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第17号 平成15年6月3日(火曜日)

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平成十五年六月三日(火曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    伊藤信太郎君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      川崎 二郎君    左藤  章君
      佐田玄一郎君    滝   実君
      谷  洋一君    谷畑  孝君
      谷本 龍哉君    野中 広務君
      平林 鴻三君   吉田六左エ門君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    玄葉光一郎君
      島   聡君    中沢 健次君
      長浜 博行君    松崎 公昭君
      山田 敏雅君    河上 覃雄君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      金子善次郎君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (総務省大臣官房総括審議
   官)           伊藤祐一郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          森   清君
   政府参考人
   (総務省自治財政局長)  林  省吾君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房審議
   官)           清水  潔君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            遠藤純一郎君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月三日
 辞任         補欠選任
  宮路 和明君     谷畑  孝君
  松崎 公昭君     長浜 博行君
  久保 哲司君     河上 覃雄君
同日
 辞任         補欠選任
  谷畑  孝君     宮路 和明君
  長浜 博行君     松崎 公昭君
  河上 覃雄君     久保 哲司君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 地方独立行政法人法案(内閣提出第一一六号)
 地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一七号)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、地方独立行政法人法案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官伊藤祐一郎君、総務省自治行政局長畠中誠二郎君、総務省自治行政局公務員部長森清君、総務省自治財政局長林省吾君、文部科学省大臣官房審議官清水潔君及び文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上川陽子君。
上川委員 おはようございます。自由民主党の上川陽子でございます。
 質問に入ります前に、昨日、六月二日未明に神戸市西区で発生した火災の消火活動に当たられました神戸市消防局の消防隊員のうち、三名の若い消防隊員の皆さんが殉職なさいました。謹んで三名の消防隊員の御冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 このところ、中央と地方の財源問題をめぐる三位一体論、活発に議論をされております。当委員会におきましても、去る五月二十七日に、我々会派を含む多数の賛同によりまして、三位一体改革に係る緊急発言が行われました。片山大臣におかれましては、その実現に向けて日夜御奮闘なさっていらっしゃるということでございますが、引き続き最大限の御努力を賜りますようお願い申し上げます。
 私は、国から地方へという流れ、つまり、地方分権の大きな方向性につきまして、今こそ、国と地方の役割分担を根本から見直し、国から地方への三位一体の改革を強力に推し進めていくべき時期である、こう考えております。しかし、同時に、このことが、国と地方の間の懐の探り合いや、また省をまたいだ損得勘定に矮小化されては断じてならない、こう思っているものでございます。財源のみならず、それに付随する権限、両方を思い切って地方に移譲していく、国は、その本来担うべき役割、こういうものを見直していく形で、新しい時代にマッチした小さな政府を目指していくべきというふうに考えております。
 平成十三年の一月に一府十二省庁に中央省庁が再編統合されまして、今まさに行政改革の段階にあるわけでありまして、まだそれは最終地点ではないというふうに思っております。今お進めになっている国から地方への三位一体構想、これは、小さな政府の実現に向けた、ある意味で一里塚ではないか、こう思っているわけでありますが、今回、この地方の独立行政法人化も含めまして、中央政府のさらなる行政改革への実現、これを決意していらっしゃるのではないか、こうお察しするわけでございますので、ぜひ大臣の、その面につきましての大きなビジョン、また目指すべき改革のあり方、こういった点につきまして、御所見をいただければ幸いでございます。
片山国務大臣 上川委員から、冒頭、神戸市西区の火災での消防隊員の殉職の話がございました。
 あれは、残った人を助けに行って、建物が落ちてきて皆さんがああいうことになったわけでありまして、すぐ消防庁から実情を調べに行っております。(発言する者あり)
遠藤委員長 御静粛に願います。
片山国務大臣 今後は、ああいうことがないように、また、亡くなられた方々にどういう対応をするか、しっかりと考えてまいりたいと思っております。
 ありがとうございました。
 それから、今の三位一体の改革に絡む小さな政府の実現のお話でございますが、三位一体の改革は、できるだけ自前の金を地方に与えて、国がひもをつける補助金、負担金を縮小していく、削減していく、あわせて地方交付税のあり方も自主性を重視するようなことに直していく、こういうことでございまして、小さな政府と一致するんです。
 それから、補助金そのものを整理統合していくことがいろいろな意味で小さな政府につながる、こういうふうに思っておりますし、この三位一体の改革はそういうこととあわせてやることで大きな成果が上がるだろう、こう思っておりますので、ぜひこの機会にやってまいりたいと思います。
 また、我々は、今、電子政府だとかアウトソーシング、民間委託だとか、いろいろなことを考えておりまして、これも小さな政府につながっていくことになるだろうと。
 総合的なそういう行財政改革を進めることがやはり必要だと思っておりまして、今後、一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
上川委員 ぜひ、そうした方向につきまして、全政策が結集できるように、リーダーシップを発揮していただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
 では、続きまして、地方独立行政法人に関する法案の御質問をさせていただきます。
 今回の地方独立行政法人制度の地方への導入のそもそもの契機というのは、平成十二年十二月一日の行政改革大綱の中で、「国における独立行政法人化の実施状況等を踏まえて、独立行政法人制度についての地方への導入を検討する。」、こういう一言の中で進められていっているというふうに理解しております。
 独立行政法人、平成十三年の四月からスタートということでございまして、今まさにその運用の中でそれぞれ御努力をいただいているということでございまして、行動しながら考えて、また改めて制度の改革をしていくということであろう、こんなふうに思っております。
 今の制度、国の省庁の独立行政法人制度がうまく機能しているかどうかというのは、最終的にまだ判断する段階にはないと思うんですが、今まさに過渡期であるということでございまして、今回の地方の独立行政法人につきましては、国の独立行政法人の、ある意味では反省点とか課題とか、そうした今抱えている問題点、これもいろいろ出ているということでございますので、そういうものをある意味で消化した上で制度に盛り込んでいくということが大事ではないか、こんなふうに考えております。
 そういう意味で、今まさに進行中の国の独立行政法人から得られている今の段階の御教訓というものを、どのように地方の独立行政法人制度の中に盛り込まれているか、その辺の目玉の部分をぜひ教えていただきたいと思っております。
片山国務大臣 国の独立行政法人制度は、国とは違う法人、国とは離れて独立した法人という形を整えて、そこに自律的、弾力的な運営を行わせる、それから、事前のチェックじゃなくて事後の評価でいろいろ中を正していく、こういうことでございまして、そういうことによって業務の効率を上げるということと国民に対するサービスの向上を図る、こういうことが目的でございます。
 始めましたのが十三年ですね。制度が始まったのが一月からで、これは二回に分けて独立行政法人化されました。まだ成果を厳重に検証するまで至っておりませんけれども、例えば、美術館や博物館の夜間開館の実施が行われておる、あるいは、法人の長のリーダーシップで、例えば研究費の弾力的な配分や、民間との包括的な研究協定というんですか、それを結んで連携をして行われている等、独自の取り組みが行われておりまして、我々としては、一定の成果が上がっているんではなかろうか、こう思っております。
 まだまだ始まったばかりでございまして、今後とも、十分そのあり方をフォローしていきたい、こう思っておりまして、そういう国の独立行政法人のぐあいを見ながら、この地方の独立行政法人の制度をつくって、地方の自主的な判断でやってもらいたい、こういうふうに考えております。
上川委員 国の独立行政法人の一つの特徴ということで私が非常に注目しているのが、企画立案の機能と実施、執行の機能というものを分離していくということでございます。それについては、行革大綱の中でも、執行事務については独立行政法人化を進めるという文言が盛り込まれているわけでございます。
 地方独立行政法人ということにつきましては、できるだけ地方の自主性というお話が今ございましたけれども、同じ独立行政法人という名前でございまして、国の独立行政法人をある意味では地方に応用していくというようなお考えだということでございますけれども、そうしたときに、企画立案機能と執行機能をどういう形で受け持たせていくのかということについて、その部分についてお考えをお伺いしたいということ。
 それから、地方の場合には、国の場合と違いまして、できるだけ住民に密着しているという意味では、現場のニーズが直接企画立案にすぐに反映し、また、それに臨機応変に対応していくというような形での特色が見られるというふうに思うんです。そういう意味では、もし企画立案と実施の部分が離れていくような、組織的にも離れていくようなことがあった場合には、サービスの機能そのものが低下するおそれがあるんじゃないか、こんなふうにも思うわけでございまして、そういう意味で、そうした危惧というか、それを防止する、あるいは、その企画立案の機能を独立行政法人にも認めていくというようなことを今の段階でお考えになっていらっしゃるのか、その点につきまして、お考えをお伺いしたいと思います。
若松副大臣 まず、国の独立行政法人制度の趣旨、目的でございますが、政策の企画立案機能と実施機能を分離して、実施部門のうち一定の事務事業につきまして、効率性の向上、サービスの向上並びに透明性の確保、これらを図るために独立行政法人に行わせる、こういった考え方は、私どもとしては、地方独立行政法人制度においても当てはまる、このように認識しております。
 その意味合いでございますが、これは地域におきまして、政策の企画立案機能、これは地方公共団体がまずみずから責任を持って行っていただく、そして、民間の手法に準じた形で実施した方が効率的である実施部門のうち、確実に実施する必要があり、民営化にはなじまないような事務事業につきましては、これは地方独立行政法人が地方公共団体にかわって行うということの方が適切ではないか、そのように認識しております。
 このような役割分担を、まさに官から民へ、こういった役割分担を推進することによりまして、地方公共団体におきます行政改革が適切な形で推進されるのではないか、私はそのように期待しております。
 また、設立地方公共団体、いわゆる設立する側でありますが、この公共団体が設定する中期目標、これを実現する手段につきましては、地方独立行政法人がみずから創意工夫することによりましてすぐれた企画立案能力を発揮することが当然求められておりまして、御存じのように、国家公務員が、自衛隊等も含めて約百万人、さらに地方公務員が三百万人、確かに住民自治の行政は地方公務員の方が多いわけでありますが、それだけに、この独立行政法人の考え方、いわゆる民営の非常に効率的な経営手法を取り入れるということは、やはり地方公共団体においても積極的に活用すべきではないか、このように考えております。
上川委員 今のお話の中に、民間でできることは民間にということでお話がございまして、小さな政府を目指す基本的な姿勢ではないか、こんなふうに思うわけであります。
 国であろうが地方であろうが、行政改革を実行する場合には、業務内容を見直して、できるだけ民営化できるものは民営化していくということが趣旨ではないかと。今おっしゃった中でいきますと、民営化になじまないものは独立行政法人にするということでございますが、官か民かという形で地方の部分で峻別する場合の、なかなか難しいと思いますけれども、この明確な物差しというのは、どういう物差しを持って官か民かというものを峻別なさるというふうにお考えなのか、そのことが一つということでございます。
 それから、民営化すべきものと民営化すべきでないものの区別ということでございまして、これは国と地方と少しずつ変わるかもしれません。また、地域によっても物差しが変わるかもしれません。その辺の考え方も、ぜひ教えていただきたいと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のように、民営化すべきものは民営化すべきじゃないかということでございますが、まさにそのとおりでございまして、地方公共団体においては、民営化、民間委託を初めとして、さまざまな手法によります行政改革の着実な実行が求められております。まずは事務事業の見直しを行いまして、地域の実情を勘案して、民営化になじむものは積極的に民営化を進めるべきものというふうに考えております。
 その上で、直ちに民営化や民間委託が困難なものもございますので、そういうものであって、地方公共団体がみずから実施するよりも効率的、効果的にサービスが提供できると判断される場合には独立行政法人化すべきものということで、今御提案させていただいているものでございます。
 その「定義」におきまして、地域において確実に実施されることが必要な事務事業であって、地方公共団体がみずから主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを対象とする旨、定めているところでございます。
 それで、事務事業のうち、民営化すべきものであるか否かの区別、基準のお尋ねでございますが、これは、地域の事情によっていろいろ異なりますので、例えば、性質上民営化すべきというものでございましても、その引き受け手がないとか、引き受け手があっても到底ペイしないというものもございますので、その基準を明確に示すことはかなり難しいと考えておりますが、この制度の導入を契機といたしまして、改めて行政サービスの提供主体とか方法の見直しが行われることを私どもは期待しているところでございます。
上川委員 今のお話でいきますと、同じジャンル、同じ分野であっても、その地域の自治体の判断によっては、あるものは独立行政法人になり、あるものはもしかしたら民営化で引き受けていただくこともあり得るということを意味しているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
畠中政府参考人 そのとおりでございまして、先生御指摘のとおりでございまして、例えば病院でも、地域によっては、病院が一つしかないというところではなかなか民営化は難しいというところもございますし、複数病院があって民営化できるんじゃないかというところもあるというふうに考えております。
上川委員 そこで、ちょっと具体的な事例を二つ御質問させていただきたいと思うんです。
 この法案の第二十一条に「業務の範囲」という形で、水道事業について対象に盛り込まれているわけでございます。
 水道事業につきましては、先回、三月に行われた世界水フォーラムの中でも、世界の中で、民営化という議論が出てきている分野ではあって、まだもちろん成熟している状態ではございませんけれども、この議論につきまして、日本の場合に民営化がなじむものなのかなじまないものなのか、今の段階で国としてどのようにお考えなのかということにつきまして、ぜひお考えをお伺いいたしたいと存じます。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 水道事業の民営化についてでございますが、我が国におきましても、極めて例外的なケースでありますけれども、リゾート開発地域におきまして民間企業が上水道事業を経営している、こういう例もございます。
 ただ、我が国におきます水道事業のあり方につきましては、いろいろな考え方が出されているわけでありますが、昨年度、私ども総務省で有識者を集めまして、調査研究会を開催していただきました。
 その場でこの点についても御議論いただいたわけでありますが、我が国における水道事業につきましては、例えば、公衆衛生上の必要性、あるいは地域独占的な性格等を考慮いたしますと、この水道事業はかなり特異な性格を有しているということにも十分留意する必要があることから、その経営につきましては、基本的に公共が重要な役割を果たしていく必要があると考えるべきだ、こういうふうに指摘されております。
 ただ、同時に、今後の水道事業の経営改革という観点を考えますと、広範なアウトソーシングの導入等、我が国の水道事業の特性を踏まえつつではありますが、それに見合った適切な形態で市場競争原理を積極的に取り入れていく必要がある、こういう御提言をいただいているところでもあります。
 今回の地方独立行政法人につきましては、地方公共団体の組織と別組織ならではの利点を生かして、地方公共団体の公共サービスの提供手法の新たな選択肢を与えることになるものとも考えているところでありますが、いずれにいたしましても、我が国の水道事業の経営形態につきましては、これまでどおり公営企業で行うのか、あるいは可能なものについては民営化するのか、あるいは積極的な民間委託方式の活用をするのか、さらに、今回御提案を申し上げております地方独立行政法人とするのかなど、さまざまな選択肢の中で、地方公共団体が、みずからの事業、サービスの提供をするために、地域の実情等を十分踏まえて適した手法を選択されることが望ましいものと考えているところでございます。
上川委員 最後にもう一つ、具体的なテーマといたしまして、公立大学の独法化についてお尋ねをいたします。
 既に国立大学につきましては、今独立行政法人化の手続にのっとって進められているわけでございます。これに対し、公立大学については、この法案によりまして、国立大学とは異なる制度ということで予定をされています。
 制度設計にどのような違いがあるのかということが一点と、それからまた、将来的に国立大学法人と公立大学法人の統合合併ということにつきましても地方の中では可能性があり得るというふうに思いますが、その場合に、制度の違いというのがその統合合併に際しての障害になるようなことがあるのかないのか、この点につきましてお尋ねして、終わらせていただきます。
遠藤政府参考人 公立大学法人と国立大学法人との制度設計の違いという点でございますけれども、公立大学法人制度におきましては、国立大学法人の制度設計等に倣いまして大学の教育研究の特性を踏まえた特例を設けておりまして、その基本的な制度設計の考え方は国立大学法人制度と同じだ、こう考えております。
 他方、具体的な法人の組織運営等につきましては、地方分権の見地に立ちまして、それぞれの地方公共団体の選択と判断にゆだねられるべきでございますから、国立大学法人制度とは異なりまして、一律に法律で規定するのではなくて、各地方公共団体の裁量の余地を大きく認めた弾力的な制度となってございます。
 具体的には、法人の長が学長となることを原則としながらも、設立団体の判断で別に理事長を任命するということも可能であるということが一つございます。
 それから、学長の選考を行う選考機関あるいは経営に関する審議を行う機関、教育研究に関する審議を行う機関等の構成につきましては、枠組みだけを定めまして、具体的な定めにつきましては定款にゆだねているということがございます。
 それから、経営に関する審議機関、教育研究に関する審議機関の具体的な審議事項につきましては、法律で一つ一つ規定するということではなくて、これも設立団体が定款によって定める、こういう仕組みとなっているところでございます。
 それから、国立大学法人に置かれております役員会等の設置につきましても設立団体の判断にゆだねるということがございますし、国立大学法人につきましては、来年四月に一斉に設立される、こういう法案の内容でございますけれども、公立大学法人につきましては、本法案の成立によりまして同じく来年の四月から設立が可能となりますが、公立大学を法人化するか否かということにつきましては、各地方公共団体の判断にゆだねているというところでございます。
 それから……
遠藤委員長 簡単に。
遠藤政府参考人 はい。両者の統合合併についてでございますが、公立大学、国立大学、基本的な性格は同じだと思いますが、これの合併ということになりますと、かなりいろいろな面で解決すべき問題が多いな、こう考えております。
上川委員 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、中沢健次君。
中沢委員 おはようございます。民主党の中沢でございます。
 きょうは、同僚議員と私と、私が一時間、時間が多いか少ないかは別にいたしまして、じっくり議論をさせていただきたいと思います。
 法案の審議に入る前に、今非常に大事な地方の財政改革、なかんずく三位一体論、これについて、ポイントだけ、特に大事な時期でありますから、総務大臣の決意を含めて、まず聞いておきたいと思います。
 先週のこの委員会で、委員会としての見識のある特別発言があって、それをしっかり大臣が受けて、しかも委員長がしっかりとまた議事さばきをされた。私は野党の一国会議員でありますが、委員会の見識、改めて感服をいたしました。党派を超えて同じ意見だと思うんです。
 さて、総理の諮問機関の地方分権改革推進会議、きょうこの問題についてまとめを行うと、けさの新聞、一斉に報道がありました。残念ながら、あの委員会の見識、あるいは大臣の決意、この改革会議には十分反映をされていない。残念だと思うんですね。
 そこで、いよいよ総理がエビアンから戻ってまいりまして、恐らく六月の下旬と言われておりますが、例の骨太方針の第三弾が、この問題も含めて出てくると思うんですよ。そうすると、この問題について、今までも随分真剣に議論をしてきましたけれども、いよいよ、政治的な場で、政治家の責任でこの問題についてしっかり議論をして、責任を持って結論を出していかなければいけない、こういう時期だと思います。
 これから骨太方針の議論に参画をする片山総務大臣、改めてそこのところの決意をしっかり聞かせていただきたい、そのことを率直にお尋ね申し上げます。
片山国務大臣 先週の当委員会で緊急発言がありまして、与野党一致の大変な意思を私どもしっかりと聞かせていただきました。それを受けとめてやってまいりたいと基本的には考えております。
 この三位一体の改革は、去年の骨太方針二〇〇二の中で、ことしの六月中に改革工程表を含む案を取りまとめる、こういうことになっておりまして、この骨太方針二〇〇三は今月中にまとめたい。三位一体の改革だけじゃなくて、いろいろあるんですけれども、そういうことで、今作業をやっております。
 そこで、去年の骨太方針の決まる前に、私の方から提案をいたしました。国から地方への税源移譲、それに伴って、国の補助金、負担金の整理合理化、地方交付税の見直しを三位一体でやると。三位一体というのは、一つだけやるのは三位じゃありませんから、一位か二位になっちゃうので、三位一体でやる。それは、地方の自主性を強化して、地方を強く、大きくすること、地方分権を進めることだ、地方の行財政基盤を強化する、特に税財政の基盤を強化することだ、こういうことを提案いたしまして、おおよそでは御理解を賜っているんです。
 そこで、そういう方向で今作業をしておりますが、地方制度調査会の答申は、これは与野党の議員さんも入っておりますし、地方六団体の代表も入っておりますから、我々から見ると、いい結論を出していただいた、こう思いますけれども、今議論を進めております地方分権改革推進会議は、必ずしも私どもの考えとは違うのが議論されている。最初の試案よりは相当中は直ってきておりますけれども、しかし、まだまだ問題点がいろいろあると思うんですよ。
 一番問題なのは、やはり分権の志というんでしょうか、分権を進めるという意欲がはっきり示されていないということですね。したがって、税源移譲には触れているんですけれども、及び腰で、しかも、何か増税をするときにしかできないのではないかというようなことが書いてある。
 それから、交付税は地方共同税と財政調整交付金に分けると。これは地方交付税の制度的本質を理解していない議論なんですよ。これは将来の選択肢の一つということで、大分後退しましたけれども、しかし、まだ地方共同税という考え方の言葉が残っているんです。
 そういうことで、必ずしも十分でないと思いますし、私は、運営方法が一番問題だ、こう思っておりまして、まあここで余り議論をすることじゃないかもしれませんが、そういうことで、いろいろ注文をつけておりますが、きょう何か議論をやるようですが、まとまるかまとまらないのか、それはわかりませんけれども、まあしかし、それも審議機関の一つの意見の提出ですから、最終的に決めるのは、まさに中沢委員言われましたように、やはり政治の場が決める。とりあえずは骨太方針は経済財政諮問会議で決めて、最終的には閣議決定で、それを実現するかどうかは国会ですよね、かかって。そういうことでございますので、今後とも、私どもは私どもの意見を主張してまいりたいし、その実現を期してまいりたいと考えております。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
中沢委員 今、大臣の方から、見識のしっかりあるお答えをいただきました。全く同感です。
 そこで、私が国会に出て二期生のとき、まあ一期生のときもそうだったんですが、当時は地方行政委員会、地方財政計画あるいは交付税の議論のときには、その当時は、大蔵大臣がこの法案の質疑に必ず出席をして、自治大臣と大蔵大臣がお二人並んで議論をしてきたんですよ。それがいつの間にか、ほとんど、今でいえば、財務大臣は、予算委員会にはもちろんいますよね、担当委員会にはもちろん出ますが、この委員会には、私の経験からいうと、一度もお見えになっていない。しかも、一方では、きょうまとめを出すであろうあの推進会議の背景には、やはりいろいろありまして、財務省の影がちらついているんですよね。
 先ほど言いましたように、いよいよ大詰めを迎えて、政治の場で決着をする。そうすると、少なくともまだ会期が六月の十八日まで残るわけですから、やはり、昔のことだけを言うわけではありませんが、今大事な時期に、塩川財務大臣もこの委員会に出席をしていただいて、片山大臣と両方座っていただいて、お互いに意見が違うかもしらぬ、あるいは、こちらから質問する人方のトーンも少し違うかもしれませんが、全国的には大変注目をされる、私は、そういう場面になると思うんですよ。
 ここのところは後で、委員長がちょっと交代されていますけれども、委員長にも預けたいと思いますが、担当の大臣として、こういう局面で、財務大臣もこの委員会に出席をすべきであると私は思うんですけれども、大臣、それについてはどう思いますか。
片山国務大臣 国会法の規定だと、国会の委員会が呼べば所属外の大臣も出席できるようになっていますよね、中沢委員言われましたように、過去には例がございますので。しかし、最近は、予算委員会だとか決算行政監視委員会で、しょっちゅう私は塩川さんと並んで、時には似たことも言いますけれども、時には似ないことも答弁いたしておりますので、当委員会でも、よく御相談いただいて、お呼びになるということは、私はあっても一つもおかしくない、こういうふうに考えております。
 財務大臣はやはり国の財政を考えるのが仕事ですから、私どもは地方の財政や地方分権を考えるのが仕事ですから、それは立場の違いがありますけれども、やはり共通項を見つけて、この国をどうするかという点では、同じような、そこは足並みをそろえていくべきだ、こう思っておりますので、今後とも努力いたします。
中沢委員 私も、去年は、予算委員会で地方財政問題を議論したときには、片山さんもいたし塩川さんもいたんですよ。やはり、今大臣おっしゃったように、財政というのは、国の財政も大事だし、地方の財政も大事だ。確かに、対立するところもありますよ。しかし、お互いに共通認識に立たなければ、我が日本の天下国家を含めて大変な事態だ、そういう認識であれば、私は、やはりこの委員会に積極的に財務大臣みずから進んで出てきてほしい。あるいは、この委員会で、ここのところは委員長にげたを預けますが、ぜひひとつ与野党を含めて、しっかり今の事態を認識するという意味では余り変わりないと思いますから、会期末が迫っていますから、大事な時期ですから、しっかり理事会で議論をしていただいて、財務大臣の出席を求める、こういう場面をぜひつくっていただきたい。委員長として、預けますが、いかがでしょう。
佐藤(勉)委員長代理 理事会で協議をさせていただきたいと思います。
中沢委員 では、この問題は以上にしたいと思うんです。
 さて、地方の独立行政法人の法案の審議、きょう一日で終わる。率直に言って、本当は、一日の審議で十分議論が尽くせるのかなという思いなんでありますが、しかし、そういう議事さばきでありますから。
 それにしても、この委員会、いろいろな法案を審議しています。きょうは、傍聴席、大臣ごらんのように、普通から見ても大勢の方が座っていらっしゃる。私は、やはりこの法案について、国民的なというか、関係団体等々もそうでありますけれども、非常に注目をしている法案だと、お互いにそこのところはしっかり認識をしておいた方がいいと思いますね。
 そのことを前提にして、幾つか基本的な問題と具体的な問題でお尋ねをしたいと思うんです。
 まず、大臣に、大臣はもう何でも答弁できる政治家ですから、率直に意見交換もしてみたいと思うんですが、国の独立行政法人の法案は、平成十一年から始まって、もう既に実体化しています。いよいよ、そのことを一つの前提にして、地方自治体においても独立行政法人という制度を導入する、制度設計をする、そういう必要性があって、この法案の立法作業をやって、そして国会に出してきた、こういうことだと思うんですけれども、もう少しポイントを整理して、なぜこの時期に、しかも、後でいろいろ言いますけれども、相当広範にわたった業種を対象にしようとしている、こういうことなども含めて、大臣の方から、まず、基本的なこの法案に対する考え方、少しくポイントを絞ってお答えをいただいておきたいと思います。
片山国務大臣 御承知のように、国の独立行政法人制度がスタートいたしました。法律の施行は平成十三年の一月からですけれども、二回に分けて、独立行政法人が、七十六ですか、何かもうできております。
 その前の、国の行政改革大綱で、平成十二年の十二月の大綱で、地方にも同じように考えなさいということは決めているんですね。ところが、国のこの独立行政法人制度がスタートしましてから、地方団体から、単独で、あるいはいろいろな共同体がありますね、そういうところから、ぜひ地方にもつくってほしいと。例えばどういうところからそういう声が出るかというと、公立大学なんです、一つは。それから、もう一つは、試験研究機関や何か。それから、地方公営企業は、またこれは議論がありますけれども、今の地方公営企業をもう一歩進んだ形で独立行政法人にと。こういう要望がいっぱい出てきまして、そこで我々も、それじゃ、国の行革大綱でも決まっているし、やはり少し検討せにゃいかぬなと。こういうことで、地方六団体とも相談しまして、やはり一番ポイントは、地方議会の関与をどこまで認めるかだったんですよ。
 そういうことの調整を経て今回の法案を出させていただいたので、これをやると運営が、先ほども言いましたが、自律的、弾力的になって、ある程度自由にやれるんですね。それから、中期経営目標と計画でやるんで、単年度の予算やいろいろなあれで縛られないんですね、県そのもの、市町村そのものじゃありませんから。そういう意味で、メリットもあるし、結局、この制度を使うか使わないかはそれぞれの地方団体の自主的な選択に任そうと。
 だから、選択肢として一つの制度を示す、こういうことなものですから、やるかやらぬかはそれぞれ決めてもらう、こういうことでございますので、私は、この制度については、選択をしていただく、地方団体のいろいろなやり方の選択肢をふやしていただく、これはいいことじゃないか、こういうふうに思っております。
中沢委員 私自身も、今のお答えでいいますと、いわゆる総論的には、そういう一つの時代の流れだと。地方においても独立行政法人の必要性があるという判断を、これはいわゆる自治体が判断をして議会で議決をする、そういう手続まで非常に民主的に保障していますから、それはそれで結構だと思うんです、総論的には。
 そこで、一つ、確認のために。
 今大臣おっしゃいましたように、今度の立法の趣旨からいうと、もう釈迦に説法だと思いますが、もう既に地方分権の時代で、地方で独立行政法人をつくるかつくらないかの判断、あるいは議会でどういう中身で決定をしていただくか、そういう決定の判断、あるいは、後でもちょっと触れますが、公務員型にするか非公務員型にするかの判断も含めて、すべて地方が選択権と決定権を持っている、こういうことであることはもう間違いがないと思うんですけれども、改めてそのことを。副大臣でも結構です。
若松副大臣 この地方独立行政法人のいわゆる必要性というのは、何といっても、現下の経済状況、さらには行政の非常に厳しい財政、こういった状況を踏まえまして、地方公共団体におきましても、さまざまな手法を活用して、かつ、行政改革を着実に実行しながら、この地方独立行政法人制度というものが設けられたわけでありますが、これはあくまでも、その法人の設立につきましては地方公共団体の自主的な判断にゆだねているところでございまして、委員の御指摘のとおりでございます。
 また、この地方独立行政法人の定義につきましても、地方公共団体がみずから行う必要がないものの、民営化にはなじまないと地方公共団体が認める事務事業、これは当然、地方公共団体によって考え方が異なる場面も出てくるわけでありますが、いずれにしても、そういった地方公共団体が設立する法人である、こういうふうに定義をしておりまして、かつ、設立に関する規定におきましても、地方公共団体が地方独立行政法人を設立しようと判断したときには法律に基づいた手続を得る、こういった規定でありますが、最終的な判断は地方自治体にゆだねられている、こういったことでございます。
中沢委員 お答えのとおりだと思うんですよ。それはもちろん、立法の趣旨からいって現実的にもそういうふうにしなければいけない、これはもう当たり前といえば当たり前。しかし、大事なことですから、確認だけしておきたい。
 そこで、問題は、いわゆる設立団体の地方公共団体が議会の同意を得て決定をした、後は総務省に認可の申請をする、場合によっては都道府県知事がそれをやるということもケースとしてあると思いますね。
 ついこの間、地方自治法の法案の審議を私も座って聞いていました。いろいろな議論がありましたね。つまり、裁量行政の余地がどこまであるのか。別な言葉で言えば、認可をする側の国、総務省の裁量行政、関与の仕方、これは、人によっては余りにもいろいろなことを注文をつけて、せっかく自治体で合意をしたものを差し戻しをして改めて議論をさせるなんということは恐らく考えられませんけれども、極端な裁量行政では、そういうケースは今までもしばしばあるんですよ、ほかの省庁でも。そこのところの心配が私ちょっとあるものですから、認可に当たって国の関与というのは本当に事務的な段階でしっかりととめると。これも当たり前といえば当たり前だと思います。
 裁量行政の範囲を意図的に広げるという意思は恐らくないと思いますけれども、大事な問題ですから、そこのところをしっかり答えておいていただきたいと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 法人の設立について、幾つかの方式がございます。これは、先生御存じだと思いますが、例えば許可主義、認可主義等々ございます。許可主義というのは一定の裁量が認められておりますが、認可主義と申しますのは、法令の規定に沿っているかどうか、それから法令の趣旨とか内容に反していないかどうかについて認可権者が判断するということでございまして、許可主義とは違うものでございます。
 その認可基準につきましては、地方自治法二百五十条の二の規定で基準を定めることになっておりますので、今後、その認可基準においてできるだけ明確な基準を定めたいというふうに考えているところでございます。
中沢委員 今、畠中さんの方からの許可主義と認可主義の違い、私もそれなりに理解しています。ですから、これから具体的な一つの基準をつくるということでありますから、厳格に、この際、認可主義ということで、しっかりその辺は総務省としても、専門家の皆さんですから、基準をつくるときには、私が時間があればいろいろやりたいんですけれども、そういう不安がないんだ、こういうことでぜひひとつやっていただきたい、特に申し上げておきたいと思うんです。
 さて、そこで、文部科学省の副大臣、わざわざお見えをいただきました。ありがとうございます。
 質問の順序を少し変えまして、さて、今度の法案では、独立行政法人に移行可能な業種について幾つか限定がされています。もちろん無制限ではない。これもまた当たり前といえば当たり前。大学の問題について、大学の本体と大学の附属病院問題について、そのことを念頭にして、基本的な問題と具体的な問題、少しく聞いておきたいと思うんです。
 副大臣の退席の時間がありますから、具体的な数字は後で政府参考人から聞きますが、いずれにしても、今度の法案でいうと、公立大学、都道府県立あるいは市立、北海道でも市立で二つあるんですが、公立大学もこの対象になる。私は、総論的には、まあいろいろ意見はあると思いますが、それを一応受けた形で、さて問題は、今ちょっと議論がされました、独立行政法人というのは地方の選択権と決定権で決めると。
 大学でいうと、私は、二つあると思うんですよ。
 一つは、地方の決定権と選択権で公立大学を独法の世界に移すかどうかを決める。これはほかのところと全く共通しますよね。私が問題にしているのは、事務当局とも少し意見交換をしましたけれども、それから先の、つまり、独法にした後の、公務員型の独法なのか非公務員型の独法なのか、ほかの対象業種はそれも含めて地方自治体が決められるんですよ。ところが、大学の場合は扱いが全く違って、公務員型、非公務員型の選択の余地は地方にはない。なぜなんでしょうか。
 まず、そこの文部科学省の基本的な考え方、私としてはちょっと腑に落ちない、おかしいんじゃないかと思うんですが、それについて副大臣、どう思いますか。
河村副大臣 中沢委員御指摘のとおり、地方独立行政法人化するかしないか、そこまでは地方公共団体の意思決定だ、それから先については、御案内のように、法人化した場合の選択肢は非公務員化しかない、こういう形に設計されているという問題であります。
 委員御指摘のように、私も、地方に任せるんだからそこまでもという考え方もあるかと思いますが、もともと国立大学を、公立大学も入ってくるわけでありますが、もともと国立大学を法人化するについての基本的な考え方があると思うんです。これは、すべからく非公務員化にするという方向。
 これについては、最終的には平成十四年の閣議決定になっていったわけでありますが、行革大綱からも出てまいりまして、これは大学改革の視点から協議しなきゃいかぬ、さらに、専門的な調査をしろというようなことから、十二年に行革大綱で大学を法人化する方向というものがうたわれて、そして平成十四年、さらに調査が進んだ結果、これからの国立大学は非公務員型の大学法人にしていくということが決定をされたわけでございます。
 私は、その視点が、今回の地方の公立大学において法人化する場合の基本的な概念にそこがあると思うのであります。それは、非公務員型にすることによるメリット、いわゆる大学の活性化という大きな意味があるわけでございまして、例えば非公務員型にすることによって、地方公務員法にとらわれない、柔軟で弾力的な雇用形態であるとか、あるいは給与体系、勤務時間体系というものがとられるということ。それからさらに、これは国立大学にも言えることでありますが、外国人を迎え入れる、学長として迎え入れるあるいは学部長として迎え入れる、管理職に登用することも可能になってくるという問題。それから、特に話題になりましたが、兼職あるいは兼業の問題。特に、産学といいますか、地方の経済の活性化の意味において、大学が持つ特許でありますとかいろいろな研究、そういうものがやはり産業として生きていく方向、これが今まさに問われておりますが、そういうことが容易になる、これが弾力的に運営できるということ。
 それから、公務員制度でいいますと、公務員試験をやらなきゃいかぬ、それによって人員が採用できないという方向が強くあるわけでありますが、特に専門的知識、技能等を重視した場合には、いわゆる非公務員型の採用というのが非常にやりやすくなるというようなことで、私は、こうした弾力的な人事制度がとれることによって、諸規則、今まで持っております規則が非常に大きく緩和される、それから、大学の裁量が非常に拡大をするということによって、それぞれの地域にある公立大学が地方の要求にこたえられる、活性化した大学として十分な発展の契機となっていくのではないか、こう考えておるわけでございます。
 そういう意味で、私は、非公務員化のことは大学の非公務員化と整合性もあるわけでございますが、それによって活性化するという基本的な大学の改革のあり方、それが今回の、地方の公立大学において法人化するということは、非公務員型をとる、整合性を持ってとっていく、大学の改革、活性化、そういう意味で非公務員型をとっていく、こういうふうに決定をしていったと思うわけであります。
中沢委員 今のせっかくのお答えですが、私は全く納得できませんね。
 もともと、今度の法案というのは、いわゆる基本法的な法案ですよ。地方における独立行政法人を制度的に導入する、その場合は、地方分権の時代で、地方の選択権と決定権は、立法府としてもしっかり議論をしながらもそのことは認める、これは大原則ですよ。今副大臣のおっしゃったことは大学改革云々、法律でいえば個別法の世界じゃないですか。
 私は、そういう必要性をすべて否定はしません。それでは、何でその選択と決定を地方自治体に任せないんですか。これはどう考えたっておかしいですよ。党派を超えてそこに異議を唱えるというのは、私は、地方自治を語る政治家であれば当たり前の話だと思いますよ。再答弁してください。説得力、全くない。
河村副大臣 これは、あくまでも大学でありますから、大学の改革という視点で、文部科学省としては、国立大学の法人化に準じて、地方自治体が法人化するかしないかを選択されましたら、やはり国立大学とそして地方の大学と、これは大学には違いがないわけでございますので、大学改革の視点で、大学の運営をこれから大幅に裁量を持ちながらやっていただくということで、このような方針が出ておるわけであります。
中沢委員 恐らく、制限時間がお互いにありますから、議論をやっても堂々めぐりだというふうに思いますよ。しかし、これは非常に大事な問題だと思いますね。国政にタッチする政治家はそれぞれいろいろな思いがあると思う。しかし、地方における独立行政法人を我が国に初めて導入する、その基本法的なこの法案の審議で、大学だけは別扱いですよと、それを認めようという。私は、文部科学省側の、思い過ごしというか、思い違いと言っていいと思いますよ。
 これ以上堂々めぐりをやってもしようがないですからやりませんが、しかし、その問題もそうだけれども、公立大学の附属病院もすべて非公務員型になってしまう。そうすると、実際は、地方に選択と決定権を与えておきながらも、公立大学でいえば立法の趣旨に全く反するんですよ。法律の体をなしていない。もう河村さんは結構ですから、これ以上やりませんから。
 総務大臣、どうですか。あなた自身がこの法案の提案者で、文部科学省と随分、事務方も含めて政治レベルでも議論したと思うんですが、僕は、こういう問題は避けて通ってはまずい、場合によっては法案の修正を与党側もあるいは提案者からもやるべきではないかと思っていますよ。そういうことも含めてどうですか。決断をして答弁してほしいと思いますね。修正協議は幾らでも応じますから。
片山国務大臣 公立大学も大学ですから、大学改革の基本的な方針は尊重せないけません。
 そこで、中沢委員、中沢委員が言われるように、公務員型で残りたいなら今のままで残ればいいんですよ、今のままの公立大学で。新しい方向に行きたければ独立行政法人を選んで、その場合には、申しわけないけれども、大学改革という趣旨があるから非公務員型でやってくれと。皆さんが、いや、わしら、公務員の方が、公務員型がずっといいというなら、ずっと残っていただけばいいんです。それこそ、そこは地方団体の中でよく議論いただいて、首長さんとも、議会とも、教育の大学の関係者とも。私は、方針を決めてもらえば、まさにこの自主性、選択だと考えております。
中沢委員 この問題は、議論すると、ちょっと意見の違いが少しあるんでしょう。しかし、公務員型か非公務員型かという、そういう側面から見ても大事だけれども、私はやはり、この法案の持っている地方分権という側面でいえば、今大臣おっしゃったような技術的な問題をパスすればという、最後はそれは自主権の問題ですということなんでしょうが、しかし、私は、そういうふうな側面で、それはいろいろ多面的に法律を解釈するということも政治家としては必要な条件なんでしょうが、私は、やはりこの問題は、私自身は納得できないし、譲るつもりはありません。改めて、やはり、きょう一日でどこまで議論が深まるかは別にして、大学だけを別扱いするということは、私は許してはならぬと思いますよ。
 さて、恐らく同僚議員やほかの党の方からもいろいろあると思いますが、河村さん、結構です、数字の話はまた別な機会にやりたいと思います。
 さて、そこで、病院問題に入りましたけれども、ちょっと別な角度から、公営企業の関係を少しく聞いておきたいと思うんですよ。
 公営企業は、大臣も、あるいは担当の方もよく知ってのとおり、個別法があって、あるいは、財源措置であれば公営企業債という特別な地方債も用意をしている。現状はなかなか経営も大変だ、あるいは、自治体みずから、公営企業みずからさまざまな自主的な努力をしながら今日を迎える、こういう状況は、もうよく御承知だと思いますね。そういう実態の中で、国の場合は、いろいろな公社公団、独法の世界に移っていった。よく私も知っているつもりなんです。
 地方の公営企業というのは、物すごく格差がありますね。ピンからキリまでと言ったら余りいい表現じゃないんですけれども、大小からいっても、あるいは実態からいっても、いろいろな格差をたくさん持っている。最後は自治体の権限で独法に移るか移らないかを決めればいいというふうに言えばそれまでですけれども、公営企業について、例えば交付金をどうするか。長期の借入金は、基本的にはこの独立行政法人は認められていない。その場合、一体どうするんでしょう。あるいは、今までの債務、これからいろいろ経営努力をしても、債務が結果的に出た場合に、その債務の償還の問題をどうするか。非常に難しい問題がたくさんあると思いますね。
 基本的な関係で、なぜ公営企業がいわゆる対象の業種として法の対象になったのか、今言った幾つかの問題点も含めて、どういうふうにこれからやろうとするのか、少し具体的に、政府参考人で結構ですから、お聞かせをいただきたいと思います。
林政府参考人 公営企業につきまして、地方独立行政法人の対象とする根拠等についての御質問をいただきました。
 地方独立行政法人の制度は、先ほど来御議論をいただいておりますが、現在、地方公共団体が直接行っている事務事業のうちの一定のものにつきまして、地方公共団体とは別の法人格を有する法人を設立して、より独立性を強めた形で自律的、弾力的な運営を行わせようというものでございまして、業務の効率性や質の向上を図ることをねらいとするものでございます。
 地方公営企業の経営につきましては、現在、御指摘いただきましたように、地方公営企業制度が広く定着しているところでありますけれども、地方公共団体の中には、さらに、より独立性を持った形で事業を行わせたいということを検討しておられる団体もございます。そういう団体におきましては、地方公営企業を地方公共団体とは別の法人格を有する法人として実施させることはできないかというような検討もされている団体もございまして、その辺の地方団体の御意向も踏まえて、このことを可能とするために、地方独立行政法人制度の対象とさせていただいたものでございます。
 この制度を選択した場合の、地方独立行政法人の資金的、あるいは財源措置についてもお尋ねがございました。
 御提案をいたしております法律の第八十五条におきまして、交付金に関する規定を置いているわけでございますけれども、八十五条の規定は、公営企業型の地方独立行政法人につきましては、現行の地方公営企業と同様、独立採算原則としながら、地方公共団体の一般行政事務と考えられるような業務や、採算ベースに乗らないことが明らかでありながら公共的必要性等から実施しなければならない業務、これらに要する経費につきましては、料金によって受益者の負担とさせることが適当ではありませんので、独立採算制の枠組みから外し、設立団体において負担すべきことを規定いたしたものでございます。
 それからまた、御質問の中で、長期借入金についても御質問ございました。
 この独立行政法人の長期の資金調達につきましては、一般の独立行政法人と同様、設立団体からの長期借入金のみを認めることといたしているところでございますが、これは、公営企業型地方独立行政法人が行います長期資金を要する事業は、地方団体との密接な関係のもとで運営されなければならないものでありますし、また、その最終的な財政負担は設立団体に及ぶものとなります。
 このことは、御提案をいたしております法律の第九十三条におきましても明記いたしているところでありますが、このように、設立団体の財政に及ぼす影響が極めて大きいということから、法人に対する長期貸付金につきましては、地方公共団体における予算議決を経ることによりまして、また、公営企業型地方独立行政法人の事業量等につきまして設立団体との所要の調整を図ることとしながら、このような資金を地方公共団体が転貸債という形で地方債計画の枠組みの中で安定的に調達できるような仕組みを考えたものでございます。
 この償還につきましても御懸念がございましたけれども、第一義的には、公営企業型独立行政法人自体ではなく、起債者である設立団体が償還することとなるものでありますけれども、その償還に当たりましては、公営企業型地方独立行政法人からの貸付金の回収額が充当されることとなるものでございます。
    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕
中沢委員 今の林さんの専門家からのお答えは、私なりには理解はできるんですね。ただ、問題は、別な角度でいうと、先ほど言ったように、地方公営企業というのは、水道もあるし、あるいはバス、地下鉄、病院、しかも、大小でいうと大変な格差がある、実態も大変な格差がある。
 最後は地方が決めればいいんだ、こういうことですけれども、今おっしゃったように、転貸債の問題から始まって、つまり、交付金措置だとか、あるいは長期のさまざまな問題でいえば、今の自治体と公営企業との基本的な関係と余り大きく変化はしない、こういう認識を私は一応したいと思うんですよね。余り大きく変化しない、それについてどうですか、非常に抽象的だけれども。
林政府参考人 公営企業型地方独立行政法人の運用等に当たりまして重要な核となります財政制度、あるいは資金調達、あるいはその償還につきましては、御指摘のように、基本的な枠組みは、現在の地方公営企業法のもとでの枠組みを堅持するように考えてまいらなければならないと考えております。
 ただ、地方公営企業制度と異なりまして、今回導入しようとしております公営企業型の地方独立行政法人制度のもとにおきましては、繰り返しになりますが、地方公共団体とは別の法人格を有する法人として独立して行うこととなりますので、法律上、目標管理制度と徹底したディスクロージャー制度を導入しつつでありますけれども、法人の長等の経営責任のもとで自律的に運営することができるようになるわけでありまして、現在の公営企業制度と異なりまして、地方自治法制の適用から離れまして、単年度予算主義の緩和、契約の弾力化、業績給の効果的な導入など、より機動的、弾力的な財務運営あるいは人事管理を可能とすることによりまして、業務運営の効率化が図れる点に特徴があると考えております。
中沢委員 それでは、ちょっと別な問題に移りたいと思うんです。
 先ほど、公立大学で少し議論しました。もう少し問題の的を絞って、公立病院の問題で少し議論してみたいと思うんです。
 私は、北海道の出身ですから、北海道のことが一体どうなるか、非常に気がかりです。知事がかわったからという意味ではもちろんありません。
 さて、最初に、北海道の道立の医大の附属病院あるいは道立の病院がどういう実態にあるか、その数、職員の数、具体的に教えていただきたいと思います。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 平成十三年度の公共施設の状況調査によりますと、北海道が設置をいたしております道立病院は、病院の数で十となっております。職員数は千十七名となっておりまして、一つの公営企業として運営されております。
中沢委員 道立病院は、北海道は地域的にも非常に広い、広大だということで、数も非常に多いし、職員の数も相当な数がいる。ほかの府県とは少し状況が違うかもしれません。しかし、基本的には、大体、大同小異という感じだと思うんですね。
 そこで、先ほどあった、最後は、北海道は北海道の知事が決断をして、議会に提案をして、定款変更の議会の同意を求めて独法に移る。移るか移らぬかも、北海道の地方自治体が決めることだ。これはもう言うまでもないと思うんです。
 その場合に、もう河村さんはお帰りになりましたが、公立病院は非公務員型以外はだめだということなんですよ。そうすると、北海道の札幌医大と北大の病院というのは、北海道的にいえば大変な権威のある病院、たくさんの道民の健康をしっかりと預かる、患者から見れば、信頼し、期待をしている病院なんですね。そこのところが、最終的に選択権の余地がなくて、すべて非公務員型の独立行政法人になる。一方で、道立病院はどうかというと、恐らく、これは知事の判断になると思いますが、道立病院の十カ所を独立行政法人に持っていくということはなかなか難しいと思いますよ。
 そうすると、医大の病院と道立病院の、単に事務方だけじゃなくて、医療現場のお医者さん、看護婦さん、医療技師、さまざまな業種は定期的に人事の交流をやっている、これはもう当たり前といえば当たり前で、それは、人事の交流という側面から見ても大変な障壁を改めてつくることになりはしないか。だから、私は、公立病院、公務員型にするか非公務員型にするかの選択権も、本来は、大学改革といえども、この法案の趣旨からいえば、その選択の余地を地方に与えるべきだと。そのことは余り言いません。
 人事交流という側面からいって障壁になると私は思うんですけれども、そこのところはどうですか、大臣でも事務方でも結構ですが。
森政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる公務員型の特定地方独立行政法人と、それからいわゆる非公務員型の一般地方独立行政法人との間の人事交流の問題でございますが、もしそういう必要がございますれば、国の公務員型と非公務員型の場合と同じように、それぞれ派遣元を一たん退職した上で派遣先において新たに任用を行うという形になろうかと思います。ただ、この場合でも、退職手当の通算は可能でございますし、また、共済組合の給付、公務災害補償の規定も両方に適用されますので、特段の不利益はないものというふうに理解しております。
中沢委員 ついこの間もそういう意見交換を部長との間でやりましたね。技術的には、確かに派遣法で、あるいは今のいろいろな現行の制度で柔軟に対応するということで、それは可能性としてはもちろんあると思いますよ。しかし、そこに働いている職員の側、あるいはいい意味で人事管理をする理事者側から見て、重大な労働条件、労働慣行あるいはさまざまな労使の諸問題について大きな変化が出るわけですよ。
 例えば、道職員でなくなる、結果的に独立行政法人の職員にいや応なしになるんですよ。退職手当の通算、そんなのは当たり前といえば当たり前、共済組合の資格も全く同じだといえば、当たり前といえば当たり前だけれども、さまざまな労働条件、新しく周囲の環境が変わればやはり変化をする危険性は非常に強い。そこのところでいうと、私は非常に大きな問題だと思いますね。
 それをちょっと指摘しておいて、もう時間も迫っていますから、最後の問題。これは、少し大臣ともやりとりをしたいと思うんです。
 さて、今度の独立行政法人は、最後は自治体で決めるという、選択と決定の権限は保障されている。しかし、職員の側から見れば、結果的に、手の届かないところで、意見が十分反映されていないところで、一方的に独立行政法人の職員になってしまう、こういう可能性というか、私は、危険性はやはりあると。そういう不安は、やはり関係者の間では既に広がっているんです。
 そこで、特に大臣は政治家ですから聞いておきたいんですけれども、この種の労働環境あるいは労働条件の大きな変化が伴う場合、一般論、原則論でいえば、当該の労使間でよく協議をして、合意をして、関係の条例、関係の法律を出す、これはもう一般論としても原則としても正しいと思いますが、それについては、大臣、どう思いますか。
片山国務大臣 独立行政法人になる、国も地方もそうですけれども、これは、中期経営目標を、地方の場合でいうと設立団体の長が、自治体の長が示して、それに基づいて独立行政法人が中期経営計画をつくる、こういうことですね。それに従ってやると。しかし、それが勤務条件を含めば、これは当然、労使交渉の対象になると思います。
 そこで、今委員がるる御指摘の非公務員型と公務員型の場合に、公務員型の場合だと、地方公営企業等の労働関係に関する法律、これは現業の公務員の場合の労使関係の法律ですが、この適用があるし、非公務員型の場合には労働組合法の適用がある。だから、いずれもその点は労使交渉でいろいろ議論していただく、こういうことになると思います。
中沢委員 今大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。法律上は国の場合も地方の場合も全く同じですよね。ただ、実態的にそんなケースは余り起きないと思うけれども、えてしてこの種の労使交渉、大事なところで言えば、交渉がパンクしてしまって、平たい言葉で言えば、見切り発車をして、条例を提案して、理事者の権限と責任でやってしまうと後々大変なしこりが残って困るというケースは、少なくとも私のいろいろな体験からいったらあるんですよ。そういう心配を率直にしています。そういうことが起きないように、認可に当たって、あるいはさまざまな事前の、公営企業の問題もそうだし、病院の問題もそうですけれども、単に職員側という立場じゃなくて、理事者側という立場も含めて、私は、適切な指導をしっかりやっていくべきではないかと思うのです。
 特に、今度の独立行政法人は、三年から五年の中期計画、中期目標をつくって、言葉としては適切かどうか私はちょっと迷っているのですが、やはり官から民へという一つの時代。そうすると、効率性を一方では追求する、これは全面的になかなか否定のしようがない。しかし、そのことだけに重きを置いたのでは、一方の公共性あるいはサービス性、これが無視をされたのでは、職員もそうだけれども、それ以上に住民にとっては大変なマイナスになると思いますね。ですから、そういう角度で、特に大臣としては、関係の総務省の実務の皆さんにも、これからまだいろいろな議論があると思いますけれども、しっかり客観的に押さえて、総務省としてはいい意味での指導をやっていただきたい。
 やはり労使問題というのは大事ですよ。私は、内閣委員会ですから、ついこの間も石原さんと国家公務員の公務員制度の議論をやりました。これ以上多く言いません。これも大事な問題です。しかし、今度の法案に関連する地方の独立行政法人移行に当たって、いたずらに労使紛争が起こらないように、お互いに立場立場はありますけれども、しっかりやる必要があるな、改めてそのことを指摘したいと思うのです。
 さて、最後に、評価委員会の問題について具体的にお尋ねをしたいと思います。
 地方独法の世界では、評価委員会というものをつくって、いわゆる設立団体の権限外のそれぞれ大事な問題について評価委員会が作業をする、こういうことになっています。私は、その評価委員会をつくることについては、だめだとは言いません。問題は、評価委員会のメンバーをどういう人方を念頭にして考えるかということ。評価のやり方、この法案で言えば、初めてそういう制度をつくるのですから、評価のやり方も全く無制限であればこれはとんでもないことになってしまう、そういう心配をしています。
 ですから、評価委員会の委員をどういう基準で選ぼうとするのか、あるいは評価の仕方をどうするのか。すべて地方に任せるということであれば、それはそれで結構だと思いますよ。地方は地方で理事者側と議会側と関係者でじっくり議論すればいい、しょせんはそういう問題だと思いますが。
 少なくとも、この委員会としてこの法案を審議する以上、私としては、評価委員会のメンバーをどういうふうに考えるか、その基本的な考え方、基準、あるいは評価の仕方、基本的なガイドラインと言っていいと思いますが、そういう内容も改めて聞いておいた方がいいかなと思いまして、あえて聞きました。お聞かせをいただきたいと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 評価委員会についてのお尋ねでございますが、法律でどうなっているかということを最初にお答えさせていただきます。
 評価委員会につきましては、法律上、地方独立行政法人の業務の実績に関する評価を行うことになっておりまして、具体的に申し上げれば、各事業年度における業務実績や中期目標期間における業務実績について評価するものでございまして、その際には、業務の公共性それから透明な業務運営を確保すべく、効率性のみならずサービス面からも評価が行われることになろうかというふうに考えております。現に、国の独法の評価委員会につきましても、このような面から評価されているというふうに承知しております。
 それから、委員の任命についてのお尋ねでございます。
 評価委員会の組織及び委員につきましては、法律上は条例で定めるということになっておりまして、最終的には地方公共団体の御判断になろうかと考えておりますが、評価の中立性とか公平性を確保する観点から、各団体における適切な判断によって評価委員会が組織されることになろうかというふうに考えております。
中沢委員 もう時間が来ましたからやめますが、ただ、福祉問題も対象業種にしている。時間があればじっくりやりたいのですが、これは非常に問題だと思いますね。
 それと、先ほど言いましたように、三位一体論も非常に大事な時期ですから、改めて大臣も頑張ってほしいし、先ほど委員長かわっておりましたけれども、塩川財務大臣をこの委員会にぜひ出席を要請したい、大事な時期だ、こういうふうにお預けをいたしましたから、しっかりお願いをしたい。
 以上申し上げて、質問を終わります。
遠藤委員長 次に、武正公一君。
武正委員 民主党の武正公一でございます。
 地方独法等の質疑をさせていただきます。
 平成十二年十二月一日、行革大綱閣議決定、これがあっての今回の独法の提出というふうに理解をするわけでございますが、この行革大綱では、第三セクター、地方公社、地方公営企業等の改革がまずありき。その内容とすれば、第三セクターに関する指針、土地開発公社健全化五カ年計画、残る二公社は外部監査人の導入、公営企業については平成十七年度までの見直しというのがずらずらずらと並んでおって、最後につけ足しで三行、地方独法も検討すべきということでございまして、私は、まず最初に、この行革大綱にうたわれている三セク、地方公社、公営企業等の改革があって、そして地方独法の検討があるんだというふうに理解をしているのですけれども、今回は地方独法の導入が先に走っているような感を持っております。
 この点について、まず総務大臣、御所見を伺いたいと思います。
片山国務大臣 言われるとおり、行革大綱はそういう決め方をしておりますので、土地開発公社を初めとしまして地方の三公社、あるいは第三セクター、公営企業改革もずっとやっているんです、御承知のとおりですよ。特に第三セクターは経営の悪いのが続出しておりますから、これについては今大変力を入れてやっております。
 そういうことの中で、やはり国もやる、国がやったものですから地方でも大変要望がある、ぜひこういう制度をつくってほしい、こういうことなものですから、先ほども言いましたが、地方団体の自主的な選択肢をふやす意味でこの地方独立行政法人制度も制度化しよう、こういうことでございまして、これだけやるから、開発公社や第三セクターや公営企業の方をなおざりにしている、ほっているということではございませんので、一緒にやる、こういうことの中で選択肢を広げよう、こういうふうに我々考えております。
武正委員 実際にやっているかどうかをこれから質疑の中で明らかにさせていただきたいと思っておりますが、私は、やはり地方独法というものは、ある面、屋上屋を重ねているんではないか、組織として非常に複雑多岐なものにさせてしまっているんではないか、あるいは議会や住民のチェックがより及ばないような形になってしまっているんではないか、そういった危惧を抱いているわけでございます。
 また、国は議院内閣制、地方は、ある面、大統領制、その面でのチェック体制というものは、これはもう大臣がよく答弁されているように、議院内閣制以上に、大統領制の場合はやはりチェック体制をさまざま強化しなきゃいけない。これが、果たして今回の地方独法はできているのかどうか。議会の関与、住民訴訟、こういった点が問題だというふうにまず指摘をしておきたいと思います。
 ちょっと質問の順番を入れかえまして、文部科学省、お見えでございますので、先に公立大学、先ほど来議論も進んでおりますので、こちらからさせていただきたいと思います。順番が変わったことをお許しいただきたいと思います。
 公立大学については、この設立の許可は、これまでは文部科学省といったことでございましたが、今回、総務大臣というような形に変わってくるわけでございます。文部大臣と総務大臣の共管ということでございまして、八十八条の立入検査権も、立入検査権というのはかなり厳しいと思いますよ、それも文部省と総務省に両方認めるわけですね。官のコントロールがこれまで以上に強くなる、特に総務省も絡んでくるといったことでございますが、この点はまず総務省、総務大臣あるいは副大臣でございますか、お答えいただけますか。
若松副大臣 公立大学についてのいわゆる官のコントロールが強まるんじゃないか、こういった御質問につきましては、学校教育法に基づく大学の設置認可についてでございますが、教育研究機関としての大学として備えるべき要件を満たしているかどうかという観点から行っております。
 これに対しまして、この法案に基づきます公立大学法人の設立の認可は、私立大学の場合の学校法人の設立認可に相当するものであるわけでありますが、この審査につきましては、大学を経営するにふさわしい法人であるかどうかという観点とあわせまして、従来地方公共団体が直営で行ってきた事務を地方公共団体の関与のもとで行わせるにふさわしい法人であるかどうかという観点から行うものでございます。
 公立大学法人の認可は、このように公立大学の設置認可と趣旨を異にするものでございまして、公立大学の設置認可と別に行う必要がある、このように総務省としては認識しております。
武正委員 認可権者の、官のコントロールが強くなるということで、先ほど八十八条、立入検査等も述べたわけでございますが、先ほど同僚委員からお話があった評価について話を移したいと思います。
 文部科学省、政務官もお見えでございますが、業務実績を評価する機関が、認証評価機関による評価を踏まえるとしつつも、地方独立行政法人評価委員会という、大学教育及び運営に関し余り識見を有しているとは思えない組織が行うことは問題ではないか、あるいは第三者評価の多元性も確保されていないんではないかという指摘があるんですが、いかがでしょうか。
池坊大臣政務官 公立大学法人に対しては、その内容の確実な実施を確保するためには、当然、所要の財政措置が講じられるわけです。ですから、その講じられました公費がきちんと有効に、適切に使用されているかどうかの評価がやはり必要ではないかと思っております。そしてまた、このような評価だけでなくて、学校でございますから、教育研究の評価というものも大切ではないかと思っております。公立大学法人評価は、このような観点を踏まえまして、地方独立行政法人評価委員会が行うようになっております。
 その組織、運営については、設立団体の条例で定めるということとなっておりまして、これを受けて、各設立団体においては、厳正かつ適切な評価を確保する上で必要な事項を定め、そして適任者を評価委員として選任するようになっております。適任者ですから、やはり学校教育にも、また経営能力にも、きちんとそれが使われているかを考えることができる人間が評価委員として選ばれるというふうに思っております。
 それからまた、先ほど申し上げました教育内容におきましては、これは大学において大きな比重を占めるものでございますから、その特性に配慮いたしまして、やはり専門家が必要だと思います。ですから、認証評価機関というものに評価を実施してもらうことになっております。
 そしてまた、評価委員会の評価結果というのは、社会に公表いたしますし、それから、先ほど委員がおっしゃいましたけれども、設立団体の長を通じて議会に報告することとなっております。ですから、これは議会のチェックも得るということで、透明性、公正性をしっかりと担保することができるのではないかというふうに私は考えております。
武正委員 第三者評価の多元性も確保されていないというようなことも私は指摘をしておりますが。
 今、適任者と、これは人選が大変難しいと思うんですね。これは、国の独法の評価委員もチェックしますと、兼職、いろいろな方がいろいろなところの評価委員を兼ねている、こういった問題点、それから、本当に評価委員会の評価たる発言、そういったものができているんだろうかということが問われると思いますので、この人選、適任者についてはやはり工夫を、それぞれの地方団体が特に教育関係者としっかりと緊密な連携をとってやってほしい、やらなければならないというふうに思います。
 さて、続いて質問させていただきますが、中期目標も設置者が設定するということは、これは文部科学委員会でも既に国立大学法人化で指摘がありますように、大学の自主性を損なうことにならないか。これは公立大学でも同じ危惧があるわけでございますが、これについてはいかがでしょうか。
池坊大臣政務官 地方独立行政法人は、設立団体であるのが地方公共団体でございます。ですから、地方公共団体が運営費、交付金などの予算措置を行いますので、それに対して中期目標はどのようなものであるかというのに関与するのは当然であるのではないかと私は思っております。
 ですけれども、今委員がおっしゃいましたように、大学は自律性それから自主性が大切でございます。この中期目標に関しましては、これは、知事がこれをやりなさいと一方的に押しつけるのでは決してございません。この公立大学法人の意見を聞いて、その意見に配慮する仕組みとなっております。地方独立行政法人法案六十九条並びに七十八条ではそれが担保されているのではないかと思っております。
 また、制度の措置だけでなくて、運用においては、学問の自由、大学の自主性、自律性が損なわれることのないように、設立団体は大学における教育研究の特性を尊重しなければならないという規定もございます。ですから、これを踏まえながら、自治体にとって大変有効な、特色ある創意工夫ができる学校となっていくのではないかと思います。今までと違いまして、それぞれの地域の特性あるいは地元の産業に役立つような方々を育成していくことも可能ではないかというふうに考えております。
武正委員 あらかじめ法人の意見を聞き、配慮するというのは当たり前のことでありまして、こういったことも、書いてあるから大丈夫じゃなくて、やはり大学の自主性を損なうという点では大変危惧が多い、そんな法改正だと言わざるを得ません。
 さて、産学連携のため、営利企業の役員兼業が認められているんですが、どうも公立大学の進捗状況が鈍いという指摘があるんですが、この点はどうでしょうか。
池坊大臣政務官 公立大学教員の兼業に関しましては、地方公務員法において、各地方公共団体における任命権者が兼業の許可を行うということとなっております。
 平成十三年に文部科学省が公立大学等を設置する地方公共団体に対して実施いたしましたアンケートの結果によりますと、有効回答数四十五団体でございました。その中で、原則許可とする団体が一団体、それから、一定の基準で許可する団体が三十四団体ございまして、八割近くの地方公共団体が、何らかの形で営利企業役員との兼業を許可する仕組みを整備いたしております。
 では、何名の人間が兼業をしているのかという細やかな件数は私どもは把握いたしておりませんけれども、現在、TLO兼業など、営利企業役員と兼業をしている例もあるというふうに私は聞いております。
 ちなみに、参考までに申し上げますと、国立大学教員の役員兼業については、平成十二年四月から、TLO兼業、研究成果活用企業役員兼業、監査役兼業を認めるなどの制度整備を順次図ってきております。積極的にこれをするようにということを国立大学には申しておりますので、これは、平成十二年九月に三十五件でございましたのが、本年四月には三百二十一件と増加している現状でございます。
 ただ、国立大学と公立大学をそのまま当てはめるのはやはり不都合かと思います。国立大学と異なりまして、公立大学の場合は理工系が少なく、看護系とか人文系が多いので、役員とかの兼業が少ないのだと思いますけれども、どちらにいたしましても、来年四月からは独立行政法人になりますので、また、それぞれの特色ある設置者が兼業なども奨励していって、活発なそして斬新な空気が入って運営され、また研究活動がされることと思っております。
武正委員 ありがとうございました。
 それでは政務官、どうぞお引き取りください。
 さて、第三セクター等研究会の報告からまずスタートしたいと思いますが、第三セクター、二〇〇二年度、清算が六十七、うち倒産十九、うち解散四十八、負債が資産を上回る法人五百四十二法人、貸付金残高、商法法人一兆一千七百十五億、民法法人一兆一千六百八十九億円、いわゆる三公社は一兆八千六百九十億円、損失補償・債務保証契約にかかわる残高、商法法人三千六億円、民法法人二兆一千四百六十二億円、三公社七兆九千七百四十五億円というような報告がされております。
 この損失補償契約を行った段階で、基本的には限度額の部分を債務としてとらえるべきではないだろうかというふうに考えますが、御所見を伺います。
若松副大臣 今委員、数字をいろいろと述べられましたが、もう一度要約させていただきますと、平成十四年度に実施した第三セクター等に関する調査、ここで今、損失補償契約の債務残高が、地方三公社が約八兆円ということで、さらに民法法人、商法法人、これが二兆円で、合計十兆円ということでございます。
 これらの債務負担行為の設定につきましては、それぞれの地方公共団体におきまして、あらかじめ予算として議会の議決を得た上で契約されているものでありまして、地方公共団体の債務残高として含まれるものでございます。
 第三セクターに係る債務につきましても、地方公共団体の債務となることから、真にやむを得ないものに限るということで、定期的な点検評価を行うことなどによりまして地方公共団体に要請をしているところでございます。
武正委員 議会の議決といっても、特に三公社と議会との関係、これは年に一回の報告程度、資料も大した資料が出ないといったことが、この八兆近くの債務保証ですね、これが膨れ上がった原因ではないかというふうに考えますので、やはりこれも地方自治体の債務というふうにとらえるべきであろうというふうに指摘をしますし、今、点検というお話がございましたが、経営の点検をやっているのはわずか一二・九%ということがこの報告書でも出ております。点検も実際のところやられていない。
 また、先ほど触れましたように、地方団体の出資比率が五〇%以上は議会に報告がありますが、五〇%未満は報告義務がないといった点、これはやはり地方自治法の改正が必要ではないかというふうに考えます。
 年に一回、公社も議会に報告しているけれども、大した報告も出ないという点では、これはちょっとあわせて聞きますが、情報公開条例の対象にもしてもいいんじゃないかといったことも含んで御答弁をお願いします。
若松副大臣 まず一点目の、第三セクターの点検評価、今一二・九%。確かに低いと思っております。なぜかというと、やはり今までの行政が予算獲得主義、それに対するいわゆる行政評価による成果主義が実施されていなかった。これを改善すべく、私どもとしては、ぜひともチェック体制を強化してまいりたいと考えております。
 二点目の、いわゆる第三セクターの、出資比率五〇%以上の法人をチェックする、これはあくまでもやはり形式基準でありまして、このように民間企業の連結の範囲等や実質基準を採用しているということでありまして、五〇%未満も何らかの形でやはり検討すべきではないかと考えております。
 いずれにしても、そういったものも含めながら、情報公開制度等を活用しながら、住民に対する説明責任を果たしていきたいと考えております。
武正委員 総務大臣、この五〇%未満、私も県議会にいましたので、五〇%かそうでないかでやはり県議会の対応、いわゆる執行部の対応が違ってくるんですが、五〇%未満あるいは二五%未満も、余りこの出資比率もう関係ない、出資比率にとらわれずに、この損失補償の額も大変大きいところはもう大きいわけですが、今副大臣からは検討すべきという御答弁がありましたが、この点、一言触れていただけますでしょうか。
片山国務大臣 これは、出資や何かしているものがいろいろなんですね。極めて本当にダミーみたいなものはパーセントに限らずにやるべきだ、私はこう思うんですが、そうでなくて、純粋に民間的なものに出資しているようなケースもありますので、五〇、二五というのが常識的な線ですが、実態をよく調べまして、必要ならこの比率は検討いたします。
武正委員 ありがとうございます。
 続いて、土地公社の方にちょっと移らせていただきます。
 この土地公社が今保有する土地の簿価総額、それから、そのうち五年以上の塩漬けの土地の総額は幾らぐらいなのか。
 そしてまた、経営健全化計画ですか、これは昨年の四月二日、総務委員会の同僚委員への答弁では、経営健全化計画、七十三ですよ、その簿価は一兆二千億円ですよと。実際のところ、二百以上の団体が二兆三千億円の土地を簿価で所有しているんだということの御答弁もありましたが、その経営健全化計画が進んでいるのかどうか、対象団体がふえているのかどうかも含めてお答えいただけますでしょうか。
若松副大臣 まず、二〇〇二年度末の土地開発公社事業実績、これは現在調査中でございます。
 直近の平成十三年度、二〇〇一年度でございますが、先ほど申し上げました調査結果によりますと、二〇〇一年度末の土地開発公社の土地保有状況は、金額ベースで七兆一千五百六十三億円、そのうち五年以上保有土地は約四兆一千百三十六億円でございます。
 その改善状況ということでございますが、平成十三年度末の土地保有総額は、平成十二年度末に比べて七・三%減少しております。さらに、五年以上土地保有額は〇・一%減少しております。さらに、経営健全化公社の平成十三年度末の土地保有総額につきましては、平成十二年度末に比べまして一〇・六%減少しておりまして、五年以上土地保有額は六%減少しております。
 そういう意味では、わずかながらも改善をしているところでございます。
武正委員 この資産デフレは解消しなきゃいけないんですが、残念ながら土地の値段が下がっている中で総額を言われても、実際なかなかぴんとこないわけでございまして、まして、総額は七・三%減ったけれども、五年以上は〇・一%しか減っていないというのは、五年以上塩漬けがなかなか解消できていないということが如実にあらわれているところでございます。
 さて、健全化対策を公社から自治体につけかえるにすぎず、その費用に新たな税金を投入することは許されないとの批判もあるわけなんですね。この健全化対策、公社から自治体への借金のつけかえ。今回の地方独法も同様の指摘がございます。第三セクターあるいは公社、公営企業、それぞれが抱えている借金をチャラにして、きれいにして新たな組織にしてやるけれども、その借金は本体が背負うよというような指摘があるわけでございます。
 さて、きょうは国土交通省、政務官がお見えでございますが、住宅公社が、二〇〇〇年度末借入総額三兆一千五百七十四億円、うち四割は民間金融機関、二〇〇〇年度決算時点で少なくとも二十前後が赤字、こういう記事がある中で、今、公社の廃止を視野に検討中、福島、あるいは神奈川、北海道、そのほか茨城、幾つか出ておりますが、実際、今の現行法でどういった手続で廃止ができるのか。もしできないとすれば法改正が必要と思われますが、お答えをいただけますでしょうか。
高木大臣政務官 ただいま地方住宅供給公社法についてのお尋ねだと思いますけれども、現在、各地方公共団体におきまして、地方の住宅供給公社のあり方についてその廃止、今御指摘ありました福島を含めてさまざま検討がなされていることは認識をしております。
 その上で、現行の地方住宅供給公社法においては、公社の解散のできる場合は、一つ目は破産、二つ目が国土交通大臣による設立認可の取り消し、これは違法行為等があった場合なんですけれども、この二つに限定していることから、設立団体たる地方公共団体の意思によって公社の廃止、いわゆる解散は法律上は認められておりません。
 そのような状況を踏まえながら、国交省といたしまして、昨年の二月から、学識経験者から成る検討委員会、これは横浜国立大学大学院の小林教授が委員長としてこの検討委員会を設置いたしまして、自主的な解散規定の創設を含めて、公社の業務や組織運営のあり方について、現在、検討を行っているところでございます。
 今後、その検討委員会で取りまとめる検討結果や、また地方公共団体の意向等を踏まえながら必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
武正委員 今後必要なということでございますが、先ほど触れたように、健全化計画をつくってもこの公社、こちらは土地公社の方ですけれども、なかなか五年以上塩漬け土地もうまくいかない。こういった中で、また今の住宅公社は、各地方の自治体が何とかこれをしたいというふうに言っておりますので、スピードアップが図られるべきだというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 一点、例えば先ほどの、これは二〇〇〇年度で約三兆円の借金があるわけなんですが、解散する、廃止すると、これはどのような形に手続上なるんでしょうか。簡単でいいですからお答えください。
高木大臣政務官 今御指摘の問題等も含めて検討委員会で論議をしている最中でございますので、今この場におきまして、こういう形になる、こういうふうに断定はできかねますので、御承知おきを願いたいと思います。
武正委員 検討中ということでございますが、これがやはり、責任の所在、そして総括、なあなあのうちに借金が結局は地元の県民の負担につけかえられるということがないように、厳しくその検討を進めていただきたいと私は思います。
 さて、こういった形で第三セクター等について見てまいりましたが、今回の法案では、第三セクター等は対象とされていないやに説明を伺っておりますが、私の見るところ、第二条を見ても、いや、第三セクターも対象に読み込めるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか、副大臣。
若松副大臣 民間で実施できることは民間で行う、こういった考え方から、この地方独立行政法人制度におきましては、既存の第三セクターが直接地方独立行政法人へ移行することは想定しておりません。
 仮に、第三セクターの実施する業務を対象として地方独立行政法人に行わせるようにする場合には、一たん当該第三セクターについて清算手続を行って、新たに定款を定めて地方独立行政法人を設立する、このような手続が必要になります。
武正委員 今、手続上はそういった御説明がありましたが、総務大臣、第三セクター等を念頭には置いていない、あるいは、もしそれをする場合には法改正が必要であるということでよろしいでしょうか。
片山国務大臣 第三セクターと地方独立行政法人は全然違うんですね。地方独立法人は、地方団体から分離してもいいけれども、民ではだめだというものなんですよね。第三セクターは民ですからね。だから、今言ったように、第三セクターが仮に独立行政法人になりたいのなら、法律の要件に該当した場合ですけれども、それは第三セクターを解散して新しくつくり直す、こういうことになりますので、第三セクター移行なんということは制度的には全く考えておりません。
武正委員 民でなければと言いながら、民でやったら失敗した、これが第三セクターなんですね。やはりある面、公にかかわるところを手段がなくて第三セクター、あるいはそれを国が推し進めたさまざまなリゾート法あるいはNTTの資金活用法等で、これはやはり大変反省をしなければならないことだというふうに思います。
 さて、今は、今回の地方独法には第三セクターは移行しないといったことを確認したわけでございますが、第三セクターの民営化ということで、今さまざま地方自治体も検討を進めておりますが、一つ事例として、私は、しなの鉄道のことを挙げさせていただきます。
 長野県も債務放棄を認めて、百億円強ですか、今、経営改革評価委員会が。社長さんも、これまで長野県の副知事だった方はお帰りをいただいて、旅行会社のエイチ・アイ・エスから社長を連れてきた。実際、一年半で、これまで年間四億円の赤字が黒字になった。一年半で黒字化した。これは、しなの鉄道ですね。(発言する者あり)不規則発言がございましたが。そういうことでございまして、今、実際のところ、上場も目指しているそうです。
 実際、例えば松本空港を利用して、ジェット機をそこに集めるようにしようとか、なぜこういうアイデアが出てくるかというと、やはり旅行会社の方が社長になっているからなんですよ。旅行会社の社長さんですから、どうやったらお客を集められるかという視点に立っていますので、この方が社長になって鉄道事業をやろうとする。では、まずお客さんを呼ぶためのイベントをどうしようか。あるいは、では今度は空港とジョイントしてできるんじゃないか。発想がどんどん広がって、民営化そして上場といったところまで展開をしていこうということなんですが、このしなの鉄道の事例、これは総務大臣お聞き及びかと思いますが、このことについて。副大臣ですか。
若松副大臣 当然やはり、民業は民間経営者がやった方がいいと思います。その上で、このしなの鉄道株式会社につきましては、先ほどのエイチ・アイ・エス、非常に有能な経営者が入られたということで、平成十四年度は、開業以来初めて、減価償却前の損益でございますが、黒字を計上したと伺っておりまして、引き続き経営改善に努められて、地域住民の期待にこたえられることを総務省としては願っているところでございます。
 さらには、今、株式公開という話もありましたが、それは、できれば大変すばらしいな、そのように考えております。
武正委員 総務大臣も一言、こういった、地方で頑張って民営化も目指している。そのときに、大体これまで第三セクターは地方の県のOBの方がそのトップにつくというような形だったんですが、そこに民間の方も引っ張ってきてといったことも踏まえてお答えをいただきたいと思います。
片山国務大臣 私は岡山県ですけれども、岡山県の倉敷に、チボリ公園というのがあるんですよ。デンマークのコペンハーゲンにあるものの日本版。これが第三セクターでやったら大赤字なんですよ。それで、二年前に、その前の社長は副知事なんですよ。私もずっと昔に副知事をやったことがあるので、今、不規則発言がありましたが。それで、どうしても赤字が多くなる。そこで民間の人を入れたんですね、民間の人を社長にした。そうしたら、前年度は、単年度黒字になったんです。
 そういうことで、やはり、第三セクターというのは官と民のいいところを集めようということなんですけれども、官と民の悪いところだけが集まっているようなケースが多いんですよ。だから、それはもうはっきり、民は民にした方がいいし、官でやるなら官でやった方がいいんですよ。官民なんといって一時はやしましたけれども、私は、もう一遍見直すべき時期にあるなと。
 だから、リゾート開発についても、私どもの方の行政評価局では大変厳しい勧告を関係の各省にいたしましたので、今後とも、こういう事例を踏まえながら、やはり民は民としてやっていただく、こういうことを徹底してまいりたいと思っております。
武正委員 総務大臣、せっかくですので、もう一言お願いしたいんですが、それを進めてこられた、はやしてこられたのは自民党を中心とする政府・与党でございまして、この間の同僚委員の御質問でも、やがて参議院の自民党の大幹部にこれからなられていく総務大臣でございますので、この責任の所在、それから総括をやはりきちっと、落とし前という言葉がいいかどうかわかりませんが、ちゃんとやらないと次につながらないんですよね。
 ある面、負の遺産を背負いながら、今回、地方独法も頑張っていこうと、何かもう一生懸命、法律の整合性をとろうと努力されているのはわかるんですが、第三セクターあり、地方公営企業あり、あるいは三公社あり、これにまたこの地方独法ということも含めて、何か、継ぎはぎ継ぎはぎ、問題の先送り先送り。やはりここで、こういった点での責任の所在、そしてこれまでの総括、官と民の悪いところをやってしまったと、これをどういう形で総括するのか、再度御答弁をいただきたいと思います。
片山国務大臣 それぞれの第三セクターが、失敗したケースでははっきり責任をとっておりまして、それぞれ対応いたしておると思いますけれども、時代の環境というのもありますから、やはり個人の力は限界があるので、問題を起こして損害が発生したり倒産したり、そういうところはそれぞれ、法律上も、それ以外の責任もとってきているな、こういうふうに私は思っておりますが、やはりいろいろなことをいい学習体験にして今後に生かしていきたい、こういうふうに思っております。
武正委員 学習体験で済まされる状況ではないというふうに私は思います。
 平成三年の国、地方を合わせた三百兆が、今七百兆。それで、後でまた触れますが、隠れ借金と呼ばれるような多額な債務が公営企業等も含めてあるといったことでございますので、こういったお答えをいただいても、やはり立法府とすれば、行政府をきちっとコントロールする意味でも、政権交代可能な二大政党というものは日本の民主主義のために必要なんだと。過去のさまざまな問題点を学習した、学んだというだけで済まされるようなお国では、このまま沈没してしまうのではないかというふうにあえて指摘をさせていただきます。
 さて、今、責任はしっかり第三セクターはとっているよというお話でございましたが、これはもう過去、総務委員会での住民訴訟の質疑でもございました、下関の韓国との船の問題を契機として、私は、政府がこれからこういった第三セクターの責任追及をされるのを恐れて住民訴訟を二段階にした、まさにそれがこれからあちらこちらで責任問題が出てくるといったことだというふうに思います。住民訴訟が地方独法とどのようなかかわりをしているのか、これも後でお聞きをしたいと思います。
 それでは、地方公営企業について参りますが、まず、地方公営企業、総括原価方式から価格設定方式への転換ということが指摘されておりますが、この点、副大臣、いかがでしょうか。
若松副大臣 地方公営企業法第二十一条によりますと、地方公営企業の料金は、公正妥当なものでなければならない、かつ、能率的な経営のもとにおける適正な原価を基礎として、地方公営企業の健全な運営を確保することができる、こういうことでありますけれども、総括原価方式、いわゆる原価の積み上げ方式ですね、これをやりますと、どうしても、今委員の恐らく御懸念であろういわゆる経営の効率化、こういったところが反映されないということもありまして、価格設定方式等の活用もあるところでございます。
 そういったいろいろな事例も踏まえまして、今後とも、公営企業の料金の具体的な算定手法につきましては、基本的には各事業法のもとで決定されているわけでありますけれども、地方公共団体におきましては、料金算定の透明性並びに経営の効率性の徹底に資するような工夫を講じられるということが望ましいと考えておりまして、総務省としてもそのための努力をしてまいりたいと決意しております。
武正委員 まだまだ、この価格設定方式についても、公営企業会計、公営企業については検討中ということでございます。
 さて、鉄道事業、これは過大な需要を見込み、その需要予測の利用者に達せず、結局、価格設定を高いものにせざるを得ない、あるいは地方自治体から補助金を追加で投入しなければならない、こういったことがあちらこちらで見られるわけでございます。この理由として、一つ、無理をした需要設定をしないと運輸政策審議会を通ることができないのではないかというようなことが言われておりますが、こんなことを繰り返していたら、結局はそのツケが地元の地方自治体の住民に及ぶ、そして首長さんも、最初の計画と違うといった見直し見直し、そんな答弁を地方議会で繰り返さなきゃいけない。
 これは、運政審の審議も含めて、何かやはり解決していくべき時期に来ているのではないかというふうに思うんですが、国土交通政務官、いかがでしょうか。
高木大臣政務官 まず、鉄道事業に関する運賃の設定、これは規制緩和の流れを受けまして、まず、その上限については国土交通大臣の認可を受けなければならない。これは鉄道事業法の第十六条になりますけれども。
 その認可に当たりまして、まず鉄道事業の最初の許可、この時点における需要予測を勘案しつつ、運賃設定の認可申請の時点において予測される旅客輸送人員、またこれをもとに算出された運賃収入等、これが適正価格であるのか、適正利潤の範囲内におさまっているかどうか等について、申請内容を審査するとともに、ほかの鉄道事業者、並行して走っている場合もありますから、そういった他の鉄道事業者における運賃の水準等も考慮した上で認可を行っている。
 さらに、その上限を決めた上で、その中におさまる鉄道の運賃については、事業者の自主性、主体性を尊重しつつ、事業活動の一層の効率化、活性化を図るために、認可を受けた上限運賃より低廉な運賃の設定、これは鉄道事業者の個別の判断、経営判断によって自由に設定することは可能となっている。
 ただ、今御指摘ありましたような最初の予測、この問題についても、例えば武正委員の地元でもあります埼玉高速鉄道、これは、一番最初の許可をするとき、そして認可をするとき、そしてまた実態、この数字が大分違っているという現実は多々ありました。その上で、理由については、ほかの交通機関からお客さんが移ってくるといういわゆる転移が進まないですとか、また沿線地域の開発が当初よりおくれたりだとか、さまざまな要素が考えられると思うんですけれども、このような実績を踏まえまして、国交省としても、鉄道事業法に基づく許可等の処分に際して、事業者に対しては、沿線開発等の見通しについても慎重に判断をして、また過去の鉄道の事例を十分に踏まえて需要予測を行うようにしっかりと指導したいと思います。
 また、より精度の高い需要予測手法についてもさらに研究をして、最終的にはその利用者に負担が大きくかからないような、そういうことをしっかりと考えてまいりたいと思います。
武正委員 これはやはり、事業費というものもまだまだ軽減が可能ではないかというようなことも指摘されているんですね。全会一致で官製談合防止法案が可決成立しておりますが、まだまだこの法案も改良の余地あり、これは特に公明党さんが与党の中では大変御熱心にされたということも私も承知しておりますが、やはりまだまだ公共事業費は高いのではないかという指摘があるわけです。
 これは逆に、総額は変えなくたっていいですよ、でも、例えば二割カットできる、七兆円安くなる、この七兆円を本当にデフレ脱却、資産デフレ解消のために、あるいはヒートアイランド対策とか、都市部に対してやらなきゃいけないところにつけかえるというようなことが必要なんだということでございまして、この鉄道事業も、今、地元のことを指摘していただきましたが、地元とすればやはり必要だといった観点から進めているわけですので、これについてやはりもっと柔軟な発想が必要ではないかというふうに考えるわけでございます。
 政務官、どうぞお引き取りください。
 さて、フランスの水道事業が、自己申告制を導入することによって原価引き下げを可能にしているといったことがございました。つまり、原価引き下げが公営事業で可能ではないかという工夫を日本はもっとやるべきではないかという事例でございます。
 また、公営企業管理者、これは独立した存在ということでございますが、先ほど総務大臣には、しなの鉄道の社長の件でもちょっと御提案しましたが、では、日本の公営企業管理者で民間から採用している例はあるのかどうか。これは可能なんだということなんですが、この点、副大臣、いかがでしょうか。
若松副大臣 まず、地方公営企業の管理者の民間の採用のお尋ねでございますけれども、これは地方公営企業法第七条の二におきまして、「管理者は、地方公営企業の経営に関し識見を有する者のうちから、地方公共団体の長が任命する。」こういうこととなっておりまして、現在でも、そのような条件が合えば、広く民間から適任者を選任することが可能となっております。
 具体的な何件というのは、現在資料を持ち合わせておりませんけれども、いずれにしても、今後、このような地方公営企業、さらには地方独立行政法人、やはり幅広い人材を集めるということのための今回の制度改正でもありまして、私どもとしては、ぜひともこの適任者を広く求める努力を続けてまいりたいと考えております。
武正委員 私は、今、日本ではないというふうに聞いております。これは、もし違ったら後で、この委員会の中で、あるいは私の方に教えていただきたいと思います。
 さて、設立団体以外からの長期借入金を基本的に禁止した理由は、また、高い金利のものを調達せざるを得ないのではないかというふうに思うんですが、この点、副大臣、いかがでしょうか。
若松副大臣 今、長期借り入れの御質問ですね。これは、まず、公営企業型地方独立行政法人が行う長期資金を要する事業でございますが、地方団体との密接な連絡調整と協調のもとに運営されなければならない、こういうことになっておりまして、また、最終的な財政負担が設立団体に及ぶことが法律で明示されております。したがいまして、設立団体の財政に及ぼす影響が極めて大きいということから、地方公共団体以外からの長期借入金は禁止しております。
 さらに、公営企業型地方独立行政法人に対する長期貸付金につきましては、地方公共団体における予算議決を得ることによりまして、公営企業型地方独立行政法人の事業量について地方公共団体との所要の調整を図ることとしておりまして、さらには、このような資金を地方公共団体が転貸債として地方債計画の枠組みのもとで安定的に調達して、公営企業型地方独立行政法人に対する安定的な資金供給を行うこととした制度設計でございます。
武正委員 後で触れますが、高い金利のものを借りざるを得ない、こういったことが危惧をされるわけですね。せっかく地方独法化というふうにいいながら、独立性といいながら、この点は、やはり設立団体以外からの長期借入金を認めないといったのは問題であろう。
 やはり地方団体にとって危惧される点は、例えば議会の関与、情報公開、さまざまな形でのチェック体制、そして、責任者が問題がありというときには素早く担当者をかわってもらう、そういった厳しい形で臨んでいけば、この地方独法化、もしこの法案を可決成立して実行するのであれば、私は、この長期借入金、さまざまなルートから捻出をしていいというふうに思うわけでございます。
 さて、議会の関与が大変鈍い今回の地方独法化、国もそうでございます。国も、国会の関与を手放した途端に、いわゆる役員の数が三倍になってしまったというような指摘があるわけでございまして、事後チェックといいながら実はノーチェックなんではないかというふうなことを感じるわけでございますが、この議会の関与、あわせてお答えいただけますか。
若松副大臣 まず、議会の関与は、この制度設計としては低くしております。なぜかといいますと、あくまでも独立性を持たせた形で公営企業型地方独立行政法人制度があるわけでありますので、そのために別の法人格として行わせたわけであります。そのために議会の議決を不要、各事業年度の予算につきましては議会の議決を不要にしておりますし、設立団体の事前の関与を極力少なくして、この制度のメリットであります、先ほども評価をいただきましたけれども、経営の弾力性、機動性を確保しているということであります。
 しかしながら、設立団体の長の認可する中期目標におきましては、住民に対して提供するサービスがやはりしっかりと質も高めるものでありまして、かつ、業務運営の改善、効率、こういったこともしっかりと含まなければならない。さらには、料金を含む中期計画に関する認可等につきましても議会の議決を得た上で、これは大事なことでありますので、当然議会の議決を得た上で、設立団体の一定の関与を保ちつつ事務を行わせることによりまして、必要な公共サービスを確保するための措置を講じているところでございます。
武正委員 先ほど来ちょっとお話ししておりますが、住民訴訟についてはどうでしょうか。これはお答えいただけますか。簡単にお願いします。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 住民訴訟の対象になるかどうかという御質問かと思いますが、住民訴訟制度は、先生御存じのとおり、納税者の権利を擁護するため、納税者の納付した公金の適正な管理を担保することを主眼とした制度でございますので、地方公共団体のみに適用されるものでございます。
 なお、先ほど言いましたように、地方独立行政法人は住民訴訟制度の対象にはなりませんが、設立団体から地方独立行政法人に対する財政支出につきましては、これまでどおり、現行の住民訴訟制度の対象になるというふうに考えております。
武正委員 地方独法は対象外ということでございますが、今回、これまでの公営企業の借金を負担することになるんですね、この法律では。それは対象になりますか。今、支出は対象だと言いましたが、いわゆる独法化したときにその債務を受けるわけですよね、地方自治体は。この点については訴訟の対象になりますか。どうでしょうか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 財政支出については対象になると申し上げましたけれども、法律に基づいて負担するということにつきましては、一種の財政支出ということになりますので、それも対象になろうかというふうに考えております。
武正委員 先を急ぎますが、今回、公営企業は、七事業に病院事業を加えて八事業としておりますが、公営企業法では十三事業、そしてまた、条例で定める事業も含めて政令で定めることができるというふうにしているんですが、いわゆる八事業からの拡大というものは考えておられるかどうか、副大臣。
若松副大臣 この公営企業型地方独立行政法人でございますが、これは、何といっても効率的な企業経営を期待しているところでございまして、その点で、今おっしゃった八事業につきましては、地方公営企業法におきまして、同法の全部または財務規定等の適用を義務づけるという法律上の位置づけを与えられている事業であるということで、いわば公営企業としての熟度の高い業務というふうに認識しておりまして、そのために、公営企業型地方独立行政法人の対象業務として適当であり、スムーズな制度導入の観点からも、当面これらの事業に限り、公営企業型地方独立行政法人とすることができることとしたものということでございます。
 さらに、なお、法律の第二十一条におきましては、「その他政令で定める事業」という規定も設けてありまして、今後必要と認められる場合には拡充する場合もあるという制度設計になっております。
武正委員 これが、政令で定めるということで、また拡大をしていくといったところはやはり避けていかなければならないというふうに考えるわけでございます。これは指摘とさせていただきます。
 公営企業が平成十二年度で五十九兆円の借金をしておりますが、公庫からは十六兆円余り、五十九兆円のうち実に利率五%以上の借金が十七兆円余りあります。六十兆円のうちの三分の一まではいきませんが、三分の一弱がまだ金利五%以上のものを借りているんですね。公庫十六兆円のうちの幾ら五%以上なのかを御答弁いただくとともに、この借りかえがなぜ、若干進んでいてもなかなか進まない、これはやはり、進まなければ結局その負担は地方自治体の住民が負うことになります。この点、副大臣、いかがでしょうか。
若松副大臣 ただいま地方公営企業が公営企業金融公庫から借り入れている債務残高は、平成十三年度末現在で十七兆九百四十億円、このうち金利五%以上の債務残高が五兆八百六十億円ということで、全体の二九・八%になっております。これは、地方公共団体が例えば民間金融機関から直接に調達したいわけでありますが、極めて長期、低利の資金が民間からできない、こんなこともありまして、公庫がいわゆるその肩がわりというか、そういった資金提供をしていたということであります。
 さらには、長期で安定した資金を地方団体へ供給するという公庫資金の本来的な機能、これは大変やはり今のところ重要ではないかと思っておりまして、今委員の御懸念でありますけれども、公営企業の経営状況、現下の金利情勢を見ながらも、いずれにしても、随時借りかえ額の増額、対象企業債の要件の緩和、こういったことを図りながら、着実に高利債のさらに低利債への転換というのを実現してきたわけでありますけれども、平成十五年度におきましては、これまでの借りかえの進捗状況にかんがみまして、七百億円の借りかえ枠を確保しております。
 今後とも、当然公庫の機能維持、これも非常に現状のところ大事でありますので、それに留意しながらも、かつ公営企業の経営の健全化を図るためのやはり低利債への借りかえ、これもしっかりやっていきたいと思っております。
武正委員 実際進んでいないわけですね。三割が五%以上、まあ今決意をいただきましたけれども、そういった中で、やはり長期借入金は地方公共団体からしか借りられないと。設立団体以外からの長期借入金は認めていないわけですから、結局こういった高い金利のところから借りざるを得ないという、これはやはり矛盾しているというふうに思わざるを得ません。
 ちょっと時間の関係もありますので、続いて地方独法の法案について移りますが、まず評価委員の人選、兼職禁止、結局はお手盛りの評価になってしまうよというようなこと。これは、国の独法の場合は、私はまだまだ不満ですが、総務省の評価委員会で二重のチェックをしていると。これは地方はないわけですね、これに当たるものが。これをやはり指摘せざるを得ません。
 それから、ちょっと時間の関係で先を急ぎますが、これは総務大臣、最後から二番目の質問になりますが、やはりこの総務大臣の認可というものが地方独法で必要だというのは地方分権に逆行しているんじゃないですか。これは総務大臣、いかがでしょうか。
片山国務大臣 地方団体と別の法人をつくるんですよ、公法人を。これを地方団体独自でやるとか条例でやるとかということは、なかなかこれは法制論として難しいんですよ。だから、一番緩い認可主義をとっているんです。地方団体と同じようなものをつくるんですよ、公法人をつくるんですよ、公に。これについては、今までのいろいろな立法例を見ましても、やはり何らかの関与が要るんですよ。だから一番緩い関与で、総務大臣の認可を、これは都道府県絡みですけれどもね。政令指定都市と市町村については知事にやってもらう、こういうことでございます。
 しかも、先ほど局長が答弁しましたように、認可の基準をできるだけはっきりさせて、しかも法規裁量で認可していく、こういうことでございまして、これは私は法制論としてやむを得ないことだと思っております。
武正委員 緩い認可法人といっても、今まで都道府県がやっていたことに総務省が、そして総務大臣がそこから、上から認可をしていく。しかも、先ほど公立大学で指摘したように、大学はもとよりですが、地方独法に対して立入検査と。立入検査というのは、これは大変厳しい権限だと私は思いますよ。こういったものもできるわけですね。前よりも中央の権限が強まっている、これは問題であるというふうに指摘をしておきます。
 最後、これは通則法、国の独法の通則法五十四条の四項の規定が地方独法にないのはなぜでしょうか。副大臣、お答えいただけますか。いわゆる天下り禁止の規定が、国の独法にはあるんですが、地方独法にはないんですね。ですから、地方独法からいわゆる関連のところに二年以内とか五年以内とか、ああいった規定が国にはあるのに地方にない、この理由をお答えいただきたいと思います。
若松副大臣 お答えいたします。
 国の独立行政法人の役員につきましては、離職後の営利企業への再就職につきまして、独立行政法人通則法上、規制が課されております。これは、国家公務員につきまして、離職後の営利企業への再就職に係る法律上の規制が設けられていることを踏まえた措置でございます。
 それでは、地方独立行政法人につきましては、地方公務員につきまして営利企業への再就職に係る法律上の規制が設けられていないことを踏まえまして、法律上の規制を設けていない、このような制度設計にした次第でございます。
武正委員 今の答弁ではちょっと私も要領を得ませんので、なぜこの地方の独法はそういった天下り禁止の規定がないのかということも含めて、第三セクターでは、先ほど触れましたように、五年以上の土地――何かありますか、副大臣。
若松副大臣 今、地方独法がありましたけれども、地方公務員の営利企業への再就職、恐らくこの視点も関係ありますので、ちょっとこれを答えさせていただきます。
 地方公務員につきましては、国家公務員に比べまして、再就職の実態、また退職管理のあり方、かなり異なっておりまして、御存じのように、中央の場合に五十三で肩たたき、地方の場合には五十八とか、そういう意味で、地方の場合はやはり制度設計上うまく回っているのかな、そんなこともありまして、地方公務員に対しての営利企業への再就職についての規制が設けられていない、こういったことも踏まえまして、先ほどの地方独立行政法人の制度設計になった次第でございます。
武正委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、この質疑を通じても、地方独法化の前に第三セクターと公社、そして公営企業等まだまだやるべきことがたくさんあるということを言って、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 本会議散会後直ちに委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十八分開議
遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。
桝屋委員 昼からの地方独法の法案の審議、最初に立たせていただきます。
 先日、この委員会で、私も、長い、まあ長くはありません、十年の国会議員生活で初めて不規則発言をして、委員長から発言を許されたわけでありまして、それぐらい大事なテーマであったとは思っておりますが、三位一体の改革は今まさに議論が進んでいるわけでありまして、きょうのマスコミあたり、報道等を大変に心配をしながら見ているわけであります。
 ただ、この前発言をするときも私思ったわけでありますが、ともすると、先週ぐらいからのマスコミの社説あたりに、税源の奪い合いだけやっているじゃないか、こういう報道が一部に見られたわけでありますが、こういう方向に引っ張られると非常に私は国民に誤解を与えるのではないかな、こう思っているわけであります。
 三位一体の行財政改革を行うについては、財源の問題に加えて、やはり地方の行政改革をしっかり進める、こういう観点がこれまたあわせて大事ではないかな、この点をしっかり我々も認識しておかないと、我々がそこを大事にしないと、国民の皆さんに十分な御理解はいただけないのではないか。その上で、やはり三位一体は地方の自治体が本当に希望を失うことがないように我々も取り組みを進めたい、こう思っておるわけであります。
 そういう観点で、地方の行政改革、そのツールとして今回のこの地方独法、これも一つの選択肢ということで、国にある制度でありますから、地方にあってもこれは整理をしておいた方がいい、こういう判断であろうと、私どもも、党内で随分議論しましたけれども、そんな方向で大体整理ができたわけであります。
 ただ、最初に、先ほどの武正委員の議論を聞いておりましても、全く我が党でも同じ議論があったわけでありまして、やはり、新しく地方独法をつくるのに国が、改めて総務大臣が認可をするということは、何といっても、いかにその必要性があるにしても逆行じゃないかという議論が随分ありました。皆、それがなかなか腑に落ちなかったわけであります。
 先ほど大臣は、法制上の論理からこういう整理をやむなし、こういう御説明をされましたけれども、ただ、特に都道府県のそうした地方独法を整備するときに、何で地方の条例だけでできないのか。もちろん地方議会も参画するわけでありますから、そういう手法をとり得なかったということについて、改めてもう一度、大臣の御説明をいただきたいと思います。
片山国務大臣 先ほども答弁させていただきましたが、やはり新たに地方団体と並ぶような公法人を設立するわけですから、これは、勝手にやるといいますか、県がやる場合に、知事がやるとか条例でやるとかということはなかなか法制的に説明ができない。例もない。
 こういうことで、例えば今までの土地開発公社だとか、地方住宅供給公社、地方道路公社、こういうものは全部、主務大臣の認可なんですよ。あるいは、都道府県単位の、例えば地方開発事業団だとか、あるいは一部事務組合でもそうですし。そういう都道府県や政令指定市レベルで新たに法人をつくる場合には、一段上と言ったらおかしいですが、やはり第三者的な国が関与して法人格の設立を認める、こういうのが今の法制の体系なんですね。
 ただ、それも恣意的なことはいけませんので、先ほども答弁しましたように、できるだけ認可の基準をはっきりさせて、しかも、基準は法令の要件に合っているかどうか、趣旨や何かでおかしくないかということだけを、覊束裁量といいますか、法規裁量といいますか、いわば自由裁量じゃない、裁量権は極めて狭い、こういう形の認可をさせていただくのは仕方がないのかなと。これは法制局なんかに相談しまして、我々としてはいろいろなことも考えたわけですけれども、今の法制ではこういう形しかないのかな、こういうことで、これで我々も百点だ、満点だと思っておりません。
 しかし、今も言いますように、新しい公法人が、生まれるものがノータッチというわけにはいかない。どこかが認める。そこで必要最小限度の認可をしますから、認可に伴う認可権者としての立入調査なんかは必要最小限認めさせていただく。しかし、それも恣意的にやるなんということはまずあり得ない、こういうふうに思っております。
桝屋委員 大臣の法制上の整理、それは私も、随分考えましたけれども、そうだろう、そういうことを理解しなきゃならぬと思うんです。
 ただ、そんな法律を何とか変えられぬのかな、こう率直に私も思うわけでありまして、大臣がいみじくもおっしゃったけれども、高い立場でそれは認可をする、一番軽いかかわりですよ、こういう御説明ですが、ただ、一たびできると、先ほどの第三セクの話じゃありませんが、さまざまな問題も多分出てくるわけです。出てくるとこれは必ず放置できなくなって、場合によっては、認可権者の責任ということも当然言われてくるわけで、立入検査もしなきゃならぬ。こんなことは、これはもう地方の責任で全部やるということの方が本当にすっきりしていいのではないかという思いをいまだに私は捨て切れません。捨て切れずに、しかし、新しいツールを用意するということもこれまた大事だと思っておりますので、具体の中身に入っていきたいと思います。
 今回、対象業務を五分野に整理されているわけでありますが、五番目の公共的な施設について確認をしておきたいと思います。
 公共的な施設というのは、具体的には政令ということになっていますが、地方自治法の公の施設というのはどんなイメージなのか、全部自由に地方が考えていいのか。恐らく政令でやりましょうから、その内容について御説明をいただきたいと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先生お尋ねの、公共的な施設と自治法上の公の施設のイメージはどうかということでございますが、独法法に言う公共的な施設は、八条の一項にございますとおり、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」とされておりまして、これは、地方自治法上の公の施設と同じ概念でございます。
 なぜ言葉を違えているのかということでございますが、これは設置主体が異なるものでございますから言葉を違えているわけでございまして、公の施設は地方公共団体、それから公共的な施設は独法法人と違いがございますので、設置主体の違いを明らかにするために言葉を違えているわけでございます。
桝屋委員 そこで、政令で定める公共的な施設、これは政令は今から検討だろうと思いますが、現時点では具体的にどのような施設を想定されているのか、お答えをいただきたいと思います。
畠中政府参考人 お答えを申し上げます。
 公共的な施設の範囲でございますが、独立の組織に設置管理を行わせるに足るだけの業務量のまとまりがあることが必要ではなかろうかというふうに考えておりまして、現時点においては、独法化によるメリットが大きいものと考えられるものとしまして、例えばでございますが、国際見本市場施設とか国際会議場、それから国際展示施設などの大規模な施設を想定しているところでございます。
桝屋委員 これも私は一々政令で定めるということもどうかなと思う。これは地方の議会も絡むわけでありますから、地方の責任においてこれからの行政改革を進めるということでいいんじゃないか、こう思っているんですが、まずは地方独法、国も独法を始めてその成果が今徐々に分析をされているわけでありますから、地方もまず独法化になじむものから、こういうことなんでありましょう。今後、必要に応じて、成果を見ながら臨機応変にその範囲の拡大ということも検討する、そういう必要も出てくるんではないか、私はこう思っているわけであります。
 先般の地方自治法の改正で、こうした公共の施設については例の指定管理者制度、これも一つの方法として、地方団体の行革の手法として整理されたものだというふうに私は思っておりますが、今の話では、こっちの地方独法というのはやはり独法になじむものをやるということなんでしょうが、この前の指定管理者制度とそれから今回の地方独法の制度、これは地方自治体としてはどういうふうにその手法を考えていけばいいのか、改めてお考えをお聞きしたいと思います。
若松副大臣 今、委員御指摘の二つの制度の最大の相違点でございますけれども、指定管理者制度は、公の施設の設置は当然その地方自治体が行うということで、その管理について一定の法人にゆだねる、こういった制度に対しまして、地方独立行政法人制度は、その施設を地方公共団体から分離独立した地方独立行政法人に移管して、その法人の責任により管理を行わせる、こういったことが違いでございます。
 また、公の施設の指定管理者制度というものは、当該施設の設置の根拠、管理の方法につきましては、施設の設置主体であります地方公共団体の条例に基づいて行うことに対しまして、地方独法制度におきましては、その地方独法みずからがこの事項を定める、こういう違いとなります。
 さらには、損害の場合でありますが、指定管理者制度をとる公の施設においては、例えば利用者に損害を与えた場合には当該地方公共団体が責任を負うことが原則でありますが、先ほどの独法法人の場合には、基本的には地方独法自身が責任を負う、こういった相違点もございます。
 さらには、公の施設につきましては、今言ったような両制度の違いを考えた上で、個々の地方公共団体において、どちらが適正で効率的で、どちらが得か、こういったことを当然検討していただいた上での選択、これができるようになっているわけでありまして、実際には、地方独法制度の対象となる施設、いわゆる公営企業また社会福祉事業以外のものにつきましては、政令におきまして、先ほども局長からもお話がございましたが、国際会議場などの大規模な施設に限定する方針、こういうこともございまして、大部分の公の施設につきましては指定管理者制度を活用することと私どもは理解しております。
 いずれにしても、この二つの制度というものをうまく活用していくことが大事なのかな、このように考えております。
桝屋委員 これから大部分の公の施設はまず指定管理者制度を検討していただく、こういう流れかなと思っております。
 もう一つ、五分野の中で社会福祉事業も入っているんですね。社会福祉事業の経営、特養それから保育所、ホームヘルプサービス事業など入っているわけですが、ここになりますと、ますます私も頭が整理できなくなるんですが、ちょっと質問の順番を変えますが、この分野を地方独法でやるのかなと。
 きょうも議論が朝から出ておりますが、もともと行革は、民でできることは民がやるということでありまして、そうした観点からすると、こうした特養とかの施設については、何も独法化せずに、地方独立行政法人なんというようなことをせずに、一気に民間に持っていけばいいんじゃないか、私はこう思うわけでありますけれども、その辺どうなんでしょうか。地方独法というのがやはり有効な武器になり得るのかということをちょっと議論させていただきたいと思います。
若松副大臣 まず、ちょっと数的なものをあわせて御報告させていただきますけれども、平成十三年十月一日現在の全国の保育所ですが、二万二千二百三十一ございまして、そのうち五七%の一万二千五百七十九施設が地方公共団体の直営、また介護老人福祉施設、いわゆる特養でございますが、これも、全国四千六百五十一施設のうち約六%の二百九十四施設が地方公共団体の直営、こういった状況であります。いずれにしても、保育所が大変多いというのが実態でございます。
 それでは、これらを一挙に民営化したらいかがかと委員の御意見でございますけれども、特に社会福祉事業につきましては、社会福祉法人が全国に存在しておりまして、そういった法人が社会福祉事業を実施していることが非常に多い。一方、先ほど申し上げましたような地方公共団体の直営方式、これは、保育所は過半数以上、特養の場合には一部ということでありますけれども、こういったものも数としてはかなりあるということで、特に社会福祉事業分野におきまして、この地方独立行政法人の対象に加えたということは、先ほど申し上げましたように、まだ一部しか活用されていない、今後これを地方独立行政法人で使っていただいて、いわゆる行政の効率化等が図れないか、こんなことにも貢献するのじゃないかと理解しております。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、直ちに今の施設を廃止して、そのまま社会福祉法人に移管するということも困難であるわけでありますけれども、ただ、直営を続けるよりも地方独立行政法人化した方がいいのではないか、これもケース・バイ・ケースで考えられるわけでありまして、そういった判断というのは、やはり地方が、地方自治体が自主的に行うのかな。いずれにしても、その選択を地方自治体にやっていただくにしろ、そのような道を、選択の道を地方独立行政法人化でできるという形で制度設計したことは大変有意義であると思っております。
桝屋委員 若松副大臣、今、保育所を挙げていただきましたけれども、もうきょうは時間がないから余り議論できませんが、私、誤解を恐れずにあえて申し上げると、保育の六割ぐらいが公立であるということ、これが実は、社会福祉事業の最前線を改革しようとするときに大変グラウンドがかたいわけでして、ここは何とか手を入れたいというのは私もずっとこの十年思ってきました。ただ、余り言うと、全国の保育所から袋だたきに遭いますから。保育は大事にしなければいかぬのですが、やはりグラウンドをならしたいという思いがありまして、保育はこの地方独法を使って動きますかね。期待していいでしょうか。最後ですから、大臣、ちょっと。大臣、もうちょっと聞いてください。
 私は、これはやはり、先ほど出たように、地方独法になじむ分野というものがあるわけで、さっきの規模の話からしても、保育なんというのはなかなか難しいんじゃないかな、こう思ったりする。ただ、あえて今回この五つの分野の中に入れられたというのは、大臣として何か大きな期するものがあるのかどうか。
片山国務大臣 社会福祉事業に独法を持ち込んだのは、今、直営でやるか、直接地方団体がやるか、あるいは社会福祉法人ですよね、これは民営ですから、だから、その真ん中があってもいいではないかと。直営の、地方団体がやっているものをすぐ民と言うと、これは反対もあるんですよ、抵抗も。いろいろ地域によって違いますけれども。
 だから、それは民じゃないですよ。しかし、官そのものでもない、公そのものでもない。まあダミーと言ったらいけませんけれども、いい意味でのダミーですよ、私が言っているのは。今までダミーと言ったら悪い意味が多いので。いわば直接の地方団体そのものではないけれども、地方団体の分身がやるんだということで納得を得られるとすれば、私は、今の直営方式が独法方式の方に変わり得る余地もある。それに、正直言いまして、市町村長さんから一部そういう要望もあるんです。だから、そういう意味では選択肢を広げて、こういう道もあるよと。公か民かだけじゃなくて、真ん中のこういうものがあるということは一つの使い道があるのかな、こういうことでございます。
 保育所についてもいろいろな議論がありますよね。官民格差の問題がいろいろ議論されているので、こういうことがいい方向に行くということなら、これは地方団体に選んでいただかなければいけませんけれども、一つの方向かな、こう思っております。
桝屋委員 今の大臣のお話を聞いて、複雑な気持ちでおります。小泉内閣の総務大臣として三位一体改革を行われるお立場であれば、場合によっては官と民の間があっていいという、そんなことはとんでもない、官は全部民だというぐらい御発言になっても、それはそれで大きな議論かなという思いもしたのでありますが、今の答弁をそのまま受けとめさせていただこうと思います。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 本日は、最初に市町村合併問題について質疑をいたしまして、次に一点、公務員制度改革に触れて、そして本題の地方の独立行政法人法案に移っていきたいと思っております。
 まずもって、地方分権の推進あるいはまた高齢社会の進展、行財政改革の必要性等にかんがみまして、市町村の規模や能力の拡大を図り、行財政基盤を強化するという目的のもと、市町村合併について全国的な取り組みが行われております。また反面、小規模町村等の基礎的自治体のあり方に関する議論もこれまた活発になっておるところであります。
 そこで最初に、現行の市町村の合併の特例に関する法律、いわゆる市町村合併特例法の期限は平成十七年三月末でありますけれども、あと二年を切っております。そういう状況にある現在、全国の市町村合併の取り組み状況はどうなっておるのでしょうか。大臣にお尋ねいたしたいと思います。
片山国務大臣 今、黄川田委員言われますように、特例法は十七年三月ですから、完全に二年を切っているわけですね。だから、いよいよこれからが、まあ今までもそうですが、これからいよいよ本番になるな、こう思っております。
 今、全国の市町村で法定協議会というのを、これは合併をする場合には義務づけているんですね、これをやってもらうということを。これが約千三百市町村。それから、任意協まで入れますと千九百ですよ。ということは、六割を超える市町村がかなり本気で、本格的に合併の検討をしてもらっておりますので、ぜひ我々としてはこの今の機運を促進したいということで、せんだって合併促進プランを、何でも片山プランで恐縮なんですけれども、片山プランということで経済財政諮問会議にも出させていただきましたし、これから個別の相談もあれば、県と一緒に、総務省も合併相談センターというのをつくりましたので応じていこう、こう考えております。
 合併は、黄川田委員、十七年の三月で終わるわけじゃないんです。未来までずっと続くんです、未来永劫。ただ、特例法が十七年の三月末ですから、できるだけその期間に、そういうお気持ちのあるところは合併をやってもらおう、こういうふうに思っております。
黄川田委員 いずれ、現在の三千二百を千程度だということなんでありますけれども、どうも二年後には二千前後にはなるのかなという気もしますし、しかしながら、一万人未満の市町村もまだまだ残るんじゃないのか、そういう気もいたします。
 そこで、東日本、西日本で合併の状況もさまざまあるみたいであります。都道府県によって、合併の進捗でありますが、これは大きな格差が生じるというような気がしておりますが、どうでしょうか。
片山国務大臣 大ざっぱに言うと西高東低ですね、かなり大ざっぱに言って。それで、スタートが早いところ、遅いところ、あるんですよ。しかし、問題はゴールのときにどうかということなんですね。
 遅いスタートでもばあっと伸びてくるところもありますし、早いスタートだけれどもなかなかそうはいかぬというところもありますので、いずれにせよ特例法の最後が、終期が一つのゴールですから、できるだけそれまでに与党三党が言われる千を目指して、なかなか千にはなりませんけれども、千を目指して頑張ってまいりたい、こういうふうに思っておりまして、特にスピードが上がっていないところについては事情を聞かせていただいて、県に促進方をお願いする。
 特に、各都道府県に合併のたたき台というパターンをつくってもらっておりますので、合併のパターンのフォローアップを、どのくらい進んで、なぜうまくいかないか、どうだということのいろいろなことを都道府県の方から今聞かせていただいている、こういう状況であります。
黄川田委員 大臣から、合併は未来永劫続くんだという話でありますけれども、この合併特例法の経過措置についてお尋ねいたしたいと思います。
 法定合併協議会が既に整っていて、そして当該市町村議会で合併の決議がなされ、十七年三月末までにそれに基づき知事に合併申請がなされた場合、現在の合併特例法がそのまま適用される、私はこう理解しております。
 そこで、この平成十七年四月一日以降であります。同様な合併手続がなされた場合に、財政措置は伴わない新たな手続ルールをこれは定めると聞いておりますけれども、その概要はどのようなものでしょうか。総務省、お尋ねいたします。
伊藤政府参考人 お答えいたします。
 平成十七年四月一日以降の合併についてのルールがどうなっているかという御質問だと思います。
 平成十七年四月以降の市町村の合併手続に関する法制につきましては、去る四月三十日に地方制度調査会から中間報告をいただいたところであります。
 その内容といたしましては、今お話ございましたように、現行法のような財政支援措置はとらないことを前提といたしまして、平成十七年四月以降も、新しい法律を制定して、さらに自主的な合併を進めることが提言されております。
 新しい法律の内容につきましては、地方制度調査会の議論も踏まえまして今後検討していくことになろうかと思いますが、議員の定数でありますとか在任特例、一部事務組合に関するところの特例、地方税の不均一課税等々、現在の合併特例法に規定されております合併の障害除去に関する規定、これは引き継ぐことになるものと考えております。
 さらに、中間報告におきましては、新法において、必要に応じて都道府県が市町村合併に関する構想を策定し、合併に関する勧告やあっせん等により自主的な合併を進めること、また、地域自治組織を創設することが提言されておりまして、その具体的な内容等につきましては今後さらに検討してまいりたいと考えております。
黄川田委員 今、地方制度調査会のお話がありましたけれども、この中間報告が公表されたところであります。
 この中間報告を見ますと、基礎的自治体のあり方、大都市のあり方、そして都道府県のあり方について、地方分権時代の基礎的自治体を構築すべく、「「基礎的自治体優先の原則」をこれまで以上に実現していく」とあります。すなわち、「基礎的自治体の規模・能力はさらに充実強化することが望ましく、」「可能な限り基礎的自治体が住民に身近な事務を処理することができるようにしていくべきである。」とあります。
 そこで、現行の合併特例法に続く新たな部分に関連いたしまして、幾つか質問していきたいと思っております。
 まず、合併の検討を進めるに当たって、合併のメリットとあわせて、逆に、合併に当たって心配な事項として指摘されることといたしまして、合併後の当該市町村の周辺部が寂れることにならないか、各地域の歴史、文化、伝統などが失われることにならないか、こういうことが挙げられております。
 このような懸念を解消するためには、合併した後の旧町村の区域における住民の意向を反映するための仕組みづくりもあると考えられますけれども、今般の地制調の中間報告においても、基礎的自治体について、地域自治組織など、踏み込んだ内容となっておりますけれども、これについて総務省、どうお考えでしょうか。
伊藤政府参考人 お答えいたします。
 地域自治組織についてのお尋ねであります。
 御指摘ございましたように、合併いたしますと、周辺部が寂れる、あるいはその地域の歴史とか文化、伝統が失われるといった漠然とした不安が住民にあることは確かであります。
 今回、地方制度調査会の中間報告におきましては、合併後の市町村におきまして、今申し上げましたような不安の解消、あるいは住民自治を強化する観点から、合併前の旧市町村単位に地域自治組織を設置する道を開くことが盛り込まれているところであります。
 この地域自治組織は、法人格を有しない行政区的なタイプ、または特別地方公共団体とするタイプの二つのタイプが提言されておりまして、その内容の詳細につきましては今後さらに検討が必要であると考えております。
 総務省といたしましては、地方制度調査会の議論も踏まえまして、地域自治組織制度の創設に向けて必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
黄川田委員 お話のとおり、まだまだ検討しなきゃいけないところがあるということでありますけれども、この地域自治組織でありますけれども、いずれ、これが十分な機能を果たすものとならなければ屋上屋を重ねるというようなことになりますし、本当に、住民自治といいますか、住民の声が反映されるような仕組みにならないと私は思っております。
 そしてまた、地制調の中間報告によりますと、少子高齢化の進行によりまして、「二〇三〇年には人口五千人未満の市町村が現在の約七百団体から千二百団体近くに増加し、」特に小規模な市町村についてより深刻な影響を与え、「これまでのような職員や財政基盤を維持できない状態に陥ることが予想される。」とあります。
 そこで、質問でありますけれども、財政上の事情やあるいはまた地理的条件等によりまして、やむを得ず合併に至らず、小規模町村として残る場合があり得るわけであります。このような小規模町村の中には、独自の文化あるいは歴史、独自のアイデンティティーを持っているところもあります。しかし、地制調においては、法律上の人口規模の要件を示すべきという意見もあったと聞きます。そしてまた、自由民主党の地方自治に関するプロジェクトチームの検討結果では、人口規模として「例えば人口一万未満」と明記されておるところであります。
 私は、あくまでも地方自治の本旨にのっとり、首長あるいは住民の主体的な判断が尊重されなければならないと思っておりますけれども、この小規模町村の取り扱いであります、大臣、たびたびこれ質問しておりますけれども、どのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 今、地方制度調査会でいろいろ議論していただいておりますので、その最終的な御意見を待ちたい、こう思いますけれども、一般論として、合併をして大きくなったところと、合併をせずに小規模のまま残ったところと、これはもう明らかに行政能力や財政力に差があるわけですから、これを、同じ制度で同じ仕事を同じようにやらせるというのは無理なんですね。これはもう差をつけざるを得ないんです。
 我々は、できるだけ市町村に仕事をやってもらいたい、市町村にできることは全部市町村、できないことを都道府県、さらにできないことを国、こう考えておりますから、そこのところはこれからの大いなる議論のあるところだ、こう思います。
 地方制度調査会は、今お話のありましたように、大きくなった合併の市町村の中に地域自治組織をつくって一定の仕事をやらせたらどうか、こういうことも言っておりますし、規模が小さいままで残って、ちゃんとやれないところについては都道府県が補完したらどうか、あるいは、合併について、十七年四月以降、もっと都道府県がいろいろなことでお世話をするというか、勧告するといいますか、あっせんするというのか、そういうことをする機能を強めたらどうか、地方制度調査会で今そういう議論をされておりますので、今言いましたようにその結論を待ちながら、我々として、小規模町村をどうやっていくか。
 小さいから切り捨てるということは一切考えておりません。しかし、小さくてできないことをやらせてもしようがないので、できることはやってもらう、こういうことでございまして、その辺は十分関係者の御意見を聞きながら対応してまいりたいと思っております。
黄川田委員 合併に係る都道府県と市町村との関係なんでありますけれども、先ほど総務省の方から、そしてまた今大臣から、地制調の中間報告においては、新たな法律によりまして、必要に応じて都道府県が市町村合併に関する構想を策定し、合併に関する知事の勧告等により自主的な合併を進めるとあります。
 そこで、重ねての質問でありますけれども、現行の特例法と比べまして都道府県知事の権限、これは強まるわけであります。小規模自治体の主体的な選択権を弱めることにならないか危惧するわけでありますけれども、総務省の見解、改めてお尋ねいたします。
伊藤政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、今回の地方制度調査会の中間報告におきましては、勧告でありますとか、あっせんでありますとか、包括的な基礎的自治体を形成すべきことを勧告することができる等々の規定が置かれているところでありまして、これが都道府県知事の権限が強くなることにならないかというお尋ねであります。
 現在の合併特例法におきまして、合併特例法の十六条の二という規定がございますが、合併協議会設置の都道府県知事の勧告に関する手続が規定されておりますし、また、地方自治法は第八条の二におきまして、一定の条件ではございますが、合併についての勧告はできることとされております。この勧告は、それ自体は規模の適正化からなされるものでありまして、地方自治法上の非権力的な関与とされております。したがいまして、勧告を受けた市町村が直ちに合併をしなければならないというものではないと考えられますが、その具体的な法的効果等々につきましては、今後さらに地方制度調査会等々で論議がなされるものと考えております。
 なお、平成十七年三月までに合併が行われなかった市町村につきまして、今申し上げましたような措置を講ずるわけでありますので、この自主的な合併がさらに進むように、都道府県においてさらに積極的な取り組みを行うことが、一般論ではございますが、必要と考えております。
黄川田委員 それでは次に、公務員制度改革について、一点だけお尋ねいたしたいと思います。
 この公務員制度改革につきまして、私、たびたび本委員会においても、ILOとの関係あるいはまた採用試験の問題、公務員の人事管理の中立性の問題、天下りの問題等取り上げまして、そしてまた、公務員制度改革の検討に当たってはやはりオープンな議論が必要であるということをたびたび主張してまいりました。
 また、先般の個人情報の保護に関する特別委員会におきまして、小泉総理に対して、組合との協議がまとまらない中で法案の閣議決定を強行すれば大混乱になる、これまでの経過を踏まえて、どのような形で公務員制度改革を進めていくかという旨の質問をいたしました。総理からは、国家公務員法の改正案を検討するに当たりましては、今御指摘のように、関係者と十分協議をしながら進めていきたいと思いますと御答弁をいただきました。これまでの私の質問に対して政府側からさまざま答弁をいただきましたけれども、この総理の答弁、私は責任ある答弁だと思っております。
 そこで、大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 本日、六月三日からジュネーブでILO総会が開催されることになっております。昨年の総会でも我が国の公務員制度改革が取り上げられまして、関係者と十分協議することを求める議長集約が行われ、次いで、十一月の結社の自由委員会では、政府は、その表明した公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考えを再考すべきである、すべての関係者と十分、率直かつ有意義な協議が速やかに行われるよう強く勧告することなどを盛り込んだ勧告が日本政府に対して行われたわけであります。
 これまで政府は、公務員制度改革について、組合との協議は何回も行っていると答弁されておりますけれども、私の耳にするところでは、実質的な協議は全く進んでいないとのことであります。それゆえにこそ、ILOからこういう厳しい指摘が行われておるわけであります。
 今回の総会でも公務員制度改革が取り上げられることになると思いますけれども、その場合、日本政府は総会の場でどのように対応されるおつもりか、大臣からお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 今お話がありましたが、本日から十九日までILO総会がジュネーブで行われている。そこで、この総会の附属委員会ですね、条約勧告適用委員会がどういう審査をするのか、個別審査案件として日本の公務員制度改革案件が取り上げられるか否かは今の段階では決まっておりません。仮に個別審査として取り上げられるような場合には、今、政府代表陣がジュネーブに入っておりますから、私どもの総務省からも何人か行っておりますので、厚生労働省その他政府代表団と連絡をとりながら、各省庁協力しまして、ILOに対して我が国の見解をわかっていただくような努力をしたい、こう考えております。
 今、黄川田委員からお話ありましたような、職員団体の代表の皆さんとは私も会っておりますし、総理や官房長官も会っておりますが、メーンは公務員制度改革担当大臣、特命大臣がおりますので、特命大臣を中心にさらに議論を重ねてまいりたい、意思疎通を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 労働側との話し合いも、新聞によりますと、あす四日からですか、組合と正式協議をするというようなことも耳にしておりますので、しっかりとした取り組みをお願いしておきたいと思っております。
 それでは、本題の地方独立行政法人法案に移っていきたいと思います。
 地方における独法制度の導入でありますけれども、これは、平成十二年十二月一日の閣議決定に基づき、国における独法化の実施状況等を踏まえて、独立行政法人制度についての地方への導入を検討するとされたところであります。国の独法化は、小泉構造改革の一環として、特殊法人の廃止または民営化を図る途上で、過渡的措置として看板をかけかえた妥協の産物であると私は思っております。
 また一方、国立大学の独立行政法人化法案が、衆議院は通りましたけれども、今、国会、まあ参議院で議論が交わされている途上でありまして、その結果が公立大学のあり方にも大きな影響を与えるものと私は思っております。
 また、最近の新聞報道によりますと、全国の四十七都道府県が二〇〇二年度に実施した外部監査の結果が明らかになったところであります。幾つかの都道府県の住宅供給公社あるいはまた道路公社、公立病院、社会福祉施設などについて、事業計画やあるいはまたコスト管理の甘さが指摘されまして、廃止を含めて検討を求める意見が多いと報道されております。
 御案内のとおり、包括監査制度は、平成九年度、地方自治法の改正の折に導入されまして、私も当委員会で、外部監査制度のあり方を過去において指摘したところであります。
 そこで、これらの状況をさまざま勘案してみますと、この地方独立行政法人化法案の提出は、タイミングとして早過ぎるのではないか、そしてまた、国の状況を検証した後でもよかったのではないかと私は思っておりますけれども、大臣の見解をお尋ねいたします。――では、副大臣、お願いします。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
若松副大臣 まず、国の独立行政法人ですが、いわゆるエージェンシー等の議論もございまして、国とは別の法人格を有する独立行政法人、これを創設いたしまして、国の事前規制を最小限にする、また法人に自律的、弾力的な運営を行わせる、一方、厳格な事後評価を行う、こういったことで業務の効率化または質の向上を図ることをねらいとしまして、所期の成果を上げつつあるものと認識しております。
 地方独立行政法人につきましては、現在、地方公共団体が直接行っている事務事業のうち、一定のものについて地方公共団体とは別の法人格を有する法人を創設して、透明で自律的、弾力的な運営を行わせることとするものでありまして、国の独立行政法人と趣旨または目的を同じくするものと考えております。
 個々の事務事業を地方独立行政法人化するかにつきましては、これは各地方公共団体が選択できる制度となっておりまして、いずれにしても、この地方独立行政法人制度を設けることは、地方公共団体が行政サービスを提供するに当たりまして、機動的かつ戦略的に対応するための新しい選択肢を付与するということで、大変意義が大きいものであると考えております。
 いずれにいたしましても、これまでの閣議決定におきまして、政府としても平成十五年度中の制度創設の方針を明らかにしておりまして、その流れにのっとりまして、今回、準備を完了いたしまして法案の提出になった次第でございます。
黄川田委員 お話をいただきましたけれども、国の特殊法人等々の独立行政法人化、それと並んでの地方の独立行政法人化ということである前に、やはり現状の分析といいますか、大臣も先ほど、リゾート法関連で、国土交通省の仕事に対する政策評価、しっかりしたけれども、とんでもない話だと。そういうふうな分析、これが大事だということをお話しされているでしょうが。第三セクターであれ、あるいはまた公営企業の経営実態、まずこれをきっちりとやはりとらまえて分析し、そして、本当に地方の自立のための仕組みをつくることが私は大事だと思っております。
 関連してお尋ねいたします。
 本法案では、業務範囲として、試験研究機関、あるいはまた公立大学、水道事業等の公営企業、そしてまた社会福祉事業等、多くの範囲の公営企業、公営事業が規定されております。そして、国の独立行政法人法は、通則法のもとに個別法で構成されております。地方公共団体においては国のような細分化は意味がないと思いますけれども、少なくとも公立大学あるいはまた公営企業など類型化いたしまして、個別法として構成すべきと考えるわけでありますけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。副大臣ですか、お願いいたします。
若松副大臣 今回のこの法律でございますが、地方独立行政法人を創設するということで、地方公共団体におきましてこの制度を導入する上で、あくまでも枠組み法であります。
 御存じのように、地方公共団体は大変数が多く、その対象となる地方独立行政法人もあるということで、私どもは枠組み法という形をとらせていただきまして、公立大学法人、公営企業型法人を含めて一体として立案して、必要に応じて特例規定を設けた、このような制度設計にしたところでございます。
 その結果、地方独立行政法人の対象業務といたしまして、いわゆる国の独法等も参考にいたしながら、五つ、これは二十一条にも規定しておりますが、一つとして試験研究、二つ目が大学の設置管理、三つ目が公営企業に相当する事業の経営、四つ目が社会福祉事業の経営、五つ目に、その他の公共的な施設で政令で定めるものの設置管理、こういった定めにさせていただいております。
 いずれにいたしましても、今回の法案によりまして、人事管理、財務会計による基本的な、共通の制度設計ルールを適用しているところでございます。
 そこで、御指摘の大学並びに公営企業につきましても、独立行政法人化の目的または法人の性格、これは基本的にはほかの事務事業と変わるところはないわけでありまして、設立手続、業務の運営方法等、法人の根幹的な部分につきましては、すべての地方独立行政法人に共通の仕組みとしているところと認識しております。
 その上で、大学の設置管理につきましては、公立大学における教育研究の特性に配慮するとともに、いわゆる学問の自由に由来する大学の自治を確保する、また公営企業に相当する事業の経営につきましては、料金収入による独立採算制を原則とする、こんな形でそれぞれ特例規定を設けて必要な措置を講じているところでございます。
 なお、国立大学法人法案でございますが、これは、設置される国立大学法人を具体的に掲げておりまして、さらには法人内部の組織の編成、運営につきまして詳細な規定を置いておりまして、単なる枠組み法にとどまらない、そういった切り口でのいわゆる包括的な法律となっておりますが、これは国が国立大学の設置者としての立場に立つことによるものと認識しておりまして、ぜひとも委員の御理解を賜りたいと思っております。
黄川田委員 時間も残り少なくなりましたので、引き続き質問させていただきます。
 本法案でありますけれども、独法化を図ることによりまして、住民の生活の安定並びに地域社会及び地域経済の健全な発展に資することを目的としておりますけれども、目的の意味がよくわからないところもあります。
 今回の独法化によりまして、どこまで真の地方分権改革に貢献できると考えられるのか、また、地方公務員型の特定地方独立行政法人とそれ以外の一般地方独立行政法人に大別しておりますけれども、その主たる違いはどこにあり、どのような基準で区分しているのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
若松副大臣 最初の御質問は私が答えさせていただいて、次の質問は局長に答弁させていただきます。
 まず、この法案の、今回の制度の目的、意義についてのお尋ねでございます。
 重ねて御説明をさせていただきますが、いわゆる国から地方へ、または官から民へ、こういうことで、いろいろな言い方はありますが、リスク分散型、こういった言い方もあるでしょうし、または、今回の地方独立行政法人化によりまして、組織・人員管理や予算管理などの業務運営の自主性、自律性の向上を図り、さらには機動的な、弾力的な対応が可能となる、こういったねらいを目的としております。
 個々の事務事業につきましては、それに地方独立行政法人を活用するかどうかというのは、あくまでも地方公共団体の選択にゆだねているということで、地域の実情に応じて個別に判断していただけるものと理解しております。
 総務省といたしましては、今回の制度の導入を契機といたしまして、地方公共団体において、改めて各種行政サービスの実施主体や提供のあり方について自己点検を期待しております。さらには、自己決定、自己責任の原則を旨とする地方分権改革の推進の一助にもなると期待しておりまして、私は、今この法案を導入させていただくというのは大変意義のあるものと考えております。
森政府参考人 特定地方独立行政法人とそれ以外の一般地方独立行政法人の主たる違いとその基準についてのお尋ねでございますが、特定地方独立行政法人は、地方独立行政法人のうち、その業務の停滞が住民の生活、地域社会もしくは地域経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすため、その役職員に地方公務員の身分を付する必要があるものという基準と、もう一つ、業務運営における中立性及び公正性を特に確保する必要があるため、その役職員に地方公務員の身分を付する必要があるものということでございまして、これらの役職員は地方公務員ということにされまして、公務員関係の法令が適用されるわけでございますが、それ以外の一般地方独立行政法人の役職員につきましては、地方公務員ではなく、民間の勤労者と同様の労働関係に服するという点が主たる違いであろうかと思います。
 その基準でございますが、今申し上げました、業務の停滞が住民の生活、地域社会もしくは地域経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすといいますのは、業務の性格上、争議権の行使等によりまして事業の中断があった場合に重大な影響があるような業務を言っております。
 それから、もう一つの、業務運営における中立性及び公正性を特に確保する必要があるという点につきましては、地方独立行政法人の事務または事業の性質上、民間企業に勤務し、その営利のために勤務する民間勤労者とは異なる服務規律を法律上課せられている公の奉仕者たる地方公務員が実施することによりまして、中立性及び公正性の確保を特に図る必要があるような業務を想定しているところでございます。
黄川田委員 若松副大臣から独法の意義等をお伺いいたしましたけれども、どうも情報公開やあるいは住民監査などが保障されておらない、あるいはまた地方自治の原則であります住民自治、あるいは住民参加の自治体運営、さらには地方議会の関与が弱まっている等々を考えますと、むしろ地方分権に逆行するのではないかと思ったりもするところがあります。
 残り時間ほとんどなくなりましたので、一問飛ばしまして、公立大学に関してちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 我が国の国立大学は、どこをどういじっても今より悪くなることはないとの識者の意見がかつてありました。一方、公立大学は、教育のみならず、地方の歴史、芸術等の文化的側面、あるいはまた地方経済活性化のための産学官の拠点等の技術的側面、あるいはまた地域医療の中核となるなどの医学、福祉的側面など、国立大学やあるいはまた私立大学とは異なった多面的な使命を有しておると私は思っております。
 そこで、最初に、国立、私立、公立大学、特に公立大学の重要性を踏まえまして、高等教育のあり方について文科省の見解をお尋ねいたします。
遠藤政府参考人 我が国の大学制度は、国公私立大学がそれぞれの役割を分担しながら、教育研究水準の向上と、全体としての多様かつ特色ある発展を遂げてきたところに大きな特色があるわけでございます。
 公立大学につきましては、大学として人材を育て、学術研究を進めることはもちろんでございますが、地方公共団体がその責任において設置管理するという性格上、地域における高等教育機会の提供と、地域社会での知的、文化的拠点としての中心的役割を担ってきておりまして、今後とも、それぞれの地域における社会、経済、文化の発展への貢献が期待されているものと認識をしておる次第でございます。
黄川田委員 文科省から大学の意義といいますか、お話しいただきました。この公立大学でありますけれども、国立大学や私立大学と同様、高等教育機関であり、そしてまた、地方の特殊性を勘案しながらも、教育と学術研究を行うことが第一の目的であると思っております。しかしながら、公立大学が、独法化によりまして経営に時間と手間をとられ、教育、学術研究がおろそかになるのではないかと心配するところもあるわけであります。
 そこで、時間がありませんので、最後の質問であります。
 多面的機能を有する公立大学の独法化を図るのはどのような意義がまずあるのか。そしてまた、仮に独法化を行うとしても、今の国立大学の独法化の経緯をよく見据えて、その必要性を十分に確認してから個別法として扱う方がよいと私は思っておりますけれども、大臣の見解を最後に求めておきたいと思います。
    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 公立大学の重要性は、今も文部科学省の方から答弁がありましたけれども、私も必要だと思います。
 本来、大学というのは国の仕事なんですね。ただ、地方団体は、もちろん、それだけの必要があり、力があるところはつくってもいい、こういうことでございまして、また、公立大学は、国立、私立と並んでやはり大きな役割を果たしてもらわなきゃいかぬ、こう思っておりますが、今、国立大学、私立大学は、競争的環境というと言葉が悪いですけれども、そういう意味で、かなり自律的、弾力的な経営をやってもらう、いろいろなことができるようにしよう、こういうことで今、大学法人制度が議論されているわけですね。
 そういう中で公立大学だけが今までと同じだというのじゃ、これはちょっとぐあいが悪いので、そういう意味で、地方団体の自主的な選択に任せるんだけれども、選択肢をもう一つふやす、国立や私立と同じような競争的環境の中に置くということは私は必要じゃないか、こう思っておりまして、そういうことが今回のこの制度の一つの意味なんですよ。
 ただ、国の場合と違うのは、国は事細かにいろいろなことを書いていますよ、あの法案で。ただ、こっちの方はできるだけ地方に任せる。ただ、今言われましたように、教育や学術研究については十分な配慮をしろ、そこは頼みますよということを法律に書いておりまして、残りは定款等で、できるだけ地方自身で決めてもらう、こういうことにいたしておりまして、これを使うか使わないかは地方団体のこれは自由ですから、使った方がいいというところはぜひこの制度を使ってもらいたい、こういうふうに思っております。
黄川田委員 大臣から、地方の独立行政法人法ですが、これはあくまでも強制ではない、各自治体が選択すればいいんだ、その幅を広げたという話でありますけれども、どうも、そういうことであれば余り大した法律ではないのかなというような逆な感じもいたします。
 最後であります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 本法律案は、住民の代表機関である議会の関与が極めて限定的です。今、地方分権の推進はだれもが否定できない、そういう流れでありまして、そのためには、住民の代表機関である議会の活動はこれからもっともっと拡充強化しなければならないと思います。その点から見ますと、本法案は地方分権の流れと逆行するものではないでしょうか。その点、どういう御見解でしょう。
片山国務大臣 この制度は、国の場合も同じなんですが、できるだけ国そのものが、地方団体そのものがやらなくてもいい、しかし民営化にはなかなかなじまない、こういうものについて自律的、弾力的なやり方ができるようにしよう、できるだけフリーハンドを与えよう、こういう制度なんですね。したがって、国の場合も、国会や役所の関与は極めて限定的なんですよ。チェックは事後の評価なんですよ。だから、評価委員会をつくりまして、第三者機関の評価委員会でやってもらう、こういうことでございます。
 そういう意味では、地方の場合にも、地方の場合にはこれは大統領制ですから、国と少し違うので、議会の関与を基本的なことは幾つか決めておりますけれども、それ以外は余り関与してもらわないようにしよう。もともとそういう制度なんですよ。
 できるだけ議会や何かの関与を少なくしよう、こういうことなんですが、国の場合と違うのは、例えば定款の策定や変更だとか、中期目標の策定及び変更だとか、法人の業務運営上重要な事項については議会が関与する、議会の議決が要る、これはむしろ国よりはずっとそういう意思決定機関、議決機関の関与を認めているわけでありまして、そこが難しいんですよ。自律的、弾力的な運営と議会の関与。そこで、いろいろ地方六団体、特に議会側の、議会の関係の団体の意見を聞いて我々が調整した結果がこういうところで、皆さんが合意した、こういうことであります。
春名委員 国と地方というのは制度上大きな違いがありまして、先ほど大臣言われたとおり、大統領制と議院内閣制の違いということでいえば、大臣自身もこの委員会でもよく答弁されているように、地方の議会と首長というのは車の両輪であって、チェック・アンド・バランスが非常に大事なんだという指摘をされているわけですね。ですから、国の制度がこうなっているから地方も同じ制度を導入するというふうにはならないし、そういう角度から見たときに、国よりは関与ができるからましだというふうに言われる見識を私はちょっと問うものであります。
 その点でもう少し詳しく突っ込んでいきますが、独法化の対象事業は、保育園、病院、福祉施設、地方公営企業、これは水道、地下鉄、バス、電気、ガスなどなどですね。住民サービスの提供のために自治体が直接責任を負ってきた分野でありまして、対象事業所数は五万四千施設になるんですね。職員数五十万人ですよ。大変な規模なわけですね、これ、対象になっているところは。
 そういう事業に対して、今までと比べても、議会も住民も意見が言えなくなる、あるいは言う機会が少なくなる、これは地方分権に逆行するとしか言いようがないと私は思うんですよ。住民は、独法化の結果、例えばこれまでよりサービスが悪くなったと思ったときに、その声を一体どこへ持っていけばいいのか、この点はどうですか。
片山国務大臣 だから、何度も申し上げておりますように、これは地方団体が議会と相談してどうするかを選ぶんですよ。この制度を必ずやれなんて言っていませんよ。選択肢を広げているんですよ。国と同じように、もっと自由にやりたい、弾力的にやりたい、自律的にやりたいというところがあれば、それはこの制度をうまく使ってください、それはどうぞ皆さんでお決めくださいと。それは地方団体の選択なんですよね。
 したがって、議会についてはいろいろな権限は残しておりますし、あるいは設立団体である地方公共団体と独法との関係も残しておりますから、地方団体経由でいろいろなことができるんですよね、今言いました監査請求だとか何かもできるわけなので。
 それから、そういうことがあったら、地方議会が住民の代表なんだから、そこでいろいろなことを決める権限は全部残っているわけですから、私は、そういう意味で今委員が言われるような御心配はないし、何度も言いますけれども、基本的には選択肢を一つふやしているだけで、そこのところはぜひ御理解を賜りたいと思います。
春名委員 午前中からその答弁を繰り返しておられるんだが、制度を導入するのは国なんですよ。制度を導入するのはあなた方なんですよ。そのあなた方が導入する根本の思想と考え方を私は聞いているんですよ。地方分権に反するんじゃないか、そういう認識はないのかというのを聞いておるわけですね。だから、自治体が決めるからそれで構いません、私たちには責任はない、そういう話にはならないわけです。
 具体的に聞きます。
 地方自治法九十八条、検閲、検査、監査の請求が議会ができます。百条、調査権、こういう権限が明記されています。なぜこういう権限が地方議会に明記されているか。それは、地方公共団体の事務すべてをこういう権限の対象にしているわけですが、その事務が公共性があるがゆえに、それが公正に実施されているかどうかを住民の代表である議会がきちっとチェックする、そのことは必要不可欠だからです。そういう趣旨で、地方自治法でそういう権限が明記されているわけです。
 ところが、やっている仕事は同じ、公共性も同じ、独法になった瞬間に議会の検査、監査の権限、調査権が及ばなくなる。どう考えてもおかしいじゃないですか。
片山国務大臣 地方分権というのは自己決定、自己責任なんですよ。自己決定の範囲を拡大しているんですよ。その結果については自分で責任をとってもらうんです。地方自治というのは基本的にはそういうことなんですよ。
 そこで、今回の制度を入れたことが地方分権の逆行なんかじゃないですよ。我々は地方分権の拡大だと思っている。地方団体がこれを自主的に選択して、この事業はこういうことでやらせたい、それで効率を上げて住民の皆さんに対するサービスを向上しようというのは大変な地方分権じゃないですか。
春名委員 話のすりかえでありまして、制度を入れることではなくて、制度設計そのものの問題点を私は指摘しているんです。そのことを聞いているんですよ。議会の関与をあえて少なくするような、そういう制度設計を地方分権の時代にどうして入れるのかと。それをあなた方が入れるんですから、そこのところを答えてもらわないと困るわけです。
 先ほど言いましたように、二〇〇一年二月の二十七日、武正委員への総務大臣の答弁では、国の場合には議院内閣制だけれども、地方の場合は大統領制でございますから、やはり執行機関、首長さんと議決機関の議会は車の両輪であって、やはりチェック・アンド・バランスの機能が非常に大事なんだということを言っておられるわけで、そういう角度から本当に検討されたのかということを私は聞いているわけです。
 もう一点聞きますが、総務省は九九年の五月の二十日に、先ほども議論になっていましたが、第三セクターに関する指針を発表されておられます。その中の第二の項目の中に「設立に当たっての留意事項」がありまして、その四で「議会への説明・情報の開示」、この重要性ということが述べられている。第三に「運営の指導監督等に当たっての留意事項」の三では「議会や住民への情報開示等」という項目が示されています。
 皆さんが出したものですので、こういう項目を載せている趣旨はどういうことですか。
林政府参考人 お答えを申し上げます。
 第三セクターは、地方公共団体が出捐または出資して設立された民法法人、商法法人でありまして、地方自治法によりまして、その出資割合が五〇%以上の場合にあっては議会への経営状況の報告が義務づけられているところでございます。
 しかしながら、第三セクターは、地方団体からの出資のほか、運営費に対する助成、さらには損失補償などの公的支援等を受けているものも多く見られるところでございまして、したがいまして、いやしくもこうした公的支援を受けている以上、その透明性を高め、公正性を確保することが重要である、こういうふうに考えられまして、地方自治法で議会報告が義務づけられた第三セクター以外の場合におきましても、必要に応じて経営状況や費用対効果等につきまして適切に議会に説明し、地域住民等への情報の開示を行うことについて検討すべきことを要請いたしたところでございます。
春名委員 第三セクターは、今おっしゃったとおり、民間の発想や活力を導入しながら推進しよう、そのために議会や住民のチェックをできるだけ少なくして、弾力的に運営できるシステムということで導入されてやってきたわけですね。
 その結果がどうなったかということが、もう冷厳な事実で明らかになっているわけですね。シーガイアを初めとした多くの第三セクターが巨大な赤字を生み出して、破綻も多数に上っていて、先ほど武正委員もおっしゃいましたが、ことしの三月二十七日の最新の調査でも、商法法人の赤字法人割合は三五・八%、民法法人の場合は三四・四%、損失補償契約に係る債務残高は十兆円、自治体財政を圧迫する重大な事態が進んでいると。
 平成十一年にこういう指針を出したけれども、今調査したものでもまだこんな事態が続いている、だから情報公開や住民の監視や議会の関与を強めなければこんな事態がまた起こってしまうというために、あなた方は出しているわけでしょう。どうしてこの教訓から今学ばないのか、なぜこれに逆行するような制度設計を導入するのかということが問われているんじゃないですか。大臣、いかがですか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先ほど先生、議会のチェック等を緩めたことが第三セクター破綻の一因になっているんじゃないかという御指摘でございますが、私どもはそのようには承知しておりません。
 ただ、第三セクター等の一部について、先生御指摘のように、経営内容の不透明さとか責任体制の不明確さといった問題点が指摘されていることは事実でございます。
 地方独立行政法人制度は、法人の責任体制を明確にするという観点から、設立団体を含む地方公共団体の職員の役員就任を禁ずるなど、自律的、弾力的な運営を行わせることとしております。また、適切な事後評価と見直しを行うこととしておりまして、業務の効率性とか質の向上や透明性の確保を図ることをねらいとするものでありまして、一部の第三セクター等のあり方に係る議論も念頭に置いたものでございます。
 先ほども大臣が御答弁申し上げましたように、中期目標の設定とか料金の上限設定等、重要なものにつきましては議会の議決を要することとしているほか、毎年度と中期目標期間に係る評価結果につきましては議会に報告することとしておりまして、議会の議論の参考に資するということで、そこで議論してもらうということで、一定の重要事項につきましては議会が関与する仕組みとしているところでございます。
春名委員 議会のチェックが弱かったのが要因ではないなんておっしゃるけれども、それならば何でこういう通達を出すんですかと言っているんですよ。全部が全部、議会のチェックが弱かったとか住民の監視が弱かった、一〇〇%そうだとは僕も言いません。いろいろな問題があるでしょう。しかし、その一つの要因にこういう住民の監視、議会のチェックの弱さがあったために、それを強化すべきだという方針を出しているんでしょう、あなた方は。違いますか。
 そこで、この議会や住民への情報公開の中で、この平成十一年に出した通達は、出資比率が五〇%以上である第三セクターに対しては、経営状況の議会への報告義務があるけれども、これらの場合以外でも、もっと定期的に議会に経営状況を説明しなきゃいけないという提案をしているんですよ、あなた方が。
 翻って、この法案を見たらどうですか。独立行政法人は、自治体が資本金の五〇%以上出資するんでしょう。一方では、五〇%以下の第三セクターだってもっと監視の目を光らせなきゃいけないと言っておきながら、新たにこれからつくろうとしている制度設計の独立行政法人は、自治体が資本金の五〇%以上を出資するのに議会の関与は弱める、あべこべじゃないですか。
畠中政府参考人 お答えをいたします。
 弱める弱めると先生おっしゃっておられますが、私どもは、先ほど大臣も御答弁されたように、事前チェックから事後チェックという観点から、重要なものにつきましては議会の関与を認めて、あとは自律的、弾力的、透明な手法でできるだけ自主的にやっていただく。そして事後チェックですね、事後チェックにつきましてはしっかりやるということで、先ほど私も御答弁申し上げましたように、評価結果を議会に報告し、その御議論の対象にするということでございまして、決して一律に議会のチェックを弱めているというふうには考えておりません。
春名委員 いや、違いますって、弱まっているんですって。そういう制度設計していると言っているじゃないですか、議会の関与は弱めるんだいうて言ったじゃないですか、副大臣がさっき。それがいいんかというて聞いておるんですよ、私は。
 議会は何をするか、私も読み込みましたけれども、議会がやることは、料金の上限、中期目標、解散の議決程度じゃないですか。確かに弱めたんだ、だから自律性、自由度を高めるんだ、そういう設計を導入するんだと言っているわけですよ。何か強くなっているみたいな言い方はやめてください。それは違うんですよ。だから、私は、そういう制度設計を、今この第三セクターの教訓から学んで、導入するので本当にいいのかという、そのことを私、今問うているんじゃないですか。
 住民の監視についても聞いておきます。
 法案では、三条、情報公開の中で、「業務の内容を公表すること等を通じて、その組織及び運営の状況を住民に明らかにするよう努めなければならない。」ということで、情報公開についての一般的努力義務規定が書いてあります。この法案では、住民の情報公開請求にどうこたえることになっているんでしょうか。自治体の情報公開条例の適用はされるんでしょうか。この点お答えください。
畠中政府参考人 地方独立行政法人の情報公開についてのお尋ねでございますが、地方独立行政法人制度の柱の一つとして、業務とか財務、計画、評価結果等につきまして積極的に公表することが義務づけられております。おのおのの地方独立行政法人が、制度の趣旨にのっとりまして、情報公開について特に意を用いるべきことは当然のことというふうに考えております。
 その上で、各設立団体が独自の情報公開条例を新たに定める、または既存の情報公開条例を改正し、地方独立行政法人を情報公開実施機関に加えるといった手法により対応すべきものというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、地方独立行政法人の情報公開制度につきましては、各設立団体において適切に対応すべきものというふうに考えておりまして、この点につきましては、施行通知等を通じまして地方公共団体に助言等をしてまいる考えでございます。
春名委員 情報公開をきちっとすべての業務にわたってやるというのであれば、一般的努力義務規定じゃなくて、法案の中に地方分権の流れをちゃんと入れて、そのことを明確にするというぐらいやったらどうですか。
 住民監査請求、これはできない、当然、住民訴訟も対象にならない、お金を出したところのその部分については監査請求になる、当たり前のことです、そんなものは。その中の業務の中身は監査請求の対象にはならないということになっているわけでしょう、この制度は。だから、一事が万事、住民の監視、議会の関与ということをまさに弱めるという制度になっているんですよね。これは、はっきり言いまして、この制度の必然だと思いますよ。
 さっき若松副大臣はおっしゃったけれども、総務省の研究会の報告の中でも、地方独立行政法人について、設立団体たる地方公共団体の議会による詳細な事前関与が行われることとした場合には、そもそも地方独立行政法人制度を導入する意義がないと言っているんですよね。
 だから、そういうものを、地方分権の流れの中で議会の関与を弱めるようなものを導入していいのかということを正面から今問いよるわけです。私はやはり、憲法で保障された住民自治、団体自治を形骸化しかねないこういう制度は再考していただきたい。
 それで、公立病院のことをもう少し詳しく聞いてみたいと思います。
 住民の生活、地域社会及び地域経済の安定などの公共上の見地から、その地域において確実に実施されることが必要な事務及び事業の典型として、自治体が運営している公立病院があると私は考えます。この公立病院、自治体病院の担っている責務、また存在意義を総務大臣はどう今御認識されているか、どうぞ。
片山国務大臣 春名委員、あなたの言う地方分権は、大変狭い地方分権ですよ。地方分権というのはいろいろあるんですよ。こういう制度をつくるのも地方分権なんですよ。議会の関与さえあればいいと、それはあった方がいいですよ。しかし、この制度はそういう制度なんですよ、弾力的、自律的にやる、事後評価でやる、議会の関与は必要最小限度にすると。国の場合はないんですから。必要最小限度でも関与するということは、議会側とも十分調整した上の話です。
 自分の考えだけに合ったものが常に正しくて、ほかのものは全部だめだというんじゃおかしいので、こういう制度を使いたければ使えばいいんですよ。使いたくなくて今のままでやりたければやればいいので、それが地方自治なんですよ。自分で決めて自分で責任を持つ、そういう制度というふうにぜひ御理解を賜りたい、こういうふうに思います。
 それから、自治体病院の果たす役割でございますけれども、これは先ほども申し上げましたが、医療環境によっていろいろ違うかもしれません、地域の。しかし、基本的には、地域の医療の拠点、中核の機能を営むものでございまして、例えばここでは、僻地や不採算地区における医療や、地域における高度医療や救急医療や、あるいは特殊医療ですね、精神病院だとかそういうことをやってもらう、あるいは保健行政的な医療の一つの中心になってもらう、まあ予防的ないろいろなこと、そういうことで、大変私は重要な役割を果たしていると思っております。
春名委員 やはり総務大臣はああ言えばこう言う人だなと思います、本当に。地方分権といったら、議会の機能が拡大強化するというのは中核中の中核じゃないですか。一言だけ申し上げておきます。
 それで、今、公立病院のお話が出ましたけれども、自治体病院協議会の会長で、岩手県立病院の院長でもあられる小山田さんが、会長声明というのをこの五月の二十一日に発表していまして、それを読ませていただきました。大臣が言ったことと認識は同じだと思いますが、「自治体病院は地域住民が必要に迫られて作った病院であり、その地域に欠けている医療、」「公正で公平な医療を担っている。不採算医療も担っている。そのような利益追求を優先しない病院は自治体病院だけであり、ここに自治体病院の存在理由がある。」こういうふうにおっしゃっているわけですね。私もそう思いますし、大臣もそういう御認識だと思うんです。
 そうであるのに、この自治体病院をみずから主体となって直接に実施する必要がないものの範疇に対象として入れてしまっている、これはどういうことなんでしょうか。
若松副大臣 まず、自治体病院でございますけれども、これは、公営企業法制のもとで企業の経済性を発揮するとともに、本来の目的であります地域住民に適切な医療の提供を行う、その事業運営に今まで努めてきていただいたところであります。
 一方、地方独立行政制度は、失礼しました、地方独法ですけれども、ちょっと文章が間違っておりますね、中長期的な観点からのいわゆる経営の機動性、弾力性の確保、さらには業務評価制度によるチェック体制、または透明性の確保、こういったことが期待されておりまして、当然、病院事業につきましても、もし地方公共団体がこういった関心が持たれているということであれば、今回の制度の対象として経営形態の選択を可能とした、こういった背景でございます。
 そのために、地方独法化された場合でも、その目的は、自治体として政策上必要とされる医療を確保することは当然変わりはないわけでありますので、現行の地方公営企業と同様に地方公共団体の一般行政事務と考えられるような経費、例えば保健行政的医療とかまたは公共的必要性から負担しなければならない経費、いわゆる僻地医療、こういったことにつきまして設立団体において負担するものと理解しているところでございます。
春名委員 みずから主体となって直接に実施する必要があるからこそ、不採算であっても、赤字を出しながらも、それぞれの自治体病院が努力をしているというのが今の現実だと私は思うんですね。それを、みずから主体となって直接に実施する必要がないものの範疇にあなた方は入れているわけです。
 それで、自治体病院は、累積欠損額が、平成十三年度では一兆四千億円に上るという状況ですよね。これは、やはり今申し上げた不採算の部門を率先して引き受けて努力をしているということの一つのあらわれだと思うんですね。全病院に占める自治体病院の割合を見てみますと、僻地医療拠点病院のうち六九%、救命救急センター四一・二%、災害拠点病院四八・四%、小児救急医療拠点病院三三・三%。まさに、その地域そして住民にとってなくてはならない、そういう病院で、歯を食いしばって赤字の中でも経営の効率化を進めながら存続しているんだと思うんですね。
 一方、私は率直な疑問を言います。
 地方独立行政法人の制度設計というのは、三年から五年の中期目標を持ちます。それに基づく中期計画を独法が策定します。そして、業績について評価委員会の評価を受けます。法案三十一条では、それに基づいて、長自身が業務を継続させる必要性まで含めて、所要の措置を講ずるという仕組みになっています。つまり、中期目標と中期計画を実施し、その結果、赤字が続くようであれば廃止も含めて検討するということが、あえてこの法案の中にはそういう仕掛け、制度の中身が明記されているわけです。
 私は、現状を見れば、これは自治体が病院を経営するのをやめよと言っていることに等しいようなものではないかというふうにすら思わざるを得ません。繰り返しになりますが、なぜ公立病院をこういう今の現状のもとでこういう制度設計の中に対象とするのでしょう。
若松副大臣 現在、いわゆる地方公営企業法の適用となっている自治体病院、これは建設中も含めますと、平成十三年度でありますが、全国で九百五十九あります。そのうちいわゆる不採算が約一八・九%ということで百八十一、こうなっておりますが、実は、御存じのように外部包括監査等がありまして、そこでいわゆる経営の見直しの指摘の中で非常に自治体病院が多いんですね。
 ちょうどきょう傍聴人の方に公認会計士の方も多いわけでありますが、そういったことも考えまして、やはり病院だけを別にするのではなくて、自治体が求めるのであれば、当然、効率化というのは住民が求める制度でもありますので、そういった全体の考慮をした上での今回の制度設計となったことをぜひ御理解いただきたいと思います。
春名委員 私は、こういうツールを今導入して、さあどうぞというのをするのが国や総務省の仕事じゃないと思いますよ。
 今、全国の自治体病院は、特別要望で、一、小児医療対策、二、精神医療対策、三、医師不足対策、緊急三課題、これを訴え続けています。そして、総務省に対しては、そのための地方交付税措置の拡充など財政措置を訴え続けてきました。それも、効率性だけでは地域住民の生命や健康が守れないというこれまでの冷厳な経験から、そういう要求も総務省には率直にして、今努力をしている最中です。国がやるべきことは独法化ではありません。こういう切実な願いに真っ正面からこたえることが大事なんじゃないんですか。そういう決意はどうなんですか。
若松副大臣 ですから、これからの地方自治というのはやはり住民参加、住民監視がますます必要になってくると思います。
 そういう意味で、今回の独立行政法人の中にいわゆる評価委員会、これを制度上設けたわけでありまして、やはり今後、住民の納得の上にこのような事業もしっかりと見ていただく。だからこそ、必要なものは当然として、税金の投入という一つの政策的なプロセスも出てくるであるでしょうし、そのためのツールとして今回の地方独立行政法人は大変有益である、このような選択を設けさせていただいたのは大変意義がある、私はそのように確信しております。
春名委員 評価委員会は、長が任命して、議会の条例ですか、それで決めるということにはなっていますけれども、そういうものですからね。しかも、私はやはり思いますに、三年から五年で業績評価するんでしょう、少なくとも五年の間には。その先どうなるのか、やはりそういう制度設計になっているわけですよね。
 だから、今大事なのは、私の質問には答えてないんだけれども、三つの要望があって、地方交付税措置を拡充してもらって、そういう不採算な部門を担っているこの病院を何とか立ち行くような、そういう支援こそ国にやってほしいというのが今、最大の要求じゃないですか。そのことを私は強く申し上げておきたいと思います。
 次に、自治体労働者の問題についてお聞きします。
 特定も一般も含めて、移行型の独法の場合は、そこに現に働いている公務員の今までの労働条件、それから組合との合意事項などはそのまま継承されるかどうか。私はされると思っておりますが、確認をしたいと思います。
森政府参考人 地方独立行政法人におきます労働条件につきましては、労使間の交渉事項ということになりまして、労使間の交渉を尊重し、基本的には、地方独立行政法人成立後に結成される労働組合と、それから使用者であります地方独立行政法人との間で締結されます労働協約に基づき定められるということになるわけでございまして、そのまま承継されるという保障という言い方では申し上げられないわけでございますけれども、仕組みがそういうふうに変わるということでございます。
春名委員 六十六条に、「政令で定めるところにより設立団体の長が定めるものは、当該移行型地方独立行政法人の成立の時において当該移行型地方独立行政法人が承継する。」というふうになっているわけですね、六十六条、公務員部長。だから、この政令の中に、今までの労働条件というのは当然私は入っているという認識をしているんですが、それでいいかどうかをもう一回確認しておきます。
森政府参考人 その条項の中には入っていないということでございます。
春名委員 そうしたら、これからの議論になるということですね、労使交渉で。そういうことですね。
 それで、私、ちょっと根本的な問題を聞きます。
 これまで地方公務員はその身分を保障されて、法定の事由がなければ、その意思に反して身分を失うことはないとされてきました。ところが、移行型の独立行政法人の場合は、その設立と同時に法人の職員になります。それが、非公務員型、つまり一般独立行政法人でありますと、公務員の身分そのものを一方的に奪われることになってしまいます。
 そこで質問です。労働者の意思に基づかない身分の変更は許されないのではないでしょうか。今までの考え方と整合性がないように思いますが、いかがでしょうか。
森政府参考人 この地方独立行政法人法第五十九条の規定は、一般地方独立行政法人への移行に伴いまして、設立団体から地方独立行政法人に業務を引き継ぐ場合には、設立団体の条例で定める一定の内部組織の職員は、別に辞令を発せられない限り、自動的に当該地方独立行政法人の職員になる、こういう仕組みを定めているところでございます。
 これは、設立団体の業務と同一の業務に従事する者については、当該一般地方独立行政法人の職員として引き続き身分を自動的に保有し続けることができるということを法律上措置するということでございます。同意を不要とするこの取り扱いにつきましては、国の独立行政法人に係る各個別法における取り扱いと同様の取り扱いとなっているものでございまして、法律的な問題はないものと考えております。
春名委員 私、聞いているのは、移行型一般地方独立行政法人、五十九条の二項のところで、非公務員型になるでしょう。非公務員型は、さっき言った五万四千施設、五十万人職員、極端に言ったら全部ですね、非公務員型でもあり得るという制度設計なんですよ、これは。この二項のところでそういうふうになっている。
 つまり、地方公務員として、憲法擁護義務をしっかり受けて、そして全体の奉仕者として任用された、そういう身分を持った人が、自分の同意もなしに、知らないうちに公務員でなくなってしまうということがあり得るわけですね、この制度設計は。それは、そんな話はおかしい話じゃないですか。今までと整合性がないことないかということを聞いているんで、そこを、身分というのは変わるんですよ、公務員じゃなくなるわけでしょう、そこのところ。
森政府参考人 繰り返しになりますけれども、そういう身分は変わるわけでございますけれども、そういうことを可能にする法律条項を今回新たに立てているということでございまして、これは国の独法の場合の扱いとも同様でございます。
春名委員 国の独法のことはいいんですよ。
 身分が変わる。しかし、それを可能にする条文を、「相当の職員となる」というのを、五十九条の一項と二項で一行加えているので、それでいいんだということなんですが、私が問うているのは、地方公務員として、公務員として、全体の奉仕者として、住民の福祉のために、また命を守るために働きたい、そして試験を受けて、そして合格をして、そうやって働き始めた職員が、自分が知らないところで、知らない間に、独法になれば必然的に、その公務員としての誇りも、誇りは残りますけれども、持っていますけれども、身分はこの制度ではなくなるでしょう。そんなことをやって本当にいいんですかというふうに言っているんです。
森政府参考人 そういう仕組みを導入しようとしているわけでございますし、ちょっと余談になりますけれども、公務員であったときの共済とか退職金なんかの通算もされますし、そういう経済上の不利益はないわけでございますけれども、要するに、いいか悪いかということじゃなくて、制度としてそういう仕組みを導入しようとしているということを申し上げたわけでございます。
春名委員 大臣、どう思いますか、私のこの問題提起。
片山国務大臣 大きな制度を変えるときは、いろいろあるんですよ。だから、こういう法律の手当てがあるということで、そのまま身分を保有するということはあるんですよ。
 ただ、どうしても嫌だという。しかし、任命権はあるんですよ。任命権はあるんですから、そこの議論はあるんだけれども、しかし、本人がどうしても嫌だというなら、またそこは人事配置上の話し合いで、いろいろな手があるんですよ。法律ができて、施行までに少し時間がありますから、委員が言われたことは言われたこととして受けとめて、一つの検討課題にいたします。
春名委員 自分が瑕疵もないのに一方的に公務員でなくなることが突然ある、これは許されないことだと思いますし、中沢委員も言われていましたけれども、こういう問題は労使協議によってしっかり合意をしながら当然進めていくということだと思うんですね。これは大臣、もう一回、確認ですけれども。
片山国務大臣 国の場合も同じなんですよ。国の場合は同じだと言うと、こういうときにはそれは理由にならないと言われるのが春名流でございますけれども。
 これは任命権のあれがありますし、それから、全部通算の規定もあるんですよ、いろいろな。だから、そういうことで個々人の不利益はないようなことは手当てしているんですが、しかし、それでも本人がどうしても嫌だなんというような場合には、それは事実上、運用上、いろいろな工夫の余地が私はあると思いますし、管理運営事項ですから、労使交渉の対象にはならないと私は思いますが、労使交渉そのものの。しかし、話し合うことは結構ですよ。
春名委員 管理運営事項じゃなくて、さっき言ったでしょう、労働者との話し合いによってこういう問題もきちっと決めていくと、当然ですね、非公務員型、公務員型になるかを含めてということを。それは確認しておきたいと思うんで、もう一回答弁してください。
 ただ、今の議論を聞いていて、民間だって、会社分割のときには労働契約は継承されて、転籍の場合は、民法であるように、本人同意が必要ですよね。当然そうなっているわけですよね、民間では。それから、公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律、その二条の二項では、職員の派遣に当たっては、あらかじめ、当該職員に取り決めの内容を明示し、「その同意を得なければならない。」と、同意を得なければならないということにもなっているわけで、そういう点から見ても、この制度設計そのものに非常に無理があるというふうに私は感ぜざるを得ません。
 最後に、公立大学の問題を一点聞いておいて、先ほどの労働条件の話も一緒に答えてください、時間がないので。
 六十九条で、「設立団体は、公立大学法人に係るこの法律の規定に基づく事務を行うに当たっては、公立大学法人が設置する大学における教育研究の特性に常に配慮しなければならない。」ということが述べられております。この特性の配慮というのは、先ほども少し議論になりましたが、学問研究の自由、そしてそれを保障する大学の自治ということがこの特性の配慮の大事な中身だと私は思うんですね。そういうふうに理解していいかどうか、その点をきちっと答えておいていただきたいと思います。
片山国務大臣 今の職員の扱いにつきましては、これは国家公務員の場合との均衡もありますので、法制的にはこうなっているんですよ、いろいろな議論があるにしても。だから、事実上の扱いをどうするかについては、国家公務員との均衡もありますから、少しこれは研究させていただきたい、こう思います。
 今言いました特性というのは、もちろん大学の自治を含む、教育だとか学術研究についての配慮、こういうことであります。
春名委員 以上で終わりますが、ちょっとこの制度は、やはり地方自治という観点から見るといただけないということをはっきり申し上げまして、終わりたいと思います。
遠藤委員長 次に、横光克彦君。
横光委員 社民党の横光克彦でございます。
 まず冒頭、先日の、神戸市の民家で起きました火災で、三人の本当に勇敢な若い消防隊員の命が失われたわけでございます。殉職されました三名の消防隊員の皆様方の御冥福を心からお祈りいたしたいと思います。
 この法案について質問させていただきますが、まず、この独立行政法人、国においては、既に各種の研究所あるいは検査機関など、六十を超える実施部門が独立行政法人に移行しております。さらに、これにかてて加えて、今後も、特殊法人、大学、病院などの独立行政法人化が予定されているわけでございます。
 しかし、国の制度は発足したばかりなんですよね。現時点で、その制度について本当に評価できる段階にあるのか。私は、まだ到底評価できる段階には至っていないという気がするわけでございます。にもかかわらず、政府は、地方においても国と同様の独立行政法人制度を導入することを決め、現在、そのための法制化を急いでいるわけでございますが、何でこのように急いでおられるのか、その理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
片山国務大臣 先ほども申し上げましたが、国の方の制度が平成十三年の一月ですね、御承知のように。それから、引き続いて地方もやるということを行革大綱で決めておりますしね。私のところを初め関係のところに、ぜひ地方でも地方独法という制度をつくってくれ、必要があるんだ、こういう要望が個別の団体あるいは地方六団体の一部からありまして、それじゃ研究しましょうと。
 我々、何度も言いますけれども、選択肢を広げるという考えですから、これを一斉にどうにかしようなんということは考えていない。地方団体で必要があると考えるところは、関係の皆さんで相談していただいて、議会の同意を得て移行してもらうのは大いに結構だ。こういうことで、選択肢を加えるという意味では、遅いよりは早い方がいいのではないか。こういう判断であります。
横光委員 国の独法化制度がスタートした後、地方へ導入するということを決めているとおっしゃいました。それは確かにそうです。しかし、その前提として、実施状況を踏まえてと、こういうことが行革大綱にも書かれているわけですね。単に国がやったからすぐ地方へというのではなくて、国における独立行政法人化の実施状況を踏まえて地方への導入を検討する、こういうふうに書かれている。この短期間で、その実施状況というのが果たして踏まえられているのか。
 しかも、これがスタートして半年後に、もう地方独立行政法人の導入に関する研究会というものが設置されている。何を踏まえてこういった研究会が設置されたのか。スタートしてまだ半年後に、いろいろ踏まえてということが条件でありながら、こういったものがもうスタートしておるんですね。
 何を踏まえてこの研究会を設置したんですか。その理由をちょっとお聞かせくれますか。
若松副大臣 平成十二年の十二月一日に出されました行政改革大綱、これに、国の独法とあわせて地方独法も早急に検討すると。こういった流れに従いまして着実にやらせていただいて、お約束どおりに今回出させていただいた次第でございます。
横光委員 私の質問にはお答えになっておりませんが。
 国は確かに一つですね。しかし、地方自治体、これは三千二百あるわけで、それぞれが独立した機関なんですよ。それらすべてが対象になっているわけです。法でいわゆる制度をつくって、先ほどからお話ございますように、ツールをつくり、与えてしまう。これは、ある意味では、私は、地方分権の趣旨と逆行するのではないかという気もするわけです。
 いわゆる国の独法は、業務運営は、三年から五年のスパンで中期目標を立てて、中期計画を立てて、そして事業をするということになっている。これが、まだ三年もたっていない。せめてワンクールぐらいの実施をした上で、本当によい制度であるかどうか、本当によい制度であるならば、それこそ自信を持って地方の皆さん方に、こういうツールを与えますので、どうぞというふうに奨励するというのが筋であろうと思いますが、なかなか私は、そこのところが余りにも短兵急過ぎるんじゃないかという気がいたしておりますが、いま一度お答えいただけますか。
    〔委員長退席、荒井(広)委員長代理着席〕
片山国務大臣 早いのと遅いのがありますが、それなりの状況は我々も見ていまして、それと、もう一つ、地方団体で早くやりたいというところがあるんですね。もう少し様子を見てやりたいというところももちろん、委員、あるんですよ。だから、早くやりたいというところに、何度も言いますけれども、こういう一つの選択肢である仕組みを、私は、じっと待って、もうちょっと待ってくれ、ワンクール、三年か五年待ってくれというのが本当に地方にとって親切になるのかどうか。
 だから、今回いろいろな議論を関係者ともして、合意を得て、この仕組みをつくって、制度化しようと。早くやりたい、待てないというところは、どうぞ検討して結論を出してください、もう少し国の様子を見ながら、ほかの地方団体の様子を見ながら自分のところはやりたいというところは、大いに待って、検討してください、こういうことにいたしたわけでありまして、委員の言われることも私わからないのではないんですが、そこはひとつ御理解を賜りたいと思います。
横光委員 確かに、早くやりたいという地方六団体の中の一部もございましょう。しかし、それにこたえるために、この制度が果たして十分にでき上がった形でできるかという問題点がきょうの委員会でも多々指摘されたわけですので、そこのところを、やはりもうちょっと国の実施状況というものをしっかりとある程度見きわめた上で、十分なる制度設計をつくった上で私は法文化すべきではなかったかという気がいたしております。
 例えば、これはまた、こういうことを言うとあらぬ勘ぐりと言われるかもしれませんが、この研究会の報告では、地方独法制度が導入された場合に、市町村において、その事務事業のほとんどを地方独法に移管することも可能となり、その場合における市町村の基礎的自治体としての性格の喪失問題についてまで言及されている。報告でこういうことが言及されておるんですよ。これは、すべてを移行することも可能なんですね。それをすべて移行することはないでしょうけれども、可能となるわけですね。そうした場合、市町村の基礎的な自治体としての性格、いわゆる市町村の存否にまで言及されているわけです。
 そもそも、地方独法を設立することと、当該地方公共団体の存否を結びつけて議論されること自体が私は問題だと思うわけですが、現実に、小さな市町村、三千人から四千人の小さな市町村は山ほどあるわけですね。そういったところで、例えば地方独法にどんどん移管してしまうことによって、いわゆる自治体の体をなくしてしまうということさえ小さな自治体ではあり得るわけですね。ほとんど可能だということもあり得ることになると、すべてそれはそういうことになる。
 ですから、こういったことになりますと、やはり、勘ぐりかもしれませんが、市町村合併ということにどうしてもつながらざるを得ない。外堀を埋めてしまっているんじゃないかというような気もいたしますが、この件についてはどのようにお考えですか。
片山国務大臣 もうそれは市町村合併とは、横光委員、全く関係ありませんから。
 それで、これは、今独法に移行できるのは限定していますね、法律で。例えば、試験研究機関だとか、大学だとか、地方公営企業だとか、一定の社会福祉事業だとか、公共的施設の管理だとか。だから、本体の行政そのものまで独法でやるようなことは全く考えてございませんので、それはある意味では地方自治の否定につながるので、厳にそういうことは我々は慎まなければならないと思っております。
横光委員 私の杞憂であることを祈っております。
 地方独法の業務、これは非常に広いですね、対象範囲。試験研究、大学の設置管理、水道、交通、病院、社会福祉など極めて広範にわたっております。さらに、公共的な施設の設置管理として、およそこれまで地方自治体が公的責任を持って運営してきたありとあらゆる事業について対象になっている、地方独法に移管される可能性があるわけでございます。
 そうしますと、何を独法化するか、あるいは公務員型にするのか非公務員型を選ぶのか、こういった選択の場合、総務大臣あるいは都道府県知事の認可が必要ということになる。そういった認可に当たって、これはあくまでも自治体の自主的な判断に基づく選択を保障すべきである、そういった選択を尊重すべきである、こういうふうに思っておりますが、このことは、このとおりでしょうか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 これは午前中も大臣からお答え申し上げたと思いますが、法律に定められた事業について具体的に独法化するか否かは、地方公共団体の判断でございます。
 したがいまして、繰り返しになりますが、この法律は、新しいツールとして一つの選択肢を提供するものでございまして、法人の設立そのものは、あくまでも地方公共団体の自主的な判断にゆだねているところでございます。
横光委員 もう一度、確認いたします。
 こういった認可に当たって、指導をするとか、そういうことはないんでしょうね。それが一つ。それからまた、非公務員型でないと認可しないというような、そんなこともあり得ないんでしょうね。どうぞお聞かせください。
片山国務大臣 基本的には、今局長が答弁しましたように、地方団体の自主的な判断を尊重したいと思いますし、我々がやることは、認可基準をはっきりさせるということと、法律の要件に該当するかどうかを中心に審査するということでございまして、それ以上でもそれ以下でもない、こういうふうに思っておりまして、今委員が言われるような、誘導するとか指導するとかということは考えておりません。
    〔荒井(広)委員長代理退席、委員長着席〕
横光委員 わかりました。
 それでは次に、水道、交通、病院等の企業を経営すること、これはもともと自治体の事務の一部であったわけでございますが、「地方公営企業法逐条解説」こういうのがございます。これは総務省が出しているわけですね。ここの中では、「水道、交通、病院等地域住民の日常生活に不可欠なサービスを確保する事業を経営することは、地域住民のために存在する地方公共団体本来の仕事である。必要な生活用水を不自由なく供給し、市民の足を確保し、医療施設を整備する等住民の生活に密着した分野で住民の需要を充足していくという極めて地道な仕事を着実に遂行することこそ真に地方自治の伸展を支えるものであろう」と、こういうように、まことに的を射たことが書かれております。このとおりだと思っております。
 となりますと、これらを安易に地方独立行政法人化するということは、これまでの行政の直接の責任、役割を放棄することにもつながりかねないという危険性がございます。この点については、どのようにお考えでしょうか。
若松副大臣 地方独立行政法人、大変何か悪者であるような御表現をされているんですが、まず、地方公営企業制度、これは地方公共団体の内部にありまして、一般行政部門との密接な連携のもと、特別会計、これを設けて、企業会計原則を適用しつつ、独立採算で公共性の高いサービスを効率的かつ効果的に供給し得る仕組みということで広く定着しているのは、委員も御存じだと思います。
 一方、この公営企業型地方独立行政法人制度でございますが、独立採算制の原則等、今申し上げました公営企業型サービスの特性を踏まえつつ、より独立性を持たせた形で事業を行わせるという観点から、地方団体とは別の法人格を有する法人に事業を行わせることを可能にする、こういったことで選択制を導入させていただいたわけであります。
 しかしながら、設立団体の長の認可する中期目標におきましては、住民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、業務運営の改善及び効率化に関する事項、こういったものを定めることとしておりますほか、料金を含む中期計画に関する認可、これにつきましても設立団体の一定の関与を保ちつつ事務を行わせるという制度になっておりまして、私は、必要な公共サービスを確保するための措置をしっかり講じている、そのように理解しております。
横光委員 これは、先ほどから御答弁されていますように、あくまでも地方公共団体の自主性によって、選択制によって独法化、選べるわけでございますが、ですから、そういったことを否定しているわけじゃない。望むところがやる。しかし、先ほど言いましたように、地方公共団体の本来の仕事、まさに市民の生活に密着した分野での仕事が本来の仕事になっているわけですね。このことによって、独法化によって住民サービスというものが低下したらこれは何の意味もないわけで、そこのところをちょっと今お尋ねしたわけで、そのような、決してサービスが低下することにつながることはないというようなお答えでございました。
 次に、先ほどからこれも大きな問題になっておりますが、評価委員会のことなんですが、これは、この独法の最後の締めの機関であって、私は非常に重要だと思っております。
 国の独立行政法人にかかわる評価制度というのは、二重のチェック機能が働いておるんですよ、国の場合は。いわゆる各府省に設置された第三者評価機関、さらに、総務省の場合には総務省に置かれている評価の専担組織である行政法人評価委員会というのがさらに意見を述べることになる。このように二重のチェック機能が働く仕組みになっている、国の方は。
 ところが、地方の方は必ずしもそうはなっていないんですね。地方公共団体において、国の評価委員会と同様の機能を有するということで、執行機関の附属機関として地方独立行政法人評価委員会を設けることとしておる。しかも、この評価委員会の組織及び委員等に関しては、必要な事項については条例で定めることとしている。ここのところが非常に手前みそとなりかねないのじゃないかというのが、先ほどからの多くの方の意見でもございます。なぜ国のように二重のチェック機関がチェック機能を果たすような仕組みにしなかったのかという疑問が、どうしても残るんですね。
 条例で定めることとされておりますが、評価委員の選任については、それはそんなことはないということを言われるかと思いますが、どうしても、旧態依然のように、役所の息のかかった人、学識経験者あるいは都合のいい、そういった人たちを集めてしまうという可能性が非常に高いわけでございます。そういった状況で真に住民の立場に立った公正な評価が果たして行われるのか、そういった疑問がどうしても出てくるわけでございます。
 そこで、お尋ねといいますか、委員の選任の場合、提案でございますが、会計監査に精通した専門家の中から公募するとか、あるいは当該地方独立行政法人の業務を実際に遂行した関係者も参加する形をとる。つまり、業務に実際に参加した関係者となりますと、業務の担い手である労働者の代表とか、あるいは業務の受け手である住民、利用者の代表とか、こういう人たちをやはり委員に選任すべきではないか。そのことによって初めて評価の客観性とかあるいは厳格性とか総合性評価を担保することにつながると私は思うんですが、こういった提案についてはいかがお考えでしょうか。
若松副大臣 まず、地方独立行政法人の場合の評価委員会が一つしかないという御指摘でございますが、御存じのように、国、いわゆる霞が関を中心とする行政機構、大変複雑かつ巨大だということで、それぞれの府省ごとに評価委員会を設けて、さらには総務省にいわゆる二重チェックとしての政策評価、独立行政法人評価委員会を設けたわけでありますが、基本的に評価というのは、やはり現場に近い方がより適切な評価ができるんですね。ですから、総務省というのは非常に現場から離れますので、そういう意味では非常に現場感覚がなくなるという批判もございます。しかし、総務省のいわゆる二重チェックとしての評価機能というのは、あくまでも客観的、総合的、そういった位置づけがあるわけであります。
 今、地方自治体というのは、一つの、まさに自己完結的な団体なわけですね。では、そこに二つの評価委員会を設ける必要があるかというと、それは国と同じに考えなくていいんじゃないか、かえって一つの評価委員会でしっかり現場に密着したものをやるべきではないか、そのような理解に基づいてこのような制度設計にした次第でございます。
 もう一つの、評価委員会の委員の選任のお話でございますが、これは法律にも明記してありますように、評価の中立性、公平性、これを担保するために客観的、専門的な見地から評価することが求められておりまして、そのために、いわゆる業務を提供している当事者がその委員会に入りますと非常にそれ自体客観性が失われる、中立性も失われるという観点からこの制度設計をしたわけでありまして、そういった意味合いの評価委員会ということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 しかし、やはり、現場の担い手のいわゆる労働者、さらにはサービスの受け手の住民、こういった意見を吸い上げるのも当然この評価委員会の使命であるとも理解しておりまして、そのような意見には真摯に耳を傾けるべきである、そのように理解しております。
横光委員 この評価委員会というのは重要だということを申しましたが、やはり、担い手あるいは受け手、そういったことはこの後ちょっとまた質問いたしますが、いわゆる住民のチェック機能とか住民の声とか、そういったものがこの評価委員会にまでつながるということを考えたときに、非常に大きな意味を持つと私は思うんですね。
 また、この評価委員会、これは、その名のとおり、事業の業績を有効性や効率性などの視点から評価するための機関でございましょう。しかし、単に業績評価を行うだけではなくて、その結果によっては中期目標や中期計画の変更を勧告する権限もあるわけでございますし、また、事業の継続や組織のあり方にまで言及できることになっている。このように、私は、評価委員会次第で随分独法はよくもなり悪くもなるんじゃないかという気がする。つまり、事業のあり方まで左右しかねないほどに大きな権限を有しているわけでございます。
 であるにもかかわらず、評価委員会が具体的な評価をどのような観点から評価するかということについては全く定めがないんですね。住民の福祉やサービスという視点が軽視されて、要するに、経営効率のみに傾斜することになるおそれが大きいという気がしているわけです。事業の効率性を追求するという意味では、数量分析を決して否定するものではありませんよ。しかし、公共サービスを提供するという事業の本来的な役割に照らしての評価こそが重要であり、そこではサービスの質的評価こそが重視されなければならない、私はこのように思うわけでございます。
 「公共上の見地から行う事務及び事業の確実な実施を図り、もって住民の生活の安定並びに地域社会及び地域経済の健全な発展に資する」、これが法の目的でございますので、これを踏まえる意味からも、評価に当たっては、財務評価のみならず、事務事業の性格やあるいは社会的な評価、これをも非常に配慮した基準となるようにすべきだと思っておりますが、この点は、いかがでございましょうか。
若松副大臣 地方独法ですけれども、この評価委員会につきましては、当然、各事業年度の評価、さらには中期目標の実績評価、こういった幾つかの観点があるわけでありますが、やはり中期的になりますと、どうしても社会の環境変化というものがありますので、そういった社会的な状況も見合わせての評価というものが大変重要になろうかと思いまして、そういった観点からの委員の御指摘は、大変貴重な御意見だと思っております。
 その上で、では、評価基準、いわゆる評価を何に基づいて行うのか。やはり一般的に、評価をやるには、スタンダードというか基準というものが必要になろうかと思っております。そういう意味で、やはりそれも、地方に応じた、地域に応じた評価基準というものがつくられるのが適切であろうかと思います。
 その場合には、自治体によりまして、非常に能力にたけた住民が多いところ、そうでないところ、いろいろあるわけでありますが、総務省といたしまして、やはり適切な基準がなされるような役割を果たしていきたいと考えております。
横光委員 ぜひ、この問題は真剣に取り組んでいただきたい。例えば、地方交通でいえば、なかなか地方交通でちゃんとやれるような状況はもうないですよね、モータリゼーションの時代になって。しかし、これは、環境の問題に対する貢献、あるいは福祉、高齢者の輸送という問題に対する貢献、いろいろな社会的評価を考えれば、やはり金にかえられない大きな評価の価値があるわけです。こういった社会的評価というものをいろいろな形でこれから重要視していっていただきたいなという思いでいっぱいでございます。
 その次に、先ほど質問されておりましたが、ちょっと改めて私も、重複いたしますが、確認の意味で質問をいたします。議会の関与でございます。
 これは、議会の関与が薄くなったり空洞化するということは、あるんですか、ないんですか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先ほど春名先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、整理して申し上げますと、議会の関与につきましては、まず、事前のチェックという意味で、法人の設立、定款の変更といった法人そのものの性格にかかわる事項、料金の上限設定といった住民へのサービス提供に直接かかわる事項、それから中期目標の作成、変更、それから条例で定める重要な財産の処分、公営企業等の法人に係る中期計画とか共同設置する場合における条例事項といった法人による業務運営に大きな影響を与える事項については、議会の議決を得ることとしているところでございます。
 また、事後チェックという意味では、各事業年度及び中期目標に係る業務の実績評価の結果等につきましては議会に報告する、それから常勤の職員の数を議会に報告するといったことも規定しております。
 私どもといたしましては、先生の御指摘のように、議会の関与が後退したり空洞化することはないというふうに考えております。
横光委員 いや、それは、今までに比べたらかなり関与も薄くなってしまう、あるいは空洞化する可能性が高いと私は思うんです。やはり議会というのは、まさに住民の代表者ですから、住民の声を反映させる場でもあるわけでございます。そして、この法の趣旨もそこにあるわけでしょう。そういった意味でちょっと心配している。
 そうしますと、地方独立行政法人の事務事業、これは、地方自治法によって、地方議会の有する検査権や調査権が地方自治法にあるわけですが、これの対象となるんでしょうか、どうでしょうか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先生お尋ねの議会の調査権でございますが、多分、地方自治法の九十八条、それから百条の調査権についての御質問かと考えますが、地方自治法九十八条、百条の一項でございますが、それにおきましては、地方公共団体の事務に関する調査の権限が付与されておるところでございます。
 地方独法が執行する事務につきましては、地方公共団体の事務ではございませんので、議会の調査権限は直接には及ばないというふうに考えておりますが、例えば、いわゆる運営費交付金の交付にかかわる事務は、地方公共団体の事務であるため、これにつきまして議会の調査権が及ぶものというふうに考えております。
横光委員 今の説明のように、どうしても少しずつ議会の関与は薄くなっているわけでございます。
 総務省の研究会報告では、地方独法が保有する文書についても情報公開請求ができるようにするための制度設計、これをちゃんと行うことが適当である、こう述べておりますが、この法案では、情報公開のところは抽象的な努力義務が定められているわけで、努めるというような条項ばかりでございます。
 事業計画や定員管理あるいは給与等について公表が確かに義務づけられております。しかし、これら以外の事項については情報公開を否定するということなんでしょうか、対象外ということでしょうか。どうぞ。
吉田大臣政務官 お答えいたします。
 地方独立行政法人の情報公開については、地方独立行政法人制度の柱の一つとして、業務、財務、計画、評価結果等の広範な事項を積極的に公表することが法人に義務づけられております。それぞれの地方独立行政法人が、制度の趣旨にのっとり、情報公開について特に意を用いるべきことは当然のこととしております。その上で、各設立団体が、独自の情報公開条例を新たに定める、あるいはまた既存の情報公開条例を改正し地方独立行政法人を情報公開実施機関に加えるといった手法により対応すべきものと考えております。
 いずれにいたしましても、地方独立行政法人の情報公開制度については、各設立団体において適切に対応すべきものであり、この点について、施行通知等を通じて地方公共団体に助言してまいる方針であります。
横光委員 外に出るから、はい、さようならですよというふうなことにならないように、やはり、住民の求める情報公開、これに積極的に対応していただきたいと思っております。でなければ、いろいろな地方独法では、公開制度がなければ、住民の監査請求制度やオンブズマンの情報公開請求など、住民参加あるいは住民によるチェック機能が喪失する危険性があるわけですね。一部ですが、過去の第三セクターの失敗に見られるように、ここはもう、破綻して初めて明らかになるわけですね。住民にわからない状況で結果だけが浮き彫りにされる、こういった状況がないように、議会や住民による監視の及ばない法人は逆に首長の独断専行を許してしまうということにつながるおそれがある、そういった思いで私はお聞かせいただいたわけでございます。
 もう一点。現在、監査請求や住民訴訟が随分起きております。こういった場合、当該事務事業が地方独立行政法人に移管あるいは移行されたときに、この訴訟事項はどこが引き継ぐのか。法人が引き継ぐのか、それとも設立団体が引き継ぐのか、どちらであるか、お聞かせいただきたいと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先ほどもお答えいたしましたとおり、地方独立行政法人は住民監査請求とか住民訴訟の対象にはなりませんので、現在起こされている訴訟は当該団体がそのまま引き継ぐということになろうかと思います。
横光委員 はい、わかりました。
 それでは次に、法人設立時に該当職場に所属する公務員は、別に辞令を発せられない限り自動的に法人の職員となります。そして、非公務員型の法人の場合は公務員の身分を失うことになるわけですね。
 独立行政法人の業績などを理由に、こういうことはあってはいかぬのですが、解散というようなことをした場合、これは、金銭的な面、資産の面では法律に定められていますが、借金ができた場合は自治体が負担する、あるいは資産が余った場合は自治体にお返しをする、こういうふうに書かれているが、しかし、人的な面、職員の面については書かれていないんですね。ですから、当該法人の職員の身分も一切保障されないおそれも出てくるわけです。
 民間の労働契約は、使用者が一方的に使用者たる地位を譲渡することは許されないとされているわけですが、この法理からしても、強制的とも言える法人職員への身分移管や公務員としての身分の喪失はあってはならないと思いますが、この点は大丈夫でしょうか。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 先生、解散に際しての職員の処遇について何ら規定されていないのではないかという御指摘でございますが、現在御提案している法律にその規定がないのは、御指摘のとおりでございます。
 ただ、解散に際しての職員の処遇につきましては、各設立団体においてその雇用の確保に最大限の努力を払う必要があるのは当然のことというふうに私どもは考えておりまして、これは、国の独立法人の解散の場合の考え方もそのとおりなのではないかというふうに承知しております。
横光委員 地方独立行政法人に移管させる前に設立団体の職員に対して配転命令を出すことにより特定の者を自治体職場から排除するために用いられること、これも、そんなことはあり得ないよということになろうかと思いますが、私が言いました特定の者というのは、例えば労働運動に一生懸命な人とか、あるいは当局にいろいろ批判的な意見を言う人、こういった人に独立行政法人化に伴って身分の切りかえを一方的に強制するという方法がとられては絶対ならないと考えております。こういうことは、あり得ないでしょうね。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 これは先ほど公務員部長も法律の規定の御質問で御説明したと思いますが、地方公共団体から公務員型に移行する場合、非公務員型に移行する場合も、何ら辞令が発せられることなくその相当の職に引き継がれるというのが法律で規定されておるところでございまして、基本的には、そのまま移行するということになろうかというふうに考えております。
 御懸念のように、特定の者を自治体の職場から恣意的に排除するためにあえて地方独立法人制度を利用するとか導入するということは、全く考えていないところでございます。
横光委員 もう時間がございません。最後にちょっと一言、公立大学の件でお聞かせいただきたいと思います。
 地方公共団体と公立大学の自主的な判断として、結局、法人化を選ぶ、あるいは選ばないということができるわけですよね。となりますと、法人化を選ばずに、あえて従前どおりの直営形態のまま存続することを選択した場合は、教員はそのまま公務員の身分を有することとなる。とすれば、公立大学の教員でありながら、教育公務員特例法の適用を受ける者とそうでない者が生じることとなりますね。
 公務員と非公務員が混在するというようなことになれば、当然、給与や勤務時間、勤務条件の内容も違ってくることになる。その結果、勤務条件のよりよい大学に優秀な教員が集まるということも生じかねない。ひいては優秀な人材の一極集中化の懸念もある。
 このことは教育を受ける子供たちにも大変影響することでございますので、このことについてはどのようなお考えをお持ちなのか、お聞かせいただけますか。
林政府参考人 公立大学につきまして、法人化するか否かによりまして大学間でいろいろな差異が生ずることについてのお尋ねでございます。
 公立大学の法人制度は、国公私立の大学が今後競争的な環境に置かれることが予想されるわけでありますが、そのような中で、公立大学につきましても、自律的な環境のもとでより活性化することを目的として、地域の実情に応じて法人化の道を選択することができるようにするものであります。
 地方団体、現在、公立大学を設置している団体があるわけでございますが、その中におきましても、既にそういう道を希望している団体もあるわけでございます。法人化を選んだ場合には、従来の直営方式に比べまして、人事管理や予算管理をより柔軟かつ機動的に行うことができるようになるというようなメリットにも着目をして検討しておられる団体があるわけであります。
 このように、大学がこの法人化の道を選ぶ場合、あるいは選ばない場合におきましては、確かに大学間に取り巻く環境あるいは経営上の差が出るわけでありますけれども、選んだ場合、人材の確保や活用に工夫を行い、切磋琢磨しながら、特色ある、地域に根差した教育研究を行うことが期待されているものでございまして、今後、大学間の競争等によりまして活性化が図られる点でのメリットは十分期待できるものと考えているわけであります。
横光委員 終わります。
遠藤委員長 次に、金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 国におきましては、既に六十二の法人が独立行政法人として運営を開始しているという状況でございます。この独立行政法人は、今さら申し上げるまでもないことでございますけれども、基本的には、国が行う政策と申しますか、その企画立案機能、それと実施機能を分離して、その実施機能の一定のものについて法人格を有する独立行政法人というものが行っていく、こういうことであって、言葉をかえますと、独立行政法人というものは、自律的な、弾力的な運営を行う、その一方で、厳しい事後評価と見直しを行って、さまざまな事項については、これは積極的に公表していくという制度であるわけであります。
 要は、基本的には、自律した弾力的な運営をやっていく、こういう法人でございます。いわば、より民間に近い、そうした運営が行われる、こう考えてよかろうと私は思っているところであります。
 そうした中で、まだ独立行政法人も二年ほどの実績しかございませんから、多くの実績が顕著に見られる程度にまではとてもいっていないと思いますが、ただ、試験研究等の分野では一定の成果が上がっているものもあるというふうな受けとめ方をさせていただいております。
 そこで、今回の法案は、国の独立行政法人のまさに地方版であると思います。この独立行政法人の制度を活用していきたいという地方公共団体にその道を開いていくんだという答弁も数回ございまして、そのように理解をしているところでございます。
 確かに、地方にも独立行政法人化になじむ業務は多々あるとは思います。ただ、規模の問題等々、究極的には、その制度は制度としても、要は、運用、運営というものが実際どう行われるかということによってその制度もまた生かされるということにもなるわけであります。そうしたことから考えますと、今回、地方にも、地方公共団体にも独立行政法人制度というのを導入するのは一つの流れかなというふうにも私は理解をしているところでございます。そういう観点から申し上げまして、このたびの制度設計でございますが、枠組み自体は全体として評価できる内容となっているかと存じます。
 しかし、地方には、国にはない事務事業も多くありますし、また仕事の内容も、住民に身近な行政主体が実施しているということなど、全く国と同じにするわけにはいかないという面もあるわけでございまして、このたびの法律には地方団体に特有の制度も盛り込まれている面も見られているわけであります。ただ、そうしたものの中には、果たしてそれでいいのかどうかという点も、若干疑問に思う点もないわけではございません。そうした点を中心に御質問をさせていただきたいと思います。
 そこで、まず基本的な点についてお伺いをしておきたいと思います。
 地方独立行政法人とはどういう法人なのか、この制度を導入することによって地方行政にどのような具体的なメリットがあるのか、どのように考えられてこの立法を図られようとされているかをまず御答弁願いたいと思います。
吉田大臣政務官 御返事を申し上げます。
 委員がおっしゃるとおり、まさに地方公共団体とは別の法人格を有するものを創設する、こういうことでありまして、自律的かつ弾力的な業務運営を行う、あるいはまた適切な事後評価と見直しを行う、そして業務の効率性やサービスの向上を図る。おっしゃられたとおりの法人であります。
 そして、具体的には、業務の忙しいときあるいは暇なとき、住民ニーズの動向に応じて、法人みずからの責任のもとで、機動的な組織の編成や人員配置を行うことが可能になります。予算面においても、設立団体から交付されるいわゆる渡し切りの交付金について、法人自身の責任のもとで、用途の弾力的な変更やあるいは年度を繰り越して使うというようなことが容易にできる、可能になるということ、結果して、効果的な業務運営が可能となるということであります。
 一方、中期目標や中期計画など業務運営の効率化等について明確な目標を設定した上で、業務の実績を評価委員会が定期的に評価し、組織、業務全般にわたって改善する仕組みとなっていることから、費用対効果をより意識した、先ほど委員がおっしゃった、民間的なと、こういう御表現でしたけれども、サービスの提供が可能となるということでございます。
 また、地方独立行政法人制度を活用するか否かは、これは大臣何度もおっしゃられておりますけれども、地域の事情に応じて地方公共団体が自主的に判断する仕組みとしており、この制度の創設は、地方公共団体が効率的、効果的に行政サービスを提供するための新しいツールを用意させていただいた、こういうふうに申し上げさせていただきます。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
金子(善)委員 ただいまの御答弁で、地方行革の新たなツール、道具立てをつくったというお話でございました。そうだといたしますと、基本的には、地方公共団体がこの制度を導入することは正しい選択、そういう意味で、そういう地方公共団体に対しまして国がとやかく物を申す必要はないということになるのではないかという論理も成り立つわけであります。
 ところが、今回の法案を見ますと、地方独立行政法人を設立するには総務大臣または都道府県知事の認可が必要だとされております。この点はなかなか理解できないのであります。
 なぜ設立の認可が必要なのか、地方公共団体が条例を定めることによって法人ができるという仕組みでもよいのではないかと考えられますが、分権の観点からいってもこのような関与がなぜ必要なのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
片山国務大臣 国のように個別に根拠を法律にすればいいんですよ。しかし、そんなことできませんね、三千二百地方団体があって、どういう独立行政法人ができるかわかりません。しかし、この独立行政法人というのは公法人で、これは何らかの法律の根拠があればいいというんでしょう。なければ公的な機関の認知が要るんですね、それは。それじゃ仕方がないので、都道府県ベースのものは総務大臣が、市町村ベースのものは都道府県知事が認可しようと。
 今までの公的なこういう法人については、皆同じなんです。先ほども言いましたが、土地開発公社も地方道路公社もその他もですね。だから、そういう意味で、今回は総務大臣、都道府県知事の認可制度を導入したんですが、恣意的な認可じゃいかぬので、認可というのは、もともとある法律行為ができるものを認可によって補充するんですね、補充行為ですから、そういう意味では、できるだけ認可基準を明らかにして、法律の要件に該当するかどうかを審査して、該当していればもう認可する、こういうことでございます。
 こういう制度をとらせていただいたのは、条例でやるという立法例はまったくない、これはまたいろいろ議論がある、地方団体がみずから分けるものを知事がやるというのも、これもまた法制論としては議論がありますので、こういう仕組みをとらせていただいたわけであります。
金子(善)委員 確かに、地方公共団体の条例で法人格を創設する、こういう仕組みは従来はなかったと思います。ただ、それは未来永劫そうでなければならないという論理も、またいろいろあろうかと思います。
 制度でございますから、要は、どういう制度をつくっていくかということで、この法人制度も同じような話ではないかというふうにも思われるところでございます。要は、独立行政法人制度ということであれば、そうした観点から、できるだけ地方公共団体にとって使い勝手のいい制度にすればいいのではないかというふうにも考えているところであります。将来的には、私といたしましては、この仕組みを見直すことも必要だなということも思いますし、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
 そこで、認可に関連いたしまして、総務大臣それから都道府県知事の監督権。これまで、地方独立行政法人がなければ監督権が及ばない。ところが、独立行政法人にすることによって、例えば立入検査権や違法行為等の是正命令権というものが付与されてきている。これはいかがなものかと思うわけでございますが、どういう理由がそこにあるのか、御答弁いただければと思います。
畠中政府参考人 お答えいたします。
 法人の設立に当たりまして総務大臣等の認可が必要な理由につきましては、先ほど大臣がお答えしたとおりでございます。
 この認可につきましては、先ほども私が御答弁申し上げましたが、許可と違いまして、法律に定める要件を具備して適正に運営されるかどうかという点からチェックするというものでございまして、適正に運営されるかどうかを確保することは、法人の設立された以後においても同様のことと考えられますので、認可をした総務大臣等が適正な運営について責任を持って対処するということから、最後の担保としまして、立入検査権や違法行為の是正命令権を付与しているものでございます。
金子(善)委員 もう一点お伺いしたいと思います。
 法人の業務範囲についてでございます。
 独立行政法人になじむ業務というものは、いわゆる実施部門の業務でございますから、論理的には国よりもむしろ地方に多い。ただ、先ほど申し上げましたように、規模の問題であるとか経営の問題、いろいろございますので、一概には言えない点もあるかと思いますが、今回の法案では五分野に限定されております。
 五分野を対象とした理由、これは、あらかじめこうされているのはどういう理由なのか。あわせて、将来についてどう考えているのか。これにつきまして御質問したいと思います。
若松副大臣 この地方独立行政法人制度でございますが、これまで地方公共団体がみずから行ってきた業務につきまして、法人を設立して行うことができる道を開いた、こういうことでございますが、何といっても、公共性の高い業務を地方公共団体とは別の法的主体である地方独立行政法人が行うことにかんがみれば、法人が行う業務は制度の根拠法においてできる限り明確にすることが必要と、このように考えた次第でございます。
 また、対象業務の具体的な内容につきましては、平成十二年に閣議決定されました、先ほども申し上げました行政改革大綱におきまして、「国における独立行政法人化の実施状況等を踏まえて、独立行政法人制度についての地方への導入を検討する。」こういうふうに記述されておりまして、国の各種の独立行政法人が現に行っております具体的な業務と同種の、そういったものを基本に、この地方独立行政法人に適用しようということで、五つの分野、まず一点目は試験研究、二点目が大学の設置管理、三点目が病院事業等の公営企業、四点目が社会福祉事業、五点目が政令で定める公共的な施設の設置管理、以上の五分野を定めたところでございます。
金子(善)委員 地方公共団体を取り巻く環境は、日々変化し、しかも厳しさを増しております。そうした中で、真に分権の担い手となり得る地方公共団体とは、行財政基盤の充実強化を図りつつ、不断に業務を見直し、住民サービスの向上を追求する都道府県や市町村であると思います。そうした高い意識を持った地方公共団体にとって、この地方独立行政法人制度は、適切な運用が図られれば有効なサービス提供のツールになる可能性も持っていると考えています。
 したがって、総務省においては、地方公共団体にゆだねるべきはゆだね、一方で、適切な制度運用が図られるよう的確に地方公共団体にアドバイスするとともに、制度の運用状況を見て柔軟に制度の見直しを行うという姿勢でこの制度を育てていくべきであると思います。
 そこで、最後になりますが、地方分権の観点から、設立認可を初めとする設立団体に対する大臣の関与、業務の範囲については、法律の施行状況を勘案し、五年をめどぐらいに見直すべきではないかと考えますが、最後に大臣の御見解をお伺いいたします。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
片山国務大臣 金子委員が言われるように、制度というのは不断の見直しが必要ですね。固定的な制度というのはよくない、こういうふうに思っておりますから。
 今御指摘のように、総務大臣等の関与、業務の範囲等についてどう考えるかと。今後、制度の趣旨、目的に沿って、実施状況を見ながら改善していくことが適当であると私どもも考えております。
 したがって、委員の御指摘も踏まえ、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることといたしたいと考えております。
金子(善)委員 終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
武正委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の地方独立行政法人法案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対する立場から討論を行います。
 反対理由の第一は、今回の地方独法制度が、既に国において導入されている独法制度の問題点を改善せず、そのまま放置している点です。今回政府が提出している法案は、既に国において導入されている独法制度を踏まえたものになっています。現在の独法制度について、役員数が発足前より増加していることや、役員ポストが省庁からの天下りで占められるなど、看板のかけかえ、見せかけの改革とさえ指摘されています。評価制度についても、二段階の評価を行うといいながらも、所管官庁の委員会評価では評価は甘くなりがちであり、総務省の評価委員会も及び腰で、その実効性が問われています。
 今回の法案では、以上のような問題点について措置をしておらず、問題点が全国に拡散する可能性があります。
 第二は、行革大綱でうたわれている第三セクター、地方公社、地方公営企業等の改革が進んでいないのに地方独法の制度をつくることは、屋上屋を重ねる複雑多岐なものにするだけであり、まして、これらの経営責任等をあいまいにしかねないという危惧を抱くものであります。
 第三の理由は、地方分権の時代に逆行する制度設計がなされている点です。法人の設立に際して、都道府県及び指定都市については、設立団体が議会の議決を経て定款を定め総務大臣の認可を受けることになっていますが、本来、地方自治体が必要に応じてみずから判断すべきであり、国に認可を求める事柄ではありません。
 これまで自治体の判断で行ってきた事業が、地方独法になることで、国の関与が加わるならば、地方分権の流れに全く反するものと言わざるを得ません。
 第四の理由は、国立大学法人法と同じく、大学独自の自立的、主体的な発展を阻害する内容が含まれている点です。
 政府案では、中期目標を定めるのは、大学法人ではなく、設立団体の長が議会の議決を経て定めることにしています。中期目標を定めるのは、目指すべき将来の姿を最も的確かつ意欲を持って策定できる大学自身が行うべきです。
 また、高等教育研究という極めて専門性の高い分野において適正な評価を行うことは、かなりの困難が想定されます。国においては大学評価を行う専門の委員会が設置されていますが、地方においてはそのような評価委員会は設置されません。大学の自治、研究の自由の観点から、強い懸念を抱きます。
 以上、四点の理由により、両法案に反対いたします。(拍手)
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 私は、自由党を代表して、地方独立行政法人法律案及び地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
 この法律において、地方独立行政法人とは、住民の生活、地域社会及び地域経済の安定等の公共上の見地からその地域において必要な事務事業であって、地方公共団体がみずから主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間が実施した場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律により地方公共団体が設立する法人をいうと定義づけておりますが、この制度が導入されると、結果として、地方が勝手に新しい組織を設立したり、天下り先の確保や政官業癒着構造等の不正の温床となる可能性があります。
 これまでも、独立行政法人制度については国会の場で多々議論が交わされてきましたが、過去の審議を検討すると、独立行政法人制度というのは、特殊法人等を独立行政法人化しても、業務内容や人員、組織、役員給与、退職金について、ほとんど実態はそのままで、官庁主導の体制は一切変わっていない。独立行政法人化したとしても、中期目標の設定、運営交付金の仕組み、官庁と独立行政法人間の人事交流、政策評価委員会の実施する評価の困難性等を考慮すると、事業実施や補助金、給付金の支給方法などは何ら改革されておらず、政官業癒着の構造や不正の温床は残されたままになっているなど、問題の先送りと看板のかけかえをしているにすぎないということが明らかとなっております。
 このように、独立行政法人制度について問題点が明白になっているのに、地方公共団体がその地方版の組織をつくることを可能とすることは、極めて問題があります。独立行政法人化という形態をつくらなくても、地方公共団体ができることは地方公共団体で行う、民間に任せるべきことは民間に任せるという原則を貫くべきであります。
 よって、本法案等には反対であるということを申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 次に、矢島恒夫君。
矢島委員 私は、日本共産党を代表して、地方独立行政法人法案及び同法施行法案に対する反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、この法案が、地方独立行政法人の運営や監督について、地方自治の重要な柱であり住民の代表機関である地方議会の関与を外し、住民訴訟や住民監査制度の適用外とするなど、民主的地方自治制度を形骸化させる重大な問題を持っているからであります。法人の財務諸表等の承認や法人の請負契約の締結などの議会承認制度を求めている全国都道府県議会議長会など三議長会の要望すら無視する法案内容は、到底認めることができません。
 また、全国自治体には既に公営企業や社会福祉法人を除いて一万社以上の地方公社、法人が活動しており、中には巨額の損失をもたらし自治体財政を圧迫している開発型第三セクターが大きな社会問題となっており、地方議会や住民監査による第三セクターに対するチェック機能の強化の声が高まっています。法案は、この流れに逆行し、再び三セクの失敗を繰り返そうとしているものと言わなければなりません。
 第二は、この法案が対象とする住民サービスは、全国で五万四千施設以上、自治体職員数で五十万人余り、水道や病院、公立大学、交通、保育、老人ホームなど、一億二千万人国民のすべてに関係する行政サービスとなっていますが、これらの事業が自治体の手から地方独立行政法人に移行すると、経済効率優先の評価制度、法人の恣意的な判断による事業縮小や廃止などを通じて、行政サービスの低下、縮小あるいは廃止につながる重大な問題を持っていることです。
 第三は、この地方独立行政法人制度が、それまで自治体職員として職務についていた方々を長の判断で一方的に非公務員に移行させる仕組みを取り入れているなど、自治体職員の身分保障と権利を危うくするものとなっており、そのことが自治体行政の安定性を損なうことにつながるからです。
 最後に、住民福祉の向上を責務とする自治体の活動と地方自治制度の発展のために、地方制度の中に新しい制度を取り入れる法律案を審議する場合には、自治体の皆さんや住民団体の方々の御意見によく耳を傾け、慎重に審議することが国会の責務であることを申し添えて、私の反対討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、地方独立行政法人法案及び関係法律整備法案に対し、反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、議会の関与や住民の監視機能の後退です。地方独立行政法人は、地方議会の関与を最低限に抑えていることから、住民の意思を十分に反映しない運営となり、また、住民監査請求や住民訴訟などの住民によるチェック機能が失われる危険性があります。
 第二に、評価のあり方です。法人の業務の実績等を評価するための評価委員会が具体的な評価をどのような観点から評価するかということについては全く定めがなく、住民の福祉やサービスという視点が軽視され、財務会計や経営効率に傾斜することが懸念されます。
 第三に、地方行革推進策であることです。独法化によって一方的に職員の身分が変更され、賃金、労働条件が継続される保障はありません。給与決定に際しては、法人の実績ばかりが強調されることになります。また、法人が担うのは、地域において確実に実施される必要のある事務事業でありながら、中期目標期間終了後に、組織、業務全般にわたる見直しいかんによっては、解散、清算されることになります。しかも、解散の際の職員の継承については規定がなく、法人の解散を理由に人員削減が行われかねません。公営企業法と異なり、経営再建のスキームも設けられていないことから、安易な民営化や事業廃止に拍車がかかることが心配されます。
 第四に、独法化の積極的なメリットが感じられないことです。公営企業型とはいっても、給与決定基準、財務会計制度、中期目標、中期計画、議会の関与等、実際に現実の公営企業で取り組んでいるものばかりであります。
 第五の理由は、公立大学及び公立病院の扱いです。大学の独法化は、教育研究より効率性が優先され、成績主義の強化と大学間の無用な競争、大学間格差の拡大、大学の自治の破壊につながります。また、病院の独法化は、住民の命と健康に直結する病院部門の公的責任を放棄し、安全、安心、良質な医療を後退させることになりかねません。
 今回、法人化の対象となっている水道、交通、病院等は、もともと自治体の公共事務の一つであり、旧自治省も「地方公営企業法逐条解説」において、地域住民のために存在する地方公共団体本来の仕事であり、必要な生活用水を不自由なく供給し、市民の足を確保し、医療施設を整備する等住民の生活に密着した分野で住民の需要を充足していくという極めて地道な仕事を着実に遂行することこそ真に地方自治の伸展を支えるものであろうとしているところであります。
 このような事業を安易に独法化することは、行政の直接の責任、役割の放棄以外の何物でもないことを指摘し、討論を終わります。(拍手)
遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより両案について順次採決に入ります。
 まず、地方独立行政法人法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、地方独立行政法人法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 この際、ただいま議決いたしました地方独立行政法人法案に対し、佐藤勉君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合及び保守新党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。佐藤勉君。
佐藤(勉)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    地方独立行政法人法案に対する附帯決議(案)
  政府及び地方公共団体は、本法律の施行に当たり、次の事項について配意すべきである。
 一 地方公共団体が地方独立行政法人を設立するか否かについては、あくまでも地方公共団体の自主的な判断を尊重すること。
 二 地方独立行政法人化に当たっては、雇用問題、労働条件について配慮して対応するとともに、関係職員団体又は関係労働組合と十分な意思疎通を行うこと。
 三 地方独立行政法人の業務の実績の評定に当たっては、財務面の評価のみならず、社会的評価の観点も加味して行うこと。
 四 第三セクター等の経営立て直しの手段として地方独立行政法人が選択されないようにするとともに、その早急な抜本解決を促し、経営責任の明確化、清算の可否、民営化の是非などを厳しく精査検討すること。
 五 公立大学法人の定款の作成、総務大臣及び文部科学大臣等の認可に際しては、憲法が保障する学問の自由と大学自治を侵すことのないよう、大学の自主性、自律性が最大限発揮しうる仕組みとすること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
遠藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、来る五日木曜日午前十一時五十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十四分散会


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