衆議院

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第8号 平成16年3月16日(火曜日)

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平成十六年三月十六日(火曜日)

    午後二時二分開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      加藤 勝信君    金子 恭之君

      亀井 久興君    自見庄三郎君

      田中 英夫君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    中西 一善君

      西村 康稔君    葉梨 康弘君

      萩生田光一君    平沢 勝栄君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      岡島 一正君    川端 達夫君

      黄川田 徹君    岸本  健君

      須藤  浩君    田嶋  要君

      高井 美穂君    樽井 良和君

      寺田  学君    西村智奈美君

      松本 大輔君    山花 郁夫君

      若泉 征三君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      吉井 英勝君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務副大臣        山口 俊一君

   国土交通副大臣      佐藤 泰三君

   総務大臣政務官      平沢 勝栄君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  永谷 安賢君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            西原 政雄君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            武智 健二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            有冨寛一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岩田 悟志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           春成  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           鈴木 久泰君

   政府参考人

   (国土交通省航空局飛行場部長)          阿部  健君

   政府参考人

   (国土交通省航空局管制保安部長)         岩崎 貞二君

   参考人

   (新東京国際空港公団総裁)            黒野 匡彦君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  田中 英夫君     葉梨 康弘君

  谷本 龍哉君     金子 恭之君

  西田  猛君     西村 康稔君

  山下 貴史君     中西 一善君

  中村 哲治君     岸本  健君

  西村智奈美君     岡島 一正君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 恭之君     谷本 龍哉君

  中西 一善君     加藤 勝信君

  西村 康稔君     西田  猛君

  葉梨 康弘君     田中 英夫君

  岡島 一正君     西村智奈美君

  岸本  健君     松本 大輔君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     山下 貴史君

  松本 大輔君     樽井 良和君

同日

 辞任         補欠選任

  樽井 良和君     中村 哲治君

    ―――――――――――――

三月十六日

 「官製資格ビジネス」に関する予備的調査要請書(鈴木克昌君外四十名提出、平成十六年衆予調第二号)

は本委員会に送付された。

    ―――――――――――――

三月十六日

 シベリア抑留・未払い賃金問題の早期解決に関する請願(稲見哲男君紹介)(第九五五号)

 同(田嶋要君紹介)(第九五六号)

 同(大畠章宏君紹介)(第九七五号)

 同(川端達夫君紹介)(第九七六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 情報通信及び電波に関する件


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長瀧野欣彌君、国土交通省大臣官房審議官春成誠君、大臣官房審議官鈴木久泰君、航空局飛行場部長阿部健君及び航空局管制保安部長岩崎貞二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁黒野匡彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 昨年の総選挙で初めて当選させていただきました。選挙区は三重県の第五区というところでございまして、伊勢から南、和歌山県の境まで、非常に広い選挙区でございます。地方の御多分に漏れず、過疎、高齢化が非常に進んでおる地域でございます。

 きょうは、いわゆる成田財特法の一部改正案について御質問させていただくわけでございますが、私の選挙区の三重県は、日本の中でも数少ない空港のない県でございます。それはともかくといたしまして、私自身はつい数カ月前まで実は航空行政に携わっておりまして、その点で、この法案について質問をさせていただくということにつきましては感慨深いものがあるわけでございます。

 成田空港につきましては、歴史的経緯と申しますか、幾多の難しい局面を経て今日に至っておるわけでございますけれども、私自身も、開港後間もない一九七八年の七月に、成田からアメリカに向けて飛び立ったことを思い出すわけでございます。

 そのときは、非常に厳しい警備の中でございましたけれども、できたての空港ということで、立派な空港ができたなというふうに思っておったんですが、最近では、海外から帰ってまいりますと、ちょっと成田空港もシャビーと申しますか、ほかの外国の空港に比べまして多少見劣りするなというような印象を受けるわけでございます。

 経済はもちろん、文化あるいは芸術、さらに生活の面でもグローバル化が進展しております中で、国際空港の果たす役割というのは非常に大きなものがございますし、今後ますます増大するのではないかというふうに考えられるわけでございます。

 アジアにおきましても、ここ数年の間に、香港、上海、それから仁川、こういったところで新しい空港が次々とオープンいたしました。我が国でも来年には中部国際空港が開港する予定になっておりますが、やはり首都圏の国際空港、日本の玄関口として、成田空港の存在と役割は非常に大きなものがあるというふうに考えているわけでございます。一昨年の四月には暫定滑走路が供用になったわけでございますが、完全空港化に向けましてはまだ道半ばというような状況ではないかというふうに考える次第でございます。

 そんな中、空港の民営化、この四月一日から民営化されると聞いておりますが、民営化を目前に控えまして、この成田財特法をさらに五年間延長されようとしているわけでございます。

 そこで、まず最初に、この法律は昭和四十五年から施行されておるわけでございますが、三十数年間にわたるこの法律による事業の実績と地元に与えた効果、さらに、それに対する総務大臣の評価と申しますか御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 三ッ矢先生のお尋ねですけれども、運輸省にいらっしゃいましたのでよく御存じのところとは思いますけれども、昭和四十五年から長い長い経緯があって、富里の話の時代からさかのぼればもっと前からこの話が長く続いて、成田新東京空港だったかな、成田はいつから東京になったのかと思った人も随分いらっしゃるんだと思いますけれども、当時はそういう名前でスタートをしたと記憶をいたします。

 大きな、いわゆる首都と言われるところの周りに、普通は、ニューヨーク、ロンドン、パリ、いずれも三つぐらい国際空港というのはあるんだと思いますが、ここは一つ、しかも片肺空港みたいな形で一つしか滑走路がない。シャビーという言葉を使われましたけれども、まことに、建物に限らず滑走路の本数から考えたって明らかに、一千万を超しますヒンターラントとして、国際空港で、この周りに約三千万ぐらいの人口が集中しているんだと思いますけれども、その中にあって一つしかない、しかも一つの滑走路というのは、どう考えても先進国の飛行場としてはいかがなものかというそしりは免れぬところだと思っております。

 いろいろな紆余曲折がありましてここまで来たんですが、最近、羽田の第四滑走路等々少しまた別の面が出てきてみたり、また、東京なんかでは、横田の基地やいろいろな話ができつつあるのは、一つの流れとしていいことだと思っております。

 この成田の財特法に基づきますものにつきましては、何がこの間できたかといえば、少なくともこの特別法のおかげで、成田という昔はピーナツの主たる生産地みたいな、農協に言わせればかなりやせていた土地のところに、いきなり道路ができ、鉄道ができ、下水道ができ、河川が整備されましたし、消防施設もきちんとしたものができたり、いろいろなものが進められております。

 昭和四十五年からいきますと、空港じゃなくてその周辺に、事業費ベースで約五千四百三十八億の事業が行われておりまして、その中で、いわゆるかさ上げされました分の国庫補助負担金総額は二百三十七億、五千四百三十八億分の二百三十七億ということになろうかと思います。

 また、その地域でどんな影響があるかといえば、これは明らかにその地域にいろいろな形で、企業の進出があってみたり、ホテルができてみたり、従業員を地域で雇用したりいたしておりますので、そういった意味で地域の発展には、成田というものが認知され、いろいろな意味でその地域に与えた影響はそれなりに大きかったとは思っております。

三ッ矢委員 成田空港につきましては、いろいろな問題を少しずつ解きほぐしながらここまで進んできたというふうに私も思っております。

 この法律に基づきますいろいろな措置も、その一つのツールといいますか道具としてお使いになって、有効に活用されてきたというふうに考えておるところでございますが、一部には、先ほど申し上げましたように、成田空港が四月から民営化されるということもございまして、特別措置による優遇はもういいんじゃないかというような声もあるやに聞いております。

 今回の延長は、継続事業、まだ残っております事業に対する手当てという面はもちろんあろうかと思いますが、この延長の理由についてもう少し敷衍してお答えいただければというふうに思います。

瀧野政府参考人 今回この成田財特法を延長する理由でございますが、御案内のとおり、この財特法は、空港周辺地域の公共施設の計画的整備を目的として、これまで四度にわたり期間延長がなされてきたわけでございます。

 平成十五年度末で失効するということになるわけでございますが、一部の事業につきまして、用地取得の困難性があるとか予算配分のおくれがあるとか、そういうようなことのために、道路整備事業あるいは下水道事業等で、有効期間内では完了できないという見込みがあるわけでございます。

 こういった事業につきまして引き続き推進しなければいけないということもございますし、地元千葉県からのこの延長につきましての強い要望があることも事実でございます。こういったことを勘案いたしまして、今回さらに五年間の延長をお願いする、こういうことでございます。

三ッ矢委員 この措置をいつまでというのは、今の時点でなかなかすっぱりと言い切れないというような事情は私もよくわかるわけでございますが、私自身は、できれば延長される五年間のうちに成田空港がいわゆる完全空港化できればなというふうに強く願っておるところでございます。

 そこで、成田空港の完全空港化に向けました今後の取り組みそれから見通しにつきまして、国土交通省の方にお伺いしたいと思います。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内のように、成田空港につきましては、その建設の過程で地域との激しい対立があったという歴史を持っていることは事実でございまして、そうした中、昭和五十三年に四千メーター滑走路一本ということで開港をいたしております。

 その後、そうした過去の歴史の反省の上に立ちまして、私ども、空港用地の取得に当たりましては、あくまでも話し合いによって用地買収を進めるという方針のもとに関係者が努力をしてきておるわけでございます。現時点におきまして、空港内の未買収地につきましては、現在約三・八ヘクタールにまで減少しております。これは全体の空港用地の〇・四%程度に該当するわけでございます。

 そうした中、委員も御指摘のように、一昨年四月には、開港以来四半世紀を経まして、二本目となる暫定平行滑走路が供用を開始しております。これによりまして、空港の処理能力は、年間の発着回数でございますけれども、当初の十三・五万回から二十万回へと大幅に向上いたしているわけでございます。

 しかし、今申し上げましたように、この平行滑走路はあくまでも暫定でございまして、本来の用地の上に地権者の方々がおられます。その方々の御同意が得られませんことから、二千百八十メーター、暫定という未完成の状態にとどまっているわけでございます。

 私どもとしましては、一刻も早く本来計画でございます二千五百メーターの平行滑走路を実現しまして空港機能を向上したいと考えておりまして、このため、計画されております用地の上に残る地権者の方々の御理解を得られるよう、引き続き話し合いによる解決に向けて全力を挙げているというのが現状でございます。

 その見通しということでございますけれども、この用地交渉、現在、最大限努力はしておりますけれども、それぞれの個々の相手の方々がおられることでございまして、個別の見通しについてはここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、早急に二千五百メーターが実現できますように最大限の努力をしていきたいと思っております。

三ッ矢委員 ちょっと話をかえますが、成田空港は四月から民営化されるわけでございますが、先般の新聞報道によりますと、もう既に体制も固まっておるというようなことでございます。

 成田空港が民営化されることによりまして、当然のことながら、経営の効率化とかあるいはサービス水準の向上が期待されるところでございます。既にいろいろな場で御説明をされているんだと思いますけれども、民営化の効果として具体的にどのようなことが考えられるのか、お聞かせいただければというふうに思います。

春成政府参考人 成田空港公団につきましてはこの四月に民営化により会社となるわけでございますが、この空港公団の民営化につきましては、あくまでも自立的な経営環境というのを整えまして、委員御指摘のように経営の一層の効率化を図ります。それによりまして、利用者サービスの向上ということを最終的な目的というふうに私ども考えております。

 より具体的に申し上げますと、民営化された空港会社におきましては、いわゆる株式の上場ということを目的にいたしまして、それぞれ収入と支出という面がありますけれども、まずはコストの面におきましては、徹底したコストの削減ですとか、あるいは職員についてもいろいろな場面におけるコスト意識を上げていくということがございます。

 また、収入の面におきましては、民営化に伴いまして、これまでできなかった事業展開、そういった事業展開に関する規制が緩和される結果、例えば空港の中における免税売店ですとかあるいは飲食店、そういった店舗の経営も可能になってまいります。こうしたことによりまして収入の極大化を図るということで、最終的には、例えば航空会社が利用するに当たって支払う着陸料、これについて軽減する、安くするということも可能になってまいりますし、利用者サービスの一層の向上が図られるものというふうに考えてございます。

 なお、空港公団におきましても、既に昨年、二〇〇四年度から二〇〇六年度までの三カ年を対象としまして中期経営計画というものを策定してございますけれども、その中で、三年間で一〇%以上経費を削減することですとか、あるいは年間百億以上の新規事業収入を目指すということも明らかにしております。

 私どもとしても、こういう努力によりまして経営の効率が図られて、着陸料の引き下げなど利用者利便の一層の向上が図られるということを期待しているわけでございます。

三ッ矢委員 ぜひ、この財特法によります特別措置も有効に活用していただきながら、民営化されるということでございますので、世界のほかの空港に負けないような、競争力のある立派な空港にしていただきたいというふうに要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

佐田委員長 次に、河合正智君。

河合委員 公明党の河合正智でございます。

 ただいまの三ッ矢議員に対する答弁と重なる部分につきましては、どうぞ省略していただいて結構でございます。

 大臣にまずお伺いさせていただきますけれども、今回この成田財特法を延長する理由についてお伺いしたいと思います。あわせまして、空港周辺地域整備計画に基づく事業というのはどの程度進捗しているのか、お伺いしておきたいと思います。

麻生国務大臣 今回延長をいたします基本的な理由は、これまで四度延長をしておるんですけれども、いまだに完成に至っていない、例えば道路、例えば下水道というものがございます。私ども、空港の中ではなくて周辺を管理するという立場なんですけれども、その法によっていろいろやらせていただきました部分がまだ完成を見ていない部分が幾つかありますが、この十五年でこれは切れることになりますので、これを今のうちに延長いたしまして、引き続き空港周辺地域の公共施設やら何やらの計画的なところをやらせていただかねばならぬということで、五年間の延長ということをお願いいたしておる次第です。

 また、これまで空港周辺地域整備計画というものに基づく事業というのは、四十三の事業がありますけれども、このうち平成十五年度末までに三十四事業は完成をする予定でありまして、事業費ベースで言わせていただければ、進捗率でいけば九六・四%ということになると存じます。

河合委員 今回の成田財特法の延長では、空港周辺整備計画に新規事業は書かれておりません。その理由につきましてお答えいただきたいと存じます。

瀧野政府参考人 空港周辺地域整備計画につきましては、追加事業があります場合には、地元の知事が要望する内容案を総務大臣に提出いたしまして、これを受けて、総務大臣が関係大臣と協議の上で計画変更を政府として決定する、こういう手続でございます。

 これを踏まえまして、今回、法改正に当たりまして、千葉県を通じまして周辺市町に計画事業の見直しについてどういう意向かということを確認したわけでございますが、周辺市町からは特に新規追加の要望はないということでございますので、今回追加をしていないということでございます。

河合委員 地元からの要望があった場合、新規事業を追加するということもあり得るわけでございますか。

麻生国務大臣 内容にもよりましょうけれども、今のところ、堂本知事初めから新規の事業はございませんけれども、五年間という年数のある話でもありますので、その種の話があった場合は検討させていただきます。

河合委員 次に、国交省にお伺いさせていただきたいと思います。

 先ほどの御質問にもございましたように、近年の我が国を取り巻く状況、特にアジアの周辺諸国、例えば仁川空港ですとか浦東空港の例に見られますように、いずれも四千メートル級の滑走路を持っておりますし、さらにこれを増設していく予定と聞いております。

 翻って、先ほど答弁にもございましたように、首都圏の玄関口である成田空港につきましては、本来の二千五百メートル滑走路ではなくて二千百八十メートルの暫定滑走路ということになっております。これは、経済のグローバル化、それはとりもなおさず国際競争力が問われる時代でございますけれども、空港の果たす役割というのはまことに大きいものがあると思われますが、今後の国際拠点空港整備の方針につきましてお伺いしたいと存じます。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の国際拠点空港の整備の方針でございますけれども、委員まさしく御指摘のように、世界各国の主要空港におきましては、四千メーター級の滑走路、それも複数の滑走路を有するのが通例でございまして、近隣アジア諸国の具体例を申し上げますと、香港国際空港、これは九八年の七月に開港しておりまして、現在、滑走路三千八百メーターのものが二本でございます。

 上海の浦東国際空港におきましては、一九九九年十月に開港しておりまして、現在は四千メーター滑走路一本でございますが、将来計画は四本を考えておるわけでございます。

 それから、ソウルの仁川国際空港でございます。これは二〇〇一年三月に開港しておりまして、現在、滑走路二本ということで、三千七百五十メーターのもの二本でございます。将来計画は四本ということでございまして、こうした大空港が次々と整備されつつある状況にあるわけでございます。

 一方、我が国におきましては、先ほども申しましたように、成田空港におきましても、暫定滑走路二千百八十メーターという本来計画の二千五百メーターを下回るものでありまして、こういったことが首都圏における国際空港需要というものについて十分に吸収し切れないという状況にあるわけでございます。これは首都圏のみならず、いわゆる大都市圏と言われるところにおいて空港容量が全般的に不足しているという認識でおるわけでございます。

 このため、私ども、日本という世界でも有数の経済規模を有するこの経済活動を十分に支えて、国際競争力を維持するためにも、こうした国際拠点空港の整備を早急に行う必要があると考えております。具体的には、先ほど来出ております成田空港の平行滑走路を二千五百メーターにする、それから、関西空港、中部国際空港の整備を着実にするべき、この必要性があろうかと考えてございます。

 こうした国際拠点空港整備の重要性にかんがみまして、今後のいわゆる投資の面におきましては、こういった国際拠点空港の整備に投資の重点化を図るということで対応したいと思っておるところでございます。

河合委員 ただいまのお答えにございましたように、二千百八十メートルという短い滑走路ではジャンボ機も飛べない、そういう状況の中で空港公団の民営化が図られようとしておるわけでございます。用地買収がまだ終わっていない、したがって空港が完成していない、世界的に見ても着陸料は高い、そういう中で民営化という状況でございますけれども、今後の成田空港の見通しにつきましてお伺いさせていただきたいと思います。

春成政府参考人 この四月に成田空港が民営化されるわけでございます。この民営化の意義につきましてもう一度申し上げますと、創意工夫を生かせるような自立的な経営環境をまず打ち立てまして、その中で、収入及び支出、それぞれにおいて経営の効率性を最大限発揮していただくということが主眼でございます。

 収入におきましては、先ほども申しましたが、これまでできなかった新たな店舗の展開ですとか、飲食店等の展開を自由にすることによりまして、いわゆる着陸料以外の、非航空系収入と呼んでおりますけれども、そういった新しい収入について精力的に取り組んでいただく。一方、コスト、支出の面におきまして、経営の効率性によりまして、できる限りコストの削減に努めていただく。こうしたことによりまして、委員御指摘の非常に高いと御批判を賜っております着陸料につきましても、その軽減を図っていき、結果、利用者のサービスの向上に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 一方、この二千百八十メーターという滑走路は暫定でございますので、これを二千五百メーター化するという点におきましては、民営化になりましても、この基本計画あるいは事業計画につきましては、基本計画については、国が定めることによって、これをこの空港会社に守っていただく、二千五百メーター化は当然その計画の中に書かれているわけでございますけれども、そうしたことを進めていただく。仮にその点につきまして不足がございましたら、成田空港会社法の中に書いてございますけれども、国が監督命令という形でこれを指示するということができるようになってございます。

 さらに申し上げますと、この空港の持っております過去の歴史の中で、地域との関係、特に環境対策あるいは地域との共生策を充実させるという点が極めて重要でございますけれども、その点につきましても、この成田空港株式会社法の中で会社の事業として明記させていただいておりますし、仮にもこの点で怠るところがありますれば、国が監督命令をもってこれを指示するというような建前になってございます。

河合委員 チャンギ空港の建設から始まりまして、世界、特にアジアにおきましては、ハブ空港によって、その国の空に向かった港ともいうべき空港の整備が進んでいる状況でございますが、日本の今の現況をお伺いしまして、私はやはり、アジアにおきますハブ空港化に対抗するためには、それぞれの国際拠点空港のネットワーク化がどうしても必要であると考えております。

 中部新空港のお話も先ほど出ました。その整備状況と、中部新空港の開業に伴います国際線の就航見通しにつきましてお伺いしたいと思います。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 中部国際空港についてのお尋ねでございますけれども、中部国際空港につきましては、順調に工事が進んでおりまして、来年二月十七日の開港を目指して準備を進めているところでございます。今月の末には、滑走路、誘導路施設の整備が終了しまして、さらに今後、航空法に基づく完成検査といった諸手続を行うことも予定に入ってございます。また、旅客ターミナルビルにつきましても、この秋には完成するという予定になってございます。

 それから、今お尋ねの中部国際空港への国際線の就航の見通しについてでございますけれども、現在の名古屋空港に就航しております国際線はすべてこの中部国際空港の方に移転するわけでございますが、現在の時点で、名古屋空港には週百九十二便の国際線が就航しております。これらが中部国際空港に移転するということになるわけでございます。

 これに加えまして、日本の航空会社が既に中部国際空港開港後の事業計画を明らかにしてございますが、その中では、日本航空が中部からタイ路線、あるいは全日本空輸が中部空港から上海、仁川路線の開設など、既に続々と発表してございまして、私どものカウントでは、合わせて週三十九便程度の増便がなされるという予定になってございます。

 それから、今申し上げましたのは本邦の航空会社でございますが、外国航空会社からも続々と引き合いが入っておりまして、個別に申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、この中部国際空港に新しく乗り入れたい、あるいは既に乗り入れているところが増便をしたいといった御要望もございますので、それらに対しましては、私どもとしまして、航空交渉という形で個別に交渉いたしまして、精力的に進めていきたいというふうに考えております。

河合委員 この成田財特法の延長によりまして成田の整備が順調に進みますように、また、日本の国際拠点空港のネットワーク化が順調に進みまして、物流、観光客のみならず、文明間対話が必要とされている今世紀にありまして、文化の交流も格段に進みますことを希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

佐田委員長 次に、須藤浩君。

須藤委員 民主党の須藤浩です。

 きょうは、この成田の財特法に関して幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、成田の財特法、すなわち、言いかえれば成田の空港問題に関してです。先ほど来から幾つか同じような質問が既に出ておりますけれども、改めて、この空港周辺の地域整備計画に基づいて今日までいろいろ事業が行われてきたわけですけれども、まず、その成果について、総務大臣としていかに考えておられるか伺いたいと思います。

麻生国務大臣 できましてからかなりな時間がたった話でもありますし、その間、四度にわたってこの法律は延長させていただいております。

 おかげさまで、あの成田周辺、お近くだったから昔をよく存じておられるとは思いますけれども、あそこの地域において、少なくとも道路、それから鉄道、下水道を含めましていろいろなものがかなり整備されましたし、河川も変わりましたし、教育施設等々いろいろなものもできました。また、先ほど御答弁申し上げましたように、五千四百三十八億円の事業費ベースで見ましても、昭和四十五年にこの法律ができて以来いろいろな形で公共事業等々いたしておりますので、そういった意味では、それなりの成果が出てきた。

 私どもは空港周辺の整備であって、空港自体ではございませんけれども、また、飛行場ができたということによりまして、ホテル、企業、工場等々が進出もいたしておりますので、それに伴いまして、その地域におきまして雇用等々いろいろなものが発生しておると思っております。

須藤委員 総務省の所管としては、地域整備計画ということで、こういった事業に係るものを管轄といいますか担当されているということなんですが、実は、成田空港問題というのは、もう御存じのように、何十年とわたる地域住民あるいは地域とのいわゆる闘争といいますか、そういったことが続けられて、空港の完全空港化というものも今進みつつあるんですけれども、要するに、成田なら成田の地域あるいはその周辺地域に対する国の側と地域住民の間との長い間の闘争というものが、いかに地域に大きな影響を及ぼし、そして今日に至っているかということが、日本あるいは国民全体の大きな課題であったろうと私は思うんです。

 現在、省庁再編になった後、総務省ということで、この周辺地域整備計画ということに関する立場といいますかかかわり方について、もう一度御説明をいただければと思います。

麻生国務大臣 でき上がります最初から、ボタンのかけ違いとか、表現はいろいろあの当時も新聞に出ていたところですけれども、富里にできるものが成田にできる等々、いろいろ話は紆余曲折があったんだと想像はいたします。いずれにいたしましても、決まってもうかれこれ三十年ということになろうかと思いますので、そういった中にあってでき上がったものではありますけれども、空港場内にまだ一人賛成じゃないとか、周辺で約十名前後の方々がまだ賛成ではないとか、いろいろいまだに残された問題がありますのは、千葉県ですので御存じのところだとは思います。

 そういった意味で、これは時間とともにほぐれた部分もかなりあるんだとは思いますけれども、いずれにしても、ずっとわだかまりとして残っている部分というのもまだ必ずあるであろうと思いますので、この種の対応につきましては、事ここに至りましては、やはりきちんとしたものができ上がるというのが大事なところなので、やはり丁寧に、二千五百メーターというのを一応考えておりますので、きちんとそういったものができ上がるような方向で、周辺との対話、周辺との調和、いろいろなものには心していくべきものだと思っております。

須藤委員 実は、総務省の立場といいますか、成田空港のこの財政上の特別措置、つまり財特法の第二条に、周辺地域整備計画という条文がありますね。この中に、県知事が案の作成をして、それを総務大臣に提出しなければならない、そして、県知事は、関係市町村の長の意見を聞かなければならないとして、以下、整備計画の対象に係る事業、対象項目といいますか、あるいは経費の概算について定めるものとするというふうに書いてあるわけです。

 この条文からいいますと、県知事が、関係市町村の、例えば道路を直すとか河川の改修であるとかさまざまな地域要望というものをまとめて、そのまとめたものを総務大臣に提出する。そうすると、そこで総務大臣の役割というものはどうなるんでしょうか。これを受けた後に総務大臣がどういう役割を果たすようになるのですか。

瀧野政府参考人 整備計画につきまして、地元の知事さんの方から案という形で出てまいりますので、それを受けまして、総務大臣といたしましては関係省庁と協議をいたしまして、その意見を踏まえた上で政府として決定していく、こういうことになろうかと思います。

 我々は地方団体の財政につきまして所管している部署でございますので、地方公共団体の財政運営という面から、所期の事業が速やかに達成できますように財政的な面でよくその状況を見ていくという立場から、関係省庁ともよく相談をするということでございます。

須藤委員 そうしますと、総務大臣としては、いわゆる財布の役割として、その窓口が総務省であるというような立場になるわけでしょうか。

 この第二条第四項に、総務大臣及び次条、つまり三条以下、第一項の主務大臣、そうしますと他の省庁ですよね、そういったところと、空港周辺地域整備計画の案に基づいて、協議により空港周辺地域整備計画を決定するというふうになっていますから、この協議により決定するかかわり方というのは、あくまでも財布の窓口として自治体にお金を出すからという意味のかかわり方というふうに解釈していいということになるんでしょうか。

瀧野政府参考人 この財政対策法を所管しておりますのは、御案内のように、この空港に関連します施設整備の事業は、大部分が地方公共団体が行うということもございます。また、いろいろな省庁にこれらの事業はもちろんかかわりますので、全体を統合するような立場の省庁が要るだろうということもございます。また、この法律が、国が地方公共団体に対します財政的な上乗せ措置をしていこうということを目的としておりますので、やはり、国と地方の連絡調整に当たることを任務といたします、旧自治省、今総務省でございますけれども、それが全体の窓口になるのがよかろうということで、現在もその対応をさせていただいておるということでございます。

 したがいまして、そういう立場から、我々といたしましては、関係省庁と十分調整をして、地元の意向もくみ上げながら、財政措置が十分できますように意を用いていきたいということでございます。

須藤委員 そうしますと、どちらかというと、省庁の立場としては、連絡調整ということで、積極的というよりは、消極的とはあえて言いませんけれども、空港問題に関しては積極的なかかわりということではない、そういうふうに見てよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 考え方だと思いますけれども、基本的には、成田空港周辺の市町村が何を希望されておるのかというのをまとめるのは、この場合は千葉県でありますから千葉県知事ということになろうかと思いますが、その千葉県知事がこういうのをと言われるものの中には、総務省の管轄じゃないものも、例えば学校であったら文部省とか、道路であれば建設省とか、いろいろ違っているんだと思います。

 そういった意味では、まとめた上で調整するというのは、優先順位をつけたりなんなり、話をこっちに優先してもらわないかぬとか、国土交通省の場合は、空港と道路ですから、同じ役所の中で優先順位もつけられるでしょうけれども、その他のところはいろいろ調整が結構手間取るところも出てまいりますので、その意味では、交付税が出てみたり、いろいろな形で、消極的か積極的かと問われると、それをまとめていただくまでは地方の話ですから、その地域の話をよく伺うという立場の知事さんと、それを受けて調整する立場の我々という関係になるんだと存じます。

須藤委員 実は、どうしてこういう質問をするかといいますと、従来、国、地方に限らず、行政が何らかの事業を行おうとするときに、それに伴う、平たく言えば見返り措置といいますか、地域の整備計画をするということが往々にしてあるわけですよね。今回、この成田の空港の問題に関しては、いろいろなところで言われておりますように、当初のボタンのかけ違いであり、国のそういった行政手法というかやり方というものが大きな抗争を生む発端になった。

 この財特法ができる経緯を見ても、そういった過程の中で、これは一つ出てきているわけですね。そうしますと、そういった施設、あるいはよく言われるような迷惑施設をつくるときに、当然、その地域から、それだったらこういうものをつくってくれよとか、その事業を遂行するに当たって周辺地域の整備をしてくれとかという、いわゆる要望がたくさん出されるわけです。

 今回、この成田の問題に関しては、国が法律を定めて、そして地域の声を反映した整備をする、あるいは、空港をつくることによって、取りつけ道路であるとか、当然そこに付随する事業の整備をしなければならないということも発生しますから、そういったものを整備するために法律をつくって対応していくという経緯であったかと思うわけですね。

 今大臣がおっしゃられたように、県知事がやるから、市町村がその声を持ってきて知事がどうこうという問題ではなくて、やはりこれは国が第一義的にどういうスタンス、発端から始めまして対応するかということが、私は、重要というか、それが当たり前の論理であるというふうに思うわけです。

 ですから、この法律が、総務省の所管の中で、たまたま財布の窓口であるとか連絡調整である、機能的には確かにそうなのかもしれませんけれども、そこで果たす役割というものは非常に逆に大きな意味があるというふうに私は考えているんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 国際空港となれば、これは国策でつくることになります。大きな飛行場になればなるほど、従来そこになかったはずの道路、もしくは輸送手段としての鉄道、いろいろなものが必要になりますので、当然のこととして、国がそういった事業をあらかじめ計画する。そこに人が住む、人がいろいろ動くことに伴いまして、上下水道、またふだん生活する生活道路等々が必要になる。そういったものはいずれも国家として考えていかねばならぬ大事なところだと思いますので、そういったところは基本的にやるというのは当然のことだと思います。

 ただ、地元に人が急激にふえるということを決して望んでいない方も世の中には大勢いらっしゃるわけですから、そういった方々にとっては、こういうものができるんだったらおれは引っ越したいとか、おれはここにいたくないからどこか別のところに土地を世話しろとか、また、このままいるに当たっては、そのかわり、騒音がたまらぬからその分だけ防音整備をしろとか、これは実に、そこにおられる個々人によりましていろいろな違いが出てくるところだとは思います。

 そういうのに対しては、これは、国がきちんとやるべきところと個別のことを伺うところとは、同じ対策、同じ政策でありましても、内容、スタートの趣が、希望によって受ける部分と、予測をして、こういった交通網、輸送網の整備が要るといって国策で考える部分と、違う面が出てくるんだと思いますが、いずれにいたしましても、国としてこういった大きなことをやるに当たって出てきますいろいろな諸施策というものを調整してやっていく必要があるというのは当然のことだと存じます。

須藤委員 当然のことであるということで、大変喜ばしい答弁であると思いますけれども、例えば、今回、この成田の問題に関しましては、非常に歴史的に大きな問題であった、そして現在進行形であるということなんですが、仮に、空港整備ということに限って言えば、こういった大きな争点あるいは問題が起きなかったとすると、この空港周辺整備みたいな問題というのは、一義的に国がその範囲内で整備をするということだけで終わるのでしょうか。

麻生国務大臣 仮にごちゃごちゃしないでとっくの昔にすべてが終わっていたといたしますと、その場合、そこにいらっしゃいます住民の方々の希望というものはまた全然別のものが出てくるでしょうし、新たにそこに住んでこられる方々というのがいらっしゃいますので、その意味ではそちらの方々から新たな要望が出ることは十分に考えられることでもあろうと思います。

 また、こちらが予想していた以上に人口がふえれば、下水道の径をもっと大きなものにしなくちゃとてもじゃないけれども下水道ははけないとか、予想以上に子供が多かったので学校はもっと拡大しなくちゃいかぬとか、そういった一つ一つ挙げていけばいろいろなことが出てまいりますので、すんなりできたとしてもできなかったにしても、その地域の事情によっていろいろ変化が出てまいります。

 全くその必要がないぐらい、もっと簡単なことを言えば、十万来るかと思ったら七万だったから、三万人分余計につくったという非難が出てくることだって十分あり得ますでしょうし、一概になかなかお答えしにくいところだと思いますけれども、ただ、すんなりいけばもっと住民のものはできなかったのではないかというのは一概には当たらないと思います。

須藤委員 では、続いて公団の総裁にお伺いをいたしますけれども、これまでの成田の空港問題、何十年にわたるこういった時間を経て今日まで続いているわけですけれども、この過程の中で、どのような教訓といいますか、物事を学んだということがありましたら教えていただきたいと思います。

黒野参考人 実は、我々、まだ今でも毎日学んでいるところがあると申し上げた方がいいと思います。

 各組織それから各職員それぞれに多くのことを学んだと思いますが、あえて一つだけに絞って申し上げますれば、先ほど総務大臣からもお話がございましたように、四十一年に今の場所に決める前にもう少し突っ込んだ議論があれば若干でも事態は改善されていたのかなというふうに思っておりまして、このような大きなプロジェクトを進めるときには、あらかじめ十分な意見交換をする場を設ける、率直な話し合いをするということがいかに大事かということを学んだと思っております。

須藤委員 今、総裁のおっしゃられたことは、特に空港問題に限らず、いわゆるビッグプロジェクトと言われるような国家的な事業あるいはそれに類するものにおいては事前に用意周到な対応をするということを、この長い間の闘争の中で教訓として学んだというように理解をしてよろしいでしょうか。

黒野参考人 先生の御指摘のとおりでございます。

須藤委員 では続いて、こういった一連の流れ、あるいは国と地方とのかかわりということを含めまして、羽田の再拡張事業というものが今進められようとしています。この時間と同じ時間で国土交通委員会が開催をされていて、恐らくそちらの方でもさまざまな質問、意見が出ているかと思います。こちらの委員会とダブるところがあるかもしれませんけれども、その辺は勘弁をしていただいて質問させていただきたい、このように思います。

 いわゆる羽田の事業というものは、きょうの午前中の質問でもかなりその経緯について出ていたかと思いますけれども、今、総務大臣及び総裁の話をお聞きになって、国土交通省としてはどのような御所感、意見を持たれているか、まずお伺いしたいと思います。

佐藤(泰)副大臣 国土交通省の佐藤でございます。

 ただいま須藤議員さんから、千葉県また関係十四市から羽田空港の問題について意見書が出ているが対応いかんという御意見と思うのでございますが、お答え申し上げます。

 二月九日の羽田空港再拡張事業に関する協議会で正式に提示した飛行ルートは、安全の確保、環境基準の遵守、四十・七万回の効率的に飛行させることをもとに、騒音についてはできる限り海上で処理するようにする、二つ、最もオーソドックスな考え方として飛行ルートを、基本案、さらに、首都圏全体で騒音を分散すべしとする千葉県知事の御意見を受け、幾通りもの案を検討し、現在の管制技術上、運用可能な案を分散ケースとして提示したものでございます。

 したがって、現行の管制技術では、さらなる共有、分散ルートの設定につきましては、かなり厳しいものではなかろうかと考えております。

 いただいた御意見につきましては、現在、できる限り早く回答すべく検討を行っているところでございます。

 以上でございます。

須藤委員 この羽田空港の再拡張事業の経緯というものを眺めていますと、どうも成田空港の教訓がそのまま生かされているとは思えない進捗状況である、これは率直に言ってどなたでも私は感じることではないかと思うのですけれども、これに関してはいかがでしょうか。

佐藤(泰)副大臣 ただいまの御意見、十分検討しながら、さらに前向きに努力するつもりでございますので、よろしくどうぞ。

須藤委員 実はそういう答えを期待しているわけではなくて、つまり、成田空港の中で人の死が出るほど血を流す歴史的な闘争があった、地域にしてみれば、それはそれは、親から子へ本当に長い間苦しい中で生活をしてきた、そして、恐らくこの記憶は地域住民にとっても日本にとっても長く長く続く問題であろうと思うわけですね。それが空港問題という問題をきっかけに起こってはいるのですけれども、何も空港問題に限らずに、国という大きな公権力を持ったところが物事を進めようとするときに生じてくるこういった問題というものを今回一つ一つ検証して、そして共生委員会等で話し合われて、政府も皆さん確認をされた上で今日に来ているはずなんですね。

 そういう過程の中にありながら、羽田の事業が行われるときに、成田空港で起きた一連のこういった私たちの貴重な経験というものがほとんど生かされることなく、同じような形でまた着手をされようとしている。

 本来であれば、ここに大臣が来ていただく、あるいは総理に直接伺って、ここについてはっきりと答えをいただきたいところなんですが、実は、私は、きょう石原大臣は国土交通委員会に出ているということで、それでは政治的な責任を持つ答弁者として林副大臣をお願いしていたのですが、出てこられない。林副大臣は、地元成田を抱える選挙区から出馬をされ、当選されているわけですから、その意味では他の議員の方よりもはるかにこの問題を重く受けとめ、そして感じているかと思って答弁をお願いしてあったんですが、残念ながら来られなかった。それで、かわりということではないんでしょうけれども、副大臣という立場で来られている。

 ということであれば、私は、通り一遍の答弁ということではなくて、この問題に関して、政治家としてきちっと、どう思っているのか、まず答弁をいただきたいと思います。

佐藤(泰)副大臣 事務局に答弁を願います。

阿部政府参考人 羽田の再拡張事業につきましては、今先生から御指摘がありましたが、地元の方々の御理解、御協力ということがとにもかくにも一番大事でございます。その意味で、私どもも、いろいろな意味での情報公開、それから必要な説明等に努めております。また、環境問題への影響等につきましても、地元自治体の、あるいは住民の方々の御理解を得られるよう最大限の努力を行っておるつもりでございます。

 再拡張事業につきましては、御案内のとおりでございますが、平成十三年七月、首都圏第三空港調査検討会というのが開催されまして、その中で、羽田再拡張というものが既存ストックの有効活用、あるいはアクセス等の観点から優位性があるということで、これを推進しようということになったわけでございます。

 それを踏まえまして、十三年十二月には滑走路の位置を確定し、また十四年六月には、閣議決定で、二〇〇〇年代後半までに羽田空港の再拡張を行い、国際定期便の就航を図るというような動きになったわけでございます。

 そういった動きを踏まえまして、平成十五年の一月には、国土交通省及び関係地方公共団体との間で協力体制を構築する必要があるということで、八都県市の首長さんと大臣をメンバーといたします羽田再拡張協議会というものを設けまして、その中でさまざまな意見交換を行ってまいったわけでございます。

 そういったことの中で、本年の二月九日にはその協議会の第四回目を開催いたしまして、そこで飛行ルートを提示いたしました。この飛行ルートにつきましては、その後、地元の首長さん、東京都あるいは千葉県等々、飛行ルートで環境に影響があると見込まれるところの首長さんに御説明申し上げたほか、二月二十五日には千葉県議会全員協議会に対する御説明というようなことも行っております。

 また引き続き、十四市町村に対しまして、必要に応じて積極的に、私どもの方から、御理解をいただくよう必要な情報提供あるいは御説明に努めてまいりたいと思っております。

須藤委員 事が起きてから説明します、説明しますというのは、これはその前提条件として物事を行うという意思があって、後は説明をして納得してもらえるか納得させるかという話になりがちなんですね。今私が申し上げているのはその前段階、少なくとも成田空港問題を契機として、新しく何らかの国家的なものに着手しようとするときには、その時点でどうするかということの答弁を求めたわけです。

 平成六年の十月十一日に、円卓会議の終結に当たって報告書が出されておりますね。その中に、「この報告は、国が成田空港の建設を進めるにあたっての過去の手法を反省し、空港建設に臨む国の基本姿勢を大きく転換する考え方から生れた。」そして、共生の一般原則として、国がどうあるべきか、地域社会と共生するにはどうあるべきかということが出され、非常に高く評価される。

 そして、その後に、当時運輸省ですけれども、運輸省は、この成田空港の問題の原因として国側の一方的な空港づくりの手法に問題があったことが指摘され、国側はこの指摘を重く受けとめた、そして対立構造を根本的に解決することがすべての基本であると認識してというふうになっています。

 そうしますと、当時航空局から出されたこのような考え方というものは、今回のこの羽田の再拡張事業においては何ら顧みられることなくまた着手をされた。しかも、千葉県初め関係市町村は、さまざまな問題、提言も含めて、反対ないし意見を申し上げているところだと思うんですが、そういったことがもう事がありきで進められ、説明、説明、説明という形で行われている。飛行ルートから騒音問題、さまざまな問題に関してしかり。

 ということは、結局、成田問題というのは一体何だったのか、また改めてこれを一から議論しなければいけないということになるのか、もう時間が来ておりますから、一言、大臣の意見を聞いて終わりにしたいと思います。

佐田委員長 短目にお願いします。

佐藤(泰)副大臣 ただいまの御意見を前向きに検討して参考にしたいと思っております。よろしくどうぞ。

麻生国務大臣 担当じゃありませんけれども、おっしゃる意味はわかります。

須藤委員 終わります。

佐田委員長 次に、岡島一正君。

岡島委員 私は、民主党の岡島一正でございます。

 私も、須藤さんと同じ千葉県選出の衆議院議員でございます。そういったことだからというだけではなく、基本的に成田問題、また、きょうは関連して羽田問題、日本国にとって大切な問題という意味を含めて質問させていただきたいと思っております。多分、須藤議員の質問と重複するところがあるかもしれませんが、その後の関連質問はまた違った点があるので、お聞きいたしたいと思っております。

 まず最初に、今回、成田の財特法がさらに五年間延伸される。この財特法に対する認識というのは、つまり、成田の空港周辺に、空港建設の歴史や現状においてさまざまに負担があった中で、その周辺地域の振興を補助、援助していこう、国としてできることをしようという意味での補助金の措置であったり、採択の優先化であったりといったものを与えて、千葉県知事のもとに各市町村が振興に取り組むということだと思いますが、今回の五年間の延長について、さらに周辺地域を含めた空港関係の自治体にとってどのようなメリットがあると麻生総務大臣はお考えでしょうか。

麻生国務大臣 岡島先生御存じのように、今回の延長に伴って新たに新規の事業を市町村から申し出ていることはありません。今回の延長の主たる目的は、今、道路また下水道が工事の経過の途中でありますので、そういった意味では、これをきちんと完成させるのを主たる目的といたしております。今の御質問は、主たる目的はといえば、今の工事の完成が主たる目的ということになります。

岡島委員 その完成ということは、つまり、成田空港周辺の環境というかインフラストラクチャーを含めた整備が、国としての責任を全うできるもう一度の延伸だというふうに考えてよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 現状においてはそうだと思っております。

 ただ、先ほども御答弁申し上げましたように、例えば、今度道路、鉄道がもっとすいすい通るようになったりいろいろな形になりますと、さらに人口がいきなりふえる等々のことになりますと、学校が要るとか下水道をもっと径を大きくするとか、いろいろなことになろうと思います。したがいまして、今の現状でいえば、一応の目的は、主たる御要望にはこたえるということになろうと思います。

岡島委員 大臣の答弁が非常に私にとっては期待を抱かせていただくような御答弁だったと今認識しました。

 つまり、今回の財特法で、今度は平成二十一年の三月になるんですか、それまでに、残った、事業分野でいったら八事業分野にわたって、道路などさまざまにあると思いますが、そういった事業がこの五年後までにもし完了しなかった場合、それはさまざまな要因があると思いますが、いずれにせよ、完了しなかった場合のこういった優遇措置についての延長の可能性についてはどうお考えですか。

麻生国務大臣 基本的には、さらに延長をお願いして完成させないかぬということになるんだと思っております。

岡島委員 例えば、今成田空港は、平行滑走路の二千五百メーターの予定のところが二千百八十メートルで供用開始しているわけです。ただ、二千百八十メートルというのは実際上国際線の飛行場としては十分でないということもあるという中で、二千五百メートルを目指すわけですね。仮に二千五百メートルを目指しても、ジャンボが満タンにしてもハワイしか飛べませんから、どれほどの大きなということに関する意味を考えれば十分ではないというものの、二千五百メートル滑走路の計画が残っている。

 ということは、この五年間のうち、あるいはこの五年後にかけて二千五百メートル滑走路が完成できなかったというような外部的要因が残った場合、さらに土地が必要になるわけですね。ということは、大臣がおっしゃったような、ほかのさまざまな状況の変化によって、この残った八事業分野の仕事が、建設計画が完遂できなかった場合には、さらに延伸することも考えられるということに当てはまるというふうに考えてよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 岡島先生の御質問の基本的なところは本体工事ということになりますので、その二千百八十のところ、残り三百二十メーターにつきましては、これは私どものではなくて、空港公団もしくは運輸省の主たる仕事になります。

 私どもは、それが二千五百にならなかった場合その他、その周辺にどんなことが起きるか、ちょっと何とも今の状態でわかりませんので、その段階で、五年後のときにもう一回その状況を見た上で改めてということになろうかと存じます。

岡島委員 滑走路そのものは国土交通の管轄だということはわかります。

 ただ、先ほど大臣の答弁の中で、計画の建設などについてさまざまな要因によって終了しなかった場合さらなる延伸をしたいと思うというお話をされたということの中で、滑走路が例えば延びてしまうような事態が起きれば当然周りの振興にも影響するのでということが要因として考えられると私は思うという認識であります。

麻生国務大臣 基本的には、いわゆる空港周辺の公共施設の整備が完了するまでの間という定義であれば、成田財特法は引き続き必要ということになります。

岡島委員 つまり、この時点で確認しておきたいのは、成田空港はこれからもずっと存在するわけですから、その中で、関連八事業分野の仕事、追加措置じゃなくて、現在ある仕事が、建設計画が完遂するまでの間、成田財特法というものを延伸する可能性を含めていくということで大臣が御答弁になったということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 結構です。

岡島委員 了解しました。

 そして、先ほど黒野総裁もおられたようですけれども、今回の財特法と直接絡んでいないかもしれませんが、ただ、成田の事情の中でいえば、一番大きく変化したことの一つは、空港公団が民営化されるということだと思います。今は総裁ですが、今度社長ということになるわけですね。株式会社になるわけでありますね。

 この空港公団が民営化されるということになると、黒野総裁、これまでの総裁とは比肩できないほどにといいますか、さまざまな発想をお持ちだというふうに地元では聞いておりますけれども、黒野総裁がこれから自由な発想で民間会社として空港の整備とか運営をしていくわけですが、そういった動きに合わせて、公団の民営化という状況が生まれた中でのこの財特法の位置づけ、かかわりというのはどのように変わってくるのか、あるいは変わらないのか、関係ないのか含めて、お答えください。

麻生国務大臣 今御質問の点につきましては、基本的には、成田というのは国を代表するような国際空港で、国家事業としてやっております。今いろいろな関係で、特殊法人というか、ああいったものを全部民営化するという一連の流れで民営化されたとはいえ、少なくとも、これまでと同様、国土交通大臣が策定する基本計画に適合するようにしなければならないということになっておりますので、今言われましたように、基本的には同じということになります。

岡島委員 では確認いたしますのは、今回の財特法の延長という問題が現実になったとして、その上で空港公団が民営化されるという事実がもうすぐ生まれるという中においても、空港周辺地域の振興に関しての財特法の位置づけや財特法による国のかかわりは変わらないということでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、国家事業と最初に申し上げましたように、いろいろな意味でこの財特法によって財政上の特別措置を講じたといたしましても、国としての一定の責務を負うというのは当然のことであって、基本としては変わらないと御理解いただいて結構です。

岡島委員 新しい環境の中でも変わらないということを確認させていただきました。

 ここまでは財特法の位置づけなどについて質問させていただきましたが、財特法についても、公共事業を行った中での地域住民との、あるいは地元自治体との問題から生じた問題などについてどのような解決策があるかという中で生まれてきたものの一つだろうと思います。そういった意味では、どうしてもやはり羽田問題に移らなければいけません。ここからは、麻生大臣というよりも、航空関係ですから、国土交通の方に質問をすると思います。

 成田では今、黒野総裁が社長になる、総務大臣も延伸していくという方針を示されました。何とか歴史を踏まえてきちんとやっていきたいという方針は若干受けとめられると私は思いますが、今羽田で起きていることは、先ほど須藤さんもおっしゃっていましたけれども、どうも成田の歴史を踏まえたとは思えない進め方が進んでいるというふうに私は考えたわけです。

 つまり、かつて成田問題が起きたのも、地元の住民や自治体の意見を十分に聞かない中で、まず既に計画ありきということで進められた。今回の羽田問題、これについても同じように、成田問題の再現、同じことが起きたんじゃないかということが、私どもが暮らす千葉県では今大きな声になっています。

 去る二月二十五日、国土交通省航空局の関係者が千葉県議会の全員協議会でこの羽田の再拡張問題の説明をされたということですが、どのような説明を全員協議会でしたのか、国土交通省航空局の局長がいれば、いなければ準じる方、お願いしたいと思います。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 千葉県議会に対しましては、私ども、昨年から二回全員協議会を開いていただきまして、羽田再拡張の問題について御説明をさせていただきました。一度目は、昨年の十二月の十六日でございますが、羽田再拡張の事業の必要性等々につきましてお話をさせていただきました。二度目は、今先生お話がございました飛行ルートにつきましてお話をさせていただきました。

 二月の九日に、私どもの大臣と関係の都県の知事、政令市長さん等で構成します協議会で、羽田再拡張後の飛行ルート案というのを発表させていただきました。その案につきまして、千葉県議会の全員協議会の場で国土交通省から説明させていただいたところでございます。

 説明をさせていただいた案でございますが、再拡張後の飛行ルート案というのは、安全の確保、それから、環境基準がございますが、この環境基準を守っていくこと、それから、羽田は今現在二十九万回ぐらいの年間の飛行回数でございますけれども、これを四十・七万回を効率的に飛行させること、こうしたことを基本に、最もオーソドックスと考える案を基本案といたしまして提示させていただいたところでございます。この案は、特に問題になっております騒音につきましては、東京湾内を活用しまして処理することを基本にルートを設定させていただきました。

 この基本案とともに、分散ケースというのも提示させていただいておるところでございます。この二月の九日の協議会の前、昨年の六月になりますが、千葉県知事さんから、首都圏全体で騒音を分散するケースも考えろ、こういう強い御意見もいただきまして、私どもで、安全の許す範囲、環境基準の許す範囲で分散できるケース、運用可能なケースという意味で分散ケースというのもあわせて提案させていただいたところでございます。

 こうした基本案、分散ケースにつきまして、県議会の全員協議会で説明させていただいたところでございます。

岡島委員 ということは、こういった委員会で新しい予算についての話が、これは国土交通の方ですね、行われるという中で、直前の二月に具体的な飛行ルートを説明した。これが二月直前になった理由というのは何かあるんですか。

 飛行ルート案を示すのが二月の九日になったということについて、私は、国会の審議などを考えると直前過ぎやしないか、それまでに千葉県の自治体などともっと早くから話しておくべきではないかというふうに普通考えられますが、これが二月の九日になった事情は何ですか。

岩崎政府参考人 先ほど申しましたように、昨年六月の第三回の協議会で、基本案、分散ケースというのを考え、提示するよう協議会の場で千葉県知事さんからも御発言がございました。それを踏まえまして、私ども、どんな案ができるのか、先ほど申しました安全の問題、環境の問題、四十・七万回をどうやって効率的に処理できるかという問題につきまして、多方面からいろいろなシミュレーションなんかもやりながら検討したところでございます。

 事前に関係の地方公共団体の意見もある程度伺いつつ、参考にしながら、この基本案、分散ケースをまとめたものでございます。どうしても、こうした飛行ルートの問題でございます、安全にかかわる問題でございますので、慎重に検討せざるを得ないということで、時間を要したところでございます。

岡島委員 今、事前にある程度地方の話も聞いたと言っていますけれども、どこでいつ聞いたのか、私たちは覚えていないのですが、いつ事前に、千葉県内の自治体などを含めて、ある程度話を聞いたのですか。

岩崎政府参考人 私ども、この二月九日の協議会に出す前でございますが、協議会を構成いただいております関係都県、それから政令市につきましては、私ども、こんなことを少し考え始めている、それについてどういう感触かというようなことを、千葉県も含めまして、意見交換を何度かさせていただいたところでございます。

岡島委員 今、事前にやったということについて、できれば、その日時、場所、出席者を含めた資料を、これは後ほどで結構ですから、委員会の方に提出していただきたいと要望いたします。

 質問がいろいろありますので、次に行きますが、そのことをお願いした上で、航空局、国土交通省としては、千葉県の要望なども踏まえて対応しようという努力をした上で二月九日の飛行ルートの発表になり、きょうに及んでいるとおっしゃっていますが、二月二十五日の千葉県議会の全員協議会では、県議会議員、全会一致で今の進め方には反対しているわけです。

 では、千葉県議会は、議員も含めて、全員協議会ではなぜ反対したのでしょうか。何を不満に思っていると、あなたは、皆さんは、国土交通省は認識していますか。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

岩崎政府参考人 千葉県からも同じような提言をいただいておりますが、千葉県議会の方からも意見書をいただいております。

 大きく申しますと、一つは、首都圏全体で騒音をもっと共有する分散ケース、分散についてもっと考えられないかというのが大きな一点でございます。それから二点目は、それでもどうしても千葉県の上空を、特に浦安あるいは千葉市、市原市それから木更津市上空を飛行いたしますけれども、それぞれの音をさらに軽減できないか、騒音の影響を少なくすることはできないかというようなことで御意見をちょうだいしているところでございます。

岡島委員 そこでの不満はたくさんあったと思います。浦安市の上空を飛ぶことや木更津の上空も飛ぶこと、とにかく、騒音が若干小さくなると国土交通省は言っているものの、低騒音による騒音の件数は明らかにふえるわけであります。そういったことを踏まえて、多くの不満があるというふうに思っております。

 そうした不満の中で、二月二十六日の朝日新聞などにも出ていますけれども、航空局幹部が協議会が終わった後に、この二日間、その議論を踏まえた上で望ましい飛行ルート案をつくっていきたいと、再検討をにおわせるような発言をしたというふうにも出ておりますが、再検討をする余地は、その後どうなったのでしょうか、お答えください。特に、南風のときの市原、千葉市上空などを含めてお答えください。

岩崎政府参考人 提案させていただきました基本案、分散ケースとも、私ども、幾通りの案も検討させていただきまして、管制技術上、運用可能な案として提案させていただいたところでございます。

 したがって、これ以上さらなる共有とか分散ということについてはかなり難しいのではないかと考えておりますが、千葉県知事から出されました意見も含めまして、意見書も含めまして、できるだけ早く回答すべく検討を行っているところでございます。

岡島委員 検討する状況はいろいろあると思います。今回、千葉県側は、羽田拡張そのものに反対しているということでは必ずしもないわけであります。そうしたものが公益にかなうということは千葉県民含めて理解はできる、しかし、それによる被害が千葉県民にだけ、だけとは言いませんが、その多くが押しつけられる形で進められることに対する不満があるわけです。

 そうした中で、今回、千葉県側としても、その協議会を踏まえて、あるいは堂本知事の発言などを踏まえて、要望しているだけじゃなく、具体的な提案を出しています。例えばこのルートはこうした方がいい、滑走路は、例えば浦安の滑走路を少し角度を海にそらした方がいいとか、あるいは、千葉の方の千葉市、市原市上空の着陸の高度を、三千フィートを五千フィートに上げることができれば騒音が軽減できるじゃないか、さまざまなそういう具体的提案が出ています。

 そういう提案一つ一つについて、国土交通省はさらなる検討を今も加えて検討しているというふうに認識してよろしいんでしょうか、あるいはしていないんでしょうか。

岩崎政府参考人 先生御指摘いただきましたとおり、千葉県議会の方からも、具体的に、浦安の滑走路の位置の変更とかができないか、あるいは千葉市、市原の高度の引き上げができないか、それから、分散ルートの一つとして私ども提案させていただきました神奈川、都心の方を北上するルート、これは悪天時だけの、かつ便数の少ない時間帯だけの運用でございますが、それを終日運航すべきではないかとか、さらに、木更津、君津のルートについて等々、具体的な提案を幾つかいただいているところでございます。

 これらにつきまして、できるもの、できないものがあると思いますけれども、今検討をし、できるだけ早い時期に回答させていただくよう進めているところでございます。

岡島委員 今の部長の発言によると、例えば、神奈川から都心北上ルート、それを早朝の数時間の十五便程度とかじゃなくて終日運用に変更できないかというふうな提案を千葉県が出している。さらには、滑走路の問題もありますね。浦安の滑走路の向きですね、これはありきで今進んでいますけれども。さらには、千葉市、市原市の上空の通過高度を、三千フィートから、騒音が三千フィートだと七十一デシベル以上になる可能性が高いが、三千フィートを五千フィートぐらいに上げれば六十四、五デシベルまで下がる可能性があるという中で、千葉市、市原市上空の通過に関しては高度を上げていただけないかというふうな提案も具体的にしている。

 具体的に全員協議会で出た提案については、国土交通省は把握し、それが検討をした上で可能かどうかを含めて今検討を進めているという認識でよろしいですか。

岩崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、千葉県からいただいた意見書につきましては、できるだけ早く回答すべく検討を行っているところでございます。

岡島委員 いずれにしても、今出ている分散ルートなどを含めたこの計画案について、さらに検討の余地が残されているということで、千葉県の提案なども当然踏まえていくというふうに部長は認識しているというふうに私は認識します。それでよろしいですね。ちゃんと言ってください。千葉県の提案について、全く検討していないのか、しているのか、するのか。

岩崎政府参考人 例えば、今先生がおっしゃいました一つのケースで、神奈川と東京を北上して、南風の悪天時でございますけれども、これを、ある一定の時間帯に限ってなら我々は運用できますという形で、分散ケースとして提案させていただいたわけでございます。これにつきまして、千葉県から、終日できないか、こういう御意見をいただいているところでございます。

 こうしたものにつきましても改めて再検討をさせていただいているところでございますが、例えば、今申し上げたものにつきましては、神奈川、東京の方を着陸機が横切るということは、その同じところを羽田からの出発便が交差するというルートにもなります。そうして終日運航するという千葉県からの御提案が、安全の問題とかいろいろな問題で大変難しい問題も多々ありますので、できる問題、できない問題を含めまして検討をさせていただくということでございます。

岡島委員 それでは、具体的に聞きます。

 新滑走路の設置角度ですけれども、滑走路が二本、Bと新しいDが平行にあるというのを前提で話が進んでいるようですけれども、この滑走路は、そのさまざまな状況というのは、飛行の安全、そして自然環境もありますね。もう一つ大事なのは、地域住民の置かれた環境も一つの基準なんですね。そういったものを踏まえて、平行というものが妥当なのか。

 私は、海側に例えば十度、千葉県からもそれは出ていますね、海側に十度曲げたらどうかと。八の字になるわけですね。この案について、受け入れるというような方針はありますか、あるいは検討をしますか。

岩崎政府参考人 先生が御指摘の滑走路の位置の問題でございますけれども、今のBランウエーと平行に新しいDランウエーというのを設置することを予定させていただいております。これにつきまして、角度が振れないかという御提案をいただいているところでございます。

 このBランウエーと平行と決めましたのは、安全の問題、それから、Dランウエーの新しくつくる滑走路は、多摩川のちょうど河口に当たります。多摩川の河川の流れを妨げないかどうかという問題、それから、新しい滑走路の位置は、東京港に入りますコンテナ船の航路に当たります。そことの調整の問題、それから、あの新しい滑走路の場所にはいろいろな構造物も建っております。そこが安全に支障がないかどうかというふうな問題等々を含めて総合的に検討して、今の場所に決めたところでございます。

 こうした問題につきまして、なかなか難しい問題があろうと思いますが、先ほど申しましたように、いただいた御意見につきまして、早期に回答すべく検討を行っているところでございます。

岡島委員 これまで平行滑走路については、世界の空港では、平行滑走路を二本有するところは基本的に本当に平行なんだ、それが世界基準だというようなことを御答弁されてきたというような話も聞いてきました。きょうじゃなくですよ、これまでのいろいろな話の中で、千葉県などでも。

 滑走路が仮に八の字になっても、BとDは五キロ離れているわけですね。そして、五度なり十度なり角度を変えたら、八の字に飛ぶわけですね。しかも、世界の平行滑走路というのは、離発着を双方向で行っています。〇〇から出たら百八十、九十から出たら二百七十と双方向で離発着を行うから、全くの平行でなければ、すぐ事故になります。

 しかし、羽田の場合は五キロ離れている。しかも、川崎方面には飛ばないというこれまでの状況があるわけですね。それは、環境とか、これまでの話し合いの中で、横田の問題もあるし。羽田から川崎には飛ばないという前提に立てば、一方向に八の字に飛ぶというのは航空の管制上一番安全だと私は認識しています。

 ということは、滑走路を今よりも海側に、海の安全も踏まえた上で、でき得る限り、五度なり十度なり少しでもずらすことが、あの浦安市民、世界から集まる、ディズニーランドに来る子供たち、夢を求めて来たところが、夢を求めて住んだところが、毎日飛行機の騒音で、ばんばん飛んで、まるで角を矯めて牛を殺すような、浦安市のすばらしさで住んだ人、あるいは観光に来た人たちが騒音によって町を出ていく、客が来なくなる、そんなことが起きるかもしれない。

 私は、この浦安の空港の滑走路問題は、少しでも外にずらす余地があるなら実現すべきだと思いますが、いかがですか。

岩崎政府参考人 浦安の上空を飛びますのは、南風の悪天時のケースでございます。気象データからまいりますと、年間いつもというわけではございませんで、年間のうちの八%程度と予測をしております。我々、その八%という比率をさらに下げる工夫がないかというのも今勉強させていただいているところでございます。

 滑走路を振ることと、それから安全性の話がございました。私ども、やはり航空機の安全性というのは大変重要な問題だろうと思っております。世界の百三十一の空港を調べましたけれども、同時に離陸、着陸している空港で滑走路が平行でないという空港はございませんでした。

 そうした事実を踏まえながら、繰り返しになりますが、千葉県及び関係市、それから千葉県の議会から出されました意見につきまして、その対応について検討をしているというところでございます。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

岡島委員 最後に一言だけ言いますけれども、恐らく、世界の空港で平行滑走路は双方向に使っているわけです。これは一方向しか行かないということで、安全性に関する説明にはトリックがあるということを申し上げて、いずれにしても、公共事業をやるときには、住民の意見、自治体の意見をきちんと聞くという、成田のボタンのかけ違いを今繰り返すようなことをしてはいけないということを、国土交通省、そしてあなた、部長を初め職員の方々に認識していただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

佐田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私、成田財特法案について確認的にまず伺っておきます。法案は、法律の有効期限を五年間延長するというものですが、五年間延長すればこの新東京国際空港周辺地域整備計画の事業が完了する見込みであるのかどうか。これを最初に伺っておきます。

瀧野政府参考人 今回、未完了事業といたしましては、先ほどから申し上げておりますとおり、主なものとしては県道事業と下水道事業でございますけれども、千葉県の方の意向も踏まえまして、また、これまでの実績などから今後の事業の完成見込みを勘案いたしますと、引き続き五年の期間が必要と判断したところでございまして、五年間の中で完成できますように当然努力していかなきゃいけないというふうに考えております。

吉井委員 五年間の中で完了させていかなきゃいかぬということですが、整備計画の実施状況によると今年度末の進捗率は九六・四%ですね。ですから、この数字だけですと五年延長すれば大体いけるだろう、一〇〇%というのはわからぬことはないんですが。

 実情を少し見てみますと、残事業で来年度の予算がどうなっているかと聞きますと、例えばかさ上げ事業で、県道、市町村道、下水道、中学校、土地改良事業に残事業がある。その事業の来年度の予算を聞きますと、県道、市町村道とも事業費は未定だというんですね。下水道は、未定あるいは要望せず。中学校の建設事業や土地改良事業も要望せずとなっていますね。一般事業では、農業集落排水事業が未定あるいは要望せずとなっている。多機能型農業公園事業は要望せず、職業訓練校、保育所建設はいずれも要望せずということですが、一部予算化されたものもあると思いますが、傾向は余り変わらないんですね。

 そうすると、本当に五年間の延長で事業が完了するのかどうか。最初から五年で無理だったら、五年の期間延長という意味そのものが薄れてくるんですが、もう一度伺っておきたいと思います。

瀧野政府参考人 未完了事業につきまして、それぞれいろいろな事情があるだろうというふうに思っております。用地取得が非常に難しいとか、あるいは、今も御指摘ありましたけれども、予算配分の面でのおくれがあるとか、いろいろあるというふうに思いますが、これまでも、延長ということについて五年ということでやってきておりますし、千葉県の、地元の意向ということも踏まえながら、五年ということで延長させていただきまして、その中で努力してまいりたいということでございます。

吉井委員 大臣、とりあえず五年にしておこうという話で提案するんだったら、やはりちょっとおかしいと思うんですね。大臣としては、完了するよう督促していく、こういう立場で臨まれるというふうに理解しておいたらいいですか。

麻生国務大臣 基本的には五年以内、そう思っております。

吉井委員 五年以内に完了ということで臨まれるわけですが、次に、本当に可能かどうかということをもうちょっと突っ込んで見ておきたいんです。

 一般事業では、多機能型農業公園整備事業が前回の法律延長の際に追加されたわけですね。この八億円の事業の進捗率は、五年たってもゼロなんですね。今のお話にあった用地買収に時間を要しているのかもしれませんが、来年度予算もゼロなんですね。成田ニュータウン内の保育所の整備、これも法律の制定前の三十年以上前から整備が始まっているんですが、完了していない。

 ニュータウン事業というのは、私も大阪の泉北ニュータウンに住んでおりましたからよくわかるんですが、大体建設から三十年以上たってくると、建設当時とは、年齢構成も含めて、ニュータウンの状況も変わってくる。今では子供の数はそんなにふえない状況で、市の方も様子見ということのようです。基本的には地元が決めることなんですが、実情に合った計画の見直しということがやはり必要になってくると思うんですよ。

 さて、実情に合った計画ということになると、今まで、実情に合わないのはどういう扱いをするかという見直しとともに、新規事業の追加ということも中にはもちろんあり得るわけですね。今回、国の方は、新規事業を受け付けないという条件で延長の話を進めた、そういうことも伺っているんですが、これは事実なのかどうか、伺っておきます。

麻生国務大臣 基本的に、堂本知事を通して新規事業の追加はありませんでした。

吉井委員 千葉県の方から言ってきた新規事業はなかった、追加事業はなかった。

 前回のかさ上げ事業で一事業が追加、そのさらに五年前の九四年には四事業が追加されておりますし、一般事業でも三事業が追加。やはり九四年のとき一事業が追加されています。これまで、法律の延長の際には事業の追加があったんですが、今回はないわけですね。それは知事の方からないからですが。

 地元から要望がなかったということなんですが、新規事業を受け付けないという条件で法律の延長の話を地元と進めたのではないかということも言われているんです。私の聞いたところでは、新規事業を認めない、残事業のみを対象にするというふうに、成田市など関係市町村は国から説明を受けたということなんですが、法案では、新規事業を受け付けないというふうにはもちろん読めませんし、あくまでも知事から新規事業の追加がなかったということですが、新規事業を受け付けない、それは国の方針ではないというふうに理解しておいていいですね。

麻生国務大臣 ありません。

吉井委員 それでは、今後、B滑走路の本格的な使用などが見込まれてくると、当然新たな事業が必要となることもあり得ると思うんです。新規事業は認めないということでは延長の意味がなくなるので、新規事業が地元から出てきたときには認める、地元もそういったことは望んでおられるようですから、そのことを申し上げておきます。

 次に、同じ国際空港でも、東の成田、西の関空、関空の方について、これは主に政府参考人の方に最初伺っておきたいと思います。

 成田と関西空港の当初需要予測、実績などを見た場合、成田は、実績で年間十二万回から十三万回というところで、二本目の暫定使用でさらに五万回ふえてきておるようですが、理論的容量はもちろんもっと大きいわけですよね。

 関西空港は、計画容量十六万回で始まったんですが、今は、十万から大体十二万回。計画の四分の三の実績ですが、国土交通省の処理容量の検討の中では、時間当たり三十二機の可能性も考えの中にはあるようですが、伊丹空港を廃止して関空をつくるときは二十四時間空港ということですから、理論的容量としては、これは単純計算で三十二機掛ける二十四時間、三百六十五日で二十八万回ということが出てきます。もちろん、環境要因とか飛行経路の制約はあります。ですから、実際の容量と理論的容量というのは一致しないのは当然の話ですが、理論的容量としては二十八万回、これはこういうことでいいですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 関空の一期の一本の滑走路での年間の処理能力というのは、約十六万回と私ども考えております。

吉井委員 いやいや、そんなことはわかった話なんです。それは、もともと伊丹を廃止して関空を建設するときに、計画の離着陸回数というのは十六万回で計画して進めたわけですよ。

 問題は、一本の滑走路で、二十四時間空港で一時間当たりの離着陸機数、国土交通省の方では三十二機ということも可能性の問題としては検討もしておられる一つですから、そうすると、理論値からすると、あくまでも理論的容量だけの話で、実際は環境要因その他ありますから、そんなこといかないのはわかった話なんです。理論容量としては二十八万回ですね。これは理論容量としてはあるということでいいですね。

鈴木政府参考人 一時間当たりの一本の滑走路の一期事業の現在の発着枠は三十回に設定をしておりますが、理論的にこれを計算いたしますと、シミュレーションといたしますと、三十二回までいく可能性はあると考えております。

 ただ、二十四時間空港でありますから、三十二回で深夜まで全部飛ぶかといいますと、そういう状況にはありませんで、通常、昼間の混雑時間帯はかなり目いっぱい飛びますが、だんだん便数が少なくなってきて、深夜はほとんどまばらになるというような状況でありますので、そういうあたりを勘案いたしまして、年間十六万回というのを設定しております。

吉井委員 二十四時間空港で考えたとき、伊丹は、当時はまだ旅客便が中心なんですね。今は国際貨物がふえている時代ですから、貨物は夜間とか、それはならすことによって、理論的可能性としては、今の三十二機というお話ですと、二十八万回で計算上は出てきます。私は、計算の話だけをしているわけじゃありませんが。

 在日外国航空会社協議会、FAAJの声明の中では、「高騰する日本の民間航空の経費」というものを出していて、日本の空港が扱う一時間当たりの離発着回数二十六回、成田は三十回、これは、世界には滑走路一本で一時間当たり四十回を安全基準を満たした上で取り扱っている空港も多々あると。

 要するに、二期工事よりも着陸料を下げてほしいという趣旨からその話はありますが、私は、四十回が妥当かどうかとか、可能性が本当にどうか、今それを言っているんじゃないんですが、問題は、石原行革担当大臣のもとでつくられた私的諮問機関、行革断行評議会でも、二〇〇一年十二月十一日には、一致した意見として、二期工事は、数字の根拠、離発着回数などの数字的な根拠について不明確な部分が多いと。

 今十六万のお話のままなんですが、要するに、理論的容量、現実的に外国の航空会社などは時間当たり二十六回などということも言っておりますが、二十六回で計算すると二十二万回可能になるわけですね。それで、関空を計画したときはもちろん十六万回、それは私もわかった上での話なんですけれども、そうすると、行革断行評議会の方は、要するに、そういった国土交通省の出した資料も含めて、質問してもどうも数字がはっきりしてこないということなんですよね。

 ですから、外国航空会社の示している一時間当たり二十六回、これはもちろん私も、環境要因、日本の独自の要因とか関空の要因がわかっていますから、わかった上での質問です。それでいくと、二十二万回、これは新聞等にも紹介されたことがありますが、可能性の問題としてはあり得る数字だというふうに理解しておいていいんですね。

鈴木政府参考人 平成十三年十二月ごろに、一部の新聞で処理能力二十二万回という報道がなされて、旧運輸省が二年前にまとめておきながら隠しておったというような報道がなされましたが、それは事実ではございません。私どもとしては、一期の処理能力というのは十六万回ということでずっと考えてございます。

 それから、先生おっしゃいましたように、空港によっていろいろ、飛行経路等も違いますし、それから、ヘビー機の割合といいまして、重たい飛行機の後に軽い飛行機が続きますと相当間隔をとらなければいかぬとか、そういう問題もございますので、なかなか空港によって一概に能力というのは決められない、別々で変わってくるものだと考えております。

吉井委員 変わってくるのはみんなわかった上での話なんですよ。また、大体関西空港にほとんど小型の常用機みたいなものは飛びませんからね。ですから、国際線が中心なんですから、民間航空会社の協議会が出している、時間二十六機、それでいくと、年間二十二万七千七百六十回というのは単純計算でいきますからね。

 ですから、マスコミ等が紹介していた二十二万回というのは、これはあり得る数字であって、だから、一つの可能性の数字としてはあるんでしょうということだけ聞いたんですよ。

鈴木政府参考人 単純計算で、二十四時間目いっぱいフルに飛べばという計算は成り立ちますが、先ほど申し上げましたように、なかなか深夜に目いっぱい飛ぶという事態は考えられませんので、そこも勘案して、私どもは十六万回というのを。

吉井委員 ですから、理論的可能性でいきますと、目いっぱいでいきますと、さっきの一時間三十二機でいきますと二十七万回もあり得るし、二十六機ですと二十二万、もっと数は理論的容量よりうんと現実的に近づくわけですが、あり得るということで、それは空港処理検討委員会でも考えられたということが伝えられているところであります。

 問題は、二本目の開港、二〇〇七年とこれまでしてきたわけですが、二〇〇七年度の需要予測の方は今度はどうなるんですか。

鈴木政府参考人 現在の需要予測では、年間十三・六万回でございます。

吉井委員 ですから、理論的容量、二十七万とか、私、そこまでは言いませんが、民間航空業界の方の国際的な基準からすると二十二万回が可能だという数字、それよりもさらに小さい、当初の計画した十六万回からしても、現在の一本の滑走路で、今十三万六千回ということですから、需要は十分に満たされるということになってきます。

 一期分の事業費一兆五千九百四十三億円と合わせて、既に二兆四千二百六十九億円使ってきているんですが、この関西空港は、今採算はとれるんですか。

鈴木政府参考人 関空株式会社の損益計算というベースで申し上げますと、平成十四年度は百五十五億の赤字でございます。

吉井委員 二期工事、今入っているわけですが、土地造成をして、関西空港株式会社に関空の用地造成株式会社が貸し付けるという形をとるわけですね。そうすると、いずれにしても、同じ企業体で、関西国際空港株式会社の帳簿上からは負債を減らすということはできるにしても、連結有利子負債は大体一兆三千億円ぐらいで、利子だけで年間三百六十億円の支払いが必要になってくるというのが現状じゃないかと思いますが、有利子負債は連結でどうなりますか。

鈴木政府参考人 二期事業の用地造成を行っております用地造成株式会社などを含めました連結ベースで、一兆二千億ほどの有利子負債になってございます。

吉井委員 一兆二千億ほどの有利子負債ということで、非常に大きな借金を抱えて、この借金返しのめどが、毎年毎年赤字を積み上げる方で採算がとれないわけですから、これはなかなかめどが出てこない。

 国内線の方では、本来、伊丹を廃止して関空だったんですね。だけれども、伊丹を残しただけじゃなくて伊丹の方をどんどん展開する。むしろ関空の方は国内線が減っていますから、だんだん不便になってくる。私なんかは関空に近い方ですが。神戸空港もつくる。関空の二本目をつくる。あの辺は滑走路だらけなんですね。これで関空の需要が急増する可能性というのはなかなか難しい。伊丹にもとられる、神戸にもとられる。関空の方のお客さんはむしろとられる方になりますから。

 現在、これまで既に国費六千六百三十六億円投じてきて、毎年、今、民間会社へ国費九十億円別口で投入していますね。まあ九十億円といえば簡単ですが、十年すれば九百億、約一千億近いものです。それを、これからずっと補給を続けるという可能性も持っている。

 関西空港株式会社に関西空港用地造成の会社が土地を貸すという形をとっても、連結有利子負債、この一兆二千億円が消えるということにはなりません。関西空港の単独経理上の負債を減らすだけなんですね。

 そうすると、関西空港の用地造成の会社は、関西空港株式会社に賃貸料は幾らで貸し付ける予定なんですか。

鈴木政府参考人 まだ二期事業の用地造成が完成しておりませんので、決まっておりません。

吉井委員 決まっていませんと言ったって、大体そんなのは見通しをつけておかないと、これからの、関空二期工事を終えた後の採算見通しも何にも立たない、一兆二千億円の有利子負債が減るのやらさらにふえるのやら、それもわからないというのは、私は、事業のあり方として、本当にこれはもう無責任なやり方だというふうに思います。

 次に、関西空港は地盤沈下が激しくて、既に二メーター四十センチ沈んでしまったんですね。水がどんどん入ってくるとか、止水壁をつくったりとか、現在もその工事をやっています。

 その中で、私は国土交通省の方からいただいた資料を見ておって本当に不思議に思ったんですが、今の二期空港島の護岸築造工事というのは、契約したのは全部一九九九年三月十日で、契約した金額から二割、三割、四割近くですか、二割、三割と契約金額を引き上げているのがすべて一年後の二〇〇〇年三月二十八日ですね。最終的にはさらに契約金額は膨らんでいますね。

 ちょっと見てみますと、一般競争入札の日付も金額の大きな変更契約の日付も、すべて同じなんですが、その一からその六まで工区を分けてやっていますが、全部を、その一ならその一を契約したときの契約金額を一〇〇としますと、その一年後には、多いのは四割、契約変更で積み上げているんですね。最初の契約金額が半端なものじゃありませんから、二百六十億円から二百九十五億円が一つの工区の契約金額ですね。ところが、一年たったら、それを三十六億円から八十三億円上積みしているんですね。しかも、最後に契約変更をやって、終わるときには、工区その一だったら一四一%になっている、その二で一二三%、その三が一二七%、その四は一一一%ですが、その五が一四三%、その六は一一四%。

 ですから、こんなふうになると、そもそも同じ日に契約して、翌年の同じ日に大幅な契約金額の上積みの変更契約をやる、途中で二割から四割も引き上げる、最終的に一・四倍も契約金額が引き上げられるとなると、この契約は全部競争入札なんですが、およそ競争入札というものは全く意味をなさなくなってくるんじゃないですか。

鈴木政府参考人 関空二期の護岸工事についての御質問でございますが、関西国際空港用地造成会社を通じて調査いたしましたところ、先生の御指摘の契約変更は、護岸の上部構造の追加を行う変更が大部分でございまして、この上部構造のところは、あそこは御承知のように大変沈下が激しいところでございますので、その沈下がある程度進捗した段階で上部構造の高さを決める必要があるということで、護岸の上部を工事するだけではなくて、その下のマウンドのところまで含めて全体を見直す必要があったということで工事費用がふえたというふうに聞いております。

吉井委員 それはもう漫画みたいな話なんですよ。大体、空港島の一期工事で全部経験済みなんですよ。どれぐらい沈むかとか、どんなものをしなきゃいけないか。それに基づいて設計仕様を定めて、見積もりをして、入札ということになるわけでしょう。だから、今のお話というのは全くでたらめな話であって、それは成り立ちません。

 私、さらに驚いたんですが、これは落札率が九九・八%とか九九・九%ですね。つまり、契約するときは適当な金額つけてとっておいて、後から上積みをすればいいやというやり方になると、競争入札の意味もなくなるんです。もともと国の予定価格もゼネコンの札入れの価格も九九・八とか九%になると、一〇〇%ですよ。全く同じですね。

 そうすると、これは最初から、後で上積みしてやるからという話も、予定価格も、みんなわかった上での談合でもやらないことには、こんなことは神わざででもできないと思うんですね。一体どうなっているんですか、これは。

鈴木政府参考人 二期事業の落札価格についてのお尋ねでございますが、関空二期事業につきましても予定価格の積算基準というのは公表されておりまして、また、用地造成工事は、土砂、コンクリート等の積算が容易な資材費が大部分を占めておりまして、契約対象工事の設計仕様の説明も詳細に行っているということで、見積もり業者が施工条件を十分理解して、予定価格に近い見積もりをすることが可能だと考えております。

 したがって、入札率が高いということをもって直ちに談合を疑うということにはならないと考えております。

吉井委員 それは世間の常識では通りませんよ。大体、どれぐらい土砂、コンクリートが必要かとか、一期工事での沈む量も皆見越した上で、注文側が全部きちんとした設計仕様を示して出すわけですが、それにしても、後から追加工事もしてやるから適当な金額つけておけというのは、私はおかしいと思いますよ。しかも、それで九九・九%の落札率、こんな金額がどんぴしゃりと一致するなんというようなことは、だれが考えても異常な話です。

 そこで大臣、大臣はお疲れのところだと思いますが、私は国土交通の話をあなたに聞くので、言うわけじゃないんですが、今言ったこともほんまに異常な話なんですね。しかし、事は関西の地方自治体財政圧迫の要因の一つになっているんですよね。それだけに、関西の人からすると、成田財特以上に、自治体財政という面からしてもこれは圧迫されてくる、これが関空の現在の実態ですから。

 やはり、財政の面もそうだし、それから入札契約のあり方にしても、私は、こういう公正な競争入札の脱法行為みたいなことで国民の信頼が失われる、そういうことがないように、やはりこれは政府としてきちんとしていかなきゃいけないと思うんです。

麻生国務大臣 質問の予定に入っておりませんでしたので、急な御質問ですからいかがなものかとは思いますけれども、吉井さんのことですから、お答えをさせていただければ、基本的に、信頼というのがなくなると話は非常に妙なことになる。高いものになったり、妙に安くなったりというのは、どっちにしてもいかがなものかということになりますので、適正な入札というのが行われるように指導されるべきものだと存じます。

吉井委員 私、政治的な答弁だけは大臣に求めることも考えるからねと言っておりますので、だまし討ちじゃありませんので。

 いずれにしても、民営化すれば安くなるとかそういう論じゃなくて、関西空港はもともと民間会社です。関西空港株式会社。民間会社がやって、適当な価格で入札しておいて、最後は、どんどんどんどん契約金額を途中で引き上げて、一・四倍に膨らんでしまう、こういうやり方というものは絶対に許しちゃならない、このことを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

佐田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

佐田委員長 次に、情報通信及び電波に関する件、特に通信事業者のデータ流出等に関して調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府国民生活局長永谷安賢君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、刑事局長栗本英雄君、金融庁総務企画局参事官西原政雄君、総務省情報通信政策局長武智健二君、総合通信基盤局長有冨寛一郎君及び経済産業省大臣官房審議官岩田悟志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤章君。

左藤委員 自由民主党の左藤章でございます。

 今議題になりました通信事業のデータ流出に関して質問をさせていただきたいと思います。

 今、電気通信のサービス、高度化、多様化というのは本当にすばらしいものがあります。我々国民にとって非常に利便性がよくなっておりますけれども、このサービスに関して収集される情報、特に個人情報の取り扱いというのは非常に大きな問題になっているんじゃないかなと思います。

 片や、いろいろな報道がありましたけれども、個人情報の流出の事件が相次いでおりまして、しかも流出の件数も非常に大きくなっております。昨年の六月、ローソンで五十六万人、十一月、ファミリーマートで十八万人分、ことしになって、二月に三洋信販で二百万人分、二月にソフトバンクBB四百五十二万人分、そして、ジャパネットたかたは六十六万人分、こういう話があります。これは非常に大変な問題であります。

 電気通信事業者による個人情報の情報管理、また適正な取り扱いの確保というものについて、総務省はどのような取り組みを行ってきたのか。また、先ほど申し上げましたように、四百五十万というすごいデータ、これはソフトバンクBB、これの流出で、現時点で把握している事実、どうなっているのか、お願いを申し上げたいと思います。

麻生国務大臣 事実関係につきましては局長の方から答弁させます。

 今言われましたように、平成十年に電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインというものの抜本的な改正を行ったのは御記憶のとおりですが、このガイドラインの実効性を高めないかぬということで、特に個人情報に関します適正な扱いというのは最も大事ということでありますので、これは個別指導やら何やら、随分と役所としてはさせていただいておるところです。

 今回の場合、内部からの漏えい、もしくは盗み出しているという窃盗の部分というところもありますので、いわゆる外から盗まれたかどうかというのも、よくわからぬところも幾つかあります。中から持ち出してどうしたという部分もありますので、これは窃盗の部分とハッキングの部分、ハッキングというのはおわかりだと思いますが、ハッキングの部分と少し内容が違うとは思います。

 いずれにしても、この種の話は、個人情報でありますので、基本的には最も保護され、大事にされなければならない部分だと思っております。

 内部の、現時点で把握している事実関係につきましては局長の方から説明させます。

有冨政府参考人 ソフトバンクBBからの個人情報流出の事実関係でございますけれども、まず第一でございますが、同社が警察から提供を受けておりました資料、これを照合した結果、二件の漏えい事件があります。トータルで、四百五十一万七千三十九件の顧客情報が流出していたということであります。この照合した顧客情報の内容でございますが、住所、氏名、電話番号、それからメールアドレス、申込日でありまして、クレジット番号とか、あるいは銀行口座番号等の信用情報は含まれていないということでございます。

 それから、この件は恐喝未遂ということで四名が逮捕されておりますけれども、この中には、同社の二次代理店の役員であった者、あるいは派遣社員として同社のサポート部門に勤務していた者、これが入っております。

 それから、次に、流出経路でございますが、これに関しましてはよくわかっておりません。おりませんが、ソフトバンクBBにおきましてあらゆる可能性を想定して社内調査を行ったということで、わかったことがございます。それは、まず一つ目でございますが、アクセス状況の監視体制が不十分であった、それから、サポート部門の従業員が、一度に多くの顧客情報へのアクセスが可能となっていたというようなことが問題であるということが判明をしております。

 同社では、既に改善策等を講じている、あるいはこれから講じようという段階でございますけれども、現時点で外部からの不正な侵入の形跡は残っていないというようなことでございますし、また、第二次流出の防止とか、あるいはデータの悪用防止とかということについても、これから警察と協力して調査を進めるというようなことでございます。

 そういうことで、現時点において、内部犯行ではないかとか、あるいは、内部管理体制に甘さがあったのではないかというような報道ぶりがございますけれども、先ほど申しましたように、情報の流出経路につきましては、警察において捜査中であるということで、わかっておりません。

 以上、簡単でございますが、事実関係でございます。

左藤委員 今お話ありましたけれども、これはソフトバンクだけじゃありません。ローソン初めたくさんあるわけであります。

 実は、昨年通った法案で個人情報保護に関する法案、ここの中に、二十から二十二条にかけて、安全管理措置に関してということであるわけですね。個人情報取り扱い業者は、その取り扱う個人データの漏えい、紛失または毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならないものとし、その従業者及び委託先に対する必要かつ適切な監督をしなければならない、こう書いてあります。

 また、三十四条の第一項、勧告及び命令というところにあります。主務大臣は、個人情報取扱業者が一定の義務に違反した場合において個人の権利利益を保護するため必要があると認めたときは、当該個人情報取扱業者に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を勧告することができる、こういうことになっています。

 それで、質問したいんですが、総務省としては、業者にこういう問題がありますので、全般的にどういう指導をなさったのか、そして、先ほどちょっとお答えがありましたけれども、ソフトバンクはどういう対策を打ってあるのか、お答えをお願い申し上げたいと思います。

有冨政府参考人 総務省の基本的な政策のスタンスでございますが、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、総務省では、かねてから、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン、これを抜本的に改正いたしまして、その実効ある措置ということで対応してきたものでございます。

 今回のソフトバンクの個人情報流出の問題につきましては、この事案がわかった時点直後から、ソフトバンクに対しまして、今申し上げましたガイドライン等に基づきまして、利用者への対応はいかがすべきか、あるいは個人情報の流出の原因は何か、あるいは流出情報はどういうものか、あるいは委託先を含めた個人情報の安全管理はどうなっておるかというようなことについて、早急に対応するよう指導してきたものでございます。

 これに対しまして、ソフトバンクBBの方の対策でございますが、これは、先ほど申しましたように、既に講じているものもありますし、これからやるというものもありますけれども、まず、利用者対応策といたしましては、苦情、問い合わせ専用電話窓口の設置をする、それからメールによる全加入者への報告とおわびをする、それからメールアドレスの変更の無料化を図るというようなことでございます。

 それから、内部の情報管理体制の改善でございますが、顧客データベースへのアクセスできる権限、これを有する者を三人に絞り込む、あるいは顧客データベースにアクセスしたときのログを半永久的に保存する、顧客データベースへのアクセスログの監視体制を強化し、また、データベースのファイアウオールの強化も図るというようなことでございます。

 さらに、社内調査委員会に加えまして、社外の有識者によります個人情報管理諮問委員会、こういったものを設置する。既にこれは三月五日に開催をされております。それから、情報セキュリティー管理責任者として役員を任命しております。それから、従業者等への個人情報保護教育の実施予定というようなことをやっております。

 そういった意味で、総務省といたしましては、今後とも、ソフトバンクBBから取り組み状況などの報告を求めて実施状況を確認するとともに、同社や委託先での個人情報の安全管理措置の徹底が図られるように、必要があればさらなる指導を行ってまいりたい、このように思っております。

左藤委員 わかりました。

 それで、ソフトバンクの具体的な被害というのはあったんでしょうか、なかったんでしょうか。

有冨政府参考人 被害と申しましてもいろいろあると思いますが、いわゆる経済的な被害はまだはっきり計算されておりません。ただ、こういったことによってみずからが自主的に措置をすることに伴う費用、例えば、五百円のお金をおわびとして支払うという意味でいいますと、おおむね四十億円ぐらいのお金がかかっているというようなことがあろうかと思います。

左藤委員 次に、ローソンとかファミリーマート、また三洋信販とか、いろいろ聞きたいんですが、実は、読売新聞の三月の十三日また十四日のところにも出ていたんですけれども、個人情報が流出して、債権の回収の者だがとか、金を貸した、払えとかいっていろいろ電話がかかってきた。これは、特に消費者金融の三洋信販の顧客名簿を使って出てきた。こういう被害があったわけであります。

 これについて、ローソン、ファミリーマート、三洋信販、ジャパネットたかたのそれぞれの監督をなさっている経済産業省、また金融庁、どのような御指導をなさっているか、お願いを申し上げたいと思います。

岩田政府参考人 お答えいたします。

 今委員の御指摘がございましたように、ローソン、ファミリーマート、それからジャパネットたかた、それぞれ情報の流出がございました。

 経済産業省といたしましては、これら三社に対しまして、情報流出にかかわります事実関係の早期の把握というものをまずしていただき、情報が流出いたしましたお客さんに対する適切な対応、おわび状を出す、事情説明をきっちりするというようなことに加えまして、安全管理面での措置の徹底、こういうものを要請いたしてございます。

 あわせまして、関係の事業者団体、具体的には日本フランチャイズチェーン協会あるいは日本通信販売協会という関係の団体につきまして、個人情報の安全管理面での措置の徹底、こういったものを要請しているところでございます。

西原政府参考人 三洋信販の関係でございますが、この件につきましては、当社側が三回にわたって報告を出しておりますが、現在においてまだ最終的な解明には至っておりません。

 現在のところでは、確認できているのが七百六十九人分ということでございますが、先ほど御指摘ありましたように、トータルでは二百万件に上るのではないか、この点につきましては、捜査機関とも協力して、あるいは内部に調査委員会というようなものも設けまして現在鋭意調査を継続中であるということで、早期の解決、事実解明を促しているところでございます。

 また一方で、その流出によって、いわゆる不正請求に結びついているのではないか、これにつきましては、その実態解明等についても促しているところでございますが、実は現在、不正請求、いわゆる架空請求に対しての相談が多数寄せられております。そういうようなことで、まずその対応をしっかりやるようにということで、二十四時間体制で窓口を開いて対応している、こういう状況にございます。

左藤委員 今、金融庁から三洋信販の流出の問題で、これは新聞にも出ていたんですが、こういう詐欺まがいの事件がどんどん出てくる。大変なことであります。

 これについて、警察としてはどういう対応をし、また、そういう人たちに対して、国民に対してでもあるんですが、ひっかからないようにということも含めてどうなさっているか、御答弁を賜りたいと思います。

伊藤政府参考人 こうした詐欺まがいの事案の中でも、とりわけ架空請求事案なんかにつきましては、このところ急増しておりまして、大きな社会問題となっております。

 こうした事案につきましては、大勢の人に対しまして電子メールを送付するなどの方法で一時期に集中して請求を行うものでありますため、被害が短時間のうちに拡大することが懸念されるところであります。警察庁におきましては、都道府県警察に対しまして、事犯を認知後、速やかな、そしてかつ厳正な取り締まりを行うように指示しているところであります。

 また一方、被害防止の観点から広報啓発活動につきましても力を入れておりまして、政府広報及び警察庁や都道府県警察のホームページにおきましてその手口等を紹介しまして、情報提供を行うことによりまして国民に平素から注意するよう呼びかけを行っておりますほか、架空請求の相談に応じる窓口を整備しまして、身に覚えのない請求を受けたという方に対しましては、絶対に応じないように指導助言しているところであります。中には、口座を示さずに、とりあえず連絡をよこせというように指示してくるようなケースもあります。こうした場合には、相談者にかわって警察において連絡をとりまして、不当な請求が行われることのないように被害の未然防止に努めているところであります。

 また、さらに、事案が発生した場合でございますけれども、金融機関に対しまして料金を振り込むように指定された口座の凍結を要請するなど、被害の拡大防止に努めているところであります。

 今後とも、この種事犯の捜査を徹底することによりまして、また、広報活動をより積極的に進めることによりまして、被害の未然防止、拡大防止のための対策を徹底してまいりたいと考えております。

左藤委員 ぜひひとつ、徹底した取り調べ、また対策をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、時間がありませんので、一つお願い申し上げたい。

 実は、国会の附帯決議で、医療、金融・信用分野と並んで、情報通信について、適正な取り扱いの厳格な実施を確保する必要があるために個別法を検討しなきゃならない、こういうことになっております。総務省としては、いよいよ個人情報保護法が平成十七年の四月から施行されるわけでありますが、この個別法をどうなさるか、しっかりお願いを申し上げたいと思います。

佐田委員長 短くお願いします。

麻生国務大臣 個別法の要否につきましては、電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会というのを、これは有名な堀部先生に今主宰をしていただいております。附帯決議の中で、特に参議院側からは、平成十七年という年数まで切られておりますので、それまでに結論を出します。

左藤委員 終わります。ありがとうございました。

佐田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 今、同僚の左藤委員が議論された内容、実は大変大事な内容でありまして、最後のところ、個別法等の話もございましたので、もう一回、大体同じような議論になろうかと思いますが、大事な点でありますから、入念に確認をしていきたいというふうに思っております。

 最初に、私も全く同じ感想を持っておるわけでありますが、個人情報保護法、本当に六年ぐらいかけてやっと国会で成立をした。行政機関の持っております個人情報保護法も含めて、十五年五月三十日からやっと動き出したわけであります。

 私の理解では、現在、政府においては、施策の基本方針を策定するということで、この法律に基づいた基本方針をつくるということで鋭意努力をされておられるというふうに理解をしておりますが、その取り組みの状況をまず確認をしておきたいと思います。

永谷政府参考人 個人情報保護法でございますけれども、今、桝屋先生おっしゃいましたように、昨年の五月に公布されて一部が施行されております。未施行の個人情報取扱事業者の義務等、これは法律の第四章から第六章にかかわる部分でありますけれども、この部分についても来年の四月の一日から施行されることになっているということであります。

 したがいまして、内閣府におきましては、この全面施行に向けまして、個人情報の保護に関して各省庁が講ずべき措置等を定める基本方針を閣議決定すべく、現在、国民生活審議会の御意見を聞きながら検討作業を行っているという状況でございます。

桝屋委員 恐らく、近々基本方針なるものも策定をされるだろうと思っておりますが、そうした個人情報保護法がやっと動き出している中で、今回のソフトバンクBBの個人情報漏えい事件であります。数にしても規模にしても、かつてないぐらいのものでありまして、先ほどの御答弁では、クレジットカード番号とか銀行口座番号等が、幸いといいましょうか、含まれていないという話もありましたけれども、そういうセンシティブな情報がないにしても、しかし電話番号や住所、メールアドレスなども流出しているわけでありますから、これはいかようにでも今のIT社会の中で使いようはあるわけでありまして、これは本当にゆゆしき事態。

 先ほどの左藤委員のお話でも、ローソンでありますとかファミリーマート、三洋信販などなど、その他の個人情報流出事件も報道されているわけでありますから、何のために個人情報保護法をつくったのか、これからの高度情報通信社会の中で本当に安心して、光と影、光の部分をしっかり国民生活のために役立てていこう、こういう時代であるだけに残念でなりません。

 一点確認であります。本日は総務委員会でありまして、総務委員会でこの問題を取り上げるということについては異存はありませんが、本当は、個人情報保護全体の問題でありますから、幅広く内閣委員会等で議論しなきゃならぬのではないかと思っております。せっかく総務委員会ですから、電気通信事業者における個人情報の流出事件というのは最近どんな状況なのか、確認をさせていただきたいと思います。

有冨政府参考人 今回の事案、先生今言われましたように、個人情報の保護が強く要請されておる、こういう中にありまして、過去に前例のない大量の情報が流出をしたということで、極めて遺憾だということでございますけれども、かかるような事案、これまでにどういうものがあったかということでございます。ちょっと主な個人情報漏えい事例について御紹介したいと思います。

 まず、内部の犯行にかかわるというものについては、平成十一年の五月でございますが、NTTの職員が社内システムにアクセスをして、電話加入者リスト約千三百件以上のものを外部に持ち出したという事件がありまして、これは収賄罪で逮捕されております。

 それから二つ目ですが、平成十二年の十月に、旧KDDから国際電話の利用勧奨に関する業務の受託をしていた、これは代理店でございますが、その代理店の顧客情報約三万人分が外部に流出をしていたことがわかっております。

 それから、内部の管理体制にかかわるものということでございますと、平成十五年の十一月に、NTTデータが提供する不動産情報サイトのシステム運用、これを受託しておりました業者の社員が顧客情報約四千三百件分を外に持ち出した、そしてそのノートパソコンを失ってしまったというような事例がございます。

桝屋委員 電気通信事業者だけでもこうした事例が続いているわけでありまして、今回のソフトバンクBBの漏えい事件、これは流出しているデータは大丈夫かということで、先ほどとりあえず総務省の対応あるいは業者における対応を伺いましたから大体理解をいたしましたが、なお捜査の状況も見守りながら、ぜひ適切な対応、取り組みをお願いしておきたいと思います。

 時間もありません。それで、先ほどから言っております個人情報保護法というのはあくまでも基本法でありますから、恐らく基本方針の中で、これから明年の四月一日に向けて、個人分野、特に気をつけなきゃならない大事な分野、医療情報でありますとか信用情報あるいは電気通信の分野、こうした分野について、必要であれば個別法の見直しもしなきゃならぬ、手当てもしなきゃならないということに多分相なるだろうと思っております。その取り組み、今回のヤフーBBのこの事件を受けて、私は、個別法の検討がぜひ必要だろうというふうに思っているんです。

 大臣の答弁をいただく前に、私も個人情報保護法をずっとやってまいりまして、あの法律をつくるのに、実は大臣、大変苦労したんです。大臣も専門家でいらっしゃいますから御理解されていると思いますが、六年ぐらいかかったわけで、個人のプライバシーを守るという法制をするのにえらい苦労をしたわけであります。

 そんな中で、各省いろいろ協議をしている中で、厚生労働省の医療情報あたりも、膨大な量ということもあるんでしょう、あるいは電子カルテ等の難しさ、医療の取り組みの現状等からして、なかなかに腰が重たかったわけであります。それぞれ各省ごとに特徴があるんです。

 私、総務省、旧郵政は、特に電気通信の分野は専門家でありますから大分期待はしておったのでありますが、でも、個人情報保護法を検討する過程では、どちらかというと、やはり電気通信の分野で個人の情報が自由に動き回るといいますか、そちらの利益の方が大事だ、まさにIT社会の光と影の部分をいいますと、光の部分を大事にされて、余り規制をしたくないというイメージが強かったな、こういうふうに記憶をしているわけであります。

 そうした中で、今回こういう大きな事件が出たわけでありまして、先ほどからガイドラインという話も出ております。これは本当はガイドラインでしっかり守られていくということが理想ではありますけれども、今回のこの事例、先ほどからの報告をいろいろ聞いておりましても、どうも外部から漏れたのではない、中から漏れたのではないか、外部からの侵入の形跡がないということからいたしますと、やはり内部から漏れたのかな、こういう気もいたします。

 そういう状況を考えますと、本当にガイドラインだけでいいのか、やはり適切な国の関与、先ほどから勧告という話もありましたが、国の関与を適切にとっていく、必要に応じては個別法の検討も必要ではないか、私はこう思っております。

 最後に、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 これは桝屋先生よく御存じのとおりなんで、いろいろな経緯がありまして、国民保護法という中での第七条の規定に基づくいわゆる基本方針というのによりまして、今、内閣府の国民生活審議会等々でいろいろ検討が進んでいるということは理解をしております。

 そのときに、法案が通りますときに、先ほどは参議院を例に引きましたが、衆議院でも参議院でも両方とも附帯決議というのがついております。その中におきまして今の点を、個別法を早急に検討することというのが衆議院、それから参議院の方では、本法の全面施行時には少なくとも一定の具体的結論を得ること、これがいわゆる全面施行時イコール平成十七年四月ということになります。そういった意味では、これは非常にそれぞれみんな御心配をしておられるところで、最初からもうプライバシーとかセキュリティーという話は物すごく大事な問題だということを申し上げてこられた立場としては当然だと思っております。

 私どもとしては、この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会というのを平成十五年の二月に立ち上げて、議論を堀部先生以下、ずっとしていただいておるところでありますので、この結論を得て、必要か否かというのを決めないかぬところだと思っております。

 今、立て続けに幾つか起きております状況は、これはゆゆしき事態だと私どもも基本的に認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、平成十七年四月一日までに、附帯決議どおり結論を出したいと思っております。

桝屋委員 これで終わりますが、さっき言いましたように、やはり総務省におかれては、電気通信事業者、あるいはインターネットの世界でもプロバイダーであるとか、そうした事業を展開する方々の自由なる活動を大事にしたいという思いが少し強い、どうしてもそちらの方が強くなってしまう、そういう感じがありまして、やはり個人のプライバシーを守るという観点も非常に大事だということを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。

 きょうは、我が党の理事の方からヤフーをやってと言われておりますので、ヤフーをやろうと思っております。

 今お二人の方が御質問なさっている中で、いろいろ出てきているわけですが、冒頭ですので、ヤフー以外にも情報流出の事件が数多くある中で、特に今回のヤフーBBのものは最終的に約四百五十一万人の個人情報が流出しているという事件でございますので、これは情報社会の中での象徴的な出来事だろうというふうに思いますし、電脳社会に対する国民の信頼を極めて損なう深刻な事態だろうと思っておりますが、一般論として、このような多発する流出事件について大臣はどのようにお考えか、最初にお聞かせください。

麻生国務大臣 先ほど有冨の方から話がありましたように、NTT以下、何百人とか何千人とかいう数字の話は過去にないわけではありません。ただ、今回、四百万を超すというのは、ちょっとけたが一つ二つ違っておるところでありますので、何となくイメージとしてはこれは非常に、外から盗まれたか、中から窃盗みたいな形で持ち出したか等々、まだ警察の調査の段階ですので何とも申し上げられませんけれども、いずれにいたしましても、信頼がなくなるというところが最大の問題と私どもは思っております。

 したがいまして、今、個人情報の扱いというのは、これは今まで以上にさらに、守秘義務というか、きちんと対応をしなければならぬということだけははっきりいたしておりますので、電気通信事業分野におきます個人情報保護の件につきましては、これはさらに一層検討していかないかぬ、いろいろきちんともっとやっていかないかぬ。

 ただ、先ほど言われましたように、余り締め過ぎると今度は動かなくなったり、いろいろさじかげんは難しいところがあるんだとは思いますけれども、とにかく、これは明らかに犯罪であることははっきりしていますので、きちんと対応していかねばならぬと思っております。

大出委員 私も、いわゆるヤフージャパンのプロバイダーを使っているわけなんですね。そうすると、四百五十一万もデータが流出していると、当然私のところも出ているんだろうというような気がするんですね。今の時代ですから、二、三社のプロバイダーを使っているというケースも多いと思います。そんな中で、ヤフーのが余りに多いものですから、この問題のまず事件の経過みたいなものを最初に時系列で少し確認をさせていただきたいと思います。

 というのは、二〇〇四年の一月の六日ぐらいから始まっていまして、北海道の函館市のコンサルタント会社エスエスティー、この会社というのは、ヤフーBBの加入者獲得業務を行う代理店契約を同グループ関連会社と結んでいたという経過がございます。この役員であるところの湯浅輝昭容疑者、当時容疑者でございまして、副社長でございました、逮捕されております。このときの社長が竹岡誠治さんという方。もう一人逮捕されている方が元右翼団体会長と言われている、新聞報道でございます、これは読売新聞ですが。その容疑者が、JRの東京駅の構内の東京ステーションホテルで、ソフトバンクグループと取引関係にある映像用アンテナの大手製造販売会社、神戸に本社がある、その東日本地区担当役員と面会をした、ここから始まっているということですね。

 その内容は、加入者情報の一部を印刷したA4判の紙を一枚見せて、システム上の欠陥が原因で流出した、システム修復のための対策を講じた方がいいのではないかという、当然、恐喝を前提とした話の持ちかけを行ったというふうに読売の二月二十五日の夕刊に書いてありますね。三月三日には起訴されているわけですが、そのときの役員は態度を保留した、これがしょっぱななんです。

 そうしたところ、翌七日の日になりまして、今度は、東京・銀座のホテルで再び面会をしまして、今度は八人分のリストを渡してきたんですね。役員はしかし、それには応じないで、内容には応じないで、ソフトバンクグループ関連会社の男性役員を紹介した。そうしたところ、今度は、少したちまして、四年の一月の二十日になりましてこの男性役員に電話がかかってきて、四百七十万人分の情報を知人が持っているとその男は告げたんだそうです。

 そして、これからちょっと早いんですが、翌二十一になりましたら、東京・箱崎のソフトバンク本社を訪れて、百三十人分のリストのコピーを渡した。これは小出しをしているわけですね。二日後になりまして、加入者情報が記録されているいわゆるDVD、デジタル多用途ディスク、CD、コンパクトディスクを一枚渡した。これに全部入っているわけですね。

 これらの過程で何を言っているかというと、海外で合弁会社を設立するので二十億から三十億円出資してほしいと持ちかけた、また、加入者情報が流出し続けないための顧問料として、毎月数百万円を支払うよう要求もした、ここで恐喝未遂なわけでございますが、もちろんこの合弁会社というのは実態のない計画であったということでございます。

 一応、時系列的にこういうことだったということを確認させていただきます。

 そこで、私は、ソフトバンク、つまりヤフーBBですが、こんな多くの情報が流れてしまっていまして、どんな方法で盗んだんだろうかとか、あるいは管理体制にどんな欠陥があったのかというのは、当然事実究明、徹底した原因究明をしなきゃいけませんし、また関係者の責任追及が必要と考えているんです。

 そういう意味では、本来、国会に参考人として来ていただいて聞かなきゃいけないのではないか、そうでないとわからないのではないかと思ったりもしているんですが、この間の経過と、こういうことを起こしてしまったソフトバンクの責任のあり方について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

有冨政府参考人 ソフトバンクの責任の問題でございますけれども、総務省の方では、先ほどから御答弁申し上げておりますが、今般の事案が明らかになった以降、ソフトバンクBBに対しましては、情報の流出原因の究明に努めるように指示したところでありますが、遺憾ながらまだその流出原因の究明はできておりませんで、警察において捜査中ということでございます。

 その中でソフトバンクがどういうような責務を果たしておるかということでございますが、先ほど申しましたように、私どもとしては、利用者に対する責任をどう果たすのかとか、流出の原因究明がどうなっているのかとか、あるいは流出情報の特定をどうするのかとか、委託先を含めた個人情報の安全管理の徹底をどうするのかというようなことについて、るる指導をしてきたわけでございます。

 そこで、利用者対応としての苦情、問い合わせ窓口の設置であるとか、メールアドレスの変更の無料化であるとか、管理体制として顧客データベースへのアクセスの制限であるとか、あるいはアクセスログの半永久的保存であるとかというもろもろの対応をとっておりますし、また、個人情報管理諮問委員会というようなものを設置する等の対応をとってきております。さらに、ソフトバンクBBとしては、これに対する自主的な処分といたしまして、社長を減給五〇%六カ月にするというようなことなどの役員の処分もしております。

 我々といたしましては、こういった積極的な取り組みについては取り組みとして見ながら、さらに今後の同社の対応について引き続き注視をしていきたい、このように思っておりまして、その上で、必要があれば、責任のあり方について再度検討する必要もあるかというふうに思っております。

大出委員 今、対策の話もしていただいちゃったんですが、これは人的な管理体制といいますか、それも相当ひどかったのではないかと思います。許しがたいことをやっているんだなと実は思っております。対策の方だけに目をとられて、あるいはソフトバンクは被害者であるというのはちょっと横に置いて、中身が少しおかしいのではないかと思いますね。

 本当ならば、危険物を取り扱うぐらいに扱わなきゃならないんですよね。ところが、顧客の個人情報へアクセスできる社内の人間が百三十五人もいたというわけでしょう。しかも、そのパスワードやIDは社内で使い回すことが日常的だった、こういうんですね。まさに個人情報に対する認識が低過ぎるだろうと思いますし、事件が公になっても、アクセスできる人間をヤフーBBは五十八人にまで絞った、こう言っているんですね。まだ五十八人いたわけでしょう。本当ならば十人以下に減らすとか、最後は三人ということになってきましたが、流出したこと自体もわからなかったということなんですね。

 だから私は、まず一つに、人的な管理体制に根本的な問題があって、そういう会社がブロードバンドに進出していることがおかしいのではないかと基本的に思うんですね。

 その点と、もう一つは、システムそのものもおかしかったと思うんですね。というのは、情報等によりますと、アクセスログ、通信記録ですが、これも一週間で自動更新し、消却していたというんですよ。ですから、今回のデータが流出したとされる十二月半ばのデータは既に失われていまして、流出ルートの解明が困難になっているのはそれだったわけですよ。対策の方で、半永久的にアクセスログを残すみたいなことを言っていますが、こういうことをやっていたから慌ててそうやっているわけですよね。本当に個人情報が、いわゆるブロードバンド時代で、そこらじゅうに流出してしまうような可能性があるということに配慮をしないでブロードバンドの普及をやろうとしていたということに驚き、あきれ果てているわけですよ。

 どうですか。人的な管理体制とシステムにも不備があったと思うんですが、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 先ほど申しましたように、ソフトバンクBBの方でその流出経路というものを、なぜかということを見たときに、まず最初に社内システムをチェックしてみた、その中で、今先生言いましたように、データベースにアクセスという権限が非常にルーズであった、あるいはアクセスログについての保存も一週間程度しかないということで、振り返ってみると極めて大きな問題があるということで、急遽ソフトバンクBBとしてはそれを改善したということでございますけれども、その以前にあったことに対する責任というのは、当然十分に自覚してもらう必要があるというふうに思っております。

大出委員 るる質問していきますけれども、この問題が起こって、もうお客さんはインターネットで即BBに言うわけですよ。ところが、大変誠意がないわけなんですね、はっきり申し上げると。

 それで、おわびなんかを出していますので、新聞報道などもされていますから、最初に五百円というものを聞いておきますけれども、おわび料として五百円を金券で郵送するということになっているわけですね。それでわからないのは、なぜ五百円なのかというのが一つですよ。そして、本当は孫さんにここに来ていただいてお聞きしたいぐらいなんですが、それで相当だと思っているのかということですね。

 それから、これ以外の、先ほどからいろいろ事件が出ておりますが、ほかの事件と比べたときに、どうなのであろうか、ほかの事件では幾らぐらい払っているのかということですね。その点についてお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 五百円という話は、これは、ローソンが五百円だったからというのが、多分一番簡単なところだと思っております。

 三洋信販は商品券など配付しておりませんし、ほかの例でいきますと、高島屋もありましたし、あれもいろいろあったんですけれども、そういった意味では、五百円というのは多分そういうことが一番大きな理由だったのではないかと思っております。

 それで、基本的には、本人としてはおわびの気持ちだったんだというように理解する以外にないんですが、少なくとも総務省としてはソフトバンクに対して、今、大出先生言われたように、最初の対応がなっておらぬという話等々がありましたので、苦情とか問い合わせとかいろいろありますので、そういった意味では専用の電話の窓口を設置しろという話と、それから、加入者に対して、いわゆるメールで全部おわびを出すというのを、これはもう既にとられていると思います。それから、メールアドレスを変更するというのをやる人が当然出てきますので、それは無料でやる。そういったようなことにつきましては今後とも、今その三つは指導したところではありますけれども、さらに細かく対応してまいりたいと思っております。

大出委員 この種の問題で訴訟が起こっているのもあるわけですよね。宇治市の住民基本台帳のデータ大量漏えい事件で控訴審判決が出ているんですね。判決では、住民に一人当たり一万円というんですね。

 いろいろな訴訟が起こっていまして、エステティックTBCというものの漏えいしている事件が今訴訟をやっている最中なんですね、どう出るかわかりませんけれども。それに今度の問題も、ソフトバンクBBに集団訴訟をやろうという動きも実は出ているんですね。

 これは私も、この五百円というのは何なのだろうと思ったら、どうもこの四情報がちまたでは五百円で名簿会社といいますか、取引されているということなんですね。それに当てはめたのではないかと邪推をしたくなるようなことなんですね。

 先ほどの宇治の例では一万円ということで判例が出ているように、それほど大変重要なものだということですよね。と同時に、不思議なことに、ヤフーにはオークションがあるんですね。ヤフーのオークションに今度の五百円という金券をかけた人がいるんですよ。そうしたら、値段が幾らになったかというと、一時百五十万円になったというわけですね。それはある程度、重要だぞという意味でやっているんだと思いますけれども、余りにも安易に五百円ですよとなってきているところに、ますます顧客の皆さんの怒りを集中させているのではないかと実は思っております。

 そして、次におわびの話のところに行こうと思っているんですが、その前に、このヤフーBBさんといいますか、昔からインターネット等でトラブルをかなり起こしているんですね。

 我々もインターネットに入りますからわかるんですが、インターネットのいろんなホームページの中で、ADSLにかえるころから始まって、かなりの問題が起きていて、要するに、その段階では、顧客の側が、サービスが悪いではないか、こういう話なんですよ。ADSLのときなんかは、半年間ぐらい、実はお客さんがADSLに接続できないで苦情をヤフーBBの方に言っているわけですよ。言っているんですが、苦情処理係から電話があったりするらしいんですが、言うことがばらばらだったり、うそだったりとか、そういうことの繰り返しで、半年ぐらいの経過のものがインターネット上で繰り広げられているのを私もかいま見たことがございます。

 もう一年か二年か前の話ですが、そのころからなんですね。私が見たときに、中には、社長に謝らせろとか言う人も当然出てくるわけですよね。ところが、対応する人の反応は何なのかというと、インターネットでやっていますから、お客様のところに出かけていって謝ることはしないんだという言い方をするんですよ。それは幾ら何でも、内容が間違っていたりとかうそだったりしているんだとすれば、別に社長が出てこいと言っているわけじゃありませんから、それはやはり対応すべきだろうと思うんですが、すごく不遜な態度の会社なんだな、そういう思いを持ったことがございました。

 そして、結構事件が起きているんですね。事件といいますか不手際といいますか。例えば、兵庫県全域での話で、二〇〇三年の三月十五日に、ヤフーBB、約十時間半にわたって不通になったことがございました。そして、今度は、二〇〇三年の六月十八日に、ADSL、ソフトバンクグループが請求ミスとかいうのが出たりとか、それとか、ヤフーBBで一部ユーザーに料金を誤って請求したというのが二〇〇三年の八月の二十七日に出ているんですね。そうかと思いますと、ヤフーが無料キャンペーンかなんかをやっていたんですね。そうしたら、無料なのにもかかわらずお金を取っちゃったとか。これは二〇〇三年の九月二日のことでございます。そのほかに、IP電話の障害で、誤って接続したのが一万件を超えるというのが二〇〇三年の十月二日だったりするんですね。そして、今度の情報の流出の一番最初は、一月の二十三日に個人情報二百四十二件が流出というのから始まっているんですね。

 このように、いろいろ見てみると、ヤフーBBさんに本当に任せていいのかなと思うような状況がなり出ているということをまず最初に申し上げておきます。

 そして、今度のおわびの問題が、二月の二十八日の新聞とそれから三月八日の新聞に、最初の方は「お客様情報の流出に関するお詫びとお知らせ」という形、それから三月八日の方が「ヤフーBBからのお知らせ」、こういう形で出ているんですね。

 そこで、大変びっくりしたのは、実は、一月の二十三日、ソフトバンクBBのおわびのコメントの中に、新聞等に出ていますからお見せしませんけれども、こういうのがあるんですね。「今回流出いたしました個人情報の内容は、(1)申込住所、(2)氏名、(3)申込電話番号、(4)申込日、(5)メールアドレスで、クレジットカード番号や利用歴などの信用情報は流出しておりません。」御安心くださいと。

 これは一月の二十三日のホームページに載ったんですが、何で御安心くださいなのか。まず最初に、ほかの信用情報が流れるのではないかと思いますよね。ところが、その後、御安心くださいが、一月の二十五日の日には消されているわけなんですよ。

 こういう事実があったことをどなたか御存じでしょうか。

有冨政府参考人 遺憾ながら承知しておりません。私どもは承知しておりません。

大出委員 新聞等に出ている一番早いのが、二月の二十八日の「お客様情報の流出に関するお詫びとお知らせ」、当然この中には御安心くださいは入っておりませんが、これを見ていると、今回これだけですよというのが本当に信用できるのかというような気がするんですね。

 どんな情報が流れたのかなということについても、日にちによって流れている情報が違っていたんですね。先ほど私がお読みしたのは、メールアドレスまで入っていますよね。最初のうちはメールアドレスとかはなかったんですね。ところが、二月の二十八日の方には、ちゃんとこういうふうに書いてあるんですね。ヤフーのメールアドレスとヤフージャパンIDと書いてあるんですね。そして、お申込日まで書いてあるわけですね。

 どうも新聞報道のときには、こういうのは出ていなかったんですね。おかしいな、こういうのが出ているのかなと思って、それで、最初に見たときに、メールアドレスのほかにヤフーBBのアドレスと書いてありますから、別物かと思ったんですね。要するに、たまにプロバイダーの方で、ほかのプロバイダーに入っているならばそこのメールアドレスもお書きくださいというところもあるものですから、だから、それも流出したのかなと実は思ったんですね。

 そうしたところ、調べてみましたら、ヤフーBBの顧客情報流出対策室というところを見ましたら、みんな問い合わせが来るわけですね。そうしたら、どういうふうな情報の入れ方をしていたということが出ていまして、どういうふうにしていたかといいますと、申し込むときに、受け付け日を書きます、それから受け付け番号、それからヤフージャパンのID、お申込者の名前、(仮名)、それから日中の連絡電話番号というのが入っているんですよ。日中ですよ。メールアドレス、それからお支払い方法(クレジットカード番号)、そして回線電話番号、回線種別、回線名義、(仮名)、郵便番号、都道府県、都市郡、市町村と番地、ビル、マンションの名前、建物の種類、ここまで書いて申し込んでいるわけですね。

 そうすると、本当に信用情報が流れなかったのかなというのを非常に私は心配に思っていまして、どういう根拠で信用情報は流れませんでしたということを信じておられるのかをお聞きしたいんです。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

有冨政府参考人 私どもとしましては、捜査をする立場ではございませんので、具体的な事項につきましては、ソフトバンクBBに照会をする。その中で、会社から説明を受けるということでございまして、その限りにおいて、先ほど答弁を申しましたような内容だということでございます。

大出委員 冒頭、ヤフーの方に、今回の件に関してお客さんに融通を、いろいろ無料でやるようにとおっしゃっていましたけれども、現実に、インターネットで自分の情報が流出したのかどうかということを調べた人がいるわけですね。

 そうしたところ、ここにあります住所、氏名、電話番号、申込日とありますが、最初、住所を入れたりとか電話番号を入れたりとか名前を入れたりしても、はじかれたりして、要するに、おたくの情報は流出しているかどうかわかりませんみたいなことになるらしいんですね。ところが、全部を確認すると、最後のところで、メールアドレスで、流出しましたとか、あなたのは大丈夫ですとか出てくるというんですよ。かなり不親切であるという怒りのメールが流れておりますので、ちょっとそこのところは御注意を願いたいと思います。

 そして、この問題、いろんな意味の対策を練らなければいけないんだと思いますが、私は、今回の問題は、最初から、ブロードバンドを推進するには、ヤフーさんは少しふさわしくないんではないか、少し直さなきゃいけないところがあるのではないかと実は思っております。

 それで、ヤフーさんの情報に対する考え方が、実は、ヤフーの中にありますプライバシーセンター、要するに「プライバシーの考え方」というのがあります。その中に、ヤフーさんを利用するとあなた方の情報はどうしますよという話ですよ。

 そのときに、もともとが、「情報の収集と利用」というところに書いてあるんですが、

  ヤフージャパンは、ユーザーがヤフージャパンIDを登録する際、ヤフージャパンのサービスを利用する際、ヤフージャパンやヤフージャパンの提携先のページを見る際、懸賞広告などに応募する際に個人情報をお聞きしたり自動的に入手したりします。

というんですよ。

  また、ヤフージャパンは提携先等から入手したユーザー情報をヤフージャパンが保有している情報と組み合わせて使用する場合があります。

その後に、

  ユーザーがヤフージャパンにID登録する際、ヤフージャパンはユーザーの名前、メールアドレス、誕生日、性別、郵便番号、職業、業種、個人的な興味などをお尋ねします。また、ご利用いただくサービスの種類によっては、さらに詳しい個人情報をお尋ねする場合があります。ユーザーがヤフージャパンにID登録し、ヤフージャパンのサービスにログインすると、ヤフージャパンにとってユーザーは未知の人ではなくなり、

ということが書いてあるわけですね。これはかなり、最初から利用しますよということ、ほかのところよりも個人情報を利用しますということを最初に承諾を得ていますというような意味合いの個人情報に対するとらえ方なんですよ。

 ですから、私、これを見ていて、ちょっと違うのではないかと。総務省等で情報に対するガイドラインがありますが、それにのっとっているというふうに言っていますが、どうもほかのところよりも情報というものを使ってしまうといいますか、そういうことが、もう時間でございますのでやめますが、この問題、ただ漏えいしたということではなくて、やっぱりヤフーBBさん自体の問題点がかなりあると思いますので、どうか参考人としてこの国会にお呼びをいただきたいということをお願いいたしまして、本当なら質問の答えをお聞きしようと思いましたが、時間ですので、これで質問をやめます。

 ありがとうございました。

佐藤(勉)委員長代理 次に、樽井良和君。

樽井委員 民主党の樽井良和です。

 大出議員に続いて、四百五十一万七千三十九人、およそ国民の二十五人に一人の情報が漏えいした、これはまさに、本当に史上最悪の顧客流出事件であります。このヤフーBB恐喝未遂事件について質問させていただきます。

 先ほどからいろいろな質問が出ておりますが、それとはちょっと違う角度になりますが、このヤフーBBの顧客データを入手して、そして親会社のソフトバンクから三十億円の金をだまし取ろうとした犯人、このうちの三人に二人、湯浅輝昭容疑者、そして竹岡誠治容疑者は創価学会の会員だった、そしてそれぞれ地区の幹部であったというような報道がなされておりますが、これは真実なんでしょうか。(麻生国務大臣「だれに聞いているの。聞いている相手を言って」と呼ぶ)警察の取り調べの関係の方が来られていると思うんですが。

栗本政府参考人 お尋ねの事件につきましては、現在、警視庁におきまして、その全容解明に向けて捜査を行っているところでございますが、今お尋ねのような被疑者の身上関係等、具体的な捜査の内容にかかわりますことに関しましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

樽井委員 お答えいただけなかったようなんですが、実はこれは、ファイアウオール等で、要するに外部からの侵入、こういうときは情報というのは結構大丈夫なんです。大体十万以上の情報が企業からとられるとき、これは内部の人間が犯行に及ぶということなんです。ですから、総務省の方で管理する例えば住基ネットにおいても、内部の人間が犯行に及んだ場合は、これは情報の流出というものがかなりの確率で可能になってくるわけであります。

 今回の流出事件、これはまさにその内部。いわゆるエスエスティーという代理店、これを経営していた竹岡容疑者なんですが、この容疑者、ただの容疑者ではありません。かつて、一九七〇年に、当時、共産党の委員長、宮本顕治宅盗聴事件の主犯格なんですね。これは赤旗なんかにも載っておりますが、宮本委員長宅盗聴事件は創価学会が行った組織的犯行であるという判決が言い渡されましたが、まさに、電柱に上って盗聴器を取りつけたその実行犯がこの竹岡誠治被告なんです。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━実際にそういった中でのきちんとした管理体制というのはできているんでしょうか。(麻生国務大臣「だれに聞いているのか、聞く相手をはっきりせぬといかぬよ」と呼ぶ)大臣、お答えください。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 そういった場合は、だれに質問するかというのを決めて、それに対してあらかじめ質問は出すというのがこの委員会における基本的なルールになっておりますが、今の場合は総務大臣あてに質問を出されましたか。

樽井委員 いえ、先ほど……

佐田委員長 ちょっと待って。挙手をしてから発言してください。

樽井委員 先ほどお答えいただけなかったものですから、それによってちょっと質問をかえてみようと思ったわけであります。

 こういった中で、盗聴器を取りつけたような犯人が、どうしてヤフーBB、ここと契約を結んで、代理店契約をして、ずっと広がっていく。その中で、この恐喝未遂事件の舞台になった竹岡容疑者が経営していたヤフーBBとの代理店、エスエスティーなんですが、このエスエスティーの業務内容あるいは規模、こういったものを把握しておりますでしょうか。

有冨政府参考人 エスエスティーの関係でございますが、これもソフトバンクからの説明ということでお話をさせていただきたいと思いますけれども。

 まず、エスエスティーは、ソフトバンクBBの一次代理店でありますクラビットという会社がございますけれども、その間で平成十四年四月二十五日付で代理店契約を結んだといういわゆる第二次の代理店とのことでございます。

 このエスエスティーの業務内容と規模でございますけれども、ソフトバンクBBの提供するADSLサービスとIP電話サービスの契約の取り次ぎを業務としている。それと、エスエスティーと代理店契約を締結していた三次代理店がございますが、ここで活動実態があったのは六十七社というようなことでございます。

樽井委員 このエスエスティーなんですが、そのエスエスティーの代表、先ほどから言っております竹岡容疑者、これは、いっとき聖教新聞の広報担当部長であったことから人脈も広く、そして、ブロードバンド電話の普及を図っていたソフトバンクグループからの強い要請により、両社が注力しているこのBBフォンの代理店業務を行うようになった。そして、当社は、一次代理店という位置づけでありまして、実に、これは一週間ぐらいで、全国に一次代理店、二次代理店、三次代理店、こういった代理店、個人も店舗も含めまして千名、ここまで広げてきたわけであります。

 これは、どういったつながりがあれば、そういった千店、こういったものができると思いますか。

有冨政府参考人 具体的な経営、営業活動について私どもは承知しておりませんけれども、一部では、代理店等のそういう申込者が来たというふうなことの事実はあるようでございます。

佐田委員長 ちょっと、挙手をして。

樽井委員 これは、どこにかかわらず、何かの組織であるとかあるいはどこかの会社、こういったものが何かの目的で使うんじゃないか、そういったおそれが十分にこういう情報の漏えい事件にはあるわけであります。仮に、これはソフトバンク、四百五十一万人ですから、さまざまなことに流用されるようなおそれが出てくる、これが本当のところじゃないでしょうか。

 仮に、ソフトバンク側に買い取らせることにこの恐喝の容疑者が成功したところで、別の用途にも考えられるわけです。例えば、そういった恐喝しました、それでDVDが手元にまだ残っています、それをどういった用途にこれから先使われる危険性があると思われますか。

麻生国務大臣 仮定の質問にはお答えできないというのは普通、通常なんですし、私ども捜査機関でもありませんので、私に聞いていただいてもそれは無理なんです。

佐田委員長 ちょっと、挙手をして。

樽井委員 済みません。

 栗本刑事局長、いらっしゃいますか。よろしくお願いします。

栗本政府参考人 御指摘のような仮定の質問にはお答えいたしかねるところでございますが、いずれにいたしましても、本件につきましては、警視庁において現在、被疑者側の動機、背景を含め事件の全容解明に努めているところでございますので、御了解いただきたいと思います。

樽井委員 なかなか答えてはいただけない問題であります。

 個人情報保護法というのは、個人の情報を遵守するという目的で来年から出てくるんです。それで、そういった個人情報をちゃんと遵守しようじゃないか、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 実際に、そのDVD、いろいろなことに使われると思います。架空請求が会員に送られるような、例えば、現在おれおれ詐欺が横行しておりますから、そういった状態でヤフーBBの会員のところにヤフーBBとして請求書を送ってくる、そういった危険なことも起こり得る可能性が十分出てくると思っております。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 栗本刑事局長、よろしくお願いします。(発言する者あり)

佐田委員長 ちょっと、席に着いてください。席に着いてください。静粛にお願いいたします。

 樽井さん、今の質問はそれでよろしいんですか。それでよろしいんですか。推測で物事を言って質問をしてはまずいですよ。よろしいんですね、それは。

樽井委員 はい。

佐田委員長 正規の委員会ですから、まず挙手をしてください。

樽井委員 こういったリスクを伴うこと、これを栗本刑事局長、よろしくお願いします。(発言する者あり)どういったことに使われる可能性が捜査線上に今上がってきているのかという……。

佐田委員長 樽井委員に申し上げますけれども、その答えにつきましては、先ほど総務大臣も刑事局長も答えております。答えられないということでありますので、質疑を続けてください。

樽井委員 はい。

 実は、孫正義社長にとっても、黒字化が見えてきたときのやさきでありますから、これは寝耳に水だったかもしれません。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 本社の会員情報のデータベースにアクセスできたのは実に百三十五人。そして、先ほどからも言っておりますように、九十三人は外部の人材派遣会社の委託でありました。中には身元がはっきりしない人もいた。そんな中で、アクセスされた接続保存は、要するにだれがアクセスしたのかという情報は、一週間、これしか保存していなかったわけであります。

 また、パスワードも二、三人で使い回しをしていたというんですね。こういったことについても変更しなかった。極秘ですからといって、例えば百三十五人にパスワードを教える。この極秘ですからといって百三十五人に教える、例えば、これはもう、機密情報を百三十五人にしゃべってだれも漏らさないかというような、そんな話になってくるわけです。これは異常に驚くべき、性善説に立った経営感覚であります。

 顧客は、その情報を預けるからには、ちゃんと貸金庫と同じようにきちんと管理してくれといって預けるわけです。そういった管理してくれといって預けている情報に対して、とられちゃったとか、こんなんじゃ済まないわけです。こういった中で、実際に、あら盗まれちゃったじゃ済まないんです。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

佐田委員長 では、手を挙げて、どうぞ。

樽井委員 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 そういったことについての心配、こういったものは、たくさんちょっと質問を用意しておりましたけれども、なかなかこの答弁では答えてもらえるものがないので、そういったことを聞きたいと思います。

 そういったことにおいて、実に内部の人間に対するその信頼関係、アウトソーシング、そういったことで任せることにおいて、そういったデータがこれから先も、例えば住基ネットとかでも問題が起こり得ない、大丈夫だと思われているんですか、大臣。

麻生国務大臣 質問の趣旨が、よう話が飛びますので、私の老化した頭じゃなかなかついていき切らないんですけれども、おっしゃりたいことは窃盗の話ですね、基本的には。そういうことだよね。あなたの言っているのは、外部からハッキングの話ではなくて内部から盗まれる、内部から、いわゆる窃盗ですよね、法律的用語で言わせていただければ。その話をされておられるので、これは、窃盗が起きないようにするという話と住基ネットと一緒にされると、また話が込み入りますので。

 この間の長野県の話も、基本的には住基ネット本体には内部に協調者がいても外には出ていなかったという話と今の話と一緒にされると、このことを知っている人たちは物を知らぬ人だなと思うし、知らない人が聞いていると、何だか知らない、危ないかなという話で、妙な意味で足を引っ張る話になりかねませんので、これは仮にも国会の審議の場ですから、うかつな話は、これは前提条件をきちっとされた上でお話をされないと、いろいろ波及するところが大きいと思いますので、注意した上できっちりした話をしていただければと思います。

樽井委員 大事な情報があるわけです。それを、例えばアウトソーシングで外部の会社に頼む。そういうことをすれば、やはり外部の人間に対しては、会社のいろいろなセキュリティーの指導なりそういったものが行き届いていないわけですから、そういったことにおいて、このヤフーBBの事件を受けて、今後こういった事件がないように、アウトソーシングに任せる、委託する、こういったものを例えば制限するであるとか、そういった危機管理体制について何か大臣提案ありますか。

麻生国務大臣 基本的には、窃盗を前提にした話になりますと、一人にしても二人にしても三人にしても百人であろうと窃盗すれば同じことです。その人が窃盗したということさえわからなければ幾らでも出ることになりますので、この種の話は、いろいろな意味で、内部から盗みが出るという前提の話をどうするかと言われると、これはちょっとなかなか難しいかなと。そういう人じゃない人を雇っている会社が信頼される会社として今後繁栄していくということになるんだと思いますけれども、基本的には幾ら少なくしてもそこらのところは同じ。

 ましてや、アウトソーシングというような形の、この種のきちんとした話は、アウトソーシングというのをうかつにしている会社というのは、それはとてもじゃないけれども、何だ、あそこはそうらしいよということになっただけでみんな情報を引き揚げることになりますので、そのプロバイダーの会社も成り立たないということになってくるのが自然淘汰の形としては最も正しい形なんだと思います。

 ただ、基本的には、今申し上げたように、その種の話は、個人情報保護法という法律は、そういったものを保護するためにつくられた法律がもともとの法律の趣旨ですから、そういった意味では、この法律というものの本来の趣旨というものを考えていただければと思います。

樽井委員 個人情報保護法が来年四月から例えば施行される。そうしたら、今の段階において、飛び込みでと言ったら言葉は悪いですけれども、どんどんそういった、今のうちにとろうというような、今のうちに管理がはっきりしていないときにとろうというような態勢が出てくると思うんですね。

 実際に、もしそれが起こってしまった場合、今回のヤフーBBみたいに、そういった情報がもうとられてしまったんだ、こういった場合に、その後の追跡調査といいますか、そのとられた情報が、どういった情報に、どういった目的で使われているのか、こういったことの捜査に関してはどういった取り組みをやっていかれますか、栗本刑事局長。

栗本政府参考人 先ほど申し上げましたように、既に恐喝未遂事件については捜査中でありますし、また、この前提としての顧客情報等が漏えいしたと思われることについても前提になった上で、この事件の全容を解明するために現在鋭意努力をしているということでございます。

樽井委員 今回の例えばヤフーBBで流出した情報、これが何らかの目的で使われたときに、それがわかる、あるいは捜査の中でそういうふうなものを何に使ったか、後でそういうふうにわかるというような捜査というのは、実はやるんでしょうか。その辺、ちょっとお聞かせください、栗本刑事局長。

栗本政府参考人 当然、関連する情報の入手、あるいはそれが他に使われていないかどうかということも先ほどの事件の全容解明の中に入っておりますので、わかるかどうかではなくて、それが仮に法律あるいは証拠に基づいて刑罰法令に触れる行為ということであれば、それについて捜査をし、厳正に対処するという基本方針で対処しているところでございます。

樽井委員 実際にとられた情報は売り買いもできるわけです。そして、先ほども言いましたように、DVDとかですと、何枚でもコピーして、どんどんあちこちに散らばっていく、こういったこともできるわけです。

 中には、今回はクレジットカードの情報であるとか、あるいはそういったものは入っていませんでしたが、例えばこれはカード会社の情報ですと、家族構成でありますとか、あるいは住宅ローンが何ぼ残っているとか、そういった情報までどんどん入ってくる。

 先ほどの住基ネットのように、例えば役所に登録するときには人間というのは非常に警戒して登録するわけです。ところが、ネットでありますとか、あるいはちょっとしたそうしたカードの入会とか、そういったところに書くときにはえらい無防備な登録の仕方、こういったものをやっていくわけであります。

 こういった業者の中には、非常に悪質な業者もあると思います。例えば、占うというような目的でインターネットを見ていたら、そこで生年月日を打って、占いのページだからというのでいろいろ住所とか打っていく。それを悪用する、悪用するといいますか、いろいろな業者に売る、そういったことも多々起きていくわけであります。

 そういった問題に対して、何か対処する方法はありますか、大臣。

麻生国務大臣 何でもかんでも大臣に聞いたら全部教えてくれるという指導をしているのかね、そちらは。

 ガイドラインというものは目的外の使用を認めないというようにしているんだというのが基本的な観念だと思います。

樽井委員 例えば五千人以上のそういった名簿でありますとか、そういった場合は簡単にできるんですが、そうではなくて、一人ばっとデータを送信してしまう、それをどんどんと盗まれてどこかの会社に蓄積していってしまう、そういったことにおいて情報がだんだんと漏れていく、これが一つのIT社会だと私は思っております。そういったことにも対処をしていかなければならない、そういった中でこのヤフーBBが今回起こした大規模な流出事件なんです。

 この中で、私、実はこれは、ヤフーBBは被害者なのか加害者なのかと感じたときに、実は加害者の部分がかなりあると思っております。先ほどからも言っていますように、全くセキュリティー的に、百三十五人のそういった外の、例えばアウトソーシングの会社九十二名、こういったところも情報がとれるようになっていた。そして、苦情がかかってきたら、こうやって客のデータを見る、そういったところにも何千も映るんです。それをどんどんどんどんととって蓄積していけば、ちゃんとした名簿ができ上がっていく。そういったところからもどんどんと名簿がとれていくわけです。

 こういった状況の中で、全くこの危機管理をしていなかった孫正義社長、まさに本当に六百万人に会員をふやすんだというような、そういった目的があるんなら、ここでそういった信用を取り戻すためにも、今回はこういう対応をちゃんと考えているんだ、そしてこれからはこういうふうに気をつけていくという、ちゃんとそういった答弁をするべきであると私は考えております。

 このヤフーBBの事件、時間がなくなってきましたので、最後に、きょうはちょっと質問を考えていたんですが、全然言えない質問ばかりになってしまいましたので、アドリブで先ほどからずっとやらせていただいておりますが、孫正義社長、ソフトバンクCEO、最高責任者であります孫正義社長の参考人招致を強く要求して、質問を終わらせていただきます。

佐田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 ソフトバンクBBの個人情報漏えい問題について質問をいたします。

 過去最悪の個人情報流出という点でも極めて重大な事件であり、電気通信事業者のソフトバンクBBに対する総務省の監督責任が厳しく問われていると思います。

 最初に幾つか事実の確認をしたいと思うんですが、ソフトバンクBBでは、個人情報のデータベースにアクセスできる人数は最大時何人いたのか、また、ソフトバンクBBにおけるアクセスログの保存期間は何日とされているのか、この点をお聞きいたします。

有冨政府参考人 ソフトバンクBBによりますと、個人情報データベースへのアクセス権限が付与されておりましたのは、その平成十四年七月の時点では、百六十七アカウントというようなことだったということでございます。

 それから、保存期間でございますが、ソフトバンクBBによりますと、事案発覚時点における個人情報データベースのアクセスログの保存期間が一週間であったということでありまして、この二つにつきましては、先ほど答弁申し上げましたが、改善をするということで報告は受けております。

塩川委員 百六十七アカウントですから、実際にアクセスできる人数でいえば当然ながらもっと多いということだと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

有冨政府参考人 今申しましたのは、アカウントの数字でございます。これは社内では複数の人間が使っておったということでございますので、トータル何人かということについては承知しておりません。

塩川委員 この個人情報漏えいの問題については、一九九九年に幾つもの電気通信事業者の事件が起こって大きな問題となりました。その際に、当時の郵政省も、それぞれの事案に対してプレス発表なども行い、対処方を発表しております。

 そこで、事務方の方にお聞きしたいんですけれども、九九年十月五日、NTTグループの個人情報漏えいに関する措置についてのプレス発表があります。その中で「各社の調査結果報告の概要」というのが寄せられております。その冒頭に「社内調査の状況」ということで二行ばかり書いてありますが、そこを読み上げていただけますか。

有冨政府参考人 その各社の調査結果概要の中の「社内調査の状況」ということでございますが、「監査ログ分析システムの導入により、お客様情報データベースにアクセス可能な社員等の過去一年間の監査ログの分析・チェックを実施した。」こういうふうに書いてございます。

塩川委員 この九九年のときのNTTグループの情報漏えい問題については、社内調査で、少なくても過去一年間分についてのアクセスログが保存されていたということがここでもはっきり明らかとなっています。当然のことながら、実際にはもっと長い期間保存していたと思うんですけれども。

 一方で、NTTグループは、これは東西とドコモも当然含まれるわけですけれども、一年は最低限アクセスログを保存していた。これに対して、ソフトバンクBBではわずか一週間だった。何でこんなに違うのか、この点をお聞きしたいと思います。

有冨政府参考人 電気通信事業者がどのぐらいの期間アクセスログを保存するかということは、各社によってさまざまでございます。数カ月あるいは数年というのもあるようでございますが、ソフトバンクについては、そういうことについての意識が非常に低かったということが結果として言えるんではないかと思います。

塩川委員 報道では、NTT東日本の三浦社長は、このアクセスログの保存期間というのは二年間だというふうに言っておられるそうです。要は、このアクセスログがきちんと保存されているということが、情報漏えいに当たっての、当然のことながら大きな抑止力になる。後でばれるかもしれない、こういうものになるわけですから、その抑止力としてのアクセスログの保存期間というのは極めて重要だ。

 あわせて、アクセスできる人数についても、NTTドコモなどについては指紋認証までやるような形で具体的に徹底をしているわけですね。こういうのに比べても、同業他社と比較して、ソフトバンクBBにおける個人情報の管理体制は余りにもずさんだったわけであります。

 このアクセスログの保存期間について、例えば、最低限このくらい保存すべきだ、こういう規定というのは、総務省がつくったガイドラインですとか、そういう中にはありませんか。

有冨政府参考人 ガイドラインの中には具体的な規定はございません。

塩川委員 この点が極めて重大だと思うんです。

 具体的に九九年のいろいろな事件で個人情報漏えいの問題について問われたときに、少なくともNTTグループにおいては二年間とか期限をきちんと設けて、あるいは、ほかの事業者では半永久的というところも含めてやっているわけですね。

 そういう際に、ソフトバンクBBについては、これを甘やかすように、具体的な問題についても、このアクセスログの保存期間についてただしていかない。私は、何らかの基準というのを本来はこの時点でつくっておくべきだったということが問われていると思います。

 九九年の際に、NTTやJフォンやあるいはDDIポケットなど頻発した個人情報の漏えい事件の際に、当時の郵政省が出したプレス発表の文書、先ほども紹介しましたけれども、NTTグループだけではなくて、JフォンやDDIポケットについても出しているんですが、共通して書かれている文言があります。

 それは、当時の郵政省として、「電気通信分野におけるより適切な個人情報保護の在り方について、法制化も視野に入れて幅広く検討を行い、所要の措置を講じて参る所存です。」と法制化も視野に入れて具体的な措置をとっていくんだということが出されているわけですが、この約束は果たされているんですか。

有冨政府参考人 先ほどから大臣が御答弁されておりますが、堀部先生を座長とする懇談会を開催しておりまして、それで、その法制の可能性あるいは具体的にガイドラインの見直し等も含めて、今検討していただいているところでございます。

塩川委員 本来やるべきことをやっていなかったということ、今さらながらやるということですけれども。

 では、今お話が出た電気通信事業分野におけるプライバシー懇談会、今やっているそうですけれども、このメンバーにはソフトバンクグループの人間もいるわけでしょう、ヤフー株式会社の人間が。これは問題じゃないですか。この懇談会での具体的な会議内容について、資料について全面的に明らかにしてもらいたい。こういう人間がメンバーにいるということについて、これでいいのか。そのあり方について、ぜひ大臣、御答弁をください。

麻生国務大臣 失敗したから逆に頑張るということもあるでしょうし、いろいろなことを考えられて、幅広く考えないかぬのだと思います。その人が犯罪者でもない限り、いろいろな情報を得るためには、ソフトバンクは入れちゃいかぬとか、NTTだって過去にさかのぼるとみんな少しずつあった経験をもとにして、きちんとしたものを立ち上げられたんだと思ってもおります。

 今回の四百何十万はちょっとけたがでか過ぎますので、正直びっくりする数字ではありますけれども、こういったことを二度と起こさないためにも、逆に、何でそういったことが起きたかという話はきちんとした形で、今後そういったものを未然に防ぐためにも、ソフトバンクは逆に入れた方がいいのではないかという意見もあるということなんだと思っております。

 いずれにしても、こういった先生のところで、懇談会で今やっておる最中でもありますので、その結論を待ってきちんと対応いたしたいと思っております。

塩川委員 こういうときだからこそ、やはりこういう人選についても考えるべきじゃないかと私は申し上げたい。

 本来、たび重なる個人情報漏えい事件が起きた九九年のときに、法制化の整備を行うとか、あるいは、せめてそのガイドラインの具体的な指針というのを、もっと実情に即したものとして、今述べたようなアクセスログの保存期間も含めて、具体的に行っておくべきだったと思います。

 この間、ソフトバンクの問題で明らかになったように、個人情報にアクセスしたのがだれかも特定できない問題とか、外部のサポートセンターからもアクセスが可能だった、こういう問題が大きかったわけで、本来総務省が法整備やガイドラインの改定などやるべきことをやっていればこの情報流出は防げたはず。ガイドラインを放置してきた総務省の責任が問われていると思います。

 改めて大臣に、今議論になっている情報通信分野での個人情報保護の個別法をつくる、これを直ちに行うべきだと思いますけれども、ぜひ御答弁をお願いします。

麻生国務大臣 衆議院、参議院の方でそれぞれ附帯決議もつけられているところでもあります。十七年四月一日施行までというのは参議院の附帯決議として出されておりますので、それに沿って、審議会の答申もよく見た上で、きちんと対応いたしたいと思います。

塩川委員 個人情報流出による二次被害も心配されるところであります。

 加入者のところにメールが送られてきておりますけれども、その文言の中にも、これは写しですけれども、身に覚えのない請求がございましたら御注意くださいと書かれてあるわけですね。今回のお客様情報の流出につきまして、一部のお客様より、身に覚えのない請求が届いているという御相談もいただいております、だから御注意くださいという形でメールが届いているわけです。

 この点で、総務省は、具体的な情報流出においての実害がどんなふうにあらわれているのか、これをどういうふうに把握しているのかをお答えいただきたいということと、そういう中に信用情報が流出をしていないと断言できるのか、ここをお聞きします。

有冨政府参考人 ソフトバンクの今回の流出にかかわることについてでありますと、その実害はよく承知をしておりません。具体的な報告もまだ受けておりませんので、現段階ではお答えできないという状況でございます。

塩川委員 把握していないからお答えできないということでした。

 あわせて、このソフトバンクBB社の場合に、契約者の住所や契約日などといった条件で検索をかければ、サポート部署のパソコンから条件に合致する顧客データすべてを引き出すことができた。この操作が可能なサポート要員は、総計すると数千人にまで上っていたことが明らかになった、こういう報道ですけれども、これは事実かどうか、総務省として確認をされましたか。

有冨政府参考人 先ほど御答弁申しましたように、そういう利用ができるというアカウントの数が百六十七、それから、従業員もできるということでありますが、実数は把握をしていない、わからないということでございましたので、私どもとしては具体的な数字は持っておりません。

塩川委員 このサポートセンターから、今言ったように、幾つかのキーワードを入れればそれに合う顧客データが全部出てくる、こういう事態になっている、こういうシステムになっているということは確認をされていますか。

有冨政府参考人 システム的にはそういうものであったということは承知をしております。

塩川委員 私は、真相解明に当たっても、再発防止対策をとっていく上でも、やはり当事者であるソフトバンクの孫社長に参考人としてもおいでいただいて、具体的にこの問題についてぜひともお聞きしたい。それが企業としての社会的な説明責任を果たす立場でもあり、国会として、国民の信託を得た者として、そのことが求められている。まさに委員長として、孫ソフトバンク社長の参考人出頭の要求について、理事会での協議をぜひお願いします。

佐田委員長 その件につきましては、理事会で後ほど協議させていただきます。

塩川委員 これを機に、こういう不正事件が二度と起こらない上でも、総務省の監督責任についても大いにただしていく、このことを改めて強調して、質問を終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 この信じられないようなと言ってもいいような個人情報漏えい事件が起きてしまったわけですが、ヤフーBBの顧客情報を持っているぞと、ヤフーBBを運営するソフトバンクBB社に対して現金をおどし取ろうとした者が逮捕されたわけですが、何と数十億円を要求したということでございます。ヤフーBBの加入者と加入予定者の顧客情報、四百五十一万人というお話がございましたが、これを入手していたというわけです。

 ただ、この情報が、先ほどから御説明ございますように、クレジットカードの番号は含まれていないということでございます。これはある意味では、私は非常に不幸中の幸いであったと思うんですね。もしクレジットカードの情報が含まれていたら、大パニックが起きていたであろうというような事件だと私は思うんですね。

 今まさに電子商取引の時代でございます。クレジットカードの番号さえあれば、物の売り買いでいろいろなことができるわけで、大変な被害が発生していただろう。そういった意味では、クレジットカードの番号が含まれていなかったということは大変不幸中の幸いであるというふうに思っております。

 また、この事件と別に、ソフトバンク社の関連会社のサポートセンターで仕事をしていた者がヤフーBBの顧客情報を盗用し、こっちは盗用し、これをもとにソフトバンクBB社を恐喝していた。そしてまた逮捕された。いわゆる二つの個人情報漏えい事件が発生したわけでございます。

 このことに対して、きょうの質疑の中で麻生大臣は、今回の事件で、いわゆる情報通信の中でのこういった事態において一番心配なのは、信用が損なわれてしまうことであるというお答えをいたしました。信用で成り立つ世界でもあるわけでございますので、大変な情報を提供するわけですから、そこがまず損なわれてしまったという御心配をされておりますし、確かにそのとおりだと思います。

 電気通信事業者に対する個人情報の保護に関しては、利用者の権利保護を目的として、取り扱いに関してはガイドラインというものが策定されております。しかし、このガイドラインが策定されて、しかも平成十年には改定をされた。にもかかわらず、電気通信事業者からの個人情報の漏えいは後を絶たないわけですね。先ほどから個々に事例を挙げておられましたけれども、次から次へと起きている。そして今回とんでもない漏えい事件が起きてしまった。

 ガイドラインがあるにもかかわらず、なぜこのような事件が頻繁に発生するのか、その原因はどこにあると総務省は御認識しているのか、お聞かせいただきたいと思います。

有冨政府参考人 最近、電気通信サービスの高度化あるいは多様化というものがどんどん進んできておりまして、従来ですと、電話番号を使うというようなビジネスの範囲でしか電気通信事業者の個人情報というものは大きな意味がなかったのかと思いますが、最近は、先ほど申しましたような高度化、多様化に伴いまして、その個人情報のビジネス活動に利用される度合い、これがふえておりますし、したがって、その分だけ個人情報の価値が高まっている、そこでそういったいろいろな形の問題が出てくるということが背景にあるのではないかというふうに思っております。

横光委員 こういうガイドラインがある、改定をされた。にもかかわらずこういった漏えい事件が続く。要するに、ガイドラインが実効性がないということになるんじゃないんですか。どうぞ。

有冨政府参考人 事案が起こったことについては極めて遺憾だと思っておりますが、私どもとしては、その事案が起こるたびごとに、各該当する事業者並びに事業者協会等々を通じまして幅広く注意を促しているということでありますし、また、先ほどから御答弁申し上げておりますが、個人情報保護に関する懇談会におきまして、そのガイドラインをより効果的なものに見直すというようなことで御議論もいただいているということでございまして、さらに、その個別法につきましても、視野に入れながら検討を進めているというところでございます。

横光委員 さらに実効性を伴うようなことを今考えておるということ、これは、先ほどから大臣の説明もございますように、個人情報保護法ができたときに衆参の附帯決議に書かれております、情報通信の分野で個別法を早急に検討すること、もしそういったことが起きた場合はこういうことも必要であろう。そして、そういうことに対して検討すると大臣も言われております。その場合、何よりも、実効性を伴わない改正といいますか検討じゃ意味がないわけですね。

 非常に難しい問題だと思います。今言われたように、IT技術というのは物すごい勢いで高度化しておりますし、ある意味では不正アクセス等のそういった技術も逆に高度化しているのですね。イタチとまさに追いかけっこぐらいの厳しいことであろうと思っておるのです。

 こういったときに、電気通信事業者は、今、非常に代理店への委託業務が増大しておるのですね。しかし、代理店へのいわゆる規制というのは今のところそんなに厳しくない。今度のガイドラインの見直しを検討するという中で、このあたりの規律に対してはどのようなお考えをお持ちですか。

有冨政府参考人 電気通信事業のビジネス展開におきましては代理店を使うということが非常にふえておりまして、したがって、この代理店等における顧客の情報管理をどうするかということは、先ほどから問題になっておりますように大変重要な課題だということでございます。

 したがって、先ほど申しました電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会の中でも、先般、代理店等における安全管理措置についてどういうふうな措置をしたらいいか、そういう観点で、ガイドラインに追加すべきではないかというような方向で今御議論がなされているところでございます。

横光委員 今回、ソフトバンクBB社は、この事件に関して、ヤフーBBの会員に対しておわびとして五百円相当の金券を送ると発表しております。報道によれば、これによりソフトバンクBB社は四十億円程度の支出が必要であると言われておるのですが、これは金の問題じゃないと思うのですね。

 しかも、金額が五百円。このおわびで了承する会員が果たしてどれくらいいるか、それはわかりませんけれども、私は、そういった五百円程度の金券をもらうより、そして四十億円も使うんならば、そういった金を再発防止のために万全を期するよう措置することをみんなお客さんは望むんではないかと思っております。このようなおわびの、いわゆるヤフーBBの姿勢に対して、大臣はどのようなお考えをお持ちですか。

麻生国務大臣 前に同じような漏えいの話があった中で、ローソンというのが一つあった。そのときが五百円だったというので、多分それを今回も同じような感じで使われたんだと、推察で、まあ気持ちとしてはおわび、総額約四十億というのは結構な金ですので、そういったところだと思っております。

 ただ、先ほど大出先生からの質問にもあっておりましたけれども、この話が出た後の、直ちに対応というので、いろいろな苦情が出てきたのに対する対応の仕方が、ちょっとなかなか統一性がとれているとは言いがたいような話が多かったものと私どもも聞いておりましたので、苦情、問い合わせ等々に対しては、専用窓口、電話の回線の窓口をあけることとか、メールによる全加入者に対してのおわびといわゆる報告、それから、メールアドレスを変更しますという方も出てきますので、そういった方々には無料で全部そういった対応をするなどなど、幾つか総務省としてはそれなりの指導をしたところではあります。

 ただ、いずれにいたしましても、ちょっと数のけたが大きいものですから、雰囲気的にはちょっとショックというか、普通とはけたが違って大きかった、四十万ではなくて四百万ですから。それは確かにけたが大きかったと思いますので、そういった意味では、今後とも、この種の話は、四百万の割には先ほど大出先生のおっしゃるとおり少々ちょっと管理が甘いんじゃないかという点は、僕は書いてある話が本当かどうかわかりませんから何とも言えないのですが、あれがもし事実とするならば、もう少しきちんとされて対応しないと、同じようなことになりかねないという危惧がありますので、きちんと対応してもらいたいと思っております。

横光委員 今回、やはり二次被害がまだ出ていないということでございますし、しかし、もしこれが悪用された場合の責任は一体だれが負うのかとか、もちろんその悪用した本人が一番負うわけですが、それだけで対応できるのか、そうした場合、ヤフーBBの、ソフトバンクBBの責任はどうなるのかとか、あるいは、今、この問題が起きたときに、一番大事なことは再発防止である。今いろいろな施策をおっしゃいましたが、当然やっていただきたい。

 そして、私は、一つの提案でございますが、注意喚起する。これはやはり四百何十万というのは大変な数でございますけれども、例えば電車のつり広告で、やはりサラリーマン、学生、家庭の主婦、いろいろな方がおるわけですから、そういったインターネットだけではいろいろわからない人もおるわけですから、こういった注意喚起等の広告もやったらいいんではないかというような思いも持っております。

 大事なことは再発の防止ということでございますので、総務省挙げて対応していただきたい、このことをお願い申し上げまして、終わります。

佐田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五分散会


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