ではない、あるいは目的ではないということを、しっかり大臣、そこだけは押さえていただきたいと思うのです。
 大臣も私も話が長い方ですから、なかなか終わらなくなっちゃいますので、大臣、その点だけ、目的なんですから、手段ではないんですから、そこを改めてきっちりしていただきたい。
 そこで、効率化やさまざまな中期計画というのは法律にも盛り込みました。そして、附帯決議にも入っています。郵便局ネットワークの現行水準の維持のために効率化があるんですよ。何か新聞見たら、効率化のために郵便局なくす、本末転倒ではありませんか。大臣に改めて、この委員会、国会で決めました、郵便局ネットワークを現行と同水準にする、こういうことについて、そのとおりだという確認をさせていただきたいと思います。大臣、いかがですか。
片山国務大臣 余り長く話してはいけませんが、設立委員の皆さんにも、私は、ユニバーサルサービスの確保、今の郵便局ネットワークの維持は、これは国会において与野党を通じての御意見です、我々も最大限尊重せないかぬと思っております、こういうことは重ねて言っておりますから。そういう中で、経営体ですから、できるだけ効率を上げていくという必要があるということで御議論いただいていると思いますが、まだ議論はこれからなんです、正直言いまして。生田さんの何か私案が一部報道されて、いろいろなことを言われておりますが、あれは全くの、設立委員としてのあれじゃございませんので、これからの議論でございますから、今荒井委員の言われたことは、重々我々もわきまえてやってまいりたいと思っております。
荒井(広)委員 それで結構でございます。これは法律事項にあるものであり、国会の意思でございますから、冒頭に大臣からありましたように、その枠の中で議論していただくということが当然の責務であろうというふうに思いますので、お願いしたいと思います。
 さて、今のようなお話がございましたけれども、その総裁予定者の方というのは、実際は、委員の皆さん、これは法律で現在権限は与えられていません。ですから、設立委員の一人になっている、こういうことです。そして、一つだけ権限がありますのは、四月一日までに副総裁を任命する、そしてこれを大臣が認可する、こういう作業以外にないんです。
 つまり、そうした中での総裁予定者でございますから、大臣、私は、設立委員も含めまして、大いに議論していただいて結構ですよ。しかも、法律の中身についての、形にするための、そしてユニバーサルサービスというふうにおっしゃいましたが、目的を達成するための手段を議論していただくのは結構です。
 履き違えていただいては困るんですが、そういう議論をしていくということになりますと、少なくとも、これは事務方に聞いた方がいいんでしょう、設立委員や予定者の方は、現地、現場をどれぐらい見て歩いていますか。簡単に、もう時間がないですから。
松井政府参考人 設立会議の事務局を担当させていただいている立場からお答え申し上げます。
 既に一部の設立委員で、都内の郵便局数局について御視察をいただいております。また、他の委員でも、郵便局視察についての御要望に積極的に対処していきたいというふうに思っております。
荒井(広)委員 机上の空論をやっていたらだめでしょう。ポストに入れたら、それがどうやって目的地に配達されるかまでついていったらいかがでしょう。そして、過疎地や離島や、窓口に行って、三十分座っていたらどうですか。あるいは、御自分が通帳などを持っているならば、引きおろしてみたらどうでしょう。問題は、いわゆる国民利用者の観点で言っているわけですから、そこに出向いて、私はじっと見ていただきたい。そして、一緒について歩いていただきたい。そうしたら、すべてディスクローズですよ。議論の中身も深まるでしょう。
 そうしたら、必ず日本郵政公社が、世界にも、単なる競争市場一辺倒で心を失ってくる時代に、日本でいえば、郵貯、簡保があったからキャピタルフライトが防げたと私は思っていますし、同時に、金融弱者がアメリカでは一千百万世帯、イギリスでも三百五十万人、決済手段を持っていない。これをどうするかが最大のアメリカの政治課題ですよ、イギリスの課題です。それについて、だれもが公平にその恩恵にあずかれる。そういうさまざまな観点を、自分で、大勢の方々がなぜ郵便局をあえて利用されるか、過疎地、離島、都市部、毎日ぐらいぜひ見ていただくように、大臣、そこは御指導ください。それからの議論でないと、それはやはりためにする議論になると私は危惧をいたしております。
 そして、そのためには、副総裁と理事と監事、やはりわかっている人が、体にしみついている人が入っていかないと、ひっくり返るんじゃないでしょうか。こういうことを考えると、大臣、やはり十分にわかっている人に入っていただく、こういうことを考えていただきたいし、働いている人が本当に効率を上げるためには、働いている人たちの意見も十分聞かなくちゃいけません。そういうコミュニケーションのいわゆる会議みたいなものも、委員会みたいなものもつくる必要があるんじゃないでしょうか。移行期だからこそ重要ですよ、これは。これは注文を申し上げたいと思います。
 結びになります。DMの、そして信書のパブリックコメントを出しています。これはちょっと心配でしたね。例えばその内容が公然あるいは公開たり得る事実のみであり、専ら街頭における配布や新聞折り込みを前提として作成されるチラシのようなものはダイレクトメールに当たらない。駅で配るものならダイレクトメールに当たらないというのなら、意地悪く言います、一回駅で配ってその次ダイレクトメールで配ったら、ダイレクトメールじゃないということになるんじゃないですか。
 そうしますと、出す側の論理なんです、今ほとんど。脱法行為を容認するような、出す側の論理をやっている。受け取り側の論理がないじゃないですか、委員会で出た。いわゆる利用者保護のために、プライバシーを守ることも含めて、これは私にとっては信書と同じです、こういうような形で来た場合に、どう答えますか。きちんと委員会の議論を踏まえて、ダイレクトメールについては基本的に信書に当たる、ここをしっかりしてください。これが定義、一つ。
 二つ目は、非常に危険な話なんですけれども、ダイレクトメールを守る、独占にしているということは、税金を入れないでユニバーサルサービスを達成するための手段として認めているんです。ところが、今のようななし崩しで、総理が言ってきたからというような形でなし崩しにすれば、東京中央郵便局はダイレクトメールで約八百億円、千二百局ある北海道と全く同じです。東京でダイレクトメールをこのような形でどんどん壊せば、北海道の千二百局が、本当に必要とする人のところからつぶしていかざるを得ないということなんですよ。
 こういう現状を考えると、信書の定義、プライバシー、受ける側の話、二つ目は、独占は税金投入しないでユニバーサルサービスという目的を達成するための手段である、この二つから判断をしないと、大いに間違います。一部事業者はもうかり、大手のダイレクトを出す会社はもうかるが、結局、税金をつぎ込んで、一人一人の負担は高くなったり、過疎地や部数の少ないところの一人一人のCツーCは料金値上げになる。これは北欧の例で当たり前じゃないですか。
 こういったことを最後に注文して、私の方で終わりといたしますが、大臣、しっかりやっていただきたいと思いますが、決意だけ改めてお願いします。
片山国務大臣 ダイレクトメールは、今まで何度も言いましたように、基本的には信書でございまして、一部チラシ風のものは外そう、こういうことの案を出して、これからパブリックコメントにかけますから、そこで返事をもらいまして、最終的にまた委員会に報告することになると思いますけれども、きっちり決めてまいります。
 それから、その他万般のことにつきましても、人事等については、よく総裁となるべき方と私が相談いたします。
荒井(広)委員 お願いいたします。
遠藤委員長 次に、島聡君。
島委員 民主党の島聡でございます。
 今回、ネクストキャビネットの総務大臣になりましたので、これから片山大臣とのいよいよ対決をさせていただくことになります。
 ネクストキャビネットといってもなかなか皆さん御存じないので、改めて、これは「影の内閣」という昔出した本ですが、そこで、イギリス政権交代に備えて、シャドーキャビネットは、野党が次の政権を握ったときにどのような陣容で内閣を組織するかをあらかじめはっきりさせ、影の大臣に任命された議員が、担当分野について、政策立案責任者兼スポークスマンとして表の内閣の大臣と対決する制度であると。
 今回、松崎さんが副大臣の若松さんに対決しますし、それから武正さんが加藤さんに影のように徹底して対決しますので、まず最初にそれを申し上げておきたいと思います。
 敵を知りおのれを知ればなので、片山大臣のいろいろなことを調べたら、中学校時代に知能指数テストが県下一だったそうです。別にこれは個人情報を調べたわけではありません、うちはそういうことはきちんと保護する立場ですから。ホームページに堂々と書いてあるんです。立派なものだなと思いますが、そういう大臣ですから、しっかりと答えていただきたいと思います。
 まず、住民基本台帳法について聞きます。
 八月五日からスタートしている。これは私どもは、個人情報の保護法制がきちんとしないとだめだ、そういうことを常々訴えてきていました。それを無視してやられたわけであります。政府見解は、福田官房長官が、いや、それは個人情報保護法制を出しているからいいんだと。恐らくその背景には、立法と司法と行政、三権分立だから、行政として出しているからいいんだということであります。そういう理屈ですよね。
 では、お聞きしますが、ある地方公共団体、ある市が、法律の施行に伴ってこういう条例をつくらなくちゃいけないというようにあるとする。そうしたら、その市、地方公共団体の場合はもっとしっかり三権分立ですから、知事、首長の市長が条例だけ出した、条例だけ出したけれども、それでもう責任は果たしているから、それとは全く違ったことをやってもいい、そういう判断でいいんですか。知能指数第一位の総務大臣にお聞きします。
片山国務大臣 住基と個人情報保護法の関係は、いろいろ前の国会でも御議論いただいたんですが、法律的には、やはり内閣としては、個人情報保護法を出している、あと国会で御審議の上、成立をさせていただきたいということで、私はそれはそれで要件を満たしている。これは内閣法制局も同じ意見なんです。
 ただ、政治的には、小渕総理も住基法の改正案を通すときにいろいろ言われておりますし、私はそれでは不十分だろう、こういうふうに思っております。ただ、法律的には、その法律を出して、通すまでは内閣の責任じゃありませんから、そういう言い方しかできない、こういうふうに考えております。
島委員 質問は、総務大臣だから、ある市が、地方公共団体が、法律のときに条例をつくらなくちゃいけないということになっていても、条例だけ出していて、通っていなくても、それと関係ないことをやっていいんですか。同じ理屈ですね。それを総務大臣に聞いているんです。
片山国務大臣 その条例を通すことが義務づけられる状況がどういうことかというのを一つ考えなきゃいけませんが、基本的には、今言いましたように、政治的には、やはり条例を成立させるという責務が、それだけの努力をする必要が長にあると私は思いますけれども、しかし、それが議会でなかなか通していただけないというようなときにどう考えるかは、その条例がどういう義務づけを受けているかということとの絡みではないかと考えております。
島委員 そういう話でしたら、各地方公共団体の自由度が広まるでしょうから、結構いい答弁であったと改めて確認をして、次に行きます。
 若松副大臣にお聞きしたかったんですが、若松副大臣には質問通告していませんから、きょうはもと宿舎が隣同士のなじみでやめておきますが、若松副大臣に対して山田宏杉並区長が選択制の導入についてどうかというような提言をされて、これは根幹にかかわる問題だからというふうに言われたそうであります。
 根幹にかかわる問題かどうかについては私少し疑問があるわけでありますけれども、横浜市、八十数万ですか、今回入るのをやめられたと。それが時間的な問題であるというようなことをおっしゃっていることはよく報道で存じ上げておりますが、横浜市のうち八十四万人だから、何となくみんな、四分の一とかそんなものかな、三分の一とかそんなものかなと思うと思うんですが、八十四万人という数字、すごいですよ。例えば、山梨県で八十八万人ですね、人口が。福井県で八十三万人ですね。鳥取七十六万、徳島八十二万、高知八十一万等々であります。つまり一つの県が全部選択制になったのと同じ意味なんです。
 こういう状況であるというならば、まず一つの質問は、住基ネットにおいて選択制の導入というのは根幹的な問題だからできない、その根幹的とは一体、これは若松さんがおっしゃったんですが、副大臣と大臣は一体ですからね、根幹とはどういうことなんですか。
 それから、選択制である、これをある意味で時間的にだから許したとはどういうことか。一つの県を許したようなものですから、どういうことなのか。もしそれだったら、実質に合わせるべきだと私は思いますが、どうですか。
片山国務大臣 市町村が作成します住民基本台帳というのは、これは国として居住関係を公に認知する、公証する制度ですよね。これはすべての国民に対してその証明が行われなけりゃならないわけでございますから、本人が希望しようがしまいが全部住民基本台帳には載せてもらう、これは法律で義務づけているわけです。住基ネットは、それをコンピューター処理するものを全国のネットワークにしよう、閉じた回線の中で。こういう制度ですから、本来、希望によって入れるとか入れないとかということは全く想定していない、制度としては。全国民に基本台帳に入ってもらうし、その基本台帳をもとにネットワークをつくるというのが住基ネットなんですね。だから、根幹なんですよ。選択制だとか希望制というのは一切考えていない。それ以外はないんです。
 ただ、横浜の場合には、市長が来られて、とりあえず二百七十万人についてはぜひ接続してほしい、神奈川県の方はなかなか難しい、こういう話があった。引き続いて残りの八十何万人もやります、段階的に参加をさせてほしい、こう言うものですから、二百七十万人をつなぐためには手間が二、三カ月かかるんです、これからシステムを直したりなんかするのに。だから、それじゃ、できるだけ早くあとのものもお願いしますと。私は選択制やあれを認めたわけじゃないんです。段階参入なら段階参入についてのいろいろな問題点があるかもしれないので、総務省としてはお申し出を受けて検討します、それは全員が全部参加したいということですねと。ぜひ参加したいんだ、できるだけ早く、こういうお話ですから。
 そこで、それじゃ、事務方に、二百七十何万人についてはどうやって今接続してネットの中に組み入れるかの検討をしてくれ、技術的なことを含めて、そういうことをお願いしておりまして、残りについてはいろいろ御注文もあります、正直言いまして。個人情報保護法の問題その他、市長がいろいろ言っておられました。しかし、それはできるだけ早く参加するということが私の方の条件ですよと。結構です、こういう市長のお話ですから、新聞に報ぜられたようなことにしたわけでございます。
島委員 一つの県と同じ人口ですから、これは、では、ある県知事が入らないと言えばそれでいいということかもしれませんが、それはどうしていけないんですか。
片山国務大臣 入らないのは違法なんですよ、明白な。違法なんですが、まだ第一次稼働でして、みんないろいろな御意見を言っておられるので、私の方はなお理解を求めるという努力を今しておるので、最終的に入らないということになると、これは違法ですから、何らかの対応をせざるを得ないんです。
 ただ、現在は、なおお互い話し合って一生懸命調整中だ。だから、そこについては三つか四つの団体が残っていますよね。横浜は大部分は入るし、引き続いて入るということですから、残りの杉並と何とかがありますけれども、それについては、今、例えば東京都も一緒にいろいろ話し合いをしている最中でございます。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
島委員 十月十八日の記者会見で、総務大臣、この国会で随分法案が出ていて、七本が継続でしたっけ、今度九本出して、十六本出して大変だというお話。本当に大変だとおっしゃっていて、もともと二年三カ月も片山国対を引っ張られた方、これもホームページに書いてありますけれども、そういう方がなかなか日程的に大変だという話をおっしゃっている。国会のことですから、多分それは国会にお任せするとおっしゃるでしょうからそれ以上言いませんが、例えば電子政府関連整備三法案のうちの整備法案なんというのは、これは住基法が必要になってくる。そしてさらに、個人情報保護法がきちんと整備されないと我が党としては住基法はなかなか厳しい態度で臨まざるを得ない、そういう状況でありますから、それを認識しながらきちんと対応していくべきだ、そういうことを申し上げておきます。
 さっき荒井さんがかなり地域のことをおっしゃったので、私も言いやすくなったので、市町村合併の問題について少しお話をします。
 私の地元で市町村合併の合併協議会設置の住民発議を行いました。五つの市がありますが、全部合わせると四十七万人です。有権者総数は大体三十五万人ぐらい。集まった署名数は九万九千六十四名です、合併協議会設置の。もともと、合併協議会設置を望む実行委員会というのは、本当は二%でいいんだけれども、七万人を目標にしたんだそうですが、すごい盛り上がりになって九万九千六十四名集まりました。法定署名だから、チェックしていったら、最終的には八万一千なんだそうです。
 五つの市があるんですが、合併協議会の方の設置住民発議結果についての議会は、高浜市が十六対三、知立市が十七対四、安城市が二十六対二、刈谷市が十九対三という圧倒的な賛成だったんです。一つの市だけがノーと言ったんです。そのノーと言ったのは、永島市長という人が最初に意見書でノーと出したんですが、三千四百二十五人の市民にアンケートを出して、二千二人が答えてきて、それが反対が多かったからノーだといった話なんです。その碧南というところも有権者総数の約一五%の法定署名数を集めています。人数からいくと八千人近くです。一五%の法定署名数を集めているのに、アンケートを二千人ぐらいにして、ところが、合併協議会の設置自体もノーと言った。それで、結果として合併協議会はこれで白紙になっちゃった、設置が。
 もちろん、市町村合併特例法は六分の一でもう一度住民投票をするための発議ができるということは存じ上げておりますが、さすがに九万九千六十四名も集めたわけですから、これでもだめかということで、ある意味でみんな何かがっくりしているという状況であります。
 二点質問をします。
 まず、合併協議会の設置につきまして、五市のうち一市だけでも拒否権を持ったら終わっちゃうんです。これはなかなか進まないような気がする。例えば、この前、大臣も就任のときの会見で、今後、市町村合併の促進の政策について議論をするとおっしゃっているわけだから、例えば六分の一ぐらい集まったら、せめて五市で四市だけでも残ったら、そこだけに協議会ができるようにするとか、そういう新しい方策を考えるというふうにすべきであると私は思いますが、いかがですか。
片山国務大臣 今、島委員が言われたのは、五市合併ということの合併協議会なんですね。だから、その一市が合併協議会に参加しない、こう言っても、それをそのまま五市でやるというのはもちろんできませんし、それから、四市だけでもできないんですね、今の仕組みでは。だから、今度は四市の合併協議会を首長さんが提案してやってもらうか、あるいは住民発議でやるか、どっちかなんですね。
 私が今度、留任の際の記者会見で申し上げましたのは、今、自主的な合併でどうぞ御自由にということをしているんですよ、県はいろいろなプランをつくったりなんかしていますけれども。しかし、いつまでもその自主的な合併で、合併特例の期限まであと二年半になりましたから、それで、あくまでも御自由にということではどうなのかなと。だから、我々が画一的な合併を進めるとかなんとかということじゃないんですが、もっといろいろな形で具体的にアドバイスできるような仕組みだとか、いろいろなもう一歩踏み込んだ何かの支援が、今、お金の問題だとか、あれをどうします、これをどうしますというようなことだけじゃなくて、そういうことが必要かなという感じを持ったものですからそういうことを申し上げたので、今の合併協議会の仕組みを制度としていじろうということは今のところは考えておりません。
 なお、いろいろお話を聞きましたので、いろいろなケースがあると思いますが、なお検討はさせていただきます。
島委員 ぜひこれは、各地域の盛り上がりがあって、これだけやって結果がこうだと、みんなやらなくなりますから、合併特例法というのがどうもみんなこれではだめだと思ってしまいますから、十分検討していっていただきたいと思います。
 次に、先ほど、府県制の話もちょろっと言われました。私どもも今後、いわゆる平成の廃県置州というか、道州制というのは導入が必要であるというような思いを持っています。
 今の制度だと、まず第一点ですが、例えば今、青森県と秋田県と岩手県が共同で特例債をつくろうとしようとしているとか、例えば私どもの愛知県も、今度、県議会が道州制導入をきちんとするようにと知事に申し入れたりしています。そういう場合に、都道府県が合併する場合には、地方自治法の件についてはよく知っていますが、現行の法制度、憲法制度においては、これは憲法九十五条だったかな、住民投票が必要となるんじゃないですか。どうですか。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 これは地方自治特例法になりますから、住民投票が必要です、憲法上。
島委員 これは住民投票が必要になってくる。今の状況では、憲法に住民投票が必要とは書いてありますが、その手続というのは多分整っていないと思います。
 そうすると、例えば低投票率の場合がありますよね。例えばこの前の千葉の参議院選挙、二〇%ぐらいだったというようなことでありますが、そういうような場合には、これはそういうような法整備も今できていないという認識でよろしいですか。
片山国務大臣 今、住民投票が必要だと言いましたのは、例えば青森、岩手、秋田三県を合併する法律を出した場合ですよ。ただ、都道府県が市町村と同じように合併をこうやるんだと一般法を出すのなら住民投票は要らない。
 今の都道府県については法律がないんですよ。都道府県の廃置分合、境界変更は別に法律に定めるとだけある、地方自治法に。これは明治の府県制以来そうなんですよ。だから今回は、やはり府県制度のあり方を見直すのなら、そこの何らかの法的な手当てが私は必要だと思っております。
 そこで、今の投票率ですが、これは投票率が低くても国政選挙でも有効なように、この住民投票も有効です。
島委員 今おっしゃったことは、私は同じ意見です。今後道州制を導入するに当たりまして、やはり住民投票を、もちろん現行法制上住民投票は必要でありますが、市町村合併のように、都道府県の一般法の整備というのは十分必要だと思いますし、先ほど申し上げましたように、私ども今度、ネクストキャビネットの総務担当大臣でございますので、議員立法どんどん出してくれと言ったのは大臣ですから、私ども準備しますから、十分また審議することをよろしくここで宣言しまして、最初のごあいさつがわりの蹲踞の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
遠藤委員長 次に、後藤斎君。
後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。
 先ほど大臣から、新たな今回の国会に臨む発言をしていただきました。改革なくして成長なしというお話を小泉内閣総理大臣が言い続けまして一年半がたっております。この間、総務大臣として、官から民へ、国から地方へといういろいろな御議論をされてまいりました。そして、五月の二十一日、経済財政諮問会議に、いわゆる片山プランということで、地方財政の構造改革と税源移譲という試案を出されて五カ月強がたっております。
 この片山プランを踏まえまして、五月の二十八日、私の方から大臣と御議論をさせていただきまして、当時、片山プランを実施するとどんな影響が地方自治体に出てくるかというのは、「今具体のシミュレーションをやりまして、個別に、税源移譲で各地方団体が全部よくなった、こういうふうなうまい工夫ができるかどうか一生懸命考えているところであります。」というふうなお話を承っております。
 それ以降、今いろいろな新聞、知事会等々でシミュレーションがなされておりますが、なかなか総務省から、具体的に、各県また市町村でどんな影響が実施をされた場合出るのかという議論が見えてきません。そんな中で、八月の二十八日に、制度・政策改革ビジョンということで、一歩踏み出したプランを改めて大臣は出されています。
 現状、大臣、地方自治体から見ていわゆる片山プランというものがなかなか見えにくいという御指摘もたくさんいただいておるんですが、地方自治体の財政への影響という点ではどのようにお考えになっているのか、具体的にお話をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 私、経済財政諮問会議で三位一体の改革ということを申し上げて、それじゃそれをやろうということで、六月の終わりに出ました第二次骨太方針ではそれが書き込まれたわけですね。
 順番はこういうことなんですよ。国庫補助負担金の整理合理化というんですか、見直しをまず最初にやる、それを年末の予算編成で一部を実現しながら全体の形を明らかにしていく、それに基づいて税源移譲をどう考えるか、それからその次に交付税の見直しをどう考えるか。
 ところが、今、国庫支出金のどういう整理合理化をやるかについては、地方分権改革推進会議というのがあるんです、御承知のように。それが十月末ぐらいまでに、末になるのかもうちょっと延びるのかわかりませんが、一応改革会議の案を出す、それをたたき台にして議論を始める、こういうことになっているんですね。
 そこで、シミュレーションがなかなかできないのは、どういう補助金がどうなるのか、これがまだ青写真が描けないんですよ。それが描けてくればある程度私は見通しが立ってくると思うんですが、一般論を申し上げれば、税源移譲をやって税がどっとふえるのは大きいところです。東京、大阪だとか神奈川だとか愛知だとか、大都市を持つ府県ですよ。経済力のある府県がふえて、それからそれ以外のところはそんなにふえない、こういうことになるわけですから、そういう意味では、地方交付税の財源調整機能をもっとその限りでは強化していく、逆に。こういうことになりますね。税源移譲すれば、かえって税収の格差が広がるんです、経済力のある府県とそうでないところと。だから、その税収の格差が広がったものについては、交付税でそれを補っていく、こういうことに一般論としてはなると思います。
後藤(斎)委員 今大臣がお話をしていただきました地方分権改革推進会議、これは、きのうお話をお伺いしたら、話をある程度意見集約をして、あした以降公表していくという運びにどうもなるような話を聞いております。
 その中で、ぜひ大臣、今交付税の一部強化ということも触れていただきましたが、まさに、大都市の部分で片山プランを実施すると財政的にはプラスになる、中小の自治体がマイナスになるというのが一般的な、知事会含めての試算であります。その中で、私は、これからの市町村合併の話もありますが、ぜひお考えいただきたい点を一点だけ提言させていただきたいと思っております。
 まさに税収中立ということは、今の政府税調初め経済財政諮問会議の議論もその向きで対応しているのは十分承知しております。一方で、京都議定書の実施も含めると、いわゆる環境税、環境贈与税的な考え方を、森林の保全、シンクという、三・九、実際プラスの効果に働く部分にもう少し制度的に対応していく必要が私はあるのではないかなというふうに考えます。
 今、私の選挙区になっているところも、ほとんど山だらけのところでございます。そこでは、イコール森林があるということで、新たな地域づくりとか税の安定化、恒久化ということを考えると、やはり森林という部分でくくっていただいてもかなりの部分が対応できていくのではないかなというふうに思っています。
 これを道路特定財源でやるのか、ほかのプラスの環境税でやるのかというのは、税全体の話で対応していただく必要がもちろんありますが、今の地方財源という視点と環境という視点、そして地方、地域という視点で、森林保全に関する環境贈与税的なものをぜひ入れ込んで議論をしていただくと、いわゆる地方、過疎地がそういう部分にかなり多く当てはまりますので、私はぜひお願いしたいと思うんですが、大臣、その点いかがでしょうか。
片山国務大臣 今、後藤委員が言われたような議論は前からありまして、昔、水源税というのがあったんですね。ところが、これはやはり利水側というんでしょうか、その方の抵抗が強くて、なかなか制度化されなかったんですが、今、一部の県で同じような水源税の検討をやっているところがありますね。
 それからまた、森林の関係者から私どものところによくお話があるのは、森林交付税をつくってくれというんです。それは、今の交付税制度をまた一部分分けるようなことは、私はなかなか制度としてはできないけれども、森林をお持ちの地方団体がそれなりのいろいろな財政需要があることは事実なんですから、交付税の中で見られるものは見ましょう、こういうことを申し上げているんです。
 それから、これから環境税というのは、どうしても例の環境サミットなんかの議論でも、やはり税制というのを織り込まないとなかなか環境の目標の実現は難しいよという議論がふえてきまして、ヨーロッパなんかでも、環境税の導入や、検討しているところがたくさんありますね。そういう意味では、私は、早晩我が国でも環境税の検討ということは不可避になると思う。
 そういう場合に、地域環境問題は、ぜひこれは、地方がやるんですから地方の財源にしていただくということは、どういう形になるか知りませんが考えていかないかぬ、私はこういうふうに思っておりますが、そういう中で、今、後藤委員が言われたようなこともその中に取り込みながら、私は議論を深めていく必要があるのではなかろうかと思っております。
後藤(斎)委員 ぜひそんな視点、環境税の中の森林税的なもの、そして交付税も含めて、全体的な全国の財政調整の機能が図れるような点は、ベースとしてこれからの御議論をしていただくようにお願いを申し上げます。
 次に移りたいと思います。
 これも、私が総務委員会に所属をさせていただいてから何度かお話をさせていただく、いわゆる市場公募型の地方債の問題であります。
 いわゆる一般の地方債と違いまして、住民が参加、目に見える形の地方債、これは今年度からミニ市場公募地方債というものも設立され、当初の予算見通しというのは二百億程度だということであったと思いますが、その後半年余りたっておりますが、今どんな状況になっているのか、そして、今後、目に見える形、要するに、住民参加型の地方債というものを推進していく中で総務省はどんな形で後押しをなさるのか、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
林政府参考人 お尋ねの市場公募債でございますが、平成十四年度の場合、地方債計画総額の約一二%程度に当たります一兆九千四百億円を計上いたしているところでございますが、このうち、全国型の市場公募債と、それから比較的小規模な、お尋ねのありましたミニ市場公募債のようなものがあるわけでございますが、その現状につきましてお答えを申し上げます。
 全国型の市場公募債は、比較的大規模な都道府県及び政令指定都市、二十八団体で現在発行されておりますが、借りかえ分を含めまして、今年度は約二兆六千億円の発行が予定されているところでございます。このうち新発債が一兆九千二百億円となっております。昨今の金融情勢の中で、これまでのところ極めて円滑に消化されているものと認識をいたしているところでございます。
 それから、もう一つの、お触れになりました、比較的小規模な団体におきまして市場公募債の発行に取り組めますよう、今年度から積極的に支援いたしている住民参加型のミニ市場公募債というものがあるわけでありますが、これも、即日完売されるように、極めて好評に消化されております。これを受けまして、地方公共団体における取り組みも積極的になっておりますが、御指摘のように、計画額は二百億円ということにいたしておりましたが、それを大幅に上回りまして、一千億円を超える見込みとなっているところでございます。
 私どもといたしましては、この流れを積極的に応援して、必要な環境整備を行ってまいりたいと考えているところでございまして、必要な公的な資金を確保した上ででございますが、民間資金につきましては、証券化の一層の推進や、あるいは共同発行等によります発行ロットの大型化、また償還年限の多様化等による流通性の拡大に努めますとともに、市場公募債の拡大やミニ市場公募債などによりまして、一層の公募化あるいは個人消化の促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 そのため、私ども、ことしは初めての試みでございましたが、引受者あるいは市場関係者に地方債を取り巻く環境等につきまして御理解を深めていただきたいと思いまして、いろいろなIR活動を行う地方団体を支援するほか、私ども自身といたしましても、ことしはIRシンポジウムを開くとか、あるいは合同の説明会を実施するなどのことをいたしているところでございます。
後藤(斎)委員 私は、冒頭申し上げましたように、この地方債、これからも財政の部分では必要な部分でありますけれども、地方債という一般的な市中銀行が引き受けるものよりも、ぜひ市場公募債、住民参加型の分にできるだけシフトをするようなまた新たな制度を御検討いただけるように、まずお願いをしておきたいと思います。
 大臣、先ほどの議論に一部戻りますが、市町村合併、今進んでいる進んでいるという話で、大臣もせんだっての委員会の中でも、今の三千市町村から千くらいを目標にやっていくんだと。つい最近の新聞、マスコミの報道では、千九百ぐらいじゃないかという話も聞いております。
 私の住んでいます山梨も、大変市町村合併の機運は高まっておるんですが、見ていると、住民の意思というものが本来ベースであるにもかかわらず、どちらかというと、やはり財政論で主導されている部分が強いのかなという観点も正直言ってございます。
 そんな中で、合併をせずに、例えば早川町という千七百人の町があるんですが、そこは、独自でやるという意思決定を、住民投票含めて対応されて、そこの財政規模が、大体歳入で三十六億円、例えば地方税だけでは四億円しかない町でございます。先ほどの全国的な財政調整機能ということにも関連をするんですが、合併をしないという選択をした町村について、そういう部分を国はどういうふうな形で支援というか対応していくのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 合併は、財政的な観点からだけで合併を考えていただくのは必ずしも適当でない、こう思いますね。しかし、財政も大きな要素であることはまず間違いないんです。今、後藤委員が御指摘の町は、三十六億円の財政規模で四億円でしょう。今、合併をやりたくないというところは、みんな大体税金の五倍から十倍交付税が行っているんですよ。交付税がずっと将来とも今の状況でそれぞれの市町村に配分される保証は私はないと思うんです。交付税特別会計自身がもう半分パンクしているんです。しかし、これをこのままにしておけないので、私は、そういうことも含めて税源移譲ということを今主張しているので、外からだあっと入ってくるから、交付税を当てにして自分たちだけでというのはなかなかこれから難しくなるので、そこのところはぜひ御一考いただかないかぬのじゃなかろうか、こう思っているんです。
 特に、段階補正で小さいところほど一人当たりの一般財源は多いんですね。だから、それは大きいところが文句を言うのも私はしようがないと思うんですよ。小さいところだけで小さくやるというのは、ある程度それだけのハンディを我慢せないかぬところがあるんです。ところが、ハンディを全部消しちゃっているんですね、交付税で。
 そこで、交付税が必ずしもそういう意味では平等ではないんではないかという議論が一方から出ているので、私どもは、全部こっちにくみしませんけれども、そこのところは一遍見直さないかぬのじゃなかろうか、こう思っておりますが、しかし、どうしても合併できない、こういうところについては、ちゃんとした財政運営ができるように、それは今後とも考えてまいりたいと思っております。
後藤(斎)委員 まだ幾つか残っているんですが、郵政公社の問題で、いわゆる中間管理機構、郵政局の問題、そして郵政監察の問題について、さきの国会でもかなり時間を割いて議論をさせていただきました。見通しについては、まだ準備委員会がスタートしたばかりということで進んでいないかもしれませんが、現状と今後の見通しについて簡潔にお答え願いたいと思います。
松井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、設立委員による設立会議が去る十月十五日に第一回が開かれました。続けて第二回目以降のスケジュールが決まっておりますけれども、そういう状況でいろいろな作業がスタートしたところでございます。
 中間管理機構の考え方につきましては、まず、郵政事業の一番の第一線でお客様と接する郵便局でありますが、ここが自律的で弾力的な業務運営を行うことが大事でありますので、地域の実情を踏まえて適時適切に郵便局を支援していけるような存在でなきゃならぬということがこの中間管理機構としてまず考えられる。それから、経済性、効率性の観点から組織、職員数をスリムで効率的なものにする、そういったことを基本に検討するべきではないかと考えております。
 いずれにしましても、公社設立の趣旨を踏まえまして、公社経営を行う上での最適な中間組織をどう考えていくか判断し、決定していくものと考えておるところでございます。まだ、こうなりましたという御報告をできる段階ではございません。
 それから、郵政監察でございますけれども、既に法律でこの郵政監察自体の存在は規定されておるわけでございますが、基本的には、一般企業でいうところの内部監査、調査機関であります。もちろん、法で直接明定されていますように、郵政犯罪の捜査に従事するということもあるわけでございますが、業務考査だとか事故調査、苦情申告の調査、そういった任務を公社化後も担っていくということでございます。
 いろいろな面で内部監査機能の充実がいろいろ求められております。組織のスリム化など効率性、能率性にも配意しつつ、公社設立に向けた作業を行う中で監察につきましても判断、決定していくものと考えております。
後藤(斎)委員 時間がそろそろないので、おいでいただいた方全部にはお聞きしません。
 最後に、先ほど大臣が触れていただいた地方分権改革推進会議の中で、いわゆる義務教育の国庫負担金の見直しも議論されております。これは、交付税等もいろいろな形で絡んだ中でありますが、地方分権という中、構造改革というその理由、いろいろな理由はあるんですが、一方で、子供たちに全国一律で義務教育を保障するという観点もあると思います。文部省に聞く部分もございますが、この義務教育の国庫負担の見直しについて、これも地方分権改革推進会議での議論を待たなきゃいけないという議論ではなくて、総務大臣としてどんな観点でこれから臨もうとされているのか、最後にお伺いをしておきます。
片山国務大臣 国庫補助負担金の見直しはやっていただかなきゃいかぬ、こう思っておりまして、義務教育の国庫負担金が一番大きいんですよ。我々は固有名詞で今どれをどうということは、実は私も提案しているわけじゃないんですが、しかし、義務教育の国庫負担金は大きいだけに、これだけは別だというわけには私はいかないと思う。
 そこで、今文部省は、共済組合の負担金の退職手当分の五千億は削ってもよろしい、こう言うんですが、これは羽織でいうとひもですから、本体の羽織をどうするかというのに、ひもだけでということは、なかなかこれは。法律上ほとんど決まっているんです、この経費は。だから、それは地方の自主性をふやすということに一つもなりませんし、今高齢化していますから、今後どんどん教職員の方がやめられると、ふえていくんですよ、額が。そうなると、仮に税源移譲してもらっても税の方はどんどんふえませんから、かえって負担転嫁が拡大していく、こういうふうにちょっと思っておりまして、この辺は、再度文部科学省ともいろいろお話をせないけませんし、経済財政諮問会議の中でも議論していきたい、こう思っております。
後藤(斎)委員 以上で終わりますが、引き続き、残った質問は次回に回させていただきます。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋でございます。時間もありませんから、早速に内容に入りたいと思います。
 先ほど、同僚の荒井委員がまことにいい質問をされたんでありますが、導入部門で議論されました市町村合併につきまして、私は二十分間議論させていただきたいと思います。荒井議員の指摘は、導入部門で指摘された部分は全く私と同じ思いであります。同じ問題意識を持ってきょうは議論をさせていただきたいと思います。
 端的に言いまして、今現場を見ておりますと、千九百五十という数字も出ておりますけれども、やはり現場を回れば回るほど、合併を予定しておりました市町村がやはり合併をしない、相当議論された上で合併をしない方向で行きたいと発表されているところも結構あるわけでありまして、たまたまそういうところばかりを私、週末に回ってまいりまして、問題意識を新たにしたわけであります。
 理由はさまざまであります。さまざまでありますが、いろいろ議論をして、財政的に見ても十分これでやっていける、先ほど荒井委員の事例で、メリット、デメリット、両方町民に示して、そしてディスクローズして議論していると。ただ、資料の中に交付税は二〇%減になるという置き方をしたということ、これは正しいのかどうか、ちょっと気になるところではありますが、そういう議論の上で合併しないというところ、あるいはどこからも相手にされずに、合併したいんだけれども相手がいないという不幸なところもあるわけであります。
 そういう状況を見ながら、私は、やはりかつてないぐらい今、首長が住民の皆さんと議論をしている、そこは大いに結構であろうと思いますが、その中で聞こえてくるのは、合併のメリットはいろいろ、特例債、合併特例法のさまざまな支援事業で見えるけれども、デメリットはどうなのか。先ほど大臣がいみじくも、合併しなければ、特に財政上の理由からどうなるかということは、大臣の話を聞いていると、厳しいですよと言いながら、いやいや合併しないんだったら何とかしますよという極めて中途半端な御発言をされて、どっちなんだと言いたくなるわけでありますが、大臣のお立場もわかるわけであります。
 したがって、私は、若松副大臣にきょうはぜひ伺いたいのであります。メリット、デメリット、メリットは結構ありますけれども、特に一万人ぐらいの町村でこれから合併しないというコースをたどったときにはどうなるのかということは、具体的な数字等もお示しの上、どんどん出していくべきではないか、情報を出していくべきではないか、私はこう思っておりますが、若松副大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
若松副大臣 今、メリット、デメリットで、きょうはデメリットを強調してほしいという御質問と理解いたしました。
 それにつきましては、特に段階補正の見直し、これを平成十四年度から行わせていただきまして、改めて説明をさせていただきますと、これは現在、段階補正はいわゆる割り増し総額というのが市町村分が一兆二千八百億円ございます。それにつきまして今後十四年度から三年間で約二千億円縮小させていただこう、こういうものであります。
 なぜこういうことをするかというと、先ほど大臣も申し上げましたが、特に人口一万人以下のいわゆる小規模団体に対しての住民一人当たりの交付税というのは大変多くなっている。それに対する批判もあるということも考えまして、効率的な財政運営を行っているいわゆる上位三分の二の団体の平均を出しまして、これに合わせてもらおう、それ以外の三分の一のいわゆる効率的な財政運営を比較的行っていないところについては頑張ってもらおう、そういった観点から、職務の兼務とか外部委託、こういった行政の効率的な運営を図ってもらおうということで、十四年度から三年間、二千億円の削減ということをさせていただいております。
 そういうことを考えますと、大体人口四千人から二万人ぐらいですと、この三年間にわたりまして見直しによります段階補正の減額が約五千万円強となっておりまして、この段階補正の見直しを一つとして、さらには事業費補正等も含めて、やはり交付税の措置というのが縮小せざるを得ない。
 こういったところを考えますと、やはり小規模団体でそのまま、現在行っているいわゆる財源が維持できるということはかなり難しいのではないか、そういうことを今、一例を紹介しながら説明をさせていただきました。
桝屋委員 段階補正の話は、先ほど二〇%と荒井委員がおっしゃいましたけれども、あそこはよくよく整理をしてわかりやすく言わなきゃならぬと思っております、臨時財政対策債の話も多分入っているんじゃないかと思いますが。
 そこまでは見えるんです。今後三年間は見えるんですが、現場で議論をするときはもっと先の話でありまして、端的に言うと、十七年四月以降どうなるのかということも含めて、立ち行きませんよということは正直に言ってあげないといかぬのではないかと。ただ、これは言いにくいわけでありまして、我が党は一生懸命、これは合併を進めたいという立場でありますが、我が党の口からは言いたくない、できれば政府でしっかり言ってもらいたい、こういう率直な気持ちもあるわけであります。
 もう少し具体的なことを言いますと、例えば小さい町村で、小規模町村で、合併しない、本当はしたくない、合併は今巻き込まれているけれども本当はしたくないんだというとことんの本音を聞きますと、例えば小規模の町村で、その地域の特性を生かして、独創的な、あるいは先駆的な事業を今まで展開してきた。恐らくあの地域だからこの住民サービスはできるんだろうなと思われるような、きょうは時間がないから具体的な事例は言いませんけれども、私の一番関心のあります厚生労働省のさまざまなサービス、住民サービスでも、あの地域だからやれているということがあるわけですね。
 そうすると、合併すると新市域でそのサービスができるかというと、まずできないだろうな、それを期待するのも無理だなというような議論がありまして、できることならば本当は今のままでいきたいんだという声があるのも確かであります。これは合併したら、我が地域の、我が町の住民サービスは低位平準化するんじゃないかということがありはしませんかと。現実にそれは想定されるわけで、そういう声に対しては、若松副大臣、どういうふうに説得をされますか、お伺いします。
若松副大臣 今いろいろと大臣からアドバイスをいただいておりますが、いずれにしても、今、小規模団体のさまざまな創意工夫のサービスの提供、これはこれで一つ大事なことでありますが、御存じのように、時代、環境の変化、少子高齢化とかIT化とか、そういったもっと大きな流れに対応する市町村合併というのは、やはりもっと先の優先順位で考えるべきではないかと思っております。
 当然、その上で、市町村合併の際のいわゆる市町村建設計画を策定して、その一つの自治体が行っている優位なサービスについてどのように継続するかというのは、やはりその市町村合併の新しい枠組みで検討すべきではないか。
 そのために私どもは合併特例債を初めとしますさまざまな支援措置も策定しておりますし、さらに地域審議会の活用とかIT施策の活用とか、さらには、合併のいわゆる財政削減効果により生み出された財源を活用することによって、そのような努力をされているサービス、これの継続というのがさらによりよい形で生かされるのかな、そのように考えております。
桝屋委員 今の副大臣の御説明では、大きい視点で二十一世紀を展望して、これからの我が地域を広い視点で考えて、合併をすれば恐らく新たな財源も出てくるだろう、そういうものをしっかり活用して、今までやってきたサービス、それ以上のものも検討し得るというお答えかと思います。
 確かにそうなんですが、今の現状を見ますと、例えば小さな町村で、平均年齢を見ますと高齢化率がそれこそ五〇パーを超えているような地域があるわけでありまして、そんな先のことじゃない、あと私の寿命はそんなに先までないんだ、とりあえず今受けているサービスはぜひとも必要だという声があるのも確かでありまして、ここはなかなか難しい話であります。まあ若松副大臣のさらっとした答弁も、それで説明できるかなと思いますが、現場の町村に立ちますと、首長の立場に立ちますと、あるいは議会議員の立場に立ちますと、そんな簡単なことではないのではないか、こう思ったりするんです。
 具体的な事例を出しますと、例えば市町村役場、市役所の合併、表の行政機構はどうなるのかということは一つありますが、私はこの前回りましてつくづく感じたのは、例えば、市町村が合併すればそれに引きずられて社会福祉協議会も合併する。きょうは厚生労働省から社会・援護局長に来ていただいていますが、社協というのは随分性格に差があります。事業型社協として、どんどん自分たちで、その地域で事業の実施主体として頑張っている、そういう社協もある。片方では、調整型社協として、いやいや私たちは手をつけません、サービスのコーディネート役で徹底してやりますという、随分差があるわけですね。
 これは、合併になると、社会福祉協議会は今法人になっていますから、合併しません、市町村は勝手に合併しろ、社協は、いやおれたちはおれたちで頑張りますという自由はないんだろうと思うんですね。そうすると、まさに社協が今まで培ってきた地域福祉の形態としても、事業型としてやってきたところ、それから調整型でやってきたところ、持っている基盤が随分違うわけで、これを一緒にしてどういうことになるのかなというのは、これは、若松副大臣あるいは片山大臣、悩ましい話であります。
 きょうは社会・援護局長が来ておられますね。合併を前にして社協の運動というのはいろいろな問題が出ているんじゃないかと思うんですが、合併を視野に入れて何らかの検討、対策も考えておられるのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
河村政府参考人 御指摘のように、市町村社会福祉協議会は、社会福祉法によりまして市町村ごとに設置するということになっておりまして、市町村が合併した場合には市町村社協も合併するということになるわけでございます。
 御指摘のように、市町村社協間には事業の実施の有無あるいは事業の範囲等にさまざま相違があるわけでございますが、私どもといたしましては、合併に当たっては、福祉サービスの質の向上あるいはサービスの量の増加など、現状のサービス水準をさらに高める努力をしていただきたい、サービスが総合的に提供されることが望ましいというふうな立場でございます。
 もう少し申し上げますと、現実に支部レベルあるいは地区社協レベルで活発な活動を行っておる事例も多いわけでございます。また、事業型社協につきましては、例えば、訪問介護につきましては全市町村社協のうちの七〇%以上のものがホームヘルプ活動をやっておるわけでありますし、デイサービスにつきましても五割近い事業型社協が存在するという状況の中で、この事業型社協というのは、現にヘルパーステーションあるいはデイサービスセンター、そういったものを保有して地域に根を張っておるわけでございます。全体の状況としては、御案内のように、介護ニーズの拡大によりまして、量的にも質的にも一層のサービスの充実が求められておる状況でございます。
 こういったことは、やはり合併に当たっても当然考慮されるべきものと考えておりますが、市町村社協の連合体でございます全国社会福祉協議会において、本年六月に「市町村社会福祉協議会の法人合併の手引き」というものを出しておりまして、合併によって福祉サービスの水準を落とさないことを第一の視点として、まず第一番に考えなさいということで、私どもと同じような考え方に立って指導を行っておるところでございます。
桝屋委員 今の御答弁は、決して厚生労働省も社会福祉協議会の活動は、合併が進んでいるというこの事態を意識して、無視はしていない、忘れてもいない、しっかりそれを理解して対策を講じている、こういう御答弁であったかと思います。
 当然そうでなきゃならぬと思いますが、しかし、今の局長の御答弁も、私は現場を見ておりますから余り悪口を言いたくないんですが、大臣、市町村も差がありますが、社会福祉協議会の実力というのはもっと差があります。えらい違いがありまして、したがって、サービスの水準を落とさないようにという局長の答弁、これは本当に大事な視点だと思います。ガラガラポンになって、結局、必死になってやってきたところと、どっちかというと、当該地域の中で我が地域の水準は、まあ何とか普通だったらいい、あるいは一番最後でもいいと思っているところもあるわけでありまして、それぐらい差がついているわけですね。
 これを合併するときに、若松副大臣は、大きい視野でやればそれは維持できるでしょう、その財源も出るでしょう、こうおっしゃったけれども、私は、しばらくの間はやはりどこかで平準化されて、頑張ってきたところは落ち込むんじゃないか。
 あるいは、もっと切実な話をいたしますと、地域のまさに特性に応じたニーズ、私が見た事例では、例えば、大きなダムの建設をやっている地域があって、そこの住民がまさに住民移動しなきゃならぬ、新しい町をつくらなきゃいかぬ。その町の計画は前からあって、その計画の中ではどうしても特別養護老人ホームをつくりたい、だけれども厚生労働省からの広域計画があってそれは採択できない、いやどうしようかなという問題はあるわけであります。
 片方で、厚生労働省は、合併の今の大変な大きな動きを十分認識して柔軟な対応をしようとしているかというと、いや、それどころじゃない、介護保険は介護保険だけでもう大変な勢いで進んでいますからこっちも混乱していると。こっちの混乱とこっちの混乱が一緒になって大混乱を起こしているという状況は、正直言って今の現状にあるんだろうというふうに私は思っております。
 何を言いたいかといいますと、これは大臣の御決意をぜひ伺いたいんですが、こうした現場の実情とか悩みの声というのはよくよく理解をしていただきたい。大臣が、この前も広島へ行かれて大講演をされた、その後、私はずっと地域を回っているんですね。そうすると、大臣の言われていることは、理解されている部分と、ますます頭を抱えている現場があるということでありまして、よくよくそういうことも理解していただいて、きょうはたまたま厚生労働省との関係でちょっと議論をしておりますが、先ほど荒井先生は郵政省との関係で議論されました。ぜひとも、市町村合併支援プランにおける関係府省との連携という観点で、私は、合併に取り組んでいる市町村の切実な悩みに対してきめ細かく、かつ、場合によっては柔軟に対応していただく、その取り組みを、所管の大臣として各省大臣にもぜひ声を出していただいて、円滑な合併が進みますように御配慮をいただきたい、こう思っておりますが、よろしくお願いいたします。
片山国務大臣 いろいろな市町村で、サービスも違う、負担も違うというのは事実でしょうね、四つなり五つなりが一緒になると。基本的に、方向としては、負担は低い方にそろう、サービスは高い方にそろう、こういうことで、お金がかかりますよね。
 そこで、どうやるかということなんですが、基本的に合併というのは、効率化という言葉があるんですよね。今まで首長さんが四人なり五人おったのが一人になる。議会の数も減る。例えば管理部門は減りますよね、管理部門は。そういうことで、本来、ほかの合併の例でも、財源的には浮くということになっている、計算上は。ただ、なかなかそういうことになるのかならぬのかということはありますけれども、私は、基本的には、高い方にサービスはそろう、負担は低い方にそろうと。ですが、それまでの経過措置はいろいろあってもいいと思います。
 それから、今、厚生労働省の方では、国保や介護保険には広域化支援を、普通あれは広域化ですから幾つかの町村でなきゃいかぬのですが、合併した町村も広域化の中に入れてやる、こういうことも御検討いただいておりますから、厚生労働省ともよく相談しながら、それぞれの市町村の状況に応じて対応できるように努力してまいります。
桝屋委員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。
 もう一つだけお願いを重ねてしたいのですが、現場は、先ほど荒井委員がお示しになった、合併した場合のメリット、しなければどうなるというデメリット、これを資料としておつくりになっている。恐らく二十七次の地方制度調査会でその後のことはいろいろ議論されていると思います。特に小規模町村あたりの対応については議論されていると思います。具体的な事例として、なかなか出しにくいと思いますが、こういう問題がある、合併すればここまで効率化できてこういうサービス、これぐらい財源が出ますよというようなシミュレーションを、事例集を、私が勉強していないから持ってないのかもしれませんが、どんどん出していただきたい。議論が煮詰まって出すということではなくて、来年の三月、それこそ現場は十二月ぐらいの議論が一番大事なわけでありますから、どんどん出していただきたい、情報を発出していただきたい。お願いをして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。黄川田委員に御了解をいただきまして、先にやらせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ふるさとづくり事業など、箱物づくりの地方単独事業を推進する上で大変大きな役割を占めてきた地域総合整備事業債が二〇〇一年度で廃止をされています。その理由をお聞かせいただきたいのと、もう一つは、その地域総合整備事業債の中の特別分の方ですね、この仕組みがどういうものなのか、この点をまずお答えいただけたらと思います。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 地域総合整備事業債についてのお尋ねでございますが、この制度は、元利償還金の一部を交付税措置するということによりまして、国庫補助金に依存することなく、単独事業によりまして、地域の実態に応じて自主的、主体的に個性的で魅力ある地域づくりが推進できるようにしよう、こういう考え方で仕組まれたものでございまして、このような取り組みは全国的に浸透し、大きな成果を上げてきたところだと認識をいたしております。
 しかしながら、公共事業を初めといたしまして、事業費補正方式により地方債の元利償還金の一部を後年度に交付税措置する仕組みが安易な事業実施を誘発しているのではないか、あるいは、地域総合整備事業債につきましては対象事業が非常に広範でありますことから、特に箱物整備について広域的な調整が行われていないのではないだろうか、こういうような指摘もいただくことになったところでございます。
 このため、公共事業に係ります事業費補正の見直しとあわせまして、地域総合整備事業債につきましても、必要な経過措置を講じながら、平成十三年度限りで廃止をいたしまして、今年度からは、いわゆる重点七分野などに係る基盤整備事業など真に必要な事業に限りまして、従来の財政措置に比べて簡素で措置率も引き下げた形で財政措置を行うことといたしまして、地域活性化事業を創設することといたしたわけであります。
 それから、特別分の財政措置の中身についてもお尋ねがございましたが、地域総合整備事業債は地方債充当率七五%でございまして、この元利償還金につきまして、地方団体の財政力等に応じまして三〇%から五五%算入をしていく、こういう制度になっておったわけでございます。
春名委員 今、廃止した理由の中で、一つは、交付税で後で措置するという仕組みが安易に事業を進めていくことにつながる、そして対象事業が大変広範で、むだな箱物建設にも拍車をかける、こういう理由があるということをおっしゃいました。
 そこで、それを深める形でお聞きしておきたいと思うんですが、九〇年代に地方財政が非常に大変になりました。こうした括弧つき有利な地方債、財源手当ての厚い地方債による地方単独事業の推進ということが自治体の財政破綻をもたらした重要な要因になった、そういう認識があるやなしや。この点について、総務大臣の御見解を聞いておきたいと思います。
片山国務大臣 それはバブルのときもそうですし、バブル崩壊後はもっとそうですけれども、やはり公共事業をふやすのは限度があるので、単独事業でいろいろ考えてくれないか、こういうことで、できるだけ、そういう意味では公共事業とあわせて単独事業を拡大して、それによって景気浮揚を図ろうと。そのためには、起債をできるだけ認めます、その中の一部については、財政力に応ずるのですけれども、交付税措置します、そういう奨励策をとったことは事実で、それは全部ではありませんよ、全部ではありませんけれども、やはり現債高、借金の額がふえて、その元利償還に苦しんでいる団体が出てきていることも事実であります。
春名委員 一九九一年から九四年度までの単独事業の伸び率を私も見てみましたけれども、九二年から景気対策で単独事業が導入されるという仕掛けができて、大体、対前年度比で二けた台、一〇%から一二%ぐらいずんずん伸びる。その年度、直轄事業や補助事業というのは三%程度なんですね。自治省は単独事業推進相談室というのも設置して推進をされる、こういうことになってきたわけですね。
 調べてみて驚いたんですが、一般単独事業債の地方債残高に占める割合を見れば一目瞭然でして、地方債の残高に占める一般単独事業債の割合ですけれども、八四年度は二五%だったのが、九九年度には四〇%になっているのですね。その一般単独事業債の多くの有利な部分を占めている地域総合整備事業債の、特に特別分の部分、こういうものが大きな財政破綻をもたらしてきたというのは、数字から見ても非常にくっきりしていると言わざるを得ないと思うんですね。
 九一年度は地方の借金、合計七十兆円だった。九九年度末には百七十六兆円で、二・五倍に膨れ上がっている。とりわけ、そのうち地方債は七十兆円近く膨れ上がっているということですので、これは明らかだろうと思うんですね。
 やはり、地域総合整備事業債、特に特別分、九〇%ぐらいまで充当率を高めたり、三〇%から五五%は交付税で後で措置をする、こういう仕掛けが、モラルハザードというか、自治体の財政破綻を大きく推進してしまった重大な理由になってきた、ここをお互いに共通認識にする必要が私はあるんじゃないかと思うんです。大臣、その点いかがでしょうか、もう一度。
片山国務大臣 春名委員の言われることも、私は、全部じゃないが当たっている部分はかなりある、こういうふうに思いますね。
 ただ、しかし、それは景気を浮揚しようということですよね、一つは。景気を浮揚することによって、国も地方も税収をふやそうということが一つある。それからもう一つは、地方は事細かないろいろな、住民の皆さんから、住民ニーズというんでしょうか、需要が出てくるんですよ。それにこたえるには、公共事業は画一ですから、大きいですからね。だから、地方の単独事業というのは小回りがきいて需要にこたえられますから、この機会に伸ばそうという、両方あったと思いますね。
 しかし、基本的には、景気の状況がずっと続いて低迷しておって税収額が伸びない、しかしやることは少子高齢化その他でいっぱいある、こういうことの中でやはり単独事業に依存したということは事実で、その依存することについて国も認めて、充当率を上げたり、交付税で措置したりといったことは、言われるとおりですよ、確かにあると思いますが、私はそれだけじゃないと思っていますよ、それも一つですけれども。そういうふうに認識いたしております。
春名委員 そこで、本題の話なんですけれども、合併特例債の話なんですね。
 御存じのとおり、合併特例債というのは九五%の充当率なんですね。そして、交付税算入率は何と七〇%なんですね。地総債を廃止した、財政破綻を招いた一要因になったこういう仕掛けを、なぜ合併特例債という形で一層進化をさせて導入し、やっているのか、それが私はどうしても納得ができないわけであります。その点はどうお考えになっているんですか。
片山国務大臣 市町村合併というのは、何度も言いますけれども、地方分権を進めて市町村を自立させるということ、そして市町村中心の行政の仕組みに直すということ、そういうことで、これは進めなければいかぬという大きい理由がありますね。そういうことの中で、合併計画をつくってこういうことをやりたい、そういうことについては優先的に認めていこうと。
 地総債は、これは何でもということで、主として箱物が多かったんですね。だから、この際、これはやはりバブル崩壊後のああいう時代のあれだから、一遍やめて、地域活性化債という、新しい、重点七分野に限定したものに生まれ変わらせよう。そういうことを一方でやりながら、合併促進のためには、やはりそれは合併するところには要りますよ、いろいろな財政需要があって。そういうものは合併特例債で認めてやろうと。
 そこで、合併特例債を認める上について、辺地債並みの手当てを考えよう、こういうことが今の充当率や交付税措置率になったので、これが未来永劫続くわけじゃありませんよ、合併促進するためにやるんだから。だから、そこの点はひとつ大目に見ていただくということが必要じゃないかと思います。
春名委員 とても大目には見られないので、きょう質問しているんですよ。
 ですから、地総債というのは、おっしゃったとおり有利な債券ですよね、交付税算入三〇%から五五%。そして充当率、七五%、九〇%。こういう仕掛けをつくって、地方単独事業をまさに景気対策と一にして大推進をする。しかし、そういう仕掛けをつくったことが、その仕掛けそのものが今日の重大な事態を招いている。曲がりなりにも今、そういう御認識があるというふうにおっしゃったわけですよね。
 地域活性化事業に変えたといいますけれども、それはソフト中心だというんだけれども、合併特例債というのはほとんど箱物ですからね。市町村合併の建設計画の中に入る新市庁舎の建設だとか道路の推進だとか、道路の推進だって、合併特例債によって新たにそこで補強するというような仕掛けができることになっているわけですね。そうでしょう。
 なぜこういう仕掛け、とりわけ五五%までだった交付税算入率が今度は七〇%まで引き上がる。ですから、合併のためだったら何をやってもいいのかというように、率直に思わざるを得ませんよね。そこをどう整理されているんですか。なぜこういうことになるのか。地総債をなくした総括と、合併特例債を持ってきたその理由が全く矛盾していると私は感ぜざるを得ないわけですが、改めて納得いく答弁をしていただきたいと思います。
片山国務大臣 地総債は、景気対策という、大変漠然としたというのか、広い理由であらゆるものを認める、こういうことでやってきたんですよね。今度は、合併特例債、今言いましたように、合併を推進するために、合併の基本計画をつくって、住民の皆さんが集まって、もちろん首長さんや議会が代表してやるんですけれども、合併計画に基づく根幹的な事業についてだけ特別に認めるものでございまして、それは目的からいってもはっきりしているし、幅からいってもかなり限定しているし、額からいっても、それは地総債とは比べ物にならない額でございます。
 しかも、これは今のところ道路なんかが多いんですよ、道路なんかが。それは、合併のために新しく市町村間の連絡だとかいろいろなことがあるので、そういうものは合併特例債という形で推進していこうと。そういう特別有利なメリットを与えるということはそれなりに意味があるので、地総債がこういうことになったから一切それは認めない、こういうことでは、それは、合併の推進にとってはいろいろな手段が限定される、制約されるということになりますから、我々は、合併特例債をもって、これを合併推進の一つのてこにしている、こういうことであります。
春名委員 もとに戻ってもう一回お聞きしますけれども、充当率を高める、そして交付税に算入する率を高める、そういう有利な仕掛けをつくった。大きなケーキを目の前にぶら下げて、食べなさいと。その仕掛けそのものが今日の地方財政の雪だるま式な破綻に大きなインセンティブを与えた、こういう御認識はないのですか。
片山国務大臣 だから、それは一面は当たっているけれども全部じゃないと申し上げている、地総債は。そういう反省の上に立って、合併推進のため、しかも基本計画に基づくもので関係町村がすべて合意したものについては優先的に合併特例債という対応をしていこう、こういうことにしているわけでありますから、それは、地総債についてのいろいろなことの学習経験がちゃんと生きているわけであります。
春名委員 自治省出身の鳥取県知事の片山知事が、本音は財政破綻になりそうだから合併せよというのに、合併すると特例債の発行が認められる、起債して交付税の先食いをし、地方の財政を傷めたのに、また借金させて箱物や道路をつくらせようとする、やり方がこっけいであると。大目に見られないと言っているのですよ、これ。知事ですらそういうふうに見ざるを得ないような、こっけいな仕掛けをつくっているという指摘をしているわけですね。
 それから、市町村建設計画の中で必要不可欠なものに限るから大丈夫だというお話ですが、現実はそうではないということも私はリアルに見る必要があると思います。
 例えば、日本経済新聞の十月二十七日付の記事に「市町村合併にバブルの足音」という記事が出ております。山口県の周南地域の徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町が周南市になるという合併、それから静岡と清水の例の合併、この二つを例に挙げております。
 周南市では、合併特例債、十年間ですけれども、十年間の総事業費が千百七十億円で、二市二町時代の公共事業費より四割近く増加。生涯学習センターの建設から徳山駅の周辺整備事業、港湾整備事業などの大型プロジェクトがメジロ押し。静岡、清水の合併によりまして、十年間で五千六百億円の総事業、三十五のプロジェクト、七十九事業を計画。オペラハウス、バーチャル水族館、わんぱくドーム、新庁舎、新交通システム、ビッグプロジェクトが並んで、すべて合併特例債の適用によって推進する事業だと報じられております。合併バブルになるんじゃないか。
 経済同友会の指標でも、十年間で恐らく二十兆円ぐらいの特例債が発行されることになるだろうと。これは経済同友会ですよ。私はその根拠はよくわかりませんけれども、毎年二兆円ぐらいの起債許可をしていくというようなこともあり得るんじゃないかと言って、報道していますね。合併バブルになるんじゃないか。九〇年代の失敗と全く同じことが今見え始めているんじゃないですか。
 現実に、どのような市町村建設計画の中で、その中身は自治体ごとに決めることなので、それにとやかく言うことはできないけれども、実際そういう姿を見たときに、七〇%まで交付税算入を認める、九五%充当率、そして合併を推進する最大のあめにする、こういうやり方が地方財政の重大な破綻を招いたということ、これを今見ないと、総務省は本当に重大な失敗を犯すことになるんじゃないでしょうか。どうお考えなんですか。
片山国務大臣 鳥取県の知事がどういうことを言ったか、私も詳しくは知りませんが、同じ片山でも大分違いますね。
 合併推進のためには、いろいろな合併の計画で夢を盛るということはある程度必要なんですよ、住民の皆さんに夢を与えるということは。しかし、実際どういう合併特例債を起こしてやるかは、それはその新しい首長さんや議会も慎重に考えると私は思いますよ。我々もチェックしますよ、バブルを起こすようなことは全く考えていないので。そういう意味では、地総債との関係をいろいろ言われますけれども、ぜひ慎重に、しかし前向きに対応してまいりたいと思っております。
春名委員 私、全く納得できないのですが、最後に申し上げておきますが、構造改革というのであれば、合併をしたらこのような箱物を幾らでも有利な債券使ってつくれますよ、そんなやり方するのは間違っていますよ。同じことを繰り返す。だから、地総債もやめるという一つの決断をされたんだと私は思っているわけですね。
 一方で、地方交付税は総額が膨らんで大変だ、減らさなければならないということを言いつつ、もう一方で、その地方交付税の総額が膨らむような仕掛けを皆さん方がつくって合併に追いやっている、これこそこっけいじゃないでしょうか。こういう仕掛けを私たちは本当にしっかり点検もするし、やめた方がよろしいということをはっきり申し上げておきまして、きょうの質問にさせていただきます。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 本日は、市町村合併を取り上げまして、これに絞って質問をしたいと思います。しかしながら、これまでさまざま議論されておりますので、重なるところがあると思いますが、確認の意味で質問していきたいと思います。
 まず、その前に、私いつも質問するわけでありますけれども、地方の経済の現状認識であります。これを大臣にお尋ねいたしたいと思っております。
 最近、小泉政権の経済政策の失敗を反映しまして、株価はバブル崩壊後の安値を更新しております。デフレを脱却すべく、需要の創出を導く大胆な経済財政策はいまだ見定められておりません。私はもちろん経済財政の専門家ではありませんが、この非常時において、三十兆円の国債発行枠にこだわることなく、やはり有効需要を創出することによりまして政府が景気の底支えを行う必要があると思っております。そして、財政再建に取り組めばよいのではないでしょうか。
 民間に資金需要が極めて乏しいときに不良債権処理を急激に行えばどうなるか。竹中大臣は、いまだ麻酔薬を用意せずに、がん細胞を正常細胞から取り除く大手術を行おうとしているわけであります。急激な不良債権処理は企業をつぶして、結果としてデフレ圧力がさらに高まる危険が高いのは明らかであります。案の定、竹中大臣の不良債権処理の加速化は金融不安を招くおそれが強いとして、自民党からも一蹴されております。痛みを和らげる総合デフレ対策とあわせて対処されるべきだと思っております。
 問題は、経済運営を竹中大臣に任せてあるとの小泉首相の政治姿勢にあります。危機の打開には、今ほど総理の強いリーダーシップが問われているときはありません。総理みずからが自分の言葉で市場にメッセージを与えることが大事だと思っております。
 さてそこで、経済財政諮問会議のメンバーであります片山大臣に、以上の実態を踏まえましてお尋ねいたしたいと思います。
 御案内のとおり、来年の高校卒業生の求人倍率でありますけれども、これが過去最低の〇・五〇を示すなど、地方の経済は本当に疲弊し切っております。私も、地方の景気回復なくして我が国の経済の再生はあり得ないと考えております。片山大臣は、今月中にもまとめるとされております総合デフレ対策において、地方経済の活性化対策にどのような配慮がなされておるのか、また、大臣御自身の見解はどうであるのか、最初にお尋ねいたしたいと思います。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
片山国務大臣 黄川田委員御指摘のように、地域の経済、雇用の状況というのは大変厳しいですね。私の選挙区なんかもまさにそうでございまして、地域経済の活性化というのは本当に当面の大きな課題だ、こういうふうに考えております。
 そこで、一部報じられておりますけれども、今月中ということで、現在、デフレ対策と不良債権処理を加速するその方策と、そこで不良債権を加速しますと御承知のようにいろいろな副作用が出ますから、特に雇用や中小企業融資等でセーフティーネットをしっかりと整備していく、こういうことの二本立てというのでしょうか、あるいは三本立てというのでしょうか、そういう対策をあすじゅうぐらいにまとめるということで鋭意やっておりますから、それはいい対策が出ることを私も期待し、議論には加わっております、今ここの段階でどうこうということは申し上げられませんけれども。
 そういう中で、特に雇用や中小企業は地方がある程度やるんですね、特に雇用は。そういう意味では、私は、職安というのか就職あっせん等が、地方事務官の整理のときに全部国に行っちゃったんですね。都道府県なんかは余り出る幕がなくなっているんですよ。だから、それは仕組みを変えて国と地方が一緒にやれるようにぜひしてくれと。これは厚生労働省も、ぜひそういうことは考えたい、こういうことですから、今回のこのデフレ対策やセーフティーネットの整備については、地方も一役も二役も関与していただくようにぜひしたい。
 中小企業だって、信用保証協会は府県単位にあるんです。あれは、一種の査定をやるのも都道府県にある中小企業のセンターがやるんですよね、そういう相談するような何かセンターがありますから。そういう意味では、国だけでなくて、地方も一緒にやれるようにする中で地域経済の活性化も考えるような仕組みにしてくれということを、今、私も諮問会議や関係の閣僚会議で言っておりまして、ぜひそういうことで進めてまいりたい、こう考えております。
 また、それぞれの地方団体も、自分のところの経済活性化については、今いろいろな検討をし、知恵を出そうとしておりますから、それは我々としても応援していきたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 来春の卒業予定の高校生の求人倍率、これは七月末時点でありますが、先ほどお話ししたとおり、過去最低の〇・五倍という現実でありますし、そしてまた、この春の高校の就職率は六月末現在で、まあ、この統計のあり方として六月で終わるんでしょう、これが九四・八%で、これも過去最低を記録したという現状であります。実に一万人近くの人が職を持てなかった、そういうことであります。
 これからの高齢社会を支える青少年に夢を与えられないような政治、あるいはまた将来の日本のあり方を提示できないような政治、あるいはまた地方から日本を再生できないような政治というものはあってはならないと思います。参議院選の補選で、飛行機の中で一緒になりましたけれども、鳥取の現状を篤と見たと思います。鳥取の現状は、九州、四国、我が東北と同じであります。どうか総務省からもきっちりとした対応策を打ち出していただきたいと思っております。
 それでは、現下の地方自治の最大課題であります市町村合併問題についてであります。
 市町村合併に政府を挙げて取り組むために、昨年三月に総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部を設置しまして、地方財政措置の拡充、道路や地域情報通信網の整備といった公共事業の優先採択、重点投資、市町村合併の各種の障害除去を図るための市町村合併支援プランを策定いたしました。そしてまた、この八月には、この市町村合併支援プランを改定しまして、既存の五十七項目から八十項目へ支援策が追加、拡充し、より一層強力に市町村合併を支援する体制を整備したと聞き及んでおります。
 このように国は市町村合併を強力に推進しておりますけれども、合併するかどうかは当然そこに住んでいる住民が決めるべきものであります。合併を選ぶにしても、単独の道を選ぶにしても、その論議は、住民が地域の将来像をどう考えるか、そういう機会であると考えます。そのためには、住民が判断する際の材料となる情報や合併協議の議論をきちんと公開することが必要不可欠であります。
 そこで、まず、平成十七年三月の合併特例法の期限まであと残り少なくなりました。二年半を切りましたけれども、全国の三千二百十八市町村のうち、法定や任意の協議会あるいはまた勉強会、研究会などを設置しまして市町村合併を検討しておりますけれども、最近、この検討している市町村の数、その推移はどうなっておるのでしょうか。そしてまた、この協議とか研究組織の協議の結果として、平成十七年三月時点で市町村数はどれくらいになると見込んでおるのか、あわせて総務省の見解を求めておきたいと思います。
芳山政府参考人 十月一日時点の調査を発表しておりますが、現在、合併協議会や研究会を設けて検討しております市町村数は、全国三千二百十八市町村のうちの約八割を超えます二千六百四十七でございます。特に、現時点におきます法定協議会の数は、全国で百三十二、構成市町村数五百二十九、また、都道府県が指定しております合併重点支援地域でございますけれども、百八十一地域八百十市町村というぐあいになっておりまして、この半年で倍増しております。
 お尋ねがありました十七年三月時点の市町村数について具体的には推測できませんけれども、このように市町村合併の機運も全国的に盛り上がっておりますし、また、本年度は法定協議会の設置への移行という重要な、大事な時期であろうと思っております。与党の目標であります一千という方針を踏まえながら、政府としてもこの実現に向けまして、これまでも市町村合併支援プランの拡充とか地方自治法の一部改正で住民発議の拡充という施策をしておりますけれども、なお一層取り組みまして、十七年三月までに十分な成果が上げられるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っています。
黄川田委員 通告しておりませんでしたけれども、全国を二つに分けまして、東日本、西日本で合併の動きに差異があるのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
芳山政府参考人 合併重点支援地域の指定の状況は、今四十県ぐらいございますけれども、七県の県の、まだ未指定のところは東北、北海道の方が多うございまして、言ってみれば、今先生御指摘の面でいいますと、西の方、九州、四国、中国中心に合併の動きが急だろうと我々は思っております。
黄川田委員 さて、この市町村合併を推進するための支援策の一つに、先ほども議論がありましたけれども、合併特例債があります。この合併特例債は、辺地債と同じような形でありますね。充当率が九五%で、辺地債は一〇〇%ですか、その元利償還金の七〇%が普通交付税により措置されるため非常に手厚い措置でありますが、いずれ約三割以上の地元負担が残ることになります。この合併特例債は、合併して町づくりはしたものの借金が残るだけであり、ツケを後回しにしているだけとの不安がる声もあるわけであります。
 そしてまた、この合併特例債のほかにも、合併した後十年間は、合併前の市町村がそのまま残っていたと仮定しまして毎年度算出する普通交付税額を保障する合併の算定がえや、あるいはまた合併市町村補助金など、さまざまな財政措置があるわけであります。
 そこで、お尋ねいたしたいと思っております。
 低迷する景気の影響によりまして、国と地方を取り巻く財政は極めて逼迫しておりまして、平成十四年度末で約六百九十三兆円の借入金残高を有する見込みとなっておりますが、この合併特例債などの市町村合併支援に関するさまざまな地方財政措置について、現在、各地方に約束しておるわけでありますが、これを将来とも完全に約束できるのでしょうか、財政支援を。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 地方財政、大変厳しい状況にあるわけでありますけれども、お尋ねの合併特例債を含めまして、各年度地方債の元利償還金に要する経費につきましては、毎年度の地方財政計画の策定に当たりまして、歳出を適切に計上いたし、地方交付税等必要な地方財源を確保することといたしているところであります。
 また、その他の合併推進に係る地方財政措置につきましても、市町村合併の推進が地方財政の構造改革に向けての最重要課題の一つとなっていることにかんがみまして、地方団体にお示しし、お約束をいたしましたものにつきましては、必要な財源を確保しながら今後とも積極的な支援措置を講じてまいりたいと考えているところでございます。
黄川田委員 お話を承りましたけれども、この平成の大合併でありますけれども、これが将来の地方自治のあり方を描くということではなくて、合併特例債あるいはまた地方交付税の優遇措置につられた損得勘定だけで進むことのないように望むものであります。本来的には、地方の自立、地方が地方で頑張っていくんだという、あるいはまた、この日本を形づくっているのは三千二百余りの市町村でありまして、どの市町村も特色のある町づくりということで頑張っておりますので、その点も考慮していただきたいと思っております。
 それでは、時間、最後になりますか、次に、合併特例法の期限までに合併しなかった、あるいはできなかった市町村も出てくることが予想されます。
 私の地元では、広大な面積を抱えた、四国四県の面積の岩手県でありますが、中山間地が多くて、合併しても効果がないと考えている市町村もあるところであります。たとえ人口が減少しても、そこが自分たちの住む地域である以上、代表となる首長を選んで、それぞれの個性を生かし、自治体ごとの必要に応じて、そしてまた住民ニーズに沿う施策を展開しまして、地域の発展のために不断の努力をし、小規模ながらも生き延びて、今日の日本の国土を維持している自治体こそが本来の自治体の姿であると主張される方もおられます。これも一つの考え方であると思います。
 しかしながら、平成十三年に閣議決定されました「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」及び平成十四年に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」において、今後の小規模市町村のあり方については、団体規模等に応じた事務や責任の配分、例えば、人口三十万人以上の自治体には一層の仕事と責任を付与し、小規模市町村の場合は仕事と責任を小さくし都道府県等が肩がわりするなど、そういうふうな形にされております。そしてまた、その方向で議論が急速に進んでおる印象を受けます。
 また、つい最近、自民党の地方行政調査会の地方自治に関する検討プロジェクトチームが、市町村合併をせずに残る人口一万人以下の小規模自治体の業務を窓口サービスに限定することなどの見直しをすることが報じられたところであります。
 このようなことが具体化されれば、それは地方の切り捨てにつながるものではないかと考える方もどんどん出てくるわけであります。小規模といえども、憲法上の地方公共団体としてこれまで機能してきたわけでありまして、地方自治の本旨に基づいた改革を望むものであります。
 そこで、質問であります。
 このような観点から、大臣は今後の小規模自治体のあり方について基本的にどう考えておられるのか、お尋ねいたしたいと思います。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
芳山政府参考人 御指摘ありましたように、地方分権の一層の推進や合併に伴う市町村の規模拡大に伴って、基礎的自治体のあり方というのが今後大きく論議されるだろうと思っています。そして、市町村の機能をどういうぐあいに考えていくかということが課題だろうと思っております。
 その点、今、第二十七次地方制度調査会におきまして、基礎的自治体のあり方、特に小規模な市町村における機能のあり方が論議をされております。その論議の中で、担うべき事務や組織のあり方、ないしは基礎的自治体として期待される役割を担えない場合にそれを補完するあり方、また基礎的自治体における住民自治組織のあり方というのを踏まえて多面的な論議が進められておりまして、こういう論議を踏まえながら、政府としても基礎的自治体のあり方、特に小規模自治体のあり方について検討を深めてまいりたいというぐあいに思っております。
黄川田委員 全国町村会では、合併できない、あるいはしない町村について、小規模市町村と位置づけ、その権限を縮小、制限するということではなくて、国民に対し全国どの地域に居住していようとも一定水準の必要不可欠な公共サービスを提供する自治体としてその役割を果たせるよう、基礎的自治体のあり方、これをさらに検討を深めるように要望しているところでありますし、私もその必要は大いにあると思っております。
 最後の質問であります、先ほど大臣から答弁がなかったものですから。
 いずれ基礎的自治体についても財政的な部分でいろいろ検討してみるという話を前の委員さんに答弁されたようでありますけれども、二〇〇五年三月までに具体的な財政支援のあり方等は提示できるのでしょうか。
片山国務大臣 今、地方制度調査会で御議論いただいておりまして、来年の三月には中間報告をいただくようにしております。できるのならいろいろなことをやってもらいますが、小規模で行政能力的にも財政力にも限界があるとすれば、できる範囲のことをやっていただく、こういうことにしたいと思いますし、できる範囲のことをやることについての財政運営については、十分それは保障してまいらなければいかぬ、こういうふうに思っております。
黄川田委員 時間でありますので、終わります。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 質問は最後になりますが、ひとつよろしくお願いをいたします。
 私は二点質問したいと思うんですが、まず郵政事業の公社化に伴うユニバーサルサービスのその後の検討状況、もう一つは公務員給与についてであります。
 そこで、百五十四国会における郵政公社化法案審議において問題視されました最も大きな課題は、まず信書の秘密保護の問題であり、ユニバーサルサービスの安定的確保、こういう点に収れんできたと思います。とりわけ、公社化法二十条に基づく地域住民の利便の確保のための郵便局を設置することが義務づけられました。さらに、附帯決議におきましても、郵便局ネットワークが現在と同水準に維持されること、こういうことが確認をされました。これは、いわゆるこの国会の意思なのであります。
 現在総務省で進めておられます準備作業、当然この二十条及び附帯決議に沿って進められていると思うんですが、十月十七日の郵政審議会における答申の内容を見ますと、二十条に基づく総務省令案について、一、地域住民の需要への適切な対応、二、全市町村にそれぞれ一局以上の設置、三、地域住民が容易に利用できる位置に設置しなければならない、このようになっております。この三つの基準でいきますと、郵便局がなくなる市町村はないということが確認できるわけでありますが、そうは申しましても、全国的に見た場合、他の二つの基準を勘案してもなおかつ、現在あります二万四千七百の郵便局、それはそのとおりに維持できるのかという点については若干の危惧の念を持たざるを得ません。
 そこで、そうなりますと、これはこの間の我が委員会並びに国会の経過と違うことになるわけでありまして、そこら辺について、いま一度大臣に確認しておきたいと思います。
片山国務大臣 この前、郵政審議会にかけました省令案はこういうふうになっているんです。「日本郵政公社法の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として、」これをまず本文に書いて、以下次の条件というので、今、委員が言われましたように、地域住民の需要に適切に対応する、これは需要が多いところは例えば郵便局を二つ置くとか、郵便局の機能をどうするとかということがありますね。だから、地域住民の需要に適切に対応すると。
 それから、全市町村に少なくとも一局以上、これは全市町村に一つという意味じゃないですよ、一つ以上という意味ですから。その以上に意味がある。どんな町村でも一つは必ず置く、それ以上と。
 それから三つ目は、住民が容易に利用できる位置に置く、こういうことでございまして、国会で、「あまねく全国に」という御修正もいただきましたし、附帯決議もいただきましたので、我々は、郵便局のネットワークは維持する、それからユニバーサルサービスは確保する、このことは一番の問題だ、一番最優先の課題だ、こういうふうに思っております。
 ただ、今の二万四千七百を一切変えないか。これは、やはり場所を移すとかいろいろな議論がありますから、基本的にはネットワークは維持する、こういうことでございますけれども、それじゃ、一局たりとも、位置も何にも変えないのか、機能も変えないのか、これはちょっと公社の中で検討させていただく。しかし、基本的には、省令に言っていますように、現にあるネットワークは維持する、こういうことでございます。
重野委員 この間の議論の中で、地方における高齢化の進捗状況というのが非常に急でありますというふうな議論もいたしました。したがって、この二万四千七百という、今、大臣がもっと先に進んで、どの場所にどうのこうのというそこまで縛ってもらっちゃ困ると言うのはわかるんですけれども、私がこの段階で確認したいのは、二万四千七百というこの数字、これについて確認をしたい。どうですか。
片山国務大臣 これは守るということであります。基本的には守るということであります。
重野委員 そういうことで、今後、さらにそれを地域住民にとってより利用しやすいものに仕上げていく努力をしていただきたい、このように思っています。
 したがって、我々として今の段階では、そういうところから出発するというふうに確認しておきたいと思います。
 次に、公務員給与について幾つかお聞きしたいのですが、今国会に提出されております国家公務員の給与関連法案が仮に成立、実施されますと、その影響は単に公務員のみにとどまらずに、大変大きな影響を及ぼすだろうということは論をまたないところでございます。
 給与引き下げという歴史的に見ても初めての内容でありますが、国家公務員の給与を引き下げる、それと連動して地方公務員の給与も引き下げるということになっていくかどうかは今後の問題でありますが、この勧告どおりに給与を引き下げた場合のいわゆるGDPへの影響という問題ですね。私が指摘するのは、これは公務員だけの問題じゃありませんという観点から、このGDPへの影響はどういうふうに見込まれるのか、そこら辺をお聞かせください。
小平政府参考人 お答え申し上げます。
 公務員給与の引き下げが勧告どおり実施されました場合の経済への影響でございますけれども、基本的には、家計消費等にある程度の影響が及ぶというふうに考えております。
 ただ、経済全体につきましてどのような影響が出るかということにつきましては、さまざまな要素がございまして、例えば金融システム改革でございますとか規制改革、それから雇用とか中小企業でさまざまな対応を検討しております総合的な対応策といったような経済政策、あるいはほかの面における経済情勢というようなものに影響をされますので、経済、GDPに与える影響につきましてはそういうものの中で見ていく必要があるというふうに考えておりまして、引き続き今後の経済情勢を見ながら、どういう影響があるかということについては見きわめていきたいというふうに考えております。
重野委員 私は、数値を示してくださいというふうに質問したのですが。
小平政府参考人 ただいま申し上げましたように、GDP全体に対します影響につきましては、ほかの要素を相当複雑に勘案する必要がございますので、なかなか現時点で試算をするのは困難でございますけれども、先ほど申し上げました消費に対する影響ということで仮に試算をしてみますと、公務員給与が勧告どおりに実施をされた場合、消費支出がどの程度減少するかということでございますけれども、民間最終消費支出の大体〇・一、二%が減少をするのではないかというような試算もあるところでございます。
重野委員 私、不満があるんですが、国会でこの人事院勧告どおりに、そう遠くない時期に決まろうとしているときに、今のような答弁というのは非常に問題があると思うんですね。公務員の給与というのは公務員の給与にとどまらないというのはもう常識なんですよ。これが今後、民間で年末から来春闘に向けてずっと引用されるわけですよね。そのときに、国が給与法を責任を持って出しているわけですから、それに関連する問題についてはきっちり出していただかないと、僕はちょっと、やはり無責任と言われてもしようがないのじゃないですか、どうですか。
小平政府参考人 試算につきましては、全体の来年度の経済見通し等もこれから政府全体としてつくることになっておりますので、そういう中で、公務員給与の引き下げが消費を初めとして経済全体にどういう影響を与えるかということについては、十分に勘案をしていきたいというふうに思っております。
重野委員 時間もどんどん迫っていますので、要望しておきます。私は、今みたいなスピードではやはり問題あり、このように思いますので、そこら辺はしっかり受けとめていただきたい。
 今度のこの人事院勧告を完全実施するという形で出されておるということについては、それはその限りにおいて一貫性がある。問題は、これも一つの政策でありますから、その政策的な妥当性の問題。今、正確な数値と受けとめていいのかどうかは別といたしまして、このGDP上の問題は、これを決めようというときに、あるいは態度を決めた段階で、この公務員の給与がどういうふうにGDPに影響するということについてどこまで考慮されたのかという点が一つですね。
 したがって、私は、人事院勧告は勧告として受けとめる、同時に行政府としての政策的判断、現下の長引く不況を、あるいは消費不況も含めてどう克服するか、これはすぐれて政策的判断だと思うんですが、そういう判断の余地はあったのではないかと思うんですが、大臣、どうですか。
片山国務大臣 今回の人事院勧告の完全実施を決めるにつきましては、二回給与関係閣僚会議を開きまして、その中には当然、財務大臣や経済財政政策担当大臣もおりますし、厚生労働大臣や文部科学大臣もおりますから、そこでいろいろ議論して、経済への影響等ももちろん勘案の上、人勧尊重、完全実施、こういうことにいたしたわけであります。
 それは、経済への影響が皆無とは言いませんけれども、しかし、上げるときだけ民間準拠で、下げるときは民間が下げているのに公務員は下げないんだ、こういうことでは国民の理解は得られないのではないか。それから、経済政策については、先ほど答弁がありましたように、これから総合的なデフレ対策もやるとか、いろいろなことが今議論されておりますから、そういうことの中で対応していけるのではなかろうか。そういうことで、ずっと続いた人事院勧告を尊重するという政府の姿勢を今回もとろうではないか、こういうことになりましたので、いろいろな御見解もあると思いますが、ぜひひとつその辺の御理解を賜りたいと思います。
重野委員 そういう答弁をするのであれば、これまで行政府は常に人事院勧告に忠実であったわけではないんですね。
 この間の歴史をひもといてみますと、例えば一九八一年から八六年までは実施見送り、あるいは勧告額のカット、あるいは実施時期の値切り、こういうふうなものをやっておるわけですよ。しかも、こうした措置に対する後年度の代償措置なんというのは全然講じられていませんでした。あるときは値切って、極めて異例とも言える今回のマイナス勧告はそのまま実施する。これでは、行政府の情勢適応の原則というのも身勝手なものだな、こういうふうに言われてもしようがないと私は思うんですね。
 今、二回と言いましたけれども、これもずっと歴史を振り返ってみますと、例えば一九九七年には四回給与関係閣僚会議を開いて、一九九八年は三回、だんだん回数が減ってきて、ことしは、その差額を公務員から取ろうかというときに、関係会議を二回しか開いていないんですね。僕は、これはちょっと、政府は非常に不謹慎だと思うんですよ。有史始まって以来、国家公務員から差額を政府がもらおうとしているんですから、これは大変な時期ですが、それをわずか二回でそうしますよと決めるというのは、僕は非常に安直な決め方だ、このように思うんですが、大臣、どうですか。
片山国務大臣 人勧につきましては、かつては人勧どおりということでなかった時期もありますね。ただ、四十六年度から大体勧告どおりでございますが、特に五十七年、八年、九年、それから六十年は、これは引き上げるときですけれども、引き上げ率は勧告どおりですけれども、実施時期を三カ月延ばしていますね。あとは大体人事院勧告どおりなんです。
 それから、二回というのが一番多いんです、今までは。ただ、四回のこともありましたし、三回のこともありましたが、一番数が多いのは二回なんです。回数ではないと思いますけれども、やはり、事務方はもっと細かく協議をしておりますから、閣僚の皆さんはこのところ特にいろいろな会議がありまして忙しいものですから、そういう意味で二回にさせていただきましたが、二回でも十分な議論を尽くしたと思っております。
重野委員 それは、国、地方の公務員にとっては大変な問題ですよね。だから、これはやはり、どういう結論になるにしても、そういうことを受ける側の思いというのをどう受けとめるかということなんですよ。その点においては僕は非常に不満であります。問題あり。
 時間も来ましたので、最後に人事院総裁に聞いておきたいんですが、人事院の存立理由から見ますと、今回の勧告、特に引き下げ率については、数字でやったらそういう結果になるんですから、それは否定いたしません。そういうことでしょう。しかし、労働基本権が保障されていない、代償機能の一つとしての人事院勧告、そして初のマイナスという本当に歴史的に見ても異常な事態の中で、調整内容やあるいは時期まで具体的に勧告するということが果たして一体のものなのかという疑問を私は感じるんです。そこを行政府の政策判断に任せる、いつしなさい、いつ調整しなさいということを言わずに任せる、そういうことを仮にやったとしても、私は、人事院の存在価値あるいは機能というものを減じるものではないというふうに思うんですね。それほどに今回の勧告の中身というのは僕は大変な中身だと思うんですが、そういうふうな点についての総裁の考えをお聞かせください。
中島政府特別補佐人 本俸のマイナス勧告というのは初めてでございますので、非常に多くの国会議員さんから御意見もいただきましたし、また御批判もいただいております。いずれも公務員の立場を考慮しておっしゃっていることでございますし、私たち公務員の勤務条件を担当している者といたしましては、その温かい思いが身にしみてよくわかります。しかし、そういうような思いに基づくいろいろな御提言というのが、一方、国民からどのように受け取られ、どのように評価されておるのかということもやはり私たちは考えざるを得ないというふうに思います。
 かつても、九月の初めにも御説明申し上げましたように、プラス勧告のときには四月にさかのぼって差額は支給する、しかしマイナスのときには今までもらったものは知らない、もらい得だというわけにはやはりいかないだろう、そこで、不利益不遡及の原則というものに反しない限りにおいて何かいい知恵がないかということで今度の減額措置というものを提案させていただいた。そして、この提案の内容については法律学者からも評価されておるといいますか、承認されておるということでございます。
 したがいまして、国民世論というものから考えると、まあまあ常識的なところかというふうに私たちは考えておりますけれども、そういう調整内容措置というものについて提言しなくてもいいじゃないかという御提言というか御発言もよくわかります。しかし、人事院といたしましては、給与についての専門家集団でございますので、そういうことについても御提案させていただいたというところを御理解いただければというふうに思います。
 また、実施時期の問題にいたしましても、プラスのときには四月実施ということを必ず言え、マイナスのときにはそこは黙っておれというふうに言われますと、私たち、そういうふうにちょっと従うわけにいかないんじゃないか、やはり中立公正な機関でございますので、そこはひとつ公正に物を言わせていただきたいというふうに思います。
重野委員 大いに不満はありますが、もう時間も来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十八分散会


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