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第1号 平成15年1月27日(月曜日)

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本国会召集日(平成十五年一月二十日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 桝屋 敬悟君
   理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    佐田玄一郎君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      平林 鴻三君    宮路 和明君
     吉田六左エ門君    荒井  聰君
      伊藤 忠治君    大出  彰君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      武正 公一君    中沢 健次君
      松崎 公昭君    山田 敏雅君
      山元  勉君    久保 哲司君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      金子善次郎君    三村 申吾君
平成十五年一月二十七日(月曜日)
    午後五時一分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    佐田玄一郎君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷畑  孝君    谷本 龍哉君
      野中 広務君    平林 鴻三君
     吉田六左エ門君    渡辺 博道君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    玄葉光一郎君
      島   聡君    中沢 健次君
      松崎 公昭君    山田 敏雅君
      山元  勉君    白保 台一君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      金子善次郎君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   坂  篤郎君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議
   官)           伊藤祐一郎君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (総務省情報通信政策局長
   )            高原 耕三君
   政府参考人
   (総務省郵政企画管理局長
   )            野村  卓君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (気象庁長官)      山本 孝二君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十七日
 辞任         補欠選任
  佐田玄一郎君     渡辺 博道君
  宮路 和明君     谷畑  孝君
  久保 哲司君     白保 台一君
同日
 辞任         補欠選任
  谷畑  孝君     宮路 和明君
  渡辺 博道君     佐田玄一郎君
  白保 台一君     久保 哲司君
同日
 理事後藤斎君同月十七日委員辞任につき、その補欠として武正公一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
一月二十日
 国家公務員法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(上田清司君外五名提出、第百五十一回国会衆法第五八号)
 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(上田清司君外五名提出、第百五十一回国会衆法第五九号)
 特殊法人の役員等の報酬等の規制に関する法律案(上田清司君外五名提出、第百五十一回国会衆法第六〇号)
 聴覚障害者の利便の増進に資する字幕番組の提供の促進のための放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(大畠章宏君外二名提出、第百五十三回国会衆法第三号)
 特定非営利活動の促進のための地方税法の一部を改正する法律案(岡田克也君外八名提出、第百五十四回国会衆法第六号)
同月二十四日
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 委員の皆様方には、つつがなく新しい年をお迎えなされた御様子で、何よりと存じ、お喜び申し上げます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に武正公一君を指名いたします。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国政に関する調査を行うため、本会期中
 行政機構及びその運営に関する事項
 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項
 地方自治及び地方税財政に関する事項
 情報通信及び電波に関する事項
 郵政事業に関する事項
 消防に関する事項
以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 次に、内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。片山総務大臣。
    ―――――――――――――
 地方交付税法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
片山国務大臣 地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。
 今回の補正予算により、平成十四年度分の地方交付税が八千五百十九億六千七百万円減少することとなりますが、地方財政の状況等にかんがみ、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保する必要があります。このため、平成十四年度分の地方交付税の総額の特例として、三千百九十五億円を一般会計から交付税特別会計に繰り入れて地方交付税の総額に加算するとともに、交付税特別会計借入金を五千三百二十四億六千七百万円増額することとし、あわせて平成十六年度から平成三十年度までの間における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例等を改正することとしております。
 また、地方公共団体が国に準じて給与改定を実施する場合に見込まれる財政需要の減少を反映させるため、平成十三年度から平成十五年度までの間における地方債の特例について平成十四年度に限り減額するため所要の改正を行うこととしております。
 次に、地方税の当初見込みに対する減収に対処するために発行する地方債については、普通建設事業等に充当し切れない部分がある場合においては、充当対象を拡大できる旨の特例を設けることとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
遠藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官伊藤祐一郎君、総務省自治財政局長林省吾君、総務省情報通信政策局長高原耕三君、総務省郵政企画管理局長野村卓君、消防庁長官石井隆一君、内閣官房内閣審議官春田謙君、内閣府政策統括官坂篤郎君及び気象庁長官山本孝二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田敏雅君。
山田(敏)委員 民主党の山田敏雅でございます。
 きょうは、補正予算の中身についてちょっとお聞きしたい点がございますので、質問に立たせていただきました。
 消防庁に防災関係の予算が出ております。東海、東南海・南海地震対策、これは非常に喫緊の課題なんですが、先日、阪神大震災のときの自衛隊の指揮官の方のお話をお伺いすることがございました。その方は、現場に行かれて、そして、たくさんの方が亡くなられている目の前で自分たちが仕事をできなかったと非常に悔しい思いをされた、心から男泣きというか、非常に号泣をされました。阪神大震災のときの経験がこのような形で、国会の場でこの教訓が生かされるということが非常に大事なことだと思います。
 そこで、消防庁長官にお伺いいたしますけれども、今回の補正予算あるいは一般予算もそうですが、報告書を出されております、阪神・淡路大震災に係る地震防災対策検討委員会報告書、この中身が本当に予算に生かされているのかどうか、ちょっとお聞きしますが、お答えいただけますか。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 阪神・淡路大震災の教訓によりまして、大規模災害時においては、地元の消防本部でありますとか消防団のみでは十分対応できない、やはり広域的な緊急支援体制あるいは各地域ごとの消防水利等の防災施設の強化が必要だということが明らかになりましたので、今回の補正予算で申しますと、消防補助金といたしまして、いつ発生してもおかしくないとされております東海地震でありますとか、また今後発生が懸念されます東南海・南海地震への対応力を強化するために、全国的な観点から、いざというときに参集する緊急消防援助隊、このための消防艇でありますとか消防ポンプ自動車などの整備、それから、各震災のおそれがある地域を中心に耐震性貯水槽あるいは防災無線等の地域の防災力強化に資するために約三十億円の補助金を計上いたしております。
 また、今後、国会に提出を予定しております当初予算とあわせまして、しっかり対応していきたいと考えております。
山田(敏)委員 今のお答えなんですけれども、実際これを見ていると、非常に、今説明されたように、ピントがずれているんですよね。例えば、今おっしゃった消防ポンプ自動車をやりましょうとか、今おっしゃった緊急援助隊というのをやろうとか、阪神大震災の本質的な問題からいって、ちょっとピントがずれていると思うんですね。
 この報告書をちょっとよく見てみたら、これは大臣が任命されたんだと思うんですが、委員会の委員の構成、十名委員がおられます、十名。この中の七名が大学の先生なんですよ。今私が最初に申し上げましたように、自衛隊の現場の指揮官は大変な思いをしてこの災害に当たったわけですね。そのときの本質的な問題は、現場の人間がすごくよくわかっているんですよね。この委員会の中に一人も入っていないんです。十人の中の七人が大学の先生で、そしてあと、もう三人いらっしゃるんですけれども、日本経済新聞社の論説委員の方、全国市長会の事務総長の方。これは関係あるんですか、災害の根本的な問題を議論する委員会に。それでこの結果、こういう対策をやっていたらまた同じ轍を踏む。現場に根差していないんじゃないかと思うんですが、大臣、今お聞きになっていかがですか、この委員の中身。こんな重要な問題を、委員を任命された任命権者として、現場を全く無視したお答えをされていると思いますが。
石井政府参考人 先生、今お手元の報告書、どれをごらんになっているかわかりませんけれども、私ども、阪神大震災以降、大規模震災に対応しますために、いろいろな学識経験者の方々にテーマに応じて入っていただいておりますけれども、例えば学者の方々も、当時やはり阪神地区におられて実際に被災された方もいらっしゃいますし、それから大震災のときに出向いて、現地に何日も入って勉強された方もおられますし、必ずしも学者の方が多いから現実に即したものにならないかどうか、それはちょっと個々のテーマによると思うんですね。
 それから今、自衛隊の方のお話が出ましたけれども、私どもも大震災対策でさまざまな研究会をやっておりますが、テーマによっては自衛隊の方にも参加していただいて、十分お話も聞いております。
 今後とも、自衛隊も含めまして、いろいろな関連の実務者の御意見も聞いて、しっかり対処していきたいと思っております。
山田(敏)委員 今の説明はちょっと納得いかないんですがね。
 大臣、これからこういう大規模震災が起こる、災害が起こる、そしてそれを、大切な教訓を、現場の指揮官の方は、今申し上げましたように、本当に心から号泣され、悔しい、人の命を救えなかった、自分たちができなかったことがたくさんあるというときに、その委員が、十人中七名が大学の先生で、あと日本経済新聞社、全国市長会事務総長。こういう任命の仕方はよかったと思われますか、悪かったと思われますか。
片山国務大臣 これは恐らく消防庁長官の私的な諮問機関か何かということで、私はタッチしておりませんが、本当に最近は学者が多いですね。これは私はテーマによると思いますよ。テーマによりますけれども、組み合わせはいろいろ考える必要があるんではなかろうか、こう思っておりますし、日経の方はそういうことに詳しい方ですし、全国市長会事務総長は前の前の消防庁長官ですかね、そういうことで入れたと思います。
 それから、この補助制度、今説明ありましたが、この補助制度については財務省とも話しまして、できるだけ実態に即して、必要なら流用というのか組みかえだとかそういうこともできるような話をしておりますので、ぜひ現場の皆さんの意向を聞いて、使いやすい補助金にいたします。
山田(敏)委員 ぜひその点はよく考えて、今後こういう委員会をつくらないようにお願いいたします。
 そこで、この後の問題にも関係するんですけれども、実は、大震災のときに情報ネットワークというのは寸断されるんですね。そうすると、どこでどんな状況でどんな人がどういう救助が必要かという情報が全く伝わらなくなるんですね。そして、一時間、二時間、三時間たつうちに、何千人という方が亡くなるんですね。それが正確に伝わったら、これはどんな援助物資を、だれが、いつ、どこにどういう機材を持っていって、だれが行けばいいかとすぐに対応できるんですね。これが非常に重要だと現場の方はおっしゃっています。
 これは今回の補正予算には残念ながら入っておりません。今入っているのは、貯水タンクを補強しましょうとかそういうことに十五億とかそういう予算が入っておりますので、これはこの後の質問に関係するんですけれども、一回、情報ネットワークは、今度また首都圏及び東海の大地震が起こったときに本当に対応できるものをやらないと、せっかくいい報告書をつくっていただいたんですが、一番肝心なところは生かされていないし、それから予算としても立てられていない。これをちょっと答弁いただけますか。
片山国務大臣 私どもの方がIT化の主要な担当をしているところでございますので、消防の方のIT化もそれなりにいろいろやっているんですけれども、ただ、私、その報告書を丁寧にまだ見せていただいておりませんが、報告書で御提言があれば、今後そういうことを中心にIT化を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
 今、電子自治体ということを大々的にやろうということでいろいろ地方団体とも相談しておりますが、特に消防についても、関係の市町村、自治体の意向を聞きながら、今度は十分研究をし、推進してまいりたいと考えております。
山田(敏)委員 それで、今大変な経済でございますけれども、IT産業を興そうということでもう二年ぐらいやっていらっしゃるんですが、どうも世界的に見ると日本のIT産業化はおくれているし、非常に遅々として進まない。これについては何か御意見がございましたら、どうぞ。
片山国務大臣 我が国は、ITの関係ではおくれているところと進んでいるところがありまして、それは、この評価をどうするか、大変いろいろな見方があると思いますけれども、欧米はITバブルだったんですね。特にアメリカの株式不況のきっかけはやはりバブル崩壊だったんですね、IT関係の。それからヨーロッパは、特に電波のオークションをやりまして、これが大変な高値がついて、結局、それが一つの契機になってずっと不振になってきましたね。
 我が国はそういうことはしておりませんので、半導体が生産過剰になったりなんかしましたけれども、今は私、回復期にあると思いますし、我が国における情報通信産業ということでくくりますと、今マーケットの規模が最大になっているんです。百十四兆円でございまして、二番目は建設業ですけれども、今、建設業がもう一つですから。
 そういう意味では、今後とも情報通信産業を伸ばしていく、こういうことが必要だと思いますし、特に我が国が進んでおりますのは、御承知のように、携帯電話、モバイルですね、それから情報家電、それから、今我が国が中心になっておりますのはユビキタスネットワーク、それから、これから放送のデジタル化をやりますから、これを、いろいろ御議論を当委員会でもいただきましたが、平成二十二年までやりますと累積では二百兆を超える投資になるんですね。だから、そういう意味で、ぜひ情報通信産業を今後とも我が国のリーディング産業にしてまいりたい、こういうふうに思っております。
山田(敏)委員 これもまた同じ問題なんですけれども、大臣の任命された、今度は情報通信審議会というのがあるんですけれども、これも報告書をつくっておられます。この審議会も三十名いらっしゃるんですけれども、これ、過半数の方が大学の先生なんですよね。何が好きで大学の先生を入れていらっしゃるのかよくわからないんですけれども、現場で、ITがどうして日本の中小企業や国民の間に本当に役に立つようにいかないのかというのがこの中で議論されていないですね。
 例えば学校、例えば三千をネットワークしてやろうかという、これも全然進まないんですね。原因ははっきりしているんですが、扱える先生がいない、教える人がいない、だから進みません。
 私は、電子カルテというのを取り扱いました。これも、大学の先生、脳外科の病院の先生が進めようといってやっていらっしゃるんですが、二十ぐらいの病院を電子カルテでネットワークすると、これは脳の病気ですから、たくさんの人の命が救えるんですね。それで呼びかけました。しかし、各病院は、ハードが一億円かかるにしても、それを扱う方がいない、あるいは、いても人件費が高くなるから病院の採算が悪くなる、だからやりません、こういうことでこの電子カルテも進まない。
 それから、卸業の方にお伺いしました。お菓子の卸屋さん、中小の方が全国ネットワークをして、これは一つのお菓子の種類で六千種類とか八千種類やっていらっしゃいますから、これもハードとソフトはいった、しかしこれ以上何もできない、こういうことを聞いております。
 そこで、このIT化のどこが一番大事か、ハード、ソフトそしてメンテナンスとあるんですけれども、どこが一番大事だとお思いになりますか。
片山国務大臣 委員御指摘のように、ハードはもう相当できてきたんですよね。これからは、やはり私は、ソフトというかコンテンツというんでしょうかね、それとアプリケーション、こういうものが中心になると思う。それから、一番大切なのはやはり人ですね。専門家をつくる、指導者をつくる。それから全体の、リテラシーというんですが、横文字が多くて申しわけありませんが、そういうリテラシーを向上していく、こういうことを総合的にやらないと、ちょっと今、完全にハードや機器を使い切っていないんですよ。高速道路はできたけれども、走っておる車が少ないという状況なんで、今のソフトと人材ということがこれから一番、委員が言われるように、中心になるのではなかろうかと考えております。
山田(敏)委員 大臣、そう考えていらっしゃるんですけれども、予算は全く反対の方になっておりまして、今度の補正予算で二百七十七億のIT関係をやります、人材の育成には六億円を使いましょうと。今おっしゃったことと反対のことを予算でやっていらっしゃるんです。
 さっきの、私が申し上げました全国のお菓子の問屋さんのケースなんですけれども、ハードとソフトは自分たちで投資してやったんです。ところが、一年ごとにアップグレードしなきゃいけない。あるいは一年に三回ぐらい故障する。それを指導する人たちが一日に三万五千円かかる。これを払える会社がなかなかいらっしゃらない。十日やると三十五万かかる。これで、これ以上もう進まない。それで大変困っている。
 結局、最後の部分に一番お金がかかるんですよね。ハードとソフトは皆さんやっている。最後のメンテナンスの部分が、今までやっていたより一番大きなお金がかかる部分、ここに目をつけて国はやらないと、もう全然、今、日本の本当に末端の、このシステムができて収益性が上がる、産業の効率性が上がる、そういうところに行かなくなっちゃったんですね。
 この点は、今おっしゃったことと予算をお立てになったことと全く違うことをやっていらっしゃるので、いかがお考えですか。
片山国務大臣 ハードは、いわばこれはいろいろなものの物的なインフラというか、施設設備の整備ですから金がかかるんですね。なるほど今回の補正予算を見ましても、ハードの関係は四百七十億なんですよ。それで、ソフトの関係は三十億なんですね。
 ただ、今の人材育成の関係では、例のIT講習会というので五百五十億組んだんですね、これがまだ全部使い切っていないというのはおかしいんですが、なおもやっておりまして、そういうことで、今後は、今言われましたように、メンテナンスを含めて必要なところに予算を配分していく。ハードが、ほぼ終わりかけたわけでもないんですが、整備がかなり進んでまいりましたので、今言ったようなことが私はこれからのITの重要課題だ、こういうふうに認識しております。
山田(敏)委員 高度IT人材育成というのが非常に重要なんですね。これは、今私が指摘しましたように六億円ですので、ぜひもう一回ちょっと真剣に考え直さなきゃいけないと思います。
 もう一つは、IT戦略本部、ここで、各省庁がばらばらにやっている政策を何かまとめて、国としてむだのないようにやるんだと私は思っていたんですが、どうもこの中身を見るとそういうふうになっていない。例えば光ファイバーを引くのを、国土交通省は下水管の中に光ファイバーを引く、電力会社は電線に光ファイバーを引く、みんなばらばらに、同じ町の中にこういうことをやっているんですね。これもこの戦略本部の中では認めているんですよね。国土交通省は下水管、あるいは電力会社は電線、こういうふうにやっているんですよね。
 戦略本部について、やはり総務大臣、本来の、国として一つの投資で、そして効率よくみんなが使える、調整の場でなきゃいけないと思うんですけれども、いかがお考えですか。
片山国務大臣 IT基本法の中で、そういう各省の調整をやる、まとめをやるということで戦略本部ができまして、本部長は総理で、副本部長が、IT担当大臣というのがおるんですね、科学技術担当の。それと官房長官もそうだったかな、それから私、総務大臣と経済産業大臣が副本部長になっておりまして、月に一回以上本部を開きまして、それなりに調整はやっていると思いますけれども、それでは今のままで十分かというと、いろいろ委員の御指摘の点があるいはあるのかな、こう思います。
 そこで、光ファイバーについて今お話がありましたが、国土交通省関係では、例の道路だとか下水道に管理用のあれで光ファイバーを引くんですよ。電力会社は電力会社でいろいろな必要がありますから引きますよね。私どもの方は、電気通信事業者の方に引いてもらったり、あるいは市町村、都道府県が引くものについて助成したりしておりまして、そういう意味ではそれぞれがやっておるんですが、その間の利用はお互いに連携をしてやるように、例えば、あいた光ファイバーが道路や下水道や電力事業者にあれば、電気通信事業者にできるだけ安く貸していただくようにしておりますし、特にそういう未利用の光ファイバーをダークファイバーというんだそうですけれども、これをぜひオープンにして広く利用してもらうように今やっておりますが、それではこれも百点で、大変スムーズにいっているかというと、なかなか難しい点はありますけれども、そういう努力はいたしておりますので、そこのところはぜひ御理解を賜りたいと思います。
山田(敏)委員 せっかくの御答弁なんですけれども、なかなか各省間の壁が払われていない。今おっしゃったように、みんなばらばらにやって、それぞれ違う条件で話をしているという現状があると思います。これもぜひ、今大臣、やるということで言っていただいたので、次回のIT戦略本部の計画は期待しておりますので、ぜひ調整をして、むだのないようにやっていただきたいと思います。
 私の質問は以上で終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 通告に従い、順次質問をしていきたいと思います。
 まずもって、この平成十四年度予算は、小泉内閣が発足してから初めて編成段階から手がけた予算であります。国債発行額の三十兆円にこだわりまして、最初から緊縮性を色濃く出し、経済財政運営の失敗の結果、大幅な税収不足を来しておるのであります。デフレ対策上、有効需要の喚起が望まれるときに、この緊縮財政下では補正予算の必要性が早くから叫ばれていたところであります。
 御案内のとおり、今回の補正予算は、歳出面では、都市再生等の公共投資が一・五兆円、雇用対策等のセーフティーネット対策が一・五兆円の三兆円が、改革加速プログラムなる美名の関連経費が主体であります。公共投資は、従来型公共事業ではなくて、都市再生や環境型社会づくりなどに資する事業に振り向けると言っておられますけれども、財務省の予算書をつぶさに見ますと、従来型の公共事業と何ら変わっていないと思われます。
 一方、歳入面では、国債の追加発行が約五兆円でありますが、そのうち約半分の二・五兆円が税収不足に充てられるところであります。小泉首相が公約していた今年度の国債発行は三十兆円を突破し、三十五兆円程度になります。
 そこで、まず、経済財政諮問会議のメンバーであります片山大臣にお尋ねいたします。
 早くから財源不足で補正予算の必要性が叫ばれていながら、さきの臨時国会では対処できずに、なぜ今、この年度末の残り少ない時期に提出するようなことになったのか、これが第一点。
 また、この税収不足対策はともかくとして、疲れ切った地方経済に浸透するには時間がかかることでもあり、景気回復の実効性に疑問を私は感じるわけであります。その点、大臣はどう考えているのか、あわせてお尋ねいたします。
片山国務大臣 総務委員会ではございませんで、予算委員会でも、今、黄川田委員御指摘のような質問、やりとりがあったと思いますけれども、結局、減収がどのくらいになるかという見通しがなかなかつかなかったんですね。十一月の中旬ぐらいから、国も地方もかなりな減収になる、こういうことがわかってきたということが一つありますし、そこそこの、経済指標はまあまあという感じでございまして、そういう意味で、その辺を見きわめて総合的な対策を決めていった。そのタイミングが十月末だとか十一月の初めだとか、こういうことになりましたので、あとは、事務作業からいって間に合わずに、この通常国会の冒頭、こういうことになったと私は理解しておりますし、経済財政諮問会議でもいろいろな議論がありましたが、税収の動向を見てと、こういう関係の議論が一番多かったような気がいたします。
 そこで、これは早く通していただくということが一番でございますが、地方団体にも予算を組んでいただかなきゃいけませんから、地方団体の方には十分私どもの方で連絡をして、できるだけ早く、この二月議会等で対応していただく。そのためには、財政措置も、地方に迷惑をかけないような措置を補正予算についてはとりましたので、十五カ月予算という考え方で、ぜひ早期の執行体制を整えてもらおう、こういうふうに考えております。
黄川田委員 やはり政府は、経済対策は失敗したんだ、こういうふうにきっちりと認める必要があると思っております。
 国が景気対策のために地方に持ちかける公共投資に関しましては、ほぼ五年前の平成十年五月、橋本内閣が組みました六兆円規模の平成十年度の第一次補正予算あたりから異変が起き始めていると私は思っております。当時、国の補助事業で地方分の裏負担ですか、これを自治体が渋りまして、そしてまた、国が補助金を出さずに自治体の起債等で賄う単独事業は、さらに出足が鈍かったのであります。当時の七月の参議院選前の景気浮揚を図る自民党のたくらみも崩れたのではないかと思っております。
 さらに、十一月、小渕内閣がまとめました二十四兆円規模の緊急経済対策に至っては、中央政府が地方に、もっと金を使えと、公共事業を逆に陳情したということを思い起こすわけなのであります。
 さて、この三位一体にかかわる補助金改革については平成十五年度予算で腰を据えた議論をしたいと思いますけれども、最近、地元を回りますと、限られたパイの中で、補助金はもらわなければ損という意識はまだまだ強いわけでありますけれども、市町村合併問題等にも触発されまして、住民意識の高まりも、地方にあっても本当に日々問題意識を共有するような形になっておりまして、一見得に見える補助金の非効率あるいはコスト高に気づく自治体も現実にふえてきているところであります。
 さらに、国の関与を減らし、地方の権限を拡大するねらいで打ち出された補助金改革でありますけれども、中央官庁が地方への支配権を守ろうと抵抗する意識が強いこともありまして、最近、迷走しておるのではないかと思われるところであります。
 そこで、質問でありますけれども、去る一月二十日、全国都道府県総務部長会議も開催されたことでもありまして、この補助金改革に関する自治体意識の高揚を総務省はどうとらえているのか、そしてまた、どのように方向づけしていくのか、その考えをお聞かせいただきたいと思います。
若松副大臣 補助金改革に関する自治体意識の高揚についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、歳入歳出両面にわたって地方の自立性を高める、こういう観点から、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含みます税源配分のあり方についての三位一体の改革をぜひとも進めなければいけないと考えております。
 特に国庫補助負担金の改革でございますが、この三位一体の改革の入り口とも考えておりまして、特にことしの六月をめどに工程表を出させていただくということで、ぜひとも「改革と展望」の期間中、いわゆる平成十八年度まででございますが、ここまでに数兆円規模の廃止、縮減を目指すために今努力をしているところでございます。
 総務省といたしましては、地方の自立に向けての大きな改革への道筋をつけるべく、改革案の取りまとめに向けて、今、積極的に取り組んでいるところでございまして、地方公共団体に対してもこの趣旨をしっかりと今説明をし、理解を得ているところでございます。
 そして、三位一体の改革に対しては、特に昨年十月八日の全国都道府県知事会議におきまして、全国知事会長の土屋知事から、小異を捨てて大同へという精神で支持、協力するという意見表明もいただいておりまして、また、平成十五年度の予算におきましては、いわゆる芽出しも出させていただいたところでありまして、ぜひともこの三位一体の工程表作成のために、民主党の先生方も御協力を、また自由党の先生方等、野党の先生方にも御協力いただければ大変幸いと存じます。
黄川田委員 若松副大臣からいろいろお話しいただきましたけれども、改革工程表であるとかあるいは芽出しをどんどんやっているんだという話でありますが、まず基本的にやはり国と地方の役割と責任を明確にすること、そしてまた補助金は一括交付というような形で、地方の税財源の確保、これをきっちりとすべきであると思っております。
 さて、今回の交付税特別会計による補てんの結果、交付税特会の平成十四年度末の借入金残高は、国の負担分が十六兆円、地方負担分が三十兆七千億円、合計四十六兆七千億円と、さらに膨らむこととなります。交付税特会借入金はいずれ返済しなければならず、いわば交付金の先食いであります。先々、特会借入金の返済のために地方の財政需要を圧縮することで地方にしわ寄せが及ぶおそれがないか危惧されるところであります。
 そこで、将来、地方への税財源の移譲や、あるいはある程度の交付税改革が実現し、交付税の不交付団体が増加する等の状況変化があった場合、特会借り入れが交付団体のためのものである以上、その負担は、税財源の移譲後もなお交付税が必要な団体、つまりは財政的に脆弱な団体にかかってくることになるのではないかと私は心配するわけであります。
 三位一体等の地方財政改革にかかわる難しい問題でありますけれども、片山大臣の所見を伺っておきたいと思います。
片山国務大臣 交付税特別会計が借り入れたものにつきましては、法律の中で、どう返すのかというのを書いていますね、国と地方の責任の分を明示して。だから、それに従って償還していくわけで、そうすると交付税特別会計の交付税の量が減っていくので、あと十分配分できるのか、こういう御心配だと思いますけれども、御承知のように、地方交付税というのは、毎年度地方財政計画をつくりまして、その中で足りないものを補てんする仕組みになっているのですね。そこで、今の償還金は、毎年度の法律に基づく償還金は、毎年度の地方財政計画の中に全部位置づけまして、その上で全体のプラスマイナスをやって、足りなければ国の責任でそれは補う、補てんする、こういうことになっておりますから、その点は今の仕組みで私は十分やっていける、責任が持てる、こういうふうに考えております。
 ただ、税源移譲なんかが進んでまいりまして、地方税の方のウエートが大きくなって交付税が仮に減ってきた場合に、税収の格差が開くじゃないかという議論が前からあるので、その場合には国庫補助負担金のあり方、法人事業税等の地方税の分割基準のあり方等、いろいろなことを考えながら、やはり税収の格差が余り出ないように、そういうことはあわせて検討していく必要があると考えております。
黄川田委員 大臣の答弁、理屈でもってさまざまお話しされますけれども、特別会計借り入れの償還等の課題、その対応についてでありますけれども、まず基本的には国や自治体の行財政の簡素合理化、これは最も大事なことであり、当然やるべきことでありますけれども、景気がよい時代にも特会の償還は完全に行われたというふうな形はなかったわけですから、それでもなおかつ、償還のためにはやはり基本となる景気の回復、経済の活性化、これが大事であると思っておりますので、本当の意味での国の構造改革を推進しなければならないと思っております。
 それでは、ここで、補正予算の交付税法の改正法案に関する質問に移りたいと思います。
 昨年の平成十三年度補正では、基準財政需要額の振替等の複雑な作業を避けるために、臨時財政対策債相当分三百九十一億円については特会借入金により措置し、翌年度一括償還することとされました。しかしながら、今回の平成十四年度補正では、臨時財政対策債相当分三千百九十五億円については、同様に特会の借入金により措置するものの、償還の負担平準化のため、平成十五年度から平成十八年度までの四年間で償還することとされております。
 そこで質問でありますけれども、平成十五年度の地方財政対策におきまして、五兆八千七百億円もの臨時財政対策債の発行が見込まれる中で、この三千百九十五億円について、あえて四年間のローンとする意味がどこにあるのか、そして補てんの構造をますます複雑にするだけではないのか、そしてまた四年間とする根拠、これは何であるか、総務省にお尋ねいたしたいと思います。
林政府参考人 お尋ねの平成十四年度の補正に係るスキームについてでございますが、御指摘をいただきましたように、今回の補正によりまして、各地方団体の円滑な財政運営を確保する観点から、当初の交付税総額を確保したい、こういうことで、特例地方債の発行にかえまして、特例的につなぎ資金的な特会借入金により補てんすることとしたところは、御指摘のとおりでございます。
 このような特例地方債にかわる特会の借入金につきましては、その性格上、通常の借入金とは区分して、できるだけ早期に償還を図るべきものだというふうに考えております。そのため、平成十三年度の場合は、御指摘をいただきましたように、翌年度に一括して行うことといたしたところでありますが、今回の場合、その償還金額が、平成十三年度の三百九十一億円に比較をいたしますと、三千百九十五億円に上ったということ、また、平成十五年度当初の臨時財政対策債の発行額も拡大していること等を勘案いたしまして、後年度の償還負担を平準化したいと考えまして、平成十五年度から十八年度までの四年間に分割して償還をすることとさせていただいたわけであります。
 その際、償還期間につきましては、「構造改革と経済財政の中期展望」の対象期間中にその償還を完了する必要がある、こう考えまして十八年度までの四年間といたしたものでございます。
黄川田委員 さらに、交付税の特別会計の借り入れや、あるいはこれに伴う利子の繰り入れ、一般会計からの後年度加算措置、折半ルールに伴う国、地方の負担分といった、国、地方間の財政関係が非常にわかりにくいものとなっていると私は思っております。
 そこで、地方財政の現状を的確に把握しまして、将来に向けての安定した地方財政制度の構築のための改革、これを行うためにも、これまでの貸借関係を精算してわかりやすい形にする必要があるのではないかと考えますが、総務省の見解、これを求めておきたいと思います。
林政府参考人 御指摘をいただきました国、地方間の貸借関係につきましては、地方交付税法第六条の三第二項に基づく制度改正であるとか、あるいは恒久的な減税の実施、さらには過去における国庫補助負担率の引き下げ等、国、地方双方の財政のあり方に大きな影響を与える制度改正が行われる都度、これに伴う財源対策をしっかり行っておく必要があるという観点から国、地方間の負担区分を定めてきた結果、こういう形になっているものでございます。
 これらの各年度の財源対策は、主として特別会計の借入金であるとかあるいは地方債の増発によりまして講じておりまして、その償還について国、地方間の負担区分を定める方法をとってきた結果、これらが積み重なって今日のような形になってきたものであり、ある程度やむを得ない面があるものと考えているわけでありますが、これらにつきましては、その都度、基本的に国会の御審議をいただき法律に定めてきたところでありますので、御理解をいただきたいと思います。
 なお、平成十三年度からは、そういう点も踏まえまして、財源不足につきましては、国、地方折半ルールのもとに、交付税特別会計における借入金を段階的に廃止することといたしたものでございまして、平成十五年度地方財政対策におきましてはこの借入金は全廃することとしたい、またお諮りを申し上げたいと考えております。この措置も後年度における国、地方の負担区分の簡明化にも資することとなるものと考えているところでございます。
黄川田委員 簡明化はいいのでありますが、どうも地方は地方債の増発をこれからしていかなければいけないという大きな課題がありますので、その辺も踏まえての簡明化、よろしくお願いいたしたいと思います。
 残り時間が少なくなってまいりました。最後の質問となります。残りの質問はまたの機会があると思いますので、最後の質問にしたいと思います。
 補正予算に対する地方の対応についてお尋ねいたしたいと思います。
 現在、地方の経済は、御案内のとおり、疲弊しております。国としても何がしかの対応が必要であると考えております。しかしながら、自治体財政の疲弊もこれまた無視できない状況まで来ていると私は認識しております。
 そこでお尋ねいたしますけれども、この今回の補正予算に伴う公共事業等に係る地方団体の財政負担はどの程度と見込まれ、そしてどのような財政措置を行うのか。自治体は極めて厳しい財政状況下に置かれておりますので、これに地方はついていけるのか、あわせてお尋ねいたします。
林政府参考人 今回の補正予算に伴う地方負担でございますが、一兆三百億円程度と見込まれておりまして、このうち適債事業分は八千二百四十億円程度となっております。
 これらに係る地方財政措置でありますが、投資的経費等の適債事業分につきましては、原則として一〇〇%を補正予算債で措置し、これに係る後年度の元利償還金の交付税措置につきましては、その全額を後年度において基準財政需要額に算入することといたしているところでございます。
 また、地方債の当たらない事業につきましては、平成十四年度の給与改定に伴う給与関係経費の不用額の充当により対応することといたしているところでありまして、これらの措置によりまして、補正予算に伴う追加の公共事業等を執行するための地方負担に対する財源は確保できるものと考えており、事業が円滑に執行でき、また地方団体の財政運営にも支障が生ずることはないものと考えているところでございます。
黄川田委員 時間でありますので、終わります。
遠藤委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 今度の法案は、年度当初に決めた交付税総額、これは国の責任できちっと確保するということがやはり責務だと思うんですね。しかも、国税の見込み違いそのものが小泉改革のやはり破綻の証明ということだと思うんですね。しかし、半分は地方に負担を転嫁するという仕掛けになっておりますので、到底これは容認できるものではないということをまず最初に明確にしておきたいと思います。
 そこで、きょう私は、市町村合併問題についてお聞きしたいと思います。
 むちを使ってあくまで市町村合併を推進しようというふうに私には思えますその政府の姿勢についてただしたいと思います。
 第二十七次地方制度調査会の十一月一日の議論で、副会長の西尾勝氏が、合併特例法の期限切れ後は、解消すべき市町村の人口規模を法律上明示する、それに向けて一定期間さらに強力に合併を推進する、その上で残る小規模市町村は事務配分特例方式あるいは内部団体移行方式ということにして権限を縮小する、基礎的自治体でなくしてしまう、こういう方向が提案されている。
 十二月の十二日の自民党の地方自治に関する検討プロジェクトチーム、ここの中間報告では、「合併推進策を講じた後になお残る小規模市町村(例えば人口一万未満)については、引き続き基礎的自治体と位置付けるとしても、通常の市町村に法律上義務付けられた事務の一部を都道府県又は周辺市町村が実施する仕組みとすること等の方策について、今後さらに検討する。」「小規模市町村については、地方交付税の割増措置等のあり方を含めさらなる縮小について検討する。」こういうふうに述べられているわけですね。
 これらの文書を読んで私も大変驚いているわけなんです、率直に。これらは明らかに小さな市町村を、今の時点でいいますと、合併に追いやってしまう効果を持つことになる非常に乱暴な議論だと私は思います。今までも段階補正の見直しなどで兵糧攻めと言われるようなやり方をされてきましたが、まだ足らないというような認識なのでしょうか。そのあたり、総務大臣はどうお考えなんでしょう。
片山国務大臣 西尾先生は西尾先生のお考えがあって、これは諸井会長や小委員長の要請で、たたき台をつくって議論を活性化して大いにやろうということでお出しになったので、それは先生は先生のお考えがあると思いますし、これはたたき台ですから、それで決まるわけじゃないので、大いに議論していただければ私はいいと思っている。
 それから、自民党プロジェクトチームですね、部会の中間報告という形で、これもいろいろな御意見を出されました。これも大いにこれから議論して、自民党としてということになるのか、あるいは部会ということになるのかわかりませんけれども、大いに議論していただければいい、こういうふうに思っております。
 それで、西尾先生という方は、ずっと地方制度調査会の仕事をしてこられた方で、地方自治を大変尊重される方なんですよ。ただ、今のままで小規模な市町村では余り仕事ができないんじゃないか、こういうお考えがあるんですね。だから、そこは私も、直接お伺いしたわけじゃなくて、書いたものを読ませていただいただけですが、今後、地方制度調査会は三月ぐらいまでに中間的な取りまとめをしたいということのようですから、あの案を一つのたたき台として大いに議論が行われるんではなかろうかと思っております。
春名委員 今、こういう案がいろいろ出てきますと、二〇〇五年の三月末までが一つの特例法期限切れの期限じゃないですか。今、合併法定協議会をつくるかどうか、どういう方向で将来進むかという真剣な議論をしているときですよね。そのときに、小さな自治体でそのまま残ったら、それはもう自治体と認めない、あるいは権限を剥奪してしまおうか、そういうことが出るということがどういう効果をもたらすかということを真摯に考える必要があると私は思うんですね。
 今、たたき台だから議論の一つにというふうに言われたんだけれども、例えば総務省自身が、一月の二十日、全国総務部長会議をお開きになっていますが、その資料の中に「市町村合併について」という文書がありますけれども、この文書の中にこの西尾案、自民党案を一緒に入れているわけですよね、正式な会議の中に。したがって、こういう方向で総務省も考えているんじゃないだろうかというようなことを当然考えさせられるものになりますね。
 なぜ公式文書でもないものを正式な全国会議の資料に挿入して全国に徹底するかのようなことをやられるのか。それはどういうことでしょうか。
片山国務大臣 それは、関係の皆さんが大変な関心がありますから、そういうことは、恐らくそういう要望があったのかもしれませんし、私確認しておりませんが、そういうことで出したと思いますよ。
 西尾先生は地方制度調査会の副会長ですよ。調査会の会長から要請されて、たたき台、私案を出されたわけですし、それから自民党さんは、これはもう政権与党でございまして、いろいろここでは御議論賜っているんで、公の存在であると私は思っておりますから、そこで一つの中間報告が出れば、それを資料として提供する、これはもう当然のことでございまして、ほかの党でもそういうことをおまとめいただくんなら、幾らでも総務部長会議その他で配付いたします。
春名委員 民主党さんもそういう方針は出されていると思うんですね。共産党ももちろんそういう方針を持っていますしね。しかし、やはりすごく政治的意図を感じるんですよ。要するに、今一番大事な将来の議論をしているときに、全国会議の文書の中に、自民党のプロジェクトチームの案の中には一万以下は権限縮小というふうに書いてあるんですね、そういう方針をわざわざ見せて、このまま合併しないでいいのかという話に当然これはなりますよね。そういうもの、いいんですか、それで。
 それで、皆さん、もう大臣もお出になるようになっているかと思うんですが、二月の二十五日に町村自治確立総決起大会が開かれますでしょう、武道館で。この最初の「目的」、「今、町村の自治は存亡の危機にある。」というのが第一行目なんですよね。そういう認識を持っているわけですよ。ですから、自民党の案が出たから資料として提供したという程度の話じゃないんですね。
 私はたくさんの町村長とお話をしてまいりましたが、大変な危惧と不安を持っていらっしゃいますよ。自主的に議論をし、真剣に町村の将来をどうしようかという議論をしているやさきに、もし二〇〇五年の三月末までに間に合わない、合併したいと思うところも、しないところもあるでしょう、しないというふうにもしなっていたとしても、そうすると、今度は権限がなくなってしまうんじゃないか、一万以下は自治体と認められないのか、こういうことが出てくれば、今どんな効果が与えられるかといえば、合併にいかざるを得ないという、そういうむちになってしまうんですね、これ。そういう御認識は総務大臣はないんでしょうか。
片山国務大臣 地方制度調査会でも、町村会、町村議長会等、団体の皆さんとも十分話し合う、意見を聞く、こういうことを言っておりますし、それから最終的には、どうなるか、大議論して、地方制度調査会も総理の方に御答申があるでしょうし、それから、国会で最終的には決めるんですね。
 これは、西尾先生の案、自民党の案が決まったわけでは一つもないんで、一つの考え方なんで、民主主義というのは、多様な意見を出して、その中で意見を集約しているのが民主主義ですから、私は、そういう意見があってもいいと思いますし、また正反対の別の意見があってもいい、こういうふうに思っておりますよ。
 ただ、恐らく西尾先生や自民党の皆さんのお考えは、市町村というのは、市町村の地域の活性化のためにある、市町村の住民の福祉の増進、サービスの向上のためにあるんで、余り小さくて、そういうことがしっかりできない、役場の職員の人件費の半分しか税が取れなくて、あとは全部依存財源でやっていく、しかも専門の職員もいない、人手も少ない、そういうところで、これから高度化するいろいろな仕事ができるんだろうかと。
 我々は、市町村を地方自治の主役にしたい、市町村にできることは市町村に全部やってもらいたい、そのために、権限の移譲や税財源移譲を市町村の基盤強化のきっかけにしたいと思っているんですよ。市町村を強くするために我々は合併を考えているんで、小さいものを切り捨てるということは考えていませんよ。
 だから、そういうことで、いろいろな議論をこれからもやっていただいて、その中で意見を集約していくというのが私は正しいんではないかと思っております。
春名委員 今おっしゃったことを全部否定するわけじゃありませんけれども、今、現時点でこういう二〇〇五年以降の方針をどうするかということが出されて、それは非常に乱暴なんですよね。人口で自治体でなくすということが正面から出ているわけですよね。そういう案が出ているときに、総務省は、そんなことはありませんとはっきり言えば、私、それでいいと思うんですよ。しかし、そういうことは言わずに、無批判に全国会議の資料にも提出をされるということになると、それは、今の時点で合併をせざるを得ないということにならざるを得ない、その流れをつくっていく一つの材料になっているというふうにならざるを得ないでしょう。それは、総務大臣自身も本意じゃないと思うんですね。
 だって、総務大臣は、おととしの十一月十三日、私の質問に対して、段階補正、切り捨てるのはむちだと言ったら、むちはやりませんとはっきり言われましたよね。あめはたくさんあるけれども、むちはやらないんだ、自主的な合併であくまでやるんで、説得するし、わかってもらうんだということをもう繰り返し言われているわけですよね。
 そういうことからいっても、こういうものがそのまま出されてきて、町村は存亡の危機にある、自治は存亡の危機にあるという全国大会が数千人規模で開かれるという事態になっているんですから、そう一般論で終わるわけにはいかない問題なわけですね。
 それで、大臣のお言葉でちょっとお聞きしておきたいんですが、昨年十月の二日の朝日新聞では、一千台に自治体数を突入させたい、「自主的な合併の支援だけでなく、総務省がもうちょっと中に踏み込んでいく必要がある」とインタビューにお答えになっている。十月七日の日経新聞にも、「自主的な合併の応援だけではなく、もう少し踏み込んでいく」というふうに報じられている。一月七日の閣議決定の後の記者会見では、合併市町村に対し特例法で講じている財政支援措置について、エンドレスで続けることは考えておらず、期限切れと同時に切る、一方、期限切れ後の法的措置も必要なら検討したいと。などなどの発言が報じられているんです、去年の十月からことしにかけて。
 これらはどういうことを意味されているのか。つまり、もうちょっと踏み込んでいく必要があるというのは、どういうことをお考えになっているのか。そこをお聞かせください。
片山国務大臣 国の行政改革大綱にも、与党三党が言われる千を踏まえて合併を推進しろ、こう書いていますね。だから、それを踏まえにゃいけません、我々は。だから、できれば千に近づけたいんですが、いろいろな状況があるから、千は難しいにしても、千台に突入することを一つの目標にしたい、こういう意味です。
 それから、踏み込んでというのは、今までは総務省は総論しかやらなかったんです。各論を求められても、まあ、どうぞどうぞ、こう言ってきましたんで、もし、各論について、具体的な事例について指導や助言を求められれば、こっちからやるんじゃないんですよ、当事者から求められれば、県その他関係の市町村から、それは総務省としての見解を言う。それを私は踏み込んでと、こう言っているわけでございます。
春名委員 私、全国の自治体、特に四国出身でございますから、四国の自治体の町長とか村長、かなり会っているんですよ。そうしますと、率直にお伝えします。ある町長は、どうして総務省はあのような西尾案などはあり得ないという公式見解を言わないんだろうか、びっくりする。小さな市町村はなくなってくれと言われて、はいわかりましたとは言えませんと。今まで営々と努力してきましたそういう自治体の努力を水泡に帰すような方針が出されたときに、なぜ、そんなことはあり得ないと総務省は言えないのかと。こういう声で満ちていますね。
 例えば自民党のプロジェクトチームの中には、一万人以下の自治体は権限を縮小するといって数が書いてあるんですよね、これは一つの案だということかもしれませんけれども。そういうことをそのままうのみにして、うのみといいますか、ということになりますと、一万以下といったら大変な数ですから、そういう自治体は大きくならざるを得ないのかとやはりなるじゃないですか。
 したがって、大臣、やはり、そういうことはない、一つ一つの町村の自治は守り抜くという確固としたことを、私は、自治を預かる総務大臣としては明言する必要があると思うんですね。どうでしょうか。
片山国務大臣 それは委員のお考えで、いろいろな意見が多様にある方がいいんですよ。一つの意見しかないのは独裁国家なんですよ、どこかの国のように。私は、いろいろな意見があって、いろいろな意見の中で集約をしていく、多数の意見で物をまとめていく方がずっと正しいと思いますよ。
 それから、私は、せんだって十二月の全国町村長大会でも言ったんですよ、我々はあくまでも自主的な合併だと。しかし、自主的な合併というのは、自分のことを考えたり、議員さんのことだけ考えたり、役場のことだけ考えるのじゃだめだと言ったんですよ。地域の本当の将来のこと、あるいは地方自治のあり方を考えてほしいと。まあそれは、町村長さんも議員さんも選挙をやっていますから、自分のことを半分ぐらい考えるのはやむを得ないかもしれないけれどもという話をしましたら、みんな、わっと笑われましたけれども。
 自主的なということは、そういうことなんですよ。地域の本当の将来のことを考える。それぞれの市町村がどういう役割を果たすかということを本気で考える。保身や何かじゃ、それは私はぐあいが悪いと思う。そういうことでは、広く議論を起こして、いろいろなことで、住民の意見も聞いて決めてもらったらいいと思います。
春名委員 自主的な合併を支援するというふうにおっしゃるのは、私は、それはそれで理解しているわけなんですね。
 しかし、今私が言っているのは、地域の将来を真剣に考えて、二〇〇五年以降もこういう方向で努力しよう、そういう方向で議論している最中に、その先に法律をつくって、そこは自治体ではなくすだとか、一万以下は権限を縮小するだとか、そういうことが平然と今議論されているということになったらどうなるかということを言っているわけですね。そういう地域の将来を考えた自主的な討論の芽そのものを奪い取ることになりませんかと言っているんですよ。そこを考えてもらいたいと言っているんですね。
 憲法九十二条に地方自治の本旨、しっかり書いてありますし、そういう角度から、一つの意見じゃないんですよ、地方自治を守るというのは当然の大前提なわけでして、そういう問題が私は今問題として提起されているんじゃないかというふうに思うんですよ。
 大臣、ですから、二月の二十五日にも町村自治確立全国大会に出られて御発言を、ごあいさつされるんだと思いますけれども、今町村はそういう認識を持って、今まで営々と努力をして国土を守ってきたけれども、本当にこのまま、小さいから、効率が悪いからという御旗でなくされてしまうのではないかという大変な不安を持っているわけですよね。そこを本当に今考えないと。
 だから、冒頭に私が言ったように、これはむちの役割を果たしていますよと言っているんです。それはやめましょうよ、そういうことは。本当に自主的に議論してもらうという環境をつくることに力を注ぐべきじゃないんでしょうか。大臣、どう思いますか。
片山国務大臣 今までも市町村は護送船団方式みたいなところがあったんですよ。小さな町村もありますよね、百人とか五百人とか八百人とか。三千人以下でも相当あるんですよ。そういうところは、これを総括的に言うと必ずしも正しくないかもしれぬけれども、税金の十倍、二十倍ですよ、交付税が。
 私は、これからの地方自治は自立だと思っている。一つは自立。それからもう一つは、個性ある発展ですよ。それからもう一つは、護送船団ではなくて、地域間の競争ですよ。そういう基盤を強化するために、本当の地方自治を実現するために合併が必要だ、私はこういうふうに思っております。
春名委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、そういう自立、そして個性を生かす上でも、今議論している自主性を剥奪して追いやるようなやり方はやめていただきたいというのを私はきょう言いたかったわけです。
 そのことをはっきり申し上げまして、きょうは質問を終わりたいと思います。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社民党を代表しまして質問いたしますが、まず、市町村合併についてお伺いいたします。
 今、春名議員も質問されましたけれども、この間、市町村数をおおむね一千程度とするといたしまして、合併特例法をもってずっと誘導してきたところでございます。その結果は、昨年十月一日現在でありますが、法定協議会設置数で百二十九、構成市町村数で五百十九、任意協議会設置数で百五十三、構成市町村数六百八十四、合わせて、協議会数で二百八十二、構成市町村数で千二百三となっているのは御案内のとおりであります。これからいたしますと、市町村が全部合併したといたしましても、合併数は九百二十一にしかならないわけでございます。
 この数字から読み取れることは、要するに二〇〇五年の特例法の期限切れまでに内閣の数値目標は達成できない、そういうことになると思うんですが、総務大臣、この点はどうでしょうか。
片山国務大臣 重野委員が言われた数字は、去年の十月一日ですね。本年の一月一日現在でありますと、法定協議会、任意協議会を構成する市町村数は千六百二十になっているんです。このところ、特に法定協議会は約八百で、三カ月間で十五倍にふえているんですよ。そういう意味で、相当全国的に機運が盛り上がってきたと私は考えております。
 しかし、千というのは、あくまでもこれは目標ですから、それは私はなかなか難しいと思います。いいところまで来て、なかなか大変なんですよ。結婚と同じだと言うとちょっと語弊がありますけれども、できそうでできなかったり、できそうになかったのができたり、これはなかなか難しいんです。だから、私は、これからが一番の正念場ではなかろうかと。
 十五倍と言いましたけれども、一・五倍です。数がそういうことになった、こういうことでございます。
重野委員 くどいようですが、確認したいんですが、大臣が再三口にしております数値目標、それを達成できるというふうに現段階で思っておられるか、いや、これは難しいと思っておられるか、どっちですか。
片山国務大臣 正直言いまして、私は、千というのはなかなか難しいと思います。
 どこかの新聞も、幾ら減るとかという予想をいろいろ書いておりますけれども、私は、これからの取り組み、それからやはり国民の皆さんの意識がどういうふうになっていくのか。
 ただ、何度も言いますけれども、むちを使うなどということは考えていないのです。段階補正は、これは合理化なんですね。段階補正が今優遇過ぎるという意見があるから、調べて我々はそれを一七%ほど引き下げているのです。あくまでも自主的な合併ですが、いつまでもどうぞどうぞじゃなくて、例えば総務省なり都道府県なりに各論についての指導や助言を求められたら、私はそれも積極的にそろそろやってもいいのではなかろうかと。もう四月からあと二年ですからね、合併特例法の期限まで。そういうふうに考えております。
 千というのは、なかなか私は難しいと思っております。
重野委員 それでは次に進みますが、いわゆる中期展望についてちょっと伺いたいと思うんです。
 内閣は、経済財政諮問会議におきましていわゆる中期展望を見直し、二年先送りを行ったところでございます。先送り自体小泉内閣の公約違反であり、批判されてしかるべきものであると思いますが、内容上も看過できないものがございます。
 そこで伺いますが、構造改革の加速によりプライマリーバランスの赤字は縮小し、そのGDP比は、現状の五%強程度から、今次改定の最終年度、二〇〇七年度前後には半分程度に近づいていくものと見られる、このように書いております。
 この半分程度という場合に、中央、地方の割合は現状とどのように変化していくのか、その点について、内閣府並びに総務大臣の説明をいただきたい。
根本副大臣 今委員おっしゃられましたように、今回の「改革と展望」二〇〇二年度改定では、中期的に財政収支を確実に改善していくために、民間需要主導の持続的成長を実現するための構造改革を加速するとしております。構造改革を加速することによって、経済成長を上げ、そして税収もふやす、こういうことでありますが、一方で歳出改革も加速することとしております。こうした取り組みによって、今委員おっしゃられたようなプライマリーバランスの赤字のGDP比、これは現状五%強程度でありますが、これから二〇〇七年度前後には半分程度に近づいていくものと見込んでおります。
 具体的には、先般の経済財政諮問会議に提出いたしました内閣府試算、この考え方でありますが、いろいろ種々の前提を置いて試算しておりますが、二〇〇七年度のプライマリーバランスの赤字のGDP比はマイナス二・九%、三角二・九%程度になるだろう。それで、委員の今お話でありましたが、そのうち国については三角の三・七%、つまり三・七%程度の赤字、地方については〇・八%の黒字と見込んでおります。
若松副大臣 今、根本副大臣から内閣府の試算の説明があったところでございます。
 総務省といたしましても、この試算につきましては、経済成長率等さまざまな仮定を置いて行ったものでございまして、特に二〇〇七年、平成十九年度までにこの地方のプライマリーバランスの改善が見込まれるということで二つ認識しております。一つは、国と同様、歳入面において景気の回復に伴う税収の増加が期待されること。二点目として、歳出面におきましては、投資的経費を中心に計画的に抑制を図る、こういう前提が置かれていること。こういったことによりまして、この間に地方財源不足が縮小して、地方債の発行額の減少が見込まれる、こういったことのプライマリーバランスの改善を期待しているところでございます。
重野委員 中期展望についてもう一点聞きますが、「二〇〇六年度までに、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ、必要な行政サービス、歳出水準を見極め、また経済活性化の進展状況および財政事情を踏まえ、必要な税制上の措置を判断する。」このようにも書いておるんですが、ここに言う「必要な税制上の措置」とは具体的に何かということ。また、懸案となっている税財源の自治体移譲、つまり分権化という課題は、よもやこれによって先送りされるというふうなことはないと考えますが、この点について、内閣府並びに総務大臣。
根本副大臣 委員の今お話しになった具体的な税制上の措置を、どのような措置を考えているかということでありますが、現時点におきましては、具体的な税制上の措置を念頭に置いているわけではありません。具体的な措置を念頭に置いているというわけではないということであります。
 ただ、二〇〇六年度までに、要は私は三点あると思っていますが、国と地方双方がとにかく歳出削減努力を積み重ねよう、これが一点。それからもう一つは、必要な行政サービス、歳出水準がどういう歳出水準になるのか、これが私は二点目で重要だと思います。もう一つは、これからの経済活性化の進展状況あるいは財政事情がどうなるのか。この辺の三つを勘案して必要な税制上の措置を判断しようということを申し上げておりまして、具体的な措置につきましては、今念頭に置いているわけではありません。
 それから、総務大臣からお話があるかと思いますが、三位一体改革をやろう、こう考えておりまして、その方向性やスケジュールが設定されておりますが、これについては、三位一体の改革をきちんとやろうということは変わりません。
片山国務大臣 今、根本副大臣からお話がありましたように、三位一体の改革はやるということでもう「改革と展望」の中に書いていますし、ことしの夏ぐらいまで、六月と書いていましたか、工程表というのは計画ですからね、これをつくろうということでございまして、大変な作業になると思いますけれども、ぜひ頑張って進めたい、こう思っております。
 そこで、今、重野委員御指摘の税制上の措置というのは、具体的なものが念頭にはないんです。これからなんです、ここで言う税制上の措置は。ただ、我々は、三位一体の税源移譲がその中身の一つだと。国から地方への税源移譲、三位一体の改革を、国庫補助負担金や交付税もやるんですけれども、国から地方に税源をもらおう、これがここで言う税制上の措置の一つ。
 それからもう一つは、できるだけ地方の税制は景気に変動されない。義務的な、固定的な支出が多いんですから、地方の場合には。だから、安定的な地方税の税体系をつくりたい。御議論あるかもしれませんが、法人事業税の外形標準課税化などということは、導入ということはその一つでございまして、そういう意味では、できるだけ安定的な地方税の体系をつくりたい。我々はそういうことをこの税制上の措置の中で実現できればいいなと考えております。
重野委員 それでは次に、補正予算に伴う交付税の補てん措置についてお伺いいたします。
 年度もほぼ終わりに近い段階での措置という点からすれば、折半ルールに準拠した補てんもやむを得ない面もある、このように認識いたしております。
 問題は、臨時財政対策債の問題であります。この補正予算に伴う分も含めて、臨時財政対策債の発行総額は四兆七千四百八十四億円となっているはずでありますが、これに来年度の臨時財政対策債が加わることを考えますと、折半ルールも来年で終わるということにもかかわらず、この臨時財政対策債の償還はその先に行くわけですね。一体この臨時財政対策債の償還はいつ終わるのかということが一つ。
 結局は、この交付税の不足分を赤字地方債で補てんする、そういう方法が将来の地方財政に大きな禍根を残すことになる、それこそそういう見本のようなものではないのか、このように考えるわけですが、大臣の見解をお聞かせください。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 臨時財政対策債につきましては、三年据え置きを含めまして二十年間で償還をしていくということにいたしております。この元利償還金に必要な財源につきましては、毎年度の地方財政計画の策定に当たりまして、所要額を適切に見積もることによりまして確保いたしますとともに、個々の地方団体に対しましては、その全額を地方交付税の基準財政需要額に算入することとしておりますので、地方団体の財政運営に支障が生じないよう措置する考えでございます。
 長期にわたる景気の低迷で、国、地方を通じて多額の財源不足が生じております状況のもとでは、直ちに抜本的な制度改正を行うことは難しいと考えておりますが、従来の特別会計借入金方式につきましては、借金の実態をわかりにくくし、責任を不明確にする等の問題があることを踏まえまして、平成十三年度からこのような方式に移行していくこととしたものでございまして、御理解をいただきたいと思います。
重野委員 次に、郵政公社の問題について聞きます。
 昨年の郵政公社法の制定によりまして、本年四月より郵政公社が発足をするわけです。ユニバーサルサービスを維持するということから、現在ある郵便局の存続というものもさきの国会の中でも議論されました。
 同時に、郵政公社法とともに信書便法も制定をされまして、一般信書便事業及び特定信書便事業についても、それぞれ認可基準が法律で定められました。
 そこで、この信書便法で定められた認可基準に基づき省令が目下策定をされ、四月には施行される手はずとなっているわけですが、その内容については、当委員会の審議経過はもちろん、法に定める認可基準、これが当然守られるものと考えますが、この点、一点確認しておきたいと思います。
野村政府参考人 お答えいたします。
 信書便法につきましては、先生御案内のとおり、信書の送達の事業の許可制度を設けること等によりまして、信書の送達の役務につきまして、あまねく公平なサービスの提供、いわゆるユニバーサルサービスの提供を確保するということを大前提としつつ、利用者の選択の機会の拡大を図る、こういう目的でつくられたものでございます。
 このため、クリームスキミング的な、いいとこ取り的な参入を防止するために、すべての信書の取り扱いが可能となる一般信書便事業者に対しましては、全国均一料金等の参入条件を求めることとしておるところでありまして、これらの参入条件につきましては、基本的には法律で明定してあるということでございます。
 ただ、参入条件のうち、細部、例えば信書便差出箱の設置基準等々、こういった問題については省令で基準を定めることとしているところでございます。
 そこで、その細部を定める省令、いわゆる信書便法の施行規則でございますけれども、これについては、先週、一月二十四日に既に公布してございます。その内容につきましては、法案の御審議の際に御説明申し上げた内容と同等の内容になっているところでございます。
 以上でございます。
重野委員 次に、公務員制度問題について聞いておきたいと思うんですが、昨年十一月のILO勧告は、これまでの政府の公務員の労働基本権に対する政策を否定したものでありました。もはや待ったなしの勧告であると私は思います。一昨年の公務員制度改革に関する閣議決定にこだわって国際的に孤立するか、それとも、今後十分時間をかけて公務員労働者に対する基本政策を見直すか、賢明な選択が求められていると思います。
 その点について、行革担当副大臣並びに公務員法を所管する総務大臣の見解を聞いておきたい。
根本副大臣 昨年のILOの勧告につきましては、必ずしも我が国の法制度に対する理解が十分ではないと思っておりますし、また、ILOの過去の見解と整合しない部分があると認識をしております。
 今後は、政府として、ILOに対して必要な情報提供などを行い、我が国の見解について十分な理解を求めることが必要だと考えております。
 なお、現行の労働基本権の制約につきましては、過去の最高裁の判例におきましても、代償措置のもとに合憲とされているところでありますし、今回の改革におきましても、今後とも基本権制約の代償措置を確保しながら現行の制約を維持するため、特に問題はないものと考えております。
 いずれにしても、公務員制度改革、現在、公務員制度改革大綱に基づきまして、具体化に向けて国家公務員法の改正等の検討を進めているところでありますが、今後とも十分に対応していきたい、こう考えております。
片山国務大臣 今御答弁がありましたが、私もあの中間報告を見まして、今までと見解が異なるところと、やはりちょっと日本の制度や仕組みについてやや誤解があるというのか、理解が浅いところがあると思いますね。
 そこで、あすからうちの方の担当官をジュネーブへ派遣します。それから、状況をいろいろ向こうにお話ししますし、政府見解を関係省庁でまとめて、できれば三月ごろになるんでしょうかね、提出するし、さらに、それの説明をILO事務局、委員会のメンバーにも十分してまいりたい。今までよかったものが急に悪くなるのも、これは困るんですよね。
 それから、公務員制度改革大綱の方はこれからですから、中身はこれからなので、これからの中身についてもうおかしいと今言っていただくのはどうかなと私個人は考えておりまして、ただ、ILOの重要性、中間報告の意味というものは十分わかっておりますので、今後とも理解を得るような努力を最大限してまいります。
重野委員 この問題については、今後じっくり時間をかけて私も追及していきたいと思っています。
 なお、気象庁、それからe―Japan計画等々質問を準備しておりましたけれども、もう時間がなくなりましたので、次回に持ち越すことといたします。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、交付税の減額の半分を地方に押しつけ、国の責任を放棄するものだからであります。
 そもそも、地方財政計画を策定し、交付税総額を見積もることは、地方交付税法に定められた国の責任であり、交付税総額の確保は国の責任に属するものです。今回、その交付税総額が大きく落ち込んだのは、まさに、小泉内閣の経済財政運営の大失敗によるものではありませんか。地方交付税法上の責任はもちろんのこと、経済財政運営の失敗の責任をみずから果たすべきであります。にもかかわらず、その負担を地方へと転嫁する本改正案は断じて認められません。
 反対理由の第二は、交付税特別会計の借入金を増大させるとともに、交付税のいわば先食いを一層激しくするものだからであります。
 今回の措置によって、年度末の地方負担分の交付税特別会計の借入金残高は、三十兆七千二百四十億円と過去最高の額となります。この借入金の返済原資は将来の交付税であり、これは、三十兆円を超える交付税の先食いであり、交付税を特定財源化するものと言わなければなりません。しかも、臨時財政対策債の増発にかわる借入金三千百九十五億円の返済は、通常の五年据え置き十年償還とは違って、来年度から四年間で返済することになっており、先食い状態を一層激しくするものであります。
 以上、今回の改正案が、全く国の責任を放棄したもので、地方交付税法の精神とも相入れないということを厳しく指摘して、私の反対の討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより採決に入ります。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十一分散会


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