衆議院

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第3号 平成16年2月24日(火曜日)

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平成十六年二月二十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 伊藤 忠治君

   理事 松崎 公昭君 理事 松野 頼久君

   理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      江藤  拓君    岡本 芳郎君

      奥野 信亮君    亀井 久興君

      自見庄三郎君    田中 英夫君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    萩生田光一君

      平沢 勝栄君    松本  純君

      三ッ矢憲生君    山下 貴史君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      川端 達夫君    黄川田 徹君

      須藤  浩君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      山花 郁夫君    若泉 征三君

      河合 正智君    長沢 広明君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務副大臣        山口 俊一君

   総務大臣政務官      平沢 勝栄君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)  大野 慎一君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  松田 隆利君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  田村 政志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    房村 精一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)  大石  明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)  坂田  稔君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  山下 貴史君     江藤  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  江藤  拓君     山下 貴史君

    ―――――――――――――

二月二十日

 新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)

 所得譲与税法案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成十六年度地方財政計画)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官大野慎一君、行政管理局長松田隆利君、行政評価局長田村政志君、自治行政局長畠中誠二郎君、自治財政局長瀧野欣彌君、自治税務局長板倉敏和君、郵政行政局長清水英雄君、消防庁長官林省吾君、法務省民事局長房村精一君、厚生労働省大臣官房審議官大石明君及び大臣官房統計情報部長坂田稔君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中英夫君。

田中(英)委員 おはようございます。自由民主党の田中英夫でございます。

 きょうは、総務委員会の冒頭の質疑に当たって、私に質問の機会をお与えいただきました会派の先輩、同僚の皆さんに心から感謝を申し上げます。

 私は、この十一月の総選挙で初めて国会に登院をさせていただきました。野中広務先生の御勇退の後を引き継がせていただいて、京都四区からこの選挙に出させていただいたわけであります。それまでの前段二十年余り、京都市の隣でありますけれども、十万足らずの市であります亀岡市、そこに昭和五十八年、一九八三年から、三十九歳のときに助役に就任をさせていただいて二期と、そして京都府議会に二期八年足らず、そしてあわせて、最近の五年足らずの間を亀岡市長として、二十年余り地方政治、行政の中におらせていただきました。

 そんな思いがありますので、新人として登院をさせていただきましたけれども、決して若くもありませんけれども、二十年間の地方自治というものの中にあった、そうした思いの中で国会活動をさせていただいたらありがたいな、このように決意をいたしておるところであります。

 そんな意味におきましては、今の時代を引っ張ってまいります日本のありようとしては、当然、情報社会の進展やそうしたこともこの総務委員会の中で重要な課題でありますけれども、まず、きょうは、私自身は、今日までのそうしたみずからの歩んできたところを基本といたしまして、行政改革とか地方分権、そして、それに絡む三位一体の改革や、また、時間があれば郵政の民営化について、これも地方の中でのそうした郵政の意義合いのようなものをベースにして質問をさせていただきたい、このように考えております。よろしくお願いしたいと思います。

 基本的にそういうベースを持っておりますもので、私自身、昨年の十一月にそれぞれ有権者の皆さんにお話をしている中では、やはり地方が元気で、そして輝かなきゃならぬ、そのことが、日本全体が、それこそ美しく自信と誇りに満ちた日本ができていくもとなんだ、こういうことをずっと言ってまいりました。そういう意味において、国においても地方においても行政改革ということが、まず今この時代において、新たな日本のありようを決めるのについての基本となっているであろう、このように思っております。

 平成十二年の十二月に閣議決定されました行政改革大綱、こうしたものを今網羅しながら進んでいただいておるわけでありますが、まず最初に大臣にお聞きしたいと思いますけれども、大臣は所信表明の中で、行政改革については、行政改革大綱に基づいて各般の改革に集中的、計画的に取り組んでいく、このようにおっしゃっておられまして、政策評価については、また行政評価についても、一層の促進を図るということをおっしゃっておられます。

 ぜひ大いに進んでいただきたいわけでありますが、基本的に、政府における行革は、今日その線に沿って隆々進んでいるのか、大臣のこの評価と現状への御認識についてまずお伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 今、田中議員からの、国の行政改革は進んでいるかという点と、評価できるかという二点だと存じます。

 御存じのように、中央省庁というものは一府二十二省庁から一府十二省庁に、まず少なくとも省庁の数は減りましたし、担当大臣等々を見ましても、当然大臣の数は減った。かわりに副大臣制度を設けた、政務官制度を設けたというところもありますでしょうし、各役所の官房やら局の数を、百二十八局ありました局を九十六に削減等々いたしておりますし、いろいろな形で地方の分局やら何やらも随分変わってきたと思っておりますので、独立行政法人等々いろいろやらせていただきましたけれども、そういった意味ではかなり、橋本行革が始まったころからだと思いますが、基本的な方向としてはいろいろ進んできたんだと思っております。

 また、ただ、これでいいのかというと、まだ途中のところもいっぱいありまして、行政手続オンライン化法というのが昨年の二月に法律が通っておりますので、二〇〇五年までにすべての行政手続はオンラインで全部認められます。書類を提出しなければならないと書いてありました法律、約五万二千百本ぐらいだったと思いますが、これは通則法によりましてすべてオンラインでできるようにということも決められた等々、それなりの成果が出てきておりますし、いろいろな意味で、委託の手続やら何やら、また、国立大学が公務員から非国家公務員に進むなど、いろいろ変わってきているという点は確かなんだと思います。

 これは時代とともに、あれはもっとこうした方がいいんじゃないかとか、これはやってみたけれどもこっちよりはもっと別の方がいいのではないか等々の御意見は、これは当然出てくる話だと思いますので、今後とも、そういった点につきましては不断の努力をやっていかねばならぬものだと思っております。

田中(英)委員 今おっしゃるように、国の行革と一言に言っても、非常に広い範囲があるということは事実だろうと思っております。

 我々、今日まで地方の中でやっておりますと、そこは升が小さいですから割合見えやすいし、これとこれとこれとをすれば、一つの会社の製品みたいなものでありまして、割合効率的にできるし、住民の皆さんにも話がしやすい。国の場合はかさが大きい。こういうのは当然あると思うのでありますが、その中で、行革の大綱を見ておりますと、行政の組織、制度の抜本改革、その次にあるのが地方分権の推進であり、そして規制改革の推進であり、中央省庁の改革、それはすなわち再編であったり郵政公社の問題であったり、こうなっておるんですよね。

 そういうふうに、当然国ですから、地方も直さなあかん、中にある組織も効率的にしていかなきゃならぬというのもありますが、一番やはり大事なのは、その中にあって、基本的な政府としての今後の意思決定と、官庁における執行の過程というものにむだがないか、ここのところが一番肝心なことであるし、そして、それが有効に進んでいるかということが大切なことだ。

 そうなると、閣議決定でさまざま、あれもしよう、これもしようと言っておりますが、行政評価システムを導入して、そして、この中でしっかりとその内容をチェックしようと言っているというところにかなり大きな実際は最終の意味合いがあると私は思っておるわけでありまして、ここをいかに進めるかという具体的な年次目標等々も含めて、あろうと思いますけれども、ここのところを総務大臣として頑張っていただきたい、こういうことをお願い申し上げておきたいと思います。

 次に、その部分の中の、今言いました地方分権ということであります。特に、三位一体の改革にかかわることについて、もう時間が余りないわけでありますけれども、少し提案をしながら御質問させていただきたいな、こう思っております。

 まずは、地方分権というものにつきましては、これは地方分権とか地域主権とか、いろいろな言い方をしますけれども、要は地域の主権が確立していかなければならない、こういうことで、それによって、トータル、あらゆるところが元気になることで日本全体が元気になる、こういうことだろうと思いますが、そういうような意味合いにおいてのこの地方分権というものの総論についてどのようにお考えかということをひとつお示しいただきたいなと思います。

 同時に、その中で、地方がそれぞれ改革をしていかなければならないということで、三位一体の改革ということで、十六年度の取り組み、この内容がいろいろなことはもう言い出したら切りがないわけでありますけれども、多くの議論があって、やはりまず進めよう、こういうことで来たと思っております。

 したがいまして、二つ目に、三位一体の改革、十六年度の取り組み、これは地方が充実をして自由度を増して自主財源がより拡充していかなければならない、このようにおっしゃっていただいているわけでありますけれども、その一歩が踏み出せたということになったのかな、このあたりについて基本的なお考えをお聞かせください。

麻生国務大臣 地方が今、地域主権、いろいろな表現がありますけれども、明治この方百三十数年間にわたって、この国は、近代工業化を目指して、どう考えても中央集権ということで、三百諸侯ありましたものを廃藩置県等々で中央集権化して、間違いなくこの国は、二十世紀の最初に初めて日露戦争に勝ったのが九十九年前、そして今日まで、少なくとも近代工業化社会というものの優等生としてここまできたんですが、この十数年間にわたって、脱工業化社会という言葉の中に新しい時代が入って、その中では多分、情報化社会とかいろいろな表現がありますが、そういった時代になってくると、どう考えても、これまでの社会制度、いろいろなシステムにかわって、中央集権から地域主権、地方分権でいかないと、これからの時代に対応、即応できないのではないかという風潮が自然と国民全体に行き渡り始めたのは、この十数年間のことだと思います。

 それに合わせて、行政の制度、組織等々を変えていかにゃいかぬということで、いろいろ模索は始まっておる。今まさにその経過中なんだと思いますが、そういった中にあって、やはりその結果、地方が元気が出る、その元気が出るためには自由を与えないと元気にはならぬ、その自由が得られるためには金がなきゃいかぬ、ある程度。あればいいというものじゃありませんけれども、金が全然ないと話になりませんので、そういった意味では、その元気が出るための手段として、いろいろな意味での規制の緩和であり、税源の移譲ということになったんだと思っております。

 そこで、税源の場合は、国税と地方税というものになりますと、地方税の比率が圧倒的に少ないのは御存じのとおりでありますので、その意味では、今回の中で一番顕著に地方の方向に向かって一歩踏み出した税源移譲は、いわゆる所得税というものを地方住民税の方に移しかえるという作業を始めて、基幹税と言われる、消費税とか所得税とかいう、人口割に見まして偏在の少ない基幹税というものに初めて手をつけたという点においては、これは画期的なことだったと思っております。

 幾らになるかよくわかりませんので、所得譲与税として、平成十八年度まで、確定するまでの間は所得譲与税という名前になっておりますけれども、きちんとした形でこれが所得税から住民税に移り変わっていく一つの過程に踏み出したというのは、今回の中では一番大きかった、はっきりした方向を見せたところだと思いますので、これからまだいろいろやらねばならぬことは多々あろうかと思いますが、一つの方向としてははっきり踏み出せ、地方から見ましても、これは本気で政府はやってくれそうだなという感じのところまではいったというところかなと思っております。

田中(英)委員 今おっしゃいましたように、そういう意味で芽出しができた、私もそのようには思っております。

 全体の枠組みが、異論のあるところは実は長々と言えればあるわけでありますけれども、しかし、そうやって基本的に所得譲与税、これも考えてみましたら、まずとにかく国庫補助負担金の一般財源化をしようということでカットしていった。手順として後に財源の話が出ましたので、そこのところを、こう言うとなんですけれども、総務省が最後に所得譲与税という案をつくって拾ったというような、結果、そこで救ってもらったようなことになっておるのではないか、私自身はそんな理解をしておるのでありますけれども、しかし、今後ともに、そのあたりがしっかりとしたものになっていかなければならないということは事実だろうと思うんです。

 ただ、所得譲与税もそうでありますけれども、全般的にこうしたものを今後どのようにして割り振っていくか。まだまだ今後の課題でありますけれども、その中に、実は大きく言いますと、地方財政計画というものがどういうふうになっていくのかという問題、それから、所得の場合は比較的その地域における所得によってあがなわれていくわけでありますけれども、そういうようなものとか、それからその後ろで、今回足らなかったので、地域再生債等々で何とかカバーしようかというのがありますね。そういう話もあると、すべてが人口比で割っていこうかとか、こんな話がありますよね。

 今回のこの三位一体の議論をどんどんどんどんしていくと、やはり人口規模が小さく経済力の小さいところは非常に困難性が高まっていく、そして、密度が高く集中して人口の多いところはその点が極めて優遇されやすいというか、比較的ですけれども、そういうような状況が生まれてくるような気がするわけであります。

 それだけに、もともと地財計画というものは単に人口だけではなかった、面積の問題もあれば、その中における基本的な、すべての人が一定の水準の生活ができるということの基礎が必要だというところで今日まで地財計画が来ておるわけでありますけれども、どんどんどんどんあらゆることを人口規模等々で割り切っていくと、これは弱い者によりつけ込んでしまうようなことになっていくのではないかな、こんなふうに思っているわけであります。

 そういう意味におきまして、地財計画においても、それから三位一体の計画においても、そういう不安感というものを基本的になくしながらやっていかなければならない。今回はばっと走っていろいろ決めたから、なかなかそこまでいかなかったわけでありますが、要するところは、時間のないところでぼんと出てきた、出てきた結果が、地財計画の中でも、交付税とそれから臨時財政対策債ですか、数字がマイナス一二%にもなってびっくりしたというようなところからスタートしているというふうに思うわけであります。

 これだけに、今後、四兆、三年間、こういうような異常な話もあるわけでありますけれども、それは一年一年でなくて、やはり一つの升として見通しをつくる、その上で、地方財政計画についてもやはり大きくそうやって変わらざるを得ない要素があるわけでありますから、お互いに理解を地方もするとしても、それが幾年かの中でこうなんだというふうな、そういうものにしていかないといけないのではないか。

 今、府県の知事の連合や、それぞれの府県における市町村長の改めての緊急提言としてそんなことが出てきておるという状況があるわけでありますけれども、そういう意味において、国全体のそういう流れの中で、総務省として、今後大臣はそういうある一定の升を、見通しを立てるべきではないかと思うわけでありますが、なかなか難しいでしょうけれども、そういうことについてどのようにお考えですか。

麻生国務大臣 今御指摘のとおり、三千百七十あります市町村の中では、人口比、面積比にかなり差があるのは、亀岡の市長を長くしておられましたので御存じのとおりなんだと思いますが、これは、今回のように税源移譲を仮にされても、今までの補助金にかわって税源移譲はされた、しかし、人口が少ないがために、今までの補助金の方がもらいが多かった、税源移譲になったらもらいが減ったというのが当然出てまいります。その差額は各市町村によって違いますので、その差額は交付税で埋めます。これはもう通達はしてありますので、埋めます。

 したがいまして、その点に関しましては別に問題がないんだと思いますが、逆に、地方交付税になった途端に多く入ったところは、失礼ですけれども、それは交付税を取り過ぎですから返してもらいますという形になって、基本的には均等をさせていく方向で、迷惑のかからぬ方向にやりたいと思っております。事実、その方向に動いております。

 もう一点は、それでも差ができるというところは、地財計画に基づいてやっておられるところは大して問題ではないんですが、地財計画より以上にハードの部分をソフトに回しておられる、ハードに使われるべき仕事をソフトの部分に回しておられるところは、地財計画どおりというよりもっと苦しくなってくるところが必ず出ますので、そこのところをどうするかというのが第二弾ということになろうと思います。

 その二弾目の手口が、先ほど申し上げましたように、スリム化をしていただく努力はしていただかなきゃいかぬのは当然ですが、それプラス、努力をしてもなおかつどうにもならぬというところが出てくるであろうと思われますので、その部分に関しましては、今御指摘のありましたように、地域再生債とか財政健全化債等々を、地域再生債で約八千億の準備をいたしておりますので、そこらのところでそれを拡充、かつ柔軟に対応させていただくということになっております。

 今既に建設をいたしております途中、経済用語では仕掛かり品というようなものに関しましては、それは当然認めなきゃいかぬので、それもやめいというわけではありませんので、そういったところは対応させていただくなり、期間を二年でやるところを三年にしてもらうとか、いろいろなやり方があろうかと思いますが、そういった形を含めまして個別に対応していきませんと、一律これでというような方式ではなかなか、市町村によってえらく差が違っておりますので、それに合わせてきめ細かく対応していかねばならぬものだと思っております。

 いずれにしても、全体といたしまして、三年間で四兆というのは、いきなり初年度一兆と言われたものですから、何となく言われたこっちも少々驚きましたけれども、とにかく、考えてみれば、あれをやっていなければ事はここまで進んでいなかったし、所得譲与税なんというような基幹税に手をつけることもなかったかなという感じがしないでもありません。一兆円というのを最初に言われたときには少々戸惑いましたけれども、結果として見れば、そういった形での成果は少しは出たかなと思わないわけでもありませんので、残り二年間で三兆円の分につきましては、ことしの概算要求等々の段階で、昨年末みたいにえらい騒ぎにならないような形で、少しずつ私どものところと財務省主税局等とをあらかじめ詰めさせておく必要があると思っております。

田中(英)委員 今大臣おっしゃっていただいた中に、二、三やはり今後の課題があると思うんですよね。

 一つは、いろいろなそうした市町村によって要素が全く違う。違うということは事実なんですけれども、何かのルールでくくっていきながらやってきた。それが今日までの地方財政計画だったと思うんですけれども、ちょっとここで、地財計画のつくり方というか、何かもとのようなところが少しこれから変わってくるのかなということがあって、従来の計画では難しいというか、計画ののせ方では難しいんじゃないか。だから、地財計画とは何やろなというところに、もう一度またちょっと議論をしなきゃならぬのがあるのではないか、私自身そんなふうに思っています。

 それから、所得譲与税の問題、それから地域再生債等々の後の交付税措置の問題、人口割でして足らない部分についてはまた交付税でそれは乗せていくということになっておるということで、現在のルールの中ではカバーされるということは承知をいたしております。

 ただ、あらゆるものにそうして人口、人口という言い方をやっていくと、これから何かしらそれを基準にしていこうというふうに考え方が、頭がいってしまうということであると非常に課題があるのかな、こういうことを思っておりまして、そのことについて、やはりもう少し他の要素もこれから考えられなきゃならぬのではないかな。

 それから、地財計画の中で、ハードとソフトでハードの部分がソフトにいっている。これこそ改めなければならないというか、ずっと地方と国の主張のすれ違うておるところでありまして、投資単独についてはなかなかできない、お金がないのでできない。しかし、国は、それを交付税算入するための地財計画としては計画している。結果として、決算では差が出る。どうして使うているんや、それを取り込んでおるのかというと、そうじゃなくて、一般行政経費の方で実際は使うているんやと。これはたくさんの議論がありますので御存じだと思いますけれども、ですから、それぞれの単価、メニューをやはり見直さなんだらあかんというような問題もある。大臣のお話の中で、そんな課題があるんだろうというふうに今思いました。

 そんな中で、一つの私自身の思いなんですけれども、三位一体、これは税源移譲と補助金の廃止、そして交付税の改革、こういうことなんです。しかし、我々、地方をこれから元気にさせようと国の立場でも思ったら、要は、財源がたっぷりはないけれどもある程度のものがあって、なおかつ、それが自由な裁量の中で自己責任で使われていくという、伸びやかな地方の町づくりというものが大切なのであって、それが三位一体かなと。

 三位一体というと何かきれいに聞こえるのでありますが、本当は、税財源、税源か財源かわかりませんけれども、移譲をされて、そして、いわゆる補助金がなくなっていって自由にできれば、私は、交付税の改革というのは別に後であってもいいと基本的に思っているんです。

 そんなに、九割九分まで交付税措置しておるのがおかしいとは私は思っていないのでありまして、逆に言うたら、東京からもっと取って、全部集めてもう一遍全国の地方に自由な金としてばらまいた方が、ばらまいたらいかぬですね、要するに配分をした方がかえって自由度が高まるのではないか、そんな思いもいたしておりまして、交付税については逆に強い意味合いを持っているのではないか、こんなことも思っております。

 それともう一つでありますが、今回一兆円の改革をするのについて、まず補助金をカットしていこう、こういうことでやってみた。その残りを、先ほど言いましたように、総務省が御苦労いただいて、この後ろを何とか補てんせなならぬというので所得譲与税とかいろいろなことをしてもらった、こうなっておるんだろうと思うんです。

 これからの三兆円、三兆円に限らぬですけれども、残り、そういうのは、どちらかというと、どれだけ地方に税財源、税源であれ財源であれ交付税であれ移せるのか、三兆円移せるのはどんな方法があるのかということをまずやって、それだけ移したから、それなら補助金というものはどれだけカットできるんだ、こういう順番でいくことこそ、三位一体か、ちょっと私の言い方で言うと二位一体のイメージにそれの方が近いんではないかな。

 ぜひ、そのようなことを地方を育てていただいております総務大臣の方から思いとして入れていただきたいなと。私の考えなんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 卵か鶏かみたいなことになるのかもしれませんけれども、やはり基本的には、平成十六年度末になるんですが、地方財政の赤字は約二百四兆円ということになっておりますので、その中で、いわゆる交付税の特別借入金約五十兆とかそういったようなものが大きくそこにありますので、これをこれ以上ふやしちゃいかぬというところが、交付税というものに非常にこだわっている財政上の大きな理由だと思います。

 それから、傍ら、こちら側には、補助金というものは、これは長い間の歴史がございますので、その点に関しては一概に、一律一割とかいうような話の筋のものでは少しないんではないか、本当にやめていいものはやめてもいいんではないか等々、実にまたいろいろ御意見のあるところでもありますので、私どもとしては、補助金の内容につきましては、これは本当に必要なものですか、必要なものじゃないんですかというのをもう一回きちんと洗い直さないかぬところなんだと思います。

 これは、地方の三千百七十の首長さんも、その市、町を経営しておられることと同じことになりますので、その方々にとっては、そういった財政とか経営とかいうものを非常にきちんとやられるところと、何となく、あの人いい人やからというのでたまたま町長になってもうたというような方と、差はかなりございまして、それで、ちょっとその方々と話をすると、何とかしたれという話ですが、いや、何とかしたれったって、あんた、自分で考えないかぬのが地方分権ということでしょうがと言うけれども、そういうことになると、これは人をかさないかぬとか、シティーマネジャーという言葉は多分そういう制度なんだと思いますけれども、そういった制度を新たに考えろとか、今いろいろ新しい御意見があちらこちらに出てきております。

 いずれにしても、きちんと対応をしておられる首長さんと全然していないのとの差がついた場合、それは、した方の方が評価されてしかるべきなんであって、そういう意味では、ここらのところは、地方の時代というのは地方間が競争する時代ということになりますので、うちの方に工場をつくってください、あちらの県よりうちの方がこれだけ安くしますとか、税金を下げますとか、住民税をどうかしますという地方の裁量権が出てくれば、そういったところで県同士の競争、同じ県内でも隣の市との競争というのは十分起きてくるということが、結果として、元気が出、自由度が増し、それがその地域の繁栄につながっていくというところが大事なんだというもともとの発想なんだと思いますが、これは、意識の改革がそこまでいくというのにはかなりな時間を要するところだとは思います。

 いずれにいたしましても、今おっしゃいました点に関しましては、これは私どもとしては十分に考えないかぬところの一つの点だと思いますので、留意しながら事を進めさせていただきたいと思っております。

田中(英)委員 今お聞かせをいただいて、確かに今回のまた大きな変化がありましたので、今おっしゃったように、各地方地方の、府県市町村の首長も真剣にやらざるを得ない、そういう状況をうまくつくってもらったということもあるというふうに思っております。国と地方との関係がまた新たな仕組みということに動いていくんだという予感を大臣も持っていただいておるようでありますし、今後ともその方向でまたよろしくお願いしたいと思います。

 質問を終わります。

佐田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。

 先日の大臣所信に対します質疑を、短い時間ではありますが、行わせていただきます。

 きょうは、三点議論を用意しております。一つが行政改革、それから一つが三位一体、もう一点が電子政府、電子自治体、この三つ、全部できるかどうかわかりませんが、せっかく大臣いらっしゃいますから、貴重な時間でございますので、しっかり議論したいと思います。

 最初に、行政改革について議論をさせていただきます。特に独立行政法人の政策評価という観点で大臣の所見を伺いたいと思います。

 平成十三年四月に発足をいたしました独立行政法人制度でありますが、これは、中期目標を立てて、中期計画を立てて、それが終了した時点で改めて組織、業務の見直しを行う、こういう仕組みであります。ありていに言いますと、中二階にまず行ってもらって、そこで四年間、五年間しっかり見直しをして、その後成績をもう一回評価して、成績の優秀なところは民営化になるところも出てくるでしょうし、事業の必要性のないものについては廃止をする、こういうまさに中期計画後の対応というのが極めて大事だろうというふうに思います。

 そこで、独立行政法人通則法で、いろいろな仕掛け、特に事後チェックの仕掛けはあるわけでありますが、いよいよこの事後チェックの内容が問われる段階に入ったな、こう思っているわけであります。当然ながら、中期計画が終わった段階でその評価というものを各主務大臣が行う、それを、特に総務大臣に伺いたいのは、総務省にございます政策評価・独立行政法人評価委員会、ここでしっかりその各主務大臣が評価するについて勧告を行う、こういう仕掛けになっているわけであります。

 大臣にお伺いしたいのは、私ども一番心配しておりますのは、やはり国民の目線から見ますと、独立行政法人というのは、何だ、あれは結局、独法化、姿、名前を変えただけではないか、こういう声もあるわけでありまして、何度も言いますが、大事なことは、その後の事後チェックをして、不要なものは廃止をする、必要なものは民営化していただく、こういう段取りが大事で、大臣、次の新中期計画をつくることが決して目的ではないというふうに私どもは考えているわけであります。

 そういう意味で、いよいよその事後チェック体制が問われる段階に入ったわけでありますが、最初の独法も出てきたようでありますけれども、独法の評価という、これからの流れを大臣としてどのようにお考えになっているのか、最初に聞かせていただきたい。

麻生国務大臣 今回、一連の出た中では物すごく大事な制度、システムなんだと思っております。

 どうも我々、予算ばかりやって、余り決算の方に関心がなかったりする傾向が総じて多いのはもう御存じのとおりですが、やはり、やった結果どうなったかというのはすごく大事なところだと思います。つくるまではいろいろみんなやるけれども、後のチェックというのはどうも抜けておるというのがこれまでなんで、今言われましたように、独立行政法人通則法というのができまして、それに基づきまして今言われた委員会がそこでできておるんですけれども、独立行政法人評価委員会というのが正式にスタートをしておりますので、ここがいろいろ、どうですかというのをチェックするということになっておるんです。

 一番最初に出てくるのは、多分、本年の三月にいわゆる文部省管轄の教員研修センターというのが出てくることになります。既に昨年の八月に決定されておりますので、こういったところに基づいて、初年度の予算編成にきちんとそれに見合うようにせいとか、勧告の方向性につきましては昨年の十一月にもう既に出てきておるところであります。

 現在、この三月の中期目標が終了したときにおいてどのような結果になるかというところは、これは文部科学大臣以下のところによって目下作業中と聞いておりますので、この状況を私ども注視しているところであります。これが出ますのは三月ということになりますので、私どもが受けます四月に、その内容次第によりましてはこちらの方から勧告をするというのが主務大臣としての務めだと思っております。

 この種の話は、これはたまたま最初に出てくるからえらく注目ということになっておりますが、ほかにも、独立行政法人に移行したものの中でいろいろもっとたくさんございますので、その中では、これはやめないかぬというものとか、非常に内容がいいからということで、格上げと言っちゃ変ですね、何となく行政法人じゃなくて全然もっと別のものでもやれるんじゃないかというものも出てくるかなと思って、これは先ほどの地方自治体と同じで、独立行政法人を経営する理事長さんなりなんなりの腕にかかっているところも多かろうし、その事業内容自体が本当に世の中に必要とされているかされていないかによっても違うとは思いますけれども、基本的には、後の行政評価というのは極めて大事な作業だと思っておりまして、私ども、これは真剣に取り組まねばならぬところだと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。大変重要な時期に入ったなと思っております。

 それで、政策評価・独立行政法人評価委員会の「勧告の取組の方針」というものが既に出ておりますが、もちろんこの中には、最終的には事務事業の廃止、民間または地方公共団体への移管とかいろいろあるんですが、端的に言いまして、大臣、国民から見ると、こうしたお役所がつくられるものというのはなかなかわかりにくい、あるいは随分幅があるような、何だかんだ言いながら、次の段階、新中期計画になだれ込んでいくんじゃないか、こういう危惧があるわけでありまして、できるだけわかりやすく、こういう評価をする場合はやっぱり、四年間やってきて、あるいは五年間やってきて、評価をA、B、C、D等、五段階ぐらいに分けて、そして、Aは民間移行、最悪のDランクは廃止という、わかりやすい評価というものが私は要るのではないか。

 もちろん、簡単にできるとは思っていませんよ。私は、それぐらいの思い切った対応をしないと、百ぐらいの独法ができたわけでありまして、これを整理していくというのは並大抵の作業ではないだろう、こう思っておりますが、大臣、どうでしょうか、国民にわかりやすく、説明責任を政府として果たせるような、そういう評価のあり方について、いま一歩踏み込んでお考えがないかどうか、お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは既に決まっておるところでもありますので、ニュー・パブリック・マネジメントという言葉、NPMという言葉がよく使われるようになりましたけれども、その考え方の視点を入れて、少なくとも、措置の例として、廃止するとか、それから民間、地方公共団体へ移管するとかいう形で、もう既にランクづけの方向というのは考えておりまして、AからDとか、ちょっとそこらの言葉まで使ってはありませんけれども、そういった方向で、ランクづけの方向では事が進みつつあると御理解いただいて大丈夫だと思います。

桝屋委員 私は、今の政府の中で、麻生大臣の存在というのは大変注目しております。麻生大臣の発言というのは相当影響力も大きいと思っておりますので。

 私が今申し上げたのは、今大臣がおっしゃったのはアウトプットの結果でありまして、評価した結果、これはAランク評価、Bランク評価という思い切った、わかりやすい、そして、この評価になったものはもう間違いなく廃止になるんだなというようなことが明確になるようにと。やっぱり、大臣、ともしますと、お役所というのは事業を継続したい、仕事は持ち続けたいと思うのが常でありまして、そんな中にあって、せっかく行政評価局をお持ちの総務省でありますから、特段のこれからの取り組みをお願いしておきたいと思います。

 それからもう一点、公会計改革とか特別会計改革というものが今財務省主計局を中心に私は行われているというふうに思います。これも極めて行革の上から大事な点だというふうに思っておりますが、一つは、心配なのは、財務省主計局を中心に行われていますから、それだけで本当にいいのかなという危惧を持ちます。

 この公会計あるいは特別会計の評価、これを例えば予算編成にまで連動させていく、こういうことが求められているわけでありますが、そうした中で、大事なことは、これもやっぱり行政評価、政策評価でありまして、財務省の検討というのはどうも査定の域を出ないんじゃないか、きょうは財務省いませんから本音を言いますと。査定権限を持っているわけでありまして、その範囲の中での公会計や特別会計の改革というのはいささか半分じゃないかな、もう半分は行政評価という、そうしたリズム、連動しないと、私は効果的な政策ができないと。

 私どもの党内では、例えば諸外国に見られるように予算管理庁のような取り組みといいますか、まさに公会計の改革と行政評価の改革、これをしっかり連動させてやっていくということが、いろいろ話を聞きますとそのような方向で議論されているように思いますけれども、財務省と総務省の違いがあるということで、やはり行政評価局をお持ちの総務大臣として、特段に意識を持って財務省にアプローチをしていただきたいなとお願いをしておきたいと思います。

麻生国務大臣 今、桝屋議員御指摘のとおり、財務省において行われておりますのが、主計局と言われましたけれども、公会計とか特別会計の見直しというのはやっておる。他方、私ども総務省の方は、いわゆる行政評価局等々において、政策の評価とか行政の評価とか監視とかいうのが主たる仕事なんだと思いますが、これを、金だけの話になりますと、そっちだけになると偏るのではないかという御意見は、これはまことにごもっともな御指摘なんだと思います。

 先ほど、人口割だけでやると問題なんじゃないかというお話が田中議員の方からもあっておりましたけれども、人口だけでやりますと、選挙区の区割りをやったときが一番わかりやすい例だと思いますが、とにかく、とある選挙区の方の範囲は六百三十キロ、線でつながっていくと、海岸線をたどりますと。六百三十キロというと、東京から神戸までが一つの選挙区ということになりますので、これは北海道の一選挙区の話ですけれども、六百三十キロもあって選挙区一つだというような、人口割でやるとそういうことになるので、かなりちょっと極端過ぎやしませんかと、私は見ていてもそう思うんです。

 いずれにしても、これの話も、金だけでやりますと、ではもうければいいのかということになると、この種のものができた本来の趣旨は、いろいろ理由があるからそれはできたのであって、本来の目的を実行しようとすると、これは決して、もうかるものであればとっくにどこか民間がやっておるはずですから、もうからなくてもやらねばならぬ仕事だったからこれは多分始まったと考えるのが常識的なところだと思いますので、その意味からいきますと、金はもうからぬけれども、これはどうしても、国として、または国民にどうしても必要な業務というのであれば、それは評価として残されてしかるべき業務というのはいっぱいあるんだと思っております。

 その意味では、総務省におきます行政評価とか政策評価というのは非常に大きな意義があると私どもも思っておりますので、今言われました御趣旨を体して、そういった点については、財務省のやっておりますものもよく見ながら、私どもとしてはきちんと対応してまいりたいと思っております。

桝屋委員 繰り返しになりますけれども、行政評価情報がない財務情報というのは、そういう形であれば、何のための改革かということを国民に説明するときに弱くなるだろう、私はこう思っておりまして、今大臣がお答えいただきましたように取り組みをお願いしておきたいと思います。

 続きまして、三位一体改革について、せんだって衆議院の本会議でも若干議論をいたしましたけれども、先ほどの同僚議員の質疑でもありましたように、地方団体にしてみれば、大変苦しい状況があるわけであります。十六年度の今の姿でいきまして、本当に地方はもつんだろうかな、こういう気持ちがありまして、これはもってもらわなきゃならぬ。

 十六、十七、十八のこの三位一体改革の中は、歯を食いしばって改革に、本会議でも言いましたけれども、地方も理解をし、必死になって懸命な努力を続けるということがこの三年間求められているんだろうと思いますが、ただ、十六年度、各県、マスコミにも報道されておりますが、今回の地財計画での歳出抑制策、これで恐らく地方は財政調整基金あたりが底をつくのではないか、こういう気がしているのですね。

 まだ十四年度の決算の状況しかないと思いますが、財政調整基金あたりは完全に、特に市町村については、今回で金庫は空になるんじゃないかと私は思っておりますが、どんなふうに総務省は認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。

瀧野政府参考人 全国の市町村の財政調整基金の状況についてのお尋ねでございます。

 十四年度末の状況でございますが、全国で二兆七千九百億円余という状況でございまして、前年度と比べまして七百億円強の減となってございます。

 十五年度につきましては把握していないという状況でございますが、参考までに都道府県の状況を確認してみました。都道府県におきましては、十四年度で五千三百億円余でございましたが、十五年度には四百億円を大きく割り込むという状況と聞いておりますので、市町村におきましても相当の取り崩しになるというふうに見込まれております。

桝屋委員 今、十五年度の姿がまだはっきりしませんが、都道府県の状況から推察をいたしますと、市町村も恐らく十六年度は何とか基金を取り崩して予算を組むことができたのではないか。中には、マスコミ報道のように、マイナス予算、赤字予算を計上するというようなとんでもない話が伝わっておりますが、そういう状況だろう、こう思っております。

 では、あと十七、十八をどうするか。これは、できれば税源移譲をやる。先ほどの同僚議員の議論ではありませんが、改革の方法、手法を間違うとこれは大変なことになるわけでありまして、十八年度の末で形をつくり上げればいいということだけではなくて、十七、十八、来年度の予算編成もある意味ではすごく大事になってくるんだろう。ついてこれなければやむを得ないわけでありまして、どんなことをしてもついてきてもらわなきゃならぬ。

 例えば、大臣、これは例として申し上げるんですが、きのう夜、私のところへ入ってきた情報で、ちょっと例を御紹介いたします。

 今回一般財源化された中に、公立保育所の運営費、これについては一般財源化をした。ある町で、保育所は町村になればなるほど公立が割合が高いわけでありまして、なかなか民間では過疎地においては対応できないということで、やむを得ず公立でおやりになっている、あるいは改革がおくれて公立でおやりになっているという状況もあろうかと思うんですが、その町では、私が聞いた事例では、四施設の公立の保育所を持っておりまして、今までの措置費の基準で積算しますと、国、県からの児童保護費の収入が一億円ぐらいある、こういう計算でおった。ところが、今回一般財源化された。そして、その分が所得譲与税で財源手当てがされる。そうすると、所得譲与税というのは一人当たりで大体計算できるようでありまして、千六百幾らとかと言っておりましたけれども、それで計算しますと、人口はそんなに多くない町でありますから、二千四百万ぐらいしか入ってこない。

 そうすると、今まで、これは公立ですから、通常の措置費基準の上乗せの部分、いわゆる人件費あたりはどうしても公立は高くなりますから、その部分まで入れられるとちょっと議論がややこしくなりますから、それはのけて、まさに国の基準どおり積算した収入で一億ぐらいだと。それが、所得譲与税で入ってくるのが二千四百万。そうすると、えらい差がつくじゃないかと。

 ここは恐らく総務省の御回答としては、いや、そこはもう一つ地方交付税の基準財政需要額に入れていますよ、合わせれば大丈夫ですよ、ちゃんと理論は一貫するんです、こういう御説明かもしれません。私もそのように説明はしたのでありますが、なお、交付税は交付税で、今回の地財計画の抑制策で相当へこんでおる、三角が立っている、こういう状況でありますから、なかなか市町村にとっては大変だ、こういうお話を伺ったわけであります。

 事ほどさように、こういう町村にはどういう指導をするのか。そして、単に民営化すればいいといったって、民営化するには、四つの施設を民営化しようと思えば一年や二年かかるわけですね。そこはやはりタイムラグが出てくる。そうした場合、大臣、もしそういう町村を見れば何とお話しになるのか、お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、約一億これまで補助金が入ってきたところが二千四百万ということは、差額の七千六百万につきましては、地方交付税というものでそこは補てんします。基本的にそこは補てんしますと言っていただいて大丈夫だと思います。御地元なんでしょうから。それは間違いなく補てんをすることになります、それは法律でそうなっておりますので。

 御存じかと思いますが、公設民営というのは、去年の十二月にこの方針が出たところから、公設で民営化に踏み切ったところは実はかなりの町村にわたっております。

 民営化された保育園と公立の保育園との差はかなりなものでありまして、諸経費にわたって民営の方が、同じ児童数を預かりながらも、施設等々を見ましても、努力しておられるのは明らかに私立、いわゆる福祉法人というんですかね、そういったのが頑張っておられるようなのは各地で見られるところでもありますので、基本的には公設民営という方向がかなりの流れで出てくるであろうと予想されます。

 ただ、うちは全然ないぞということが出てくるんだと思いますが、そういうところもございますが、いわゆる民営をやっておられるところに委託ということを考えておられる町も既にありまして、おれのところへ民営化はない、だけれども、これだけの施設はあるから、補助金として今までのように何千万か来ますので、その金をいわゆる市補助金として私立の保育園に補助するからこれ三つ経営してくれとか、いろいろな形を既に個別にやり始めておられるところも全国ではちらちらございますので、これは先ほど申し上げましたように、いわゆる町長さんとしての経営の視点を切りかえないかぬところなんだと思います。

 ただ、これは組合対策やら、いろいろ出てきますよ。そういったところはいろいろ努力をしていただかないかぬところだとは思いますけれども、そういったのがいわゆるスリム化と言われるものの一端だと存じます。

桝屋委員 大臣、私もそのように説明はしているんです。ただ、大臣、今私に、それは地方交付税で補てんしています、そのようにしっかり言ってください、こうおっしゃったわけでありますが、余り大臣、胸を張って、その点、お気持ちはわかるんですよ。しかし、現場で苦労している方には、地方交付税で補てんしているといったって、地方交付税総額が減っているわけでありますからなかなか簡単な話じゃないわけで、少し顔をゆがめられて、苦痛に満ちた顔で市町村に言っていただきたいな、こうお願いをしておきたいと思います。

 それで、大臣、もう一つ。

 いずれにしても、十六、十七、十八と三年続くわけで、さっき三位一体の順番はどうかという話があったんですが、私はやはり大事なことは、補助金をどう整理するかということが実はこの改革の成否を握っている、こう思うわけでありまして、そういう意味では、ことし大変な一歩を踏み出したわけでありますが、次がなかなか大変なわけですよ、十七、十八。それで、ちまちました補助金をいろいろ整理しても、今回、生活保護が出たり、いろいろありましたけれども、四兆円という規模を考えるときには、やはり相当大きいものを視野に入れないと簡単なことじゃないんじゃないか。

 これから議論が始まりますが、大臣の胸の中にある、どの省に声をかけられて、大体私が言ってもいいんですが、例えば義務教育国庫負担金とか、あるいは厚生労働省所管の大口の補助金、これなんかについては、よほど今から胆力を持って、力を持ってやらないと前へ進まないと思っておるのでありますが、十七、十八に向けての大臣のお気持ちをちょっと聞かせていただきたいと思います。

麻生国務大臣 まず最初の交付税の差額の点については、詳しくは瀧野自治財政局長の方の話を聞いていただくと、余りそんなに顔をゆがめなくてもいいんじゃないかなという一定の答えがそろそろ出てくるんだと思いますが、今の十七、十八につきまして、残り三兆円の話はこれは大変です。

 これは基本的にはどれをという話で、今、義務教育国庫負担金というのは二兆八千億あるんですが、この分は、三兆円なものですから実に目につく大きなところで、総額約二十兆円のうちの半分が、いわゆる厚生省関係の社会福祉関係でなかなかさわりにくい。残り十兆円のうちの約三兆円が今言われた公共で、それから公共工事、そういったものがありますので、そこらのところで削れるところというので、やはり義務教育の国庫負担金というのが目につくところだと思いますが、各移管をされる方々も、この話をするときには、教育論でやるのと金目の話で入ってくるのと、これは教育の話を金から入ってくるというのはかなり危険を伴う話なんだと思うんです。

 それで、例えば県立高校というものに対しては、これは国から補助金は出ていないわけですから、幼稚園にも出ておりませんから、そういった意味では、ゼロとは言いませんけれども極めて微々たるものしか出ておりませんので、それでもそこそこいけておるという現実と、この義務教育に関してはちょっと全然別の発想が要るのではないか。いわゆる教育論としてという話と金目の話とはきちんと分けてやらぬと、財政論と教育論が少々ごっちゃになり過ぎて事が進んでおるというのが、この数カ月の議論を聞いていて率直な実感なんです。

 そこで、教育論でいきますと、これはやはり基本的には、義務教育というものの水準をある程度のものに維持すべきという国民の意思なのか、それとも、例えばアメリカのように、教育水準が一から十まであるとするならば、一から十まであって当然じゃないか、これだけ人間がいろいろいるんだからという発想と、日本のように、一もないけれども十もない、六、七、八、九に全部集中しておりますというのが正しいんだという考え方と、これは随分違いがあります。

 私どもとしては、何となく六、七、八、九に集中しているままでいこうとすると、ある程度維持をすることを考えますと、義務教育をそちらにお渡しするにしても、間違いなくこれだけはやってもらいますよというある程度のスタンダードを、円周率は三・〇でいいというんじゃなくて、三・一四一五まで言わなくてもいいけれども、三・一四まではやれとか、そういったある程度の基準というものを決めないといかぬのではないか。

 そうすると、それのために必要なある程度の教育をきちんと保持せないかぬとか、言い始めるといろいろ出てきて、いや、数学でそれなら国語はこれだとか、当用漢字は最低三千三百覚えないかぬとか、いろいろなことを言い始めますと、これがまた地方に対する過剰介入ではないかとか、それは地方の経費節減にならないとか、いろいろな御意見が出てくるんだと傍ら思います。

 これまた先ほどの話と同じで、知事さんを見ていますと、自由にやらせいという知事さんが正直いらっしゃることも事実です。

 どのみち御存じのように、落ちこぼれという言葉がよく言われますけれども、大体これが出るときはもう決まっておりまして、分数が始まったときと因数分解が始まったとき、この二つの段階で落ちこぼれというのは必ず出ることは、どの学校でも大体同じですから。お子さんを見られても、大体その段階で数学向きかそうじゃないかぱあっと分けられるので、大体この辺を見ますと、みんなその辺で余りよくなかった方が文化系に行ったと思って間違いないと思います。

 そこらのところは総じて、個別にやるから、そこらのところだけはおれたちにやらせてくれ、そこまですぱっと言ってこられる知事さんというのも実は何人かいらっしゃいます。そこらのところと、全然その意識のない知事さん、とにかくこれだけは絶対だめと言われる方の意識の差は、正直言って、この数カ月間やらせていただいて、一番要求に差のあるところはここかなと思うぐらい差がございましたので、ちょっと簡単にこれが答えというのは今持っているわけではありません。

 これは今から概算に向けていろいろやっていかないかぬところだと思いますので、真剣にこの面は詰めてまいりたいと思っております。

桝屋委員 大臣のお考えはまだまとまっていないということを理解いたしましたが、いいときに大臣におなりになったなと。大きな課題がありますので、頑張っていただきますように。我が党もしっかり引き続き議論したいと思います。

 ありがとうございました。

瀧野政府参考人 先ほど、ちょっと答弁で都道府県の基金のことを申し上げましたけれども、四千億と言うべきところを四百億円と言ったようでございまして、申しわけございません。四千億円を大きく切るということでございます。よろしくお願いいたします。

佐田委員長 次に、川端達夫君。

川端委員 民主党の川端達夫です。

 大臣、副大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 先ほども議論が出ていましたけれども、行革あるいは三位一体改革あるいは公務員制度の改革、郵政改革、IT社会への転換、e―Japan構想等々、日本のこれからの国の姿を左右する、地方分権ももちろんその骨格でありますが、重要な課題を総務省を中心として担っておられる。そして、この部分を審議する委員会が当委員会であるということで、大変責任が重いというふうに思っております。

 大臣がこの委員会という形で審議されるのは、御就任以来初めてだというふうに伺いました。法案審議もこの後いろいろ控えておりますけれども、そういう部分でまた各論にいろいろなことは当然議論になると思います。

 そういう意味で、きょうは、いわゆるこれからの国の姿をどういうふうに考えておられるのか、それはどういう物の考え方にあるのか、あるいは、そこでどういうリーダーシップを発揮されようとしているのかということ、できるだけそういう話をさせていただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

 当分の議論に、委員会の法案審議としては俎上に上らないだろうと思いますので、一番初めに郵政の民営化について伺わせていただきたいと思います。

 自民党の政権公約二〇〇三「小泉改革宣言」というのを改めて読ませていただきました。初めに、大見出しといいますか、大きな項目で「宣言3」という中に、「行政のムダをはぶき、簡素で効率的な政府を目指します」、その中に、「「官から民へ」を徹底的に進めます」ということで、「二〇〇七年四月に郵政公社を民営化します。」というふうに公約としてこの前の選挙で書かれた。

 これは宣言ということで、三つある中の一つということで非常にわかりやすいですね。「二〇〇七年四月に郵政公社を民営化します。」という極めて簡素な文章。その後の各論の中で読ませていただくと、「官から民へ」という項目の中に、「「民間にできることは民間にまかせる」 民主導・自律型の経済社会へ」、「(1)郵政事業改革 郵政事業を二〇〇七年四月に民営化」、ここまでは一緒なんですが、ここから、これはかねてから議論があったところで蒸し返しになるのかもしれませんが、「郵政事業を二〇〇七年四月から民営化するとの政府の基本方針を踏まえ、日本郵政公社の経営改革の状況を見つつ、国民的論議を行い、二〇〇四年秋頃までに結論を得る。」こういう、随分その当時話題になったフレーズであります。

 この部分というのは、結論を得るというのは、二〇〇七年四月に民営化する中身の結論を得るということなのか。後の文面では、郵政公社の経営改革の状況を見つつ、国民的議論を行い、ことしの秋ごろまでに結論を得るという中は、二〇〇七年四月に民営化するという中身の結論を得るのか、いや、民営化が本当にいいんだろうかということも含めての結論なのかというのは、随分そのとき物議を醸した文章であります。

 この部分に関しては、大臣はどういうふうに思っておられるのか。この公約化をするときに、例えば新聞の見出し的に言えば、郵政民営化、麻生総務相、公約化は慎重にと。いろいろあるじゃないか、余りこういうふうにやると難しいことがあるのではないか、大事にせないかぬことがあるのではないかということをおっしゃっていることもあるんですけれども、まず、この解釈として、結論を得るというのはどう思っておられるのかだけお伺いしたい。

麻生国務大臣 川端先生の場合も民間の会社にいらっしゃいましたのでよくおわかりのところだと思いますが、社員二十八万人、非常勤職員十二万人、合計四十万人という社員、二万四千七百という支店を持っておりますような組織というのは、世界じゅう探してもそうざらにある組織ではないと思います。

 この会社を民営化するということに関しては、何となく民営化という言葉がえらく躍りますけれども、小さな会社を民営化するのとはわけが違って、これだけでかいものを民営化する話をちょいちょいとできるほど簡単なものと考えたら、それは経営をなめておるとしか私には思えないんですね。

 したがって、これは、民営化するという方向で事を動かすに当たっても、これは公約といたしておりますので、民営化するという方向で事は動かしてまいらねばならぬ立場におりますのでいたしますが、民営化はあくまでも手段であって、目的ではない、はっきりしておると思います。

 したがって、公社として今、事は動いておりますが、この郵便事業というものを民営化をやった結果、少なくとも利便性が前より悪くなった、生産性は上がったけれども利便性は下がったなんというのでは、これは本来の目的から離れます。それから、約二十八万人の職員が少なくとも意欲を持って働いてもらわぬとサービスも落ちることになりますので、そういった意味では、基本として、きちんと二十八万人職員が安心して働ける職場、これは組合というものを考えれば当然のことだと思います。

 それともう一点は、やはり、国有だったものが民営化されて、結果として、国として、例えば金の流れとか、よく言われる、財投に金が偏り過ぎているとか、特殊法人に金が行き過ぎているとか、これまでの国有であるがゆえに起きております弊害等々がある程度直るなどなど、いろいろな点がきちんとされていくという方向をきちんとつくった上での民営化ということにならぬといかぬところなのでして、私どもとしてはその点を考えて民営化と申し上げているのであって、それを、いわゆる公約に民営化と言っちゃって、その中身は余りよう詰まっとらぬ話というのは無責任ではないかと申し上げたのであって、民営化するのに反対だから、民営化を公約にするのはいかがかと申し上げているというわけではないと御理解いただければありがたいと存じます。

川端委員 非常に率直にお答えをいただいて、私も、実態、そうだと思うんですよ。私もその部分は同感なんです。そういう部分で、公約というか、期限を切って、ここまでということを目指しておやりになるという意味だと思うんですが、そのときに、多分、ここは余り長くやるつもりはなかったんですが、そこで自民党の知恵があって、政府の方針を踏まえていろいろ議論をして、ことしの秋ごろに結論を得るという部分は、その結論が、もう少しよく見きわめていろいろやらないと出せないということもあるのかなというふうに思うんですね、今の大臣の御答弁なんか含めて。

 実際、法案化云々のときに、大臣もいろいろなところで同じような趣旨、この部分は趣旨一貫して言っておられる部分だと思うんですが、ところが一方で、例えば総理はことしの施政方針演説の中で、本年秋ごろまでに国民にとってよりよいサービスが可能となる民営化案をまとめ、平成十七年に改革法案を国会に提出いたします、再来年法案を出す、ことし秋にまとめるんだとおっしゃっているんです。これは、意欲としてはよくわかりますよ。しかし、これはかなり断定的なんですね。

 それで、大臣はいかにおっしゃるのかとこの前の大臣所信を伺っておりましたら、これは先般お述べになった大臣所信ですね、今後の郵政事業のあり方については、総理の方針に基づき、幅広く国民的論議を行い、利用者の利便性の一層の向上が図られ、職員が意欲を持って職務に取り組むことができ、そして国全体の観点からもプラスとなるよう、その検討に積極的に貢献しますと書いてある。

 総理は、政府として、ことしまとめて、再来年に出すということを言っておられるんですね。それは努力目標としてはわかるんですよ。だけれども、現実には相当厳しいんじゃないか。どうも、総理のいろいろな今までの議論でいうと、民営化をするということが一番大事であって、それは手段を目的化して、極端に言えば、中身に関してはもうわしは知らぬと聞こえるんですよ。極めて真っ当なことを大臣は言っておられるんです。

 その部分で、公約どおりに努力をするということと、そこで間に合わなかったときはおくれることもあり得るという部分でいえば、おくれることもあっても、目的を達成するためにやるということでは当然だとお考えですか。

麻生国務大臣 これは川端先生、先ほど申し上げましたように、巨大な組織ですので、やってみたら、ああ、こんなこともというのは多分起きてくるんだと思うんです。いろいろこういった、私も小さいながら、石炭というのをやめて別の仕事にかえますときに、職員というものの、組合との交渉やら何やらというのは全然予想しなかったものも幾つかありましたので、結構手間取ったりした経験もありますので、これだけどでかい組織で、しかも公務員を非国家公務員にするという話ですから、これはそんな簡単な話ではありませんので、私どもとして、方向としてこの秋ごろまでにめどをつけたいと。正直、民営化の中でも、やる方向は幾つかの方向があるんだと思います。

 その中で、例えば、今、郵政三事業という言葉がありますけれども、実際は四事業ではないか。窓口というものは、これは二万四千の窓口というのは大きな仕事になり得る話なので、どなたも余りおっしゃいませんけれども、これは全然別の事業として成り立つものだ、私はそう思っておりますので、そういった意味では郵政四事業になり得るんだと思います。

 そういったものを含めて、いろいろな方向を考え、例えば、会社でいえば、お役所でいきますと縦割りになっていますので、九州地区、四国銀行、近畿郵便銀行みたいな、簡単な縦割りみたいな話がよく新聞なんかに書いてありますけれども、実際それをやった場合、その地域においては一番どでかい金融機関になる。

 それがいいかと言われると、その業界同士でやはりある程度競争が起きていかないと、その銀行だけが大きなものになって、あとはまた同じことになりかねないと思いますので、その大きくなったものを、分割されたとはいえ、なおかつ大きい郵便銀行同士で、いい意味で競争が起きるシステムを考えないかぬとか、いろいろな、大まかな方向までは秋ぐらいまでにはめどをつけたい、私自身もそう思っております。

 ただ、法案として細目にわたったものが出るかというと、これだけでかい組織を細目にわたって法案化してという、その法案の定義も概略と細目と大分違うと思いますが、とにかく十七年度までにという方向で事を進めますためには、ある程度の段階として、ことしの秋ぐらいまでには一応の概略、法案も来年の通常国会に一応のものというのはわかりますけれども、細目につきましては、そこまでいけるかなというのは物理的な問題として少々気になっておりますので、そのような表現になったというように御理解いただいて、総理の意見にいかに抵抗するか、品よく抵抗するかなどというような次元のレベルの話ではないと御理解いただければと思います。

川端委員 総理は、まさに、本当に国民のためになり、そして働いている人も安心できるという三事業か四事業、三事業プラス窓口というのはその部分の役割を果たす機能だと思うんですが、そういう部分で、どうあるべきかという議論をすると抵抗勢力だというふうに、そういう部分を切り捨てるという手法をやり過ぎられているんだと私は思うんですよ。だから、大臣も非常に、そういうふうに言って抵抗勢力だと思われることを気にされるような御発言ですけれども、私たちは全然そういうふうには思っていません。

 だから、そういう意味で、まさにきちっとそういうことを積み上げる中でやるべきだと思うんですが、そのときに、議論としては秋までに結論を出してというその前に、民営化するんだというのはもう柱が立っているわけですね。

 世の中の人に聞いたときに、民営化するということで非常に理解が進んでいる部分というのは、郵便事業なんです。郵便事業が、小包が宅配と競争する中から、こういって、ああ、郵便局がああいうふうに、お客さん本位の、サービスよく、料金も工夫し、中の経営も効率も、コストダウンしてやっていくという姿になっていくんだな、それはいいことだなと。しかし一方で、余り営利主義というと、山間僻地、離島とか、捨てられたり値段が高くなったら困るなという部分が、郵便事業にかかわる議論としては、大体争点もそこにあるということも含めて理解しておるわけです。

 ところが、私なんかも地元でいろいろ話をするときに、そうしたら、町の人に、郵便貯金や簡保は民営化でどうなるのか知っていますかと言うと、それもですかと、普通の認識でいえば。そして、そこがどういう姿になるのかということのイメージはどうなんですかと言うと、知らないと。川端さん、どうなるんですかと言うから、私も知らないと。

 三つあるのではないか。一つは、民でできることは民でと言うんだから、別にお上が今さら銀行をやってくれなくても、これこそ、そこそこキャッシュディスペンサーも含めれば全国至るところにある、だからもうやめてしまうというのも一つの選択。もう一つは、せっかくあるんだしということで、日本の四大メガバンクを合わせたよりも大きい資金量を誇るウルトラ超メガバンクをつくるというのも一つ。もう一つは、いろいろそういうことになると、また民業圧迫というか、即民間だというけれども、ほかとの金融システムが大変なことになるということと、このお金を集めた部分のいわゆる国の財政とのかかわり、それから当然ながら金融との関係において、いろいろ規制をかけて、制限をかける中で民営化という銀行にする、よく考えたらこれは公社と一緒なんですけれども。こういうぐらいの選択かなと。

 しかし、これはどの道を選ぶかは、国民生活、金融社会、そして国の財政にとって大変なことが起こるということが実は答えが出ていないで、今から検討するんだ、それで秋までに結論を出すと。冗談ではないのかと思うぐらいなんですけれども、この点に関してはどうお考えですか。

麻生国務大臣 最も大事な御指摘だと思っております。

 総理の諮問委員会、田中座長が率いられます諮問委員会でも三つ案が出ましたが、一つは丸々やめちゃうという案と、一つは丸々今のままで親会社を国にしちゃうという案と、その中間と、あの答申では三つ出たんだと思いますが、私どもは、少なくとも、郵便貯金をやめちゃうとか、それからいわゆる簡保をやめちゃうという話をされる方もいろいろいらっしゃいますが、私はこれは無理だと思っております。

 基本的には、今例えば二万四千七百ぐらいある郵便局というのはやはり非常に大きな組織、力でして、コンビニで代替できるじゃないかという御意見等もありますが、今でも五百七十七町村はコンビニがまだありませんし、基本的には、いろいろな意味で郵便局の果たしております役目というのは、どうしてあなたは郵便局を使うのですかというと、答えは、四七%の方々は近くにあるから、全国どこでも使えるから、この二つで大体六割を超えるお答えをいただく。利用される理由というのはその二つが一番大きな理由というのは、いわゆる世論調査でも出てきているところなんです。

 私ども、確かにそうであって、夜中でも今は、少なくとも宅急便やら何やらで自宅に来られても全然いないという方々は、ちょっと郵便局の実態をよくわかっておられる方は、みんな近くの郵便局の局どめで田舎から物を送らせておられておるというのが圧倒的に多いわけです。夜中に行けばあいていますから、だれか必ず一人おりますので、そこでもらってうちへ帰る、これが最もよく郵便局を使っておられるやり方だと思います。

 こういったネット網というのは、これはユニバーサルサービスとしては絶対使えるものなので、ここに金というものも一緒にくっついていますので、それが一緒に預けられたり何かするから便利という点が一つ。

 それからもう一点は、それを全然別にして新しい新規契約をとめろなんていう話は、これは資金繰りというものがわかっていない人の話なのであって、そんなことをしたら後の資金繰りが回るはずがないのであって、こういうのは学者の理論で、とても成り立つはずがない、私はそう思っております。

 それから、そういった意味では、これは、今あります簡保、郵貯の資金というものを預かるだけで貸す能力は今まで与えられておりませんから、そういった意味では、それが全部財務省に入って、財務省の方から、やれ特殊法人だ、やれ財投だというのに行っていたところに問題があった、偏ったのではないかという御指摘はそれなりに正しいと思いますので、そこらのところは、郵貯で集めた金を自分で自主的に運用できる、運用できるというと、すぐまた、金を稼いだこともない役人が金を稼ごうだなんていって株なんかに投資していたらろくなことにならぬというのは、もう厚生省を見るまでもなくはっきりしておりますので、そういったような前轍を踏ませるつもりは全くありません。

 私どもとしては、この部分は、基本的にはそういったことのないように、いわゆる地方で集めたお金を地方で必要とされているところに貸せる方法はないか、地方でいわゆる小さな小口の商工ローン等々は考えられることはないのか。それが地方には一番、御存じのように、お兄さんのおられる近江八幡市に限らず、大体、特定郵便局長というのは人のうちの内容まで全部知っているのが特定郵便局長ですから、あの人にまさる情報網はそうざらにあるわけではありませんから、あの人たちの信用情報量をもとにしてきちんとした、入学金やら何やらを貸してやる等々の需要は、これは間違いなくある需要だと思っておりますし、いろいろな意味で広義に活用できる方法というのは幾つも考えられる。

 ここらのところは、川端先生、いろいろ手口を考えないかぬところなんで、私どもとしては、郵便局の簡保、郵貯の商品はやめちゃうという案も反対ですし、丸々今のままいきなり上に持ってきちゃう、では公社は今のと同じじゃないかと言われますので、どうもその中間ぐらいのところでいろいろ考え方を模索していかねばならぬところです。

 やはり民営化された以上、当然のこととして税金を払わないかぬでしょうし、いろいろなことはしなくちゃいかぬのは当然だと思いますけれども、傍ら、今それがあるから制限されております、千万円の限度とか、いろいろなところがもっといろいろなことをやれるように、投信ができるとか、制限されております部分は民営化されたら全部外されるのは当然のことだと思いますが、その他いろいろ、民営化される方向に向かって、今いろいろ新しい経営、今のまま民営化するのじゃなくて、こういったシステムを使って、これだけの資金量を使って、いろいろやれる新しい分野というものも真剣に模索されてしかるべきと思っております。

川端委員 今の議論は非常によくわかるんですけれども、そのとおりだと思うんですが、懸念しているのは、やはり今物事が進められているのが、これは鶏か卵かというのと同じなのかもしれませんが、こういう議論ができるのは民営化と言ったからだという人もいれば、それがなかったら何もしなかったんじゃないかという話は、ある部分そうだということも若干は認められるんですけれども、そうだからといって、民営化ということさえすれば中身に関しては何も関心がないようなことがあっては許されないと思うんですね。

 私は、大臣の御見識は非常に共感するところがたくさんあるんですが、ただ、これからの議論の流れが、経済財政諮問会議でも秋に答えを出すんだみたいな部分でいうと、本当に何か未消化で乱暴なことをやられては大変なことになるというふうに思っているんです。

 そういう中で、先般、報道を見ましたら、この法案の取りまとめの中心は、道路公団で失敗して批判を浴びているから、内閣官房にそういう法案準備の機構をつくってやるというふうな一部報道が流れました。大体だれが言うておるのかわかっておるのやというふうなコメントが大臣のコメントとして載っておりましたけれども、先ほど来ありましたように、詳細にわたって方向性と同時に法律的に詰めるということは大変な作業でありますが、その部分に関してはどこでやるのが一番適当だと大臣はお考えですか。

麻生国務大臣 基本的には、川端先生、新聞でいろいろ情報が飛び交っておりますけれども、これは総理から、おまえ、ここでやろうとか、ここでやれとかいうような指示が来たこともありませんし、現時点で決まったわけではありません。

 今の段階では経済財政諮問会議でやっていこうという形でありますが、内閣府で仮にやるにしても、郵政省の人ゼロでやるなんというのはとてもできる話ではありませんので、そういった意味では、いろいろシステムとして検討するにしても、当然、郵政というか総務省の人間が入った上で事を進めていかないと、全然知らない人だけでやれるはずの話でもありませんし、経営の話でもありますので、経営を知らない人だけが集まって法律をつくられてもとてもたまりませんので、そういったところはまだ決まっていない。

 御心配の点はよくわかりますけれども、現時点では何も決まっていないと理解しております。

川端委員 当然そうなっていくんだと思いますが、全般として、繰り返しになりますが、要するに、改革だといってスローガンとして民営化という部分で、ある意味、言葉、スローガンにこだわり続けて中身がないがしろになって、ぐちゃぐちゃになって世の中が一番迷惑を受けて、結果として悪いことが起こるというのは、大臣はどうお考えかは別にして、道路公団なんかもその最たるものだと思っております。そういう意味で、絶対にそういうふうにならないように、大臣の責任は重いと思いますので、その後引き続いて御努力をいただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。

 もっと簡単にやるつもりだったんですが、長くなったのでだんだん時間が迫ってきましたが、三位一体のことについて、これは多分今までも、先ほどの議論も、これからも、法案、予算、税法にも関連しますから随分議論があると思いますけれども、これも同じで、何のための三位一体改革なのかということなんですね。

 それで、伺うとまたいろいろお述べになると思いますので、こちらから三位一体改革の目的というものを、いろいろ政府の文書を見てみますと、平成十五年六月の閣議決定、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三というものの「構造改革への具体的な取組」の「6「国と地方」の改革」、三位一体の改革を推進し、地方が決定すべきことは地方がみずから決定するという地方自治の本来の姿の実現に向け改革すると。これが一番大きな、地方自治のあり方をちゃんと問うんだ、こういうことだと思うんです。

 「改革のポイント」という説明がありまして、官から民へ、国から地方への考えのもと、地方の権限と責任を大幅に拡大し、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主自立の地域社会から成る地方分権型の新しい行政システムを構築していくと書かれている。要するに、地方の権限と責任を大幅に拡大する、そしてそのバックグラウンドとして、国と地方の明確な役割分担に基づくんだ、その結果として、自主自立の地域社会から成る地方分権型の新しい社会を目指していく。このことは文章的に言えば非常に美しく、当然のことだというふうに思っております。

 ただ、それをやるために、いわゆる三位一体改革、補助金を減らす、地方交付税の改革をする、まあ結果的には減らす、そして税源を移譲するというのが手段として三つ出てきて、これで三位一体でやろうと。大事なのは、この三つのことは、先ほども掲げられた、地方の権限と責任を拡大して、そしてそのベースは、国と地方の明確な役割分担を基本としてやるんだということにいつでも基づいていなければならないと思うんですね、当然ながら、手段ですから。

 ところが、過程であるとおっしゃるかもしれませんが、ことしの分でいえば、一兆円補助金はまずぽさっと減らした、そして税源移譲は、所得譲与税と税源移譲交付金で約六千五百億、金目でいえば減っておるやないかという話になるんですね。そして、地方交付税も、結果としては地方財政計画に基づいて約一兆円減る。そして、税源移譲された分の使途は実はほとんど決まっているわけですね。使い道が決まっているわけです。

 そうすると、どこがこの目的に合うようになっているのか。いや、一年目だからと言うけれども、それは先があるのかということで地方は大ブーイングをしていますけれども、私は、地方も地方でいろいろ考えにゃいかぬときに来ていることは事実だと思うんですが、そのときに、先はどうなっていくのか、どういう姿を描いているからこういうことに取り組むんだということが余りにも見えなさ過ぎる。

 ですから、先ほどもほかの委員からありましたけれども、要するに、財務省の金目の話ばかりかということ。本来の目的の、地方の権限と責任を強化し、国と地方の役割を明確にするなんというのは飛んでいるのではないか。

 大臣の所信を伺ったら、地方が元気になる改革、地方の自由度を拡大する改革、自主財源を拡充する改革の実現を目指して、地方団体の声を聞きながら、相互信頼の向上に一層取り組みますと。多分、この紙を見せて地方自治体に聞けば、どこが、何が、地方が元気になるのがあるのか、地方の自由度を拡大、何ができたのか、自主財源は、名前として自主財源だけれども、使い道が決まっているけれども本当に好きに使える金という拡充ができたのかという声ばかりで、地方団体の声を聞きながらでもないじゃないかという話なんですね。現実にはそういうことだと思うんです、理解として。

 そこで、ことし一兆円、平成十八年までにおおむね四兆円ということなんですが、これ自体大変だという議論がありましたけれども、国と地方の財政のあり方、これはお金の話ですから、それと、権限と責任を移譲して役割分担していくときに、最終的に、今よく言われますね、自主財源として税収でいえば地方が三分の一、国が三分の二、国の三分の二のうちの三分の一を補助金として、それから交付金として。集めるのは三分の二と三分の一で、使うのは逆で三分の一と三分の二。この真ん中の三分の一が交付税と補助金という、いわゆるひもつき補助金ということで使い道までコントロールされる、こういうことになっているのが現実。今、一対二なんです。

 この四兆円は、そのことでいうと、どういう社会を目指していくのか、地方のあり方の財政の面で。これで終わりなのか、四兆円で。四兆円の中の一兆円はわかりますけれども、四兆円は四兆円で終わりなのか、まだあとあるのか。最終的に、どういう考えの、財政の自主的に好きに使うという部分であるべきとお考えなのか。

 ちなみに、民主党は、最終的にはフィフティー・フィフティーではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

麻生国務大臣 今おっしゃられたように、いわゆる三割自治という言葉がありますように、今回の流れの中にあって、基本的にはやはり明治以来の大改革なんだと思うんですね。

 それに合わせてやはり地方自治体に権限を持たせて地方でやる、いわゆる均衡ある地方の発展から特徴ある地域の発展ということで、多分時代の流れがそういうぐあいになってきているんだと思いますけれども、うちは国が出すこんなのは要らない、それよりこんなものをつくるから、こっちくれという話が実はいろいろ出てきた。もうおれのところはこんなもの要らないというようなときに対して、いや、それをつくらない限りは補助金は出さぬのですというから嫌でもつくる。箱物をつくった結果、後の維持費に赤字が出るというようなのは、どう考えてもこれは今の時代にはいかがなものか。これは皆さん思っておられるところだと思います。

 そういった意味では、地方の裁量権というのを、やはり地方自治をやっておられる方々は自分の見ている話ですからよくわかりますので、この金がありさえすれば、こっちに使わせてもらえばもっとうまくやるというのは、経営感覚があればみんなできるところなんだと思います。

 そういった段階になってきましたので、やはり、地方を経営しておられる方々が自分の自由度が増すというのは元気が出るもとなんです。ですが、そのもとになる、自由になるためには、ある程度はなきゃどうにもならぬということなんだと思うんですね。

 なきゃいかぬそのもとが、やたらめったらとひもつきで、あれやれこれやれと、やりたくもないものをやらされておると、その分だけ普通に使える金もそっちにとられちゃうということになったし、一時期、内需拡大ということで、やたら地方に仕事をわんわんやったもののツケも回ってきたし、いろいろな意味で、今非常にきついことになって、地方財政の方の赤字もえらいたまったという現実を、これはどうにかせにゃいかぬということになってきましたから、やはり金の話が先に出たことはもう間違いないと思っております。それが非常に大きな動機づけになったとは思います。

 傍ら、しかし、現実問題として、地方が自由度を増して、地方の権限で、地方の判断でやれるようにする方向でいかせるためにはやはり地方財源が出てこないかぬというので、片山大臣でしたか、言われましたように、一対一という、御存じのように今の一、一、一になっているところを、簡単に言えば、三でやれば一・五対一・五というのは、多分最終的にはそれぐらいかなと私自身も思わないわけではないんです。

 そのために、ほかの手口として地方の財源を持たせたときには、やはり受けられた首長さんもしかと自覚してやってもらわぬと、その金を何に使うかわからぬ、また、議会の方もそのチェックが全然きいておらぬというようなのも、三千二百もあればいろいろありますので、そういったところは、やはりきちんとした対応ができるような首長さんの自覚も要るでしょうし、いろいろなものなんだと思いますけれども、これはもうすごくあっちこっち差がありますので、これがこれとは一概に言えるところではありません。

 事実、私どものところにも、これ以上自由になんかしてもらうと、わしはもう大変だから、これ以上せぬでくれと言われる方も正直いらっしゃいます。そういう方も実はいらっしゃるし、もっと出せと言われる方々もいらっしゃる。これはもうすごく差があるんです。極端なことで二割、二割ぐらいで、あとの六割はどっちにしようかな、大体そんなところかなという。

 今お見えになる方の感じを見ているとそんなところなんですが、やはり意識を持ってやっていくことにならないかぬところなんですが、何となく、前の市長さんが死んじゃったもので急になっちゃったものだから、何すりゃいいんだというようなことを正直に酒の席なんかで率直に言われる市長さんなんかから聞くと、やはり、同情すると同時に、ちょっとしっかりしてもらわぬと、あんた、話になりませんよという話を申し上げるんですけれども、実に種々さまざまで、私どもとして一概に申し上げられないんですが。

 基本としては、今言われましたように、やはり地方が自主財源を持って、自覚を持って、ある程度自分の判断でということになりますと、これから行政手続はオンライン化されるわ何されるわというので、パソコン一つ全然できませんなんというところでは、それはとても対応ができるわけもありませんので、いろいろな意味で、ある程度地方自治体の基盤をしっかりするためには、町村合併の必要もあるでしょうし、また、それができないところは、それなりの事情がおありでしょうから、それなりの対応をしていただかなきゃいかぬことになるんだと思いますが、基本的には、地方が独立するために地方の自主判断の裁量権を広がらせるためには、ある程度の金、いわゆる自主財源というものがどうしても必要になってくる。

 したがいまして、私どもとしては、いわゆる地方で与えられるべき税源は、少なくとも国の基幹税として持っておられます、例えば、いわゆる所得税というものを地方住民税の比率をふやしてもらう等々のやり方でいかないといかぬと思っております。たばこ税の話も一時期ありましたけれども、これは煙のごとく消えましたので、基本的に基幹税というところでいかないと地方としては先が見えませんので、やはり所得税の住民税化というのは、一つの基幹税として、地方の方々が今回の予算編成とか税制改正のところで納得していただいたところはこの点かなとは思っておりますので、第一歩でありますけれども、その方向で事は進めていきたいと思っております。

川端委員 大臣おっしゃるとおりなんですけれども、実は、その自主財源が手当てを今回ほとんどされていないということと、先が見えない、要するに削られるだけかと。自由度がふえるということがないんですよね。まさにおっしゃったように、金目でバックアップされているかどうかというのがバックアップされないからということが今一番問題なんですよ。

 そして、首長さんにいろいろおられるというのは、現実そうかもしれませんが、これは、そういう首長さんは選挙を通じて生き残れなくなるということのチェック機能が働くわけですから、これは国会議員とはまた違う意味の明確なチェック機能が働く。逆に言えば、今までは国とパイプが太い人がいい首長さんで、野党の人が出たら、あれは国とパイプが切れるからだめやと苦戦を強いられることが多かったですけれども、これからまさに中身という部分では、特に中央官庁の方からは、そんなもの地方にすぐにやらせたら何しよるかわからぬでみたいな話を言われるけれども、これはとんでもない憲法違反の発言であると私は思っておりますから、お気をつけいただきたい。

 それで、今大臣るる言われた中で、例えば、私の滋賀県には全国一有名な豊郷小学校というのがあります。豊郷小学校という小学校があります。滋賀県の豊郷村から出た古川さんという人が一代で成功して、私が立派になれたのはふるさとのおかげであるということで、私財を投じて小学校を寄附されました。

 その小学校は、日本で一番いい小学校をつくりたいということで、ウィリアム・メレル・ヴォーリズという、いわゆる近江兄弟社、メンソレータムをつくった人は大変偉大な設計家でありまして、その人が建築した。ところが、非常に老朽化してきて、危険であるし、汚いし、いい建物だけれどもという。しかし、おじいちゃんも行った、お父さんも行った、おばちゃんも行った、お兄ちゃんも行ったという学校を建てかえたいというときに、いや、残してほしい、つぶして建てかえるということの大騒動で、リコール運動まで起こったことがありました。

 この根っこは、要するに、新築十数億円、老朽校舎、危険校舎をつぶして建てかえるというのであれば約十八億ぐらい多分かかるんだと思いますが、いろいろな補助金で実質市町村負担が二六・七%、計算すれば、約五億円ぐらい負担すれば十三億円ぐらいいただけると。古いのをいろいろ直そうとすると、歴史もあり、由緒もあり、いい建物で、みんなの親しみもある、町にとって大変大事な学校であるというのを直そうとしたら五億ぐらいかかる。補助率は三分の一ですから、三分の二持たないかぬ。

 直すんだったら約三億五千万、さら建てるんだったら四億八千万。そして、国から、さら建てるんだったら十三億もらい、直すんだったら一億数千万くれるというから、町長さん、あんたが町長だったらどう思うというたら、それはみんなさら建てるなという話になる。ここの部分にメスが入らないといかぬということが、大臣言われたのはまさにそういうことなんですね。

 そして、道路にしても、この基準だったら自前で全部改修、市町村一〇〇%負担、補助率ゼロ。だけれども、大規模補修だったらどんと補助金出してあげまして、六割補助、四割負担。そうすると、例えば、間尺に合って直そうと思ったら四億で直る道路を、しかし、もうちょっと広げて額をふやしてとやれば、多分十億かかると四億で済むぞという話で、いわゆるむだな公共事業というものが箱物道路を中心にいっぱいやられてきているという批判がある。

 ここにメスが入るということをしないと、要するに、実質的に権限を与えますよというのは、実は、中央官庁の持っているそういうむだ遣いをさせてしまう仕組みも切っていかないといけない。

 私は、ちょっと今回愕然としたんですけれども、今度のこの三位一体改革の中で、補助金のカットの中で、採択基準の引き上げというのが出てきておるわけですね。今まで、地方道の橋梁、二千万と一億円という基準だったのを一億五千万に上げるとか、市町村による都市公園事業、一億円という採択基準を二億円に上げるとか、採択基準を上げると言っているんです。

 私たちはこういう補助金は全部やめろと言っているんですけれども、例えば全国知事会は、国庫補助負担金の対象事業を個別に精査した上で、全部で八兆九千億の国庫補助負担金をもうやめて、七兆九千億税源移譲してくれ、一兆円ぐらい減らしてもいい、好きに使えと言ってくれたら、もう道も橋も学校も、何でも全部自分でやる、こう言っているわけですね。市町村長会も、同様のことで、市町村向け補助金十五・三兆円のうち、五・九兆円を廃止、約五兆円を税源移譲してくださいと。

 本当は、こういう考え方は先ほど大臣がお述べになったのと共通していると私は思うんですよ。ところが、現実にやられていることは、その補助金を持っているところは一切そこに手をつけさせずに、基準を引き上げると。

 そしたら何が起こるか。今まで一億五千万の採択基準だから、一億三千万ぐらいのものだったら自前でやらないかぬけれども、一億五千万だったら補助金をくれるからといってぶっと膨らまして一億五千万にしていたのを、今度は引き上げて二億円にするといったら、今度は二億円に膨らますという話を一生懸命やるということはもう目に見えているんじゃないか。

 もう一つ出てきたのは、まちづくり交付金。これは新たに、補助金、公共事業で一千三百三十億円、まちづくり交付金というのにする。それぞれの町が、余り細かくは言わないけれども、こういう計画で町づくりをするからと言ったら交付金を上げますと。これはいわゆる一括交付金でしかないんですよね。全部の市町村に、これを何件やられるのか知りませんけれども、また陳情合戦をして、うちはこんなのといって言ったら、また何らかの基準をつくっていくという話になるわけですよ。

 だから、これはひもは絶対放さないという根底の思想があって、中央官庁からそういうものを外して、もうひもつきの補助金とか基準を決めるということじゃなくて、好きにしなさいよという流れは、大臣のお話を伺っても、そうあるべきだ、ただ首長が心配だとかおっしゃいましたけれども、あるべきだと言っていたけれども、今回出てきたのは逆ではないのか。

 だから、全くこれは、理念として、そういう高邁なこと、あるべき姿を考えているのではなくて、財務省的に地方にお金を押しつけて、そして配ってあげるという、ひもは握って放さないというのがここにいみじくも出ているのではないかと私は思うんですよ。この点に関してどうお考えですか。

麻生国務大臣 まちづくり交付金一千三百億の件につきましては、これは都市再生整備計画に基づく話で、事業全体というものを対象としているんですが、基本的に、個別事業ごとにつきまして、いわゆる役所で言うところの事前審査というのは要しないというところが今までとちょっと違うところなんだと思っておりますのと、それから、従来の補助メニューと言われるようなもの以外で、いわゆる市町村が提案をされます事柄を対象としているというところが従来と違うところなんで、まちづくり交付金につきまして、いわゆる従来どおりのがちゃがちゃのひもつきというようなものではなくて、自由裁量度を高める方向でこの一千三百億だけは別になっておるというように御理解をしていただいてその点は間違いないと思っております。

 もう一点の採択基準の引き上げの件にありましては、今、いわゆる公共事業に国がどうやってかかわり合うかということに関して、かかわり合うべき重点化事業というものをもうちょっと考えないかぬのじゃないかというところで採択基準が引き上げられたというのが本来の話なんですけれども、結果としては、おまえ、地方の方が、採択基準を引き上げたのに合わせて、必要もない六メーター道路を八メーター道路にするじゃないかという点は、おっしゃる点は、これは考えられる。

 私も首長さん側だったらちょっといろいろ知恵を使うところかなと思わないでもありませんので、この点につきましては、よくよくそこらのところは留意しなきゃいかぬところだと思いますが、もともとは、国が何でもかんでもいろいろなものにかかわり合い過ぎるからということから採択基準の引き上げを行ったというのがその背景という点だけは、結果として今言われる点が起こらぬという保証はないと思いますけれども、今申し上げたような方向でもともとはスタートしたということであります。

 ただ、何でも、やるときはいいと思ってやるんですけれども、結果としては、それを悪用するのが出てきたり流用するのが出てきたり、いろいろなことをするのは世の常ではありますが、言われたような点は留意して、今後とも、実際行うときに当たっては考えねばならぬところだと思います。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

川端委員 まちづくり交付金、まあ自由度がふえたのは事実なんですけれども、全国市町村にくれるわけじゃないんですよね。そうすると、結局はまた中央に陳情合戦をする。

 竹下総理のふるさと創生事業というのがありましたね、全国市町村津々浦々に一億円ずつ上げる。考え方としては、その方が地方分権に役に立つ。あの部分は一回きりで、何かみんなに一億円というのはいかがなものかという議論とか、一回きりでしたから金塊を買ったところもありますけれども、私のふるさと朽木村というところは、温泉を掘って、いまだ非常に増設増設をしていっぱい人が来るという、数少ない成功した例だと思いますが、これは一回きりだったからそういうことになる。

 ですから、基本的に言えば、こういうまちづくり交付金で自由度をふやすという部分は、本当は、その部分の財源を地方に上げるから自由にしなさいというものの過程にあるんだったらいいんですよ。私が懸念するのは、結局は、そういう大きな理念の流れは見えずに、補助金を減らしていくという部分の財源移譲、税源移譲は基本的に見えずに、自分たちが配るという部分に関して自由度をふやすということをしようとしている。

 その部分に理屈は幾らでも立ちますよ、大臣おっしゃったように。しかしそれは、これからの地方分権社会と高邁に前段うたわれた部分に全く乗っていなくて、一番問題である、中央の省庁がお金を握る中で、ひもつき補助金という形でコントロールし、それが、地元の分はそこでしないとお金がないからということで、言われたように、突然山の中に幅広い立派な道路が延々と続いて、だれが歩くのかわからない歩道が延々と続いているという道路がいっぱいできてきた、そこに問題があるという反省が全く見えないと私は思います。

 ですから、我々はそういう部分は一切やめにしようと。知事会も市町村長会も、今、全額の部分をどさんと減らしてもいいから好きにさせてくれたらそれでいいとまでおっしゃっているときに、私はここが一番の焦点だと思うんですよね、要するに放すか放さないか。

 だから、その部分に関しては、これは三位一体改革という何かだんだん聞こえのいい名前みたいになったようですけれども、財務省主導によるつじつま合わせの、財布が困ったなというふうなことで地方にそういう部分を押しつけているという部分が非常に強く出た形に結果としてなっている。

 ですから、地方の自治体を総括される総務省、総務大臣としては、本当に私は、言葉の端々で問題意識と考えておられる方向というのは共感するところはたくさんあります。だから、それが本当にその部分にメスを入れた形で行われていないというところが私は深刻な問題だと思っていますので、我々はそういう部分でまたいろいろ提案もしていきたいし、議論をしていきたいと思います。

 時間が残りわずかになってしまいましたので、ちょっと順番が飛んだかもしれませんが、一つは、電子投票というのがいろいろ行われてきています。先般も京都の市長選挙で東山区だけやって、それはもう開票はあっという間に終わるんですね。そして、世界の先進国、民主的な投票制度を行っている中で、いわゆる自書式というのは日本だけ、韓国もかな、一、二だけ。そして、ちょっと変なことを書いたりして、投票者の意思とは別にして無効票の山みたいなことを改めるべきじゃないか。

 これには経過があって、例の細川連立政権のときの細川大臣と当時自民党の河野総裁の合意の中で選挙制度が変えられたんですけれども、このときにも、初めは記号式にするという合意の原案が、直前になって、いろいろあって、自書式のままで削除されたというふうに、日本の文化論まで言われる方も含めていろいろ議論があるのは承知をしているんですが、やはりいろいろやっていくと、投票率は上がるし、無効は少なくなるし、開票は簡単になるしということで、私は非常に促進すべきものだと思うんです。

 実は今、いろいろな部分で総務省がもう少しリーダーシップを発揮して、一定の基準とその実施のマニュアル等々の部分に責任を負ってお進めにならないと、補助金は出すけれども、後は自分の責任でやれ、おれは知らないぞという部分で、ごく初歩的なくだらないミスを犯して、大きく報道されて、電子投票で危ないじゃないかみたいなことに喧伝をされているということになります。

 もう一つは、せっかくある市や町やあるいは区でやって非常によかったと言っているけれども、国政選挙はこれは対象外になっていますので、せっかくやって、みんな、あれがよかったなと言って、今度参議院の選挙が来るといったらまた前の選挙のやり方をやって、今度また市長選挙をやるといったらまた電子投票をやってというのになって、逆に、先進的に進めているところがまた困っているという現状もあります。

 そういう部分で、大臣として、電子投票というもの自体をどう思っておられるかと同時に、ぜひともこれは国政選挙も視野に入れて、きちっとこれでやるという部分を指導していただきたい。

 アメリカの大統領選挙は間違いなく電子投票に変わるというふうに聞いております。そういう部分で、日本の産業の育成のためにもぜひともその部分をお取り組みいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 アメリカの、穴あける、今どきあの種の機械がまだ動いているというのは、かなりメンテナンスがいいんだなとは思いましたけれども、あんなものを今使っているところ、世界じゅう、先進国で考えられぬと思って、あの機械を見たときに、私が学生のときと全然変わっていないんですから、正直驚きました。

 いずれにしても、これは一つの方法として決して悪いことはありません。多分、日本の場合は識字率が高いものですから、日本とか韓国とか、あとたしかオーストラリアだったと思いましたけれども、イギリスもそうだったかな、何か書かなきゃいかぬということになったんだと思いますが、インドに行けば、絵でボタンを押すだけになっていますし、識字率の低いところほどそういうもので、何となくちゃんと字を書くのはきついというのが、多分もともとそういう意識が、改正のとき、平成六年だったか、あのときは結構働いていたと思っております。

 一時期決まったんですけれども、いろいろ御意見があったところでありますが、少なくともこれまでのところ、岡山の新見で最初スタートして、この間の京都の市長選の東山区のみでやったんで、この間、青森県の六戸と東山のみの二区は、不在者投票も電子投票でできるようにした。ほかの七つにつきましては、不在者投票は別にしております。かかりました時間を見ましても、電子投票でやりました結果、開票時間というのは、京都の市長選挙でやりました東山区のみとはいえ十三分とか、今までに比べて、福島県大玉村、従来二時間三十分が十六分とか、それはえらいことになっておるんです。

 そういった意味では、新しい方向として私は正しいと思いますが、これは、統一地方選挙、また衆議院選挙、国政選挙のとき、せえのでやるとこの機械代は結構これこそ経費のかかる話かなというのが正直なところで、それに、開票を手伝う人たちのいわゆる人件費、超過勤務の職員なんかを考えたら、こっちの方が安くはせんかなとか、ちょっと正直いろいろ考えてはおりますが、私自身としては、これは決して悪い方向ではないと思っております。

 ただし、国政選挙につきましては、各党いろいろ御意見が前回のときも出ましたので、これはちょっと議会の方で議論をいただかにゃいかぬところだと思っております。

川端委員 高齢化社会の中で、墨痕鮮やかに自書ができる能力は、もともとあったんだけれどもなくなってきつつある人、あるいはなくなった人もたくさんおられるんです。そういう意味で、一番民主主義の根幹にある投票権を本人の意思で確保してあげるという部分でも、非常に有効なツールであると私は思っています。

 ただ、今こういうシステムをとかいうときに、これは私の感想ですけれども、総務省は、そのシステムの運用やマニュアル等々に関してもう少し指導力を発揮されないと、結局市町村は、やる意思はあるけれども、何か全部自分でやれよ、全部責任もかぶれよと言われるから、ちょっと腰が引けちゃうところが現に出てきています。

 そういう部分で、機械の認証や運営のマニュアル、検査等々に関して基準をつくる、あるいは指導をする、そしてその部分の責任を持つということをぜひともやっていただきたいということなんです。この部分がないと進まない。

 だから大臣も、国政の分は国会の議論がいろいろあるのは承知をしていますが、これは我々の責めでもありますが、システムとしてそういうものを有効であるから進めようというお考えであるならば、総務省の中にぜひとも御指示をいただきたいというふうに思っています。何かありましたら。

麻生国務大臣 今後とも、地方選挙、ちょっと国会の方は、重ねて申し上げますが先ほど申し上げた傾向でありますので、地方におきます電子投票につきましては、促進していく方向でやってまいりたいと存じます。

川端委員 終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 民主党の伊藤忠治でございます。

 大臣と対面しますのは本当に久しぶりでございまして、大臣は記憶にないかもわからぬと思います。ちょうど十五、六年前ですか、大臣が外務委員長をなさっていましたときに、私も一年生でございましたが、外務委員として籍を置いておりまして、鈴木宗男さんも一年生で、与党側の理事の末席に見えまして、私が質問に立ちましたら、彼、元気いいですから、気に入らぬことはすぐ反論のやじが飛びまして、喧騒をきわめた場面がございました。

 当時は、委員長でございますから、不規則発言停止の再三の大臣の運びが出まして、それでも彼はやまりませんので、私もちょっと頭にきまして、質問席から乗り越えて宗男さんのところへ飛んでいって、場内立ち回りが始まったんですが、委員長の方から不規則行動についても大変注意をいただいて、そのときの発言を今でも覚えております。この外務委員会というのは非常に品位のある委員会である、だから委員諸君もその点を考慮して対応願いたい、こんな話でございまして、あれ以来、非常に近い距離できょうは議論させていただきます。懐かしい思いでございます。

 前振りはこれぐらいにしまして、とりわけ大臣は自民党政調会長として、国政全般にわたって、政策判断、それはまさに、二十一世紀に向けて我が国がどのような戦略あるいは展望に基づいて歩めばいいのかという大きな立場でこれまでも指導に当たってこられた方だと私たちは理解しております。答弁をお聞きしていましても、非常に自分の考え方がはっきり出ていますので、私は大いに議論を深めたい、こんなふうに思っているわけでございまして、総務大臣というポストは、そういう意味でも極めて重要なポストであろうと思っております。

 とりわけ、戦後半世紀を、それ以上過ぎているわけですが、三位一体といいますのは我が国の構造改革推進にとって喫緊の課題だ、このように思っております。それは、日本の置かれている今日の内外情勢を考えますときに極めて重要な局面に立っているのではないのか、こんなふうに私は緊張感を持って認識をしているわけですが、とりわけ、もちろん政策選択あるいは行政推進の評価、さまざまありますが、つまり、経済がうまくいかないとやはり行政サービスもうまくいきません。どうしてもその面は強いと思います。

 そこで、景気の状況をどう判断するかということなんですが、幸い、今日では景気回復に向けて明るい話が出ているわけですね。これは非常に大きな変わりようだったと思っておりますが、しかし、明るいと言われますが、実際に国内に目をやったときに、なるほど、東京都内なんかを見ますと、非常に建設ビルが多くありますし、そんな雰囲気を感じるんですが、地方の方が上京されて感じることは、東京は大変そういう活況を呈しているように思うけれども、自分の地元へ帰ったときは、何とこれは沈んでいるというか、暗い感じがしてならないと。これが、都会と地方の明暗を分けている今日の状況ではないかと思うんです。

 それで、なるほど、設備投資なり大手企業の決算状況なんかを見ますと明るさは見えているわけですが、一口に言えば、これはダボス会議でも、私、議論を聞いていまして感じたんですが、アメリカあるいは東アジア、とりわけ中国の経済成長が確実あるいは目覚ましい部分があるので、日本を取り巻くそういう環境が非常によくなっている、だから日本の輸出はぐんぐん伸びている。もちろん、よく言われますが、デジタル家電を中心に、設備投資あるいは売り上げということにいい面が出ているわけですが、一口に言えば、これは輸出主導の経済というふうに言えると思うんですね。

 問題なのは、国全体の景気が回復するということは、何かといえば、やはり内需拡大だと思うんですね。これは、国民の購買力が、GNPに占める割合が六〇%だとよく言われますように、一人一人の物を買う力、これが広がっていく力強さが出ないことには、結局経済全体を押し上げることにならないということで、内需拡大が非常に重要である、これはもう私どもも長年にわたってそのことを叫んできたと思うんです。つまり、輸出主導から内需拡大に経済が転換できない間は、一時期景気がよくなってもまた冷え込んでしまう、悪循環を繰り返して今日に至っているわけですが、そういうことが指摘できるんじゃないかと思うんです。

 つまり、なぜ内需拡大が広がらないか、力強さが出ないかといえば、購買力が強くならないかといえば、それは雇用が非常に厳しい状況だと思います。特に民間なんかは、リストラの上で、言うならば決算がよくなった、あるいは市場が拡大できたということですから、非常にこれは厳しい状況なんです。そうすると、賃金は上がりませんよね。賃金が上がらなきゃ公務員の賃金だって上がらないわけで、結局全体の購買力が低迷している、こういうふうに私たちは思っているんです。

 だから、輸出主導の経済で明るさは見えていますが、これが内需主導の経済に、国民全体の購買力が高まる方向にこれから結びついていくのかどうかという点でまだまだ不透明だ、このように私は思っているんですが、経済問題ではプロと言われます大臣の見解はどうなのかという点をまずお伺いしたいと思っております。

麻生国務大臣 伊藤先生、これはちょっと竹中大臣もしくは中川大臣の所管のところなので、私と意見が違っているかもしれないんですが、違わせて閣内不統一というのがおっしゃりたいのでしたら、ちょっと別なところで言っていただければ。あらかじめお断りしておきます。

 今言われたとおりに、大企業は、この三月期、多分この十二年間では最高の決算を出します。これはほぼ間違いないと思うんですが、その内容は、ほとんどいわゆるリストラと言われるものによるので、その意味では、関連企業に対しての波及効果は従来と比べて著しく少ない、これもはっきりいたしております。したがいまして、直ちにこの分が地方に波及していくかどうかは疑わしい。従来とは形が違ったものになっているという分析は、私もそう思っております。

 ただ、今、外需が非常にふえておると言われましたが、この四半期で、名目でも結構成長率は高く出たんですが、それの中で、外需寄与度と内需寄与度は外需寄与度の方が少ない、内需寄与度の方が多いんです。その内需寄与度のかなりの部分は設備投資になっております。

 御存じのように、機械受注が伸びますと、六カ月後には設備投資が伸びるということになっておるんですが、機械受注も角度は上がっておりますので、これは、向こう六カ月間ぐらいは少なくとも設備投資が伸びるという数字なんだというのは、従来どおりですとそういうことになってまいります。

 設備投資が伸びてくると、それがいろいろな形でまた雇用の拡大につながっていくという従来どおりのパターンになればもうそれでよろしいんですが、なるかと言われると、その分の機械受注が海外に発注される、海外の子会社に発注されるということになった場合は今言われた御懸念が出てまいりますので、そこのところは、ちょっと正直、私どもも今の段階で確たる答えを持っているわけではございません。

 ただ、何となく外需がいいのは、アメリカも当然、大統領選挙が終わりますまでは、かなりの双子の赤字を抱えつつも景気のよさを維持するということぐらいやりますでしょうし、中国の場合も、景気がいいものですから、自分でつくっております鉄が間に合いませんので、いわゆる電炉で溶かしますくず鉄を買いますものですから、くず鉄の値段は、二年前トン七千円が今二万円で買えないぐらい、値段は三倍ぐらいにはね上がっております。

 そういった意味では、明らかに、その種の部分に関して言うと、これはみんな景気がいいということになっておりますが、それは一部の話でして、そういった部分部分で明るさが出てきていることは間違いないと思いますが、それが直ちに全体にどうなるかということに関しましては、ちょっと気分的に何となくいまいち入れませんから、いわゆる個人消費の方も六〇%前後。

 加えて、ただ、消費者物価が下がっておりますから、その分だけは可処分所得がふえておりますので、ちょっとそこのところは何とも言えませんが、地方を見ておりますと、私どもの総務省の立場とすると、大都市、なかんずく東京、大阪及び名古屋の方が、景気という気の部分は明らかに上向きになっておりますけれども、それ以外の九州、東北、北海道等々は、失業率が今でも六%、八%という数字が示しておりますとおり、その種の波及効果がまだ地方には及んでおりません。

 何となく景気という気の部分はいまいち盛り上がっていないと思いますので、その部分をどうするかというのは経済政策としては手を抜いてはいかぬ大事な局面で、これでよかったからもう何をやっても大丈夫というような状況では全くないと思っております。

伊藤(忠)委員 おっしゃることだと思います。やはり私が思っておりますことと認識はそう変わっていません。

 やはり不透明な部分はあるわけですね。地方が景気回復ということになるためにはタイムラグが、どうしたって最低でも二年ぐらいはかかってきているわけですね。そうしますと、なかなか全体に景況感が行き渡るということは難しいし、実際に地方財政の、言うならば税源を潤す景気回復というところまでいくには、やはりこれは時間がかかると思いますね。だから、川端委員の指摘もありましたように、非常に地方財政というのは厳しい状況で、借金対策で強いられていると言ってもいいような状況が続いていると思っているんです。

 今回、二〇〇三の骨太方針で具体化されている部分が多いわけですが、実際に法案に出てまいります中身を一覧しておりますと、後でまた具体的な法案審議は始まるわけですが、松崎議員も本会議で指摘をしておりますとおり、つまり、補助金を削る、それから交付税を削る、これで二兆二千億円ですか。税源移譲というのはたったの四千五百七億円なんですね。さらに加えて臨時財政対策債の削減、これが一兆六千八百億ですか。これを足しますと、地方に行く分を削った総額は三兆八千八百億円ということになるわけです。プラスマイナスでいいますと、税源移譲分は地方にとってはプラスになるわけですが、占める割合でいいますとわずかに一一・六%にしかすぎないわけですね。

 だから、どうしたって地方財政というのは、その分だけトータルの収入が減るものですから、非常に厳しくなって、私流に言わせれば窮乏化の状況にある、こういう表現の方がむしろ当たっているのかなと思っているわけです。もちろん、自治体の中には改善しなきゃいかぬいろいろな問題は御指摘ありましたが、その点はもちろんやっていくということはこれからの課題でございますが、現状はそうだと思うんです。

 既に、公債残高を見ましても、国は四百八十三兆円、地方は締めて二百四兆円。これは返していかなきゃいかぬわけですから、さらに借金を上積みしていったら、よほど増税をどんどんやるか、それに見合うようなというか、それでも可能になるような景気回復がどんどんやられていくかというようなことがない限り、もうこれは大変な状況になるという私の問題認識なんです。

 このままいったら借金はだんだんふえていく。では、行政サービスをどこまで、これは歳出の削減になるわけですが、切り込んでいくのかということがもちろん必要になりますが、簡単には切り込めませんからね。では間接経費からいこうかとなったら、人の問題がかかわってくるじゃないですか。今、あなた、地方公務員は全体で三百万人いるわけですよ。全体で三百万。国家公務員は百十万人。大変な数なんです。それを四十七都道府県、市町村三千三百ですか、全部それをやっていこうとしたらこれは大変な仕事になるわけです。

 もちろん短期にはいきませんが、そういうことをもろもろに考えますと、これは本腰を入れた三位一体改革というのか、税源移譲でもそうですが、後から申し上げますけれども、そういうものを待ったなしでやっていくということを小泉内閣もやられないことには、もう日本の自治体の行政そのものが立ち行かなくなるな、私はこういう危機感を持っています。

 そこで、困ったものですから、マスコミに指摘されて、法律違反だといってやり玉に上がりました沖縄の赤字の予算ですよね。これは法律的には認められておりませんから撤回させられるわけですが、本来、赤字なら倒産なんです、これはもう大臣御承知のとおりで。ところが、税金を使っているから倒産できないわけですよね。

 税金を使っている行政府は倒産ができない。これは特殊法人だってそうです。税金が入っているから倒産は認められないんです。民間だったら倒産することによってもう一遍新たな出直しができる制度になっているわけですが、資本主義社会では。ところが、資本主義社会の中での税金を使って経営する行政機関、それに類似する機関はその方法がとれない。結局どうなるのか。めぐりめぐってそれは国民の税負担にはね返ってくる。

 そういう方法をとらざるを得ないか、これも大臣は御承知だと思いますが、もう一つやれることはインフレ政策です。インフレ政策でもって当面の、言うならば価値の評価を下げることによってクリアできるという、最後に残された伝家の宝刀みたいなものを抜くかということになるんですが、そこまでいったらこれはもう大変、国政のあり方そのものが問われる大きな課題でございますから、だからそういうことはとれないということになれば、一定の枠の中でどういう方法がいいのかということを我々は真剣に考えなきゃいかぬ。

 いずれにしても、現状認識はそういう厳しいところにあるなということについて、私はそういうふうに認識をしておりますが、大臣は、私の認識でほぼそうだということなのかどうか、いやいや、もっと楽観していいよというふうな認識なのか、この後の具体的な施策にかかわってまいりますので、その点についてまずお伺いをしたい、こう思います。

麻生国務大臣 今、伊藤委員御指摘のように、やはり二百四兆という地方の借入金というのは結構大きなものだと思いますので、ここの部分をどうするかというところです。

 基本的に、今歳出カットの話をされたんですが、もう一つ、歳入増というのもこれは当然もう一つの手口として考えられるんであって、景気がよくなりますと、地方にはいわゆる事業税というのが落ちますし、個人住民税というものが入ってまいります。そちらの方の分、いわゆる収入がふえてくる分というのも、これは景気がこのままずっと悪いんじゃどうにもなりませんので、ある程度景気の立ち直りが起きてくると、先ほど言われましたように、地方に起きてくるまで少しタイムラグがあるじゃないかというのは御指摘のとおりだと思いますが、それを受けました上で、ある程度の収入増というものも含めて考えるべきだとは思います。

 いずれにしても、まずは出るを制するところからということになりますと、今言われましたとおり、やはり二百四兆というのは結構な金であります。そういった意味では、この種のものがゼロであればいいというようなものだとも思いません、思いませんけれども、少なくとも二百という数は、ちょっと幾ら何でも大きいような感じがいたしますので、これをこのままほたってずっとそのまま際限なくいくのはいかがかという感じで、危機感、非常事態というような意識に関しては共有いたしておると思っております。

伊藤(忠)委員 十一時半までということになっていまして、きょうはアナン事務総長もお見えになりますので、ここで一応切らせていただいて、あとは昼からにさせていただきます。

佐田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時二十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

佐田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 引き続き質問をさせていただきます。

 午前中の質問の中でも、大臣からも見解がございまして、いずれにしても、税源移譲は少ないわ、補助金もトータルで削減をされる部分は多いわと。

 受け皿である基礎自治体、あえて基礎自治体と申し上げますが、基礎自治体の場合は、今、市町村の合併問題で積極的に取り組みが進められております。この受け皿がどのように進むのかということと、それから都道府県のあり方、こういうものが、今後、国の形としてどのように変化をしていくのか、整理をされていくのかということを抜きに三位一体改革も進まない、このように私は考えているわけです。

 そこでお伺いをいたします。

 市町村合併の推進状況について、現状をまずお伺いしたいと思いますが、三重県の場合は、法定協議会が三十六、任意協議会が十一、その他を加えまして四十九の市町村、率にしまして七四%で合併が大体予定どおり進んでいるような状況でございますが、この点について、事務当局として把握されておりましたら、手短に現状をお知らせいただきたい、こう思います。

大野政府参考人 まず、現在の時点での市町村数でございますが、合併の進展もございまして、現時点での市町村数は三千百七十ということで、既に三千二百を切っております。三千百七十というのが現時点での市町村数でございます。

 そこで、今御指摘ございましたように、合併協議会でございますけれども、法定協議会、現時点では、全国の六割を超える千九百二十一市町村が五百十五の法定協議会に参加をいたしております。そういった状況にあるわけでございます。

伊藤(忠)委員 ありがとうございました。

 現状が大体わかったと思いますが、なぜ進まないのか、現状の問題点は何なのかということを議論するにしてはちょっと時間がございませんので、現状の報告を受けて、そういう状況で進んでいるんだな、私どもの理解としては、進み方が少しこれは緩いのかな、こんな感じがしております。

 いずれにしても、自治体にしてみますと、今日の予算を組むにしても、大変窮乏状態と私は申し上げましたが、三つに類別できるんじゃないのか。

 つまり、まず一つは、単独事業を削減して事に当たるということ。二つ目は、これは桝屋先生も言われましたが、基金を取り崩してやるしかない、かなり底をつきつつあるということですが、これが十四件。今の単独事業が十七件。それから、人件費の削減で対応するしかないというところが五件でございまして、こういう状況を見ますと、いずれにしても、相当深刻な状況に追い込まれているわけでございます。

 政府は、財政健全化債の弾力運用だとか、地域再生事業債の枠を拡大して対処しようと言われているわけですが、考えてみれば、いずれもこれは赤字、借金のやりくりなんですね。問題の根本解決にはなっていないと思うんです。だから、合併を進めていくことによって受け皿が大きくなる、広域行政が進められる、そのことと、自治体の財政収支にどういう変化をもたらすのか、どのように改善の方向が見られているのか、あるいは、総務省としては、大臣としてはどのようなことを、市町村合併についての期待を求められているのかという点について、手短にひとつ、お考えがございましたら御答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 先生御存じのように、一つの行政区が極めて少ない、村でいけば千人とか千五百人とかいうところと、一万人ぐらいのところになりますと、一人当たりの行政経費でいきますと、五千人以下だと一人頭約百四万円ぐらい、行政経費として大体百四万円ぐらい。それが、一万人になりますと約半分、三、四万までになりますと三十四、五万、一万人ぐらいで約四十三万ということになりますので、約半分以下になるというのが一つの目安として、千人とか二千人というのと、合併して一万人ぐらいになりますとそれぐらいというのが、まずおおよその目安として申し上げられるところだと思っております。

 ちなみに、最近のところで、東京周辺でいけば、かつての田無と保谷というところが合併して西東京市になった例がございますけれども、ここで財政効果としては、両方ともで、人件費やら何やらがかなりということもありまして、結果として百八十九億三千九百万円安くなるという計算になっております。

 したがいまして、ただ合併してそのままじゃ何も意味がありませんので、いろいろな形で人件費や、また効率的な運営とかいろいろなことがあるんだと思います。そういうことからして、IT化とか、ここはいろいろやっておりますけれども、そういった合併をした結果、規模というものが大きくなった分だけ、いろいろな形で重なってあった部分、例えば給料の計算等々のバックオフィスの部分はかなり削減することができたなどなど、いろいろ地域、各市町村によって違ってくるんだと思いますが、合併することによってある程度の規模になりますと、それなりの効果が出るということだけは、数値の上からははっきりしておると思っております。

伊藤(忠)委員 強調されたのは、一口に言えば、歳出削減の効果はあるということだと思うんですが、それはそれで私は理解できますよ。

 問題なのは、今窮状にあるというのは、これからのことを展望しましても、結局は税収なんですよ。税収が思うようにふえない、予算を組まなきゃいけない、支出はそう簡単に減らせない、赤字は減らないという仕組みじゃないかと私は思っているわけです。

 これは前片山総務大臣も言われていますが、三位一体といいますけれども、結局税源移譲、これは大臣おっしゃいましたね、一対一をスタートにしてまずやっていくと。国は一、地方も一、事務をどう持つかによってこれからはやはり変えていかなきゃいかぬと思いますが、一対一をスタートにすると考えていいんじゃないでしょうか。

 あとは交付金の話、一括交付金としておろすのかどうか、補助金もそうなんですが、そういうものにもひもをつけずに下におろすという三位一体、とりわけ税源移譲に力点を置いて改革を進めないと、受け皿である地方自治体は工夫のしようがない、私はそう思うんです。だから、そのことに問題の解決はかかわってくると思わざるを得ないんですね。

 だから、勢い、これは中央の事務、権限のあり方をどうするかというところへいくんじゃないでしょうか。この部分が、言うならば先行的に議論をされませんと、税制の面での三位一体を何ぼ言っても、言うならば作業量の関係でメスが入りませんから、全体像がやはりつくられていかない、構築できない、こんなふうに思っているわけです。

 省庁再編のことではいつも思うんですが、具体的には、午前の議論でもございました、大臣のお考えは私も共有できる部分も多いんですが、例えば義務教育費の問題を議論するにしても、義務教育は国が持つのか地方が持つのかということをはっきり決めておかないで、これを税制の面から、予算の面からどのように合理化しようかといったって、これはどうしても私は混乱が起きると思っております。だからそこへ舞い戻るわけです。このことは経済財政諮問会議で議論されて、三位一体が具体化されようとしておると。なら、教育はどうなんですかと聞きますと、内閣府の答弁じゃありませんが、それは中教審で議論しておりますから、その議論を待ってから、こういうようになるわけですね。これは話にならぬ、問題の解決にならぬと思います。

 二つ目に指摘したいのは、生活保護費でもそうなんですね。これは、全国画一的な社会政策上の問題でございますから、国が責任を持ってやらなきゃいかぬわけですが、財務省レベルでいうと、現状どのようにこの効率化を図るか、言うならばお金がかからないようにするためにはというような対処策が出てくる。どうしても議論に混乱が起こります。これはやはり国の責任で持つべきだと思うんです。

 それから、過日、小泉総理が言われました情報通信省の一元化ですか。これも、言えば、中央省庁の新たな再編の構想じゃないんでしょうか。

 情報通信政策というのは、私はかつての逓信委員会に籍を置いたことが長くございますが、そこで二年生のころから叫んできていますのは、だんだん情報化社会になっていくからこの政策の一元化をどうしてもやる必要があるんじゃないのか、情報通信省を置きなさいということを言いましたけれども、これは、怒らぬでくださいね、当時の自民党の諸君から笑われまして、伊藤さんは何言うておるのかというて、私は一笑に付されましたが、まさしくその時代から、そういう方法で一元化を図っていかないと内部矛盾がますます拡大するということは、つまり縦割り行政、ばらばら行政が直らないということははっきりしていたと思うんですね。

 だから、そういう立場から、ぜひとも、第一次再編をやりまして今日に至っているわけですが、第二次省庁再編についての考え方、これが一向に出ていない、具体化されていない、三位一体と車の両輪としてメスを入れていかなければいかぬわけですが、改革案が出ていないんですが、この点について大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 最初におっしゃいました義務教育、生活保護等々の話はおっしゃるとおりで、教育論の話と財政論の話が一緒になっているところが話を非常にわかりにくくしておる。

 義務教育をやるというのは、これは御存じのように、義務教育制度として、世に不学の人なからしめんと欲すに始まります、明治にできましたあれ以来、営々としてやってきたところの部分を、今、金の面から、二兆八千億という義務教育国庫負担金というものの話からこれを地方に渡した場合に、その義務教育を各県、各市町村で従来どおりきちんとやっていただけるか否かというところは非常に大事なところで、これを縛りますと、いろいろそれはひもつきじゃないかという話にまたなる、難しいところだと思います。

 生活保護につきましても、国家として最低保障の権利は憲法上きちんとうたわれているところでもあります。ただ一方、よく見ますと、各県によって、千人当たりの人口で約十三人、十二人というところもあれば、一人以下の県もある。その県が特に貧しいかというと、なかなかそうは言えないのではないか等々、外から見ればいろいろ批判のあるところでございますので、そこらのところは今後、昨年経済財政諮問会議の指摘のあったところでもありますので、検討を各県ごとにしていかねばならぬところかなという感じがいたしております。

 省庁再編につきましては、今、国の業務の見直しをすべきではないかというところで、スタートしてまだ三年というところでございますので、ちょっと今すぐ、目につかないところはこうやっておけばよかったんじゃないかとか、総務省なんというのはやみくもにくっつけてでかくなり過ぎておりゃせぬかとか、大臣を担当して、こんなについている必要があるのかねと時々思わないでもないぐらい、全部とにかく脈絡なくこれだけくっつけた。他に属さざるものすべて総務省みたいな感じ。会社でも似たようなものなんですけれども、総務部というのはそういうことになるのかもしれませんけれども、ちょっと大きくなり過ぎておりゃせぬかなという気が正直しないでもありません。

 いろいろな意味で、行革というのは一回やったらそれで終わりということではないんだろうとは思いますが、直ちに今、大々的に大幅な省庁再編をしなきゃならぬというのには、もうしばらく時間をかけてみた上での話ではないかという感じがしております。

伊藤(忠)委員 私たちは私たちの考え方でこれからも積極的に主張してまいりたい、こう思っております。

 次に、独禁法改正についてお伺いをいたしますが、公取委の動きは御承知のとおりだろうと思います。

 幾つか改正点があるわけですが、とりわけ総務省にかかわる問題点に限定して申し上げれば、不可欠施設の対象業務とされているのが電力、電気通信、ガス、航空機ですか、このようになっているわけですね。ところが、それぞれこれはもう民営化移行時に歴史がございまして、現状ではそれぞれの関係省庁のもと、所管省庁のもとで事業法がつくられまして、ドミナント規制措置が実施をされております。その結果、公正競争条件の確立が一応きちっとできている、このように私たちは判断をしておりますし、問題は事業法との関係で対処すればいいと思うわけです。

 言うならば、事業法において適宜適切に運用されている、このような表現が一番適切かな、こう思うんですが、現状認識について、まず大臣の御見解を一言お伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今伊藤先生御指摘のありましたように、電気通信事業法第一条「目的」というところに、公正な競争を促進することにより利用者の利益を保護するとありますように、公正な競争というのは、これは電気通信事業法の設立された目的の一つであります。

 御存じのように、結果として今どうなったかといえば、いわゆる独占禁止法というようなものは、寡占状態にあるがゆえに競争が起きない、起きないがゆえに利用者、使用者、消費者にとってコストが、使用料が高いというような状況が問題であるがゆえに独占を廃止するというのが物の始まりなんだと理解しております。

 その点からいきますと、この電気通信事業法ができてこの方、少なくとも一種、二種というようなものが廃止され、結果として、三年前まで世界で一番高くて遅かった日本のブロードバンドは、今世界で一番速く、百メガビットまでいっておりますので、ブロードバンドで進んでおります韓国でも一・五メガぐらいだと思いますので、一番速くかつ一番安いということになっておりますので、電気通信事業法を改正していただいた結果、効果としては既に上がっておるのではないかというのが現状の認識であります。

伊藤(忠)委員 評価については共有できます。

 それで、今回の公取委の改正案を見ますと、不可欠施設というのを非常に大きな柱に据えているわけですが、対象業種を何にするかというのもこれは不明確でございまして、しかも、正当な理由がない場合には、立証責任は事業者にあるということで、これも問題でございますし、アメリカやEUの競争法に照らして考えましても、アメリカやEUではそういう法律にはなっていない。アメリカでも事実これがもめまして、今訴訟問題になっているというようなことなんですね。

 振り返りますと、これは電気通信だけには限りませんが、この改正法の背景というのを私はどうも考えざるを得ない。

 ちょっとお聞きください。これは、意見は賛成、反対あると思います。よく外務官僚が言いますよね、アメリカには三つの顔があると。一つの顔というのは、日米安保問題になると、にこにこ笑って積極的に寄ってきてくれる。それから、貿易摩擦、経済摩擦になると、居丈高で強圧的に対応してくる。三つ目の顔、国連問題。アナン事務総長お見えになりましたけれども、国連問題だと我関せずで、冷たい姿勢だ。これは、よくあらわしていると思います。アメリカの、言うならば問題別の顔というのをよくあらわしていると思うんですね。

 これは、私はまことに日本の経済史上残念だと思っているんですが、かつて国策で進めてまいりましたトロンがありますね、トロン、OS。これがかなりいいところまで、成功するなというところまでいって、なぜか国策の動きがとまりまして、結果的にはマイクロソフトにいってしまったじゃないですか。背景にどんなことがあったのかというのは、これは調べれば切りがないと思いますが、何か残念でしようがない。

 接続料金のLRICでもまさしくそうでございまして、USTRにがんがん攻められまして、非常に理不尽でございました。最後は森総理の沖縄サミットでそれが通っていくというような、これはもうこの委員会で何度もやったわけですが、苦い経験がございます。

 郵貯や簡保の問題、これは川端議員と大臣の議論がありましたけれども、これだって結局、国民の貯金を資金で集めるんじゃないですか。これを集まらないようにしたら、困るのはアメリカ経済じゃないでしょうか。だから、不思議なことに、アメリカは郵貯、簡保にはめったに物を言いませんよね。僕は、すがめかわかりませんが、そんなふうに思っているわけです。いや、それは言っているよと言われたら、それは後で聞きますので、もう時間がありませんからあれなんですが、意外と静かなんですよね。それは、やっぱり資金繰りの話なんですよ。

 そんなふうに考えますと、やっぱりこれは、背景があろうがなかろうが、そういうふうな問題点が絶えず、力が動いているんだということも計算に入れて私たちは見ているわけでございまして、もしどうしても必要だというなら、これは日本みずからの判断でやればいいわけで、つまり、二重規制には絶対反対であるし、では、ドミナント規制が事業法だけで不十分だというんだったら、これは独禁法を含めてゼロベースからもう一遍議論しなきゃいかぬと思っています。そういう問題だと思っているんです。

 ただ、現状はうまくいっているんですから、それをあえて、そこに波を立てるようなことで独禁法改正の動きをどんどん進める、強引に画策するなんというようなやり方は私は絶対反対でございますので、大臣の方から一言、その点についての御見解をいただければありがたい、こう思っております。

麻生国務大臣 独占禁止法の改正の話がいろいろうわさやら何やらなっておりますことは承知をいたしておりますけれども、今国会中に政府から独禁法の改正が出されるということは、私自身は聞いておりません。

 それから、今、いわゆる不可欠な施設という例の一連の枠の話があっておりましたけれども、これを保有しておられる方々というのは、電力業者を含めていろいろいらっしゃるのは御存じのとおりなので、そういった方々からもういろいろな問題点が指摘されておりまして、その問題点の指摘の方は私どもも伺っておりますので、今後とも十分な議論が必要であることははっきりしております。

 アメリカの例を引かれましたけれども、カリフォルニアのブラックアウトになりましたあの件は、まさにやった結果、だれも設備投資をしなくなって、結果的にアメリカはシリコンバレーで電力が不足して、停電を起こすというまことに醜態をさらしたんですけれども、あれに懲りて、テキサスの方は、その欠陥を補って別のルールに変えてうまくいったという例もありますように、ただただ自由にすればいいというものではないというのは、既に前例もあるところでもありますので、私どもも、その前轍を踏まないように努力をしていかねばならぬと思っております。

伊藤(忠)委員 最後の質問になりますが、住基カードの本人確認問題について御質問いたします。

 私は、個人情報を扱いましたので、随分これは苦労いたしました。やっとあれができまして、よかったと思っています。それだけに、神経をとがらせて見ていますと、本人確認の方法がどうも安易であったような気がするんです。もっと厳格に最初からやるべきではなかったのか、こんなふうに思っています。

 そこで、総務省としては、問題が起こりましたので、もっと厳格にやらなきゃいかぬなという問題認識で、事務処理要綱の改正というのを検討中だと聞いているんですが、これはどうしたって時間とのやっぱり競争みたいなところがありまして、早急に、本人確認が何かうまくいかないというんじゃよくありませんので、この辺の内容を、どのように改善方を詰められているのか、報告をいただいて、質問を最後にしたいと思っております。どなたか回答いただけますか。

山口副大臣 お答えをさせていただきます。

 伊藤先生、この事例につきましてはもう十分おわかりと思いますので、多くは申し上げませんが、住基カード交付時の本人の確認につきましては、政省令、事務処理要綱などで定めた方法によって実施をしておりまして、この事例もそれにのっとってやっていただいたわけでありますが、御案内のとおり、成り済ましというふうなことで、しかも、容疑者が本人から回答書を手に入れて、不正に結局住基カードをとってしまったというふうな事例でございます。

 まさに先生御指摘のとおりで、総務省といたしましても、現在地方団体の意見を聞いておりまして、住基カードの交付の際、より厳格に本人確認をしたい、照会の回答書、これは今までのものですが、それに加えて、健康保険証等の証明書の提示を義務づけるとともに、必要に応じて適宜口頭で質問を行って補足をする方式はどうなんだろうかということで、検討をさせていただいております。御案内だと思いますが、パスポートの場合も、本人を証明する書類等を二種類ほど持ってこいというような話もございまして、そこら辺も参考にさせていただいて、速やかに省令及び事務処理要綱の改正を行いたいと考えておるところでございます。

伊藤(忠)委員 結果についてはぜひともお知らせをいただきたいと思います。何らかの格好で、このようにやりましたということを知らせていただきたい、このことを要請いたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 民主党の山花郁夫でございます。

 私も、ほかの委員会が長かったものですので、総務委員会、初めてになります。きょうは、大臣の所信に関連して質問させていただきます。よろしくお願いをいたします。

 過日、当委員会で総務大臣の方から所信が述べられまして、その中に、平成十七年の行政機関個人情報保護法等の施行に向けた準備を進めますというくだりがございました。このいわゆる行政機関個人情報保護法でありますけれども、大変多くの議論があった法律で、私どももいろいろ当時申し上げたいことは申し上げたと思いますし、また、片山総務大臣のころでございましたが、私自身も質疑の中でその法律の問題について指摘をさせていただきました。

 今でも本当にこれで十分なのかどうかという思いは持っておるんですけれども、その点については留保をさせていただきまして、もう既に成立をしている法律でございますので、成立したものについては適正な施行と、施行される折にも、個人情報に配慮した形での運用というものを望んでまいりたいと思っております。

 ところで、そもそもの話でありますけれども、こういった個人情報の保護、取り扱いについて行政機関が行うということについて、法律の形になって提出をされてそれが成立をしているということについて、やや、もう成立しているじゃないかという話になるかもしれませんけれども、もう一度基本的なところに翻って考えてみたいと思います。

 やり方として、例えば、あくまでも行政機関の内部で扱うものですから、政令でその取り扱いを定めるというやり方も一つはあり得るのだと思います、それがいいか悪いかは別の話として。

 ただ、憲法の四十一条で、国会が国権の最高機関であるということと、唯一の立法機関であるという形で規定をされておりまして、唯一の立法機関であるということは、形式的意味の法律が国会の議決を経るということだけではなくて、実質的意味の法律、つまり、国民の権利とか義務にかかわる事項については、少なくとも国民から直接選ばれた代表者である国会がそのルールを定めるべきだ、そういうことが定められているというふうに一般には解釈をされているわけであります。

 この個人情報の保護に関する法律というものが、政令とか命令とかの形ではなくて、こういう法律の形で提案をされて、そして法律になっていった、この実質的な判断としては、そういった個人情報の取り扱い、またあるいは個人情報に関する情報のコントロール権という言い方をするか、あるいはそれがプライバシー権という言い方になるかどうかは別としても、個人の権利義務にかかわるそういったことが内容となっているのだという前提だと私は理解をしておりますけれども、この点についてはそういった理解でよろしいでしょうか。そもそもの認識です。役所の方で結構です。

松田政府参考人 法律の説明でございますので、私の方からさせていただきたいと存じます。

 先生御指摘のように、この行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律につきましては、行政の適正な運営を図りつつ、個人の権利利益の保護をするということを目的にしている法律でございまして、まさに個人の権利利益の保護に関する法律としまして、行政機関にいろいろな制限を課し、かつまた、その情報に関する個人のいろいろの権利を定めておるものでございますので、命令とかあるいは政令とかそのようなものでなく、法律によって定められているものと承知いたしておるところでございます。

山花委員 それでは、大臣は所信の中で、平成十七年の施行に向けたという言い方をされていますけれども、具体的にはこれはいつから施行されることになっているんでしょうか。その点、確認させてください。

麻生国務大臣 御存じのように、これは昭和六十三年に、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律というのができております。それを全面的に改正したものが今回の法律でして、これが昨年の五月に成立をいたしております。その意味では、今その移行期、今その前の、先ほどの六十三年の法律でやっておるわけですけれども、これが平成十七年の四月の一日に施行ということになっておりますので、今ちょうど移行期の約一年少々ということになりましょうか。約二年弱、その間はこれをやります。

 ようわかっておられる方とわかっておられぬ方とおられますので、国会で話題になった割には余りよくわかっておられぬ地方の行政体も結構ありますので、個人情報の保護をテーマにしたセミナーというのを、これは総務省というか、旧郵政省やら自治省やらで結構あちこちでやらせていただいたり、周知徹底に取り組んできたところですが、もうしばらくこれをやらないといかぬところで、わかりにくいとかいろいろ御意見があっておりますし、セキュリティーにもかかわる話でもありますので、これは非常に大事なところだと思っております。

 したがいまして、今後とも、移行期であります来年の四月一日に向けて、引き続き、この運用をやっていきます手引書やら何やら、いろいろそういったところを努力していかねばならぬと思っております。

山花委員 四月一日に向けてということで準備を進めますという、その中身についても今お話があったのかなと思います。そうした準備をされているということなんですけれども、ただ、私自身としてはちょっと気になる取り扱いがあるものですから、当委員会としては少し毛色の違った話かもしれませんけれども、ぜひ大臣にもお聞きをいただきたいと思うことについて少し議論をさせていただきたいと思います。

 きょう、資料の配付をさせていただいているんですけれども、表が人口動態調査体系図となっているものであります。一枚めくっていただきますと、そこから各種の届け出の書類があると思います。大体、市区町村の、基礎自治体の役所に行きますと、こういった届け出をするケースがございます。

 私の手元には、これは原本でありまして、私ごとで恐縮ですが、ここ四、五年の間に父も他界をいたしまして、死亡届というものを出した経験があります。また、婚姻届が一回と出生届を二回出したことがあります。ほかの二つについては、幸いにといいましょうか、まだ提出をする機会がないんですけれども、これはいろいろなことを書くんですが、一応答弁をいただいておきましょうか。大臣、こういうものを提出された御経験はございますでしょうか。

麻生国務大臣 死亡届を除きまして、出生届は子供のものを。それから、死産届はありません。婚姻届。離婚届もあなたと同じでまだございませんが、その二つの経験がございます。

山花委員 割と今穏やかに話が始まっていますけれども、当委員会の委員の皆様も、なかなかこれは人ごとでない、ちょっとあれっと思う話があるんですね。

 少し一つ一つ詰めていきたいと思いますが、例えばの話、この婚姻届、氏名、住所、本籍等を書かなければいけないんですが、あとの扱いの話は別といたしまして、これも役所の方で結構ですけれども、ここに記載されているような内容というのは、個人情報保護法の定義のところにあったと思いますが、これは行政機関個人情報保護法に言うところの個人情報に当たると考えてよろしいですね。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 行政機関個人情報保護法、新法の方でございますが、これは、国の行政機関の保有している個人情報について対象になるわけでございまして、出生届につきましては市町村等に提出されるわけでありますが、その市町村が保有している限りにおきましては、国の行政機関個人情報保護法の対象ではございません。

山花委員 市町村が持っている状態ではそうなんでしょうけれども、この中身の話であります。

 第二条二項、「この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいう。」というところの個人情報に当たるのではないかということなんですが、その点については、これに当たるということで私はいいんだと思うんですが、お願いします。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、行政機関個人情報保護法は国の行政機関の話であるわけでありますが、今先生のお引きになられました条文の文言には該当する情報であろうと考えております。

山花委員 なかなか慎重な御答弁ですので、その主体の話は私は今聞いていないので、確かに、主体は国か地方かということでこの法がかぶってくる網は違ってくるんですが、個人情報という意味では、少なくとも、婚姻届、出生届、離婚届、ケースによっては死産届も、その母親に関する情報あるいは両親に関する情報という限りでは、恐らく個人情報ということは妨げないのだろうと思います。ただ、微妙なのが死亡届でありまして、生存する個人ではありませんので、これは多少違う余地はあるのかなというふうに思っております。

 ところで、なぜこんな話が始まったかということなんですけれども、もともとこの届け出、ちょっと気になっていたんです。というのも、私自身も、先ほど申しましたように、ここ数年で何度かこういった届け出を出していますので。

 婚姻届を出したときは、私は公職の身にはありませんで、しかも前の職場をやめて候補者の立場でしたので、たしか無職と書いた記憶があります。職業を書く欄があるんですね。子供を産んだときは現職でしたので、国会議員と書くのも嫌らしいかなと思って公務員と書いたんですけれども。

 ただ、これは戸籍の問題ですから、どういう仕事をしているのか、大臣でいらっしゃるのか、セメント屋さんなのか、予備校の先生なのか、そんなことは戸籍上は本来余り関係のない話なわけです。

 ただ、婚姻届にしたって、普通は一生に一回出すかどうかというものですし、出生届についても、恐らく出された経験のある方は、男性の委員の方が多いですから、大概男性の方が出したんじゃないかと思います。と申しますのも、退院して、お母さんというのは役所になかなか届け出に行けないですから、書かれた経験のある方は多いと思うんです。

 しかし、こうやって届け出となっていれば、書かなければいけないものだと思うのが普通の心情だと思いますし、ましてや、婚姻届なんか、受理されないなんという話になると、何か門出のところでみそがついてしまうような気がしますので、これは書かなきゃいけないんだろうなと思うのが通例だと思います。

 実は昨年、私、委員会としては法務委員会におりまして、担保・執行法という法律の、それは略称ですけれども、改正がありました。そのときの議論なども、せっかく房村さん、民事局長にもおいでいただいているので、少しおさらいをしながら議論を進めていきたいと思います。

 昨年、その法律の改正がありまして、離婚をした家庭で養育費の取り立てを容易化するという法改正がありました。ここのところ、児童虐待であるとかそういったことが非常に話題になっておりますけれども、虐待の家庭の原因が、例えば経済的困難とともに一人親の家庭のケースが多い。これは、余りレッテルを張ってもいけないのかもしれませんけれども、そういったデータもあります。そういったこともあって、なかなか一人親の家庭の自立支援ということが大変な中で、私どもとしては、あれはいい改正だったのかなと思っております。

 そのときに、例えば、今離婚届がありますけれども、今申したように、必ずしも戸籍に関係のないことも書いてあるわけですから、我が国では非常に養育費の支払い率が低いんですね、パーセンテージとして。テレビなんかで、何か法律物の番組なんかではすぐ慰謝料という言葉が出てくるので、子供でも慰謝料という言葉は知っているんですが、養育費ということになると、これは大人になっても払う意識のないような人たちがいるもので、だから、もし可能であれば、そういった意識を顕在化させるためにも、こういった離婚届のどこかに、養育費の取り決めがあるときは、その額のような、選択的なというか任意の記載事項を設けたらどうでしょうかという話をさせていただいたんですが、法務省はそれはできないという答えなんです。

 あのときの議論なんですけれども、なぜできないんでしたでしょうか。民事局長、お願いいたします。

房村政府参考人 基本的には、離婚届あるいは婚姻届のような戸籍に関する届け出につきましては、その届け出事項の真偽を判定するに必要な事項を届け出事項としているわけでございます。

 ただ、御指摘の、例えば同居の期間であるとか、そういった直接戸籍に記載しない事項についても、現在届け出事項として用紙に書いてございますが、これは、市町村長が人口動態統計調査を行うときに、戸籍法に基づく届け出書に基づいて調査票を作成する、そういう規定になっておりますので、それに協力する趣旨で届け出事項としているものでございます。

 先生御指摘の養育費につきましては、特段そういう根拠がございませんので、やはり届け出事項として全くの任意の事項を定めるのは個人のプライバシー等の関係もございますので、私どもとしては、やはりそれは適当ではないのではないか、こう思っているわけでございます。

山花委員 法務委員会ではないのでこれ以上はやりませんが、当事者のプライバシーの問題もあるのでという、当時も同じようなせりふがあって、私が、いや、だって、そもそも書かれていること自体がプライバシーにかかわるので、ほかの戸籍に関係のないところだってそういう面はあるじゃないですかと。

 子の最善の利益という意味からすれば、人口動態統計と養育費とどっちが大事だという思いはありますが、その点は留保させていただきながら、ただ、これは先ほど申しましたけれども、戸籍窓口の方で、例えば職業であるとか、つまりはこの中で戸籍に直接関係のない事項について記載されていないケースは受理するんでしょうか、しないんでしょうか。

房村政府参考人 この届け出書の記載事項が欠けている場合でございますが、戸籍に記載するような事項あるいは戸籍に記載する事項についての判断のために必要な事項、これが欠けている場合には受理できませんが、それ以外の事項が欠けている場合であっても、これは不受理とはなりません。

山花委員 そういうお話なんです。理屈としては正しいと思うんですけれども、今コピーのその届け出を委員の皆さん方ごらんになって、どの部分がその戸籍に関係あることなのかないことなのか、私は多少大学で法律を勉強しましたから、まあこの辺かなと当たりはつくんですけれども、一般の方には恐らくわからないのではないかと思うんです。しかも、どの部分が人口動態統計調査に使われているんだかという断り書きも一切ないですからね。

 ところで、これはどの部分が使われているかということはお答えいただけますでしょうか。

房村政府参考人 どれにしましょうか。例えば、ただいま例に挙げられております離婚届で申し上げますと、直接戸籍に記載しない、あるいは届け出の受理の適否の判断に必要でない事項といたしましては、左側の方に書いてあります(6)(7)(8)(9)、「同居の期間」、「別居する前の住所」、それから「別居する前の世帯のおもな仕事と夫妻の職業」、この部分につきましては、そういった意味で記載が欠けていても受理をするということになります。

山花委員 最後のところをおっしゃるからちょっとわかりづらくなるんですけれども、それはそれで結構です。

 私も、最初びっくりしたんです。つまり、ただ文句を言っているだけじゃなくて、少しこうしたらどうかという提案をしようかと思いまして、いや、人口動態統計に使われている部分があるんだったら、例えば、破線で切り取り用の形にして、この部分はこういうことに使いますよというような様式にしたらどうかとか、あるいはこの部分についてはこうですよという形にしたらどうかというような議論をさせていただいたんですが、当時、私もどういう話なのかまだよく見えておりませんで。委員の方、配付した資料をずっとおめくりいただくと、後ろの四枚がその人口動態、出生票一、二、三、四から始まるんです。

 私の手元にあるのが原本なんですが、驚いたんですけれども、届け出されたこと、これは、住所、氏名、すべて書き写してというと色がついた言い方かもしれませんけれども、要するに、市役所で受け取ったら、この届け出のところに、例えば一から十五まで入っているといたしますと、それを人口動態調査出生票とか死亡票、死産票、婚姻票、離婚票、すべて書き写して、これが厚生労働省の方のルートに乗っていくという話でありまして、当時、法務省の方も困った顔をされていたのは、それは当然です。つまりは、どの部分が使われているんですか、その部分を切り離したらどうですかと言われたって、これは全部使われているわけですからね。しかも断りなくということは申し上げておきたいと思うんですが。

 ところで、きょうは厚生労働省の坂田統計情報部長がいらっしゃっておりますので、お伺いしたいんですが、そもそも、この人口動態統計というのはどういったものなんでしょうか。

坂田政府参考人 人口動態調査でございますが、この調査は、我が国の出生、死亡、死産、婚姻並びに離婚という、いわゆる人口動態事象を把握いたしまして、厚生労働行政の基礎資料として活用することを目的とし、厚生労働省が行っているものであります。

 この人口動態調査は、統計法及び人口動態調査令に基づいて行われておりまして、人口動態調査票は、市区町村長が戸籍法による届け出書等をもとに作成し、保健所、都道府県を経由して厚生労働省に提出されるものであります。

山花委員 人口動態統計というのは、これはその資料自体の重要性というのは私自身も否定はいたしません。あの有名な合計特殊出生率が何ぼであるか、一・三二ということ、これに基づいて、例えば今国会でも大変議論があります年金だとか、あるいは今後の子育て支援がどうだとか、そういった議論はこういったものに基づいて行われているわけですから、これが重要だということ、また、こういったことをやめてしまえという乱暴な話をしているつもりはないということを前提とした上で、ただ、その情報のとり方が問題だと思うわけであります。

 今、こちらから聞こうかなと思っていたことについてあらかじめ御答弁がございました。統計法に基づいてとありますが、その統計法というものは、恐らく関係する条文というのは七条で、「指定統計調査を行おうとする場合には、調査実施者は、その調査に関し、次に掲げる事項について、あらかじめ総務大臣の承認を得なければならない。ただし、」ということで、ただし書きがある、ここのところかなと思うんですけれども。

 そもそも、この人口動態調査というのは、この統計法の七条に言う指定統計調査に当たるんでしょうか。

坂田政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

山花委員 要するに、総務大臣も、この統計というか、この人口動態調査、人ごとではない話だということであります。

 ただ、この統計法そのものは、人口動態統計だけではなくて各種統計すべて一般的な法律であって、書き写すと申しましょうか、戸籍に届けられたものについて、それについて調査票をつくるということは、人口動態調査令、これは政令ということなんでしょうか。政令だと思います。

 ただ、今根拠があるというお話はありましたけれども、確かに、一般論として言うと根拠はあるんです。「市町村長は、戸籍法による届書又は昭和二十一年厚生省令第四十二号による届書その他の関係書類に基づいて、厚生労働大臣の定めるところにより、人口動態調査票を作成しなければならない。」こう規定されているわけでありまして、必ずしもこの届け出されたものについて、逐一全部、住所から氏名からすべて写せということは書いてない、人口動態調査令というものは。

 あえて申し上げれば、さらにこの「厚生労働大臣の定めるところにより、」とある人口動態調査令施行細則というのがありまして、第一条のところで、「市町村長は、出生、死亡、死産、婚姻及び離婚の届出を受けたときは、これに基き、すみやかに人口動態調査票を作成しなければならない。」ただ、この条項、ほかにもありますけれども、読んでいっても、出されたものについて、これこれのものについて移記しなさい、転記しなさいというふうには書いてないわけです。ただ、どういう人口動態調査票をつくるのですかという話になると、様式第一号ということで、きょう委員各位、皆様のもとにコピーを配付しておりますけれども、こういったものが様式ということでサンプルとして載っている、こういう話です。

 そこでなんですけれども、一つ確認しておきましょう。今申し上げましたように、人口動態調査票に記載する事項については、少なくとも法律上の根拠に基づくものではないですよね。政令以下のものだということですね。もっと言えば、政令以下でも、どの部分を書き写すのだということが私には不明なんですけれども、どういった根拠に基づいてこの転記をしているのか、この点についてお答えください。

坂田政府参考人 具体的な調査票そのものにつきましては、省令でございます。

山花委員 省令といいますと、どこに当たるんでしょうか。人口動態調査令に先ほど根拠がありますとおっしゃいましたけれども、届け出を受けて、それに基づいてつくりますよという話は、確かに省令に書いてありますけれども、氏名あるいは住所、指定都市の町、字、丁目、番地、アパート、マンション、様方などであるとか、その他もあります。もっと言えば、死産届の場合は、おなかの中で子供が死んだ、事件なのか事故なのか、あるいは胎児の側にあったのか母親の側に問題があったのか、こういったことまで書き写すという根拠は一体どこにあるんですかということです。

坂田政府参考人 省令と申しますのは人口動態調査令施行規則でございますが、その第六条に、概略申し上げますと、出生票等の様式は様式第一号から第何号までによるという規定がございまして、これを根拠といたしております。

山花委員 まず、そこで問題点が一つ明らかになったと思います。先ほど総務省の方から御答弁をいただきましたけれども、その主体が、国が持っているか地方が持っているかということはともかくとして、こういった届け出に書かれている中身については一応個人情報に当たるのだという、それ以上言うと、また、いやいやという話があるかもしれませんけれども、内容についてはそういうことだと。

 もともと個人情報保護法というのは、先ほど総務大臣から六十三年の法律があってという話がありましたけれども、個人情報というのは国民の権利とか利益にかかわるものだから、本来的に言えば、憲法の原則からいっても、法律でルールを定めるのが筋合いだと私は思いますし、人口動態調査令施行細則に基づいてこういった転記が行われているというのは、私の方が議会の方にいるものですから、いや、法律でやるのはあなた方の仕事でしょうと言われればそういうことかもしれませんけれども、この人口動態調査令施行細則も昭和二十三年からずっと出ているものでして、かつてはそれほど問題視されなかったのかもしれません。昭和二十三年といえば、まだプライバシーという言葉もあったかなかったかという時代ですから。ただ、事今となっては、ちょっとこういうやり方というのは気になりますね。

 そして、この人口動態調査の流れなんですけれども、配付いたしました資料の一ページ目。これは厚労省からいただいた資料です、私が作成したものではありません。

 届け出をいたしますと、出生、死亡、死産、婚姻、離婚届、市区町村に届け出をいたします。先ほども、麻生大臣も届け出をされたことがあるという御答弁がありましたけれども、届け出をされたことがある委員の方々は、それでおしまいで、後はもう法務省のルートに乗っていくんだろうなという認識はあっても、これが市区町村から、例えば調査票などが作成されて、保健所に行って、保健所がまた取りまとめをして都道府県に行き、都道府県から厚生労働省の方に行く、こういった別のルートで同じ情報が流れているという認識は、恐らくないのではないかと思います。

 そして、まさかとは思いますが、この間においてコピーがとられたり保存されたりということはないということでよろしいでしょうね。

坂田政府参考人 そういうことはございません。

山花委員 ございませんとはっきりと言われますが、この間に市町村、都道府県なども介在をしているわけですので、私は、ないと信じたいですが、ただ、あるという根拠もないんですけれども。

 ただ、一般論として申し上げますと、これも私ごとで恐縮ですが、私の親族にも、公務員、役所に勤めている者がおりまして、彼も守秘義務があるから、こういうのをコピーをとっているとは言いませんけれども、私も感覚的に、役所の方がこうやって、例えば私が調布市の戸籍係だったとして、これが保健所に行き、都道府県に行き、万が一なくなったら大変だと思えば、普通はコピーをとって控えておくというのが役所の仕事ではないかなと。やっちゃいけない、ないですと言われるのは、それはそれとして信じたいですが、ただ、少なくともそういうリスクがあるようなやり方なのではないかということは指摘をしておきたいと思います。その点については、うなずいておられますけれども、恐らく認識として共有できるのではないかと思います。

 ところで、時間もだんだん迫ってまいりましたけれども、例えば、気になるんですけれども、これはまだ施行はされてはおりませんし、手書きの部分もありますから、ちょっと正式名称を忘れちゃいましたけれども、電子計算機等の個人情報保護に関する処理でしたっけ、先ほど大臣の御指摘があったそれに直ちにひっかかるのかどうか。あるいは、今回のいわゆる十七年から施行される個人情報の保護に関する法律、この観点から見て私は問題があるのではないかと思うんですが、この点についての認識は総務省としてはいかがでしょうか。

山口副大臣 私の方からお答えをさせていただきます。

 山花先生のお話、大変興味深くお伺いをしておりました。

 もう御案内と思うんですけれども、十七年から施行の個人情報保護法に関しまして、ちょうど法律の第四条に、自己の個人情報がどのように利用されるかわからないことから生じる個人の不安感に対応するために、行政機関が、個人情報が記載されている書面をその個人情報の本人から直接取得するときには、利用目的をあらかじめ明示しなければならないというふうに規定をさせていただいております。

山花委員 なかなか役所相互の話があるからそれ以上のお答えはしづらいのかなと思いながら、まあ随分はっきりと言われたような気がいたします。

 つまりは、今のままの取り扱いというのはちょっと問題があるような気がするわけです。

 問題として、これはいろいろな見方ができると思います。一つは、この今のやり方でやるのであるとすると、これは法務省の話になるかもしれません、各種届け出は法務省がひな形をつくっているものと承知をいたしておりますから。例えば、記入の注意などのところに、人口動態調査のためにも使われますよということを明記するというのが一つのやり方でありましょう。

 ただ、それもそうなんですけれども、例えば死亡のはちょっと気になりますね。死亡診断書だとか、あるいは、特に死亡届の場合。一応まだちょっと時間がありますのでお話をさせていただきますと、届け出書、つまり、戸籍窓口で必要なのは、この死亡届と太字で書いてある左側だけなんですよね、本当は。ただ、役所の方では、届け出だけ出されても、本当に死んでいるのかどうかわかりませんから、それで死亡診断書というものをつけて出すことになっています。

 大概これは、出された経験のある方はわかると思いますが、身内の方が亡くなられたりしますと、お医者さん、病院などからもらいますね、こちらの死亡診断書だけ書いた形で、ではこれを役所の方に出してくださいと。出生届も恐らくそうだったと思います。病院でもらって、この出生の証明書が片っ方についていて、名前は空欄です、自分で名前を、まあいろいろ相談してつくるんでしょうけれども、名前を埋めて、あとは戸籍上必要なものを書いて出す。ただ、これも全部転記されているんですよね。つまり、人口動態統計のために。ただ、こちらの方には断り書きがあります。例えば、死亡診断書(死体検案書)は我が国の死因統計資料としても用いられますと。

 厚労省さんは、死亡診断書記入マニュアルというのがあって、これはお医者さんに向けて、あるいは病院など医療関係機関に向けて出しているものだと思います。ICD10といって、国際疾病分類というのがありますから、それにそぐう形で書いてくださいよという話です。

 ただ、先ほど死産届のケースでちらっと申しましたけれども、死産届の場合はお医者さんが書くので、これは医療に関する情報ですから、統計上大事なことはわからないわけではないんですけれども、お母さんの側に問題があったのか胎児の側に問題があったのか。例えば、胎児の側に問題があってサンプルとして出ているのがエプスタイン奇形で、母の側は常位胎盤早期剥離、こういったことが書かれるケースがあるわけです。

 そうであるとすると、この統計をとること自体を否定するものでありませんが、しかし、少なくとも、氏名とか住所、これは必要ないんじゃないでしょうか。つまり、どれぐらいの年齢の方が子供を産まれたのか、既に公表されております人口動態統計、こういう数字の上であらわす分には、統計のための資料として使うという話はわからないでもないんですけれども、氏名、住所などが丸ごと転記される形になりますと、それこそ、もちろん、うんとは言わないでしょうけれども、その気になりさえすれば、役所の方で、昔あいつの奥さんは子供を早産しているのかとか、いろいろそういったものが検索し得る状態にはある。

 そういった検索し得る状態の中で、市区町村、保健所を経過して都道府県、厚労省、こういうルートで持ってきちゃうというのは私は問題があるのではないかと思うんですが、この点、お答えづらいかもしれません。総務大臣も、今直ちにどうこうせいという話ではありませんが、今の話で御感想なりなんなりございましたら、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 余りじっくり読んだ紙じゃありませんので、改めて読ませていただいて、なるほどなと思って、今、山花先生の話を伺っていたところだったんですけれども。

 婚姻届のところを見ていましても、同居を始めたときなんて、おまえの知ったこっちゃないじゃないかと言いたくなるような質問がここに載っかっておるんですが、これは理由はちゃんとあるらしくて、これがないと、本当に結婚する気があるかどうかわからぬというようないろんな背景があるんだそうです。

 いずれにいたしましても、今言われた点につきましては、これは人口推計に載せるか載せないかという点は、先ほどの何とかの小さなところに書いてありましたけれども、ああいった形である程度きちんと整理されておいた方が本人としてのプライバシーという点からいけば大事なところと思っておりますので、この点はちょっと検討されるべきかなというのが私の率直な感じです。

山花委員 法務省の民事局、いかがですか。せめて断り書きぐらい書いたらいかがと思いますけれども。

房村政府参考人 御指摘の戸籍法に基づく届け出書きに、人口動態統計調査にも用いられているという旨を注意書きすることは、現在、その方向で検討を進めております。

山花委員 検討されているということであれば、ぜひそれは総務大臣も注目をしていていただきたいと思いますし、また、それだけでなくて、この調査票の方に、やっぱり住所、氏名が入ってしまうのはどうかなという思いもありますので、その点についても検討をしていただきたいと思います。

 ともかくも、冒頭申し上げましたように、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律については、いろいろ議論はありましたが、できたものについては、そういった個人情報に配慮するような運用をしてもらいたいと思いますし、また、今回の所信の中でも、その準備を進めてまいりますということでありましたから、そういった観点からも、もしかしたら、私が気づいていないだけでほかにもあるかもしれません。こんなことだと、失礼ながら安心して役所に届け出も出せないような、そんなことがあってはいけないと思いますから、そういった見直しを含めて徹底してやるという御決意を最後にお述べいただければと思います。

麻生国務大臣 確かに、できました昭和二十三年、日本でいろいろな意味で統計が始まった最初が昭和二十三年、敗戦後は二十三年からだと記憶しますけれども。

 いずれにいたしましても、その時代になかった言葉、プライバシーも環境権も皆当時余りなかった言葉だと思いますが、時代とともに、そういった言葉、またその必要性が生まれてきております状況に合わせて、行政としてもそれに対応する努力は必要だと思いますので、検討させていただきます。

山花委員 終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、須藤浩君。

須藤委員 民主党の須藤浩と申します。

 総務大臣には初めて質問をさせていただきます。これまで予算委員会とかあるいは関連委員会で、相当さまざまな角度から既に質問あるいは答弁をされているかと思いますけれども、市町村合併の件について質問をさせていただきたいと思います。

 市町村合併につきましては、地方分権の中で、その受け皿論として今日まで数多く議論をされていることだと思いますけれども、地方分権そのものは、時代の要請であると同時に、恐らく、この日本が、この日本の形といいますか、国づくりをどういうふうに行っていくかということの一番ポイントになるのではないかと私は実は思っているわけです。そういった点で、その受け皿である市町村のあり方、あるいは国を構成する自治体としての市町村がどのようにあったらいいのかということが同じぐらい重要な議論としてあるのではないかというふうに私は思っております。

 そこで、既にもう御答弁されているかもしれませんけれども、まず最初に、この市町村の合併という問題について、さらには、今の日本の国づくりにおける市町村のあり方、位置づけ、こういったものについて大臣のお考えを聞かせていただければと思います。

麻生国務大臣 背景、御存じのように、四十七都道府県になります前は九十何県、都はありませんでしたから何府県かあった時代から今の四十七都道府県になり、昭和の大合併等々を数えますと、今三千百七十市町村とよく言われておるところなんですが、それまでの間、一番大きく変わったのは、やっぱり人口の中身が変わったというのが非常に大きい内容だと思っております。

 こういった、ピラミッドみたいな形になっておりましたが、何となくタマネギっぽい形になってきて、いわゆる過疎地というところに残ったのは高齢者のみとか、状況が、従来のような、何となくヒエラルキーという、ピラミッドの形が変わった形になった。非常に大きな内容で、それが、医療の話になってみたり年金の話になってみたり、みんなこれなんだと思います。

 同時に、地域を支えていた例えば青年団とか消防団とか、そういった若い人がごそっといなくなって地域に出ていった。先生の四街道の周辺は千葉と近いところですから、まだ違うところかもしれませんが、もうちょっと裏のところに行きますと、かなり過疎になってきているところもある。

 そういったようなところを、今のままの三千二百の市町村で維持しようとしていくと、まず、一人当たりにかかります行政経費というのが、小さなところ、人口千人とか二千人とかいうようなところですと、約百四万円から五万円かかると言われております。それが、大体人口が一万人から二万人ぐらいになってきますと、行政経費が四、五十万で済む。大体半分に減るというのは、行政経費としては非常に大きな要素の一つです。

 それから、昨年の二月に行政手続オンライン化法という法律が通っておりますので、行政手続に関しましては、従来書類を提出しなければならないとしておりました五万二千百本は、すべてオンラインでできるという形に法律が変わります。そういたしますと、二〇〇五年からそれに全部変わりますと、小さな村やら町、人口二、三千の町以下のところにも全部オンラインでわっと行くようなことになって、非常に行政手続が簡素化されますが、同時に、それに対応できる、一応キーボードやらインターネットやらパソコンがわかる職員を何人か持っていない限りは、とてもではないけれども対応できないということになろうと思います。

 御存じのように、小さな町では、県から言ってきます話を、四つか五つの課を大体一つの課で受けて全部流している。大体人口比としては当然だと思いますが、そういうことになっていて、行政のサービスを受ける側の住民、小さな町民、村民にとりましては、そのサービスをうまく町がさばいておいてくれるという保証がなかなか難しくなってくるというのを背景として考えておかないかぬところだと思います。

 いずれにいたしましても、基本としては、そういったような現実を踏まえた上、やはり地域の時代とか、地方の時代とか、地方分権とか言われる時代になってきて、いろいろな自主権、先ほど川端先生から御質問になっておりました、地方のことは地方でする、いわゆる自分で判断する、決断するということをやっていく流れで、ここから先はそっちでやってくださいという方向で今から事は動きますので、そういった方向になってきた、金も来た、権限も来たけれども、やるだけの人材がいないということになると、それはその地方に住んでいる人にとりましては、行政サービスが著しく偏在化することになるというのを避けたい。大きく分けますと、多分その三つかなというような感じがいたしております。

須藤委員 先ほど質問がございました中にその答弁も入っていて、私もお聞きはしているんですけれども、まずは行政効率ですよね。

 その行政効率の前に、効率をなぜ求めるかというと、かつての日本の国づくりで、省庁が中央集権化のもとで日本をつくっていくときに、各市町村にさまざまな行政需要が上がっているんですが、やはり、お金があるときには、それなりの右肩上がりの、いわゆる行政需要に対するサービスができた。ところが、それが今日のように、財政が逼迫しているから、国ではもう面倒見切れないから市町村でやってくれと。ただ、やってくれといっても、それなりの自治権能といいますか、実力が備わっていなければそれがなかなかできない。だから、少しは一つにまとまってくれよということであろうと思うんです。

 市町村合併を論じるときに、まず最初に私が思いますのは、どの程度の市町村がいいか、自治体がいいか、よく言われる受け皿論だと思うんですけれども、人口的には何人がいいのか、当然面積もそこにかかわってくると思いますけれども、こういったことは、例えば政府の中でも相当議論はされていると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 今申し上げたお金の面から入っていかせていただければ、今申し上げましたように、一人頭にかかります行政経費が、五千人以下で百万とすると、六、七千人で四十万ぐらい、正確に言えば四十三、四万というところだと思いますが、それから少し下がりまして、あとは大体人口三十万ぐらいのところまで、ずっと、アバウト一人頭にかかります経費は三十万円ぐらい、三十万の人口を超しますとまた少し上がってくる、三十四、五万に上がってくる。一応、いわゆる行政経費から見た場合のみで言わせていただければ、三十万前後のところが効率としては一番いいということになるかな、お金の面ではそういうことになろうかと思います。

 ただ、おっしゃいますように、先ほどちょっと例にも引きましたけれども、人口推計だけでいきますと、選挙区の区割りのときも、一人頭で割りますと六百三十キロ一つの選挙区なんということになったのが、人口割から見たら一対一でいいじゃないかということになりましょうが、果たしてそれだけで割り切れるかという問題が一つ。

 それから、人口が多くても、物すごく大きな土地に三十万といえば、それは三十万といえば結構な数ですけれども、一つの市じゃなくて、合併合併でうわっと大きくなって、それを無理やり三十万の市にして何か効率的によくなるかと言われると、これは全然別の要素がまた入ってくるので、そこに関します交通網の問題とか、いろいろな長い歴史の中で、一緒になったけれども、これは文化的にはもともと、北の方でいえば、あっちは南部でこっちは津軽とか言われても私は同じ東北弁にしか聞こえませんけれども、御本人たちは物すごく違うと思っておられる話、九州でもよく、あれは筑豊の者じゃろうと言われたらもうそれでアウトですから、だから、一緒になればいいじゃないかと言ったってそれはもう絶対に一緒にならぬというようなことでならないとか、これはもう全国いっぱい。この間、長野県と岐阜県を越境した合併というのが、今度多分議会を通りますからなると思いますけれども、ああいったような例もございます。

 同じ県内でもなかなか難しいという例もございますので、これはなかなか人口だけでというわけにもいかないし、面積だけでというわけにもまいりませんので、やはりその地域でいろいろお話し合いをしていただく以外に方法はないのかなというところが率直な実感です。

須藤委員 御正直な思いを述べていただいて大変うれしいんですけれども、政府としては、いろいろ数字として出ていますけれども、例えば、ほぼ一万人未満の町村、そういったところを合併の対象とするか、合併をしてほしい対象として考えているとか、あるいは、今後法案が出てくるんでしょうけれども、その意味では、合併の方向に進める環境を法制度の面から整えていく、これは一つの意思だと思うんですが、今大臣がおっしゃられているのは、そういったことよりも、各地域あるいは市町村、地方の実情に応じて自主的な合併の方向なら進むべきであるといいますか、進んだ方がいいということを言われているように思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 やはり基本としては、その住んでおられる住民の意思ということになろうと思いますので、やはり少々行政経費が高くついてもおらは村がええと言われるところも、これは必ずあると思います。

 ただ、私どもとしていろいろ、これまでなかなか合併しにくい例を伺いますと、大別して、おらの村の名がなくなるという話が多いように思いますので、それは区として一つの形として残すことは可能ですということで、それは認めることにいたしております。また、新しくできたところで、どこに新しい役場を置くのか、これはもう地元でお話し合いいただく以外手がありません。それから、あいつが町長だと辛抱できない、こういう方もいらっしゃいますので、これは選挙でもやってもらわぬとどうにもなりませんので、そこまで私ども立ち入る気は全くありませんので、それは御自分たちでやっていただかなきゃいかぬというところであります。

 それで、二市八町合併なんかいたしますと、百何十人とかいう議員さんになります。そういうところもあちこち新聞に出ますけれども、最終的には三十数名、暫定期間としてその倍の六十数名まではオーケーといいながらも、今百八十人とか百六十人というので、議会をやるのは体育館を借りてやりますなんというのは、現実として今あちこちでよく新聞をにぎわすところですから、ここらのところは、やはりある程度地域でお話し合いをしていただかない限り、こちらとしてしゃにむにどうのこうのと言える立場ではありませんし、また、そういったところまで介入するつもりもございません。

須藤委員 私は、この市町村合併に関しては、やはり市町村が独自にといいますか、自分たちが主体性を持って町づくりを考えられる、あるいはその中に合併論が入ってきてもいいんですけれども、基本的には、そういう環境をまず整えることが第一であろうと思うんですね。

 その方法として、例えば、地方分権で権限の移譲であるとか、あるいは今盛んに言われている、これは同時に行うべきだと思いますが、税財源の移譲ということがあるんだと思うんです。

 制度的に交付税をどうするかというさまざまな技術的な問題もありますけれども、市町村が自分たちの意思で選択ができる状況をどうつくるか、そしてその中で、自分の市あるいは町が、このままではやっていけないから隣と合併をしようとか、あるいは今の広域市町村圏のレベルで合併をするならしようとか、そういう主体的な決断ができる環境をまずつくることが大事であろう。

 ただ、ここのところの流れをずっと見ていますと、どちらかというと、やはり制度であり、あるいは国主導型、強制とまで言えるかどうかわかりませんけれども、実質的に主導されている形の中で市町村合併が進められているんじゃないかという思いを強く持っています。

 それは、税財源が移管されるかどうかという問題にしても、とりあえず当面、ことし多少移してみるとか、そういう段階でしかない。もし税財源を移譲するということが早急にできないのであれば、市町村合併というこの流れをこれほど早く出す必要性が果たしてあるのかどうかということを一つ疑問に感じています。

 結局、特例債であるとか特例措置というものを目指して合併をしなければいけないとか、あるいは今合併しないと、後で県や国に大変なおしかりを受けるとかというような思いというものがあって合併をもしするということであれば、これは一番困るのはそこに住む地域住民の人たちであろうと思います。

 現に、全国のこの合併論の中で、地域住民の人たちがこの問題に関して、時間がないがために議論もできず、議論もせず、その流れに押し流されようとしているという部分もあろうかと思いますが、この点に関してはどうお考えでしょうか。

麻生国務大臣 全国三千二百ございますので、今須藤先生言われたように、いろいろなケースがあるとは思います。

 例えば、市長は賛成だけれども議会は反対とか、住民は賛成だけれども市長は反対とか、いろいろなケースが考えられるとは思いますので、今回のいわゆる合併特例法におきましては、住民からの発議で、いわゆるリコールと同じように住民からの意思で、または住民投票によって、いわゆる合併のための協議会、法定協議会を設置できるようにしておりますのは、住民の意思を尊重したいというところからその法律を決めております。そういった意味では、市長と議会と住民との意思がそれぞれ乖離するなんという話はよくある話だと思いますので、今申し上げたように、住民の意思、意向を反映しながらやっていかぬと、この種の話は合併しても後が続かないということになろうかと思います。

 私どもといたしましては、背景は先ほど御説明申し上げたとおりですので、ぜひこういった形の成果が上がるように、皆さん方の意思が尊重された上での合併というのが望ましい、基本的にはそう思っております。

須藤委員 では、今のことに関してなんですが、この市町村合併の流れ、あるいは政府が現在とっている施策の流れと、地方分権、つまり今税財源がメーンですが、これがなかなか移管されない状況ですね、全面的には。この整合性というよりも、タイミングに関してはいかがお考えでしょうか。

 私は、市町村合併の流れが少し先行し過ぎているんじゃないかと。もう少し税財源を移譲して、いわゆる市町村がさまざまな観点から自分たちで物事が決められるような状況が定着してから市町村の合併というところに進めていくべき、あるいは、当然、市町村が自分たちで決めた結果、合併なら合併という方向に進んでいくべきだと考えているんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 まことにごもっともな御指摘だと存じます。

 基本的には総務省も同じように考えておりますから、例えば、基幹税と言われます住民税、個人住民税というものに、法人税からこっちへというようなことは、これは正直、従来でしたらとてもじゃないけれどもあり得ないというようなのを、財務省の国税の部分を地方税に大幅にごそっと移す流れというものを昨年の税制改正でやらせていただいて、今度法案も御審議いただくことになります。そういった方向で、少なくとも、この合併の話にはどうしてもついて回るものが要りますので、そういったことも考えて特例債やら何やらを出しておるわけです。

 基本的には、これはそれこそ四街道なら四街道、群馬は群馬、それぞれ地域によってみんな違うんだと思いますけれども、ぜひそういった意味で、これはある程度、合併するにはそこそこの金銭も伴う話ですから、特例債をということを申し上げ、また住民税、いろいろ御批判のあるところですけれども、少なくとも、今四兆円目指して、基幹税としての住民税の比率を高める方向、所得税から地方住民税に移すという流れを今やりつつありますのは、これは皆関連しているところでもありますので、こちらだけ先行してとてもできるものでもないと思っておりますので、やはり、みんな少しずつ前へ進まないかぬところだと思っております。

 ただ、合併の場合は目に見えますものですから、どうしてもそういった話になるんですが、税の場合はすぐに数字が見えてくるわけではありませんので、何となく合併だけが先行しているような感じがするかもしれません。

 いろいろ、こんなことをやっているんだ、あんなことをやっているんだという住民の意識として、一つの例として、人口一万、日本じゅうで六百四十あります市の中で一番小さな市か二番目に小さな市でありますけれども、そこでCATVをつけて、合併協議会を三時間なら三時間丸々映して編集して、CATVで全市民に流すというのを始めたんですが、おかげさまで、少なくともそこは、これはいわゆる普通の人が、何が問題点かという議会の討論の内容を皆そのCATVを通して見ることによって、おお、なるほどといって改めて関心というものが出てきております。

 いろいろな形で、これはやめようという話になるのか、やはりこれはいろいろあったけれどもやろうという話になるのかは、これは最終的には住民が判断するということになるんだと思いますが、その判断する材料を公平に提供するというのは大切なことだと思いますので、情報が偏らないようにしてやっていくことによって、納得のいく話ができ上がるのではないかと思っております。

須藤委員 情報の提供ということは、これは当然のことで、結局、地域住民の人たちは、自分たちの自治体が本当に今合併の必要性があるのかないのか、その判断をするにも情報がない。あるいは、行政に関して、そういった意味では専門知識もないからわからないというのが実態で、その意味では、行政であり、あるいは政治の場にいる人たちが、より多くの、しかも正確な情報を得ているわけですから、それをあまねく提供していくというのは、これはある意味では当たり前のことだと思いますね。

 それで、私が先ほど、自分の考えですけれども、申し上げたのは、どちらかというと、市町村合併の流れといいますか、力学の方が強く働いている。大臣がおっしゃられるように、分権のあるいは税財源の移譲ということが型どおり、理屈どおりにはなかなかいかないものだということは私も承知しておりますので、その意味では、双方が徐々に徐々に進みながらということなんでしょうけれども。

 ただ、市町村の合併は、一度合併をしてしまうと、後で、さあ、これはうまくいかないからもう一度分かれましょう、もとに戻しましょうという話にはなかなかならないわけですよね。ということは、相当煮詰めて、地域住民の人たちが、少なくとも自分の子供やあるいは孫の世代まで、この合併がよかったと言えるぐらいな熟慮を重ねた上での決断が必要だ、また、それができる環境を整えることが必要であろうというふうに私は思っています。

 それで、この合併論に関しましては、きょうはちょっと時間が少ないものですから、また別に機会がありましたらそちらの方でさらに詳しく触れたいと思うんですが、現在の市町村の合併の中で、事例としてうまくいかなかった事例、あるいはそれがどうしてうまくいかなかったのかということがありましたら、お教えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

大野政府参考人 今須藤先生御指摘の中にございましたように、合併の議論を具体的にするために、全国各地で法定の協議会というものをつくって、今大体五百強の法定協議会がございまして、千九百二十一の市町村が参加をしているという状況にあるわけでございます。

 そうした中で、議論がだんだん詰まってまいりますと、やはり大変厳しい判断を強いられる事項が出てまいりまして、例えばでございますけれども、新しい市ができる場合に、その市役所の位置をどこにするのかということ、それから新しい市の名称をどうするのか、こういうことが大変厳しい議論になりまして、その結果協議が進まないということになる例も最近出てまいっております。

 例えばそういったことがございまして、法定協議会そのものを解散する、あるいは法定協議会から離脱をするという事例もあるわけでございますが、今申し上げたようなことが一番大きな理由ではないか、このように思っております。

須藤委員 結局、市町村の合併を、手続的にも進めていけばいくほど具体的なところで話がなかなか折り合わないということだろうと思うんですけれども、その意味では、私は、賛否両論を煮詰めるというか、どんどんある意味では闘わせることが必要だと思っています。

 そこで、今出たように、役所の位置をどこに置くかとか、もっと言えば道路をどうするかとか、市町村の建設計画等で話し合われることがなかなかうまくいかない、したがって法定協で話し合うこともなかなかまとまらないということだと思うんですが、それはやってみないとわからないという部分であろうと思います。

 それで、実は、この合併に関して、一つ具体的な事例として考え方をお伺いしたいなと思うんですが、たまたま大臣の方から私の住んでおります四街道市の話が出ていましたけれども、ちょうど合併論が盛んで、法定協議会も設置をされて、千葉市と合併するかどうかというような話が進んでいるところなんですね。

 千葉市は、政令市ですから、人口が百万には満たないんですが八十六万、九十万近く大きくなってくる。そこに四街道市、今人口八万四千人ですけれども、そういう話が急激に出ています。合併というよりも、千葉市側から見ると明らかな吸収、編入ですね。手続的にも編入だということになっているわけですけれども。

 この話の中で、まだまだ内容的には地域住民に話が、合併の中身についての情報提供でありますとか、そういったものが十分伝わっていない。結局、住民は、偏ったといいますか限られた情報の中で物事を判断していかなければならない。ところが、合併特例法の期限が十七年の三月三十一日で、さかのぼっていくと手続的にそろそろ限界であるということで、話が急激に進められている。それは、首長が合併という話で市長になっているものですから、当然、その手続がどんどん進められていくという経過を経ているわけですね。

 実は、法定合併協議会というのは、これは法律で定められた協議会ですが、その名のごとく、そこで定められることは、合併のための内容、手続、そういったことが当然定められる、協議される場ですよね。残念ながら、その法定協が設置される前は、そこが合併の是非論を議論するところだからというような宣伝が多くされたために、住民の皆さんも、そこで合併の是非を考えるのであれば法定合併協議会を設置してもよろしいんじゃないかというような経緯があって、住民投票の結果、法定協が設置をされた。ところが、その法定協が進められている中身を見ていたら、合併の是非論は一度たりとも議論はされず、そのまま話が進んでいってしまった。これは、行政主導型で合併が今進められている状況にあるわけですね。

 そこで、その中で市議会も二つに割れる、住民も二つに割れる、さまざまな意味で賛成、反対ということで意見が双方に分かれてしまう。そうすると、これは最終的には、議論を積み重ねて、選挙であるとか住民投票であるとか、そういうさまざまな手続にのっとるわけですが、いかんせん来年の三月三十一日までに後ろが区切られている。

 これは、決める側からいうと相当きついスケジュールで、例えば家族の中で、将来合併した方がいいんじゃないかとか子供たちの世代になったときどうなのかとか、あるいは自分たちの地域が自分たちで物事が決定できない、つまり自治権がなくなるであるとか、そういった議論をするには余りにも情報不足であり時間がなさ過ぎる。しかし、現在政府の方でやっているのは来年の三月三十一日まで。フォローするような考え方も出ていますけれども。つまり、現場での実態はかなり違っているというか動きが違う、流れが、スピードが違っているということが実態であろう。これは一つの例なんですね。

 そこで、もう一つ。さらに、市長が合併賛成派なので、合併という法定協議会で決まったことをいわゆる広報というようなもので全市に配ってしまう。そこに市議会議員の選挙が、実は今ちょうどやっているところなんですが、議会議員の選挙の日程までが書かれている。しかも、そういったビラが市の職員をして配られている。これは、地方公務員法の三十六条であるとか公職選挙法にかなりひっかかってくるのではないかと思います。

 こういった事例が現実にあるということを考えますと、今の市町村合併の進め方というのは果たしてどういうものなのか、どうも首をかしげたくなるのですが、法律の点ではいかがでしょうか、公務員法も含めて。

麻生国務大臣 細目は大野の方からいたさせますが、これは日程の問題じゃなくて、おたくの四街道市の市長さんと市議会議員との間の確執の話で、これは法律とか期限の話とは少しまた違うんじゃないかという点が一つ。

 それから、やはりある程度日にちを区切っておきませんと、いつまででもいいというと、やはり試験がないと試験勉強しないのと同じで、やるところはやる、もうやらないならやらないと、ある程度きちんとどこかで区切りをつけなきゃいかぬというところで、多分平成十七年三月三十一日という一応の目安が決められたということだと思います。

 今の四街道の話は、また市長さん側には市長さん側の言い分がきっとおありなんだとは思いますけれども、その特定の例をもってちょっと急ぎ過ぎていると言われても、結構そこそこいっているところもございますので、期日の問題、急ぎ過ぎているという問題とは少し違うのではないかというのが率直な実感です。

大野政府参考人 今大臣がお答え申し上げましたように、現行の合併特例法の期限が来年の三月三十一日までであるということの中で、各地の協議会の方では、そのためには一定の処理すべき事項が大変多いものですから、熱心な議論を重ねているということだろうと思っております。

 そうした中で、協議会の中でいろいろ積み上げていきます事柄につきまして、むしろ、先ほど委員の方からも御指摘ございましたように、途中経過につきまして、情報提供ということ自体は、それはそれで、住民の方々に、今どのような議論がなされているか、どういうところまでまとまってきているかということを、情報の提供をされるということはむしろ必要なことではないか、こう思っております。

 ただ、委員の御指摘の中で、具体的なケース、ちょっと私もよくわかりませんけれども、一般的な合併の状況の周知ということであるならば、それはそれで大事なことでございますので、十分に住民の方々に状況を知っていただくという目的でやったことだというふうに私は受けとめたいと思っております。

須藤委員 実は、具体例を出したというのは、確かに期限内で合併をしたいという総意のもとで進んでいる自治体があるということを私も承知しています。ただ、そうではないケースもあるんだということのネックが税財源の移譲であり、あるいは、期限が短いとか、そういったところに制約をされているという現実が例としてあるということをまず申し上げたかったこと。

 それともう一つは、住民本位、あるいはその自治体の関係者の中で決められるということはそのとおりで、そうであってほしいと私も思うんです。実は、一年ほど前にかわりましたが、その前は、市の助役に総務省から派遣で来られているわけですね。それで、そのもとに合併の作業が急激に進められているという経緯があるわけですね。

 そうすると、これは何か、どうも住民そっちのけじゃないか、総務省がどんどんしりをたたいて合併を進めているのかなと思えるような状況が結構ありまして、本当に住民本位で物事が進められるのか、あるいは時間をかけてじっくりと話し合いができる環境が整えられていたのかということに関して、疑問点がどうしても少し残るという状況がありました。

 それから、法律の面に関しましては、今言われるように、当然、その内容があまねく公開される、しかも客観的かつ公平な情報が出されるのであれば、それはそれで私はいいことだと思いますが、残念ながら実態はそうではないということで、非常にお恥ずかしい話かもしれませんけれども、その話が、実は検察に告訴状が提出をされるというところまで現に来ている。そこまで違法性が多分高いだろうという話が今進んでおります。

 私が言いたいのは、総務省として、この市町村の合併というものが日本全国さまざまなところで今進められていますが、果たして、本当にその住民の主体的な意思、あるいはそれを進めるための環境が十分に整っているかということに関して、よほどの配慮といいますか、考え方を持つべきであろうということを申し上げたいわけですね。

 これに関しましては、また別途機会がありましたら質問させていただきたいと思います。

 続いて、公務員制度改革、これは所信の中にもありましたけれども、今回の公務員制度改革の内容につきまして、概略で結構ですので御説明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 概略というのは、公務員制度の大綱でよろしいんですね。

 公務員制度の改革につきましては、公務員制度改革の大綱というのが平成十三年にでき上がっておりまして、平成十三年の十二月の閣議決定だったと思いますが、これに基づきまして、今、内閣官房を中心に、各府省庁間でいろいろな形で意見交換がなされているところです。

 前回のときに、人事院が入っていなかったり組合関係が入っていなかったり、いろいろした経緯がありましたので、今回は、きちんと人事院を入れ、組合の意見も聞き、また、各党いろいろ御意見があると言われておりますので、そういったところを聞きながら事を進めていかないかぬということで聞いております。

 私ども総務省としては、所管する立場にありますので、そこらのところは、よく内閣官房と連絡をとりながら事を進めてまいりたいと思っております。

須藤委員 この公務員の制度改革という、ハードといいますかシステムの面からの改革なんですが、これは、思いつきではないんですが、日ごろ私の思っていることをお話しさせていただきたいんです。

 特に、公務、これは、一般公務員あるいは警察、教員、もろもろありますけれども、公務に従事する人たちの、ある面でソフトといいますか、意識あるいは資質の向上という観点から、公務員に採用される前に一度民間の経験というものをすべからくしてみることが必要ではないか。これは、制度をすぐにどうこうするという話ではないんですけれども、今日、経済状況等を考えて、社会状況が非常に厳しいですよね。公務員に対する非難といいますか批判も大きいという状況はあるんですが、どうしても、いきなり公務員になってしまって、世の中のありとあらゆる人間の社会生活、営み、そういった視点というものをぜひ経験するということが私は必要ではないかというふうに常々考えているわけです。

 では、そのためにどうしたらいいかとか、初年度いきなりそういった何万、何十万という関係の人たちが民間に入れるのか、あるいは、民間でそういった人たちを一年預かって民間の厳しさを経験させる、そういったことは、やっていられない、できるかというようなさまざまな話は出てくるんでしょうけれども、視点としてそういうことが私は必要ではないかというふうに思っています。

 研修制度の中にも、民間経験に研修として出すとか、あるいは逆に、民間経験者が公務の中に入ってきて公務員になるというパターンもありますけれども、スタンスとしては、自分の人生は、国家国民であるとか地方のため、世のため人のために携わっていきたいと思っている人たちが、いきなり公務の世界で物事を行うよりも、さまざまな視点を持ち経験を持った人が、初心というものを貫いていくためにも、経験を経て公務の世界に入っていく、こういう考え方が私は必要ではないかというふうに思いますけれども、御所見はいかがでしょうか。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 私も、この政治という虚業の世界に入ってくる前は、セメントというかたい商売で、実業の世界におりましたので、実から虚に入ってくるまでには、結構、十数年間、いわゆるそういった経験というのをさせていただきました。

 また、議員さん方を見ても、これは差別用語にならぬように気をつけないかぬところでしょうが、何もしないでいきなりぱっと議員になっちゃった、学生からいきなり議員になっちゃったりする例、学生のままで、あとは何の経験もなくいきなり議員という例も決してないわけではないんだと思いますが、その方々の持っておられる人生経験の幅と、あっちゃこっちゃいろいろ、官もやった、民もやった、それで議員になったという方との間に、ちょっと人間としていろいろ違いが出てくるというのは、僕はこれは公務員に限らずだれでもあり得る話だと思います。

 スポーツ選手でも、そのスポーツしかやったことなくてうまくなった人もいますけれども、それ以外のスポーツをいろいろやってきて、それでうまくなった例もありますので一概には言えないんだと思いますが。

 確かに、おっしゃるように、二十二、三歳でたまたま試験に受かっただけで、あとはというので、何となく視野狭窄症みたいなことになる可能性というのは、これは十分にあり得る話なのであって、そういうのを避けるために、裁判官というような世界でも裁判員というものを今新たにやろうじゃないかとか、いろいろ新しい方法をやってみたりいたしております。

 過日も、小泉総理の方から、各役所のやはり同じ役人同士ですら、官僚という、上級職という点において同じなんですけれども、役所によって全然人事交流やら何やらがなかなかできないというのも現実でありますので、保育園の課長と幼稚園の課長と、文部省と厚生省で交代させいという、えらく具体的な話まで出ておりますが、いろいろな意味で、立場が変わると見方が変わるということもありますので、非常に大事なところだと思います。

 事実、結構、人事院規則によりまして、いろいろ、民間の人材を採用する特例で四百八十九名とか、官民人事交流法による交流採用、交流派遣とか、いろいろやってはおるというのが実態なんですけれども、一定期間だけ途中採用とかいうのもなかなか難しかったんですが、今回、御存じのように、任期付という、この期間だけという任期付職員法という法律が通っておりますので、これに基づきまして、金融庁で弁護士を採用したり、いろいろな形の対応によって今現在二百十三名という数字、十二年十一月から現在まで出された数字でそれなりの努力はされております。

 おっしゃるように、民間の方も、余り役にも立たぬ役人を預かったっておよそ経費のむだですから、それは雇いたくはないですから、もとは雇う方の側にいました立場から言わせていただくと、会社に役に立たぬ人に給料払うほど余裕もないし、来られても迷惑というのが率直な実感。出た方は僕はすごく参考になるとは思います。なるとは思いますが、現実問題としては、須藤先生、これはなかなかちょっと難しいかなというのが正直な実感です。

須藤委員 言われるとおり、そのとおりだと思いますが、さまざまな点でこれは、私は追求してもいいのではないかというふうに思っていますので、また別の機会に質問させていただきたいと思います。

 終わります。

佐田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。私はきょう、郵政事業、郵政公社の問題について質問をさせていただきます。

 大臣、所信表明でも、郵政事業については、「日本郵政公社の健全な経営が確保されるとともに、より質の高いサービスが効率的に提供されるよう努めます。」と述べておられます。今、郵政公社のディスクロージャー誌を拝見していました。「郵便」、三冊物の一冊ですね。ここの中にも「生産性の向上」のところなどもありまして、その取り組みの一環として、JPS、ジャパン・ポスト・システムの全国展開ということが紹介をされています。解説、囲みがあるんですけれども、JPSというのは、トヨタ方式に学んで効率性を追求するものにしようと、「全作業工程を見直し、郵便物が水のようによどみなく流れる仕組みを作り、」「ムダ・ムラ・ムリを徹底的に排除して、生産性の向上を図る取り組み。」というふうに述べてあります。

 今、郵政公社がこのジャパン・ポスト・システムを導入する先駆けとして調査研究を行っているのが、私のおります埼玉の越谷郵便局でありまして、それが去年の秋ぐらいから全国十四のモデル局に拡大をして、ことし四月から全国に展開しようという段取りで進んでいるというふうに聞いております。その越谷郵便局でどんなふうになっているのかというのをぜひとも大臣にお聞きいただいて、御答弁もいただきたいと思っておるわけです。

 朝日新聞の二月十二日付の夕刊ですけれども、「埼玉・越谷 モデル郵便局、カイゼン空回り?」。放置、誤送、誤って配る、これが多発と見出しが立っている記事であります。

 越谷郵便局の郵政労働者ユニオンの方が、一月に入ってから越谷の市民の方にアンケートを配ったんですね。一千枚配りましたら、百五十三枚も返ってきた。それをこういう冊子にまとめられて、皆さんのところにも届けられているのかなと思うんですけれども、私も拝見をして驚きました。その返ってきた方のうち、六割から苦情が寄せられているわけです。正月が入りますから、そこでの配達ですけれども、こういう声が寄せられているんです。

 元日の配達について、遅く届いた、元旦に年賀状が届いていないねと話をしていました。少しずつおくれて年賀状が届きました、三日とか四日とかに。あるいは、近所の子供の友達になかなか届いていない、出したのに相手に着いていないということは結構聞きました。自分で持っていけばよかったと子供が言っていました。こういう話が現場で起こっている。

 お正月の年賀状だけではなくて、以前はきちんと届いていたものが最近は不規則で、夕刊を取り入れた後配達されているようで、朝刊と一緒に取り入れることがたびたびあります。また、配達の時間が遅いので、その日のうちに手紙を見ることができない日もあります。こういう声が随分寄せられているわけです。

 この朝日の記事にも紹介されていましたが、昨年の年末に岡山県から投函をされた年賀封書、はがきじゃなくて封書の年賀ですね。年賀封書が三通、一カ月以上も放置をされて、受取人に届けられたのが、豆まきも過ぎて、もう立春も過ぎた二月の五日だった。一カ月以上もおくれてしまった。越谷郵便局というのは旧暦で年賀状を配っているのか、こんなことを思わざるを得ないような現場の実態であります。

 そこで、大臣にお聞きいたしますが、市民の皆さんの一番の苦情というのが、やはり楽しみにしている年賀状というのが、元日届くべきものが届いていない、おくれて配達をされる、こういうことであるわけで、率直に言って、このジャパン・ポスト・システムが導入をされて、調査研究で具体的な取り組みが行われている越谷郵便局の配達がこういう実態になっている。率直に、郵便物がよどみなく流れていると言えるのか、このことが問われていると思うんですが、大臣の率直な御見解をお伺いいたしたいと思います。

麻生国務大臣 越谷郵便局にポスト・システムが採用され、取り入れて、目下いろいろ試験、試行錯誤がされているという事実は知っております。内容につきましても、今言われた中で、遅配に対する苦情が三九%、誤配二九%、その他三二%、こういった数字が、これは郵政労働者ユニオンの執行委員長からの資料という形で上がっておるのも知らないわけではありません。

 これは、そういったところがないようにしなくちゃいかぬのは当然のことだとは思いますけれども、基本的には、生産性を上げるということを当然のこととして郵便事業としては考えないかぬのは、事業というのは何でも当たり前の話です。

 ただ、そのときに、生産性を上げようと思えば、配達する回数を週六回だったところを三回に減らせば、生産性は倍になりますけれども、それでは基本的には行政として利便性に供することにはなりませんので、そういったことはできないという幾つかの前提条件をもとにして生産性を上げねばならぬということだと思います。

 今実験中なんだと思いますので、新しいことを試みればいろいろ問題が出てくるというのは、これはある程度避けて通れないところだとは思いますけれども、そういった意味では、こういったことがないように注意をしながら、さらに生産性の向上に努めてもらうようにしてもらわないかぬと思っております。

塩川委員 今大臣もお話しされましたように、新しい試みの中ではいろいろな問題が出てくるのはやむを得ないと。私も、一方で忙しくて、他方で暇な、もしそんな職場があれば、うまく工夫をすれば生産性の向上になる、こういうのは、道理もありますし、職場の職員の方からもそういう声が上がっていたのは実際だと思うんですね。

 ただ、このジャパン・ポスト・システムが導入されたのは去年の一月なんですよ。もう一年以上ぐうっとやって、本来であれば見違えるように改善されてしかるべきだ、市民サービスの向上にもつながってしかるべきだと思うんですが、一年たった結果が、こういった形でのさまざまな御迷惑を市民にかけるようなことになっているというところが、今、問われているんだと思うんです。

 やはり、現場が混乱しているんだと思うんですよ。私も、郵政のお仕事をよく知らなくて、お話もお聞きしたんですが、郵便物を効率的に配るためには仕分けの作業が必要ですね。そうしますと、最初は大区分というので、大きな方面ごとに分ける。それをまた取り出して、実際の配達順に道順組み立てというのをやるわけですね。そういう形で、朝の八時ぐらいから作業して、一時間半、二時間ぐらいで整理して、十時ぐらいにどんと配達に出かける。夕方までには配り切るということが本来の作業なんですけれども、実際、その区分け、区分の作業というのが、どうも実態に合っていないようなんですよ。そこが、やはり今、一つ問われているんじゃないかなと思っているんですね。

 一月の年末年始の時期を踏まえて、全逓の越谷支部の皆さんがアンケートをとっておられるんです。越谷郵便局の職員の方のアンケートなんですけれども、このアンケートを拝見しますと、こういう新しいやり方について、七割から九割の方が業務の効率化になっていないというふうに述べておられるんですね。時間がかかり過ぎるとか、遅くなったとか、やりづらいとか、むだな時間がふえたとか、こういう声がこのアンケートの中に圧倒的に占められているわけです。

 このジャパン・ポスト・システムでかえって効率が悪くなって、以前は午前十時に配達に出発できたのに、それが、区分作業に時間がかかって、十時半とか十一時になってしまう。スタートが遅いものですから、配る時間もそれにつれて遅くなってくる。こういう冬場の時期ですから、早く日も暮れますから、そうすると、日没でなかなか確認がしづらくて、能率も落ちて、遅配とか誤配もふえるということにもなってきているわけです。

 私、今、越谷郵便局で試験的に行われているジャパン・ポスト・システムの進め方に問題があるんじゃないか、こういうことを率直に思わざるを得ないんですけれども、大臣の率直な御見解をお願いします。

麻生国務大臣 今は郵便番号が七つありますので、基本的に、機械が入っているところはさあっと機械がやっていく。当然のことであって、自分でこんなことをやっているところはない。ざあっとやるわけです。一番最後のところだけを自分でやるというところが現実だと思うんですね。

 今の話を伺って、越谷の場合は、たしか、配る順番に、早いもの順に下からずっと配っていきますね。行けばわかると思う、下からずっと配っていくでしょう。あのところのサイズが大きいとか小さいとか、いろいろあそこがあったのが多分それかなという感じがしますので、それはサイズを変えればよろしいので、いろいろな形で実験された結果、そこのところが少し違っているのかなという感じがしますので、さらに努力は必要なんだと思います。

 細目につきましては、清水の方から答弁させます。

清水政府参考人 今先生御指摘のとおり、作業区分の流れをよどみなくしていくというのがこの方式のやり方でして、今回の場合の配達に当たっては、機械で区分して、大体の大まかな配達順ができたものに対して、手作業の方で、大区分の形でいろいろと、機械にはかかり得ない大型、それから物によって、種類で入らないものがございますので、それを棚で分けたものを合わせて、両方、従来の区分棚のところのそばで道順を組み立てるというところで、なるべくよどみのない作業となるように工夫しているところでございます。

塩川委員 工夫した結果が、今、こういった形で、市民サービスの低下につながるようになっているわけですから、そこが今問われているんだと思うんですね。

 これだけじゃないんですよ。聞いてみますと、区分作業に、今まで、もちろん大区分のときには立って入れたりするんですけれども、道順組み立てというときには、細かくやりますから、座って、棚のところでそういう作業をするんですね。そういういすがあったんですよ。そのいすが今は撤去されちゃって、外にほうり出されて、雨ざらしになっているんですよ。そのために、アンケートでも、結局、いすがあったのを、立ち作業になったものですから、この立ち作業方式で区分作業が遅くなった、アンケートでも六割の方がそういうふうに述べていますし、作業の疲労度が増した、こういう声が九五%、圧倒的な声になっています。

 私、率直に、いすをなくすことが、なぜ、むだ、むら、無理をなくすことにつながるのかわからないのですけれども、ぜひお答えください。

清水政府参考人 先生御指摘のとおり、作業方法を昨年の九月の後半のときに変更しておりまして、これは、越谷局としての、JPSの実験局としての改善の一つの例というふうになっております。

 郵便物を配達する順番に並べる作業の際にいすを使っておりましたが、立ち上がる動作、立ち上がって郵便物を取り出して組み込んだり、あるいは、縦横の動き等人間の動きを計算していきますと、むしろ、今の座っているところから立ち上がって組み込む行為よりは、立ったままで組み込んでいった方が作業性の方で向上するとか、あるいはまた、いすを外した部分だけスペースを生み出して、ゆとりを持って作業ができるというようなところから、座って行っていた作業方法を立って行う作業方法に変更したものだと聞いております。

塩川委員 局長、率直に、現場を見ておられるのか、職員の方からお話をお聞きになっているのかなと思うんですよね。

 確かに、大区分のときには、立ち作業で、横に動いたり、前後、上下の動作もあるんですよ。でも、道順組み立てと言われる、実際に配達順番に並べる作業とか、あと、帰ってきた後、事故処理が必要なんですよ。事故処理の記録というのも、今までは、メモをするものですから、当然座って作業をしていたんです。でも、いすが全部ほうり出されちゃったものですから、全部立ってやるんですよ。

 実際の作業の時間をはかってみると、大区分のところはわずか三十分なんです。道順組み立てが一時間半ぐらいあって、また事故処理の記録の時間というのは三、四十分かかっているんですよ。三時間近いうちの二時間以上が実際には今まで座っていた作業なのに、いすを取り上げられてしまった。それが結果として、腰痛になったり疲労が増したりというふうになっている。

 そこがやはり問われているわけで、このいすというのも、もともと郵政省が特注でつくったいすなんですよ。まさに業務に必要だからこそつくったようないすをほうり出す、これが何で作業の効率化、生産性の向上につながるのか。ですから、道順組み立てとか事故処理の記録までを立ち作業でやるのが何で合理的なのかというのをぜひとももう一回お答えください。

清水政府参考人 先生よく御承知のとおり、今までは、区分棚にあって、一つ大きな棚を載せて、ここの部分があきますから、手前のあいた部分等で座りながら作業をしていたわけです。座っておりますと、やはり立ち上がったりする動作があって、上の方からまた持ち出してやる。この時間帯と、それから、現在やっておりますような、一つの机のところに二つ棚を並べて、横にいながら横から組み出す、この方が実は作業効率は、実際上は速いというところから、座り作業から、セルワゴンというような形で、横に置きながらやる方式をとったところでございます。

 確かに、先生御指摘のとおり、今まで一つの工夫として、従前やっていたときの、少し市販のとは違うような形でのいすでやるやり方も一つの方法で、これもこれで当時効率的な一つであったわけですが、さらにそれよりも新たな方法としての作業効率を確認したところ、こちらの方が効率的であったので実験的にやってみているというところでございます。

塩川委員 全逓の職場のアンケートを見ましても、この立ち作業方式について、作業が速くなったという人は三人なんですよ。遅くなったという人が五十人なんです。あと、作業の疲労度が減ったという人はほとんどいなくて、一名なんですけれども、ふえたという人が八十四名もいるんですよ。おかしい。

 私は、そこで厚生労働省にお聞きしますが、立ち作業におけるいすの配置について、労働安全衛生規則及び腰痛予防対策ガイドライン、これは厚生労働省の方で出されていると思うんですが、ここではどのように述べ、今お話しした現状についてどう指導されるつもりなのか、お聞きしたいと思います。

大石政府参考人 一般的に申し上げて、仕事の仕方におけるつらさというのは、同じ形や同じ姿勢を続けていくというのが非常にぐあい悪いわけで、立ち作業にしても座り作業にしても、長時間にわたって同じ姿勢をとらないようにということはあろうかと思います。そんなことで、そういった点について種々御配慮いただけたらいいのではないかというふうに思います。

 今御指摘のありました労働安全衛生規則の点でございますけれども、これにつきましては、六百十五条におきまして、事業者は、持続的立ち作業に従事する労働者がしばしば座ることができる機会があるときは、利用できるいすを備えなければならない、こんなふうにしております。これはどういった趣旨かと申しますと、いわゆる空き時間等がある場合には、そこで座って休むことができるようにいすを用意してください、こんなような趣旨でこの規則が設けられている、こんなふうに理解しております。

 腰痛につきまして、職場における腰痛予防対策指針というものを平成六年に作成いたしております。これにおきましては、立ち作業が長時間続く場合には、いすを配置して小休止等ができるようにする、こんなようなことを定めているところでございます。

塩川委員 厚生労働省にお聞きしますが、ですから、こういう実態について調査をし、指導などしかるべく対処を求めたいと思うんですが、いかがでしょうか。

大石政府参考人 限られた行政体制のもとで、そうした案件につきまして働く方々から申告等があった場合には、適切に対処してまいりたいと思います。

塩川委員 このいすのような作業の問題だけではなくて、労働時間についても実際ふえているんですよね。

 そこでお聞きしますが、残業時間について上限を労使で話し合って決める三六協定、この残業時間がどうなっているのか、お聞きしたいと思うんです。二カ月のまとまりですから、十、十一月期が何時間で十二、一月期が何時間か、それぞれ再改定が行われたと聞いているものですから、その時間についても教えてください。

清水政府参考人 今先生御指摘ございました越谷郵便局の場合には、十、十一月期、これは九月九日で締結したときには、時間外労働六十時間という形で締結しております。その後、取扱物数あるいは区分方法を見直したことなどによる作業のふなれがございましたので、やはり一部職員の協定の時間数オーバーということが予想されましたので、十一月二十五日の時点で十、十一月期について若干時間数をふやし、先ほど六十時間と申し上げたのをトータル七十一時間に伸ばしているところでございます。

 それから、もう一つが十二月、一月期でございますが、これは十一月十四日に締結してございます。このときは、十二月、一月ですので、いわゆる年繁の部分で極めて多忙をきわめるときでございますので、二カ月で時間外で八十六時間というのを十一月十四日に締結してございます。これもまた、実際上、これをオーバーする可能性の出てくる職員がございましたので、一月十六日の時点で時間外百十三時間に延長しているところでございます。

塩川委員 普通、二カ月単位の三六協定は四十時間から五十時間で、年末年始忙しいですから、それで六十時間とか八十六時間と多目になっているんですよ。その多目になっているのをさらにふやして再改定をしている。それだけ残業時間がふえているんですよね。ジャパン・ポスト・システムなどといって大きく構えたことをいいながら、現場は混乱して、通常予想されていた残業時間でこなせずに再改定せざるを得ない。効率が悪くなったということのあかしじゃないかと率直に思うんですが、麻生大臣。

麻生国務大臣 職場改善委員会で話される話をこの場でいきなり言われても、ここは総務委員会ですので、現場を知らない人たちを集めてどうかと言われても、答弁はちょっといたしかねるのが率直なところです。

 それから、今の話で、会社はいろいろありますので、例えば、さっきも話題に出ていましたけれども、キヤノンという会社にいらしたら、あそこは重役会にいすはありません。いろいろなところで、場所によって、職場によっていろいろ違いがありますので、この場で、なくなったからどうなのかと言われても、今ここは郵便事業の黒字化を目指して必死でやっておりまして、去年の四月からスタートしてまだ一年たたず、今試行錯誤の真っ最中のところでありますので、いろいろ、二十八万人の職員が力を合わせて皆それぞれ努力をしておられる最中だと思いますので、その一部の越谷の話だけを使ってどうのこうのと言うつもりはありません。

 ただ、サービスで超過勤務等々のものを、サービス超勤とかつき合い超勤とかいろいろ組合用語がありますのは私も知らないわけではありませんけれども、超過勤務には支給が伴うのは当然のことだと思っておりますので、そういったサービス超勤みたいなこととか、よくうわさには聞きますけれども、そういった形はよろしくないと思っております。

塩川委員 いや、これを全国展開して、これをモデルに全国に普及しようというそのモデル局だから問題にしているわけですよ。一つの局の話じゃなくて、郵政公社全体、ひいては郵政事業の問題にかかわるからこそ私はお聞きをしているわけです。

 今、サービス残業の問題も、大臣も少しお話しされましたけれども、実際に残業時間が増加したにとどまらずに、先ほどのアンケートを見ても、サービス労働があったという回答が六十二名にも上っています。ですから、こういうふうに現場では声が上がっているわけですから、サービス残業の実態についてきちんと把握をしているか、その点をお聞きします。

清水政府参考人 先生御指摘のサービス超勤という形のお話がございましたが、基本的に、本来、働いた部分について超勤の手当を払うというのは当然でございまして、それをモットーに当然郵便局でも活動がされているわけでございます。

 越谷局におきましても、そういう勤務時間厳守という点については、従来からミーティングで厳守を指導しておったり、あるいは管理者が職場を巡回して作業終了の声かけを実施する等取り組んでいたほかに、今度、この方式のときに新たにマイクで勤務時間開始だとか終了だとか、そういうところで徹底を図っておりまして、いわゆるサービス超勤と呼ばれる超勤手当の不払いの件、こういうようなところはないというふうに公社から聞いているところでございます。

塩川委員 このジャパン・ポスト・システムを進める上で、現場ではいろいろなデータを集めています。その一つに、実際の作業工程を明らかにする作業日報という用紙があるんですね。これは、一分刻みで書き込めるような用紙になっているんですよ。これを実際に出していると、昼休みに食い込んで仕事をしているようなことが記録をされているとか、終了時間を過ぎて働いていることとかというのも、正直に書けば必ず出るんです。これは、別にサービス残業を調べるためにつくったものではありません、あくまでもジャパン・ポスト・システムをどう導入するかという観点ですから。

 逆に、でも、これをきちっと把握すれば、サービス残業の実態というのもリアルにつかめるんじゃないか。私の聞いたところでは、現実にこれを調べてみたら、その人の労働時間にずれがあった、実際には作業日報で書いてあった方が多かったということも聞いていますけれども、この点を確認して、ふさわしく是正指導をすべきじゃありませんか。

清水政府参考人 先生御承知のように、職員の超過勤務をやりますときには、職員に対して、きょうは超過勤務何時間だからということで、管理者が所要の手続をとって、必要な超勤時間を発令し、また記録もきっちり残るわけでございます。

 先生確かに御指摘のとおりで、作業日報と実際超勤になっている間のずれは、全員チェックしてみると確かに若干ずれているようなところもございますと公社から聞いておりますが、やはり、作業日報というのは、これは、それぞれの職員が自分が一日に勤務した作業項目ごとの従事時間を記録していきますもので、どうしても、ある意味では、作業時間を丸めて数字的なもので書いてしまったり、丸めた形でそれが正確に把握できているかどうかということもございます。

 そうやって丸めた形のために、ある意味で若干不正確なところが出たり、あるいは、記憶に基づく記録ですので、これは各人が何時から何時、何時の出勤というのをみんなでチェックし合ってやっている形ではありませんで、やはりケースによっては、必ずしも勤務時間の正確な把握に、これに書いてあるから必ずこうだというわけでもないものだというふうに聞いてございます。

塩川委員 ずれがあるとはっきりおっしゃっておるわけですから、この立場できちっと調べればわかることだと思うんですね。

 厚生労働省に聞きますが、この越谷局の実態についてぜひ把握もし、問題があればきちんと是正をする、そういう取り組みを求めたいと思うんです。

大石政府参考人 一般論ではございますけれども、働く方々から申告があれば適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 職員の皆さんは、年賀状がきちんと元日に届けられないということには、自分の仕事を果たせていないという思いとして大変胸を痛めておられるわけですよ。郵政職員の誇りが傷つけられることのないような取り組みこそが求められているわけで、この間の業務改善で問題なのは、職場の声を聞いてくれないというところが問われているんです。

 ですから、最後、ぜひ大臣に、サービス残業の是正のために頑張る、またいすをもとに戻してもらう、そして、このジャパン・ポスト・システムについては、四月実施についてはせめて先送りする必要があるんじゃないか、この点をお答えいただいて、私の質問を終わりにします。

麻生国務大臣 これは公社になっておりますので、お忘れになっていただいたら困ります。この四月から公社になっておるという現実は、総務省と直接、傘下じゃないので、我々がどうのこうのと命令する立場には全くないという点だけは、ちょっとまず頭に入れておいた上で話をしていただかぬと先がつながりませんので。

 超勤につきましては、先ほども申し上げたとおりですし、今、ジャパン・ポスト・システムというのがどのような効果を上げるか下げるか、四月から公社になりまして、実際問題として、勤めておりますと、人の意識の改善もまだ、どうでしょう、一年そこそこで随分変わったような感じはいたしておりますけれども、なかなか徹底するまで行っていないし、そういった意味では、少なくとも、ここが生き残っていくためには、それぞれ企業が努力するのと同じように、これは公社も努力されてしかるべき、私どもはそう思っております。

 その意味では、これはみんなが努力しないとやれぬ話だと思いますので、このジャパン・ポスト・システムがいいか悪いか、悪ければやめるに決まっていますので、効率が悪ければ当然のこととして公社の方で自主的にやめられる、私は基本的にそういうものだと思っております。

塩川委員 終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。よろしくお願いいたします。

 三位一体改革が、本格的な意味で第一歩がスタートをしたと思っております。国庫補助負担金と、税源移譲を含む地方税と、地方交付税、この三つを一体的に改革しようとするのが三位一体改革であろうと思うんです。

 二〇〇三年度予算では、言われておりますように、いわゆる芽出しという形でスタートした、そして、二〇〇四年度予算からいよいよ第一歩であると言ってもいいと思うんです。しかし、その第一歩であるにもかかわらず、各自治体は、今予算編成に大変四苦八苦をしておる、危機的な状況にある、もっと言えば、悲鳴を上げているというのが実情だと思うんですね。赤字予算を編成しようとした自治体さえある。これは、ある意味では国に対する抗議の意味が込められていると私は思うんです。普通では、こういうことはこれまでは常識では考えられないようなことが、何と三位一体改革の第一歩のとき、始まってしまったんですね。

 地方からは、今いろいろな声が上がっております。いわゆる県や市町村に裁量の余地がなく、三位一体改革の本旨である地方分権にはほど遠いんじゃないかとか、あるいは、三位一体改革は、初年度の取り組みだけでも地方財政運営に大変な影響を及ぼした、これが現実の声ですよね。

 赤字予算を最初から組まざるを得ない、そしてまた、編成してしまった、こういった自治体がこれまで本当にあったでしょうか。なぜこのようなことが起きたのか、総務大臣からまず御見解をお聞きしたいと思っております。

麻生国務大臣 ここに至りますまでの背景というのは、やはり、横光先生、今地方財政の累積赤字が既に二百兆を超えておるという実態、これが大前提なんだと思います。これをこのままほっておいて、特例交付金だ、やれ交付金だと、どんどんどんどんふえていきますと、これは際限のないことになるというところが、何年か前いろいろ考えられた、前大臣のときからも考えられておったところで、そこで、改革をするためには、いわゆる三つ、三位一体、何となくこういうキリスト教の宗教用語が法律用語になったのはいかがなものかと思いますけれども、三位一体ということになったわけです。

 この話の中で、やはり、今問われておりますのは、財源を移譲される割には減らされる額の方がでかいという話、差の話がよく出てくるところなんです。たびたび通達を出しておりますが、誤解をされております方もいっぱいいらっしゃいます。私どものところでも、大分はないけれども、隣の福岡やら大分県に近い方のところからも、随分、個別に存じ上げている方がお見えになって話をして、まず基本的には、どうしても必要、例えば義務教育とか保育園とか、ああいった額で、今まで仮に二千万なら二千万来ていたところが、例えば宝珠山村なら宝珠山村で、ああいった人口の少ないところでは、交付金によって来る金、いわゆる中央によって税源移譲された金が来る方が、人口が少ないために千五百万しか来ないとか千二百万しか来ないということになります。従来、二千万来ていた補助金が、剰余金、税金にすると少なくなる。その差額、減った五百万だ七百万だにつきましては、それはきちんと交付税で埋めます、交付金で埋めます、これはもうはっきりしてあります。そして、えっという話になって、まずそこで前提条件が違ってくるのが一つです。

 それからもう一点は、それでもなおかつ足らぬというところが幾つかありますが、その足らぬところにつきましては、ちょっとその内容をよく見ていただかなきゃいかぬところなんですが、例えば、道路はもう既につくっておるというところがありまして、あと三年でできるとか二年でできるというところがばたっととまるなどということはありません。それは、確実に二年ででき上がるところには、済みません、三年かけてやってくださいといってある程度の調整をさせていただくことはあろうかと思いますが、それが途中でなくなることはありません。これはもうはっきりいたしております。

 それからもう一点。それでもなおかつ足らぬというところにつきましては、いわゆる特例債みたいな地方財政債とか、いろいろな形の名前になっておりますが、そういった形で約八千億ぐらいのものを用意し、かつ、その中で、義務的経費の方はかなり多目に見てやっておりますので、そこらのところはかなりの部分いろいろできたんです。

 ただ、先生、これはもう一律全部こうしましたと言えない理由は、市町村、物すごく差がありますので、ちょっとなかなか一概に申し上げにくいんですが、個別に結構いろいろ対応させていただいておりますという現状です。

横光委員 これは今、個別という大臣のお話がございましたが、全国的な市町村の今の状況なんですね、今回の措置によって厳しい予算編成をせざるを得ないというのは。やはり大前提は、三位一体であるならば私は問題ないと思うんです。ところが三位一体じゃない。いわゆる大前提である税源移譲というものが非常に中途半端な結果、今地方は非常に厳しい状況になっているということをまず御認識いただきたいと私は思っております。

 補助金の削減、これはある意味では、いわゆる地方の選択の余地、自由度、裁量の余地を広めるという意味ではプラスでありましょう。しかし、地方でも、それでも負担金で責任とか義務とか役割が伴う事業もあるわけですね。そういったところの補助金の削減のことについてちょっとお聞きしたいんです。

 一兆円の補助金の削減が行われたわけでございますが、公立保育所にかかわる児童保護費等負担金千六百六十一億円が一般財源化されることになりました。これに伴って、所得譲与税として税源移譲が行われるわけでございます。しかし、保育に携わる現場の方からは、保育サービスの基盤整備がまだまだ進んでいない現状を放置したまま、自治体が今度の一般財源化によって保育施策の優先順位を下げてしまうことになるんじゃないかという心配も広がっておるんですね。また、一部の首長からは、こういった国庫補助負担金の廃止をきっかけとして、もう公立保育所ではやっていけない、民間にシフトすべきだという声さえ上がっている。今は声だけですが、これが今度動きになる可能性がある。しかし、地方では、なかなか民間へ委託するということは現実に難しいような地方はいっぱいあるわけですね。

 今回の公立保育所運営負担金の一般財源化問題は、小泉総理が指示した十一月の一兆円削減、これをめぐる各省庁の攻防の中で突如として浮上してきたように感じてならないわけでございます。少子化対策では市町村が頑張っているわけでございまして、そういった中、なぜ公立保育所のみなのか、なぜ市町村の次世代育成支援行動計画の策定前なのか、こういった疑問が当然生じてくるわけです。

 そこで、まず大臣にお尋ねしたいんですが、今回の公立保育所運営負担金の一般財源化に際しての経緯と結論に至った過程について明らかにしていただきたいと思うんです。

麻生国務大臣 委員御存じのように、約二十兆、補助金というのが出されておりますので、そのうちから、いろいろある中で二割削減というところで、約四兆ということになった経緯があります。

 その中で、二十兆のうち約半分がいわゆる福利厚生関係で、なかなかこれはちょっとやそっとじゃさわれないというところなんだと思いますが、それで残りの約十兆のうちの約三兆が義務教育、それで四兆ぐらいがたしか公共事業ということになりますので、残りの部分というのは結構限られたものになっておる、二十兆円の内訳で、そういうことになります。

 そこで、いろいろな中で、生活保護費というものが一時期出たというのは御存じのとおりです。しかし、これは先ほどほかの委員からもお話があっておりましたように、これは憲法違反等々の問題が出ますので、ここのところがちょっと問題ですよというところで、多額の補助金を持っております厚生省の中から一応出てきたのが、最終的に、今、公立保育園ということになったという経緯です。

 保育園の経費の中には、福祉法人、いわゆる私立の分と公立の部分と二つございますので、合計で約四千億、アバウト、約二千億ということになったのがその経緯なんですが、これは、基本的には、地方に補助金として渡してあった分をその分そっくり税源移譲として地方税ということになりますので、この分に関しましては地方が受け取る、丸々一千六百億を受け取ることになります。そこで、補助の負担金もあるから、二千二百ぐらいになります。その二千二百ぐらいになる部分がありますんですが、その分に関しましては丸々それをもらうわけです。そのもらった分を、従来は、保育所のこれに使わなければ金はつけぬ、先ほど川端委員から御指摘のあったと同じ話なんですが、今回はその分は自由になっておりますから、横光町長としては、その分を何に使うかはそこの町で決められる。それを保育所に使うか使わぬかという話は、これは本当に保育所が必要なら、保育所に使うか使わないか、これはもうかかってその地方の首長さんの自由度、裁量権にゆだねられたということだ、私どもはそのように理解しております。

横光委員 今、自由に使えるということをおっしゃいましたけれども、これは、厳密に言えば、なかなか自由に使えないんです。

 というのは、児童福祉法第二十四条では、市町村の保育の実施責任を定めておりますね。そして、同法第二条の国、地方公共団体の責任には何ら変更はありません。また、次世代育成支援対策推進法は、自治体が役割を確実に果たすよう、行動計画の策定を義務づけております。

 このように、育児に対しましては、地方自治体は責任、義務、役割、こういったものがちゃんと課せられているわけですよ。ですから、大臣がおっしゃるように、これを簡単に、自由に使えるというわけにはいかないわけですね。そんなことをしたら、まさに地方自治体の責任放棄になるわけですよ。ですから、私、これを質問しておるんです。

 ですから、市町村の責任や役割は、今私が言ったように、何ら変わっていないわけですよ。その中で、補助金が削減されて一般財源化された。形の上では自由に使えますよ。しかし、今言ったような形では、実際、使えませんね。そうしたら、まさにそれこそ公立の保育所はなくなって、民間のないところもある。それはあり得ません、町長さんがそんなことをすることはあり得ませんけれども、そういうことも自由だということはなきにしもあらず、ゼロではなくなるという可能性が出てくるわけです。

 ですから、責任は変わっていない、しかし負担金が一般財源化になった。といって、今大臣が言うように、その部分の予算は削減されるということではないわけでしょう。ですから、削減されることはない。一般財源化がそのまま、削減されることはないということは、公立保育所の保育の質、量の低下をもたらすということはない、このように考えてもよろしいですね。

麻生国務大臣 今、公立保育所しかないというお話がありましたけれども、公立保育所と福祉法人、私立の両方あるところもありますので、それは、市長さんで、私立の保育園で経営内容がよくてというところに公設民営ということはあり得ますでしょうね。

 だから、それをもって公立保育園の質の低下だと言われると、それはちょっと違うんじゃないか。預けておられますお母さん方にとりましては、どっちで預かってもらっても、いい方がいいに決まっておりますので、それをもって公立保育所の方の質の低下と私どもは考えませんけれども、少なくとも、今申し上げたような形で、公立ではなくなります、ないところですよ、重ねて申し上げますが。私立に公立を委託し、公設民営化するなり、いろいろな形で譲り渡すなり、いろいろなところが出てくる可能性はあると思っております。

 ただ、いろいろな意味で、これはかなり自由が出てきますと、隣の町まで行っておれが、それで公設だったらおれがやってもいいという方も出てきたり、様子をしばらく見ないと何とも言えませんけれども、質が急激に下がるというようなことはちょっと考えにくいと思っております。

横光委員 質、量、質そのものが下がるということは考えにくいということ、それは確かにそうしていただかなければならないと思いますが、なかなか地方の町村、市はともかく町村ではなかなか、公立保育所の役割というのは、非常に地域の人たちは頼っているわけですね。非常に大きなパーセントで頼っている。そのところのいわゆる責任、義務というのが、先ほど言いましたように児童福祉法にあるわけですから、しかも財源はちゃんと保障するといったこともありまして、質が下がることはないという今大臣のお話でございます。

 この負担金廃止に伴って、所得譲与税が措置されますね、新たに。この所得譲与税は人口比例で算定、配分されるわけですが、人口の少ない自治体においてはどうしても厳しい状況になる。そこで、いわゆる基準財政需要額の算定というものが大きなウエートを占めてくると思うんですね。これまでの保育所の運営負担金の金額と遜色のないような形でやっていくべきだと考えております。

 特に、個別の町村で見ますと、所得譲与税がどうしても人口が少ないために少額で、かつ他の要素で交付税額がかなり減額となるような場合、市町村の予算編成でこれまでの公立保育所運営国庫負担金に相当する額が確保できない、そういった事態も想定されますが、基準財政需要額の算定等を含めて、そういうことはあり得ませんね。

山口副大臣 私の方からもお答えをさせていただきたいと思います。

 先ほど大臣からもお話がございましたように、事業費の全額を実は地方財政計画に計上いたします。そして、地方交付税の基準財政需要額に算入をいたしますので、今までよりも減ったなということは決してない。実は、私も地元の町長さんから、これはめちゃくちゃ減るじゃないかというお話をいただきましたが、そういうことはございません、ということでございます。

横光委員 市町村における公立保育所運営に財源不足が生じるということはないというような今お話でございました。これもまた、今疑問を持って副大臣のところに問い合わせがあったということが現実でございますので、そういった声が届かないように、私は、市町村に十分周知するよう求めて、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

     ――――◇―――――

佐田委員長 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成十六年度地方財政計画について説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 平成十六年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三に沿って対応することとし、歳出面におきましては、その徹底した見直しを行うことにより歳出総額の抑制に努め、地方財政の健全化を進めてまいります。また、人間力の向上、発揮を初めとする新重点四分野や市町村合併、治安維持対策等の当面の重要政策課題に適切に対処いたしたく存じます。一方、歳入面におきましては、地方税負担の公平適正化の推進と地方交付税の所要額の確保を図ることを基本といたしております。

 また、通常収支におきます地方財源不足見込み額につきましては、地方交付税法第六条の三第二項の制度改正として、平成十六年度から平成十八年度までの間におきましては、国と地方が折半して補てんすることとし、国負担分につきましては一般会計からの加算により、地方負担分につきましては特例地方債の発行により補てんすることにより、地方財政の運営上支障が生じないよう措置することといたします。このための法律改正を行うとともに、減税等に伴う影響額につきましても、所要の財源を確保する措置を講ずることといたしております。

 また、三位一体の改革の一環として行われる国庫補助負担金の一般財源化等に対応し、所得譲与税による税源移譲等の措置を講ずることといたしております。

 以上の方針のもとに、平成十六年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十四兆六千六百六十九億円、前年度に比べ一兆五千四百三十八億円、一・八%の減となっております。

 以上が、平成十六年度地方財政計画の概要であります。

佐田委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

佐田委員長 次に、内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、所得譲与税法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案

 所得譲与税法案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案並びに所得譲与税法案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその趣旨につきまして御説明申し上げます。

 まず、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。

 現下の経済財政状況等を踏まえつつ、持続的な経済社会の活性化を実現するためのあるべき税制の構築に向けた改革の一環として、市町村民税の均等割に係る人口段階別の税率区分の廃止等の個人住民税均等割の見直し、商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の条例による減額を可能とする制度の創設、固定資産税の制限税率の廃止等の課税自主権の拡大、軽油引取税に係る罰則の強化等所要の措置を講ずる必要があります。

 以上が、この法律案を提案いたします理由であります。

 次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。

 その一は、住民税の改正であります。個人住民税均等割につきまして、市町村民税の均等割に係る人口段階別の税率区分を廃止し、税率を年額三千円に統一することとし、あわせて、生計同一の妻に対する非課税措置を平成十七年度から段階的に廃止することとしております。

 その二は、土地税制の改正であります。負担水準の高い商業地等に係る固定資産税及び都市計画税について、評価額の六〇%から七〇%の範囲内で条例で定める割合で算定される税額まで、その税額を減額できる制度を創設することとしております。

 その三は、地方の課税自主権についてであります。固定資産税の制限税率の廃止や標準税率の定義の見直しにより地方の税率設定の自由度を拡大するなど、課税自主権の拡大を図ることとしております。

 その四は、軽油引取税の改正であります。脱税に関する罪の罰則の引き上げ、製造等の承認を受ける義務等に違反して製造された軽油の譲り受けに関する罪の創設等軽油引取税に係る罰則を強化することとしております。

 以上が、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。

 次に、所得譲与税法案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。

 個人の所得課税に係る国から地方公共団体への本格的な税源の移譲を行うまでの間の措置として、毎年度の所得税の税収の一部を所得譲与税として都道府県及び市町村に対して譲与する必要があります。

 以上が、この法律案を提案いたします理由であります。

 次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。

 その一は、所得譲与税の総額についてであります。所得税の収入額のうち四千二百四十九億円に相当する額をもって所得譲与税とし、そのうち二分の一に相当する額を都道府県に、二分の一に相当する額を市町村に対して譲与するものであります。

 その二は、譲与の基準であります。都道府県及び市町村に対して譲与するべき所得譲与税は、国勢調査による人口で案分して譲与するものであります。

 以上が、所得譲与税法案の提案理由及びその要旨であります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税の総額の確保に資するため、平成十六年度分の地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、平成十七年度及び平成十八年度における一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例を設けるほか、平成十六年度から平成十八年度までの間に限り、地方債の特例措置を講ずることとし、あわせて、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成十六年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、法定加算額、臨時財政対策のための特例加算額、交付税特別会計借入金及び同特別会計における剰余金を加算した額から、同特別会計借入金償還額及び利子支払い額を控除した額十六兆八千八百六十一億円とすることといたしております。

 次に、平成十六年度から平成十八年度までの間に予定されていた交付税及び譲与税配付金特別会計におきます借入金の償還を平成二十二年度以降に繰り延べるとともに、平成十七年度及び平成十八年度における一般会計から同特別会計への繰り入れに関する特例を設ける等の改正を行うこととしております。

 また、平成十六年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するとともに、算定の簡素化を図る観点から、補正係数の見直しを行うこととしております。

 あわせて、平成十六年度から平成十八年度までの間に限り、地方団体は、地方財政法第五条の規定により起こす地方債のほか、適正な財政運営を行うために必要とされる財源に充てるため、地方債を起こすことができるものとする旨の特例を設けます。また、平成十六年度において行われた義務教育費国庫負担金及び公立養護学校教育費国庫負担金の見直しに係る地方公共団体の減収額を埋めるために、国から地方公共団体への税源の移譲を行うまでの間の措置として税源移譲予定特例交付金の創設を図ることとしております。

 さらに、地方公務員共済組合の事務に要する費用に係る地方公共団体の負担の特例を、平成十六年度においても適用することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをよろしくお願い申し上げます。

佐田委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十六日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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