衆議院

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第8号 平成17年3月8日(火曜日)

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平成十七年三月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 大出  彰君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      岡本 芳郎君    奥野 信亮君

      亀井 久興君    小泉 龍司君

      小西  理君    自見庄三郎君

      田中 英夫君    谷  公一君

      谷本 龍哉君    西田  猛君

      萩生田光一君    平井 卓也君

      増原 義剛君    松本  純君

      三ッ矢憲生君    五十嵐文彦君

      伊藤 忠治君    稲見 哲男君

      楠田 大蔵君    小宮山泰子君

      田嶋  要君    田村 謙治君

      高井 美穂君    津村 啓介君

      寺田  学君    西村智奈美君

      松崎 公昭君    山花 郁夫君

      河合 正智君    長沢 広明君

      塩川 鉄也君    吉井 英勝君

      横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務副大臣        今井  宏君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   大田 弘子君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長)   飛田 史和君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  板倉 敏和君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 森本  学君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   勝 栄二郎君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    竹田 正樹君

   政府参考人

   (社会保険庁次長)    小林 和弘君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     小泉 龍司君

  中村 哲治君     田村 謙治君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  小泉 龍司君     佐田玄一郎君

  田村 謙治君     津村 啓介君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     中村 哲治君

    ―――――――――――――

三月八日

 恩給法の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官大田弘子君、経済社会総合研究所国民経済計算部長飛田史和君、総務省自治税務局長板倉敏和君、消防庁次長東尾正君、財務省大臣官房審議官森本学君、主計局次長勝栄二郎君、国税庁課税部長竹田正樹君及び社会保険庁次長小林和弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは定率減税のお話をしたいんですが、まず最初に、消防庁にお聞きをいたします。

 実は、地元でございまして、横浜市南区というところで火災が起きまして、残念ながら一人お亡くなりになっておられるわけでございまして、御冥福をお祈りいたしますが、システムがどうも誤作動をしたということで、現場に行くのがおくれたんですね。それで、これはどうなっているんだということがございますので、ひとつその原因と、そして私たちは、ITから始まって、さまざまな方々の命や財産を守るという立場で、こういうことがあっては困りますので、別に責めるわけではございませんが、そういうことがないようにどのように対策をとるかということを一言お聞きしたいというので、冒頭お願いいたします。

東尾政府参考人 ただいま御指摘の神奈川県横浜市の事故について御報告申し上げます。

 この火災は、三月三日の午前五時二十二分ごろ、横浜市南区の住宅から発生いたしまして、そこに住んでおられました六十九歳の女性が死亡いたしました。この場合の原因でございますけれども、火災の一一九番通報の場所と指令センターが指令した場所が違うということから消防隊の到着がおくれたということで、先生の御指摘のとおりであります。

 一一九番通報がこのごろ非常に増加しておりますので、要請の内容とか場所などに関しまして的確に申告することが難しいという方もおられますので、私ども消防庁では、市町村に対しまして、通報者の所在場所を確認できますNTTの発信地表示システムを導入いたしました高機能消防指令センターというものの整備を促進しておりますが、今回は、このシステムの住居表示が火災の発生場所と違うということでございましたので、これで指令場所を誤ったということでございます。これにつきましては、昨日の横浜市消防局の会見でも明らかになっております。

 今回の指令場所を誤ったことにつきまして、なぜその誤りがあったかについては今詳細に調査中でございますけれども、その後の通行人などの通報に基づきまして、いずれにしましても、最終的には指令の訂正を行って対応いたしましたが、御指摘のように、八分程度通常よりおくれました。そのことによって死亡ということも関係があったかと思います。

 消防庁といたしましては、一一九番通報の受信時における対応について、これまでも迅速かつ的確な情報の把握を行うことが重要であるということで各本部に通知しておりますけれども、今回の状況を詳細に横浜市からお聞きするなどしまして調査いたしまして、今後このようなことが再発されませんよう改めて消防機関に通知するなど、再発防止に努めてまいりたい、このように考えております。

大出委員 御答弁ありがとうございます。日ごろから私たちの生命財産を守っていただいて、敬意を表しているわけでございます。しかし、地元だったものですからびっくりしました。

 IT関係で新しいシステムを入れると、それだけに頼ってもいけないんだろうけれども、しかし、当然そういう時代の流れでございますので、人間と機械と一緒になって、よりよい防災そして消防を目指していただきたいと思っております。ありがとうございました。

 続きまして、本題でございます定率減税の質問に入りたいと思います。

 この定率減税、もうきょうは衆議院では最後でございますが、いまだにやはり、なぜ縮小、廃止をこの時期にやるのかというところについて、私もでございますが、国民の納得がいかないことばかりではないかと実は思っております。将来を予想したときに、やはり痛税感がございますし、不公平でございますし、これからほかのいろいろな大増税あるいは社会負担が来るんだと思うと、ますます買い控えをするのではないかというような危惧を非常に持っております。

 そして、はっきり申し上げると、平成十八年に消費税を多分上げるんでしょう。その前に前倒しで定率減税の縮小、廃止法案を通しておかなければという財務省さんの御都合主義ではないかと思うような増税法案ではないかと思っておりまして、ごまかしと前倒しで滑り込ませたというこそくさを非常に憤っておる、そんな思いでございます。

 そして、簡単に申し上げると、九九年のときは恒久的減税ということで、所得税、住民税の定率減税で多分三・五兆円、ほかにもう二つありまして、法人税の引き下げで二・七兆円、最高税率の引き下げで〇・五兆円、これはセットで実は始まっているわけですね。ところがどうも、最初に申し上げた、うそを言っていると言いたいんですが、資料を提出しておりますので、ごらんいただきたいと思います。

 資料1と資料2がございまして、資料1をごらんいただきたいんです。

 これは、平成十七年一月二十五日の衆議院の本会議で総理が答弁なさっております。質問者は共産党の穀田さんでございます。ここにもっともらしくおっしゃっておられて、読み上げます。

  平成十七年度税制改正においては、景気対策のための臨時異例の措置として

こうおっしゃるんですね。

 継続されてきた定率減税について、導入時と比較した経済状況の改善等を踏まえ、その規模を二分の一に縮減することとしたところであります。

  他方、個人所得課税の最高税率及び法人課税の実効税率の引き下げは、税制調査会の答申で指摘されているように、国際化の進展といった我が国経済社会の構造変化に対応した抜本的な税制改革の一部先取りとして実施されたものであり、

この部分だけを一部先取りとおっしゃっているんですね。

 単純な景気対策である定率減税とは位置づけが異なるものと考えております。

こうお答えになっているんですが、これはうそだと私は言いたいんですね。

 資料2をごらんいただきたいと思います。余り長くは読みませんが、傍線の引いてあるところだけをごらんいただければと思います。

 と申しますのは、平成十一年度の税制改正に関する答申というのがありまして、私が非常に憤っているのは、この資料、こちらがつくっている調査室の資料なんですが、この中に、この重要な、定率減税をしたときの平成十一年度の税制改正に関する答申というのが資料としてついていないんですよ。これは探すのに苦労しましたよ。幾ら何でもこれを変えるときにこれについていないなんというのはおかしな話だということで、そういうことのないようにしていただきたいということをまず申し上げます。

 平成十一年度の税制改正の一というところにまずは「平成十年度の税制改正に関する答申後の経緯」というタイトルがありまして、1で「平成十年(度)の特別減税」というのがありまして、次のページに、2、3を除いて4というところで「六兆円超の恒久的な減税」、こういう形で書いてあるんですね。

 傍線のところだけを見ていただければおわかりだと思いますが、実は、平成十年度に二兆円、既に特別減税というのを行ったんです。この年はもう一回二兆円やりましたから、傍線のところですが、「総額四兆円規模の特別減税」となっているわけですね。下の方の傍線をごらんいただければいいんですが、「一年限りの臨時異例の措置として採られた」というのはこの特別減税について言っているんですね。ところが、今回の総理の答弁というのはそれをすりかえているんですね。

 次のページの4をごらんになっていただければ、また傍線のところですが、「六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施いたします。」これがいわゆる恒久的減税なんですが、下の傍線、「これらの減税は一年限りの特別減税と異なり期限の定めのない「恒久的」なものとすること、」ということが書いてありまして、議会においても、当時の小渕総理そして宮澤大蔵大臣等がこのことを発言なさっている。

 ですから、今回小泉さんが述べられたことはうそではないかということを申し上げるんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありました恒久的減税というのが実施されました、一九九九年ですか、あのとき、定率減税のほかに、確かに個人所得課税の最高税率とか法人税率等々の引き下げを合わせて実施されたのは、おっしゃるとおりであります。

 当時のああいった経済状態は、御存じのように、金融危機国会というのが開かれたあの当時の話ですから、国際的に比較してえらく内容がばらばらだった、日本の経済が非常にぐあいが悪かったという中にあって、企業また個人ともに、民間の活力、活気、やる気というものを出してもらうというのが物すごく大事な、大きな理由だったと思うんです、あのときは。

 結果としてどうしたかといえば、御存じのように、法人課税の実効税率を四六・三六から四〇・八七に引き下げる、それから、最高税率が六五だったかな、個人所得税の最高税率を六五から五〇に引き下げるというのをそれぞれやらせていただいて、それなりの効果はあった。

 少なくとも、国際化していく、グローバル化していく中にあって、企業が、他の国との間の法人税率のあれが著しく違うというのは、企業をして日本の国内で納税するよりはほかの国で納税した方がいいというふうにどんどんいろいろなことが変わっていく。また個人も、六五%取られるのと、まあ五割はしようがないかという話と、大分意味が違いますので、そういった意味では、いろいろな気持ちの問題から考えてもというところが非常に大きく作用して、これは今日でも、国際的な問題というのは結構大きなイシューだった、私自身もそう思っております。

 ただ、定率減税の話は、今おっしゃるとおりなんですが、あのできた当時から、当時宮澤大蔵大臣でしたか、あのころから既に、これはいつやめるかが最高に難しい問題だな、こっちの前二つとこれとはちょっと違うんじゃないかという意見は出ていました。

 おかげさまで、今、法人の税収というものはあの当時とは比べ物にならないぐらいプラスになりましたし、いろいろな意味で景気指標というのは随分変わってきておると思っておりますので、今、では確実に大丈夫かと言われると、ちょっといま少しそこのところまでは自信がないというところでもありますので、定率減税をそれでは半分だけやらせていただくわけにはいかぬかという話になったというのが経緯だと思っております。

 これは、もともと三点セット、一緒に出たことは確かですけれども、これが全部関連性、同じ観点から出たのかと言われると、出た当時から、それぞれ宮澤さんの意識、また当時の橋本さんの意識も、これはちょっとなという意識はかなりおありになったということだけは確かだと思っております。

大出委員 確かに、当時私は議員ではございませんが、ちまたにいながら、的という言葉がついておりましたので、相当うさん臭いなと実は思っておりました。

 しかし、答弁のたびに定率減税は恒久的であるということをおっしゃっておられて、それで、今二つほど資料を出しましたが、実は、衆議院の総務調査室がおつくりになっている資料ですのでこれは資料としてつけませんでしたが、どうもこれの認識も、二十二ページなんですが、こう書いてあるんですね。「第二 地方税法の改正内容」というところに「一 個人住民税」「(1)定率減税の縮減」というのがありまして、その中で、二段目の「また、」以下なんですが、「将来の税制の抜本的改革を一部先取りするという観点から、個人所得課税及び法人税について六兆円を上回る恒久的な減税が行われ、」と書いてあるんですね。この流れで読みますと、抜本的改革を一部先取りするのは個人所得課税及び法人税という認識で書いてあるんですね。

 ところが、なぜ私がすりかえたと言うかといいますと、小泉首相は、そこをすりかえて、抜本的な税制改革の一部先取りとして実施されたのがいわゆる最高税率と法人課税の実効税率の引き下げだ、こうおっしゃっているわけですよ。だから、うそだと言っているわけです。そうではないではないかと申し上げているんですが、御認識はどうでしょうか。

麻生国務大臣 今お示しいただいた資料というのは、これは衆議院の調査局総務調査室の資料だと思いますので、ちょっと私ども行政府はこれに立ち入る、これのいわゆる編集責任を私どもは負っておりませんので、おわかりのことと存じますが。

 今、私が読み上げますのは、当時の税制改革の答申として政府の税制調査会で出ておりますが、「今回の減税のうち、個人所得課税の最高税率及び法人課税の実効税率の国際水準並みへの引下げは、将来の税制の抜本的改革を一部先取りしたものであり、将来の抜本的改革へのいわば「架け橋」としていかなければならないもの」であるというのが政府税調なんだと思うんですね。

 その中には二つは書いてあるけれども定率減税は書いていないということも確かでありまして、私どもとして、こういった点を考えますと、指摘しておりますように、この定率減税と、法人税と所得税の最高限度額とは少し取り扱いが違うのではないか、当時から違っておったものだ、私どもはそう認識をいたしております。

大出委員 最高税率については、そんなにもうけたことはありませんけれども、自分が稼いで六割も取られたのではたまらないというのは当たり前のことですね。しかし、法人税はちょっと違うんじゃないかと実は思っております。

 そこで、これ以上今の議論をやってもかみ合わないと思いますが、当時、恒久的減税という言葉を、的を入れましたが、お話しになってしまっていて、周りも、そう言ったんだからその方向で考えなきゃならないと考えた方もおられたわけですね。今になってがらっと変えるというのは、ちょっと国民に対して説明としてはおかしな話で、こういう問題は国民をだますような形でやっては絶対だめだと私は常々思っていますので、もし変えるなら、変えましたよということを正直に言って、お願いしますということを言うのが、本来、国の、政府のやることではないかと実は思っております。しようがないのでこれ以上言いませんが。

 ただ、これを見直すときには、実はそのときの法案で条件がついておりました。一つは、「我が国経済の状況等を見極め」という法文が入っておりまして、これは景気が回復していることが条件であるということ。それから二つ目は、「所得課税の在り方について」「抜本的な見直しを行うまでの間」の特例、こういう法律でございます。つまりは、税制の抜本的改革を行うというこの二つの条件が入っていたんですが、私は、この二つの条件が実は満たされていないのではないかと思っているんです。

 ここの質問は今はしませんけれども、ということは、政府は、こことの関係で、今デフレ状況が終了したと認識なさっているのかどうかをまず最初にお聞きしたいんですが、どうでしょうか。

大田政府参考人 緩やかなデフレ状況が続いていると認識しております。

 最近の物価状況を見ますと、国内の企業物価、これはかつて卸売物価と呼んでいたものですが、素材価格の上昇によりまして、二〇〇三年の暮れぐらいから上昇基調を続けております。足元はちょっと一服感。それから、消費者物価指数につきましては、前年比で小幅な下落基調が続いております。それからGDPデフレーター、これは国内の企業、家計、政府すべての総合的な物価指数ですが、これが、下落幅は縮小しておりますけれども、前年比で見て二十七四半期連続のマイナスとなっております。以上を総合しまして、依然として緩やかなデフレ状況にあると判断しております。

 ただ、消費者物価ですとかGDPデフレーターが、マイナス幅がかなり縮小してきておりますので、現在はデフレ脱却に向けた道筋にあると判断しております。

大出委員 景気判断というのは占いみたいなもので、こんなことを言ったらおかしいですね、ちゃんと科学的なデータで判断をしますが、ただ、それをどう判断するかというのはそれぞれの認識でございまして、私は、どちらかというと、経済の基礎体力というような潜在的な経済成長率も、定率減税を導入した九九年時点に戻ったにすぎないのではないかと実は思っているんです。

 いろいろなところが分析結果を出しておりまして、定率減税導入によって景気にどういう効果があるのかということについて、例えば三菱総研などは、二〇〇六年の一月から二段階で廃止した場合ですが、実質国内総生産は二〇〇六年に〇・一八から〇・二五、それから二〇〇七年度には〇・一四から〇・六八押し下げられる、こういうふうな分析をしておりますし、あるいは日本総研は、半減しましたら個人消費は一兆二千七百二十二億円減少するだろう、こう言っていますし、これは二〇〇三年度の個人消費の〇・四五%に相当しますよというようなことを実は出しているんですね。

 踊り場だとかいろいろおっしゃっておられて、情報関係、デバイスの関係が在庫調整期に入るかどうかという問題もございますし、どうも見ていると、そう簡単に踊り場から上に行かないのではないか。あるいは輸出も、あるいはいろいろな在庫調整も、日本の場合は輸出と連動しておるようなところがありますね。どう見ても、よくいっているところでも、ことしの最後ぐらい、後ろの方に行って何とかなるとかいう話だったりするんですが、本当のところはどうなんだろうかというのはいまいち私もちょっと信用できないんです。

 この辺は、どなたでも構いませんが、もう一回、どんなことを考えておられるか。

大田政府参考人 御質問は、今の踊り場の状況から景気後退に向かうのか、また回復に向かうのかという御質問であったかと思います。

 景気後退期に向かうかどうかの判断としまして、主に重視する点は三つございます。

 一つは、今の低下局面の低下の期間の長さです。それから二番目に、低下がどれぐらいの幅であるか、低下の深さ。それから、その低下する指標がどれぐらい経済全体に波及しているかという広がり。この三つが主に重要な判断になるかと思います。

 これで見ますと、まず長さという点では、今、三四半期連続して実質GDPマイナスになっておりますので、長い期間にわたっております。ただ、低下の深さという点につきましては、三四半期連続してゼロの近傍にございます極めて浅い状態、マイナスではありますが浅い状態にあります。それから三番目の広がりという点につきましては、生産の中でも今落ちておりますのは、大出先生も御指摘になりました情報化関連財に専ら限られているという状況がございますし、在庫水準もまだ積み上がっている状態にはありませんので、広がりもまだ極めて小さい状況にあります。

 ということを考えますと、長さ、深さ、広がりの三つにおいて、深さと広がりにおいて、まだ景気後退期に向かうとは判断できないと見ております。情報化関連の調整が終了すればまた回復過程に戻る、現在も大局的に回復局面にあると判断しております。

大出委員 この話をしていると長くなりますのでこれ以上しませんが、あっという間に時間ですね。次に参ります。

 与党の大綱の中に弾力条項というのがございまして、「経済状況に機動的・弾力的に対応する。」というのが入っているんですね。私は、この項目が入っていることがまずちょっと問題だなと思いながら、では、この項目がどんなときに発動できるのか、できるというか発動を想定しているのか、お答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 「今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する。」平成十七年税制改革大綱というのを多分引用されたんだと思います。

 これは、えらい形容詞の多い文章ですけれども、簡単に言えば、経済というものは生き物だし、そういう意味においては、今後の景気動向というものを注意深く見守らなきゃだめよと言っているのが一点と、もう一点は、いろいろやってみてぐあいが悪ければさらに機動的に対応しないとだめよという、多分この二点を考えて今書かれたものだと思っています。

 やはり経済というのを何となく固定化して、デフレとか好景気とかいうような決め方はしない、少なくともよく状況を見守る、その上で対応しなきゃいかぬのはさらにしていかないかぬということを含めて、この文章はできておるものだと理解をいたしております。

大出委員 この弾力条項があること自体が、定率減税を半減するか、あるいは廃止するかということについて、ちょっと疑問に思っている方々がいるわけですね。なぜかといったら、これを入れても景気に影響はありませんよと言うんだったらこんな条項を入れる必要はないわけですね。入れなくたって、やばくなれば必ずやめるわけでしょうから。そういう意味では、ちょっとおかしなといいますか、政治的な条項になっているのかなと実は思っているところです。コメントは求めません。

 時間がなくなりましたので、次の質問に行きます。

 実は先ほどから、セットで行っていて、法人税を下げるのとセットだったわけですね。私はこれがどうも納得いかないので御質問いたしますが、国税庁さん、今問題になっておる西武、コクド、これは戦後一貫して税金を払っていないというような報道が出ているんですが、どうなんでしょうか、お答えいただけますか。

竹田政府参考人 個別にわたる事項につきましてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論として申し上げますと、私ども国税当局といたしましては、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料情報の収集に努め、こうした資料情報と納税者からの提出された申告書等を総合検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には、税務調査を行うなどによりまして、適正な課税の実現に努めているところでございます。

大出委員 そういう答えなんでしょう。では、ほかの質問をしますからね。

 日本の法人数はどれぐらいあるのか、そしてその中で税金を払っていない法人はどれぐらいなのか、何%ぐらいなのか、お答えいただきます。

竹田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども国税庁が行っております会社標本調査というのがございます。平成十五年分の会社標本調査の結果によりますと、法人数は全体で二百五十五万社ございます。うち、いわゆる赤字申告法人は百七十四万社となっておりまして、法人数全体に占めます赤字申告法人の割合は六八・一%となっております。

大出委員 このように六八・一%の法人が払っていないんですよ。もうあきれ果てるんですが、要するに、多分、赤字という経営の書き方をすればできるわけでしょうし、当人たちにとっての節税なんでしょう。そして会社をつくるなら赤字にした方がいいとみんな思っているような話でございまして、やはりこれは問題だと私は思うんですよ。だって五割どころじゃないんですよ、六八・一%も法人は払っていないのに、なのに国民には定率減税を縮減して、払いなさいなんておっしゃるのかというふうにつくづく思うんです。

 先ほども申し上げたように、最高税率は、それは当たり前ですよ、そんなもの。自分が稼いだのが五〇%超えて取られたらふざけるなと言いたくなるのは当たり前ですが、逆の意味で、六八・一%、七割近くも払わないのに、やはり私は、それなのに定率減税の方をというのはちょっと納得いかないなと実は思っております。

 次に個人の金融資産はどれくらいあるのかということを質問します。個人の金融資産、内閣府ということになっているようでございまして、日銀さんがお断りになっているので、どうぞお答えください。

飛田政府参考人 家計の受け取ります利子の収入につきまして、平成五年度のレベルと比較して、ここ十年間のレベルを比較いたしますと、平成五年のレベルで二十九兆円ございました。それに比しまして、ここ十年間それより低いレベルで来ております。それを……(大出委員「トータルで言ってくださいよ」と呼ぶ)その累積した額は、百五十三・八兆円、累積してマイナスになっておる。それは家計の資産額ではなくて……(大出委員「はい、わかりました。結構です」と呼ぶ)

大出委員 これは日銀さんに言ったら出てこないというので内閣府にお願いしたんですが、うちの岩國哲人さんが、その総計に基づいて、日本の家計の利子収入ということで予算委員会で質問なさったんですね。そういうふうにおっしゃるんですよ。

 ところが、私はその数字じゃなくて、個人の金融資産というのは国税庁が、要するに、日本人の個人資産はというと、千四百九兆円と普通は言うんですね。そのうち現金及び国内の預貯金の金額は幾らかというと、七百八十二兆円、五四%がそういうことになっていて、さらに、これは平成十五年十二月の国税庁の速報でございますが、ほかに外貨預金というのが五・七兆円あります。大体、国民の現金預金総額というのが八百兆円ということなんですね。今さっき百五十三とおっしゃいましたが、いろいろ積算していったらそうだとおっしゃるわけです。ただ、何でこれを申し上げるかというと、間違いなくそういうデータが出ておりますから。

 さらに、これに法定利息、民法にあります五%、今五%なんて幾ら銀行に預けたってくれませんけれども、当時そういうことがございました。掛けますと四十兆円ですよ。年間四十兆円というお金が企業の側に行っているということなんですね。九五年から〇五年度までそうだとすれば、十年間、四百兆円ですよ、一番多く、最大に見積もって。わざと少し多く言っていますが、三%ならもっと下がりますけれども。

 幾ら何でも、先ほどの百五十三兆円もそうですけれども、それでさえ、今度の定率減税の話からすると、ここに持っていかれていて、もう国民は十分払っているじゃないか、これが本当じゃないかというので今質問したんですよ。

 どうでしょうか。どなたでもお答えください。どのような感想をお持ちか。

麻生国務大臣 いろいろな機関の調べております資料で今個別にばらばらと出てきましたので、ちょっとトータルで考えて、なかなか今この場で聞いてその数字をどうと言われても感想の言いようがないんですが、一つだけ、大出さん、我々はこれだけは知っておかないかぬと思う。

 普通、会社をつくるときに、大出、おれ会社やるから金貸してくれと言うんですよ、これが日本人。多分ドイツも同じです。ところが、アメリカとかアングロサクソンだと、おい麻生、おれ会社やるから投資してくれと言うんですよ。これは会社の生い立ちの全く違うところだと思いますね。

 金貸してくれと言う方は借金なんですよ。だから、借金さえ返せば、配当しなくても黒字にならなくてもいいんです。しかし、投資をしてくれと言われたのに対して安住さんが本当に百万円投資していれば、それに対して何%かの金利分ぐらいのものの配当をせないかぬわけです。そうすると、配当するためには会社は黒じゃないと配当できないんです、当然でしょう。

 したがって、日本の場合とアングロサクソンと言われる国々とを比べた場合に、会社の生い立ちが違うから、借金は経費で落とせますから、どんどん経費で落とす、だからこっちはえらい税理士が発達したんですよ。しかし、会社の生い立ちが投資でスタートしたところは、配当せないかぬわけですから、当然そっちは公認会計士が発達したというのが多分歴史なんです、海外と比べた場合の。

 したがって、日本の場合でいくとどうかといえば、今、六八%が赤字じゃないかと言いますけれども、あのバブルの景気のよかったときだって、私の記憶で、五〇%以上、黒字になった会社はないと思いますね、国税庁に聞かれたらいいと思いますけれども。それは、みんな何だかんだ言いながら、配当しない、借金している者に金を返しさえすれば別に配当しなくてもいいという会社の思想ですから、そこらのところが今グローバルになってくるとなかなか意見が合わなくなってきておりますが、どっちがいいのかというのは、別にこれがいいという基準が世界にあるわけではございませんから。

 その意味でいきますと、税法とかいろいろな生い立ちとかいうものを考えないで、いきなりその六八が景気がよくなったからといって三〇になるか二〇になるかというのは、なかなかそこは難しいんじゃないかなという感じがするのが率直な実感です。

大出委員 いつも楽しい話をしていただくので、つき合うと時間がなくなるんですね。もうあと五分だということで、私も、もう五分しかないのかみたいな感じですが。

 やはり簡素、中立、公平でなきゃいけませんので、幾ら何でも六八%も払っていない会社があるというのは異常なことだと私は思いますね。会社も一つの法人格ですから、だから、やはりちゃんと社会貢献の意味で払わないといかぬなと思っております。

 るる並べております、もう最後になってきますけれども、社会保険庁を呼んでいるのは、実は、国民からすると、社会保険料も税金と同じなんですよ。払うものはみんな同じという考えで、公正にやってくれなかったりとか、あるいはふたをあけてみたらこんなことになっているのかというと、非常に憤るわけですよ。

 そこで、社会保険庁、前もって言ってありますのでお答えいただきたいんだけれども、当時、千七十九億円も特例で保険料からいろいろなものを使っておられて、例えば職員宿舎建設費だとかゴルフボール購入などの研修費だとか公用車の購入費だとかありまして、それが今回どれくらい減っているのか、だけれどもまだ払っているのか、その辺のことをお聞きしたいんです。

小林政府参考人 年金関係の事務費の取り扱いにつきましては、十七年度の予算編成に当たりまして、引き続き国の財政状況が厳しいという状況にかんがみまして、特例措置の継続とすることとしたわけでございますけれども、保険料負担を行う特例措置の対象につきましては、国民の御理解を得られますように、制度運営に直接かかわる適用、徴収、給付あるいはシステム関係の経費に限定したところでございます。その他の内部管理事務経費につきましては、必要最小限のものに精査した上で、国庫負担という形にさせていただいたところでございます。

 今委員御指摘の、数字で申し上げますれば、十六年度特例措置額一千七十九億円でございましたが、十七年度の予算案におきましては、九百二十三億円、百五十七億円の減ということでの要求を出させていただいております。

大出委員 これを見たときにセンセーショナルなことでありますが、考えてみれば、公用車の購入とかそういうのは、ほかの省庁ならば税金でやっている話なんですね。皆さんのお金があるからということでやっているんだけれども、これは最初から国民の皆さんに説明しないとわかりませんよ。読んでみたときに、ああこれくらいはやはりかかるかなと思ったりすることもありましたけれども、マッサージ器購入とか、こういう余分なのが結構ありますので、だから九百二十三億円にしたんだと思います。ゴルフボールもそうなんですよ、三億五千万ですからね。時間がないから言いませんけれども、これも含めて負担させられると思っている。先ほどみたいに、何だ、四百兆円も最大では取られているんじゃないかと思っている。その中で、法人は六八%も払っていない。なのに、何で国民だけ定率減税を縮小させられるのか。

 景気動向も、先ほど大田さんともお話ししましたし、どう読むかという問題がありますが、所得の再配分の不平等を示す係数、所得ジニ係数というのがありますが、これもゼロと一の間で、ゼロなら公平だけれども、一まで近づくと不公平というのがありまして、〇・五ぐらいになっていますね。

 そういう意味では、経済政策全体の問題ではございますけれども、やはり今の状況の中で定率減税を縮小したり廃止するというのは無理なのではないかと思っておりますし、論理的にも、定率減税の縮小、廃止は、年金財源にするということなんですね。ところが、もともと基礎年金の国庫負担割合を引き上げる理由というのは、働き盛りの負担軽減にあったわけなんですよ。ところが、今回のは、年収五百万から七百万円の方々、子育て真っ最中の家庭に大打撃を与えることになるわけで、私は、このやり方というのは、税金で楽にさせますよと言っているのは、最初にぶったたいておいて後でなでるのと同じことだと思うんですね。これはちょっと筋が悪いんじゃないかと思っておりますので、反対だということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、地方税の徴収事務の民間委託について伺いたいと思います。

 昨年十二月に総務省は民間委託する方針を出したような報道もありましたが、大臣に、そういう方針を決めたのかどうか、最初に伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、地方税の徴収のいわゆる委託、外部発注というか、委託の件について、規制改革・民間開放推進会議というところから昨年十二月に答申というものが出された中で、読み上げますと、個人情報保護政策との整合性に留意しつつ、民間事業者のノウハウを活用できる業務の民間開放を一層推進すべきであるという御指摘を得ております。私どもは、この答申を踏まえて、取り組みの方針として、三カ年計画というのの取りまとめに向けた検討が今進められている段階で、この三月の下旬には一応の方向を、どう取り扱うのかということについての方針は取りまとめたいと思っております。

 これは、いろいろ微妙な問題がいっぱいありますので、いきなりぽいと、個人のプライバシーの話からいろいろありますので、そんな簡単に民間に全部委託できるような種類の話と思ったことはありません。

吉井委員 今のお話なんですけれども、要するに、民間委託ができるかどうかということ自体を検討するのか、それとも、民間委託を前提にして、どういうものが民間委託できるのか、それを検討しているのか。つまり、今いろいろ検討したりというところなんですが、何を検討しておられるのか、もう少し具体的に伺いたいんです。

麻生国務大臣 まことにごもっともな御指摘なんだと思いますが、いわゆる徴税をいたしますのは、国が持っております最高権力の一つに徴税権があるんだと思っておりますので、こういった強制処分を伴いますような権力の行使ということになりますと、これはいろいろな意味で、それこそプライバシーの話から何から出てきますので、その種のいわゆる賦課とか徴収とかいうような基本的なところに関しては、今後とも民間に委託するのは不適だ、基本的にはそう思っております。

 その上でいろいろやってみますと、例えば、民間委託可能で既に先例事項があるというものは、差し押さえてあります物品を管理するというものに関しましては外部委託とか、コンビニエンスストアへの地方税の収納を委託するというようなこと、これは三百六十五日、二十四時間の収納受け付けというのが可能でありますので、そういった意味であります。

 さらに、今どういったことがということで、納税通知書の印刷、自分で印刷する、それで印刷されたものを袋に詰める、発送するまでだから袋に詰める、それからそういったものを入力させる、あて名書きを全部入力させる、こういったものは民間に委託しても別に、人力の方がえらくかかる話でもありますので、そういった部分に関しては外部委託も可能なのではないかということで、私ども今検討いたしております。

 重ねて申し上げますが、徴税等々の公権力の行使を伴うようなものに関しては、今後とも外部委託をするつもりはありません。

吉井委員 ただ、ヒアリングがあったときの話と、それを受けての答申というのを見ておりますと、昨年十二月の分ですが、「強制徴収権の行使はいわゆる「公権力の行使」であり、公務員でなければ行えない」との意見を、今おっしゃったように、言っているわけですね。「民間では公平・中立な徴収が行われない可能性がある」ということも意見として言っておられる。「徴収業務に際しては個人情報を扱うことになり、厳格な守秘義務を負う公務員が扱うことが適当」という意見も述べておられるんです。

 ヒアリングでは言っておられるんだけれども、ところが、三つの意見に対する反論というのをそれぞれ答申の方は書いておるわけですね、答申では言っているわけですよ。そしてその上で、上記の意見以外の意見についても、民間開放を否定する定量的かつ具体的な論拠があるとは言えず、民間開放できないとする根拠は存在しないと言わざるを得ない、民間開放による徴収業務の効率性の向上が期待できる、だから積極的に開放を推進すべきだというのを推進会議の結論として言っておる。

 だから、総務省は民間開放の難しさを説明しているのはよくわかるんですよ、読んでおればわかるんだけれども、推進会議側は民間開放ができない理由にならぬと言う。つまり、総務省には民間委託にする余地があるじゃないかということで、向こうが言ってきたことについてはきちんとした反論がないわけですから、これは総務省の側が推進会議の方に白旗掲げて降伏という感じなんですが、ここは大臣、どうなんですか。

板倉政府参考人 今の点でございますけれども、御指摘がございましたとおり、規制改革・民間開放推進会議に対しましては、私どもの方から、強制徴収や立入調査などの公権力の行使は民間委託できない、ただ、徴収の効率化の観点から、民間活用が可能な補助的な業務については個別に民間委託等を推進することは適当と考えている、ただ、個人情報の保護については特に留意する必要があるのではないかということを申し上げてまいりました。

 その結果、答申が出ているわけでございますけれども、昨年十二月の答申の中におきましては、地方税の徴収の民間開放について、個人情報保護政策との整合性に留意しつつ、民間事業者のノウハウを活用できる業務について民間開放を一層推進すべきというふうにされたところでございます。

 こういうような表現の答申とされたのは、ヒアリングなどを通じまして御説明をいたしました私ども総務省の考え方について御理解をいただいたのではないかというふうに私どもとしては受けとめております。

吉井委員 今のお話を聞いていますと、何か民間委託できるものとできないものを切り分けできるような感じなんですね。しかし、そんな簡単に切り分けできないんですよ。現在でも、公権力の行使に当たらない事務とか、あるいはプライバシーの漏えいの可能性がない事務だという理由をつけて、実際には税務の事務の一部は民間委託されていますね。そこで問題を起こしているでしょう。

 例えば、これは新聞でも報道されましたし、雑誌「地方税」の昨年一月号にも掲載されておりますが、仙台市の例を見ますと、市民税の税額算定を行うために各事務所から提出された給与支払報告書の数字をコンピューターに入力する作業を民間委託したんだけれども、その際、入力作業の過程で五百七十四人分のデータが流出するという事件が起こっていますね。

 この契約を私も見ましたけれども、再委託禁止とちゃんと契約にうたってあるわけですね。あなたのお話だったら、切り分けして、契約でちゃんとうたったらいけるようなことで、何かあたかも推進会議に抵抗して頑張ったようなお話なんだけれども、しかし、実際には、委託した会社が別の会社に再委託、再委託されたところはまた再委託、四回にわたって再委託が続いているでしょう、仙台の例の場合は。何と、仙台市の委託なんだけれども、渡した資料の一部は北海道の在宅のキーパンチャーにまで渡っておったということがわかりましたね。

 ですから、個人情報の保護について、規制改革会議の答申では、「現在公務員に課せられている守秘義務と同等の守秘義務を法令又は契約で課せばよい」と言うんですが、実態はそんなものではない。とりわけ、公務員の場合と違って、守秘義務といっても刑事罰は全然かからないわけですから。ですから、仙台の場合は、再委託は禁止されているにもかかわらず再々委託が四回も繰り返されて、結局情報が漏えいするということがあったわけでしょう。これはあなたの方はよく御存じのところです。

 ですから、こうした委託業者のミスで個人情報が他人に漏れる事例が、一昨年は所沢市、小金井市、昨年は豊島区でも起こっております。東京近辺の自治体の事例ですが、全国的に見れば随分あるわけですよ。仙台で事件が起こったときに河北新報社が調べてみたら、県庁所在地の五市と宮城県内九市、全部電算入力の外部委託だと。現実には委託が進んでいるんですが、しかし、仙台市のような例が次々と起こってきております。

 ですから、規制改革会議は地方税の徴収事務の民間委託と言うんですが、納税者の個人情報を守るという観点からいえば、現在各地方自治体で行われている税関係の事務の民間委託の見直しこそ今求められるんじゃないか。大臣もプライバシー保護、個人情報保護をおっしゃったんですが、今この見直しこそ必要だ、大事な点だと思うんですが、これは大臣に伺っておきます。

麻生国務大臣 今の仙台市の関係は、言われたことに関しましては、もう仙台の税務当局も事態を認めて、間違いなく管理の不行き届き、これはもうはっきりしておりますので、そういった点においては、私ども今後ともきちんとやっていかないかぬなと思っています。

 これは基本的には徴税コスト等の話なんだと思うんですね。徴税コストに金がかかる、国家公務員でやらずに、入力とかなんとかいうようなことは外部委託した方がはるかに安く済むではないかというところから多分スタートしているんだと思いますけれども。

 こういった点は、地方税の関係でいきますと、私どもとしては地方団体というものに対して、外部委託して安くするのはいいが、その分だけ危険が伴う、いわゆるプライバシーの流出等々の危険が伴うという点は、業者の選択に当たっては、これはただただ安かろう悪かろうじゃとても済む話ではありませんので、きちんとした業者、しかもその業者がまた再委託なんてしたら、これは仙台の例ですから、そういった点は、地方の税務当局からしてきちんとした対応をやらないと後々問題になりますよという点で、私どもとしては、各地方団体にその周知の徹底というものは重ねて言い含めてあるところであります。

吉井委員 要するに、定率減税の縮小、廃止とか高齢者への課税強化の一方で、こういう徴税実務の中で民間委託をしてプライバシーがどんどん漏れる、これでは地方税そのものに対する信頼が失われていくということを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 私も、どうしても定率減税の縮小そしてまた廃止へ向かうという動きがなぜ今なのかという気がしてならないんですね。先ほどから、予算委員会からもずっとこの一点に絞られておると思うんですが。

 確かに政府の方は、景気は当時よりはよくなった、改善の状況にあるということをおっしゃっておりますが、それは確固たる状況にまで来ているのか。いわゆる踊り場的状況であるわけで、これから本当に上がる可能性もあれば下がる可能性もあるところに今来ているのではなかろうか。これを本当に上げるためには、やはりこの定率減税というのは、私は、逆に大きな足かせになるんじゃないかという気がしてならないんですね。

 日本の経済の基礎体力を示す潜在成長率、これはバブル崩壊以降、悪化、低下の一途をたどってきたわけです。そして一九九九年に、もう本当にこれは何とかしなければならないということで、株は下がるし失業率は高まる、非常に景気がどん底の状況のときにこの政策が打って出されたわけです。

 その潜在成長率ですが、導入されたときの九九年から五年後の昨年の二〇〇四年までほとんど変わっていないんですね、成長率そのものは。景気動向そのものは上がってはいますが、潜在成長率はほとんど変わっていないんですね。これが一つです。

 それからもう一つ、景気に大変影響を与えますのがいわゆる個人消費だと思うんですが、この個人消費にまた物すごく影響を与えるのが勤労者の可処分所得だと思うんですね。この勤労者世帯の可処分所得、これがまた定率減税導入時から比べたら、上がっているどころか下がっているわけですね。

 要するに、今の景気の状況というのは、一部の企業の突出した利益、こういったものが非常に恩恵となって、一見状況はいいように見えますが、実際の生活面における状況は決して回復状況にあるとはまだ言えないときだと思うんですね。この上にいろいろな税制の改正や保険料負担というのが既に始まっておりますし、これからも配偶者特別控除の見直しとかいろいろなことが始まったり予定されておる。つまり、そのときに定率減税を半減、縮小するということは、まさにダブル、トリプルパンチを与えてしまうのではないかと非常に心配しております。

 なぜこの時期なのか、もう一つ確固たる景気動向が見きわめられてからやる施策ではなかったかという気がしてなりませんが、この点について重ねて御質問いたします。

麻生国務大臣 今、横光先生御指摘のあったとおり、景気判断につきましては、いろいろ意見の分かれたところだと思いますし、今でも分かれているところだと思います。御指摘のありました数字も確かですが、傍ら、あの当時と比べて、九七年当時と比べて、よくなっているという状態も幾つかあると思っております。

 竹中経済財政担当大臣のよく言われるところは、不良資産が大幅に減ったと言われますけれども、不良資産があったって景気がいいことはありますし、不良資産がないから景気がすぐよくなるなんというそんな話は、本人はそう思っておられるかもしれませんけれども、現実問題としては余り景気には関係ないと思っております。

 私どもから見てやはり大きいなと思いますのは、企業収益という点に関しましては、十―十二で見ますと、前年同期比で一七%ぐらいの増ということになっております。これは十期連続、十四半期連続ということになろうと思いますが、連続で増益に回っておるというのは、あの当時とは物すごく大きな違いだと思っております。

 それから、もちろん失業率が最悪の五・四から先月四・五まで下がっていると思いますし、同じく有効求人倍率、こっちの方は景気をかなり左右するものですが、こっちも〇・九一ぐらいまで上がっていると思いますので、その意味では、有効求人倍率からいうと、十二年ぶりぐらいの高い数字が出たというのは、いずれもあの当時とは大分違ってきているという意識なんだと思います。

 しかし、傍ら、先ほど大田政策統括官の話がありましたように、三四半期連続でGDPがマイナス、浅いとはいえマイナスであったことは確かですので、三四半期いきますとちょっと問題であろうかと思いますが、しかし、いずれも、三回目のというか、上に上がった上でのまだマイナスというところになっておりますので、今度の四半期がどう出るかということだと思います。一―三月の答えがどう出るかよく見えないところではありますけれども、一―三月でいきますと、少し景気は上向いてくるのが前のときの四半期の数字ですので、今回の場合はゼロを超えるのではないかというような予測はしております。これが一つ。

 もう一つは、あの当時と比べて、九七年当時は、アメリカもくちゃくちゃ、アジアもくちゃくちゃというような状況にありましたが、今回は、御存じのように、アジアもアメリカも少なくとも景気の指標というのは決して悪いものではありませんので、あのころに比べればかなり状況はいいんだと思いますけれども、それでも、先ほど大出先生の御質問にもありましたように、一〇〇%の自信があるかといえば、いまいち大丈夫ですというところまではいけていないから半分ということで、そこそこに落ちついたというところだと思っております。

横光委員 確かに、今御説明されたように、よくなっている部分もあるわけでございます。とりわけ企業収益のことをおっしゃいました。しかし、まだまだほんの一部の大企業の状況でございまして、これは中小企業や地場産業にまで及んでいないわけですね。そして、この企業収益が企業の中にとどまっておって、結局家計へまだ回っている状況じゃない、そういった過渡期にあると思うんですね。

 ですから、そういったときに、私が言いましたように、この踊り場から上がるための足かせにならなければいいがという気がしております。今、一〇〇%という自信は言えないということでございましたが。

 この定率減税の縮小について、法文上は、百分の十五を百分の七・五に、四万円を二万円に上限を改めるとなっております。景気に配慮するということは、もちろん法文ですからそこまでは書かれていないんですが、自民党の税制改正大綱では、「今後の景気動向を注視し、必要があれば、政府・与党の決断により、その見直しを含め、その時々の経済状況に機動的・弾力的に対応する。」ということが言われております。これはどう担保されているんですか。

 大まかな形ではよくわかるんですね、こういうことは。しかし、細かいところでいえば、どう担保されているのかさっぱりわからない。では、見直しのような状況が来たときには、どの時点で景気動向を判断するのか、あるいはどの基準でまた判断するのか、機動的、弾力的というのはどういうことなのか、やめるのか延期なのか、そのあたりが全然わからないんですね、大ざっぱで。

 これだけ負担を強いるのならば、もう少し国民に説明すべき必要があろうかと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これを数字的に定量で出せと言われても、なかなか難しいところだと思っております。

 よく言われるように、名目成長率でどれぐらいいくか、実質ではなくて名目成長率でプラスでどれぐらいいくかというのは非常に大きなところだと思っておりますので、名目がマイナスのうちというのはなかなか難しいかなという感じが正直な私自身の感じであります。

 いずれにしても、横光先生も御存じのように、景気とか病気とか天気とか元気とか、気のつくようなのは大体、気分に左右される部分が非常に大きくて、財布の中に二万円入ったら、二万円もあると思うか、二万円しかないと思うかは、かかって個人の気持ちの問題ということになろうと思いますが、景気の気の部分というのは、やはり先ほど、消費者の支出がふえておらぬではないか、家計支出が伸びておらぬではないかというのは、まことにおっしゃるとおりなんであって、ここはGDPの六割を占めます消費という数字が上がってくるというのが非常に大事。

 物価は確かに下がった。物価は確かに下がっておりますが、収入もあわせて下がっておる、ボーナスを含めまして皆下がっておりますので、景気のいい会社でも業界でも、ふやしておりますのは、いわゆるベースアップというのはやらずに、基本給はさわらずそのままで、賞与で実質でふえておるという形になっておりますので、やはり企業側としてもいまいち。これだけ設備投資はふえながら、設備投資がふえたら当然銀行貸し出しがふえるんですが、日銀の銀行貸し出しは全くふえずにずっと減り続けておるという状況は、企業は基本的には自分の利益、収益の範囲内で再投資しておるという形になっておりますので、いわゆる借金をしてまで設備投資をするというところまで企業側もいま一つ自信という気がないというところなんだと思います。

 したがって、何となくその分が給与、人件費にはね返ってきておりますので、なかなか両方ともいま一つ自信を持って踏み出すところまでいっていないというところが今の現状だと思っております。やはりそこらのところを配慮していかねばならぬというのが、今後、数字というので見ておかねばならぬ一番大事なところだと思っております。

横光委員 いずれにいたしましても、私は、これは今やるべきときではないということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。

実川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。野田聖子君。

野田(聖)委員 私は、自由民主党及び公明党を代表して、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。

 この法律案は、定率減税の縮減、所得譲与税の増額、法人事業税の分割基準の見直しなどを行おうとするものであります。

 これらは、社会経済情勢の変化等を踏まえ、地方の税財政面での自主性、自立性を向上させ、安定的で偏在が少ない地方税体系を構築していくための改正であります。

 その他の改正も含め、今回の平成十七年度の地方税制改正の内容は、いずれも適切かつ妥当なものであると考えますので、本法律案に対し、賛成の意を表するものであります。

 政府におかれては、今後とも、地方分権を推進する観点から、地方税財政基盤の充実にさらに積極的に取り組まれるよう、強く希望するものであります。

 最後に、本法律案は日切れ法案であり、年度内に成立を図る必要があることを申し添えまして、政府提出の地方税法等の一部を改正する法律案に対する私の賛成討論を終わります。(拍手)

実川委員長 次に、高井美穂君。

高井委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました、政府提出、地方税法等の一部改正案に対し、反対の立場より討論を行います。

 反対の第一の理由は、今回の改正が増税の側面を強く持つことであります。

 定率減税の縮減により所得税分も含めて一兆六千五百億円が、また、前年の所得が百二十五万円以下の高齢者に適用される非課税措置が廃止されることにより百七十億円の国民負担が生じることになります。しかし、我が国の経済状況を考えたとき、それに加えて、年金課税強化、年金保険料、雇用保険料の引き上げ等、国民を取り巻くさまざまな負担増をかんがみれば、今このタイミングでさらに国民に負担増を求めることは、景気へのリスクが余りにも大きく、反対であります。

 第二の理由は、法案が、地方分権に逆行する、小泉総理の三位一体改革を前提としていることであります。

 三位一体改革は、当初掲げていたはずの地方分権の理念が忘れ去られ、地方の裁量拡大に資さない補助金改革、中央政府の権限温存、地方への財政負担の押しつけ、課題の先送りに終始しています。地方分権と呼ぶには余りにお粗末な三位一体改革、地方の裁量拡大につながらない補助金改革とセットの所得譲与税には賛成しかねます。

 歴代自民党政権の放漫経営が積み上げた目まいがするほどの債務の額を考えれば、国、地方が協力して歳出削減の努力を行うことは重要です。しかし、地方への権限移譲、財源移譲を骨抜きにしておきながら、財政的な負担ばかりを地方へ、国民へ押しつけようとする政府・与党の身勝手は許されるはずがありません。

 地方分権の名に値しない三位一体改革、分権の美名のもとに財政再建のツケを一方的に地方に押しつけようとする地方税法等の一部改正案には断固反対であると申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

実川委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地方税法改正案に反対の討論を行います。

 本改正案は、小泉内閣の消費税増税までをにらんだ連続的な大増税、負担増路線の一環をなすものであります。

 反対理由の第一は、定率減税の縮減が納税者全体への負担増となることであります。家計消費の減少が続く中での定率減税の半減は、国民の暮らしを直撃し、景気を冷え込ませるものだからであります。

 定率減税の半減により、納税者全体の負担は三千八百八十億円も増加し、とりわけ働き盛りの世帯や子育て世帯の負担増は重大です。こうした負担増は、既に決定されている配偶者特別控除廃止などによる増税や、年金保険料の引き上げなど社会保障改悪による負担増とともに、ただでさえ収入減にあえいでいる家計に追い打ちをかけ、個人消費を一層冷え込ませるなど、国民生活と経済に重大な打撃を与えるものとなります。

 反対理由の第二は、六十五歳以上の非課税制度の廃止が高齢者の生活を脅かす負担増となるからであります。

 六十五歳以上の高齢者の非課税制度の廃止により、新たに課税される人は百万人にも及び、個人住民税だけでも百七十一億円もの負担増となります。これによって、既に決定されている公的年金等控除の縮小や老年者控除の廃止と相まって、個人住民税が新たに課税される人が大幅に拡大されます。この影響は国民健康保険料、介護保険料などの負担増につながり、自治体の公営住宅の家賃へのはね返りから住民税非課税が課税となることによるシルバーパスや老人医療費の負担まで、雪だるま式に負担がふえることになります。

 反対理由の第三は、庶民増税を強め、フリーターなどへの課税強化を進める一方で、大企業優遇の特例措置を延長、拡充しているということであります。

 大都市での大規模な開発を行うための都市再生特別措置法による大企業優遇の特例措置の延長や拡充、実態として大企業が主に担っている民間資金の活用による公共施設整備、PFI事業推進のための特例措置の延長や拡充など、担税力のある大企業への特例を延長、拡充することは容認できません。

 以上で反対討論を終わります。(拍手)

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、地方税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、個人住民税の定率減税の縮小です。

 そもそも恒久的な減税は、定率減税だけではなく、所得税、住民税の最高税率の引き下げや法人関係税率の引き下げとセットで実施されたものであり、これだけ所得や資産の格差が拡大し、二極分化が広がる中で、定率減税だけに手をつけるのは税の公平性を欠くものであります。

 しかも、景気回復の傾向が顕著なのは、上場企業の中でも大手が中心です。景気回復を理由とするのであるならば、高額所得者や法人関係課税の強化こそが必要であります。税制の抜本見直しのないままの定率減税の縮小、廃止は、改革の痛みを庶民に転嫁することにほかなりません。

 加えて、定率減税の縮小が、各種社会保険料の引き上げや配偶者特別控除の見直し、年金課税の見直しなど家計の負担増を伴う幾つかの制度改正の実施とダブル、トリプルできき、消費者マインドを冷やし、消費を停滞させてしまうというリスクをより高めることにもなります。

 反対の第二の理由は、年間所得百二十五万円以下の六十五歳以上の人に対する個人住民税の非課税措置の段階的廃止や、フリーターなど短期で転職を繰り返す層への課税を強化することが盛り込まれたことであります。

 高額所得者の所得税負担のあり方を見直すことなく、しかも、社会保障のビジョンを明らかにしたり雇用の安定を打ち出したりすることもないままで、年金収入だけで生活する六十五歳以上の高齢者や低収入の不安定な非正規雇用労働者をターゲットに負担増を強いるやり方は、弱者に痛みを強いる小泉改革の特徴が出たものであると言わざるを得ません。

 国民が求める税制改革の基本は、いかにして税負担の公平を確保するかにあります。それは、広く薄く大衆に課税することではなく、社会の富める者により多くの負担を求め、中低所得者に配慮することではないでしょうか。景気回復に冷や水を浴びせ、所得、資産の格差をさらに拡大させ、庶民や弱者に激痛を強いる小泉改革の転換を強く求めていくことを表明いたしまして、反対討論を終わります。(拍手)

実川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより採決に入ります。

 地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、佐藤勉君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び社会民主党・市民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。桝屋敬悟君。

桝屋委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、地方自治体への税源移譲こそが地方財政の自立に向けた改革の出発点であることにかんがみ、地方における歳出規模と地方税収入との乖離を縮小する観点に立って、三兆円の税源移譲はもとより、国と地方の税源配分の在り方を抜本的に見直すことによって地方税源の充実確保を図り、もって、地方が自らの判断と自らの財源によって創意工夫に富んだ地域づくりを行える個性豊かで活力に満ちた地域主権型社会への転換を図ることについて十分配慮すべきである。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

実川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

実川委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

実川委員長 次回は、来る十日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十七分散会


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