衆議院

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第14号 平成18年3月23日(木曜日)

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平成十八年三月二十三日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      篠田 陽介君    関  芳弘君

      田中 良生君    谷本 龍哉君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      田嶋  要君    寺田  学君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      横光 克彦君    富田 茂之君

      古屋 範子君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      佐藤 壮郎君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          吉田 耕三君

   政府参考人

   (人事院事務総局公平審査局長)          佐久間健一君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            竹田 義行君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            須田 和博君

   政府参考人

   (消防庁長官)      板倉 敏和君

   参考人 

   (地方公務員災害補償基金理事長)         杉原 正純君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     篠田 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     奥野 信亮君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として地方公務員災害補償基金理事長杉原正純君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長吉田耕三君、事務総局公平審査局長佐久間健一君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、自治行政局公務員部長小笠原倫明君、情報通信政策局長竹田義行君、総合通信基盤局長須田和博君及び消防庁長官板倉敏和君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 きょうは、国家公務員と地方公務員の災害補償法の一部を改正する法律案の審議なんですが、その前に、二点、お尋ねをしたい件、確認をしたい点がございます。

 先般、ソフトバンクがボーダフォン日本法人の買収を正式にしたということであります。ソフトバンクについては、昨年、携帯電話の事業の免許を、総務省が新規参入ということで免許の認定をされております。法律の範囲内であれば別に二社同時運営をしても問題ないという総務省からのお話でありましたが、ただ、今までの電話事業のあり方というのは、いろいろな歴史的な経緯や蓄積がございます。

 その中で、昨日の大臣の懇談会の中でもお話があったというふうにもお伺いをしておりますが、総務省として、今回の正式な、額がどうこうとか買収がどうこうということではございませんが、二つの法人が一どきに携帯事業に参画するということの、昨年の十一月の新規事業について免許を認定したということも含めて、これからの総務省の対応の方針をまずお伺いしたいと思います。

須田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、昨年の十一月、総務省といたしましては、携帯電話の分野に新たに新規の方を三社、市場に入れるような形で免許をしております。

 この理由といたしまして、携帯電話の分野というのは、非常に技術革新が著しい分野でございますし、国際的な競争も非常に激しい分野でございますけれども、そういった分野の中でサービスの高度化、多様化を進め、また一層の料金の低廉化を進めて利用者利便の向上を図るためには、競争の一層の促進が必要、このように考えまして、三社の認定をしたわけでございます。

 また、御指摘の、そうした三社を認定したわけですけれども、その中で、ソフトバンクが既存の三社の一つであるボーダフォンを買収する、こういうことについての基本合意に至ったと承知しております。

 この問題の取り扱いにつきましては、基本的には、このような形で認定を受けた事業者は、今後、開設計画に従いまして基地局を設置しサービスを提供する必要があるわけでございますけれども、この開設計画の変更、合併の際の地位の承継、あるいは開設計画の認定の取り消しなどにつきましては、電波法において規定されているところでございます。

 今回の買収につきましては、基本合意には達してございますけれども、買収後の会社の形態や事業計画などにつきましては、現状においてはまだ固まっていないと聞いておりますので、今後、これらにつきまして当事者の考えを確認しながら、電波法の該当規定にのっとって適切に対処していきたいと考えております。

 それと、委員の御指摘の私どもの方針ということでございますけれども、冒頭申し上げましたように、競争を一層促進するという観点からこのような形での三社の参入を認めたわけでございますが、ただ、これらの買収が行われて、それが実現した結果、この事業者の数が、現在は既存が三社ございまして、新規が三社ということで六社ということを想定したわけでございます。世界的に、先進国では大体三社、四社というところが一般でございますので、仮に事業者の数が五社になったとしましても、競争というのは世界的に見ても非常に激しいものだと思っておりますし、また、今回のケースというのは、あくまで新規事業者による既存事業者の買収、こういう形態になっております。

 したがいまして、このような形で進むのであれば、当初から私ども想定しておりました競争の促進によります利用者利便の向上ということにつきましては、特段の大きな影響はないものだろうと考えております。

後藤(斎)委員 確かに、現在の電波法では、今局長のおっしゃられたとおりだというふうにも承知しています。

 ただ、大臣、これから、いろいろな意味で、今の大臣が懇談会をされている放送と通信の融合に関する懇談会もそうでありますし、また米国では、AT&Tが、今まで分割をし小さくなったものが、また集積をしながら大きくなって、国際競争力を強化しているという動きも米国でもあるようであります。

 確かに、今局長がおっしゃられたように、消費者へのサービスの高度化や多様化というのは必要でありますし、日本では本当にこの数年間で、携帯電話もIP電話も長距離電話も、諸外国から見ても大変低廉になったということも事実だと思います。

 ただ一方で、情報通信産業というのは、ある意味では、放送の方で外資比率の規制を、間接規制も含めてしましたが、やはり我が国の法人である情報通信産業の育成をしながら、消費者利便、サービスの多様化、高度化もしていくという両面がなければ、非常にこれからますます激化をする世界の競争状況には勝ち残っていけないという考え方もあると思うんですが、大臣としては、これから情報通信産業全体をどんな形で競争力を強化し、それも国内だけじゃなく国際競争力を強化されるか、育成という観点も含めて、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 後藤委員御指摘のように、今、本当に激しい競争環境の変化が起こっていると認識をしております。技術が変わり、ニーズが変わり、それで競争環境が変化をしている。しかし、そういう中で、改めて考えてみますと、情報通信産業というのは、もう間違いなく大変な成長ポテンシャルを持っているわけです。

 今までも、これまでいろいろな成長産業がその時々でありましたけれども、振り返ってみますと、やはり国民の方に、消費者の方に非常に大きなニーズがあって、それを満たしていく、したがって消費者も満足する、結果的に、業界というか企業というか、それも成長して潤っていく、そして経済全体が活性化されていく。私は、情報通信産業はまさにそのような今位置づけを持っているのだと思います。

 ただ、その際重要なのは、その競争というのがあくまでも国際的な競争になってきているというのが一つ。一方で、日本は、国内では情報通信の基盤で非常に大きな優位性を持っている。ブロードバンド環境は御承知のように世界有数になったわけでございますので、世界トップクラスになったわけでございますので、そういう有利な立場をぜひ活用してやっていただきたいというふうに考えております。

 手短にということですので、私の今の思いとしては、以上のようなことでございます。

後藤(斎)委員 ちょっと最後が聞き取れなかったのですが、また議事録を読ませていただきます。申しわけございません。ちょっと水も滴るという感じです。これは公務員災害ではないんですが、災害補償法の方に、本論に移らせていただきます。

 今回の法律改正は、いわゆる公務員の民間準拠という形で、国家公務員災害補償制度がまず民間の適用を受け、地方公務員災害補償制度が国の制度との間に均衡を失しないという、民間、国、国家公務員、地方公務員という流れになっているというふうに思っています。ただ、よくよくこれを見ていると、大変おもしろいというか珍しい法律体系になっているのかなという思いを正直いたしました。

 実は、この法律の改正のベースになった、いわゆる複数就業者の推移であるとか単身赴任者の状況であるというのは、これは総務省の統計局がお出しになっている就業構造基本調査の中で、これは古い数字でありますが、平成十四年で、単身赴任は八十三万四千人、そして複数就業者も八十一万五千人。複数就業者は、その五年前の平成九年の調査よりも若干人数は減少しているようなんですが、これが増加をしているということを踏まえた法律改正だというふうに承知をしております。

 一方、国家公務員の部分は、例えば単身赴任手当という適用を受けている方がことし十七年は二万四百三十八人ということで、これも平成十五年がどうもピークのようで、年々、若干ではありますが減っているというふうな実態であります。一方で、国家公務員の部分は、複数就業者の内訳がまだ実質なかなか把握ができない。

 いろいろなお話があるんですが、まず、この法律の対象になる部分について、全体の数字は先ほど平成十四年度の数字をお話ししましたが、国家公務員と地方公務員における複数就業者の数、単身赴任者の数というのがどの程度か、総務省と人事院の方に、簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から単身赴任手当受給者というお話がございましたが、給与法適用職員ベースの数字でございます。これを単身赴任者の数とすれば、平成十七年四月一日現在で二万四百三十八人というふうになっております。

 また、営利企業の役員として兼業を行っている職員、これは研究職の職員だけでございますが、その人数は、平成十六年末の時点で四十人というふうになっております。

 それから、営利企業以外の事業の団体の役員等との兼業を行っている数でございますが、これは総務省の方で把握されておりますが、平成十七年の一年間で七百十件というふうになっております。

小笠原政府参考人 地方公務員の状況についてお答え申し上げます。

 まず、複数就業者数でございますが、これにつきましては全数調査したものはございませんで、都道府県、政令市のいわゆる知事部局、市長部局あるいは教育委員会の抽出調査の結果で申し上げます。

 平成十七年四月一日現在で、兼業している職員につきましては、地方公務員法第三十八条第一項に基づく許可をしたものが約六千件、それから教育公務員特例法第十七条第一項に基づくものが約五千七百件となっております。

 次に、単身赴任者についてでございますが、地方公務員給与実態調査というのがございまして、これに基づく単身赴任手当の受給者数で申しますと、平成十六年四月一日現在で約三万五千人となっているところでございます。

後藤(斎)委員 今のような数字が、今回の改正のプラスアルファで対応する者だというふうに思います。

 これをよくよくまたいろいろな部分で見ていくと、運用の仕方がまた国と地方で仕組みが少し違うなということが理解できました。

 国では、非常勤の職員の方も含めて現在で九十四万人の方々が対象にされている。一方で、地方公務員の方は、常勤職員の方を中心に、きょうおいでいただいております地方公務員災害補償基金でその業務を主に対応しているということでございます。

 そして、その部分でお話をさせていただくと、幾つか興味深いことがわかりました。一つは、実際、平成十五年度現在では、この対象になっている地方公務員の方が三百十一万人強いらっしゃいます。そして、それに従事をなさっている職員の方が、基金の部分で四十七人。そして、支部ということで、専らその業務に対応なさっている方が百十四人、それ以外で、時々というか兼業でなさっている方を含めると千十三人。延べで千六十人の方々が、いわゆる地方公務員の災害補償法の運用、お仕事をなさっています。そして、トータルの件数が年間で大体三万件強。要するに、公務員の三百万人強を、千六十人、重立った方は比率にするとちょうど一〇%くらいの百六十一人でなさっているということであります。

 そして、国家公務員の方は、人事院が大体の大枠はお決めになって、公務員の独法も含めてそれぞれ各省庁に運用というか実際のお仕事はおゆだねになっておって、今、年間の適用件数が大体一万件強だというふうに承知しています。

 これは質問通告はしておりませんが、各省庁の業務に実際に御従事をされている方の、おおよそで結構ですから人数はどのくらいかおわかりになるでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 災害補償の実務は、実施機関ということで各省庁にその実務をゆだねておりますので、各省庁の人事課の中にそういう業務を行う職員が配置されております。そしてさらに、それぞれの現場において補償事務主任者という制度を置いておりまして、そういう方たちが、もし災害が起これば上に報告するというような形になっております。

 この辺は、専担をしている職員もおりますし、それから、通常はほかの業務をしていて事故が起これば業務を行うというようなこともございますので、特にその現場までおりますので、補償事務主任者まで含めて何人ぐらいが従事しているかということは、今の時点ではちょっと把握しておりません。

後藤(斎)委員 これは最後に大臣にもちょっとお尋ねするので、次に進みたいと思います。

 この地方公務員災害補償法に基づく制度の運用、先ほどもお話をしたように、基金で実際の業務を受けて対応されております。そして、この基金が、要するに地方公共団体からの負担金でそれぞれ運用されている。ちょうど一年前の平成十七年の三月末現在で、適用団体が、四十七都道府県を含めて四千五百一件の団体がこの補償基金の対象団体になっております。従業員数は先ほど御指摘したとおりでございます。

 この基金の運用がなかなか、公務員の数も減るし、きのうお話を聞いたところでは、果物ではありませんが、公務員の方が多く災害に当たってしまう年とそうでない年があったりして、ばらつきがあるということで、昨年は収支が赤字になり、昨年の末から御検討なさって、本年の四月一日から、自治体からの負担金を四・六七%平均でお上げになるというふうにお聞きをしています。

 大変細かい質問で恐縮なんですが、今回の四・六七%を負担金としてお上げになるその理由と、この基金の財政基盤の部分で、年金の原資、年金を毎年お支払いしているものがかなり収支を圧迫しているというお話もございます。その年金の問題も含めて、負担をなぜ四月一日から平均で四・六七%お上げになるのか、あわせて簡潔にお答えをいただきたいと思います。

杉原参考人 お答えいたします。

 まず、負担金率でございますが、今お話にございましたように、この十八年度四月から、関係方面の御理解を得まして、若干、五%程度の率でございますけれども、上げさせていただくことになりました。

 これは、私どもの基金の補償費初め運営に要する諸経費なるものは地方団体の負担金その他の収入をもって充てる、こういうことになっておるわけでございますが、その負担金が実際には当基金の収入の九十数%を占めているわけです。大宗をまさに占めておるわけでございますが、この負担金が、今お話もございましたように、近年の対象公務員数の減それから給与単価の減といったようなことで、総給与費が非常に下がってきております。したがいまして、それに対して一定の率を掛けてはじき出します負担金収入額、これが平成十年度以降年々減少いたしておりまして、それから、その他の、わずかな収入でございますが、いわば運用益、これもこの超低金利時代でございますので大変少のうございます。

 一方で、支出の方の、これもまた九十数%の大宗を占めております補償等に要します給付費、これは本来の経費でございますが、これが、過去災害に伴います遺族年金その他の年金給付といったものが全体の六割を占めるということで、構造的には非常に硬直的で、全体としていわば高どまりになってきておりまして、収入と支出の間にギャップが生じてまいっております。このままでは基金財政がもたない、基金の補償業務という運営に支障を生ずるおそれがある、こういうことで、関係方面の御理解を得まして、負担金率を上げさせていただくということになったわけでございます。

 その際、こういういわば不確定要素の多い、財政状況等が非常に流動的な時代でございますので、当面は、今後三年間の収支を見通しいたしまして、その間に収支バランスをとるということを前提にいたしまして、今後見込まれます総経費、給付費等でございますが、総経費から運用収益等を差し引きまして、いわば負担金で賄うべき収入といったものをはじきまして、それを給与総額で割りまして、三年間におきます収支均衡をさせるための新たな負担金率というものをはじき出させていただいたわけです。

 その負担金率が、業種によって違います、九職種ございますが、平均いたしますと、現在までの千分の一・〇七、これを千分の一・一三、そのアップ率でいきますと四・六七、こういうことになるわけでございます。あくまでも平均の話でございますが。そうしまして、基金財政の安定的な基盤を確立させていただきたい、こういうことで上げさせていただくことになったわけでございます。

 それからもう一点、お話のございました年金債務につきましてのいわば準備金といいますか、支払い備金と当基金では呼んでおりますけれども、当基金の財務規程に基づきまして、翌年度以降に支払わなければならない補償等に要する費用に充てる目的で積み立てておるわけでございます。これが、十六年度末現在で申しますと、その額が六百六十八億円ということでございまして、理論計算いたします、いわば既裁定年金受給者に係ります今後の所要見込み総額、二千四百億余りになろうかと思いますけれども、それからしますとまだ低い水準にあることは事実でございます。

 これを何とか確保したいということは理想として持っておりますけれども、いかんせん現在の財政状況もございますので、今直ちにこの分を充足することによって負担金率が大変上がってしまうということは到底現実的でないということでございますので、しばらくはこの額を少なくとも維持させていただきまして、財政状況も勘案しながら、関係方面の御理解を得て、中長期的にはこの支払い備金といったものを充実させていただく、かように考えているわけです。

後藤(斎)委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。

 今理事長がおっしゃられた件で、二千四百億強の年金に充てる原資は実際六百六十八億円しかないという中で、毎年度の収支もなかなか足りなくなったので、今回負担率を上げるということだと思います。

 先ほども数字を御指摘いただきましたが、この地方公務員災害補償基金の運用には、支部に千十三人の方が携わっています。ここの人件費は、今お話をしていただいた部分には、毎年の収支には入っておりません。これは、地方公務員災害補償法、本法でありますが、この十三条の中に「地方公共団体等の便宜の供与」という項目の中で、人を出したり場所を提供して対応しろという規定に基づいているものであります。実際、仮にこの十三条の規定がなくなると、この千十三人、ないしは専ら対応なさっている、支部でいうと百十四人の方の人件費がかさむという事態が、もしかしたら、いずれ五年か十年か先にやってくるということはゼロでないはずであります。

 ですから、私は、確かに厳しい財政の中でそれぞれの地方自治体が負担をなさってやっているという趣旨はよくわかりますが、その点も含めて、これからの基金の運営、そして、その所管官庁では平成十五年になくなっておりますが、地方公務員災害という部分の対応をそれぞれの自治体にお願いをして、自治体全体を所管しているという総務省にも、この十三条の意識、人的な部分、建物的な便宜供与をした上でのまだ足りないという意識をぜひ持っていただきたいというふうに思っています。

 大臣、もう時間がちょっとなくなりそうなんですが、一点だけ大臣にお尋ねをしたいと思っています。

 国家公務員は、先ほども若干御指摘をさせていただきましたが、非常勤の方が大体去年では二十九万人ほどいるという、それを含めて国家公務員災害補償法という体系が成立をしています。一方で、地方公務員は、常勤並びに特別職、知事さんや市長さん、町長さん、議員の方もということでありますが、特別職の方も含めた常勤職員がこの基金の対象であります。非常勤の方々は、一般の労災や、その自治体の条例によって違うということでありますが、その人数は具体的に何人ということはなかなか出てこないようでありますが、この基金を、今お話ししたような、もしこの便宜供与の規定が仮になくなって、さらにこの百十何人を最低お雇いになって日本全体の地方公務員災害補償基金というものを運営しなければいけないという事態に備えるということがありませんが、より効率的に、そして財政も安定させるために、やはり国家公務員の災害補償法の形態と同じように、地方公務員の災害補償制度に非常勤の職員も含めていくべきだというふうに思います。

 あわせて、人事院の方にお尋ねをしますが、国家公務員は、先ほどもお尋ねをしたように、実際の運用は省庁別に対応されているという話であります。しかし、先週も独法が非公務員化になったり、公社が非公務員化になるということになると、これから適用される国家公務員の対象人数はどんどん減っていきます。やはり一元的に対応をし、その対象者が何人いて、そしてその運用をというのを、それは人事院がやるのか総務省がやるのか、どこかというのはこれからの議論だと思いますが、そういうふうにやはり一元化をし、だれでもがその部分を見れば、災害やけがや、例えば公務員である御主人が亡くなったときにどうなるかという部分がやはりまとまって運用された方が、財源、要するに資金管理や資金運用の部分も含めてより正しい方向ではないかなと思うんです。

 もう時間もございませんから、大臣、人事院総裁、簡潔に、地方公務員の部分と国家公務員の部分の一元化についてお答えをいただきたいと思います。

竹中国務大臣 きょう、冒頭で後藤委員が、この制度というのは実は、民間に準拠するように国の制度があって、国に準拠するように地方の制度がある、そういう仕組みだというふうにおっしゃいました。委員の御質問の趣旨は、そういう意味では制度の違いをなくすことはやはり重要なのではないかという問題意識だと思いますので、その点については大変理解ができるところだと思っております。

 ただ、同時に、地方公務員災害補償法では、これは規定によって常勤職員、そして、地方公務員災害補償基金が使用者である地方公共団体にかわって統一的に災害補償を行う、そういう仕組みになっている。ところが、非常勤職員についてはどうするかというと、地方公務員災害補償法で、地方公共団体が条例を制定して、そして災害補償を各地方公共団体において行うというふうにされている。

 そうなっているのはやはりそれなりの理由がございまして、非常勤職員の職種とか勤務の形態、給与の状況というのは、これは地方公共団体によって本当にばらばら、千差万別だと思います。この算定基礎をどうするかということになると、これは技術的に大変困難な問題である。国家の方は、これは当事者でありますから、ある程度対応ができる。そういうような違いを背景にして今のような制度になっているという点に関しては、ぜひ御理解を賜りたいと思っております。

佐藤政府特別補佐人 今御指摘がございましたように、現在、各省あるいは独法等がそれぞれ独自に認定業務を行っているわけでございます。そういう中で人事院は、補償の実施の均衡を図り、総合的に指導、調査を行う機能を有しているわけであります。

 現在、私ども、幾つか問題意識を持っておりまして、例えば認定業務の困難性が増大していること、あるいは要員の確保、育成の問題等々がございますので、災害補償制度研究会というのを最近設置いたしましてこの問題の検討を始めているわけでございますけれども、その中で、今先生の御指摘のあった部分を含めて十分に検討してまいりたいと思います。

後藤(斎)委員 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、私からも公務員の公務災害補償について何点かお伺いをしたいと思います。

 実は私も、この公務災害補償の実務についても現場で多少携わったことがございます。これは、事故があったりいろいろな公務上のトラブルがあったときに大変重要な制度である。しかも、これが公務上のことに認定されるか、あるいは公務外のことになるかによって、その後の本人や御家族やいろいろな方たちの境遇というのも大幅に変わるわけでございますので、よほど慎重に、かつまた最大限公平にやらなければいけないものだというふうに思うわけであります。特に、何らかの事故が現場で起こる、何かトラブルが起こった場合に、本当に誠心誠意やるということが現場では求められているわけでありまして、大変重要な制度だというふうに思います。

 しかしながら、制度は重要ではあるのですが、日常的にいつもいつもそばに必要な制度でない、いざというときに発揮されるものであるがゆえに、なかなか制度の内容も理解されない、あるいはまた、情報公開とかそういった点でも必ずしも十分ではない側面もあるのかなというふうに思っているところです。

 きょうは、私から大きく二つの点について御質問したいと思っています。

 まず一つは、国の公務員と地方の公務員において、公務災害という観点から見ると、随分制度が違っているということでありますね。この違いというのは果たして平等、公平と言える違いなのかどうかというような問題意識から、大きく一つの質問をしたい。それからもう一つは、認定の困難性という言葉が先ほど後藤議員の質疑の中でも出てまいりましたけれども、最近、過労ということに起因する公務災害の認定というのもあろうかと思いますが、過労ということについて少し議論をしたいというふうに思っております。

 まず一点目でございますけれども、国の公務員の公務災害該当件数というのは、直近年で結構なんですが、おわかりのものでどの程度あるのか、しかも、それは過去から比べて増加傾向なのか減少傾向なのかといったあたりについて、まず実態をお聞かせください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 直近のデータといたしましては、平成十六年度一年間で公務上の災害または通勤による災害と認定された件数は、全体で一万三千四百十七件でございます。そのうち、公務災害と認定された件数は一万一千六百四件、通勤災害と認定された件数は千八百十三件となっております。

 この全体の数の推移でございますが、前年の平成十五年には一万五千八百十件という総件数になっておりますので、二千件ぐらい平成十六年は減っているわけですが、他方、国家公務員災害補償制度の対象となる職員数が、平成十六年度におきましては常勤、非常勤合わせて九十三万人というのに対しまして、十五年度は百十六万人。非公務員化等の影響がありまして対象が減りましたので、母数が減っているために災害の対象になった職員も減った、そういう関係になっております。

逢坂委員 いずれにいたしましても、結構な数の公務上の災害というものがあるということなわけです。

 これは実は必ずしも具体的に通告はしていなかったんですが、この認定事由の発生時点、例えば死亡したとか事故が起こったとかいろいろあるわけですが、そこから具体的にこれは公務上の災害であるとかないというような決めがされるまでの時間というのはどの程度かかっているか、もしおわかりになりましたらお知らせ願えますでしょうか。どうでしょうか。

吉田政府参考人 具体的にどれぐらいの平均的な時間がかかっているかというデータは持ち合わせておりません。ただ、一般的な事例で申しますと、そういう事故が起これば、現場で事故が起こった場合には、それぞれに配置されております補償事務主任者というものが、管区機関であったり本省であったり、災害補償の認定をする、統轄する機関に報告をいたしまして、そこで速やかに上外の判断をして補償が実施されるということになっておりますので、一年も二年もかかるというのは決して一般的ではないというふうに理解しております。

逢坂委員 さて、ここからきょうの本題に入りたいと思います。

 そこで、実は、全国の都道府県でありますとか市町村の担当者幾人かに聞いてみたところ、国の制度と地方の公務員の制度が違っているということを具体的に知っている者は余り多くなかったようですね。私自身も実は不勉強でありまして、ああ、こんなに違っていたんだということが今回初めてわかったわけですが、国の制度と地方の自治体の公務災害の制度の実務上の違いについてお知らせ願えますか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員災害補償制度におきましては、国の補償を行う義務、それからそれに対応します職員の補償を受ける権利というものは、災害の発生と同時に確定するもの、法律的に確定するものというふうに構成をされております。したがって、災害が発生した場合には、補償の実施の責めを負っております各府省等が、被災職員の請求を待つことなく、みずから災害を探知して、公務災害であるかどうかあるいは通勤災害であるかどうかの確認を行うとともに、公務災害あるいは通勤災害であるという場合には、補償を受けるべき者に対して速やかにその旨の通知を行う、そういう義務があると構成されております。

 一方、地方公務員災害補償法においては、公務災害の認定は被災職員の請求に基づいて行うというふうに承知しております。

逢坂委員 これは大変大きな差だというふうに思うわけですが、地方公務員の場合は本人の請求だ、国家公務員の場合はそうではなくて、いわゆる実施機関、それぞれの各省庁というふうに言ってよいかもしれませんが、その義務において自動的に公務上の災害であるか否かを判断するんだということで、随分大きな差があるわけですが、この差は何に基づいて発生しているんでしょうか。

吉田政府参考人 国家公務員災害補償制度におきましては、補償は国が職員の使用者として無過失責任に基づいて当然に行うべきものであるということを考えておりまして、職員の請求を要することなく、みずから直接履行する責務というか債務があるというふうに理解されております。

 一方、地方公務員災害補償制度におきましては、地方公務員災害補償基金が使用者責任を代行して補償を行っているということから、請求主義がとられているというふうに理解しております。

逢坂委員 私が聞きたいのは、今おっしゃったその違いはなぜあるのだというところを聞きたいんですよね。よろしいでしょうか。

小笠原政府参考人 まず、大きな前提の違いは、地方公共団体は御承知のように多数ございます、二千弱。そうした多数の団体に働く多数の職員について統一的な取り扱いをするために地方公務員災害補償基金が地方公共団体にかわってこの実務をとり行う、その仕組みが一番違うところだと思います。

 それで、先ほど来人事院から御答弁がございますように、国の場合は、使用者である国、各府省がみずから災害を探知して直接補償を実施しております。地方公務員の場合は、地方公務員災害補償基金が行うものでございますが、地方公務員災害補償基金は地方公務員の方と直接雇用関係にございません。したがいまして、補償事由、つまり災害が発生したことを最初から知り得る立場にございませんので、被災職員からの請求を待って初めて認定あるいは補償を行うことができる、こういう事情がございます。

 なお、こうしたいわゆる請求主義というものは、民間労働者の災害補償制度である労働者災害補償保険制度と基本的には同様の仕組みになっております。

逢坂委員 そういう差というものは一応理解はいたしましたが、であるならば、国の職員と自治体の職員の間での取り扱いの差異、不公平感というものが生じる可能性はないのかというあたり、このあたりについてはいかがでしょうか。特に、時効の問題でありますとか、国なりあるいは基金の決定に対する不満、これはおかしいぞというような考えを持ったときの対応についてはいかがでしょうか。その辺、不公平感を生じることはないでしょうか。

佐藤政府特別補佐人 国家公務員の場合でございますけれども、今いろいろ答弁がございましたように、各省みずからが災害を探知して補償を実施というのが原則でございます。ただ、一方で、被災職員の申し出を端緒として災害補償手続が開始される方法も認められております。また、当該申し出があった場合において公務災害でないと認定された場合、人事院に対して審査の申し立てもできることになっております。

 したがいまして、補償を受ける権利は十全に保護されているということで、請求主義をとる地方公務員と比較して国家公務員が不利益となるということはないというふうに考えております。

逢坂委員 私の問題意識は逆でありまして、国家公務員に対する不利益ではなくて、自治体の職員に対する不利益の方があるんじゃないかなという気がしないでもないんですが、それについては後にもうちょっと話をしたいと思います。

 それでは、もう一回その事実を確認したいと思いますが、国家公務員レベルで公務災害の認定というのが、公務災害というか、いわゆるこの法律に該当する認定というのは一万三千件、もしくはその前年では一万五千件ベースという話がございましたけれども、これは要するに、実施機関が直接認定するというもの以外にも、今人事院の総裁から本人の申請に基づいてやるものもあるという話がありましたけれども、直接認定したものと申請したものの数はどの程度差があるんでしょうか。あるいは、本人からいろいろ申し出があってやったけれども、公務上で認められたものと認められないものというのは何件ぐらいあるのでしょうか。このデータをお知らせください。

吉田政府参考人 職員の申し出に基づく災害補償がどれぐらいあるかという具体的な件数は把握しておりませんが、平成十六年度において、職員の申し出があった場合及び現場の補償事務主任者が公務災害または通勤災害に当たるのではないかと思料して当局に報告をしたもので、公務災害または通勤災害に認定されなかった件数、これは百六十九件でございます。

逢坂委員 今の話からもわかるとおり、私は、この公務災害、特に国の職員における公務災害の関係については極めて透明性が低いというふうに思うわけですね。それから、実施機関ごとに分かれてやっているわけでありますので、その統一性でありますとか平等性をどうやって確保しているのかというところについても、必ずしも十分ではないのではないかという気がするわけであります。

 それから、なお一方、例えば法律に基づくいわゆる不服申し立てに関しましても、これはちょっと私の認識が違っていれば御訂正願いたいんですが、国家公務員の場合は不服の申し立てに関する期限はないというふうに人事院の方から伺ったような気がいたします。一方、自治体の職員の場合は決定があった日から六十日以内にしなければならないというようなことがあるわけです。これは物すごい大きな不平等ではないかという気がするんですが、いかがでしょうか。私の認識は間違っていますでしょうか。

吉田政府参考人 先生お尋ねの件は、公務災害補償あるいは通勤災害補償の時効の進行との関係だろうと思いますが、国の場合には、先ほど来御説明しておりますとおり、国の直接責任で、しかも災害発生時において既に確定した債権を履行するという考え方をとっております関係で、そういう債権といいましょうか、公務災害であるあるいは通勤災害であるということを国が被災職員に通告してから具体的な時効というのは起算されるという整理になっております。

 ですから、一般論として、いつでもできるということでは必ずしもございませんで、初めて災害が認定される場合については、実施機関から上外認定についての通知がなされるまでの間はそういう時間的な制約はないわけですけれども、一たんそこで認定されて、例えば遺族補償年金を受けるということが確定した後は、その個別具体的な年金を受ける権利というのは当然時効の対象になってまいります。

逢坂委員 ちょっと私もまだ不勉強なところがありまして、質問が悪かったのかもしれませんが、国家公務員災害補償法第二十四条第一項の規定による審査というのは、今の答弁でよろしいということでしょうか。

吉田政府参考人 災害補償法二十四条の審査申し立ては、行政不服審査法の対象になっていない別体系の手続でございますので、その意味では、これにいわゆる審査請求の期間とかそういうものの定めはございません。

逢坂委員 というように、今一つの点を見ただけでも、これは自治体の職員の方が聞いたら物すごい差異だというふうに思うわけですね。決められたことに対する不服、これはおかしいんじゃないですかと言える期間が自治体の職員は六十日だ、行政不服審査法の規定のような適用があるわけですね。一方、国の職員の場合にはそれがないということでありますから、これは大きな不公平だというふうに私は感ずるんです。

 大臣、このあたりは修正していく必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。これは一例でございます。

竹中国務大臣 時効云々については、ちょっと通知をいただいていませんでしたので、私もちゃんとまだ個別の問題については勉強しておりませんが、一連の質疑で逢坂委員がきちんと今明快にしてくださいましたように、やはりこれは、国家公務員、地方公務員、国と地方それぞれ、いわば国とこの場合は基金ですね、当事者の立場というか、当事者能力が違う、当事者としてのキャパシティーが違うということなわけでございます。

 国は、これは直接関与するわけでありますから、いわゆる職権探知主義をとって、それに対して、もうその時点で責務を確定しているしという、その出発点から違う。ところが、この基金の方は、地方公共団体を代行して補償するという立場でありますので、そこの手続の違いというのは、これはやはり認めなければいけない問題なのであろうかと思っております。

 そこの仕組みの問題と、もう一つは、そういう中に、国としては、そもそも恣意性が入ってしまうのではないかとか、そういうことも含めた、時効の例も挙げられましたけれども、不公平があるのではないかということに関しては、これは常にチェックをしていかなければいけない問題であるというふうに思います。

 ただ、国の場合ですけれども、人事院が認定基準や手続を定めて、そして補償の実施状況の調査とか必要な是正指導を行うというような形で、各府省間のばらつきといいますか、そういうことがないような認定の仕組みにはなっている。同時に、地方の基金においても、そういう手続とか認定の基準のようなものはあると聞いておりますので、その意味で、国と地方での不公平な取り扱いというのは生じないように我々としても努力をしているつもりでございます。

 不断の見直しをするということは否定をいたしませんが、現状ではそのような仕組みになっているということを御理解賜りたいと思います。

逢坂委員 今の大臣の答弁を聞いて、半分納得、半分は少し食い足りないなという不満が残るわけですが、私自身もこの点もう少し勉強させていただいて、やはり今、これだけいろいろなことが公務員に対して言われているわけですから、片や一方は、何となく都合のいい部分を温存して、表へ出ていない。

 それから、きちんとした統一的な運用ができるようにいろいろやるということでありますけれども、それについても必ずしも、今いろいろ人事院の方からも答弁いただいた中でも十分とは思えません。といいますのは、例えば、申し出による件数の総数はわからないというような実態もあるわけでございますので、本当にそれではちゃんと指導しておるんかという疑問も当然出てくるわけであります。

 この点、ぜひ、先ほどの後藤委員からの質問にもありましたとおり、国、地方を通じて、国民に信頼される、そして公務員が安心して働けるような制度にしていかなければいけないというふうに強くお願いを申し上げたいと思います。機会があれば、この点またさらにお伺いしたいと思います。

 次に、冒頭に言いました過労ということについてなんですが、実はこれはなかなか難しい問題だというふうに思いますね、過労。

 手元に新聞記事のコピーをたまたま持ってまいりましたけれども、これは二〇〇五年九月二十八日の北海道新聞の朝刊でございますけれども、これに、社会保険庁の職員が過労で自殺をしたというような記事が載ってございます。最終的に国に七千百八十万円賠償判決があったというようなことが載っているわけですね。これは国の職員のレベルの話であります。

 それからもう一方で、二〇〇六年一月十二日の、これも私の地元の北海道新聞の記事ですが、これは地方公務員の話です。一九九九年十一月に厚岸中学校の教頭先生が自殺をしているわけですが、これについて、最初は公務外の災害というふうに認定があったけれども、それに不服があった奥様が相当努力をして、異議の申し立てをして、六年余りかかって、最終的に公務上の災害だというふうに認定されたということであります。

 これは、事故ですとか、いわゆる何か物が落ちてきたとか、そういう場合は因果関係を明確にしやすいんですが、過労ということについては、なかなか客観的に認定するのは難しいというふうに思うわけです。しかしながら、これから公務員、国、地方を問わず、勤務成績でありますとか仕事の成績によっていろいろと公務員の職務をはかっていこうというような時代に入ってくると、この過労ということがますます重要になってくるんだと思うんです。

 過労というものをどう認定するのか、そのあたりの考えをまずお聞かせください。

吉田政府参考人 いわゆる過労による公務災害につきましては、三つのタイプがございます。一つは、心筋梗塞、脳出血等の心臓及び脳の疾患、それから二つ目に、急性ストレス反応等の精神疾患、三つ目に、そういった精神疾患に起因する自殺というような分類をいたしております。

 これらにつきましては、先生御指摘のように、通常の疾病に比べて非常に認定に困難がございますので、人事院では、それぞれについての認定基準というものを専門家の意見も聞いて策定しております。

 例えば、具体的に申しますと、心臓・脳疾患については、発症直前に業務に関連して異常な出来事あるいは突発的な事態に遭遇した、そして、発症前一カ月間に正規の勤務時間を超えて百時間程度の超過勤務を行った場合など、日常の業務に比較して特に質的、量的に過重な業務等に従事したことによって発症した場合などを公務上の災害と認定するというような取り扱いを行っております。

逢坂委員 そこで、さらにお伺いしたいんですが、現在、国の職員の段階で、この法律に該当するしないによってトラブルを抱えているもの、要するに、国はいろいろ、こういう認定をしようと思ったけれどもそれは違うよとか、あるいは、実は我々は過労によってこれは公務上の災害になるだろうというふうに、いろいろトラブルになっている案件というのはどのぐらいございますか。

吉田政府参考人 現在、私どもが承知しております案件で、訴訟等になっております案件は一件でございます。

逢坂委員 訴訟は一件ですけれども、実務上、いわゆるもめるという言葉が適切かどうかはわかりませんけれども、そういう案件というのはないんでしょうか。

吉田政府参考人 人事院に対して、精神疾患事案等で審査の申し立てがなされた件数というのは、最近五年間で十五件となっております。

逢坂委員 その十五件のうち、公務上と認められたものは何件ございますでしょうか。

吉田政府参考人 具体的に、今の十五件の結果というのは、ちょっと今ここに把握してございません。

逢坂委員 実は、この問題につきましていろいろとお伺いをしてみますと、やはり情報の整理といいましょうか実態の把握が極めて甘いのではないかという印象を持ちます。それぞれの実施機関がある種独立にやっているというその意味、意義は理解はいたしますけれども、先ほどの後藤委員からの質問にもあったとおり、統一的に公平な基準でやるという観点が必ずしも徹底されていないのではないかという印象を強く持つわけであります。

 このあたり、それぞれの実施機関の恣意性が入ることのないように、がっちりとした対応が必要なのではないかと思うわけですが、この点につきまして、人事院総裁それから総務大臣、それぞれから御見解をお伺いしたいし、今後へ向けての問題点などもお話しいただければと思います。

佐藤政府特別補佐人 今御指摘の点につきましては、特に私どもも、大変これから件数についても増加するし、また御承知のように、それを公務災害と判断する基準というのは大変難しくなってくるのではないかというふうに思っております。

 したがいまして、私どもも、これまでも時々の、例えば医学的知見の進歩に応じまして基準の見直しを行ってきておりますけれども、今後とも十分に諸事情の把握、収集を行いまして、また専門家の意見も聞きながら基準の改善を図っていきたいというふうに思っております。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、特に過労とかになると本当に難しいでしょうね。医学は私は専門外ですけれども、それでも素人なりにこれは難しいなというふうに思います。

 人事院、そういう中で必要な基準を定めていろいろな御苦労をしてきてくださっていると思っています。平成十一年に精神疾患、十三年に心臓そして脳血管疾患の認定について定めた基準において、具体例を挙げながら、いろいろなことを評価していくというふうにされているわけでございます。

 今、人事院総裁の話にもありましたように、医学的知見を最大限活用しながら、しっかりとした、これは難しいことはもう百も承知だけれども、やはりそれでもできるだけ客観的な基準をつくっていくための努力が必要であるというふうに思っております。

逢坂委員 三十分間の短い質疑でしたけれども、今の中からも、やはり国家公務員における公務災害制度は必ずしも透明性がない部分があるのではないかということが多少は感じられたのではないかと思います。

 それに比較しまして、地方公務員の災害補償基金の方、インターネットを見てもホームページで統計なども出ておりますし、極めて統一的な対応がとられているわけであります。

 今、行政改革推進法案が出され、きょうからまた議論が始まるわけでありますけれども、そういう改革をする上で極めて大事なのは、実態の把握であります。実態の把握なしに改革はできないわけであります。患者さんを診るときに病状をわからずして処方せんを書く医者はいないわけでありますから、ぜひとも、人事院総裁、総務大臣、この実態の把握というものをがっちりとして国民に明らかにする、その姿勢を貫いた上で改革をしていただきたい。そうしなければ余計な痛みや不公平感だけが伴う改革になりますので、強くこの点をお願い申し上げまして、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、きょう最初に、石綿による、アスベストによる業務災害について質問したいと思います。

 昨年、総務省は、石綿暴露による職員の健康調査の結果を発表しました。それによると、私は以前から問題意識は持っていたんですが、水道管、石綿管ですね、これの石綿管布設がえ工事がよく行われてきましたが、必ずそのときカッターで切ったりするものですから、石綿を使っている石綿管の場合、石綿が飛び散るわけですね。それによる暴露で被害が発生するということがあったわけですが、実際に職員が中皮腫を発症した、死亡した事例というのが水道業務の中で公務災害として認定をされております。

 そうした事例というのは、このほかにも見ていきますと、中皮腫を発症しているという事例としては、消防職員それから消防団員の方がおられるわけですね。火災になって高圧放水をやりますと、石綿ボードなどでできている家屋、建材をどんどん破壊、火を消すということは同時に高圧放水ですから破壊もしますが、飛び散るわけですね。その結果として、消防職員の方についてもやはり対策を考えなきゃいけないという問題が出ております。

 消防職員では、三名の方が中皮腫を発症されて、二名の方はお亡くなりになっているんですが、これは公務との因果関係不明という状態に置かれてしまっているんです。それから消防団員は、十七名の方が中皮腫を発症して、十五名の方が既にお亡くなりになっているんですが、こちらの方は消防活動に従事していたことによって中皮腫を発症したものではないとされているんですね。

 ですけれども、消防庁の方は、アスベスト対策の防じんマスク、アスベスト用の防じんマスクの着用の徹底を呼びかけておりますし、すべての消防署と消防団にアスベストの吸引を防ぐことができる防じんマスクの配備と着用ということについて既に指示をしていると思うんですね。さらに、アスベスト規制が始まる前の耐火づくりの建築物のリストアップを行って、いざこの建物を消火しに行くというときには、それは相当注意してやらないと、火を消すとともに消防職員の方の健康、安全を守ることをやらなきゃいけないということを、消防庁としては、既に全国に通達を出し、指示をしておられると思うんです。

 最初に伺っておきたいのは、現在、防じんマスクの配備がどれぐらい進んでいるのか。それから、実際に着用がどのように進められているのか。さらには、アスベスト規制以前の耐火づくりの建築物のリストアップをやって、いざ出動したときに対策がとれるようにきちんと把握されているのかどうか。この状況をまず伺います。

板倉政府参考人 消防庁におきましては、今お話ございましたとおり、アスベスト対策といたしまして、消防職員、消防団員の安全確保のために、消防職団員が災害現場におきまして消防活動を行う際に空気呼吸器または石綿粉じんの吸入を防止することができる性能を有した防じんマスクなどの保護具を着用させ、消防職団員が石綿粉じんを吸入しない措置を講じるように、また、防じんマスク等につきましては、各消防本部等の実情に応じ必要な数を早急に整備するように、各都道府県を通じまして消防本部等に通知したところでございます。

 政令指定都市を初めといたしまして、各消防本部などにおきましては、上記の通知に従った取り組みが順次なされているというふうに承知をしております。消防庁におきましては、引き続き機会をとらえまして、各消防本部等に対して趣旨の徹底を行ってまいりたいと思っております。

 また、実際の着用状況でございますが、当然のことながら、配備をされました各消防本部におきましてはその通知に従った取り組みが順次なされてきているというふうに私どもは思っておりますけれども、実際どういうふうに具体的に行われているかということは個別には確認はしておりませんが、必要な措置はとられているというふうに考えております。

 そういうことが今後広がっていくように指導を徹底してまいりたいというふうに思っております。

吉井委員 今お話ありましたように、指示はし、指導もしていらっしゃるわけですが、実際には、まだこれまでどれぐらい着用がされていたかとかつかめていないし、まして、通知を出して以降のことはわかるにしても、過去に実際にアスベスト等の粉じんが舞う中で、これは阪神大震災のときもそうでしたけれども、消防職員の方というのは本当に献身的に随分頑張っていただいているわけです。ところが、今言いましたように、中皮腫だとわかっていても、公務との因果関係はなかなかわからないということでそこが補償されないというのは、私はやはり問題だというふうに思います。

 実は、昨年、アスベスト問題について、秋の国会でしたが、十月十九日の厚生労働委員会のときには尾辻大臣の方が、中皮腫というのはアスベスト被害という考えでいいんだ、疑わしきは救済をするべきだという考えを出され、また、十月十二日の内閣委員会で細田官房長官に伺うと、アスベスト由来は、病名にかかわることなく、すべてを救済するという立場で立法に臨んでいきたいというお話もありました。

 医学的には、中皮腫というのは基本的にアスベストによるものというふうにされておりますし、実際に体の中に器具を挿入して細胞をとって、本当にアスベストが見つかるかどうかなんというのは、そういう痛い思いをしなくてもいいんだということになっているわけですね。

 ところが、消防職員の方が中皮腫ということになっているのに、公務といまいち明確にならないなどということを言って、それで救済をされない、補償をされないということになると、私はやはりこれは問題だというふうに思うんです。消防職員についてもそうですが、消防団員の方についても同様に、中皮腫で亡くなる方まで出ていて、中皮腫で治療に当たっておられる方がおっても補償をされないというのはやはり問題だと思います。

 石綿救済の新法をつくりながらこの救済は考えないというのはやはりおかしいわけで、私は、これは業務災害としてきちんと受けとめて対応していく、そのことが基金の側でも必要だと思います。

 これは業務災害として、これは消防庁の話じゃなくて、消防活動に当たっている方について、アスベスト粉じん等舞う中、随分頑張っていらっしゃるわけですから、中皮腫となっているのにこれを業務災害として認めないというのはおかしいのではないかということを言っているわけです。どうですか。

板倉政府参考人 お話しの消防職員及び消防団員の健康実態調査につきましては、昨年実施をいたしまして、今おっしゃったとおりのような結果になっております。

 私どもといたしましては、いわゆる公務中に災害に遭った場合には、当然のことながら、きちんとした公務災害の補償をしていただきたい、こういう考えでございますけれども、何分にも中皮腫と今の公務上の関係といいましょうか、因果関係がどういうふうに、医学的に証明されているのかいないのか、私どもの方としましてはちょっとそこのところは明確には承知をしておりませんので、いわば公務上に起因することであれば確実に救済をしていただきたいという基本的な立場でございます。

吉井委員 火災が起きれば、本当に一分一秒を争って消防士の方たちは駆けつけられるわけですね、あるいは地域の消防団の方たちが駆けつけて消火に当たられるわけです。そのときに、アスベストを使った配管類、空調用の配管とか、特に配管の場合には吹きつけアスベストが多かったんですけれども、それで随分被害が広がっていますから、空調工事の人たちも、中皮腫だとか、お亡くなりになった方が多くて、今それを救済というところへ進んでいる時代なんですね。

 そのときに、確かに水道管の方の石綿管の工事の場合ですと、切断で巻き起こったからということで、業務との因果関係明瞭ということでこれは救済の対象になったわけですけれども、労災の対象になったわけですけれども、しかし、消防の場合、どの火災現場でアスベストを吸ったとか必ずしも明確にならないということで認定を受けない、おかしいと思うんですね。

 実際には、たくさんのアスベストを使った耐火構造物やあるいは吹きつけアスベストの空調配管のあるところでも随分献身的に頑張っていただいて、決死の思いで消火活動に当たっていただいて、ただその因果関係がはっきりしないといったって、現実にはアスベスト粉じんをまき散らす中で頑張ってきているわけですから、これは政府も、中皮腫の発症はほぼ一〇〇%石綿によるものということでしているわけですから、特にそれがことしの新法のときのきちっとした考え方ですから、私は消防業務による公務災害と認定するのが当然のことだと思うんです。

 こういう点は、きちんとそういう立場で臨まれるんですね、伺っておきます。

杉原参考人 消防団員は消防団員等公務災害補償等基金の方で所管しておりますけれども、消防職員につきましては、私どもの方へ申請が上がってきましたら適正に判断してまいりたいと思います。

 いろいろ御指摘ございましたように、事中皮腫症につきましては、原因はほとんどアスベストである、これは医学的にも言うことでございますし、厚生労働省の研究報告にも出ているようでございます。

 私どもとしましては、厚生労働省の方の基準がつい先月出されましたので、それに基づきまして、申請がありましたら、慎重にといいますか、できるだけ迅速かつ適切に対応してまいりたいと思いますが、実際の認定事務に当たりましては、そういった医学的所見のほかに、やはりアスベストが原因であるということはそうにしても、そのアスベストに一体どういう形でいわば被曝したのか、被災職員が被曝の対象となります石綿暴露作業にどういった形でどの程度従事したか、あるいは被災職員の既往歴、家族歴、勤務歴といったものを判断させていただきまして、適正に公務上外の判断をさせていただきたいと思っております。

吉井委員 要するに、石綿暴露というこの状況の中で働いた方ですね。どの火災現場では石綿暴露を受けたとか、どこはそういうことがなかったとか、簡単にわかる話じゃないんです。しかし、過去において、特に石綿による障害というのは、短い場合は一年未満の人もおりますけれども、三十年、四十年たってですから、そんな三十年前の火災現場まで今から調査のしようがないんですよ。

 だから、ここでのお話は慎重に調査してという言葉を使っておくにしても、現に中皮腫で亡くなられた消防職員の方がおられて、そして、中皮腫でありながら治療に当たっていても業務災害と認めてもらえない方とか、消防団員の方でも同様に、十七名の方が中皮腫となっていながら、既に十五名の方が亡くなっているんですけれども、きちんとした対応がされないというのはやはりおかしいので、私は、これは消防の皆さんの健康管理と士気にもかかってきますから、この業務災害についてはきちんと対応をしていただきたいというふうに思います。これはいいですね。

杉原参考人 適正に、きちっと対応してまいりたいと思っております。

吉井委員 次に、公務災害の認定審査期間を短くして、やはり迅速にきちんと補償をしていくことが大事だというふうに思うわけです。それは理事長も、一月号の「災害補償」の巻頭言でもその立場を述べていらっしゃるわけですね。

 直近のものを取りまとめたのを見ますと、本部協議事案の処理件数、再審請求事案の裁定件数というのを見ますと、二年以上かかったという事案が、本部協議事案で、二〇〇二年の六件が、二〇〇三年三件、二〇〇四年十五件とふえているわけですね。再審請求事案でも同様に、二十六件、三十二件、四十件とふえているわけですね。

 二〇〇四年度は四十件とふえたわけですが、これは、長い間結論が出なかった事案に特にこの年度は力を入れて審査するという方針であったのかどうか、これを一言伺っておきます。

杉原参考人 今お触れになりました私の新年号巻頭言でも述べておりますし、前の国会のときに同じ吉井議員にもお答え申しました。迅速な処理というのは最大の業務運営上の課題だ、こういうふうに認識いたしまして、職員にもそのことを徹底させるようにやっているわけでございます。

 そこで、言葉の使い方として必ずしも適切ではございませんけれども、かなりたまってきた案件が確かにございました。これを早く処理しよう、いわば、ある意味では在庫整理と言っちゃ申しわけございませんけれども、そうしますと、どうしても受理した早いものから、つまり長くかかっているものからまず優先的に、これは物の順番でございますから、どんどん処理するというようなことをいたしました結果、例えばでございますけれども、本部に私どもの理事長協議として上がってきて処理いたしましたのが、平成十五年度は百五十三件でございましたが、平成十六年度には二百四十二件ということで、五割増し以上の件数を処理させていただいたわけでございます。

 ちなみに、それのうち六カ月以内の処理は、十五年度は五十件でしたが八十七件、一年以内の処理が、百十二件が百五十四件、こういうふうに件数でふやした結果になりまして、それなりの効果は上がってきたと思います。

 ただ、平均処理日数ということで計算いたしますと、そういう古いものを積極的にいわば迅速処理するということでやりましたものですから、平均処理日数が若干上がったりするということはちょっとお許しをいただきたいと思っております。

 そういうことで、着実にある程度の成果は上がってきていると思いますけれども、まだまだ十分だと私ども認識しておりませんので、引き続き迅速な処理といったものに最大限の努力を傾注してまいりたいと思っております。

吉井委員 裁定した四十件の中で、裁定が出るまでに一年以上かかったものが九件あったということで、言葉が適切かどうかはともかくとして、在庫一掃という言い方をしているんですが、ちょっと妙だなと思うけれども、要するに、長くかかっているものを早くしようということでやってきたのは出ているわけです。

 逆に、基金本部との協議事案で一年以内に公務上と判断したものが、二〇〇二年の八一・三%から七三・〇、六三・六と、だんだんだんだん一年以内にというのが減ってきていますね。この状況を見たときにも、逆に今度は古いものを優先して、早く新しいものについてきちんと処理していかなきゃいけないのに、遅くなっているんじゃないか、一年以内に結論が出る割合がだんだん少なくなってきている。これはこれでやはり是正を図らなきゃいけないと思うんですが、どうですか。

杉原参考人 大変、数字を申し上げて恐縮でございますけれども、今の本部の関係の処理でいきますと、一年以内に処理、結論を出しましたのは、平成十六年度は六三・六%、一月以内から始まりまして一年以内までの累計は六三・六%ですが、平成十七年度、この十二月末までですと、それは八一・三%ということで、一年以内の処理の割合はふえているということでございます。

吉井委員 私が言っているのは、三年間、それは上がった年、下がった年、ようわかっているんですよ。だから、傾向としてつかまなきゃいけない話で、二〇〇二年から二〇〇四年にかけて毎年下がってきているというのは事実の問題として言っていますので、ぽこっと上がっても、来年また下がるかもしれないんですから、一年、二年の話でそれを言っちゃだめなわけで、そのことを踏まえた上で、私は、やはり早くこれを処理していくという点で、今、職員の皆さんがどうなっているのか、認定業務に専任で当たられる方がどうなっているのかということをやはりきちっと見ておかなきゃいけないと思うんです。

 実際、三年間で自治体職員は九万人減っているんです。つまり、母数は減っているんですが、受理件数は三万二千台、認定件数は三万一千台から二千台、大体横ばいなんですね。ですから、母数は減っているんだけれども、受理件数も認定件数もふえている。

 そういう中で、やはりどういう対応をとって、理事長が一月号でもおっしゃった認定スピードを上げていくかということを考えたときに、私は、全国で見ますと、専らこの基金の業務に従事している職員数が減っているという問題ですね。専門的に従事する職員をまさか減らすという方針ではないだろうと思うんですが、現実には減っている。だから、こういう点では、まず従事する職員配置をきちっとやっていく、そういう方針で臨むということ。専門的な経験の蓄積という点で、やはり専ら業務に従事する方ですね。見かけ上の数をふやしたって、兼務でふやしたんじゃ余り意味がないわけですから、専門的にこれを見ていく、担当していくという方を、今見てみますと、専任職員を配置している支部は六十のうちの半分の三十一ですが、支部に複数以上の専任の職員はやはり最低でも置くべきだと思うんです。

 支部に複数以上の専任職員を置いていく、このことについて、基金の方と、それから公務員部の考え方というものを伺っておきたいと思います。

杉原参考人 現在、支部で基金業務に従事している職員は、お話しのように、専任、専ら基金業務に従事というのは百十四名でございます。それ以外に、併任、いわば県庁の仕事などとあわせ持っている職員を入れますと千十三名ということで、余り人数がふえていない。専任につきましては、若干ですけれども、確かに減っているわけでございます。(吉井委員「ふやしますね、ふやしていきますね」と呼ぶ)

 これは、先ほどもちょっとお話が出ましたように、各支部が、地方公共団体の人的、物的な協力ということでやっていただいております。いわばお願いの筋でございますけれども、私どもとしては、本来でございましたら、できるだけ職員を充実させていただくというのは当然、希望でございます。ただ、今大変厳しい行政環境でもございますので、なかなか大変でございますが、できるだけそれをお願いしていきたいと思っております。

 あわせまして、本部の方も同じことだと思っております。

小笠原政府参考人 まず、法律の基本的な考え方は、先ほどからいろいろ議論に出ておりますように、地方公務員の公務災害に対して公正に、かつできる限り迅速に対応するということが法の目的であると思いますので、私どもも、これを基本にいたしまして、基金に対して適切に指導してまいりたいと考えております。

 ただ、先生御指摘のいわゆる基金の支部職員の数あるいは専任職員の問題でございますが、これは、現在の法律におきまして、基金の運営に必要な範囲内において地方公共団体の機関が便宜の供与を行うことができる、こういうようなことに基づいて行われているものでございます。

 したがいまして、理事長のお話もございましたが、やはり各地方公共団体の御判断あるいはその支部の実情といったものも勘案して行う必要があるだろうと思いますので、私どもとしては、るる理事長がおっしゃっておりましたような適切な進行管理あるいは個々の職員のパワーアップ、そういったような御努力にも期待したいと考えておる次第でございます。

吉井委員 期待だけじゃなくて、やはり専任で頑張る人をふやすように取り組まれることを強く申し上げて、質問を終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 まず、今回の改正の一つの柱であります障害の重度による等級分け、これについてお伺いいたします。

 労災法の改正に倣って人事院規則にゆだねられるということになりました。労災法倣いという点ではわからないではありませんが、公費負担としての公務災害という観点からいたしますと、障害の等級区分けを人事院規則とするという積極的な説明は不十分ではないのかな、こういう感じを一つ持ちます。二つ目は、規則とすることで医学的知見や医療技術等の進歩が障害を受けた者に現実にどれだけの利益となるのか。

 こういう点について、まず人事院総裁の説明をお願いいたします。

佐藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 国家公務員災害補償制度における補償の実施についてでございますけれども、これは、民間労働者の災害補償制度である労災保険制度との均衡を考慮すべきということとされております。そのため、国家公務員災害補償制度につきましては、昭和二十六年の制度創設以来、基本的には労災保険制度の動向を踏まえて改正を行ってきたところでございます。

 そういう中で、障害等級表でございますけれども、これにつきましては、国家公務員災害補償制度においては法律で定められている、一方で、労災保険制度では厚生労働省の省令で定められているわけでございます。したがいまして、これまでも、労災保険制度の改正に合わせた機動的な対応ができず、改正時期がおくれることもあったわけでございます。

 近年、一昨年の目や指の障害の見直し、それから最近の胸腹部臓器の見直し等で労災保険制度の障害等級表の改正が重ねて行われているわけでございますので、国家公務員災害補償制度においても、障害等級表を人事院規則で定めることによって機動的な対応を図ることができるというふうに考えております。

 それから、障害を受けた人にどのようなメリットがあるかということでございますけれども、今申し上げましたように機動的な対応ができるわけでございますので、例えば労災保険制度の改正に合わせて障害等級の引き上げが行われるような場合について、それとの均衡のとれた補償を迅速に実施することができるということで、障害を受けた人にとってもメリットが生じる場合も多々あるというふうに考えております。

重野委員 そこで、公務災害の認定状況について聞きたいと思うんですが、その前に、この数年間、毎年三万人を超す人が自殺している。国家公務員においても、二〇〇三年度だけで百三十四人が不幸にしてみずから命を絶った、そのように聞いております。

 そこで、公務に起因すると否とにかかわらず、この五年間に自殺者が何人おるのか、どういうふうに把握されているのか、その説明をお願いします。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般職の国家公務員で最近五年間の自殺者数の推移を見てみますと、平成十二年度及び十三年度が百二十九人、平成十四年度及び十五年度が百三十四人、平成十六年度が百二十二人となっております。

 なお、平成十六年度につきましては前年度比で十二人減少しておりますが、この背景には、調査の対象となりました一般職の国家公務員の数が、国立大学等の法人化に伴いまして七十八万人から六十四万人、十四万人減少した事情があるというふうに考えております。

 ちなみに、職員十万人当たりに換算した死亡率というものを見てみますと、十六年度は十五年度に比べまして一七・一から一九・〇というふうに増加しております。

重野委員 本当に厳しい数字だと思うんですが、自殺をするにはそれぞれ個々の理由があるわけですね。あるいは、それなりの予兆があるというふうに聞いているんですが、そういう状況についてそれぞれの職場でどういうケアというものがなされているのか、またそういう実態を把握されておるのか、その点についてもお伺いいたします。

吉田政府参考人 公務におきましては、精神及び行動の障害による長期病休者という者が、平成八年度には千五十人でしたけれども、平成十三年度には千九百十二人に増加しておりまして、傷病の種類の別で見てみますと、がんを抜いて第一位となっております。このような状況を踏まえまして、いわゆるメンタルヘルスケアにつきまして、各府省の支援のための対策をいろいろ進めているところでございます。

 これまでも、精神科医による指導委員会をつくりまして心の健康づくり全般についての意見を聞きながら施策を出してきておりますが、最近の状況を踏まえまして、平成十六年に、人事院、各省庁の人事当局、それから職場の上司、職員本人等が特にそういうメンタルケアの一環としてどういう行動をとった方がいいのか、あるいは、心が健康なとき、不健康なとき、回復したときのそれぞれの状況に応じた対策はどのようにとればいいのかというようなことにつきまして、基本的な考え方を示した「職員の心の健康づくりのための指針」というものを発出いたしました。この指針をさらに具体化するために、早期対応あるいは職場復帰等の四つの課題ごとにマニュアルを作成いたしまして、各省庁職員への普及を図っております。

 それから、来年度におきましては、これらに加えまして、円滑な職場復帰、再発の防止のために、人事院で心の健康づくりに関する専門医を確保いたしまして、各府省共同で活用してもらうというようなシステムを考えております。

 今後とも、心の健康づくりの施策の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

重野委員 そこで、現在、国家公務員、地方公務員ともに、精神疾患に対する補償認定をめぐって不服申し立てが出ていると思うんですね。それはどれぐらい出ておるのかということが一つ。

 それで、その不服申し立てに基づく再審査期間、それはどの程度かかっておるのか、それが二つ目。

 それから三つ目に、自殺を公務災害と認定した件数及びこれが認定されないことによる不服申し立ては一体何件あるのか。

 これについて、人事院並びに地方公務員災害補償基金の説明をお願いします。

佐久間政府参考人 災害補償のうちで精神疾患という形で申し立てのあった件数でございますが、平成十二年度から十六年度の五年間で十五件ございます。その内訳ですけれども、自殺に関しての申し立てが七件、その他の精神疾患での申し立てが八件ということでございます。

 さらに、審査の処理期間がどのようになっているのかという御質問でございましたけれども、通常、災害補償に係る審査の申し立てがあった場合には、申し立てを受けまして、事実の調査、そして判定の作成、そういう手順となるわけでございますけれども、中には非常に困難な事案等もありますので、なかなか一概に処理期間を申し上げるのが難しい面がございますけれども、最近では、受け付けてからほとんど一年以内に処理する、そういうことで対応をしておるところでございます。

杉原参考人 まず、精神疾患、これは自殺以外でございますけれども、精神疾患に係ります不服申し立ての件数などを申し上げたいと思いますが、平成十二年度から十六年度までの五年間で、審査請求、これは支部審査会への審査請求でございますが、二十四件でございます。それから、さらに不服のある場合の本部審査会に対します再審査請求の件数が十一件となっております。

 それから、それに係ります再審査請求平均処理期間でございますが、これは十七年度の、この二月末現在の数値で申しますと八カ月程度でございます。

 それからもう一点は、自殺に係ります公務上認定件数でございますが、まず、同じ五年間で十七件でございます。それが上の認定をした件数でございます。それから、審査請求として出てきましたのが五年間に三十一件、再審査請求として出てきましたのが八件、こういうことになっております。

吉田政府参考人 最近五年間で自殺により公務災害として認定されたもの、これは不服申し立てを経ずに、不服申し立てに行かないで、直接各省庁、実施機関で認定された件数でございますが、これは二十八件というふうになっております。

重野委員 今の説明からしても、精神疾患、中でも、自殺とこれに対する災害認定、その間には落差があるのではないかというふうに認識するのでありますが、この点はどういうふうに認識されておりますか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 自殺等の自損行為による死亡というものは、故意によるものであるために、通常、公務上の災害とは認められない場合が多いというふうに考えております。したがいまして、国家公務員の自殺者数と自殺に対する公務災害認定件数との間に乖離があるということは先生御指摘のとおりでございます。

 しかし、このような自損行為による死亡であっても、公務に起因して何らかの精神疾患を発症し、その疾患に特有な感情の障害、思考の障害等を伴って、苦悶あるいは絶望感等のあらわれとして自殺等の自損行為に及んで死亡ということになった場合には、公務上の災害として認められる場合がございます。

重野委員 そこで、再審期間にしてもそうでありますけれども、この不服申し立て期間、これはやはり、その申し立てをする人の心情とかそういうふうなものを考えるときに、可能な限り速やかに処理しなければいけないと私は思うんです。

 現状のこの期間、先ほどお話がありましたけれども、これをどのように評価されておるのか、長いと思っているのか、いや、短いと思っているのか、そういう点。

 それから、そういう事件あるいは事案を起こさないためのやはり予防という視点が非常に重要ではないかということと、それから、きょう、またこの補償の内容についても改正案が出されているわけでありますが、その補償のあり方について今後ともやはり広範な議論を尽くしていくべきだ、こういうふうに私は認識するわけですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

佐久間政府参考人 先生の方から、審査の期間が長過ぎるのではないかという御指摘かと思いますけれども、私ども、災害補償の審査のみならず、いろいろな形でその審査請求が上がってきた場合には迅速に対応するということで対応を行っておるわけですけれども、御指摘の自殺の案件につきましては、何分、御本人が亡くなっているというような事情もございまして、その事実関係の調査が非常に難しい、そういうことがございます。

 ただ、そうはいっても、事実の調査を速やかに行い、かつまた、その調査に基づいてしかるべく迅速に判定を出すということで今努力しておりますけれども、おおむね、調査が終わった場合、半年以内には結論を出すというようなことで対応をしていきたいということで今努めているところでございます。

吉田政府参考人 公務におきましても、行政ニーズが多様化、複雑化する中で、業務の負担が質量ともに増大するなど、民間と同様にストレスの要因が増加しているという指摘もなされておりまして、公務における自殺者数の増加、あるいは精神及び行動の障害による長期病休者の増加ということが言われておるわけでございますけれども、その原因を直ちに明確にするというのはなかなか難しいというふうに思っております。

 しかしながら、心の健康の保持、増進を重視した政策を行っていくということは極めて重要であるということを認識しております。そのためには、例えば、超過勤務の縮減等の勤務環境の改善、あるいは家庭と仕事の両立支援を進めるとともに、ストレスへの適切な対処等について、研修の実施や相談を行う医療スタッフの配置を進めることなどを充実していく必要があるというふうに考えております。

 また、精神疾患に係る公務上の認定の認定基準につきましても、精神科の医師等の専門家の意見を踏まえて、平成十一年に、精神疾患等の公務上災害の認定基準、それから、その中で、公務によって発症する可能性のある精神疾患及び公務上の災害と認定する場合の基本的な考え方などを示してきております。

 引き続き、勤務環境の変化、医学的知見の進展など諸事情を把握して情報を収集するとともに、労災等にあらわれます民間の動向というものも注視しながら、必要な適切な対応というのを行ってまいりたいというふうに考えております。

 それから、一点、訂正させていただきたいんですが、先ほど二十八件という自殺の件数を申しましたが、あの中には、審査の申し立ての結果、上になったものも入っているということで、トータルとしての件数でございます。

重野委員 それでは、次に、地方公務員災害補償基金の財務状況についてお伺いいたします。

 全体としては支払い状況は増加傾向にあると推測をいたしますが、近年の補償及び福祉事業の状況についてお聞かせください。

杉原参考人 お話しのとおり、補償のための給付費といいますか、最近、ここ数年は、金額的にはほぼトータルで二百五十億円前後でございますけれども、十年前と比較いたしますと、もちろん若干ふえてございます。それと、給付費のうちの六割程度が過去の年金債務という形で、ウエートが高まってきていて、現在六割程度になっている。これが最近におきます補償の状況でございます。

重野委員 そこで、お伺いいたしますけれども、この間、市町村合併によりまして自治体数が激減をしております。政府の行政改革の重点によりますと、今後五年間で地方公務員数も四・六%減らす、こういうふうにしております。そうなりますと、当然、自治体の負担すべきお金、拠出する額そのものが将来的に減ってくるわけで、その場合の財政見通しはどのように推計されておるのかという点が一つ。それから、そのことによって自治体の負担金を引き上げる、こういうふうにされておりますが、そのことによって収支見通しはきちっと成り立つ、そういう計算になっておるのかどうなのか、その推計を出していただきたいと思います。

杉原参考人 まさにお話しのとおり、補償などの給付費がいわば毎年のベースでいきますと二百五十億円前後で、ほぼ横ばいで推移しているのに対しまして、収入でございます地方団体の負担金、この負担金がお話しのような給与費にリンクしておりますから、これが下がってきていることに伴いまして、ちなみに、平成十年度の負担金収入が、二百六十三億円というのがピークでございまして、それ以後、年々減少いたしまして、十六年度には二百三十二億円と三十億円以上減になりました。それと、ほかの、微々たる収入でございますけれども、運用益収入その他も減ってきておりますから、この結果、平成十六年度の当基金の普通補償経理におきましては、基金始まって以来でございますけれども、十三億五千万円という収支不足を生じたわけでございます。

 これでは大変でございまして、基金の本来の業務であります補償に支障が生じてはいけない、こういうことで、関係方面とも折衝いたしまして、十八年度から負担金を平均でございますが五%程度上げさせていただく。その前提としましては、こういう非常に変動の時期、激変の時期でございますので、毎年毎年の収支というんじゃなくて、とりあえず三年ごとに見直すということで、三年間の収支が図れるようにということで見通しをいたしまして負担金のアップをお願いいたしまして、おかげさまで十八年度からそれが執行されることになりました。

 この結果、例えば十八年度予算では、わずかでございますけれども二百万円ほどの剰余が出るという見通しに立ちまして、三年間では当然収支均衡という前提で今そのような負担金を見込んだわけでございます。

重野委員 最後に大臣に聞きたいと思うんですが、災害補償額は、事故発生前三カ月間の給与をその期間の総日数で除した平均給与額を基準としております。ところが、今回、通勤の範囲を拡大するということになりますと、二重就職者が業務災害に遭った場合、事業所から支払われている賃金による平均給与によって給付額が算定される、こういうことになるわけですね。その場合、不利を生ずるケースも予想されます。

 二重就職者の給付基礎日額の問題は現在検討されているやに聞いておりますが、大臣はどのように考えておられるかをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

竹中国務大臣 委員今御指摘のように、被災された場合、補償については、その補償の基礎となる給与をどう認定するか、これは一番重要なところになります。

 ところが、複数就業者の場合は、Aに行くのか、Bに行くのか、そのどちらかに行く途中で被災した場合、どちらをとるかという問題が当然出てくるわけでございます。しかし、これは常識的にといいますか普通に考えて、Aのところに向かっているときに事故が生じた、だから、Aに向かうわけでございますから、それはやはりAの給与、Bに向かっているときはBの給与というようなことに当然これはなるのだと思います。実は、そういう仕組みになっているわけですけれども、これは昨年、労災保険制度の見直しを行いましたけれども、それと同様の扱いにしているということでございます。

 一方で、委員御指摘のように、いろいろな、それで本当によいのかという御議論があることは承知をしております。例えば、移動元及び移動先の給付基礎日額を合算する方法については、これは労働政策審議会の建議でも引き続き検討すべき事項というふうになっている。国会でも附帯決議が行われたというふうに聞いております。

 こうしたことを踏まえまして、公務員の災害補償におきます取り扱いにつきましても、労災保険制度における検討状況を注視しながら、我々としても、これは官民同じような条件でやはりやるべきだと思いますので、労災の状況を見ながら適切な措置を講じてまいりたいというふうに思っております。

重野委員 終わります。

中谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 通勤の範囲の改定等のための国家公務員災害補償法及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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