衆議院

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第19号 平成15年6月10日(火曜日)

会議録本文へ
平成十五年六月十日(火曜日)
    午前九時三十三分開議
 出席委員
   委員長 遠藤 武彦君
   理事 荒井 広幸君 理事 佐藤  勉君
   理事 林  幹雄君 理事 八代 英太君
   理事 安住  淳君 理事 武正 公一君
   理事 桝屋 敬悟君 理事 黄川田 徹君
      浅野 勝人君    荒巻 隆三君
      岩永 峯一君    上川 陽子君
      川崎 二郎君    左藤  章君
      滝   実君    谷  洋一君
      谷本 龍哉君    中本 太衛君
      野中 広務君    平林 鴻三君
      宮路 和明君   吉田六左エ門君
      荒井  聰君    伊藤 忠治君
      大出  彰君    玄葉光一郎君
      島   聡君    中沢 健次君
      松崎 公昭君    山田 敏雅君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      春名 直章君    矢島 恒夫君
      重野 安正君    横光 克彦君
      金子善次郎君
    …………………………………
   総務大臣         片山虎之助君
   総務副大臣        若松 謙維君
   総務大臣政務官      岩永 峯一君
   総務大臣政務官     吉田六左エ門君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  春田  謙君
   政府参考人
   (総務省自治行政局公務員
   部長)          森   清君
   政府参考人
   (総務省総合通信基盤局長
   )            有冨寛一郎君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (消防庁次長)      東尾  正君
   総務委員会専門員     大久保 晄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     荒巻 隆三君
  佐田玄一郎君     中本 太衛君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     伊藤信太郎君
  中本 太衛君     佐田玄一郎君
同日
 委員久保哲司君が死去された。
    ―――――――――――――
六月六日
 第三種・第四種郵便の存続等に関する請願(阿部知子君紹介)(第三〇〇五号)
 同(石毛えい子君紹介)(第三〇〇六号)
 同(川田悦子君紹介)(第三〇〇七号)
 同(武山百合子君紹介)(第三〇〇八号)
 同(福島豊君紹介)(第三〇〇九号)
 同(山口富男君紹介)(第三〇一〇号)
 住民基本台帳ネットワークシステムの中止に関する請願(枝野幸男君紹介)(第三〇一一号)
同月九日
 シベリア抑留者に対する未払い賃金支払いに関する請願(長妻昭君紹介)(第三〇七二号)
 同(楢崎欣弥君紹介)(第三〇七三号)
 同(松本龍君紹介)(第三〇七四号)
 第三種・第四種郵便の存続等に関する請願(山井和則君紹介)(第三一九一号)
同月十日
 シベリア抑留者に対する未払い賃金支払いに関する請願(荒井聰君紹介)(第三二四四号)
 同(石毛えい子君紹介)(第三二四五号)
 同(齋藤淳君紹介)(第三二四六号)
 同(棚橋泰文君紹介)(第三三五四号)
 第三種・第四種郵便の存続等に関する請願(金子哲夫君紹介)(第三三五三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 消防組織法及び消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
遠藤委員長 これより会議を開きます。
 議事に入るに先立ちまして、ただいまタジキスタン共和国上下両院議員団御一行が当委員会の傍聴にお見えになっておりますので、御紹介申し上げます。
    〔起立、拍手〕
     ――――◇―――――
遠藤委員長 内閣提出、参議院送付、消防組織法及び消防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局公務員部長森清君、総務省総合通信基盤局長有冨寛一郎君、消防庁長官石井隆一君、消防庁次長東尾正君及び内閣官房内閣審議官春田謙君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松崎公昭君。
松崎委員 皆さん、おはようございます。民主党の松崎でございます。
 消防法の改正問題に入る前に、六月二日に、神戸市の西消防署の若い消防隊員三名が逃げおくれ、また負傷者も十名と、大変痛ましい事故で殉職をされました。心から哀悼の誠をささげさせていただきます。
 安全確保のために、この原因追求というのはしっかりやっていただきたい、そんなふうに冒頭に申し上げておきます。
 さて、この法案は既に参議院で審議をされてまいったわけであります。そしてまた、この法案の一部、我が党の提案も受け入れられて改正になった、そういう経過もございますので、基本的には、この法案自体は私どもはもちろん賛成をしております。
 ただ、私は、この消防の問題を含めまして、緊急事態の状況において果たして消防が、まあ本来は地方自治体の所属であります、これが、今回の改正の趣旨にありますように、大規模な災害やらあるいはテロを含む特殊災害、こういったものに動員されるのは結構なんでありますけれども、この指揮体制とか国家の緊急事態のあり方から見て、もちろんコミットするのは結構なんですけれども、消防が主体的にそこまで行っていいのかどうか、そんな疑問がありますので、その辺の本質論的なところを少し御質問等したい、そんなふうに思っております。
 今言いましたように、市町村消防として、我が国の消防は自治体を中心に今日まで来ているんですけれども、私が見ておりましても、もう消防そのものは相当限界に近いくらい、さまざまな仕事あるいは救命救急の問題でありますとかやっております。そういう意味で、今回、いろいろこの法案にかかわる審議会の答申を見たり、あるいは法文そのものを見ましても、国とか県が当該の市町村の消防を支援するとか補完するというような表現がかなり目についているんですね。
 ですから、私は、特に特殊災害、テロあるいは原子力事故とかサリン、SARS、これに対して、本当に特殊災害に対して、この今の法案でいきますと、指揮は市町村長がとることになっていますね。これで果たしていいのかどうか。つまり、そういう大きな、国として対応しなきゃならない、そういうところでは国がもう少しちゃんとした体制を整える、あくまで消防は、逆に消防が補完をしていくんだ、そういうふうにすべきであろうと思っております。
 緊急援助隊は既にあったわけでありますけれども、これを国が指示をしたりして使えるようにするという法案でありますけれども、どうも私は、この辺で、地域に主体を置いた消防と、国の責任でやるべき分野の問題は分けるべきじゃないか、そう思うんですけれども、いかがでしょうか。
片山国務大臣 冒頭、松崎委員から、六月二日にありました神戸市西区の事故についてのお話がございました。ありがとうございます。
 あれは、残った一人を救出に行きまして、それで建物が焼け落ちてきて、三名が亡くなりまして、一名ももうほとんど脳死状態みたいになっておりまして、大変我々としても残念でございますけれども、今後ああいうことが起こらないようないろいろな対応を図ってまいりたい、こう思っております。
 今のお話なんですが、松崎委員のお考えもわかるんですけれども、消防が、地域の安全を確保する、住民の生命、身体、財産を守るというのは仕事ですね。そういうことの中で、なるほど大規模や特殊災害はちょっと荷が重いというか手に余るようなところがあるんですけれども、あくまでも自治体消防、市町村消防に前面に立っていただいて、それができないことは、それを補完する、支援するような仕組みをつくりたい。
 そこで、前から緊急消防援助隊ですか、ちょっと言いにくいんですが、緊急消防援助隊というのがありまして、ただ、これは事実上のものだったんですね。だから、今回、法的な根拠を与えて、いざといったらすぐぱっと行けるように、迅速に対応できるようにするために、消防庁長官の指示権もこれを新たに制度として認めたわけであります。
 言われますように、例えば原子力災害なんかというのは、これは市町村消防もやりますけれども、特別法に基づいて事業者責任でこうやるとか、あるいは専門家を派遣するとか自衛隊の出動があるとか、こういうことも書いておりますし、テロの方も、消防に関係するところもありますけれども、警察だとか自衛隊で対応できるところもありますので、そういうことについては今後きっちり整理しながら、自衛隊も一定の役割を果たす、こういうことでございます。
 別建ての組織をこれから、そのためだけにつくっていくというのは、今の状況ではこれもなかなか大変ではないか、消防ができる範囲は消防の力を活用していただいた方がいいのではないか、こういうことでこういう制度をつくりまして、お金は今回は特に丸々国が見る、こういうことにいたしたところで国の責任もはっきりさせていると我々は考えております。
松崎委員 個別の問題は当然いろいろな、災害の問題の法律もみんなあるわけでありますけれども、私が言っているのは、サリンもそうでしたけれども、ある意味では今回のSARSもそうなんですけれども、要するに国家緊急の事態における体制が弱い。つまり、消防の協力した体制で援助隊をつくっていますけれども、何かみんなそちらにおんぶしているような雰囲気に見えるんですよね。そこが問題なんです。
 私は、最近、大臣は御存じでしょうか、ディフェンスリサーチセンターという財団法人、ここにあるんですけれども、たまたまこの前見つけて読んだら、ここは元海将とか陸将とか防大の出身者で、約九名ぐらいの大将ばかりが集まって、国家の危機管理ということで提言が、これはまだことしの三月に出た本ですけれども、出ております。これは非常に内容がいいなと思います。
 つまり、日本の危機管理とか危機意識、これは国際水準から並外れて低いというふうに専門家の方々が指摘しております。私は、軍人の方々が書いたので、もっといかめしい内容かと思ったら、そうじゃありません。官僚批判があったり、かなり柔軟な提言がされておりまして、ここでそういうことを言っているんですね。それから、日本の閉鎖的な発想だけでは今日の国家的危機には対応できなくなっている事実を認識しと、法制とか実務の両面から抜本的に考えを見直さなければならない、そういうことを言っているんですね。
 この提言の中にやはり危機事態の統括機能、これは私この前、SARSの問題でも質問したんですけれども、国のばらばらの省庁でいきますから、SARSのときもそうでした、みんなばらばらですからうまくいかない、これを統括、一元化したそういう組織がなければだめなんだと。
 まして、私は、防衛、治安と災害とはやはり変えなきゃいけない。変えるというか、実動部隊は一緒で、末端で動くのは一緒でいいですよ。しかし、指揮をしたり状況判断したり指示を出すのは、これは内容が違うと思うんですね。そこがごっちゃになって、一番下で頑張る消防に全部覆いかぶさってきているということなんですね。まして、県の航空消防隊なんというのは実体がないですよね、各市からの出向者ですから。
 そうすると、まさに市町村の消防が全部末端で担う、それを今度は総務大臣が計画して、それで消防庁長官が指揮をして発動させていく。そういうことですから、これは本来は、ディフェンスリサーチセンターでも言っております、アメリカのFEMA、やはりFEMAを考えていくべきじゃないか、私ども、我が党もそれを申し上げております。
 そういう意味で、FEMAに関しては細かく言いませんけれども、これも実は、省庁が縦割りでたくさんあったので、カーター大統領が、これではだめだということで大統領直属の独立機構をつくった。そこで、全米五十州を十個のブロックに分けて、二千六百の職員、四千人近い非常待機要員を持って、各ブロックごとに五十州を分けてやっている。全部危機管理部門を、アメリカもばらばらだったのを統一したんですね。そして実は、このときの結果が、非常におもしろい結果が出ているんですね。
 一九九四年の一月のロサンゼルスの地震でしょうか、あのときは、発生後十五分でFEMAが動き出して、そして、建物は数十万の被害があったそうでありますけれども、死者は六十一名で、負傷者が八千七百人だった。一年後の阪神・淡路大震災では、死者が六千四百三十二、負傷者は四万三千七百九十二。もちろん地震の規模だとか地質だとかあります、それから建物とか、差はありますけれども、私は、緊急事態における出動態勢とか情報の把握、その違いがこうやって出たのではないか。
 私は、この専門家の皆さんの指摘を見て、まさに我々が言っているように、FEMA、こういう危機管理庁を置いて一元的にやる。私がこの前言ったSARSのときも、あれは感染症で、感染症法でやろうとしましたから非常に無理があった、地方と国がばらばらであったり。感染症法は非常に今度人権を重視していますから、これはこれでいいんですけれども。ですから、緊急事態はそれを超えてやれるようなことをやらないと私はだめだと。
 そんなことで、正直言いまして、この消防法そのものの改正の問題は、今の現状のことをある程度やっておく必要はあります。しかし、その上に、我々がつくっております緊急事態の基本法のようなものを踏まえてこういうFEMAのような形をつくっていかないと、日本は、それこそ、また北朝鮮との問題も緊張してきましたし、いろいろな意味で、テロがある、生物テロもあるだろう、化学テロもあるかもしれない、あるいは大規模災害、後で地下鉄の問題をやりますけれども、地震も含めて、人災を含めてあります。それに対応できる一元化した組織、もうそろそろやるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
片山国務大臣 今御指摘のように、我が国における危機管理体制のあり方は、もう長い間の議論ですね。
 災害関係は、災害対策基本法で一元的な指揮命令の系統やそういうことは一応仕組みとしてはできているんですね。それから、それ以外については、内閣危機管理監制度ができたりしまして、それ相応の努力はしておりますけれども、それではそれで十分かどうかという議論がある。
 そこで、今回の武力事態対処法案でも、民主党さん、与党、いろいろ話し合った結果、附則でそういう規定が盛られましたね、緊急事態に対応するあり方について、体制について議論していくと。私は大変いいことだと思いまして、去年でございましたか、FEMAの長官が来られましたときに少し話しましたけれども、やはり参考になりますね。
 そういうことで、関係のところが今後そういうFEMA的なものをどうやって考えていくかについて十分な検討をする、議論を積み重ねていく、深めていく、こういうことが必要ではないかと私も思っております。
    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
松崎委員 もうそういう時期だと思います。安全保障会議の一員でもあります大臣には、ぜひ内閣でも提言をしていただくというふうにお願いを申し上げます。
 それでは、組織法の中のヘリコプターの関係を御質問させていただきます。
 航空消防隊というんですか、これが今までもあったんですが、正式に今度位置づけをしたということでありますけれども、私は、ヘリコプターの使用というのは非常に重要だろうと思っております。ですから、その辺でいきますと日本はまだまだ弱いのではないか、そんなふうに思っております。
 特にドイツの例を引き合いに出しますと、ドイツはヘリコプターの救急救命というのが非常に盛んでありまして、日本とそれほど面積は違わないと思うんですけれども、半径五十キロ圏に一機ずつ配置して全土で五十機、二分以内に離陸して、平均八分で事故現場に医師を到達させる。要するに、運ぶよりも、少しでも早く医者を現地に到達させるというのが第一の理由なんですね。救急に関しましてお話ししております。
 日本の場合は非常に少ないですね。救急出動が全体で四百四十万件、これは十三年。ところが、ヘリの出場というんですか、千六百六十八件しかないんですね。ですから、ほとんど特別なときしか飛んでいかない、出動できない。それはそうなんですね。県の中に皆さん置いてありますけれども、航空消防隊は、各市町村からほとんどがみんな出向してきて、二、三年で、余り出動しませんから練度が落ちちゃうなんということもあって、回しておりますから、隊員の数も十人とか、非常に少ないんですね、各県は。ですから、それほどの対応ができないということで、そんな少ない数になっています。
 あとは、七都県は政令市に任せてありますから、県にはないんですね。ですから、今回の法案、法文では置かなければならないみたいになっていますけれども、実際には県に置かないところもあるわけですね。
 ですから、こういう実態の中で、私は、もっと航空機を使った救急というものを重要視していく。今のままではどうもいけないんじゃないかな。もっと、各県に正式に置くとなりますとまた大変なんですけれども、やはりこれは、市町村の救急救命ということが中心であれば、政令都市はいいですけれども、政令都市以外に置いているところは、むしろ中核市あたりに責任を持たせて、そこで集中管理をしていく、その方が人事管理面もいいわけですね。そんなふうに思うんですけれども、いかがなものでしょうか。
若松副大臣 まず、消防防災ヘリコプターでございますが、やはり何といっても、このヘリコプターの活用というのを認識されたのは阪神・淡路大震災、あれが教訓となってやはり必要であると。そういうことで、現在までに、これは佐賀、宮崎、沖縄を除いた四十四県、現在六十八機が配備されているところであります。
 そういった経緯から、今この防災ヘリ、こういったものの強化というものに取り組んでいるわけでありまして、かつ、今回の法案におきましても、都道府県によるヘリコプターを使用した市町村の支援のための消火、救援、救助業務の導入、こういった改善をさせていただいたところであります。
 それで、かつ、今御指摘のヨーロッパとの比較ですね。お話がありましたけれども、平成十二年に、救急ヘリコプターの出動基準ガイドライン、これを作成させていただきまして、平成九年と比べますと平成十三年の、特に救急件数が三倍に増加しておりまして、私どもといたしましては、やはりヘリコプターによる救急活動を一層推進しなければいけない、そういうことも考えております。
 また、欧米諸国におきますいわゆるヘリコプターの救助活動、委員御指摘のとおり、非常に活用されておりまして、再度繰り返すことになりますが、このヘリコプターによります救急業務を都道府県の業務に法的に位置づけることは大変重要である。
 さらに、そのために、都道府県にさらにそのような、一層積極的に活動ができるような体制も整備していただけるための、消防庁としても、やはりガイドラインのさらなる徹底、さらには離着陸場の整備の促進、財政の充実、こういったことを行いながら、救急業務へのヘリコプターのさらなる活用、これを積極的に推進してまいりたいと考えております。
松崎委員 何か若松さんらしくない答弁で、役人さん並みですが、私の質問は、それだからとても対応できませんよ、八人や十人じゃしようがないでしょう、県に置いてあったんじゃこんなものですよと。人事のことがあるから、確かに県は消防持っていないんですから大変なんですよね。だから、むしろ中核市あたりに置いて、政令都市があるところはいいですよ、そこが今中心にやっていますからいいんですけれども、これだって使い方、各市やりにくそうですけれども、もっと進んだ、これよりも、ドイツなんかとけたが違うんですから、ですから本格的にやってもらいたいなと。
 それから、ヘリコプターの救援、救急の意味というか、この重要性というのはそれじゃどうですか。少し本気に考えて、もっと本格的に充実させるという方向に、こんなものじゃだめですよ、千六百回なんというんじゃ。
若松副大臣 そういった松崎委員の問題意識もあったからこそ、とりあえず武力事態のときの附則ですか、こういった議論もあったんですが、例えば日本の高速道路ありますね、あれに自衛隊機が緊急着陸する、そういうような強度設計に実はなっていないんですね。
 それとか、例えばドイツですと、まさにあそこのアウトバーンですかに対してのいわゆるヘリコプターの発着出動ですか、やはりそういった非常にヘリコプターを活用するという長年の伝統で、いわば日本は本当に最近始まってきたということもありましたので、やはり、私もヘリコプターに何度か乗りましたが、非常に機動力があるということで、かつ多面的な状況に対応できるということもあって、私は、やはりそういった意味で活用というものを進めなくちゃいけないと思っております。
 では、どういった形がベストなのか、当然FEMAということも中長期的な課題として検討しなければいけないでしょうけれども、当面は都道府県に今回の法改正も含めた法的な整備をしっかりとして、これをさらに、今、政令指定都市というお話もございましたが、どういった形が効率的でかつ非常に効果的な対応ができるのか、これはやはり今後とも積極的に考えていきたいと思っております。
松崎委員 ぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、全然話は違いますけれども、この法案の中にも、自主防災組織というのを教育するというふうに入っております。
 ちょっとこれはそれますけれども、自主防災組織、今、全国で十万ぐらいあるということでありますけれども、防災意識、確かに国民の中に高まっております。地域でも、自治体や町会単位で、非常に自分の町を守ろうということで、自分たちであるいは市単位で消火器を町の中に設置している。京都市では五万八千本、名古屋市では三千六百、川崎も千五百、渋谷が二千三百、千代田が千と、二十三区の中でもかなり置いている。
 これは公道とか市道、それから私有地なんかが多いんですけれども、これに、道路に置きたいという意見も随分ありまして、例えば、その町に走っている国道のところに置きたいというような場合、自主防災組織と自治体が協力してやる、こういう場合には設置しやすいようになっていますか。これは国交省でしょうか。それをちょっとお聞きいたします。
 同時に、消防庁はこういう動きを奨励しようとしているかどうか。
高木大臣政務官 ただいま、街区の消火器のいわゆる国道上における設置に関してのお尋ねがございました。
 まず、街区消火器、これは、火災の延焼防止等の観点から、道路上に設置される消火器及びその格納用の箱であると認識をしておりますけれども、道路法の三十二条、ここに規定をされておりますけれども、道路管理者から占用許可を得ることにより、道路上に設置することができる。いわゆる設置はできるというような状況の中で、具体的に、例えば国道上の事例で東京二十三区内、これは国道上では、自治体が設置主体となっている街区消火器は、約七百五十器が国道の道路管理者の許可を得て設置されておりますけれども、今後とも、街区の消火器の道路上への設置については、その要望に応じて、国の方としても道路管理者として適切に対応してまいりたい、このように考えています。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 火災による被害の防止のためには、おっしゃいますように、やはり地域で消火器設置が進むということは大変望ましいことだと思っております。お話に出ましたように、自主防災組織が話し合いで個人の敷地に置いている場合もありますし、それから、今お話に出ましたように、公道なんかを活用している場合もございます。
 いずれにしましても、特に大震災等、今後のことを考えますと、各地域に消火器が設置されるというのは大変望ましいと思いますので、消防庁としてもその充実強化に努めていきたいと思っております。
松崎委員 これから大規模災害、あるいはどこで災害が起こるかわからないということで、まず市民、国民が参加をするという点では、こういう街区消火器なんというのは大いに奨励すべきだと思いますので、国土交通省、あるいは全国の市、県も道路を使わせるように方向性を持っていただきたい、そんなふうに思います。
 続きまして、地下鉄の火災の問題をちょっと取り上げさせていただきます。
 これも消防にも極めて関係のあることでありますので、大邱市でことしの二月に、それこそ死者百九十六名、負傷が百四十七名という大変な鉄道の地下鉄火災があったのは、皆さんまだ覚えていらっしゃると思います。これで何を学んだかということを国交省さんと消防庁、両方からお願いいたします。
高木大臣政務官 まず、我が国の鉄道の火災対策は、これまでも木材を使用した車両の火災事故やトンネル内での列車火災など、過去の鉄道火災事故を教訓に、まずは車両の不燃化、または地下駅の排煙設備の設置等を進めてまいりました。
 この結果、昭和四十七年の北陸トンネルでの列車火災事故、これ以降は重大な火災事故、いわゆる死亡事故は発生しておりませんが、今回の韓国の地下鉄火災事故から、まずは車両の不燃化、地下駅の不燃化、または排煙等の設備に加えて、緊急時の避難誘導、さらには列車運行管理が火災対策として極めて重要であり、これらが不適切な場合にはその被害は甚大となると改めて認識いたしました。
 この韓国の火災事故を対岸の火事とはしないで、他山の石として、今後、我が国の鉄道火災対策に生かしてまいりたいと考えております。
 国交省といたしまして、韓国での地下鉄火災の発生した翌日、二月十九日に、地下駅を有するすべての鉄道・軌道事業者に対して、一つ、不審者、不審物に対する警戒態勢の強化、二つ目が、火災対策の設備、異常発生時の対応マニュアルの点検、三つ目が、地下鉄道の火災対策の一層の整備の充実、これらを指示いたしまして、消防庁とも協力して地下駅の一斉点検を行っております。
 また、我が国の地下駅における火災対策の設備の現状を詳細に調査いたしまして、四月十一日に公表をいたしました。さらに、鉄軌道事業者三十九社、二百八十八駅で避難訓練等をその後実施してまいりました。
 以上です。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 消防庁といたしましては、火災発生翌日の二月十九日から、消防研究所の研究員二名を韓国に派遣するなどいたしまして、今後こういった事例にどう対応するかというようなことを今やっております。
 今、国交省の方からもお話に出ましたけれども、特に地下鉄ですから、地下空間という特性がございます。そこで、通常の消火、救助活動にやはりいろいろな制約がございますので、今お話に出ましたように、車両の不燃化や難燃化を進める、あるいは地下駅の構造物の不燃化を進める、排煙設備の設置をする、あるいは避難通路等も適切に確保するといったようなことも重要だということを改めて認識しております。
 また、今回非常に被害が大きくなりましたのは、対向車が火災がまだ消えない間に入ってきまして、そこで対向車の被害者が百四十人を超えるというような結果になっておりますので、今後は、これは国交省さんとの相談になりますけれども、対向車両の運行管理に係る情報伝達ですとか対応とか、こういったことも適切に行わなくちゃいけないと考えております。
 また、消防プロパーの問題で申しますと、韓国の消防機関は通報を受けて直ちに隊員を出場させたわけでありまして、地下一階なり二階については百四十名に及ぶ負傷者を救助しておりますが、プラットホームのある地下三階での救助活動は事実上不可能だったということでございまして、今後、こういった場合に備えまして、消防活動用の拠点の確保でありますとか、あるいは乗客等の避難誘導のための施設整備をもっと進めるとか、これは国交省さんと今、協議会等をつくって研究しておりまして、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
松崎委員 私も毎日地下鉄を使っておりまして、乗客の立場からも、非常にあの事件から毎日のように、きょうは大丈夫だろうかなんという気持ちで乗っているんですよね。多分この中にもそういう方もいらっしゃると思います。
 あの問題は非常に衝撃的だったんです。もちろん、韓国と日本の地下鉄の構造とか安全基準は違うと思いますので、一概にあのままそうなるとは思いません。でも、今、深度が非常に深い駅もたくさんできておりますので、私どもも大変心配をしております。
 その後、二月二十八日ですか、国交省は地下鉄の調査をしましたね。なぜか発表が遅かったんですけれども、私どもは、やはりすぐに動いた国交省は、ああすごいなと思ったんです。その後、四月十一日に発表されて、この中の基準が、もう古いかどうかわかりません、昭和五十年の基準が今も生きているということですね。この中の基準の不適合駅が二百六十八駅もある。全国十一の地下鉄の中で、六百八十四の地下鉄の駅の中で四〇%が二百六十八ですね。こんなに、不適合の駅が一カ所でもある、これはやはり非常に問題じゃないか。
 しかも、調査が二月二十八日で、発表が四月十一日で、そして検討会というのをようやくつくったんですけれども、これが五月の十六日というんですよね。大臣、何か非常にスローモーじゃないかな。これは国交省の方でしょうかね、国交省の方だそうでありますけれども、非常にスローモーだ。
 やはり、毎日乗っている人は、日本の地下鉄は本当に大丈夫かということをまず考えますから、チェックしたなら早く、速やかに発表し、そして対応策を練っていただくのは当たり前なんですけれども、きのう営団地下鉄に聞きましたら、まだ一生懸命練っている最中だということでありまして、私は、この辺のスローモーなところが危機管理能力が非常に低いんじゃないかということをまたここで感じたんですけれども、その対応策というのは、この不適合駅の対応策というのはどうなっていますか。
    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕
高木大臣政務官 松崎議員も地下鉄を利用されていると今お話がありましたけれども、私も、四ツ谷から丸の内線に乗って国会議事堂駅まで通っております。そういう観点から、利用者の方は本当に、あの韓国の火災以降、自分の使っている駅は大丈夫か、こういう不安はあると思います。
 その上で、まず国交省の方でその調査をさせていただきました。この火災の対策基準、今御指摘のように、昭和五十年に制定したものでありまして、この基準に適合していない駅が今二百六十八駅。ただ、この大部分というのはこの基準前に設置された駅ということで、それ以降の駅はこの基準に適合している。
 これらの駅のうち、防火シャッターの整備等早期に対応できるもの、これは鉄道事業者を通じまして早急に整備させることといたしております。
 また、避難通路の新設、特に今先生も利用している、私も利用していると言いましたが、国会議事堂の丸の内線の駅、あそこの駅等を考えてみますと、避難通路の新設は大規模な改良工事、また出口の問題等もありますので、これらは現在、各鉄道事業者においてその整備方法並びに整備に要する費用や期間について検討しておりますし、また、これは早急に決着を見ていきたいと考えております。
 その上で、これもただいま御指摘がございました地下鉄道の火災対策検討委員会、これが五月十六日に第一回を開催しましたが、二月末の時点の調査、詳細が発表されたのが四月の上旬ということで、時間がかかり過ぎではないかというような御指摘もございました。
 ただ、この件に関しましても、それぞれの鉄道事業者から報告を受ける段階におきまして、最初に調べたのが二月の末時点の場合がありましたけれども、それが各鉄道事業者それぞれ御報告を受けまして、もう一つは韓国の現在の状況、いわゆるその後の事故に対するさまざまな調査等を踏まえまして五月の十六日に第一回の検討会を開いた、こういう経緯となっております。
 ただ、御指摘のように、やはり不安はありますので、今後さらに早期に検討結果をまとめてまいりたいと考えております。
松崎委員 五十年以降の駅も不適合はあるんですよ、何件か。ですから、そこは真剣に考えないと。非常にスローモーですね。
 特に、今おっしゃったように、千代田線の国会議事堂駅は三十七・九メーター、後楽園駅も三十七・五メーター、永田町が三十七メーター、それから一番深いのが、大江戸線の六本木の四十二・三メーター。これは地下六階なんですね、国会議事堂前は地下六階なんです。大邱市のものは、たしか地下三階の十八メーターぐらいでしたか、これはまだ日本よりずっと浅いんですよ。
 ですから、そんな深いところに、あるいはトンネルも深くなっている、そういう中で何かあったときということで、しかもこれだけ、不適合が二百六十八もあるということは、やはり私は、非常に国民は不安が多い。毎日千三百万人も使っていますよね、全国で地下鉄を。
 いわゆる対策の基準、これは果たして今までのもの、五十年、排煙の方は五十七年、そのままでよろしいんでしょうか。
高木大臣政務官 今御指摘のように、昭和五十年の基準ということで、それ以降に設置された駅は、その基準に基づいて駅というものが設置されておりますけれども、特に最近建設された地下駅、比較的深いもの、特に大江戸線の六本木駅等々を含めて出てきておりますので、このため、地下駅の形態や深さを考慮した火災対策の検討も、先ほど申し上げました地下鉄道の火災対策検討委員会において、現在、検討は進めさせていただいております。
 ただ、この基準の問題でございますけれども、この検討の中で基準を見直しすることになれば、新しい基準について性能の規定化をすることも一つの考え方、このようにも考えております。
松崎委員 今のその性能規定なんですよね。やはり私は、今度の法案にも、消防法の方にありますね、性能の規定に変えていく、建物に応じた形で性能さえあればいいと。私は、この地下鉄の問題もそうだと思うんですよ。
 実際、私見てみまして、例えば銀座線なんてえらい古いですから、天井が低いんですよ。そこに五十センチの煙を遮断する壁をつくれといったって、我々だってぶつかってしまいますよね、外人さんでは全部ぶつかってしまいますよ。では銀座線を全部つくり直すかというと、これは現実的じゃありませんね。やはり性能が十分であればそれでいいじゃないか、そういう性能規定に変えていって、基準を早くつくって、そして、この対応を早く国民にお知らせいただきたい。
 横浜市は、プレスの発表、あなた方の発表の日にもう既に対応策を発表しているんですよ、九駅を二十億かけて三年でやりますと。自治体の方が進んでいるじゃないですか。これは、どうも横浜市の発表に合わせて、そちらのプレス発表をしたような嫌いがありますよね。二月二十八日に調べて、発表は四月十一日まで延ばしていた。横浜市は同じ日に、もう既に九駅に関してはこれだけのお金をかけて直しますという具体案を出しているんですよ。地方分権じゃないですけれども、地方が進んでいるんですよ。
 それで、検討会を五月になってから、五月十六日になってからつくるなんて、こんな危機意識のない形がありますか。本当に私は、利用者として、国民の一人として、非常に怒りを持っております。
 ただ責めるだけじゃないですよ。性能規定をちゃんとやり直しして、基準をきちんとして、そしてやりなさいということを言っているんですから、ぜひひとつ。
 それからもう一つ、時間がなくなりましたが、情報提供ですね、お願いをしておきたいのです。
 私も毎日乗って、私は、柏というところから一時間近く乗ってきますから、途中でトンネルの中でよくとまります。そうすると、情報がどうなんだろうかと。地下鉄といったら、前後の車両からおりるんですよね、周りに場所がありませんから。そうすると、そういうとき誘導がどうなるのか。ワンマンカーも出てくるし、南北線なんかワンマンカーだそうですね、運転手が一人しかいない。こんなところでどうなるんだろう。例えば誘導、こうなったときはこういうふうに誘導しますとか、あるいは誘導灯がありますよとか、そういうのを車内にきちっともう少し表示して、情報提供していただきたい、それは要望にとどめておきます。
 終わります。ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、大出彰君。
大出委員 民主党の大出彰でございます。よろしくお願いいたします。
 私は、今の松崎さんの後で、消防職員の団結権付与の問題と、この間、政労間で公務員制度改革の一環としていろいろ協議が行われてきて、協議機関をつくるというような話が出てまいりましたので、その協議機関、この二つを中心にお伺いをしたいと思っております。
 まず、消防職員に団結権を付与せよ、こういう質問でございますが、消防職員の団結権につきましては、昨年の十一月、ILOの結社の自由委員会におきまして、消防職員及び監獄において勤務する職員へのみずから選択する団体を設立する権利の付与について、すべての関係者と十分、率直かつ有意義な協議を速やかに行われるよう日本政府に勧告が出ておるわけでございます。これが一点です。
 そして、ほかの諸外国を見た場合に、労働基本権に関しましては、消防職員というのは軍隊や警察とは異なった扱いがなされておりまして、団結権を付与するのが世界の常識であろう、こう考えているわけです。
 この二点につきまして、片山大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
片山国務大臣 ILOからそういうことでの勧告が出ていることは承知いたしておりますが、我が国の消防は、もう委員御承知のように、国民の生命や身体や財産を保護するという、ある意味では警察と同じような目的、任務を与えられておりますし、また具体の活動も、厳正な規律と統制のとれた迅速果敢な部隊活動が常に求められている。また同時に、ボランティア、義勇消防でございます消防団と連携をしてやる。こういう特殊の事情のもとに、やはり警察と同じような位置づけができないだろうか。
 軍隊と警察は団結権を認めなくてもいいというのが今、世界の通説というんでしょうか、考え方でございますので、そこで、団結権を認めない、こういうことで来たわけでありまして、過去の長い歴史の中で、ILOも、それは百点じゃないけれどもしようがないな、条約上の問題としてはないんではないか、こういう判断であったと承知いたしておりますが、今回こういう考え方を示されましたので、我々としても、できるだけILOにわかっていただこう、こういうことで今努力をいたしております。
 御承知のように、平成七年に、団結権は認めないけれども、勤務条件について話し合う消防職員委員会制度をつくりまして、これを法律改正の中にはっきり書いておりますし、できるだけこの消防職員委員会制度が円滑に運用できるように努力をしてきている、こういうことでございます。
大出委員 今、ILOの絡みの中で、私から言いますと、日本の主張というのは解せないんですね。今も大臣おっしゃいましたけれども、日本の消防はILOで言っている警察と同じなんだ、こういう主張をしているんですよね。ですが、本当ですか、違うんじゃないですか。警察から分かれたのはわかっていますが、国民の認識だって、警察のやっていることと消防のやっていることは全然違うという認識じゃないですか。これが常識というものですよ。
 世界の消防がほとんど団結権を持っていて、国際自由労連ですか、国際労働者の団体の委員長みたいな方たちも、消防の、消防署の関係者が実際やっておられたりするわけですよね。それなのに、私は唖然としましたよ。ILOに対して日本が、日本の消防は警察と同じなんだ、こう言っている。えっ、冗談でしょうと私は思いましたけれども。
 そのとき、軍隊と警察はという話が出ましたけれども、警察で、警察の組合もあるところも当然あるわけですよ。どうも団結権について認識が古過ぎるのではないかと思うんですね。別に働いている人が群れることは危険な話ではないのでありまして、何となく団結権を与えないんだということが当たり前なごとくにおっしゃるのですけれども、実を言いますと、逆が当たり前なんですよ。
 というのは、日本というのは、結社の自由を当然認めていますよね、それ以外にいわゆる労働基本権という権利を憲法で認めているんですね、丁重に認めているんですよ。その国で、この五十年の間、消防に団結権すらないというのが異常な話でして、やはり与えるべきだろうと思っているんですね。
 それと、委員会制度とおっしゃいました。それは多少の役に立つでしょうし、例えば、いろいろなところでも、労働者の側の苦情処理委員会とかいうのを民間がつくったりするのもあったりしますよね。ただ、やはり憲法の権利であるところの団結権という、群れる権利、これは使用者と対等になるための権利でございますから、それが委員会制度で、ごまかすと言ったら失礼ですけれども、委員会制度、にせものではやはりいけないんではないか、本物の団結権を付与すべきだろうと私は思うんですね。
 そして、そのことは決して、今まで与えなかったから与えないんだという固定観念で考えるんじゃなくて、与えなくていいんだということの方が説得力がないんですよね。その辺をもう一度、片山大臣、どのようにお考えでしょうか。
片山国務大臣 これは長い議論をずっとやってまいりまして、日本の特殊性ということでILOも、ILOのあれも違うんですよね。物すごく理解を示すときと大変少なくしか理解を示さないときとありまして、今は少なくしか示さないときじゃないかと私は思っておりますけれども。
 団結権と消防職員委員会制度、違うといえば違うんですけれども、私は、実質はそんなに違わないんではなかろうかと。国民は、やはり消防には、一たん緩急あれば、身を挺して、身命を賭して頑張っていただけるというようなイメージがありまして、職員団体をつくっていろいろというようなイメージとはちょっと違うんですね、そこは。そこで、日本の公務員には、全体には労働基本権を完全に認めておりませんけれども、代償措置も一応しっかりしておりますし、まあ御議論があるかもしれませんけれども。
 そういう意味では、なおILOの理解をいただくような努力をしてみたいと思いますし、職員委員会についても、さらに、いろいろとそれが実質的に実のあるような運用を指導してまいりたい、こう考えておりまして、もうしばらくお時間をかしていただいて、我々の努力を見ていただければ大変ありがたいと思っております。
大出委員 もう少しお時間をとかおっしゃいますけれども、この間もお話をしましたけれども、ILOの結社の自由委員会のキャリエール専門官が、我々は四十年待ったんだ、こう言っているわけですよ。日本が公務員制度をどう変えるかということを世界が見ているんだということですよ。そういうことを言っているわけですからね。
 どうも今のお話の中で、団結権を与えない、本当は与えるんじゃなくて、権利だから当たり前なんですが、付与しないというのは説得力が全然ないだろうと思うんですね。だから、これを機に、やはり公務員制度改革の議論がなされているわけですから、これは一挙に労働基本権を付与した形で物事を考えていくという制度設計がよろしいのではないかと思っているんです。
 そして、ILOについて片山さんおっしゃいましたけれども、ILOは一貫して、ずっと四十年前から同じことを言っているんだ。日本側がいろいろ言っているけれども、確かに日本側が出してきた文章の文字を二カ所使ったりしているから、それについて、使っているから日本側は今までと違うんではないかと言っているかもしれないけれども、全然理由がないということを言っているわけですよね。
 そういう意味では、この後また公務員制度の話をしますけれども、どう考えても、ILOがわかっていないんではなくて、この間言われてきたのを無視し続けてしまった日本の方にやはり問題があるんだということを指摘して、二十分ですから、あっという間にこんな時間になりましたが、次の質問をいたしたいと思います。
 というのは、もう一つは、この間、五月の二十七日に政労間のいわゆる会談があって、六月の四日の日に、いわゆる連合の方々と公務員制度改革の関係者との話し合いが持たれているわけですね。そんな中で、政労間の協議機関をつくって労働基本権の問題を検討するというようなことになっているわけです。
 そこでお伺いをしたいんですが、この協議機関というのはどういう構成で、何をテーマとして、そして、どういうスケジュールで検討をされるのか。春田室長にお伺いをいたしたいと思います。
春田政府参考人 お答えをいたします。
 今、先生御質問の中でおっしゃられましたように、政府と連合との間では、石原大臣が草野事務局長と六月の四日にお会いをいたしまして、意見交換を行ったところでございます。意見交換の中で、政府と連合との協議機関を設けることについて連合の側から申し入れがございまして、石原大臣からは、具体的に検討して回答したいというお答えをしております。
 協議機関の具体的内容などにつきましては、今後、政府と連合との間で議論をすることになるものと考えております。
大出委員 今後だということでございまして、連合のニュースというのをちょっと見ますと、六月の四日の石原大臣と連合の会談の際に、政労間の協議の場では、能力等級制度を含む公務員制度改革全般について話し合うべきだとの見解で一致したとなっているわけですね。このことに照らしても、労働団体と公務員制度全般について議論が行われるべきだと思うんですが、この点は片山大臣、どんなふうにお考えでしょうか。
片山国務大臣 春田室長の方が適当かもしれませんが、今、石原さんと連合のトップといろいろ話し合いをしておりまして、公務員制度改革の中で、特に勤務条件、労働条件ですね、これを中心に話し合えばいいですが、その他のことも意見交換というのはあってもいい、私はこう思っておりまして、具体的に中が詰まってまいりますと、また我々の方にも御相談があるでしょうから、私の方もいろいろ意見を申し上げたいと思っております。
大出委員 今、全般的に話し合いをした方がいいんではないかと。あるいは、労働界の側も能力等級制度を含むような公務員制度全般について話し合うべきことで見解が一致したんだ、こういうようなことを言うのは、どうも能力等級制度というものを、今度のいわゆる公務員制度改革の推進をしている方々が労働条件とみなしていないところが実はあるんですね。これはどう考えても労働条件だと私は思っているわけですね、能力等級制度によって給与の基準だとか変わってくるわけですから。
 そういう意味で、それを含めて、やはりしっかりと公務員制度改革についての話し合いをすべきだと思うんですが、春田室長、もう一回、その辺どうでしょうか。
春田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどお答え申し上げましたことと重なるようで恐縮でございますけれども、実は石原大臣と連合との間で、まさに今いろいろと意見交換を行っているというところでございます。
 具体的に協議機関をどういう形で持つのか、あるいはどういう内容についての議論をしていくことにするのか、まさにこれから政府と連合との間での議論ということが必要になるものと考えておりますので、私ども、今の段階でどうかというのは、まさに連合の方とも意見交換をしていかなければならないというテーマでございますので、今の時点で、その内容についてはどうである、こうであるということはちょっと差し控えたいというふうに思っております。
大出委員 石原大臣なんかもいろいろなところで、政と労の協議を重ねても溝が埋まらないのではないかというようなことも言われるわけですね。対立したままになってしまうおそれがあるのではないかということを石原さんはかなりいろいろなところで言っておられるようなんですが、私は、必ずしもそうではないと思っておりますし、ILOなんかも、話し合いをしなさい、そうしたらその中から必ずいいものが生まれるという考え方を持っていると思うんです。
 このときに万が一、万が一といいますか、協議を重ねてもなかなか溝が埋まらないような場合に、有識者の話を聞くようなことが必要なんではないかと思うんですね、そんな意味で。ところが、政府側と組合側に言わせれば、それぞれ、いや、この人に聞きたい、この人に聞きたいとなりますので、その辺はひとつ工夫が必要なんではないかと思いまして、例えば労働学会等の推薦を依頼するなどの、選定方法に工夫をすべきではないかと思うんですが、春田室長、お答え願います。
春田政府参考人 私どもも、公務員制度改革の大綱をまとめたり、今まで検討する過程の中でいろいろ、今おっしゃられました有識者の、学識経験者の方にもいろいろな御意見を承っているところでございます。
 これは、今後いろいろ改革を進めていく中でも、やはり広く関係者の方の御意見をお聞きしていくということは大切なことであるというふうに考えておりますので、私どもも、そういう有識者の御意見、関係者の意見というものを十分お聞きしながら進めていかなければならないというように考えております。
大出委員 今、合意に至らなかった場合という先取りしたような話というか、先の話をしているわけでございますけれども、今度、片山大臣にお聞きするんですが、労働基本権問題を議論してきた、なかなか合意に至らないというような場合が起こるとしますね。この間議論がいろいろあるのは、いわゆる関係省庁の話し合いとか、それから政労の合意だとか、それから閣議決定、そして提案ということなんでしょうけれども、その中で見切り発車されると困るなというのが労働界の方の話ですし、私もそういう懸念を持っているわけです。
 これをやっていきますと、ILOの結社の自由委員会の方で、二十日ごろに多分また勧告が出てくると思うんですね。それについて合意に至らない場合、そして二十日に勧告が出るというような場合に、大臣としてはどのようにお考えか、お聞きをしたいんですが。
片山国務大臣 六月二十日に勧告が出るかどうか、今のところ定かじゃないですね。出ないかもしれませんし、出るかもしれない、こういうことなんですが、今の能力等級制度というのは、これは勤務条件そのものじゃないんですよね。しかし、これが給与とリンクすると勤務条件的ですよね。そこで、あれなんですけれども、能力等級制度そのものは私は勤務条件じゃないと思っています。ただ、こっちの方で給与制度とつなごうということになると勤務条件的にはなる。
 そこで、私は、政労というんでしょうか、政府と連合の方と十分な意見交換すればいいと思いますけれども、しかし、法案を出すのを連合の合意がなきゃ出せないということは、これは委員、そういうことはないですよね。法案の提出権は内閣の固有の権限ですからね。だから、できるだけ理解を求めて出すというのが筋は筋だ、こういうふうに思っておりまして、今後ともそういう努力をいたしたいと思います。
大出委員 この間、いわゆる合意ができないと法案を出さないとはおっしゃらないものですから、きょうおっしゃれば新聞ざたですよ、はっきり言ったら。おっしゃらないで、見切り発車といいますか、法案だけ出てしまうということが起こるのかなという懸念が消えないわけですね。
 私は、能力等級制度というのは、当然、それに基づいて給与計算なんかも起こってくるわけでございますから、やはり勤務条件であって、労働条件だと思っているわけですね。それを、労働基本権も与えないで、そのものを勝手に、人事院でなく、代償機関でなく決めるんだとすれば、これはやはり憲法違反ですよ、はっきり言いますけれども。そうでないんだったら、やはり人事院の勧告を出すとかそういうのがなければ、代償機能だけは弱めておいて、労働基本権は上げませんという、それは古いです、はっきり言いますけれども。
 時間が参りましたので、消防職員の団結権をぜひ、付与するのは当たり前だと考えておりますので、この公務員制度改革を機にして、すばらしいと言われる労働基本権というのが憲法にありますから、その権利を付与していただきたい、そういうことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 先ほど来よりるるお話が出ておりますように、消防団の活動は、消火活動のみならず、風水害等の災害、あるいは交通事故、急病等、こういった救急救命活動、レスキュー活動等、極めて多岐の活動が要請をされておりまして、そういった中、まさに人命救出への我が身を捨てての活動というのは、多くの国民の皆さんがその活動に称賛の声を送り、また、尊敬する職業のトップに消防団、消防士が挙げられている、こういうことでありまして、私も心からその活動に敬意を表したいと思っております。
 かつての、九・一一のアメリカを襲った同時多発テロ、あの中で、テレビ放映を見ておりますと、もう真っ黒になって救出作業をする消防士の姿、まさに、テロの恐怖とともに感動のドラマを映し出したと言えるわけでありますが、我が国におきましても、我が国の消防団、消防士、消防職員の皆さんの活躍は本当に心温まるものがあるし、大変な中の活動、深い感謝と敬意を持っているところでございます。
 ところで、こういうとうとい消防団の活動、大きな役割の一方で、深刻な事態と言えるのは、消防団員、この数が年々減少しているという実態でございます。お聞きしますと、かつては二百万人いたという消防団員が、今は九十三万七千人。それなりにいろいろな理由づけはあるでしょうけれども、さきに述べたいろいろな多岐にわたる活動を考えた場合、ますますその役割の大きさを考えたときに、こういった現象はやはり今しっかりと見詰め直し、また検討しなけりゃならないんじゃないか。
 さきに宮城県沖の大規模地震、これが起きました。今後、東海地震あるいは東南海地震等が切迫している、こういった中で、そういう消防団の皆さんの役割、この需要というのはさらに高まってくると思います。
 そこで、まず総務大臣にお聞きしたいと思いますが、この消防団員の処遇の改善や、あるいは消防団、消防組織の一層の充実強化、こういったために今後どのような手を打とうとされているのか、どういう強化を図ろうとされているのか。まず、大臣の御決意なり、今後の取り組みの方途についてお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
片山国務大臣 今、山名委員言われますように、消防団というのは世界にない制度なんですね。いわばボランティア消防といいますか義勇消防といいますか、長い歴史がありますね。江戸中期の町火消しからですよね。これは、ほかに職業を持ちながら、一たん緩急があると出動して消防その他の活動に従事していただく、大変ありがたい存在なんですけれども、今お話しのように、団員数が減少してきておりますし、全体で高齢化している、それからサラリーマン化しているというような、言葉が適当でないかもしれませんが、今いろいろな課題がありますね。二百万おりましたものが、今お話しのように九十三万七千人ですから。
 そういう意味では、まず団員を確保していく。私は、ぜひ当面は百万人を確保してほしい、こういうことをお願いしておりまして、できるだけ若い人に入ってもらう、当たり前ですけれども。それから女性も、最近はもう本当に女性も活発でございますので、女性にも入っていただく。あるいは公的な団体、農協や漁協や森林組合やそういうところでも、よければ、勤務との関係はありますけれども、入ってもらう。あるいは役場の職員も。そういうことを今いろいろとお願いして、努力しているところでございます。
 それ以外では、例えば消防団の拠点施設や装備に対して国が補助金を出す。あるいは団員報酬や出動手当が、これは交付税措置しているんですが、これがなかなか、一年に千円上げるか五百円上げるかというようなベースなんですけれども、これは全体の交付税との見合いがありますけれども、ぜひこれも充実していきたい。
 それから、今、団員の方が消防関係の資格を取るときに、例えば消防設備士だとか危険物取扱者とか、こういう場合に一部の試験を免除しているんですね。こういうことも一つの恩典にしたらどうか。あるいは、これは議員立法でやっていただきましたが、消防団員が自家用車で事故なんかを起こしたときに見舞金を出す。こういうことなどを行ってきておりまして、今後とも、総合的な消防団の強化策、消防団員確保策のために万般の努力をいたしたいと考えております。
山名委員 かつて、一年半か二年前に私も質問に立ったときに、地域の消防団員に、いわゆる在日外国人の皆さん、こういう人たちも希望があれば加える、こういうことを一回検討したらどうかという提案をしたことがございます。公権力の問題もこれあり、なかなか難しい問題だということでそのときは一蹴されてしまったわけですが、こういう、団員がなかなかふえないという状況の中で、やはり地域のコミュニティーに大いに貢献している在日の皆さん方のそういった力もこの際かりる方途も考えてはどうかと、提案をさらに重ねてさせていただいておくところでございます。
 そこで、また次の問題ですが、消防活動とともに今極めて重要な活動の一つに、救急救命士の活動の問題がございます。
 これまで我が国は欧米に比べて救命率が低い、こういう指摘を受けておりまして、そのために、救命率を高めるための救急救命士の業務の拡大というものを私たちも訴えてきたわけでございます。特に、昨年十二月に、厚生労働省と消防庁、総務省の話し合い、検討が行われまして、指示なし除細動といったものについては、いよいよこの四月から実施をされておりまして、それから、いわゆる気管挿管については、来年の七月からいよいよ実施の方向であると聞いておりまして、一歩前進の姿に大変喜んでいるところでございます。
 特に四月から始まった指示なし除細動、この行為によって大変救命率が上がった、こういう成果も聞いておりますが、ただ、地域によってはまだそういう取り組みが全くされていない、こういった地域も多々あるようであります。まさに人命にかかわることであり、救命救急の行為が三分、五分以内に行われることによって、失われるべき命が助かる、こういう、まことに瀬戸際の大事な行為が一部の地域でできていないということはやはり考えなきゃならない問題かと思います。
 したがって、早期にそういった調査、総点検をしていただきまして、体制を一層整備、実施していくべきである、こういうふうに思っておりますが、この件についての御見解をお聞かせいただきたい。
 とともに、あわせて、時間の関係で同時にお聞きしますが、いわゆる除細動があり、そして気管挿入が可能になり、もう一つ、やはり薬剤投与という問題が一つ大きな課題として残っているわけであります。
 この薬剤投与問題、これも救命率の向上にとっては極めて大事な有効な問題だと私は思っておりまして、この問題は今急に出てきた問題ではありませんし、当然検討が進められている、こういうふうには思っておりますが、どういう検討が進められて、いつごろまでに、そういっためどとして実現できそうなのか、その辺の経過等についてもあわせてお伺いをしたいと思います。
若松副大臣 まず、この救急救命士の制度につきましては、公明党の先生方、大変バックアップをしていただきまして、心から感謝申し上げます。
 そこで、処置範囲の拡大の現況と今後の方針というお尋ねでございますけれども、まず、指示なし除細動につきましては、東京消防庁の調査によりますと、昨年の同時期に比べまして、これは四月からいわゆる指示なし除細動が可能となったわけでありますが、従来の制度の場合は心拍再開率が約一七%だったんですが、四月一日以降これが約二八%と、一一ポイント上昇しておりまして、非常に大きな効果を上げていると認識しております。
 しかしながら、先ほど委員も御指摘のとおり、メディカルコントロール体制が整わず、未実施になっている地域も一部あることも認識しておりまして、今後、このメディカルコントロール体制を早急に整備しながら全国的な実施を図ってまいる所存でございます。
 あわせて、気管挿管につきましては、現在、教育研修のためのテキストの作成を行っておりまして、厚生労働省、医療関係者等との連携も十分に図りながら、その円滑な実施に向けて万全を期してまいる所存でございます。
 あわせて、薬剤投与につきましては、現在、ドクターカーで、必要最小限の薬剤の有効性等につきましてデータを収集中でございまして、今、検証しているところでございます。
 薬剤投与につきましては、救命率の向上に大きく寄与するもの、私どもそういうふうに認識をしておりまして、早期実施を目指して、特に厚生労働省等との検討も今進めているところでございまして、何としても関係者の理解を深めながら早期実施を図ってまいりたいと考えております。
    〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
山名委員 ぜひ、この薬剤投与については早期に実現できるように一層の御努力をお願いしたいと思います。
 今回、消防組織法の改正案が出ました。緊急消防援助隊、こういうものが長官の指揮のもとにきちっとできるような法的整備ができるわけでありますが、かつて私も経験した阪神・淡路大震災、八年が経過をしたわけであります。死者・行方不明者合わせて六千四百三十六人、大変な被害を与えた天災、大地震。今その被害から見事に立ち直っているわけでありますが、先月二十六日、宮城県沖を震源とする地震が発生をいたしまして、震度六、マグニチュード七、阪神・淡路大震災を超えるという規模の地震があったわけであります。
 幸い、今回、死者・行方不明者はなかったわけですが、百七十二名の負傷者を出しました。とともに、新幹線の橋脚が損傷したり等の被害が一方で出ている。改めて地震の恐ろしさを見せつけられたわけでありますが、今回のこの宮城沖地震、これはかねてから発生が懸念されていたのとはまた別のものだというふうに聞きまして、これは大変なことだなと、今後起きる危険性のことを考えれば、ぞっとする思いであります。
 とともに、東海地震は、あの一八五四年の安政の東海地震からもう百五十年たっておるわけでありまして、既にもうゆがみが相当蓄積されている、こういうふうに言われておりまして、中央防災会議でも、いつ起きてもおかしくない、こういう見解も出しております。
 そして、その被害は一万人以上の死者が出る、こういうふうに予測しておりますし、東南海や南海地震、昨年この特別法が制定されまして、この四月でしたか、被害想定が発表されました。それによると、津波による死者が二万人以上、こういうことが予想されている。地震列島、地震国である我が国にとって、こういった大規模地震対策というのはまさに喫緊の課題であると言えます。
 一方、テロの恐怖もありますし、消防庁としてなお力を入れていただいている、毒性物質とか生物剤を用いたテロ、BC対策といいますか、こういった対策、災害対策の問題も必要不可欠なテーマでもございます。
 そういった中で、今回の法改正は、国が責任を持ってそういった特殊災害等に対応しようというもので、大変意義あるものと私は評価をしておるわけでありますが、その装備に関連しまして、二点ほどお聞きしたいと思っております。
 一つは、今回、この宮城沖の地震の際でも問題になったのは、電話のふくそう問題であります。電話がふくそうし、全く通話不能になってしまった、したがって、家族、知人が連絡をとろうとしても全く連絡がとれなかった、こういう事態であります。当然、阪神・淡路大震災でもそういう事態はあったわけでありますが、今後の大規模災害のことを考えますと、消防防災の持ついわゆる情報通信の基盤、これが極めて脆弱じゃないんだろうかというふうに思ったわけであります。
 お聞きしますと、消防救急無線というのは今アナログ無線だ、こういうふうに聞いております。アナログ無線ということであれば、そういう意味では、IT国家を目指す我が国の中で消防無線がいまだにアナログというのは極めて時代おくれだと思っておりますし、今後のそういった災害を考えたときに、やはりアナログ無線ではふくそうというものは免れないわけでありますから、当然、消防救急無線のデジタル化というのはもう大事な、喫緊の課題だと私は思っております。
 当然、デジタル化すれば、データ通信ができる、音声通信に加えてデータ通信を導入できますし、無線のふくそうということも避けられます。さらに画像の伝送が可能になる、こういう意味では、極めて広域的な応援体制というのもそのデータをもとに指揮がとれる、こういう利点があるわけでありまして、まずそういった意味で、緊急消防援助隊の装備を一層強化するという観点から、消防救急無線のデジタル化を早急に進めるべきである、こういうふうに思っておりますが、御見解をお聞かせください。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生おっしゃいましたように、この消防救急無線、現状はアナログでございますけれども、デジタル化いたしますと、お話に出ましたように、音声通信に加えまして、データ通信でありますとか画像伝送も可能になるということで、通信時間の短縮化も図られる、それから、お話に出ました、大規模な災害のときに消防救急無線のふくそうを回避できるとか、あるいは、緊急消防援助隊が活動いたしますときに、例えば病院であるとか水利の位置なんかも的確に把握できるといったようなメリットがございます。
 したがいまして、消防庁といたしましては、この緊急消防援助隊の活動に必要不可欠な消防救急無線のデジタル化につきまして、来年度、平成十六年度からおおむね十年程度を目途にしまして何とか整備を進めたいと考えておりまして、今後の予算編成等で助成対象にするとか、いろいろなことを検討してまいりたいと思っております。
山名委員 最後に一点だけ、要望も含めて申し上げたいと思いますが、いわゆる後方支援部隊の問題なんです。
 実際、長期にわたって災害救助のために派遣された皆さんは、交代要員が当然要ります。あるいは、食料やトイレや寝具、こういった輸送が当然必要になります。そういう後方支援部隊、今六十九部隊ということで、これが極めて伸びていない、ふえていないわけですね。いわゆる特別な装備をした後方支援車、これを持つ隊のみを登録対象にしているという現在のこの仕組みがふえない一つの原因だと思っておりますが、例えば、人員を輸送する、そういう輸送車も後方支援の車両ということで認定すれば対象が拡大をすることになるわけであります。
 したがって、これは、これからの大規模災害のときにはそういう意味での後方支援は一層大事になるわけでありますから、この際、国庫補助の対象とし、そういった人員輸送車も登録の対象に位置づける、こういったこともあわせて検討をすべきであろうと考えておりますが、これについて一言だけお答えいただいて終わりたいと思います。
遠藤委員長 石井消防庁長官。簡潔に。
石井政府参考人 お話に出ましたように、緊急消防援助隊は相当整備が進んでいますが、後方支援部隊の登録部隊が余りふえていない、おっしゃるとおりであります。
 そこで、こうした後方支援部隊の装備、車両も充実できますように、今お話に出ました汎用性のある車両等も補助対象にするとかいったようなことも含めまして検討してまいりたいと思っております。
山名委員 ありがとうございました。
遠藤委員長 次に、黄川田徹君。
黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。
 通告に従い、順次質問いたします。
 この消防組織法は、昭和二十二年制定以来、五十六年ぶりの大改正であります。改正案では、現在要綱により設置されている緊急消防援助隊を法定するとともに、大規模・特殊災害が発生した場合に、国が全国的見地から出動を指示できる仕組みを導入する等の措置を講ずることとしております。
 御案内のとおり、有事三法でありますけれども、先週末、参議院で可決成立いたしました。しかしながら、成立はしたものの、同法案はまだ多くの課題を抱えておると思っております。
 特に、その一つに、多くの自治体が問題視していた国民保護のための法制化があります。
 武力攻撃事態対処法では、この事態対処法制の整備は二年以内を目標に実施するものとしておりましたけれども、修正決議で、速やかに計画的に実施するものとされました。附帯決議で、一年以内ということであります。そのため、この国民保護のための法制の輪郭について、地方公共団体や関係する民間機関等の意見を踏まえ、意見書骨子が取りまとめられていることと思っております。
 そこで、大臣に質問したいと思います。この緊急消防援助隊は、二県以上にまたがる地震災害等に迅速かつ適切に国が対処できるようにすることは理解できるわけでありますけれども、今回の改正は、それに加えて、以上の観点から、国民の生命財産を守るため、武力攻撃事態に消防等の地方公共団体の役割をこれから整備していくための一環でもあると私は思っておりますけれども、大臣の率直な見解を求めておきたいと思います。
片山国務大臣 今回のこの法律の改正は、東海地震など大規模地震が大変切迫している、こういう話もありますし、また、一昨年九月のアメリカの同時多発テロを踏まえた特殊災害対策、そういう必要性から、幾つかの審議会等で御意見をいただいたり答申をいただきまして、それを受けて行うものでありまして、先般成立した武力攻撃事態法絡みの、そういう事態を想定しての改正ではございません。
 こちらの方は、武力攻撃事態対応の方は、今後内閣官房に設置される予定の国民保護法制整備本部を中心に検討される、こういうことでございまして、もしそういうことでいろいろな規定が盛り込まれれば、そちらの方が特別法としてこの法律より優先する、こういうことになると思います。
黄川田委員 有事三法に関連してではないということでありますけれども、四月に内閣官房から公表されました「国民の保護のための法制について」において、国民保護法制における都道府県や消防を含む市町村の位置づけが示されておるところであります。大臣としては、地方公共団体の役割についてどのように考えておるか、重ねてお尋ねいたします。
片山国務大臣 地方公共団体の一番の役割は、地域の安全を確保すること、地域におられる住民の生命、身体及び財産を保護すること、これが一番の使命ですね。そういうことからいうと、武力攻撃対処においてもそういう役割はしっかりと果たしていく、こういうことになると思います。
 いずれにせよ、国民保護法制の中で位置づけられると思いますけれども、それを見て我々としては考えてまいりたいと思いますけれども、大きな役割を担うことにはなると思います。
黄川田委員 時間も少ないので、次に移ります。
 緊急消防援助隊でありますけれども、これは、平成七年一月の阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、消防庁長官の通知に基づく要綱により、そして、市町村消防の中から申請に基づきあらかじめ登録することにより、広域の応援の仕組みが設けられて、順次充実されてきたということであります。
 そこで、大臣から、有事とは関係ない、地震災害等の天災への対処であるということでありますけれども、なぜ今法制化を図るのか。これであるならば、平成七年の阪神・淡路大震災の直後に法制化を図っておくべきではなかったかと思っておりますけれども、これについては消防庁長官の見解を求めておきたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 阪神・淡路大震災の教訓等を踏まえまして、平成七年六月に緊急消防援助隊というものも設けまして、これまで充実強化を図る。また、平成十二年の有珠山の噴火ですとか鳥取県西部地震なんかにつきましても、この緊急消防援助隊の出動の要請をしたりしてまいっております。
 今回、なぜかということですけれども、先ほどもお話に出ましたけれども、かねて、いつ起きてもおかしくないと言われている東海地震を初め、東南海・南海地震あるいは南関東直下型地震等の大規模災害、これは阪神・淡路大震災に比べても、さらに被害が甚大で、その範囲も大規模だ、こういうふうに言われているわけでございます。また、NBC災害発生の可能性も指摘されているということでございまして、例えば大地震でいいますと、二つ以上の県にまたがるような規模になりますと、やはり全国的な見地から、例えば東京消防庁のこの部隊はA県のB市に行ってくれとか、別の部隊は別の県のC市に行ってくれとか、こういったような指示を迅速的確にやらないと対応できない。そのかわり、指示をして出動していただいた部隊の出動経費については国がしっかり負担をする。
 こういったことで、国が全国的な見地から国民の生命、身体、財産を守るために責任を持って対応しよう、こういうふうなことで今回法改正をお願いしているわけでございます。
黄川田委員 具体的に、私の地元は岩手でありますので、この緊急消防援助隊でありますけれども、東北・北海道ブロックということでやっておるわけなんでありますけれども、平成八年度から毎年、北海道・東北八道県ですか、これは新潟も入っているんですかね、持ち回りでブロックの合同訓練を行っておるところであります。そして、岩手は平成十一年に開催県になったわけでありますけれども、この合同訓練を開催すると、そのための準備あるいはその経費が本当にかかるわけでありまして、大きな負担となっておるところであります。
 今、財政的な部分も含めて国がしっかりとやるというふうな長官のお話もいただきましたけれども、各県とも厳しい財政状況に変わりはないわけであります。具体的に、今回の改正で、国は、どの範囲まで、また、どのような方法で財政支援をすることになるのか、お尋ねいたしたいと思います。
石井政府参考人 今回の法改正におきましては、実際に出動指示を行った場合に、出動に要する経費は国が負担をする、それから、緊急消防援助隊に従来以上に活躍していただくわけでございますので、基本的な装備等につきまして、あらかじめ総務大臣に緊急消防援助隊の編成、設備についての基本計画をつくっていただいて、これに位置づけをして補助を拡充していきたいと考えておるわけでございます。
 その中で、訓練の話が今出ましたけれども、従来、全国の合同訓練等につきましては消防庁としても所要の予算措置を講じたことがございますが、ブロック合同訓練につきましては、今お話に出ましたように、地方の方でお願いしているわけです。今後は、こうした総務大臣が定める緊急消防援助隊の編成、施設等に係る基本計画に位置づけるとか、今後の予算編成等を通じまして何か助成できないか検討してまいりたいといったようなことを思っております。
黄川田委員 次に、消防団のことについてはたびたび質問しておるわけなんでありますけれども、先ほど、さきの委員さんからもお話がありましたけれども、消防白書によりますと、平成十四年四月一日現在、消防団は三千六百二十七団、消防団員は約九十三万七千人でありまして、消防団はほとんどの市町村に設けられておるわけであります。そして、この団員数は、十年前に比べて、女性消防団員数が八千二百三十四人ふえまして一万一千五百九十七人となっているものの、全体では、四万九千八百二十七人、五%も減少しておるわけであります。
 消防団は、消火活動のみならず、地震、津波や風水害など、多数の動員を必要とする大規模災害時にも重要な役割を果たしておる。これは、国民皆理解しておるところであります。
 そこで、この重要な役割を担う消防団員数の減少を防止するために、消防庁はどのような対策を講じておるのか、そしてまた、その成果はどうであるのか、あわせてお尋ねいたしたいと思います。
若松副大臣 先ほど大臣も若干触れましたが、現在、特にサラリーマン化が大変進んでいるということでの消防団員数の減少、こういった社会環境の変化に伴いまして減少傾向の見られる消防団員数の確保を図るために、四つ、もう一度お話しさせていただきますと、一点目が、消防団の拠点施設の整備や装備の充実に対する国庫補助金の交付、二点目が、団員報酬や出動手当等の交付税措置の充実、三点目が、団員の消防関係資格取得に対する支援、四点目が、若手・中堅団員や女性団員による意見発表の場を設けて士気の高揚を図る、こういった形で、消防団を魅力あるものとするような支援を国として行ってまいりました。
 さらに、先ほど申し上げましたような、いわゆるサラリーマン化ということで、特に、先週私も現場の視察をしてまいりましたが、万が一サラリーマンの方が深夜に消防団に出動すると、翌日はもうふらふらで出勤する、こういったことで、何としても、いわゆる協力事業所ですね、会社の協力もいただかなければいけないということで、協力事業所向けの表彰の創設、または、事業所の理解や協力を得られるPR、こういったこともやっております。
 消防団員数は、全体としては漸減傾向にあるわけですが、大都市など若干増加の傾向も見られるところもございまして、特に東京都を含む十七県におきましては、いわゆる増加が見られたところでございます。
 そういう意味で、今後とも、消防団の重要性と活動環境の整備につきまして、やはり国民の皆様の御理解が必要でございますので、消防団員数の確保に向けたPRをしっかり国としても行ってまいりたいと考えております。
黄川田委員 また、本法案の改正案では、消防に関する教育訓練の機会の提供も規定されたところでありますので、あわせて自主防災組織の育成、これもしっかりと強化していただきたいと思っております。
 それで、次は、宮城県沖地震、五月の二十六日ですか、災害対策特別委員会でちょっと質疑時間がなかったので、二点聞きたかったことをこの場でちょっと聞いていきたいと思います。
 大規模災害時の情報伝達についてであります。
 去る五月二十六日の宮城県沖での地震が発生した際でありますけれども、多くの人々が固定電話や携帯電話から安否の確認などを行おうとしたわけでありますけれども、電話をかけてもほとんどつながらない状況が続いたわけであります。これは、電気通信事業者がネットワークの機能の維持を図るために一般の利用者の電話を規制している、そのためだと聞いております。
 実際のところ、ほとんど電話がかけられなくなるまで規制が行われている、そういうことでありますけれども、このような災害時においては、逆に、可能な限り電話が使えるようにすることが私は大事だと思っております。
 そこで、災害時における通信規制は、これはどのように行っておるのか。そしてまた、今回の地震の際は、この電気通信事業者が過剰な通信規制を行っていたのではないかとも私は思っておりますけれども、総務省の見解はいかがでしょうか。
有冨政府参考人 通信規制でございますが、このことにつきましては、二つの観点で規制が行われております。
 災害時等におきましては、通常の数十倍もの通話が殺到いたします。そうしますと、ネットワーク機能に多大の支障を与えるおそれがあるということで、これを回避するということが一つでございます。
 二つ目が、一一〇番あるいは一一九番等の緊急通報、さらには消防、気象庁などの災害関係機関が行う災害予防等の通信、こういった重要通信を優先的に取り扱う、こういうことのために利用者からの一般の通話に対しまして一定の規制が行われる、こういうことでございます。
 規制の程度でございますが、通信の規制につきましては常に各事業者がそれぞれのネットワークを通る通信量を見ながら必要最小限の規制を行う、こういうことでございますが、今回の地震におきましては通常の二十ないし四十倍の電話が殺到したということでございます。したがって、一般の固定電話について、被災地向けの通話に対する規制でございますが、これは、例えば全国から東北地方にということにつきましては八〇%の規制をかけておったということでございますけれども、被災地内の通話に対する規制は行っていなかったというようなことでございます。
 また、携帯電話につきましてでございますが、被災地向けの通話の規制のほか、基地局で端末からのアクセスが制限をされておりますけれども、その間におきましては、携帯電話の基地局の無線回線はほぼ一〇〇%使用中であったというふうに聞いておりまして、被災地における通信設備は可能な限り利用されておったというふうに認識をしております。
 したがって、電気通信事業者が過剰な規制を行ったというようなことではなくて、重要通信等を確保するためにやむを得なかった措置であるというふうに認識をしております。
黄川田委員 局長の答弁のとおり、災害時に電話が殺到する場合、ある程度の規制、これはやむを得ないことと私も思っておりますが、逆に、このような災害時こそ、安否の確認、これが必要となるわけであります。今回の地震の際にもこの安否確認用の通信手段として災害用の伝言ダイヤルを運用したと聞いておりますけれども、これは、一般の利用者にはその利用方法が余り知られていないのではないかという気もいたしております。
 そこで、この災害用伝言ダイヤルを有効に活用するために、この災害用伝言ダイヤルの利用方法について、ふだんから利用者に対して周知を徹底する必要があるのではないかと思っておりますけれども、この具体的な利用方法も説明していただきながら、答弁をお願いいたしたいと思います。
有冨政府参考人 先生今お尋ねのとおり、災害用の伝言ダイヤル、被災地住民の安否確認の手段としては、今NTTが、これはNTT東西とコミュニケーションズでございますが、提供をしておりまして、またNTT以外の電気通信事業者の利用者も利用可能であるというようなことでございます。そして、こういったことは、被災地への電話の集中を回避するという観点で災害時のふくそうの軽減にも有効である、こういうことでございます。
 災害用の伝言ダイヤルのやり方でございますけれども、知らせたい場合ですが、例えば被災地からでございますと、一一七をまず回しまして、そして一を回しまして、自分の電話番号を回します。それから、知りたいというときには、一一七を……(黄川田委員「一一七じゃなくて一七一じゃないですか」と呼ぶ)ごめんなさい。一七一でございました。失礼いたしました。一七一を回しまして、二を回しまして、そして自分の番号を回しますと、お互い伝言ダイヤルでコミュニケーションができる、こういうような仕組みになっております。
 そして、この災害用の伝言ダイヤルにつきましてでございますが、平時から、例えば防災訓練の場等を通じましてパンフレット、ウエブ等による周知を実施しておりますし、今回の地震の際においては、NTTは報道発表等を行いまして、テレビのニュースを通じて利用方法の説明を含めた周知報道を実施したということでございます。
 NTTによりますと、今回の宮城県沖での地震の際には、約二万件の伝言の録音がありまして、約四万件の再生の利用があった、このように聞いております。
 御指摘のとおり、災害用の伝言ダイヤル、これを有効に活用するためには利用者に対する周知が重要と認識しておりますが、平時はもとより、特に災害発生時におきまして、電気通信事業者、関係機関等と連携をしまして災害用の伝言ダイヤルの利用の周知に努めてまいりたい、このように思います。
 なお、最近ですと、携帯電話のインターネットを利用したメール等がございますけれども、これは、回線を占有する音声の電話と異なりまして、ふくそう時においても、時間的なおくれはありますけれども、有効に活用できるということもございます。したがって、携帯電話のメールの活用ということについてもあわせて周知を図っていきたい、このように思っております。
黄川田委員 時間でありますので、終わります。
遠藤委員長 次に、春名直章君。
春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
 現行の消防庁長官の措置要求の仕組みに加えて、消防庁長官による指示の規定を盛り込むことに関連して、質問したいと思います。
 一九九五年に創設された緊急消防援助隊ですけれども、その活動を私も消防白書で拾ってみました。九六年十二月の新潟・長野県境で発生した土石流災害に東京消防庁と名古屋市消防局が、九八年九月の岩手県内陸北部の岩手山付近の地震で仙台市消防局と東京消防庁が、二〇〇〇年の有珠山噴火火災で札幌市消防局と仙台市消防局、東京消防庁、横浜市消防局、川崎市消防局が出動する、同じく同年十月の鳥取県西部地震で広島市消防局と神戸市消防局、二〇〇一年三月の芸予地震で大阪市消防局、神戸市消防局、福岡市消防局、岡山市消防局、北九州市消防局などが出動した、こういうふうになっております。
 既に現行の仕組みで緊急消防援助隊を組織して、消防庁長官が知事に要請する仕組みがあって、それを大規模災害時には適用されています。これまでの活動で何か不都合なことがあったのかどうか、この点を、まずお聞かせいただきたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 緊急消防援助隊、今先生おっしゃいましたように、平成七年六月に創設されて以来いろいろな活動をいたしておりますけれども、これまでのところ、特に、今までの要請といいますか措置の求めで、不都合があったというようなことはございません。
 ただ、今後予想されます東海地震等の大規模災害、あるいはNBC災害といったような特殊な災害ということになりますと、全国的な観点から国が指示をする、こういった仕組みがどうしても必要だということで、今回法改正をお願いしている次第でございます。
春名委員 今お話が出た指示という制度を導入するという一方で、現行の消防庁長官が要請する制度も残しておられるというのは、今のままの制度であっても十分その役割を果たしてきているということでもあろうと思うんですね。今度の制度は、今言った、その現行の制度は残しつつ、新たに消防庁長官による指示の規定を盛り込むことになるわけだと思います。
 したがって、ここでよく確認をしておきたいのは、この指示と要請に分かれる基準は一体何か。今私が申し上げた幾つかの事例、白書にあった事例などは長官の指示の対象になるのかどうか、この切り分け、区別、そこをお答えいただきたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 災害にはいろいろな態様がございますけれども、特に長官の指示の対象になる災害としますと、法律上、大規模な災害で二つ以上の都道府県に及ぶもの、それから、毒性物質の発散その他の政令で定める原因により生ずる特殊な災害というふうに限定しているわけであります。
 例えば、地震で申し上げますと、具体的には、東海地震、東南海・南海地震、南関東直下型地震など、あるいはこれに準ずるような災害、それから、かつてありました地下鉄サリン事件のような、通常の消防力ではなかなか対処できないような特殊な災害、こういったことを想定いたしております。
春名委員 そうしますと、今私が申し上げた五つの事例、これらは、この指示の対象にはならない事例ということになりますか。
石井政府参考人 法律上も、例えば地震で申しますと、一つの県内におさまるような地震につきましては、従来どおり要請というふうに考えておりますので、今例に挙げられましたものは、今までの求めで大体対応できるんじゃないかと考えております。
春名委員 今度は、求めるということとは異なって、消防庁長官による指示ですので、これは要するに、正当な理由がなければ断れないということですし、応じなければならないということだと思うんですね。
 御存じのとおり、消防は自治事務でありまして、その世界に国の機関である消防庁長官による指示の権限を持ち込むということについては、慎重にやる必要があると思いますし、それなりの理由がきちっと立つということが欠かせないと思うので、このことを聞いているわけです。
 改めてここを確認しておきたいと思いますが、指示権をどうしても規定しなければならないということの理由と、その限定的な場面だということについて、これは自治事務ですので、改めてその関係を明確にしておいていただきたいと思いますので、再度お願いします。
石井政府参考人 災害にはいろいろな態様のものがありますので、細かな点になりますと、どこが線引きの限界かというと、いろいろ議論がありまして、その点は今後詰めることになると思いますが、先ほど申し上げましたように、東海地震や東南海・南海地震、南関東直下型、あるいはこれに準ずるような地震、あるいはかつての地下鉄サリン事件のような特殊な災害、こういったものを想定して、そういう改正をお願いしているわけでありまして、その趣旨に沿った運用に努めてまいりたいと思っております。
春名委員 広域的な消防体制の整備は、否定もしませんし、重要だと思います。私も、南海地震が起これば、もろに地元にもなりますし、そういうことを想定しなければならないので、そのこと自身を否定するつもりは全くないんです。
 次に論点として聞いていきたいのは、大事なのは、やはりその事態をよく知っている地元の消防体制をしっかり強化すること、これがあってこそ初めて広域的な機能が発揮されるということになるわけですね。阪神大震災でも全国から応援があったけれども、やはり一番大きく役割を果たしたのは地元の消防だというのは、自明のことだったと思います。その点では、日ごろ、地元の消防体制の整備を忘れてはならないと思うんです。
 先ほども出ましたが、先日、神戸市で、民家の火災消火に当たって、三名の職員の方がお亡くなりになり、十名が負傷されました。御冥福をお祈りするとともに、御回復を祈りたいと思います。
 それにかかわって、少し気になることがありますので、聞いておきます。
 六月三日付の朝日新聞に出ているんですけれども、この事故が起こった一つの要因ではないかというのが、消火活動における住民、消防職員の安全性をチェックする安全管理員が置かれていなかったことが惨事を引き起こした一つの要因ではないかと指摘がされています。
 翻って、「消防職員の安全管理マニュアル」というのを私も詳しく読んでみました。そうしますと、火災防御行動の安全を図るためには、個人レベルでの安全行動とともに組織的な対策が必要である、安全管理の指示・命令責任者と不安全状態をチェックする担当者を定めて、危険を見逃すことがないようにしなければならないということが明確に述べられています。
 今度のこの神戸での悲惨な事故は、このことは要因となっていないのでしょうか。どういうふうに御認識されているのでしょうか。その点、お答えください。
石井政府参考人 災害現場におきましては、消防活動にはどうしても危険が伴うものでございますので、各消防機関におきましては、消防庁が示しております市町村消防計画の基準等に基づいて、それぞれ地域の事情もありますから、独自の火災防御に関する計画、規程等を定めて、部隊の運用、安全管理を行っているわけであります。
 神戸市の場合ですけれども、私も先週現地に行ってまいりまして、説明も受けたわけでありますけれども、警防規程等に基づきまして、建物火災に関しましては、小規模な火災も含めまして、必ず救助隊を二隊出動させる、そして、この二隊のうち、先着の救助隊長が救助指揮隊長として安全管理員の役割を兼ねるとともに、他のもう一隊の救助隊が安全管理面を含めたバックアップを図る、こういう仕組みにしているということでございまして、救助事故等で一隊の救助隊が出動した中で四名の隊員の中から一名を安全管理員に指名するという場合よりも、むしろ充実した安全管理体制をとっている、こういう報告を受けているわけでございます。
 神戸市消防局のこの事故の問題は調査中でございますので、今後の詳細な調査結果を踏まえまして、神戸市当局とも相談をしまして、安全管理のさらなる徹底にしっかり取り組んでいきたいと思っております。
春名委員 安全管理員が現場に配置されていなかったということはなかったということなんですか、この場合は。
石井政府参考人 神戸市の救助指針でございましたか、そこには、救助隊、普通四人で構成しますが、そのうちの一人を安全管理員として置くというような書き方になっているんですけれども、これは、共通事項として、いろいろな場合について書いてあるんです。
 神戸市の説明では、高速道路上の交通事故ですとか、そういうような場合はそういうことで対応しているんですが、火災の場合は、小規模な火災であっても、むしろ救助隊を一隊じゃなくて二隊出して、つまり八人出して、そして、その先着の救助隊長に、さっき申し上げました安全管理員の役割も兼ねてもらう。それから、もう一隊の方が安全管理面も含めたバックアップをする。ですから、むしろ、火災の場合は、それ以外の場合に比べてもっと充実した体制をとっているんだ、こういうのが神戸市の説明でありまして、私どもも、そういうことであれば理解できるなと思っております。
 ただ、今後、さらにいろいろな調査をしまして、適切に対応していきたいと思っております。
春名委員 基準はわかったんですが、この記事によりますと、この火災は安全管理員が現場に配置されなかったことが一つの要因になっているという記事になっているわけですね。それは偽りであって、むしろ、充実した体制で、二隊八人で対応し、そのうちのお一人が安全管理員も兼ねてきちっとした対応をしていたけれども、やむなく起こった事故であるということなのでしょうかということを聞いているのです。
石井政府参考人 事故の原因等につきましてはまさに今調査中でございますけれども、安全管理員の面でいいますと、神戸市の救助指針に、共通事項として、さっき申し上げた安全管理員の記述があるのは事実ですけれども、火災の面はむしろそれよりも充実した体制をとっていたと。ですから、安全管理員を特にそこで四人のうち一人指名しなかったことが今回の事故につながったという、そういう認識では神戸市消防局はありませんし、私も、その説明を聞いて、それはそれで理解できるなと考えたところでございます。
春名委員 充実した体制をとって取り組まれるということは非常に重要なことでして、そのことを大いに奨励する必要があると思うんですが、現実にこういう指摘もされていますので、また、その原因についての分析は今途上ということでもありますので、後に私にまた詳しく教えていただきたいということをお願いしたいと思います。
 そこで、こういう問題を一つ考える際の背景で、消防関係の国の支援の問題についてですが、まず、地方交付税の対象に係る消防関係経費、消防費の九九年から最近までの各年度の基準財政需要額と決算額の推移、教えてください。
石井政府参考人 地方交付税における消防費と決算の比較ということになりますと、例えば、技術的な面がありまして、退職手当等を除いて算出した基準財政需要額と投資的経費を除いた消防費の決算を比較するとか、統計上の制約があるものですから同じようなもので比較しなきゃいけませんが、そういう数字で申しますと、委員おっしゃる一九九九年、平成十一年度は、基準財政需要額が一兆五千四百三十三億円、それから決算額は一兆六千四百四十八億円、したがいまして、比率でいうと九三・八%でございます。以下申し上げますと、十二年度は、需要額の方が一兆五千三百九十億円、決算額が一兆六千五百七億円、比率が九三・二%、十三年度は、基準財政需要額が一兆五千六百二十九億円、決算額が一兆六千六百八億円、比率は九四・一%となっておりまして、全体としては、基準財政需要額がやや下回っていますけれども、おおむね見合っているのではないかと思っております。
 また、消防補助金の各年度の当初予算額ですけれども、これは、平成十一年度は百九十億円ちょうどでございます。それから、十二年度が百八十八億七千万円、それから十三年度が百九十億円、これもちょうどでございます。それから、十四年度が百八十億九千万円、それから十五年度は百七十五億四千二百万円、こういうふうになっております。
春名委員 前段は、要するに、今でも消防力の基準を大きく割り込む充足率にとどまっている。その到達を反映している決算額、これと比較しても、地方交付税に算入される基準財政需要額がそれよりまだ少ない。今数字を挙げられたように、九三%から九四%しかないという状況だということが今の話でわかりました。
 後半は、私はまだ質問していなかったんですが、先読みして答弁していただいたんですが、消防庁関係の補助金の推移は年々低下傾向にあるということが今の報告でわかりました。
 一方、火災の発生件数の推移を見てみますと、九八年、五万四千五百十四件、九九年、五万八千五百二十六件、二〇〇〇年、六万二千四百五十四件、二〇〇一年、六万三千五百九十一件と、火災の発生件数の推移は増加の一途であります。
 消防力基準の充足率は、消防職員では、いまだに七六%です。そのもとで、消防職員の、あるいは消防団の死者、そして負傷者数、この推移を見てみますと、九八年が二千三百四十六名、二〇〇〇年が二千五百五十七名、二〇〇一年が二千七百五十五名、二〇〇二年が二千七百六名。これも、死者、負傷者でいえば増加傾向になっております。
 こうした状態が遠因となって神戸の悲劇もつくっているんじゃないかと思うんですね。つまり、基準財政需要額が決算額よりも少ない、そういう財政支援の実態、消防庁関係の補助金も減少傾向、一方、火災は、発生件数は確実に増加をしている、そのもとで死者や負傷者数の推移が増加傾向になっているというふうに、この数字を見ますと、現状そうなっているわけです。
 つまり、そういうところから、私は神戸市の悲劇ということを一つの衝撃的な事実ですので例に挙げていますけれども、こういう全体の国の財政の支援の問題が横たわっているという認識はないのでしょうか。その点は、大臣も含めてちょっとお答えいただけたらと思います。
片山国務大臣 今、国の補助金、負担金を全体的に見直していこうということなものですから、総量はある程度減っていると思いますが、できるだけ使いやすいようにしろと、財務省が厳重な注文をつけているものを、これはだんだん直させています。それから、補正もありますし、できるだけ実際の市町村のそういう需要にはこたえていこう、こう思っております。
 全体の地方財源については、今、三位一体の改革をやっておりまして、自主性を強化しながら必要なものはしっかり確保していく、こういうことで今後とも努力いたしたいと思います。
遠藤委員長 石井消防庁長官。簡潔に。
石井政府参考人 基準財政需要額、決算額に比べますと、さっき申し上げましたように九三、四%ですから、先生おっしゃいますように、決算額よりも少ないじゃないかと、これは御指摘のとおりなんですけれども、御承知のように、交付税制度、基準財政需要額をはじきますときに、一方で留保財源等もございますから、通常、御承知のように、ほかの行政分野でもどうしても決算額が地方財政計画を下回るような感じになっておりますので、それは、私、消防を担当する立場からしますと、もちろんできるだけ基準財政需要額が決算額に近づくのは望ましいと思いますけれども、まあそういう面もあるのかなと。
 しかし、だからといって、そのことが、今回の神戸市の事故につながっている、あるいは火災がふえているというところに直ちにつながっているとは必ずしも思っておりません。
 しかし、いずれにしても、今後とも、火災防止あるいは事故防止のためにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
春名委員 以上で終わります。
遠藤委員長 次に、重野安正君。
重野委員 社民党の重野安正です。
 それでは、早速入りますが、まず、問題になっておりますSARSについて聞いておきたいと思うんです。
 このSARS患者の搬送について、保健所あるいは公立病院等々の対応問題はもちろんでありますけれども、患者輸送に当たる消防機関の対応、これも非常に重要だと思います。実際の搬送に当たることも当然想定されるわけでありまして、そういう面で、どういう対応状況になっておるのか、あるいはそれに対する対策はどのように講じられておるのか、まず聞いておきたいと思います。
石井政府参考人 SARSにつきましては、現行の関係法律の規定によりますと、まず、SARSと診断されまして、都道府県知事が入院を勧告または命令した方、この方の医療機関までの搬送は、都道府県知事、具体的には都道府県の衛生部局になると思いますが、その責任において行うということになります。
 しかしながら、SARSの疑いのある患者の搬送につきましては、現在、都道府県においてSARS患者発生時の行動計画というものを定める中で、消防機関と調整をしてやっているということでございます。
 いろいろなパターンがありますが、基本的には保健所等で対応する方向で考えている都道府県が多いと聞いておりますが、緊急時でありますとか大量発生時などについては、車が足りないといったようなこともありましょうから、消防機関に搬送の協力を求めるということも想定されるわけであります。
 また、SARSと知らずに搬送する場合も考えられますことから、消防機関に対して、私ども、マスクでありますとかゴーグルの着用ですとか、標準的な予防策の徹底をお願いしている、こういう状況でございます。
重野委員 地域によっては、そういう搬送態勢が間に合わないというようなケースも出てくると思います。その場合、やはり、まず最初に救急車ということになるかもしれません。したがって、今の説明によりますと、一義的には衛生部局が対応するということですけれども、消防においても、今言いましたような状況を想定して、体制をきっちり整備しておくことが必要であろう、このことを申しておきたいと思います。
 次に、消防組織法二十四条の三第五項で、消防庁長官による緊急消防援助隊の出動の指示が創設されているわけでありますが、同時に、今回の広域的な緊急対応体制の充実のための法改正によりまして、現行の市町村消防の原則というものとの兼ね合いの問題が私は一つ指摘されるのではないかと思うんですが、その点はどういうふうになるのかということが第一点。
 それから二つ目は、消防組織法二十四条の三第五項の消防庁長官による緊急消防援助隊の出動の指示と、もう一つ、地方自治法上の指示、これはどう違うのか、その点。
 それから、個別法で指示を広げるということになりますと、国の関与を縮小しようとした分権一括法、この精神との兼ね合いの問題が出てくるのではないか、このように考えるんですね。その辺はどういうふうに受けとめたらいいのか、説明していただきたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国の消防、おっしゃいますように、昭和二十三年の消防組織法施行以来、市町村消防ということを原則にしてその充実強化を図ってまいっているわけでございます。
 今後もその基本は維持していきたいと思っているわけですけれども、先ほど来も議論がありましたように、想定されます東海地震あるいは東南海・南海地震、南関東直下型地震なんかを例にとりますと、被害の規模が阪神大震災よりもさらに大きくて、二つ以上の県にまたがる、こういったような事態でありますので、私どもは、むしろ、市町村消防の原則を守っていくためにも、そういった場合には、やはり国が全国的な観点から補完的な役割を果たさせていただく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
 なお、自治法との関係をお尋ねでございますが、地方自治法上の指示と同じと考えております。
 御承知のように、地方自治法の二百四十五条の三ですか、ここにも、一般的には、消防の事務は自治事務ですから指示は原則としてできないんですけれども、この自治法の規定でも、国民の生命、身体、財産の保護のために緊急に必要な場合、これは指示してもいいんだということが標準的な国の関与のあり方として定められておりますので、私どもは、地方分権一括法による改正後の地方自治法の精神に照らしても、今回の消防組織法の改正はその原則に従っている、こういうふうに考えております。
重野委員 次に、消防庁長官の指示権の対象となる災害等について説明がありますけれども、例えば、「毒性物質の発散その他の政令で定める原因により生ずる特殊な災害」、こういうふうな書き方があるわけですけれども、それは一体どういうふうなものを想定しているのかということが一つ。
 それから、新時代にふさわしい常備消防体制の在り方研究会報告、その中で、テロ災害、NBC災害等の極めて特殊な災害も対象としております。
 放射性物質の発散による災害、先般そういう大事件があったわけですけれども、放射性物質の発散による災害もこの対象の中に入っておるのかどうか、これはどうでしょうか。
東尾政府参考人 お答え申し上げます。
 消防庁長官の指示の対象となる特殊な災害についてでございますが、法律に例示しております毒性物質の発散のほか、生物剤物質の発散、それから、ただいまおっしゃいましたテロ災害、NBC災害に関連する災害、事故、また、事業者責任の原則ということはございますけれども、放射性物質にかかわる事故も想定しております。
重野委員 次に、緊急消防援助隊の出動に要する経費の問題であります。
 緊急消防援助隊が区域外に出動を求められることに伴って必要となる経費負担、現在は、相互応援という観点から交付税措置等の財源で賄われております。今回、指示を受けて出動した緊急消防援助隊等による、そのことにかかわる国の財政措置が規定されたということは評価できると思います。
 そこで、まず、二十五条一項の「政令で定める経費」というのはどのようなものを想定しておられるか、それが一つ。政令を定めるに当たって、市町村が不安なく出動できるよう国の財政負担を充実するという方向なのか。
 なお、二十四条の四第二項の計画に基づいて整備される施設であって政令で定めるものに要する経費は、政令で定めるところにより、予算の範囲内において国が補助するもの、こういうふうに書いておるんですが、これは非常に回りくどい言い方で、一体どういうことを言おうとしているのかなかなか理解しがたいんですね。こういう書き方というのは、下に行けば行くほど困るんじゃないかと思うんです。もっとどうかした書きぶりはないのか、このように思うんですが、この点についてはどうでしょう。
東尾政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、特殊勤務手当、時間外勤務手当その他政令で定める経費でございますけれども、今回は、指示を受けまして出動します緊急消防援助隊に要する経費のうち、隊員の特殊勤務手当、時間外勤務手当や旅費、燃料費など、指示に基づいて活動したことによりまして増加し、または新たに必要となる経費については、国で負担しようというものでございます。
 また、これを安心して活動できるようにどのように考えるかということでございますが、具体的な範囲については、これから消防機関の実態を十分調査した上で決めたいと思っておりますけれども、その実態にそぐいますよう、政令で定めるように考えております。
 また、国庫補助の対象についての書きぶりにつきましてでございますが、これについては二つの要件がございます。総務大臣が定める基本計画にまずこれを盛り込まなければいけない、また、その中で政令において定める、この二つの要件がございますので、先生御指摘のように、やや回りくどい表現になっております。
 この問題につきましては、現在のところ、ポンプ自動車や救助工作車などの消防車両、高規格救急自動車、また部隊間の連絡に関する無線、ヘリコプター等について定めることを想定しております。
 また、政令で定めるところにより補助するというこの書き方も、今御指摘ありましたが、これについては補助率について想定しておりまして、現在、御存じのとおり、一般的には、消防の資機材については三分の一または二分の一の補助を行っておりますけれども、緊急消防援助隊がみずからの管轄区域を超えて活動するものでございますので、地方団体の意見も踏まえながら、現在の補助率よりも高い補助率となるように努力したい、こういうことで規定しておるものでございます。
重野委員 この問題が、実際にこの法律を発動し、運用する場合に、現実的な問題として一番問題になってくると思うんですね。したがって、この辺は、関係各地方、そういう部隊編成をするわけですけれども、そういう編成の衝に当たる地方自治体と十分な意見のすり合わせをして、これが実効あるように努力していただきたい、そのことを申しておきたいと思います。
 次に、ジェー・シー・オー事故がありました。その際、放射性物質に対する十分な装備がなく救助に突入したという経緯があります。緊急消防援助隊の装備、資機材の充実というのは極めて重要な問題であります。
 そこで、装備、資機材等に要する経費の負担については、通常の消防事務と同様の財政措置が行われているわけですが、特殊災害用資機材について、今回、消防組織法第二十五条の二として、消防用国有財産、物品の無償使用の規定が創設されました。緊急消防援助隊の装備、資機材の充実強化を図るため、二十五条第二項の施設と同様、国の責任度合いに見合う補助を考える必要があるのではないか。弾力的なというか、臨機応変というか、そういう対応というか、基本的な考え方が私は非常に重要だ、このように思いますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
石井政府参考人 補助率等につきましては、今お願いしている法律が通りましたら、今後、予算編成過程で定めていくということになるわけですけれども、消防庁といたしましては、ただいまも議論になりましたように、緊急消防援助隊が、大規模・特殊災害時の全国的な観点からの緊急対応体制を強化するという趣旨により、個々の消防本部から見ますと、自分の管轄区域を超えて国民の生命、身体、財産の保護のために消防活動を行う、こういう性格でございますので、現行の補助率よりも高い補助率とする。
 消防補助金は、今、大体原則三分の一ですが、例えばテロ資機材等につきましては二分の一にしたり、あるいは、補正予算ですけれども、九・一一の後、テロ関係資機材を国が取得して無償で配付するというようなこともやったりした例もございます。したがいまして、できるだけそういう高い補助率とするように、ここに片山大臣おられますけれども、頑張っていきたいと思います。
 また、施設設備の性質によりましては、国有財産なり物品の無償の使用の規定、今お話に出ましたが、これもできるだけ活用していきたい、こういうふうに考えております。
重野委員 ぜひ、そういう方向で努力していただきたいと思います。
 次に、二十四条の四第二項に定める緊急消防援助隊としての計画に基づいて特殊な訓練を行う、今までにない訓練が要求されるかもしれません、そういう場合の費用について、国はどういうふうな支援策を考えておられるんでしょうか。
 あわせて、大変困難な仕事でありまして、もしかして消防職員がけがをしたりあるいは殉職したときの、国としての補償やあるいは見舞金などの措置というのは当然あるんだと思うんですが、そういう点についても検討されておるのかどうか、確認しておきたいと思う。
石井政府参考人 まず、緊急消防援助隊の訓練経費でございますが、これは、これまで全国で合同訓練をいたしますときは、消防庁として所要の予算措置も講じたところであります。
 また、消防大学校で緊急消防援助講習会といったようないろいろな訓練をやっておりまして、こういうことも、これからもやっていきたいと思います。
 この緊急消防援助隊の訓練、これは大事でありますので、今後、総務大臣が定める緊急消防援助隊の編成及び施設等に係る基本計画というのが法律に位置づけてありますけれども、この計画に位置づけをしまして、その内容の充実を図る。できれば何とか来年度予算の中で財政支援ができないか、検討してまいりたいと思っております。
 それから、不幸にして緊急消防援助隊の隊員に事故等があった場合のお話ですけれども、緊急消防援助隊の活動は、一定の場合に消防庁長官の指示によって出動するということもありますけれども、全体としては、地方公共団体の相互の広域応援という法律的な位置づけになっておりますので、緊急消防援助隊の隊員は地方公務員として活動する。したがって、公務災害補償についても、地方公務員災害補償法の適用がなされるものでございます。
 また、不幸にして、例えば職務遂行によって殉職というようなことが仮にあった場合、これは当該隊員が所属する市町村なり県の規程等に基づいてそれぞれ賞じゅつ金が支給されるということになりますが、国としても、その功労に対して賞じゅつ金を支給することにしております。また、賞じゅつ金の支給等を行った市町村に対しては、これは特別交付税等の財源措置をするというふうに考えております。
重野委員 これが成立いたしますと、いよいよ、現場で働く消防職員の方々、そういう枠の中で頑張るわけです。自信を持って安心して業務に精励できるような条件整備、そういうものも十分にやっていただきたい、このことを重ねてお願いしまして、質問を終わります。
遠藤委員長 次に、金子善次郎君。
金子(善)委員 保守新党の金子善次郎でございます。
 最初に、市町村合併と消防組織の関係につきまして御質問させていただきたいと思います。
 今、市町村合併というものが強く推進されている過程にあるわけでございますけれども、消防も市町村行政の基本的な仕事という位置づけでございますので、消防の分野においても、いろいろな課題が合併問題と絡んで生じてくる懸念もあるのではないかというふうに思われます。
 一方、広域消防については、既に全国で消防本部数が八百九十四ということのようでございますが、市町村数に比べますと三分の一程度というようなことで、広域化がある程度進んできておりますけれども、まだまだ道半ばというような状態にあるのではないかと思います。
 そういう中で、小規模消防本部、これを解消する方策というものをある程度強力に推進していく必要があるのではないかというふうに思われます。特に、近年におけるいろいろな災害、そういうものに対応する専門的な要員の確保、あるいは資機材の整備などを考えますと、なおその感じを一層強くするわけでございますが、これにつきまして、どのような考え方で消防庁は対応しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
岩永大臣政務官 先生のおっしゃるとおりでございまして、やはり、おおむね十万人以上の人口に一つというのが適正ではないか、このように思っているんですが、現在、残念なところ、八百九十四にいたしましても、約三分の二が十万人以下の小規模だということでございます。
 おっしゃられるように、資機材のグレードアップの問題だとか、専門職員の配置の可能性だとか、職員のローテーションの問題だとか、研修に出しやすいとの問題で、やはり十万人以上がいいんじゃないか、このように思っております。
 平成十三年の三月に消防庁長官名で知事あてに見直しの通知を出しているわけでございますけれども、今回の町村合併においても、町村合併が小さかったら一町一消防という形でまた小さい消防本部ができるんではないか、こういうことのために、広域再編アドバイザー制度というのをわざわざつくって、そして、合併並びに広域消防の指導にずっと消防庁初め総務省から歩いているところでございます。
金子(善)委員 そこで、ちょっとお伺いしますけれども、今の市町村合併というのは、単に消防の問題だけでなくて、いろいろな観点からの合併というものが考えられるわけでございます。いろいろな要素が絡んでの合併実現に向かっていると思います。
 消防は、ある意味においては、廃棄物の処理などと並びまして先行的に広域化されている面があるわけでございますが、今回の合併の推進と広域消防の区域の問題、その辺はどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
岩永大臣政務官 確かに、そごを来す部分がありまして、私も滋賀県ですが、滋賀県の愛知郡というのはそういう部分でのそごを来しております。
 しかし、やはり町村合併というのは大変大事でございますので、それは一つ一つの課題を解決していくように双方の努力をしていただかなきゃ、もう本当に話し合いで、消防だけじゃなしに、ごみ処理の問題、いろいろな問題が合併の中に課題としてはあるわけですから、そこらあたりはお互いの合併市町村の中での話し合いによらなけりゃしようがないんじゃないか。そういう中で、こちらへ来られた場合には、こちらからまたいろいろなアドバイスをしていく、こういうことにかかっていくんではないか、このように思っております。
金子(善)委員 できるだけ行政区域というものは、せっかく市町村合併が実現した折にはどういう視点でいくかということをやはり消防庁としても明確に出されておいた方がいいんではないか、一部そういういろいろな意見等も地方団体の方においてはあるようでございますので、その辺、よく検討をいただければというふうに思います。
 次に、消防団の組織についてお伺いしたいと思います。
 近年、消防団の組織というものは、昔から見ればなかなか消防団の数も減ってきているというような状況がございますが、とはいえ、消防団の活動というのは、いわゆる災害、火災等においては極めて重要な機能を果たしているというふうに思います。
 そういう中ででございますけれども、これも合併に関連してお伺いいたしますが、消防団という組織は地域性が非常に強いわけでございますけれども、その点、合併と消防団の組織、つまり、具体的に申し上げますと、合併完成後の新市町村単位の組織でいくのか、要は、消防団も統合する方向を目指していくのか、あるいは旧市町村を単位とする地域密着型というような方向でいくのか、その辺の考え方、どのような考え方をお持ちか、お伺いしたいと思います。
岩永大臣政務官 私も約十年間消防団員を務めたことがあるんですが、防火それから災害、そういうことだけではなしに、田舎の消防団になりますと、御承知のとおり、独居老人の見回りをずうっとしていったり、特に祭りの出動を要請されたりしながら、いろいろと地域密着型の、そういうコミュニティーの中での消防活動というのがあるんですね。
 だから、そういう部分というのを単に大きくしてそして組織化していく、そういう部分だけでいいのかどうかというのがやかましく言われておりますし、消防団だけこのまま旧市町村で残してくれ、こういうような話もあるわけですね。
 だから、先ほどのお話のように、大きな災害のときには新しい市の体制の中でどんといかなきゃならぬ。しかし、ふだんの常時活動は小さくきめ細かに地域のコミュニティーを大事にしながらいかなきゃならぬ、こういう二面性がございます。
 そこで、これも平成十五年の三月に知事あてに通知をしているわけでございますが、今度合併した場合に、合併した市町村で連合消防団長というような組織で旧のものを合併する、そして連絡調整をするような組織にしてもいいよと、こういうような方法を考えているわけでございます。だから、それも合併の市町村の特性にゆだねながらやらせていきたいな、こういうような思いでございます。
金子(善)委員 次に、大規模災害対策等について御質問させていただきます。時間がございませんので、簡単に御質問いたします。
 今度の法改正によりまして初めて緊急消防援助隊というものが明確に位置づけられまして、地方の消防に対しまして国の指示権というものが法律上規定されました。先ほどの質疑の中で長官は、あくまでも、基本的にはこれは市町村消防の広域応援体制の一環であるというような趣旨の答弁がなされておりましたけれども、やはり国の指揮権を明確にする以上は、国の役割というものが当然あってしかるべきだというふうに思います。
 そういう観点から、今後の大規模災害、あるいは国民保護法制の問題もこれから有事法制との関連で出てまいるわけでございます。消防に対する期待というのは大変大きいものもあるかと存じますので、その点につきまして、財政支援の問題を含めて大臣の方から御答弁をお願いしたいと思います。
片山国務大臣 今の災害対策、消防を含めまして、それは私は法体系ができていると思いますし、指揮命令系統もきちっと整理されて一元化している、こう思います。
 そういう中で、市町村消防を超えて、市町村消防では大変難しいようなこと、大規模災害や特殊災害については、今度は緊急消防援助隊が出かけると。緊急消防援助隊というのも幾つかの市町村の消防が一緒にやっているんですから、全国的な観点から指示をするのを消防庁長官にやらせる。そのかわり、これは自分のところじゃないところに行くんですから、全部国に経費は持ってもらう、こういう思想なんですね。
 だから、これはこれでしっかりやっていきたいと思いますし、これからできる国民保護法制においては、これからなんですね、基本的な考え方だけ示されましたが。そこで、国の役割と責任、地方の役割と責任をはっきりとこれは明確に整理して、その上で、地方がこれだけの責任を持つなら、どういうふうな手当てが要るかということを研究してまいりたいと思います。
 いずれにせよ、消防団や自主防災組織が一番住民に近い組織として大きな一定の役割を果たすということは当然だと思いますので、そういう考え方でやってまいりたいと思います。
遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 消防組織法及び消防法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、佐藤勉君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。武正公一君。
武正委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    消防組織法及び消防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、災害等からの国民の生命、身体及び財産の保護という消防目的を達成する観点から、左記の事項について措置すべきである。
 一 緊急消防援助隊の運用に当たっては、大規模災害等の発生時における人命救助活動等の重要性を踏まえ、市町村消防の原則を尊重しつつ、隊員の技術向上・部隊間の連携強化等が図られるよう、地方公共団体に対し助言及び支援を行うとともに、合同訓練の充実を図るほか、出動経費に対する国庫負担金の確保、資機材整備等のための国庫補助金の拡充強化、国の体制整備など、国として万全の措置を講ずること。
 二 大規模災害等の発生時における消防の応援等に係る特例の運用に当たっては、被災地における被害状況の迅速かつ的確な把握のため、財政措置を充実し情報通信システムの整備を早期に進めるとともに、市町村の自主性を尊重しつつ、関係地方公共団体の長等との緊密な連携を図り、その意向を十分に踏まえ、適切な措置を講ずるよう、今後とも配意すること。
 三 大規模災害等の発生時において、消防団・自主防災組織等の果たす役割が重要であることにかんがみ、その活動の活性化、充実・強化が図られるよう、消防団員の処遇改善、拠点施設・資機材等の整備などに対する財政措置を充実し、一層の支援、環境整備等を推進すること。
 四 救急業務の実施に当たっては、搬送後の傷病者の容態等についての必要な情報提供が救急医療機関より消防機関になされるよう、両省の連携を緊密にすることを含め、救急医療体制の充実・強化を図り、人命の保護に遺漏なきよう万全を期するとともに、救急救助業務の実施体制を整備するため、財政措置を拡充すること。
 五 消防用設備等に係る技術基準等に関する政省令等を制定するに当たっては、防火安全性が十分確保されるよう努めること。また、消防用設備等の性能の審査については、消防機関が相応の知識と能力を備えることができるよう、一定の技術支援、学術的な教育等を行うための体制を構築すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
遠藤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
遠藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。片山総務大臣。
片山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
遠藤委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
遠藤委員長 次回は、来る十二日木曜日午前十一時三十分理事会、午前十一時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十三分散会


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