衆議院

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第12号 平成18年3月15日(水曜日)

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平成十八年三月十五日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      大塚 高司君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    上川 陽子君

      木挽  司君    桜井 郁三君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    谷本 龍哉君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      盛山 正仁君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    安住  淳君

      逢坂 誠二君    鈴木 克昌君

      田嶋  要君    寺田  学君

      西村智奈美君    横光 克彦君

      富田 茂之君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大藤 俊行君

   政府参考人

   (総務省大臣官房技術総括審議官)         松本 正夫君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  福井 良次君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            竹田 義行君

   政府参考人

   (消防庁長官)      板倉 敏和君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  田中 良生君     盛山 正仁君

  萩原 誠司君     大塚 高司君

  福田 昭夫君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     萩原 誠司君

  盛山 正仁君     田中 良生君

  鈴木 克昌君     福田 昭夫君

    ―――――――――――――

三月十四日

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

同月十三日

 シベリア抑留問題の早期解決に関する請願(寺田学君紹介)(第六八六号)

 同(土肥隆一君紹介)(第六八七号)

 同(松本龍君紹介)(第六八八号)

 同(北橋健治君紹介)(第七三七号)

 同(細川律夫君紹介)(第七三八号)

 同(中川正春君紹介)(第七七九号)

 同(泉健太君紹介)(第八一二号)

 シベリア抑留問題早期解決に関する請願(鉢呂吉雄君紹介)(第七九三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十三回国会閣法第九号)

 独立行政法人消防研究所の解散に関する法律案(内閣提出第二四号)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 第百六十三回国会、内閣提出、独立行政法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案及び内閣提出、独立行政法人消防研究所の解散に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大藤俊行君、総務省大臣官房技術総括審議官松本正夫君、行政管理局長藤井昭夫君、行政評価局長福井良次君、情報通信政策局長竹田義行君、消防庁長官板倉敏和君及び消防庁次長大石利雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。おはようございます。

 早速でございますが、本日のこの独立行政法人の二法につきまして、総務大臣並びに関係者に御質問を申し上げたいと存じます。

 私ども民主党でも、独立行政法人のあり方あるいは見直しにつきましては、党内でチームをつくりまして、百十三ですか、ありますすべての独立行政法人に非常に精力的なメンバーがヒアリングを連日行いまして、先日すべてのヒアリングを終わりました。その中で、独立行政法人がそもそも何のために独法化されたのか、そして、運営費交付金を初めとする各種の政府からの出資について、果たしてそれが適正なのか、またその業務内容が民間でできるものなのか、あるいはもうほかに類似する組織があって統廃合もしていいんじゃないか、いろいろな観点から今議論をしております。

 近く民主党としての見解をまとめまして、この後行政改革推進法案の中で議論される独法のあり方については、担当者がその点についてまた質疑をする、あるいは我々としての主張をさせていただくこととなろうかというふうに思います。

 そこで、そもそもなんですけれども、独法制度がつくられた経緯について、大臣はそのころはまだ大臣ではございませんでしたし、また政治家としてバッジをつけられていたわけではございませんけれども、独立行政法人という組織形態について大臣はどのような御認識を持っていらっしゃるかということについて、まず総論としてお尋ねをしたいと思います。

竹中国務大臣 独立行政法人とはそもそも何なのかというお尋ねでございます。

 言うまでもなく、中央省庁等改革においていろいろ議論される中で、政策の企画立案機能というのが一つ重要な問題としてある、そして実施機能というのがある、この二つを分離して、そして、実施部門のうち一定の事務事業について効率性そして質の向上、さらには透明性の確保を図る、そういう観点から、国とは別の法人格を有する法人として創立された。国が直接やるわけではない、しかしやはり民間ではできない、そのようなものを当然念頭に置いているわけでございます。

 この制度の特徴としましては、まず、中期的な目標を置いて、その中期的な目標管理、チェックを常に行うということ、そして第三者による事後評価を行うということ、そして、主務大臣の関与を極力排して自律的な業務運営を行って、これは財務諸表でありますとか給与支給基準の公表など、透明性をしっかりと確保していく。そうした一連の今申し上げたような特徴を通じて、業務の一層の効率化、質の向上を図っていくというものだと思っております。

 その意味ではやはり重要な制度であるというふうに思いますし、同時に、この成果を上げるには厳格な事後評価が重要であるというふうに思っております。そうしたことの担当も命ぜられておりますので、その辺はしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 まさに厳格な事後評価が必要である。独法というものが、その外局、エージェンシーが、政策立案とは別の部分の政策の実施機関として独立をしたということで我々理解しているんですが、この事後評価をするに当たって、これからいろいろ論点を詰めたいと思いますけれども、そもそも、独立行政法人の独立という言葉を、やはり国家からの、あるいは政府からの独立というふうに私自身は理解をするわけでありますけれども、そうしますと、国や政府から独立した行政というものが果たして存在し得るのだろうかというふうに考えるわけでございます。

 大臣は、これは質問通告にはございませんが、独立行政法人の独立というのはどういう概念を持っていらっしゃるのか、その点についてちょっと御見解を披瀝していただけますか。用語の定義は結構ですから、大臣としてのお考えを。

竹中国務大臣 独立というのはまさに、ちょっと先ほど申し上げましたけれども、目的は決まっているわけです。目標が決まっている、国の方針に沿ってそれを実施するという役割は与えられている、しかし、それを組織としての独立性を持って、組織としての独立性というのは、マネジメントにおいて非常に効率的に実施をしていただく、それをさらに透明性を持ってガバナンスをきかせていただく、そのガバナンスをしっかりときかせるという意味で独立した一つの責任を負っていただく、私はやはりそこに大きな意味があるんだと思っております。その意味では、そのガバナンスをしっかりとやっていただくという意味で独立した一つの組織体をつくるというところに意味があるというふうに私は思っております。

渡辺(周)委員 例えば通則法にもございます独立行政法人の定義については、全部は長いので申し上げませんけれども、「国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、」云々とありますけれども、国がみずから主体とならない、その必要がないという定義がある中で独立をするという中で、みずから主体とはならなくても、それは、この後出てきます例えばNICTであるとすれば、例えば委託費というものが総務省から随分出ている、それから運営費交付金も出ているということで、結果的には政府のかなりの意向が支配をしている、あるいは、所管省庁の意向がそこには当然大きな支配力を持って存在しているわけであります。

 そうしますと、将来的にはどういう形態を考えていくかといえば、これは、自主性、自律性と制度改正の中で何度も出てきます、自主性、自律性の高い業務、組織運営という言葉が何回か出てまいりますけれども、だとすれば、当然、この運営費交付金であるとかあるいは政府からの莫大な委託費というものは、将来的にはどんどん縮減していって、最後は限りなく自主性に任せるべきではないだろうかというふうに私なんかは思うわけですけれども、将来どうあるべきだと大臣はお考えか。これも大臣の政治家としてのお答えを期待したいと思います。

竹中国務大臣 現実には、今もいろいろな独立行政法人がございますし、これからもその進化の形態もいろいろであろうというふうに思います。

 ただ、政府がやらなければいけない仕事だけれども政府が直接やる必要がない仕事ということですから、そもそもやっている仕事に非常に公的な意味がある、しかし、それを私的なマーケットで行うことはできない。ちょっと抽象的な言い方をすると、多分、私的な意味でのレート・オブ・リターンは低い、ないしはゼロである、しかし、これをやることによって公的なレート・オブ・リターンが非常に高い、そういうものがあるからこそこういう組織でやっているんだと思います。

 しかし、今後いろいろな形で変わってきますから、今、私的なマーケット、公的なマーケットというのはどんどんグレーになっているというのも事実でございますから、その中では、いろいろなところでそれを私的なレート・オブ・リターンに結びつけるようなものは当然出てくると私は思います。

 ただ、そもそもその出発点が、今申し上げたような意味での、つまり、政府が何らかの形で関与しなければ、マーケットに任せておいてはできないというのが出発点でございますから、その意味では、財務的な意味での公的なセクターからの投入というのは、それをゼロにするのは大変難しいというのがそもそもの本来の性格ではないかと私は思います。

 しかし、その中でも、今申し上げましたようにマーケットの性格もどんどん変わっておりますし、いろいろな限界的な分野が出てきておりますから、その中で、市場からないしは民間からその資金を調達して財務基盤を強化できるものについては、これは大いにやっていただきたい。むしろ、そういう自由度を与えて、そしてしっかりガバナンスを発揮していただくというのがこの独立行政法人の本来の趣旨であろうというふうに思っております。

渡辺(周)委員 今、財政的な出資をゼロにするのは無理じゃないかというようなお話がありました。

 ただ、そうしますと、例えばきょうのこの審議の対象になっている法案の情報通信研究機構なんかは、非常に研究部門で、これは私たちも現場へ、きょういらっしゃる後藤理事とも一緒に先週の火曜日に見に行ってまいりました。正直言って、私なんかは文科系の人間なものですから、何の研究をしているかと説明されてもよくわからないですね。理学部とか工学部を出ていたらまた理解できたのかもしれません。

 ただ、一つ言えることは、研究部門というのは、非常に結論の出ない部分、言葉を悪く言うと、ずっと研究していて、長いこと研究をしていて結論が出てこなくても研究はずっと続ける。そうしますと、しかしそれは採算に合わないから、その話をすると、民間の研究所ではちょっとできないことであると。これはある程度は採算を度外視して、基礎研究なんかの、基盤研究なんかの部分はずっとやっていかないと、これは民間では無理ですという話も出てくるわけですね。そうしますと、今お話にあったように、やはり最低限の出資はしていくことによって、採算性を度外視した研究といった部分には当然特化をしていくという組織があってもしかるべきなのかなというふうにも現地へ行って思ったりもしたわけでございます。

 そうすると、やはり国から本当に独立した意味では研究機関というのは成り立たない。しかし、類似するような研究機関というのは幾つかございまして、ちょっとここで申し上げますと、例えばNICTが収入として得ている中で、文部科学省の科学技術振興機構ですか、五億九千万円、研究受託なんかがあるわけですね。それ以外に、例えばNEDOであるとか、経済産業省が所管をしている産業投資研究所でしたか、正式名称がはっきりしませんが、こういう類似の通信技術を研究しているところというのが幾つかあるわけでございます。

 私なんかはよくわからないんですが、こういう類似するところが各省庁の所管ごとにあって、例えばこういう科学技術振興機構であるとか、あるいはNEDOであるとか、独立行政法人産業技術総合研究所、これは経済産業省所管でしょうか、どこにもやはり情報通信というものは必ず研究対象として出てくるわけでございます。

 そうしますと、こういうところとどう違いがあるのだろうかということが読んでいてもわからないわけなんです。例えば産総研、ここではヒューマンインターフェース技術なんという、人間の意図を推測する技術開発を進めますというのは、実は情報通信研究機構でも類似のことをやっていらっしゃいますし、人間と安全に協調作業を行うヒューマノイドロボット、これを産総研が研究しているようですが、これについても、ここにございますNICTのパンフレットの中にも、ロボットの研究なんかをしていると。一体、どこが何の分野を受け持っていて、どう有意性の差異があるのかということについてちょっとわからないですね。

 要するに、例えばこれを一つにまとめる、それぞれの旧省庁の縦割りの中であるのではなくて、例えばこういう基盤技術の研究、基盤研究、基礎研究というならば、統合した方がよっぽど効率化につながるんじゃないかと私は思いますけれども、その辺について大臣はどういう御見解を持っていらっしゃるか、ぜひその辺を伺いたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のNICTでございますが、NICTは、情報通信研究機構法に基づきまして、情報の電磁的流通及び電波の利用に関する技術の研究開発ということで、いわゆる情報通信ネットワークや電波の利用技術の研究開発を中心に取り組んでおるところでございます。

 一方、今御指摘のございました経済産業省所管の産総研あるいはNEDOにおきましては、産業全体に係る技術の研究開発ということで、その一部といたしまして、コンピューターのハードウエアあるいはソフトウエア、あるいはデバイスの技術開発、研究開発を中心に取り組んでおられるということで、私どもといたしましては、NICTとこの経産省所管の法人との間に重複はないものという認識はしておるところでございます。

 NICTにつきましては、情報通信技術の基礎から応用まで、これの研究開発を一貫してやっているということで、このNICTの果たすべき役割は大変重要だ、大きいというふうに認識しておりまして、全体の業務の一部として情報通信関係の研究開発を実施しておられる他の法人との統合ということは、必ずしもなじまないのではないかというふうに考えているところでございます。

竹中国務大臣 今の個別の問題については今局長から御説明させていただいたとおりなんでございますけれども、委員言われる問題提起というのは、これはなかなか悩ましい、研究開発マネジメントの永遠の課題みたいなところがあるんだと私は思います。

 私も、分野は違いますけれども、政策研究で研究所の理事長を以前しておりまして、そのときから痛感していますけれども、本当に研究所のマネジメントというのは、多分マネジメントの中でも最も難しいものの一つなんだと思います。なかなかすぐ答えは出てこないし、やはり中身というか専門性をある程度理解していないとマネージできないし、要は、いわゆる専門性と総合性というのを、それぞれのメリットをどのように発揮していくかということなんだと思うんですね。

 このNICTは、情報通信に関して一種の総合性を持っている。ところが、情報通信とエネルギーとの組み合わせとか情報通信と環境問題との組み合わせとかというものも出てくるわけで、そうすると今度は、全部一緒になったら本当に効率的に経営できるかというと、多分やはりそういうことにはならないんだと思うんですね。今まさに新しい技術進歩というのはほとんどが何かと何かの組み合わせで進歩しているというふうに言われますけれども、その意味では、今起こっているいろいろな形での受託とか連携とかというのはそのことを示しているんだろうと私は思います。

 ただ、一点、やはり二重投資は排除してもらわないと困る、この点のチェックはやはりしっかりとしていかなければいけないんだと思います。中期のレビューなんかでもその点はしっかりやってもらいたいというふうに思っております。

 どういう専門性と総合性の発揮がいいかということに関しては、その時々の技術環境も含めて不断の見直しが必要だと私は思いますが、現状においては、NICTはNICTとしてやはり引き続きしっかりと活動をしていただきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 今、大臣、二重投資のチェックというようなお話がありました。

 例えば基盤研究とか基礎研究というのは、例えばNICTがこの部分をやっていて、こっちで産総研がこっちをやっていると、我々の目から見てもよくわからないんですよね。ましてや、基礎研究とか基盤研究というのは、それぞれの研究者がそれぞれの使命感を持って、やはり真理の追求といいましょうか、やはりきわめようということでずっと探求をしていくと、隣が何をしているかよくわからない。

 逆に言うと、私は、競い合うことによっていい成果が生まれることだって当然あるのかなとは思います。ただ、そこには当然のことながら公金が投じられて行われている中で、別々に競い合った方がいい場合もあるのかもしれませんけれども、一緒にやった方が、それはまさに効率だけではかれないかもしれませんけれども、もっと違う視野で結論が出せるかもしれない。

 そういう意味では、ぜひこの類似する研究をしている部分を、ただそれぞれをチェックするんじゃなくて、これは一回横並びにして、どこが何をやっているのか、どこが類似のことをやっているのか、一緒にやれることはないのかということをぜひ進めていただきたいと思うんですが、実際にやっているのならば、そういうことはやっているよと。いや、言われなくてももうやっているんだ、そういう意味での研究の統合なり集中をやっているということがありましたら、これはぜひ教えていただきたいと思いますし、実際、それをやっているんですか。

藤井政府参考人 仕組みの説明をさせていただきますけれども、研究業務の総合性を図るということはやはり非常に重要な課題だと思っております。

 実は、これは私どものセクションじゃないんですが、総合科学技術会議という政府レベルでの研究開発についての総合調整組織がございます。そこで、たしか最近の、仕組みはちょっと私も明確には覚えていませんけれども、科学技術の基本計画のようなものをつくる中で、全省庁レベルでの科学技術の開発の調整をやっている、それでもって予算なんかも重点的に配分する、そういうスキームになっているところでございます。

 それとは別途に、確かに、単に所管にとらわれることなく、今大臣から御答弁ありましたように、やはり総合化の視野というものも必要だと思っておりますので、それはまた適宜、必要に応じて検討していかなきゃいかぬ課題だというふうには認識しているところでございます。

渡辺(周)委員 正直言って、理科系の人間ではないものですから、何の研究をしているか情報公開をしていただいてもよくわからないところはありますけれども、ただ、見る人が見ればわかるわけでありまして、なぜ同じような投資を、なぜ同じような研究を幾つものところで分散してやっているのか、これは一つにまとめてしまえばいいじゃないか、当然そういうことが、今回のいろいろな、独法化してその後統廃合、民営化も含めて、当然、選択肢が幾つか出る中で、特に研究部門というのはそういう要素があるんではないかなというふうに思いますので、それを指摘させていただいて、ぜひ今後もこの問題を取り上げさせていただきたいというふうに思います。

 さて、業務の効率化ということについてちょっと質問をしますけれども、今回、特定独立行政法人から、いわゆるそれ以外、非公務員化するということで、今投入されている運営費交付金、平成十六年度で約三百八十三億円とありますけれども、非公務員化することによってどういうメリットがあるのか。当然、運営費交付金の削減ということは、どのようなことを考えているのか、その点についてお答えいただけますか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 NICTの運営費交付金は、今御指摘ございましたように、平成十六年度で三百八十三億円ということで、平成十七年度におきましては三百八十一億円、あるいは平成十八年度で、予算案でございますが、三百七十億円ということになっているわけでございます。

 今回、非公務員化いたしますにつきまして、この運営費交付金の削減が直接その非公務員化と関係するわけではございませんが、総務省といたしましては、来年度、十八年度から始まります次期中期目標の期間、五年間でございますけれども、この運営費交付金につきまして効率化を図ろうということで、一般管理費につきまして五年間で一五%、事業費につきましては五年間で五%の効率化を図るように、この中期目標で指示したところでございます。

 この取り組みを通じまして、五年後でございますが、約二十八億円の交付金が削減される見込みであります。

渡辺(周)委員 今御説明がありまして、この十六年度の運営費交付金ですけれども、十六年度の決算ベースでは十八億円ほどいわゆる使い残しがあるというふうに聞いております。

 この使い残された運営費交付金、これはどういう形で処理されるのか、国庫に返納されるのか、その点はどうなっていますか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の十六年度決算で計上されております運営費交付金の債務、いわゆる残ったお金でございますが、十八億三千四百四万円ということでございます。この十八億三千四百四万円につきましては、十六年度事業に係ります費用のうち一部支払いが十七年度に繰り延べされたというものでございまして、既に十七年度中に当該費用の支払いに充てられたものでございます。

 なお、独立行政法人は、中期目標期間が終了する時点におきましてこの運営費交付金の債務をすべて積立金に振りかえまして、その積立金のうち主務大臣が認可した額以外については国庫納付するということになっております。NICTにおきましても、現中期目標期間終了時、これは本年度でございますが、同様の手続をとることといたしております。

渡辺(周)委員 今の御説明では、十八億三千四百万円ほどが繰り延べされて積み立てられていく、将来的には、大臣の指定した額以外は国庫に返納するんだというようなお話がありました。

 さて、そこで、こちらでお願いして出していただいた資料を見ますと、このNICTの支出を上位十番目まで出していただきました。「支出に係る主要十位までの取引先の名称、取引内容の概要及び額」ということで、過去四年分、発足時から一年目、二年目、三年目ということで、過去四年間、四回にわたる上位十社、十位までを出していただきました。

 十六年度ですけれども、支出の第一位が日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社、取引内容の概要は債券の購入、金額として六十六億三千万円なんですね。

 それまでは、ちょっとちなみに申し上げますと、発足時の平成十三年の四月から十四年の三月、一位がKDDI、取引内容の概要は実験機器の製造等。翌年、十四年度が三菱電機株式会社、これも実験機器製造等でございます。ちなみに、KDDIに最初に取引された額というのが十三億二千万円ほど、三菱電機が四十六億四千万円ほどでございます。十五年度の一位がエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、実験システム開発等という取引内容の概要で、これが大体四十四億八千万円であります。

 大体、過去の上位をずっと見ていますと、三菱電機であるとかあるいはエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズだとかNEC東芝スペースシステムといったような企業のシステム開発や実験機器製造というものがずっと上位を占めるんですが、十六年度に限って突然、債券の購入。つまり、このNICTの支出の最大の支出先が債券購入なんですね。

 そうすると、NICTというところは、これまではまだ実験機器の製造の発注やらシステム開発を委託してきたことが出資を占めていたんですけれども、十六年度からは債券購入に転じているわけです。ということは、今お話のあったような、例えば運営費交付金の積立金、こういうものがどんどんあふれ返っていって、失礼な言い方をすると、使い道が債券購入になったのかな。そうしますと、果たしてこのNICTのやっていることの意味とは一体何ぞやと思ったりするわけでありますけれども、債券購入が第一位である、これについてはどういうことなのか、ちょっと説明していただけますか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 情報通信研究機構につきましては、平成十六年四月に通信総合研究所と通信・放送機構、旧TAOでございますが、TAOが統合して発足いたしました。

 この統合の際に、通信・放送機構、TAOが有しておりました基金その他の資産をNICTが承継をいたしております。これらの資産を運用する際に、実際に債券を購入した各証券会社からいわゆる代理人として見る会社がJTSBであるため、このまとまった金額ということになったということでございます。

渡辺(周)委員 今、そのTAO、通信・放送機構からその有している基金をそのまま引き継いだからというふうにありますけれども、私もちょっとこのTAOという機関を調べました。

 このTAOという機関の業務内容を見ても、資産の運用なんということはどこにも書いていないわけでございます。当然そんなことは書いていないとは思いますけれども、実際、この通信・放送機構からこれまでもNICTは何らかの形で収入を得ているんですが、これが実は、研究受託費として十四年度が一千四百万円、十五年度は六百八十九万円、約七百万円、大した額じゃないですね。実は、通信・放送機構というのは、研究受託費をNICTに対してはこの程度しか出していないんだけれども、合併をしたら、これだけ莫大な資産があって、この資産を債券購入に充てている。

 つまり、これも統合したからとおっしゃるかもしれませんけれども、では、実際このTAOという機関は一体何をしていたのか。莫大な金があり余っていて、要は債券購入にこれだけ使えるほど資産があったのかとなれば、一体これは本来何をしていた組織なんだろうかというふうに思うわけでございます。

 では、これからも、来年度以降、十七年度以降のことを話をしますけれども、実際は支出でこういう債券購入にも当然充てられているんですか。そうすると、研究開発だとかなんとかじゃなくて、実際はこの資産をふやすためにやっていることが業務の最大の支出になっているということについてはどのような御見解を持っていらっしゃいますか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 もともと、通信総合研究所、CRLと申しましたが、これは国研として研究開発を主として実施してきた機関でございます。それと、通信・放送機構につきましては、民間の産業の新しいベンチャーの育成でございますとか、あるいはネットワークの基盤の整備とか、そういった民間に対する支援事業をこういった基金をもとに実施してきたということを主たる事業といたしてきておりました。

 そういう意味で、TAOとCRLが統合いたしまして情報通信研究機構が発足いたしましたときに、そういった事業を、TAOの事業を継承しているということで、いわゆる基金としてございましたお金がそういう形で存続しているということでございます。

渡辺(周)委員 では、それについて今後見直す、あるいは、これだけの運用できるだけの資産があるのであれば、当然、運営費交付金であるとかいうものに関しては、それだけの内部留保があるのであれば、ある程度減額されてもやむを得ないと思うんですけれども、その辺はどうなっていますか。

 あるいは、大臣、この議論を聞いていて、一生懸命資料を読んでいらっしゃいますけれども、私が申し上げたいのは、もう時間もありませんから言いますけれども、このNICT自体が、非常に情報通信研究に関しては必要な組織なんだということが繰り返しうたわれていますけれども、実際は、十六年度の支出というのは六十六億円も債券を購入するだけの、要はそれだけの資産があるんですね。

 こういうのを見まして、実際やっていることとうたっていることが違うんじゃないのかなと、だれもがそういう素朴な意見を持つわけでございますし、そこまであるのであれば、何も債券を購入して基金を、果実をふやすことを取り組まなくたって、今あるだけでも十分やっていけるんじゃないだろうか。また、そこへ莫大な運営費交付金を投入することというのは、ある程度減額がされてしかるべきじゃないかと思いますけれども、その点について、大臣、この議論を聞いてどんな御感想をお持ちですか。

竹中国務大臣 言うまでもなく、独立行政法人である研究所というのは、お金をため込んで資産運用するために存在しているわけではないはずでございます。一方で、健全なバランスシートを当然持っていなければいけない。そのために、資産、負債、資本、それぞれのバランスをとって運用している。そのことに対してしっかりとした中間レビュー等々でもチェックが行われているというふうに聞いております。

 当然のことながら、今、委員が御指摘のような問題意識を持って、レビューは常にしていかなければいけませんし、さらに、交付金を支出するその査定に当たっても、おっしゃったような財務状況というのは当然しっかりと検証されなければいけないものだと思っております。

 そのような検証のもとで運営されているというふうに承知をしておりますけれども、引き続き問題意識はしっかりと持って見ていきたいと思います。

渡辺(周)委員 いただいた資料には十七年度というのはないんですけれども、十七年度の支出で、こういう例えば債券購入なんかはあるんですか、ないんですか。それだけ教えていただけますか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 現在手持ちの資料がございませんで、わからないというのが答えでございます。

渡辺(周)委員 それでは、改めてその資料を出していただきたいと思いますので、委員長、取り計らいをよろしくお願いします。

中谷委員長 後ほど理事会で協議します。

渡辺(周)委員 それでは、ちょっと時間もありませんので、あと二点ほど、幾つか疑問に思うことについて質問をしたいと思います。

 この取引支出先のかかる十社、一番目が、今申し上げたような債券購入でございました。二番目に、株式会社国際電気通信基礎技術研究所という、舌をかみそうな大変長い会社、これは大阪にございまして、ここの会社に対して、取引内容は研究委託費ということで、およそ六十四億六千五百万円が支出をされております。

 この国際電気通信基礎技術研究所、通称が何といいましたか、アルファベット三文字でございまして、ここの会社に実は研究委託費が出されているんです。実は、同じ会社に、これは発足時、建物の賃貸借ということで約五億円、四億九千九百万円出されておりまして、十四年度にも約五億四千万円、これも建物の借り上げということで支出をしているんですが、十六年度になって六十四億円という莫大な額が、今度は研究委託ということで出されております。この国際電気通信基礎技術研究所というところは一体何をしているところなのか、ぜひお答えいただきたいと思います。

 ちなみに、ここの社長さん、この国際電気通信基礎技術研究所の社長というのはNICTの前身である通信総合研究所の元所長ということになっておりまして、いわばこれはファミリー企業じゃないかというふうに思わざるを得ないわけなんですけれども、畚野さんという社長さんでございまして、昭和三十六年四月に電波研究所に入省、平成元年六月に郵政省通信総合研究所の所長ということで、この方が社長を務めていらっしゃいます。この会社に対して研究委託費が六十四億六千五百万円出していますけれども、一体これは何を研究委託しているのかということを考えますと、非常に莫大なお金が出されているわけですけれども、どういうことに使われているのか、その点について今お答えいただけますでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 今お話しございました国際電気通信基礎技術研究所といいますのは、ATRという会社でございまして、けいはんなに研究拠点を設けているところでございます。

 平成十三年から十五年におきましては、いわゆる基盤センターという組織がございまして、そこからの出資をもとにさまざまな研究開発を進めてきておりましたが、平成十六年度からいわゆるTAOの民間基盤の資金を使って委託をした研究を進めているところでございます。

 研究の内容につきましては、自律分散型の無線のネットワーク技術でありますとか自動翻訳の技術の研究等々の幾つかの研究を実施しているところでございます。

渡辺(周)委員 ここについても今後ちょっと調べていきたいなと思いますけれども、NICTの前身の研究所の所長が社長をやっていて、そこにNICTがこれだけのお金を出している。一体これはどういうことなのかなというふうに思いますが、今回ちょっと時間がなくて全部調べ切れませんでしたけれども、この点についてもうちょっと調べながらまた改めて質問をしたいと思いますが、非常にこういうお金の流れというのはわかりにくくなっているんです。

 このわかりにくいお金の流れというのがまだほかにもございますけれども、ちょっと申し上げると、富士通さんとか三菱電機とか日本電気とか、研究委託という形で出されているんですね。もし民間との連携、あるいは民間との、さっきの例えば支援ということを考えるんであれば、直接研究委託をして業務提携を結んだ方がいいんじゃないのかと思ったりもするんですね。何も一々NICTを通してそこに研究委託をしなくても、直接に、何らかの守秘義務を協約上結んで、民間にそのまま何か補助金や助成金を出した方がよっぽどすっきりするんじゃないかと思うんですけれども、その点については後ほど大臣に見解を伺いたいと思います。

 それから、海外にある、タイ、シンガポール、これは総務省の方でもかなりはっきりと、廃止も含めてあり方については検討していくべきだというようなことが、十二月九日総務省から見直し案が出されております。この点について、タイ自然言語ラボラトリー及びシンガポール無線通信ラボラトリーは「現地で人員と設備が必要か、定常的な業務を有しているかなどの観点から、それぞれ見直し、廃止・集約化を検討するものとする。」と、かなりはっきりと書いてあります。こうした例えば海外拠点のあり方、それから地方にある二十四拠点、そして、今は小金井それから芝と二つに分かれているこの二本部制、これを早く統合して一本部制にせよと、さまざまな総務省としての見直し案が出ているわけであります。

 最後に、もう時間もありませんので、大臣にぜひお答えいただきたいのは、今申し上げましたような研究委託は果たしてNICTというフィルターを通して出す必要があるのか。ちなみに、総務省から受託費として受け入れている額が六百二十一億円であります。文部科学省から五億九千万円、内閣府から二億八千万円、NICTはそれぞれ受けております。先ほど申し上げました国際電気通信基礎技術研究所に六十四億円ですとか、あるいは富士通、日本電気、日立、こういうところに大体二十億円から三十億円台の研究委託費が出されているわけでありますけれども、果たしてこのNICTを通してやる必要があるのかどうなのか、その辺についてどういうお考えを持っているかということと、あわせて、先ほど申し上げました昨年十二月九日に総務省が見直し案として発表しました二本部制の廃止、地方拠点の見直し、海外拠点の見直し、この役割は終わったというふうに読めるわけでありますけれども、いつまでにこれを整理統合していくのかということにつきましての御見解をあわせて伺いたいと思います。

松本政府参考人 最初の御質問の、なぜ直接国から民間に委託しないのかということについてお答えをさせていただければというふうに思います。

 NICTが委託しております委託研究につきましては、総務大臣が定めた中期目標を達成するために必要な研究課題、NICTが実施する研究課題でございますが、それを達成するために必要な研究開発の一環といたしまして、このNICTが外部の研究機関の研究資源を活用する方が適切であるというふうに判断した場合に、この研究委託を行っているというものでございます。

 この中期目標の達成のためにどのような研究計画を立案するかにつきましては、ここの分野の研究活動に大変詳しい情報が必要でございますし、また、研究計画の実施主体として最も効率的な主体を選定するためには、このNICT自身の研究資源、あるいは大学や民間研究機関の研究資源等の状況を専門的な立場から把握する必要がございます。こういった観点から、このNICTがみずから判断をして研究を委託するということについては、今後こういう研究を有効に進めていくためには必要なことではないかというふうに考えておるところでございます。

 それからもう一点、先ほど、拠点の見直し等をいつまでにやるのかということでございますが、例えば二本部制の廃止につきましては、十八年度中にこれは実施したいと思っております。それから海外拠点の見直しにつきましては、今後、その必要性、あるいは実効性、あるいは今後の動向等も踏まえて、この中期目標期間中に検討を進めるということにいたしたところでございます。その他の国内の拠点の整理統合につきましては、この十七年度中にも実施するものがございますし、できるだけ必要に応じて統合を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。

 以上でございます。

竹中国務大臣 最初の御質問は、本当に研究マネジメントの難しいところだと思います。もしも仮にNICTからスルーで本当に研究がおろされているということであれば、それはもう委員のおっしゃるとおり、そんなことはやる必要はないということに尽きると思います。ただ、報告を受けているところでは、ここはやはり研究のマネジメントとして、しっかりNICTが全体の研究をマネジメントして、その部分としてここの知見を活用しようというものに関して発注していると。それはまさにマネジメントだと思いますので、そのようにしっかりとやっていただいているというふうに承知をしております。

 それと、拠点の見直し等々については、これは中期目標期間においてしっかりと検討するということを我々としてもしてもらいたいというふうに思っておりますので、そこはきちっと目標のとおりにやってもらおうと思っております。

渡辺(周)委員 時間が来たので終わりますけれども、腑に落ちない、調べれば調べるほどいろいろ、お金の流れとかわからないところがありますので、ぜひこの点につきましては改めて委員会で質問させていただくこととしまして、本日はこれで終わります。

中谷委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 独法の質疑に入る前に、大臣、何点か、この一週間また、大臣のいろいろ所管をする中、動きがありまして、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 まず、住民投票のあり方についてであります。

 御案内のとおり、三月の十二日、日曜日に岩国市で住民投票がございました。結果はあえて触れませんが、その以降、政府の中また与党の中から、いろいろな中で、住民投票は単なるアンケートだという御発言もございます。大臣は一方で、今、懇談会も含めて、いろいろこれから分権を進める中で、破産法の話であるとか、いろいろな視点で議論を懇談会の中でされてもおります。

 やはり私は、確かに今、間接民主主義というのが前提となって、いわゆる住民投票的なものは地方自治法の中にも明定をされておりませんし、過去でも何度か国会で議論がありましたが、なかなかきちっとはまるような議論がされていないのも事実であります。

 まず大臣、これからの地方分権を推進するという視点の中で、住民投票という制度はどのように位置づけることが正しいのかというか、あるべきなのかというのを、大臣の御見解をまずお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘の、先般の岩国の件、私も個人としては大変関心を持って見てまいりました。岩国の基地の問題について、もちろん私、御答弁をする立場にはございませんけれども、住民投票制度の位置づけという御質問でございます。

 これは委員も御承知だと思いますが、平成十年十月から十二年十月までの例の第二十六次地方制度調査会におきまして、住民投票を代表民主制の補完的な制度として構築できないかどうかということについて大変熱心な討議が行われたと承知をしております。しかし、その制度化に当たりましては、例えば住民投票の対象とすべき事項をどうするのか、選挙で選ばれた首長さんや議会の権限との関係をどうするのか、投票結果の拘束力のあり方をどのように位置づけるのか等々、種々の検討すべき論点があって、一般的な住民投票の制度化についてはその成案を得るには至らなかったというふうに承知をしています。これらの論点については今後とも引き続き検討することが必要であるという内容の答申が出された、平成十二年の十月でございます。

 住民投票制度については、現行、委員も御指摘されたように、我々、間接民主主義というか代表民主制を基本としたもとに置かれておりますが、その首長さん、議会、その責任をどうするかといった点について、やはりこれは正面から議論しなきゃいけない重要問題であると思っております。制度化については引き続き、その意味では慎重に検討を進めていくということなんであろうと思っております。幅広い議論は私も期待をしたいと思います。

後藤(斎)委員 あえて賛否の御評価はというお話がございました。それは御答弁はもちろん難しい立場だとは思いますのであえて求めませんが、大臣、やはり条例の中では、基本的には住民投票はできるという条例をかなりの自治体でやっています。その思いは、ある意味で、単なるアンケートではなくて、自治体の首長さんや議員さんたちも含めて自分たちで条例をつくるわけですよね。という思いは、住民投票は何らかの制度的な位置づけがない。少なくとも、条例の中ではある、法律の中ではない。このギャップを、国の事業なのか地方自治体の事業なのかというこの仕分けを、もう一度見直しを、今、国として、地方自治体も含めて対応しているという中で、やはりその大臣の懇談会であるとか、ある意味では地方制度調査会にもう一度おゆだねをして、やはり成案は確かに難しいと思うんです。ただ、いろいろなガイドライン、そしてその見方というものをきちっと理論構築しておかないと、では、なぜあれだけの住民のエネルギーが結果として、それがどうかというのはあえて言いませんが、どうそれをまた踏まえて評価する、では首長、議会の責任であるというふうにほうり投げていいのかという、いろいろなことがあると思うんです。

 ですから、私は、どこまでのガイドラインないし論点整理ができるかどうかわかりませんが、もうそういうものをやっていく時期だと思いますし、地方分権ということは、釈迦に説法というか、大臣に対して大変失礼ですが、もう住民の、要するに地方の意思がより今まで以上に働くということで、大臣も懇談会をつくられてやっているというふうに承知をしておりますので、もう一度その点について、大臣、お答えを願いたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、条例で現実に少なからず自治体がそういうことを定めているわけでありますので、そのことをやはり無視してはいけないというふうに私も思います。住民投票の問題というのは、その意味では、決してやはり将来的に避けて通れない課題であるというふうに私も思っております。

 今、ビジョンは、国と地方のそもそものあり方、その中で地方の自由度の問題として、例えば法律で決めたことの一部を条例でゆだねることができないだろうかというようなことも議論をいただいておりますので、広い意味で条例の役割というようなものは私はビジョン懇でも議論をしていただきたいと思います。

 ただ、住民投票制度そのものについて、ちょっとそこで議論できるかというと、なかなかこれはすぐには難しいのだと思います。ただ、ビジョンの後、ビジョンはビジョンとして議論していただいて、その後の検討すべき課題として、これはやはりしっかりと議論はしていかなければいけない問題であるというふうに私も認識をしております。

後藤(斎)委員 ぜひ、その中で議論は十二分に尽くして、何らかの論点ができるだけまとまるように要望をまずしておきたいと思います。

 次に、先週、第五回の経済財政諮問会議が開催されて、大臣も歳入歳出の一体改革の中でいろいろな御発言をなさったというふうに承知をしています。

 その中で、報道では、大臣が今までこの委員会でも、懇談会の意見も踏まえながらいわゆる地方交付税の問題についてもしっかり対応していくというお話をされています。その中で、本来行司役である経済財政担当大臣の与謝野大臣が、仕送り先でうな重を食うのはけしからぬというふうな比喩を用いながら御発言をなさったというお話もされております。

 大臣、ある意味では、大臣が、懇談会で議論を尽くして、また委員会での意見も踏まえながら六月の骨太方針をまとめていくというお話をこの委員会でも何度かされました。行司役の与謝野大臣がこういう御発言をするというのは若干不可解な部分もあるんですが、ある意味では、竹中大臣がお一人で孤軍奮闘されているというようなお話も漏れ聞いております。

 ぜひ大臣、やはり地方自治のこれからのあり方を、もちろん、より努力をしていただくことは大前提だというのは承知をしておりますが、骨太方針に向けてさらに御努力をいただきたいと思うんですが、簡潔で結構です、先般の経済財政諮問会議の議論を踏まえてのこれからの地方交付税のあり方の議論について、現在の大臣の御意見を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 まず、今委員がおっしゃった、仕送り先でうな重という発言は、これは諮問会議での発言ではございません、諮問会議ではそういう発言はしておられません。記者会見でそういうふうにおっしゃったというふうに聞いておりますが、私もちょっと前後のあれは承知をしておりませんので、与謝野大臣の真意というのはちょっと私もよくわからないところでございます。

 ただ、いずれにしても、仕送りでないことは明らかで、仕送りという、ちょっと脈略はわかりませんのでこれ以上は申し上げませんが、そういう考え方をしていただいては困るということは諮問会議で私はもうほとんど毎回申し上げておりまして、最終支出を国も地方も頑張って減らせるところは減らさなきゃいけない、そのことについてみんな合意があるんだ、しかし、交付税というのは財源としては地方固有の財源であり、そして国の歳出として見る場合はあくまで中間支出なのであるから、そのことについて、交付税をねらい撃ちして、これをまず削減しろという議論は、議論のあり方としてそもそもとんでもない議論だということは引き続き申し上げないといけないと思います。

 これは毎回言っているんですけれども、なかなかまだ、わかる人はすぐわかる、わからない人はなかなかわからないという性格の問題でありますので、しっかりと言っていかなければいけないというふうに思っております。

 いずれにしても、歳出歳入一体改革の取りまとめをしなきゃいけないわけですけれども、地方は地方でしっかりとこれまでも、前回の諮問会議では、実はこの四年間で国のプライマリー赤字は二十八兆円から十四兆円に、何と半分に減っているわけです。その半分に減っているうち、大まかに言って、さらにその半分ぐらいは税の自然増収によるものだけれども、あとは歳出削減だ、そして気がついてみると、歳出削減のうちのほとんどが実は地方で行われている、まず実績としてこうだったということを共通認識として持とうではないかということを私から申し上げて、私の側から内閣府の方に、こういうことを示すのが内閣府の役割なんだ、だから、歳出削減のうち、国、地方それぞれ、社会保障費、人件費等々でどれだけやっているのかということをまずきちっと示して、共通認識を持って、そこから議論しなければいけないということをかなり強く、私たちは強く申し上げたつもりでございます。

 実は、明日も諮問会議がまたございますので、同じ話にならないように、しっかりと発言をしたいと思います。

後藤(斎)委員 ぜひ大臣、そのスタンスでめげることなくきちっと対応していただきたいと思います。

 それでは、独立行政法人消防研究所の解散に関する法律案について、幾つか御質問を申し上げたいと思います。

 大臣、今回のこの委員会の所管の二つの法律案は非常に両極であります。中央省庁再編の後の時点で独立行政法人が五十六あったうちの、今回三十二が対象になり、それが二十二になる。消防研究所は、消防庁の本省にまず機能を戻す。情報通信機構の方は、去年の国会から非公務員化ということで先行して対応した。その間にあると言うと大変失礼ですが、いろいろな各省庁所管の独立行政法人は十二月に向けてがたがたというふうに去年決まってきょうに至っているということで、大臣が独法の評価委員会も含めて御所管になっているということであります。

 まず、この消防研究所、私も、先ほど渡辺理事が御発言をいただいたように、先週の火曜日に消防研究所も含めて見させていただきました。確かにいろいろな研究を、事後の評価ないし火災原因のチェックを含めて御努力をなさっている点は評価しておきたいと思います。

 ただ、今回、かなりドラスチックに、現在の五十二人の消防研究所の体制を、二十六人、研究者を中心に残し、二十六人は、要するに消防大学校の一般管理事務はお任せし対応なさるということであります。その二十六人の、今まで事務をやっていた庶務係というのは消防大学校に今四人しかいないというお話を聞いています。

 本当にこれで、今まで、十七年度まで少なくともやっていた消防研究所がこのままで回るんでしょうか。そして、庶務的な事務だけではなくて、銃後みたいな形、やはり総務部門が支えながら研究部門が従来であれば十二分に展開できたということも私は感じました。

 本当にできるのかどうか、まず長官にお伺いをしたいというふうに思います。

板倉政府参考人 消防研究所の関係でございますが、独立法人消防研究所の国への統合に当たりましては、国として必要な研究機能を維持、確保しつつ行政の効率的実施を図る、こういう観点から、アウトソーシングなどを活用して職員が直接行う事務や業務量の軽減を図る。それのほか、消防大学校との総務部門の共通化やマネジメント部門の簡素化などを行うことによりまして効率化を図るということとしておるところでございます。

 これに伴いまして、御指摘ございましたとおり、消防大学校の事務処理が従前に比べましてかなり厳しいものになるであろうということでございまして、そのことは私どもも否定はできないと考えておりますけれども、関係者の工夫と努力が必要でございますけれども、総動員をいたしまして対応してまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 二十六人で今まで対応していた業務を四人の消防大学校の庶務の方がやる、要するに、六倍の人数を使っていたところに、それを削減して四人で対応させる。どう考えても、普通であればそんなことはできないなと。

 それだけ大胆にこの独法の改革を引っ張る総務省が御努力された点は評価をしますが、一方で、これは公務員化になると、ある意味では、独法で持っていた研究目標であるとか資源の有効活用だとか、平成十七年度にもかなり細かく研究目標や組織のあり方について触れられておりますが、これについては、一方でそういう柔軟性がなくなってしまうというおそれも私はあるのではないかなというふうに思っております。これは後の情報通信機構の方とちょっと相反する議論になるんですが、その点については、どんな形でそれを担保なさっていくんでしょうか。

板倉政府参考人 消防研究所は、独立法人として発足をいたしましてから五年間、独立行政法人通則法に基づきまして、中期事業計画の策定、業務評価等を実施いたしますとともに、独自の評価委員会を設けて対応してまいったところでございます。

 今後、国の研究組織として必要な研究内容を効果的に展開していくために、計画から実行、内容の精査、検討及び次の研究へのフィードバックまでの一連の体系立った評価システムを整備、活用した研究活動の展開は必要であるというふうに考えております。科学技術基本計画や国の研究開発に関する大綱的指針などにおきましても積極的に研究開発評価を行うこととされていることを踏まえまして、消防研究センターにおきましても、引き続き、計画的な研究の推進及び研究開発の評価の仕組みが確立できるように努力をしてまいりたいと思います。

 その際、お話ございましたとおり、独法時代の評価システムなり研究のやり方が非常によく機能していたというふうに評価をしておりますので、引き続き、それらを念頭に置きながら、適切な対応を図ってまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、私は、かなりこの消防研究所は御努力をされて、ある意味では非常にモデル的に、人数も半分にしたということで、すごいなというふうに正直言って評価をし、また一方で、大丈夫かなという疑問もまだ持っております。

 ただ、私は、消防に関する研究体制、いろいろお聞きをすると、この消防研究所は今度センターになりますが、研究者の方が二十六人残る。地方の部分で、札幌消防局を初め、一番多いのは東京消防庁でありますが、研究をなさる方が三十二人ということで、全国で、地方にいる方も七十一人しかいないんですね。大学の消防防災の研究をなさっている先生方というのは大変少ない。ですから、九十七プラスアルファくらいしか日本には消防の要するに応用技術みたいなもので研究者がいないという、大変少ない中であります。

 そして、確かに、すぐれた科学技術で消防防災という観点から対応してきたことは否定をしませんし、評価をします。ただ、それが、この七十一人という、八カ所の地方自治体とまず連携をし、日本全体の消防防災研究の技術レベルをアップするということにもぜひこれからはセンター機能として対応していくことが本当に必要だというふうに、私は今回、消防研究所の問題をいろいろ調べて、いろいろな方と御意見を交わす中で思いましたので、その辺なくして、日本全体のレベルアップなくして、これからの消防防災研究というものはあり得ないというふうに思うんですが、大臣、その点についていかがでしょうか。

竹中国務大臣 確かに、今、後藤委員は九十七プラスアルファぐらいというふうにおっしゃいましたけれども、この五百兆経済の立派な国の消防防災について、研究しておられる方がその程度しかいないのかというふうに改めて思います。その意味では、希少な資源を本当に有効活用しなければいけないというふうに思います。

 その意味では、やはり全国をネットワーク化して、こういう研究者をネットワーク化して、ネットワーク化の効果がしっかりと出るような努力をするということが本当に重要なんだと思います。その点で、私も事務方から教えてもらったのでございますけれども、消防研究所と横浜市消防局とが連携して、わずかな水量で消火できるウオーターミストノズルを開発するというような成果もあったんだそうでございます。これなんかも非常にいい例だと思いますね。

 その意味では、国への統合をするわけでありますから、それに当たって我々も、国が中心になってネットワーク化を強化したい、それで、研究機能のネットワーク、そして研究と教育の相乗効果、そういうものを目指したいと思います。そういう観点から、今度、消防大学校の内部組織として消防研究センターを設置するということにもしているわけでございまして、その意味では、ネットワークのヘッドクオーター的な役割も果たしていかなければいけないというふうに思っております。

 御趣旨は大変私たちも理解を深めなければいけないところであるというふうに思っております。

後藤(斎)委員 消防研の話は、最後に、これはお答えは要りませんが、大変広い敷地の中できちっとした研究をなさっております。消防大学校も地方のいろんな方が来てレベルアップを図っています。ややもすれば、私は、これからきちっと、現在ある研究施設を十二分に生かさないと、今の別の議論で、政府資産の圧縮、売却みたいな話を、先ほどの九十七という体制を、どう一億二千七百万人の生命と財産を守るという消防防災の基本に戻って対応するかということなので、大臣また消防庁長官、ぜひその視点はお持ちをいただきながら、これからこのセンターの機能拡充、研究のさらなる実用化に向けてのいろいろな御努力をお願いしたいと思います。

 続きまして、独立行政法人情報通信研究機構について御質問をさせていただきたいと思います。

 この事業については、NICTと言われているもので、TAO、従来の通信機構が二つ、二年前に一緒になったということで、先ほど渡辺委員からもいろいろな御指摘がございましたが、私も基礎研究の必要性を否定するものではありませんし、むしろもっともっときちっと研究活動をしていただきたいというスタンスでもあります。

 ただ、これから情報通信政策、いろいろな部分で放送と通信も融合、連携をするでありましょうし、日本経済を地域経済も含めてリードする役割でもあります。

 まず、大臣、これからの通信情報政策の中で、このNICTというのは、どのように位置づけて、どのように対応することが一番望ましいというふうにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 まず、ちょっと大きなところから申し上げますと、政府としても、科学技術基本計画でありますとかIT新改革戦略等々に基づいて、ICTの研究開発の推進というのは極めて重要であるという位置づけをまず大きなところでしているということだと思います。そういう意味で、通信・放送、特に技術進歩が大きな役割を果たす、そして日本の国際競争力を高めていく、国民の生活を便利なものにしていくということが重要だというふうに思います。

 実は、NICTは、今申し上げたようなまさに国の政策と密接な連携のもとで、ICTの研究開発を専門とする公的な機関として位置づけて、しっかりとした活動をしてもらいたい。しっかりと集中と選択を行った上で、基礎的な研究で、かつリスクの高い研究開発を中心にやって、特化していただいて、民間や大学においては実施することがなかなか困難な研究開発を戦略的に進めていただきたいというふうに思っております。

 まず、ICT、IT戦略と科学技術振興という大きな位置づけがあって、その中でNICTの位置づけがある。NICTとしては、基礎的かつリスクの高い研究開発を中心に、民間や大学ではできないものをやっていただく。それが、ちょっと大ざっぱでございますけれども、この機構に関する位置づけであろうというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、その高い位置づけの中で、これも先ほど渡辺委員からも御指摘がありましたが、このNICTはこれからも、ほとんどの予算の、平成十七年が五百七十五億円ほど、十八年度の予算案というのをいただきまして五百十四億ほど、かなり絞り込んだ予算案だというふうにも思いますが、ほとんどが運営費交付金ないし政府からの出資金というもので賄われているのが現状であります。

 本当にNICTがこれからどうなっていくというのは、確かに、予算の効率化をしろ、人件費についても今後の中期目標で五%減らしなさい、一般管理費については一五%減らしなさい、いろいろな目標があります。一方で、特別会計の方で、これは昨年のクリスマスイブの十二月二十四日の閣議決定を踏まえて先般提出をされた、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案の三十七条の中にも、出資金の出し元であります産業投資特別会計の見直しという項があり、これは二十年度までに、ですから三年後ですか、財投会計に移管をして、その以降は、将来において廃止も含めて検討するということで、大臣、ある意味では、これからますます予算の収入の分が減っていく。出の分をどうするかというので、出というよりも、予算の確保、もちろん事業の必要性というものもありますが、財源がなければ事業はできないし、非公務員化されたNICTはこれからどうなのかということがあると思うんです。

 ですから、効率的にしてコストを下げるというような御努力は、これはもちろんしていかなきゃいけないんですが、ある意味では、安定的な経営というか、機構の運営というのは、先ほど大臣が、このNICTはこれからの情報通信政策の中でも国全体でも必要なんだというお答えを冒頭されました。その点と、これからの安定的な財源の確保と、安定的なこれからの事業運営ということについて、大臣どのようにお考えになるでしょうか。

竹中国務大臣 まさに、しっかりとした研究を行うためには、しっかりとした財務の基盤があって、そして収入の確保等財務の枠組みが必要だということ、全くそのとおりだと思います。

 この情報通信研究機構は、まず、国の政策と密接な連携のもとで、基礎的でリスクの高い研究を中心に、民間や大学ではなかなかできないことを行う公的機関ということになるわけでございます。

 したがいまして、引き続き、運営費交付金を中心とする財政措置が必要であるというふうに思いますし、まさにそういうものが必要であるからこそ、独立行政法人として、民間機関ではなくて、今私たちは位置づけているわけでございます。

 同時に、組織としては、歳出面をしっかり削るということに加えて、収入の面でもいろいろな形での、受託もございますでしょうし、研究の成果が非常に大きな形で利益として還元されるという可能性ももちろんあるわけでございますから、そういうことについての努力は独立行政法人としてしっかりとやっていただきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 では、コスト削減という点で幾つかちょっとお話をお伺いしたいと思います。

 十八年度の業務運営に係る目標の中でも、先ほど渡辺委員も途中まで御質問されて、地方拠点、海外拠点の見直しという項がございます。廃止及び集約化を検討するという中で、幾つかグレードを分けながら、これから海外拠点も見直しをなさっていくというふうな御指摘がございます。

 確かに海外との連携というのは必要だと思いますし、海外の方との共同研究というのは必要なのかもしれませんが、では、まず、簡潔で結構ですから、海外で研究活動をしている大まかなコストと、それを十八年度以降廃止、見直しという目標が掲げられていますが、それはどうなっていくのか、まず冒頭お尋ねをしたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの御質問にございましたが、現在NICTが有しております海外拠点を今後必要に応じて見直しを図っていくということになってございます。

 現在、五カ所の海外拠点につきまして、それぞれの費用が十七年度予算で計上されていますのを御紹介いたしますと、アジア研究連携センターといいますのが、職員一名で現地職員が三名ということでございますが、予算が約四千四百万円ということでございます。それからタイ自然言語ラボラトリー、これは職員が一名で現地職員が八名でございますが、予算が五千万円ということでございます。それからシンガポール無線通信ラボラトリーが、職員が一名で現地職員が六名ということで八千二百万円。それからワシントン事務所が職員二名、現地職員一名で二千八百万円。それからパリ事務所が職員一名、現地職員一名で二千百万円。この五つの海外拠点で合計二億二千五百万という予算を計上しておるところでございます。

後藤(斎)委員 その数字に全体の家賃とか人件費ももちろん入っていると思うんですが、この二億二千万余りが多いか少ないかというのは、どれだけのお仕事がされているかということにもちろん尽きると思いますけれども、ただ、いろいろな意味で、これからコスト削減というときに、どこを事業の柱として対応していくかということに収れんをされるというふうに思っています。

 この十八年度の業務目標の中でも、幾つか集中的に、研究開発の重点化という項で、次世代ネットワーク技術の研究開発、ユニバーサルコミュニケーション、安心、安全のための情報通信に関する、この三つに重点化をしてというお話もございます。これに先ほどの海外拠点がどんな形で連携をするかというのは、その重点化の中でいろいろ事業や視点の見直しというのが必要だと思うんですが、一方で、政府出資、先ほどの産業特会から出資をされている費用が十七年度は百三億円から十八年度は七十二億円まで減る中で、これからの民間基盤技術研究促進業務というのを対応なさっている。ここは、ある意味では収益性がこれからあるであろうという分野に委託をしていただき、研究課題を設定し、そして収益性がいずれ十年か十五年たったら上がるであろうというお話でありました。

 もともとこのNICTというのは、基盤、基礎研究と事業化支援、高度化と、今お話をしました産業特会の費用を使ったこの出資金を活用している部分、あと実用化の支援ということで投資事業組合が出資をしている分野、この三つが連携をしながら業務がなされているのは、ある意味では、おもしろいと言うと大変失礼ですが、これが循環するようになったら非常にいい事業だなというふうにも思うんです。

 ただ、十七年度に百億、今まで、平成十二年だったと思いますけれども、五百億近い予算を計上しながら、研究開発を、民間基盤技術研究促進業務を対応なさっていました。これは大まかに言ってどのような採択基準で、その収益性をどんな形で見込んで対応していくのか。唯一とは言いませんけれども、数少ないNICTのこれからの自己収入になるはずだと思うので、その点についてお伺いをしたいと思います。

竹田政府参考人 お答えいたします。

 民間基盤技術研究促進業務というのは、NICTにおきまして民間からの研究課題を公募いたしまして、同機構の外部評価委員会で、技術それから事業化の観点、この二点から評価を行って、すぐれた案件を採択しております。

 具体的な評価項目としましては、技術の観点からは、研究開発課題の基盤技術性、それから研究目標、計画の妥当性などでございます。それから事業化の観点からは、事業化計画、体制、それから収益の期待度などでございまして、これらの評価項目について評価を実施しております。

 委託されました研究開発から生じました成果は、研究開発を実施した企業に売り上げが生じた場合には、売上高の一定割合をNICTに納付することになっております。NICTでは今後この納付に対して期待をしておるところでございます。

後藤(斎)委員 もしおわかりになったらで結構なんですが、その売り上げが、この次の五カ年計画が終わる、今度が十七年ですから二十二年ですか、そのくらいの末にはどのくらい見込めるというふうに試算をなさっていますでしょうか。

竹田政府参考人 お答えいたします。

 この制度自身は平成十三年度に始まっておりまして、研究内容自身は、名称のとおり、基盤技術研究でございます。したがいまして、成果が出るまでに時間がかかるということでございます。平成十六年度の決算が出ておりまして、ここでは初めて若干の収益が上がっておりますけれども、将来にわたってどの程度資金が確保できるかということについては、現時点ではちょっとお答えしかねるということでございます。

後藤(斎)委員 先ほども御指摘をさせていただいたように、この機構は、ほとんどが交付金、出資金ないしは、これは競争的だというふうにお聞きをしていますが、いろいろな研究補助金的なもので成立をしています。私は、この機構の方々はドクターを持たれている方も大変多いという話を聞いておりますし、やはりこれから、大臣が冒頭、この案件でお尋ねをしたときに、かなりこのNICTの位置づけは高いんだと。でも、私は、今回の非公務員化で、ある意味では兼業ができるような仕組みにしたい。要するに、人事の柔軟性というのがかなり大きいポイントだというふうに思っています。

 であるからこそ、これからのNICTの将来というものが、今中にいる四百五十人ほどの方々が、人的にある意味では効率化をしなきゃいけない部分があるのかもしれませんが、優秀な研究者の方が財政的というか機構の不安定性から外に流出をしてしまうといえば、何のために対応してきたかわからない。もしかしたら相手先の民間や海外の研究機関の方が、いや、ここまでやってくれてありがとうというふうに感謝状が来るかどうかは別としても、やはり税を投入しながらやっているという観点で、そして研究者の方が五年、十年、先ほどお話しのように収益性が、民間の中間的な、いずれ実用化するであろうというところでも十年、十五年というスタンスでやっているわけですね。どんどん交付金や出資金やほかの補助金が縮小してくると、好きなというか、やりたい研究もできない。人材は、極論を言えば、委託で共同研究したA社に、民間の会社に行ってしまう。そこは給与がもっと高いし、やりたい研究テーマをやるよというところまで、私は今回の非公務員に関しては認めていないと思うんです。

 やはりこのNICTがこれからの情報通信政策の中の研究機関の大きな位置づけがあるのであれば、ぜひ大臣、効率的にするのは当然でありますけれども、きちっと安定的な財源も確保しながら、あわせてそういう、これは人のことですから絶対だめだということは言えないかもしれませんが、やはりNICTにいるというこの意識のあり方も含めて私は対応していただきたいと思うんです。

 大臣、あわせてその点について、まとめになると思うんですが、御見解をお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 言うまでもなく、研究所、研究所だけではありませんけれども、とりわけ研究所においては、人が財産、人材の確保というのが生命線であると思います。その意味では、今回非公務員化することによって、例えば昇給でありますとか待遇、めり張りのきいた給与システムを構築することもできるわけでありますから、その意味では、研究者にいわゆるインセンティブを持っていただいて、よい人に残っていただいて、よい研究をしていただくということが可能になる道も開かれているわけでございます。ぜひそのインセンティブをしっかりと高めるようなマネジメントをしていただくということだと思います。そういう観点から、我々もこの独立行政法人をしっかり見ていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 ぜひその両面、相反する部分もあるかもしれませんが、効率性の観点と、そして人材をより育成しながらこの機構を安定的に運営するという、両方の観点をぜひ御認識いただきながら対応することを要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 きょうは、独立行政法人の関係の二法案でございますけれども、この独立行政法人という言葉あるいは制度ができてまだ五年目ということで、知っている人は知っていますけれども、世の中的にはまだまだ評価が定まっていないところにあるのかなという感じがいたします。もう少し後世になって、こういった制度がうまくワークしたかどうか、改革の方向と合っていたかどうかということは次第に厳しく評価をされなければいけないし、例えば特殊法人であれ特別会計であれ、制度をつくったときはよかれと思ってつくられたものであっても、徐々にその負の側面が強くなってくるということも過去の経験があるわけでございますから、そういったことになるんだろうというふうに思います。

 しかし、五年目の今日で既に懸念というかそういった側面も出てきておるわけでございまして、きょうはそういったところを中心に質問をさせていただきます。

 特に、今回は二法案、くしくも同じ研究型の独法でございますが、そのとる方向というのが百八十度違うというような感じがいたします。片方は非公務員型に向かい、片方は国に吸収をしていくということで、ある意味興味深い形になっておるわけでございますが、そこを踏まえてまず質問をさせていただきたいと思います。

 世間一般で独立行政法人というと、おっしゃるとおり、やはり独立ですから、少し政府から独立しておるのかな、法人という言葉もくっつきまして、何となく斬新なイメージがあるわけでございますが、まず、NICTの関係で、つまり非公務員型に移行していく関係で質問をさせていただきます。

 非公務員型になっていくということは、一言で言えば、中で働いている方々というのは民間人というふうに理解してよろしゅうございますか、大臣。

竹中国務大臣 まず、委員が冒頭に言われたように、本当に独法というのがどういうふうになっていくのかというのは非常に長い目で評価をされなければいけませんし、考えてみたら、株式会社という制度そのものも物すごく進化してきているわけですから、独法も進化をしなければいけない、我々は常にそのことを考えなければいけないということであろうかと思います。

 独立行政法人、これは、公共上必要だけれども国がみずから主体となって直接実施する必要がない、でも、民間にゆだねた場合必ずしも実施されないのではないか、そういうものを効率的に効果的に行わせたい、まさに独法の目指すところでございますけれども、独立行政法人という名称を用いたのは、国から独立した法人格を有するということであろうかと思います。

 今回、非公務員化するわけでございますけれども、公務員でないという意味で、これは民間人であるというふうな位置づけが与えられております。しかし、その仕事そのものは公的な仕事を行う民間人であるというふうに思います。

田嶋(要)委員 今進化ということをおっしゃいまして、全くそのとおりだと思うんですが、ということは、やはり制度を導入して初期の段階においていろいろ不都合な点、おかしいなという点が出てきたときに、それは柔軟に対応していただきたい。要するに、制度の改変、おかしいと思われるところは素直に認めて、それを改めていく姿勢が私は今非常に問われている、まさにこの五年間を踏まえてのそういったことを採用していくというステージに来ているのではないかなというふうに考えます。

 今、非公務員という意味では民間の人間だということでございましたが、公務員型と非公務員型の相違点の比較表などもお役所の方から賜りましたけれども、これは非国家公務員であるということで、そのほか人事院規則や国家公務員法の適用がない、あるいは採用や兼業そして給与、そういったものをすべて法人が独自に定めるというふうになっておりますね。そういった意味では、同じ独法といっても、公務員型と非公務員型、これはかなり違う性格なのかなという感じがいたします。

 お金と人の側面に着目をいたしますともう少しわかるわけでございますが、独法全体の人の、特に役員の数、そういったことを見てみましても、全体といたしましては、役員の約六割は役所からの天下りでございます。四八%程度がその所管の役所から、残り一二%がよその役所からの天下り。半数以上でございますね。

 お金の出元ということで見てみますと、釈迦に説法でございますが、国からの運営費交付金収益というのが全体の約五分の一、残りの自己収入というのが八割になっておるわけでございますが、ただ、その中身を見てみますと、やはり公務員型であればあるほど国への依存の性格が強くて、非公務員型だと自己収入の割合が強くなっている。一部、病院のようなものは例外ですが、そういった全般的な傾向が見てとれるということで、一言で言えば、非公務員型はその名のとおり、より民間に近い存在なのかなという印象がいたします。

 そこで、一番目にお伺いしたいのは、給与の比較でよくラスパイレス指数を用いた比較がございますが、国家公務員に比較した独法の職員の給与が一〇〇の指数を超えておるという状況があるわけでございますが、これは特に非公務員型の方が若干高くなっておるんですね。職員の平均値で一一〇程度ということですか、一〇七ぐらいですか、そういった高い状況になっておるんです。これは直感的に考えると逆なのかなというふうな感じもするわけですが、この辺はどういうふうに大臣は御理解されておりますか。

竹中国務大臣 今、給与のラスパイレス指数での比較を若干、委員はしてくださいましたけれども、平成十六年ベースで申し上げますと、国の行政機関から移管したものが多い公務員型の法人のラスパイレス指数というのは九四・三でございます。もう一度言いますと、公務員型、これは国の行政機関から移管したものが多い。そして、特殊法人から移行したものが多い非公務員型の法人の指数は、昨年度に比べて四・二ポイント減少したにもかかわらず、一一五・二というふうに高いというのが事実でございます。

 法人の給与水準が公務員に比べて特にこういうところで高くなっている主な理由として考えられますことを申し上げますと、これは、事務所が大都市に偏在しているという一つの地域性の問題。そして、学歴構成が高くなっている。先ほども博士号を持っている、PhDを持っている云々という話がありましたが、そういう点も含まれていると思います。また、管理職割合が高くなっているというその業種の特殊性もあろうかと思います。特殊法人から移行したものにつきましては、前身の組織が特殊法人で公務員とは違う形の給与体系になっていたわけでございますから、これは、前の組織が高い水準を設定して、それを引き継いでいる、今修正が行われているけれどもまだ高い、そのような理由があるのではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、行革の重要方針の中で、国家公務員の水準を上回る給与水準の適切性に関し厳格な事後評価を独法について行うということにしておりますので、これはしっかり見ていかなければいけないと思っております。

田嶋(要)委員 いろいろ理由を出していただきましたけれども、それは独法から出てきた理由でございます。

 最初の二点に関しては、いただいた資料にもありますが、そういったことを加味して修正をしても、それでもやはりラスパイレスは高い。つまり、地域の特性、大都市にあるとか、それから高学歴な方が多い、その二点を加味してもやはりラスパイレスが高いということだと思います。

 四点目の、もとが特殊法人の場合というのは、事実としてはそうなんでしょうけれども、全くそれは説得力がなくて、一体なぜそんなふうにならなきゃいけないのかということが私はあると思うんですね。

 それと、高学歴というとよく、研究者が博士課程を持っている、そういうこともあるのかなと思うんですが、実際見てみると、研究者よりも事務職員のラスパイレスの方が高いということも出ていまして、一番高いのは病院の先生ですが、それはちょっとわかるかな、一一〇ぐらい。しかし、その次に高いのは事務職一般ですね。研究職はもっと低いんですね。だから、要するに、余りさしたる理由はないけれども、何となくそうなっている。

 要するに、特殊法人は、結局この状況は、先ほどの、母屋で何とか離れで何とかと同じような話で、やはり霞が関からちょっと離れたところで、OBもいるし、いろいろうるさ型のOBが理事長なんかになると給料を少し高くしないと黙っておかないというような、そういう空気があってこういうカルチャーができているのかなと。そうすると、いわゆる余りよろしからぬ、あるいは国民から眉をひそめられるような社風が特殊法人から独法に脈々と引き継がれているということが言えるのかなという感じがいたしますので、御答弁は結構でございますが、ぜひここをまず一点目の見直し事項としましてお願いをしたいと思います。

 時間がございませんので二点目に移りますけれども、同じNICTでもう一つお伺いします。

 要するに、非公務員型と国民に言っているわけですよ、非公務員型。今大臣も、これは民間だ、基本的に民間だ、公的仕事をしているけれども民間だと。であるならば、なぜ年金が共済年金なんですか。これは国民の理解を得られないと私は思うんですね。

 だから、第二点として、きょう、総務大臣、そのとおりだ、これから厚生年金に独法はやはり変えていかなきゃいけない、非公務員型の独法の職員の年金はやはり厚生年金じゃないと世間の理解が得られない、そのように多分お感じになっておられると思いますので、そのことを言葉でまずはっきりと言っていただきたいというふうに思います。

竹中国務大臣 御指摘のとおり、今は公務員型で、NICTの職員は国家共済でございます。

 今般の非公務員型への移行に当たって、これは国の政策判断に基づくものであるということで、職員の身分に係る条件変更への配慮が必要であるとの判断のもとで、移行後も引き続き国家公務員共済組合法を適用することとしたものでございます。

 なお、平成十六年四月から非公務員化されました国立大学法人でありますとか、国の機関から非公務員型の独立行政法人へ移行した他の法人においても、これは同様な扱いになっているというふうに認識をしております。

 一方で、御承知のように、年金の一元化に向けての議論は議論としてしっかりと行っておりますので、そういう状況下で私たちは現在のような判断をしているわけでございます。

田嶋(要)委員 同じ閣僚の厚生労働大臣は二月六日の記者会見で、非公務員型独法の年金を厚生年金に変えていく御意思のようなものを表明されたというふうに理解をいたしておりますけれども、厚労省のホームページでございますが、すべてとは言っていないけれども、そういった方向で行くべきだというようなことを書かれておりますので、ぜひ二点目として御検討をいただきたいというふうに思います。

 三点目でございますが、これは消防研究所の方でございます。

 消防研究所、同じ研究型でも、国民の生命にもかかわることという理由も挙げられて、今回国に戻されるわけですが、そうすると、こういった一たん独法になったのがまた国に戻るケースというのはこれは初めてのケースのようでございますが、そもそも五年前の判断というのは一体何だったのか。これは独法にしなくてもよかったのかなという感じがするわけでございますが、そこに関しては、やはり独法にする必要はなかったというふうに考えられておるということでしょうか。いかがでしょうか。

竹中国務大臣 冒頭に制度そのものは進化しなければいけないというふうに申し上げましたが、まさに進化のプロセスであろうというふうに思っております。

 十三年度の独法化に当たっては、試験研究機関は、特別なものを除いて、原則として独立行政法人化を図ろうということで、この制度に踏み出したわけでございます。

 そういうものを受けまして、しかし今回、進化の過程で、特別な理由のないものは非公務員化しようということが一つの進化の流れとして出てきたわけであります。これはこれで私はまさに一つの流れだと思います。そのときに、この研究所は非公務員化に本当になじむかどうかということを我々としてやはり政策判断させていただかなければいけなくなったということでございます。

 火災のとき、的確迅速に対応して火災原因を調査、強力な行政権限を担うという任務、役割、これはやはり公務員型であろう、その意味では、公務員型の独法としては存続できないということから、今回のような判断を改めてさせていただいたということでございます。

田嶋(要)委員 時間ですけれども、最後に、お願いは、この独法、今回そういうことになるわけでございますが、片方で、文科省の方にも若干類似の内容の独法もございます。それから東京消防庁の中にも消防科学研究所という組織もあるわけでございます。聞くところによりますと、確かに独法同士の統合という努力もこれまでされてきておるようでございますが、同じ役所の所管の独法同士の統合しかまだ実現はしていないということでございます。ぜひその障害を乗り越えて、隣の省庁との関係の独法、あるいは垂直的というんですか、例えば東京消防庁、似たようなファンクションの組織の統合も、そういった垣根を越えてぜひ検討していただきたいというのが私からの三点目のお願いでございます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 午後一時五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

中谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、消防研究所解散法について最初に質問したいと思います。

 これは、独立行政法人を国の機関として戻していくということについては賛成でありますが、同時に、やはり消防研究所の果たしている役割、どんなにいい研究をしてもらっていて、これをどう充実させていくかということは、これは、ただ機関をどっちへ移すかどうかということだけじゃなしに、大事な問題だというふうに考えております。

 それで、私はきょうは、東海、東南海・南海地震が連動して起こるという可能性も今想定されているときに、大規模な地震、それに伴う石油化学コンビナートなどの防災対策をどう進めるかということは非常に大事な課題になっておりまして、実は、これは最近始まったことじゃなくて、三十年前になりますが、一九七五年の一月だったと思いますが、例えば、大阪の堺泉北のゼネラル石油の八万キロリッタータンクで、浮き屋根の上に油があふれて、それが防油堤の中に八キロリットルあふれ出してしまうという問題などがありましたけれども、コンビナートの安全対策をどう確保するかというのは、消防研の皆さんの取り組んでいる課題の中でも大事な問題だというふうに思っております。

 阪神大震災のときにももちろん、直接の地震、あるいはその後の長周期のものに見られるかと思われる影響などがありましたが、きょうは私は、迫りくる東海、東南海・南海地震が連動して起こった大規模地震のときに、それに続いて起こる長周期地震動の問題について、これは消防研の座間さんを初めとするかなり優秀な研究者の方がずっと取り組んでおられますので、そこのところを最初、政府参考人の方に伺っておきたいと思います。

 消防研として、二〇〇三年九月二十六日の十勝沖地震、マグニチュード八、震度六弱のときですが、襟裳岬の海底で起こったのが、このとき二百二十五キロ離れた苫小牧で影響が出たんですね。普通で考えたら、二百二十五キロも離れておれば関係ないように見えるんですが、出光興産のタンクで共振現象を起こして原油があふれ出す、火災が発生する、二日後にはタンクの屋根が、浮き屋根ですから沈み込んでしまって、ナフサが出てきて、これはタンク全面ナフサの池が登場するみたいなものですね、そこでタンク全面火災となったわけです。

 この火災の原因は、長周期地震動によるタンクのスロッシング、そして油漏れによる火災、及び浮き屋根の沈下によって上部にあふれ出た油がタンク全面火災になったという、つまり、長周期地震動との関係の中で出たものというふうに、皆さんの方はそういう立場に立っておられると思いますが、まずここのところを伺います。

大石政府参考人 お答えいたします。

 十勝沖地震におきましては、石油タンク設置場所の地盤特性によりまして、長周期地震動の影響によって、従来の想定以上の大きないわゆるスロッシング、液面揺動が発生しまして、六基の石油タンクの浮き屋根が損傷して、その後浮き屋根が沈下してしまう事態になったわけであります。浮き屋根が沈下したことによりましてナフサの液面が露出しまして、一基の石油タンクにおいて揮発したナフサの蒸気に着火しまして、タンクが全面火災するという事態に至りました。

 御指摘のように、長周期地震動の影響によって、従来想定していなかった大きな液面揺動が発生した、これが原因と考えております。

吉井委員 さらに、消防庁の方の調査では、この十勝沖地震の長周期地震動で、苫小牧の出光興産で、一つは、浮き屋根がうんと上がった、四メートルも浮き屋根が上がってしまう、そこから油が漏れるということであったということも伺っているんです。固有周期が約七秒の直径四十メートルのタンク、ここで火災が発生して炎上、焼失ということですが、固有周期七秒のところで二基ですね、一つはリング火災、もう一つは先ほどの全面火災です。それ以外にも、固有周期八秒の約五十メートルの巨大なタンク、この屋根が沈んだ、これは三基ですね。固有周期約十一秒の直径八十メートルのタンク二基が浮き屋根が沈んだということで、浮き屋根が沈んだのは合計すれば六基ですが、事故になったのは合計七基。六基の中で五つのタンクについては、たまたま全面火災にならなかったけれども、引火、火災の危険な状態にあったものが五基あった。

 ですから、スロッシングによって非常に危険な状況が生まれたということは間違いないと思うんですが、この点はそのとおりですね。

大石政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、浮き屋根沈下に至りましたのは六基のタンクでございまして、そのうち全面火災に至ったのは一基でございますが、ほかの五基のタンクにつきましても大火災になる危険はあったものと承知をしております。

吉井委員 これまでは大規模地震といいますと、私も阪神大震災のときに、もともと大臣と同じ、私は大阪の方ですが、あなたは和歌山ですが、被害というのは小さくても出ているわけですけれども、あのころは、本当は研究者の皆さんはもっと前からわかっているんですけれども、最初のP波、S波の激しい揺れの方が中心だったんですね。しかし、石油コンビナートなどで今対策をきちんと考えなきゃいけないのは、今の長周期地震動、こういうふうな問題をもっと重視しなきゃいけないというふうになってきていると思うんです。

 せんだってマスコミにも紹介されておりましたが、つくばの防災技術研究所のデータに基づいて、産業技術総合研究所、産総研、ここで、関東平野の地下がいわばすり鉢状になっていて、そこで地震波を、要するに周期を長くするという問題、そういう現象が出てくるということが紹介されております。

 平野部の地下を考えますと、大体この建物もそうですが、高層ビルにしても、ビルの基礎ぐいというのは数十メートルとか最初の岩盤のところに固定してあるわけですね。しかし、そこから下に、一千メートルとか数キロ下の方にかたい岩盤がありますから、その間は堆積層で、平野部の場合はそこで振幅が大きくなる、振動数が長周期のものに振れていって、これが長周期地震動になっていくということが紹介されているところです。

 私、ちょうど京大防災研の岩田教授が昨年十二月十五日に神戸の地震減災研究会で講演しておられたのを目にしまして、先生のところへも直接お会いして教えも請いに行ったんですが、この間、発表された長周期にかかわる論文というのは随分多くて、入倉孝次郎先生を初め多くの研究者の方が取り組んでこられて、長周期地震動による長大構造物の危険性というものが今明らかにされてきております。

 それで、消防庁の資料をいただいて見たんですけれども、問題になっている中で、実は、京葉臨海コンビナートで二百八十九基、神奈川の京浜臨海を中心にして三百二十六基、名古屋港臨海百四十五基、四日市の臨海コンビナートで百八基、堺泉北で百四十基ですから、三大都市圏で浮き屋根式の屋外タンクが千八基あるんですね。その多くはこういうスロッシングに対する対策というのはとられていないというのが実態です。

 これは、全国全部合わせますと、実は二千四百七十六基の浮き屋根タンクがあるんですが、三大都市圏についてもきちんとした対策を進めなかったならば、苫小牧で起こった事態というのは、三大都市圏でも大規模な火災、災害等につながっていく。悪くすると、原油、重油の海上流出等も出てきますから、相当これは深刻な問題として受けとめて考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、政府参考人の方にこのことを伺っておきます。

大石政府参考人 消防庁におきましては、平成十五年の苫小牧における石油事故を受けまして、直ちに技術基準の検討会を設置いたしまして、消防研究所における原因調査の結果それからこれまでの消防研究所における研究成果を踏まえ、さらには、この研究会におきまして浮き屋根の損傷メカニズムが解明されましたので、その結果に基づいて、浮き屋根の構造基準を定めるなどの技術基準の改正を行ったところでございまして、この基準にのっとってタンクの維持管理をしっかりやっていただく必要があると考えております。

吉井委員 それで、実は、いろいろ解明しても、ではそれで尽くせているかといったら簡単なものじゃないということは、これまた研究していらっしゃる方はよくわかっておられることなんです。

 東海、東南海・南海地震が連動して発生したとき、大規模地震で最初のP波、S波による大規模被害の後に、実は、長周期地震動で今取り上げております石油タンクなどで同時多発火災ということになってきたときとか、大規模災害というのは、一カ所だけ都合よくそこだけ被害ということじゃないんですね、同時多発ということをいつも考えなければいけない。

 ですから、例えば、京葉コンビナートの千葉の側で複数基のタンクが火災、川崎の方でも複数基が火災発生という、東京湾全体が非常に長周期地震動を起こしやすい構造にありますから、そういう複数のコンビナートで複数の同時多発ということになったとき、これは簡単な話じゃないというふうに思うわけです。かなり深刻な問題を私たちは考えて対策を考えなきゃいけないと思うんです。

 京大の入倉孝次郎先生は中央防災会議専門委員を務めておられて、二〇〇三年十月に長周期地震動に対する構造物の被害予測の重要性というのを防災会議の方に出しておられますが、長大橋、超高層ビルなど大型建造物の固有周期に対応しているのが、この長周期地震動の周期帯域、大体二秒から二十秒というものですね。これは石油タンクのスロッシングの固有周期とか超高層ビルとかかわってくるんですが、これらで大振幅の揺れ方、これはスロッシングも浮き屋根もそうですが、超高層ビルですと、百メートルとかもっと高いのがゆっさゆっさ、ゆっくり揺れるわけですね、そういう振動を起こす可能性がある。

 三大都市圏の石油タンクは、東海、東南海・南海地震の震源域からそれぞれ大体二百キロメートルぐらいですから、しかも、厚い堆積層を持つ盆地状の地下構造の上にあり、地震発生時に同時多発的大規模火災を引き起こすおそれがあるということを、これは防災会議の専門の方が、入倉教授が指摘されて、ですから、スロッシング現象を事前に予測し適切な対策を講じることは緊急の課題であるということを提言しておられます。

 同様に、他の学者の方からも、長大構造物、長い大きな橋それから超高層ビル、これについてもこうした警告が発せられていると思うんですが、入倉先生の提言しておられることというのは概略、大体こういう内容なんでしょうか。

大石政府参考人 御指摘のとおりでございまして、私ども、やはり同時多発的に石油コンビナートにおきましてこのような大規模な事故が起きるという事態を大変心配しているわけでございます。

 第一義的には、それぞれの特定事業所が自衛防災組織を持っておりますから、そこにおいて一次的な消火を行うわけでありますが、その後、消防隊が到着する、しかし、大規模な事態ですからなかなか容易ではない、こういう場合には、消防庁長官の求めによりまして、緊急消防援助隊の派遣ということもあるわけでございますが、いかんせん消火のマンパワーと機材というものには限りがあるわけでございますので、どのようにしたらいいかということで、実は、この十勝沖地震の災害の教訓を踏まえまして、石油コンビナート法の改正によりまして、大容量の泡放水砲の設置というものを義務づけまして、大容量の資機材で放水を行い、そして鎮火させる、そういう義務づけを行っているところでございます。

吉井委員 それで、消防法の規則の改正など、昨年の四月一日から行って、二〇一七年までに対策を何とかということで浮き屋根構造のものについては示しているんですが、都合よく大規模地震が二〇一七年以降に来てくれるともこれまた限らない。そういう点では、非常に私たちは、新しい研究によって災害の内容等を知ることはできたけれども、その対策というのはまだ十分始め出していないというところが現状だと思うんです。

 そこで、大臣に、やはり一つは、確かに中央防災会議で長周期について若干の取り組みが、全くないとまでは言いませんけれども、やはり消防庁を担当される大臣としても、これは中央防災会議でもそうですし、国としても、長周期地震動のときの、石油基地それから長大橋それから超高層ビル、これらの対策というものを相当力を入れて取り組んでいく、このことはやはり今国の方で必要になってきていると思うんです。

 この点について、大臣に少し取り組む決意なりを伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 冒頭で吉井委員がこの機能の拡充が重要だというふうにおっしゃいましたけれども、その中の重要なテーマだというふうに私も承知をしております。

 首都直下地震対策大綱では、高層建築物でありますとか石油コンビナート施設、長大橋などの長大構造物に及ぼす影響について、関係機関が連携をして、専門的な検討を行って、この長周期地震動対策の充実強化を図ることとしているところでございます。

 我々といいますか、消防庁としても、浮き屋根の耐震機能確保のための技術基準を改正するなどの安全基準対策を推進してまいりますし、また今後とも、内閣府等と連携して、中央防災会議におけるこの対策に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

吉井委員 それで、実は国土交通省の方から超高層建築物について資料をいただいたんですが、これは旧建築基準法三十八条認定の分で、免震超高層で二〇〇〇年五月までが十五棟だったんですが、それ以降どんとふえているんですね。二〇〇〇年五月以降の新しい基準で、二〇〇四年十二月までに建ったのが百十五棟ですから、百三十棟あるんです。超高層ビルだけですよ。百三十棟あるんですが、長周期地震動のときには横に二メートル以上、ゆっくりゆっくりですが、揺れてしまうんですね。つまり、構造物の重心が移動するわけなんです。だから、従来の、耐震偽造の問題もありましたけれども、偽造とまではいかなくても、ぎりぎりというものでも本当に超高層ビルの安全が保てるのかという問題も出てきます。

 それから、エレベーターが動かなくなっている。これはよく起こっていることですが、では、そのときに、消防の皆さんは大体救出に行かれるわけですが、ところが、大規模地震等ですと、そもそもそこへ駆けつける町が先に大変な被害を受けておりますから、簡単にはいかない。

 となると、この超高層ビルの長周期地震動による被害を考えたときに、これは必ず建築確認のときにはその前に消防に決裁書類が回ってくるんですね、決裁の印を押さなきゃいけないという段階があるんです。そのときに、本当に消防として、この超高層ビルは大丈夫ですと。まず倒れないという心配は国交省の責任にしても、エレベーターがとまったときに救援に行けますと。低層のものですと、避難路が二方向にあるかどうかのチェックで済むわけですけれども、超高層の場合はそう簡単にいかないわけですね。そうすると、今ぼんぼんぼんぼん超高層ビルラッシュみたいに建っていますけれども、本当にそれでいいのだろうか。これは今やはり真剣な検討をやっておかないと。

 ですから、消防としても簡単に確認の印を押せるのかどうかという問題もありますし、同時に、これはそれだけじゃなしに、この長周期地震動の及ぼす超高層ビルへの影響をきちっと明らかにして、それは構造上解決できるようになるかもしれないし、まだわからないわけなんです。

 そういう点では、こうしたことについても、やはり私は、防災会議を初めとして、国として、その話は国交省だよという話じゃなくて、やはり内閣として相当突っ込んだ検討というものが急がれていると思うんです。ここは大臣の方に伺っておきます。

竹中国務大臣 ちょっと今大きな問題提起をいただきましたが、確かに町並みを見ても超高層は本当にふえております。私自身も実はその超高層のマンションに住んでおりまして、非常に今熱心に聞かせていただきました。

 そういう問題も含めて、これは基本的には国交省等々でしっかり御検討いただいている問題だと承知をしておりますが、我々も防災の観点からよく連携をとって、新しい、本当に時代の先端の問題として注意して取り組んでいきたいというふうに思います。

吉井委員 それだけ大事な課題が今あるときに、実は、国に機関を移すのはいいんですけれども、約三割の研究員の方が削られますね、今度の場合。だから私は、消防研の体制の面でも、そして研究費の面でも、これは充実をして、やはり消防研というのは機構をどっちへ移すかの話じゃなくて、もっと今の時代に合ったテーマを含めて、きょうの長周期だけじゃなくていろいろなことをやっているのはよう知っていますので、消防研の研究機能をもっと拡充するための予算、体制を含めて取り組む必要があると思うんです。これも伺っておきます。

竹中国務大臣 今回、本省に吸収するに当たって、研究員の数は減らさないように、できるだけ減らさないようにということで努力をしたつもりでございます。間接部門について、合理化すべきところは合理化いたしますが、この研究所が重要であるという問題意識は我々も強く持っておりますので、きょう御指摘いただいた点も踏まえてしっかりと対応していきたいと思います。

吉井委員 それで、最後の時間で、独立行政法人情報通信研究機構の方について伺いたいんですが、説明に来てもらったときにメリットの話はあったんですけれども、情報通信研究機構を非公務員化する中でデメリットも必ずあるんですよね、民間にしてしまうという中で。そのデメリットについては大臣としてはどういう検討をしておられるか、伺います。

竹中国務大臣 デメリットと言うかどうか、言うべきかどうかよくわかりませんけれども、これは当然、非公務員化に伴いまして、いろいろな給与等々を含めて、どのような人材交流を民間と行うかということも含めて、この機構が独自に決めなければなりません。それによって裁量性が高まって、しっかりと柔軟な経営をしていただきたいわけですが、その反面、今と比較して、いろいろな意味での法人の責任が、自由度が増す分、当然責任も増してくるわけでございます。それに対応するのは、経営という面からいくと、これは大変な重荷であろうかと思います。しかし、その重荷にぜひ耐えていただいて、このメリットを発揮していただきたいと思います。

吉井委員 デメリットがあるのはもう明白なんです。私も、もう四十年近く前になるかもしれませんが、田無にあった、電波研の時代の、あそこの研究所はなかなかのものだと思いました。宇宙環境試験室、当時としては日本で一つか二つしかないころですね、スペースチャンバーをつくって、その中で物性の研究とか、それはその後の、人工衛星を日本が上げていくときにも技術としてつながっているんです。

 短期的には利益は出ませんよ、基礎研究というものは、また基盤的な研究というものは。しかし、これは国民にとって大事なものなんです。それを、やはり非公務員化、デメリットという問題が出てきますから、そういうことを軽く考えて簡単に非公務員化というのは、私はそれは正しくないというふうに思います。

 以上、申し述べまして、時間が来ました。終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 独立行政法人情報通信研究機構法の一部改正案及び独立行政法人消防研究所の解散に関する法律案に対する質問を行います。

 両法案の具体的質問に入ります前に、行政改革推進本部に基本的問題についてお伺いをいたします。

 昨年の十月二十八日、独立行政法人に関する有識者会議は、独立行政法人の中期目標期間終了時の見直しに関する有識者会議の指摘事項としまして、「独立行政法人の職員については、その業務を国家公務員の身分を有しない者が担う場合の具体的な問題点を明確に説明できない場合には、非公務員化すべき」と指摘をしております。また、同年十一月十四日に、政策評価・独立行政法人評価委員会委員長は、非公務員化は、研究開発・教育関係法人については有効な改善策であると認識していると指摘をしました。そうした経緯を経て、同内容のことが十二月二十四日閣議決定されております。その結果、最終的に両年度で三十八法人が非公務員型とされました。

 この決定過程でどのような説明が各省からなされたのか、具体的説明文書が当然あるはずでありまして、各省の詳細な文書の提出を求めたい。その点について、行革推進本部、よろしいですね。

大藤政府参考人 独立行政法人の中期目標期間終了時の見直しに当たりましては、独立行政法人通則法に基づき、各主務大臣が行うことになっているところでございまして、また、この各主務大臣が作成した見直し案につきましては、行政改革推進本部の議を経て、主務大臣において決定されることとなっているところでございます。

 先生が御要望の資料につきましては、この主務大臣が作成し、行政改革推進本部の議を経て決定され、公表されているものでございまして、早速提出させていただきたいと存じます。

重野委員 資料の提出を待って、またの機会に、具体的に質問する機会を持ちたいと考えております。

 一昨年の十月二十七日の独立行政法人に関する有識者会議で、実は既に、独立行政法人の職員、特に、研究開発・教育関係の法人は非公務員化を積極的に推進すべしとされております。同じく同年の十二月十日には、政策評価・独立行政法人評価委員会でも、研究開発・教育関係法人においては非公務員化が有効である、このように指摘をしておりまして、これからも明らかなように、研究開発・教育関係法人については非公務員化について最初からそういう網がかぶせられていると理解をいたしますが、実態的には、非公務員化というのがもう既定路線であって、だからこそ権力的執行業務を担う法人を除いて軒並み非公務員化されたのではないか、こういうふうに理解をするわけでありますが、この点について推進本部の見解を出してください。

大藤政府参考人 お答えいたします。

 独立行政法人は、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務事業を実施する法人でございまして、独立行政法人通則法に基づき法人格を付与されておりまして、国とは別の法人格となっているところでございます。また、その役職員につきましては、同法の特定独立行政法人として個別法において規定された者を除き、国家公務員の身分は有しないところでございます。

 なお、独立行政法人通則法では、この公務員型の特定独立行政法人とする要件につきまして、その業務の停滞が国民生活または社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他、法人の目的、業務の性質等を総合的に勘案して、その役職員に国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとしているところでございます。

 中期目標期間終了時の見直しについては、各主務大臣が、独立行政法人通則法に基づきまして、独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織のあり方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行っているところでございまして、その中で、特定行政法人としての要件が備わっているかどうかの観点からも見直しが行われているところでございます。

 具体の見直しに当たりましては、その業務を国家公務員の身分を有しない者が担う場合にどのような問題が生じるのかを具体的かつ明確に説明できない場合、特定独立行政法人を非公務員型の法人にするとの基準で見直しを行ってきているところでございまして、各法人の所管大臣におきまして、このような観点から、各法人の目的、業務の性質等を総合的に十分勘案して、見直しを行っておられるものと承知しております。

重野委員 この独立行政法人情報通信研究機構、これは、我が国における、基礎から応用まで情報通信に関する研究開発等を総合的に行う唯一の公的研究機関なんですね。今回のいわゆる独立行政法人化の流れというのは、そういう研究機関の特性というか、あるいは独自性というか、そういうふうなものというのは一切考慮に値しない、そういう立場でやられたもの、こういうふうに思うんですが、そういうことなんですか。

大藤政府参考人 先ほども申し上げましたように、中期目標期間終了時の見直しにつきましては、各主務大臣が、各法人の目的、業務の性質等を十分総合的に勘案して、見直しの内容を決定されているものと承知しております。

竹中国務大臣 このNICTについては、もちろん我々の方で意思決定をしたわけでございます。

 特殊性とおっしゃいましたけれども、大変重要な役割を担っているということは認識をしております。しかし、同時に、さらに研究効率を高めていただくためにも、人材交流、そういうことも含めて、非公務員化のメリットを私たちとしてはぜひ発揮していただきたい、そのような思いで今回の法律を提出させていただいております。

重野委員 今大臣、研究効率と申しましたけれども、研究効率という意味あるいは概念はどういうことなんですか。

竹中国務大臣 概念ということでありますので少し抽象的なことになるかもしれませんけれども、研究には当然のことながらインプットとアウトプットがございます。インプットとしては、人もあればお金もございます。人も使ってお金も使うわけでございますけれども、そこで出てくる研究の成果、まさにアウトプットですけれども、研究の場合、このアウトプットがなかなかはかりにくいという一つの特性はございますけれども、それでも、例えば論文一つにしても、よい、質の高い、ジャーナルに載せられるような論文を数もしっかりと出していただく、そしてそれが究極的には、応用研究の場合はいろいろな実社会で受け入れられるものにつながっていく。

 そのインプットとアウトプットを比べて効率性が高まるような、そういうマネジメントをやはり研究所においてもしていただかなければいけないと思っております。そのようなことを総称して御説明をさせていただいたつもりでございます。

重野委員 一点確認しておきたいんですが、中期期間が終了する見直し対象五十六法人のうち、公務員型法人における全職員数が約七万二千人というふうに理解をしておりますが、そのうち非公務員化される者が一万二千人とされております。これによって表向き公務員は削減されたかに見えるわけですけれども、非公務員型にされた者と公務員型で残った者との間における、例えば給与であるとかもろもろの労働条件であるとか、そういうふうなものについていかなる差異が生じておるんでしょうか。それについて説明してください。

大藤政府参考人 独立行政法人は、国がみずから直接実施する必要はないが、公共上の見地から見て確実に実施されることが必要な事務事業を実施させるために設立される法人でございまして、法人の自律的運営により効率的かつ効果的な事務事業の実施が可能となるよう制度がつくられているものでございます。

 このように、独立法人制度は、法人の自律的な運営によってより質の高い効率的なサービスの提供を可能とするものでございますけれども、法人の役職員を非公務員化することによりまして、国家公務員法が適用されず、民間企業並みの柔軟な任用・勤務形態の導入や、あるいは民間との人事交流の円滑化といったようなものが可能となるものと考えております。

重野委員 形式的にはそうなったけれども、結果として公務員型、非公務員型に分かれるわけだけれども、その中身、そこに働く公務員であれ非公務員であれ、その待遇であるとかあるいは給与であるとか、そういうものというのは歴然たる差が生じるというためにするのか、いや、結果としてはそうでない、全く同等なこともあるかもしれない、そういうふうなこと、どちらなんですか。

大藤政府参考人 先ほど申しましたように、法人の役職員を非公務員化することによりまして、国家公務員法が適用されず、民間企業並みの柔軟な任用・勤務形態の導入あるいは民間との人事交流の円滑化といったものが可能となることから、効率的、効果的な業務運営を通じまして独立行政法人制度の趣旨に一層資するものとなることを期待しているものでございまして、処遇の違いそのものを念頭に置いているものではないということでございます。

重野委員 次に、昨年の十一月十四日、政策評価・独立行政法人評価委員会が、情報通信研究機構に対する勧告で、研究及び開発の重点化を指摘しております。

 これに対して、総務省の見直し案では、同様に研究の重点化に力点を置いておりますけれども、一方、二〇〇四年、独立行政法人通信総合研究所と認可法人通信・放送機構の統合効果の取り組み策として、管理部門の効率化、これが取り組み効果の一つのものだというふうな説明をしているんですが、そこで、この間の統合について具体的にいかなる評価をされておるか、これについては大臣の答弁を求めます。

竹中国務大臣 独立行政法人通信総合研究所、CRLと通信・放送機構いわゆるTAOの統合でございますけれども、統合以前、旧CRLが基礎的な研究開発、そして旧TAOが応用分野の研究開発という、その意味では役割分担がございました。これらの法人の統合によりまして、新しいNICTにおいては、情報通信技術の研究開発を、これは基礎から応用まで一貫して推進できるという仕組み、そういう強みを発揮するということで取り組んできたところでございます。

 具体的には、長尾理事長のリーダーシップのもとで、重要研究領域については、これは統合前の両法人の特徴であります基礎と応用を組み合わせた研究開発推進ユニットを発足させた、そして、共通部門の一元化等によります業務運営の効率化を行ったということで、統合効果の発揮に向けた取り組みに尽力してきたというふうに承知をしています。

 こうしたNICTの取り組みでございますけれども、今ちょっと委員も御紹介くださった、独立行政法人評価委員会が実施した平成十六年度の業務実績評価においても高い評価をいただいてきているところでございます。

 本年四月から新たな中期目標期間でございますので、そこにおいてはさらなる統合効果の発揮に向けた取り組みが進められるということを私たちとしても期待をしております。

重野委員 ちょっと違った角度からお聞きしたいんですが、この見直しの最終的な目的というか、その点について、知的財産の取得上余り効果的でない研究よりもより収益の見込まれる研究に流れる可能性はないんですかという点が一つ。

 同時に、国の機関として基礎研究に影響が出ることが、その結果としてそういうことが予想されるというふうな懸念を持つわけですけれども、その点について大臣はどのように考えていますか。

竹中国務大臣 委員の御懸念は、収益重視で基礎的研究がおろそかになるのではないかという御懸念、御指摘だというふうに思いますけれども、NICTというのは、言うまでもなく、国の政策との密接な連携のもとで、情報通信技術の研究開発を専門とします公的な研究機関として行う、そして、特にリスクの高い分野、民間ではなかなか行えない分野に特化するという重要な役割を担っております。

 第二期の中期目標期間におきましても、三つの研究開発分野に重点化することによって、それぞれの分野について基礎研究にも取り組むように、この中期目標においても指示をしているところでございます。

 したがって、今回、基礎的な研究がおろそかになるというようなことはないというふうに認識をしております。

重野委員 それでは次に、消防研究所の問題について質問いたします。

 まず引き継ぎ問題について質問いたしますが、まず、この引き継ぎに伴って職員が半減されるわけですね。これは、行政改革の重点による五年間で五%削減の一環でやられるのかということが一つ。その点を明らかにしていただきたい。

 もし、そうであるとするならば、前回独立法人化するときにこの消防研究所を独立法人化するわけですよね、そして今度また削減にこの研究所を使う、当事者にとってみれば随分乱暴な話を押しつけられたものだというふうに私は思うんですが、大臣、その懸念はありませんか。

竹中国務大臣 何かその五%の純減をするためにこれを使っているとか、そういうことはこれはもう決してございません。

 これはもう先ほどから答弁させていただきましたように、今回、非公務員化するということが一つの流れになっている中で、やはりこれはどうしても公務員だということで、それだったら本省の中でやろうということになったわけでございます。結果としてその純減に資するということも事実でございますが、しかし、この大きな中で今回のその数十人というのがどの程度資しているかというのは、これはいろいろな御評価をいただくべきところだと思います。

 いずれにしましても、我々は、必要なことは国としてやっていきたいということ、しかし、効率化できるところはしっかりと効率化しよう、そして共通部門等々で共有化できることは共通化をしてやっていこうということでございます。

 そういった意味では、実質的な研究機能を維持しながら、効率化できるところは効率化しよう、そういう純粋な思いでやっているところでございます。

重野委員 提案理由の説明の中で国の消防機能の強化ということがうたわれているんですね。人員を半減して消防機能の強化というものは、これは脈絡としてどういうふうにつながるのか、私はそこはつながらぬのではないかなというふうに思うんですが、大臣、いかがお考えですか。

竹中国務大臣 安全、安心を確保するために消防のいろいろな意味での機能を強化しなければいけない、しかし一方で、全体としてのスリム化、効率化という強い要請もございます。

 そういう中で、我々は、これを、独立行政、非公務員ではなくて、やはり国の公務員の体制の中でやる必要があるというふうに判断をして今回本省の方に戻すわけでございますから、そして、その際には、研究員の数を実質的に余り減らさないようにして、できるだけ間接部門で効率化するところは効率化しようということでやっておりますので、機能をしっかりと維持しているというつもりでございます。

 もう一つは、消防大学校の中に消防研究センターを設置しておりまして、そこがネットワーク機能の中核になるような、そういう意味での質的な強化も図っているつもりでございますので、全体をスリム化させながら、しかし機能を強化するという、まさに我々がそういう点を目指してやっているということを御理解賜りたいと思います。

重野委員 ちょっと視点を変えまして、今回のこの法案には、独立行政法人消防研究所を解散してその事務を国が引き継ぐ、そういうふうになっています。

 問題はそこから先の話でありまして、消防大学校に統合する具体的改正条文というのは、この中、どこを読んでも見えないんですね。それは一体どういうことなんでしょうか。

板倉政府参考人 消防研究センターの関係でございます。

 国への統合に当たりまして、国の組織の所掌事務の見直しを行う必要があるということでございますが、これにつきましては、先ほどもいろいろ議論があったかと思いますけれども、法律案ではなくて、総務省の組織令ないしは組織規則というもので定めるべき事項ということにされておりますので、そちらの方で対応をさせていただきたいというふうに考えております。

 具体的には、組織令におきまして、消防大学校の所掌事務といたしまして、これまで独立行政法人消防研究所が担ってまいりました、消防の科学技術に関する調査研究、火災原因調査などの事務を追加するということでございます。と同時に、総務省の組織規則の中で消防大学校の内部機関として消防研究センターを設置するというようなことを定める、こういう予定にさせていただいております。

重野委員 質問をするとそういうふうな答弁が出てくるんですけれども、それは私は非常に不親切だと思いますね。審議するこの委員会に、そういうものも含めて出すべき、出すことが親切だと私は思うんですね。聞けばそういう答弁が出てくるんですが、聞く前にやはりそういうふうなものというのはきちっと出すべきだと私は思います。そのように今後検討をしていただきたい。

 要するに、政省令の改正によりまして、解散をし国に引き継ぐことになります消防研究所を消防大学校の研究センターとする、そういうことですね。私は、そういう意味でも、ここはまさしく審議の場でありますから、しかも、消防研究所がなくなるというところまではわかったけれども、その先どうなるのという、当然そういう疑問をみんな持つと思うんですね。そのことがやはりきちっと出されないとこの法案は完結しないんじゃないか、このように私は思うんですね。

 ですから、そういう点について、長官、今後どうするか、ひとつ答えていただけませんか。

板倉政府参考人 新しい組織の関係の政省令の中身につきましては先ほど申し上げたとおりでございます。内容的にはそれほど複雑なものではございません。ただ、おっしゃいますように、確かに、解散に関する法律だけであってその次のことがこの法律の中には書かれていないとおっしゃいますのはそのとおりでございます。

 これは、今の国家行政組織法のいわば法律の体系というのが、今回のこの消防研究センター、新しくできますセンターを例えば法律で位置づけるというような形になっておらないものでございまして、そういうことになったということで、これまでいろいろ御説明をさせていただいているところでございまして、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。

重野委員 今の答弁は、私が指摘をした意味を十分に理解されているとは思えません。今後、そういう問題というのは機会あるごとに申していきたいと思いますので、しっかり受けとめていただきたいと思います。

 以上で終わります。

中谷委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十八分散会


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