衆議院

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第10号 平成16年11月25日(木曜日)

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平成十六年十一月二十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 野田 聖子君

   理事 森山  裕君 理事 安住  淳君

   理事 大出  彰君 理事 松野 頼久君

   理事 桝屋 敬悟君

      石崎  岳君    岡本 芳郎君

      奥野 信亮君    亀井 久興君

      小西  理君    近藤 基彦君

      佐田玄一郎君    自見庄三郎君

      田中 英夫君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    萩生田光一君

      増原 義剛君    松本  純君

      三ッ矢憲生君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    稲見 哲男君

      楠田 大蔵君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      松崎 公昭君    山花 郁夫君

      吉田  泉君    河合 正智君

      長沢 広明君    塩川 鉄也君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   総務副大臣        山本 公一君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   総務大臣政務官      山本  保君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   参考人

   (日本郵政公社総裁)   生田 正治君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   斎尾 親徳君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  西田  猛君     石崎  岳君

  平井 卓也君     近藤 基彦君

  藤田 幸久君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  岳君     西田  猛君

  近藤 基彦君     平井 卓也君

  吉田  泉君     藤田 幸久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 日本郵政公社による証券投資信託の受益証券の募集の取扱い等のための日本郵政公社の業務の特例等に関する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、日本郵政公社による証券投資信託の受益証券の募集の取扱い等のための日本郵政公社の業務の特例等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中城吉郎君、内閣審議官伊東敏朗君、内閣審議官篠田政利君及び総務省郵政行政局長清水英雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本郵政公社総裁生田正治君及び日本郵政公社理事斎尾親徳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。萩生田光一君。

萩生田委員 おはようございます。自由民主党の萩生田光一でございます。麻生大臣初め参考人の皆さん、早朝から大変御苦労さまでございます。

 大臣はよく私の地元を訪れていただいたことがあるんですけれども、この週末、地元の八王子市では、大正天皇の御逝去のときに植えた甲州街道沿いの約六百本のイチョウ並木が大変立派になりまして、そのイチョウ並木を活用したいちょう祭りというのを二十五年前から行っておりまして、二日間で四十万人ぐらいの人出でにぎわいました。

 その中で、本局の皆さんですとか特定局の皆さんがテントで沿道に臨時の郵便局をつくって、記念切手の販売ですとか年賀状のはがきの販売、あるいは、物産展をあちこちでやっていますから、手荷物いっぱいになった皆さんに対してゆうパックで配送してさしあげたりというようなことで、まさに生田総裁のもと、民間の経営感覚を取り入れた郵政公社が本当に果敢に市場競争に参入する姿を小気味よく感じてまいりました。

 今回の投信窓販につきましては、自立した組織としてコスト意識あるいはフィービジネスとしての感覚を念頭に入れた取り組みであり、法案そのものの中身は何ら問題がないというふうに思っております。

 そこで、基本的な性格についてお尋ねをしておきたいと思いますのは、先般閣議決定された郵政民営化基本方針の民営化準備期間のあり方として、投信窓販の提供を可能にとの記述がありましたが、今回の法案による窓販は、民営化の準備段階として実施しようとするものなのか、あるいは公社の自助的な経営努力の一環として実施しようとするものなのか、お伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 今御質問のありました窓販の話は、昨年の五月の閣議でこの話が決まったところだと記憶をします。昨年の五月のころは、萩生田先生御記憶かと思いますが、株価は八千二、三百円の時代でありました。そういったことで、いわゆる証券市場の活性化案ということも念頭に置かねばならぬというところで検討をすることにしたものでして、総務省としては、そのような経緯を踏まえて、早急に実施すべきだということで調整を行う場合に、これは、金融庁等々との整合性やら何やらでいろいろ時間のかかったところではありますけれども、今般提出させていただくことになったということであります。

 基本的には、この種の新しい分野ということは、郵便貯金というものが国家保証等々を考えると将来減っていくであろうということになりますと、当然のこととして収益を、きちんとしたものを、ある程度かたいものを残しておかないかぬということも必要なんだと思います。窓販というか投信の場合は金利動向に左右されませんので、そういったいわゆる収益源というものを多様化させておくということが必要なんだと思います。株価に関係なく手数料収入は上がりますので、そういった意味で、今後民営化されていきます郵政公社が自立できていくようにするために資金の安定化を図るというのが本来の目的であったと記憶をいたします。

萩生田委員 当初は収益に貢献するほどのものではないだろう、こう思いますけれども、しっかり育てていっていただきたいなと思います。

 ところで、今回の法案によって、主に証券投資信託を扱うわけですけれども、かつて、銀行での証券窓販に対して証券業界が猛反発した経緯がございました。しかし、結果から判断しますと、市場は大きく拡大をして、今大臣の御答弁もあったように、状況は大きく変わってきたというふうに思います。

 そういう意味では、地域の最も身近な郵便局がこの証券投信を扱うということになれば、さらに投信市場の拡大になると期待をするのですが、商品の中にはさまざまなものがありまして、リスクの程度も、例えば派生商品、デリバティブのようなハイリスクな商品から公社債投資信託のようなものまでさまざまと思います。

 郵便局で取り扱う投資信託商品はどのようなラインナップを考えているのか、お尋ねしたいと思います。

斎尾参考人 郵便局での投資信託の商品ラインナップにつきましては、郵便局のお客様が主として投資経験の少ない個人と考えられること、また郵便局には安全確実というイメージが定着していること、さらには郵便局職員のリスクの説明等への対応可能性などを十分考慮いたしまして、リスクが相対的に低く、そのリスクをお客様が十分認識できるわかりやすい商品を中心としたラインナップとする予定でございます。

 具体的には、当初は、投資経験の少ないお客様に対しまして、分散投資等の投資の基本を説明しながら販売できる商品として、株式、債券等々の複数の資産に分散投資してリスクの低減を図った商品、あるいは市況感がつかみやすく、市場を代表する指数に連動するインデックス型の商品を中心としたラインナップを考えているところでございます。

萩生田委員 加えて、郵便局ユーザーの中には、郵便局しか使わない終身ユーザーのような方もいらっしゃるというふうに思います。今斎尾理事が御答弁いただいたとおり、そのような方たちにとりましては、今まで元本保証を前提にしてきた郵便局が扱うのだから安心だとして、郵便局に対する過大な信頼によりリスク性資産を購入する国民も多くなると考えられますが、公社としては、こうした国民の信頼を裏切ることのないよう、どのようなスタンスで投信販売を行おうとしているのか、お尋ねしたいと思います。

生田参考人 公社の生田でございます。

 お客様の多少のリスクというものは出てくると思うのですけれども、多少のリスクで、総じて言いますと、健全で有利な財産及び資産形成というものにお役に立つという重大な使命があると思います。その副次効果として、先ほど大臣がおっしゃっていましたように、金融資本市場の成熟にも役に立つ、こういうことになると思うのでございます。

 こういった、お客様自身に多少のリスクを持っていただきながら健全で有利な財産、資産形成にお役に立つという点をよく考えまして、また公社の公益性ということもよく考えまして、投信の取り扱いに関しましては、投資信託の購入拠点を全国に展開していく、最初は五百五十ぐらいだと思いますが、展開していくと同時に、お客様のニーズを的確にとらえまして、資産運用の選択肢を広げていく、より適切な資産のポートフォリオ構築のお手伝いをするというふうに考えております。

 また、投信になじみの薄かったお客様が大勢いらっしゃると思いますので、投資信託の販売を通じまして、分散した投資をしていくということも勉強していただきたいと思いますし、リスクとリターンの関係といったことなど投資の基本を学んでいただきたい、かように思っている次第でございます。

 公社といたしましては、こうした認識のもとで、郵便局に対する国民の期待と、それから先生がおっしゃった信頼というものにこたえられますように、お客様に十分理解、御納得していただく、すなわち説明責任を果たしていくということで、お客様にふさわしい商品を購入していただけるように、販売職員の研修、訓練、こういったものを始めつつありますし、それから内部管理、コンプライアンス体制の整備等を十分行いまして、万全の販売体制を整えた上で取り扱いを開始したい、かように考えております。

萩生田委員 総裁、多分ビギナーの皆さんの掘り起こしができるんだというふうに思いますので、ぜひ、御答弁にもありましたように、郵便局の信頼を裏切らないようにしっかりとした対応を要望しておきたいというふうに思います。

 ところで、現在の郵政公社は、国会において長時間の議論を経て審議をした上で成立させ、世の中に出した組織だというふうに認識をしております。公社化に当たっては、全国の郵便局の看板やロゴマーク、あるいはユニホームから情報システムまで、すべて一新して再スタートを切りました。特に二〇〇三年から稼働している現在のシステムは、ホストコンピューターを二十四機連結して、開発費約六千億を投じてつくったものだというふうにお聞きをします。

 現在、郵政民営化準備室では、持ち株、郵便、貯金、保険に窓口サービスを加えた各社ごとにシステムを分けて構築する検討を行っていると聞きますが、連日の新聞報道で、準備室が間に合うと言ったり、公社が間に合わないと言ったり、一部条件つきなら可能と報道されたりしていますが、そもそも、政府が株主とはいえ、経営者も社員も決まらないうちにシステムだけは間に合わせるという発想が、民間には到底理解ができないところがあると思います。

 私は、既存のシステムに改良を加えて、お金のことを全く心配しないで開発すれば、時間的には間に合わせることは可能だと思います。しかし、それは、まだ存在しない企業に特定メーカーのハードやソフトを最初から使えと言っているのと同じでありまして、その費用は一体だれが払うのか。そもそも、国民のためというなら、二〇〇七年四月から逆算するような今の民営化論は、新人の私にはさっぱり理解ができませんし、その必要性も疑問に感じております。

 このシステムについて、間に合うのか間に合わないのか、間に合わせるとすれば、幾らかかって、この費用はだれが負担をするのか、お尋ねしたいと思います。

中城政府参考人 お答え申し上げます。

 情報システムに関しましては、郵政民営化情報システム検討会議というところで、情報システムの観点から、四事業会社と持ち株会社の設置時期を二〇〇七年四月とすることが可能かどうかということについて御議論いただいているところでございます。今のところ、何らかの結論が出たという段階ではございません。

 現在の状況を申し上げますと、二〇〇七年四月までに可能なシステム対応のリスク評価等について、公社からの説明やそれに対する各メンバーの意見を踏まえつつ、さまざまな角度から検討を深めているところでございます。

 いずれにしましても、年内に結論を得るべく、引き続き、中立的、独立的なメンバーにより、プロジェクトマネジメントの考え方にのっとって専門的立場から御議論いただいているところでございます。

萩生田委員 幾らかかってだれが払うのか、御答弁がありませんでしたけれども、時間がないので先に進みたいと思います。

 大臣、全くおかしな話で、一方では、自助努力で手数料収入を得る努力を今回するわけですよ。一方で、公社の意思にはない中で膨大なシステム開発費を、これは多分、公社がみずから払え、こう言われるんだと思いますよ。

 郵政公社がスタートして、わずか一年余りです。第一期決算でも、三事業単独で黒字転換を達成して、しかも問題だった財投も見直しがなされて、経営面で何ら迷惑をかけていない。

 この組織を世に出したのは、立法府の意思に裏づけされてであります。百歩譲って、公社に移行したさまざまな費用の償却が終わるころ、あるいは、陳腐化する前にさらなる改革として民営化も含めた公社の進化論があって、それが国民サービスの向上につながるのなら、私は大いに結構だというふうに思います。

 しかし、民営化の第一段階として公社をつくったのならそれはそれですけれども、たった、最初から四、五年の事業、ましてやスタートして一年で新たなシステム開発をしなくてはならないのなら、私は、公社化に伴う費用、二〇〇七年に民営化するためにかかる費用を国民の前に明らかにして、その上で世論の声を聞く余裕が政府にあってもよいのではないかというふうに思います。

 また、たった一年で用なし議論が起こる公社をつくったのだとすれば、公社法の成立そのものは一体何だったんだろうか。

 時間がありませんから、総務大臣としてではなくて政治家の先輩として麻生大臣に最後に御質問したいんですけれども、私は、こういう展開をするんだったら、公社法の成立そのものが問題があったんじゃないか、たった一年やそこらで、その組織の見直しや新しいシステム改築をするためにある意味では間接的に国民の税金を使わなくてはならないんだとすれば、これは大きな政治責任があるというふうに思いますけれども、大臣、こういう政治責任は一体だれがとるべきだというふうにお思いでしょうか。最後に教えていただきたいと思います。

麻生国務大臣 よくここで、大臣としてではなく政治家としてという話は、あちら側からよく聞く話でありますけれども、こちらから聞いたのは余りないので、ほうと思ったんです。

 今御指摘のあったところにシステムの話というのが出てきたんですが、これは正直まだ今検討中なんだと思います。このシステムが二〇〇七年に間に合うという前提で、間に合わなかったときには当然いわゆる信用失墜ということになりますので、間に合うという前提で、間に合わなかったときに起きますであろうダメージについては、その契約をされる会社に対して、新しい会社はそれに対しては損害賠償で訴えるということは、きちんと留保されておくべきが当然なんだと思っております。監督官庁としてはそこはきちんと指導しないといかぬところなのであって、できもしないことをできると言えばこれは虚偽の話になりますので、いかがなものかというので、このシステムは極めて大きな問題だと思っております。

 加えて、窓口サービスにつきましては、まだいかなる形になるか形ができていないわけですから、できていないものにいきなりシステムというのはこれまたさらに難しい話だと思いますので、私は今御指摘の点はなかなか難しいところだと思っております。

 もう一点は、今、現在の公社が行っておりますいろいろなサービス、先ほど八王子のお祭りの話もされましたけれども、そういった意味で、いろいろ従来と変わって新しい公社としてのものが出てきた、その中にあって公社が頑張っている。民営化といった場合は、今の公社より少なくともサービスは落ちない、むしろよくなる、そして、勤めております従業員、約三十九万人の人たちのいわゆる労働意欲も落ちない、かつ、きちんと税収が上がるとか前より利便に供するとか、いろいろな意味で国全体として見てもやってよかったというような形の結果が生まれないと、やって、前より悪くなった、加えて赤が出た、その分はいわゆる補助金で補てんなんということになったら、今は全然税金は出ておらぬわけですから、その意味では、極めておかしな結果を招くというような形の制度設計だけは断固避けたい、私自身は基本的にそう思っております。

 やった結果が前より悪ければ、これは話にならぬということになろうと思いますので、そこの点については、今、中城さん、自信を持って御答弁があっておりましたけれども、きっとそのような設計をなさるものだと彼の能力に、これは私の責任ではありませんので、こちらがやる責任ですので、中城がきっとしっかりやられるんだろうと思って、期待をいたしております。

萩生田委員 時間なので終わります。

 少なくとも我々は公社法の設立のときにいなかった国会議員でありますから、しっかり議論を深めてまいりたいと思います。

実川委員長 次に、楠田大蔵君。

楠田委員 民主党・無所属クラブの楠田大蔵でございます。

 先ほど与党の先生の方から、システムの開発ということで、民営化後のシステムということで話がありましたが、その前の段階で、私は、郵政公社で投信販売をする際のシステム開発がまたお金がかかってくる、そう考えましたら、公社で投信販売を急ぐことにどれだけの意義があるのかという観点から質問をしていきたいと思っておりますが、その前の段階で、麻生大臣に私も政治家としていろいろ質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、JCの福岡大会、世界大会、お疲れさまでございました。私もJCメンバーでございますので。(発言する者あり)そうです。世界大会であいさつをされておりました。

 それはいいとしまして、まず、政治と金の問題に関して、私から三点ほどお聞かせ願いたいと思います。

 まず、政治資金規正法、これは総務省でやはり管轄をするということになっておりますので、そういう意味からも聞かせていただきたいと思っております。さきの予算委員会でいろいろ議論がありましたけれども、私がやはりひっかかりますのは、小泉総理がおっしゃっておられた、今回の日歯連にまつわる迂回献金の疑惑や一億円の裏献金の疑惑は、自民党の問題ではない、橋本元総理もしくは橋本派だけの問題であるというふうに強弁をされておられたと思いますが、この点に関して、やはり麻生大臣も同じように思われますでしょうか。まずお聞かせ願います。

麻生国務大臣 政治と金をめぐる話なんだと思いますけれども、楠田先生、政治家にとっては、これは、当選回数が何回になろうとも一回生であろうとも、基本的にはやはり個人商店みたいなものなんですよ、一人一人でやらないかぬわけですから。最終的に自己責任ですから、大会社の組織とは全然違うんだと思うのですね。国会は十回当選しても給料は同じですし、そういった意味では、これは全く個人個人のものなのであって、したがって、一人一人が政治とか金に対する高い倫理というものを持つことが大切なので、そこがないとやはり信頼は回復されないんだ、これが大前提だと思うのですね。

 そういった意味では、政治資金の収支等々につきましては、これは、御本人が受け取った受け取らない、やったやらないという話で、基本的には政治資金規正法にのっとってやられるべきものなんだと考えております。

楠田委員 私が聞きたいところは、もちろん個人個人の問題ということはわかります。ただ、一回生でも十回生でもとおっしゃられましたが、私はやはり、ルールがありながら、そのルールを裏でいろいろねじ曲げるようなことが起こるというのがおかしいと言っているわけでございまして、この問題が、個人個人の問題でももちろんあるかもしれませんが、自民党の問題としても意識できるのではないか。

 まず、麻生大臣も麻生セメントの社長として活躍されたことはもちろん福岡では有名でございますが、そうした経営者の観点からも、ある会社である部署が、また部長などが何か問題を起こした場合は、社長はその部署での問題で関係ないと言うかというと、当然、その会社の問題として、内部の調査をして再発防止策をとって会社の信頼回復に努める、これは私は、党としても政党としても当然のことではないか、そのように考えておるわけでございます。

 そういう意味から、麻生大臣も当然経営者として活躍されておりましたから、これはひとつ自民党の問題としても認識をされるんじゃないか、再発防止に努めるべきじゃないかと考えておりますので、この点、もう一度お答え願います。

麻生国務大臣 これは、楠田先生、この日歯に限らず、やはり一つ一ついろいろな例によって大分違ってくるんだと思うのですね。そういう意味で、何となく、確かにもらったんだけれどももらっていない風を装ったのか、もらって、それは派閥にちゃんと本当に渡したのか、そこらのところが、ちょっと正直、事実関係が我々には全くわからぬ。では党としてそれにどんな形で絡んだのかといえば、絡んだ事実はないという調査が出てくるとなると、これは基本的には、ここから先は、本当かどうかなんという話はこれは司法の話になって、それを個別に呼んで、本人のうそか本当かという話以外はちょっとほかに調査のしようがありませんから、私どもとしてはそういう形にならざるを得ない、残りの部分は司法の話になるんだと思うのです。

 したがって、これはケース・バイ・ケースというのが一番正しい答えなんだと思いますが、基本的にはやはり、個人が本当にもらったならもらったと言って、それはちゃんと登録すればいいだけのことなんだから、それを受取を出して登録をしないとかいうところが、記載漏れとかいろいろな表現がありますけれども、一番最初は、そもそももらったのだったらもらったと、規定どおり記載すればよかったというだけの事柄を記載しなかったところから話が込み入っておるわけなのであって、今の法律でも、記載をしなければ当然それは法に触れることになります。

 そういった意味では、会社で幾ら法律があっても、政党がきちんと法律はつくっていても、またルールをつくっていても、基本的には、それを履行しない人が出てきた場合は、今申し上げたような形になって、やはり最後は個人の倫理に戻るということになるんだと思っております。

楠田委員 ちょっと私には余り納得ができないわけでございますが、先ほど司法にもう任せるしかないという話もありましたが、国会の中でも証人喚問という形で呼ぶことも当然できるわけでございます。今、大臣として、政治家として、実際にあったかどうかわからないとおっしゃいましたが、わからないのであれば、私は、その利害関係者を呼んで、国会の場で、国民ももちろん注目しているわけでございますから、この点、証人喚問を強く要望していかなければならない、やはり今の答弁からもそのような必要があるのではないかと感じました。

 また、我々の民主党案としまして、迂回献金を禁止することをあえて明文化しようと考えておりますが、この点はどのようにお考えになりますでしょうか。

麻生国務大臣 政治資金規正法第二条の第二項というところの話なんだと思いますが、「政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない。」と規定をされております。したがって、政治活動に関するいわゆる寄附行為等々につきましては、今の理念、つまり、ここに書かれております理念にのっとってきちんと処理すべきものなんだと思うのです。

 今の御質問の点につきましては、たしか民主党案に盛り込まれていたと記憶をしておりますので、これは今から各党各会派でやられるんだと思いますが、特に倫選特というところでやられることになるんだと思いますので、十分御議論を各党各会派でしていただくということになるんだと存じます。

楠田委員 時間も限られておりますので。ただ、もちろんこれから倫選特で話もあると思います。迂回献金は定義が難しいから禁止しても仕方ないという話が今与党の方から出ておりますが、私としましては、やはり、そうはいいましても、実際に判明が難しいとしましても、国民の目から見て、政党の資金管理団体を通して一部の政治家の方に献金が行っているとすれば、ルールがありながら、そのルールに裏道があって、一部の有力な方だけが得をするということにつながっている、そのような確信を抱いておりますので、この際、政治不信を解くためには、こうした迂回献金をあえて明文化して禁止するということも必要ではないかと思っております。

 麻生大臣、本当に、こうした悪いことをしなくても当然お金は十分あられるでしょうから、麻生大臣が所管の間に、ぜひとも、私は、政治資金規正法が国民の信頼にたえ得るようなものになっていくように努力をしていきたいと思っております。

 それでは、本題に移らせていただきます。

 先ほどの質問に重なる部分もありますが、今回の提出法案、民営化の具体的な制度設計というものが検討を今されている段階にもかかわらず、民営化前の準備期において、なぜあえて業務拡大としての投資信託販売を公社のうちに先行するのかということ、そもそもなぜなのかということをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、先ほど一部御答弁を申し上げましたとおり、投資信託の窓口販売につきましては、昨年の五月、当時株価が約八千二、三百円だったと記憶をいたしますけれども、そのときに、証券市場活性化というのに資するということでこの案を検討するようになったんだと思っております。

 総務省といたしましては、このような経緯というものを踏まえて実施するためには、いわゆる政府内部においては金融庁などと調整をせないかぬ部分が出てきますので、そこで調整が整ったところで今回出させていただいたのです。したがいまして、民営化とこの投信とは直接関係しているわけではないというのはその経緯からもはっきりしておると思っております。

 ただ、今回の投資信託の窓口販売というものが、少なくとも、今後、今三百何十兆に及ぶ郵貯、簡保というものの総額が、長期的には政府保証がなくなれば減っていくであろうということは想像のつくところであります。そういった中にあって、いわゆる金利などに余り影響をされない、そういった意味での収益源の確保というのは、民営化された会社においては、ある程度きちんとしたものを持っておかないと経営が不安定にもなりますので、収益の安定化に資するという点からこの種の試みがなされておるということだと理解をしております。

楠田委員 経緯というものはもちろん私も頭に入っておりますが、それは、そもそもこれから民営化ありきという議論がされる前の段階でもあったんじゃないかなと思っております。公社としての存在期間が大変残り少ない、これから民営化されるということがほぼ既定事実として話されているようなときになぜ公社で先行して投信販売をする必要があるのか、もう一度見直すべきではないのか、私はそのような観点を持っておりますので、これから具体的に詰めていきたいと思っております。

 まず、公社自体は、自主規制機関である日本証券業協会に加入するかどうか確認をさせていただきたいと思います。

斎尾参考人 公社といたしましては、日本証券業協会に加入しまして、同協会の自主規制ルールにのっとって投資信託の取り扱いを行う予定でありまして、現在、日本証券業協会と具体的な加入方法等について協議を行っているところでございます。

楠田委員 今協議を行っておられるということでございますが、もちろん、加入をするということになれば、民間と同じような自主規制ルールにする、証券外務員の試験を受け、当然、外務員資格として登録をされて、さまざまな内部規制ルールに服すると考えられますが、もちろん、入るとすればその方向で考えてよろしいでしょうか。

斎尾参考人 日本証券業協会が登録金融機関に向けまして実施をしております特別会員向けの証券外務員資格試験を受験しまして、合格した職員に必要な研修をした後、外務員として登録をしまして、投資信託の販売を担当させていきたいと思っております。

楠田委員 その徹底をお願いします。また、それだけではなくて、その他の内部規制ルールがいろいろありますので、そうしたものにも当然服するように。

 また、国債窓販に関しては、二万余りに及ぶすべての郵便局で販売されているということで、自主規制ルールには入らないというふうに私は聞いておりますので、ここも私は、実は納得がいかない点でもあります。もちろん、民営化後は当然それもすべて入るのかもしれませんが、私は、この際、国債販売に関しても、自主規制ルールに従うように、ぜひとも実質そのような方向で持っていっていただきたいと強く要望させていただきたいと思います。

 次に、民間金融機関に今既に適用されておる、また証券取引法体系における政令や省令というものがあると思うのですが、基本的には、すべてこれは公社にも適用されると考えていいでしょうか。例えば、投信の販売窓口を郵便局の窓口の中で貯金窓口と厳密に分けて販売をするとか、このようなものをすべて適用されますでしょうか。

清水政府参考人 先生御指摘の郵政公社が仮に投資信託の窓販を行う、こういうようなときになりますと、当然、投資家保護というような必要性がございますので、民間金融機関が投資信託の窓口販売を行う場合と変わりなく扱うわけでございます。

 したがいまして、証取法の登録機関として扱われるとか、そのほか、証券取引法及びその他の政令、省令、例えば、禁止行為か何かで虚偽だとか誤解を生ずるようなケースだとか、そういうような表示をしてはいけませんよとか、特別な利益を提供して勧誘してはいけませんよとか、当然、今内閣府令で定められているようなもの、このようなものはすべて適用されるという形になろうかと思います。

楠田委員 これから後は、体制整備についてお聞きしていきたいと思います。

 まず、投資信託の販売体制として五百局程度、当初その取扱局を選定していくとお聞きしておりますが、この選定基準というもの、どういう戦略として五百にしていっているのか、特定局というものもどのぐらいの割合で含まれているのか、また、将来的にこの拠点を拡大していくような方向性をお持ちなのか。この点、お答え願います。

斎尾参考人 投資信託の販売に当たりましては、商品の性格上、説明に相当の時間を要するため、ローカウンター等を設置するスペースを確保する必要があること、また職員数の少ない郵便局では、ほかの窓口業務などに支障が生じるおそれがあることなど物理的な問題もありますので、すべての郵便局で投資信託の取り扱いを行うことは困難と考えております。

 そのため、初年度の取扱局につきましては、既に確定拠出年金の運営管理業務取扱局として投資信託商品の提示を行っております郵便局を中心に、できるだけ多くのお客様に投資信託の購入機会を提供できるような立地条件、それから地域間のバランス、そして局舎スペース等を考慮しまして、五百五十局程度で取り扱いを開始することとしたところであります。この中には特定局ももちろん含まれておりまして、何局にするのかこれから検討してまいりますけれども、二十局程度を考えておるところでございます。

 なお、投資信託取扱局につきましては、販売状況、それから局内スペース、職員の証券外務員資格取得状況などを勘案しまして、順次拡大をしてまいりたいと考えております。

楠田委員 さらに拡大をしていくという方向性もあるということで認識をしたいと思います。

 五百五十局程度ということでございますが、まず、この投信販売にかかわる職員の人数としてどれぐらいの規模を考慮されておられるのか。また、その人数の研修、資格取得などが可能なのか、そのカリキュラムというものをどのように考えておられるか。また、そのために中途採用というものをやはりやっていくのか。採用するとすれば、その資格試験というのはいかなるものになっていくか。この点に関してお答えいただけますか。

斎尾参考人 投資信託の販売に当たりましては、各取扱局に証券外務員資格を取得した職員を最低三名配置することとしております。そのため、投資信託の販売に携わる職員は、最小でも二千名規模になるものと考えております。

 また、証券外務員資格の取得に当たりましては、証券業務の概要に関する集合研修、それから通信講座の実施など研修を実施いたしまして、取り扱い開始までに業務の実施に必要な資格保有者を確保することといたしております。

 また、証券外務員の資格を取得した職員を対象にしまして、関係法令等のコンプライアンス、業務手続、取扱商品、販売方法等に関する十分な研修を実施しまして、万全な販売体制を構築していくこととしております。

 なお、投資信託の販売におきます民間ノウハウの活用につきましては、人材派遣会社からの投信経験者の派遣や投資信託のコンサルティング契約等を中心に検討しているところでありますが、職員の中途採用につきましても、その方法も含めて今後検討してまいりたいと考えております。

楠田委員 今後考えられていくということでございますが、中途採用というもの、もしこれだけの人数が必要であれば、人材派遣で派遣してもらう、例えばコンサルティングしてもらう。こうした人たちは、あくまで外部の職員として郵便局に通うようなことになるのか。それとも、公務員として臨時的に雇用するような形になるのか。私は中途採用しないと相当厳しいと思いますが、この点、ちょっともう一度、厳密にお答え願います。

斎尾参考人 人材派遣会社からの派遣ということになりますと、あくまでも、アルバイトといいますか、正規の職員ということにはならないと思いますけれども、それだけではなくて、正規の職員として中途採用も含めて考えていかなければいけないというふうに考えております。

楠田委員 まず、そもそも郵政公社である間に、公務員の人が働いている間に、本業に携わる方をアルバイトとして雇うというのは僕はちょっと問題が多いんじゃないかなと思いますのと、中途採用を恐らくしていくと思います。こうなっていきますと、郵政民営化に当たっての配慮原則、今現在いる職員に対してその雇用は確保していくというような原則があると思いますが、中途採用によって、この時点で公社のうちに職員を公務員としてさらに拡大をするとなると、駆け込み肥大と言われても仕方ないのではないか、ふえた職員分、民営化した後、またさらに守っていくということを考えますと、私は問題が多いんじゃないかと思いますが、この点に関してはどのように折り合いをつけられるか、納得ある答弁を願います。

斎尾参考人 職員の中途採用につきましては今後検討してまいりたいと考えておりますけれども、仮に中途採用による増員をしたとしましても、事業の経営基盤の充実を図るため従来から行っております効率化施策は効率化施策として適切に実施していく予定でありまして、中途採用によりましてそれがすぐ肥大化に結びつくものではないと考えております。

楠田委員 効率化していくというのは、その人員が少なくても回るような体制にしていくということだろうと思いますが、あえてここで、そうした最低でも二千人、しかもこの後拠点を拡大していくということでございますから、私は十分これは肥大化にもつながる可能性があるんじゃないかと思っております。この点は、やはり私は公社でなぜ今やるのかという疑問もありますが、肥大化につながるようなことはぜひとも避けていただきたいと考えております。

 また、販売管理体制また内部管理体制というものはどのようにしていくおつもりなのか。例えば新しい部署を設置するとか、今では統合リスク管理部というのがあるとお聞きしていますが、そうした部署でやっていくのか。そうしたものを、具体的にプランをお聞かせ願えればと思います。

斎尾参考人 投資信託の窓口販売を行うに当たりましては、投資家保護や取引の公正の確保の観点から、証券取引法等の関係法令や日本証券業協会が定める自主規制ルールに即した体制整備を図ってまいりたいと考えております。

 そのため、現在、関係法令や日本証券業協会の自主規制ルールの内容を踏まえながら、民間金融機関の内部管理それからコンプライアンス体制を参考に、実効性のある体制を整備すべく準備を進めているところでございます。

楠田委員 先ほどから、準備を進めているという答弁が多いと思います。

 私も銀行に少しおりましたけれども、例えば内部管理体制として、法律以外にも、監査、内部管理、業務の各部門を分離して相互にチェックするであるとか、本部で異常取引をチェックするであるとか、業務監査制度、本店組織のようなものが検査に入る、そのようなあらゆるセーフティーネットが張られているというふうにも記憶しておりますが、そうしたものに対しても配慮をしっかりされていくか。この点に関して、もう一度お聞かせ願います。

斎尾参考人 先ほど申し上げましたように、日本証券業協会の定めます自主ルールに即した体制整備を図っているところでございまして、例えば内部管理責任者などをそれぞれのところに設置するなど、今そういったことを検討しているところでございます。

楠田委員 時間も限られてきましたので、内管の責任者だけではもちろん足らないわけでございまして、当然これから、今の時点でまだ詰められていないというのも私は心配でございますが、そうした民間での体制というものをしっかりと吸収されるように強く要望したいと思います。

 また、民間の金融機関で販売する、例えば銀行で販売するときも、やはり預金との兼ね合いで、政府保証も公社の間はあるわけでございますから、そうしたものと誤認防止措置というものをやはりより以上に民間よりも強くしなければならないと考えておりますが、例えば高齢者に対しての説明責任等、そうしたものももちろんしっかり考えておられるのか、お聞かせ願います。

斎尾参考人 郵便局で投資信託を販売するに当たりましては、貯金等との誤認防止の観点から、特定の窓口を設けなければならない旨を定めた省令が制定されると聞いております。

 また、投資信託の販売に当たりましては、適合性の原則に従いまして、お客様の投資目的、投資経験、投資知識、財産の状況等をきちっと把握した上で、個々のお客様に適合した勧誘をしますとともに、お客様が商品の仕組み、リスク、リターン等について十分御理解、御納得された上で、御自身の判断により商品を購入していただくことが必要と考えております。

 このため、特に高齢者のようなお客様が投資信託を貯金と誤認することがないように、投資信託販売専用窓口などの整備や、お客様の説明等に関する十分な研修の実施などによりまして、適切に投資信託を販売していくこととしているところでございます。

楠田委員 今までお聞きしていますと、例えばローカウンターを設置するとか、そういう簡単なものから、人員がやはり二千人は最低必要であるとか、また研修費が相当かかる、またシステム設計、開発、端末の設置等、私は、初期コスト、ランニングコスト、相当膨らんでいくんじゃないかなと今まで聞いておりまして感じております。

 また、目標として、来年十月の販売開始と聞いてもおりますが、こうしたいろいろな体制整備を考えますと、実際に間に合っていくのか。例えばシステム一つとりましても、郵政公社のうちは政府調達ルールというものが当然適用される。これは最低百九十一日間も公告とか仕様書作成にかかるとも聞いております。

 コストがどれだけかかっていくのか、そして、それをいかに、どれぐらいの期間で回収をする計画を立てているのか、また、実際に来年十月の販売開始までに適切なお客様のための説明も含めて対応がとれるのか、システム対応がとれるのか、この点に関して具体的にプランをお聞かせ願います。

斎尾参考人 今回の公社による投資信託販売にかかわる初年度のコストにつきましては、今のところ三十億円程度と見込んでおりまして、今後の収支見通しにつきましては、あくまでも今後の経営環境や市場動向等により変わり得るものでありますけれども、今のところの見通しでは、販売開始四年目に単年度黒字、七年目に累積黒字となると想定しているところでございます。

 また、販売開始時期につきましては、法案で義務づけられております投資信託の商品の公募選定、あるいは職員に対する研修、訓練など、さまざまな準備が必要となりますから、これらの準備に要する期間を踏まえまして、来年の十月を目途としたところでございます。

 システムの対応など、決して余裕のあるスケジュールではありませんけれども、公社としましては、早急に販売を実施できますよう、現在鋭意準備を進めているところでございます。

楠田委員 時間も限られておりますが、やはりお客様に何かあってはいけない。公社の間に、十月までもう一年も当然ないわけでございますから、私が独自に聞きましたところ、販売体制や取扱商品、研修、教育、事務システム、さまざまな要素がこれから必要で、特にシステムなんかは一年間はやはりかかってくるだろう、そういうふうに私は民間の金融機関からも聞いてもおるところでございます。

 当然、そうしたものが拙速であってはいけないわけでございますが、例えば初期投資三十億円程度かかってくる、そうしたものが手数料に反映をされてくると思います。そうした手数料を民間と同レベルにするということも、私は当然無理も生じてくるんじゃないかなと思ってもおります。

 今までお聞きになっておられまして、大臣、最後に、今までの経営感覚も含めまして、公社での投信販売というものは本当に採算がとれるものとなるのか、また、十月までにスムーズに実施できると考えるのか、時期尚早ではないか、この点、最後にお聞かせ願えますか。

麻生国務大臣 初年度からいきなり黒というようなことを期待しているわけではないんですが、今の公社の答弁にもありますように、五年ぐらいで累積黒という目安を立てておられるように思います。

 いわゆる確定拠出年金、通称四〇一kというのの販売に関しましては、約八百弱、七百九十六の郵便局でこれまでもやってこられたというのが経緯、現状もたしか七百九十六だと思います。

 今回、いわゆるこの種の販売員を養成して、少なくともいろいろな意味で販売を開始するに当たって、外務員等々の訓練をしていく必要があろうと思います。

 小さなところでやるわけにはいきませんので、ある程度の大きさ、職員の規模を持ったところでないと対応する人間の絶対量が足りませんので、この販売をやっているためにほかのところの業務が滞ったということにならないように、ある程度の規模というので、五百とか五百五十とかいう数字が挙がっているんだと思います。

 その種の数の絶対量もさることながら、いわゆる販売する人の、先ほどの倫理を含めまして、そういったところもきちんと訓練、経験を積ませておくことは極めて大事なところだと思っておりますので、それに向かっての準備をされておられる最中だと思っております。

 結構これまでいろいろやるつもりで準備もしてこられておると思いますので、何も焦ることはありませんので、将来確実な収入の一つとして、こういったものの訓練がなされていくものだと期待をしております。

楠田委員 そうした厳密な計算と、また対応を強く要望させていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、中村哲治君。

中村(哲)委員 民主党・無所属クラブの中村哲治でございます。

 本日、私は、第一に、公務員と投資信託、第二に、郵政官署法と投資信託、第三に、間接金融から直接金融へ、第四に、現有資産の管理について、第五に、信書の分野について、以上の五点について質問を用意させていただいております。三十五分ですので、端的に聞いていきたいと思います。

 まず第一に、公務員と投資信託の関係であります。

 楠田委員の質問にも関連してまいりますけれども、公務員がリスク商品を売ることに対する懸念は、我が党の議論の中でも指摘をされております。

 この点について、総務省としてはいかにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今の御質問ですけれども、先ほど申し上げましたように、昨年の五月、いわゆる証券市場活性化というのを目的としてこれが始まったというのがそもそもの背景です。

 ただ、今御指摘のありましたように、窓口で投資信託を販売するということは、これは投資信託にはある程度のリスク性が伴いますので、株とはちょっと違うかとは思いますが、買っていただく利用者の方々にそのリスク性につきまして十分説明をするという責任は避けて通れないところだと思います。

 いわゆる販売をする郵便の職員というのは、これは郵便切手を売るのとはわけが違いますので、全然違うんですよという十分な説明をするようなこと、また、売ります商品の内容に関する知識等々、研修などなど、訓練が必要なんだと思います。法令遵守、近ごろの言葉ではコンプライアンスとかいうようなものを含めて大変重要なところだと思います。販売職員に対しまして、きちんとやろうとするとどうしても、先ほど申し上げましたように、人数がある程度多くて、かつその種の訓練に人を割けるところとなると、二万四千九百ありますけれども、そうそうあるわけではないので、今、五百、五百五十局ぐらいからスタートするところだと思います。

 少なくとも、大分景気がよくなったからえらいもうかるでみたいな話、安易なことをやるのは極めて危険ということになりかねぬと思っておりますので、十分注意してやられるべきものだと思っております。

中村(哲)委員 今の大臣の最後のところが非常に重要だと思います。公務員が売るということは、やはり買い手にとってはより信用されるということなんです。民間企業のレベルよりも高いコンプライアンスが求められると言っても私は過言でないと思うのですね。

 党内の議論では、こういう意見もありました。公務員が売ることにはこういう問題もある。投資信託を売るということは、これから景気がよくなる、経済がよくなるということを前提とします。だから、例えば、選挙前に野党が今の経済政策は誤っているじゃないか、そういうふうに主張したときに、いや、景気はよくなりますよ、いや、経済は今から回復基調になりますよ、そう政府は言っていますよというふうな売り文句で外務員が回られた場合、民間ならばそれはいいのかもしれません、しかし、これを公務員がやった場合に政治的中立に反するんじゃないか、そういう指摘が党内でありました。

 このことを防止する、そういった公務員ならではの防止策というのはいかに考えていらっしゃるでしょうか。

麻生国務大臣 基本的に、今おっしゃっておられる点は、普通の証券会社の窓口に立ちます投資信託の販売員に比べて、役人の方はもう少し慎重であらねばならぬということなんだと思います。

 一つだけ、投資信託というのは、配当性向、配当率等々を考えました場合に、例えば景気の流れに余り関係ない企業の債券、株等々の場合は、配当率二%、今もうちょっと上になっていると思いますが、一番かたいところだけを売りましても配当率というものは確実に一・五とか二、ローリスク・ローリターンということになるんだと思います。こういったものは景気の上下に関係なくかなりかたいところだと思っておりますので、そういったものが主たるものであって、えらくハイリスクのものはちょっといかがなものかという感じは、これは先生、どなたも皆思っておられるところだと思います。

 役人の身分のままこの種のことをすることに関して、そういったものには慎重であらねばならぬのではないか、ましてや、景気がいかにも上がってくるというような話を安易に言うのは問題ではないかという点に関しては、私もそう思っております。したがって、景気がよくなるから上がりますよという形の売り方は、それはちょっと避けられた方がよろしいのではないか、率直に私もそう思います。

中村(哲)委員 大臣は、そういうふうに問題意識を共有しているのなら、具体的にどういう防止策をお考えになりますかということを私は質問したわけです。それについていかがでしょうか。

麻生国務大臣 基本的にはその担当する外務員の姿勢の問題なんだと思いますので、その種の問題は、売らないようにというように指導をする以外に手がないのであって、そういった商品はきちんと避けるようにするべきだという指導をするのが正しいんじゃないでしょうか。

中村(哲)委員 確かに、それは外務員の姿勢の問題、資質の問題ですよ。でも、それだったら企業不祥事なんか絶対起こらないじゃないですか。企業の不祥事が起こるから、コンプライアンスを守りましょう、システムとして、そういった外務員が存在しないように仕組みをつくりましょう、そういう世の中の流れじゃないですか。それを外務員の姿勢の問題、資質の問題と言ってしまったら、これは議論にならないじゃないですか。

 具体的なシステムとしてどういうことをお考えになりますかということをお聞きしているんです。それは総務省として関与することではない、公社に任せるという話であれば、まだそれはそれでわかるんですけれども、いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 証券取引法というのがありますが、それを見れば、有価証券の価格またはオプションの対価の額が高騰し、または下落などということを断定的に判断して勧誘する行為を禁止しておるわけでしょう。この法律はこっちにも適用されることになりますので、これを遵守するというのは当然じゃないですかね。

中村(哲)委員 今大臣がおっしゃったのは、それは民間と同じレベルで頑張りますという話なんですよ。私は、公務員だからこそ民間以上のコンプライアンスが求められるんじゃないですかと申し上げているんです。だから、そこをどういった仕組みをつくって、先ほど大臣は、そういう売り文句をやっちゃいけないですねということをおっしゃっていた、そういうことを防ぐ仕組みをいかにつくれるのかということをお聞きしているんです。民間以上のところですね。

 そこについて、考えていないというならそれはそれでいいんですよ。証券取引法に任せていますから、もうそれ以上のことは考えていません、だから、そこは民間と同レベルで仕方ないんですよ、そういう御答弁をされるんだったらまだわかるんです。

 一方で、公務員だから、民間よりもやはり厳しいといいますか、先ほどおっしゃったような、慎重でなければいかぬというお気持ちであれば、さらに、より一層の防止策というのが必要なんじゃないか、そこを議論させていただいているわけでございます。

麻生国務大臣 御指摘いただいているところはよくわかりますけれども、基本的にはこれは公社がやることになりますので、公務員ということも少なくとも向こう二年間くらいの話かもしれませんけれども、それまでの間、民間とは少し違うんですよという点で、この法令遵守の点につきましてはきっちりやってもらわなきゃ困りますよという話を、総務省として郵政公社に対して指導するということなんだと思います。

中村(哲)委員 今の大臣の答弁にもあって、皆さんおわかりのように、結局、公務員がこれを売ることに対する具体的な担保というのは、すべて公社に任されているということなんです。だから、公社の姿勢がどういうふうになってくるのかということが逆に問われるわけです。私は、今の段階で公務員が投資信託を売るということにはやはり反対せざるを得ないと思っております。

 それに関連して、第二の論点に移りたいと思います。郵政官署法と投資信託の関係であります。

 二〇〇一年二月二十七日の総務委員会におきまして、私は当時の片山大臣と議論をさせていただいております。そのときに、片山総務大臣は、市町村合併で役所が遠くなることを郵便局の利用で補うという方針を打ち出されております。私は、一つ、それは見識だなと思っておるんですね。実際、今まで近くのところで住民票とかもとれていたわけですから、合併になると困る、そういった人たちに対して郵便局を利用してもらう、それは一つの方法だと思います。国策としてそれを推進してこられたのが総務省だと思います。

 しかし、こういった官業の代行をしているようなところが、今度は逆に非常にリスクのある投資信託という商品を売ることになること、このことについても整理をしないといけないと思うのですね。その点についていかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 非常にリスクのあるものは投資信託ではない。リスクはないとは言えないというのが投資信託。まず、基本的には、非常にリスクがあるという表現はいかがなものかと存じます。

 いずれにいたしましても、今でも、確定拠出年金、四〇一k、これも一種の投資信託みたいなものだと思いますけれども、こういったリスク商品の取り扱いは既に実施をいたしておるところでもあります。また、国債なんかを売っておりました場合でも、国債を個人に売った場合、十年物を途中で売却した場合は元本割れするおそれもありますという話で、リスクを有するということはある程度言えるんだと思っておりますので、今御指摘のありましたように、その種の投資信託というものは、それらのものに比べて、非常にとは言いませんが、今やっておりますよりさらにリスクがあるという点はきっちり説明をする必要があるんだと思います。

 その種の話が出てくるところで、いわゆる行政事務手続を、町村合併等々に伴って、住民の利便に供するためにやるところと一緒に、その窓口サービスをやります郵便局がやるということに関しては問題ではないかということなんだと思いますが、私どもから見て、民間金融で取り扱っている商品を郵便局において取り扱うということが、国民にとってメリットがあるのはもちろんですが、それはいかぬと言われると、それは中村先生、直ちに、極めて危険なジャンクボンドを売るわけでもないので、そこは少し違うんじゃないかなという感じがするんです。

中村(哲)委員 つまり、大臣の受け取り方は、国民の受け取り方がどうであるのかということが一番関係してくるんだと思います。

 郵便局で売っている投資信託だから安全、安心だろう、そういうふうに受け取られる可能性が非常に高いということを私は申し上げているわけでございます。しかし、そこの点が崩れてしまったならば、一方で官業を引き受けることが拡大をしているにもかかわらず、そういったリスクの高い商品を売っているということになると、国民としては、端的に言うとだまされたということになります。

 具体的に、法律の条文で考えていきたいと思います。今回の法律案の八条に規定があります。

  第六条の規定により読み替えて適用する証券取引法第六十五条の二第一項の登録を受けた日本郵政公社(以下「登録郵政公社」という。)は、証券投資信託の受益証券の募集の取扱い等に係る証券投資信託を選定しようとするときは、公募の方法によらなければならない。この場合において、登録郵政公社は、内閣府令・総務省令で定めるところにより、公募の方法による選定の手続を定め、これを公表しなければならない。

第八条一項にこのように書かれております。その公募の方法がいかにあるべきかというところがポイントになってくるんだと思います。

 公募の基準はどういったものなのか。ここで懸念されるのは、手数料が多いような投資信託が選ばれることになるんじゃないか、そういった懸念もあるわけですね。手数料が多い投資信託、投資信託によって、郵政公社特有の手数料はつけちゃいかぬということに恐らくなるんだと思いますが、手数料が高いような銘柄を郵政公社が選ぶんじゃないか。そういうのはリスクが高いから、結局、消費者がそれを知らずに買ってしまうようなことがあるんじゃないか。また、手数料が高い、そういった商品を積極的に扱うということは、その投資信託を運営する会社に郵政公社が天下りするんじゃないか。そういった問題とも絡んでくるわけでございます。

 公募の基準は何なのか、その点について、改めて総務省から御答弁いただきたいと思います。

山本副大臣 先生御指摘の本法律案第八条でございますけれども、ここにおきましては、内閣府令・総務省令において、公募の方法による選定の手続を定めて、これを公表しなければいけないということになっておるわけでございます。

 そこで、内閣府令・総務省令においては、公募の基準を示すこと、基準を示すに当たっては、インターネット等により広く周知されるものであること、選定した商品の募集の取り扱いは、日本郵政公社のみが取り扱うものでないこと等々を予定いたしております。

 そしてまた、今先生からありました、委託の手数料の高いものを選ぶのではないかというような御指摘等については、不当な販売の禁止ということになってくるんだろうと私どもは理解をいたしております。

斎尾参考人 具体的な公募の方法、そして選定基準につきましては、今回の法案に係る内閣府令・総務省令の内容を踏まえまして、公募選定の公正性、それから透明性が十分確保されますように定める予定でございます。現時点では、公募につきましては、郵便局のお客様にふさわしい投資信託の商品コンセプト、選定基準を公表した上で実施することを想定しております。

 具体的な選定基準につきましては、過去の運用実績、価格変動リスク、収益性等の定量的な評価基準に加えまして、商品の運用方針や運用方法、さらには投信委託会社の経営の健全性や運用体制、リスク管理体制、公社に対する販売支援体制等の定性的な評価基準を用いる予定でございます。

 このように、郵便局のお客様にふさわしい商品が選定されるような基準を設定することとしておりまして、専ら手数料水準のみに着目した商品設定は考えていないところでございます。

中村(哲)委員 今、斎尾理事のおっしゃったことは一般的なことを言っているにすぎないんですよ。手数料のみに基づいて選ぶわけじゃない、そんなこと、当たり前じゃないですか。

 リスクの高いものを選ぶんですか、低いものを選ぶんですか、そのことについての答弁もないじゃないですか。きのう、質問取りのときには、ちゃんとそこまで踏み込んで答えますとおっしゃっていましたよ。そんな国会対応でいいんですか。今のことなんか、実際何も答えていないのと一緒じゃないですか。省令が出てきたらまた対応するということでしょう。

 総務省、これでいいんですか。今、せっかく副大臣が一生懸命基準をおっしゃって、やはりこの方針で公社は頑張ってもらわなあかんという気持ちがあらわれていたのに、今お聞きになったような感じですよ、公社の姿勢というのは。国会軽視と言っても私は過言ではないと思うのです。どういうふうに具体的にやっていくのかについて、具体的なイメージがわかないじゃないですか、今のでは。その点について、総務省、いかがお考えでしょうか。

山本副大臣 総務省の立場としては、先ほど申し上げましたような、要するに省令を出していくわけでございますけれども、先生の御指摘のように、あとは郵政公社の方が、本当に郵便局らしい販売の体制をどう整えていくか、そしてまた利用者の方々にどう説明をしていくかだろうというふうに思っておりまして、その辺につきましては、総務省として監督する立場でございますので、厳しく指導をしていきたいなと思っております。

中村(哲)委員 その総務省の方針で頑張っていただきたいと思います。

 郵政公社は、きちんと答弁しないようですから、もう答弁は結構です。

 この点に関して、民営化された後はどうなるのか。つまり、郵政官署法は、証明書の交付事務として六つの事務をやっているわけですよね。これからも、民営化された後も、こんな戸籍、除籍の謄本、抄本、記載事項証明等をやっていいのか。地方税の納税証明書、外国人登録原票の写し及び外国人登録原票記載事項証明書、住民票の写し及び住民票記載事項証明書、戸籍の附票の写し、印鑑登録証明書、この六種類、これからもやっていいのか、民営化された後もやっていいのかという論点があります。

 この点について、内閣府から副大臣に来ていただいていると思いますが、御答弁をよろしくお願いいたします。

西川副大臣 今やっているいろいろな事務を民営化後も引き継ぐのか、こういう御趣旨かと思います。

 本年の九月に閣議決定しました郵政民営化の基本方針でありますけれども、この中にも書いてあります。窓口ネットワーク会社については、地方公共団体の特定事務それから福祉的サービスなど地方自治体との協力等の業務を受託する、こう書いておりまして、これからもそれらを前提にしまして詳細な制度設計をやっていきたい、こう考えております。

中村(哲)委員 麻生大臣、今のお話、結局、公務員であること、それと郵政官署法でこのように郵便局がいろいろな行政事務を請け負っていることが民営化のときに非常に大きなネックになってくるんじゃないか、そこが大きなポイントなんですね。

 今、基本方針には、そこは引き続きやっていきますということが書かれていますという御答弁にとどまるわけです。それを担保するために、それじゃどういう新しい施策を講じますよということについては触れられていないんですよね。今の理屈だったら、コンビニの普通の会社にでも、こういった六つの証明書交付事務は任せていっていいという話になるわけですよ。

 では、コンビニはだめで、民営化された郵政会社はなぜいいのか、そこの担保は何なのかということが問われるわけです。そこに対する答えが、残念ながら内閣府の副大臣の答弁からはないわけです。そこについて、大臣、いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これは基本的には、郵政公社を民営化する法律が今から出てくる段階ですから、まだ今、中村先生、答えはないんですよ。今検討中、正確に言うとそういうことになるんだと思うのですね、まじめに答えれば。ごまかし方はいろいろ、答弁の仕方はあろうかと思いますが、まじめに答えればそういうことになるんだと思うのです。

 だから、今言われました、印鑑証明を初め六つなんですが、現実問題として、地方行政を預かる立場からいきますと、通称三千と言われております市町村というものが、二千五百二かな、今たしかそんなものだと思うのですね。これはかなりの数のいわゆる庁舎、村役場というものがなくなる。

 ところが、御存じのように、村には最低一つ郵便局があることになっておりますので、その郵便局が残ることによって、行政サービスを維持し得る可能性がそこにある。通常、役所に行くといったら、今六つ言われましたけれども、こういった戸籍とか印鑑とかいったものをとりに行く話ですから、そこらのところがいわゆる窓口ネットワーク等々の、今でいいます郵便局のところでそれがとれるというのは、これは行政サービスを維持するという意味で非常に大きな役割を果たす、私自身はそう思っているんです。

 問題は、そこにいる人たちが非公務員ということになってくると、例の裁判所の特別送達を含めいろいろな問題が今出てきている。これは目下検討中なんだと思うのですが、そういったものの一環としてこの種のものも検討されてしかるべきな話なのであって、こういったものが、民間のこれでできるんだったら、コンビニだってできることになりはせぬかという御意見なんだと思いますけれども、そういうのを含めまして、いわゆる準備室の方で法案をつくられるときには十分に検討されるべき内容だと思います。

中村(哲)委員 今から法案化するときに詰めていくという話なんですよね。だけれども、具体的にどういう方法があるのかということに関しては想像できないと思うのです。

 大臣、検討中だけれども、こういう方法がある、こういう方法、こういう方法があるということをもしお示しいただいたら、また私たちも考えることができるんですけれども、公務員じゃない民間の人たちがこういう証明書の発行をすることに対して、信頼感を損なわない、不信感を持たれない、そういった方法があるのかどうかについて、今具体的なイメージは恐らく大臣でさえお持ちでないんじゃないかなと私は正直思うのですね。私自身、よく考えているんですけれども、そういったことを一個も考えることができない、思いつくことができないわけです。

 まだそういう段階にあって民営化するのは、時期尚早なんじゃないか、もっともっと議論をしていくべきじゃないか、私はそのように考えているわけでございます。その点について、確認だけさせていただきたいと思っております。

 では次に、第三の論点に移りたいと思います。間接金融から直接金融へ、そういった論点でございます。

 これから十年間で、私は、日本の金融状態というのは基本的には劣化していくのではないかというふうに思っております。

 と申しますのは、将来十年間で、今まで非常に頑張って働いてこられたいわゆる団塊の世代の人たちが、今はお金を稼いで貯金をしているけれども、十年後には社会保障の受け手になっていく、そういった意味で、貯金が減っていくだろう。それを裏づけるように、近年の貯蓄率はどんどん低下しております。

 こういったことを考えると、当初、この法案が目的としていた、貯蓄から民間へ資金を移していく、証券市場を活性化していくということが、その目的が変容するのではないか、金がなくなっていくのではないか、そういったことがあるのではないかと思うのですが、この点について大臣はいかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 これは、中村先生、ちょっと話が長くならざるを得ぬのですが、基本的に、日本人の場合は他の先進国の人に比べて、いわゆる個人金融資産というものを貯金、預金で持っている比率が約五五%くらい。先進国の中では、アメリカはちょっと少な過ぎるという感じで一二、三%くらい、ヨーロッパで大体二五、六%から三〇%くらいなんだと思うのですね。日本はまず異常に高い、いい、悪いは別にして。

 私は、これは、資金がなかった時代、とにかく小口金融で集める、これは金がなかった時代には非常にうまくいったんだと思っております。この金を使っていろいろ、財投を初め政策金融機関で傾斜配分して日本の経済復興に充てたことは間違いないと思うのです。ただ、それがたまりにたまって三百五十兆、加えて銀行が危ないというような話になったものだから、また預金がごそっと移ったりして、個人金融資産約一千四百兆のうちの四分の一が一つの国有貯金に集まり過ぎているというのは、これは世界じゅうで日本だけなんだと思うのですね。

 これだけ金を持ってくると、当然のこととして、金がないときは貯金は目的になりますけれども、ある程度金を持ったら、今度は金は目的から手段に変わって、その金を使って何をするのかという話になっていくのが当然の流れだと思いますが、貯蓄より投資とか、いろいろな表現になってきつつある。それだけ余裕が出てきたといえば、余裕が出てきたんだと思います。

 今度は株の比率を見ますと、これは投資信託というのは、日本の比率を見ますと、二%しかないということです。アメリカとかドイツというのは十何%ありますので、えらく高いなとも思いますけれども、イギリスやフランスでも四とか九とかいう数字になっています。投資信託の比率です。

 そういうものを見ますと、もうちょっとこれは貯蓄が減って投資に回ってもおかしくない数字なのかなという感じがするんですが、いずれにしても、金の流れというものが、ある程度金のできてきたような時代に合わせて、そういったものになっていくという流れなんだと思います。

 問題は、具体的な例を言う方が、先生の場合、わかられると思いますので、例えば、今普通預金で預けて金利〇・〇〇五%、だから千万円預けて五百円。五百円ですよ。一回おろしたら手数料が三百円、もうあほらしくてやっておられぬ、私だったらそう思うのですね。今、かたい株で、どの株がかたいかと言うとちょっと問題ですね、配当率でいきますと二%くらい。だから、配当率二%ということは、千万円預けて二十万円。今、税金が別枠で一律一〇%になっていますので、二十万円引く二万円で残り十八万。十八万と五百円はどっちが利益がでかいかといえば、これはかなり年をとられた方でも理解をしていただけるところだとは思うのです。

 それでも、やはり日本人の意識というのは、株は怪しげなものなんですよ。田舎で、中村さん、株やっているんだって、と何だかばくち打ちに近いようなイメージにとられかねないくらい、昔は株をやっていると言ったらほとんどアウトですよ。少なくとも私の田舎では、間違いなく。とにかく信用しちゃいかぬのは石炭掘りとばくち打ちと言われたくらい。私はそういうところに育ちましたので、株をやっているというのはそういうイメージなんです、日本の場合は。

 いや、そんなものじゃありません、今株というものは、信託とか投資とかいうものは全然違うんですということの理解というのは、金を持っておる高齢者ほどないんですよ。そこのところが、今の日本というのはかなり貯蓄に偏り過ぎていると思っておるんです。

 先生、加えて、この五、六年で見ますと、企業は、借りるより返済している額の方が実に二十五・六兆円多いんです、この六年間の平均で。これは日銀が公式に発表している数字です。

 九〇年代の初めのころは、企業は年間五十兆借りておるわけですから。預金は二十兆、五十兆借りて差額は日銀がという話なんですが、その五十兆借りているものが二十五兆、返済の方が多いとなると、これは、二十兆の預金がふえて二十五兆の返済が返ってくれば、合計四十五・六兆円のデフレ圧力ということになっているのが、今の日本の経済というか金融の実態であろうと思います。

 そういった意味では、その金がまた貯金に回って、基本的に今返済する方が多いわけですから、これは金利がゼロでも企業は金を借りに来ないという前提で経済というものを書いた本は私が読んでいる話ではないので、そういう状態が今初めて起きておるという状況でもあります。中村先生、これは、今いろいろな試みがなされているものなんだと思いますけれども、少なくとも今までの例ではなかなかできない状態で、あわせてどうするかというところが経済としては今一番問われているんだと思います。

 この貯金も、昔はとにかく郵貯、郵貯といったんだけれども、借りるところがなくなってくれば、これは、今三百兆の金を持っていて何をするんだという話になっていきはせぬかなという感じが率直なところですね。

中村(哲)委員 非常に長い答弁で、ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、要約させていただくと、だからこそ郵便局が投資信託を売ることによって、貯金の意識から投資信託というのもあるんですよということにしていくということだ、そういうことをおっしゃりたかったんだと思うのですね。

 私もその意見には賛成なんですよ。そうなってくると、今度は、国債管理上、こういったものが問題にならないのかということになってくるわけですよね。

 今、つまり、郵貯、簡保でお金をごっそり集めて国債を買っているわけです。だから、官から民へとお金の流れを変えると、今度は国債が消化できなくなるんじゃないか、国債の暴落を招くんじゃないかということになります。影響がないということになれば、今度は法律の趣旨が生かされないことになります。どっちにしても問題じゃないかというふうに思うのですが、最後にこの点について伺いたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありました点につきましては、これは、国債の金利がこれだけ安いという状況の中にあって、今までそれ以上に安心なものはない、かつ銀行の預金も千万円預けても〇・〇〇五%ということになると、やはり株式市場に流れるよりは郵便貯金にということで、それがそのまま国債に回ったことは容易に想像はつくと思います。ただ、影響についてどうかと言われると、これは投資信託の窓販の規模などにもよるとは思いますけれども、直ちに、どれぐらい影響が出てくるかというのはちょっと想像ができないところなんです。

 いずれにしても、証券市場の活性化に資する、それがいろいろな意味で景気の動向にもよくなるということで、国全体としてはメリットがあるのじゃないかなという観測は持っております。

中村(哲)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、今回、まだ、現有資産の管理の方、特に社宅の問題についてやろうと思ったんですが、質問が残ってしまいました。社宅の問題、今、管理費よりも社宅から集めてくるお金の方が少ないんですね。ずっとずっと少ない。四分の一ぐらいしか管理費を賄えていない、そんな状況にあります。国有資産をきちんと利用するという意味でも、この点について次回また議論させていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

実川委員長 次に、松崎公昭君。

松崎(公)委員 民主党の松崎でございます。

 先ほどから、与党も野党も立場は若干ニュアンスは違いますけれども、やはり今の郵政民営化にかなり問題がある、そして拙速である、そういうような御意見が与野党ともにあるわけでありますね。それは、やはり、小泉さんの掲げております郵政民営化というのは、本来、郵政の改革がもとにあったはずなんですね。つまり、郵政改革はイコール民営化ではないんですね。民営化は改革の一つの有力な手段だということだと思いますね。

 ところが、なぜ郵政改革になったかといえば、もうこの国が立ち行かなくなったということが、自民党の皆さんも官僚の皆さんも、気がついてはいるけれども手放したくないというところで、毎日のように自民党の中でも政府側とちょうちょうはっしやっている。その一端は三位一体改革も同じでしょう。ですから、官僚体制を壊していって、ソフトランディングしながら生き残れる郵政の形にしようということで一つの民営化が出てきてはいますけれども、その一番大事な改革がほとんど進んでいないというのが我々の認識なんですね。ですから、その進んでいないところ、つまり、では民営化が本当に法案として出てくるのかどうか、今はわからないですよね。まして、方針の中に、分割となっていますけれども、けさの新聞でも、政調会長は、分割しない方がいいんじゃないかとか、あるいは自民党の中では、窓口と郵便は一体の方がいいとか、いろいろな意見が出ているわけですから。

 では、一番大事なその民営化の法案、それができていないうちに、先ほどから問題になっている準備期間に、既存の利益を得たいということもあるでしょうけれども、どんどんどんどん先取りをしてやっていく。国際物流と二つだけが先行していますよね。だから、ここに矛盾があるんで、本来的な改革ということも、正直言いまして、特殊法人改革にしたって、独法になって全然中身は変わっていない。だから、そういう改革のもとのところがまだできていない。そして、それをやろうとしている竹中さんと大臣がいらっしゃいますが、民営化をということで基本方針までは出した。しかし、この基本方針は法案化のための基本方針なんですね。

 では、ここでちょっとお聞きしますけれども、法案に、この基本方針、しっかり盛り込めると思いますか。それからまた、今の予定している法案の提出期間にまとめられると思いますか。

麻生国務大臣 松崎先生の御質問の趣旨はわかるんですが、郵政民営化担当大臣ではないということだけ、ちょっとまずは最初にお断りしておかぬと、これは他省庁の管轄なんで、これは竹中さんの仕事であって私の仕事ではない、これだけはちょっとまず最初にお断りをしておかないかぬところだと思うのです。

 今、むしろ中城なんかに聞かれた方がいいんだと思いますが、私どもとしては、少なくとも基本方針案に沿って今民営化の準備が進められているんだと想像しますが、一番やはり肝心なことは、民営化された後のいわゆる郵便会社がきちんと経営として成り立っていくようにする、私は正直なことを言って新会社のバランスシートが黒か赤かしか興味がないくらい、一番肝心なところはそこなんだと思っておるんです。

 そのために、もう一つやはりつけ加えないかぬのは、民営化されたら今よりサービスが悪くなったとか、民営化された途端に前より高くなったとか、そういった行政サービスが劣化するというのは断固避けないといかぬ。

 加えて、赤字になったからといって、何かの形で補助しますとか補てんしますなどというのは、今、公社化の段階で全然補てんしていないものが民営化されたら補てんしなきゃいかぬなんというのも、これはどう考えてもおかしいと思いますので、そういったことのないような制度設計、形をつくり上げなきゃいかぬというのが基本的な立場でありまして、それができなければ、これはとてもじゃないけれども法案の内容を問われることになりますので、私どもとしては、その点をぜひ勘案した上できちっとした法律ができ上がるものだと思っております。

松崎(公)委員 けさの日経の世論調査でも、十番目ですよ、郵政の民営化というのは。トップはもちろん社会保障が六〇%、郵政民営化は十番目の一一%。つまり、世論のバックもなく、自民党はほとんど反対していて、官僚の皆さんもできれば、官僚というのはいろいろありますが、公社は民営化をして、生田さんですから、国際的な物流企業にも成長させようという野望はお持ちだと思います。それはそれでいいんです。

 ですから、それはあくまで、いろいろな形でソフトランディングして、この巨大な官営の部分を問題のあるところから民間へ移して自立していきなさい、二十九万人の職員もそれで何とか生き残っていきましょうよ、これはいいんです。だから、民営化をした段階でこういう今の民間の分野に手を出すということは、決して悪いことじゃないですね。だけれども、今まだイコールフッティングもきちっとできていない。

 それから、利益も、これは二〇〇七年以降なのかもしれませんけれども、旧勘定のものは新会社が運用して利益は新会社へ入るとか、イコールフッティングもできていない、いろいろ問題がかいま見える、その中で、先ほどから、まだ準備期間ですから、国家公務員のままそういう危ない証券を扱うことがどうかという問題が出ています。

 その前に、イコールフッティングがまだできていないのに準備期間中にこれに踏み込んでいくということがおかしいんではないかということがポイントなんですね。どうしてもやらなきゃならない理由、方針の中に取り込んだ、それは先ほどから言っています、証券業の状況から何とかしなきゃ、これはよその政策ですよ。よその政策から、たまたまこれだけのネットワークがあるから利用しちゃおう、同時に、利益を少し早目にとっておこう、そういうことなのかもしれませんけれども、イコールフッティングがしっかりできていない段階で、まだまだ政府の保証とか政府の庇護がある中で、こんなことを準備期間でやっていいのかというのが大きな問題だと思います。この辺、生田さんはどのように思っていらっしゃいますか。

生田参考人 イコールフッティングは、現在の公社の段階では、費用面だけ見ると、なるほどないと思います。税金も免除されていますし、預金保険機構等の費用も払っていない。そこでは、民間と比べますとイコールではない。これは私はコインの一面と申し上げているんです。

 だけれども、コインの一面でイコールするのであれば、もう一面、他面もイコールにすべきで、その他面には、ユニバーサルサービスのコストを自己負担しているという問題、それから、いわゆるビジネスモデルが極端に制約されているわけですね。実際上、事業としてやろうと思ったら、大きく自由を制約されている。これでどんぴしゃりかどうかは別といたしまして、一定のバランスはとれているのじゃないかな、こういうふうに考えます。

 そういう考えにのっとりますと、一応の一定のバランスはあるというふうに考えますと、ビジネスモデルの方で、例えば世の中がだんだん変わってきまして新しい商品なども出てくるというふうなことになると、最低限、古い商品だけではなくて、多少新しい商品というものもやらせていただいてもいいんじゃないのかなと思いますし、やる結果が、お国といいますか、資本市場、証券市場の成熟にも貢献し得るだろう、ひいては日本国経済のパイそのものを活性化して大きくしていくことに役立つということになるのであれば、役割分担をさせていただきたい、かように思っております。

松崎(公)委員 よくコインの裏表論を生田さんはお話になります。民間の経営者から見れば多分そうなんでしょうね。そういう言い方は当然。

 ただ、我々冷静に見ていきますと、長い間税金で、国家独占。生田さんも麻生さんも経営者ですからわかると思います。私なんかは零細企業ですが、それでも一応経営者なんですね。これは大変なんですね。売り上げを上げないと公租公課も払えないし、株主にも払えない。

 国家独占というのは、法律のもとに、これは税金もそうですよ。皆さん、国家公務員も、公務員の皆さんみんなそうなんです。いつも私は言っている。じっとしていたって、法律をつくってそこから自然に売り上げが上がる、これは麻生セメントさん、楽ですよね、ほかに競争がなくて、おれのところへ買いに来ればいいと待っていればいいんですから。そんなのは民間じゃ通用しないんですよ。そういう中で、今回のこの郵政ができ上がっているんです。膨大な量。権益なり政府の庇護みたいなものが、ずっと今も続いているんですよ。

 その中で、民間の人と同じようなことをやって、手数料を同じにするからイコールフッティングになるという、こんなばかな話はないので、当たり前だ。手数料だって商品によってみんな違うでしょう、投信の商品によって。どこをとるんだと言ったら、平均をとりますと。何を言っているんだ。だから、そういう世界に入るなら、完全な民営化をしてから入りなさいと言っているんだ。

 ですから、そこにどうも焦りがあるのか、小泉さんの言っちゃった政策というか、国民の興味からいったら一番ペケですよ。十番目なんです。それをいまだに言っている、もっと大事なことでやらなきゃならないことがいっぱいあるのに。そういう状態で、イコールフッティングなんか全然できていないのに参加すべきではまだない。まだですよ。

 先ほどの公務員の問題がそれにもつながりますね。大体、株、投信云々というのが一〇%くらい、非常に低いというのはわかります。それはそうでしょう。六十三年ぐらいですか、定額貯金の歴史は。これだけ長いこと国民を安心させて、商品をどんどん提供して、一番ここが安心だということを国民の中に定着させたのは、あなた方なんですよ。郵政なんですよ。その定着させた気持ちを持った国民の大多数、数は平均していますけれども、金額は、貯金高は高齢者の方がずっと多いですね。

 私の身内にも外務員がいますよ。本当にオートバイで庭先へ入っていって、やあと言って、人間関係が長いことできているんですよ。幾ら外務員の制限があるからといったって、そんなこと一般の人はわかりはしないですよ、証取法の姿勢だなんていったって。そういう人間関係の中で、おばあちゃん、今度このファンドがいいよ、投信がいいよと言えば、みんな乗ってきちゃいますよ。皆さん、そういう投資信託とか株に。

 さっき大臣が言っていましたけれども、日本人の性向かもしれない。これは、長い間の、農耕民族でみんなで組んで楽しく何とかやっていればいい、そういう性格を郵政の郵便貯金もつくってきたんですよ。自分たちでつくってきた人々に対して、しかも信頼関係のある外務員が行って勧めればやはり買っちゃいますよね、ああそうか、おまえを信用してそうしようというのは当たり前じゃないですか。そこへ証取法で言っている目録見書だなんだといろいろ言っても、あんな難しいの、大体わからないですよ。大分私も見ましたけれども、あれはなかなかわかりづらい。信用しちゃう。しかもまだ国家公務員です、二〇〇七年まで。それでやっていいんですかということを、先ほどからうちの党の方も聞いているわけなんですね。私はそうは思いません。どうでしょうか、大臣。

麻生国務大臣 先ほど中村先生からも同様の御質問があったと思うのですが、松崎先生、これは基本的には、まず最初のもとのもとは、郵便局の民営化の話とかなんとかいうことと関係なく、当時八千二、三百円だった証券市場をとにかく活性化させなければいかぬというのがそもそもの発想の始まり、これが今回の窓販というものになった、昨年の五月の閣議決定のときの背景にある、これをまず頭に入れておいていただきたい。

 もう一つは、郵便局として今後国家保証はなくなるわけですから、民営化されれば、七年からなくなっちゃうわけだから、当然のこととして今の三百四十兆何がしがどれくらいに減るのか知りませんけれども、大幅に減っていくという前提に立てば、それに対応するために、少なくとも収益源を多様化させておかないかぬというと、およそ手数料収入というのは景気の変動と余り関係ないところでもありますので、そういったところで、公社を自立的に安定させるためにはということでこういったことを考えるというのは経営者としては当然なんだ、これはおわかりいただけるところだと思うのです。

 今それを郵便局の人が公務員のままやるのはけしからぬということになるんだと思うのですが、ただ、先ほどの話に出ましたように、四〇一kにしても何にしても、また国債にしても何にしても、一応これはリスクはゼロじゃありませんからね、途中で売れば減りますので、国債満期前に売っちゃうというようなことになると。そういった意味では、御心配の点というのは、私は、決してわからぬわけではありませんし、地方におきます郵便局なり特定郵便局の人たちの信用力というのは、確かにそれは、失礼ですけれども、証券会社の、株屋のおじさんよりははるかに信用があるというイメージは事実だと思いますよ。特に、地方に行けば地方に行くほど、私のところでもそんな感じはします。代々親子も三代ぐらいの人がいっぱいいらっしゃいますので。

 そういった方々がやるんですが、しかし、だから逆に極めて慎重にやらねばならぬと申し上げているのであって、五百ぐらい、五百五十ぐらいの郵便局、二万五千のうちでこれだけのものしかできませんよ、五十個に一つぐらいしかできないんですよというお話を申し上げているのも、そういった妙にあおってみたりなんかすることのないように、外務員というかそういった者をきっちり訓練させていただいて、約二千名ぐらいのところでスタートをさせていただく。

 最初、そういったところでスタートするのだから、それが急にわあっと伸びるはずもありませんから、数年かけていわゆる経常で黒字にしていきたいという感じなんだと思っておりますので、今御心配の点が私はゼロだと言うつもりは全くありませんけれども、そういった御心配をなるべく払拭できるようにきちんと公社として対応していかねばならぬところだと思っております。

松崎(公)委員 四〇一kにしても三年間で千二百四十五人ですよね、八百局でやって。ですから、余りノウハウができているとは思えません。証券外務員というのは、証券マンの方にちょっと聞いてみたら、結構きちんと訓練するには一年、二年かかるんだ、そうすると、今から、来年十月ですか、ぎりぎりでしょうかね。

 ですから、この辺は相当問題を抱えながら強引にいってしまうということなんですが、この根拠なんですよね。先ほどから、やはり公社を育てようということでいろいろやろうということなんですけれども、本来、公社法の第一条では「簡易で確実な貯蓄」を提供と書いてあるんですけれども、リスク商品を扱う根拠というのは公社法のどこで言っているんですか、生田さん。

麻生国務大臣 郵政公社法第一条におきまして、「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うこと」とされているというところなんだと思うのですが、そういった意味では、窓口販売を実施するということに関しましても、少なくとも今ここに書かれておりますように、国民生活の安定及び国民経済の健全な発展ということであって、別に怪しげなジャンクボンドみたいなものを積極的に売ろうというような話でもありませんし、確定拠出年金いわゆる四〇一kなんか見ましても、個人型年金というものにつきまして、一応提示しております商品としては、投資信託を取り扱っているということでもありますので、確かに株というと何となく危なげなイメージがあることは確かだとは思いますけれども、そういった点につきましては十分に注意を重ねてやっていくべきものと思っております。

松崎(公)委員 この文言は確かに入っているんですけれども、これでいくと何でもできちゃうんですね、簡単に言えば。「国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務」。何でもできちゃう。

 そこで、生田さんにお聞きしますけれども、今回準備期間に二つだけ入れました。国際物流、これはやはり生田さんの経営者として、国際的な、今ドイツのドイツ・ポストにしても大変な進出をしております、世界に。大変今巨大インテグレーターというんですかね、ここと各国の郵政事業体とが競争したりしている。ヤマトもドイツ・ポストと提携をしてきた。そういう背景もあって、もう一つ、国際物流進出を可能とするとわざわざと入れてある。入れたのは準備室ですかね。先ほど麻生さんは自分は担当大臣じゃないと言っていますけれども、諮問会議を見ていると一緒になって答えていますよね、竹中さんと。私は、同じ責任があると思うのでお聞きしますけれども、それじゃ、国際物流というのは何を想定しているんですか。できたら生田さん。

生田参考人 公社へ入りまして、真剣に公社を内側から見てみまして幾つか驚いたことがあるんですけれども、その一つの大きな驚きがやはり国際だったと思います。

 これは、日本国の中で、郵政民営化だ公社化だといういわば尊王攘夷的な議論が行われているうちに、実は日本列島は黒船にずっと囲まれているという現実を目にしまして、これは大変だな、ほとんど国際問題が議論されていなかった。それで、外国勢がどんどん日本に入ってきているわけですね。欧米も全部地図が決まっちゃっていますし、アジアがほとんど決まりつつあって、今日本に黒船がいっぱい乗り込んできている。

 それで、認識としまして、物流というのは国境がないんですよ。だから、日本の中の郵便事業というのは物流事業であって、その物流事業には国境がなくて競争力のある人が入ってくる。したがって、外国勢が入ってきている。私は、国際というのは何もどんどん出ていってやろうと今思っているわけじゃないんです。それに、今、交渉ができないんですよ。改正いただかない限り、投資もできないし、海外で郵便事業もできないんです。だけれども、国際に関心を持ってもらって、国際競争力を整備するということはどういうことを意味しているかといったら、国内マーケットを守ることを意味しているわけです。

 そういう観点から、私は、国内マーケットで、これ以上外国勢に入られないように歯どめをかけて努力をすると同時に、国際的に出ていくことも考えようと前向きにとらえまして、中国から勉強しようということを言いながら、国際競争力を整備して、それで公社法を一部事前に改定していただければ最もありがたいし、遅くとも、もし民営化するのであればその後は海外にも投資できるような格好で、本当に、海外にも橋頭堡をつくるということが日本の郵便事業を守ることに通ずる、こう考えているわけであります。

松崎(公)委員 逆に言えば、今までの郵政事業が生田さんのおっしゃる国際化をおくらせたのかもしれませんですね。だから、そういう意味では、これからの日本全体の物流、世界に向かっての物流という点では、あるいは焦られているように、少しでも早く手をつけておこうというので準備期間からということなんですね。

 ですから、それは長いスパンで日本の物流とかユニバーサルサービスをベースにしながらの郵政事業、それを世界ともしっかりとつなぎ合わせていくということの方向性としてはもちろんわかりますよ。いいんですが、しかし、その前に、やはり幾つか整理をして、そして民間と少なくとも競争条件を同じにしていかないと本当はおかしいんじゃないか。ヤマトにしても、本当の意味の民間だって弱くなっちゃいますから。そういう意味で、二〇〇七年というのは一つのポイントになるのではないかと思いますが、それまでに、どこまで民間に迷惑というか、皆さんの優位性をバックにしながら余りにも力をつけ過ぎていくということはやはり問題はあるというふうに我々は考えているわけであります。

 それで、ちょっと気になるのは、遮断ですね。この遮断の問題、これから二〇〇七年以降の民営化のこの基本方針でいきますと、これもおかしいなと思うのですね、公社勘定の利益は新しい会社に移る。特に問題があるのは簡保なんですね。簡保の長い、長期スパンの商品、これは旧勘定はずうっとあるわけですね。そこで、もちろん損が出るかもしれませんけれども、運用していったものは長いこと新会社に利益として入る可能性がある。これはやはりいつまでも、また、生田さんは二〇一七年に貯金会社と簡保会社の株が全部放出されるかどうかわからないという言い方をしていますけれども、この辺でもし残るとすると、さらに問題なんです。しかし簡保自身が長いスパンですから、いわゆる政府の保証なりをバックに置ける商品で利益を出しながら新しい会社にずうっと入りっ放しになってくる、こんなことはやはりちょっと異常ではないか、いつまでもイコールフッティングにはならない、その辺の疑問ですね。こういう中身を入れながら民営化会社ができていくというのは、これはちょっと、旧勘定のやり方は難しいかもしれませんけれども、この辺でけじめをつけないといけないと思いますけれども、どうでしょうか。

篠田政府参考人 お尋ねの点でございますけれども、先般閣議決定されました民営化の基本方針の中で、郵便貯金や簡易保険の旧契約とそれに見合う資産勘定につきましては公社承継法人が保有いたしますけれども、郵便貯金会社及び郵便保険会社において新契約分と一括して運用して、公社勘定から生じた損益を新会社に帰属させることとされております。

 先生がお尋ねの、簡易保険の場合には、民営化以降、特に移行期間が終わりました以降も長期にわたって契約が残るのではないか、こういう御質問ではないかと思います。

 確かに生命保険につきましては、郵便貯金の場合と異なりまして、十年経過しました後でも公社勘定の残高が相当残ると見込まれております。完全民営化後の取り扱いにつきましてはこの点を明確にすべきという御議論をいろいろといただいております。ちなみに、公社の方で試算をしていただきましたところ、御参考に申し上げますと、十年経過後、平成二十八年度末で、保有保険金額で約三十五・九兆円ぐらい残るのではないかというふうな試算もございます。

 このような点を踏まえまして、基本方針の記述を踏まえまして、具体的な制度設計につきましては現在検討しているところでございます。したがいまして現時点で十分な御説明ができませんけれども、御懸念の、民間会社に対する利益補てんの問題につきましても十分念頭に置きながら検討してまいりたいと思っております。

松崎(公)委員 終わります。ありがとうございました。

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きのう家に帰りましたら、小学校二年生の娘から、学校の宿題だということで郵便局のことを聞かれました。今、小学校の生活の授業で、郵便局見学というのがあるそうなんですね。今度それに行くんだと言うわけです。私、その上の小学校の三年生の娘にも聞きましたら、郵便局見学に行ったと言っていました。それだけやはり地域に根差している郵便局の役割、値打ちというのを学校のそういう授業にも活用される形で示されているんだなと思いました。私、もう一人、一歳半の娘もいるものですから、そのころまで、信頼されるような郵便局であってほしいなと思うわけです。

 その小学校二年生の娘が学校からもらってきた宿題というのが、一つは、郵便に切手を張るのはなぜですかという質問なんですよね。もう一つが、夜も郵便を配達しますかという、何かこの二つの質問を聞いてこいと言われたんです。私に聞かれまして、これはそちらにお聞きするのではなんですから、私なりに答えたわけですけれども。この場で答弁を求めるものではありませんが、郵便は夜も配達しますかという点で言えば、速達ですとか書留ですとか、あるいは小包などもそういうのをやっているわけですけれども、私、この前生田総裁にお聞きしました越谷郵便局のサービス残業の問題で、この点改めて御確認をしたいと思っております。

 現実に、かなり深夜の仕事が続いているということが越谷郵便局でも言われていまして、サービス残業で夜も配達していますと言うわけにはいきませんから、こういう点はきちんと是正することが必要だと思っております。

 先週の委員会でも総裁が、サービス残業というのは経営の恥だとおっしゃられた。当然のことであります。根絶をさせていきたいと述べられました。一方で、このサービス残業の問題というのは一部の意見だということもおっしゃられたんですが、アンケートをお渡ししましたように、多数の組合、労働者の方がサービス残業があると答えておられるわけで、決して一部の意見ではありません。

 その後、越谷郵便局のサービス残業問題について調査をされたかどうか、お聞きしたいと思います。

生田参考人 前回御質問をいただきまして、私も非常に真剣にとらえて対応をしております。超過勤務手当を支給するのは当然でありまして、不払い残業があってはならないというふうに考えているというのは、全くそのように確信しております。

 去年の十一月に状況調査して、必要な追加の支給措置も行ったということでありますけれども、御指摘があっていろいろ調べてみましたら、なるほど一部不徹底のところがあったように今認識しております。ただし、昨年来、管理者としてサービス残業的なものを指示するということは、これは皆無というのは確信を持って言えるわけなんですが、何か実態面におきまして、境目がちょっと難しいような格好で、実態的にそうとられてもしようがないのが一部あるんだろう。今、再度、ヒューマン・リソーシズ委員会という、こういう問題を扱う委員会をつくっているんですが、そこを通じまして職場の総点検を行いたい、こう考えているところであります。

 ただし、こういったものの厳格な仕切りというものは、他面におきまして、超過勤務命令を徹底する、やはり管理者として、きちっとどういう超過勤務をすべきかという指示を明確にする、それから、何となく、つき合い超勤というものも過去にはたくさんあったみたいで、だれがやるから自分も残るか的なものは、こういうものはきちっとけじめをつけてなくしていくというふうな、従来から行っております取り組みの徹底というものとあわせまして、やってまいりたいと思っております。

 それから、御指摘の越谷につきまして、アンケートも見てみたんですけれども、サービス残業という言葉ではなくて、サービス労働は経験ありますかみたいな質問になっておりまして、サービス労働というと、例えば、まあこのぐらいやっておくかみたいなものがどっちに振れるのか、言葉のあやでちょっと不明確な点もあるのかなと思いますけれども、数字はしっかり見ました。

 JPSの推進によりまして、ことしの八、九月期におきます越谷郵便局の平均超過勤務数というのは、郵便課で前年同期比五六%減っております。それから、集配営業課全体で八二%減少している。これがサービス残業で減っているのでは大変なので、そうでないだろうなというのをよく聞いてみたんですが、越谷郵便局におきましては、ミーティングにおいて勤務時間厳守を指導するということを徹底しておりますし、管理者が職場を巡回いたしまして作業終了の声かけ運動を実施するということもやっておりますし、マイクを使用した勤務時間開始及び終了の徹底を図っているというふうなことでございまして、また、超過勤務命令の徹底と、先ほど申しましたつき合い超勤の防止というふうな規律の問題とあわせまして、徹底してやっているという報告を受けております。

 それにもかかわらず、不徹底が現場において起こってはいけませんので、先般、先生から御指摘いただきまして以来、総点検中というところでございます。

塩川委員 管理職としてサービス残業を指示するようなことはないというお話でしたけれども、私はあの後もお話を現場の方に聞きましたら、超勤命令簿の記述が十一月のある日から全然なくなっているんですよ。今、三六協定で、一日三時間と、十、十一月で五十時間というのが出ているんですよね。実際、例えば、集配営業課のある方の場合は、今月の八日までは超勤命令が出ているんですけれども、それ以降は白紙なんです。また、別な方では、九日まではあるんだけれども、その先がぴたりと発令されなくなっているんですよね。でも、聞きましたら、現実にはやっていると言うんですよ、超勤を。おかしいんじゃないか。

 日本郵政公社労働組合の越谷分会の組合ニュースでも、お客様と約束したサービスというので、小包の、夕方、夜の時間指定がありますよね。例えば、夜九時までとなっているのに、実際には二十二時、二十三時というのもあるんだ。こういう形で夜まで仕事をしているようでは子供に説明ができませんから、こんなことがなくなるという点でも、今お話ししたような、実際、超勤命令は発令されていないのに仕事をしていると疑われるような事例が現にあるわけですから、その点、ぜひ調べていただけますか。

生田参考人 超勤の指示を本当に必要な場合に的確に出すという指導はしておりますから、今御指摘のケース、私、よく承知いたしませんけれども、それは、管理者がやはりその日はそれだけでいいという判断でやったんだろうと思います。もし、出していないのにやらせているということになりますと、これは管理者の成果主義でかなり大きなバッテンになるんですよ。だから、そういう個人的なバッテンまで覚悟しながらサービスの超勤を何となく指示するということは私はあり得ないんだろうと思いますし、そこのところは管理者の判断を尊重せざるを得ないと思います。

 だけれども、さらに管理者が的確にそういう指示を必要に応じて出していくということをやるように、趣旨を再度徹底しておきたいと思います。

 ちなみに、多分、今は、ざっくばらんな話をしますと、できるだけちょっと休ませまして、年末に備えている時期だと思います。年末、これから大変な時期を迎えますので、そういう時期に当たっているんじゃないかなというふうに思います。

塩川委員 再調査なりも、総点検をなさっておられるということですから、ぜひ、そういう点でも、現場の具体的な実情を把握されて、是正の取り組みをお願いしたいと思っております。

 それでは、投資信託の郵便局での窓口販売の法案についてですけれども、この法律を制定する目的は何なのかということについて、まず最初に大臣にお伺いいたします。

麻生国務大臣 基本的には、この法案ができた背景というのは、昨年の五月に証券市場活性化関係閣僚の懇談会の会議等々で、当時の株式の市場価格がアバウト八千二、三百という時代でもあったこともありまして、証券市場をより活性化するということが日本経済全体に資するのではないかということからこの種の話が出て、総務省としては、この背景を踏まえて、今一万一千円ぐらいになっておりますけれども、いずれにいたしましても、政府部内で調整をいろいろさせていただいたというのがその背景だと思っております。

 もう一点は、やはり、郵便貯金というものが、今後、仮に民営化するということになりましたときに、政府保証等々がなくなるという前提になりますと、貯金残高は減っていくであろうということが予想されます。したがって、金利動向に左右されないとかいうことも考え、いわゆる収益源の多様化というものも考えておかねばなりません。そういった意味では、手数料収入というものは非常に大きな安定した収入源になり得ると思いますので、早く収益の安定化をさせるためにも、訓練も必要でしょうし、いろいろな意味で、長期的に見て、こういった収益源の多様化を図るというのが二つ目の理由だと理解をいたしております。

塩川委員 証券市場の活性化というのがそもそもの大きなきっかけだったわけですけれども、証券市場の活性化のためということであれば、全国の郵便局で一斉に販売をしようというふうにお考えなのか、その点をお聞かせください。

麻生国務大臣 全国二万四千九百の郵便局がありますが、その中には、御存じのように、三人ぐらいの小さなところもあれば大きなところもございますので、そういったところからいきますと、そっちにかかっていてふだんの業務に差しさわりが出るということのないように、ある程度の規模のところでやらざるを得ない、まず、これはお客様のサービスを考えたときでも大事なところだと存じます。

 したがって、ある程度の経験も要るでしょうし、人間も数名をそっちに割けるという程度のものでやらないとなかなかうまくいかないということもありますので、二万四千九百全部でやるというのは、これはなかなか物理的にも不可能、難しいと思いますので、その意味から、五百五十程度のところで約二千人ぐらいの人間を考えておるというのが実態であって、やはり二万全部でやるというのはなかなか現実的には難しいであろうと思っております。

塩川委員 これで、投資信託ということですから、株式なども組み込んだものに当然なりますので、元本保証のない金融商品を売るということにはなるわけですよね。その点だけ、御確認を。

麻生国務大臣 元本保証がないという点につきましては、間違いなく、投資信託ですから、元本保証というものは完全に保証されているわけではないのは御存じのとおりです。元本保証がないからすべて怪しげな商品であるというようなお気持ちでしたら、ここは自由主義経済でやっておりますので、共産主義経済とは全然体制が違うところでやっておりますので、少なくともその点は理解していただいて、四〇一kだって国債だって、ある意味では、元本がといえば、途中で売ればまた全然違いますので、その点はある程度リスクはつきまとうということは覚悟せねばならぬところだと思っております。

塩川委員 資本主義の世の中ですから、もうけるのは当然です。そういう際に、一般の方に被害を与えるような、そんなことを許さないルールはきちんとつくろうじゃないか。そういう意味でも、それぞれの金融機関が果たすべき役割があるわけで、郵便局について言えば、安心、安全というのが多くの方の信頼をかち取っていた金融機関の姿としてあるわけですから、そういう点で、元本保証のない商品を扱うことが、結果として郵便局の信頼を傷つけることになりはしないかという懸念というのは当然上がってくるわけですね。

 あわせて、そもそものこの法案の動機となった株価対策ということでいっても、八千二、三百円が今一万一千ちょっと低いぐらいですか、全国の郵便局で一斉に販売するということでもなければ、じゃ、すぐ影響するかというとそういう話でもないですから、そういう点でも動機としてはそもそも不純だったのかなと思いますし、株価対策といいますと、かつてプライス・キーピング・オペレーションで郵貯資金や簡保資金を使って大きな損害を与えたということは記憶に新しいわけですから、私、そういう意味でも、郵貯、簡保資金を扱って穴をあけたというのを、今度は入り口の段階で庶民の人につけ回しをするような形での証券市場対策、株価対策というのでは、これは本末転倒かなと思っているわけです。

 そういう点でも、今国民、利用者の方にとっていえば、安心、安全の郵便局ということを何よりも確保し、それをやはり維持発展させるという方向でこそ道があるというふうに私は思っています。リスク商品によるもうけの拡大というのは、逆に言うと手数料収入の拡大ですから、利用者は損をしても手数料でもうかるということでは本来の郵便局に対する値打ちを発揮することができないわけで、やるべきことといえば、金融のユニバーサルサービスにふさわしい、それを向上させるような取り組みが必要だと思っています。

 そこで、この金融のユニバーサルサービスを保障している郵便局ネットワーク網が今の民営化の議論の中で存亡の危機に立たされているのじゃないか、この点について何点かお聞きしたいと思うわけですけれども、生田総裁が先日の私の質問に対しても述べておられましたが、基本方針では明確に三事業とも、金融も郵便局でやるとも書いていない、一見しますとしり抜けになっていますと述べておられる。そのしり抜けをどうするのかという私の質問に対して、細かいところだから制度設計でバックアップをする、制度設計で穴埋めをするんだ、そういうふうに理解をしていたということを生田総裁はおっしゃっておりました。

 そこで、法案の準備作業を行っています郵政民営化準備室に伺いますが、郵政民営化の制度設計において、郵便局での金融サービスを制度設計で穴埋めするんだ、法律ではやらないけれども、制度設計の面で金融サービスを穴埋めするという立場で作業を行っているのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。

篠田政府参考人 御説明をさせていただきたいと思います。

 委員の御指摘は、基本方針の中では郵便貯金、郵便保険の金融サービスにつきましてユニバーサルサービス義務が義務づけられていないのではないかということではないかと思います。

 基本方針の中では法律上の義務づけをするということは盛り込まれておりませんけれども、両事業の窓口業務につきましては、住民のアクセス確保が努力義務となります窓口ネットワーク会社に委託することとされておりまして、また、その窓口会社の窓口の配置につきましては、過疎地の拠点維持に配慮することとされております。

 民営化の制度設計法案化に当たりましては、この基本方針に忠実に、有識者会議を初めといたしまして国民のさまざまな御意見を踏まえつつ、全国津々浦々に置かれております郵便局ネットワークを生かしたより便利なサービスが提供されるようにするとの民営化の趣旨を実現してまいりたいと思っております。

塩川委員 法律では義務づけないけれども実質的に義務づける、三事業をしっかりやるというところで、生田総裁自身が、有識者会議における議論に対する意見書の中でこういうふうにも言っているわけですよ。「郵便局での金融サービスの実質義務付けについては、」「必要不可欠の条件と考えられます。この点に関しても経済財政諮問会議で十分議論され、およそ合意を形成され、後に制度設計でそれが具体化されると認識しています。」と指摘をしているわけです。

 金融サービスの実質義務づけについては制度設計で具体化されると合意をされているとしているわけですけれども、これは生田総裁の勘違いだというふうに準備室はお考えですか。

篠田政府参考人 金融サービスの提供を実質的に義務づけるべきという御意見があることは十分承知をいたしております。他方、義務づけると公的なコスト負担が必要ではないかということから、義務づけるべきではないという御意見もございます。

 準備室といたしましては、さまざまな御意見を踏まえつつ、全国津々浦々に置かれております郵便局ネットワークを生かしてより便利なサービスが提供されるように、そういう民営化の趣旨を実現してまいりたいと思っております。現在検討中でございます。

塩川委員 最後に、生田総裁に、今の準備室の発言について、いかにも実質義務づけというのをないがしろにしているように聞こえるんですけれども、御感想、御意見を伺いたいと思います。

生田参考人 私も諮問会議に三回参考人で出席を命じられまして、いろいろ議論いたしまして、民間委員の中には要らないという強い意見の方もいらっしゃいました。いろいろな議論がありましたけれども、およそそういうものに、別に採決したわけじゃないですけれども、合意みたいなものができたんじゃないかなと私は自分なりに理解しました。

 政府の基本方針が出たときに、アクセスができるようにするというふうに書いてあるんですけれども、何となく不安を感じたので、その辺はどうなるのかなという強い疑問を実は持ちまして、二、三の方と話してみたんですけれども、それは制度設計のプロセスで埋めていく問題じゃないかというような御意見だったので、私は政治とか官の世界のことはよく知りませんから、そういうふうにプロセスされるのであろうと私は思っておりました。

 だけれども、私、人間ですから、私の言っていることが絶対正しいとは思っていないし、私がそうだなと思った認識が絶対、一〇〇%正しくてというふうには、そんな不遜なことは考えていませんけれども、大方そうだったんだろうと今でも思っていますので、ぜひ生かしていただきたいと思っております。

塩川委員 この民営化方針のままでは、金融のユニバーサルサービスもなくなって、郵便局もぼろぼろになって、国民サービスが後退をするというのは必然だと思わざるを得ません。このことを述べて、終わります。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社会民主党の横光克彦でございます。

 現在、郵便局の窓口ではさまざまな受託業務が行われております、利用者サービスが行われております。例を挙げれば、NTTの委託業務、NHKの委託業務、国債等の募集、国債等の元利金の支払い業務、原付自転車等責任保険業務、あるいは年金及び恩給の支払いその他国庫金の受け入れ払い渡し、住民票の写しの交付の事務、さまざまなことをやっております。

 しかし、これらはあくまでも委託者からの手数料あるいはその実費分、さらには維持管理費、こういったものを委託サイドからはいただいていると思うのですが、今回の投信販売法では、郵便局の窓口業務は、利用者から明確に手数料を取るということになっております。

 これは、これまでの窓口業務と比べて全く異質の業務がこれから始まる、このように思うわけですが、全く異質な業務であるという御認識はお持ちなんでしょうか。

清水政府参考人 先生御指摘のとおり、今回の投信窓販の関係では、投資信託の販売に当たって、それを販売したことで利用者からは販売手数料という形で、パーセンテージはいろいろございますけれども、これをいただく形にしてございます。

 しかし、だから委託者の方から何ももらわないのかというと、これはそうではありませんで、基本的には民間で現在行われているのと同様、お買い上げいただいた購入者の方からは手数料という形でいただき、委託をされる方からは信託報酬という形でいただくというところは民間と同様の形になっております。

 また、先ほど先生の御指摘の、さまざまな受委託業務も同様の、それぞれ委託者からいただくというところもございますが、例えば、そのほかの例でいいますと、旅行小切手等のケースでいいますと、購入いただいたお客様の方から購入料の一%をいただいたり、提携先のATMを使った場合にはまた手数料をいただくというような形で、ある意味では、お客様が御利用いただいたことに対する手数料というものは過去にもさまざまなケースもございました。そんなような形の中で、民間と同様の枠組みというものを今回のものでは予定しているところでございます。

横光委員 委託者からも民間と同様の手数料等をいただく、さらに販売手数料を利用者からいただくということでございますが、この利用者の手数料に関しては、この法律の条文、第九条関係を見ますと、公社の負担分を償うに足ること、かつ、銀行等他の民間金融機関の手数料を勘案しなければならない、このように書かれておるわけでございますが、肝心の負担をする利用者への配慮が一切これはないんですね。これはどういう理由によるものなんですか。

清水政府参考人 先生御指摘のとおり、九条のところでは、利用者への配慮というところは規定してございません。

 これは、そもそものこの法律自身の趣旨が、公社が証券投資信託の募集の取り扱い等をやりますと、その場合に、投資信託の委託業者等の経営に及ぼす影響にかんがみて、これの取り扱いに関する証券投資信託の選定に関しての必要な事項を定めるという形になっておりますので、いわば、投資信託を販売する事業者との関係に着目して規定したところでございます。

 利用者に対する配慮という点で申し上げますと、登録金融機関等が定める手数料は、証取法の世界で、投資信託委託業者が関係省庁に届け出る手数料の上限の範囲内で定めるんだ、こんなような形で利用者に対する配慮がされてございます。公社は、今回の場合にも同様の規定の適用を受けますので、手数料についても、結果として、今までの民間と同様の利用者に対する配意がされる形になるものと想定しております。

横光委員 そもそもこの郵政三事業というものは、利用者があって成り立っているわけですね。その利用者への配慮というものが今も言われたように第九条では書かれていない。この投信業務がそもそも三事業のどの中に位置づけられるのかもよくわからないんです。

 要するに、日本郵政公社法の目的は、当該業務を行うための施設その他の経営資源を活用して行う国民生活の安定向上に資する業務、こういうふうに考えられると思うのですね。ところが、今回、投資信託を窓口で販売するということになりますと、公社がリスク商品である投信販売を行う、さらに民間並みの手数料を取ること、これは決まってはおりませんが、恐らく、勘案するということになれば準拠するということで、ほぼ民間並みの手数料を取ることになるだろう。こうなりますと、公社法の目的であります国民生活の安定向上に資する、こういうことが言えるんですか。むしろ、私は、公社法そのものの目的に反するのではないかという気がしておるんですが、いかがでしょうか。

清水政府参考人 先生御指摘のとおり、国民生活の安定に資するというところがやはり大きなポイントであるのだろうと思います。

 当然ながら、リスク商品を扱う場合でございますので、そのリスク商品の問題につきまして、購入されようとされる方が誤解のないように、またそれから、実際その商品説明をする点で十分にお客様に御理解をいただくという前提に立って、その上で、ある意味では、利用者から見ますと、郵便局に行きますと、貯金、簡易保険だけの、いわゆる今まで行ってきた固定的なサービスに加えまして新たな金融商品の選択肢が広がる。これは、活用の仕方によって、お客様の方からも、ある意味では国民の金融資産の増加をもたらす可能性の道も開けてまいりますし、そういう意味では、法文の趣旨としての、賢い消費者の選択、そういうような形から国民生活の安定向上及び経済の健全な発展に資する、そういう機能として役立つものではないかと思っているところでございます。

横光委員 国民に選択肢を広げるということをおっしゃいましたが、これが必ずしも国民生活の安定向上に資するということにはつながらないと私は思う。つまり、今回は非常にリスクを伴う投信でございます。窓口で懸命にプロパーを養成して対応するということでございますが、これはやはり利用者からすると、これまでの郵便局に対する信頼を利用する流れになろうかと思います。そうしますと、やはりどのような説明をしようとリスクは必ずあり得る商品でございますので、私は、国民生活向上に資するということからはちょっと外れるんじゃないかという気がいたしております。

 そもそも、これは、先ほどからずっと質問の中で、証券市場活性化策としてこの業務の論議が始まったと。それはある意味ではよくわかります。しかし、政府の郵政民営化に向けての基本方針、これにははっきりと、「準備期のあり方」の中で、「二〇〇七年四月の民営化までの時期は、準備期と位置付け、民営化に向けた準備を迅速に進める。」その中に「投信窓販の提供を可能とする。」ということがしっかり明記されているんですね。

 そもそもの動機はよくわかるんですが、結果的には、その市場活性化の時期も、状況が変わり、かなりインパクトが薄れていると言わざるを得ませんし、私はこれは、まだ民営化ということはあってはならぬと思うのですが、将来の窓口ネットワーク会社を想定したビジネスモデルという位置づけではないかということを申し上げまして、質問を終わります。

実川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、日本郵政公社による証券投資信託の受益証券の募集の取扱い等のための日本郵政公社の業務の特例等に関する法律案に対する反対の討論を行います。

 反対する理由は、安全、安心と国民が信頼する郵便局で元本割れリスクがある投資信託を販売することは望ましくないということです。

 そもそも、今回の法案は、二〇〇三年に株価対策として立案されたものであり、国民、利用者からの要望に基づくものではありません。

 株価対策といえば、郵便貯金資金や簡保資金をいわゆるPKOで株式市場につぎ込んで失敗してきたことは記憶に新しいことです。

 国民生活センターによれば、投資信託に係る苦情の代表例として、銀行員から元本保証で年二回の旅行代金程度の利息がつくと勧誘され契約したとの銀行窓口での被害の事例が挙げられています。

 郵政公社が手数料収入獲得のために精力的に販売を行おうとすれば、郵便局の安全、安心に信頼を寄せている利用者に誤解させてリスク商品を買わせてしまう危険性は少なくなく、とても容認できません。

 最後に、銀行、保険業界のために郵貯、簡保の縮小弱体化をねらう小泉首相の郵政民営化計画が進められる今、リスク商品の販売で安全、安心の国民のよりどころである郵便局の信頼を損なうことは、郵貯、簡保の解体縮小を目指す郵政民営化の流れを加速させるものとなり、この点からも国民の信頼を裏切るものとなるということを指摘して反対の討論を終わります。

実川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより採決に入ります。

 日本郵政公社による証券投資信託の受益証券の募集の取扱い等のための日本郵政公社の業務の特例等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

実川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十分散会


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