衆議院

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第16号 平成16年4月27日(火曜日)

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平成十六年四月二十七日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 佐田玄一郎君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 滝   実君 理事 野田 聖子君

   理事 伊藤 忠治君 理事 松崎 公昭君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      今井  宏君    岩崎 忠夫君

      大野 松茂君    岡本 芳郎君

      奥野 信亮君    亀井 久興君

      小西  理君    自見庄三郎君

      田中 英夫君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    西田  猛君

      萩生田光一君    松本  純君

      三ッ矢憲生君    山下 貴史君

      稲見 哲男君    大出  彰君

      川端 達夫君    黄川田 徹君

      須藤  浩君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      山花 郁夫君    若井 康彦君

      若泉 征三君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      吉井 英勝君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        山口 俊一君

   総務大臣政務官      小西  理君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)   大野 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  畠中誠二郎君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     大野 松茂君

  西村智奈美君     若井 康彦君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  大野 松茂君     谷本 龍哉君

  若井 康彦君     西村智奈美君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇七号)

 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇八号)

 市町村の合併の特例等に関する法律案(内閣提出第一〇九号)


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     ――――◇―――――

佐田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官大野慎一君及び自治行政局長畠中誠二郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。民主党の田嶋要です。先週に続きまして、民主党が続いておりますけれども、どうぞよろしくお願いします。

 まず冒頭、先週、私は所沢に二度ほどおりまして、私ども民主党にとっては大変残念な結果だったんですが、所沢は、土曜日、麻生総務大臣来るという大きな看板が駅前にございまして、楽しみにしておりましたけれども、お会いできませんでした。大変残念でございます。

 余り年金の件はとやかく言うつもりはないんですけれども、一つ私が意見を申し上げたいのは、三閣僚、払っていなかったということで、総理はうっかりしていたんでしょうということをおっしゃっていたんですが、私は、閣僚でもやはり忘れるような制度に欠陥があると思うんですね。麻生さんが悪いとかいいとか、そういう話をそもそも超えて。

 そう思いませんか。ちょっと御意見をいただきたいんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 なかなかうかつに発言できない立場なんですが、田嶋先生、あれは御存じのように、最低限二十五年払わないと受給資格がないということになっているんですが、私の場合は、三十年三カ月ずっと払って、続けていた。払い続けて、一応受給資格があるところまでは払った。その後に、閣僚になったときに、厚生年金から国民年金に切りかえる手続というところがミスったところなんです。

 したがって、今言われましたように、少なくとも、閣僚になると、閣僚になった騒ぎで追いまくられて、わあっとなっておるものですから、何となく、手続、あれはやってみると結構手間がかかる手続なものですから、そこのところはちょっと役所の方で自動的に国民年金に切りかえましたというのを言ってもらわぬと、言われた本人はもうすっかり自動的に切りかわっているぐらいに思っている人の方が多いというように思いますので、大体の方に聞いても、切りかわっているんじゃないのとかいう話なものですから、今おっしゃるように、これは手続が少々ややこしいのと、なかなかわかりにくいというのも確かです。

 もう一点は、やはり、未納だったら、気がついたらそれを払えばいいというところはだめ、それはその分だけ減らすというペナルティーを科すことによってという制度がスタートしたころの制度だったと思うんですが、今、これだけになってくると、そっちの制度の方がいいかどうかもう一回考えないかぬ等々、細かくいっていけばいろいろ出てくると思いますので、今の制度で完璧なんてことは全然ない。いろいろやれば、考えられるところは十分にあるんだと思います。

 今後、この法案がいつ通るのか存じませんけれども、その通った後、さらにいろいろ修正をしていくところはあろうということは、私もその立場に立って考えてみると、幾つか考えられるような感じがいたしますということが私の申し上げる感じです。

田嶋(要)委員 今回、三人の閣僚、まさに身をもって今の制度がいかに問題の多い制度かということを証明していただいた、私はそのように思っております。本当に、大臣ですら三人も払っていないということは、世の中にいかに同じようにうっかりしている人が多くいるか、もうそういう制度だということですね。本当にこれは、それを改めて国民の皆様が実感をしたいい機会になったんじゃないかと私は思っております。抜本的な改革をよろしくお願いいたします。

 市町村合併の方に入りたいんですが、総務大臣、市町村合併以外にも、例えばインターネットみたいな世界も大臣の所管だというふうに思っておるんですけれども、まず最初に、インターネットの世界の一番大きな特徴というのはどういうところにあるというふうに総務大臣はお考えでしょうか。

麻生国務大臣 インターネットの世界の大きな特徴は、いろいろな形でラインがつながりますので、セキュリティーという意味からいくと、電話線の回線を盗聴するのとはわけが違って、カメの甲みたいにいろいろな形でつながっていくというラインですから、きちんとそこらのところを把握しておかないと情報がかなり漏えいする確率が高いという点は配慮せないかぬところ。

 また、基本的には、社員と社長が直接いきなりEメールでつながり得るということは、従来ではなかなか考えられなかった。メールを打っておけば、あけてみたらそこに社員からいきなり直接の陳情が来ていた等々は、従来ですとなかなか考えられなかった世界かなというようなこと。

 何といっても、気安く、気楽に、スピードがえらく上がっていますから、その意味では、画像やら何やら含めて、いやし系というか、おじいさんと孫の間がインターネットでつながるなどということは、従来ではなかなか考えられなかった世界。おじいさんが孫にえらくいい機械を買ってやって、これでおじいさんとないしょでお話し合いなんという、FOMAなんて機械をやっている例を、うちの地元の運転手さんなんかがそれをやっているのを見て、さすがに、このおじいさんがFOMAかよと思って見ていたら、孫と一緒にべちゃべちゃしゃべっている。

 やはり、利用する世界の新しい利用方法というのは、いわゆる発明なり、そのシステムをつくった人とはもっと全然別のところで生かされている等々、いろいろなことを感じております。

 いずれにしても、意思の疎通が極めて情報技術の発達のおかげで、従来と違って恐ろしくコストが安くなって、従来だったら大英博物館やらワシントンの議会や博物館に行かなきゃ調べられなかった資料を、クリック一発で、経費もかからず、えらく短時間で調査ができるようになったというようなことを考えると、これは私は、産業革命で蒸気機関車から内燃機関にかわっていった、あれに匹敵する以上の大きな革命に近いものが起きつつあるという認識でこれに取り組まないといかぬものなのではないかという感じ、全体像からいえばそんなところです。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 私もほぼ同じような認識を持っておりますけれども、やはりインターネットの世界というのは、中央が存在しない。それで、基本的には、先ほどカメの甲みたいに言われましたけれども、それぞれが自発的に増殖していくネットワーク、その中にあるのはルーター、シスコという会社が爆発的に成長したと思うんですが、そういった世界で、まさしく組織のいわゆるヒエラルキーというものを壊していく力があるというふうに思っておるんですね。

 だから、どうしてそういうところから始めたかというと、今までの、例えば電話のシステムなんかに比べて、インターネットという世界がまさしく通信の世界で起きてきたように、日本の国の形というのも、まさにこれからは、硬直的なヒエラルキーのもとに、中央から末端へという形をやはり壊していくところが非常に問われているのじゃないかな、そうすることによって、インターネットの世界が爆発的に今広がっているのと同じように、今までとは全く違うパラダイムの中で国の力が新しく生まれてくるのではないかなというふうに私は考えております。

 ちょっとインターネットに関連して、一つ質問なんです。いろいろな自治体、それぞれのホームページを見ますと、ありますよね、それぞれの市とか県とかのホームページ。質問なんですが、ああいうホームページに関しては、もう中央というのは一切関与はしないんですか。どういうつくり方をしろとか中に何を書けとか、そういうことというのはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 各県が各市町村に対して何を言っておられるかということはわかりませんが、少なくとも、総務省は、各県に、各市町村に対して直接、ホームページはこういう形のものを見本にしてやれというような指導は一切ありません。

田嶋(要)委員 もう全くインターネットの時代にふさわしいことだと思います。そういうことを一々干渉してほしくない、皆がそういうふうに思っておると思うんですけれども。

 そういった一方で、私、もう一つ質問なんですが、読売新聞が最初に出したと思うんですが、お手盛りの退職金の昇給という話がございましたよね、二段階アップとか。それに関しての最近の記事で、国はそれに対して強制はできない、もうそういうのをやめろという強制はできない。中央は今回やめることにしたけれども、地方はもうそれぞれの判断ということであると思うんですが、私は、逆に、そういうことに関しては、世の中が本当におかしいと思っているような、そういうことに関してはなぜ強制しないのかというふうな疑問を持っているんですが、そこはいかがですか。

麻生国務大臣 これは、基本的には、指導やら何やら指摘はできますけれども、地方自治体というものは独立しておりますので、それに対して、おまえのところはこうしろとかああしろとかいうのは、そこの地方自治体と組合との関係とかいろいろなものを考えて、その地方自治体に対してこれは高いとか安いとかいうことの指導までが限度で、今申し上げたような地方自治体の判断にゆだねざるを得ないということだと存じます。

田嶋(要)委員 今申し上げたようなホームページに関しては一切何の干渉もしないということもあり、片方で、私は、退職金のような問題で、世間がどうしても、どう見ても明らかにおかしいと思っているようなことに関しては、私は強制力を発揮していただきたいと思うんです。今回の市町村合併のいろいろなルールづくりも、私の目からすれば、やらなくてもいいいろいろな規制をまたぞろいつものようにやっているのではないかというふうな印象を持ちます。

 最初に、収入役に関してお伺いしたいんですけれども、今回、収入役をなくしてもいいという範囲を広げたわけですね、市に対しても。これは現時点での数値をまず教えていただきたいんですが、町村の中で収入役を廃している町村、そして助役を廃した町村がどのぐらいあるのかという数字をまずいただきたいんですが。

畠中政府参考人 お答えいたします。

 助役、収入役を廃した町村の数というお尋ねですが、先生御案内のとおり、助役につきましては、市町村に一人置くこととされておりますが、条例で規定すれば置かないことができるというふうにされています。収入役につきましては、市町村に一人置くこととされておりますが、これも現行法では、これは町村のみですが、町村については、条例で収入役を置かず町村長または助役がその事務を兼掌することができるとされております。

 それで、数でございますが、昨年十五年の四月一日現在でございます、全町村のうち、助役につきましては十八団体、収入役につきましては三百四十七団体がそれぞれ置かないこととする条例を定めているところでございます。

田嶋(要)委員 今回、その中の収入役の必置義務を緩和しておるわけですけれども、一つ、条文上には書かれていないと思うんですが、十万人未満というガイドラインがあるように理解しておりますけれども、どうして十万人未満のところだけそういう必置義務を緩和するという制約をつけておるのかという点に関してお答えください。

山口副大臣 もう先生御案内と思いますが、現行法上は、町村については、収入役を置かずに長または助役にその職務を行わせることができる、そういうふうになっております。

 したがって、財政規模が最大の水準の町村の規模を市の方に合わせれば、市について収入役を置かなくとも公正な会計事務の運営が期待できる上限というふうにするのが適当ではないかというふうに実は考えたところでございます。

 最近の統計を見てみますと、町村のうち最も財政規模が大きい団体と同等の財政規模を有する市のうち、人口が最大の団体というのは実は十万人前後で推移をいたしております。このために、人口十万未満の市については、条例で収入役を置かなくてもいいように政令で認めるというふうなことを実は検討いたしております。

 さらに、今後、収入役のあり方がどうだというふうなことにつきましては、先ほどの答弁にもありましたけれども、さまざまな状況等もありますし、地方行政の弾力化というふうな点もございますので、実は第二十八次の地制調において検討をしていただくというふうなことにしております。

田嶋(要)委員 一般的な、全体としての必置義務の撤廃ということも今後検討していくというふうに聞いておりますけれども、収入役を置くか置かないかとか、そういうことも、普通の民間の感覚でいえば、もうそれぞれの自治体の責任ある判断に任せていいのではないかというふうに私は思います。

 資料の中に書かれておった文章を読みますと、収支に関して命令機関と執行機関を分離して事務処理の公正を確保する、それから、収入役を置かずとも公正な事務処理が確保されるかどうかというところが基準になっているように読めますけれども、それは十万を超えようが超えまいが、これはもう基本的には本当に団体自治、いわゆるそれぞれの自治体の責任というところで判断を任せるようにしていったらどうかなと私は考えております。

 続きまして、合併特例区に関してお伺いをしたいと思いますけれども、この合併特例区は、法人格を有しない地域自治区と選択的に選べるというふうな中身だと私は理解しておりますけれども、その点はそういうことでよろしいですか。

麻生国務大臣 現行法、また今回の新法におきましても、選べるのはもう間違いなく今おっしゃるとおりですが、加えて、全く置かないというところもあろうかと思います。もううちはうまくいっているから今のままでいいというところは、地域自治区やら特例区やら何やら置くことは全く必要ございません。

田嶋(要)委員 どういう場合に地域自治区か、どういう場合に合併特例区かというところをいろいろ読んでいますと、特別地方公共団体としての合併特例区を置く場合というのは、合併前の旧市町村のまとまりを重視するというような表記があります。

 一方で、地域自治区の場合には、基礎自治体としての一体性を重視するということですね。そうすると、裏返して考えると、合併特例区であればそれだけ合併前の旧市町村のまとまりというものを重視するがゆえに、基礎自治体として合併したにもかかわらず、合併した後の基礎自治体としての一体性という意味では、それはマイナスだということをおっしゃっているんでしょうか。

 別のところの表記で、合併新法の二十六条ですが、合併特例区なんですが、「もって合併市町村の一体性の円滑な確立に資すると認めるときは、」という表現もあるんですね。何か読んでいると矛盾している感じがするんですけれども、そこはどういう考えでこの合併特例区というものを考えておられるのかということをお聞きしたいんです。

大野政府参考人 端的に言って、地域自治区という区、それから合併特例区という区、区で何か似たような感じがするものですから、私どもも本当にその表現がよかったかどうか疑問に思うぐらいなことであります。

 地域自治区というのは、基本的には、要するに市町村の中で住民との協働を強めていくための仕組みということですから、これは普遍的にどこの市町村でも、市町村が判断して条例で地域自治区という区域設定をしていったらいいということなんです。

 合併特例区というのは、合併時に限って、端的に言うとソフトランディングといいますか、本来、合併するわけですから、一体的な形で新しい市が運営されるということが基本でありますけれども、現実の合併協議の中で、とりあえずは従来の旧市町村のまとまりで、例えば施設の運営なども従来の市町村でやりたい、こういった声もあるものですから、合併時に限ってしばらくの間、合併特例区だから五年以内でいずれなくなるわけですから、そういうためのものなので、ちょっと性格が違うということでございます。

田嶋(要)委員 だから、合併直後の妥協の産物というか、そういうようなものだということですよね。

 そうすると、合併特例区を五年間やって、その後地域自治区へそのまま移行していくということもあり得るという理解でよろしいですか。

大野政府参考人 そういうことも現実の場であり得るとは思います。

田嶋(要)委員 さらにわかりにくいのは、この新法二十二条の地域審議会というのと、三十八条の合併特例区協議会、この両者が、表現を読むと同じことが書いてあるんですよね。何か聞かれたときにそれに対して答申を出すとか、聞かれなくても意見を出すことができるとか。これは、何で両方つくる必要があるのかというのがわからないんですけれども。

大野政府参考人 合併特例区の合併特例区協議会につきましても、地域審議会の構成といいますか考え方をそれなりに踏まえながらつくっていますので、似たようなところがあるわけです。

 端的に言いますと、地域審議会というのは、あくまでも諮問に応じて審議をして意見を言うという、その限りの意味合いですね。ところが、合併特例区協議会の場合は、合併特例区という法人格を持った特別地方公共団体ができます。そこに区長も置かれるということになるわけでありまして、その区の事務について、重要な事務については同意権まで持つ、合併特例区の予算についての同意権まで持つ、こういうような性格がありまして、その意味では、合併特例区の運営に、その法人の意思決定に参画するという程度が大変強うございます。

 いずれにしても、合併した場合にどういうふうなことを考えてどのやり方を選ぶかというのは、すべてその関係市町村の協議に任せる。つまり、より従来の市町村のまとまりを強くしばらく求めたいという場合には合併特例区をつくりたいということでしょうし、それから、地域自治区の特例ということを使うこともできるわけです。それから、従来どおり地域審議会だけ置くということもできますし、それから、全く新しい地域自治区というのを後からつくるということもこれはできるわけでして、要するに、いろいろなオプションがあるわけですけれども、それは挙げて合併市町村の協議でお考えになったらよろしいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 これだけいろいろなオプションがあるということですと、何かいろいろオプションを中央で考えなくても、そもそも地域、地方に任せればいいじゃないですか。それぞれのやりたいようにやる。

 現に、例えば、志木市なんというところで、九分野の市民委員会というようなものをつくって、おととい市長さんともお話しましたけれども、ちゃんと動いているというふうに言っているんですね。予算だって、市民の代表者、希望者全員ですよ、もうこれは公募だけ。公募だけで定数もなしで、希望者がどんどん市の予算を見て、一割程度の予算カットも実現している。パソコンの買い方が高過ぎるとかいって、ちゃんと見てくれているわけですよ。

 そういうまともなプロセスがちゃんとワークしているんですね、国が何だかんだと言わなくたって。そういうふうにすれば一番いいんじゃないですか。いかがですか。

麻生国務大臣 志木市、あそこは新座、朝霞、和光、たしかあの辺のところだと思いますので、新興で急激に人口がふえていったところの一つだと思います。

 今言われたように、これを見ていると、総務部会とか、企画部会とか、これは多分市の委員会と同じように合わせてつくってあるように推察しますけれども、先生、こういうような新しいところというのは、余り地域のあれがないんだと思います。

 これは、古いところに行けば行くほど、おらが村、おらが町という意識というのはかなり強いものがあります。私のところは特に福岡県の山の中の方に位置するせいもありますけれども、とにかく名前が残るのが絶対、それがもう合併の条件なんです。そういうところというのは、合併をしてもらわぬと、たかだか数千人のところですから、とてもじゃないけれどもこれからの時代に対応できなくなるということも考えておかないといけないんじゃないんですかということなんですが、名前が残るかという話が一つ。

 それからもう一つは、その地域で長いこと各集落ごとにずっとやってきておられますので、字とか大字とかいろいろありますけれども、その地域の集落において、おれたちの代表が町会議員というのであって、その地域の代表を二期やりますというのが、交代で全部やっておられるような地域のコミュニティーというものを持っておられるところというのを、みんな隣の余り仲がよくない町と一緒になれという話をするわけで、何となくというところがあります。

 古い地域ほど住民の地域に対する帰属意識の強いところが多いものですから、そういうところはなかなか、今言われたように、みんなでやるという話、すうっと参加するというような意識じゃなくて、合併しても何となくというので、しばらくの間は、町全体の名前が市になったりして幾つか変わっていった中で、自分のところはやりながらも、やはり時間とともに、ずっとだんだんかけていくと自然といつの間にか。

 かつて大隈町だったものが今は嘉穂郡の中の一つの別の名前になっていっているんですが、そういったところは、かつての人たちと一緒に、あっちは千手村だったとか、あなたのところはこっちだとか、いろいろ今でも言いますけれども、それでも一応名前を言うときには、どこからですかと言うと、昔だったら千手村からだというのが、一応今は嘉穂町と言うようになりましたから、この十年間ぐらいの間で。

 そういった意味では、少し変わってくるんだと思いますので、合併をしていただいて行政サービスをある程度維持していただくことが必要なんだと思います。合併促進をさせていただくための一手段として、強制をしているわけじゃありませんから、いろいろな形でソフトランディングができるための手段、メニューを考えたということです。したがいまして、今言われましたように、いや、おれはこれはやらぬ、おれはこういうのをやりたいというところがあるんであれば、それはそれなりにその地域でお決めになればよろしいということだと存じます。

田嶋(要)委員 合併に際してはやはりある程度の配慮というものが必要かと思うのですが、今私が申し上げているのは、合併の有無にかかわらず、冒頭申し上げた、こういうインターネットの時代に、強制は仮にしないとしても、最後はおたくが決めることですというふうによくおっしゃるんですけれども、中央からいろいろなメニューを用意されると、何かしなきゃいけないように追い込まれるんじゃないかという気がするんですよ。まさしくそれが、今までのこの日本の国の形だったわけだから。

 そもそも、そういう団体自治、地域の独自性とか自主性ということを言うならば、もう中央でいろいろ考えるのはやめたらどうですか、そういうことに関して。本当に必要なのかということを皆さんがおっしゃっています。

 先ほどの収入役の十万人の基準にしたって、これは笑われていますよ、本当に、いろいろな人に聞くと。何でこういう子供を扱うようなことをいまだにやっているんだ日本の官庁というところは、ということをやはり言われておるんですよね。だから、本当にぜひ再考していただきたいと思うんです。

 私は、志木市だけじゃないですけれども、群馬県の太田市とかいろいろ頑張っておられる知事さんの成功事例を水平展開することの方がよっぽど現実的だと思うんですね。現場に即してうまくいっている事例を横に展開する、その方がやはりよほど全体としてうまくいく可能性が私は上がってくるというふうに考えております。

 地域自治区に関してお伺いしたいのですけれども、これは、合併の有無に関係なく地域自治区ということだと思うんですが、これはどこかの自治体からの提案とかそういうものを受けてのものなんでしょうか、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 私の記憶ですけれども、これはたしか地方の首長さん方からの御意見として、こういうのをというのがあったのに基づいて考えるようになったのが最初のスタートと記憶します。

田嶋(要)委員 この地域自治区というものと、いわゆる団体自治それから住民自治という概念があると思うんですが、地域自治区というものの発想のもとには、どちらをどう重視していくというお考えがあってこういう制度が考えられたんですか。

大野政府参考人 この立法趣旨は、住民自治を強化するための方策として考えたわけでございます。

田嶋(要)委員 私の地元の千葉市の方も、千葉市は政令指定都市ですけれども、もう本当に、町内自治会を初めとするさまざまな、民間の、民間というか自発的な団体があるわけですね。そういうところが、大体今加入率が七割程度ということで、ひとり暮らしの、よく問題になるワンルームマンション的なライフスタイルの方は全く関心ないわけですけれども、昔からの世帯というのは大体が入っているということで、防犯等を初めとするいろいろな役割をもう既に持っておるわけなんです。私は、そういう古いネットワーク、あるいは冒頭申し上げたインターネットなどを活用した新しい人々のつながりがこれから生まれていかなきゃいけないと思うんです。

 そういう自発的にでき上がってくるネットワークが強化されていく方向での自治のことを住民自治と呼ぶのであって、必要かどうかはよくわからないのに、また一つこういう仕組みを上からつくるというのは、まさしく住民自治の精神に反するものじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 田嶋先生御存じのように、現行法でも地域自治区というのはつくれることになっております。

 したがいまして、さまざまなことができるんだと思いますが、市町村によって、狭い区域というもの、ちょっと千葉の場合は急激に大きくなって、今政令都市になっておられますので、区ができて、いろいろな形ですし、千葉市生まれの千葉市育ちより、あなたのように、名古屋でできて千葉に移ってこられた方の方が多いというのが実態でしょう、新住民の方が多いというところですよね。

 それは、浦安なんというところは、私ら子供のときは潮干狩り以外何にもなかったようなところだったと記憶するんですね、本当にそうでしたよ。それが突如として超一等地にのし上がったわけですから、それはもう隔世の感があると、あそこへ行くたびにそう思います。

 そういったところは、やはり新住民の方が圧倒的に多いところなんだと思う。さっき言われた志木も朝霞も多分似たような傾向、千葉市ほどかどうか知りませんけれども、急激に人口が伸びたところの一つだと思います。そういったところは、旧住民の方々にとっては何となく、もともとおれたちが住んでいたんじゃないかという意識と、新住民の方は数が多いから、民主主義でいえば新住民の話ばかり市長は聞いてというような、いろいろな意味で、地域によってはいろいろ確執があるというのも、これはある程度人間として避けがたいところでもありますので、そういった声も何らかの形で反映できるような形をつくっておかないといかぬというのが、多分私どものところに陳情に来られた地方自治体を預かっておられる方々の趣旨だったと思います。

 私ども、重ねて、これは強制するつもりもありません。今のように、地域で、趣味の会みたいなまとまったものがだんだん、意識の高いところが一種の意見を集められるようになった例もありますし、奥さん方の、もともと趣味の会が広がって、それがそのまま十五年たったら、何となくその奥さん方の意識が地方自治に向いてという例で、一つの大きな団体になった例も各地では散見されるところでもありますので、いろいろな形のでき上がりが出てきてよろしいので、私は、それができないことの方が問題だという感じが率直なところなんです。

 しかし、正直言って新興の町では全くそういったものができないところもあって、何とか都民とか何とか府民とかいう言葉があるように、帰属意識がないところでは、むしろある程度その地域のことを、よほどしっかりせぬとその地域のことは全く、自治区が拡大されるために対応ができないというところが幾つも散見されますので、一つの手段として、地域自治区というのを自主的につくっていただくというのは、行政サービスを維持する手段としては一つの方法だと思っております。

田嶋(要)委員 その地域自治区の中の地域協議会というものなんですけれども、ここに「地域自治区の区域内に住所を有する者の多様な意見が適切に反映される」ことと書いてあるんですけれども、そういった目的で地域協議会をつくるんですが、どうやって多様な意見が反映されるようなものをつくれるのか、それをどうやって担保していくんですか。

山口副大臣 御質問でありますが、まず、地域協議会の構成員の構成につきまして、区域内の住民の多様な意見が反映されるようなものになるように、市町村長に配慮義務を実はまず課しております。

 そうした観点から、各市町村においてはそうした運用がなされるであろうというふうな期待をしておるところでありますけれども、具体的には、PTAとか商工会だとか、あるいは農協、NPO等の地域の諸団体の代表とか、あるいは集落の、町内会等の代表を選任しつつ、一部の構成員は公募というふうなこともしていただいていいんじゃないかというふうなことも想定をしております。

 さまざまな組織の関係者の皆さん方が地域協議会の構成員として地域協議会に参画をして市町村等に意見を申し出る、そうしたことによって住民参加が進展をし、住民自治の強化が図れるということで反映できるんではないかと思っておるところでございます。

田嶋(要)委員 そうすると、今おっしゃられたようないろいろな団体の代表者みたいな方を集めるというようなイメージだと思うんですけれども、それでもう抜けている部分がない。要するに、満遍なくいろいろな方々の意見がその協議会で反映されるということは、これは配慮義務と書いてあるんですけれども、配慮したと言えばそれでおしまいですよね。

 そうすると、結局は適当にやれる、そんなことになると私は思うんですけれども、いかがですか、その辺は。うまく機能しないと思うんですけれども。

山口副大臣 そこら辺は、もうまさに地方自治の本旨でございまして、やはりそういったものをつくった場合には、これは偏っておるじゃないかというふうなことになりますと、当然、当該議会の方でおかしいじゃないかというふうな御議論もあるでしょうし、そこら辺はしっかり、やはり地方自治の本旨にのっとって担保できるんではないかと考えております。

田嶋(要)委員 今でもそれぞれの町内自治会とかそういうところが、当然ああいうのもヒエラルキー構造だと思うんですけれども、連絡協議会の会長さんとか自治会の会長さんとかが、適宜市長さんと話し合いの場を持ったりというようなことは、幾らでも自発的に行われていると思うんです。

 私は、そういった今の状況というのを基本的には尊重していく形の方が住民自治に近いと思っておりまして、むしろ、上からこういった形を、強制ではないにしても、仕組みとして提示することというのは、地域のあり方を一定の方向に方向づけをしておるような気がしてなりません。

 残った時間、条例による事務処理特例。これは、本会議の方でも質問させていただいた点でございますけれども、まずお伺いしたいのは、本会議で答弁されなかった点ですが、都道府県知事の協議義務ということなんです。

 私があのときに申し上げたのは、要するに、協議するだけだったらだれでもできるわけなんですが、基本的に、できる限り住民に近いところでの分権型社会に持っていこうとするのであれば、協議義務にとどめずに、やれると判断をした市町村の考えを尊重して、なおかつ、議会の承認も得ているわけですから、原則としては、その要請に都道府県は応じていかなければいけないぐらいに踏み込んだ形で分権を促進させた方がいいのではないでしょうか。

麻生国務大臣 これは田嶋先生よく御存じのとおり、いわゆる都道府県の事務処理特例という種類のものは、法令上は都道府県知事の権限ということになっております。したがって、この事務処理を移管する等々をやった場合に、その移管された側の市町村等々が、それを受けてちゃんとやれますかというのをある程度見きわめるというのは、その能力があるかないかとかいうようなことを含めて、ある程度知事さん側の方も見ておかないと、これは、それを一番よく見られる立場にいるのも都道府県知事ということになりましょう。

 そういった意味では、やはり権限の移譲ということは、要請を受けているというのは、やる気があるという、その意欲は大事に尊重されてしかるべきだと思いますが、最後の責任はどっちが持つのかといえば、やはりそれは県知事側の方で、移譲を受けたのを見て、これは大丈夫といったら渡すでしょうし、これはどうかなということなのであればそれは渡さないという判断もあり得るわけで、最終的な責任は都道府県知事の責任に帰すべきものであって、受けた方がすべてということになると、ちょっといかがなものかなというのが率直な実感です。

田嶋(要)委員 すべてとは申しておりませんけれども、原則的に、文言として、書く表現の仕方として、どっちが基本でどっちが例外かというような書き方として、どちらかというと、要請を受けたものを、真摯に受けとめてまずは分権をするということを基本に考えたらどうかということを申し上げております。

 最後の質問ですけれども、では、同じように、市町村と都道府県の関係、これはある意味では地方公共団体間の話なんですが、私は、より核心的なのは、都道府県と国との間にこれと同じような、分権の流れを加速させるような仕組みをつくらなきゃいけないというふうに思っております。

 きのう役所の方と話した感じでも、基本的には、都道府県と市町村の間の関係が今回の立法措置によって二歩先に行く。つまり、都道府県の判断で移譲ができるだけじゃなくて、市町村のイニシアチブで移譲の仕事をとりに行くことができるということで、都道府県と国との間の関係に比べて二歩先に行くということだというふうに理解しております。

 本来は、一番重要なのは、国の仕事を地方に分権させるところを加速させなきゃいけない。そういう意味では、同じような立法精神の立法を国と都道府県との間に組み入れていただきたいというふうに思うんですが、その点はいかがですか。

麻生国務大臣 今の御意見というのは、基本的には、全国知事会からだったと記憶しますけれども、その種の権限移譲について要請があっております。ただ、御存じのように、これは法律改正を伴う話でもありますので、法律改正というよりは政令改正だと思いますが、政令改正を伴う部分があると思っております。ただ、全国的な見地から見た場合にはこれは検討する余地がある、私自身は率直にそう思っております。

 ただ、今、内閣への意見具申制度というのが活用されるのをちょっと取り急ぎ期待しているところなんですが、それに基づいて、全国知事会を昨年末何回かさせていただいた中で、今回、今審議をいただいております国民保護法制等々の法案作成に当たっては全国知事会等々と意見交換というような話もあって、現実、それに基づいて、全国知事会の意見を入れて国民保護法制というものの作成をやらせていただくようなこと等、少しずつ少しずつではありますが確実に変わってきておると思います。

 総務省としては、今後とも、地方にできることは地方にということが基本的な原則だと思っておりますので、さらなる権限の移譲というのに取り組んでいく必要があると思っております。言われましたように、県から市町村もあれだが、国から県へという点についても十分に考えて、そっちの方がむしろ重要ではないかという御指摘は正しいと思います。

田嶋(要)委員 それでは、最後に一言。

 長年しみついた仕組みですから一朝一夕には変わらないと思うんですけれども、やはり現場に答えがあると私は思います。だから、まさしく現場の声を最大限尊重してこの分権の加速化をぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 以上で、私の質問を終わります。

佐田委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治です。

 会派最後の質疑者として、二十日、二十二日、本日の質疑で詰め切れていなかった具体的な問題点について詰めていこうと思います。

 地域自治区についてお聞きいたします。

 第一の論点として、二百二条の五第五項の規定、地域協議会の報酬の規定について伺います。

 二十日の答弁にもあったんですけれども、結局、無報酬の規定というふうに明文化しなかったのはなぜかについてはお答えを最終的にいただいていませんでした。報酬を支払う場合として、具体的にどういう場合が考えられるのかということも含めて、お答えいただきたいと思います。

山口副大臣 もう恐らく中村先生も余り払うべきじゃないというふうな思いがおありになるんだろうと思うんですが、実は私どもとしても、原則として地域協議会の構成員には報酬は支給すべきではないものというふうに考えております。

 ただしかし、これも御案内だと思いますけれども、普通地方公共団体の審議会等の委員、いろいろな委員等々があるんですが、その他の構成員に対しましては報酬を支給しなければならないというふうなことに実は地方自治法の第二百三条に規定をされております。これはもう勤務に対する反対給付ということは当然であるというふうなことで規定をされておるわけなんですけれども、地域協議会の構成員も実は委員その他の構成員に含まれるというふうなことになるものですから、法律上一律に反対給付の支給そのものを否定することには無理があるのではないかというふうなことであります。

 ただ、地域協議会の構成員の活動というのは、住民として担う自発的な協働活動の一環というふうなところもありますので、審議会の委員等とは若干役割は異なるというふうなこともございます。ですから、その報酬につきましては支給しないとすることができるというふうに規定をさせていただきました。

 こうした考え方からいいますと、原則として地域協議会の構成員には報酬は支給すべきではないというふうに考えておるところでありまして、そこら辺はしっかりと助言をしてまいりたいと思っております。

 御質問の、どういう場合ということでありますが、当該地方公共団体がそういうふうな判断をして、同時に、議会の皆さん方の同意を得てやるというふうなことはあり得るということでございます。

中村(哲)委員 もう趣旨については二十日の質疑で聞いているわけですから、長々と答えないでください、時間がもったいないですから。

 では、具体的にどういう場合があるかということを聞いているわけですよ。二十日の質疑でも申し上げましたように、これが悪用される可能性がある、では具体的にどういう場合だったら支給してもいいのかということに対して総務省は考えておかないといけないじゃないですか。それを市の判断で、どういうふうなことだったらともう市の判断に任せちゃう、議会がオーケーと言ったらいいじゃないか、そういうことを今御答弁されたわけです。これじゃ答えになっていないわけですよ。ボランティアだったらボランティア、無報酬だったら無報酬と書き込めるんですよ、法律ですから。そこを何で書き込めないのか。今、形式的な理由だけじゃないですか。

 そこについて、最終的には住民の意思だ、総務大臣もそのようにお答えになりましたよ。でも、実質的にどういう場合にこの地域協議会の構成員に報酬を支払う場合があるのか、そこについてイメージもしていなかったら、こういう規定はおかしいじゃないですか。

 五項の規定がおかしいというのは、総務大臣も二十日の質疑である程度認めておられるわけですよ。原則払わないけれども、文章は「支給しないこととすることができる。」と原則支給規定になっているわけですよね。それは二百三条の規定があるから、並びではそうしないといけないと。法文上はそうしたけれども、それだったら、ぎりぎり支払う場合があるとしたらどういう場合が考えられるのか、そこはちょっと考えておかないといけないじゃないですか、総務省として。

 いかがですか。考えていらっしゃらないんですか、具体的なケースとして、どういう場合だったら市や議会が認めてもいいと。そこについては想定していないなら想定していないで結構ですから、お答えください。

山口副大臣 想定していないということなんですが、さっき申し上げたように、やはり法令上の整合性をしっかりとるということは大事なものですから、原則好ましくない、しかし、ああいうふうな書き方をせざるを得なかったということで、そこら辺はしっかりとまた周知徹底をさせていただきたい。

 そして、当該公共団体の長の方が、他の審議会のメンバーの出席状況、審議状況あるいはまた給与の状況等々を踏まえて、やはり払う必要があるんじゃないかということを判断なさった場合には、議会に御相談いただいて決定をするというふうなことなんだろうと思っております。

中村(哲)委員 今の答弁でもなかなか具体的にはお答えいただけないということで、問題点は残っているということを皆さんに御認識いただきたいと思います。

 次に、二百二条の五第三項の規定、地域協議会の構成員の選任についてお聞きします。

 市町村長に配慮義務があるという、先ほどの田嶋委員の質問に対する答弁がありました。この地域協議会は、政治的に中立であるということと理解してよろしいですか。

麻生国務大臣 基本的にはそのように御理解いただいて結構です。

中村(哲)委員 そうすると、地域協議会が各級選挙において個別候補を推薦するというようなことは、制度趣旨からしてやってはならないと考えてよろしいですか。

麻生国務大臣 地方公務員と異なり、政治的行為が制限されるものではありませんよ。そこのところだけ都合のいいように解釈されると話が込み入るので。そうではありませんけれども、基本的には、今言われたように、この地域の何とかかんとか協議会、中村協議会なら中村協議会でこれの方向を出すというようなことは、通常考えられぬと思います。

中村(哲)委員 なぜ私がそのようなことをお聞きするかと申しますと、政治的中立が守れない場合に、首長がかわったら、それではもう地域協議会のメンバーも全部かえてしまおう、そういった議論になっちゃう可能性があるわけですよ。任期は四年以内で、条例で定める任期はあるんですよ。その任期が終わったときにかえるというような、そういったことにもなってしまうわけですから、やはり地域協議会の制度趣旨というと、地域のことをみんなで、多様な意見を吸い上げて決めていきましょうということなんですから、そこは政治的な中立というのを本当に確保しないといけないと思います。

 そして、市町村長の配慮義務が守られるように、先ほど、総務省としては周知徹底をしていくということを言っておられました。この配慮義務が守られるように、周知徹底以外にどのような方法が考えられるのか、また、周知徹底に努めると言うけれども、具体的な方法として何が考えられるのか、お答えください。

山口副大臣 先ほど来御議論がありましたように、当然これは多様な意見の調整を行って、協働活動のかなめというふうになりますので、適切に多様な意見が反映されなきゃいかぬというふうなことでありますから、そこら辺はしっかりと地方公共団体に周知徹底をしてまいりたいということであります。

 例えば、これは施行というふうなことになりますと、施行通知を出させていただきます。さらには、ホームページで出させていただいたり、いろいろな方策をとって、しっかりと誤解のないように周知徹底に努めてまいります。(中村(哲)委員「周知徹底以外の方法はないですか」と呼ぶ)

 要するに、周知徹底ということなんですが、例えば、個々の御相談といいますか、そういったことはいろいろな場合に応じてあり得ることだろうと思っております。

中村(哲)委員 三つ目の論点に入ります。第二項についてお聞きいたします。

 二十二日の稲見委員の質疑で、構成員は住所地を有する者でないといけないということがありました。

 住所地を有する者というふうにありますけれども、例えば、個人商店の商店主の場合は、その地域に住んでいない人である場合があるわけですよね。しかし、商売をやって非常に大きな影響力を持って、本当に地域の商工会とかも入りながら活動されている人もいる。現行のやり方であれば、これは別に条例でこういう人を地域協議会の構成員にすることはできるわけですよ。しかし、改正法のこの制度をつくるということになると、こういう人ははじかれてしまうんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

山口副大臣 地域協議会というのは、これはもう住民にしっかり基盤を置いた機関であるというふうなことでありますので、構成員は住民であるというふうなことを要件とさせていただきましたが、ただ、先生の御指摘のようなお話もあろうかと思います。

 特に、やはりもう昔と違いまして、お昼だけ商店にいて夜は帰っちゃうという方々もおいでになるわけでありますが、しかし、そういった方々の御意見も大事であろうというふうなこともありますので、そこら辺は、例えばオブザーバーというふうな方法もありますし、いろいろと工夫は可能であろうと思っております。

中村(哲)委員 いや、そんな、オブザーバーで参加できるという工夫があるというなら、別にここを住所地に限らなくてもいいじゃないですか。そういう規定にする方がおかしいんじゃないですか。

麻生国務大臣 その場合は、いろいろな形で、オルグみたいな形で組織的にやろうと思ったらできますよ。特定のところはそういうことをされますから。だから、その種のこともある程度考えておかないかぬということだと思いますので、妙に狭く考えぬと、その種の規制はある程度要るのではないのかということだと存じます。

中村(哲)委員 三項で、多様な意見が適切に反映されるものとなるように配慮する義務があるわけでしょう。ということは、別にそこに住んでいる、現に住所がある人に限らなくても、配慮義務があるんだから担保できるじゃないですか。今の皆さんの御答弁の裏返しであれば。だから、そこはおかしいんですよ

 それから、この間の大野政府参考人の御答弁に、法人の場合は、その主たる住所地が区域内にあれば、それは法人の代表者の方も構成員になれるということでございますと御答弁されているんですけれども、法人に関しては、代表者じゃないと地域協議会のメンバーになれないのか。これもおかしいと思うんですね。

 普通、法人の代表権を持っている者に限らず、別に、雇用者であって代理権を与えられている者、こういった者も参加できるというふうにしておくことが私は必要だと思うんですけれども、それはいかがですか。

山口副大臣 これはもう先生の御指摘のとおりだろうと思います。法人は、法人としてこれは地域協議会の構成員となり得るというふうなことでありまして、法人としての立場を表明する立場の者であれば、当然、出席をして意見を述べることができる。要するに、社長が、おまえ行け、代表だよというふうなことをやっていただければ構わないというふうなことであります。

中村(哲)委員 いや、それだと、さっきの御答弁、ちょっと合わなくなるんですよ。

 個人商店の場合は、その本人が住所地、そこでなかったらだめなわけでしょう。でも、会社組織の場合は、そこの営業所なり事務所が住所であれば、代表者ももちろんそうだし、従業員も地域協議会のメンバーになれる。

 だから、これは個人経営であるか法人経営であるかで全く結果が変わってくるんですよね。やはり、そういうことを考えれば、個人経営の場合でも商店主はこれはメンバーになれるというふうに解釈すべきじゃないですか。

山口副大臣 確かに、御指摘のような、個人商店はだめで法人はオーケーよというふうなことなんですが、ただ、やはりその区域内にちゃんとした法人格としてあるということで、その法人を代表する者なら結構ですよというふうなことでやらせていただいたもので、確かに御指摘のような面はありますので、さっき申し上げましたように、個人商店等の場合、住んでおられないけれどもそこで開業しておられるという方の場合は、やはりオブザーバーで参加していただいて、自由に御意見をおっしゃっていただくということも工夫として考えたわけでございます。

中村(哲)委員 論理的に合わないと言っているんですよ。商店主の場合だって、法人格を持っていないけれども、商業登記している場合もあるんですよ。そういうのも排除しているということですよ。その意味をわかっているんですか。

山口副大臣 結局、構成員としてはやはり住民と法人というのも実は認めておるわけですので、そこら辺からどうしてもそういう形が出てくる。しかし、お話のようなことがありますので、オブザーバー等で参加していただいたらどうかということでございます。

中村(哲)委員 これに関しては、非常に、論理的に合わないと思うんです。理事会で一度お話ししていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。

佐田委員長 委員会で議論をしてください、それは。

中村(哲)委員 いや、本当に、これはつじつまが合わないこと、わからないんですか。商業登記することもあるでしょう、商店が。そういう人は住民というのに含めるんですというふうに考えてもいいんですよ。そうじゃないと、この法案、非常に穴が多い。そうなっちゃうんですよ。ここの点を本当にもう一回考えてください。条例をつくるなり会員の規範をつくるときに、この点はもう一回考えてください。

 次に移ります。第四点目ですね。

 現行の住居表示に関する法律、私、これをずっと見てきました、取り出して。(発言する者あり)

佐田委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

佐田委員長 それでは、速記を開いてください。開会してください。

 山口総務副大臣。

山口副大臣 いろいろ御迷惑をおかけいたしましたが、自治法で言う住民の意味、いわゆる住民というのは、当該地域に住所を有する者というふうなことでありますが、一つには、日本人である自然人、そして、もう一つには、日本国籍を有しない自然人、これはもう外国の方でありますが、それともう一つが法人、この主たる事務所の所在地があるという法人及び権利能力のない社団というふうなことになっております。

中村(哲)委員 商店の場合は、権能なき社団だと認めるということですね。

山口副大臣 そういうことでございます。

中村(哲)委員 四つ目の質問、途中になっておりましたけれども、住居表示に関する法律によると、わざわざこの制度をつくらなくても地名を残すことはできるというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

山口副大臣 確かに今の法律でも地名というのは残すことができるわけでありますけれども、ただ、今回の法改正によりまして、例えば区というふうな文言が使われたり、あるいは、位置づけをすることによってより使いやすくなるというふうなこともあろうかと思います。

 例えば、これは静岡県の田方郡修善寺町を合併して伊豆市となりましたが、修善寺町○○というのが実は伊豆市○○ということで修善寺町が抜けてしまった。あるいは、合併をして町になった場合には、何とか町何とか町みたいな変なことになるというふうなことで、今回こういうふうなことにさせていただいたということでございます。

中村(哲)委員 いや、それがこの法案では絶対できないのかということなんですよ。伊豆市修善寺町○○という形にできないのか。本当にこの法律では今できないのかということをお聞きしているんです。

山口副大臣 現行の法律でも、さまざまな煩雑な手続はありますけれども、確かにできるということはあります。

中村(哲)委員 では、煩雑ならば簡単にできるように、こっちの法律を変えればいいんですよ。何でこっちの法律は変えなかったんですか。

山口副大臣 今回、やはり合併に絡んでさまざまな御意見が出てきたというふうなことが一方においてあるわけです。

 やはりもとの町名をぜひともそのまま残したいとか、そういったさまざまなお話を受けて、今回の法律に位置づけをさせていただいて、よりそれをやりやすくしたというふうなことでございます。

中村(哲)委員 時間が参りましたので、質問は終わりますけれども、今の答弁を聞いても非常に苦しいんですよ。まだまだ聞かなくてはいけないことがたくさんあるんですけれども、持ち時間が終わりましたので終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 せんだっての委員会で、大野政府参考人は、「よるべき基準、このような規定ぶりがあります法律も幾つかある」という答弁をされましたが、自治事務の基準として、よるべきという表現を使っている法律はどれですか。

大野政府参考人 自治事務に対する基準ということで申し上げますと、環境大臣が定めます基本指針におきまして、都道府県が鳥獣保護事業計画の期間を定めることになるわけでございますが、この場合の遵守すべき基準、こういう表現を使っている例がございます。

吉井委員 地方自治法の中で、「法定受託事務を処理するに当たり」というところではあるんですが、地方の法律におきまして自治事務の例というのは全くありません。ないものをあるというのはとんでもない答弁だということをきちんと申し上げた上で、前回、現行地方自治法の第八条の二との関係をただしたのに対して、法定受託事務とするメルクマールの一つに該当する、こういうお話で、市町村の廃置分合などの計画策定あるいはその決定がある、こういう答弁でした。

 要するに、市町村の廃置分合などの計画策定が法定受託事務のメルクマールに当たる。そうすると、合併新法五十九条に規定する市町村合併推進の構想を策定するということも法定受託事務のメルクマールに該当するんじゃないですか。

大野政府参考人 法定受託事務であるかあるいは自治事務であるかということにつきまして、この事務の性格、それから、どちらかに分類した場合の効果をどのように考えるか、その性格効果基準とでも申しましょうか、そういった観点から分類をすることになるわけでありますけれども、構想策定につきましては、先般大臣も御答弁申し上げましたように、法定受託事務としての効果、つまり代執行もできるということになるわけでありますが、そうした効果をもたらす必要がないということでございますので、その辺も勘案いたしまして自治事務に分類をいたしているわけでございます。

吉井委員 合併新法五十九条は自治事務になるんだ、これは前回の冒頭の答弁でした。

 それで、構想には、知事が合併した方がよいと判断した市町村の組み合わせが定められて、関係市町村に対して、その合併を推進するための協議会設置の勧告が六十一条で認められる。協議を進める上での勧告権が認められ、勧告した後、勧告に基づいてどのようなことを実施したのかという、これは六十二条で「報告を求めることができる。」となっていますね。協議がまとまらない場合には、六十三条であっせん、調停までできるわけです。

 つまり、制度設計の上では合併の勧告と変わりないんだけれども、報告、あっせん、調停を入れることで、合併の勧告よりは強制力がずっと強い、こういうふうになっているんですね。

 法定受託事務とされる自治法八条の二、これとどこが違うのか。強制力はむしろ強くなっているじゃないか。質問します。

大野政府参考人 あっせん、調停も、第三者を委員に知事が任命をした上で行うわけでございますけれども、これはそもそも、自治体側の方の申請がなければそういったことにはならないわけでございますので、強制力があるというものではないわけでございます。

吉井委員 自治法第八条の二が法定受託事務で、合併新法五十九条が自治事務だと。要するに、それは何で違いがあるか、はっきりわかるように言ってもらいたいと思います。

大野政府参考人 先般も申し上げましたように、地方分権推進計画の中で、法定受託事務のメルクマールというものを挙げておりました。そこで、広く言えば、国家統治の基本に関する事柄という位置づけがありまして、そのメルクマールに該当するので、私どもとしては、今御指摘の事務につきましては法定受託事務として分類をいたしたわけでございます。

吉井委員 これは、合併するのは市町村の判断で、合併新法というのは市町村の自主性を認めているものなんですよ。

 次に、自治法七条で、市町村の廃置分合及び境界変更の規定。この規定というのは、本来、自治事務にふさわしいものだと思いますが、なぜこれが法定受託事務なんですか。

大野政府参考人 今御指摘の七条は、都道府県知事が行います廃置分合処分でありますので、市町村が先ほど申し上げましたような国の統治構造の一環をなしているということで、実は本来、国がその処分につきまして適正な処理を特に担保する必要があるということでございますので、法定受託事務としているわけでございます。

吉井委員 市町村が都道府県の関与もなく自主的に合併して合併の申請をした場合、知事は議会の議決を経て総務大臣に届け出なければならない、こうなっていますね。それは法定受託事務となっているわけです。知事は合併せよと言っていない、しかし自主的に合併するという場合、これは本来は自治事務になるんじゃないですか。

大野政府参考人 今御指摘の知事の廃置分合処分、これが法定受託事務であるというふうに申したゆえんは、その処分について、私どもとすれば適正な処理が必要だということでありますので法定受託事務にしているわけでありまして、いわば知事の裁量でいろいろな判断を加えるべきものではない、こういう観点があるわけでございます。

吉井委員 これはこの間も議論しましたが、メルクマールの一つ目の話から、要するに、合併に直接関係する、あるいは間接的だ、市町村に自主性があるかないかとか、そういうことは関係なしに、なぜ法定受託事務にしているかというと、市町村が国の統治機構の一環をなしているという、この考え方からやっているというのがこのメルクマールの話から出ていたことです。

 法定受託事務とは、「国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの」というのが自治法二条の規定ですが、そうすると、この市町村合併は国の統治機構と関係するから、七条二項では、市の合併の場合には、事前に知事は総務大臣と協議して、その同意を要する、こういう規定があるわけですね。八条三項で、町村が市になる場合は同様の申請が必要、知事の事務は法定受託事務だ、こういうふうになっています。

 現行法の規定をそのままにして、合併の勧告でなく、合併協議会の勧告だから自主性がある、今こういう議論で、だから、自主性があるから自治事務だ、そういう言い方をずっとしてきているわけですが、そうすると、現行法の規定をきちんと見直して整合性を図る、これをやらないと、そもそもこの組み立て自体が混乱しているんじゃないですか。

大野政府参考人 新法の中で勧告というものを幾つか規定しておりますけれども、今、吉井委員もおっしゃいましたけれども、これは市町村の合併そのものについて勧告をするという仕組みではございませんで、合併の議論をしていただくための合併協議会の設置の勧告でありますとか、あるいは、諸事情がありまして、例えば市町村名が決まらないとか、市町村の本庁の場所をどうするか、こういったことで協議が進んでいないという場合に、協議を推進するように、こういう勧告であります。

 あくまでも合併そのものにつきましては、関係自治体の自主的なものにゆだねているということでありますので、そういった事務は、当然のことながら、これは先ほども申し上げましたように、代執行までして担保するものではありませんので自治事務として分類いたしておりますし、法定受託事務は先ほど申し上げましたようなメルクマールでしているわけでありまして、そこに整合性がないという御指摘は当たらないと思っております。

吉井委員 そこは全くおかしいんですね。

 合併推進のための協議会設置の勧告は認められる。協議を進める上での勧告権が認められ、そして報告を求め、まとまらなければあっせん、調停もできる。これはもうこの設計そのものが合併の勧告と変わりないものであって、さらに報告、あっせん、調停を入れ、合併の勧告より強制力が非常に強いものにしてしまっている。そういうそもそもの仕組みが根本的に矛盾を抱えているわけですから、今のようなお話では、とてもじゃないがきちんと整合性をとった法律の体系になってこないということをまず言わなきゃならぬと思います。

 ここで麻生大臣に伺っておきたいんです。一たん自治事務と説明した以上、それを改める答弁はなかなか、さっきのようにできなくて、整合性がとれていないのは、私はこれまでの事務配分との整合性をとるべきだと思うんですけれども、それは今のでちょっとおいておいて、大臣にはその内容の方なんですが、本会議答弁で、総務大臣が定める基本方針について、都道府県が策定する構想の対象として、人口おおむね一万未満の小規模町村が対象になると。人口一万という数字を指針に書き込むとしたわけですね。これも問題です。

 自治事務のよるべき基準と言われる基本方針に、人口一万という形で全国一律の合併の目安となる数字を書き込む、これができるんでしょうか。自治事務の基準としてそういう全国一律の数字を示すということは、自治事務だ、自治だと言っているんですから、これは本来ふさわしくないということになるんじゃないですか。

    〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕

麻生国務大臣 御質問がありましたように、この基本指針というものの具体的内容につきましては、この法案が成立をいたしました後、合併の進捗状況等々を踏まえて検討することになろうと思います。

 今御指摘のありましたように、構想を定めるに当たりよるべき基準としては、昨年の十一月の第二十七次地方制度調査会の答申等々を踏まえまして、都道府県が策定をいたします構想の対象となりますいわゆる小規模の市町村として、おおむね一万未満を目安として、そのほか地理的条件等々、これは離島やらいろいろございますので、この間、長野県が県を越えて岐阜県と合併した例もあります等々、いろいろ例もあちこちありますので、これを法律に書いて一万となると、途端に一万だけの数字がひとり歩きして、大体、役所の癖というのは、九千九百八十になったら一万を切っているからだめみたいな話になるのはよくある話ですので、私どもは、指針としておおむね一万という方向を書いて目安とさせていただいております。

 いろいろございますけれども、総じて、五千人とかいうところの数を見ますと、行政経費が百万を超えるほど高い、人口が三万を超えますと大体三十万ぐらいになる、一万ぐらいのところでいきますと四十万、五十万ぐらいになるというのが、通常、私どものつかんでおる数字でもありますので、これは行政経費の件から考えましても、行政サービスをある程度維持できるようなことも考え、その分をある程度考えておいていただかぬと、行政経費はほかの大きなところの三倍も四倍もかかるわ、傍ら、そこの税金は全く自主財源としてはないわというところを考えたりする場合に、いろいろな意味で、離島とか特別な条件があるというところは十分に配慮をせないけませんけれども、おおむね一万という規定につきましては、おおむね妥当なのではないかと思っております。

吉井委員 人口規模が多い少ないとか、どういう自治体をつくるかというのは、基本的には、本来その地方の住民が考えていくべきものであって、それに基準を示して何か枠をはめるというのは、そもそも地方自治という考え方とは合わない。

 地方自治法第二条第十三項は自治事務に対する配慮を規定しています。この条文は地方分権推進委員会第一次勧告を受けたものですが、自治省事務次官をやった松本さんの「逐条地方自治法」によれば、その趣旨というのは、自治事務であっても法律や政令の規定で地方自治体を拘束することができるが、その場合は地方公共団体の裁量や選択の幅を確保するよう配慮するべきであると。つまり、地域の特性を考慮しないと、一律な基準を制定してそれを強制するような規制的な関与をしてはならないというのがこの趣旨です。

 総務大臣の基本方針で人口上の目安を示すということと、この第二条十三項の配慮規定との調和といいますか、そこをどうきちんと合わせるのかということが問題になってきますが、どのように説明されますか。

麻生国務大臣 今おっしゃいますとおり、平成十年五月に閣議決定された地方分権推進計画におきまして、今言われたようなことの御趣旨と同じようなことが述べられておりますが、今おっしゃいましたような趣旨を踏まえて、ですから法律で一万というような数字を書き込むことはせず、おれのところは合併できない、したいと思ってもやるところがないとか、地域によっていろいろ事情もございますので、そういったところで、したくてもできないというところと、いや絶対自分でせぬのだというところは、僕はそれは一つの考え方として十分に考えられる話だと思っております。

 したがって、そのところは、従来と同じように、行政経費がえらくかかる分はその分だけみずからスリム化に努めていただくとか、シティーマネジャーを置いていろいろやることを考えておられる町とか、いろいろありますけれども、そういったものを含めまして、私どもとしては、強制をしてしゃにむに一万にしろと申し上げるつもりは全くありません。

 ただ、行政経費がえらくかかることになるというのは通常言われているところですので、その分の負担についてはよくよくお考えをいただかぬといかぬところなんであって、その分だけ金を持ってこいと言われてもなかなか難しいということを申し上げております。

 したがって、地理的条件というのも考えますが、同時に、おおむね一万という数字はその種のあれを背景としておるところという点もあわせて御理解いただければと存じます。

吉井委員 地理的条件考慮は当然ですけれども、法律に明記されているように、わざわざ「特に配慮しなければならない。」と規定されていますね。ですから、地理的条件を考慮するという文言を入れれば全国一律のものを基準に入れてよいというものじゃないんです。

 指針にはさらにこんなことを盛り込まれています。総務省の総務審議官は昨年の地方制度調査会で、自主的に合併をしない選択をした小規模自治体、あるいは合併の意欲はあるができなかった自治体に対する総務省の対応が問われたときに、自分たちがやらないと言っているところは、県の構想の方で拾っていただきましょう、それから、どちらも客観的に無理だと思われるところは、やはり事務配分の特例の方で考えていきましょう、こういう体系にさせていただいておるつもりでございますということなんですね。これで自治事務と言えるのか。

 自分たちはやらないと言っているところというのは、これからも合併しないで自立していこうと決めた市町村なんですね。そういう市町村を県の構想で拾っていきましょうと。これは自立でいくと決めた市町村を県が上から合併させようということですから、こんなことを自治事務だと言って知事にさせようとしたら、これはとんでもない話。これで自治事務と言えるのかどうか、明確にお答えいただきたいと思います。

大野政府参考人 今おっしゃったことはいろいろな議論の中での発言であったと記憶いたしておりますが、私どもは、今回の法案を提出いたしておりますけれども、この法案に即してどのように指針を総務大臣が決めるかということを大臣が御説明いたしたわけでございまして、せんだっての御質問にも私申し上げましたけれども、例えば今回の合併による経過、これも当然入ってくるわけでございますね。

 例えば、せんだっての例でいいますと、五千人と四千人のところが今回の合併特例法を使ってようやく合併が成ったといった場合に、そこは一万人未満でありますけれども、そこを対象にするかどうかというのは、これこそ広い意味での知事の判断になるわけでございまして、さまざまな事情を十分勘案して構想をつくっていただくというようになっているわけでございますので、そこはぜひ御理解を賜りたいと思います。

吉井委員 では、もう最後ですから終わりますが、本来例示できない人口一万という全国一律の数値目標を掲げて、その基本方針に基づいて知事に市町村の合併の推進に関する構想を策定させる、知事は、その構想で定めた合併を推進させるために合併協議会の設置を勧告し、必要なときには報告を求める、協議が調わなければあっせんも調停もできる。

 要するに、上からの一路合併推進という制度設計をしながら自主的という言葉を使うのは、まことにもって国民を欺くものであるということを申し上げて、残念ながら時間が来ましたので、質問を終わりたいと思います。

佐藤(勉)委員長代理 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。質問をさせていただきます。

 私も、まず、同じような趣旨の質問をさせていただきます。

 市町村合併にかかわる人口規模目標ですね。合併を促す町村の人口規模を示すかどうかにつきましては、一昨年、平成十四年の十一月に示されました西尾私案の中では、合併によって解消すべき市町村の人口規模を法律上明示し、そして合併に至らなかった一定の人口規模未満の団体については権限を剥奪するという考え方が示されておりました。

 これに対して、全国町村会あるいは町村議長会などが強く反発したという経緯がございます。これは、とりわけ小さい自治体にとりましては当然の声だと思うんですね。編入合併や事務権限、組織の縮小を強制したりあるいは強要することは、これはまさに団体自治権そしてまた住民自治権の否定にほかならないわけでございますので、この反発は当然でございましょう。

 そのような経緯を経て、先ほど大臣からのお話にもございますように、新法には人口規模目標が盛り込まれなかった。この点は、私は率直に評価すべきものであると思っております。

 しかし、先ほどからお話がございますように、地方制度調査会の答申は、おおむね人口一万未満を目安とする、そういった方向性を打ち出した。そして、大臣も本委員会で、基本指針に盛り込まれると答弁をされている。総務大臣が作成する基本指針に人口規模目標が盛り込まれるとするならば、やはり一定規模未満の市町村に対して編入合併あるいは事務権限、組織の縮小、これを暗に強制することにつながると思うんですね。

 先ほどから説明されておりました。それぞれの地理的な条件もあるんだ、離島の例を挙げまして、やはり合併できないところも事実上あるんだ、そういったこともお話しされました。そういった中で、おおむねというお言葉がございましたが、たとえ指針におおむねという形で人口一万未満という数字が入ったとしても、そういった地理的な状況があるところを勘案すれば、これは決して強制ではないと受け取ってもよいんでしょうか。

麻生国務大臣 強制でないことははっきりしております。

横光委員 それでは、大臣の基本指針に基づいて都道府県が合併構想等をつくっていくと思うんですが、今度の新法には、都道府県が合併の推進に関する構想を策定すること、そしてまた構想に基づき合併協議会の設置に関する勧告を行うこと、さらには、合併協議会を置いている市町村に対し、合併に関する協議の推進に関する勧告を行うこと等々が書かれているわけですが、これは一言で言えば、都道府県の役割強化が盛り込まれていると思います。

 これらの規定の導入は、これまで市町村の自主的な判断にゆだねてきました従来の自主合併路線から、知事の調整や勧告による、つまり知事の役割を強化した強制合併路線に転換したような感じも与えるんですが、この点、大臣、いかがお考えですか。

麻生国務大臣 これは先生御存じのように、地域によって、住民の方は結構話が合っても、議員さんや一番上の町長さん同士はなかなか合わぬとか、歴史のありますところ、昔からの町というところは、そういった感情的なものもいろいろ含まれておりますので、道路も通ったことだし、ぜひこの際一緒にといってうまくいけばよろしいんですけれども、そうじゃないところも、実際問題、多々あります。

 そういうときにだれかが口をきいて、うまいこと音頭をとってくれぬかという話は、正直、大分の北の安心院の辺、みんな昔からのところですし、耶馬溪から何からみんな古くからのところですから、いろいろおありになるんだと思います。そういったときに知事さんが来て、こういったのはどうという話をしてもらうというのは一つのきっかけになるというように御理解をいただいて、それをもって強制的に一万にしろとか何とかにしろとか、しゃにむに宇佐と合併しろとかいうような話にはならぬと思っております。

 知事さんの口ききによって話がそこそこというと、両方の町長の顔が立ったり、いろいろな感情論も含めてこの種の話をしていただかないといかぬところなのであって、私どもとしては、いろいろ陳情をいただくと、あんたが言うてくれぬかとかいう話は一日に一つや二つあるぐらい、一時期あったことがございます。そういった意味では、知事さんが、強制でも何でもない、それなりの口をきいてくれるというようなところが本来のところでありまして、強制力を持たせるというつもりはございません。

    〔佐藤(勉)委員長代理退席、委員長着席〕

横光委員 確かに、今回の合併の問題、私たちの県もいいところまでいったけれども、結局まとまらない。それぞれの首長の判断、あるいは議会の判断、そしてまたそれぞれの住民の判断まで加味されて、なかなかまとまらないところも実際あるんです。そういったところでの今のような効果、策というのも確かに考えられます。

 しかし、地方分権一括法では、国と地方はもちろんですが、都道府県と市町村も対等、協力関係にある、そういうふうに位置づけられたわけでございます。対等であるならば、あるいは協力関係であるならば、やはり知事の市町村合併に関する調整機能については、強制的な合併にあくまでもつながらないように、必要な助言やあるいは情報の提供等にとどめるべきじゃないか、対等ということを考えれば。そういう気がするわけでございます。

 とりわけ、合併の推進に関する構想の策定や知事による法定協議会設置の勧告は、私は、今、言っていることとやっていることがどうもすれ違っているんじゃないかという気がしてならないんです。

 それが実にはっきり示されたのは、一昨日ですか、日曜日の共同通信の各都道府県の知事のアンケートですね。この結果を見ますと、やはり全国の知事の六割が、国がやろうとしているいわゆる勧告政策に対して消極的であるという現場の声があるわけですね。

 これはなぜかというと、最初に言った、地元の知事さんたちはようわかっておる、やはり市町村との関係を対等に、あるいは上から物を言うことがかえって逆効果になるんだということを一番よく知っている人たちの答えだと思うわけです。そして、消極的であるという理由は、住民や市町村の意向を重視したい、そういった考え方があるわけですね。

 ですから、強制的ではないとおっしゃっております、そういうふうにならないように願うしかないんですが、やはり現場の都道府県の知事さんたちは、これは半強制的な政策であるというふうに受け取っておるわけですよ、現場は。このことについて、どのようにお考えですか。

麻生国務大臣 この全国知事のアンケートで見ますと、行使しない、なるべく行使しないとしたのは二十八知事ということであり、行使しないとしたのは七人で、大分県もその中に入っておるということだと存じます。

 こういったものは、恐らく新しい法律下における、いわゆる勧告権の行使の考え方についていろいろ聞いておられるのに対する答えなんだと思いますけれども、現行法で著しく合併の進んだところにおきましては、新法のもとでいわゆる知事の勧告権を行使する必要がない、うちはもうほとんど終わったと言われている県もあるというところもありますので、現行法でできる限りのところの合併を進める、できる限り現行法でやるというのは、私は基本的には正しいと思っております。

 そういった意味では、合併協議会の設置の勧告を積極的に行っていただけるというのであれば、それは進んでいないところで、そういったところがうまく使っていただければよろしいのであって、重ねて申し上げますけれども、こういったものは知事さんの方が、私ども中央におります総務省よりははるかに現場に近いがゆえに、これは難しいというのがわかるわけです。名前も言いませんけれども、あそこだなというのがわかるわけですから。そういったところは、やはりこれはちょっと、幾らおれがやったって無理というところもありますし、何となく火中のクリを拾うのもあれですしというようなこともあろうかと思います。

 そういった意味では、いろいろな判断があってもそれは当然なんだと思いますけれども、基礎自治体の体力というものが今後一番大きな要素になろうかと思いますので、なるべく合併のメリット等々をいろいろかみ砕いて説明していただけるということが私どもの大いに期待するところでありまして、強制してしゃにむにというような気は、重ねて申し上げますが、ございません。

横光委員 確かに、もう進んでいる都道府県の知事さんが、行使しないというところもあるでしょう。しかし、進んでいないところの知事さんでさえ、行使しないという発言をしたアンケート結果も出ているところもあるんですね。そういうことを考えますと、冒頭言いましたように、やはり都道府県と市町村の対等関係を重視したい、市町村のそれぞれの住民の意向を大事にしたいというのが根底に、このアンケート結果に出ていると私は思うんです。ですから、今回のアンケート結果の判断を、私は、総務省としても、それぞれの地域の状況もあるわけですから、これは尊重していくべきであろうということをお願いしておきます。

 また、先ほど質問がございましたが、私はちょっと違う観点から質問したいんですが、都道府県による合併の推進に関する構想の策定、あるいは、その構想に基づいて行われる合併協議会の設置に関する勧告、これは先ほどから質疑の中で、法定受託事務ではないんだ、自治事務なんだというお答えがございました。

 総務大臣の定める基本指針、ここにおいては、そういった自治事務であるといいながら、片一方では総務大臣が基本指針でよるべき基準を定めるということになっておるんですね。この合併の推進に関する構想の策定が自治事務であるとするならば、基本指針は都道府県を、さらには知事さんたちの裁量権を何ら拘束するものではない、このように理解してもよろしいんですね。

麻生国務大臣 先ほど大野の方からたびたび御答弁を申し上げましたように、御存じのようにこれは法定事務ではございませんから、当然のこととして代執行できる権限がございませんので、そのように考えていただいて結構です。

横光委員 基本指針に定められたことは都道府県を何ら拘束するものではないということを確認いたしました。

 ただ、先ほどから言っていますが、基本指針あるいは知事の勧告権、こういった形が、説明はよくわかるんですが、結局なし崩し的にいってしまうことを私は非常に心配しているわけでございます。そういった新たな仕組みが、なし崩し的な状況に持っていって、結果的に強制的な形になるというようなことにならないようにお願いをしたいと思うわけでございます。

 また、地方制度調査会答申におきましては、都道府県知事による合併のあっせんが明記されておりましたが、新法では、これは合併協議会の申請に基づき、市町村合併調整委員があっせん、調停を行うこととされ、都道府県知事の合併のあっせんはないということになっております。都道府県知事によるあっせんという新たな関与が法制化されなかったことは、私は評価できると思うんですよ。

 ただ、新たに創設される市町村合併調整委員、これは都道府県知事が任命することになっておるんですね。ここも、先ほど言いましたように、なし崩しにならないようにしなければならない。つまり、委員の選任においては公平性というものを担保する必要性が非常に重要になってくると思うんですが、この点はいかがお考えですか。

麻生国務大臣 まことに、御懸念の点はよく注意しておかないかぬところだと思います。

 先ほど申し上げましたように、これは強制力を持ちません。拘束力はあるにしても、強制力はないということを申し上げましたように、この市町村合併調整委員は、当然のこととして、市町村合併推進審議会の委員のうちから任命されるということになるんですが、この公平性を担保するということは大事なところでもありますので、選任方法につきましては、例えば、委員が直接利害関係を有することとなったときは委員を罷免しなければならないとか、委員の任命については、そのうち二人以上が同一の政党その他の政治団体に属することとなってはならないなどの規定を設けておりまして、その公平性に努めておるところです。

 いずれにしても、この調整委員のあっせんとか調停が円滑に行われるということが一番肝心なところだと思いますので、都道府県知事が、委員の人選に当たりましては、そこらのところは十分に配慮した上で、適切に配慮していただかなければならぬところだと思っております。

横光委員 わかりました。

 それでは次に、地域自治区制度の導入についてお尋ねしたいんですが、地方自治法の改正案では、市町村は条例で地域自治区を設置できる、こういうふうにされております。合併自治体だけでなく、一般的な制度として地域自治区という自治組織を設けることにしていることは、大変私は評価できると思うんですね。しかし、この法律では、余りにも細かく法律で縛ろうとし過ぎているような嫌いがあるわけでございます。

 例えば、自治組織の長や、議会に相当する地域協議会、この構成員も市町村長が選任する。このところまで法律で細かく規定されているんですが、そこまで規定する必要があるのかということをお聞きしたいんですが、ちょっともう質問の時間がないんですね。

 こういった規定をされておりますが、宮崎県の佐土原町の町長が、やはりこれは法律で縛り過ぎじゃないかということで、みずからの地区審議会を設置することを提唱しているんですね。要するに、余りにもがんじがらめになっているということに対して異を唱えた。小さな小さな町長さんが、大変勇気のある提言をしているんです。これは総務省の方にも提案されていると思うから、よく御存じのことと思います。

 地域自治組織の導入に当たっては、法律で細かく縛るのではなく、その組織のあり方や機能、人選等については、地域の自主性、主体性が発揮されるような制度とすべきである、こういった町長さんの考えが表明されておりますが、この点、いかがですか。

大野政府参考人 今、佐土原町のお話がございましたが、むしろ、私どもは、佐土原の町長さんのお考えも踏まえて、地域自治組織、法律の名称は地域自治区というものをつくったわけでございます。

 確かに法律上の規定は幾つかございますものの、できるだけ具体的な組織なり運営の仕方につきましては条例にゆだねるということ、これは関係団体からの要望もございましたので、そういう意味では、枠組みだけにしまして、中身につきましては条例でというふうに制度設計はしたつもりでおりますので、そのような運営に努めてまいりたいと思います。

横光委員 市町村長が地域協議会の長を選任するというのを、その町長さんは、公選制で選びたい、あるいは地域協議会ではなく、区選出の市議と地域住民の代表で構成する諮問機関、地区審議会をつくりたいというような、非常に自由なことをやらせてもらえないかという意見でございまして、今、条例でやるということでございますので、できるだけそういった思いを大切にして進めていっていただきたいと思います。

 終わります。

佐田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 この際、市町村の合併の特例等に関する法律案に対し、野田聖子君外七名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。滝実君。

    ―――――――――――――

 市町村の合併の特例等に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

滝委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました修正案につきまして、その提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 御承知のとおり、町村が合併して市となるための要件は、平成十五年の市町村合併特例法の改正により、平成十七年三月三十一日までは、人口三万以上を有することのみとする特例措置が講じられているところでありますが、現在審査中の市町村の合併の特例等に関する法律案におきましては、このような特例措置は設けられていないため、平成十七年四月以降は、地方自治法の規定が適用されることとなります。

 しかしながら、現在、多数の町村が合併協議会等に参加しており、また、多くの関係町村からも特例措置の存続を望む声があるところであります。

 以上のことから、市町村合併の一層の促進を図るため、平成十七年四月以降の新法のもとにおいても、現在と同様の特例措置を設けることとする修正案を提出した次第であります。

 次に、その内容について申し上げます。

 本修正案は、町村の合併が行われる場合、地方自治法の規定にかかわらず、合併後の普通地方公共団体が市となるべき要件を、人口三万以上を有することのみとするものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより各案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、合併関連三法案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、国として一千という数値目標を定め、都道府県を前面に立てて進めてきた押しつけ市町村合併を集大成、法制化するものだからであります。

 政府は、国による強制合併という批判を避けるために、都道府県を前面に立てて合併を進めてきましたが、市町村の合併パターンを含む「市町村の合併の推進についての要綱」の策定、知事を長とする全庁的支援体制の確立、合併重点支援地域の指定など、合併推進に必要なことを一つ一つ具体的に知事に要請するやり方を見れば、主体が国にあることは明らかであります。

 法案は、これまでの手法そのままに、総務大臣が基本指針を策定し、その基本指針に基づいて基本構想を都道府県知事が策定、知事は、その具体化のために合併協議会の設置を勧告し、協議がはかばかしくない場合は必要な勧告ができ、その勧告に基づいてとられた措置まで報告を求めることができるとされています。これは、まさに合併推進のための制度設計と言わなければなりません。

 第二は、地方分権の事務配分の原則にも反するものだからであります。

 現行地方自治法に規定する市町村の合併に係る都道府県知事の事務は、国家の統治の基本に密接な関連を有する事務として法定受託事務とされています。ところが政府は、よるべき基準などという法定受託事務の処理基準もどきの表現を使いながら、知事による基本構想の策定事務を自治事務と強弁するばかりか、自治事務の基準とされる総務大臣の基本指針に人口一万未満という数値目標を盛り込む意向を表明しています。

 知事の構想策定を自治事務というなら、現行自治法の合併に係る事務の見直しを行うべきであります。また、総務大臣の基本指針も、自治事務の基準にふさわしく、人口一万未満という全国一律の数値を盛り込むことはやめるべきであります。

 第三は、意図的ともいうべき住民投票制度の活用です。

 都道府県の合併は法律事項とされ、国会の議決を経た上で、憲法九十五条の住民投票が義務づけられています。それを都道府県議会の議決と国会の承認で行えるとしていますが、市町村合併が強要される中で、首長や議会の判断だけでなく地域住民の直接の声を聞いてほしいと全国各地で住民投票が行われています。そういうときに、なぜ住民投票をわざわざ省略するのか。

 将来の道州制の導入を見据えて、都道府県の合併を容易に行えるようにする意図からであるとはいえ、これだけ住民投票が起きているときに、それを回避する道をつくるのは、住民の意思を無視する姿勢と言わなければなりません。知事の合併協議会設置の勧告が否決された場合にのみ住民投票制度を導入することとしていることとあわせて、住民投票制度を意図的に導入しようとしているということを言わざるを得ません。

 なお、修正案は、こうした上からの合併強要を応援するいわばあめの役割を果たすものであり、反対であることを表明して、討論を終わります。

佐田委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、市町村合併関連三法案に対し、反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、財政上の優遇措置の廃止と交付税の合併算定がえの段階的縮小によって、十分な住民の間の論議なしに財政支援措置を目指した駆け込み合併に向かわせるおそれがあるということです。

 反対の第二の理由は、本来、都道府県と市町村は対等、協力の関係であるにもかかわらず、合併に関する構想の策定や構想に基づく合併協議会の設置に関する勧告、合併に取り組む市町村間のさまざまな合意形成に関するあっせんなど、都道府県知事の役割を強化した合併を促していることです。

 反対の第三の理由は、いわゆる地域自治組織について、合併自治体だけでなく一般的な制度として地域自治区という自治組織を設けることにしていることは評価できますが、法律で細かく縛ろうとし過ぎており、何よりも行政の下部機関的色彩が濃く、また単位も大き過ぎるなど、本来の地域コミュニティーから大きくかけ離れており、合併促進の呼び水の意味合いが強いということです。

 反対の第四の理由は、自主的な都道府県合併の手続の整備が憲法九十五条の規定する地方特別法に対する住民投票の意義を尊重する観点からも問題があるとともに、将来の道州制に道を開き、住民から大きく遊離し、行政の官治化と画一化、縦割り行政の悪弊を生じさせることや、新たな市町村合併を呼び起こし、ますます住民自治が希薄化すること等が懸念されることです。

 なお、知事の合併協議会の設置勧告に基づく合併協議会設置議案が否決されたとき等の住民投票について、住民投票の結果を議会の議決とみなすのは、議会制度の否定であり、総務省の言う代表民主制中心原理の自己破綻につながることを指摘しておきます。

 最後に、今回の法案のもととなった地方制度調査会は、平成の大合併を、地方分権の担い手にふさわしい行財政基盤を有することができる基礎的自治体を形成するために自治体を再編成するものと位置づけていますが、ここでは、一定の事務事業の遂行機関や行政サービス提供の経営主体としての側面ばかりが強調されており、住民が主権者であり自治の主体であるとする認識が非常に希薄です。しかし、分権というのであれば、地域住民が主体になった住民自治の創造、地域の選択や自己決定権こそ保障されるべきであり、何が何でも合併ありきというのは自己矛盾です。

 歴史的な経緯、文化、風土、自然的、地理的条件等を異にしている市町村の多様性を尊重し、決して強制合併につながることのないようにすべきであることを訴えまして、反対討論を終わります。

佐田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、地方自治法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、市町村の合併の特例等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、野田聖子君外七名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐田委員長 この際、ただいま議決いたしました各法律案に対し、野田聖子君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松野頼久君。

松野(頼)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨の御説明を申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方自治法の一部を改正する法律案、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案及び市町村の合併の特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について十分配慮すべきで ある。

 一 地方の自立を促すため、市町村合併を推進するとともに、国から地方への権限及び税源の移譲を早急に行うこと。

 二 合併しないとの選択をした小規模市町村に対して、合併を強制することはせず、合併しないことを理由とする不利益な取扱いをしないこと。

 三 合併特例債の発行が当該地方自治体のみならず国の財政に与える影響にかんがみ、発行額が膨張しないよう十分に配慮すること。

 四 議員の定数及び在任に関する特例の適用を検討する地方自治体に対して、行政コストの問題や住民の意見を十分考慮する必要があることを周知すること。

 五 地域自治区に置かれる地域協議会の構成員の選任に当たっては、公平性、手続の透明性及び住民の実質的参画に十分配慮するよう周知すること。

 六 地域自治区に置かれる地域協議会は、住民の主体的な参加を期待するものであることにかんがみ、その構成員は、原則として無報酬とするよう周知すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

佐田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

佐田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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