衆議院

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第14号 平成17年4月14日(木曜日)

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平成十七年四月十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 左藤  章君 理事 佐藤  勉君

   理事 野田 聖子君 理事 森山  裕君

   理事 安住  淳君 理事 大出  彰君

   理事 松野 頼久君 理事 桝屋 敬悟君

      宇野  治君    岡本 芳郎君

      奥野 信亮君    加藤 勝信君

      亀井 久興君    小西  理君

      近藤 基彦君    佐田玄一郎君

      自見庄三郎君    田中 英夫君

      谷  公一君    谷本 龍哉君

      西田  猛君    萩生田光一君

      平井 卓也君    増原 義剛君

      松本  純君    三ッ矢憲生君

      五十嵐文彦君    伊藤 忠治君

      泉  健太君    稲見 哲男君

      小宮山泰子君    田嶋  要君

      高井 美穂君    寺田  学君

      中村 哲治君    西村智奈美君

      松崎 公昭君    村越 祐民君

      山花 郁夫君    笠  浩史君

      河合 正智君    長沢 広明君

      塩川 鉄也君    横光 克彦君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (郵政民営化担当)    竹中 平蔵君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   内閣府副大臣       西川 公也君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  千代 幹也君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中城 吉郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  竹内  洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  細見  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊東 敏朗君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  篠田 政利君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  武智 健二君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          須田 和博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  清水 英雄君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   浜田 恵造君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   山下  泉君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   広瀬俊一郎君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   本保 芳明君

   参考人

   (日本郵政公社理事)   斎尾 親徳君

   総務委員会専門員     石田 俊彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  小西  理君     近藤 基彦君

  田中 英夫君     加藤 勝信君

  楠田 大蔵君     村越 祐民君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     宇野  治君

  近藤 基彦君     小西  理君

  村越 祐民君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     田中 英夫君

  泉  健太君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  笠  浩史君     楠田 大蔵君

    ―――――――――――――

四月十三日

 郵政民営化反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第九一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政事業に関する件


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 郵政事業に関する件について調査を進めます。

 この際、政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。杉浦内閣官房副長官。

杉浦内閣官房副長官 おはようございます。官房副長官の杉浦でございます。

 竹中大臣の本委員会への出席の取り扱いに関し、議院運営委員会理事会における細田内閣官房長官の御説明等の経過について御説明申し上げます。

 本件については、去る七日の議運理事会におきまして、私に対して四点御質問をいただいておりました。

 第一点は、今回の事態について憲法違反という認識はないのか。

 第二点は、竹中大臣は四月五日の本会議において、ドタキャンという事実があったとは認識していない旨答弁しているが、委員会当日、四月五日でございますが、当日の朝に担当審議官のメモが出されたこと、前日、四月四日に出席できないとの話があったとしても、一週間前から出席を求められていることにかんがみれば、ドタキャンに変わりはないのではないか。

 三点目は、内閣委員会に所属する大臣である旨の答弁をしているが、郵政民営化担当大臣であるから総務委員会も所管なのではないか。

 四点目は、与野党の合意がなされていたとは承知していない旨答弁をしているが、事実に反する答弁ではないかとの四点でございます。

 これらについて、一昨日、四月十二日の議運理事会に官房長官が出席し、政府としての見解を申し上げたところでございます。

 その内容でございますが、第一点、一、今般の総務委員会の出席については、竹中大臣が日程の都合がつかない状況となったことから、与野党間で日程調整をお願い申し上げていたと承知している。

 具体的には、四月一日金曜日の本委員会理事懇談会において野党から出席要請があり、与党は持ち帰り、四月四日月曜日に正式に回答することとされ、その後一たん理事間で合意されたが、さらにその後、大臣の日程の都合がつかない状況となったため、四月四日月曜日に与党から野党に日程の再調整をお願いしたものと承知している。

 もとより、憲法上、大臣は国会から出席を求められたときは出席しなければならないものとされており、今後とも内閣としては、与野党で合意されたところに従って誠実に対応してまいりたい。こうした中で、本委員会における与野党間の協議状況等に係る情報収集、伝達について、政府側に不十分な点があり、関係各位に御迷惑をおかけした点についてはまことに遺憾であり、おわび申し上げるとともに、今後適切な対応が図られるよう徹底してまいりたいとの御説明をいたしました。

 また、竹中大臣の出席する委員会については、竹中大臣は内閣の担当大臣、郵政民営化担当であり、内閣委員会は内閣の所管に属する事項を所管するものとされ、これは衆議院規則第九十二条第一号でございます、この整理に従い、竹中大臣は内閣委員会において所信を述べていること、一方、総務委員会は総務省の所管に属する事項を所管するものとされていること、衆議院規則第九十二条第二号でございます、と申し上げた上で、いずれにしても、閣僚の国会出席の取り扱いは国会運営に関する事柄であるので、今後とも内閣としては、与野党で合意されたところに従い誠実に対応してまいりたいとの御説明をいたしました。

 これを受けて、議運理事会の与野党間で行われた御議論を踏まえ、改めて官房長官から大臣の国会への出席は与野党間の合意により対応すべきものであるが、今回の竹中大臣の対応は不十分なもので、誤解を与えたところであり、竹中大臣に厳重に注意する、大臣の所属する委員会の問題は与野党の国対、議運の協議、整理をお願いするとの発言を申し上げました。

 なお、官房長官は当日、議運理事会を退出した後、河野議長のもとに伺い、今般の事態について陳謝申し上げたところでございます。

 以上であります。

実川委員長 次に、竹中国務大臣。

竹中国務大臣 竹中平蔵でございます。

 四月五日の本委員会に関して、委員長、与野党理事、麻生総務大臣を初め御出席の皆様には、私の出席問題について大変御迷惑をおかけいたしました点につきまして、大変申しわけなく思っております。状況を正確に把握していなかった面がございまして、関係各位に御迷惑をおかけいたしました。官房長官からも御注意がありました。

 今後、的確な情報伝達が行われるよう努めてまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

実川委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政公社理事山下泉君、理事広瀬俊一郎君、理事本保芳明君及び理事斎尾親徳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官千代幹也君、内閣審議官中城吉郎君、内閣審議官竹内洋君、内閣審議官細見真君、内閣審議官伊東敏朗君、内閣審議官篠田政利君、総務省自治行政局長武智健二君、自治行政局公務員部長須田和博君、自治行政局選挙部長久保信保君、郵政行政局長清水英雄君、法務省民事局長寺田逸郎君及び財務省理財局次長浜田恵造君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小西理君。

小西委員 おはようございます。自由民主党の小西理でございます。

 まず冒頭、質問に先立ちまして、前回、四月五日に総務委員会が流会となりました。今、杉浦官房副長官からいろいろ経緯の御説明があったわけでございますけれども、国権の最高機関としての国会の委員会審議でございます。理由のいかんを問わず、このような事態というのは大変遺憾であり、国会の権威また審議を軽視するというそしりを免れないものだというように思うわけであります。

 いま一度、このようなことが再発しないように、竹中大臣に御確認をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 小西委員にお答え申し上げます。

 本件につきましては、いろいろな経緯の中で、情報収集、伝達について私どもに不十分な点があり、状況を正確に把握していなかった面がございました。関係各位に御迷惑をおかけしたこと、今後、的確な情報伝達が行われるようしっかりと努めてまいりたいと思っております。

小西委員 よろしくお願いいたします。我々若輩者ではございますけれども、国民の重い期待を受けてここで審議をしておるわけでございまして、よろしく御認識のほどお願いしたい、このように思っております。

 きょうは郵政事業に関する質問なんですが、初回でもありまして、基本的なことを幾つか聞いてまいりたいというように思っております。

 まず最初に、現在、郵政公社ができまして、生田総裁の指揮のもとに積極的にコストの削減等の改革が行われているというように承知をしております。竹中大臣、今、この改革の状況をどのように評価、認識しておられるのか、うまくいっているというように認識されているのか、またそれはどういう点でそういう認識をされるに至っているのか、お聞かせください。

竹中国務大臣 郵政公社が発足しましてから、今御指摘がありましたように、生田総裁のもとでサービスの向上、事業の効率化が推進されておりまして、その努力は私自身高く評価されてしかるべきものであるというふうに考えております。

 例えば、例でございますけれども、一般小包の市場シェアが増勢に転じつつあるというような具体的な効果もあらわれております。一定の経営改善が認められ、平成十五年度決算を見ましてもその年度の経営計画を上回る実績を上げている、そういうところにあらわれているというふうに思っております。

 他方で、郵便物数の継続的な減少への早急な対応でありますとか、簡易保険の保険契約数の減少への早急な対応など、取り組むべき課題も多いというふうに思います。

 したがって、将来にわたってこの郵政事業の経営の健全性を確保していくためには、こうした郵政事業を取り巻く厳しい環境変化に適時適切に対応していくことが必要であるというふうに考えているところでございます。

 認識を問うということでございますので、以上のように申し上げさせていただきたいと思います。

小西委員 ありがとうございました。

 それでは、同じ質問を今郵政公社を所掌しておられます麻生大臣にもお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今郵政公社を取り巻いております環境というので一番大きな問題は、やはりEメール、iモード等々によって、いわゆる郵便物の絶対量が毎年約二%、二・五%ずっと減り続けておるというところが厳しい環境と言えるものだと思っております。

 ただ、公社になりまして初年度、ことしで二年度目ということになりますが、その中にあって、やはり中期経営計画の中で郵便配達事業部門で黒字転換等々は高く評価されてしかるべきものだと思っておりますし、平成十六年度から中間決算というものを試行して、いわゆる業務状況というものの進捗管理をしておられるなど、これは経営者としての評価は高いものだと思っております。

 具体的な例を申し上げた方がよろしいと思います。例えば、資材の調達というのはこの種の大きな企業においては物すごく大きなものを占めるんですが、新しいユニホームの調達計画というのは、最初、計画金額は二十億七千万で上がっておりましたけれども、実際問題としては、競争入札を一挙に導入して、落札金額は九億七千万ということになりますので、これは約五三%の差し引きコスト減になっております。これは一つの例だと思います。

 ジャパン・ポスト・システム、通称JPSと称するシステムを入れて、むだとか無理とか、いろいろ表現がありますけれども、そういったようなものを減らして、最初十四局でスタートをしていろいろ試行錯誤された結果、たしか平成十六年度から千局でそれを展開する等々のことをやっておられたりしております。

 いわゆるトラック便で配達する件につきましても、運送委託については競争というものを導入しておられますので、この導入した額によって各社とずっと個別で契約をして、各区間を切って、この部分でどこと競争入札、この部分でといういろいろな形で競争入札をされておられて、神戸―仙台間ではここの会社、何とかといういろいろな形で落札をさせた結果、総額は全部存じ上げませんけれども、かなりの部分そういった意味での努力というものは非常に顕著だと思っております。

 そういう意味では、二年間ではありますけれども、経営陣として、労使一体という形でかなりの努力は進んでおる、経営の感覚からいいましたらかなり高い評価というように私どもは理解しております。

小西委員 どうもありがとうございました。

 今もお伺いしましたように、公社においてはいろいろな改革が非常に急ピッチで進んでいる。まさに、麻生大臣がおっしゃいましたように、コストの大きな部分を占めるいわゆる資材の調達でも、一般の民間会社と同じような形でしっかりとした対応をしていっていただいているものだというふうに私も思っております。

 そういう中で、郵政公社ができまして、最初、中期経営計画四年というふうに理解しておりますけれども、四年の中期経営計画の達成途上、こういう状況で、最終的な業績評価もまだ十分行われていないうちに今民営化というのが非常に目の前にある課題として我々に突きつけられているわけなんです。今改革が急ピッチで進み、郵便事業も黒字に転換した、こういう中で、なぜこの民営化というのをここまで急がなければならないのか。中期経営計画の評価を踏まえて次のステップを踏むのが順当な、一般的な考え方ではないかというように思うわけなんですけれども、このあたりのところをどうお考えなのか、竹中大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 中期経営計画の業績評価も終わらないうちになぜそのように急ぐのかというお尋ねでございますけれども、私からぜひ二点申し上げたいと思います。

 第一は、やはり何といっても郵政事業を取り巻く環境が激変している、環境の変化が極めて激しいという点でございます。今、麻生大臣からEメールの普及との関連で郵便物数が毎年二ないし二・五%程度減少しているというお話がございましたが、それはある種最も典型的な環境変化の一つでございます。この状況が続けばそれが加速するということも予想されるわけで、十年という単位で見るならば、相当大きな取扱量の変化を見込んでいかなければいけない。郵便事業についてはそのような状況がある。

 もう一つ、郵政を支える大きな事業部門でございます金融につきましては、これはITと同じように、むしろそれ以上に技術革新が速い分野でございます。民間が提供する金融サービスが非常に広範かつ多様に展開されておりますし、この数年、私たちの身の回りだけを見ましても、大変新しい金融商品がどんどんできて、人々の家計の、企業の資産運用活動、ポートフォリオが激変しているというふうに思います。その金融革新がやはり激しいという点がございます。

 さらに、物流に戻りますけれども、この物流サービスを見ましても、国際的に見ると非常に大きな環境変化がございます。ドイツやオランダでは、民営化された郵便会社による非常に積極的な国際展開が進んでいる。特にアジアにおいては、この国際物流の市場というのは大変高い成長を遂げている。そういう劇的な変化があるということでございます。

 中期経営計画を見ましても、今後の経営見通しは楽観が許されないところでございまして、こうした環境変化に適切に適応するためには、やはり改革を早くやっていく必要があるというのが基本的な認識でございます。

 第二の点、もう一つ申し上げておきたいのは、民営化をもちろん私たちは主張させていただいているわけでございますけれども、民営化が最終的な姿に至るまでやはり相当年数の準備の期間と移行期間を見込まなければいけないということだと思っております。ドイツでは一九九五年に民営化がなされましたが、この民営化はまだ完成をしておりません。私たちも、移行期間でも十年程度必要だろうというふうに見込んでいるわけでございます。

 十年という時間と今の環境の激変を考えまして、やはり民営化に直ちに取り組む必要があるというふうに判断をしているところでございます。

小西委員 ありがとうございます。

 今、二点御指摘いただいて、環境の激変、郵便物の減少、また金融の技術革新などの話を伺いました。正直言って、これが民営化すれば即解決する問題だというように大臣も思ってはおられないとは思いますけれども、この問題は議論しますとかなり深くなりますし、一個一個のテーマで一時間も二時間も費やさないといかないアイテムなんで、きょうはこれ以上申し上げませんけれども、単純な民営化だけで、そういう理念だけで、周りのいろいろな環境を整えることなしに進んでも痛い目に遭うだけで、なかなか成果は得られないんじゃないかという危惧だけちょっと御指摘させていただきたいと思っております。

 次に、関連しまして、ちょっと法律の話なんですが、いろいろ郵政の民営化になって出てくる法律の中に、中央省庁等改革基本法三十三条六号という項目が、大臣も御承知だと思いますけれども、これは郵政公社が発足するときの基本になった法律でございまして、ちょっと読ませていただきます。

 第三十三条、「政府は、次に掲げる方針に従い、総務省に置かれる郵政事業庁の所掌に係る事務を一体的に遂行する国営の新たな公社(以下「郵政公社」という。)を設立するために必要な措置を講ずるものとする。」この六号に、「前各号に掲げる措置により民営化等の見直しは行わないものとすること。」こういう条文があります。これは、明治、大正の条文ではなくて、平成の十年の六月に制定された法律だというように理解をしております。

 内閣法制局に確認した情報によりますと、こだわるものではないという御回答も得ているところでありますけれども、それはあくまで法制上のことでございまして、この点について、この記載をどのように考えておられるのか、竹中大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 中央省庁等改革基本法、御指摘の平成十年の法律、もちろん存じ上げているところでございます。郵政の事業に関しては、「民営化等の見直しは行わないものとする」という規定がございます。これをどのように考えるかというお尋ねでございますが、これは法律の問題でございますから、やはり法的な整理ということになるのだと思います。

 これももう、今委員御指摘をくださいましたが、法的な整理としては、これは公社設立のために必要な措置を講ずる際の方針として定められたものであって、公社設立後のことまで定めたものではない、そういう法的な整理がなされているというふうに承知をしております。内閣法制局長官の国会での答弁等々も含めましてでございますけれども、法的には今申し上げたような整理がなされるというふうに承知をしております。

小西委員 お答えいただきましたけれども、これはもう少し重い立法趣旨がこの中に含まれているのではないかなというように私は個人的に考えております。そのことだけ申し上げさせていただきたいというように思います。

 それでは次に、次元を一般の有権者の視点にちょっと移しまして、大臣に二、三お伺いをしたいというように思います。

 これは風聞でありますけれども、最初、大臣は郵政公社に税金が投入されていないことを御存じなかったというような話をちょっと聞きまして、本当にそんなことがあるんだろうかといぶかったのでありますけれども、実は私どもも、選挙区に戻りまして、郵政を民営化した方がいいと言われる方にいろいろなお話を伺いまして、皆さん税金が郵政公社に投入されていないことを御存じですか、こういうような質問をしますと、賛成と言っている方も、十人中八人か九人が、そんなことは知らないよ、では、一体、おまえら何でこれを民営化するんだと聞き返されることが非常に多いわけであります。

 郵政公社に対して税金が投入されていないという事実を、いろいろマスコミ等でアンケート調査とかされていますけれども、今本当に日本の国民がどれくらい承知していると思っておられるのか、大臣にお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 まず最初に風聞の件がございましたが、いろいろな風聞があるんだと思いますが、私自身は、郵政公社の財政の状況、税金が直接は投入されていないという件については、もちろん以前から承知をしております。

 委員のお尋ねは、確かに、国鉄の場合と異なって、国鉄の場合は赤字を出しておりまして財政の直接的な支援が必要な状況であったわけでございますが、今郵政公社がそういうような状況ではない、郵便事業まで含めて今黒字を出しているわけでございますから、その意味では、独立採算で経営を行っているという点はこれは重要な事実であろうかと思います。

 国民はそのことをどのぐらい周知しているのかというお尋ねなわけですが、私も、郵政の問題をしっかりと国民の皆さんにお考えいただきたいという思いで、各地方のテレビ局等々で地元の方とお話をしながら、二十カ所等々ですか、行かせていただきましたが、そのときの認識では、確かに、そのことを御存じの方と、えっ、そうなのという御存じでない方、これは二分されている。どちらがどのくらい多いかというのは、これはもう感覚でございますから、ちょっと申し上げられませんが、御存じない方もいらっしゃるということだと思っております。

 その意味でも、今の状況がこうであり、その上でどういう改革をしていくのかという説明責任をしっかりと私たちは果たさなければいけないというふうに思っております。

 もちろん、専門家の間では、例えば、政府が保証しているけれども預金保険料が免除されている、その分をどのように考えるのか、これはやはり見えないけれども負担なのではないか、そのような御意見もございます。

 さまざまな意見がございますけれども、そうしたことも含めてしっかりと国民の皆さんに現状を理解していただいて、そして、その上で、今の環境の変化、改革の必要性等々についてしっかりと議論をしていただきたい、そのための説明責任を果たしていきたいと考えております。

小西委員 ありがとうございます。

 次に、これは余り私が言うようなことじゃないかもしれないですけれども、選挙区の皆さんにお聞きしていますと、どう考えても年金や社会保障制度の改革を先にやってくれ、地方の景気を何とか上げてくれ、何でおまえら自民党は郵政民営化ばかり言っておって我々の声を聞いてくれぬのだ、そういう声をよく聞くわけであります。

 これは郵政担当大臣の竹中大臣に聞くのはちょっとおかしな話かもしれませんけれども、自由民主党の参議院議員としての竹中先生にお伺いしたいと思うんです。この辺は、一体議員としての竹中先生はどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいというように思います。

竹中国務大臣 郵政民営化の問題を政策の優先度として国民がどのように受けとめておられるのか、これも我々政策を担当する立場からはやはりもちろん重要な問題であろうかと思っております。

 しかし、こういう質問、アンケート調査等々いろいろございますが、難しいのは、景気の問題、年金の問題という非常にある意味で目の前の、景気の問題というのはある意味できょうの問題でございます。それに比べますと、郵政の問題というのは、きょうの問題でもございますけれども、郵政の民営化が完成するまでに十年かかるわけでございますから、その意味ではもう少し中期的な視点で制度設計を考えなければいけない問題。こういう問題を直接比較されますと、どうしても景気というようなところにいわゆる丸をつけるということなのだと思います。

 しかし、同時に、かといって、私は、国民は郵政の問題に対して関心が低いというふうには必ずしも思っておりません。いろいろなアンケートがございますが、あなたは郵政民営化に関心がありますか、ありませんかという直接的な問いかけのアンケートをしますと、これはやはり三分の二ぐらいの方が、アンケートによっては違いますが、関心があるというふうにお答えになられます。

 その意味では、私は、景気も重要だし、年金も重要だし、郵政民営化も重要だ、どちらを先にやってどちらを後にするということではなくて、これはすべて、官から民へ、そして国から地方へ、構造改革によって日本の経済社会を元気にしようという一連のものでございますから、これはもう同時にやっていかなければいけない重要な問題であるというふうに認識をしながら、経済財政の問題にも、郵政民営化の問題にも取り組んでいるつもりでございます。

小西委員 ありがとうございます。

 しかしながら、こっちも説明しようと思ってない知恵を絞るわけなんですが、なかなかうまく説明ができないというのが実態でございまして、その点は御認識いただきたいというふうに思っております。

 三点目なんですが、民営化されたら郵便局がなくなってしまうんじゃないかという話をよくおばあちゃんあたりから地元で聞くわけなんですが、そんなばかなことにはしませんよ、そんなことありませんよというお答えを一応私もします。

 しかしながら、資金が民間に流れる、よく竹中大臣が官から民へという中でおっしゃっているわけなんですが、企業はそれでさておきよいとして、一般の消費者、郵便局の利用者たる、特に地域のお年寄りを含めて、今回の民営化がもしされた場合どういうメリットがこういう人たちにあるのか、一体何がよくなるのか、その点あればお聞かせください。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、いろいろな地方で地元の方と対話をさせていただきましたときに、一番素朴に出る声、懸念というのが、地元の郵便局は大丈夫なのか、自分の村や町の郵便局はなくならないのか、やはりそういう御懸念でございました。この点はやはり国民の皆さん、大変御心配しているんだなというふうに改めて思います。

 しかし、今の私たちが考えている民営化というのは、まさに今ある二万四千の郵便局のネットワークを最大限活用していただいて、それによって国民の利便性、直接的な利便性をぜひ高めていただきたい、その点にあるわけでございます。

 したがいまして、まず郵便局の設置につきましても、郵便局があまねく全国で利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づけるというふうにしております。特に過疎地については、法の施行の際に、これは現に存するネットワークの水準を維持することを旨とする設置基準を省令で定めたいというふうに考えているところでございます。

 したがって、まず拠点としての郵便局、これをしっかりと確保する。その上で、まさに民営化によってさらに大きな経営の自由度を持っていただいて、地域の皆様にさらにいろいろな利便が提供できるような郵便局のネットワークをつくりたいと考えているところでございます。

 メリットは、幅広く金融、マクロ金融まで含めてございますけれども、住民のサービスという観点から申し上げましても、郵便局をしっかりと設置しながら、さらに経営の自由度を持っていただいて、現在は郵便、郵貯、簡保、この三つのサービスしかできない仕組みになっているわけでございますけれども、それをさらに広げて、国民の、生活者の利便性を高めるような存在になっていただきたい。さらには、地元の自治体やNPOともいろいろな連携をしていただいて、地域の活性化のセンターになるような役割を果たしていただきたい、そのような思いで制度設計をしております。

小西委員 ありがとうございます。

 一言申し上げたいのは、郵便局ネットワーク、郵政事業のコアというのは郵便局の窓口ネットワーク、これが一番大きなコアコンピタンスといいますか企業の原動力になっているんだと私は思います。

 その中でも、特に特定郵便局長さんを初めとする郵便局の局員の皆さん、公社の職員の皆さん方のモチベーション、これが非常に大きな力となっていろいろなサービス、そして利益というのをもたらしているんだというように思います。単に事業計画だけではなくて、いわゆる現場のやる気というものをそぐような形で、いかなる形であれ事業がうまくいくとは私は思わない、その点だけちょっと御指摘をさせていただきたいと思っております。

 続きまして、今度ちょっと、マクロと言うとおかしいですけれども、経済の方に入って一、二点質問をさせていただきたいというように思います。

 大臣の方も、官から民へ、民間で資金を有効に利用せないかぬと。郵貯、簡保で国債初め大変大きな資金が、眠っているという言い方は変なんですが、一応民間の資金のマーケットには出ずにいると思います。

 今現在、状況を見ると、日銀に当座預金が大量に積まれている。一般の大企業で調子のいいところは銀行からなかなか借りてくれない、自己資金で回す。一方、中小企業や地方やお金を借りたいところというのはなかなかリスクが高くて思うように貸してもらえない。こういうような状況が、今我が国の金融また経済を取り巻く状況ではないかなというように私は思っているわけであります。

 こういう中で、民営化をして、資金をさあ市場に出しますよといった場合に、本当にうまく我が国の経済に血液として回っていくのか。こんな状況でお金が出ていけば、逆に海外の投資に回ったり、投機に回ったり、いろいろな形で我が国の経済に必ずしもいい影響を与えないような形で金が流れていくんじゃないかというような心配を大変するわけでありますけれども、この点につきまして、竹中大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 小西委員お尋ねの件は、まさに極めてマクロのお金の流れでございますので、郵政民営化だけでお答えできる範囲の問題ではないと思います。

 御指摘のように、金融というのは、これは主として家計部門でございますけれども、どこかにお金の出し手がいて、そしてお金の取り手がいる。かつては企業部門でございましたけれども、今はほとんどが公的な部門、財政赤字に象徴されるような公的な部門がお金の取り手になっている。そのお金の出し手とお金の取り手のお金の流れを融通することがまさしく金融なわけでございます。

 これは、家計の所得をふやして家計のポートフォリオがどのように変わっていくのか。お金の取り手では、経済活性化を反映して最終的な民間の資金需要がどのぐらい出てくるのか。そういうまさに構造改革全体を推し進めていかないと、なかなか改革は難しい問題でございます。

 その中で、あえて申し上げれば、郵政の民営化というのは、お金の入り口のところで、今まで政府保証がついているということもこれあり、たくさんのお金が郵政、官に集まってきた。

 官が集めたお金というのはどうしても使い道が限定されます。リスクをとれない、リスクマネーになれないということで、今までは制度的な財投がございましたけれども、さらには国債のような安全資産に運用される。したがって、お金が、官の部門に入って最終的に官の部門に使われていく。郵政民営化によってこの部門が民になることによって、リスクをとれるような環境がつくられていくということだと思います。

 しかし同時に、これは最終的なお金の取り手、経済活性化を反映して資金需要がどれだけふえるか、同時に家計のポートフォリオがどのように変わっていくかということとあわせて考えなければいけない問題でございますので、構造改革全体を進める、その中に郵政民営化をしっかりと位置づけていく、そういう中で考えていかねばならない問題だと思っております。

小西委員 今大臣からリスクマネーというお話が出ましたけれども、この間、皆さん御存じのようにニッポン放送をめぐる一連のどたばた、これを見ていますと、証券市場が皆さんによく理解されているものだとはとても思えない。リスクマネーが出ていっても、リスクマネーを一体どういうふうに使っていいのかわからない。ある人に言わせれば、渡世人と素人がやっているみたいなものだという表現をされた方もいらっしゃいます。

 日本の今の企業の経営者の大半というのは、いわゆるリスクマネーというものをうまく取り扱うことができない、うまくはまってすってんてんにされるか、それとも、たまたまもうけて二度目、三度目で失敗するか、そういうお金をうまく使って企業を伸ばし、新しい事業を起こせる方というのはまだそんなに数は多くないんじゃないかなというように思うわけであります。

 そういう中で考えるのであれば、証券市場であり、そういう透明化、また制度の整備、企業経営者のマインドの醸成、こういうものを先にしっかりやっていかなければ、出したリスクマネー、よかれと思って出したお金が決してよくならない、そういう状況にあるのではないかなと見えるわけであります。

 時間がなくなりましたけれども、これを最後の質問にしたいと思いますが、そういうものを先にやった方がいいんじゃないか、もっと抜本的にそういうところに力を入れてうまく回るような仕組みをつくるのが先ではないかと思うわけですが、この点竹中大臣、どうお考えでしょうか。

竹中国務大臣 より広い資本市場の問題だとは思いますが、証券市場を例にとりますと、その中でのやはり市場の信頼性の問題、広い意味での制度構築でございますが、それを実際実効あらしめるための監視等々の仕組み、まだまだ日本ではやらなきゃいけないことがあるという認識は私も持っております。同時に、その中でのプレーヤーとしての経営者についても、さらに御努力をいただかなければいけない点があるという認識も同じく共有しているところでございます。

 問題は、先にそれをやって郵政改革をその後にやるというような手法がよいのか、これはやはり経済全体の問題であるから同時にまさに整合的にやっていこうというふうに考えるかという問題であろうかと思います。

 金融・資本市場の改革につきましては、これは金融改革プログラムが始動し始めている中で、委員御指摘のような問題意識も踏まえて、金融市場、資本市場の改革をしようという試みも今同時に行われているわけでございます。先ほどのお答えと同じになりますけれども、やはりそうした意味での構造改革を全体として整合的に、積極的に進める、その中に郵政改革を位置づけるということが重要であろうと思っております。

小西委員 ありがとうございます。

 私、いろいろ今お話をお伺いしましたけれども、私の感覚としてはどうも前につんのめっているような気がしてならないわけであります。もっと着実に歩を進めて、歩んで、本当に日本の未来の経済をしっかり支えるような改革ができればということを申し添えさせていただきまして、時間になりましたので質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

実川委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 きょうは一般質疑でありますから、私は、今総務省が抱えております喫緊の課題について議論をしたいと思っておりましたが、先日の四月五日の件がありまして、きょうはまさに一般質疑が郵政の集中審議のような感になっております。この前、竹中大臣にお出いただければもっと少なかったのでありますが、きょうは全員がこの問題に触れるということでありまして、私も触れざるを得なくなりました。法案の中身がいよいよ最終の山を迎えているわけでありますから、私はまだまだ議論できる状況ではないというふうに思っておるのでありますが、しかし、郵政民営化担当大臣、竹中大臣が御出席でありますから、お伺いしなければなりません。

 先ほどから話が出ておりますが、私も、公社化法案、総務委員会の一人として議論し、当時の総理といろいろな議論をしたことを覚えているわけであります。十五年四月一日に公社が発足をいたしまして、スタートしたばかりでありますが、そんな段階で、今この国会では、さらに民営化という議論でありまして、私自身も非常に戸惑っている感は否めないところがあるわけであります。

 きょうは、最初に竹中大臣とお話をいたしますから、基本的なことをまず確認しておきたいと思います。

 公社化のときも随分議論いたしましたが、郵便局の役割というものについて、大臣はどう認識されておられるのか。先ほどの御答弁でも大分真情を吐露されましたけれども、あの公社化のときも、私も現場の郵便局を回りまして、郵便というのは、郵という字は、まさに辺境の村々、村落をあらわすんだ、そして便というのは、文字どおり手紙を運ぶ、そして都合がよい、利がある、こういう心なんだということも教えていただきました。

 こうした郵便の原点を踏まえて、郵便局がそれぞれの地域で果たしている大きな役割というものは公社化でいささかも変わることはなかった、このように私は思っております。今検討されているまさに民営化の法案、この中で、郵便のみならず金融サービスも含めて、現在果たしている郵便局の役割が変わるのかどうなのかということは、まさにユーザーである国民の皆さんが最大の関心を持って見ているわけであります。

 私ども公明党は、先ほどは過疎地の話が出ましたが、過疎地のみではありません、都市部における、とりわけ住宅地なども含めて、今持っております郵便局のネットワークというもの、そしてその役割は当然維持されなければならない、こう思っております。また、先ほども話がありましたが、利用者の利便が向上するという改革でなければならない、こう思っておりますが、そうした基本的なことについて、まずきょうは一つだけ、竹中大臣に伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 私も地方都市の生まれ育ちでございまして、その中で、特に山間部等々に行きました場合の郵便局の大きな存在感というのを小さいころからいろいろ感じてきたつもりでございます。

 郵便局というのは、現在、郵便と郵便貯金、簡易保険の業務を行っているわけでございますけれども、もちろんそれだけではなくて、年金、恩給、公共料金の受け払いといったような公共的な仕事を行っております。そして、住民票の写し等の交付など、地方公共団体からの受託業務も行っております。そういったことも含めて、極めて幅広い業務を行っておりまして、社会的な意味で、その地域で大変重要な役割を果たしている、私自身はそういう認識を持っております。

 郵政民営化でこれがどうなるのかというお尋ねなわけでございますけれども、こうした民営化によって、全国津々浦々に置かれております郵便局のこのような社会的な機能はしっかりと維持していきたい、その上で、より便利なサービスが地域住民に対して提供されるような仕組みにしたい、そういう思いで制度設計をしているところでございます。

 この思いは、決して過疎地だけではなくて、実は都市部においても大変重要だというふうに思っております。そうした意味で、都市部も含めてあまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務づけるというふうに、これは過疎地も重要でございますが、都市部についてもそのような思いをいたして、このような法律を考えているところでございます。

 いずれにしても、利便性は低下することのないように、社会的な機能も含めて、しっかりとやっていただけるようにしていきたいと思っております。

桝屋委員 今大臣からも御答弁がありましたが、都市部においては、地方都市の御出身ということでありますからおわかりだと思いますが、とりわけドーナツ化現象、その中に残っておられるのはお年寄りの皆さんということでありまして、都市部の住宅地、アパートあたりを見ると、まさに老人の施設ではないかと思うような地域もあるわけであります。そうした地域における利便性ということも、改めて公明党としては大事だということを表明しておきたいと思います。

 竹中大臣、この委員会は非常に和気あいあいとした委員会でありますから、どうぞ、この後、真摯な議論をお願いしておきたいというふうに思います。

 私は実は、この時期に一般質疑をするとして、どうしても避けて通れない、総務大臣のお姿が、すぐ来られると思いますが、大臣とぜひともこの時期に議論しなきゃならぬ点が二つあります。一つは地方行革の話、それからもう一つは住民基本台帳の閲覧の問題、いずれも総務省において大きな動きがあるものですから、この二点をどうしてもきょうは確認させていただきたいというように思います。

 総務大臣、お帰りでありますので、大臣、一つは、三月二十九日に、地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針というものを策定され、地方公共団体に依命通知をされたというふうに理解をしております。これは、昨年、私ども与党が政府に対して申し入れを行いまして、昨年暮れに新たな地方行革指針というものがつくられた、その一環の作業だろう、こう思っております。

 今回の指針の前文において、見なれない言葉といいますか、これからの地方公共団体は、地域の力を結集して、新しい公共空間を形成するための戦略本部とならなければならないと声高らかに書いてあるわけでありますが、新しい公共空間という概念、これはどういう意図でこの言葉をお使いになっているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 桝屋先生、昔は、公共というものと行政というのは枠の中ではほぼ同じだったと思うんですね。公共サービスと言われるものと、それに対する行政の対応は。ところが、現実はどうなっているかというと、いろいろ安全とか安心とか、公共の分はどんどんどんどん広がって、そして傍ら、対応すべき行政の方は、行政改革、役人の縮小等々でずっと縮まってきているんだと思うんです。そうすると、公共と行政との間にすき間が多分でき上がった、間違いなくそうだと思います。

 官民というのであれば、官でやるべきものはすべてだったんですが、民でできるものは民にとかいうことになってみたり、行政というものはもっとより小さなものでいいんじゃないかという意見が出てくると、公共、いわゆる官の中におきましても、行政が小さくなって公共がふえてくると間ができた。官と民との間に公がある、いわゆる官民の間に公共、パブリックセクターというものが多分出てきているんだと思うんですが、そこが多分新しい公共空間というもの。それを何らかの形で埋める手だてとして、基本的には二つあるのではないか。

 一つは、いろいろな形でアウトソーシングという名前の外部委託、企業がその分をやる。例えば北九州市で、北九州市の公園の掃除は一切、井筒屋デパートというのが全部やっておる。これは明らかに会社がやっておるわけです。会社の職員がやって、その近く、隣がそうですから、じゃ、ついでにこっちもやってくれという話でアウトソーシングした。結果として、本来は役人がやっていた部分をアウトソーシングする、公共施設を外部委託によってかなりの部分ができるようになった。これは一つの例です。

 もう一つの部分というのは、いわゆるNPOに代表されるようなものでして、いろいろの老人介護やら含めまして、在宅訪問等々はNPOの人たちによって行われるというような例があるんだと思います。

 そういった形で、行政の役割というものは行政でなきゃできないものに重点化していくということになりますと、その間を埋める公共体という主体を担っていくというものに関しましては、役人だけの部分とそれプラスというところが新しい公共空間、ちょっと適当な言葉がなかったので、パブリックスペースとかいう言葉も、いろいろ使ったので、また片仮名かという話を考えて公共空間と精いっぱい日本語でやってみたんです。本当だったらパブリックスペース、英語で言えば多分そうなんだと思います。

 そういったことなので、今申し上げたような図書館の管理とか老人の在宅訪問とか、いろいろな形を今やることを考えて事は進んでいるというように、新しい公共空間と御理解いただければと存じます。

桝屋委員 ありがとうございました。

 今大臣がおっしゃったことを、これから十七年度を起点とした五カ年の集中改革プランをそれぞれの地方公共団体でおつくりになる、そこの理念をしっかり踏まえてやっていただかなきゃならぬ、そこはしっかり全国の都道府県、市町村に理解をしていただく、この努力をお願いしておきたいと思います。

 その集中改革プランの中で、私ども一番気になりますのは定員管理の問題であります。

 市町村合併が、三千二百の時代から千八百という数字が見えてくる、大変に合併が進んできた。こうした段階で、この市町村合併の効果というのは、特に定員管理の問題では大きな成果がこれから期待できるというように私は思っております。

 そういう意味では、地方公共団体が今からそれぞれ集中改革プランをおつくりになりますが、四・六%という過去の数字をお示しになっているようでありますが、今の市町村合併という実態を踏まえますと、それ以上の大きな削減目標が立てられてしかるべきではないか、こう思っております。その点について、伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 今、桝屋先生御指摘ありましたように、一昨年の九月にこの総務大臣を拝命したときに、市町村は三千百八十一あったんですが、昨日付でちょうど二千百六十一になっている。これが平成十七年度末、十八年三月三十一日で一千八百二十二になる予定であります。約一千三百少々減るということになります。

 そこで、今御指摘がありましたように、過去五年間で三百二十三万人から三百八万人まで地方公務員の数が減っておりますので、今おっしゃいましたように、それが四・六%という数字になるんだと存じます。これは、御存じのように、警察とか、いわゆる教育とか福祉などというものは減らさず、その他でこれだけということになりますので、かなりな勢いで行政の職員というのがずっと大幅にということになってきているんだというのがまず第一点です。

 加えて、今言われましたように、町村合併をいたしますと、一千三百減りますということは、助役、収入役、首長を含めて、単純計算しても三千人減ることになります。議員、いわゆる町会議員、村会議員、市会議員は約一万七千人ぐらい減ると思っております。そういった形になりますので、それプラス合併をいたしますと、いわゆる規模のメリット、経営用語で言う規模のメリットが出てきますので、それでいきますと、かなり大幅なものが期待できると思います。

 御存じのように、あと二年いたしますと、いわゆる団塊の世代が大量に退職年次を迎えることになります。そういうことになりますと、簡単に言えば、その世代から人口の絶対数が減るわけですから対象者も減る、合併も進んだということで、やはり地方として、カーブとしては、そっちから見れば、こういうふうに上がって、この辺から、五十幾つのところでどんと減るんです。

 減るところに関しましては、新規採用する分と退職者の数の比率をうまくあんばいしていくことによって、私どもとしては、いわゆる生首をとるというような話ではなくて、ICT等いろいろ情報通信機械も発達いたしますので、その分で、行政のいわゆる対面サービスじゃない、バックオフィスと称する裏側の、給与計算とか俸給計算というところの部分を機械化することによって、その人間をかなりの部分補えると思っております。

 私どもとしては、そういったものからいって、四・六%を上回るような形での純減というものができるように、これは数値目標というようなものを掲げた取り組みをしてくれという話を地方公共団体に要請をいたしたところであります。これはなかなか難しい作業だとは存じますけれども、今の機を逃すと、ちょっとそういったやれる情勢というものはなかなかでき上がってこないと思っておりますので、このタイミングは大事だと思っております。

桝屋委員 ぜひ大臣に御認識をいただきたいんですが、大臣も恐らく理解されていると思いますが、合併した市町村の中にありがちな傾向として、やれやれという感じに、合併をして大仕事が終わった、合併がゴールがごとき印象がありまして、合併はまさに改革のスタートでありますから、鉄は熱いうちに打てという言葉がありますが、こうした取り組みが必要だと思っております。

 それから、もう一点は、給与の適正化あるいは地方公務員の処遇の問題であります。

 それぞれの地域における民間との比較、あるいは退職手当、特殊勤務手当、いろいろ議論がありますが、このあり方、さらには福利厚生面、随分マスコミをにぎわしておりますが、そうした点についても国民の厳しい目があるわけでありまして、今後の取り組みについて、この地方行革指針における取り組みについて伺っておきたいと思います。

麻生国務大臣 おっしゃるように、この種の合併が終わってやれやれというところは、大変だったところこそ皆そうなっておりますけれども、スタートというより、この町村合併は合理化するための手段でありまして、目的は合併ではないと存じますので、おっしゃるとおり、今後きちんとしていかねばならぬところだと思っております。

 給与の点に御質問がありましたけれども、御指摘の、三月二十九日で指摘をいたしました新しい地方行革指針というものの中におきまして、地方公務員の給与の適正化ということにつきまして、私どもとしては、基本的には点検、見直しをしてもらうということを言い渡してございます。退職手当につきましても国に準じたものにするということで、妙な飛び級なんかはだめという話を申し上げておるんですが、いわゆる手当について一点。

 あと二つありまして、二点目の一つは福利厚生ということだと存じます。この福利厚生事業につきましても、これは住民の理解が得られるようなものでないとだめということでありますので、当然、見直し、点検を行った上、実施状況を公表せよという形で、何だかわかりにくい公表はだめ、見やすいように、わかりやすいように公表するということを要請いたしております。

 そしてもう一点、本俸自体につきましても、この本俸は地域の民間給与に比較して適切な反映がなされていないのではないかという御指摘のあるところでもありますので、総務省といたしましては、地方公務員給与のあり方に関する研究会というのを設置して検討を開始いたしております。

 いろいろな意味で、比較というのは、同じような市町村、たまたま合併をいたしますので、そういった意味では新しいものが出てまいりますので、同じような十万ぐらいの都市で、こっちの十万ぐらいの都市に比べてどうとか、いろいろな形で比較しやすいようなものは私どもとしても積極的にバックアップする、公表する。また、こういったやり方をこの市ではしていますよとか、いろいろな意味で情報を提供するというような点につきましても、私どもはこの点は非常に大事な点だと思っておりますので、この問題につきましては総務省といたしましても積極的に支援をしてまいりたいと存じております。

桝屋委員 あくまで地方自治の世界でありますから、そういう意味では、市町村あるいは都道府県が主体的に取り組んでいただかなきゃなりません。そういう意味で、今大臣がおっしゃった情報の公開、住民が理解をどうするか、住民が理解しやすいような形でディスクローズをしていくということが極めて大事だろうと思っております。

 残された時間が余りありません。

 もう一点、住民基本台帳の閲覧の問題であります。

 この委員会でも議論が既にありました。我が党内でも、さきの愛知県における残念な事件もありましたから、随分厳しい議論をいたしまして、大臣にも見直しをするべきということを伝えていただいておりますが、とりわけ、四月一日から個人情報保護法が本格的な施行を迎えているわけであります。こうした中で、総務大臣が住基の閲覧制度の見直しについて検討作業を指示されたと報道では聞いているところでありますが、御所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 この住民基本台帳閲覧制度につきましては、これは御存じのように、何人でも閲覧を請求することができるとされております一方、これは不当な目的またはそのおそれがある場合には請求を拒否することができるともされております。

 そこで、閲覧に際しましては、その請求事由等々の厳格な審査、本人確認などの徹底を図ることとされているんですが、個人情報保護の観点から原則非公開にすべきだという御意見もあるところであります。

 また、今愛知県のお話がありましたけれども、母子家庭をねらった、刑事事件にまで発展した事件がありますので、そういったことを考えますと、私どもとしてはこれはちょっといろいろ考えねばならぬ。これは前に民主党の安住先生からもたしか御質問があったと記憶しますけれども、私どもといたしましては、これらの社会情勢の変化というものを考えて、今御指摘のありました住民基本台帳閲覧制度のあり方についての検討会を今月中に立ち上げたいと思っております。この秋ぐらいまでをめどに、法改正を含めまして、この検討を行おうといたしております。

 これは、いろいろ便利な制度の裏には、いわゆる光の裏には影というものがどうしても出てまいりますので、そういった意味では、この影の部分というのによくよく配慮をしておかないと、いわゆるプライバシー、個人の情報に関するところが漏えいされることによって、私どもの想像を超えた話が起きるというのはゆゆしき問題だと思っておりますので、きちんとこの検討会で対応を検討させてまいりたいと思っております。

桝屋委員 時間がなくなってまいりましたが、住基の今まさに光と影の話をされましたが、閲覧制度、何ゆえ原則閲覧可能とされているのか、制度の今の目的と、それから、全国的に見てどの程度この閲覧制度が活用されているのか。もちろん、さっきの愛知県のような事例もありますけれども、経済活動の中でどの程度活用されているのか。これは事務方で結構でございます。簡単に報告をいただきたいと思います。

武智政府参考人 住民基本台帳の閲覧制度の趣旨でございますけれども、これは昭和四十二年に住民基本台帳法が制定をされて以来の制度であります。また、さらに言えば、その前身であります昭和二十六年制定の住民登録法以来の制度でありますが、その趣旨は、住民の居住関係について公証する、公に証明する唯一の公簿ということでありまして、公開することが住民の利便の増進に役立つという観点から設けられてきたものであります。

 しかし一方、ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、個人情報保護の観点からいろいろな議論がありまして、昭和六十年と平成十一年の改正におきまして、閲覧対象も、かつては住民基本台帳そのものであったわけでありますが、これをいわゆる四情報、氏名、住所、性別、生年月日に対象を限定するとともに、不当な目的またはそのおそれがある場合には閲覧を拒否できるという制度にしたところでございます。しかしながら、この六十年と平成十一年の改正というのは、あくまでもこの閲覧制度が世論調査、学術調査また市場調査等に広く利用されているという観点から、一定の制限を加えるということにとどまっているわけであります。

 そして、この利用状況の実態でありますけれども、平成十五年度で申し上げますと、約一千三百万件がただいま申し上げました各種調査に使われているというふうに認識をしているところであります。

桝屋委員 現在も一千三百万、この中には、当然市町村の窓口で審査を受けた上でこれほどの利用実態があるということも、これは事実であります。しかしながら、やはり四月一日からの個人情報保護法、これも随分議論しましたが、四情報は個人情報ではないんじゃないか、これはどこへ公開されてもいいという議論と、それから、やはり個人情報保護のときに大きな議論になりましたが、プライバシー権、自分の情報は自分がコントロールできる、私どもの党内の議論で、あの膨大な電話帳、あれだって自分で嫌な人は公開しないで済むんだ、そういう自分でコントロールできるという仕組みが要るのではないかと。確かに利用実態はあるけれども、今のまさに利便性と住居の公証としてのインフラの価値と、それから個人のプライバシーということについては、やはり私ども党内では原則非公開ということがまさに求められている時代が来たのではないかという議論が強くございましたので、そのことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、伊藤忠治君。

伊藤(忠)委員 民主党の伊藤忠治でございます。

 竹中大臣にまずお伺いいたします。

 私は、あなたに質問事項を提起いたしまして、出てきてくださいよということを質問取りに来ました担当の方に申し上げたんです。私自身があなたを呼んだんです。ほかの同僚議員も呼んだと思いますが、要請したんです。何の返事もなく、きょう初めてお会いして、杉浦官房副長官ですか、あの方が何か政府を代表して見解を表明される、それに続いてあなたが釈明をされておるんですが、私には何の連絡もないんですよ。

 御存じですか。委員会で質問するときは、質問者がどなたに答弁していただきたいということを事前質問を出すときにちゃんと言うんですよ。そのときに、質問取りにお見えになりますスタッフの方がわかりましたというのでメモをして帰られて、そのときに私は言ったんです。竹中さんは所管の大臣じゃないからひょっとしたらと思いましたので、竹中さん来てくださいよと、私はちゃんとこの印刷した質問事項をお見せして言ったわけです、事前に。

 私も国対を続けて六年もやっていますからよく知っているんです、委員会の運びは。事前に質問を通告しているわけです。そのときにはあなたに答弁いただきたいということを言っているんですが、私に対しては何の返事もないんですよね。これは一体どういうことですか。委員会とか議運とか、そういう問題はもちろん運営の中では存在しますけれども、私が質問をするから答えてくださいとあなたに言っているのに、本人に対しては何も返事がない。一体これはどういうことですか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、五日の総務委員会に関しまして、私どもの方で、これは情報の収集、伝達について不十分な点があったと思います。状況を正確に把握していなかった面がありまして、先生を含め各方面に御迷惑をおかけしました。この点は大変申しわけなく思っております。

 今後、こうしたことがないように、的確な情報伝達が行われるようにしっかりと努めていきたいと思っております。

伊藤(忠)委員 そのときは、今も声が出ていますが、御本人が質問取りに来なければいけませんよ。それで、例えば五日の日に一般質問で総務委員会が開かれる、あなたが質問を私にされるそうですけれども、私はこういう都合がございましてどうしても出られない、そういう事情がおありだったら、そのことを私に話されてはどうですか。その事情がわかれば、ああ、それなら別の日にしようかとか、では副大臣でかわっていただこうかと。

 ところが、副大臣というのは何の規定もないんですよ、これは。権限を持っていないんです、副大臣は。御承知ですか。大臣しかないんですよ。ましてや政務官は何もない。議会に対しては何の権限もないんですよ。だから、そういうことを僕らはわかっているから、あえてあなたに、集中審議になりましたから、新聞、テレビではどんどん前に出られていますから、あなたに質問したいじゃないですか。それで、私は言ったわけですよ。

 だから、そういう仕組みなんだということを、あなたは議員歴が非常に浅いから、そういう点が不案内だといけませんので、これからはそうされた方がいいですよ。スタッフが知らんとる間に行って質問を聞いてきた、私に言わなかったから私は知らぬということになりがちなんですよ。知っていても知らぬと言えますからね、時には。そういうことはいかぬわけで、その辺はこれからきちっと改めますか。はっきりしてください。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは情報の収集、伝達について私どもに不十分な点がございました。状況を正確に把握できるようにするために、的確な情報伝達が行われるように、私自身を含めてしっかりと努めていきたいと思っております。

伊藤(忠)委員 時間の関係がありますので次に進みますが、先ほども杉浦官房副長官が言われましたけれども、私も聞いていましたら、竹中さんは総務省所管の大臣ではもちろんありませんから、郵政問題をこういう場では権限を持って議論はできません、内閣委員会の方でやるんだという答弁でしたよね。この点をはっきりしておかなきゃいかぬと思うんです。

 つまり、あなたは担当大臣というふうに言われていますが、これは行政府の、小泉内閣が決めました担当でございまして、つまり、郵政事業全般の権限を持った総責任者ではない。それは、所管大臣として麻生総務大臣がいらっしゃるわけです。ですから、あなたは郵政事業に対して何の権限もない。いや、あるんだと言われるんだったら法的根拠を示していただきたいんですが、これは同僚議員が後でまたじっくりやりますので。

 これは非常に重大な問題ですよ。憲法違反になりますよ、またこれも。あなた、しっかり答えないと憲法違反になるわけですから。だから、そこのところは、きょうは時間はいっぱいありますので、私は言うならばちょっと口火を切りますが、あなたは郵政事業に対する法的な裏づけのある、言うならば所管の、権限を持った大臣ではないんだ、こういうことなんですが、そのことについてどうですか。

竹中国務大臣 この郵政民営化というのは、内閣の最重要課題として位置づけられております。また、これは各府省にまたがる、関連する問題でありますので、その具体案及び必要な法案の企画立案等につきましては、内閣法第十二条第二項の事務に当たるものとしまして、内閣の重要な事務として整理をされているというふうに承知しております。

 その事務が円滑に行われますように、私の郵政民営化担当大臣というのは、国務大臣の任命権者であります内閣総理大臣から、具体的に言いますと、郵政民営化を政府一体となって円滑に推進するため、企画立案及び行政各部の所管する事務の調整を担当させられる、そういうことを命ぜられておりまして、その当該企画立案等の事務を担当しているところでございます。

 これは、先生御指摘のように、郵政事業につきましては、総務省設置法第四条第七十九号等に基づきまして、総務省がその制度の企画立案を行ったり、郵政公社の業務、組織の適正な運営の確保等を所掌しております。そして、それらの規定に基づきまして、総務大臣が分担管理をしております。そして、郵政民営化についての企画立案は、これは郵政公社の改革でありますことから、総務省設置法上の「郵政事業に関する制度の企画及び立案」に含まれるものと承知をしております。

 したがって、郵政民営化に関する企画立案等につきましては、郵政民営化担当大臣と総務大臣、ともに担当するものでございますけれども、先ほど申し上げました、その際、内閣総理大臣から内閣の最重要事項として私が特にその担当に命ぜられているということ、また各府省に関連する問題であることから、主として私が担当して、麻生総務大臣が協力してくださっている、そういうものでございます。

 こういう内閣総理大臣の任命により重要案件の積極的な推進のために担当の大臣が置かれるという事例は、ほかにもあるというふうに承知をしております。

伊藤(忠)委員 あなたが言われているとおり、企画立案それから調整、そういうのは、内閣の中で、あなた、やってくれよと小泉総理大臣が言われて、あなたが担当大臣としてその任につかれているということであって、例えば郵政事業全般について権限を持ってやられるというのは、所管大臣の麻生総務大臣が当たられる、これははっきりしたと思うんですよ。

 ですから、例えば法案ができますよね、法案の審議が始まりますね、そのときには、これはもう総務大臣がきちっと当たられるわけですよ。総務大臣が、どうしても私はこの点がわからないというときに、ちょっと竹中さん、助けてくれよということはあり得るとしても、あなたは権限がないんだから、あなたは調整官なんだから、そうでしょう。だから、一般質問だから、あなたは出てきて、いろいろ言いたいことを言われると思いますよ。私も聞きますが、法案ができたらそうはいきませんよ。あなたが担当して出てくるということはあり得ないんだから、法的根拠がないんですから。

 私はこれぐらいにします。あとまた同僚議員にしっかりやっていただきますけれども、そういうことなんですよ。その点はわかりましたので、そのことを前提に私はこれから質問をいたします。あなたの持論で結構ですから、どうも聞いていると哲学が違うようでございまして、何ぼ議論したって、これは馬の唇と一緒で、かみ合わぬと思います。

 それで、先ほども出ていましたよね。国民はどう考えているかということ、世論の動向はどうなんだということですよ。

 あなたもあちらこちらに国民との対話討論で出られていますけれども、地方議会は反対意見書を採択していますよね。これは数字できちっと出ていますが、四十七都道府県、九三・六%の都道府県から、郵政問題は民営化してくれるなという決議が上がっております。二千九百五十市町村で八八・三%の議会からは、これも意見書が採択されて上がってきているわけです。

 これはどう見るかということなんですが、地方議会というのは、例えば市議会だったら市民の全体の意向を反映してこういう決議が出されているということは、これは当然じゃないですか。全国的にこういう意見集約に基づいて反対意見書が採択をされているということは、世論の意向として、私は相当重いと思うんですね。これを重く受けとめないとすると、何を国民の世論として重視するのかということが問題になると思います。

 もちろん、一般の大手の新聞がやっておりますようなアンケート、世論調査というのはありますけれども、これは初めの方は七%ぐらいだったんです。国民が何を求めているかということになれば、まず、景気、年金、社会福祉、雇用問題、これがぬきんでて多い。ずっと下がっていって、けつの方で郵政問題というのが、失礼しました、私、関西なものですから言葉が悪くて、おしりの方です。おしりの方なんですね。そういうことなんですよ。それが最近は、かなりもめごとがずっと続いているものだから、何だろうというので国民の関心がちょっと向くようになりまして、少しパーセンテージは上がっておりますが、自分たちの生活にかかわるという点では、政策の関心度の順位からいいますと、依然として低いんですよ。

 このことは、私はそう見るんですが、あなたはそれをどう見られていますか。

竹中国務大臣 伊藤委員御指摘のとおり、世論の動向、国民の声、これはまさに政治の基礎でございますから、それをしっかりと踏まえてやるということは、言うまでもなく極めて重要だと思います。

 世論調査の動向、これはさまざまにばらつきが見られますけれども、関心があるかないかということに関しては、最近の調査でいいますと、郵政民営化に関心がある人の割合、これは三月十一日公表の内閣府特別世論調査でございますけれども、六八・三%の人が関心がある。三月十五日の朝日新聞の調査において、七一%があるというふうになっておりまして、郵政民営化を重視する意見は少ないというふうに私は考えていないわけでございます。

 もちろんこれは、委員御指摘のように、全国の市町村議会から民営化に慎重な意見を多くいただいているということは承知をしております。これらの要望を拝見いたしますと、やはり、郵便局がなくなるのではないか、郵便局の地元でのサービスが低下するのではないか、そういった不安によるものと考えられるわけでございますけれども、郵政の民営化の実現に当たりましては、そのようなことが生じないように国民の利便性に配慮するというふうにしておりまして、基本方針に基づきまして、郵便局があまねく全国で利用されることを旨として郵便局を配置することを法律上義務づけるということ、そして郵便のサービスについては、ユニバーサルサービスの提供を義務づける等について検討しているところでございますので、そうした点をしっかりと御理解いただくようにしていきたいと思っております。

 ちなみに、一番新しい日経新聞のアンケート調査によりますと、郵政民営化、賛成、反対でいいますと、国民の六八%が郵政民営化に賛成をしているというふうに承知をしております。

伊藤(忠)委員 いいとこ取りをしたらそうなるんですよ、あなたたちの。十億円近い税金を使って広報宣伝をやりまして、やった後でその辺の人にアンケート調査をやったら、それは上がるに決まっていますよ。あなたが言われたように、恐らくこういうことだと思いますよ。例えば、民営化が必要だなと思っている人でも、性急にやれと言っていませんよ。それが非常に多いんですよ。僕もわかっています、それは。だから、一面強調をやればそうなるんです。

 私が言っているのはそうじゃないですよ。事実に基づいておるんです。議会はこれだけのものを出しているけれども、これは重視しなきゃいけませんよということを言っているわけですから。水かけ論になりますから言いませんけれども、そのことを重視しなければ、あなたはこれから、合併促進だの何だの言いますけれども、国の形では底辺の一番基礎じゃないですか。そういうところから積み上げてきておる世論のこの形成を重視しなくて、何を重視するんですか。

 だから、あなたの立脚点というのは大体いつも逆立ちしているんですよ。だから、そのことを私は指摘したいんです。私たちは、依然として国民は余りそういうものは望んでいない、それを強引にやろうとするとパンクします、このことをはっきり申し上げたいんです。

 だったとしたら、与党内でもこんなにもめないでしょう、あなた。だったとしたら、竹中さん、よくやってくれたというふうになるじゃないですか。そうでしょう。だから、あなたの言うことを聞いたら、自民党の皆さんは世論を反映した党じゃないということじゃないですか。民主党もそうですよ。今の公社制度をやっていきなさいというのが非常に多いんですよ、三分の二を超えておるんですよ。民主党の我々はどっちを向いておるかということをあなたは言いたいんですか。私たちはちゃんと世論に立脚していますよ。

 議会の圧倒的多数を反対に回して、こういう強引なやり方ができると思うんですか、あなた。その辺どうですか、やれると思いますか。

竹中国務大臣 郵政民営化という極めて大きな制度改革、これは国民の間にもいろいろな議論がございます。政府の中でもいろいろな議論がございます。与党の中にもいろいろな議論がございます。与野党含めて、これは当然いろいろな議論があってしかるべきであると思っております。

 我々としては、政府のこれまでの議論を踏まえまして、その上でこれがベストであろうというふうに信じてこの政府案の骨子を発表しておりますので、それについて、しっかりと国会で御理解がいただけるようにさらに議論を積み重ねていきたいと思っております。

伊藤(忠)委員 次に聞きますけれども、利用する皆さんにとってみれば、何のために郵政を民営化なさるのかということがすとんと落ちてないんですよ、ぼやけてわからないんです。竹中さんの話を聞いていると、非常に上手に言わはるわ、さすがやはりハーバードやと。私はサンダーバードですから、わからぬときがありますが。

 私、聞くんですよ。利用者にとって、まず利用する側が便利になること、サービスがより豊富になること、料金が安くなること、全体として経済が活性化すること、こういうことのために、それの目的を達成するために、あなたが、小泉さんが、たとえ国民の理解が低くても政治主導でやるんだと言うなら、その意義はあるでしょうね。私もある意味では理解できます。ところが、そうなっていないでしょう。政府の民営化方針というのは、これはどうもおかしい、これは反対だと言われるのは、現在の公社制度より悪くなる、こういうことなんです。

 まず一点は、郵便局が減らされる。

 二点目、サービスの豊富化というのがきちっと具体的に、これは経営可能なものですよ、コンビニをふやすとかなんとかという、あんな発想は経営者にとったら陳腐でございます。あなた、コンビニを一軒町の中に置くのにどれだけ苦労しておるんですか、コンビニをなめちゃいけませんよ。コンビニの経営者は怒りますよ、そんないいかげんな発想でコンビニをやれると思っているのかと。竹中さん、あなたかわってやってみろ、こういうふうに言いかねない、社長は。それぐらいのものなんですよ。そんなことじゃないんです。つまり、豊富化はどういうことなんだということなんです。国民は、どうもこれは郵貯や簡保のサービスも維持されないのではないのかというところへ気持ちが行くんですよ。

 三点目、資金流動と金融サービス。これは、出口の改革をやらなかったら遮断は不可能でしょうな。私のつたない勉強ですが、そうだと思いますよ。このことが経済の活性化には直結しないじゃないですか。これが直結するように、また別途改めて説明していただきたいと思うんですが、何ぼ聞いてもわからぬ、わかりませんよ。

 だから、そういう点が、言うならば民営化方針の中には具体的に示されていないんですよ。だから、これはだめだなと。今の公社制度を改革、発展させていった方が郵政事業、三事業一体でやっていけるなというところへ落ちつくわけですよ。

 余り長い時間答弁されますと、私、時間がなくなりますので、簡単にひとつ言ってください。

竹中国務大臣 伊藤委員、今すごくたくさんの御視点を御指摘されましたので、それをちょっと簡潔にというのもなかなかしんどいのでございますが、ポイントだけぜひ申し述べさせていただきたいと思います。

 まず、国民の理解、国会の御理解が得られなければこの大きな改革ができないというのは、これはもう当然のことでございますので、そのための説明責任は、ぜひ私も引き続きしっかりと果たさせていただきたいと思います。

 終盤に委員が御指摘になられました三つの点について、やはりそれは私たちの考え方をぜひ御理解賜りたいと思います。

 郵便局が減っていくのではないのか、その点に不安を持っていると。これは先ほども申し述べさせていただきましたけれども、しっかりとした設置基準を設けて、かつ、法律の中で、広く国民が利用できることを旨として設置するということを義務づけるという中で、そうしたサービスの低下が生じないような十分な配慮をしているつもりでございます。

 そして二番目の、どういうサービスがよくなるんだと。コンビニは自分は賛成ではないという伊藤委員の御意見は、これはいろいろな御意見があろうかと思います。

 私どもが骨格経営試算で示しておりますのは、これは、どういうビジネスモデルでどのようなビジネスを展開するかというのは、究極的には新しい経営者の御判断でございますけれども、各方面の御意見を聞きながら、いろいろな可能性について指摘をさせていただいているわけでございます。その中の一つとして限定的にそういう例は挙げておりますけれども、それ以外の点、例えば、これはお金の流れとも関係いたしますけれども、今後、その運用資産のうちの四分の一程度が信用リスクをとるビジネスに入っていく、そういうこと等も含めて、総合的にこれは御判断をいただきたい。

 私は、いずれにしましても、公社という制約が外れて、金融の面でも窓口ネットワークの面でも、さまざまに幅広い業務に展開していくことによって住民の利便が高まると思いますし、同時にそれが、公社がこのままではどうしてもやはり厳しい環境の中で経営が先細りになる懸念が大きい、それを打ち消していくための非常に重要なパワーになるというふうに思っているところでございます。

 三番目の、資金の流れ。資金の流れがどう変わっていくかというのは、これは大変大きな問題であると認識をしております。

 資金の流れを官から民へ変えていくためには、やはり経済全体が同時に変わっていかなければいけません。先ほども少し御答弁をさせていただきましたが、資金の出し手の行動、資金の取り手である企業の活性化、そういうものを同時に並行して積極的に進めていく中で、今、官が集めて、官が集めるがゆえにリスクをとれないで安全資産にしか運用できないような仕組みになっている、そのお金の流れについて、そういった制約を外していく。これはやはり私は、この郵貯の規模を考えますと、大変重要なプロセスであるというふうに思っているところでございます。

 御説明させていただきたいところはほかにもございますが、委員御指摘の三点については、以上のようにぜひ御理解を賜りたいと思います。

伊藤(忠)委員 何か日本だけが残っているからやらないかぬということで、後でまた私は言いますけれども、それなら、ドイツ・ポストは民営化しましたよね。いまだに郵貯は四・五%、これは日本と比べたら規模は小さいですよ。州立銀行の、これは公的銀行ですよね、これは合計四六・五%。だから、四二%あるじゃないですか。これは政府保証と一緒ですよ。そういう銀行が存在しているわけですから、いろいろやり方、こういうのを見習わないかぬですよ。

 だから、私は後でまた言いますよ、三事業の問題で言わせていただきますが、あなたがそのことに物すごい力を入れられるから、私はここでちょっと反論したんです。

 それで、次に移りますが、中期計画を今やられているわけです。第一期、四年間の中期計画なんですね。これは仕組みを私も調べました。そうしたら、生田総裁が頑張っていらっしゃるわけですが、いい総裁ですね、民間からお見えになる方もさまざまですが、生田さんは本当にオーラを感じる、私は本当にいい社長さんだと思っています。私もほれ込んだうちの一人なんですが。その総裁を任命されたのは、これは麻生総務大臣が任命されまして、もちろんこれは総理も知っている、こういう仕組みになっているんですかね。間違っていましたら御指摘ください。

 それで、この中期計画は政府が認可したわけです。それで、事業報告を国会が受けまして、国会が承認する事項になっているんです。だから、それを受けましてここでも審議しまして、委員会として決議しましたよね。そういうふうにつながっていくわけです。

 これは、言うならば年次の計画もそうですが、中期計画も、これが終了いたしますと事業評価をやるわけです。これは決まっておるんです、制度として。その評価は、大臣から審議会にかけまして諮問するんですよ。最終的には国会の承認事項として報告を受けなきゃいかぬわけです。それをやらないかぬ最中にこんな民営化法案をどんどん出して混乱させたら、大きな事業体はどうなるのかというところへ疑問は行くじゃないですか。私は、そのことが非常に問題だ、手続上問題だと言うんですよ。

 何も、やりたければ、こんな真ん中でやることないんですよ。中期計画が終わるじゃないですか、四年たてば。終わればそこで、今言った手続で、業績評価もやりまして、それで大臣が審議会に諮問しまして、それがよかったのか悪かったのかと総括をやられるじゃないですか。それももちろん国会に対して承認事項としてちゃんとかけられますから、我々も議論をして、この点がいいな、この点が悪いなと、俗な言葉ですが総括をやりまして、それからどうするかということを考えたら、これが普通のやり方じゃないんですか。

 だから、やっている最中に、みんな元気を出してやっている最中に、あなた、上から雷を落とすわけや。こんなやり方はないですよ。もたぬね、働いている人たちは。

 私もこれは報告をもらっていますよ。この報告によりますと、三事業とも黒字になったじゃないですか、今回は。これは十六年度見込み、十五年度も実績では黒字ですよね。黒字に持っていくというのは物すごく大変なことです。まず人減らし、機械化、合理化、そうですよね。ストップウオッチを持って管理をするところまでいかないと、なかなか区分作業なんかはぱんぱんとスピードがアップできないじゃないですか。私も現場をよく知っていますよ。だから、そういうトータルな大変な苦労をされてここまでこられている。しかも、海外物流には、あなたのところの、政府が、それも先を見たら、ここも進出しなさいよということで認可を与えたじゃないですか。そういうふうにやっているわけですからね。

 この努力の最中に全く別次元の民営化という話を出したら、働いている人は混乱しなかったらおかしい、やる気を失うというようなことにならなかったらおかしいですよ。いや、未来は展望が開けたというので、よし、頑張るかということになりますか。お役人の皆さんもそうですよ。人事の前になったら、皆足がとまるじゃないですか。組織は大体そういうものですよ。私の人事、どこへ行くんやと。仕事をちょっと横に置いておいても、人事のことが気になる。それなら一杯飲もうかということになるわけです。ようわかるでしょう、それ。まあ、大臣は学卒みたいなものだから余りわからぬと思うけれども、あなたは別の世界で育てられたからわからぬと思う。そういうものなんですよ、人間というのは。違いますか。それが、毎日毎日一生懸命に働いている人にしてみれば、そういうことなんだよ。そういう気勢をそぐようなことをなぜこのさなかにやらなきゃいかぬのかというこの理由、なぜやらなきゃいかぬのかという理由はわからぬですね。

 それだったら、手順に従ってやりなさいよ。手順に従ってやりましたというんだったら、たとえ乱暴な中身でも国会で議論しましょうや。そこなんですよ、問題は。これは法治国家でございまして、みんなそういうルールに従ってやっているんだ。ゴルフだってそうですよ、あなた。ノータッチでやろうというのに、毎回毎回六インチリプレースしたら、仲間は怒りますよ。違いますか。こんなものゲームにならぬよ。それこそ、どつき合いが始まるよ。

 そういうことなので、ルールは守らないかぬ。国民の先頭に立つ内閣総理大臣や優秀な代貸しである竹中さんがルール違反をしてどうするんですか。ここが問題なんです。答弁してください。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、公社が発足してから、私も生田総裁は個人的にかなり以前から存じ上げている経営者でいらっしゃいますが、本当にしっかりと経営をなさって、まさに公社職員一丸となって、サービスの向上、事業の効率化を推進していらっしゃる。私も大変、生田総裁の力、そして公社の皆様方の努力を高く評価しているところでございます。

 そうしたことを踏まえて、手続といいますか、中期経営計画の位置づけなりその評価の制度について御指摘がございました。仕組みそのものは総務大臣にお答えいただくべき問題かもしれませんが、四年を一期とする中期経営の目標計画を定めて、これは計画そのものが大臣の認可でございます。そして、総務大臣はこの達成状況について評価を行わなければならないというふうに規定されていることは承知をしております。つまり、事後的に実績評価を実施するというきちっとした制度になっているんだということは承知をしております。

 その評価、総括の手続をどのように考えるのかというのが全体としての伊藤委員の御指摘なわけでございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、公社の御努力は大変なものであるというふうに私も評価しつつも、同時に、現在の郵政事業を取り巻く環境が予想を超えて厳しいものであるという点はぜひ認識をしなければいけないと思っております。IT革命によるEメールの普及、郵便の取扱量の低下、そして、これはなかなか見えにくい問題ではありますが、実は、金融の技術革新による民間の金融サービスの多様な広範な展開というのが今、郵貯や簡保のあり方を非常に大きく変えてきているというふうに認識をしております。

 また、これは物流の世界でも、国際物流の問題、特に今成長の途上にあるアジアの成長市場をいかに早い時期に取り込むかということは、私は、郵政の将来にとっても大変重要な課題になってきていると思います。この国際事業に自由な形でできるだけ展開をしたいというのは、まさに生田総裁御自身の強い御希望でもあるというふうに私は認識をしております。

 したがって、中期経営計画を見ても、なかなか今後楽観は許されない。こうした環境の変化にやはり適切に対応するためには、速やかに郵政事業を民営化という形で自由度を与えて活性化していくことが必要であるというふうに思います。これまでのいろいろな経験も踏まえて、こうした改革には大変時間がかかる、準備期間、移行期間、大変長期にわたるということをあわせて勘案しますと、やはり早い時期にこの民営化に取り組む必要があるというふうに判断をしているわけであります。

伊藤(忠)委員 さっき、取り巻く情勢がどうだとかというのは、余りあなたが心配することはないんですよ。公社というものがあって、立派な総裁がみえるんですから。それぞれ業界業界の、もちはもち屋のまたノウハウがあったり知識があるんですよ。あなた、余り余分なことを心配することはないんですよ。そんな心配する暇があるんだったら、外交をもっとちゃんとやりなさい。

 小泉さんが靖国神社へ参るものだから、何遍でも参るものだから、あれがきっかけになって今日に来ているわけですよ。あれが遠因になっておるんですよ。だから、もっと外交問題を小泉さんに言いなさいよ。ほかのことは余り心配してもらわぬでいいから、郵政の問題を心配するのは、ちゃんと麻生大臣がおみえになるんだから。麻生大臣が大所高所でちゃんとにらんでおみえになるんですから、あなたが横から口を出すことはないんだよ。

 あなたは小泉さんのそれこそ代貸しだから、もっと日本の閉塞状態にあるこの外交問題をきちっと整理しなさいよ。これがあなた、もっと悪くしておるんじゃないですか、景気の問題も。そのことを、あなたはもっと自分の立場を考えて、そうしたらあなた、次は外務大臣ということになるかもわからぬですよ。私は苦言を呈しておきます、はっきり言って。私はそうだと思います、今欠けているのはそこなんです。あなたぐらい世界観でもって物を考えられる人だったら、外交をもっとしっかり提言してください。それが大事なんです、日本にとって。

 次へ行きます。

 三事業一体の話なんですが、欧米のことはちゃんと調査をされていると思いますよ。アメリカは国営なんですよね。なぜかといったら、市場が大きいから。二千億通という、通数だってそれだけ持っていますから。これは世界市場の四分の一ありますから。郵便事業だけでもやっていけるから、これは国営になっておるわけですよ。もちろん金融関係というのは、もともとそういうふうにやってきていませんでしたから、歴史が違う。それからヨーロッパの方は、御承知のとおり、ドイツを先頭に、イギリスもそうです。フランスは国営でやっておりますけれども、皆やっていられるわけです。

 問題は、三事業一体の歴史というのは、日本だけに限っていないんです。これは欧米各国に一応共通する問題でございまして、郵便事業というのは万国郵便条約で義務づけられているじゃないですか。日本だけでなくて、利用する地球上におる人には皆届けなければいかぬ、公的サービスの提供が必要だということが、郵便条約でちゃんと規制としてというか、ユニバーサルサービスの義務づけがやられているわけですよ。

 そういう中で、郵便事業というのは利益率が低いじゃないですか、御承知のように。資料をもらいました。二・三%なんですよね。単独経営では困難なんですよ。無集配局がどうなっているのかということを調べてみますと、経費負担は、郵貯、保険で七〇%の割合で言うならば持ち合いをしないと回っていかない。一つの局、小さな局ですけれども、回っていかないというのは、この実例を見てもはっきりすると思うんです。

 だから、郵便事業単独では経営ができないものだから、ここがわかっていないんですよね、マスコミの皆さんも意外と書きません、金融に目が行くんです。違うんですよ。金融はもともと民間で来ていたわけです。日本は違いますよ。郵貯というのは、歴史的には百三十年の、明治以来、郵便と貯金と保険は一体でやってきたわけです。それは、単独で事業ができないからやってきたわけです。そのことは万国、大体先進国では歴史をたどればそうなっているわけです。

 この郵便事業の本来的な性格を無視する。民営化路線というのは、それを軽視してやってしまった。民営化路線をとったのはよかったけれども、結局ポストは縮減しなければ経営がもたない。それで、失敗に終わるというか、国民からぶうぶう批判が出まして、制度を見直しまして、ポストオフィスを復活させる。中には、ニュージーランドみたいに、アメリカの意向に沿ったら外国資本にのみ込まれまして、買収されまして、自分のところでまた、キウイ銀行でしたか、あれをつくって、そしてサービスを復活させて、国民の皆さんにこれでよろしくというようなことになっているわけですよ。

 だから、失敗の例を、二の轍を踏んじゃいかぬですよ、私が言いたいのは。この原理原則を外しますと、全くおかしくなる。何でも民営化をやればいい、こういうところへ行ってしまいますよ。そうではないんです。きちっとそのことは押さえて、郵便事業というのは本来そういうものなんだということをきちっと押さえた上で、これを補完するために金融サービスをどう機能させるかということで歴史的にはやってきた。それが大きくなり過ぎたとかなんとかというのは、それは考えればいいんですよ。公社制度をやる中で、四年間で総括をすれば、次の段階でどのように変えていけばいいのかとか、どのようにこれを改革、発展させればいいのかということを、そのときにこそ考えればいいじゃないですか。だから、大もとの三事業一体、これをばらばらにするということになると、全くスキームは壊れてしまいますよ。これが取り返しのつかぬことになるというんです。

 だから、私たちは、これは反対だな、あなたの提案された問題は反対だという気持ちを非常に強くしているということを申し上げたいと思っております。

 答弁をいただくとまた長くなると思いますので、私はそういう立場に立っておりませんと言われるのでしたらその一言でいいんですが、五十二分で終わりますので、次を続けて言います。一括して答弁してください。

 それで、今の三事業はおわかりのとおりです。もう一つつけ加えたいのは、アメリカさんに弱い日本と言われておりますが、日米規制改革イニシアチブ、御存じのとおりですね。これはベーカーさんが持ってみえまして、こういうふうにアメリカは重視しておりますので、ひとつ日本の議員さんも頑張ってくださいということでございました。これは、小泉さん誕生以来ちょうど四年目を迎えるんですか、二〇〇一年から始まっているわけで、その前は構造協議なんです。

 この中で、一番の表紙の部分です。ここが一番重きを置くわけですが、この中で言われておることは、米国は、郵政公社の民営化計画が進んでいることを受けまして、アメリカとしては、「民営化は意欲的且つ市場原理に基づくべきだという原則が米国の提言の柱となっている。」こういう表現がまず鏡にございまして、そして、あと中身は、郵貯、簡保の問題が詳しく「民営化」という項目の中で書かれているわけです。これは、アメリカが日本の国内の政治に対してここまで口を突っ込むというのはいかがなものかと私は思いますね。アメリカにとっても重要項目なんです。

 だから、これはあなたにお聞きしたいんですが、小泉内閣としてはこのイニシアチブをどう受けとめられているのか。これがあるから、かなりかたくなに、何ぼ反対という人がふえてきても譲らないということになっているのか。そうだとしたら、これは大変なことですから、それはそうでございますとは言えませんが、かなりこれは意識されているんじゃないですか。通信のときもあったんですよ。沖縄でサミットがございまして、森さんが総理になられて、名刺外交をやられて、そこでかぱっとひっつかまって、LRIC方式が導入されたんです。そういう苦い経験がございますので、一度あることは二度あるなと思いますから。

 ここでひとつ答弁をいただきます。また中途半端に終わってしまいますが、最後、肝心なところなんです。これは意識せざるを得ないんでしょう。全く関係ありませんか。どちらでもいいんです。関係がないというのだったら関係がないと言ってください。これからまたそのことについてやります。どちらでもいいです。これは意識せざるを得ないのか、それとも関係がないと思っているのか、どちらですか。

竹中国務大臣 また今回もたくさんの御指摘をいただいておりますが、これはもう時間を余りかけるなという御指摘だと思いますので、簡潔に申し上げます。

 諸外国にはいろいろな事例がございます。諸外国全部、一〇〇%うまくいったというところもなければ、全くゼロであったというところもないのだと思います。よいところ、悪いところ、それぞれをしっかりと私たちは学んでいるつもりでございます。したがって、諸外国の失敗の例からも学ぶということを踏まえて、今回の政府の骨格はつくっているつもりでございます。

 必要がありましたら、また詳細は機会を設けて御説明をさせていただきます。

 二番目の三事業一体の話でございますけれども、国内郵便に特化しているという、ある意味で世界の中での一つの極端なビジネスモデルとしてアメリカがある。国内郵便以外のことを比較的たくさんやっている一つの典型として日本がある。ヨーロッパは恐らく、程度の差はあれ、その中間に位置するんだというふうに思います。

 日本の場合は、そういう意味では、今後やはり郵便局ネットワークを活用して、郵便、純粋な切手の販売とかそういった郵便関連以外のことをできるだけ幅広くやっていただかないと、この二十七万人の組織が維持できない。私は、日本の郵政改革の一番難しいコアの部分はそこであろうか思っております。

 だからこそ、今は三つの事業しかやっておりませんけれども、これは貯金、保険以外にもっといろいろなこともやっていただくようにしようではないかと。そうすることは組織を維持するためのやはり最大のポイントである、日本らしい改革であるということで、私たちの改革を提示しているわけでございます。

 もう一つ、いろいろな事業を提携するときに、すべて同じ資本関係を持っていなければいけないということでは全くないと思います。世の中を見ましても、業務の提携として、お互いがそれぞれの役割を果たしながら、しっかりとアライアンスを組んでやっているところというのはあるわけでございますから、これは、金融は金融のルールに従って、その他の、保険は保険のルールに従って、しっかりと市場経済の中でやっていただくような制度設計にするのが重要であると思っております。

 最後の、日米規制改革イニシアチブの問題でございます。このイニシアチブそのものに私はコメントをする立場にはございませんが、これがあるから郵政民営化を今のようにやっているのかということに関しましては、これは、総理自身がもう長年、総理はこの間、自分自身は二十年ぐらい前から加藤寛先生の御意見も踏まえて郵政民営化を考えるようになったと、それ以来のことでございますから、そのイニシアチブ云々ということではございません。私たちは、アメリカの意向ということではなくて、日本のために、日本国民のために、そして郵政の将来のために今回の民営化の議論をしているわけでございます。

伊藤(忠)委員 終わります。

実川委員長 次に、五十嵐文彦君。

五十嵐委員 民主党の五十嵐でございます。

 私も最初に竹中さんに五日の件をお伺いしなければならないと思っているんです。

 五日の件は、私は、その前の週の金曜日に竹中さんへの質問の通告をきちんとさせていただきました。そのときからもう事務方は竹中さんの意向を体して嫌がっておりまして、何とか中城審議官でかわりをさせていただけないか、こういうことを言ってきましたけれども、これは竹中さんが責任者であるから、郵政問題について表題のついた委員会をするのであるから、竹中さんに答えていただきたいと。わかりましたと言って戻り、かつ、月曜日に急遽電話がかかってきまして、なお竹中さんが嫌がっているらしいので、中城さんを政府参考人として加えて登録させることを許していただけないか、こういう話がありまして、加えてならいいでしょうという話でありました。その間、大臣が嫌がっていることはわかっていましたから、確かに事務方の方も、いや、なお理事会でこのことについては協議をさせていただきたいので、協議次第ではありますけれども、加えて中城審議官の政府参考人としての出席を認めていただきたい、そういうことでありました。

 当日は、理事から伺いますと、忙しくて来られないというメモが理事会に回ってきた。私は、実は十一時から一時間竹中さんへの質問を予定していて、竹中さんに対する質問としては私が最初だったと思いますが、十時から委員会の予定でございました。その時間帯に竹中さんは実は記者会見をしていたということと、大臣室にこもっておられたというふうにも伺っております。

 それが忙しい理由の中身だったんでしょうか。もしそうだとすれば、やはり国会軽視も甚だしい、こう言わざるを得ないと思いますが、そこはどういうふうに解釈をされているんでしょうか。

竹中国務大臣 まず、四月五日の総務委員会に関しまして、委員長、与野党理事、麻生総務大臣を初め御出席の皆様には、私のこの出席問題について大変御迷惑をおかけした点について、大変申しわけなく思っております。

 本件、今五十嵐先生いろいろ御指摘がございましたが、いろいろな経緯があります中で、総務委員会における与野党間の協議状況等に係る情報収集、伝達について私どもに不十分な点がありまして、状況を正確に把握していなかった面がありました。この点で関係各位に御迷惑をおかけしたと思っております。今後、的確な情報伝達が行われるようにぜひ努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 なお、当日の話もございましたけれども、当日は、十時七分から十時三十三分までの間、私は定例の記者会見を行っていたというふうに承知をしております。

 以上でございます。

五十嵐委員 十時三十三分以降、私が十一時にお招きをしていたわけですから、来られたわけですよね。これは、部下に責任を押しつけたら私はいけないと思いますね、私は非常に気の毒だと思います。もし責任を感じられて、叱責をされる職員の方がおられたとしたら、大変お気の毒だと思います。

 私は、当日の午後三時から自民党の合同部会で政府案を説明しなければいけなかった、その前にこの国会の場で野党の質問でいろいろ出てくると、自民党の部会で、部会軽視だ、部会で決める前になぜ外に向かってしゃべるんだ、こう言われるのが嫌だったので出たくなかったんだ、そういうふうに正直におっしゃればいいんだと思います。

 部下に対して責任を押しつける無責任、そしてうそを言って逃れようとする無責任、私は、二重の意味であなたの人格を疑わなきゃいけない、こう思っております。

 その辺はいかがですか。本当のことをしゃべってください。

竹中国務大臣 この郵政民営化の法案に関しましては、その前の週末、四月二日、三日の土曜、日曜で、関係閣僚間で調整をしておりました。そして、最終的に総理の裁断をいただいた政府の方針を早急に各所にこの日お伝えしまして、各方面の御意見を踏まえた法案を取りまとめることが当日必要な状況でございました。こうした状況のもとで、私は執務室で作業の総合的な指揮をとっていたところでございます。

 四月五日の理事会においては、担当審議官からこのような私の置かれていました状況について率直に事情を説明しまして、委員会の答弁は副大臣対応でお願いしたいとの趣旨の発言をしたものと聞いております。そして、自分の、私自身の出席については他の日程でお願いしたいというふうに考えておりました。

 ただ、いずれにしましても、本件については、いろいろな経緯があります中で、情報の収集、伝達について私どもに不十分な点があり、状況を正確に把握していなかった面があったと思います。関係各位に御迷惑をおかけした点についてはまことに申しわけなく思っておりまして、今後は的確な情報伝達が行われるように努めてまいりたいと思っております。

五十嵐委員 もう一つは、竹中さんのお気持ちの中に、出たくないものは出たくないんだ、それで済むんだという、やはり軽視の気持ちがあるんだろうと思いますね。

 一月の二十一日でしたか、通常国会が始まりました。通常国会が始まってから、国務大臣の海外出張は届け出なければいけないはずですが、竹中さんはこっそりとアメリカに行ったことはありませんか。

竹中国務大臣 そのような事実はございません。

五十嵐委員 アメリカに渡米は全くしていないということでよろしいですか。

竹中国務大臣 もう一度、いつでございましょうか。

五十嵐委員 一月の通常国会開始以降です。

竹中国務大臣 アメリカには行っておりません。

五十嵐委員 そういう情報が実は与党筋からもたらされているものですから、お確かめをさせていただきました。国会軽視の姿勢があるのではないかというふうに実は与党からも疑われているということなんですね。後でこれはうそであるということがわかれば大変なことになりますから、しっかりと御答弁をいただきたい、こう思ったわけですが、今はっきりとそれは事実ではないということを言われましたので、もしこれがそうでした場合には、それなりの御覚悟をいただきたいと思います。

 質問に移りますけれども、総理も、先日の総務委員会、私の質問に対して、民営化は手段であるというふうにはっきりとお答えになりました。麻生大臣も、目的と手段を間違えてはいけない、民営化は一つの手段だということを明言されております。竹中大臣御自身は、民営化は手段だということ、手段の一つだということでよろしゅうございますか、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。

竹中国務大臣 私は、かねてより、広く構造改革を行うことによって経済を活性化する、そして国民の経済厚生を高めるということが目的、政策の広い目標であるというふうに思っております。その中の構造改革の本丸として位置づけられるのが郵政民営化であるというふうに思っております。

五十嵐委員 本丸という言い方は、やはり目的ということが入ってくるんですね。何が本丸なんでしょうかね。

 私は、郵政の問題というのは、これは一つには、郵政が肥大化をして、郵政の貯保の事業が肥大化して、このお金が非効率な特殊法人に流れること、そして効率的に国民資産が使われないということが一点。それから、財政のセーフティーネットになって安易に国債を膨らませるもとになったということが最大の問題だ。この二点をどうやって解決し克服するかというのが郵政問題の本来の大きな問題、解決すべき課題だ、こう考えているわけですけれども、それは違うんでしょうか。

竹中国務大臣 委員は金融財政の御専門家でいらっしゃいますから、その点について大変強い問題意識をお持ちだというふうに以前から承知をしております。

 御指摘のような形で、官が関与する非常に大きな金融がこの市場経済の中にあって、それが資金の効率的な配分を妨げているのではないだろうか、私もそのような問題意識を持っております。

 その意味では、メリットとして私は三つぐらいよく申し上げますけれども、そのうちの一つである、郵貯、簡保の三百五十兆円の資金が民間の市場で効率的に使われるような、そういう改革のメリットがもたらされる。私が申し上げていることと委員が今御指摘のこととは重なっているというふうに認識をしております。

五十嵐委員 それは違うんですよね。かつては、二十四年前、私は臨調の記者でしたから、あのときの民営化の論議も、加藤寛第四部会長のもとでの取材を詳しくしてきましたけれども、そのころは正しかったんですよ。それは民営化すべきだったんです、そのころは。それは、官というか政の力が強くて特殊法人に足を踏み込めなかったから、入り口を絞れば出口が自然に縮んでくるという水道の蛇口論で、それで解決がついたと思うんですね。

 しかし、今やそうじゃないんです。特殊法人そのものに切り込みができるんですから。実際に特殊法人改革は、私どもは大変不十分だと言っておりますけれども、皆さん方は十分にやったともおっしゃっている。特殊法人改革は直接やれるんですから、やったらいいんです。なぜそれをおやりにならないでいまだに蛇口論を振り回されるのかよくわからない、入り口論を。出口を直接やればいいじゃないですか。

 それからもう一つは、民営化したとしても、新たなメガバンクをつくったとしても、それは国債を膨らませることをとめることには何の役にも立たないということなんですね。今や民間銀行も、たくさんの国債を量的緩和でいや応なしに持たないと収益が上がらない、そういう構図にありますから、もう民間銀行も実は半国有化しているんです。それだったら同じことなんです。

 あるいは、郵政公社がセーフティーネットにならなくなれば、日銀に持たせたり、日銀も、短期の国債、買いオペでやる分を、どんどん期間を延ばして、もう三百二十一日でしょう。市場調整機能として日銀が短期の国債を持つというのはいいけれども、だんだん期限を延ばしてきて、果てしなく延びていってしまえば、これは短期国債ではなくなってしまうわけですよ。直接引き受けと変わらなくなっちゃうじゃないですか。日銀にかわりに持たせたら、ここで幾ら民営化したって同じことです。あるいは、民営化された元官立の、国立の銀行をつくって、そこに持たせれば同じことじゃないですか。ちっとも問題の解決にならない。

 我が国の今最大の急務は、国債依存を早く減らすこと、脱却することですよ。そしてもう一つは、特殊法人という存在に徹底的にメスを入れていくこと、そのことこそ本丸じゃないですか。その本丸をやらないで、実は解決策になるかならないかわからない、私はならないと思いますが、ならないことを目的であるかのように言っているのが小泉さんの改革です。

 二十四年前は正しかったけれども、今では正しくないんですよ。その間に肥大化した部分をまずそぎ取っていくというのが大切なことなんじゃないですか。もともとは郵政三事業の中の金融事業というのは民の補完としてスタートしたんですから、補完でなくなってしまったところに問題があるというふうにお考えになるのが普通の姿なんですよ。

 そして、もし手段であるならば、いろいろな手段を比べることが大切です。いろいろな手段が考えられると思うんです。確かに私は、民営化も縮小した果てには手段の一つであろうと思いますけれども、それにはいろいろなことを考えなければいけない。

 例えば、長期的な資金の供給はどうするのか、中小企業への融資というのは本当に民間だけに任せていいのかという問題も出てくる。それらも丁寧に見た後で、これはどういう形態がいいのかというのを初めてそこで判断する。あるいは、公社形態のままでの今の改革が進んでいる、これがどこまで行けるのかというのを見きわめる必要がある。私はそうだと思いますね。あなたがいきなり、あるいは小泉さんがいきなり、株式会社にするんだということが正しいという証明が一つもなされていないというふうに私は思います。

 今の私のそもそもの目的論、改革の目的論について、長話は結構でございますので、端的にお願いをしたいと思います。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

竹中国務大臣 金融担当大臣をさせていただいておりましたときにいろいろ五十嵐委員と御議論させていただきまして、私は、五十嵐委員は郵政民営化論者であるというふうにちょっと思っておりましたのですが、そうではないという御説明を今いただいて、その理由も背景も御説明をいただけました。

 私は、郵政改革は改革の本丸である、しかし、二の丸、三の丸がある、二の丸は政策金融の改革であり、三の丸が国債の管理の強化であるということをかねてから申し上げております。

 これは、いずれにしても、一体的にやらなきゃいけないわけですが、私が申し上げたいのは、この政策金融の改革、広く特殊法人改革を委員は取り上げられましたが、その中心であり象徴である政策金融改革については、既に二年半前からこの改革にもう着手しているわけでございます。これから三年間で改革を進めて、政策金融の規模をGDP比で見て今の半分にする。どういう分野に特化するかということも含めて、基本的な方針を経済財政諮問会議では議論しておりまして、それを実現する。実は、出口の改革がある意味で先行しておりまして、入り口の改革である郵政改革がその後になっているというのが、これが現実の姿であると私は思っております。

 したがって、郵政の改革だけでお金の流れが全部変わるわけではもちろんございませんし、おっしゃったように、国債の増発をとめるような財政の根本的な仕組み、根本的な財政政策の強化ももちろん必要になってまいります。そういうことを全体として既にやっているわけで、申し上げましたように、政策金融の改革、むしろそれは先行しているわけで、この入り口について、さらにいよいよこの改革の非常に大きな入り口を改革しようというのが今回の郵政改革でございますので、これは、官から民へのお金の流れをつくるためのトータルとしての改革の非常に大きな部分が今まさに行われようとしている、そのように認識をしています。

五十嵐委員 それは逆なんですよ。政策金融をどういう範囲で国が限定的に、あるいはセーフティーネットとしてやるかというのを、まずそこを決めなきゃいけないはずなんです。今それは審議中、論議中じゃないですか。これから秋にかけてやろうと今おっしゃっていることじゃないですか。これからの話でしょう、それは。一部は確かにやっていますけれども、ほんの一部やったことを、政策投資銀行をつくったようなことを、それを改革だ改革だと言うのでは、これは極めて不十分なわけであります。どの範囲で官が金融に手を出すべきかというのを、きちんとそこを見定めることの方がまず先でなければいけないはずであります。

 それから、規模を縮小しさえすれば民間へはお金は流れるんですよ。危なっかしいメガバンクを新たにつくるより、規模を縮小すれば自然に。

 例えば、縮小の仕方は幾つもやり方があると思いますよ。限度額が徐々に、三百万、五百万、七百万、一千万と上がってきたんですから、徐々に下げる方法もありますし、名寄せをきちんとやるという方法もあると思います。あるいは、簡保については商品の数を減らすという方法もありますし、あるいは、都会の中で過剰になっている特定局を減らすという方法もあると思います。

 そういういろいろな方法があるんですが、規模が縮小しさえすれば、自然に国民は、ベテランの民間の銀行に、プロの銀行にお金を預けるなり、あるいは、それこそ竹中さんが望んでいる直接金融で株式市場に投資をするようになるなり、あるいは、今銀行や機関投資家にゆだねるより個人国債を買う方が望ましいんでしょう、そのように個人国債に振り向けるなり、自然に個人は選ぶんじゃないですか。何も危なっかしい新たな銀行をつくる必要は全くない。

 大体、今、銀行は、あなた自身が金融担当大臣としてかなり強引な手法で合併を進め、数を減らしてきたんじゃないですか、銀行が多過ぎると。私は、オーバーバンキングというのは銀行が多いという意味ではなくて預金過剰だ、こう思っていますけれども、預金も過剰ですし、何も民間銀行をつくってその規模を拡大する必要は一つもないんじゃないですか。

 生命保険会社にしたってそうですよ。過当競争で今、生命保険会社はつぶれている世界じゃないですか。そこへなぜ、ひよっこの、技術のない、融資能力のない、あるいはデリバティブなどの金融技術もない、そういう民間の保険会社を新たにつくらなきゃいけないんですか。ちっとも必要性がないじゃないですか。民間会社をつくる必要性というのは何もないんですよ、実は。

 ほかのやり方でも、幾らでもいろいろな解決方法は確かにあると思いますよ。物流の話を言われましたけれども、それだって、本当に国際物流の分野で勝とうと思うんだったら、それこそ国策で、国営で、直営でどんどん大きくしてから、成功してから民間に切りかえればいいんですよ。僕はそう思いますね。

 何も、本当に能力がないうちに、資本の力もないうちに株式会社化して、失敗して、これはつぶせないでしょう、結局。移行期間には少なくともつぶせないですよ。だって、それだけの従業員が働き、資本ではつながっていますから、分社化したどこかがつぶれれば伝染してしまいますよ、リスク遮断はできないですよ。特に、国債をこれだけ抱えているということは、これは大変なリスクになりますから、金融不安をもう一回招きますよ。私はそう思いますね。何も、能力のない金融機関、これをつくる必要はない。

 それが今までの、なぜか知らないけれども、JRやNTTの成功体験とわざとダブらせて、僕は必ずしも成功だと思っていないんですよ、実は。JRにしてもNTTにしても成功だと思っていないんですが、それにダブらせてやっている。全く間違いなんですね、勘違いなんですね、まず小泉さんの。

 一つお聞きしますけれども、道路公団というのは、これは民営化になじむ存在なんですか、JRやNTTと同じなんですか。同じかどうかだけ伺いたいと思います。

竹中国務大臣 ちょっと随分いろいろなことをおっしゃられましたので、質問は、NTT、道路公団と同じかどうかという御質問なのかと思います。

 道路公団そのものについて私は意見を申し上げる立場にはございませんが、いずれにしても、民間の活力を活用することによって、それで事業をしっかりとさらに強化していこうと。これは大変重要な組織でございます。道路公団がなくては困ります、NTTがなくては困ります、郵便がなくては困ります。そういう組織が、このままでいくと、いろいろな経営の問題が懸念される。NTTの場合なんかも、IT革命にどのように対応していくのかという問題がありました。郵政の場合も、同じように、Eメールの普及にどのように対応していくのか、金融技術の革新にどのように対応していくのかという大きな技術革新、時代の流れがあって、大事な組織であるからこそ、この組織が持続可能に、しっかりとやっていけるような体制をとる必要がある、その一つの重要なやり方として民営化という手法があるというふうに議論をされてきたものだと承知しております。郵政はまさにそういう問題でございます。

 委員が御指摘の点で一点だけぜひ申し述べさせていただきたいのですが、民間の銀行をこれからつくる必要があるのかという御指摘が委員の御主張の基本になっていようかと思います。これは、どのような改革を進めるかということの基本的なまさに理念の問題だと思いますが、私たちは、今郵政が持っている資源、ノウハウ、そういうものをぜひしっかりと活用させたい。同時に、雇用に十分な配慮をしたい。

 特定郵便局の例をとりますと、局の窓口で行っている仕事の三分の二とか七割とかは、これは実は金融の仕事を行っているわけでありますから、この金融の仕事の規模を縮小して、アメリカがやったみたいに、究極の姿はゼロにするわけですけれども、そういうふうなことをやれば、これは持っている資源が生かされないし、何よりも雇用に対して非常に深刻な問題が出るのではないか。そういう意味では、今ある資源をしっかりと活用していただく。

 郵貯というのは、あれだけのお金を集める、地域の信頼を得て集めるという大変重要な資源、ノウハウを持っているわけですから、そういうものを活用していただいて、それにさらに与信のノウハウ等、十年の時間をかけて持っていただいて、それで雇用も支え、この組織全体が成り立っていくようにしたい、そのような考え方で今回の制度設計を行っているわけでございます。

五十嵐委員 大臣も幾つかのことを言われましたからまず申し上げますけれども、NTTやJRは独占で、ただ、技術力が高かったんですね。ですから、民営化して競争原理を導入すれば、競争にも負けずに国民全体にとってプラスになるであろうということは容易に予測ができました。また、かなりの部分採算がとれるであろうと、とれないところもありますけれども、予測できたわけです。

 金融に関して言えば、これは圧倒的に過当競争の世界、もう既に十分に民間で競争が成り立っている世界でありまして、そこへ競争力を持たない新たな大きい存在が出ていくというところに大きな問題があるということでありまして、全く違うんですね。JRやNTTと郵政を同列に論じることはできない。

 道路もそうなんです。道路は運送業じゃないんですよ。インフラ的な公共料金でありますから、この部分を下げることによってほかの産業全体の国際競争力を上げることができる、すべての会社の収益性を上げることができるんですよ。ですから、むしろ公団は民営化じゃなくて、なくす方が正解だったんですね。

 高速道路が込むと言うけれども、込んだっていいんですよ、ただなんだから。それは今より込むでしょう。でも、込んでもいいんです。下を通るのと上を通るのと、高速道路上を通るのと一般道路を通るのとは、最終的には一定のところで均衡いたしますから、それで十分なんですよ。それによって地域の活性化が図られる、私はそう思います。

 要するに、お金を払わなきゃ、嫌な人たちが通過交通でトラックで町の中をどかどか走られるよりずっといいわけですよ。通過交通は上を通っていただければいい、高速道路を通っていただく。それにお金がかかり過ぎるのはおかしい。それは日本の全体のコストを上げている。それこそ、物流の世界でうまくいかない、日本の物流会社がうまくいかない大きなもとはそこになっているんじゃないですか。日本が物価が高い大もともそこになっているんじゃないですか。

 それは、料金の方がいいと言うけれども、一般の人も高速道路を使わない人も、皆さん物価という形で料金を負担しているんですよ。ですから、鉄道やNTTとは、道路公団の民営化というのは性質が全く違うんです。だから、何でも民営化ならいいという考え方自体が間違っているという観点から御意見を申し上げているわけであります。

 それから、問題もいろいろありますけれども、金融に関して言えば、私は、大変なリスクがこれから降りかかってくる。それは、今のままいけば、どこかで量的緩和をやめ、金利は上昇し始めなければならないと思います。そのときに、既に保有している国債は価格が下落をするということになります。そのときに、民間は一斉にその売却に走りかねない。ですから、どこかでセーフティーネットが必要になってくるであろう。そのことをどういうふうに考えるかなんですね。うまく官がグリップしながらソフトランディングさせなければ、これは我が国が大変な破滅状態に陥りかねないというリスクが非常にあるわけであります。このことをどう解決しようとするのか。

 経済財政担当大臣と財務省がおいでになっていると思いますが、経済財政担当大臣と財務省はどうお考えなのか、お伺いいたします。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

田野瀬副大臣 先生がおっしゃるように、郵政民営化が進展する中で、国債管理政策を適切に運営することは重要な政策課題であると私ども認識しておるところでございます。

 昨年秋に閣議決定されましたが、郵政民営化の基本方針でございます。この方針の中に、「移行期のあり方」として、「公社勘定の運用に際しては、安全性を重視する」「国債市場への影響を考慮した適切な資産運用を行う」「大量の国債を保有していることを踏まえ、市場関係者の予測可能性を高めるため、適切な配慮を行う」等とされたところでございます。

 この基本方針を踏まえまして、移行期において国債市場に不測の影響が及ぶことのないように、市場関係者の予測可能性を高めるための具体的な制度設計等について、現在、財務省を含め、関係当局で検討、調整をいたしておるところでございます。

 また、郵政民営化が進展していく中で、適切に国債管理政策を運営していく際にまず重要なことは、財政構造改革の推進により国債に対する信認を確保していくことであります。財政運営の指針として、まずは二〇一〇年代の初頭の基礎的財政収支の黒字化を目指しまして、歳出歳入両面からバランスのとれた財政構造改革を進めてまいりたい、その上で、国債の安定消化を図る観点から、今後とも、市場のニーズ、動向等を十分踏まえた国債の発行、新商品の導入といった商品性の多様化等を通じた保有者層の拡大など、国債管理政策の適切な運営に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。

 以上でございます。

竹中国務大臣 国債管理を所掌しておられる財務副大臣から今御答弁のあったとおりでございます。基本的な考え方は今の御答弁のとおりであろうと思います。

 経済財政政策担当大臣として若干補足をさせていただきますと、我々としても、諮問会議のこの十七年の取り組みを強化すべき重要政策課題といたしまして、国債管理政策を含めた公的債務管理及び公的資産管理の充実強化というのを幅広く議論を行っているところでございます。これは郵政だけで解決できる問題ではもちろんございませんから、幅広く改革を進めるという観点から諮問会議では議論をしております。

 なお、郵政に関して一点だけ申し述べさせていただきますと、今まで政府保証がついている勘定が旧債務、旧勘定としてあるわけですけれども、これは民営化された後も政府の債務の保証は続きます。それに対する見合いの資産というのは、いわゆる安全資産で運用されておりますが、その中心になるのが国債でございますから、その意味では、バランスシート上、これは民営化された後の話でございますけれども、二〇〇七年四月以降の話でございますが、借り方にはいわゆる政府保証つきの預金、郵政から見ると債務が来て、貸し方にはそれに見合った安全資産運用としての国債、こういうものを公社の承継法人で実体的に別に管理できるような形を考えておりまして、それによって国債市場へのショックが生じないような、そのような仕組みはしっかりと考えているところでございます。

五十嵐委員 今いろいろなことを言われましたけれども、結局は、移行期において国債を売りません、買い続けますと言っているのに等しいんですね。それは同じことなんです。そうしたら、何も民営化する必要はないんですよ。同じことなんですよ、結局今言っていることは。

 それで、今心配しているのは、完全民営化した後も、財政がよくなっていなければ、実はみんなが同じ行動をとる。金利が上がったときに、古いものを持っていると資産が時価評価で下がってしまいますから、みんなが売ろうとする。そうすると、合成の誤謬でどっと売り物が出て、さらに大暴落を引き起こすということを実は実際に財務省は心配しているんじゃないですか。財務省は民間の金融機関が偏って国債を持ち過ぎることを今心配し始めているんじゃないですか。一方ではそのことをまた助長することになるわけですよ。これははっきり言って、つまらない話なんですよ。

 それから、政府保証をとるからいいんだという話が盛んに出ていますけれども、政府保証はあると言おうとないと言おうと、国民にとっては同じことなんですよ。アメリカでも、議会が法律をもってつくったジニーメイ、フレディーマックという住宅金融会社があるんですが、再三アメリカ政府は政府保証はありませんと言っているんですが、市場では政府保証があるものとして扱われている。そういうものなんですよ。

 こんなに三百五十兆円もの規模を持つ会社で、二十七万人が働いて、分割されるかもしれないけれども、そして、国債をこんなに保有している会社をつぶせるわけがないんだから。この会社がもし運営が危なくなったら、公的資金を注入して再国有化するに決まっているんだから。税金を使うんでしょうが。あなたがその仕組みをつくったんじゃないの、公的資金を注入できる。あなた方の今までやってきた金融政策と全く矛盾しているんですよ。

 それから、株の持ち合いは、これはティア1以内にしましょうと言って、持ち合いはそのリスクが伝染するからなるべくやめましょうと言ってきたのがこれまでの金融政策でしょう。どうしてここで、金融事業と一般事業を純粋持ち株会社の中にぶら下げて、兄弟会社でありますけれども、資本関係があるようにするんですか。そんなのリスクの伝染が起きるに決まっているじゃないですか。それから、その後の持ち合い関係はどうするんですか。

 今、盛んに、持ち合いをどうするかという問題、それから基金を倍にするかどうかという問題が騒がれていますけれども、これは答えようによっては随分姿が変わってくるんですが、これは今までの政府方針を変えるおつもりがあるのかないのか、ここで伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 民営化、分社化を前提とした上で、その後での株の関係について、今五十嵐委員から御質問と御指摘がございました。

 基本方針の基本的な考え方というのは、これは当初、持ち株会社ができまして、そのもとにそれぞれ機能の異なる会社ができるわけでございますけれども、このうちの銀行と保険、金融については完全に民有民営にするということで、先般の骨子の中でも、移行期間内に株式を完全処分するということをうたっているところでございます。

 したがって、その持ち合い関係でリスクの遮断ができないのではないかという御指摘がございましたが、移行期間が過ぎた後は、そういった意味でのリスクの遮断はきちっと行う仕組みをつくる、そのための株の売却を行うということを基本方針では決めているところでございます。

 その移行期間の間にしっかりとそれぞれの機関が自立できるような、そういう時間をかけた民営化の仕組みを考えているわけでございます。

五十嵐委員 後でまたじっくり、これは私一人で十時間でも二十時間でもやれますから、やりたいと思うんですが、移行期間に肥大化するのが一番問題なんですね。これは民業圧迫になります。必ずそれは政府保証ありと認められますから、いかに政府がなしと言っても、あると市場は、マーケットは認めますから、移行期間中に自由にすれば、必ずこれは肥大化をし、民業圧迫になります。だから、そこが最大の問題点だ、最悪のケースだと私は思いますけれども、それは後でやるにしても、民営化すれば何でもうまくいくんだ、そして、やらなきゃ先細りなんだということを盛んに最近、きょうも言われておりますけれども、本当にそうかということが一番問われると思うんですね。

 麻生大臣、お待たせをして申しわけないので、お伺いをしたいと思うんですが、まず、郵政民営化準備室が行った骨格経営試算というのは、私は、これは全くのうてんきな数字で意味をなさないと思っているんですが、麻生大臣の率直な評価を伺いたいと思います。

 それから、経営者の感覚として、窓口会社という、名前が今度、郵便局会社に変わったんですか、窓口ネットワーク会社ともいいますが、窓口会社のビジネスモデルというのが成立するとお思いになるかどうか。

 経営者の感覚として、この二点をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 正直言って、五十嵐さん、そっちも商売したことないから似たようなものなんだろうとは思いますよ。ただ、十年後の経営計画を全部言える人なんていません。これだけははっきりしています。十年後、自分の会社は絶対だなんて言う社長がいたら、それはよほどのうてんきな人ですよ。僕は、それはそう思います。しかし、これは十年後の経営計画を出さないかぬから、だから出されたというぐあいに、僕はそう理解しています。

 自分の会社で、例えば、失礼ですが、一九九〇年代に、世界の銀行のうち、日本の銀行は九行がベストナインですよ。今、ゼロです。今、ベストテンにゼロですよ。ということを九〇年代に予想した大蔵省銀行局の役人がいたか。ゼロです、そんなもの。

 だから、私は、十年後の話となると、それは正確かと言われたら、可能性としてはあるでしょうと言う以外に言いようがないと多分思っておられるんだと思いますので、この程度の利益は、これだけのものがあれば出さないかぬだろうなという生田総裁の感覚と、私も、出さないかぬだろうなというのはわかりますけれども、出せるかどうかというのは、ちょっと正直申し上げて、今の段階で何とも申し上げませんので、経営の自由度というのが最も大事だということをずっと申し上げてきております。

 それから、窓口ネットワークというのにつきましては、これは、今までの仕事、郵便事業、簡易保険、貯金というこの三事業だけで限定すれば、およそ先行き余り大したことにならぬとは思いますが、新規事業で何をやるかというところと非常に関係をしてくるところだと思っております。

 いろいろな形としては、ここは商売として、いろいろな商売、新しい二十八万人の従業員、二万四千七百の支店というものを考えて、これだけのものはありませんから、そういった意味では、これを使えばいろいろなことができるんじゃないかと言うことはできますけれども、そっちの経営を詰めるほどちょっと今暇がありませんので、そこのところは私の担当でもありませんので、そこのところは、だったらその段階で商売はいろいろなことを考えられるだろうと思いますが、これは民間の今の感性の方にやっていただいた方がよろしいと思います。

五十嵐委員 前半は、民営化、株式会社化しようとしまいと、十年後は当てにならぬということだと思います。

 後半については、私が言いたいことはこういうことなんですね。窓口会社自体として存立するかということではなくて、金融と切り離して存立し得るかということなんですね。

 例えば、窓口会社は、証券の代理業も、あるいは投資信託の代理業も、保険の代理業も、損保も生保も、あるいは銀行代理店の役割も果たすんだと思いますが、例えば生命保険、これは今、生命保険はセールスレディーの方々を中心に売っていらっしゃって、そして契約権は本社にあるんですね。厳密に審査をし、そして保険金の支払いが生じたときも、本社で審査をしてこれは出すということになっております。本社が責任を持つわけですね。

 しかし、代理店ということになって全部そこが途切れますと、一体だれが責任を持つのかということが出てくる。生命保険商品の契約締結権というのは代理店が持つのか、本社の、後ろの郵便保険会社が持つのかという問題が出てくるというのはすぐおわかりになると思いますが、生保と損保では違うんですね。これは、そういうリスク商品も出てきますよ。そうすると、窓口にみんな来ますよ。だって、郵便局の信用で売るんですから。郵便局の信用で売っていながら、責任はどこがとるのかわからないというんじゃ困っちゃうわけでしょう。

 これはどっちになるんですか。窓口会社というのは責任をとれるんですか。それとも、契約の締結権というのは後ろの本社が持つんですか。どういう設計を考えられているのか、伺いたいと思います。

竹中国務大臣 ちょっと突然のお尋ねでございますけれども、基本的なイメージとしては、契約は保険会社と個人が結ぶということになるんだと思います。それはまさに委員御指摘のように、そこは代理をするわけでございますから、だから、代理店には代理店としての責任が当然発生をする。これは預金等々についても同じことであろうかというふうに思っております。

 必要がありましたら、また具体的なイメージ等々について改めて御答弁をさせていただきます。

五十嵐委員 損保は代理店が契約権を持つんですよ、損保の方は。ですから、損保と生保は一緒にならないんです。だから、非常にその辺が難しいんですよ。だから、子会社をつくってやっているわけで、金融コングロマリット化といったって、いろいろな問題があるんですよ。そう簡単にはいかないんです。

 そこがおわかりになっていなくて、今のお答えを聞いても、ああ、よくわかっていないなということがよくわかりましたよ。安易に、モデルをつくって、うまくいくなんて言う方が、私は間違いだと。だから、手段だったら手段を、いろいろな手段を考えて、国民に選んでいただく、その時間をしっかり持つ。手段を見比べるということが私は必要だと思うんです。

 先細り先細りと言いますけれども、本当に先細りなんですか。今の状態を固定化すれば先細りなんだけれども、例えば、ふるさと小包が出てくる前と後では収益性が全然違ったわけでしょう。これは必ずしも、民営化すれば先細りじゃなくなって、公社化で改革をしても先細りなんだということは言えないんじゃないですか。

 私はむしろ、年率二%とか二・五%というふうにはっきり数字が見えていけば、その分、合理化の余地はあるんだろうと思います。ファミリー企業を整理するなり、随意契約だったのを競争入札にするなり、いろいろな工夫を今もされていて、私はすばらしいと思うんですが、これから先、我々のような団塊の世代の職員が大量退職するということもあり、実は経営的には、先が、数字が見える先細りというのは克服が可能。

 今、杉並区役所だって、十年で二割削減するといって、その二割の削減を着々と実現しておりますよ、二割ペースで削減していますよ。そのぐらい合理化というのはできるんですよ。何も生首を切らなくたってできるんです、それは。それこそ外部委託だのいろいろな手法があると思いますけれども、そういうやり方で合理化はできるので、先細りは克服困難というふうに見捨てるのは、私は、任命をされた生田さんにも失礼だし、任命を行った小泉さんなり麻生さんについても、そこで生田さんの改革は失敗の見通しだというふうに断定するのは大変おかしな話だ、こう思うわけです。

 生田改革は失敗の見通しだとはっきり立てるのかどうか、麻生大臣に伺いたいし、公社の皆さんには、一体、先細りは克服困難だというふうにあきらめていらっしゃるのかどうか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 先ほど十年前の話がありましたけれども、十年前、重厚長大と言われた鉄鋼業が、今日これだけ隆盛をきわめるということを予想した経済論者は一人もいません。そういった意味では、先行きの話というのは余り当てにならぬというのは、今の御意見に関しては私も基本的には同じなんです。

 ただ、取り巻く状況というのを見てみますと、例えば、平成十六年度の引受郵便物というものを見ますと、対前年度比でマイナス約二・一%、簡易保険の新規契約、対前年同期比一一・三%の減ということになっておりまして、ほかにもいろいろありますけれども、ITがICTに変わり、いろいろな形で進歩していったり、民間のメール便もあるんだと思いますが、少子高齢化、人口減、いろいろなことが考えられるんだと思いますが、経営環境としては厳しいと思っております。

 ただ、その中にあって、生田総裁のこの約二年間の実績というものを見た場合、経営の中で、対組合対策というのが避けて通れぬ、どなたもおっしゃいませんが、組合対策を含めて、経営者としては大したものだ、私自身はそう思っております。

 そういった意味では、いろいろな新しいサービスを取り入れ、先ほど、伊藤先生の質問だったか、どなたかの質問にもお答えを申し上げましたが、少なくとも、資材の調達の方法にしてもいろいろな形で、また自動車便の郵便配達の委託のやり方につきましても従来ない制度を導入しておられますし、JPS、ジャパン・ポスト・システムというものを取り入れられて、私どもとしては、この点に関しましても、いずれもこの二年間の経営努力は目覚ましいものがあると思います。

 ただ、こういった経費節減というだけじゃ先は見えておりますので、新しい事業で展開していかないと、企業というのは、どどっと、こういくのでは、経営者はもちろんのこと、働いている人の意欲がわきませんので、そういった形では、将来、民営化して、自由にいろいろなことができる分野というものもある程度認めてやらぬと。そこらのところにつきましては、なかなか五年先を考えてみた場合、やはりいろいろな意味で、私どもとしては、今の状況は厳しいけれども、それは確かに不可能ではないかもしれませんけれども、状況として厳しいことは間違いありませんので、そういった意味では、先行き夢が持てるような形でのものが必要なのではないかと思っております。

山下参考人 お尋ねいただきました公社経営の今後の見通しについてでございますが、まず、郵便事業につきましては、IT化の影響や民間メール便への移行などによりまして、このところ引受郵便物数が毎年二から三%のペースで減少する傾向が続いております。こうした通常郵便物の落ち込みは海外主要国でも同様の傾向が見られておりまして、我が国でも当面この程度のテンポで減少傾向が続くものと予想されております。

 これに対しまして、公社は、売り上げの落ち込み回避とコストの削減に向けて、ただいま麻生大臣からも御紹介がありましたようなさまざまな努力を行ってまいりました。その結果、平成十五年度には二百六十三億円の黒字、昨十六年度は約二百億円程度の黒字と、何とか黒字を確保し得てきたのが実情でございます。

 郵便事業を、将来にわたりまして健全な業績を持続的に上げていく、これが可能な黒字構造に転換させてまいりますためには、こうした減収傾向に歯どめをかけることがどうしても必要となります。そのためには、今後とも成長が見込まれます小包分野や国際分野を強化していくことが特に重要であると考えております。

 一方、郵貯、簡保の金融分野におきましては、民間金融機関が、九〇年代後半以降の厳しい経営環境から、ここに来て着実に回復を遂げまして、金融市場の安定が回復していくことなどを背景といたしまして、郵貯、簡保の資金量は縮小傾向にございます。こうした規模の縮小が当然利益水準を押し下げる方向に作用いたしますので、このまま何らの手を打たなければ業績は悪化傾向をたどることになるものと思われます。

 もちろん、郵貯、簡保の利益水準は、その時々の金利、株価の動き等マーケットの状況に大きく左右されますので、公社といたしましては、ALMの観点から、国債を中心とした安全確実な資金運用によりまして利益水準の確保に努めるとともに、ことし秋より開始いたします投信、投資信託の販売に力を入れていきたいと考えている次第でございます。

 以上、申し上げましたとおり、中長期的には郵政三事業を取り巻く環境にはかなり厳しいものがあり、決して楽観を許されない状況だと認識しております。私ども公社といたしましては、今後とも、経済動向や市場環境の変化に対応して、新商品、新サービスの提供、経営の一層の効率化等に取り組みまして、健全経営の確保に全力を挙げていきたいと考えております。

五十嵐委員 今おっしゃったことは、必ずしも、商品開発や経営努力によっては、経営環境は厳しいけれども、これは見捨てたものではないと言っているのと同じことなんですよ。それは民営化しても同じことなんですよ、そういう意味では。今ユニバーサルサービスを義務づけようとしているんですから、そうであれば、その厳しさは同じことなんですね。だから、基金を、一億だ一兆円だ二兆円だと言っているんでしょう。それは結局のところ、公的なお金をそこに使わざるを得ないと言っているのと同じことなんですから、何も民営化を急ぐ理由にはならないんですよ。

 そして、雇用のことをおっしゃいましたけれども、我々が言うとすぐ、労働組合がいるからとかなんとか言うけれども、そんなことはないんですよ。労働組合の方々も、今改革が必要だということは十二分に理解をされているから、生田総裁のもとでも二万人の人員削減に応じているんじゃないですか。トヨタのかんばん方式等々、今まで座っていた作業を立ち作業に変えてでも協力をしているんじゃないですか。その人たちのモチベーションを全く考えないで、自分の趣味だけで民営化だ民営化だと騒いでいて、本当にそれを押しつけていいのかという問題があるんですよ。これは非常に重要な問題だと私は思いますよ。

 我々も、それは支援を受けているからとか受けていないからということではなくて、やはり郵政で働いている方々、多くの皆さんはまじめに、国民に対する対応も評判がいいということで、一生懸命やられてきて、みんな評価されているんですよ。十五の職業の信頼度ランキングで、政治家は一番下から二番目だったかな、一番上がお医者さんで、二番目は郵便局だというんですよね。そのぐらい信頼されている方々のモチベーションを落としたら、それこそ机上の空論で、どんな計画を立てたってうまくいかないんじゃないですか。僕はそう思いますよ。

 生田さんがミイラ取りがミイラになったと言われていますけれども、現場を知って、一生懸命働いている人たちの姿を見れば、これは守ってやらなければいけないと思うのは当たり前なんですよ。現場で働いている人たちも、今までお金を集めろお金を集めろと言われていて、集めてきたら、それは悪いことだと言われる、これはたまらぬと。特に、何だかわけのわかっていない人に趣味で言われたのではかなわないよ、どうせ改革されるなら民主党に改革されたい、こういうふうに言っているわけですよ。

 竹中さんのやることは本当に働く人たちに冷たいんですね。余談になりますけれども、例えば、今の景気の状況についても、労働分配率がまだ高過ぎるんだというようなことを平気でおっしゃるんですね。日本の国は物価が世界一高いんですよ。労働分配率が下がったら、みんな暮らしていけなくなっちゃうんですよ。本当に総賃金が膨らんでいかなければ、景気の回復はないですよ。

 ですから、今、いわゆる製造業を中心に大企業は史上空前の利益を上げている。それはあなたの功績かもしれない。会社収益ばかりに目がとられていて、本当に経済の活気の大もとになる一人一人の国民の生活や一人一人の国民のことに思いが至っていないから、数字だけを見て、今労働分配率が急速に下がっているけれども、まだそれはバブルのときに上がり過ぎた分の半分ぐらいしか下がっていないんだというようなことを平気でおっしゃるんですね。それは間違っているんじゃないですか。私はそう思いますね。そういう社会が本当にいいのかということだと思いますよ。

 それだったら、給料が下がっても国際競争力を下げないように、生活を下げないで下げられるように、それこそ、ちょっと脱線しますけれども、これは日銀が、よいデフレ、悪いデフレ論、デフレ論で失敗したものだからあれですけれども、インフラ的な公共料金は、先ほど言いましたように、これは値段を下げていいんですよ。それはデフレに、CPIに影響しますけれども、これを下げても全般に企業収益は上がってくるわけですから、これは実は、いい形での物価の下げ。デフレと言わないですよ。デフレは悪いのかもしれないけれども、物価を下げるという意味では、いい意味での物価の下げはあるんです、確かに。あるんですよ、それは。いわゆる個人にとっても企業にとっても、可処分所得なり収益が上がる物価の下げというのはあるので、そこを考えないで、物価との関係を考えないで、ただ労働分配率が高いから競争率が低いんだという議論だけを展開するというのは、私は間違いだ。

 まず、今申し上げたいのは、働く人たちのことをまず考える。そして、産業立地の競争力をつけるということこそ今急務であって、私はかなり、数年も前から言い続けてきましたけれども、そこに政府はまず最初に手をつけるべきだ。産業立地の国際競争力を高める、その政策に一点集中して今当たるべきであって、それは、趣味的な株式会社にこれを形の上だけすればいいという問題ではないと思います。

 そのことについてどういう感想をお持ちか、竹中さんに伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 働く方々のモチベーションを大事にしなければいけない、もちろん私もそのように思います。これは基本方針でも、そのような方針に基づいてしっかりと今仕組みをつくっているわけであります。競争力強化のための構造改革が必要だという点も、これは私も、立地も含めて全く意見はございません。そのとおりだと私も思います。

 金融のことも含めていろいろ御批判を賜りましたが、不良債権の処理をするやり方がけしからぬというふうに五十嵐委員からもそのときおしかりをいただきましたが、結果は、不良債権はなくなりました、減少しました。そして、経済は活性化いたしました。

 郵政民営化につきましても、これからしっかりと議論させていただきますが、今のような御批判をしておられますけれども、私は、このようなやり方で、郵政の民営化というものが国民経済の中で必ずや長期的に評価されていくものになると思っております。これは決して総理の趣味の問題ではなくて、まさにこの国が求めている小さな政府への試金石としての郵政民営化であるというふうに確信をしております。

五十嵐委員 不良債権処理については、我々は、急ぎなさいということを申し上げたわけです。それは、中小企業についてやるのではなくて、再生の見込みがない大企業に追い貸しをするようなところは早く急いで公的資金を注入してでもやりなさいということを言ったので、今の大臣の説明は逆だと思います。

 たくさんの論点がまだまだありますけれども、後にまた残させていただきたいと思います。

 終わります。

実川委員長 この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三分開議

実川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松野頼久君。

松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょう、竹中大臣、午前中の質問を聞いていまして、前回の予算委員会でも、私は、竹中大臣の大臣である法的根拠とか、その辺を質問させていただきました。なぜこういうことを聞いているかというと、私は、今回の問題もそうですけれども、政府と議会、そしてその議会の中のルールの問題というのが最近ちょっとルーズになってきているんではないかという問題意識を実は持っておりまして、それでこういう話を聞いているわけでございます。

 ちょうど私は国対をやっていて、そしてこの総務委員会の理事をさせていただいていますので、今回の大臣の出席問題、ドタキャン問題に対してやはり一言聞いておきたいという思いで、きょうはこの質疑に臨みました。

 そもそも、総務省設置法によりますと、郵政事業は総務大臣の所掌事務なんですよ。それで、竹中大臣が郵政民営化担当大臣であるということでありますから、あえてこの委員会で郵政事業の一般質疑をやりたいというふうに申し出たのが私でございます。ですから、そういう意味で、竹中大臣が今回の委員会にいらっしゃらなかったというのは実は大変重いことなんです。

 まず伺いたいのは、大臣はこの間に三つの答弁をされています。これは、四月の五日に、朝、理事会に持ってこられました中城メモ、その後の本会議場で鮫島議員の質問に対して答弁をされた内容、そしてまた四月の七日に本会議場で村越議員の質問に答弁をされたもの、そしてまた四月の八日に記者会見で述べられていること、四つの内容の答弁をこの間にされているんです。一体どれが正式な見解なのか、なぜ当委員会に四月の五日に出てこられなかったのか、もう一回、きちっとした形で伺いたいと思います。

竹中国務大臣 松野委員から私のこれまでの発言について言及をいただきましたが、これらは、私の情報収集、伝達等々に不十分な点がございまして、きょう改めて、午前中にも御答弁をその意味も含めてさせていただいたところでございます。

 まず、四月の五日でございますが、郵政民営化法案に関しまして、その直前の週末、二日、三日の土日で関係閣僚間で調整をいたしまして、最終的に総理の裁断をいただいた政府の方針をこの日早急に各省にお伝えして、各方面の御意見を踏まえた法案を取りまとめることが必要であるという状況に私自身がございました。こうした状況のもとで、私はこの日、執務室で作業の総合的な指揮をとっていたところでございます。

 そして、委員会の関連でございますが、この四月五日の理事会におきまして、与党理事からの御要請によって、担当審議官から、このような私の置かれた状況につきまして率直に事情を御説明し、委員会の答弁は副大臣対応でお願いしたいとの趣旨の発言をしたものと聞いております。私自身の出席については、他の日程でお願いしたいというふうに考えていたところでございます。

 いずれにしましても、そうした点につきまして、いろいろな経緯があります中で、こうした情報収集、伝達について私どもに不十分な点がありまして、状況を正確に把握していなかった点がございました。その意味で、関係各位に御迷惑をおかけした点についてはまことに申しわけなく思っておりまして、今後、的確な情報伝達が行われるように努めてまいりたいというふうに思っております。

松野(頼)委員 では、その情報伝達について聞きたいんですけれども、金曜日の理事会の段階で合意ということがなされているんです。正式な議会の中での理事会というのは、あとは、金曜日をまたいだら、当日の五日の委員会前の理事会しかないんですよ、大臣。金曜日の段階では、御出席なさることは確認されていましたよね。伺います。

竹中国務大臣 当日、私自身は、これは副大臣で御対応いただくというふうに承知をしておりまして、当日というのは四月五日でございますけれども、そうした点について、先ほど申し上げましたように、情報の収集、伝達につきまして私どもに不十分な点がありまして、状況を正確に把握していなかったというふうに思っております。この点、御迷惑をおかけしたことを申しわけなく思っておりまして、こうした情報伝達が正確に行われるように努めたいと思っております。

松野(頼)委員 違う。私が聞いているのは、金曜日の段階であなたが知っていたかということなんですよ。

竹中国務大臣 私自身は承知をしておりませんでした。

松野(頼)委員 では、だれが伝えなかったんですか。

竹中国務大臣 調整中だというふうに理解をしておりまして、そうした点で、先ほど申し上げましたように、情報の収集、伝達について大変不十分な点があったと思っております。この点、御迷惑をおかけした点について、まことに申しわけなく思っているところでございます。

松野(頼)委員 委員長、ちょっと質問に答えていないので答えさせてください。だれから聞いたんですか、それを。

竹中国務大臣 直接は副大臣から、調整中であるという旨を聞いておりました。

松野(頼)委員 副大臣があなたに伝えるんですか。もう一回答えてください。

竹中国務大臣 金曜日の時点では、そのように私は理解をしておりました。

松野(頼)委員 理解じゃなくて、あなたが聞いたのは、だれから聞いたんですかという質問です。

竹中国務大臣 副大臣でございます。

松野(頼)委員 では、その副大臣はだれから聞いたんですか。

西川副大臣 副大臣ですけれども、御答弁申し上げます。

 私どもの方は、内閣委員会については竹中大臣に無条件で出てもらおう、こういう考え方でやってきています。他委員会についてどうするんだ、こういうことにつきましては、与野党間の理事がそこで合意をした場合、私どもに真っすぐおりてきますので、そのときには大臣に出ていただこう、こう考えておりました。

 そういう中で、金曜日の時点では与野党でそういうお話し合いがあったことは聞いておりますが、私が報告を受けたのは、週明けてもう一度お話し合いをしますということで自民党側ではそれを持ち帰った、こういう報告を受けておりまして、それじゃ政党間の理事の協議に任せましょう、こういうことを大臣に報告したところでございます。

松野(頼)委員 では、金曜日の夕方に竹中大臣は出席の要請が来ているということは御存じだったんですね。

竹中国務大臣 その件について調整中であるというふうに聞いておりました。

松野(頼)委員 調整中ではなくて、要請が来ているということは知っていたんですね。

竹中国務大臣 要請があったかと別に確認したわけではございませんが、要請があったことを受けて調整しているというふうに自然に認識をしておりました。

松野(頼)委員 では、御存じだったのに、なぜ委員会に出ないということをお決めになったんですか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、金曜日では調整中であるというふうに聞いておりまして、その当日は副大臣対応であるというふうに承知をしていたからでございます。

 ただし、その点については、先ほども申し上げましたように、情報の収集、伝達について私どもに不十分な点があったというふうに思っております。

松野(頼)委員 情報の伝達はちゃんとされて、あなたの耳に届いているじゃないですか。先ほどおっしゃった情報の伝達が不備だったという理由は、また違うんじゃないですか、この答弁は。

竹中国務大臣 調整中だというふうに聞いていたわけでございます。

松野(頼)委員 調整中じゃないんですよ。要請があったから、あなたのところに要請が来たんでしょう。調整するのは議会の問題なんですよ。違いますか。

竹中国務大臣 それで、議会において調整中だというふうに聞いていた次第でございます。

松野(頼)委員 私が聞いているのは、あなたのところに情報がきちっと届いて、要請があった、調整中だという情報があなたのところに届いているわけですね。そうすると、けさ言った答弁と違うんじゃないですか。

竹中国務大臣 けさ申し上げた答弁と、ちょっとどこが違うのか御指摘をいただければと思います。

松野(頼)委員 情報収集がうまくいかなかった、情報伝達がうまくいかなかったということで、あなたの耳に届いていないならば、その理由はそうかもしれません。だけれども、現場から要請が来ているということはあなたの耳に届いていたわけですよね。これは憲法六十三条に規定をされる委員会への出席なんですよ。それを調整中ではなく、私のところには承諾されましたということで来ていますよ。

西川副大臣 私どものこの郵政に対する取り扱いでありますけれども、審議官あるいは郵政の準備室からの報告は、私のところへ一回上がってきます。そして、私なりの判断をしまして大臣にお伝えする、こういう形をとっています。

 今回の問題は、民主党の皆さんから、竹中大臣に出席するように、こういうお話がありましたが、私どもとしましては、できる限り違う日にちに大臣を出させていただいて、そして御質疑に答えていく、こういうことができればと希望していました。

 そういう中で、合意をされた、されないというのは、私どもは報告を、今度は逆に政党間の話を、審議官を通して私に上がってきますが、週が明けてからもう一度正式に政党間で持ち帰ったものを協議する、こういうことでありましたので、また、内閣委員会でなくてこの総務委員会ですから、合意があった、ない、あるいは私どもの自民党からの指示を待っておりましたけれども、もしお許しをいただけるのであれば副大臣である私が答弁したい、こういうことで、私はそのような受けとめ方をしておりまして、決まっていないと解釈をして、大臣に出席を要請はしなかった、こういうのが実情であります。

松野(頼)委員 それは、私たちが理事をしていまして、大臣がどうしても出られませんから副大臣対応でお願いしますということは多々ございます。ただ、それはほかの委員会に、主務委員会に出るからそうしていただけませんかという話は多々あるんです。これは議会と議会の問題なんですよ。そこに政府が口を挟む問題じゃないんじゃないですか。

 では、なぜ口を挟んだんですか。

西川副大臣 私の話から、口を挟んだと聞こえますか。そうじゃないでしょう。私どもは、政党間の調整をやっているのを、その結果を受けて審議官を通して私に上がってくる、だから調整の状況を見守っている、こういうことでありますから、私は口なんか出しておりませんよ。理解してください。

松野(頼)委員 だって、あなたが副大臣対応でお願いしますと言ったわけでしょう。(発言する者あり)では、だれに言ったんですか。

西川副大臣 私がだれに言ったかという質問じゃありませんで、私は、中城審議官を通して、当日のペーパーにも書いてあるとおり、これを受け、本日中の法案概要の取りまとめを目指しており、その調整は法案の早期提出のため一刻の猶予もない状況にありますことを御理解いただきたいと思いますという文章の中で、最後に、このため本日の総務委員会は西川副大臣の答弁で対応させていただきたいと存じますということを中城審議官からお願いしているはずであります。

松野(頼)委員 麻生大臣、大臣の立場で、法案の取りまとめで忙しいから委員会に出られませんということはありますか。

麻生国務大臣 立法府からの要請に対して行政府の長というものは、委員会で与野党理事間の合意というのがなされたのであれば、通常、委員会の出席が優先されるというのが過去の国会における前例だと存じます。

松野(頼)委員 そのとおりなんですよ。議会と議会の問題で、ほかの主務委員会に出るから勘弁して、副大臣対応でどうですかという例は多々ございます。それは私たちは議会と議会の問題だから納得をするわけでありまして、法案の取りまとめという理由で大臣を副大臣対応にしてくれという話は当然納得できないわけですよ。そうでしょう。これは政府と議会の問題ですから。

 だから、今回のこの一連の騒動にしても、なぜ、この総務委員会が一致してこういう形になっているのか、もうこれは与党と野党の問題じゃないのですよ。政府と議会の問題なんですよ。何か漏れ聞くところによると、現場の理事が悪いとか、そういう話も出ているように言われていますけれども、現場の理事は何にも悪くない。当然、その理事会で話し合われたことをただこういう要請が出ていますといって上に上げているだけなんですよ。

 ですから、少なくとも竹中大臣は金曜日の夜に委員会から出席の要求が来ていることは知っていたわけですよね。違いますか。

竹中国務大臣 国会から出席を求められたときは出席しなければならないのは当然のことでありまして、私としても今後とも与野党で合意されたところに従って誠実に対応してまいりたいと思っております。

 金曜日の時点においては、まだ調整中であるというふうに私は聞き、認識をしておりました。いずれにしても、これは情報収集の伝達について私どもに不備な点があったわけでございますから、この点について、御迷惑をおかけした点についてはまことに申しわけなく思っております。今後、こうした情報伝達が的確に行われるようにしっかりと努めたいと思っております。

松野(頼)委員 議会が調整中の話は政府に上がりません。上がったということは調整がついているのです。違いますか。

竹中国務大臣 調整中であるというふうに聞き、そのように認識をしておりました。

松野(頼)委員 だって、西川副大臣が竹中大臣にその話を上げているわけでしょう、要請が来ているということは。今答弁されましたよね。議会の調整中の話が内閣に上がるのですか。

西川副大臣 どんな状況で今話し合いが進んでいるかというのは私どもも常に関心を持っておりまして、どういう状況で進捗しているかというのは私どもは最大限気を使いながらそれの情報収集をやっております。

松野(頼)委員 では、その調整中というつかんだ話で副大臣対応でお願いしますというペーパーを出したわけですか。

西川副大臣 できれば別の日にお願いしたいという気持ちがありました。いいですか。そういう中で、どうしてもこのままいくということで話し合いが与野党間の理事さんで行われるということになれば、大臣が出るのが本来の姿でありますが、事情を御賢察いただいて副大臣対応でお願いできませんか、こういうことを申し上げておったのは事実です。

松野(頼)委員 違うんですよ。議会での調整中という話は正式に内閣には上がらないのですよ、政府には。そうでしょう。これは議会の中の話で、副大臣がどういう話し合いが行われているのかつかんだという話はわかります。ただ、つかんだ話に副大臣でお願いしますというふうに答えていらっしゃるのもおかしな話です。そうでしょう。政府に上がったということは、正式なルートで行くと議会は合意しているから政府に上がっているわけですよ。そうでしょう。だから、正式に上がったから副大臣対応でお願いしますというペーパーを出したわけでしょう。違いますか。

西川副大臣 私どもが情報を収集しておりますね。それで、これは延期をしてそれでは後日になるかということも想定の一つに入ります。それから、与野党間で合意をしていただいて、副大臣対応でよろしい、あるいは政府側から出てきてそれで対応してよろしい、あるいは何が何でも時間をずらしても大臣でなければならない、どの決定になるかわかりませんが、それは与野党間の理事の決定に私どもは従う、こういうことであらゆる対応ができるような準備をしておった、こういうことです。

松野(頼)委員 だから、話がかみ合っていないようですけれども、金曜日の夜の段階で正式に上がったわけでしょう。あなたがうわさレベルでつかんだ話ではなくて、では正式に政府にその話が行っているわけですね。

西川副大臣 私どものところへ来ているのは、決定した、与野党で合意をしたという話が来ているわけじゃないのです。金曜日の段階でそういう話し合いがされましたが、週が明けて自民党の理事さんが持ち帰ってそして再度話し合いをしてくださる、こういうふうに私は報告を受けております。

松野(頼)委員 持ち帰った後に私のところにオーケーですという返事が来ているのですよ。金曜日の段階ですよ。ですから、それと符合して、この出しているペーパーが、副大臣対応でお願いしますということを出しているわけですから、ちゃんと上がってきているじゃないですか、こっちに。戻しているでしょう。

 竹中大臣は、少なくとも金曜日の夜に要請が来ていたことは確認していますね。

竹中国務大臣 そのようには伺っておりません。調整中であるというふうに報告を受けておりました。

松野(頼)委員 何度も言っているように、調整中の話は政府に上がらないのですよ。上がったということは、きちっと調整がされて上がっているのですよ。こんなのは当然のことじゃないですか。答えてください。

竹中国務大臣 調整中であるというその状況について、副大臣から報告をいただいておりました。

松野(頼)委員 金曜日に五十嵐さんのところに質問取りにあなたの担当のところの郵政民営化準備室が来ているのですよ。では、それは何ですか。

西川副大臣 私どもの方で質問をお伺いに行ったのは何時かといったら、五十嵐先生のところにお伺いしたのは四月一日十五時半ですね。その時刻の時点で与野党間の話がどうなっているかはわかりませんが、いつでもどのような対応でもできる、こういうことに対しまして私どもが準備をするのは至極当然のことだと思います。

松野(頼)委員 では、月曜日に田嶋議員、伊藤議員のところに行ったのはなぜですか。

西川副大臣 だれとだれのところに行ったかというのは詳しくは承知しておりませんが……(松野(頼)委員「おかしいじゃないか、今五十嵐さんのはちゃんと時間まで言ったじゃないか」と呼ぶ)いや、すべての議員に対して詳しく承知をしているわけではありませんが、質問をされる方々で私どもの竹中大臣あるいは私あるいは政府参考人に対して質問があるかないかということは前もって承知をしておく、これは至極当然の話でございまして、ありとあらゆる面を想定した準備をしておった、こういうことであります。

松野(頼)委員 では、少なくとも竹中大臣は質問が来るかもしれないということは知っていたわけですね。

西川副大臣 それはもう当然のことでありまして、与野党間の協議で合意がされれば、竹中大臣が出ることもあったでしょうし、私がかわって答える立場になったかもしれませんし、与野党間の合意をお待ちしておった、こういうことでございます。

松野(頼)委員 そうすると、けさの竹中大臣が御答弁をされた、情報伝達がうまくいかなかった、では、そのうまくいかなかったところはどこですか。

西川副大臣 うまくいかなかったという発言をされましたが、うまくいった面もあるんです。しかし、最終的に、うまくいっていない面と大臣は判断しておりますが、これは途中でこの委員会が開催をされないということになりましたから、そのときにはもう大臣にはちゃんと報告は行っておりますけれども、開催されるかどうかということも、あるいは与野党間の理事がどう合意されるかもわからない、ここの面については、私のところでとまっておりますので、大臣と私の間の情報伝達にそごがあった、こういう状況であります。

松野(頼)委員 ちょっと基本的なことを伺いたいんですが、西川副大臣は竹中担当大臣のサブの大臣なんですか。

西川副大臣 私は、内示を受けましたときにも、竹中経済財政担当大臣、あわせて郵政民営化担当大臣に対する補佐をするように、こういう仕事を、職務分担を命ぜられておりますので、竹中大臣を補佐する立場である、こう理解しております。

松野(頼)委員 内示には、郵政民営化担当副大臣という内示はないと思いますけれども。

杉浦内閣官房副長官 内閣府は、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務としております。内閣府設置法三条でございます。それを根拠にいたしまして、西川公也内閣府副大臣に対する副大臣任命の際の総理の指示、これは文書になっております、指示書になっておりますが、内閣府副大臣に対しては、「内閣府本府の事務のうち、経済財政政策及び国民生活関係の政策を担当するとともに、郵政民営化担当大臣を補佐していただきたい。」という指示書が出されております。

松野(頼)委員 郵政民営化担当を補佐してくれという内示は出ているんですが、郵政民営化担当副大臣という内示は出ていないんじゃないですか。

杉浦内閣官房副長官 もちろん、内閣府の副大臣でございます。

 竹中大臣は、内閣府の経済財政政策を担当される国務大臣であって、同時に、内閣から郵政民営化担当という命を受けておられるわけでありまして、その竹中大臣を補佐する西川公也内閣府副大臣及び木村勉内閣府大臣政務官は、同時に、郵政民営化についても竹中大臣を補佐するように総理から指示が出ておるわけでございます。

松野(頼)委員 内閣府副大臣であることは確かです。

 ただ、郵政民営化担当副大臣というのはいないんですよ。竹中大臣というのは、内閣法三条の二項に規定する無任所大臣なんです。無任所大臣の副大臣というのはいないんですよ。そうでしょう。

 なぜ、西川副大臣が、議会の話を伝達するのに、あなたを通して竹中大臣に伝わるのですか。法的に説明してください。

杉浦内閣官房副長官 内閣府設置法第三条、「内閣府は、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。」という法律を根拠にしていると解しておりますが、西川公也内閣府副大臣は、内閣府の副大臣として、内閣府本府の事務のうち、経済財政政策及び国民生活関係の政策を担当するという命を受けるとともに、これを根拠として、内閣の定めております郵政民営化の事務を助けるという任務を総理から与えられたというふうに理解いたしております。

松野(頼)委員 国家行政組織法上でいいますと、内閣府の主任大臣は内閣総理大臣、その下の官房長官を補佐するという立場が内閣府副大臣なんです。

 ですから、竹中大臣とあなたの間には主従関係はないし、あなたを経由して竹中大臣に情報が上がること自体おかしいんですよ。それは、国家行政組織法に照らして全くおかしい。ですから、情報伝達が悪かったということでありますけれども、今でも情報伝達のシステムは法的にはおかしいんですよ、大臣。

 そういう中で、少なくとも金曜日の夜にこのことをあなたは知っていたわけでしょう。調整中の話は内閣には上がりませんから。調整中の話は議会の中でとまる話ですから、少なくとも要請があるということに対しては御存じだったというふうに認識をさせていただかなくては、幾らやってもこの話は終わらなくなります。当然の話ですよ。もう一回答弁してください。

竹中国務大臣 今、議会でいろいろなお話し合いがなされている、先ほどから申し上げておりますとおり、調整中であるというふうに報告を受け、そのように認識をしておりました。

松野(頼)委員 ということは、少なくともあなたは、当委員会に出席の要請が来ているということに対して、法案の取りまとめが忙しいからという理由で出席を断っている、このことの確認はよろしいですね。断ろうとしている。

竹中国務大臣 私どもの認識は、そういうふうな調整を議会においてしていただいている、そういう調整中にあるという中で、当日の四月五日における私の事情について御説明をして、御理解をいただいていたというふうに理解しております。

松野(頼)委員 少なくとも、調整云々というよりも、まず、そういう要請が来ていたにもかかわらず、憲法六十三条に定める委員会への出席を副大臣対応で、その副大臣も非常にあいまいですよ、郵政民営化という部分に関しては。その対応でお願いしますというふうに言っているわけですね。それは間違いないですね。

杉浦内閣官房副長官 西川副大臣のお立場は決してあいまいではないと思います。西川副大臣の竹中大臣に対する立場は、内閣府の副大臣として明確であります。指揮命令系統のもとにあります。しかも、総理からこの問題について、つまり郵政民営化の問題について補佐しろという指示を受けておるわけですから、あらゆる面にわたって、補佐は補佐でございますので、国会対応でも何でも大臣を補佐するということは、明確に役割として入っているというふうに思います。

松野(頼)委員 今、あと五分という紙が入りました。もう幾らやっていてもこのことは水かけ論であります。もう一度議運に差し戻していただいて、もっと正確に、一体なぜこういうことが起こったのかということを、委員長、ぜひもう一回議運で、しっかりとした、これは議会と政府の問題ですから、議運に戻して、もう一度このことはしっかり審議していただくことを強く要望いたします。

実川委員長 理事会で協議いたします。

松野(頼)委員 時間があと五分となりました。内閣法三条二項に定めるスポーツ担当大臣の麻生大臣、法的に言うと同格なんです。麻生大臣に、ちょっと別の件で伺いたいことがあります。

 実は、今ちょうど環境省のパブリックコメントでも十万件を超しましたオオクチバスの規制に関してであります。

 パブリックコメントで十万件以上のものが上がるということは、過去に環境省においては例がない。その九割がこの規制に反対をしているということであります。

 釣りというのは、当然一つのレジャーでもありスポーツでもある。特に、キャッチ・アンド・リリースをする釣り、これはスポーツフィッシングだというふうに私は理解をしております。ですから、今までのちょっと年寄り臭いだとかいうイメージが払拭をされて非常に若者の間で大きなブームとなり、また、芸能人やタレントの皆さんやそれぞれの著名人もルアー釣りというものに参加をしているんですけれども、このオオクチバスが今規制をされようとしている、また、子供たちが本当に今、ゲーム、パソコン、家の中で遊ぶことが多くなった現実の中で、こういう一つの屋外でのスポーツフィッシングというものが規制をされようとしていることに対しまして、非常に私は危惧をしているんです。

 スポーツ担当大臣として、麻生大臣の所見を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 まず最初の方の御質問ですが、松野先生、大臣というのは三種類あるんだと思うんですね。ですから、行政事務を分担管理する法務大臣とか総務大臣という大臣と、いわゆる法律上の事務を分担する防衛庁長官とかそういった意味の大臣と、その他のいわゆる担当大臣、いわゆる無任所大臣と言われるところで、三つあるんだと思うんですね。

 その中でスポーツ担当大臣なんというのは、基本的にスポーツ担当大臣などという名前はいまだかつてありませんから、スポーツという名が行政法上に出たことは過去一回も多分例がない。これは文部省の体育関係のところで出てくるところだと思いますので、初めてこういう例が出てきたので、言われた本人もかなり慌てて、元オリンピック選手だったからいきなりスポーツ担当なんて言われたって迷惑のきわみですから、正直、困っちゃったなと思っておりますけれども。

 今のオオクチバスの話につきましては、松野先生、これはまだ正式に最終決定が環境省で行われたわけではないんですが、いろいろな観点で、今、外部の意見の徴収ということでパブリックコメントに付されておるという状況にあって、非常に多くの反対が寄せられている事実に関しましてはよく知っております。

 これが外来種として在来種をいろいろ迫害する、食べちゃう等々、いろいろな話があるんですが、これについての調査もはっきりまだ出たとは言いがたい段階であるように思っておりますので、実態に即した対応を図る必要があるであろうと思っております。

松野(頼)委員 閣議決定物だそうなので、閣議は御承知のとおり全会一致が基本でございますので、ぜひスポーツ担当大臣として、決定する閣議の際には反対の表明をしていただきたいということを申し添えまして、また、もう一つ、きょうの議論でも、竹中大臣が三つの今まで言った公的な答弁、これもまだ全然明らかになっておりませんので、どうかしっかりとそこのところを明らかにしていただいて、政府と議会のルールというものをもう一回考え直していただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。よろしくお願いします。

 オオクチバスで一息ついた後、またもう一度竹中さんの四月五日の件に戻らせていただきたいと思います。

 またかというふうに内心うんざりされておられるかもしれませんが、やはり手続というのは民主主義の基本だと思います。それをいいかげんにするということだとやはり民主主義の根幹が揺らいでしまう。昨年の通常国会でも年金の強行採決というのがありました。今回、竹中大臣がこういった形で、ドタキャンじゃないという御本人の御主張ではございますけれども、やはり大きな問題があったというふうに考えております。

 そこで、これまで三人の民主党議員が質問をしておりますが、若干切り口を変えて、再三大臣のお口からは情報の収集、伝達が不十分だったというコメントがございました。ならばお伺いしたいのですけれども、今回のこの総務委員会において竹中大臣が御答弁をされるということは何か従来にはない非常に特殊なことだったのかどうかということをお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 今委員がお尋ねの特殊ということの意味、ちょっと私きちっと理解していないかもしれませんが、これは当然のことながら、どの委員会であれ、きっちりと与野党間で合意をしてここで答弁しろというふうに言われたものについては、これはすべて私たちはしっかりと答弁をする責務を負っているというふうに思っております。

田嶋(要)委員 特殊というのは、要するに、御自分の担当というか、麻生大臣がおられるところに大臣としてこちらに来られて御答弁をされる、それは、議員から要請があれば、当然よくあることでございますので、それは決して特殊なことではない。にもかかわらず、なぜかこの郵政の関係の質問をする第一回目という今回に限って、そうした情報収集、伝達の問題が起きてしまったというのが非常に不思議でなりません。

 これは偶然こういうタイミングでただ起きてしまったことであって、今の内部の情報収集、伝達のやり方からすればいつ起きてもおかしくないことがたまたま今回起きたのか、そうじゃなかったのか、いかがですか。

竹中国務大臣 情報の収集、伝達で不十分な点があったわけでございますから、これが今回こういう形で皆様に御迷惑をおかけしたということになっているわけですが、これはもう収集に、私を含め一人一人がしっかりと心して今後当たっていかないといけない問題であると思います。

 委員の御趣旨はたまたま今回どうしてなのかということだと思いますが、幾つかの要因が重なってこうした御迷惑をおかけしてしまったというふうに思っております。

田嶋(要)委員 では、こういうことが起きて、次回からはこういうことが起きないようにというので、通常は再発防止ということになると思うのですが、どういうふうにこれが二度と起きないような再発防止策を考えられておるか、あるいはもう既にとられておるのでしたらそれをお話しください。

竹中国務大臣 今回、関係者、私のところで、今回のような御迷惑をかけることがないように一人一人がしっかりと注意しよう、その上で、例えばいろいろな連絡室の体制とか必要なことがあれば見直していこう、今回のことを反省して知恵を出してしっかりとやっていこうというふうに申し合わせたところでございます。

田嶋(要)委員 では、一人一人がもっと注意しようということで、根本的な解決策は恐らくないということで、こういったことはひょっとしたらまた今度も起きるかもしれないということをおっしゃっていますか。

竹中国務大臣 いえ、もちろんそんなふうには考えておりません。

 これは一人一人がしっかりと対応すればこういうことは防げる問題であると思っておりますので、これは私を含めてしっかりと対応して、御迷惑をおかけしないようにしていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 それで、再三、本日も大臣の方から陳謝の言葉があったと思いますけれども、総務大臣にお伺いしたいのですけれども、これで終わりにしていいんでしょうか、総務大臣の御意見を伺いたいと思います。

 こうしたことが今回起きました。民主党は、きょう、本会議場でも大臣の辞任ということを申しましたけれども、竹中大臣の方からは陳謝の言葉が再三出ました。麻生大臣の御意見として、本件はこれでよかろうというふうなお考えでしょうか、総務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 今、行政と立法の違いを篤と皆語られたわけですから、改めて立法が行政の意見を聞くなんというのはおかしいと自分で思いながら聞いておられるのでしょうけれども、少なくとも立法府できちんと話をつけられるべきお話だと存じます。

田嶋(要)委員 麻生大臣、では、竹中大臣御自身が陳謝をされた、それ以上に関しては、どういうふうに身を処すかということに関しては何か御意見ございますか。

麻生国務大臣 政治家になっておられますので、身の処し方は御自分できちんと決められるべきものだ、それは当たり前の話なんじゃないかと存じます。

田嶋(要)委員 では、郵政民営化の話に入りたいと思います。

 まず、民営化というのがこれだけマスコミをにぎわすようになって、先ほど竹中大臣の方も言われたとおり、確かに、最近の世論調査の結果でも、民営化に対する、まあいいんじゃないかというような声がふえているという結果は私も拝見をいたしました。手元にある内閣府の世論調査の結果でも、どちらかというと賛成というような意見が多くなっているというのは事実だろうと思います。

 ただ、午前中の御答弁の中でもあったと思いますが、なぜほかのさまざまな重要な我が国の直面する政策課題を押しのけてまでこの郵政民営化をやらなきゃいけないのかということに関しては、世の中にアンケートをとられたということはないと思います。そして、かなり昔のデータとして、郵政民営化が大変重要だというふうに考えるというランクは、年金、社会保障制度その他に比べて極めて重要だというふうに考えている国民は非常に少ない。

 結局、今マスコミで書かれているがゆえに、そしてあれだけ総理あるいは竹中さんが言われているがゆえに、民営化ということに関して、昔、橋本行革のころにあった民営化、その後民間会社になったそれぞれの三公社がそこそこやっているというような印象があって、何となくポジティブなイメージの中で、民営化というのはいい話なのかもしれないというふうに考えておられる国民が大変多いんじゃないかというふうに思いますけれども、やはり、なぜ今回この郵政の民営化をする必要があるのかということに関して、私は、国民は本当に深い理解をしていないのではないのかなというふうに思います。

 まず冒頭、今回のこの郵政の民営化がなぜ行われようとしているのか、それによって何を得るのかということをもう一度御答弁いただきたいと思います。

竹中国務大臣 郵政の民営化、これの重要性についてのお尋ねでございますが、まず、田嶋委員御指摘になられた中でございましたが、決して他の政策課題を押しのけてこれをやろうということではないわけでございます。景気も重要、社会保障も重要、年金も重要、そういうことと、ほかの政策、重要な政策は重要な政策としてしっかりやってまいります、同時にこの郵政民営化も極めて重要であるという認識に立っているわけでございます。

 お尋ねの、なぜ今まさに民営化なのかということでございますが、これは、一言で言えば、民間でできることはやはり民間で行うことによって経済全体を活性化していく、その重要なてこにしようということに尽きるわけでございます。

 個別に郵便事業について見ますと、これもけさほどから何回か御答弁を申し上げておりますけれども、IT革命によって、Eメールの普及によって、郵便の取扱高は年々二ないし二・五%減少している。一方で、物流サービスが大きく変貌して、ドイツやオランダでは民営化された郵便会社が国際業務に非常に展開をしているというような状況が出現をしている。金融においてもまた、技術革新が進む中でさまざまな金融商品があらわれて、企業や家計の金融行動が著しく変化する中にある。

 そういう中で、郵政という国民生活に極めて重要な存在、これが将来にわたって持続可能で安定的なサービスを提供していけるようにするためにも、まさに今民間活力を導入して経営をしっかりとして、もって国民に対して、生活者のサービスも向上させていくということが必要であろうというふうに判断をしているわけでございます。

 こうしたメリットについて、さらに私たちとしては、国民の皆様にしっかりと御理解していただけるような、そういう説明責任を果たしていきたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 組織を民営化するとサービスは向上するんでしょうか。

竹中国務大臣 もちろん、これは民営化がすべて、一〇〇%ということではありません。きちっとした民営化を行って、その中に、委員もコンサルティング会社等々におられましたから、まさに民間の活力の中でコーポレートガバナンスの仕組みをしっかりと発揮させて、企業は企業として市場の中で厳しい競争を、健全な競争を行って、競争と市場の目、株主の目、コーポレートガバナンス、そういうものを組み合わせることによって経営が効率化していく、このメカニズムは私はやはり大変重要であるというふうに思います。

 そういうメカニズムをしっかりと取り入れられるような民営化をしたい。同時に、この郵政については、一方で非常に大きな社会的な機能も果たしておりますから、その社会的な機能については引き続きしっかりと果たせるような仕組みをこの中に入れていきたい。そういう観点からの制度設計を行っているわけであります。

田嶋(要)委員 私はコンサルティング会社にいたことはないんですけれども、民営化した年のNTTに入社をいたしまして、みずから民営化ということを中から見ておりました。

 私の考えは、民営化によってサービスはよくならないと思うんです。そうじゃなくて、競争環境を整備することによって切磋琢磨が始まるんじゃないか、私はそのように考えておるんですが、竹中大臣はそれは同義だというふうにお考えですか。

竹中国務大臣 今申し上げたように、市場における健全な競争、そして市場の目、コーポレートガバナンスの仕組み、そういうものを通して経営というのは改善していくものであるというふうに思っております。

 その際に、民間企業の仕組みというのは、公的な企業の仕組みに比べて、やはりコーポレートガバナンス等々、しっかりとしたものにし得るものである。同時に、競争するには、背後に国家という絶対的信用を背負って競争するということは、これは他の民間企業との関係でできないわけであります。

 ですから、民営化して、それで同じベースで、イコールフッティングのもとでしっかりと競争をしていただく、これがまさに民営化の意味であり、その背後にあるのは、申し上げましたように、市場における健全な競争であり、そしてコーポレートガバナンスの強化であるというふうに思っております。

田嶋(要)委員 恐らく国民が、民営化という言葉から、どちらかというといいイメージを持っている過去の実績、三公社、これは平均すると三十五年間公社としての期間があったんですね。その後に民営化をそれぞれしておるわけです。

 何で今回、二年ですよ、中期の四年もたたないわずか二年、要するに実績をどうはかるかもさっぱりわからない時点で、しかも、とりあえず、厳しいと言われる郵便事業も、前年度あるいは今年度も二百億以上黒字化するというような見込みが立っておる中で、私にはさっぱりわからないですね。何でわずか二年、普通だったらもう少しやらせてみるんじゃないのかなという感じがします。

 そしてまた、中にいる人間、私は中にいた人間として思うんですが、組織をひっくり返されるということは大変なコストだと思います。いろいろな意味でそこでストップしてしまう。本当に、混乱というか、実際のコストだけじゃないですね、人の意識の、インセンティブの問題もあると思います。

 だから、先ほど私が申し上げた、ほかの重要政策課題を押しのけてまでというのは、やはり非常に無理のあるスピードで、何でこんなに慌てて、おととし公社化したばかりじゃないか、ちゃんとリーダーも新しいリーダーをそこに置いてやっているんだから、その人にまずは全力でやらせてみる、改革をやらせてみる、それが普通の感じじゃないか、三十五年、これが十分長いか、これは長過ぎるかという議論はあるかもしれませんが、わずか二年ですよ。どう思いますか。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、外から生田総裁が入られて、その生田総裁のリーダーシップのもとで公社がまさに一丸となって一生懸命経営改革を行っている。その姿を国民も見ておりますし、国民もその点は非常に高く公社を評価しているのだと私は思います。

 その意味では、公社の御努力というのは私も大変多とするところでございますが、それでもなお郵政を取り巻く環境というのはやはり厳しいということだと思います。先ほど公社の山下理事がおっしゃっておられたとおりでございます。とにかく経営改善を一生懸命やっている。しかし、それでも環境は厳しい。その環境が厳しい中には、やはりさまざまな技術革新がある。郵便における革新、金融における革新、国際物流の進展。そういったことを踏まえますと、中期経営計画そのものを見ても、やはり今後の経営見通しは楽観が許されないということが示されているわけでございます。

 このような環境変化に適切に対応するためには、やはり早く改革をすること、改革を加速すること。とりわけ、この公社は大変大きな存在でありますから、これが民間の市場の中できちっと自立するためにはやはり相当の準備期間と移行期間を置かなければいけない。移行期間、ドイツでも十年を超えておりますけれども、私たちもその準備期間としては十年程度はかかるだろうということを想定しているわけです。

 そうしますと、先ほど、十年後の本当の姿というのはなかなか描けないというお話、これは麻生総務大臣からもございましたけれども、その十年という移行期間を考える場合に、やはり今の環境激変の中で、一刻も早く改革に着手して、民営化に着手するということが私は重要であろうというふうに思います。

 委員御指摘の中で、その中で働いておられる方々の立場、組織の人の思いというのをしっかりと踏まえなければいけない、これは言うまでもなく大変重要なことでございます。我々は、改革を進めるに当たって、まずそのために五原則というのを掲げて、その五原則の中に、公社の資源をしっかりと活用すること、雇用に対してしっかりとした配慮をすることというのを織り込んでいるところでございます。そういうことも踏まえた責任ある制度設計をしたいというふうに思いまして、今さまざまな調整を行っているところでございます。

田嶋(要)委員 厳しい経営環境にある企業というのは、もうそこらじゅうにあると思いますね。だから、それはさまざまな民間の企業も悪戦苦闘しておるわけですが、そうした意味では、やはり私は、今経営のかじ取りをしている生田総裁以下の経営陣にもっと知恵を出してもらって、そして、厳しいなら厳しい中でこれからどうやってサバイブしていくかというさまざまな知恵出しをし尽くす必要がまずあるんじゃないかなというふうに思います。

 そうしたプロセスというのは、今回ちゃんと踏んでおるんですか。要するに、逆に言えば、公社の形態のままでもうやるべき手段は何もないんでしょうか、これから経営改善を図っていくための。いかがでしょう。

竹中国務大臣 当然のことながら、公社の環境変化を考えて、公社の将来を考えるときに、郵政公社のままでどこまでできるかというのは大変重要な論点の一つだと私も思います。

 公社というのはしからば何かということになりますけれども、これは公的な目的のために存在している会社でございます。その公的な目的でどこまでできるかということになるわけでございますけれども、これは一例としてわかりやすく預金、銀行の部門を取り上げればいいわけでございます。この巨大、しかも規模が非常に大きな預金が公社のままで一体どのくらいの自由度が持てるんだろうか。これは、銀行というのは信用を背景としたものでありますから、国家という絶対的な信用がそこにあって、それで自由度を取り入れるということになりますと、これは当然のことながら、周りの民間業者との競合というのが大変深刻な問題になってくるわけでございます。

 既に、宅配等々に関して訴訟等々も起きておりますけれども、これはやはり、民間から見ると、非常に大きな国が背後にある組織が経営の自由度を拡大していくということに対する懸念というのは当然にあろうかと思います。どこまで公社でぎりぎりそれが許されるかというのはいろいろな議論があるかもしれませんが、これはしかし、そういった民間の懸念等も考えるならば、やはり民営化をして、同じ条件で競争をしていただく、これがどうしても私は必要になってくるのではないかと思います。

 また、経営改善の立場からも、これは公務員としての給与体系等々がここの中に反映されているわけでありますから、公務員として仕事をしていただくということに関しては、いわゆる革新に向けてのインセンティブ等々で、これはやはり私は限界があるのではないかというふうに思います。

 その意味では、こうした環境変化を踏まえた上で、やはり民営化をして、経営の自由度を持っていただくということが一番重要。経営の自由度を持つに当たっては、民間とのイコールフッティングに配慮しながら、まさに委員おっしゃった競争をしっかりとしていただく、そういうメカニズムを民営化を通して織り込んでいくことが大変重要であるというふうに思っているところであります。

田嶋(要)委員 今の御答弁の冒頭に、公社は公的な目的があるとおっしゃいました。これは、民営化されたら公的な目的はなくなるんでしょうか。

竹中国務大臣 御承知のように、政府としては、持ち株会社のもとに四つの機能別の会社をつくるということを考えて、今最終調整をしておるところでございますけれども、その中で、郵便の事業というのは極めて社会性の強い事業でございます。民営化されても、これはユニバーサルなサービス義務がございます。したがって、いわゆる特殊会社として位置づけなければならない。民間会社、株式会社でございますけれども、特殊会社ということになろうかと思います。

 同じように、例えば郵便・窓口会社についても、そのような公的な役割が、社会的な役割が当然のことながら伴ってくると思います。しかし、その社会性の強さというのは、これは窓口会社と郵便会社おいては私は異なってくると思います。結果的には、これは許認可のあり方等々、届け出でよいのか許認可なのか、そういうところは同じ特殊会社でも当然温度差が出てくる問題だと思います。

 その一方で、銀行、保険に関しましては、これは特殊会社ではなく一般会社として、商法の一般会社としてやっていただかなければいけません。もちろん、民間会社にも社会的な役割がありますから、それは当然伴うわけでございますけれども、商法が適用され、そして一般の同業他社と同じ法律が適用されるような一般会社、一般法人、そのような形で銀行と保険会社は一本立ちをしていただく。これは、最終的な民営化後はそのような形にしていかなければいけない、移行期を経た後はそういう形にしなければいけないというふうに思っております。

田嶋(要)委員 では、もう一度確認いたします。公社のままで経営改革を続けていくべきだというふうに私は思うんですけれども、わずか二年。大臣のお考えは、もう公社の経営体制のままであらゆる手だては打った、先細りに対して全くもうこれ以上公社体制の中での経営改革の余地はない、そういうことでしょうか。

竹中国務大臣 申し上げたいのは、公社は今、生田総裁のもとで、公社の中でできる改革を目いっぱいやっております。しかし、公社でやり続ける限りは、全部をやり尽くしたかどうかはともかくとして、やはりおのずと公社としての改革には限界があるということだと思います。生田総裁の改革をさらに加速するためにも、この民営化というのは、まさに公社、郵政の改革のために大変有力な、重要なツールになるというふうに思っているわけであります。

田嶋(要)委員 やはり、順序として、もうだめだからということを想定して早々と民営化ということをするんじゃなくて、今公社として取り組んでおられる改革をしっかり見きわめる必要があると私は思います。これは、わずか二年前に公社になったということを記憶されている方がどのぐらいいるか知りませんけれども、民営化という言葉が何となくほわっといいイメージがある中で、たった二年前に公社化されたんですよということを聞いた途端に、ああ、それだったらというふうに世の中に思う人は大変多いんじゃないか。私は、非常に性急な、政策順位、優先度を間違った判断のような気がしてならないわけです。

 それでは、民営化ということで、民営化した後の会社についてお伺いしたいんですけれども、その民営化された、民営化したがっている組織は民営化後に何が一番重要か。やはり、その会社が自立的に存続できるようなビジネスモデルをつくっていくことが一番重要だというふうにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 これは、経営環境が厳しくなる中で、重要な役割を果たすためにも、経営体としてサステーナブルになっていただきたい。それが民営化を我々が考える背景でございますから、その意味では、この会社がしっかりと利益を出して、そして存続し得る、収益性、財務それぞれ健全なものに育っていくということが、これは当然に必要なことであるというふうに思います。もしそうできなければ組織は持続可能ではないわけでございますから、この郵政という、今供給している十分な役割を供給できなくなるということになります。

 そのために、これは経営者が決めることではございますけれども、ビジネスモデルをしっかりと確立をしていただく。私たちは、その経営者ができるだけの自由度を持ってそういった経営手腕を発揮していただけるような、そういう仕組みをつくるというのが今の制度設計での役割であろうかと思います。

 同時に、この経営の自由度というのが、先ほどからたびたび出てまいります民間の企業に対する一つのイコールフッティングの問題、これを満たしていかなければいけない。まさに委員おっしゃったように、健全な競争を通して強くなっていくということを我々は期待しているわけであります。その意味では、民間とのイコールフッティングに注意をしながらも、しっかりと経営の自由度を持っていただいて、経営の自由度を発揮する中で、収益性、財務の健全性、それぞれをしっかりと確保しながら、その会社が目的とする役割がそれぞれにありますから、金融には金融の役割がある、保険には保険の、窓口には窓口の役割がありますから、そうした機能をしっかりと果たしていっていただくということだと思っています。

田嶋(要)委員 経営の自由度を高めて、そして自立可能な、持続可能なビジネスモデルを確立していく。では、そうした意味では、そういう目的が最も大切であるということであれば、その過程において、今以上に既存の民間のさまざまな企業が圧迫される、あるいは、中には経営不振、倒産に追い込まれるような会社が出てこないとも限りませんけれども、そういう事態は、郵政が民営化され、自立可能なビジネスモデルを確立していくためには、場合によってはやむを得ないというふうにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 この会社がどういう会社になっていくかということに関して、常に二つの違った方向からの反対論といいますか懸念が表明されます。

 一つは、この郵政というのはやっていけなくなって、どんどんどんどんだめになっていくのではないかという懸念。一方で、これがとんでもなく大きな組織になって民業を圧迫する、民を吸収してしまうのではないかという懸念。このどちらにもならないように、その間でしっかりと運営していくような仕組みをつくる以外にこれは方法はないわけでございます。

 それを実現するための仕組みとして、工夫として、今回の郵政民営化の私たちの考え方の中では、移行期の十年間、こうした点をしっかり、経営の自由度とイコールフッティングの度合いを見る、レビューする民営化委員会というのをつくる。その民営化委員会で、経営の自由度をどのように確保していくか、一方でイコールフッティングにどのように配慮していくか、そのバランスをとっていこうというふうに考えているわけでございます。

 したがって、どちらが大事だということではございません。経営の自由度のためにイコールフッティングを犠牲にすることがあってはやはりいけないと思いますし、イコールフッティングを過度に言い過ぎて経営の自由度を殺してしまってはいけないと思います。

 この民営化委員会が果たす役割というのは、その意味では、この郵政民営化を成功させるかどうかという点で極めて重要な役割を担うというふうに思っております。

田嶋(要)委員 綱渡りのようなバランス感覚が求められるんじゃないかと思うんですけれども、それでも、そのリスクを冒して民営化させることの方が今の公社による経営の革新、経営改革を見きわめるという選択肢よりもすぐれているというふうにお考えですか。

竹中国務大臣 私は、当然にそのように考えております。

 このまま、公社のままでよいのではないかという御意見があることは承知をしておりますが、先ほど申し上げましたように、やはり公社としてはおのずと限界がある。公社として何か新しいことをやろうとすると、その背後に国家という絶対的な信用を背負っての競争になりますから、これは民間からすさまじい懸念が生じてくる。そういう状況下では、経営の自由度というのは私は発揮できないと思います。

 そういう意味では、この組織をさらにサステーナブルにしていくためには、民間の経営の自由度を取り入れて健全な競争をすることが必要であって、そのプロセスで、特に移行期においてはイコールフッティングに十分に配慮しながら、そのようなまさに改革を時間をかけて実現していく以外に私は方法はないと思います。

田嶋(要)委員 私はそうは思いませんけれども。

 もう一つ違う視点で。これもまたしょっちゅう出てくる言葉ですけれども、お金の流れを官から民へというふうに書かれております。これは、アンケートの中でも、なぜ郵政民営化に賛成かという第四番目の理由としてそんなようなことを言う方が多い。わかっていて言っているならいいんですけれどもという感じがします。これは、郵政が民営化されることによって貯金する主体、貯金を受け取る主体が公社から民間会社になる、そういうことを官から民へと言っているわけではもちろんないと思うんですね。小泉さんあるいは竹中大臣もホームページ等でいろいろ書かれておりますけれども、入り口、出口のそういった議論の話だと思うんです。

 お金の流れを官から変える、これは、二〇〇一年の財政投融資の改革が行われて、いわゆる全額の預託というものが今はもうなくなったというふうに言われるんですけれども、あれによって、ある意味もうその義務というものはなくなったから切り離されている、入り口の改革というのは始まっているというふうには考えられないんですか。

竹中国務大臣 田嶋委員御指摘のように、資金の流れの改革は始まっているわけです。この始まっている改革の中で、郵貯のお金が財投という仕組みを通して制度的に政府系の金融機関等々に流れるという仕組み、これは二〇〇七年度をもって終局することになっております。

 しかし、それでも残る問題が多々ございます。それは、今のような公社の形で政府がお金を集めている限り、これは政府のお金でありますから、したがって、これは安全資産にしか運用をされません。今までのように、制度的に財投に流れる仕組みはなくなったとしても、その運用先はおのずと安全資産に限定をされるということになります。

 安全資産のわかりやすい例は国債でございますけれども、財投債、財投機関債等々も入ってくるのでございましょう。その意味では、従来に比べて、二〇〇七年度以降、財投債にしろ財投機関債にしろ、制度的にお金が流れるのではなくて、まさに債券、市場のチェックを受けてお金が流れるという仕組みに大きく改善はするわけでありますが、それでも、この郵政が集めている巨額のお金が安全資産、安全資産はどうしても国のお金になります、財投債にしてもそうです、そういうところにしかやはり使えないという制約がある。

 これをやはり民間金融機関になることによって、もちろんこれは信用ビジネスですから、一朝一夕にできるわけではありません。だからこそ、時間をかけて、十年をかけてやっていくわけですけれども、そういう信用リスクをとれるようなビジネス、これはとりもなおさず民間にお金が流れていく道が開けるということを意味するわけでございますけれども、そういう改革を全体として行う。

 先ほども申し上げましたように、その際には、これまでの財投の象徴であります政策金融機関についてもその規模をGDP比で半分にするということを実現しながら、今申し上げたようなお金の全体の流れを官から民に変えていきたい、そのように考えているわけであります。

田嶋(要)委員 その二〇〇一年の改革から財投債が始まっているわけなんですが、これは事実上の国債ですね。郵政公社はこれを買う義務があるんでしょうか、少なくともある一定の額とか割合とか。

竹中国務大臣 郵便貯金については、平成十九年度までの間については、これは総務大臣が定める指針に従いまして財投債の引き受けが義務づけられているわけでございます。また、郵政公社法の第四十一条第四号イによりまして、郵便貯金資金を国債の売買の方法により運用することが認められておりますことから、これらの規定によりまして、自主的な判断として国債の一種である財投債を購入することができる、そういう形に郵貯に関してはなっております。

田嶋(要)委員 では、郵政が民営化されたら、そうした、今郵貯のお金、簡保のお金で国債を買っている、公的な資金、お金が官の方に流れている、そういった流れというのは変わるんですか。

竹中国務大臣 基本的に、郵政の民営化がどのようにお金の流れを変えていくかということを議論する際には、まず、入り口としてどのくらいのお金が今後入ってくるのかという議論があろうかと思います。これは、政府保証が外れるということもありますし、金融環境の変化ということもございますでしょうから、それについては、入ってくるお金もある程度縮小していくであろうということは当然に見込まれるわけでございます。その分、今までとは違うところにお金が流れるという意味では、まず入り口のところでもお金の流れの変化が生じるということだと思います。

 その上で、郵政に入ってきたお金というのはどのように使われるか。これはまさに民間の金融機関としてのALM、資産負債管理のもとで適切な運用をしていただくということになります。

 しかしながら、当然のことながら、これまで、企業の貸し付けとかそういうノウハウは持っておりませんから、そういうものがいきなりできるということは想定はされません。しかし、これはまさに経営者がどのようなビジネスモデルをつくっていくかということでございますけれども、これは今、信用リスクをとるビジネスというのは非常に多様であります。貸し付けというのは一番わかりやすいですけれども、ABSでありますとかシンジケートローンでありますとか、貸し付けよりももっと、ある意味でノウハウが短期間で蓄積されるようなものでも信用リスクをとってビジネスしていくということは可能でありますから、そうした形でお金が信用リスクをとる方、つまり民間の方に流れていくということは想定されると思います。

 ちなみに、骨格経営試算の中で、幾つかの可能性のシミュレーションといたしましては、今後十年間に今の二百三十兆ぐらいの資産が百四十兆になる、その中で約四分の一である三十五兆が、信用リスク、一%ぐらいの利ざやをとれるということを想定して、その可能性を示唆しております。これができるかどうかは、これは経営者の御判断次第でございますけれども、そういうことを想定する中で、これは量的なことは、十年先のことというのは確定的にはわからないわけでございますが、民間にお金が流れるというような仕組みが開かれていくというふうに考えております。

田嶋(要)委員 もう一回簡単に言うと、だから、民営化しても、大量の国債を買う投資家としての郵政公社、あるいは民間化された会社、そういう位置づけは変わらないんじゃないでしょうか。それ以外の選択肢があるんでしょうか。日本の民間の銀行が大量の国債を持っているのと同じことが郵政に関しても起きるだけのことじゃないですか。

竹中国務大臣 そこはまさに民間の創意工夫でいろいろなことが起こり得るということだと思います。

 例えば、これは今、定額貯金で受け入れて、定額貯金で受け入れたものを国債で運用する、わかりやすく言えばそういう形のビジネスになっているわけですけれども、そもそもこういうものがいつまで続くのかという根本的な問題があるわけです。多くの成熟した国では、例えば三年物の定期預金の金利と三年物の国債の利回りというのは同じであります。いわゆる市場の裁定取引が有効に働いてくると、これは当然起こり得るわけですね。今は日本では、定期預金の金利が低くて国債の方が高くなっているから、利ざやを稼ぐというビジネスが諸外国の中では珍しく日本において成り立っているわけですけれども、そういうことはやはり長期的には成り立たなくなってくるのだと思います。

 そこで、これからまさに民営化していろいろなアイデアを出していただかなきゃいけないわけですけれども、信用リスクをとるやり方というのは、これはいろいろあるわけでありますし、もう一つ、郵政全体としては、今後個人国債がふえるであろうというようなときに、今まで貯金としてお金を集めていたものを、個人国債を窓口で販売して、そのフィービジネスを期待するというような動きも当然に出てまいるでありましょうし、そういう中で、私は、非常にダイナミックなメカニズムで、お金の流れが十年という期間をかけて変わっていくだろうということを期待しております。

田嶋(要)委員 民間の創意工夫ということをおっしゃるんでしたら、今既に、民間の銀行が国債以外のものに投資することをまずやってほしいですね。そういうことが全然起きていないにもかかわらず、もう郵政公社が民間になった途端にそうした国債を大量に保有する事業体ではなくなっていくような錯覚を与えるというのは、私は、お金の流れが官から民へという言葉だけは何となく広まっていますけれども、その実態は伴っていないんじゃないかなというふうに思います。

 いずれにしても、この内閣府の出した三月の結果をちょっと見て、国民が賛成する大きな理由というのが三つあるんですけれども、それ以外もありますけれども、窓口でのサービスが民営化するとよくなる。これもやはりそうじゃないはずだ。健全な競争だ。それから、小さな政府が実現する。もともと今税金ゼロですよ。国民はそういうことをわかっていないんです。それから、今言った国民の資金が民間に流れる。流れないんですよ。創意工夫だったら、今もう既に、民間会社の銀行が創意工夫を発揮してもらうのが先だと思います。

 そういった意味では、何かスローガンはいっぱいあるんですけれども、実際には起きそうのないスローガンばかりなんですよね。だから心配だ。しかも、わずか二年前に経営改革が始まったばかりじゃないかというのが私には素朴な疑問として残るわけです。

 時間がちょっとなくなりました。最後に五分ほどいただきまして、全く別の、住民基本台帳の大量閲覧の件を扱わせていただきます。

 麻生大臣、午前中も若干この件に触れたと思うんですけれども、その中で大臣が、便利さの裏には光と影があるということをおっしゃいました。では、この今の現状、住民基本台帳が大量閲覧できるというのは、一体だれにとって便利なことなんでしょうか。

麻生国務大臣 これは一般的に、いろいろなところで閲覧できるときに基本的なところとして利用できるところというのはいっぱいあるんじゃないですかね、会社でもどこでも、個人でも。ですから、どれが便利かといって、極めていろいろなところに、広範囲に活用できるものだということで、ずらっと例を言えというわけでもないんでしょうから、いろいろな形で利用できるものだと思っています。

田嶋(要)委員 私も、最近までこういう仕組みになっていたということはよく知らなかったんですけれども、引っ越しをするとやがていろいろなダイレクトメールが来る、あるいは子供ができると、しばらくするとまた非常にタイムリーないろいろなダイレクトメールが来る、そういったことが非常に不思議だなというふうに思っておりましたけれども、その原因というか、なぜそういうことが起きているかの原因の一つがこうした役所の情報のことに関係しているというので大変驚いたわけです。

 大臣、これは先ほどもどなたかおっしゃっていましたけれども、今回指示を出して見直すということになったそうなんですけれども、今回どうしてそういうふうな指示を出されるに至ったんですか。どういう心境の変化というか、何をきっかけにそういうふうなことを指示を出されたんでしょうか。

麻生国務大臣 最初の御質問と重なるところかもしれませんけれども、学術調査、世論調査、いろいろなところに、今までも市場調査等も含めて使われていたと思っておりますけれども、閲覧制度というのは幅広く利用されるという点が一方なんですけれども、これは経済社会情勢が物すごく大きく変わってきたのが一つ。

 それともう一つは、やはり個人情報保護というものに関する意識というのが昔に比べてえらく上がったと思いますね、プライバシーとかいう言葉を普通の方々が言われるようになりましたので。そういった意味で、見直しを求める意見というのがいろいろ寄せられてきたところでもあります。

 そこで、あれは愛知県でしたか、母子家庭をねらってのストーカー事件だか何か起きた、これは刑事事件になったところでもありますので、これまでもいろいろちょこちょこさわってきてはいたんですけれども、総務省としては、とにかくこの閲覧制度のあり方自体というのは、もう一回これはきちんと見直さないかぬ。

 これはたしか安住先生だったと思いますけれども、大分前にこの種の御意見をいただいていたと思いますので、そういったのを含めまして、今回、これはいろいろな意味できちんと対応しないと、今の時代からいくと、世論調査、学術調査以外のところで、これは名前順にずっと並んでいますから、これを見て、これとこれと二人しか名前が出ていないんだからこれは多分母子家庭だとか、幾つぐらいとか、全部見ながらやるという意味で、変なところに利用される現実問題というのはちょっと考えないかぬということで、そういった意味では、閲覧のさせ方というものを含めまして、こういったものはきちんと考えないかぬというのがその背景ということになろうと思っております。

田嶋(要)委員 時間が来てしまいましたので、最後に。

 今回、大臣がそのような御指示を出されたことは、私は一定の評価をしたいというふうに思っておるんですが、率直に言って、十年ぐらい遅かったんじゃないかな、それは麻生大臣の問題じゃないかもしれませんけれども。本当に知れば知るほどちょっと唖然とするような、これも恐らく多くの国民は事実を知らないんじゃないか。特にコマーシャルな、商業目的のダイレクトメールが合法なこととして今はちゃんと閲覧できるわけですから、そうしたことを助けるような制度が今現在あるというのは先進国では珍しいのかなというふうな感じがいたしております。

 これは民主党としても法案を出したいというふうに考えておりますけれども、ぜひ遅滞なく改正をしていただければと。やはり原則は見せない、知られたくない権利というのをもっと大切にしていかなきゃおかしいんじゃないかなというふうに思っておりますので、ぜひそれを最後にお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、竹中大臣の委員会欠席問題について何点かお伺いしたいと思っております。

 委員会が予定をされておりました四月五日の十時、その時間にちょうど竹中大臣は記者会見に入っておられました。この記者会見の要旨がホームページにアップされておりまして、拝見をして大変驚きました。

 記者の方からの質問で、こういうふうに書いてあるわけですが、

  昨日、官房長官が発表された後に、詳しいことは竹中大臣に聞いてくださいというようなことも仰って、我々は当然その記者会見が行われるものと期待をしておりましたが、残念ながら行われませんでした。これに対しては、説明責任の放棄ではないかというような声もありますし、記者クラブ側としては、再三にわたって報道室あるいは準備室を通じて会見の要請をしたにも関わらず、受け入れられなかったということを遺憾に思っております。そういった説明責任を果たしていないという批判には、どうお答えですか。

という問いに対して大臣は、

 そういう御意見をお持ちということでございましたら、それはもう、素直に大変申し訳なく思います。

 私自身、本当に全く時間が取れなかったということに尽きております。

 過密な日程が入っていたということもありまして、その点については、これは素直にお詫びを申し上げますが、その点も含めて、こうした記者会見等々の場で、しっかりと時間を使ってお答えしたいと思います

と述べておられます。

 私は不思議なんですけれども、マスコミの方に説明責任を果たすのは当然だと思うんです。しかし、まさに記者会見をやっておる同じ時間に総務委員会が開かれており、竹中大臣が出席をしないということが大問題となって、委員長が遺憾を述べるという形で流会をしたということなんですよ。

 調整中だった云々の話がずっと続いていましたけれども、国会から要求があるということは知っていたわけであります。そういう点で、マスコミに説明責任を果たしていた、そういう記者会見の場で。国会でこそ説明責任を果たそうという考えというのはちらりとも浮かばなかったのでしょうか。このことをまず最初に伺います。

竹中国務大臣 国会、マスコミ、それぞれにしっかりと説明責任を果たすということは私の責務であると思っております。

 記者会見で述べたことはそのとおりでございますが、この委員会の件につきましては、先ほどから申し上げていますように、調整中であるというふうな認識で、私は、当日は副大臣対応であるというふうに聞かされ、理解をしておりましたので、そのように思い込んでおりました。

 いずれにしましても、こうした点については、先ほどから申し上げていますように、情報収集、伝達について不十分な点があり、状況を正確に把握していない面がありました。おわびを申し上げなければいけないと思っております。国会に対して、御指示がありましたときは、しっかりと出席をして説明責任を果たしたいと思っております。

塩川委員 副大臣対応だと思っていたから出なかったというんですけれども、何で副大臣対応になったのか。その四月五日の委員会の冒頭の理事会で配付をされた審議官の発言メモにあるわけですよね。何で副大臣対応にしてほしいか。その理由というのが、法案の具体化のため調整作業の陣頭指揮に立っている、この調整は法案の早期提出のため一刻の猶予もない状況なので理解いただきたいという説明なんですよ。

 しかし、先ほどのように記者会見をやっているわけでしょう。記者会見をやる時間があって、何で国会に来られない、時間がないのか。マスコミから要求があったのに対し、忙しかったけれども、少なくともマスコミには説明責任を果たしたと。同じことが国会には言えないんですか。何で、国会には出られない、そういう話になるんですか。

竹中国務大臣 当日の件につきましては、何度も申し上げておりますように、副大臣対応であるというふうに理解をしていたわけでございます。与野党から正式に御要請をいただきましたときは必ず出てまいりますし、しっかりと今後とも対応をしていきたいと思っております。

塩川委員 この発言メモにあるように、調整が法案早期提出のため一刻の猶予もない状況だ、だから副大臣対応にしたいと。副大臣対応になるその理由というのが、調整作業の陣頭指揮に立っているからだ。その点はそのとおりですよね。いかがですか。

竹中国務大臣 その日は陣頭指揮に立って大変多忙にしておりましたというふうに記憶をしております。

塩川委員 一刻の猶予もない陣頭指揮なのに記者会見をやっているんですよ。マスコミから要請を受けて、説明責任を果たしているじゃないですか。それで、何で国会に来られないのか、国会の場で説明責任を果たせないのか。もう一回答えてください。

竹中国務大臣 当日、これは閣議後の定例記者会見をさせていただいたわけでございますけれども、それ以外はまさに陣頭指揮で大変多忙にしていたというふうに記憶をしております。

塩川委員 委員会があれば記者会見だって調整するでしょう。当然のことながら、そうやるわけですよ。そうやって国会の中での説明責任を大臣は果たす。憲法六十三条の立場から、当然そうなっているわけです。

 ですから、私がおかしいと、多くの方も怒りに思うというのが、根回しで忙しいから説明責任は果たせませんと言っているのがこのメモの中身なんですよ、竹中大臣が来られないという理由なんですよ。根回しで忙しいから国会には行けません、そういう理由に皆さん怒っているんじゃないですか。国会に出るよりも根回しの方が大事だと判断をしたということですね。

竹中国務大臣 説明責任はしっかりと果たしたい、果たしていかなければならないというふうに思っております。

 調整中であるというふうに聞いておりましたので、その際に、どのような事情かということの御要請があって、担当審議官がこのような発言をしたというふうに承知をしております。

塩川委員 国会が要求しているというのは当然知っていたわけですよ。しかし一方で、マスコミから要求があった記者会見というのは、定例だとはいえ、忙しい中で時間をとっているわけではないですか。何で国会には説明できないのか、そういう点が納得ができない。この問題については引き続き、改めて時間もとってやりたいなと思っております。

 こんな理由では国会出席を断れないということをはっきりさせていただきたいと思うのですが、その点だけ、いかがですか。根回しで忙しいから来られません、こういう理由はもう使えない、当然のことだと思うんですが。

竹中国務大臣 調整の中で、副大臣が御対応いただく、私の出席については他の日程でお願いする、そのように承知をしておりました。

塩川委員 他の日程という話もどこにも出てこないんですよ。副大臣でやってくれというだけの話じゃないですか。だからみんな怒っているわけですよ。

 この問題については改めて姿勢の問題でお聞きして、郵政民営化についての法案の骨子、まさにこの忙しかったとされている四月四日の法案骨子、郵政民営化法案の内容についてお聞きをしたいと思っています。

 この法案骨子の中では基金の問題に触れておりますけれども、

  郵便局会社、郵便会社は「地域貢献事業計画」「社会貢献事業計画」を策定する。その際、地域の有識者等との意見交換の結果を郵便局会社が尊重する旨を法律上規定する。その費用を賄うため、郵便貯金銀行と郵便保険会社の株式の売却益、配当収入等の一部を「地域・社会貢献基金」として活用する。

ということです。当然ながら、現状では基金は存在をしておらないわけです。

 竹中大臣にお伺いしますが、民営化に伴い、なぜ基金が必要になるのか、その点をお聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 郵政は今、極めて大きな社会的な機能を同時に果たしているところでございます。そうした社会的な機能を、地域社会にとって必要性が高い業務を郵便局会社でありますとか郵便事業会社が実施するということ、この社会的機能は続けていただきたいわけでございますが、これを可能とする仕組みを構築するために持ち株会社にこの基金を設置するという考えなわけでございます。

 例えば、金融サービスでありますとか、社会福祉の増進に寄与する第三種、第四種郵便等を対象としまして、これは仕組みとしては、郵便事業会社、郵便局会社がそれぞれ策定をします社会貢献業務計画、地域貢献業務計画に基づきまして、基金から必要な額を支出することによりまして、民営化後も引き続き社会貢献、地域貢献を安定的に実施していく、そのためにこの基金を活用したいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 骨子の中では、この基金を「運用型とし、規模は一兆円を目途とする。」とあります。これはなぜ一兆円なのか。算定根拠がどうなっているのかについて御説明ください。

竹中国務大臣 これはまだ制度としては検討中でございますが、この社会・地域貢献基金につきましては、地域貢献業務の相当分として、将来的に必要になる額として現時点では年間百二十億円程度を想定しています。社会貢献業務に相当する分として、将来的に必要となる額として六十億円。したがって、合計百八十億円の交付金額を想定して、まだ検討を進めているところでございます。

 このうち、根拠ということでございますから、この額を運用益によって確保するということを考えているわけでございますけれども、過去の金利水準から見まして、合計百八十億円程度の交付金額を賄うために基金の規模が一兆円ぐらい必要であるというふうに考えまして、今さらに制度設計を進めているところでございます。

塩川委員 地域貢献業務の百二十億円、社会貢献業務の六十億円。六十億円については三種、四種が中心ということで先ほど理解をしたんですけれども、その点の確認と、私、予算委員会の際に、この基金の議論で、運用益がどのぐらいなのかという中で、三種、四種についての赤字分というのが二百五十億円ですという竹中大臣の答弁を聞いているんですが、六十億という数字と大分違うんですけれども、その点はどういうことなんでしょうか。

竹中国務大臣 まず、社会貢献業務でございますけれども、第三種、第四種郵便物のうち、盲人用の郵便や心身障害者団体の発行する定期刊行物、ひまわりサービスといいました社会福祉の増進に寄与するものを対象とすることを想定しております。

 そして、先ほど六十億円というふうに申し上げましたけれども、その想定しているものとしましては、盲人用の郵便、これは第四種郵便でございますけれども、これで約十億円、心身障害者団体の発行する定期刊行物、これは第三種郵便でございますけれども、これで約五十億円と見積もっております。

 具体的な算定は、それぞれの一通当たりの費用から一通当たりの収益を差し引いた額に、それぞれ平成十五年度の便数といいますか、何通あるかという数を乗じまして、収支差額として算出したものでございます。

 六十億が今の説明でございますが、それと地域貢献百二十と合わせて百八十億円。現在一兆円を想定しているというふうに申し上げましたけれども、これは過去の十年国債の平均利回り一・八%を想定しておりまして、その運用利回りでこの百八十億が賄えるような仕組みということで、今制度設計を考えているところでございます。

塩川委員 三種、四種のことでいえば、この第三種の定期刊行物の対象は心身障害者団体発行のものだけなんですよね。そういう点では、それ以外の労働組合、いろいろな団体の方が発行しているようなものについては対象外ですから、それがどうなるのかという不安というのは当然のことながら広がっていくわけであります。これ自身、その額で足りるのかという問題があります。

 これはこれとして置いておいて、もう一つの地域貢献業務で百二十億円。これは金融サービスを提供するために行われるものだと思いますけれども、この百二十億円の積算の根拠というのを示していただきたいと思います。

竹中国務大臣 地域貢献業務でございますけれども、現在、公社の貯金・保険事業はともに黒字でございます。また、移行期においては、貯金・保険会社に安定的な代理店契約を義務づける方向で制度設計をしているところであります。したがって、地域貢献業務が相当の規模で行われるようになるのはかなり将来であるということをまず申し上げておきたいと思います。

 このため、将来、過疎化が大幅に進行する等によりまして、過疎地域等の相当数の郵便局で、例えばネットワークの一環としての重要性が低下するような場合、かつ、収益が相当に悪化しているにもかかわらず一方で地域のニーズに応じて金融業務等を継続することが必要となるに至った場合、そういった場合に対応し得るような額としてこの百二十億円程度を見積もったものでございます。

 その中身、算出の根拠でございますけれども、一局当たりの交付額としましては、郵便局全体の収支が相当に悪化した場合に、これは過疎の最前線にある小さな局、過疎地の無集配特定局を想定していただければいいと思いますけれども、この過疎の最前線にある小さな局で、業務を効率的に実施してもなお生ずる平均的な収支差額として六百万円を想定しております。そして、対象の局数につきましては、収益が相当に悪化している場合に、過疎の最前線にある小さな局を中心に業務の効率を行った上でなおこのスキームの対象として支えることが必要となる局数としまして、過疎地域の無集配特定局が千六百局程度存在することを考慮しまして、二千局程度と見積もったもの。したがって、六百万円と二千局程度、これが百二十億の根拠ということでございます。

塩川委員 確認ですけれども、過疎の最前線にある赤字の郵便局というのは、要するに、法律で郵便局の設置の義務づけという議論もありますけれども、そうなったとしても、郵貯・簡保会社が支払う委託手数料では局を維持できない、だから基金が必要ということになりますよね。

竹中国務大臣 局の維持は設置基準に基づいてやっていただくわけでございますけれども、局の維持ができなくなるという概念ではなくて、金融で収支の大きな赤字が出て、それで金融業務から撤退する懸念がある場合、それを賄うための費用という意味でございます。

塩川委員 民営化をするわけですから、郵貯・簡保会社は撤退の自由があるということが改めてはっきりしたわけであります。そういう点では、過疎地の郵便局が本当にやっていけるかどうかという点でいうと、金融サービスの問題がありますから、郵貯・簡保会社の手数料の問題と基金の額の兼ね合いの問題が出てくると思うんです。

 そこで、六百万円とした根拠なんですけれども、これをもう少し説明していただけますか。

細見政府参考人 御説明いたします。

 ただいま大臣からお話がありましたように、私どもが基本的に想定いたしました最も弱い、その意味では金融サービスから撤退を郵便局会社が考えるような郵便局として、過疎地の無集配特定局というのを念頭にまず考えさせていただきました。

 データといたしましては、郵政公社がやっております収支計算のデータをベースに、参考にさせていただきながら、そこでどのぐらいのコストがかかっているか、収益の方は全体損益方式と収支相償方式で随分数字が違うのでなかなか難しいところがありますが、どのぐらいの収益が入ってきているかということを見させていただきまして、その上で、過疎地のこういった郵便局でいろいろ御努力をいただいた上で、こういったものを効率的に過疎地の無集配特定郵便局でやるにはどのぐらいのものが要るだろうか、こういう想定をした結果、六百万円程度が必要なのではないか、こういう積算をしたということでございます。

塩川委員 そのデータを後で出していただけますか。

細見政府参考人 いろいろまだデータをやっている最中でございまして、金額そのものを含めて、現在与党との間でいろいろ検討している最中でございますので、その点についてはもう少しお時間をいただければと思います。

塩川委員 いや、だって、六百万円という数字、大臣はお話しされたじゃないですか。その根拠でいいんですよ。別に七百万だとか八百万なんて聞いていないですよ。六百万円とした根拠のバックデータを出してください。いかがですか。

竹中国務大臣 お出しできるもの、可能な範囲でお出しをしたいと思います。

塩川委員 先ほど話の中でも、収支相償方式とかいろいろな試算の仕方の話が出ました。私も、いろいろ工夫と苦労をしまして、お手元の配付資料を用意いたしました。ことしの三月に郵政公社が郵便局別の損益の試算についてという資料を公表しました。これは衆議院の予算委員会の要求に基づいて三月に郵政公社が提出したもので、そのバックデータからつくったものであります。

 郵政公社は、郵便局別の損益を試算するに当たりまして、全体損益方式と収支相償方式という二つの方法で行っておりますけれども、今回ここで示しています収支相償方式は、全体損益方式では生じる年度ごとの大きなぶれを補正する趣旨で、今回郵政公社が新たに行った試算であります。この収支相償方式に基づいて、沖縄県の集配特定局ごとの損益を、金融サービスの郵貯事業と簡保事業、この二つを合計したものを資料として提出したものであります。

 なぜ集配特定局なのかといいますと、要するに、郵政公社の資料では当然のことながら局の名前が伏せてあるものですから、そのためにどこがどこなのかというのがわからないわけですよね。そういう中で、こちらが推測といいますか確認のために、過疎地の局が含まれているということがわかる一固まりのグループということでつくったものであります。

 集配特定局にしたのも、郵政公社の資料で名前が記号になっていて、過疎地にあるかどうか特定できないからですから。沖縄県の過疎地の郵便局は、離島にも多く存在して、離島の郵便局が集配業務を行っているからであります。沖縄県の集配特定局の中には必ず過疎地の郵便局が入っております。ですから、その全部がこの五十六局になるわけです。

 この沖縄県の集配特定局五十六のうち、どれかはわかりませんけれども、二十六は離島などを含めた過疎地域に存在しています。これは過疎法に基づく地域にある郵便局を拾って重ね合わせての確認ですから、この中に、五十六のうち二十六は、どれかわかりませんが、過疎地の郵便局になります。

 これをごらんいただいてわかるように、郵便貯金と簡保事業の金融事業で見た場合に、一局最低でも費用で一千三百万円がかかっているわけです。三十三番のところなんかはそうですけれども、一局当たり一千三百万円かかる。そうすると、この収支相償方式の試算では、差し引きのところを見ますと、赤字額が一局を除いて六百万円を超えているわけです。ですから、六百万円という数字で過疎地の郵便局の金融業務が維持できるのかということを率直に思うわけです。過疎地の無集配特定局という言い方をしましたけれども、それに限らない、多くの郵便局が実際には赤字になるんじゃないのか。

 ですから、六百万という数字でどうして対応が可能なのか。これは実態を無視した机上の数字なんじゃないかと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

竹中国務大臣 今塩川委員は収支相償方式での数字をお示しになって、六百万との違いが大きいというふうにお示しになったわけでございますが、これは委員御自身御指摘になられたように、収支相償方式というのは、全体としての利益がゼロで、そういうことを想定しているわけですね。しかし、現実はどうだというふうに塩川委員はお尋ねになっているわけですから、現実は黒字が出ているわけでありますから、これは収支相償方式ではなくて、本来、全体損益の方式でやはり見るべきであろうというふうに私は思います。

 現実の公社は、三事業、黒字を出しておりまして、全体損益方式では実は九割近くの局が黒字でございます。例えば今の沖縄の特定局に関しましても、塩川委員の資料で、収支相償方式では五十六局全局赤字ですが、実際の損益、つまり全体損益方式では、二十九局が黒字で二十七局が赤字と大体半々ぐらいになっているわけでございます。そういう点をまた含めて考えますと、全体損益方式では、局ごとに見ると、実は現実にまさに九割近くの局が黒字を出しておりまして、黒字局の黒字は二・五兆円、赤字局の赤字は五百億円という程度であろうかと思っております。

 そうした意味では、我々の想定というのはまさに現実の数字に基づいての想定でございますので、数字の利用の仕方については、やはりそれなりに目的を持ってしっかりと御認識をいただければありがたいというふうに思います。

塩川委員 そちらが試算したデータも後で拝見したいと思うんですけれども、全体損益方式というのは収益が大きく出る。そうすると、決算の数字によって大きく変動するわけですから、それをやはり平準化する中での収支相償方式の中身だと思っております。

 今言いましたように、沖縄県全体でも、二枚目の配付資料にありますように、沖縄だけでとれば、黒字局が十に対して赤字局が百七十という数字もありますし、全国では、二万二百四十七のうち五五%の一万一千百三十六が赤字で、その額も一千百二十四億円というレベルにもなります。そういう点では、全体損益方式でも赤字額が一千億円とか出ているわけですから、百二十億円という数字がどれだけ妥当なのかなということを思いますが、その点はいかがでしょうか。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、実際はどうなのかということを今問題にしているわけでございますから、私が申し上げましたような、全体損益方式に基づいて実態を判断するというのがまずベースになければいけないと思います。

 さらに、私どもの見積もりの根拠でありますけれども、このスキームの主な対象としては、先ほど申し上げましたように、過疎の最前線にある小さな局を想定しております。そういう小さな局での平均的な収支差額、もちろんこれは、一定の業務の効率化を実施してもなお生じる平均的な収支差額として六百万ということを想定しておりますので、私たちの根拠はそれなりに十分なベースがあるものであるというふうに思っております。

塩川委員 過疎地の無集配の局の話ですけれども、でも、金融サービスを提供するかどうかという郵貯会社、簡保会社の都合というのは、その局だけにとどまらないわけですよ、経営判断ですから。当然それ以外のところも、撤退するという判断というのは経営判断次第で起こるわけですよね。そういうところがどうなるのかということが何の担保もないわけじゃないですか。そこのところに大きな疑問の声というのが上がっているんじゃないですか。いかがですか。

竹中国務大臣 この窓口というのは、いわゆるネットワークとしての価値を持っているわけです。ネットワークとしての価値を持っている限りは、部分的に赤字でも、ネットワーク全体としての契約が結ばれるはずでございます。

 ネットワークの価値は、例えばクロネコヤマトの集配所でも、これはネットワークの価値ですから。クロネコヤマトでも三分の一は赤字ですね。しかし、ネットワークとしての価値があるから、全体としてこれを維持していくという仕組みが働くわけでございますので、ネットワークの一環としての重要性が維持されているような場合、これは恐らく、集配局等々は当然そういうふうな中に入ってくるんだと思います。

 問題は、ネットワークの一環としての重要性がこの地域に関しては低下して、さらに収益が相当に悪化している、そういう場合に社会貢献としてこのスキームが使われる、そのような想定であるというふうに私は思います。当然のことながら、民間がきちっとした経営をして、きちっとした合理的な判断をするならば、部分的に赤字のところでも、ネットワークとしての価値がある限りは、これはまさにネットワーク全体としての委託契約が結ばれるわけで、そういうような企業の行動というのをきちっと踏まえて私たちは制度設計をしなければいけないというふうに思います。

塩川委員 金融サービスを提供する会社、今の銀行そのものがどんどん店舗を撤退させているわけですよ。私の住んでいる所沢の東口の銀行の支店は、閉鎖をして西口に移してくださいなんて言われるぐらいですよ。駅前のところでさえ撤退をするような状況になっている。そういうときに、今、本当にこういう金融サービスが提供されるのかという不安が起こっているわけで、それとの関係で基金の運用益の話が出てきたわけですよ。それに対してまともな答えがこの中では当然出てこないというのが実態だと思います。

 そういう点でも、今の仕組みの中では金融サービスが保障されない、国民サービスの後退につながる、こういう民営化の計画そのものを撤回すべきだということを強く求めていくものであります。

 最後に、郵政公社にサービス残業問題について何点か数字の確認をさせてもらいます。

 サービス残業の調査を行った際に、不払い労働、サービス残業が行われていた郵便局数、郵便局の割合が、普通局、特定局別でどれだけの割合に上るのか、これが一点。

 二つ目に、当局が客観データと超勤命令簿を対査して行うとされている調査の内容について、この指示文書どおりの調査を行った局がどのぐらいあるのかということが二つ目。

 三つ目に、サービス残業については、去年の十月から十二月の調査でしたが、当然、法的には過去二年間にさかのぼれるわけです。十月よりも前にさかのぼって実際に不払い残業代を支給した事例というのが何件ぐらいあるのか。

 この点、数字だけお答えください。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

広瀬参考人 御説明申し上げます。

 不払い残業が判明いたしました局数は九千八十一局でございます。その内訳は、普通局が千二百六十局、特定局が七千七百二十九局、その他、貯金事務センター、簡易保険事務センター等でございますが、九十二局でございます。

 それから、二つ目の御質問でございますが、指示文書で、私どもでかぎの授受簿とか超勤命令簿を対査することとしていたが、どういうふうにしたのかということでございます。

 先般の実態調査におきましては、超勤命令等の命令簿に記載された超過勤務等の時間数とかぎの授受時間、端末機の稼働時間等の対査を行うように指示をいたしまして、必要に応じて職員ヒアリングも実施をしているところでございます。各郵便局におきましては、この指示に基づきまして適正に調査を行ったものと考えております。

 それから、追給期間を昨年の十月から十二月までを基本としておりましたけれども、疑わしいものにつきましては調べまして、十月より前にさかのぼってということで支給いたしました。これはまさに、先般の実態調査は不払い残業を根絶するために改めて全局所の職場の実態について総点検を行うこととしたものでございまして、先般の調査は全局所を対象といたしましたので、調査の負担等を考慮いたしまして昨年十月から十二月までの三カ月といたしましたが、これ以外の期間につきましても、不払いの疑いがあれば調査を行い、必要な超過勤務手当の追加支給を行ったところでございます。

 先般の調査では追加支給期間までの報告を求めておりませんでしたので、十月より前にさかのぼって追加支給を行った件数を取りまとめてはおりませんけれども、各支社に問い合わせましたところ、各管内でも十月より前にさかのぼって追加支給をしている、九カ月間だとか二年だとか一年だとか、それぞれ例があると聞いております。

 以上でございます。

塩川委員 普通局でいえば九六%で不払い残業が行われていたという数字でありますので、そういう点では恒常的に行われていた。そういう点でも、根絶のために大いに努めていただきたい、このことを改めて求めて、質問を終わります。

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 社民党の横光克彦でございます。

 竹中大臣にお尋ねをいたします。

 午前中の五十嵐議員の海外出張の件でちょっと補足して質問させていただきたいと思うんですが、ことしの通常国会以降は海外には出張されていないという御答弁をされました。しかし、大臣は、大臣就任以降たびたび外国に出張されているみたいでございますが、出張以外、公務以外で外国に行ったことがおありでしょうか。

竹中国務大臣 約四年間今の仕事に就任しておりますが、その間、公務以外で海外に行ったことはなかったと記憶しております。

横光委員 わかりました。今のを確認しますが、要するに、公務以外、プライベートでは外国に大臣就任以後行ったことはないということでよろしいですね。それでよろしいですね。

竹中国務大臣 行ったことはないと記憶しております。

横光委員 竹中大臣の現在のところの職掌、所掌は、内閣官房の伏屋内閣官房副長官補のもとに置かれた郵政民営化準備室と連絡をとりながら、企画及び立案並びに総合調整に関する事務を行うという大臣である、このように解釈してよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 内閣官房のもとにある郵政民営化の担当の大臣でございます。

横光委員 いわゆる郵政事業全般の企画立案等は総務省でございましょうが、今の内閣官房のもとでの郵政民営化準備室という形での企画立案、総合調整というのが今の担当であるということ。

 であるならば、今回の、今大変大きな問題になっております、去る五日の本委員会での出席拒否の件ですが、当然、郵政民営化を中心とした集中的な審議ということで開かれる予定だったわけですので、本来であるならば、あなたの役割からしたら、こういった委員会が開かれる場合は率先して出なきゃいけない立場であるということであると思いますが、その認識はおありでしょうか。

竹中国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、その時点では、以前は、いろいろなことの調整が行われているというふうには聞いておりましたけれども、当日は、いろいろな経緯があって副大臣の御対応になったというふうに聞いておりました。これは情報の問題ではございます。

横光委員 それを聞いているんじゃなくて、あなたの立場からすると、こういった郵政の民営化に対する集中審議が行われる場合は率先して本来なら出なければならない立場であるという認識はされておりますかということを聞いておるんです。

竹中国務大臣 国会から出席を求められたということは、国会のときは出席をしなければならないというのは、これは当然のことであろうと思います。

横光委員 あなたは先ほどから、あるいは本会議での答弁でも、情報伝達が十分でなかったということをおっしゃっております。ところが、先ほど西川副大臣は、与野党間で調整中と聞いていたので、大臣にその旨を伝えたと。大臣も先ほどから、調整中と聞いていたと。つまり、十分に情報は伝達されているわけですよ。それなのにあなたは、何で先ほどから情報伝達が十分でないからと言って謝っておるんですか。情報伝達されているじゃないですか。謝る必要はないじゃないですか。

竹中国務大臣 調整中というふうに聞いておりました。その上で、当日は、副大臣対応というふうに聞いておりました。しかし、そこに認識の違いがあったという御指摘でございますので、これは情報の収集、伝達に不十分な点があったということを申し上げているわけでございます。

横光委員 調整中と聞いていたとあなたはずっとおっしゃっている。では、調整中と聞いたら、何の調整中であるかということは当然確認していると思います。いわゆる出席要請があったことに対して調整中である、そういった認識はされておったんですね。

竹中国務大臣 詳細は受けておりませんが、総務委員会でどのような郵政についての議論をするか、だれに出席を求めるか、そういうことの調整をしているというふうに理解をしておりました。

横光委員 つまり、出席要請があったということはもう確認した、しかし、その時点では調整中であるということも報告を受けた、それでよろしいですね。出席要請があったということは認識していたということですね。

竹中国務大臣 要請の意味でございますけれども、これは、正式に国会から要請があれば私は出るわけでございます。その前の調整をしていたと認識をしています。

横光委員 四月五日に出席されなくて、しかも本会議答弁とまた欠席の理由が違ったということで、実川委員長がこうして直筆で、「四月五日の総務委員会に竹中国務大臣の出席要請があったにもかかわらず、出席がなかったため、」このようにわざわざ書かれて、議運の委員長に申し入れをいたしております。ここではっきりと総務委員会の委員長が、「竹中国務大臣の出席要請があったにもかかわらず、」と、委員会ではちゃんと出席要請をしているということをここで証明しているじゃないですか。そうですね、委員長。いや、委員長、そうです、委員長がそう書いたんですから。

 要するに、出席要請があったわけですよ。そのことに対して、調整中という段階もあったんでしょうけれども、出席要請があったということは大臣も認識されていると今お答えになった。であるならば、先ほどから言っているように、立場からして、率先して出なきゃならない立場である。それを、多忙を理由に欠席されているわけですね。これはどう見ても多忙を理由ですよね、この審議官のメモというのは。

 これはどう見てもおかしいんじゃないですか。出席要請をあなたは認識していたにもかかわらず、調整中だからという答弁だけで、今のところ、ちゃんとした与野党の合意がなかったなんて言っていますけれども、出席要請があった上で調整中だということなんですから、なぜ出席要請があったにもかかわらず出席をされなかったんですか。

竹中国務大臣 いろいろなお話し合いをしておられる、その調整をしておられるということを私は聞いていたわけでございます。

 国会から出席を求められたときは出席しなければならないのは当然のことでございます。しかし、その当日、副大臣対応になったというふうに聞かされておりまして、そのように理解をしていたわけでございます。

横光委員 出席要請をして、なお与野党で調整中というときも、時間もあったわけですが、それでも結局、四月五日には出席要請のもとで当然出席してくるものと各委員は質問書をつくっていたわけです。それが、あなたはドタキャンじゃないと言いますが、まさにドタキャンなわけですね。

 調整中という理由であなたは来なかったと言いますが、調整中というのは、出席要請があったから調整しているんであって、出席要請があったことを認識していながら来なかったということは、これはどのような理由をつけても憲法六十三条に違反するわけですよ。いかがですか。

竹中国務大臣 経緯につきましては先ほど官房副長官からもお話があったと思いますが、私の総務委員会への出席をめぐる経緯につきましては、四月一日の理事懇談会において野党から要請がなされ、与党が持ち帰って四月四日月曜日に正式回答されるとされ、その後、四月四日月曜に与党から野党に日程調整をお願いしたものと承知をしております。それをもって調整しているというふうに私は認識をしておりました。この経緯の中で、四月五日の答弁は副大臣に対応をお願いしたいと考えておりまして、そのようになったというふうに私は理解をしておりました。

 しかし、ここで情報の収集、伝達について不十分なところがあり、皆様方にまた御迷惑をおかけしたということになったんだと思います。この点については大変申しわけなく思っております。今後、的確な情報伝達が行われますように、しっかりとぜひ対応したいと思っています。

横光委員 最後のはもう何回も聞きました。

 委員長、今のような答弁でいいんですか。「竹中国務大臣の出席要請があったにもかかわらず、」はっきりと委員長はそのように出席要請をしたわけでしょう。ところが、こっちは調整中だということでごまかしている。出席要請をしているわけですよね、委員長。ここは委員会としてちょっとはっきりしていただきたいんですが、ここに書いてあるんです。「総務委員会に竹中国務大臣の出席要請があったにもかかわらず、」と、そして議運の委員長に申し入れしたわけです。ということは、委員会で出席要請をしたということは委員長がはっきりと証明しているわけです。それなのに、あなたは調整中ということでごまかそうとしている。委員会から出席要請はあったんですよ。調整中じゃなかったんです。それはもうクリアした。それでもあなたは出席をしなかったというのが現実なんですね。

 このことは、まさに先ほどから言われております憲法六十三条の出席義務ということに違反することになるんです。委員長は委員会から出席要請をしたと言っておるんです。それで、あなたは当然、情報伝達の中で、それが調整中ということですが、調整中の中で、出席要請があったということはあなたも認識している、先ほど答弁された。まさに出席要請があったということになるわけです。ここのところで、あったにもかかわらず、あなたは出席をしなかった。これはどこから見てもやはり六十三条にひっかかるんじゃないんでしょうか。いかがですか。

竹中国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、四月の四日月曜日に正式回答されるとされ、その後、四月四日月曜日に与党から野党に日程調整をお願いしたものというふうに承知をしておりました。そういう調整をしているというふうに私は認識をしておりまして、四月五日の答弁は副大臣対応になったというふうに聞いておったところでございます。

 まさにこの点が、委員おっしゃるように、情報の伝達、収集について私どもに不十分な点があったということなのだと思います。この点は大変申しわけなく思っております。

横光委員 あなたは調整中と言いますが、出席要請があったということは認識していた、それが調整中であると。であるならば、何で副大臣に対応させようとしたんですか。あなたの職分からしたら、みずから出なきゃいけないんじゃないですか。

竹中国務大臣 四月四日月曜日に与党から野党に日程調整をお願いしたというふうに承知をしております。この経緯の中で、四月五日は、私の対応ではなくて、副大臣の対応になったというふうに報告を受け、私自身そのように認識をしていたところでございます。まさにこの点で情報の収集、伝達に不十分な点があったということだと思っております。

横光委員 それはおかしいですね。四月五日に委員会をやるということは決まっていたんですから、そして出席を要請したということも委員長がこうしてはっきりと表明しているわけですから、それを情報伝達が不備だったという理由で今ごまかそうとされている。これはもうどこから見てもおかしいですよ。四月五日というのはもう決まっていたんですから、私たちはそのために質問要旨をつくって、私も準備室の方に渡しました。

 そして、これは、出席要請が委員会からあったということを認識していたならば、あなたの立場は、先ほど言いましたように、企画立案、郵政民営化の事務に携わる、調整に携わるという立場である。しかも、その審議の中身がまさにあなたの担当する郵政の民営化の集中的な審議であるということであるならば、何で副大臣に対応させる必要があったんですか。あなたはみずから、調整中とかいう理由ではなくて、そういった委員会なら率先して出るべきであったという気がしてなりません。いずれにしても、これは水かけ論ですからね。

 ただ、委員会としては出席要請をしていたということは事実ですし、日程も四月五日ということももうずっと前から決まっていたのも事実ですし、であるにもかかわらず、あなたはこうして副大臣対応という審議官メモで出席をされなかった。しかも、この審議官メモでは、一言で言えば、多忙だということですね、一刻の猶予もない、これを理由にして副大臣で対応すると。

 この副大臣で対応、答弁させていただくというのは、あなたが決めたんじゃないんですね。

竹中国務大臣 四月四日の認識、先ほど申し上げましたが、四月五日の理事会におきましては、与党理事からの御要請によりまして、今先生御指摘のように、担当審議官から私の置かれた状況について率直に事情を説明し、委員会の答弁は副大臣対応でお願いしたいという趣旨の発言をしたというふうに聞いております。また、私の、竹中の出席については、他の日程でお願いしたいというふうに考えておりました。副大臣対応というふうに、私自身はそのように聞かされまして、そのように認識をしていたところでございます。

 言うまでもなく、国会から出席を求められたときは出席しなければならない、当然のことでありまして、その与野党の合意に従って、私としては誠実に対応していくつもりでございます。

横光委員 本日の総務委員会は西川副大臣の答弁で対応させていただきたいと存じます、これはあなたが決めたんじゃないんですね。

竹中国務大臣 私が決めたかどうかという御質問かもしれませんけれども、そのような御発言といいますか、副大臣対応でお願いしたい旨の趣旨の発言を行ったというふうに聞いております。

横光委員 あなたは結局、結果的には、中城審議官あたりが勝手に、あなたの了解も得ずに、副大臣対応、あるいは副大臣も一緒かもしれませんが、そういうふうに勝手に決めたということですか。

竹中国務大臣 決めるのは私どもではなくて、まさに与野党のお話し合いで決めていただくということだと思います。こちらの対応の仕方について、こういう状況であるという説明を求められたので、そういう説明をさせていただいたというふうに理解をしております。

横光委員 委員会の方は、何も副大臣の答弁を要求していないんです。あなたの答弁を、出席を要請しているんです、委員長が。それなのに、勝手に、副大臣で対応するというのは、これは委員会で決めたわけでも何でもない。いわゆる準備室の皆さん方で決めたんでしょう、出席者を副大臣にするということは。しかも、あなたはらち外に置かれていたんですか、それは。

竹中国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、いろいろな経緯の中で、調整中というふうに聞いておりましたが、そうした経緯の中で、四月五日の答弁は副大臣に対応をお願いしたいと考えていたところでございます。そうした旨、審議官から状況の説明が、与党理事から担当審議官が私の状況の説明を求められ、率直に事情を御説明し、委員会の答弁は副大臣対応でお願いしたいというような趣旨の発言をしたものと聞いております。

 私は、その結果として、与野党でお話し合いをされて、副大臣の対応になったというふうに聞かされ、そのように理解をしておりました。

横光委員 これは何回言っても同じ答弁しか聞けません。委員会としては大臣の出席を要請したにもかかわらずと、委員長がわざわざこうして書いているわけですから、副大臣対応なんて委員会は全然納得していないわけです。ですから、委員会を開けなかったんですよ、この審議官メモの対応では。副大臣が対応するということをだれも了承していないわけですから、委員会の方は。勝手にだれが決めてしまったのか。しかも、あなたが欠席した上で。

 非常に大きな疑問点が残ったままであるということを私は申し上げまして、質問を終わります。

     ――――◇―――――

実川委員長 この際、御報告いたします。

 去る三月三十日、人事院より国会に国家公務員法第二十三条の規定に基づく国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申し出があり、同日、議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十四分散会


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