衆議院

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第6号 平成15年3月6日(木曜日)

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平成十五年三月六日(木曜日)
    午後五時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      左藤  章君    滝   実君
      竹本 直一君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      平林 鴻三君    宮路 和明君
      山口 泰明君   吉田六左エ門君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      今野  東君    島   聡君
      田中 慶秋君    中沢 健次君
      松崎 公昭君    山田 敏雅君
      山元  勉君    田端 正広君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      金子善次郎君    三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 石井 道遠君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  左藤  章君     竹本 直一君
  佐田玄一郎君     山口 泰明君
  山本 公一君     佐藤  勉君
  大出  彰君     田中 慶秋君
  久保 哲司君     田端 正広君
同日
 辞任         補欠選任
  竹本 直一君     左藤  章君
  山口 泰明君     佐田玄一郎君
  田中 慶秋君     今野  東君
  田端 正広君     久保 哲司君
同日
 辞任         補欠選任
  今野  東君     大出  彰君
同日
 理事山本公一君同日委員辞任につき、その補欠として佐藤勉君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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    ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に佐藤勉君を指名いたします。
     ――――◇―――――
遠藤委員長 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治税務局長板倉敏和君、財務省大臣官房審議官石井道遠君及び国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。
田中(慶)委員 私は、民主党の田中慶秋です。
 今般、外形標準課税の問題について、大臣に、その趣旨を含めて質問いたしたいと思います。
 御承知のように、今、日本の経済は、バブル崩壊後、大変な厳しい状態になっているわけであります。きょうも参議院の予算委員会で、経済政策や厳しい中小企業の実態等々を含めて、経済産業大臣初め関係閣僚の皆さん方が、本当にこの厳しい実態を国を挙げて何とかしなければいけない、こんなことを述べられておりました。
 日本の企業の九〇%以上が中小企業であります。そして、今般、資本金一億円以上のところに外形標準課税を導入される。このこと自体が、私は、税という考え方からすると、これだけ厳しい環境にあるときになぜ今税金を取るのか。本当に日本国民がこのデフレに悩まされている、こういう状態のときに改めて外形標準をかけるということ自体が、企業そのものの活動に大きく影響するだろう。
 大臣も御承知のように、中小企業の今の実態として、失業者が大体三百五十万、倒産が二万件、自殺者が三万二千人を超えている。これは、少なくとも経済によることの原因が大きいわけであります。こういうときに改めて外形標準をかけるというのは日本の経済をさらに悪化することになるだろう、このように考えておりますけれども、大臣の考え方をお伺いします。
片山国務大臣 今、田中委員お話しのように、きょうはもう、一日参議院の予算委員会でいわば総括的質疑が行われたわけでありまして、言われるように、中小企業の問題も、相当質問があり、答弁がございました。日本に企業が五百万社ある、九九・七%が中小企業だ、経済産業省の中小企業の区分は業種ごとにばらばらですけれども、そういう話もありまして、私も、そういう中小企業の厳しい環境、状況は私なりに認識いたしております。
 そういうときに何で外形標準か、こういうことでございますけれども、外形標準については、もう政府税調でもあるいは各党の税調の関係でも、それはずっと議論してまいりまして、党の税調からいいますともう五年目なんですね。それで毎回、速やかなる導入を図ろう、こういうことなんだけれども、景気が悪いからもう少しと、こういうことでずっと延ばしてまいりました。
 今回もまさに田中委員が言われるような議論があったわけでありますけれども、我々は、これによって税をふやそうとか、増税ではないし増収でもない、税収中立で、平成三年度から十二年度までの十年間の平均を単位にしまして、法人事業税が昔は七兆円あったんですよ、ところが十四年度なんかは三兆四千億なんですね、半分になっている、その中の、いろいろな議論があったんですが、最終的には、資本金一億円超のいわば大法人を対象に四分の一だけ外形標準を入れさせてもらおう、しかもそれは平成十六年度からだ、こういうことにして大方の御了承をいただいたわけであります。
 そういう意味では、時期の議論は確かにありますけれども、私らは、それによるメリットもあるんで、この際、しかも大法人だけ、四分の一なら、これはこれとしてやはり意味があるんではなかろうかと。これはもう委員に釈迦に説法ですけれども、昭和二十五年、シャウプ勧告以来の五十三年に及ぶそういう関係者のいわば悲願でございまして、ずうっと議論してまいったわけで、私は、地方税は、やはり応益性、応益課税であるべきだ、こういうふうに思っておりまして、法人事業税がたまたま法人税と同じになったのは、これはもう大変議論があったんです、法人事業税をつくるときに。それがたまたま法人税と似たものになったばかりに、まあこういうことになったわけでございまして、いろいろな御意見はありますけれども、ぜひそこは御理解を賜れれば大変ありがたいと思っております。
田中(慶)委員 限られた時間でありますんで、あなたとやっている時間帯が、時間が永遠にあるんだったら幾らでもやりますけれども、そうではない。
 税というものの仕組みから考えて、あなたは今、取れるところから取ろうという発想ですよ。ということは、少なくとも、この外形標準課税を含めて、厳しい今の経済実態を踏まえながら、税の応能などということでありますけれども、なぜ今までできなかったかというと、やはり厳しい経済環境なんです。
 きのうも塩川大臣が言っていたでしょう、減税、増税の問題を含めてそれは国会で決めるんだしということを言いながら、少なくとも今の経済、デフレを何とか脱出しなきゃいけないと。脱出するために、このようなあらゆる増税やあらゆる今の環境を含めて、中小企業は本当に苦しんでいるんですよ。貸し渋り、貸しはがしだけじゃない、あらゆること、土地が下がって、そして担保価値がなくなってきている、融資もできない状態で、さらにこの課税をすると、一社当たり大体もくろみとして百万円以上増税になるんですよ。あなたは増税じゃないと言っておりますけれども、これはあくまでも増税ですよ。まして、グロスで人件費までかかるんじゃないですか。
 今、日本の経済はどういう状態になっているんですか。少なくとも今、中国へ全部、ある面では企業ごと行っているでしょう。それは、税金が高いから、固定資産税が高いから、いろいろな規制があるからですよ。産業の空洞化を、一方の経済産業省ではそれを躍起になってとめようとしているけれども、一方では増税していたら、とまるわけないでしょう。ですから、このことはあくまでも、景気がいま少し見通しがちゃんとついて、政府見通しだって、今、二〇〇八年まで、ある面ではこれがずっと落ちていって、景気の見通しがつかないじゃないですか。
 こういうことも含めて、今の状態で外形標準課税は絶対にやるべきではない。あらゆる環境の悪いところに増税したらもっと悪くなるんですよ。あなたの言っていることは取る側の発想ですよ。答弁してください。
片山国務大臣 いや、だから中小企業は外しているんですよ。一億円超の法人だけ、しかも四分の一ですよ。全法人について外形標準にするなら委員のような議論もあるいは成り立ちますよ。そうじゃないんですよ。基本的には今の税制なんですよ、部分的な手直しなんで。それは中小企業のことを十分考えているんですよ。しかし一方で、地方財政、都道府県の税収を安定させる、公平にやってもらうという必要があるんですよ。
 天下に有名な大法人が、一銭も、何年も納めずにやっているというようなことが公平とは言えないと私は思いますよ。都道府県のいろいろな行政サービスを受けながら、見返りは一銭も出していないんですよ。それは何でかというと、これは、連結や何かいろいろなことをやってそのグループなり会社が赤字なら、今は所得課税なんだから、かけないんですから。
 だから、中小企業は今までのままなんですよ。一億円を超える大法人についてだけ四分の一ですよ。そういう外形標準でございますから、ぜひ御理解を賜りたい。
 しかも、税収中立ですよ。平成三年―十二年度、それはきっちり計算してやっているんですから。
田中(慶)委員 冗談じゃない。税収中立というのは、減税をし増税するから税収中立だ。そんな発想じゃないですよ。一億円が大企業ですか。そうじゃないですよ。
 まして、今、人件費まで今回はこの外形標準の中にかかるんですよ。アメリカでも、もうミシガン州では、この人件費を単一事業税の中で廃止をしている。ドイツでも、営業税の中で、少なくても人件費部分の廃止をしている。フランスでは、給与総合課税というところ、これも廃止している。
 日本は、今この厳しいときになぜ増税しなきゃいけないんですか。あなたは税収中立と言っておりますけれども、減税するから増税する、だから中立でしょう。こんな発想じゃないですよ。今の経済実態を、あなた自身あるいは役所自身が余りにも知らな過ぎる。知っていれば、こんなこと出るわけがないですよ。どれだけ苦しんでいるんですか、税を納める側。まして、少しは利益が出たと思うと銀行はまた、今までの融資に対する金利を上乗せを要求しているんじゃないですか。こういうことを含めて、今の政府初め役人は現場のことを何も知っていない。
 何も私は、未来永劫にこの外形標準課税をやっちゃいけないと言っているんじゃないんですよ。こういう今の時期に、役所は矛盾していることをやっているんですよ。一方において、デフレ対策だ、経済対策だ、あらゆること、いろいろなことをやろうとしている、一方において、こういうところに税金をかけたならばどうなっていくんですか。方向は同じ方向に全部、日本の方向は国家戦略として、今、日本の経済をしっかりさせる、そのための国家戦略として同じ方向に全部向けないと私はいけないと思いますよ。
 大臣の言っているのは、片方は同じ方向でやり、片方では足を引っ張ることですよ。税収中立と同じことですよ、あなたが言っているのは。増税をする、減税をする、だから税収中立だと。片方は一生懸命景気対策をやる、片方は足を引っ張る、こういうことですから。その辺を含めてしっかりと、今の状態であなたが幾らどう言おうとしても、現場は悲鳴を上げているんですから。そのことを含めて、この外形標準課税はまだ時期尚早であると思いますよ。
片山国務大臣 私が税収中立と言っているのは、この仕組みを変えることによって、大法人の四分の一だけ、増収はしないと言っているんですよ。今、三兆四千億か五千億の現在の法人事業税は、そのうちのほとんど八分の一ですけれども、それによって増収はしないと言っているんです。
 それは、委員の言われるように、中を見ると、税金を今まで払っていないところも少し払ってもらう、今まで払っている税収が少しまかる、こういうことはありますよ、プラスマイナスは。しかし、トータルでは、この外形標準課税によって法人事業税をふやそうなんということは一つも思っていない。
 我々は、安定化してこれを公平な税制にしたいので、中小企業法人は、中小企業については今委員の言われるようなお話ですから、まず大法人について、やはり公平の観点から少しは負担してもらってもいいではないか、こういうことで導入したわけでございまして、我々も経済の実態、わかっていますよ。私は岡山県ですが、帰ったらいっぱい相談に来ますよ。よくわかっています。
 そういうことを考えながら、今回の長い間の議論の一つの結論を出したわけでございまして、ぜひ、最終的にお決めになるのは国会でございますので、大いに議論していただければありがたいと思います。
田中(慶)委員 あなた、消費税のときを見てください。最初三%でしょう。財源が少ないといって五%でしょう。同じなんですよ。日本の今までの税のあり方を見てください。今度、一億円がそのうちだんだん五千万になり一千万になっていく、こういう状態。過去の税のあり方、過去の日本のシステムを見てください。同じことでしょう。
 だから、私は、少なくても今の景気対策を最優先でやって、将来、未来永劫にこのことを言っているわけじゃないんですよ。日本が今どんな立場にいるんですか。今から十年前なり、あのときの状態であればまだともかくも、今、それこそバブルが崩壊した後に大変な状態になってきているわけですから。
 こういうことを含めて、地方自治体だって、この議会からの請願の中に、いいですか、この外形標準課税は反対だという請願が地方議会からも出ているんですよ。本来ならば、これは地方財源のことですから、促進するべきでしょう。現実問題としてこういうことが出てきている。このことも承知でしょうか、答弁してください。
片山国務大臣 消費税は大分前、三パーになり、五パーになったんですが、あのときは、御承知のように、先行で法人税、所得税の大減税をやったんですよ。今税収にある程度穴があいてきているのは、まだそのときの後遺症がずっと残っているということでございます。
 それから、今、一億円超の法人について四分の一だけ導入したら将来必ず拡大するではないかと。それは国会がお決めになるんですよ、国権の最高機関で。我々は、当面はこの結果を十分見守りたい、こういうふうに思っております。
 それから、この外形標準に反対の請願というのは、あれは新潟県かどこかでございまして、後で新潟の知事さんや議長さんが来られまして、大分釈明がございました。
 しかし、これは全国知事会や議長会の御議論を田中委員も御承知だと思いますけれども、もう、とにかく決着をしてくれ、方向を出してくれと、強いあれだったですよ。全国知事会でどれだけの議論があったかということは、ぜひわかっていただきたい、こういうふうに思います。
田中(慶)委員 それは、地方自治体は財源という形で、今全体的に、少なくても法人税もダウンしているわけですから、このことになるでしょう。
 しかし、どうですか、固定資産税を見てくださいよ。十分の一に地価が下がっていても、固定資産税を下げていますか。若干の見直しはしていますよ、はっきり言って。ところが、本来の、一番最初の固定資産税は少なくてもスライドと同じですから、土地が上がれば上がる、下がれば下がる。ところが、今十分の一に下がっても、せいぜい一割程度しか、ことしも約四千億ぐらいですか、そうなると一割程度の見直ししかない、これが実態なんですよ。だから、一回取ってしまうと、そのことは絶対見直しをしない。
 まして大臣は、国会が決めることですと。それは当然ですよ。だから私は、ここで反対をしているし、今時期尚早だと言っているわけであります。
 特に、やはり問題は、ボタンというのはかけ違いすると失敗するんですよ、大臣。あなた、背広を裏返しにして町の真ん中を歩けますか。そうでしょう。
 やはり、そのことを含めて、これから国際競争を含めて、日本が国家戦略として日本の経済はどうあるべきかと今やろうとしている最中にこんな外形標準をかけたら、次々と、税の応能負担だということで、税金を取ることしか考えていないじゃないですか。もう少し元気を出すようなことを考えて、黙って税金を課税することじゃなくして、税金が入るようなことをみんなで考えりゃいいじゃないですか。私はそう思いますよ。答弁してください。
片山国務大臣 今委員から固定資産税の話がありましたが、固定資産税というのは、過去はこれはばらばらだったんですね、本当に。これは、日本で高いところ、安いところが入り組んで相当差があるというのは、やはり問題なんですよ。そこで、地価公示の、公示価格の七割を一つの評価の目安にしようと。その結果、ある程度そろうことになりました。現在も、本当はそのままの課税標準をかければいいんですけれども、七割を頭打ちにしています。実際は七割を上限にして、その中で調整をやっているんですよ。今までは、正直に言いまして、大都市が安くて地方が高かったんですよ。だから、そういう意味では今一種の調整過程なんです、まだ。だから、大都市にとってみれば、それは前よりは幾らか高くなっているという感じはあると思いますよ。地方にとっては安くなっているんですよ。
 そういうことでございまして、これが市町村の根幹的な、もう十分御承知だと思いますけれども、基幹的な税制なんですね。そこで地価が下がっていますから、来年度は四千五百億も下がるんですよ、固定資産税が。悲鳴を上げているんです、全国の市長会、町村会が。これはさらなる調整として、今上限を七割にしていますけれども、それを六割とか五割五分には絶対しないでくれ、こういう強い議論と、しかし一方では、まけてくれまけてくれという大議論があって、そこで我々もいろいろな努力をいたしましたし、政府税調その他で現在のような結論になったわけでございまして、ぜひそれは御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
 何度も言いますけれども、大きな国家戦略が私は必要だと思います。税も、グローバルということは、だんだんよその国にそろえていく、こういうことでございまして、そういう意味では、法人税も所得税も、法人事業税を含めまして、もう四〇%になっているんですから。昔は五五%や六〇%に近かった法人税が、今四〇で、この外形標準をやることによってまた下がるわけですよ、下がってくるわけですよ。まあ一億円超で四分の一ですから一%ぐらいしか下がりませんけれども、これで何%か下がってくるわけです。もし仮に全部やれば、三パーか四パーか。
 そういうことで、委員の言われることは私もよくわかっておりますが、今回は税収中立でございまして、法人事業税全部の八分の一でございまして、国の税全部からいうと何十分の一でございますので、これによって都道府県の税収が安定してくる、公平になる、こういうメリットもぜひお考えいただきたい、こういうふうに思います。
田中(慶)委員 それは、幾ら大臣がそう言っても私は納得していないんですよ。あなたは取る側、私は取られる側の発想で物を言っているわけですから。
 やらなきゃいけないことは、この国の、日本の経済がどうなっているのか、物づくりがどうなっているのか。ある面では、一億円、資本金。工場を見てくださいよ。空洞化という名のもとに、全部、中国を初めとする海外に企業進出していってごらんなさいよ。だから日本には失業者が余計ふえているでしょう。こういうことを含めて、あなたは税率が安くなったと言っても、現実に国際競争に勝てるような状態に今ないんですよ、はっきり言って。それは、収入が少ない。それはあなた、経済政策の失敗から税の収入が少なくなったことを棚に上げて、そしてこういうところで、課税をする、こんな理由、絶対に成り立たないですよ。みんなで、総意で、税収がふえるような経済対策、景気対策、このことに努力しないで、次から次といろいろな形で。見てくださいよ、景気が悪いから、あるいは年金の問題にしても、いろいろなことを含めて皆さんが自己防衛をするから消費が拡大しないんでしょう。そういう一つの政策をしておきながら、片方では増税をする。こんなことはだれが見ても納得しないですよ。
 あなたたちは、一つの審議会とか、あるいは政府・与党だとか、そういう取る側の発想ですよ。役所の発想でやめてくださいよ。役所というところは役に立つ所なんですよ。そうですよ。今のあなたの発想は役に立たない所ですから、はっきり申し上げて。そんな形でいじめちゃいかぬですよ、納税者を。
 いや、本当ですよ。みんなで景気をよくして税金が納められるような環境をつくるべきだろうと思うんですよ。あなたは税金を取ることしか考えていない。地方は税収がおっこっているけれども、しかし、固定資産税で何とか、あの引っ込みを見てごらんなさい、固定資産税を中心としているところはそんなに税の落ち込みがない。むしろ県の方が、どうしても法人税を中心とするから税収が非常に厳しい。だから、みんなで景気をよくすれば県の地方税だって上がるんですよ。そのことを本来ならば政策としてちゃんとすべき国が、それをしないで増税路線を歩むということは決してよくないことだと思いますよ。答弁してください。
片山国務大臣 田中委員の言われることで大変共感するところもあるんですよ。やはり総合的な経済対策をやって景気回復を図る、デフレを阻止するということは私も必要だと思います。今懸命な努力を、予算委員会で総理初めみんな答弁いたしておりますけれども、そういう景気回復の努力は今後とも私は続けていく必要があると思いますしね。
 それから、やはり企業立地の空洞化が今地方を直撃しているんですね。昔は、地方のいいところへ来てくれたんですよ。今は、企業は地方も一応念頭に置きますけれども、トータルでは海外の方がいいということで、中国を初めそういうところに立地している。そういう意味での立地の空洞化が起こっていますね。
 それは、私は、税も一つ幾らか原因があると思いますけれども、やはりトータルで高コストな国ですから、日本はまだ。高コスト構造でございまして、規制やいろいろなことがまだまだ大変な国ですから、やはり日本から出ていく企業にも残ってもらう、海外からの企業に来てもらうような総合的な魅力をこれからみんなで考えていく必要があるんではなかろうか、私もそういうふうに思っております。
 それで、何度も外形標準のことを言いますけれども、これは増税じゃありませんし、仮に大変きついところがあれば一定の条件のもとで六年間の徴収猶予、六年間待ってもよろしい、こういうことも考えておりますし、それは、それぞれの地域の知事さんの御意見も聞きながら、我々としては、これが中小企業やそれぞれの地域の、あるいはいろいろな立地企業にとっていいような方向になるような運用もあわせて考えてまいりたいと思っております。
田中(慶)委員 あなたの言っていることは矛盾しているんですよ。いいですか。高コスト構造、今回の外形標準課税には人件費も入っているんですよ。高コスト構造が、ある面では企業誘致ができない。高コスト構造が、海外に企業進出をするんですよ。こういうことを含めながら、言っていることと今やろうとしていることは矛盾していますよ、いや本当に。まして、経済戦略会議で言っていることは、税金取ろうなんて、新たな増税路線じゃないですよ、はっきり申し上げて。日本のこれからの経済をどうしていくか、経済戦略会議でいろいろなことを。
 では、なぜ、経済再生機構あるいは産業再生法案、今ごろ国が出してくるんですか。最重要法案として出してきているんでしょう。それぐらい厳しい経済だからドッキングさせよう、いろいろなことを含めてやろうとしているときに、ここで増税路線を歩んできたらば、そんなことは現実に、あなたが言っていることは矛盾していますよ、はっきり申し上げて。取ろうという発想ですから、そういうことで言うかもわかりませんけれども、高コスト構造、この何物でもない、その原因を誘発しますよ。必ずそれが、日本のこれから物づくりを初めとする産業が沈滞しますから。
 私たちは、それを憂えて、今何とかこれを体質改善をしよう、政府が出している経済産業機構の問題も、前向きに、いろいろなことを含めてどうしたらと。しかし、これも、少なくても、日本の経済をあるいは日本のこれからの産業をしっかりとさせるためには、こんな議論を、いろいろな勉強会をしている最中に、あそこに増税路線なんて一言も書いてないですよ。経済産業含めて、この戦略会議の中で、そんなこと一言も出ていないでしょう。答弁してください。
片山国務大臣 今委員が言われたのが経済財政諮問会議なら、経済財政諮問会議は外形標準課税を入れようということを意思決定しております。それから、産業再生機構は、これはまた釈迦に説法になりますけれども、生き残れる企業は不採算部門や伸びない部門を外してもらって、伸びるところだけでやってもらおうという、そのための買い取りをやる、こういうことですね。だから、これも総合的な経済政策の一環でございましてね。
 そこで、その企業体の、外形標準に何をとるかというと、いろいろな議論があるんですよ。一番合理的な議論は、学識経験者に言わせると付加価値だと言うんです、付加価値。法人の事業活動、最も正確になるのは付加価値だと。付加価値は、結局どう分けるかというと、一部は人件費に行ったり、一部は配当に行ったり、一部は利子に行ったり、そうでしょう、一部は利益として残ったり。
 だから、我々が対象にしているのは人件費じゃないですよ。付加価値全部なんですよ。ただ、人件費については、委員みたいな御心配がありますから、もし七割を超える割合を人件費が持つとすれば、七割で頭打ちにします、こういういわゆる控除制度、人件費の控除制度を中に組み込んでおりまして、相当今まで、委員、議論して考えてきているんですよ。ひとつそこはぜひ総合的に御理解を賜りたいと思います。
田中(慶)委員 時間がありませんけれども、少なくとも、産業再生法というものをなぜつくらなきゃいけないのか。その原因というものは、あなたも御存じだと思いますけれども、やはり、これだけ日本の経済、産業が死んでいるからですよ。そして、その原因というのは、あなたも知っているでしょう、今言っているように、人件費が高いということも一つの原因なんですよ。付加価値の中で人件費のウエートというのは大きいんですから、それをくくりとして外形標準課税をしたら、また全体的に負担が多くなるんですよ。だから、私は、今回の外形標準課税というものは、時期尚早でありますし、今やっちゃいかぬと、日本がこれから、中小企業を含めて全部影響が出てくるんですから。
 日本の経済がどうなってもいいというんだったらば、それでいいでしょう。しかし、そうじゃない。何とかみんなで知恵を出し、何とかしようと言っている先に、こんなことをやっちゃいかぬですよ。経済財政諮問会議というのは税金を取ることも考えているけれども……
遠藤委員長 そろそろ終結してください。
田中(慶)委員 はい。
 ですけれども、経済戦略会議には増税路線は入っていないんですよ。ちゃんとそのことをしっかりと踏まえて答弁してください。
遠藤委員長 次に、安住淳君。(田中(慶)委員「最後、答弁してくださいよ」と呼ぶ)
 安住君、指名しました。
安住委員 大臣、答弁したいんじゃないですか。(片山国務大臣「いやいや、今委員長が言われましたから」と呼ぶ)
 では、今のことを答弁してください、大臣。
片山国務大臣 何度も言いますが、外形標準課税は増税じゃございません。増税路線ではございません。地方の要望にこたえて、都道府県の税収を公平にして安定化して性格を明確にするものでございまして、ただ、委員の言われるような御懸念も私もわかりますので、十分御意見は心して受けとめさせていただきます。
安住委員 この間は本当に、雑踏の中で、何か自分でも何を質問したかよくわからなかったんですが、きょうは、冷静に、三十分ほどやらせていただきます。
 私は、地方税法のことで何点か大臣に伺います。
 まず、やはり配偶者特別控除のことでちょっと話をしないといけないと思いますが、今我が国では、たしか九百五十万世帯ですか、共稼ぎがありまして、私の身近なところでも、百万円ちょっとぐらいで非課税で働くパート労働というのは非常にふえているんですね。これはパート労働の全体のどれぐらいかというと、大臣、これはもう五〇%を超えているということになるんですよ。つまり、この税制が我が国の労働形態をつくっていると言っても過言ではないですね。
 税の公平性やこの実態をどうするかということがやはり問題なんですが、実態として、多分家計の収入の中ではかなりの助けになっているわけですね。それについてどういうふうに思われますか。
片山国務大臣 本当に今は共稼ぎ家庭がふえましたし、女性の方で外に出て働く方が専業主婦よりずっと多くなった。しかも、少し働くというのではなくて、本格的な就労ですよね。そういうことからいうと、二十一世紀は男女共同参画型社会にならなきゃいかぬ。もちろん機能分担はあってもいいんですが。
 そういうことからいうと、本格的なそういう社会になってきたな、こういうふうに思っておりますが、税制の方で必ずしもそういう実態に即していないところがありますので、今回の配偶者特別控除につきましては、これはずっと全国で集会をしてまいりまして、十カ所ぐらい、私も二カ所ぐらい出たんですけれども、聞きますと、女性の方、本当に、やめてくれという意見が相当ありましたね。私はそれにびっくりしたんですけれども。そういう結果、特定控除の上乗せについては、今回すぐではありませんけれども、見直していく、こういうことになったわけであります。
安住委員 これは総務省からもらった資料ですけれども、世帯別の税負担額の変化を見ますと、夫婦子供二人で、やはりこれだと、年収が、給与収入が一千万円以下から五百万ぐらいまでの方は、事実上税負担はふえますね。九万円から五万円ぐらいふえるんです。ということは、やはり、増税ということにはなりませんけれども、どうなのかなと思うんですね。いかがですか。
片山国務大臣 特定扶養控除等の人的控除については見直そうと。これは、今、税の空洞化ですね、いろいろな空洞化という議論あるんですが、税も空洞化だと。法人関係は七割が納めていないのですよね、法人事業税も法人税も。それから、この所得税、住民税の関係では、所得税は四分の一の方が納めていない、住民税は五分の一の方が納めていない。それは、今の人的控除が複雑になって、積み上げて課税最低限がよその国に比べると相当上がっているからだ、これを見直そう、こういう議論ですね。その一環で配偶者特別控除の上乗せ分の廃止も決まったわけでありまして、そういう意味では、その限りでは増税だ、それはそういうことだと私は思います。
安住委員 先般滝委員が言った話の続きというか、続きを私が質問するわけじゃありませんけれども、そこで、これ、どうするんだと。やはり時代に合った形にしないといけないということになるんですよ、多分。
 その中で、税調なんかの議論の中では、二分二乗制度については、むしろ高額所得者に対する利点というのが大きいという話がありますよね。それはそうですね。一千万と五百万を足して、七百五十ずつでやれば、それは聞いている人にはちょっとわかりにくいかもしれませんが、税は安くなるわけですから。しかし、もうそういう時代ではないかという認識があれば、逆に、公平性というものからいうと税は担保できるんじゃないかなと私も実は思ったんですよ。滝さんも大体そういう考え方から言ったんじゃないかと私は思ったのだけれども。
 今、そういう改革をしないといけない時期じゃないですか。いかがでございますか。
若松副大臣 私も、アメリカにおりまして、会計事務所におりましたので、かなり申告書を作成しました。そうしましたら、御主人は働いている、奥さんは働いていない、だけれども申告書を二つつくるんですね。それで、半分にして、当然、いわゆる累積課税ですから税金は安くなる。こういった、いわゆる均等分割法、二分二乗方式ということですが、これは夫婦単位で課税するという考え方、こういったことを当然導入しているアメリカでありますが、やはりイギリス等は日本と同じ個人課税ということで、ではどういった形がいいのか、これは私は永遠のテーマであろうかと思います。
 我が国におきましては、平成十二年の政府税調の中間答申におきましても、こういう結論になっておりまして、適用される累進税率が平均化されるため、共稼ぎ世帯に比べて片稼ぎ世帯が有利になること、高額所得者に税制上大きな利益を与える結果となることなどの問題点が指摘されまして、課税単位については個人単位とすることが適当、このような結論になったわけでございます。
 つきましては、私どもとしても、やはり引き続き日本においてはこの個人単位課税が適当ではないかと考えているところでございます。
安住委員 私は、ちょっとまた考え方が違うんですが。
 そこで、ちょっと視点を変えますが、大臣、私もこれは驚いたんですけれども、地方税の法律では、何か昭和二十五年か六年につくったのがそのまま残っていて、配偶者じゃなくて妻となっているものがあるんですね、妻。ちょっと詳しい通告をしていたかわからないが、申しわけないんだけれども、私は驚きましたね。これは法律改正しないともうだめな時代ですね。男女共同参画なんて片山大臣はさっき言って、頭の中ではそういうことを思っていても、所管の法律で、地方税法がそうなっていないというのはどういうことかなと私は思うんですね。
 これは、実は、いわく因縁をあえて申しますと、昭和二十五年に創設した市町村民税の非課税の範囲の中にこういうことがあるんですよ。均等割の話なんですけれども、納税義務を負う夫と生計を一にする妻で市町村内に住所を有するものには、要するに税を課すことができないと書いてあるんです。
 時代背景があるから、この税制がいかに時代おくれかという話を私は今からしようと思ったんですが、どうも、今まだ自民党の現職でいるこの役所のOBの人あたりが二十五年ぐらいにつくったそうなんですが、これはそのままにしていていい話じゃないと思うんですけれども、いかがですか。
片山国務大臣 昔は、やはり働くのは夫で、妻は扶養家族だったんですね。そういう実態に合わせた条文の書き方だと思いますけれども、今は、ちょっとあれなんですが。
 実は、この個人住民税の均等割につきましては、おかしいじゃないかという議論がこの前も男女共同参画型社会の中で女性から出まして、見直してくれと言われた。見直すということは、税金を取るということですから、均等割を、女性の方から対等に。だから、それは私は大変結構な話だけれども、よろしゅうございますかと言ったら、結構ですと。男女共同参画何とか本部というのがあるんですよ、内閣府の中に。
 そういうことでございますので、まさに今安住委員言われたようなことでございますから、妻という表現を含めて、我々としては均等割の見直しを検討させていただきたいと思っております。
安住委員 これは来年度の中で、解散がなければ今ごろ我々もまだ国会議員をやっていますけれども、税法の改正が出てくれば賛成しますから、この部分だけは。私に言われたことで、変えてください。
 というのは、昭和五十五年でもう既に逆転が発生しているんですよね。そうでしょう。それ以降は、これはもう人数でいうと八百五十万ぐらいが均等割非課税になっているということになると、もう大変失礼ですけれども、昭和二十五年以来、「君は心の妻だから」という歌もありましたけれども、労働形態は、すっかりもうそういう時代ではなくなったということなんですね。
 しかし、これを法律でそのままにしておくというのは、果たしてどういうことでしょうか。昭和三十六年の創設であるところでも、これを直しておりません。しかし、妻という言葉は、常套句としてはわかりますが、法律上はやはり「生計を一にする妻」という書き方は私はおかしいと思いますよ。直しましょう。いかがですか。
片山国務大臣 言われた意味を含めて、十分わかりますので、検討させていただきます。
安住委員 大変発想の古い人もいまだにいるかもしれませんけれども、しかし、やはり時代の流れからいうと、ここはもう直すべきときだというふうに私は思いますので、どうぞ省内で十分検討していただいて、変えていただければありがたいと思います。
 さて、固定資産税の上がりがもう本当に少ない時代ですね。各県とももう本当にどこからお金を取ろうかと大変な思いをしておりますが、今年度は、前年度に比べて固定資産税の総額は大体どれぐらい減る見通しでございますか。
若松副大臣 平成十五年度は、十四年度に比べて四千三百五十億円ほど減額の予定でございます。
安住委員 だけれども、結局、これはどうしたって補てんというか補充しないといけませんね。私は、きょうは、この不動産の課税のあり方について、ちょっと前向きな提言をしたいと思うんですよ、大臣。
 大変失礼ですけれども、今の我が国というのは、土地を中心とした課税がずっと行われてきました。しかし、問題は、不動産鑑定士さんなんかも、土地の評価はできるんですよ、ところが建物の評価ができないんですよ。建物の評価というのは、多分唯一権威があるだろうと言われているのは、自治省の税務の方々ということになりますが、今、例えば倒産なんかをして競売にかかっている物件なんかが非常に多いんですね。それの本当にたたき売りというのが続いているわけです。
 実は、何を言いたいかというと、やはりビルに応じて資産は今や全然違うんだということなんですよ。ビルの中の充実度が違うことによって、競売価格や資産の価値、そのビルの建物の資産が違うんですよ。ところが、税法上は土地のことばかりで、これを加味した税というのはないんですよ。
 しかし、今後は、ビルの鑑定というものをしっかりやっていって、ビルの価値をきちっと、中古のビルそれから新しいビル、こういうことをちゃんとやっていかないと多分正当な課税評価というのはできないんじゃないかと私は思うんですけれども、これは一般論としてまず申し上げますが、大臣、いかがですか。
若松副大臣 済みません。またまた海外の話で恐縮ですが、私もイギリスにいたとき、あそこはいわゆる建物つきの土地を買いますね。そうすると、あそこは土地と建物を分離していないんです。簿価分離していないんです。ところが、日本でイギリスの人が買うと、日本の税法に合わせなくちゃいけないから、わざわざ不動産鑑定士を雇ってそれで簿価分離する、こういうことになっておりまして、日本というのは、いわゆる土地と建物を別に評価するという、欧米でいうと非常に珍しい国でもあるわけなんですね。
 そこで、委員の提案なんでありますが、日本におきましては、固定資産税の家屋の評価方法につきましては、再建築価格方式、これできめ細かに評価がなされておりまして、そういったものを当然現在の不動産鑑定士等が参考にしながら実際の土地と建物の評価をする、こういった実務が定着しておりまして、当然、その評価は市町村の担当者がしっかりと徹底している。
 こういう状況でありますので、私は、我が国のそういった事情を踏まえれば、それなりの適正なやり方ではないか、そのように考えておりまして、委員のビル鑑定士、恐らく不動産鑑定士の皆様は反対されるんじゃないかと思いますけれども、現在の制度でいいのではないかと考えております。
安住委員 多分よくないんですよ。それは全く、若松さん、多分役所に頭をなでられていると言ったら大変失礼ですけれども、そうではないんですよ。
 なぜかというと、いいですか、大臣、本当に役所の言っているようなままでやったら、なぜ今、中古の使い勝手の悪いビルからメンテナンスのいいビルに東京都内の会社がどんどん移っているんですか。デフレ時代で家賃もほとんど同じなのにもかかわらず、いわばこの高度情報化社会に備えるような設備や、言ってみれば光ファイバーを含めた非常に高度な、建物の中にそういう施設を有している建物とそうでないものでは、利用価値はもう天と地ほど今は違う時代だと私は言っているんですよ。
 不動産鑑定士がそんなことを評価していたら、それは全然違う課税になりますよ。そうでないんですよ。十分やっているというのは、もう明らかにこれはうそ。役所の言っている再建築価格方式、適正な運営なんかしていないですよ。それこそ、いろいろ土地の担保のことで銀行を批判するんですよ、みんな。しかし、土地の担保のお金は、言ってみれば金貸しの原点と全く一緒で、ざっくりやっているんだけれども、それと全く同じことを不動産鑑定士はやっているだけですよ。建物を評価するというのは、そんな簡単なことじゃないんですよ。
 私は、今からは、やはりメンテナンスのよさというのはすごく大事な財産になると思いますよ。中古のマンションの投げ売りが今とても始まっているんだけれども、これもやはり、価値というものをそういうふうな形で見きわめていけば、さらなる税収にもなるし、それがまた値段に反映して、不動産市場価格というのを変動させていくんですよ。
 そういうことを丁寧にやる時代だと思いますけれども、大臣、いかがですかと聞いているんです。
片山国務大臣 最近、東京も治安が一時よりはちょっと悪くなってきまして、やはりそういう意味でのメンテナンスというか、広い意味での、そういうことに対する物の考え方が変わってきていますね。私も実はマンションみたいなところにおるものですから、よくわかるんです、もうかなり長くおるものですから。
 そういう意味で、今委員が言われますように、家屋なりビルなり、そういうものの評価は今までのままでいいのかどうか、それはもう一遍考え直す必要が、あるいはあるのではなかろうか。特に、これからIT時代に入りますと、ITの広範な活用ができるかどうかということも一つの大きな、建物なり住空間としての大きなメリットになりますから、そういうことを含めて、少しこの問題は、安住委員、勉強させていただきたいと思います。
安住委員 ちゃんと勉強してくださいよ。そうすれば、多分、都市部の税収はもっとふえるし、競売価格にも非常に大きな影響を与えてきます。そういうことを丁寧にやることなんですね。ですから、それは、ぜひやっていただきたいと思います。
 さて、証券税制について少しお話をさせてください。
 私、一言で言わせてもらうと、やはり朝令暮改だと思いますね、もう、次から次へと税制を変えて。ところで、株式市場は活性化したんですか、大臣。いかがですか。
片山国務大臣 そうですね。なかなか難しい問題でございまして、売買の額は一時よりはよくなったと私は思いますけれども、それにしては株価がなかなかダウを初めとして上がらないということは、大変残念でございます。
 証券市場を活性化したい、株価を上げたいということはみんなの願いですから、税制の上でもいろいろ工夫してきたんですが、細か過ぎてなかなかわかりにくいというのは確かにありますので、今度の税制改正は、その辺は割に、特定口座制度を初めとして、あるいは二〇パー、一〇パーにしたことを含めて、今回は割にすっきりしたんじゃないでしょうか。そういうふうに思っておりまして、これがうまく生きてくれればいいと考えております。
安住委員 本当に役所のやることはおもしろいですよね。平成十三年の六月の改正のときは百万円の控除の特例、その次で株価、つまり、株価が上がる上がらないが問題でないんですよ。一般の住民の人たちが、全く普通の人が、銀行にお金を預けるのと同じように株式投資をできる環境にあるかどうかが問題なんですよ。それからいうと、こんなもの直したって全然一般の人たちの株購入にはなっていないんですよ。資産運用の一つになり得ていないわけですよ。
 手続上は、都道府県にやれば市町村は楽にはなると思います。しかし、今度のことというのは、十四年の三月の改正で申告不要制度の創設というのをやって、またすぐですよね。これ、もういいかげんばかにされているんじゃないですか。株をやっている人間から見たら、何を一体やろうとしているかよくわからないということに私はなると思うんですね。
 だから、わかりやすい税制、特に株式に対する投資を本当に活性化させようとすれば、やはりもっと非課税の部分を拡大をしていくような思い切った税制にしないといけないと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
片山国務大臣 一番の泣きどころは、やはりわかりにくさですね。だから、今度はわかりやすい税制にしたんですから、これを国民の皆さんにわかっていただくように十分な説明をしていく、PRをしていく、こういうことが必要じゃなかろうか、こういうふうに思っておりまして、証券市場の方も頑張ってもらわなければいけませんね。やはり、国民の信頼性を取り返していただくようないろいろな努力を、新しい商品を含めて、ぜひ私はお願いしたいと思います。
 日本は本当に貯蓄のウエートが高いところでございまして、そういう意味ではもっと証券に国民の金が回ってもいいんですけれどもね。何か今、閣僚が株を買うとか役所の人が株を買うとかといったら、届け出をしたり、何かいろいろな厳しいあれがありますので、そういうことを含めて、総合的な、もっとみんなが、証券市場といいますか株式について、安心して信頼をして投資ができるような環境をみんなでつくっていくことが必要じゃなかろうか、こう思っております。
安住委員 それは、やはり我が国の国民性というか風土もあると思うんです。なぜかといいますと、証券だけでないですね。四〇一kだって全然広がりに欠けるわけですよ。つまり、ギャンブル性を好まないで、安定運用を望む。
 しかし、私はこの間テレビを見ていて驚きましたが、最近の銀行もおもしろいですね。本当かどうかはわかりませんけれども、一円玉か何かを六万円分銀行に持っていったら、かえる手数料だけで六百円かかったというんですよ。六万円の札にするのに六百円取ったというんですね。こういうことを、市場経済とはいえ、野放しにしておいていいんでしょうか。
 もっとあるんですよ。これは自民党の先生方も知らなければ、あえて私申し上げますけれども、今度は、手形の手数料を一方的に値上げするんですよ。手形のこういう冊があるんですよ。二週間ぐらい前、一斉に通知しているんですよ、全国の地方銀行は。一冊五百五十円のを二千百円にしているんですよ。四倍ですよ。それも内規によりと書いてあるだけですよ。こういうことを許している小泉内閣が問題なんですよ。そうでしょう。それで銀行に生殺与奪の権限を握られて、中小企業は泣き寝入りですよ。本当にもう、泣きつくというか、どこにも訴えるところがないから、唯一頼りになる民主党にそういう投書をよこすわけですよ。何で笑うんですか。多分、自民党の皆さんは知らないんですよ、そういうことを。
 つまりこれは、金融に関して言うと、制度を突然変えようとした小泉さんや竹中氏に対する当てつけでやっているんじゃないかと私は思うね。どうですか、感想ありますか。
片山国務大臣 いやいや、私も実は知らなかったのです。そうですか。
 いや、それは、やはりいろいろ議論があると思いますね。やはり金融機関もいろいろなことを考えるということが必要じゃないでしょうかね。
安住委員 実は私は、ここは委員会が違いますから金融の話は余りしたくないんですが、本当にもうそのうちイタリアみたいに、五十万や十万しか預けない人からは手数料取ります、五千万預けている人は金利も高いし、ソファーでお休みくださいという話になるんですよ。つまり、銀行が弱肉強食の時代に入るということです。すると、企業もあっという間にそうなるし、申しわけないけれども、市町村もそうなっていくんですよ。そういう世の中が、さて、いいんですか悪いんですかという議論がないままに、改革だ改革だとわけもわからないで騒いでいるから、何を考えているのかこの人はと、私は総理に思いたくなるわけですね。多分、皆さん賛同していると思うんですけれども。
 最後に、片山さん、外形の話。私は非公式に資料を渡しましたね。私、実名は申しませんよ。しかし、私は、外形を入れること自体に対してはさほどの抵抗はないんですよ、やり方は今問題があると思うんですけれども。いいですか、名前は言いません。名立たる会社ですから、イニシャルだけ。
 S商事、売上高十兆円、税金払わず。H製作所、売上高八兆円、事業税払わず。N自動車、五兆九千億円、売上高ですよ、払わない。
 こういう実態は一体どうなっているんだと思うんですけれども、いかがですか。
片山国務大臣 まさに外形標準課税の必要性はここにあるんですね。これだけの大企業がずらっとありますけれども、もう長い間払ってないんですから、一銭も、都道府県の行政サービスを受けながら。やはりこういうところに払ってもらうというのが税の公平だと私は思いますね。税というのは、やはり公平で公正でないと。
 その意味で、ぜひそういうことで、外形標準課税の導入というのを考えるわけでございまして、特に一兆円超の、ぜひそこは御理解を賜りたいと思います。
安住委員 こういう税金を払っていないところからも多額の政治献金をもらっているのがあなたの党ですよ、実は。これも問題なんですよ、だから。ここは政治改革しないといけないと思う。
 私は、今のところは全く同調しますよ、途中の話までは。だからこれは、外形はいい。だけれども、なぜ一億なのかと逆に言いたいですね。全部かければいいんですよ、そうしたら、大臣。なぜかけないんですか。
片山国務大臣 我々も実は、公平という観点からいうと、そうした方が税制としてはあるべきではないか、こう思いましたが、これはまたいろいろな大議論がございまして、やはり皆さんが合意をしてまとまる段階でと、こういうことで今回の提案をさせていただいた次第でございます。
安住委員 終わりますけれども、本当に、公平で簡素で中立性の保持という点からいうと、今度の外形は政治的にちょっとうさん臭いところも私はあるんではないかなと実は非常に思っているので反対をしているということを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 地方税制の改正に関する質疑に入る前に、まずもって我が国経済の現況、特に地方経済の直面している実態について、基本的な認識を大臣からお伺いしたいと思います。
 国民の最大の関心事は景気の回復であります。明るい兆しが見えてきたという政府の言葉に対して、何度となく信じようとしてきた国民は、もはや忍耐の限界に来ているのではないでしょうか。一向に改善しない景気動向の中で、国、地方を通じて到底返し切れないような巨額の財政赤字が膨らみ続け、そして国民は将来に対して暗たんたる気持ちを抱いておるわけであります。そのことが、さらに消費を冷え込ませ、企業の生産活動に悪影響を及ぼし、その結果、雇用情勢のさらなる悪化につながるという悪循環の輪から抜け出し切れないでおるわけであります。
 そしてまた、我が国の将来を担っております若年層、特に新規高卒者でありますけれども、文部科学省によりますと、その就職内定率は昨年十二月末で六六・三%であります。過去最悪と言われました昨年度の水準をさらに下回りまして、三人中一人が就職を希望するにもかかわらず内定を得られない、そういう不安な状況に置かれております。
 そしてまた、一方、物価の下落傾向でありますが、これはさらに続いておりまして、デフレ経済が資産デフレ状態を生み、ローン返済額の実質的な増加を招き、家計を直撃しておるわけであります。このようなデフレ進行の背景として、国民のライフスタイルやあるいはまた価値観が多様化しまして、我が国自体が成熟社会になりつつあるということもあるわけでありますから、小手先の施策を次々と打ち出すだけでは何の解決にもならない、そう思っております。
 そしてまた、公共事業であります。この公共事業への依存度が高い地域経済においては、国、地方を通じた公共事業削減の影響が目に見えて大きくなっております。特に地場の中小企業がこうむっている打撃は少なくないわけであります。都道府県、市町村とも、財政状況も極めて厳しい中で、地域レベルでの有効な対策、これは本当に困難な状況にあります。
 そこで、お尋ねいたします。
 大臣は、この現下の地方経済の状況、率直に言って、どう認識しておられますか。そしてまた、この地方経済の活性化に今何が必要と考えられるか、お尋ねいたしたいと思います。
若松副大臣 まず、二月に公表された内閣府の地域経済動向、これによりますと、総じて景気回復の足取りは弱まっており、引き続き地方経済は厳しい状況にあると。全くそのとおりと私も認識しておりまして、特に、昨年末に高知県に行ったときに、あそこは公経済という言葉があるんですね。公共事業とか、いわゆる税金による経済が大変大きな比率を占めるということで公経済、これが非常に悪いというお話を聞きました。
 こういう状況でありまして、私としては、厳しいこの財政状況のもとで、限られた財源をどのように重点的、効率的に配分するか、そのためには新産業の創出、雇用をいかに確保するか、また地域経済を活性化させるか、これを本当に真剣に考えているところでございます。
 総務省といたしましては、産学官の連携、また地域情報化の推進、このようなさまざまな工夫を凝らしながら経済活性化に取り組む地方公共団体に対しましては、地域活性化事業、このような施策によりまして積極的に支援しているところでございます。
 また、電子自治体の推進に当たりましては、地方公共団体が業務を共同化した上でアウトソーシングするということによりまして、IT関連産業の振興を図り、地域経済の活性化をしっかりと推進してまいりたいと今努力しているところでございます。
黄川田委員 副大臣からいろいろお話しいただきましたけれども、本当は大臣の認識も、この厳しい状況、三千二百余の自治体を管轄する大臣の、やはり現況把握といいますか、そこもお聞きしたいところであったわけでありますけれども、いずれ、国としてしっかりしたビジョンといいますか、あるいはまた地方公共団体のあり方、それらをしっかりと示して、やはり国民のあすの不安感をまず軽減する、これが一番大事だと思っております。
 大臣、お帰りになりましたので、大臣も、今ちょっと言ったんですけれども、三千二百余の自治体を管轄するものでありますから、この現状認識、一言でいいですので、お話しいただきたいと思います。
片山国務大臣 大変地方の経済状況は厳しいということは認識しております。失業率も五・五なんですね、季節調整値で。しかし、地域によって物すごくばらつきがありますね。ああいうことを見まして、本当に今地方経済は厳しいな、東京は調子のいい企業もかなりありますから、勝ち組と言っては語弊がありますけれども、そういう意味では地方は大変深刻だ、こういう状況でございまして、どういう形でこれから地域経済の活性化を図っていくか。
 今副大臣からいろいろお話あったと思いますけれども、我々も、総務省でできることは総力を挙げて地域経済活性化を応援していきたい、こういうふうに思っておりまして、地域活性化事業債を初めとして、今いろいろなことを我々としても検討しながらやっていこう、こういうふうに思っております。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
黄川田委員 それでは、順次、今回の地方税法等の改正案の内容等についてお尋ねしていきたいと思います。
 これまでの質疑で重複するところもありますけれども、私からも確認の意味で質問していきたいと思っております。
 まず、今回の地方税制改正において最大のポイントは、何といっても法人事業税への外形標準課税の導入だと思っております。
 振り返れば、戦後のいわゆるシャウプ勧告以来、法人事業税への外形標準課税の導入は、地方の安定的な税源の確保を図る観点から、私も地方公共団体におりましたので、地方公共団体にとって長年の悲願であったと言えます。政府税制調査会においても、昭和三十年代から継続的にその導入に関する議論が続けられてきたところであります。その間、全国知事会によりましても、地方団体みずからの手による外形標準課税の導入が検討されたこともあったと記憶しております。
 それで、平成十二年、政府税制調査会のいわゆる中期答申において、「すべての都道府県において幅広い業種を対象に、薄く広く負担を求める外形標準課税について、景気の状況等を踏まえつつ、早期に導入を図ることが必要」とされたところであります。
 その後、平成十二年十一月、所得基準と外形基準を二分の一ずつ併用する内容の旧自治省の案が提示されました。そして、翌平成十三年十一月には、付加価値額を基本としつつ、資本等の金額による課税方式を補完的に併用することなどの変更を加えた総務省案が提示された、こう思っております。
 今回、今法案における外形標準課税導入は、この総務省案をさらに修正したものでありまして、外形課税部分を全体の四分の一に縮小し、対象法人も資本金一億円超の大法人に限定したというものであります。
 そこで、まず、これまでの長年にわたる外形標準課税導入の検討経緯を踏まえまして、今回、法人事業税に導入する意義と効果について、大臣の所見をいただきたいと思います。
片山国務大臣 黄川田委員初め総務委員会の先生方には本当に釈迦に説法みたいな話になりますが、法人事業税への外形標準課税の導入は、一つは、税負担の公平性の確保である。それからもう一つは、法人事業税は法人税と違うわけでありますから、応益課税としての性格ははっきりさせる、こういうことが二つ目。それから同時に、外形標準でございますから、都道府県の基幹税としての安定性が増すということがその次に言えるんではなかろうか。同時に、これは議論があると思いますけれども、一生懸命やって頑張っているところがメリットがあって、そうでないところがメリットが少ない、こういうことは同時に経済の活性化や経済の構造改革を促進する、こういうふうに考えております。
 しかし、現在の景気の状況あるいは中小企業の実態その他を考えますと、全面的な導入ということではなくて、いろいろな議論の結果、我々としては、当面は一億円超の法人について四分の一の外形標準を導入していこう、こういうことを考えているわけでありまして、今委員のお話がありましたように、ある意味では、シャウプ勧告やら五十何年に及ぶ関係者の悲願の一部が実現できた、こういうふうに考えております。
 今後とも、この導入後の状況を見きわめながら、我々としては、さらに地方税源の拡充あるいは税源の移譲、三位一体の改革もやることになっておりますし、そういうことの中で地方の税財政の基盤を強化してまいりたいと考えております。
黄川田委員 関連してお尋ねいたしたいと思います。
 昨年十一月の政府税調答申では、外形標準課税の導入については、「早急に導入すべき」とされているものの、「厳しい景気の状況を踏まえ慎重に対処すべきとの意見もあった」とされております。
 そこで、先ほども議論があったわけなんでありますけれども、中国等への生産拠点の移転によりまして、我が国の産業の空洞化現象、本当に地方にあっては厳しいものがあります。国際競争力の強化が叫ばれる昨今でありますが、今導入することはタイミング的に私は好ましいとは思っておりませんが、大臣の見解はいかがでしょうか。
片山国務大臣 これは、いろいろな議論がありますけれども、なるほど、今、企業立地の空洞化ということは大変大きな課題だ、この空洞化対策ということをどうやるかが大きな課題だ、こういうふうに思っておりますが、長年の今までの議論の結果、とりあえず大法人だけ、四分の一だけ導入してみようと。このことがさらに空洞化を促進するとは私どもは考えておりませんで、実効税率だけからいいますと、現行の四〇・八七が三九・五四に下がるんですね、実効税率は。そういう効果もあります。
 財界の中でもいろいろ議論が分かれましたけれども、かなり理解を示す方々が今回はふえておりますし、そういう意味では、企業立地の空洞化、経済の空洞化の方は、これはこれで別の対策を十分とっていく、こういうふうに思っておりまして、今回の導入はやはりそれなりの意義があった、私はこういうふうに考えております。
黄川田委員 私も外形標準課税の必要性はわかるわけなのでありますけれども、今の時期に必要かということには、やはり納得いかないところがあるわけなのであります。ここ数年の政府の経済政策の失敗が導入のタイミングをほごにしている、私はそう思っております。
 そしてまた、中小企業のことであります。
 中小企業は、我が国の発展を支えている本当に源泉であると思っております。そしてまた、中小企業の自助努力を正面から支援する理念のもとに、中小企業基本法が、平成十一年の十一月ですか、全面改正されまして、中小企業の定義が大幅に見直されておるところであります。その際、資本金の区分については、産業ごとにやや異なるものの、産業の主要を占める製造業等については、従前の一億円以下から三億円以下に中小企業の範囲が拡大されておるところであります。
 そこで、税務上のデータではありませんけれども、二〇〇一年の総務省の事業所・企業統計調査によりますと、資本金一億円以上三億円未満の企業数は一万一千八百社程度であります。資本金一億円超の三・一万社の約三分の一になると思います。
 そこで、先ほど来中小企業への配慮を言うのであれば、中小企業基本法の理念に基づきまして、この外形標準課税を導入する対象法人を、資本金一億円超ではなく、資本金三億円超に拡大すべきではないのかと私は思っております。そしてまた、税法上の関係もあろうと思いますけれども、資本金を一億円超にした理由はそもそもどこにあるのでしょうか。
若松副大臣 法人税におきます軽減税率が適用される法人、これは資本金一億円以下の法人に限られている、こういういわゆる税法上の取り扱いをもとに、今回、資本金一億円を外形標準課税の対象範囲の基準としたものでございます。
 そこで、委員が、中小企業基本法の三億円を適用されたらどうか、こういうお考えでございますが、この中小企業基本法は、中小企業の範囲が業種ごとに異なりまして、また、資本金の要件だけではなくて従業員数の要件等の定義もございまして、これは非常に複雑にもなっておりますので、私どもといたしましては、税法上の対象法人の範囲を定める基準にはなじまないということで、先ほどの法人税の一億円、これを適用させていただいた次第です。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
黄川田委員 副大臣、業種といっても、特に地方にあっては、物づくりをしている製造業の部分で大打撃を受けているところがありますので、そういう考え方もあるのじゃないかということでお話しさせていただいたわけであります。
 それでは次に、雇用への影響についてお尋ねいたしたいと思います。
 今回の改正案は、外形基準が全体の四分の一でありまして、対象法人も限定された導入でありますけれども、依然として雇用への影響を心配する声を聞きます。これは、課税標準の一部に法人が従業員などに支払う報酬給与額が含まれているためであると思っております。この春闘で定昇の削減、撤廃など実質賃下げが叫ばれている中で、総人件費削減の理由づけの一つとして外形標準課税の付加価値割の導入が取り上げられるのではないかという懸念に基づくものであると思われるわけであります。
 そこで、今回の外形標準課税の導入による雇用への悪影響の懸念に対して、雇用安定への配慮は十分に行っておるのか、お尋ねいたします。
若松副大臣 まず、付加価値割についてのお尋ねでございますが、これに対して、法人に給与を削減しようというインセンティブが働く、こういった御指摘、また批判もございましたが、給与はあくまでも付加価値の構成要素の一つにすぎませんで、単純に給与を削減しても、その分単年度損益がふえるということで、いわゆる付加価値額、課税標準になるわけでありますが、その総額は変化しない、かつ、税額も減らない仕組みとなっております。こうした制度になっております。
 かつ、改正案の中におきまして、収益配分額に占める報酬給与額の割合が七割を超える部分につきましては、その超える額を課税標準から控除するといういわゆる雇用安定控除、この措置を講じておりまして、雇用への懸念に対しても十分に配慮させていただいた、このように考えております。この雇用安定控除を活用していただくことによりまして、報酬給与額が大きい方がかえって税負担が軽減されることとなる、こういったことも見られることになりまして、雇用や給与水準を維持するインセンティブも機能するもの、このように期待しているところでございます。
黄川田委員 それでは次に、今回の外形標準課税の導入は、対象法人に薄く広く負担を求めるということであるとされておりますが、これまで法人事業税を負担してこなかった赤字企業にも一定の負担を求めるものであります。
 赤字企業であっても、地方団体から一定の行政サービスを受けているのは事実でありまして、そして法人事業税の応益的な性格を考えますと、負担は当然であるという考え方もあります。しかしながら、例えば創業間もないベンチャー企業などにとっては、実際のキャッシュフローが十分でない中で税金を支払うことは非常に厳しいわけであります。
 今回の法案によりますと、こうした点へ配慮すべく、創業間もない企業など一定の法人の場合には、最長で六年間法人事業税の徴収が猶予される制度を創設されたとなっておりますけれども、そこで、この新たな徴収猶予が受けられる期間設定の考え方と、この対象法人をだれがどのような基準で判断するのか、お尋ねをいたしたいと思います。
板倉政府参考人 徴収猶予制度についてのお尋ねでございます。
 今回の改正では、外形標準課税の対象法人のうち、一定の要件を満たす欠損法人につきまして最長六年間の徴収猶予をすることができる制度を創設するということとしております。
 具体的に対象となりますのは、一つは、三年以上継続して欠損法人であって、地域経済、雇用などに与える影響が大きいと認められる場合でございます。もう一つは、創業五年以内の欠損法人であって、その技術の高度性、事業の新規性などが地域経済の発展に寄与すると見込まれる場合ということでございます。このいずれかに該当するということを都道府県知事が認める場合に徴収を猶予することができるという制度でございます。
 また、ベンチャー企業の経営実態を見ますと、単年度収支におきまして六割以上が三年以内に黒字転換をしていたり、累積損失を解消し黒字転換するのに要する期間も五年以内が六割以上となっている。これは平成十一年の中小企業白書でございますけれども、そういうようなことなども参考とさせていただきまして、徴収猶予が認められる期間を最長で六年間ということにさせていただいたところでございます。
黄川田委員 また、あわせ、今回の外形標準課税の導入によりまして、何か煩わしさがふえるのではないかという声も聞くわけであります。
 特に付加価値割については、それぞれの法人が報酬給与額あるいはまた純支払い利子あるいはまた純支払い賃借料をみずから計算し、申告をしなければならないわけであります。しかしながら、その申告に当たっての事務負担がどのようにふえるのか心配している、こういう企業は少なくないわけであります。
 また一方、今度は申告を受ける側、つまり課税庁であります都道府県においても、この新たな課税の仕組みに対応した電算システムの整備や、あるいはまた税務職員の研修などを行う必要があると思っております。
 そこで、この外形標準課税が導入されることによって、申告やあるいは徴収事務が複雑になりまして、納税者や都道府県の事務負担がふえるのではないか、そういう心配をされますけれども、円滑に実施するようにどのような配慮がなされているのか、総務省の見解を求めておきたいと思います。
板倉政府参考人 外形標準課税につきましては、新しい課税標準を用いるということになりますので、委員御指摘のとおり、ある程度申告事務に係る負担が生じるということも考えられますけれども、私どもといたしましては、まず、課税の仕組みといたしまして、付加価値額、資本等の金額とともに、法人税などの税額計算に用いられます数値、損金算入額などでございますけれども、それらをもとに算定をしていただくということとしておりまして、基本的に、法人税などの税務申告で用いられている既存の資料を活用して申告書を作成していただくことができるというようなシステムを考えているところでございます。
 また、平成十六年四月の施行に向けまして、課税庁でございます都道府県におきまして、電算システムの整備、職員の研修や課税マニュアルの作成などの諸準備を進めますとともに、対象法人に対しまして説明会を実施するということを通じまして、外形標準課税の円滑な実施に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
黄川田委員 外形標準課税の導入についてさまざまな質問をしてきましたけれども、最初にお聞きしたとおり、現下の経済情勢といいますか景気の低迷による業績悪化に苦しみ、そしてまたリストラを繰り返している企業から見ますと、税を取る地方公共団体の行政改革、しっかりやっているのかというふうな声も消えないわけであります。
 自分自身、地方自治の現場での経験から、地方公共団体が乏しい税財源の中で一生懸命になって地域振興あるいはまた行政サービスの維持改善に努めていることはよく理解しておるつもりでありますけれども、しかしながら、納税者の立場からいいますと、納税する法人でありますけれども、この法人に対して、地方自治体、都道府県も、行政改革の努力、それを目に見える形で、歳出の削減といいますかそういうものを行うなどして、十分理解をしてもらうということもまた大切なことだな、そう思うわけであります。
 それでは話題を変えまして、次に、道路整備の地方の負担についてお尋ねしていきたいと思っております。
 日本道路公団等のいわゆる道路関係四公団につきましては、平成十三年十二月に政府が決定いたしました特殊法人等整理合理化計画において、四公団は廃止することとされ、新たな組織は民営化を前提、国費は平成十四年度以降投入しないこと、償還期間は五十年を上限として短縮を目指すことなどの改革の方向が示されたところであります。
 その後、政府に設置されました道路関係四公団民営化推進委員会をめぐるさまざまな騒動につきましては、今さら私が言うまでもありませんけれども、今後の高速道路整備につきましては、高速自動車国道法に基づく整備計画が策定された区間におきまして、国と地方の負担による新たな直轄方式による建設も導入される、そのようになったと承知しております。その結果、御案内のとおり、三位一体改革の一環としまして、義務教育関連費用とともに、市町村道整備等に関し、国庫補助負担金の見直し等に伴う財源措置が図られたわけであります。
 すなわち、この市町村道整備に係る国庫補助負担金の見直し及び直轄事業による高速道路整備に係る地方負担の導入に伴う影響分、これは九百億円ですか、その程度については、市町村に譲与する自動車重量譲与税の譲与割合の引き上げによりまして税源移譲を行うとともに、そしてまた、地方道路譲与税の都道府県、市町村間の配分を見直すことによりまして財源措置が図られたということであります。そのため、今回の法律案におきまして、この自動車重量譲与税法が改正されまして、この平成十五年度から自動車重量譲与税の譲与割合を現行の四分の一から三分の一に引き上げた、そういうことになったことであります。
 そこで、長々言いましたけれども、質問であります。
 今回は、一応、この三位一体の国庫補助負担金の削減、税源移譲の芽出しにはなっているということになっておりますけれども、このきっかけは道路公団等の民営化でありまして、今回の自動車重量税の譲与割合の変更は、その結果にすぎないといえば、そのとおりなのであります。この税財源移譲の基本的な考えのもとに、今後とも、この道路整備関連諸税の国と地方の配分等でありますか、あるいはまた道路特定財源の改革に総務省自身が今後どのように役割を果たしていくのか、積極的に役割を果たす覚悟があるのか、お伺いしたいと思います。大臣、お願いいたします。
片山国務大臣 今、黄川田委員お話しのように、今回の三位一体改革の芽出しで自動車重量税の地方配分率を四分の一を三分の一にしてもらいまして、九百三十億、これは大ざっぱに言いまして、都道府県と市町村が半分ずつ。それで、市町村については、細かい市町村道に対します国の補助はやめてもらって、もう市町村独自の判断で道路整備をやってもらう、そこで、それが四百五十億かもうちょっと。それから、都道府県の方は、高速道路を直轄方式でやるというケースもある。それで、その場合には国が四分の三で地方が四分の一の負担、地方というのは都道府県ですけれども、そのための税源移譲、こういう格好になったわけであります。
 道路特定財源は、これは今、国が三兆四、五千億、地方が二兆二、三千億でございますけれども、実際は圧倒的に地方が使っているんですよ、補助金でもらったり交付金でもらったり。しかし、それでも道路特定財源率は国に比べてはるかに低い。
 それから、道路整備が、国道はほぼ終わりかけておりますが、都道府県道で六割ぐらいの整備率、市町村道で五割ぐらいの整備率でございますから、私はやはり、道路特定財源は、地方の分はもちろん堅持していくし、そういう意味での国からの財源的な手当てが必要ではないかということをかねがね経済財政諮問会議等で主張しておりまして、そういうこともあって今回の改定と、こういうことになったわけでございますが、今後とも、地方の道路整備の必要性は十分わかっておりますので、道路特定財源の今後のあり方についても地方の立場からいろいろ議論してまいりたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 総務省としても、効率的な地方の振興、このために一層の努力を、そしてまた役割を果たしていただきたいと思っております。
 それで、次に、土地流通課税等についてお尋ねいたしたいと思います。
 先ほどから言っておりますけれども、現在我が国が陥っているデフレの大きな要因の一つとして、土地やあるいは株といった資産価値の暴落による慢性的な需要不足が挙げられると思っております。平成三年度にピークを迎えた地価は、平成四年度以降、毎年度下落しております。こうした資産価値の下落、すなわち深刻な資産デフレは、企業や家計におけるバランスシートを悪化させるとともに、金融機関を初めとして巨額の不良債権を発生させたわけであります。
 バブル期においては、土地などの資産への過剰な値上がり期待があったものでありますけれども、逆に現在は、行き過ぎた値下がり期待が醸成されているのではないかと思っております。このデフレの克服のためには、こうした値下がり期待を是正していくことが肝要でありまして、そのためにも、土地の利用価値を高め、有効利用を促進していくことが不可欠であります。
 ただ、こうした地価対策を税制だけに頼るべきではないとも私は思っておりますけれども、土地税制としても、現在のデフレ経済に適合した形で見直していく、これが大事だと思っております。
 そこで、まず、土地の流通課税であります不動産取得税についてお尋ねいたしたいと思います。
 これまでも、住宅及び住宅用地につきましては、税率を三%に軽減する措置や、あるいはまた一定の面積まで実質的な非課税となる特例措置が講じられてきたわけでありますが、今回の改正案によりますと、商業地など、その他の不動産の取得についても一律に税率を三%に引き下げる措置がとられることとされております。今度は、課税する側、都道府県におきましては、今回の改正によりまして不動産取得税の減収額は約一千二百億円にも上ると聞いておりますけれども、全体の歳入の中で五千億円余りしかない中でありますので、一方では都道府県の貴重な自主財源を削ることとなるわけであります。
 そこで、今回、この不動産取得税の税率を一律に三%とすることについて、その理由と効果についてお尋ねいたしたいと思います。
若松副大臣 何といっても、この資産デフレを阻止するというのが重要な課題でありまして、そのために土地流通課税の軽減が強く求められてきたところでございます。
 一方、今委員が指摘をされました不動産取得税につきましては、当然都道府県税の大変重要な財源、こういうことになっておりまして、既に、課税標準や税額の特例によりまして、都市部の平均的な住宅さらには住宅用地につきまして、実質的に非課税になるような負担軽減措置を講じているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、不動産取得税につきましては、平成十五年四月一日から平成十八年三月三十一日までの三年間、その標準税率を一律に三%、現行が四%ですから、その引き下げをしたところでございます。
 このほか、特別土地保有税、これも平成十五年度以降の新たな課税の停止。事業所税におきましては、平成十五年三月三十一日をもって新増設分の課税の廃止。また、国税における登録免許税の軽減措置と相まちまして、これらの土地流通に関する税負担の軽減等により、土地の有効利用等が促進されることを期待しておりまして、大変な地方税さらに国税の減額も実質あるわけでありますので、ぜひともこれが土地流通につながることを期待しているところでございます。
黄川田委員 副大臣お話しのとおりでありますが、都道府県にとって貴重な財源でありますけれども、何といっても不動産の流動化を柱とする資産デフレ対策、これが経済活性化の喫緊の課題であると私も思っております。ですから、不動産の流通に関連する税目での軽減策でありますが、これがいい効果を生むか、期待したいと思っております。
 残り時間、あと四分ぐらいでありますので、固定資産税について、まとめてちょっとお伺いしたいと思います。
 第一は、土地の固定資産税については、地価が下落するにもかかわらず増収を続けているといった指摘が繰り返されてきたわけでありますけれども、近年の土地分の税収額はどのように推移しておるのでしょうか。そしてまた、今回の改正案では、固定資産税については現行の制度を維持することとなっておりますけれども、平成十五年度、評価がえでありますけれども、この評価がえによる増減収見込み、これがどうなっているのか、まず最初にお尋ねいたしたいと思います。
板倉政府参考人 固定資産税につきまして、お答えをさせていただきたいと思います。
 土地に係ります固定資産税についてでございますが、これまで、評価額に課税標準額がかなり近づいているいわゆる負担水準の高い商業地等の宅地につきましては、課税標準額の上限を評価額の七〇%まで引き下げるという措置をとってまいりましたので、地価の下落に応じて税負担が引き下がる、こういうことになりますので、そういう土地が増加をしております。負担水準の高い大都市を中心にしまして、地価下落が税収減に直結をするというような状況になっております。
 税収がふえ続けているではないかと一般に言われておりますけれども、現実には、土地に係る固定資産税収は、平成十一年度の三兆八千億円をピークに、地価下落や制度改正の影響を受けまして年々減少し、来年度、平成十五年度の見込みでは約三兆五千億円というふうになっております。
 また、平成十五年度の評価がえにおきまして、地価下落ですとか建設物価の下落を反映いたしまして、土地分及び家屋分の固定資産税、都市計画税合わせまして四千三百五十億円というかなり大きな額の減収になります。土地分だけで申しますと、この四千三百五十億円のうちの一千五十億円ということでございます。
黄川田委員 昨年六月の国土交通省の、今後の土地税制のあり方に関する研究会の中間報告では、この固定資産税について、現在の商業地の実効税率は妥当な水準を超えているため、税負担を抑制すべきと提言しております。そしてまた、行政サービスに対する応益性と不動産の収益性に対する課税の性格から見て、課税を適正な負担にすべきであると主張されておるところであります。
 それで、国土交通省の研究会の提言と政府税調の考え方にギャップがあるのではないかということでありまして、改めてお伺いしますけれども、そこで、流通関係の税目については軽減策が盛り込まれているのに対しまして、固定資産税では減税措置を講じないのはなぜでしょうか。減額になっている、さらに少なくなっているという話もありましたけれども。また、さらに今後、固定資産税の税負担について見直す予定はあるのかどうか、最後にお尋ねいたします。
若松副大臣 委員も御存じのとおり、今、固定資産税はいわゆる地方税の基幹税になっておりまして、本当は、できれば下げたいんですけれども、御存じのように、それをやりますとまた三千二百の自治体が大変お困りと、こういう状況もありまして、私どもは、いわゆる現行の負担調整措置、これをしっかり見直してわかりやすい制度にする、こういう制度改善を引き続き続ける作業に集中してまいりたいと考えております。
黄川田委員 市町村の税目の中で固定資産税は四割ぐらい占めると思います。そのこともわかりつつも、なおかつ何とか経済が再生しないかなという思いで質問いたしました。
 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 私も、まず、法人事業税への外形標準課税の導入問題について伺いたいと思います。
 大臣は、法人事業税はそもそも応益課税であるべきというふうにお述べになって、だから外形課税にするということで、その導入の目的を語っていらっしゃるわけです。同じ応益課税で、既に企業は固定資産税を払っています。また、住民税の均等割も払っています。今回、応益にするために外形課税にする、これは率直に言って重複課税になるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
片山国務大臣 私は、地方税は全部応益でもいいと思っているんです。国税が応能なら地方税は応益で、税制全体としてはそういう組み合わせがあってもいい、こう思っておりますが、現実には法人事業税は応能ですよね。しかも、今回は一億円を超える法人について四分の一だけの外形標準ですから、これで税の性格が大幅に変わったなんということはとても言えないので、中の仕組みの一部の見直しだ、こういうふうに考えております。
 そこで、固定資産税や住民税の均等割があるではないかと。
 法人事業税は、法人の事業活動と都道府県の行政サービスとの受益関係に着目して事業に課せられる税金ですね。それから、固定資産税の方は、これは土地、家屋等の保有、固定資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存する受益関係に着目してかける市町村税です。それから、法人住民税均等割は、これは両方にありますけれども、都道府県、市町村に。地域社会の構成員としての法人に、個人もありますが、法人にその地方公共団体の経費を個人と同様に分担することを求める、いわば会費的な税金だ。
 こういうわけでございまして、似ているといえば似ていますけれども、違うといえば違うので、そういう意味では、委員が今御指摘のように、ダブルの課税にはなっていない。そこは税制としてきちっと整理して仕組みをつくっております。
春名委員 それで、反論しろと言っていますので反論しますが、事業活動に注目しているということで、それはそういうことでやるということなんですが、その規模を示すものとして付加価値ということにしているわけでしょう、今度。そうすると、その事業活動の規模と公共サービスによる受益が相関関係にあるということを明確にする必要があるわけですね。
 固定資産税の場合は、公共サービスが土地の収益性や利便性を向上させて、それが地価に反映されるという側面はわかるわけですね。受益の大きさが個別に、その意味ではわかる。しかし、付加価値というのは、その大きさが公共サービスの受益の大きさに反映されるというようにどうして言えるのかという疑問が出てまいりますね。この点はいかがですか。
片山国務大臣 これは一種のフィクションといいますか仮説に立たなきゃいけませんが、事業活動が大きいものが、あるいは事業活動が活発なものがたくさんの付加価値を生む、こう考えておりまして、そういうことでこれが受益関係が多くなる、こういう仮説に立って税金をかけさせていただく。率は一定の、大きくても小さくても同じ割合ですから、軽減税率以外は。そういう考え方でございます。それが同時に担税力にもなる、こういうふうに考えております。
春名委員 今度の課税標準を見ますと、外形課税部分の三分の一を資本割としていますね。これは固定資産税との二重課税問題というのが生じませんか。
片山国務大臣 考え方としては、付加価値の方がすっきりするんですよ。しかし、付加価値だけではどうかという強い議論がありましたので、それでは事業規模や担税力に比例するものといったら何があるだろうか、合理的な手法が。それは資本だ、こういう意見がありまして、そこで二対一で、三分の二は付加価値、三分の一は資本、こういうふうにさせていただいたわけであります。
春名委員 少し前の自治省の見解を持ち出して恐縮なんだけれども、七七年の三月二十二日に地方行政委員会で税務局長がこういう答弁をされている。資本は設備投資に回るわけでございますので、固定資産税との重複と申しますか、固定資産税にさらに重ねて税負担をかけていくということになりますので、大きな問題がありますと。つまり、これは、資本金を課税標準にすることについての質問に対する答弁なんですね。つまり、固定資産税との重複というふうに、資本にかけますと必ずなる。資本は設備投資に回るわけだから、そういう重複は避けるべきであるというふうに言っておられるわけですね。
 今度、三分の一資本割を入れるということになると、これはどう考えても固定資産税との二重課税ということになるんじゃないでしょうか。
片山国務大臣 資本と固定資産は明らかに違うんですよ。それは税務局長、そのときの税務局長、だれだったか知りませんが、それは、資本が設備投資に回るケースは多いんですね。だから、その資本が形を変えて固定資産になるケースは多いんですけれども、即同じじゃありませんので、そこは恐らく局長の答弁が舌足らず、十分でない、こういうふうに思います。
春名委員 要するに、二重課税的な側面があるということはお認めになるんですか。
片山国務大臣 そういう側面があることは認めます。
春名委員 そういう性格の問題も、私、ちょっと大きな問題だと思うんですね。
 それから、中身の問題に入っていきますが、今度の外形課税は、増減税同額という制度設計で理解していいんでしょうか。
板倉政府参考人 増減税と申しますか、税収中立という考え方でございます。
春名委員 一億円超の企業の平成三年から十二年までの平均税収を出して、物価補正をかけて税収中立にすると二兆五百億円になるので、そのうちの四分の一、五千百億円を外形化して、その金額が増税になって大きくなったりとかしないようにした、そういう税率にしたという御説明をされていると思うんですね。
 肝心なことは、その結果どうなるかということなんですね。どのような企業が今度の外形課税の導入で今までと比べて減税になりますか。
板倉政府参考人 なかなか具体的に申し上げるわけにもいかないのでございますが、一般的に申しますと、事業規模の割に利益が上がっている、こういう企業は結果的には税は少し安くなる。反対に、事業規模の割に利益が上がっていない、そういう企業は少し税がふえる、こういうことになろうかと思います。
春名委員 本会議でも私たちが試算したものを言いましたが、全部計算してみまして、なかなか複雑な計算でしたが、一番新しい経常利益などを加味してやってみたんですね。
 まず、トヨタ自動車百六十二億円の減税、NTTドコモ六十八億円の減税、武田薬品五十億円、エンショップ武富士二十四億円、ホンダ十九億六千万円、キヤノン三十一億円、アコム三十一億円等々であります。つまり、この不況の中でも収益をしっかり上げているこうした超優良企業には大変大きな減税になる、こういう仕掛けじゃありませんか。
板倉政府参考人 お答えをいたします。
 先ほども申しましたとおり、外形標準課税の目的の一つは課税の公平ということでございまして、この事業税の性格から、ひとしく負担を分かち合っていただく、こういうことでございまして、結果的に、先ほど申しましたとおり、事業規模に比して利益が大きいところは若干の税の減少になるだろう、こういうことでございます。
 ただし、先ほどおっしゃいました金額につきましては、私どもは全く確認をする手段がございませんので、そこは御了解をいただきたいと思います。
春名委員 私たちでも計算、仮定で置いてできるんですから、やってみてくださいね、これを導入したら実際どういう事態になるのか。
 一億円超の企業にしたから大丈夫ですというふうに言われるけれども、率直に申し上げて、トヨタ自動車などの大変大きな収益を上げている企業はこれだけの減税になるんですよ。一方でどうなるかといいますと、はっきり言いまして、赤字で苦しんでいる企業は確実に増税になるんですね。これが公平な負担だというふうに言われるのか知りませんけれども、資本金一億円超の二万四千百八十社のうち八千二百四十四社が赤字法人です。ここは確実に増税です。その中には、中小企業基本法では中小企業と区分されている、一億円から三億円以下ですね、そういう中小企業も非常に多数含まれていると思われます。私たちはそういう資料も出してくれと言いましたが、出していただけないので、多数含まれていると思われます。
 結局、マクロで見ますと、増減税は同額、税収中立、そして一部の大収益を上げている企業は大減税、この不況の中でも収益を上げている超優良の一部大企業には減税をし、その原資は赤字企業からの増税ということに結論としてはなるんじゃないでしょうか。これでどうして公平と言えるのかということであります。
片山国務大臣 春名委員、試算されたようですが、これはなかなか難しいんですよ、よくできましたね。いやいや、これはいろいろな資料をとらなきゃいけませんし、いろいろな計算があるんですよ。だから、おおよその傾向は恐らくおつかみになったと思いますが、額はどうかと思いますよ。
 そこで、今いろいろなことを言われました。なるほど、トヨタやドコモが頑張っていますよ。だから、そういうところが今の一般論として恐らく減税になることは、私もそうだと思いますけれども、同時に、大企業で、安住委員が指摘されたでしょう、ずらっとびっくりするような企業が並んでいるんですよ、言えませんけれども、守秘義務違反になりますから。これが何年間も一銭も納めていないんですよ。これは、私は、社会的な正義から見て公平でないし、やはりそういうところはそれ相応の、広く薄く負担してもらう必要があると思います。
 それから、広く薄くですから赤字企業も負担してもらいますけれども、そこはできるだけ、簡易課税を含めて、例えば一番安いのは年間四万八千円、そういうことを含めていろいろなことを検討しておりますし、いろいろ頑張っていて、それでも今は払えないというところは、六年徴収猶予やるんですよ、六年後で結構ですと。しかも、何度も言いますけれども、一億円超の法人で四分の一なんですよ。五千億です。ぜひそこのところは考えていただいて、ちょっとオーバーに言っていただかない方が私はいいと思いますので、よろしくお願いします。
春名委員 大臣の方がオーバーに言っているんだと思うんですが。
 大きな売り上げを上げている企業が全く税金を何年間も払っていないというのは僕もおかしいと思うんです。何でそういうふうになっているか。例えば退職引当金などはそのまま、ほとんどの従業員が一遍に退職したときに、そのために引き当てなきゃいけないというお金をそのまま非課税にするわけでしょう。そういう大企業の優遇税制というのを法人税でちゃんと正してから、まずやるべきことはあるでしょう、そういうことが。
 そういうこともやらないで、法人事業税というのは公平と言われるけれども、赤字で苦しんでいる企業にも、この深刻なときに、今議論がずっとありましたけれども、確実に税金を上乗せして取る仕組みを導入するんですよ。話が逆じゃないですか。そういう大きな企業からきちっと取れるような仕掛けをまず考えてから、私は言っていただきたい。非常に知恵のある皆さんですから、そういうことを本当に考えていただきたい。
 率直に言いまして、増減税同額、税収中立で、そして、私が試算しただけでも、大変大きな収益を上げている企業はあれだけの減税になる。トヨタが百六十二億円なのか一億円なのかというようなことはあるかもしれませんけれども、それほど大きな違いはないと思うんですね。そういうところの減税をやって、そして、赤字で苦しんでいる企業からは税金をきちっと取って、そこに埋め合わせをしていくという仕掛けになるわけですよね。だから、これは公平とはとても言えないというふうに私は言わざるを得ないわけであります。
 そこで、今度の措置でもう一つ大きな問題があると私は思っているんです。資本等の金額一千億円超の法人に係る資本圧縮の措置というのがとられております。なぜこのような措置が必要なのか、一体、資本金一千億円以上の企業数はどれぐらいあるのか、その法人数全体に占める比率はどれぐらいなのか、これをお答えいただけますか。
板倉政府参考人 資本金区分別の法人数でございますが、割合で申しますと、大体、全体の〇・一%に満たないぐらいの数字かと思います。
春名委員 いや、〇・一%に満たないどころの話じゃなくて、二万四千百八十社のうち百社なんですよ。〇・〇〇四%、一千億円以上ですよ。一千億円以上から五千億円未満が八十八社、五千億円以上が十二社ということになっております。見込み数、私出してもらっているので、百社なんですよ。
 現行の法人住民税の均等割なんですけれども、資本の額に応じて五ランクに区分されていますね。これはなぜそういうことをしているかといいますと、法人の規模が拡大すればそれだけ自治体から受けるサービスの種類も量も大きくなる、あるいは、法人の規模が大きくなれば担税力も大きくなるということから、資本の額に応じてランクを五つに分けて、住民税の均等割をふやすという仕掛けをつくっていますね。
 それに比して今回の外形課税は、資本金を課税標準とする部分で、一千億円以上の大資本の部分については逆に割り落としていく、圧縮していく、まけてあげる。法人住民税の均等割との関係でも今までの考え方と全く整合性がないんじゃないか、何でこんなことをする必要があるのかということであります。
板倉政府参考人 先ほど来御説明をしておりますような理由で、資本割というのを大体三分の一ぐらい入れるということにしたわけでございます。この資本等の金額が外形標準としてどうかという議論につきましては、種々、過去の税制調査会等の議論の中でも四つ挙げられた外形基準の中の一つということでされていたところでございまして、それを大体三分の一、補助的に活用するということでございます。
 ただ、付加価値につきましては、これが最もふさわしい、これに応じた課税をすることが望ましいということにされているわけでございますけれども、資本等の金額につきましては、ある程度その事業規模をあらわす指標ではあるということで、三分の一程度導入をするということにしたわけでございますけれども、その金額が特に大きな法人につきましては、これに比例をして税負担を求めるということになりますと、事業活動の規模との関係で必ずしも適当ではない、負担が過大になり過ぎるのではないかというふうな考えから、資本等の金額が一千億円を超える場合には課税標準を圧縮するということにしたところでございます。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
春名委員 説明になっていないんですね。事業活動の規模との関係で適当でないと言っているだけの話なんですね。この恩恵にあずかるのは、持ち株会社をつくっているようなNTTグループとか巨大金融グループですよ。五千億円以上は十二社しかない。一兆円以上だったらゼロでいい、五千億円だったら二五%でいいと。本当に、一番労働者を搾ってもうけている超巨大グループにそういう優遇をする必要ないですよ、そんな。そんなことをこそくに入れておられる。おかしな話です。
 最後に聞いておきますけれども、全法人数の九九%を占める資本金一億円以下の企業には導入しない、今回は。しかも、応益課税といいながら、所得割は四分の三を残す、外形は四分の一にすぎない。要するに、そこまでして何で外形課税を今無理やり導入するのだろうかというのがどうしても疑問であります。その点をお答えください。
片山国務大臣 これはもう何度も申し上げていますよね。歴史をたどれば、五十何年間、シャウプ勧告以来の念願でございますし、ここ当面、政府税調を中心に、いろいろなそういう税調関係でも四年も五年も議論してきて、その結果、こういう時期なので、いろいろなことを考えながら、部分的にといいますか、一億円超の法人について四分の一だけ導入しよう、こういうことでございまして、これは地方の、特に知事会や議長会の強い要望なんですね。
 それから、今の資本の話。これは、一千億を超える、一兆円のような資本のところがそれだけのサービスを受けているか、都道府県から。百倍も千倍も万倍も受けているか。それはそうじゃないんですよ。だから、全部スライドすればいいというものじゃなくて、そこは若干の調整をやる。また、激変緩和ということも当然考えなきゃいけません、今の税との。税収中立なんですけれどもね。そういうことを含めてのいろいろな皆さんの意見があるものですから、資本割を三分の一入れたわけでありまして、そこは十分な御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
春名委員 ですから、さっき言ったでしょう、法人住民税の均等割は、資本の額に応じて五ランクに区分されて引き上げているんですと。そういう、皆さんが今までやってきたこととの関係でも全く整合性ないでしょうということを私言っているわけですよ。
 それから、とにかく念願だったということだと思いますけれども、導入しさえすれば後は何とかなるというふうにやはり思えて仕方がありませんよね。批判や危惧の声は抑えておいて、一億円以下をやめておいて、一たん導入したら、外形部分を徐々にふやしていき、一億円以下の中小企業にも導入していく、そういう目的は、やはり今の話を聞いても非常にはっきりしていると思うんですね。
 そうでないと、総務省や政府の論理から見たって、導入の意義がないといいますか、何で四分の一なんだ、何で一億円以下、九九%入れないのか。やはり応益課税で全部やりたいということでしょう。まず導入する、いろいろな批判をかわしながらまず導入して、大きく育てていくというようなことに当然あるということにならざるを得ないというふうに思うんですね。私は非常にそういうやり方は間違っているなと。この点では絶対反対であります。このことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、土地税制についてですけれども、今度の改正で、特別土地保有税を凍結し、新増設に係る事業所税を廃止するということになっています。特別土地保有税の凍結によってどれだけの減収になるか、新増設に係る事業所税廃止によってどれだけの減収になるか、それぞれお答えいただきたいのと、なぜ自治体の財政をあえて危機に陥れるようなこんな改正をやるのかということをまとめてお答えください。
板倉政府参考人 お答えいたします。
 まず、減収額でございますが、不動産取得税が約一千二百億円、特別土地保有税が約三百五十億円、事業所税が約四百億円、合わせて大体二千億円、こういうことでございます。
 資産デフレが進行する中で、土地の利用価値を重視する方向への土地市場の構造変化など土地市場をめぐる諸情勢に対応する、そういう観点から、土地流通課税についてその軽減が求められていた、そういう状況を踏まえまして、今回の地方税制改正におきましては、特別土地保有税について、平成十五年度以降新たな課税は行わないということにしたほか、新増設に係る事業所税につきましては、御指摘のとおり、平成十五年三月三十一日をもって廃止をするということといたしました。また、不動産取得税につきまして、平成十五年四月一日から三年間に限りまして、その標準税率を一律に三%に引き下げるなどの措置を講じることとしたところであります。
 国税におきます登録免許税の軽減措置と相まって、これら土地流通に関する税負担の軽減等により、土地の流動化が促進をされるということを期待いたしております。
春名委員 土地の流動化促進のためと言うんですが、本当にそうなるんですかね。
 まず一つは事業所税について、時間もあれですから、両方聞きます。事業所税は、交通や上下水道、防災、公害対策などの都市の再生の事業を遂行するための目的税だと思うんですね。その新増設分を廃止することによって何で都市再生になるんだろうか。これは六団体も言っていることです。しかも、現在、新増設については、二千平方メートル以下は非課税ですよね。都市再生のためと言うんですけれども、ベンチャー企業とか中小零細企業の負担は既に配慮されていると思うんですね。これ以上廃止して、なぜ自治体の財政を、大事な都市再生に使う事業の事業所税をなくしてしまうのか、理屈が通らない。これに答えてください。
 それから、特別土地保有税、土地投機の抑制と土地供給の促進を目的として設けられたものです。私も昨年論戦しまして、持っていることが全く痛みに感じないという改正が、この特別土地保有税はずっと繰り返されてきました。その結果、徴収猶予分の土地が、八九年から九九年の十年間で一八〇%にふえております。結局、土地の流動化に逆行する事態をあなた方の政策でつくってきたということを昨年質問いたしました。
 今度は凍結であります。持っていることが一切痛みに感じないということを貫徹することになります。この方向で改正してどうして土地の流動化が促進されるのか、再び土地の買い占めを横行させることになるんじゃないか。
 以上二点、お答えください。
板倉政府参考人 まず、事業所税でございますが、新増設分だけを廃止することによってどの程度効果があるのか、こういうことでございますけれども、少なくとも、都市のビル建設等の投資を促すという効果があるのではないかというふうに思われますのと、今回の全体の改正で一つのそういうインセンティブを働かせよう、こういうことかというふうに理解をしております。
 また、特別土地保有税でございますが、御承知のとおり、昭和四十八年に、当時の土地に対する投機を抑制するということで導入をされまして、その後、市町村の政策税制として大きな役割を果たしてきたというふうに私どもも理解をいたしております。
 昨今は、どちらかといいますと、投機抑制というよりは、有効利用を促進させるという方向の税金として、一たん課税対象になった場合でも、有効利用をした時点でその税負担をゼロになくすということで、徴収猶予という制度を活用してまいったわけでございます。その結果、徴収猶予されている税額といいましょうか、土地がかなりふえてきたというのは事実かというふうに思います。
 ただ、この税がやはり土地の流動化を促進するという観点から、利用すれば最終的には免除をされるということではありますけれども、やはり計画どおりに事業が進むかどうか自信がないというようなケースもあるようでございまして、どうしても、この税があるというのがそういう方向の、用地を取得して何か事業をやろうという妨げになっている、こういう指摘もかなりございまして今回のことになった、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
春名委員 本当に土地の流動化を促進するのであれば、歴史が証明しているように、この猶予分の土地がそれだけふえているわけですよ。頑として持っているわけですよ。それで、今度、この特別土地保有税をなくしちゃうわけでしょう、凍結ということは。どうして流動化に資することになるんですか。私、本当に不思議でしようがない。
 今の課税対象なんですけれども、東京二十三区と政令指定都市で二千平米以上でしょう、今。都市計画区域を有する市町村では五千平米以上、その他の市町村では一万平米以上に限定されているわけですね。つまり、その凍結をやりますと、利益はそういう規模以上の、要するに、大きな大企業や一部の大資産家だけがこの利益を受けるだけになるんですよ。これは、もう明白です。そのために貴重な自治体の財源を剥奪するというような改正は、私はやるべきじゃないと思うし、地方六団体も、これは大事な目的税でもあるし、大事な税制だから残してくれと言っているのに、あえて、流動化も促進しないような、こんなやり方をするのは全く間違っているということをはっきり申し上げておきます。
 次に、農地にかかる固定資産税の問題についてお聞きします。
 今、農家は、米や野菜などなど、すべての農産物の価格が下落して、収入が激減しています。大変大きな困難の中にあります。ことしは固定資産税の評価がえの年でもあります。そこで、農家の実態を踏まえて少し質問します。
 一つは、鶏舎、畜舎、堆肥舎、農業用倉庫、これらへの課税の問題です。
 これらは家屋ではないわけだから、家屋として固定資産税を課税するのは問題だと思うし、それは総務省の見解でもあると思いますが、これは確認をしておきたいと思います。
板倉政府参考人 お答えをいたします。
 固定資産税におきます家屋といいますのは、不動産登記法に言う建物とその意義を同じくするということでございまして、建物登記簿に登記されるべき建物をいうというふうに考えております。
 建物登記簿に登記されるべき建物とは、「屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいう。」不動産登記事務取扱手続準則にそういうふうに書かれております。
 畜舎、堆肥舎等につきましては、一般的には登記されるようなものは余りないと考えられますので、一般に社会通念上家屋とは認められないと考えておりますが、中には、その構造その他から見まして、一般家屋との均衡上課税客体とせざるを得ないというようなものもございまして、それらについては、家屋としての課税客体となるというふうに考えております。
 したがって、その構造ですとか程度などの実態から建物登記簿に登記されるべき建物であるか否か、課税の公平性から一般家屋との均衡上課税客体とせざるを得ないものであるか否か、これを市町村が判断をされているということでございます。
春名委員 今、おっしゃったけれども、一般的には課税対象にしない、均衡上課税客体としなければならないものを除いてというふうになっていましたね。この均衡上課税客体としなければならないというのが実に広くとられている場合が多いんですね。そういう事例をたくさん聞いているんですよ。
 ちょっと見にくいんですけれども、大臣、例えばこういう汚い絵ですけれども、これ畜舎なんですよ。屋根があって、一メートルの塀があって、あと全部吹き抜けなんですよ。これが家屋だと。償却資産じゃないと。全部課税すると。こんなことも、具体的事例いっぱい、言ったら切りがないんですけれども、あるんですよ。
 私はよくわかっているつもりなんで、固定資産税というのは市町村がやるものですから、その自主性に任せなければなりません。しかし、明らかに、こういう通達とか通知とか、皆さんの基準から見ても、とても常識とは言えないようなところに課税するというような事例が、もう随分たくさん私は聞いているんですよ。ですから、一律に指導せいとは言えないと思うんですけれども、こういう実態もあるということをよくしんしゃくして善処してほしいなというのを一言、私はお願いしたいと思うんですが、どうでしょう。
板倉政府参考人 先ほども申しましたとおり、私どもが家屋と考えておりますものは、先ほど申し上げたような定義のものでございます。個別に市町村が判断したものを私どもの方でとやかく言うことは不適当だというふうに考えておりますけれども、一般的に家屋というのはこういうものを家屋というふうに我々は考えているんだということは、いろいろな機会を通じて、御説明を市町村の方にもよくしていきたいというふうに思います。
春名委員 いろいろな機会をとらえて説明していただくということを徹底してください。指導するというふうにはできないと思いますけれども、事例としてこういうことが事実としてありますので、そういうことも踏まえて対応してほしいんです。
 最後に、もう一つは市街化区域農地について、農業収益を基本に、農地は農地として評価して、固定資産税を下げてもらいたい、そして、せめて標準小作料を超える固定資産税は標準小作料以下になるように軽減してほしいというのが、市街化区域内で頑張って農業を続けたいと希望している農民の切実な願いだと私は考えます。こういう点について総務省はどういう見解でしょうか。
板倉政府参考人 市街化区域内の農地につきましては、都市計画法によりまして、おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべきものとされております。そういうことで、宅地としての潜在的価値に着目をしますとともに、実際の売買実例価額も一般の農地と比較して高額となっているということなどを勘案しまして、付近の宅地の価格を基礎とした、いわゆる宅地並み評価というのを行っているところでございます。これは、いわゆる都市計画法によりまして、保全する農地というものを選択されなかったところがこの宅地並みの評価ないし宅地並みの課税ということになるわけでございます。
 ということでございまして、宅地並み課税が適用されている土地につきましては、私どもといたしましては、都市計画法上のそういうような性格をもとに宅地並み課税をやらせていただいているということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。
春名委員 そういうしゃくし定規な答弁じゃなくて、心をちょっと農民の方に重きを置きながら答えてほしいんだけれども、例えば、一昨年三月二十八日の最高裁の判例で、「小作地に対していわゆる宅地並み課税がされたことによって固定資産税及び都市計画税の額が増加したことを理由として小作料の増額を請求することはできない。」こういうふうな判例ありますよね。その判決文の中では、「法は、小作料の統制廃止後においても、耕作者の地位ないし農業経営の安定を図るため、当該農地において通常の農業経営が行われた場合の収益を基準として小作料の額を定めるべきものとしていると解するのが相当」であるが、法二十三条一項、これは、小作料の額は主として当該小作地の通常の収益を基準として定めるべきものという二十三条の一項があって、「二三条一項もこの趣旨に沿って解釈すべきである。」ということですよね。こういう最高裁判決が出ているわけです。
 つまり、標準小作料に固定資産税をそれ以上に上乗せするということはやめておこう、私はそういうふうにこの判決を理解しているし、農家を励ましていると思うんですよ。だから、そういう判決も出ているわけだから、明らかにそれに反するような、標準小作料を上回るような、そこで上がっている利益以上の物すごい課税をするという、そういう事例もいっぱいあるわけですよね。私は、松山とか今治とか、いろいろなところでそういうことを聞いております。
 これも、もちろん固定資産税ですので、市町村とそれぞれの納税者とのやりとりということが基本であります。そういうことはよく理解しておるわけですけれども、少なくとも、この点どうでしょうか。こういう判例が出ているということを市町村にもきちっとお知らせし、きちっと対応してもらう。また、標準小作料まで減免できる、これは市町村長の権限でできるわけですから、そういうことを市町村にもきちっと周知するというあたりは、少なくとも自治体から見てやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
板倉政府参考人 今御指摘のありました十三年の最高裁判決でございますが、私どもは、この判決は、宅地並み評価を否定するというものではなくて、その税負担を小作人に転嫁することについての是非が争われた、こういうふうに理解をしております。
 おっしゃった部分以外の上告審の判決の部分でも、宅地並み課税は、市街化区域農地の価格が周辺の宅地並みに騰貴して、その値上がり益が当該農地の資産価値の中に化体していることに着目して導入されたものであるため、宅地並み課税の税負担は、値上がり益を享受している地主が資産維持の経費として負担すべきだ、こういうようなことを判決では言っておられるわけでございます。
 宅地並み課税と、今の都市計画法の中の保全する農地と、あとは市街化する土地、こういう二つに分かれているわけでございまして、おっしゃっているケースというのは、ちょうどそのはざまになるようなものかなというふうに私は理解をいたしました。
 一般的ではございますけれども、その結果、その農地の所有者が、ここに言いますような、天災、貧困等の理由によって担税力が脆弱な者等に対する減免というのに該当するということであれば、これは各市町村長が、公益上の必要があるということで自主的に判断をされるんだろう、こういうふうに私は思っております。(春名委員「周知してくださいという質問、それを」と呼ぶ)これは、一般的にこういう規定がもう法律の中に置かれておりますので、特定の場合にこれをどうぞ活用してくださいという形での周知は、ちょっと私どもの方ではなかなかしがたいなというのが正直な気持ちでございます。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
春名委員 時間が参りましたので終わります。
 今度の地方税法の改正、外形標準課税の問題とか土地税制の問題とか配偶者特別控除の廃止の問題とか、非常に大きな問題を持っていまして、とても看過できないなということを改めて申し上げまして、私の質問を終わります。
片山国務大臣 先ほどの春名委員への答弁の中で、私、簡易課税の話をしましたけれども、あれは一億円超の法人じゃないんですね、一千万以下の法人についての、もともとの案にあったわけでありますが、一億円で線切りになりましたから、自動的に簡易課税の方式というのはないわけでありまして、そこのところは念のために、ちょっと申し添えさせていただきます。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 質問も最後になりましたけれども、大臣、ひとつ正確に、懇切丁寧に答弁をお願いしたいと思います。
 質問に入る前に、法案の審議の仕方なんですが、今、地方税法の審議をしているんですが、地方交付税法はもう終わったんですね。それで、やはり順序としては、地方税法の審議をして、そして交付税法の審議があるというのが順序じゃないかなと私はずっと前々から思っていたんですが、その点、まず申し上げておきたいと思います。
 そこで、改正法案の内容に入る前に、基本的問題について質問しておきたいと思います。
 来年度の地方財政計画における地方税の構成比、これは、調べたんですが、一九七七年レベルになっているわけですね。これを埋めているのが交付税の借り入れ、地方債の増発、こういうふうな形になっているんです。
 そこで聞きたいのは、大臣は、経済財政諮問会議で、五兆五千億円の財源移譲を提起されております。改革工程表では六月には具体案をまとめる、このように明言しておられますが、大臣の言う五兆五千億円とは、あくまでも中央、地方の税財源の配分割合、よく五対五という言葉が使われるのでありますが、そのためのものというふうに私は受けとめるんですが、まずその点、確認したいと思います。
片山国務大臣 重野委員の言われるとおりでございまして、国と地方の関係において、国税をそれだけ減らして地方税をふやす、そのかわり、国が地方に対して負った国庫補助負担金をやめる、こういうわけでございますから、国と地方の関係だけでございます。
重野委員 そういたしますと、大臣が言われている数値の中には、この間、地方は百九十九兆円、膨大な地方の債務があるわけですね、その累積債務償還のための財源というのはもちろん含まれていない。そうしますと、地方の累積債務償還財源はどのように保障していくのかという点、これについてはいかがお考えでしょうか。
片山国務大臣 今私が言う税源移譲は、国と地方の関係を変えるわけでありまして、それ以外は中立なんですね。
 そこで、なるほど、この累積の債務が、地方は百九十九兆です。国は約五百兆ですね。これについては別途の方法を考えなければいけませんし、地方だけいえば毎年の元利償還の返還がかなりきつくなってきますけれども、それはもう委員御承知のように、毎年度の地方財政計画の策定を通じて、当年度の公債負担を全部のみ込んでそこで処理していく、足りなければまた特別の手当てを講ずる、毎年やっていることと同じことです。そういうことで将来とも対応していく、こういうことになると思います。
 本当のことを言えば、中立で、国と地方の関係を変えるだけではなくて、本当は地方の方にもっとたくさんもらいたいという気があるわけでありますが、今はなかなか国も大変でございますから、とりあえず国と地方の関係を変える、それ以外については中立だという方が議論としてはずっとしやすいのかな、こういうふうに思っております。
重野委員 容易なことではないと思うんです。
 前にさかのぼって調べてみますと、残高はふえる一方なんですよね。これは減ったことがないんですよ。大臣は、これは返さなきゃならぬと言うのだけれども、いつかこれが減るときが来るのかなと大変危機感を持っていますね。この額は五兆円や十兆円なんという話ではないわけでして、地方財政計画規模の二倍強の、そういう累積債務を持っている。
 今言ったように、さかのぼって調べてみますと、毎年毎年ふえていっている。しかも、私に言わせれば、小泉政権は縮小均衡化政策と言っていいと思うんですが、したがって、そういう構造政策によって税収は年々落ち込んでいくというこの現実を見れば、これはやはり大変だと思うんですね。
 この問題ばかりじゃなくて、こういうことをはらんでいるんですね。大臣は、三位一体の改革という言葉をよく使われます。この三位一体という同じ言葉ですけれども、財務大臣が三位一体ということを語るときには、国の借金減らしの方策としての三位一体論、こういうふうに聞こえるんですよね。総務大臣が三位一体論を語るときには、税財源の分権化としての三位一体、こういうふうに申しています。これは、同床異夢というか、あるいは呉越同舟というのか、三位一体論が閣内でそういうふうに分かれている。そのことをほっておって、この五兆五千億円か、こう言いたくなるわけですね。
 再度聞きますけれども、この五兆五千億円の性格、それから、これはくどいように聞きますが、いわゆる今地方が持っている償還財源、これをどう、保障という言葉が適切かどうかわかりませんが、どうしていくのかという点について、くどいようですけれども聞きます。
片山国務大臣 三位一体改革は、実は私が提案して、経済財政諮問会議でも承認といいますか、みんなに賛成を受けたことでございまして、これは税源移譲してもらう上に、税源移譲だけでは、なかなかそれは国の財政当局がうんと言いません、そこで、この際思い切って、国庫補助負担金の整理合理化もやりましょう、私どもの方が所管している地方交付税も見直しますと。そういうことの中で、ぜひ国から地方への税源移譲を前向きにやってください、こういうことなんですね。
 正直言いまして、恐らく財務省当局と我々は少し違うところがあるかもしれません。しかし、三つの改革はやろうということでは一致しておりますし、重野委員、昔は、国から地方への税源移譲なんて言えなかったんですよ。それがちゃんと閣議決定になっているんですから。骨太方針の中に二回も書かれて、それがちゃんと閣議決定して、年末の閣議了解では数兆円規模でやろう、そういうことまで合意しまして、とりあえずは二千四百億円、芽出しということで行ったわけでありまして、こういう意味では大進歩だ、私はこういうふうに思っております。
 そこで今の、国も地方も大変な累積の債務ですよね。これをどうやっていくかということは本気で考えなければいけませんが、私は、個人的な意見としては、これだけ常時国も穴があき、地方も穴があくのは、やはりサービスと負担の関係がバランスを欠いているんじゃなかろうかと。負担に比べてサービスが過剰なのか、サービスに比べて負担が過少なのか、あるいは両方なのか、こういうことでございまして、思い切った、負担と給付といいますかサービスの関係を見直していく、こういうことがどうしても避けて通れないと思いますよ、プライマリーバランスを本当に回復するためには。
 そういうことの中で、やはり景気を回復して、自然増収を国も地方もふやしていく。あるいは思い切った行財政改革で、むだなものが仮にあるとすれば、それをなくしていく。こういうことが必要だと思いまして、その上で、私は今の六対四を逆にしてもらいたいというのが最終的な希望ですけれども、とりあえずは五対五にしてもらう。これが本当の意味での地方分権であり、地方の行財政基盤の強化による地方自治の尊重だ、こういうふうに思っているわけであります。
 これだけの借金をどうするか。交付税については、もう委員御承知のように、法律で書いていますから、何年度までにどう手当てをするかというのは、国の責任、地方の責任、交付税の特会の借り入れについては。それから、起債や普通の一般会計債や公営企業債につきましては、これは、先ほども言いましたが、毎年度の地方財政計画の策定を通じて、その元利償還の補てん分はきっちり財政措置をしていく、こういうことになると思います。
重野委員 大臣の話を聞いていると、いや、そんな心配せぬでいい、こういうふうに聞こえるんですが、しかし、さっきも申しましたように、地方の債務残高、五年度末九十一兆円が、十年百六十三兆、十三年百八十八兆、十四年が百九十四、十五年百九十九というふうに、どんどんどんどんふえるばかりですからね。文字どおり、今大臣の言うことを、はい、そうですかというふうには合点はいきませんが、その問題はその辺にとどめておきまして、次に入ります。
 そこで、改正案の具体的内容について質問していきたいと思います。
 我が党は、一九六〇年代後半から、法人事業税の課税標準のあり方についていろいろと見直すことを主張してきた歴史がございます。今回の改正は、これまでの所得割に付加価値割と資本割を加えてきたわけですね。
 そこで聞くんですが、これをもって外形標準課税と申しているんですけれども、そもそも外形標準課税とは何ぞや、具体的定義、これをお聞かせください。
板倉政府参考人 外形標準課税という言葉の定義は何かという御質問でございます。
 これは、法令上の用語ではございませんで、明確な定義があるわけではございません。ただ、私ども、法人事業税の世界におきまして、所得以外の基準、いわゆる外形基準を課税標準とすることをいうものというふうに認識をいたしております。
重野委員 今の局長の説明が定義だというなら、どうして資本割を課税標準に加えたのか。資本割は外形標準とは余り関係のあるものではないと私は思うんですね。
 私、いろいろ調べたのでありますが、最初の案ではこの資本割というものは入っていなかったやに風聞するのでありますが、それについては、そのように理解していいんでしょうか。
若松副大臣 この法人事業税そのものですが、法人が都道府県の行政サービスから一定の受益を得ていることに着目されて課されている制度だということで、その課税標準は、所得ではなくて、法人の事業活動の規模をできるだけ適切にあらわすもの、これが望ましいということでございます。
 政府税調の中期答申におきまして、望ましい外形基準として四つの類型が示されておりまして、中でも、事業活動価値、いわゆる付加価値ですね、これは法人の人的、物的活動量を客観的、公平に示すということで、理論的に最もすぐれた特徴を有している、このような議論がございました。しかしながら、この付加価値の構成要素の多くを給与が占めていることから、賃金課税であるとか、また担税力にも配慮すべきである、そういったさまざまな経済界からの意見もございまして、今申し上げました四つの類型の一つであります、法人の事業活動の規模をある程度示して、かつ担税力を示す側面も有します資本等の金額、これも課税標準として補完的に併用した次第でございます。
重野委員 当初この部分は考えられていなかったのではないかということについての返事は今なかったんですが、結局、私は、今の副大臣の説明を聞いても正直言ってよくわからないのでありますが、途中からにわかにこれは入ってきたんじゃないかと。そこにはある種のパワーが働いた、こういうふうな話も風聞するのであります。したがって、課税方法等々について随分合理性を欠くものとなっているという見方もあるわけですね。
 先ほど春名議員も質問しておりましたけれども、つまり、資本金千億円超の問題ですね。五千億円と一兆円を境に割り落としをして、そして結果的に、圧縮後の課税標準を千億円、三千億円、四千二百五十億円、こういうふうにしているんですよね。これも不自然だと言わなければなりません。
 つまり、本来、外形標準とは言えない資本割をこの外形標準に加えて、しかも課税標準を圧縮することで結果的に、先ほどもありましたけれども、資本金の大きい企業ほどこの税負担は横ばいに近いものとなる。加えるべきでないものを加えたばかりにさらなる誤りを招く、そういうふうな見方ができるんですが、これについては、大臣、どのように考えていますか。
片山国務大臣 法人の事業活動の結果を正確にあらわすものは付加価値でしょうね。資本も外形標準なんですよ。外形標準なんですが、そういう議論が政府税調の小委員会なんかでもありました。それで、我々も付加価値でいきたい、こういうふうに思ったわけでありますが、やはり付加価値にすると、今言いましたように付加価値の中で一番大きいのは人件費ですから、その人件費にやや偏っているではないかと。人件費は大きいんですよ。大きいけれども偏ってはいないんですよ。ただしかし、そういう御心配があるものですから、それじゃ、人件費についての一種の控除の仕組みをつくりましょうと。そこで資本も入れましょうと、三分の一だけ。
 入れたわけでありますが、それじゃ、資本が物すごく大きくなるほどそれだけ物すごい都道府県のサービスを受けて、それに伴う、受益に見合う税を払わないかぬかというと、それはそうじゃないんですね。だから、一千億を超えるものについては一千億を限度にしたらどうだろうかと。過大になるんです、むしろ資本金の方が。だから、そこは人件費の方にも調整措置、資本の方にも調整措置を講じまして今の仕組みにしたわけでございまして、これはまた、いろいろなシミュレーションをしてみますと激変緩和にもなっているんです、結果としてはですよ。
 そういうことでございまして、いろいろな考え方がありますが、我々は付加価値が一番すっきりすると思いますよ、付加価値だけが。しかしその上に、いろいろな皆さんの意見を聞いて、資本も加え、人件費についても資本についても調整措置を講じた、これが実態でございます。しかし、委員、税というのはそういうものですよ。筋だけでぐっとはなかなかいけないので、現状も考えながら皆さんの合意を得てまとめていく、こういうことでございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
重野委員 私は、外形標準とは何ぞやというのでちょっと調べたんですけれども、言葉ですね、外形標準。見ますと、こういうふうに書いているんです。外形標準とは、所得以外の企業活動を示す指標だと。すなわち、事業所の面積あるいは売上高、こういうふうに書いているんですね。そもそも性格が、資本金というものはそういう性格ではないという私の認識がある。だから、それをこの中に入れるということについては、私はやはり何か無理がある。それを正当化しようとすれば、そういうふうに圧縮して、入れた内容を今言ったように変形的なものにしていかなきゃならぬという、矛盾が矛盾を生んでいく、そういう結果ではないのか、こういうふうに私は思っております。
 もう時間も来ますが、同じことを付加価値割にも申してみたいと思うんですね。
 報酬給与額が収益配分額の七〇%を超える場合には、超える額を控除する、まず、これを一体なぜ控除しなければならないのかという点が一つ。では、そうなると、付加価値の六〇%以上を占める給与ですよね、これを、その分税金をうんと払わなならぬとなると、結果としてそれを抑えていくという作用が働くのではないか、こういう懸念を持たざるを得ないんですね。これでは税の合理性が保たれないじゃないか、こういう私の疑問があるんですが、これはいかがお考えですか。
片山国務大臣 結局、人件費のウエートがどうであろうが、付加価値でとれば一緒なんですよ、本当は。今言いましたように、付加価値は人件費になり、配当になり、利子になり、それから最終的に残ったものは損益になるので、全部をつかまえるわけですからね。人件費をたくさんとれば、損が出るか益が少なくなるかですよね、ほかのものが固定なら。だから、そこは付加価値をとれば一定なんですが、むしろ、それを控除ということで圧縮することによって、人件費をたくさん使っても税金が安いという効果があるんです、逆に。我々はそれをねらったんですよ。
 人件費課税だ、賃金課税だということを盛んに言われましたから、むしろ控除することによって実体の人件費よりも低目に税金を払えば済む、こういうことになるわけでございまして、そういう議論が盛んに政府税調その他でもありましたから、そういう仕組みを入れさせていただいて、皆さんの御納得を得たわけであります。
重野委員 それでは、次に事業所税について。
 まず、新増設に係る事業所税の廃止、この目的について、私はそれを廃止することによって土地の流動化を促進するのかなというふうに私なりに思うんですが、これはそういう理解でいいんでしょうか。
片山国務大臣 これも、我々としては、こういうことを言ってはいけませんが、できれば守りたかったあれでございますが、土地の流動化をするためにはぜひ流通関係の税を軽減すべきだという強い意見がありまして、登録免許税なんかとあわせて不動産取得税も軽減する、そういうことの中で、この事業所税の新増設分については、これはやめようと。
 結局、新増設分から金を取るということは、一種の立地規制なんです。立地を抑える、ブレーキにするあれがあるんですね。だから、ここは税金を取らない方が立地しやすいじゃないか、こういう議論でございまして、そこで、税額等も考えまして、我々は今回これを廃止することに踏み切ったわけでございまして、結果としては、委員、税金を取るより取らない方が流動化に役立つことは、いずれにせよ確かでございますので、そういうことでこういう判断をいたしたわけであります。
重野委員 そこで、国土交通省に聞きますが、いわゆる二〇〇三年問題、こういうことが言われています。オフィスビルの過剰が問題視されている、これについてどのように認識しておられるか、それが一つ。また、この新増設に係る事業所税については国土交通省は強くこの廃止を主張した、こういうふうに聞いておりますが、それは間違いないか。それから三つ目に、そうであれば、この税の廃止を求めた理由は何か、先ほどちょっと総務大臣も述べられましたけれども。そのことと、四つ目に、廃止とこの二〇〇三年問題、オフィスビルの過剰という話が出ていますが、これは両立するのか。それについて具体的にひとつ説明をお願いします。
澤井政府参考人 ただいまの四点の御質問につきまして御説明申し上げます。
 まず一点目に、二〇〇三年問題についての認識はどうだということでございますが、東京二十三区で大規模オフィスビルが二〇〇三年にかなり集中して供給されるという、まず現象的な問題でございます。
 このいわゆる二〇〇三年問題につきましては、要因は幾つかあると思っておりますけれども、一つには、いわゆる旧国鉄清算事業団用地の開発案件がこの二〇〇三年に集中しているということがございます。品川駅の東口あるいは汐留等が代表でありますが、そうしたことを主たる要因といたしまして、いわゆる大規模オフィスビルについて大量供給が生ずるという一時的な現象であるというのが基本的な認識でございます。
 ちなみに、過去十年間の平均で大規模オフィスビルの供給量を見ますと、大体一年間百万平米でございます。一方、二〇〇三年には二百万平米強の供給がされますけれども、そのうち約半分がただいま申し上げました旧国鉄清算事業団用地関係の案件でございます。
 一方で、この二〇〇三年に大量供給されるということの一種反動といいましょうか、二〇〇四年以降につきましては、大規模オフィスビルの供給量は減少することが見込まれております。これは既に着工されているプロジェクトを把握すればかなり確度の高い予測ができるわけでありますが、そうしたベースで民間企業で把握しておられる数字を申し上げますと、二〇〇四年から二〇〇七年の間には、先ほど二〇〇三年が二百万平米強と申しましたが、逆に四十万平米から七十万平米ということで減ります。したがって、直近の過去十年の平均、これは大規模ビルの供給量が大体百万平米ぐらいでありますが、二〇〇三年以降の数年をとりますと、やはり先ほどの反動減ということもあわせまして百万平米ぐらいになります。
 なお、バブル期の一番大量に供給されたのは一九九四年ということになっておりますけれども、そうした年次と、今大規模ビルのことを申しましたが、小規模ビルも含めた総供給量ということで比較いたしますと、先ほど言いました一九九四年の約六割という水準になります、二〇〇三年は。
 こういったことから見まして、今後数年間で今回の大量供給に関する需給は調整されていくであろうというふうに考えております。
 次に、新増設に係る事業所税の廃止を国土交通省の方で要求したのではないかという御指摘でございますが、御指摘のとおりでございます。国土交通省といたしましては、平成十五年度税制改正要望の重点事項の一つとして、この事業所税の新増設分の廃止についてお願いを申し上げたところでございます。
 その理由でありますが、まず都市政策上の側面からいいますと、我が国のオフィスストックの現状というのはまだまだ極めて不十分な状況にございます。例えば都心三区、我が国の中枢的な機能が集まっている区域でありますが、そこのオフィスビルの状況を見てみますと、例えば阪神・淡路大震災でも、昭和五十六年の新耐震基準以降のビルかどうかで倒壊の状況が決定的に違ったわけでありますけれども、この昭和五十六年の新耐震基準を満たしていないビルが、今申しました都心三区においてすら半分以上ございます。さらに、今後に向けた情報化対応等いろいろな課題を有するビルが、繰り返しですが、都心三区において約七割を占めているという状況にございます。こうした状況を改善して、魅力、活力にあふれる都市の実現を図っていくという観点が一つでございます。
 また、一千四百兆の個人金融資産等民間資金をこうした将来の都市づくりのための投資に結びつけるということで、先ほど来御議論の、土地の流動化あるいは土地の有効利用を促進していくことが、一方で、現在のデフレ状況からの脱却、我が国の経済構造改革を進めていく上でも必要かつ有効であると考えた次第でございます。
 しかしながら、民間建築投資全体は、ピーク時、平成二年度でありますけれども、その約三七%にまで落ち込んでおりまして、都市機能の更新がその意味でも停滞しているところであります。
 こうした状況のもとで、御指摘の新増設に係る事業所税につきましては、新規の建築投資を促す観点からその廃止をお願いしたものでございます。
 このことと二〇〇三年問題は両立するのかということでありますが……(重野委員「簡潔にやって」と呼ぶ)
遠藤委員長 簡明に。
澤井政府参考人 失礼しました。
 先ほど言いましたように、二〇〇三年問題は、東京の大規模オフィスビルに限って生ずる一時的な問題だと考えておりまして、端的に申しますと、大規模ビルについては、通常三年程度の工事期間を要するなど、事業が完成して実際に床が供給されるまでには一定の期間を要します。したがって、今回の税制改正が二〇〇三年における大規模ビルの床供給に拍車をかけるようなことにはならないと考えております。
 以上でございます。
重野委員 国土交通省の考え方はそういう考え方ですが、私は、そう簡単にこの新増設分について廃止していいということにはならぬと思うんですね。
 これには経過がありますね。旧自治省時代からずっとさかのぼってみると、一九七五年、税制改革の答申で、「大都市地域における行政サービスと企業活動との間の受益関係」云々というのがあるんですね。その中で、「これらの地域に所在する事務所事業所に対して負担を求めること」とすると、そういう背景で創設されたのがこの事業所税なんだ。
 このとき、一九七五年版「改正地方税制詳解」という冊子がありますが、これを読んだら、「事業に係る事業所税と新増設に係る事業所税の税収がおおよそ半々、事業に係る事業所税のうち資産割と従業者割の税収がおおよそ半々になるよう定めたものである。したがつて、」「三者のバランスがくずれるようなことになつたときは、たとえば三年程度で資産割及び新増設に係る事業所税の税率の見直しをすることが必要」、こういうふうに書いているんです。
 そういう流れから見て、この新増設について廃止すべきなどという、このことは全く予想されていないと私は思うんですね。だから、新増設に係る課税分を廃止するという政策的な理由は私はないと。今言ったように、用途が変更される、それはそれで改善していけばいいのであって、逆に言うと、そういうふうに次から次にビルを建てていくことを通して、結果として、一方においては空きビルが出てくる、新しいところにどんどん移動していく、こういうことの追っかけっこがもう始まっているんじゃないかと。そういうときにこの施策はよくない、このように私は思うんですが、大臣の答弁。
片山国務大臣 重野委員のようなお考えは当然あると思いますけれども、今、新増設分と事業分はもう九対九一になっているんですよ。事業分が九一%、新増設はもう九%なんですね、全体の。約三百億円ですね。
 そこで、こういう流通関連税制が土地の流動化を大変阻害している、いろいろな立地を阻害していると一方では強い要請がございまして、そういうことの中で我々としてはいろいろ考えて、新増設だけこの際はそれじゃやめようか、こういうことになったわけでございまして、その辺の事情を十分御理解賜りたい、こういうふうに思っております。
重野委員 同じく固定資産税について聞きますが、今、平成の大合併、いわゆる市町村合併がどんどん推進されていく、その中で、新たに三大都市圏の市となる地域に所在する市街化区域農地、これについて合併後五年間、宅地並み課税を行わないとしているやに聞いておりますが、これは一体どういうことかということ。
 それから、こうした問題というのは、何か市町村合併を何が何でもやるぞという決意のあらわれの裏返し、こういうこともありますよと、誘導策というふうに言ってもいいんじゃないかと思うんですが、私は、やはりこの問題というのはもっと慎重に議論をしなきゃならぬ問題だと思うんですね。もし仮に農地に対する負担の激変緩和を図るのであれば、例えば生産緑地制度を活用するとか、そういう積極的な側面を持つ制度を活用することも検討すべきではないか、私はこのように思うんですが、この点についてはいかがでしょう。
板倉政府参考人 市街化区域農地課税の関係でございますが、委員も御承知かと存じますけれども、三大都市圏の市の農地、市街化区域農地につきましては、保全する農地以外のものについて宅地並み課税が行われるということになっております。これは町村には適用されておりませんので、もしその隣の町村がこの市と合併をいたしますと、新しい市になるということで、この町村にありました市街化区域の農地が、当然、保全する農地を選択される方もいらっしゃるかもしれませんが、そうでない場合には市街化区域農地の宅地並み課税の対象になる。
 そうなりますと、今の負担調整措置が適用になりますけれども、一挙に五年間で近傍の宅地並みの課税と同じ水準まで税金が上がるということでございまして、今回の措置はこれを五年間は行わないということでありますから、五年後に同じようなことが起こるということでございまして、未来永劫やめてしまうということではございませんけれども、少なくとも合併の障害になる可能性がありますので、これを除去したいということでございます。
 当然、おっしゃいました生産緑地、保全する農地、そういうものを選択された場合には農地としての課税ということになりますので、こういう問題は起こらないわけでございます。
重野委員 最後に、まだ二、三分ありますから、金融・証券税制の軽減、簡素化問題。
 株式等の配当及び株式譲渡益に係る課税方式、これについて、道府県民税配当割及び道府県民税株式譲渡益割を創設して、特別徴収方式を実施する、そして、したがって申告は必要としない、これが改正の主たる内容になっていますが、これは都道府県の境を越えて取引される金融・証券であります。
 それで、その税制については、特別徴収義務者が自治体に納入する、それは一面では当然と言えましょう。しかし一方では、事務の煩雑さを招く嫌いはなしとはしないと思うんですね。その意味で、今後、納入すべき税収がどういうふうにすればスムーズに混乱なく入ってくるのか、あるいはほかの税で措置するという方法も検討されてもいいのではないかなというふうな感じもするんですが、この点についていかがでしょうか。
若松副大臣 最後の御質問にお答えいたします。
 まず、株式の配当や譲渡益といった所得に対する課税につきましては、これまでも地方団体が課税してきたところでございまして、地方分権推進の観点から、地方税の充実確保が求められている中、引き続き地方税として課税することが適当と我が方は考えております。
 なお、今回、道府県民税として配当割及び株式等譲渡所得割を創設することとしておりますが、これは、納税者の利便性を高める観点から、配当の支払い時にその支払い者が税を徴収するものでありまして、課税団体を都道府県としましたのは、特別徴収義務者の事務負担に配慮したものでございます。
 また、現行の利子に係る地方税の課税の仕組みにつきましても、配当割及び株式等譲渡所得割とおおむね同様の仕組みとなっているところでございます。
重野委員 以上で終わります。
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。山田敏雅君。
山田(敏)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、地方税法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
 二〇〇二年十二月の完全失業率は、五・五%と前月より〇・二ポイント上昇し、過去最悪の水準に並びました。二〇〇二年度の平均では五・四%と、過去最悪の失業率を記録しています。職を失った世帯主の数や倒産、解雇などによる失業も依然高水準で、雇用環境は悪化の一途をたどり、家計の消費も萎縮しています。消費者物価も三年連続で前年度を下回り、デフレはとどまるところを知らず、景気は一段と厳しさを増しています。その上、イラク情勢の緊迫化を受け、頼みの米国経済に先行き不透明感が強まっています。
 このような情勢の中で雇用を外形標準課税の対象に入れれば、雇用環境はさらに悪化し、一段と景気が冷え込むことは目に見えておりますが、本委員会の審査では、税制中立との政府答弁に対し、千三百億円の増税になるという試算さえ示されています。
 また、政府は、「地方六団体からの要望があり」、「国会で決めること」と申しますが、それであるならば、補助金改革、地方交付税改革、税源移譲の三位一体改革を、「芽出し」などとは言わずに、抜本的に行うべきであります。これでは、六月に発表される政府の改革案も、しょせん中途半端なものになることが危惧されます。
 本改正案により、小泉政権の言う改革が見せかけであること、国民にしわ寄せを押しつけようとしているだけであることがより明確になったということを申し述べ、私の討論を終わりにさせていただきます。(拍手)
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をいたします。
 現在、日本経済及び地方財政は極めて緊迫した状況下にあり、抜本的な改革を断行しなければ破綻してしまうであろうことは、だれの目にも明らかとなっています。しかし、小泉政権は、何ら有効な対策を打ち出さず、かえって景気に悪影響となる政策のみを打ち出しているのであります。今回の地方税法等の改正案も例外ではありません。
 まず、法人事業税の外形標準課税の導入であります。
 政府は、これが今回の地方税制改革の大きな柱であると述べていますが、これこそ場当たり政策の象徴的な事例であります。今回は資本金一億円超の法人のみを対象としていますが、この理由自体が不明確であります。現在、我が国には二百四十六万社ありますが、導入対象を限定することが、不況のあおりを受けている資本金の小さい中小企業のためというのであれば、そもそも今この時期に無理に外形標準課税を導入する必要はありません。さらに、この外形標準課税は税収中立であると説明していますが、それならば、なぜ今この経済不況の時期に一部の会社のみを対象とした外形標準課税を導入するのでしょうか。
 このように、政府がどのような理念に基づいて外形標準課税を行うのか一切明確になっていないのであります。
 また、土地税制についても、本来であれば、土地の流動化を促進するために、固定資産税や特別土地保有税などの土地の保有に関する税を抜本的に見直すべきでありますが、真新しいものは全くなく、小手先だけの改正で済ませているのであります。
 さらに、小泉政権は、たばこ税の増税、配偶者特別控除の見直し、自動車関係諸税の暫定税率の維持などの一大大衆増税を実施しましたが、これによって地方に入る税収は地方財政計画全体から見ると極めて微々たる額であり、逆に地方財政に与える悪影響の方が大きいと言わざるを得ません。
 以上、今まで述べたように、今回の地方税法の改正案は、国民生活に悪影響を与えるとともに、緊迫している地方財政を改善できるものではなく、到底容認できるものではないことから、本改正案に反対の意見を表明して、私の討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、改正案が、個人住民税の配偶者特別控除上乗せ分の廃止二千五百五十四億円、地方たばこ税千五十五億円など庶民増税であること、国税改正による地方消費税千二百六十億円の増税を含めると、地方税関係で五千億円の庶民増税となるものであり、政府の四兆円国民負担増政策の一環となっており、赤字企業の増税となる外形標準課税の導入とあわせて経済危機に拍車をかけるものとなるからです。
 とりわけ配偶者特別控除上乗せ分の廃止については、その対象者が約千二百万人に上り、国税における負担増と合わせると年間六万円の増税となるなど重大問題です。担税力のある大企業、資産家には減税する一方で、こうした庶民増税は、国民生活を一層痛めつけ、消費を冷え込ませ、景気回復に逆行するものであります。
 反対理由の第二は、法人事業税への一律の外形標準課税の導入が、これまで税負担のなかった赤字企業に課税するものであり、経済に悪影響をもたらすこととなるからです。
 この税制は、トヨタ自動車などもうけを上げている大企業に減税し、赤字企業に増税負担を求めるものであること、しかも、今回の制度設計においては、資本金一千億円以上の企業には資本割課税を段階的に圧縮するという、巨大企業、特に金融機関を優遇する措置をとっており、公平さに欠ける制度となっていること、今後、応益負担、受益者負担の名目で一億円以下の中小零細企業への導入への第一歩となるおそれのあることなど、問題点を持っています。
 反対理由の第三は、財政危機の進む地方自治体に、大企業優遇による地方税収の大幅減収を押しつけるものとなっているからです。
 改正案には、千百九十九億円の減収見込みとされる不動産取得税の大幅な軽減、三百五十四億円の減収見込みとされる特別土地保有税の凍結を初め、新増設に係る事業所税の廃止などが盛り込まれています。これらは、地方税収の大幅減収をもたらし、地方自治体の財政危機を一層深刻にするものであり、一方で土地流通の促進をねらう大企業を優遇する措置であり、認めることはできません。
 なお、事業所税については、現在、新増設分については二千平方メートル以下は非課税となっており、改正案による新増設分への課税廃止によって優遇されるのは大企業が大半であることも申し添えておきます。
 最後に、私どもは、二月の全国町村会・全国町村議長会の地方自治の確立を求める共同決議を受けとめ、憲法に基づく地方自治の発展を願う立場から、政府による強制的な市町村合併政策が地方自治を形骸化し、住民福祉の低下と地域の衰退をもたらしつつあることを指摘するとともに、政府の地方行財政政策の抜本的転換、国から地方への税財源の移譲と事務権限の移譲による真の地方自治権の拡大を政府に強く要求し、反対討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案につき、反対の討論を行います。
 自治体の自主財源の根幹をなす地方税収は、対前年度比六・一%マイナスの三十二兆一千七百二十五億円に落ち込むなど、構造政策と称する小泉内閣の縮小均衡化政策によって深刻な状況となっています。このような税収減によってもたらされた財政危機と、その根源にある経済危機のもとで、住民に密着し、身近な仕事を担う自治体のセーフティーネットは、新たな張りかえを求められているにもかかわらず、逆に編み目を大きくしているばかりか、破れ目を拡大している実情にあります。
 これに対し、小泉内閣は自治体からセーフティーネットを張りかえようとする意思はなく、逆に、今回の国、地方を通じる税制改正にも見られるように、一方的な国民及び住民の負担増のみが先行されています。これでは地域社会がますます疲弊する一途をたどることは明らかであり、以下、反対の理由を申し述べます。
 その一は、税財源の地方分権が、高速道路整備の関係での自動車重量譲与税等の一部の見直しにとどまるなど、ほとんど手つかずのまま顧みられなかったことであります。
 地方財政の危機を解決し、分権社会を実現するには、国、地方を通じた税財政の構造自体を転換させることが必要であるにもかかわらず、三位一体改革の芽出しの方向性は、わずか五百億円にも満たないもので終わった点で、税財源の分権化の展望が極めて不安定なものであることを露呈しています。
 その二は、法人事業税の外形標準課税への転換問題です。
 我が党は、従来から外形標準課税への転換を主張してきたところでありますが、しかし、この間、常に先送りをしてきたのは政府であります。しかも、今回の外形標準課税化は、名前は外形標準課税とはいうものの、資本割の設定や給与の取り扱い、資本金一千億円を超える部分の段階的な圧縮を初め、課税対象、課税方法等その中身は大きな問題をはらんだものとなっており、外形標準課税というには極めて疑問があるものと指摘せざるを得ません。
 その三は、都市再生、土地の流動化の名のもとに、不動産取得税の軽減や特別土地保有税の課税停止、事業所税の新増設分の廃止などが行われることであります。
 特に事業所税は、都市部における諸問題を解決し、都市機能を再生するためのインフラ整備、改善に充てる目的税であるにもかかわらず、土地の流動化を進めるため新増設分を廃止することには大きな政策的矛盾があると考えます。
 そのほか、固定資産税の評価がえに伴う負担調整措置のあり方、配偶者特別控除の廃止、道府県民税の配当割、株式等譲渡所得割の創設などについても多くの問題を含んでいることを指摘しておきたいと思います。
 最後に、歳入定まらずして交付税確定せず、これが地方税財政制度の原則であります。私は、今回のこの法案審議において、この原則を外れた部分があったという点を指摘しなければなりません。これについて関係各位の猛省を促し、私の反対討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより採決に入ります。
 地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、林幹雄君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守新党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。武正公一君。
武正委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 地方税は地方公共団体の重要な自主財源であることにかんがみ、地方分権の進展に応じて地方公共団体がより自主的かつ自立的な行財政運営を行えるよう、地方における歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小する観点に立って、課税自主権を尊重しつつ、税源移譲を含め、国と地方の税源配分の在り方を抜本的に見直し、地方税源の充実確保を図ること。
 二 法人事業税について、現在収入金額を課税標準としている業種に関しては、今回の法人事業税への外形標準課税導入の趣旨にかんがみ、個々の地方公共団体に与える影響等も考慮しつつ、今後その課税の在り方の見直しに向けて、検討を行うこと。
 三 税制の簡素化、税負担の公正化を図るため、非課税等特別措置については引き続き見直しを行い、一層の整理合理化等を推進すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
遠藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時二十一分散会


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