衆議院

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第23号 平成18年5月25日(木曜日)

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平成十八年五月二十五日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      浮島 敏男君    岡部 英明君

      奥野 信亮君    上川 陽子君

      木挽  司君    桜井 郁三君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    谷本 龍哉君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      永岡 桂子君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 良彦君

      山本ともひろ君    渡部  篤君

      逢坂 誠二君    田嶋  要君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    横光 克彦君

      富田 茂之君    古屋 範子君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   参考人

   (政策研究大学院大学教授)            大田 弘子君

   参考人

   (岡山県知事)      石井 正弘君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     浮島 敏男君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     あかま二郎君

    ―――――――――――――

五月二十四日

 ゆうメイトの雇用を守り、労働条件の改善を求めることに関する請願(川内博史君紹介)(第二二〇七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二六八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二六九号)

 地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律案に反対し、議員年金制度の廃止を求めることに関する請願(江田憲司君紹介)(第二三一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 地方自治及び地方税財政に関する件(地方行財政制度改革)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 地方自治及び地方税財政に関する件、特に地方行財政制度改革について調査を進めます。

 本日は、参考人として、政策研究大学院大学教授大田弘子さん及び岡山県知事石井正弘君、以上二名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人の先生方におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、大田参考人、石井参考人の順で、それぞれ十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、大田参考人からお願いいたします。

大田参考人 おはようございます。大田でございます。地方分権二十一世紀ビジョン懇談会の座長をしております。

 懇談会につきましては、お手元に資料をお配りさせていただいております、「ビジョン懇談会の概要について」というところにございます。一月十二日からこれまで十回開催しております。このビジョン懇談会では、地方分権のあるべき姿をまずは自由に議論しよう、そこから当面のとるべき政策を考えようということでこれまで議論してまいりました。

 これまでの議論で出てきました改革の方向としましては、主に次のような点がございます。

 まず第一。国と地方の関係を上下という縦型ではなくて対等の横型にする、それから、複雑な仕組みではなくて単純明快なものにする、これが一点でございます。

 それから二番目としまして、地方の行政サービスは、国が決定し国が監視するのではなくて、住民が選択して住民が監視するということ。自己決定、自己責任というのがキーワードでございます。例えば自治体が新しい行政サービスを始めようとしたときに、住民は負担との見合いでそのサービスを選択するかどうかを判断できるような状態にするということが望ましいと考えております。

 三番目。昨年、もう既に日本の総人口は減少に転じました。この人口が減少するということを直視して、その中で持続可能な仕組みをつくるということが必要と存じます。地方でも簡素で無駄のない政府をつくるということが重要であると思います。

 それから四番目。徹底した情報開示を行うということです。特に、住民が自分の自治体とよその自治体を比べられるような横断的な情報をしっかりと出していくということが地方分権を進める力になると思っております。

 このような議論を踏まえまして、四月二十八日に中間取りまとめを行いました。それにつきましては、もう一つの資料で御用意いたしております。「ビジョン懇談会の中間取りまとめ」という三枚の紙がございます。この一枚目が総論でございまして、ただいま申し上げたようなことが書かれております。二ページ目が各論です。

 各論について御説明させていただきます。

 各論は八つの柱ででき上がっております。

 まず第一、新分権一括法の提出。

 地方の自由度を拡大するためには、国の基準づけですとか規制を大胆に減らすことが必要です。これとあわせて、自治事務の執行基準は原則として条例で定めるという基本方針で、国と地方の権限と責任を抜本的に見直していく、そのための法律を早期に制定するということを提案しております。

 二つ目、地方債です。

 地方債は財源調達の重要な手段ですので、地方がみずからの判断と責任で調達するという姿に近づけるように環境整備をしていくことが必要と存じます。その際、財政力が弱くて単独で地方債を発行できない、発行が難しい自治体がございますので、そこにつきましては何らかの形で共同発行の仕組みをつくっていくことが必要と考えております。

 それから三番目、いわゆる再生型破綻法制の整備。

 ここで破綻という言葉を使っております。新聞等でも随分話題になりました。破綻という言葉を自治体に使うのがいいのかどうか、これは法律面でも幾つか難しい面があるということは承知しております。また、自治体ですので、民間の企業とは違いまして、行政サービスというのはどういう状態でも続けていかなくてはいけない。ですから、破綻でありましても清算型破綻というのはあり得ないことでして、あくまで再生型の破綻ということが当然の方向と存じます。

 その上で、こういうことを踏まえて、仮に財政運営の失敗があれば、そのことの責任はやはり明確にする必要があるのではないか。少なくとも、どういう状態が自治体の財政運営にとって破綻という状況であるのか、その意味するところを明確にすることが必要だと思います。破綻と呼ぶ状態が明確になることで、それを回避するための取り組み、あるいは早期是正のためのルールが明らかになってくると思っております。現在の制度ではルールも責任も明確ではありませんし、財政上、ストックに関する概念も欠けております。やはり見直しの必要があると考えております。このような意味を込めまして、いわゆる再生型破綻法制という表現をとっております。

 具体的にどういう名称で、どういう制度設計をするのかというのは、これから十分に議論をして詰めていくべき課題だと考えます。

 四番目、税源配分。

 地方がみずから税を集めるということが自治の根幹だと考えております。したがって、歳出比、現在国が四、地方が六ですけれども、これに見合った税収水準になるべく近づけていくことが必要だと考えます。そして、交付税に依存しないで済む自治体の比率をふやしていく。まずは、人口が一定規模以上の団体、例えば人口が二十万人以上の団体の半分以上が不交付団体になるようなことを目指してはどうだろうかというような議論をしております。

 税源を配分するに当たりましては、税源が偏在しないように配慮するということ、それから課税自主権を拡大するということが当然重要になってまいります。

 三ページ目に参りまして、五番目、交付税改革です。

 現在は、自治体の歳出の大半は国が決めて、それを交付税によって財源措置する仕組みになっております。しかし、本来は、歳出はそれぞれの自治体が決めるというのが望ましい方向だと思います。ただ、自治体間で大きな財政力の格差がございますので、それが調整されるように一定の歳入は保障する形で自治体間の財政調整を行う、そして、その範囲内で何に使うかは自治体が決めるというのが交付税の望ましい方向だと思います。しかし、現在は国の基準づけが細かくありまして、それが自治体の自由を奪っていると同時に、交付税を非常に複雑なものにしております。

 そこで、まず、基準づけがない部分、これは基準財政需要の一割ぐらいしかないんですけれども、この基準づけがない部分につきましては、人口、面積など簡便なものを基本として新しい交付税にしていくということを提案しております。一方で、真に配慮を要する自治体に対しましては、対応できる仕組みを確保することが必要と考えます。

 六番目、補助金です。これは、既に地方から提案がなされておりますので、大胆に廃止、縮減する。

 行革も新しい指針を策定して進める。

 道州制もその移行を含めて検討していく。

 重要なことは、これら八つの柱を一体として進めるということです。地方行財政は全体が関連し合って一つの仕組みになっておりますので、全体の姿を描いて進めることが重要と考えます。

 今後のスケジュールですが、明日、最後の懇談会になりますので、一応の意見の集約を図りたいと思っております。

 御指導どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

中谷委員長 どうもありがとうございました。

 次に、石井参考人、お願いいたします。

石井参考人 全国知事会の中で総務委員会委員長を務めております岡山県知事の石井正弘でございます。

 本日は、地方の実情を聴取していただくということでお招きをいただきまして、大変ありがたく光栄に存じているところでございます。

 お手元に、私がこれから御説明させていただきます内容につきまして資料をお渡しさせていただいておりますので、それをごらんいただきながら私の申し上げることを聴取していただければ、このように思っております。

 御案内のとおり、平成五年の六月に、地方分権の推進に関する衆参両院決議がなされまして以来、十数年にわたりまして、中央集権型行政システムから地方分権型行政システムへ変革する取り組みが行われてまいりましたけれども、いまだ真の分権型社会を構築するには至っていない、このように我々は受けとめております。

 国と地方の役割分担を明確にする、そして、国から地方へ大幅な権限と財源を移譲するということによって、地方自治体の権限、財政面での自主性、自立性を確保することが不可欠であります。

 平成十八年までの今回の三位一体の改革におきましては、確かに三兆円という本格的な税源移譲が行われたということにつきましては、地方分権を進めていく上で大きな前進ではある、このように受けとめております。しかし、内容を見ますと、単なる国庫補助負担率の引き下げとか、あるいは国の関与の見直しが全く行われていないなど、地方の自由度が高まったというふうには言えないということでありまして、分権改革は未完である、このように我々は受けとめております。

 この期間中、地方交付税は大幅に削減されました。御案内のとおり、三カ年で五・一兆円という大幅な削減でございます。地方自治体は極めて厳しい財政運営を余儀なくされております。

 我々地方六団体におきましては、このたび、平成十九年度以降の分権社会のビジョンを提言するということを目指しまして、新地方分権構想検討委員会を設置し、この五月十一日、同委員会から「分権型社会のビジョン(中間報告)」の提出を受けたところでございます。

 平成十七年十一月三十日の政府・与党合意にも示されておりますとおり、地方分権に向けた改革には終わりがないということでございまして、我々、十九年度以降もさらなる改革を強力に推進していく必要がある、このようにとらえているところでございます。

 以下、数点につきまして、改革の推進のための具体的な内容につきましてのお話をさせていただきますので、必要不可欠な私たちの考え方を受けとめて、御理解と御尽力をお願いいたしたいと思います。

 まず第一点目は、地方税の充実強化であります。

 先ほど大田参考人の陳述にもございましたけれども、国と地方の最終支出の比率と租税収入の比率において大きな乖離が生じております。四対六、そしてそれが六対四ということでございまして、国から地方への税源移譲等によって地方税の充実を図ってこの乖離を縮小することが重要であります。

 今後増大いたします社会福祉など地方が担うサービスに対応していくためには、景気変動による伸長性が少なく、かつ地域偏在性の少ない税目の移譲など一層の充実強化を図るべきであります。例えば消費税等でございます。

 二つ目は、地方交付税の見直しについてであります。

 昨今の議論を我々報道等で承知いたしておるわけでございますけれども、地方交付税を削減すべきであるとか、あるいは地方交付税の財源保障機能の廃止、財源調整機能の縮小等の意見があるところでございますけれども、そもそも地方交付税は、地域社会の存立基盤を維持し、国が定めた一定水準の行政サービスを国民が全国どこで生活しておっても享受できるようにするため、資源の再配分を地方自治体の共有財源で行うというものであります。

 最終支出、例えば社会保障費、公共事業、こういった項目をどのように削減するのか、こういう議論を抜きにいたしまして、中間支出であります地方交付税の削減の数値目標を先に設定するということは本末転倒の議論であろうかと思います。

 地方の歳出は、御承知かと思いますけれども、国が法令等によってその実施を義務づけしたり、あるいは配置基準を設定しているものとか、あるいは国庫補助負担金を支出するものなど、その七割は国が関与する経費で占められているというのが実態でございます。

 さらなる歳出の削減を進めていくためには、国と地方の役割分担を明確にいたしまして、国の過剰な関与を撤廃する、国庫補助負担金の削減あるいは国と地方の二重行政の排除など建設的な議論を進めるべきであります。

 三番目は、国庫補助負担金の見直しの議論であります。

 平成十八年度までの国庫補助負担金改革は、先ほど申し上げましたとおり、国の負担率の引き下げによるものが含まれているなど、引き続き国に権限と財源を温存しているということでありまして、地方の自由度の拡大という観点からはこれは不十分であります。

 今後、地方分権の理念に沿いまして、国と地方の役割分担を再整理して明確化した上で、これに対応して、財政面における自由度を高めるために、真に国が義務的に負担すべき分野を除きまして、原則としてこれを廃止、一般財源化すべきものであると我々は考えております。

 四番目は、国の直轄事業負担金の廃止でございます。

 この問題につきましては、政府・与党合意においては何ら触れられておりません。この負担金は、国の直轄事業が全国的視野のもとに国家的政策として実施をされながらも、地方自治体に対して個別に財政負担を課するというものでありまして、極めて不合理であるということから、早急にこれは廃止されるべきであります。

 五番目は、国の関与、規制の見直しでございます。

 これにつきましては、基本方針二〇〇五におきましても撤廃するという方針が示されているところでございますが、これまで、これに関しましての国の取り組みは全く手つかずの状況であります。

 地方自治体の行財政運営に対する自己決定、自己責任の原則を確立するために、国の関与、規制の見直しを積極的に進める必要があろうと存じます。

 六番目は、国と地方を通じました行財政改革の推進であります。

 まず、地方の行財政改革でありますが、地方自治体は、これまで、市町村合併によりまして行政組織を再編統合するとか、あるいは国に先んじた行財政改革を実行してまいりまして、国を上回る大幅な定員削減や給与カットなど、懸命に行財政改革に取り組んできております。

 給与カットにつきましては、現在五五・一%の団体が独自の職員の給与カットをしておりますし、また、人員の削減で見てみましても、過去五年間、地方は五・一%の削減、一方、国の方は二・五%の削減にとどまっている。十年間の歳出の削減を見ましても、地方は十年間で七・八%の歳出減、これに対して国は一一・八%の歳出増。このようになっているということを見ていただきましても、地方が懸命に行財政改革に取り組んで、この成果が地方のプライマリーバランスの改善に結びついているというものであります。

 今後も、我々は、給与の適正化等歳出の見直しなど自主改革を推進いたしまして、なお一層の効率的な行財政運営に努めるということで、行政サービスの向上とともに財政再建に取り組んでいく所存であります。

 一方、国の行財政改革につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国と地方を通じた改革が必要であるにもかかわりませず、国の方は依然として進んでいない、このように我々は受けとめております。国から地方への構造改革を進めていただきまして、地方に権限と財源を移す地方分権改革を推進するということが、人員削減など国と地方を通じました最大の行財政改革となるものであります。

 今後は、国と地方の役割分担を明確にしていただきまして、先ほど来申し上げております国の過剰な関与の撤廃、国庫補助負担金の削減、さらには地方支分部局の再編統合、こういったことによりまして国と地方の二重行政を排除するなど、おくれております国の行財政改革を徹底、推進するということ、このことが国のプライマリーバランスの改善に資するものである、このように受けとめております。

 七番目、地方分権推進体制の整備でございますけれども、これに関しましては、真の地方分権改革の推進を図っていくために、地方にかかわる事項についての政府の政策立案及び執行に関しまして、国と地方の代表者等が協議を行い、地方の意見が反映されますように、国と地方の協議の場、これを法定化することが必要であると存じます。

 最後、八番目は、新地方分権構想検討委員会の中間報告であります。

 先ほど述べました中間報告は我々が目指すべき地方財政自立のための七つの提言を含んでおりまして、お手元に配付をさせていただいております資料、本文の十二ページ以下に提言が載せられております。七項目ございますので、ごらんをいただきたいと思います。

 地方行財政会議を法律により設置するということ。それから、地方税の充実強化によります不交付団体人口の大幅増。三つ目は、地方交付税を地方共有税にして、法定率を見直し、特別会計に直入、特例加算、特別会計借り入れは廃止をするということ。四つ目は、国庫補助負担金の総件数を半減し約二百といたしまして、地方の改革案を実現するということ。五番目は、国と地方の関係の総点検によります財政の再建。六つ目は、財政再建団体基準の透明化、首長・議会責任の強化、住民負担の導入。最後、七番目に、新地方分権推進法の制定、これらを掲げておられます。

 今後、早急に、この提言に基づきまして地方六団体の共通の意見としてこれを取りまとめ、その実現に最善を尽くしていく、このような所存でございます。

 以上、私の方から意見の表明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)

中谷委員長 どうもありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷本龍哉君。

谷本委員 自由民主党の谷本龍哉でございます。ちょっと風邪ぎみでございまして、お聞き苦しい点は御容赦をいただきたいというふうに思います。

 まず冒頭に、大田弘子教授そして石井正弘知事、本日は、御多忙の中を当委員会に参考人として御出席をいただきました。当委員会を代表するわけにはいかないですけれども、一委員として心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 ただいま御報告をいただいたわけでありますけれども、地方分権二十一世紀ビジョン懇談会、こちらの方では四月二十八日に中間取りまとめを発表されました。また、新地方分権構想検討委員会、こちらでは五月十一日に中間報告という形で出されております。

 地方分権、この改革の必要性、方向性、これについては両者ともに基本的には同じ方向での報告であったというふうに読ませていただきましたが、各論で見ていく中で、いろいろ違うところといいますか、考え方、多少表現が違うだけなのか、根本的に違うのか、その辺を、時間が限られておりますので、ポイントを絞って少しお伺いさせていただきたいというふうに思います。

 一点目ですが、地方交付税の部分についてお伺いをしたいと思います。

 ビジョン懇談会の方から、まず大田座長にお聞きをしたいと思うんです。

 この報告書の中で、基本的には、国の規制・関与の廃止・縮小を大胆に進める、そして結果の平等から機会の平等へ、つまり、結果の平等では規律が緩みやすい、機会の平等にして自己規律が働く仕組みをつくるべきだというようなことが主張されております。そして、交付税の算定基準を抜本的に改めて、だれでもわかる簡便な算定基準にと。

 先ほど御説明の中でも、人口、面積等を基準にしてというお話があったと思いますけれども、五月の十日に竹中総務大臣が経済諮問会議の方に新型交付税という提案をされました。詳細は省きますけれども、この中で、やはり人口、面積を基準にして簡便な交付税をというお話でございました。

 これに対しまして、竹中大臣のお地元であります和歌山県、私の地元でもあるんですけれども、こちらがある一定の仮定を置いて試算を行っております。これは当然、新型交付税案には詳細はまだ記されておりませんので一定の仮説でやらなきゃしようがないんですけれども、和歌山県は、二〇〇五年度の交付税額をベースにして、その総額の三分の一、約七兆一千七百億円ですが、この三分の一の部分を人口と面積に応じて、なおかつ、八割を人口に応じて、二割を面積に応じて配分されたと仮定をして試算した場合、残り三分の二はそのまま従来どおりという配分の場合にどういう影響が出るか。和歌山県においては百八十八億円の減額になる。これは全国で十番目に多い減額であります。ちなみに、一番減額されるのが長崎県二百九十四億円、二番目が沖縄県二百七十一億円、三番目が島根県二百六十一億円、こういう試算が出ております。

 分権の方向性自体、皆さん反対はされないと思うんですけれども、個別のこういう問題が出てきたときに当然地方の側は大変心配をすることになると思うんです。この地方交付税の部分につきまして、ビジョン懇談会の中でこういう方向性なのか、それともこういう試算とはまた違う方向性なのか、大変地方の方も心配をしておりますので、その点をまず大田座長の方から御説明いただければと思います。

大田参考人 ありがとうございます。

 なるべくわかりやすいことを基本にして予見可能性を高めていくというのが一つの重要な議論です。

 まず、人口ですけれども、地方の歳入はいろいろな要因によって違ってまいりますが、高齢化の度合いとか産業構造によって違う部分は調整しようというのが人口という基準でありまして、ただ、それでもやはり行政コストは違いますので、そこに面積というものを入れております。もちろん、計算していただきましたように、幾つかでこぼこが出てまいると思います。その具体的な制度設計は今後の総務省の検討の中で詰められていくと考えております。

谷本委員 こういうふうに、これはあくまで一つの試算でありますからこのとおりになるとは思わないんですけれども、やはりいろいろこういう議論が出てくる中で、地方の方からも大変不安な意見も出てまいりますので、その辺しっかりと配慮した議論をまた続けていただければというふうに思います。

 同じ点につきまして石井知事にも御質問したいんですが、新地方分権構想検討委員会の方では、今説明をいただいたとおり、地方交付税については、国から恩恵的に与えられるものではなく、みずからの財源を他の自治体のために融通し合うことによって、すべての自治体が国に依存せず住民に対して一定水準のサービスを提供できるようにするものだという主張をされております。そして、先ほど言われた七項目の改革というのも記されております。

 その中に、地方交付税を地方共有税並びに地方共有税調整金、こういう表現を使っていらっしゃいますが、ここの部分を、先ほどのビジョン懇談会の提案される新型の交付税という考え方と同じような思想で語られているのか、それとも少し違う部分を含んでいるのか、説明いただきたいと思います。

石井参考人 私の方で先ほど神野検討委員会の中間報告について御説明させていただきましたが、その地方交付税を地方共有税にしてということは、その背景といたしまして御説明申し上げますと、地方交付税はもともと我々地方の固有財源であって、そして、そこに生活していらっしゃる方々がどこにおられましても一定の行政サービスを国民として平等に公平に受けることができる、そのための財源を調整し、また財源を保障するというその機能に基づいたものでありまして、そういう性格をより明確化していこうということで、交付税という名称ですと、いかにも親から子供へ仕送りするような、国から地方へ上下の関係で交付するような、そういう印象が強いものですから、もともと我々固有の財源だということを明確にするために共有税という名称にして、そしてそれを、財源調整を、調整金ということで公平に配分していこう、一定の基準に従ってやっていこうということでございます。

 ただ、この基準は、私ども、人口と面積といったような、単純にその二つのメルクマールで配分するということにつきましては、これは、実際に必要なそれぞれの地方公共団体の行政ニーズに対応することができるのかということにつきまして大きな懸念を持っております。人口、面積は大変大きな要素ではございますが、それだけではなくて、人口構成に差がある、地理的条件にも差がある、社会経済条件等の違いもある、こういったことを考慮されまして、自治体間の公平性を確保する、こういう観点からの配分は基本的に維持をされるべきではないか、このように考えております。

谷本委員 どうもありがとうございました。

 そのあたり、若干違いはあるのかもしれませんが、方向性としては同じ方向なんだろうなというふうに思います。

 では、時間が余りありませんので簡単にいきますが、次に、財政再建制度の部分を少し伺いたいと思います。

 先ほど御説明の中でもありました、ビジョン懇談会の中に再生型破綻法制という表現があります。御説明の中でも、破綻という言葉がいいのかどうかと。確かに現状でも、実際には再建団体になってそこから再建したというような自治体も過去には幾つかありますので、必ずしもこれがだめだということにはならないんだろうというふうには思うんですけれども、同時に、地方六団体の新地方分権構想検討委員会、そちらの方の報告書を見ますと、そちらでは、財政再建団体となることを未然防止するために財政再建基準を明確化していく、こういう表現がとられております。

 表現の違いなのかもしれませんが、ビジョン懇談会の方では、強く基準を決めて、そこで強制的に再建をしていくというイメージがどうしても強いと思います。一方で、検討委員会の方の報告では、そうなる前に、できるだけ早期に是正をしながら破綻しないようにする。この辺が哲学的にちょっと違うのかなというような感じを受けております。

 その部分について、もう一度、先ほどの説明にもありましたけれども、お二方から御説明をいただきたいと思います。

大田参考人 未然に防止するという点は全く一緒でございます。ただ、未然に防止するというときに、破綻というものがどういう状態を指すのかということはやはり明らかにしなくてはならないということで、この言葉を一応使っているというのが一点。

 それと、やはり責任ということをビジョン懇談会の方が少し強く前面に出しているというのが表現の違いになっております。

石井参考人 私どもも、財政再建特別措置法という法律がございまして、現在、それの運用によって、財政が危機的な状況になった際は、さまざまな手続が総務相あるいは都道府県知事の監督によって行われているわけでございます。

 ただ、現行の法制度におきましても、やはりその基準につきまして、いきなりレッドカードが突きつけられるんではなくて、例えばイエローカードみたいなものが必要ではないだろうかといったような議論もあると思いますし、またその場合、例えば首長あるいは議会の責任、これをもっと強化すべきではないか、あるいは、住民監査請求制度、こういったものをさらに要件を適正化して監視を強め、あるいは最後は、住民がどのように負担をしていくのか、こういったような、未然に防止をする、再建をしていくという観点から、新たなそういう仕組みというものも前向きに検討されるべきではないかと思います。

 ただ、その観点に立ちましても、私どもからいたしますと、破綻という言葉につきましては大変ショッキングな表現でございまして、そういう表現よりは財政再建という、住民の福祉を、また地域の発展を担っている自治体のいわゆる倒産といった形は避けなきゃいけないわけでございますから、よりふさわしい名称を使っていただくべきかな、こういう感想は持っております。

谷本委員 ありがとうございました。

 それではもう一つ、地方債の部分もお伺いをしたいというふうに思います。

 ビジョン懇談会の方では、地方債については完全自由化、つまり、完全自由化するということはリスクもとる、ということは、地方債の格付が行われるということだと思います。そしてまた、さらに新規発行の地方債に対する交付税措置も廃止をする、これは完全に自由化するということだと思います。

 これも、基本的な方向性としては、私もそういう流れになるべきかなというふうには思うんですけれども、完全に自由化をして本当にリスクをとっていった場合に、やはり弱い自治体を追い込んでいくような、あるいは弱い自治体が何もできなくなるという可能性も十分懸念されると思われるんですが、その点につきましては、ビジョン懇談会の方ではどのような議論があったのか、教えていただきたいと思います。

大田参考人 財政力の弱い自治体がどのようにしてスムーズに資金調達をするかというのは、懇談会の中でもかなりの時間を割いて、今も議論をしております。ただ、今は、いわば国がメーンバンクのようになって、監視もする、情報も集めるということを担っておりますが、やはり基本的には、市場もきちんとガバナンスをしていく、ということは、情報が出るわけですから、住民もそれをチェックできるという方向に行くことが望ましいというふうに考えております。

谷本委員 ありがとうございます。

 一方で、検討委員会の方の報告の中では、債務は完全に履行する、つまり、地方債のデフォルトは想定せず。これはリスクゼロという考え方だというふうに思われるんですが、今のビジョン懇談会の側の考え方を含め、この点についてどう考えられているのかを石井知事の方から御説明いただきたいと思います。

石井参考人 地方債の自由化についてでございますけれども、私どもは、やはり小規模市町村での起債ということを考えますと、すなわち必要な社会資本整備が、完全に地方債の発行を市場にゆだねるということになりますと、困難になるという可能性があるのではないかということを大変懸念しているということでございます。

 ただ、債務のカット、債権のカットといったようなことにつきましては、ビジョン懇の方において途中そういう議論があったということは聞いておりますけれども、今現在のこの中間報告を見る限りはそれにつながれるような表現はないというふうに受けとめておりまして、私どもはその点はちょっと心配しておりましたので、現時点では安心をしておりまして、そういったような債権カット等は行うべきものではないんじゃないか、このように思っております。

谷本委員 ありがとうございます。

 地方債の部分も当然、二十一世紀ビジョン懇談会の方は思い切っていろいろな提案をされるという立場でありますから、かなり踏み込んだ提案もあるとは思うんですが、一方、また地方六団体側とすれば、現場からのいろいろな心配もあって、多少の違いもあるんだなというのは今わかりましたが、そこを埋めながら、この地方分権の流れをしっかりつくっていただきたいなと思います。

 時間的に最後になるかもしれませんが、次は、国と地方との協議に関する部分です。

 これは、検討委員会の方には明確に地方行財政会議の設置ということがうたわれております。これをしっかりと法律によって設置しようということがうたわれておりますが、この点についてはビジョン懇談会の報告の中には特に明記はされていないのかなと思います。ビジョン懇談会ではこの点については何か議論があったのかどうか、お伺いしたいと思います。

大田参考人 国と地方の協議のそういう場をつくって地方の意見を反映させる仕組みが必要であるということは、ビジョン懇談会の中でも議論しておりますので、最終取りまとめには、そのような場が必要であるということは書かれることになると思います。

谷本委員 わかりました。今しっかりとそれは議論されていると。

 では、そのことも踏まえて、検討委員会の方で、どのような議論、どのような考え方でこれが出されたのか、簡単に御説明をいただければと思います。石井知事からよろしくお願いします。

石井参考人 真の地方分権改革を進めていくためには、国と地方が対等の立場に立って、お互いに同じテーブルでこれからの地方分権改革を進めていく方向性を議論していく、そのための場の設定を、今でも実は国と地方の協議の場ということで行われてはおりますけれども、これを制度化する。そしてその中で、法律の中においてこれを明記していくということによって協議が前向きに進んでいくのではないか。そういう我々の地方の意見をしっかり反映させていく場、基本的には法律の制度、仕組みというものは国の方でお決めになるわけですから、それをお互いに協議していく場というものが法定化されるということがぜひとも必要である、このように私どもは考えております。

谷本委員 どうもありがとうございます。

 我々国会議員も、東京に集まって、国としてどうしていくべきかという議論を一方でしながら、同時に、常に自分の地元があって、地方の立場でどうすべきか、この二つの考え方をしっかりすり合わせていかなきゃいけないというのが我々国会議員の仕事のありようだと思います。

 この地方分権の問題も、よく御存じのとおりでございますけれども、ただ単に地方に責任だけがどんどんふえていって、自由にできる部分、裁量の部分がふえなければ、これは地方への負担の押しつけということにもなりかねませんので、このバランスをしっかりと見ながら議論を詰めていっていただきたいというふうに思います。

 きょうは、短い二十分という時間でしたけれども、御質問をさせていただきまして、ありがとうございました。今後とも御健闘をお祈りいたします。

 ありがとうございます。

中谷委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 両参考人におかれましては、大変御多用の中、当委員会に出席をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど、この委員会が始まります前に、自民党の谷先生の方から、この二十一世紀ビジョン懇の方向ははっきりわからない、こういうように私におっしゃったんですが、多分、先ほどの御答弁にもありましたような、例えば再生型の破綻法制、破綻というのは地方にとって非常に刺激的な言葉だと石井参考人がおっしゃいました。また、新型交付税の問題、この新型交付税が一体どういう方向に行くのかどうもわからないというようなこと等々、いわば地方のそういう動向に対する不満だとか疑問だとか、こういうことを含めた言葉で私におっしゃったんだろうと思いますが、このようなことを中心にしてお伺いをいたしたいと思います。

 まず初めに、昨年末に、三年間の議論をいたしました、税源移譲三兆円、国庫負担金また地方交付税、これらのいわゆる三位一体の改革をとりあえず終えた、一段階終えたというようなことになるわけでありますが、両参考人にこの三位一体改革の評価をまず初めにお伺いいたしたいと思います。

大田参考人 三位一体は本当に難しい改革でしたけれども、一応、四兆円の補助金、不十分ではありますが四兆円の補助金が削減され、三兆円の税源移譲がなされたということは私は高く評価しております。非常に難しい問題の突破口が開かれたと思っております。問題は、これをしっかりと継続していくことだと考えております。

石井参考人 三位一体の改革の評価でございますが、三兆円というかつてない規模の税源移譲が図られた、本格的な税源移譲となったということ、このことは地方分権を進める上では確かに大きな前進となったと受けとめております。

 ただ、その内容を見ますと、単なる国庫補助負担金の引き下げ、二分の一を三分の一にするとか等々、そういったことで財源移譲の対象として生み出しているといったことなど、我々地方側から逆に言いますと、我々の改革案としてお示ししたものの中から見ると、一二%程度のものしか取り入れられていないといったようなことからいたしますと、内容は非常に不満が残るものであった、このように言わざるを得ず、したがって、分権改革は未完のままでありまして、引き続き、十九年度以降の第二期の改革ということに位置づけられまして、この三位一体改革をさらに推し進めていただくべきではないか、このように我々は思っております。

谷口(隆)委員 今、特に石井参考人がおっしゃった、まだまだ不満が残っておるというようなことでありますが、国会の中でも大変な議論をして、また地方の皆さんも大変な議論をされて、もうこれ以上できないなみたいなところまで行って、今回、三兆円の税源移譲を初め、国庫負担金また地方交付税削減ということになったわけでございます。ですから、今まで行ったような議論の延長線上ではやはりなかなかできないなというようなことで、またフェーズを変えたような形の議論をしていかなきゃいかぬ。

 今回の二十一世紀ビジョン懇の方向性、これは私も、今四つの前提といいますか理念といいますか、おっしゃったわけでありますが、やはりちょっとわかりにくいなというようなところがあるんです。漠としているというところがありまして、冒頭申し上げたように、地方の方は今後どうなるのかという大変な不安感があるわけで、そのような観点で、もう一歩踏み込んだ形の表現ぶりといいますか、近々最終取りまとめが出るということのようでありますが、お願いをいたしたいと思うわけでございます。

 次に、具体的にお伺いをいたしたいんですが、税源配分のことです。

 税源配分は見直しをしたいということで、国と地方の仕事の量が現在四対六であるということを踏まえまして、今後三年程度を目途に、国と地方の税収の比率を一対一にすべきではないかというようなことをおっしゃっておられるようでございます。そのときに、先ほどお伺いをいたしました税源移譲は所得税を地方に持っていったわけでありますけれども、具体的にどのような税目をお考えなのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

大田参考人 これまでの懇談会の中では具体的な税目についてはまだ議論がなされておりません。ただ、税源移譲のときになるべく格差が出ないような配分を目指すべきであるというような議論は出ております。

谷口(隆)委員 この取りまとめの案を見ますと、偏在性があるような税目はやはり困るというようなことがあります。ですから、巷間言われておりますけれども、地方消費税ですね、消費税というような税目が好ましいのではないかというようなことも言われておりますけれども、議論の中ではそのような税目まで踏み込んだところまでは至っていないということを今おっしゃったんだと思います。

 石井参考人にお伺いをいたしたいんですが、地方の立場ではどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。

石井参考人 分権構想検討委員会の報告にございますとおり、地方税は地域偏在性が比較的少ない税目構成、そして地方交付税の方の原資は地域偏在性の比較的大きな税目構成、このように考えているところでございまして、具体的には、地方消費税の割合を引き上げますとともに、個人住民税の所得割をさらに三%上乗せするといったようなことで国から地方への税源移譲を行うべきである、このような中間報告が出ておりますが、我々はこれを前向きに受けとめさせていただいております。

谷口(隆)委員 いずれにいたしましても、これからの議論の中で、どういう税目がふさわしいのかといったようなことをまず決めていかなきゃいかぬと思うわけでございまして、私はやはり消費税を今回税源移譲する場合には考えていけばいいのではないかというように考えておるわけであります。

 そのときに、課税自主権の問題も言及されておられました。この課税自主権というのは、地方が責任を持って課税自主権を発揮していただきたいといっても、なかなかやはりそこらは限度があるわけでありますけれども、美辞麗句を並べてみても、現実にそれで課税自主権が発揮できるかどうかということがあります。

 まず大田参考人に、この課税自主権を、実質的に効果を上げるためにはどのようなことをお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。

大田参考人 御指摘のとおりでございますけれども、まずは抜本的な税源配分を議論し、そのときに税率、税目の設定の自由の範囲を広げていく、その税源配分の議論の中でしっかりと決めていくということが必要かと感じます。

谷口(隆)委員 税源配分、多分、制限税率をもうちょっと広げていったらどうかとか、具体的にはそういうような議論もあるんだろうと思いますが、地方の立場で、石井参考人の御意見をお伺いいたしたいと思います。

石井参考人 現実的に、地方の現場におりますと、課税自主権の実質的な拡大を図るというその方向性につきましては賛意を示すところではございますが、現実にはほとんどの課税客体が国のさまざまな税制によって把握をされておって、では残るものは何なのかというところが非常に難しいということでございます。

 私も、産業廃棄物処理税であるとか森づくり県民税といったようなことをいち早くやってまいりましたけれども、現実にどういうものに課税をしていこうかということになりますと、なかなか適当な客体が見つからないというものが、今現在、地方自治体の共通の問題意識となっているのではないだろうか、このように認識しております。

谷口(隆)委員 そういう意味においては、やはり課税自主権を十分発揮でき得るような環境を整えていかなきゃいかぬと思うわけで、これはちょっと深い議論になってくるんだろうと思いますが、ぜひ、二十一世紀ビジョン懇のいろいろな御協議があったんだろうと思いますが、地方の立場に立ってやっていただければと思う次第であります。

 その次に、先ほど出ておりましたが、新型交付税のことをお伺いいたしたいと思います。

 十九年度から、人口、面積を基準として配分する新型交付税を導入したいと。竹中大臣の方は、今後三年間ぐらいで五兆円規模を目指したいというようなことをおっしゃっておられます。

 それで、先ほど、それに基づいて和歌山県の方が試算をいたしておるというお話がありました。試算を見ますと、人口と面積が五対五の場合と人口が八で面積が二という場合の二つのシミュレーションでやっておるわけであります。これによって、どちらに加重していくのかということが大分変わってまいります。

 まず、この単純な基準、人口、面積という二つの基準で、どちらの方に重点を置くべきなのかということを両参考人にお伺いいたしたいと思います。

大田参考人 現在の交付税の配分を見ますと、人口が八、面積が二ぐらいで計算しますと大体説明できるという分析もございます。そこの具体的な制度設計はこれからしっかりと詰めていかなくてはいけないと思います。

石井参考人 私も、現場にいる立場から見ますと、人口と面積、どちらにウエートづけが多くあるべきかとなりますと、それはもちろん人口の方により比重が置かれるべきだとは思いますが、ただ、この二つだけで算定するということになりますと、先ほどの和歌山県のような試算があるがごとく、現在の地方交付税の配分から見ますと、非常に大きなでこぼこといいましょうか、プラスマイナスといいましょうか、これが生じてしまうのではないかということを非常に懸念しております。

 これにつきましては、いろいろ工夫をするとか、あるいはまた必要な激変緩和措置を設けるとか、いろいろな工夫を加えませんと、現場に大きな混乱をもたらすのではないだろうかと懸念をしているところでございます。

谷口(隆)委員 やはりおっしゃるとおりだと思うんですね。この二十一世紀ビジョン懇でも、十九年度から新型交付税を入れるけれども、一応三年後には五兆円程度で、その後十年程度、最終的にどういう姿になるか、ちょっとまだそこまでどうも明示されておらないわけですが、新型交付税の割合をふやしていこうというような方向は間違いないんだろうと思うんですね。

 最終的な姿はどういうようにお考えなのか、二十一世紀ビジョン懇の中でどういう議論があったのか、大田参考人にお伺いをいたしたいと思います。

大田参考人 国が基準づけをしている部分は地方は歳出を自由に決めることはできませんので、まずは基準財政需要の基準づけがない部分を新しい形の算定にしていく。残りは新分権一括法で基準づけを抜本的に見直していく。国と地方の権限、責任を見直していく中で、ここが拡大していけば少しずつ新しい部分が拡大していくというイメージでございます。したがって、十年先にどこまで行っているかは、新分権一括法に基づく国と地方の権限と責任の見直しの中で決まってくると考えております。

谷口(隆)委員 この中で、不交付団体を拡大したい、人口二十万人以上ぐらいのところでは半分程度不交付団体にしたいというようなことを言及されておるわけでありますが、例えば、今いろいろな議論がありますけれども、法人住民税、法人事業税、この法人二税がどうも地域によって偏在性があるのじゃないか。ですから、この法人二税を再配分するようなことはどうなのか。それによって、再配分された結果不交付団体になるというような団体も出てきそうな雰囲気もありますから、そういう議論がありますけれども、その議論についての考え方を両参考人にお伺いいたしたいと思います。

大田参考人 不交付団体をふやすためには、税源移譲が前提になります。そのときに、法人二税をいわば国が集めて譲与的な形で移すという案は、案としては私はよいと思いますけれども、ただ、悩ましいのは、やはり地方自治というのは、みずから税を取って受益と負担をリンクさせるということが地方自治だと思いますので、消費税に加えて法人税も全国で集めて配分するということが果たしていいのかどうか、個人的にはやや悩ましい問題であると思っております。

 ビジョン懇談会ではそのような議論は、まだ踏み込んだ議論はしておりません。

石井参考人 地方の立場からいたしましても、先ほど申し上げたとおり、地域偏在性が比較的少ない税目によって地方税は構成されるべきであるという方向性はそうでございますが、具体的には消費税等が望ましいということを申し上げましたけれども、ただ、その場合でも、これは大田参考人と同じような御答弁になりますが、やはり地域によって、法人がそこに存在して、そして受益と負担ということを考えますれば、それはやはり、それなりの法人課税というものも地方税にとりましては意義があるのではないか、大切な税目ではないか、このようにも考えております。

谷口(隆)委員 それでは、大田参考人にお伺いしたいんですが、不交付団体を半分程度にしたいといった場合の具体的な方法についてどのような議論がなされたのか、お伺いをいたしたいと思います。

大田参考人 基本は、まず税源を移す、それから交付税も中身を変えていく、こういうことによってふやしていく。不交付団体の数というのは結果ですので、申し上げたようなことを、八つの柱を全体的にやっていくということを議論しております。

谷口(隆)委員 ちょっと今、何かはっきりわからないようなことですが、確かに、新型交付税、地方交付税そのものも地方は非常に関心を持っていらっしゃいます。その中で、この新型交付税を、今まで非常に複雑な基準でございましたから、新型の交付税をまたその中に入れていこうということについて、よくよく検討していただいて、十分地方の皆さんの理解を得ていただいてやっていくことが必要だというように思っております。

 それで、先ほど冒頭にお話をした再生型の破綻法制ということを検討されておるわけであります。我が国では余りありませんけれども、アメリカではオレンジ州か何かが破綻をしたというような事例があったようでございます。これは、歳入がなくてじゃなくて、投資をして、投資がうまくいかなくて破綻したというようなことがあったようであります。

 確かに、今の状況では、地方が、普通の会社でいうような破綻が一体どの時点で起こるのかといったようなことがはっきりしないという状況はあるんだろうと思います。ですから、まずその第一段階として早期是正措置で警告を発する。警告を発することによって、警告を受けた地方は、その後、破綻をしないような形でのいろいろな努力をするんだろうと思うんですね。例えば税収をふやすとか、また歳出をカットするとかいうようなことになるんだろうと思いますが、その具体的な姿を大田参考人にお伺いいたしたいと思います。

大田参考人 御指摘のとおり、早期是正措置が非常に重要であると思います。どのような場合に是正に入るのか、イエローカードですね、非常に重要だと思います。

 この具体的な制度設計は、法技術的な問題がいろいろあると思いますので、これから総務省で詰めていくということになると思います。ビジョン懇談会ではまず大きな方向性を示すということで議論しております。

谷口(隆)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、最後にちょっとお伺いしたいのは、警告が出て最後の破綻に至るまでの間、今考えておられるようなイメージで、それは地方で独自で努力をしてくださいというのか、その期間国もある程度の関与を行うのか、どういうイメージで議論があったのか、これをお伺いして終わりたいと思います。

大田参考人 国がそこにどの程度関与するのか、詰めた議論はしておりません。恐らく早期是正のルールは統一的に国も関与してつくるということになると思います。今出ております議論では、まずは早期是正措置で食いとめる、どうしてもだめな場合に裁判所が入らざるを得ないのかという議論も出ておりますが、詳細は詳しく詰めておりません。

谷口(隆)委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田でございます。

 両参考人、大変御苦労さまでございます。特に石井知事には四年間お世話になりまして、ありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、私の方からも質問させていただきますけれども、何といっても、今回の眼目は、さきの三位一体改革が非常に不十分だった、生煮えだ、消化不足だということで、何としても地方六団体側としては地方財政の自治権を確立したい、そのためにしっかりと税財源も譲ってほしいというのが今回の提言だと思っておりまして、地方六団体が提言をした七つの提言、これは私ほとんど賛成でございまして、ぜひとも実現する方向で民主党としては全面的に協力をして応援をしていきたい、こう思っているところでございます。

 そうした中で、主に質問は大田先生の方になりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思っています。大田参考人に質問するに当たりましては、先ほど中間取りまとめしか発表がございませんでしたが、五月十二日に先生がまとめられました「最終報告書に向けて詰めるべき論点」、これも踏まえて質問させていただきますので、あらかじめ御了承いただきたいと思っております。

 まず最初に、簡単な方を片づけたいと思っているんですが、まず一つ目は、新分権一括法の提出、それから地方の意見を集約、反映する仕組みについてでございますが、このことについては地方六団体からも同様の提案がございます。これは何としても最終報告書にまとめてやる、そういう考えがあるかどうか、お伺いをしたいと思います。

大田参考人 新分権一括法につきましては、先ほど申し上げましたように、なるべく早期に制定するということが必要だと思っております。

 それから、国と地方の協議の場につきまして、地方の意見を集約して反映させる仕組みが必要だということは懇談会で議論しておりますが、それが具体的にどういう場であるのかというのはまだ議論がなされておりません。

福田(昭)委員 地方の方では、地方行財政会議の設置ということで提案があります。ぜひともこのような会議ができることを私も望んでおりますので、ぜひ最終報告書までにはまとめていただければと思っています。

 二点目でありますが、税源の配分の見直しですけれども、これにつきましては、両方読んでみますと、地方六団体も、またビジョン懇の方も大体同じかなと。とりあえず国と地方の割合を一対一、五対五にして、最終的には国が四、地方が六というふうにするということについてはどちらも同じかなと思っておりますが、これについてはそうでしょうか、お伺いをいたします。

大田参考人 方向は同じでございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、三点目、補助金の改革についてでございますが、これにつきましては、地方六団体は、それこそ半減するように、四百件以上ある国庫補助負担金を二百件を切るようにという提言をいたしております。ビジョン懇の方では、新分権一括法にあわせて抜本的に改革すべきだと言っておりますが、これはどの程度にするというような議論は行われているんでしょうか、教えていただきたい。

大田参考人 既に地方から提案がなされて、実現していない補助金改革がたくさんございますので、その提案を踏まえて大胆に見直していくという議論でございます。件数にするのか金額にするのかという議論は出ておりません。

福田(昭)委員 ありがとうございました。ぜひ御努力をお願いしたいと思います。

 これから本論に入りたいと思っていますが、まず、今回のビジョン懇の話を私読ませていただいて、先ほど大田参考人からは、自由な議論を通して、しかも全体の姿が大事だ、こういう話がありましたけれども、しかし、私が実はびっくりしておりますのは、構想日本の加藤先生がまとめた案、これと同じ形で実は進んでいるんですよ。これが余りにも似ているので非常にびっくりしているんですが、先生、本当に自由な議論ができたと思っていらっしゃるんでしょうか。

大田参考人 全く自由な議論をしております。構想日本の加藤先生の議論、私も拝見したことはございますけれども、それに左右されたということは全くございません。

福田(昭)委員 なるほど。そういうことであれば、構想日本のお話をちょっとさせていただきますが、これまでの構想日本の提言でございますが、まずは、国の仕事の事業仕分けをするというのが一つですね。

 それから二つ目、地方の自由度を高めるということで、自治体に対する国のコントロール、関与や規制の廃止を行う。その際、財源の調達としては、制限税率等の撤廃、起債の完全自由化を提言しております。こういうことも今総務省は少しずつやり出していますね。制限税率も固定資産税で外したり、いろいろなことが始まっています。

 それから三点目、地方の責任を明らかにする。破綻・再生制度の創設であります。

 そして四点目、抜本的な税源移譲を行うということでありますが、事業仕分けをベースに移譲額を決定していくんだということでございます。構想日本の試算では、これは平成十二年度決算ベースで出しておりまして、十五兆円地方に譲るということなんです。後で申し上げますが、今ビジョン懇の話は大体このペースで進んでいますね。

 それから五点目は、自治体間の財源調整の仕組みをつくるということでありますが、これは地方交付税制度の改革、地方財政計画を廃止して新たな仕組みをつくるということであります。調整の主体は国ではなく地方、調整の対象は収支格差ではなく収入格差、財源保障機能を廃止する、それから調整の基準は複雑ではなくシンプル、人口、面積などが基本。

 こう大きく五つ、構想日本の加藤先生たちが提言をいたしております。

 今ビジョン懇で話し合われていることは、どうもこれを、大田先生初め先生方を集めて、作家が一人いましたかね、作家それから学者の先生方を集めて、この構想日本の加藤さんたちの提言を証拠づけするような形で議論が行われて進められている、こう感じているわけでございます。

 これは大田先生個人の考えで結構でございますが、全体として、十年後、例えば税財源の移譲がどれぐらい行われて、それから交付税はどのように改革されていくのが地方にとって望ましいと考えていらっしゃるか、お伺いできればと思います。

大田参考人 地方の自由と責任を両方しっかりと確保していこうということで議論が始まりましたので、やはり国が歳出をいろいろ事細かに決めていく部分を減らしていこうと。ただ、そのときに一定の歳入はきちんと保障しませんと自治体は行政ができませんので、国が基準づけしている部分を減らして一定の歳入を保障するという方向で議論しておりまして、多分それは、構想日本も同じような自由と責任というところで描く絵がそれほど変わらないということかなと思います。繰り返しになりますが、議論が影響を受けたということは全くございません。

 それから、仕分けということではありませんで、ビジョン懇で中心を置きましたのは、自治事務ぐらいは地方が条例で定めるようにするのが当然のことではないかというところから議論が始まっております。その点が違う点です。

 御質問の、十年先にどういう姿かということでございますが、これは、基準づけをまず減らしていく、基準づけを減らすに応じて地方が自由に歳出を決められる部分をふやしていこうということでございます。その方向に向かって行けるところまで行くというのが十年後のイメージです。

福田(昭)委員 それでは、構想日本の税財源の移譲の姿、これをお知らせ申し上げますが、加藤先生たちは見事に事業仕分けをやってくれたんですね。これは十二年度決算ベースでございますが、国、県、市町村の仕事を仕分けすると、国、県、市町村すべてで百六十五兆円ほどある支出総額のうち、百四十六兆円が必要だろう、不要あるいは民間に任せるのが十九兆円ぐらいあるということなんですね。

 それらを歳出比で分けてみると、よく言われておりますように、国が四〇で、県と市町村で六〇という割合なんですね。それに税金八十五兆円を掛けてみますと、国が三十四兆円、県が十九兆円、市町村が三十一兆。しかし実際には、国が四十九兆円、都道府県が十七兆円、市町村が十八兆円。そうしますと、差し引き十五兆円の差になる。そうすると、十五兆円国が持っているので、これを事業の仕分けで仕事を都道府県と市町村に分けていけば、十五兆円国は要らなくなる。そうすると、県に二兆円、市町村に十三兆円、十五兆円を分ければ、これで見事な地方分権が税財政上できる、こういう構想日本の姿であります。

 そして、今回、どうもビジョン懇で話し合われていることを読んでみますと、この姿に近づけるように議論が行われているんですね。交付税は新型交付税が五兆円程度だ、とりあえずそれから始まる。さらに、税財源は五兆円だということだと、これで十兆円なんですね。それから、竹中大臣が経済財政諮問会議では、地方の歳出は約六兆円削減可能じゃないか、こう言っているんですね。こういうことを踏まえていくと、まさに構想日本が提案しているようなお金の姿に十年後に近づくんじゃないか、こう実は思えるんですね。

 そんなことを考えてみますと、大変な話でございまして、先生にちょっとお伺いをしたいのは、国と地方のプライマリーバランスについても書いてございますが、地方のプライマリーバランスの大幅な改善を目指す理由と、目標額はどのぐらいに置いたらよろしいのか、お伺いをいたしたいと思います。

大田参考人 プライマリー収支を二〇一一年に向けて均衡していくというのは、国、地方合わせて取り組んでいる課題ですので、そこは進めていかなくてはいけないと思います。

 二点申し上げたいと思いますけれども、まず一つは、かなり国に基準づけされておりますので、国が、例えば社会保障をどうするのか、公共事業をどうするのか、公務員をどうするのかということに連動して決まってくる部分がかなりあると思います。

 それから二点目ですが、財政の規模をどうするかという議論と制度をどう変えるかという議論を短期間に両方やるというのは至難のわざでございますので、ビジョン懇談会では制度を変えるというところに焦点を当てて議論してまいりました。規模をどうするかという議論は歳出歳入一体改革の中で議論されているというふうに考えております。

福田(昭)委員 多分そうなんだろうと思います。半年じゃ無理だと私も思っています。

 大体、加藤先生たちの構想日本のやり方は、まず事業仕分けをしなきゃできてこないんですよね。事業仕分けもしないで今ビジョンをつくっているわけですから、ここが一番大きな問題なんですよね。要するに、国と地方の仕事を知らずにビジョンをつくっているということになるので、ここが実は大きな問題なんです。

 そうした中で、財務省の資料で、常にプライマリーバランスは国が赤字で地方が黒字だという話があるわけですね。そうした中で、十八年度の地方財政収支見通しでは地方は四・四兆円黒字だというふうになっておりますが、これは本当に四・四兆円純粋に黒字だと先生は思われますか。

大田参考人 移転の仕組みがございまして、例えば補助金をどちらの歳出と見るのかという問題がございますので、そこは少し検証しないとお答えできない状態です。

福田(昭)委員 そうすると困るんですよね。地方のビジョンを描いていただいている人たちがそういうことをよく知らないでやっているというのは大変困る話でございまして、実は、一般会計からの特例加算とかあるいは特別会計の借り入れ、それを入れると、もしかすると基本的には地方も赤字かもしれないんです。ですから、財務省が勝手につくった資料が今世の中に広まっているんです。この間はある新聞などもそんなことを書いておりましたけれども、これは大きな間違いなんです。ですから、この辺もしっかり踏まえて先生方には検討していただかなくちゃならない、そういうふうに思っているところでございます。

 そこで、今回の平成十六年から十八年までの、第一期とは言いたくないようでありますが、三位一体の改革で、地方に今まで配分されていたお金が三年間で幾ら削減されたか、先生、御存じですか。

大田参考人 済みません、資料は持ってきているんですけれども、この中にございますが、済みません。

福田(昭)委員 それでは、先生、意地悪な質問で申しわけないんですけれども、私から申し上げますが、この三位一体の改革で地方に今まで配分されたお金は何と六兆八千億円削られているんですよ。先ほども先生ちょっと国庫補助金の中で話をしましたけれども、四・七兆円の国庫補助負担金の見直しが行われて、三兆円の税財源の移譲が行われたわけであります。そうすると、ここで国は国の赤字減らしに一・七兆円充てているわけですね。そして交付税は、改革という名のもとに抑制をされて、五・一兆円削られているんです。合わせると六・八兆円、地方に今まで配られてきたお金がこの三位一体の改革で実は削られているということなんですよ。そういうことで、本当に地方にとってこれから、竹中大臣が言うように、では、あと六兆円削るとなったら、十二・八兆円削ることになるんです。これは大変なことですよ。小さな各市町村へ行ったら、本当はことしの予算もどうやって組むか、歳入の当てがないのに、当て馬の歳入項目で実は歳入を支出と合わせているようなところさえあるんです。

 ですから、このようなことをしっかりと、事業仕分けができないでこんなふうなことをやっていったら、地方分権どころか、地方はみんな崩壊するところだらけですよ。ですから、その辺のところをビジョン懇の先生方にもしっかりと認識してやっていただきたいなと思っています。

 そこで、実は地方の歳出削減についてという項目があるんですが、先ほど先生から話がありましたように、社会保障費をどうするんだ、公共事業費をどうするんだ、あるいは総人件費をどうするんだ、こういう話でございますが、そうしますと、平成十八年度の地方財政計画を見ますと、総額八十三・二兆円でございます。その中から大きな費用の項目をとってみますと、給与関係経費が二十二・六兆円であります。それから投資的経費ですね、公共事業費が十六・九兆円。一般行政経費が二十五・二兆円。それから公債費が十三・三兆円であります。この中からどうやってどこから六兆円削っていくのか。これは大変な話でございます。その辺、そんなことが議論されているのかどうか、ぜひ教えていただければと思います。

大田参考人 繰り返しになって恐縮ですけれども、ビジョン懇談会の中では金額や規模については議論しておりません。制度について議論しております。

 地方自治の姿としましては、国が削減額を決めるのではなくて、個々の自治体の中で受益と負担の関係の中で規律づけが働く仕組みをつくっていくことが長期的に必要だと存じますので、そのための制度づくりに焦点を当てて議論しております。その点は御了解いただきたいと思います。

福田(昭)委員 先生を責めては申しわけないんですが、そういうことをやらせる竹中大臣、本当は竹中大臣にもっとやった方がいいのかもしれませんが、これは地方の実態を知らない人たちだけが集まって、地方の姿を、将来の姿を描こう、先生が今おっしゃったように制度の見直しだけ話をしているというのでは、地方がどんな姿になれば、ここのキーワードにもありますように、自由、責任、自立、この三つをキーワードにした新三位一体改革が本当にできるのか、こんなことをやったときに地方が本当に自由に闊達に元気にやれるのかどうかということについて、しっかりと最終答申までには議論してほしいなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

大田参考人 なるべく地方の実態をつかむように、地方六団体の方との意見交換あるいは検討委員会の方との意見交換、あるいは私も個人的にたくさんの首長さんになるべくお目にかかろうと努力してまいりました。なるべく実態を踏まえてこれからも議論したいと思っております。

福田(昭)委員 そろそろ時間が来たようですので終わりにしたいと思いますが、大変意地悪な質問をして失礼でございましたが、私が今想像いたしておりますのは、竹中大臣から出るのかあるいは歳出歳入一体改革の中で政府全体として出てくるのかわかりませんけれども、私はこういう心配をいたしております。交付税、今、出口ベースで約十六兆円であります。そのうち六兆円がカットされる、そして五兆円が交付税で支出される、そしてあと五兆円が税財源で終わる、こんな改革になりはしないかという大変な心配をいたしております。こんなことになれば、国栄えて地方滅ぶであります。そんなことにならないように、大変申しわけありませんが、厳しい質問をさせていただきました。

 最終答申までよろしくお願い申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。

中谷委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美と申します。

 きょうは、大田参考人そして石井参考人、御多忙のところ御足労いただいて大変ありがとうございます。

 二十分の時間で大変短いんですけれども、まず、きょう見せてもいただきましたビジョン懇の中間取りまとめ、これは、私たち民主党の部門会議でも先日ヒアリングを受けました。竹中大臣が五月十日に経済財政諮問会議に提出をされた資料とあわせて御報告、御説明いただきましたので、そのことにも関連して質問したいと思います。

 この中間取りまとめ、四月二十八日に出されたものですけれども、一つ目の四角の囲みで「問題意識」とありまして、「何故今分権か」と。私も頭から読んでみました。黒ポツが三つありまして、三つ目のところで、「未曾有の財政赤字を解決し、」と始まるわけですけれども、二行目のところに「国への依存を止め、無駄のない地方財政の姿を作り上げるべきである。」というふうに書いてございます。

 まず、石井参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、ビジョン懇の中間取りまとめに「国への依存を止め、」と書いてあります。これはつまり今まで国へ依存してきたということの表現だろうと思うんですけれども、地方六団体、こちらの分権の検討会の中では今まで国に依存してきたというような議論あるいは御自身として国に依存してきたという感覚はおありでしょうか。

石井参考人 少なくとも、私ども、二〇〇〇年、地方分権一括法が制定されまして、それ以降、自立に向けて懸命な努力をしているところでございまして、そういった中にありまして、我々、国へ依存しているといったような感覚は持ち合わせておらないところでございます。

 こういったような表現の背景として、地域の安全、安心をどのように守っていくのかとか、あるいは、地域特性から配慮を要する離島とか中山間地域、こういったものへの温かい配慮、こういったものを国の方ではぜひ地方には配慮願いたい、こういう思いはございますけれども、少なくとも、我々は、自主自立の自治体経営を行っているつもりでございます。

西村(智)委員 私、先ほどの福田委員の議論を後ろで聞いておりまして、やはり現場を知っている方の本当に心の底から出る心の叫びというような発言は違うなと思ったわけなんですけれども、質問が少し重なりますが、大田参考人に伺いたいと思います。

 ビジョン懇のメンバーの中で、そういう意味では現場を知っておられる方がいない。先ほど石井参考人は、依存してきたというふうには思っていないという御趣旨の発言だったと思いますけれども、仮にそういう意見が反映されたらこういう書きぶりにはならなかったんじゃないかというふうに思うんですね。現場の人がこのビジョン懇のメンバーに入っていないというのは、座長としてどういう判断でお決めになられたんですか。

大田参考人 申しわけございません。メンバーは私は決めておりませんので、大臣の私的懇談会で、大臣が決めておられますので、お答えできません。

西村(智)委員 大臣がお決めになったということなんですけれども、座長をお引き受けになっておられますよね。御感想はおありではないんですか。御感想をお願いします。

大田参考人 私は、昨年の夏まで内閣府に行っておりまして、そこで三位一体改革をやっておりました。そこで、本当に三位一体改革の難しさを骨身にしみて感じました。そこで、一度、その出口の側に向かって、十年先に立ってあるべき地方分権の姿を描こうということでビジョンの懇談会をやっております。そのときにむしろ、今のメンバーは、出口に立って、自由な発想であるべき地方分権の姿を描くというところについてはそれぞれ貴重な意見を持っておられると思っております。

 もちろん、足元で今現場の方がどういう御苦労をしておられるのかというのは十分に聞かなくてはいけませんので、可能な限り意見を拝聴する機会をつくってきたということでございます。

西村(智)委員 十年先を見越して、現場を知っている人がいなくてもいい懇談会だという御発言だったと受けとめます。

 もう一つは、先ほどの答弁にもあったと思いますが、ヒアリングなど、あるいは首長さんから意見聴取をしているということで、それらを反映していきたいということだったかと思います。

 それでは、そういう聞き取った意見などは具体的にどこまでこのビジョン懇の最終報告に反映されるのでしょうか。形だけの聞き取りにならないか、そういう懸念ももう既にあちこちから聞かれるわけですけれども、それについてはどうですか。

大田参考人 地方六団体でも検討委員会をつくっておられまして、そちらの議論も踏まえながら議論しております。先ほど石井知事のお話にもありましたように、方向性としてはそれほど違っていないと私どもは思っております。

 そういう意味で、中に取り込みながら、反映させながら議論をしております。

西村(智)委員 ちょっと話が変わりますけれども、この国会が始まったときに、格差ということが随分と言われました。格差がこの国に存在するのかどうか、また、その格差をどうしていったらいいのか。総理に対して格差がよいか悪いかという判断を求める質問に、それはある程度ないと競争しないから、あってもいいんだというようなちょっとした答弁もあったわけなんですけれども、大田参考人に、この格差社会への御認識について少しお考えを伺いたいと思っています。

 つまり、どういうことかと申しますと、この後も質問いたしたいと思いますが、新型交付税であります。これは、額が減らされるということは何となくわかるんですけれども、それ以外に、どういう算定の仕方をするのか見通しが全く立たない。こういう状況の中で交付税が減らされると自治体間の格差がますます広がるのではないかというふうに指摘がなされているわけでございます。

 受益と負担の関係というのはよく言われるわけでありますし、法人税などについてはそういった視点からの議論はあってしかるべきだというふうに思いますけれども、ただ、完全な受益と負担の関係ですと、お金を払った人が物やサービスを受けるということですよね。そうしますと、これは市場経済で言うところの代金とか料金と余り変わりはないんじゃないかと思うわけなんです。そもそも税というのは所得の再分配機能というのがあるわけですから、そこは国会で議論して、あるいは地方の皆さんからも議論してもらって、国民的な議論を巻き込んで、どういう配分の仕方を選ぶかという政策選択の幅がなければいけないんだろうというふうに思うんです。

 そういう意味では、多くの人から納得の得られる仕組みが必要だというふうに思うんですけれども、ただ、今の段階では、交付税が減る、これで格差が広がるのではないかというふうにこれは言われているわけであります。

 私の地元も、私は新潟県の選出なんですけれども、雪が大変深くて、山奥に行きますと、八十歳を超えるおばあさんがひとり暮らし、その隣は七十歳を超えるおじいさんがひとり暮らし、冬は雪のけをしてくれる人がいなくて、遠くから若い人たちがやってくる。ただ、そこのところも人が住んでいらっしゃるわけですから、除雪費用などは必要になってくるわけです。

 そういった格差について大田参考人はどのようにお考えになっているのか、伺いたいと思います。

大田参考人 ビジョン懇談会では、交付税を減らすという議論はしておりません。その中の仕組みを変えましょう、国が歳出をすべて決めるのではなくて、どう使うかは地方が決めていくというのが望ましい方向ではないか、今、基準づけがない部分について、その部分について地方が自由に使い道を決められるような形はないかということで議論してまいりました。

 御質問の格差についてですけれども、過剰な格差はもちろん望ましくありません。ただ一方で、経済というのは新陳代謝がどうしてもあると思います。そのときに、新陳代謝で厳しくなる地域、そこをどうしていくのかが政策だと思いますので、そこは十分に考えていかなきゃいけない。

 ただ、格差が全くない、あるいは経済だけで格差をとらえてはいけないということも事実だと思います。その意味で、地方がみずからの個性で、経済だけではないみずからの個性で地域づくりを行っていくような余地を拡大していくことも私は必要だと思っております。

西村(智)委員 ちょっと新型交付税のこととあわせて伺いたいと思うんですけれども、人口と面積によって一人当たりの税収入額を平準化するというような書きぶりになっているわけであります。

 こういたしますと、これは、交付税の機能というのはそもそも水平間調整というようなものもあるわけですが、その機能が変わっていくんではないか。かつ、これは格差を拡大することにつながりかねない。例えばですけれども、面積が小さくて人口が少ない離島などはどうなるのかということにつながっていくわけなんです。

 ビジョン懇の中間取りまとめの中には、ここのところは、真に配慮を要する自治体に対してはそれなりの仕組みを確保するということが書いてありますけれども、それは一体どういう自治体なのか、どういう配慮を確保していくのか、これは全く見えていない。

 これは一体どういうことになるんでしょうか。格差の存在とあわせて、もう一回伺いたいと思います。

大田参考人 交付税のこれまでの性格は、国が定めた一定水準の行政サービスを全国どこでも享受できるようにするその財源措置だというふうに思いますが、地方分権の中では、国が決めている部分はなるべく減らしていって、地方の自由にゆだねる部分を拡大していくというのが望ましい方向だと思います。

 ただ、先生御指摘のように、地域間の財政力の格差がありますので、むしろその調整の機能を強めていく、格差を是正する機能を強めていくために、国が需要を決める形ではなくて、一定の歳入は保障しましょうという形で配分しようというのが交付税改革の方向です。

 そのときに人口と面積というのを出しました趣旨を簡単に御説明いたしますと、地方の歳入というのはさまざまな要因によって違ってまいります。そのうち、高齢化要因とか産業構造の違いによる税収格差というのは自治体の責任ではありませんので、そこについては人口一人当たりの歳入をならすという仕組みが必要ではないかというのが人口です。ただ、これまた先生がおっしゃいましたように、行政コストというのはやはり地理的な状況によっても違ってまいります。そこで、その行政コストをならす一つの方法として面積というものを持ってきております。

 離島の例が出ましたけれども、やはりここは真に対応を要するところとして別途の対応を考えなくてはいけない。それはこれからの制度設計の中で議論していかなくてはならないというふうに思います。

 したがいまして、自治体間の財政力の格差を調整するという機能をむしろ強めていくというのが交付税改革の方向です。

西村(智)委員 これは、私も中間取りまとめだとか読みながら思ったことでありますし、そして今、大田参考人のお答えを聞きながら思ったことでもあるんですけれども、それだったら今までの交付税制度とどこがどういうふうに変わるのだろうかというのは、率直に言って素朴な疑問なんです。

 どうしても配慮を要する自治体に対しては配慮していく。今それはどういう自治体になるんですかとお尋ねしたら、それもこれからの検討ですということですし、そうしたら、逆に言えば何にもまだ決まっていないということでもあるわけですね。そういう真に配慮が必要な自治体というところの基準が仮に緩くなったときには、これまた財政規律の緩みというものにもつながりかねないわけですから、結局同じことになるおそれがあるんだろうと思うんですね。

 ですので、これはそういうことになるのかどうかも含めて、私たち国民もしっかりと議論に目を向けさせていただきたいと思うんです。ビジョン懇の議事録、これは竹中大臣が設置している私的懇談会なるものに共通しているんですけれども、議事録が完全には公開されていないわけなんです。議事要旨という形だけになっておりまして、これだけの大改革、本当に大きな改革だと思います。これはぜひ公開をしていただきたいと思いますが、座長のお取り計らいについて伺います。

大田参考人 公開の方向につきましては、随分私も悩みました。一方で、自由な議論をしたいということもありまして公開しておりませんけれども、そのかわりに、終わりましてから記者にはなるべく詳細な御報告をしておりますし、それから資料は全部公開しております。

 今、議事要旨だけですけれども、議事録もしっかりといずれ公開していくことが必要と考えております。

西村(智)委員 いずれというのはいつでしょうか。

 そしてまた、新型交付税のシミュレーション、面積と人口でこのくらいの比率にしたらこれだけになりますというシミュレーションを、やはり提案をしている以上はきちんとやって、それをしっかりと出す、それで、全国的な、国民的な議論、自治体の関係者の皆さんを巻き込んでの議論にしていくべきだというふうに思いますけれども、その議事録の公開はいつになるんでしょうか。

大田参考人 議事録の公開は早くやるべきだと考えております。

 それから、シミュレーションですけれども、おっしゃるように当然必要ですので、制度設計をしっかりとしていく中で、あわせてシミュレーションをやっていくべきだと考えております。

西村(智)委員 新型交付税は、竹中大臣が経済財政諮問会議に提出した資料ですと、十九年度予算から導入をしたいということになっております。十九年度から導入と書いてあります。そのほかに、再生型破綻法制も今秋までに制度の概要を作成して公表する、不交付団体の拡大についても十九年度予算においてやる、地方債の自由化についても初年度にふさわしい措置をする、こういうふうに書いてあるわけです。

 これは、本来やはり新しい分権の一括法と一体でやっていかないと絶対にうまくいかないと私は思います。絶対にという言葉は余り使いたくありませんけれども、やはり分権一括法とセットで、あるいはそれが先行する形で、先ほど福田委員が言われた仕事の仕分けの話もそうです。現場の人たちがきちんと入って、自治事務の中にも、自治事務でなくて法定受託事務に切りかえていいものも恐らく出てくるんだろうと思いますし、そういったことも含めて、これは、この分権改革工程表でいくと、恐らく自治体にとってはかなりのハードランディングになるんだろう。そうなったら一体だれが責任をとるのかということは、本当に背筋の寒くなる思いがいたします。

 分権一括法の時期について伺いたいと思います。

 分権改革工程表では、「中期 三年程度で実現」という項目に、二年程度で結論を出して三年以内に提出と書いてありますけれども、一番最近のビジョン懇の議事要旨を見ますと三年ではできないという意見も出ているんですね。

 どうですか、この時期、このタイミングについて。

大田参考人 そのような議論も出ましたが、一方で、その道筋をつけていく、分権一括法ですべてを決めるのではなくて、分権一括法は自治事務を条例で決める枠組みをつくっていくという法律ですので、それはそれで決めて、なるべくその方向に進めていくということが必要だという議論も出ております。

 前、分権一括法を決めたときの議論が四年間です。新分権一括法も、そのときよりは地方分権も成熟してきておりますので、できれば三年ということを考えております。

西村(智)委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。

中谷委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、二人の参考人の方には、大変お忙しいところありがとうございます。

 私、最初に大田参考人に伺っておきたいと思うんです。

 もともと、国と地方の仕事量と税源、これは、よく言われておりますように、比率でいうと二対三で、三の方が地方の仕事量で、普通でしたらその仕事量に見合う税源があって当たり前の話なんですが、実際は、税源の方は、税収の方は国の方がうんと多いわけです。ですから、その中には言ってみれば地方にかわって国が集めた税金と見るべきものがありますから、一定割合を地方交付税として地方にお渡しする。そういうことですが、今回の三位一体改革と言われているものでは、補助負担金を削ったものの方がうんと多いわけですが、とにもかくにも三兆円の税源移譲をした、しかし、地方交付税の方は、先ほども石井参考人の方からもお話がありましたように、五兆一千億円ばっさり削られてしまっている。

 そうすると、もともと国が集めて一定割合で渡すべきものなんですが、それも削られ、必ずしも補助負担金を削ったものに見合うほどは税源移譲となっていないということになりますと、これはだれが考えてみても地方自治体の方は大変なんですよね。

 二十一世紀ビジョン懇ということで二十一世紀のビジョンを出していただくわけですから、そうすると、やはりどういう税源移譲をやっていくのかということについて具体的な内容を考えなかったらビジョンが出てこないわけですね。ですから、何をどういうふうに税源移譲していこうと考えてこられたのか、これを最初に伺いたいと思います。

大田参考人 税源配分の見直しというのは非常に大きい議論になってまいりますので、ここに本格的に取り組むべきだ、税源配分を考えることが基本だという議論は出ておりますけれども、わずか半年の間に、どういう税源配分がいいのかという議論は、中ではできておりません。御了解いただきたいと思います。

吉井委員 大体、地方自治体に権限と税財源を移すという議論というのは、一九七六年ごろの地方自治体の財政危機の時代、そのころから、特にその当時、大都市部は大都市部として、大都市税財源をどのように拡充するかということで随分議論をやっていたわけで、三十年かかって議論してきてもなかなか進んでおりません。もちろん、大都市部だけじゃなしに、いわゆる過疎が進んできたところとか、その地域の地域経済をどうきちんとしていくのかとか、地方でも経済もうまくいくようにして、税収も上がって何とかやっていけるような、そういうことをどうするのかということは、これは三十年来考えられて、検討されてきて、なかなか簡単にはいかない話ですから、それは私も、半年ぐらいいろいろお考えになってうまい知恵が出ないのは当たり前かとは思います。

 しかし、いろいろ議論されて二十一世紀ビジョンだということを言っておられるんですが、次に伺っておきたいのは、プライマリーバランスということが議論されておりましたが、それを考えるんだったら、やはり、九〇年代からの地方財政の中で、どういう理由で借金がふえてきたのか、どう是正するのか。それは、もちろんそのときの地方にも責任があるわけですが、地方だけが自己責任を求められるものなのか。そこのところをきちんとしておかないと、地方の自己決定だ、自己責任だという議論だけは今どんどん出てくるわけですけれども、しかし、それだけで、借金がたまったのはおまえたちの責任だとやられたら、これは地方は大変なことであって、だから、この間の借金がどう出てきたか、これをどうきちんと見るのかということ。

 あわせて、これからのプライマリーバランスということを言うからには、今、国から地方へ税源移譲を求める流れがある中で、それに対して、一方では、国の歳出削減を重視するところから、地方のプライマリーバランス目標論とでもいうべきものを掲げて交付税削減が進む、しかし税源移譲の求めについてはブレーキがかかっていくようなことになると、過去の問題も大変だけれどもこれからの問題も大変。そこにプライマリーバランスという言葉だけが動いてくると、なかなかビジョンも展望も出てこないと思うんですが、この点はどういうふうに議論されたんでしょうか。

大田参考人 御指摘のように、九〇年代に地方債が増額しましたのは、景気対策のための公共投資あるいは減税の影響がもちろんございます。新しい制度を導入するにしましても、地方債の中の、これまで出された旧勘定、これから出されるものは区分して、旧勘定については今までどおりの対応が必要だと考えております。

 それから、プライマリー収支につきましては、このビジョン懇談会では、主に制度の中身について議論しておりましたので、規模についてはこれまで議論しておりません。半年間という限られた時間でございますので、御了解いただきたいと思います。

 ただ、御指摘のように、税源、補助金、それから交付税、やはりここは三位一体で改革していくというのが基本だと考えております。

吉井委員 三位一体という言葉はあったんですが、結果的に地方が随分、財源が圧縮されてしまった、これは今非常に地方が苦しんでいる問題なんですね。ですから、これからも、補助金とか税源とか交付税、その三つの言葉はあるんだけれども、そこをきちんとしなかったら、なかなか地方にとってビジョンは出てこないということをやはり言わなきゃいけないんじゃないかと思うんです。

 次に、今後三年程度で人口二十万以上の自治体の半分が不交付団体に、十年後までに人口十万人以上の自治体の半分が不交付団体にということで議論されておりますが、不交付団体化し、そして地方債の発行を自由化する、一方で再生型破綻法制、こういうふうになっていきますと、財源保障がなくなってきて、破綻が嫌だったら地方債の発行、借金もしなさんなよということになってきたときに、地方住民の暮らしや地方経済をどのように発展させるかということについて、そこのところをよほどよく、きちんと議論し展望を出しておかないと、財源を削られて、借金は自由なんだけれども実質的には後には破綻法制が待っていますよということになってくると、本当に、簡単に地方債を起こして事業をやるということもできなくなる。これは地方経済にとっても大きなマイナスの要因になる場合もあり得るわけですから、そこのところはどのように検討されたんでしょうか。

大田参考人 財源を削るという議論をしているわけではありません。今は国が歳出の大部分を決めてしまっている、この部分を減らしていって、そのかわり、歳出については、どう使うかは地方が決められるような仕組みが地方分権として望ましいのではないかという議論をしております。総額を減らすという議論ではございません。

 それから、破綻につきましても、破綻せよという議論ではございません。これは再々申し上げておりますように、少なくとも今の仕組みでは責任やルールが明確になっていないので、そこはしっかりと見直していく必要があるという議論をしております。

 それから、地方債につきましても、現在はやはり借りやすく貸しやすいというような側面がありますので、ある程度規律を働かせていくということも必要なのではないかと考えております。

吉井委員 起債発行については、別に地方が今自由にできているわけじゃありませんから、これはちゃんと国の方がぐっと握っているわけですよ。

 次に、新型交付税について伺っておきたいんですが、この新型交付税というのは、財源調整機能も財源保障機能も、この機能は両方とも持たせておくというものなのか、この機能は両方ともなくしてしまうというものなのか、これを伺います。

大田参考人 財源保障機能は、国が使い道を決めて、その財源を保障するというものですから、ここは国の基準づけがある限りは残っていくものです。基準づけがない部分については、国が使い道を決めるわけではありませんので、財政調整の機能を強めていこうということでございます。

 この財源保障につきましては、全部なくすればいいという話でもなく、やはりそこには国の役割、地方の役割というものがございますので、それは新分権一括法の中で国と地方の権限と責任を議論していくということでございます。

吉井委員 もう一遍、ちょっと重ねて伺っておきます。

 地方交付税というのは、地方自治体間のばらつきを調整する財源調整機能とともに、しかし、もともと、国の方が先に税収を、地方にかわってという表現をする場合もありますけれども、集めて、それを配分するわけですから、そこにはきちんと財源を保障するという機能があるんですね。ですから、今の新型交付税というのは、この両方の機能はきちんと持つということを前提としたものなのかどうか。これは一言で結構ですから伺っておきます。

大田参考人 これまでは国が使い道を決めるという形で保障してきた。新型交付税の場合は、一定の歳入まではしっかりと保障しましょうという財政調整の機能が強いということです。したがいまして、基準財政需要の中に、財源保障が従来どおりある部分と、それから配分を新しく変える形のものが併存するというイメージでございます。

吉井委員 地方交付税というのは地方の固有財源で、これは一般財源なんですよね。国が交付税の使い道を全部決めるというものじゃないんですよ。それを今までは国が決めておったから、それを何か変えるような話になってくると、これは全くおかしい議論だと思います。

 次に、時間が少なくなってまいりましたが、石井参考人に伺いたいと思うんです。

 国家的施策として実施されながら、すべてを国費で賄うんじゃなくて、地方公共団体に対して個別に財政負担を課している国直轄事業の負担金、こういうものがいまだに残っていますが、さらに維持管理費さえ地方公共団体に負担させる、こういうものがあります。

 やはり国直轄事業は国で行うべきもので、こういう異常な制度は、分権構想がどうあろうがなかろうが、分権構想の検討以前にここはきちんと解決すべき課題ではないかと思いますし、また、そういうものは幾つもあると思うんです。それをやはり今まずきちっと整理して実現するということが大事だと思っているんですが、いかがでしょうか。

石井参考人 国直轄事業の負担金の廃止問題は、地方分権の一括法制定、こういった問題の以前から、我々としては、これは改善されるべきであるということを主張してきているわけでございます。今日に至るまで残念ながら何ら、検討された、そういう経緯も承っておりません。

 我々といたしましては、国の方で計画をつくり、国の方が地方の区域において行う直轄事業、確かにいろいろな事前の協議等はございますけれども、基本的には国が主体的に事業を行っておられます。だとしますと、これは国の方が責任を持って、国家的見地からやられる政策でございますから、国の方でそれは全額負担をされるべき。また、我々は一方で、国庫補助事業は、先ほど申し上げましたとおり、真に国に必要だと思われる負担金を除きまして、我々地方に全部税源移譲して、補助金制度は廃止していただくべきだ。このセットでこの議論は進めていただくべきではないか、このように思っております。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

 どうもありがとうございました。

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 大田、石井両参考人におかれましては、大変お忙しい中、わざわざ時間を割いて本委員会に御出席をいただきました。まず、心から厚く御礼申し上げます。

 時間も限られておりますので、簡潔に申していきたいと思います。また、質問も最後になりますと重複する部分が多々あるかもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。

 まず、大田参考人に質問いたします。

 参考人、先ほどから議論となっておりますいわゆるビジョン懇談会、この中間取りまとめが行われました。現在、最終報告の取りまとめ中と伺っております。たくさん項目がございますが、その中で、私は、税源配分とそれから交付税改革、この二つの論点が最も重要なものと受けとめております。

 そこでまず、新型交付税なるものについて質問いたしますが、竹中総務大臣も、経済財政諮問会議提出の「地方財政改革について」、その中でもこの新型交付税の問題に触れられておりますが、この新型交付税の中で、人口と面積を基準として配分、こういう文言がございます。まず、なぜこの二つの要素が配分基準となるのかという点についてお伺いいたします。

大田参考人 ありがとうございます。

 人口・面積基準ですが、地方の歳入はいろいろな要因によって変わってまいりますけれども、産業構造が違うとか、あるいは人口構成、高齢者が多いとか少ないという部分によって違ってきます税収格差というのは地方の責任ではございませんので、これはならしていく必要があるだろう。そこで、人口一人当たりの歳入をならしていくという仕組みで産業構造や人口構成の違いを調整していこうというところで、人口という基準が出てきております。

 ただ、同じ人口でありましても、行政コストが変わってまいります。今度は歳出の方ですね、歳出の方で行政コストが変わってまいります。行政コストを一番左右しておりますのが、これまでの分析では面積ということが出てきておりますので、人口に加えて面積という要因を加えているというのがこの趣旨でございます。

 現在の交付税の配分でも、人口と面積の要因でかなり説明できるという分析もございますので、現実からかなり外れているということはないと考えております。

重野委員 人口と面積ということでやった場合に、多分この委員会の中でもいろいろなシミュレーションをやっていると思うんですが、どういう姿が出てまいりますか。今、大田参考人の言う人口と面積というふうな視点でやったときに、その結果はどういうものが出てくるんですか。

大田参考人 人口と面積がどれぐらいの比率がいいのか、あるいはその行政コストを見るときに本当に面積がいいのかということは、これからの具体の制度設計の中で詳しくシミュレーションをしていかなくてはならないと考えております。

 それから、十分な移行措置も必要であると考えます。

重野委員 懇談会の中でこういう議論をするときに、大田参考人、日本の国土の風景、そういうものは頭の中にイメージされたと思いますね。少ない人口で広大な面積を守っている、そういう地域が、私たちのように地方にはたくさんあるわけです。東京とか神奈川とか、そういう人口が密集している地域とは違った原風景というものがこの国にはあります。そういう風景というものは、こういう議論の中でどういうふうなイメージとして議論されたんですか。

大田参考人 私も、鹿児島から来ておりますので、地方の原風景というものはもちろん常に意識しております。

 懇談会の中で出た議論としましては、これから人口が減っていく、そうしますとますます厳しくなるのではないか。どうすればいいのかというのは非常に苦しい選択だと思います。これから厳しくなっていく中で、人口がどんどん減り、過疎もふえるかもしれない中で、どこまで国から移転すればいいのかというのは非常に苦しい選択だと思います。

 その中で、やはり一番苦しんでおられるそれぞれの自治体が予見可能性を持って財政運営できるようにするということが重要である。そのためには、やはり配分基準もなるべく簡便なものにして、先を見通せる状態にして行財政運営をやっていただくというのがいいのではないかという議論が出ております。

重野委員 それでは、ちょっと視点を変えまして、この交付税論議のときに一番大事なことは、その地域の財政需要をいかに的確に把握するかということがあると思います。地方財政の調整機能を果たす地方交付税、これは、先ほども指摘しているように、地方にとっては決定的に重要な要素であることは私が言うまでもありません。

 そこで、今、市町村合併が進んでおります。新しい合併によって誕生する自治体は、人口がふえる割合以上にその自治体が守らなければならない地域の面積が大きくなっていく、これはもう御承知のとおりであります。そのときに、人口と面積を基準として配分するというこの書きぶりは、今、自治体再編の真っただ中にあるというその流れの中で、そういう現実を見詰めた上でこういうふうなことになったのかどうか。それから、基準としてという文言が入っておりますが、これはどういう意味を持つのかということが一つですね。

 それから、そういうふうな二つの基準を示した、先ほども触れましたけれども、どういうシミュレーション、幾通りのシミュレーションが描かれたのかという点について、そのシミュレーションの結果として今、人口と面積というふうに固定した概念が示されているけれども、それに行き着くときにどういうイメージがそのシミュレーションの中にあらわれてきたのかという点についても、ひとつお聞かせください。

大田参考人 まず、合併が進み、それから地方の中でも人口が減っていくということは十分に認識しております。これまでのように、国が割と高いレベルを全部保障していけるんだろうか、人口が減っていく中で、財政余力が乏しくなる中で果たしてできるのだろうかという議論も十分にしております。

 それから、人口と面積というのは配分のあり方です。基準といいますのは配分するときの基準、それを基本として配分を考えるという意味でございます。これが二番目の御質問に対するお答えです。

 それから三番目ですけれども、まだ中間報告の段階では、「誰でもわかる簡便な算定基準に順次変えていく」ということを書いてございます。

 そして、人口、面積というのは今議論していることです。その中でも、恐らく懇談会の中では、人口の比率がどれぐらい、面積の比率がどれぐらい、あるいは本当に面積でいいのかという議論はやる時間がないと思います。これは、具体的な制度設計の中で、シミュレーションをたくさんやりながら制度をつくっていくということが必要であると思っております。

重野委員 聞いているとだんだん不安になってくるんですけれどもね。

 今、具体的なシミュレーションはないと申されました。しかし、今、私も先ほどから触れているように、人口は少ないけれども、その自治体の面積は、その地域の人口の十倍、二十倍ある大都会の面積の十倍ぐらいある、こういう現実があるときに、そういう現実が、今あなたの言うように人口と面積議論の中でどういうふうに議論されているのかということを私知りたいんですね。

大田参考人 人口の趣旨につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、同じ人口でも、おっしゃるように地理的条件によって行政コストが変わってくる。

 そして、そのときに、行政コストを一番的確に、一番近い形で反映するのは何か。これは、内々幾つかのシミュレーションはやりながら考えております。それは、今までの分析では面積であるというのが出てきております。これの効果は、具体的に制度設計をしっかりする中で、さらにシミュレーションを、正確なものをやって考えていく必要があると思っております。

重野委員 シミュレーションをやっているということですので、そのやっている資料をぜひ出していただきたい。要請しておきます。

大田参考人 シミュレーションは、あくまで私がどれが一番近いのかというのを考えながら見たものもございますし、外部の学者グループがやった分析もございます。その学者グループのやった分析は既に公開されております。

重野委員 いや、懇談会でやったのを出してくださいと私は言っているんです。人がやったものをあなた出せと言っているんじゃないんです。

大田参考人 懇談会ではやっておりません。

重野委員 わかりました。懇談会ではそういう具体的なシミュレーションをやっていない、だけれどもこういう結論じみた話になる。ちょっと私は疑問を感じます。

 最後に、石井参考人にお伺いいたします。

 地方六団体のいわゆる七つの提言と工程表、大変興味深く読ませていただきました。この貴重な提言をいかに実現していくか。そのために、提言にある地方行財政会議のような協議機関を政府との間にいかに法定化するか、これが第一段階、重要だと私は思います。もちろん、我々も国会議員として真剣にかかわっていかなければならぬと思いますが、まず、今後の具体的展望について率直な御意見を伺いたい。

 それから、この七つの提言と工程表は税源移譲について具体的提言を行っているという点についても、私は敬意を表したいと思います。ただ、この部分はビジョン懇談会とは若干違いがあるというふうに私は理解をいたしますが、この税源移譲の内容について、これは本当に重要な課題でもありますし、この内容とビジョン懇の一連の考え方や改革内容等について、石井参考人としての御意見があればお聞かせいただきたい。

石井参考人 新地方分権構想検討委員会の中間報告につきましては、我々地方側から見まして、目指すべき地方財政自立に向けての大変有意義な提言になっておりますので、早急に我々地方六団体で共通の意見ということでこの提言に沿ってまとめまして、そして、その実現に向けての地方団体一丸となっての取り組みをこれから進めていこうというふうに思っております。

 税源移譲につきましては、我々が目指しております、今の四対六から一対一に持っていくというその方向について、偏在性がより少ないもの、地方消費税あるいは個人住民税所得割といったような具体的な内容が提示されておるということも、大変我々のこれから議論を進めていく方向に沿ったもの、このように前向きに受けとめをさせていただいております。

 ビジョン懇との関係でございますが、ビジョン懇の示しておられます今回のさまざまな提言の内容につきましては、我々が地方分権推進のために目指しております方向性と基本的には一致しておりますけれども、幾つかの点におきまして、やや我々といたしましても懸念せざるを得ないような内容も含まれておりますので、ぜひとも、これから最終的な取りまとめとかあるいは工程表ということをお決めになる際におかれましては、地方の実情を十分に把握されまして、我々の意見をまさにこの内容に反映させていただきたい、強くそのことを希望いたしているものでございます。

重野委員 貴重な御意見、ありがとうございました。

 終わります。

中谷委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、本日、大変貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会としても、大変参考になった次第でございます。衆議院総務委員会を代表させていただきまして、厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)

 次回は、来る三十日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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