衆議院

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第6号 平成17年10月21日(金曜日)

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平成十七年十月二十一日(金曜日)

    午後一時三十二分開議

 出席委員

   委員長 実川 幸夫君

   理事 岡本 芳郎君 理事 佐藤  勉君

   理事 谷  公一君 理事 谷本 龍哉君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      あかま二郎君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    木挽  司君

      佐藤  錬君    櫻田 義孝君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    中谷  元君

      永岡 桂子君    西田  猛君

      西本 勝子君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      平井たくや君    福田 良彦君

      藤田 幹雄君    増原 義剛君

      松本  純君    安井潤一郎君

      山内 康一君    安住  淳君

      逢坂 誠二君    田嶋  要君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    横光 克彦君

      桝屋 敬悟君    丸谷 佳織君

      塩川 鉄也君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣政務官      増原 義剛君

   総務大臣政務官      松本  純君

   会計検査院事務総局第五局長            船渡 享向君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   清水 英雄君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原 邦夫君

   参考人

   (日本放送協会会長)   橋本 元一君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  永井多惠子君

   参考人

   (日本放送協会理事)   原田 豊彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小林 良介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中川 潤一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小野 直路君

   参考人

   (日本放送協会理事)   衣奈 丈二君

   参考人

   (日本放送協会理事)   西山 博一君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十一日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     佐藤  錬君

  木挽  司君     山内 康一君

  土井  亨君     西本 勝子君

  萩原 誠司君     安井潤一郎君

  橋本  岳君     藤田 幹雄君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  錬君     奥野 信亮君

  西本 勝子君     土井  亨君

  藤田 幹雄君     橋本  岳君

  安井潤一郎君     萩原 誠司君

  山内 康一君     木挽  司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)(参議院送付)

 日本放送協会平成十三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会平成十四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会平成十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会の再生に向けた改革に関する件


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     ――――◇―――――

実川委員長 これより会議を開きます。

 日本放送協会平成十三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、日本放送協会平成十四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書、日本放送協会平成十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書の各件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として総務省政策統括官清水英雄君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長船渡享向君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

実川委員長 まず、総務大臣から説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 日本放送協会平成十三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会平成十四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

 日本放送協会平成十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成十三年度、平成十四年度及び平成十五年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事の意見書について、その概略を御説明させていただきます。

 まず、平成十三年度についてですが、貸借対照表の一般勘定につきましては、平成十四年三月三十一日現在、資産合計は六千九百八十一億円、負債合計は二千六百九十八億円、資本合計は四千二百八十二億円となっております。

 資産の内容は、流動資産一千九百三十九億円、固定資産四千八百九十三億円、特定資産百四十八億円であり、負債の内容は、流動負債二千五億円、固定負債六百九十三億円となっております。

 また、資本の内容は、資本三千五百九十二億円、積立金五百五十九億円、当期事業収支差金百三十一億円となっております。

 損益計算書の一般勘定につきましては、経常事業収入は六千六百七十六億円、経常事業支出は六千四百四十六億円となっており、経常事業収支差金は二百三十億円となります。

 次に、平成十四年度についてですが、貸借対照表の一般勘定につきましては、平成十五年三月三十一日現在、資産合計は七千百十二億円、負債合計は二千七百二十六億円、資本合計は四千三百八十五億円となっております。

 資産の内容は、流動資産二千二百二十五億円、固定資産四千八百五十五億円、特定資産三十二億円であり、負債の内容は、流動負債二千七十八億円、固定負債六百四十八億円となっております。

 また、資本の内容は、資本三千七百三十四億円、積立金五百四十七億円、当期事業収支差金百二億円となっております。

 損益計算書の一般勘定につきましては、経常事業収入は六千七百四十九億円、経常事業支出は六千五百五十六億円となっており、経常事業収支差金は百九十三億円となります。

 続いて、平成十五年度についてですが、貸借対照表の一般勘定については、平成十六年三月三十一日現在、資産合計は七千二百二十五億円、負債合計は二千七百二十四億円、資本合計は四千五百億円となっております。

 資産の内容は、流動資産一千二百六十六億円、固定資産五千八百九十四億円、特定資産六十四億円であり、負債の内容は、流動負債二千八十一億円、固定負債六百四十二億円となっております。

 また、資本の内容は、資本四千二十三億円、積立金三百六十二億円、当期事業収支差金百十五億円となっております。

 損益計算書の一般勘定につきましては、経常事業収入は六千八百二億円、経常事業支出は六千五百九十二億円となっており、経常事業収支差金は二百九億円となっております。

 以上について、監事の意見書におきましては、監査の結果、平成十三年度、平成十四年度及び平成十五年度の財務諸表は、いずれも当該年度の日本放送協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認められております。

 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。

実川委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長橋本元一君。

橋本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成十三年度、平成十四年度、平成十五年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。

 初めに、平成十三年度の財産目録、貸借対照表を御説明申し上げます。

 一般勘定の当年度末の資産総額は六千九百八十一億五千六百万円、一方、これに対する負債総額は二千六百九十八億七千四百万円、また、資本総額は四千二百八十二億八千二百万円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千六百七十六億二千六百万円、経常事業支出は六千四百四十六億一千八百万円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は二百三十億七百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百三十一億二千八百万円となりました。

 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は八十九億八千五百万円、建設積立金繰り入れは三十七億四千四百万円であり、事業収支剰余金は三億九千八百万円でございます。

 次に、平成十四年度について御説明申し上げます。

 一般勘定の当年度末の資産総額は七千百十二億五千九百万円、一方、これに対する負債総額は二千七百二十六億九千六百万円、また、資本総額は四千三百八十五億六千二百万円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千七百四十九億九千九百万円、経常事業支出は六千五百五十六億三百万円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は百九十三億九千五百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百二億八千万円となりました。

 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は八十三億九千二百万円であり、事業収支剰余金は十八億八千八百万円でございます。

 次に、平成十五年度について御説明申し上げます。

 一般勘定の当年度末の資産総額は七千二百二十五億一千百万円、一方、これに対する負債総額は二千七百二十四億二千七百万円、また、資本総額は四千五百億八千四百万円でございます。

 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千八百二億五千七百万円、経常事業支出は六千五百九十二億八千万円でございます。

 以上の結果、経常事業収支差金は二百九億七千六百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百十五億二千百万円となりました。

 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は七十七億六千百万円であり、事業収支剰余金は三十七億六千万円でございます。

 なお、各年度における事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。

 以上について、監事の意見書では、平成十三年度、平成十四年度及び平成十五年度の貸借対照表等とも、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。

 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。

実川委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院事務総局船渡第五局長。

船渡会計検査院当局者 日本放送協会の平成十三年度、十四年度及び十五年度決算につきまして検査いたしました結果を御説明いたします。

 同協会の平成十三年度、十四年度及び十五年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書等は、十三年度につきましては十四年六月十一日、十四年度につきましては十五年六月十日、十五年度については十六年六月十六日にそれぞれ内閣から送付を受けましたけれども、その検査を終えてそれぞれ十四年十一月二十九日、十五年十一月二十八日、十六年十一月九日内閣に回付いたしたところでございます。

 同協会の十三年度の決算につきまして検査いたしました結果、特定検査対象に関する検査状況といたしまして、「日本放送協会の非現用不動産の管理、処分状況について」を平成十三年度決算検査報告に掲記いたしたところでございます。

 内容を簡単に御説明いたしますと、以下のとおりでございます。

 日本放送協会では、放送事業を実施するため必要な放送会館、放送所等の不動産を受信料等により取得しておりますけれども、これらの不動産のうち、建物の老朽化等により事業用として使用しなくなった放送所等の跡地を非現用不動産として管理しております。そして、転活用の見込みがない非現用不動産につきましては、予算政策上計画的に処分を進め、安定的な収入の確保に努めることといたしているところでございます。

 本部ほか十五放送局が管理しております非現用不動産につきまして、管理体制が整備されているか、また、処分が適切に行われているかなどを検査しましたところ、現状では売却の可能性が低いと思料されるもののほか、売却のための条件整備が済んでいないものや売却のための条件整備はなされているけれども売却には至っていないというものがございました。

 協会では、非現用不動産の管理及び処分に当たりましては、さまざまな取り組みを行っているところでございますけれども、なお一層、売却のための条件整備等の促進に努めることが望まれることから、本院といたしましても、非現用不動産の管理が適切に行われているかなどについて注視していくことといたしまして、特定検査対象に対する検査状況として掲記したものでございます。

 十四年度の決算につきましては、特に法律、政令もしくは予算に違反しまたは不当と認めた事項はございませんでした。

 十五年度の決算につきまして、平成十五年度決算検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件でございます。

 これらは、職員の不正行為による損害が生じたものでございまして、主な三件を御説明いたしますと、検査報告番号二一七号でございますけれども、これは、放送番組の制作に当たるチーフプロデューサーが、番組制作費の支払い決定に関する事務に従事中、知人と共謀し自己の担当する番組において仕事をさせたことといたしまして、知人の銀行口座に振り込ませ、番組制作費を領得するなどして損害を与えたものでございます。また、検査報告番号二一八号でございますけれども、これは、営業担当の職員が、受信料収納の事務に従事中、訪問集金で支払いを受けた受信料を領得したものでございます。そして、検査報告番号二一九号でございますけれども、これは、経理担当の職員が、現金及び預金の出納事務に従事中、協会の銀行口座から不正に現金を引き出すなどして、これを領得したものでございます。

 なお、このうち二一八号及び二一九号につきましては、十六年九月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。

 以上をもちまして概要の説明を終わります。

実川委員長 以上で説明は終わりました。

 この際、日本放送協会会長橋本元一君から発言を求められておりますので、これを許します。日本放送協会会長橋本元一君。

橋本参考人 NHKの決算を御審議いただく委員会ではございますが、この場をおかりしまして、先月二十日に公表しましたNHK新生プランとNHKの財政の現状について簡潔に御報告させていただきます。

 NHK新生プランは、昨年来の一連の不祥事などで失った視聴者の皆様からの信頼を一日も早く回復させ、NHKの財政を再建すること、そしてデジタル時代にふさわしい公共放送としての役割をしっかり果たせるようNHKを脱皮させることを目的とした改革の方針でございます。

 今後は、この方針に沿った事業運営を着実に実行し、公共放送の責務と使命をしっかりと果たしていく所存でございます。

 一方、平成十七年度九月末の収支状況は、受信料の収入予定額に対して二百三十四億円の不足となり、財政運営は極めて厳しい状況です。

 しかし、新生プランを公表して以来、受信料の支払い拒否・保留の増加は大分少なくなっております。

 九月末の段階で、不祥事に伴う受信料の支払い拒否・保留は百三十万件を見込んでおりましたが、実際には百二十六万六千件にとどまりました。

 また、支払いを再開していただいた方は、八月から九月の二カ月間で三万件と見込んでいたものが三万五千件にふえております。

 新生プランをてこに、今年度内には支払い拒否・保留の増加をとめ、来年度以降、受信料収入を回復基調に乗せていきたいと考えております。

 会長である私が先頭に立ち、あらゆる改革を進め、新生NHKを築き上げる決意でございます。

 NHKへの格段の御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 本日は、平成十三年度から十五年度までのNHKの決算についての審議ということでございますが、昨日も参議院の方で同様の質疑があったかもしれませんが、私からも、現在大変な問題になっております受信料の支払い拒否といいますか、未払いの問題を中心に質問をさせていただきたいと思っております。

 橋本会長、御就任以来再建に大変御努力をされていることにつきましては敬意を表する次第でございますが、たしか本年三月のNHKの今年度予算の審議の時点では、支払い拒否の件数、私の記憶で言いますと、七十万件ぐらいだったと思っておりますが、先ほどのお話の中にもございましたように、現在これが百二十七万件に近い数字になっておるということでございます。このままでいきますと、通年で今年度末には事業収入が予算を五百億円近く下回ってしまうんじゃないかというふうに考えられるわけでございますが、これもNHKがみずからの不祥事をきっかけに招いた事態とはいいながら、今の受信料制度を揺るがしかねない深刻な事態だというふうに思っております。

 まず、この現状につきまして会長の認識をお伺いしたいと思います。

橋本参考人 御指摘のとおり、大変厳しい状況だと考えております。やはり、NHK自身、不祥事発生からこういう事態になったということもございます。この点については、深く、今後とも不祥事を撲滅する、あるいはこういう中で失いました視聴者の方々からの信頼を取り戻すべく、この大変厳しい財政状況、信頼を失った状況というものを重く受けとめ、今後とも信頼回復、財政安定に向けてさらに一層改善に努力してまいりたいと考えております。

三ッ矢委員 この危機意識といいますか、これを会長のみならず、ぜひNHKの職員全体として共有していただきたいなというふうに思っております。

 必死の覚悟で再建に取り組んでいただく必要があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、先ほどお話がございました、経営を立て直していくために新生プランをおつくりになったということでございますが、この内容に関連して、特に経営の根幹となる受信料収入をどう回復していくかという点について幾つかお伺いしたいと思います。

 NHK側の努力として、番組の質あるいはサービスの向上、それからコストの削減、これはもちろんでございますが、NHKの番組を見ても受信料を支払ってくれないというのは困ってしまうわけですね。いわば、あめとむちの方策といいますか、言葉はちょっと適切ではないかもしれませんが、両方あると思います。

 先般、ちょっとテレビで拝見しておりましたら、歌謡コンサートに招待される方を受信料をきちんと払っていただいている方に限定しようかとか、あるいは、いろいろな割引の制度も拡充していこうというような話も伺っておりますが、視聴者に対するサービスの向上、あめの方ですね、これはどういう方策を今後考えておられるのか。

 それからもう一つ、この新生プランの中で、受信料未払いの人を対象に、これはいわば最後の手段だと思いますが、最後の手段として民事手続を活用しての支払い督促、これを検討しているということが書いてございます。これを実際に行った場合に一体どのような手順で行われるのか、その手続の流れについてもあわせて御説明いただければと思います。

永井参考人 ただいま御指摘の優遇施策の方から御説明申し上げます。

 NHKでもこれは議論をしておりまして、例えば口座振替ということになりますと、収納コストは低くなります。また、長期に払っていただいた方については、公共放送の維持、安定に寄与されているというふうに解釈しております。

 したがいまして、優遇策の試みとして、公開番組の招待を受信料をお払いいただいている方だけに限って抽せんをいたしました。このことにつきましては、広く視聴者の意見などを伺いながら、今後もその充実策あるいは検討を考えてまいりたいと考えております。

 それから、民事手続の詳細にわたりましては、担当の小林の方から御報告申し上げます。

小林参考人 支払い督促の手続の流れについて御説明いたします。

 受信料のいわゆる未払いの方に対してでございますけれども、まず、従来どおり、戸別訪問を粘り強く行わせていただきまして、当然ながら、その中にはさらに手紙あるいは電話といったものも駆使させていただきまして、その都度、受信料の意義、あるいは誠心誠意お願いすべきことにつきましては御説明してお願いしていくということは、当然ながらやっていこうと。その上で、なお御理解いただけないという場合につきまして、簡易裁判所からの支払い督促を活用させていただこうというふうに考えているところでございます。

 なお、支払い督促を行った後も、当然ながら、並行しまして公共放送の役割といったものにつきましては丁寧に御説明をさせていただきまして、受信料をお支払いいただこうということにつきまして粘り強く説得を継続してまいりたいと思っております。したがいまして、あくまでも支払い督促はまさに最後の最後の手段ということで、極力それは避けていきたいというふうに思っております。

 なお、実施の具体的な方法につきましては、今後は視聴者の皆様の御意見も参考にしながら詰めていきたいというふうに考えているところでございます。

三ッ矢委員 この点につきましては、ぜひ慎重に御対応いただきたいなというふうに思っております。あくまでも視聴者の納得が得られるような形で手続を進めていただきたいというふうに考えております。

 この点に関してもう一つお伺いしたいと思いますが、この支払いの督促はまだこれからということだと思いますが、いつごろからどのようなところを対象にして始めるのか。これは近く実施されるというふうに考えてよろしいんでしょうか。それから、督促に踏み切った場合に、それによってどの程度の受信料の増収といいますか、費用と効果の問題もあると思うんですが、どの程度の増収を見込んでおられるのか、それにつきましても、もしお答えになられるようでしたらお願いしたいと思います。

小林参考人 実施に踏み切る時期でございますけれども、来年一月に公表を予定しております経営計画、三カ年の経営計画でございますけれども、その紙には検討、経営ビジョンと書いてございますけれども、その検討作業の中で支払い督促の活用の具体的な開始時期につきましても検討しまして、準備は進めていきたいというふうに考えております。

 ただ、準備には一定の時間がどうしてもかかるということでございますので、今の段階で詰めている最中でございますので、明確にはお答えできませんけれども、いずれにしましても、できるだけ早くやっていきたいという考えは持ってございます。

 それから、これによって増収の効果はどの程度あるかということでございますけれども、今の段階ではちょっと具体的な増収額というものは見込みとしても申し上げられないという状況でございますけれども、いずれにしましても、これによりまして受信料収入を確実に増加させていただきまして、何よりも公平負担の徹底を図らせていただきたい、それによりまして受信料制度を維持していきたいというふうに考えておるところでございます。

三ッ矢委員 本当に効果があるのかどうか、その点、よく見きわめていただきたいと思いますし、逆に、費用の方ばかりたくさんかかってしまって余り効果が上がらないというようなことでは元も子もない話でございますので、ぜひそこは慎重に御検討いただいて、確実に増収が図られるというようなことを見きわめた上で御対応いただければというふうに思っております。

 それからもう一つ、視聴者の間に不公平感を抱かせるという意味で、受信契約を結んでいても払っていない世帯のほかに未契約の部分、これがたしか九百五十万ぐらいですか、あるというふうに伺っております。こんなにたくさんあるということは、見ていても払っていない、もともと契約を結んでいないわけですから、そういう方たちをきちんと捕捉して払っていただく必要があるんじゃないか。そうでないと、本当の意味での負担の公平というんでしょうか、これも図れないということになろうかと思いますが、こうした契約をしていない世帯などに対しても、受信料制度を維持していくにはやはり何か対策を講じないといけないんじゃないかというふうに思っておりまして、この未契約の問題についてどういうふうに取り組んでいかれるのか、お尋ねしたいと思います。

小林参考人 委員御指摘のとおり、未契約が九百五十万ございまして、非常にその対応に苦慮しているところでございますけれども、この未契約につきましては、受信契約を締結しているにもかかわらずお支払いを拒否されている方々とは違いまして、実際的には、引っ越し等に伴いまして一時的に契約が途切れているといった場合、いわば一時的な未契約状態にあるという方が多く含まれているということでございます。

 現実に、NHKは、引っ越し等に伴う移動によりまして、常に契約を取り次ぐあるいは捕捉するという作業をしてございますけれども、年間で申しましても、三百万件を超える新たな契約取り次ぎあるいは変更手続等をさせていただいております。実は、同時に、ほぼ同じような規模で解約等がございます。常にその出し入れをしている状態で、その中で御指摘のように九百五十万の一時的な未契約が発生しているということでございます。

 このため、この一時的な未契約状態の解消に向けまして、最近特に、引っ越しを担っている会社あるいはマンション等の販売等をやっている不動産会社であります、そういったところにもいろいろ協力をいただきまして、入居時に受信契約あるいは住所変更の手続といったものをしていただくように努めております。また、最近、より簡単な申し込み方法としましては、インターネット等を活用した手続も有用でございます。それによりまして住所変更等が簡単に行えるような工夫をするなど、今さまざまな形で受信契約水準の向上に努めているというところでございます。

 こうした努力を重ねているところでございますけれども、なお受信料制度を維持する上で必要というふうに判断する場合におきましては、公平負担の徹底のために、先ほど未払いの方に対する民事ということを申し上げましたけれども、放送法の規定にのっとりまして、この未契約の方についても民事的な手段を講じていくことについても検討してまいりたいというふうに考えているところです。

三ッ矢委員 共働きの世帯とかそれから学生さんとか、訪ねていってもなかなか留守で把握できないというようなこともあろうかと思いますし、今、理事のお答えの中にもありましたように、引っ越しによってなかなか捕捉ができないというようなこともあろうかと思いますけれども、恐らく、長い間未契約になっている方もかなりの数に上るんじゃないかと思うんですね。そこはいろいろな方策があろうかと思いますけれども、もともと契約していないで視聴しているという方とそうじゃない方とは、やはりここにも非常に大きな不公平感が残ると思いますので、ぜひそちらの方の努力も引き続きお願いしたいというふうに思っております。

 それでは最後に、受信料の増収対策についていろいろ伺ったわけでありますが、どうも正直申し上げて、これという決め手がないんじゃないかなという気がしないでもございません。そうした厳しい状況の中で、今の受信料制度のもとでできる対策によって経営の立て直しが本当にできるのかどうか、この点について、最後に会長の御意見を承れればというふうに思います。

橋本参考人 御指摘のとおり、大変受信料をめぐる状況というのは厳しいものがございます。特に、社会状況の変化、受信者の方々の、視聴者の方々の意識の変化、こういう点で大変厳しい状況ではございますけれども、やはり、現在我々がとっています受信料制度という中で公共放送の役割を果たしていくという、この大変理想的な制度の中で、一生懸命可能な限りの手段を果たして、回復に向けて努力をしてまいりたいと現在のところ考えております。

三ッ矢委員 何といいましても、やはり国民・視聴者の信頼の回復というのが経営再建の第一の眼目ではないかなというふうに私は思います。そのために、先ほども申し上げましたけれども、経営陣のみならず、NHKの職員一丸となってぜひ真剣にお取り組みいただきますように要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

実川委員長 次に、佐藤勉君。

佐藤(勉)委員 自由民主党の佐藤勉でございます。

 私は、この委員会に所属させていただきまして、というよりも、国会に来させていただきまして九年がたちます。その間、私は逓信委員会のころからこの委員会に所属をさせていただいておりまして、ある一時期を除いてほとんどこの委員会に座らせていただいたという経緯があります。

 したがいまして、そういう経緯の中で何回も決算や予算等々の審議をさせていただきながら、NHKのあり方について、どちらかというと、頭でしっかりと理解をしたというよりも体でそういうものを感じ取ってきたという考え方を私は持っております。そこで、私が感じてきたことでありますけれども、先ほど来から三ッ矢先生のお話にございましたように、受信料のことであります。NHKの受信料の制度にいささか問題はなかったのだろうかという疑問が常に私の頭の中ではめぐってきたという現実があります。

 と申し上げますのは、皆様御承知のように、NHKの受信料というのは一年間に約二万円前後支払わなければならないという話でございます。にもかかわりませず、罰則はございません。払わないからといって罰則はない。では、なぜ受信料を払わなければならないのか、これでいいのだろうかという思いが募ってもおかしくない現状にあったのではないかなというふうに私は思います。そして、先ほどのお話にございましたように、昨年の七月以降の一連の不祥事がきっかけで、受信料の支払い拒否が相次いできたという現状があるのではないかなというふうに思います。そこで、今お話にございましたように、五百億円もの収入減になりかねないという事態にも陥ってしまったのではないかなというふうに思います。

 今申し上げましたように、きっかけは不祥事を起こしたNHKであることは間違いのないことであろうかと思いますが、その不祥事についてはまさしく深く反省をすべきだと私は申し上げたいと思います。しかし、それだけではなく、私は、この原因というものは、不祥事が原因でなくても何らかの形できっかけはあったのではないかなというふうな思いをしておるものでございます。

 そういう意味で、いつ崩れてもおかしくないと感じながらもこれを見過ごしてきたという私ども議員としての反省もありますし、また、それを見守ってきた総務省等々の反省もあると私は思いますし、とにもかくにも、NHKが視聴者や国民に受信料制度の意味合い等々をしっかりと説明をしていなかったということにどうしても起因するのではないかなというふうな思いがしております。これが私が今回の事態を受けての率直な考えであるということを申し上げた上で、質問に入りたいと思います。

 先ほど、新生プランを会長が申されました。その中に、先ほどの配付資料の中に円グラフが入っています。この円グラフを見ますと、契約を結んでいながら受信料を払っていない人、三ッ矢先生のお話にございましたように、百三十九万人に上っています。いわゆる滞納の件数というものが過去十年間どのように推移をしてきたのか、お伺いをしたいと思います。

小林参考人 お答えいたします。

 いわゆる滞納でございますけれども、主として契約者のうちで一年以上支払いが滞っている場合を指しておりますけれども、これにつきましては、平成九年度までは九十万件台で推移してございました。今御指摘いただきましたように、十年度以降、徐々にふえてまいりまして、百万件を超えまして、現在、十六年度百三十九万件の数に上っているという実態でございます。

佐藤(勉)委員 今の答弁でおわかりのように、平成十年度に百万を超えて以来、毎年数万件ずつふえてきているということになります。ということは、不祥事が発覚した去年よりも前から受信料を払わない人が徐々にふえ続けているということが浮き彫りになっていると私は思います。

 もう一つ、NHKでは、この滞納あるいは未収というケースがあるというふうに言っておりますが、とにかく受信契約をしていながらもらうことのできなかった受信料について、決算の際、欠損償却費として経理上処理をしていると思いますが、この欠損償却費の過去十年間の推移はどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。

衣奈参考人 経理担当の衣奈でございます。お答えいたします。

 欠損償却費というのは、いわゆる会社での貸倒引当金繰り入れに大変よく似ておりますが、受信料の決算を締め切るに当たりまして、私どもの未収額、その時点でのまだお支払いいただいていない受信料について、過去の経験則などによりまして、回収不能であろうと見込まれる額を計上することにより、未収債権をそのように見積もりまして、会計帳簿上の財務の健全性を保持するためにやっている仕組みでございます。お尋ねのように、過去十年で申しますと、平成七年度には、この金額は百六十一億を計上いたしました。このときの受信料総体は五千七百三億円でございました。

 これが、例えば十年度、先ほど滞納が百万件になったと小林の方から御説明をした十年度には百七十一億円というふうに若干ふえてきておりますが、近年、景気の低迷、あるいは都市部を中心にお訪ねしてもお会いできない方々が大変ふえておるなどの事情等により、例えば、不祥事発覚前の十五年度決算でも欠損償却費は二百三十二億円に達してございます。

 ちなみに、十六年度決算では三百二十六億円の計上を見込まないと財務の健全性を保てないという状況に至っております。以上でございます。

佐藤(勉)委員 今のお話にございましたように、これもまた不祥事発覚前からふえ始めてきているというのがおわかりをいただけると思うんです。

 受信料制度というのは、言うまでもなく、国民がひとしく受信料を負担するということで成り立っている制度だと私は思います。何よりも重要なことは、皆さんがひとしく受信料を払う、つまり、公平負担の原則にあるというふうに私は思います。ところが、滞納件数や欠損償却費の増加傾向を見ると、不祥事発覚前から受信料の公平負担の原則が、徐々にではありますけれども、崩れ始めてきているという現状があるのではないでしょうか。

 こうした滞納などについて、NHKは、今回民事手続によって、先ほどのお話によりますと、督促によって対応すると言っておられますが、その外側には、さらに、先ほどのお話にございますように、九百五十万件にも上る未契約者の問題も残っている。NHKの説明では、その多くは住民の移転によって把握できなかった人たちだということでありますけれども、私は放置できない問題に変わりはないと思いますが、会長に、こうした状況をどのように認識をしているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

橋本参考人 佐藤委員御指摘のとおり、大変NHKをめぐる財政状況等について正鵠を得た的確な御指摘だと存じます。

 こういう状況につきましては、NHK、私としましても、大変深刻に重く受けとめております。先ほどまで説明にありましたように、視聴者の意識の変化、特に、若い方々がこの受信料制度に対して正確な知識を持っていないこと、あるいは持てない状況で我々の説明が不足してきた、こういう状況、あるいは価値観の多様化、いろいろ情報に対する対価的な価値の見出し、そういう問題もございます。それから、家族構成とかオートロックマンションだとか、それから生活時間の多様化、そういうふうな生活、社会の問題ということもございます。

 そういう中で、我々、やはり大変厳しい状況ではありますが、この時代時代に合った新しい受信料収納の方法を考え、また、視聴者の方々に合った我々NHK自体としての対応の方法、これは番組を通じたNHKの意義の説明等も含め、いろいろな時代に合った、あるいは視聴者に合った説明の仕方で御理解を得、ぜひこの財政の回復に向けて努力してまいりたい、時代に合った方法を考えてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(勉)委員 まだまだお話ししたいことはたくさんありますが、戦後、今のNHKが発足をいたしまして五十五年になると思います。

 発足当時は、ラジオやテレビは高価であったわけでありまして、私が物心ついたときにはテレビがありまして、持っていること、すなわち、私は、受信料を払うことは一種のステータスで、抵抗感もなかったようなときもあったろうと思います。

 しかし、今民間放送もふえて、放送界全体に占めるNHKの収入の割合も年々低下しているという現状を見ますと、見るから払うといういわゆる有料放送がCSなどで普及してきていますし、さらに携帯電話やインターネットでは有料課金が当たり前になってきております。このように、国民の間に対価意識が広がってきたことが滞納増加の背景にあるのではないかなというふうに私は思っております。一連の不祥事がむしろその傾向に拍車をかけたと言っても過言ではないと私は思いますし、つまり、国民の意識の変化によって、いずれ受信料制度は曲がり角に立つ運命にあったのではないかなというふうに私自身は分析をさせていただいております。そこが不祥事によって早まったのではないかと思いますが、そのあたりについて橋本会長はどうお考えをいただいているのか、お伺いをします。

橋本参考人 御指摘の点はまさにそのとおりだと考えます。社会状況、生活状況、時代の変化の中で、やはりNHKの受信料というものの性格が、多様化する中で薄らいでくるというふうなことが考えられていると思います。

 私の考えとしては、やはり現段階で、一生懸命、受信料の制度、公共放送の意義づけを視聴者の方々に御説明し、受信料をぜひ支払っていただくという努力を一層加えるとともに、デジタルに向けた、いろいろ技術の進歩を活用した、そういうふうな新しいメディア状況になってまいりますので、そういうふうなものに向けてもいろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。

佐藤(勉)委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 最近の放送界、皆さんも御承知のように、ライブドアやフジテレビの問題に続いて、今は楽天、TBSの経営統合問題など、放送と通信の融合が想像以上のスピードで進んでいることは皆さん御承知だと思います。そうした中で、安定した財政基盤に立って視聴率に左右をされない公共放送というものは絶対に必要だというふうに私は思っております。

 この公共放送を今後も存続させるといたしました場合に、どのような役割を果たすべきなのか。具体的に言えば、放送と通信の融合する時代の中で公共放送はどこまでサービスを国民に提供すべきなのか、その財源はどうあるべきなのか。こうした問題は、私たち政治家が改めて真剣に考えなければいけない問題であると思います。そのときには、有識者の意見にも耳を傾ける必要があるでしょうし、場合によっては放送法の改正も必要になるのではないかなというふうに私は真剣に考えさせていただいております。

 もちろん、この問題はNHK自身がみずから決定できる問題ではないと思いますが、これまでの公共放送サービスを担ってきた立場から、要望や意見もあるでしょうし、場合によってはNHKみずからが視聴者・国民に対して考えを表明することがあってもしかるべきだと私は思っております。そういう点で、会長はどんなふうにお考えをいただいているのか、お伺いをしたいと思います。

橋本参考人 新しいデジタル技術が進歩していく中で、ますます情報をめぐる世界は拡大していこうと思います。こういうふうな中で、やはり、NHKがこれまで果たしてまいりました視聴者・国民の皆さんの生活、生命財産を守りまた豊かな番組を届けるというこの使命は変わらないものと考えております。非常にたくさん複雑な情報が流れる社会になればなるほど、頼りになる情報というものは一層期待されるものというふうに考えます。その意味で、公共放送としての役割はますます重要であろうというふうに私は考えます。

 しかし、やはり不公平感のない安定した財源、公共放送を支える仕組みというものを新たに変えていくというふうなこと、検討していくということも大変重要なことだと考えております。こういう面で、今後ともいろいろ、諸外国の状況を見る、あるいは有識者の方々の御意見を聞く、そういうさまざまな意見をNHKとしても検討しまとめてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(勉)委員 時間が参りましたので、最後に総務大臣にお伺いをしたいと思いますが、大臣は政治家でありますし政府の一員でもあります。NHKが置かれている現在の状況を踏まえて、NHKの今後のあり方についてどうお考えをいただいているのか、お伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 このたび新生プランというのを出しておられますけれども、御存じのように、日本においては少なくとも、公共放送のNHKの部分と民間の広告収入に頼る民間放送の部分と、二元制というのを採用して、テレビでいきますと一社対五社ぐらいになっていますけれども、そういったところで、これまでお互いに切磋琢磨してこられたと思っております。

 受信料の話ですけれども、これをいろいろ今考えねばならぬという御意見は前から確かにあるところなんで、今後、これをきっかけにというわけではありませんけれども、検討しなければならぬところもあろうと思います。ただし、これはやはり、受信料をもらわねばならぬという意識があるから何となくいい番組をつくらないかぬとか、いろいろそれなりの営業努力もしてきたんだと思っております。何をつくったってちゃんと金は入るさとなると、それはまた別の意識が働くことにもなろうと思いますので、そういう意味では、一般論として申し上げれば、今のような形での二元制というのはそれなりにうまく作動しておると思います。

 ただ、この種のものにつきましては、技術がどんどん進歩しておりますので、受信料の徴収人が大勢戸別にというようなものかとか、テレビは一家に一台かとか、今は携帯だって車だってPCだってみんなテレビを見られるということにもなりまして、受信の仕方も随分変わってきておりますので、それに合わせて、私ども、いろいろな新しい技術の変化、社会の変化に合わせてこの種の問題は常に考え続けねばならぬ大きな問題であろうと考えております。

佐藤(勉)委員 これで終わらせていただきますが、とにもかくにも、私は、ピンチととらえることもある意味ではチャンスというふうなこともありますから、ぜひ、会長を初めNHKの皆様方には頑張っていただいて、この難局を乗り切っていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 今、麻生大臣の方から受信料に関連してテレビの各家庭の台数のお話がありました。一家四人で支払うお金は一つ分。私は、家と事務所二つ、そしてこちらの宿舎、四カ所で四つ分払っている。これは、先ほど佐藤理事からステータスというお話がありましたが、相当なステータスなんだなという感じを持つわけです。

 私は、NHKというのは非常にすばらしいとかねて思ってきた人間でございますので、そういう基本スタンスに乗っかって、実は、さっき九年ずっとという話が佐藤さんからありました。私は十二年になりますが、ほんのわずかな期間逓信委員会に所属したことがありまして、実に久しぶりにこのNHKに関する決算あるいは予算、そういったお話に関する場所に来たわけでありますが、先ほど、橋本会長のお話あるいは会計検査院の局長のお話を聞いていて、正直、うんとうなる思いでございました。

 それは、あなたが最近の実情を知らないからというふうに言われるかもしれませんが、改めて、余り聞きたくないことかもしれませんけれども、要するに、不祥事という言葉で済ましちゃうと何か余りすっきりしないものがあるので、改めて確認するために言います。チーフプロデューサーが番組制作費の支払い決定に関する事務に従事中、知人と共謀し自己の担当する番組において仕事をさせたこととして知人の銀行口座に振り込ませ、番組制作費を領得するなどして損害を与えた。あるいはまた、営業担当の職員が云々、また、経理担当の職員が云々。まあ、余り重ねて聞きたくないことだろうと私はお察し申し上げます。しかし、こういう事実というものがあって、ぜひそういう不祥事の再発を防止しよう、それで新生プランという流れですよね。

 先ほどの会長の新生プランと財政の現状についてもしっかりこの場で読ませていただきました。そしてまた、このNHK新生プランの、正式には来年の一月ですか、方向性を示されたものも読みました。

 読んで思うことは、要するに財政運営が極めて厳しいというお話が書いてあるんですね。会長のお話では、非常にこれはなかなかよくできた、組織を防衛するという観点から見てよくできた文章だなと思いますよ。つまり、財政運営が極めて厳しいけれども、公表して以来、受信料の支払い拒否・保留の増加は大分少なくなった、あるいはまた、九月末の段階で、不祥事に伴う受信料の支払い拒否・保留は、百三十万件を見込んでいたけれども、実際には百二十六万六千件にとどまった、なかなかうまい文章の展開の仕方でございます。

 そういう皮肉めいたことばかり言うのが趣旨じゃございません。この三つの方向性、これは、新生プランの柱は三つですよ。一つはNHKらしい放送をつくっていく、やっていく。一つは受信料の公平負担に全力で取り組む。もう一つは、順序を逆にしましたけれども、組織や業務の大幅な改革、スリム化を推進する。この三つ。

 要するに、私は何を言いたいかというと、この不祥事というものをとらえて、不祥事をなくす、深い反省に立っている。この三つをじっと読んで、不祥事に何が対応するのかなと思ったら、この二番目の組織の改革、組織の活性化、経費の削減、人員の、職員の削減、これかなと。会長、こういうことで、まず一点、よろしいんですか。そして、こういう方向性だと、職員の皆さんは萎縮するばかりで元気が出ない。そんなことで果たして新生できるんでしょうか。

 要するに、先ほどの新生プランのお話を読んでいても、それはおまえさんが余り実情を知らないから、そういうことは既にいろいろな議論はされたんだ、そういうことを踏まえた上でどうやっていくかと言っているんだ、こうおっしゃりたいのならそれでもいいんですが、率直に、この場に九年ぶりに居合わせた人間として、何かぴんとこない。会長の生のお言葉を聞きたいと思います。

橋本参考人 大変厳しいお言葉を賜りましたので、組織を防衛する立場で多少言いわけを先にさせていただきたいんですが、この新生プランのまず冒頭のところで、やはり昨年来いただいている視聴者あるいは国民の皆さんからの大変厳しい意見を取り上げて、この上でやはり、我々、不正を起こさないための内部規律を強化し、また不正に対する厳正な処分、こういうふうに不正撲滅に向けた姿勢をまず基本の基本としてベースに持とうということを新生プランの中でまず冒頭盛り込んでおります。

 その上で、二つの目的、三つの柱という形でこの新生プランは構成させていただいております。

 私が会長という職務に立ちまして一番最初に感じましたのは、やはりNHKという公共放送は、当然、民放さんと二元体制という中で役割を果たしてまいりました。しかし、その中で、長い歴史の中で、NHK役職員に甘え、おごり、そういうものがなかっただろうか。これについては大変厳しく重く感じ取っております。反省しております。

 そういう点で、もう既に今年度もそうなんですが、この新生プランを出す以前、もう昨年の不祥事発生以降、NHKの執行部としては、やはり新しい不祥事撲滅のためのメカニズム等もNHKの組織の中へ取り込もうということで、よく言われますCOSOフレームという難しい言葉がございますが、アメリカのエンロンとかワールドコムで起こった不正の反省に立ってできた、新しい監査の不正撲滅の手法だと存じておりますが、こういうものもNHKに導入し、また、内部監査だけじゃなく、外部監査も専門の委員の方々を招いて取り組んでいる、あるいは倫理の問題もやっているということでございます。

赤松(正)委員 私は、会長のこれからの手腕に期待をしておりますから、しっかりと信頼回復に向けての仕事をぜひしていただきたい、そう思います。

 それから、先ほど極めて私的な、私的というよりも、きょうここにいらっしゃる皆さんの大半が幾つものそういう受信料を払っていると思うのですが、私たちだけではなくて。要するに、私は、今回、受信料不払い者や未契約者に対して法的手段も辞さない、これはこれでいいんだけれども、ちょっとばかりどうかなという感じがいたします。そこへ行く前にやることは幾つもある、こう思うのですね。それは、やはりNHKはお金を払うだけの価値があるというふうにみんなに思わせる、それが人の口の端に上っていく、そういうことが一つやらなきゃいけないことではないのかなと思うのですね。

 それで、サービス向上、さっきも三ッ矢委員から話がありましたけれども、そういう側面が非常に大事だ。

 例えば、既に放映された過去の番組。そんなのはビデオで撮ればいいじゃないかという話ですが、私なんかはなかなかそういうふうに思っていても撮れない。あれを見たいなというのに見損なっちゃった。そういうのを見たいと言ってもなかなかこれは手に入らない。一応、有名ないい番組はDVDになったりいろいろあるようですけれども。例えば、これは仮の話、そういうことについて、入っている人は割安で何か便宜を図ってもらえるとか、そういう何か血の通った、何か、いいな、NHKの受信料を払うっていいじゃない、こういう感じを持たせるようなことを新生プランにはぜひ入れてほしいなと思うのですが、どうですか。

橋本参考人 御提案をいただいたようなことについては、やはり一種、不公平感をなくす、こういう活動の中で、我々、非常に良心的に長い間口座で払っていただいている視聴者の方々に対するサービスとしても考えて、検討してまいりたいと思っております。

赤松(正)委員 ぜひ知恵を絞って、あっと驚くようなことをぜひ考えてほしいと思います。

 次に、NHKの原田総局長、石村副総局長が、さきの総選挙報道に関連しまして、九月十三日の会見で、NHKは正確で迅速な当確判定とわかりやすい開票速報を目指しました、その結果、小選挙区、比例代表を含めて当確ミスは一つもありませんでした、今後もさらにわかりやすい報道を目指していきたい、こう述べているのをNHKのホームページで見たのですが、まず、この正確なというのは当たり前の話だろうと思うのですね。問題は迅速さだと思うのですね。

 その観点から出口調査等を充実されたと思うのですけれども、そういったものも含めて、今回の報道でかかった費用は幾らだったか。民放では出口調査の費用だけでも五億円とか六億円という話があるのですが、端的に、ちょっと質問時間が短くなってきましたので、そのかかった費用だけについてお答えください。

原田参考人 お答えいたします。

 今回の第四十四回衆議院選挙の報道に際しましてかかった費用は、当日の開票速報、それからそれまでの選挙取材などを合わせまして、これは全国分でございますけれども、およそ十五億円というふうに見込んでございます。このうち、事前の世論調査、それから当日の出口調査、この分が合わせて七億円余りでございます。

赤松(正)委員 民放より若干高いという、それだけのお金を払っておられる。NHKが選挙報道に関して非常にそれこそステータスを確立しているということはよくわかります。私たちも、NHKが当選確実と打つということがいかに大事かということは骨の髄までしみております。

 その上で、実は、今回だけじゃなくて前回から、私、兵庫県の公明党の代表をしているわけですが、兵庫県で数少ない小選挙区の二つがどういうわけか非常に当選確実の発表が遅い。どうなっているんだ。これは何か自分の地域のごくわずかなことを言っているんじゃないのかと思われるかもしれませんが、実は、これは客観性のないことを言っているわけではなくて、そういう選挙報道についての、正確に、ある大学の機関が調べたものを持っておるわけです。

 具体的に言いますと、兵庫八区、私どもの幹事長の当選というのについては、要するに民放が九時半に当確を打ったのに、NHKは二時間後ですよ、二時間後。大体、選挙というのは、入れた時点でもう当落決まっているんですから。正確どうこうというのは、時間をずらせば正確に決まっているんですよ。だから迅速さというのが大事だ。だからこそ、たくさんのお金をかけて出口調査なるものも最近やっているんだろうと思います。しかし、いかにしても遅い。

 本当に、見ている人は、民放が打った、もう当選だと思っているのに、いつまでたっても出てこない。これは、選挙にかかわらない人は余り関心ないかもしれないけれども、当事者は余り当選したという気がしないと言うんですよ。物すごく苦しめられる。だけれども、票を見たらそんなの最初からわかっているわけですから、そんなでもないんです。そういうことを思わせてほしくない。

 しかも、私が何でこう言うかというと、あのときにNHKに随分電話が行っているわけです。非常に失礼な対応をしているわけです。私どもは、そんなことありません、きちっとやっていますと。もうNHKに金払わないぞと言う人が多いんですよ、これはちょっときつい言い方ですけれども。

 今申し上げたような、そういう正確さ、迅速さ、迅速さにおいて大いに問題あり、こういうことを指摘したいと思いますが、文句ありますか。

原田参考人 今お話しのとおり、選挙報道に当たりましては、迅速である、それから的確である、このことは何よりも大切だと私ども考えております。

 今回の選挙に当たりまして、NHKの調べでございますけれども、定員四百八十人のうち、民放各社と比べましてNHKの当確が最も早かったというのは百二十九人でございました。民放の一部には、開票が始まる前から、つまり投票がまだ続いている中で当確を打つという社もございます。そうした中で、私どもは、開票が始まった後、当確を打ち出しております。

 一方、正確ということも、これは当たり前だとおっしゃいますが、そのとおりでございますけれども、やはり報道の信頼性ということ、その根幹にかかわる部分でございまして、今回、マスコミ全体を見ますと、当確ミスも幾つかございました。そうした中で、私ども、ミスなく、これは当然でございますけれども、報道ができたということでございます。正確にやるということのために、慎重に当確を考えることもございますけれども、お話しのように、迅速かつ正確ということを研究してまいります。

赤松(正)委員 今、個別具体の話は触れられませんでした。それはいいんですけれども、正確かつ迅速にという原則をあたう限り努力していただいて、大半はよかったんだけれどもあなたの言っているところはちょっと珍しかったよねという話に今聞こえましたけれども、ぜひとも、全体的にNHKらしい迅速さということも要求したい、そんなふうに思います。

 最後に、ぜひ、きょうこの場で言いたいと思ったことは、いわゆる政治というものとテレビとの関係で、最近、私が非常に不満に思うのは、民放がいろいろな形で政治家を登場させます。それはそれでいいんです。ただ、そこで非常におもしろおかしく、政治家の一部分、非常にごく限られた側面というものを大きくクローズアップさせて評判をとっている番組が多いのですよ。私の家族でも、あるいはまた近しい人間でも、あの番組おもしろいなんて言っているわけです。私は、どうかなと不本意に思う場面が多い。

 そういう観点からすると、私は、NHKというのは非常に臆病になり過ぎているんじゃないのか、政党、政治家との距離を等距離に保ちたいという思いが強過ぎて、結果、おもしろくとも何ともない番組が多過ぎるのですよ。実際、私はそう思います。

 では、どうしたらいいのか。例えば、政治家が出るときに、政見放送、私は比例区ですからそういうものに今や登場できないわけですけれども、そういう小選挙区の候補者の経歴放送等あります。通ってしまえば、あの人が何したかどうなったのか、全く何のさわりもありませんね。これはなかなか難しい問題で、だからどうするという話にはすぐいかないかもしれないんですが、そういう観点で、どうやって政治と、そしてお茶の間を近づけるのか。より真っ当に、正しい日本の政治家の現状というものを知らせるのか。これをNHKが一番真剣にやらなきゃいけないテーマだと思いますよ。

 これは、きょうはNHKの会長が出られるからテレビ放送するんでしょうけれども、私に言わせれば、こういうのはどうでもいいと思うんですね。予算委員会だとか、あるいはまた党首討論とかそういうテーマのときはNHKで放送しますけれども、もっとふやして、本当に国会議員がしっかりやっている側面を見せてほしいと思うんですね。

 例えば、ほんの一例ですが、憲法調査会、非常に大事なテーマ、今、五年終わって憲法特別委員会になっていますけれども、これはいかなる委員会とも性格が違うんです。どこが違うのか。いわゆる政府、大臣と議員とのやりとりではなくて、国会議員同士の意見の披瀝のし合いっこをやるんですよ。これは、私はそれこそほぼ五年所属していますけれども、本当におもしろい。ですから、そういうところを例えば報道するとか、一つの提案ですけれども、そういう工夫をしてほしい。

 もっともっと、本当に政治家の真っ当な判断を国民にしていただくために、政治家の活動についての認識をしっかりしてもらうためにはどうしたらいいかというのをNHKこそ考えてほしい。私たちもいろいろなことを、考えを提供しますから、ぜひそのことを新生プランの中でも入れてほしいということを申し上げて、最後に、会長の今の件についての御答弁をいただきたいと思います。

橋本参考人 こういうふうな立法府で議員の方々がいろいろ御真剣に御審議なさっているというふうなことにつきましては、やはり視聴者の関心も大変高まっているというふうなことがございます。これから、いろいろな御意見あるいは事態の高まりといいますか、そういうことも考えながら検討させていただきたいと思っています。

赤松(正)委員 終わります。

実川委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 きょうは、NHKの決算ということでございますので、私も、NHKの売り上げというか売り上げのもととなってくるもの、それからコストの方、両面について順番にお伺いをしていきたいというふうに思います。

 先ほど橋本NHK会長の方からもございました役職員の甘え、おごりはなかったか、特に、まず隗より始めよというか、やはり経営陣、幹部のそういったものはなかったか、そして、こういった厳しい状況において本当に決意のほどが国民に伝わっているかというところが大切になってくると思います。

 私もこのNHK新生プランを拝見いたしましたが、このくらいは毎年発表しなきゃいけないような中身で、特にインパクトのない文章じゃないかなという印象を持っておるわけでございますが、きょうは、特にこういった場でございますので、情報公開という面も含めて、しっかりと質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今、お配りした資料がございますけれども、ちょっとこれに基づいていきます。これは、いただいた資料をもとに、もう少し追加でつくっていただいたものでございます。NHKも数年前から連結という考え方を導入されて本格的にやられておるということですが、二十七社程度ですか、関連子会社等があります。

 まず、一番上の表を見ていただくと、連結子会社二十七のうちNHK本体との取引が、調べていただいたところだと、今、四四%ぐらいあります。そして、NHK本体とNHKの連結子会社にそれぞれいわゆる役員と言われている方がどのぐらいいらっしゃるかということを調べてみた表がその下の表でございます。これは、本体ともっと小さい会社が集まったものとの比較でございますので、同じ土俵では比較できない部分もあるかと思いますが、それにしても、従業員数は半分以下の中で、役員の数がかなり違うなという印象でございます。この中で、子会社の非常勤の方は無給ということでございますので、そういった方々を引いても、三百五引く百七十で、百三十五名役員がいらっしゃる。

 これを見ていると、この間の部門会議でも、NHKの理事の数を二名減らしました、コストも給与も一五%カットしましたとおっしゃっておるんですが、連結経営の中で、それはNHK単体のことをおっしゃっているんじゃないか。このNHK新生プランの二のところに「組織や業務の大幅な改革、スリム化を推進します」、そして一番最後のポチに「NHKの関連団体についても、NHKと一体となった諸改革を進め、時代にふさわしい再編成を行います。」このように書いてあるんですが、どうもこの実態を見ると、まず人の面に着目をしてもそうではないのではないかという印象を受けるんですが、会長、いかがでしょうか。

橋本参考人 NHKの関連団体につきましては、やはり連結決算も含めまして一体的に物を見ていく考え方ということは大変重要だと考えております。

 そういう中で、かつては六十五近くあった関連団体も、現在、これは完全な株式会社だけではございませんけれども、その半数近くにまで整理統合を進めている、あるいは、そういう中で、役員についても見直していくというこの姿勢につきましては、今後も、コンパクト化、時代に合わせたスリム化、そういうものも検討してまいりたいということで考えております。

田嶋(要)委員 全くやっていないということではないでしょうけれども、連結経営ということで一体的な改革を進めるということであれば、やはりNHK本体同様、グループ全体で国民の皆様に向かって、必死になって今やっていますというメッセージが伝わらないといけないというふうに思います。

 これは単純に比較はできないかもしれませんが、同じぐらいの会社規模で比較しますと、NHKの方の本体の役員総数は二百名以上いなきゃ何か数字としては合わないような状況になっておるわけです。もちろん、小さい会社であっても役員一名はいらっしゃるわけですから、単純には比較できませんが。そうであれば、本当にそういう小さい会社でひょっとしたら同じような類似の仕事をやっている子会社がいっぱいあるとしたら、もっと会社自体の統合もスピードアップをしていかなければいけないのではないか、そういうような印象を持ちました。

 次のページの資料をごらんいただきたいんですが、これはお金の方の話でございますが、NHKの本体と子会社分の利益率をちょっと比較してみたものです、いただいた資料からですが。

 NHK本体は今回は特に厳しいのかもしれません。過去五年間見てみたらもうちょっと数字はいいんですが、今回は一・一%の利益率ですね、純利益。一方、連結子会社、本体を抜いた数字は三・五%ある。これはもうちょっとさかのぼっても、平成十一年からの数字を見ても、NHK本体は高くても二・四%、それで十六年が一・一%。つまり、ここだけ見ていると、やはり子会社というのはもっと利益を上げている。

 そして、ここの話と、戻っていただいて、前の一ページのこの数字をいろいろと見ていると、一つのシナリオが出てくるような気がするんですね。つまり、連結子会社とNHK本体との取引というのは、子会社が売り上げを立てる収入の半分ぐらいは実はNHKからお金をもらっている。NHKが子会社に発注をしている。そして、やたら多くの役員がNHKの子会社にはいる。そして、それでもなおかつ子会社分の利益率は本体よりも高い状態になっている。

 私がこれでふと思うのは、どこかで、特別会計の話か何かで、母屋で目刺しを食っているか何かで、離れですき焼きを食べているというような話があったと思うんですが、そういう話ではないのかなという感じもしてしまうわけでございます。

 例えば、国際的な親会社と海外子会社のことを考えると、これはいわゆる移転価格の話があると思うんですね。つまり、本来結ぶ契約額よりも割高な契約行為をすれば、それだけ海外の子会社にプロフィットが流れ出ていく。まあ移転価格の話だと思うんですね。

 同じ国内ですからそういった問題は起きないわけでしょうけれども、何かNHKの本体は一生懸命コストカットして苦労しているように国民の皆様には見せつつも、グループ全体でいくとまだまだではないのかな、そういう印象を受けてしまう数字になっております。

 そして一方、きのうのお話ですと、NHKと子会社の契約の多くが随意契約になっている。一般競争入札というんですか、コンペで発注をしているわけじゃなくて、番組の制作をする契約は、まあほとんどが随意契約だという話を聞きました。きのうの段階で、NHKとの取引のうちどのぐらいが随意契約額かという数字は間に合わないということで、後日いただくことになっておりますけれども。

 そういったことから考えると、やはり、何だかいいかげんにやっている部分があるのではないか。同じこの新生プランの二の二番のところ、先ほど申し上げたスリム化を推進するという二つ目のポチにも書いてあります。「多様で質の高い放送の充実のために、NHKの制作者と外部の制作者が番組の企画、制作を競い合う仕組みを本格的に導入すること」と書いていますね。つまり、今はそういうものが本格的に導入されていないということのように理解されるわけでございます。

 せんだっての部門会議でも、ある民主党の議員から、番組制作費がNHKは高いんじゃないかという質問がございました。それに対する会長のお言葉は、めり張りをつけておりますという回答だったと思うんですが、こういった数字を見ると、こういう形での情報公開をふだんはされていないかもしれませんが、これをごらんいただいて、いかがでしょうか。何だかやはり国民に、必死にやっています、改革、必死にコスト節減しています、そういうことが伝わる数字だと思われますか。会長、どうですか。

中川参考人 今の御指摘につきまして、私の方からいろいろお答え申し上げたいと思います。

 まず、人のところでございますが、いろいろ比較を挙げて御指摘いただきました。ただ、私どもも、いろいろこれまで確かに関連団体の役職員はまだまだ多うございましたが、関連団体はただいま現在全部で三十四団体ございますけれども、平成十三年度からは二百十名削減してございます。

 それから、利益のところでございますが、昨年度のいわゆる連結子会社等の利益でございますが、これは、いわゆる連結子会社二十三社と関連会社四社を足しまして、二十七社分でございます。これにつきましては八十九億円でございます。そういう利益を上げつつ、一方で、NHKに対しましては副次収入という格好で戻してもらっております。これは、NHK全体の副次収入は昨年度九十四億円でございますが、そのうち七十六億円が関連団体からの副次収入という形でございます。

 それからまた、関連団体はまだ歴史が浅い部分もございますけれども、そろそろ財務体質も改善されてきておりますので、できるだけその利益をNHKの方に還元するということで、昨年、十六年度の決算の配当は、NHKの予算とすれば十七年度に、今年度に入るわけでございますが、総額で五・八億円でございます。これもさらに、今NHKは現在大変財政的に厳しい状況でございますので、今後もっと大きな配当ができないか、ただいま検討しているところでございます。

田嶋(要)委員 一点だけ確認ですが、先ほど随意契約の話をいたしましたけれども、今数字はないということですが、会長の方から、ここのスリム化の話で書いている、先ほど申し上げたポイントですね、「制作を競い合う仕組み」ということは、まさに随意契約を減らしていって、そして番組の質を落とすことなくもっとコストのカットをしていかなければならない、そういうふうな理解をしてよろしゅうございますか、会長。

橋本参考人 番組といいますのは、やはりそれに携わる方々の創意工夫で手づくり品だという中で、一概に完全に一般公開できるかというふうな問題等はございますけれども、外部のプロダクションとかそういう方々と競い合って、コンペティションしながらその創意工夫を伸ばしていくという体制については増強してまいりたいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 もう一点だけコストの方の質問をさせていただきたいんですが、これはお配りをしていない紙でございますが、役員報酬等の資料も若干ちょうだいをいたしました。その中に、会長、副会長の報酬とかそういうさまざまな数字がありますが、経営委員会委員の報酬のデータもちょうだいをいたしたわけでございます。

 これは事前通告はしておりませんが、その数字を見ていて、それと、放送法の二十二条の方には何が書いてあるかというと、「委員は、」中略ですが、「その勤務の日数に応じ相当の報酬を受けることができる。」そういうふうに、勤務の日数に応じてとはっきり書いてあるわけですね。

 そういうことを踏まえて昨日、おとといいただいたデータを拝見いたしますと、経営委員会というのは十二名から構成される、委員のお一人の年額の報酬というのが五百六十三万円ですね、委員長は七百四万円、そういうデータをいただきました。それでどのぐらいの頻度でやっているかということですが、月二回、一回は二時間から三時間というふうにお伺いいたしました。つまり、月に大体半日、年間六日働いて五百六十三万円いただいておるというのがその法律に書いてある日数に応じた相当の報酬ということなのかなという感じがいたします。

 まあ、いろいろ難しい議論をされておられる方で、それぞれの御見識とかそういったものを踏まえておられますから、この数字自体、何とも私にはわかりませんけれども、こういった数字を情報公開をしっかりしていただいて、そして、今申し上げた法律の文言からすると、若干というかかなりというか、私個人的には違和感を覚えるわけですが、その辺はいかがでしょうか、会長。

橋本参考人 経営委員会の経営委員につきましては、執行部からなかなか申し上げにくい立場にございますけれども、実際に経営委員会がどのような活動をしているかということで申し上げれば、定例の会合というものは月に二回やられております。それから、現在NHKをめぐる状況が大変厳しい状況であるということで、それぞれの委員の方々が独自にNHKの状況について調査、把握する活動、あるいは、定例の委員会のほかに委員会を設けて御審議いただいているというふうに伺っております。

田嶋(要)委員 わかりました。時間の関係で次に移ります。コストの点は以上で、今度は売り上げ側というか収入側の話をちょっとさせていただきます。

 先ほどどなたかからも出ておりましたが、民事手続、支払い督促も検討するということで、そういったときに必ず出てくるのが公平性を担保するということだというふうに理解をいたしておりますが、そこにも私はいろいろな問題があるのではないかと思います。

 多くの方が支払い拒否を今されております。そして、片っ方の方は支払い、そして片っ方の方は払わない、そこに不公平がある、そういった不公平をなくしていく、そのためには強制的にでも払わせなきゃいけないというような話だと思うんですが、これだけ批判が多い中でそういうことが現実的かどうかということは今横に置いておきまして、私がもう一つ思うのは、同じ公平性でも、全然見ていない人から取っていること自体がやはり公平じゃないんじゃないかなという気がどうしてもいたします。

 このことを考えると、これは国民年金の未納の問題と結構似ているのかなという感じがいたします。NHKの方がもっと払ってもらっているようでございますが、国民年金も、若い方々の間には年金制度の不信、不安、不満、いろいろあって、払わない人が続出している。同様に、見てもいないのに何で払わなきゃいけないのかというその根本のところ、そこをやはり問題としてこれから考えていかなきゃいけない。まさに今これだけ払わない人がふえ、そしてデジタル化が進んでいく中で、これからどうしていくのか。そのときに、民事手続なんて言っているようなことは、僕は余り現実的な回答とは思いませんが、その中で今、やはり見ていない人からは取らない、見た人からはちゃんと全員取る仕組みに変えていかなければいけないのではないかなというふうに私は思っております。

 そこでお伺いしたいんですが、これはどちらかというと総務大臣にお伺いする質問だと思いますが、公平性というのは、やはり今申し上げた二通りの意味がある。見ている人同士の間の公平性、見ない人と見ている人の間の公平性。

 それから、例の二〇一一年に地上デジタルが実現をする、一〇〇%の目標でやっているわけですが、そういった技術進歩も踏まえ、今こういった状況に置かれているNHKの経営のこれからのあり方を根本的に考えるときに、売り上げサイドの基本となっているのが受信料でございます。その受信料をどうしていったらいいのか。スクランブル方式という話もございます。あるいは、個人課金という話も出ている。ワンセグという話も出ています。どういった方向を目指していくべきなのか。それから、民営化ということに関してはどういうふうに考えておられるか。その点を大臣からお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 二つ御質問をいただいたんだと思いますけれども、スクランブル化という話が最初でしたね。スクランブルというのは選別するというやり方です。

 田嶋さん、スクランブル化というのは技術的に可能ということには、デジタルになったらなり得ます。しかし、問題は、これは諸外国においても実質スクランブル化をやっているところというのは例がないんですよね、公共放送に関しては。その一点で、日本だけ技術ができるからといってばっとやるというのは、全国あまねくという点とどう整合性を持たせるかというところが一番難しい、そう思います。それが一点。

 もう一つは、フランスとかドイツとかイタリアとかいろいろありますけれども、これは公共放送でみんな一〇〇%政府出資の特殊会社なんです、ほかの国の場合。そういった意味では、公共放送をやっておられるというところは、そういったところを機関の性格として考えておかないかぬというのが二つ目だと思います。

 それから、広告収入を取るというやり方。これは、フランス、韓国、ドイツ、イタリア等々は広告収入を取っていると思うんですね。そういったところでNHKの広告収入を取るといったら、多分ほかの民放より高く払う。広告を希望する民間会社、いろいろな会社で広告を載せたい会社は、ニュースの時間にこれを載せてくれといえば、多分ほかのニュース会社より高く取れるかもしらぬ。いろいろなことが考えられますよ、それはやり方としては。

 そういったものを私どもは考えないかぬところだと思いますけれども、少なくとも、もともとの発想として、とにかくあまねく全国における放送という点と、いい内容の放送番組をつくるというのが二つ目、それから技術、いわゆる放送技術の進歩というのに関しては研究開発をやりますというのと、海外への情報発信という四つは、基本的にNHKとしてやっていかないかぬところなんだと思うんですね。

 したがって、いろいろな意味で、民間会社にしてしまったらと言うけれども、民放会社五社との関係は、これはドミナントとは言いませんけれども、大きな力を持つNHKがほかのものと同じような形での民間会社になることが果たしていいかという点に関しましては、これはいろいろ考えないかぬところだと思っております。

 平成十三年、今から四年前にやった十二月十九日の閣議決定でも、特殊法人等整理合理化計画というのでいろいろな特殊法人がざっと合理化された中で、NHKはそのときに今申し上げたようなことをいろいろ審議された結果、今回のような形で、いましばらくというところなんだと思いますので、今回の新生プランの経過をしばらく待たないかぬのだと思っております。

田嶋(要)委員 もう時間でございますが、大変いい番組も多くやっているNHK、私も好きでございますけれども、そのNHKが今大変な時期に来ておるということですので、デジタル化とそれからこれだけの視聴者の不信というものを背景に、本当に抜本的な改革を考えるいい時期に来ているというふうに思っております。そういった意味では、先ほど、冒頭申し上げたコストの方も、もっと真摯な改革をやっているということがグループ全体として伝わるような取り組みをしていかなければいけないし、そして収入サイドも受信料収入のことを含めて考えていくいい時期に来ているというふうに思っております。どうかいい経営をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

実川委員長 先ほどの赤松委員の質疑に際し、原田参考人から発言の訂正を求められておりますので、これを許します。原田参考人。

原田参考人 先ほどの赤松委員への答弁の中で、民放の一部には投票が行われているうちに当確を打つ会社もあったと答弁いたしましたけれども、これは誤りでございました。正しくは、開票が始まる前に当確を打つ会社があったと申し上げるべきでございました。

 申しわけございません。

実川委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田学と申します。

 ちょうど半年ぐらい前ですけれども、仕事が終わった後にスポーツクラブに行ってサウナに入っていましたら、ちょうどNHK質疑、予算質疑の録画版をやっていまして、ちょっと私も関係者だったのでサウナに入りながら見ていたんですが、周りにいる方がNHKは信用できないなとぼそりと言われておりました。その後に、かといって質問している政治家も信用できないなと言われたので本当に肩身の狭い思いをしたんですが、いずれにせよ、信頼を回復するということは非常に厳しい態度でやっていかなきゃいけないことだなということは大事なことでもありますし、国民の皆さんの信頼というのはまだまだお互い低い部分にあるということは謙虚に受けとめて頑張っていかないといけないと思います。

 NHKの今後について、田嶋先生を初めいろいろな方が議論されています。民営化したらどうなんだという話もありますが、私としては、公共放送というものは非常に大事なものだと思っています。スポンサーもつけず、先ほど広告という話がありましたが、広告もなしに受信料で支えられて、しかも過当な視聴率競争をすることもなく、良質な放送をしていく。私は、非常に大事なものである、民主主義を支える大事なものであると思っています。

 イギリスのBBC、公共放送ですけれども、その点、非常に高い評価を受けていて、ある調査会社によると、視聴者の約半数以上の方が今の受信料の倍、中には三倍、四倍払ってもいいと言われるようなお方までいた。本当なんです、半数以上の方が二倍以上払っていいと言われていた。私は、そこは国民の理解と信頼というものがあるんだろうなと思います。

 NHKにもそういうような信頼の回復というものは必要ではないかな。もっと具体的に言えば、まず一つに、受信料を払うことの意義というものが明確であること。そしてもう一つが、受信料の負担というものが公平に行われていること。そしてまた、集められた受信料が適正に使われている。そして、一連の一つの活動について厳格な、厳正な監査が行われている、チェックが行われている。私は、この四点に尽きると思っています。

 まず、受信料の問題。

 不払い等々多いんですが、そもそも、受信料を私たち視聴者が納めなければいけないという根拠条文というのは放送法の三十二条一項だと思うんですね。そもそも、公共放送である以上、すべての視聴者が不満があろうがなかろうが払わなければいけないし、どのような方であろうとも、公共放送ですから、すべからくメリットを受ける権利がある、私はそう思っております。よく言われることですが、自分は空手の達人で盗まれるようなものも何にもないから警察は要らない、そのような発想はやはり公共という考えの中では成り立たない問題だと思っております。ですので、受信料を払うということはある種義務であり、そこら辺に関しては、視聴者の方々もさまざま思惑、不満はあるでしょうが、やはり理解してほしいと私は思うんですよね。

 放送法三十二条の方をちょっと見てみますと、簡単に言えば、テレビを持ったら受信契約を結ばなきゃいけない、契約を結ばなきゃいけないと言っているんですね。

 この契約というもの、民法を少し勉強してみれば、自由意思の土壌にのっとって行われるものであって、極端な話をすれば、契約を結びたくないと一方が言えば、それは成り立たないものだと思うんです。そしてまた、払う受信料の性格、法的性質的なものをちょっと昔のものを引っ張ってみると、NHKを維持運営するための特殊な負担金、これは昭和三十九年の調査会の答申にあるんですが、特殊な負担金と言っている。

 私は、ここは非常にわかりにくいと思うんですよね。冒頭申し上げた受信料を払うことの意義というものが明確にわかりやすくない限り、やはり集金員の方々が戸口に来てお願いしたところでわからないと思うんですよね。

 ですので、とりあえずこの三十二条、自由意思が大原則となっている契約というもの、これの法的性格というものを、集金員になったつもりで、総務省の方、お答えいただければと思います。

清水政府参考人 先生御指摘の受信料の法的性格とそれから受信契約の法的性格と、二つの面があると思います。

 まず、受信契約につきましては、放送法三十二条の世界からいうと、当然、NHKの放送、これ以外のNHKの放送を受信できないテレビは除かれるわけですが、NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者にNHKと受信契約を締結することを法律上義務づけている。しかしそれは、先ほど先生御指摘のように、契約を結ぶかどうかは私法上の契約ですので、NHKの方からは、NHKが定めております日本放送協会の放送受信規約というのがございまして、これで契約を結んでいただけませんかという話があるのに対し、機器を設置した者が、私は結びます、結びませんと、それを結ぶか結ばないかを判断できる私法上の契約になっております。ただし、契約義務というのは法律上義務づけられておりますので、本来、置いた者は必ず結ばなければいけないという方向性になっております。

 それから、受信料の性格自身は、先ほど先生の御指摘のございましたような、国家機関ではない独特の法人として認められたNHKに徴収権が認められているところの、その維持運営のための受信料という名の特殊な負担金でございまして、これは視聴に対する対価ではなくて、やはり放送のための税金というものでもなくて、NHKに一定の業務を行わせるための負担金として法律で設置したというようなものになるかと思います。

寺田(学)委員 集金員になったつもりでということをつけたんですけれども、まさしく今お話しされたようなことを、ドアをあけられて、いや特殊な負担金であって、いや法的なものがどうこうと言われたところで普通の方はわからないわけですよね。ですので、かなり昔につくられた法律ではあるんですが、この法律を変えたからといっていきなりみんなが払うようになるとは思いませんけれども、やはり公共放送である、公共である以上すべからく払うんだ、該当する要件は、テレビ、受信する、テレビを見る環境にある方、そういうようなわかりやすい改正も必要だろうなと私は思っているんです。

 公共でありますから、義務的に受信料を納める。納める側としたら、本当に適正に使われているのかということはやはり一番気になるところだと思うんです。そこをNHKをチェックする。大体、法律上書かれていることは、国会でこのように審議することも一つ書かれているでしょうし、会計検査院の方がしっかりとNHKの会計を厳正に、ちゃんと使われているかを審査されていると思うんですよね。それはたしか四十一条とかについていると思うんです。

 ただし、ちょっと一つ気になる件がありまして、会計検査院の方が、NHKの関係団体であるNHK学園に毎年、天下りという言い方は恣意的ですけれども、毎年そこの監事なのか何なのかずっと入られている、そのようなことを聞きました。監査する側、検査する側とされる側の関係において、私はやはりこれは余りいい話ではないなと思うんです。

 事実関係について、NHKの方、報酬も含めて、人数も含めて、お話しください。

中川参考人 お答えいたします。

 学校法人日本放送協会学園、通称NHK学園というのがございますが、ここの監事といたしまして、その会計に関する専門性を発揮していただくということから、昭和六十一年以来現在まで、四人の会計検査院出身の方に来ていただいているというふうに聞いております。

 ただ、報酬の方は、個人のプライバシーにかかわるため、申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

 また、ちなみに、NHKは放送法第四十一条によって会計検査院の検査を受けておりますけれども、NHK学園そのものは会計検査院ではなくて東京都の検査を受けているというところでございます。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

寺田(学)委員 東京都の検査を受けているとか、そういうこともあるんでしょうが、やはり会計の専門性を一つの魅力として受け入れていると言うんですけれども、公認会計士だっていいわけですよ。あまたいる中で、わざわざNHKの本体を会計検査する会計検査院から四人、六十一年から受け入れ続けていることの正当性は全くないと思うんですよね。

 大臣、この四十一条、「協会の会計については、会計検査院が検査する。」この法文の実効性を担保できるんですかね、この状態で。大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 何ともお答えしようがないんですが、御指摘の会計検査院の業務に与える影響について判断するというのは、ちょっと私の立場からはなかなか言いにくいと思います。

寺田(学)委員 冒頭申し上げたとおり、やはり信頼関係、ちゃんと使われているかどうかというその信頼があってこそ初めて、公共放送、ちゃんと受信料を納めたくなる、義務的でも納めることを拒否しない、そのような状態をつくり上げていくと思うんですよね。全く正当性がないですよ、会計検査院からずっと天下りを受け入れる理由は。会計の専門性を一つの魅力としているのであれば、私はこれは改めるべきだと思っています。

 時間がないので、ちょっと足早に質問を進めますけれども、先ほど冒頭で四つほど、私自身として信頼を回復するためにということでやってきた二点目なんですけれども、公平な負担関係がなきゃいけない。やはり隣の人は払っていないだろう、同じような立場であるにもかかわらず隣が払っていないなら払いたくないというのは人間のさがでもあると思っています。

 そういう意味において、またもう一つなんですが、在日米軍の方、この法文を素直に読めば、別に国籍で限っているわけでもありませんし、在日米軍の方は受信料は払われているんでしょうか。NHKの方、いかがですか。

小林参考人 現状を申し上げますけれども、現在、在日米軍の基地内におきましては、NHKの受信契約はございません。

 NHKではこれまでも米軍側とさまざま交渉を重ねまして、受信料の性格につき説明し、契約及び支払いについての協力要請、あるいは基地内立ち入りの申し入れ等を行ってきてございます。しかしながら、従来からの米軍の見解がございまして、それについて変わってございません。その関係で、先ほど申し上げたように、現在契約に至っていないということでございます。

 なお、関係機関の協力をいただきながら、今後も米軍側への働きかけは努めていきたいというふうに考えておるところでございます。

寺田(学)委員 払うべき方々であることは御認識されていると思うんですよね。非常に難しい立場のお方たちであるとは思うんですが、やはり同じ受信者としては払ってもらわないと、それは腹のおさまりが、ちょっと鎮静化しないような気もするんですよね。

 また、この法文の三十二条の方にある、テレビを持ったら契約しなければいけないということに私は著しく反していると思うんですが、総務大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 主語がわからなかったんですが、米軍の話ですね。(寺田(学)委員「米軍の話です」と呼ぶ)

 これは昭和五十三年以来の懸案事項になっております。これでありますので、日本の方としては、基本的には、NHKの受信料は日米地位協定によって免除されている租税には該当しないということは、もう結論は出ております。

 これに基づいて、当然のこととして在日米軍も受信契約を結ぶ義務があるというように私どもは考えておりますので、外務省を通じて、在日米国大使館というところと在日駐留米軍というものに対して、これまでも働きかけを昭和五十三年以来行ってきたというのが事実でして、今に至るも、それは、日本側の主張というものは言い続けているけれども、結論は今に至っていないという、御指摘のとおりの状態になっております。

寺田(学)委員 在日米軍側は租税であるといって地位協定を持ち出して断っていらっしゃるんでしょうけれども、先ほどこの受信料の法的性格を御答弁いただいたときに、特殊な負担金ということで、これは決して租税ではないということは確認させていただくまでもないと思います。そういう意味で、やはりちゃんとした公平感を保つためにも、もっと積極的な取り組み方を望みたいと思います。

 そしてもう一つ、僕もちょっとこの受信料のことについて一生懸命調べてみると、明らかに時代錯誤のものがあるわけですよね。受信料の普通契約というのがあるんですが、この普通契約というのは白黒テレビ。別にカラー契約というものがある。データはいろいろとり方はあるんでしょうが、いまだ普通契約、白黒テレビを持っているんだということで、受信料を見てみると、カラーが千三百九十五円に対して、普通、白黒が九百五円と、割安感があるわけですよね。

 これはやはり、いや、白黒テレビを持っていますよという方はいらっしゃると思うんですが、白黒テレビの製造が終わってもう何十年たつと思いますか。いまだ白黒テレビを見続けているんだということは、もうこの時点においては理由にはならないと思います。もちろんお体に不都合のある方が、いや、白黒テレビの方がいいんだと言われる方はおると思うんですが、いろいろな統計を見ていると、何万、何十万という数字も出ているようなデータもあります。

 ですので、これを今のまま白黒とカラーに分けておく必要性というのはあるんですかね。私は、お体が不自由な方がいるのであれば、何かしら特別な措置を行うということで、もうテレビ受信は一本と。衛星とどうこうというのはいろいろあるでしょうけれども、カラーと白黒に分ける必要はないと思うんですが、NHK、いかがですか。

小林参考人 白黒テレビが現在国内で生産されていないということはそのとおりでございます。ただ、まだ依然として過去に生産されたものを御使用いただいている方、あるいは外国から輸入されたものを使用されたケースもある。この場合には、いわゆる普通契約、白黒契約をいただいておるところであります。

 NHKでは、白黒テレビ、いわゆる普通契約の方に対しましては、随時お宅へ御訪問しまして、カラーテレビをお持ちかどうかという確認をとらせていただいております。ただし、御承知のように、NHKは捜査権、立入調査権があるわけじゃございません。あくまでも白黒だという御申告をいただきますと、その際は、もしカラーにお変わりになったときは御連絡くださいという形で引き下がっている状況でございますけれども。

 年々、普通契約からカラー契約に切りかえは、毎年三万件程度ずつでございますけれども、白黒契約減少という形でさせていただいているということでございますけれども、なお依然としてかなりの数が契約としては存在している。全体の契約にしますと一%程度でございますけれども、依然としてあることは事実でございます。

 その後、カラー契約への一本化の御指摘の話でございますけれども、こうした現状を踏まえて、より公平で合理的な受信料体系を目指す観点からは、慎重に検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

寺田(学)委員 その慎重に考えられる姿勢は大事だと思うんですが、余り感情的なことを言いたくはないですけれども、本当に白黒テレビでいまだに二十何年前から見られている方がいたら御紹介してほしいですよ。ブラウン管の寿命だってそんなにもたないですよ。

 いろいろあると思いますよ。海外から輸入されている方、わざわざ白黒テレビを輸入される御奇特な方はいらっしゃると思うんですが、もう把握されているような件数はないと思うんですよね。原則をどっちかに、どっちかというか、カラーにまとめて、本当に特殊的な事情がある、お体の御都合でというぐらいでとどめるべきだと私は思います。こういうのがあるからこそ、これもテレビ放送されているわけですから、いや、僕のうちは白黒だ、海外から持ってきたんだと言われてしまえばそのままですよ。そこら辺もしっかりと公平感というものを出していただきたいと思うんですよね。

 もう時間がほとんどないのでかなり足早に行きますけれども、最後に、要は、私たちが納めた受信料が適正に使われているかということは問題だと思います。

 先ほど田嶋議員等々も言われていましたけれども、年間百五十人前後が役員として子会社に、三十四関係団体あられるんですが、毎年、私の言葉で言えば天下りをされている。天下りは何でするんですかときのうレクのときにお伺いしたんですが、適材適所で、しかも、今まで長らくNHKでお仕事をされた方がその技能を生かして子会社やら関係団体に行って仕事をするんだと言われていました。まあ、そのようなケースもあると思います。

 しかし、一つの例を挙げてみれば、NHKの交響楽団のデータを見たんですけれども、このデータによれば、交響楽団、目的は「交響管弦楽により、わが国音楽芸術の向上発展を図り、その社会文化使命を達成することをもって目的とする。」ここの理事長が、政治部出身のNHK元理事の田畑さんという方ですね。もう一人、一人しかいない副理事長が、いろいろお話になった野島直樹さん。この方も政治部出身の、ばりばりに政治にお強い方だと思います。そして、もう二人いる常任理事の方が、元NHK大分放送局長、元徳島放送局長の加納さん、山崎さんという方です。常任じゃない、要は非常任の理事の方に、東京音楽大学理事長とか、本来であれば理事長クラスになるべき方々が、日本演奏家連盟理事長とか、なぜか慶応義塾大学の病院の院長さんもいるんですが、さまざまそのような方が常任じゃない形で入られている。

 天下り、要は子会社に転籍するのは、NHKで培った技能、この人たち、野島さんやら田畑さんたちが趣味でオペラが好きだとかなんとかというのはそれはあるかもしれませんが、NHK時代に培った技能を生かして関連団体に移っていくんだということには、これはまさしく当たらないと思うんですよね。政治を勉強していれば音楽にたけるわけじゃないですよ。そこら辺はどうですか、整合性はありますか。NHKさん、どなたかお答えください。

橋本参考人 このような文化的な関連団体であろうとも、やはり経営ということが大変大事になってきていまして、必ずしもすぐれた音楽家の方がすぐれた経営者になるということではないと思っています。やはり我々NHKと密着した業務を的確に行ってもらう、経営という面では、過去の職の前歴がどうであろうと、その感覚というものを、センスというものを役立たせてもらいたいというふうに考えております。

寺田(学)委員 時間が終わったので手短にしますけれども、経営感覚というのは、ほかにはいっぱいいるわけですよ。常任の理事を四人ともNHKで占める必要はないわけですよね、経営のプロを一人入れておけばいい話ですよ。そのような御答弁をされればされるほど、NHKは信用できないとまたサウナでも言われることになりますので、もう少し襟を正して、お互いに信頼回復に努めたいと思いますので、何とか御尽力ください。よろしくお願いします。

 以上で終わります。

岡本(芳)委員長代理 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 前通常国会、NHKの予算審議に引き続いて、きょうは、決算と、そして先ほど御説明をいただきました新生プランについてお伺いをしたいと思っております。

 私は新潟県第一区選出でございまして、新潟県中越地震がいよいよ十月二十三日に一周年を迎えることになります。「にんげんドキュメント」を初めとして、二十三日当日の夜は「NHKスペシャル」で、今被災地の皆さんがどんなふうにお暮らしになっていらっしゃるのか、そして中山間地での被災というその特性から、今どんな課題があるのかということについて、災害を風化させないために、本当に公共放送の役割が大変大きいということをまたこの番組を通じて感じさせていただいたところでございますし、この間のお取り組みに心から敬意を表したいと思います。

 ところで、先ほど御説明いただいた新生プランでありますけれども、三本の柱がございましたが、果たしてこれで何をNHKがされようとしているのか、正直なところ、私にはよく見えてまいりません。

 この一番目、NHKだからできる放送を追求する、二番目、組織や業務の大幅な改革、三番目は受信料の公平負担に全力で取り組むということなんですけれども、やはり何か欠けているものがどうもあるような気がしてならないわけでございます。

 まず一点、橋本会長にお伺いをいたしたいのは、先ほど説明の文章の中に、読み上げていただいた「「NHK新生プラン」と財政の現状について」というものでございますが、二ページ目、後ろから二行でこういうふうに書かれております。「しかし、「新生プラン」を公表して以来、受信料の支払い拒否・保留の増加は、だいぶ少なくなっております。」こういうふうに書かれておりますが、橋本会長は、この新生プランのどこに視聴者の皆さんが関心を持って、理解を示して、そしてNHKが本当に生まれ変わったということを受けとめた上で、こういう効果が、つまり保留件数の増加が少なくなってきているという効果が生み出されているとお考えなのか。その点についてお伺いをしたいと思います。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

橋本参考人 日ごろ、NHKが視聴者・国民の方々の生活、安心、安全を守るという活動にまず御評価いただきまして、ありがとうございます。

 それから、この新生プランのところの内容でございます。新生プランを出したのが九月二十日という時点でございますけれども、その時点に至るまで、NHKは大変、回復に向けての、受信料収納にかかわる回復努力ということを積み重ねてまいりました。結果的に、この新生プランだけの効果でこういうものが回復したということではなく、やはり基本的には、受信料回復という、昨年夏から以降、特にことしの春以降、大変積極的にこの活動を続けてまいりましたけれども、そういう効果が徐々にですけれども上がってきたというふうに考えております。

西村(智)委員 でも、こちらには「「新生プラン」を公表して以来、」というふうに書かれておりますので、普通に読めば、新生プランの効果で支払い拒否と保留の増加が少なくなってきたというふうに読まなければいけないんだと思いますけれども。

 時間もございませんので、率直に申し上げさせていただければ、やはり簡易裁判所を通じての督促、これを行うということがこういったことにつながってきているのではないかというふうに見ざるを得ないのではないかと思います。しかし、本当にそういったことをこの時期にこの新生プランの中で打ち出すことが適当だったのかどうか、その辺の御認識をお伺いしたいんです。

 デジタル時代のNHK懇談会、これは四回既に開催されておるそうでございまして、議事録がすべて公開をされております。まず、そのことには心から敬意を表したい、評価をさせていただきたいと思います。

 この第三回の議事録の配付資料で、「受信料支払い拒否・保留の理由の変化」ということで、支払い拒否と保留の理由が変化してきているということについて述べておるんですけれども、この中で、「最近は「隣りが払っていない」などの「不公平感・制度批判」が増えている」ということがタイトルとして出ております。

 ところが、この数字が一体本当にどうなっているか。確かに、「不公平感・制度批判など」ということが理由であると答える方々は、ことしの二月から三月までよりも五月から七月までに一九%から三三%とふえております。ところが、これと並んで一番多い数字は「不祥事・経営陣への批判」、これが五月から七月の段階でも三四%、二月から三月の間では三五%ということで、むしろ私は、こちらの数字が余り変わっていないということの方に着目をすべきなのではないかというふうに考えます。

 そこで、この理由の変化についてどういうふうに分析をしておられるのか。この八月三日の資料で示したような御認識から変わっていないのか。それとも、そうではないんです、私たちの考え方も変わりましたということであれば、「不祥事・経営陣への批判」がこれほどまでに大きく変わっていないということについてどんなふうに受けとめていらっしゃるのか。短くお答えをお願いします。

小林参考人 今委員が御指摘されましたデジタル時代のNHK懇談会におきまして提出した資料に関しまして、基本的にその流れが変わっていることはございません。そういう認識でございます。

 ただ、不祥事への批判が相変わらず多いことも現実でございまして、そのことは当然ながら重く受けとめながら、改革をスピーディーに実行していくといった、自己でできる努力を徹底していくということによりまして、視聴者の皆様にやはりNHKは変わったというふうに実感していただけるよう信頼を回復していかなきゃならないというふうに考えております。

西村(智)委員 これはたびたびどの場面でも繰り返されていることでありますけれども、やはり公共放送の生命線は放送の自主自律であろうかと思います。ですので、編集権と経営権というのは明確に分離すべきである。これは私も三月のときの委員会からずっと申し上げてまいりましたけれども、改めて、お話を蒸し返すようで大変恐縮なんですけれども、確認を込めて、一点伺いたいことがございます。

 さきのETVの問題で、NHKが東京高裁に陳述書を提出されておりますけれども、その中でこういう記述があるそうでございます。つまり、例年、NHKは、予算が国会に提出される前後の一月から二月、与野党の衆参議員のうち四百五十人の議員に対して、衆参合わせて四百五十人の議員に対して、予算案と事業計画について説明をしているということでありますけれども、審議する委員会は総務委員会でございます。ここに今、委員が四十人、参議院の方は恐らく二十人程度かと思いますけれども、合わせても数十人くらいしかおりません。四百五十人の議員に説明をするというのは余りに多くないでしょうか。来年のこの予算審議に当たって、何人くらいの議員の方に説明をされるおつもりでしょうか。

中川参考人 お答えします。

 御承知のように、NHKは、放送法によりまして、予算は国会で承認を受けるということが一つのパブリックコントロールとして決まっておりまして、それに基づきまして、NHKは、その御理解を事前に賜るということで、できるだけ多くの国会議員の先生方に予算それから事業計画の内容を御理解賜るということをやってきております。

 四百五十人という数、今御指摘いただきましたけれども、これは毎年、その都度、若干の変動はございますが、大体四百人から四百五十人ということです。

 したがいまして、私どもは、このような活動を非常に重要なことだと思っておりますので、来年度の予算につきましても、またこのような活動をしたいというふうに考えております。

西村(智)委員 来年度も四百五十人程度の議員の方々に事業計画と予算案を御説明されるというふうな御答弁だったと理解をさせていただきます。

 では、放送直前の番組を事前に説明するということについてはいかがなんでしょうか。これはもうずっと確認をしてきたことですけれども、事前に番組の説明を政治家や議員に対してするのは通常業務の範囲であるというふうにはっきりおっしゃっておられました。これは三月、総務委員会で審議をしたときの旧役員の方の御認識でございましたけれども、新しい役員体制になられて、放送前の番組を事前に議員、あるいは政治家一般と呼んでもよろしいんですが、それらに対して説明することの必要性についてはいかがお考えですか。

橋本参考人 放送の前に番組の内容を政治家の方々に説明する必要があるということは、全く考えておりません。

西村(智)委員 ありがとうございます。必要性はないということでございますので、できればそれをきっちりと内外にわかる形でルールとしてつくっていただくことはできませんでしょうか。特に、このようにNHKに対する信頼が損なわれている時期でもございますし、つくった内容、つくられた番組の内容でもちろん私たちはNHKの姿勢について評価をさせていただきますけれども、このような不祥事が続いてきた、信頼が損なわれているというこの時期においては、もうワンステップ前に出て、番組制作の過程そのものもきちんと適切であったということを、内側にも外側にも、視聴者の皆さんにもきちんと見えるような形の方がよろしいのではないかと思うんです。

 そこで、事前説明などのとき、あるいは政治家の皆さんへの説明に行くとき、これはルール化をしていただけないか。私は、前回は、事前説明に行くときにはきちんとそれを報告する、それをまた、こういうふうに報告しますよということを説明に伺う政治家の方にも伝える、そのことを御提案させていただきましたけれども、何もこのことにこだわっているわけではございません。中の事情に適切な、合った形でルールができればよろしいかと思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。

中川参考人 お答えいたします。

 何らかのルールをということでございますけれども、まず、予算のあるいは事業計画の御説明に上がるとき、これは非常に多くの人間がやっているわけではございませんで、極めて限られた人間、ありていに言えば五つないし六つぐらいのグループに分けまして、大変先生方お忙しゅうございますから、アポイントを事前にとらせていただきますけれども、たびたびの変更がございましたり、あるいは延期になったりということがございます。そういう中で、できるだけ、先ほど申し上げましたように、限られた時間内で多くの方々に御説明する。またその際に、事業内容あるいは予算等につきましても、いろいろ資料請求とか個別の御要望がございます。そういったものに対しましても、私どもはできるだけその中身を正確に事前に御理解賜りたいということで、そういうことにもできるだけおこたえするということでやってまいっております。

 したがいまして、この活動は、何かルールをもって一律に決めていくというよりも、一番大きなルールは、先生、釈迦に説法でございますけれども、何人からも干渉されず、放送においては自主自律を守るんだ、これが最大限のルールだと思いますので、それを守ってやっていきたいというふうに考えております。

西村(智)委員 放送法第三条で、確かに、何人にも妨げられないと申しますか、規制されないということが書いてありますが、それは番組制作にかかわっている皆さんの内心の問題でありますよね。私たちがよりNHKの姿勢を信頼していくためには、そのプロセスをぜひ明確に見せていただきたい。皆さん方がやっておられるというのであれば、なおさらのこと、ルールをみんなで、こういうふうになっているんですよというふうに互いに見合って、適切にやっているんだったら邪魔にならないと思うんですけれども。

 そういうことについてはどうですか、もう一度伺います。

中川参考人 なかなか放送、例えば今度の「ETV2001」につきましては、通常、その編集過程というのはなかなか公表しない。これは編集の自由を守るためでございますけれども、あえて、いろいろな批判を受けております、あるいは誤解も受けておりますので、裁判所に提出する準備書面をそのままホームページに載せて御理解を図るということをやっております。

 また、そういう放送のこととは違いまして、こういった経営面でのいろいろ御理解を賜るという活動そのものは、ルールとおっしゃいますけれども、これはなかなか、さまざま、どういう方とおつき合いして、どういう話をしているかということを一々記録に残すとか全部ルール化するということは不可能なことだと思いますので、そこは御理解賜りたいと思います。

西村(智)委員 さまざまございますと御説明をいただきましたけれども、そのさまざまの中身がわからないので、お話は今聞きましたけれども、今の時点では私は理解できないということは申し上げておきます。

 今回の新生プランの中で私が評価をさせていただきたい一点は、ガイドラインのことでございます。新しいガイドラインを作成してこれを公表するということでありますけれども、これは今までになかったものをつくるということなのでしょうか。あるいは、どのようなガイドラインをつくろうとしておられるのか。前にあったものをバージョンアップするというのであれば、前のものと何が違って、そしてまた、それを公表するということでございますけれども、公表するということによってどんな効果が生まれると期待されておられるのか、それを伺いたいと思います。

原田参考人 今御質問にありましたように、NHKの場合、放送法であるとか、それから国内番組基準あるいは国際番組基準というものをつくりまして、自主的な判断で取材や番組制作に当たるということでございます。新しいガイドラインといいますものは、これらの基準に基づきまして、特に最近、個人情報保護など新しい動きもございますので、そうした新しい動きを取り込んで、NHKの放送に携わる者が取材や番組制作の上で判断の指針となる、そうしたものをつくろうということで今、作業を進めてございます。

 視聴者の皆さんにNHKの放送の基本的な考え方あるいは仕事の進め方について理解を深めていただくということも期待をいたしまして、公開をするということでございます。

西村(智)委員 私は、ガイドラインを公表する効果というのは、実は今期待していた御答弁は、それによっていわゆる内部の自主規律が高まるということであったんですけれども、その点についてはどうなんですか。視聴者の皆さんから御理解をいただくということだけがこの公表の理由であって、期待する効果であってよろしいんでしょうか。

原田参考人 今回、新生プランの中でも、私どもは、自主自律でやっていくということを視聴者の皆さんに表明しております。これは、公共放送の基本的な原点としてそういうことをこの際きっちり改めて表明するということとあわせて、内部におりますNHKの職員がそのことの自覚をより一層高めるということをねらいとしております。

 ガイドラインを公表するということも、もちろん今委員の御指摘のような、内部の人間がより公共放送にある者としての高い倫理観を持つ、そのことを期待しております。

西村(智)委員 繰り返しになりますけれども、そのガイドラインなどに政治と放送とのかかわりについて何らかの進展が見られるような記載をぜひともお願いしたい。これはまた、後ほど機会がありましたときに質問させていただきたいと思いますけれども、このガイドラインの作成は、放送現場の倫理に関する委員会というところにおいて作成される、発行されるそうでございますけれども、ぜひこのプロセスについても視聴者の皆さんにわかりやすく公表などしていただいて、みんなでNHKに対する信頼を取り戻せるようにやっていっていただきたいことを御要望申し上げ、時間になりましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

実川委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 横光克彦でございます。

 きょうは、会長、副会長初め理事の皆さん、御苦労さまでございます。

 ちょうど三月に行われましたNHKの予算案審議、この質疑では、橋本会長そして永井副会長、お二人以外は旧執行部の皆様方でございました。ちょうどあのときは不祥事等による受信料の不払いが圧倒的な勢いでふえ続けていた時期で、そのときの世論、いわゆる視聴者の声、そしてその後、本委員会の質疑の中心は、いわゆる経営陣の刷新、そういった声が非常に大きかったんですね。私もそういったことを強く求めたわけでございます。

 会長、副会長、そういった声をしっかりと受けとめて、経営陣の刷新を断行いたしました。十名の理事を八名にしたということもございますし、視聴者の方々も、こういったNHKの経営陣の刷新ということは改革の第一歩であったと評価していると私は思うんです。

 そういった中で、新体制がスタートして七カ月になろうとしているわけでございますが、刷新するにはその必要性そしてその目的があったわけでございます。その目的にどの程度進んだか否か、まだ短期間ではございますが、新体制の自己評価というものをまずお尋ねいたしたいと思います。

橋本参考人 おっしゃられるように、新しい体制をつくりました。新しい改革には清新な体制という気持ちでお話ししたつもりでございます。まだ改革そのものが進行中でありますから、この改革の成果やいかんというふうなことで、なかなか厳しいことであります。しかし私は、確実に成果は、地味ではありますけれども、着実にその方向性というものは芽出しはしているんじゃなかろうかと個人的には思っております。

 まず、やはりこの新しい体制で、一般企業でいえば商品であります番組放送、こういう新しい編成、番組の並べ方、ショーウインドーを変えるとか、そういうことも含めて一番力を込めたいのは、やはり番組放送面での一層の充実、改革、変えるということの内容を視聴者の方々に味わってもらいたいというふうに考えました。

 もう一つは、これはまた、なかなか改革ということが見えにくい内容でございますけれども、一番信頼を損ねた原因であります不祥事の撲滅。こういう中では、やはり視聴者の方々に奉仕する、視聴者第一の考え方、意識改革でございます。それから、受信料という公金を大事に、大切に使う節約の意識。こういう意識改革というものを役職員一人一人が心がけるような体制、そういうものを、これはなかなか外には見えにくい活動ですが、原点に戻って、大事なものということで考えました。

横光委員 今、番組づくりの充実に努力しているというお話でございました。

 私は、この間の一部分の番組づくりを見たときに、これまでのNHKの問題点であったいわゆるNHKの風通しの問題とか、あるいは新体制、改革に向けての取り組みとか意欲、こういったものが少しかいま見えたような気がしたところがございます。

 それは、毎年取り上げられております終戦記念番組ですね。ことしは特に戦後六十年という非常に節目の年であったとはいえ、かつてなく多くの歴史に関する特別番組をNHKスペシャルで取り上げたということ。この夏の終戦六十年、被爆六十年企画は十本を超えるということでございます。量的にも質的にも非常に意欲的に見えましたし、また、国民の意見が分かれる問題さらには政治的にも微妙な問題、こういった問題もあえて取り上げた作品が多かったと思うわけでございます、靖国の問題も含めて。

 こういった傾向は、恐らく視聴者にとりましては、ごらんになった方々はある程度満足感あるいは新鮮さを感じたのではなかろうか、これまでとちょっと違うな、あるいはやはりNHKだな、そういう印象を持った方も多いんじゃなかろうかと思うんですね。

 しかも、いいアーカイブスもつくったと思うんです、つながったと思うんです。私は沖縄の集団自決のスペシャルを見たんですが、戦後六十年たって、この六十年間口を閉ざしていた方がようやく重い口を開いて、新しい事実がどんどんどんどん証明されたというようなことを考えますと、これまたアーカイブスにもつながっている。こういった面ではプラスの評価をしておるんです。

 そして、今度の新生プランはいわゆる改革の第二弾だと私は思っているわけです。ここでも、やはり会長、副会長みずから特別番組の中でこの新生プランを説明されました。それはそれなりに理解された方もいらっしゃるかと思いますが、私は、せっかくこの新生プランを打ち出すというのであるのならば、いわゆる視聴者に対してNHKはこういうふうに変わるんですと改革の姿勢を鮮明に説明する場でもございますので、いわゆるチャンスであったわけでございますので、もう一歩も二歩も踏み込むべきではなかったかという気がしてならないわけです。

 人員削減という、みずから血を流すことも書かれております。あるいは、先ほどからの不払い解消のための民事手続という方策も書かれている。そういった特徴的な部分はありますが、しかし、その他はごく当たり前のことという印象しか受けません。放送法をなぞって羅列しただけじゃないかという印象さえするわけですね。

 その中で一つ、「NHKは今、「すべては視聴者のみなさんのために」という公共放送の原点に立ち返り、新たに出発をします。」この文言、非常に重いですよ、会長。これは非常に重い。と申しますのは、原点に立ち返るということは、いわば原点を忘れていたということをみずから証明したようなものでございます。物すごい反省の弁の文言だと私は思うんです。であるならば、もう一歩も踏み込めば、もっとNHKが変わろうとしている姿を視聴者に訴えることができたんじゃないか、そのことが新生プランの目的であります信頼の回復につながったんではないか、そういう気がしてならないわけでございます。

 つまり、問題は、なぜ新生プランを打ち出さなければならなかったのかということでございます。つまり、現在のこの危機的な状況、危機的と言っていい状況に陥っている、そもそもの発端はどこにあったのか。紅白歌合戦の不祥事からなんですね、考えてみれば。

 紅白という一つの番組を取り上げましたが、これは私は、個人的には、紅白はNHKの顔でありシンボル的な存在であると思っておるんです、いわゆるNHKのすべてが投影されている番組だと思っているんです。地域を超えて、世代を超えて、大みそかのあの日のあの時間に集まって見ようじゃないかという国民的な番組であると私自身は思っておるんです。

 そのシンボルとも言える番組から発生したことを考えれば、やはりこの紅白という番組のつくり方がこういうふうに変わるという例も含めて、そして、この不信の根っこであります、不信の根っこは金の使い方にあるわけですから、その不信解消のためにも、倫理規程の面でも、もっと具体的にわかりやすく視聴者にプランの中で説明をすべきであったと私は思うわけでございますが、いかがですか。

橋本参考人 御指摘のように、紅白の番組そのものについて、いろいろ、経費の使い方それから番組のつくり方、全体について、これまで点検は加えております。しかし、この中で盛り込みたかったのは、この紅白だけに限らず、やはり報道機関あるいは公共放送機関として倫理観を高めるというふうなところ、冒頭申し上げました意識改革というところに、より広く、すべての番組にわたって視聴者第一主義ということを守るということをうたいたかったということでございます。

横光委員 個別の番組のことだからというような発言もございましたが、やはり電波を使って、こういった放送の場で変わった姿を見せてほしいということが一つ。

 そして、この新生プランをもとに、来年一月にはこの三年間の経営ビジョンをおつくりになるわけでございますので、その中には、やはりもっともっと細かく倫理憲章、倫理規程の面は打ち出していただきたいということをお願い申し上げておきます。

 もう一つは、先ほどからお話がございます番組改編の問題でございます。これに疑惑の念を持たれたことも、現在のこの危機的な状況の原因の一つだと私は思っております。

 そうであるならば、この「何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、放送の自主自律を貫き、」とありますが、これはもうまさに放送法をなぞっているだけで、何の新鮮味もございません。こういった件こそが公共放送の使命であり、命綱なんでしょう。であるならば、やはり疑惑を教訓にして、もっとはっきりと具体的に政治的中立の姿勢をうたうべきではなかったのかと思うんですが、いかがですか。

橋本参考人 疑惑というお言葉を使われましたけれども、NHKとしては、これまで、このような介入によって番組が改編された、したということはございません。ありませんでしたし、これからもそういうことはないということで行っていきます。

 それで、この考え方、何人からも介入を受けない、左右されないということは、まさに報道機関としての生命線でございます。これは委員がおっしゃるとおりだと思っています。ここを十分、これにはもう本当に、日夜、日常的に心に刻み込んで活動しなければいけないということを肝に銘じております。これを新生プランの冒頭にも掲げたということでございます。

 今後とも、この点についてはNHKの基本線だということで心がけてまいります。

横光委員 今、番組が改編されたことはないということでございますが、そのことに関しまして疑惑を持たれたことは事実でございますので、そこのところはしっかりと受けとめていただきたい。

 そして、やはり公共放送の使命、政治に対する関与のあり方、あるいは権力に左右されない姿、こういったことを明確にするというのは公共放送の使命でございますので、どうか、視聴者の皆さん方もNHKに対しては何を求めているか、何よりも公平さを求めていると思うんです、そういった思いをしっかりと受けとめて、こういった政治との中立性というものをしっかりと経営ビジョンの中に盛り込んでいただきたい、私はこのように思っております。

 でなければ、結局、放送法をなぞっただけのプランでは、視聴者はなかなかいわゆる信頼回復につながらないというような気がしておるんです。NHKの政治的中立の姿勢に対する誠意とか意欲が欠けているんじゃないかとか思われてしまう。そのことは、不払いの人たちに対して、結局不払いの理由にされてしまうことだってあり得る。まだこの程度なのかという意識を持たれてしまうと不払い解消にもつながりませんし、そこのところは鮮明にしていただきたいということを申し上げているわけでございます。

 お伺いしたいことがいっぱいあったんですが、時間が余りありません。

 受信料という、ある意味では善意で成り立っている制度、これは世界でまれであると私は思うんですね。形式上、イギリスのBBCの受信許可料と似ております。

 今、イギリスの電波の権限は国王つまりエリザベス女王が持っているということで、受信を許可する、そういった歴史的経緯があるそうでございますが、国民のBBCに対する信頼性は非常に高いわけでございます。それはなぜかといえば、先ほどからお話がございますように、公共放送の役割をきちんと果たしている、そしてまた放送の独立性を貫いている、であるからだと私は思うわけでございます。

 一つの例でございますが、立教大学の門奈教授が十月七日に朝日新聞に投稿した記事にこういうことが書かれております。BBCがイラク問題をめぐってブレア政権批判を続けているが、BBCを忌み嫌ったブレア首相がそれでもBBCは必要だと語ったくだり。この例でおわかりのように、BBCは政治とは独立した存在として国民から高い信頼を得ているわけでございます。

 NHKも、こうしたBBCの公平性そして中立性、独立性、これを参考にしていくべきだと私は思いますし、そして、受信料という視聴者の善意で成り立っているこの制度に基づいて経営のかじ取りをすべきだと考えておりますが、会長、いかがですか。

橋本参考人 確かにBBC、大変高い評価を得ているということを聞いております。

 やはり政治に限らず、あらゆる圧力、介入、こういうところから独立した報道機関ということは大変大事だと思っております。今後、こういう面では、BBCだけでなく、いろいろほかの公共放送機関も含めて公共放送というものを考えてまいりたいというふうに思っております。しっかりと自主自律ということを守ってまいりたいと思っております。

横光委員 今回、不払いという形で、NHKに対する視聴者の信頼が失われつつあるという厳しい状況にあることは、本当に皆さん方、しっかりと認識されていると思います。

 しかし、私は、そういった厳しい中にあっても、それでもNHKは必要だ、このように個人的には思っております。実は、現在も続いております「中学生日記」という番組、三十年間ぐらい続いておるんですが、初代の先生は私がやったんです。NHKのほかの番組でも随分私はお世話になりました。感謝しておるんですが、そういったレベルとは別に、私は、NHKは必要だと思っておるんです。

 現在の民放との二元体制の状況、あるいは民放の放送内容の姿、さらにはNHKの国民・視聴者のニーズにこたえる番組の広さ、さらには、ちょっと無理をして言えば番組の格調の高さ、これはちょっと無理して言ったんですが、あるいは障害者対応、あるいは地震、台風等の災害対策、あるいは海外放送、さらには文化、あらゆる面、公共放送の役割というものを苦しい中すべて担っている。そういった意味での必要性というのを多くの国民・視聴者は持っていると思うんです。

 ですから、どうか、今BBCのことも参考にしてほしいということを言いましたが、近い制度の中でどこがどう違うのかということをしっかり検証した上で、私は、頑張っていただきたい。この新生プランのところに書かれておりますが、「NHKは今、「すべては視聴者のみなさんのために」という公共放送の原点に立ち返り、新たに出発をします。」この言葉がまさに言葉だけで終わることなく、頑張っていただくことを切望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

実川委員長 先ほどの西村委員の質疑の際の答弁について、日本放送協会中川理事より発言の訂正を求められておりますので、これを許します。中川理事。

中川参考人 先ほど西村先生の御質問に対する答弁の中で、裁判の準備書面をそのままホームページに載せているというふうに申し上げましたけれども、正しくは準備書面の一部でございますので、改めて訂正させていただきまして、おわびしたいと思います。

実川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 橋本会長にお伺いいたします。

 NHKの新生プランでは、「新生NHKの決意」として、何人からの圧力や働きかけにも左右されることなく、放送の自主自律を貫くと述べておられます。

 そこで、橋本会長に伺いますが、この意味するところはどういうところにあるのか、この点についてお聞かせください。

橋本参考人 報道機関として、やはり自主自律、何人の圧力からも左右されないという、このことは大変基本となる生命線だということがこの言葉に含められております。やはり公共放送としての、あるいは報道機関としての生命線はここにあるんだということを改めて、我々しっかりと視聴者の方々に信頼回復の原点としてアピールしたいという思いでございます。

塩川委員 ここは一般論ということではなくて、やはり放送の自主自律のあり方が具体的に問われていると思います。

 そこで、「ETV2001」「問われる戦時性暴力」番組改編問題に関して、このことを検証したいと思います。

 NHKは、誤解を払拭するためにということで、この番組をめぐる裁判の控訴審で関係者の意見陳述書を提出し、またホームページ上に「編集過程を含めた事実関係の詳細について」ということなどの内容を明らかにしておられます。

 そこで、伺います。

 三月のNHK予算案の審議の際に、私は、番組編集と関係のない国会担当の野島局長が、一月二十九日、安倍氏と面会した直後に編集の現場に同席していたことについて、この番組編集について意見を述べたのかと質問をいたしました。これに対し、理事として出席されていた野島氏は、感想のようなことは言ったかもしれないが、意見のようなものは言わなかったと、番組編集に意見は述べなかったと答えました。

 しかしながら、この野島氏が出されている意見陳述書を伺いますと、感想を述べたが積極的な意見は控えていた、削除、変更が決まった部分について日本語になるようワーディングを提案した、言い回しを提案したと述べています。

 このように意見陳述書にあるのは、そのとおりですね。

原田参考人 お答え申し上げます。

 まず、この番組につきましては、現在、今御質問にありましたように、裁判所で、番組が政治的圧力で改編されたのかどうかということを争点に裁判が始まっております。当時の関係者の詳細なヒアリングを私どもが進めまして、編集過程をまとめ、詳細な点にまでこれを明らかにする。これは、何よりも視聴者の皆様の誤解を払拭したいという私どもの思いでこの一部をホームページでも皆さんに公表したところでございます。

 今お尋ねの野島元担当局長でございますけれども、当時、野島元担当局長がこの試写に同席をしましたのは、陳述書などをお読みいただければおわかりになりますが、当時、素材になりました女性法廷、NHKが四夜連続でこの法廷そのものをドキュメントとして取り上げるというふうな誤ったうわさが国会の中で議員の皆さんの間で広まっていたということで、これを正したいということで同席をしております。

 それから、当時の野島担当局長の試写後のことでございますけれども、この書面によりますと、女性法廷をもっと客観的な取材対象として扱うべきではないかといった趣旨の感想を述べたということでございます。

塩川委員 具体的にそのように述べているわけですよ。野島担当局長から、番組の視点が女性法廷に近過ぎるのではないかという趣旨の発言があったと。これははっきり意見を述べているじゃないですか。感想は述べたが意見は述べなかった、そういう答弁をされているんですよ。こういう発言を感想という言葉ですりかえて意見を述べなかったというのは、これは通らない話じゃないですか。

原田参考人 野島元担当局長は感想というふうに述べております。当時、一緒にこの番組を見ましたのは、当時の総局長、それから番組制作局長、そして番組の直接の担当であります部長、その三人と一緒に見ております。

 いずれにせよ、編集判断ということを行いますのは、野島がその判断をする、元担当局長がその判断をする立場ではございませんでした。

塩川委員 放送現場と関係のない国会担当局長が述べたことが、たとえ感想と言いかえようとも、その方向で中身が変わっているんですよ。政治家と直接会っている、そういう国会担当局長が発言をすれば、それは感想という言い回しだろうと、政治家の意向を踏まえた口出しとして受け取られるのは当然じゃないでしょうか。

 そこで、裁判における意見陳述書で、編集現場の責任者である教養番組部長が野島氏からそのような注文がついていたことを認めている、それは今御紹介があったとおりであります。番組編集と関係のない国会担当の野島氏が政治家と面会直後に番組内容について意見していることは、政治家からの圧力を疑わせ、それに反応したNHK幹部の対応を示すものだと考えざるを得ません。

 結果として、以下のような内容での変更が行われました。日本国と天皇に責任があったとする女性法廷の判決内容の紹介を削除するとか、女性法廷を評価するコメントを削除するとか、判決内容や日本政府の責任について触れている海外メディアの反応を削除するなどであります。これらの変更内容は、日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会の主張と重なるものであります。

 そこで、重ねて伺いますが、この一月二十九日の試写を踏まえて、このような番組内容の重要な変更箇所を番組の編集に携わるチーフプロデューサーに伝えたのはだれでしたか。

原田参考人 このとき、試写後に松尾元総局長らが行った検討の結果を当時のチーフプロデューサーに伝えたのは野島元担当局長でございます。このときはチーフプロデューサーは外に待機をしておりました。中ではまだ恐らく検討が続いていたのかと思いますけれども、野島元担当局長は中で検討されたことをチーフプロデューサーに伝えたという役割でございます。

塩川委員 編集内容の箇所について伝えたのが野島国会担当局長だった、これはチーフプロデューサーの方の意見陳述書でもそのように書かれております。

 松尾総局長、伊東番組制作局長という番組内容に直接責任を負う幹部が一緒だったにもかかわらず、番組編集に関係のない国会担当局長が政治家の圧力が問題となっていた特定番組の修正を指示しているというのは、NHKにとっては当たり前のことなんですか。

原田参考人 修正の指示をしたことではなくて、番組の検討結果を伝えたということでございます。

塩川委員 ですから、この現場のチーフプロデューサーや部長などの上司というのは、番組制作局長であり、その先に行けば放送総局長に行くでしょう。国会担当局長というのは上司なんですか。直接の上司でもない人から番組内容の変更について伝えられるということが、これはNHKの常識なんですか。

原田参考人 野島担当局長が伝えた後、実際には、当時のチーフプロデューサー、中に入っておりました番組部長と二人で、その後、内容を実際には、そのとき伝えられた内容をもとに台本を詰めております。

塩川委員 その後は当然作業をするんですから、部長とチーフプロデューサーと一緒にやっているんですよ。しかし、番組内容の変更箇所について伝えたのが野島国会担当局長だったと。そういうのがNHKの常識かということについて、お答えにならない。それは、ある意味では否定をしなかったということですよ。常識だという話ですよ、それでは。

 総局長や番組編成局長という番組編集の責任者がいるのに、その人たちを差しおいて、番組内容の変更箇所について現場責任者に伝えたのが国会担当局長だったというのは、政治家の圧力を受けてという変更を十分に疑わせるものであります。

 その上で、もう一点伺います。

 この意見陳述書などもずっと拝見をしていまして、一月二十九日の話を今したわけですけれども、その前の一月二十六日にも試写が行われております。この一月二十六日の試写の場に野島局長も同席をしておりましたね。

原田参考人 まず最初の点でございますけれども、当時、編集判断をする職責にありましたのは松尾元総局長ら三人でございます。野島元担当局長はそれを伝えたということでございます。

 それから、二十六日の編集に野島元担当局長は同席いたしました。

塩川委員 一月二十六日の試写に同席をし、一月二十九日の試写の場にも同席をし、その場で番組内容の変更を、現場の上司を差しおいて担当者に伝えたのが野島局長だった。

 その上に、一月三十日、放送当日において、松尾総局長の部屋で、チーフプロデューサーに最終的な番組の変更の指示を出された現場、松尾総局長の部屋ですね、そのチーフプロデューサーに番組変更の指示がなされた現場に野島氏はおられましたか。

原田参考人 野島元担当局長はその指示した現場にはおりません。

塩川委員 それはおかしいですね。

 では、もう一回確認しますけれども、松尾氏が出されている意見陳述書でも、部長が部屋を出ていった後、野島担当局長が私の部屋にやってきました、野島局長が何のために私のところに来たのかについてははっきり覚えていません、野島担当局長が部屋に来ると、ほぼ時を同じくしてチーフプロデューサーがやってきたと。つまり、チーフプロデューサーがいるときには野島さんがそこにいるということでしょう。もう一回確認します。

原田参考人 この三十日に、松尾元総局長が当時の吉岡部長に指示した後、野島元担当局長が総局長室にあらわれたと言う人がいますけれども、本人を初め関係者の記憶は一致いたしません。

 いずれにしても、野島元担当局長がこのとき役割を果たしたということはございません。

塩川委員 私は松尾総局長の意見陳述書を紹介しているんですよ、松尾さんの部屋で会っているんですから。その松尾総局長の意見陳述書に、チーフプロデューサーが来た際に野島さんがいたと書いていることは事実ですねと聞いているんですが、そのとおりですね。

原田参考人 松尾総局長の陳述書にはそうありますけれども、関係者の証言がそこで一致しているものではございません。

塩川委員 チーフプロデューサーの意見陳述書にそういうふうにはっきり書いてあります。ですから、一月二十六日、一月二十九日、一月三十日と、放送の直前の三回にわたって、番組編集に関係のない国会担当局長が特定番組の番組内容改編の場に立ち会っているということになるわけです。

 こういうことはよくあることなのか、これが今問われているんじゃないでしょうか。こういうところに政治家の圧力というのを感じるということになってくるんじゃないでしょうか。そういうことはないんだということをおっしゃっておられますけれども、事実が物語っているということであります。

 事実関係を語る人の話では、一月二十六日には、野島局長の注文で、女性法廷にも批判的なインタビューを入れることが決定されたという話もございます。一月二十九日の試写の際には野島局長が全然だめだと述べたといい、番組放送五時間前の時点で編集改編の指示を出した現場にも立ち会っている。極めて異常であります。まさに与党政治家の代理人として番組内容に口出ししている姿が浮かび上がってまいります。放送の自主自律を貫く姿勢とはかけ離れているというのが実態ではないでしょうか。

 整理しますと、第一、国会担当局長が番組放送の直前に政府・与党の政治家と面会をし、番組内容について意見を聞いてきた。その直後、国会担当局長が試写の行われた場に同席をし、番組編集に関係ない立場なのに、番組内容について意見を述べていた。第二、総局長や番組編成局長という番組編集の責任者がいるのに、その人たちを差しおいて、番組内容の変更箇所について現場責任者に伝えたのが国会担当局長だった。その結果、番組内容が大幅に改編をされた。その内容は若手議員の会の主張と重なるものだった。第三、一月二十九日含め、前後する三回にわたって、国会担当局長が番組改編の場に立ち会っていた。この経過を見ても、政治的圧力はなかった、番組はあくまで自主編集だというNHKの主張には全く説得力がありません。

 そこで、最後に会長に伺います。

 ことし六月、NHKの有志が提言をしました。政治家と距離を置き放送の独立を確保する、個別番組の内容に関して政治家への説明を行わないとの趣旨をNHKの倫理・行動憲章に掲げる、こういう提言をされていますが、これをどのように受けてとめておられますか。

橋本参考人 この問題につきまして、いろいろ経緯、経過についての事実認識が大変異なる点があろうと思います。やはり職員に対しては、昨年九月にNHK自身がつくりました倫理綱領、コンプライアンスでございますが、こういうものに基づいて、一層コンプライアンス遵守に向けて取り組みたいと思っております。

塩川委員 受信料不払い督促という話の前に、放送の独立を明確にした具体的な取り組みこそ求められていることを述べて、質問を終わります。

実川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正であります。

 受信料拒否問題についての基本認識について、まずお伺いをいたします。

 会計検査院は、十五年度決算について、前代未聞ともいうべき、放送番組の制作におけるチーフプロデューサーの固有名詞と横領額を挙げて、不当事項と指摘をいたしました。会計検査院は、協会における再発防止策の実施状況等について注視していくんだ、このように述べております。

 この指摘にかかわる決議を議決するに当たって、経営委員会は理事会にいかなる意見を付したのか、経営委員長の説明を求めます。

 また、理事会はいかなる具体的再発防止策を講じているか、会長の説明を求めます。

石原参考人 ただいま御指摘の、決算に対する私ども経営委員会としての意見でございますが、昨年度につきましては、事業収支は収支均衡を確保できたものの、受信料収入は初めて前年度を下回る大幅な減収となったということがございます。

 したがいまして、受信料収入の確保に向けた取り組みを強化すること、これがまず第一でございます。さらに、先生御指摘の問題につきまして、コンプライアンスの取り組みにつきまして、早期発見の仕組みを確固たるものにすること、なおかつ、その後の対応につきましては、迅速、適切に行うこと、そしてそれを透明性を持って行うこと、これ等を執行部に要望した次第でございます。

橋本参考人 芸能番組制作費不正支出問題から端を発した一連の不祥事に対しては、大変私も厳しく、重く受けとめております。多くの視聴者の皆さんから大変厳しい御意見をいただいております。

 このような状況の中で、再発防止、不正撲滅のために、現在、業務の改善、仕事の進め方を、全力を挙げて取り組んでおります。これは既に昨年の夏、秋、継続して行ってきておりまして、いろいろ着々と不正防止のための考え得る適正化の施策を進めてまいりました。不正は起こさず、見逃さずということがまずあります。それから、起こった場合には厳しく処すということが大事だと思っております。

 具体的な不正防止策としましては、やはり各現場の監査体制というものをしっかりとつくるということで、それぞれの経理担当を配置する、あるいはその元締めとしての中央審査センターというものを設けて全部門、全体的に指導を強化する、あるいは外部の監査法人とも連携して内部監査を強化していくというふうなことがございます。それから、経理処理の手続、ルールにつきましても、専門用語ではCOSOフレームワークというふうな処理でございますが、こういうふうな処理も導入してやっていきたい。

 何よりもまず、公金意識、受信料を大事にする公金意識ということで、研修等、こういうこともやって強化しているところでございます。

重野委員 NHKは、ことし一月二十五日の「再生に向けた改革施策」、その中で、外部監査法人と連携した内部監査の強化、あるいは積極的な情報公開の推進の一つとして、番組予算の公表拡充を挙げております。

 そこで聞きますが、情報公開は視聴者の信頼回復の当然の条件として掲げたものと受けとめておりますが、そうした要件がいわゆる新生プランなるものの中ではなぜか全く触れられておりません。私は、これについては大いなる疑問を持つわけですね。前段は、やるぞ、プランでは触れない、これではおかしい、こういう思いを持つんですが、これに対する会長の見解を。

永井参考人 私の方からお答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、情報公開というのは信頼回復の柱だというふうに考えております。一月二十五日に、ジャンル別番組トータルコストの公表、それから役員報酬や職員給与に関する情報公開の拡充、懲戒処分の公表内容の充実、公開ホームページの全面刷新、この四点を打ち出しました。現在、それを充実させておりますので、改めまして、今回の新生プランでは「視聴者のみなさんに開かれたNHK」というものを掲げまして、この施策を推進していくという構えでございます。

重野委員 一つ事例を申し上げたいと思うのでありますが、認識の差があるのかなという感じを持つんです。

 受信料拒否あるいは保留問題の根源は、先ほどもお話がありましたように、与党政治家に対する番組内容の説明問題、そしてその後、職員の横領問題、こういうふうなものがふくそうして、国民の批判を受けることになったわけですね。となれば、横領問題でいいますと、処分やコンプライアンスは当たり前のことでありまして、会計検査院からの指摘にこたえる基本的かつ具体的な方策は、NHKみずからが言うように、情報公開、つまり問題となった番組の予算の公表であると思います。あるいは決算の公表ではないかと。

 NHKが今でも力を入れております、国民的行事と言ってもいいと思うんですが、年の夜は国民をテレビの前にくぎづけにするわけでありますが、国民的番組となっている昨年末の紅白歌合戦、これについて、なぜ決算内容を国民に明らかにしていないんでしょうか。私がもらった資料の中にはそのことが書かれておりませんものですから、その点をお伺いします。

原田参考人 執行部の方からお答えいたします。

 NHKは、個別の番組制作費については、原則として公表をしておりません。制作費を明らかにすることで、現場の自由な発想で演出を考えたり出演者を決めたりということを制約しかねないという側面もあるというふうに考えております。

 ただ、御指摘のように、紅白歌合戦、不祥事の舞台ともなったということで、透明性も問われております。紅白歌合戦の直接制作費、お答えいたします。およそ三億円でございます。

重野委員 私が前もって資料をいただいたんですが、「平成十七年度 ジャンル別 番組制作費」というのがありまして、私も見る番組がたくさんここに出ていますけれども、そういうふうな形で、大行事である紅白歌合戦がこの中に書かれていないということに私は違和感を感じたものですから、そういう質問をしたんです。

 今のように、基本的に公表しないことにしているという答弁はちょっと私は納得できないんですが、再答弁を求めます。

永井参考人 お答え申し上げます。

 NHKの情報公開というのは、いわゆる国や自治体の情報公開制度とはちょっと異なっております。

 と申しますのは、実際に放送番組をやりますときには、民間放送、民放と競争状態にあります。また、編集権の自律というような問題がございまして、個々の細かい番組の経費というのは、情報提供という形ではなるべく出すようにはしておりますが、いわゆる文書の開示というような形では出さないという意味でございます。

 しかし最近、積極的に、例えば今の紅白の費用ですが、本質的には出さないということなんですが、非常に御関心があれば、その都度、私どもの自主的な判断で出していくということでございます。

重野委員 だから、さっき指摘したんですが、この新生プランの中に、これが未来のNHKの進むべき方向を示しているわけでしょう、この新生プランというのは。その中に情報公開という文字がどんなに見ても全然出てこない。今、答弁が端的にそのことを象徴していますね。

 だから、情報公開するといいながら、その実、今言うように、これはするけれどもこれはしないとか、いろいろな条件をつけて、NHKが示す情報というものを非常に狭いものにしていく。そういうことをNHKの経営者が考えているんだ、こういうことになったら、これはやはり開かれたNHKになりませんよ。その点はどうですか。

石原参考人 私ども経営委員会といたしましては、先生がおっしゃいましたように、NHKとしては、情報公開を積極的に進めるべきである、そういったことが経営の透明性を高め、あるいは社会に対する説明責任を果たすことにつながるという観点で、視聴者に対する情報開示については積極的に行う方向でかねてより要望しておるところでございます。昨今の状況を見ておりますと、そういう中で、視聴者の皆様に対する情報開示も大分進んできたのではないかと思っている次第でございます。

 先ほど先生から新生プランのお話がございましたけれども、新生プランの中でも、取材や番組制作を行う上で判断の指針とするガイドラインを新たに作成し、公表することが明示されております。

 今後とも、積極的な情報開示を推進し、透明性の高い組織となるべく、我々経営委員会としても努めてまいる所存でございます。

重野委員 経営委員長が先に答弁したものですから言いようがなくなったんですが、そればかりしておったら全部言えませんので、その点については、今後とも私はずっと注目をして、注文をつけていきますので、よろしくお願いいたします。

 次に、前役員の退職慰労金問題。

 既に、会長、副会長、専務を除く理事については退職金が支払われて、NHK関連企業その他に、天下りという表現がいいのかどうかわかりませんが、新たに就職されておるというふうに聞いていますが、そういう退職金の支払いあるいは天下り、横滑りを認めたことは、この間の経営責任を不問にするものというふうに私は受けとめるんですね。このことをやったという点については、これはやはりちょっと責任感が欠如しているんではないか。

 経営委員長さんはなぜこういうふうなことを認めたのか。また、会長はいかなる判断をもってこのことを許可したのか。その点についてお聞きします。

橋本参考人 旧といいますか、元役員の経営責任というふうなことでございます。

 実際にどういうふうな流れだったかということを申し上げますと、海老沢前会長ら三名を除く元役員十一名は、役員体制の一新を図るためということで、三月から七月にかけて、任期満了を機に退任したものでございます。一月に任期途中で辞任した海老沢前会長など三名とは、おのずとその職務に伴う責任の重さというものは異なるというふうに考えました。

 この十一名につきましては、退職金を支払いました。NHKの厳しい状況を考えまして、十一名全員について、従来の退職金の給付水準に比較しますと、三五%減額して支給したという事実がございます。

 このような減額は初めてのことでございます。これは、議決をいただく経営委員会からも、従来の支給基準にとらわれない提案をしてほしいということで、このような厳しい減額処分をしたということでございます。

重野委員 NHKの職員に対しては、総額二十八億円の賃金カットをやったと聞いております。まず、その点を確認します。

 職員にはそうした賃金カットをしながら、経営責任が最も問われるべき前経営陣についてそういう退職金を支払う。私は、これではやはりNHKの職員の士気に極めて大きな影響を与えると思うんですが、その点についてはどうですか。

橋本参考人 この点につきましても、私、大変苦渋の選択をしたということを申し上げたいと思います。NHK全体が視聴者の方々の前で、再生に向けた改革、この決意をするということで、全職員含めた賃金カットということをNHK総意として示すということで、給与カットということも苦渋の選択として採用したということでございます。

重野委員 以上で終わります。

実川委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより各件を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党を代表して、二〇〇一年度、二〇〇二年度、二〇〇三年度の各NHK決算について反対の討論を行います。

 NHKの受信料は、国民・視聴者の信頼と理解のもとで支えられてきました。

 しかしながら、二〇〇一年度にNHK内部でいわゆる芸能プロデューサーによる不正経理が発覚しました。その額は一億九千万円に上っていますが、NHKは、不正経理に気づかなかったとして、二〇〇二年度、二〇〇三年度の決算においても不正経理の会計処理は行われませんでした。こうしたNHKの姿勢は不自然であり、隠ぺいの疑惑を払拭することはできず、この決算を承認することはできません。

 一連の不祥事に対するNHKの対応の誤りが視聴者の不信の出発点となり、その後発覚したETV番組改編問題、政治介入疑惑に対するNHKの対応とあわせ、受信料支払い拒否・保留の激増を招いたことは明らかです。視聴者の不信、疑念の解消に真正面から取り組まないまま、新生プランで受信料の強制的な徴収を打ち出すのでは、国民・視聴者の理解は得られないということを指摘し、NHK決算に対する討論とします。

実川委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、二〇〇一年度、二〇〇二年度、二〇〇三年度のNHK決算の承認に対し、反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、国民・視聴者の負担する受信料により維持運営される公共放送でありながら、芸能部門のプロデューサーの公金横領などの不正行為による損害が発生したことです。会計検査院の〇三年度決算検査報告によれば、一九九七年二月から二〇〇一年一月までの間、NHK本部も含め、職員の不正行為による損害約五千百九十七万円が発生したことが不当事項として指摘され、さらにその報告が著しく遅滞したという問題があります。

 反対の第二の理由は、いわゆるNHK不祥事に伴い引責辞任した役員のあり方です。ほとぼりが冷めるのを待ったかのように、引責辞任した役員十一人が任期二年で計九千万円に上る退職金を受け取り、NHKの関連企業や業界団体へ天下ったり横滑りしたりしています。この間の受信料不払いや契約解除の原因者とも言えるにもかかわらずです。一方で、職員に対しては、給与の削減に加え、三カ年で千二百人削減の要員削減が迫られるなど、上に優しく下に厳しい責任のとり方は納得のいくものではありません。

 反対の第三の理由は、NHK改革の方向性の問題です。受信料は国民の信頼のバロメーターであり、不払いをいかにとめるかが信頼回復につながるのではなく、不信の原因を取り除く改革を実行することが不払いをとめる力になると考えます。しかし、新生プランでは特集番組作成をめぐる政治介入の反省や公共放送の生命線である放送の自主自律という課題にほおかむりのままで、視聴者に対し法的手段ありきの姿勢をとることは本末転倒です。

 NHKの再生は、視聴者が理解し共感してくれるものでなければなりません。NHKが市民の負託にこたえる公共放送の担い手として真に再生するよう強く求め、討論を終わります。

実川委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

実川委員長 これより各件について順次採決に入ります。

 まず、日本放送協会平成十三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会平成十四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 次に、日本放送協会平成十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。

 本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立多数。よって、本件は異議がないものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

実川委員長 次に、情報通信及び電波に関する件について調査を進めます。

 この際、谷公一君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合及び国民新党・日本・無所属の会の五会派共同提案による日本放送協会の再生に向けた改革に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。

谷委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    日本放送協会の再生に向けた改革に関する件(案)

  一連の不祥事を契機とした日本放送協会に対する国民・視聴者の不信感はいまだ十分に解消されず、受信料の不払い・保留の増大は、公共放送の根幹をも揺るがしNHKの存立基盤にも影響を及ぼす危機的状況となっている。

  衆議院総務委員会は、協会に対する国民・視聴者の信頼を回復し、その使命を全うできるよう、協会及び政府に対して、左記の事項についてその実現を求めるものである。

 一 協会は、会長を先頭に組織をあげて、再生・改革に向けたあらゆる方策に全力で取り組むとともに、その状況を広く国民・視聴者に説明し、信頼の回復に最善を尽くすこと。また、協会の全役職員は、高い倫理観を確立すること。

 二 「NHK新生プラン」については、国民・視聴者の理解が十分でないため、より具体的な改革の姿を早急に明示するなど、信頼回復につながるものとなるよう取り組むこと。

 三 協会は、公共放送が国民・視聴者との信頼関係に基づき負担される受信料により維持運営されていることを深く認識し、その効率的な執行・経費の削減に努め、民事手続きの活用については、慎重な検討のうえで対応すること。

 四 デジタル放送への移行など放送を巡る環境が大きく変化する中において、新時代の公共放送の在り方について、広く国民の意見を聴取し、検討を進めること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

実川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

実川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり日本放送協会の再生に向けた改革に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。麻生総務大臣。

麻生国務大臣 今日のNHKを取り巻く環境は厳しいものがあり、一日も早く国民・視聴者の信頼を回復し、健全経営を確保できるよう、NHKとして最大限尽力されることを期待いたしております。

 政府として、ただいまの委員会決議につきまして、その趣旨を十分に尊重してまいりたく存じます。

実川委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

実川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

実川委員長 次に、内閣提出、参議院送付、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。麻生総務大臣。

    ―――――――――――――

 郵便法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 郵便法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、二〇〇四年十月五日にブカレストで署名された万国郵便条約の締結に伴い、郵便料金計器の印影の偽造等の処罰に関する規定の整備を行うものであります。

 次に、法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。

 この法律は、郵便法第八十四条の「切手類を偽造する等の罪」の処罰の対象に郵便料金計器の印影の偽造等を追加するほか、所要の規定を整備するものであります。

 なお、この法律は、二〇〇四年十月五日にブカレストで署名された万国郵便条約が日本国について効力を生ずる日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

実川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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