衆議院

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第18号 平成18年4月25日(火曜日)

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平成十八年四月二十五日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      上川 陽子君    桜井 郁三君

      実川 幸夫君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君    松本 文明君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      逢坂 誠二君    小宮山泰子君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    横光 克彦君

      富田 茂之君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高部 正男君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     松本 文明君

  田嶋  要君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 文明君     木挽  司君

  小宮山泰子君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長高部正男君及び自治行政局公務員部長小笠原倫明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自民党の葉梨康弘でございます。

 大臣とは、行革特、総務委員会と、何か毎日お顔を合わせているような感じがいたしますけれども、きょうは、地方自治の憲法であります地方自治法の改正について、二十分ほど時間をいただきまして質疑をさせていただきます。

 大臣の頭に、行革で、簡素で効率的という方、これもぜひ進めていただきたいんですが、頭脳の中にもう一つ民主主義という部屋を持っていただきたいなということをお願い申し上げておきたいと思います。

 そして、常に、行革特でも、さわやかな弁舌、それからすばらしい知識、本当に感服をしておりますけれども、大臣と比べて私が一個ぐらいまさっているところがあるかなというと、選挙を二回経験しておりまして、大臣は一回でございます。

 選挙というのは本当に民主主義の学校でございまして、必ずしも頭がいいからといって当選するわけではないというのはいろいろな結果が証明しているようでございますけれども、選挙の中で、やはり私自身も、頭の下げ方だとか、あるいは人に対する感謝の気持ちというのをいろいろと学ぶことができた。ですから、やはり私、選挙というのは、これは民主主義の学校じゃないかというふうに思います。

 ですから、今、議院内閣制というのをとっておりまして、頭のいい人ということであれば、全部、官僚とかあるいは学者出身の方が大臣になればいいんでしょうけれども、必ずしもそうじゃなくて、選挙を経験した方が大臣になっているというのが、やはりそこは民主主義のみそじゃないかというような感じを持っております。

 そして、その民主主義のもう一つの学校と言われているのが地方自治でございます。これはトクビルが言ったわけではないということなんですけれども、まさに地方自治は民主主義の学校であろう。

 その民主主義でございますけれども、一九四七年の十一月、チャーチルの下院演説ですが、民主主義というのは最悪の政治体制である、しかしながら、今まで試みられたすべての政治体制を除いてはというようなことを演説でおっしゃられています。これは多分、当時、スターリニズム全盛の時代ですから、あるいはファシズム、ここら辺を念頭に置きながら、民主主義における意思決定の非効率さ、これを最悪の政治体制ということであらわしながら、しかしながら、その一見無駄に見える非効率さの中に多角的な民意を取り入れる、その民主主義のすばらしさがあるということを逆説的におっしゃられたことじゃないかなというふうに感じます。

 行政については、今、行革推進法も審議されていますけれども、やはり簡素で効率的なもの、これはどんどんどんどん進めなければならない。しかしながら、多角的な民意の反映という意味では、余り簡素、効率性ばかりを重んじるということは、ちょっと危険性を伴うんじゃないかなというような感じがいたします。

 資料でも、具体的な説明は申し上げませんけれども、市町村合併による三役、議員の減少状況ということで、これぐらいしか減ってないんだ、あるいはこんなに減ったんだ、両面の見方があるかもわかりませんけれども、平成十五年から平成十九年を比べますと、地方議員の数は三一%。これはこの四年間での三一%ですから、相当な激減状況であろうかと思います。私の地元でも、今まで大体百五十票ぐらいで当選していた人たちはもう当選できません。一千票とらないと当選できない。そういう形でいいますと、従来地方議会を通じて反映されていた民意というのはなかなか吸収されづらくなる。

 それに加えて、今回、地方自治法の、審議会レベルの話ですけれども、行政委員会についての見直しというのが議論されて、今回法律にはのってこなかったわけなんですが、ただ、そこのところも、今非常に私危惧しておりますのは、三位一体の改革が進む中で、これは地方に自由度を与える、地方に裁量を与えるというような旗印で行われていますけれども、そういう面もあるんですけれども、必ずしもその面だけじゃなくて、地方の首長に裁量を与える、地方の首長に自由度を与える、すなわち、どちらかといえば民主集中制的な意味で、首長ばかりに権力が集中してしまう。果たしてそういう形での多角的な民意の反映というのはできるのかなというような感じを私自身は持っております。

 行政委員会制度については、今までも形骸化が指摘されております。私も、昔役所にいていろいろ見ておりましたけれども、行政委員会を支える官僚の側あるいは公務員の側が必ずしも委員の先生方に情報を上げないということがあります。そうなりますと、ますますこれは形骸化をしてしまう。

 ですから、今後いろいろな形で行政委員会について見直しを行っていくに当たっても、やはり教育委員会というのは、知事の権限が大きくなったときに、教育の継続性を維持するためにある意味で機能を持っているわけだし、あるいは農業委員会なんかも、農業を守るという意味では機能を持っているわけだし、それを整理するというよりも、むしろ、その機能をどうやって発揮させていくのか、そういう観点からしっかりと改革を進めていく必要があろうと思います。また、行政委員会について検討するに当たって、多角的な民意の反映、そういったような視点、これをぜひとも十分に配慮していくことが必要であるというふうに私考えますけれども、冒頭、大臣から御所見を承りたいと思います。

竹中国務大臣 葉梨委員から、民主主義の学校ということで大変貴重な御意見をいただいたと思っております。

 民主主義のあり方を考えるというのは、我々、政策を考える場合の、いわばインフラ部分、極めて重要な部分だと思っております。その際、民主主義というのは、言うまでもなく、多数の意見に従うということでありますが、それは同時に、少数の意見を無視しない、多様な意見を尊重する。その多数の意見に従うということと多様な意見を尊重するということがコインの両面になっていなければ、真の民主主義は機能しないということであろうかと思っております。

 そうした観点からの葉梨委員の御質問でございますが、行政委員会制度の見直し、これに関しては、委員も御承知のように、昨年十二月の二十八次の地制調答申におきまして、具体的には、教育委員会及び農業委員会について、地方公共団体が選択できるようにするのが適当だというふうにされたところでございます。

 しかし、これは、行政委員会そのものを決して否定するものではございませんで、地方の自主性、自律性の拡大の観点から、法律によって一律に設置を義務づけるまでの必要はないのではないか、そういう考え方に基づいているというふうに思います。

 もとより、地方公共団体が施策を行うに当たっては、住民の意向を十分に反映させる、しかも多様な意見を反映させるということは極めて重要でございます。そのために、その時々の、またその地域の状況に合わせて、どのような組織体制方法が適当であるかというのは、これは地方公共団体が主体的にしっかりと判断をされなければいけない問題であるというふうに思っております。

 その意味では、行政委員会制度に代表される、権限ないしは意見が一カ所に集中しないような多様な仕組みを持っておくということは、これは民主主義において大変重要なことでございます。そういうことを選択の上でしていただくということが地方自治の本旨ではないかというふうに考えております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 ちょっと心配しておりますのは、現在、地方自治体において、三位一体改革の影響ということではないんですけれども、首長と議会の関係が、緊張関係というよりは、全部、オール与党的な関係になっている。そして、その中で首長の権力が強くなりますと、本当に独裁的な形もできてくる。ですから、この行政委員会の制度というのを考えるに当たっては、やはり全体のパッケージとして、地方自治の制度として、後でもちょっと議論したいと思うんですけれども、首長と議会との緊張関係、ここら辺がどのように担保されているかということも考えながらやっていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、政府参考人、行政局長にお伺いいたします。

 まさにこの地方自治法というのは制度法なんですが、平成十二年及び十六年の地方自治法の改正で、地域審議会、地域自治区の制度が設けられました。今までの設置状況について、数だけで結構です、簡単にお答えを願いたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成十七年三月末の時点の調査によりますと、平成十八年四月一日までに合併予定の市町村におけます地域審議会及び地域自治区の設置状況は、地域審議会が二百三十団体、一般の地域自治区は十七団体、九十三自治区、それから合併特例法による特例の地域自治区は三十八団体、百一自治区というような状況になっているところでございます。

葉梨委員 今もお答えがありましたけれども、必ずしもそれほどの数になっているわけではございません。ただ、ここのところは別に総務省の責任ということではなくて、あくまでこれは制度、法律でございますし、また、選択的に自治体が選べるものだということで理解はするんです。

 ただ、一つは、制度官庁としての総務省の役割ということなんですけれども、これはちょっと質問の時間もありますので、要望だけにとどめておきたいと思います。

 制度法として、例えばこれを必置制から選択制にしましたといったときに、各自治体でいろいろな試みが行われている、それをしっかりと情報提供しながら、どのような運用状況になっているんだ、あるいはメリットがどうなんだ、デメリットがどうなんだということを、地方六団体とも連携をしながら各自治体にいろいろと情報提供していく、このような機能というのはやはりぜひとも必要なんじゃないかというふうに思います。

 そこで、この法律でも、地方六団体に対して、これは総務大臣ではなくて各大臣からということですけれども、制度をつくるに当たっての意見を求めるというような改正もなされたと思うんですけれども、制度をつくった後のフォローアップ、これについても、地方六団体としっかりと連携を深めながら、いろいろな形での情報提供をしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 そこで、ちょっと技術的な話になってまいります。

 今回、吏員の規定というのが廃止になりました。この吏員の規定は、もともと地方自治法というのは憲法に直接授権された法律ということですけれども、憲法九十三条二項「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」ということで、ここに吏員という言葉が憲法上あるわけですけれども、この意味について行政局長から伺いたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 旧憲法下におきましては、国では官吏というふうに呼ばれました。これに対応した地方公共団体の職員を呼ぶのに吏員といったような用語が用いられたというふうに思っておるところでございます。

葉梨委員 この吏員の関係ですけれども、憲法だけ、地方公務員について吏員というのが残ってくるわけなんですが、淵源を申し上げますと、占領後、二十一年になります、二月の十三日か四日にGHQの方が憲法草案を英語で示しまして、二十六日に訳されて閣議で配られました。そのときは、地方自治体の役員は選挙で選ぶというふうになっていて、役員というのはいかがいかでもおかしいだろうということで、当時、公吏といわゆる雇傭人という形で分けられていた吏員という言葉で、この吏員を使ったというのがもともとでございます。

 ちなみに申し上げますと、地方自治の本旨というのも、二月の二十六日に閣議で配られた案にはございませんでした、そして、三月二日に内閣が案を提示した、この間の一週間でできてきました。なぜならば、GHQが示した草案には、まず、地方自治体のほとんどの主要な職員というのは選挙で選ぶんだ、それから条例とか課税をすることができるんだという住民自治と団体自治しかなくて、ところが、住民自治の部分が余りに広過ぎる。そこで、議会の選挙、それから、一定の吏員ということでたがをはめた上で、地方自治の本旨に基づいて法律で組織等を定める、これがこの地方自治法ということでございます。

 ですから、今回、この吏員を変える、吏員を職員にするということは、実は歴史的には意義がございます。歴史的な意義というのは、憲法が六十年もたって本当に時代に合わなくなっているということをこういった技術的な面からも示しているということが今回の改正でございますので、よく聞いておいていただきたいと思います。

 それでは、次の点に移りたいと思います。

 今回、議員の四分の一の請求があった場合、二十日以内に臨時会を開催しなければならないという規定が入りました。ところが、国会では二十日以内というような規定はないんです。ですから、それで果たして回るんだろうかということを総務省の方に問い合わせをさせていただきました。全国の市、サンプル調査をして、百十八団体を三年間調べてもらいました。そうしたところが、平成十六年中、議員招集の件数が十三件、ところが、招集に至らなかった件数が一件というような御報告を受けているんですが、この招集に至らなかった件数の一件という具体的内容を行政局長から伺いたいと思います。

高部政府参考人 御指摘ございました招集に至らなかった一件でございますけれども、青森市におきます青森公立大学に対する負担金の使途の調査に関する決議について、百条調査特別委員会の設置を付議事件とする招集請求だというふうに伺っているところでございます。

 なお、本件につきましては、平成十六年五月七日の招集請求の後、長と議長の間で臨時会の開催日程を協議したところ、双方の日程調整がつかず、また、六月四日に定例会の開催を予定していたために、当該事件を六月定例会で取り扱う旨合意したと伺っているところでございます。

葉梨委員 ありがとうございました。

 これは、長と議長の関係でしっかり調整ができているということですよね。

 それで、ほかにも県議会の例で聞いてみましたところが、二十日を過ぎている例もあるんですけれども、四分の一以上の請求があった場合には大体招集がされているということですから、二十日以内ということが議員招集でうたわれたとしても、実務上そんなに困ることはないのかなというふうな感じはいたします。

 ただ、ここでひとつ、これは必ずしも論理的な整合性があるわけではないんですけれども、この議員招集四分の一という規定は、先ほど憲法を引きましたけれども、やはり国の制度とのパラレリズムから来ていることは間違いございません。憲法五十三条において、内閣は、両院のいずれかの議員の四分の一以上の請求があったときは臨時会を召集しなければならないというような規定、このパラレリズムで地方自治法のこの規定が整備されたというふうに認識をしております。

 では、国会で二十日以内というのを入れるべきじゃないかという議論が、これは特に地方自治法ですから、行政学の非常に大きな研究素材にもなりますので、入りやすい議論なんです。ところが、現実のところは、皆さん御存じのとおり、二十日以内に開催されるとは限りません。

 何でだという話なんですけれども、確かに、地方自治法はもともとはパラレリズムということにあったわけなんですが、しかしながら、少なくとも、議院内閣制をとります国の統治機構と首長の公選制をとります地方の統治機構、これはやはり制度的にもおのずから変わっていていいんじゃないか、ディファレント・フォークス・ハブ・ディファレント・ウオークス、これでよろしいんじゃないかというような感じを私は実は持っております。

 そこで、大臣にちょっと伺いたいんですけれども、地方制度におきましては、ある意味で、国の制度以上に、首長の部局、それから議会が緊張関係を確保するように配慮していかなければならないというふうに思いますけれども、大臣から御見解を承りたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、今議論されていることは、ある意味で、行政学というか行政論の立場から、きちっとやはり整理をしておかなければいけない重要な問題が含まれているというふうに私も思っております。

 我が国の地方制度は、議事機関としての議会の議員、そして執行機関としての長、これはいずれもが住民の直接選挙によって選任をされるわけでございます。いわゆる首長制度をとっている。二元代表という言い方もあろうかと思います。

 このように、地方公共団体の組織がこうした制度を採用している理由の一つとしては、議会と長、首長とがそれぞれ独立の立場で、そして相互に牽制をして、均衡と調和の関係を保持して、公正で円滑な自治の運営を図るということが挙げられるのだと思います。この点、確かに国のシステムとは違っているわけでございます。

 今回の議会制度に関する改正は、その意味では、現行の議会と長の関係をあくまで前提としながら、そして議会の自主性と自律性の拡大を図りたい、そういう観点に立って、議長への臨時会の招集請求権の付与等の制度改正を行うものでございます。

 御指摘のとおり、長と議会は適切な緊張関係を持って、ともに住民福祉の向上に努めていくことが求められているわけであります。そうした意味での建設的な関係、相互の牽制の関係というのが今回の提案のもとでも保たれるのではないかというふうに考えております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 実は、きょう、私の後の質問者は、一期生ですけれども、市長経験者として萩原さん、それから県議経験者として土井さんということで、二人で全然別の方向を向いた質問はしてほしくはないんですけれども、やはり首長と議会というのはしっかり緊張関係を持たなきゃいけないと思います。

 冒頭も申し上げましたように、今、どちらかというと、三位一体改革の中で地方に権限を移す、しかしながら、何か地方において議会と首長がなれ合い、オール与党という形だけになってしまいますと、ちょっと落とし穴があるんじゃないかというような感じがいたします。しっかりと今後の制度設計について配慮をしていただきたいということを申し上げまして、本日はちょっと民主主義と憲法ということに絡めまして地方自治のことを伺わせていただきました。ありがとうございました。

 以上で終わります。

中谷委員長 次に、萩原誠司君。

萩原委員 自民党の萩原誠司です。

 この間、岡山に帰りましたら、私と一緒に仕事した収入役の女性、これは日本で初めての女性収入役、民間からいただいた方なんですけれども、私のポジションはもう要らないんですかと聞かれましてね、そんなことはないんだという話もしたんです。

 そこで、御質問なんですが、竹中大臣、今お幾つですか、年齢。

竹中国務大臣 五十五歳でございます。

萩原委員 まさに五十五歳というのは非常に重要な意味があるんですけれども、全国の収入役の中で、岡山のケースはいいんですけれども、非常に優秀な職員が五十代前半になっているケースがあるんですね。自治法でこうやって収入役の仕事がなくなりますと、普通は過員といって、首じゃないかというおそれを抱いている方々がおられるんです。

 そのところは、もちろん首になるケースもあったり、あるいは、若干、法律の趣旨にのっとって、しばらくの任期の間は残れるみたいなところもあるんですけれども、それだと法律の趣旨に反する、一体この人たちはどうしたらいいのか。野ざらしにすべきかどうか。大臣の御所見を、関係者が安心できるようにひとつよろしくお願いいたします。

竹中国務大臣 最初に私の年齢を聞いてくださいましたので、そういう御質問かなというふうに思ったんですけれども、五十六歳未満の出納長は今いらっしゃらないんだそうでありますけれども、収入役は三十七人、十八年四月時点でいらっしゃるんだそうでございます。

 一般職の定年年齢未満で任期満了となりました出納長、収入役の方々、これは確かに御指摘のような問題に直面するわけだと思いますけれども、これは各地方公共団体が判断することになりますけれども、一般職として採用しようとする場合には、これは制度的には通常の場合と同じく、それなりの試験とか選考とかによって採用されるということになるんだというふうに思います。

 なお、この出納長や収入役が副知事とか副市町村長の特別職として任用されるということも、これはあり得るわけでございます。頑張ってやっておられる方々、たくさんいらっしゃると思いますので、そういう方々には、私は、当然のことながら、そういった活躍の道が開かれていくというふうに考えております。

萩原委員 ありがとうございました。出世をしてもいいし、また選考採用という道もあるよということで、恐らく多くの方々が安心して頑張って仕事に励まれると思います。

 ただ、収入役、出納長の実態につきましては、頑張っておられるすごい方々もおられる中で、一方で地方自治の中である種の変化を来している。必要性について若干の疑問があったり、設置の仕方について大きな変化が起きております。

 そこで、まず、今回の法改正の前提になる実態について総務省にお聞きをしたいわけですが、副出納長を設置しようとする条例が幾つあって、実際にどれぐらい設置されているか。あるいは、同様に、副収入役についての条例については幾つあって、また実際はどうなんだ。つまり、出納長、収入役よりもたくさん、もっともっと仕事があるんだと言っているところがふえているのか減っているのか、実態はどうなのかというのが最初の固まりです。

 逆に、一年半ぐらい前だったと思いますけれども、条例を制定すれば、人口十万でしたかね、未満のところについては、助役がもう収入役兼務すりゃええというようなことになっていますけれども、それはたしかすごい勢いでふえていると思うんですが、この辺の実態は一体どうなのか。

 さらに、これもよくあることなんですけれども、出納長や収入役が本来の所掌以外の分野を分担して、ちょっと力が余っているじゃないかというようなところについては一体どう実態を把握されているか。

 以上、一括してお答えをいただきます。

高部政府参考人 まず、副出納長の設置の状況でございますが、条例を制定しているのは、平成十八年四月一日現在で三十八都道府県でございます。このうち、実際に副出納長を設置しているのは三十六というような状況になってございます。

 それから、副収入役でございますけれども、同じく本年四月一日現在で、千八百二十市町村において、このような条例を制定したのは百六市町村でございます。設置しているのは八十一市町村といったような状況でございます。

 それから、置かないところ、兼掌の状況といった御質問もございましたけれども、条例で収入役を置かずに町村長または助役がその事務を兼掌しているのは、ちょっと時点が古くて恐縮でございますが、平成十五年四月一日現在で二千五百十三町村中三百四十七町村でございまして、助役が兼掌しているのが三百三十町村。四年前の時点、平成十一年四月一日時点では、ちょっと時点が違って恐縮ですが、二千五百五十四町村中百十四町村、助役がやっておるのは百八町村ということでございます。町村数自体が減少しておりますので、そういう中にあって、四年間の中で二百三十三団体増加しているといったような状況でございます。

 また、人口十万人未満の市においても、平成十六年十一月から市長または助役による収入役の事務の兼掌が可能となっております。市長または助役が収入役の事務を兼掌しているのは、本年四月一日現在で、人口十万人未満の五百十七市中百十二市でございまして、うち百十一を助役が兼掌しているといったような状況でございます。

 それから、出納長とか収入役が本来の仕事以外を担当しているケースはというようなお尋ねでございましたけれども、例えばいろいろな長の代理をしているというようなことがあります。特に式典等々において代理するとかといったような形で長の代理をするような形がとられているように認識しているところでございます。このような運用は各地方公共団体の適宜の判断によって行われるものでございますけれども、今般の改正は長を支えるトップマネジメント機能について副知事、副市町村長に一元化しようといったねらいのものでございます。

萩原委員 そういう実態なんですけれども、要するに、今最後のお答えにもあったように、出納長、収入役はやめるという判断を今回するわけですけれども、大臣、先ほどの実態論ですね。幾つかの副出納長が必要なところがあったり、あるいは東京を中心としてでかいところで副収入役を置いているところが少しあったりする。さらには、小さい市町村では急速な勢いで助役が兼任に動いている。あるいは、いろいろな意味での仕事がほかのところに広がっている。この実態は、総合的に今回の法改正をするに十分な実態だと考えておられるかどうか、御所見を伺います。

竹中国務大臣 実態については、今局長から数字を挙げて御説明させていただいたわけでございますけれども、今回の地方自治法においては、会計事務、言うまでもなく会計事務は重要でございます、それを適正に執行していくために、収入に関するいわば内部牽制制度として職務上独立した権限を有する会計機関を設ける、そして出納その他の会計事務を担わせる、そういう制度になっているわけでございます。

 しかし、やはり現状、いろいろな変化が今この瞬間も起きておりますけれども、出納事務そのものについて、これは情報の開示もしっかりと行えるようになった、そのためのルールもできてきた、また、数字そのものがIT化によって非常にスムーズに行われるようになってきた、さまざまな状況の変化がございます。そういうことを考えますと、特別職である出納長そして収入役によらなくても会計事務の適正な執行の確保は可能になってきたというふうに判断されるわけでございます。また、実態としても、今報告が幾つかありましたけれども、出納長、収入役が形を変えた長の補佐をしているような関係等々も見られるというふうに思います。

 また、御承知のように、平成十六年の法改正によりまして、これは地方公共団体から出された構造改革特区の提案を受けたものでございますけれども、人口十万未満の市について収入役事務の兼務が可能とされた。これについて今数字の報告等々があったわけでございますけれども、昨年十二月の第二十八次の地制調答申も踏まえて、特別職としての出納長、収入役制度を廃止してもよいだろう、そして、会計事務の適正な執行を確保するために一般職の会計管理者を置くというふうに今回考えたわけでございます。

萩原委員 そういうことなんですけれども、大臣のお答えにもあったように、会計事務の重要性、これは、例えばNHKのあの問題なんかを見ても、しっかりとした出納長あるいは収入役がいるNHKだったら、あれは見破られているはずなんですよね、ほとんどのケースで。

 実は、私も市長をしていた年がありまして、ちょうど平成十四年なんですけれども、議会に諮って、自分の任期が一月末だったものですから、それをずらして、一定の空白期間を与えた上で選挙を市議会と一緒にしようということで、経費節減をねらいました。

 そうすると空白期間があくんですけれども、一月のあるときに事務方から、僕がいない予算審議に合わせて、公共事業費を積み増してくれという要請が来たんですね。話を聞いていると、ことしの予算が足りなくなっているというんですね。わかりますか、これ。ことしの予算をオーバーに使っているというんですよ。そんなこと、あるはずないですよね。

 さらに聞いてみると、小規模工事といいまして、これはいろいろなところでやっていますけれども、一定額、例えば岡山市の場合ですと百三十万でして、これは課長決裁で全部できちゃうんですよ。それが予算を超えて使われているというので、これはおかしな話だなと思って、どうしようかなと思ったんですけれども、自治法の規定に基づいて監査を請求したんですよ。そうしたら、今自分がいなくても何か動くだろうと。予算は凍結をしておいて。そうしたら、出てくるわ出てくるわ、工事がやられていなかったり、あるいはやったことにしてあったり、そういうのがいっぱい出てきたということがあったんですが、そのときに、実は会計担当も若干不審に思ったんですね。ただ、僕が余りきちっと指示をしていなかったものですから、会計の事務処理の中で、この写真は前も見た写真だよな、同じ写真で二回工事は出ないよなというようなことがわかるべきはずだったところをやっていなかった。

 ところが、その後から私どもの収入役室ないしは収入役が物すごい勢いで、これは最初の監査ですよね、一番最初の監査をきちっとするようになったものですから、非常に大きな成果が上がってきたというようなことを考えてみると、この収入役、出納長あるいは会計事務の重要性というのは今後も非常に高くなってくる可能性もあるなというふうに思っているわけであります。

 今回の法改正について若干疑問なのは、先ほど特別職として置かなくてもいいということについては非常によくわかるんですが、会計事務の重要性についてのプラスの表現があるのかないのかというところに帰着をするんじゃないかなというふうに思っています。

 そこでお尋ねしますけれども、自治法の百七十条の第一項とか第二項、特に第二項は例示なんですね。こんなことをしてもいいよという例示になっているんですけれども、こんな精神でやるべきだとか、そういう前向きな、会計事務の重要性に関する判断を今回法改正の中で提示をしなかった理由についてお尋ねをいたします。

高部政府参考人 御指摘ございました地方自治法百七十条第二項の規定につきましては、地方財務会計制度の大幅な見直しを行いました昭和三十八年の改正におきまして、出納長及び収入役の職務権限の明確化と範囲の拡充を図るといったために追加された規定でございます。

 従来、必ずしも職務権限の規定が明確でなかったために、百七十条一項の規定を端的な規定に改めますとともに、第二項におきまして出納長及び収入役の事務の内容を拡充部分を含めて例示した、こういう経緯をもって規定されているところでございまして、会計事務を軽視したものではないというふうに思っているところでございます。

 なお、委員御指摘ございましたように、会計事務の重要性、今回の改正は決してそのことを軽視するものではございませんで、会計事務をしっかりやるということは非常に重要なことはもとよりのことと存じているところでございます。

竹中国務大臣 条文については、今局長から説明させていただきました。

 これはもう委員御自身が御発言くださっていますけれども、コンプライアンスの基本としての会計処理、そして会計情報の蓄積というのは、実はますます重要になっているということだと思います。この点で、別に特別職でやる必要がないということについては、委員も御同意くださるということでございます。しかし、依然として職務上独立した会計機関を設けて会計事務の適正な執行をしていかなければいけないというのは、これはもう事実、変わらない、むしろ重要性が増しているわけでございます。

 この改正案におきましても、出納長、収入役と同様に、会計管理者は、長の支出命令を受けた場合においても、契約等が法令または予算に違反していないこと等を確認した上でなければ支出をすることができないというふうになされているわけでございます。

 言うまでもなく、このコンプライアンスが不十分であれば、これはもう地方行政に対する住民からの信頼が得られない。これはその議会にとっても首長にとっても大変致命的なことに至るわけでございます。その意味で、信頼を得て日々の会計事務の適正な執行を図れるような制度、そういう枠組みを想定しておりますし、ぜひそのように実行していきたいというふうに思います。

萩原委員 そこで、今後の法運用というか制度運用について、若干そのお気持ちを総務省から伺っておきたいんです。

 岡山県なら岡山県で収入役会というのがありまして、市長会と並行して動いているわけです。一生懸命研修なんかをしています。その収入役会は、今度なくなりますね。何かができるのか知りませんけれども、やはり一定の研修とか、その意義について、地方自治の本旨に基づいてこうすべきである、会計の重要性についてこんなことを注意するんだ、あるいは情報公開についてこういうのが相場である等々のお話、御指導を今後きちっと会計事務担当の方々におやりになるおつもりがあるかどうか、確認をさせていただきます。

高部政府参考人 会計事務の重要性につきましては、大臣からお答えしたとおりでございます。

 これも御指摘ございましたように、現在は、出納長会でありますとか収入役会といったような場を通じまして、いろいろな活動をしております。事務の適正化を図っていくため、あるいは向上していくためにどういうふうに取り組みをしたらいいのかというようなことで、いろいろやられているところでございます。

 こういうものは、そもそもこういう職がなくなるわけで、会そのものも同じ形では維持できないものと思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今回の制度改正の趣旨については十分に説明を申し上げたいというふうに思っておるところでございますし、今後につきましても、特別職の立場の職はなくなりましたけれども、会計管理者というような形で同じようにチェック機能を働かせていく職がございますので、こういう方々といろいろな連携を図りながら、さらに適正に事務が進められますように我々としても努力をしてまいりたい、かように考えているところでございます。

萩原委員 それから、今回の改正を見ながら若干思ったことは、もちろん会計とかあるいは専門的な分野における行政のあり方の関係なんですけれども、収入役のポジションというのは、ひょっとすると数少ない特別職のポジション。ということは、一般職と違って、採用についてある種の自由度が存在して、その自由度の中で、例えば公認会計士であるとか弁護士であるとか、そういった方々を活用できる可能性の高い枠組みなんですね。もう一個は、自治法の前の方にありますけれども、市長の秘書とか議長の秘書とか、ああいうところが特別職になっていて、ここに今活路があるんですけれども、現時点において、地方の行政がより専門的になるために、先ほど申し上げた弁護士あるいは公認会計士等が、たくさん量産されることを前提にでありますけれども、インハウスとして登用されていくことが必要であるという感覚を幾つかの先進的な自治体は持っているわけであります。

 東京都においてはそうなりましたが、東京都の場合には、弁護士はバッジを外してから入っていくんですね。なぜかというと、弁護士法で、弁護士会に出て行って、きちっとした弁護士活動を弁護士会としてしなければいけないという義務がある。それをやっていると職務専念義務に違反するからというので、調整がとれなくなって入れないんですよね。そこに特別職の意味があるんです。

 今回、特別職をやめますね。今後、私は課題として、こういったつかさつかさの方々の専門性を地方自治の現場において活用する制度を考究していくべきだというふうに常々思っているわけですが、今回そこまで至らなかったわけですけれども、ぜひこの点についての御所見と、もし考えてやるというのなら考えてやるで結構なんですけれども、大臣の方向性についてのお考えを御教示いただければ幸いでございます。

竹中国務大臣 これまでの実務、御経験を踏まえた大変貴重な御指摘、視点であるというふうに思います。

 言うまでもなく、公認会計士、弁護士等々、そういう知見を活用していくということは、これは本当に必要なことだと思っております。公認会計士、弁護士等の専門的な知見を有する方を能力の実証を経た上で一般職として採用することは、公務員法上、もちろん可能なわけでございますが、それだけでは決して十分ではないだろうということだと思います。

 委員御承知のように、地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律というのがございます。それに対する評価もいろいろあろうかと思いますが、それにおきましては、こうした知見を有する方を一定期間、任期を定めて採用することができるというふうにされている。それがどのように活用されていくかということもちゃんと我々はよく見ていきたいと思います。

 いずれにしましても、方向としては、専門職の方にしっかりと頑張っていただくということは大変重要なことだと思っておりますので、我々としても、引き続き勉強していきたいと思っております。

萩原委員 ありがとうございました。終わります。

中谷委員長 次に、土井亨君。

土井(亨)委員 おはようございます。自民党の土井亨でございます。

 分科会のときに、大臣には道州制を含めた地方分権につきましていろいろ御質問をさせていただきました。きょうもまた、地方自治法一部改正ということで、私自身は、本来は地方自治法のあり方というものをぜひ議論したいなというふうに思ってもおりますが、委員会で一部改正法というのが出ておりますので、その部分を若干初めにお聞かせいただきたいというふうに思っております。

 先ほど葉梨委員からいろいろお話がございまして、長と議会の緊張関係、私も地方議会出身者として、本当の意味での緊張関係が保たれる地方議会制度とはどういうものだろうか。私自身が実感をしていますと、なかなか首長の権限が強過ぎて、ある意味太刀打ちできないというものもありますし、そういう壁にぶつかることもございます。議員として条例を何とかつくり上げたいと頑張っても、変な話、理念条例になってしまう、そっちの方に持っていかれる。やはり予算を伴うということになりますと、首長の権限にぶつかるというような形で、一生懸命やればやるほど壁にぶつかることも多い。それでいて、車の両輪と言われる今の地方自治法というものが、健全に地方の自治を実現するためにしっかり機能しているかな、そういうものもなかなか私自身は疑問を持っております。

 そういう中で、初めにちょっと簡単にお聞かせいただきたいと思うんですが、今回、議長に臨時会の招集請求権、これは議運の議決を経て二十日以内に招集する、現行の四分の一の請求、これの整理を私はしなければいけないというふうに思っております。片や期限も決められていない、片や議運の議決で二十日以内に招集する、この辺の整理について、どのように考えればよろしいのか、まずお聞かせください。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の議長の招集請求権の規定は、審議の機会を広く保障するといった見地から、緊急を要する事件が発生したときに、議会のイニシアチブによりまして、迅速かつ円滑に臨時会の招集が行われる制度を導入する必要があるとして立案されたものでございます。

 御指摘ございましたように、一方で、かねてから、議員定数の四分の一以上の者からの招集請求といった制度がございます。二つがどう機能するかということになるわけでございますが、これまでございました定数の四分の一以上の請求というのは、今の制度と関連して考えますと、最低限四分の一を集めれば審議の場としての議会の招集を行うというようなことになってまいりますので、そういう意味では、言ってみれば少数会派からの請求を保障したというような形で、この改正がお認めいただければ、そういう整理になろうかというふうに思っております。

 なお、請求があった場合には、いずれにしても二十日以内に、改正をお認めいただきますと、二十日以内に招集しなければならないということになっているものでございます。

土井(亨)委員 現行四分の一でも二十日以内というふうに理解してよろしいですか、両方とも二十日以内と。(高部政府参考人「はい」と呼ぶ)

 続いて、その前に、私も県議会のときに、定例会の招集権がなぜ議長にないんだろうか、そういう議論を議会の中でしたこともございます。今回の答申にも、そういう方向でというふうな答申内容も見受けられますので、今回、議長の議会の招集権というものを見送られたその理由をお聞かせいただければというふうに思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 議長に招集権をという御意見が議長会等から強く出されていたところでございます。そういうこともございまして、地方制度調査会の中ではかなり突っ込んだ議論がなされたところでございます。

 いろいろな立場の御意見があったわけでございますけれども、結局のところ、そもそも長に招集権が認められるというのは長い沿革を有するものでございまして、長の権能というものをどう考えるのか、また長と議会との関係をどう考えていくのかという部分の根幹にかかわるようなところもございます。また、実態を見ますと、長が事実上議案の大半を提案しているといったような実態が見られるということで、そこで地方制度調査会としては、招集請求権を付与したらいいのではないかというのが結論になったということでございます。

土井(亨)委員 ちょっと私自身理解できないんですけれども、やはり議会と長のバランスというか権限バランス、またこれから議会のありようというものを、本当の意味で地方自治を確立して実現していこうとすれば、私は当然、いろいろな今までの経緯があっても、議長に招集権というものをしっかりと付与すべきだというふうに考えております。今までは定例会というのは年四回と定められておったものが、回数は条例で定めるということで改正をされたわけでありますから、なおかつ、招集権というのは定例会においても議長にあってしかるべきだというふうな考え方を私は持っているということだけはお話をさせていただきたいというふうに思います。

 時間がありませんので、一つ、監査委員というものについてお聞かせいただきたいというふうに思います。

 今回、監査委員ということで、条例によって増員が認められる、私は大変すばらしいことだなというふうに思いますし、この点は大変評価をいたしております。

 しかし、やはり監査委員というのは、監査委員事務局も含めて、独立をした、公平中立でなければならないのではないか。そういう中で、監査委員が幾らしっかりと公平中立に頑張っても、事務局のありよう、事務局の今の体制というものに私は少し問題があるのではないかな。これは議会事務局もそうだというふうに思っております。

 そういう中で、監査委員の事務局の体制について、これからの望むべき姿というものをどのような形でお考えになっていらっしゃるか、お聞かせください。

高部政府参考人 監査委員あるいは事務局、議会事務局等について御指摘がございました。

 監査委員についていいますと、地方行政の公正で能率的な運営を保障するという監査委員の機能からかんがみますと、監査委員の独立の確保というのは非常に重要だと認識しておりますし、また、これを補佐する事務局の職員についてもその趣旨は十分尊重されることが必要だ、委員御指摘いただいた点はまことにそのとおりだというふうに思っておるところでございます。

 ただ、現実に地方公共団体の状況を見たときに、やはり全体の人事運用ということになりますと、全体の中で事務局職員がどのくらいの人数いて、全体の中でどういう運用をしていくかということについていいますと、必ずしも、いろいろな制約があるものですから、委員御指摘のように十分というのはなかなか難しい面があるかもしれませんが、いずれにしても、各地方公共団体におきまして、いろいろな制約がある中でありましても、適切な運用をいろいろ努力していくということが大事だろうと思います。

 私どもといたしましても、いろいろな助言や情報提供といったことにできるだけ努めてまいりたい、かように考えているところでございます。

土井(亨)委員 私自身は、県議会議員のときから、監査事務局、議会事務局は独立して採用ができないものかな、そういう議論もさせていただいてまいりました。やはり議会も政策立案能力を高めなければいけない、監査もしっかりとした体制で、執行部に遠慮しない、遠慮しているわけではありませんでしょうけれども、そういう面で、本当の意味での監査制度というのが確立されているのか、本当の意味での議会としての活動をしっかりとサポートする事務局なのか。人事を見ましても、任命権者は、議会事務局は議長ですし、監査委員会は代表監査委員だというふうに思っていますが、現実に人事は、知事が人事をやるわけですから、どうしても議会事務局も監査事務局もやはり執行部を見て仕事をしてしまう、こういうものはあるのではないかなというふうに私は思っております。

 そういう意味では、独立した採用というものが必要だというふうに思いますが、そういう中で、地方公務員法二十三条に職階制がありますけれども、これをぜひ活用すればいいのではないかと私なりに考えておるんですが、その点はいかがでしょうか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今、行政局長からも答弁がありましたように、先生御指摘のように、ある意味、議会の活動あるいは監査委員会の活動を支えるスタッフを充実させるということは大変重要なことだと私ども考えております。

 ただ、先生御指摘の職階制ということに関しますと、国家公務員法も含めまして、制定以後随分期間がたっておりますが、まだ実施されていない状況でございます。これはさまざまな要因がございますが、現実には、国におきましても、そうした人事管理というのは基本的には各省ごとに行われておりまして、そういった専門性ということに関しましては、例えば国の場合におきましては、衆参の事務局あるいは検査院といったようなところの中で専門性を培っているものと承知しております。

 ただ、これも先ほど答弁があったことでございますが、地方公共団体におきましては、行政組織の規模を考えますと、監査委員会の事務局あるいは議会事務局の単位で実質的に独立した人事管理を行うことはなかなか現実問題としては難しい面があるのではないかなと思っております。

 ただ、先生の御指摘、大変重要でございます。したがいまして、専門性を高めるという観点から申しますと、訓練あるいは研修の充実といった観点からそういった専門性を高める努力をすることは必要でございますし、また、現実の個々の職員の人事配置に当たっても、専門性についてできる限り配意して、適正で能率的な行政運営に努めていくことが重要であると考えている次第でございます。

土井(亨)委員 今御答弁いただいたんですが、やはり地方自治法、本当の意味で、地方自治の本旨というものに私は国が少しストップをかけているような気がします。地方自治法にもいろいろな意味で制約がまだまだあります。今お答えいただいたように、国の関係で、地方公務員法の中に職階制をしっかりと採用すべきということで明記をされている。これは専門性をしっかり高めて責任もしっかり明らかにできるような形の採用制度だということで、本来であれば、これをしっかり進めていくのが私は地方公務員法の目的であると思いますし、趣旨でもあると思いますし、また地方自治法の目的に資するものだというふうに思っております。

 もう質問いたしませんが、今のような答弁ですと、なおさら地方自治の本旨に、私は、少しそういう面で国がストップをかけているような、本当の意味での本旨とは何だろうかというのをもう一度問い直さなければいけないのではないかと思いますが、大臣、今のような考え方、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 まさに私どもが考えなければいけない、常に原点の問題であろうかと思います。地方自治の本旨にのっとって本当にしっかりと今の制度が成り立っているのか、そしてそれが行政上運用されているのか、常に立ち返っていかなければいけない問題であろうかと思います。

 同時に、なかなか難しい問題でもあろうかと思います。我々としては、その意味では、非常にわかりやすく言うと、これは住民自治、団体自治を実現していかなければいけないわけでありますけれども、それを実現するためには、要するに、いろいろな問題があるわけですけれども、地方でできることを地方でやるということを柔軟に行う体制を一歩一歩つくっていくということにやはり尽きるのかなというふうに思っております。今回お願いしている法律改正も、そのような意味では、まさにそうした本旨に立ち返って、我々としてもやはり必要であろうという判断を最終的にしたわけでございます。

 振り返っていくと、地方自治について憲法で規定されていて、それで地方自治法がつくられるわけですけれども、地方自治法が国会で、国でつくられるということに結局はなるわけでございます。そういう中で、まさに地方でできることを地方で、住民自治と団体自治をいかに実現していくかということを常に考えながら、目の前にある問題を一つ一つ片づけていくというプロセスの中でそれをぜひ実現していきたい。繰り返しになりますが、今回の法律改正はその一歩、〇・一歩か〇・五歩か一歩かわかりませんが、そこを少しでも前進させたいというふうに考えているところでございます。

土井(亨)委員 今、構造改革ということで、改革、大はやりですけれども、私は、一〇〇%の改革というのはすぐにできないんだろう、やはり一歩一歩地道に改革を進めていく姿が本来あるべきものだろうというふうに思っております。

 そういう中で、地方分権が叫ばれて、また地方自治法改正ということで、足らざる部分は承知をしながら一歩一歩前に進む、ぜひそういう決意で、今お話をいただいた形の中で、地方自治法の目的、また今お話ししました地方公務員法の目的、また地財法等々の目的、やはり地方自治というものをしっかりと確立するための法律でありますから、その趣旨にのっとった形での改正、今まで国が地方をそういう法がありながらも少しストップをかけていたというような形にならないように、ぜひお願いをさせていただきたいと思います。

 時間がありませんが、最後に、今、地方自治の本旨ということで、住民自治、団体自治という形で大臣からお話がありましたが、この二本の地方自治の本旨という概念が、私はあいまい過ぎるのではないかなというふうに思っております。ですから、それが私は、今のような、中央集権と言われるような形で地方分権がなかなか進まない、法もしっかりと現実的にならないということになるんだろうと思います。

 ぜひ、住民自治と団体自治というものの明確な、大臣、考え方がありますればお話しいただきたいというふうに思います。

竹中国務大臣 これは大変難しい御質問をいただいたというふうに思っておりますが、まさにその原点は憲法にあり、そして憲法を受けて地方自治法でいろいろな制度がつくられている、その解釈として住民自治、団体自治。これはとりもなおさず、しかし先ほど申し上げたことにまた返っていくんですが、地方でできることを地方で、できるだけ身近なところで皆さんに決めていただこう、その問題については物すごくたくさんあるけれども、一つ一つそれを丁寧にやっていこうではないかということだと思っております。

 三位一体の改革の評価についてはいろいろあろうかと思いますが、それに関しては、税源移譲を含むその第一歩であったというふうに思いますし、しかし、改革に終わりはありません。今後さらにやらなきゃいけないことが随分たくさんあるというふうに思っております。大きなところでは道州制がありますし、もっと身近なところで交付税のより効率的な活用という問題もございますでしょう。そうした問題一つ一つ丁寧に対応していくということが、結局のところ、形としての住民自治、団体自治をつくっていくということであろうかと思っております。

土井(亨)委員 急造の形で、本旨とはイコール住民自治、団体自治、イギリスやドイツから引っ張り出してきて当てはめたということだというふうに私も思っております。今のような形ではなかなか地方分権は進まないというふうに思っていますので、まず基本的に、地方自治の本旨というものを日本の国としてどうしっかりと位置づけるか、明確にしっかりと形づけるか、私はそこがスタートだというふうに思っております。

 今、三位一体やらいろいろな形で地方分権が道州制も含めて議論をされておりますけれども、私自身は、ただただ地方分権ということで、そういうことに固執していては進まないというふうに思っております。やはり日本の地方分権のあるべき姿、地方自治のあるべき姿というものを明確にしっかり示すことから始めませんと、なかなか前に進むことは難しいなというふうに思っております。

 ぜひ、もう一度憲法の地方自治の本旨というものを振り返りながら、そのために法律というものがつくられておりますので、その法律がしっかりと本旨に沿った形で実現できるような、思い切った改正というものを断行していただきますようにお願いさせていただきまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 本日は、地方自治の基本法とも言える地方自治法の改正案につきまして、改正案に沿った形で質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正は、平成十年に地方分権推進計画が策定されまして、それによりますと、機関委任事務の廃止及びそれに伴う事務区分の再構築であるとか、また国の関与等の見直しであるとか、権限移譲の推進だとか、また必置規制の見直しであるとか、地方公共団体の行政体制の整備、確立等、このようなことが盛られておって、その結果、平成十一年の地方分権一括法の中で、この法律として成立をしたわけであります。

 その後、数次にわたって改正をされまして、今回のこの法律は主に三点から成るわけであります。一つは地方の自主性、自律性の拡大のあり方、またもう一つは議会のあり方、また大都市制度のあり方、主にこのような三つの区分からこの法律が成り立っておるわけであります。

 そこで、まず初めにお伺いをいたしたいわけでありますけれども、先ほどから出ておりますが、今回の改正で、出納長また収入役が廃止をされまして、市町村の助役の名称を副市町村長、こういうように改めて、長の権限を一部委任するというようなことにおきます権限の強化、こういうことをねらっておるわけであります。自治体トップが今まで三役ということであったわけでありますけれども、これが制定されたのが一八八八年、市町村制の制定以来ずっと続いておったわけでありますけれども、今回これを三役から二役に変更しようというような流れであります。

 副市町村長については、設置の有無、また設置する場合の定数を条例で自由に定められるというようなこの趣旨は、もう今や首長、長の事務量が増大をしてまいりまして、地方制度調査会の言いぶりによりますと、トップマネジメント体制、いわば経営トップと同じような感覚でトップマネジメント体制を構築していく必要があるというようなことで今回の法改正が行われたというようにうたわれておるわけでありますけれども、具体的に、トップマネジメント体制というようなこの体制はどのようなことを、どのような体制をイメージされておるのか。仮にこのようになりますと、この法案でそういうようになっておるわけでありますけれども、意思決定命令が例えば混乱するというようなことがないのか、また組織だとか財政の面で肥大化をするというおそれがないのか。

 このようなことについて、まず初めに竹中大臣にお伺いをいたしたいと思います。

竹中国務大臣 谷口委員御指摘のように、今回御議論いただいている改正、一つの目的は、やはりトップマネジメント体制を改善する必要があるのではないかという問題意識でございます。

 それがどのようなものであるのか、またそれによって問題が生じないのかという御質問でありますけれども、今回、具体的には、出納長そして収入役制度を廃止して、そして副知事、副市町村長制度に一元化するということを考えているわけでございます。そうすることによりまして、個々の地方公共団体の御自身の判断によって適切なトップマネジメントの体制ができるのではないか、組織の簡素化の視点も含めて構築をしていただけるのではないかということを考えております。

 例えばでありますけれども、長の命を受けまして、数人の副知事が責任を持ってそれぞれの担当分野の政策について判断とか企画を行う、そういう形も考えられると思うんですね。また、例えば一人の副市長に定型的な業務をもうゆだねて、市長は専らその他の重点的なといいますか、より戦略的な、長期的なそういう政策決定とか政策方針の策定に注力する、そんなこともここではもう可能になるのだと思います。

 また、地方公共団体の組織面において自主性、自律性を拡大するという観点から、副知事や副市町村長の定数も条例にゆだねるというふうにしているわけでございます。もちろんその際には行革の視点というのも当然入ってまいると思いますし、簡素で効率的な組織をつくるということも入ってくると思いますが、こうした一種の自由度を持っていただくことによりまして適切なトップマネジメント体制の構築が可能になる、そういうことを検討していただきたいというふうに考えているわけでございます。

谷口(隆)委員 トップマネジメント体制、先ほども申し上げましたように、経営ではこういう言いぶりがたくさん使われるわけで、権限の移譲が行われて、その移譲を受けた者が今までの首長の権限をかわって執行するということは非常にいいんですが、条例で人数も定められておりませんし、きちっとした権限の委任がなされないと意思決定体制に混乱を生じるという場合もやはりあり得るんだろうと思うので、そこは運用のところで十分注意をし、やっていく必要があるのではないか、このように思うところであります。

 それともう一つは、現行は首長と議会の二元代表制をとっておるわけでありますが、今回、先ほど申し上げました三つの視点の中の地方の自律性、自主性の拡大という観点で見た場合に、多様な考え方の選択肢があったのではないか、このように思うわけであります。二元代表制はそのまま現行どおり置いておくというようなことになったわけでありますが、そこまで、多様な選択肢を認めるといったようなところまで切り込めなかった理由をお聞きいたしたいと思います。

竹中国務大臣 委員御指摘のように、この問題に関してはいろいろな御意見があったというふうに承知をしております。

 ただ、これは憲法に立ち返るわけでございますけれども、現行憲法上、地方公共団体の長について直接公選以外の方法というのが一体許されるのか。例えばシティーマネジャーのようなイメージだと思いますけれども、そういう点。さらには、議事機関としての議会の設置にとどまらず議決機関と執行機関の分立を憲法が要請しているのか、こうした点については、専門家の間で、憲法学者の間でも学説が分かれているというふうに承知をしております。したがって、そうした中で、長と議会の基本的な枠組みの見直しというのは現実には大変難しい問題であるというふうに認識をしているわけでございます。

 こうしたことのために、今回は、現行の長と議会の基本的な枠組みを前提として、その中で改正をお願いしようということになったわけでございます。各地方公共団体においてみずからの判断によって適切な先ほどのトップマネジメント体制が構築できるように、また議会の活性化を図れるように、そういう観点から、第二十八次の地制調の答申に基づいて所要の制度改正をお願いしているものでございます。

谷口(隆)委員 次に、財務に関する制度の見直しのところについてお伺いをいたしたいと思います。

 現行では、地方公共団体は、歳入を現金納付、また証紙、口座振替、証券による収入の方法もございます。このような方法で現行は納付されておるわけでありますけれども、今回、クレジットカードによる歳入の納付を可能にするということになったわけでございます。

 それでお伺いをいたしたいわけでありますが、クレジット納付に係る指定代理納付者、これはクレジットカードの業者を想定しておるわけでありますけれども、この指定代理納付者はどのような基準に基づいて定められるのか。また、これは一者なのか複数なのか。例えば、金融機関であれば公金取扱金融機関というのがありますね。これは無制限にはありませんので、定められた金融機関があるわけでありますけれども、クレジットカード納付を認める場合の業者についてお伺いをいたしたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ございました指定代理納付者は、歳入の納付に関する事務を適切かつ確実に遂行できる者として政令で定める者のうち当該地方公共団体の長が指定した者というふうにしているところでございます。詳細につきましては、政令で規定することになりますために、今後具体的に検討していくということになるわけでございますが、クレジットカード業を営む者であって、業務を適切かつ確実に遂行するに足る経理的及び技術的な基礎を有するものとして当該地方公共団体の規則で定める基準を満たしている者と規定するといったような方向で検討しているところでございます。

 また、当該地方公共団体の規則で定める基準といたしましては、財政的基礎の状況、知識経験の有無、社会的信用の有無、情報提供が適正にできること等が考えられるところでございます。

 なお、もう一点御質問がございました複数の者を指定することもあるのかという点でございますが、これは地方公共団体が個々の実情に応じて判断することになるというふうに考えているところでございます。

谷口(隆)委員 本来、納期限というのがありますから、原則的には納期限までに現金納付するというのが一般的に多いんだろうと思いますが、クレジット納付の場合は、今回の場合はクレジットカードでありますから、クレジットカードというのは、納付者がクレジットカードで支払われた段階でその納付者の預金の口座から引き落とされるのではありません。大体最長五十五日程度後に預金口座から引き落とされるというようなことになっておるわけでございますが、今回の法案を見ますと、納期限にかかわらず、指定日までに指定代理納付者から納付がなされればカード払いをした日に納付をしたとみなされるというようなことであります。

 まずお伺いをいたしたいのは、この指定日、納期限とは別の指定日とはどういうような形で設定されておるのか、お伺いをいたしたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ございましたように、クレジットカード払いの場合ですと、現実にお金が払い込まれるタイミングと、それからカードを使っているタイミングがずれることになるわけでございます。それがございますために、歳入の所属年度区分があいまいになるとか、あるいは個人の方が使われたときにいつまでに払えば期限を守って払ったことになるのかといったようなところに問題が生ずるということがございましたために、このような規定を置かせていただいているところでございます。

 ですから、指定する日までということは、それぞれ個別の事情で指定することになろうかと思いますが、例えば、納期限がいついつまでと決まっているときにそれと同じ日を設定すれば、払われる方は同じ日でカードを使ってもそれが期限までに払われたという形になるものですから、非常にわかりやすくなるのではないか。こういうことができるようにするための規定だというふうに考えているところでございます。

谷口(隆)委員 カード業者、ここで言う指定代理納付者がカードを切られた方の資金を地方公共団体に一括して支払う、その支払う日が指定日だというようなことなんだろうと思います。

 これは納付者からしますと、納付者といいますか、現に納税者の立場でいきますと、現金の支払いが、納期限までに支払わなくてもいいというメリットが間違いなくあるわけですね。ですから、非常にメリットはあります。一方、地方公共団体の方も指定された日に全額が入るわけでございます。ですから、このメリットはある。

 そうすると、カード業者が一体どういうふうになるのかといいますと、カード業者の方はリスクを背負うことになりますね。現に地方公共団体にお支払いをされる方が預金口座が仮にないというような場合には、この分を業者が負担するといったようなことになると考えられます。このときに、そういうことになりますものですから、当然ながらカード業者は手数料を取る。このような手数料は地方公共団体ごとにばらばらであるのか、一定の金額になるのか、まずこのことをお伺いいたしたいと思います。

高部政府参考人 通常のクレジットカードの場合ですと、通常の経済取引でやられているものでいいますと、手数料を加盟店等が負担するという形になろうかと思います。そこで、地方公共団体もこのようなクレジットカード納付を認めるということになりますと、御指摘ございましたように手数料の問題が生ずるわけでございます。手数料につきましては、これは話し合いの世界ということになりますので、該当業者と自治体と、一般的には業者との話し合いということになるかと思います。そういうことからしますと、額につきましては、団体によって差が生ずるということは十分あり得ることだと思っております。

谷口(隆)委員 差が生じるということになりますと、要するにリスクの高いところはそれなりの手数料を払わなきゃいかぬということになってきますから、これは自治体間の収納状況によって間接的にいわば格付をされるというようなことになる可能性もありますけれども、これはどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

高部政府参考人 まず、今回の制度改正は、そもそも特区提案でこういうことをやらせてほしいというような御要望がございましたためにこのような制度改正、それが端緒になったものでございます。そういう意味では、地方公共団体の方でこういうカード払いのようなことを認めることが適当だと思ったところがやるということがまず第一の前提になろうかと思います。

 それから、そういうことでございますので、額につきましても、例えば余り高額な手数料のときに、本当にこのような制度を取り入れることが適切かというのはいろいろな判断があるのではないかと思います。今でも、例えばコンビニ納付でございますとか口座振替とかいろいろな方法がとられております。そういうものの手数料等を比較してみたときに、どのぐらいの水準ならばこういう制度を入れるのがいいのかというようなことが各団体で判断されるものだというふうに思っております。

 そういうふうに考えているところでございますので、差はあることは考えられるところでございますが、御指摘ございましたように、そのことが直ちに例えば団体の格付とか何かにつながってくるというところまでは私ども考えてはおりませんけれども、今後の導入状況等々については十分注視してまいりたいと思っているところでございます。

谷口(隆)委員 確かに、ちょっと前、私も言い過ぎたかもわかりません、格付までは至らないと思います。いずれにいたしましても、自治体間で差が出てくるのは間違いないんだろうと思いますが、これは納付する方は非常にメリットのある制度でございますので、私はほとんどそのことについて異議はないということでございます。

 次に、先ほど聞いておりましたけれども、議会関係で、このたび議会の議長が招集権ではなくて招集請求権になったということに対して先ほど答弁がございましたが、この招集権と招集請求権との間の違いですね。

 仮に招集請求権といった場合には、拒否される場合があるというようなことを考えますと、今回のこの法案でいきますと、議会運営委員会の議決を経て、長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会を招集するということのようでございますので、拒否されるのはこの議会運営委員会の議決を得られなかったといったようなことを言っておられるのか。どうも請求権と招集権との間の違いがはっきりいたしませんので、その説明をお願いいたしたいと思います。

高部政府参考人 招集権は、ずばりいついつ招集するというような招集そのものの権能でございますが、招集請求権というのは、あくまでも招集権を持つ主体に対して、招集してほしい、招集すべしという意思を示すのが招集請求権ということになります。

 ですから、今回の改正で考えておりますのは、議会として招集が必要だと判断するというような場合に機動的に招集されるようにという意味で、議会運営委員会で意思決定したものを議長が招集請求するという形になるものでございますので、そもそも議会運営委員会等で否決になるようなものですと招集請求まで至らないということになろうかと思います。

 なお、招集請求権と招集権そのものでいいますと、今回の改正によりまして、招集請求された場合には二十日以内に招集しなければならないという規定が入っておりますので、そういう意味では、法律的に言いますと、一定の期間の後には長としては招集しなければならないという意味では、招集することについての時間的な担保というのは設定されているという形になろうかと思います。

 無論、招集請求権ですと、いつ開くということまで意思決定して請求することになりますが、招集請求権の場合ですと、招集請求があった中で、長がその法律で定められた期間の範囲内で判断して招集をするということになろうかと思っております。

谷口(隆)委員 今お聞きをいたしますと、いずれにいたしましても、招集請求権が否決をされるということはまずないということで、二十日の期間を経てこれは招集されるものだ、こういうお話ですね。

 その次にお伺いしたいんですが、今もう参議院でやっておりますけれども、行政改革推進法の審議をやっております。その中で、やはり行政財産について効率を高めていくということで、例えば庁舎のあり方等、この議論、審議をいたしておるわけであります。

 今回のこの法案の中でも行政財産について言及している条項がありますが、この行政財産を貸し付け、または私権を設定することができる場合を拡大していくというようなことで、国の行政財産制度の見直しの中で、市町村合併また行政改革の進捗により生じた庁舎の空きスペースを、行政財産である建物の一部を貸し付けを可能にするというような対応を講じるということであります。

 何点かありますが、その中で、「地方公共団体が国、他の地方公共団体又は政令で定める法人と」、これは公共団体等ということになっておりますが、「行政財産である土地の上に一棟の建物を区分して所有するためその者に当該土地を貸し付ける場合」、こういうふうにありますが、この「政令で定める法人」というものはどういう法人を想定されておるのか、この中には民間も入るのか、お伺いをいたしたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 非常に技術的な改正になっておりまして、なかなか読みにくい部分があろうかと思いますが、今御指摘いただきました改正法の二百三十八条の四の第二項二号の規定でございますが、この規定そのものは従前から入っていた部分でございまして、今回新たに対象とするものではございませんけれども、今まで指定されたものが今後も法技術的にどう対応するかというのはこれからになります。

 どういう者が政令で定める法人かといいますと、特別の法律により設立された法人で国または地方公共団体において出資しているもののうち、総務大臣が指定するものということで、例えば公営企業金融公庫等独立行政法人等登記令別表といったようなものがあるようでございますが、これに掲げる法人がまず一つあります。それから、港務局でございますとか、地方住宅供給公社でございますとか、地方道路公社といったもの、それから地方公共団体が資本金その他これらに準ずるものの二分の一以上を出資している民法第三十四条の法人、株式会社及び有限会社。それから、公共団体または公共的団体で法人格を有するもののうち、当該地方公共団体が行う事務と密接な関係を有する事業を行うものというジャンル。それから、国家公務員共済組合でございますとか地方公務員共済組合といったもの。これらが対象法人ということになっておるわけでございます。

 したがいまして、地方公共団体が資本金、基本金その他これらに準ずるものの二分の一以上を出資している民法第三十四条の法人、株式会社、有限会社あるいは公共的団体で法人格を有するもののうち、当該地方公共団体が行う事務と密接な関係を有する事業を行うものは対象になるといったことになるわけでございます。

谷口(隆)委員 それで、この土地の貸し付けを受けた者が、その土地の上に所有する一棟の建物の一部、これは特定施設と言われておりますが、これを当該地方公共団体以外の者に譲渡しようとするときには、譲り受けようとする者に当該土地を貸し付けることができるものとする、その先も可能だというような形になっております。

 このようなことをやった場合に、地方公共団体の行政財産が不適切な相手やまた不適切な用途に貸し付けられたり、また特定の者に便宜を図るといったようなことになりはしないのかという危惧がありますが、このようなことについて考え方を言っていただきたいと思います。

高部政府参考人 今回の改正案におきましては、御指摘のような懸念に対応する意味でも、特に第三者譲渡の場合の貸付対象者を、普通地方公共団体の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適正と認める者ということに限定いたしまして、条文上の手当てもしているところでございます。こういうことで、こういう者じゃない者に建物所有権が譲渡されないように適切に管理することを義務づけるということでございまして、無制限に行政財産である土地の貸付対象者が拡大することがないように考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、制度改正の趣旨につきましては十分周知を図ってまいりたい、かように考えております。

谷口(隆)委員 もう時間がありませんので最後の質問ですが、これは大臣にちょっとお伺いをいたしたいんですが、今回、大都市制度のあり方で、中核市の面積要件を撤廃いたしました。いわば軽微な見直しになっておるわけでありますけれども、この大都市政策、大変重要な問題であります、これに深く切り込めなかった理由と、その他、今後の方向性、これは道州制の議論が今出ておりますけれども、これらについて大臣の考え方をお伺いいたしたいと思います。

竹中国務大臣 大都市制度、これは昭和三十一年に指定都市制度を設けて以来、規模、能力、事務権限、いろいろな形で、これまでも地方自治の理念を実現したいということで改正を行ってきております。その結果、平成六年に中核市制度を設けました、そして平成十二年には特例市制度を創設する、そうした制度改正を行ってきております。

 今回の改正に関しましては、二十八次の地制調答申で、最近の市町村合併の進展、またこれまで指定されました中核市の状況等を踏まえまして、規模、能力に応じた事務権限の移譲を一層進めるという観点から、中核市の指定に係る面積要件を廃止するということが適当とされましたことから、今回はこの中での中核市の改正を行うこととしたものでございます。

 大都市制度そのもののあり方、全般論についてのお尋ねもございましたけれども、これは、都市の区分、その区分に応じた事務組織、財政制度等、やはり検討していく必要がございます。この第二十八次地制調の道州制のあり方についても、そのような観点から、国等々について広域的に、その中で大都市圏にふさわしい仕組みを設けるということが適当であるというふうにされているところでございます。そうしたことも踏まえまして、今、道州制を含む非常に広い問題提起もなされておりますので、引き続きこれは検討を深めなければいけないというふうに思います。

 現在の都道府県制度のもとにおきましても、大都市へのさらなる権限移譲、大都市の実態、社会経済状況の変化に即した制度の見直し、これは我々としても積極的に取り組んでいく決意でございます。

谷口(隆)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、大都市制度、大変重要な問題でありますので、大臣も大変関心を持っていらっしゃると思いますが、今後とも、現状にマッチしたような形でぜひ御検討をお願い申し上げまして、終わりたいと思います。

中谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十三分散会


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