衆議院

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第16号 平成18年4月12日(水曜日)

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平成十八年四月十二日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      大塚 高司君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    上川 陽子君

      木挽  司君    桜井 郁三君

      実川 幸夫君    杉田 元司君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    西本 勝子君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君    山本ともひろ君

      渡部  篤君    安住  淳君

      逢坂 誠二君    寺田  学君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      松本 大輔君    横光 克彦君

      横山 北斗君    富田 茂之君

      古屋 範子君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   森   清君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            竹田 義行君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            須田 和博君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   清水 英雄君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     西本 勝子君

  福田 良彦君     杉田 元司君

  渡部  篤君     大塚 高司君

  田嶋  要君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     渡部  篤君

  杉田 元司君     福田 良彦君

  西本 勝子君     永岡 桂子君

  横山 北斗君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 大輔君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

四月十一日

 シベリア抑留問題の早期解決に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一三八八号)

 同(松野頼久君紹介)(第一四一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十三回国会閣法第八号)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房長森清君、情報通信政策局長竹田義行君、総合通信基盤局長須田和博君及び政策統括官清水英雄君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣、連日、行革特も含めて、大変御苦労さまでございます。

 質問通告はちょっとしていないんですが、きょう、各報道が大変重要な指摘をしております。NHKにかかわる件でございます。

 一点は、放送法については私もこの委員会で、放送法全体の見直しは、電波法も含めて、通信と放送の融合ということで必要ではないかなという御指摘も以前させていただきました。その中で、急遽、総務省の方がNHKの受信料の支払いの義務化を検討し始めたという一連の報道がございます。

 あわせて、きょう一緒になったのがどういうわけかわかりませんが、昨日、NHKの職員の方が一千七百六十二万円、空出張を五年間なさって着服をなさったという報道がされております。

 この二年近くにわたって、NHKが再生に向けた一連の御努力をして、会長もおかわりになって、三月末の平成十八年度の予算の際にも、附帯決議も含めて、その点については国民の皆さんの受信料という公の部分でNHK全体が運営されているということも踏まえてという御決議をして、大臣もそれに従ってというお話で御答弁をされています。

 大臣、二点、このNHKに係る受信料の支払いの義務化、まさに再生に向けての御努力をなさっている際に、確かに方向性としては一つの選択肢としてあるとは思うんですが、やはり再生に向けての努力が実質されていないということが一方で露見をしながら、義務化というのを総務省が検討なさっているというのは、真実かどうかということも含めてまず御確認をしながら、これからちょっと議論に入りたいと思いますので、ぜひ大臣の御見解をお願いしたいと思います。

竹中国務大臣 まさに今、後藤委員御指摘くださいましたように、きょうの新聞は何とNHKに関する紙面が多いことかというふうに、私も朝起きて驚いた次第でございます。

 委員御指摘のように、二点ございますが、ちょっと正確にぜひ申し上げたいと思います。

 一つ、NHKの例の受信料の支払いの義務化に関して、きょう新聞等々で、省として検討し始めたというような言いぶりもあったかと思いますが、省として検討をし始めたというような事実は、これはございません。

 NHKのガバナンスの回復、そしてNHKの受信料の不払いに対してどうするかということは、これはもうNHKに関する先生方の御審議の中でも、多くの先生方が御心配をしておられて、何かよい方法を模索しなければいけないとみんな今真剣に考えているところでございます。

 そして、例の懇談会の中でもいろいろな意見が出ております。その中では、義務化のような問題も必要なのではないかというような御意見もあることはございます。しかし、それについて、懇談会でそういう結論を出したという事実もなければ、省としてそのことを正式に検討し始めたという事実もございません。これは、その意味では、いろいろな議論を踏まえて観測的に新聞がお述べになっているんだというふうに思いますが、事実関係としては、今私が申し上げたとおりでございます。

 ちなみに、昨日私はちょっと所用で、途中までこの懇談会に出ておりまして、最後まではおりませんでしたし、また記者部のブリーフも立ち会ってはおりませんが、昨日のブリーフの中でも、松原座長がブリーフされましたけれども、罰則つきの義務化をするかどうかというところまで議論は進みませんでしたというふうに、これはもうブリーフで述べておられますので、まさに懇談会においてもそうである。ましてや総務省においてそのようなことを省として正式に検討し始めたわけではないということは、これはもう明確に申し上げておきたいと思います。

 しかし、ぜひ幅広く議論をする必要があると思っております。この点は、繰り返し言いますが、この委員会の中でもいろいろな先生方の御心配をいただいているところであろうかと思います。

 二つ目の、この新たな不祥事につきましては、これはもう私としても、正直言って、ちょっと驚くほどの、今回やはり金額も大きゅうございます、何としたことかという思いがございます。

 これはもうNHK自身がまず襟を正してしっかりとやっていただかなきゃいけない。その意味では、そうした全般を見る、NHKを見る立場にある総務省としてどのような対応をするかということも考えなければいけませんが、まずは事実関係をやはり精緻に把握しなければいけないと思っております。NHKにおいてもそのような努力が必要だと思いますので、我々としましても、この事実関係についてしっかりと把握をした上で、問題が一体どこにあったのか、どのような対応が必要なのかということを真剣に検討してまいる所存でございます。

後藤(斎)委員 NHKを所管というよりも、放送法を所管する中での大臣として、ぜひ今おっしゃったこと、そしてNHKも、いずれ大臣の方にどなたか御説明に上がるかと思うんですが、その点は、先ほども御指摘をしたように、衆参の委員会でそれぞれ決議も含めて平成十八年度の予算の取りまとめの際につけております。それはぜひ着実に実施をしていただけるよう、大臣からの御指導をぜひお願いしたいと思います。

 そして大臣、きのうも行われた、要するに大臣の懇談会が、やはりある意味では、大臣が総務大臣になられてから非常に活発化をしたということもあって、いろいろな部分で報道がたくさん確かに出るようになったと思います。ややもすれば、国民の皆さんは、それが一つの方向性を決めるようにとっている方も多分いらっしゃるんではないかな。

 ですから、以前この委員会にも参考人で来ていただきました民放連の日枝会長も含めて、いやいやちょっとというお話を懇談会の中でもされたということでありますが、今回のこの法律の問題も含めて、やはり大臣がメディア、情報や放送に対してどういう御意識を持っておられるかということが一つ大きな、これからの方向性を考える上で重要になるのかな。

 もちろん、大臣だけがお決めになれるものではないと多分大臣はおっしゃると思うんですが、やはり大臣は常に、国際競争力ある総合メディアの育成が必要なんだというのがまず大前提におありになって、多分、放送も通信ももっと連携、融合していかなきゃいけない、これが時代に即していくんだというお話をお聞きしていますし、私も確かに一面そうだと思います。そして、この懇談会の中でも、いわゆるマルチメディア集中排除原則の見直しということもかなり御議論をなさっているというふうにお聞きをしています。

 まず、やはり大臣が、国際競争力ある総合メディアというその具体的なイメージ、もう懇談会もきのうで五回か六回目くらいになると思うんですが、そういうことも踏まえて、もう大臣も半年くらいになられて、そろそろ骨太へ向けて自分のアイデアを収れんさせていかなきゃいけないのかなと思うんですが、その点の具体的な、国際競争力ある総合メディアというのはどんなものをイメージされているのか、まずお聞きをしたいと思います。

竹中国務大臣 私は、就任以来、まさに国際競争力のある総合メディアが日本にあってしかるべきではないかという発言を、確かに何度もさせていただいております。

 素朴な思いは、例えば自動車のメーカーでは、自動車というような分野では、固有名詞として幾つもの代表的な、世界に冠たる企業がこの国にはございます。電気機械に関しても、世界に冠たる分野がございます。そして、それ以外の幾つかの、銀行は一時悪くなりましたけれども、金融の分野でもやはり世界に通じるものがございます。しかし、そういう観点からすると、今最も発展が期待されている放送・通信の分野で、かつ、日本国内ではこれだけ存在感の大きい放送・通信の分野で、世界にその名の知られた企業が残念だけれども存在しないということは、私はやはり不自然であろうかと思います。

 今後この分野がさらに成長が期待されるということは多くの方が認められる。そういう中で、私は、この分野が成長して、国民によいサービスを提供する一つのシンボルとして、国際競争力のある総合メディアがやはりあってしかるべきだ、そう想定するのが自然ではないかというふうに思うわけでございます。

 そのイメージはどうかということになりますと、これは、私自身、不勉強だと言われるかもしれませんが、まだかくあるべしというような固定的なイメージを持つには至っておりません。

 ただ、よく例に出るのは、タイム・ワーナーなどのようなメディア、いわゆるコングロマリットなわけですけれども、映画、地上放送、インターネット接続事業、出版、そういうような意味で国際的に通用する総合メディアがやはり一つあってもよいのではないかと思うんです。

 こういう議論をするたびに、新聞の社説等々で、企業が大きくなればよいものではないという批判をされる方がいらっしゃるんですけれども、私は、大きくなればよいとは全く思っておりません。ただ、大きい規模で総合的なサービスを志向される、そういう企業があるならば、そういうことも可能であるような仕組みにしておいてあげる方がよいのではないか。小さくて、分野に特化して、きらりと光る企業も当然出てこなければいけないと思いますし、そこは私は、政府というのは、いろいろな才能のある、そして創意工夫に満ちた経営者がいろいろな経営、創意工夫をしていくことが可能なような道を準備するということがやはり政府の重要な役割であろうかというふうに思っております。

 その中で、私としては、いろいろなタイプで、いろいろな形で、国際競争力のあるメディア企業が出てきていただきたいというふうに思います。

 売り上げが今二十兆でありますけれども、二十兆のうちのかなりの部分が人件費とかですから、中間投入というのは意外と少なくて、かなりの部分が付加価値なんだと思うんですね。二十兆全部が付加価値だとは言いませんけれども、実はGDPの四%ですね。これがさらに今後成長していくということになれば、この一つの分野で経済全体に与える影響も決して小さくないわけでございます。

 その意味で、私たちとしては、そういったチョイスが可能になるような道をやはり政府として準備しなければいけないのではないかというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、これも懇談会の中でもかなり議論が進んでいるというお話なんですが、今大臣が、国際競争力ある総合メディアという中で、産業の視点だけではないと。もちろん放送というのは、ある意味では、情報との融合がもっと進めば、文化やいろいろな公の情報も伝えるという役割を担っているという視点も当然ございます。

 マスメディア集中排除法も、これを見直すという話もかなり議論があったというふうに言われております。今、放送法の中では、いわゆるNHKの部分と民放の部分、民放の部分がいわゆるキー局と地方局みたいな形になって、二〇一一年のデジタル化に向けて、まだ地方の放送業者の方では進まない部分はあってというふうな、いろいろなものが絡んで、これから集中排除法の見直しも御議論なされると思うんです。

 先ほど大臣に、これからの総合メディアというのがどんなイメージかというのをお聞きしたのは、まさにこの集中排除原則の見直しというのも、これから、例えば民放というものが、もし二元化が維持されるとしても、民放という民間の放送業界がどういうふうな形になっていくんだ、いわゆる持ち株会社みたいな形で、キー局とまさに資本連携もするのかというところにも関係してくると思うんです。

 その点については、大臣、どんな方向性にこれからなっていくんでしょうか。

竹中国務大臣 今回の議論を進める上で、マスメディア集中排除原則の問題というのは、やはり一つの重要なポイントになるというふうに私も思っております。

 まず、これは私自身、改めて勉強して、すごいなというふうに思ったんですが、マスメディア集中排除原則というのは、近年に至るまで本当に頻繁に見直されてきているわけでございます。これは、金科玉条のごとく何か一定のものがずっと支配してきたわけではなくて、本当に頻繁に、数年に一度と言ってもよいかもしれませんけれども、いろいろな形で見直されてきております。その意味では、私たちの先輩も非常に現実的にこの問題に対して対処をしてこられたんだなというふうに思います。

 また、当事者であります民放連も、方向としては、マスメディア集中排除原則の緩和というのは重要な方向であるということを、これはヒアリング等々でも正式におっしゃっているというふうに伺っております。

 同時に、我々が考えなければいけないのは、マスメディア集中排除原則が議論されて、今日まで残ってきたのは、それなりの意味があるからでございます。その意味の最大のものは、やはり放送の多元性を保障する必要があるだろう。つまり、一部の人たちだけにメディアといいますか論調が支配されるようなことがあってはならない、これはやはり民主主義社会の基礎として重要なことであろうかと思います。

 そしてもう一つは、多元性の一部でありますけれども、地域性の問題というのを、やはりこれはこれで重要であろう。特に今ローカル局が果たしている役割については、そのような意見があるわけでございます。

 きのうも実はこのことについて懇談会で議論がなされましたけれども、やはりそもそもの多元性や地域性の問題についてはしっかりと担保をし続けなければいけない。その範囲で、私が先ほどから申し上げているような、メディアがより競争して国民によいサービスをもたらすために、集中排除原則についてどのような方向を議論するかということがまさに今真剣に論じられているわけでございます。

 きのうの議論でございますけれども、例えば、具体的にどういう形で緩和をするかということに関しましても、例えば、一つの考え方として持ち株方式というものもあるわけでありますけれども、その一方で、よりダイレクトに資本参加を緩めるやり方もある。いろいろな意見が出されまして、具体的な緩和の方向についてまだ結論が出ているわけではございません。

 ただ、現実に、我々はこれまでも見直してきたということ、そして民放連もそのような方向だということ、一方で、放送の多元性、地域性についてはしっかりと守るべきベースがあるということ、そういう中で、私は、国民の納得が得られるような議論をぜひしてまいらねばならないというふうに思っております。

後藤(斎)委員 ぜひ、大臣が今、最後にお答えをいただいた、やはり地域の分もこれから、もう一点だけ本論に入る前に御指摘をさせてもらいますが、地方の主体、地方主権という流れを大臣も急速に後押しされています。やはり放送の中でもそれが本当に必要かどうかということも含めて、ぜひ検討していただきたいと思います。

 次に、これも大臣が、歳出をできるだけカットしながら、地方自治体もより交付税に頼らないような仕組みをつくっていった方がいいという趣旨の御答弁を常になさっております。特に、従来であれば、財務省がいろいろな形で地方交付税の問題についても意見を言っていましたが、最近では、経済産業省の新経済成長戦略の中でも、そういう地方交付税を抜本的に見直すべきだという指摘も政府の中でもされております。

 私が言いたいのは、いろいろ資料を見ていくと、いわゆる地方自治体で高金利、高利貸しから借りたわけではないんですが、非常に高い金利の地方債や公営企業の借金が非常に残っている。おおよそですが、四割くらいは、例えば公営企業の部分でいうと、四・〇%未満というのが大体全体の六割くらいで、一番高いグレードの利率別というのは八・五%以上という、企業債残みたいな統計も総務省でおつくりになられております。地方債でいうとそこまではいかなくて、一・五以下からまず始まって、七・〇超みたいな形です。それも、三%で例えば線を引くと、大体六割以上が三%以下で、四割近い部分が三%を超える金利。

 そういう意味で、やはり歳出を減らすというときには、大臣がよく繰り返されているように、できるだけ幅広くそういう歳出がカットできる部分を、不必要な部分が、ある意味で、これは不必要かどうかは別としても、財務省も含めての政府の中で、ルール的に借りかえをするときに、安い金利で借りかえをしたいけれどもブロックされてしまう、いや、それ以上にペナルティーをとらなきゃだめだよみたいな仕組みが残っているというのはやはり早急に検討しないと、分権の懇談会の方でも大臣が御議論をされている自治体再建法みたいな、そういうものにも後出しじゃんけんみたいな形になって、本来整備すべき現行の部分をもっときちっとやはり見直してほしいんです。

 その点、借りかえの、地方債みたいな高い金利のものを借りかえる施策をもっと推進すべきだと思いますが、その点はいかがでしょうか。

竹中国務大臣 後藤委員御指摘の点は大変重要な点でありまして、また、現実に地方団体からいろいろな声が上げられている点であると思います。

 同時に、この問題は、いわゆる民法の期限の利益の問題でもあって、金融全般で常に問題になる、御承知のように、とりわけ財投に関して大変問題になる、なかなか悩ましい問題でございます。

 政府資金等については、平成十三年度以降、財投改革におきまして、長期で安定した資金を供給するという基本的な機能がありますから、それを踏まえて、繰り上げ償還は補償金の支払いを必要とするということがこの十三年度以降原則とされたわけでございます。一方で、しかし、繰り上げ償還の要望が高まっている。

 総務省としては、これはやはり地方の声をしっかり踏まえまして、財務省とも協議をしまして、公債費負担対策としまして、公営企業金融公庫の高金利資金について一部補償金なしで借りかえを実施するということをやっております。また平成十七年度からは、財政融資資金を含め公債費負担の平準化を目的とした借換債につきましては、補償金も含めて借換債の対象とする措置にする、そのような工夫はいろいろしているところでございます。

 さらに申し上げますと、平成十七年度、財政融資資金では一部の財投機関を対象に一定の条件のもとに補償金なし繰り上げ償還を認めたことを踏まえまして、財務省とも折衝を行いました。そして十八年度からは、公共事業の見直しでございますとか公共施設の目的外転用に伴って必要になる公的資金について補償金なしでの繰り上げ償還につきましては、これは民間資金による借りかえを新たに認めるというような措置もとっております。

 しかし、それでも、財政融資資金の段階的な縮小を図る中で、地方公共団体からやはり繰り上げ償還を求める声が依然として非常に強いということは私もひしひしと認識をしております。

 今後、これは各省庁と議論しなきゃいけませんけれども、公債費負担の軽減、一番自治体としては痛いところでございますので、その軽減が図れるように積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 前段が長くなり過ぎて申しわけございません。

 本論に入りたいと思います。

 この法律は、平成三年からですから、ちょうど十五年前にできて、十年間が第一期目、そして二期目でことしの部分まで、そして三期目でこれから五カ年延長するという仕組みになっています。

 この法律は、言うまでもなく、民間の事業者に対する支援措置であります。公的な部分では後でお聞きをしますが、確かにいろいろな意味で、この間の、もちろんこの制度だけではなくて、民間の事業者の御努力もあって、光ファイバーやADSLや、いわゆる基盤インフラ部分がかなり進んできたという評価はします。

 しかし、全体の評価をまずしておかないといけないということで、この十五年間で、低利融資と利子助成、そして債務保証、税制優遇の大きく四つ枠組みがあって、どれくらいの税投入、コストを使いながら、また、その支援の実績がそれぞれの項目であると思うんですが、その点について、まず、この十五年間の全体の評価についてお伺いをしたいと思います。

須田政府参考人 基盤法に基づきます支援の実績につきましてお尋ねがございましたが、基盤法に係ります投資促進措置でございますけれども、それぞれ開始年度が若干異なっております。そういった意味で、十五年間フルではございませんけれども、把握しているものを述べさせていただきたいと思います。

 まず、低利融資でございますが、平成三年から十四年間で四千四百三十六億円でございます。また利子助成でございますが、平成七年から十一年間で四十億円でございます。そして税制優遇措置でございますけれども、平成四年から十三年間で七百八十六億円でございます。なお、債務保証につきましては、これまでのところ実績はございません。

 そして、このような形で支援措置を行ってきたわけでございますけれども、そうしたものが具体的に情報通信インフラの整備にどのような形であらわれているかという点でございますけれども、御指摘の光ファイバーとかADSL等を念頭に置きまして、その整備の進捗状況でございます。

 まず、光ファイバーにつきまして、全世帯に占めるカバー率、どこまでカバーできるかということの数字でございますけれども、平成十七年三月末で三千五百九十万世帯、直近把握しております九月末では三千九百万世帯、七二%、七八%という数字になっております。ADSLにつきましては、直近で把握しております平成十七年九月末で四千六百五十万世帯、九三%のカバー率に達しております。そしてケーブルインターネットもございますけれども、これにつきましては、平成十七年九月末で三千三百七十万世帯で、全世帯の六八%をカバーしている状況でございます。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 確かに、この十五年間、いろいろな形で進んできたというふうに、今の数字でもそうだと思います。全体の十五年間、税の部分では五千億強という形で、ここまでという形、正直言って実感もしています。

 ただ、ブロードバンド整備というのを、二〇一〇年までに一〇〇%という目標を先般のIT戦略本部の部分でも御決定なさっています。そして、そのベースになる光ファイバーの部分では、平成十一年ですから、今から七年前の経済対策の中で、二〇〇五年度、だからことしの三月までに、とりあえず光ファイバー網の整備は一〇〇%という目標を掲げておったはずでございます。ただ、現実は、これは及第点かもしれませんが、八四%ということで、とりあえず目標には達していないという現実がございます。

 これをさらに二〇一〇年までということで、先ほどのブロードバンドの一〇〇%整備という部分も含めて、この目標は五年延長すると達成できるんでしょうか。

須田政府参考人 御指摘の平成十一年の段階の目標で、これは光ファイバーを全国に整備するということを目標として掲げておりまして、二〇〇五年に全国整備ということを目標に掲げていたわけでございますけれども、この時点におきましては、この目標の基準としまして、いわゆるき線点というところ、これは一本一本の光ファイバーを三百から六百しんぐらい束ねて、ある一定のところまで持ってまいりますけれども、そこまででカバー率というのを見てございました。それを目標にしていたわけでございます。

 しかしながら、その後、一つは、き線点に達しているだけでは必ずしもお客様がすぐ利用できるわけではないということもあり、また、光ファイバー以外にADSLなどの新しい技術もたくさん出てきたということもございまして、平成十三年度のe―Japan戦略におきまして、このき線点の引かれ方を別の形での目標としまして、ADSLなどを含む高速インターネットのカバー率を三千万世帯、これは実質的に六〇%になりますけれども、そして、光ファイバーを念頭に置きました超高速通信ネットワークのカバー率を二〇%に設定いたしまして、これにつきましては、現在既に九三%、七八%と達成しているところでございます。

 今回のIT新改革戦略におきまして設けておりますのは、この平成十三年の考え方をそのまま踏襲いたしまして、ADSLなどによるブロードバンドのカバー率を一〇〇%、光ファイバーにつきましては九〇%のカバー率ということを目標とすることで考えているところでございます。

 私どもといたしましては、この一〇〇%という目標は何よりも達成しなければいけないものですから、この基盤法に基づく支援措置を引き続き行うとともに、条件不利地域を対象にいたしましては財政措置を十分図っていくとか、あるいは、地方公共団体におかれまして、もう既に光ファイバー等のネットワークを自前で持っているところもございますので、そうしたネットワークを活用するとか、あるいは、光ファイバーだけでなく、無線LANなどの新しい電波を利用したシステムなどを積極的に導入していくとか、こういったことを通じまして、一〇〇%の目標ということに努めてまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 時間が来たので終わりますが、大臣、最後に御要望だけ。

 今局長が御答弁していただいたように、まだ地域の格差がございます。やはり、人口が集中したいわゆる都市の部分、そして人口が少ない過疎、地方の部分、この情報格差、特に光ファイバーの整備も含めてそのインフラの部分はまだまだ大きい格差がございます。ぜひ、民間事業者にこの法律を適用していく中で、支援すると同時に、やはりきめ細かい、デジタルデバイド、情報格差がないということに、総務省も一丸となって対応していただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 私は、田舎に住むアナログ人間でございます。個人的にも地理的にも、情報格差、いわゆるデジタルデバイドを感じている一人として質問をさせていただきますので、ぜひとも簡潔でわかりやすい御答弁をお願いいたします。

 まず、我が国は世界最先端のIT国家になった、こういう話がございますけれども、その現況についてお伺いをしたいと思います。

 一つは、インフラの整備そして利用者の現況についてでございます。

 e―Japan戦略などによりまして着々と進んできたということでございますが、先ほどの後藤委員の質問とも少し重なりますけれども、インフラがどんなふうに整備されてきたのか、また利用者がどんなふうになっているのか、簡潔にお答えをいただければというふうに思います。

竹中国務大臣 お答えをさせていただきます。

 日本のブロードバンドサービスでございますけれども、委員御指摘のように、世界で最も安く最も速いという状況を何とか目標の期限に達成することができたと思っております。

 こうしたサービスを支えます情報通信インフラの整備状況、これをいわゆるブロードバンドの利用可能世帯で見ますと、四千六百五十万世帯、全体の九三%でございます、九三%の世帯が利用可能。光ファイバーに限って見ましても、三千九百万世帯、七八%というふうになっております。これは平成十七年九月現在の数字で申し上げております。

 そして、こうしたインフラの利用者を、サービスごとの加入者、先ほどのは利用可能世帯でございますが、今度はサービスごとの加入者で見ますと、これは平成十七年十二月の数字になりますが、光ファイバーが四百六十四万、そしてADSLが千四百四十八万、ケーブルインターネットが三百二十三万、そしてブロードバンド全体では二千二百三十七万という数字になっております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 それでは、二つ目は、マーケットも最先端のマーケットができつつある、あるいはそれを支える技術環境もかなり整ってきているという話でございますが、それらの現況について教えていただければというふうに思います。

竹中国務大臣 企業による最先端のICTの利活用はどうなっているのかという御質問かと思いますが、当然のことながら、企業は経営の効率化の観点から大変積極的にこれを導入しようというインセンティブを持っている。ただ、それは、企業によっては非常にうまくいっているところとまだ模索しているところがあるという状況だと思います。

 このICTをコスト削減、業務効率化を目的として積極的に導入する一つの例として、例えば企業間通信網の構築というのが進展しておりまして、例えば、これは平成十六年末のアンケート調査なんですけれども、百人以上の規模で、いわゆる社内LANを構築している会社というのは、全体の九割に達しているんだそうでございます。従業員百人以上の企業を対象とした調査結果によると、社内LAN構築率は九割、これは私自身も想像していたより多いという感じがいたします。

 さらに、電子タグやセンサーネットワーク技術を利用した、よく言われるサプライ・チェーン・マネジメント等の経営管理手法の高度化もいろいろな形で見られているというふうに思います。これはいろいろな例があるかと思いますけれども、売り場の最先端の情報が即製造の現場にいろいろ届いて、いろいろな情報を反映してその生産を行う、そうすると在庫管理もうまくいく、無駄な在庫を持たなくて済むようになるわけですし、売れ筋商品もきちんと製造できるようになる、そういうようなことも進みつつあると思います。

 マーケットについて見てみますと、インターネットを利用した新ビジネス等々が台頭しておりまして、例えばインターネット専業銀行でありますとか携帯電話向けコンテンツビジネス等の利用が拡大しているというのは、これはもし必要でしたらまた数字も申し上げますが、見られているところでございます。顧客の利用シーンの変化に市場が適応していく上で、その意味で、ICTは企業戦略的に活用され始めているのではないかと思います。身近なところでは、コンビニに行くと、おサイフケータイも使えれば、そこに銀行の機能が持たれているし、チケットの予約もできる、そういうようなところにも身近にあらわれつつあるのではないかと思っております。

福田(昭)委員 私ども素人でもよくわかりますのは、IT産業がプロ野球球団を経営するというようなところを見ますと、相当大きなマーケットになっているのかなというふうに今つくづく感じているところでございます。

 次に、政府のIT戦略本部が策定したIT新改革戦略ですか、それに位置づけられました、来るべきユビキタスネットワーク社会に向けた基盤の整備についてお伺いをいたします。

 まず最初に、情報格差、いわゆるデジタルデバイドのないIT社会の実現についてお伺いをいたします。

 一つは、ユニバーサルデザイン化されたIT社会についてでございます。

 これにつきましては、私もどちらかというともう高齢者に近づく方でございますが、調査によりますと、インターネットの利用、五十歳から五十九歳の方々が六三%、一方、六十歳以上の方は二二%ぐらいにとどまっている、そういう話でございます。また、障害者のインターネット利用率も健常者に比べるとかなり低い状況にある、そういう調査結果があるわけでございます。

 こうした状況を踏まえて、年齢とかあるいは身体的な条件にかかわらず、利用しやすいような対策をこれから具体的にどのようにとろうとしているのか、お伺いをいたします。

竹中国務大臣 福田委員の御指摘のとおり、やはりデジタルデバイドと呼ばれるような現象を生じさせている一つの理由は、いわゆる利用者から見て取っつきにくい、専門家はインターフェースがどうのこうのというふうに言うわけですが、テレビであれば、スイッチを一つ入れればもうすべていい。しかし、インターネットの場合は、立ち上げて、必要なプロバイダーのところに、ポータルサイトにちゃんと行って、それからどうこうするということが、なれた人にとっては何でもないんですけれども、初めての、特にお年寄りにとってはなかなかそこに行き着けない。そういうような、まさにインターフェースの問題があるんだと思います。

 ユビキタスネットワーク社会の実現に向けましては、だれもがその恩恵を受けられるように、委員がおっしゃったいわゆるユニバーサルデザインの推進というのは、これは重要な政策課題であると思います。

 このため、我々総務省としては、だれもが使いやすいインターネットそして電気通信機器・サービスの開発等を促すためのアクセシビリティーガイドライン等の普及促進に努めているところでございます。さらには、字幕放送、解説放送等の拡充に向けた支援も行う。そして、高齢者、障害者が使いやすい情報通信機器・サービスの開発、提供に対する助成なども積極的に推進しているところでございます。

 今後も、今委員がおっしゃったような観点から、まさにだれもが容易にICTが利用できるように、関連施策に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

福田(昭)委員 高齢者や障害者にとっては、これが使えるようになる、利用できるようになると、相当生活の範囲が広がって、きっと相当の楽しみになるんじゃないかなと思っていますので、そうしたことにぜひ力を入れていただきたい、そう思っております。

 次に、二つ目でありますが、いつでも、どこでも、何でも、だれでも使える、デジタルデバイドのないインフラの整備についてお伺いをいたします。これがいわゆる地理的な情報格差という話でございます。

 このことにつきましては、先ほど、ブロードバンド網も全国的にかなり普及された、利用可能な世帯で申し上げれば九三%の世帯を網羅した、そんな話でございますけれども、しかし、依然として、過疎地域においてはまだまだ普及されていないわけでございます、未普及地域があるということでございます。

 そうしたことに対して、そういった地域に対しても、利用できるような仕組みというんですか、あるいは、いつでも、だれでもということになりますと、ユビキタス化の推進ということがうたわれているようでありますが、そのユビキタスの意味と、どんな具体的ないい利用方法があるのか、私だけじゃなくて、国民の皆さんにもわかりやすくちょっと説明していただければというふうに思います。

竹中国務大臣 ユビキタスの意味ということでございますが、まさに先生がおっしゃった、いつでも、どこでも、だれもがネットワークにつながる、そういうことだと思います。もともとはラテン語だったようでございますが、先生がもうおっしゃったとおりなのではないかというふうに思います。

 私ごとで恐縮ですが、今でもパソコンに向かっていると時間が本当にすぐたってしまいますね。ネットでいろいろなものを検索していると楽しくて、残念ながら時間がなくて今は余り向かいませんが、私は、これを使いこなして楽しくやれば、自分の老後は随分豊かになるのではないかというふうに思っているわけですけれども、本当にそういうものであるというふうに思います。その意味では、栃木でも和歌山でも、いろいろな地域を超えて、時間を超えて、いろいろなものへのアクセスが可能になっているんだと思います。

 それで、その場合に、デバイドのない、特に地理的デバイドのない、この問題は、実はいろいろよく見ていますと、どこの国においても大変努力をして、工夫をしているところだと思います。

 多くの国で、光ファイバー網等の情報通信インフラというのはやはり民間主導なんですね。これは、過去のいろいろな鉄道網の普及とか道路の普及なんかに比べると、圧倒的に民間主導を原則としている。しかし、では、それですべて、民間でかなりうまくやっているというのも事実ですけれども、やはりどこか、地理的なデバイド、デジタルデバイドの是正には、国として取り組むべき重要な課題があるということだろうと思っております。

 我が国でも、まさにそのような形で、民間の主導を原則としながら、しっかりと補うべきところを国が補うという形になっているし、そのようにしていかなければいけないと思っております。そうした点で、これまでも、基盤法によります民間事業者への投資促進策、つまり民間にインセンティブを与える、そして市町村等に対する国庫補助を行う、地方財政措置を講じる等々の組み合わせを行ってきたところでございますけれども、さらに実態をよく見ながらこれらの取り組みの強化を図っていくことが必要であると思っております。

福田(昭)委員 いろいろな利用ができるということだと思うんですが、きょうのテレビでもやっておりましたけれども、今、地方からどんどん子供たちが都会に出てきてしまって、地方に高齢世帯だとかあるいは一人世帯、一人の高齢世帯、そういった世帯がたくさんふえているわけであります。そうした中で、実は、離れて住んでいる子供たちが、自分の年老いた両親がどうやって元気に暮らしているかというのを、毎日といいますか、ある一定の時間間隔で確認できるような、見守りポットみたいなものが販売されて、非常に売れているようでございますが、そんなすばらしい利用というか、そういうものもできている。

 さらには、それこそ私の地元今市でも、小学一年生が大変残忍な事件で残念ながら殺害されてしまいましたが、広島や京都でもあったわけでございますが、これからの子供の安全を守る、そういう観点からも、ICタグと言っては失礼なのかもしれないですね、日本語だと荷札みたいに訳すようですから、子供に荷札をつけたのではこれは申しわけない話ですが、一つの印をつけて子供の安全を守るというようなことも大事なこれからの利用方法なのじゃないかな、こう思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 先ほどから御議論がございましたように、世界で最も安くて速いいわゆるインフラができた、それを今度いかに利用して活用するかという、まさに利活用の問題がこれから五年間ぐらいの最大のテーマになります。

 その中の一つとして、電子政府というのが大きなテーマとしてあるわけでございますが、身近な利活用に関して言うならば、まさに今御指摘のありました安心、安全なICT社会の実現というのが、やはり最も緊要な、かつ国民にとって期待のかかっている分野ではないかというふうに思います。

 実は、一昨日でしたか、IT戦略本部が久しぶりにございまして、その中で一つのデモンストレーションが行われました。

 それは、携帯電話なんですけれども、携帯でまさにデジタルな情報のやりとりが今可能になっておりますから、子供に何かあったときに、一つのひもを引くと、携帯がいわゆる防犯ブザーみたいになってピーピーピーと鳴るんですが、同時に、このときに発せられた、無線が発せられた場所がお母さんのところの電話に自動的に届くような仕組みになっている。これはデジタル情報ですから、まさにGPSと組み合わせているんだと思いますけれども、これなどは非常にわかりやすい。そして、お母さんのところに電話がかかってきて、今ここで切られたと。最後に、もし子供が電話をオフにする、ないしはオフにさせられたら、その場所もわかるような、そういう仕組みになっているんだそうでございます。非常にわかりやすい、身近なよい例であるというふうに思います。

 そういった意味で、いろいろな利活用があるんだろうなと思います。それを見ていたある大臣が、自分の居場所が知られたら困るなと言っておられましたが、そういうことも含めていろいろな活用の仕方がある。同時に、それに対するセキュリティーへの取り組みというのも必要になってくるのだと思います。

福田(昭)委員 所管は違うかもしれないんですけれども、ぜひ文部科学大臣にお勧めをしていただいて、子供の安全を守っていただければというふうに思います。

 もう一つだけちょっと申し上げますと、我が国の行政にとって非常に問題となっております、ごみの処理なんですね。

 これは一般廃棄物、産業廃棄物も含めてでございますが、このごみにつきましても、実は私、それこそ世界で一番優秀な基本ソフトを開発した坂村健先生のお話を聞いているんですが、トロン、これを活用していろいろなことをやりますと、廃棄物の追跡も、トレーサビリティーじゃないですけれども、これも可能だというんですね。

 そうしますと、やはり廃棄物の適正処理ということを考えると、ICチップ、ごみ粒のような、本当にこの鉛筆の点のようなチップまで開発されているようでございますから、そういうチップを活用すると十分ごみの適正処理も可能なんじゃないか、私はそんなことも考えておりまして、ぜひそんなことについても、これからのITの新改革戦略、そうした中で取り組んでいただければありがたいと思いますが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 今、坂村先生のお名前をお挙げになられて、ごみの処理等々、本当にいろいろな活用の仕方があるというお話がございました。

 私は技術の専門家ではございませんけれども、やはり坂村先生のお話なんかを聞きましても、本当に利用の仕方というのは無限に拡大していくんだなというふうに思います。農産物についても、そのプロダクト、例えば果物一個についてもそれをトレースするということが可能になるわけでございますし、それをリアルタイムで処理するオペレーティングシステムがまさにトロンであるというふうに聞いております。

 どういう利活用の仕方があるかにつきましては、これは今、各省においてもIT戦略本部の中でいろいろな議論がなされておりまして、いろいろな紹介もなされております。私は、やはりそういうことができるだけ国民に身近にわかっていただけるようにすることが当面大変大事なのかなというふうに思っています。どうも、先ほどのデジタルデバイドではありませんけれども、具体的な話を聞くと何となく身近に感じるんですけれども、抽象的な話になりますと何か非常に取っつきにくいように思える分野でもあるのだと思っております。

 今委員が御指摘のような点も踏まえて、これは総務省の役割でもあろうかと思いますので、できるだけ身近にその利便さを感じていただくような工夫についても、我々はぜひ積極的に前に進めたいと思っております。

福田(昭)委員 こちらの方は環境大臣にぜひお伝えを願いたいなと思っております。

 次に、安心してITを使える環境の整備についてでございますが、ここでは、特にセキュリティー対策についてお伺いをいたします。

 ウィニーとかいろいろなウイルスで情報が漏れてしまうという、本当にこのIT社会の言ってみれば影の部分でございますけれども、そのセキュリティー対策をやはりしっかりしないと、これから使っていくに当たって、便利なものだけれども心配だ、こういうことも考えられますので、このことについて、どんなふうにこれから対策を、あるいは計画を立ててやっていこうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 ICTの利便の話を専らさせていただきましたが、そのまさに利便とコインの両面にあるのがこのセキュリティーの問題であるというふうに思います。

 安心、安全なICT社会を実現するためには、この情報セキュリティーの確保を多面的に行っていかなければいけないと思います。そして、効果的に、効率的に行っていく必要があると思います。

 こうした観点で、総務省の取り組みでございますけれども、ICT社会におけるインフラであるところの情報通信ネットワークを提供する電気事業者によりますセキュリティー関連情報の共有でございますとかウイルス対策の強化などを推進しております。

 同時に、情報セキュリティーに関する脅威は、これは御承知のように、今ウィニーの話がありましたけれども、次々新しいものが出てくる、ウイルスとそして取り締まる方の追いかけっこみたいなところにどうしてもなるわけでございますけれども、その新しい脅威からもネットワークを守れるように、不断の研究開発の実施が必要だと思います。

 また、この分野での人材育成、これが大変重要である。利用者における対策実施の促進でありますとか法制度上の措置の着実な実施も、これは組み合わせてやらなければいけない。その意味で、先ほど申し上げましたように、やはり多面的にこれは取り組まなければいけないというふうに思います。

 一方、我が国の官民におきます統一的、横断的な情報セキュリティー対策というのが、やはりコアになる部分についてはしっかりとやっておかなければいけないと思います。そうした観点で、昨年の五月にIT戦略本部に情報セキュリティ政策会議というのを設置いたしました。そして、本年二月には第一次情報セキュリティ基本計画というのを取りまとめたところでございます。

 総務省としましては、こうした取り組みに積極的に参画しておりますけれども、さらにこれを強化して、国民だれもが安心して情報通信のネットワークを利用できるような社会を実現すべく、引き続き努力をしてまいりたいと思います。

福田(昭)委員 特に、個人情報の漏えいとか、あるいは国家機密なり犯罪情報の漏えいは、国の基盤を揺るがしかねない、そういう事件につながると思いますので、これは防衛庁や警察庁にもよくお伝えをいただければというふうに思います。

 それでは次に、本題であります電気通信基盤充実臨時措置法の役割などについてお伺いをいたします。

 最初の質問は、基盤法の支援によるインフラ整備の実績についてお伺いをする予定でございましたが、先ほど後藤委員の方にお答えがありましたので、これは省略をさせていただきます。

 二つ目は、基盤法の延長の目的とその効果についてお伺いをいたします。

竹中国務大臣 今回の改正内容でございますけれども、附則二条に定められております廃止期限を平成二十三年の五月三十一日まで五年間延長するという内容のものでございます。

 中身につきましてはこれまでも少し議論させていただきましたけれども、このブロードバンドインフラ、これは巨額の設備投資を要するものでありまして、かつ、先行性の高いインフラでございます。今なお整備途上でございまして、これを利用できない地域もまだ多数存在しているということが重要な事実認識であろうかと思います。

 このような状況を踏まえまして、先般のIT新改革戦略におきまして、二〇一〇年度までに光ファイバー等の整備を推進する、そしてブロードバンド・ゼロ地域を解消するということを目標に明示的に掲げました。そして、事業者に対する投資インセンティブを付与すること等により、その整備を促進するということとしたわけでございます。そのためにこの廃止期限の延長をお願いしているわけでございます。

 また、ブロードバンドの基盤は、このユビキタスネットワーク社会におきます国民生活、産業経済、行政等の活動に不可欠な基盤でございます。その全国整備を進めることによりまして、日本の構造改革、そして国際競争力の強化、安全、安心、そうした社会の実現に資するということを目指したいというふうに考えているところでございます。

福田(昭)委員 それでは、この基盤法の延長とあわせて、今回、平成十八年度、これは初めてでしょうか、地域情報通信基盤整備推進交付金が創設をされたわけでございますが、その目的とその効果についてお伺いをいたします。

竹中国務大臣 今委員御指摘くださいましたように、さきに成立させていただきました十八年度予算において、地域情報通信基盤整備推進交付金、推進するための交付金を創設しております。金額五十二・六億円を計上しております。

 これは、先ほど言いましたように、民間主導原則でこのインフラの整備をお願いするわけでございますけれども、それだけでは整備が進まない条件不利地域等々がやはり出てまいりますので、そういう条件不利地域において、その特性に応じたICT基盤の整備に取り組む地方公共団体等を支援するという、いわば補完のための施策であるというふうに位置づけております。

 これは民間主導だということは先ほど申し上げましたけれども、やはり離島等条件不利地域がどうしても出てまいります。そうした中では、国と地方公共団体、事業者、それぞれが連携をしまして、推進を図ることが重要でございます。それで、それにふさわしい国の財政措置を講じるものでございます。そうすることによりまして、先ほどから議論になっているユビキタスネット社会をぜひとも実現したいと考えております。

福田(昭)委員 そうしますと、そうした基盤法の五年間の延長、それとこの交付金の創設、これによりまして、先ほど話が出てまいりましたブロードバンド・ゼロ地域を解消する、その目的が大体五年間でできそうだ、そういう見込みで進められるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 我々としては、IT新改革戦略に書いているように、そういう方向を何としても実現したいと考えております。

 山は、登っていきますと、最後の最後になればなるほど上りがきつくなってきます。九割まで行ったけれども、九五%に行くのは大変で、そこからさらに五%上げるのはもっと大変だという状況が予想されるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような趣旨にのっとりまして、国民すべてにそうした恩恵が及ぶように、ぜひ実現に努力をしてまいりたいと思います。

福田(昭)委員 ぜひとも、そうできない場合にはできれば延長もして、必ずやり遂げるというようなことでお願いをしたいと思っております。

 そろそろ時間がなくなってきましたので、最後に私の意見を述べて終わりにしたいと思います。

 今、この今議会で問題になっておりますが、小泉さんが進めてまいりました構造改革、光の部分もあるけれども影の部分もある、そういう指摘がなされているところでございますが、そうした中で、都会と地方の格差というものがやはり拡大している、田舎に住む一人としてそう実感をしているところでございます。

 そこで、ぜひとも情報の分野においては一日も早く情報の地域格差をゼロにしてほしい、それがやはり日本の再生にもつながるのではないか、そのように私は考えております。地理的なデジタルデバイドを克服して、市民生活の利便性や生涯学習の機会の向上、そんなことはもとより、情報産業の誘致を図って、地域産業はもとより観光産業の活性化に役立てたい、そういう地方の強い願いがあると私は考えております。

 そのためには、インフラを整備する、そのことが地方がさらに元気になるためのツールといいますか、道具を手にすることだ、そのように考えておりますので、ぜひともこの基盤法と交付金を地方の皆さんが有効に活用して地方を元気にされる、そういったことを期待しながら、私の質問を終わりにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、最初に政府参考人の方に伺っておきたいと思いますが、今度の法律で、一つは高度通信施設整備事業、二つ目に高度有線テレビジョン放送施設整備事業、三つ目に信頼性向上施設整備事業、この三つに対しての支援策として、低利融資、税制優遇、債務保証、この仕掛けを定めているわけですが、まず債務保証について、これまで債務保証の実績がどうなっているのかを伺います。

須田政府参考人 これまでのところ、債務保証の実績はございません。

吉井委員 次に、税制優遇について伺いたいと思います。

 高度通信施設整備事業と高度有線テレビジョン放送施設整備事業の法人税特別償却の直近五年の実績、これについて、いただいた資料を見ていると、高度通信施設整備事業でこの五年間で約九十二億円、それから高度有線テレビジョン事業で千七百万円、放送施設整備事業ではほとんどゼロに近いというふうに、圧倒的に高度通信施設整備事業についての優遇ということになっていると思うんですが、まず確認をしておきたいと思います。

須田政府参考人 恐縮でございますが、私の持っているデータと若干違うかもしれませんけれども、御指摘のように、この五年間、あるいは過去からずっと通して見ましても、この支援実績といたしましては、高度通信施設整備事業が最も大きな割合を占めてございます。

吉井委員 それで、この高度通信施設整備事業を行っている事業者、主な事業者というところはどういうところですか。

須田政府参考人 高度通信施設整備事業でございますけれども、大きく分けまして、NTT関係事業者、それから地域系の通信事業者、そしてケーブルテレビ事業者、その他新しい、ベンチャー系といいましょうか、通信事業者等から成ってございます。

 NTT関係事業者としては、高度通信施設整備事業は、現在、三十五社認定を受けてございます。――よろしいですか。

吉井委員 いや、細かいのを言っておったんじゃ切りがありませんから。

 それで、次に、固定資産税の課税標準の圧縮の方について伺っておきたいんですが、二〇〇四年度、平成十六年度の高度通信施設整備事業、高度有線テレビジョン放送施設整備事業それから信頼性向上施設整備事業、それぞれの固定資産税の課税標準の圧縮額、これがどうなっているのかを政府参考人の方に伺います。

須田政府参考人 税制優遇措置のうち、固定資産税の課税標準の圧縮につきましてのお尋ねでございますが、平成十六年度におきまして、高度通信施設整備事業につきましては五億二千五百万円、信頼性向上施設整備事業につきましては三千八百五十万円、高度有線テレビジョン放送施設整備事業につきましては二十万円となっております。

吉井委員 ですから、先ほどの数字にしても、今の数字を見ても、圧倒的に高度通信施設整備事業、さっきいろいろなお名前があったんですけれども、ケーブルテレビだなんだといっても、今のでわかるように二十万円と、全然けた違いなんですね。

 ですから、そういう点では、これは、中心的に税制優遇策を受けているというところでも、NTTを中心としたところということになってくるのではありませんか。

須田政府参考人 全体としましては、NTTが、事業者としましても、あるいは全体の金額としても、一般的な支援措置の大体半分程度を占めているものでございます。

吉井委員 次に、低利融資についても政府参考人に伺っておきますが、直近五年間の利子助成対象設備に係る融資の実績というものについてですが、これは、いただいた資料を五年分で見てみると、高度通信施設整備事業についての低利融資は一千六十二億円、高度有線テレビジョン放送施設整備事業が七億円ですから、この点でも圧倒的に高度通信施設整備事業への低利融資であったと思いますが、これはどうですか。

須田政府参考人 繰り返しになりますが、この基盤法に基づく支援措置の全体としましては、やはり低利融資も含めてですが、高度通信施設整備事業が大きな割合を占めているところでございます。

吉井委員 それで、低利融資もそうなんですが、今度、税金による利子助成額を見てみましても、高度通信施設整備事業、NTTを中心としたところは約四十億円、それからケーブルテレビなどに係ってくる高度有線テレビジョン放送施設整備事業は約三千万円ですから、一%以下という比率になりますね。

 九五年度から十年間になりますが、NTTとNCC、それからケーブルテレビ会社、それぞれの利子助成の実績というものは、この十年で見ればどういうふうになりますか。

須田政府参考人 恐縮でございますが、今、手元にありますのがこの五年間の実績でございますが、年度別の利子助成金交付実績額というものでございますけれども、全体、この五年間で、利子助成金の交付金額は十九億二千百万円になってございます。そのうち、NTTが十一・三六億円、NCCが七億六千八百万円、CATVが〇・一六億円となってございます。

吉井委員 その前の分もいただいておりますから、ですから、一九九五年から九九年度分と、今おっしゃった〇〇年度からの五年分を合わせると、九五年からのちょうど十年で、NTTの利子助成の実績というのは約二十三億円、NCC関係が十七億円、ケーブルテレビ関係は三千三百万円と、つまり、ほとんどの事業が、六割はNTT、NCCが四割、こういうふうになっていると思うんです。

 そこで、ですから、電気通信基盤充実臨時措置法による実際の支援というのは、NTTなどの光ファイバー・インフラ整備、ここを支援するということになっているわけですね。私は、いろいろなところへどんどん光ケーブルなんかが延びていくことは大事なことだと思うんですが、特にこういう支援がNTTなど特定の大手企業になくても、やはり利益を上げるということを目指してNTTなどは必要なインフラ整備に投資をしているわけですから、これは十分やっていけるものと思うんですが、何か、これだけ税金を安くしたり利子を応援しないとNTTがやっていけないというところから発想をしておられるんですか。

須田政府参考人 NTTも民間事業者の一つでございます。民間事業者である以上、経営を行うに当たりましては、効率性、採算性等を考慮して運営を行うところでございます。

 そういう中で、こうした光ファイバーの整備、ブロードバンド基盤の整備というものは、リターンの回収期間が非常に遅い、その割に、その初期に非常に大きな投資が必要となるものでございます。ですから、普通の民間の経営でやりますと、このような回収期間が遅くて、しかも投資の規模がすごく大きいというものにつきましては、一般ですと、どうしてもちゅうちょしてしまうようなところがございます。

 したがいまして、先行投資性の非常に強い基盤を整備するに当たりましては、やはりどうしても、何らかの形でインセンティブを与えることによって普及、整備の進展を早めることが、結果的にネットワークが早く全国的に展開していくことになる、それはひいては国民の皆さんの利便の向上につながっていくものと考えておる次第でございます。

吉井委員 昔、電話をずっと引いていくとき、電話債権を買いました。一向に返してもらえませんよね。今それがNTTとなって大きな利益を上げているわけですが、応援する方はしっかり考えているんだけれども、我々負担した方で、もうぼちぼち、しっかりもうけているんだから返してもらってもという方は、なかなか返ってこないというのが実情です。

 法人税特別償却でも、固定資産税の課税標準の圧縮にしても、税金を使った利子助成にしても、力の弱い中小企業、そういうところへこういう支援をしていこう、そのことは地域の中小企業の支援にもなるし、地域でこういう事業を進めることにもなっていくというのならば政策的に意味もわかるんですが、NTTなど限られた特定の大企業向けの支援策というのは、これはもう大企業優遇策というのは明白であって、私はこういうやり方というのはよくないというふうに思います。

 これにかかわって、竹中大臣の方に伺っておきたいと思いますのは、大臣の私的懇談会で、通信・放送の在り方に関する懇談会が一月につくられておりますが、この懇談会では、通信と放送の融合・連携に向けた問題点、それらが生じる原因の検討から始まって、通信・放送及びいわゆる融合・連携のあるべき姿、望ましい行政の対応のあり方を検討するというふうにしていらっしゃるわけですね。また、開催期間については、平成十八年一月より開催し、おおむね半年間開催するということを言っておられます。

 この検討内容とか検討結果について、内閣の基本方針であるいわゆる骨太方針に盛り込むよう経済財政諮問会議に提案をしていくというのが大臣のお考えなのかどうか、ここのところを最初に伺います。

竹中国務大臣 ちょっと今いろいろ読み上げてくださいましたけれども、基本的には、この開催要綱の中に背景、目的などを書かせていただいているとおりのことでございます。

 そして、通信・放送という非常に重要な政策問題に関しまして、専門家でまず御議論をいただく。しかし、政策を実施する政策判断をするのは行政の主体であります我々でございます。専門家の報告を受けて、我々としてどのように対応するのかという判断をしっかりとさせていただいて、そして政府・与党の中でしっかりと協議をして、合意できるものについては骨太の方針に書く、ないしは、そういうことも含めてIT戦略本部等々に報告をする、そうした形で、合意ができるものにつきましては政策のプロセスの中に乗せていきたいというふうに考えております。

吉井委員 ことし一月十八日の経済財政諮問会議の議事要旨の中でも紹介されておりますが、竹中大臣の方が、まとまってきたら五月ごろには諮問会議で一度報告をさせていただき、そして骨太方針にもぜひ反映をしていただきたいということですから、この諮問会議で、私的懇談会とかいろいろ言われている、表現は私的かプライベートでないのかどうかはともかくとして、そこの懇談会の検討結果は経済財政諮問会議に諮って、骨太方針にぜひ反映をしていきたい、こういうお考えだということを確認しておきたいんです。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは専門家でまず御議論をいただくわけでございます。その上で、政策の判断をするのは我々でございますので、まずそこの専門家での議論の成果を私たちにぜひインプットしてもらいたい、その上で、私どもの方では、与党との協議も踏まえて、どういう政策をするかということについて、しっかりと行政上の判断をした上で政策のプロセスに乗せていきたいというふうに考えております。

吉井委員 方針をここで検討していただくということでやっているわけです。それで、大臣は骨太方針に反映させたいということも一月に言っておられるわけです。内閣の通信・放送分野の方針案をここで検討しているわけですが、その検討が非公開ですね。いわば密室で行われていて、議事録も基本的には作成されていないのではないかと思いますが、どうですか。

竹中国務大臣 何度も申し上げますけれども、まず私にインプットをしてもらって、総務省の責任者である私のもとで、総務省の中で、そして政府・与党と検討した上で、合意できるものについて政策プロセスに乗せていきたい、これが懇談会の位置づけでございます。

 そして、この懇談会の議事の進め方等々につきましては、これも何度か御答弁をさせていただいているかと思いますけれども、いずれの懇談会も議事録または議事概要を作成しております。そして、会議の開催後、おおむね一週間から二週間程度で総務省のホームページに掲載をさせていただいているところでございます。

吉井委員 議事録として出たもの、だれが発言したかという、氏名も内容も詳しく出たのは、NHKの会長とか民放連の会長とかNTTとかソフトバンクの孫さんだとか、こういう方たちが出たときは、ヒアリングに行かれた方のお名前も質問者の名前もちゃんと出ているんですね。しかし、それ以外は全く出てきませんね。大体、第一回のときから、会合は公開しないということにしているんですが、資料だけ公開だということをうたっていますね。

 しかし、総務省のいろいろな審議会等がありますが、これは私の方でつくったんですけれども、総務省でやっている、議事録を作成しているか否か、議事概要を作成しているか否か、そのとき発言者氏名が出ているかどうかというのを御協力いただいてつくってみると、通常は、議事録には、総務省の審議会であれ何であれ、すべて発言者の名前が出ているわけですね。発言者の名前が出ないときというのは、地方財政審議会のように、議事録を公式なものは全くつくっていない、ブリーフィングなり口頭で概要の若干の説明ぐらいという例外的なものを除いたら、普通は皆つくるんですね。

 ところが、議事録を作成しているか否かについては、唯一名前が出てくるのは、さっき言いましたヒアリングのときの分だけで、あとは全くそもそも議事録がつくられない、ブリーフィングといっても、だれがどうしゃべったかわからない、名前が出てこない、こういうのが実態なんじゃないですか。

竹中国務大臣 委員が例外的なものを除いてこうこうであるというふうに言われましたけれども、まさにいろいろなケースがあるということを委員も言っておられるのではないかと思います。

 私どもとしては、どういう議論が行われているかということについては、きっちりとできるだけ多くの人に御理解いただけるように、その名前、議事の概要等々をホームページに発表しているわけでございます。

 名前があるかどうかということを一つ、今、問題にしておられるのかもしれませんが、これは、この議論というのは行きつ戻りついたします。そして、非常に専門的なことで、例えば、このことはこういう意味なのかああいう意味なのかという確認の議論等々、ちょっと初歩的な質問でなんだけれども、こういうことも教えてくれというような議論もございます。そういうことを自由に議論していただくというために、名前をあえて出す必要はないのではないかというふうに考えているわけでございます。

 議論の中身につきましては、そういった意味では、おわかりいただけるように発表をしておりますので、これは議論の性格等々に合わせて、私どもとしては、きっちりと御説明できることは御説明をしているというふうに理解をしております。

吉井委員 竹中大臣の全くプライベートで、ポケットマネーで研究会をつくられて、事務局の方もボランティアでやっていることについてまで私はあれこれ言うつもりはないんですよ。

 これは、税金を使って、きちんとした検討なり審議を行って、そして、大臣を経由するにしても、国の政策に反映していこうということでつくっているわけですね。そこで一体何がどう議論されているかとか、肝心なことが、国民の皆さんもそうですし、国会にもわからない。これは私はやはり非常に異例なことだと思うんですよ。

 総務省の審議会の方でもほとんどは議事録をつくっているんですよ。議事録といえば、もちろんだれがどう発言したか、皆載っているんですよ。唯一といいますか、非常に例外的に見えるのが、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、通信・放送の在り方に関する懇談会、郵便におけるリザーブドエリアと競争政策に関する研究会、この三つだけが、私的懇談会なのかプライベートなのかどうか知りませんが、しかし、伺ってみると、この三つの私的懇談会と呼ばれるものだけでも四百五十万円の税金を支出することになっていますというのが当局のお話ですから。そうすると、だれが何を言ったか、発言される方も、自信がなきゃ仕方がないにしても、そういう方とも私は思いませんから、これはやはりきちんと議事録をつくって公開する、当たり前のことだと思うんですね。

 大臣、これはどうなんですか。

竹中国務大臣 まず、例外的にこの三つがなっているというお話でございましたが、まさにこの吉井委員の資料を見ても、これはもういろいろなものがあるということがこの資料には示されているのではないのでしょうか。これはケース・バイ・ケースである。私はいつも言いますけれども、できる限り、諮問会議と同じような形で、その内容についてお知らせをしていると申し上げているつもりでございます。

 そして、四百五十万円を使っている私的な云々という話がございましたが、別に私の趣味についてお話をしていただいているわけではありません。総務大臣として正しい判断をするために必要なインプットをしてもらいたいんだということで、総務大臣に対するインプットのための会でございますから、これは、私的な懇談会というのは俗称というか通称でございますけれども、そういう位置づけだということだと思っております。

 きちんと公表しろということに関しては、これは今はまだ議論のプロセスでございます。議論をして取りまとめたものについては当然公表はされるわけでございます。かつ、取りまとめられたものの性格としては、これは総務大臣に対するインプットであって、その上で、省内で議論して、与党と議論して、政策的な判断をしていくわけでございますので、そういう性格につきましてぜひとも御理解を賜りたいと思います。

吉井委員 総合規制改革会議の宮内義彦さんが、議長として議事録作成義務を果たしていなかったということが今問題になっていますね。これはもちろん内閣府に設置された諮問機関である総合規制改革会議ということではありますが、要するに、内閣府に設置されたものは、内閣府設置法、府令それから運営規則によって議事録作成が義務づけられているわけですね。

 これは、もともと、我々が三十年ほど前に情報公開の議論をしたときからそうなんですけれども、そもそも情報とはだれのものか。メモに至るまで、税金によって運営され賄われるものについては国民共有財産だ、これはアメリカなどの情報公開法を始めていくときの基本的な出発点なんですね。

 四百五十万円ほどの税を投入して、なるほど規制改革会議のような諮問会議という位置づけでないにしても、それは経済財政諮問会議にもあなたを経由して反映していこうというものなんですから、こんなもの、自信がなきゃ別ですよ、堂々と公開するのは当たり前じゃないですか。私は、これは公開をするべきだと思いますね。

 この点だけもう一度伺っておきます。

竹中国務大臣 私的な懇談会であっても、審議会等々と同様にしかるべく情報の開示をしていく必要がある、つまり、私たちの説明責任としてまさにそういう姿勢が必要であるということについては、全く私も同じ思いでございます。そうした観点から、議事要旨の即座の公開、そしてブリーフィング等々を行っているわけでございます。

 そのような形で情報が開示されているということにつきまして、重ねて御理解をいただきたいと思います。

吉井委員 氏名がないんです。だれがどのようにしゃべったか、どういう発言であったか、わからないんです。こういうものは、会議全体の傾向はこんな傾向であったという話にはなったとしても、とてもブリーフィングだ、議事要旨だというものに値しない。やはりそのことを踏まえてきちんとした公開を図るべきだと重ねて申し上げて、時間が参りましたので、終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 提出されております電気通信基盤充実臨時措置法一部改正案につきまして、何点か質問をいたします。

 まず、第三条におきまして、総務大臣は基本指針を定める、このようにされております。その中で、ずっとあるんですが、高度通信施設の整備が特定の地域に偏らないように配備する努力義務というものが事業者に課せられております。事業者はこの指針に基づいて実施計画を策定し、大臣の認定を受ける、こういう仕組みですね。

 これが本法の仕組みであるんですが、こうした仕組みと、先ほど来るるお話がありますように、ブロードバンドの偏在状況、そこには法の趣旨と乖離があるのではないかという認識を私は持つんですね。

 これについて、大臣の見解をまずお聞きしたいと思います。

竹中国務大臣 重野委員の今の御指摘は、要するに、ブロードバンドの偏在状況が出ているではないか、それをどう考えるのか、そういう御指摘かと存じます。

 これは、先ほども申し上げましたけれども、情報通信インフラの整備というのは、本当に各国頭を悩ませて、いろいろな工夫をしてきたと思います。そうした中で、やはり民間主導の原則というのは重要な柱であろうと思います。適切な競争を行っていただいて、そして、その中に電気通信基盤充実臨時措置法に基づく各般の措置をインセンティブとして与えることによって促進をしてきたというふうに思っております。

 ブロードバンド基盤等の整備が行われる地域につきましては、今委員指摘してくださいましたけれども、基盤法に基づく基本指針におきまして、整備が特定の地域に偏らないように我々はもちろん配慮しているわけでございます。需要動向等の一方で、地域の実情、やはりニーズのことも勘案する、そして整備する地域がどんどん拡大するというふうに努めているところでございます。

 これは評価の問題があろうかと思いますけれども、全国的に見れば、大きな偏りなく基盤法の施策を活用した整備が行われてきたというふうには承知をしております。

 確かに、委員も言われましたように、個々の地域の中では、これはやはり、残念ではありますけれども、おのずと人口密度によっていろいろな整備に差が出てきているところがあるということは否定できない面もございます。これは民間主導の原則のもとで、しかし、整備地域を次第に拡大していくという過程において生じているプロセス上のものであるというふうに思っておりまして、この政策を続けることによって、我々は最終的にブロードバンドのゼロ地域の解消を目指しているわけでございますので、そういう最終的には偏らない姿をぜひ実現したいというふうに考えております。

重野委員 大臣はそのように申しますけれども、この法律で、指針に基づいて認定した事業者には、債務保証、税制上の優遇措置に加えて利子助成がなされておることは御案内のとおりです。利子助成を見ますと、一九九五年度から二〇〇五年度の半ばまででありますが、三百八十七件、約四十一億円、こういう額が補給されているわけです。

 この支援は、重ねて申しますけれども、特定の地域に偏らないように整備する誘導措置であるはずです。ところが、実態については、先ほど来申しているように、非常にばらつきが出ている。都道府県の比較においても、市町村の比較においても、そういう結果が出ております。

 この間、この法律ができて以来、かなりの時間が経過をしたわけでありますけれども、それでもなおかつ現実があるというところに、いま一度しっかり検討しなければならないものがあるのではないか。

 つまり、この結果は当初の計画の段階からわかっているはずなんですよね。だから、それを認定したわけですから、それはやはり、国にとっても、その実施主体あるいは市町村というレベルではなくて、いま一度国に立ち返って、どこかに問題はなかったのか、こういう結果が出ないような方策はなかったのか、こういうふうな基準の洗い直しとか、そういうものが検討されてしかるべきでなかったのか、このように思うんですが、その点についてはいかがお考えですか。

竹中国務大臣 委員の御指摘といいますか御懸念は、当然我々もしっかり受けとめてやらなければいけない問題であろうかと思います。

 基盤法に基づく基本指針には次のように示されております。「事業者は、高度通信施設の整備が特定の地域に偏らないように配慮し、需要動向等の地域の実情を勘案しつつ、高度通信施設を整備する地域の拡大に努めるものとする」。まさに趣旨としてそのようなことを我々も目指してやっているわけでございます。

 基盤法に基づく実施計画の認定についても、このような考え方に基づいて行っているところでございます。

 民間事業者がネットワークを整備する際には、需要の大きいところ、密度の高いところから整備がなされていくわけでございますけれども、その整備の過程において時間的な格差が生じているという面はあろうかと思います。

 いずれにしても、私たちは業者を優遇するためにこういう政策を持っているわけではございません。業者にしっかりとインセンティブを与えて、そして結果、国民が、住民が利益を得られるような、そういう誘導の政策としてこの政策の枠組みを持っているわけでございます。

 後で御質問があるかもしれませんが、こういう民間を主導にしながら、しかし、補完的に政府がやるべきことがあるという観点からは、先ほども申し上げました交付金の創設等々の措置をあわせて講じることによって整備の促進を図っているところでございます。

重野委員 明らかに格差が生じております。加入者系光ファイバー網の整備状況一つとりましても一目瞭然であります。政令都市及び県庁所在地級の都市では九五%、人口十万人以上の都市でも八八%という高い率にあるわけですが、それ以外の地域を見ますと、がたっと落ちまして、六五%までも届いていない、そういう実績なんですね。投資効率の高い、利益の見込める地域にはほうっておいても事業者は投資をする、そういうことだろうと思うんです。

 この指針を定めて、支援措置をもってというこの考えは、私が言うまでもなく、投資効率の低い地域、そうした地域に誘導する、ここに重要な意味があるんではないかと私は思うんですが、重ねてその点について大臣の見解を聞いておきたいと思います。

竹中国務大臣 繰り返しで申し上げますけれども、この情報通信インフラの整備というのは、やはり諸外国の例を見ても民間主導原則のもとで推進をしていくということなんだと思います。したがって、国の役割というのは、事業者に対する適切な競争政策を行うということ、そして、この基盤法がそのよい例でございますけれども、事業者に対する投資インセンティブを付与して、そして全国を対象にしっかりと整備をしていくということであろうかと思います。

 しかしながら、離島でありますとか、やはり条件不利地域があるわけでございます。そして、条件不利地域については、競争環境の整備でありますとか基盤法による措置のみでは整備が進みにくい地域が存在しているということ、これも我々は認識をしております。

 このような、民間事業者への投資インセンティブの付与だけでは整備の進みにくい、つまり、まさに委員言われたように投資効率が非常に悪い地域については、地域情報通信基盤整備推進交付金を創設したわけでございまして、この交付金の創設等の措置をあわせて講じることによりまして整備の促進を図りたいというふうに考えております。

重野委員 具体的に聞きたいんですが、そうであるならば、これまで支援措置がずっとなされてきました中継系の光ファイバーあるいは加入者系の光ファイバー、そういう情報インフラの整備にこの制度がどの程度寄与したのか。例えば、政策投資銀行に係る利子助成による寄与度というのはどうだったのか。また、債務保証による整備状況についての寄与度、そういうふうなものも分析あるいは総括されておるはずでありますが、そこについての具体的な数字をお知らせください。

須田政府参考人 基盤法による支援措置の情報通信インフラ整備に対する寄与度についてのお尋ねでございます。

 どの程度寄与したかということにつきまして考えるに当たりまして、基盤法に基づく措置が、基本的には民間事業者に対しまして投資インセンティブを与えるということでございますので、投資の全体状況の中との比較で見させていただきたいと思います。

 具体的に光ファイバーについて、光ファイバーは非常に大きなウエートを占めてございますので、その点でまず見てみますと、過去五年間におきます加入者系、今支援措置の対象としておりますのが加入者系の光ファイバーでございますので、加入者系の光ファイバーに係る事業者の総投資額、これが約一兆七千億でございます。このうち、基盤法に係ります低利融資を活用しました投資額が約二千七百億でございます。したがいまして、全体の総投資額におきます基盤法の支援措置の効果というのは一六%程度かと考えております。

 なお、債務保証につきましては、現在のところ実績がございませんことと、それから利子助成につきましては、この五年ほど、利子助成は下限金利を設定してございますけれども、下限金利を下回るような状態で融資が通常なされておりますので、この数年間は実績がないということもございますので、ちょっとここは私ども検討課題にしてございません。

重野委員 それでは次に移りますが、ちょっと角度を変えまして、一九九五年の通信に関する現状報告、それによりますと、政府はこれまで、光ファイバーの整備完了を二〇一〇年、こういうふうに言っておりました。それが一九九九年十一月の経済新生対策では、二〇〇五年度を目途に全国整備が実現できるよう努力するというふうになりまして、そして今度は、IT新改革戦略では、二〇一〇年までに整備し、ブロードバンド・ゼロ地域を解消する、こういうふうになっております。

 これをどういうふうに受けとめたらいいのか。二〇〇五だとか二〇一〇年だとかいう年が出るわけですけれども、一体どれが政府の明確な目標なのか、これを聞かせてください。

須田政府参考人 御指摘の平成十一年の経済新生対策の中では、二〇〇五年までに光ファイバー網の全国整備を目標としてございます。この時点におきましては、こうした広帯域網というのが基本的には光ファイバー中心であったことから、光ファイバーを想定しまして、またさらに、この整備に関しましては、先ほども申し上げましたが、き線点という、いわゆる幹線として光ファイバーの細いしんを束ねて持ってくるき線点というのがございます。ここまで来るのは大体三百から六百しんぐらいあるわけですけれども、ここまで整備をしているものをもって整備をしていくことの目標にしようということでやってきたわけでございます。

 ところが、その後、光ファイバー以外にADSLのような技術も出てきたこともございますし、また他方で、き線点にあるだけでは利用者が申し込んでもすぐは対応できないということもございますので、平成十三年のe―Japan戦略からは、一つは、光ファイバーだけでなく、ADSLなども対象としながら目標を定めていくことが適切ではないか、それから二つ目には、き線点だけでいいということではなく、実際に申し込んだらすぐ受けられるような、そういうサービスエリアのところをとらえていこうということになりまして、それ以降、要するに、世帯のカバー率という考え方で目標を立てているところでございます。

 今回のIT新改革戦略におきましても、そうした考え方に基づきまして、ADSL級のブロードバンドにつきましては二〇一〇年までに一〇〇%、光ファイバー級の超高速通信ネットワークにつきましては九〇%のカバー率を目標にして進めていこうというところでございます。

 き線点までということも非常に大切でございますけれども、もう二〇〇五年時点は現在過ぎておりますし、今後の目標としましては、このIT新改革戦略にございます二〇一〇年、ADSL級で一〇〇%、光ファイバー級で九〇%ということを目標にして進めてまいりたいと思っております。

重野委員 次に、本法の支援措置の仕組みについて一つ聞いておきたいんですが、これら支援措置がなぜ独立行政法人通信総合研究所を通して行われているのかという点です。法的にも担保されて、対象事業者もそんなに多くはないわけで、なのに、なぜ法人を通すのか、これはちょっと理解できないのでありますが、これについて。

竹中国務大臣 情報通信研究機構、いわゆるNICTでございますけれども、このNICTは、情報通信ベンチャー企業の支援、そして情報通信インフラ整備の支援、情報弱者への支援、情報通信政策上の重要な課題を達成するために、法律に従いまして、通信・放送事業者等に対する助成金交付等の業務を実施しております。まさに実施機関である独立行政法人でございます。

 今、局長のお話にありましたように、二〇一〇年度におけるブロードバンド・ゼロ地域を解消するという目標達成に向けまして、今回、この基盤法の御審議をいただいているわけでございますけれども、これを、言うまでもなく、公正中立な立場で、効果的、効率的、確実に実施するというのが我々の重要な務めであると思います。

 その際、NICTは、やはり情報通信分野において非常に広範で専門的な知見を有している、この点は大変重要であろうかと思います。このICT分野で世界を先導するフロントランナーにふさわしいインフラの整備を実現するわけでございますので、その事業計画、技術評価、そういうものがしっかりと行われる必要がある。その意味で、このNICTの知見をぜひ活用して、この基盤法に基づく債務保証でありますとか利子助成の業務、これをよいものにしていきたいというふうに考えております。

重野委員 ここに説明というか資料があるんですが、これを見ますと、事業者から申請が総務大臣にされまして、総務大臣が認定をして、それから政策投資銀行であるとかそういうところから融資がされて、そして情報通信研究機構から利子助成金の交付が行われる、こういうスキームになっていますよね。今大臣が答弁したような、そんな細かな位置づけというのはこの図面からでは見られないです。

竹中国務大臣 ちょっと今、資料はあれなんですけれども、基本的には、先ほど申し上げましたように、NICTの、ここの専門的な知見を活用したいというのが私たちの趣旨でございます。

重野委員 知見を活用したい、そういう仕組みはこの中には出てこない、結びつかないですよ。

須田政府参考人 NICTが利子助成を行うに当たりまして、NICTにおきましてもかなり具体的な審査等を行っていただくことになっております。特に、貸し付け計画書の内容審査ということをNICTにおいてやっていただくことになっておりますけれども、その場合、資金の使途とか設備計画、あるいは融資機関の貸し付け条件の妥当性、こういったことを審査していただくことになりますので、例えば設備計画などは、具体的に情報通信インフラをどのような形で整備するのかということについての知見が非常に必要になってくると思っておりますし、また、融資機関の貸し付け条件の妥当性等ということになりますと、やはりここでは公正性、中立性ということが非常に必要になってくると考えております。

重野委員 さっき、利子助成の申請から認定、この認定の段階で情報通信研究機構がどういうふうな関与をするのかというのが見えないものですから、もう既にその段階は総務大臣が認定しているわけですから、この機構がそれにかかわるというふうな、そういう機会はないんじゃないかと僕は思うんです。それはそれとして、もう時間がありませんから、次に進みましょう。

 次に、人材の育成について聞きます。

 現在、情報通信にかかわる人材育成などについて、まず現行はどういう措置を行っているのかということが一つ。

 それから、もし行っているのであれば、なぜ、かつて本法にあった特定専門技術業務に従事する者の能力の向上にかかわる規定を削除したのか。しかも、独立行政法人通信総合研究所法の一部改正時に附則で本法の必要な目的及び内容を削除したというのは、私はやはり適切と言えないのではないかというふうに思えてなりません。

 その点について、大臣の説明をお願いします。

竹田政府参考人 お答えいたします。

 まず、平成十三年度の基盤法で人材研修事業を除外したということでございますけれども、現在はどのように行われているかということでございます。

 平成十三年の基盤法改正まで同法で規定されていました人材研修事業というのは、通信・放送機構からの出資によりまして、研修施設を整備して研修業務を行う事業を支援しておりました。

 平成十三年の基盤法の改正におきましては、通信・放送機構によります出資から助成金交付に改めまして、これは中身が変わりまして、情報通信分野の専門的な知識や技能を有する人材を育成する第三セクター等の研修事業、この事業に対しまして必要な費用の一部を助成するという制度に変わっております。

 こうした助成金交付による研修事業への支援につきましては、これもちょっと経緯的に細かくて申しわけございませんけれども、平成十三年度の補正予算から、基盤法に基づかず、情報通信人材研修事業支援制度としまして、国みずからが民間団体を通じて助成するというふうな形態に変えております。

重野委員 はい、わかりました。

 最後に、自治体の光ファイバー網がありますが、地方自治法上、自治体が持っている光ファイバー網はいかなる所有物になっておるのかという点が一つ。

 それから、そのファイバー網をNTTが全国で七カ所借りているようでありますが、これらの使用料はそれぞれ幾らか。

 それから、回線をそういう企業に開放する場合の手続あるいは対価についてはどのような方式があるのか。

須田政府参考人 三点お尋ねいただきましたので、順に答えさせていただきたいと思います。

 まず一点目の、自治体が保有している光ファイバーを貸し付けるときに、どのような所有物と認識しているかということでございますけれども、これにつきましては、物品として管理され、貸付契約を締結することによるという形に整理されております。通常、地方公共団体が所有する財産につきましては、地方自治法上、公有財産、物品、債権及び基金に分類されてございますけれども、貸し付ける光ファイバーにつきましては、このうちの物品として位置づけられているものでございます。

 また、二つ目のお尋ねでございます、NTTなどに貸し付ける場合に、その対価でございますけれども、これにつきましては、地方公共団体と民間事業者との間の契約の関係ということもございますので、私どもとしましては、基本的には、具体的なものは把握しているものではございませんけれども、しかし、当然のことながら、こうした地方公共団体の保有する財産の貸し付けですから、適正な対価を得ているものと理解しているところでございます。

 また、三点目、どのようなルールかというお尋ねでございますが、これにつきましては、平成十四年に、地方公共団体が整備、保有する光ファイバー網を電気通信事業者へ開放する場合の標準手続というのを定めて公表してございます。強制というわけではございませんけれども、このようなルールを公表することによりまして、両者の間の貸与の手続などが円滑に進み、また全国の方々に関しましても、このようなやり方があるというような情報提供という意味も含めて、このような形での標準手続を定めているものでございます。

重野委員 ありがとうございました。

中谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対の理由は、本法が支援対象とする光ファイバー網などの投資は、民間事業者がみずからの営利のために行う事業であり、本来、支援措置の必要がないものであります。したがって、こうした支援措置を延長する必要は全くなく、附則のとおり廃止するべきであります。

 加入者系光ファイバーの整備状況を見ると、全国平均が八四%なのに対して、政令指定都市及び県庁所在地のビジネスエリアでは九八%となっているように、民間事業者はまさに利益の上がる地域への効率的投資を優先してきたことは歴然としています。

 二〇〇〇年度から二〇〇四年度の五年間の低利融資制度実績では、融資総額の千百六十九億円の三分の二をNTTが占めています。税制優遇措置の活用を含め、本法が事実上、NTTを初めとする大手の電気通信事業者への優遇制度となっていることは明らかです。

 こうした特定の大企業優遇制度を廃止して、暮らしや福祉の充実に充てるべきものであるということを主張して、討論を終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、国民にとっての積極的な効果が薄い点です。同法は二〇〇一年に、光ファイバー、デジタル加入者回線、ケーブルテレビ等の高速・広帯域ネットワークの整備及びIT技術者の育成を一層促進するため、廃止期限を延長するとともに、支援措置の内容について見直しがなされました。しかし、IT技術者の育成については既に法律から削除され、高速インターネットの地理的格差の是正についていえば、もうかる地域への投資はおのずと促進されておりますが、もうからないところはいまだ不十分な実態にあり、本法の支援措置の効果は目に見えて実感されるに至っておりません。

 第二に、この制度を実際に利用しているのは、NTTを初めとする大手電気通信事業者にほかならない点であります。

 以上のことから、高度情報通信ネットワーク社会の形成に向けた根本的見直しを行い、新たな法的枠組みとそれに伴う施策を検討するべきであり、単純な延長には賛同できないことを申し上げ、反対討論といたします。

中谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより採決に入ります。

 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

中谷委員長 次に、第百六十三回国会、内閣提出、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。竹中総務大臣。

    ―――――――――――――

 電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹中国務大臣 ただいま議題となりました電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、電磁的方式による申請、届け出その他の手続における電子署名の円滑な利用のさらなる促進を図るため、行政機関等及び裁判所に対する申請、届け出その他の手続に関し、利用者が電子署名を行ったことを確認することができる者の範囲を拡大するとともに、自己の認証業務情報を開示請求する際の事務の規定の見直しなどを行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

中谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会


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