衆議院

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第13号 平成16年4月13日(火曜日)

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平成十六年四月十三日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      岩崎 忠夫君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    北村 誠吾君

      小西  理君    自見庄三郎君

      菅原 一秀君    田中 英夫君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    西村 明宏君

      萩生田光一君    松本  純君

      三ッ矢憲生君    山下 貴史君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      川端 達夫君    黄川田 徹君

      須藤  浩君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      山花 郁夫君    若泉 征三君

      河合 正智君    古屋 範子君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   議員           武正 公一君

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        田端 正広君

   総務副大臣        山口 俊一君

   法務副大臣        実川 幸夫君

   総務大臣政務官      小西  理君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            武智 健二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            有冨寛一郎君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   鈴木 康雄君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国際社会協力部長)     石川  薫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           岩田 悟志君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     北村 誠吾君

  岡本 芳郎君     菅原 一秀君

  西田  猛君     西村 明宏君

  長沢 広明君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     今井  宏君

  菅原 一秀君     岡本 芳郎君

  西村 明宏君     西田  猛君

  古屋 範子君     長沢 広明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)

 電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案(武正公一君外四名提出、衆法第二一号)

 通信・放送委員会設置法案(武正公一君外四名提出、衆法第二二号)

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇七号)

 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇八号)

 市町村の合併の特例等に関する法律案(内閣提出第一〇九号)


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 この際、小西総務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。小西総務大臣政務官。

小西大臣政務官 おはようございます。

 このたび総務大臣政務官を拝命いたしました小西理でございます。

 世耕大臣政務官及び松本大臣政務官とともに、麻生大臣を補佐し、全力を尽くしてまいりますので、佐田委員長初め、理事、委員の皆様方の格段の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

佐田委員長 内閣提出、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案並びに武正公一君外四名提出、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、麻生総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 先般、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案の提案理由について御説明をさせていただいたところでありますが、審議に先立ち、改めて追加的に御説明を申し上げます。

 今回の改正の一部には、登録証明機関の業務規程について、届け出制への改正など、本来、昨年の通常国会で成立させていただきました電波法の一部を改正する法律案において行うべきであったものが含まれております。法案作成時の確認が不十分であったことから整備漏れとなっておりますため、遺憾ながら、今回、改めて、本法律案の中に組み入れて、御審議をお願いすることといたした次第であります。

 ここにおわびを申し上げ、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

佐田委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、総務省自治行政局長畠中誠二郎君、情報通信政策局長武智健二君、総合通信基盤局長有冨寛一郎君、政策統括官鈴木康雄君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長石川薫君及び経済産業省大臣官房審議官岩田悟志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。

寺田委員 おはようございます。民主党の寺田学と申します。

 きょう、一番バッターということでちょっと早く来ますと、我が党の人がだれもいなかったので、あれ、きょうも休むのかなとちょっと不安になった次第であります。

 前回の委員会は、いろいろな政治のこともあるんだなということで、部屋で拝見させていただきました。その中で、いろいろな議論がされていたんですが、一番参考になったことは、今はもうITの時代ではないと麻生大臣がおっしゃられて、今はコミュニケーションが入ってICTだという発言をされていました。確かにそのとおりだなと。以前、ITのことをイットと読んだ英語に堪能な方もいらっしゃったみたいですけれども、もうそういう時代ではないんだなというのを深く痛感しております。

 私も議員会館の方では、インターネットを見る際には無線LANというものを使っていまして、有線よりは高いんですけれども、やはりどこにいてもネットが見られるし、メールチェックもできるということで、非常に便利だなと思いつつ使用させていただいています。

 そういうことが、私の行動が如実にあらわすとおり、無線であって、高いんだけれども、やはり利便性がゆえにそういうものを利用する人がふえている。ある種ビジネスの芽というものはかなり大きくなってきたんではないかなと思います。情報家電を含めて、電波関連ビジネスは十年後に百兆円規模になるだろうという試算も出ているほど、今一番電波ビジネスというものは注目されていると思うんです。

 以前までは、有限ということで、公益性ということを一つの主眼として持っていたはずではありますが、だんだん、ITビジネスの増大とか、ひいては、それをもって景気回復だ、もう一歩進んで、産業構造を変えていこうという流れまで出てきている。

 現に、総務省の炭田総合通信基盤局電波政策課企画官の本を読ませていただいたんですけれども、その中でも、「日本のITビジネスが元気を出して日本経済を再生し、世界をリードしたい。その中核になるのが、ワイヤレス産業であろうと思います。いわば、電波がイニシアティブをとって、わが国のITビジネスをぐいぐい牽引するわけです。」と大変心強いお言葉を残されているのを見て、そのとおりだなと思っています。

 そういう意味も含めまして、ある種、有限であるから公益性だという一つの主眼であったものが、だんだん、経済性、ビジネス性というものが、今の電波産業、電波の行政をやる上では大事になってきたんではないかなと思います。

 そういう意味も含めまして、麻生大臣にお伺いしたいんですが、公益性という部分から、経済性、ビジネス性というものを今主眼に入れていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今寺田議員御質問のありましたように、基本的には、今猛烈な勢いで伸びている部分、新しい技術の進歩に伴っていろいろ新しい技術が、二年たったらもうとてもじゃないというぐらいな猛烈な技術進歩が進んでいる段階のところですから、そういった意味では、電波というものを使っているということにおいては同じなんです。

 その電波の使い方が、指先でやったり、五本の指でやったり、十本の指でやったり、いろいろやり方が違うということなんだと思いますが、そういったものを考えたときに、いわゆるビジネスの部分と、それから電波という限られた帯域でありますので、その帯域を使わせるものの使い方というのは、どちらが絶対かということはないんであって、そのバランスが極めて大事なんだと思います。

 もうかるだけでやらせていた場合、いろいろ、他の国でも、安ければいい、速ければいいというだけではいかぬというところが判断のなかなか難しいところだと思いますので、そういった意味では、総合的な判断が必要なんだと思っております。

寺田委員 バランスが大事である、総合的に判断しなければいけないという発言があったとおり、それは、いわば公益性だけではなく、経済性、ビジネス性も組み入れるという御発言であったと解釈します。

 そういう観点を持って、電波行政のシステムのこと、新規参入のあり方、そして今回提出された給付金制度というものを使ってエグジットさせるやり方、そして電波の全体的な電波利用料という話、それを順を追って質問させていただければと思います。

 まず、新規参入者の選定方式についてなんですけれども、今、比較審査方式をとられている、そのそもそもの趣旨というものを御説明いただければと思います。

有冨政府参考人 電波につきましては、同じ周波数の電波を同時に使用しますと混信が生じるというようなことで、通信としての利用ができなくなる性質がございます。これがまず基本的な性格でございます。

 それから二つ目が、また、周波数が違いますと、技術的な性質が大きく変化します。したがって、携帯電話とあるいは放送とでは、その利用形態が違いますが、使いやすい周波数帯も違ってまいります。その結果、それぞれの無線サービスに配分できる電波の量というものは有限になりますので、その有効利用というものをどうするか、これが行政課題というふうに認識をしております。

 したがって、例えば、利用希望が多い周波数帯を利用し、広い地域で排他的に特定の電波を確保する必要がある、携帯電話事業のようなものがそうでございますが、周波数の制約から、参入枠というものが通常少数しか確保できない実情がございます。

 このため、携帯電話の免許などにつきましては、新規参入希望者が参入枠を超える、こういった場合につきましては、有限、希少な電波資源が国民生活にとって最もプラスになるような使い方をする者、これを選定する必要があると考えておりまして、単に支払い金銭額の多寡のみで免許人を選定するオークションではなくて、サービス提供計画あるいは技術力などに関して総合的な観点から申請内容を審査して、国民が納得できるような形で最良の免許人を選定する、かかる観点から比較審査方式というものを採用する、そういうことにしているところでございます。

寺田委員 長々と御説明いただいて本当にありがたいことなんですけれども、いわゆる有限である、それが一番だみたいな感じの御発言だったと思うんですが、先ほど麻生大臣がおっしゃられたとおり、総合的に、バランスをとってということが大原則である以上、やはり市場原理というか、一つビジネス性というものを組み入れたような制度が必要であるということは、先ほどの大臣の話の帰結であれば当然かなと思うんです。

 そういう部分で、では、総務省の方が比較審査方式においてビジネス性を取り入れたというような判断ができるか。私は、通産省ぐらいの方だったらできるかと思うんですけれども、ちょっとそういう部分は難しいんじゃないかなと。やはりそういうものは、ある種市場原理というものを一つ組み入れたというか、ビジネス性というものをより反映させるような方式を取り入れる必要があるんではないかと思いますけれども、麻生大臣、いかがでしょうか。

田端副大臣 先生御指摘のとおり、そういう柔軟な考えをしたらどうかということでございます。

 確かに、ビジネスということを考えれば、そういうことを今後考えていく必要があろうかなというふうに私は思います。しかし、今もお話ありましたように、その公共性、それから、そういう限られた資源である、それから、国民にどういうふうにこれを還元していくか、そういったことを考えますと、おっしゃるようなビジネス性というもの、つまりオークションにしたらどうかというお話だと思いますが、そこのところはやはり慎重に考えざるを得ない、こういうように思います。

 それは、御存じのとおり、オークション方式というものを導入すれば価格が高騰してしまうという結果がこれまでも欧米において見られているわけで、特に欧州においては、はっきりとした今までの事例がございます。それが国民へのサービスを遅延させ、あるいはまたサービスの開始をおくらせてしまうとか、こういったことにもなっておりますし、それから、IT産業そのものも非常に後退させてしまったといいますか、産業をおくらせてしまった、こういう結果ももたらしているわけであります。

 そういう意味では、オークションというあり方は、一つの方法ではあろうかと思いますけれども、国民生活にとって最もプラスになるのは何かということを考えていけば、政府としては、ここはなかなかオークションということに思い切れないものがあろう、こう思います。

 特に、大臣が今御説明しましたように、サービスの提供、あるいは技術、あるいはそういったものを総合的に判断するということがどうしても基本にならざるを得ない、単に金額の多寡による免許、そういうあり方というものは適当でないという結果にならざるを得ないと思います。

 しかし、比較審査方式という形の中においても、そこの経済性ということを考えていく必要があろうかと思いますので、電波利用料について、その経済的価値ということを追求していく必要が私たちもあるというふうに認識しておるところでございます。

 総務省におきましても、電波利用の研究会を昨年一月から開催していただきまして、そうした論点整理を昨年十二月に公表し、そしてまたパブリックコメントも募集した上で、できれば年内にそういう方向で一定の結論を出したい、こういうふうに今考えているところでございます。

寺田委員 端的にお伺いしまして、では、先ほど麻生大臣が言われたバランス、総合的にという部分を踏まえてですけれども、新規参入部分においては、有限であるから公益性を重視されるということでよろしいですね。

田端副大臣 総合的にということで、公益性というものが非常に大事になってくる要素であると思います。

寺田委員 私も、公益性というものは、非常に有限であるから大事だなと思います。

 先ほどの総合的に、総合的にという言葉にこだわるのですが、であるならば、比較審査方式と、若干公益性が崩れても支障がないという部分はオークションでやってみよう、そういうものを並列してやってみるということも考えとしてはあると思うんですが、そういうものは、なぜに並列して行う、並列して制度としてあるとそれはだめなのか。そしてまた、結局、昨年の委員会質疑を見たところ、オークション制度も検討の余地があると片山大臣がおっしゃられている部分がありましたので、そういう部分を含めまして、並列して置いておく制度というものを考える余地はないんでしょうか、お伺いいたします。

田端副大臣 確かに、おっしゃることはよくわかるのでありますが、しかし、公益性という、この限られた電波というものを考えた場合には、いろいろな問題点がオークションにした場合は起こってくるであろうと思います。

 例えば、さっきも申し上げましたが、英国においては、免許数が五つであったにもかかわらず十三の事業者が競争したために、大変な高騰をいたしまして、四・五兆円という落札価格になりました。それから、ドイツにあっては、免許数が六つに対して七事業者が競り合って、五・八兆円という大変な高騰をいたしました。一免許一兆円ぐらいの金額になっているわけであります。

 このために、ドイツ、イギリスにおいては産業が非常に後退するという、こちらにお金がかかってしまったために、非常にそういった意味でおくれてしまった、こういう結果があるわけでありまして、だから、日本のように非常に国際的なGDPの高い国家においてオークションをした場合には、非常に高騰するのではないかということは当然予想されるというふうに思われます。

 そういった意味で、私は、おっしゃる意味はわかりますけれども、しかし、なかなかそこのところは、経済性ということを余り優先してしまうと大変なことになって、逆に産業の衰退になってしまうのではないかということを考えるわけであります。やはり、電波資源というのは国民生活にとって最もプラスになるように判断していくというのが政府として考えざるを得ないと思いますので、先ほども申し上げましたとおり、経済性については電波使用料のところで考えていくべきではないか、こう思います。

 それから、片山大臣のおっしゃったのは、私も読ませていただきましたが、オークションについて、「一つのあり方で、研究する余地はあると思っておりますけれども、ヨーロッパ型の無制限のようなオークションはなかなか問題があるな、問題が大きいなと、現実もそうですから。ただ、将来の研究課題だ、こう思っております。」こういう答弁であったと思います。

 したがって、片山大臣の言っている意味では、今申し上げましたように、問題がやはり大きいので、考え方としては、将来の研究テーマとしてあるべきだ、こういうことをおっしゃったわけでございまして、それを受けて、今日、総務省における電波利用政策研究会においてこの問題について検討をして、この一年間で議論した結果を踏まえて、導入は適当でないという結論になっているということでございます。

寺田委員 新規参入の制度、そのあり方については大体お伺いいたしました。

 続いて、今回の給付金制度というもの、新たに創設されて、余り有効に利用していない方を出して、いい人を入れようという制度だと思います。給付金制度の趣旨というものを、簡単にで結構ですので、事務方の方に御説明いただければと思います。

松本大臣政務官 お答えをいたします。

 給付金の制度でありますが、給付金は、例えて言えば、新規免許人が電波を利用できる環境を整備するため、現在その電波を使用している免許人を早期に立ち退かせるための、いわゆる立ち退き料のような考え方をしております。

 電波の利用促進、有効利用を推進する点で、電波監理の観点からも必要な施策であるので、ひとまず立ち退き料の全額を電波利用料で支払うということにしているものでございまして、他方、新規免許人には、二、三年程度で新たな無線システムを導入できることを勘案すれば、新規免許人から立ち退き料のうち一定額を回収するということが適当であろうと考えております。

 この新規免許人の負担額については、学識経験者、携帯電話事業者などの関係者に御参加をいただいた総務省の研究会で検討を進めまして、パブリックコメントも踏まえて、政府が新規免許人の収益力等の個別事情を勘案して定めるものではなく、客観的な算定式が必要、さらに、具体的には、新規参入者が早期に新たな無線システムを導入できる利益と電波監理上の必要性を案分し、原則、給付金総額の二分の一を負担総額とすること、ただし、携帯電話のように特定の者が広い地域で独占的に電波を専用する場合には、特権的な強い地位を考慮して、二分の一を超える負担を求めることが適当との整理がなされたところでありまして、こうした整理を踏まえて、今回、制度化を図ろうとするものでございます。

寺田委員 限られた資源でありますから、余り有効に使っていない人を出そう、出すには立ち退き料ぐらい払わないと出ていかないだろう、そういう発想は私も理解できるところでありますけれども、では、限られた電波帯を有効に使うために立ち退き料を払った、その立ち退き料をだれが負担するのかというのが一番問題であるのではないかなと思います。

 この給付金制度を見ていると、結局のところ、それの二分の一を新しく入ってくる人に払わせる、私は、これはちょっとおかしいんじゃないかなと思います。

 では、新しく入ってくる人の選び方はどうか、先ほどからさんざん聞いているとおり、公益性で選ばれているわけです。もしここで経済性で選ばれて入ってきているのであれば、それはあなた、新しく入ってきてお金稼げるでしょう、そういう部分のニュアンスを含めて選ばれてきたんでしょう、だから払いなさいというのはわかります。けれども、公益性という総務省が考えた一つの項目の中で、項目をくぐり抜けて選ばれて入ってきた人が、いきなり、あなたは二分の一払えよというのは何かちょっとおかしいんじゃないかなと。

 そもそも給付金というものは、電波を有効に使うために使われるお金であって、本来であるならば、その電波帯にいる全員が、そこを有効に使うために使われた給付金ですねということで均等に払うのが、私は一つの論理帰結だと思うのです。

 何か本当にしっくりこなくて、いろいろな例を考えるんですけれども、公民館がある場所にあった、ABCの部屋があって、最初はすかすかだったので、公益性の高くない人も入れていた。自宅でバンド活動をやるのがだめだから公民館でやってみる、そういう楽器の演奏を個人のためにやっている。でも、だんだんそこの公民館の需要が高くなってきて、やはり公民館の本来のとおり、公益性の高い、公民館がそもそも公益性を考えているかどうか別ですけれども、公益性の高い人を入れるべきだろうということで、バンドの人を出してやった。

 公民館はバンドの人を出したときにお金まで払わないと思うんですけれども、では、そこに新しく入ってくる、より公益性の高い人間に対して、あなた入ってこれるから、公益性が高いという理由で入ってこれるから、ちょっとお金払えよというのは、そもそもおかしいと思うんですよね。公民館の利用料は公民館の利用料で全員で負担するべきであって、そこら辺がちょっとおかしいんではないかなと。

 交通整理のために使った給付金というか立ち退き料を、入ってくる人の経済性を考えて、二分の一払え、携帯電話の場合はもっと払えというのは、ちょっとおかしいんじゃないかなと思います。その点、お答えいただきます。

有冨政府参考人 給付金と電波利用料というものとの関係でございますけれども、先ほど政務官から御答弁していただきましたように、給付金というのは、いわば立ち退き料でございますので、そこについてお金を電波利用料からとりあえず充当する、こういうような仕組みになっております。

 そのあいたところについてどうするかというのが次の電波利用料との関係でございますが、あいたところについて、先ほどありましたように、新しく入ってくる人からは二分の一を原則とする、その他については電波利用料、全体の利益を考えてその半分を負担する、こういうようなことで、議論はいろいろあったわけでありますけれども、研究会等でいろいろな議論をした中で、新しく入る人と、それから電波利用料と、原則折半というのが一番いいのではないかというような結論を得たものでございます。

寺田委員 全く自分の質問に答えてもらっていない。

 そもそも、電波利用料というものは、炭田さんという、先ほど私が紹介した方も書いていますが、良好な電波環境の構築、整備を図るための電波行政経費に充てることを直接の目的とすると、公益性というものがかなり書かれているわけですよね。そういう点に関してもう一度説明いただけますでしょうか。

有冨政府参考人 電波利用料というのは、あくまでも電波を有効に利用するためにどうすればいいかということで、現時点では、いわゆる電波の共益費用として取っているわけでございます。

 したがって、それを今後どうするかという点については、先ほどから御議論ありますけれども、その中で、電波の経済的価値について少しは考えてはどうかという御批判がありましたけれども、私どもも、そういう問題提起を受けまして、今研究会で議論をしております。そういった中で、この電波利用全体については整理をしたいというふうに考えております。

寺田委員 そもそも、電波利用料でやるというなら、それのセットでこの法案を出すのが当然のことだと思うんですよ。後々考えますから、ここは給付金制度だけやりますと。その給付金制度について、瑕疵がある電波利用料に関しては後々考えますというのであれば、そもそも最初から瑕疵のある、きずものである制度だということをみずから言われているような気がしてならないのですね。

 最初の質問に戻るんですけれども、このいわば立ち退き料というものはだれのために払ったのか、それはそこの帯域を有効に使う人のために払ったとおっしゃられているのであれば、なぜにそこに新しく入る人に多く負担させるのか。その多く負担させる新しく入ってくる人のために、あなた、あけてあげたんだよというのであれば、それは新しい人が多く負担するのは当然ですけれども、何回もおっしゃられているとおり、公益性だ、有効に使うためだ、そのために要は交通整理をするんだ、だから古い人には給付金まで払って出ていってもらうんだと言っているのであれば、この給付の仕方、割合のあり方をそもそも間違えていると思うんですけれども、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 先ほどから申しておりますけれども、この給付金制度というものは、電波の有効な利用を図るという観点で、既存の免許人の負担も考慮しながらやってきたというような従来のやり方ではなくて、多少ここは行政経費をかけて、早目早目に、短期間に迅速な利用をするということを目的としておりまして、あくまでもこれは立ち退き料ということでございます。

 したがって、私どもは、それと電波利用料の全体の仕組みとは全く別だ、もっと大きく言いますと、電波利用制度、今の枠内で何ができるかということを今考えているということでございます。

寺田委員 端的にお聞きします。この立ち退き料はだれのために払うんですか。だれのためにこの立ち退き料というのがあるんですか。それをお答えください。

有冨政府参考人 これは、電波の利用状況調査に基づきまして、そこが、光ファイバー等の代替的な措置があるようなところとか、あるいはもう使わないとか、そういった場合について、そのところをもっと有効に使いたいというニーズがある、そういうところのニーズにこたえるためということでございまして、そこの電波周波数帯を使いたいという人のためにそこをあけるという目的でつくっているものでございます。

寺田委員 これ以上質問しても、何か平行線をたどるような気がするのです。

 その電波帯を使いたいという人は、それは公益性で選ばれてくるという部分では、ちょっと何か入り口の部分と入ってからの負担の仕方が全くアンバランスだな。そこら辺が何か……(発言する者あり)という御指摘がありましたので、大臣、お答えいただければと思います。(麻生国務大臣「質問をもう一回言ってください」と呼ぶ)

 新規参入の部分というところでは、公益性で選ばれて入ってくる。入ってきた部分で、いきなり給付金というものを、入るために、立ち退き料の半分を払わされる、そういう部分というのは何か論理が帰結していないんではないか。ある種、その立ち退き料というものがそこの電波帯を有効に使うために払われているものであれば、それは電波帯全員で払うべきだ。新しく入ってくる人は、経済性を重視して選ばれて入ってきていない以上、それもそこの電波帯を有効に使う一員とみなされるべきである、そう私は思うのですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今現在利用している人は、それなりの設備等々をしていると思うのですね。当然、それはその会社の簿価に載っかっている。簿価という意味はわかると思いますが、簿価に載っていると思うのです。簿価に載っているわけですから、その簿価の残存価額というのが当然あるわけです。

 幾ら償却してあったって残存価額がありますから、その残存価額の分は払ってもらうという権利が、だって、少なくとも許可してあげたんだから。おたくは、最近使っておられる率が、昔は一〇〇だったのに今は一〇しかないじゃないですか、実際はこっち側には物すごい利用者がいますので、済みませんけれどもちょっとどいてくださいと言って、納得ずくでいくにしても、簿価の残存価額等々については一応払ってもらってもいいんじゃないか。これは御理解をいただけるところだと思うのですね。それで、払ってもらう。

 入ってくる方は、今度は、オークションでやりますと、他国の例を見るとえらい高いものになっている、当然競争しますので。イギリスの例を見ても、まあ当時はブームでもあったせいもありまして、わんわんわんわんえらく値段が上がった。上がった結果どうなったかといえば、今でもまだサービスはスタートしておらぬという形になって、実は四兆だか五兆だかもうけた人はいるわけですよ、政府が売ったわけですから。しかし、サービスとしては全然スタートしていないというのが実態。

 安く、うまくいった例もありますよ。スイスなんかもそうです。しかし、これは御存じのように範囲が極めて限られていますから。そういった意味では少し例としてはいかがなものかと思いますので、イギリス、ドイツの例をやはり引くのは当然かと思います。こっちも一億何千万も一応考えられますので、そういった意味からいきますと、利用価値は広い。

 したがって、それをとれたといいますか、どいてもらって次に入った業者は、当然それによって仕事を開始しますので、得るべき利益というのが当然そこから出てくる、利益が出てくるだろうと思うのですね。当然のことだと思います。商売をやったことのない人はわからぬかと思いますが、商売をやったことのある人ならば、これはだれでもわかる話でしょう。

 だから、新しくそれをもらった人たちは利益を得るわけですから、その利益のうちから、従来だったらとれないわけですから、どいてもらう手間をかけたんですから、そのどいてもらった手間のうち、幾らか払ってもらっていいんじゃないですかという、双方納得ずくでやるというのが大事なことだと思っておりますので、それほど強制立ち退きをするわけではありませんし、そもそも納得ずくでしていただく分の幾らかの分を払っていただく。

 その新しく来られた業者は、その分を幾らか、自分の通信料なりルーターとしての手間暇等の中から額を少しずつ少しずつ回収していくということになるんだと思いますので、新しく入られた方も、それを払ってなおかつ見合うというものがそこに成り立つのであって、経済性の上になった話だと思っております。

寺田委員 先ほどオークションの話をされましたけれども、それは本論とはほとんど関係のない話で、要は、公益性、公益性と言われている、入り口、新規参入の部分も公益性で選ぶんですと言って、入ってきて、いきなり経済性だと。今、大臣のおっしゃられたことは、ほとんど経済性の話をしているのですね。あなた、入ってきたらお金もうけるでしょう、だから、その分お金を払いなさいよと。

 であるならば、参入時にも経済性を加味した制度であれば、それは物事の筋が通っているわけですね。先ほどおっしゃられたとおり、総合的な発想とバランスだということをおっしゃられているならば、入るタイミングだけ公益性だ、入った瞬間、いきなり経済性があるでしょうと言って、今、電波利用料に関しては後々経済性を考えなきゃいけないという副大臣の発言がありましたけれども、それは裏を返すと公益性で考えている。あべこべなんですね。そういう部分、非常に疑問に思います。

 ちょっと時間もないので進めますけれども、結局のところ、では、公益性と言われる、大臣はかなり経済性の考えを持っていらっしゃいますけれども、まだまだ公益性の発想があるいろいろな電波の帯、すいているところもすいていないところもあると思うのですけれども、電波利用料を、この給付金制度を使って入ると、二分の一以上払うわけですからかなり多目のお金を払って入っていく。けれども、すいているところに入れば、給付金制度を使っていないですから、それは割安になる。

 公益性という話が出ている電波行政において不公平感が生じていると思うのですね、経済性の部分において。これもちょっと論理が合わないと思うのですけれども、御答弁いただければと思います。

有冨政府参考人 いろいろと問題提起をされておりますけれども、あくまでも、参入の時点にどういうお金を取るか取らないかというのは、これは今の電波利用料制度のあり方の見直しにかかわるものでございます。

 それから、いわゆるこの給付金制度による立ち退き料について、どういうふうに負担をし、その部分について回収するかというのとは、私ども分けて考えておりますので、先生今言われていましたような、参入時に経済的な価値というものをどういう形で考慮するかというのは、私ども、今、研究課題として受けとめておるということで先ほどから申し上げております。

寺田委員 研究課題であるというか、そこの結論がしっかり出ていないと、総合的な電波政策のあり方、そして、電波の利用に関する制度の一貫性というものが全くあべこべのまま進んでいくのではないかなと思います。

 ちょっと時間がないので先に進みますけれども、電波利用料に関して、先ほど副大臣の方からも答弁ありましたけれども、昨年の議事録を見てみますと、片山大臣もこういうふうにおっしゃっているのですね。

 そこで、今、電波利用料というものは免許人間には大変な不公平がある、御承知のように。これは私は、総務大臣にしていただいたときから、もうかねがねそういう認識を持っているのですけれどもと、非常に今の電波利用料に対して問題点を強く感じられている。その上で、昨年、ことしじゅうにしかるべきときに結論を出すと。

 では、ことしというものはもうほとんど三分の一過ぎて、しかるべき時期というのはもうほとんどなくなってきている。これは、いつ出されるのでしょうか。そもそも大臣自身、片山大臣はこういう疑問を持たれているというのですけれども、疑問は持たれているのでしょうか。

麻生国務大臣 基本的には、秋ごろまでをめどにということで、今、電波有効利用研究会というところで検討を進めさせているところです。

 今のあれは、基本的には局数単位の課金体制になっていますでしょう。したがって、そこの使用する電波の出力やら何やら、帯域幅もありますので、そういったものを勘案して、そういった課金体制を変更したらどうだというようなことを検討してもらってはどうだとか、また、片山大臣も言われましたように、手数料としての性格をこの際見直して、電波の経済的価値を反映することも含めて検討しろという話で、今検討が進んでおると理解をいたしております。

寺田委員 先ほどから大臣は、経済性に関しては、ビジネスをやられていた方だということもあるので、かなりお強く言われている部分があるのですけれども、端的に聞きますけれども、経済性の要素を入れるのでしょうか、どうでしょうか。

麻生国務大臣 これは私自身の結論で言えるところじゃないので、研究会の検討を待たねばならないところだと思っております。

寺田委員 その研究会というものは全知全能の神じゃないと思うので、結局のところ政治判断によると思うのです。

 ちょっと言い方をかえるのですけれども、では、麻生大臣自身は経済的観点を入れるべきと思われるのでしょうか。経済性の観点を入れた利用料になるとはおっしゃれないということだったので、経済的な観点を入れるべきと思われるのでしょうか。

麻生国務大臣 先ほど申し上げましたように、経済性だけでやって高く売れれば、電波利用料を高く売っちゃえといって、四兆だ、六兆だというようになるような結果を招いた前例がありますので、それと同じようなことを招く愚かなことは避けたいと思いますので、いわゆる経済性だけでやる判断はできないということも確かだと思いますが、経済性というものをある程度勘案するのはこれまた当然のことだと思います。

寺田委員 経済性の観点を入れるべきであるということ、バランスが大事であるという大前提のもと、入れるというお答えをいただいたと思います。

 そうなると、結局のところ、電波利用料、電波を使うための全体的な発想、そして給付金制度のことを考えると、出ていった人は、新たに入ってきてお金をもうけるでしょうという部分で経済性が入っている。もう残るところは入り口しかないと思うんですよね。入り口のみは公益性の発想だけがまかり通っている、そういう状態になっているというふうに感じてなりません。

 そういう意味をもって、もちろんオークション制度は、先ほどから述べられているとおり、いろいろ問題点は多いと思うんですけれども、やはり一考の価値ありというか、デメリットの部分を改善するためのいろいろな施策を考えられるのが当然かな、それが大臣のおっしゃる経済性のバランスの一貫性になると思うんです。

 そういう意味も含めまして、今度は民主党の提出者の方にお伺いしたいんです。

 オークション制度に関してですけれども、そもそも問題として、では提出者の方としては、経済性を入れる、オークション制度を導入している以上、経済性のことを一番に考えられていると思うんですけれども、経済性をなぜ電波に認める必要があるのか。それと、まとめて聞くことになるんですけれども、では電波利用料はどうなるのか。その二点、お答えいただければと思います。

武正議員 まず、経済的価値をなぜ電波に認める必要があるか。先ほど昨年の片山大臣の御発言がありましたが、既に平成十三年四月十日、平成十四年四月二十五日、片山総務大臣は電波に経済的価値があることを認める発言をされております。しかるに、先ほどの総務大臣の発言は、総合的な判断ということで、私は後退したという印象を抱かざるを得ません。また、副大臣からも、公益性の方が大事、こういった発言も出たということで、総務省は、結局、電波に経済的価値を認めることすら後退し始めたと言わざるを得ないのであります。

 電波の経済的価値を認めることとオークション制度の導入とは一体ではありません。オークション制度はそのうちの一つの方式でありますので、まず、電波に経済的価値を認めるというのは、国民共有の資源である電波を自己のために利用できる者に電波の有する経済的価値に見合った対価を負担させ、市場原理によって電波を能率的に利用するインセンティブを与える必要がある、これによって非能率な電波利用者の自発的退出を促すとともに、すぐれた技術を有するベンチャー等の新規参入を促進することができるというものであります。

 また、新たな制度では電波利用料の額をどのように決めるのかということでありますが、これは、電波利用料の額は、周波数の帯域、空中線電力等を勘案して、電波の経済的価値が適切に反映されるような算定基準を総務大臣が省令で定め、これに基づいて各免許人の具体的な支払い額を総務大臣が決定することとしております。

寺田委員 先ほどからオークション制度のことについて、大臣並びに総務省の方からは、値段が上がり過ぎたというヨーロッパのケースを持ってきて、オークション制度はだめだということをおっしゃられていたんですけれども、その一番の問題点、値段が上がり過ぎる、そういう点について、今回、提出者の方ではどのように対策を練られているか、お答えいただけますでしょうか。

武正議員 そもそも、オークションを導入するというのは、先ほど言ったように、すべてにオークションを導入するわけではありません。

 衆法提出者の方は、総務大臣が恣意的に、どこに導入するべきか、あるいは電波利用料は幾らか、あるいはどこの事業者に免許を付与するか、そういった恣意性をできるだけ排除しようということで、後ほど触れますが、三条委員会を考えておりますが、その三条委員会がオークション制度をどこに導入するか、どの電波帯であれば導入しても可能かということを決める。当然、公共性というものが電波にはございますので、その公共性にかんがみて、この電波帯であれば競争、競りをもって行うことは可能というふうに考えるところに行うものでございます。

 オークションの対象は、免許そのものというよりも、やはり具体的には、将来与えられる免許の有する経済的価値の全額をもって競うことになりますので、個別に、いわゆる所有とか財産とか、そういったことはありませんし、また、既に委員会で出ております、既得権益化に対する不安というものが副大臣からも出ましたが、現状の方がかえって既得権益化しているのではないかというふうに私は思います。

 そういう中で、導入によって値段が上がらないかという御心配でありますが、欧米では、第三世代携帯のことがあっても、結果的に、オークション制度は改善しながら続けております。アメリカにおいては、九三年から〇一年までに三十六回行っておりまして、九七年、それまでは例外とされたオークションを原則としております。また、イギリスも、〇〇年春にバブルがありましたが、〇一年六月、再検討。そして第三者委員会、OFCOMを設けて、スペクトラム・プライシングということで行おうということであります。

 そして、先ほど来、欧米では事業が後退したようなことを言っておられますが、ではボーダフォンというのはどこの会社でしょうか。日本の会社を買収しているのは、それはイギリスですよね、ボーダフォンは。事業が後退しているどころか、世界的に進出をしている、こういったこともあるわけでございます。

 そうした点から、この高騰という点でございますけれども、本案では、無線局の免許の申請前にオークションを行うこととしておりまして、これは、比較的先行投資が少ない申請前の段階でのオークションが競落額の高騰化を防ぐ点から適切と考えたことでありますし、違約金の性格を持つ競争保証金を納付することになっておりまして、もちろん、負ければ保証金を返す、こういったことでも高騰を防ぐ。さらに、自己都合でもう退出したいという人には返却しないよ、あるいは譲渡は不可能でありますよと。第二者、第三者に売買しちゃ困るよという発言がありましたが、それも不可としておりますので、高騰は防げるものと考えております。

寺田委員 そういうことでオークション制度、本当に大変わかりやすい御説明をいただきました。

 結局、そういうところでオークション制度のデメリットの部分を改善するような施策がなされている。結局、欧米で失敗した部分というものの悪いところ、改善すべきところを何かしら、免許そのものじゃなくしたり、譲渡しないようにしたりとか、そういう部分をいろいろ考えて一つのアイデアを出されていると思うんです。

 そういうことに関して、先ほどからオークション制度はだめだとおっしゃられていた総務省の方、どなたでも結構ですので、今のお話を聞いてどのようにお思いになるか、お聞かせ願えればと思います。

有冨政府参考人 オークション全体の制度そのもの、これはメリットもあればデメリットもあるというふうに思っておりますけれども、そんなことも、今御答弁にありましたような内容を見て、問題がないと言えるのかといいますと、私どもはなおまだ問題があるというふうに思っております。

 ただし、先ほどから御答弁申し上げましたように、先ほど先生も言われましたけれども、経済価値というのはオークションだけではない。したがって、そういった観点での問題提起も受けておりますので、研究会でも、新たな観点で経済的価値というものを導入できないかについて今御検討願っているというようなことでございます。(発言する者あり)

寺田委員 質問するより外野の人が先に質問しちゃうので、何とも言いがたいんですけれども、本当に、今端的におっしゃられたとおり、今聞かれた上での問題点というのはどこなんでしょうか。それがわかれば、またそれが一つ改善するようなアイデアを生むと思うので、お聞かせ願えればと思います。

有冨政府参考人 これは、先ほど大臣から研究会で論点整理をしたというお話がありましたけれども、その中で、まだこれは研究会での論点でございますけれども、今申しました手数料というものについてどういうふうに考えるか、つまり、今の電波利用料というものの基本的性格をどう考えるか、それから、判定要素として経済的価値を具体的にどう考えるか。論点に挙がりましたものは、帯域幅であるとか出力であるとか、あるいは地域性であるとか、そういったような観点でのいわゆる考慮要素というものを今検討していただいております。

 また、使い方あるいは納付義務者等々についても、今、論点を整理した上でパブリックコメントを求めておりまして、その結果について、今、まだ検討中ということでございます。

寺田委員 いや、それはもともとあった疑問点というか論点整理であって、今提出者が言われたこと、かなりオークション制度に対する改善点を述べられたと私自身感じているんですが、それに対して御答弁を求めたら、いや、まだ問題点があるねとおっしゃられたので、ではその問題点は何かと聞いたわけです。

 今、そんな審議会やらパブリックコメントを求めるどうこうということじゃなくて、それは武正議員が言われる前にあった制度に対する問題点を抽出しているわけであって、今の提出者が言われたアイデアに対して何の問題点があるのか。問題点があると言われたのであれば、その問題点を教えていただきたいんです。

有冨政府参考人 オークションの中で、基本的には、オークションで落札額が非常に大きかったということで、物差しをいわゆる資金力だけではかるのはいかがかというのが私どもの基本的な認識でございます。

寺田委員 その対策を今考えて言われたわけであって、だから何度も質問しますけれども、武正さんが出された、今提出者が出された一つの制度に対して問題があると言われたのであればそれはどこか、別にけんかしているわけじゃなくて、教えてほしいということなんです。それがあればいい制度をつくり上げていける、それは総務省のためにもなると思うんですよね。

 そういう意味で、今みずからおっしゃられた、いや、問題点まだあるよと言われた部分は何なのか、教えていただきたいと思います。

田端副大臣 経済性だけで考えていけば、おっしゃるような議論は確かにあると思いますが、電波ということを行政としてどういうふうにこれから総合的に、電波行政そのものをどうしていくかということを考えれば、例えば今提出者のお話の中にあった、三条委員会の方に独立したものをつくって、そこでオークションの運営をしていく、こういうお話でございますけれども、そういうふうになっていきますと、ある種、電波行政そのものがそのまま意図したものとは違ったところに行くような感じがするわけでありまして、そういう意味では問題点の大きな一つだと私は思います。

 それから、例えば既得権益化という意味では、一次転売、二次転売ということで、そういう形で、例えば土地転がしのような形でしていくわけですから……(発言する者あり)いやいや、だけれども現実にはそうなっていくわけでありますから、そういったことについては……(発言する者あり)いや、しないとは限らないじゃないですか。(発言する者あり)

佐田委員長 御静粛にお願いします。御静粛に。

田端副大臣 いやいや、だから、そういう危険性をどうしていくかという点について問題があるということを言っているわけであります。

 そういう意味で、電波行政そのものを総合的に判断する政府の立場として、ひとり歩きするような形というのは非常に困るなということを申し上げているわけで、総合的な意味でこれは大事だ、経済性だけを優先させてはならないということを申し上げているわけであります。

寺田委員 経済性を重視するなと。そのお言葉はもう本当に提出者みずから口で言っていて、それだけじゃなくて公益性も大事だよということを言っているので、そのことは別に、今さらのことを経済性云々と言われてもどうしようもないわけです。

 今さんざん、私がオークション制度という言葉を一言も出す前から、オークション制度は高値になるからだめなんだ、だめなんだと言われていた部分を、今回提出者は、ある程度、高値になった例じゃない部分で、これは今の方式でいけば大丈夫ですよというような話があったわけです。三条委員会の話は何も私聞いていないんですよ。

 高値になると総務省側みずからおっしゃっている一番のデメリットに対して対案を示した、それに対してまだ問題があると。それは何かと聞いても、何にも答えてくれない。それで、なおさらのこと、提出者がちゃんと言っている転売はしないということに対して、転売するからどうこうと言われるんじゃ、ちゃんと聞いていらっしゃるのかと本当に思うんです。

 そもそもの質問に戻りますけれども、今の提出者が言われた制度に対して何の欠陥があるのか。転売はしないと言っています。もう一度御答弁いただけますか。

麻生国務大臣 今、朗読の時間みたいにざあっと読まれましたので、とても私の耳では、あの速度で話をピックアップできるほど、寺田さんほど若くもないので、あのスピードで物事が理解できるというのは大したものだなと思って、感心して私も聞いていたんです。

 ところどころしかわかっておりませんけれども、基本的に、一つだけイギリスの例がうまくいったじゃないかと言うけれども、日本の場合でも、少なくとも私どもの場合を見ていただいたらわかりますように、世界で最速の、最安のブロードバンドができ上がったというのは、少なくともオークション制度じゃない制度でこれを立ち上げたという現実は一つ忘れぬでください。

 もう一つ、既得権益と言いましたけれども、一回落札した人はそれを何年以内にきちんとやってもらいますよというところは、資本金ははっきりしていない、何はしっかりしていない、外資規制はどうのこうのと。私、そこらのところも改めてもう一回伺っておかないと、そこのところも、丸々、外国資本等々と組まれて、その内容が全部行っちゃうなというところも規定してあるんでしょうね、これは。あなた、質問して理解しているんだから、そっちは聞いてわかっているんだろう、私はそう思って聞いているんですけれども、こっちは聞けぬから、ルール上。だから、そちらの方から答えてもらわぬとどうにもならぬことになるんですが、そこらのところもきちんとしておいていただかないと、そんな簡単にお答えできない。

 また、スピードを要求する時代に、長い間そのまま持ったまま何もしないでじっといられる、高くなったから結果的には何もできないということでおくれるというのも困る、スピードが要りますので。だから、公益性ということも申し上げておる。いろいろな状態も考えていただかないかぬところじゃないかなと。

 僕は、今わあっと聞いた話だけのところですから、内容をよく精査した上で改めて御答弁、もう一つ答弁しろと言うんだったら、もう一回よく読ませていただいた上で答弁させていただきます。

佐田委員長 持ち時間が来ております。短目にお願いします。

寺田委員 朗読の話がありましたが、だとしたら、事務方の方の説明も本当に朗読というか念仏にしか聞こえないので、そういう部分をトップみずから改善していただけるように思います。

 そういうものも含めまして、経済性ということを重要視されているというのであれば、電波利用料に含めて、本当に全体的に、論理帰結がしっかりわかるような形で改正していただきたいと心から願っております。

 以上です。

佐田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いします。

 今、イラクが大変な状況になっているということで、ついせんだってまで新聞でも書かれておりました六本木ヒルズ等の回転ドアの問題とか、そういうのが何かもう突然新聞紙上にも載らなくなったということで、本当にマスコミの話題というのがどんどんどんどん動いていく状況だなというふうに実感しておるんです。

 あの六本木ヒルズの事故を見ていて私つくづく驚いたのは、百回以上も既にいろいろな事故があったという状況があって、にもかかわらず、何らそれまでアクションがとられず放置されていた。そして、本当に不幸な、子供さんが亡くなるということが起きて初めて、安全性とかの確認が今動いているということが報道されております。まさしく私たちがやらなきゃいけないのは、そういうことを予見して、先手先手へとアクションをとっていかなければいけないということが非常に重要だなというふうに実感をいたしております。

 どうしてそういうようなお話から始めさせていただいているかということですが、今回の電波法改正のようなアクションをとって、これから無線によるビジネスを非常に急拡大していく、これから本当に有線以上に無線がITの非常に重要な技術としてさらに発展をしていく、それを後押ししていこうというのが今回の電波法改正の趣旨でもあろうかと思うんですが、まず冒頭私がお伺いしたいのは、こういったいろいろな高スピードの無線LANあるいは情報家電等がこれから普及をしていく環境、多くの方は、そういった利便性が高まる生活環境というのをもちろんいいことだというふうに受けとめていると思うんですが、一方で、本当に大丈夫なのかなというところに対する何とも言えない不安感というのも持っている方は多いんじゃないのかなというふうに考えます。

 ついせんだって、オランダの経済省が、第三世代の携帯電話に関する身体に対する影響ということで、やはりそれが影響があるというような報告を出したというふうに聞いておるわけですが、今後ますます無線によるいろいろな機器が身の回りに多くふえていくということで、総務省、大臣として、こういった状況に関してどのように考えておられるか、その辺をまずお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

    〔委員長退席、滝委員長代理着席〕

麻生国務大臣 基本的には、NTTにもいらしたんだからようおわかりの上なんだと思いますが、いいことというのは大体悪いことも一緒にくっついて出てきますので、いいこともあれば悪いこともあるということですから、そういった意味で、速くなれば速くなった分だけ弊害も出てくる。少なくとも、常識的には、こういった無線というものがこれだけ急激に発達するということがなければ、ハッカーとかハッキングなんというものもまた想像できない世界だったと思うんですね。そういった意味では、私どもとしては、いいこともあれば悪いこともあるということだと思います。

 いろいろな意味で、WHO、世界保健機構だとかそういったようなところで、いろいろな研究が今されていて、例えば進歩した医療技術に電波が与える影響で機械がちょっと狂ったりなんかする、波数がちょっと影響を与えてずれるなんという例も幾つかあります。電波による人への影響とか機械への影響というようなところも、これは工学的な話を含めて医学的なところと、やはり両方の見地から考えないかぬところで、便利になった分とそういった危険も出てくる部分、そういった両方の意味で、セキュリティーということも含めて、あわせて考えていかねばならぬところだと思っています。

 今、電波防護指針とか、医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針などということがいろいろ出されているんですが、電波防護指針の方は強制という面を持っていますけれども、申し上げた、長ったらしい方は任意のガイドラインですから、あれは。

 そういった意味で、いろいろなところで、こういったものは、いいことばっかりじゃないんですよ、こういった悪影響もあり得るんですよということを周知徹底させる必要があるということで、ますます電波の利用というのは広がっていくことにはなるんだと思いますが、その分ますます、そういった点は周知徹底させる必要があるということなんだと私は理解をしております。

田嶋(要)委員 いろいろな新しい技術の発展とともに、光と影、両面あるというのはまさしくそのとおりだと思います。ただ、事人体への安全とか健康という面に関しては、その影の部分に特別の配慮が要るのかなと。

 まさしく今回の回転ドアの話なんかも、非常に便利になったということでいろいろ普及はしたものの、ああいうような痛ましい事故が起きたということなので、できればああいうことが起きる前に、そういうことを予測して、アクションがとられている必要があるのではないかということで質問をさせていただきました。

 電波防護指針は強制力があるということをおっしゃいましたけれども、そういたしますと、携帯電話も一気に普及をして、最初、公共の乗り物なんかに乗ると、乗る電車の会社によってアナウンスがばらばらだったんですね。あるいはバスと電車でも言うことが違う。

 きょうもJR総武線に乗ってきて聞いてみたんですが、要するに、優先席のそばでは電源をお切りください、それ以外のところでは、マナーモードに設定をして通話は御遠慮くださいというふうに言われたんですが、あのガイドラインというのは、あれでもう全国統一されているという理解でよろしいですか。

有冨政府参考人 今先生の御指摘のあったのは任意の方でございまして、あくまでも強制というようなレベルではございません。したがって、それぞれの事業者が受けとめて自分の判断で周知を図るというような仕組みになっております。

田嶋(要)委員 あと、最近これも新聞記事に載ったんですが、九州大学病院というところが、病院の中での携帯電話の使用を解禁したという記事が出ていまして、私はちょっとびっくりしたんです。今までの通説ですと、いろいろな医療機器等に影響を及ぼすから、病院の中では基本的に禁止というようなことだったと思うんですが、突然そういうような記事を読んで、私は、一体何がルールなのかな、どっちでもいいことなのかなと。

 もしどっちでもいいことだったら、その九州大学の病院が言っているように問題ないということが本当だとすれば、全病院にそういうふうに言えばいいわけだし、その辺、人体に影響を及ぼす、何か非常に心配なような感じもするんですが、そういうところがそれぞれの任意判断で済むのかな、そういうことをやっていると、また回転ドアみたいなことになりはしないのかなというふうな私は素朴な疑問を持ったんですが、そこはいかがでしょうか。

有冨政府参考人 九州大学の件でございますけれども、基本的には、先ほどから申しましたような医用電気機器への電波の影響を防止するための携帯電話端末等の使用に関する指針、こういったものにつきまして、九州大学病院においても十分に承知をしておられるというふうに聞いております。

 その上で、場所を非常に特定したりして、あくまで患者の利便を図るということと、みずから使っている医療機械等への影響というものを勘案しながら大丈夫であるというふうに判断をしたということでございまして、私どもとしては、その運用に当たっては十分気をつけていただきたいということを申し上げてはいます。

田嶋(要)委員 私が読んだ記事だと、オペレーションルーム等の特定をされた場所ではだめだ、ただ、原則はどこでもいいというふうな形になったというふうに理解しておるんですが、結局、おっしゃっておられる意味は、安全値に関するバッファーを十分見ているから、結局問題ないということでよろしいんでしょうかね。

 同様に電車内、例えば心臓ペースメーカーを入れている方とか、どこにいるかわからないんですが、私は入れていないですけれども、入れている方からすると、今のように無線がそこらじゅうにあって、これから無線LANとかで今の携帯以上に強い出力のものがどんどんどんどん出てくると、どこを歩いていても何か怖いような感じがしてくると思うんですが、その辺はいかがなんですか。

有冨政府参考人 現時点においては、今の防護指針という強制規格と先ほど申しましたガイドラインというような施策、二つやっておりまして、これについては健康にかかわることでございますので、実際の運用状況とか影響とか、こういったものについても十分配慮しながら、場合によっては見直す必要もあるかと思っております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 では、次の質問に移りたいと思います。

 今回の電波法改正の一番最初のところに出てきます特定周波数の終了対策業務ということですけれども、その前提となっている電波の利用状況調査、評価ということですが、この調査、評価の報告を簡単にまずしていただければと思います。

麻生国務大臣 電波の利用状況調査、今御指摘のありました点につきましては、これは無線局の使用状態とか通信の全体量の大きさとか、電波の利用状況の把握をした上で公表する制度として平成十四年度に電波法の改正によって導入されております。

 今、三帯域に分けてやっております。基本的には、七百七十メガヘルツ以下、それから七百七十メガヘルツを超えて三・四ギガヘルツ以下の帯域の間、それと三・五ギガヘルツ以上ということで、三つに区分して、区分ごとに毎年調査をすることによってやりますけれども、平成十四年度に、先行的に三・五ギガヘルツ以上の帯域について今調査を実施しております。

 細目につきましては担当局長から説明させます。

有冨政府参考人 電波の利用状況調査の現状でございますけれども、平成十四年度に、今大臣三・五と言われましたけれども、三・四ギガヘルツを超える周波数のうち、先行的に、五ギガヘルツにつきまして調査を実施しております。

 その結果、四ギガヘルツ及び五ギガヘルツ帯の電気通信事業者用の中継用の固定局、これにつきましては、光ファイバーやほかの周波数帯への移行の可能性が高い、早期に周波数の再編に着手することが適当というような評価を得ております。

 それから、平成十五年度に行いました調査でございますが、これは三・四ギガヘルツを超える周波数帯の残りの調査でございますけれども、これにつきましては一部の周波数につきまして、光ファイバー等への代替やデジタル化といった周波数の有効利用技術の導入の検討が適当であるというような評価を得ております。

 あと今年度は、七百七十メガヘルツを超えて三・四ギガヘルツ以下の周波数帯、そして来年度は、七百七十メガヘルツ帯以下の周波数について調査を実施して、平成十八年以降、再び三・四ギガヘルツを超える周波数帯から、先ほど三区分と大臣から答弁ありましたけれども、順に調査を実施する、こういうような仕組みになっておるところでございます。

田嶋(要)委員 特定の周波数帯域をねらい撃ちするのではなくて、あらゆる周波数帯域を公平に、そして徹底的に調査をするという形で臨んでおられるということでよろしいですか。

有冨政府参考人 先ほど大臣が述べました三区分ですべてをカバーしておりますので、それは年によっては違いますけれども、三年ごとに全体を見直すというようなことでございます。

田嶋(要)委員 若干新聞記事を借用ですけれども、一つ具体的に、MCA無線というものがあるというふうに聞いておりますけれども、その無線のところの利用状況が最近非常に落ちている、特に、一番大きな利用者だった某企業が携帯電話に切りかえをすることによって、今もうすかすかな状況だというふうに聞いております。そちらの周波数帯域に関しても調査をこれからされるということでしょうか。

有冨政府参考人 今先生御指摘のように、MCA無線は、主として中小企業等が使用している安価な共同利用型の無線システムでありますが、その利用については随分減ってきておりまして、平成十五年の三月末でありますと、約二・九万社、約五十五万局の無線局というふうになっております。

 今先生御指摘の、MCA無線の使っている周波数帯でございますが、これは携帯電話と同じ八百メガヘルツ帯と一・五ギガヘルツ帯でありまして、今年度の電波の利用状況調査の対象というふうになっておりますので、評価はまだ行っておりません。

 ただし、先ほど申しましたように、MCA無線の利用局数については、ピーク時が平成七年の約八十七万局でございました。今申しましたように、今五十五万局というふうになっておりますので、こういった動向を踏まえて、調査あるいは評価前に周波数の割り当て計画を変更して、平成十七年から二十一年までに使用周波数を段階的に整理縮小するということで、約四〇%の削減を予定しているということでございます。

田嶋(要)委員 ちょっと聞き取れませんでした。四〇%の削減をMCAに……(有冨政府参考人「予定をしておる」と呼ぶ)予定をしている。MCAの使うところの幅をということですか。

有冨政府参考人 現在使っている幅を縮小するということでございます。

田嶋(要)委員 そうすると、同様に、評価はこれからということですけれども、MCA無線の周波数帯域に関しても、これから給付金という形で立ち退きをしていただく可能性もあるということでよろしいでしょうか。

有冨政府参考人 制度にのっとって前倒しでやるというような場合については、給付金の対象になります。

田嶋(要)委員 これだけじゃないかもしれませんけれども、MCA無線の運営主体というのが総務省系の財団法人でやられておるということで、そこに多くの幹部が天下っておられるというような新聞記事がございました。

 基本的に、そういうところに対して、今回のような、あまねく公平というか、きちんとした客観的な基準に基づく評価を行って、正しい判断をしていけるのかというところが若干疑問視されておると思いますが、その点はいかがですか。

有冨政府参考人 調査結果に基づいて評価いたしますけれども、その評価については公にいたしますので、恣意的な要素が働く余地はないというふうに受けとめております。

田嶋(要)委員 では、一般的に、周波数終了対策業務についてお伺いしたいんですが、どういう優先度をもって明け渡しを決定していくのでしょうか。

麻生国務大臣 基本的な話で、帯域の優先順位をどうやって決めるかということなんだと思います。

 日本としては、御存じのように、世界最先端のブロードバンドという環境をきちんとつくり上げていくためには、今まで使っていた電波をある程度整理して、ブロードバンド、ワイヤレスに優先順位を配分していくというのは基本的なところだと思うんです。これを実現していくためには、基本的には、その中核を担います移動通信ということになるんだと思いますが、無線LAN等の必要な周波数を確保するということが絶対。なぜなら、そこはもう急激な勢いで需要が伸びておりますので、そういったところだと思います。

 そこで、周波数の再配分というものを基本にして、平成十五年十月に周波数の再編方針を決定して公表したというところでありまして、これを具体的にどうやっていくかということで、今、電波の利用状況調査を実施しているというところであります。

 この評価に基づいて、今、周波数の再配分の対象となる帯域を決めないかぬところなので、これは、かつては八十八万局あったのが今五十五万局で、四〇%減っているじゃないですかという先ほどの話ですけれども、そういったのを決めて、既に免許を取っておられる既免許人の方々について、どいてくださいということになったときには、当然経済的な影響がそこに出てくることもありますので、そういった意味である程度考えないかぬところでしょうけれども、周波数の割り当てというものを変えていかない限りは、無線LANまたはワイヤレス、そういったところに、新しい周波数を需要の多いところの方に、今既に取っておられるわけですから、そういった割り当て数の計画を既存のものから変える、計画を変更するということはやむを得ないところだと思います。

 いろいろなことはさらに詰めないかぬところだと思いますけれども、基本的には、そういった方向で変更をするのはやむを得ないと思っておりますので、需要のあるところを優先的にということになると思います。

 細目につきましては、有冨の方から説明させます。

田嶋(要)委員 そうすると、あくまで需要が強いかどうかということが、どの周波数を立ち退きさせようかという判断の唯一の基準ということでしょうか。

有冨政府参考人 周波数のいわゆる再配分の基本的な方針というのは、既に、今大臣から御答弁ありましたとおり、平成十五年十月に周波数の再編方針というものを策定しておりまして、それを公表しております。したがって、これをどう具体化するかというのがこれからの手はずになります。

 そのために、まず利用状況を調査する、そして、その評価をいたしまして、さらに具体的な、先ほど申しましたけれども、光ファイバー等に移行できるか、代替できるか、あるいはもう使わないかというようなことを全部調査をし、チェックをし、さらに、オープンな手続で意見を聞いた上で取りまとめて、それで、特定の周波数が帯域移行でき得るとすれば、それについてさらに、免許人に対する具体的な経済的な影響も調査をした上で、必要があれば周波数の割り当て計画を変更するという形で再配分を実施する、そういうふうな仕組みとしてつくっております。

田嶋(要)委員 確認ですが、これは強制はできないということですよね。強制立ち退きではないという御答弁が先ほどあったと思うんですが、それはそういうことですね。

有冨政府参考人 給付金制度そのものは、強制制度ではございません。ただ、使用年限を決めますので、その場合については、補償をした上で強制的に立ち退くことはあり得べしということでございます。

田嶋(要)委員 では、先ほどニーズということをおっしゃいましたけれども、四・九から五の話がまず上がっておると思うんです。

 そこで、先ほど光ファイバーということを言及されましたけれども、これは、利用効率は非常にいい、ただ、代替選択肢、光ファイバーへの移行とかそういうことができる場合、一つそういうケースがあるというふうに考えられると思うんです。もう一つ、代替が存在しないけれども、今与えている波の事業者の利用効率が極めて低いという二つのケースが考えられると思うんですが、この両者の扱いというのは基本的に同じと考えてよろしいでしょうか。

有冨政府参考人 今、二つ言われましたけれども、まず、非常に有効に使っている、しかし、ちゃんと代替がある、例えば光ファイバー網があるという場合については、私どもとしては、光ファイバー網に移行していただきたいというふうには考えます。その結果、それを受けて、事業者が本当に給付金までもらって移るのか、あるいは、あえて使用期限まで待って、そこで別の手当てを求めるのかというのが一つございます。

 それからもう一つは、十分に使っていないという場合にどうかというのがあると思いますけれども、これは、割り当てた部分についてはいろいろ幅がありますので、一部でも有効ではないという部分についての調査結果が出て、それが他にも十分に有効利用できるとなれば、その部分については、どいていただくといいますか返していただくというような形になります。

田嶋(要)委員 そうすると、後者のケースですね、十分に使っていない、非常に非効率だというケースで、しかし、その事業者にとって今回の光ファイバーのような代替手段が存在しない場合は、これはどういうことになるんでしょうか。もう廃業しろということでしょうか。

有冨政府参考人 ほかに代替する手段がない、しかしながら、まだ周波数は使う余地がある場合ですと、その場合、もちろん、周波数においてどの程度の周波数幅が要るかということで精査はすることになると思います。

 ただ、実際のビジネスのニーズがあるにもかかわらずそれを強制的にやめてもらうというようなことについては、相当慎重な判断が要るんだろうというふうに思います。

田嶋(要)委員 どんな非効率でも、少しでもその利用者がいれば、若干はその波は使われていると思うんですが、問題になっているのはその非効率性ということで、電波をよりニーズの高い無線LANと情報家電等のところにこれから再配分をしていくということが求められる中で、非常に非効率、しかし若干ながらお客様がついているようなサービスを持っていて、なおかつその代替手段がない。今回のように、ちょうどマイクロの中継に使われていたものなので、光ファイバーに置きかえればということで比較的簡単だったと思うんですが、そういったケースではない場合というのが出てくると思うんです。

 それは非常に慎重にというふうにおっしゃいましたから、基本的には、これはもう総務省、総務大臣の最終御判断というか、非常に密室的に決まっていくことになるんですか、その辺の判断は。

有冨政府参考人 先ほどから申しましたように、評価そのものについては公表いたしまして、公の意見を求めますので、いわゆる恣意的にということにはならないというふうには思っておりますが、具体的に、ある特定の者にのいていただくというようなことを強制する場合については、必要な情報開示というものが求められるものだというふうに受けとめておりますので、本当に必要かどうかについては十分な検討が必要だという意味で、先ほど慎重な検討が必要だというふうに申し上げたところでございます。

田嶋(要)委員 今回、四・九から五ギガヘルツのところがこれから予定されているというふうに聞いているんですが、これは、どういう事情で一番最初にまずここをというふうに御判断をされたのか。そして、通信事業者との交渉に当たっては、特段何か大きなチャレンジ、困難が生じたかどうか、その辺に関してコメントをいただきたいと思います。

有冨政府参考人 先ほど、調査のスケジュールを御説明したときに五ギガヘルツ帯という話をいたしましたけれども、その先行的に調査した部分について、これは四・九から五・〇ギガヘルツ帯でありますと、いわゆる無線LANの周波数が逼迫する可能性が高い東名阪については、今回、この特定周波数終了対策業務の対象になり得るというようなことでございまして、先行的に調査をした結果に基づいて、しかも無線LANのニーズが高いということ、二つの指標で今回選ばせていただいているということでございます。

田嶋(要)委員 早期立ち退きの給付金の関係で御質問したいと思います。

 算定方式という式を見させていただきましたけれども、撤去設備の残存価値と期間利益ということでございますが、これはどういう理屈でこういう形の算定方式が結論づけられるのか、御説明ください。

    〔滝委員長代理退席、委員長着席〕

有冨政府参考人 残存価値についての算出方法について御説明をさせていただきたいと思います。

 残存価値の算出、これは、電波の再配分により撤去される無線設備の残存簿価からその取得価額の一〇%を控除した額とするということを基本と考えております。

 これは、なぜこれかといいますと、学識経験者や関係免許人に参加をいただいた研究会でいろいろ議論をしていただきまして、かつ、パブリックコメントも求めまして取りまとめたものでございますが、具体的な案は、この法案が成立した段階で改めて総務省令を規定いたしますのでパブコメを求めたいと思いますけれども、これにつきましては、あくまでも、冒頭申しましたような、残存簿価から取得価額の一〇%を控除した額というふうに考えておるところでございます。

田嶋(要)委員 そうすると、免許五年間ということですけれども、実行上は五年がずっと延びてきて長いこと使っている、そういう設備がいろいろあるかと思うんですが、その償却されていない残りの部分、そういうことだと思うんですが、今のそういう設備というのは恐らく償却期間が非常に短くなってきているというふうに考えますと、残存価額というのは非常に限りなく小さくなるのじゃないかな、スズメの涙程度の給付金ではないのかなというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

有冨政府参考人 今申しましたような算定式がございますけれども、今回の補償というのは、憲法の私有財産権の保障規定の解釈に関する過去の最高裁の判例、あるいは土地収用法などの他の補償制度も参考にしながら、かつ、再配分を円滑に進めるための措置として必要最小限の補償というふうに考えているところでございます。

田嶋(要)委員 まず、その残存価値を言うならば、代替のものに設備を置きかえていくために新たに発生するコストというものを考慮していかないと、追い出される事業者に対しての十分な救済にはならないのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 給付金の支給額は、今言われましたような設備の残存価値と加えて、その既存設備の撤去費用とか、あるいは代替施設の取得費用の前倒し分に係る金利というものの負担分も算定式の対象にしておりますので、その辺の考慮はしているものというふうに受けとめております。

田嶋(要)委員 今、金利の話をしたわけじゃないんですけれども。

 要するに、今回、光ファイバー設備に移行していくということになれば、当然、光ファイバー用の新しい設備を買わなきゃいけない。加えて月々のランニングコストも新たに発生する。無線だったら、ランニングコストというか、真ん中は空気ですけれども、光ファイバーだと、その借用料というか使用料がかかってくるわけです。

 そういうところに対して、今回立ち退きをさせた事業者が追加の負担がかかってくると思うんですが、そういうところに関しても負担金の中で見ていかないと、撤去設備の残存価値というのはもう余り、今、例えば投資銀行とかがいろいろな会社の買収とかをするときの価値評価の中では、基本的には使われていない。どっちかというと、新しいものを取得するときにかかってくるコストというのを見ないと、その事業者にとって不利益に働くのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 個々に見ますと、経済的な損失といいますか補償額といいますか、そういったものがいろいろあると思いますけれども、今回、研究会でも議論いただきましたけれども、各個別の事情をすべて勘案してやるとなりますと、なかなかそれは公平性等の問題で難しい、しかもシンプルに決めた方がいいということで、あえてシンプルな形で御提案を申し上げているということでございます。

田嶋(要)委員 もう一つ、機会損失というのですか、機会費用。その会社が、そういう意味では、もう事業を続けることができないわけですよね。そこから生ずる、将来期待されたビジネス収益というものに関しての負担、給付金という発想も、全くここには余地がないと思うんです。その点に関しても、普通考えると、半ば強制的にお上に言われてどかざるを得ない事業者から見ると、非常に厳しい状況じゃないかなと思うんですが、その点、いかがですか。

有冨政府参考人 それが仮に営業上の問題であるというふうにあえて受けとめておりますけれども、そういう観点からいいますと、事業の機会損失というような形で営業補償をどうするのかという形になりますと、今の私どもの制度の考え方そのものは、あくまでも、想定される電波の再配分の対象というものは、中継無線回線の光ファイバー等への代替とか、あるいは、ほかの周波数帯への周波数の変更でございますので、免許人による事業が困難になるというようなことを想定はしておりません。

 したがって、営業上の問題はないというふうに思っておりますが、先ほどから申しておりますように、具体的に、どいていただくとかいうような場合については、慎重に、経営的な影響というものも考えて決めなければならないというふうに考えております。

田嶋(要)委員 もちろん慎重にやらなければいけないと思いますけれども、どこまで行ってもかなり恣意性は否定できないのかな。

 それから、今まで、五年という期限は建前上あるものの、ずっと使えていた事業者が、役所からどいてと言われたらどかなきゃいけないということで、ねらい撃ちされたらもうそれまでというような感じがするんですけれども、そういう今の仕組みよりも、やはり今回武正議員の方からも出ておりますオークションのような形をとっていく方が、新しい事業者を選定する際には非常にすぐれたやり方なのではないかなというふうに思います。

 まず、オークションに関しまして、過去にもいろいろと議論がされておると思いますが、これまでオークション制度を基本的に採用している国とそうではない国というのは、割合というか、数的にはどっちがどのぐらい多いんでしょうか。

有冨政府参考人 私どもの承知している限りにおいては、オークションを採用している国は、すべてを把握することはできておりませんが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、それから北欧の国と韓国、そのようなことだろうというふうに思っております。

田嶋(要)委員 過去の総務省かどこかの書類に、欧米の一部の国ではオークション方式を導入しているところであるというふうなコメントがございますけれども、私が調べた感じでも、欧米の国で、どっちかというと、一部がオークションを採用していない、多数はオークション制度を何らかの形で採用しているというのが現実ではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 携帯電話についてのオークションの例は、先ほどから答弁ありますように、イギリスとかドイツでやっておりますけれども、例えばフランスの場合ですと、イギリス、ドイツのようなオークションの結果を見まして、オークションはだめだということで、ほかの方式を選んでおりますし、北欧においても、現時点では比較審査方式をとっているというふうに聞いております。

田嶋(要)委員 先ほど来、ドイツとかイギリスの第三世代携帯に関しての価格の高騰という話が出ておったと思うんです。これは、こういう話が出てきたがゆえにオークション制度に反対をする説得材料として常に挙げられると思うんですが、いろいろと見てみますと、ITバブルがはじける直前の一番絶頂期というか、そういう時期にタイミングが合って、そういった中で価格が高騰をしていったのではないかなと私は思います。

 もしそういったケースが過去にあったとしても、これは言ってみれば、ドイツの会社あるいはイギリスの会社の純粋な経営判断としてミスをした、私はそういうことだと思うんですね。幾らが自分にとって最適な払える上限の価格か、それ以上のお金を出せば事業性がなくなるという判断は、当然、波を買いにいく事業者が独自で判断をしておるわけですので、これは別に周波数のオークションだけの話じゃないと思います。

 MアンドAで会社を買収しにいくときに、普通は買収の価格の上限を決めて、それでも、競合があらわれるとつり上がっていくことはあります。私もそういうことをやったことがありますけれども、そうなったら、やはりあとどこぐらいまでは引き上げていけるけれどもという判断をそれぞれやっていく。そういうことは、とんでもない価格まで行ってしまったら、それは株主に対する経営責任として問われるということにすぎないと思うんですね。

 だから、ドイツとかイギリスでオークションの値段がすごいつり上がったがゆえにオークションが悪いということには、私はならないと思うんですが、いかがでしょうか。

有冨政府参考人 オークション方式そのものについて、ほかの国、イギリスとかドイツ以外の国でもやっているところの実態を見ますと、例えばスイスなんかは、オークションで落札額が高騰しなかったというような事例もございます。

 ただ、これはいろいろ分析する必要があると思いますけれども、現時点で、私どもの認識は、イギリスとかドイツと違いまして、企業にとってマーケット的に魅力がなかったということではなかったのかなと。あるいは、先行してオークションが実施されましたために、携帯電話事業者の方に余力がなかったというふうなこともあるのかなというような形で受けとめておりますが、少なくとも、オークションの場合については、物差しがお金ということでございますので、そこについての歯どめがない。今までの各諸国のオークションについては歯どめがない。

 そこで、フランスのようなところでは、それを見まして、新たな仕組みとして、比較審査方式の中で工夫して実施しているというようなことでございます。

 それともう一つは、電波の有効な利用というものの観点から見ましても、やはり単純にオークションという形、お金だけの物差しだけでやるのはいかがなものかというふうに先ほどから申し上げているところでございます。

田嶋(要)委員 先ほどボーダフォンの例が出ましたけれども、これは歯どめはかかっていると私は思うんですね。

 確かに、間違った経営判断で価格が高騰してしまったケースは過去にある。ただ、そういう経験をもう既に経てきた今日では、ああいった波をああいう国のマーケットのサイズで幾らぐらいで買うのが妥当なのかという常識的というかまともな英知というのは、徐々に高まっていると思うんです。だから、ああいった過去の失敗を踏まえて、もうこれからああいうようなばかげた値段をつける経営者というのは世界じゅうどこにも出てこないんじゃないか、それは株主に対する責任放棄ということになると私は思うんですね。

 だから、過去にはそういうものが一番当初のケースではありました。それはITバブルのときにたまたま軌を一にしてそういうことが行われてしまったけれども、明らかにそれは経営判断としてのミスであって、これからは、オークションという、ヨーロッパでも一部ではなくて大多数、フランス、フィンランド、スウェーデン、スペインですか、その四つを除きほとんどのところが採用しているオークション制度を否定することにはならないと私は思いますけれども、その点、もう一回、いかがですか。

有冨政府参考人 私どもとしては、今のヨーロッパにおけるオークションの実績を見て、それから、ヨーロッパの中でもほかの国の実績を見て、このオークションについてはいかがなものかということでございます。

 ただ、経済的な価値というものについて、オークションはその一環でございますけれども、それについての検討の余地はあるだろうということでございまして、現段階でのオークションの採用というものは不適当ではないか。特にこれは、私どもとしては、電波というものが国民の共有の有限、希少な資源であるということで、最も国民生活の観点でプラスになるものは何かというようなことでこの電波の割り当てについては考えるべきであろうというふうに思っております。

田嶋(要)委員 もちろん完全な、欠点のない制度というのは存在しないと思いますが、それでも、いろいろ考えてみても、先ほど慎重にとおっしゃいましたけれども、非常に基準がはっきりしない、ルールがはっきりしないやり方でやるよりは、やはりオークションに移行をしていく方が、全体的な最適化という意味では私はすぐれているのかなという気がするんですけれども、今度は武正委員の方にお伺いします。

 改めまして、オークション制度をなぜ導入したいのか、それと、現在のようなやり方ではどういうところに問題があるとお考えか、御答弁願います。

武正議員 まず、私の方の手元にある、オークション制度を導入している国の名前を挙げますと、スイス、ベルギー、オーストラリア、ギリシャ、香港、デンマーク、イギリス、ドイツ、ニュージーランド、オランダ、イタリア、オーストリア、そしてアメリカということと、先ほど委員御指摘のとおり、なぜバブルを招いたかというのは、ちょうどイギリス、ドイツの株価のピークと重なっていたというのも事実でございます。

 そして、私が先ほどから言っているのは、すべてオークションを導入しろとは言ってはいない。それはやはり恣意的なさじかげん、裁量行政のきかない第三者委員会が決めていく。そして、あくまでも電波に経済的価値を、もう総務大臣も認めてきた発言をしているわけですから、経済的価値を認めていくべきではないか。

 ですから、当然今回の、この後話題になる登録周波数終了対策機関等の、どいてもらって入ってもらう、入ってもらう人には、当然電波の経済的価値をかんがみたそうした代金、電波利用料も含めて払ってもらうということで、出ていく人の二分の一だよということは全くもっておかしいなといったことでございます。

 オークション制度をもとに市場メカニズムを導入することこそ、国民共有の資源、限られた電波を有効に利用する一つの手段である。全部とは言いません。ただ、その前提は、やはり経済的価値が電波にあるということをまず認めて制度設計をすべきだということでございます。

田嶋(要)委員 今回のオークション制度、前回提出されたときと比べて一つ違いがあると思うんです。武正委員にお伺いしますけれども、オークションのタイミングを早めておられますけれども、今回、これはどういうような理由でそのような形に変えられたのか、御答弁願えますか。

武正議員 昨年は、予備免許申請時にオークションを行うというふうにしたんですけれども、予備免許申請時には、かなりの事業者が、例えば設備をつくったりいろいろと投資をした上でオークションに臨む。当然、このオークションで何としても勝たなければならないというインセンティブが働きますので、これが一つ高騰を招く原因になろうということで、オークションの時期を一番最初の手を挙げる時期、申し込みをする時期にオークションを行おうといった形に方法を変えております。

 以上です。

田嶋(要)委員 そのオークションとの関係で、先ほど通信・放送委員会という御指摘があったと思うんですけれども、今回、これは武正委員の方から提案をされている法案のみでございますが、まずそのメリットということ、どういったメリットがこのようなものをつくることによって出てくるのか。過去の大臣答弁、今の麻生大臣ではございませんけれども、基本的にこういった振興行政と規律の部分を分けることは望ましくない、効率が悪くなるといったようなことを言われておりますけれども、それに関して、まず武正委員の方からお願いします。

武正議員 まず、通信・放送委員会を設置する趣旨及びメリットについてなんですけれども、いわゆる三条委員会ということでございまして、三条委員会は、もう申すまでもなく、第三者機関である通信・放送委員会がやはり公平公正な観点から電波行政いかにということで、総務大臣に対してしっかりと物を言える、ある面、イコールな立場で協議もできる。

 しかしながら、現状の電監審、電波監理審議会あるいは情報通信審議会等、八条委員会ですと、建議という言葉を使いまして、総務大臣に物を申し上げる。立場が全然違うんですね。そうした立場からいかに公平公正な電波行政ありと言っても、総務大臣に物を申し上げるという立場では、結局言うべきことが言えないということで、やはり三条委員会よしということなんでございます。

 ただ、電監審にしても、平成十一年四月十六日に、戦後二回しか使われなかった大臣に物を言える勧告というちょっと強い言い回しのものも削除してしまいまして、そのほかにも電監審の議決でいろいろ決めるんだよということも削除してしまっております。

 そうした現状の八条委員会ですら問題がある中で、今回、結局、後退に後退を重ねてきた。オークションもやらない、経済的価値も、先ほどは公益性の方がまさるんだという副大臣の答弁もあったように、今回のさまざまな答申は、ここにいらっしゃる局長の私的な諮問機関である電波有効利用研究会、電監審にすら、八条委員会にすら諮問もしていない、私的なそういった機関が出してきた答申をもとにさまざまつくられているところでございます。

 これから大臣もNTTの加入権の廃止ということを情通審に諮問をするんだという記事もございますけれども、私は、公平公正な立場であれば、やはりこの通信・放送委員会、三条委員会のメリットというものは大きいと。これはもうアメリカでもFCC、イギリスでもOFCOMということでありますし、今盛んに政府が言っている事前規制から事後チェックということはよくわかりますが、事後チェックが働くためにはルールメーキングが大事であって、公平公正なルールがなければならないということでございます。

 また、振興と規制を分離することに不都合はないというふうに考えていまして、両者を分離しても、かえって政策の決定や実施がスピーディーになったりするわけですね。一緒にやっていると、振興しようか規制しようか迷って、ああだこうだ言っているうちにどんどん時間が過ぎていってしまう、こういったことがありますので、私は、かえって分離した方がいいというふうに思っております。世界一の国を目指すというお話でございますが、国連でも十五位、アクセンチュアでも十七位、こういったこともありますので、私は、やはり振興と規制は分離をしていくべきだろうというふうに考えております。

    〔委員長退席、野田(聖)委員長代理着席〕

田嶋(要)委員 では、最後の質問にいたしますが、麻生大臣、最後にお願いいたします。

 今の三条委員会でございますが、前の片山総務大臣は非常に否定的でございました。もともと二十幾つあったのが今かなり数が減ってきて、大統領制ではない議院内閣制のこの国では基本的にはなじまないという御答弁があったと思うんですが、一方で、当然、公正取引委員会のようなものは存在をしておるわけですが、今回、武正委員の方から提出をされているこのFCCのような委員会に関しまして、大臣のお考えはどのようなものか、お話を聞かせていただきたい。

麻生国務大臣 今、片山大臣の例も引かれておりましたけれども、昭和二十六年、占領中にあったのが二十四委員会、それが、日本が正式に独立しました昭和二十七年四月二十八日以降で、正確に言いますと、四委員会。その中に残りましたのが、いわゆる中労委とか、今言われた公正取引委員会とか船員とかあったと思います。そういったのが残ったと思いますが、基本的には、いわゆる大統領制と議院内閣制の違いというのが大きかったんだと思います。

 少なくともこの国では、行政を執行いたしますのは、そこにおりますいわゆる担当大臣、議院内閣制に基づいて選ばれた担当大臣が責任を持って遂行する、基本的にはそういうルールになってきております。これまでのところで見ましても、こういったスピードを要するような今のこの時代にあって、スピードを要求されるということがあるから、これまで結構早くうまくやれてきたのは、そういったものが一体になってやってきたというのが、多分、これまでは間違いなくそれがうまく作用したんだと思うんです。

 結果として、少なくとも、この国は世界で一番安く、一番速く、ブロードバンドの現状は明らかに、今、外国では日本におくれておるという例をよく使われますけれども、あのヨーロッパの出された、日本が十八位とか二十何位というものは、あれはブロードバンドはどれぐらいその中に入れてあるんですかというと、入っていない。そういったようなところを見てみますと、私は、三条委員会があったからあれだけ進んでいるとか、三条委員会がないからおくれているという理由にはならぬという感じがします。

 私どもといたしましては、規制といわゆる振興というのは、ある程度一体的に伸びているときには、そういったものがきちんと、スピードを持ってやるときには行政というものが対応を、両方とも問題があるならともかくも、境界はなかなか見分けるところが難しいので、そういった意味では、今の制度というものの中に三条委員会をという御意見は今なじまないという片山意見と基本的には同じ考えをいたしております。

田嶋(要)委員 もう時間になりましたので以上にいたしますが、片山大臣は御答弁の中で、親が子供をしかるのとなだめるのを、甘やかすのを両方やる、それは両方一緒にやっているからという話がございましたけれども、基本的に親は二人いるわけでございまして、やはり片方の親が厳しくしつければ片方の親が褒めて育てるとか、同じように、むしろ、もしそういう例を片山大臣が引かれるのであれば、今までのような過去の延長線上のやり方ではなくて、FCCのようなものの導入にももう少し積極的な御検討をしていただければ、そのように私は考えます。

 以上で質問を終わります。

野田(聖)委員長代理 次に、山花郁夫さん。

山花委員 民主党の山花郁夫でございます。

 先ほど来、同僚委員の議論を聞いておりまして、衆法提出者に一点、少し確認をさせていただきたいところがあるんですけれども、衆法の方ですと、公共セクターからも電波利用料を徴収するという形になっていると思うんですが、この点について、どういう理由に基づくものか、御答弁いただきたいと思います。

    〔野田(聖)委員長代理退席、委員長着席〕

武正議員 私ども、昨年もそうですけれども、今、日本の電波帯の約四割を利用しているとされる公共セクターが一切電波利用料を払っていない、これは、国民共有の資源である電波の効率的な運用にあって大変問題だというふうに思っております。

 九三年、電波利用料制度が始まった時点で、当時の郵政省は、公共セクターにも賦課をしようという考えがありましたが、他省庁とのやりとりの中でそれが言えなかった。経済団体も、当然公共セクターも電波利用料を払うべきじゃないかというふうに言っていたんですが、結局賦課をしなかった。これは既にイギリスやオーストラリア、カナダなどでも例がございます。イギリスにあっては、いわゆる防衛関係にも賦課をしているということで、これは、今回の有事法制関連の議論の中で、電波というものについての、ある面、主権制限、こういったところにも絡んでくるかと思っております。

 また、日本の高速道路をちょっとお考えいただきたいと思うんですね。では、公共セクターはお金を払わないでいいのかどうか。これはやはり限定的に、警察とか、あるいは捜査に当たる検察とか、あるいは消防とか、あとは、今回鳥インフルエンザがありましたが、防疫とか、非常に限られた、緊急性を要するものは高速道路料金は払わなくていいけれども、一般的に、例えば総務省さんの車が高速道路に乗るときはただでいいよ、こんなことはあり得ないわけでして、こういったところからも、私は公的セクターであっても電波利用料を払うべきであるというふうに考えております。

山花委員 政府案の方についてお尋ねをしたいと思います。

 今回の登録周波数終了対策機関のところですが、総務大臣は登録を受けた者に特定周波数終了対策業務を行わせることができる、こうなっておりますけれども、これはどのような団体を今想定しているんでしょうか。

有冨政府参考人 登録機関につきましては、申請した民間事業者等が法定された要件を満たせば、すべて登録されるということになります。

 その要件につきましては、無線通信士の資格等無線通信に関して一定の知識経験を有すること、あるいは債務超過の状態にないこと、再配分の対象となる周波数を使用する無線局を開設していないこと、親会社等特定の者に支配されないことというような要件があればでありますけれども、現時点において、こういう制度にかんがみまして特定の機関を想定しているということについては、答弁は差し控えさせてもらいたいというふうに思います。

山花委員 いずれにしても、そういった要件を満たせば、新たに例えばそういう団体をつくって参入してくれば、それは認められるという趣旨でよろしいですね。

有冨政府参考人 先ほど登録要件について申し述べましたけれども、先ほどの要件を満たしている限りにおいては速やかに登録をされますし、これに合致すれば、新たに設置されたものでありましても、すべて登録が受けられるということになります。

山花委員 これは、例えば新たな団体ができて、それが参入してくるということも理屈としてはあり得るわけですけれども、よもやとは思いますけれども、これで何か役所のOBの方がそういった団体をつくって参入しようなどということは今考えていらっしゃらないですよね。

有冨政府参考人 役所主導で新たな団体をつくるんじゃないかというような御質問でありますけれども、そういうことは考えておりません。

山花委員 こういう御時世で、よもやそういうことはないと思いますが、やらないようにしていただきたいと思います。

 再配分費用の算定方式について、これは政府案の方に質問しようかと思っていたんですが、先ほどのやりとりの中で、よくわかったというか、よくわからないことがわかったような気がいたしますが、この点、衆法の提出者にお伺いしたいと思います。

 先ほど来出ておりますが、政府案では、特定周波数終了対策業務によって、退出した旧免許人に給付金を支給したような場合、この費用の二分の一以上を新規免許人から回収する、こういう形になっていますけれども、この点について、衆法の方ではどのように考えているのでしょうか。

武正議員 衆法の方は、先ほども触れましたように、その退出の方の価格の算定は政府案に同じであります。

 ただ、参入の方が問題でして、つまり、閣法は、退出のときに支払った額の二分の一以上ということで、もう決まってしまうわけなんですが、やはり参入者は、その参入すべき電波帯の経済的価値に見合った価格を払ってもらう。具体的には、それが電波利用料かもしれないし、先ほど言った三条委員会が決めればそこで、参入希望者が多ければオークションをやってもいいじゃないか、そういった仕組みになっているわけでございまして、私は、この給付金額の二分の一以上をというのは、多分矛盾してくる論理だと思うんですね。つまり、参入者の方は、もともと決まってしまうわけですね、給付金額は決まっている、その二分の一以上というと、おのずから決まってくる。

 例えば、そうすると、参入者のことを考えると、余り給付金額は上げられないわけですよ、先ほど田嶋委員が言ったように。給付金額を上げてしまうと、参入者も二分の一以上だから、つり上がっちゃうから、給付金額は下げるというふうに当然インセンティブは働くし、この給付金額の二分の一以上というのは経済的価値を反映した制度ではないというふうに考えております。

山花委員 もう一点、衆法提出者にお伺いしたいと思います。

 衆法の方では、登録周波数終了対策機関の登録欠格要件というものの規定がありまして、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者というものを、追加的にと申しましょうか、規定をしておりますけれども、これはどういった趣旨に基づくものでしょうか。

武正議員 登録周波数終了対策機関は、特定周波数終了対策業務として、給付金の算定、支給等の業務を総務大臣にかわって行う機関であるため、無線設備の登録点検事業者とは異なり、適格要件を厳しくする必要があるとの考えによります。要は、地上げという言葉がありましたが、まさにこれは電波上げの危険性があるのではないかというふうに衆法提出者は考えております。

 閣法の方は、ではどういった資格要件になっているかというと、知識経験があるとか債務超過がないとか、こういったことのみで、いわゆるこうした暴力団関係者が電波上げをやることを防ぐような仕組みになっていないわけでありまして、私は、これは大変この閣法の問題点であるというふうに思っております。

 また、先ほど局長の方から、特定の団体を考えていないというようなお話がありましたが、私の方は特定の団体名を考えているというペーパーをいただいておりまして、先ほどの答弁はいかがなものかというふうに思っております。

 閣法の方では、これはとりたてていわゆる電波上げの仕事をすることにインセンティブはないのだというふうにいいますが、やはり電波を、どいてください、そして新たな人入ってください、当然これは地上げと同じようにインセンティブが働いて、私はそこによからぬ事業者が入ってくる余地が大いにあるというふうに思っておりますので、少なくとも、この禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、またはその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者というのを追加した理由はここにあるのでございます。

山花委員 大変よくわかりました。

 ところで、これは総務省の方にお伺いしたいんですが、今回の改正にはサイバー犯罪条約に関する部分が入っておりますが、その中で、暗号化されたデータ通信などの不正な意図による傍受、復元を処罰するような改正がなされております。これは改正前とどう違うのか、また、改正された背景について御説明ください。

有冨政府参考人 まず、背景でございますが、本罰則は、サイバー犯罪に関する条約に定める違法な傍受に対する処罰を担保するために措置するものでございます。

 それから、その内容でございますが、従来ですと、無線通信の秘密については、漏示、窃用が実際に行われた後にしか処罰できませんでした。今回の罰則の創設によりまして、暗号通信の復元がなされた段階であっても、その復元が漏示、窃用の目的で行われた場合には処罰を可能とするとともに、その未遂についても処罰をすることが十分な抑止効果を図るというようなことでございます。

山花委員 きょう、外務省の方においでいただいているんですけれども、外務省はこのサイバー犯罪条約について所轄ということになろうかと思いますが、サイバー犯罪条約ではどのように国内法整備が求められているんでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバー犯罪条約は、第三条におきまして、非公開のコンピューター通信に対する傍受が何らかの技術的手段、例えば送受信を収集、記録する装置やソフトウエア、パスワードの使用等によって権限なしに故意に行われることを国内法上の犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとることを締約国に義務づけております。

山花委員 そういう説明で、今回は多分総務省とも協議をされたんだと思うんですけれども、この条約を実施するに当たって、今回出てきている閣法の修正案で、この形でよいという御認識ですね。

石川政府参考人 お尋ねのサイバー犯罪条約の締結に当たりましては、この条約そのものの締結の御承認を今国会にお願いしておるわけでございますけれども、この条約の国内関連法を所掌する関係各省庁、今お尋ねの総務省あるいは法務省、警察庁、経済産業省といった国内における実施法のあり方等につきまして、私ども、交渉の段階から緊密に協議してきております。

山花委員 ただ、今回のサイバー犯罪条約を拝見いたしますと、「傍受が、技術的手段によって権限なしに故意に行われることを自国の国内法上の犯罪とする」という書きぶりで、傍受そのものを犯罪とせよというふうにも読めるんです。

 先ほど総務省から御説明あったように、傍受そのものではなくて、一回受けて、つまり、時系列で説明いたしますと、まず送信者が送信をいたします、そして傍受をする人がいます、そして内容を復元します、従来ですとさらにそれを漏示、窃用という行為があって処罰していたものを、その前段階の漏示、窃用目的で内容を復元する、ここも処罰するようになったんですという話であります。そして、それには未遂罪がついております。

 確かに、サイバー犯罪条約第十一条の第二項のところでも、これについて未遂罪を設けるようにと書いてあるんです。確かに形の上では何かこれに合致しているようにも見えますが、ただ、素直にこのサイバー犯罪条約を見てこちらの説明を受けますと、符合していないと申しましょうか、傍受そのものではなくてその後の段階のところをとらえて処罰、そしてその未遂もとなっているんですけれども、これで国際的に説明がつく話なんでしょうか。

石川政府参考人 第三条が犯罪化を求める違法な傍受について、御報告させていただきたいと思います。

 この違法な傍受とは、基本的に、無線通信または有線通信を使用したコンピューターデータの非公開送信の傍受が、技術的手段によって権限なしに故意に行われる場合を指しております。

 ここで念のため非公開送信ということについて申し上げたいと思いますけれども、送信過程が非公開である送信をいうものでございまして、送信されるデータの通信内容が非公開であるか否かを問うているものではございません。

 それから、技術的手段でございますけれども、送受信線に取りつけられた技術的装置、無線通信を収集し記録するための装置を含み、これに加えまして、ソフトウエア、パスワード及び暗号の使用を含めるということが各国共通の認識だと承知しております。

山花委員 ちょっとよくわからないところもあるんですけれども。私自身は、このサイバー犯罪条約の内容をそのまま素直に読んだときに、傍受そのものを処罰するようにということであるとすると、それを犯罪化するにはなかなか容易なことではないと思いますので、今回の政府案のようなやり方もあるのかなと思っております。

 なお、このサイバー犯罪条約、外務委員会ではありませんけれども、こういった犯罪化であるとか捜査の方のことだけではなくて、例えば「千九百五十年に欧州評議会で採択された人権及び基本的自由の保護に関する条約、千九百六十六年に国際連合で採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約その他の適用される人権に関する国際条約にうたう法の執行の利益と基本的人権の尊重との間に適正な均衡を確保することが必要であることに留意し、」こういう前文も書いてあって、どうも人権に関する条約は、やれやれと言ってもなかなか締結していただけない割には、こういうものはぽっと進んでいってしまうということについて、ちょっといかがなものかなという思いがありますので、他の人権に関する条約についても、その締結等進められるよう要望いたしまして、外務省の方は退席をしていただいて結構です。

 ところで、先ほど出ておりました、漏示、窃用の目的でという話がありましたけれども、この漏示とか窃用、これはどういう概念なんでしょうか。総務省、お願いします。

有冨政府参考人 電波法におきましては、無線通信の秘密につきまして、漏らしというのは、正当な理由なく他人に漏らしまたは他人が知り得る状態に置くこと、それから、窃用とは、正当な理由なく発信者または受信者の意思に反して利用することというふうにしております。

山花委員 ということなんですが、例えば役所の方からいただいているこの説明の絵を見ますと、漏示、窃用の準備段階で今回処罰するようにします、そして、その未遂も処罰するようにします、こういう書き方になっております。

 ただ、これは法律的な話ですけれども、いわば、もし準備罪的に考えるのであるとすると、独立予備罪のような形である。しかも、予備についての未遂を処罰するというふうにも見受けられる書き方になっていて、私は最初大変違和感を持っておりました。つまりは、法学上、予備の未遂というのがあるのかないのかというのが論ぜられるぐらい、実行行為と申しましょうか、その外延が非常に不明確なものであります。

 そこで、内容の復元であるとかあるいはその未遂というのは、どういった状態を指すと想定しているんでしょうか。

有冨政府参考人 この罪におきましては段階がずっとあるわけでございますが、まず、この罪におきます実行の着手というのは、傍受した暗号通信の内容の復元行為に着手した段階、具体的に言いますと、例えばパソコン上で復元用プログラムを作動したときという形になります。

 それから、罪の既遂ということでございますが、これは、傍受した暗号通信の内容の復元が完了したという段階、具体的には、例えば暗号通信の内容を理解可能な状態まで復元することができたということで、既遂ということが成立するというふうに理解しております。

山花委員 今、その未遂のところでお話がありましたけれども、例えば、暗号をひもとくようなROMのフロッピーをセットしたという時点が未遂である。これは、現実的に考えて、しかし、そういったものを本当に取り締まろうとしたら、例えば、そういうことをするんじゃないかと目をつけているところを双眼鏡ででものぞいて、じっと見ていて、何か入れたという時点で、それ行けという形で突入しないと恐らく犯人を検挙することはできないわけでありまして、こういった形での犯罪化をするということに対しては、これは捜査が行き過ぎないかという懸念を非常に持っているわけであります。

 警察庁の伊藤生活安全局長においでいただいておりますので、この点について、私はこの後採決で衆法が成立するものと思っておりますが、仮にこの政府案が成立をした場合に、こういった今のようなケース、どういう取り締まりをされるおつもりでしょうか。

伊藤政府参考人 今のお尋ねの件でございますけれども、外形的にパソコンを操作していることを見ただけで暗号を復元する行為に着手したと判断できるような材料あるいは事例というものは、実際は、通常はないというふうに考えられます。

 そういった意味で、パソコンをさわっているという段階だけで未遂罪で現行犯逮捕ということは通常は起こり得ないのかなというふうに考えておりますけれども、警察といたしましては、この法律が成立しましたら、立法の趣旨に照らしまして、暗号通信復元罪につきましても、法と証拠に基づきまして、適切に取り締まりを行っていくというふうに考えております。

山花委員 つまり、今回のこの法律が仮に成立をして、通信の秘密を保護法益とするのでありましょうけれども、通信の秘密も大事ですが、それを挙げんがために私生活を余計侵犯するような捜査はやらないという趣旨であると承っておきたいと思います。

 ところで、これはすべての無線通信が対象となるのではなくて、先ほど総務省の方からも御説明いただきましたけれども、暗号化されたというふうに限定されているわけですけれども、すべてではなく、暗号化されたというふうに限定している趣旨はどういうことでしょうか。

有冨政府参考人 これは無線通信の特徴でございますけれども、無線通信は開放された空間を伝送路として使用するということなので、自己にあてられていない無線通信であっても受信自体は容易であるということから、傍受自体を実行行為として処罰するということは考えておりません。

 ただ、通信の秘密という観点で、暗号がかかっているものについて、これを復元するということについてはいかがなものかということで今回お願いしているものでございます。

山花委員 つまりは、暗号がかかっているものについては、送信する側もその中身を秘密にしてほしいという意図が感じられるわけです。警察無線であるとか、あるいはタクシーに乗っていても無線が入ってくることがありますけれども、あれは、言ってみれば、聞かれることを前提としているようなものであるのに対して、暗号化されているのは秘匿したいという意思が明らかなのかな、このように思うわけです。

 ところで、これは、漏示、窃用目的でというケースを処罰するということになっていますが、捜査目的での傍受というのは適法であるということなんでしょうか。

有冨政府参考人 先ほど、電波法についての漏らし、窃用ということにつきまして御説明しましたけれども、あくまで正当な理由なく他人に漏らし、または他人が知り得る状態に置くこと、窃用とは、正当な理由なく発信者または受信者の意思に反して利用することということでございまして、警察が犯罪捜査のために暗号通信を復元するということは、今申しましたような漏らすとかあるいは窃用する目的があるというふうには言えないと考えておりまして、本罪の対象とはなりません。

山花委員 これは無線通信で、たしか通信傍受法というのは原則として有線に関するものだったと思います。

 つまり、私は、通信傍受法、あの法律がそのままでいいとは思いませんが、その点は留保させていただくにしても、一応、有線のケースですと、通信の秘密を保護する、それに対して、それを侵犯するおそれがあるケースについてはきっちりと令状をとって、そして傍受をするという枠組みになっていたと思うんです。無線のケースですと、これは通信傍受法の対象となっていない無線の傍受というものがあるということになるんでしょうか。これは法務省の方に、副大臣おいでいただいていますので、その点、お答えください。

実川副大臣 犯罪捜査のための通信傍受に関します法律におきましては、通信とは、電話その他の電気通信でありまして、その伝送路の全部もしくは一部が有線であるものまたはその伝送路に交換設備があるものと定義されております。発信者から受信者までの伝送経路の全部が無線である通信でありまして、かつ、伝送路に交換設備がないものは通信傍受法の対象となる通信には該当いたしません。

山花委員 ちょっとその類型について、具体的に総務省の方から、どういうものが通信傍受法から外れるものであるということをお示しいただけますでしょうか。

有冨政府参考人 今御答弁ありましたとおり、無線のみで完結する無線通信であって、伝送路に交換設備がないものということの具体的な例でございますけれども、例えば漁業無線、あるいはアマチュア無線というようなものが該当すると考えられます。

山花委員 つまり、そういう純然たる無線同士のやりとりについては、先ほど申し上げましたように、普通にオープンにされている、暗号化されていないものの通信のやりとり、これは恐らく発信している方も、だれかに聞かれるかもしれない、その前提でやっていると言っていいでしょうし、仮に本人が、いや、そんなつもりなかったと言っても、いやいや、そういうものでしょうという話はできると思うんです。

 ところが、内容を暗号化、つまり、何かスクランブルがかかっているなり、ブロックされているものというのは、だって、それはほかの人に知られたくないからブロックする、相手方にだけ到達させたいからブロックしているわけで、これに対しては現行のままですと令状が要らない。

 つまり、実際やっていらっしゃるかどうかはわかりませんが、それを傍受して、例えば漏示、窃用目的ではないと言っても、ブロックが何重にもかかっているのを一生懸命捜査の必要があるということで解くということも、これは全く今令状などの規制がないということなんですよね、法務副大臣。

実川副大臣 委員御指摘のように、捜査機関が捜査の目的で暗号通信の復元を行う場合には、漏示、窃用の目的がないことになりますから、この場合は罰則の対象とはならないものと承知いたしております。

 もちろん、捜査機関であるからといいましても、無限定に暗号通信を復元できるわけではありませんし、あくまで捜査の必要性が認められる場合に限って復元を行うことが許されるのでありまして、そのような必要性がない場合にまで暗号通信を復元することができないのは当然であります。

 したがいまして、捜査機関が暗号通信の復元を行う場合には、捜査の必要性を十分に踏まえる必要があるものと考えております。

山花委員 いやいや、それはでも当たり前の話で、そんな捜査の必要性がないことはやらない、あるからやると言うんですが、そんなこと言ったら、令状主義というのは必要ないじゃないですか。

 つまり、家宅捜索だって何だって、それは必要があってやっているわけですよ。ただ、それが私生活の侵犯に当たったり、あるいは捜査機関の思い込みで、第三者が見れば、いや、ちょっと待てという可能性があるから令状というものをとっているんであって、これは今、令状なしでできる理由として捜査の必要性とかいろいろ言われたんだと思いますが、これは民間人がやれば罰則があって、別に捜査機関に何か罰則を設けろと言っているんじゃないんです。そういうケースについては、今直ちにとは言いませんけれども、令状なりなんなりを必要とするような形に改める必要があるのではないか、そのことを指摘させていただきたいと思います。

 繰り返しますけれども、要するに、もともとは、恐らくは暗号化された通信というものがそれほど発達していなかったころはそれでよかったのかもしれませんけれども、今これだけの形になっているわけですから、そしてこの法律の趣旨も、暗号化されているということはその送信者が秘匿したいということが客観的にも明らかだからこそ、すべからく傍受して、漏示、窃用目的で内容を復元することを処罰するのではなくて、暗号化されたものに限定をして処罰をする、それは何でかといえば、秘匿性が高いからだ、こういうことなわけですから、それについては、令状要件等今後しっかりと検討されるべきだと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

実川副大臣 今回の改正は、漏示または窃用目的でありまして、暗号通信の内容を復元する行為を無線通信の秘密の漏示または窃用の予備的行為ととらえて処罰することでありまして、無線通信の秘密に関します現行法の考え方を変更するのではございません。

山花委員 いやいや、それはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですが、一応電波のことですから、総務大臣、何か、今議論を聞いていていただいて、時々うなずかれていたようにも私はお見受けしたんですけれども、どうお感じになりましたか。

 つまりは、秘匿性がある、例えば総務大臣がどなたかに暗号化したシグナルを送って、よもや立派な方ですから捜査の対象になられることはないと思いますが、それを警察が令状なしに解読するというようなことが、幾ら捜査の必要性があるからといって、これは法務省と少し協議されて、令状なりなんなり、新たな類型になるのか、あるいは、もともとの法案を私どもは賛成はいたしておりませんけれども、通信傍受法のどこか一部改正すればなるのかわかりませんけれども、そういうことを少し考えられたらいかがかと思いますけれども、通告はしておりませんが、今の質疑を聞いていかがでしょう。

麻生国務大臣 あすは我が身と思って聞いていたんですけれども。

 今の話でいきますと、任意の捜査なら、多分現行法でできるということになっているんだと思うんですね。この種の話は、多分これから、今までですと、通常、盗聴というと電話だったんだと思いますが、その他の通信施設というものがこれだけ発達してくると、それに伴ってスクランブルをかけたり、ファイアウオールをつけたりしてもいろいろ介入してくる可能性というのは高い。同時に、サイバー攻撃に対して警察もサイバー専用の警察官というのを養成せざるを得ないことになるぐらいですから、そういう状況にあることは間違いないんだと思います。

 ただ、何となく気がついたらいつの間にか妻との秘め事も全部盗聴されていたなどという話は余り、気分としてはいま一つかなという感じが率直にします。今初めていきなり質問されましたので、感じだけを言わせていただければ、いきなり知らないところで、任意とはいえ一方的にやられていると言われて、何となくちょっとすっきりせぬかなという感じが率直なところです。

山花委員 ぜひこれを機に、総務省と法務省とで、私は協議をしていただきたい、これは要望させていただきたいと思います。

 法務副大臣、警察庁の方、御答弁いただきましてありがとうございました。

 ところで、また総務省の方にお伺いしますけれども、今回のこの電波法の改正によって、電波の再配分ということが可能となりました。つまり、例えて言えば、電波のある周波数のところ、出入りがあるという形になるんですけれども、このことによっても、電波が有限であるあるいは希少性があるという特性に変化を来すものではない、このような認識でよろしいでしょうか。

有冨政府参考人 電波は、物理的に有限、希少であるということで、そのために、その有効な利用を図るために、例えばナロー化等の電波に係る技術開発は推進しておりますけれども、基本的な電波についての有限、希少性というものは変わらない、このように思っております。

山花委員 放送法三条というのがあって、政治的公平性をうたっているわけです。これは、電波メディアといえども表現の自由がありますから、それに対する制限ではないかという憲法学上の議論があって、いや、放送法は憲法違反ではない、何となれば、ペーパーメディアと違って、有限、希少な公共的な性格もあわせ持っているそういったものであるので、多様な意見を伝えるということで憲法違反ではないというような学術的な議論もございます。

 つまりは、放送法第三条が公平性をうたっているというのは、そういった電波の特質からであるというふうに理解してよろしいでしょうか。

武智政府参考人 放送法第三条の二第一項第二号におきまして、放送事業者は、放送番組の編集に当たっては、政治的に公平であることとの規定によらなければならないとされているところでございますが、このような規定が設けられているのは、放送が、御指摘のように有限、希少な資源である電波を使用することや大きな社会的影響力を有するためであるというふうに理解をしているところであります。

山花委員 ところで、過日、三月三十日の毎日新聞、あと朝日でも後日後追いの記事が出ましたけれども、山形テレビというところが、三月二十日に、自民党山形県連企画・制作の広報番組というものを八十五分間、CMもなしで流したということが、政治的中立に疑問である、こういった記事が出ております。

 私も、これ何だろうということで気になりまして、ビデオを手に入れまして見たんですけれども、なかなかなものであります。

 第一部ということで、山形県選出の三人の衆議院議員の方、そして二人の参議院議員の方が、国会議員の座談会というのをやっております。この夏改選を迎える方もいらっしゃいます。いわば全面的な自由民主党のPR番組なわけですけれども、中にはこんな一こまも出てきます。

 ナレーションがあって、額賀政調会長の絵が映るんですが、山形県の自民党県議会議員が大挙して東京の自民党本部を訪れたのは去年の暮れのことです。一行は、高速道路整備促進を求める今井幹事長を団長とする総勢十五人です。安倍幹事長の顔が映ります。一行は、額賀政調会長に続いて、幹事長室に安倍幹事長を訪ねました。自民党県議団は、県民の総意として、県政の発展に欠かせない東北中央自動車道と日本海沿岸東北自動車道の整備促進を安倍幹事長に強く訴えました。今度は古賀道路調査会長の顔が映りまして、この後、自民党県議団は古賀道路調査会長を訪ね、新直轄方式による高速道路の早期整備を重ねて要望しました。今度は国幹会議の映像が映りまして、こうした、自民党県連挙げた取り組みが功を奏して、年も押し迫った十二月二十五日に開かれた国土開発幹線自動車道建設会議、国幹会議で山形県が要望していた高速道路整備計画道路二路線三区間が新直轄方式の第一次対象区間に指定されたのですと。

 まあこの後も随分続くんですが、こういった番組が流れたわけですけれども、ちょっと、そもそもの話でお伺いしますが、山形テレビというのは、これは財団法人日本民間放送連盟というところに加入しておりますね。

武智政府参考人 山形テレビは、財団法人ではなく社団法人でありますが、社団法人日本民間放送連盟に開局当初から加入をしております。

山花委員 済みません。社団法人ですね。

 その民放連の放送基準でも、第二章「法と政治」というところで、十一「政治に関しては公正な立場を守り、一党一派に偏らないように注意する。」こう規定をされているわけですけれども、この放送基準については総務省としては承知をされているんですか。

武智政府参考人 ただいま御指摘の条項につきまして、総務省といたしましても承知をしているところでございます。

 なお、山形テレビはみずからの番組基準を定めているところでございますが、それを行うに当たりまして民放連のこの放送基準を準用しており、この基準に従って放送番組の編集を実施したものと認識しております。

山花委員 これは随分大きな記事が出て、その割にはどういうことだろうと思うんですけれども、これは、役所として山形テレビの方に事情を聞かれたりとか、そういうことをしているんでしょうか。もしそうしているのであるとすると、山形テレビはこれは放送法上問題ないというふうにおっしゃっておられるんでしょうか。その点についてお聞かせください。

武智政府参考人 総務省におきましては、山形テレビから、御指摘がありました番組につきまして、これを放送するに至った経緯等事実関係の把握を現在しているところでございます。

 そして、山形テレビは、放送法に規定されている事項でございますので、当然のことながら政治的公平の規定に抵触しないと判断して放送するに至ったのでありますが、現在、主として、そのような判断をするに至った経緯等について伺っているところであります。

山花委員 山形テレビ側は、どういう理由で放送法に反しないというふうな主張をされているかということは明らかにできませんか。

武智政府参考人 ただいまも申し上げましたとおり、現在まだ事情を聴取している段階にございますので、そのような前提を置いてお聞きいただきたいと思いますが、現在、総務省といたしまして山形テレビから説明を受けているところによりますれば、まず、山形テレビは次のような主張をしております。

 企画が持ち込まれた段階で、山形県選出の国会議員を抱える民主党と公明党にも同様の番組の企画意図があるかどうかを打診し、機会の均等に配慮したこと、また、自民党一党の広報番組のため、他の党を誹謗中傷するような発言のないことを確認した、また、選挙を意識して特定の人物や政策を強調していないことを確認し、その他公職選挙法にも抵触しないと判断した等の報告でございます。

 繰り返し申し上げますが、現在事実関係を把握中という段階にある説明だというふうに御理解をいただきたいと思います。

山花委員 民主党、公明党にはそういった説明があったということ、企画を持ち込んだ形跡があるようですが、共産党、社会民主党に対してはどうだったかということは何か山形テレビは言っていますでしょうか。

武智政府参考人 そのようなことについての説明は受けておりません。

山花委員 確かに、我が党の山形県連のところに村田営業局長、横沢課長がいらっしゃって、十二月二十五日に企画を持ち込んでおります。ただ、そのときには、まだ詰めた話ではなくて、また来るというような話のまま、先方は全くいらっしゃることはなかったというわけでありまして、本当につくる気があったのか、別につくってくれと言うつもりもありませんが。ただ、そこの点があるんです。

 民主党の山形県連には何か問い合わせ等をいたしましたか。つまり、山形テレビはそう言っているかもしれませんけれども。私が確認したところ、確かに企画が持ち込まれているようですが、けれども、一方の当事者がそう言っているだけで、本当に持ち込んだかどうかわからないじゃないですか。公明党、民主党のそういうところにお問い合わせはしたんでしょうか。

武智政府参考人 繰り返しになりますが、まだ御説明を受けている途中の段階であるという前提でお聞きをいただきたいわけでありますが、ただいまの質問にお答えをすれば、総務省といたしまして、民主党の方にお問い合わせをまだしておる状況ではありません。

山花委員 今回の放映に当たっては、この山形テレビというのはテレビ朝日の系列でして、テレビ朝日は番組審査室のようなところがあって、それをチェックするところがあるんですが、そこに持ち込まれたのかどうか、あるいは、持っていったけれどもだめだと言われたかどうか、そういったことについては情報は入っていますでしょうか。

武智政府参考人 まだ十分に事実は確認できておりませんので、これ以上お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

山花委員 そうおっしゃいますが、三月二十日に放映されて、新聞には三月三十日に出ているわけであります。実際、私もこの中身を拝見いたしましたけれども、県議会の様子であるとか、随分周到につくられておりまして、つまりは、随分と前からこれは準備されていたのではないかと思われますし、さらに言えば、五分、十分であれば深夜帯にでもちょっと売り込んでいって、だめだったら何かパーティーのときにでも使おうとか、何とかしようがありますけれども、八十五分ですから、これは明らかにもう放映されるというような前提がなければそもそもつくりようがないような中身になっているわけです。

 この点について、例えばどういった経緯でこれが山形テレビの方に持ち込まれたのか、あるいは、企画会社とはどういう話になっていたのか、こういったことについてもまだ事情は聞いていないんでしょうか。

武智政府参考人 私どもが現段階で把握している事実によれば、この番組は自民党の山形県連と企画プロダクションとの間で制作をされて山形テレビの方に持ち込まれた、いわゆる持ち込みと称するようでありますが、そういった種類の番組であるというふうに承知をしているところであります。

山花委員 ともかく、ちょっと委員長、先ほど来、何かよくわからない話とか答えられない話とか、当然私は、でもそれぐらい聞いていてもいいのではないかなという話がお答えいただけないんですけれども、これは、山形テレビの例えば関係者の方、ぜひおいでいただいてお話を伺いたいと思います。ぜひ理事会で協議をしていただきたいと思います。

佐田委員長 調査中であるということの答弁がありますけれども、この件につきましては、今調査を続行中という話もありますので、理事会で後ほど協議をさせていただきます。

山花委員 ぜひよろしくお願いをいたします。また、ビデオもございますので、もしよろしかったら理事会の場でごらんいただければ、このように思うんですけれども。

 総務大臣、これは一応放送法で政治的公平性という話が書いてあるわけで、私はちょっとこれはいかがなものかと思うんです。

 つまり、総務大臣、御党のホームページを開きますと、トップのところから「インフォパック」というところに行きますと、テレビ朝日の報道問題について、随分とこういうことは問題じゃないかということを党としてもやられているわけですから、今回のこういったことを単に追随するようなことが出てくると私は問題ではないかと思うんですが、放送法上、これは好ましくないのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 私もちょっと「山形テレビ 自民制作番組放映」という新聞を今拝見していたんです。

 これは一般論としてしか言えないところだと思いますが、法令上、政党作成の広報番組というものは、直接禁止する規定はないんですよね。これは読んでいただいたらわかりますように、政党が持ち込んできております分です。

 その中で、例えば民主党を非難しておるとか、そういったようなことはあるかとかいうようなところで、一応多分チェックをしたとは思いますけれども、そういったところがないとそれは放映しちゃいかぬという規則はない。そこで、公平性ということになるものだから、多分、どうですかと行った。共産党は来なかったじゃないかと言われますけれども、共産党は山形県で選出されている国会議員が多分いないからという理由なんですよ、だと想像だけはつくんですけれども。

 いずれにいたしましても、これは、基本的には放送業者が自己責任において判断すべき種類の話なんだとは思いますけれども、基本的には、放送法というのがある以上、公平性を欠かないように配慮するということは極めて大事なところだとは思います。

佐田委員長 時間が来ております。

山花委員 はい。

 先ほど申し上げました御党のホームページには、ニュースステーションのあの例の閣僚名簿の件について、「「菅内閣」の閣僚名簿の発表というニュース報道に名を借りて、その実質は、民主党をPRする内容となっていた。」こういうような大変非難めいたことが出ているわけですが、一方で、では、お金を払って持ち込めばいいという話は、私は、ちょっとおかしいのではないか、この点について、ぜひまた今後理事会でも御協議いただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

佐田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の電波法の改正には、昨年の電波法改正時に本来盛り込むべきものが含まれておりました。先ほど、冒頭の大臣の補足説明にそのことを述べておられましたが、大臣は一カ所しか具体的には触れておりませんでしたが、全部で四カ所はあるというふうに承知をしております。経過を聞いても、局長も知らなかったという改正漏れ部分を差し込んだという部分がどこなのかというのを示してください。

有冨政府参考人 今回の電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案におきましては、今先生御指摘の点の、メーンが四点ばかりございます。

 技術基準適合証明を行う登録機関の業務規程について、現在なお認可制となっておりますので、これを届け出制に改める。それから、登録点検事業者の承継の届け出に際しまして、住民基本台帳ネットワークの情報で本人確認できるようにするということ。それから、本年四月一日付で、独立行政法人通信総合研究所の独立行政法人情報通信研究機構への改組に対応する改正を行うということ。それから、電波監理審議会への諮問規定、これは、前回は総務省令ということで、必要的諮問事項となっておりましたが、法律改正によってそれが必要なくなりましたので、その部分についての諮問規定を改める、こういうことでございます。

塩川委員 実際に、登録証明機関について、これまで認可だったものを届け出にする、我々とするとその点については異論があって、前回も反対をしたわけですけれども、そういうふうに法改正をされて届け出で済むものが、改正されなかったために認可の手続をとらなければいけなかった、そういう機関が三つもあった、いわば実害も出ているというのが現状でもあります。極めて重大であるわけで、法案の不備について大臣が補足説明をされ、この場で陳謝をされるなど、近年では前例がない話だというふうに承知をしております。

 大臣にそこで改めてお聞きいたします。

 昨年の法改正で重大な瑕疵があった問題に加えて、その誤りを率直に言えば隠し通そうとしたという意味でも、二重に許しがたい重大問題であるわけで、大臣として、改めてこの点についての立場をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 先ほど有冨の方から答弁を申し上げましたとおり、遺憾ながら、昨年の電波法の一部を改正する法律案におきまして整備漏れというのがありましたのは明確でありまして、これは、法案作成時の確認が不十分ということだろうと認識をいたしておりますので、今おっしゃる点は率直にそのとおりだと思っております。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。

塩川委員 今後こういうことがないように、重ねて申し上げるものです。

 そこで、無線LANのセキュリティー問題について質問させていただきます。

 今回の法案は、無線LANの普及を促進する、そういう上での幾つかの整備を行っていくものにもなっておりますけれども、この無線LANについては、政府や自治体にもかなり導入をされてきております。

 朝日新聞の二〇〇二年の十二月二十五日付の夕刊に、「役所無線LAN筒抜け」という記事がございました。こちらの方でも紹介をされておりましたけれども、「インターネットで誰でも無料で手に入れられる「探索ソフト」を使い、霞が関などで庁舎の外の公道から、無線LANの電波を探った。」ということで、かなり聞くことができた。

 実際には、気象庁ですとか経済産業省、外務省、農水省の無線LANに暗号がかかっておらず、自治体では、東京都の複数の無線LANに暗号がかかっていない状態だったということを報じています。ここでも、東京都の病院経営本部では、患者の情報まで漏れ得る状況だったというふうに報じております。気象庁では、パソコン内にあるシステム設計図や議事録、契約社員の勤務状況などの情報を読める状態だったということで、ゆゆしき事態であったわけであります。

 そこで大臣にお聞きいたします。政府や、特に自治体で、こういった情報が無線LANの管理のずさんさから外部に筒抜けとなるような事態は決してあってはならないと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いします。

麻生国務大臣 これは、言われるまでもなく、地方公共団体の情報に対するセキュリティーの対策の一部なんだと思います。基本的には、地方公共団体のセキュリティーというのは、各地方団体でそれぞれ独自で行っておられる部分も多々ありますし、共同でやっておられるところもありますが、少なくとも、セキュリティーということに関しては、これは極めて大事ですよ、しかも、いろいろな意味で、役所の情報がざざ漏れになるような状態というのは、これは影響が大き過ぎますからということをいろいろ申し上げて、いわゆるその原因が無線LANであろうとなかろうと、とにかく情報が漏えいをするということ自体が問題なんですから。

 こういった意味を含めまして、情報が無線になる、またワイヤレスになるということによって外部から傍受等々がしやすくなり得る可能性というのをできる限り抑えるというのは当然の責務なんであって、注意喚起を促すと同時に、対策を向上させないけませんので、そういった必要な取り組み、支援等々につきましては、総務省といたしまして、積極的に発言をすると同時に、支援を進めているというのが現状であります。

塩川委員 大臣のお話にありましたように、こういった問題について、当然のことながら、喚起を促し、支援策も行うということであるわけです。

 そこで、現実がどうなっているのかということをどのように把握されているのかお聞きしたいわけですが、市町村において無線LANがどれだけ普及しているか、市町村において無線LANをどれだけ現時点で使用しているか、これについてどのように把握されておられますか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の無線LANの普及状況についてのお尋ねでございますが、私ども、毎年四月一日現在で、地方公共団体の情報システムとか、情報セキュリティーポリシーの策定状況等について調査を実施しております。

 これは、地方公共団体における行政情報化の進捗状況に関する全体像を把握することを目的としておりますので、市町村における無線LANの普及状況につきましては、現在まで調査対象としておらず、当省では個々の数値は把握しておりません。

塩川委員 大臣も、喚起を促す、支援もしていくとおっしゃりながら、現場の方では実態も把握をされておられない。

 では、重ねて聞きますけれども、無線LANについて、暗号化はされているかどうかということも当然のことながら承知をしていないということですね。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 大臣が先ほど御答弁された補足になりますが、私ども、無線LANのセキュリティーについての支援の一つとして、地方公共団体における情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインというものをお示ししておりまして、現在、このガイドラインに基づきまして、市町村が個々具体的なセキュリティーポリシーを策定しているという状況でございます。

 そのガイドラインの中で無線LANについても触れておりまして、ちょっと読み上げますと、「無線LANの導入に当たっては、重要性分類2以上の情報資産を送信する際には経路を暗号化する等、十分な漏洩防止対策を実施しなければならない。」というようなことが書いてございます。

 ただ、先ほど申しましたように、個々の無線LANの導入状況とか、ガイドラインの実施状況については、ちょっと現在のところは把握していないということを申し上げたわけでございます。

塩川委員 今回の法改正に当たるように極めて重要な問題だからこそ、自治体における無線LANの使用の状況についても把握するべきだし、暗号化が施されているかどうか、ガイドラインでそういうふうに示しているわけですから、把握するのは当然であるにもかかわらず、そういうことが行われていなかった。極めて重大であります。

 今おっしゃられた、自治体向けに情報セキュリティーポリシーのガイドラインを出しておられるということですが、そもそもガイドラインをつくったのはいつで、無線LANの項目を入れたのはいつか、その点、お答えいただけますか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 ガイドラインをつくりましたのは、たしか平成十三年でございまして、十五年に一部改正しております。無線LANの項目を入れたのは、十五年の三月に一部改正した折に入れております。

 なお、これまで調査していないという御指摘でございますが、私ども、毎年一回、調査することにしておりますので、状況に応じて必要な調査を実施することについて検討していきたいというふうに考えております。

塩川委員 では、この四月一日の調査には、無線LANの使用状況、暗号化の状況についてという調査項目は入っているんですか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年四月一日現在の調査については、今調査項目を検討しておりますので、御指摘を踏まえ、必要な項目について検討していきたいというふうに考えております。

塩川委員 当然のことながらそこを入れるということでよろしいですね。そこだけ確認を。

畠中政府参考人 必要な調査を実施することについて、検討していきたいというふうに考えております。

塩川委員 入れるのか入れないのかよくわからないような答弁ですけれども、きちっと入れてもらいたい。

 その上で、そもそも、ガイドラインをつくったのは平成十三年、二〇〇一年のことであるにもかかわらず、無線LANの項目が入ったのはその二年後の平成十五年、二〇〇三年三月という点では、無線LANについての傍受の危険性の問題とかという認識は総務省自身に欠けていたんじゃないか、このことはやはり大問題だということを指摘せざるを得ません。

 そうしますと、今セキュリティーポリシーの話がありましたけれども、無線LANの項目が市町村のセキュリティーポリシーに反映している、市町村がつくったセキュリティーポリシーの中に無線LANのことがきちっと書いてあるというのがどのくらいの自治体数あるのかということは把握されていないわけですか。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお答えいたしましたように、私どものガイドラインには無線LANを記述しておりますが、それに従って個々の自治体のセキュリティーポリシーにそれが入っているかどうか、ガイドラインに示しておりますので入っていることとは存じますが、それを毎年調査項目としては掲げてこなかったということでございます。

 今後の調査については、その項目を含めることについて検討してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 そういう点でも極めてずさんだと思います。

 そこで、幾つか数字を教えていただきたいんですが、庁内LANのある市町村数が幾つなのかということ。それから、セキュリティーポリシーを持っている市町村数が幾つなのかということ。それから、いわゆるこういう情報を統括する責任者、最高情報統括責任者、CIOと名づけているそうですけれども、これがいる市町村数はどれぐらいか。お願いします。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 幾つかお尋ねがございます。

 まず、庁内LANの設置市町村数でございますが、昨年の四月一日現在の数字でございますが、二千九百十九団体、全市町村の九〇・八%。それから、情報セキュリティーポリシーの策定市町村数は、これも昨年四月一日現在ですが、千八百二団体、全市町村の五六・三%。それから、情報統括責任者、いわゆるCIOの任命市町村数でございますが、五百五十五団体、全市町村の一七・三%でございます。

塩川委員 セキュリティーポリシーがある市町村数が五六・三%というのは、昨年の四月一日の数字ですか、ちょっとそこだけ確認したいんですが。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 セキュリティーポリシーにつきましては、ことしの一月一日現在で追加調査しておりまして、その五六・三%という数字はことしの一月一日現在の数字でございました。どうも失礼をいたしました。

塩川委員 私がお聞きしているのでは、昨年の四月一日では二九・五%ということで、確かにことしの一月まででセキュリティーポリシーのある市町村数がふえている。

 もともと、総務省の方で電子自治体の推進のガイドラインをつくっておられて、庁内LANついても御推奨しているわけですね。庁内LANは、地方公共団体の業務の電子化、ネットワーク化を推進するための基盤となる最も基本的な情報システムであり、早急に整備することが必要であると強調しておられます。

 ですから、庁内LANを後押しするなど、電子自治体について大いにあおって進めていこうということがありながら、そのセキュリティー対策の方については無線LANの実態も把握していない。こういうところにあらわれているように、極めておろそかなままだ。そういう点で、そもそも総務省の姿勢がセキュリティー対策で極めて立ちおくれているということを率直に指摘せざるを得ません。

 私、改めて大臣にお伺いいたします。

 こういう自治体の無線LANの実態についても即刻実態を把握され、万が一暗号がかかっていないようなものがあれば、これについてきちんと対応してもらう、こういうことを行うべきだ、そのように率直に思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 庁内LANの方が、今申し上げましたように約九〇%を超える、あれから一年たっておりますので、さらに上がってはおると思いますけれども、無線の方につきましては、今御指摘のありましたように、まだまだそこの段階まで至っておらぬという点は多々あるところだと思います。こちらの無線LANの方が今後使われる比重が高くなる可能性があると思いますので、十分にその点を勘案して指導していきたいと存じます。

塩川委員 私、政府、それぞれの省庁、聞きますと、今、無線LANについて原則禁止する、総務省さんも含めて、国土交通省などもそういう状況になっていますよね。そういう点では、セキュリティーの問題についてはかなり重視をされておられるわけですから、市町村について、自治体についてのそういう対応、セキュリティー対策に万全を期すという点での総務省としての指導の方をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、今回の法改正で電波の再配分を行うに当たり退席することになる百近くの無線局のために詳細な検討を行っておられて、その中で給付金の支給まで行うということですけれども、私、一方で、十分議論がされているのかどうか、このことが問われている、同じ電波の再配分を求める計画であっても、地上放送のデジタル化の問題、ここ十年弱で一億台の受信機の入れかえが必要となるこの地上放送のデジタル化について、どれだけ真剣な検討が行われたのかという点について質問をしたいと思います。

 三月二十三日の総務委員会で田端副大臣が、今テレビの買いかえというのは、通常、平均的に八年と言われています。そうしますと、二〇〇三年からデジタルが始まったわけですから、ちょうど八年ということになれば二〇一一年ということで、それなりに一つの寿命といいますか、買いかえの自然な流れができるのではないかな、こういう感じがするわけでありますと述べておられます。当然のことながら、テレビの買いかえサイクルにも見合った形で二〇一一年というのは妥当なんじゃないかというお話だと思うんですけれども。

 そこでお伺いします。

 このテレビの買いかえサイクルが八年とする根拠は何なのか、お示しください。

武智政府参考人 副大臣がお答えをいたしました通常、平均的に八年という年数でございますが、これは主として、テレビの買いかえサイクルについての業界団体の予測に基づいて総務省が採用しているところでございます。

塩川委員 どこの業界団体の、どういう予測のデータでしょうか。お示しください。

武智政府参考人 社団法人電子情報技術産業協会において行われました「AV七品目世界需要予測 二〇〇五年までの需要展望」というものでございます。

塩川委員 いわゆるJEITAのことだと思いますけれども、このJEITAの需要展望で、では具体的にどういうふうに買いかえサイクルについて指摘をしているんですか。

武智政府参考人 そのまま読み上げさせていただきます。

 カラーテレビの買いかえサイクルは、通常八年ないし十年程度と言われている。日本のテレビ需要は九五年から九七年にかけて一つのピークに達しており、三千万台以上出荷されている。地上波デジタル放送が開始される二〇〇三年から二〇〇六年は、九五年から九七年にテレビを購入したユーザーの買いかえ時期に当たるため、デジタルテレビへの買いかえがさらに促進されることが考えられる。

 以上でございます。

塩川委員 私、その点、JEITAの事務局に問い合わせてみました。

 八年から十年という買いかえサイクルの根拠は何ですか、あるいは、業界団体としての調査はされておられますかとお聞きしたのに対して、JEITAの事務局からは、JEITAとしての調査は行っておりません、この数字は内閣府の消費動向調査がベースとなっているというふうにおっしゃっておられました。

 この点は確認されていますか。

武智政府参考人 御指摘のありました内閣府の調査についても承知しているところでございますが、いわゆるJEITAが内閣府のものをもとにしたかどうかについてまでは、当該団体に対して確認をしているわけではございません。

塩川委員 総務省として買いかえサイクルが八年だと言っている、その大もととなっているJEITAのデータについてのバックデータも確認をされておられずに、受け売りといいますか又聞きといいますか、その程度のことで国会の答弁をされているということになりますよね。

 私、テレビの買いかえサイクルということですから、経済産業省にお聞きしますが、家電リサイクル法を所管されている経済産業省として、テレビの平均使用年数は何年というふうに把握をされているのか、この点を確認したいと思います。

岩田政府参考人 お答えさせていただきます。

 カラーテレビの使用年数、ただいま委員御指摘がありましたとおり、内閣府の消費動向調査、ここに使用年数の数字がございます。その時々の使用状態等々で相当ばらつきが見られますが、平成十年から平成十五年の数字で、平均使用年数が八・八年から十一年、直近の平成十五年十二月、これが最新の調査でございますけれども、この調査では十・三年となってございます。

塩川委員 十・三年なんですよ。十年なんですよね。全然、八年という数字は、率直に言って根拠がどこにもない。田端副大臣の買いかえ八年という答弁には明確な根拠がない、あるとすれば又聞きの話だ、こういうことでよろしいですか。

武智政府参考人 まず、総務省といたしましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、その業界団体が公表しているデータを用いて、その中から主としてそれに基づきまして採用しているということでございますが、一つには、やはり業界団体としても責任を持った数字を出しているんだろうという前提がございます。

 それから、加えまして、御指摘のありました点につきましてですが、ただいま経済産業省からも答弁がございましたとおり、各種のテレビの使用年数につきましては調査があるところでございます。平均使用年数については、今御答弁のあったように十・三年とする調査もある一方、例えば、一世帯当たり年間テレビ購入台数でありますとかテレビを購入した世帯割合といった数字もあるわけでございまして、こういった数字を使えば、例えば、買いかえサイクルは約九年、短いもので六年という数字も出てくるわけでございますので、こういったものを総合的に判断をして、八年ということで総務省としては考えているということでございます。

塩川委員 その辺の数字は後でまた教えていただこうと思うんですが、例えば、一家に一台しかテレビがないような世帯、お年寄りだけの世帯で、そういう一家に一台しかないような世帯でのテレビの買いかえサイクルというのは調べたことがあるんですか。アナログからデジタルに変わるときに、アナログだけ持っていたら映らないわけですから、一台しかテレビを持っていないような世帯のテレビの買いかえサイクルというのは調べたことがあるんですか。

武智政府参考人 これまで、テレビにつきましては、今回のように、アナログからデジタルに変換するというような抜本的な変革というものはなかったわけでございますので、これまでの経験というものによるわけにはいかないわけでございますが、今先生がおっしゃいましたように、一台しかない家庭云々という特別な調査というものを総務省としてはしているわけではなく、信頼できる業界団体ないし政府関係機関の調査に基づいて採用したということでございます。

塩川委員 白黒からカラーになるときには白黒テレビでも映るわけですけれども、今回はそういかないわけですよね。二〇一一年の時点でどのぐらいの世帯でアナログテレビを持っているか、そういうことだって実際に調べていないわけでしょう。そういう意味でも、今回の、二〇一一年にアナログ放送の打ち切りというのは大変重大な問題をはらんでいる。

 大体、経済産業省にちょっともう一回聞きますけれども、家電リサイクル法の事業者、消費者の責務の項目で、消費者の努力義務とされている該当箇所には何と書いてありますか。

岩田政府参考人 お答えいたします。

 家電リサイクル法第六条、今委員の御指摘のありました「事業者及び消費者の責務」という条項でございますけれども、「事業者及び消費者は、特定家庭用機器をなるべく長期間使用することにより、特定家庭用機器廃棄物の排出を抑制するよう努める」という規定がございます。

塩川委員 消費者に対して、一方では長く大事に使え、捨てないようにしろと言っておきながら、他方では十年使えるテレビを八年とかで買いかえろと言うのでは、これはもう筋が通らない。国民にむだ遣いをしろ、物を大切にするなというのが総務省の立場なのかと率直に言わざるを得ない。

 リサイクル社会にも逆行し、膨大な国民負担を強いる現行の二〇一一年のアナログ放送停止による放送移行計画の見直しを強く求めて、質問を終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 質問させていただきます。私、まず最初に、電波障害についてお尋ねをいたしたいと思います。

 携帯のすさまじい普及、そしてまた、全国あらゆるところで携帯が使用できるという時代になったわけでございますが、それでもなお、地方、過疎地におきましては、中継局がないために、まだ携帯が使えない地域もございます。また、中央、都会地ではそういったことがもうないのか、このように思っておりましたら、やはり都会地は都会地でさまざまな電波障害が起きているわけでございます。

 御案内のように、とりわけ地下では、多くの方も経験されたかと思いますが、なかなか携帯が通じない、それで緊急のときにはわざわざ地上に出て携帯を使用するという経験もあろうかと思います。また、それと逆に、今度は、地下ではちゃんと通じたにもかかわらず、地上へ出るとぷつんと切れたりするようなことがある、いわゆる逆転現象ということもあるんですね。

 この原因は、いわゆる携帯電話中継装置、いわゆる増幅装置、これが設置されているがためにこういった電波障害が起きているわけでございます。これは違法でございますし、当然、多くの利用者には迷惑をかけるわけでございます。

 この数が現在異常な形でふえているというような気がしてなりません。東京だけでも一万台に達するんじゃないかという見方もあるわけでございますが、違法の中継装置の蔓延を許してしまいますと、いつどんな形で通信障害を引き起こすかわかりません。どのような対策を講じておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

有冨政府参考人 先生御指摘のとおり、違法な携帯電話の中継装置による通信障害の問題、これを解決するということは極めて重要だと思っておりますし、そのために、違法な無線局を取り締まるということはもちろん、こういった需要にこたえるべく、携帯電話事業者による正規のサービスが提供されることもまた必要であるというふうに考えております。

 そこで、まず違法な携帯電話中継装置の蔓延を防ぐということを目的とした取り組みといたしましては、微弱の無線局を除いて、電気通信事業者以外の者が携帯電話中継装置を設置、運用する、そういたしますと、これは電波法違反であるということを示すパンフレットを繁華街等を中心として配布をしております。

 次に、携帯電話サービスへの干渉、つながらないということに関する申告を受けた地区、これを中心といたしまして、違法な携帯電話中継装置の探査、それと設置者への撤去の指導、こういったものも進めているところでございます。

 特に現在、東京、名古屋、大阪地域での繁華街を中心にいたしまして、電気通信事業者の協力を得て設置場所の探知を進めておりまして、悪質な設置者に対しましては告発も含め厳正に対処する、こういうことで取り組んでおるところでございます。

 次に、サービスエリアの関係でございますけれども、携帯電話事業者において可能な限りその拡大に努めておられるわけでありますが、これをより充実するために、低廉な中継装置の開発にも取り組んでいるところであります。

 さらに、総務省といたしましては、地下街等の電波が遮へいされている公共的なエリアにおきましては、携帯電話サービスが利用できるように、中継装置が整備される際に、設置費用の一部を補助する事業、電波遮へい対策事業と呼んでおりますが、こういったことを進めておるところでございます。

横光委員 取り締まりはもちろん私は大切だと思います。そういった趣旨で最初質問いたしました。

 しかし、これは取り締まりだけで果たして済むのかという問題でもあるんですね。つまり、電波が届かない地域の解消、これなくしてこの根本解決にはならないと思うんですね。

 やはり、大都会の地下街の人たちがなぜ違法と知りながらそういった中継装置を設置するのか、これは、私は悪意はないと思うんですね。みずからのいわゆる利用者に対するサービス。それほど携帯の需要は高まっているわけです。

 地下で携帯ができるというのが、今や地下で店舗を持っている人たちにとっては大変なセールスポイントでもあるわけですね。これがあるないによって大きく営業収入にもかかわってくる、いわば死活問題にも通じるような問題である。それで、違法と知りながらもあえて設置する。そして、お客さんの利便を図る。悪意はないわけです。結果的に、それが地上の人たちには弊害を、障害をもたらすということになるわけですから。そういうことを考えますと、ただただ取り締まりでいいのか。

 後半お答えになられましたように、やはり電波が届かない地域を解消していく努力、そのためには、電気通信事業者に低廉な装置を開発するように奨励しているということでございますが、これをやはり広げていって、地下でも使用できるように、そして、そういった違法な装置を設置する必要がないように、これが取り締まりと同時に大変重要なことであろうと思います。

 この共同開発がいろいろやられていると思います。このことは、相当共同開発によって低廉な形で進んでいると思うんですが、それが、なおそういった問題を解消できないところにはどういった問題があるんですか。低廉化は進んだが、まだ問題があるということだと思うんですが、そのところはどのような点があるか、お聞かせいただきたいと思います。

有冨政府参考人 こういった事業につきましては、いわゆる民間主導という原則で進めておりますので、民間の企業の方々が採算に合うという限りの範囲で最大限努力をされている。私どもとして、その努力を引き続き促したい、こういうことしかないかと思っております。

横光委員 ぜひ、こういった問題は、本当に利用者が、これだけ需要が高まっているだけに、こういった違法な状況が起きないような環境整備を図るよう御努力をいただきたいと思います。

 次に、サイバーテロについてちょっとお尋ねいたします。

 テロにも、爆弾テロあるいは生物テロ、いろいろあるわけでございますが、コンピューターシステム等を攻撃して社会を混乱に陥れるいわゆるサイバーテロの発生も大変危惧されております。特に、国民生活の基盤となっておりますインターネット機能を麻痺させてしまえば、社会経済への影響ははかり知れないわけですね。

 一昨年十月二十二日に、インターネットの心臓部に当たりますいわゆるルートサーバー、ここがDoS攻撃を受けた、障害を受けたということでございます。これは、世界じゅうで十三あるルートサーバーのうち、日本を含む九つが攻撃を受けて、処理能力が低下するなどという障害が起きました。幸い、ほかのサーバーが正常に作動したがために一般利用者に影響はなかったということでございます。しかしながら、一歩間違えれば、これは危うくインターネットを基盤から覆す危険性があったと言われております。

 その一昨年あった大きなルートサーバーの攻撃以外にもそのような攻撃がその後あったかどうか、ちょっとお聞かせいただけますか。

有冨政府参考人 今先生御指摘のいわばインターネットの心臓部に当たりますルートサーバーに対するDoS攻撃でございますが、一昨年の平成十四年十月二十二日以降、サービスに影響を及ぼすような意図的な攻撃というものは観測されていないというふうに承知をしております。

横光委員 それは本当によかったと思います。しかし、一回こういうことがあったということはこれからも起きかねない。そういった意味では、これの防止策というものが必要になってくるであろう。

 とりわけ、これは国際的な連携を図っていかなければならない。前回あったときには、やはり国際的にそれぞれ残ったルートサーバーが機能を果たしたがためにうまくいったわけですから、そういった意味で、国際的な連携をテロ対策としてどのように行っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

有冨政府参考人 まず、我が国でございますけれども、我が国に設置されておりますルートサーバー、これは一つあるわけでございますが、そのセキュリティーに対しましては、大きくいいますと、五点ばかりの対策がとられております。

 一つは、まず、具体的な設置場所は非公開とする。

 それから、同じ機能を有するいわゆるミラーサーバーと呼んでおりますけれども、そのミラーサーバーを別の場所に設置するなど地理的に分散をする。例えば、東京以外に大阪に置くというようなことでございます。

 三つ目が、個別の設備に負担がかかりサービスが低下することを防止するために、複数のサーバーを設置して、各サーバーの処理能力を増強する。

 四つ目でございますが、個別事業者のネットワークにふぐあいがあっても、その他のネットワークが影響を受けないように、多様な事業者のネットワークとの直接接続をする。

 五つ目が、トラフィックを常時監視し、異常の際にはトラフィックを規制するなど、迅速に対処する。

 こういった、大きくいえば五つの対策がとられております。

 なお、こういったことは、日本以外の十二のルートサーバーにおいても同様の対策が行われているというふうに承知をしております。

 また、国際的な連携でございますが、この十三のルートサーバーの運用者、これは今申しましたようなミラーサーバー等を国を超えて設置するといったような世界的な分散配置をする、それによってリスクを分散する。それから、監視体制の強化や運用者間の緊密な連絡を図るといったようなこと等につきまして、常日ごろ取り組んでおられるものというふうに認識をしております。

 こういった経済社会の基盤として、インターネットを含めた情報通信ネットワークの重要性は高まる一方でございますので、これは産学官の協力のもとに、その安全性、信頼性について積極的に取り組んでいくべき課題というふうに認識をしておるところでございます。

横光委員 今御説明がありましたように、本当にルートサーバーを中心に二段、三段、四段構えで対策をしているということで、なおセキュリティーを高めるための御努力をしていただきたいと思っております。

 次に、コンピューターウイルスについてお尋ねをいたしたいんですが、インターネット利用者がウイルス被害に遭うケース、これはもうすさまじい形で広がっておりますね。

 十五年度の情報通信白書では、個人の被害は、平成十四年度で三百八十四億円に上っている。大変な被害でございますが、これは個人だけで、企業を含めると膨大な金額になるんじゃないかというぐらいウイルス被害が広がっているわけです。

 個人のインターネット利用者でのウイルス対策の実施率、つまり、ウイルスチェックソフトの導入、これが三一・八%、プロバイダー等によるウイルスチェックサービスの利用が一四・二%となっている一方、何も行っていない者が三三・六%、全体の三分の一。このような状況では、ウイルスは物すごいスピードで物すごい広さに広がる状況からすると、本当に大丈夫かなという状況だと思うんですね。

 個人のインターネット利用におけるウイルス被害のこれからの傾向、どのように総務省としてはお考えなのか、まず御認識をお聞かせいただきたいと思うんです。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、コンピューターウイルスによる感染被害につきましては、従来はメールに附属している添付資料をみずから開くことによって感染するというふうなものが主にございましたが、最近では、インターネットに接続するだけで自動的に感染してしまうというふうな、いわば悪質な事例も大分出てきております。

 今後、あらゆる場面でインターネット利用が急激に拡大し、また残念ながら、セキュリティー対策を完全に実施していないパソコンも一部ふえておりまして、さらにその上に常時接続ということになりますと、ウイルス被害の拡大が懸念されるというふうに私どもも考えております。

横光委員 今、ウイルス被害の拡大が懸念されるというお話でございました。であるならば、これに対するやはり防御対策というのが必要になってくるわけですね。

 例えば、個人のインターネット利用者は、いわゆるウイルス対策のソフトを使っている。しかし、これを使っても、また別なウイルスが発生すれば効果がない。そうすると、また新たなソフトが必要になる。こういった状況に個人は追い込まれる。つまり、万能の薬がないように、万能のウイルス対策のソフトというのはないわけですね。となりますと、防御の次善の策としては、プロバイダーのウイルスチェックサービスというのが非常に私は重要になってくるんじゃないかという気がいたします。

 今お話しのように、私は、大変悪質な行為だと思いますし、何らこれは本人にとってプラスになるわけではないにもかかわらず、こういったウイルスをまき散らす、つまり、愉快犯ですからいかんともしがたい。これは例えて言えば、伝染病とかあるいは鳥インフルエンザと同じようなものだ。鳥インフルエンザは、まだ隔離してちゃんと対策をとればそこでとまります。ところが、このウイルスはそんなことではとまりようがない。物すごい勢いで広がるということは、これからかなり社会的問題にもなりかねない。

 ということを考えますと、相当の防御対策が必要になってくるんではなかろうか。つまり、プロバイダーの皆様方にウイルスチェックサービスの設置、私は、これの提供を義務づけるべきじゃないか、義務づけるというのは大変でしょうから、何とかしてプロバイダーのウイルスチェックサービス提供というものを物すごい形で奨励しないと、これはもう個人では防ぎようがないような状況に来ていると思うんです。ですから、そこでせめて、まず次善の防御対策をつけていくべきじゃないか。

 恐らく、相当のプロバイダーがそれを提供していますよ。提供していますけれども、まだまだ有料であったり、あるいは十分でない。そういったことを考えますと、こういったプロバイダーに対する奨励の方針はどのようになっておりますか。

麻生国務大臣 今、横光先生、御指摘にありましたとおり、インターネットに関しまして、ウイルスという話は、これはどなたも、一度ならず、大なり小なりの被害をそれぞれ受けられた経験がおありだと思いますけれども、さらに複雑化しておりますことも事実でありまして、従来のものではなかなかうまくいかなくなってきております。

 今御指摘のように、義務づけるべきではないかという御指摘もあっておりますが、ただ、やはりプロバイダーの方も、ちょっと商売柄、きちんとしたウイルスチェックをやりますというサービスをくっつけることによって自分のところのプロバイダーを使ってもらえるという、いわゆる経済原則がそこに働いておりますせいもあるんだと思います。基本的に、今プロバイダーの約七〇%がこういったような形でサービスを提供しておられるというのが実態であります。格安だったり、料金はいろいろなんですけれども。また、その料金によっても、こっちは料金が高いからいいと限るか、この選択は使われる方にあろうと思います。安いからいいかげん、高いから確実というほどのものでもありませんので。

 ただ、いろいろな意味で競争が猛烈に進んでおりますので、確実に義務づけをいたすまでの段階でかなりずっとその種のサービスが進んでおるという現状を考えた上で、今後とも、今言われたような、ルーターに直接大量に起きたときなんというのはどうするかという点、これは改めて業界団体等々ときちんと詰めをせねばならぬところだという感じはいたしております。

 安全性の確保というのは、今後とも真剣に取り組んでいかねばならぬものだと思っております。

横光委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 時間が参りました。民主党の武正さんにも質問の予定でしたけれども、大変申しわけございません。ただ、もう質問はこれで終わりますが、一言、ちょっと御意見を申し上げさせていただきます。

 先ほど山花委員のお話ございましたように、山形テレビでの自民党制作の番組放映、これは大変私は問題があると思っております。放送法の第三条の二には政治の公平性というものがはっきりと規定されておりますし、これまでテレビ番組で政党が番組制作をしたというようなことはかつてなかったことですが、こういうことが起きてしまった。

 今いろいろと調査中というお話でございましたが、このことが何も問題なくおさまってしまえば、これからまさに金のある政党しかこういうことができなくなる。これは、ひいてはいわゆる公平中立の観点から視聴者に考える自由を与えるべき報道機関として、みずから道を閉ざすことになる危険性があると私は思います。

 そういった意味で、しっかりと調査をして、問題があればしっかりと指導していただきたい。このことを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 この際、武正公一君外四名提出、通信・放送委員会設置法案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 通信・放送委員会設置法案につきましては、政府といたしましては反対をいたします。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより各案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。松野頼久君。

松野(頼)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、民主党提出の電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案に賛成し、政府提出の電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。

 携帯電話や無線LAN、情報家電などの急速な技術進歩と普及に伴い、電波利用の需要は高まる一方であります。我が国でも、早急に周波数逼迫問題への対応策を講ずることが不可欠であります。この問題を先送りし、電波を利用した技術開発や新たなビジネスの芽を摘むなどということは、決して許されるものではありません。

 その観点から、政府がようやく重い腰を上げ、電波の有効利用に乗り出したことに対しては、半歩前進として一定の評価ができるものと考えます。しかし、抜本改革、長期的視野に立った改革としては、いま一つ物足りないものであると指摘せざるを得ません。

 第一に、政府の再配分方策は、直面する周波数逼迫問題を解決するための応急処置としては有効であるものの、硬直した電波制度の枠組みを維持した上での再配分であり、長期的には限界があります。電波利用者の自発的な電波の効率利用を促す仕組みとしなければ、根本的な解決にはなりません。

 電波のむだ遣いを助長し、技術の進展とともに電波不足が問題となった原因に、これまで電波を利用することそのものへの経済的価値が認められてこなかったことが挙げられます。このことが、電波利用者の既得権益化を促し、自発的な周波数の効率的利用を妨げてまいりました。公的セクターを含め、電波利用者間の負担の割合に大きな偏在があることもたびたび指摘されるところであります。電波の効率的利用を考える上で、この電波利用料制度のあり方を見直すことが急務であると考えます。

 第二に、これまでの政府による免許割り当ては、非常に不透明かつ総務省の裁量行政の最たるものでありました。そこに電波の混信の起こりにくい無線LANなどについて登録制が一部導入されようとしていることは、免許制からの転換という観点からは画期的な政策であると考えます。しかし、そのほかの周波数帯における行政手続の透明性及び公正さ、そして周波数利用の効率性向上のためには、免許人の選定手続に、適当とされる範囲において周波数のオークション制度を導入するべきであると考えます。

 電波オークションというと、海外における一部の高騰したケースばかりに焦点が当てられがちですが、オークション制度は、これまで各国が工夫して導入してきており、決して否定されたわけではなく、順次改良し、今も続けて行われています。我が国に合う形での導入は可能なのであります

 第三に、電波行政に顕著な総務省の裁量行政ですが、これは電波に限ったことではありません。近年、通信・放送分野において、技術発展に伴う両者の融合や規制緩和による市場競争が進展しつつある中で、公正中立な通信・放送行政の確保が強く要請されるところであります。総務省の裁量行政に事業者が戸惑い、国民の利益が損なわれないように、これらの分野に係る規律に関する事務を行う独立行政委員会として通信・放送委員会を設置すべきであると考えます。

 以上のように、政府提出の電波法及び有線電気通信法の一部改正案は、電波の有効政策として一歩前進であるものの、抜本的改革にはほど遠いものであります。長期的視野に立って電波の有効利用を促進するためには民主党案こそがふさわしいものだと最後に申し上げ、民主党提出の電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案に賛成し、政府提出の電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案に反対する私の討論を終わります。(拍手)

佐田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、武正公一君外四名提出、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、武正公一君外四名提出、通信・放送委員会設置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 この際、本案に対し、野田聖子君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電波法及び有線電気通信法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 電波の再配分にかかる給付金は、公正かつ合理的な方法を用いて算定するとともに、給付金支給の実施状況を明らかにする等制度の透明性の確保に努めること。

 二 電波の再配分に当たっては、既存の免許人への経済的な影響等に加え、当該免許人からサービスの提供を受けている利用者への影響についても配慮すること。

 三 電波利用料制度については、制度創設時に比べて電波利用をめぐる環境が大幅に変化していることにかんがみ、電波利用の拡大や利用形態の動向等を踏まえ、電波の経済的価値を反映することも含め電波利用料の新たな算定方法等その在り方について早急に結論を得ること。

 四 電波の逼迫状況を解消するため、電波の再配分のみでなく、未利用周波数帯の開拓等の技術開発を含め、電波の有効利用に引き続き取り組むこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

佐田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

佐田委員長 次に、内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案

 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案

 市町村の合併の特例等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 御存じのように、十二時五十分から参議院の総務委員会が開かれますので、かなり早目に申し上げますので、あらかじめお断りを申し上げておきます。

 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例等に関する法律案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、地方自治法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方分権の推進に資するとともに地方公共団体の組織及び運営の合理化を図るため、地方制度調査会の答申にのっとり、都道府県の申請に基づく都道府県合併等の手続の整備、地域自治区制度の創設及び条例による事務処理特例に係る要請手続の整備を行うものであります。また、収入役制度及び議会の定例会制度を見直し、財務会計制度に関する規定の整備を図るほか、所要の規定の整備をあわせて行うことといたします。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、都道府県の申請に基づく都道府県合併の手続等の整備に関する事項であります。

 都道府県の合併につきましては、関係都道府県の申請に基づき、内閣が国会の承認を経てこれを定めることができるものといたします。また、都道府県の境界にわたる市町村の設置を伴う市町村の廃置分合につきましては、関係のある普通地方公共団体の申請に基づき、総務大臣が定めるものといたしております。

 第二は、地域自治区に関する事項であります。

 市町村は、市町村長の権限に属する事務を分掌させ、地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるため、条例で地域自治区を設けることができるものといたしております。

 第三は、条例による事務処理の特例に関する事項であります。

 市町村長は、その議会の議決を経て、都道府県知事に対し、その権限に属する事務の一部を当該市町村が処理することとするよう、要請することができるものといたしております。

 第四は、収入役に関する事項であります。

 政令で定める市は、条例で収入役を置かず市長または助役をしてその事務を兼掌させることができるものとしております。

 第五は、議会の定例会に関する事項であります。

 普通地方公共団体の議会の定例会について、回数に係る制限を廃して、毎年、条例で定める回数、これを招集しなければならないものとしております。

 第六は、財務会計制度に関する事項であります。

 普通地方公共団体の長による支出の命令について政令の定めるところにより行うものとするとともに、普通地方公共団体は、法律で定めるもののほか、政令で定める長期継続契約を締結できるものとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、市町村の合併後の一定期間、合併関係市町村の区域を単位として合併特例区を設けることができることとするほか、市町村の合併に伴う一部事務組合等に関する特例措置を定めることとするものであります。また、平成十七年三月三十一日までに行われた申請に係る市町村の合併であって、平成十八年三月三十一日までに行われるものについて、市町村の合併の特例に関する法律はなおその効力を有するものといたします。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、市町村の合併に際し、合併関係市町村の協議により、市町村の合併後の一定期間、一または二以上の合併関係市町村の区域を単位として合併特例区を設けることができることとしております。

 第二に、一部事務組合等の構成市町村間の合併において、合併後規約が変更されるまでの一定期間、当該一部事務組合等は、合併市町村の区域における事務について従前の例により行うものとしております。

 第三に、平成十七年三月三十一日までに、市町村が議会の議決を経て都道府県知事に合併の申請を行い、平成十八年三月三十一日までに合併が行われるものについて、市町村の合併の特例に関する法律は、なおその効力を有するものとすることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、市町村の合併の特例等に関する法律案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、市町村の合併について関係法律の特例その他の必要な措置を講じ、自主的な市町村の合併の推進による市町村の規模の適正化並びに合併市町村の円滑な運営の確保及び均衡ある発展を図り、もって合併市町村が地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うことができるようにすることを目的とするものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、議会の議員の定数に関する特例、一部事務組合等に関する特例及び地方税に関する特例等、市町村の合併に際し、所要の特例措置を講ずることとしております。

 第二に、市町村の合併に際し、合併関係市町村の協議により、市町村の合併後の一定期間、一または二以上の合併関係市町村の区域を単位として合併特例区を設けることができることとしております。

 第三に、総務大臣の定める基本指針に基づき、都道府県が自主的な市町村の合併の推進に関する構想を定めるものとし、市町村合併調整委員による合併協議会に係るあっせん及び調停、都道府県知事による市町村の合併に関する協議の推進に関する勧告等の規定を設けることとしております。

 第四に、この法律は平成十七年四月一日から施行するものとし、平成二十二年三月三十一日限り、その効力を失うものとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

佐田委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

佐田委員長 この際、佐藤人事院総裁から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤人事院総裁。

佐藤政府特別補佐人 このたび、内閣より御指名をいただきまして、人事院総裁を拝命した佐藤壮郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 これまでも人事官として公務員人事行政の適切な実施に努めてまいりましたけれども、これからは、総裁として心を新たにし、公務員制度改革等諸課題に取り組み、人事院に与えられました使命達成のために全力を尽くす所存でございます。

 どうか委員長初め、委員の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしく賜りたいというふうにお願いいたします。(拍手)

佐田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十分散会


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