衆議院

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第19号 平成18年5月9日(火曜日)

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平成十八年五月九日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      浮島 敏男君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    上川 陽子君

      木挽  司君    桜井 郁三君

      実川 幸夫君    菅原 一秀君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      安井潤一郎君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    安住  淳君

      逢坂 誠二君    田嶋  要君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    松木 謙公君

      横光 克彦君    富田 茂之君

      古屋 範子君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            谷口 博文君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  高部 正男君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            竹田 義行君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   清水 英雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山中 伸一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           宮坂  亘君

   参考人

   (日本放送協会理事)   原田 豊彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   西山 博一君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     浮島 敏男君

  谷本 龍哉君     菅原 一秀君

  土屋 正忠君     安井潤一郎君

  田嶋  要君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     あかま二郎君

  菅原 一秀君     谷本 龍哉君

  安井潤一郎君     土屋 正忠君

  松木 謙公君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

五月九日

 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事原田豊彦君及び理事西山博一君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官堀田繁君、金融庁総務企画局審議官谷口博文君、総務省自治行政局長高部正男君、自治財政局長瀧野欣彌君、情報通信政策局長竹田義行君、政策統括官清水英雄君、文部科学省大臣官房審議官山中伸一君及び農林水産省大臣官房審議官宮坂亘君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 連休明けで大臣も大変お疲れだと思いますけれども、きょうは長時間にわたりますので、よろしくどうぞお願いいたします。

 冒頭、法案の内容に入る前に、ちょっとNHKさんに確認をしたい点がございます。三月に、日本放送協会の平成十八年度の収支予算、事業計画並びに資金計画ということで御説明をお聞きしながら、予算については委員会でも承認をいたしました。その中に、地方の多様な要望にこたえる地域放送ということが触れられております。言うまでもなく、NHKでは、NHKだからできる放送に全力を投入するということで、この二年間のいろいろな、過去のNHK自身の抱える問題も含めて、かなり私は内容に踏み込んだというふうにも認識しているんですが、きょう、実は、いろいろ自治法の改正を考えるときに、やはりNHKさんにもう少し地方議会や地方自治という観点からも御努力をお願いしたいということをつくづく思って、まず冒頭、二点だけお尋ねをしたいと思っています。

 一点目は、十八年度の予算を考える中で、二〇一一年の地上波デジタル化に向けて、今年度中に県庁所在地においてとりあえずその対応ができるということが決められていますが、ただ、この委員会でも過去議論がありましたように、情報格差という問題があります。さらには、特に、経済産業委員会で審議を三月から四月にされておった、いわゆる中古家電品販売のPSEの問題というのが、五年の周知期間を経ながら、かなり混乱をしながらスタートを正式に切ったというこの苦い経験も含めて、本当に二〇一一年までに、県庁所在地だけではなく、あまねくだれでもがデジタル放送をごらんになれるような状況が確実に確保できるかどうか、まずその点について、今後の見通しについてお伺いをしたいと思います。

西山参考人 地上デジタル放送なんですけれども、全国あまねく実現するために、それも二〇一一年という限られた時間の中で、今、親局そして中継局と整備を進めているところです。

 先生おっしゃいますように、あまねく実現するための課題というのは多々あります。その一つに、おっしゃいますように経費の問題等々あるんですが、送信設備の整備経費についていいますと、可能な限り民放と一緒にできるものは一緒にしていこう、共同建設と呼んでいるんですが、それを今進めております。経費削減にも努力をしている。それとあわせて、新しい技術を導入していこうということで、例えば小規模の送信機を開発したり、空中線の新しい技術を導入していこうとかいうことで、一層の経費削減を図っているというところです。

 それで、電波のサービスが困難な地域、もう全国あまねくですから、例えば離島ですとか山間部ですとか、そういう電波のサービスが困難な地域の対策についても課題があるかというふうに思うんですが、そこについては、自治体の光ファイバーが利用できないかどうか等々、さまざまな手段を民放と一緒に共同で検討しているのが実情です。

 それと、地上デジタル放送推進会議で公表されました地上デジタル放送の中継局の整備のロードマップ、このロードマップに乗って地上デジタル放送の全国ネットワークの設備整備を着実に図っていきたいというふうに思っています。

 ですから、地上デジタル放送の全国あまねくの達成を目指しているというのが実情でございます。

後藤(斎)委員 それと、もう一点なんですが、地方制度調査会の答申の中身にもありますように、多様な民意を反映するという当然な使命を持った地方議会でありますが、NHKさんは視聴率を気にせずに放送というものができますし、十八年度の事業計画の中でも、地域に根差したスポーツの活躍ぶりみたいなものとかに応援団として積極的に対応する、さらには、地域が抱える問題に真正面から取り組む番組というふうなことがありますが、現状で、例えば都道府県議会の生放送や、かなり時間を割いた放送はしているんでしょうか。そして、もし仮に大変少ない件数であれば、これから地方議会をもっと活性化するというよりも、たくさんの地域の方にその放送を見ていただくということは、地方議会の議員の皆さんも、非常にその部分で有権者の方にみずからの主張をきちっと発言をしていく、そして政策についても語る、いわゆる説明責任も果たせるというふうな気持ちがあるんですが、その点について、現状とこれからのあり方についてお尋ねをしたいと思います。

原田参考人 お答えいたします。

 十八年度のNHKの編成の基本計画におきましても、今お話にありましたように、地域放送の充実、これは大きな柱の一つでございます。

 今、地域では、少子高齢化の問題であるとか、あるいは地域の活性化の問題であるとか、若者の雇用の問題であるとか、さまざまな課題を抱えております。特に今年度は、こうした地域の課題に各放送局が真正面から取り組む、そして地域の皆さんとともにその解決策を考える、こうした取り組みを積極的に進めようというふうにしておるところでございます。この四月からは、金曜の夜の八時台、ゴールデンタイムと言われるいい時間帯でございますけれども、そちらに地域放送番組を張り出してこうしたテーマに取り組む、そういうケースが大変ふえておりまして、四月では三十三本の自主編成番組が放送をされております。

 こうした中で、県政あるいは県議会の動きにつきましても、ニュースのほかに、当事者の方、例えば知事さんなどの御出演も含めて、こうした番組の中でもさまざまな角度からお伝えをしているところでございます。

 ここ数年の県議会の中継、この例を申し上げますと、北海道では警察本部の報償費をめぐる参考人質疑を中継したり、高知では知事に対する不信任決議案の本会議を中継したりしております。

 県議会の中継につきましても、視聴者の関心あるいはニュース性、そうしたものを踏まえて、判断しながら取り組んでまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 大臣、質問通告はしてありませんが、さきの委員会でも大臣とNHKの問題について、短時間でありましたが議論をさせていただきました。その際に大臣がお述べになったことは、四月の十一日に発覚をしたいわゆる不祥事の問題については、きちっと事実確認をしながら、今後のあり方について大臣なりにもまたいろいろ考えていく、検討していくという趣旨のお話であったというふうに記憶しています。特に、連休中に大臣が、報道でしか承知しておりませんが、経営委員会の常勤化という問題にも触れられております。

 今NHKのお二方の理事にお尋ねしたことは、NHKでしかできないというものが、いわゆる公共放送というものが、先ほど原田理事がお話しになられたように、確かにニュース性とかそういうものもあるのかもしれませんが、やはり地域の県議会というものは地域で、例えば、知事と並んで、民意をどう反映して議会運営をしていくのか、そして、その先に県民の皆さんがどうなるのかという多角的ないろいろな報道を、NHKとしても工夫をしながら、やはり視聴者の皆さんにより理解をされていかないと、今回の四月の事案というものが五月の下旬くらいまでにはいろいろな報告はまとめるというお話をNHKからも聞いておりますが、やはり大臣としても、情報と通信の融合にかかわる懇談会の中でも、これから中長期に向けての改革の問題にも触れられています。私は、やはり地域からの情報の発信という点を積み重ねていくことが、私どもの選挙活動もある意味ではそういう部分が非常に多いわけなんですけれども、やはりNHKが本当に視聴者の皆さんから支えられるという意識、経営委員会の委員の方の常勤化ということだけではなく、そういう視点も私は必要だと思うんですが、大臣、その点、どんなふうにお考えになられますでしょうか。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 たしか委員から以前に御質問をいただいたことがあったと私も記憶しております。四月十一日に発表されたといいますか発覚した今回の不祥事に関しまして、やはりこれはきっちりと対応しなければいけない。この問題そのものに対してどのように対応するのかという個別の問題が一つございますが、その背景にある組織のガバナンスの問題、根本的な問題をしっかりと考えていく必要がある、そういう思いで申し上げたことでございます。

 今お尋ねのガバナンスの点に関しては、私も、経営委員会の常勤化を含めて検討することが必要であるという認識を申し上げたことがございます。この問題はまだ今懇談会で議論している最中でもありますので、そういったことを踏まえてこれはしっかりと議論しなきゃいけないと思います。

 と同時に、今委員が御指摘の点で重要なことは、番組編成とガバナンスの問題というのは、これはもちろん全く関係がないとは申し上げませんけれども、番組編成の自主性とか、今までNHKが培ってこられた、国民の信頼を得てきた番組編成のすぐれた点についてやはりしっかりと保っていっていただかなければいけないのだというふうに思っております。ガバナンスは、コンプライアンス等々、しっかりと財務の強化はやっていただく。しかし、番組については、まさに地域性の反映も含めて、今のNHKが持っている、そしてNHKに対する国民の信頼が寄せられている、そういった点をしっかりとカバーしていくことが、守っていくことが必要であるという認識を私も強く持っております。したがって、ガバナンスを強化するけれども番組編成の自主性はしっかりと保たれる、そして、そこには、当然のことながら地域を含めた視聴者の声がしっかりと反映できる、そのような仕組みはつくれるというふうに私は思っております。

 恐らく、こういった点に関しては多くの皆様方の合意も得られるのではないかというふうに思いますので、そういうことも踏まえて、懇談会の成果も踏まえて、しっかりと総務大臣としては対応をしていきたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 確かに、ガバナンスの部分と番組の編成の問題は切り分けて考える部分もあると思うんですが、大臣、大臣が今触れられた懇談会の部分についてお話をさせていただければ、今回の地方自治法の改正は、昨年、第二十八次の地方制度調査会の答申、「地方の自主性・自律性の拡大及び地方議会のあり方に関する答申」というものを踏まえたものであります。地方制度調査会については、言うまでもなく、設置法に基づいて、第一条の「目的」に「日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加えることを目的とする。」と。確かに、「検討を加えることを目的」なんで、それがどうだと言われれば、どうなのか、大変私は重いものだと思うんです。

 ですから、最後の方でもちょっとお尋ねをしたいと思っているんですが、いわゆる大臣の懇談会、地方分権にかかわる懇談会の部分とこの地方制度調査会の仕分けというものはこの委員会でも何度か議論がされておるんですが、まず、大臣、この地方制度調査会の答申というものはどのように位置づけて考えたらよろしいんでしょうか。

竹中国務大臣 今、後藤委員がもう既に御紹介くださいましたように、地方制度調査会、地制調は法律に基づいて、設置法に基づいて設置をされる、そういう重みを持っているものでございます。そして、その中身は、日本国憲法の基本理念を十分に具現するように現行地方制度に全般的な検討を加えるということを目的としているわけで、その法律的な位置づけ、また与えられた責務も大変重く、大きいものだと思っております。かつ、これは昭和二十七年に設けられたものでありまして、歴史も持っている。

 内閣総理大臣の諮問に応じまして重要事項を調査審議するということに相なります。あくまで調査審議という役割でございますから、法令上は政府がこれに拘束されることはないとされているわけではございますけれども、これはしかし、メンバーは国会議員、学識経験者、地方公共団体の代表等から成る委員に御審議をいただいた結果であります。従来からこれを政府としては尊重して制度の企画立案を行ってきているところでございます。地方制度調査会の答申というのはそういう重みを持って私たちも常に受けとめているところでございます。

後藤(斎)委員 大臣、今回この地方自治法の改正に当たって、全部、規則までは読んでおりませんが、当然でありますが、この地方自治法は、自治六法の頭の、ページ数からいって七百ページ近い分量を割いていろいろ細かく、ある方に言わせれば、国が地方をはしの上げ下げまで決めているというふうに言われる方もいらっしゃいますが、大変重要な法律だと思っています。

 その中で、大臣が尊重しなければいけないと言う中で、いわゆる行政委員会の部分で、教育委員会と農業委員会の必置規定というものが見直しをされませんでした。確かに、個別法にもちろんよって位置づけられておりますが、やはりこれは政府全体として、国として、国と地方のあり方をどう規定するかという問題にもかかわります。きょう、文科省と農水省の方の参考人の方にも来ていただいておりますので、それぞれの省庁でなぜ今回、必置規定の見直しを見送ったのか、教育委員会そして農業委員会ということで文科省、農水省にそれぞれ、この答申のまず簡単な認識と、これからどんな形でその見直しをなさるのかどうかも含めて、見通しについてお尋ねをしたいと思います。

山中政府参考人 教育委員会制度についてのお尋ねでございました。

 文部科学省といたしましては、地制調の答申も存じているところでございますけれども、教育委員会制度は、戦後導入されまして、教育の政治的中立性の確保でございますとか、あるいは教育の継続性、安定性の確保、あるいは地域住民の方の多様ないろいろな民意、これを教育行政に反映していくというための行政委員会、行政の機関として重要な役割を果たしてきたというふうに考えているところでございます。

 教育委員会制度につきましては、文部科学省の中には中央教育審議会がございますけれども、昨年、義務教育のあり方について議論したところでございます。新しい義務教育を創造するという答申を昨年の十月二十六日に出しているところでございますけれども、この中でも、特に義務教育につきましては、それを設置しております市町村に、小中学校に近いところに権限を移していく、また、そのためには、住民に近いところにある、市町村にある教育委員会の足腰を強くするといいますか、民意をよりよく反映できるような、あるいは権限を拡大するような、そういう現場主義の方向に持っていくというのが基本的方向ではないかというふうに提言されているところでございます。

 具体的には、教育委員会というのはすべての市町村にはやはり必要であるという考えのもとに、教育委員の人数でございますとかそういう組織のあり方をより弾力化する、あるいは人事権などの具体的権限を市町村の方に移譲していく、あるいは、市町村長あるいは知事等と、スポーツとか文化ですとか、いろいろな所管のあり方について弾力化を進めるといった形での、よりそれぞれの地域にふさわしい教育委員会のあり方というものを提言しております。

 現在、文部科学省では、この中央教育審議会の答申も踏まえまして、教育委員会の関連します制度改正のあり方でございますとか、教育委員会が期待される行政委員会としての役割を十分発揮できるようなあり方について、より活性化して地域住民の期待にこたえられるような委員会になれるように、そういう形での制度改正というものを今検討しているところでございます。

宮坂政府参考人 農業委員会の制度につきましてお答えを申し上げます。

 昨年十二月の地方制度調査会におきまして、農業委員会につきまして、その設置を選択制とする旨の答申が出されたということにつきましては、委員御指摘のとおりでございます。

 農林水産省といたしましては、農業委員会につきましては、地域の農地の状況を熟知している農業委員会が行政委員会として農地の権利移動等の許可を行うことが最も適切かつ効率的であり、また優良農地の確保とか農業の担い手への農地の集積という政策につきましては、地域に非常に知見のある農業者の代表者たる農業委員の役割が不可欠であるというふうに考えておりまして、農業委員会の設置を選択制とするということは困難であるというふうに考えておりまして、こうしたことも踏まえまして、今回の地方自治法の改正には盛り込まれていないというふうに考えております。

 一方、農業委員会制度につきましては、市町村の裁量を高めるということとともに、農業委員会の効率的な業務運営を確保するため、過去数次にわたりまして制度の見直しを行ってきておりまして、最近におきましては、平成十六年に、農業委員会の必置基準面積の引き上げ等、市町村の裁量を拡大する措置や業務の重点化等のスリム化の措置を講じたところでございます。

 今後の農業委員会制度につきましてのお尋ねもございました。

 農業委員会の担っております優良農地の確保とか担い手への優良農地の集積ということにつきましては、今後の我が国の農業の構造改革を進める上で極めて重要な課題であると考えておりまして、農林水産省といたしましても、適切な運用が図られるよう十分意を尽くしてまいりたいと考えております。

 以上であります。

後藤(斎)委員 確かに文科省や農水省の審議官の方がおっしゃる部分は理解できる部分もありますが、実際の現場、市町村の現場のそれぞれの委員会においては、いわゆる事務局体制というのは、二年か三年か年数は別としても、その中では出向の方が実際の実務を担当しているというのは紛れもない事実であると思います。

 確かにそれぞれの個別法をどう整理してどう実現していくかということもありますが、やはり内閣総理大臣に答申をしたこの部分、行政委員会をこれから総務省としても、もちろん霞が関の中の調整ということはあるにしても、現場がまずどうかということも含めて、ほかの行政委員会も当然ありますが、対応していただきたいということも私は考えております。ほかの行政委員会もこれからどうしていくのか、さらには、この答申との違いの部分をどう政府の中で調整されていくのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、農業委員会、教育委員会以外の行政委員会制度についてのお尋ねがございましたけれども、今回の二十八次の地方制度調査会におきましては、行政委員会のうちで、地方公共団体の具体的な要望でございますとか地方分権改革推進会議等の提言が出されております教育委員会、農業委員会、監査委員について重点的に審議いただき、答申をいただいたということでございます。

 行政委員会制度につきましては、委員御案内かと思いますが、この答申の中でも触れられておりますように、戦後の民主化あるいは権力の集中排除といったような中で国、地方にいろいろ取り入れられた制度でございますが、国の方におきましては早々にこういう制度が廃止あるいは審議会化されたというような歴史を持つものでございまして、この行政委員会制度のあり方についてかなり古い段階からいろいろ議論が存するところでございます。

 私どもといたしましては、今の時点で、地方団体等々の要望がございましたような、今回御議論いただいたようなもの以外について、個別具体にこれが問題だということを想定しているものはございませんけれども、行政委員会制度につきましては以上のような経緯もございます。それから、組織一般についても、常に状況変化でありますとか社会経済状況の変化などいろいろな状況に応じた見直しは不断に行うべきだというふうに考えておりますので、今後とも検討してまいりたいと考えておるところでございます。

 なお、教育委員会、農業委員会でございますが、地方制度調査会でも、先ほど御答弁いただきましたお二人からヒアリングをいたしまして御議論をいただいたところでございます。その上で答申に至ったというものでございます。私どもといたしましては、答申をお届けし、検討をお願いしたということでございますが、現時点ではこの方向にはなっていないということでございます。

 教育委員会制度につきましては、地制調の答申の中でも、例えば事務に関する選択制でありますとか人事権の問題等も触れられておりまして、こういうものにつきましては同じ方向で御議論いただいている部分もございますけれども、委員会制度そのものの選択制ということについては必ずしも同じ考えに至っていないということでございますが、今後とも十分御検討いただけるように粘り強く働きかけてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

後藤(斎)委員 今の局長がおっしゃられた粘り強くというのはいろいろなところでお聞きをするんですが、いずれにしても、受け手の現場というか地方自治体の立場に立った部分と個別法の部分、これをどう調整するかというのは難しい問題もあると思うんですが、地方自治を主管しておられる総務省においては、その点についてもそれぞれの省庁に、働きかけというとおかしいですが、どんな形で理解を求めることが一番それぞれ両立をするのかどうか、引き続きぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 次に、今回地方自治法の二百三十八条に規定をされている、行政財産の貸し付けまたは私権設定ができる場合の拡大という部分がございます。これについては、確かに今国においても国有財産の貸し付けや売却というものがこれから進むというふうに言われておりますが、むしろ私は、地方自治体の持っている財産をどう使っていくかという視点がようやく今回の法律改正でできてきたのかなというふうにも思っています。

 ただ、具体的な手続をこれからどうするかというのが一番問題になってくるのかなと私は思っています。確かに、余り特定の者に貸し付けるのは困るというふうな御意見があることも承知をしておりますが、ある意味では、土地や建物を借りたいという者が、例えば、私、後藤が竹中市長に直接言うというのはやはりなかなか、民間の方が大変しにくいというふうに思っています。

 実際、例えば市役所を間借りしようというのはなかなかありませんが、土地を借りたいという方は結構いらっしゃるんですね。そういうときに、やはり今までの県や市町村の自治体の感覚ですと、いや、そんなものは、売却するのも入札だし、三年か四年たたないと、まとまってしかやらないよというふうなことで、門前払いで断られる場合が非常に多かったわけなんですが、私は、特定の方の利害の調整というより、むしろやはり積極的に本当にこの部分を使ってみたい、貸してもらいたい、借りたいみたいなことがある意味ではあってもいいのかなと。

 当然、公の財産でありますから、そこの部分にはある程度のルールというか、ガイドラインがあるのは当然だと思うんですが、そこをやはりこれからどういうふうに転がしていくかというのが本当に、後でちょっと触れさせていただきますが、交付税が減っていくであろう、地方税もなかなかふえない、そして行政サービスは減らすことができない、何重苦かわかりませんが、いろいろ御苦労なさっている自治体にとっては非常に有効な、PFIや指定管理者という制度よりもある意味では有効に使っていけるのかなという感じも私はするんです。

 財産の内容について余り細かくお聞きをしてもあれなんですが、これからどんなルールで貸し付けをしたり、そして例えば先ほどお話しした借りたい意思がある方を積極的に見つけ出して、お見合いをさせて、契約行為に持っていって、ある意味では自治体の税収ないし税外収入がふえるわけですから、そういうふうな仕組みをもっと積極的に、今回の法律改正が済んだ後、していくべきだと思うんですが、その点についてはどのようにお考えになっていますでしょうか。

高部政府参考人 二点お答えをいたしたいと思うんですが、委員御指摘いただいた点、現行制度でも、普通財産について、普通財産は御案内のように財産的価値に着目して管理するものでございますので、今御指摘いただいたような視点の中で有効活用というのは非常に大事だと思いますし、また、我々といたしましても、いろいろな試みがなされているでありましょうから、そういうものについてもいろいろ情報を伝えるといったような形で支援していくことも大事だと思っております。

 今回の制度改正について申し上げますと、一部、委員の御指摘のような点が当たる部分もあろうかと思うんですが、必ずしもその問題意識と合っていない部分もあろうかと感じているところでございます。と申しますのは、今回、あくまでも行政財産という枠内で貸し付けを認めるということになってございますので、貸付対象も、今のパターンとして我々想定し、現実に要望がありますのは、市町村合併等で庁舎等のあきができた、こういうスペースを有効に活用したいというようなときが一つあると思います。

 こういう部分についていいますと、今おっしゃられたような点が一部あろうかと思うんですが、そのほかに、行政財産である土地の本来の目的を効果的に達成することができるような貸し付け、例えば空港の敷地についてターミナルビルに貸し付けるといったようなパターンのもの、あるいは隣接する土地の所有者と一緒に合築して建物を管理する場合に、共通の底地で建てますものですから、貸し付けというようなことができるというようなことになってきますと相手方が特定するということになります。

 ですから、今回の制度改正の中では主に行政財産という公共の用に供す、あるいは公用に供するという範囲内で貸し付けるということになるものですから、必ずしもすべてが当てはまるとは思いませんけれども、今委員御指摘いただいたような視点というのは非常に大事な点だと思いますので、我々としても、制度的にどうこうというよりも、むしろいろいろな工夫の中でやっていくことだろうと思いますので、いろいろな支援には努めてまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 確かに普通財産と行政財産の区分については承知しておりますが、これから多分そういう発想でないと、その財産の区分を決めるのも当然首長や議会の部分での変更ということになると思いますけれども、やはりもっと積極的に対応するという姿勢がないと、これからもっと大変になるであろう地方の財政というものが、立て直しどころか、むしろもっと悪くなる状況に行ってしまう可能性もあるということでお話をさせていただきました。

 あわせて、議会の活性化というのも、この答申の中に「議会のあり方」という、「第二」という大きな項目を挙げながら対応しております。ここに書いてあるのはすべてがごもっともなことでありまして、ただ、これから具体的な方策の検討というのが記述をされております。その中で、特に人材の部分で、幅広い層からの人材確保ということも指摘をされております。特に、これは公職選挙法の関係も含めて、いろいろ地方公務員制度、公務員法の問題もありますけれども、自治体の職員の方が議員と兼職可能なような環境整備をすることも検討すべきであるという指摘、これはかなり諸外国では普及をしているというお話も聞いております。

 やはり人材をどうするかというのは、地方議会の活性化、先ほどNHKさんにもお尋ねをしたように、私は、衆人環視と言うと大変変な言い方かもしれませんが、たくさんの人がそれをごらんになっている、そしてその中にたくさんの人材が入っていくということは住民のために大変プラスになることだと思っています。この指摘も今回の自治法の中に当然すぐ反映されるものではないと思いますが、例えば具体方策、人材確保という点について絞ってお尋ねをしたいと思いますが、どのような形でこれから検討を進められていくんでしょうか。

高部政府参考人 ただいま御指摘いただきました人材確保等々の観点でございますけれども、こういう問題というのは非常に幅広い課題を抱えているんだろうというふうに感じておりまして、地方自治制度の枠の中だけでおさまらない課題になってきているのではないかというふうに思うわけでございまして、幅広い立場から検討していく必要があるんだろうというふうに思っております。

 地制調でこういうふうな形での一種の宿題もいただいているところでございますので、私ども、今、枠組みとしてこういう形でやっていくということを申し上げる状況にはございませんけれども、引き続き、この答申で御指摘いただいた点につきましては十分受けとめまして、検討を続けていきたいというふうに思っているところでございます。

後藤(斎)委員 大臣、まだたくさん言い残していることがあるんですが、二点、最後にお尋ねをしたいと思います。

 一点目は、地方交付税の問題について、いろいろな議論がこの連休中も含めてございました。特に四月の二十八日、連休の直前に大臣のビジョン懇で中間取りまとめも行われております。あわせて、昨日、地方六団体の、神野先生が委員長をされている新地方分権構想検討委員会の中間報告も取りまとまって、いわゆる地方共有税の創設など、七つの提言ということで、新聞報道によると国と地方のいろいろな意識の対立がより深まったみたいな書き方をしているところもありますが、大臣、この間にも、やはり地方交付税はこのままではいけないんだという御発言もされておりますし、あわせて経産省でも、新経済成長戦略の中間取りまとめでもかなり踏み込んで地方交付税に触れて、その今後のあり方についても述べられています。

 たくさんのいろいろな地方交付税についての議論がある中で、大臣が六月の骨太の方針に向けてということをこの委員会でも従来から繰り返し御発言なさっておりますし、この中間取りまとめ、竹中大臣懇の中でも、いわゆる地方債の完全自由化であるとか、再生型破綻法制の整備であるとか、今触れました交付税の改革であるとか、たくさんの課題を記述されながら、六月に向け対応されていると思いますけれども、やはりこれが、先ほどの行政委員会の話ではありませんが、政府全体がどうするかという国の意思と、地方自治体の現場というか住民に一番近い皆さんのお考えになっていることがある意味では対立をするということは、私は、実際、実務というか行政をしていく上で決してプラスにならないと思うんですね。

 もちろんそれぞれのお考えがある中でありますけれども、どう取りまとめていくかというのが、まさに大臣の、これから骨太の方針を取りまとめる経済財政諮問会議でも、大臣の本領発揮、手腕の発揮だというふうにも思うんですけれども、どういうふうに、この中間報告やいろいろな委員会や、経済同友会もいろいろな御提言をなされていますけれども、取りまとめて、これからの地方主権、地方分権という視点での、真に自治体のためにという、大臣がいつも発言をされているような部分に持っていくおつもりなのか、最後にお尋ねをしたいと思います。

竹中国務大臣 先ほど委員から地方制度調査会の位置づけについて御質問いただきましたけれども、その裏側には、懇談会をどのように位置づけて、その懇談会での議論をどのように政策に生かしていくつもりなのかという、そういう御質問も私は含まれていたのであろうというふうに思います。

 何度か御答弁を申し上げましたけれども、この懇談会はあくまで私の私的な懇談会でありますので、それを受けて、私としてないしは総務省としてどのように政策をつくっていくか、まさにこれから政策のプロセスが始まるというふうに認識をしております。

 当然のことながら、その過程で、地方の皆さん、代表の方々とはよく相談をしなければいけません。そういったことも念頭に置いて、地方は地方でぜひ案をまとめてくださいということを私の方からお願いをして、そして先ほどの神野先生の検討委員会になっているわけであります。そういう意見調整をやっていかなければいけません。また、当然のことながら、これは政府・与党一体となって取り組むべき問題でありますので、党の先生方にも御相談をしていかなければいけません。

 これはもう、要するに、共通点を見出して合意できるように相談をしていくということに尽きるわけでありますが、一点、ぜひこれはこの委員会の先生方にも御協力をいただければと思うんですが、今のような状況になりますと、非常に具体的な制度設計と大きな方向の議論というのは混在してしまうんですね。実は、これが私たちにとっては一番避けなければいけないことではないかというふうに思うんです。

 地方の制度というのは本当に複雑で、しかもきめ細かくつくらなければいけません。その制度設計はきちっとやっていかなければいけないわけですが、そのためにも、やはり大きな方向をまず決めて、これは方向を決めるだけでも大変です、方向が決まったら、これはまさに、この制度設計は地制調にお願いするというものも出てくるだろうし、さまざまな形で制度設計のための議論を積み上げていかなければいけないところが出てくるんだと思うんですね。

 しかし、それぞれ各省庁には各省庁の思いがあって、このときに、自分にいい制度設計に将来つながるようにいろいろな細かいことを皆さん言ってこられて、その結果、先生おっしゃるように何か対立点だけが目立ってしまう、そういうことになるのが私は最悪だと思うんですね。

 したがって、合意できる方向を見出して、大きな方向を今回は固める、それに基づいて、制度設計は歳出歳入一体改革とも絡みますから、やはり数年がかりで議論をしなきゃいけない問題だと私は思っております。そういう心づもりで、ぜひ共通認識が得られるような努力をしてまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。民主党の田嶋要です。

 今、最後に大臣のおっしゃったことでちょっとお伺いしたいんですけれども、制度設計とそれから大きな方向性の話がありました。今回、この地方の分権の関係でも、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会というのがあり、一方で第二十八調査会なんですが、今おっしゃられた、制度設計は調査会、大きな方向性の話は懇談会、大まかにいえばそういうような位置づけをお持ちなんでしょうか。いかがでしょう。

竹中国務大臣 余りに単純化して申し上げることは適切ではないというふうに思うんでございますけれども、地制調等々にいろいろお願いする場合には、こういう問題についてという問題といいますかアジェンダを設定しなければいけないと思います。そのアジェンダを設定するために、今まさに大きなビジョンについて私たちの頭を固めるための議論を懇談会でしていただいているというふうに位置づけております。

 もちろん、その中では方向性が決まらないで、これについてはこの二つの方向性について検討してくれ、比較してくれというような、そういうお願いの仕方もあるかもしれません。ただ、懇談会そのものは、まさにこれまでの過去三年間の三位一体の改革を受けて、それ以降少し長い期間を見据えた一つの姿を描いた上で何をすべきかというアジェンダを設定していきたい、そういう思いでこの議論をいただいております。そのために、私たちの、まず総務省としての一つのビジョンなり考え方を持ちたいということでお願いしているわけでございます。

 その上で、これはしかし、そういう方向でよろしいかどうかということは、これは幅広く、地域の代表の方との懇談もするつもりでございますし、政府・与党の中でしっかりと話し合っていかなければいけないというふうに考えております。

田嶋(要)委員 調査会と懇談会で、中身がかなり重複するような話というのは間々あるかと思うんですが、今のお話をお伺いしていると、懇談会で得られた何らかの結論というか答申、それを踏まえて、調査会というのは必ずプロセスとして真ん中に入ってくるものというふうに理解してよろしいですか。

竹中国務大臣 恐らく、方向としてかなり重要なものについては、そのようなお願いをしなければいけないのではないだろうかというふうに認識をしております。ただ、これは総務省の中で、行政の中で変えていけるものも全くないとは思いません。したがって、行政でできるものもあれば、非常に大きな制度設計が必要なものもあるでしょう。その意味では、今回のビジョンを踏まえて、ある種行政の中ですぐできること、さらには国民的な議論を経て制度設計をしなければいけないこと、そういう仕分けはしなければいけないと思っております。

田嶋(要)委員 ということは、余り国民的な議論の必要性のない小さい制度設計であれば、私的懇談会の結論を得て、霞が関の中でも制度設計を行い得る、そういう理解でよろしいですか。

竹中国務大臣 具体的に念頭にあるわけではございませんけれども、これは別に法律改正は必要ない、総務省の告示の話であるとか、省令の話であるとかというものもあるかもしれません。そういうものについては、当然、必要な手続はとるわけでございますけれども、いろいろなパブコメが必要なものはパブコメの手続等々はとらなければいけないと思いますが、すぐできるものがあって、すぐやらなければいけないものがもし出てくれば、それは速やかに対応をする必要がある思っております。

田嶋(要)委員 二カ月前、同僚委員の方からもこの懇談会の関係で質問が出ておりますけれども、その中で大臣は再三、何かを決定する場所ではありませんということをおっしゃられるわけですが、一方で、懇談会というものの性格を見ますと、法令の根拠があるわけではなし、大臣の、ある意味では、簡単に言えばお気に入りの方を集めることができるということで、人数的にも地方の懇談会は六名でやられておる、猪瀬直樹先生とかそういう方を集めておられるということで、いろいろなところから不安視もするわけですね。

 だから、何かを決定するわけではないとおっしゃりつつも、必ずしも地方制度調査会みたいなものを経ずに、そこの懇談会の結論がストレートに制度設計につながっていくというのは、結局は相当な影響を及ぼすのではないかなという感じもするんです。

 片や調査会というのは、先ほどの委員の質問にもございましたが、メンバーの構成の規定なんかもございますね。この地方制度調査会も三十名の委員から成っておって、その中には学識経験者、それから国会議員、それから地方六団体の代表者、そういう方々がちゃんと入っている。ある意味では、いろいろな縛りもかかっている中でバランスのとれた議論ということを担保していき、人数的にも三十名、それなりにいろいろな方々が入っている。

 片や六名の中でやっているということに関して心配する声もあるわけですけれども、その辺に関しては心配御無用というポイントからの御答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 政策を決定してそれを執行していくためには、やはりそのプロセスというのは大変重要であるというふうに思っております。その重要なプロセスを無視して決定することなど、これは民主主義社会ではできないことでありますし、そういうむちゃなことをやるつもりなど、もちろん私自身は全くございません。

 ただ、今、繰り返し申し上げているように、まず非常に大きな一つの将来のビジョンを自由に描いていただいて、その中で、そこから逆算して今何をすべきかということを私たちなりにしっかりと持ちたい。それで、これが必要だということになった場合は、それをするためには当然必要なプロセスが出てくるわけですから、そのプロセスについてしっかりとお諮りをして、粛々と、しかし堅実に議論をしていきたいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 先ほど、もういらっしゃいませんけれども、文科省の方から中教審の方の話が出まして、教育委員会に関しての今後の話で、お話を伺っていると、ちょっとこちらの地方制度調査会の方の言っている話とは方向性が逆のような印象も受けたわけですが、もし仮に、その私的懇談会と調査会の特定のある具体的な論点に関して、答申の内容が逆の方向をしていた場合にはどういう御判断をされるわけでしょうか。まあ仮にの話ですけれども。

竹中国務大臣 仮にということで、どういうものを想定するかによって違ってくるんだと思います。したがって、ちょっと仮定の問題を一概にはお答えしがたいわけでございますけれども、これは非常に大きな問題で、もう一度お諮りしなければいけないというふうに判断する場合はそのようにしなければいけないというふうに思いますし、必ずしも大きな方向として食い違っているものではない、解釈の問題であろうというふうな判断をされるものについては、これは急いで実施しなければいけないものは急いで実施するものも、まあ、ないとは言えないというふうに思うんですね。

 私としては、そういう政策決定の手順について大きな乱れが生じないようにぜひやっていきたいというふうに思っております。政策決定のプロセス、重ねて申し上げますけれども、そこはやはりきちっと踏まないと民主主義社会としてのよい政策はできませんし、皆さんの合意がない上での政策というのはやはり必ずうまくいかないわけでありますから、そこの手続は私は重視するつもりでおります。

田嶋(要)委員 ぜひ、いろいろな方面への目配りをしつつ進んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、地方自治法の改正案の中身に関してちょっとお伺いしますけれども、これは私自身の改正案の中身を拝見しての印象ですが、どちらかというと当たりさわりのないというか、十年前に改正してほしいような中身に関しては今回入っているけれども、失礼ながら、何か大きな話が余りないのかなという感じを印象としては受けたんですが、その辺はどのように大臣はお感じになっておられるのかななんというのはちょっと個人的に興味があるんです。

 ちなみに、大臣、こういう細かいというか、例えばクレジットカードが使えるようになりますとか、何か十年前のJRみたいな話なんですけれども、そんなような話まで含めて、こういう文言の文章というのは全部大臣は目を通されているんですか、どうなんですか。

竹中国務大臣 これは、総務省という非常に大きな役所の中で、所管する法律全部読むのが理想だとは思いますが、現実問題としてそれはできません。特に、今回のような場合は、限られた期間内にかなり多くの法律の審議をさせていただくということで、私なりに一生懸命勉強はしておるつもりでございますけれども、今回の改正のポイントはこういうところにあるというような資料を事務方に丁寧に作成してもらいまして、それを勉強しながら私もこのような審議をさせていただいているところでございます。

 しかし、ここはおかしいんじゃないかとか、ここはどうしてこうなっているんだとかいう議論は、省内ではかなり一生懸命やっているつもりでございます。

田嶋(要)委員 正直にお答えいただき、ありがとうございます。全くそのとおりだと思うんですね。それは無理もないことだと思うんですが、であるからこそ細部というのは非常に重要な場合があって、よく、悪魔は細部に宿ると言うんですか、わかりませんけれども、ところが、そういうところはなかなか全部見ることができない。

 そういった観点でちょっと一つ思ったのは、私どもに対してお役所の方が説明していただく同じような資料で説明を受けるのかどうかわかりませんが、「地方六団体への情報の提供」というところがございまして、義務とか負担を負わす場合に、これはこういう内容ですと説明するということなんですけれども、それはそれだけ読むと大変結構なことでいいんじゃないか。今までなかったことをこういうことでやるので、これはどちらかというと、六団体の義務というよりは、六団体としては情報開示がふえるということで、むしろ霞が関に義務を負わせるというわけですけれども、私、これをちょっと見てふと思ったのは、そういえば、昨年にいわゆるパブコメの法律改正というものが起きました。そのパブコメの法律改正で、その条文をもう一回ちょっと改めて見直してみたわけでございますが、行政手続法の改正法、これは大臣が大臣じゃなかったときだと思うんですけれども、これはごらんになりましたでしょうか。

竹中国務大臣 これは、実は、それを施行されるのでしっかりやってくださいという発言を総務大臣として閣議で各大臣にもしております。

田嶋(要)委員 これは言うまでもなく、五年前に閣議決定がされまして、その後すぐ、翌月から実際に運用が始まった。五年間の経験の蓄積を踏まえて昨年初めて法制化されたという内容なんですね。

 これを拝見しますと、いろいろ事細かに規定が入っている。例えば、三十日以上でなければいけないとか、さらには、返ってきた意見に対して、それを十分考慮しなければいけないと考慮規定が入っていたり、それから、考慮しただけじゃなくて、結果に関してもインターネット等で示していかなきゃいけない。それはそれなりにきちんとできているという印象を私は受けたんですが、それと比較して、今回、先ほど逐一条文は見てはいないとおっしゃいましたけれども、この条文に関してはごらんいただけましたでしょうか。このというのは、六団体への情報提供の条文ですが。

竹中国務大臣 きょうの御質疑に関して勉強させていただいておりますので、その中で見せていただいております。

田嶋(要)委員 これは御案内のとおり、第五項が一文加わったわけなんですが、これはどういう印象を持たれますか、大臣。

竹中国務大臣 印象はということでしょうか。これはまさに、一つの必要に応じてこの部分が追加されたというふうに認識をしておりますので、それに対して、特段、ここがおかしいのではないかというような印象は私自身は持ちませんでした。

田嶋(要)委員 大臣説明用の概要資料を見れば、方向的には私も賛成、私もこれを見たときは別に問題はないなと思ったんですね。ただ、一応念のためと思って、昨年通ったパブコメの方の話と似たような話だな、情報を開示する相手が、一般の市民、国民か、あるいは六団体の代表というか連合体かというその違いぐらいだなと思って見てみたら、かなり中身が違う。条文の中身がですね。

 そうすると、昨年あれだけ苦労して立派なものをつくって法律通したのに、何で同じような詳しさで書かなかったのかなという素朴な、それは大臣がやる仕事じゃないんですけれども、担当官の方がですね、そういう素朴な疑問が出てきます。

 特に、これは要するに実効性が担保できるかどうか、そういう問題だと思うんですが、要素としては、パブコメの方には、開示するものは案だけじゃなくて関連する資料もだと書いていますね。それから、「あらかじめ」という、要するに事前ということを明確に書いています。それから、公示をしていくんだ、意見提出期間も三十日以上とはっきり書いている。どれ一つ今回の法律改正には入っていないですね。しかも、地方制度調査会も、御丁寧に、関連する資料も開示していくべきだということまで答申に出しているわけですね。そこまで言ってくださっているのに、どういう理由か知らないけれども、そういうのを全部捨てて、わずか一文で、やることということを書いておるんですね。

 何かやる気があるのかないのかよくわからない改正なんですけれども、この辺、大臣は、先ほど言ったことで、一行一行見るわけじゃないから多分見落とされるんだと思うんですけれども、何だか、一応調査会から言われているからとりあえず入れたけれども、自分たちを縛る条文は最低限に簡素化して、余り具体的なものは入れないようにしようという姿勢が感じられるんですけれども、その辺は反省も含めていかがでしょうか。

竹中国務大臣 この条文について私が説明を受け、また条文も読んで私自身が感じたことを申し上げますと、これは私の理解ということでございますが、まさにパブリックコメントというのはパブリック、ゼネラルパブリックを対象にしたものだということであろうかと思います。それに対して、今回の対象となるのは、これはまさに自治体でありますので、ある種相手が特定化されるものだというふうに思います。

 これは比喩としては、非常に私なりの比喩で適切じゃないという御指摘を受けるかもしれませんが、経済取引で言うところの市場取引と相対取引の差があるんだろうなというふうに私は感じました。市場取引の場合は、情報開示等々、証券取引等々でも非常に形式的に枠組みを与えられるわけでございますけれども、相対取引の場合は、むしろ相手の状況によって、必要じゃないものもあればより必要なものもあるし、そこら辺は、よく言えば柔軟にできるというような仕組みであろうかと思います。

 これについて、むしろ規律が保たれないのではないかという御懸念を田嶋委員は恐らくお持ちで質問しておられるのかというふうに思いますが、私の頭の整理では、今申し上げたように、一種の市場取引的なものと相対取引的なもの、そうした形での形の差はあってもよいのではなかろうか、そのように理解をしております。

田嶋(要)委員 大変いい例えを出していただきました。市場取引ということで、やはり一般の数多くの投資家ということであれば、投資家保護ということから、事細かなルール、規定というか、例えばプロスペクタスで開示をしていかなきゃいけないとか、いろいろありますね。同じようなことは確かにあるのかなと。ただ、その市場取引と同じ中身の情報開示の義務規定が法律改正の中で相対取引で入っていて何が都合が悪いのかなというふうにも私は思うんです。

 それは違いがあってもいいとおっしゃるんですけれども、やはりこれは実効性を担保するのが目的ですね。では、相対取引の場合は、例えばこの場合には、地方六団体と霞が関との間に、市場の取引とは違うような、それほどいい関係というか、緊張感のない、仲間内の取引のような相対取引の関係が本当にあるんでしょうか。

 そういうことを考えると、やはりこれは、相手が地方六団体であっても一般の国民であっても同じような形で法律改正するのが極めて自然だし、これは法律改正、片っ方で去年やったばかりですよ。そういうのが私は自然な感じがするんですけれども、もう一度御答弁お願いします。

竹中国務大臣 市場取引と相対取引の関係にちょっとこだわって申し上げるならば、どうしてそういう差が出てくるかということに関して言うならば、情報の非対称性がどのぐらいあるかということなのだと思います。毎日政策をやっている我々と一般の方々では明らかに情報量に差があるわけで、情報のギャップがあるわけで、一方は他方をわかるけれども、他方は一方をわからない。自治体の場合は、そこは非常にまちまちなのだと思います。非常に一般の方に近いような立場の方もいらっしゃると思いますけれども、そうではなくて、非常に大きな情報量を持って情報交換を日々行っておられる方もいらっしゃる。そういう点に関してはむしろ柔軟にやってもよいのではないかというのが今回の法律の考え方だと思います。

 しかし、委員の御指摘は、情報の非対称性があることも含めて、情報が一番乏しい方を前提にしてすべての法律をつくるというやり方もあるのではないか、恐らくそういう御指摘だというふうに思います。それはそれで一つの考え方だとは思いますが、例えばそのためのコスト等々を考える場合に、やはり市場取引と相対取引的なものを分けるという考え方も行政ではあり得ると私は思います。

田嶋(要)委員 情報の非対称性もよくわかりますけれども、コストという意味では、かかりませんよ、コスト。こういう条文を今回入れるだけですよ。それだけのことだとは思うんですね。

 いずれにしても、一つの事実としては、過去十年でわずか一回しか使われてこなかった、こういう意見を申し出るということは。そういうことですね。したがって非常に実効性の乏しいものであったがゆえに、今回第五項を加えるということで実効性を担保したいという意思があるにもかかわらず、どうも何かほわっとした一文を入れているだけというのは、やる気があるのかないのかよくわからないというのが私自身の印象です。

 いずれにしても、これはこれからどれだけふえてくるかお楽しみにということで、それを見てもう一度質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に行きますけれども、たまたまきょう、読売新聞にでかでかと、一面と三面に出ておりました、四年が四十九カ月という記事、ごらんになりましたでしょうか。これは別に本題ではないですけれども、要するに何かというと、知事さんの給料が、今の法律、地方自治法を盾にとって、全国の都道府県のうち三十、かなりのところが四年間というのを四十八カ月じゃなくて四十九カ月と解釈して、着任した月と最後の月が月の半ばでも、まさか日割り計算せずに、そういうような議論なんですけれども、そういうことが書かれております。

 新聞記事だけでちょっと恐縮ですが、その中でおもしろいなと思ったというのは、まず国はどう考えているかというと、これはもう自治体の判断ですよということをおっしゃっておるわけですね。それで、自治法の二百四条の三項を根拠に、これは国は口出しできないということをおっしゃっておりますが、一方で、まさに先ほどの懇談会の六人のメンバーのお一人でもあります北海道大学の宮脇先生が、「国はこうした支給実態の適正化に向け、法改正などに取り組むべきだ」という御意見をされておるわけですね。

 それで、私ちょっと思うのは、地方のこういったいろいろなことに関して国がどこまで口出しをできるのか、出すべきなのかということが、わかっているようで非常にわかっていないような感じがするんですよ。原理原則の重要なことは出すべきだといったって、それが一体何なのかというところが一番重要だと思うんですけれども、まさにこういった問題は、これなんか地方が決めることだと言っているうちに、ある意味では税金の無駄遣いというか、理屈に合わない、四十九カ月を四年間とするような話がずっと続いちゃっているわけですね。それを自律的に、自発的に直している議会ももちろんありますが、そういうのを自発性にゆだねていては一体いつになったら完了するのかなという気がしてならないわけです。

 こういった地方がみずからを縛るような話とか、自分たちの権利が減るような部分とか、そういった部分に関してはやはり法律改正をするべきだというのもそうだろうと思うし、法律改正できなくても、何らか霞が関というか国がもっとしっかり働きかけをしていくべきではないのかなという感じを持っておるわけですが、その辺、大臣、どのようにお考えですか。

竹中国務大臣 新聞記事は承知をしております。

 私も、総務大臣に就任させていただいて以来、総務省というのは、総務大臣というのはもっと大きな権限を持っているのかなというふうに思ったんですけれども、実はそうではないということが就任早々非常によくわかりました。これは素直な私の印象でございます。しかし、そのたびに地方の自主性を守ってくれということをさまざまに言われる、この委員会でも言われますし、一方で、もう少し国が何とかすべきではないかという声も非常に強く聞かれる。

 私は、私たちが今目指しているものは、国がそういうふうに言わなくても地方の自律のメカニズムの中でちゃんとやってもらえるような形になるというものなんだと思うんですね。四十九カ月なのか何カ月なのか、それがいいか悪いかというのは、やはり住民がちゃんとチェックして、それはちょっとひどいんじゃないのという話が出てくればそうなるし、いや、それはいいんじゃないのという判断をすればそうなって、しかも、それがみずからの自由と責任に基づいてかつ自立している、やはりそういう仕組みをつくっていくしかないのかなというのが私の思いでございます。

 憲法論に立ち返っていろいろ法律の議論をするということも必要かもしれませんが、私としては、やはり今申し上げたような形での改革をぜひ行いたい、そのように思っております。

田嶋(要)委員 私も、原理原則はおっしゃるとおりだと思うんですね。ただ、これを読むと、どこかの行政の方が、「ほかの政令市の制度が変わらなければ、改めることはない」という意見とか、それから、「あくまでも条例上の規定に基づいて支給しているだけ。市民から批判も寄せられていない」。そんなこと、市民は知らないですよ、普通は。

 だから、自発性はいいんですけれども、方向としてはそれがいいと思うんですが、それだけでいいのかなと。そうこうしているうちに税金がどんどんどんどん使われていくという実態を何か放置していていいのかなという感じがするわけです。

 それとの関係で、残りの時間でちょっとお伺いしたいんですけれども、議会制度の方に関してもいろいろな提言がございました。その中で、特に私自身が前から思っているものは、夜間と週末の議会の開催の問題、それから、私も元サラリーマンですけれども、勤労者がもう少し立候補しやすいような、そういった環境みたいなものもつくっていかないと、本当の意味で地方議会がバランスのとれた民意を反映した議員の集合体になりにくいのではないかなという問題意識を以前から持っております。

 今回の改正は、あくまで議会のあるいは議長の権限の強化の方向での改正がいろいろと盛り込まれておるわけでございますが、今申し上げた、特に夜間、週末の議会の開催等、これは今法律で禁止をしているわけじゃないという御説明は確かに聞きましたが、こういったことも、こういう選択肢がもっとあるよということをもっとPRしていってもいいんじゃないかなという感じがいたすわけですけれども、その点は大臣はどのように御認識されていますか。

竹中国務大臣 地方公共団体の責任領域というのは拡大をしているし、もっと拡大していってもらわなきゃいけない。そういう意味での地方分権を図る上で、議会の活性化というのはやはり重要な残された課題であるというふうに私も考えております。

 今回の答申において、その機能の充実が図られるように見直しを行う、そして自主性、自律性にゆだねるという方向で見直すという必要から、今回いろいろな改正もお願いしているわけでございます。

 御指摘の夜間の議会開催、やはり本当にこういう試みはやっていただきたいと思いますね。今まで七市百四町村でそのような経験があるというふうに聞いておりますが、恐らく、ああ、そうなのかと、多くの方は御存じないと思います。委員の御指摘が、そういった意味での運営上の工夫等々について、今回、工夫をすべきと提言されておりますけれども、もう少しPRをしっかりとやるべきだということに関しては、私もそのように思っております。ぜひやりたいと思います。

田嶋(要)委員 先ほどの、四年が四十九カ月とは性格が違いますが、そういった夜間とか週末の議会ということになると、今議員であられる方々にとっては、ある意味脅威に感じる方も中にはいて、自発的に変えていこうというのを待っていたら、どうなのかな、いつまでかかるのかなという感じがやはりするという意味では、きょうのこの問題と同じような部分もあるような気がするんです。だから、少なくとも選択肢があるんだということをもっとPRしていただく必要性があるのかな。

 最後に、教育委員会の話。

 先ほど、文科省の方がおられて、私も一生懸命聞いておったんですけれども、先ほどの御答弁ですと、文科省は、教育委員会を何か現場の強化というふうに位置づけて、そういう意味で教育委員会自体もこれからしっかりと強化していきたいみたいな、その後ろでちょっと大臣がけげんな顔をされていたような感じもしたわけでございます。

 私は、これは、やはり必置義務も含めて選択できるようにすればいい。要らないというふうに地域が考えるのだったら、まさしくなくしていく。それで本当に民意の反映ということを、文科省がいないときこういうことを言っても仕方がないかもしれませんけれども、民意の反映を言うのであれば、やはり選挙で選ばれた首長さんのもとに集めた方がいいんじゃないかなと私は思うんですが、今後さらに努力をして説得をしていくという。

 総務省と文科省の間でのいろいろなやりとりがあるんだと思うんですが、大臣、最後に、この教育委員会の部分に関しまして、特に必置義務の話ですが、今回は改正には入ってこなかった、私も大変残念だというふうに思っています。まさにそういうでかい話が一つもないのが今回の法律改正かなという感じもするんですが、いかがでしょうか、どのように今後やっていきますか。

竹中国務大臣 この答申に書かれておりますように、また私自身も、そして今委員がおっしゃってくださったように、必置義務を見直して選択制にするんだ、別になくせと言っているわけじゃなくて、選択にしたらどうですかということに対して、答申の内容は、私は、ある種、非常に合理的な当然のものだというふうに認識をしております。そのことを、文科省に対して答申の内容をお伝えして検討を依頼したということでございます。しかしながら、現状においては、なかなかそこには至っておりません。そこは残念なことだと思っております。

 その他の答申の部分については、例えば、長と教育委員会との間の事務に関する選択制の問題であるとか、中核市等に対する県費負担教職員の人事権の移譲等について言及されているんですけれども、これは同じ方向で検討が行われている。したがって、残っているのは、まさに必置規定をどうするかという問題なわけでございます。我々としては、そういう今回の答申をいただいておりますので、その方向で引き続きしっかりと努力をしてまいりたいと思っています。

田嶋(要)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 地方自治法について、一部改正案が今回提出をされておるわけでございますけれども、その質問も後ほどしたいと思いますが、私は、まず竹中大臣に、歳出歳入一体改革及び地方交付税の改革について幾つか伺っていきたいと思っております。

 先ほど同僚議員の質問への答弁で竹中大臣は、地方分権、交付税改革、歳出歳入一体改革について大きな方向性を見出していかなければいけない、そのためには各省庁の共通認識というものが必要であって、その共通認識を構築していくためには数年間はかかるのではないか、長い時間がかかるのではないかというふうにおっしゃっていたかと思います。

 私は、竹中大臣が総務大臣に就任されて一年たたないですね、まだ数カ月でございます、実際に竹中大臣のもとで分権改革というものが大きく進んでいくのではないかと当初期待をしておりました。ところが、この間の議論の経過を見ておりますと、どうもボールがあっちに飛んだりこっちに飛んだりしているように見受けられまして、本当に、大きい方向性が見出していける、そのような議論のベースができているんだろうか、そういう疑問を持つことも少なくないわけでございます。

 私が前回質問させていただいたのは二月の二十七日でございました。そのときに、三位一体改革の第二期目について、どういう方向で第二期目を行っていくのかと質問をいたしましたところ、大臣は、第一期は数値目標を決めてそれでやってきた、だけれども、それでやるというような限定的な改革ではなかなか前に進まないので、より大きな仕組み、それを見直していきたいんだというふうにおっしゃってくださったわけでございます。

 そういう思いで期待を持って見ていたんですけれども、経済財政諮問会議が、月二回ですか、三回ですか、そのペースで進んでくる中で、三月二十九日に突如として大臣が、地方交付税は最大で六兆円削減可能である、そういう試算を提出されました。仕組みそのものを見直したいということの一つの考え方としてこの地方交付税の六兆円削減可能ということを出されたのか、何のためにあの試算を出されたのかなというふうに私は思っているわけでございます。

 地方六団体が設置をしております新地方分権構想検討委員会、これもずっと議論をしていた中でございましたし、自治、分権に対していろいろな議論が、たゆみなく努力が進められている中で、一体あの発言はどういった意味があったのか、そこを伺いたいと思います。

竹中国務大臣 冒頭から厳しい御指摘をいただきましたが、私は、大きな仕組み、その方向をつくるという思いは全く変わっておりませんし、在任中にその方向のきっかけづくりはぜひ実現したいというふうに考えているところでございます。

 御指摘の三月二十九日の諮問会議での私の発言は、交付税は何兆円削減可能だとか、そういう意味ではございません。あれは、どのぐらいの収支改善が国、地方において見込まれるかということについての機械的な試算をお出ししたわけでございます。

 三月二十九日のあの発言の真意と、それと大きな仕組みとどうかかわっているのかというのが西村委員の御質問だと思いますが、もし二十九日の議事録がありましたらぜひ御確認いただければと思うんですが、私は、冒頭で、二つのことを大きく議論しなければいけないと思っておりますと。一つは、やはりマクロの問題で、二〇一〇年代初頭に国、地方のプライマリーバランスを回復するというその道筋についてのマクロ経済的な議論が一つ。二つ目は、地方のまさに財政の仕組み、まさに自由と責任と自立が実現できるような仕組みの構造を変えるということについての議論、これをしなければいけません。二つは絡み合っていなくはありません、絡み合っている部分もありますが、それを一体でやると大変ややこしい議論になりますので、私は、あえてその議論を分けてさせていただきたいと。きょうはプライマリーバランスの削減に向けたマクロの議論をいたします、そして仕組みの話は、懇談会等々での議論をまだしておりますので、それを踏まえて後日させていただきます、そういうまくら言葉のもとに報告をさせていただいた、そういう趣旨で申し上げたというふうに記憶をしております。

 したがって、そこはあくまでも、歳出の削減をどのようなペースに持っていけるだろうか、そのときに、名目成長率三%、四%のもとで、一定のそういう弾性値のもとでどれぐらいの国税、地方税が上がるだろうか、そのときに国、地方の基礎的財政収支はどのぐらい改善する可能性があるだろうか、その結果として、構造改革をちゃんとやって、経済がちゃんと成長すれば、将来の税負担が求められる場合があるにしても、そんなに大きなものではないはずですよということをお示ししたわけでございます。

 そういう枠組みの中での御説明でございますので、西村委員が大変関心を持って、またいろいろ御議論いただいております大きな仕組みの話につきましては、先般ようやく中間取りまとめを行いましたけれども、それを踏まえてさらに今後議論していきたいというふうに考えているところでございます。

西村(智)委員 名目成長率と金利の話は、諮問会議の中でも神学論争と呼ばれまして随分長い時間を費やしてこられたようですけれども、同じく三月二十九日の諮問会議で竹中大臣は、人口二十万人以上の都市の団体数で五〇%を交付税の不交付団体にしたらどうか、できるのではないか、そういう考え方を示されたそうなんですけれども、これに対して小泉総理が、今のやり方を変えるという発想はないのか、交付税交付団体と不交付団体というのがあるのであれば、本来はそれが半々であるべきだというようなことを発言されておられます。私は、そういった小泉総理の半々というのも極めて機械的で深慮遠謀に欠けるのではないかと思いますけれども、総理の意向としてはそういうようなことでございます。竹中大臣はそれに対して、そのための、そういう枠組みを四月、五月にかけて諮問会議の中で報告したいと語っておられました。

 いよいよ、あす、また諮問会議が開催されるということでございますけれども、ここでそういったことを報告される予定はあるのでしょうか。

竹中国務大臣 まだ調整中でございますけれども、明日、諮問会議で地方財政の話をしたいという内閣府からの申し出がありますので、その方向で私も検討しているところでございます。

 先ほどの総理の発言について、よい機会でありますのでぜひちょっとコメントさせていただきたいんですが、あのときの私の報告は、今、団体数でいうと、不交付団体というのは六%ぐらいしかございません。しかし、名古屋市ですら交付団体というのはおかしいのではないだろうか。それで、人口一定以上の、二十万人以上ぐらいのところの半分を不交付団体にするのであるならば、たしか五兆円程度の税源移譲をしなければそうなりませんと。私が申し上げたかったのは、やはり不交付団体をふやす仕組みをつくることが必要でしょう、そのためには税源移譲がどうしても必要ですよということ、ごく当たり前のことでございますけれども、そのことを申し上げたわけでございます。

 それを実は、税源移譲したくない人たちがいまして、その人たちが、総理が税源移譲に否定的であったというようなニュアンスで語ったような報道をしているんですね。これは違います。もちろんこれは、今の仕組みだけを前提にして税源移譲するということではありません。歳出のスリム化を行います、そして仕組みも変えます。しかし、その上でも、これは皆さんは必ず御理解いただけると思いますけれども、それだけの努力をしても、不交付団体をある程度、二分の一とかふやそうと思ったら、税源移譲というのは不可欠なわけです。そういう問題が出てきますよということを申し上げているわけなんですけれども、税源移譲したくない人たちは、総理の発言を少し形を変えて引用しながら、税源移譲は後だ、仕組みの変更が先だというような議論をしているように私には思えておりますので、その辺も含めまして、真意を先生方にはぜひ御理解いただきたいと思っております。

西村(智)委員 その税源移譲したくない人たち、繰り返してしまいましたけれども、私も、しっかりと地域の力を信じていただいて、税源の移譲を行うというのは分権の基本、権限も移譲するというのは基本だと思っておりますので、ぜひ竹中大臣には、その方針、方向で、ぶれずに、そういった反対している方々をも巻き込むようなと申しますか、説得性のある議論の仕方で取り組んでいっていただきたいと強く要望するところであります。

 二月の二十七日に、私はまた、三位一体改革第二期分として、地方消費税の二・五%への引き上げが地方六団体から主張されているということについても質問をいたしました。大臣はこのときにも、地方の税源充実の話を骨太の取りまとめに向けてぜひ織り込ませたいというふうに答弁をされておられますけれども、地方の税源充実、一体これはどういうことを意味しているのか、またそれについてどういう取り組みをされているのか、伺いたいと思います。地方の意見が黙殺されないように自分としてもビジョン懇でしっかりと議論してほしいというふうにおっしゃっておられるんですけれども、具体的にどういうことを発言し、行動してこられましたか。

竹中国務大臣 まず、地方の税源充実の意味でございますけれども、やはり基本的な自立の考え方というのは、一番近いところで行政を行って、その近いところで税金をいただくということなのだと思います。今の制度というのは、遠い国に税金を払って、それが地方に国を経由して回ってくるということですから、納税者との、やはり身近な行政執行をしている市町村と近い納税の関係というのが非常に希薄になるわけですね。だからこそ、地方の自主的な財源、とりわけ地方税というのを充実させるということが地方自治の基本であるというふうに私は思います。

 その中身について、どのような税制の制度設計をするかというのは、私は、これは少し時間をかけて議論した方がよいのだと思うんです。これから地方の財政が、地方の努力と経済の上昇そして税収の回復によって地方の収支が少しよくなってくると、これは一方で、早くも意見が財政審あたりから出ておりますけれども、法定税率をどうこうしろとかという逆の議論も出てくるわけですね。

 しかし一方で、私が先ほどから申し上げていますように、しっかりと自主的な財源を持っていただいて、不交付団体を、ある一定規模のところはやはり半分ぐらいにするように持っていかなければいけないと私は思うんです。そのためには税源の充実が当然のことながら必要になります。そういう非常に大きな流れの中での制度設計をしっかりと行っていかなければいけないというふうに思っておりまして、そういう制度設計の部分的な議論だけが先に先に出てくる、皆さん、利害があるところはみんなそれを先に出すんですけれども、そうすると議論が大混乱するわけです。

 私は、だからこそ大きな方向、まず、やはり国と地方を合わせたプライマリーバランス、そして国と地方のどれだけの努力、改革の方向、そういう大きな方向をまずこの骨太にかけて議論して、そしてその後で、これは歳出歳入一体改革とも絡みますけれども、そのために税をどうしなければいけないのかというマクロ的な議論が出てきます、それにあわせてその制度設計を議論していく、私はそういう手順が必要であろうかというふうに思っています。

 では、私はどういう努力をしているかということに関しては、そういうことを諮問会議でも主張してまいっておりますし、懇談会におきましても、制度設計にとらわれることなく大きな方向を議論していただきたいということを申し上げてきております。

西村(智)委員 あしたの経済財政諮問会議で報告される内容ですけれども、これから詰めるという話ですが、もうあしたです。これから詰めるということはどういうことなんでしょうか。まだ詰まっていないんですか。

竹中国務大臣 最終的に詰まっておりません。当然のことながら、先般、中間報告を懇談会からいただいておりますので、それに基づきまして、そのポイントをどのような形で御報告するか、そこをぜひ、わかりやすい資料の作成も含めて詰めたいというふうに思っております。

西村(智)委員 今、質問しなければよかったとちょっと後悔をいたしました。あしたの会議に提出するものがまだ詰まっていないということになりますと、これは、率直に言って、自治分権論議にとっては余りいい影響を与えないのではないかと私は思っています。

 それで、ちょっとまた重ねて聞きたいと思うのは、竹中大臣の御発言で、消費税に関する発言がありました。四月一日、和歌山で、竹中大臣の御地元でしょうか、そこで講演されたときに、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを黒字化するということを目指して改革を続行すれば消費税率は三%引き上げるだけでいいというふうに試算していると発言をされたそうですけれども、これの真意、この発言の真意は一体何なのでしょうか。

 つまり、今ほど竹中大臣は、国と地方がどっちがどうということではないと。これまでプライマリーバランスを改善してきたのは、国も頑張ったし地方も頑張ったというような一定の中間報告も出ておりますけれども、やはりそういうことなんだろうと私も思うんです。そういった議論の中で、三%を引き上げるだけでいいと試算した、その発言の真意をお聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 これはまさに、先ほど委員が御紹介してくださいました、三月二十九日の諮問会議での例の機械試算の紹介をしたわけでございます。

 繰り返して言いますが、あのときは、成長率が三%ないし四%、そうすると租税弾性値が国税一・一、地方税が一・〇六ぐらいだったと思いますけれども、そうすると五年間でどのぐらいの税収が出てくるかというトレンドが出てまいります。一方で、社会保障費、人件費、公共事業、その他、支出についてそれなりの前提を置きます。四つのケースについてそれぞれ前提としています。したがって、成長率が三%と四%、ケースが四つでありますから、二掛ける四で八のケース、マトリックスを出している。それで、国、地方でどれだけの収支改善が行われるかということを見ているわけでございます。

 その中の中心的なものについて、ある程度の改革を行うものについては、改革つまり歳出削減を続けていきますと、たしか、ちょっと今その表は持ってきておりませんけれども、そのときの要調整額といいますか、それでもまだ赤字が残る額というのが数兆円から多いもので六兆円ぐらいであったと思います。六兆円であるとすれば、これは消費税引き上げにもしそのまま換算するならば三%の引き上げ。要するに、ちゃんとした改革をすれば、ゼロになる可能性もあります、それ以内でおさまるはずである、だから改革を続けていくことが重要なのである、将来消費税の負担を重くしないためにはやはりしっかりと改革を続けていきましょうと。

 そのときの数字を引用して、六兆円程度。六兆円程度であるならば、消費税一%が二兆円ぐらいでありますから、三%程度、そのような御紹介をさせていただきました。

西村(智)委員 この項目の最後に、地方交付税を、竹中大臣は実際のところどのような改革を行っていきたいと考えておられるのか、それを伺いたいと思います。

 二月に議論、審議されました地方交付税法の改正では、地方交付税に行政改革のインセンティブが盛り込まれておりました。私は、地方自治の本旨ですとか地方交付税の性格づけがあいまいなこと、これがやはり大きな問題だろうと思っておりますし、まずはきっちりと交付税の性格づけをすることが重要なのではないかと考えています。

 今回、ビジョン懇で交付税の改革の方向性も挙がっておりました。簡素化するとか透明度を高める、国の規制、関与を廃止、縮小するというようなことであるのですけれども、大臣はこの交付税をどのようなものにしたいというふうにお考えでしょうか。やはり政治の役割は、地域間の格差をなくすといいますか、市場経済原理だけではどうしようもないところを政治の力でカバーするということだと思っておりますけれども、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。

 あわせて、大変率直な言い方をさせていただければ、もう大臣としての残り任期も短くなってまいりました。残り任期で地方分権に向けてどういった方向づけをされていくのか、それを伺いたいと思います。

竹中国務大臣 交付税の基本的性格ということになりますと、まさに通り一遍の言い方をすると地方固有の財源だとかそういう言い方になると思いますので、委員のお尋ねはむしろどういう思想のもとに制度設計をしたいのかというお尋ねだと思いますので、そういう観点から申し上げますと、まさに地域には資源の賦存状況の決定的な差がございます。東京にはいろいろな資源があります。私の地元の和歌山は、特に山間部に行きますとそういう資源そのものがございません。しかし、そこに生活している人たちの最低限の行政ニーズに対してそれを満たしていかなければいけない、それがまさに政治の役割であると思います。それを満たすものとして交付税というのが極めて重要である、それに尽きるんだと思います。

 しかし、その交付税が今どうして批判されているかというと、結局、本当に多くの自治体は大変努力をしているわけですけれども、一部の自治体で交付税に頼って十分な地方行革をしていないのではないか、そういう典型的な例が残念だけれども見られるからだと思います。したがって、その重要な交付税の中にしっかりと各地域に自律をしてもらえるようなメカニズムを織り込んでいかなければいけない。それが今求められている交付税の制度設計であろうというふうに私は思います。

 そういう観点から、では具体的にどのようにしたらよいのか。交付税は必要であります。しかし同時に、自律のメカニズムも入っていなければいけない。それに対するいろいろな工夫をしながら、ぜひ大きな方向性を見出したいというふうに考えているところでございます。

 二つ目の御質問。小泉総理は九月でおやめになる。当然のことながら、私は、総務大臣としてそれまでの間にできることを目いっぱい私もやりたいというふうに思っております。

 そういう観点から申し上げると、私は、この地方の制度の話というのは、これはもう何十年もかかってつくってきたものですから、ガラガラポンで、すぐにそんなふうに簡単にできるものだとは全く思っておりません。だから、先ほども申し上げましたように、税制の制度設計なんかもやはり何年がかりの話になるであろうというふうに考えているわけです。

 しかし、そういう方向づけを私の任期中にぜひできないだろうか。こういう方向に向かって、今私が申し上げたような交付税の制度設計に向かって進み始める。その意味で、すぐできることがあれば、来年度予算の設計の中でできることがもしあるならばそれはやっていくように、概算要求もありますから、その中で取り入れられるものがもしあれば取り込みたいというふうに思いますし、必要なものについては、先ほどから議論になっている地制調等々で審議していただくものがあればそれは審議をお願いしたいというふうに思いますし、私ができることというのはその意味では限られておりますけれども、方向づけをできる範囲で何とか行いたい、そのようなつもりで仕事をしております。

西村(智)委員 できる範囲は限られておると大臣おっしゃいましたし、先ほど田嶋委員への答弁で、思ったより総務大臣というのは力がなかったでしたか権限がなかったでしたか、そんなふうにおっしゃいましたけれども、地方の行財政は総務大臣のその肩にかかっているわけでございます。そこのところをぜひ忘れていただきたくないですし、残り任期は短くなってまいりまして、焦る気持ちもわからなくはございませんが、そこは着実に、できることからやっていっていただきたいと思います。あしたの諮問会議に報告をする中身もまだ詰まっていないというのは、これはやるべきことをやっていないというふうに私は言わなきゃいけないと思っています。そこはぜひしっかりとお願いをしたいと思います。

 ちょっと移りまして、昨日、地方六団体が設置しております新地方分権構想検討委員会が、分権型社会のビジョン、中間報告をいたしました。これをどう受けとめて、今後どういうふうに生かしていくのか。私は個別で三つについて伺いたいと思っておりましたが、少し削ります。

 地方交付税を地方共有税に変更するという提案がこの中で出ておりました。これについてどういうふうに受けとめ、生かしていくのか。そして、国と地方の代表者によって地方行財政会議を設置するということについても提案がありました。通告していたのは三つですけれども、この二つに絞りまして、今後の取り組みを伺いたいと思います。

竹中国務大臣 共有税、それと行財政会議ですね。

 共有税は、まず、国の一般会計を通さないで、直接特別会計にいわゆる直入するというのが一つの内容。そして、財源不足を解消するために法定率の引き上げを行う、そして地方税法に定める税率の変更も行えるようにする。そして、特例加算や特別会計による借り入れは行わないこと。そういう内容が一括されているというふうに理解をしております。

 この直入の問題については、かねてから地方制度調査会の答申等々においても指摘があるところでございますけれども、一方で、主要税目の状況を一覧性ある形で国の一般会計において示せなくなるのではないかという財政当局の意見もあって、これまでは合意がなかなか困難であったところだというふうに思います。これは、恐らくそういう議論が今後もしばらく続くんだというふうに思っております。

 また、法定率の引き上げ等々についても、これも基本的には、財源不足を抱える状況においては交付税率を引き上げることが望ましいというのが基本的な我々総務省の立場ではありますが、一方で、財政当局としては、多額の赤字国債の中でそういうことができるのかということで、ずっと綱引きの状態になっているということだというふうに理解をしています。

 そういう観点から申し上げますと、これはまさに制度設計の問題でありますので、先ほど申し上げたような形で、理念の共有できるところをしっかり共有させて、少し時間をかけて制度設計を今後考えていく、そういうたぐいの問題であろうというふうに認識をしております。

 あと、二つ目の地方行財政会議ですが、これは、地方との協議の場というのは極めて重要であるというふうに思っております。私が総務大臣になってから、その意味で、ほぼ毎月そのような場を総務大臣と六団体の長の間では持っているわけでございます。また、三位一体の改革の場合には、国と地方の協議の場という、官房長官も出席される、関係大臣も出席される、そのような場も何度か持たせていただきました。

 検討委員会は、それを法律に基づく新たな組織という形で提言しておられるんだというふうに思います。国、行政府、国会、政府機関との関係をどのように整理するのかということも含めて、これは多面的な検討が必要だと思います。

 ただ、協議の場をしっかり持とうということは私も大賛成でありますので、その方向について、ないしは共通認識は私はあるのであろうというふうに思っております。いずれにしても、そういう議論も含めて、まさに地方としっかりと協議をしていくつもりでおります。

西村(智)委員 行財政会議、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。やはり地方の声がダイレクトに国政に反映されるという仕組み、これは分権自治改革を進めていく上で非常に重要だと思っておりますし、今、共有認識はあるんだ、認識は共有しているんだということでもございましたので、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。

 地方自治法の一部改正について伺います。

 今回、地制調の答申をもとに改正が行われたということであります。答申の中でいろいろな項目が提案をされておりますが、盛り込まれたのは、今やっても差しさわりのないことが改正に盛り込まれたんだというふうに承知をしておりますけれども、やはり私は、地方議会の役割をもっと強化していかなければいけないんじゃないかと思っております。これからお話しすることは、多少揺れはしますけれども、ぜひ一本筋が通っていると思って聞いていただきたいと思うんです。

 今回、出納長とかそれから収入役が廃止されて、副知事、副市町村長というふうに一元化された。そういう形では、いわゆる行政執行側のマネジメント機能というのは強化が図られていくわけでございます。ところが、議会のあり方について、地制調の答申で随分いろいろな提案がされているんですけれども、ほとんど具体化されていない。この理由をお伺いしながら、この後の取り組みについて伺っていきたいと思います。

 例えば、幅広い層からの人材確保、これを議会に図っていくために、女性や勤労者が議員として活動する上で便宜に資するように休日、夜間等に議会を開催するなど運用上の工夫をすべき、あるいは勤労者が議員に立候補できるようにするというようなことが検討すべき課題であるというふうに答申ではあるわけです。今回、法改正に盛り込まれなかった最大の理由は何かと聞きますと、他省庁との協議がまだ詰まっていないからだというような答えが返ってくるわけでありますけれども、こんなことはほかの省庁との協議は必要ないんじゃないかと思うわけであります。これは今後検討するというふうに理解をしておいてよろしいんでしょうか。

高部政府参考人 ただいま御指摘いただいた点、幅広い層からの人材確保等ということで、検討課題をいろいろ御指摘いただいたものと認識しております。我々としては、これを重く受けとめまして、しっかり検討してまいりたいと考えているところでございます。

西村(智)委員 それから、地方議会で議員発案による条例が制度上できることになっているにもかかわらず、議員発案の条例数というのは全国的にまだ極めて低調であるというふうに理解をしております。

 昨日資料を持ってきていただきまして、一議会当たり平均してどのくらい議員提案の条例が制定されているかという表を見たんですけれども、大体、都道府県で、平成十六年度の数字ですが、一団体当たり四・八、町村で、平成十六年度、一団体当たり〇・七ということになっております。

 これは累積していくとかなりの数にはなるわけでありますけれども、この間、例えば、それぞれの自治体で、財政の悪化という理由から歳費を自主的にカットするために議員発案で条例をつくりましたということがあったり、あるいは合併して定数を特例で決めるための条例改正があったりというようなことで、いわゆる政策的な条例というのが少ないんじゃないかというふうに思うわけであります。

 実際に政策的な条例がこの中でどのくらいあるのかと見てみましたら、ちょっと正確な数字ではないかもしれませんのでざっとした印象で申し上げますと、全部の議員発案とされる条例の中で、約一割しか政策的な条例はないというふうに私は言っていいのではないかと思います。これは全国的な数字でございます。

 地方議会の活性化は、やはり分権自治は行政側と議会側が車の両輪で進んでいくと言われておりますので、分権を進めていく上で極めて大事だと思いますけれども、大臣、まずこの議員発案の条例、これについてどのようにお考えになっておられるでしょうか。

 あわせて、私は、この議員発案の条例、しかも政策的な中身がもう少しふえていってもらいたいと思うので伺っているんですけれども、やはり議会事務局の機能の強化というのは欠かせないテーマだと思います。今回、法案では「議会の庶務」を「議会に関する事務」に改めただけなんですけれども、これで果たして本当に議会事務局の機能は強化できますでしょうか。

高部政府参考人 ただいま議員提案の条例について御指摘ございましたけれども、この辺はいろいろな要因が絡んでいる部分もあろうかと思います。

 ただいま数字的なものを持ち合わせておりませんけれども、私ども自治体勤務の経験などから考えますと、広く言いますと、例えば、長の提案する議案について言いましても、全く独自に提案する条例がどれだけあるのか。例えば国で大きな枠組みが決まっているとかというような形のものが多くて、そういうようなものにつきましては国の制度と連動して長側で提案するといったような要因もありますので、広い意味では、地方自治のあり方といいますか、国の法制のあり方にも関連する事項ではないか。いわゆる規律密度をどうするのかといったような議論にもかかわる問題だろうと思っております。

 御指摘ございました事務局機能の強化というのは、議会の活性化の観点でも必ず議論することでありますし、今回の地方制度調査会の中でもいろいろな議論がされたところでございます。そういう意味で、議員活動をサポートするあるいは議会活動をサポートする事務局の役割というのは非常に大きいものがあろうかと思います。そういう意味で、充実ということは非常に大事だと思います。

 もう一方で、こういう時代でございますので、行革の観点というのはやはりなしにはいかないということになりますので、ある意味ではなかなか厳しい道かもしれませんけれども、そういうなかなか厳しい状況の中で、いろいろ工夫をしながら対応していっていただくということが必要になってくるのではないかというふうに思っております。

 もとより、御指摘ございましたように、庶務を事務というふうに変えた、法律の字面を変えたことだけで物が変わっていくというふうには考えておりませんが、位置づけとして庶務となっておったということに関しては、議会関係者からかねてからいろいろな御要望といいますか御意見をいただいたところでありますので、こういう方向性を踏まえての我々の改正だと御理解いただけたらというふうに思っているところでございます。

竹中国務大臣 今局長からも答弁させていただきましたが、委員言われるように、私も、当然のことながら、こうした形での議員提案による政策的な条例件数はやはりふえていってほしいと思いますし、現実にそうなるような国の仕組みの改革も必要だと思っています。

 今懇談会で、東京大学の小早川先生なんかを中心に、できるだけ条例にいろいろなことをゆだねるような仕組み、そういうことが必要であろうという議論をいただいていますけれども、私も全くそれが将来の方向だと思っておりますし、国はそうなるような制度改革をする、それを受けて、地方議会でそのような変化が今後生じてくるということを非常に強く期待しております。

 局長の話にもありましたように、これは行革の視点等々もありますので、さまざまな工夫が必要なんですが、実は、今回お願いしている改正案では、議会が学識経験者等に調査させることができるというような根拠の明確化も含めた、これは小さな工夫かもしれませんが、一つの工夫も織り込まれております。結果的に、委員が言われるように、そうした政策的な議員提案の条例がふえていくことを私も非常に強く期待しております。

西村(智)委員 最後に、小規模自治体における議会制度のあり方について伺いたいと思います。

 今回、現行の会期制度を廃して、フレキシブルに会議を開くことができるようにするなど、その規模に適した新たな制度を選択できるようにすることを検討すべきであると、地方制度調査会のその答申の中で提案をされておるわけでございます。

 私は、いろいろな規模の自治体、いろいろな性質の自治体があると思いますので、必ず会期制度に基づく議会はどの自治体にも必要だというものではないというふうに考えております。例えば、自治体ごとの選択によって、議会のない町や村があってもいいのではないか。そういうところは、例えばタウンミーティング的な町村総会、そういったような形も選択できる、そういうことでいいんだろうと思うんです。

 もう既に地方自治法の中で、議会にかえて町村に総会を設置できるとなっているのですけれども、今のところ、設置された事例というのはたった一つ、こういった状況で、もう少し自治体、議会の弾力化と申しますか、それを促すような法改正を今後検討されていく予定かどうか、伺いたいと思います。

高部政府参考人 若干議論を御紹介させていただきますと、かつての制度は、市制町村制、府県制という格好で、法制度が分かれておりました。今の地方自治法は、数百万の自治体から、小さいところでいいますと数百人の小さいところまで同じ仕組みになっておりまして、その中で部分的に、例えば今御指摘ございましたように、町村総会の規定といったようなものがなされているところでございます。

 そういう中で、実情に応じた弾力化というのが検討課題ではないかというような御意見がかねてからございますし、地制調の中では、そういうことを踏まえて、このような、今御指摘いただきました、議会制度のあり方についても今後検討すべきであると、今後の検討課題として取り上げたものだというふうに思っております。

 一つ議会制度だけに限りませんけれども、全般として、地方自治法というのが、ちょうど憲法を受けまして、地方公共団体の組織運営の大綱といいますか、基本的事項を定める仕組みになっておりますが、その定め方あるいはその弾力化というのは今後とも検討していかなければならない課題、そういうふうに思っているところでございます。

西村(智)委員 終わります。

中谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 少しPRをさせていただきますと、先ほど話が出ましたが、私は、全国最高レベルだった知事の退職金を最低レベルに引き下げをするなどして、実は栃木県の財政のプライマリーバランスを十四年ぶりに黒字化することができました。やればできるんです、そのとおりです。しかし、その後の知事になりましたら、十年後じゃないと黒字にならない、こんな発表が実はありました。これは知事の能力というよりは、それほど地方の財政が厳しく追い込まれている、私はそう認識をいたしております。

 そんなことも踏まえまして、我が国の地方分権は一体どこまで進んだのでしょうか。国会が地方分権の推進に関する決議を行った平成五年から十三年たちました。平成十二年、二〇〇〇年には地方分権一括法が施行されまして、国と地方は、法制度上は一応、縦の上下主従関係から横の対等協力の関係になったわけでございます。そして昨年十一月には、三位一体の改革によりまして三兆円の税財源の移譲が行われたということでございますけれども、しかし、地方やあるいは国民にとっては、今回どれほど地方分権が進んだのか、地方の自主性、主体性がどれほど進んだのかということについては甚だ疑問があって、消化不良を起こしているんではないか、そのように私は感じている一人でございます。

 そこで、そんな点を踏まえながら質問をさせていただきますが、同僚議員とダブっているところもありますので、そうしたところは少し省略をしながら質問をさせていただきます。

 まず最初に、地方制度調査会と地方分権二十一世紀ビジョン懇談会についてでございます。

 一点目は、両者の関係についてお伺いをしようといたしましたが、先ほど竹中大臣の方から、片や方向性を決めるなど、片や制度設計というようなお話もございましたので、そうした中で、ただ一つ注意をしていただきたいのは、ビジョン懇談会の方はあくまでも私的な懇談会、地方制度調査会は公的な懇談会、この公私混同をぜひしないで、公の調査会の方をしっかりと重視していただくということをお願いしたいなというふうに思っております。

 そして、その私的な懇談会で中間取りまとめが行われたようでございますが、その中間取りまとめを行った上で、竹中大臣はどんなことを気づかれたのか、御感想をお聞かせいただければと思います。

竹中国務大臣 中間取りまとめを経た段階での感想というお尋ねでございますけれども、正直なところ、感想として改めて申し上げるのは、やはり本当に地方自治、地方の財政制度の改革、再構築というのは非常に難しい仕事である、息の長い仕事でなければならないだろう、そういう思いが一番ございます。

 その要因はどこかということだと思いますが、実は、先ほどの御答弁とも少しダブるのでありますけれども、やはり全体的な非常に大きな方向転換を少しずつしていかなければいけない性格の問題だと思うんです。例えば、三位一体という言葉がありましたけれども、補助金、そして税源移譲、交付税、これはやはり同時に動かさないと動かないし、一つが動かないと他も動かない。地方財政の仕組み全体がそのようなメカニズムを持っていると思います。

 一つ、今、例えば破綻法制等々も議論をさせていただいておりますけれども、自由があって責任がある、責任があって自由がある、それはやはり両輪なわけです。その一つにだけ非常に意見が集中したり焦点が集中すると、そこで非常に議論が変な方向に拡散して、なかなか議論をまとめにくくなる、そういう難しさがあるなということも改めて感じているところでございます。

 今後、地方の自由、責任、そして自立、そういうことがバランスよく、少しずつ、しかし確実に変化していくような、そういう行政が本当に求められているな、その点が一番大きな感想でございます。

福田(昭)委員 よく言われておりますけれども、今度の地方分権改革は、明治維新、戦後の改革に続いての第三の改革、こう言われているわけですが、最近その辺が強調されなくなってきておりますので、それほど今回の地方分権の改革は大きな改革だと私も思っております。したがって、大変な抵抗があって十分にできなかったという思いがあるわけでございまして、その点、ぜひとも竹中大臣も、小泉総理が九月にやめてしまうと一緒にやめてしまうということもあるのかもしれませんが、ぜひともここはしっかりとやってほしいな、こういうふうに思っております。

 次に、今回の地方自治法の一部改正にかかわります第二十八次地方制度調査会の答申のうち、改正案に盛り込まれなかった点について、二点お伺いをしたいと思っております。

 一つは、既にもうお話がございましたが、教育委員会及び農業委員会の見直しについてでございます。

 今回の答申では、住民から直接選出された長のもとにおける地方行政の総合的、効率的な運営や組織の簡素化を図る観点から、必置規定の見直しや組織、運営の弾力化を図るべきものとして、教育委員会、農業委員会及び監査委員のあり方が指摘されたわけでございます。

 そこで、今回は監査委員しか法律案としては登場しなかったわけでございますが、そうした中で、教育委員会につきましては、熱心に取り組んでいる首長、知事や市町村長の中には、教育委員会無用論を説く人が出てまいりました。きっと武蔵野の土屋市長はそうは思ってなかったですか、必要ですか。必要な方もいるようでございますが、そうした中で、無用論を説く方が大変ふえてきたということは、私はよく考えてみる必要が出てきているんじゃないかなというふうに思っております。特に、名前を出しては失礼かもしれませんが、文部官僚で市長をやられている方がおりまして、この方なんかも、教育委員会は要らない、それは市長がやる、こういう方もいらっしゃるほどでございます。

 まさにそういった意味では、教育行政のあり方、これもしっかり考え直す時期に来ているんじゃないかと思っておりますし、また農業委員会の仕事なども、これも市町村長がやって十分間に合う仕事ではないかなというような状況もございますので、この辺、しっかりと自治体の自主的な判断ができるような仕組みに早急にするということが必要ではないか、そのように考えているところでございまして、引き続き、ぜひ文部科学省や農林水産省に対して、強い要望といいますか、意見を述べていただければありがたいというふうに思っている次第でございます。

 二点目は、法令・制度における地方公共団体の意見反映の拡充についてでございます。

 答申では、「各省大臣等と地方代表との協議の機会を確保することとしてそのあり方について検討すべきである。」こうあるわけでありますが、改正案としては残念ながら出てまいりませんでした。今後、各省大臣等と地方代表との協議機関の制度化を考えているのかどうか、このことについてぜひお答えをいただきたいというふうに思います。

竹中国務大臣 福田委員が前半にお述べになられた教育委員会及び農業委員会の問題等々につきましては、委員から御示唆がありましたように、一層努力してくれ、しっかりと働きかけ、対応しろということでございます。ぜひそのように我々も努力をしたいというふうに思っております。

 二つ目の点でございますが、国と地方の協議の場の法制化の問題でございます。

 今回、地方六団体への情報提供制度の導入は我々行っているわけですけれども、これは、地方六団体が国の施策の立案の内容を事前に知ることが制度的に担保されていないということに着目をしまして、その点を確保するものでございます。地制調において「制度化すべき」とされたことを受けて、今回制度化を図ります。

 一方、国の政策決定過程に地方がどのような形で関与するのが適切なのかということについては、これは御承知のようにさまざまな意見がございます。国と地方の協議の場を制度化するかどうかについては、今後多面的な観点からの検討が必要であるということから、答申においても「そのあり方について検討すべき」というふうになされたと承知をしております。よく協議をしなきゃいけない、よく意思疎通をしなきゃいけないという、その共通認識は当然広くあるわけでございます。それをどのように制度化するかということについては多面的な検討が必要であるというふうに私も思います。

 引き続き、地方分権を進めていくためには、国と地方がお互いの主張を述べて議論を積み重ねることが必要でありますので、そうした検討は引き続き行っていきたいと思っております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 後ほどまた触れさせていただきますが、地方六団体の提言の中にもそういうことが含まれておりますので、ぜひとも今後は、せっかく三位一体の改革のときに国と地方の協議の場がつくられて、地方の皆さんも張り切って意見を述べたわけでございますが、しかし実際には中身が受け入れられなかったということで大変がっかりしているというのが地方の皆さんの感想ではないかというふうに思っておりますので、今後このことについてはぜひとも制度化されるということを期待させていただきたいと思います。

 次に、三位一体の改革について、改めてちょっと確認をさせていただきたいと思っております。

 御案内のとおり、三位一体の改革の成果として、政府の方の発表によれば、国庫補助負担金の改革で約四・七兆円削減をされて、税財源として三兆円の移譲をされた。それから、地方交付税につきましては約五・一兆円の削減がなされた。これを全部総体で考えてみますと、国は、国庫補助負担金の改革と交付税の改革で約六・八兆円、国の赤字減らしに充てることができたんですね。そういう意味では、これは大変な成果だと思います。しかし、御案内のとおり、地方の自由度は一向に高まらなかったということでございます。

 そうした中で、これは質問しようと思いましたが時間の関係で省かせていただきますが、削減された主な国庫補助負担金の補助率についてだけちょっと申し上げたいと思います。

 例えば、義務教育国庫負担金は二分の一から国が三分の一の負担になった、児童扶養手当は四分の三が三分の一になった、児童手当は三分の二が三分の一になったということで、まさにこれも国の赤字減らしのために言ってみれば地方の負担がふえたというふうに考えることができるわけであります。そういった意味では、まさにここが、数字合わせの三位一体の改革だった、補助金の改革だった、このように言われているところかなというふうに思っております。

 そこで、もう一つは、谷垣財務大臣も地方の評判が非常にいいということでお話をしておりました、国庫補助負担金の交付金化された総額とその具体名についてお伺いをしたいと思っております。

 平成十八年度の予算の中では、交付金化の改革が七千九百四十三億円ほどあるわけでございますけれども、これらの全体像が明らかになっていないんですね。省庁ごとに大変交付金化がはやりました。国土交通省が始めたまちづくり交付金に始まって、いろいろな省庁で交付金化というのがなされました。これは今までの補助金に比べれば、国庫補助負担金に比べれば、使い勝手は確かによくなっております。しかし、相変わらず霞が関と連絡をとらなければ何も進まないということで、実は負担は同じなんですね、地方側の負担は全く同じなんです。ですから、やはりこれもしっかりとなくしていくべきだと私考えております。

 そういった観点から、その総額と具体名、どんなものが出てきたのか、ぜひお答えをいただければというふうに思います。

瀧野政府参考人 お答えいたします。

 三位一体改革におきまして交付金化されました国庫補助負担金等、御指摘ございましたとおり、総額で七千九百四十三億円、こういう額になっておるわけでございます。

 主な交付金といたしましては、国交省でございますが、まちづくりに関する交付金それから地域住宅関係の交付金、それから厚労省関係でございますけれども汚水処理関係の整備交付金、それから文科省でございますけれども安全・安心な学校づくり交付金、こういったものが主なものとして挙げられるわけでございます。

 平成十八年度の予算でございますけれども、財務省では、全体として交付金の総額ということを明らかにしてございません。それは一部、税源移譲の方に行っているというようなこともあろうかと思います。私どもの方で集計した数字では、約七千四百七十五億円程度というのが十八年度の予算額かなというふうに考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 交付金化は、また後ほど申し上げる地方六団体の提言にもありますように、地方分権に資するものではない、したがって、ぜひともこうしたことはやめてほしいということで今度の中間取りまとめの中にもはっきり出ておりますので、そのことをしっかりと財務大臣にも伝えてほしいなというふうに思っております。地方の立場からすれば、それはないよりあった方がいいというのがこの交付金化だと思います。まさに、そういった意味で、しっかりとこれからも取り組んでほしいなというふうに思っております。

 次に、地方交付税についてお伺いをしたいと思います。

 一つは、交付税の性格についてお伺いをしたいと思います。

 地方側は、地方交付税については地方固有の税財源だ、こうとらえているわけでございますが、どうも財務省の考え方を聞いていると、いや、これは国のお金だ、国のお金を分けてやっているんだ、こういう印象をぬぐえないわけでございますが、総務大臣はいかがお考えか、お伺いをしたいと思います。

竹中国務大臣 私自身は国会でも何回も御答弁させていただいておりますけれども、本来的に地方に権利のある財源である、すなわち地方共有の固有財源である、これはもう明確であるというふうに思っております。

 しかしながら、今、委員御指摘のように、そのような認識が十分行き渡っているかというと、どうもそうじゃないのではないかと思われる節もございます。ここはしっかりと主張していかなければいけないというふうに思っております。

福田(昭)委員 安心をいたしました。総務大臣は、地方固有の財源だ、そのように確信をしているということでございますので、そういった点からぜひこれからの改革も進めていただきたい、そのように思っております。

 そうした中で、先ほども西村委員の方からも質問がありましたが、経済財政諮問会議において、六兆円の交付税の削減が可能とする根拠について、改めて簡潔にお伺いできればと思います。

竹中国務大臣 先ほども申し上げましたように、地方交付税の削減が可能かどうかということについては、削減するかどうかというのは全くの政策判断でございます。私が諮問会議にお出ししましたのは、地方の財政収支、国の財政収支が、それぞれある一定の条件下でどれほど改善することが可能であるかという機械的な試算でございます。それを行いました。

 前提としては、一定の経済成長と税収の拡大、そして社会保障については今後とも拡大する、その他の項目についてはこれまでと同じような形でしっかりと削減できるものを削減していく。そういうふうにした場合に、国、地方それぞれに財政収支が改善するわけでございますけれども、国と地方を合わせたプライマリーバランスについても相当の改善が見込まれるはずである。もって、税負担を国民にお願いするということが将来必要になるにしても、しっかりと改革を続けさえすれば、そのお願いする額は決して大きなものではないはずだ。そのような全体の流れの中で御説明をしたものでございます。

福田(昭)委員 そこで、ちょっとお伺いをしたいんですが、私が総務委員会で質問をしたときに、財務省がつくったプライマリーバランスの国と地方の比較の表がございますね、あれで、地方の方は黒字だ、国の方は赤字だ、私がそういう一覧表を出して質問したときに、しかし実態は、いや、地方はこんなものじゃないんだ、もっと苦しいんだという大臣の答弁があったかと思います。その際に、本当の実態のプライマリーバランスの一覧表をぜひつくってほしいという話をしたんですが、これは質問通告いたしておりませんが、あの後こういうのを総務省ではつくりましたでしょうか、つくっていませんか。

 では、もっと詳しく申し上げますが、例えば、地方のプライマリーバランスが黒字になっているのは、これからの地方の提言の中にも出てまいりますが、いわゆる一般会計からの特例加算とかあるいは特会からの借り入れとか、こういったものを相殺する、差し引きすると、きっとプライマリーバランスは地方も赤字になっているんじゃないか、そういう思いがあるわけですね。そうすると、財務省がつくっているあの資料は実はにせものだ、基本的にこういうふうにも言えるわけですね。

 ですから、そこをやはりしっかりと、特例加算はやめる、あるいは特会の借り入れをやめるといことで、プライマリーバランスの一覧表をつくってみるべきじゃないですか。そうすることによって、いや、地方は国よりもっと大変なんだということもよくわかるんじゃないか。特会からの借り入れも多分五十兆円になっていると思うんですね。

 だから、総務省として、しっかりとした資料をつくるというこの間の答弁だったと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

瀧野政府参考人 国、地方のプライマリーバランスの回復に向けまして政府として努力していかなきゃいけない、そのときに国と地方はどういう状況になっているのかということは一つの重要な関心事であるわけでございます。

 ただ、その場合に、御指摘のように、ここで特別会計というような、国と地方、両方にかかわるような部分、そういったものもありまして、しかもそこに五十兆を超えるような債務があるということでございまして、この特別会計の債務につきまして、国のものか地方のものかというのは一義的にはなかなか定められないところもあるわけでございます。

 したがいまして、私どもとしては、これは国としてきちんと対応すべきものではないかというような考えもございますので、おっしゃいますように、そういったことも踏まえながら、国と地方はどういう状況であるかということをもう少しわかりやすくしていかなきゃいけないというふうに考えておりますけれども、ここのところは、今申し上げましたように、果たして交付税特会というのをどちらの方につけるのが正しいのかというと、なかなか政府の中でも意見が統一されない部分もあるというところもあるわけでございます。

 そういった中で、おっしゃいますように、いろいろな手だてをしながら今の地方財政というのは成り立っているわけでございますので、特に、巨額の財源不足がまだ続いている、本来であれば交付税率の引き上げをしなきゃいけない状況が続いているという点をきちんと各方面に御説明してまいりたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

竹中国務大臣 具体的に、そのときにどういう御質問でどういう御答弁だったかというのは、ちょっと手元に資料がございませんが、私がもし御答弁していたとすれば、あのときはたしか、過去四年間、五年間で、国、地方合わせたプライマリーバランスが相当改善しているんだけれども、それが一体どちらの貢献によるものなのか、どの項目の貢献によるものかということが、SNAベースで見たプライマリーバランス、これは内閣府が今までSNAベースで見たプライマリーバランスを発表しているわけで、それではよくわからない。それで、諮問会議の議論として、過去の実績をちゃんと分析しようというふうに私の方から申し出て、それで、内閣府につくれ、主計局も自治財政局も協力をする、それで分析をします、そのような御答弁はさせていただいたかと思います。

 そのときには、今お尋ねの特会をどうするかという話は入っておりません。今、局長が御答弁させていただいたように、これは国のものなのか地方のものなのかというのは神学論争のようなところもあろうかと思います。

 ただ、私が申し上げました範囲につきましては、細かいところではまだちょっと意見が一致しないところもありますが、一応の合意は出ておりまして、過去四年間で十四兆円プライマリーバランスが改善した、そのうち国、地方がほぼ半分ずつ、七兆円ずつぐらい、国のプライマリーバランスの改善は専ら国税の増加、増収によるものであった、地方のプライマリーバランスの改善は専ら歳出削減によるものであった、地方はそれなりにしっかりと歳出のスリム化も行ってきてプライマリーバランスの改善に貢献してきた、そのような一つの合意は得られたというふうに思っております。

福田(昭)委員 ぜひともこの特会を、それこそ、今まで交付税の算定についても国は約束してきたけれども、今度の交付税改革の中で減らすということになれば、その約束も果たせないような状況も出てくるわけですので、この特会の借り入れは国の責任なのかどうかということもしっかりと明確にしていかないと、今後のプライマリーバランスを黒字化するということについてもなかなかうまく話が進まないんじゃないか。

 ですから、交付税の削減についても、交付税六兆円削減が可能だということになれば、私とすれば、逆に地方に税財源として五兆円ぐらい譲るつもりじゃないとなかなかこれは落ちつかないんじゃないかというような考えもいたしておりますが、ぜひともしっかりと、特例加算をやめるとかそういったことについては、後の地方六団体の提言にも出てまいりますので、そこでまたちょっと御議論をさせていただきたいと思います。

 それでは、次に地方自治体の破綻法制についてお伺いをする予定でしたが、これは地方六団体からの提言とも絡む問題なものですから、その中でちょっと質問させていただきます。

 次に、いよいよ地方六団体が進めておりました新地方分権構想検討委員会の中間報告が昨日まとまったということでございます。その中で、分権型社会をつくるための税財政改革のための七つの提言がございます。この七つの提言とも私はすべて読ませていただきましたが、すばらしい提言だと思っております。地方分権がどこまで実現したのか、そういう思いがある中で、これからの地方分権を推進するための見事な具体的な方策そして将来の姿というものもしっかりと描いてくれたのではないか、そのように考えております。そこで、それらについて時間の中で御質問させていただきます。

 まず、七点ありますが、一つ目の提言として、地方行財政会議の設置についてお伺いをいたします。

 これは、国と地方の協議の場を法定化する、法律で定めるということでございますが、国と地方の役割分担、国による関与・義務づけ、国庫補助負担金、地方税財政制度、地方への新たな事務または負担の義務づけとなる法令、施策等について、政府と地方の代表者が協議を行う新たな組織を法律によって設置する、こういう提言でございますが、こうした提言についてどうお考えか、お伺いをいたします。

竹中国務大臣 過去何年か三位一体の改革を行ってまいりましたけれども、その中でも、地方の意見を真摯に受けとめて、改革を取りまとめていく場として、国と地方の協議の場というのは非常に重要な役割を担ってきたと、その会議にずっと参加しておりました人間として感じております。

 今後、地方分権を推進するためには、やはり国と地方が真の信頼関係に基づいて協働して改革を推進することはもう不可欠であるというふうに思います。その意味では、やはり地方の意見を十分に反映していくということが大切なプロセスになると考えます。

 一方で、検討委員会におけます、これは仮称でありますが、地方行財政会議のように、これは法律に基づく新たな組織ということになろうかと思いますが、こうなりますと、国会や政府機関との関係も含めまして、国の政策決定プロセスに地方がどのように関与するのが適切か、やはり多面的な検討が必要になろうかというふうに思っております。

 我々としては、認識としては、国と地方が十分に話し合うことは極めて重要であって、これがないと地方分権の促進というのはうまくいかない、これは共通の認識であろうかと思います。ただ、これを法律に基づくような組織にするかどうかについては、今のような問題点もあろうかと思いますので、その点については検討してまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 ぜひそのような検討をお願いしたいと思います。

 次に、時間の関係で、三つの提言を一緒にお伺いいたします。これは税財政面での提言でございます。

 一つが、地方税の充実強化による不交付団体人口の大幅増ということでございますから、これは竹中大臣の私的懇談会の考え方ともタイトルは一致しているかと思いますが、税財源をしっかりと地方に譲る。特に、消費税を国と地方の割合を同じくする、二・五対二・五と同じにする、あるいは個人住民税の所得割を三%上乗せする。そうすることによって、地方の税財源を強化して、国税と地方税の割合を五対五にする。これが一つであります。

 それから、地方交付税を地方共有税にする。法定率を見直して、特別会計に直入する。今までのような、一般会計を通してから交付税特会に入れないで、直接交付税の特別会計に直入する。それから、先ほど話がありました、一般会計からの特例加算はやめる、特別会計の借り入れもやめる。これが二点目であります。

 それから三点目は、国庫補助負担金の総件数の半分を廃止して、地方の改革案を実現するということであります。先ほど交付金化の話もいたしましたけれども、地方の立場とすれば、今四百以上ある国庫補助負担金を半分にする、二百程度にする。

 この三点、地方の税財政を強化する、つまり、地方の財政自治権を確立するためにとりあえず国と地方の税金の割合を五対五にする、そういう考え方でございますが、こうした考え方についてどうお考えか、お伺いをいたします。

竹中国務大臣 どれも大きな問題でございます。包括的にそれについて福田委員からの御質問でございますが、基本的には、問題意識は私は共有できる点がたくさんあるというふうに思っております。不交付団体が結果的にふえるようにしなければいけない、そのためには歳出のスリム化も必要だし、その仕組みの改革も必要だけれども、究極的には、やはり税源移譲を含む税源の充実確保というのは、これは当然のことながら不可欠であろうかと私は思います。

 ただ、その場合に、私はちょっと気になりますのは、それをどういう税の制度設計で行うかという議論に一気に突き進んでしまうと、大変議論が混乱してくると思うんですね。であるから、先ほどから私は、大きな方向についてしっかりとこの夏に固めて、制度設計の議論はもう少し基本的な方針が決まった後でしっかりとするという方がよいのではないだろうか、そういう思いでおります。共有税という一つの税の制度設計について、これは当然賛成もあれば反対もあるというふうに思いますけれども、私は、議論の手順としては、そこはちょっと分けた方がよいのではないかなという思いを持っております。

 あと幾つか言われました、直入の話等々、これも御承知のように以前から議論があるところなわけですね、ある意味でこれまで総務省と財務省ががっぷりと四つに組んでなかなか動かなかった問題。これも交付税改革をどのように行っていくかということの中で私は議論していくべき問題だというふうに思っております。

 また、国庫負担金の削減、これは方向としては当然共有できるわけでありますけれども、それをさんざん一生懸命三位一体でやって、この三年間、随分努力もしたわけですけれども、なかなか各省庁の抵抗が強かったという事実もございます。そういう観点から、さきの懇談会では、要するに、分権一括法そのものも含めて、国と地方のあり方を根本的に見直そうという議論がなされておりますので、そういう中で、一つの制度設計の方向として考慮できる重要な課題になるのではないかというふうに私は思っております。

 その意味では、方向としてといいますか、問題意識としては共有できるところが多々ある。ただ、具体的な制度設計を余り部分的に急ぐと議論が混乱するのではないかなというのがちょっと私の心配な思いでございます。

福田(昭)委員 考え方は共有できるということでございますので、この辺しっかりと対応していただきたいなと思っております。

 そのほか、国と地方の関係の総点検による財政再建、これはきっと考えが一致していると思うんですね。国と地方が協力してしっかりと財政再建をやっていきましょうという話でございます。その際、やはり最初に申し上げたような地方行財政会議、国と地方の協議の場をしっかり法定化して定めて、そこで議論していかないと、なかなかこれも実現が容易ではないんじゃないか、こう思っております。

 そして、六点目の提言としては、財政再建団体基準の透明化、首長・議会責任の強化、住民負担の導入という提言がございます。ビジョン懇談会の方でも自治体の破綻法制について検討されているということでございますけれども、この地方六団体の提言は非常に私は有効な提言ではないかというふうに思っておりますので、ぜひ御検討いただければというふうに思っております。

 こんなことが本当にルール化されると、それこそ地方団体の首長さんも議会の皆さんも、あるいは住民の皆さんも真剣に考えていかないと、本当に自治というものをやっていけなくなるんじゃないかな、私はそういう思いがございます。特に、今まではどちらかというと、行政が、あるいはやりたい側が、つくらんがための数字をつくって実はやっていく、そういう仕事がたくさんございました。そういった意味では、特に私の地元栃木県でも、新たに路面電車をどうしてもまちづくりで導入したい、こういう話がございます。しかし、赤字が確実です。ですから、これをやったときに、財政再建団体基準の透明化、あるいは首長・議会責任の強化、住民負担の導入、これが明確になったら、本当に私はやれなくなるんじゃないかというように思います。

 今、一生懸命やりたい人たちが勉強しているようでございますけれども、まさに、そういった意味で、これをしっかりやはり制度化するということも私は大事なことかなというふうに思っておりますので、ビジョン懇談会で進めております財政再建、破綻法制と同時に、この地方六団体からの提言、これをしっかり踏まえてやっていただくということが大切なのかなというふうに思っております。

 次に、七つ目の提言でございますが、新地方分権推進法の制定ということでございます。このことがもしかすると一番大事かもしれません。

 今後、地方分権を進めていく上で、「今、改めて、国民・国会の力で分権を」、こう地方六団体がうたっておりますけれども、まさに今回の三位一体の改革を見ても、これは官僚の抵抗というのは物すごいものがあったんだと思うんですね。したがって、竹中大臣もあきれて懇談会をつくったんだと思うんです。ですから、そういった意味で、やはり地方分権の新しい推進法をつくってしっかりとやっていく。したがって、国会が新しい法律をつくってやっていかないと、もう一歩の、もう一段の地方分権は進まないと思います。そのことに対してどうお考えか、お伺いをいたしたいと思います。

竹中国務大臣 私の分権ビジョンの懇談会の中で一つ印象的な言葉があるんですが、東京大学の小早川先生が、今の分権というのは非常に複雑な分権である、多層的な、複雑な分権である、やはりそれを単純明快な分権にしていくことが必要なのではないかと。

 その趣旨は、今は、ある一つの地域の行政に対して、これは国が責任を負っているのか地方が責任を負っているのか、考えれば考えるほどわからないものがたくさんあるわけです。国が非常に細かないろいろな基準づけを行っています。いわゆる自治事務と言われるものの中でも国が基準づけを行っております。国が基準づけを行っているからこそ、結果的にはある程度の財政の措置も通るということで、それが基準財政需要の中で、財政的に、結果的にはそれが担保されるような仕組みになっている。そうすると、ますますそれは国の仕事なのか地方の仕事なのかというのがわかりにくくなっている。それが本当に、国の役割、地方の役割というのをもっと明確にしてくれ、これはもう地方団体から常に要望が出てきているところでもあるわけですけれども、それをやはり明確にすることが、地方自治、地方の自由と責任と自立を明確にする、まさに根本的な問題であろうかというふうに思います。

 この分権検討委員会では、そういう観点から、これは推進法という名前ですけれども、根本的な見直しが必要である。懇談会の方でも、分権一括法の見直しというような観点から、これも非常に共有する方向としてのものだというふうに思っております。しかしこれも、もう御経験を踏まえておわかりなように、これは大変時間のかかる仕事だとは思いますが、やはりそういうことに踏み出すことが必要ではないか、そういう認識を私自身も強く持っております。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

福田(昭)委員 ありがとうございました。ぜひとも新たな法律をつくらないと、これ以上地方分権は進まないと思います。

 それからもう一つ、ぜひ大臣の方で、ビジョン懇談会で出てこなかったのかもしれませんが、地方分権を推進する上で大事なポイントが一つあるんですね。それは、住民投票をどう位置づけるか。最近では市町村合併などで大変国も奨励して使うようになってまいりましたが、特にアメリカの例などを見ると、住民投票というのを非常に頻繁に使っているんですね。ですから、そういった意味で、私は住民投票万能論者ではありませんけれども、しかし、住民投票を有効に使っていくということが民主主義を成熟させるための一つの方法かなというふうに私は思っておりますので、その点もひとつ御検討いただければと思っております。

 そして最後に、時間が来てしまいましたので、ぜひとも、この新しい法律をつくってやっていただくという意思が固まらなかった場合には、民主党政権で新しい法律をつくって、ぜひ地方分権を推進したい、こう思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

中谷委員長 次に、横光克彦君。

横光委員 横光克彦でございます。

 地方分権、そしてまた今回の改正法案、問題点は集約されているようで、どうしても質問も重複する部分があろうかと思いますが、私なりの観点から質問させていただきたいと思っております。

 大臣の私的諮問機関であります地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、これは私、交付税の審議の際にもお尋ねをしたんですが、懇談会の結論を取りまとめるに当たって地方の意見をどのように反映されるのかという私の質問に対しまして、大臣は、地方の声を聞けと、これは必ずやります、そのためにも地方御自身も意見を取りまとめていただきたい、こういった旨の答弁をされております。

 そして今回、先ほどからお話ございますように、地方六団体が検討委員会をつくって、そして「分権型社会のビジョン」、いわゆる中間報告を、四月十二日に素案をまとめられて、昨日、中間報告としてまとめられております。この中間報告に対しましての感想は先ほどちょっと同僚議員もお聞きしましたが、こういった地方の中間報告をこれからどのように大臣としては取り扱うおつもりなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

竹中国務大臣 私の懇談会も、また地方六団体の委員会も、まだこれから審議が続くわけでございます。実は、一度この委員同士で、こちらの方は大田座長を中心に、先方は神野委員長を中心に数名集まっていただいて、意見交換の場を持っていただいております。審議の進捗を見ながら、そういう場を再度持っていただくか、必要に応じて六団体の方と私と直接御議論する場、これはもう必ずそういう場を持っていきたいと思います。

 その上で、政府の中は中でまた議論を進めなければいけない。その意味では、諮問会議でもこれは私は議論をいたします。その上で、検討委員会の提言の中には制度設計についての具体的な提言がございます。私たちは、懇談会の方は制度設計には余り立ち入らないで大きな方向に特化したいというふうに思っておりますけれども、制度設計の中で参考にさせていただけるもの等々も当然あろうかと思いますので、今後、大きな方向を決めて、それを工程にもしのせることができるんであるならば、その中でさらにその制度について議論を深めていくということも当然に出てこようかと思います。

 いずれにしましても、そこは私の方からお願いをしてこの検討委員会をつくっていただいたわけでもありますので、しっかりと意思疎通をしていきたいと思います。

横光委員 しっかりと協議をして連携を図っていくというお話ですが、そういったお話の一方、三月二十九日に大臣が経済財政諮問会議に提出した資料がございますね。ここでは、分権ビジョンと地方財政については、「二十一世紀ビジョン懇談会提言を踏まえ上記数値目標と改革工程表をとりまとめるので骨太二〇〇六に盛り込んでいただきたい。」ということを明記しております。

 これは、ある意味では、ビジョン懇の提言を踏まえということでしか書いていなくて、それを骨太方針に盛り込んでいくということを明記しているわけでございます。これはとりようによっては、懇談会の意見のみに基づいて閣議決定に持ち込み、ほかの意見は気に入れば聞いてやってもいいよと言わんばかりの方針を示したように聞こえるんですよ。先ほど協議すると言いながら、経済財政諮問会議に出した資料においては、ビジョン懇の提言に基づいてと、これしか書いていない。こういった意向、方針に受け取られることをちょっと心配しているんだけれども、その点はいかがですか。

竹中国務大臣 二つ申し上げますけれども、ビジョン懇談会そのものが先ほど言った検討委員会と意見交換をしながら意見の取りまとめを行います。その意味では、そういう形で検討委員会の声が反映される部分も出てくると思います。

 そして何よりも、実は骨太方針そのものに、これは政府・与党協議会だったか骨太方針だったか、多分、骨太方針で間違いないと思いますが、国と地方、双方が納得いく形で歳出歳入の一体改革を行っていくんだということを政府の文書の中にもう何度か明記しております。これはいわば大方針でございますので、その点については、そういう基本的な方針のもとですべての議論が行われているんだという御認識をぜひお持ちいただきたいと思います。

横光委員 やはり地方分権を進めるというのは政府の方針でございますし、これは地方も当然のごとく望んでいるわけで、その地方の実際の自治体がやっている、一番現場の人たちの声というのは非常に私は重要だと思うんですね。

 そういった中で、大臣の私的なビジョン懇、ここが連休前に中間取りまとめを発表していますね。ここでは、五月の経済財政諮問会議に改革案を示す方針だとか、あるいは早ければ秋の臨時国会で関連法令を改正するとか、来年度予算案の編成に反映させたい、こういった報道がビジョン懇の中間まとめが出た後ずっと出ているわけですね。

 このまとめの中には、確かに地方の自由あるいは自立、こういったものはうたっておりますが、それはある意味では、地方からすると、自由といっても貧乏するような自由、あるいは自立といってもだれも支えてくれない自立、そういった意味にもとられかねない部分があると思うんですね。

 ですから、こういった地方の声に対する大臣の対応次第では、私は、ビジョン懇というものは最初から、これはちょっと言い過ぎになるかもしれませんが、地方への刺客とすることを意図したような形で設けられたんじゃないか、そんな疑念も地方は抱きかねない。ですから、こういった地方の声に対して大臣がどのような対応をするかというのは非常に大事になってくるんですね。

 ビジョン懇と地方六団体の今回の同じ中間取りまとめ、方向性が同じものもあります、しかし、かなり意見が相違しているものもあります。ですから、そういったところは非常にこれから協議が重要になってくるわけで、もし、あくまでもビジョン懇サイドの、私的諮問会議の方の立場をとり過ぎると、やはり地方としてはなかなかそういった考えを受け入れられないということも起き得るので、改めて大臣の真意をお聞かせいただきたいんです。

竹中国務大臣 非常に細かな制度設計とか仕組みについて、これは常に私はそうだと思いますが、百人の人が集まれば百通りの答えが出てくるものだと思います。一部に細かい議論がなされておりますから、そういう点について、だから私は時間をかけていろいろ議論しなきゃいけないものがたくさんあると思っております。

 しかし、これはもうまさに国と地方の信頼関係だと思いますが、大きな方向性について、先ほどからもいろいろ御議論いただいていますけれども、大きな方向性、現状の問題点の認識等々について、私は非常に収れんしてきているというふうに思っております。物すごくぎりぎり問われて、完全に一致するのかというふうに言われたら、そこはいろいろな温度差が問題によってはあるのだと思います。当然そうだとは思うのですが、私としては、当然責任を持って行政を行っていかなければいけない立場の人間として、ぜひ問題意識を共有させて、大きな方向性を共有させて、そして一つの流れをつくっていきたいというふうに思っております。

横光委員 ビジョン懇の提言を骨太の方針に盛り込むというビジョン懇の方針がある。それで、地方の検討委員会の中間報告も、自分たちのまとめを骨太の方針に盛り込むように働きかけていきたいという思いがある。どちらも骨太の方針に盛り込んでいきたいという意向があるわけです。

 そこで同じ方向性のものはもちろんいいです。でも、同じ方向性じゃない、意見の相違のあるところはやはり協議しなければならない。例えば、分権社会の将来像については恐らく同じでしょう。要するに、ビジョン懇もあるいは地方六団体も、究極的な地方分権ということでは、権限と財源を地方に移す、こういう方向性は同じだと思うんですね。ただ、ここにはやはり各省庁の抵抗というものがあるということであるならば、ビジョン懇の方向性と地方六団体の検討委員会の方向性が同じところであれば、これは協議どころかむしろ協力、協調して壁を乗り越えていかなきゃならないと思うわけですよ。

 そういった意味で、先ほどから大臣もお答えになっておりますように、意見の合わないところはしっかりと協議する、意見の合うところはむしろ協力し合っていろいろな壁を乗り越えていく、そういうことで本当に一歩一歩、地方分権を進めていただきたいなと思っておるんです。

 それから、これも先ほどから各委員が質問されておるんですが、大臣は、地方制度調査会の位置づけというものをどのようにお考えになっているんですか。

竹中国務大臣 これも御答弁をさせていただきましたが、これは、法律に基づいて、しかも昭和二十七年からの歴史を持つ大変重い、また各界を代表する方々に、そうそうたる皆さんに入っていただいて調査審議をいただく場であります。法律的に政府の政策がその答申に縛られるわけではありませんけれども、これまでも大変重視をしてきましたし、私自身も大変重みのある御意見として尊重する立場にございます。基本的に地制調というのはそういう大変重みのある場所だというふうに考えております。

 もう一つは、懇談会との関係等々も委員は気にしておられるのだと思いますが、懇談会というのは、私自身及び総務省が政策を考えるに当たって必要なインプットをしていただいているわけでございます。その上でさらに、いろいろな制度設計も踏まえて、いろいろな時間をかけて、各方面で幅広く協議をしていただかなきゃいけない問題につきましては、当然、地制調でそういうことの御議論をしていただかなきゃいけないというふうに思っております。今の段階では、まさに何がアジェンダなのか、何が政策上のアジェンダなのかという頭の整理のために私たちとしては懇談会で勉強をしているわけでございます。

横光委員 前の私の質問で、今と大体同じような御答弁ですが、そういう答弁となると、制度設計の基本方針を私的懇談会の議論を踏まえて決定した上で、地方制度調査会では具体的な制度設計を行うというふうにとれるんですが、そういう意向なんですか。

竹中国務大臣 まず、何を制度設計しなきゃいけないか、何について、どういう時代認識のもとで何を制度設計しなきゃいけないかということが今の時点では必ずしも明らかではないわけです。いろいろな問題点等の御指摘があるわけでございますけれども、それが私が申し上げた政策的なアジェンダだということなんでございますけれども、そういうことについてまず私たちがしっかり勉強して頭の整理をした上で、それを政策決定プロセスにしっかりとのせていきたい、そのような思いでおります。

横光委員 ちょっと私は立場が逆じゃないかというような気がしてならないんですね。例えば、ビジョン懇で再生型破綻法制を整備するというようなことがまとめられておりますが、そういった自治体の破綻の方向をビジョン懇で決めて、細かいことは地方制度調査会でやってくれと言っているように聞こえるんですね。

 私は、地方制度調査会、先ほどからお話ございますように、これは、日本国憲法の基本理念を十分具現するように現行地方制度に全般的な検討を加えるという目的に従って地方制度に関する重要事項を審議する、こういうふうに設置法に書かれておるんですね。憲法のことが出てくる調査会というのはほとんどないんですが、それほどにこの地方制度調査会というのは、大臣も言われているように重い調査会だと私は思うんですね、内閣総理大臣の諮問機関でございますので。ですから、そこの検討、地方制度調査会が検討するあり方をビジョン懇がまず左右するというようなことになっているんではないかという気がするんです。そういうことはないんですか。

竹中国務大臣 先ほどから申し上げていますように、ビジョン懇はいろいろな議論をして、私に、総務省にインプットをしてくれるわけです。それに基づいて、これは行政の責任者として、一つの判断のもとに、どういう政策をアジェンダにのせていかなければいけないかという判断を私自身がしなければいけないと思っております。

 地制調は大変重要でありますけれども、どうしたらいいか教えてくださいということで、地制調に白紙で何か調査を、審議を依頼するというのは、これは普通、どんな調査会でも審議会でもあり得ないのだと思います。こういう時代認識で、こういう問題が重要だと認識をしている、それについてしっかりと制度設計等々について御審議をいただきたい、これがまさに諮問、これは総理が諮問されるわけですけれども、それについてのまず基礎の部分についての勉強をしている段階でありますので、懇談会がさながら地制調の上位に立つとかそういうものでは全くございません。

横光委員 わかりました。

 それでは改正案の中身なんですが、これも重複するかと思いますが、特別職としての出納長あるいは収入役の制度を廃止する、かわりに一般職の会計管理者の制度を導入するということになっております。

 確かに、各自治体では、政府の方針を先取りするように、助役を廃止する自治体あるいは収入役を廃止する自治体、実際進んでいるところもあるわけです。非常にスリム化あるいは中二階的と言われている部分、さらには素早い政策決定につなげるというねらいでそういう方向を各自治体がとっているところもあろうかと思いますが、また逆に、収入役を廃止しながら助役を一人から二人へふやすとか、そういった自治体もあって、スリム化と逆じゃないかというようなところもあるし、種々雑多だと思っております。

 私は、この問題は、確かにプラスの面もあるけれども、やはり問題点もある、その問題点をしっかり押さえなきゃいけないという気がしてならないんですね。自治体においては、膨大な会計事務、あるいは公正かつ効率的に行う必要性というのはかえって高まっているという声もありますし、また自治体の会計処理をめぐる不祥事もしばしば報道されております。そうなると、果たしてこのようなことをすることが時宜にかなうものかという気もしないでもないんですね。

 確かに、出納長や収入役が長のかわりにいろいろな行事に参加しておりますし、私も地元でもよくお会いするんですが、その問題とまたちょっと違うんじゃないか。自治体内部のチェックの必要性、これをうたって、監査委員の増員もあり得べしとしておきながら、他方ではその必要性はないと言わんばかりの改正ですよね、今回。ちょっと矛盾しているような感じがするんですが、この点はいかがですか。

竹中国務大臣 考え方に矛盾があるのではないかという御指摘かもしれませんが、矛盾ではないというふうに思うんですね。

 出納長、収入役の廃止といいますのは、出納事務というのが昔と随分と違ってまいりました。電算化をされて随分といろいろな形が合理化された。したがって、必ずしも従来のように特別職である出納長や収入役、この制度に頼らずともできるではないか、会計事務の適正な執行を確保することは特別職じゃなくても可能ではないか、そういう判断を踏まえて法制化を行うものでございます。

 一方で、監査委員の定数の増加の問題、これを可能にするということでありますので、地方公共団体の実情に応じて監査機能の充実を図る、それは必要に応じてやってください、そういう観点から行うものでございます。

 したがって、会計事務の適正な執行を確保して、一方で地方公共団体の判断によって監査機能の充実を図ることができるという、委員も種々雑多であろうというふうにおっしゃいましたけれども、むしろ選択がふえるわけでありますので、それは決して矛盾ということではないというふうに考えております。

横光委員 確かに出納長や収入役の権限はほぼそのまま会計管理者に引き継がれるわけでございますが、ここは一般職でございますよね。議会の信任を得るわけでもない、また通常の人事異動で簡単にすげかえることができるわけですよね。そうなると、これは杞憂ですけれども、ある意味では、気に入らなければいつでも簡単にかえることができることになります。ある意味では、長の暴走に、気に入らないということは長にとっては意に沿わないということですから、逆の意味からいえば、暴走に歯どめをかけるということが一つなくなってしまうということもあり得るわけですね。責任転嫁もしやすいという状況も起きるだろう。現にあちこちで不祥事が起きているわけです。

 私は、総務省としては、こういった新たな法改正をするならば、やはり指導というものが非常に重要になってくるという気がするんですね。先般、萩原委員が質問されておりましたが、収入役会というものがあるけれども、そういうものはなくなる、そういった場合は、では、こういった不祥事が結構ある中でどのような指導をするかという質問をしているんですが、もうひとつ答弁がはっきりしない。

 やはり厳重なチェック機能というものは新たな管理者制度になっても必要だと思っておりますが、この指導体制についてはどのようなことをされるのか、改めてお聞きしたいんですが、もっと具体的に、この前の答弁ではもうひとつわからないんですが、いかがですか。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ございましたように、今度制度を変えましても、今まで出納長、収入役が担っておりました権能というのは会計責任者が担うことになりまして、支出の面におきましても、長等が行いました支出負担行為が法令とか予算のちゃんと裏づけがあるか、合っているかというようなチェックはしっかりやってもらわなきゃいけないということには変わりないわけでございます。そういうことでございますので、私どもといたしましては、今回の法改正の趣旨というものが十分各地方団体の方に伝わりますように努力してまいりたいというのがまず基本だろうと思っております。

 それから、いろいろな状況に応じていろいろな場があろうかと思いますし、また我々も、場合によって、必要があればいろいろな場に出向くといったこともあり得ると思います。いずれにしても、いろいろな情報等についてお伝えすることによりまして、全体として新しい制度改正の趣旨が円滑に機能しますように最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。

横光委員 いろいろなプラスの面もあることは重々承知しております。しかし、そういった面もありますので、やはりしっかりとした一つのチェック機能を果たす役割、例えば、助役、収入役、出納長は予算の執行のときにチェックする、ところが監査委員は執行後にチェックする、つまり、上流でチェックした方がより効果的であるということは明白ですので、そういった意味でのチェック機能というのは重要だと思っております。

 また、地方自治法には地方六団体の意見申し出の制度が設けられております。これは改正案でさらに前進させるということで、非常にいいことだと思っております。しかし、現在の地方六団体の内閣への意見の申し出権や国会への意見提出権は、制度ができてはいるんですが、なかなかこれがほとんど使われておりません。制度ができてから一回だけしか使われていないという状況だそうです。十年以上実績はない。よく言えば伝家の宝刀、悪く言えば宝の持ち腐れということになろうかと思うんです。

 今回の改正は、そういった意味ではこの権限をより行使しやすくするためのものと承知しておりますが、こういう質問がお答えできるかどうかはわかりませんが、今回の改正により、どの程度意見申し出制度が活用されるようになるとお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたいんです。

竹中国務大臣 今も地方六団体から国の施策に対する意見の提出というのは、各府省に対する要望などさまざまな方法で行われてはいるわけです。

 委員御指摘のように、地方自治法二百六十三条の三第二項に基づく意見提出制度、言及されましたけれども、これが余り使われていない。この制度を用いるか否かはまさに地方六団体の御判断の問題である。したがって、今回の法律で、総務省としてこの意見提出の件数がどうなると想定しているのか、これは特に具体的な数を想定しているわけでは決してございません。

 ただ、必要に応じてこの制度が適切に運用されることによって、地域の実情等に応じたより適切な施策の構築がなされるものと期待をしておりまして、やはり一つの重要な、今度、情報提供の制度化でございますけれども、大変重要な整備にはなるであろうというふうに考えております。

横光委員 私はこの意見の申し出制度の充実が非常に重要だと思いますし、また、先ほどから質問がございました今度の地方六団体の検討委員会の中での、国と地方の協議の場、地方行財政会議の設置を求めると非常に熱烈なラブコールを送っているんですが、つまり、これまでは地方分権一括法で上下主従が対等、平等になったと言われていながら、実際はそうじゃないわけですよ。ですから、地方はそういった意味で地方の声をしっかりと国に聞いてもらいたい、反映してもらいたい、そういった思いでこういった場を望んでいるわけですね。

 法で決められた形にしてほしい、対等な立場をつくってほしいという意見だと私は思いますし、地方の意見が反映されることによって、本当に地方の実情に合った地方分権が進むと私は思っております。まさにそこに魂が入ると思うので、こういった地方が求めている行財政会議、先ほどから大臣も非常に明確にお答えにはなっておりませんが、これからの地方分権を推進していくためには、こういった上下から対等、同等になるというのならば、それを形で示すのがこの行財政会議の設置だ、法律に基づいた設置の場であると思っておりますので、改めてそのことを、ぜひともこれから前向きに取り組んでいって、大臣は地方の声を聞きながら一緒にやるんだと口を酸っぱくして言われておるんですから、その場はこういうところしかないんです。

 ですから、前回の国と地方の協議で、三位一体改革のときかなりいい結果が出た、地方の声が聞けるようになった、地方は喜んでいるんです。しかし、その中でもやはり結果は十分でなかったので、そういった場をさらにちゃんとしっかりとしてほしいという思いだと思いますので、いま一度、このことに対して、大臣、ひとつ前向きな御答弁を。

竹中国務大臣 基本姿勢として、国と地方がしっかりと話し合えるような協議の場を持つことは大変重要だと思っております。これまでもそうしてきたつもりでございますし、今回もそうしたいと思います。

 ただ、先ほども申し上げましたように、それが国の議会との関係とか他の政府機関との関係、これは私は行政法の専門家とかではございませんから、そういう整理をどのようにできるのか、そこはやはり検討を要する問題があるだろうということを先ほども申し上げたところでございます。

 いずれにしても、国と地方の風通しはぜひよくしていきたいと思っております。

横光委員 終わります。

中谷委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三分開議

中谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。よろしくお願いいたします。

 早速本題に入りたいと思うんですが、その前に、民主主義というのは何かということはいろいろなところで語られることが多いわけであります。いろいろな定義があるのはもう皆さんも御承知かと思いますが、私は、民主主義というのは、いろいろな意見がある、社会の中にはいろいろな違った意見があるということをまず認識するところが出発点だろうというふうに思います。いろいろな違った意見がある中から、ある結果へたどり着く、何かをやる、やらない、そういうある結果へたどり着くプロセス、このプロセスをきちんと共有できることが民主主義において非常に大事なポイントだろう、単に結果を出しさえすればよいというのではないんだろうというふうに思っています。

 しかも、この民主主義の多様な意見の中からある結果へたどり着くプロセスを共有するということは、そのプロセスがよく見えるということ、あるいはそこに対して意見を言えるということ、あるいはそこで議論をしたり決定したりする当事者に自分自身もなれるというようなことが、民主主義では非常に大事なポイントかなというふうに私は考えているところであります。

 しかしながら、国家全体の民主主義をうまく動かしていくということは、これはなかなか簡単なことではありません。我々は、やはり自分に直接影響のあること、実感の持てること、リアリティーのあることを通して初めて社会のあり方を学べるというようなこと、そんな点から考えますと、自治というのは、やはり国家全体を考える上でも非常に大事だ。

 今回、地方自治法の改正が焦点になっているわけですが、これは、地方自治という小さなものの範囲ではなくて、国家全体のあり方を考える上でも極めて重要な法案だというふうに思っています。その点で、総務大臣の担う役割というのは、いわゆる総務省の所管ということではなくて、日本全体を左右するようなとても大きな仕事をしているんだ。その責任の大きさ、重さをしっかりとかみしめて、いろいろな議論をしてまいりたいというふうに思っているところであります。

 そこで、今回の地方自治法の改正、二百六十三条の三の第五項でありますけれども、これは非常に重要なものだというふうに私は思っております。地方六団体へ情報を提供するんだ、情報をきちんと提供しないと意見も言えないだろうということであるわけであります。これは非常に重要な規定だなというふうに感じているんですが、でも、一歩引いて冷静に考えてみると、こんなことまで細かく地方自治法に書かなかったら情報を提供しないのかというようにもとれるわけでありますね。

 すなわち、民主主義を考える上で情報の提供なんて当たり前のことなんだから、こんなことまで書かないとだめなぐらい日本の今の自治行政というのは硬直化しているのか。よらしむべし、知らしむべからずの精神があるのではないかという気がしないでもありません。これはいい条項だと評価する一方で、冷静になって考えてみたら、こんな当たり前のことまで規定しなければならないほど日本の民主主義、自治というのは硬直化しているのかという残念な思いもあるわけであります。

 そこで、まずこの条項について政府参考人の方に簡単にお伺いしたいんですけれども、この条文の中に「施策の内容となるべき事項を知らせるために適切な措置を講ずる」というふうにあるんですけれども、これは「施策の立案をしようとする場合」のいつの時期を想定して適切な措置を講じようとしているのかということですね。それからもう一つは、その適切な措置とは具体的に何かというようなあたり。それから、これは各省庁ごとに取り組むことになろうと思いますけれども、この適切な措置の講じ方の統一性というのはどう担保するつもりでおられるのか、まず政府参考人にお伺いをいたします。

高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 この規定を整備するに当たりまして、どういうふうな形で整備しようかということで、いろいろ議論させていただきました。

 今、委員御指摘いただいたような問題意識の関連で申し上げますと、できるだけ、意見を言ったらそれが反映されるようなタイミングというのが望ましいことは間違いないと思うんですが、そういうタイミングというのは、いろいろな事案によっていろいろなパターンがあるだろうというのが一つでございます。

 それからもう一つは、早い段階であればあるほど、要するに変更可能な段階であればあるほど、逆に言うと内容が固まり切っていないというような面がありまして、そういう意味で、いろいろな意味合いを込めて、画一的にいつの時期ということは書かずに、法文上の書き方といたしましては、「立案をしようとする場合」、要するに決めるより前ですよということと、それから、意見を申し出ることができるようにということで趣旨を書かせていただきまして、各大臣の方で適切な時期にやっていただけるようにということをこの条文に込めているつもりでございます。

 無論、午前中の議論の中でもありましたけれども、特定された対象でございますので、コミュニケーションというのはいろいろ可能になってくるだろうと思いますし、また、形によりましては一回きりでないというようなパターンもあるんだろうと思っております。

 それから、どういう形がいいのかということにつきましても、これもいろいろなものがあり得ると思うんですが、例えば、一つのパターンとして想定しますと、中身が固まればできるだけ早く提案していただくのがいいと思うんですが、法律なんかをつくる場合を考えますと、審議会で、我々の今回の立案でも、地方制度調査会で議論して一定の方向がまとまる、それを受けて法案提出を意思決定するというようなプロセスになってきますと、どういう方向の内容かなというと、審議会である程度一定のものが出てくる、そういう内容のものを添えて、こういう形で法案化するつもりですというような情報を御提示いただくというようなことが一つあり方としてはあるのかなというふうに思っております。

 それから、統一性の確保が重要ではないかということでありますが、この辺も、先ほど言ったような形で立案させていただいているものですから、必ずこういうやり方がいいということで、今の時点で決め切るという形がいいのかどうか。やはり法案の趣旨に即して適切に運用していただく、あるいはまた、こういう条項が用意されたことによりまして一定のやりとりも可能になってくるというような面もあるのではないかなというようなことも期待しているところでございます。

逢坂委員 それで、大体今お考えはわかりましたけれども、これまでは、いわゆる国の政策を立案する過程で地方公共団体の考え方をどのように酌み上げていたかということですね。それを一点また参考人にお伺いしたいことと、今回の、当該連合組織に対する新しい第五項の措置によって、公共団体そのものへの情報提供などに変化があるのか、その意思の酌み上げ方に何か新たな変化というものが生まれるのか、この二点について、参考人にお伺いします。

高部政府参考人 まず、どのようにこれまで酌み上げてきたのかという点でございますが、いろいろな自主的な取り組みを各府省でやられてきていると思います。それから、委員先ほど、こんな情報提供まで規定するのかというような御指摘もいただきましたけれども、この辺については、私ども肌で感じているのは、やはり結構時代の変化もあるような気がしておりまして、省によって濃淡とかというのはありますけれども、立案に当たっていろいろな情報提供を六団体等にするというような動きも最近では見られるというふうに思っております。

 それから、制度的に言いますと、法律の中で、いろいろな制度として意見を聞くシステムを持っているのを御紹介いたしますと、例えば、地方制度調査会が先ほど来話題になっておりましたけれども、地方制度調査会には六団体を代表する委員が出ているというような形で、地方公共団体を代表するような方々が政府の審議会等に参加するといったような形で意見を、考えを聴取しているというようなこともあると思います。それから、物によっては、特に個別の団体に影響を与えるような施策について言いますと、意見を聞くことが法律の中に規定されているというような例もある。

 大体そんないろいろな試みの中で取り組みが行われてきたのではないかなというふうに思っております。

 それから、情報提供のあり方に変化があるのかというお尋ねでございますが、今回はあくまでも連合組織、六団体に対する情報でございますので、このことによって、個々の地方団体に対する情報提供について直接的に法律的な制度が変わるということにはなっておりません。ただ、こういう仕組みを設けたということになりますれば、これを受けた団体、連合組織、六団体側についても、これを受けた形でいろいろな対応の検討がなされるのではないかな。これは私ども推測している部分もございますけれども、そういう中で個々の団体にも情報が流れていくというようなことは当然あり得るのではないかなというふうに思っているところでございます。

逢坂委員 政策決定をする上で地方六団体に意見を聞くというようなことは非常に有効であろうし、また効率性という観点からも悪いことではないのだろうという気がいたします。

 しかしながら、地方六団体の構成というものを見たときに、とても小さな自治体から大きな自治体まである。あるいは、もちろん議会もあるわけだし、市区町村、都道府県というものもあるわけでして、多様性があるわけでありまして、すべての課題について地方六団体が統一した意思決定ができないことも十分考えられるのではないかと思うわけであります。

 この点について、竹中大臣に今度はお伺いをしたいんですけれども、統一的な意思決定が地方六団体で図れないというような命題についてはどのように意見を酌み上げていこうとしているのか、お考えをお聞かせください。

竹中国務大臣 元来、多様性があるからこそ自治の意味があるのだと思います。その意味では、地方六団体は、いつも大変御苦労をなさって意見の集約等々をしておられますが、なかなか集約し切れない面があるということは私も認識をしているつもりでございます。そういう場合、どのような形で意思を酌み上げればよいか、意見を酌み上げればよいか。冒頭まさに逢坂委員がおっしゃった、民主主義の一番大事なところであり、しかし難しいところであろうかと思います。

 我々としては、やはりとにかく情報発信をできるだけ丁寧に行って、情報発信をすればレスポンスがいろいろございます。そういう中で、いろいろな意見を、多様な意見を酌み上げていく努力をするということに尽きるのであろうかと思っております。その意味でも、情報をしっかりと出すということがそのすべての基本になるという認識を持っております。

逢坂委員 要するに、私は、連合組織に意見を聞くということで、その内部の個別のいろいろな違い、実は北の地方では全く連合組織の統一とは違った実情があるとか、南の地方は全く違うとか、いろいろな違いというものが隠ぺいされはしないかという懸念を持つわけでありますね。要するに、連合組織の意見を聞いて、連合組織はAと言ったからAじゃないか、いや、実は違うんだ、全国には多様性があるぞ、そういう声をしっかり聞くことが私は民主主義の出発点だというふうに思うわけであります。

 実は似たようなことが、これは市町村の首長をやっているとよく起きてまいります。すなわち、市民、町民の意見を聞くときに、何かの団体があって、団体で意見をまとめてきなさいというふうに言ってしまうことは、これは簡単なことではありますけれども、団体で意見がまとまらなければ市長や町長は仕事ができないかといえば、そうではありません。多様な意見を受けて、団体もあり、それら複雑なものを聞いてやはり最後判断をするということでありますので、私は、この二百六十三条の三の第五項というのは意味のあることだというふうに評価はいたしますけれども、このことを制定したからといって、そのことによって違った意見、異質な意見というものが隠ぺいされては困るという懸念を持っているわけですが、このあたり、大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 冒頭、逢坂委員が問題提起をされましたので、ある専門家の意見を思い出したんですが、民主主義の基本は多数の意見に従うこと、しかし同時に少数の意見を尊重すること、そこはやはり本当に重要なポイントであろうかと思います。そのための仕組みをその社会なり組織なりが持っていなければいけないということだと思うんです。今回の情報提供等々については、そういう思いが一つあらわれた、小さな前進かもしれませんが、一歩であろうかと思います。そのことについては、すべてのいろいろな決定の中で常に心がけねばならないことだと思います。

 しかし、難しいのは、例えば一つの組織、自民党の中でもいろいろな意見がある、民主党の中でもいろいろな意見がある、しかし、党としての意見はまとめなければいけないときはまとめなければいけない。そういうことが、すべての地方団体、国家、すべての社会についてあるのだと思います。しかし、そのプロセスは大事にしていきたいと考えております。

逢坂委員 いろいろな意見がある中である一定の方向を打ち出さなければいけないということは、これは私も十分理解をいたしますが、その中で、何度も繰り返すようではありますけれども、違った意見がたくさんある中でAならAという選択をしたんだということがやはり明確になっていることが大事だと思うんですね。連合組織から意見を聞いたのでそれで事足りているということではやはりまずいのだろうというふうに思うわけで、多様な聞くチャンネルというものをいかに確保するか。連合組織から仮に意見を聞いたとしても、全国の市町村、都道府県、それぞれの実態というものにも真摯に耳を傾けるという姿勢がなければ、民主主義が健全に機能しないと思いますので、大臣、ぜひその点を、この条項の適用に当たっては十分にお考えをいただきたいというふうに思います。

 そうしなければ、私は、都合のよいとこ取りというふうに言ってしまうと少し語弊があるかもしれませんが、都合のよいときはその市町村だけの意見を聞くとか、都合のいいときは連合組織の意見を聞いたらそれだけでいいなんてことになりはしないかという懸念もあるわけでありますので、このあたり、大臣、いかがでしょうか。ぜひ、多チャンネルで声を聞くんだというあたりについて御決意をお聞かせください。

竹中国務大臣 都合のよいとこ取りというのは、これは常に注意しなければいけないことだと思います。我々から見ると、ともすれば批判をされるときは都合の悪いとこ取りばかりされて批判されているというような思いもないわけではございませんが、しかし、それはまさに非常にバイアスのかかった議論になると元も子もございません。

 そういう意味では、今委員がおっしゃいましたように、民主主義は本来多様なものである、その多様なものを前提にしっかりと少数意見にも耳を傾けて、透明なプロセスの中で全体としての意思決定を透明に行っていくということはぜひ心がけたいと思っております。

逢坂委員 そこで、次の問題でありますけれども、このように、地方自治法の中でいわゆる地方六団体の位置づけが今回の規定によってもまたさらにある種高まったというふうに言ってよいかと思うんですが、では、さすれば、その地方六団体のあり方といいましょうか現状というのはどうなのかなというところであります。

 これは、歴史を見ると、必ずしも当初からある種の政策に関与することを目的にしてつくられた団体ではない側面もあるだろう。現実にも、上手にすべての構成団体の声を吸い上げてある種の意思決定をしているわけではないという側面もあるかもしれないということで、地方六団体というものをある種育てるということも必要なのではないか、こういう視点も要るというふうに私は感じておりますが、この点、大臣はいかがかということが一つ。

 あともう一つは、地方六団体のある種の事務方のトップでありますね、これがほとんど、調べてみましたところ、いわゆる国の職員の天下り先というふうに言ってよいのか、いわゆる国家公務員の上部のクラスの役職を務められた方が退職後にそちらに行っているケースが多い。こういう点からいいますと、本当に地方六団体が、ある種の自治体連合としての自律性みたいなものがあるのかどうか。ある種のバイアスがかかるという可能性、要するに国のコントロールのバイアスがかかるのではないかという懸念もあるわけですが、このあたりの改善というのは、大臣、いかがお考えでしょうか。

竹中国務大臣 こういった連合組織を、委員の言葉によれば育てるという、私たちの立場からしますと、育てるというのは正直言ってかなりおこがましい話でございまして、これは、まさに地方六団体の皆さん方が大変難しい中で一生懸命御努力をされている。六団体の皆さんとは月に一回必ず顔を合わせておりますから、いつも大変御苦労しておられる様子を私なりに感じております。

 その意味では、育てる、育成するというのはおこがましいと思いますが、やはり、対等のパートナーとして真剣に議論を重ねることこそが、結果として先方の組織にもよい成果を出していただく一つの重要なきっかけなのであろうと私は思っております。その意味では、六団体の中のことは六団体の皆さんにまさに真摯にお考えいただくとして、我々としては、対等のパートナーとして真剣な努力をぜひ重ねていきたいと思っております。

 もう一点お尋ねの事務局について、私はこれも重要な御指摘であろうと思います。事務局が役人のOB等々ないしは役所からの出向等々だけで占められているとすれば、それはやはり決して好ましいことではございません。この点も含めて、私は、全国的な連合組織に、六団体に自主性を発揮していただければよい問題であろうかと思います。

 どこの県からとるか、どこの市からとるかということになると、また中で大変難しい、それであれば中央官庁からというようなことが、これは、この組織だけではなくて、いろいろな組織において間々あることだというふうに承知をしておりますけれども、それにとどまらず、民間から登用していただくのも結構であろうと思いますし、そういう御努力をぜひしていただければありがたいと思っております。

 私の立場としては、天下り先等々として確保するために、そこに対して、六団体にお願いをする、圧力をかけるというようなことは間違っても行わない、そういう姿勢でおります。

逢坂委員 最後におっしゃられた、自主性を確保するために押しつけるなどということはしないというようなあたりを、ぜひこれからも具体的な形で担保していただければというふうに思います。

 そこで、実は、民主主義においては国民の多様な意見を形成するということは非常に重要なわけですが、手元に、五月三日付の読売新聞、これは東京で発行されているものですが、この中に、民放キー局が地方局の経営統合をするというような記事が載っておりました。これは、通信・放送の在り方に関する懇談会でそういう方向で最終調整に入ったんだということが報道されているわけですが、この点について大臣にお伺いしたいんです。

 私がここでくどくど申し上げるまでもなく、それぞれ放送局というのはある種の自律性、独立性を持っていることが大事だということで、いろいろな規定があるわけですが、それとは逆行するような方向、いわゆる民放キー局と系列局が持ち株会社をつくって経営統合するんだというようなことに方向が、いわゆる大臣の私的懇談会で議論されつつあるということでありますけれども、これのメリット、デメリットを大臣はどのようにお考えでしょうか。

竹中国務大臣 まず、新聞記事は承知をしておりますけれども、そういうことを我々が決めたとか、そういう事実は全くございません。なぜ三日にそういうのが出たのか、別に、一日、二日、そういった懇談会を開いているわけでもございませんし、その事情も全く私にはわかりません。

 いずれにしても、その記事については承知をしていないところでございますけれども、委員が御指摘になられたローカル局の問題、そもそも、やはりメディアについては多様性が求められている、これは極めて重要なポイントであろうかと思います。

 例えば、一社しかテレビ局がない、ないしは一社しか新聞がない、全く多様な言論が見られない社会というのは、民主主義社会としては極めて不健全であるというふうに思います。その意味での多様性というのは確保されなければいけない。そのためにマスメディア集中排除原則というのがあるわけでございます。

 ただ、マスメディア集中排除原則は、やはり時代とともに見直されていかなければいけないということもまた当然の方向だと私は思います。現実に、この原則そのものは、私の認識の範囲でもかなり頻繁に、これまでも非常に部分的な緩和をされてきております。それはやはり、時代の要請に合わせて、認識に合わせてそういうことが進んできているわけでございます。

 先般、懇談会でもいろいろヒアリングを行いましたけれども、民放連からも、マスメディア集中排除原則については、もちろん多様性の趣旨は大事だけれども、方向としては緩和をしてもらいたいというような意見が示されております。

 メリット、デメリットということになりますと、一方で多様性、しかし、一方でさまざまな投資ないしは経営の問題等々を考えた効率性、その両方についてのメリット、デメリットがあるわけで、そこをやはり時代の要請とともにしっかりとバランスさせていくということが重要であると思っております。

逢坂委員 今大臣から民放連の言葉が出ましたけれども、確かに、民放連というのも、先ほどの地方六団体の連合組織のような側面があるのではないかと私は思っております。

 といいますのは、いわゆるキー局の経営基盤・内容とローカル局というのは全く違っている。非常に多様といいますか、多様どころか右と左ぐらい違うぐらいの経営状態なわけでありますね。そこの中で一つの意見が出た、いわゆる経営統合というものについてもある種是とするような意見が出たとしても、個別につぶさに意見を聞いてみたら、その状況は必ずしも是という意見ばかりではないのではないかという気が私はするわけであります。

 そこで、この新聞記事によらず、今回の経営統合というものの背景には、地上波デジタルの普及をある種後押しするねらいがあるのではないか。すなわち、ローカル局は財政基盤が非常に脆弱である、したがって、持ち株会社をつくって経営基盤を強くして地上波デジタルの整備を促進したいというような意図が含まれているのではないか。あるいは、地上波デジタルの財源の捻出のためにやむなく統合するんだというようなことになれば、先ほどの放送の多元性みたいなものの担保というのはなかなかできづらいのではないか、お金に身を縛られて本意ではないことをしてしまうという結果になりはしないかという懸念があるわけですが、このあたり、大臣、いかがでしょうか。

清水政府参考人 先生御指摘の持ち株会社を含めたグループ経営のやり方、これについては、先ほど大臣からお話がありましたように、懇談会として結論は出ておりません。しかし、グループ経営のあり方は、確かに経営基盤の強化という側面もございますが、一方では、例えばソフト面の有効な利用だとか、あるいは国際競争力の強化だとか、いろいろなメリットもあることも確かでございます。

 しかし、いずれにしても、経営統合するかどうかは、その経営の当事者である放送事業者が判断すべきものでございますが、行政のスタンスとしては、放送の多元性、地域性の確保、この点については十分留意することが当然必要であり、今までも、免許時におきましても、地域に密着した放送番組の充実等に努めるように要請しているところでございます。

 デジタル化は、先生御承知のように、さまざまなメリット、例えば、クリアであるとかデータ放送ができるとか、あるいは、今難視の方も、ビル陰難視の方やなんかはさらに解消されるとか、メリットもあるところでございまして、必ずしも地上波デジタルの普及後押しの関係でこういう議論がされているというわけではないものと承知しております。

逢坂委員 今答弁いただいたわけですが、経営統合するかどうかはその放送局の自主的な判断によるという内容でございますけれども、確かにそれは当然でしょう。それはある種の強制があってはならないとは思うわけですが、だがしかし、この地上波デジタルという問題が出てきた、そのことがてこになって経営統合せざるを得ないというような側面も否定できないのではないかというふうに思うわけですが、大臣、このあたりの懸念、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 これは決して放送だけではなくて、技術体系が変わって、そのために設備投資をしなければいけなくなるというのは、これはどの事業でも業界でもあることなんだと思います。

 今、ローカルの放送局がある意味でそういうような問題に直面しているということ、これは事実としてはあると私は思います。しかし、懇談会の議論として、デジタル化が極めて大きな投資を要して、そのための財源捻出のために統合が重要である、効率化が重要である、そのような議論は一切ございません。デジタル化は総務省挙げてしっかりと推進をしておりますけれども、それと直接ローカル局の経営形態について結びつけて議論をしているということは全くございませんので、その点についてはどうぞ御理解をいただきたいと思います。

逢坂委員 そういう懸念はないんだというか、デジタル化に結びつけているということではないということでありますけれども、結果として統合化になってしまうケースも否定できないというふうに私は思っているわけですが、その場合に、先ほど大臣も御指摘されましたように、それぞれのローカル局の自律性、独自性というものがきちんと担保されるようなことを今からビルトイン、組み込んでおかなければ、最終的にはメディアの系列化、巨大化、画一化が進んでしまうのではないかという懸念を持っておりますので、ぜひこのあたりを注視して二〇一一年を迎えていただきたいというふうに私は思います。

 もう一つでございますが、今回の地方自治法の改正の中に地方議会の制度のことも含まれているわけであります。地方議会に対していろいろと自由度を持たせるということは重要でありますが、午前中の議論にもございましたが、私は、地方議会について余りにも自治法で事細かに書き過ぎているのではないかという気がするわけであります。地方議会はもう地方の自主性に任せてどんどんやらせるべきだというふうに思うわけです。

 その中で一つの事例でありますが、現行地方自治法の九十一条の第二項ですか、市町村議会議員定数に上限を設けているわけですが、この上限を設けることの意味というのはあるんでしょうかね。私は、議会は、もうボランティア的でたくさんの人が参加するという議会もあってもよいでしょうし、少数精鋭で報酬を高くして専門性を高めるという議会があってもいいと思うのでありますけれども、このあたり、大臣、いかがでしょうか。

高部政府参考人 定数の定め方についても若干の変遷はございましたけれども、現在は定数に上限を設けているところでございます。

 この趣旨は、明治以来、法定定数制度が維持されてきた、人口段階で幾らという定数制度が維持されてきたという歴史的経緯や地方行政を取り巻く環境にかんがみて、法律において何らかの基準を定めておくことが適当ではないかというような観点から定められているというふうに思っております。

 今の点、御指摘ございました点については、これもいろいろ議論があったところでございますが、先般答申をいただいた二十八次の地制調の答申の中でもいろいろ議論されたんですが、これにつきましては、条例定数制度が施行された平成十五年一月一日からまだ日が浅いこと、市町村合併に伴う定数特例、在任特例が平成二十二年三月の合併まで適用されることなどの事情から、少なくとも当分の間は現在の制度を維持することとし、その後の制度のあり方について引き続き検討すべきものとされたというような経緯があるところでございます。

 この趣旨を踏まえて対応してまいりたいと考えているところでございます。

逢坂委員 質疑時間が終了いたしましたのでもうやめにしたいと思いますけれども、午前中の議論にもありましたとおり、実は、地方議会については、いろいろ自由度があるというところが余り地方に伝わっていない、あるいは、予想外に締めつけがというか、ある種の規制が多いということも伝わっていないというところもございますので、私は、分権の観点からいいますと、地方議会には、もっと議会制度というものが法体系上どうなっているかということを知らしめることも重要だと思いますし、自由度を高めていくことも大事だと思います。

 最後に、大臣の御見解を伺って終わりたいと思います。

竹中国務大臣 地方でできることは地方でという中で、地方議会の広い意味での活性化というのは非常に重要な問題だと認識をしております。答申等々でも残された課題等々ございます。我々もしっかりと検討を続けたいと思っております。

逢坂委員 終わります。どうもありがとうございました。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょう私は、第三者納付の問題、それから行政財産について質問をしたいと思います。

 第三者納付の問題についてはせんだって行革特の方でも幾つかの角度から取り上げましたが、最初に政府参考人に伺っておきますが、今回の法案でクレジットカードによる第三者納付が可能になるのはどの分野かという問題ですね。また、法案には「歳入」という言葉が使われておりますので、地方税の第三者納付がもちろんできることになりますが、もともと地方税法第二十条の六には第三者納付の規定があって、地方税もクレジットカードによる納付は可能なものであるというこの点、新しくどの分野ということとあわせて確認をしておきたいと思います。

高部政府参考人 今回の改正の端緒は、構造改革特区の要望の中で提案されたようなものを踏まえて、地方制度調査会の中でも御議論いただいて改正させていただくものでございます。

 クレジットカード納付をすることのできる歳入の範囲につきましては、地方公共団体が住民のニーズ等を踏まえて決定することが適当であるということで、法律案では、クレジットカード納付をすることができる歳入を限定しておりません。具体的には、個々の地方公共団体とクレジットカード会社の契約において定められることになると考えられますが、例えば地方税、水道料金、公立病院の診察費、施設の使用料等々が考えられるということでございます。

 御指摘ございました地方税につきましては、これも御指摘ございました地方税法第二十条の六におきまして第三者納付の規定が明定されておりますので、現行制度上も可能となっていたというふうに考えているところでございます。

吉井委員 これは、最近いろいろなマスコミ等でも紹介されているものですが、カード発行に伴うクレジット時代の生活の危機という問題が、最近もちょうど新幹線の中に置いてある雑誌などでも紹介をされておりました。

 私はそこで、これは政府参考人にあわせて伺っておきたいんですが、消費者被害の問題でいろいろな相談が来ていると思うんですね。例えば、クレジット社会になってきたということで、信販会社がリフォーム詐欺の会社と提携をして、リフォーム詐欺をやって捕まったのが信販契約書を持ってくる、こういうのが随分ありまして、最近も十八社がこれは提訴されていますね。

 私も、リフォーム詐欺、こっちの方は昨年経済産業委員会でも取り上げたことがあるんですが、リフォームで問題になったのは、例えばオリエントコーポレーションとか、サラ金のアコム系のジャックスであるとかアプラスとか、結構大手がかかわっているんですね。それから、これは日弁連の皆さんも頑張って取り上げてこられたダンシング事件というのでは、オリエントコーポレーションとかクオークとかファインクレジット。それから呉服の次々販売というのもありますが、こちらの方では、クレディセゾンとか、サラ金のアコムとDCキャッシュワンを設立しているジャックスという会社、それからセントラルファイナンスとか、要するに、大手信販会社も、詐欺事件等社会問題になっているそういうところに提携したりかかわってきて、わかっていても貸し付けをやるという過剰与信の問題を引き起こしたりしております。

 消費者被害の訴えとして、信販会社にかかわってくるこれらの問題についてどういうものがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

堀田政府参考人 先生御案内のように、国民生活センターでは、各地の消費生活センターを結びますPIO―NETというもので苦情相談情報を収集しております。

 そのPIO―NETで収集されておりますクレジットに関する過剰与信の相談事例、これもいろいろございますけれども、二、三紹介いたしますと次のようなものがございます。

 一つは、展示会場へ出向いたら店長らが親切だったので、毎日のように通っていたところ、しばらくして無理やり高額な健康食品を契約させられた。その後、四カ月のうちに訪問着、喪服、羽毛布団、じゅうたんを次々とクレジットで契約され、合計が三百二十万円になります。年金生活の上、ほかにも借金があって支払えないといった事例が一つでございます。

 それから、年金で一人暮らしをしている高齢の母の預金残高がほとんどないことに気づき、母に事情を聞いたところ、呉服店から分割払いやボーナス払いなどで二年間に十三回も着物等を購入していることがわかった。合計で九百三十万円になる事例でございます。

 それから、郷里の母が死んだ後多額のローンが見つかり困惑している。残された契約書を整理したら残債が八百六十二万円あるということで、床下工事、健康食品、太陽光発電、こういう契約を八社前後と結んでいたといったような事例でございます。

 事例としては以上でございます。

吉井委員 ですから、なるほどこの第三者納付、クレジットカードというのは便利な面とともに、企業自身が社会的にきちんとした行動をとっている企業かどうかということはきちっとよく吟味しなきゃいけない問題だというふうに思うんです。

 次に、私は、政府参考人、金融庁の方に伺っておきますが、昨日からアイフルに対する全店業務停止命令が実施に移っておりますが、今回は消費者金融関係なんですが、このアイフルは信販会社ライフを買収して傘下にクレジット会社を持っておるわけですね。

 改正案のスキームでいきますと、要するにクレジット会社からの立てかえ払いが可能になる。逆に、そこが終了すると納税者なり国保を払う人と役所との関係は終わるわけですね。そこから先は民民間の問題になるわけです。それはそのとおりなんですが、そのときに、民民間ということになると、例えば今のライフの例のようなところが第三者納付した、あなた払ってくださいという話になったときに、なかなか払えないということになると、じゃ、うちの親会社のアイフルを御紹介しましょうということでそこから借りさせる、つまり債権の移しかえですね、あるいは債権譲渡ということもあり得るわけですけれども、今度はそのアイフルが今問題になっているような厳しい取り立てをやっていく、あるいは多重債務への道ということも起こってくるわけですね。

 ですから、通常は、公的な徴収事務の場合は、リストラされて生活が大変だという場合、善意だけれども払いたくても払えないという人については、きちんと納付してくださいとお話に行ったときにその実情がわかれば、これは分割納付をお話しするとか、あるいは延納手続をとるようにしてあげるとか、あるいは減額措置や支払い免除の手続をとるとか、それも大変な事情にあるということがわかった場合には、今度は同じ役所のケースワーカーの人を紹介して生活保護とか、つまり、支払う市民のいろいろな問題についてきちんと把握して対応するというふうになりますが、今度の、この間の市場化テストの例に見られるようなものになってくると、信販系の債権回収会社が催告する、そこから先のカードローンの支払いとかになってきたときに、カードで支払うことは勧めるけれども、なかなかそういう市民のいろいろな状況に応じた対応というのはできなくなるんですね。

 その結果として多重債務の問題とか深刻な新たな社会問題が生まれてきてはいけないわけですから、私は、第三者納付の一面便利な面はありますから、私もよくカードを使いますから、便利な面はあるけれども、同時に、そういうことにならないその仕組みというものをどうつくっていくかというのは、これはよほどよく考えておかないといけない問題だと思うんです。

 金融庁の方は、確認しておきたいのは、アイフルの傘下に信販会社ライフがあると思うんですが、それを確認し、そして総務省の方の政府参考人には、何かそれについての対応というものを考えているのか、これを最初に伺います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 アイフルの連結子会社でございます株式会社ライフ、ここは経済産業局の登録を受けて割賦購入あっせん業を営んでおりまして、クレジットカードを発行していると承知いたしております。

高部政府参考人 まず、今回の改正が構造改革特区の提案に基づいたものということでございます。

 そういうことでございますので、今回、このクレジットカードによる納付の仕組みをとるかとらないかといったこともまずは地方団体の判断になります。それから次に、どういう者にやらせるかということについても都道府県の判断になる。それから、実際の納付に当たって現金で納付するのかカードで納付するのかというのもまた個人の判断ということを踏んでおりますので、特に、地方公共団体という公共的な主体がやることでございますので、御懸念は、例えば収納の成績を上げるようなためにクレジットカードを使うことがないのかというような御懸念だろうと思うんですが、先ほど言いましたような形で制度ができているものですから、今そういう懸念は余りないのではないかと我々考えているところでございます。

吉井委員 私は、ちょっと市場化テストの話を入れましたから話がこんがらがったかもしれませんけれども、要するに、通常は、払いたくても払えない、善意だけれどもという人については、公的な徴収の場合であったらいろいろな対応を考えるわけですね。しかし、民民間の話になるとこれは機械的な話なんです、要するに払ってくださいと、取り立てしかないわけですから。そういうことで新たな問題が生まれないようにすることを、やはり制度をつくるときには考えておく必要があるということを言っているんですが、せんだって、四月二十五日の当委員会での高部参考人の答弁の中では、これは谷口さんの質問に答えて、地方公共団体の規則で定める基準としてはという中には社会的信用の有無ということを挙げておられました。

 つまり、政令で定める中には社会的信用の有無ということになってきたときに、先ほど国民生活局の方にお答えいただいたようなリフォーム詐欺だとかダンシング事件とか呉服などの次々販売などでかかわってきた信販会社、社会的問題を起こしたところとかあるいは今問題になっているアイフルのようなところの系列の信販会社、そういうところは、私は、社会的信用という点ではかなり問題があると思うんですが、しかし、そういうところも、政令で定める者の中には、あるいは地方の定めるこの基準の中には、社会的信用の有無という点ではこういう会社も第三者納付を行うことが可能な会社として入ってくるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。

高部政府参考人 個別具体の判断はそれぞれ個別具体になされるものだと思いますけれども、ただいま委員が挙げました地方公共団体の規則で定める基準というものの中に、財政的基礎の状況でありますとか、知識経験の有無でありますとか、今御指摘ございました社会的信用の有無とか、こういうもの等を挙げたときには、こういうものに照らしてそれぞれの団体が適切に判断されるものというふうに思っているところでございます。

吉井委員 結局、それぞれの団体で適切に判断ということで、社会的信用にかかわる問題、これだけ大きな社会的事件を引き起こしておってもそれが第三者納付のところでは参加できるということになってきて、大体そういうところは全部債権回収会社も持っておりますから、非常に厳しい取り立てであるとか多重債務に追い込んでいくとか、次々と新たな問題が起こるようなことがないように、やはりそこはきちっとした仕組みというものを考えていかないと、私はこれは簡単な話じゃないというふうに思います。

 政令で会社を選択するとして、申請する個人の申し出をどう扱うかということがもう一つありますね。条文上は、本人が申し出た場合にこれを承認することができるとなっているわけです。できるということは、できない場合ももちろんあるわけですが、例えば、申し出者がカード会社との関係で滞納している場合とか、あるいは多重債務という状況にあった場合、これはどうなるのか。この申請者の扱いについて、その基準はどこが決めるのか、どういう内容を考えているのかということも伺っておきたいと思います。

高部政府参考人 一般的な仕組みで私どもが承知している範囲で聞きますと、多重債務者というか、支払いが滞っているといったような場合には、カード利用の申し出があっても、その状況が把握されることによって利用できないというのが一般的だと聞いております。それ以上どこまでやるのかというのは、現在の一般的な仕組みはそういうことの中で、個別に各団体が、こういうクレジットカード納付の制度を使ってどういう仕組みでやっていくのかということを各団体が業者と契約することになろうかと思いますから、そういう中で判断がなされていくものだろうというふうに考えております。

吉井委員 大体、私は多重債務ですというようなことを役所に申し出るときに本人は言いませんからね。通常はこれはなかなか、まずつかむこと自体が大変だと私は思っているんですよ。

 それで、これはこの間、行革特でも紹介しましたけれども、クレジット業界の幹部ですね、クレジット業界は利息による利益を上げるビジネスをベースにして経営する企業であり、延滞者に対する債権回収業務はビジネスの最大の柱の一つだというのがこの業界の考え方です。ですから、できるだけカードをどんどん使ってもらうということ、それ自身がまずビジネスであるし、できれば延滞してくれる人が、大体、さっささっさ払う人は余り商売にならぬわけですよ、手数料ぐらいしか入りませんから。ある意味では、延滞者がまさにこの業界にとっては非常に利益の源になってくるんです。

 この公金のカード払いと、発行している信販会社の徴収業務への市場参入が結びついたときに、参入した信販会社は、カードを使わせると収納率はどんどん上がりますから、これは自治体との関係でいえば成績のいい会社ということになってきます。そういう会社は大体、今実態は派遣やアルバイトを使ってやるわけですから安く請け負うことになりますが、逆に、安く請け負ったんじゃ余り商売にならないわけですね。だから、それだけじゃ市場参入にメリットはありませんから、この最大のメリットというのは、個人情報を入手することと、それからカードの延滞者からの利息収入を上げることとか、債権回収ビジネス。これはまさに信販会社幹部が語っていることなんですが、それは、行き着く先にはカード破産とか多重債務の問題が生じ得る、そういう非常に際どいところなんですね。

 だから、私、ここは大臣に伺っておきたいんですけれども、私もカードをよく使いますから、それは、VISAカードであれ何であれ便利さはありますね。しかし同時に、それは、税とか国保とかそういう世界に入ってきて、しかも市場化テストでその信販系の債権回収会社がかかわりを持ってきたときに、多重債務の問題など非常に際どい問題とすれすれのところへ行きますから、そうならないようにどういうふうな対策なり仕組みをきちんと考えていくのかということが、私は政治的にも考えていかなきゃいけないところだと思うんです。大臣の方で考えておられることがあれば伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 この問題に関する個別の事情を私は存じ上げているわけではありませんけれども、一般的な御質問としてお答えするならば、私は納税しなければいけません、ちょっとお金が手元にありません、銀行からお金を借りました、それで納税をして納税者としての義務を果たしました、これはあり得ることだと思います。それが、今銀行からお金を借りると申し上げましたけれども、カードになって、しかしこれは、機能はファイナンスをしているという限りにおいては同じことであろうかと思います。

 いろいろなビジネス、そして個人の活動において、こういうことを頭から禁止してしまうということはできないわけでありまして、そういうふうに考えますと、委員のいろいろな御心配、御懸念、そういうことは理解をいたしますけれども、やはりそこは、先ほどの例で申し上げるならば、個人情報の管理をしっかりする。個人情報の管理のための枠組みはございます。これは目的外に使用したらだめなわけでありますので、個人情報の管理をしっかりとしていただくということに尽きると思います。

 ファイナンスを受けるということに関しましては、そこがしっかりとした信用力を持っていて、そしてかつ、取り立て等々において違法な取り立てをしない、違法な金利を課さない、そういう中でのまた規制の枠組みはございます。これをしっかりとやっていくということが、やはり我々の社会を考える場合での常識的な答えなのだと思います。

 では、我々総務省のサイドで何ができるか、そういうお尋ねが当然含まれていると思いますけれども、これに関しては、先ほど局長が御答弁させていただきましたように、ファイナンスを行うところがしっかりとした社会的な信用力を持っているところであるのか、もちろん財務の基盤も重要であります。そういうことでしっかりと判断をしていくということ、私たちの役割としてはそれに尽きるというふうに思っております。

吉井委員 私は、第三者納付の問題と市場化テストの問題とが結びついてきたときに、これはもともと、徴収業務への参入というのは電話がけぐらいじゃ商売になりませんから、どうぞカードをお使いください、もともと払いたくとも払えないという人でないと、払ってくれる人相手に催告の電話なんか入れるわけないわけですから、それでカードを使ってもらって、新たなビジネス。これは、今、市場化テストへ参入したいという要望を出してきた業界からの求めているところであり、これは業界幹部の言葉が代表しているとおりだと思うんです。

 そのときに、まず一つの個人情報保護という点については、ほとんどがアルバイト職員ですから、企業との契約ぐらいで守られる話じゃありませんし、そして、カード支払いに移っていったときには多重債務への道につながっていくという非常に危ない問題というのを考えないと、これは単なる第三者納付だけの問題じゃ済まないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、行政財産の一部貸し付けの問題ですが、こちらの方は、地方自治法二百三十八条で、「行政財産とは、普通地方公共団体において公用又は公共用に供し、又は供することと決定した財産」ということになっておりますが、民間へ行政財産をそのまま貸し付けるということが、どうして公用または公共用に供することということにつながってくるのか、これを伺います。

高部政府参考人 委員も御案内かと思いますけれども、行政財産について、これまでも目的外使用許可という仕組みがあり、一定の場合には貸し付け等の対象になってきたものでございまして、今回その対象を拡大しようとするものでございます。

 今回の改正は、地方公共団体において、個々の行政財産の性質を踏まえて有効活用ができるようにすることが重要だという観点から、現行の行政財産制度のスキームを維持しつつ、貸し付け等ができるように所要の規定の整備を図るという考え方でございまして、これも御案内かと思いますけれども、合併等々による庁舎の空きスペースを貸し付けるといったような場合、つまり、庁舎が全体として公用に供しているわけですが、その一部が空きスペースになっているからそれを貸すといったようなパターンとか、空港におけるターミナルビルの底地の貸し付け等々といったようなものを、今回、有効活用という観点から貸付対象にできるようにした、こういうものでございます。

吉井委員 もともと、広く住民が利用する事業者への行政財産の貸し付けというのは、電柱、電纜のように道路占用料を取って貸し付けるとか、当然あるわけですよ。そのまま貸し付けるんだから、行政財産という性格は変わらないわけですね。

 それで、行政財産というのは、普通地方公共団体において公用または公共用に供し、または供するものを決定した財産ということになっておりますから、公用に供するという点では、地方公共団体が事務事業を執行するために直接使用するために保有する財産、公共用というのは、地方公共団体が住民の利益のためにその一般共同利用に供することを本来の目的とする財産と。

 だから、そこはもうはっきりしていて、問題は、民間への行政財産の貸し付けが、どうして自治体の事務に供することになったり住民の一般共同利用に供することになるのか。枠の拡大の話じゃなくて、どうしてそうなるのかということを聞いているんです。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、そのこと自身が、例えば公用になったりとか、住民の用に供するという形ではありません。御理解いただきたいのは、一体的にそういう行政財産として管理していくものの中に一部空きスペースのあるような場合に、それを有効活用していこうと。全体としては公用なり公共用に供しているんだけれども、その一部の空きスペースを有効活用していこう、そういう観点の貸付対象等を拡大するというのが今回の考え方であります。

吉井委員 もともと、行政財産、普通財産の区分というのは、現行のままで手をつけないんですが、条文では、普通地方公共団体において要するに決定した財産ですから、自治体の長が決定すれば、面倒な手続を必要とすることなく行政財産、普通財産になるんじゃないですか。それはそのとおりでしょう。

高部政府参考人 御指摘ございましたように、公共団体で公用ないしは公共用に供さないということを決めれば、それは普通財産になりますが、ただ、今申し上げているポイントは、一体として見たときに公用ないしは公共用に供しているというときに、全体として行政財産と位置づけて管理した方が適切で、その中で一部を有効活用しようという観点でございまして、一体の財産のときに、ある部分だけを普通財産に管理がえするという管理の仕方は、要するに全体として公用を果たしている場合には適切ではないので、現行の行政財産の体系の中で有効活用を図っていこう、これが今回の考え方だと思っております。

吉井委員 何か、全体と一部と言ったら、全体はこれぐらい、一部はこれぐらいという感じですが、全体の中の一部と言っているのがぐっと大きい場合がもちろんあるわけで、要するに、特区などでやっているものをオール・ジャパンにやっていこうというわけですから、特区だけで可能とするんじゃなくて、オール・ジャパンにする。だから、本来住民のために使うべき行政財産を一民間企業の利益のために利用可能とする制度の導入という点で、私は、これは行政財産の運用に風穴をあけていくものだということを言わなきゃならぬというふうに思います。

 それで、本来、地方自治法第一条の二では、地方公共団体とはどうあるべきか、どういうものかということについては、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」とあるわけですね。この総合的というのは、関連する行政の間の調和と調整を確保するという総合性と、特定の行政における企画立案、選択、調整、執行などを一貫して行うという総合性、この両面の総合性を意味するというのが、これまでの総務省、自治省の考え方ですよね。

 その点では、要するに、この部分は公権力の行使に当たるから公が直接行う、この部分は公権力の行使に当たらないから民間が行うとか、これは公が全部運営するんだが、この一部はそうでなくてもよろしいという、その事務の分け方、あるいは行政財産の仕分けというのは、そのやり方というのは、私は、本来ふさわしいやり方じゃないというふうに思うんです。

 そういうふうに簡単に切り分けをしてしまうと、そういうやり方の行き着く先というのは、結局、住民に公的サービスを提供するという自治体の事務がなくなってくる。自治体の役割、住民福祉の増進を図るという地方自治法の基本を踏まえてやらなきゃいけないものが、自治体のやることは公権力の行使だけになってきて、あとはどんどん貸し付けてよろしいとか、これは民間にやらせてよろしいとなってくると、住民には強制を伴う事務だけが自治体に残ってくる。それは、言ってみれば、自治体のあり方が夜警国家ならぬ夜警自治体的になってしまいかねない。住民に対するサービスの提供のないものになってくると、取り締まりや公権力だけの自治体ということになってしまう。これは、地方自治法第一条の二に言う住民の福祉の増進を図るという本来の自治体のあり方と違ってくるわけですね。

 今度の行政財産のこの扱いの問題も、なるほど、見かけ上は、この一角ぐらいいいじゃないかというふうに簡単に発想するかもしれないけれども、しかし、本来、地方自治体というのは、これは地方住民の福祉のために役割を果たすということであるし、そこの行政財産というのはそもそもどういうことなのか。地方公共団体がその事務事業を執行するために直接使用するもの、あるいは地方公共団体が住民の利益のためにその一般共同利用に供することを本来の目的とする財産、ここが本来の財産についての扱いであり、地方自治というものの考え方であるのに、ここに風穴をあけるやり方というのはそもそもおかしいと私は思うんですね。

 そこで、最後に大臣に、こういうふうなやり方を進めていったときに、地方自治体というのが、本来の役割をどんどん切り分けして、これは公権力でやらなくてもいいじゃないですかとどんどん切り捨てるやり方というのは、これは夜警自治体的にやはりなってしまう道につながりかねない。そこのところは、やはり住民福祉の増進を図るという本来の地方自治法に基づく自治体の役割というものをきちっと踏まえたやり方をしていかなきゃならないと思うんですが、この点についての大臣の考えというのを伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 吉井委員の御主張を注意深く聞かせていただいたつもりでございますが、正直申し上げて、こういう制度をつくることが究極的に取り締まりと公権力の夜警国家につながるというのは、ちょっとやはり、私としてはよく理解できなかったところでございます。そういう政府をつくるのか、そうじゃない政府をつくるのかというのは、これは政治的な意思決定の問題であろうかと思います。

 必要な住民行政サービスは、これはしっかりやっていかなければいけません。そのために必要な不動産については、これはまさに行政財産としてしっかりと活用していくというのは、これは変わらない私たちの主張でございます。

 今回の措置は、行政財産として一体的に扱うものの中で非効率に使用されているものがあれば、それは効率的に扱ってもらった方が住民のためによいのではないか、まさにそういう思いからの法律改正でございますので、どのような国家像を目指すかというのは、これはもちろん重要な問題ではございますが、そういうところにいきなり結びつく問題ではやはりないのではないかなという思いで聞かせていただきました。

 住民のサービスはきっちりとやってまいります。

吉井委員 そこの論理がよくつながるように、もう三十分ぐらいあればしっかりお話ししたいところなんですが、それは時間が圧縮されておりますから無理なところがあるんですが、要するに、企業利益につながらなくても住民にとって欠かせないもの、これをきちっとやっていく、地域社会に必要なものをきちっとやっていくという公務の役割、また、それが地方自治体というものの役割ですから、それをどんどん切り捨てといいますか、これは公権力の行使に必要ないじゃないかということにしてしまうと、結局、残ったものは夜警国家ならぬ夜警自治体的になってしまい、それは住民サービスにとっても大きなマイナスになってきますから、そこのところは軽く見ることのできない問題だということを申し上げまして、またの機会に、その間をよくつなぐお話をやりたいと思います。

 終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 地方自治法の一部改正案に対する質問を行います。

 まず第一に、本改正案は、総理の諮問機関たる地方制度調査会の答申に基づいて提案されたものであるというふうに受けとめております。したがって、それなりにハイレベルな審議の産物と受けとめております。

 そこで、まず大臣にお伺いしますが、これは地方税法あるいは地方交付税法改正案の審議の折にも私は質問いたしましたけれども、総理大臣の諮問機関たる地方制度調査会と大臣の私的懇談会である地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、この関係についてどのように考えておられるか、まずその点をお聞きしたい。

竹中国務大臣 調査会と懇談会の関係ということでございますけれども、基本的にこれは役割が違う、性格が違うものであるというふうに認識をしております。

 懇談会はあくまでも私の私的な懇談会、調査会は法律に基づいて設置されるものであって、昭和二十七年以降の非常に長い歴史の中で、各界を代表する方に集まっていただいて、そして答申をしていただく。その答申内容は、政府の政策がそれにそのまま縛られるわけでは決してございませんけれども、やはり非常に大きな重みを持ってこれまでも受けとめてまいりましたし、私自身もそのような思いでおります。

 一方で、懇談会は、今後長期的な行政の方向をどのようにしていったらいいだろうかということに対して、私自身にインプットしてほしい、総務省がいろいろ考えるに当たっての勉強の材料になるようにインプットをしてほしい、そういう位置づけでございます。先ほどからも御答弁させていただきましたように、どういうことが今後重要な政策アジェンダかということを私なりに判断できるように、そのための懇談会を開いてもらっております。そのアジェンダについて、必要なものについては、地制調で正式に、その制度設計等々、より幅広い議論を行っていただくものも生じてまいるというふうに考えております。

 その意味では、同じ平面上で、同じ直線上で、どちらが右左、上下にあるというものではなくて、役割が、性格も基本的に違っているというふうに認識をしております。

 いずれにしましても、懇談会を通して、私自身しっかりとしたビジョンを持って行政に当たりたいと思いますし、必要なものについては、地制調等々でしっかりと議論をしていただきたいというふうに思っております。

重野委員 前回の質問に対する同趣旨の答弁と受けとめます。

 そこで、さきの私の質問に答えて、大臣は次のように答えておられます。一つは、これは役割分担の問題だ、こう言って、次に、私自身のイメージとして、私自身の考え方を固めるという上で、この懇談会で議論をしていただき、さらに、その一定の方向性に基づいて、さらなる肉づけ、制度設計等々については地方制度調査会で深めた議論をしていただく、こういうふうに述べておられます。

 となると、これは、まず地方制度調査会と私的懇談会との関係を見ると、私的懇談会が地方制度調査会の上位に位置づけられて、そこで出た内容を制度調査会が議論する、こういうふうな形に、文脈あるいは答弁の経過はそういうふうに受けとめられるんですね。その点について、大臣、そのように私は受けとめるんですが、それでいいですか。

竹中国務大臣 上位下位ではないということは、何回かきょう御答弁をさせていただいたつもりでございます。決してそういうことではございません。

 私が申し上げたいのは、どういうことが今後時代の変化の中で重要な政策的なイシューになるか、そのアジェンダを私自身がしっかりと、総務行政の責任者としてしっかりと把握できるように、今いろいろ懇談会で議論をしていただいて、そして私にインプットしていただくわけでございます。

 その上で、これは地方制度調査会に諮問をするわけでありますけれども、何を諮問するかというのは、これは行政の責任者である私がしっかり考えて、そして総理に御相談しなければ、何を諮問するかというアジェンダも出てこないわけです。全く白紙で、何かわかりませんけれども、よいことがあったら議論してくださいというのでは、私は諮問にならないと思います。先般も地制調で、例えば道州制について諮問してほしい、これは、道州制というのが一つの時代の流れであろう、したがってこれを議論する必要があろうということに関しての一つのアジェンダを持っていた上でこれが諮問されたわけでございます。その意味では、どちらが上位とか下位とかという問題ではもう全くないというふうに考えています。

 いずれにしても、地制調は大変重要な議論の場であり、国民の各界層、非常に幅広い専門家が集まってくださっている場でございますので、そういった場で議論すべき、国民的な議論をすべき制度設計等々の大きな問題は、これはぜひ地制調で議論をしていただかなければいけないというふうに考えております。

重野委員 どうも納得できないんですね。前回大臣はこのようにも答弁しているんですよ。「そのような形に持っていけるように」、この「そのような形」とは、私の考えを固めて、その一定の方向性に基づいて、その上で地方制度調査会云々ということを指しているわけですよね。「しっかりと懇談会での方向性の議論を深めたい」、これが答弁。これは議事録を読んでみればそのように書いておる。

 この大臣答弁の意味するところは、今大臣は、上位というのを、余りこだわらないというふうな言い方をされておりますけれども、この大臣答弁の意味するところは明らかに、懇談会で固めた大臣の考えや一定の方向性に基づいて地方制度調査会で議論する、つまり、懇談会で地制調の議論の枠組みを固めるということを言っているんじゃありませんか。だから私は役割分担論ではなくて上位論という言葉を使うんですが、そのものじゃありませんか。もっとはっきり言えば、地方制度調査会論議に対する議論の枠組み、これをそこで固めるとさえ言えるのではないか、このように思うんですが、その点については大臣どのように。

竹中国務大臣 私は、今この瞬間、この総務行政の責任者でございますから、責任者として、その方向、今後の行政の方向について、自分なりの考えを持ってしっかりとした判断をしなければいけないと思っております。したがいまして、それに基づいて今後どういうアジェンダの設定が必要なのかということを、これはやはり私がしっかりと判断をしなければならない、それが私の役割であると思っております。それについてアジェンダが設定されて初めて諮問される内容が決まるのではないでしょうか。

 例えば今、今後、道州制のような広域的な自治体が必要なんでしょうか、それとももっと自治体を細かく割るような方向が必要なんでしょうか。道州制の議論をしてくれという段階で、これはやはり広域行政が必要だからそれをしてくれということがその諮問の裏に当然のことながら含まれているのだと思います。そういう方向を私なりにしっかりと把握しておきたい、そのための懇談会でございます。

 しかし、制度設計というのは、これは非常に幅広く議論をしていただかなければいけません。専門家にもしっかりと詰めていただかなければいけません。そういう場として、地制調というのは大変ふさわしい、重要な場であるというふうに思っております。

 そういう意味で、どちらが上位、下位とかいう問題ではない。これは諮問をしなければいけない、これはもちろん総理が諮問されるわけですけれども、総理からこういう諮問をしていただくということを私なりにやはり判断していかなければいけないと思っておりますので、そういう枠組みで考えているということを御理解賜りたい。どちらが上位、下位という問題ではないというふうに理解をしております。

重野委員 それじゃ、今までこの地方制度調査会というのは、もう長い長い歴史があります。それに諮問する段階で、今回竹中大臣がとっておられるような、そういう私的な懇談会を先に設置して、その上でこの調査会に諮問するというような手法をとった歴史が今まであるんですか。

竹中国務大臣 地制調に関してそのようなものがあったかどうかというのは、私は承知をしておりません。あったかなかったかということが私はそれほど大きな問題だとは思っておりません。

 ただ、私自身の経験でいいますと、金融の不良債権処理の問題を考えるに当たって、私は私的な懇談会をつくりました。そしてインプットをしていただきました。その上で必要なプログラムを私の責任においてつくりましたけれども、さらに審議の必要な問題につきましては金融審議会でそれを議論していただくような手続をとりました。私はそのときと同じであるというふうに考えております。

重野委員 かつて地制調で議論されたあるいは検討した内容と、そして今まさにまとめの段階に入っておられますこの懇談会の議論のテーマというのは、ほとんど同質の内容であると私は見ております。

 だからこそ私は、先般の質問、そして今回の質問も、この懇談会の検討内容、それこそが地方制度調査会の検討課題であって、私は、立脚点のあいまいなというふうな言い方は失礼かもしれませんが、そういう私的な懇談会で取り扱うべきではないのではないか、そういう問題意識からきょうの議論は出発しているわけです。

 そこで具体的に聞きますけれども、懇談会は去る二十八日、中間取りまとめを行っておりますが、この中間取りまとめの性格、これは一体どういう性格のものなのかということが一つ。

 それから、五月には最終報告としてこれを取りまとめて、経済財政諮問会議に提起し、六月には政府のまとめる骨太の方針に反映させる方針と聞いておりますが、それは間違いありませんか。

 その二つ、答弁してください。

竹中国務大臣 まず、中間取りまとめの性格、ちょっと性格というのはどういう答えが期待されるかということなんでございますけれども、当然のことながら、委員の間でもいろいろな問題意識の差異、いろいろな御意見がございます。そうしたことを踏まえて、座長の方で素案をつくって、皆さんが議論してきたことは結局はこういうことではないのかということの取りまとめ案を先般お示しされて、その場で、いや、それはこういう意味じゃない、ここはもっとこういうことを自分は言いたいんだということを活発に御議論いただいて、それで中間的なまさに取りまとめを行ったわけでございます。

 しかし同時に、そのときに、まだ議論を尽くさなきゃいけない問題としてはこういうことがある、これはまだ議論されていない、そういうような問題点も指摘をされております。さらに議論を深めて、そして五月中に懇談会としての取りまとめはしていただきたいというふうにお願いをしております。これが第一点です。

 第二点の問題は、骨太方針は、御承知のように小泉内閣になってから毎年、年央に取りまとめを行っております。小泉内閣になってからこういうことを始めたわけでございますけれども、政府としてのまさに政策の基本的な方針を政府・与党一体となって議論して、正式な閣議決定をこれまで五回行っております。今年度も当然それを目指して、経済財政諮問会議で幅広い議論を行っております。

 私としては、総務行政の責任者として、こういう方向で政府としての意思決定をしてほしいということを提案する、提案しなければいけない立場にございます。それとこの取りまとめとの関係でございますけれども、政府・与党で合意が得られる問題につきましては当然この中に盛り込んでいただきたいという思いがございます。しかし、これが全部織り込まれるかどうか、これはわかりません。これは各省庁でいろいろな毎年多数の提案がなされます。その中で政府として合意できることについては骨太の中で合意しますけれども、各省庁が提案したけれども政府としては合意できないということもございます。また、総務省としていろいろ骨太の中に御提案申し上げることの中には、この懇談会以外のことも多数ございます。これはもう、したがって毎年、毎年というか過去五年ですけれども、繰り返してきたことだと思っております。

 そういうふうに一歩、半歩進めるために、閣議で決定できるものは方向として決定したいという思いがございますけれども、それはやはり政府・与党一体となっての議論でありますので、今後非常に幅広く、政府の中でも、また与党の先生方とも議論を深めていきたいというふうに考えております。

重野委員 いずれにしても、この五月末には最終報告を取りまとめるということがはっきりしたわけであります。

 そこで聞きますが、新委員が任命されて地方制度調査会が発足するのはいつごろになるんでしょうか。

竹中国務大臣 お尋ねは、先般、第二十八次の地制調でございました、次期二十九次の地方制度調査会の立ち上げ時期はいつかということでございますけれども、この立ち上げ時期につきましては、所管でもあります内閣府とも協議をしまして、そして、諮問事項を含めて、今後政府において総理の御判断を得て決定をしなければいけない、そういうプロセスになると思います。

 いつごろかと。そのためにも、その諮問事項をしっかりと私自身で把握できるような状況に一刻も早く持っていきたいわけでございますけれども、最近の例では、一つの報告が出されてから一定の間隔を置いて立ち上げているというふうに承知をしております。これも前例に決してとらわれるべきものではありませんけれども、最近の例では、短いもので二カ月ないし三カ月、長いもので十二カ月の間隔を置いて設置されたものがあるというふうに承知をしております。

 私としては、諮問事項を明確にした上で、恐らく諮問させていただかなきゃいけないことはかなりあると思いますので、できるだけ早くその立ち上げを、立ち上げといいますかスタートをお願いできるような状況に持っていきたいと考えております。

重野委員 現段階において、地方制度調査会がいつスタートするということはまだ定かでないと。したがって、もちろんそのメンバーをどういう人にするとかそういうことも含めてまだ星雲状態、そういうふうな理解でいいんですか。そして一方、大臣の懇談会は間もなく結論を出す。こういうタイムラグになっておる、そういうことでいいんですか。

竹中国務大臣 二月の末まで地制調に御活動をいただいてまいりました。それを受けて今、我々、必要な法制化ないしは法律の御審議等々いただいております。

 いつ地制調が立ち上げられるかについては、これはまさに次のアジェンダといいますか諮問事項を明確にする必要がある、そういう段階であると思っております。いつになるか、星雲状態かというふうに聞かれましたら、実は現状ではそのとおりだというお答えになろうかと思います。しかしながら、私なりにしっかりと諮問事項、アジェンダを明確にした上で、できるだけ早くいろいろな御審議をしていただけるような状況に持っていきたいと考えております。

重野委員 今の答弁を聞いて感じますのは、六月の骨太方針に何が何でも、大臣、懇談会の議論の経過を含めて、受けとめた内容を政府方針化する、そういう決意表明と私は今受けとめたんですが、そういうふうな受けとめでいいんですか。

竹中国務大臣 いや、何が何でもそんなことをするとは私は一言も言っておりませんし、私は半年前までこの骨太方針を取りまとめる立場におりましたけれども、これは、各省庁からこういうことを政府の方針にしてもらいたいというようないろいろな要望が出てまいります。しかし、その中で政府・与党一体となって一つの合意を形成するのは大変な作業です。私は、懇談会は懇談会として、せっかく専門家に集まってもらっておりますから、それは取りまとめをしていただきたいと思いますが、それがそのまま骨太になるなどとは全く考えておりません。

 先ほどから申し上げておりますように、そういった問題に基づいて、まず私にインプットしていただいて、その上で私が正式に問題提起をして、政府・与党の中でこれから議論を重ねていかなければいけない。地方にも御議論をいただいています。その上で、方向として合意できるものについては、これはぜひ骨太の方針で半歩、一歩前進をさせたいというふうに思っております。

 一方で、もう一つ、今回の骨太方針の関連で申し上げると、やはり歳出歳入一体改革の議論というのは、これはもう以前から、ぜひその中心項目として議論しようということで、諮問会議で中心的な議論をしております。その中には、当然のことながら、国と地方を合わせたプライマリーバランスの議論は出てまいりますから、それに関しては当然しっかりと骨太の中で議論をしなきゃいけない。そのための議論は、まさに今、与党の中でも、これは歳出削減がどこまでできるかとか大変な思いで皆さん議論しておられると思いますけれども、そこはやはり全体の議論の中で合意できることを見出していくということであろうと思っております。

重野委員 私が言いたいのは、地方制度調査会というのは、長い長い歴史を持ち、そして今日の地方のもろもろの問題の方向性を示す重要な位置を占めていると私は受けとめています。

 今、竹中大臣になって、私的懇談会ではありますけれども、そこで、地制調でやると、私に言わせれば、それは偶然かもしれませんが、ほとんど同じ内容のものが議論されて、その日程、スケジュールはきっちり決まっているんですね、骨太方針もいつ出ると。それに向けてそういう作業が進められている。これは一体どういうことなんですかという私の問題意識です。これは議論が平行線ですから、もうそれ以上言いません。

 そこで、監査制度の問題について聞きたいと思います。外部監査についてです。

 この規定は、二十五次地方制度調査会答申に基づいて、一九九七年の自治法改正によって創設されたものでありますが、このとき、自治法に新たに十三章として「外部監査契約に基づく監査」を設けた。このときに、かつて我が党の議員から、これは地方自治制度において基本制度ではなく特例制度であるという指摘がされました。時の政府は、これを結果として特例的な規定ぶりになったと認めて、さらに、特例的な制度であれば外部監査機構の創設も視野に入れる必要があると我が党が指摘をしました。それに対して、導入後の状況を踏まえ検討すると政府は答弁しております。

 これができて九年が経過いたしました。この特例的とも言える外部監査制度について、この間いかなる検討を行ってきたのか、また、今後いかなる制度的組織とするのか。この点について、大臣の見解をお聞きしたい。

竹中国務大臣 御指摘の点は、地方公共団体の共同の外部監査組織の設置かと思いますが、それにつきましては、第二十五次の地制調におきまして、その実現可能性そして外部監査制度としての弾力性の観点を考慮して、個々の地方公共団体がそれぞれ外部の監査能力を有する者の監査を受ける方式をまず導入すべきというふうにされた。そして、現在の制度の導入に至っているというふうに承知をしております。

 この外部監査制度の施行から御指摘のとおり九年余り経過しております。総務省においても適宜その実態把握等を行っているところでございますけれども、現行制度は、外部の専門家の知見を通じて、地方公共団体の事務を効率化させる、さらには不正の防止等々、そういった役割を果たしているというふうに認識をしております。

 なお、外部監査組織の設置については、外部監査の実施状況を踏まえて、地方公共団体の意見も伺いながら、引き続き検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。

重野委員 そういう経過がありますから、今大臣答弁されましたけれども、ひとつそういう問題意識をずっと持って対応していただきたいということを申し添えておきます。

 次に、一九九一年の自治法の改正で、行政監査の権限付与、退職職員の選任制限の創設、委員の一部常勤化の義務づけなどが図られました。そして今回、二十八次答申に基づきまして、識見を有する者から選任される委員の定数を条例で増加できるとしております。

 この識見を有する者の選任について条例にゆだねるということになった経緯、あるいは考え方の基本についてお聞かせください。

竹中国務大臣 なぜ条例にゆだねるのかということだと思いますが、地方分権の進展で、自己決定権そして自己責任が言うまでもなく拡大をしています。それに伴いまして、地方行政のあらゆる分野で公正で効率的な運用が求められている、そして監査機構の果たすべき役割は従来にも増して極めて重いものになっているというふうに思います。

 今回の改正案の趣旨でありますけれども、地方公共団体の実情に応じて、まさに実情に応じて監査機能の充実を図っていただく必要がある。そういう観点から、地方公共団体からの要望も踏まえまして、識見を有する者から選任する監査委員の定数を条例で増加することができるものとするものでございます。まさに実情に応じてということ、そして地方公共団体からの要望も踏まえてこのような対応をとっております。

重野委員 次に、もう時間もありませんので急ぎますが、出納長、収入役の廃止問題です。これによって、実際の会計事務への影響というのはないんでしょうかという疑問を持つんですが、この点について。

高部政府参考人 今般の改正によりまして、特別職たる出納長、収入役を廃止することといたしておりますが、会計事務の適正な執行を確保する必要性の認識については変更ないところでございます。

 そこで、今般の改正におきましては、会計事務に関して独立の権限を有する一般職の会計管理者を置くことにより、適正な会計事務の執行を確保することとしているところでございます。

重野委員 局長、さらっとそのように言いますけれども、この改正法百七十条にも規定されておりますが、廃止に伴って置かれる一般職たる会計管理者の権限は、出納長または収入役の権限に属する事務処理、こうなっているんですね。現行の出納長または収入役と権限が変わるものではないんだというふうに理解しますが、間違いありませんか。それが一つ。

 それから、権限は変わらないとしまして、議会との関係はどうなるんでしょうか。これまでは特別職として任命に際しては議会の同意を必要としておりました。同じ権限を有する者が一般職であるがために議会の同意を必要としないことになります。議会との緊張関係は低下するのではないか、このように私は考えるんでありますが、その点についてはどのように考えておられるか。

 それから、一般職員という立場で果たして会計管理者としての独立性というものが確保できるのかということですね。場合によっては身分上の不利益をこうむることもあり得るし、そうでなければ、重責を担う立場から一般職員以上に住民訴訟の被告となりかねない場合もあるわけで、その意味では、私はこの問題は非常に大きな問題をはらんでおるというふうに受けとめるんですが、この点についてお聞かせください。

高部政府参考人 たくさんの論点を御指摘いただきましたけれども、権限的には同じでございます。

 委員も御案内のように、今回の改正は、何せ収入役の制度は明治二十年代の市制町村制の時代にさかのぼる非常に古い制度でございまして、最近の会計事務の変化の中で、特別職を置く必要まではないのではないかという観点から、今回このような改正をさせていただいているところでございます。

 それで、議会との緊張関係はどうかということでございますが、議会については、決算認定とか監視機能を持っているわけでございますし、そういうことで、会計管理者の職務と議会の議決事件とか監視機能とは密接にかかわってくることには変わりないわけでございまして、緊張関係がどうこうということは特にないのではないかと思っているところでございます。

 それから、一般職となったといたしましても、一方で公務員法上のいろいろな身分保障というのは定められているところでありますし、一方、いろいろな責任等も定められております。また、監査委員とか議会とかのチェックといったこともあるわけでございまして、全体として適正な会計事務の執行は担保されるのではないかというふうに考えているところであります。

 また特に、住民監査請求、住民訴訟の御懸念を御指摘くださいましたけれども、現実に、ちょっと古いデータでございますけれども、平成六年から平成十一年にかけての住民訴訟の件数を調べたところでございますけれども、八百六十三件中、出納長または収入役に対するものは五十一件、五・九%といったような状況でございます。私ども、自治の現場の中で感じますのは、こういう請求を現実的に受けておりますのは、支出負担行為を担当する、言ってみれば長ないしはそういう権限を有する職員ということになることが多いわけでございまして、特にこういうことで負担が過重になるといったようなことはないのではないかというふうに思っているところでございます。

重野委員 終わります。

中谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、行政財産の貸し付けを一般民間事業者に拡大することによって、住民の財産である土地や建物を民間企業の営利活動に利用させるだけでなく、自治体の本来業務の縮小や住民サービスの後退をもたらすことになるからであります。

 自治体の行政財産は公用または公共用に供する財産であるため、譲渡や交換、貸し付けや私権の設定などは原則禁止されています。法案には、この行政財産を一般民間業者に貸し付けたり、私権の設定ができるという内容が含まれています。行政財産には、庁舎など自治体が本来的業務や事業を直接実施するために所有している財産と、学校や保育所、公園や病院など住民の共同利用に供するために所有しているものとがあります。限定的とはいえ、これら行政財産の貸し付けの道を一般民間事業者に開くことは、住民の財産である土地や建物を営利活動に利用させるだけでなく、自治体の本来業務からの撤退や住民サービスの後退をもたらし、現在進められている保育所や図書館などの民間委託を一層促進することになります。

 第二は、出納長、収入役の廃止であります。

 出納長、収入役は、会計事務が法令に従って正確に執行されているかどうかをチェックする独自の役割を持っており、長から支出命令があった場合でも、その命令が法律や予算に違反していないこと、支出負担行為に係る債務が確定していることを確認しなければ支出することができないとされ、これらの確認ができない場合は支出を拒否しなければならないとされています。また、同じ三役でも、副知事や助役は任期中に長が解職することができますが、出納長や収入役については任期中の解職はできないとされております。その職務の確実な執行を期待されているからであります。法案は、この出納長と収入役を廃止して会計管理者をかわりに置くとしていますが、会計管理者は出納長や収入役のように長からの独立性が保障されておらず、長に対するチェック機能の後退は明らかであります。また、会計管理者の選任に当たっては出納長や収入役に必要とされていた議会の同意も省かれており、これは議会側のチェック機能の後退をもたらすことは明らかであります。

 なお、法案は、クレジットカード会社を指定代理納付者として位置づけ、第三者納付、すなわちカードによる公金の納付を制度化しようとしています。先般も消費者金融の大手アイフルが違法な取り立て等を理由に金融庁から業務停止命令を受けましたが、このアイフルも傘下にクレジットカード会社を持っており、今回の改正がカード会社による違法取り立てや多重債務など社会問題を引き起こす土壌とならないように、厳正な法の運用が必要であることを指摘して、討論を終わります。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案について反対討論を行います。

 反対の理由の第一は、行政財産である建物の一部貸し付け等の問題です。安易な貸し付け等の拡大は、民間営利企業のもうけのために住民の財産を提供しようとすることにつながりかねず、行政の関与が弱くなり、公平、公正が損なわれたり、公共サービスの質が低下したりするおそれがあります。住民や利用者のコントロールが届かない安易な民間開放は問題があると言わざるを得ません。

 反対の理由の第二は、出納長、収入役の廃止に伴う問題です。一般職の会計管理者では、長に対する立場が弱体化し、会計事務の適正な運営、財務支出などの公正な執行に不安が残ります。また、一般職の会計管理者は、身分保障は一般職であるのに、住民に対する責任は重くなるという問題もあります。

 改正案のうち、自治体の自主性、自律性を拡大させる措置や議会の権限強化の部分については賛成ですが、以上の看過できない問題点があり、反対するものであります。

 以上です。

中谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより採決に入ります。

 地方自治法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、谷公一君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。

谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の事項に十分配慮すべきである。

 一 国の個別法令による地方公共団体の事務の義務付けや事務事業の執行方法・執行体制に対する枠付けと関与が地方分権の進展と地方行財政の効率的執行を阻害する傾向があることにかんがみ、政府は、地方公共団体の自主性・自律性を高める観点から、法令の点検を鋭意推進し、適切な見直しに努めるとともに、新たな法令の制定に当たっては、極力このような義務付け等を縮小すること。

   特に自治事務については、原則として、国は制度の大枠を定めることに留め、地方公共団体が企画立案から管理執行に至るまで条例等により行うことができるようにすること。

 二 地方議会の機能の充実強化を図るため、議決事件の拡大、調査権・監視権の強化、議会の内部組織権の拡充、議会の独立性の確保のため必要な議長権限の付与等について、引き続き検討を行うこと。

 三 行政委員会制度については、地方の自主性・自律性を拡大するため、必置規定の見直し、組織・運営の弾力化等について、地方公共団体の実態を十分に踏まえ、引き続き検討を行うこと。

 四 住民投票制度については、対象とすべき事項、長や議会の権限との関係、投票結果の拘束力の在り方等について、引き続き検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹中総務大臣。

竹中国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

中谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十一分散会


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