衆議院

メインへスキップ



第5号 平成16年11月4日(木曜日)

会議録本文へ
平成十六年十一月四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 大出  彰君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      加藤 紘一君    亀井 久興君

      小西  理君    佐田玄一郎君

      自見庄三郎君    田中 英夫君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    萩生田光一君

      平井 卓也君    増原 義剛君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      五十嵐文彦君    伊藤 忠治君

      稲見 哲男君    楠田 大蔵君

      田嶋  要君    高井 美穂君

      寺田  学君    中村 哲治君

      西村智奈美君    藤田 幸久君

      松崎 公昭君    山花 郁夫君

      和田 隆志君    赤松 正雄君

      河合 正智君    長沢 広明君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        今井  宏君

   総務副大臣        山本 公一君

   文部科学副大臣      塩谷  立君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   総務大臣政務官      山本  保君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   厚生労働大臣政務官    森岡 正宏君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柴田 高博君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  畠中誠二郎君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  田村 政志君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            堀江 正弘君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   政府参考人

   (消防庁長官)      林  省吾君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           小島比登志君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  渡辺 芳樹君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  青柳 親房君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 峰久 幸義君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月四日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     加藤 紘一君

  西村智奈美君     和田 隆志君

  河合 正智君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 紘一君     佐田玄一郎君

  和田 隆志君     西村智奈美君

  赤松 正雄君     河合 正智君

    ―――――――――――――

十一月四日

 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官竹内洋君、内閣審議官細見真君、内閣府政策統括官柴田高博君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長畠中誠二郎君、行政評価局長田村政志君、自治行政局公務員部長須田和博君、自治財政局長瀧野欣彌君、自治税務局長板倉敏和君、情報通信政策局長堀江正弘君、郵政行政局長清水英雄君、消防庁長官林省吾君、財務省主計局次長松元崇君、厚生労働省社会・援護局長小島比登志君、年金局長渡辺芳樹君、社会保険庁運営部長青柳親房君、国土交通省大臣官房長峰久幸義君及び河川局長清治真人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤紘一君。

加藤(紘)委員 自民党の加藤紘一でございます。

 この総務委員会の正規メンバーでないのに一時間質疑の機会を与えていただきましたこと、その寛大さに、委員長及び各党の皆さんにお礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 私は、年金の一元化の問題について議論したいと思うのですが、その際、最大の問題はでこぼこだと思うのですね。でこぼこをならす。そうしますと、どうしても公務員の共済年金の問題にぶち当たらざるを得ません。

 そこで、その基本問題をちょっとお聞きしたいと思っておるんですが、きょうは、総務省の方はどなたが御答弁いただけますか、事務当局としては。――須田公務員部長ですか。

 須田さんは何年入省ですか。

須田政府参考人 昭和四十九年入省でございます。

加藤(紘)委員 四十九年入省。そうしますと、入って二、三年すると役所になれると思うのですね。そうしたときの課長さんはあなたの何年上でしたか。何年ぐらい上の年次の人でしたか。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 たしか二十年上だったと思います、当時の文書課長が昭和二十九年入省と承知しておりますので。

加藤(紘)委員 大体二十年上。そうすると、あなたが四十九年に入省ですから、その方は二十九年入省ということになりますね、大ざっぱに言えば。大体それぐらいだと思うのです。その方と仲よく楽しく仕事をしましたか。分け隔てなく。

須田政府参考人 二十年の差がありますと、かなり目上の方という意識がございますが、ただ、やはり役所の仕事なものですから、本当に十二時過ぎまでの仕事が多くございましたので、そういうときには親しく懇談させていただきました。

加藤(紘)委員 課長と入りたての二、三年の事務官。多分、最初は分け隔てがある。偉い人だなと思うけれども、しかし、だんだん、徹夜で国会答弁の準備なんかしていますと、早くあの委員は質問を出さないかな、宴会が終わってから質問を出すなんて言っているけれども、これじゃ徹夜だな、困ったものですね課長みたいな楽しい会話をしていたんじゃないかと思うのですよ。

 財務省の主計次長、あなたは何年入省ですか、松元さん。

松元政府参考人 お答えいたします。

 昭和五十一年の入省でございます。

加藤(紘)委員 当時の課長は。

松元政府参考人 当時の課長は、当時主税局の調査課に入省いたしましたが、十五、六年上の方でございました。

加藤(紘)委員 その方は多分もっと上じゃないかなと思いますけれどもね。十五、六年で課長になるのかなというふうに思いますけれども、まあいいでしょう。

 なぜお聞きするかというと、私は多分、その人たちとは、同じ仕事をする先輩後輩だけれども、ある種の距離感というか、分け隔てない感じで仕事はしていると思うのですね。ちょっと違うのが防衛庁です。これは徹底的に違いますね。

 私は、去年の夏、中国吉林省のハルバ嶺というところに行きました。遺棄化学兵器が六十万から七十万発置いてあるわけです。そして、この処理をだれが担当するか。日本政府がやらなきゃならぬわけで、どこが担当省かというと、防衛庁は、違います、我々は旧軍とは関係ないんです、全く違うんです、あの人たちのやったことと我々戦後の防衛政策は全く違うんですと。制服組もそうなんです。旧軍の人たちと我々防大出身の人間ないし募集で入ってきた人間、戦後は違うんですと。だから、この遺棄化学兵器の担当は防衛庁じゃありません。もちろん、専門技術は防衛庁しかありませんから、頼まれると一生懸命やる。そして、よくやっています。しかし、仕事と人間、人脈は全く違う人たちなんです。

 そういうような意識の隔絶したところが、あなたたちは、先輩にありますか、ありませんか。公務員部長。

須田政府参考人 基本的には、私、先輩の方々といろいろな面で意識の隔絶を感じたことはほとんどございません。

加藤(紘)委員 当然ないだろうと思います。それはそうです。

 当時の地方行政委員会の議事録、昭和三十年とか五十年とかをずっと私最近読んでみたんですけれども、年金関係。非常にビビッドで本当に生々しいというか、今日の答弁でも似たような言葉遣いだし、本当にそこに断絶はないんですね。

 そして、私は、昭和三十七年大学卒で、我々の仲間がそのころ仕事をしていたけれども、昭和二十年代、三十年代、四十年代、特に三十年代、四十年代の中で、行政の基本が自治省でも今の総務省でも変わったことはないし、大蔵、財務でも変わったところはない。ただ一つだけ変わっているのが、職員の年金の処遇なんです。昭和三十四年、三十七年にとんでもない大きな変化があって、これは現在の福祉社会に大きな大きな問題を残しています。

 その点をちょっと申し上げたいと思うのです。お役所にこれからその当時のデータというのを聞きますと四、五時間かかってしまいますので、私がいろいろ事前にお聞きしました。実は、公務員の共済問題で、私は、自由民主党の中で四、五人の仲間と過去五、六カ月必死になって調べてまいりました。それに基づくデータでございまして、今お配りしてあります。そのメンバーの中には、この委員会の野田理事、佐藤理事も入っておられます。どうもなかなか腑に落ちない部分がある、なかなか頭がすっきりしない部分がある、それをちょっとこの委員会の皆さんに共有してもらいたい。特に、地方公務員の年金問題というのは最大なものですから、やってまいりました。

 私は、山形県の鶴岡市というのが育ったところです。十万の地方都市。これは、地方でも最近過疎過密がありまして、全国的に過疎過密の地方版が起きているのは御承知のとおりですね。農村主体のところから地方の十万とか二十万都市に人間が移ってくるわけです。山をおりてくる。そうするとどういうところに住むかというと、御承知のように新しい住宅地ができているわけです。そこに山からおりてきた人も住むし、それから町の中に従来から住んでいた人も手狭になったからといって出ていく。そういうところの住宅を見ますと、土地百坪、そして建坪五、六十坪、雪国ですから床暖房がある。

 そういうようないい住宅に住んでおられる人はどういう人かというと、大抵公務員OBです。これは、地方から出てこられた議員の方はよくおわかりだと思います。ほとんどが公務員OBです。特に、お父さんが高等学校の教頭先生で終わった、お母さんが役場の庶務係長で終わったなどというカップルは、ゴールデンカップルというんですね。

 物すごくいい老後を送っています。まず退職金がいい、それから年金がいい。老人クラブで集まっても、二次会に行くか行かないか、この辺は老後、大変重要な問題なんですけれども、いい年金をもらっていない人は二次会に余り行かないんですよ。この辺できょうはいいんじゃないのと言わざるを得ないときの寂しさ。そうすると、行ける公務員OBの人たちだけが行くわけですよ。そういうのは、結構また豊かなスナックなんかに行ったりなさる。そうすると、老後においても格差かねという問題が出てくる。それをデータでちょっとばらばらっと見てください。

 一ページは、公務員の場合には給与もいいでしょうと。国家公務員が月四十一万、地方公務員が四十五万、民間は、これは五人以上を全部とってありますから低いのですが、でも、こんなものです。公務員給与は、御承知のように百人以上の規模の企業でとっています。地方で百人以上の規模の企業というのは、大都市は別ですよ、熊本だ、仙台だ、名古屋だ、広島だというのは別だけれども、まあ宮城県のちょっと奥の方なんというのはそんなものですよね。

 退職金もいい。地方公務員の退職金は地域によって別らしくて、データがなかなかとれなかったんです。それから、民間の退職金というのは、二千八百万もあるように書いてありますが、これは注にありますように、かなりいいところの退職金の調査しかないんだそうです。したがって、民間のサラリーマンは、地方で二千八百万も退職金をとっているなんというのはあり得ないと思います。

 次のページは国家公務員と地方公務員の給与の比較ですが、今言ったことを述べてあります。公務員はかなりいい。これは財務省でつくった資料です。そして、民間の水準はかなり低い。でも、地方の自治体は人事委員会というところで給与を決めます。それは百人以上、本社に五十人以上いるところ、通称百人、五十人基準でだんだんととっていきますから、いいところだけをとる。

 では、市町村の職員給与はどうなっているかというと、なかなか決められないし、職員組合なんかができていると、村長も団体交渉というと言葉が詰まっちゃうものだから、県庁の人事委員会が決めたとおりやるんですよ。県庁の人事委員会はさっき言った百人、五十人でとっていきますから、とてもとてもというような水準に決まっていって、民間との格差が広がっていく。それを数字にあらわしたのが三ページ。そういうところで、現職のときもいい給与だし、退職金もいい。さあ、そこで年金の問題となると、最近、かなり年金についての議論が地方でも激しい関心事になっているんですね。

 次の四ページの表は、余り意味がないかもしれませんが、農村地帯で、我々は農業主体県だ、農業の国だなどと言っているけれども、その収入は大したことないんですよ。

 北海道、約七千億の農業生産があるけれども、これは農業生産であって、所得が何ぼ落ちるか。まあ半分とまればいいかなというのが農家の言葉で、米地帯に行くと、半分なんかとまらぬよ、四割しかならぬよとかいうわけです。四割だとすると、北海道だって二千八百億円しか農業手取りはないはずなんですが、その北海道で年金が何ぼ払われるかというと、一兆五千億払われているんですね。

 山形県なんかは農業生産が一千五百億もない、その中で、九百億か七百億しか手元に残らぬでしょう。ところが、年金の方は三千四百億ほどあって、これに公務員の年金が加わるわけです。公務員年金の都道府県別のデータがないそうですから、加えてない。つまり、これを見ると、いかに年金というのが地方では大きな比率を持つかということの、話題として参考にしていただきたいという程度で考えてください。

 年金額がそんなに多いのはおかしい。私の山形県の庄内平野というところは、農業の所得といえば四百億ぐらいしかない計算なんですね。年金が一千億入っているんです。我々のところは農村地帯だから、年寄りも多い。山形県の私の選挙区は年金をもらう方でいっぱいもらっていて、都会のサラリーマンが一生懸命払う方、悪いななどと思って、私も若干良心があるものですから、調べてみましたら、私の地元の山形県の年金は平均なんですね。なぜかというと、人口は日本の四百分の一、そこで一千億とっているから、ばっと調べると四十兆になるわけですが、この公的年金の支出総額というのがこの五ページの表にあります。平成九年度に三十九兆円、十年で四十兆を超えて、平成十三年の一番新しいデータですと、四十三兆円公的年金が払われています。

 一方、国に何ぼお金が入っているかというのを見ますと、平成十三年は四十八兆しか入っていない。予算ベースではたしか四十二、三兆だったような気がしますけれども、その後調べてみたらちょっと入っていて、でも、オーダーとしては、公的年金の支払いが四十数兆、そして国税収入が四十何兆、こんな感じですね。

 松元次長、本年度の国税収入は概算でどれぐらいになりそうですか。質問に出していませんから、大ざっぱな単位でいいです。

松元政府参考人 お答えいたします。

 十六年度の予算で税収として見込んでおりますのは四十一兆七千億余でございます。

加藤(紘)委員 四十一兆が予算規模。公的年金はだんだんふえていきますから、平成十三年度で四十三兆であれば、平成十六年度では恐らく四十六兆になっているんじゃないでしょうか。つまり、国税収入よりも多い公的年金を払っているわけです。

 ですから、税金で年金を払っていけば、それはもう、義務教育の人件費もなければ、私の地元につくっていただきたいと思っている高速道路もつくれないし、それからODAもないし、それから医療費、介護もないんですね。だから、すさまじい金額を我々公的年金で今配り始めている。それで、税金で払い切れないわけですから、ではその財政はどうなっているかということをきょう論じたいんです。

 その前に、そういう状況の中で、どの程度の年金が標準的に現実に払われているか。モデル年金で四十年入ったら将来どうなるみたいなことは言いません。現実に払われているのはどういうものかというと、厚生年金十七万四千円、国家公務員共済二十三万、地共二十四万、私立学校、農林年金とこうあります。ですから、公務員の年金はレベルが高い。でも、私は、この程度の差は大したことのない話だと思っているんです。

 問題は、年金の場合には成熟率が問題ですね。つまり、一人の御老人を何人の現役で見るか。例えば、我々グループは一人の先輩を五人で見ているんですよというようなことになれば、そんなのはどうということはないんですよ。ところが、二人で一人を見ていますというようなことになって、なおかつ、今の年金の思想は世代間扶養という言葉ですね。昔は、積立方式で、あなたの老後は少し政府に金を預けておきなさいよ、積み立てておいてあげるからというのと、いや、現在の若者が現在の老人を面倒を見ればいいんだという賦課方式、ペイ・アズ・ユー・ゴーという思想で物すごい大げんかをしていたんですよ。でも、今は、とにかく現在の人間で現在の老人を見ようという仕組みになっておるわけです。そうすると、年金をいっぱい払っていて、高額払っていて、なおかつお年寄りの人が多い年金グループは大変なことになっているはずなんです。

 その年金扶養比率の推移を見ましょう。それが七ページですが、厚生年金は今三・一七人で一人の先輩を見ています。国家公務員共済は一・八一人で見ています。地方公務員は二・一六人で見ています。私学共済というのは若い年金制度ですから、まだ五人で一人を見ればいいという状況です。

 これだけ給付も高い、それから年金扶養比率も低くなっちゃった、数字が厳しくなっちゃった、なのに保険料率はどうかというと、八ページを見てください。厚生年金は一五・三五%、これは労使折半ですから、七・六%ぐらいですか、給与から取られるわけですが、国家公務員共済の場合にはこれが一五・〇二、地方公務員共済では一四・八、低いわけですよね。

 なぜそんなことが可能なんだというと、これは、財政を見ればあっと思うことが出てまいります。それが九ページです。

 この表に行き着くまで我々五人グループは七転八倒いたしまして、やっと手に入れた数字でございますので、そう簡単に見せられないという気持ちもあるんですが、一時間お時間をいただきましたので出させていただきます。

 これは、上はかなり細かい数字まで入れたものです。保険料というのがありまして、これが労使折半なんです。これは御承知のとおりです。これをより見やすくするために下の方に簡略にしてみました。厚生年金は、保険料が九・九兆円平成十三年には入りました。そうしますと、使用者としての事業者が、会社側ですね、九・九兆円負担するなどなどずっと表になっておりますが、その表の中に、網がけしてあるのに追加費用という言葉があります。これは厚生年金にはない収入です。国家公務員共済で〇・五兆円、つまり五千億ほどありますね。地方公務員共済で一兆四千五百億、一・五兆円あるんです。公務員関係で合計二兆円。

 単に二兆円という数字で見ていますと、ああ、そうかねで終わるかと思いますが、国民年金の欄を見てください。国民年金保険料を最近の若手は払わない、何とかこれをアップしないと年金財政がもたないと言われていますね。ところが、六割の人は払っている。その六割の人が払って集まったお金、つまり一万三千三百円を集めてきたお金が二兆円なんですね。上の表で正確に言うと一兆九千五百三十八億。これは、国家公務員共済と地方公務員共済に網がけした追加費用というものの合計欄一兆九千九百七十二億よりも少ないんですね。逆に言えば、この追加費用というちょっとわけのわからぬものが、全国民から集めてきた国民年金の保険を上回っているほどの金額がつぎ込まれている。

 この一兆九千億というのは大変な額でありまして、麻生総務大臣が今何だかんだ頭を悩ませている三位一体は一兆だとか二兆だとか三兆だとか言っていますね。それから見ると、二兆というのはどでかい金額であるということがおわかりいただけると思います。

 これは、社会保障制度審議会の年金数理部会が去年十二月二十四日に発表したデータによるものであります。

 松元次長、私が今申し上げたこの表、これまでの表、どこか瑕疵があったり、ちょっとおかしいんじゃないのという点がありましたら御指摘ください。正しいですか。

松元政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員共済につきましては、数字はこのとおりであると存じております。

加藤(紘)委員 公務員部長。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 この九ページの資料に関して言いますと、そのとおりでございます。

加藤(紘)委員 ほかの資料で違うところは。

須田政府参考人 ほかの資料で違うといいますか、幾つかの御指摘がありました点の中で、例えば、給与の問題でございますけれども、本来、給与といいますのは、どうしても、勤続年数とか平均年齢とか学歴等によって変わってまいります。例えば、地方公務員の場合ですと、民間の方と比べますと学歴も非常にかなり高うございます。それから、平均年齢、勤続年数、かなり高うございます。特に、女性の地方公務員の場合ですと、これらの数字が民間の数字と比べるとかなり違ったものになってまいります。

 そういったものを全部含めた形での平均給与月額になりますと、民間と非常に大きな差が出てまいります。そういう中で、私どもとしましては、国準拠あるいは民間準拠ということを考えまして、極力、そういう学歴とか年齢とかあるいは勤続年数を捨象した形で比較できるようにということで、御案内かと思いますが、ラスパイレス指数を使って比較しております。したがいまして、給与を比較するときに、単純に平均給与月額が高い安いということで公正さ、公平さを比較することは少しいかがなものかというふうに考えているところでございます。

 この点は、同じく年金の額についてもそうでございますが、年金の額につきましては、基本的には、支給の方式でございますか、算定方式というのは厚生年金などとそろえているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、勤続年数がかなり長くなっておりますので、そうした勤続年数などの結果の数字が先ほど出ていた数字でございます。

 そういった意味で、もしシステムとしての差ということであればまた別の問題であって、実際の受け取る額ということになりますと、一人一人のといいますか、集合としての地方公務員の特質、そういったものを踏まえて比較していただくことがよろしいのかなと思っているところでございます。

加藤(紘)委員 その議論になると永遠になりまして、データもいっぱい出してこなきゃいけない。

 確かに、公務員の方が勤続年数が長いから年金もその分だけ少し高くなっているということは事実なんです。でも、逆に言うと、そこまで長く勤務できるという話になりまして、民間ではそんなに長く勤められないよ、五十四、五で肩をたたかれたりするよ、でも、公務員の場合六十定年までちゃんといられるじゃないかという議論を誘引しますね。そこは、あなた、そんなことを言っているけれども、世間は生易しく見ていませんよ。公務員はいいね、最後まで勤められるからねというのが民間の話でして、これは、それこそ総務委員会の本来業務の分析でございますから、ここでは立ち入りません。

 それから、一つだけ確認しておきたいのは、地方の市町村がほとんど自分の給与判定の基準を持ち得なくて、県の人事委員会のとおりやっているというのは事実かどうか、聞きたい。

 つまり、よっぽど個性の強い村長が、おい、この村、そんなにみんな給料高くないんだから、農家だって最近悪いんだから、少し遠慮しろよななんと言うと、がんとなるんだけれども、そうじゃなくて、選挙に弱い村長になると、職員組合からがんと言われると、いろいろ議論するけれども、最後は、県の人事委員会がことしこんな基準で決めたよと。県の人事委員会は百人、五十人基準でやっているわけですよ。そんな町や村に百人規模の企業なんか、めったにないですよ。

 全国で、これは人事院で調べたんだけれども、百人、五十人で見ると、全国の民間労働者の六五%をカバーするそうです。それはそうでしょう。大都会ではそうでしょう。私たち山形県で百人、五十人の基準でやったら何%カバーするかというのを調べてみたんだけれども、県の方にデータがないというんですね。直感で言えば、上位二〇%をカバーしているかどうかという感じがしますよ。ですから、あなたの言う議論はやるなら幾らでもやるけれども、きょうは年金の話だからね。そっちの方は総務委員会に任せます。

 それで、地方の市町村はほとんど県の人事委員会の基準に準拠しているということは、私、ちょっと違っていますか。公務員部長。

須田政府参考人 地方公務員の給与の決定と申しますか、基準でございますけれども、地方公務員の給与は基本的には、先生御指摘のように、人事委員会の勧告に基づいて決定することが通常の形でございます。

 人事委員会が置かれている場所というのは県と指定都市を中心としておりますので、それ以外の市町村等につきましては、県の人事委員会の勧告あるいは国の人事院の勧告を参考として給与を決定する仕組みになっております。

 その中で、国に準拠するあるいは県の人事委員会に準拠するということでやっているわけでございますけれども、それが先ほど申し上げましたように、学歴とか年齢とか勤続年数を抜きにして見られるということでラスパイレスでとっておりますけれども、ラスパイレスの数字で見ますと、国並みの一〇〇を超えるような数字は大体おおむね県とか指定都市でございまして、市町村になりますと、そのラスパイレスで見ますと、低いところでは七〇、それから多いところでも九〇台というのがほとんどでございまして、市町村の方では、給与水準は県と比べたらかなり低い形で設定しているところが多うございます。

加藤(紘)委員 そのデータは後で見せてください。なかなかないんですよね。市町村がどういう基準になっているかというのを、山形県でもなかなかないものですから、後で見せていただきたいと思います。

 時間がなくなりますので、整理資源、追加費用というのは何かというと、公務員には昔恩給があったんですね。給与の二%を納めさせて、そのかわり、退職金はない、退職金の年金払いとして、死ぬまである程度恩給というのを出しましょうという仕組みにしていたんだけれども、それが昭和三十四年、国家公務員については共済年金制度に変わった。そのときに恩給時代の勤務年限をどう考えるかという大分激しい議論があったんだけれども、それをそのまま、年金に入って保険料を納めていたという仮定にしてつないじゃおうということになった。つないだのはいいんだけれども、そのときの三十四年以前の人の勤務についての年金代はどうするかといったら、これはなかなかわからないし、二%で集めたものも国に納めさせちゃってどこかに行っちゃったから、後は全部国で出そうということになって出し始めたわけです。地方公務員については、三十七年からその改正をしました。つまり、先輩たちの年金代は全部税金で払おうねということを、国家公務員については三十四年に、地方公務員については三十七年にやったわけです。

 もちろん、さっき私は主計次長や公務員部長に聞いた、あなたたちと一緒に働いていた先輩、何年ぐらい上でしたかというのは、さっきの公務員部長の話ですと、入った当時の課長の年金代の四分の一か三分の一は税金で払っていて、若い世代に負担がかからないようになっているわけです。

 その税金で見るというふうにしたのがこの追加費用でして、実は、私、これを昭和五十二年に、こんなことやっていていいのかねという議論をやったんです。そしたら、当時、いや、まあでもこれはそういう過去の経緯のあることですから、それにいずれこれはだんだん減っていきますからと言われたものですから、そういうことかなと思って、そして今度一年半の浪人をして東京に戻ってきたら、世の中、年金論議ばかりですから、私の選挙区もそうだったけれども。それでやっている議論は、だれの年金は未納が何年だとか、それから、社会保険庁の職員がアルバイトしたときのアルバイト代が合わせて十年間で五億円だとか、これも私は年金に対する信頼感を取り戻すために重要なテーマだと思うのだけれども、それよりも重要なのは年金がもつかねと。

 そういう中で、どうも公務員の年金は先生、いいぞ、あれは先生、全部税金で払っているんじゃないのという直観に基づく質問を受けるんですよね。だから、昔調べたこともあるので、ではもう一回調べてみようと思ったら、なかなかデータがないんです。我々年金を調べるときに国会議員が一番信用して見るのが、社会保障統計年報というものです。昭和五十二年、私は年金財政を議論して、この追加費用、当時は整理資源と言ったんだけれども、これは表に出しておきなさい、情報公開しなさいと言ったんです。なぜかというと、私がそれをやったときには一年かかったんです。

 なぜそんなものに興味を持ったかというと、それはどうなっているのと言ったら、当時の大蔵省の共済課長さんが不安げな顔をしたんですね。あれっと思いまして、その辺を見せてくれと言ったら、なかなか出さないんです。世の中、データを隠すということは、プライバシーか、それともどこか後ろめたいか、どっちかなんですね。

 だから、私は、一生懸命やっていったら、かなり多額のものが出ているというのがわかって、では、これは社会保障統計年報に今後は出してくださいねと言ったら、昭和五十五年版からしばらく出たんです、括弧で内数として。そしたら、今度来てみたら出ていない。平成三年あたりからそのデータが落とされているんですね。ですから、私はあちこち下手なネットサーフィンをしたり、人に聞いたり、そして、財務省に聞いたら、厚労省の方から、その点はこれを見てくださいといって、やっと出てまいりましたのが、平成十五年十二月二十四日の、さっき言った社会保障制度審議会の年金数理部会報告というものなんですね。

 これを見たら、頭が痛くなるような資料なんです、難しくて。これを十二月二十四日に記者クラブに配っているんですね。十二月二十四日というのは全国的にクリスマスなんですね。そんなときにこの資料を配られてだあっと見る厚労省詰めの記者がいたら、これは表彰状ものですね。後で聞いたら、そういえば、何かあのとき配られたけれども机の上に置いてあるわという記者がほとんどです。これを我々五人グループは、ああでもないこうでもない、ない知恵と少ない知識を使って何とか読みこなそうと思って、今私が代表でちょっとこの委員会でやらせていただいているわけです。(発言する者あり)

 それで、一つ、ちょっと野党理事の御意見があったので申しますと、この社会保障統計年報を私は国会図書館でずっと過去二十年分見たんです。私もしつこいなと思いながら見たら、さっき言ったようにあるところから切れているんですね。ところが、それを前に調べた人が一人いるらしいんです。私の興味を持っているところと同じところにこういう附せんが入っているんですね。だから、だれか私と同じ問題意識を持って調べたんですよ。それで、我々の仲間に、おい、野田さん、やったかねと言ったら、いや、私は見ていないと。だから、自民党関係者では見ていない。多分民主党の若手が見ているんだと思うのですね。でも、それが質問まで来ていない。それは多分、やりにくい雰囲気がおたくにはあると思います、自治労問題だから。

 だけど、私らの方もやりにくい点があるんですよ。公務員OBというのは、大抵、後援会の有力支部長か幹事長なんですよ。それに、きちっとデータなんかも調べるから、後援会名簿とか、集まった会費を変なことにならぬようにきちっとやってくれる信用のある人たちだから、だから、きょう私、こういう質問をしているんだけれども大丈夫かなという思いは我々みんなあるんですよ。でも、それはやはり年金の公平感と、より多くの国民の年金に対する信頼感を取り戻すためには、我々やらなきゃならぬプロセスだろうと思うのですね。ですから、ぜひ民主党の皆さんもこの問題にちょっと興味を持っていただければありがたいです。(発言する者あり)ありがとうございます。

 それで、その財政状況、毎年どの程度その追加費用というのをつぎ込んできたか、先輩の年金は我々余り関係ないんですよねといって切っちゃったおかげで国が払わなければならなかったお金はどれだけかというのが次のページに細かい数字がありますね。

 国家公務員共済では、これまで十三兆三千三百億つぎ込んでいます。次が地共済ですけれども、これまでの四十年ぐらいの間に三十二兆六千億つぎ込んでいます。現在価格で見ると、四十年前の六十九億というのはもっと大きな金額だと思います。その当時の初任給というのが一万七千円ぐらい、今十七、八万ですから、約十倍と考えていい価値のものが配られていますから、三十二兆六千億というのは余り意味のない数字かもしれません。これの何倍とは言わぬけれども、何割増しか、二倍ぐらいになっている数字なのかもしれません。

 それで、今、年金受給者は、国民年金で二千万人、厚生年金で二千万人、合計四千万人ですね。公務員の地共済の受給権者は何人ですか。国共済は何人ですか。――そんなものはイロハのイでしょう。そんなもの、国会議員だって覚えているんだから。

須田政府参考人 失礼いたしました。受給権者でございますが、地方公務員共済組合で百四十七万人でございます。(発言する者あり)

加藤(紘)委員 時間がむだですから。

 公的年金財政状況によりますと、遺族年金も含めて国共済で九十万、地共済で二百万とこれには出ています。

 もう一回、財政状況の総合見取り図に戻っていただきたいんですが、九ページですね。国が幾ら年金のために使っているかといいますと、合計で、国庫・公経済負担というのが五兆八千億、追加費用二兆円、合計七兆八千億ほど使っていますけれども、約二兆円、まあ国庫・公経済負担のうち〇・五兆円は公務員年金ですから、七・八兆円のうち二・五兆円は十分の一の人のために使われているということになります。もちろん、使用者としての国の負担というのはこれは当然ですから、厚生年金の会社側負担みたいなものですから、それを入れていませんが、それを入れますと四兆五千億になる。

 それからもう一つ、これだけ膨大につぎ込んでいますから、当然、積立金がどんどんたまって、国共済の場合では約八兆六千億たまっていますね、網がけしてありますけれども。地共済の場合には三十六兆九千億たまって、両方で約四十五兆たまっていますから、二%に回しても運用収益が一年間に両方足して約一兆円出るんです。そうしますと、私は、この運用収益というのは、根っこは公的なお金がたまって運用収益が出ていると思っていますので、大変な数字になっておるというふうに思ってください。

 そこで、時間がなくなりましたので、ずっと飛ばしますと、十三ページは、年金の沿革で、三十四年、三十七年に問題があった。それから、十四ページは、今言ったような仕組みをいいまして、それから十五ページ、本当は、この問題は、年金だけで論じてはだめなんで、退職手当、退職金との関係で論じなきゃいけないと思っています。厚生年金は、年金をもらうと同時にサラリーマンは退職金がありますけれども、最近、これを年金払いに直したりしていますね。共済年金の方はすっかり丁寧に成立しているわけです。国会議員は、退職金はないけれども、年金の方は国民年金と互助年金と二つになっている、ここに問題点があろうと思います。

 それで、ちょっとお伺いしたいんだけれども、公務員部長、あなたは年金の担当ですね。(須田政府参考人「はい」と呼ぶ)そうしたら、こういう問題を提起しても、これは恩給時代のものですから仕方がありませんと答弁するでしょう。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまのようなお尋ねがございましたらば、私どもとしましては、これはあくまで追加費用の性格等に係る問題でございますけれども、ちょうど三十七年の共済制度以前の恩給期間中に採用になった方、なおかつ恩給制度が終わって以降も、今度は共済制度の中で働いている方の仕組みとして設けているものですから、それはあくまで恩給としての性格が非常に強いものだと考えております。

加藤(紘)委員 恩給というのは、年金でしたか、退職金でしたか。

須田政府参考人 基本的には、公務員の生涯を保障するという意味での国家保障的な性格の年金だと理解しております。

加藤(紘)委員 年金ね。年金だったら、ちゃんと掛けてなきゃいけないね。それなのに、積み立ててもいないし、賦課にもなっていないのに、全部それをフルに出しているということは年金理論としてはおかしいよね。

 それから、あなた、年金は恩給時代のものだと言ったけれども、旧令共済から旧法共済になって、かなり年金制度になった人も入れているでしょう。

 時間がないので要求も加えておく。つまり、国家公務員の方も、松元さん、それから公務員部長、両方、移行したときに、何人が本当の恩給の人たちだったか、それからもう既に旧令共済、旧法共済になった人たちに何人いたかということを、データはあるはずですから、調べて出してください。どうぞ。手短に答弁を。

須田政府参考人 三十七年の前のときの恩給制度そのものとしての適用を受けていた者が約百五十万人でございます。三十七年以前でございますけれども、恩給という形ではございませんで、共済とございますけれども、これは公務員ですが、当時、雇傭人というような位置づけの方がいらっしゃいましたけれども、そういう方々を対象としました、いわゆる旧共済でございますけれども、その方々が四十万人程度でございます。

加藤(紘)委員 その人たちの過去勤務債務を見ていいんですか。

須田政府参考人 戦後の二十四年でございますけれども、その時点で、このような古い形の共済制度、これは恩給とは別に、地方公務員の中で雇傭人というような形で位置づけられた方、適用にしていた方たちでございますけれども、その扱いにつきましては、掛金もある程度彼らは払っておりますので、掛金部分は本人の保険制度として行っておりますけれども、物価等の上昇に対応するものにつきましては、これは国の方で見るということが戦後二十四年度以降ずっと行われておりますので、三十七年の改正以降も同様な取り扱いをしているものでございます。

加藤(紘)委員 この問題は、これから野田さんなり佐藤さんなり、我々のメンバーでもっと突っ込んでいきます。

 簡単に言えば、年金制度というのは重い重い荷物の貨車を引っ張って山を登っていくようなものでして、高齢化が終わればすっといくんですけれども、今はやはり山を登っているんですね。そして、だんだん先輩が多くなってきたときに、ぼんと先輩の多くなった後の貨車を切り離しちゃって、そこは税金で見てくださいねと言えば年金制度は怖くないんです。旧令共済のときも切ったかもしれない、旧法共済のときには切っちゃって、それで後は追加費用で見てくださいというのが私は大ざっぱなところだと思います。

 わかりました、恩給時代は、今年金と言ったけれども、これは珍しい答弁なんで、本当はこれは退職金だったんですというふうに言えば、今度、別途退職金が昭和二十六年から出ているわけでしょう。二重取りになっているんですよ。

 だから、これは、制度を移すときに、当時の大蔵省の主計の次長、原純夫という人の答弁をここに出しておきましたけれども、かなり役所は抵抗したんです。それを、昭和三十一年に、公企体共済について当時の社会党が総評のかなりの要請を受けて、強引に成立させた。そのときに主計次長は、まあ皆さんがお決めになることだから仕方ないんだけれども、これは退職金やなんかとの関係もあり、先々大変なことになるので、もっとお考えになった方がいいと思いますけれども、しかしどうしてもとおっしゃるならばというようなことを言っています。資料につけてありますけれども。

 つまり、当時の主計や自治省の人たちは物すごい問題意識を持っていたんですよ。だから、今みたいな答弁をするところには、私は本当にこれでいいんですかと。そんな答弁しているようでは、一元化のときにあなたたちは抵抗勢力になっちゃうのですよ。

 私は最後に申します。ぜひデータを公表してください。これだけぼんぼん追加費用がふえていく要因分析を、公務員部長、やっていますか。この答弁、重要よ。

須田政府参考人 ちょっと手元に資料はございませんけれども、いわゆる要因分解、要因分析という形での要因分析は行ってございません。

加藤(紘)委員 ございませんか。要因分析していないならば、例えば発生額負担方式という言葉がここにあるんだけれども、どうやって金額を財務省からもらっているのと言ったら、一人一人について計算して、そしてこの人の分はもとの年金時代、恩給時代のものだなと思ったら、その分を計算して、それを合算して財務省に持っていくと、くれるんだと。

 発生額負担方式、必要額負担方式、これで五千億とか一兆五千億がぼんと出ていって、それを次長、査定しているんですか。査定するときに、必要額だから、はいと言ってサインするんですか。

 多分、これは恩給時代のことだと言うんだけれども、私は違うと思うのです。予想外の長生き、それから予想外の賃スラ、賃金スライド、これによってどんどんふえていくのが、私はこれだけ金額が多くなった原因だと思うのだけれども。

 社会保障制度審議会のここでは、最近のことについては、なぜこういう予想外の金額になったかというのを、人的要因とか経済的要因とかというのを分析しているわけですよ。それを共済年金の追加費用についてやっていなくてお金を出しているといったら、そうですか、そんなに財政にはお金があるんですかということになります。どうですか。査定していますか。

松元政府参考人 お答えいたします。

 国共済、地共済の追加費用につきましては、法令に基づきましてそれぞれ積算された金額が私どもの方に参りますので、それに従いまして査定をさせていただいております。

加藤(紘)委員 今のは、法令に基づいて、発生したらそれだけ払っているということですよね。

 ですから、要因分析をしてみてください。そして、高額な人はだんだん少なくなっていますが、十年ぐらい前ですと一千万を超える人もいたんですよ。中曽根さんなんか目じゃないんですよ。今でも最高は六百九十万。

 それで、過去十年の高額年金受給者、国共済、地共済について、上位三十人を出してください。これはデータはないんだと言うんだけれども、ないわけがないのです。

 そういうことを、データも含めて、もう時間のようですから、大臣、これは最後になると政治家の判断なんですよ。恩給、いろいろなものがあるのをがさっと全部くっつけたのも政治の場でした。当時、自民党はほとんどわからなくて、だれも質疑していない、恥ずかしい話だが。結局、ほとんど総評関係の人が討議して、できていったものです。そして、資料にありますように、こんなことをしていいんですか、先々大変ですよと役人は言ったけれども、今はそれを守る側に立っているのが役所ですね。

 ですから、我々国会議員が、年金一元化をこれからやる際に自分の頭で考えなきゃならぬときが来たな、こう思っておりますが、最後に大臣の御感想と、資料公表をできるだけさせていただきたいということのお願いを申し上げて、終わります。

麻生国務大臣 質問が来ると思っておりましたので、資料も用意しておったのですが、質問もなく、いろいろお話になりました。野党の方も勉強されるのにいい資料だと思うので、配ってください。

 今言われた話を聞かれて、すぐわかった人なんてほとんどいないと思うのですね。これは勉強されないと、私自身もわかっておるわけではありませんので、その資料を配っていただくとわかるんです。

 これは、昭和三十七年のところで、左側と右側の二つに分けて考えるというところが肝心なんだと思うのです。左側のところが、地方公共団体の追加費用というのが真ん中に書いてあります。先ほど、松元、須田にそれぞれ御質問があっておりましたように、彼らの上司はこの真ん中のところの部分に当たる人たち、これは地方公務員と書いてありますが。三十七年度までに退職した分と、三十七年度以前に採用されていて、その後もずっと奉職していて退職した人の部分がその真ん中の部分、それから昭和三十七年度以降に入省された方々、加藤紘一先生初めこの年代なんだと思いますが、私どももこの世代なんですが、この世代から後というところで、この三十七年十二月以前に採用された人と採用された人以外が今申し上げたような話なんだと、私もこの図を書いてもらって少し理解ができたところなんですが、そういうような状況になっております。

 そこで、今言われた数字につきましては、御要望がありましたので、調べさせて提出をさせていただきたいと存じますが、二枚目の資料のグラフにつきましては、これは今言われましたように、平成九年度に総額一兆六千億になっております。それが今、平成十四年で一兆四千億。だんだん減ってきたのは、恩給部分の人たちの数が減ってきている、死亡しておられるということで今挙げております数字なんです。

 今調べた限りでは、いわゆる恩給期間中に採用になった人というものは、三十五年を経過しております平成九年度をもって、ほぼ全員が退職ということになっております。以降は、追加費用は減少することになっておりまして、今そこの数字に見込み数もあわせて書かせていただきましたが、こういう数字になっております。

 昭和三十七年にできました当時、ちょうど池田内閣のときだったと存じますので、池田内閣のとき一挙に払っておけば話は簡単だったのではないか、いろいろな御意見があるんだろうと存じます。当時は金がなかったというのがはっきりしておるのだと思います。

 いずれにしても、今御指摘になられた部分、法律としては、でき上がったとおり運用させていただいております。我々としては、法律に基づいて運用しておるだけなんだと思いますが、今皆さん方、いろいろ聞かれたとおりだと思いますので、数字等につきましては、後日提出をさせていただきます。

加藤(紘)委員 委員の皆さん、どうもありがとうございました。時間オーバーして、失礼いたしました。

 麻生大臣がおっしゃったのがポイントでして、三十七年に変えるときに、では、今までの分について、全部積立金方式で新しい年金基金にお金を持っておいでよ、持参金つきでという議論を野党がしていたんです。これに対して、そんな膨大なお金はありませんと財務当局が断りました。しかし、そのときにぼんと入れていたら、その金は今、こんな小さなお金です。ですから、もう全部、現役の公務員に負担はかぶっていたわけです。

 私は、年金の怖さというのは、賃金スライドに伴う増額、それから予想外の長寿化によるものだと思うので、政治の判断のちょっとしたことでこれだけの不平等が生じるということを今大臣がおっしゃったのだと思います。

 その意味で、一番いいのは、この追加費用の注入を来年からやめる。五年、十年ちゃんと払い続けられますから、これだけ積立金があるので。そうすると、その途端に、みんな将来この年金をどうしようかと考える、国民も平等感を持つ。国家財政も二兆円浮いたら、松元さん、意外に大変ですよ。そして、結局、私らも入っていこうという意識に国共済グループがなる。そんなこともありますので、どうぞ御検討いただければと思います。

 大変失礼しました。ありがとうございました。

実川委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 今、大先輩の質疑を聞いておりまして、私の持ち時間を差し上げてでも続けてやっていただきたい、そんな気持ちもあったわけであります。大変含蓄のある質疑を、もういなくなられましたけれども、きょうは聞かせていただきました。もうちょっと、私がしゃべるまでいてほしかったんですが。

 いろいろなことを教えていただきました。五人のグループがあるということも改めて認識をいたしましたし、つき合い方を考えなきゃいかぬなと思ったりしたわけであります。ここまでは冗談であります。本当にしみじみ感じたのは、個人のプライバシーとともに、役所側に何らかの不都合があるときは資料が出てこないんだ、こういうことも改めて教えていただきました。

 その上で、やはり年金制度は、これから二〇五〇年ぐらいまで高齢化が進む中で、我が国経済全体に与える、国の制度全体に与える影響はかくも大きいのだということを改めて感じました。私も、JR、JTの年金の一元化についてはあの当時苦労した一人でありますので、感慨深いものを感じたわけであります。

 きょう大先輩から与えていただいた論点といいますか、国共済、地共済を含めて、これから年金の議論をする上ではこの問題も避けて通れないということを改めて認識をさせていただきました。大先輩に感謝しながら、私の質疑、できるだけ時間を合理的にやりたいと思っております。

 私は、三位一体改革について若干議論をしたいと思っております。

 この総務委員会で議論するということはすごく大事だと思っております。いろいろな経緯がありまして、今、国と地方、地方六団体の案に対して各省の対案が出てきたりして、この十一月の中旬ぐらいまでに大筋が決まる、こういう状況であります。これは、与野党超えて、やはり国会においてもしっかり議論しなきゃならぬ。やはり議院内閣制のもとでは、我々、議員の役割というのもあるんだということを、ひとり私のみならず、皆さんお感じになっていると思います。それが先週の参議院の総務委員会での質疑であったり、これはいろいろな場面で議論をしなきゃならぬ、こんな思いで、きょうは三十分ぐらい大臣や副大臣と議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 いよいよの山場でありますけれども、これから、各省対総務省、財務省、あるいは政府対地方、国対地方、あるいは政府対与党、こういう議論が続いていくいよいよの山場であろうと思っております。どうもマスコミの報道や永田町でささやかれているいろいろな話を伺いますと、何かこの三位一体改革の進め方というのはどこか違うんじゃないのという声であったり、あるいは、まず三兆円ありきだ、本当にそれでいいのかという議論が聞こえるわけであります。私は必ずしもそう思っていないわけでありますが、そうした全体の雰囲気に対して、まず大臣、どういうふうに思っておられるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、地方から出された案というのがよろしくないというお話に、どうもなるような感じがするのですが、そもそもこの話は、国の方でまとめたら一兆円、地方でまとめたら三兆円、総額、今、前年度の平成十六年度の部分と合わせて約四兆円を目標にやっております。

 現実問題として、国、政府、役所として出しましたのが約一兆弱、少なくとも地方は、都道府県知事が集まって、加えて市町村の代表とも話を詰めて、曲がりなりにも三兆二千億という案を出しておられます。私どもとしては、中央集権の国の形から、地域主権の国の形に移していこう、これは、平成十二年の地方自治法改正、通称地方分権一括法のときにもう一応の形を決めておりますので、そういった形に基づいて今流れていく状況下にあって、国の形はそういう法律で国と地方との役割分担を決めた。ただ、それを裏づける財源が今欠落しているところでもあります。そういった意味では、地方に考えさせるというアイデアは、これは画期的なことだったとは思いますけれども、少なくとも地方が、実にいろいろな意見がある中で、まとめて持ってきたというのは正式に、真摯に受けとめて対応せざるを得ないんだと思っておる。

 だから、地方に考えさせたというところが今までと違うところでありまして、これを受けて、各役所が出された案と地方が出された案を両方見られて、政府・与党はもちろんのこと、全党いろいろな御議論があってしかるべきなんだと思いますので、党として、その案をもって、多分、地方よりこっちの方がもっといいとか、こっちの案より地方の方がいいとか、いろいろな判断ができることにもなろうかと思いますので、今後、いろいろな御議論があってしかるべきだ、私どももそう思っております。

桝屋委員 私どもの党でも与党の一員として議論を重ねておりますが、三兆円ありきというこの進め方は少しおかしいんじゃないかという声に対しては、平成十二年の地方分権一括法から始まった一連の改革の流れ、この前大臣もおっしゃっていましたが、あのときは機関委任事務を廃止して、国と地方の関係を整理して、事務事業について整理をした、ただ、残念ながら税財源の問題が残ったんだ、まさにその改革を今からやるんだ、こういう御指摘でありまして、私もまさにそう思っているわけであります。

 まず三兆円というのは、実は、十二年の改革以来、それ以前からもそうでしたが、国庫補助負担金、この整理合理化というのにはずっと何度も取り組まれてきて、結果的になかなかうまくいかない。方向としては反対する人はいないんですけれども、実際に具体的な検討になると、やはり各省の抵抗というのは並々ならぬものがあるわけでありまして、今日までうまくいかなかった。

 それを、まさに、二〇〇二年の例の骨太方針以来、四兆円という規模、あるいは税源移譲を含めた三位一体。あの当時、片山大臣でありましたけれども、総務省としても、まさに清水の舞台から飛びおりるような、そんな気持ちで踏み切った改革ではないか。そして、四兆円。最初は数兆円、それが四兆円という規模になり、そして、いよいよ二〇〇三、二〇〇四で具体的な形が出てきた。今に始まった三兆円という数字ではないというふうに思っておりまして、そういう意味では、今回は、ぜひとも三兆円規模の改革というものはなさねばならない、こう思っております。

 ただ、我が党の議論の中でありますのは、一つは、今、大臣の地方団体の意見は尊重したいというお気持ちは我々も理解できるわけでありますが、ただ、内容を見ておりますと、十八年までではなくて、十九年、二十年、二十一年まで含めて、一期、二期の改革をやる、合わせて九兆円というような大きい話。それはそれで、確かにグランドデザインをかくということでは大きな意味がありますが、二期目になりますと、我々も与党でいるかどうかもわからないし、総理大臣だって多分かわられるだろう。その当時、麻生さんが総理におなりになっているかもしれませんが、そんな時代まで予断を持って今整理することは、我々はできないんじゃないか。そういう意味では、本当に一期と二期を整理して、一期分、プライオリティーをちゃんとつけてお出しになったのかどうか、そういう意味ではやはり相当無理な作業ではなかったのか。

 そういう意味では、我々は、あの地方六団体の意見というのは、理念は尊重したい、大事な理念が書いてありますからそれは尊重したいと思いますが、それをそのまま下敷きにして今回の作業、絵をかくということはなかなか難しいこともあるのではないか、こう思ったりしているわけであります。

 ただ、今回のこのぎりぎりの山場での作業を見ておりまして、今日までの経緯を考えますと、国においては、各省においては、やはり引かなきゃならぬだろう、一歩も二歩も下がっていただく必要があるんじゃないか、そして、分権という観点をしっかり持っていただいて、やはり既得権益を守るということではなくて分権改革に臨む、こういう姿勢で、結果的には引いていただく必要があるだろう、逆に、地方にあっては、分権を進めるという自覚のもとに相当の決意を固めていただかなきゃならぬ、こう正直に思っているわけですね。

 ちょっと各論に入りたいと思います。一つは、今井副大臣がきょうおられますから、各論の初めに伺いたいんですが、最初にフレームワークの問題で、三兆円規模というのは税源移譲とそれから国庫補助負担金の削減のどっちなんだ、こういう議論があります。六千五百億を入れるかどうかについては、政府は既に統一見解をお出しになっていますが、与党の一員から言わせますと、そんなのはいつどこで決めたんだ、私たちは議論に参加した覚えはないという正直な思いもあるのでありますけれども、まずは、結果的には、今回の作業の中で、三兆円の規模の税源移譲とそれから国庫補助負担金の削減、これは同時決着でなければならぬ、こんな思い。

 それからもう一つは、不協和音が聞こえてくるのは、定率減税の見直しとの絡みで、昨年の税制改正大綱等も踏まえて、これはある人に言わせると、定率減税の見直しが前提ではないか、こんな議論もあるわけで、これも私はある意味では別物だ、そこは全く別物として今年度の作業できちっと行わなきゃならぬ、こう思っているんですが、副大臣の御所見を伺いたいと思います。

今井副大臣 桝屋委員にお答え申し上げます。

 地方分権、三位一体の御意見も拝聴したわけでありますが、基本的に桝屋委員の御指摘、考えというものに全く同意している私でございます。

 最初の御質問の件でございますが、税源移譲と国庫補助負担金の削減、これは同時決着でなければいけないのではないかという御指摘でありますが、当然のことだ、こういうふうに思っております。まさに、三位一体改革の税源移譲につきましては一体、同時決着させなければならない問題だ、こういうふうに思っておりますし、閣議決定も昨年されております。その中にも、国庫補助金の改革につきましては、税源移譲と結びつく改革、地方の裁量権あるいは自由度、こういったものを拡大させる、自主性を拡大させる、そういうものでなければという閣議決定もされているところでございます。

 廃止される国庫補助負担金の対象の事業、それは地方が実施していただくわけでございますので、そのための税源移譲というのは不可欠なものである、このように考えておるわけでございます。したがって、御質問の件に関しましては、まさに一体、同時決着する、こういうことだと思っております。そのことがとても大切なことであるというふうに思っております。

 次に、二点目の定率減税でございますけれども、これもいろいろと報道もあるわけでございますが、これらにつきましては、定率減税の廃止、縮減が決定されるかどうかにかかわらず、補助金改革を実施するときには必ず税源移譲を実施することが必要である、このように考えておるところでございます。したがって、税源移譲の前提条件、このように位置づけられるものではない、こういうふうに思っております。

 ただし、御質問にもございましたが、与党の税制改正大綱におきまして、十七年度及び十八年度におきまして、経済社会の動向を踏まえつつ、定率減税の縮減、廃止が盛り込まれておるわけでございます。総務省といたしましても、景気の動向やあるいは税調の議論等を踏まえながら、国税あるいは地方税を通じました定率減税の見直しにつきまして検討を進めることが重要な課題である、このような認識をしているところでございます。

 以上です。

桝屋委員 今の二点、大事な点でありますから、もちろん今から議論が進んでいくわけでありますが、総務省としても特段の決意で取り組んでいただきたい。

 それで、通告はしておりませんが、今井副大臣にもう一点。大事な点は、今までの経緯の中で、三兆円規模の国庫補助負担金の削減とそれから三兆円規模の税源移譲ということがまさに今回の作業では求められている、既に閣議決定もされているわけであります。そこが困難な作業でありまして、そのときに各省が対案として、では交付金化をやります、地方が使いやすいように、地方の自主性を高めるために交付金化で対応します、こういうことも既に対案の中にはあるわけでありますが、交付金化というのは具体的に税源移譲に結びつかないわけでありますから、ここは総務省がしっかり言わなきゃならぬところであります。

 ただ、交付金化も大事なんですよ。改革の一歩前進ではありますが、今回はそんな状況ではないのだろう、この三兆円規模を実現するということでは。そこはやはり総務省がきちっと言わなきゃならぬと思いますが、副大臣、どうでしょうか。

今井副大臣 全くそのとおりでございまして、全国一律メニューの定食から、中央集権から新しい分権型の社会をこしらえていくわけでございますので、ふるさとはふるさと料理、ふるさと定食があっていいわけでございまして、そういう意味では、これから新しい国をつくっていくという決意で総務省としても取り組んでまいりたい、かように思っています。

桝屋委員 そうすると、大臣、今の点でもう一点、これも通告しておりませんが、例えば全く逆のことを聞きますと、今回、ぎりぎり議論する中で、交付金化で対応したい、さっき言いましたように、交付金もある意味では内容によっては相当改革をするわけでありますから、場合によっては交付金ということで、総務省としてそれをお認めになる、そういう局面もあるのかなと思ったりしますが、その辺はどうでしょう。

麻生国務大臣 桝屋先生、交付金も基本的には補助金の一種でありますから、基本的には今の話は同じじゃないかということになるんだと思いますので、基本的には認められないところだと思っております。

 ただ、今、将来のビジョン、ただいまはできないけれども将来は税源移譲につながるという図をきちんと示していただいて、かつそれが地方六団体の方も、それならことしはとか、いろいろな考え方はあろうと思います。そういうところは柔軟に考えねばならぬとは思っております。基本的に、交付金も補助金の一形態と思っております。

桝屋委員 総務大臣の御決意としては、今回の作業の中ではあくまでも三兆円規模の国庫補助負担金の削減を実現する、こういう決意だ、その上で、交付金化等については次の改革として大いに検討してもらいたい、こういうお気持ちというふうに承りました。

 そこで、地方六団体に対する我が党の思いは先ほど申し上げましたけれども、今の議論を聞いておりますと、結局は今回の作業は、義務教育国庫負担金をどうするか、それから公共をどうするか、そして社会保障関係経費の補助負担金をどうするか、この三つのジャンルでどう整理するかということではないか、とどのつまりそうではないかと私は理解しております。

 そこで、最初に義務教育。総理が改めて指示をされたというようなこともきょうの記事にも出ておりましたけれども、総務大臣は、義務教というのはそもそも自治事務ではないか、地方分権改革の中で避けて通れないテーマではないか、こういう御主張ではないかというふうに理解しております。

 平成十二年以降の地方分権推進計画を見ておりますと、国庫補助負担金の整理統合化の中で、私も見てびっくりしましたけれども、思いを新たにしたんですが、やはり国庫負担金の中で義務教とか生保のような負担金はこれからも続けていかなきゃいかぬが、それ以外のものについてはやはりしっかり整理するんですよというような方向性があったように思っております。まさに二〇〇二年の骨太方針以降、地方分権改革の新たな流れが始まっているんだろうな、こう私は理解しておりますが、義務教について、もう一回総務大臣の、特に自治事務との関係でお話をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今桝屋先生御指摘のとおり、生活保護はいわゆる国の委託業務なんですが、義務教については、平成十二年度の地方分権一括法によりまして明確に地方自治事務、もうこれはきちんと区別をされております。

 問題は、地方自治事務にした場合において、あと税源やら何やらの話を今言われているんだと思いますが、私どもは、基本的には、義務教育というものを考えるというのじゃなくて、そもそも義務教育というものは何をどこまで国として教える責任を確保するのかという点をまず議論しないで、いきなり金の話から入っていくのは品がないという話を経済財政諮問会議で三度にわたって発言をし、全国知事会でも同様な話を既にいたしております。過日の経済財政諮問会議でも同じような話をしておりまして、それを合わせますと四回発言をしたと思います。そういった状況の中にあって、少なくとも、今経済財政諮問会議で義務教育のそもそも論をやるのは、とても教育を語るような感じの人たちが経済財政諮問会議のメンバーとは言いがたいという感じが率直なところでもありますので、これは全然別に、きちんとしたところでされてしかるべきであろうと思っております。

 少なくとも、世界に先立つこと、正確にはイギリスに先立つこと三年も早く、世に不学の人なからしめんと欲すに始まります義務教育という制度をつくり上げた当時は、近代工業化社会を目指す時代でありました。しかし、今は脱工業化社会という時代にあって、今の六・三・三・四を含めまして、義務教育のシステムを、今の三と三で切る必要があるのか、もう制度についてはもちろんのこと、いろいろ御意見の分かれているのはよく御存じのとおりであります。

 したがって、私どもとしては、この問題を別にやるのと金目の話とは基本的に別な話なんであって、金以外で国が地方を指導できることはないのか、少なくとも最低限これだけとか、また教えるべき水準はこれまでとか、文部省としてその方向、指導、レベル等々についてはきちんと言った上で、金は間違いなく地方に地方税としてきちんと行くわけですから。その地方は、従来国が直接自分の前を素通りして地方の教職員に払っていた金を、今度は自分が受け取って自分が渡すわけですから、地方税として入りますから、それをどこかピンはねして学校の施設に回っちゃったとかいう話になるというような心配等々、地方と国との間の信頼関係が一番肝心なところなんだと思います。

 私どもは、少なくとも地方というものをある程度信用した上で、もしそれで違反するようなものがあれば、それはその段階で取り上げるなり罰則をつけるなりやり方はいろいろあると思います。基本として、まず金目の話から入ってきて、いかにも国が義務教育を放棄するかのごとき話にすりかえられているのは甚だ残念だと思っておるのが率直な感想であります。

桝屋委員 今の大臣のお話は何度も伺った話でありますが、理解として、今回の三兆円規模の中で議論する対象として挙げてもいいのではないか、お金の話だけではない、義務教の国の責任ということは金の問題だけではないんだ、こういう整理ですね。わかりました。

 私は、自治事務ということで整理された、このことはやはり大きいんだろうというふうに思っております。逆に言いますと、厚生労働省が対案としてお出しになっている生活保護、これは順番としてそんなに早く出ることなのか、やはり、法定受託事務として、ナショナルミニマムとして、全国的に同じ基準で展開されるべき事務ではないかというふうに思ったりしているわけでありますが、これからの議論を進めたいと思っております。

 それから、もう一点、公共事業について。公共については、大部分がやはり建設国債ではないか、税源移譲しようにも物がないよ、こういう議論があるわけであります。加えて、今回の地方の案を見ておりますと、河川や砂防等、時期的に、非常に台風や地震があったものですから、ここは相当国民の感情に影響を与えるな、こう思っておりますが、とりあえず建設国債は税源移譲になじまない、こういう議論については、大臣、どういうふうにお考えでしょう。

麻生国務大臣 基本的には、国債の償還、返すわけですから、国債の償還というものもこれは国税で賄われることになります。したがって、補助金を廃止した場合、その分だけ税源移譲の対象とすべきことは当然のことなんだと思っています。

 今、御存じのように、例の地方は二十年、片方は六十年等々、いろいろな技術的な問題、私どもこれは技術的な問題なんだと思っていますが、税源移譲の額とか、またその時期をどうするか等々、技術的な話等々につきましては、これは協議し得る話なんだと思います。基本的にそれがなじまないということはないのではないか、私どもは、あとは技術的な話だけなんであって、建設国債では税源移譲に全くならないかのごとき話は間違っていると思っております。

桝屋委員 そうしますと、建設国債を財源として行われている公共投資関係の事業、これについてはまさに技術的な整理で済むのではないか、一気にできるできないは別にして、そこは今回の改革の中で整理し得るというふうにお考えだということですね。ちょっとここから先は今の段階で私もまだ言えないところがありますから、そこだけお聞きしておこうと思います。

 それから、もう一点。せっかく、大臣、こういう三兆円規模の税源移譲と国庫補助負担金の削減をやる作業、この中で国と地方の役割ということを改めて見直す、改めて整理することはすごく大事だと思います。そうした中で、各省対地方の改革案を見比べて感じておりますのが、例えば、今回の改革を分権改革の中で、例えば財政改革はやっているんだ、以前、財政構造改革というのを橋本時代にやりましたけれども、そうした観点、財政規律を改めて国、地方通じて求めていくという改革も要るのではないか。

 そういう意味では、受益と負担の部分についても、少しく今の国庫負担制度あるいは国庫補助金の制度の中で、例えば、例として挙げた方がわかりやすいと思いますが、厚生労働省から対案として示されております国保の調整金あたり。国保の問題。これなんかは、今まで財源上役割を担っていなかった都道府県にコミットしてもらって、そして、やはり都道府県も財政負担をし、財源負担をして、そしてまさに受益と負担の関係でこの制度、財政規律を高めていく、こういう改革という観点もあっていいのではないか。ただ、そこまで。そういうふうに私は思っているんですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは、桝屋先生、次の質問にも関係してくるところなのかもしれませんけれども、この間の一連のとはまた別に、今新しく尾辻大臣の方から、厚生労働省の方から今の国保の調整交付金の話、平成十六年度で約七千六百億か七百億ぐらいあると思いますが、そういった調整金の話が出ております。これは、もう新しく話として出ております。

 簡単に言えば五割五割ということになります。国が持ちます五割のうち、いわゆるばらつきがありますので、その分に関しましては国がある程度調整する部分として、約七千七百億というかなりの部分を、どれくらいかわかりませんけれども、県にということを言っておられる話だと思います。そのときぜひ一緒に勘案しておいていただかなければいけませんのは、県から市町村にそれがどう流れてくるかというのが一番の問題なんだと思うのです。

 今既に約四千二百億ぐらいの金は市町村で、一般行政経費として地方でいわゆる取れないところの分を、国保は赤字になっていますから、その分を地方の市町村で払っておる。これは一般行政経費の中に入っているんですが、例の大蔵省の言う乖離しておるという部分の中に今のお金も入っております。

 そういった部分で、地方が埋めております約四千二百億の部分を、先にそっちを渡してもらいたい、私が市町村長だったら多分そう言います。県にしてみれば、県の方でまたやっている部分がありますからというので、何となく市町村と県を二つに割るための手口かなと邪推しようと思えば邪推できないわけではありませんけれども、そういう品のない人たちばかりがいるとも思えませんし、一応、考えに考え抜かれた上での過日の提案であったことは確かでありますので、私どもとしては、それはそれなりに検討せねばならぬものだと思っております。

桝屋委員 今の質問は、大臣に今の時期にするのはちょっと早過ぎたかなという気がしております。ただ、市町村の負担の分も大事なんですが、私が申し上げたかったのは、まさに負担と給付ということで、給付水準を見たときに、相当全国の乖離がある。そこをある意味では是正をするという作業もあわせて、今回の改革の中でできることならばやってもいいのではないか、そういう発想も要るのではないか、こういう思いであります。

 ただ、それをいいますと、もう一つのテーマで、国庫負担割合あるいは国庫補助割合、負担と補助の割合を、例えば現行四分の三の負担率を三分の二にしよう、あるいは三分の二を二分の一にしよう。そうすれば、相当の移譲財源が出るわけでありますが、これは、以前から総務省は、単なる国庫負担割合の引き下げというのは地方に転嫁するだけだ、こういう御議論でありましたが、今のようなことからすると、あるいは義務教育というのは、今の七、八兆円の中で、もう残っておるのは二兆五千億くらいでしょうか、もうほとんどコアの部分しか残っていない。これを整理するにも切りようがないという議論もあって、とどのつまり、国庫負担割合を下げるということも一つの考え方として出てきているやに聞いておりますが、その辺はどうでしょうか。

 国庫負担割合の引き下げも、今回の改革の中では、よくよく中身を整理すればあるかもしれないというお考えなのか、いや、そこはぜひ避けなきゃならぬというお考えなのか。

麻生国務大臣 基本的には、桝屋先生、よく話題になります生活保護でいきますと、これは御存じのように、法定受託事務の上に加えてこれは現金給付ですから、現金給付のところにいきなり率だけ引き下げられて、その分ちょうだいと言ったってないわけです。これは国の事務を地方がやっているわけですから、地方としてみれば、事務だけやらされて、お金は下げられて、従来どおり払えと言われても、それは地方としてはとてものめる話じゃありません。では地方自治事務お断りしますと地方に開き直られるとそれはどうされるんですかというところまでちょっと考えておかぬと、これは地方六団体はかなり必死になって、徹夜までしてつくり上げて持ってきていますので、従来どおり、ではこれだけ下げるわというそんな雰囲気とは全く違っておる状況をある程度勘案した上で話をしないと、話が全然まとまらないことになるんだと思っております。したがって、単なる比率の引き下げというのでは、とてものめる話ではありません。

 ただ、将来、確実にそれが税源移譲にきちんとなるんです、地方の自由度がふえるんですという保証がないと、自由はふえないわ、ただ率だけ引き下げられたではとても地方としてのめる話ではないと存じます。

桝屋委員 わかりました。今回は、ともかく先へ向けて地方の自由度が増すという具体的な改革の中身がなければだめだ、こういうお考えかと思います。

 実は、この後、地方交付税改革についてちょっと議論したかったんですが、先ほどの大先輩の質問が大変長かったものでありますから、与党の努力として短くしたいと思います。一言だけ言って終わります。

 この時期に、地財計画七、八兆円水膨れだ、使い回しなんというひどい言葉が出ておりまして、これはこの前総務大臣が、一緒に判こをついた人の言葉とも思えないという言葉でよく理解いたしました。ある意味では、この時期の発言としては、三位一体改革つぶしではないか、こう言われてもいたし方のない表現だと私は思っております。ただ、総務省も総務省で何か突っかけたんじゃないか、それでこうやっているんじゃないか、こう思っておりまして、売り言葉に買い言葉のような気がしてならぬのですが、総務大臣、法定率の話になれば、それは財務省もそれぐらい言ってくるでしょうから、具体的にどのような地方交付税改革をやるかということは、ある人に言わせると、総務省ひとり勝ちになってしまうという声もあるわけでありまして、やはり誤解を与えないために、ここは冷静になすべき改革はきちんと今回しなきゃならぬ。地方はもらった金は全部自由に使っていいんだ、それが地方の財政なんだということもわかりますが、地財計画上適正に計上しなきゃいかぬものについては努力が必要だということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、河合正智君。

河合委員 今回の中越地震を中心にいたしまして、総務大臣、消防庁長官並びに政府参考人の皆様に質問させていただきたいと存じます。

 台風災害そして中越地震でお亡くなりになりました方に対しましては、心から御冥福をお祈り申し上げます。並びに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。あわせて、麻生総務大臣も消防庁長官も早速現地に飛ばれまして復旧復興の指揮をとっておいでになりますことに、心から感謝申し上げたいと思います。

 私も、二十三日は二十三号台風の地元の現場、岐阜でございますが、二十四日は高山、そして二十五日には、神崎代表とともに新潟に参りました。実は、皆川優太君の救出されました妙見堰に、私は神崎代表と二時間前にあの現場におりまして、あの時点ではとてもそういう車両も私たちは視認できませんでしたけれども、県警のヘリ並びに消防庁のレスキュー隊の活躍によりまして、九十二時間ぶりに救出されたわけでございます。ただいまも現地は、時間雨量、かなりの雨量のようでございますし、余震もあったようでございます。

 現場を見てまいりました私並びに神崎代表としましては、心ここにあらず、むしろ現場の状況が刻々と肌身に伝わってくる感じでございまして、私も代表も身支度がきちんと整えられていなかったものですから、非常に震えながら現地視察をしておりました。その中に余震がございました。そういう状況を踏まえまして、種々御質問をさせていただきます。

 まず、山古志村との連絡が地震発生当時不通になりました。村の状況が翌日まで把握できない状況となりましたけれども、この問題点それから対策につきまして、まず消防庁長官にお伺いします。

 あわせて、次の通告にお願いしました、災害時におきまして市町村から住民に避難勧告等の情報を的確に伝達する必要がある反面、孤立した集落からの被災状況につきましては、市町村は的確に情報を収集する必要があると考えます。現場の情報が不通になったという点とその対策、並びに今後の対策につきまして、消防庁長官にお伺いします。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、山古志村との連絡でございますが、二十三日午後五時五十六分、発災直後、私ども消防庁におきましては、災害対策本部を設置いたしまして、情報収集に当たったわけでありますけれども、御指摘の山古志村につきましては、NTT回線が不通となっておりましたし、また、災害時に備えて設置をしておられたようでありますが、県防災行政無線も建物が損傷するということで不通となっておりまして、当日は外部との連絡ができない状況になっておりました。したがいまして、私ども、いろいろとトライしたわけでありますけれども、山古志村の情報収集が困難な状況で一夜を過ごしたわけであります。

 この間、消防救急無線で小千谷の消防本部と山古志の出張所との間の連絡はできておったようでありますけれども、その段階で把握した情報が県に正確に伝わっていなかったということもありまして、県を通じての情報収集も難しくなっておったのが当日の状況でございます。

 この問題につきましては、私どもも災害時における情報通信システムの確保は大変重要な問題だと考えておりまして、二十六日に、私、現地入りをいたしました際に、県の関係者また山古志村の村長さんにもお会いをいたしましたので、そのような状況を確認した上で、今回の教訓にかんがみまして、防災行政無線につきましては、大規模な災害が起こりましても使えるような堅固な場所への設置をお願いいたしますとともに、県あるいは消防庁に対しまして、県関係者は被災情報の連絡が十分できるようなシステムの整備について意を用いていただきたいということをお願いしてまいったところでございます。

 御指摘のように、災害時におきましては、何よりも通信手段の確保が重要でございますので、停電等がある、あるいは地震による建物の損壊があるということを想定いたしました上で、自家発電設備、非常電源設備を設置しておくこと、あるいはそのような通信設備は堅固な場所に設置していただく必要があることを痛感いたしたわけでありまして、改めて、直ちに全国の市町村に対しましても、そのお願いをさせていただいたところでございます。

 もう一点の御質問でございますが、孤立した集落等の被災状況を収集するための対策いかん、こういう御質問をいただきました。

 災害時におきましては、同報無線と申しますけれども、行政側が迅速に住民の方々に一斉に情報を伝達する手段といたしまして、私ども、同報系の防災行政無線の整備をお願いいたしているところであります。必ずしも整備が整っていない地域もあるものですから、その関係団体に対しましては機会を見てお願いをいたしているところでございますが、御指摘いただきましたような、地域内において孤立した集落等の被災状況を市町村が把握する必要がある場合には、さらに加えて、双方向の情報通信手段が必要になってくるのではないかと思っております。

 したがいまして、私ども、全国の市町村に対しましては、有事の際の連絡調整ができます住民に対する一斉の同報行政無線と同時に、市町村の庁舎と市町村内の各地域を双方向で結ぶことができますデジタル方式の防災行政無線の整備が有効であると考えておりまして、このような方式を通じて市町村内の災害時の情報連絡体制の確立を図るよう、全国の市町村に助言してまいりたいと考えているところでございます。

河合委員 大変ありがとうございます。

 前回の台風災害の直後、我が党も、防災無線の整備につきまして、全国都道府県、市町村の整備状況を調べまして、ランキングした資料を公明新聞に掲載いたしました。日本海側は、雪に対する備えはウエートが置かれておりましたけれども、防災無線につきましては整備が非常にランキング上は低い状況でございました。しかし、今長官のお話によれば、デジタル無線の、むしろ後発こそチャンスであると思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、先ほど、皆川優太君の救出現場となりました妙見堰の現場、ここで活躍しましたハイパーレスキュー隊につきましては、これはもう全国の皆さんがはらはらしながら見たところでございますけれども、こうした緊急救助隊の今後の取り組み方針、並びに、あのときには防災ヘリそれから資機材等がかなり活躍をいたしました、そういった緊急救助隊の派遣指示などを行う消防庁の体制の今後の考え方につきまして、林長官にお伺いさせていただきます。

林政府参考人 お尋ねの緊急消防援助隊でございますが、今回、二十三日、災害発生直後に県からの要請がございまして、私の方から出動をお願いいたしました。一都十四県、累計四百四十一隊、一千八百七十七名、ヘリ二十機が出動するという救助体制をとったわけでありまして、今日まで四百五十三名の方々を救助するという成果を上げております。

 この緊急消防援助隊は、お触れになりました妙見堰での救助活動の場合は、東京消防庁のハイパーレスキュー隊を中心といたしまして、長野、栃木等の六都県で構成をして救助に当たったわけでありますが、このような救助活動を緊急消防援助隊にお願いいたす場合は、救助隊だけではなくて、救急隊であるとか航空隊であるとか、あるいは風水害の場合は水上部隊にもお願いをすることになりまして、災害現場でこれらの隊が連携して活動することが何よりも重要になってまいります。

 お触れになりましたように、ヘリであるとか高度な資機材であるとか、あるいは通信手段の共有であるとか、また、消防研究所の専門職員も含めました支援体制というものが合わさって全体としての活動ができるものでありますので、そのような活動が効果的に遂行できるような体制を私ども消防庁としては支援をし、考えていかなければならないと考えているわけであります。

 そのためには何よりも、現場におきまして実践的、高機能的な活動ができるようにしますためには、各隊の訓練が必要でありまして、合同訓練をブロック別にことしも開催していただいておりますが、明年度は全国の合同訓練もしていかなければならないと考えておりまして、この場を通じて救助技術の高度化や技術の研さんに取り組まなければならないというのが第一でございます。

 それとともに、この緊急消防援助隊は、御承知のように、本年四月から法律上の制度として発足をいたしたものでございますが、今後は基本計画に基づきまして、登録部隊の増強、あるいはヘリテレ、高度救助資機材の整備充実が必要でありますので、それにも意を用いていきたいと思っておりますし、何よりも私ども消防庁といたしましては、瞬時に緊急消防援助隊を効率的に現地に派遣いたしますための派遣の指示とか、あるいは必要な部隊を決めますための判断を行います現地での情報収集あるいは先遣隊の派遣等々が必要となってまいります。

 そのような体制を整えますためには、私ども、今回、消防庁は、ヘリコプターが必要ではないか、あるいは組織体制の充実が必要ではないか、こういうふうに考えておりまして、今予算要求なり制度の充実をお願いいたしているところであります。

 いずれにいたしましても、この緊急消防援助隊、いざ発災、いざ有事の場合、効果的に、国民の安全を確保するために救助活動が展開できますよう、大規模災害等に対します広域応援体制の充実強化を図ってまいらなければならないと考えているところでございます。

河合委員 次に、今後の復興支援につきましてお伺いさせていただきます。

 地元の知事さん、それから小千谷の市長さんから共通して陳情を受けましたのは、激甚災害の早期指定をお願いしたいということでございますが、現場では自治体職員も被災者という状況でございます。政府は工夫して、激甚災害の早期指定に取り組んでいただきたい、これが第一点でございます。

 次に、総務省にお伺いをさせていただきます。水道を初めとしますライフラインなどの復旧につきましては災害救助対策を早期に実施する必要がございますけれども、激甚災害に指定された場合に、例えば地方債措置、これをどのように講じられるかお伺いさせていただきます。

 あわせてよろしくお願いいたします。内閣府と総務省からお願いいたします。

柴田政府参考人 激甚災害指定の関係でございますが、今回の災害に伴う被害というのは相当大きなものというぐあいに考えております。激甚災害の指定に向けまして、我々としても速やかに具体的な被害額を把握する必要があると考えております。

 今先生御指摘のように、やはり市町村、県とも復旧復興活動で大変な状況にあります。このため、十月三十日に開きました政府の非常災害対策本部会議におきまして、防災担当大臣、非常災害対策本部長でございますが、村田大臣から、市町村からの最終的な被害報告を待つことなく、国土交通省、農林水産省等の関係各省庁が中心となって、国が被害額の早期把握を行うべきだということで御指示をいただいております。

 そういうことで、できるだけ早く、基準を満たすようなものがあれば早期の出動に努めてまいりたいと考えております。

瀧野政府参考人 水道を初めといたしますライフラインなどの復旧についての地方債措置ということについてのお尋ねでございますが、激甚災害に指定された場合、所要の国庫補助負担率のかさ上げが当然あるわけでございますが、国庫補助負担額を除いた地方の負担分につきまして、基本的には一〇〇%、災害復旧事業債を充当するということとしております。

 その際、水道、下水道、ガス事業等の公営企業分につきましては、元利償還金につきまして一般会計から繰り出し金をすることになるわけでございますけれども、これに対しまして二分の一の特別交付税措置を講ずる、その他の一般会計事業債につきましては、元利償還金につきまして普通交付税で措置していく、こういう仕組みでございます。

 さらに災害救助関係につきましては、基本的には、これは特別交付税で算定をするということになりますが、地方債という立場から見ますと、特に地方税の減免ということも行われるわけでございますので、こういった歳入の減に対しまして、歳入欠陥債等を充当するという対応をいたしたいと思っております。

 今後とも、被災した地方公共団体の実情を十分お聞きいたしまして、地方債なり交付税によりまして財政運営に支障が生じないようにしていきたいと考えております。

河合委員 新潟県からは、阪神・淡路のときと同じような、通常の激甚災害法よりも国庫補助率が上がる特別立法をお願いしたいという要請が来ておりますが、これにつきまして内閣府にお伺いさせていただきます。

 あわせて、まとめてちょっとお伺いさせていただきたいことがございますけれども、いわゆる中越地方につきましては日本屈指の豪雪地帯でございます。被災者の皆さんが越冬しなければいけません。地元自治体の負担に対しまして財政措置が必要と考えます。総務大臣に、現地をごらんになった上での御見解をお伺いしたいと思います。

 次に、生活再建資金の問題でございますけれども、現在は地震による半壊、しかし、豪雪によりましてその家屋が全壊する危険がございます。これはいわば自然災害が複合的な原因となって、そういう結果をもたらすことになると思いますけれども、こういう場合の生活再建資金の支給対象をどのように考えていくか。私は、因果関係は直接的ではないという見解もあるかもしれませんが、複合災害として対応すべきではないかと考えます。

 最後に、被災者の皆様からこういう御意見がたくさん寄せられました。それは、今仮設住宅を緊急に対応していただいておりますけれども、半壊の皆さんにとってみましたら、仮設に入るまでもない、したがって、住宅再建、住宅本体の建設経費にこれを財源的に流用して対応していただけないか、こういう御要望でございます。

 避難場所で、神崎代表が大丈夫ですかと、私はその後を行きまして、おばあちゃんたちが帰るところがないんですと、もう目に涙をいっぱい浮かべておっしゃっております。現地のこういう状況を踏まえまして、この四問、お伺いさせていただきます。

柴田政府参考人 先生から三問ほどいただきました。それでは私の方から、まとめて御答弁させていただきたいと思います。

 まず、最初の特別立法でございますが、現在、政府は応急的な復旧活動に最大限努力をいたしているところでございます。その後の復興に当たっての特別立法というお話でございましたが、我々具体的な被害額がまだ把握できておりませんし、当面は既存の制度を最大限活用することにより対応していきたいというぐあいに考えてございます。

 また、豪雪の話がございました。被害認定をできるだけ早く進めるようにいたしてございますが、これらにつきましては、被災地以外の地方自治体からの職員の派遣等を含め、適切な措置が講じられますように、また災害救助法で応急処理を担当する厚生労働省等関係省庁とも相談しながら取り組んで、一日も早く認定できるようにしたいと思っております。

 御指摘の、全壊はしていないんだけれども、雪でやられて全壊した場合にどうかということでございますが、その時点で豪雨災害に支援法が適用されたということになれば、全壊していたとして、支援法の対象となるというぐあいに考えております。

 また、大変御心配いただいております被災者避難所の問題でございます。政府の非常災害対策本部、毎日開いておるわけでございますが、その中でも、最大の課題の一つがこの問題であると考えております。

 現在、約五万人の皆さんが避難されてございます避難所ではプライバシーもなく、肉体的、精神的にも大変つらい生活を余儀なくされておられます。二週間近くなるわけでございますので、非常にその御苦労というのを拝察できるわけでございます。高齢者の皆さん方には旅館やホテルに行っていただくとか、そこで英気を養っていただくとか、そのほかいろいろなケアを行うことによって、避難所の生活の質の向上を今図っているところでございます。

 また、先ほどございましたライフラインも復旧に全力を挙げておりまして、これらが復旧できれば、また被災者の皆さんももとの御自宅に帰っていただくことができるんじゃないかと考えております。

 また、厳しい冬が近づいておりますので、一日も早く被災者の生活環境の安定を図る必要があるわけでございますが、御指摘のように、住宅が全壊したとか、そういう方々は、帰る住宅もございませんので、応急仮設住宅が必要となるわけでございまして、この応急仮設住宅の建設につきまして、現在、県の方でも三千二百戸の建設予定、もう既に約二千、建設着工等が行われているということで、緊急にその建設作業を進めてございます。

 また、今回の地震は、全壊戸数に比べまして、地震により損害を受けた住宅が非常に多く存在いたしてございます。先生御指摘のとおり、これらの皆さんをすべて応急仮設住宅で対応するというのは現実的ではないというぐあいに考えておるわけでございまして、被災者の皆さん方からの声ももちろんあるわけでございますので、これらの皆さん方の、半壊の住宅、被害を受けた住宅につきましては、修理を行いまして帰宅できますように、災害救助法の住宅の応急修理制度を活用したいと考えております。これは最大五十一万九千円の応急修理ができるわけでございます。今回の地震で初めて本格的にこの制度を適用しようということで定めたところでございまして、現在、その実施要領を定めるなど手続の簡素化を図る、これらによって迅速に対応していきたいというように考えております。

 以上でございます。

麻生国務大臣 御指摘のありました特別交付税等々につきましては、十二月の段階で、算定におきまして一部の数値は見込みでやりたい、対応したいと思っております。ただ、それで、まだ数値の確定分とか、算定上のルールでいろいろできない分につきましては三月でやらせていただきます。

 それから、今いろいろお話があっておりましたように、これは中越地震の方にすっかり話題が集中しておりますけれども、二十三号を含めまして、台風の被害というものも、かなり全国いろいろその被災者、被災地というのが広い。かつ、これまで日本に一年間で上陸する台風は六個が最高。それが、今回、十個の上陸で、緩んでいるところに地震が来ておりますから話がさらに込み入っております上に、あそこは関東ローム層で岩盤が余りないところでもありますので、状況は極めて激しいことになったんだと思っております。本日も二時間十五分ぐらい前に震度五の余震があっておりますので、状況としては厳しい問題が続いて、余震が続いているからなかなか家に戻りにくい形になっておるのが実態だと思っております。

 加えて、先ほど御指摘のありました豪雪地帯というところは、今柴田の方から答弁があっておりましたけれども、少なくとも豪雪を前提にしておりますから、家の建築物の角寸、柱の大きさが四寸とか大きな、はりも非常に大きなものを使っておりますので、中に行かれたと思いますのでおわかりと思いますが、それで倒壊家屋が少ないのだと思いますね。ヘリコプターから見たら、何だ、倒壊していないじゃないかと思うでしょうが、中に入ると、六畳二間、八畳二間が三十畳一間みたいな形にぼんと中が全部抜けておるという状況になっておりますので、住めるかといえばとても寒さの中で住めるはずもありません。先ほど話があっておりました五十一万九千円、この額が多い少ない、またいろいろ御意見もあろうかと思いますが、少なくとも個人所有のものに対して補助金を出すというのは、なかなか難しい問題も抱えておりますので、検討せねばならぬと思っております。いずれにしても、事を急ぎますのでやらせていただきます。

 過日、安住さんの方から話があっておりましたスーパーハウスの話につきましても、この話はいい御提案だと思いましたので、これは災害救助法の支援の対象になるんじゃないかという話で、関係各部の会議があるんですけれども、既にその中で、総務省としてこの種の話を検討するように指示をいたしております。

河合委員 大変ありがとうございます。引き続き、渾身の復旧復興、御支援をお願いいたします。

 以上でございます。

実川委員長 次に、山花郁夫君。

山花委員 民主党・無所属クラブの山花郁夫でございます。

 本日は、いわゆる政府の三位一体改革に関連をいたしまして、総務大臣及び関連する省庁の方に、一部ではございますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 いわゆる三位一体改革と言われている中に、一つ税源移譲の問題がございます。この税源移譲というのは、そもそもの話で申し上げますと、一九九七年に出されました地方分権推進委員会第二次勧告の中で、今後、地方分権の進展に伴い、地方公共団体の財政面における自己決定権と自己責任を国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、充実確保を図っていく必要がある、こういうふうに述べられたことから、税源移譲の必要性についての議論が活発になってきたものと承知をいたしております。

 ところで、地方への税源移譲、こういった考え方は、国と地方の役割分担を考える中で、地方の事務量に見合った税財源の移譲というものが必要であって、財源を移譲することによって、私たち民主党の言葉でいえば地域主権社会という言い方をしておりますけれども、そういったものを目指そうというものだと理解すべきだと思っております。

 今回、いわゆる政府の三位一体改革の中で税源移譲というものが入ってきたわけでありますから、私どもといたしましては、三位一体改革というのは、あくまでそういった税源移譲の一つの手段のような形で考えるべきではないかと考えております。

 つまり、地方分権というのは、あたかも中央の省庁だけが政策の決定を行って、地方の自治体についてはその遂行をしてもらうというような形を改めて、公共生活における自己決定権のようなものを住民がしっかりと持つようにする、そういったものである。それが地方分権の基本的な考え方だと私は認識をしているんですけれども、こういった地方分権のあるべき姿と申しましょうか、少し大上段に振りかぶった話かもしれませんけれども、総務大臣の地方分権の姿についての御認識をお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 大上段に振りかぶった話こそ討論されてしかるべきだと思いますので、そういう話をしていただきますのは大変大事なところだと思っております。

 明治四年に、幕藩体制から、三百諸侯に分かれておりましたものを少なくとも近代国家にするためには、工業化社会の当時においては間違いなく中央集権でやっていく以外に対抗できないという見解に基づいて、岩倉具視以下の海外使節団が帰国後、当時の国家目標を全部きちんと立てて、それを実行せしめるためにはということで、御存じのように版籍、廃藩置県等々、一連の中央集権制度をつくり上げて約百三十年がたったんだと思います。

 今、その時代に比べて、少なくとも地方においてはそこそこの公共施設、電話が通じる、テレビが見られる。ガス、水道、電気等々、いずれもそういったものが普及した現代においては、住民の必要としているものは地域に近い市町村の方がよくわかっておるのではないかということから、地方分権、地域主権、いろいろな表現がありますけれども、近くでやった方がより効率的、より具体的で、少なくとも、雪の降るのを見たことがない鹿児島と雪に悩まされる新潟が同じようなスタンダードでやられたらとてもではない、極端なことを申し上げればそういうことだと思います。

 そういった形で今いろいろな流れの中にあって、地方分権一括法が今言われたように平成十二年にできたんですが、財源の裏づけがなかったというのがあの当時だったと思いますので、今回、それにあわせて税源移譲を伴います財源をという話が出てきている背景だと思いますので、山花先生の御指摘のとおりだと存じます。

山花委員 ありがとうございます。

 地方分権の確立のためには、財政自治権というものの確立が非常に重要だと思います。民主党は、かねてより、個別補助金の廃止及び一括交付金制度創設ということを提案しております。ただ、自治体は、現行程度の財源を確保することを前提として、地域のニーズに合った町づくりが可能になるような制度を考えていこう、こういうスタンスであります。

 ただ、基本的に私どもは、当初は財源を移譲して、その後に税源をというようなイメージで大体考えているんです。と申しますのも、実際、今回の議論の中でも、税源移譲をしても地方の格差がどうなるんだというような話がいろいろと出ております。今時点での話ですけれども、大体税の還元率というのが、大ざっぱに言いますと、東京都が〇・三、つまり、自分たちが払った税金に対して返ってくるサービスが〇・三ぐらいであるのに対して、島根県は三・〇に近いと言われております。

 今、大臣から明治四年のころからのお話がございましたけれども、我が国の近代自治制度がスタートしたのは、大体明治二十二年、二十三年ぐらいからと言われているんですけれども、その明治二十二、三年ごろというのは、都市人口率というのが五%ぐらいしかなかったんだそうです。首都東京府、首都であります東京府というのは、人口規模でいいますと全国の第九位、百五十万人程度だった。当時の第一位の人口はどこだったかというと、今被災されて大変な思いをされています新潟県が人口第一位だったということなんですけれども、だんだんお金も人も首都の方に集まってきてしまって、その結果が〇・三とか三・〇とか、これだけの開きになってしまっているということだと思います。

 実は、こういったことを考えますと、もっと大きなことでいうと、国土政策を抜きにして税制でどうしようということだけではなかなか解決し得ないものもあるのかなという印象を持っております。

 ところで、八月十九日、地方六団体が国庫補助負担金廃止の具体案というものを取りまとめまして、二十四日に政府に提出をいたしております。どういう形で補助金の削減案をまとめるかというのは、私は、本来は政府が責任を持ってやるべきだったと思いますけれども、地方六団体に要請をして、これを踏まえて検討するという話になっているんです。

 これも総務大臣にお伺いしますけれども、地方公共団体に対して国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめるよう要請し、これを踏まえて検討するというのが政府の立場、つまり、総務省の方針だというだけではなくて政府の立場であるというふうに認識していますが、それは間違いないですよね。

麻生国務大臣 今御指摘のありました、これは本来政府でするべきという御指摘も決して間違っているとは思いませんが、その場合は一兆円だった、ついこの間出ました分は。ですから、そういった事情はよくおわかりだと思います。地方にさせたらその程度しか出なかったということなんだということはわからぬわけではありませんが、減らされる方にしてみればということですね。

 だから、地方に対して、そちらから見て要らないものは何だ、もらう側の方がはっきりしている、わかりやすいのではないかということで今の話になったのでありまして、総務省が一人で勝手に決めてやったわけでは全くない、これは政府として統一した方針として閣議決定されたもので、御指摘のとおりであります。

山花委員 何が言いたいかという話なんですけれども、一つは、民主党としては、今回の政府が検討されております三位一体というのとはもともと違ったスキームで考えています。したがって、地方六団体が出されてきた案についても丸ごとそのとおりだということでもないんです。ただ、こういった経過から見ますと、つまり、地方六団体に要請をして、これを踏まえて検討するということになっているわけでありますから、それについては尊重するのが筋であるというふうに思っております。

 ところで、資料を配付させていただきましたけれども、国土交通省の副大臣にお越しいただいておりますので、質問させていただきたいと思います。

 「砂防と治水」という雑誌があります。臨時増刊号、二〇〇四年十月の日付ですので九月ぐらいには発行されたものか。つまりは、六月四日に閣議決定があった後にこういうのが発行されているんです。

 「本当にこれで土砂災害から国民の生命・財産が守れるのか?」というタイトルで、資料を一枚めくっていただきますと、国土交通省砂防部長という方が、文書すべては資料配付をしていませんけれども、例えば、右側の三段落目ぐらいでしょうか、「この改革案では、こうした視点での各事業ごとの必要性が十分に議論されているとは思えません。単に事業主体が都道府県であるということから砂防関係事業が廃止削減対象になり、そのまま案が成立したというのは誠に遺憾なことと言わざるを得ません。」というようなことを言われていたりとか、タイトルが非常に扇動的なんですけれども、この雑誌の二十二ページにいきますと、資料を一枚めくっていただきますと、国土交通省砂防部砂防計画課長という方が「命を守る砂防事業を廃止する改革案について」、こういったタイトルで寄稿されています。このほか、いろいろな自治体の方だとか有識者の方が、トーンとしては似たようなことを寄稿されている。それはそれであり得るのだと思うのですけれども、そういった考え方としては。

 ただ、閣議決定としては、これを踏まえて検討するという言い方がされているわけですから、こういった閣議決定の趣旨に反するようなことをやっているのではないかという疑念があるんですけれども、この点について、副大臣、御認識、いかがでしょうか。

蓮実副大臣 お答えをいたします。

 三位一体改革では、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四におきまして、地方の自主性、裁量性を高め、国と地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築につながるよう実施することが閣議決定されております。国土交通省としましては、この趣旨を踏まえて改革を推進するものであります。

 改革の推進に当たっては、八月二十四日、地方六団体から提出されました改革案を検討することが基本方針二〇〇四にも規定されておりますので、その内容の検討が必要であります。

 この地方六団体の改革案では、河川砂防事業に関する約二千四百五十億の補助金を廃止する内容となっておりますけれども、これらの公共事業関係補助金につきましては、財務大臣の見解でも明らかなように、河川砂防事業は建設国債を財源としておりますので、税源移譲の対象にはならないのではないかというふうに思います。すなわち、都道府県が河川砂防事業を実施することができなくなるのではないかと心配をいたしております。

 御指摘の「砂防と治水」の寄稿でありますが、三位一体改革の検討についてこのような問題がありますので国と地方で議論していく必要があることを、治水砂防協会の会員である市町村長等に説明するために行ったものだと思っております。したがいまして、三位一体改革の閣議決定に反するものではないと思っております。

山花委員 それだけではないんですね。

 きょう、河川局長の清治さんもお越しになっているようですが、清治さんが、「郷土と川を愛する方々へ」ということで、川メールというのを各市町村に配信をされているようです。資料としては配付していないんですが、例えば二〇五号、「河川改修事業や砂防事業は大きく減少しており、一般財源化された場合には、安全・安心を目指す必要な事業がさらに滞ることが懸念されます。」こういう言い方をしていたり、二〇六号では、今お答えいただきましたような話が書いてあります。

 「建設国債問題については、補助金廃止リストは必ずしも税源移譲と連動するものではなく、補助金改革への意見として、「地方からの廃止の希望」として扱われそうだということです。従って、廃止対象の防災対策を継続していくためには、地方債での対応等を考えていかなければならないことから、新たな地方負担になる恐れが出てきました。」この部分は赤字で書いてありますね。「それが現時点における地方の総意と受け取られても良いのでしょうか。」市町村に対して非常に誘導的な話ではないかと思います。

 また、各地方団体に対してアンケートをとったりしているんです。この砂防協会というところでやったものが、またこの雑誌にも出ているんですが、

 河川・砂防関係事業は、限られた全国の予算を、災害の発生状況等に応じて機動的に配分する必要性があります。今回の廃止・移譲対象からは、発生した災害に対応するため緊急的かつ集中的に実施する激特事業等は除外されていますが、廃止・移譲対象とされた通常の河川・砂防関係補助事業の各都道府県毎の予算も、年によって大幅に変動しています。

  六団体の案にあるように仮に税源移譲し、地方交付税の算定等を通じて財源措置を行おうとしても、河川・砂防関係事業のように、極端に地域的・時間的変動が大きいものについての財源調査は困難であることから、災害対策が十分に行われなくなる懸念はありませんか。

という大変長い設問で、1懸念がある、2懸念はない、3わからない、この三つ、どれか答えてください、こういう話であります。

 これだけ書かれて、懸念がないと答える方はまずいないのではないかと思いますけれども、そういったアンケートをとって、こんなに今回の話というのは問題があるのだ、こういうことを言っているわけでありまして、私はそれは問題だと思います。

 また、砂防協会は、綿貫民輔と書いてある会長さんのお名前で、私、「衆議院議員 山花郁夫殿」ということで、「砂防関係補助事業を廃止対象とすることなく、国庫補助負担金制度の堅持と所要額の確保をはかること。」こんなものもいただいているんです。

 先ほども議論があったようですけれども、今、建設国債だからという話、こういったことを、例えば、閣議決定されていることに対して、総務省として少し自治体の方に問題提起をしてほしいということで、こんなことをする職員がいたら、総務大臣どうしますかという話でありまして、今の国交省の回答に対する何か御感想がありましたら、お願いいたします。

麻生国務大臣 今まで決まっておりました、一種の既得されておりますものに関して、それが変更になるというのは、いろいろきしみが出る、痛みが伴うのは常でありますから、いろいろなお話があるのは当然のことだと思っておりますが、少なくとも、基本方針二〇〇四に基づいて、総理大臣の方から各大臣に対して地方改革案を真摯に受けとめろという指示が出、さらに官房長官からも同様な話が、指示があっているところでありますので、いろいろ各省で責任を持って全力で取り組まれるようにしていかないかぬところだと思っております。

 補助金の所管官庁にありましては、それぞれ立場もありましょうし、権限、人員、補助金の額等々の話を勘案すればいろいろな御意見が出てくるのもわからぬわけじゃありませんけれども、いろいろな御意見が出た上で、最終的には今月末までには決定させていただかないかぬということだと思いますが、総理大臣から、閣議でそれぞれ指示があったところでもありますし、私どもとしては、各省がその方向で最終的にはまとめていただくということになるんだと思っております。

山花委員 今、総理、官房長官からの指示という話がありましたけれども、恐らくそれは九月三日に閣僚懇で内閣総理大臣の方から、三位一体の改革については、官房長官を中心として、総務大臣、財務大臣、経済財政担当大臣を初め関係各大臣が互いに協力し、政府一丸となって十一月半ばをめどに全体像の取りまとめに当たってもらいたい、こういう発言があったのではないかと思いますし、また、三位一体の改革に関する大臣会合における官房長官の発言ということで、これは九月七日に、特に、検討に当たっては、地方からの改革案を真摯に受けとめ、補助事業等の所管府省が地方の改革案を実現することを原則として検討を行ってもらいたい、こういった指示だったのではないかと思いますけれども、総務大臣、そのとおりでしょうか。

麻生国務大臣 全文を記憶しておりませんけれども、おおむねそのとおりです。

山花委員 他省庁の方にも確認をしたいと思います。

 まず、財務大臣政務官、こういったことについては御存じでしょうか。

倉田大臣政務官 お答えいたします。

 三日に総理から、山花委員がおっしゃいましたような内容のことがございました。さらに、九月七日に官房長官から、補助事業等の所管官庁において、地方改革案を実現することを原則として検討すること、改革案に意見がある場合であっても、その理由を明らかにするとともに、提案されている廃止額に見合う代替案を提出すること、このようなお話があったと承知しております。

山花委員 つまり、六月四日に先ほど議論させていただきました閣議決定があって、九月三日に内閣総理大臣からこういった発言があって、さらに九月七日に官房長官からこういった発言があったという中で、過日、この地方六団体が出した案に対しまして、各省庁から回答といいましょうか、もし地方の改革案がだめだということであれば対案を示すようにということで、その期限が十月二十八日だったものと承知をいたしておりますが、文部科学省、塩谷副大臣にお尋ねをいたします。

 この地方の改革案に対して、文部科学省としてはどういう回答をされたのか、また、満額回答でないという場合にはその理由についてお答えいただきたいと思います。

塩谷副大臣 お答え申し上げます。

 文部科学省としても、地方六団体の提案を、改革案を尊重しながら、また官房長官からの御指示を重く受けとめて、真摯に検討を行ってきたわけでございます。

 しかしながら、地方六団体の改革案につきましては、文部科学省の関係のほとんどすべての補助負担金が対象となっておりますので、この点はほかの省庁とちょっと違った回答になっていると思っているところでございます。また、それら補助負担金につきましては、憲法の定める教育の機会均等等の観点からいずれも重要でありまして、特に義務教育につきましては、国の発展を担う人材育成という国家戦略の観点からしても大変重要に思っているところであります。

 そのために、今回の補助金改革につきましては、義務教育のあり方や国と地方の役割など、教育論を踏まえた議論が必要であります。そして、そのためにも、政府全体として検討をしていただきたいと思っているところであります。

 特に、義務教育費国庫負担金の取り扱いにつきましては、これまでの三大臣合意や閣議決定等を踏まえて、平成十八年度末までに議論を得ることになっておりまして、そのため、総務、財務、文部科学三大臣に官房長官を含めた検討の場をぜひとも設置していただきたいという旨の回答をしたところでございます。

 また、文部科学省としても、学校施設整備費の一部交付金化や義務教育費国庫負担の総額裁量制などさらなる改善を行って、地方の自由度を一層拡大する工夫をしていく案なども提出するとともに、その他の補助金も含めて引き続き検討を行っていくということで回答をしたところございます。

 以上でございます。

山花委員 金額はどうなっていますか。一兆一千億のオーダーに対して、廃止、縮減になる額は幾らなんでしょうか。ゼロなんでしょうか。

塩谷副大臣 つまり、我々の回答としては、ゼロ回答ということになっておりますが、そういうことでございます。

山花委員 一兆一千億のオーダーに対してゼロである。地方の話を尊重します、また、総理とか官房長官の発言を重く受けとめてもそうだという、なかなかよくわからない話なんであります。

 つまり、先ほどの河川の話もそうなんですけれども、補助金がなくなるからといって事業そのものがなくなるというわけではありませんで、それを地方に任せようじゃないか、こういう話なわけであります。

 そしてまた、国として、教育が大事だということも、それはそのとおりだとは思いますけれども、それが義務教育の教員の給与の二分の一を、全国津々浦々国が補助してあげるということがそういうことに当たるのかどうかということについては、若干疑念があるわけであります。

 つまり、先ほど憲法に定める教育の機会均等というような発言もございましたけれども、この議論の中でちょっと気になるのは、憲法に書いてあるのは、それは教育の機会均等とか書いてありますけれども、中央政府がやらなければいけないという話ではないはずであります。憲法の名あて人は、基本的には公権力、つまり中央政府、地方政府両方なのでありまして、内容的には、ここにいらっしゃる方、賛否は、いろいろ思いはあるかもしれませんけれども、有名な話でいえば地鎮祭訴訟であるとか玉ぐし料訴訟など、あれは、信教の自由が争われたケースでも、地方団体がやっていても、それは国はと書かれている憲法二十条とか八十九条を対象にして訴訟が提起されていて、裁判所も結論についてはいろいろあります。合憲だといったものもありますし、違憲だといったものもあるわけで、憲法に定めているという話だから、イコール中央政府たる国がやらなければいけないということでは決してないのではないかということであります。

 資料の方でごらんいただきたいんですけれども、文科省の方も少し議論を整理していただきたいなと思うところがあります。

 お金の話になると、「世界的に義務教育は大競争時代 どの主要先進国も力を入れている」ということで、「主要先進国では全額負担する国が多い」というところに、例えば「フランス、ドイツ、」ということで、ドイツが入っています。身分は国家公務員なんだということです。一枚めくっていただいて、国でやっているところ、国と地方と分けてやっているところという話では、ドイツは国でやっているところなんだ、州と書いてありますけれども、こういう分類をされているわけであります。

 ところが、一枚めくっていただいて、国と地方の協議の場というところに大臣が出てこられると、文部科学大臣、「先進国の中でも、ドイツは州を単位として教育行財政が担われておりますが、州ごとの学力格差が著しく、このことがドイツの全体的な学力水準を低くしています。」こんなことを言ってみたり、一枚めくっていただいて、例えばということで、念を押すように、「例えば、ドイツでは、」ということで、「州に任せていて、非常にアンバランスになってきている」と。

 一方では、お金の話になると、何か国だ国だということでドイツを持ち上げておいて、一方では、これは読み方によると、文部科学大臣が言われているのは、地方に任せているとこんなになっちゃうぞというような話をしているわけです。つまり、ありていに言えば、都合のいいときだけ、こっちだこっちだと国に分けたり地方に分けたりということはやめていただきたい、こういう話であります。

 ところで、先ほども議論がありましたので、総務大臣、簡潔にお答えいただきたいと思います。

 義務教育については自治事務となっておりますけれども、義務教育が国の責任であるという議論との関係では、自治事務であるということと教育については国も何らかの面倒を見なきゃいけないよね、こういう話についての整合性についてはどのようにお考えでしょうか。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

麻生国務大臣 地方自治事務、正確には行政用語では自治事務であるということは明確に決められておりますので、その点は別に問題ないんだと思うのです。よく話が出てくるんですが、今の資料もそうなんですが、義務教育を国が放棄するかのごとき話は、余りにも話を歪曲し過ぎているのではないかという感じが率直なところであります。

 公共事業に限りませんけれども、その他事業が廃止されるかのような話がされますが、事業はされるわけです。その主体が国か地方かという中で、廃止されるのは中央の組織であり、人であり、権限が廃止されるということになるんだと思うのですね。それは、本当にそこらは国が守るべきものかという点が山花先生の指摘されたいこと、私が何もかわって言う必要はないんですが、そういうぐあいに整理をされたらよろしいんだと思うのですね。

 だから、守るべきはその事業でありまして、防災事業というのは確かに必要なものであります。しかし、防災事業として渡された予算をその防災に使わないかもしれないという話でありますから。そうすると、それは地方に対する不信ということの裏返しになりますので、これは地方と国、中央との対立を非常にあおるのであって、地方と中央との信頼関係がないと、なかなかこの種の大改革はなし遂げられないと私は思っております。

 そういった意味では、今申し上げましたように、事業をきちんとする話と、それをだれがするのかという話とをきちんと分けてされないと話が混線する。また、混線させようというかのような話、この一カ月ぐらいよく聞かされる話ではありますけれども、私どもとしては、これだけ地方分権とか地域主権とか言われてかれこれ年数もたちますし、やはり仕事を与えられること、権限を任されることによって地方も人が育ってくるという面もありましょうし、そういったいろいろなことを考えて、非常に大きな変わり目でありますから、いろいろきしみが出ているのは事実だと思いますけれども、基本の方針は、地域主権をさらに進めていくという方向で仕事を進めていってしかるべきだと考えております。

山花委員 実は、義務教育国庫負担金の話については、先にこれが来るべき話なのかなという思いがちょっとあるんです。

 というのは、冒頭少し議論させていただいたように、本来的には地方に裁量を持たせましょうという趣旨ですので、義務教育国庫負担金については余り裁量の幅が大きくないものですから、これが最初に入ってくるのはどうかなという思いはあります。ただ、もともと三兆という額がありましたので、問題はそこにあるのだという気はいたしております。

 同じように、国土交通省にお伺いしたいと思います。

 この地方の改革案に対して、どういう回答なんでしょうか。満額でないということであれば、その理由についてお話しいただきたいと思います。

蓮実副大臣 お答えいたします。

 地方六団体の改革案は、公共事業関係補助金について、税源が移譲され、みずからの財源として自由に事業を実施したいという考えで提案されたものだと思っております。

 しかしながら、建設国債を財源とする公共事業関係補助金は、財務大臣の見解や、平成十六年度公共事業関係補助金の削減について税源移譲されていないことからも明らかですので、税源移譲の対象にはならないのではないかと考えられております。

 このため、地方六団体の改革案どおりに国土交通省関係の約六千六百億円の補助金廃止、縮減では、事業実施に必要な財源が不足するおそれがあります。特に、地方六団体の改革案では、都道府県のみが事業主体となるものを対象に限定しております。このため、国が重要な役割を果たすべき災害防止に係る河川・砂防事業、下水道、住宅などの特定の分野の事業がほとんどできなくなるのではないかと思います。

 そこで、十月二十八日に内閣官房に提出した国土交通省の改革案は、地方六団体の改革案そのままではなくて、国土交通省関係補助制度全般の見直しに取り組み、事業分野ごとに、施設の重要性や地方公共団体にまたがるような広域性に応じた見直しを行うこと、地方の自主性、裁量性で事業が実施できるよう、より使い勝手のよい補助制度を実現すること、補助金の削減規模は、補助金の削減による事業への影響、これまで行ってきた補助金削減の実績を踏まえて検討することを内容とする回答をいたしたわけであります。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

山花委員 では、金額はどうなるんですか。六千七百億程度の地方の案に対して、補助金の廃止ないし縮減額というのは幾らになるんでしょうか。

蓮実副大臣 地方六団体の改革案は、建設国債を財源としている公共事業関係補助金も税源移譲の対象になるという前提で、約六千六百億円の補助金を廃止対象として挙げられております。しかしながら、建設国債を財源とする公共事業関係補助金は、財務大臣の見解などでは税源移譲の対象外とされておりますので、地方六団体の改革案どおりに補助金を廃止した場合は、地方の住宅、社会資本整備に支障が生じるおそれがあると思っております。

山花委員 ですから、金額は幾らかということを聞いているんです。ゼロなんですか。

蓮実副大臣 したがって、公共事業関係補助金の縮減の規模等については、三位一体改革に関する全体の議論の中で、事業実施への影響、これまでの補助金削減の実績等も踏まえて、今後具体化していく問題だと認識をいたしております。

山花委員 まるでわからないんですけれども。つまり、二十八日が期限で、ちゃんと答えなさいと。でも、それは、さっきも申し上げましたけれども、総理とか官房長官から指示が出ているのを受けても、まだこれから検討する、こういう話なわけで、本当に十一月中旬にまとまるんでしょうか、非常に不安になる話だと思います。

 ところで、建設国債がどうこうとか、あるいは補助金の手当てがあるやなしやという話がいろいろありますけれども、そもそも、そういった個別の話の大前提として、これは特に財務大臣政務官、倉田さんにお伺いしたいと思いますが、地方六団体の案というのは、確実な税源移譲だとか、あるいは地方交付税による確実な財政措置をやってくれ、その上で各論の話が出てきているわけです。

 九月十四日に地方六団体も、国と地方がお互いの信頼関係を確保することが前提となる、そして、この協議の場がお互いの信頼を築く場であると考えている、万一、背信行為があれば、すべて水の泡になりますよ、こういうことも言っているわけでありまして、いわば、その前提が崩れれば、せっかくまとめたけれどもこの話はなしよ、こういうスタンスだと思うのですけれども、このことについてはよく財務省としても受けとめていただいていますよね。

倉田大臣政務官 財務省といたしましては、補助金改革に際しましては、納税者の視点に立って不要不急の事業を廃止、縮減していく、こういう立場も重要だと考えておるわけでございます。

 また、基本方針二〇〇三においては、補助金改革の結果、引き続き地方が主体となって事業を実施する必要のあるものについては税源移譲しますよ、その際に、事業については個別的に見直しをし、精査をしていきます、こういうことを言っておるわけでございまして、徹底的な効率化ということを念頭に置いてその所要の金額を移譲していく、こういう考え方を持っております。

山花委員 もう終わりますけれども、むしろ、きょうのこの質疑を通じて非常に不安になった次第であります。本当にきょうは関係各省庁すべてお呼びしたかったんですけれども、呼ばなくてよかったと思うぐらいの話です。

 総務大臣、これは本当に大事なことですから、将来日本の国をどうしていくかという話なわけでありまして、十一月中旬に向けて、今までの議論の感想も含めて、その決意のほどをちょっと述べていただきたいと思います。

麻生国務大臣 大きな話ですから、そんなに簡単にすぐ、みんなでせえのでまとまるなんということはない。それは当たり前でしょう、そんなものは。だから、それはいろいろ議論をするのです。その間、いろいろ意見が出て、落ちつくところに落ちつく。この種の大きな話は、今までのことを見てもわかりますように、大体、最後のところまで激論をやって最後には落ちつきます。この種の大きな改革が裏づけられるようなものをつくり上げなければいけませんので、私どもも精いっぱい頑張りたいと思っております。

山花委員 終わります。

実川委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 民主党の情報通信担当をしておりますので、その観点から、一に災害の問題、二に電話加入権の問題、三に光ファイバーの開放ルールの問題、四に電波の割り当ての問題の順に質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一に、災害の関係の問題であります。

 災害がこの秋もたくさん起こってしまいましたけれども、その中で、被災地には、電話線が切れたというような事態がたくさんあると思います。こういった切れた電話線を復旧する費用はどのような形で今賄われているのでしょうか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 委員の御指摘は、今回各所で起きた災害においてNTTの電話の回線が切れた、その復旧の費用はどこから出ているのかという御質問だろうというふうに思っております。

 例えば、今回の新潟県の中越地震におきましては、NTT東日本において、伝送路の断線によりまして、県内の三地域、小国町、越路町、山古志村、四千四百五十の加入電話回線が一時不通となりました。今現在、復旧作業が進んでまいりまして、山古志村の約千二百回線を除きまして、すべて復旧しておるところでございます。

 御承知のように、NTT東日本におけるこれらの電話回線等については、同社みずからがもともと維持管理をしている電気通信設備でございまして、維持管理につきましても同社が責任を持って行うものだというふうに思っております。したがいまして、一義的には、復旧も同社の負担によるものだというふうに私どもは思っております。

中村(哲)委員 NTTの設備だからNTTの責任で復旧をするのは当然だ、そういう御答弁であったと思います。

 それならば、これを借りて事業をしているほかの通信事業者がどのような形で負担しているのか、そういった疑問がわいてくるわけでございます。いわゆる接続料には、そういった復旧のコストというのは含まれているのでしょうか。

山本副大臣 現行の制度上は、接続料は、第一種指定電気通信設備接続会計規則及び接続料規則に従いまして、基本的には、実際に要した費用に基づいて原価が算定されております。

 したがいまして、災害等の復旧に要した費用についても、接続料に係る費用に含まれるものだというふうに思っております。

 したがいまして、今回のような災害に係る費用につきましても、NTT東西以外の事業者も、接続料の支払いを通じて応分の負担をしていただくということになっておると思っております。

中村(哲)委員 そこについては、後日また議論をしなくてはいけないかもしれません。

 関係してではないんですけれども、NGOの人たちといろいろ話をしていて、ミニFM局をもっと利用してもらったらどうなんだろうというようなお話を伺っておりました。

 私も、ちょっとミニFM局というのはどういうものなのか余り認識をしておらなかったので、聞きましたところ、微弱な電波を流して、許可をとらない範囲でも、放送局で電波を流すとコミュニティー単位で情報が共有できるようになる、そういったことを現地に入ってよく感じるんだ、そういったことはなかなかまた知られていないんじゃないかというお話を聞きました。

 そこで、こういった小規模な放送設備の利用を促進してコミュニティーを維持する政策ということが災害時に必要だと考えるんですが、いかがでしょうか。

山本副大臣 今回の、例えば新潟県中越地震におきましても、今主流のいわゆる情報伝達手段というのが、停電であったり、そしてまた中継局の予備バッテリーの電力容量不足等によって、さまざまな手段が非常に不便を来して、被災者の皆さん方に御迷惑をかけている。そうした中で、やはり我々がもともと一番使い勝手のいいと言ったらおかしいんですけれども、原始的という言葉は余り使いたくはありませんけれども、やはりラジオという設備は、こういったケースにおいては一番皆さん方が便宜を供される手段だろうというふうに私どもは思っておりまして、既に阪神・淡路大災害のときに、このような制度を設けて、災害対策用FM局というものを認めるようにいたしております。

 この災害対策用FM局というのは、災害時における臨時の放送局、まさにさっき先生御指摘になられましたように、コミュニティーの、限られた地域の連絡、伝達手段として最も効用があるんではないかということから、阪神・淡路の災害の折からそのような制度をつくっております。

中村(哲)委員 システムとして、制度はあるということは理解できるんです。

 次に問題になってくるのは、補給物資にそういった放送機材も含めたらどうかというような提案があったわけですね。つまり、食料とか衣服とかの補給物資の中に、そういった放送機材、市場価格でいうと三、四万らしいんですけれども、簡単なそういったものを入れると、半径百メーターぐらいの地域では、集落ごとにラジオが聞けるようになる、コミュニティーが維持できるようになる、そういった主張だったんですね。

 先ほどの河合委員の質問のときの御答弁で、集落ごとにデジタルで防災無線を飛ばすというようなお話がありました。その情報を、今度はコミュニティーで、ミニFM局で流していく、そういったやり方が組み合わせとしては考えられると思うのですね。そういったことを推進していく必要があるのではないかと考えているんですが、いかがでしょうか。

山本副大臣 今、災害の緊急の物資の中にそういった設備を一緒にされたらいかがかというお話があったわけでございますが、今回、私も驚いた一つの事例として、この新潟の地震におきまして、いわゆる臨時災害FM局開設、例えば長岡市でしたら、震災があったのは十月二十三日、十月二十五日に申請がありまして、十月二十七日にはもう開局をいたしております。それから、十日町市なんかも、やはり二十七日に申請がありまして、二十九日にもう既に開局いたしております。

 では、その機材はどこにあったんですかというと、近くの隣の県にあって、すぐ搬送できたということで立ち上げが非常に早かったということでございます。

 補給物資の中に入れてというお話もございましたけれども、常日ごろ、やはりそういうものに対する備えだけは必要だというふうに思っておりますけれども、たまたま今回の事例でも、早期に立ち上げることができたということでございます。

中村(哲)委員 今、山本副大臣がおっしゃったのは、少し規模の大きな放送局の話じゃないかと思うのですね。私が申し上げているのは、もっとコミュニティーごとにつくるような放送局の話でありまして、そういうところをぜひ今後は検討していただきたいと思っております。

 それでは、第二番目の電話の加入権の問題に入らせていただきたいと思います。これは、十月十九日の予算委員会で津川祥吾委員が麻生大臣にお聞きをさせていただいたテーマのいわば続きであります。

 電話の加入権がなくなるというふうによくテレビでも流されていますし、新聞にも載っている、雑誌にも載っている。ふざけるな、そういった声がよく載っているわけでございます。私もよく調べてみたんですけれども、施設設置負担金というNTTが最初電話に加入するときにかけている料金と加入権というのは概念的には別になる。そして、調べていくと、加入権相場がどんどん下がってきている。特にこの一カ月、二カ月で大幅な下落をしている。

 私は、状態としては、この年末年始にかけて加入権相場がもうゼロに張りついていくんじゃないか、そのように分析しているんですね。現実に、今加入権を売ろうと思っても、買ってくれる業者はもうほとんどなくなってきています。買う業者も、例えば三千円で買います、しかしそこから二千円プラス八百円の手数料は省かせてもらいます、そうしたら、もうほとんど手取りはないわけですね。実際、売る側としてみたら、ほとんど加入権の価値はなくなってきている。

 何が原因かというと、それはよく言われていることですけれども、ことしの十二月から日本テレコム、ソフトバンクが参入する、来年の二月からはKDDIが参入する、基本料金のサービスが施設設置負担金なしで始まるからなんですよね。そういうことを考えたら、加入権相場はゼロに張りついていく。現実的にもう売る方はゼロですから、市場価格がゼロになっていくというふうに認識すべきだと思うのですが、政府としてはどのように把握されているでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘がありましたように、これは電話の加入権というものと、昔、電話の銅線が敷設されていなかった時代に、これを早く進めていくための施設設置負担金というものは、基本的に本来は別物なんですが、設置負担金を払うとくっついてくるという話だったんです。

 一つは今言われました点もありましょうが、もう一つは、携帯等々の発達によって、施設設置負担金というものなしで、マンションに移ったらもういきなり携帯電話しか使わない、だから、設置負担金をつけて払ってやる人はいないということになってきたというのが一つなんだと思うのです。

 今、市場価格でいくと、施設設置負担金を払ってやろうとすると、公の場で売買されておりますのをマーケットから買おうとすると、大体二万円前後のものを払って買うというのが現実なんだろうと思うのですね。

 それで、加入権の方は加入権の方で、今八百幾らだったかな、覚えていませんので、ちょっと正確な数字じゃありませんけれども、そのほかに今いろいろなのがあるんですが、簡単に言えば、ライトというのが出てきて、月々六百幾ら払えばもうずっといいですよということになりますと、表向き七万二千円で買って、七万二千円を六百幾らで割りますと二十年ぐらいになろうと思いますので、二十年ぐらい使う予定だったら月々払うよりはそっちの方がええという割り算もできますでしょうし、マーケットで買いますと、市場価格で売買一万円だ、二万円だということになりますと、もう少し安くて二年ぐらいのところでいけるということになりますので、マーケット自体の動きがいろいろあることは御指摘のとおりだと思うのです。

 私どもは、この点につきましては、今いろいろ話題が出ておりますので、この意義が失われてきておるのではないかということで、少なくとも、NTT東西も施設設置負担金見直しの意向を有しているのは事実でありますので、電話加入権というものにつきましては、これはいろいろ今言われたように新しいサービスが入ってきますので、市場価格で変動するのは、これはある程度やむを得ぬ、基本的にそう思っています。これは、幾ら固定したって、株と同じで、額面は五百円だけれども、何とか株は百何十円になりました、百円切りましたということもありますから、それはやむを得ぬのだと思っておるのです。

 ただ、今後どうなるかという予想につきましては、ちょっとうかつなことをなかなか言える立場にありませんので、無価値と言えるんじゃないかと言われれば、無価値ですとも言えませんし、そういった立場であります。

 今、五千円とか三千円というお話がありましたけれども、通常五千円ぐらいで買い取りと聞いておりますので、中をとって二万円の大体一万円ちょっとぐらい、平均が大体そんなところかなと思っておりますので、一応の価格が成立しているといえば成立しているんだというように理解をいたしております。

中村(哲)委員 九月に、電話加入権がなくなる、正確に言うと施設設置負担金がなくなるというような報道がありまして、それでもうがくがくがくとこの数カ月、二カ月ぐらいで相場が落ちてしまっているわけですよ。

 将来的に何が向こうに見えるか。ドライカッパーを利用した日本テレコムやKDDIの新サービスがあるわけですよ。それは、施設設置負担金、加入権なしで新しく電話を引けるんです。だから、新しく電話を引きたい人は日本テレコムとかKDDIに頼むことになるわけですよ。

 そうすると、今持っている、電話を引いている人も、日本テレコムやKDDIに切りかえたら加入権は浮くわけですね。だから、浮いた加入権は市場に出すじゃないですか。これは供給がふえるということです。需要の側はどうか。先ほど申しましたように、日本テレコムやKDDIに入れば初期費用がかからないわけですから、需要がほとんどなくなるわけです。供給はふえて需要はほとんどなくなる。だから、市場的には、構造的な理解をすれば、構造的にこの加入権の相場は限りなくゼロに近づいていく。これは火を見るより明らかだということなんです。

 だから、今大臣、相場だから変動はあるとおっしゃいましたけれども、この構造的なファクターを考慮したら、ゼロに張りついていくというふうに今から認識せざるを得ないんじゃないですかということを伺っているわけです。いかがでしょうか。

麻生国務大臣 今の現象面だけ見れば、そうだと言われる点に関しては否定するつもりはありません。ありませんが、私は、限りなくゼロに近づきますなんてことを言える立場にもないということも御理解いただければと思います。

中村(哲)委員 構造的なファクターでどうであるか分析をしないといけないということなんですよ。

 これは皆さん余り御存じないと思うのですけれども、ドライカッパーの開放ということが基本料金のサービスにつながるということを考えていた人は、ほとんどいなかったと思うのですね。二〇〇〇年の十二月に開放された、それはいわゆるADSLを開放するためのドライカッパーの開放だった。これは、基本料のサービスに参入するということは想定されていなかったと思うのですよ。だから、皆さん余り御理解されていない部分があると思うのですけれども、こういう加入権の相場になるということを想定していなかった責任も政府にあると私は思うのです。

 その観点から、続けて質問させていただきたいと思います。

 この加入権をいつまで無形固定資産の扱いをしていくのかということにつながっていくわけです。加入権相場がもうほとんどゼロに近づいていっている。今まで、この加入権というものは財産権として非常に価値がある、だから固定資産として扱う、そういった考え方だったんだと思います。

 関連してですけれども、財務省からこの点について御答弁いただきたいと思います。

倉田大臣政務官 現在、法人税法上、この電話加入権につきましては、一般の機械のように、時間が経過するとともに物理的に減耗する、こういう性質のものではないということが第一点。もう一点は、譲渡性がある。こんなことから、値段がつく、時価というものが出てくる。そういう観点から、おっしゃるような非減価償却無形固定資産、こんなぐあいにしてまいったわけでございます。

 十月十九日に、情報通信審議会におきまして施設負担金のあり方について答申が出されました。しかしながら、答申が出されはしましたけれども、具体的にその答申を受けてどのようにするかということは、電気通信事業者、つまりNTT東日本と西日本が、実際にその負担金を、委員がおっしゃるような、ほかの会社のことも考えて、競争的な立場から、経営判断として具体的にどのように廃止していくのかしていかないのか、こういう問題がございます。具体的にその通信事業者がどうするということが決まっていない段階で、法的な税法上の扱いを今どうするかということは、私どもとしては言えない立場にございます。

中村(哲)委員 それだったら、今後も無形固定資産の扱いをしていくということでいいんですか。そういう御答弁ですね。

倉田大臣政務官 そのように申し上げているわけでございませんで、電気通信事業者が例えば廃止した場合にはどうなるか。電話加入権の性格が変わってまいりますので、法的な税法上の扱いも変えていく必要が出てくる、このように考えます。

中村(哲)委員 そうおっしゃいますけれども、日本テレコムやKDDIは加入権なしでやるんですよ。だから、ほぼ加入権ゼロということと一緒じゃないですか。日本テレコム、KDDIがやるサービスは、基本料金でいえばNTTがやるサービスと同一料金ですよ。そして、加入権なしでサービスするということは、KDDIや日本テレコムのサービスは、加入権ゼロでやるのと一緒なんですよ。その御認識はあるんですか。その認識があれば、いわばその電気通信事業者が加入権をゼロにしているのと同じことじゃないですか。

 だから、何でNTTだけ別なんですか。KDDI、日本テレコムは加入権ゼロ、価格ゼロのサービスをやるわけですよ。今の御答弁だったら、KDDIや日本テレコムにその基準を当てはめたら、もうすぐに税制改正しないといけないということになるわけですよ。何でNTTだけ別なのか。その辺の合理的な説明がないじゃないですか。

倉田大臣政務官 お答えいたします。

 確かに答申も出ております。しかしながら、先ほど申しましたように、NTT東日本、西日本、こういった具体的な事業者がその答申の方向で廃止するか否か、これは独自の判断があるわけでございます。その上で税法上どうするか、こういうことになります。

 それで、そういう方向になってきた場合には、一般論としては、非減価償却固定資産というわけにいかない、減価償却を伴う固定資産になるであろう、一般論としてはそういうことが申し上げられると思います。

中村(哲)委員 私が聞いている話では、NTTは、施設設置負担金はゼロにはしませんよ、少し安くはするでしょうけれども。そうすると、来年どういうことが起こるのか。NTTは施設設置負担金を残していく、しかしKDDIや日本テレコムは加入権料ゼロのサービスを行う。だから、実質的に、法人税で大事になってくる固定資産扱いのもの、今度この処分価格ということを考えた場合、つまり、企業が倒産した場合とか営業譲渡する場合とか、その加入権を処分する査定をしないといけないわけですよね。そのときは、NTTのいわゆる加入権というのはゼロ査定するしかないんですよ。ゼロ査定しないような理由はありますか。

 まず、それをお聞きしましょう。来年になってKDDIや日本テレコムは加入権ゼロのサービスを行う。そして、NTTの加入権を持っている人、それについて処分価格をゼロと査定しない理由はあるのかどうか。そのことについて、倉田政務官、お答えください。

倉田大臣政務官 ゼロとしないということを言っているわけではございません。加入権の実態を見ながら、おっしゃるようなKDDI等の出現によりまして今後どのような実態を持っていくのか、これに沿って税法上変える必要性が出てくるということもわかってはおります。

中村(哲)委員 市場価格はほぼゼロに近づいていく。しかし、施設設置負担金は恐らく残るでしょう。そうしたときに、税制改正をその時点ではしないということでいいんですね。来年は税制改正しないということでいいんですね。

倉田大臣政務官 委員は、NTT両社がこれを廃止しないという前提に立って物を言っていらっしゃるわけですね。

 しかし、これはそれら事業者の独自の判断によって行われることでございますから、それによって実態がどう変わっていくかということも踏まえて、全体の実態、それとKDDI云々、そういった実態を踏まえた上で税法上の取り扱いは変えていくと現段階では申し上げる以外にないと思います。

中村(哲)委員 全く倉田政務官はわかっていらっしゃらないと思いますよ。法人税法には、この定義のところの固定資産には、電話加入権としか書かれていないんですよ。NTTがやる電話加入権とは書いていないんですよ。

 厳密に、正確に言うたら、KDDIや日本テレコムがするサービスというのは、加入権なしでやるわけですから、加入権料ゼロの電話加入権でサービスするわけじゃないですから、ここには該当しませんという話にそれはなるかもしれません。しかし、今おっしゃったように、通信事業者が廃止するかどうかは経営の判断だとおっしゃいますが、もうKDDIや日本テレコムの経営判断では加入権なしでやるわけですから、これはゼロでやるのと一緒なんですよ。

 だから、何でNTTの判断だけを基準にして、日本テレコムやKDDIの判断を基準にしないのか。そこも説明がないじゃないですか。実質的にどうであるのかということを議論しなければ、経済は理解できないと思いますよ。そんな形式論ばかりずっと続けていくと、本当に経済界からばかにされると思います、国会は。そんな認識だから困るんですよ。

 どうされるんですか。もしやめた場合にどうするんですか。そんなの当然じゃないか、質問の前提として。にもかかわらず、やめるかどうかは通信事業者じゃないとわからない。そんな無責任なことを言ってどうするんですか。事が起こってから全部対応するんですか。もう見えているのに、その状況が。来年になったら加入権の相場はほぼゼロになる、論理的にそうじゃないですか。ドライカッパーの開放をやめるというなら別ですよ。ドライカッパーの開放をそのまま残しておいて、加入権相場がどうなるかわかりません。そんな無責任な答弁ないじゃないですか。

 それで、固定資産残すかどうかもNTTの判断だけを基準にするわけでしょう。KDDIや日本テレコムの判断を基準にしないわけでしょう。大体、法人税法がこういう形にできたときから状況が大分変わっているわけですよ。本来、基本料で取らなくちゃいけないようなものを、先に設備として負担してもらわないけないから施設設置負担金というのをつくった。そして、施設設置負担金を払ってもらった人には加入権をお渡ししましょう。

 ある意味、ここでは不公平も生まれているんですよ。三十年前に買った人は、本当はもう設備は更新しているんだから、新たに施設設置負担金や上乗せされた基本料を本来払わなくちゃいけない。しかし、新しく払った、新しく加入した人の施設設置負担金で三十年前の人も加入権として維持をしてもらっているわけですよ。

 しかし、そういった大きな構造が今変化しているということが、こういった情報通信審議会の十月十九日の答申でも示されているわけでしょう。一刻も早く対応しなくてはいけないんじゃないですかということを言っているんですよ。想像力が欠如したまま政策を考えちゃだめですよ。いかがですか。

倉田大臣政務官 電気通信事業者による施設設置負担金に対する今後の取り扱いの内容とか、あるいは、おっしゃるところの売買等の実態、これを踏まえまして、適切に対応してまいります。

麻生国務大臣 中村先生、多分こういう整理なんだと思うのですね。

 基本的には、KDDIとか日本テレコムが加入権無料で入ってくるという話は、今現実問題そこにあるわけです。これと今のNTTの加入権とは直接関係あるわけじゃありません。それは影響を受けるかもしらぬよ。法律上はこっちはこっちの話。(中村(哲)委員「だから、形式的にはね」と呼ぶ)形式的にはそうなるんですよ。形式的にしかわからぬところですから、そういうことになるんです。それはやむを得ぬのです。それは期待しちゃ無理。まず加入権の話。それはそうなるんですよ。

 傍ら、その影響を受けて、NTT東西の持っております一連の話、どんどん下がってきてゼロになるじゃないかという可能性は、ありますとも言えぬし、ゼロとも言わぬし、間違いなくずっと下方硬直することだけは確かだろうと私も想像できますよ。

 そこで、NTTさん、審議会に基づいて、おたくはそれをゼロにするんですか、もしくは加入料を下げるんですかという質問を今投げかけられております。投げかけられた結果、それを判断して、やめますということになった場合は、当然のこととして、今起きたように減価償却を企業に認めて、企業側はそれは債権として持っているんだから、質権設定ができるんだから、そういったような話をという申請が出てこない限りは、財務省は申請なしでいきなり審議なんかしないんですよ。

 だから、基本的に、NTTはその結論を出していないから審議のしようがない。今言っている背景は多分そうだろうな、他省庁の話ですけれども、そんな感じがしました。

中村(哲)委員 いや、他省庁の話じゃないんですよ、一義的には総務省に責任ある話なんですよ。

 麻生大臣、混同されているんです。七万二千円払わないといけないというのは、施設設置負担金なんです。施設設置負担金を払っていただいたユーザー側には電話加入権が発生するんです。そのユーザーが電話をとめた場合に加入権が浮くわけですね。その浮いた加入権は市場で売買されるわけですよ。その市場で売買される加入権に関しては、今相場がどんどん下がってきてゼロに近づいている。だから、NTTが施設設置負担金をどうするかとは別の次元の話として、加入権の市場価格自体がゼロに張りついているという現象が今もう起こりつつある。というよりも、起こってきている。それで、来年になったらそれが確定する、そういう認識を持たないといけないというのが一点。その認識を踏まえた上で、税制をどうするんですかというのが二点目なんです。

 では、施設設置負担金が七万二千円であるのか、それを落とすのかわかりませんよ、仮に七万二千円であったとしても、処分価格である加入権というのはもうゼロに張りついていくわけですから、税制はこっちを基準に考えないといけないんじゃないですかということを申し上げているんです。しかし、倉田政務官は、いや、NTTがどうするかわかりませんと。関係ない話じゃないですか。上のこの施設設置負担金の話をしているのと違いますもの。市場で評価される加入権の話をしているわけです。

 加入権がゼロに張りついていくのを放置しておいて、NTTがそれに合わせて、競争条件上加入権がゼロになるから、施設設置負担金七万二千円というのを下げなければ、それは、新規でNTTで契約してもらう人がいなくなるから、それは下げざるを得なくなるでしょう。しかし、ゼロにしない場合に、ではどう考えるんだということを聞いているんですよ。そのことまで考えていなくて、何が政務官ですか。政府の答弁をしっかり自分の言葉で語れなくて、何が政務官ですか。私は、副大臣来てくださいと言ったんですよ。政務官がちゃんと答えられるということを担保するなら、政務官が出てきてくださって結構ですと。

 財務省は、いつもそうだ。ここで、以前、けしからぬ答弁をされていた政務官がいて、委員会がとまりましたよ。そんなことばかりしているから財務省はだめなんだ。誠実な対応をしなさいよ、もっと勉強してくるとか、そんなこともしないでどうするんですか、これを。

 財務省、改めて聞きますよ。答弁をお願いいたします。

倉田大臣政務官 私も、細かく勉強してきていないのは申しわけないんですが、電話加入権という概念は、これはNTT関係だけじゃないんですかね、第一に。あとは、電話利用権ということじゃないかと思うのですよ。そこのところでちょっと、形式的なことでいくとそういうことになる。

 しかしながら、いずれにせよ、委員がおっしゃるような市場価格というものが影響を受けて、KDDI等に影響を受けて、それが非常にゼロに近いものになっていくという実態があるとすれば、それを踏まえて考えなければいかぬ、税法上の扱いも変えていかなきゃならぬであろう、これはわかっております。

中村(哲)委員 今の、現状認識もされていない、将来に関しては起こってからじゃないと対応しません、今の答弁というのは、そういう答弁なんですよ。

 どうするんですか。形式的な理由ばかり並べて、経済をほっておいていいんですか。それなら、法人税法は将来いじらないんですか。経済団体の要望も強いですよ。ほっておいていいんですか。

倉田大臣政務官 そういうことを申し上げているつもりはございませんが、実態に応じて適切に変えるべきものは変える、そういうことでまいりたいと思います。

中村(哲)委員 実態っていうのは、今どういう実態だと把握しているんですか。

倉田大臣政務官 麻生大臣が先ほど答弁なさったとおり、中値では一万一千円ということを聞いております。

中村(哲)委員 質問できないよ、こんな。何回説明しても、理解する能力ないんじゃないの。

麻生国務大臣 今争っております財務省を総務省が手助けするのもいかがなものかと思いつつも、日本テレコムは、もう中村さん御存じのように、十二月開始、KDDIが来年二月でしょう、たしか。その結果、多分予想されるようなことになるであろうという前提に基づいて、税制改革を今どういうぐあいにするべきか。ゼロとは言いませんよ。私がゼロなんて言うと話が込み入るから、ゼロとは言いませんが、下方硬直してくるのを前提にして、ある程度企業の税制を考えておく、減価償却等々を考えておくべきではないのかという御指摘なんだ、そういうぐあいに理解しているんです。違うの。(発言する者あり)いや、だからさらに下がるだろうと言っているんでしょうが。まだ、今一万一千円なんだから、一応平均価格は。

 だから、そういった意味で、だんだん下がって下方硬直するということになってくると、それに対応して税制も、減価償却なんというのは、企業が何千本も持っている分についてはそれぞれ資産として計上しているわけだから、その分だけは償却させてくれなきゃ困るじゃないか、無税償却させなければ困るじゃないかという御指摘でしょう。私どもも、その段階になったら、それは当然そう思いますよ。私どもとしてもそう思っておりますが、これは決まった段階でないと、KDDIは最終的に決めていないので、何とも言いようがないから言いようがないのであって、だってこれは申請しなきゃどうしようもないんだから。

 だから、社会現象を先取りして、こちらの方でお約束しますなんということを、とても言う立場にありませんから、立場にありませんからというのは財務省がですよ、だから、そういった意味では、これがきちんと決まった段階で、はっきりした段階でということになると多分来年度の税制ということになるんだ、私どもはそう理解しております。

中村(哲)委員 今、言い間違えられたんだと思いますけれども、KDDIじゃなくてNTTが決められるんだと思いますけれども、大臣が言い間違いをされるぐらい、この問題というのはわかりにくい問題ではあると思うのですよ。しかし、もう市場の価格がゼロなんですよ。皆さん、一万一千円とおっしゃいましたけれども、それは古いデータなんですよ。市場価格で考えると、買い取りしてもらうときにはゼロなんですよ。今売っているときでも、いろいろなサービスにはインセンティブがつきますから、それと組み合わせると、買う方でも五百円というのが出てきているんですよ。そういうふうなインセンティブと組み合わされて加入権というのは売られているんですよ。そういった認識もなく、いや、まだ一万一千円だ、倉田政務官、よくそんなことが言えますよ。そんなことで、よく税務行政ができますね。

 もう時間がなくなりましたから、本当に残念です。あと大きな質問二つ残しましたけれども、こういうことでは本当に困る、その一言だけ申し上げまして、本日の質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

実川委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

実川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党・無所属クラブの田嶋要です。どうぞよろしくお願いします。

 きょうは、補助金、交付税を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、最近のあるマスコミのアンケート結果をちょっと見ていて、いろいろ政府の重要な政策課題がございますけれども、小泉さんが一番力を入れたがっておられる郵政民営化というのはわずか九%程度の、重要政策だと思っている方が非常に少ないわけでございますが、それよりもさらにはるかに国民が重要だと考えていない政策課題が新聞では出ております。それが何だとお思いでしょうか、大臣。

麻生国務大臣 前にも申し上げましたように、新聞は努めて読まないようにしていますので内容はよく知りませんけれども、地方分権とかいったのが一般的には余り御理解をいただいていないところではないか。想像です。

田嶋(要)委員 そうですね。私もそれほどまでにと思ったんですが、実際に新聞等の結果を見ますと、最も国民の目から見て優先度の低いというか、国が一生懸命取り組むべき政策で一番低い優先度になってくるのが分権改革だと出ております。かなりはっきり出ておるわけですけれども、では、なぜそういうような国民の感覚だというふうに、大臣、お思いでしょうか。

麻生国務大臣 これまた想像でしか答えようがありませんけれども、国から地方への権限移譲でありますから、一般的な国民の方にとって、それは何を意味するか、自分にとってどう影響が出るかということに関してはほとんど関心がない。地方官庁と中央官庁の話で、ふだんの生活で直接自分には関係がないというような感覚かなという感じはいたします。

田嶋(要)委員 やはり一般の住民から見て、この間民主党のどなたかがいい例えをされたと思うのですが、将軍と大名の間の権限争いみたいに見えて、一般の町民から見ると何のことやらさっぱりわからないというような御指摘がありましたけれども、全くそのとおり。地方分権といっても、何か官の中での権限、財源のとり合いみたいなところがクローズアップされて、それが一般住民にどういうメリットがあるのかということはなかなか伝わっていないんじゃないかなというふうに思います。

 最近は急にこの分野が新聞でも書かれるようになってまいりましたけれども、やはりその重要性をもっと国民にしっかりと訴えていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っております。

 これもまた最近、岩手の方だったと思うのですが、アンケートが一つございまして、住民の目から見て、日々その地域で暮らしていく人たちがどういったところのサービスをいいサービスと見ていないかというようなアンケート結果が出ておりました。岩手ですから増田知事のところで、いろいろな改革も積極的にされているところだと思うのですが、その結果を見ますと、これまた断トツで、やはり相変わらずお役所のサービスに対して不満だ、不愉快だというアンケート結果がはっきり出ております。

 やはりそういうものを見ていても、日ごろ、自分たちが生活する中で一番不快な思いをいっぱいさせてくれる役所のところに権限が行っても、果たして自分たちにいいことはあるのかと思っている住民が極めて多いのではないのかなというふうに思います。

 そしてもう一つ、その同じアンケートで、じゃ、そういう不愉快な思いをした方々はどういう行動をするかということが出ておったんですが、普通ですと、お店で嫌な思いをしたら違う店に行く、文句も言わずに違う店に行くというのが答えですね。ところが、この行政サービスだけは、残念ながらそれができない。つまり、選択肢がないということが、この行政サービスがどうしても国民から見て、サービスの提供者として一番不満な主体になりやすいということだと思うのです。

 どうしてこのように不満感を国民に与えているかというもう一つの理由として、中で働いていらっしゃる方々自身が余りハッピーじゃないんじゃないかというふうに私は思うのですが、その辺に関してはどのように思われますか。

麻生国務大臣 だれが首長というか地方自治体の長をやっているかによって随分変わるというような感じは、自分の選挙区にありましたある市を見ていて率直にそんな感じはいたします。最初のころは新しい首長が来て結構戦々恐々たるものでありましたけれども、今はあそこは結構元気に働いておるかなという感じはいたします。一番上に立つ人の地方自治体を経営する感覚とか、地方自治体というのはシビルサーバンツという言葉が一番的確なんだと思いますが、いわゆる市民の公僕というふうにでも訳すのかな、そういう感覚というものからいって、行政サービスを行うサービス業というような感覚があるかといえば、隣の大阪市に勤められた方に聞いていただいた方がわかりやすいと思います。それをお持ちになってきっと勤めておられたのが、不満で多分やめられて、これは想像ですけれども。そういう意味で、これはなかなか難しいところだとは思います。

 ただ、市民としてそこで目につくところというのは、直接自分が対応する相手の態度ということになってくると思います。ふだん一般市民が市に行く用が何かあるかといえば、極めて限られた用件、もう十もないと思いますので、そういった用件の中でということになるのかなと思わないでもありません。少なくとも、市民と直接対話をする立場にいる人たちの対応の仕方というのは、市民感情を不快にさせたり快適にさせたりする極めて大きな要素を持っているとは思います。

田嶋(要)委員 アンケート結果は、直接市民と接する担当の方々のイメージということなんですが、やはり私は、これまでの中央集権型の中で執行だけをやっていればよかった、逆に言えば、はしの上げおろしまで上からすべて指示をされている国の形というのが、地方の公務員の方々の仕事のやりがいという意味でも大きく足を引っ張っていたんじゃないか。そういう方々が住民と接するときに、自分も余りおもしろくない、その結果としてのいろいろな不満がいろいろな態度に出ているんじゃないかなというふうに思います。

 今回の地方分権、そういった意味で私は人間性の回復だというふうに思っております。地方にいろいろな権限、財源を渡していく中で、みんながやりがいのある仕事ができるようになる、それを全国で分かち合う、それが創意工夫を引き出すということにもつながるし、ひいては、国民の生活が全体として引き上げられていくのではないかというふうに考えております。

 次の質問なんですが、総務省が年金に関する行政評価・監視というものを出されておりまして、それに関して、これも同じく割と最近の新聞に出ておったものです。

 この評価結果によりますと、私もこれは大変驚いたんですが、今の社会保険庁、全国の県単位の業務量の表というのがございまして、それを見ますと、私の地元の千葉県が、一人当たりの業務量が一番多いんです。千葉県というのは鳥取県の三・四倍の業務量になっているというような結果が出ております。

 私は、社会保険庁というのは全国で一つの組織だと思っておるわけなんですが、普通考えると、一つの組織で当然、人員配分というのは最適化が行われる。企業であればそうじゃなきゃ普通もたないわけですけれども、何でこんなことになっているのかなというふうな素朴な疑問がわいたんです。こういった監査をされた総務省の方から、まず御意見をいただきたいなというふうに思います。

麻生国務大臣 これは、資料に基づいていきますと、今言われましたように、千葉県で社会保険庁の職員一人で持っておる人口が、七千三百十一、それに対して、鳥取県で二千百六十二、差が三・四倍。多分この数字かなと思います。

 総じて、埼玉県も同じく七千二百九十人とか出ておりますし、同じく高知県二千百八十九人等々の差がずっと出ているのだと思いますが、千葉、埼玉、神奈川、茨城、いずれも関東地区の一人当たりの数が非常に高いように思われるのは、これは多分東京都周辺の人口急増地帯。傍ら、鳥取、高知、島根、人口の伸びの少ないところというのが、多分、昔のままの比率でいってそういった形になっているのだなと思います。

 これは、地方分権一括法ができます前には、都道府県知事の指揮監督下にあったのが社会保険庁のこの人数ということで、異動というのは、基本的には県内異動を基本としておったと思われますので、都道府県間の定員異動というのが行われず今日に至っていたのだというのが多分その背景だろうと思っております。

 ただ、現実問題として、今言われるような三・四倍の異動が起きております。そういったところで、この最適な人員配置をやらないかぬと思いますので、今般の年金に関する行政評価・監視結果というのに基づいて、これは社会保険庁に対して総務省として見直しの勧告を既に行っているところでありますので、今後とも業務量に応じた効率的な配分が行われるようにせないかぬということだろうと思っております。

田嶋(要)委員 こういった勧告というのは、初めてされたんでしょうか。

麻生国務大臣 私の記憶しているところでは、初めてです。

田嶋(要)委員 少なくとも、社会保険庁の県単位という特殊事情があったらしいんですが、平成十二年以降は今の形になっておるということだと、十二年から、今十六年ですね、四年間、社会保険庁長官以下の経営幹部はこういった問題に関しては何かアクションをとったんでしょうか。社会保険庁の方から、もしわかれば。

森岡大臣政務官 田嶋委員にお答えしたいと思います。

 現在の地方の社会保険事務局間の定員配置に一人当たりの事務量の格差が生じているという御指摘、まさにそのとおりだと思っております。そして、今も麻生大臣からお答えがございましたように、これは、平成十二年の四月前は、地方事務官制度によりまして、県内の異動はありましたけれども、都道府県間の異動が行われなかったということがございます。

 それ以降何もしなかったじゃないかという御指摘じゃないかなと思うわけでございますが、平成十四年度には、国民年金保険料の収納事務が国に移管されました。それに伴いまして、若干の増員は認められましたものの、大した効果がなかった、そうして今日まで来ているということも事実でございます。そして、今、新しい社会保険庁長官を迎えまして、社会保険庁は、これだけ国民的な批判を浴びているものですから、そういう定員の見直しも含めて、今一生懸命やっているところでございます。

 その問題の一つに、組合の問題があるんじゃないかということも一つ言われております。自治労傘下の国費評議会、これが七割の組織力を持っておって、非常に強固な組合だということも言われているわけでございます。組合がそういう改革を妨げることのないように、今は社会保険庁長官に協力するという姿勢をとっておられるものですから、労使一体になってやっていきたいな、そんなふうに考えているところでございます。

田嶋(要)委員 新しく長官になられた村瀬長官、どこかで発言を読みましたけれども、毎日毎日えっというようなことの連続だというふうにおっしゃっておりました。そういう意味では、これからでも、遅きに失した感はありますけれども、ぜひともある意味常識的な組織のあり方にしていっていただきたいなというふうに本当に思っております。

 ちょっと、この数字の激しい落差を見ていると、民間では決してあり得ないような、信じられない状況が、アクションをとられたというお話ですけれども、やはり本来は四年前から抜本的に取り組んでいなきゃいけなかったんじゃないかなというふうに思っております。

 続きまして、若干それに関連した質問も後ほどさせていただきたいんですが、三位一体改革に関しまして、最近いろいろ新聞でも急に脚光を浴びる改革になりつつありますので、何のための改革かという、その改革の意義のところをもう一度改めて大臣から御答弁いただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 何度か答弁申し上げましたので、田嶋先生には重複するところもあろうかと思いますが、基本的には、少なくとも、明治四年に廃藩置県をやって、三百大名と言われておりました、正確には二百七十幾つの大名を、いわゆる藩で所属しておりましたものを全部中央でやる目的で中央集権政府をつくり、もって日本の近代化というものに対応するというのをやってのけた。

 この制度は当たって、少なくとも、当時の国際情勢を踏まえれば、日本は列強の植民地になり得るという状況下にあったときに、この制度を採用して、義務教育をやり、徴兵制をやり、ありとあらゆる中央集権制度をやった結果、少なくとも、たった三十何年かで、あのナポレオンすら勝てなかった帝政ロシアに勝てたというのは、間違いなくこの制度が当たったと思っております。

 また、戦争に負けました昭和二十年以降、敗戦後も、間違いなく日本というのは、経済復興という国家目標を立てて、それにあわせて、中央官僚主導、業界協調というこの体制で、少なくとも、日本という国は、経済復興に最重点を置いて経済政策を立案し、それに対して金融を傾斜配分させる等々のことをやって、日本の経済復興はたった十年をしてもはや戦後ではないという言葉を生み出すまでに成功した。私は、これはいずれも成功した制度だったと思っております。

 ただ、御存じのように、近代工業化社会が終わって、脱工業化社会という言葉が言われるようになって十数年たとうかと思いますが、その状況下にあって、今までのように、一つの価値観でみんなというような時代ではなくなった。それにあわせて、地方は地方なりにいろいろな形で、その地域にいます住民の自治とかいったものがいわゆる地域に住んでおられる方々の関心となってきて、いろいろな意味で地域間格差ということを、今までのように、最低条件、電気が通っていないとかテレビが見えないとか電話がとか水道がとかいうような、いわゆるライフラインの最低なところがほぼいけた。

 それ以上のものを目指すということになると、その地域によって差が出るということになってくるんだと思うのです。うちはこれが欲しい、いや、あっちは違うという意見が出てきて当然だと思います。そうなってくると、これは、一つの価値観を押しつけるのではなくて、その地域でいろいろやっていくという必要を認識されて、御存じのように、平成十二年に地方分権一括法が施行された。いわゆる地域主権をネタにしてそれが出たんだと思います。

 地方自治法の一部改正とも言われますが、この法律が通ってかれこれ四年ということになります。分権はした、しかしそれを実施するためにはそれを裏づける財源が要る。その財源自体を、そのときは先延ばしして決めなかったというのが背景だと思います。その点が、今、三位一体と言われる税源移譲等々の話につながってきている背景だと思っております。

田嶋(要)委員 おっしゃられたとおり、これまでの中央集権がもちろんすべて悪かったということではなくして、かなりの成功の理由がそこによるものだというふうに私も思います。

 ただ同時に、コンセンサスとしてやはりこれからは分権化をしていかなきゃいけない。もうこれはしっかりでき上がっているコンセンサスだと思うのですが、それを受けて、今回このような、八月に地方六団体から意見が出てきて、その結果を踏まえての今の各省庁のリアクションというのは、全く私は情けない、そのように思っております。

 麻生大臣も忌憚のない意見をホームページの中でいろいろ語られているようですけれども、そもそもこの六団体から意見を出してもらおう、その背景は、やはり現場のことは現場に聞かなきゃわからない、東京であれこれ言っているんじゃなくて、補助金をもらっている側から説得力ある意見を出してもらおう、しかも、六団体、いろいろな意見がある、それを苦労して一つの一本の意見として覚悟を持って提出してきたんだと私は思うのです。その辺に関しての背景をちょっと教えていただきたいんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 補助金を地方が必要としているからと中央官庁が言うが、地方は要らないと言っている補助金を、要るだろう、要るだろうと言うのは、ちょっと優先順位が違うんじゃないか。こんなのはだれが考えたってわかりますよ。それが背景です。

 そこで、この際、地方に任せてみたらどうだ、熊本と愛知は違うでしょうがと当たり前の話を当たり前にして。地方は当然違うんです。それでも、よく言われる三千の首長さんにしてみれば、またいろいろ立場が違うのは当たり前のことであって、県と市町村はまた違いますから。県から補助金をもらって出ている分もありますので、県と市町村はまた違う。

 そういったものも全部まとめて、少なくともということで、深夜に及ぶ議論を経て今回の案が出てきたということだと思います。地方も、これをまとめるにはかなり真剣な議論をなされた結果でなければ、こんなものはとても簡単に出せるはずはありませんから、そういった背景というものを考えれば、少なくとも今回の地方から出された案は、思いつきや何かで出されたわけでも何でもないので、そういった意味では、きちんと対応されてしかるべきだ、私はそう思っております。

田嶋(要)委員 総務大臣あるいは小泉総理のリーダーシップが非常に問われる局面に来ているというふうに思いますけれども、各省庁からの主張を見ていると、いろいろ言いたいことを言っているような感じがします。

 一つ例を挙げれば、環境省が言われている理由がすごいですね。環境省所管の地方向け補助金のうち、改革対象補助金の占める割合が九〇%を超え、他府省と比べ不公平だという主張をしている。こういう理由で、まじめに出してきた地方の意見に対してこういうことをよく平気で言うなと私は思うのですけれども、そもそも代替案というのは、三兆円に対しての三兆円の代替案を出さないことには、代替案とは言えないというふうに私は思います。

 本当にこういうようなことを、それぞれの省益に基づいたことを言い続けているようなときではない。ぜひとも十一月の半ばまでにしっかりまとめていただくということを、この場をもってもう一度大臣の方からお約束をしていただきたい。これはもうずれることは許されないと思います。来年までとかと言っている人もいますけれども、ぜひともこの十一月の半ばまでにしっかりと三兆円移譲の形をつくっていただくということを御答弁いただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 田嶋さん、今までそれだけの既得権益があったのを手放すというのは、そんな簡単な話じゃありません。

 この間、安住さんにも御答弁申し上げましたし、ほかの方にも御答弁申し上げたと思うのです。その話というのは、少なくとも、興味がなかったというさっきの世論調査が出ていましたけれども、できっこないと思ったのは興味がなかったんです。僕はそう思うのです。それが、何となくこの数カ月間、どうやら事が動き始めるらしいということになって、新聞も多分興味を示し始めて書き始めたのかな、それが結果的に国民の関心も買ったのかな、これまでのメディアの不勉強が結果として関心を買わなかったんだと言えなくもないと思って、私はいつも総務省番の人にはそう言うのです。

 こういった形で、三兆円の税源、財源を前倒しして渡すとか、地方に考えさせるなんということは、過去、少なくとも私の知っているこの二十五年間ではそんなことは一回もありませんから、これはまことに画期的なことが今行われて、それができるかできないかという瀬戸際に来ていると思っております。少なくともここまで踏み出して事が進んでおります以上、きっちりまとめ上げたいと思っております。

田嶋(要)委員 総務省におかれましては、まず隗より始めよという姿勢で、ぜひとも不退転の決意で取り組んでいただきたいと思います。

 六団体改革案で出ております総務省向けは九十五億円ということで、唯一総務省だけはそれを満額受け入れる。額は非常に小さいですけれども、受け入れるということで、それは最低限当たり前のことだと思いますけれども、やはりそれ以外の面でも総務省が率先して、聖域をつくらずに改革をやっていただきたいというふうに思っております。

 同じく分権改革に関連してですが、権限と財源とセットにして、人によっては権限、財源、人間という言い方をする方もいらっしゃいますが、権限と財源をこれから地方に移していく。では、人はどうなるのかという話が出てくるわけでございます。

 先ほど社会保険庁の話をいたしましたが、あの一つの組織を見ても、これだけ長年にわたって最適ではない形での人員配分が温存されている。私は、官であるからこそああいうことが起きるんだと思います。保険庁の特殊事情ということもあったと思いますが。

 であれば、やはりいろいろ心配になってきます。分権して権限や財源が地方に行った、けれども、相変わらず人の配分はこれまでどおりということになるのではないかなという懸念があるんですが、その点に関してはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 地方公務員につきましては、少なくとも、二〇〇三の地方財政計画で、四年間で四万人ということで、一年間一万人の削減というペースで純減を図るということで定数削減を行っておるんです。田嶋さん、ただし、忘れぬでくださいよ。お巡りさんの注文はそっちから来ているんだからね。お巡りは増員しろと言っているわけですから。だから、その分はちゃんと頭に入れておいていただかないと、減らせ減らせだけ言ったってもちませんからね。

 ですから、減らす分と出す分とめり張りをつけて、配分をしなきゃいかぬところは多分配分しなくちゃいけないんです。CIQ、税関、それから植物検査等々については、これは全然足らぬわけです。そのために、外国から客を呼ぶといったって、それは人間が足らぬという話は今いっぱいあるわけなのです。そういったへこませるところと出すところといろいろ含めた上で一万人削減という基準を決めて、二〇〇三において年間平均一万人ということで、少なくとも今実行はきちんとされつつあるという段階にあろうと思いますので、その方針で進めたいと思っております。

田嶋(要)委員 ぜひとも、先ほどの社会保険庁の例に見られるようなことが二度とほかの組織で起きないようにお願いをしたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 ちょっと済みません。CIQは国家公務員です。だから、地方公務員でいくと、お巡りさんとかいったところが多分ふえるところで一番大きくなるところかなと思っております。

田嶋(要)委員 よろしくお願いいたします。

 それと関連して、例えば地方公務員と国家公務員みたいな制度の問題もあるかと思いますが、やはりこれからは地方の方に行った方がおもしろい仕事がいっぱいあるんだということで、今でも国家公務員が県庁の部長さんに二年間とか三年間行っているケースがありますけれども、戻ってこずに、それぞれの地域でやりがいのある仕事をふやしていってほしいなというふうに私は思っております。

 あともう一つ、人の関係に関しまして、これから地方に求められる人材のスペックといいますか、これまでは執行を中心にやってきたんですが、やはりこれからはもっと企画力というものをつけていかなきゃいけないというふうに思います。

 そういったところに関しましては、三位一体の分権の範疇の外の話だという話も聞いておりますが、どのような人材育成の計画をお考えになっておるか、御答弁をお願いします。

麻生国務大臣 御指摘のように、地方の方が現場を持ちますものですから、稲見さんなんかよく御存じのように、例えば大阪府の道路局に採用された阪大出身の技術屋と、同じく阪大を出て建設省に勤めた技術屋が二十年後大阪府に出向して、どっちの方がより輝いて仕事をしているか。フィールドを持っている方が仕事をしている。これは、ある建設省の役人が言ったせりふなので非常に印象的でした。自分はフィールドを持っていない、しかし、大阪というフィールドを持って、そこの道路行政を一手に引き受けてやっている人の方が、二十年もたてば、やはりより経験を積んで磨かれるという例として、自分の実感を言っておられたのが非常に印象に残った話だったんです。

 私どもとしては、やはりそういった現実を踏まえて、過日地方公務員法の改正というのをやっております。そういった勉学をする間は休んでいいという休業制度をつくりました。きちんとしたことをやりさえすれば十分にそういった機会を与えるべきだということで、やはり人材育成というのは、ただただ勉学していても、行政というのは現場を持ちますので、学者をやっているんじゃありませんので、そういった意味では、なるべく多くの仕事をさせる機会というものはすごく大事です。特に地方自治を預かる者としては、地方でということはすごく大事です。

 事実、その地方出身者、県出身者のいろいろ要請を受けているところでもありますので、それがそのままそこに定着するのはそれもよかろう、私どもは率直にそう思っております。

 いろいろな意味で今時代が大きく変わりつつある中、やはり仕事に生きがいがある、地元の高校を出て、その地元の仲間のいるところで一緒にとかいうのもあるでしょうし、逆に、その同級生となかなか折り合わなくて難しいとか、これはいろいろ例はいっぱいあるんです。

 そういった意味では、基本的には、そういった現場にいることによって、仕事を通して人が磨かれる部分は大きいと思っておりますので、大局観と現場感覚、両方うまく兼ね備えるような公務員になるべく、努力をさせねばならぬと思っております。

田嶋(要)委員 よく人、物、金ということを言われますけれども、この地方分権改革でも、権限、財源ということだけでなくして、最後は人の問題が出てくるんじゃないかというふうに思いますので、その育成計画を、霞が関でつくるだけじゃなくて、それぞれの地域での民間との交流とかそういう形で、本当にこれからの地域・町づくりに必要とされる人材を地域の役所の中にも育てていっていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、地方交付税の話を若干させていただきますが、質問通告していない点を幾つか聞きたいんですが、事実を確認したいということで、お願いいたします。

 地方財政計画、これはもちろん交付税改革と非常に関係があるわけですが、この地方財政計画がいろいろと問題が多いというような話も、財務省と総務省がいろいろけんかをしているという話もさっきございましたけれども、地方財政計画というのはだれが策定をするんですか、素朴な質問なんですが。それと、地域というのは何か発言権が与えられているんでしょうか。

瀧野政府参考人 地方財政計画につきましては、総務大臣が策定いたしまして国会に報告するということになってございまして、その中で、地方団体の方につきましては、それぞれ、正式な形じゃございませんけれども、地方団体の推薦した方々が地方財政審議会というところへ出てきておりますので、地方財政審議会の中で地方財政計画についても議論をするという形で、地方団体の意見を反映するようにしているところでございます。

田嶋(要)委員 これはきのうの読売新聞なんですが、「使い回し、七―八兆」という結構大きな数字で見出しが出ておりまして、ちょっとその中身に関して御質問をしたいんです。

 これは財務省的な主張だと思うんですが、実際には投資的経費として使ったよりもはるかに少ない額が使われている、その結果、七兆から八兆の使い回しが行われている、つまり、投資的経費と言っていたにもかかわらず、実際には経常的な経費あるいは地方公務員の給与に回っているんではないかという主張がありますが、これはどなたがしゃべったか知りませんが、それに対しての総務省の反論は、「過大計上の見直しは、実際に必要な一般行政経費の計上額の増額とセットで議論する必要がある」という反論なんですね。その後はだれか新聞記者が書いているんでしょうけれども、要するに、「一般行政経費の「過少計上」にも問題がある」という読み方だと思うのですが、こういう発言をされたのは事実でしょうか。

麻生国務大臣 これは、その記事に関してだれが言ったかは存じませんけれども、ほぼ同様のことを私の方も経済財政諮問会議で財務大臣に直接言っておりますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、過大計上の件につきまして言わせていただければ、これは、今年度の予算をつくりますときに、閣議決定に基づいておりますので、それは財務大臣も一緒に閣議に参加してサインをしておられますので、それは、どういうおつもりかよくわかりませんけれども、自分でサインして、自分で予算提出したものが過大計上などと言うのは、とてもじゃないけどというのが率直な実感です。

 それから、今、乖離があるとよく言われております。一般行政経費と投資的経費というのとよく差が出てくるところなんですが、二兆九千億の話が一般行政経費に乗っかっておる。それは予定より多いじゃないか。傍ら、投資的経費は二・五兆円と低いではないか、その乖離が非常に大きいという話が、よく出てくる話の二つ目のところだと思っております。そのほとんどのものは、地方にとりましては、地方で裁量できる分ですから、その分は一般行政経費の方が必要に迫られておる。

 例えば、先ごろ出ました市町村の医療、国保のところのマイナス分を埋めたりしている分やら何やらがありますので、その分が地方では補てんできませんので、約四千二百億ぐらいになると思いますができませんから、その分を投資的経費からこちらに回しておるということを申し上げておるのが背景です。

 財務省からもらった資料によりますと、例えば、百歳になったら町の方でお祝い金が出ますとか、老人の無料ふろ券がついておるとか、いろいろな話がざあっと書いてあって、それだけ読めばあたかも、それだけが二兆何千億あるような感じがいたしますけれども、現実問題として、二兆九千億と二兆五千億の差の約四千億というものの内容を見ますと、乳幼児の医療費の助成というのが約二千億、老人医療費が約一千億というのがその四千億の中にさらに含まれておりますので、これは削れるかという話は地方にとっては非常に大きな問題だ、私どもはそう思っております。高齢者の無料乗車券等々が、その他残りの一千億のうちの中身で、このざあっと書いてあります中身は、全部足して約一千億弱のものだ、私どもはそう思っております。

 したがいまして、投資的経費と一般行政経費との乖離というものは、出しているものだけがおかしいというのではなくて、一体で是正しないととてもではないが対応できるものではない。これは、経理の技術的な面から申し上げてもそうだと思っております。

田嶋(要)委員 では、もう一度確認をしますけれども、そうすると、地方財政計画を策定されておる総務省の方は、投資的経費が過大になっていること、そして一般行政経費の過少計上、この両方を最初からわかっていてやっているということでよろしゅうございますか。

瀧野政府参考人 地方財政計画を策定する際に、財政当局ともいろいろ折衝するわけでございますけれども、そういった中で、そもそも地方財政計画は、全体として地方財政の収入、支出の状況をとらえまして、その中で、全体の枠としてその収入、支出がバランスするように持っていこうというものでございます。

 その場合の内訳として、今御指摘のような投資的経費でありますとか一般行政経費というものがそれぞれあるわけでございますけれども、それぞれの費用項目につきましては、どうしても決算にすべて引きずられるのかどうかという問題がございます。決算をそのまま計画にするという考え方はもちろんございますけれども、基本的には、国の政策とそれから地方のいろいろな予算編成と、両方がリンクして公経済というものが成り立っているわけでございますので、計画をつくるときには、地方の決算も見ますけれども、国の経済政策、財政政策との整合性ということも一つ大きな課題であるわけでございます。

 そういった中で、どうしても国の経済政策が、公共事業については来年こういう方向に持っていこうというようなことがございますと、一遍に、その地方財政計画を、決算との乖離の調整ということになかなか毎年毎年の計画の中ではやり切れない部分が実はあるわけでございます。その中で、全体として財源を保障していこうということでございますので、毎年毎年の計画の中で個別の費目についてきちんと決算に適合させるということよりは、全体としての財源保障というところに力点を置いてきたというのが今までのところかなというふうに思います。

 そういった中で、今回、三位一体改革ということで、交付税改革というのが大きな議論になっているわけでございますので、それのもとでございます地方財政計画につきましてきちんとした規模是正ということをしていく必要があるのかなということで、今我々も取り組もうとしておるということでございます。

田嶋(要)委員 ちょっと時間がなくなりました。長い御答弁ですと、私の質問に対してどういう答えだったのかわからなくなってしまいますけれども、ぜひともこの地方交付税の部分も含めて聖域にしてほしくないというのが私の最後のメッセージです。

 いずれにしても、総務省がまず隗より始めよの気持ちでないと、この大改革は進まないというふうに思っております。地方交付税の配分権を一手に握っておる総務省だと思いますけれども、そこが今後どうなるかもわからない、そういうところまで含めて大改革に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 当然だと思いますが、一つだけ。

 地方交付税というものは、仮に今後町村合併が進んで、二千とか二千五百とかいうところまでずっと縮小したとしても、地方において、人口差または法人事業の数の差によって格差は必ずつきます。これはなくなるということは私は考えられぬと思うのです。何らかの形で、特に地方、過疎のところにおいてはそういったものは避けがたいと思うのです。

 それをある程度埋めてやるというバッファー、バッファーというか調整する能力というものはある程度持っておかないと、これは極めて不均衡とか不公正というそしりを免れぬと思いますので、その調整力というのは必要なものだと思っております。いずれにいたしましても、今御指摘のありました点等々を踏まえて、きちんと対応していくべきものと思っております。

田嶋(要)委員 調整は必要ですが、調整主体は必ずしも今後も総務省だとは限らないと思います。そういうことまで含めまして、ぜひ改革を進めていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 四十分時間をいただきました。十月の二十三日に新潟県中越地方で発生いたしました中越地震、これに関して総務委員会の中で質問させていただきたいと存じております。

 ことしは本当に災害の多い年でございまして、新潟県内では、七・一三水害、ここからようやく復旧の見通しが立ち始めた、そういうときに襲った地震でございました。非常に強い震度の地震がたび重なって襲っておりまして、死者既に三十七名、今もなお五万人を超える皆さんが避難生活をされているということでございます。

 本当に、余震が続いておりまして、これは水害や阪神大震災とも少しばかり違う点だと思いますけれども、住民の皆さん、非常に大きなストレスを抱え始めております。これは小さなお子さんから高齢者の皆さんまで例外ではございませんで、なおかつ、壊滅的な被害を受けたところ、なお復旧の見通しは立っておりません。孤立した集落、山合いの集落などでは、地域が崩壊する危機に面しているところもあるのではないかと言われております。

 倒壊した家屋の修繕、これから始まります仮設住宅への入居、あるいは寸断されたままになっている交通網の修復、あるいは生活の糧を失った人々への長期的支援など、課題は山ほどございますけれども、ぜひとも一人一人の住民の立場に立って、政府としては復旧の支援をしていただきたい、こういうふうに考えております。地域の皆さんも内外からの善意に支えられて何とか頑張っておりますので、御支援をお願いしたく存じます。

 さて、被災した新潟県の状況について報道が続いております。地震直後、都内のある駅でしたけれども、新潟県への旅行は差し控えてください、こういうアナウンスがございました。確かに被災した地域、打撃は非常に大きいものがございまして、県外にいる友人からも、私のところに心配する電話やらメールやらたくさんいただいておりましたけれども、決して新潟県全域が大惨事になっているということでもないわけでございまして、実際には元気な観光地もあるんですけれども、そういったところも観光客のキャンセルが実は相次いでいる。やはり情報というのは非常に大きな力を持っているなということを改めてまざまざと見せつけられた思いがいたしました。

 それで、今回の地震では、まず災害発生時の情報伝達の流れに問題はなかったのか、そして、今後災害が発生した緊急時にどのような情報通信対応を考えているのか、その点についてお考えを伺っていきたいと思っております。

 まず、省庁間での連携ということ、あるいは総務省と地方自治体との連携ということでございますけれども、今回の中越地震の件について、実は、長岡平野というふうに呼ばれまして、文部科学省の方から十月に、そこでやや高い頻度で地震が発生する可能性があるというような調査報告が出されておりまして、これは、伺いましたら関係自治体へも説明があったということでございます。

 消防庁の方もその調査会に参加をされていたということでございますので、そのことについては承知しておられたというふうに思いますけれども、地方と国とのパートナーシップ、こういったことを非常に重視してやっておられる政府のこと、この地震発生の予知の調査報告を受けて機敏に対応していただいたというふうに思っておりますけれども、関係自治体あるいは政府、庁内ではどういうふうな連絡、連携をとってこられたのか、伺います。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 お触れになりました件は、文部科学省の地震調査研究推進本部が、日本全国に存在します活断層につきまして、九十八ほどあるようでございますが、この活断層の長期評価の一環として実施されたものとお聞きをいたしております。長岡平野西縁断層帯の長期評価という形でおまとめになられたものでありまして、十月十三日に公表されております。

 この内容につきましては、私どもそのメンバーになっておりますので、公表以前の九月八日に開催されました推進本部の地震調査委員会で内容をお聞きいたしております。

 その後の私どもの対応でありますけれども、この九月八日の後に、十月四日だとお聞きしておりますけれども、文部科学省におかれましては、地元の県、市町村に対しましてこの長期評価結果を御説明される会を開かれておるようでございまして、地方団体には文部科学省の方から連絡がされたとお聞きをしております。

 ただ、私どもといたしましては、九月八日にこの調査委員会で内容を承知いたしましてから、関係職員はその内容の分析に入っておりまして、具体的には、文部科学省が関係地方団体にその調査結果を報告されますと、地方団体は県、市町村におきまして地域防災計画の見直しをすることになるわけでありますけれども、その御相談を受ける立場にもありますので、その際は、私ども、今後の防災対策に対しまして指導助言ができるよう、この分野につきましても準備をいたしていたところでございます。

 いずれにいたしましても、防災につきましては、関係省庁また関係機関が連携を密にして対応する必要があると考えておりますので、情報の入手等については意を用いてまいらなければならないと考えているところでございます。

西村(智)委員 そのときの文部科学省からの調査報告、新潟の長岡平野のほかにも、私の記憶ですと三十数カ所あったやに思いますけれども、十月十三日にこの報告が出て、地震が十月の二十三日なんですね。

 要するに、申し上げたいのは、ほかの地域もいつあのような地震が発生するかわからない、このことは強く申し上げつつ、防災計画の見直しを鋭意迅速に進めていただきたいと思います。それぞれの自治体、得意、不得意分野はおありでしょう。首長さんはたくさんいらっしゃるけれども、すべての首長さんが災害に特に強いということは言えないところもあると思います。そこのところは消防庁の方でリードをしていただいて、ぜひとも、空白地域にまさに寝耳に水といったようなことにならないように、そこは強くお願いをしておきたいと思います。

 そこで、実際に地震が起こったときの情報、通信のことなんですけれども、自治体間での連絡、あるいは消防や警察への出動要請、省庁への連絡、今回の中越地震が発生したときにどのような手段で行われたのか。これは検証をされてみましたでしょうか。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 発災直後の情報収集につきましては、私自身も災害対策本部で直接当たっておりましたので、その経験を踏まえてお答えを申し上げるわけであります。

 消防庁におきましては、二十三日午後五時五十六分、発災直後に、まず気象庁からの震度情報が入電されました。直ちに災害対策本部を設置いたしまして、まず行いましたことは、全都道府県に一斉ファクスによりまして地震緊急連絡を流しました。そのうち、特に震度が大きかった県、新潟県等でありますが、これらの県、市町村及び地域を所管する消防本部とは電話等によりまして情報を聞き取ったわけでありますけれども、主にNTT回線、または市町村に設置されております消防防災行政無線によりまして、具体的には、一一九番通報がどうなっているか、庁舎内や周辺の被害状況はどうか、また応急体制はとれているか等々につきまして報告を求めたところでございます。

 地震発生直後でもありまして、特に震度が大きかった町村の一部、例えば山古志村であるとか川口町であるとか、このようなところではNTT回線が不通になっておりましたし、また防災行政無線も建物の損壊等によりまして一時不通であった。あるいは、市町村の区域内でも、道路の損壊等により直ちに被害の全容を把握するには限界があるというような状況でありましたけれども、先ほど申し上げましたようなNTT回線、防災行政無線によりまして、所管の消防本部を通じて可能な限りの情報収集に努めたところでございます。

 また、消防庁といたしましては、そのような各県担当を通じた情報収集に加えまして、具体的な情報をとる必要もございましたので、当日のうちに消防庁から現地に職員を派遣させましたし、また、緊急消防援助隊のヘリを現地に派遣いたしまして、状況把握に努めたところでございます。

西村(智)委員 今回、孤立した集落からの情報収集がおくれたというような指摘がございますね。こういったところからの情報収集はどんなふうに行ったんでしょうか。

林政府参考人 御指摘がございましたように、確かに、今回の災害では、一部、孤立した地域からの情報収集に苦労をいたしました。

 具体的には、当日の記憶をたどりますと、例えば小千谷市の塩谷集落であるとか、あるいは山古志村、あるいは川口町における集落におきましては孤立した地域が多く、県からの情報によりましても被災状況が把握できないというのが当日の状況でございました。特に山古志村におきましては、NTT回線が不通となりましたし、また、非常時の非常電源装置を持っておられたわけでありますけれども、防災行政無線も建物損壊により不通となって外部と連絡がとれない、こういうこともございまして、孤立した集落の情報確保が大変困難な状況にございました。

 私どもといたしましては、消防救急無線等を通じて情報把握に努めたわけでありますけれども、当夜のことを申しますと、これらの集落につきましては、夜飛びました県警ヘリからの情報で、山古志村におきまして一部火災が起こっている、こういうような情報は確保しておりましたけれども、基本的には、夜が明けてからのヘリコプター等による活動によりまして初めてこれら集落の被災状況の全容が明らかになったところが多かったのが事実でございます。

西村(智)委員 防災通信ネットワーク、現状はどうなっているか、今のお話を聞きましておぼろげにわかったような気はいたしますけれども、その中で、防災無線システムが一体どうなっているのかということがいま一つよくわからない。

 今回の地震では、やはり孤立した集落が非常に多かったということ、そしてまた、それらの集落がなぜ孤立したかといいますと、土砂崩れですとか道路の損傷などで道路が分断されて情報がとりに行けなかったというようなこともございます。つまり、今まで防災体制と申しますと、例えば車を走らせていくことも考えられたと思うのですけれども、もう道路に頼ったような防災体制というのはこれからはなかなか考えにくい。市町村合併が進んできて、役場もだんだんそれぞれの集落から遠くなっていくということになってまいりますと、市町村防災無線の重要度が上がってくるのではないかというふうに考えております。市町村防災無線の設置に向けた消防庁のお考えをお伺いしたいと思います。

 同時に、そういう市町村防災無線の設置が必要と思われる孤立地域、全国に数多くあると思うのですけれども、これについては、例えば何カ所ぐらいあるというふうに把握していらっしゃるんでしょうか。

 同時に、防災行政無線のアナログ化からデジタル化ということが言われております。午前中の質疑でもございました。双方向の防災通信ネットワークをつくるためにデジタル化が進められているようでございますけれども、そうしたデジタル化された防災行政無線を、数値目標なり設定して、総務省はどの程度まで整備していくおつもりなんでしょうか。現状の把握と、目標としているところ、そこを伺いたいと思います。

林政府参考人 防災行政無線についてのお尋ねでございますが、防災行政無線には、都道府県と市町村をつなぐ県防災行政無線と、市町村と市町村内の施設とを結ぶ市町村防災行政無線があるわけでございます。

 都道府県の防災行政無線は、現在、整備率は一〇〇%となっておりまして、県と市町村は無線によって結ばれている状況にございます。ただ、これにつきましても、今回の災害等のように、無線の施設が地震等によって損壊されますと使えないというようなこともございますので、私どもは、停電に備えての非常電源装置の設置、あるいは堅固な建物への設置、あるいはそういう災害時に操作が十分できるような訓練等をお願いいたしているところであります。

 それで、お尋ねになりました市町村防災行政無線の方でございますが、これは、今年夏の集中豪雨以来、数次にわたる台風の襲来もございましたが、それぞれの被災地を見てまいりますと、市町村の防災行政無線の整備はまだまだおくれていると私ども思っております。ちなみに申し上げますと、全国平均ではまだ六七・八%にとどまっております。都道府県別に見ますと、整備率が一〇〇%になっている県もございますけれども、三〇%台にとどまっている県もある状態にあります。

 私ども、防災を担当する立場といたしましては、いざ災害発生あるいは有事の際は、できるだけ早く一斉に住民の皆さん方に状況を伝達していただく市町村防災行政無線の整備は何よりも重要な緊急の課題であると思っておりますので、市町村にできるだけ早くこの整備をお願いしたい、こういうふうにお願いをしているところでございます。

 特に、お触れになりました孤立した集落につきましては、市町村から情報を伝える、それから逆に集落から市町村に情報をいただくということも重要になってまいりますので、今後、整備に当たっては、双方向通信機能やデータ伝送装置を有するデジタル方式をお勧めしてまいりたいと考えているところであります。

 なお、お尋ねがございましたデジタル方式でありますが、今年度も補助対象といたしまして採択をし、整備をされている団体がございます。現在、デジタル化を踏まえてそのような計画をお持ちの団体が数多くあると想像いたしておりますが、具体的な整備目標等を持ち合わせておりませんので、御理解いただきたいと思います。

西村(智)委員 整備目標を持っていないというのはちょっと驚きなんですけれども、なぜできないんでしょうか。その整備目標すら持てない、これは国民生活の安全、安心を預かっている立場としてはちょっと信じがたいことなんです。ちょっと基本的なところでして、防災通信システム、あるいは防災無線システムと読みかえてもいいんですけれども、国か地方か、一体だれの責任で整備すべきものなんでしょうか。

 災害対策基本法第八条を読ませていただきました。国及び地方公共団体は、ともに、「その施策が、直接的なものであると間接的なものであるとを問わず、一体として国土並びに国民の生命、身体及び財産の災害をなくすることに寄与することとなるように意を用いなければならない。」その第二項で、「国及び地方公共団体は、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止するため、特に次に掲げる事項の実施に努めなければならない。」というところで、「被災者に対する的確な情報提供に関する事項」というふうにございます。それで、防災基本計画を読みますと、こういった情報伝達の仕組みは地方公共団体が整備するべきだというふうに解されるところもあるんですけれども、ただ、国とか地方公共団体、公共機関の方も確実な情報伝達のための体制整備はしなさいというふうに書いてありますから、これは国にも責任はある、むしろ国にこそ責任があるというふうに私は申し上げたいんですけれども、これはだれの責任で整備すべきものなんですか。

林政府参考人 基本的に、私どもが関心を持っている消防防災通信ネットワークについての役割分担について申し上げますが、私どもは、国、消防庁と県との間で消防防災無線というのを設置しております。これはもう国も直接責任を持って整備すべき分野でありまして、これは現在設置されております。

 それから、都道府県におきましては、先ほど申し上げました都道府県と市町村との間を結ぶ都道府県防災行政無線というのを設置していただく必要があるわけでありまして、これは県の責任でやっていただきたい。先ほど申し上げましたように、一〇〇%一応設置されております。

 それから、さらに今度は、市町村の中で市町村と地域内の施設あるいは住民の方々とを結ぶ市町村防災行政無線というのがございますが、これはまた市町村の責任で設置をしていただきたいということをお願いしているわけでありまして、それぞれ、国、県、市町村の防災計画の中に位置づけて、全体としてこのような通信ネットワークを築き上げていきたいと思っております。

 国におきましては、県、市町村におかれまして防災行政無線を設置する際の財政的な支援を含め、また技術的な御助言を含めて御相談に乗らなければならない立場にあることはもちろんでございます。

西村(智)委員 市町村防災行政無線も、これは補助金が出ているわけですよね。確認ですけれども、よろしいですよね。

林政府参考人 市町村が防災無線を設置される場合、ある基準に該当されました場合は補助対象といたしておりますし、また単独事業におきましても、地方債と交付税をあわせた制度で財政的な支援をさせていただきたくことになっております。

西村(智)委員 では、今後の防災行政無線整備のための補助金のあり方等について考え方を伺います。

 消防用の無線局における百五十メガヘルツ帯の使用期限は平成二十八年五月三十一日までとし、平成二十三年六月以降は、現に指定を受けている周波数を除き、新たに百五十メガヘルツ帯の周波数の指定は行わないものとする、こういうふうになっているとお聞きをしておりますけれども、それはよろしいですね。これは平成十五年の十月に出された電波法関係審査基準の一部を改正する総務省訓令八十二号によるものというふうに私は理解をしておるんですけれども、それで御確認をいただいたと思っております。

 防災無線は、やはり重層的になければならない災害時の通信ネットワークの最後の命綱だというふうに思っています。後でまた時間があればお伺いをしたいと思いますけれども、固定電話も携帯電話も、災害時優先電話や公衆電話を除いて相当にこれは通信規制がかかる、こういうことになりますと、そちらの方で、例えば一般の住民、孤立した地域の住民の方が被災状況を伝えようとしても現状で災害時優先電話などがなければできないわけですね。そういったところの手当てはどうするのか。

 衛星携帯電話ですとか、ほかの、メール機能を持ったものの利用とか、いろいろ考えられはしますけれども、それもやはり一つの細い線にしかならないわけでございまして、もう一つやはり重層的にネットワークというのはなきゃいけない。最後の通信網として防災行政無線の設置、これはやはりやっていっていただきたい。消防庁も考えていらっしゃるとおっしゃいました。でしたら、厳しい地方財政を熟知している立場の皆さん方としては、こういった周波数帯の変更やデジタル化に伴って新たな予算措置が必要になってくる、これは想像の範囲内だと思いますけれども、将来発生する財政的措置なども勘案していらっしゃることと思いますけれども、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

 近年、三位一体改革の議論の中で補助金の削減が至上命題となっております。総務省の補助金の中でもとりわけ消防防災施設等整備費補助金などは、これはどうも私が調べた範囲では、平成十六年度当初予算は前年度比でマイナス、減額になっているというふうに思いますけれども、今後どういう考えでこれをやっていかれるのか、お伺いします。

林政府参考人 繰り返して申し上げますが、私ども消防庁にとりましても、地方における防災行政無線のネットワークの構築は緊急の課題だと考えております。このため、私としても、機会を見まして地方団体の方々にその整備、しかもその整備をするだけではなくて、災害時に使えるように堅固な建物への設置、あるいは停電した際の非常用電源装置の準備、さらにはその際に十分操作できるような訓練を重ねてやっていただきたいということもあわせてお願いをいたしているところでございます。

 御指摘になりましたように、災害の要諦でございますので、すべての地方団体におきましてこのネットワークができるだけ早く完成されるよう私どもとしても御助言をしていきたいと思っております。

 なお、そのためでありますけれども、私ども、県別の防災無線の整備率を公表して、まだまだ平均に満たないような団体については急いでいただきたいというようなこともお願いをいたしておりますし、また予算面でも、この行政無線の整備につきましてはできるだけの御支援をしていかなければならないと考えております。

 確かに財政厳しく、全体の消防の設備補助金は十六年度の場合、前年度に比して減となっているところでございますけれども、防災行政無線に係る補助金につきましては、御要望のあった団体に対しましてはすべて採択をさせていただいておりますし、また、単独事業で実施を御希望になられる場合は防災基盤整備事業という枠を用意させていただいておりまして、本年度におきましても御希望のところはすべてこの単独事業も許可をさせていただいているところでございます。

 今後とも、地域におきます防災行政無線は、単に災害時のみならず、さきの通常国会で御審議いただきました国民保護法に基づく地域住民の方々の安全を守るためにも基本的な設備であると考えておりますので、明年度予算におきましても必要な枠を確保するよう頑張ってまいりたいと考えているところでございます。

西村(智)委員 麻生大臣、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

 総務省の補助金の中で、この消防施設等に関するものというのは非常に大きいわけですね。今、三位一体、総務省と財務省とまさに一体となって進めていただいている中で、総務省はどこをどういうふうに考えているのかということは、事国民生活の安全、国民の生命と財産を守るというのは政府の基本的な立場でしょうから、そういった点から、この消防施設等の補助金について、地方にお任せをするというのでしたら、それはまた一つの考え方だというふうに私は思いますけれども、果たしてそういうふうに言ってしまうことが今この時点でいいのかどうか。これは本当に悩むところだと私は思いますけれども、大臣はこの点についてどのようにお考えですか。

麻生国務大臣 先ほど同僚の田嶋議員からは隗より始めろというお話で、この部分も例外ではないと聞こえるような発言もあっておりました。これはなかなか難しいところなんですが、西村先生、基本的には、これは全国で今同報系の無線というのは六七%ぐらいできている。多分東海地震やら何やらを考えられたせいだと思いますが、やはり静岡県が一〇〇%。一〇〇%に近い九八%、七%いっているところは東京都周辺地域だと思っております。ちなみに新潟県はたしか五一%ぐらいですか。福岡県はもっと悪くて三十何%だと記憶するんですが。地域によってすごく差があるというのは、これは多分上にいる人たちの意識の差もあるでしょう。

 御存じのように、石炭の出たところ、石炭地域は地震はありません、地震が三度以上あったらもう炭鉱は全部つぶれますから。ですから、基本的には地震がないところだから炭が掘れたということでもありましょうけれども、そういったところもありますので、地域によって意識の差が、少なくとも地震については非常に差がある、私どももそう思っております。

 ただ、今おっしゃるように、あの一連の補助金の削減の中にこれも一つの例として入ってきておると思います。御存じのように、今年、国民保護法という法律ができ上がっております。この防災無線というのは、何も災害に限ったわけではありませんので、同報系の無線、有線、使える範囲が極めて広い要素を持っておると思います。

 私どもとしては、国民保護の観点から、いろいろな意味でこの種の防災に対する対応を考えねばならぬと思っておりますので、災害に特に限らず、デジタルになれば双方向も使えますので、防災のデジタル化を含めていろいろな形できちんと対応してまいりたいと思っております。

西村(智)委員 例えば、そういった防災行政無線と並行して、被災者からの災害情報の発信というところもぜひとも念頭に置いていただきたいというふうに思います。

 同報系は、私のイメージですとラッパです。一方的にアナウンスが出されるだけであって、被災地の状況がどうかということについては収集できない。そういう双方向でどうできるかということをぜひ念頭に置いていただいて、衛星携帯電話、そういったことについてもぜひとも検討していただきたい。これは要望しておきたいと思います。

 戻りまして、消防庁長官、先ほど非常用発電装置のことについてお話しいただきました。今回も、県からの防災無線でヘルスチェックをかけていったら、十九カ所の設備で異常が見つかったということでございますね。どうもその多くは非常用電源がないために不通になったというような話がございますけれども、実はもう既に一年前にこの非常用電源の課題というのは明らかになっていたんじゃないですか。宮城県沖地震における市町村防災行政無線の使用状況等に関するアンケート調査、これは総務省の東北総合通信局が行っております。このまとめの中で、設備の保守管理というところの項目で、停電時などの電源確保はもう既に改善すべきこととして挙がっていたわけです。

 一年以上たっていて、また今回の地震で非常電源の不備などということが言われた。昨年のこの結果というのは全くむだになったんじゃないか。一年間という時間をむだに過ごして、そして防災無線の非常用電源の問題が依然としてまた全く一年前と変わらず残っているということは、これは一体どういうことなんでしょうか。せっかく総務省になりまして一体となったわけでございますから、もっと機動的に、教訓を生かすように対応すべきではなかったかと思いますけれども、どうでしょうか。

林政府参考人 その点につきましては、私も、二十六日に被災地、現地に入りました際に、そのような問題を抱えられました市町村長さんに対して、今後は気をつけていただきたいということを強く申し上げてきたわけであります。

 ちょっと御参考までに申し上げておきますが、今回のこの中越地震におきましても、新潟県、九十八市町村おありでございますけれども、そのうち二十九の市町村役場が停電となりました。ただ、長岡市や十日町市等の十市、この二十九のうちの十の市町村では、自家発電設備によりまして防災行政無線が作動いたしておりました。そのような訓練もされておられたとお聞きしております。

 しかしながら、停電となりましたこの二十九市町村役場のうちで、私ども、以前からお願いをしておったわけでありますけれども、残念ながらこの自家発電設備を備えておられなかった役場が一カ所ございました。それからまた、自家発電設備がありながら、今回の地震の際にそれを作動させることのできなかった市町村が十八市町村ございました。合わせて十九の市町村で県防災行政無線が不通となったわけであります。

 私どもとしては、以前から、その設置に加えて、災害時に作動できるような訓練もあわせてお願いをしたいというようなことも重ねてお願いをしておったわけでありますが、今回、新潟県の関係市町村におきましては、残念ながらそのような状況がございましたので、私どもは、文書をもちまして、その設置促進に加えまして、耐震性のある施設への設置、非常用電源設備の設置、さらには操作をするための訓練を平常時からお願いしたいということを全国の市町村に改めてお願いさせていただいたところでございます。

西村(智)委員 どうも、消防庁の熱意が果たして本当に自治体の方に伝わっているのかどうか、私は全く疑問に思うわけでございます。

 これは集中豪雨のときにも思ったことでございますけれども、新潟県と福井県でのあの集中豪雨による水害の後、高齢者などの避難支援に関する検討会が立ち上がったというふうに聞いています。ここで、私の方の要望としては、災害弱者の避難あるいは情報伝達の仕方、これはぜひとも総務省一体となって、地域がとにかく頑張っていますから、今、例えば地域防災コミュニティーですとか、NPOやボランティアとの協働、あるいは、要援護者というふうに呼んでおりますけれども、要援護者登録制度などなど、本当に地域が頑張っておりますから、これは国も一緒に頑張って、そういった仕組みを支えていかなきゃいけない。

 総務省の方にも、あるいは消防庁の方にもぜひどうぞというふうに要望しておりましたら、昨日レクに来ていただいた方は、それは内閣府の仕事でございましてというふうにおっしゃった。事災害については、そういう言い逃れはしていただきたくないと思うのです。これは責任の所在を明らかにせよということと表裏一体ですけれども、縦割りでは防災はできないと思うのです。そのことをぜひ肝に銘じて、これから被災者支援ということになってまいりますと、まさに省庁をまたがった支援体制をとっていただかなければいけませんので、そのことを要望しておきたいというふうに思います。

 時間が参りましたので、最後、一点お伺いしたいことがございます。

 今回いろいろ注文はつけましたけれども、消防庁の皆さんには、迅速に駆けつけていただいて、本当に救援活動、広域的な対応も含めて御努力をいただいたことを、最後になりましたけれども、お礼を申し上げたいと存じます。現地で本当に献身的にやってくださっている皆さん、頭が下がる思いでいっぱいです。

 こうした活動を見させていただいて、改めてやはり女性の消防職員が少ないなということを感じました。一体どのくらいの数がいるのか、これはわかりませんけれども、避難されていらっしゃる皆さんは非常に精神的なストレスも身体的なストレスもため込んでいる中で、やはり女性消防職員の存在というのは大きいんじゃないか。これは、実際私がもう十近く避難所を回らせていただきましたけれども、そういうところを回りながら感じたことでもあるんですね。ぜひとも女性の消防職員をふやしていただく御努力をいただきたい。

 ことし十月に、ちょっと消防庁のホームページを拝見しておりましたらおもしろい通知を発見しまして、「女性消防職員の採用に係る留意事項について」というものでございました。

 女性に対する平等な受験機会の提供に努めなさいよとか、採用試験の認定と評価に当たっての留意事項はこうですよとか、体力試験の判定基準はこうしなさいというような、本当に、実際に不平等が採用時にあったのではないかと思わせるような通知を、私、発見してしまいました。

 ぜひ、ふやしていただきたいということなんですけれども、数値目標を設定して、それに向けて御努力をいただくというようなお考えまでお持ちかどうか、これをお伺いして終わりたいと思います。

林政府参考人 せっかくの機会でありますので一言、先ほど防災行政無線の設置促進、内閣府というようなことをうちの職員がお話ししたということをお聞きしました。私ども、それは政府を挙げて地方団体における整備を促進してまいらなければならないと考えておりますことを、まずお伝えをさせていただきたいと思います。

 ただ、地方団体、県、市町村におかれましても、昨今の災害のことを考えますと、安心、安全がやはり行政の基本でありますので、危機意識を持っていただきまして、何よりもそのときに必要と考えられる防災行政無線の設置、運用につきまして、いま一度点検の上、その整備を図っていただきたいということを、私ども強くお願いをしてまいりたいと思っていることをお伝えさせていただきました。

 御質問の女性消防吏員の件でありますが、現在、消防吏員数十五万三千二百九十五人のうち、女性の方々は千七百七十六人ということでありまして、毎年度増加の傾向にはございますけれども、確かに、全体の一・一六%というまだまだ低い状況になっております。

 しかし、私ども、消防の業務の中で、警防だけではなくて、救急だとか予防だとか、女性の方々に活躍していただける分野が多いと考えておりますので、ことしに入りましてからは、既にもう三度にわたりまして、全国の消防本部に先ほどお触れになりましたような通知をさせていただきまして、女性消防吏員、また団員の拡大について御協力をいただくようお願いをいたしているところでございます。

 消防吏員につきまして、具体的な数値目標を現在のところ持っておりませんが、御指摘いただきましたようなそのようなものを持ちながら、女性吏員の拡大に努力する必要もあるのかなと思っておりますので、参考にさせていただきたいと思います。

西村(智)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

実川委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 どうも初めまして、今回から総務委員会に所属させていただきます楠田大蔵でございます。覚えていただきますように、お願いいたします。

 冒頭申し上げたいと思いますが、遅まきながら、麻生大臣、再任おめでとうございます。私にとりましては、麻生大臣は福岡の大先輩でございます。楠田幹人のせがれでございますが、うちのおやじが以前から、JCや福岡県の自民党員として大変先生に御指導をいただいておりました。また、私の母方がもともと飯塚出身でもございまして、母方の曾祖父が飯塚で筑豊木材という会社を打ち立てまして、麻生大臣のお父様、太賀吉先生が商工会議所の会頭をされておられるときに、うちのひいじいさんが副会頭を務めて、補佐をさせていただいたという関係もございまして、自民党の中では大変尊敬をいたす方でございます。そういう意味では、今回再任をされて胸をかりることができますことは、私は個人的に大変うれしく思っておるところでございます。

 そうした御縁をいただいておりますが、ちょっと通告していなかったんですが、先生の地元、福岡の直方出身の香田証生さんが大変痛ましい事件に巻き込まれたということで、私からももちろん心からお悔やみ申し上げたいんですが、その中で、我々民主党として代表質問もさせていただいておりますが、小泉総理の最初の発言といいますか、自衛隊を撤退することはできないというのは、我々ももちろん一致し協力をさせていただいておりますが、余りにも犯人側に対しての呼びかけというのがなかったんではないかなという認識を私もいたしております。ただ、答えはなかなか難しいとは思いますが。

 地元の方がそうしたことになられたということも含めて、まず麻生大臣の御見解をお聞きできたらと思います。

麻生国務大臣 初めての質問で通告外が最初に出てくるなんてなかなか大したものです。普通は、一応まじめに読まれてというのが普通なんですけれども、最初から通告外で来るところが、おやじさんよりはよっぽど度胸が据わっていると改めて感心して聞いていました。

 香田さんという直方の方のお話ですが、まず、これは何といったって痛ましいのは家族だ、私自身はそう思っております。そして、遺族が一連の事件に関連した人に対して、丁寧に感謝の意を述べられるなどというのはなかなかであって、私どもとしては、頭の下がる思いであると同時に、お悔やみを申し上げるところであります。

 今お話しの中で、バグダッド市内に、よほどの任務であるならともかく、確たるものがない中でいる旅行者、観光等々に、退避命令というのはたびたび出ていると思いますが、それにもかかわらず、何となく興味本位で行かれるというのは、これは、関係者はもちろん、家族は無論、いろいろなところにいわゆる多額の経費を要することでもありますし、それによって振り回される方々も、自分の本来の業務以外のことということになりますと、いろいろな迷惑がかかることもありますので、ここらのところは、御本人の自覚というものは絶対持っていただかないかぬところなんだ、私自身はそう思います。

 それでも行かれる方もいらっしゃるというのは、これはジャーナリストを初めいろいろな方々、いろいろしかるべき理由がおありの結果なんだと思います。この種のことが起きるというのは、本来はこのテロというものがそもそもの問題なんです。テロというのは戦争じゃなくて犯罪でありますから、そういった意味ではきちんとした対応がなされていくのであって、私どもは世界じゅうからこのテロというものに対して非常に多くのことをこの数年間で学んだと思います。

 私どもとしても、この種のテロというのはサリンというので、一回、五千人に及ぶ被害というのが我々のすぐ目の前で起きた例もありますので、テロというのに無縁の世界ではない。そういった意味では、私どもとしてはきちんとした対応、準備というものをすると同時に、いろいろな方面から、国民各位のいわゆる自戒やら、また自分で学んでいただかないかぬところもいっぱいあるんだと思います。しかし、起きた以上は、最善の対応をさせていただいた結果だと思っておりますけれども、いずれにしても、甚だ痛ましい話だったと思っております。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

楠田委員 私は、地元の方でもあるということと、また、対応、発言に対してどうかということでお聞きしたつもりでございますが、ちょっとこの件は……(発言する者あり)わかりました。

 ではというのも変ですが、この点、大変大事なことで、我々も代表質問でも聞かせていただいたことでございます。

 確かに、そうしただれに問題があったかということはさまざま意見はあるかもしれませんが、やはり最初の発言でその選択肢を相手から奪ってしまった、問いかけをしなかったということは事実であった。しかも、事件自体は、想像をしましても余りにもひどい事件だと思っておりますから、この点に関しては、次にといいますか、これからの課題としても、もう一度ぜひお答えいただければと思います。(発言する者あり)

麻生国務大臣 質問の意味が、やじの方だけ聞こえましたけれども、その他の方はよくわからぬので、質問の御趣旨は今のやじと同じようにとってよろしいですか。(楠田委員「はい、いいです」と呼ぶ)立って答えてください。議事録に残りませんから。

楠田委員 済みません。申しわけないです。

 もう一度ということですから言いますが、総理の発言が、最初の時点で、自衛隊を撤退しないという、毅然とした態度はもちろん必要かもしれませんが、それにしても、犯人側に対して香田さんの解放を呼びかけるような問いかけがなされるべきであったのではないかということでございます。それに対してどう思われるかということでございます。

麻生国務大臣 これは、基本的には主たるは外務大臣だと思いますけれども、外務大臣からいろいろな呼びかけがあった、私はそう記憶しておるんです。その上で、日本としてはこの一件によってイラクから自衛隊を撤退させるつもりはないということを日本のメッセージとして伝えた。

 その伝え方についていろいろ御意見があるのかもしれませんけれども、日本の意思は極めて明確に伝わるというのは大事なところだと思っております。

楠田委員 これは周りの先輩方からもいろいろありますが、私としては、私がその立場に立ったときに、どういう対応をし、どういう発言をするかということに対しても、正直答えは出ておりません。ですから、この大臣の発言に対して、これ以上私からも言えないので、次の質問に移らせていただきます。

 本論に入らせていただきます。政治と金の問題という点で聞こうと思いましたが、ちょっと時間的にも押しているということで、後へ回させていただきまして、問四から聞かせていただきたいと思います。行政評価という制度についてまずお聞きをしたいと思います。

 平成十四年四月からこの制度が始まったと記憶しております。そのときにはまだ住友銀行に勤めるサラリーマンでございましたが、プラン・ドゥー・シーという極めて民間では当たり前の観点を国の概念、政策に取り入れるということで、大変国民の信頼にもつながるんじゃないかなと期待をした記憶があります。

 この制度が、しばらくたちましたが、今現在において予算要求にどのぐらい反映をされているか。できれば具体的に、どれだけ予算減、支出減につながっているかということをお答えいただければと思います。

麻生国務大臣 細目は田村の方から答弁させます。

 平成十七年度予算要求への反映状況ということなんだと思いますが、九月三十日に公表いたしております。十七年度予算要求に反映した政策評価の件数は一千四百九十件でありまして、事前評価四百二十七、事後評価一千六十三、足して一千四百九十ということになろうと存じます。それを受けまして、見直しを行ったものは約四割ぐらいに上がっておりますので、それなりの評価は出てきているんだと思います。

 やはり事前評価については、いわゆる評価法で義務づけをされております公共事業とかODA、それから研究開発等々いろいろあるんですが、その他の分野につきましても、この種の手法は大事なところでありまして、私どもとしては、さらに見直しに取り組んで、もっといいものができるのではないかという線で行政局長の方に指示をしておりますので、細目は行政局長の方から答弁させます。

田村政府参考人 ただいま大臣から御答弁いたしましたように、ことしで見ますと、一千四百九十件ほど政策評価を行いまして、予算に反映させているわけでございます。具体的に、これについてある程度見直しを行ったというものが約四割ほどあるわけでございますけれども、具体的にどれぐらいの金額が取りやめになっていたかということで見てみますと、要求時点で、これを受けまして廃止、中止、休止したものが、十七年度要求につきましては二千三百四十二億円ほどの金額に、トータルを積み上げますとこうなっております。

 ちなみに、昨年行われました十六年度要求におきましても政策評価を行いまして、トータルしますと二千億ほどの事業が見直しの結果、廃止、休止になっているという状況でございます。

楠田委員 私としましては、結構まだ積み上げの余地はあると思います。

 事前評価と事後評価というのがあるとお聞きしていますが、特に事後評価というのはどのように行うのかというのを簡単に、できれば具体的な例を挙げてお答えいただければと思います。

田村政府参考人 事後評価の方式は、各府省で事後評価を行っている中で、特に実績評価方式というのを非常に多く採用してございます。

 実績評価方式と申しますのは、あらかじめ政策効果に着目した達成すべき目標を設定しまして、この目標に対して実績がどうなっているかというのを定期的、継続的に測定して、事業が終了した際にまたそれを総括して、目標の達成度合いについて評価をするということで、各府省で非常に多く採用されている方式でございます。

 具体例として申し上げますと、例えば、農林水産省で申しますと、農林水産省の政策に漁村地域における総合的整備の推進というのがございまして、これに使われております指標が、一つは漁業集落排水施設による処理人口比率、これを例えば四〇%にする。現在が三一%なので、もっと促進しなければいけないとか、あるいは地域住民の漁村整備に対する満足度がどのくらいあるかというアンケート調査によりまして、これをできるだけ高めていく、数値によって、去年が八〇だと来年は九〇目指そう、あるいは最終的には一〇〇目指そう、こういうふうにやっております。

 それから、国土交通省の例でちょっと御説明いたしますと、住環境、都市生活の質の向上ということで、例えば、都心部における住宅供給戸数を平成八年度からの累計で平成十七年度までに百万戸供給するという目標を立てまして、各年度それにどう近づいていっているか。あるいは、一人当たりの都市公園面積を、一人平米目標を平成十九年度には九・三平米に持っていきたいということで、例えば現況が、十四年ですと八・五平米でございますので、これを目標に向けて進めていく。

 それで、今の目標値につきまして、さらに各府省は具体的な政策手段をその下につけておりまして、それに基づきまして、おくれているところにつきましては、それを見ながら、各政策手段、具体的には予算事業でございますけれども、それを次年度に向けて予算要求をしていって、その目標達成に向けて努力していくということでございます。

 今申しましたように、定量化できるものは各府省それぞれ定量化しているわけでございますけれども、なかなか行政の性格上、定量化になじまないというものもございまして、私どもも、各府省もできるだけ定量化してわかりやすいようにする方向で努力していこうということで、十四年度は全体の三割でございますが、十五年度は約五割の事業につきまして定量的に目標設定を各府省においてしております。

 今後ともこのような努力をしまして、できるだけ事後評価についてきちんと国民にわかりやすく、かつ、実効性のあるものにしていきたい、このように思っております。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

楠田委員 ちょっと長くなりまして時間が足らないようですので、要点だけ言わせていただければ、目標、目的というのがあって、その数値化をできる限り図っていくということが要点であると思います。それによって評価は決まってくると思います。

 それをお聞きしていましたのはどういうことかというと、実は、今進んできております市町村合併、合併特例法という法律があって、その合併が進んできていることに対する評価というのが総務省の中で当然行われてきていると思うのですが、そもそもこの評価が既に行われているのか、今の時点で。もしくはこれから、改めて確定をした後から行っていくのか。イエスかノーかだけでもいいですから。

今井副大臣 楠田議員にお答え申し上げます。

 イエスかノーか、こういうことでございますので、評価は行わせていただいております。

楠田委員 評価は行っているということですが、その評価の中身というか方法を聞いていきたいと思います。

 合併特例法の目的というものはそもそもどうなっているでしょうか。特に、コスト削減というか、財政基盤強化というものがその中に含まれているのか。また、加えまして、平成十一年の改正で新たに地方債の特例、合併特例債の規定が盛り込まれたと思いますが、この法改正によって新たな目的が何か加わったとお考えでしょうか。

今井副大臣 お答えを申し上げます。

 リストラ目的だけでは理念がないわけでございますので、今後、住民に最も身近な基礎自治体が主体となって自立性の高い行政サービス、事業を行っていくことが必要なわけでございます。

 そういう意味では、地方分権を推進していくということは、一番身近な基礎自治体とそこに住む住民とのかかわりを大切にしていこう、こういうことでございますので、市町村合併を進めることによって分権社会を確立していきたい、こういう趣旨でございます。

 特例法でございますけれども、地方分権の推進が大きな政策課題となっている中で、市町村合併を積極的に推進することが大事であろう、このように思っている次第であります。

 以上です。

楠田委員 もちろん、リストラだけでは理念がないというのは、それは当然のことでございます。私が聞きたいのは、それも目的に入っているかということでございましたが、当然それも入っているとお聞きしていいんでしょうか。(今井副大臣「はい」と呼ぶ)

 それでは、そうした目的、さまざまあると思いますが、具体的な数値目標というのがあったのかどうか、この目的の指標に対して。お答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 私が大臣に就任したのが昨年の九月二十何日だったと思いますが、その段階で三千百八十一の市町村がございました。それが、今現在、大臣のところで署名をし、終わったものまで入れますと二千六百十六市町村ございます。これはサインした後だめになった例がないので、二千六百十六はほぼ確定したものと思っております。

 どれくらいを数値目標かというと、平成十二年の十二月に閣議決定されております行政改革の大綱で、「与党行財政改革推進協議会における「市町村合併後の自治体数を千を目標とする」」と一応掲げてあるのは事実であります。私どもとしては、千という数が現実的かどうかはちょっと別にいたしまして、少なくともこの一年間で約五百ぐらい進んだ計算になろうかとは思います。

 いずれにしても、私どもとしては、二千を切るぐらいまでは頑張らないかぬと思っておりますけれども、これから先の方がむしろ難しいかなという感じが正直なところで、幾つか協議会はできておりますが、これが全部まとまれば千の台まで乗ってくるとは思っておるんです。私どもの地元の二市八町が、合併する予定だったのが半分になったり三つになったり、いろいろ例がございます。合併が壊れた後はまた別で話を進めたりしておりますが、少なくとも、そういった目標が一応この大綱では千と上がっているというのが実態であります。

楠田委員 千というのを具体的に上げていただきましたが、お聞きすると、今法定協があるものすべてが達成されたとしますと、千五百ぐらいになると聞いております。それは千に近くなってきたと言われるかもしれませんが、私は、この目標数に対して、本当にこの千に行くためにあらゆる努力というかビジョンを示して、そこへ持っていくような誘導がされたのかなという疑問を持っております。

 またさらに、ではいかなる効果といいますか、私はあくまでリストラ効果というのはこだわるんですが、このようなシミュレーションはそもそもあったんでしょうか、千にすることで。自治体を千に減らすことで、例えば行財政基盤強化が完全にこの国の中で、国の財政が厳しい折に、例えば交付税がある程度縮減されるかとか、そういうシミュレーションがあったのかということです。

麻生国務大臣 基本的には、これは与党で決められた部分でありますので、行政府として直接かかわったわけではございません。

 ただ、千という数字が出ますと、基本的には、私どもの見た範囲で、今一万人以下の町村数というのは一番多い形になっておりますが、一人頭にかかります行政経費、五千人以下だと約百三万円ぐらい、一万人以下で約五十万ぐらいだと思いますが、それが、少なくとも千になりますと、アバウトどれぐらいでしょう、二、三万ということになりますと、大体三十四、五万、一人当たりの行政経費がそれだけで済むことになりますので、それは町長、助役、収入役等々含めまして、一番頭に立つところだけでも随分数が減ることになりますし、その他行政経費というものは大幅に安くなるであろうということは想像されるところであります。

楠田委員 その想像というのは私もするわけでございます。

 また、平成十一年に県を指導して市町村の合併パターンをつくらせたとも聞いておりますが、このモデルケースはやはりこの千という目標と合致しているのかということと、もう一つ、先ほどあくまで与党の決定と言われておりましたが、私が知る限りでは、この与党の千という目標を二〇〇〇年の行政改革大綱の閣議決定で決めた、目標にするとしていると私は認識をしております。

 これは与党があくまで決めたということではなく、私は、政府でも一致した、それはまだ生きていると考えるんですが、この点に関してもあわせてお願いします。

今井副大臣 市町村の合併のパターンでございますが、合併をすることが適当と思われる市町村の組み合わせを県に依頼いたしまして地図上に落としたわけでございますが、これは各都道府県のやり方がいろいろありまして、幾つかの案を出しているところもありますし、一つというところもあるわけでございますが、このことによって、動機づけといいますか、インセンティブが与えられて、合併についてそこに住む人たちの議論がされるようになってきた、こういうことが効果としてあったんではないだろうか、このように考えています。

 後段につきましては、大臣の方からお答えさせていただきます。

麻生国務大臣 今のところの行政改革の大綱を読んでいただきますと、「与党行財政改革推進協議会における「市町村合併後の自治体数を千を目標とする」という方針を踏まえて、自主的な市町村合併を積極的に推進」するということで、「方針を踏まえて、」というワンクッション入っているところなんだと思いますが、私どもとして、千をやったときの、明確にすれば、かくかくしかじかという確たる行政数値をきちんとつくった上での大綱ではございません。

楠田委員 またちょっと観点を変えまして、平成十二年に三万市の特例というのが加わったと思いますが、この三万という数に誘導する予定、つもりがあったのか、もしくは、この三万という数字に、以前は四万だったと聞いていますが、三万から市にすることの合理性が何かあったんでしょうか。

今井副大臣 政府としては、合併の一つの人口規模ですが、五万人、このように考えておるわけでありますけれども、この合併の問題につきましては、各地域地域でそれぞれの御事情があるわけでございます。そういう状況の中で、議員立法によって三万人の特例、こういう形になっておるわけでございます。

 したがって、政府の方は、法律としては五万人、議員立法において三万人の特例、こういうことであります。

楠田委員 議員立法ということは聞いていましたが、基本的には、じゃ、理念というか、余り数に意味はなかったのかなという認識をいたします。

 ここまで聞いていますと、方針を踏まえるという逃げ道というか、そういうことがある。また、それに対して、千にすることで具体的なシミュレーションがあったわけではないというふうに私は聞きます。そうしますと、やはり、具体的な何か目標なり、それによって、国の制度といいますか、リストラ効果が図られるということは、私は余りなかったんではないかなという気がしております。

 さらに進めまして、この合併が千五百なり二千を切るぐらいなり、それにしましても、特例債がやはり特別に認められていますので、これによって特例債の発行というのはどれぐらいの額になると考えられますか。また、ちょっと算定は難しいのかもしれませんが、交付税額というのが、この合併によりましてどれぐらい、やはり相当ふえそうかということをちょっとお答えいただければと思います。

麻生国務大臣 三つあったんだと存じますが、効率化でどれぐらいいったかという具体例を二つほど申し上げさせていただくと、兵庫県篠山、例の丹波篠山のところですが、合併後五年間で約二十七億の経費節減というものが見込まれております。西東京市、小金井の先のところですが、あそこで、合併後十年間で百九十億円の経費削減ということを見込んでおりますので、ある程度まとまった規模の方が効率的に出てきているという一つの例でありまして、先ほど申し上げましたように、首長さん、議員さんの特別職が減員しておりますし、一般職員も減少しておりますし、ICTが進みますとさらに進むであろうと思っております。

 それから、行政基盤を強化するということになっておりますので、特例債をどうやって使うかというのは、楠田先生、これは物すごく新経営者にとって大事なところです。箱物を建てるようなアイデアしか出てこないところもあるでしょうし、富山県砺波市の隣の南砺市というのは、たしか四、五町村合併したと思いますが、これは新しいのは一切建てず、議会は議会、役場は役場、そのまま全部残して、そのかわり、合併特例債でその間をつなぐ道路だけきちんと整備して、箱物はそのままにしたという例もありますので、これは経営者という感覚で見ますと、いろいろな使い方があるような感じがいたしております。

 それから、合併特例債の総額がどれぐらいかということですが、今予定されておりますのが全部合併するとは、ちょっとなかなか想像がしにくいところなんです。私どものところで見ましても、合併の協議会がぶち壊れて吹っ飛んだ、また別の組み合わせでやろうとしたりしているところもありますので、かなり進むかなという感じもしないわけでもありませんので。もう極めて大まかに申し上げて、一回数字を言うと、おまえ、あのときああ言ったじゃないかなんてずっと言いそうな方がこの中にもいっぱいいらっしゃいますので、うかつなことは言えないんですが、合併特例債は十年間で九兆円から十兆円程度になる可能性があるのではないかと思っております。

楠田委員 別に、そこをあげつらう、私はそんなつもりはないです。その逆で、また行政の効率化にこだわりますが、じゃ、コスト削減が、その合併によって大体全国でペイするものなのかどうか、この特例債がふえて。交付税としては私はふえると思いますが、安易な素人考えかもしれませんが、やはり、それによって私はある程度の合併効果がなければ意味がなかったと思うので、そこはどう考えられますか。

麻生国務大臣 特例債に関して言わせていただければ、十年間で打ち切りになりますので、そこでとまるんだと思います。合併した結果、経営効率というか運営効率が上がって、そこの地域において経費、いわゆる人件費などなどいろいろなものが合理化されることによって、どれだけ生み出せるかというところが大きなところだと存じます。

 かかって、新しく合併してでき上がった市をいかに運営するかという、銀行屋から見たら費用対効果の話になるんだと思います。そこのところを考えて、どれぐらいうまくやるかでこれはかなり差が出てくるであろうとは思いますけれども、私どもとしては、時間をかけてそういった効果が出てこなければ意味がないところでありまして、ICTの技術も進みますし、人件費に限らずいろいろなものが合理化されていくであろうと思っておりますので、長期的に見れば見合うものであると期待をいたしております。

楠田委員 もちろん私も期待はするわけでございますが、しかし、これだけ多くの国の財政的なものも支出がふえる、それだけの法改正なり法律であると思いますので、期待だけではなく、具体的な、緻密なシミュレーションは必要じゃないか。少なくとも、難しいとしても、ある程度のそうしたアナウンスは必要だったんじゃないか。もしくは、具体的な数を提示して、例えば、我々としては三百の基礎自治体にするとか、道州制を用いることによって、もちろんコストだけではないけれども、コストも少なくともペイすることはできるんだというシミュレーションを出し、合併を誘導するという順序にすると思います。私もそうすると思います。

 ですので、この点に関しては、私は、期待だけではなくて、やはり精密、緻密な準備をするべきではなかったのかなという意識を持っております。

 そうした中で、やはり、当初の目標とは異なり、小規模な合併というものも結局起こってしまったのではないかなと思っております。

 質問として上げておりましたけれども、ちょっと思いとして言わせていただきたいんですが、うちの地元では、村と村の合併で、合わせて三千人弱の合併というのがなされようとしております。小石原村と宝珠山村という村二つが合併をして、しかも合併しても三千人にも満たないというところでございまして、やはり、いろいろ協議をしていて合併に乗れなかった理由があったというふうにも聞いております。やはりそこら辺の、今までの法律で何か具体的な誘導、ゴールというものも余りアナウンスしていなかったのと、特例債頼みで合併をしてしまうところもあるんじゃないかなという認識をしているわけでございます。

 しかし、その反面で、こうした特例債頼みという面もありながら、去年二・九兆円減らされ、またさらに七兆円から八兆円交付税を減らされる見込みもある。そういう国の中途半端な施策で合併をさせておいて、はしごを外すのではないか、将来、この十年後、またさらに借金漬けにされて、もう吸収合併しかとる道がないというような形にもなってしまうんじゃないかなという危惧をやはり持たれておりますし、私も持っております。

 こうした中途半端な時点では、私はやはり今までの、交付税減を先に進めることや、過疎債の廃止などもこれから話が出てくるかもしれませんが、こうしたものを解いてしまうのは時期尚早とも考えておるわけです。

 この点に関して最後、ちょっと時間も来ておりますので、大臣の決意といいますか、そういうものを聞かせていただければと思います。

麻生国務大臣 これは、小石原と宝珠山は、もう御存じのように、こっち側に行けば、添田側だった、昔は豊前だし、こっちは違うし。なかなかここはもう全くローカルな話で、多分、話がわかる人はあの地域の方しかいない話になっちゃうので適さないとは思いますけれども、少なくともあの地域の事情がわかっている方から言わせれば、小石原焼等々いろいろなものがあるとはいえなかなか難しいし、それは、こっち側の甘木の方に行けるかといえば甘木の方もノーと言うかもしらぬし、抱え込みたくないなというような、いろいろな気持ちもあったので、これは別のことを考えないかぬというところは確かにあるんだと思っています。

 ただ、事情から言わせていただければ、こういったようなものをある程度国が出てきてああしろこうしろというのは、これこそ地方分権に反するのが一点。第一、県知事に、この改正によってある程度話を進めるように指導するようなこともできるようにはしたんですけれども、逆にそれが、市と知事と仲のいい悪いというのはなかなか難しいところもあります。そういった意味では、楠田先生、これは出ていったらいいというものでもないと思うのです。

 ただ、出ていくいかないは別にしても、少なくともほかの町を見れば、実はこれくらいの町だと大体例を見るとこういったことになっておるんですよという例は、総務省のホームページの町村合併のところを開いていただくといっぱい出ているのですが、失礼ですけれども、宝珠山とあそこらの町長の顔から、こんなクリックして全部出せる顔かと言われると、おじさんに前に面と向かって言ったことがありますから別に悪口とも思わぬけれども、見たことがあるかと言ったら、慌てて、見ますという話をしたこともあるぐらいなのです。これは私どもの町でも同じようなものです。

 なかなかそういった意識があって、ほかのところは実はこんなに進んでおるのか、おれたちもやらないかぬなと思っていただくのは、ある程度情報が要るんだと思うのです。幾らこっちが言ってももう全然という方もいらっしゃいますので、これは、町長さんやら村長さんやらの意識というのは物すごく大きなところで、正直そこのところは本当に面と向かってなじるように言ったことも何回かあるんです。それでも今は少しずつこうなっている。

 だから、ちょっと難しいところではありますので、ぜひその点だけは、私どもも、いろいろ効果を生むように最大限努力はしてまいりたいと存じます。

楠田委員 どうもありがとうございます。

 ただ、私は、精密な計算とやはり国が責任を持ってある程度のビジョンを示すということは必要だと思っておりますので、この点に関して、またさらに勉強していきたいと思います。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 同僚の楠田が麻生大臣を褒めるところから始めましたので、お誕生日おめでとうございます。九月二十日で、私、同じ誕生日なこともありまして。そしてまた、えとも一緒、父の年齢とも一緒ということで、大変な御縁を感じております。今後とも、よろしくお願いします。

 きょうは三位一体に関して御質問させていただきたいと思っておるんですが、その前に一点お願いがあります。新潟中越地震に関してです。

 先週土曜日に私、川口町の方に伺いました。私は、小泉総理のように、また岡田代表とかのように会うだけで元気を与えられるような人間でもないので、切りたんぽ千百人前とか畳百二十畳とか、四トントラックで持っていって、川口町のキャンプサイトの方でいろいろ支援させていただきました。

 その中で、なべを一緒につつく中で出てきたのは、とにかく情報がない、そして、最大に恐れていることは、もう半月もすれば雪が降ってくる、本当に怖い。私が行った前日からようやくテントに住めるようになってきたという状態で、川口町の昨年の初雪はもう十月に降っているそうです。本当に刻一刻と迫る雪、その量も半端ではなくて、多いところでは雪おろしを年八回やるそうです。そういうような状態の中でテントで暮らすなんてもってのほか。そのほか、プレハブというか仮設住宅も、雪によって埋もれるかつぶれるのではないかという不安がある。

 隣の山古志を見てみると、町長さんがすごく元気で、長岡の方に移住して、うらやましいな、うちの町長は、本当にどうなっているかわかりませんけれども、川口の町長は一度もこっちに来ていないんだ、だから私たちはどうなるかわからないんだ、本当に痛切な叫びをしていました。

 この場で麻生大臣にお願いすることは少々ちょっと筋違いかもしれませんけれども、行政の方を管轄されているというか全体的に見られているお立場と、政府の中で今回の災害に対して救援をする一員であるというお立場から、実際麻生大臣も行かれたということでもありますので、行政の不作為というか、もし抜けている部分があると本当にこれは人の生き死ににかかわる問題だと思いますので、しっかりと御発言いただければと思います。

麻生国務大臣 先週行かせていただいたんですけれども。

 私どもの総務省の管轄する仕事からいきますと、救出、救援等々、火災に対する一義的なところは消防庁ということになりますが、混乱しているところに総務大臣が行ったって何のあれもありません。私どもとしては基本的に、今言われたように起債はどうなるかとか交付税がどうなるかという話で、引っ越さないかぬとか建て直さないかぬというのは、ある程度時間がたって、身の回りが一応そこそこ落ちついたところでどうするという話になります。被災直後に行ったって何の意味もありませんので、向こうも人を割くだけあれなので。

 今言われたところで関連するところで言わせていただくと、そこにおります川口町の町長さんと山古志村の村長さんとはそれはもう全然対応は、若さも大分違いますし、あの山古志の場合は昔から知っているせいもありますが、ばんばん言ってくるという感じですけれども、川口の方は、よく言えば礼儀正しく品よく、悪く言えば何となく下がっているような感じがしますので、何かないかという感じでこちらから言わない限りはなかなか言わない。これは性格もあるんだと思いますけれども。陳情する内容はほぼ同じだと思いますが、山古志の方がちょっと、状況がかなり厳しいものですから、少し遠慮して物を言っているなという感じはしました。

 いずれにいたしましても、雪が迫っているという話は、秋田よりはもっと豪雪地帯でもありますので、正直申し上げて、今まで被災地に幾つか行ったことがありますけれども、ちょっと内容が違う。倒壊家屋が極めて少ない。あれだけ大きいのが来てきょうもまた五が来れば倒壊家屋はもっとふえなくちゃおかしいんですが、もともと雪が多いものですから、はりもすごい、いわゆる柱も四寸とか大きなものでつくってありますので、倒壊していないんですよ。そうすると、何だ、倒壊していないから倒壊家屋ではないという対象にされると、これは非常に状況としては厳しいことになりますし、これで雪が降ったらどんと倒壊するかもしれませんから、そういった意味では、見込みである程度補強する等々のものはやらねばならぬということで、これは各省庁の連絡会議みたいなところで、今御指摘のあったところを含めまして、いろいろある程度緩和して対応できるように積極的に進めさせていただいておるところです。

 何かほかに、具体的にこういうものがあればというのを言っていただいたら、その点で検討させていただきます。例としては、今おられませんけれども、安住先生から出たスーパーハウスの件につきましては、既に検討しろと指示を出しております。

寺田(学)委員 本当に刻一刻を争う問題でもありますので、山古志のように長岡に集団的に移住する、住民の方がどうおっしゃるかは別ですけれども、そういう本当に選択肢を広げた上で選んでいただくということを準備していただきたいと思います。

 本題に入りたいんですけれども、今回、地方六団体の改革案が出された。そのことに関して、今月十八日と言われていますけれども、それぐらいまでにはまとめるという話があります。その点について、いろいろ細かくお聞きしたいと思っています。

 そもそもの問題として、最終的には税源移譲につなげるんでしょうけれども、補助金のどれを廃止するかをまとめること、どれをリストアップしてくるかということを、政府内でやるのではなくて、今回、地方六団体、ひいては知事会の方に投げた。投げたという言い方はふさわしくないかもしれませんが、知事会の方に依頼した。その手段そのものに対する評価はどのように思われていますか。

麻生国務大臣 補助金は必要だ必要だと省庁は地方のことを考えて言っているけれども、少なくとも、その補助金をもらう側の人が果たして何と言っておるのか、逆転の発想とは言いませんけれども、逆の方から、受け取る方が何を言っておるのかというところからスタートしたことは、今回の問いかけ方としては画期的なことで、今までこんなことはありません。

 そういった意味では、地方団体の方として要らないと言っているものを中央省庁が要るだろう要るだろうと言っているのは、これは話としてはおかしいので、私どもとしては、要らないと言っているのは、重ねて申し上げると、これは事業が要らないと言っているのではなくて、その事業をそのままきちんとやるに当たって、自分たちでその事業をやれるということを言っておるということだと思いますので、地方に投げかけたということ、かつ、三兆円の総額につきましては税源を移譲することを先に公約をした上で言ったこと、この二つは画期的なことだったと思っております。

寺田(学)委員 先ほどから同じような質問があって、麻生大臣のお話を聞いていると、地方からある意味ヒアリングをするんだという話もありました。

 ですけれども、正直なところ、なぜに地方に依頼するかというところをひもといてみると、前回、一兆円まとめることでも本当にけんけんがくがくやってどうしようもなかったということと、あとは、新聞記事を見てみますと、五月二十八日の経済諮問会議で、ともすれば、財務省と総務省と補助金管轄の省庁、三すくみで何もやらないことになるんではないかというような総理の御懸念の上で、地方に依頼しましょうという話になった。

 そう考えますと、結局、地方に依頼する原点は、本当にこのままじゃ三すくみで何もやれないでしょうということがあるからこそ頼んだ。頼んだものが出てきたときに、私はすごく違和感を感じるんですが、物すごくトーンが落ちている。地方からヒアリングしただけだよというような言われ方を今からされておくと、果たして十八日にまとめるときにどのようなものが出てくるんだろうと非常に不安でもあるんです。

 今回、地方六団体、知事会案といいますけれども、この知事会案、先ほども申し上げましたけれども、けんけんがくがく夜通しやられてせっかく出してきたもの、このリストというものは拘束力はあるんですか。

麻生国務大臣 地方六団体がこの案を正式に政府からの依頼、閣議決定に基づく依頼に応じて提出されるに当たっては、総理、総務大臣と地方六団体の長、合計八人で会談をさせていただいて、この案を出しますが、この案についてはいろいろ御意見も出てくるところだとは思います。その意見をするに当たっては、地方と国との間に協議をする場をまず設けること、これが条件です。それはそのとおり、今実行されております。

 そして、もう一点につきましては、出されたのを受け取られた総理の方からは、六団体の長を前に置いて、この地方案を真摯に受けとめたいという発言があり、かつ、その後開かれました経済財政諮問会議におきまして、地方六団体の長はその場に出席の上、重ねて地方案に対して同様の言葉があり、かつ、その後、閣議において総理の発言も同様なものがあり、官房長官からもという形で出されておりますので、地方との話にはきちんとした形で、それは、地方の案が一〇〇%完璧で、もっといい案があるかもしれませんから、そういった意味では完璧なものとは申し上げるつもりはありませんけれども、少なくとも、出した方の地方として、新しい対案が出てきたときには、それが地方団体と話し合いがついた上で合意されなければ筋が通らぬことになるだろうと思っております。

寺田(学)委員 先ほどからきょうの質疑を見ていると、真摯に受けとめるとか、知事会案を原則としてとか、きちんと対応するとか、そういうような抽象的な話というのはもう信じられないんですよ。小泉総理の政権も長らく続いて、改革は名ばかりじゃないかと言われる批判も一理ある、一理というか私は全面的にそれはそのとおりだと思うのですけれども、周りからも一理あると言われるような状態の中で、また骨抜きで、ただ格好つけだけの改革に終わっては、全く意味がないんじゃないかと思うのです。

 今おっしゃられたとおり、知事会案、出してきたのは完璧ではないと言われるということは、ある意味それをリストとして差しかえる部分も担保されているという話だったと思うのですけれども、では、差しかえる違うリスト、こういう補助金は地方は要らないんですと地方がけんけんがくがくやって出してきたものを、いろいろ地方との協議の場があろうとも、最後は政治判断としてこれにすると決めるわけですから、その差しかえるときの基準というのは何なんでしょうか。麻生大臣の麻生プランの方の中にもありました、地方の自由度を高めるというような話をされているんですけれども、どのような基準でそれを差しかえることになるんでしょうか。

麻生国務大臣 小泉改革に対する評価がいろいろおありになるのは自由だと思いますので、御自分の見解としてはわかりますが、今言われております話の中で、基本的には、地方が納得すること、地方の自由度が増すこと、この二点が一番の根底だと思います。

寺田(学)委員 余り個別論に入っていくと、担当でもありませんので答えにくいと思うのですが、今回、省庁の方が出してきた案、一兆円に満たなかったわけですけれども、唯一額面だけは満額に近いのを出してきた、総務省も含めてですけれども。

 厚生労働省は、地方が出してきた案に対して全く違うもの、どういうものかというと、知事会の方が、これは国がやるべきだ、こんなものは絶対補助金を廃止してほしくないと言ってきた生活保護とかを出してきている。ということは、先ほど私も言いましたけれども、地方の自由度が高まらないから地方側は要らないと言っているわけですから、このような生活保護が入ってくるということはないんですよね。

麻生国務大臣 生活保護というのは、基本的には法定受託業務です。義務教育とは違います。これは、平成十二年度で、地方分権一括法で明確に示されております。第一点です。

 二つ目。これは現金給付であります。したがいまして、補助金の中でも現金給付というのをやっておりますので、地方はそれを法定受託業務として預かっておるという立場でありますから、ただただやみくもに率を一方的に下げられても、その部分のもと組みを変えていただく、生活保護全体を言うならともかくも、その率だけ取り急ぎ下げるというなら、その差額は地方が埋めないかぬということになります。それはできません。

寺田(学)委員 ということは、厚生労働省が出してきたのはちゃんちゃらおかしい、地方分権一括法に照らしても、全く理屈に合わないものであるというお考えであることを確認させていただきました。

麻生国務大臣 ちゃんちゃらおかしいと言うほど、なめちゃおりませんよ。それだけお答えしておきます。

寺田(学)委員 少々論理的に欠けるということだと思います。

 それで、ちょっと一歩引くんですけれども、分権して自由裁量を与えると麻生プランにも書かれているんですけれども、その中で考えますと、教育で使われていた補助金的なものを廃止して財源を与えられてそれを公共事業に使うということも、ある意味理屈としては正しいわけですよ。逆に、公共事業に充てられたお金、廃止されたから教育に使うことも正しいということ、これをもって初めて地方の自由度が増している。

 カテゴリーからカテゴリーの移管ができるからやはり地方の自由度が上がるんだという理屈だと思うのです。そう考えますと、今回の省庁が出してきた補助率を下げるとか交付税化するということは、またこれは、ちゃんちゃらおかしいとは言いませんけれども、少々論理的にずれているとお考えになるでしょうか。

麻生国務大臣 補助率の削減とか交付金化はいずれもいわゆる自由度を増すということにはなりませんので、基本的には今の案はのめないところだと思います。

 重ねて申し上げておきますが、移行する、何にかえるという自由度を増すんですが、例えば義務教育をやめた、地方で金は一切出さないというようなことは考えられるかといえば、それは考えられぬことはないと思いますよ。そういったとぼけたのも出てくるかもしれませんから。将来出てくるかもしれない。しかし、私どもとしては、これをやるに当たっては、少なくともこのお金はこのために使うんですよということで地方税で渡さないと、それは勝手に別のところに使われたらとてもじゃないという危惧、ある程度心配な点は確かです。それは、三千もいればいろいろなのが出てくるでしょうから。

 しかし、それは私どもとしては厳に慎んでもらわないかぬところなのであって、そういったところにはきちんと枠を決めて渡さなければある程度しようがないのであって、人件費がいきなり学校の前の川に化けたとか道路に化けたとか言われたんじゃ、それはちょっとなかなか納得できないところだと思いますので、きちんとした使途につきましてはルール化しておく必要があるだろうとは思います。

寺田(学)委員 今までお答えいただいた部分、総合的に考えますと、基本的に、厚生労働省が出してきたような生活保護ということもある意味論理的におかしいという部分がありまして、本当に地方が自由にならなければ意味がない。そして、一番最初におっしゃられたとおり、だからこそ地方から何が要らないのか聞いたということだと思うのです。

 再度聞きますけれども、だからこそ今回まとめてきた知事会案というものは、もちろん微調整はあると思いますけれども、かなりの拘束力がある、かなりの説得力がある。これが通ることが本来のあるべき姿であるというふうに思われていますよね。

麻生国務大臣 仮にも内閣総理大臣が真摯に受けとめ尊重すると言うのは、言葉としては重いと思っております。私どもも地方団体が出された案が基本と思っております。

寺田(学)委員 まだ議論の途中ですので、基本とか真摯にという言葉を使わざるを得ないんですけれども、実際こちら側として気になるのは、本当にあの知事会案というものがどこまで重要視されて動かされないのか、もし動かされるとしたらどういう基準で動かされたのか。国側の理屈で、いや、これは本当は国でやるべきだよという理屈が最終的に勝ってしまって、それが採用されるのであれば、はっきり言って知事会案を出すなんということすら意味がなくなってしまうわけです。

 ですので、本当に拘束力があるのか。そして、その拘束力が、一〇〇%とは言わないまでも微調整される。微調整されるとしたら、どういう理屈にのっとって微調整されるのか。微調整なのか大きな修正なのかわかりませんけれども、その修正される基準を明確にお答えいただきたいと思います。

麻生国務大臣 国と地方の協議会の場というのが正式につくられておりますので、その場において地方六団体が納得する、そこが一番肝心なところだと思います。

寺田(学)委員 今のお言葉を考えますと、地方六団体の方が納得しない限りということでもよろしいんですね。納得しない限りそれはまとめられないということになるわけですね。了解いたしました。

 知事会の方が出してきた補助金のリストの一個一個、自分も余り詳しくないのでちょこちょこ見ているんですけれども、二点ぐらい、河川工事関係と、先ほどからいろいろ話に上っています義務教育関係についてお聞きしたいんです。

 河川工事の関係、今まで補助金でやられていた。治水なのか治山なのか、いろいろ細かい言葉はあるんでしょうけれども、ちょっと勉強しますと、水系一元管理という言葉が出てきたんですね。

 水系、川である以上いろいろな自治体を通過してくる、いろいろな県をまたいでくる以上、細かい市町村だけの判断で何かをすると水系が乱れて下流の方で何かが起きてしまう。これはいい悪いの話ではなくてある意味科学的なというか、だからこそ一元的に管理しなきゃいけませんねという話がある。私は、そこまでは理屈としてわかるんですよ。

 それを、未来的な話でいくと道州全般でやるのかとか、県だけにかかわる、県だけで終わってしまう、一貫してしまうようなところであれば県でやってもいいとかいろいろあると思うのですけれども、現段階においては、この知事会案を見てみると、都道府県部分だけ抜けてしまう、そのもっと上流部分、支流部分の市町村部分は補助金として残る。これを国土交通省としては、それは一元的にやらなきゃいけないんだといろいろな思惑があって言われると思うのですが、水系一元管理の観点からいくと、本来であれば都道府県分も市町村分も抜いて、国の部分もある程度協議の場をつくって包括的に水系一元管理しますよという枠組みができて正しい形だと思うのです。

 けれども、今、都道府県分だけは抜かれている、ある意味ちぐはぐになっていると思いますけれども、いかが思いますか。

麻生国務大臣 当然かもしれませんが、もう少しよく読んでいただくと、河川管理費と補助金とは違う。ここのところを皆一緒にされておられる方が多いんですが、違う。おやじにでも聞いてください、よく知っていますから。違うのです。そこのところが違っていますので、普通、水系が一つだった場合は、こっちは市町村でこっちは県でこっちは国、そんなことは絶対ありません、必ず一つになっていますから。そういった意味では、ここは補助金がなくなってこっちはあるということはないんです。それがまず第一点です。

 それから、今のように河川の管理というものは、これは日本の場合はもう極端に、治山治水というのには、ほかの先進国の中では例を見ないほどいわゆる暴れ川が多いということであります。そういった意味では、この部分につきましてはいろいろな形で今御意見が出されているのはよくわかるところでありまして、先ほどどなたか出された資料にも同様な資料が出ておりましたけれども、少なくともそこを治めております県の側にとりましてもこれは結構大事な問題でして、そんないきなり手抜きの工事なんかできるような話とはとても思えぬのです。しかし、これは国がどれだけ地方を信用するかしないかという話と非常に密接な関係があるんだと思いますが、少なくとも地方としてはそれをやれるという前提に立って出してきておりますので、基本的にはその線。

 ただ、これがいわゆる赤字公債をもって賄っている場合は、直ちにそれが地方の自由度を増すということになりませんよ。このところはいわゆる税源移譲ということになりませんので、そこのところだけはある程度考えておいていただかないかぬところがある、技術的な話ではありますけれども、直ちにというわけではないということだけは御理解いただければと存じます。

寺田(学)委員 その水系一元管理についてですけれども、管理ということになるとメンテナンスみたいな感じになるんですけれども、私が発言した趣旨としては、その中に予防的な、堤防をつくるとか、そういうことも含めてということなんですけれども、補助金の充て方に関して言うとちぐはぐになっていることは、それは確かだと思うのですね。

 もう一点、義務教育の国庫負担金の話ですけれども、中学校だけは抜かれた。

 結論からいうと、今回の知事会がまとめた三兆円というものもちぐはぐが多い。先ほどおやじという話をされましたけれども、その点うちのおやじとも議論して、何だこれはという話を言っているんですが、うるさいと言われて説明責任を果たしてくれないので、麻生大臣に話しているのです。

 いずれにせよ、中学校の部分だけ抜いている。中高一貫校があるからどうこうという話はしますけれども、それは説得力に欠けるんですね。本来であれば小学校も抜いてやらなきゃいけない。小学校の分も抜くか、それとも小、中とも一緒にやるかとか、ある意味理屈が通る形でやるべきだと私は思うのです。それは多くの方が思うところだと思います。小、中を分けることを積極的な理由として持てる人というのは非常に少ないと思うのです。

 今回の知事会案、三兆円リストアップして出してきた。そこに私は二点、中学校、小中学校の部分と河川の部分の補助金のつけ方はおかしいね、ちぐはぐだねということを言ってきて、説得力がないように思うのですけれども、知事会としては、九兆円の枠をやって、第一弾として三兆円をセットしてきたというような背景がある。それはもう政府側にもしっかりとしたペーパーで渡されていると思うのですよ。

 そこで、言いたいことなんですけれども、知事会としては、これは第二弾を考えているんだ、だから第一弾はああいう形なんだ、受け取った政府側としても、知事会案を尊重しますというのであれば、知事会とほとんど歩調を合わせた形で第二弾の方も設計していかなきゃいけないんだ、そのことを現時点でちゃんと言及した上でこれからの補助金改革をやっていきますよというふうにならないといけないと思うのです。

 今回の三兆円の知事会案のものと、それから、これから控えている六兆円、そこの関係性についてこれから総務省としてどうされるのか、お答えいただけますか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、平成十八年度末までに正確には四兆円、昨年の分がありますので四兆円ということでスタートし、昨年一兆円、今年度三兆円ということになったという経緯です。

 その意味で、今中学のところも、多分御指摘のとおり、私ちょっと知事会のおなかの中を全部知っているわけではありませんので、中学と小学校と分けるのは意味がないじゃないかという御指摘等々、これはほかにも幾つも御指摘あるところなんです。少なくとも、第一次として中学、第二次として小学校を考えているであろうなということは想像にかたくないところだ、私もそう思っております。

 ただ、今回の義務教育の話は、自治事務だということは明確に法律で決まっております。自治事務であって、先ほどのような生活保護とはおのずと性格が違うものではありますけれども、この自治事務というものをいった場合に、明治二十三年ですか、義務教育が始まってこの方、正確には大正何年、義務教育の歴史というのはいろいろあるんですけれども、少なくとも、世に不学の人なからしめんと欲すに始まりますあの片仮名法でスタートしたんです。それから今日までの間、この義務教育というのは、世界に冠たるものとして、日本の大いに誇れるところだったんだと思うのですが、取り巻く環境がすごく変わってきたものですから、義務教育というのは一体どこまでやるものなんだというそもそも論を吹っ飛ばして、いきなり金目の話から入ってきたところが品のないところです。

 私どもは、それは財政諮問会議で三回申し上げたと思いますし、全国知事会でもその話は申し上げておりますので、今後このそもそも論というのをしていただかないと、話としてはいかがなものか。こだわるつもりはありませんけれども、中教審の御意向等々いろいろな意見というものを踏まえた上で、そもそも義務教育は今の時代にあってはどの程度まで教えないかぬものなのか、因数分解まで果たして教えないかぬものなのかとか、教育になりましたら百花斉放、実にいろいろ御意見がありますので、その話をした上で入ってこないところが問題だったと思っております。

 この金目の話以外に、そもそも義務教育というものはという議論を、これこそ与野党いろいろ御意見というものを闘わせた上での話というのが最も国民の理解を得やすいところであって、あたかも国家が義務教育を放棄するかのごとき話にすりかえられているのはいかがなものか、私自身はそう思っております。

寺田(学)委員 それと、知事会の方が考えている九兆円の中で、恐らく、社会保障関係はやはり国でやるべきだという発想が知事会の方では今強い。だからこそ、公共事業の方を渡してください、補助金を廃止して税源移譲してくださいという話になってくるんです。

 先ほども質問が出ていましたけれども、そこで総務省と財務省、知事会側と財務省が対立している。結局、公共事業なんて建設国債で、国債で税金じゃないんだから、税源移譲なんて理屈的におかしいでしょう、そのとおりだと思います。けれども、結局のところ、その国債を払っているのは税金であるという実質論からいけば、それは税源移譲できるよねという話にもなると思うのです。

 麻生大臣も麻生プランの方で、十九年以降もどんどん補助金を削減して税源移譲しますよとお考えになられている以上、結局、公共事業の補助金分を廃止して税源移譲するというところは、大きな大きな肝になると思うのですよね。いまだに対立されている。実際、本当に地方分権を進めるのであれば、これをたとえ建設国債が原資であろうとも税源移譲しなきゃいけないという結論を導かない限り、すごくロットの小さい移譲で終わってしまうと思うのですよね。

 ここの議論というのはいつ決着がつくのか。もちろん十八日に本当に大きな方向性としてつけてほしいと思うのですけれども、この今の対立はいつ決着がつくのかということを教えていただければと思います。

麻生国務大臣 十一月十八日までにすべてが全部丸くおさまるというほどなめちゃいないんです、私の方も。これは結構しんどい思いをしなきゃならぬだろうと思っております。

 ただ、基本的には、直ちに税源移譲に結びつかないことは、言われたとおり確かなんですよ。加えて、片方は六十年償還、片方は二十年とかいろいろ差がありますので、そこのところを調整せないかぬという技術的な話は確かにあります、私どもとしては。

 ただ、今おっしゃったように、国債の償還というのは国税でやるんじゃないかということである以上、補助金を廃止した場合は、税源移譲の対象とするのに何が問題があるんだという御指摘なんだと思うのですが、それは正しいと思っています。あとは技術的な話なんだと思っています。ただ、今すぐ税源移譲に結びつかないというのも確かなんです、建設国債ですから。

 だから、技術的な話だとは思いますけれども、基本的に今の寺田先生の言われたところと同じであって、年内にこの形はきっちりつけないかぬところだと思っております。

寺田(学)委員 年内に建設国債の分を税源移譲できればどうかという部分、決着をつけていくというお気持ちは大変心強いというか、まあそうしていただかないと本当にこれからの地方分権は語れないなと思うのです。

 最初の問題に戻るんですけれども、知事会案が出てきた、今度の十八日に、何やかんや言われても落ちつくところに落ちつくんだよというお話をされました。落ちつくところに規律として入っているのは、知事会というか地方側が納得しない限り、それはまとまらないと。まとまってくれることにこしたことはないんですけれども、もしまとまらなかったらだれが責任をとるのかということ。まとまったということは、ただ三兆円の廃止が決まったということをもってまとまったというのか。先ほどおっしゃられているように、ちゃんと知事会及び地方団体がオーケーを出して、その額が了承されて、三兆円という総理が言われている額でおさまったということをもってまとまったというのか。まとまらなかった場合はだれが責任をとるのかということをお答えいただければと思います。

麻生国務大臣 基本的には、三兆円の税源移譲の手法等々は、所得税を地方住民税で、五%、一〇%、一三%の分を一律一〇%にするというところでほぼ三兆という方法というのは、もう御存じのとおりです。そういった形になりますので、形としては三兆円の地方税の財源を生み出した。

 問題は、それに見合う補助金の内容が、今意見が分かれているところでありますので、今言われたような線で、基本的に補助金総額ほぼ約三兆円、積み残しの分がありますので、幾つか、計算の仕方はいろいろありますけれども、少なくとも、今入れたものを含めまして総額三兆円というものをつくり出さないかぬところだと思っております。

 それがまとまらなかったらどうしてくれるんだと言われても、私としては、まとめるように頑張りますとしかほかに言いようがないです、正直なことを言って。まとまらなきゃどうするんだと言われても、まとまらないときには、これはえらいことになるであろうなと想像しますので、それが前提ではなかなか事は進めにくいので、全力を尽くしてまとめるように努力しますとしかほかに答えようがありません。

寺田(学)委員 もともと、今回、知事会の方に、地方団体に出す理由というのは、先ほども述べさせていただいたとおり、三すくみで、結局、財務省と総務省と関係省庁で争って何も決まらないじゃないかということがあるから地方団体に任せたということで、まとめる気満々でやっているのに、まとまらなかった場合に責任どうこうと言われてもと言われるのは、それはおかしいですよ。

 今回これをまとめ切れるか、政治の力でちゃんと押し切れるかどうかが問われているわけであって、だからこそ大臣をやられているわけですよね。地方はもう本当に麻生さんを頼りにしているわけですよ。それを、まとめ切れなかったということで、これは大変なことになるなという人ごとを言われたのであれば、それはおかしいですよ。

 本当にこれが進まなければ、地方分権なんて全く進みませんよ。知事会だって、けんけんがくがくやって、けんかしつつもまとめてきたわけですから。売られたけんかはしっかり買ってくださいよ。それでもしまとめられなかったらちゃんと確たる責任をとるというぐらいの言質を残された方が、これは強いんじゃないですか。よろしくお願いします。

麻生国務大臣 三すくみでまとまらないというところで、三兆円の税源移譲はまとまったんですよ。その話をすっ飛ばしちゃだめよ、これは一番肝心なところだから。三すくみでまとまらないことになったときに、昨年一兆円の補助金の削減をやってお返しは四千五百しか来なかったじゃないか、今回三兆円出したら一兆しかよこさないんじゃないかという、まゆにつばをつけて聞くような話を前提にして知事会なんかへ話はできません、だから三兆円まとめてもらうのが前提ですといって総理が三兆円をばんと振り込んだというところだけでもかなりなものじゃないでしょうか。まずその点を認めておいていただかないと、全然まとまらないじゃないかなんて、すべて悪いところだけ、野党ならわからぬでもないけれども、基本的に見識があって将来与党を目指す立場でいらっしゃるんだろうから、一応その点は頭に入れた上で話をしてもらわないと、まず三兆円まとまっただけでもえらいことよ、これは。

 それで次に、知事会に振るという話も、いまだかつてこんなことは一回もありませんから、地方に振ったことなんか一回もない。それでもそれを振るというのを閣議決定で決めたという点も、寺田先生、これは今までに比べればえらいことなんですよ。

 だから、そういった点を一つ一つ踏まえて、結論だけつまみ食いしてどうだなんというのは、これはかつての何党かみたいな感じになりますので、ぜひそこのところも踏まえてきちんとした対応をしていただいて、そうだと言って応援していただくのは結構ですけれども、何となくやじっぽく聞こえますので、もうちょっと建設的にやじっていただくと助かるなと思っております。

寺田(学)委員 いや、三位一体という話をしていて、税源移譲できただけでいいだろうという話はおかしいでしょう。だとしたら、三位一体ごと否定するしかないですよ。

 それで、たとえ税源移譲されたとしても、生活保護という自由がきかないものを渡されても何が自由になるというんですか、地方は。それは全部、御自身がおっしゃられているとおり、三位一体でやらなきゃいけないんですよ。一つできたからいいでしょうという相対的な話じゃないですよ。結果を求めるかどうかです。

 もう時間ですのでこれでもうやめますけれども、そういうことですので、しっかり責任をとって頑張ってください。

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、先週に引き続いて災害対策からまずお聞きしたいと思っています。

 私は、八月の臨時国会の総務委員会の場で、七月の豪雨災害、福井や新潟での水害に際して、自治体が発出をする避難勧告、避難指示というのが住民に迅速に伝わらなかった、この問題についての改善の取り組みをお願いしたところであります。テレビで市町村の避難勧告報道を迅速にということを要求したわけです。その際、大臣の方からは、三条市だけ避難するといった地域情報をテレビで流せるようにすることは今後の検討課題として重要という答弁がありました。

 そこで、お聞きしますが、NHKの場合、三条市で避難勧告を出した時間と、それをNHKが最初に放映した時間のタイムラグがどのくらいあったのか、それが生まれる理由は何なのか、この点をまずお聞きしたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 先生よく御存じのことでございますけれども、災害時における避難勧告等の情報の伝達につきましては、災害対策基本法の第五十七条等に基づきまして、自治体から放送事業者に対して放送を行うことを求めることができるというぐあいになっております。自治体と放送事業者との間で、通常、災害時における放送要請に関する協定といったようなものが結ばれているわけでございます。放送事業者は、この協定に基づきまして、自治体から放送要請がありますと、速やかに、例えばどこどこに避難指示が出されました、区域内の方は至急指定された避難所に避難してくださいといったような放送が行われるわけであります。

 そこで、先ほど御質問の新潟県についてでございますけれども、新潟県におきましてもこういう協定があるわけでございまして、七月の豪雨の際のケースで申しますと、七月十七日の新潟県中之島町のケースの方をまず申し上げますと、中之島町の場合には、中之島町から避難指示が出されまして、県を通じまして、NHKそれから民放テレビ四社、ラジオ社に放送要請がございました。この放送要請を受けまして各社は直ちに放送を実施しております。

 他方、今先生が御指摘の三条市の場合でございますが、十七日ではなくて十三日のケースでございますけれども、県からの放送要請はございませんでした。そこで、事後わかりましたけれども、十時十分に三条市から避難勧告が発令されていたようでございます。発令後、取材活動を通じましてNHKはこの事実を知りまして、県からの要請はございませんでしたけれども、独自の判断で十時五十分に総合テレビでテロップを流しました。そして、五十一分にはラジオでも放送しております。民放四社はこのNHKのような独自の判断に基づく放送は行っていなかったということを聞いております。

塩川委員 これは、市町村から迅速に確実に住民の方に避難勧告、避難指示を伝達する。その際にはいろいろなルートが当然あるわけです。防災行政無線もあるでしょうし、自治会長さんや区長さんを通じて、同時に、テレビやラジオという速報性のメディアを通じてこれをやはりきちっと伝えるということが大事だと思っています。

 その際に、ルートとして市町村、県、放送事業者というのはあるんですが、それがいろいろな自治体でアンバランスがあるといいますか、そのとおりになっていない。先ほどの三条市の場合についても、結局はNHKの独自判断で放映をする、民放の場合にはそれもなかったからテロップでの放映はなかったという形にもなるわけですね。やはりそこでの一工夫というのが今大いに求められているんじゃないか。その点、大臣の方でも、八月の際に重要な課題ということをおっしゃっておられましたので、この点でどういう検討をなさったのか、取り組みについてお聞きしたいと思っております。

麻生国務大臣 地震はちょっとあれにしても、急に来る、特に風水害等々の場合におきましては、避難勧告を出すというのはある程度予想がつくところでもあります。気象情報とか水位が上がったとかいろいろな情報があるんだと思いますが、特に今回の場合、災害発生と同時に、避難するに当たって、高齢者はいわゆる被災者としては弱者で、同じ被災者でも若いのと大分違いますので、そういった要援護者の介助等々というのは、これは地域によっても非常に知ろうとしているところもあるぐらい、いろいろはっきりしているんです。

 大事なことは空振りしたらどうしようという話なんです。これが外れたときには、私は避難させられたけれども何もなかったじゃないかと言われる変わったのもいますから、そういったのが文句をつけてくるのを嫌がるわけです。事実、言ってくるのがいっぱいいますから。私どもの場合は遠賀川というやばい川を抱えていますので、よくある話なんです。

 そういった意味では、避難勧告が出て、避難はしたけれども結論はおさまったというときは、みんな家財道具を持って出たけれども、おまえ、何もなかったじゃないかと市役所に言ってくる人というのはこれまた出てくる話なんです。何となく腰が引けるわけです。構わず行けというところが大事なんだと思うのです。そういった意味では、空振りを恐れず言う、これが大事なところです。

 もう一つは、今までは、法律的には、今言われたテレビとかラジオとかいうのが要請を受けて放送するということになっていますが、動転してくると要請するのを忘れたりいろいろしますので、もう出たら自動的にぱっと流れるようなシステムというのをつくり上げればそれでよろしいのです。そういったところをきちんと自動的に出せるようにしようということで、あらかじめ放送業者と自動的に出してくれと話を取り決めるということは可能だと思っておりますので、地方公共団体に対して指導をしたり助言をしたり、今いろいろしているところなんです。

 いずれにしても、ほかにもインターネット等々いろいろ今ありますので、携帯が発達すれば携帯にばっと入れるでしょうし、デジタルになればもっといろいろなやり方が出てくると思いますので、そういったものを始めて、これは五秒早いだけで随分違うそうで、私どもとしては、この種の話は非常に大事なところだと思っておりますので、今御指摘のありましたとおり、自動的にいけるというところを大事にしておかなきゃいかぬなと思っております。

塩川委員 その点では本当に、気象庁からのいろいろな警報、注意報というのはオンラインで放送事業者に行きますからぱっと出るわけですよね。それが、市町村の避難勧告、避難指示というのは県を通じて放送事業者へということですから、いわばアナログ方式で行くわけで、そういう点でも、今言ったように、自動的にできるような対応というのはぜひとも具体化をしていただきたいと思っております。

 あわせて、内閣府の防災担当の方にお聞きしますが、今、内閣府として、集中豪雨時における情報伝達、避難支援についての検討会を行っている。そういう中で、市町村からテレビ局やラジオ局への避難勧告や避難指示、この迅速な伝達のためにどういう検討をしているのかということを紹介していただけますか。

柴田政府参考人 検討状況でございますけれども、七月の梅雨前線豪雨、一連の台風等で大変な被害を受けております。その後直ちに政府といたしましては、関係局長会議を開きまして、いろいろな点で反省材料があるだろうと。今おっしゃいました情報の伝達あるいは高齢者の避難の問題、高齢者の方々が被害を受けられた割合が非常に高かった。また気象情報の問題、河川の管理の問題等、これらについて検討いたしているところでございますが、特に情報伝達の問題と高齢者の避難の問題については、有識者を入れた検討会を設置してやってございます。

 この検討会では、避難勧告等の判断基準を策定しましょう、市町村長さんにマニュアルを見ていただいて、的確な意思決定についての検討を進めていくということでやってございます。第一回を十月七日に開きました。この中でいろいろな意見が出てございます。また、名古屋市等は、事前に早い段階で、避難勧告の前に避難準備のための注意情報を出しておるということもやられてございますので、その運用状況等についての調査も実施いたしております。

 都道府県や国の機関による市町村への支援のあり方、市町村だけに任せるんではなくて、国や県も市町村を応援する、そのあり方をどうするか、あるいは住民だとか市町村長さん、職員さんの災害に関する意識の向上についての検討も深めていく必要があるんではないだろうかということで、いろいろな意見が今出ている段階でございます。年内に骨子を取りまとめた後、速やかにマニュアルを整備し、災害対応に万全を尽くしていきたいと考えております。

塩川委員 市町村と放送事業者との連携を強化する、こういう角度での検討項目が出ているわけですけれども、放送事業者との関係での取り組みについてはどうでしょうか。

柴田政府参考人 御指摘のように、報道機関との連携というのは非常に重要なことでございます。そのために、委員には報道機関の方にも入っていただいてございます。

 そういうことで、具体的にどうするということをまだやっておりませんけれども、報道機関との連携についても議論をいたしておるところでございます。

塩川委員 何よりも住民の方に届くということが大事になりますので、例えば防災行政無線の普及というのも、当然のことながら必要だと思っています。例えば川口町の方にお話を伺いましたら、防災行政無線で流しているんだけれども聞こえないんだ。何で聞こえないかというと、ヘリコプターの音がうるさくて仕方がない。あのとき取材がたくさん来ましたから、その音でかき消されて、そもそも聞こえないんだという声なんかもあるわけです。そういう際に、防災行政無線でもやり、自治会、町内会のルートでもやり、またテレビやラジオでと、総合的にそういう形で伝達する取り組みについて大いに具体化を図っていただきたいと思っております。

 その上で、やはり冬を間近に、雪も降るという中での住宅問題が切実であります。前回、仮設住宅の問題で質問いたしまして、集落の中で庭先につくれるような仮設住宅をぜひとも求めたいということに対して、大臣の方からも積極的なお話をいただきました。これを私も現地の方に伝えましたら、例えば一日に合併をしました魚沼市の、その一つであります旧広神村というところで、うちの地元の議員さんが、村長さんをやっていたような方に、こういうのがあるんだという話をしましたら、それを県の方に確認をされたんだそうですね。そうしましたら、県の方から、集落と町の方が意見が一致をすれば構わないですよということが言われた。

 そういう点では、非常に具体的に、そういう形で仮設住宅が本当に庭先に集落の中でできるという道が開けたというのは大変うれしく思っております。こういう現場に即した取り組みということを大いに図っていただきたいと思っております。

 その上で、住宅という点でいえば、当然のことながら、さきにおける被災者生活支援法に基づく住宅再建の取り組みと同時に、災害救助法に基づいた住宅の応急修理というスキームがあります。この点について何点か厚生労働省の方にお聞きしようと思うのですが、災害救助法に基づく住宅の応急修理については、新潟県からもそういう要望が出されているところです。ぜひとも、直せる家は直して、雪が降る前に住めるようにしてもらいたい。

 そういう点では、こういう現にある応急修理のスキームを使いたいんだという声が出て、これを私はきょう具体的に求めようと思いましたら、厚生労働省の方では早速、通達もつくったそうであります。十一月二日付で出された新潟県あての通達で、新潟県中越地震における災害救助法の住宅の応急修理の円滑な実施について、これを出された趣旨と、どんな人が対象となるのか、また応急修理の範囲がどういうところまで可能なのか、費用の限度額が幾らか、こういう重立った点について御説明いただきたいと思うのですけれども、お願いします。

小島政府参考人 新潟県の方ともいろいろ相談をいたしました。冬が近づいておりますし、できるだけ修理で自宅に戻れる方につきましては、応急修理を行って帰宅可能なケースをふやしていくということで、新潟県と相談いたしまして、今先生の方で御指摘ありましたように、十一月二日に通知を発したわけでございます。

 応急修理のまず対象者でございますが、半壊の被害を受けた人、それから応急修理を行うことによって避難所等への避難を要しなくなると見込まれること、応急仮設住宅を利用しないことというのが対象者でございまして、所得要件につきましては、年収で五百万円以下の世帯というのが一般的でございまして、あとは世帯主の年齢あるいは要援護世帯かどうかによりまして、八百万円までの所得要件を課しております。

 それから、応急修理の範囲につきましては、屋根、柱、床、外壁、基礎等の応急修理から始まりまして、衛生設備、トイレ、ふろということになると思いますが、そこまで含めまして、一世帯当たりの費用限度額は五十一万九千円以内ということにしております。

 なお、これにつきましては、実施要領を定めるとともに、あらかじめ応急修理を実施する事業者を指定しておく等、現物給付という基本を踏まえていただきまして、速やかに応急修理を進められるよう手続の簡素化を図ってまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 応急修理の範囲についてですけれども、ドアとか窓の開口部の応急修理、それから上下水道や電気やガスなどの配管や配線の応急修理、これに対しても応急修理の範囲内に入るということでよろしいですね。

小島政府参考人 失礼いたしました。そのとおりでございます。

塩川委員 これはぜひとも大いに活用していただきたい制度だと思います。その点でも、新潟県の方でもいろいろまた具体化もされておられるところだと思うのです。

 私は、災害救助法に基づく住宅の応急修理について、これはどういうふうに使えるんですかと担当者の方にお聞きしましたら、その際には、屋根がわらが外れたときにブルーシートをかける、あるいは窓ガラスが割れたときにそこにビニールを張る、こういう使い方なんです、その程度だったんですよね。そういう意味では、非常に狭い要件だった。それ自身が問題だと思うのですけれども、今回こういう形で広げるというのは積極的だと思うのです。

 これは、今回広げるということではなくて、過去にもそういう事例もあるんだと思うのですよね。例えば阪神・淡路大震災の際に神戸市などでも取り組みをされておられると思うのですが、例えば神戸市の活用例で、対象者として震災で失業した人、こういう人も対象にしよう、あるいは住家についても、持ち家だけじゃなくて貸し家についても対象にする、こういうふうになっているかと思うのですけれども、その点確認したいんですが、いかがでしょうか。

小島政府参考人 阪神・淡路大震災のときの応急修理の対象世帯数、金額は調べてまいったんでありますが、具体的な対象の状況につきましては、ちょっと手持ちにありませんので、また調べましてお答えをしたいと思います。

塩川委員 これは神戸市の実例について聞きますよというふうにお聞きしていたものですから、当然のことながらお答えがあると思っているんです。

 例えば、神戸市がつくりましたこんな分厚い冊子、本がありまして、「阪神・淡路大震災神戸復興誌」、阪神・淡路震災においてどういう取り組みを行政として行ったかというものが、御存じだと思いますけれども。そういうのを見ますと、住宅の応急修理という項目がありまして、そこに、当初は対象とされていなかった震災で失業した者も対象とするということと、やはり同様に、当初は対象外だった借家も対象とするという形で、実態に即しての改善の取り組みなんかも行われているわけですね。

 ですから、こういうのを含めて、ぜひ今後新潟県に対して、新潟県からも具体的な要望も出てくると思うのですが、この避難所ですとか仮設住宅に対して万全の体制をとるとともに、こういう応急修理を使って自宅に帰れるような取り組みを進める上で、新潟県から要望があればこれは積極的に対応してもらえると思うのですが、その点、いかがでしょうか。

小島政府参考人 ただいま先生から御指摘のあった点も含めまして、新潟県とよく相談をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 同様に、震災だけではなくて、水害の場合についてもこういう形での通達が住宅の応急修理についてできないのか、その点、いかがでしょうか。

小島政府参考人 今は中越地震の対応で精いっぱいというところでございまして、引き続きまして、水害のときにどうかというのは今部内で検討している最中であります。もう少し時間をいただきたいというふうに思います。

塩川委員 ぜひとも具体化を図っていただきたいと思っています。

 そこで、麻生大臣にぜひお伺いしたいんですが、この住宅問題につきまして、きのうだかの新聞で、閣議後の懇談会の場で麻生大臣の方から、長岡市の事例を紹介されたんでしょうか、被災者生活再建支援法に基づくスキームで、長岡市からの要望書に、外形的に被害がない建物も、内部破壊で居住できないものは支援法の対象にしてほしいという要望をその場で伝えられたというふうにお聞きしたわけです。

 そういう意味でも、ぜひとも大臣としても、こういう支援法の問題について、運用の改善と同時に必要な改正も行っていく、住宅本体に適用する問題ですとか。私は、住宅と事業所が一緒になっているような中小業者の方については、そういう店舗も含めて対象にするような改正というのが今こそ必要なんじゃないかと思うのですが、この点についての大臣の率直なお考えをお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 神戸と新潟の一番の違いは、先ほどもどなたかの御質問に答弁をさせていただきましたが、基本的には、豪雪のために、柱の角寸、大きさが四寸とか五寸と大きいんです。したがいまして、なかなか倒壊しないというものがもともとつくられています。神戸の場合はばっと一発でいきましたけれども、こっちの場合は、頑丈にできております分だけ倒壊家屋が少ないということになっております、現実問題として。

 地域に行って一番最初、随分家が倒れていないな、正直、現場へ行ってそう思ったのです。しかし、中を見ますと、いわゆる六畳二間、八畳二間が全部抜けて三十畳一間になっているような形で、もうくしゃくしゃになっている、これは住めるかと言われれば、とてもじゃないという形になっております。

 おまけに、今は立っておりますけれども、二メーター、二メーター半の雪が降った場合は、それはぺしゃっといく可能性なきにしもあらずですので、とてもじゃないけれども雪が降ったら怖くていられない、一晩に何回か雪おろしするようなところもあるぐらいですから。

 そういった意味では、基本的にほかの地域と少し違うのではないかという点も考えておいてもらわないとということで、閣僚懇談会の席だったと思いますが、その話を口頭で発言し、かつ、今、局長の方から話がありましたけれども、そういった各省から集まって話をしている席でその線で検討しておりますので、各大臣においてはぜひその点を考えてもらわないと、ちょっとほかのところとは少し状況が違うというのが率直な実感ですという話を申し上げたのが今の話だと思っております。

 ただ、一番難しいのは、自宅というのは、これは個人所有なんですよね。それを援助しちゃうと、それはおまえ、個人に援助したのと同じことになりはせぬかという法律的には別の問題が出てくるところが難しいのです。仮設住宅だとまたということになりますけれども。

 合理的に言えば、仮設住宅に三百五十万かかるんだったら、二百万で家を直した方がよっぽどトータル支出は安いじゃないか、私自身は、どうしてもトータル支出で考えますので、そう思うのです。ただ、個別にいきますとなかなか難しい問題があるというのも事実ですので、ちょっとこれは詰めないかぬところがいっぱいあると思っております。

塩川委員 住宅再建、住宅そのものがいわば本当の意味での公共財なんじゃないかと私などは思うのですよね。自由競争のアメリカなんかでも、そういう意味では、競争する前提として住宅などがあるのは当然だ、それが失われたような状況をもとに戻すというのは競争社会においてもある意味で当然のことじゃないか、だから個人住宅に対しても公費を使うことをためらわない、そういう例もありますから、大いにこの点では前に踏み出していくときではないか、このことを強く要請しておきたいと思います。

 若干の時間がありますので、郵政民営化問題で、窓口の設置基準のあり方について何点かお聞きしたいと思っております。

 郵政民営化の基本方針を閣議決定し、民営化法案を準備しておりますけれども、やはり、郵便局がなくなるんじゃないかという懸念の声というのは、もう全国に広がっております。そういう点でも、基本方針では国民生活の利便性の向上というのを上げているわけですけれども、郵便局がなくなったのでは当然のことながらそれはかなえられないわけですから、その先行きがどうなるのかというのが重大な関心事でもあります。

 そういう点で、民営化でどうなるのかについて何点か内閣府の郵政民営化準備室を含めてお聞きしようと思うのですが、最初に、現状はどうなっているのか。つまり、現行の日本郵政公社法の施行規則の第二条に郵便局の設置基準というのがありますが、その該当部分を読み上げていただきたいと思います。

清水政府参考人 今御指摘の郵政公社法施行規則でございますけれども、関係するところとしましては、御承知のような形で、日本郵政公社法がございまして、その二十条の中で、「総務省令で定めるところにより、郵便局をあまねく全国に設置しなければならない。」こうなっております。「前項の総務省令を定めるに当たっては、地域住民の利便の確保について配慮しなければならない。」というのが公社法にございまして、総務委員会等でも附帯決議等をいただいているわけです。

 それを受けまして、施行規則の第二条の中で、「公社は、法の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として、次に掲げる基準に適合するよう郵便局を設置しなければならない。」として、三つ並べまして、一つが、法十九条「第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務に係る役務に対する地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること。」二番目に、「いずれの市町村(特別区を含む。)についても一以上の郵便局が設置されていること。」三番目に、「交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていること。」というのを定めているところでございます。

塩川委員 具体的な目安になるような基準ということでは二点だと思うのですが、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持するという点と、もう一つが、全市町村への一カ所以上の設置ということになると思うのです。その点で、最初に、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持するとあるわけですが、この点は基本方針ではどのように位置づけられているんでしょうか。準備室の方で結構です。

細見政府参考人 お答えいたします。

 郵政民営化の基本方針におきましては、窓口ネットワーク会社の窓口の配置につきまして、窓口の配置についての法律上の取り扱いは、住民のアクセスが確保されるように配置するとの趣旨の努力義務規程とし、具体的な設置基準のあり方等は制度設計の中で明確化するというふうになっております。

 それから、代替的なサービスの利用可能性を考慮して、過疎地の拠点維持に配慮する一方、人口稠密地帯における配置を見直すということで、基本的には整理をされているというふうに理解をしております。

塩川委員 努力義務ですとか配慮をするということですから、守らなくても何ら拘束力がないというのが前提だと思います。

 その上で、全市町村への一カ所以上の配置という点についてはどうでしょうか。有識者懇談会の中での有識者の方の御意見もあるそうですが、その点を踏まえてお答えいただけますか。

細見政府参考人 お答えいたします。

 有識者会議の議論に当たりまして、私どもの方より、定款記載事項の例として、過疎地域を含め、いずれの市町村についても一以上の郵便局の設置というのを例として、具体的なものとしてではなくて例として提示をしたわけでございますが、それについても有識者の方々からいろいろ御意見をいただきました。

 すべての御意見を紹介するというわけにはまいりませんが、例えば、設置基準を定める際には柔軟性が必要であるが、ただし、過疎地の人が不安にならないように、例えば一市町村一カ所以上の基準は残すべきだというような議論も出たところでございます。

塩川委員 時間が参りましたから、また以降で質問しようと思うのですが、有識者の方の意見の中には、そういう中で、郵便と郵貯と簡保、全部やらなくてもいいじゃないか、郵便だけでもいいんだ、当然のことながら、ユニバーサルサービスの義務づけとの関係で、そういう声も出てくるわけですね。そうすると、郵貯や簡保もなくなって、郵便局の窓口ネットワークがそもそも採算の上で成り立つのかどうかという懸念の声というのは当然あるわけです。

 そういう点で、大臣、一言で結構ですが、こういった、郵便局も本当に維持できるのか、特に、郵貯がなくなって、本当の意味でだれにも手が届くようなところに金融サービスを含めてサービスを提供するようなことが可能なのか、この点、お答えいただけますか。

麻生国務大臣 聞くべき相手は竹中にお聞きになるべきであって、私に聞かれるのは少し違うんじゃないかなと思いつつも、竹中平蔵の気持ちを思いはかった上で御答弁申し上げますので、違っているかもしれませんということをあらかじめお断りしておきます。

 今おっしゃるように、恩給やら何やらの支払い等々を受ける側の立場に立ちますと、高齢化が進んでいる中にあっては、受け取る側が市町村合併等々でさらに町村の役場がなくなるなどなどを考えますと、郵便局でそれの代替業務をしてもらう等々、必要性はさらに増していることははっきりしていると思っております。

 その中に当たって、金融業務というのは非常に必要だと思っております。私どもは、諮問会議の中でも五つの原則みたいなものを申し上げた中で、行政サービスの低下を招かないことと今内閣府からも御答弁があっておりましたので、基本方針の中に置いておりますけれども、今おっしゃるように、郵貯、簡保につきましては義務づけがされていないという点につきましては、今後、これはそれを補えるような形でしておかないとこの原則に反することになると思っております。私どもとしては、この点に関しましては最大に関心を持っておりまして、今後とも、きちんと住民サービスが行政サービスとして維持できるように努力してまいりたいと思っております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 きょうは朝から、途中本会議を挟んでの長時間の質疑、皆さん大変お疲れだろうと思いますが、私が最後でございますので、いましばらく御辛抱いただきたいと思います。

 まず、災害復旧対策についてちょっとお願いをさせていただきたいんですが、七月中旬のあの新潟県、福島県、福井県の集中豪雨、そして、その後の相次ぐ大型台風の日本列島縦断、さらには新潟県中越地震、これらによって、今、日本の国土は本当に、九州から北海道までもう疲弊している、そして、各地で洪水あるいは土砂災害をもたらして数多くの被害者を発生させております。そういった意味で、被災者支援にはもう一刻の猶予も許されないと考えております。

 そこで、まずお願いでございますが、十一月交付予定の普通交付税の繰り上げ交付、これが一つ。そして、災害関連の特別な財政需要に対応するための特別交付税の十分な算定と早期交付。そしていま一つは、災害復旧事業の財源となります地方債の要望額の確保と早期許可。この三つをお願いしたいと思うのですが、総務大臣の被災自治体に向けて前向きなメッセージをお願いしたいと思うのです。

麻生国務大臣 横光先生御指摘のありましたように、台風は年平均三回上陸するのが通常であります。今までで一番多くて六回、今回は十回上陸しておりますので、甚だ異常なところに加えて、地盤が緩んだところに地震ときましたので、事は非常に大きなことになっております。

 財政負担というものに関しましては、復旧対策等々に、被災地域においては、今までとは全く条件が違うということが御心配の点だと思います。私どももそう思っておりますので、普通交付税の繰り上げにつきましては、現在までに、四回にわたって、既に三十九団体につきまして繰り上げの交付を行っております。今御指摘のありました台風二十三号と中越地震につきましても同様に、地方公共団体が今検討中ということでいろいろ言ってきておりますので、総務省といたしましては、関係省庁、これはある程度申請を受けてやることになりますので、そういったものに対応してまいりたいと思っております。

 もう一点、特別交付税の件につきましては、これは、いわゆる罹災者の世帯数とか全壊とか半壊とか、いろいろな災害復旧事業費のベースによって差が違いますが、現在、今御指摘のあった十二月分の特別交付税の算定を今やっているところなんです。関係省庁、建設省を含めていろいろなところに、とにかく数値を取りまとめて、先ほど御指摘にありました雪やら何やらのこともありますので、急がせているところです。

 いずれにいたしましても、財政等々から非常に不利をこうむるとかいうようなことのないように、私どもとしては積極的に対応するように対処してまいる所存です。

横光委員 激甚災害指定、これはハードの分野で、ある意味では中期的な課題、しかし、交付税の関係はソフトの分野、一番今被災者の方が求めている、自治体が求めている、そういった緊急の事態でございますので、今の御答弁のようにどうぞよろしくお願い申し上げます。

 また、先ほど質問がございましたように、これはダブりますので申し上げませんが、いわゆる今回の台風や地震で見えた弱点を踏まえて体制の強化が必要だ、政府としても、関係省庁の局長会議を設置していわゆるマニュアルづくりをしているということで、先ほどその検討状況も御説明ございましたので、もう再度求めません。

 いずれにいたしましても、災害は、昔は忘れたころにやってくると言われておりましたが、今では忘れないうちにもうやってくるような状況になりましたし、先ほど大臣、空振りのことをおっしゃいましたけれども、今回は全国の人たちがそれぞれで、やはり地震以外でも台風等の被害も受けております。そうした場合、ほとんどの国民は、今回は新潟のことも我が事のように思っていると思うのです。ですから、あれだけ私は義援金が集まっていると思うのですね。そういった意味では、空振りを恐れる必要はないんだ、むしろ空振りを喜ばなきゃいけないというぐらいのことで、やはり情報伝達、避難対策はやるべきだということを、マニュアルづくりの中でも強行に盛り込んでいただきたい、このように思っております。

 台風、災害相次ぐ状況で、日本列島じゅう暗い状況になったわけですが、ただ一つ明るい材料は優太ちゃんの救出ですよね。これは奇跡的な救出と言われておりますが、この奇跡的な救出につながるには、いろいろな人たち、いろいろなパートの人たちの努力とラッキーな面が積み重なったと私は思うのですね。その一つが、いわゆる警察ヘリによる、この崩落事故の中で、優太ちゃんが乗っていた車の一部が発見できた。ここがすべての始まりだと私は思う。あの警察ヘリの発見が、まずすべてですよね。あの白い部分が覆われていたらどうなっていたかと思うと、ぞっとするのです。

 その発見に伴って、今度行ったのがハイパーレスキュー隊である。物すごい高度な救助体制をつくって努力していた人たちが、あの救助に向かった。たまたま空間が奇跡的にあった。優太ちゃんも頑張った。いろいろなものが積み重なって、奇跡の救出になったと思うのですね。そういった意味で、ハイパーレスキュー隊の充実がこれからも望まれると思うのですが、政府としてはどのようにお考えでしょうか。

林政府参考人 お答えを申し上げます。

 お触れになりました妙見堰でのレスキュー隊の活動は、御案内のように、二十六日に県警ヘリが土砂崩れ現場で車両を発見しました。そして、消防庁に対しまして応援要請がございましたので、東京消防庁のハイパーレスキュー隊を含む数県のレスキュー部隊に出動をお願いしたものであります。御案内のように、余震の危険が続く中で、高度の技術と資機材を駆使しての救出作業でございましたが、二十七日午後、優太君とお母さんを救出するという活躍をしてくれたわけでございます。

 このような大規模な災害の際に活躍が期待されております緊急消防援助隊でございますが、レスキュー隊は、その核となったのが今回の妙見堰の救助活動であったと思います。このレスキュー隊を含めまして、緊急消防援助隊は、今後ともその体制の整備を図っていかなければならないと考えているわけでありますが、多くの救助隊とか救急隊とか航空隊が、合同で、それぞれの持ち得る力を最大限に発揮して成果が上げられるものでありますので、そのような連係プレーの訓練というものが何よりも重要になってこようと思っております。

 加えまして、これらの隊の資機材の整備も図っていかなければならないと思っております。ヘリテレの増強、あるいは今回の妙見堰におきましてもシリウスという電磁波による生体確認装置が使われたわけでありますけれども、このような高度救助資機材等の整備充実も必要であろうと思っております。

 加えて、各県から派遣されました緊急消防援助隊、レスキュー部隊の場合は特にそうでありますけれども、これが適切に現地に赴き、適切に役割分担しながら活動ができるようにいたしますためには、それを支援する体制といたしまして、消防庁を含む体制整備が必要だと思っております。消防庁における体制整備とあわせて、緊急消防援助隊の部隊の増強、資機材の整備充実に取り組んでまいりたいと考えているところであります。

横光委員 これも、先ほど言った空振りということにもつながりかねない。でも、相当費用もかかる。しかし、この存在というのは非常に大きな価値があるという意味で、ぜひともこの充実をお願いしたいと思うのです。

 もう一つですが、道路が寸断されました。そしてまた、村が孤立しました。特に、内陸部や山間部では、要救護者の救出あるいは救命措置がどうしてもおくれてしまった。救えたはずの命も救えなかったという事態にもなっております。そういった意味から、孤立した地域から要救護者を一刻も早く救出して、そして救命措置を行うためには、やはり、機動力が高く、そして医師が乗り込み現地に駆けつけることのできるドクターヘリの整備、これも、災害時に迅速に医療を受けられる体制として充実が望まれていると思っているのですが、全国の消防機関におきます航空隊あるいはドクターヘリの整備状況についてお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

林政府参考人 今回の中越地震に際しましても、各県から、航空部隊による救助人員が二百八十二名、ヘリ二十機が出動する、そして四百五十三名を救助する、そのような活躍をしてくれたわけであります。

 現在、消防防災ヘリコプターは、全国で六十八機配備されておりまして、災害時におきましては、救助、消火活動だけではなく救急活動も行っております。

 また、災害時のみならず通常時におきましては、離島、山間地域等、遠距離からの迅速な救急搬送等にも活用されておりまして、平成十五年度中の場合、ヘリによる救急救助は全体で四千五百九十二件となっておりますが、このうち救急出動は二千八十七件ということで、全体の約四割を占める重要な位置づけとなっております。

 ただ、消防防災ヘリをドクターヘリとして活用いたします際には、いろいろ課題があるのも事実でございます。例えば、同乗医師の確保を初めとした医療機関の協力が必要であるとか、あるいは、病院に搬送いたします際に病院に隣接するヘリポートがあるかないかとか、まだ防災ヘリは数が限られておりますので、そのような活動中に他の災害が発生した場合に救急と災害対応とどちらを優先するか等々、いろいろな課題があるのは事実でございます。

 消防防災ヘリがドクターヘリと役割を分担しながら防災ヘリとしての効用を果たす中で、各自治体の実情を踏まえながら、救急出動基準等に基づきまして、防災ヘリの救急事案への活用も今後もっともっと考えていかなければならないと思っております。ただ、その際、ドクターヘリとの役割分担も十分検討させていただかなければならないと考えているところでございます。

横光委員 今お話しのように、これは、厚労省等各省庁と連携が必要であろうと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、三位一体改革についてお尋ねをいたします。

 基本方針二〇〇四を閣議決定して、おおむね三兆円規模の税源移譲を目指すこととした。しかし、その前提として、国庫補助負担金改革の具体案の取りまとめを、先ほどからお話ございますように、地方六団体に依頼した。そして、地方六団体は、これを受けて、いわゆる地方案というものを小泉総理に提出した。

 私は、地方六団体が、地方分権の推進に向けてさまざまな意見のある中で、地方案を取りまとめられたこの努力、また経過、これは非常に敬意に値すると思っております。思ってはおりますが、では、その中身はどうかといいますと、私は、やはりさまざまな問題点があるという気がしてならないのです。

 地方案では、三・二兆円規模の補助金を削減することとして、その中に、二・五兆円の義教費のうち、中学校の教員給与八千五百億円の削減が盛り込まれております。さらに、地方案は、平成二十一年までに義務教育費国庫負担金の全額の廃止を提案している。つまり、この提案どおりいくと義務教育費国庫負担制度そのものがなくなるわけですね。

 まず、大臣にお聞きしますが、地方案の義務教育費国庫負担制度の廃止について、どのようにお考えですか。もっと言えば、この義教費廃止案について、賛成ですか、反対ですか。お聞きします。

麻生国務大臣 国庫負担でなければ国は義務教育をしていることにならぬのかと言われれば、そんなことはないのではないか。義務教育は金目だけの話か、そんなこともないのではないか。基本的には、義務教育というものは本来かくあるべきという最低限の条件を満たしておるということを確保するような制度であれば、それが国があたかも義務教育を放棄するかのごとき話になっているのはかなり話が歪曲されていると私自身は思っております。

 したがって、義務教育が地方できちっとされるというような形でやりさえすれば、先ほど、寺田先生かどこかの御質問にも申し上げましたけれども、それは、義務教育の教師の金として来ている分、二分の一の金がどこかの道路に化けるとか、川に化けるとかいうようなことのないようにきちんと監視すればよろしいだけの話であって、それでなければ義務教育はできないなどということはない。したがって、私は、基本的には賛成しております。

横光委員 しかし、それは、地方の自治事務というお話をされておりますが、義務教育というのは、国民として必要な基礎知識を培うものであり、いわゆる全国的な教育水準や機会均等を確保すること、これは、憲法の要請に基づいて、国の責務としてこれまでやってきたわけですよね。

 それを、制度がなくてもいいという今のお言葉ですが、最初、この問題は、財政論だけでやってきたということで、大臣は疑問を感じて答弁されておりました。そもそも論がないじゃないかということを言っていた。今の答弁と違うじゃないですか。そもそも論がなくて、教育論的に、では、この制度に何か問題があったとお考えなんでしょうか。いかがですか。

麻生国務大臣 勘違いしておられると存じます。そもそも、義務教育論というのをやらないと、今の状況のままで、金目の話だけで義務教育を論ずるのは極めて話が歪曲されておる、話がねじ曲げられると申し上げております。ましてや、義務教育というのは全額約八兆七千億ぐらいかかっているんですが、今、そのうちの二兆五千億の話が話題になっておるということが全体の状況であります。

 したがって、私は、基本的には、今、地方に義務教育をやめると言っているのではなくて、義務教育制度は残るわけですから、問題は、義務教育に携わる教員の給与がどこから出るかという話でしょうが、基本的に今なっているのは。国から出さぬと国がやったことにならないなんということはおかしいのであって、税として地方税に変わった分であって、地方税がそれをきちんと従来どおりやってくれるというのであれば、それはそれでよろしいのであって、私どもは、義務教育はいかにも国が手放したかのような話にすりかえられるのはいかがなものかという感じが率直なところです。

 ましてや、これは地方で、今いろいろな意味で、義務教育というもののそもそも論をやって、それ以後、義務教育は必要かという論議が全然されないから、そうすると、いかにも中学だけ切ればいいみたいな話にさっとすりかえられるところが一番嫌なところです。私どもは、基本的に、義務教育というものは必要なものなんであって、義務教育の制度の維持の仕方が、国が教師の金を半分出すということによって義務教育がすべて達成されたかのごとき話にするのは、これも間違っていると思います。私どもは、基本的に、義務教育そもそも論も含めましてきっちりやる必要があると最初に申し上げ、そして、今のお話でいきますと、中学の教員のところだけになっているんですが、これは、長期的には小中全部の話になってきているというのは御存じのとおりでもありますので、補助金の廃止があたかも義務教育という事業の廃止かのごとき話になるのはいかがなものかという感じがします。

 なくなるというのは事業そのものではなくて、その事業をいろいろ支配しております権限とか組織とか役所とか、そういった人材というものがいわゆる問題になっておる。そこが一番問題なんですから、私どもは、それを守るためにやっているんではなくて、子供の義務教育のためにやっている話なんであって、少し話がすりかえられ過ぎておると思っております。

横光委員 この制度があって初めて、私は、義務教育は、いわゆる機会均等、全国各地で同じ教育を受けられるという制度によって保たれていると思うのですね。ところが、今言われるように、地方がやるわけですから、それは制度としてあって、それを二分の一、国がこれまで負担していた。この制度が崩れたら、いわゆる先ほど言った機会均等というものが保たれますか。保たれるとおっしゃいますけれども、現実にはそうは私はいかないと思うのですね。

 この制度が、なぜ堅持が叫ばれているか。いろいろな人たち、教育関係者、あるいは、いわば、これまでの歴代の文部大臣、文科大臣ですね、こうした方たちが、総理にこの制度の堅持を連名で訴えておられます。ちょっと敬称を略しますが、奥野誠亮さん、海部俊樹さん、西岡武夫さん、森喜朗さん、保利耕輔さん、鳩山邦夫さん、町村信孝さん、中曽根弘文さん、大島理森さん、有馬朗人さん、また、遠山さんや河村前大臣も同じ趣旨でございますが、なぜ歴代の文科大臣がこの制度の必要性をこうして訴えておるか。そこは、義務教育における国の役割を見定めて、後世に禍根を残すことのないようにすべきである、この要請文の中にこう書かれておるんですね。

 大臣が今言われたようなことをもし一般財源化でやってしまえば、国の責任を放棄したことになるし、そして、後世の子供たちに禍根を残すことにつながるという懸念が非常に強いわけです。ですから、この制度はしっかり維持していくべきではないか。

 地方六団体の人たちも、知事さんたちもまとめました。全会一致じゃありません。それぞれの意見がある中でまとめました。財政論的には、そういった八千五百億円、今回は中学分だけでもまず補助金カットして一般財源にしてくれということでまとまっておりますが、教育論的に、では、この制度が必要ないと思っている方は私はほとんどいないんじゃないかという気がしております。

 ですから、私たちの国が、こうして戦後、敗戦から、ゼロからスタートした、ゼロ以下からスタートしたかもしれない。そして、この数十年の間に世界有数の経済大国になった。いろいろな理由があろうと思います。その中でも最も大きな理由は、私は教育水準の高さだと思うのですよ。

 ですから、あのノーベル賞受賞者の人たちも連名してこの制度の必要性を訴えているじゃないですか。これが崩れたら、大臣が言われるように、国は地方でしっかりやるんだと言っても何も担保がないわけなんです。そこのところを皆心配しているわけです。なぜ担保がないかということを。

 では、ちょっとお聞きいたします。

 地方六団体の意見に、教育関係で財源が確保されない場合は交付税で補てんする、これでしっかりと財政措置をすべきである、国庫負担金カットになって一般財源化すると、結局、地方公共団体でそれぞれ収益、税収に差が出てきまして、それを補うためには、地方交付税の算定等を通じて確実に財源措置を行うこと、こういうふうに地方六団体の意見に明記されております。

 ところが、三位一体改革というのは、交付税は抑制方向にあるわけでしよう。現に財務省は非常に厳しいことを言うておるじゃないですか。地方団体のあれは六兆から七兆むだがあるじゃないかというようなことを言っている。これは総務省も地方も怒り心頭でございましょうが。一方の財務省は、そういった地方税の総額、抑制に動こうとしている。片一方、総務省は、足りない分は交付税で補うということをこれまで言われている。矛盾しているじゃないですか。いかがですか。

麻生国務大臣 二つ御質問があったんだと思うのですが、最初の方につきましては、国が教職員の給料の二分の一さえ払えば制度が維持できると思っておられる。それは間違っています。これは、基本的には、義務教育の制度というものは、学級の編制とか教職員のいわゆる定数などというのは、これは別の法律で定められているのであって、金だけで決められているわけではありません。

 したがって、地方に移管されたとはいえ、その分がその法律によってきちんと担保されないはずがない、基本的にはそう思っております、義務教育制度はそのままというのが現状であれば。

 もう一点につきまして言わせていただければ、これは、平成十七年、十八年度につきましては、今、その分というのは、地方税に移管された場合、その受け取る側の公共団体が、財政力指数が弱いところにおいては、その差額が足りなくなった場合、どうやって埋めてくれるのかということは一番の問題なんだと思います。昨年の十二月、公立保育園の補助をやめて地方税に振りかえました。これは昨年の十二月にやりましたが、この三月にその差額につきましては交付税をもってすべて充てられたと思っております。

 実績は既に上がっているという例はきちんと地方も知っておられると思います。そういった意味で、きちんと対応されておりますので、私どもといたしましては、税源移譲額が補助金に合わないという場合は交付税によって万全の対応をするという前提で、基本方針二〇〇四でそのように書かせていただき、当然のこととして、平成十七年度、十八年度、取り急ぎ十七年度ということになりますが、過日のいわゆる概算要求におきましても、私どもといたしましては、ほぼ前年同額というものを提案させていただいておる。

 財務省が言われる話は、新聞等々でいろいろ出ておりますのは知らないわけではありませんけれども、基本的には地方との信頼関係に基づいて、それが前提で三・二兆の話が出てきたという背景というものを無視して話はできません。

横光委員 今御説明ございましたが、たとえ税源移譲されても、いわゆる人口が少ないところ、大臣も先ほどから御答弁のように税収には格差が出てくるということを説明されております。これを交付税で調整するということでございますが、交付税本体が先ほど言いましたように縮小傾向にある中で、どれだけの保障となるのかという心配もあるわけでございます。ですから、交付税の算定上、義務教育人件費などとして算定されると思いますが、これは、全体が抑制される中で、本当に他の事業に必要な経費を圧迫せずに、どのようにして教育費のみを確保できるのかというふうに非常に心配な部分があるんです。

 現に、これまで地方財政が苦しい中で一般財源化すると、過去の歴史を見ても教育費が後回しになるおそれが非常に大きいという懸念もあるわけです。教材費が一般財源化されたとき、教材費が道路や橋に化けたと言われた経験もあり、そしてまた、本当に最近も、学校図書整備費として百三十億円が地方交付税で措置されることになったんですが、これも本の購入に充てられたのは三分の一しかなかったということも全国学校図書館協議会の調査でわかっている。こういう前歴があるだけに、大臣が今幾らちゃんと確保すると言っても、なかなかそれは難しいのではないかということを私は申し上げている。

 それと、この問題は、いわゆる三大臣合意というのがあるんですね。これは麻生大臣じゃございませんが、三大臣合意があって、そこでちゃんと十八年度までに検討するということになっている。この三大臣合意は今でも生きているんですよね。

麻生国務大臣 片山、塩川、遠山の三大臣だと思うのですが、当時の話だと思いますが、検討の最終期限を平成十八年度と区切ったというところで関係省庁で検討を進められてきたというところなんだと思います。

 その後、これらの経過を踏まえつつ、本年の六月に基本方針二〇〇四が閣議決定をされておりますので、地方六団体につきましても、いわゆる補助金改革につきましては利害を超えた議論が重ねられてきた結果として義務教育の国庫補助負担金の改革について提言をいただいたんだ、私どもはそう理解をいたしております。これは先ほど何回も申し上げましたように真摯に受けとめて対応すべきものだと思っておりますので、この二〇〇四の閣議決定に基づいておりますので、私どもはその方向に沿って全力を挙げて頑張らねばならぬと思っております。

横光委員 三大臣合意で、十八年度までにこの義務教育費の問題は検討する、それがもう十七年度に動いている。

 さらに、この三大臣合意の後に、十五年、去年の六月には二〇〇三も閣議決定されている。そして、その中には、教育改革の中で中央教育審議会において義務教育制度のあり方の一環として検討を行い、これを踏まえつつ、平成十八年までに国庫負担金全額の一般財源化について所要の検討を行う、中央教育審議会においての検討を踏まえつつとございますが、この後、中央教育審議会ではことしの五月には中間報告を出しておる。義務教育制度は堅持すると中教審で審議の中で中間報告をしておるのです。

 これを踏まえつつやるのであれば、当然この堅持するという中教審の意向を無視することになって、閣議決定していることさえ内閣がそのとおりに進んでいないということになろうかと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 まず最初に、中央教育審議会というのは文部大臣の諮問機関、閣議決定というのは内閣自体で決めるところだと思っておりますので、事の重さは大分違う、閣議決定の方が重大だと私自身はそういうぐあいに理解をいたしております。

 それから、義務教育制度は堅持されるんですよ。何か、お話を聞いていると義務教育がなくなるかのごとく聞こえますけれども、それは速記者にとりましてもえっという感じになりますので、義務教育制度は堅持される、そこのところだけちょっと。今のお話を伺っていると、義務教育制度がなくなるかのごときお話は少し違うと思います。

横光委員 時間が終わりました。

 先ほどから、地方の意見は真摯に受けとめる、あるいは尊重するということを、総理も言われましたけれども、私は、それももちろん大事ですが、政府が閣議決定した中の条件であります中教審、政府の諮問機関の答申は、じゃ、真摯に受けとめないのか、尊重しないのか、このあたり非常に矛盾しているということを申し上げまして、きょうは質問を終わります。

     ――――◇―――――

実川委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 特別職の国家公務員の給与につきましては、本年度の公務員の給与改定に関する閣議決定に基づき、内閣官房長官主宰の有識者懇談会の報告を踏まえ、見直しを行っております。本法律案は、この見直しの結果、特別職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、審議会等の常勤委員等について、俸給月額を引き下げること、兼業をしている場合の給与日額化の範囲を拡大すること等としております。

 第二に、特別職の職員の給与体系を見直し、一部のクラスの俸給月額を廃止することとしております。

 以上のほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定することとしております。

 引き続きまして、障害補償に係る障害の等級の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本年七月一日、人事院から国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申し出が行われております。この申し出のとおり、労働基準法及び労働者災害補償保険法による災害補償との均衡を図るため、国家公務員災害補償法について改正を行うとともに、地方公務員災害補償法につきましてもこれと同様の改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法について、申し出のとおり障害補償に係る手指及び眼の障害の等級を改定するとともに、用語の整理を行うこととしております。

 このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定することとしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

実川委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る九日火曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.