衆議院

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第11号 平成15年4月15日(火曜日)

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平成十五年四月十五日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩倉 博文君    岩永 峯一君
      上川 陽子君    左藤  章君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      平林 鴻三君    宮路 和明君
     吉田六左エ門君    阿久津幸彦君
      荒井  聰君    大出  彰君
      玄葉光一郎君    島   聡君
      仙谷 由人君    中沢 健次君
      松崎 公昭君    山田 敏雅君
      東  順治君    山名 靖英君
      山岡 賢次君    春名 直章君
      矢島 恒夫君    重野 安正君
      横光 克彦君    江崎洋一郎君
      金子善次郎君    佐藤 敬夫君
      三村 申吾君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   内閣府副大臣       根本  匠君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官
    兼行政改革推進事務局
    長)          堀江 正弘君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君
   政府参考人
   (総務省人事・恩給局長) 久山 慎一君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          森   清君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房総括
   審議官)         鈴木 直和君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  佐田玄一郎君     岩倉 博文君
  荒井  聰君     阿久津幸彦君
  玄葉光一郎君     仙谷 由人君
  久保 哲司君     東  順治君
  佐藤 敬夫君     江崎洋一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  岩倉 博文君     佐田玄一郎君
  阿久津幸彦君     荒井  聰君
  仙谷 由人君     玄葉光一郎君
  東  順治君     久保 哲司君
  江崎洋一郎君     佐藤 敬夫君
    ―――――――――――――
四月七日
 住民基本台帳ネットワークシステムの中止に関する請願(大畠章宏君紹介)(第一四二九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省人事・恩給局長久山慎一君、総務省自治行政局公務員部長森清君、内閣官房内閣審議官柴田雅人君、内閣官房内閣審議官兼行政改革推進事務局長堀江正弘君、内閣官房内閣審議官春田謙君及び厚生労働省大臣官房総括審議官鈴木直和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仙谷由人君。
仙谷委員 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案の審議に当たりまして、私から質問をさせていただきます。
 いわゆる中央のキャリア官僚が地方自治体へ出向というんでしょうか、派遣をされるというケースがよくございます。それは、ある種の休職といいましょうか退職といいましょうか、退職をなさって行かれる場合もあるようなんでありますが、関連をすると思いますので、最近の問題事例についてお聞きをしておきたいと思います。
 まず、地方自治体の特別職といいましょうか、県でいえば副知事とか出納長とか、そういう職に派遣をするというのは、これは総務省としては何か基準をお持ちなんでしょうか。あるいは、どういうふうなやり方でやっていらっしゃるんでしょうか。
片山国務大臣 今、仙谷委員からお尋ねの件でございますが、国と地方の人事交流につきましては、方針というほどのものじゃないんですけれども、毎年度、全省庁を通ずる人事管理運営方針というのを決めているんです。これは、私どもの方が事務局としてつくらせていただきますけれども、全省庁を通ずる方針でございまして、この人事管理運営方針の中で、国と地方団体の人事交流は、相互理解の促進や人材の育成や組織の活性化等の面で大変意義があるので、できるだけやろうと。ただ、基本的には、国と地方は対等、協力でございまして、地方の方からの要請がある場合に派遣する、こういうのが一般でございます。
仙谷委員 そうすると、要請があれば原則としてはそれに応じる、こういうふうに伺ってよろしいんでしょうか。何か障害になるようなケースというのは、その方針の中で記載されておるというか、決められておることはございますか。
片山国務大臣 人事管理運営方針はかなり一般的、抽象的なことを書いておりますから、原則は、要請される方と要請を受けた方が十分協議して、合意の上で出す、こういうことでございます。
仙谷委員 そこでお伺いをするわけですが、最近、私の地元の徳島県をめぐって、この問題についてトラブルといいましょうか、やや新聞記事に取り上げられるようなことがございました。
 徳島県の方から、あるいは県知事の方からかどうかわかりませんが、副知事の要請というのが、昨年の年末ごろからそういう要請があったことがありましたでしょうか。
片山国務大臣 私に対してではございませんで、官房長等に対しまして知事の方から要請があったと聞いております。
仙谷委員 総務省としてはどういうふうに対応したんでしょうか。
片山国務大臣 知事さんの意向を十分聞きまして、しかるべき人をそれでは御推薦申し上げようということで、私は、かなり誠実な対応をした、こういうふうに思っております。
仙谷委員 そこで、誠実な対応の結果、具体的な提示までされたんでしょうか。
片山国務大臣 総務省としては適当と思う候補者を決めたわけでございますが、仙谷議員御承知のような事情がございまして、名前までは知事さんに申し上げたかどうかは聞いておりませんが、候補者は決めまして、いわば待命的な状況に置いたことは事実であります。(仙谷委員「何的状況」と呼ぶ)待命、待機。
仙谷委員 いつごろの話でございますか、時期は。待命的状況に置いたのはいつごろでございますか。
片山国務大臣 ちょっと時期は定かでありませんが、二月の終わりから三月だったんじゃないでしょうか。
仙谷委員 詳しくわかりましたか、今。
片山国務大臣 そういう状況で、本人にも内々の注意をしなきゃいけませんから、そういうことをしたのは二月のぎりぎりの終わりでございます。
仙谷委員 二月の終わりには候補者を選定して、徳島県もしくは徳島県知事の方に提示をした、こういうふうにお伺いしてよろしいですね。
片山国務大臣 今、官房長に確認いたしましたら、名前も提示いたしております。
仙谷委員 名前を提示したほかに、もうちょっと突っ込んだやりとりもあったんじゃないんでしょうか。
片山国務大臣 私が確認したわけじゃありませんが、官房長の言によりますと、お互い顔合わせもいたしたようであります。
仙谷委員 この人でいいかということで顔合わせをされて話をした、こういうことなんじゃないかと思うんですが、いわば、首実検と言うと語弊がございますけれども、要するに、お見合いというかそういうところまでいっておった、こういうことだと思いますけれども、それでよろしいですか。そして、徳島県の方からはその方についてどういう返事だったんでしょうか。
片山国務大臣 知事さんの方からは特に異論がなかったと聞いております。
仙谷委員 そうすると、知事の方も、総務省の方にお願いをして、総務省から出てきた人を拝見して、お会いになって、それでお話をして、ではこの人で、ありがたくちょうだいするといいましょうか、ありがたいといいましょうか、結構である、明示か黙示かは別にして、こういう意思表示があったということだったわけですね。うなずいていらっしゃるからそのとおりだと思います。
 そうしますと、その後この問題はどのように推移していくんでしょうか。つまり、知事が提案して、議会の同意を受けなければ正式発令というわけにはいかないわけですよね。どういうふうになりましたでしょうか。どういうふうに報告を受けていますか。
片山国務大臣 今委員言われましたように、特別職でございますので、県議会の承認が要るわけですね。恐らく県の方の手続としては、県の議運か何かに提示して、各党の御了承を得るような手続に入るわけだ、こういうふうに思っております。
 一般職でございますと知事だけの権限で任命できるわけでありますが、特別職でございますので、そういう手続ではないかと考えておりますが、その辺から、御承知のような県内事情でなかなかスムーズにいかなかった、こういうことであります。
仙谷委員 私は若干は承知しておりますけれども、私と大臣だけが承知しておってもしようがない話でございますので、御承知のような県内事情というのはどういうことですか、おっしゃってください。
片山国務大臣 県議会の中に知事さんに対する不信任の動きがあり、しかも同時に、特別職、副知事等の同意案件について必ずしも承認がしがたいのではなかろうか、こういうふうな情勢になったと私は聞いております。
仙谷委員 情勢になったというふうに報告を受けておるわけですが、どういう情報網からそういう、副知事を提案しても承認しない、それから知事を不信任するというふうな情報が大臣のところあるいは総務省の方に上がってきておりますか。
片山国務大臣 私は官房長等から報告を聞くのが中心でございますが、知事さんからも私にも一遍ぐらい電話があったと思いますけれども、とにかく知事さん、固有名詞を出して提示されて、それが否決になったりたなざらしになると、御承知のようにやめていくのですから、大変個人に対しての大きな迷惑になるので、その辺ははっきりしていただかないとなかなか出しにくいのですということを私は知事さんに、表現はともかく、そういう趣旨のことを申し上げたようですが、知事さんは、なかなか難しいが努力はしますというようなことを言われたような気がいたします。
 その他、マスメディアの皆さんからもいろいろな話を私聞かせていただきましたが、私自身が的確に情報を承知しているわけではございませんが、そういう意味では、いずれも伝聞でございます。
 知事さんとは話をいたしました。
仙谷委員 地元選出の国会議員の方から、県議会議員がこういうふうに言っておると。そういう話、働きかけ、あるいは提案しても承認をしない、否決をするから提案をさせないように、つまり、総務省の方から人名を出さないあるいは総務省の方からもう送らない、こういうふうにしてほしいという働きかけはありましたですか、なかったですか。
片山国務大臣 国会議員の皆さん、皆さんでもないのですが、一、二の方から県内情勢のお話は聞いたことがございます。
仙谷委員 県内情勢というのは今の県議会情勢ということですね。――はい、うなずいていらっしゃるから。
 それで、結局のところ、この問題はこうなったんですよ、御存じだと思いますが。大田さんという知事さんが県議会で、二月定例議会の最終日に不信任決議案を提出されまして、それが可決されたんですよ。今度は不信任の理由が、副知事、出納長の選任議案を議会に提出すらせず、行政組織は十分に機能していない、それから、会長・幹事長会を招集しながら副知事名を出さなかった。
 つまり、一方では国会議員を通じて総務省に、出しても否決するんだから出すなという働きかけを精力的にやりながら、今度は、出せなかったら、知事が総務省との話し合いの中で無理押しして、先ほどの見合いまでした人の名前を出せば出したでよかったんだけれども、出したら総務省に迷惑がかかるということで出さなかった。そうすると今度は、出さなかったことを不信任の提案理由にして、数で、数の力で押しまくって知事の首を切ってしまったというのがこの徳島県の不信任なんですよ。
 だから、これを主導した県会議員は物の見事に、四、五人主導しておったようですが、そのうち何人か、少なくとも私が知っている限り、三人の県会議員は今度の県会議員の選挙で落選しましたよ。それも一人は共産党に負けた。余りにもやり方がこそくで汚いということを有権者が見破ったんだと思うんですよ。
 もうちょっと私調べてみたんですよ。何を調べたか。つまり、二月定例議会で大田知事が出した予算案、つまり政策、ことしの政策についてどういう議論がされて、どういうふうに可決、否決されたか、条例案がどのように議論をされて可決、否決されたか。一部、前知事の時代に行った特別昇給について減額修正がなされましたけれども、それ以外はほとんど議論なしに全面的に可決、賛成して、予算、補正予算、条例案、八十に近い議案を全部可決しているんですよ、この議会は、徳島県議会というのは。
 政策的にはこの程度でオーケーだということを言いながら知事の首を切る。その理由が、副知事の提案をできなかった。副知事の提案をしたいということで知事が努力をしても、今度はそれをさせないプレッシャーをかけ続けた。
 私は、いかなる議会制民主主義であろうとも、大統領制であろうとも、この種の政策を忘れた政略で地方議会が、あるいはこれは知事選挙をやるということになりますから、地方の政治が混乱をするということになったらとんでもないことだというふうに考えているんですね、今度のを見ておりまして。
 県民の反応はどうかといいますと、これで約六億円の知事選挙の費用がかかるんですよ。徳島は一年半のうちに三回知事選挙をやるということになるんですよ。そんなことは細かい話だとおっしゃるかもわからぬけれども、県の財政が逼迫しているときにそういうことが行われようとしている。
 私は、総務省の方も大変なのはわかりますけれども、こういう場合に、県議会の意を受けた国会議員からプレッシャーを受けても、そういう政略的な問題とは別に、要件に合っておれば、確かに本気で否決をされればその当人にとってはお気の毒なことになる可能性はあります、ありますけれども、今の知事が自民党じゃないからとか、自民党に対する反対党の出身だからとか、自民党与党の県議会と対立しているからとか、そういうことを余りおもんぱかって出したり引っ込めたりするとより大きな混乱を生むし、中立であるべき総務省が一方に加担をしているということになるんじゃないか、そう思えてしようがないんですよ。
 今度のは明らかに、総務省の方もできれば、おっしゃったように、否決になるような事態は避けていただきたい、名前を出すのを避けていただきたい。会長・幹事長会を開いたときに名前を出せなかった。これは、総務省の御要望もあったから、知事さんがそれをおもんぱかって出さなかったわけですよね。私が知事だったらどんどん名前ぐらいは出していますけれども、気が優しいから出さなかった。
 この間の財政諮問会議でうそっぱち発言のもとをつくる大演説をまず大臣がやって、その後、税財源の移譲なのか、交付税まで食い込むかみたいな議論をされておるというのを諮問会議の議事要旨で読みましたよ。
 私は、改革課題をめぐっては、本気で知事が改革をやろうと思ったら、今のかなりの地方議会、多くの地方議会、ほとんどの地方議会が対立した状況に入らざるを得ないと思うんですね。大統領型選挙で選ばれるものですから、議院内閣制じゃないですから、もろにぶつかる。そういうときに人事を要請された総務省が、県議会の動向云々を国会議員を媒介にして気になさると、こういう混乱に拍車をかける、あるいは、客観的にはどちらかの一方に政治的には結果として加担してしまう、加功してしまうということになると思います。いかがですか。ここは大臣、見識を示してください。
片山国務大臣 私は、官房長の報告やあるいは国会議員さんの一、二のお話を聞いて決めたわけじゃないんです、名前を出さないでくれと言ったのは。知事さんとの話で、知事が確約できないという、こういう状況では、今までのケースもいろいろありますから、特別職ですから名前を提示していただくのはいかがかな、私はこういう感じを申し上げたわけであります。
 仙谷委員に申し上げますけれども、やはり大統領制というのは、知事さんと県議会が車の両輪なんですね。チェック・アンド・バランスなんですよ。そこのところに大変な不信がお互いにあるということが、これが今回の一番大きな問題ではなかろうか。これは、どっちが悪いとかなんとか、私は事情を知りませんから言えませんけれども、やはりその間の信頼関係がある。特に特別職は、特別職ではありますけれども、一般職のような仕事をするわけでありますから、そこは知事さんの方と県議会の方のコミュニケーションが非常にうまくいって一致していただけたらよかったなと。
 我々は、こういうことに関しては常に中立であります。今後とも中立を貫きたい、こういうふうに思っております。
仙谷委員 すれ違いましたけれども、時間が参りましたので、終わります。
遠藤委員長 次に、山田敏雅君。
山田(敏)委員 民主党の山田敏雅です。
 きょうは、退職制度の問題でございますので、公務員の退職についていろいろお伺いしたいと思います。
 渡り鳥というのがあるんですけれども、これは、高級官僚が天下りした後、何カ所も回っていく、こういう実態があるわけですが、この渡り鳥を禁止するとか、そういう通達はあるんでしょうか。
柴田政府参考人 お答え申し上げます。
 五十四年の十二月の閣議了解によりまして、「特殊法人相互間のたらい回し的異動に関する例外について」というのがあって、「例外については、真に止むを得ないものに限ることとし、この場合においても、一回限りとする。」という決めがございます。
山田(敏)委員 その五十四年の閣議了解というのはここにあるんですけれども、さっきおっしゃった、やむを得ない場合には異動してもいいですと。それからもう一つの規約は、非常に高齢であって長期にわたってそこに居続ける、これはいかぬ、こう書いてあるんですが、それも、やむを得ない場合には構いません、こう書いてあるんですね。やむを得ない場合というのは何ですかときのう担当者に聞いたんですけれども、その基準はありません、やむを得ないというのは何のことか、何も決めてありませんと。
 きょうは柴田さんに来ていただいたんですが、あなたはよく御存じだということで、やむを得ないとはどういうケースがあったんですか。
柴田政府参考人 まず、例外でございますから、画一的なパターンで決めるというのはなかなかできないわけですね。それができればあらかじめ決めてしまえばいいわけですけれども。
 ただ、例として申し上げますと、例えば異動後の法人が抱える何か大きな課題がある、その課題に取り組むに当たって、その人の持つ経験とか実績とか、あるいは専門性とか、そういうものが不可欠なために、その人の前職が特殊法人の役員であっても、どうしてもその人じゃないと、新しい法人で新しい課題に取り組む上で必要だというような場合には、余人をもってかえがたいということで例外的に選任するというようなことがございます。
山田(敏)委員 余人をもってかえがたい、だからこれでいくんだ、こういうことで、結論はそうなんですが、余人をもってかえがたいというのはだれが判断するかというと、監督官庁が判断するんですね。その監督官庁が、その特殊法人に天下りをしている、その本人なんですね。そこが、だれがやるか知らないですけれども、余人をもってかえがたいと言えば、この特殊法人の役員については何も問題ない、たとえ違反しても罰則規定もない。
 こういうことで、実態上これはあってもないようなもので、ちょっと今御説明あったんですけれども、総務大臣、これは、役所は特殊法人を監督します、これについて規定を設けて、今の渡り鳥をすることはやめましょうと、しかし、その監督官庁が余人をもってかえがたいと言えば、どうぞお好きなようにやってくださいと。
 では、先輩、後輩に当たるわけですね。こっちは後輩、こっちは先輩、もう先に天下りしているわけですね。そして、何年かすれば自分もそこに天下りをする。そういう立場の人がこういう判断を、判断基準もルールも何にもないということであれば、これは政治家として、やはり国民の代表として、こういうことはおかしいと言う立場があってしかるべきだと思うんですが、いかがお考えですか。
片山国務大臣 特殊法人の場合等につきましては、今言ったようなことを決めておるんですが、委員の言われるように、監督官庁が余人をもってかえがたい云々の審査をすることが、お手盛り、なれ合い風になるんではなかろうか、その疑いは確かにあると私も思いますね。
 そこで、今後どうやるかということを今議論している中に、きっちりした基準をつくる、それから当該官庁でないところがチェックする、そういう仕組みも入れていこうではないかということも検討しておりますので、こういう意味で、国会で議論していただいたり、その他、世間のいろいろ御指摘があったりすればだんだん直っていくと私は思いますけれども、何らかのしっかりした仕組みは必要だ、こういうふうに思っております。
山田(敏)委員 大臣、それはいつごろまでに、どういう機関で、どういうふうにその仕組みをつくるおつもりなんですか。
片山国務大臣 今度の公務員制度改革大綱の中で、御承知のように、公務員の退職管理について新しい仕組みを導入しようじゃないかということの議論をしておりますので、その中で、もう少し幅広な議論の中でいろいろな仕組みを考えていったらいいと私は思っております。
山田(敏)委員 実は、この特殊法人の渡り鳥の禁止の規約ですね、これは非常に大きな落とし穴があります。これは、特殊法人だけに限ってということなんですね。特殊法人がつくった子会社については一切触れない、こういうことになっているんですね。
 これは実例があるんですが、ある公団の高級官僚の方が九十歳まで何回も、五十何歳で退職してから九十歳までずっと、その公団から始まって、これは石油公団なんですけれども、三百社、子会社をつくった。石油開発会社、備蓄会社、全部で三百社つくった。だから、ここに行ったら次はここに、次はここにと幾らでも渡り鳥をできるわけですね。その結果九十歳まで、もう死ぬまで渡り鳥をやる。だれもとめることはできないし、だれもおかしいとも言わないし……(発言する者あり)それはもう前にやりましたけれども。
 この中に特殊法人の役員という、これは何か決まったようなんですけれども、実はこれは「特殊法人相互間」というふうに書いてあるんですね。特殊法人がつくった子会社、すなわち、監督官庁が直接やる特殊法人が一〇〇%子会社をたくさんつくるわけですね。それについては一切関係ありませんと。実態上、民間の中小企業の方の立場からすれば、九十歳まで三年いて、また三千万円退職金、また三千万円、三千万円とずっと九十歳までやれるような、そんな状況じゃないと思うんですね。血税を使ってそういうことをやるという。
 この特殊法人の子会社について、やはりちゃんとした議論をしなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。
春田政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十三年の十二月の公務員制度改革大綱におきまして、公務員の再就職に関しましては、いろいろなルールというものを決めさせていただいたところでございます。
 その中で、今ちょうど先生お尋ねの特殊法人のいわゆる子会社の関係でございます。こちらの関係につきましては、公務員制度改革大綱の中で、特殊法人、それから独立行政法人、特殊会社、民間法人化された特殊法人・認可法人、こういったところに関しますところの役員の就任状況、これを退職公務員につきまして公表しなければならないということを決定したところでございます。
 あわせまして、それぞれの法人におきまして、子会社、それから一定規模以上の委託先、いわゆる契約の委託先でございますが、こういったところにつきましても、退職公務員の就任状況を把握して公表するということを決定したところでございまして、いわゆる子会社関係につきましても徹底した公表を図るということを新たにルールとして導入して、十四年度から、先年度からいわゆる公表というものを始めたところでございます。
山田(敏)委員 十四年度から、公表しますということをやるということなんですけれども、では、十四年度以前は全くわからなかった、こういうことだと思うんですけれどもね。ただ、公表しましたと、それで一体何ですかと。何人います、何人います、これじゃ何にも問題の解決にはならないので、やはり大臣、ちょっと、今の子会社の渡り鳥、これは数を挙げたら幾らでも出てくると思うんですけれども、それについて政治家としてどうお考えになりますか。
片山国務大臣 内閣官房の方でもいろいろ御検討いただいている、こう思いますけれども、やはりそれが国民の目から見てある程度納得してもらわなきゃいけませんね。だから、ここまではいい、ここから先はずっと先になるからノータッチだ、こういうこともぐあいが悪いので、その辺も少し考えてもらった方が私は個人的にはいいと思っております。
山田(敏)委員 公表するだけで何もしないということでは本当に困るので、大臣、前向きに今答弁していただいたと思いますので、よろしくお願いします。
 さっきの問題に返るんですけれども、特殊法人の監督官庁から天下りが来るという仕組みは、監督が実態上、機能上果たされないということが現実にたくさんあるんですね。
 これは、ある公団ですけれども、石油公団ですが、私去年、調査をやったんです。例えば、今言いましたように、三百社、子会社をつくりました。それで、一つの会社、石油開発会社が五十億赤字をしました。そうすると、資源エネルギー庁の担当課長補佐が決裁をして、五十億どうぞと。ことしは百億赤字しました、では百億どうぞ、ことしは百五十億赤字しました、こういうふうにやっていたんですね。気がついたら全部で二兆円になったわけですけれども。五百億ぐらい赤字がたまると、清算しましたと。それで、清算した社長は、だれも責任とらなくて、また次の子会社に行くと。これをずっとやったんですね。普通の民間会社では常識のほどをはるかに超えたことが普通に行われているということなんですね。
 これはやはり、監督官庁から天下りが来て、後輩が先輩を監督をする。本来だったら、石油公団の総裁に、後輩である監督の責任者が、あなたはもう責任をとってやめなさいと。あるいは、天下りの役員の数だけで、五十人ぐらいの会社で役員が十一人いるとか、もうとんでもない、普通じゃない事態がいっぱいあるわけですね。監督できないんです。やった実績もないし、指導したこともない。
 これは、もともとできない体質があると思うんですが、監督官庁は、特殊法人、監督する立場のところに天下りをするということは厳に禁止しなきゃいけないと思うんですが、いかがお考えですか。
根本副大臣 委員から、今、監督官庁から特殊法人等へのOBの天下りの問題、きちんと監督ができるかと、いろいろな弊害の御指摘がありました。
 基本的に、この問題については、公務員制度改革大綱で、いろいろな問題もこれまで指摘されてきましたので、特殊法人改革もその意味でやろうということで踏み切りましたし、それから、この問題については、やはりきちんとしたルールを決めることが大事ではないかということもあって、一昨年末に公務員制度改革大綱が決められました。
 この考え方を、ちょっと長くなりますが、申し上げさせていただきたいと思いますが、先生今御指摘あったように、独立行政法人や特殊法人への天下りあるいは再就職、この問題につきましては、一般的にどんな批判が行われてきたかと申し上げますと、これらの法人が再就職の安易な受け皿になっているのではないかという点、あるいは、業績と処遇のバランスがとれていないのではないか、こんな批判がありましたので、これらを真摯に受けとめて、公務員制度改革大綱では幾つかの考え方を取りまとめております。
 具体的にはどういうことをやったか、あるいはやろうと考えているかということでありますが、一つは、特殊法人等に関しては、まず役員退職金の大幅削減をする、これは平均三割程度削減をいたしました。さらに役員給与の削減も平均一割程度、いずれも十四年四月から実施をいたしました。
 それから、独立行政法人につきましては、独立行政法人評価委員会をつくりまして、それぞれの省庁、あるいは総務省にもありますが、その評価結果、これを、きっちりと内容をチェックして役員報酬とか人事に適切に反映する、そしてその実施状況の公表を行う、こういうことをやることにいたしました。
 さらに、今、子会社の問題もありましたが、やはり大事なのは透明性を確保することだということで、公務員の再就職状況についての透明性を確保する、こういう観点から、特殊法人、独立行政法人などが、子会社などを含めた退職公務員の役員就任状況、これは今政府参考人からお話がありましたが、これをきちんと公表する。それで、その結果を先月、政府として取りまとめました。
 さらに、昨年十二月、各府省の課長・企画官相当職以上の退職者の再就職全般について公表を行ったところであります。
 要は、支給水準の見直しを含めて、きちんとしたルールをつくろうということと、もう一つはディスクロージャー、こういう形でやっていきたい、こう思っていまして、いずれにしても、独立行政法人や特殊法人などが各省庁OB人事の一環として安易に取り扱われているのではないかという批判を招くことのないように、公務員制度改革大綱に基づきましてしっかりと取り組んでまいりたい、こう思っております。
山田(敏)委員 根本さん、私の質問と全然違う答えを言われて、私の質問と違うでしょう、それ。本質的な問題は、監督官庁が天下りすることを禁止すべきではないか、天下りをするのは、民間へ行ったり、いろいろなところは構わないんですが、監督するところに行けばどんなことが起こるか。
 去年、私のところに投書がありました。公団を退職する若者から僕のところへ投書がありまして、私はやめますということで、この役員は、十一時に会社に来ます、一時間、新聞を読みます、十二時になったら昼休みに行きます、お茶を飲んだか散歩をしたか知らないけれども、三時ごろに帰ってくる、また一時間、新聞を読んで、四時に帰宅しますと。これで二千五百万円。十一人いるんですよ、しかもそれは、企業規模が五十人ぐらいのところで。
 実態、何でそんなことになるのかという本質的なことを言っているんですよ。周りのことを言っているんじゃなくて、僕の質問に全然答えていないじゃないですか、どう思いますかと。
根本副大臣 私も、そういう事例はとんでもない事例だと思います。私も政治家として思います。
 私が答えたのは、今回の公務員制度改革大綱で、やはりこういう問題についてはきちんとした考え方、ルールを定めようということで、考え方を先ほど申し上げました。さらに、きちんとこの基準を決めて、そして情報公開、透明性を確保することによって、今の委員の御指摘のあったような問題に対してはしっかりと対応していきたいということで答弁させていただいたところであります。
山田(敏)委員 それでは、その検討とか基準の中に、今私が言ったこと、監督官庁から監督する方に天下りすることは禁止すべきだという議論は入っていないということですね。
根本副大臣 禁止するということは入っておりません。きちんとした考え方をまとめて、その考え方に沿ってしっかりと取り組んでいくということであります。
山田(敏)委員 何か、起こっている問題を、実態をよく把握していらっしゃらない議論だと思うんですが、私は、この公団の投書があって、実際にその子会社を二十社ほどピックアップして訪ねていきました。実際あの役員は、何で一時間新聞を読んで家に帰るのか、仕事はどういうことをやっていらっしゃるのか、直接会って聞いてきたんですよ。そうしたら、もう全然、社長なり副社長なり、例えば常勤監査役なんというのは、監査役は非常勤の人が二人いて、監査法人もあって、そして常勤監査役がいて、これは、常勤監査役は何の仕事をしているんですかと聞くと答えられないんですよ。ないでしょう、仕事、実際。
 ちょっと具体的な話になるんですけれども、備蓄という会社ですね、これを八つ全国につくった。それで、タンクに石油を入れているだけですよね。それで東京に全部本社を置いて、そして二十人ぐらいの会社に十一人。これは何で東京に全部本社があるか、それは順番に渡り鳥していくからですね、北海道や沖縄だったら転勤は大変だから。それで、実態上はそういう仕事をやっている。
 自分で一回歩いてみたら、問題の本質はそういうことじゃないんですよ。自分が二年後に天下る先の監督をするのに、あなた、これはおかしいから、役員が十一人もいるのはおかしいから二人にしなさい、そんな監督できるわけないんですよ、言ったこともないんです。だから、そこに本質的な問題があると言っているんです。全然私の言っていることを考えて答えてもらってないんですね。
 大臣、今、これはもう総務省も大きな問題があると思うんですけれども、その辺はいかがお考えですか。
片山国務大臣 備蓄は、今度やり方を変えまして、国の直轄にするようですけれども、いろいろな法人、要るのか要らないのか、もう一遍点検が要りますね。
 それから、どうしても要るものは残さないけませんが、その役員構成をどうするのか、監督をどうするのか、そういうことの議論はやる必要があるな、こういうふうには思っております。
山田(敏)委員 時間が参りましたので、今の質問で終わります。
遠藤委員長 次に、大出彰君。
大出委員 民主党の大出彰でございます。
 早速質問させていただきます。
 まずは、労働基本権についてお話を伺いたいと思います。
 ILOの勧告が出されて、労働基本権の問題をどうするのか、その点をきっちりと議論した上でないと、まず労働基本権をどうするか、そしてその中身を議論していくべきだと基本的に考えているわけです。
 私も憲法調査会の基本的人権小委員会の小委員長でございますので、その際にも申し上げたわけですが、ILOからのメッセージとして、労働基本権を回復しなさい、前提は、政労使がしっかり話し合うということが前提の上で回復しなさいというメッセージが日本政府にも伝えられているわけです。
 ここが重要なんですが、ですから、まず団体交渉、労働協約によって勤務条件に関する事項を決定するシステムを前提として、移行して、それでその次に、そういうシステムに基づいて改革の中身を労使で交渉していくべきだという道筋をとるべきだと考えているんですが、根本さん、どうでしょうか。
根本副大臣 この問題について、少し我々の前提の考え方から申し上げたいと思います。
 もう委員御案内のように、公務員の労働基本権、これにつきましては、一昨年の十二月に閣議決定されました公務員制度改革大綱、これはもう既に私も何度か答弁をしておりますが、公務の安定的、継続的な運営の確保の観点、国民生活へ与える影響の観点、こういうことを総合的に勘案いたしまして、今回の大綱の中では、公務員の労働基本権の制約については、今後ともこれにかわる相応の措置を確保する、つまり、代償措置をきちんと確保して現行の制約を維持する、こういう考え方でやっております。
 現在、公務員制度改革大綱に基づきまして、もう御案内のように、国家公務員法の改正など改革の具体化に向けた検討を行っているところでありますが、その検討に当たっても公務員の労働基本権制約の代償措置、これは確保することとしております。
 今委員の御指摘のあった労働基本権の問題でありますが、これについては職員団体の要望もあることは承知しておりますし、我々もこれは重要な問題だと考えておりますが、今後、職員団体との間でどういう議論をしていくかということを相談していく中でこの問題については適切に対応していきたいと考えております。
大出委員 制約が先に来ているようでございますが、労働基本権を制約するんだとすれば、今おっしゃったような代償措置として人事院がありますね。どうもおっしゃっている割には人事院の制度というものを重視していなくて、機能を弱めているような気がするんですね。今のおっしゃることで、代償措置ということを言うならば、人事院勧告を経てやるべきなんですよね。それをやっていないという点はおかしいのではないかと指摘をさせていただいて、次の質問をします。
 四月九日に決算行政監視委員会で、社民党さんでしょう、山口さんという方が質問していますが、何か行革推進の方では、三月二十八日に法案を国公関係者にみんな見せたというふうなことを聞いておりますが、どうなんでしょうかね。政府として、一定の結論が出た、今みたいに制約を維持するということだとすれば、それについて関係省庁と検討、討議をしているはずなんですね。それについてのどんなような検討が関係省庁と行われたのか、そして、どんな意見が出たのかを紹介していただけないでしょうか、根本さん。
春田政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、私ども、一昨年の公務員制度改革大綱の具体化ということで、いわゆる公務員制度の基本になりますところの国家公務員法等の改正ということについて……(大出委員「議論をしたのか、内容は何かと聞いているんです」と呼ぶ)関係の各省とも、もちろんこれは人事院さんも含めましていろいろな関係先が、役所関係でございますけれども、そういったところと、条文の形にしたらどうなるかというような形で意見をお聞きしております。
 実は、私どもこれは、ある意味では非公式に、いろいろと、そういう条文の形で変えたらどうなるかというようなことの議論はやはりしながら固めていかないといかぬという面があるものですから、具体的にこれでどうかというような固まった形での議論というよりは、理解を深めながら具体的な制度化をこれから進めていくというその過程でございまして、途中段階なものですから、いろいろな疑問であるとか、それから、どういう形で法文的に整理していったらいいのかとかいうようなことの議論をしているところでございます。
大出委員 過程でございますと言うんですが、ILO勧告が出たりしておって、議論をやっているんだとすれば、その記録を提出していただきたいと思うんですが、委員長、どうでしょうか。
遠藤委員長 理事会で検討させていただきます。
大出委員 お願いいたします。
 ILOの絡みでまたお話をさせていただきますけれども、この間、四月三日の日に、野党の幹事長を初めとした党の幹部の方々が福田官房長官を訪問しているんですね、この公務員制度改革で。その中で、「民主的で透明な公務員制度改革を求める申し入れ」ということで、「仮に政府が、このまま十分な協議なしに法案作成を進めたり、ILO勧告を無視したまま関連法案の閣議決定を強行することがあれば、野党三党一致結束して、国会審議に重大な決意をもって臨まざるを得ません。」と述べて、これに対して福田官房長官は、極めて重要な問題だと認識している、関係者と十分な協議をした上で、納得をしていただいた上で決めたいと思うと答えられているんですね。
 この点について、当然、根本副大臣も同じ御意見だと思うんですけれども、御確認したいんですが、どうでしょうか。
根本副大臣 今委員からお話がありましたが、四月三日に三野党が官房長官に対しまして、ILO勧告を最大限尊重し、公務員制度改革関連法案の閣議決定や国会提出に当たっては、関係者と十分な交渉、協議、合意を得るものとするよう申し入れが行われたということは私も承知をしております。官房長官からは、その場で、職員団体と十分に話し合うことが重要である旨答えたと聞いておりまして、私も職員団体と十分に話し合うことが重要というふうに考えております。
 いずれにしても、公務員制度改革を進めるに当たっては職員団体と誠実に交渉、協議をしていきたいとは考えております。
大出委員 何回もこの間質問をさせていただいておりまして、誠実な交渉をするということのようでございますが、全然そうなっていないようなんですね。
 今の御意見で、当然、職員団体とお話をする、その同意が得られなければ閣議決定をしない、そういうふうに理解してよろしいでしょうかね。
根本副大臣 いずれにしても、交渉、協議は十分にさせていただきたいと考えております。
大出委員 いろいろなところで議論しておりますが、ILOの受けとめ方、確かにいろいろあると思います、勧告の受けとめ方。よその機関が言っていることだと言っている方も、片山さんでしょうかね、よその機関が言っていることだというような発言もあったりするようですが。
 どうでしょうかね、ILOが言っていることというのは、労使、政労使が交渉して、公務員制度について話し合えば必ずいいものができるだろう、そういうスタンスなんだと思うんですね。ですから、ぜひ交渉の土俵にのせて、労使協議の土俵にのせた上で公務員制度改革、つまり公務制度をつくっていくという姿勢がどうしても必要なんだと思うんですよ。
 どうも日本政府は、ILO勧告にちょっと、今まで言っていないことを言っているようなことをおっしゃっていますが、そうではなくて、基本的には、基本的な問題をずっと言ってきていて、ILOの結社の自由委員会の専門官、キャリエールさんという専門官なんかがおっしゃっていますが、我々は四十年間辛抱してきたんだ、今度は日本の政府が改めて五十年ぶりに公務員制度改革というのをやるからあえて言っているんだというわけですね。だから、そうだからこそ、四十年間待ってきたんだから、話し合いを前提にして、話し合った上で、話し合えば必ずいいものができるから、話し合っていいものをしてください、世界が見ているんだということを言っているわけですよ、はっきり言いますと。ですから、そういう意識でつくっていただきたいと思っているわけなんです。
 ところが、三月の二十八日、先ほど、まだ決まったものではないから、法案にしたらどうなるかということで提示をしているんだとおっしゃっていますが、どうも見ていると、こそこそとと言ったら失礼かもしれませんが、こそこそと何かやっているような感じがするというイメージが抜けないのは私だけではないと思うんですね。
 そういう意味で、誠実に交渉をしてつくり上げる、特に公務員制度改革、労働基本権は憲法に書いてある権利でございますので、何とかその部分を踏まえて、本当の意味の話し合いをしてつくり上げていただきたいということを申し上げたいと思います。
 それで、次の質問に参りますが、退職手当について伺います。
 役員出向ということで新たな仕組みを導入しているわけなんですが、これ自体が早期退職慣行の是正につながるということで行われているわけですが、例えば早期退職慣行の役員出向というのを、もし、三年間特殊法人や独立行政法人に出向させておいて、役所に戻したらすぐ退職させるとするとすれば、そうなってくると、三年だけ退職年齢を引き上げただけということになっていまして、せっかくの仕組みを台なしにするんではないかという危惧があるんですが、この点、どんなふうに片山大臣はお考えでしょうか。
片山国務大臣 今大出委員が言われたように、三年独立行政法人その他に出しておって、すぐ帰して退職、これはよろしくないですね。そういうことは運用上ないようにしていただかにゃいかぬと思います。
 今の早期退職慣行を直そうということが今回の一つの考え方で、それから、特殊法人や独立行政法人にずっとおりますと、今度はもうこっちの方へなれちゃって、かえっていろいろな弊害が出るんですね。だから、出して、引き取って、こういうことは、私は、それはそれでいいんじゃないか、こう思います。
 今までは、公務員をやめていくときに退職金を取って、向こうに行ったら、またそこをやめるときに二重取りなんですよね。まあ二重取りというのは、言葉はよくありませんよ。だから、それはもう取らせないということなんですね、今回は。行って帰して、もうまとめて払う、こういうことなものですから、今委員が言われたように、運用をしっかりやりたい、こういうふうに思います。
大出委員 今、国民の皆さんがそういうふうに思っていて、どう見ても二重取りではないかという、そこを是正していこうということだと思うんですね。
 そこで、厚生労働省をお呼びしておりますが、先ほど、うちの山田議員が渡り鳥の質問をしましたけれども、同じように、通告してありますが、一月十八日号の週刊現代に掲載をしてあります、天下り官僚というのがありまして、表が出ているわけですね、この方は幾らもらったと。「年金の掛金を食う法人と天下り官僚」という特集がありまして、お名前が出ていて、退職金を幾らもらって、天下り後の総報酬は幾らだというのが出ているわけなんです。
 そこで、私の通告は、上から四番目まででいいから、天下り先とそこでもらった退職金額について教えてくれ、こう通告してあるわけですよ。お願いします。
鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 週刊現代に書いてある最初の四名というお話でございますが、御指摘の四名につきましては、多田宏氏は平成八年七月に厚生事務次官を最後に、それから黒木武弘氏は平成五年六月に厚生事務次官を最後に、それから坂本龍彦氏は平成四年七月に厚生事務次官を最後に、それから末次彬氏は平成六年九月に社会保険庁長官を最後に、それぞれ退職しておりますが、その際には、法に基づきまして退職手当を支給しております。
 その後でございますが、多田氏は平成十一年二月から現在まで厚生年金基金連合会に、黒木氏は平成五年十月から平成十三年一月まで社会福祉・医療事業団に、坂本氏は平成四年十月から平成十三年一月まで環境衛生金融公庫・国民生活金融公庫に、末次氏は平成八年八月から平成十四年八月まで社会保険診療報酬支払基金に、それぞれ再就職していると承知をしております。
 それから、御指摘の週刊誌の記事については、独自の取材により書かれたものというふうに思われますが、国家公務員としての退職手当の額につきましては、個人のプライバシー保護の観点から答弁を差し控えさせていただきたいと考えております。
 また、退職後における再就職後の退職金については把握をしておりません。
大出委員 大変奇妙な答弁だと思いませんか。公務員なんですよね。国民の皆さんは一番気になっているわけですよ。退職金の額ぐらい言ったっていいわけですよ。
 次のところは、天下り先は把握していませんて、こんなのありですかね。だって、公務員であって、公人の法理といいますか、プライバシーが全然ないとは言いませんよ。だって、一番の関心事でしょう、税金がどう使われているかなんですから。それを言わないなんというのはおかしな話じゃないか。もう一回答弁してくださいよ。
鈴木政府参考人 退職金の金額、公務員としての退職金の金額については、これまでも金額について予算委員会等に資料を出したことはございます。ただ、個別の名前と連動した形で出しているものは、これは、個人のプライバシー保護の観点から差し控えさせていただきたいと考えております。
大出委員 この一、二年、私、差しかえでいろいろな委員会なんか見ていますが、逃げる手段はいつもプライバシーなんですよ、プライバシーにかかわるとか。プライバシーじゃないじゃないですか、こんなもの。だって国民が、国民に雇われていると言ったら失礼ですが……(発言する者あり)そうですよ。おかしいじゃないか、税金なんですよ。それで、公表されているんですよ、はっきり言ったら。それを答えないと言ったら、国民をなめているんじゃないですか、はっきり。もう一回答えてくださいよ。
鈴木政府参考人 公表されているという御指摘でございますが、週刊誌の記事につきましては、独自の取材により書かれているものというふうに考えております。
 私ども、退職金金額、これについては、こういった退職金の支払いの金額があるという事実はこれまでも資料としてお示しいたしておりますが、個別の名前ごとにということは、先ほども申し上げたとおり、プライバシー保護の観点から差し控えさせていただきたいと考えております。
大出委員 どう見たっておかしいでしょう。そういう考え方がおかしいんじゃないでしょうかね、はっきり言ったら。国民の皆さんは、考えてくださいよ、これは。多田さんだって、退職金は八千五百四十八万と書いてあるわけですね。それで、天下り後に一億一千八百八十六万もらっているんですよ。(発言する者あり)
遠藤委員長 だれだ、答弁は。(発言する者あり)質問者の意向がありますから、答弁してください。
大出委員 とめてください。
遠藤委員長 与野党双方に定足数が足りないようだから、すぐに集めてください。それからだ。与野党ともに。(発言する者あり)ちゃんとした答弁を引き出すように質問してください。(発言する者、離席する者あり)
 左側の席は二人ぐらい、こっちはあと一人ぐらい、大至急集めてください。
 速記をとめて。
    〔速記中止〕
遠藤委員長 速記を起こして。
 大出委員。
大出委員 もう一回申し上げますが、公表ではないとおっしゃるけれども、公務員であることは間違いないわけですから、ですから、退職金の額を当然言うべきでしょう。
 それと、渡り歩いているところがわからないというのは失礼な話でしょう。国民の皆さん、怒っているわけですよ。何で勝手に渡り歩いてたくさんもらっているんだというふうに思われているわけですよ。これを直さないで、小手先で退職金を少し下げてみたって話にならないでしょう。しっかり答えなさい。
鈴木政府参考人 個別の退職金の金額につきましては、先ほども申し上げたとおりでございますが、例えば事務次官を最後に退職したような方であれば、例えばこの週刊現代に載っているような、そういった金額であろうというふうに考えております。
 それから、その後の、第一回目の再就職の後の再就職というようなお話がございましたが、これは、私ども正確に把握しているものではございませんが、ただ、いろいろな法人の監督指導の中で今把握している限りで申し上げれば、多田氏は、厚生年金基金連合会のほかに、財団法人船員保険会に、黒木氏は、社会福祉・医療事業団のほか、社団法人の全国国民年金福祉協会連合会及び社団法人全国社会保険協会連合会に、坂本氏は、環境衛生金融公庫・国民生活金融公庫のほかに、全国土木建築国民健康保険組合に、それから末次氏は、社会保険診療報酬支払基金のほか、財団法人年金住宅福祉協会及び全国社会福祉協議会に、それぞれ再就職しているというふうに理解をしております。
大出委員 正確に把握していないと言って、坂本さんのところで先ほど答えたよりふえているという、最初にちゃんとまともに答えていないわけで、把握していたじゃないですか。うそをついちゃいけませんよ、全く。最初のときと違うじゃありませんか。全国土木何とかというのが入ったじゃないですか、全く。
 これは、問題になっているのはわたりですよ、先ほど山田議員が質問したように。この部分を直すということを、どうですか片山大臣、これはやはり重要なことでしょう。お答えくださいよ。
片山国務大臣 基本的には、委員御指摘のような方向にはなりつつあるんですよ。しかし、一遍にひっくり返るようなことはできませんから、徐々に徐々に、例えば二重取りはやめるとか、こういうことで漸進的に改革をしていきますから、少し息の長い見方をしていただければ大変ありがたい。
 問題意識は共有しておりますので、我々もできるだけ国民の納得のいく形に直していきたい、こういうふうに思っております。そういう一環なんですよ、今度も。
大出委員 聞いてないから聞きますが、今回の改正の中の「独立行政法人等」とありますよね。これに、今話が出ている船員保険会だとか厚生年金基金連合会だとか、こういうものは当てはまるわけですか。
片山国務大臣 これは政令で決めるんです。政令でどういうふうに決めるかということを今検討いたしておりますが、特別の法律により設立された法人で、国の事務に関係あるものは、これは政令で指定せざるを得ないなと。そのぎりぎりのところはどうか、これは各省庁の意向も聞きながら十分検討してまいります。
大出委員 時間が参りましたので、質問を終了いたします。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 ちょっと、のどがかれておりますけれども、よろしくお願いいたします。そしてまた、国民の期待する、そしてまた国民の納得するような答弁をよろしくお願いいたします。
 まずもって、先般、恩給法の改正の質疑に際しまして大臣の答弁漏れがありましたので、改めて御質問いたしたいと思います。
 恩給受給者に対する受給権の調査において、住民票記載事項の市区町村長の証明にかえまして、総務省の外郭団体、財団法人地方自治情報センターが、指定情報処理機関として本人確認を定期的に行っておるわけなのであります。その常勤役員は四名で、理事長、理事二名、監事から成り、特に理事長は、つい先日まで当総務委員会で答弁しておられた方であります。そして、他の三名は、いずれも総務省の元審議官クラスであります。まさに総務省の天下りの指定席ではないのかと言われても仕方がないと思います。
 そこで、特殊法人改革が叫ばれながら、その実態は本当に遅いわけでありまして、今までの話のように、国民の批判を浴びております。そういう中、総務大臣として率先して指導性を発揮する立場にあることでもありますので、そしてまた、民間企業への天下りと異なりまして触法性はないとはいえ、大臣は同センターへの天下りをどう認識してきたのか、これを伺います。
 そしてまた、先ほど来言われております、平成十三年十二月に閣議決定されている公務員制度改革大綱では、公務員の再就職については厳格な規制を求めているところでありますけれども、公益法人とはいえ、監事、監査役員についてまでも総務省OBを配することはいかがなものかとも考えます。
 これらをあわせて、大臣の見解を求めておきたいと思います。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
片山国務大臣 この地方自治情報センターは、黄川田委員御承知のように財団法人ですね。特殊法人でも独立行政法人でもないのですが、この役員については、例えば監事は評議員会で決めてもらうんですよ。天下りといったら天下りになるのかもしれませんが、これはかなり、役所の意向というよりも、自主的に決めてもらっているんですね、この財団法人自身が全部の都道府県や市町村でつくったあれですから。
 それから、今言われました公務員制度改革大綱の一定のルールについては、これは全部クリアしている、こういう報告を受けておりますので。
 ただ、今言われるように、理事長も理事も監事も全部、旧自治省といいますか、今の総務省のOBだというのは、これは常勤ですよ、非常勤は全部地方団体のいろいろな関係の方ですから、その辺は今後検討の余地はあるな、こういうように私も思っております。
黄川田委員 地方自治情報センター、この役割の大事さ、私も理解しておるつもりであります。しかしながら、同センターの同族意識といいますか、そういうものがありまして、末端の自治体でちょっと問題があるのではないかと思っておりまして、これについては後日、個人情報保護の特別委員会で私は委員もさせてもらっていますので、後で指摘したいと思っております。
 それから、公務員の再就職に関しまして、私からもお尋ねいたしたいと思います。
 先日、内閣官房と総務省から発表された「独立行政法人等の役員に就いている退職公務員等の状況の公表について」と題する資料があります。これによりますと、独立行政法人の常勤役員百七十九人中、退職公務員が百三人を占めており、これは、比率では六割近い数字になっておるところであります。そしてまた、特殊法人についても、相変わらず、常勤役員六百人中二百八十八人、約五割が退職公務員で占められている、そういう現状にあるわけであります。
 そこで、公務員制度改革の重要課題、これは、このような政府関係機関への天下り問題の解決だと思っております。政府は、公表すればそれで改革に結びつくと考えているようでありますが、では、公表すればどのようにして改善が図れるのか、その点を行政改革担当の根本副大臣にお尋ねいたしたいと思います。
根本副大臣 今の委員の御質問について、少し全体的な考え方も含めてお答えをしたいと思います。
 委員御指摘のように、独立行政法人や特殊法人への再就職、これはいろいろな批判がありました。これらの法人が再就職の安易な受け皿になっているのではないかとか、あるいは退職金額が高額過ぎるのではないか、つまり業績と処遇のバランスがとれていないのではないか、こういう批判がいろいろありまして、これを政府としても真摯に受けとめて、公務員制度改革大綱を決めさせていただきました。
 特に、今回の考え方は、内閣の責任におきまして政府全体の行政の公正な運営等を確保する、こういう観点から、内閣が再就職に関する考え方、ルールをきちんと設定しよう、こういうことで今回、大綱として取りまとめていただいたものであります。
 具体的に、では、どういう考え方かと申しますと、特殊法人などについては、役職員の退職金の大幅削減それから役員給与の削減、これをやろうと。これは十四年四月から実施しておりますし、役員の給与、退職金の支給基準の公表、こういうものも行っております。
 それから、独立行政法人については、独立行政法人評価委員会、こういうものできちんと評価をする。そして、その評価結果の役員報酬あるいは人事への適切な反映、あるいは低業績の役員は解任する、こういうこともやろうと。そして、その実施状況の公表を行う、こういうことをしておりますし、特殊法人等に関する規制に準じて、独立行政法人につきましても、役員の在任を原則六十五歳までとする、こういうことをしております。
 それからもう一つは、今のお話ですが、やはり情報公開、透明性をきちんと確保しようではないか、こういうことで、公務員の特殊法人等への再就職状況、これは、特殊法人、独立行政法人等が当該法人及びその子会社等の役員への退職公務員の就任状況について公表することにしまして、その状況を、先ほども申し上げましたが、先月、政府として取りまとめた。
 こういう、きちんとしたルールを設定する、それから、公表し、透明性を高めることによってしっかりとこういう問題について取り組んでいきたいということで、要は、考え方、ルールの設定、それから情報公開、透明性を確保する、こういう形で適正化を図り、しっかりと取り組んでいく、こういう考え方で対応させていただいております。
黄川田委員 透明性あるいはまた情報の公開だということで、国民に示すと。しかしながら、ルールとか取り決めとか言っておりますけれども、本当にさらに次の第一歩が進むのかどうか、私は危惧するわけなのであります。
 特に、公務員制度改革大綱、私は、これは、よくなったというよりも、むしろ改悪大綱じゃないかと思っておりますし、特に各省庁の大臣が幹部職員の退職管理を行っている限り、こういう実態の改善はなされないのじゃないか、私はそう思っております。
 次に、公務員制度改革でありますけれども、もう一点お尋ねいたしたいと思います。
 この問題につきましては、私もたびたび質問してまいりましたし、例えば、ILOの勧告、それへの対応、あるいはまた採用試験や公務員人事管理の中立公正性の問題などにつきまして、いずれも行革推進事務局の側から納得できるような回答を得てはおらないわけであります。
 今回の改革については、中身の問題と同時に、やはり進め方の透明性、そしてまた、国内のみならず、ILO、つまり国際的にも厳しく指弾されておるところであります。私は、前回この問題を取り上げた際に審議会の設置なども提言したところでありまして、法案提出ということであれば、その前にこういった透明な手順を踏む必要がある、そう思います。
 そこで、この点に関して、最近の連合のホームページに興味深い記事が出ておりましたので、紹介させていただきたいと思います。
 すなわち、四月八日に行われました、連合官公部門と行革推進事務局との交渉の中で、組合側が「交渉、協議中は閣議決定の前提となる各府省との法案協議はあり得ないという理解でよいか。」と質問したのに対しまして、行革推進事務局側では、「組合の皆さん方との関係を宙ぶらりんにして、何か手続等を各省と進めることはしない。」そう答弁しております。
 そこで、重ねての質問でありますけれども、これは、組合側の了解を得ないままで法案協議には回さない、そして、もちろん閣議決定はしないという理解でよろしいでしょうか。先ほどもいろいろ質疑がありましたけれども、これにつきましては、行革推進事務局の見解をお尋ねいたしたいと思います。
堀江政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども、改革を進めます上で、関係者と意思疎通を図りまして、改革について理解を求める努力をするということが非常に重要だというぐあいに考えておりまして、これまでも努力してきたつもりであります。
 今言及されました四月八日の交渉といいますか会見も、そういう考え、姿勢で臨んだものであります。当日は、事務局側は私以外の者も出席して発言しておりまして、ホームページに事務局側の発言という形で載っているものは、必ずしも私の発言だけとは限りませんけれども、あるいはまた、要約というものの性格上、そのやりとりの全体は、必ずしもそのまますべて載っているというわけではないと思っております。
 ただ、それはそれといたしまして、その会見、交渉の場で私の方から繰り返し申し上げて、これは一致したということだろうと思いますけれども、その点で申し上げますと、私は、私どもの側に初めに一定のスケジュールがあって、いろいろな意見があってもそのスケジュールを守るために問答無用といったような姿勢はとりたくない、とらない。それから、それぞれの立場や意見、考え方は違うところがあるとしても、誠心誠意対応して、一致点を見出すようぎりぎりまで努力をしたいということを申し上げまして、そして、そのために、お互いの信頼関係が重要であって、双方が努力をすることが必要ではないかということを申し上げさせていただいたわけであります。
 先生ただいまおっしゃいましたことも、全体のやりとりの中でこういうことになっているということで御趣旨を理解していただきたいと思うわけでございます。
 また、ホームページを引用されまして、そのホームページで「以上のように、」というところがございますけれども、以上のように、行革推進事務局側は、組合とは誠心誠意交渉、協議し一致点を見出すべくぎりぎり努力をする、少なくとも交渉、協議中に問答無用の姿勢はとらないというような形で、組合側の方といいますか先方は集約されております。
 私どもも、基本的にはそういう姿勢で臨みたいと考えておるわけでございます。
黄川田委員 局長の答弁をお聞きしますと、初めにスケジュールありきではない、誠心誠意対応する、そういう答弁なのでありますけれども、どうも、私が聞いた部分のさらに一歩踏み込んだ形の、四月八日の時点では組合の方々も私のような理解をしておりますので、ちょっと引いた形の今の答弁かな、もうひとつはっきりと明示できるようなものがあればと思ったのであります。いずれ、やはり法案審議に入る前にしっかりしたものをしてもらわないと大変な審議経緯、経過が待っているかと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、本題に入っていきたいと思います。
 国家公務員の退職手当の見直しに関しましては、昨年九月に、人事院勧告の質疑に際しまして、私も民間企業の退職金調査についてこの委員会でお尋ねしたところであります。その後、この調査結果をもとにいろいろ検討されて、今回の改正法案が出たと思っております。
 昨年は、人事院勧告でも俸給表のマイナス、そういう改定がありまして、退職手当も二十数年ぶりの引き下げとなったということであります。しかし、このように公務員の処遇が厳しくなる中にあって、見直しに当たって、基本となる考えをよく整理しておく必要があると思っております。加えて、国家公務員の退職手当の見直しは地方公務員の退職手当にも影響すると考えられますので、そのあたりも含めてお尋ねいたしたいと思います。
 そこで、退職手当の支給水準改正の考え方について、まず、今回の見直しの柱となっております支給水準の引き下げに当たっての基本的な考え方、これをお尋ねいたしたいと思います。大臣、お願いいたします。
片山国務大臣 国家公務員の退職手当の支給水準につきましては、おおむね五、六年ごとに民間企業の退職金の実態調査をやりまして、官民比較を行っておる、それで、その間のバランスをとってきているというのが今までですね。
 今、黄川田委員言われましたように、二十何年間やっていないというのは、それなりにバランスがとれてきておった。ところが、昨年の九月に発表しました調査結果によりますと、官民の較差が五・六%になっておるんですよ。このくらい開くと、これはやはり官民均衡のための措置をとらざるを得ない、こういうことで今回の支給水準の引き下げを決意いたしたわけであります。
黄川田委員 それでは、また一方、地方公務員の退職手当でありますけれども、地方公務員の退職手当は、地方自治法の規定によりまして、それぞれの地方公共団体において条例で定めるということになっておると思います。しかしながら、国以上に地方財政が大変厳しい状況であることからも、地方公務員の退職手当について国と同様の改正を行うことは、私自身はやむを得ない部分もあるのではないかと思っております。
 そこで、今回、国家公務員の退職手当の改正がなされたとして、総務省として、地方公共団体に対して今後どのような対応を、そしてまたスケジュール、どんな形で行うのか、お尋ねいたしたいと思います。
森政府参考人 地方公務員の退職手当につきましては、地方自治法の第二百四条の規定に基づきまして、各地方公共団体の条例の定めるところにより支給できるということになっているところでございますが、一般職の地方公務員の退職手当につきましては、地方公務員法第二十四条第三項に規定いたします均衡の原則の趣旨にのっとりまして、今回の国家公務員退職手当法改正案が成立した場合には、国に準じて適切な措置を速やかに講じるよう要請してまいる考えでございます。
黄川田委員 残り時間がありませんので、では、最後の質問にさせていただきます。
 国家公務員の退職手当制度につきましては、昭和三十四年以降その基本的な構造が維持されてきて現行に至っている、こう思っております。しかしながら、今後のこの退職手当制度のあり方としては、長期勤続者に有利な構造を維持していく方向と、勤続よりも能力あるいは実績を反映していく方向などが考えられると思われるわけでありますけれども、今後の国家公務員の退職手当制度見直しの基本的方向性のあり方といいますか、これについて大臣の見解を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 国家公務員の退職手当の基本的な性格は、御承知のように、長期勤続報賞なんですね。だから、長く勤めるということが有利だ、それに対する報賞というのか、そういうことでございますので、長い方が有利になるような仕組みになっているんですよ。しかし、それはそうだけれども、程度はどうかというのが今一つ議論になっているんですね。それはよ過ぎるじゃないか、過度に有利ではないか、長期勤続は。だから、この辺は見直さなきゃいかぬ。
 こういうことで、公務員制度改革大綱の中にも、在職中の貢献度をより的確に反映するという観点から、今の退職手当の水準や、このカーブですね、こういうことについて見直すということを一応決めているわけでございまして、今後、こういう観点を踏まえて総合的な見直しをいたしたい、こういうふうに今考えております。
黄川田委員 民間における雇用形態も大分変わってきておりますので、公務員といえども、いろいろな、形を変えるなり、仕組みを、いいものはいいものとして進めていっていただきたいと思います。
 時間でありますので、終わります。
佐藤(勉)委員長代理 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 日本共産党の矢島恒夫でございます。
 同僚委員から、天下りの問題あるいは高額退職金の問題等々を指摘してまいりました。これらの問題は、国民からは非常に厳しい批判の的となっている問題であります。今や、もう批判というよりは、怒りというような状況にまでなってきていると思います。
 昨年、外務省不祥事、これによって元事務次官三人の辞任あるいは退官、その中で、退職金の中身というものが、その一端というものが判明した。例えば、駐英大使だった元次官については約九千五百万円だった、あるいは別の元次官は九千百万円、前駐米大使だった元次官、八千九百万円。そのほか、農水省でBSEの問題が発生いたしまして、これに関して前次官、退職いたしましたけれども、八千九百万円近い退職金だったというようなことが言われております。今回一部是正したといっても、私、極めて不十分さを残したままだなと思っています。
 そこで、大臣に、これでこの厳しい世論の批判に十分こたえているとお考えかどうかという点が一つ。
 それからもう一つは、高級官僚だけがなぜこのような高額となるか。この問題については、予算委員会等でもいろいろ論議されたところでありますけれども、政府は、官民比較による均衡ということを方針としてきました。にもかかわらず、幹部公務員である指定職と民間役員との比較調査は一切やっていないんですね。これこそきちんとやるべきではないかと私は思いますけれども、あわせて大臣の見解をお伺いいたします。
    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 今回は、トータルでは五・六%の官民較差解消のために引き下げる、こういうことでございまして、私は、これはこれでいいのではないかと思います。
 そこで、今お話しの事務次官や外局の長官クラスですね、これについては、御承知のように、早期退職割り増し制度があったんですが、これをやめます。それから、局長クラスについては、割り増し率が一年当たり二%だったのを一%にいたします。こういうふうに、この辺は相当是正をした、一般職員を上回る引き下げになった、こう思っております。
 そこで、民間と事務次官クラスはどうか、こういうことなんですが、我々の総合的な見方によりますと、ほぼ民間の専務クラスとバランスがとれているんじゃなかろうかと。今回の改正で、モデルケースで、例えば、次官、五十九歳、勤続三十七年で、今までだと約八千八百万円なんですよ。それが、今回の改正で七千八百万円。約一千万下がる。ということは、一割以上ですね、一一%ぐらい下がる。こういうことでございまして、民間と比べてまあまあではないか、こういうふうに今思っております。
 ただ、今言われましたように、こういう民間の重役さんクラスとの比較調査がなかなかできないんですよ。というのは、一つは、民間が本当のことを言わないんです。本当のことを言いますと、本当のことを言わない。それからもう一つは、民間の場合には、重役になる前に退職金的なものをもらうんですね。それからまた重役になってもらうということでございます。
 言われましたように、しっかりした調査ができていないので、しかし、いつまでもこれではいけませんので、これについては今後の検討課題だと私個人は思っております。
矢島委員 これまで六回の民間調査をやってきましたけれども、民間役員については一回もやっていないんですね。まあまあではないかと言うけれども、調査もありませんから、まあまあだということ以外に言いようがないんですけれども、やはり、やっていないと言う前に、実際に着手しようという姿勢すらない状況ですから、民間からの情報が得られないというのは、まさに言いわけにすぎないんだと。ぜひひとつ、これは前向きに検討してもらいたいと思います。
 そこで、別の角度から聞きます。
 退職手当法の第二条で、特定独立行政法人の役員を適用対象から除外しているのはなぜかということです。
久山政府参考人 お答え申し上げます。
 特定独立行政法人の役員でございますが、これは、国家公務員ではあるものの、その退職手当につきましては、法人において役員の業績を考慮して決定するというふうにされておるところでございまして、国家公務員退職手当法第二条において、退職手当法の適用除外としているところでございます。
矢島委員 私、そのことがいろいろな矛盾を引き起こしているという点を指摘したいんです。
 この幹部公務員である指定職については、給与については民間役員との比較、均衡という観点が入っているけれども、退職手当については支給率の比較がない。また、その一方で、今言われたように、特定独法の役員には退職手当の適用を除外している、こういう状況なんですね。そこでどんな不合理というか矛盾が出てきているかという問題であります。
 指定職と特定独立法人役員とで支給率が違ってくる。法的に整合させようとすれば、指定職の俸給表を見直す、これも予算委員会でいろいろ問題になりましたけれども、指定職になった途端に退職金が二五%もはね上がるというような、諸手当が本俸に繰り入れられるという状況ですけれども、整合性を保とうとすればこれを見直す必要があるんじゃないか。それから、退職手当法を見直すか、それとも特定独立行政法人の役員も第二条の適用対象とする。どちらかしないと矛盾は解決しないんじゃないかという気がするんですが、その点についてはどういうお考えでしょうか。
久山政府参考人 お答え申し上げます。
 特定独法の関係につきましては先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、今おっしゃいました指定職の職員に関することでございますが、これにつきましては、一般論でございますけれども、国家公務員の退職手当は退職時の俸給月額を基礎としているところでございます。
 これは、指定職の職員につきましては、その俸給が、職務の複雑困難性あるいは責任の度に基づいて定められているということでございまして、指定職の場合には、この度合いに応じまして、特別調整額相当分等を包含するものとなっておりまして、通常よりも高目になっているという事情があるからでございます。
矢島委員 そういう質問じゃないんですよ。そんなことはわかっているんですよ、そうなっているから、だから高くなっていてということは。
 そこを、私が言うような方法で変える必要があるんじゃないか、そうしないと矛盾は解決しない、そういうことでお聞きしたんですが、大臣、わかったらお願いします。
片山国務大臣 そこなんですね。独立行政法人の場合には業績主義になったんですね。だから、給与も退職手当的なことも業績に応じてやりなさい、しかし、それをチェックするのは評価委員会だと。御承知のとおりなんですね。
 しかし、それはそうでも、やはり独立行政法人の方もバランスがあると私は思っているんです。だから、そういうバランスの上に立って、長が決め、理事長が決め、評価委員会が評価しないといかぬと思います。
 そこで、実際上やってみて、今委員が言われるようなかなりな不均衡が出るんなら、やはり制度改正を視野に入れながら、総合的な検討が必要だと思います。
矢島委員 そういう矛盾というのは、いわゆる非現業の国家公務員、それと公社とかあるいは特定独法の職員、こういう間でも起こり得るわけなんですね、今私が指摘したような矛盾というのは。ですから、そういう点から、ぜひひとつ検討していただきたいということ。
 それから、労働協約締結権がある特定独法では俸給月額を労使協議にゆだねている。結果として、退職手当の額に変化が当然生じてくるわけですね。それは認めている。しかし、退職手当の支給率については労使交渉を認めない。こういうところにも矛盾がある。
 そこでお聞きしますが、今回の退職手当改定に当たって、職員団体との交渉は行われたかどうか、また公社や独立行政法人との場合どうだったか、その点、お答えください。
久山政府参考人 お答えいたします。
 退職手当につきましては、職員一般の重大な関心事項であるということがございまして、このことから、今回の法改正に当たりましては、公式な会見あるいは非公式な会見、双方を通じまして、職員団体の皆さんの意見は十分に聞いた上で今回の法案の内容を決定したところでございます。
 その職員団体でございますが、この団体には現業と特定独立行政法人の職員団体も加入しておるところでございまして、職員団体との会見は、現業と特定独立行政法人の職員の意見も十分に反映しているものというふうに考えております。
矢島委員 私の聞いた範囲では、局長が今言われたような、十分話し合ったと、十分などというものではないなというように聞いておりますし、また、そういうことが果たして行われたのかなと。全然行われなかったんじゃないかという意見も耳に入ってきておりますので。それは本当でしょうね、今の答弁は。
 そこで、私は、今度は次の方向でいきますけれども、先ほども同僚委員から退職手当の性格についての質問がありました。政府もこの勤続報償あるいは生活保障あるいは賃金後払い、この三つの説を挙げながら、これらの要素が不可分に混合しているというような考え方の上で、勤続報償としての性格が強いという、あれは一九八四年の、当時の総務庁人事局がやりました国家公務員等退職手当制度基本問題研究会、ここの報告がそうなっているんですが、この見解というのは今でも同じなんでしょうか。局長、お願いします。
久山政府参考人 国家公務員の退職手当でございますが、おっしゃいました勤続報償という性格に加えまして、生活保障とかあるいは賃金の後払いという性格もあわせ持つものというふうに考えられるところでございますが、職員の長年にわたる公務への貢献に対する勤続報償を基本的性格とするものと考えております。
矢島委員 一応、基本的にその三つの性格というものがいろいろと混在している、賃金後払いの性格というものも完全に排除をすることができない、そういうことであると思うんです。そうであれば、国家公務員の退職手当が労働基準法の第十一条で言うところの労働の対償としての賃金、こういう性格を完全に排除することはできないということは明らかだろうと思うんです。
 昨年十一月に、ILO結社の自由委員会が日本の公務員制度にかかわる勧告を行いました。この問題も既に出されている問題です。この公務員における交渉事項の範囲について、労働組合との意義ある対話、これを日本政府に求めた内容であろうと思います。
 そこで、退職手当の性格を政府は複合的な性格であるということを考えているわけですから、それである以上、この退職手当というのは法の運営によって影響を受ける可能性のある勤務条件ということになるのではないか、つまり、労使交渉で決めるべき性格を持っているものだ、このように思うんですが、大臣、いかがお考えですか。
片山国務大臣 基本的には勤続報償なんです。もうこれは一貫しているんですね、退職手当制度ができたときから。ただ、それに、なるほど、委員も皆さんも言われますように、生活保障的な性格や賃金後払い的な性格もある、それは排除はできない、こういうことでございまして、あわせ持つんですね。
 そこで、勤務条件ではないかと。私は、そうではないと思うんですが。しかし、職員の皆さんの重大な関心事項である。これは確かですよね、性格はどうであれ。私は、勤続報償だと思うけれども、勤務条件でないけれども、しかし重大な関心事項ですから、それについては職員の皆さんの意見を聞くということは当然あっていいし、我々としては、私も一回か二回か職員団体の代表の皆さんとこの退職手当のことも少し話し合いました。事務方はもっと話をしていると思いますけれども、それはもう委員の言われたとおり、職員団体の意見を聞く必要は十分あると思います。
矢島委員 何が交渉事項かという問題ですね。つまり、勤務条件性、ここのところは大臣と見解が違います。だから、労働基本権そのものの問題について、それは労働条件とは考えない、いや労働条件と考える、だから交渉事項だと。いろいろありますけれども、この問題を、一方的な判断で、労働条件じゃないんだとか、あるんだとか、政府が判断していいものだろうかということなんです、私が疑問を持っているのは。
 ILOの勧告から考えれば、十分、こういう労働基本権そのものの問題について、政府の一方的な判断じゃなくて、国会審議であるとか、政府が進めている能力等級制について勤務条件が議論になったときに、政府と人事院との答弁に食い違いが出てきたという問題も今までにあるわけであります。
 片山大臣も予算委員会でこういう質問に答えておりますけれども、質問者が、組合との協議もきちんとされて、それをしなかったら国家公務員法改正案は閣議決定すべきではないと思うがどうかと、こういう質問に対して、今言われたことは、全部視野に入れながら検討すべきだ、こう思っておりまして、そういう観点の中での検討をぜひ私どもとしては政府部内でやるべきだろうと思っているという答弁を行っております。
 つまり、ここではっきりしたいのは、職員団体との対話はどこまで行っているのか、そして、それが一定の結論を得ないうちに閣議決定するというようなことはないのか、この辺について、大臣のお考えを。
片山国務大臣 この退職手当法につきましては、組合の皆さんが、職員団体の皆さんが、ぜひ経過措置をやれと。我々はそれほど経過措置については考えていなかったんですが、御承知のように、経過措置を入れまして、これは二カ年でやることにいたしましたので、その辺は組合との話し合いの結果だと私は思っております。
 それから、公務員制度改革大綱そのものについて、御承知のように、私は全部答える立場にはないので、これは特命で行革担当大臣がやっておりますから。そうですが、これだけ大きな改正をやるのなら、やはり職員団体の皆さんの、もう大丈夫だ、百点だということではなくても、渋々でも、まあまあしようがないかなと、そのくらいの納得を得るべきだ、私はこういうふうに思っておりますので、今後ともそういう努力をいたしたいと思います。
矢島委員 時間になりました。
 人事院総裁も予算委員会で答弁しているように、労使協議も不十分である、それから、ILO勧告でも指摘されているように、国際的基準にも反している、こういう状態では、やはり閣議決定を急ぐこと自体が私は大問題だと思います。きちんと労使交渉、意義ある対話を実行すべきであるということを強調いたしまして、質問を終わります。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 時間もせっているようでありますので、答弁者、簡潔明瞭に答弁をお願いいたします。
 まず、今提案をされております法案についてですが、独立行政法人等の役員に就任をして、そしてまた国家公務員に復帰する場合の退職手当の通算問題についてお聞きいたします。
 具体的に申し上げますが、国家公務員に復帰するより独立行政法人等の役員に残った方が退職手当の額が多い、そういう場合もあると思うんです。したがって、復帰しても自分の納得できるポストもないというふうな状況が重複をして、結果として、現状の方がいい、こういうふうに考えて、もう復帰しません、こういうケースというのも全くないとは言い切れないと私は思うのでありますが、こういう事態を想定した内容というのは、今回のこの法案の中にはないように思うんですね。そういうことに対してどう担保できるのかということが一つ。
 もう一つは、役員が復帰拒否をした場合、当該法人等は、その役員が国家公務員に採用されたときにさかのぼって退職手当を支給しなければならなくなるのではないかというふうに思うんですが、その際の原資はだれが保障するんですか。
 以上二点、お伺いいたします。
久山政府参考人 二点のお尋ねがあったと思います。
 最初のお尋ねの点は、役員出向で法人に行かれた人がもとの自分の省に帰りたくないというふうなお話だったと思いますけれども、そういう場合が起こらないように、法人の方で所要の退職金規程を整備させていただくという方向で今検討しておるところでございます。
 それから、二点目のお尋ねでございますが、これは原資の関係だと思いますけれども、まず、独立行政法人等への役員出向につきましては、国への復帰を前提といたしておるものでございますので、役員出向中に退職するというふうなことにつきましては、かなりまれなケースだというふうに思います。
 こういう場合につきまして、原資の関係でお答え申し上げますと、一般論としては、法人が国家公務員期間を含めた退職金を負担するということになると思いますが、一方で、通常想定される、役員が国に復帰するという場合には、法人は役員退職金を負担しなくても済む、そういうことにも留意すべきというふうに思っております。
 法人は、こういったことを総合的に勘案しながら、法人独自の判断によりまして、国への役員派遣の要請を行うものというふうに考えております。
重野委員 私が質問したのは、そういうケースが全く発生しないとは思えない、もしそういうケースが発生した場合に、それを保障できる仕組みというものを、やはりきちっとつくっておく必要があるのではないか、こういうふうに思うんですね。
 今、久山さんの答弁は、そういう私の発言の趣旨に正面から答えていないと思うんですが、もう一度聞きます。
久山政府参考人 基本的には、お尋ねのケースの負担のあり方については、私どもは特に問題はないというふうに考えておりますが、今後の話としまして、必要が生じました場合には、退職手当制度の総合的な見直しをいずれするわけでございますけれども、そのときを契機に、役員出向における国と法人等との費用負担のあり方につきましても、関係省庁におきまして検討されるべきものというふうに考えております。
重野委員 それでは、検討を期待しておきます。
 次に行きます。
 次は、いわゆる高級官僚の退職金の二重取り、三重取りの問題についてです。これは、国民の批判が非常に強いということについては同じように理解していると思うんですが、そのことを是正するというのが一つの大きなねらいにあることは間違いありません。しかし、結局、現在のいわゆる天下りというのがなくならない限り、最後は、特定の高級官僚が独立行政法人に天下るというふうなことはなくならないと思うんですね。
 結局、具体的に言えば、定年を迎えました、定年した後、またその方は、先ほど来るる議論があったように、そういう法人に行くわけですね。そういう現実があるんです。そうすると、現職に限って言えば、こういうふうな形でやりましたと。しかし、その現職をやめた後、国民の側から見れば、これは同じなんですね。同じなんです。やはり国民の目から見たら、何だと、こういうことになるのです。
 そういうふうに見ると、今度のこの改正というのは、私は、本質的に今国民が批判しているものにやはりこたえていない、こう言わざるを得ないんですが、大臣、これについてどのようにお考えですか。
片山国務大臣 今重野委員言われるのは、公務員の場合の退職金はこれで是正されてよくなるけれども、独立行政法人等の退職金はどうかと。
 これもやはり、国家公務員との均衡や、似たような法人、民間との均衡ということで、今いろいろな閣議の申し合わせや了解をやっているんですよ。しかし、問題は、チェックをどうやるかですね。それについては、私は、今後考えていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
 ただ、お考えいただきたいのは、それは公務員をやめたから独立行政法人に必ず天下りするということでもないんです。というのは、なかなか適任がいないんですよ。それから、役所の仕事を分けていっているんですよね、今の独立行政法人は。そういうことでございまして、やはり公務員経験者が役員につくというケースが大変多いんですよ。
 ただ、我々は、それを、行きっ放しじゃなくて、理事長は別にしましても、できるだけこの役員がまた公務員に帰ってきて、こういうことを今回考えて、二重取りさせないようにということが今回の改正の一つの趣旨でございますので、そこもぜひ御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
重野委員 次に、役員の範囲と人事のローテーションについて聞きます。
 役員には、理事長あるいは理事、一般の理事、そういう者を含めるというふうに考えるんですが、理事長について、この方は、国家公務員への復帰対象職員、そういう人を理事長に充てるのかどうなのかということが一つ。
 それからもう一つは、理事長、副理事長等は国家公務員に復職しないもの、その他の理事は復職可能という線引きがなされるのではないかというふうに思うんですが、要するに、そうした線引きによって各省庁の人事ローテーションが組み立てられるのではないかというふうに思うのですが、大臣の見解をお聞かせください。
片山国務大臣 これは独立行政法人によっていろいろだと思いますね。一律に線を引くというのは私は難しいと思いますけれども、今回、退職手当制度にこういう制度を入れたということは、できるだけ出向、復帰を活用してもらいたい。
 これは、やや私の個人の感じを申し上げますと、理事長さん以外はもう復帰を前提に運用してもらった方がいいと思いますね。理事長についても、場合によっては復帰があり得る、こういうことで運用した方がいいのではなかろうか、こう考えておりまして、その方が独立行政法人等の仕事の活性化にもなると私は思うんですね。そういうことで、これからでございますので、その辺はいろいろな観点を含めて十分検討してまいりたいと思います。
重野委員 そこのところを国民は厳しい目で見ていると思いますよ。やはり、そういう目を正面から受けとめて、国民の疑問とかそういうものに対し、真っ正面からこたえていく、そういう姿勢が政府に求められている。この点を指摘しておきたいと思います。
 次に、役員就任期間について、どの程度を上限と考えているのかという点について聞きます。
 特殊法人改革によりまして独立行政法人化がなされた、そのことは、経営の効率化を図ることにそのバックグラウンドがあったと思うんですね。となると、役員人事は所管省の人事ローテーションによってなされるべきではないですよということを確認したことだと思うんですね。
 そうすると、当該独立行政法人等の経営計画期間及び経営責任を十分考慮しなければならない、そういうのが極めて重要なポイントになると思うんですが、その点をどう確認できるかということが一つ。
 それから、各派遣省庁の都合だけで人事の引き回しをすることは厳に避けるべきと考えますが、それが二つ目。
 三つ目に、この新しい枠組みでやっていくわけですけれども、一定期間これを具体的に施行した後、各省庁ごとかあるいは総務省で一括するか、それはいろいろ方法があると思うんですが、国会と国民に、本法の運用状況、これをやはり定期的に報告あるいは公開すべきというふうに思うんです。
 以上三点について、大臣の見解をお聞かせください。
片山国務大臣 独立行政法人等の役員に就任した場合の就任期間の上限ですね、これについても、私は一律にはなかなかいかないと思いますけれども、理事さんは、一期が大体二年ぐらいですね、あるいは四年、中期経営計画でいうと四年。その辺が、二年ないし四年が一つの目安になるんではなかろうか、こういうふうに考えております。
 それから、今委員からも御指摘がありましたが、役所側の人事のローテーションでやるのは、これはいけないと思いますね。やはり、各独立行政法人等の中期経営計画の達成をどうするかというそっちの都合が優先されるべきで、役所の都合の方は、人事計画等はやはり従、それぞれの法人等の方が主で、人事ローテーション的な考え方の方が従でなきゃいかぬ、私はこういうふうに思っております。
 それから、今、公務員制度関係はいろいろな公表をやっております。毎年三月に、せんだっても公表しましたが、独立行政法人等の役員についている公務員出身者の状況等については、本年三月に第一回の公表を行いました。役員出向についてもこの公表の仕組みの中に入れるということも検討すべきではないか、そういうことでこの点の透明性も明らかにする、こういうことが必要だと私は考えております。
重野委員 次に、四月九日の決算行政監視委員会で、我が党の山口わか子委員が公務員制度改革について質問いたしております。そこで、石原大臣は、労働基本権問題と公務員制度改革は切り離すなどとは一言も言っていないというふうに明言されております。
 この点について根本副大臣に確認をしたいと思うんですが、いかがですか。
根本副大臣 確かに、石原大臣、委員の今言われたようなことで答弁はさせていただいております。
 この労働基本権問題、これは多少繰り返しになりますが、今回、公務員制度改革大綱、今、大綱の具体化に向けて検討作業を行っているところでありますが、改革に当たっては、公務員の労働基本権制約の代償措置は確保する、こういうことで今進めております。
 この労働基本権問題に対して職員団体を初めいろいろな要望があるわけでありますが、我々、この問題につきましては、切り離すということは考えておりませんし、こういうことを議論することを否定したりする、こういうこともありません。今後、職員団体の皆さんとの間で、この問題について、どのように議論していくか、どのように議論していけばいいか、そういうことを十分に相談させていただきたい、その中で適切に対応していきたいということであります。
重野委員 そのように確認をしておきます。
 それから最後に、同じ問題についてでありますが、いろいろなやりとりがあるわけですけれども、根本副大臣はかつて建設省に勤務されていたというふうにお伺いしておりますが、この山口議員とのやりとりの中で、石原大臣が、いわゆる潜在能力に着目して人事管理をやってきた、こういうふうに答えております。
 私は、この点が今度の公務員制度改革の中で非常に重要な意味を持っておると思うんですけれども、この点について、根本副大臣、かつて官僚の経験も持っておられるわけですが、その体験に基づいてのお考えを開陳していただきたいと思います。
根本副大臣 私も、やめてから随分なりますが。
 先生の御指摘は、今回の能力等級制度でどういうことを考えるのかということだと思うんですね。
 今回の能力等級制度、この考え方は、官職、要はポストですが、これを仕事の難しさに応じてまず能力等級に分類しましょうと、その能力等級に分類した上で、それぞれの官職に求められる標準的な能力はこんな能力ですよというものを決めまして、それぞれの人間をどう配置するかということについては、要は、その人間が今仕事を通じて実際に発揮している能力、この実際に発揮している能力に着目して、これを適切に評価して、そのポストに適材適所で的確に位置づけるということを考えております。
 要は、能力等級制というのは、実際に、現に発揮している職員の能力をきちんと適切に評価して位置づけるということでありますし、この能力等級制度をやれば適材適所の人事配置ができますし、それから、仕事を遂行する上でどういう能力が要求されるか、こういうことがはっきりいたしますので、職員も、それを見て、自分がみずからどういう能力を磨かなければいけないのか、これも主体的な取り組みが促進される、こう思っております。
重野委員 時間が来ましたので以上で終わりますが、この問題については、今後とも機会があるたびにひとつ議論していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。春名直章君。
春名委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員退職手当法改正案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、高級官僚の天下り、高額退職金に対する措置が極めて不十分だという点であります。
 本改正案は、早期退職特例措置を見直して、事務次官などについては割り増しの不適用とした結果、現行八千九百四十六万円が七千八百七万円へと減額になることが予定されていますが、これでも、例えば一般公務員の一九九九年退職者の平均で二千九百四十八万円、勧奨退職者平均三千八十万円と比べると、いかに高額であるかがわかります。天下りの温存とあわせ、国民の厳しい批判からすれば、ほど遠い内容と言わねばなりません。
 第二の理由は、退職手当の引き下げ率六%は、昨年度実施の本俸二%引き下げと合わせると八%を超える引き下げとなり、とりわけ一般公務員の家計や生涯設計に与える影響が大きく、賛成できません。
 以上、改正案全体としては、高級官僚の特権的待遇は依然として温存され、一方で、一般公務員には犠牲を強いるものであることを申し上げまして、反対討論といたします。(拍手)
遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより採決に入ります。
 国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十分散会


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