衆議院

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第4号 平成17年10月18日(火曜日)

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平成十七年十月十八日(火曜日)

    午後二時五十九分開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 岡本 芳郎君 理事 佐藤  勉君

   理事 谷  公一君 理事 谷本 龍哉君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      あかま二郎君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    木挽  司君

      櫻田 義孝君    新藤 義孝君

      関  芳弘君    薗浦健太郎君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    中谷  元君

      永岡 桂子君    西田  猛君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    平井たくや君

      福田 良彦君    増原 義剛君

      松本  純君    山内 康一君

      石関 貴史君    逢坂 誠二君

      田嶋  要君    武正 公一君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    横光 克彦君

      桝屋 敬悟君    丸谷 佳織君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   法務副大臣        富田 茂之君

   内閣府大臣政務官     西銘順志郎君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            須田 和博君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   清水 英雄君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十八日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     山内 康一君

  櫻田 義孝君     新藤 義孝君

  松本  純君     薗浦健太郎君

  安住  淳君     武正 公一君

  寺田  学君     石関 貴史君

同日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     櫻田 義孝君

  薗浦健太郎君     松本  純君

  山内 康一君     あかま二郎君

  石関 貴史君     寺田  学君

  武正 公一君     安住  淳君

    ―――――――――――――

十月十四日

 独立行政法人の組織等に関する予備的調査要請書(武正公一君外五十三名提出、平成十七年衆予調第二号)

は本委員会に送付された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法及び放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省総合通信基盤局長須田和博君、政策統括官清水英雄君及び法務省大臣官房審議官深山卓也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井たくや君。

平井委員 自由民主党の平井たくやであります。

 今回の電波法及び放送法の一部改正について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、その電波利用料を集めて、今度は使う一つの使い方についてであります。まず総合無線局監理システム、俗にパートナーと言われていますが、これについて少しお聞きをさせていただきたいと思います。

 ちょうど三年前ですか、e―Japanの委員長を麻生大臣がされていたときに、情報システムのレガシーシステムの見直しということを一斉にやりました。実は、この総合無線局監理システムもまさにレガシーの一つでありまして、無線局に関する各種データベースを構築して、そのデータベースを活用して、無線局申請処理、周波数管理等の電波監理事務の迅速かつ効率的な実施を支援するためのシステムでありますが、余りにもお金がかかり過ぎていたという印象を持っています。

 今回、その無線局のデータベースの管理費用が平成十六年度は約百三十億円かかっていましたが、平成十七年度は約九十五億円まで節約されています。これはどのようにやって実現したのか、御説明をお願いしたいと思います。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、無線局データベース監理業務の費用につきましては、平成十六年度予算で約百三十億円でございましたけれども、平成十七年度予算では約九十五億円と、全体として約三十五億円の減となっているものでございます。

 この理由でございますけれども、これもただいま委員御指摘のございましたシステムの見直しによるものが主でございまして、まず、これまでベンダーに依存せざるを得なかった旧システム、いわゆるレガシーシステムでございますけれども、これをベンダーに依存しない新しいシステム、オープン化でございますけれども、このように変える。それとあわせまして、地方に分散配置しておりましたシステムの全体の集中化を図ることによりまして、従来の電子計算機借料を削減し、これによりまして約七億円の削減が可能となったものでございます。

 また同時に、この新しいシステムに対応するために、平成十六年までは大規模なシステム開発を行ってきたわけでございますけれども、これが終了したことにより、このようなシステム開発費が削減されたものがございます。これが約二十五億円でございます。

 その他、通信専用料や新システムの据えつけに係る費用などが削減されたために、全体として約三十五億円の減となっているものでございます。

平井委員 この総合無線局監理システムという問題は、これは経済産業省でいえば特許庁のシステムなんかと非常によく似ているところがあって、システム開発というものの財源が電波利用料だけに、節約しようというコストの議論が後回しになって、事実上の特別会計のような形になっているんです。

 そもそも、何で毎年百億円以上の予算をかけてこんなことをやらなきゃいかぬのかという疑問を、私、いまだに持っています。マルチペイメントによる料金徴収や、検索スピード向上のためのXMLの導入とか、MARKSとの連動、言われれば、それはやったらやったでいいとは思いますが、それでどのぐらい利用するんだということについては、これはもう一回検証しなきゃいかぬと思います。そもそもこういうものは、利用者が何を求めているのかという論点が往々にしてなくなってしまいます。

 ですから、これは、実は九十五億とかというふうに今なっていますけれども、恐らく適正だと三十億ぐらいでできるんだと私は思うんです。ぜひこれから、利用者数の公表とか利用者からの意見集約をすることとか、あとはこの百億使わなきゃいけない妥当性の調査とか、費用対効果の明示等々をやって、さらにその節減をしていただきまして、それ以外の目的、電波利用料というものは使えるはずですから、ここで節約したものをその枠の中で、もっとデジタルデバイドの是正とかそういうものに使えるように御努力をいただきたいというふうに思っています。

 今回の電波利用料の改正の中に、携帯電話等の不感対策業務が新設されることになりました。これは、デジタルデバイドが生じているということで、携帯電話、いろいろな地域で私も陳情を受けることがありますから、非常に私はこれは有意義だと思います。しかし、今、もう携帯電話だけではないデジタルデバイドというものがいろいろなところで問題になっています。今回の携帯電話不感対策業務を、無線LANなどのほかの無線通信サービスについても行うことは検討できないかということがまず一点。

 それと、現実的には、離島とか過疎地域でいまだに要望が多いのは、ADSL等の有線系のブロードバンドサービスについての格差是正という要望が多いんですが、これはいかにも電波利用料というもともとの趣旨から考えると充当しづらいと思います。しかしながら、一昔前までは、水洗便所がなければ嫁が来ないと言われていたのが、携帯電話が通じなければ来ないと言われていたのが、さらに今は、ブロードバンドでなければ嫁が来ない時代が来たと言われている中で、これを放置することはできないと思います。

 その点について、電波利用料を使ってどこまでできるか、そして電波利用料ではできないものに対してどのように対処していくのか、その点についてお聞かせ願いたいと思います。

須田政府参考人 まず、御指摘のございました無線LANの関係について答えさせていただきたいと思います。

 今回の法案で新設される携帯電話等不感対策業務、これは無線局の開設に必要な伝送路設備の整備のための補助金の交付として規定してございますけれども、これは、制度的には無線LANなど携帯電話以外の無線システムの伝送路設備の整備に関しては活用することができるだろうと考えております。同じ無線局ということでございます。

 しかしながら、現実に、具体的に用いるかどうかということになりますと、現在、この規定に基づき実施を想定している事業は、当面は携帯電話を対象に行うことを予定しております。といいますのは、携帯電話につきましては、もう現在既に国民生活に不可欠なサービスということで、デジタルデバイドの解消が喫緊の課題となってございますので、その意味で、電波利用料を活用して一層の充実強化を図る必要があると判断したところでございます。

 しかしながら、無線LANにつきましては、現在の状況では、例えば携帯電話のエリア整備の進捗状況、あるいはもっと新しい無線システムの発展状況、こういったことも踏まえまして今後検討すべき課題なのではないだろうかと考えているところでございます。

 もう一つの点でございますが、有線系のブロードバンドにつきましてどのように考えるかという点でございます。

 今回の法案にございます携帯電話等不感対策業務でございますけれども、これはあくまでも、電波の適正な利用の確保に関し、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の例示として追加するものでございます。ADSLサービスのようなもの、基本的には有線系通信サービスとなっておりますので、このような設備を整備するための業務の費用をこの無線局全体の受益を直接の目的として行う事務と考えて電波利用料財源を充てることは難しいのではないだろうかなと考えております。

 しかしながら、基本的なデジタルデバイドの解消といいますのは、政府としても非常に重要な課題として取り組んでいるところでございますので、有線系のブロードバンドサービスにつきましても、これは非常に重要なものとして積極的に支援をしていきたいと考えているところでございまして、現在、総務省といたしましては、電気通信基盤充実臨時措置法に基づきます超低利融資、利子助成制度、そして税制優遇措置、あるいは地方公共団体による施設整備に係る過疎対策事業債などの地方財政措置、これらの支援策を講じてきているところでございます。

 今後このようなデジタルデバイド解消の一層の加速化を図るため、さらにこれら支援措置につきましての継続、拡充につきまして、現在平成十八年度予算要求の中で関係当局と折衝しているところでございます。

平井委員 この法改正には直接関係ありませんが、さっきお話ししたように、やはり地域、特に田舎では、ブロードバンドとADSLの整備というものに、陳情も非常に皆さん方多いと思うんですよ。これは、実は今まで事業者と市町村が折半でやるとかそういう形でしたが、それだけでは、実は電話交換局がコンテナタイプのRTボックスというものがほとんどで、そこに金がかかってしまうので、やはり何らかの支援策が必要だと思います。今総務省さんで御検討いただいているようなので、ぜひ予算もとっていただいて、そういうものを進めていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、今度はアナログ周波数変更対策についてお聞きをしたいと思います。

 最近、アナ・アナ変換という言葉、余りもう言わなくなりましたけれども、本当にそれはうまくいっておるのか。最近余り報道されていないので、うまくいっていればいいなというふうには思うんですが、概況をまずお知らせいただきたいと思います。

清水政府参考人 先生御指摘のアナログ周波数変更対策の受信者サイドの問題、これは大きな課題でございますが、例の三大広域圏、関東それから中京、近畿、これはもう十五年の二月から、それからその他の地域も十六年三月から受信対策を始めました。

 現在の時点では、全国で約七九%、対象が大体四百二十六万と最初予定しておりました、四百二十六万のうちの三百三十九万世帯の対策を本年の九月までに終了しております。そういう面ではおおむね順調に進捗してきております。しかし、この後非常に小さな個々の数字の積み上げになってまいりますので、これからも努力がなかなか大変な状況にはなっております。

 そんな状況で進んでおりますので、三大広域圏ではひとまず予定どおりのアナログ周波数変更対策はおおむね終了しまして、今地上デジタルテレビジョン放送を本格的に開始しているところでございます。この後は、先ほど述べました三大広域圏以外のところの平成十八年十二月までの地上デジタルテレビジョン放送開始に向けて受信者対策及び送信局側の対策を進めていくところでございます。

平井委員 アナ・アナ変換というのは、これは本当に気が遠くなるような作業でして、丁寧にやらなきゃいかぬということでありますが、一方で、総務省さんも、新聞広告などで、Xデーが二〇一一年七月二十四日だ、アナログ電波をそこで停波するんだというようなPRに努めておられます。

 また、来月あたりから店頭のアナログテレビにシールを張るというようなこともおやりのようでありますが、あと六年で、一億何千万あるかわかりませんが、アナログテレビを全部買いかえさすというのは至難のわざだと思います。また、チューナーを買わすというのもインセンティブが働かないとなかなか難しいのかなというふうに思います。

 特に、最近、中高年はいまだにアナログテレビも買っています。プラズマテレビはデジタルがほとんどですけれども、ブラウン管テレビの場合はやはりアナログテレビも何割かがまだ出荷をされているという状況の中で、どんどんどんどんXデーが近づいてくるという状況の中で、本当にちゃんとユニバーサルサービスに近い、あまねく、くまなく見られるのかなというようなことがあります。

 その中で、これは大臣の御決意をもう一度確認したいんですが、難視聴とかそういうのに対応するためには、やはりNTTも含めて通信も使わなきゃいけない。

 私、最近気がついたんですが、これは大臣にもちょっとお聞きしたいんですが、今までは地上波デジタルと言っていたんですけれども、地上デジタルに変わりましたね。波を取りましたね。私ぐらいしか気がついていないのかなと思うんですけれども、波を取った方がいいのかなと思うんですが、黙って取らずにちゃんと説明して取った方がよかったのかなというふうにも思うんです。

 つまり、二〇一一年七月二十四日にアナログ放送を停波するのは国策ですから……(発言する者あり)いや、そんな慌てなくても大丈夫ですから、国策ですから、これを動かさない、そしてまた、それに対して万全の、不退転の決意で対策に取り組むということでよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 万全の対策で取り組むという覚悟でこれは臨まないかぬということで、七月二十四日、Xデーで進めたい、そういう決意で臨んでおります。

 その他に二つ。地上波デジタルが地上デジタルに変わっておるではないかということ、まあ、そっちの方が言いやすいかぐらいのものですよ、大体、その程度の意識しかなかった、私はそう思っております。御存じのように、有線でやった場合はおっしゃるようなことになりますので、そんなに深い意味があったわけではありませんが、基本的に今平井先生御指摘の方向になってきておることは事実だと思います。

 もう一点、先ほど冒頭に、無線局のデータベースの管理の費用を効率化して、いわゆるデジタルデバイドの解消というかそういったものに、利用者の直接受益になるように政策にもっと力を入れるべきだという御指摘がありましたけれども、おっしゃるとおりだと思いますので、検討させていただきます。

平井委員 ちょっとこれは予定していなかったんですけれども、大臣にちょっと聞きたくなったんで、よろしいですか。

 デジタルを引っ張るのは、やはりNHKが引っ張っていかなきゃいけないと思うんですよ。特に技術的にもインフラ的にもそうだと思うんですが、今のNHKの要するに約六千四百億円の受信料のうち一割が未払いというか不払いになって、五百億円ぐらいの赤字になって、これで本当にデジタルの投資ができるのかなという心配もあるんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 一概に大丈夫ですともだめですとも申し上げにくいところであろうとは存じますけれども、幸いにして、受信料というものは、一時下降線をずっとたどっておりましたけれども、御理解いただいて、今再び少し上昇線になってきているのが一点。

 それから、これまでの海老沢さんの間に蓄積しました内部留保というものの額は、それまでのものに比べてかなりきちんとした内部留保をしておられますので、私どもとしては、今の受信料の減がデジタル化の投資に直ちに直接影響するという感じではないと思っております。

平井委員 これはお願いですけれども、NHKにしても約五千億円かかるわけですから、国としても支援策を考える、もしくは、今のままのNHKの組織ではだめであったら分割・民営というのを考えるのも一つの手ではないかなと思いますが、このことについては答弁は結構です。

 今回の間接出資規制について、少しお話をさせていただきたいと思うんです。

 今、日本を代表するような上場企業の百社以上が、外資比率が三割強なんです。私は、外資の出資を脅威と感じるというよりも、例えばソニーやキヤノンや花王のように、株主に占める外国人等の比率が高い企業が、放送事業者との連携を強化する際のかえって阻害要因に今回のケースがなることも考えられるのではないかというふうに思うんです。

 さらに、間接出資比率の詳細な考え方は省令で定めるということでしたが、これはもっとはっきり明確に、だれでも理解できるようなルールにすべきだと思いますし、そのあたりのところは、実は省令よりも政令ぐらいまで必要なのかなとも思ったりします。

 この阻害要因となる可能性があるのではないかという指摘に対して、どのようにお考えでしょうか。

清水政府参考人 先生御指摘の例えばソニー、キヤノン等々のケースで申し上げますと、ソニーでも外資比率が非常に高い、例えば四八%ございます。あるいはキヤノンでも外資比率五一%、こういう厳しい数字の中でございますが、今回の法案は、現在、直接出資の形での外資に放送局を持っていただくことについての是非という前提が今の法律のある中で、その趣旨の徹底を図っていくというところでございまして、我が国の国際的企業が放送事業者への出資をする際の制約をも目的としていくものではございません。

 先生御指摘のございました、先ほど、省令で中身の詳しいところをというところでございますけれども、今後、その間接出資割合の具体的な計算方法を、省令の中で規定する中で定めていくという形で、先例として、例えばNTTのケースがございます。これも現在、間接出資規制を行っておりますけれども、これは例えば、一つの外国法人が議決権の一定割合以上を占めている日本法人についての間接出資規制の計算方法として、例えばNTTは、NTTに占める議決権割合が一〇%以上である法人で、その法人が、一つの外国法人が一〇%以上を持っているか、こういうような定め方をしながら、現実的にどういうものがどういうふうに当たるかというのを判断しているところでございます。

 そういう意味で申し上げれば、今回の放送事業者に対する間接出資規制の問題についても、先生が御指摘いただいたような阻害要因が生ずることのないように工夫しながらそのあたりを検討してまいりたいと思っております。

平井委員 もう時間が来ましたけれども、これはいろいろなケースが考えられます。今、やはり外国人の資金がファンドを通じて日本に入ってきておるというケース、ファンドのようなリスクマネーをどのように考えるかということはまた別の次元で問題もあろうと思いますので、トータルで、日本の放送業の資本というものについては、また総務省で十分に監視をしながらお考えいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、萩原誠司君。

萩原委員 自由民主党の萩原誠司でございます。作法もわかりませんし、また言葉もひょっとして標準語を外れる可能性もございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。(発言する者あり)私は、市長でなれているというお話が横からありましたが、答弁はなれておりますけれども質問がふなれでございまして、よろしくお願いします。

 この法案につきましては、たしか、私どもが外野から見ていた限りにおきましては、例のライブドアの堀江さんがニッポン放送の株を買って、ニッポン放送が要するに形式上というか株主保有上のフジテレビの親会社になっていて、フジの方が大騒ぎをして、大変だ大変だということになった、そういう事態で発生をしたある種の危機感があって、それに間接出資の問題があったということからできたのかなという邪推があるんですよね。アンチ・ホリエモン法案じゃないかという邪推が若干あります。ただ、今回、いろいろな方から伺ってみますと、そうじゃないんだと。先ほどの平井先生の御質問にあったように、いろいろな業界で外資比率が高まっているんだというようなことの中で、恐らくは相当の間研究をされた成果があるんじゃないかなと私どもは思っています。その方がよくわかりますしね。

 そしてまた、間接出資規制につきましても、諸外国の実例なんかを見ていますと、まあ、現時点では非常に妥当性の高い、そういう改正ではなかろうかというふうに考えておりまして、とりあえず、大臣もおられますので、賛成の立場から本件については質問を申し上げたいと思います。

 まず、この法案における検討経緯、いつごろからどのような問題意識で検討されておられたか、ぜひお伺いしたいと思います。

清水政府参考人 先生御指摘の放送局に対する外資規制の点でございますが、これはそもそもの法律作成のときに、電波の有限、希少性、自国民を優先して放送に利用させるとか、あるいは放送が言論報道機関としての性格を有することから大変大きな社会影響力を持つのでということから規制を行ってきているところでございます。

 これはいわば、二十五年に放送法が成立した当時は外資規制を三分の一未満にしておりましたのですが、これは徐々に、その当時に比べますと放送の大きな社会的影響力が出てきたなということで、昭和三十三年あたりで五分の一未満ということで、ほかの電波関係の無線局とは違う扱いをしたりしております。

 また、昭和五十七年のときにも、外資に関する法律というものがございましたが、これは直接、外国投資家の株式取得は主務大臣の個別審査の対象としておったものを、ある意味では、外資に関する法律がなくなりましたので、その法律での外国性排除が確保されなくなったことから、放送法上で、名義の書きかえについては拒否するという、名義書きかえ拒否制度というものを昭和五十七年に新設する、こんなような形で、そのたびそのたび実は不断に検討してまいっております。

 先ほどのお話も、先生の御指摘にありましたように、国内法人では、昭和三十年ごろは外国人株主の持ち株比率というのは一・七%程度でした。ところが、平成十六年になりますともう二一・九%、こういうように状況が変わってきている、そういうようなこととか、いわゆるMSCBと呼ばれます転換社債型の新株予約権つき社債といった新しい資金調達手段、これが活用されるようになってまいりまして、非常に対内投資の増加だとか、あるいは株式保有、出資のあり方の変化等が当時の電波法制定時にはとても想像していなかった事態も出ております。

 そのような中で、不断にずっと見直しをして、準備といいますかいろいろ議論を内部的にはしておりました。ことしの三月の参議院の予算委員会でも、大臣からも泥沼式の改正、失礼、泥縄式の改正にならぬようにきちんと検討を行うようにと大変指導を受けまして、今回、四月十九日に成案を得まして国会に提出させていただいたところでございます。

萩原委員 お答えを聞いているとちょっと検討時間が長過ぎますね、これは。三十年代から検討していましたみたいな話で、そうじゃなくてもいいんです、この数年間のやはりマーケットの状況の中でしっかり検討した、特に資本市場が先ほどのMSCBみたいな形になってきたのでそろそろやらないかぬと思っていたと言ってくれれば済む話を、長々しい御答弁、まことにありがとうございました。

 次に、本件の背景にある国際的な約束なんですけれども、ガットを中心として、貿易・投資の一般ルールにつきましては、当然、大臣も御案内のように、内外の資本というものは無差別ということをしっかりうたっているわけであります。

 その中で、一部のサービス等、特に本件につきましては放送、放送局ということですが、こういうものが各国の判断で投資規制をやっていいという、その可能性を留保することができるというふうになっておりますけれども、こういう留保ができるという制度についての合理性、これはいろいろな考え方がありますけれども、合理性についてはどのようなものになっているんだというふうに総務省は御認識を持っておられるか。

 また、同じ問題につきまして、諸外国及びWTOではどういう合理性を持っているのかということなんですね。殊に、有限性と社会性という話がありましたけれども、これの比重の置き方が随分各国で違うという議論もありますが、その点も踏まえて、お答えをできればお願いいたします。

清水政府参考人 先生御指摘のとおり、WTO上で、放送分野については、実は、世界各国を含めて放送分野の投資の自由化については本格的な議論はされておりません。したがって、各加盟国は外資規制を行うというグループとそれから行わないというグループの二つに分かれております。行うというグループの中でも、外資規制についてそもそも何の約束もしていない国と、それから約束を一部しておりまして、別表のところに自分のところの現在の、国の、ここまでうちはやっているよということで、それを書いて、いわば外資規制を留保している、こういう二つのところにその中でも分かれるようなところがございます。

 実際上は諸外国によって国情が異なっている状況でございますが、おおむね世界各国とも日本と同様の、電波の有限、希少性それから社会への影響というところから、それからもう一つ、国によりまして国家安全保障上の必要性等を外資の規制理由としているところが、それは各国によっての事情によりますが、現実にございます。それぞれの留保は、これはGATSの中では、加盟国は、国家の政策目的を実現するためには、自国の領域内におけるサービスの提供に関して規制を行う権限を有する、こういう規定がございますので、それにのっとって行われているものでございまして、我が国の規制も同様のスタンスで行われているものと承知しております。

 なお、WTO加盟国百四十八のうち百四十五の国は、先ほど述べました約束を行っていない国、これは百三十四、それから、一部約束しているけれども外資規制はするよ、これは米国を中心とした十一カ国でして、外資の自由化を約束している国は、ニュージーランド、ガンビア、キルギス、この三カ国だけという状況になってございます。

萩原委員 そういうことで、国際的な状況を見ると三カ国だけが完全自由化、これはまた別途理由があるんでしょうけれども、そういう中で、日本のとっている態度については非常に妥当性があるということを、まずしっかりと認識をさせていただける答弁だったというふうに思います。

 ただ、その際、先ほどの御答弁にありましたように、電波の希少性の問題と社会性の問題があるんですね。今回、日本の放送電波についての希少性が増したということは全然ないんです、これは。NHKもフジテレビもTBSもそのままの電波帯を使ってやっている中での間接外資規制の導入ということはどういう意味があるかというと、電波の希少性において同じ状況のもとにさらに追加的な規制が行われるということは、これは社会的な重要性が増したというふうに一般的には理解をした方がいいと思うんですね。

 これはお願いでございますけれども、ぜひ、今の放送が持っている重要性ということにかんがみ、あるいは社会的な重要性ということにもかんがみ、今回は放送の方々に対して、NHKも含めてですけれども、しっかりした情報公開をしろよとか、あるいはちゃんとした放送をしろよとか、うそはつくなとか、さまざまな社会的な正義の観点から放送というものが、電波というものが活用されるべきことをより強く国民が望んでいるんだということについて、ぜひ大臣からもしかるべき形で放送関係の方々にお伝えいただけますように、この点、強くお願いを申し上げておきます。

 ところで、今後の本件問題についてのさらなる検討の必要性に絡むことなんですけれども、御案内のように、インターネット、これは通信の一部でありますけれども、インターネット放送とかあるいは衛星放送、衛星通信とか、さまざまな新しい類似のサービスが出ていて、これにつきましては、御答弁いただくと長くなりますので私言いますけれども、必ずしも同じような規制体系になっていないんですね。衛星放送については外資規制がない状況の中に入っている。

 そういうことをまた踏まえて、さらに、今後の問題として、技術が必ず進歩し、放送と通信の融合というものが起こっている。さらに、放送をめぐる社会的状況というのは非常に変わりつつありますね。先ほど平井先生、おられませんけれども、NHKの民営化の話をしておられましたが、NHKの問題についても、最近の週刊誌等の状況を拝見しますと、NHKよりも私たちの方がよく知っているんじゃないかというか、逆かもしれませんけれども、さまざまな状況が明らかになってきていて、恐らく今のままの体系ではもたなくなる。例えば、NHKの方々が持っておられる衛星放送が子会社化されて民間化されている、株式会社化されている中で、では、そのNHKが持っていた株式会社については外資規制は要らないのかというような問題が起こり得る可能性もあるわけであります。

 その点、ぜひ大臣からも、この外資の問題あるいは社会性の問題あるいは技術進歩の問題も含めて、この分野の規制のあり方については、今後も検討をしっかり続けていくんだ、いろいろ考えていくんだ、勉強していくんだということについて、決意の御一端を、これは大臣の口からぜひ御披瀝いただければ幸いでございます。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

麻生国務大臣 御指摘のとおり、今、放送と通信の融合等々、何もTBSに限った話ではありませんので、いろいろな形で話題になってきているところだと思います。さらに技術が進みますと、テレビを見ていて、これが通信なのか放送なのかはほとんど見ている人はわからぬ時代になりつつあるんだと思っております。

 そういった中にあって、今言われたように、あり方の問題につきましては、いろいろな点から今後とも検討しなくてはならぬところであって、先ほど御指摘のありましたように、これは公共の財産、しかも希少財産でもありますので、そういった意味では、国益をきちんと考えた上でいろいろな対応をしなくちゃいかぬとは私どもも思います。

 いずれにしても、技術進歩のすさまじい中にあって、いろいろ検討は常にし続けなければならぬものだと思っております。

萩原委員 どうも大臣、御丁寧な、明確な答弁、ありがとうございました。

 続きまして、時間の関係もございますので、電波法の関係について簡単に質問を申し上げたいと思います。

 皆さん御案内のように、電波資源というものは、先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、日本人にとってもさまざまな人にとっても、当然有限であります。そして、国民の共通の財産として、国民の福祉がより高いレベルになるような形で活用されるような制度的枠組みの改善というものが常に求められている、このことは、当然多くの方々がお認めになっているというふうに思います。

 そして、今回の改正につきましては、電波利用料が、無線局数での均等割を基礎に若干のデータ量についての案分を加味という現行から、電波の逼迫、希少性の程度を見た上で、帯域をちゃんと考えるとか、あるいは経済性を考えるという形にシフトするものでございますので、制度の姿がより求められている方向に向いているというふうに思っていますし、また、いろいろな議論はあるにしても、利用料収入が少しふえる、たしか二割程度だったと思いますけれどもふえること、これは我々にとっても若干ありがたいというふうに思います。

 また、その使途の中で、これもいろいろな議論はありますけれども、デジタルデバイドの対策や電波資源の拡大ということにもチャレンジをしていくんだということで、執行面でのきちっとした規律が必要ですが、方向性として非常に妥当なものというふうに思っております。そうであるとしたら、やはり、もしこれは財務省が担当している法律だったら、入札制という可能性があるかもしれませんね。電波について入札をしよう、一番よく使って一番高く売れる方がこれを使おうということが言われる。

 そこで、入札による利用料と利用者の決定という制度を今回の問題については検討をされたかどうか。そして、その場合にどのような帯域ということで考えられたかということをぜひお聞かせいただきたい。もう一つは、その関係で、当然その検討はしたけれども、採用されなかったんですから、なぜ採用されなかったのかということについてお答えいただければ幸いでございます。

須田政府参考人 今回の電波利用料制度の見直しにつきましては、ただいま委員御指摘いただいた趣旨でございますけれども、具体的に、オークションあるいは入札制度について検討したのかという点でございますが、この点につきましては、今回の見直しに当たりまして、平成十五年の一月から、有識者から成ります研究会を開催いたしまして種々検討していたわけでございます。またその間、三度にわたるパブリックコメントも開催してございます。ここにおきまして、諸外国において実施されました携帯電話サービス、この点を念頭に置きまして、主として民間利用のための周波数割り当てに関する入札制につきまして調査しつつ、その利害得失について検討したところでございます。

 この検討におきまして、入札制、オークションの意義として一般に言われているものが、一つは、電波の有効利用インセンティブを促すのに活用できるということ、そして二つ目には、その結果かと思いますけれども、国家財政への貢献を期待できること等の意義が指摘されたところでございます。

 しかしながら、この検討におきまして、入札制を導入した場合の懸念事項あるいは問題事項としまして、どうしても落札額が高騰化しやすい、その結果、携帯電話等非常に大事なサービス等がおくれたり、あるいは非常にサービス自体が限定的になってしまうとか、さらには、こういった電波を使いました産業は非常に高付加価値産業ということで、各国ともある意味では戦略的な位置づけをしているのではないかと思いますけれども、このような入札によりまして、非常に事業者にとって負担になることが結果的に情報通信産業全体の衰退を招きかねないというような問題点等が指摘されたところでございます。

 さらには、このような形で入札を行いますと、どうしても免許期間というのを非常に長く設定せざるを得なくなる。したがいまして、そうであれば、電波の有効利用ということを考えたときに、非常に硬直的な仕組みになってしまうなどの問題点が指摘されたところでございます。

 したがいまして、今回の見直しにおきまして入札制を導入しなかったのは、こうした諸外国にいろいろな問題が現実に発生しているということ、そしてさらに、研究会におきまして具体的にこうした理論的な問題点の指摘があり、さらにパブリックコメントにおきましても、関係の多くの方は、今回このような形での入札制を導入することについては慎重な意見がございましたものですから、私どもといたしましては、入札制に関するインセンティブの点につきましては、先ほど御指摘いただきましたような形で、経済的価値を勘案するような料額の算定をすることによりましてインセンティブを若干なりとも導入することができるだろうということで、今回のような見直しの案を提出させていただいているものでございます。

萩原委員 ありがとうございました。

 大体そういう認識でありますし、確かに欧州における失敗というのはあったわけですが、例えば、CO2の排出権なんという議論を十年前にしたときには、そんなものができるかと大騒ぎでして、そんなことをしたら全部とまってしまうよと言っていましたけれども、今やあれをインターナショナルなマーケットで、入札で値段をつけて頑張っておるじゃないか、それも日本国にとっていいじゃないか、こういうふうに進歩しています。

 マーケットの構造とそれから規制のあり方なんですけれども、欧州の件について言うと、事業遂行保証というんですかね、役所で公共工事の入札をするときも、ボンドを積んでもらったりして、ちゃんとできるんだろうなという保証をとってからやりますよね。ああいうことによって、いわゆる冷やかし的なものとか、あるいはむやみに突っ込んでくるというのを抑止できるんですけれども、そういう他の規制のあり方というものともバランスを勘案した上で、やはりこの問題というのは継続的に議論すべきだと思うんですね。

 大臣、御所見を伺います。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 一番ひどかったのはイギリスですな。こういうような形になって、えらい高いものになって、ウン兆円になって。それは、もらったものはもらいましたよ、政府としては。しかし、全然動かなかったんだから、国民は甚だ迷惑をしたということになりましたので。そういう意味では、入札というのは確かにいいところもありますけれども、よほど担保がしっかりしていないと、その金が取られ過ぎちゃったものだから、後の運転資金、設備投資に回す金が全然なくなっちゃったというのが多分あの例だと思います。

 公開入札とか、いろいろな形のものは今後とも考えなければならぬところだと思いますけれども、いろいろ他国でも実験なり試みをしておられますので、そういったものは今後とも参考にさせていただかねばならぬ問題だと思っております。

萩原委員 ありがとうございました。以上です。

実川委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 きょうは、電波法につきまして基本的な質問を、また、関連の質問をさせていただきます。

 今回の改正で、電波利用料のうち携帯電話分につきましては、現行の一台当たり年五百四十円から四百二十円に引き下げられるということで、電話代が安くなる可能性ということも云々されておりますけれども、ほとんどの無線局につきましては料金、料額は引き上げられる、こういうことで、改正後の新しい料額と改正前の料額を比較しますと、百倍を超える無線局が二十七種類あったり、最高の引き上げ額は約七千四百倍、こういうふうに大変に大きな額ということがあります。

 既に前回の国会でもこの辺のことについての指摘もあり、急激な電波料金の増加ということで、免許人からの反発が想定されないのかどうか、先ほどパブリックコメントという話もありましたが、各関係方面からの十分な意見聴取をしたのかどうか、この辺のことをまず冒頭にお聞きしたいと思います。

須田政府参考人 今回の電波利用料の料額の見直しでございますけれども、これは、昨年の本委員会におきます附帯決議を踏まえまして、電波の経済的価値、例えば電波の逼迫の程度、使用帯域幅、地域性、こういった要因を勘案しまして、負担の公平性を確保するように算定方式を見直したものでございます。

 その結果、電波の逼迫した周波数帯域を幅広く使いますマイクロ中継局とかあるいは人工衛星局などの無線局につきましては、御指摘のように料額が引き上げられているところでございますが、他方で、電波に余裕のある過疎地域の無線局や出力の低い無線局につきましては、値下げになっているものもあるという状況でございます。

 さらに、人命や財産の保護に寄与する無線局や、主として個人や中小企業の方々が利用する無線局につきましては、料額を据え置きとしているところでございます。

 いずれにしましても、今回の料額の算定方式の見直しに当たりましては、三度にわたりますパブリックコメントの募集を行い、さらに個別のお問い合わせに応じまして説明を行っておりますので、関係者からはおおむね御理解をいただいているものと認識しているところでございます。

赤松(正)委員 関係者からおおむね理解を得ているということでありますけれども。

 私、冒頭にこの質問をいたしましたのは、総務省が行うパブリックコメント、さまざまな角度で、さまざまなテーマについて、幅広くいろいろなテーマについて意見を聞いておられると思うんですけれども、たまたま私がケーブルテレビの関係者のメンバーから、「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」という第二次中間答申につきまして、ケーブルテレビ事業者の声が生かされていない、その場に出ていない、そういう呼びかけすらなかったということで、極めてその答申内容というものがケーブルテレビ事業者にとって唐突感のあるものだった、こういう指摘、陳情といいますか、そういう要請、こういうことはどうなんだということを聞いたわけであります。

 地上デジタル放送の再送信につきまして、実績のあるケーブルテレビ事業者が検討委員会等に参加する機会を与えられないで、また、意見の聴取や状況調査をされることもなく答申書が取りまとめられたことについては、各関係者、ケーブルテレビ事業者は総務省に極めて強い不信感を持っている、こういうことがあるわけでございます。

 ただ、これはその後、検討委員会に参加できるということで、十月六日に行われた場には出ているわけでありますので、私がきょうここで指摘しようと思った件につきまして、まず第一義的には、そのことはかなったわけであります。

 ただ、今申し上げたように、いろいろな意見を聞くといっても、意外と抜けている、あるいはまた一方的な、大きいところの意見のみを聞く、そういう傾向がありはしないか、そういう観点に立ちまして、若干、このケーブルテレビの問題につきまして、総務省の見解をお伺いいたしたいと思います。

 まず第一点は、先日の中間答申にも幾つかの疑問が提示されておりますけれども、一つ取り上げますと、NTTのドミナント、優位性が強化される懸念があるんじゃないかという点が第一であります。

 国が三分の一以上の株式を保有して構築してきたインフラを利用して、他の通信事業者に貸与して、地上デジタル放送の再送信を行わせることは、ほかの通信事業者は自分のインフラを構築しない限りNTTに依存せざるを得なくなる、これはNTTのドミナント化を助長することにもなる、結果として国民が不利益をこうむることになるんじゃないか、そういう疑問であります。

 NTTのドミナント化を抑制するために、ケーブルテレビのネットワーク施設の拡充及び高度化を促進すべきである、特にアクセス系については、現在、ケーブルテレビが最大のNTTのドミナント化に対する対抗軸となっている事実を再認識して、これをさらに強化することによって、健全な競争環境の構築を促進すべきだ、こういう提言を行っているわけでありますけれども、この主張に対して、総務省の考え方をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありました審議会の中間答申におきましては、今言われましたように、二〇一一年の地上デジタル放送への全面的移行を円滑に実現するためには、放送局による中継局整備を原則としつつ、IPマルチキャストや衛星による再送信など、あらゆる手段を検討していくとされたところでして、御懸念の点につきましても配慮しつつ、議論を進めていかねばならぬと思っております。

 特に、今言われました全国約一千八百万世帯ぐらいにわたっておりますケーブルテレビの敷設が行われておりますところにつきましては、地域の公共的な情報通信のインフラというものの一つとして有効に使われてしかるべきものだと思っておりますので、地上デジタル放送のいわゆる再送信のメディアとしてもこれは大変重要だと思っております。したがいまして、デジタル放送の推進に当たりましては、ケーブルテレビの施設というものを十分に利用するというのが経費節減とかいろいろな意味で私どもとしては重要な手段だと思っております。

 したがいまして、デジタル化を推進していきますために、総務省としても、技術の水準をある程度きちんと整備しておかないかぬという点と、もう一点は、それをやるには金のかかる話ではありますので、低利融資とか無利子とか、いろいろな形での補助とかいうような措置を講じてきたところでもありますけれども、今後ともこういった施策をいろいろあわせて考えて、一日も早くきちっとしたものができ上がるように努めてまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 非常に丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 地域密着型のケーブルテレビというのは非常に重要な、今大臣にも御認識を述べていただきましたけれども、大事な役割を持っていると思いますので、丁寧にその意見を聞いてやっていただきたいと思います。

 それにつけ加えまして一点、さらに中間答申で確認をさせていただきたいことがありますけれども、IP再送信につきまして、二〇〇八年までに再送信を実施するための仕組みを確立するために、二〇〇六年、平成十八年から都市における難視聴解消上の効果の検証等を含めて、SD品質において開始、こう中間答申でなっておりますけれども、これは全国でIP再送信が行われるということなのか、それともある特定の地域を選んでIP再送信をやってみようということなのかということが一点。

 それからもう一点は、SD品質において開始というのは、HD品質による地上デジタル放送普及を推し進めてきた国の従来の政策に反するんじゃないかという指摘があります。なし崩し的にSDが広がっていきはしないか、二〇一一年以降もSDが残っていくんじゃないかといった声も聞かれます。もし実施をするなら、限定した地域においてあくまで実験的な立場でやるというのが必要ではないか、こう思うんですけれども、総務省のお考えを聞かせていただきたいと思います。

清水政府参考人 先生御指摘の第二次中間答申のときに、二〇〇六年からSD、それから二〇〇八年にはHD品質でという点を提言でいただいてございます。

 これは、今回の答申のときにIP再送信を実施するとは申し上げておりますけれども、実際上、サービスの地域性、例えばこの地域に限定してIP再送信サービスでちゃんとハイビジョン、HD品質で送れるかどうか、本当に地域限定ができるかという技術的なもの。それから、品質の同一性と申しますか、HD品質で送る場合に一遍にたくさんのアクセスがあった場合に、下手をすると、アクセスが多いと画像が飛んでしまうというようなケースがある、そういうような品質の問題についてまだまだ十分今の設備でやっていけるのかどうかというのは、これは通信事業者サイドからも当時議論の中でも出ておりまして、やはりそれらを両方とも技術的に担保させるための条件、これをどうしていくのかというところが必要になっております。

 そこで、全国でこれを一遍にやるのかというところになりますと決してそうではなくて、やはり地域的に、実証という表現になっておりますが、実際の技術検証、それから運用ノウハウを蓄積していくためにも地域を限って、それで相当の期間いわゆる実験、実験というよりはもう少し規模を大きくした形でやりませんとなかなか本当にできるかの確証が得られませんので、そういうような形で地域を限りながらやっていくという形になろうかと思います。

 先ほど御指摘のありましたように、ケーブルテレビ事業者の方の御心配あるいはその辺の御指摘もございますので、これにつきましては、十月六日の情報通信審議会、その中で具体的な進め方についての検討を再開しておりまして、この後に、IP再送信の技術運用上の仕組みだとか実施地域だとか目的だとか、そういうあたりは第二次中間答申の提言を踏まえてこの場で検討を進めていく形になろうかと思います。ここにはCATV事業者の方々から御参加を現在賜っているところでございます。

赤松(正)委員 今の点につきまして、審議会に参加をしているメンバーとの意見交流、言いっ放し、聞きっ放しではなくて、しっかりとした交流をしていただきたいと思います。

 最後に、携帯電話の番号ポータビリティーについてまとめてお伺いをいたしたいと思います。

 この問題は我が党の青年局の連中が非常に率先して推進してきた問題でありまして、大変関心も強い問題でございますので、最後に三点ほどまとめてお伺いしますので、お答えを願いたいと思います。

 一点は、この番号ポータビリティーの導入時期の見通しについてでありますけれども、来年、二〇〇六年十月をめどに導入される見通しということですけれども、早ければ来年の夏にもとの見方等もあったりいたしまして、現在の正確なところの見通しはどうなのかというのが一点目であります。

 二点目は、利用料の額につきましてでありますが、番号ポータビリティーを利用する場合のユーザーの負担について、なかなか今の時点で細かいことを言うのは難しいかもしれませんが、大体どういうふうな幅というものを考えておられるのか、なりそうなのかということについてお伺いをしたいと思います。

 それから三つ目は、制度の周知ということでありますけれども、この番号ポータビリティーが導入されますとシェアが大きく変わる可能性もあって、携帯各社ともに顧客をつなぎとめるために現在相次いでさまざまな料金割引サービスなどを行っています。こういういわば番号ポータビリティー効果ともいうべき現象で、利用者にとって大変結構なこと。ただ、心配なことがある。ギリシャ、オーストリアなど番号ポータビリティーを既に取り入れている海外の国でも、導入後一年ぐらいの間の利用状況は非常にパーセントが低い。これらの国々では携帯を変えなくてもいいと思っている人も多いのかもしれないけれども、それよりも、制度そのものを理解していない、認識していない、そういうユーザーが多いんじゃないか、こういうふうな指摘もございます。総務省は、この制度を多くの人に理解してもらうためにどのような取り組みを考えておられるのか、そういうことを今後どういうふうに周知しようとされているのか。

 以上、三点につきましてお聞きをいたしたいと思います。

麻生国務大臣 三点御質問をいただきましたので、最初の一、二点については局長の方から答弁をさせていただきまして、最後のところの、ポータビリティーのいわゆる広報活動につきましての御質問があっておりましたので、その部分は私の方からと存じます。

 これはもう前から、携帯をかえたら途端に番号を変えないかぬというので、皆どうしても一つの会社のものにずっとこだわらざるを得ないし、もしかえたら全部教えないかぬというのはえらい手間暇のかかる話でしたので、そういったものでポータビリティー、代替可能というのは、これは前からの話でしたので、私どもとしては、こういったものが現実に技術的に可能ということになりましたので、これは間違いなく利用している側の利便が向上しますので、そういった意味ではぜひやった方がいいと。かえられちゃ困るからというのでさらにいいものをつくろうと業者がするので、これは競争の促進になるという二点のところから私どもは期待をしておるところであります。

 ただ、言われましたように、そういったことの理解がどれぐらいあるかというと実は余りございませんで、そういった意味では、これは広報活動やら何やらというものにつきましては、ポスター、パンフレットというような基本的なところから周知をさせていかねばならぬところだと思っておりますと同時に、携帯電話の事業者ともやはり提携をして、きちんと周知を徹底させるようにしていきたい、私ども、今後ともその方向で努力をさせていただきたいと存じます。

須田政府参考人 お尋ねの導入時期と利用の料金の関係につきまして答えさせていただきたいと思います。

 まず、導入時期の見通しでございますけれども、私ども、今回、携帯電話の番号ポータビリティーを実現するために、また有識者及び関係事業者から成る研究会を開催しましてずっと検討してきたわけでございますけれども、その結果、導入に当たって留意すべき事項とあわせまして、導入時期につきましては、平成十八年度のなるべく早い時期を目途に導入すべきという形での提言をいただいているところでございます。

 しかしながら、具体的にいつということになりますと、この点につきましては、やはり今後の関係事業者におきますネットワーク改修や接続試験等の状況にもよりますので、余り確定的な、具体的なことは申し上げにくいんですけれども、遅くとも来年のうちには導入できるように取り組んでいるところでございます。

 なお、私ども総務省といたしましては、こうしたための制度としまして、今後審議会への諮問等の所定の手続を踏まえまして、今年度内を目途に関係省令の改正を行うこととしているところでございます。

 次の、利用料の点でございますが、携帯電話の番号ポータビリティーを導入するためには、どうしても全体のネットワークを改修し、またそれを維持、運用するということがございます、従来とは異なった形のネットワークになりますので。それともう一つ、個々に番号ポータビリティーを申請するための手続、こういうものがございます。これも、これまでずっと検討していただいた中では、前者のネットワークの改修とかこういったものにつきましては利用者と事業者とが負担するのがいいんではないか、しかしながら、後者の個々の人の利用のための申請手続等に関しましてはそれぞれの利用者の負担が適切なんではないだろうかということを、一例という形で御提示いただいたところでございます。

 しかしながら、この点につきましても、ではこれを具体的にどのように現実にやるかというのは、一種の料金政策と申しましょうか、競争環境の中での経営者のいろいろお考えがあろうかと思いますので、その点、一概に言うのは難しいだろうと思っております。

 ただ、いろいろ、利用者の意向等もやはり私どもは把握することが大事だと思っておりますけれども、そういった意味でアンケートをとった結果では、千円から二千円程度であれば利用者としても利用したいというような回答が多かったというふうに記憶しているところでございます。

赤松(正)委員 ありがとうございました。終わります。

実川委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 きょうは、前段が電波法、そして後段が電波法と放送法でございますので、さきの通常国会で質問をさせていただきましたが、前半、まず電波法の方からお伺いをいたします。

 この電波法の法改正、いろいろとヒアリングして考えておるんですけれども、やはり私は研究開発というところが大変気になる、懸念をいたしております。額の面と、それから使途の拡大という両面で大丈夫かなという気がいたしておるんですが、前回の質問のときにも関係した質問をいたしました。

 まず最初に、どうして今回、改めてこの電波法の利用料を使ってこのような新たな使途をつくり、研究開発にこのお金を充てていきたいというふうに御判断されたか、その点に関してお伺いをしたく思います。

須田政府参考人 私ども、電波は有限かつ非常に希少なものということで基本的に考えておりますが、そうした電波につきまして、昨今、携帯電話を初めとしまして、電波を活用したあらゆる形での産業というのも起きてきております。特に、最近では、ブロードバンド化の進展によりまして、電波につきましても非常に大容量の周波数を必要としてくるような状況がございますけれども、そういう中で、このような形で必要な電波を迅速に確保するためには、現在の電波資源の拡大を図る、要するに、現在ある電波をより有効に使えるような技術というものがますます必要になるだろうという観点から、電波資源の拡大を図るための研究開発を推進するために電波利用料の使途を拡大したいと考えているものでございます。

田嶋(要)委員 電波利用料というもののもともとの使途として決められていたものの中には、やはりどう解釈しても研究開発はない、そのままでは使えないからこそ今回法改正をしようというふうな動きになっておると思うんです。もちろん、電波の関係だけじゃなくて、さまざまな省庁の所管でさまざまな研究開発が行われていると思うんですね。そうした中で、当然、通常であれば一般財源の中から研究開発の予算というのがいろいろとつけられていくのが自然なんだろうというふうに思います。

 それで、お配りをした資料、配付した資料の一番上なんですが、これも財務省からいただいた資料でございますけれども、電波利用料というのは税金ではないけれども特定財源であるということで、一番下から二つ目に電波利用料というのがございます。

 もともと特定財源というのは、やはり何か特定のコストがかかっているところの方々に受益者負担のような形で存在するというふうに私は理解いたしておるんですけれども、これをごらんいただくと、税以外でこういった形で特定財源が存在しているというのは、ここに交通反則者納金と中央競馬会納付金、それからこの電波利用料、主なものはこの三つですね。この三つしかなくて、これを見てみると、やはり全く性格が違っている感じがしてなりません。

 どういう意味かというと、例えば交通反則者の数はせいぜい八百万ぐらいだと思うんです。中央競馬会の納付金、競馬のファンは今大体四百万人ぐらいらしいんですね。一方で、電波利用料、それこそ携帯電話一台につき幾らと、先ほど四百二十円ですか、そうすると、八千万以上の方が今こういった波のコストを負担している、利用料を負担している。これは特定財源というふうにはもう呼べないのじゃないのかなという感じがするんですけれども、その点に関してどのようなお考えでしょうか。

麻生国務大臣 考え方はいろいろあるんだと思いますけれども、やはり直接の利益を受けるという人は、主としてその電波を利用しておられる電気通信事業者、プロバイダーを含めて放送事業者等と、いわゆる携帯電話を持っている、無線局を持っている免許人、携帯電話保持者ということになるんでしょうか、そういった意味では利用する人は極めて限られているんだと思いますので、そういった意味では一般財源というのはちょっとなじみにくいんじゃないかなという感じでおりますので、今のあれは適当だと思っておるんです。

 研究開発というものは今後とも必要なもので、やっていかないと、電波のより効率的、能率的な利用方法とか、周波数は、使う人がふえてきていまして逼迫したりしておりますので、いろんな意味で新たな周波数の需要等々に的確に対応していくために、一般財源というのは、使ってみるとわかるんですけれども、これはなかなか話が、財務省を通して何とかかんとか、延々と時間がかかって、このスピードを要求される電波時代にはとてもじゃないけれども追いつかないというのが実態の問題としてはあるという面も含めまして、私はこういった意味では、いろいろな点を考えて、今のやり方というのは適当なんじゃないか、電波利用料を財源として使っているというのは適当なんではないのか、基本的にはそう思っております。

田嶋(要)委員 今御答弁されたんですけれども、確かに財務省とお金の折衝をして決まっていく、それは面倒くさく時間がかかることかもしれませんけれども、それがあるからこそ歯どめもいろいろかかるというか、厳しい審査を経ているんじゃないかと思うのですね。

 例えば総務省の平成十七年度の所管のさまざまな予算、RアンドD予算というのも出していただいたんですが、電波の関係以外の研究開発は一般財源からちゃんとついているんですね。だから、今回あえて何で法律改正なんという手間のかかることまでして、電波利用料財源で研究開発をしようというロジックになっていくのかというのが私はよくわからないんですよ。

 要するに、もともとさまざまな研究開発、総務省の中でもさまざまな研究開発を一般財源でやっているわけです。それで、あらゆる役所の関係の研究開発は、総合技術会議というのがございますね、これは内閣府ですか、その中で優先順位づけをする。AとかSとか、優先順位づけをする。そしてそれに基づいて、それを参考にしながら、財務省とそれぞれの所管の役所の中で、いや、このRアンドDは大切だという折衝をして額が決まっていく、そういう手続だというふうに理解しておるんです。

 であるならば、別に電波であろうが電波以外であろうが、総務省の管轄部分のRアンドDに関しては、ほかのことと同じように、一般財源のこれまでどおりの折衝をすればいいのじゃないかなというふうに私は思うのですよ。何であえて法律改正までしてこのお金をRアンドDに使いたがっているのかということが私はよくわからないです。

須田政府参考人 研究開発にはいろいろな種類があるということは御指摘のとおりでございますけれども、逆に、研究開発の中には、有限な電波という資源をいかにしたら拡大して使うことができるかという、本来電波行政と非常に密接にかかわるような研究開発があると私ども認識しているわけでございます。

 そういう中で、電波利用料というのが、本来的に無線局の免許人全体の便益のために設けるような事務に対しましてそれぞれ負担していただくというものですから、同じくこのような形で、限られた電波をより拡大して使えるような技術という研究開発につきましてはこの電波利用料財源を使うことが、本来の電波利用料全体としての共益的な費用の負担をしていただくというこの財源の性格に合うのではないかと判断したからでございます。

田嶋(要)委員 ただ、法律改正をしないとできないから今回法律改正したいわけですよね。今のままの電波利用料の定義、そしてそれをどういう目的で使うかという範疇外の話なわけですよ。

 片っ方で、総務省のやっているいろいろなRアンドDも、ほかの役所と同じように、一般財源でちゃんと手当てされるものは手当てされる。それは、御担当の方は、電波が逼迫して大変だ、ここのRアンドDが多分あらゆる開発の中で最も優先されるべきだとお思いでしょうけれども、違う役所の方は、そういうふうに御自分の担当のRアンドDの重要性を認識されている方がいらっしゃる。だからこそ、財務省との間でのイコールフッティングの交渉があって一般財源からのRアンドD予算がそれぞれについていくんだと私は思うのですよ。

 何だかここでやろうとしているのは、携帯電話とかの普及によって電波利用料という財源が急に潤沢になった。急に潤沢になってもう使い切れないぐらいになった。だったら、これをRアンドDという使途をふやすことによって、先ほどまさに大臣がおっしゃった、手続が大変だ、時間がかかる、財務省との折衝が煩わしい、だから電波のところだけは何か特別扱いにしてこのような財源を確保するような動きに見えてならないんですけれども、そうじゃございませんか。

麻生国務大臣 言い方が不十分だったかと思いますが、NTTにいらっしゃったので、その種のことの、いわゆる予算のやり方の御理解をされておられるという前提で申し上げさせていただいたんです。

 基本的に一般財源というのは長期なんですよね。これは五年以内にすぐ出てくるようなルールになっていまして、今後五年以内に開発すべき電波の有効利用技術のための研究開発という形に枠が決められている。したがって、五年以内で出てくればすぐ受益が出ますから、その受益が出てきた場合においては、税金でそれをやるのは、それを利用していない人もいっぱいおられますので、そういった意味でいかがなものかというのが、たしかあのときの総合科学技術会議等々いろいろなところで検討されたときの内容だったと記憶をいたします。ちょっと正確なあれじゃありませんけれども、先ほどの御質問に答えさせていただければ、一般財源と特定財源とに分けた理由の一つだったと記憶します。

田嶋(要)委員 そうすると、今おっしゃった歯どめがかかるということですね、五年なら五年、そういう特別な性格のRアンドDだ、そういうことをおっしゃっていられると思うのです。

 とすれば、例えば、多くの方が懸念していると思うのですが、RアンドDということで一度新しい使途を認めると、これからずっと、いつまでたっても拡大路線に走っていくような懸念が僕はするんですね。そこを何か歯どめをかけるようなことを考えられた方がいいように思うのです。

 例えば、その上限を決めるとか、こういったRアンドDに使える、RアンドDということに使途として認める期間を有限にするとか、そういうふうな考えもこの法律の中に、改正法案の中に盛り込んでいくというのはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 大事な御指摘だと思いますが、電波の利用料というのに関しましては、電波の適正な利用の確保に関し、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用の財源に充てると一応決めてあって、いわゆる無線局免許人の方々に負担をいただいているというものなんです。

 その具体的な使途ということになる点が一番問題なんだと言われているんだと思いますが、事務及びその事務の費用から算定される個別の料額は、国会の審議を経て、そして法律で明確に規定をされているところなんです。

 電波利用料の使途と額につきましては、法定されるところでありますので一定の歯どめというのは自動的にかかるんだ、私どもはそう思っているんです。かかっていても、気がついてみたら肥大化するということは十分にあり得るんだから注意をしろということなんだと存じますけれども、その点は十分に注意をしていかねばならぬところだと思っております。

田嶋(要)委員 せんだって道路特定財源の話が本会議の方で出ましたけれども、やはり特定財源というものをこれから本当に見直していかなきゃいけない、特別会計なんかもさらに本気で見直すということになっておるわけですが、言ってみれば、ここで法改正をして電波利用料の使途として新たに研究開発を認めるということは、特定財源を一個新設するようなものだと私は思うのですね、今のこの時点で。だから、先ほどのリストのようにこれだけ特定財源があるわけですけれども、法律上は書かれていない新規の使途に新たに加えたいから法改正を提出しているわけですから。

 となれば、今までなかった特定財源を、この今の時代に一般財源化、道路の特定財源のように一般財源化していくべきだ、あるいは特別会計も見直していくべきだと言っているときに、新たに特定財源を一個総務省がつくるという動きだ、私はそういうふうに思うのですけれども、そこら辺というのはやはり時代の流れとは逆行している、できればすべての支出というのは一般財源の中から見ていくのが本来の原則ではないかと思うのですよね。大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 基本的には、いわゆる免許人と言われる携帯電話を利用しておられる方々の直接の受益になるというところが一番大きなところで、ちょっと税金にはなかなかなじみにくいんじゃないかなというのが率直な実感です。

田嶋(要)委員 そこは平行線かもしれませんけれども、ただ、そういうふうにいろいろ言い出すと、例えば酒税でアルコール中毒の方の医療とか、あるいはたばこの税で肺がんの研究開発とか、みんながそれぞれの役所がおれもおれもと特定財源をつくるようなことになっていくような気がするんですよ。

 だから、やはり原則は、同じ一つの財布から客観的な立場から優先度をちゃんとつけて予算配分をしていくようなことにしないと、やはりここでRアンドDを使途として認めてしまうと歯どめがかからないんじゃないか。これからさらに、今の六百億円ぐらいが八百億、一千億になったときに、総務省はRアンドDをある意味では、かなり潤沢な資金がある、やはり人間ですから、そういうふうになると、だんだんだんだん気持ちが大きくなって使い方が大きくなっていくんじゃないかなという懸念を私は持っております。

 電波法の方はこのぐらいでいいんですけれども、次に、電波法と放送法の関係を質問させていただきます。

 これは外資規制の非常に条文の少ない改正案なんですけれども、まず最初にお伺いしたいのは、これは今回間接規制を導入したいということなんですが、何でこんなに長い間間接規制がなかったのかということをまず御説明ください。

麻生国務大臣 昭和二十五年に法律ができたとき、日本の放送事業者の株を買おうなんという奇特な人はいなかったんだと思います。それが現実なんじゃないでしょうか。

 したがって、ほぼ一%ぐらいのものがずっと続いておりましたので、どれぐらいのパーセントで変わっていったかという数字は、別にずっと数字がないわけじゃありませんけれども、一から始まってずっとふえていった経緯があります。やっと、何となくそういったものの需要が出てきて、おお、これは、内容は意外といいじゃないかと外資の目にとまって、意外と資産内容に比べて株の総評価が低いじゃないか等々の分析がなされるようになり、急に需要がふえてきてということになってきたというのが背景だと思います。ただ、それまでの間、余り関心がなかったというのが一番大きな理由だと存じます。

田嶋(要)委員 そういたしますと、先ほど自民党の方からも御質問がありましたけれども、ソニーとかさまざまな会社の持ち株比率、株式、資本構成の中で外国人による所有というのが近年非常に上がってきた、そういったことが背景にある。どこかにグラフもございました。外国人の持ち株が上がってきた。

 マクロでは確かにそうなんですが、ただ、先ほどの奇特な方というのはある日突然出てくるかもしれないわけですよ。それで、現に今回のこの動きというのは、そういったマクロの傾向が出てきたから満を持して始める改正じゃなくて、やはり先ほど出ていたホリエモンのあの一件で慌てて、先ほど泥沼式という話もありましたけれども、泥縄式でやろうとしている法改正ですよね。それは、まさしくタイミング的にやはりこれは間違っていたと私は思うんですけれども、そこをどういうふうにお考えですか。

清水政府参考人 先生御指摘のとおりに、先ほど、総務省においても過去、二十五年のときから三十三年等々、五十数年にわたって議論を重ねてきておりますが、今回の場合は、当然、先ほど述べましたような近年の対内投資の増加だとか、あるいは新しいMSCBといったような資金調達の話が出ておりまして、現実の、直接規制だけを書いている法文でございますが、間接出資の方法でも同じような実は支配の概念みたいなものが設立されるというような状況が出てきている中で、どうやっていくかというところを内部的には不断の検討をしてまいりました。

 ただし、そのときに、ことし二月のニッポン放送の事案等もありまして、内部で議論していたものが今回成案を得られたという形で法案を提出させていただいたところでございます。

田嶋(要)委員 直接の契機は、ホリエモンの資金提供者の中にリーマン・ブラザーズという外資がいたということだったと思うんです。これは仮にの話をお伺いしたいんですが、もし、あのトランザクションが成就していたとしますね、それで、外資の、今回ここで規制をしようとしているパーセンテージを超えてしまった、そうしたらどうするつもりだったんですか。

清水政府参考人 法文上のお話で申し上げましたら、現在の時点では、直接投資の関係の株式の規制はございますので、それをオーバーしたお話が直接投資の中で出てまいりましたならば、それは当然だめになります。それから、間接投資は現時点ではございませんので、間接投資のもので行われている時点では、現在の法文では規制の対象になりません。

 しかし、今回の法文で考えていきますと、今回、仮に間接投資をした場合に、この後で具体的なその積算方法というようなものを省令の中で定めていくときに、仮にNTTと同様のものを考えてみた場合には、果たして今回の一法人がどれだけのパーセンテージを持っているか、あるいは実際上、外資として中間の日本法人に出資しているところ、それからその出資のぐあい、そのようなところをあわせて判断する形になろうかと思います。

田嶋(要)委員 ちょっともう一度確認なんですけれども、私の質問は、今回の法改正で規制をしたいようなケースがもしホリエモンによって実現をしていたら、あるいは、今回のTBS、楽天が買おうとしているそのTBSも、楽天の親会社にかなり大きな外国資本が入っていたとしたら、法改正が間に合わないじゃないですか。それでも今回これを仮に通して法律ができ上がったら、もう既にホリエモンがニッポン放送を買収した、あるいは楽天がTBSに出資した、そうやって、今回の法改正が目指そうとしている規制を超えたパーセンテージを外資が持った状況が現にそこにあるとして、それでもこの法律改正を実現して、その後どういうふうにされるお考えですか。

清水政府参考人 先生御指摘のとおりで、現在の時点でその形で持つことは可能になりますが、仮に法案が通って施行された時点で、例えば次回のとき、その時点でその行為自身についての規制がかかるわけですから、例えば施行数カ月の間に外資の場合の保有はどうかとかそういうようなところをベースに、書きかえの問題ですとか、あるいは実際の次期株主名簿の書きかえ等のときには当然有効に働いてまいりますので、期間の中での対応が可能になるものと承知しております。

 ただ、現時点ではその法文がございませんので、現時点でそういうような事態が起きていても、それは何も申し上げる形にはなりません。

田嶋(要)委員 そうすると、法律を改正した時点で、そしてそれが施行された時点で、例えばさっきの例のような出資が違法状態になるわけですよね。だから、その違法状態を正すということ、是正命令かなんかをするということ、違うんですか。

清水政府参考人 説明がまずくて申しわけありません。

 違法行為というのではなくて、議決権を行使できない株式を持つ外国法人が出てくるというふうにここを理解いただいた方がいいかと思います。

田嶋(要)委員 そうすると、これは仮にの話なんですけれども、私がお伺いしたいのは、じゃ、そのリーマン・ブラザーズが仮に持っていたとしたら、その時点では議決権のある普通株ですよ、それが後から議決権が剥奪されるということですよね。それは財産権を侵害するということですか。そういう形の立法をしたということですか、今回。

清水政府参考人 先生の御指摘のとおりで、現在の時点で保有している株式についても、この後議決権について制限を受けるという形になります。

田嶋(要)委員 そういうことが、ニアミスで今回は起きませんでしたけれども、そういうタイミングで法律改正をするということ自体私は非常にいいのかなと。何もしないよりは、今回ようやくやるということのようなんですが、でも、本当にニアミスですよね。ひょっとしたら、こういう制限をしたいと言っていながら、それをすり抜けるようなケースがもう既に起きていたかもしれないわけですよ。それは、私、本当に放置されていたと言っていいのかなというふうに思うんです。

 そこで、じゃ、今回間接規制もやるということなんですが、この今回の法律改正というのは規制強化になるんですか。これは規制強化ですか。

清水政府参考人 実際上、今まで直接出資で規制をしていたその目的、それを現実的に実効的ならしめるために間接出資の規制を行うというところで、いわば実効性を高めるものというふうに表現をしてもよろしいのかなと思います。

 ただし、地上放送の部分につきましては、現実的に外資の方の持ち株についての議決権のところについては、ある意味、議決権の分が規制といいますか、行使できなくなる部分がございますので、そこはそういう面もあろうかと思いますが、ある意味では、今までの放送法が持っていた外資規制の趣旨を徹底するというところに近いかと思います。

麻生国務大臣 官庁文学を理解されていないと思いますので。

 基本的には、今回の法改正というものを一言で言わせていただけば、放送局に関して、いわゆる地上放送に限定して言わせていただければ、外資規制については今までに比べて規制は強化される、はっきりしておると思いますが。

田嶋(要)委員 では、原則的なところですけれども、こういった外資規制をやる目的というのは何なんでしょうか、この放送に関して。

麻生国務大臣 基本的に、私も小泉総理と同じで、外資が入ることによっていわゆる国内の企業の競争が促進されるということによって、いろいろな意味で企業が刺激し合って結果としてコストが下がる、また販売単価が下がる等々によって消費者が利益を得るというのはいいことだとまず私自身は思っております。

 間接規制のことに関しましては、御存じのように、世界でこれに加盟しております国、百四十八カ国中たしか百四十五カ国ぐらいは、今の日本がつくろうとしている規制と同じ間接規制をアメリカ含めて皆持っておるというのが現実だと思っております。

 そういった意味では、なぜつくるかと言われれば、これは、極めて限られております有限、希少、そういった意味での資源というものを少なくとも利用する立場にあります自国民の利益というものを考えるというのが第一点でありまして、また、いろいろな形での外資の規制というのは、友好国の外資とは限らないことも考えておかないけませんから、いろいろな意味での社会的影響力にも配慮するというのは当然のことかと存じます。

田嶋(要)委員 外資規制というのは放送だけじゃなくていろいろな分野にある、国によっても、いっぱいある国もあれば、ほとんどない国もあるということですよね。

 では、放送におけるこの外資規制、地上放送の外資規制というのは、例えば参考にしたというNTTの通信の分野における外資規制、あるいはそれ以外に航空とか運輸でも外資規制がありますけれども、そういった産業の外資規制とこの放送の外資規制というのは目的が異なりますか。

 特に私が思うのは、要するに、放送を流しますよね、人の頭に、内容がありますね、コンテンツが。だから、その辺が運輸とかとは違うのかなと思ったんですが、目的という意味では違うんですか、放送に関しては。

麻生国務大臣 ちょっと所管外の話なので、なかなかわかりにくいので、元セメント屋の部分で言わせていただければ、セメント屋は外資規制はゼロです。もう五十年ぐらい前からゼロなんだと思いますので、いろいろな形での外資が入ってきておると存じます。二〇%どころじゃない、何十%も持っているところもありますので、いろいろあろうと思います。

 放送に関して言わせていただければ、この前で答弁申し上げましたように、いわゆる社会的影響力というのは、放送というものを使って、いろいろな形で日本が不利益をこうむるというのは十分にあり得る。敵国によってやられる、また我々にとって友好国でないところからやられる、いろいろな形のことを考えておくというのは、私どもから見れば当然国益というものを考えななりませんので、そういった意味で、放送というものはかなり他の分野に比べて特殊といえば特殊なんだろうと存じます。

田嶋(要)委員 私も、そういった面は放送に関してあるだろうというふうに思います。

 ただ一方で、今はいろいろなチャンネルを見られますね、CNNとか見られますね。それは地上じゃないですけれども、見られる。そうすると、さまざまなものが見られた方が、いろいろな意味で、多様性という点でもいいだろうし、それから偏りのないというか、いろいろな人のいろいろな主張が聞こえるということでは、私は、外資ということだけをもって入り口で門前払いしちゃっているような制度が今おっしゃられた目的を達成するためにベストなのかなと。今まさにおっしゃった、非常に重要で影響力が大きい。影響力が大きいのは私も同感なんですが、影響力が大きいから資本構成の持ち株比率のところで、入り口で閉じちゃうというのがベストな手法なのか。

 先ほども出ましたリーマン・ブラザーズのケースは、ポートフォリオのインベストメントですよね。だから、彼らは放送の経営なんて多分関心ないですよ。そうですよね。ファンドだから。そうすると、ファンドとして、将来性があるからそこの会社に投資したいと思う、いわゆる普通のグローバルなファイナンスの世界での投資判断がゆがめられているわけですよ、そこだけは。

 だから、一緒くたにして外資は全部悪だみたいな感じで、昔は、外国からの直接投資というのは、それこそ悪魔みたいに途上国では言われていました。だけれども、今でもそれをやるのかなと。五十年ですか、放置されていた。突然間接規制もするというから際立つんですよ、そういうことは。要するに、まさに規制強化だから。規制強化を今さらやるのかなと。

 確かに、ほとんどの国が間接出資は規制しているとおっしゃるんですが、だけれども、この期に及んでこういった切り方でしか今の目的は達成できないのかなという疑問があるんですけれども、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 いわゆる議決権というものに着目をした点からの今の外資規制というのは、日本では通信とか航空の分野で同様の規制というのがなされておりますが、イギリスは違いますけれども、アメリカとかEUとか、各国でも放送分野には用いられておりますので、これは透明性も高いし、現時点においては結構有効に作動しているんじゃないかなと他国の例を見て思います。

 ほかの例を挙げればいろいろ出てくるんだと思いますけれども、例のMSCB、ムービング・ストライク・コンバーティブル・ボンドというのが出ましたでしょう、日本語にするとえらい長いものが。あれなんかの話を見ましても、やはり私らから見ても、従来とは違った形の、金もうけだけの投資ファンドではないか、経営に興味なんかないのではないかという御意見というのは、株価が上がったらそれで売り抜いてというものによって、少なくともいろいろな形で振り回されることというのをやはり考えないかぬという意味で、いわゆる、アメリカの場合はエクソン・フロリオ法、ああいったものも出てきていますので、簡単に言えば外為法ですよ、ああいったようなもので、いろいろな形で、国家安全保障確保という点からいわゆる業務停止とか何とか停止という大統領権限を付しているとか、いろいろな形でのものがありますので、今の現状の日本からいったら、この種の形で、他国とほぼ同様な形での間接規制というものをしたことによって外国からの投資が著しく引けるといったことにはならぬのではないかという感じがいたします。

田嶋(要)委員 そこまではならないと私も思うんですけれども、やはり長年放置されていた状況で、突然ホリエモンに慌てて法改正するようなときに、もう一度やはり、今この時点でこの日本で外資規制というのは一体何のためにやるのか、目的を果たすための手段として一番いいかどうかということをちゃんと考えた方がいいんじゃないかな、何か、よそがやっているからおくればせながらうちもというような感じで、それはちょっと安直な感じがするんですよ。

 それで、今おっしゃったことに関係するんですが、例えば、情報通信の方ですね、審議会から出ている文書をちょっと読みますけれども、これはNTTの関係の外資制限に関係するんですが、外国資本の内容を問わず一律にその総量を規制する伝統的アプローチたる外資規制から、今後は、国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある外国投資をケース・バイ・ケースでチェックする個別アプローチに全体として移行していく潮流だ、そういうことをここで言っておるわけですね。

 今まさに大臣がおっしゃったように、アメリカではエクソン・フロリオ、日本で言うところの外為法です。外為法は、やはり財務省と今回の場合は総務省、それぞれがそれぞれの立場で、この直接投資が日本の安全保障上大丈夫かということを判断する権利があるんですよね、きょう私は教えてもらったんですけれども。それで、判断する権利があって、実際、今までにまずいといって決定されたケースは一つもないということなんですね。

 だから、仕組みとしては、ケース・バイ・ケースで、よりやばいものを排除する仕組みは今でも既にある。そういった中で、何か形だけのパーセンテージで今さら外資を排除するというのは、有効でもないし、今からやることなのかなと。むしろ、よそがやっていないけれども、イギリスはやっている、ドイツだって実質やっていますよ、イタリアだってもっと緩いですね、そういうケースはあるので、やはり全部悪者みたいにしない方が私はいいのじゃないかなというふうに本当に思うんですよ。

 それよりも、むしろ、今の、ケース・バイ・ケースで、外為法をちゃんと使っていくとか、それ以外の、今回、楽天の三木谷さんなんかも言っていますね、第三者機関でしっかりと公共性が担保できるような監視をしていくとか、そういう機能をつくることによって、外資が持っていても、あるいはリーマン・ブラザーズが大きな株式を持っていても、いい番組が流されていれば、それはそれで大歓迎だと私は思うんですね。やばそうになったときに、まずそうになったときに、違う手法によってとめるということをすれば私はいいのじゃないかなというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 見解の相違だと思うんですけれども、基本的には、いい番組が流される、いいことです。何となく、いろいろなテレビ番組を見ながら、多分いろいろな方がいろいろな御不満をお持ちなんだと思いますよ、私も見ていても。そういった意味で、いろいろ不満がある人が、もっといい番組をつくりたいといって、おれがテレビを買いたいという意見が出てきてもちっともおかしくないと私どもも思いますので、そこの点に関しては、いろいろな方々がテレビというものに参入しようとされる気持ちは、その気持ちを買えば、私は決して反対ではありませんし、どこかで申し上げましたように、経営者が株主を選ぶというのは基本的に間違っています。株主が経営者を選ぶのだと思っていますので、その意味では私は決して間違っているとは思いませんけれども。

 ただ、そこに外資という形の内容が出てきて、これはまずいのじゃないかといって間に合うかとか、いろいろな形の、優先順位のつけ方の問題だと思いますけれども、一応、私どもとしては、今回は、少なくともこういった形は、他の国と比較してみても極端なわけでもないしという感じはいたしますけれども。

田嶋(要)委員 無難という言い方はできるのかな、横並びという意味で、そういう感じは私もします。

 最後に、おつけした資料の二枚目だけ、一言だけコメントを申し上げたいのですが、これは最近読売新聞に載っていたアンケート結果なんですけれども、ここをごらんいただいて、やはりはっきりわかるのは、民放テレビ、まさしく今回のようなTBSとか、民放ですね。これは、(a)と(b)があるんですけれども、世の中の、正確に情報を得たり必要な知識というところの評価に比べて、社会に対しての影響力が非常に高い。私の自分の感覚ともぴったりですよ。

 だから、私が何を申し上げたいかというと、本当に今の民放、この間の日テレとかTBSとかも含めたそういう民放の世界が、公共の限られた電波を使って、公共性をしっかりと持ったサービスを提供してくれているか、もっとより高いものを目指さなきゃいけないのじゃないか、視聴率競争に陥っているのじゃないか、これはいつも言われていることですが、私は、外国資本が入ってきて、もうちょっと多様性が出てきた方がプラスに働く側面が多いのじゃないかなというふうな感じがいたします。

 だから、今回は無難な法律改正ということで、横並びを実現したいということのようですけれども、ぜひとも、外資を規制するという、ゼロか一かの議論じゃなくて、本当に危ないケースをケース・バイ・ケースで判断できるような、そうした実態に即した行政の方にぜひ切りかえていっていただくこともこれから考えていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。大臣、ぜひ名前をお間違えのないように、冒頭お願いをしておきたいと思います。

 きょう、電波法及び放送法の一部改正ということでございまして、質問をさせていただきますけれども、先ほどの田嶋委員の質問に引き続いて、私も幾つか、外資規制、これについて、冒頭お伺いをしたいと思っております。

 私は、やはり放送というのは、受け手のリテラシーが高まることと同時並行的に多様化してくるべきだ、こういうふうに考えておりまして、一概に、放送の担い手、発信者を規制するということについては、多少否定的な考え方を持つ者です。ですので、最近は、青少年の健全育成の観点から、例えば放送の内容についても規制をかけようというような動きがあるやに聞いておりますし、この特別国会あるいは通常国会でもそのような法案が準備されているということも聞いておりますけれども、できる限りそれは、放送の発信者による自主規制ですとか、あるいは外部の第三者機関が、公平性、公共性をもとに判断するということであるべきだろう、できる限りそうあるべきだろうというふうに思っておりまして、そういう観点から今回の一部改正法を見ますと、やはり外資規制がなぜそもそも必要なのかという純粋な疑問に立ち返るわけでございます。

 どうなのでしょうか。外資規制が、この日本の放送にどういうことをもたらすものだというふうに期待をしてなされているのか。そしてまた、今回の間接外資規制によって期待されている効果、間接規制を導入する必要性について、冒頭、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 これは先ほどの田嶋議員に対する御答弁に少しダブるところが出てくるかと思いますけれども、外資規制が行われております。これは直接はもう既に行われているのですが、間接に関しましても規制をということになってきた背景というのは、直接には、先ほどホリエモン、堀江貴文の話から出てきたんだと思います。

 電波の周波数というのは、これは御存じのように、国際的に見ていれば、周波数の分配によって各国に割り当てられているという部分がありますので、これは有限でありますし、極めて希少な国家財産、資源ということにもなろうと思いますので、そういった意味では、やはり基本的には、与えられておりますその国、自国民の利益を優先するというようなことは当然確保しておく必要があろうというのがまず一点だと思っております。

 二つ目は、言論とか報道機関というものを考えますと、これは社会的影響力は極めて大きいので、偏った放送等々というものは非常に大きな影響力を与えることになりますので、これはある程度制限をする必要があるというのは当然のことだと思っております。

 今般のいわゆる間接出資の規制というのは、先ほどMSCBと申し上げましたけれども、転換社債型新株予約権つき社債、たしかそういうぐあいに言う、ムービング・ストライク・コンバーティブル・ボンド、通称MSCBというのが出てきたわけです。こんなのをわかっている国会議員なんてほとんどいやしないと思いますが、なかなか証券業界でもこれを直ちに理解したというのはほんの一部の人たちであって、普通の国内の株をやっている人だったら、まず、この新しい制度というか、債券のやり方を知っている人は私を含めてもちろんいなかったんだと思いますが、これが急遽出てきた。そういった意味では、新たな資金調達の手段という形でこれが出てきたんだと思います。

 そういった意味では、やはり近年において、いろいろな意味での、出資を受ける、投資を受けるという意味においては、電波法は、先ほど田嶋先生が言われたように、できましたのは昭和二十五年、今から五十五年前の話ですけれども、そういった時代とは全然違った形の事態が出現したんだと思います。

 そういった意味では、地上波につきましては、いろいろな意味において、これはいろいろ問題があるのではないかという御意見というのは、私どもも多々寄せられたところなんです。そういった意味で、むしろ積極的だった私の方はかなりばかすかやられた方なんですけれども、いろいろな意味で、こういったような状況というのは、少なくとも、何となく外資の規制、外資がばっと入ってくるというのは、一時、自動車のときも結構騒ぎになりましたけれども、結果的に見ればということもあったではないかとか、いろいろなことはありますけれども。

 ただ、放送ということになると、ちょっと他の事業とは少し違うのではないかという先ほどの御意見がありましたけれども、私も、放送というものは、電波を含めまして、他の事業とは少し異なる種類の業種なんだと理解をしておりますので、ある程度の規制というのは、他国を見ましても同じような規制をかけておられるという状況を考えましても、今回のような措置というのは少々遅かったのかもしれぬと言われる御意見もわからないではない、そのように思っております。

西村(智)委員 大変にたくさんのことをお答えいただきましたので整理が難しいんですけれども、他国を見ても、間接外資規制を含めた外資規制がなされておるということですが、大臣御承知のとおり、それぞれの国において放送の歴史というのはさまざまでございます。電波の歴史も新聞の歴史もそれぞれの国であるわけでございまして、ですから、その国において外資規制が必要な理由、根拠というのもこれまた恐らくそれぞれだろうというふうに思うんですね。例えばフランスなどは、もうこれははっきりと明確に、他国の文化をできるだけというようなことになっておりますし、日本ですとかイギリス、アメリカ、それぞれまたいろいろな事情があります。

 この外資規制、そして今回、間接外資規制を入れることのタイミングなんですけれども、先ほど、三十年くらい議論してきて、ずっと議論してきて、今回のタイミングでようやく議論がまとまったので出しましたよというような御説明だったかというふうに思いますけれども、ただ、やはり客観的に見て、余りにタイミングがよ過ぎるのではないか。つまり、昨年度からのライブドア、ニッポン放送、この事案、これをきっかけとして、間接外資規制の導入が必要だという論調がにわかに生まれてきたのではないかというふうに思うんです。

 そういたしますと、その論調はどこから出てきたか。今、記憶の糸をたどってみますと、この部屋にいらっしゃる中でも幾つかそういう声は聞かれたかなというふうに思いますが、主にやはりマスメディア、マスコミの方からそういう論調が出てきたというふうに私は記憶しておるんです。仮にそうであるとすれば、メディアが自分たちの声をそういう論調として上げた、そして政府がその声を受けとめて、いわば日本のマスメディアを、こういう言い方は非常に雑で私は余り好まないんですけれども、外資からメディアを守るために間接規制を導入しましょうというようなことだったのではないかというふうに邪推をいたしておるんですが、この点についてはどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 基本的には、既存のメディア、民放五社含めまして、既存のメディアを守るために外資を規制すべきというようなのは本末転倒だと思っております。

 基本的には、メディアというものはきちんと維持されておるというために、いろいろな形での資金調達の方法というものが考えられる中の一つとして、MSCBを初めいろいろなものが出てきたし、外資も出てきたんだと思っております。そういった意味では、私どもの想定をしていなかった事態が起きたというのは確かですけれども、それに対して、既存のメディアを守るためにというのは、確かにメディア側にしてみれば、今でも経営者側が株主を選べるかのごときに錯覚しておられる方もいっぱいいらっしゃるのは事実だとは思いますけれども、私どもは、メディアを守るという意味においては、メディアを通して入ってくる情報によっていろいろなことが懸念される国民を守るというのが我々の立場というように御理解いただいておければと存じます。

 それで、もう一つは、外資が入ってきたことによって、それによって多様性が本当に増すかということに関しましては、私、ちょっとそれはそんな単純な話ではないのではないかという感じがいたしておりますので、そういった意味では、経営上のメリットとしては資金の調達の多様性が上がることは認めますけれども、かといって、そのメディアを見る国民、視聴者にとって果たしてそれで多様性がふえるであろうかということに関しては、いま一つ私どもとしては疑問のあるところであります。

西村(智)委員 それでは、少し次に移りまして、外資規制の条項の方についてお伺いしたいと思うんです。

 つまり、今回の外資規制は、直接出資が二〇%以下という現行制度を、直接出資と間接出資を合わせて五分の一以下、二〇%に満たないものでなければ放送局の議決権、これは認められないというようなことになっておりますけれども、実際に、二〇%、五分の一というこの制限枠ですけれども、果たしてこれがどの程度の意味を持っているのかということは改めて考えてみる必要があるのではないかと思っております。

 電波法第五条でございますけれども、既にここで五分の一以下というふうに定められておりまして、今回ここに間接出資が加わるということになりますけれども、この二〇%の意味、なぜ二〇%であるのかですね。つまり、外資を規制する枠として既に電波法には二〇%というようなものがありますが、それが、例えば大臣が今おっしゃったような自国民の利益を守ることですとか、社会的影響力が大きいからそれに配慮して決めた数字であるとかいうようなことにどれほど役に立っているのかということについては、ぜひその具体的な根拠を教えていただきたいと思うんです。これについてはいかがでしょうか。

清水政府参考人 先生御指摘の出資比率というのは、例えば証券取引法だとか商法上でもいろいろな数字としての例がございます、例えば十分の一以上ですと少数株主権の行使が可能だとか。このときの数字の中で、例えば五分の一というのは一つの少数株主権の行使が可能というところの数字でございますし、また三分の一超というのは、株主総会での特別決議事項の決議を阻止することができるか否かという数字でもある一方でございますが、実際上、五分の一という数字が従前放送法の中にございましたのは、やはりワールドワイド的なものでございます。

 米国でございますと、やはり地上放送の直接出資は五分の一を超えることが不可だとか、例えばフランスも五分の一を超えることは不可だとか、カナダも五分の一というような数字を使ってございます。豪州も同様に五分の一というもので、世界的にはなかなかこの数字が、ある意味では五分の一というのが一つのメルクマールに近づいているのではなかろうかと思います。当然、イギリスのようなないものですとか、イタリアあたりは二分の一というような数字もございますが、ある意味では、この五分の一というのはそういうところから出ているものと承知しております。

西村(智)委員 それで、このように今回、外資間接規制に係る放送法が、私はそれ自体非常に大きなテーマであると思いますし、これまでにずっと議論があったとおりなんですけれども、もう一つ、電波利用料に係る改正である電波法改正の方、これは前回は、電波法は電波法の改正案として出てきたわけでございますよね。この特別国会でこういうふうに、私たちの目から見ては全く違う中身の法律だというふうに思うんですけれども、一緒に提出されてこられた理由というのは一体何なんでしょうか。

清水政府参考人 事実関係のところだけ御説明をさせていただきます。

 前国会の場合には、電波法の一部を改正する法律案というのが、予算関連法案としまして、ことしの二月九日に提出されてございます。

 一方で、電波法及び放送法の一部を改正する法律案というのは、先ほどお話がございましたニッポン放送株の取得、これは二月八日前後のときに、これで本当に外資規制の実効性を高めるべきかどうかというような議論がございまして、現実的には四月十九日に国会提出がされたものでございます。

 ただ、両法案はいずれも、放送も無線局でございまして、無線局に対する規律を見直すということを目的とするものとして電波法の改正を行うものでございますので、今国会において一本の法律案として九月三十日に提出させていただいたところでございます。

西村(智)委員 最近、よくこういうことがあるんだというふうに、私も二期目に入ってようやく気づいたわけでありますけれども、こういう全く中身の違う法律を一本の法案として出してくる。こうしますと、今回の法案についてどういう対応をするかは別といたしましても、例えば、この中身については賛成だ、この中身については反対だ、具体的にこちらからも対案を出す、そういう個別の細かい対応が非常にやりにくくなってしまうわけですね。こうやって一緒くたにして出されてしまうと、そもそも、与党が多数を占めるようになってしまった国会の中で、丁寧な議論というのをしっかりと行っていかなければいけないこの時期に、またさらに議論が雑になるのではないかということを懸念しております。

 ぜひとも今後は、一つの法律については一回一本ずつ、閣法として提案をされるときにはぜひともそういうふうなやり方をしていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。この法案、通常国会では別々に出てきていたわけですよね。どうでしょうか。

麻生国務大臣 経緯につきましては、今、清水統括官の方から申し上げたとおりなんだと思いますけれども、いずれにいたしましても、これは無線局に対する規律、規則ということでもありますので、一緒に討議をいただくというのは決して間違っているとは思いません。

 今言われましたように、私はどっちの方に賛成でどっちの方に反対なんだか、西村先生の場合は、民主党はこうだけれども私は反対とか、いろいろそれは気持ちもわからぬことはありませんよ。ありませんけれども、しかし、基本として、今言われたように余りにも細分化すると、たびたび採決で立つとなると結構これまた大変な話なので、正直なところ、どの程度にするかというのは、これは理事懇とか国対とかいうところで詰めていただかねばいかぬところなんだとは思いますけれども、言っておられる意味を理解しないわけではございません。

西村(智)委員 ぜひ麻生大臣のリーダーシップの発揮をお願いしたいと思います。ぜひ丁寧な審議ができますようにお願いしたいと思います。

 さてそこで、次に、マスメディア集中排除原則についてお伺いをしたいというふうに考えております。

 これは報道でございましたけれども、総務省が、BSデジタル局、これは地上波と兼営を認めるというような方向で検討に入ったという報道がございましたが、昨日、レクのときにお伺いをしましたら、そういう報道はあったけれども多少事実と異なっているということで確認をいたしました。

 私は、この報道の中で言われております調査研究会、デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会、ここでこれから非常に重要な議論がなされるのであろうというふうに考えているところでございます。この報道のとおりでないとしても、総務大臣の方から、仮に例えば地上波、マスメディア集中排除原則の見直しなどについて検討せよというような指示が出ているのであるとすれば、非常に重要な研究会になってくるんだろうというふうに思います。

 ちょっとざっくばらんなお伺いの仕方で非常に恐縮ですが、大臣はマスメディア集中排除原則についてどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。最近のTBSと楽天に関する報道では非常にクールなコメントをなされておるようでございますけれども、いかがでしょうか。これは株のことでしたけれども、マスメディア集中排除原則についての感想を伺います。

麻生国務大臣 これは、できましたときの経緯というのがいろいろございまして、新潟県である放送局を立ち上げるというときに、例えば西村さんなら西村さんがそれをやる、その人がほかのところでもやられる、BSもやります、何もやります、かにもやります、気がついてみたら全部西村さんがやっていましたというようなことを避けたい、いわゆる集中するのを避けたいというのがもともとのスタートだったんだ、法律ができましたときには。

 ところが、現実どうなっているかというと、結構事は難しくて、たまたま顔を上げたから北海道を言うわけじゃないけれども、何となく、金持ちがいないんですよ。それは本人の顔を見て、何もあなたが貧しいと言っているわけじゃありませんからね。いないんですよ。そうすると、買ってくれる人がいないんです。そうするとどうなるかというと、やはり頼りに行くところは同じところに行っちゃう、秋田にいたらみんな寺田さんのところへ行っちゃう、こういうことになるわけです。それが現実問題として、今、地方では非常に困っております。東京近郊の場合はそういった資本力のある会社やら何やらがあるんですが、過疎地に行きますとなかなか難しくなってきているというのが正直な実態であります。

 私どもとしては、この前この騒ぎになって、二〇%を超えている、三〇%だ、いろいろなことがありまして、県を越えているのはいいとか、歴史を見ますと、いろいろな形で緩和していったところがあることは確かなんですけれども、現実問題として、いろいろな意味での多様性を確保するためにはぜひ資本構成は違った方がいいというのは基本的には正しい、私もそう思っております。

 ただ、気がついてみると、そういう人がいないから結果的にほかの人がという形になっておるという現状でもありますので、出資比率の規制の緩和というのはいろいろな形で容認してきましたけれども、もともとの発想がそれだったという点はちょっと頭に入れて、今後慎重に対応していかねばならぬところだと思っております。

西村(智)委員 例えば、BSデジタルと地上波でございますけれども、仮にこの検討会が検討していった結果としてそれは認めるという方向になるのであれば、私が懸念しておりますのは、つまり、地上波との兼営によってデジタル局の方も系列化される。今でも五〇%ですけれども、兼営ということになりますと、すなわち、即系列化ということになってくる、グループ化ということになってまいります。

 恐らく、デジタル化というものが目指されたときには、いわゆる多チャンネル化というものが目指された中でのデジタル化という方針が出てきたんだろうというふうに思うんです。ところが、今大臣がおっしゃるように、新しい局を立ち上げようとしても、そんなに資本が集まるわけではない、お金が集まるわけではない。現状で、仮に地上波の局が持っているデジタルと系列化がさらにこれから進むといたしますと、最初、デジタル化によってもたらされるであろうと期待されていた多チャンネル化というのは、むしろ抑えられてくるのではないか。つまり、もともとデジタル化に期待されていたところの多様な番組制作というのが提供されづらくなってくるのではないか。こういうことを懸念しておりますけれども、これについてはどんなふうにお考えですか。

麻生国務大臣 御指摘は御指摘として、正しいと思います。

 基本的には、いろいろな意味でデジタル化というのは金がかかる話であって、今ありますテレビ局の地上波をデジタル化すると、平井先生もう前から言っておられるところですけれども、これは多額の投資を要求する部分がありますので、その意味では、確かに波はきれいになりますし、画面もきれいになるんですが、基本的には、デジタル化するという新たな設備投資というものは地方局にとっては結構な負担になるということだと存じますので、その意味では簡単な話ではない、私どももそれはそう思っております。

 したがって、いろいろな、多様性とか資本の分散とかいうことをしないと危険だと思っておりますけれども、それに関して、資本を投資する側からいうと、投資した割の見返り、費用対効果の問題からいったら、なかなか、その分だけ返ってくるかなという気持ちを地方ローカル局の方が持っておられる率が高いというのは確かです。そういった意味では、これは確かに慎重に検討しなきゃ、今言われたような点は十分に配慮していかなきゃならぬところだと思っております。

西村(智)委員 たびたび総務省の方から出てまいりますのは、放送の多元性と多様性と地域性、この三つを確保するために皆さんはお仕事をされているんです、こういうお話なんですね。

 今、放送とかマスメディアの世界でいいますと、新聞社と放送局の横の系列があり、そして放送局、キー局とローカル局との縦、縦というのも位置づけ的には余り好みませんが、縦の系列がありということでありますけれども、どうなんでしょうか。少なくとも私が見ている範囲で申し上げると、ローカル局の方で地域番組を一生懸命つくっているところほど実は非常に経営は苦しい、キー局の番組を持ってきてそれを流しているというところはそこそこ経営も安定していて、デジタル化への対応もそんなに心配はないということになっておるんですけれども、やはりこれから、もちろん地球化といいますか、グローバライゼーションとローカライゼーションが同時並行的に進んでいく時代でありますので、外資についての規制を改めて考えることと同時に、ローカリティーをより重視した番組がいかに提供されるか、こういう視点からのものも非常に重要になってくると思うんです。

 そこで、地域性の確保ということについてお伺いをしたいと思うんです。

 今現状で、マスメディア集中排除原則、議決権の比率等での規制、規律、これが行われておりますけれども、これで本当に地域性というのは確保されるのかどうか。もう少し別の指標があってもよろしいのではないか。つまり、指標といいますか、地域性が確保されるというふうにだれが見ても客観的にわかる数字の示し方、こういうものがないかというふうに考えるんですが、その辺について、まず大臣の御認識がおありかどうか。

麻生国務大臣 もうかるかもうからないかからいったら、間違いなくキー局を流した方がもうかります、コストがかかりませんから。自分でコンテンツ、いわゆる番組一個つくるというのは、ゼロからスタートするというのは、これは企画力も要りますし、もちろん出す人間からテーマ性からえらく金のかかるものですし、かつ、でき上がったら、その地域で売れるかもしれませんけれども、その地域以外では全然売れない番組というのは、いわゆる商品性としては下がることになりますので、全然使えないんです。したがって、何となくいろいろなものを時間をずらして流したりなんかしているだけで、基本的には、キー局のものを流した方がもうかるというのは事実だと思っております。

 その意味では、地域によってもっとローカル性を出せということなんだと思いますけれども、これは下手すると、総務省が介入してきて、おまえ、その番組は選挙の番組をもっと出せ、おまえのところは今選挙の真っ最中じゃないかというような話になって、それは間違いなく地域性は非常にありますけれども、そういったいろいろな形での介入というものは、基本的には注意の上にも注意をしておかないかぬところだろうと思いますので、表現の自由の制限につながることもありますので、これは本当に難しいんですが。

 ローカル局で当たったのも結構あるんですよね、実は熊本の小さな番組なんかで。そういったようなものもないわけじゃありませんから、私どもとしては、こういったものは常に目をかけておかねばならぬとは思いますけれども、現実問題としては、今おっしゃるとおりに、いわゆる収益性の面からいきますと極めて限られた形になってきているというのは、現実としてはそうだと思っております。

西村(智)委員 今の大臣の御答弁では、これはつまり、ローカル局に番組をつくらせると政治的にも偏った番組をつくりかねないじゃないかというような御答弁だったかというふうに思いますけれども、それはいささかいかがなものかというふうに疑問を持つところであります。

 つまり、キー局がそういう番組をつくらないとも限りませんし、実際にローカル局であっても非常に質の高い、本当に公平性、公共性が担保された番組をつくっておるというところはたくさんございますので、その点については大臣らしくない答弁であったかなと思います。

麻生国務大臣 中央からの介入を排除するというのが大変大事だと申し上げているのであって、ローカル局のローカルな番組をもっとつくるようにというのを総務省が指導するというのは極めて危ないと申し上げておる、そういうぐあいに御理解いただいたらよろしいのだと思います。

 これをやれとかあれをやれとか、お前の比率をもっと高めろとか、比率が、パーセントがとかいう話になってくると、いよいよ介入ということになろうかと存じますので、それは避けた方がよろしいのだと存じます。

西村(智)委員 そういたしますと、諸外国のマスメディア集中排除原則の中では、例えばイギリスなどでは、地域番組の八〇%は当該地域で制作した番組であること、ローカルで流す八〇%はその当該地域でつくった番組であるべきですよというような指標があるわけですけれども、こういったことについて検討する御用意は今のところ大臣の頭の中にはないというふうに理解してよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 イギリスの場合は、御存じのように、スコットランド、ウェールズ、イングランド、アイルランド、全部、イギリス連合王国と言われるのが正式な国名ですから、そういった意味では、ローカルとしても極めてつくりやすい部分であるとは私どもも思いますし、お化けの話も、四つとも全部お化けの種類が違いますのでわかりやすいんですけれども、日本の場合は、その点は、なかなか地方性というのは、確かに南部と津軽といえば同じ青森県でも全然違うとか、いろいろローカル性のあることは私どもも確かにわからぬことはありませんけれども、ただ、範囲は結構、こっちは人口密度が高い分だけかなり違ったものになっておりますので、今のような話というのは、八割を必ず流せといった場合に、流せない部分のとき赤字補てんは国でやってくれますかといってこっちに振られるのは、ちょっと正直いかがなものかという感じがします。

 もう少しコンテンツやら何やらが整ってくると、少し意識として、中央のものを地方に流した方がよかった時代と変わって、今、地方分権になって、ローカル色というものは昔に比べたらはるかに強くなってきたと思いますので、もうしばらくすると、そういったものは、言わないでもそっちの方が見られるということになり得るかなという感じがしますので、将来の課題としてはいい御指摘だと存じます。

西村(智)委員 外資規制の面では、今回は間接規制ということが急がれたわけでありますけれども、ぜひマスメディア集中排除原則のあり方についても検討を早急に行っていただきたいと思います。

 それについて、一つ付言をさせていただければ。

 先ほど申し上げたデジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会、この構成員の名簿を実はいただきました。ここで、先ほどの例えばデジタル化と地上波の兼営ですとかマス排のあり方について検討が行われる場だということでありますけれども、大臣ごらんいただけましたか、お一人を除いて全員が大学の教授、助教授なんですね。非常に深い議論はできるのであろう、学会並みの非常に深い議論ができるんだろうと思いますけれども、この名簿をごらんいただいて、大臣はどういうふうにお感じになるか。

 そしてあわせて、マス排のあり方について、ぜひ集中的な検討をお願いしたいというふうに思います。つまり、例えば一〇%の規制、二〇%の規制、デジタルと地上波でいえば五〇%という数字が決められておりますけれども、いかなる状況だからこういう数字になったのかというような納得のいく根拠がどうもやはりない、欠けているのではないかというふうに私は思うんです。こういったことのあり方すべて含めて、これはもう早急にやっていただきたいと思いますけれども、大臣の見解をお伺いします。

麻生国務大臣 この塩野という座長、これはたしか東大の元教授だったと思いますし、それから羽鳥光俊等々、これらはこの業界ではちょっと右に出る人がいないぐらい著明な人だ、私はそう理解をいたしておりますが、全員が全員知っているわけではありませんので。ただ、学者に偏り過ぎているではないか、日本総合研究所の主任研究員が一人いる、これ以外全部学校の先生じゃないかと言われると、その点は確かにそうだと思います。

 ここでいろいろ御議論をいただいているんですが、直接の利害を有さない人というと、やはり学校の先生というのは一番直接の利害を有さないとどうしてもなっちゃうんですね。あとはもうすべて何らかの形で、ちょっと電波に詳しい者を見て、おまえの会社じゃないかとかいうことになって、非常にこれは難しいので、ヒアリングをさせていただくやら何やらいろいろさせていただいているんですけれども、そういった形では今のところ特段問題がないと思っているんですけれども、御指摘の点は確かに考えておかないかぬところだと思っております。

 いずれにいたしましても、デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会において、少なくとも、このマスメディア集中排除原則について検討してくれということを、今研究をいただいている最中で、たしか来年の六月だと思いますけれども、この課題に応じた答えを出していただくということになっておりますので、総務省としては、その取りまとめられた案に基づきまして、この集中排除原則にかかわる省令の改正案というのを考えないかぬというぐあいに思っております。

 いずれにしても、これはつくったときの時代と今のときの経済状態、景気のよかったときはまだよかったんですけれども、少しまた違ってきているような感じもいたしますので、いろいろな意味で、このマスメディア集中排除というものの細目につきましては、今後検討させていただかないかぬところはあろうと存じます。

西村(智)委員 検討会は利害関係者がいない方が話が進むと大臣はおっしゃいますけれども、では、ほかの検討会ですとか調査研究会のリストを見ますと、逆に言うと、利害関係者ばかりという委員会はありませんか。どうでしょうか。その点をぜひバランスをとっていただく。これは今御答弁いただかなくても構いませんが、全体的な調査会ですとか審議会のあり方というものになってくる大きなテーマであると思いますので、指摘をするだけにとどめておきたいというふうに思いますけれども、ぜひ公平で多様な、地域性のある放送が行われて、私たちがそれを選択することができる、そういう状況に近づいていけるように、またこれから頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 時間ですので終わります。ありがとうございました。

実川委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 同僚の民主党議員のお許しを得て、きょう、またこうして質問に立たせていただきます。前国会と同じ電波法改正案、そして先ほど西村委員からお話あったように、電波法、放送法の改正案ということで、抱き合わせの法案への御質問をさせていただきます。

 まず、電波法でありますが、昨年あるいは一昨年、民主党は、電波オークションを交えた通信・放送委員会設置法ということで、対案を二年連続出してまいりました。ことしはその対案は出しておりませんけれども、またこれは、前原代表のもと、対案を旨とする民主党として、また来年、通常国会に臨んでいくことになろうかというふうに思っております。

 まずは、七月二十八日も議論をいたしましたこの電波法改正案について、電波有効利用政策研究会、私的諮問機関でありますが、その最終報告には、原則公共セクターへの課金というものをうたっております。ただ、しかし、というような形で、今回その課金が見送られたわけでありますが、実際、イギリスやドイツでは課金をしている、公共セクター、国や地方公共団体も電波利用料を払っている、日本でも実際、防災行政無線は半額を払っている。こういった中で、いや、今回もその課金は見送りなんだという法案でありますが、実際のところ、電波を公共セクターはどの程度利用しているのか。

 これは、この最終報告でも、国民への説明責任、すなわち、公共セクターがその課金、お金を払わないことを逃れるためにも、当然その利用状況を明らかにすべしと説明責任をかなり強く主張しておるんですけれども、前回も総務大臣からは、三ギガ以下あるいは六ギガ以下、六ギガ以上で公共セクターがどの程度占用しているか、あるいは共有しているかということで御答弁をいただきましたが、時間ももう二カ月以上経過をしておりますので、再度わかりやすく、公共セクターがどの程度日本の電波を利用しているのか、お答えをいただけますでしょうか。

麻生国務大臣 周波数の話は、公共事業と電気通信事業のいわゆる業務用の目的別に使われているところなんですが、簡単に申し上げたら、いわゆる公共事業の占用というのは二%です、公共だけ。そして、共用しておりますものが約九〇%ということです。

 前回申し上げましたように、占用で使われております周波数の割合は、三ギガヘルツ以下で一九・一%、それから三ギガから六ギガ以下で二・〇、六ギガ以上で一・〇ということになっておりまして、他の業務と共用で使われております周波数の割合は、三ギガヘルツ以下が五九・四、そして三ギガを超えて六ギガ以下が八五・五、六ギガを超えるものは九一・一ということについて、前回お答えをしたところだと思います。

 全体について整理をさせていただきますと、公共業務の占用に使われております周波数幅の合計は約一・二ギガヘルツ幅であって、全体に占める割合は約二%ということになっております。電気通信業務、一般業務等の業務と共用で使われております周波数というものの幅は約五十三・五ギガヘルツで、全体に占める割合は約九〇%ということになっております。

武正委員 木で鼻をくくったような御答弁と言わざるを得ないんですが、やはりこれでは説明責任は国民に果たし得ないというふうに思うんですね。公共セクターは電波利用料を払わなくていいという法案を出しているわけなんで、占用は二%で、共用は九〇%だ、これ以上はお答えいただけないということではやはり説明責任を果たし得ていないということですので、私は再度、より細かに、共用部分の公共セクターの利用割合、これがやはりわかりやすく国民に説明をされていく、そしてその中で、使われていない、むだなところはやはり返していく、こういうインセンティブを働かせるということが必要なためにも、やはり公共セクターへの課金、そしてまた、先ほど御議論がありました電波オークション制、これはもう一部でいいわけですので、一部導入をして、実際市場でどの程度事業者がこの電波を必要としているのか、こういったことをやるべきだと重ねて申し上げたいと思います。

 今回の法案については、もう七月二十八日に申し上げましたが、経済的価値が二百億、試算が、算定が二百億、そしてそれ以外は従来どおり四百四十億、なぜ二百対四百四十なのか、この理由がわからないということ。

 それから、いわゆるこの電波利用料、先ほど田嶋委員が指摘したように、この研究開発、これは独立行政法人情報通信研究機構が過去三年、五割、六割受注をされている。アナログ周波数変更対策業務と電波再配分対策業務は指定法人電波産業会である。携帯電話等不感対策業務は社団法人道路トンネル情報通信基盤整備協会がそれぞれ独占をしている。電波利用料は国民の皆さんからお預かりをした貴重なお金でありますが、それを実際に利用というか使われるところが、独立行政法人、公益法人が優先的に、あるいは独占をしているというのはやはり問題があるということを重ねて指摘させていただきたいと思います。

 なおかつ、オークションについて先ほど来御議論がありますけれども、何ゆえイギリスのボーダフォンが日本に進出しているのか。そして、日本の携帯電話会社はいかに。この彼我の差を見れば、私は、適正な競争というものがこのオークションを初めとしてヨーロッパで行われている、そしてアメリカでも三度のやり直しを含めて毎年このオークション制度が行われているということを、やはり現実としてとらえるべきであるというふうに考えるところでございます。

 さて、電波法、放送法の方に移らせていただきます。お手元の方に資料を配らせていただいておりますが、今回の衆議院選挙を振り返ったときに、テレビの与えた影響というようなことを、きょう放送法に絡めてお聞きしたいというふうに思うんです。

 まずは、二ページ目の方をごらんいただきますと、これは読売新聞の報道でありますが、テレビを見た方の、「TV好きほど自民に投票」ということで、テレビ視聴時間別の自民党への投票率というものが、インターネットの利用者千人に行った調査で出ておるわけでございます。

 実際、今回衆議院選挙では、テレビ報道ということで、解散前後からいわゆる刺客報道というものがテレビで盛んに放映をされております。これは「ブロードキャスター」というTBSの番組で今回と前回を比較したことが東京新聞さんで書いてありますが、「お父さんのためのワイドショー講座」で、二年前と比較をすると、九月三日放送では、衆議院選挙が約九時間五十九分四十八秒で第一位。これが二年前と比較すると、二時間四十三分三十八秒にとどまり、第二位だった。約四倍の報道というようなこと。八月十一日の民放各局の朝のワイドショーは、例えばフジテレビ「造反組に次々刺客?」、テレビ朝日「”造反組”に容赦なく第二・第三の刺客が?」と。三十日の公示日のワイドショーも軒並み選挙の話題などということで、選挙が始まればさすがに刺客とかくノ一などの特定の候補者に絡むタイトルは影を潜めた、こういうようなことも書いてあるわけなんですが、今回の衆議院選挙でテレビ報道の与えた影響ということを総務大臣として、こうした読売新聞の調査も出ている中で、総務大臣の御感想をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 武正さんには前に説明したと思いますが、私は基本的に新聞は努めて読まないようにしていますので、まず、これをきょう初めて見させていただきましたけれども、新聞は、読むと、大体自分のところを見ると間違ったことが書いてありますので、多分ほかの方も同じだと思って、読まないことにしていますので。

 新聞は見るだけで、これも見たこともありませんので、ちょっと今初めて見たので、「TV好きほど自民に投票」ということですが、前回は多分民主に投票だったんだと思いますので、余り意味がない、私は基本的にそう思っております。

 それから、国政選挙というのは、国民の関心が高いのはまことに結構なことなんであって、各放送局においていろいろ努力をされておられるんだと思いますけれども、基本的に、総務省といたしましては、関係法令というものに関しまして、少なくとも規定に従って放送されていることに関しましては、それは放送番組の編集の自由に関する話だと思っておりますので、所管大臣としてのコメントと言われても、ちょっとコメントのしようがないと存じます。

武正委員 関係法令というのは放送法だというふうに思うんですね。ですから、放送の独立性あるいは政治的な中立、こうしたところであったり、一部の報道だけ、偏った報道だけでなくて、例えば両論ある場合は両方取り上げなさいというようなこともやはり放送法に明記をされている。あるいは、これはBBCの内規というふうに私は伺っているんですが、特に与党のみの報道にどうしても偏りがちなところは、必ず与党、野党バランスをとるように、こういう内規がBBCにあるということも伺っております。

 私が今回、この放送法の改正で、昨年、以前から出しております通信・放送委員会設置法というのは、やはり総務大臣が放送局の許認可を握るんではなくて、第三者委員会に与えるべきであると。それはどうしても、総務大臣が許認可を握れば、これは五年に一回の免許更新ですから、そこで総務大臣がだめだよと言うと、もう放送できない。これは、報道がどうしても政府・与党に偏りがちになってしまうのではないかという懸念があるものですから、やはりそれは独立の委員会というようなことを言っているのでございます。

 そこで今回、電波法、放送法、いわゆる外資規制、間接規制が出ているんですけれども、これは先ほど来、二月の上旬のライブドアによるニッポン放送株の取得、これに端を発したということが既に言われておるんですけれども、きょうは、法務副大臣、富田副大臣がお見えでございますので。

 実際、私は、確かにあのとき、特に与党から随分こうした法制化の声が上がったやに記憶をしております。ただ、果たして、半年たってどうなんだろう。今回のTBSに対する村上ファンド、そして今の楽天ということでいうと、実際は外資よりも内資じゃないかというような話もあるぐらいで、あのときのリーマン・ブラザーズからの八百億のMSCBですか、大変長い名前の日本語訳はとても言いませんけれども、これがあったので、かなり過敏に反応し過ぎたのではないかなということが実は政府あるいは与党にあるのではないかというところも思うわけです。

 この間、やはり会社法改正で目的としたいわゆる敵対的買収策への防衛策、これがどういうように法改正されたのか。そしてまた、いわゆる三角合併で、これも外資について一年延期してしまったわけですが、その理由、これもやはりライブドアの影響なのかどうか。これを法務副大臣の方からお答えいただけますでしょうか。

富田副大臣 武正委員にお答えをいたします。

 会社法についてお尋ねいただきましたが、現行商法のもとでも敵対的買収に備えてとり得る方策が三つほどありました。ちょっと御説明をさせていただきますが、新株予約権を使って買収者の議決権比率を下げる方法、二番目には、強制転換条項つき株式を使って買収者の議決権比率を下げる方法、三番目には、拒否権つき株式を使う方法、この三点がございました。

 しかし、これらの防衛策につきましては、実際に導入しようとする場合においていろいろな問題点があるというふうに指摘をされておりました。

 まず、新株予約権を用いた防衛策につきましては、現行法には買収者から新株予約権を奪う方法がございません。買収者の有する新株予約権がその関係者に譲渡された上で行使される可能性がございました。また、新株予約権を行使するかどうかは株主の意思にゆだねられており、会社が買収者以外の株主の議決権をふやそうとしても十分に目的を達成できない、こういった問題点がありました。

 また、強制転換条項つき株式を用いた防衛策につきましては、既に発行された普通株式を強制転換条項つき株式に一挙に変更するための手続規定がありませんでした。既存企業は、株主全員の同意がない限り、強制転換条項つき株式を用いた防衛策を導入することができませんでした。

 拒否権つき株式を用いた防衛策につきましては、現行法では、会社が一部の種類の株式についてのみ譲渡制限をかけることができませんので、友好的企業から他の者に譲渡されてしまうと悪用されるおそれがある、こういったふうに指摘がされておりました。

 そこで、今回改正いたしました会社法では、新株予約権を用いた防衛策について、買収者が一定割合以上の株式を買い占めた場合には、買収者の新株予約権は消滅し、かつ、買収者以外の株主には自動的に株式が発行されるような新株予約権を発行することができるようにいたしました。

 また、強制転換条項つき株式を用いた防衛策につきまして、会社が既に発行している普通株式を防衛策の施された強制転換条項つき株式に一挙に変更するための手続規定を設けました。

 拒否権つき株式を用いた防衛策につきましては、会社が拒否権つき株式など一部の種類の株式についてのみ譲渡制限をすることができるようにいたしました。

 これにより、従来指摘されておりました、防衛策の導入時における障害を除去したわけであります。

 二番目にお尋ねの三角合併の一年延期の理由でございますが、会社法の制定により合併対価が柔軟化され三角合併が実現いたしますと、合併がやりやすくなりますので、内外の投資家が我が国の企業を買収する意欲を増大する可能性がございます。そのため、我が国の経済界には、このように買収意欲が強まる結果として、いわゆる敵対的買収も増加するのではないかとの懸念がございました。そこで、それぞれの会社が会社法のもとで株主総会において敵対的買収に対する防衛策を導入する機会を与えるために、合併対価の柔軟化に関する規定の施行を一年おくらせることになりました。これに伴って、三角合併の実現も一年延期されることとなったものでございます。

武正委員 とにかく、会社法改正で敵対的買収への防衛策をやった、しかしながら、外資については懸念があるから一年延期なんだということだというふうに思います。

 要は、私が言いたいのは、外資の間接規制ということが、リーマン・ブラザーズを端緒として、今回法改正を出しておりますけれども、今回のTBSも独自の防衛策を出しておりますけれども、事業者がやはりしっかりしてもらわなければならないというようなことがまず第一。そしてまた、各法制で、どうしてもその法制のすき間をファンドというのはねらってくるところがありますので、やはり総合的な金融サービス法というか、あるいは資本市場の法整備が実は日本こそ求められている。なぜ、それゆえかというと、例えば電波法なりあるいは放送法なり、それぞれ個別の業法業法できているものですから、どうしてもすき間をねらわれてしまう、こういったことがあるのではないかなというふうに思っております。

 法務副大臣、ここでどうぞ御退席ください。

 そこで、今度はお手元の方の資料の一ページをごらんいただきたいんですが、民放各局の外資の保有割合ということで、お手元に記しております。日テレ一九・九九、東京放送一九・九九、フジテレビ一四・四八、テレ朝八・〇八、テレビ東京六・五六。

 現状、直接的な外資の規制が二〇%だ、こういうふうに言われるわけなんですけれども、何ゆえこれは一九・九九なのかというと、実は名義書きかえを拒否しているからであって、実際のところ、外資が直接持っているのは二割を超えているのではないか、こういうふうにも言われているんですね。もちろん間接を入れれば現状で二割を超えているということが言われているんですけれども、この認識について総務大臣としてお答えをいただきたいのと、もう一点、そもそも、この日テレや東京放送を見ても、外資を導入したいというか、モチベーションは、やはり事業者側に大変強い意欲があるというふうに理解をするんですけれども、この二点についてお答えをいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今、一九・九九初めいろいろ言われておりましたけれども、基本的に、御指摘がありましたとおり、二〇%以上になっている可能性はあると思います。名義書きかえをしていないだけのことなんであって、十分にあり得ると思っております。ただ、基本的には、それでは議決権の行使ができませんから、そういった意味では、外国人の持っておる株は二〇%以下に議決権の面で抑えられているということが今の現状なんだと思っております。

 それから、外資を導入したいというニーズはないのかということですけれども、私どもから見て、経営者だった場合は、いろいろな形で資金調達が円滑にできるということを考えようとするのは当然だと思っておりますので、経営上のメリットはそれなりにある、私どももそれは考えられぬことではないなと思っております。

 ただ、外資の規制の件につきましては、先ほど田嶋議員の御質問なり西村先生の御質問に答えたところでもありますけれども、電波という極めて有限、希少な資源、そういったものだと思いますので、自国民、日本では日本の国民に対して優先ということを考えるのは当然だと思っておりますし、社会的影響力が極めて大きいということから、二〇%というのが、諸外国を見ても外資規制が設けられているところだと思っております。

 したがいまして、今いろいろな形での外資規制というようなものの趣旨というものは十分理解しているところなんですが、余りこの種の話を、ぜひ二〇%を三〇%にしてくれとか、四〇までいいではないかというような外資規制のところに関する要請というのは、私の知っている範囲では余りなかったと思いますので、そういった意味では、今、ただいま現在その種の要請が経営者側にあるかというと、経営者はそれほど資金の需要というか資本の調達を国内で苦労しているということはないのではないか。それが一つの背景かとは思いますけれども、ただいま現在そのようなニーズはないというように理解をいたしております。

武正委員 総務大臣として、現状でも既に外資は、日テレ、東京放送など、二割を超えているということをお認めになったわけでありまして、二割をもう既に超えている直接的な外国人による株保有ということで、間接規制を、二割をここで法制していくというのは、かなり現実的に、現状から考えると無理があるのかなというところも考えるところであります。それよりも、やはり事業者側の競争力といったもの、あるいは先ほどTBSの例をやった防衛策、これが実は先であるというようなところであります。

 そこで、先ほどちょっと西村委員の集中排除原則のところで総務大臣はお答えになりました。地方ではテレビ局の開設意欲というか、実際ないんだというようなお答えがありました。私は違うというふうに思うんですね。やはり電波についてもっとオープンにして、事業者はもうたくさんいますよ、やりたい事業者は。それが総務大臣の許認可で大変制限をされている、それがやはり新規参入を妨げているというふうに考えるわけで、私はそれは認識が違うというふうに思うわけであります。

 そこで、きょうは金融庁、内閣府からもお見えをいただいております。西銘政務官、お待たせをいたしました。

 今回、TBSでやはり村上ファンド、これは二月の時点でも村上ファンド、出てまいりました。実際にこの村上ファンドはMACアセットマネジメントという株式会社でありまして、営業報告書なども出されているので、私もその写しも見させていただいておりますが、実際、この村上ファンドなる会社を規制する関連法制というのは何なのか。

 それからまた、実際、例えば二月、三月の時点でニッポン放送株を取得した。これも営業報告書を見ると、いわゆる投資顧問契約は、投資一任契約を除く部分というのはゼロ件になっているんですね。そうすると、ニッポン放送の取得というのはどこに出てくるのか。

 あるいは、今回TBS株を取得したということで、九月末で七・四五%取得をしている。対する楽天は一五・四六%ということで、大量保有報告書で出ておりますが、実際のところ、こうした報告義務というものがどこに出てくるのか。

 この点をお答えいただけますでしょうか。

    〔委員長退席、谷本委員長代理着席〕

西銘大臣政務官 お答えをいたします。

 投資顧問業者は、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律第三十五条第一項の規定に基づき、毎営業年度ごと営業報告書を作成し、営業年度経過後三月以内にこれを当局に提出しなければならないということになっております。

 営業報告書の記載事項といたしましては、当該営業年度の業務概要、役員、使用人の人数、期末の契約数や運用資産総額、経理の状況、貸借対照表及び損益計算書等というふうになっております。

武正委員 そうすると、この営業報告書では、そうした売買について、これを見るだけではわからないということなんでしょうか。投資顧問の法制のもとでの、投資顧問業法ですか、営業報告書には記載をされないということでよろしいでしょうか。

西銘大臣政務官 投資顧問業者には、投資顧問業法上、個別取引の報告義務はないということでございます。

武正委員 なかなかやはりファンドというものは、村上ファンドもかなりの外資を集めておられます。実際の業務の状況で見ると、比率でいうと、約十倍が海外からの契約ですね。運用資産総額でいいますと、千四百三億が海外から、百八十八億が国内からというような状況。ですから、外資ですね。本当にお金はもう世界じゅう駆け回っているわけですよね。逆に、日本はお金を世界じゅうから集めてこなきゃいけない。こういったことでこれまでもやってきているわけですから、果たして、二月八日のあの件を端緒とする今回の外資規制、先ほど言ったように、もう直接規制でも株保有は二割を超えているというところで、どれだけ実効性があるのかなというふうに思うわけなんです。

 この村上ファンドについては、既に総務大臣は、買いたい人が買うんだしというような発言をされているやにテレビでも見ておりますが、この村上ファンドなるMACアセットマネジメントの今回のこうしたTBS、個別具体的にはなかなかコメントしづらいというようなお話もありますが、私はやはり、海外からのお金というものは自由に動き回る、こういった特性を一番もう経営者としておわかりだと思うんですね。

 この村上ファンドにかかわる、あるいは投資顧問業、そしてまたこうした外資について、私の今のやりとりについてどのように、御感想をお聞かせください。

麻生国務大臣 基本的には、資本というものの自由というものは、これは資本主義社会においての根本ですから、たしかTBSのときには、村上ファンドについてはコメントしたことはないと記憶しますけれども、三木谷の間違いだと思いますが、三木谷なる人の話につきましてコメントを求められましたので、たしか、株主は経営者を選ぶ権利はあるけれども経営者は株主を選ぶ権利はない、それがルールじゃないのかという話を言った記憶がありますので、間違いなくそうだと思っております。

 今、村上ファンドについてどう思うか等々、いろいろ昔からハゲタカファンドの話やらよく、最近ハゲタカファンドの話は聞かなくなりましたけれども、ファンドという話は昔から、アジア危機のときぐらいから、ジョージ・ソロス初め、あのぐらいからファンドというものが日本でもかなり通用する固有名詞になったと存じますけれども、私は基本的には、こういったものは資本主義というルールでやっているときにおきましては、この種のものが出てくるのは避けがたいと思っております。

 したがいまして、日本においてそれを受けるか受けないかという話だと思いますけれども、こういうことはあり得ると思って、それが嫌なら自分で企業防衛をする努力をふだんからされておくのが経営者の姿勢、それが当然だと私どもは思っております。

 したがって、今の場合、いろいろな理由があるんだと思いますけれども、日本人になかなか、この種の話のマネーゲームで金を稼ぐというのは、いまいち怪しげな話で受けない話なんだと思うんですね。だから、何となくみんな、これはちょっといただけないなという、感情論としては、いろいろ日本人の持っておるものにはなかなか引っかかる、ちょっとすんなり腑に落ちにくいというところはあるんだと思いますけれども、少なくとも、公開されております株をTOBという公開買い付けという形で物を買ってくることに関して、それを直ちにノーと言うことは、これは基本的にはできないんだと思っております。

 ただ、かつてそういったもので一番でかいのは、AOL、アメリカ・オンラインとタイム・ワーナーがやりましたときには、世界最大の敵対的公開買い付けをやって成功したんですけれども、企業としては失敗をして、あとはうまくいっておりませんから、勝った方がすべてうまくいくかというと、さようなわけにはいかぬというのも、世界で例を見るとそういった話があると思いますので、一概にこれがいいとかこれが悪いとか、なかなかちょっと言いにくいところというのが正直なところだと存じます。

武正委員 私の趣旨としましては、やはり放送事業者あるいは放送業界、これが今、それこそメディアもさまざまな形で多様化しております。その多様化の中で、それがある面、寡占化しては元も子もないわけでありまして、私は、多様化の中での適正な競争、これがやはり地上波も、それからBSも、あるいはCSも、あるいはさまざまな、CATVも含めて、起きて、その中でやはり世界的な競争力というものもきちっとつけていく。そのためには、民主党がこれまで出してきているように、適正な競争を促すような、オークションだったり、あるいは第三者委員会の許認可、監督というものがやはり必要であるということを改めて申し述べまして、質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

    〔谷本委員長代理退席、委員長着席〕

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、羽田空港における電波障害の問題についてお聞きをしたいと思います。

 昨日、十月の十七日に、羽田空港における電波障害によって発着がおくれた航空機が二百九十五便にも上ったそうであります。違法電波による滑走路の閉鎖は初めてだということですので、極めて重大な事例だったと言えると思うんです。

 この電波は米軍横須賀基地から発信された可能性があると報道されておりますけれども、そこでお尋ねしたいんですが、この違法電波の発信源がどうなっているのか、及び今後の対応策ということでお答えをいただきたいと思います。

須田政府参考人 委員御指摘のように、昨日電波障害が生じたわけでございますけれども、この電波障害は、国民の安全輸送を担う羽田空港で使用される航空用の距離測定装置に重大な支障を与えたものでございますので、総務省では、直ちに障害電波の発射源の探査を実施したところでございます。しかしながら、探査中に現実のその障害電波が停波し、これによる障害が解消されたために、混信源の特定には至ることはできませんでした。

 私どもとしましては、この電波障害の再発に備えまして、発射源と考えられるエリアを中心に、現在、航空用に使用されている電波監視を強化中でございます。

 なお、電波障害の排除につきましては、関係省を初め関係機関との緊密な連携のもと、引き続き万全の体制で臨む所存でございます。

塩川委員 これはぜひともはっきりとさせていただいて、安全にかかわる重大な問題ですから、ふさわしい対応を強く求めるものであります。

 そこで、電波法の改正ですけれども、外資規制とともに電波利用料の見直しが行われます。そういう中で、放送事業者におきましては、デジタル放送の開始に当たって、アナ・アナ変換の費用がこれまで非常に大きくかかった。今回の改定では、放送事業者、アナログテレビの放送局の電波利用料の改定は小幅にとどまったということですけれども、そこで、関連して、二〇一一年のアナログ放送の停波問題についてお尋ねをしたいと思っております。

 総務省の方でも、審議会の方で報告書もまとめられて、送信環境の問題、受信環境の問題、双方で議論を深めておられると思います。そこで、最初に伺いますが、受信環境の問題、要するに、アナログ、デジタル放送の受信機の問題、テレビの問題ですけれども、ことし出荷をされたテレビのうち、デジタルテレビの占める割合が何割で、アナログテレビの占める割合は何割なのか、一月から八月、九月ぐらいまでの出荷状況でお答えいただければと思います。

清水政府参考人 社団法人の電子情報技術産業協会というところが出荷統計をとっておりますので、そちらの数字でございますが、ことしの一月から八月までのテレビの国内の出荷台数では、五百三十三万台トータルがございます。そのうちで、地上デジタル放送対応テレビの出荷台数は百五十六万台になります。したがいまして、テレビの出荷台数に対する地上デジタル放送対応テレビの割合はと申しますと、約三〇%ということになります。

 ただ、デジタルを見る場合に、地上デジタル放送対応テレビだけではございませんので、このほかに、アナログテレビに取りつけてその受信が可能となる地上デジタル放送の対応チューナー、これがことしの一月から八月で七十二万台。それからもう一つ、デジタルレコーダー機器というのがございまして、これもアナログテレビにくっつけますとデジタル放送を見ることが、チューナーの中に内蔵のと同じ形で見ることができますので、これが約三十三万台。ですから、現実にデジタル放送を見ていただける台数は、先ほど述べました百五十六万台プラスチューナー七十二万台とレコーダー三十三万台、これで二百六十一万台になるかと思います。

 なお、この数字ですが、昨年一年、平成十六年の一月から十二月、これをちょっと見てみますと、全体で昨年一年で約八百七十六万台出たうちで、地上デジタル放送対応テレビの出荷台数は百六十万台でしたので、先ほど述べました三〇%に相当する数字は一八%程度でございます。この一年で地上デジタル放送対応テレビは極めて順調に伸びているということが推察されます。

塩川委員 私がお聞きしたい中心は、アナログテレビがどれだけ出ているかということなんですよ。ですから、ことし出荷されているテレビのうち、三割が地上デジタル対応だとしても、残りの七割がアナログテレビなわけですね。今の話でいえば、三百七十七万台、一月から八月でアナログテレビが売られているわけですよ、それを買っている方がいらっしゃるわけです。

 テレビの平均使用年数というのは大体今十年を超えるぐらいになっていると思いますけれども、そうしますと、十年以上使い続けるようなアナログテレビを買っている人がいるのに、現実にはもう二〇一一年でアナログ放送が停波をされるということですから、六年間しか使えないわけです。十年以上使えるものを六年間しか実際には使えない。そういうものを大量に今販売もされていますし、購入をされておられる方がいらっしゃるわけです。

 そこで伺いますけれども、デジタル放送が開始をされているのに、テレビの七割がアナログ放送だ、地上デジタルが映らない。そういったテレビがことし既に出荷をされている。デジタル放送が開始をされているのに消費者がアナログテレビを購入しているというのはどういう理由なんでしょうかね。お答えいただけますか。

清水政府参考人 購買者それぞれに実は伺ったというような形では把握をしておりませんが、一般的にテレビ関係の販売をしている広告等を見ますと、相当、値段のあたり、それからデジタル関係の対応のテレビの機種が大型であること等々のものがあるのかと思われますが、正確になぜかというところについては、個々の調査はしてございません。

塩川委員 いや、そこが問題なんじゃないですかね。アナログテレビを買う人がいるわけですよ。でも、そのテレビというのは二〇一一年で映らなくなるわけですよね、そのままであれば。そういったことについて具体的に調査もされていないという点では、極めて不十分だと率直に思うわけです。

 そこで、大臣に伺いますが、総務省が行った地上デジタル放送の浸透度調査、ことし三月に実施した調査で、アナログ放送の停波の時期について二〇一一年と認識をしている人が九・二%という数字が出ております、九割の人が知らないわけですから。そういったときに、総務省として、アナログテレビを購入している消費者に対してどのように説明責任を果たすのか。二〇一一年で映らなくなる、そういうものを大量に購入しているわけですから、そういった消費者の方に対して総務省としてどういう責任ある対応をされるのか、その点を伺いたいと思っております。

麻生国務大臣 二〇一一年のアナログ停波につきましては、当然のこととして、国民の御理解を得るために、過日もテレビで、二〇一一年七月二十四日、Xデーとしたものをお見せしたり、いろいろな形で、新聞、自治体広報誌などなどいろいろ活用して、放送を用いた告知についても今要請をいろいろさせていただいているところでもあります。

 テレビを購入されるときに当たりましては、これは二〇一一年アナログ停波を認知してもらうということをしていかなくちゃいけませんので、ことしの十月の二十二日に、私どもとしては、主要な販売店で展示をされておりますアナログテレビにつきましては、それから来年の六月からは海外メーカーを含めた主要メーカーというものに関しましては、出荷の際に「二〇一一年アナログテレビ放送終了」と記載したシールを張っていただけるように対応を予定しているところであります。

 なお、高齢者とか低所得者対策というものにつきましては、現在本格化しつつあります地上デジタル放送対応受信機の普及、いわゆるチューナーのことですけれども、チューナーの普及動向というものをいろいろ考えて、これを、低価格等々、いろいろ私どもとしては対応をしていかねばならぬところだと思っております。アナログであってもチューナーをつければ見えることになりますので、そういった対応、そのチューナー自体を安くということを私どもとしてはいろいろ要請させていただいているところです。

塩川委員 今、家電の量販店なんかに行きますと、大体プラズマから液晶がずらっと、大画面の高画質と並んでいるわけですよ。私も聞きましたけれども、では一番安い地上デジタル対応のテレビは幾らですかというと、液晶で十五万ぐらいのが十九型ぐらいであって、ブラウン管のテレビですとやはり十数万のがぎりぎりだと。店頭価格で、要するに値引きをしますよというような価格で出ているので、本当に一番安いのでそういう金額ですよね。でも、実際には多くの方がそういったところまで手が出ないというか、そういうものを必要としていない部分も当然あるんじゃないでしょうか、大量に今アナログのテレビが出ているわけですから。

 そういったときに、総務省も調査をされていますけれども、消費者がデジタルテレビを購入する際に最も重視をするポイントは何なのか、調査の中でも明らかになった点についてお答えいただけますか。

清水政府参考人 受信機購入のポイントという形で、重視点は何か、複数回答で求めたら、一番が、テレビを買うときに、やはり受信機購入では価格が安いことというのが七八%、それからもう一つ、画質・音質がいいことというのが五〇%、それから操作性がよいことというのが四五%、大体このようなところが大きなものになっているところでございます。

塩川委員 放送関係の雑誌「放送研究と調査」の中で拝見したところで、福島県の昭和村の住民意識調査というのが紹介されておりました。人口千二百十三人、六十五歳以上の高齢者が五三・一%、いわばテレビだけが基本的な情報を得る手段となっているようなそういう地域になるわけですが、そこでの意識調査で、では新たにデジタル対応のテレビを買おうといった場合に幾ら負担できますか、幾らだったら買う意欲がわきますかという調査に対して、五万円未満だったら買いましょうという人が五三%。これは、全国平均ですと一一%ですから、極めて高いわけですね。十万円未満だったら買いますという人を入れて七三%。全国が二三%ですから、やはり高齢者が多い、年金生活などの低所得者が多い地方においては、地上デジタルへの関心はあったとしても、価格の面で大きな障害が出てくる、限界が出てくると思うわけです。

 そこでお尋ねするんですけれども、先ほど聞いたテレビの出荷台数の中で、プラズマと液晶と、あとブラウン管、この三種類それぞれについて、デジタル対応の内訳がどのぐらいになっているのか、この点をお聞きしたいと思います。

清水政府参考人 先ほどの電子情報技術産業協会の取りまとめた統計でございますと、ことしの一月から八月までの地上デジタル対応のテレビでございますが、プラズマ方式ですと大体九六・七%、二十一万台出ましたが、そのうち二十万台がデジタル対応。それから液晶テレビですが、これは二百三十七万台出たうちの百二十四万台、約五二%。それからブラウン管なんですが、これが今液晶よりも売れておりまして、二百七十五万台売れておりますが、そのうちの十二万台がブラウン管方式の場合にはデジタル対応になっております。トータルで申し上げると、五百三十三万台のうち百五十六万台がデジタル対応で、それが三〇%という数字でございます。

塩川委員 いわば大型の順番でいえば、プラズマがあって、液晶があって、ブラウン管。高画質のものを求める、当然のことながら、地上デジタルの売りがそこにもあるわけですから、そういった意味では、プラズマではほとんどが地上デジタル対応だ、液晶においてもかなりの割合、五割を超えるような割合。実際、ブラウン管を購入する人で、実際に地上デジタル対応が四%ということですから、そういった層の人に対しての具体的な対応策というのが求められてくると思うわけです。

 私が思うのは、結局、プラズマですとか液晶ですとか、そういう大型、高画質のもので地上デジタル対応で売り込んでいるわけですよね。量販店などへ行っても、そこが売れ筋だということで勧めます。ブラウン管のところまでとても及ばないわけですよね。安い価格ということについては、当然のことながら、これは売れ筋のものとして紹介もされないわけですし、本当に地上デジタル対応のものが普及するとしたら、安い価格のものでどうしていくかということが問われてくるわけです。

 ですから、価格の安いデジタルテレビのラインナップもないままで、シールの話がありましたが、二〇一一年の放送終了というシールだけを張られても、結局は割高なデジタルテレビを買ってくださいということを求められていることにすぎないんじゃないのか、こういうことになってくるわけです。

 ですから、先ほど大臣の答弁にもありましたけれども、高齢者や低所得者に対する対応というのが特別に求められてまいります。福島県の昭和村のお話もありました。やはりブラウン管のテレビで、では、地上デジタル放送が始まる、アナログ放送が打ち切られる、そういったことにどう対応するか。

 率直に言って、ブラウン管テレビにチューナーをつけても、画質がよくなるわけじゃないわけですから、同じものしか見られない、放送だけが打ち切られる、チューナーがなければそうなってくる。なってくると、チューナーについても、ある意味では、責任を持って提供するということが必要になってくるんじゃないか。

 アナログテレビ購入者への追加負担について、安いものを要請するという市場任せの話ではなくて、本当のことなら、これについて、負担についてもきちんと考えて、利用者、視聴者の立場に立った対応策というのをもう一歩踏み込んで考える必要があるんじゃないか。チューナーの購入費などの追加負担の解消策というのを具体的に提示する必要があると思うんですが、麻生大臣、改めていかがでしょうか。

麻生国務大臣 ごもっともな指摘だと存じますけれども、これはデジタルのメーカー等々が、チューナーにつきましても、いろいろ話を聞いておりますと、安くせぬとどうにもならぬというお話はこのところ、昨年ぐらいからよく聞くようになった話でもあります。最初はデジタルテレビの安いものにえらい集中していましたけれども、チューナーを安くするということに関してもえらく関心が出てきておるという感じはいたします。これはメーカー等々がいろいろ努力をされていくところを見守らねばならぬところでしょうし、私どもとしては、チューナーというものにつきましては非常な配慮をお願いせねばいかぬところだと思っております。

塩川委員 デジタル放送については、送信環境の整備の問題についても、全国のデジタル放送の開始計画がまだ出てこない。年末までにやるんだということになっていますけれども、どういうものが出てくるかということを見ない以上は何とも言えないわけで、二〇一一年というのを固定的に考えるのではないということが今、受信環境の整備の面でも、送信環境の整備の面でも、改めて問われるんじゃないかということを思っております。

 大臣、ちょっといらっしゃらなかったので、最初の、羽田空港の電波障害の件について、きょうニュースを見ていましたら、国土交通大臣、防衛庁長官などと協議をされたことが紹介されておりました。具体的にどんな協議をされて、どのような対応策を考えておられるのか、大臣から一言、御答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これはけさ聞いた話ではありますけれども、総務省としては、直ちに障害電波というもののいわゆる発信源、発射源というものの探査というものを実施したんですが、しかしながら、探査中にはもう発信源が切れておりましたので、混信源の原因の決定には至れなかったということを聞いております。

 これは基本的には、いろいろ影響の出るところが大きいところだと思いますので、電波の監視を強化中ということでありまして、いわゆる電波を監理する側といたしましては、引き続き、こういったものを、今後ともいろいろな形で、どういう形で、特定ができませんのでなかなか言いにくいところだとは思いますけれども、国土交通省に限らず、関係機関いろいろありますので、そういったところと連携を密にした上で、万全な体制で臨むようにしなければならぬと思っております。

塩川委員 北側大臣の記者会見では、防衛庁、自衛隊や米軍との関係のことも述べておられたようですから、そういう点についても、安全の問題ですから、きちんとした対応を強く求めて、質問を終わります。

実川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 質問も最後になります。中には、質問の内容が若干重複する部分もあるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。

 まず最初に、今回の電波法に関する改正内容、これは昨年の衆参における附帯決議に対応するものというふうに私は考えておりますが、今回の改正による新しい料額と改正前の料額、これを比較しますと百倍、千倍、中でも最高は七千四百倍、こういうふうな、ちょっとびっくりするような内容になっているわけで、下がったのはわずか四つ、そういう状況であります。

 そこで、まず今回の算定根拠、どういう根拠に基づいてこのような算定がなされたのか、その点についてまず最初にお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 今回の電波利用料の料額の算定の方式ということなんだと存じますが、従来の電波利用料というのは、共益費用という観点から無線局を持っております数によって均等割することを、台数があればその分だけ均等割するということを基本としてやった方式から、今回は、その均等割もやると同時に、いわゆる電波の逼迫しております程度、それから使用帯域の幅、そして地域性等々の経済的価値にかかわる要素などを勘案する部分というのを合算して考えるという方式を算定根拠としておりますので、今言われましたように七千四百倍になること、細目につきましては局長の方から答弁させます。

須田政府参考人 基本的な考え方につきましては、ただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。

 少しわかりにくいという点がございますが、例えばこの七千四百倍、これは人工衛星局などが多いわけでございますけれども、この人工衛星局につきましては、非常に周波数が込んでおります三ギガから六ギガという帯域の中で、人工衛星だけで八百メガ、つまり〇・六ギガを利用しているわけでございます。

 この〇・六ギガを人工衛星としましては十基、十局の無線局でやっているものですから、どうしても帯域を非常にたくさん使っていて、非常にたくさん使っている帯域を少ない無線局で分担していただくという形になりますので、結果的に、こうした人工衛星局などにつきましてはかなり高額になったということでございます。

重野委員 そこで、免許人がこれら新料額について本当に納得したのかどうかということがあります。

 なぜパブリックコメントをしなかったのかという疑問が一つありますが、これは免許権を持つ総務省と免許人という関係から見ますと重要なことだと思うんですね。パブリックコメントと免許人の意見を情報開示する、これは非常に私は重要な意味があると考えているんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今回の電波利用料制度の改革に当たりましては、これは三度にわたるパブリックコメントというのをやらせていただいております。したがいまして、それなりに御理解をいただいておるんだと思います。

 電波利用料制度見直しのための論点整理ということでの意見の募集を平成十五年の十二月にやらせていただき、次に、電波有効利用政策研究会最終報告書案というものへの意見の募集というものを翌十六年の七月にやらせていただき、同じ昨年の十一月に電波利用料の料額算定に関する具体化方針案へのパブリックコメント、計三回の募集をやらせていただき、問い合わせもありましたので、それに応じて説明にも行かせたところでもあります。

 免許人からおおむね御理解いただいているところでありまして、先ほどの七千四百倍というのは、あれは人工衛星の話でもありますので、その点に関しましても御理解をいただいたところでもあります。

 また、携帯電話等には、これは局数単位で増減しない利用料を導入してほしいとか、それから過疎地等々いろいろ地域の特性について配慮をしてもらいたいというような御意見があったところでもありますので、この電波利用料の料額を確定するに当たりましては、この点に関しましては参考にさせていただいて、パブリックコメントの反応に応じていきたいというふうに考えております。

重野委員 今の大臣の説明によりますと、免許人の意見あるいは注文、それは傾向としてはどういうふうに集約できますか。どういう傾向の意見が免許人から出された、あるいは要望が出された、そういう集約はされていますか。免許人の意見の傾向ですね。

麻生国務大臣 これは通常のあれですけれども、同様に、地域において過疎地等々いろいろ地域性というのがあったのがこの種のパブリックコメントを求めるときによく出る話ですが、過疎地についての特別な配慮をしてほしいというお話は常に出ますし、局数の単位で増減しないいわゆる利用料の導入というのはできないかとかいうような御意見は、これは携帯電話の関係には特に多かったような感じがいたします。

重野委員 こういう急激な料額の引き上げが、結果として免許人の事業運営に影響を与えるおそれがあるのかないのか。極端な話、このことによって免許人が転廃業に追い込まれる、そういう極端な話が現実にあるのかないのか、これについてちょっと聞かせてください。

麻生国務大臣 料金の引き上げ額が大きいというのは、先ほど申し上げましたように人工衛星等々の分で、その他マイクロ中継局ですか、そういったような形で、もともと規模の大きな事業者が開設しております局でもありますので、料額の引き上げが起きたといって直ちに事業が閉鎖になるというような感じは正直なところ私どもとしてはいたしておりません。

 また、今回見直しに当たりましては、約二年間にわたりまして有識者から成るいろいろ研究会等々を開いて検討を進めてきておりますので、いわゆる携帯等々の小さな無線局に係ります事業者等々につきましては、この間三度にわたりましてパブリックコメントを求めたこともありまして、個々の問い合わせに関しても、個別にいろいろございましたのでお答えをしているところでもあります。

 その意味で、今般一番数の多いところに関しましては何千倍という話とは全然違う世界でもありますので、そういった意味では関係事業者にも御理解いただいておると思いますし、事実として、この料金改定によって、業種変更しなきゃいかぬとか、事業を閉鎖しなきゃならぬというようなことは、ちょっと今の段階では考えにくいと存じます。

重野委員 では次に、電波有効利用政策研究会最終報告書というのがあります。それによりますと、現行の電波利用共益費用、つまり手数料でありますが、これに加えて、電波の経済的価値を勘案した使用料的概念の導入による電波利用料制度の設計というものを答申しております。

 この結果、提案されたのが今回の改正案だろうと考えるわけですが、現行の電波法百三条の二の第二項ですが、そこで電波利用料について、「電波の適正な利用の確保に関し総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用」、こういうふうに定めております。

 そこに定めておるこの規定と、今回の使用料的概念を入れた改正との間に若干のずれがあるのではないか、こういうふうな思いを持つんですが、その点についてはどのように考えていますか。

須田政府参考人 委員御指摘のように、電波利用料につきましては、現在手数料という形で位置づけているものでございますが、この手数料といいますのは、国等が行います公の役務、サービスと言えるかと思いますが、その費用を償うために徴収する料金ということが通常言われておりまして、これに対しまして、使用料は一般的な公物に対して言われることが多いと思いますけれども、物または権利の使用の対価ということで言われていると理解しております。

 電波利用料は、ただいま御紹介いただきましたように、無線局全体の受益を目的とする行政事務の費用を賄うために徴収する広義の手数料として位置づけられているものでございますので、物または権利の使用の対価である使用料とは性格が異なると考えているところでございます。

 今回の見直しにおきまして、御指摘のように、電波利用料額の算定に関しまして、費用の配分方法として経済的価値に係る要素などを勘案することとしたものでございますが、これによって、電波利用料が無線局全体の受益を目的とする行政事務の経費を賄うために徴収する手数料というこの性格自体は変わるものではないと考えております。

重野委員 いわゆる概念が二つあるわけですね。二つの概念を今の百三条の二の第二項の電波利用料というこの法律一つでカバーできるのかという疑問を持つんですが、その点はどうなんですか。

須田政府参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、今回取り入れました経済的価値に関する要素につきましては、具体的に全体の受益に対しての負担を個々の無線局に配分するときのその考え方として取り入れているものでございますので、電波利用料を無線局が負担するという、この電波利用料そのものは、あくまで全体の受益に対する手数料ということで位置づけることができる、この点につきましては、これまでの考え方と何ら変わっていないと思っております。

重野委員 電波監視、無線局管理ファイルの運用など、これまでの恒常的な業務にかかわる費用は今回一割程度の歳出削減、こういうふうになっております。各無線局に均等に課しております電波利用料、五百四十円から四百二十円に引き下げる、こういうふうになっているわけですが、これはどのような措置によって可能となったのか、またこれによって支障は来さないのか、その点についてお伺いします。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御指摘の、費用の全体が減額されている中で、個々の利用料が五百四十円から四百二十円になった、これはどのような算出によるかという御指摘と理解しておりますけれども、まず、五百四十円に対応する費用としまして、従来、技術試験事務と言われているものと、その他の電波監視業務、無線局データベース、これらのものを全部合わせましたものとして考えておりましたけれども、今回、従来の五百四十円に対応する中から、技術試験事務を電波の経済的価値を考慮して負担する部分ということで切り出して別にしております。したがいまして、均等で見るベースのところが若干変わっております。この点が一つございます。

 二つ目の要因といたしまして、残った部分でございますけれども、残った部分全体で四百九十五億あるわけでございますが、先ほども申し上げさせていただきましたけれども、これをシステムの最適化、いわゆるレガシーシステムをオープンシステムに切りかえることなどによりまして、かなりこの部分のコストを削減しまして、全体として四百四十億円まで費用を下げております。これが二つ目の要因でございます。

 そして三つ目の要因としまして、そのような形で全体として費用が縮減しているのに対しまして、負担する方の無線局としましては、今後三年間のある程度の伸びを想定してございますので、全体としてそれらを均等割した結果、四百二十円という額になったものでございます。

重野委員 次に、ちょっと視点を変えまして、これも先ほど来質問がございましたけれども、外資の多段階間接規制の問題です。その考え方と、一方においては対日投資促進プログラムがございますが、この整合性というのはどういうふうに見たらいいんですか。

麻生国務大臣 日本に対する海外からの直接投資の促進という話は、これは日本の経済の構造改革を進めることにもなりますし、また、結果として経済を活性化させるということにもなる、極めて有効な手段ということでして、御指摘のありました対日投資促進プログラム、平成十五年の三月二十七日に投資会議で了承されたプログラムのことだと存じますが、政府としては積極的に推進するということで、小泉総理からの発言も同様なものだと思っています。

 他方、今御指摘のありました放送局に関する外資の規制というものは、先ほどの田嶋さん、また西村さんに私の方から御答弁を申し上げましたとおり、放送が用います電波というものは、これは極めて希少かつ有限なもの、そういう資源なんだと存じますので、そういったものは基本的に自国、日本にとっては日本の国民に優先的に与えられてしかるべきものという考え方が一つ。

 もう一つは、やはり言論とか報道機関というものに関しましては、この種のものを無制限というような形になりますと、これは大きな社会的影響力を有するということはもういろいろ御意見のあるところでもありますので、他国の例を見ましても、ほぼ世界じゅうで同様の規制をしておられる、直接規制に限らず間接規制もしておられるということで、こういったことをやらせておりますので、決して基本的にそれがずれているとか、こちらの哲学とこっちの哲学と違うということではないんではないか、私どもも対日投資促進プログラムとは全く違う観点で進められているものだというように理解をいたしております。

重野委員 では、関連して、かつて、十数年前であったと記憶いたしますが、マードックがテレビ朝日の株を買った、そしてちょっと取り上げたことがあったんですが、そのときは余り外資問題について政府は取り上げていなかったですね。

 今回、フジテレビ問題を契機に、このような法規制に乗り出すというのは、これはどういう変化の中からそういう結論あるいは方向というものが導き出されてくるんでしょうか。

清水政府参考人 御指摘のテレビ朝日の事案もやはり当時ございました。平成八年のたしか六月ぐらいだったんですが、ニューズ・コーポレーション社とソフトバンクが日本の合弁会社をフィフティー・フィフティーでつくりまして、そこが旺文社メディアというテレ朝の株の二一%を持っている会社をそのまま全額買収した、そういうケースだったと思います。

 確かにそのときにも議論がございまして、私どももその八年のときに、これだと実質上の間接出資規制を導入しないと本当の件について維持ができないのではないかという議論を実は内部的ではございますがしておりました。そうこうしているうちに、実際上テレ朝とテレ朝の大株主の間で議論が起きまして、最終的に旺文社メディア、これは名称を変えましたけれども、買収された旺文社メディアをテレビ朝日の大株主である朝日新聞が買収したという形をとりまして、結局落ちついてしまっておりまして、成案を得て法案を提出するというところまでにはその時点で至らなかったという経緯がございましたことだけ申し上げます。

重野委員 以上で終わります。

実川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました電波法及び放送法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場より討論を行います。

 以下、反対の理由を申し述べます。

 本法案では、電波利用料の算定方式を、使用帯域幅や出力など電波の量的要素や電波の逼迫の程度を勘案したものにすることとしています。本法案の算定方法については、電波利用料に電波の経済的価値を反映させるという民主党の考え方に一見近づいたように見えますが、総務省が電波利用料を決定する点は変わらず、市場原理に基づいた電波利用料とならないことは明らかです。総務省の恣意性を排除し、電波利用料に電波の経済的価値を適切に反映させるためには、公正中立な通信・放送行政を担う独立行政委員会を設置するなどの抜本的な改革が必要であると考えます。

 さらに、本法案では、電波利用料の使途を拡充するとしていますが、拡充される使途のうち電波資源拡大のための研究開発については、交付団体や使途が不透明です。そのため、研究開発とは名ばかりで、総務省と密接な関係にある団体を維持することなどに電波利用料が使われるのではないかという懸念を払拭できていません。本法案の電波利用料に関する見直し部分は問題を抱えております。

 そもそも、本法案は、第百六十二回通常国会に提出された電波利用料の見直しと外資の間接出資規制に関する別々の法案を一つにまとめて本特別国会に提出されたものです。政府は、問題を抱えた電波利用料の見直しに関する法律を、比較的理解が得られやすい間接出資規制の法律と抱き合わせて国会に提出し、外資規制の部分に対する十分な議論を行うこともなく、法律を成立させようとしております。

 法案の内容のみならず、提出経緯に問題がある電波法及び放送法の一部を改正する法律案に反対することを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

実川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより採決に入ります。

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

実川委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明させていただきます。

 まず第一に、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本年八月十五日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり平成十七年度の給与改定を行うとともに、平成十八年度から給与構造の抜本的な改革を実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、すべての俸給表のすべての俸給月額を改定することとしております。また、俸給表の級構成及び号俸構成を改めること等としております。

 第二に、扶養手当について、配偶者に係る支給月額を一万三千円に引き下げることとしております。

 第三に、勤勉手当の支給割合を年間〇・〇五月分、期末特別手当の支給割合を年間〇・〇五月分それぞれ引き上げること等としております。

 第四に、職員の昇給は、人事院規則で定める日に、同日前一年間の勤務成績に応じて行うものとし、その期間の全部を良好な成績で勤務した職員の昇給の号俸数を四号俸とすること等としております。

 第五に、新たに地域手当を設け、当該地域における民間の賃金水準を基礎とし、当該地域における物価等を考慮して定める地域に在勤する職員等に対し、俸給、俸給の特別調整額及び扶養手当の月額の合計額に、地域手当の級地に応じて定める割合を乗じて得た額を支給すること等としております。

 第六に、初任給調整手当及び非常勤の委員等に支給する手当を人事院勧告どおり改定するとともに、暫定筑波研究学園都市移転手当を廃止することとしております。

 このほか、任期付研究員法及び任期付職員法について必要な改正を行うとともに、施行期日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定することとしております。

 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明を申し上げます。

 この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定にあわせて、必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、内閣総理大臣等の特別職の職員の俸給月額及び期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。

 第二に、地域手当を新設するとともに調整手当を廃止することとしております。

 第三に、常勤の委員等に支給する日額手当の限度額について、内閣総理大臣等の給与改定に準じて引き下げることとしております。

 第四に、二千五年日本国際博覧会政府代表の俸給月額を、内閣総理大臣等の給与改定に準じて引き下げることとしております。

 第五に、特別職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置対象の審議会等の常勤委員等の俸給月額について、内閣総理大臣等の給与改定に準じて同じく引き下げることとしております。

 このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定することとしております。

 引き続きまして、国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、国家公務員制度改革における国家公務員退職手当制度の改革の必要性や国家公務員の給与構造の改革の状況等にかんがみ、職員の在職期間中の公務への貢献度をより的確に反映させるため、中期勤続者の退職手当の支給率を改定するとともに、一定期間の職務の内容に応じた調整の仕組みを創設するため、国家公務員退職手当法について必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、退職した者に対する退職手当の額は、退職手当の基本額に、退職手当の調整額を加えて得た額とすることとしております。

 第二に、退職した者に対する退職手当の基本額は、退職の日におけるその者の俸給月額に、その者の退職理由ごとに、それぞれその者の勤続期間に応じて定める支給率を乗じて得た額とするとともに、中期勤続者に係る支給率を引き上げることとしております。

 第三に、退職した者の在職期間中にその者の俸給月額が減額されたことがある場合について、退職手当の基本額の計算方法の特例を設けることとしております。

 第四に、退職した者に対する退職手当の調整額は、その者の在職期間の各月ごとに、当該各月においてその者が属していた職員の区分に応じて定める調整月額のうち、その額が最も多いものから順に六十月分の調整月額を合計した額とすることとしております。

 このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

実川委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

実川委員長 この際、御報告いたします。

 本日、人事院より国会に国家公務員法第二十三条の規定に基づく一般職の職員の留学費用の償還に関する法律の制定についての意見及び国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申し出があり、議長より本委員会に参考送付されましたので、御報告いたします。

 また、去る十四日、議長より本委員会に送付されました、議員武正公一君外五十三名からの独立行政法人の組織等に関する予備的調査の要請につきましては、理事会の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、本日、調査局長に対し、予備的調査を命ずることといたしましたので、御報告いたします。

 次回は、来る二十日木曜日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五十分散会


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