衆議院

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第26号 平成18年6月6日(火曜日)

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平成十八年六月六日(火曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 中谷  元君

   理事 佐藤  勉君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 後藤  斎君

   理事 渡辺  周君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    石破  茂君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      上川 陽子君    木挽  司君

      桜井 郁三君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      谷本 龍哉君    土屋 正忠君

      土井  亨君    永岡 桂子君

      萩原 誠司君    福岡 資麿君

      福田 良彦君   山本ともひろ君

      渡部  篤君    逢坂 誠二君

      郡  和子君    園田 康博君

      田嶋  要君    寺田  学君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      横光 克彦君    富田 茂之君

      古屋 範子君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         竹中 平蔵君

   総務大臣政務官      上川 陽子君

   総務大臣政務官      桜井 郁三君

   総務大臣政務官      古屋 範子君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            鈴木 明裕君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小笠原倫明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         松永 和夫君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     福岡 資麿君

  安住  淳君     園田 康博君

  西村智奈美君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  福岡 資麿君     橋本  岳君

  郡  和子君     西村智奈美君

  園田 康博君     安住  淳君

    ―――――――――――――

六月六日

 日本放送協会平成十六年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家公務員の留学費用の償還に関する法律案(内閣提出第八六号)(参議院送付)

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

中谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、国家公務員の留学費用の償還に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長鈴木明裕君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、自治行政局公務員部長小笠原倫明君及び経済産業省大臣官房総括審議官松永和夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民主党の渡辺でございます。

 国家公務員の留学費用の償還に関する法律案に入ります前に、これは通告していませんけれども、総務大臣にお尋ねしたいのは、きょうの新聞に、国勢調査などの二次利用を拡大するということが出ていました。「総務省は五日、国勢調査などで政府が集めたデータを研究者などが別の目的に使う「二次利用」を拡大する方針を決めた。」来年の通常国会に統計法などの改正案を提出する方針だというような報道があるんですが、この点について、この報道が事実であるのかなということを確認したいと思いますし、また、この法改正をする意図、大臣、今一生懸命読んでいらっしゃいますが、当然御存じと思いますけれども、ちょっとその点について御答弁いただけますか。

竹中国務大臣 統計については、そういう議論がなされているということはもちろん承知をしております。

 これは、より幅広く、実は経済財政諮問会議においても、日本の統計制度そのものが非常に世界の中で見劣りするものになっているのではなかろうかという問題意識を提示していただいております。先般、吉川先生から、例えば司令塔機能をもっと強化すべきであるということも踏まえて、政府全体で強くしていこうではないか。それと連動する形で、統計局を持っております総務省においても必要なやるべきことをやっていこうということの議論をしているというふうに位置づけております。

 わかりやすく言いますと、国勢調査とか、これは非常に重要なパネルデータになります。これは大変重要な情報を提供しているんですが、その国勢調査のパネルをうまく使うことによって非常にたくさんの分析ができます。ところが、これは要するに統計としては有用だけれども個人の情報として利用されると困るわけですので、そこら辺の線引きのあり方も含めてしっかり議論しなきゃいけないという問題等々がございます。

 ここに書いている二次利用というのはまさにそういうことだと思いますが、これは、いずれにしましても、そういうことを広松先生を中心に今検討をずっとしていただいてきておりますので、そういうことを踏まえて必要な措置は行っていかなければいけないと考えております。

渡辺(周)委員 今までは行政機関と大学の共同研究など一部を除いて原則禁止されている、これを民間に、企業などに拡大をする。そういう中で、企業が必要とする公益性というのが一体どの辺を指すのか、これは詳しい議論を今後またしていきたいと思います。

 個人情報については当然厳密な管理をされなきゃいけませんけれども、ただ、いろいろな傾向とか統計というのは、民間がさまざまシンクタンクを含めて保険会社とか金融機関がやっている上で、政府統計の中であるデータというものが何らかの形で資するというのは、国の方針あるいは民間の企業活動の中で一定の条件を満たせば、すべてにおいて悪いことではないんだろうと私自身は思います。

 せっかくコストをかけて莫大な調査をしたものがやはり何らかの形で還元されていなければいけないと思いますが、その点について、個人情報の管理をしっかりしながら今後検討を進めていただきたいというふうに思っております。この点についてはまた、公益性とは何かということを含めて、改めて議論をしたいと思います。

 それでは、早速ですが、法案について質問したいと思います。

 そもそも何のための留学制度なのかということでございます。官庁に入って、大体年齢的には、入省四、五年でしょう、だから二十七歳、二十八歳ぐらいになると海外に行く。そんな中で今回、要は留学費用を返せと、返還する義務が生じるわけでありますが、そもそもどういう意図でこの留学制度というものを進めて、これは太古の昔にさかのぼると思いますが、今現状をどう評価しているのか。それともう一つ、なぜやめるのかということだと思うんですね。やはりそこのところを解決しないと、ただ五年以内でやめた人間は金返せというだけでは根本的な解決にならないわけであります。

 そもそも何のための留学制度かということと、にもかかわらずなぜやめるのか、その辺は現実どういうふうに認識をしているのか、大臣並びに人事院総裁の御認識を伺いたいと思います。

谷政府特別補佐人 行政官長期在外研究員制度でございますけれども、これは、職員を海外の大学院等に派遣することによりまして、国際的視野を持ち、複雑多様化いたします国際環境に的確に対応できる人材を育成するということを目的として実施しているものでございます。

 現在の国家公務員採用試験の合格者、すなわち新規採用職員と言ってもよろしいわけでございますが、その大多数は国内大学の卒業者でございまして、これらの者に国際経験をさせることはグローバル化する行政にとって必要なことと考えております。

 そして、評価でございますけれども、派遣された人たちは、帰国後、留学中に得ました知見や人的ネットワークを生かしまして、国際会議、国際交渉、海外勤務等、国際的な行政の第一線で活躍する者が多く、また、国内にありましても、国際的視野に立った行政施策の企画立案に当たるなど大きな役割を担っていると認識をいたしております。そういう意味で、本制度は国の行政の国際対応という点で大きな役割を果たしておるというふうに認識をいたしております。

 それでは、離職者が少なくないという理由でございますけれども、これは、人事院が調査いたしました限りでは、離職後の進路が不明な人を除きまして、特に民間企業に就職するために離職をしたという方が約半数でございます。そのほか、大学院への進学や結婚、それから家業を継ぐというふうな方もいらっしゃいます。しかし、なぜ公務を継続することをやめてこれらの道を選んだかということについては、正確にはわかりません。ただ、推測いたしますと、自己の適性、進路について考え直したり、あるいは民間企業における処遇を考慮したりしているという事情もあるのではないかという推察をいたしております。

 しかし、各府省は、業務上の必要性それから人材育成上の必要性に基づきまして職員を留学させておるわけでございまして、留学の成果につきましては、帰国後の各府省における実際の人材活用を通じまして適切に判断されているものというふうに考えております。

竹中国務大臣 今、人事院総裁からお話がありましたように、基本的には、国際的な視野を養い、そして高い専門能力等をつけて、さらに言えば、人的、国際的なネットワークをつくるということにも役立てる、留学の趣旨ということに関してはそのようなことになろうかと思います。

 委員が御指摘になったように、しかし、同時にこれは、やはり今のような形でやめられるのは困るからそれをせめて防ごうというのが今回の措置でありますから、そもそもなぜやめるかという根本策についてしっかりと対応しなければいけないという御指摘はそのとおりであろうかと思います。それが伴わないと、お金さえ返せばやめてもいいんでしょうというようなことになりかねません。やはりこれは制度の趣旨からして最も悪いパターンになるわけであります。

 そういう観点からいいますと、これは、そのためには非常に総合的なことをとっていかなければいけません。特に、留学してつけた能力を生かしてもらえるような人事配置をするということが基本だというふうに私は思いますが、やりがいのある、そして働きがいのある、達成感のある、そういう人事の仕組みとこれは合わせわざでやっていって初めて意味が出てくることであるというふうに考えております。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

渡辺(周)委員 この問題は、確かに、国際的視野、さまざまな、例えば外国での人間関係、そして国際会議、あるいは国際舞台で通用する人材をつくるという制度であることはもちろん承知でありますが、結果的にやめてしまうということは、そういう思いがあって留学をしたにもかかわらず、帰ってきたら、その留学の経験、実際に身につけてきた専門性なんかが、本当に専門性が身についたかどうかはちょっとわかりませんけれども、人事とか昇進にやはり考慮されていないからじゃないかと。つまり、行ったことで身につけたことがそのまま、自分のこれからの政策、企画立案なんかに役に立たない、結局は評価されないということにこれはつながるんじゃないのかな、そういうことからやめていくということも率直にあるのではないのかなというふうに私は思うわけであります。

 この留学の経験を、人事あるいは昇進とか配置、ポストにつくということについてどういうふうに考慮されているんですか。その点はちょっと今お答えがなかったんですが、人事院総裁、経験が実際、例えばこういうことを二年間やってきて身につけたはずだ、その経験を生かして、だから、こういう部門、こういうポストに、こういうセクションにつく、これはちゃんと各省ごとに評価されるのか。中身はどうなっているんですか。

谷政府特別補佐人 失礼をいたしました。

 先ほどもちょっと申し上げさせていただきましたけれども、各省は、それぞれ業務上の必要性、人材育成上の必要性に基づきまして職員留学の希望を出してくるわけでございます。そしてまた、帰国後は、それぞれの必要性を考え、また、人材育成上の観点を加えながら、その成果を生かすような配置をしているものと思うと申し上げたところでございますけれども、現実の問題といたしますと、この留学経験を生かす、その成果を生かす分野と申しますものは、国際会議、国際交渉、海外勤務等、特定のものに限定されるわけではございませんで、国内にございましても、施策の企画立案に際しまして国際経験を踏まえるということは非常に重要な要素となってきておると考えております。そういう意味で、留学経験者はさまざまな行政の分野で活躍をしておられると思っておりますし、その留学の成果に基づく適材適所の人事管理がされているものと考えております。

 それから、もう一つつけ加えますと、我が国の現在の幹部育成の人事におきましては、できる限り多くの経験を積ませる中で、いわゆるゼネラリスト的な人材育成を行うということが中心となっております。そして、行政のあらゆる分野でこういった知識、経験を必要とするという状態になってきておりますので、非常に限定された国際分野にのみ従事させるということではないと考えますし、また、この留学経験を持ちました者の比率もかなりの率に及んできていると考えております。

渡辺(周)委員 別に留学していることが悪いとは言いませんし、また、やはりそういう人材をつくっていかなければ、これから国際的な視野を持った人間がいなければ、ドメスティックな政策だけでは、とてもじゃないけれども、これから世界を相手に当然日本の官庁が太刀打ちできないということは百も承知であります。

 問題は、そこまでした人間がなぜやめていくか。もっと言えば、このいただいた統計でいうと、これは概数で、行政官長期在外研究員一人当たりの経費、授業料が五百四十万円、旅費が、滞在費、航空運賃、鉄道運賃やその他を合わせて七百四十五万円、これが二年間で大体千二百八十五万円、千三百万円というふうに数字をいただきました。

 さらに、この間は、国家公務員、これは休職中ということになるんでしょうか。それとも、留学している間は出張ということなのか。留学中も公務員としての給料をもらっているということで、留学中も給料が出ていると。これは休職中ということなのか、あるいは出張ということなのか。これは全額支給されているんですか。それとも、全額ではなくて一部支給されているのか。その辺の仕組みはどうなっているんですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 長期在外研究員は、所属府省の身分のまま、研修受講命令、出張命令という形で研究に従事することになりますので、俸給につきましては十割支給をされております。一〇〇%支給されております。

渡辺(周)委員 今お答えがありましたけれども、授業料、旅費以外に、二年間なら二年間の国家公務員としての給料を十割、出張という扱い、出張という形で受け取っているわけですよ。

 これをちょっとざっと計算しますと、二年間で大体二千万円、年間一千万円、国費によって勉強させてもらっていると。それだけの投資をしているわけでありますから、当然、その方々がやめるということは非常にゆゆしき問題なわけであります。

 これまでこういう制度がなかったこと自体が驚きなんですけれども、やはりこの点について懸念するのは、MBAを取った、やめたと。実は、MBAを取って帰ってくると、ヘッドハンティング会社がやってきて、今の給料よりもっといい給料を出すから、ぜひうちの会社にということになります。実際そういう例がある。

 ここにありますのは、これは昨年、平成十七年五月二十日に、人事院事務総局人材局研修調整課長が出した長期研究員の経営学修士への派遣についての通知というのがありますけれども、「行政官長期在外研究員の経営学修士への派遣については、派遣者数に占める早期退職率が他の分野に比べて高いことを踏まえ、経営学修士を希望する者を推薦する場合には、各省各庁人事担当課長は、研修調整課長に対し、別紙様式の理由書を提出するものとする。」要は、MBAを取って帰ってきて、やめちゃう人が多い。これについては、ほかの分野に比べて早期の退職率が高いんだということで、推薦するについては理由書を提出しなさいというようなのが出ているわけですね。

 つまり、人事院としても、統計を見てみると実は多いということがわかる。つまり、国が人材育成のために多額の費用を、年間一千万円も出して、しかも、留学中まで出張扱いで給料をもらっているわけですよ。これだけでもちょっと驚きなんですが、私は、せめてこれは休業中並みにすべきではないかなというふうに、検討を要望したいと思います。

 これだけの投資をしながら、帰ってきてやめちゃう、例えばどこかの外資に行ってしまうというようなことを考えますと、これは一体何のための留学制度なんだろうか。つまり、公費で、国費で人材を育てて、さあこれからというときにはよそに、要は民間の会社に行ってしまう。この辺については、やめることも自由、やめさせないことというのはできないわけでありますが、これを本当にどうするかということを考えないと、結局どんどん、先ほど半数ぐらいが民間に行っているというお答えがありましたけれども、本当にゆゆしき事態になっているんではないかというふうに懸念するんですね。

 その点については、どういうふうな御認識を持って、どうしていくつもりなのか、これは人事院総裁にも伺いたいと思いますし、竹中大臣の御所見も伺いたいなと思います。

谷政府特別補佐人 経営学専攻の方々について、確かに飛び抜けて数字が高い、離職率が高いというのは事実でございます。ただ、そのほかの方々について見ますと、留学していない方々に比べてそう飛び抜けて高いわけではございませんで、一般的に申しますと、昨今の若者の意識の変化、あるいは一部先端的な企業を中心とした人材の流動化等の影響もあるのではないかということを思っております。

 それからまた、これは直接の原因かどうかわかりませんが、大変残念なことに、公務部内におきまして不祥事あるいは不手際ということがございまして、こういったことから、公務あるいは公務員に対する一般の御評価についてもかなりの影響があり、そういったことが合わさりまして、職員や公務を希望する方々に影響を与えているのではないか。また一つは、いろいろな大学院等、専門の大学院等がございまして、供給構造の変化ということもございます。

 しかし、そういった中で、先ほども申し上げましたけれども、公務部内に国際的視野を持った有為な人材を確保するということは大変重要だと思っているわけでございまして、このことにつきましては、なかなかこれが特効薬ということはないわけでございますけれども、私どもも多角的な努力をしていかなければならないと思っております。

 その中でも、特に、やはり基本的な公務員の使命感といいますか、そのあり方というものをしっかり認識していただく、そしてそういう考え方をしっかり持った方々に公務部門に来ていただくということが大事だと思います。

 それからさらに、このことにつきましては、現在の先輩職員、あるいは特に幹部職員の仕事のあり方、それをしっかり示すことによって、国民の御信頼も得、また若手職員に対してもそういう覚悟を与えていくということが大事かというふうに考えております。

 もちろん、私どもといたしましては、そういったことだけではなくて、職員の働きやすい環境でございますとか、それから適切な処遇でございますとか、あらゆる面で人材確保、それから有能な方を抜てきする仕組み、いろいろ力を尽くしていかなきゃならぬというふうに考えております。

竹中国務大臣 基本的な考え方は今、人事院総裁がお話しになったとおりなんですが、私の立場で少し、私自身の経験も踏まえて申し上げさせていただきますと、私も実は若いころに、もう二十五年以上前ですが、政府系の機関から留学をさせていただいた経験がございます。官民含めてたくさんの留学生がその大学におりましたが、いろいろ夜とかに話し合っておりますと、そのとき、留学生の九割の方がやめることを考えるというちょっと驚くべき実態がございました。

 その理由は何かということになりますけれども、それはやはり、帰っても自分がちゃんと処遇されない。これは、自分がいい、高い技術を身につけたという自分自身に対する過大評価というか、若い留学生ですからその部分も少しあると思いますが、当時の状況は実は、留学をしてきたんだから、少しいい思いをしてきたんだから、帰ってからはしっかりぞうきんがけをしなさいというような、ペナルティー的な人事をやる、特に民間企業なんかではそういうところが随分あったわけです。

 私は、さすがにそういうことは現在は、民間で一部あるかもしれませんけれども、公的部門ではないと思います。むしろ、そういう人材をしっかりと活用しないともう仕事が回らない、そんな余裕はないわけでありますので、そこはしっかりと働いてもらえるような仕組みはできているというふうに思うんですが、そこをやはりさらに徹底させていくことが、つまり、やりがいのある仕事をやってもらえるようにすることこそが最大の解決策であると思っております。

 これは、総務省の例で申し上げますと、帰国後、報告を出させるようにしています。そして、研究成果、自分の成果はどういうことであったのかということに加えて、これをどのように公務に活用していきたいのか、いく意思があるのかということを記述させております。そういうことをしっかりと人事の配置のときに考えて、それを実現していくということが、当面、それぞれの省庁としてはやらなければいけないことであると思っております。

 もう一つ、実は、国家公務員、公務員、官僚そのものの評価と社会的地位の低下のようなものがその背景にはあろうかと思います。これは一つの省庁の努力でなかなか食いとめられない問題もございますが、であるからこそ、やりがいのある仕事、達成感のある仕事ができるような人事ローテーションにやはり最大限配慮しなければいけないと考えております。

渡辺(周)委員 これはやはり適材適所だと思うんですね。帰ってきた人間がそれなりに評価されないと、何だ、結局、行って帰ってきたはいいけれども、与えられた仕事は違うなと。本人の意欲があればあるほど物足りなくなってきて、結果的に、何をもってして正しく評価というのは、これはまた難しい問題だということは承知ですけれども、そこがないと結局これから、これは今回一定の歯どめになるのかもしれませんけれども、やはり優秀な人材をせっかくつくったって、途中でどんどんやめていくということになってしまうわけであります。

 ちょっとこれは細かいことを、さっき聞きそびれましたので聞くつもりなんですけれども、先ほど、給料を十割もらっている、要は給料をもらって行っていると。これは、学校、大学が休みの日なんかはどうなっているんですか。つまり、夏休みになったりクリスマスホリデーになって休みの場合、実際学校には行っていないけれども給料は出ている。こういう場合はどうなるんですかね。その点、ちょっと教えていただけますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、出張命令という形で行っております。したがいまして、派遣先の大学院で授業がない場合でも、研究員は研究や自己啓発に努めるということが期待をされておりまして、受講科目の予習、復習、あるいは研究に関する資料の収集、あるいは、これはよく例にあることなんですけれども、夏休みなんかはインターンシップを学校の方でプログラムで課している場合もございますけれども、そういうようなインターンシップに参加する例もございます。そういうことなどで、将来、業務に役に立つ経験、知識を身につけるように努めているというふうに認識をしております。

渡辺(周)委員 その辺、実態はわからないんですよ。

 ぜひこれは確認したいのは、帰国の際の報告書、中間報告なんかはもちろん出しているんでしょうけれども、例えば留学中の履修状況、大学院にしてみるとその生徒の評価はどうなのか、言い方は変ですけれども、親元といいますか、やはり派遣元は国ですから、国でこれだけの多額の税金を使って行っている以上は、ちゃんと勉強しているのか、態度はどうなのかということも含めて、これは把握をしておくべきだと思います。

 また、今お話があったように、だと思うではなくて、実際休みが、とるなとは言いません、それは日曜日だって休みたいときはあるでしょう。しかし、例えばロングバケーションがあって、そのロングバケーションは一体何をしているのかなと経験をした方に聞くと、アメリカ国内旅行に行っていたなんという人もいないわけじゃない。そうしますと、これは本当に実態をわかっているんだろうか。

 つまり、帰ってきた方々が正当に評価されるという仕組みはつくらなきゃいけないと今まで申し上げたとおりです。ただし、行った人間は、評価される、それに値する人間になるためにちゃんと勉強しているということも、これはやはり派遣元の省庁が把握をしていなきゃいけないと思うんですね。その点についてはどうなっているんですか。その辺はどうなんですか。

 やはり履修状況なり授業態度なり、要は、だらだらと過ごしても、一生懸命勉強しても、わからないわけでございます。やはり行く人はそれなりの志を持って行かれているんだろうとは思いますけれども、その点はちゃんと把握しているんですか。そうしないと、留学していて夏休みもある大学生が何で給料を十割ももらっているんだという批判に耐えられないと思うんですね。その辺どうなっていますか。

鈴木政府参考人 留学中の研究員につきましては、留学中に学期末報告書というのを出させるということにいたしておりまして、各学期での、どういう科目を受講したのか、それについてどういう成績であったか等、それから生活状況あるいは健康状況などを報告させております。それを通じて各研究員の研究状況等を把握しておるということでございます。

渡辺(周)委員 これは本人から自己申告で出させるんじゃなくて、その大学院なりと話をして、日本から派遣されているこの人間は優秀である、ちゃんと勉強している、努力の跡が見られる、やはりそういうことまで派遣元としてはちゃんとやるべきじゃないかな、それはやはりやらなきゃいけませんよ。この後も質問がありますから出ると思いますけれども、ぜひこれを把握していただくように要請をしたいと思います。

 最後になりますが、留学と客員研究員という形で、海外派遣に二種類あるんですね。これは、大学に客員研究員として例えば一年間派遣されて赴任するというような例がございます。いわゆる留学と違って、客員研究員の場合は学位も取らなくていいし、どちらかというと、これは役所出身の方に言わせると、少し働きづめだったから、休養の要素みたいなところ、リフレッシュみたいなところも実はないわけじゃないんじゃないか、そういう思いで行く人たちもいるというんですね。

 例えばその客員研究員なんかについては、今回の制度は適用されるんですか、この法は。それを最後に伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回の法律で申し上げます留学というのは、大学院等の課程に在学してその課程を履修する研修ということになっておりまして、客員研究員として派遣される研修につきましては、大学院等の課程に在学するものではありませんので、この点が留学とは異なっているということでございます。

 客員研究員として派遣される研修につきましては、得られました学位等を退職後に公務外でも活用できる留学とは異なるという点、それから、派遣中に行われる調査研究等が、通常、直接の業務により密接に関係している場合が多いことという実情を踏まえまして、償還の対象とはしておらず、今回の法律は適用されないということになります。

渡辺(周)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、この客員研究員のあり方についても、これはかなり検討を要するんじゃないかなと。

 今回の法律、確かに法律はもっともなんですが、法律に限らず、この留学制度を調べていきますと、人材活用、先ほどから指摘しましたとおり、これはまだまだ掘り下げて、本当に人材を確保する、そして本当に効率的に投資をされているということが確実である、そういうことを含めて、いろいろこれは議論ありますが、三十分の時間でございましたので全部は質問できませんでしたけれども、ぜひ人材の育成、適材適所で採用されるように、その中でぜひ我々も折に触れてまた問題提起をしていきたいなというふうに思います。

 終わります。

葉梨委員長代理 以上で渡辺周君の質疑は終わりました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。渡辺委員に引き続きまして質問をさせていただきます。

 冒頭、大臣、どうも委員会の前日に、地方自治、交付税も含めたものにかかわるいろいろな報道や取りまとめがございます。特に昨日は、財政制度等審議会で、これはまだ方向性ということのようでありますが、きょうの報道で、法定税率を引き下げて交付税を削減し、国の財政再建に振り向ける考えを示す等、いろいろな記事がきょうも躍っております。

 そして、前回も、十二分に大臣とやりとりができなかったんですが、いわゆるビジョン懇の中で、とりあえず五月二十六日のものが最終取りまとめということでよろしいんでしょうか、中間ですか、かなりまとまったものが出ておりまして、その中で、新型交付税をということで、大臣もこの委員会でもお答えになっております。これがどんな形で、このビジョン懇どおりにいくのかどうかも含めて、その後すぐ和歌山県で、実際、新型交付税が導入されたときのシミュレーション的なものを公表されております。

 大臣、やはり自治体はこれからの地方自治の制度、特に、まず収入がどうなっていくのかということを大変心配し、懸念しております。これは首長さんだけではなくて、議員の方、住民の方も含めて、これから自分たちの町や村はどうなっていくんだということ。

 この新型、要するに旧型ではない新型ということなんでしょうけれども、この交付税がどんな形で自治体に影響があるかという、方向性というかシミュレーション的なものを出して、大丈夫だよ、しっかりこの前提でやっていけば大丈夫だよというふうなことを大臣はおっしゃっていくのか、それとも、いや、ここまでしかやらないからもっと頑張れ、いろいろな言い方があると思うんですが、どんな形で導入を方向づけていくのか。例えば、三年なのかという数字もありますけれども、五年、十年、十年のスパンというふうに前文の方でも書いてありますが、導入の手順であるとか導入の主目的であるとか、交付税を三分の一だけやるとこうなるよみたいなことをやはり数字としてこれから具体的に出していかなければ自治体の不安は増すばかりだというふうに思うんですが、大臣、その点についていかがでしょうか。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 まず、ちょっと今、財政審についてお話がありました。これは私も内容はよく承知をしておりません。財務省を中心にいろいろな議論、財務省なりの議論をしているということだと思います。

 ビジョン懇でありますけれども、現状では、座長預かり、最終的な案を示した上で、議論をしていただいた上で、座長預かりということになっておりまして、そして、大田座長と、そして地方六団体でも検討委員会がございますので、その検討委員会の神野先生を中心とする方々と一度話し合いをしていただくということになっております。それを受けてどういう形で最終的な報告の提出が私にあるのかというのは、これはいましばらく、少し調整をさせていただく必要があるかと思っております。

 今、後藤委員が御指摘の点は、各地方自治体、自分のところはどうなるんだということで、大変懸念、不安があるというのは、もうそれはそのとおりであるというふうに承知をしております。

 ただ、そこであえて私の立場で申し上げさせていただきたいんですが、まず、新型交付税について、国の基準づけがあるところがたくさんあります。まず、この国の基準づけがあるところを減らしていく。そのために分権一括法をやろうというのが大きな方向なわけですが、それでも今、まだ基準づけのない部分があるわけですから、そこについて、もっと簡素な方法でこの新型交付税を導入する、そして国の基準づけがなくなれば、その分、順次これを拡大していきたい、そういう方向の議論を今しっかりとさせていただいております。

 できるだけ簡素化すべきであるというような議論は、これはもう従来からも行われてきたことであるというふうに承知をしています。その上で、うちの自治体はどうなるんだというのは間違いなく大変重要なのでございますが、それは、私がよく申し上げる、制度設計の段階で責任を持ってきっちりと議論をさせていただく、そういう問題だと思っております。

 これは私自身の経験で、郵政民営化のときもそうだったんですが、まずやはり方向を決めて、その上でしっかりとした制度設計をやる。その制度設計の方針として、常に申し上げていますのは、面積、人口というような簡素な方式でやるけれども、現実の行政がそこにあるわけですから、それに支障を来さないように現実的な制度設計を責任を持って行いますということを申し上げております。

 これは、小さな自治体には小さな自治体なりの行政コストがかかります。また、いろいろ制度を変えるわけですから、その移行プロセスについて経過措置のようなものも必要です。そこは総務省の長年のノウハウを駆使して現実的な制度設計をぜひしたいと思っておりますので、まず、今は方向の議論をしっかりする。そして、現実的な制度設計の中で、各自治体の行政に支障を来さないように、これはもう責任を持って行ってまいる覚悟でございます。

後藤(斎)委員 大臣、ビジョン懇の「現状の問題点」というところで、確かにここに書いてありますように、「行き過ぎた国の関与と地方の財政的依存」であるとか「地方の累積債務の増大」とか、この問題意識は決して間違っていないと思います。ただ、前回の参考人質疑の際に岡山県知事から出していただいたペーパーの中には、国の関与している経費が、もちろんこれは県とか自治体の規模によっても違うんでしょうけれども、岡山県知事は七割が国の関与だというふうに指摘をしながら、ビジョン懇では、トータルということで、地方歳出の九割に国が定めた基準が存在しているという指摘がございます。

 そういう中で、特に今大臣がおっしゃったように、確かに、大枠を決めながら具体論を詰めていって、問題点があればそれを補うような仕組みをつくっていく、それも正しいと思うんです。ただ一方で、合併がとりあえず一服した中で、今、団体数が千八百二十余りという中で、一万人以下のいわゆる小規模自治体というものが引き続き千八百二十余りの五百近くございます。これは総人口でいえば二・二%ありますが、面積でいえば二四%ある。

 特に、悲鳴に近いものを上げているのは、これからこの仕組みを、基準の見直しも含めて、不交付団体を拡大していく。例えばここでも、今後三年で二十万人以上の自治体の半分が不交付団体になるようにすべきである、十年後までには人口十万人以上の自治体の半分が不交付団体となるように目指すべきである。もちろんこの前提には、地方の歳出削減、税財源の移譲、交付税改革、この三つの柱が前提としてございます。

 やはり、これから漏れるもの、合併特例債も含めた旧平成の合併推進法でない仕組みの中で、新平成合併特例法は、知事の勧告権も含めて、できるだけまとまってやりなさいよという方向性は、各県の審議会を通じて県が勧告している自治体もたくさんありますけれども、なかなかそうは言ってもという自治体があるのは、大臣、御存じのとおりであります。

 ですから、この五百に残っているというと言い方が大変適切でないかもしれませんが、この五百のいわゆる小規模自治体をどんな形で、合併を促進していくのか、それともこの自治体でも残れるように、ビジョン懇ないし、大臣が今、七月にずれ込んだと言われていますが、骨太に盛り込んでいかれるのか。その点については、大臣、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 今、五百の数字を挙げられましたけれども、ここはまさに地域によって実情は区々であるというふうに思います。

 今後、こういうところがさらに合併の努力を模索して、さらに合併していく、近くの市町村と一緒になるというところも出てくると思います。非常にユニークな活動をしているところは、いや、我々は独立でやっていけるんだというようなところも出てこようかと思います。また、最終的な報告書の文言がどうなるかはともかくとして、この懇談会では、真に配慮を要する自治体についてはきっちりとそれをやっていかなければいけないんだということも明言がされていたというふうに承知をしております。そういう中で考えていく自治体もあるのかもしれません。そこはまさに制度設計の段階で、どのぐらい新型交付税の額があって、そしてどのぐらい税源移譲が可能であって、そういう中でそれぞれの自治体が現実的にどのようにやっていけるのかという中で私は適切に判断をしていけるというふうに思います。

 いずれにしましても、大きな方向を決めて、そして制度設計を緻密に、地方とよく相談しながらそこをやっていくことによって、私は、新しい方向を築いていくことはできるというふうに考えております。

後藤(斎)委員 大臣、簡潔で結構ですから、では、小規模自治体、本当に小さな町村についても必ず国は適切な配慮をなさるという趣旨で理解してよろしいでしょうか。

竹中国務大臣 地方自治体に我々が期待するのは自由と責任と自立でございます。しかし、小規模なところで真に配慮を必要とするところもあり得ると私は思います。そうしたことを含めて、現実的な制度設計をする覚悟であります。

後藤(斎)委員 ぜひそんなスタンスで、引き続き、大臣の能力と手腕で、地方から見ても、これから進められるという方向性を示していただきたいと思います。

 本論に入りたいと思います。

 先ほど渡辺委員からもいろいろな御質問がございました。特に、今回、主題になっています長期在外研究員制度そのものの目的と評価については、先ほど人事院総裁がお答えいただいたとおりであると思います。

 ただ、先ほどのお答えの中で一点、ちょっと気がついたというか、ちょっと変だなと思ったのは、単に在外研究に出た方が留学の後やめるだけじゃなくて、今、ほかの理由でやめられる方も多いんだ、これが象徴になっているんだというお話がございました。

 それが、逆に言えば、私は一番の、今確かに、官というか公というかに、世の中、一般国民の方の風当たりが強い部分が当然あると思います。人事システムだけじゃなくて、人事院総裁として、例えば地方自治というお立場で大臣が、やはり研修の制度だけではなくて、官の中に入っていくというのは、地方公務員の方であれ国家公務員の方であれ、その目的を大きく持って当然入っていると思うんです。

 特に、昨年の人事院の白書の中で、学習院大学の村松先生が特別寄稿ということで書かれている中で、新規採用職員に対するアンケートという中で、一番が仕事に対するやりがい、二番が公共のために仕事ができる、三番がスケールの大きい仕事ができる、これは1種試験等ということで、どこまでくくったかちょっとわかりませんが、そういう問題意識を持って入っている。

 それが、もちろん体の都合とか家庭の事情であればあれかもしれませんが、やはり違った職業についていくということは、入ってからの、そのものの仕組みや、これからもたたかれ続けたら嫌だとか、いろいろな思いがあるのかもしれませんが、その点についても、総裁、やはりきちっと新規採用時においても対応しながらやっていかないと、これは留学の問題だけではなくて、公というものに対する、若い、意欲を持って、目標を持った方たちに対する信頼というものが、むしろ国民の皆さんの前になくなってしまう。それは、公という部分に入ってもしようがないと思うのかどうかは別としても、お話を聞くと、募集の人数が減っている部分もあるというふうに、もう公はいいというふうなことを思っている方もいらっしゃるという意見もあるんですが、まずその点について、総裁、質問通告していないんですが、いかがでしょうか。

谷政府特別補佐人 先生もおっしゃいましたけれども、いろいろな原因が複合されているんだろうと思うわけでございます。

 やはり若い方々を含めての考え方の変化ということもございますし、それから、公務部門だけではなくて、いろいろな新しい分野でいろいろな可能性が出てきておる、そういうことに公務に入りましてから改めて注意を向けるという方もいらっしゃると思います。ただ、多くの方々は公務に入られるときにはそれなりのお考えはお持ちになっていらっしゃると思うわけでございますが、公務に入られまして、年月を経ますうちに、いろいろな状況の中から考え方をお変えになってしまう方がいらっしゃることは大変残念なわけでございます。

 そのことにつきましては、私は、これだけで解決するという妙策はないのでございますけれども、やはり、まずしっかりした考え方を含めた人材の確保の方策、採用その他の方策の問題、部内におきます適切な業績の評価と処遇、いろいろ勤務意欲を阻害しますような条件の除去、それから、何よりもやはり公務及び公務員が国民の信頼を得られるような仕事のやり方、そういったことを先輩がしっかりと身をもって後輩に伝えていく。いろいろ公務部門の経験者の方々、大先輩の方々の御意見をお聞きしますと、やはりかつていろいろな先輩の方々から大きな示唆あるいは影響を受けたということを述懐される方が非常に多いわけでございまして、そういう意味では、私どもは私どもとして制度上できる限りのことは考えてまいりますけれども、やはり全体としてそういう意欲を持って取り組んでいくということが一番重要なことではないかというふうに考えております。

後藤(斎)委員 総裁、先ほど目的と評価の中でもお答えになったように、この長期在外研究員制度というのは、そもそも国際的な視野や感覚を備えることを目的としたり、新しい言い方で言えば、国際的な知識や能力を高めることがもちろん主眼だというお話をなさっています。役所に戻ってそれを生かすということだというふうに承知していますが、例えば二年間で一千三百万近く費用を要する、除く給与ということであります。

 そもそも、総裁、もしコスト論ということや、簡単に五年以内にやめてしまう方が近年急増していることが本法の新設というか法律をつくる目的なんですが、であれば、採用時に、国際的感覚や能力がある方、例えば語学ができる方、そういう方を採用するとか、今中途採用をすべきだという議論もたくさんありますし、現実にされています。その中途採用で国際的な視野や能力がある方を採用した方が、ある意味でははるかにコスト的には、コストだけいえば、長期研修に年間百二十数人出すよりも、安い高いで余り評価しちゃいけないんですが、そういうふうにコストも、できるだけ税の投入も少なくできるという指摘があると思うんですが、その点について総裁はいかがですか。

谷政府特別補佐人 ちょっと最初からのことになりますけれども、既に国際的な経験を有している方を採用することは効率的であるという御指摘はごもっともでございます。

 少し戻りますけれども、現在の職員採用試験の合格者、したがいまして採用者、新規採用者ということになるわけでございますけれども、この方々は新規学卒者がかなり多うございまして、その大部分は国内大学の卒業者で、海外経験をお持ちでございません。そして、こういった方々が人事運用上は将来の幹部要員の育成の対象というふうになっているわけでございます。でございますから、そういう方々を中心に留学を通じた国際経験をさせる、そのことが必要だということが基本的な仕組みになっております。

 しかし、御指摘のように、国際的な知識、経験に限らず、必要な能力、これは国際問題に限りませんけれども、必要な能力を既にお持ちの有為の人材を即戦力のような形で、言葉はちょっと悪うございますが、採用していくということも今後非常に重要になってくると考えておりまして、そのため、選考採用の公募手続でございますとか、能力実証の一部を人事院が担当いたしまして、各府省の採用活動を支援する経験者採用システムの導入など、多様な人材確保のための取り組みを進めているところでございまして、そういう意味で、この仕組みの中で必要に応じてそういった方々の採用もできる道は開かれておると考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 そもそも、先ほどこれも渡辺委員から指摘が若干ありましたが、給与を入れないという本法の、法二条の中で「「留学費用」とは、旅費その他の留学に必要な費用として人事院規則で定める」というふうにございます。

 例えば、この類似の、五年というふうに今回区切っていますが、防衛医科大の卒業生の償還規定というのは既にございまして、自衛隊法の九十八条の二で、ここには「教育訓練に要した職員給与費」というのが入っております。あわせて、諸外国においても、給与の返還まで求めているのが、細かな点はわかりませんが、例えば韓国も経費の中には給与が入って、アメリカやフランスも経費の中に給与という部分を入れ込んでおります。

 今回の法改正で、この留学費用というふうに定めた中で給与部分を入れなかった理由について、ちょっとお伺いしたいんです。

鈴木政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、長期在外研究員は出張命令、職務命令という形で行っておりますものですから、その間は職務に従事をしておるという構成になります。したがいまして、給与自体はその職務に従事したことに対する対価ということで支給をするということになります。

後藤(斎)委員 ただ、今のお答えだと、これは法二条の二項の部分で、「職員の同意を得て、」という部分が当然あると思うんです。通常で考えれば、本人が手を挙げて、例えば上司からおまえ行ったらどうだということを言われるのかもしれませんが、それで各省が大体固めて、人事院が最終的に派遣命令を出すわけですよね。ですから、そこの部分で、先ほどのお話のように、やはりここはほかの法体系と若干違っている部分が、特に防衛医科大の部分と若干違っているかなと思うんですが、その点は今指摘だけちょっとさせていただきます。

 あわせて、これは地方公務員の部分にも法十二条で規定がございます。この十二条の中には、派遣をされている職員は、平成十一年から十六年の間に国内、国外ということで大体四百六十七人、その中で退職された方は十六人という形で、国より低いということなんですが、十二条の規定を置くというのは、基本的には、各自治体でも留学ということも含めて研修をさせてもらえるということだと思うんです。

 ただ、私ちょっと気になって、きのう総務省の方ともいろいろお話をしたんですが、地方公務員法が平成十六年度に改正になっております。そしてその中で、地方公共団体は研修に関する基本的な方針を定めるということで、人材育成基本方針というものを設ける、計画をつくることになっております。特に、人材育成基本方針の中の研修に関する基本的な方針については法律上の責務にしたということになっております。ここの部分について、もう二年近くたっているわけなんですが、全部の地方公共団体でまだこの流れができていないというお話も一部聞いております。

 きょうの本論でもそうなんですが、今後、やはり人材育成を当然国だけではなく地方公共団体もやっていかなきゃいけない。特に、この人材育成基本方針というものをつくることになり、その研修については法律行為であるということも含めて、今後、この研修というものに地方公共団体も、海外、国内の留学制度も含めて、やはり積極的に対応していくべきだと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地方分権が進む中で、地方の役割に応じた能力を持つ人材の育成というのは大変不可欠、重要であると考えております。

 総務省としては従来から、お話にありました人材育成に関する基本方針を作成しておりまして、現在の策定状況でございますけれども、昨年の四月一日現在でございまして、都道府県で大体九三・六%、指定都市で八五・七%、作成しております。

 先生のお話もありましたように、一昨年六月の地方公務員法の改正によりまして、研修に関する基本的な方針につきましては法律上の責務となっておりますので、私どもとして、これを踏まえまして、人材育成の観点に立った人事管理、あるいは職場風土の改善あるいは仕事の進め方の改善を行うことによって人材育成に努めるといったことで、例えば具体的な施策として、アドバイザーの派遣でありますとか、人事管理のヒントになりますような事項を示して、あるいは先進事例をお示しするとか、そういった形で今後とも地方公共団体の取り組みを引き続き促進してまいりたいと考えております。

 ただ、先生おっしゃいます国内留学あるいは国際留学、その他具体的な進め方につきましては、各公共団体がそれぞれの地域の実情に応じまして考えるべきことであると考えております。

後藤(斎)委員 先ほども指摘がありましたが、私は、この長期在外研究員の仕組みというのは、確かに近年も、徐々にではありますが、高い人数で推移をしているというふうに思っています、従来に比べればということでありますが。

 そして、これは大臣の方がお詳しいのでありますが、例えば、二年間の留学をしているうちに、結構一生懸命勉強すると一年ごとに修士が取れて、二年間で二つ修士を取って帰ってくる方もたくさん、事例でいらっしゃると思うんです。一方で、今、国全体で、地方も含めて公務員制度をよりよくしなければいけない。その中で、やはり能力評価、人事評価の中で、今まで以上にもっときちっとしようよということが言われております。例えば、二つきちっと取ってきた人をきちっと評価するとか、二年のものを一年で取ったからもう研修を終えて本省に戻してくださいという人は等級号俸を上げるとか、やはりプラスの面もこの仕組みの中で出していくことが、私は、本当に必要なのかな。

 今回のものは、いや、罰則だけだよ、五年以内にやめたら全額ないし段階的に減額をしながらお金返せよという、ある意味では、だめよだめよと言うだけではなくて、それを生かすという人事評価の仕組みが、全体の人事ローテーションというお話がさっきありましたが、やはりその仕組みそのものの中にそれを位置づけるということが大変必要だと思うんです。

 私もいろいろな役所のそういう知り合いがおりますが、確かに、在外公館にその後出たり、中で国際業務をやったりということはありますが、ただ、本当にそれが望んでやっているのかどうか。それは最近、今まで国際的な仕事がウエートが少なかったという省庁もかなり数字的には出ておりますので、やはりその辺を、知識経験をどんな形で生かすかというものも、プラスの面と、要するに、むちで打つ分と、あめと言うと大変悪い言葉なんですが、評価をしてあげる分、やはりその両方がないと、この制度そのものが、私は、先ほど大臣がちょっとおっしゃられたように、五年というのをまず切ったということで、それを悪用とは言いませんが、では、お金を払えばいいんだなという法体系じゃないはずなんです。

 ですから、その点について、私は人事院と大臣に最後に、やはり評価をする仕組みをきちっと中に明確に入れ込む、そして能力もきちっと後押しをするような全体の仕組みをつくっていかない限り、冒頭に申し上げたように、たたくだけたたいて、その後何かいじけちゃって嫌だ嫌だと言うかもしれませんが、それをもっとやはり皆さんが認めるという部分も大臣も含めてしていただく必要があると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

谷政府特別補佐人 ちょっと繰り返しにもなりますけれども、現在、国際的な知見を必要とするという分野は、国際関係の勤務だけに限定されませず、公務員一般に非常に広がってきておるということがございます。それからまた、人事管理、幹部養成人事のあり方といたしまして、いろいろな経験をさせていくということがございます。

 そういったことの中で、現在、海外留学の方々に特別の人事システムというのはないということはあるわけでございますけれども、しかし、せっかく国費を使って、また時間を使って留学した人材を適切に活用していくということは行政にとっても大変重要な問題であるわけでございまして、そういう観点から、人事全体の活性化あるいは評価、職員に対する評価制度の確立というのはもちろん大前提となるわけでございますけれども、特に、この留学の対象となった方々につきましても、まず対象者につきましては、意識を含めて適任者を的確に選抜するということ、それから、御指摘のように留学中あるいは留学後の成果を的確に評価するということについてさらに一層努力をしていく、こういう取り組みが必要だと考えておりまして、そのように取り組んでまいりたいと考えております。

竹中国務大臣 後藤委員おっしゃいましたように、ペナルティー的な措置だけではなくてプラス評価、別の言い方をすると、恐らく、片仮名で恐縮ですが、やはりディスカレッジングなものじゃなくてエンカレッジングなものに制度全体がなっていなければいけない、これは全くそのとおりだと思います。

 お話を伺いながら私もいろいろ考えるところがありますけれども、人事評価を複線的に行って、そして能力、実績、そういうものの評価に切りかえなければいけないという試み全体を今総務省は行っております、御承知のとおりだと思います。そういう試行の中で、今委員が一つ御指摘になった、例えばマスターを二年で取るところを一年で取ってダブルマスターで帰ってきたらどうなるか、そういうような評価をどのように入れられるのかどうか、そこまでいきなり細かくいけるかどうかわかりませんが、御指摘を受けて、我々なりにぜひ勉強してみたいと思います。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長代理 以上で後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私も、留学費用の償還に関する法律に先立って、昨日問題になったこと、ちょうど竹中大臣は規制緩和の推進とか金融担当大臣を私が財金のときにやっておられて質問いたしましたが、今はちょうど総務大臣ですが、ことしになってからはライブドアのホリエモンの逮捕、昨日は村上ファンドの村上氏の逮捕というふうに続いておりますが、この村上氏のライブドアとのインサイダー取引のような問題をどういうふうに考えているかということが一つ。

 それから、株式市場の規制緩和のときには、あわせて、インサイダー規制、そういう規制をどうきちっとやっていくかということ、これが必要なことと思うんですが、金融担当大臣として、当時、インサイダー規制に立法の分野でどう取り組んでこられたのか。

 この二つのことを最初に伺っておきたいと思います。

竹中国務大臣 ちょっと通告はいただいてなかったと思いますので、この場でできる範囲でお答えをさせていただきます。

 まず、インサイダー取引、昨日の事案も含めて、ちょっと具体的な内容について私は知る立場にはございません。しかし、これは当然のことながら、規制緩和とともに事後的なチェックをしっかりと高めて、強化すべきルールは強化していかなければいけないと思います。そのための努力はしてきたつもりでございます。小泉内閣ができましてからこの五年半の間に、例の証券取引監視委員会の人数は二・六倍にふやしております。そういう中で、ライブドアの問題、今回のファンドの問題等々についても、しっかりと問題があるところについての指摘がなされてきたのであるというふうに考えております。

 これは、やはり我々の、自由を求めたい、自由であるからこそルールが重要であるという社会のよって立つ基盤の原点でありますので、そこはしっかりと我々自身常に戒めて、コンプライアンスを徹底させていかなければいけないというふうに思っております。

 規制の強化にどのように取り組んできたかという二番目のお話でございますが、私が金融担当大臣のときも、証取法等々、何回か改正をしております。その中でまた会計士法も改正をしたと思います。ちょっと内容の詳細は今すぐに思い浮かびませんが、例えば、会計士法に関しましては、継続して一人の会計士が見られるローテーションについての新たなルール強化をするとか、そういうようなことを行ったということを記憶しております。

 規制の緩和は行いました。しかし一方で、私がつくらせていただいて、不良債権の処理につくった金融再生プログラムというのは、あれはほとんどすべてルールの強化、規制とルールの強化に関するルールでございます。ですから、その意味では、規制を緩和しながらルールを強化するということは小泉改革の中でしっかりとやってきたつもりでございますが、もちろん両方とも完全ではございません。これはまだまだやらなきゃいけないことがたくさんある、そのような認識でしっかりと対応していかなければいけないと考えております。

吉井委員 規制緩和をずっと進めてこられていろいろな手を打ったというお話ですけれども、しかし現実には、村上氏の逮捕もホリエモンの逮捕も起こってきたわけです。

 それで、昨日起こったことですからちょっと通告を、それ自体を私、調べなきゃいけませんでしたからあれなんですが、村上ファンドに設立時に四十億円の資金の多くを提供したということが言われており、また二〇〇〇年に昭栄に対する村上氏の敵対的TOBを仕掛けた際には百四十億円余りをオリックスからの融資で賄う確約もしていたという話なども図書などを見ておりますと紹介されておりますが、インサイダーを行った村上ファンドに資金提供なり融資等支援をしてきた規制改革・民間開放推進会議議長の宮内義彦氏など、ファンドをやっている人も今逮捕されたわけですけれども、宮内さんらの道義的責任を含めて、支援してきた側の道義的責任を含めて、全く責任はないというお考えなのか、少なくとも道義的責任というものは考えていかなきゃいけないというお考えなのか、この点も伺っておきたいと思うんです。

竹中国務大臣 いろいろなこういう逮捕の事案が出てきたというのは大変残念な、遺憾なことだというふうに思っております。しかし、繰り返し申し上げますが、我々そういうルールの強化をしてまいりました。強化をして、証券取引等監視委員会を強化したからこそ、こういう摘発がなされたんだというふうに私は思っております。

 宮内議長の件は、ちょっと融資云々について私は知る立場にはございません。しかし、私が知る限り、規制改革の担当の議長として宮内さんは立派な仕事をしてこられたというふうに思っております。

吉井委員 図書等で紹介されておりますのは、規制改革・民間開放推進会議の議長でもあって規制緩和をどんどんしている方が、同時に一方では、村上ファンドの立ち上げのときの資金の応援から、昭栄に対する敵対的TOBを仕掛けるときに百四十億の金の面倒を見ましょうとか、そういうことがあったということが伝えられておりますから、私は、道義的責任というものはやはり当然これから問題になってくるだろうと思うんですが、そういう点について大臣の方がどう考えているのかというところを伺ったわけです。

 それで、大臣自身は、これはことしの早い時期の総務委員会で取り上げましたけれども、小泉さんと竹中さんとホリエモンで構造改革をやっていきますという演説もされたわけですが、村上ファンドの村上氏の逮捕の中で、資金提供とか事実上のスポンサー役もやってきた規制改革・民間開放推進会議の議長の道義的責任、あるいはもっと、道義的で済まないかもしれませんが、そういうものもあれば、同時に、日本郵政会社社長に西川善文三井住友頭取を任命されたわけですが、しかし、ここは今、融資と引きかえにリスクの高い金融派生商品を押しつけるということで中小企業いじめをやっているじゃないかということが問題になっているときですね。これはあなたの分野じゃありませんが、社会保険庁長官の村瀬氏、損保ジャパンが保険金支払い漏れで業務停止の命令を受けるとか、やはり民営化とか規制緩和万能路線でやってきた中で、金融投機など犯罪や不祥事が相次いできているのは事実の問題としてあると思うんですね。

 規制緩和を担当し、推進してきている総務省の責任者として、こうした異常事態の相次ぐ発生に責任というものを感じておられるのかどうか。これをこの問題では最後の質問として竹中大臣に伺います。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

竹中国務大臣 世界の厳しい経済環境の中で日本の経済をさらに活性化していくためには、市場の活力をしっかりと取り入れて、そして民間でできることは民間で、地方でできることは地方でという改革をこれからも加速して進めなければいけないというふうに私は考えております。

 民営化に関連していろいろな不祥事がある、これは大変残念なことであります。しかし、考えてみれば、官の中にも不祥事がある。その意味では、官か民かという問題ではなくて、官であれ民であれ、法律をしっかりと守らなければいけない、そのことに尽きているのだと私は思います。そういう意味では、強化すべきルールはしっかりと強化する、そして我々自身が襟を正してこのコンプライアンスの問題にしっかりと取り組んでいくということが必要だと思っております。

吉井委員 民であれ官であれどこであれと、これはそんな一般的な話にしてはならない問題であって、規制緩和を進めてこられて、そして金融担当大臣としてやってこられて、今総務大臣としてやっていかれる中で、この中でホリエモンの逮捕とか村上氏の逮捕など、こうした金融の分野、規制緩和と結びついた、特に村上氏なんかは官庁におる時代から規制緩和推進でずっとやってきた人というのは有名な話ですが、そういう中で出てきている話ですから、これについて一般論で済ませるということじゃなくて、やはりこうした問題について進めてきた責任者としての責任というものをきちんと感じてもらわないと、あれが悪いこれが悪いわけじゃないと言いながら自分自身の責任をあいまいにしてしまうということでは物事はきちんと正されないと私は思います。

 次に、今度の法案の方に移りたいと思います。

 行政官長期在外研究員の派遣の中で、派遣者数に対して退職者数の割合の多いのを見ていったら、この法案を提出している総務省の一五%、財務省の一〇%強、農水省の一〇%弱、経産省の九%、国土交通省の七%というふうに続いているわけですね。総務省は非常に率が高いわけです。何でこんなことになっているんですか。

竹中国務大臣 お答えを申し上げます。

 平成六年度から十五年度の十年間、総務省は、十二年度以前は旧三省庁ということになりますけれども、八十八名の職員を行政官の長期在外研究員として派遣しておりますが、このうち十六名の職員が帰国後五年以内に早期退職をしているところでございます。

 その理由、進路、動機、これは個々により異なりますけれども、なぜかということでありますので、理由としては、転職、健康上の問題、結婚等が挙げられております。進路としては、民間企業、大学等々でございます。動機としては、転職につきましては、公務を取り巻く諸環境が変化する中で民間企業の活動や学問の世界にやりがいや適性を見出したものと理解をしているところでございます。

 我々としましては、こうした早期退職を防止するために、意識づけを徹底するといいますか、研究成果を公務に生かすために引き続き職員として行政事務に従事していく旨の文章を確認させる等、また派遣先の学部については将来の行政事務に密接に関係しているかどうかを精査するというような対応をとっているところでございます。この結果、十三年度以降の派遣者からの退職者は一名となっているところでございますけれども、引き続き、我々も早期退職の防止に努めてまいりたいと思っております。

吉井委員 ここで政府参考人の方に伺っておきますが、派遣した専攻学科別に退職者の状況はどうなっているかというのを見ると、経営学専攻が派遣者の三〇・三%で、退職者総数の五一・一%がMBA、異常に多いわけですね。経営学、MBAに行った者の退職者が異常に多い。その再就職先はどういうところが多いのか。目立つのは外資系コンサルタント、要するに、今問題になっているようなファンドなどが異常に目立つように思うんですが、この実態と、なぜこういうところが目立ってくるのか、総裁として考えておられるところがあったら伺っておきたいと思うんです。

鈴木政府参考人 経営学専攻者が退職者の中で多いというのは御指摘のとおりでございまして、なぜ経営学専攻者に多いかということでございます。これも理由につきましては明確には把握が難しいわけでございますけれども、先ほども御答弁いたしましたように、自分の適性、それから自分が勉強してきたことをどういう場面で生かせるか、それから転職した場合にはどういう処遇が得られるか等々をお考えになって、そういう選択をされた方もいるのではないかなというふうに思っております。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

吉井委員 私、総務省の留学先としてMBAが多いということと退職者が多いということについて、キャリアを積んで帰国したら、それがまた外資系ファンドに行く人など多いことを見ると、国家公務員が全体の奉仕者としての、自分個人はもとより特定企業や団体の利益のために働くものじゃないんだという自覚の少ない方が総務省では比率が高いということになってしまう印象なんですね、印象だけで物を言っちゃいけませんけれども。

 私は、これは総務省の問題だけじゃなしに、この間法律で出たのでは、公務員を五年間五%削減ということがありましたが、そういうのが先にあって、やはり今大事なことは、そもそも公務とは何か、全体の奉仕者として尽くすとはどういうことなのかということがあいまいになってしまっているんじゃないか。

 留学者が退職することに対して、私は本来的には、一つは、全体の奉仕者という自覚を持った人を公務員に採用する。成績もさることながら、やはりそういう考えの人を採用しないと出発からおかしくなると思うんですね。二つ目には、海外へ派遣するときもそういう自覚を持った人を派遣する。三つ目には、帰国されてから公務員であることに誇りを持って意欲的に働ける公務職場をつくっていくということ。このことをやはり大臣初め幹部の皆さんが頑張ってもらわないと、やめたら金返せという、言ってみれば、そういう公務職場をつくれなかった結果として、ペナルティーを科すことで規制しようという発想は、だれが考えても邪道だと思うんですね。

 税金を自分のキャリアアップに利用するという考えでいる人に税金を返せと言う、返還を求めるのは国民の立場からすれば当然ではあるんですが、あくまでもそれは本筋じゃない。やはりどのように、全体の奉仕者として国民の利益実現に意欲と責任を持って働いていく、そういう公務職場をつくっていくのか、このことが基本だと思うんですね。

 どうそれをやっていこうとしておられるのか。大臣と、人事院でもいろいろ研究はしておられると思うんですが、総裁のお考えを伺っておきたいと思うんです。

谷政府特別補佐人 こういったことの背景には、やはり社会全体の価値観の変化、あるいは労働市場の流動化といったこともあると思うわけでございまして、ひとり公務の世界だけの問題ではないわけでございます。

 したがいまして、この解決方策というのは非常に難しいわけでございますが、しかし、何とか努力して達成してまいらなきゃならぬ課題でございますので、私どもとしましては、試験のあり方、それから採用時の評価、それから海外派遣者につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、意欲も含めて適格者をしっかり選抜し、留学中、帰国後についても適切な評価を行う、これは留学者に限りませんけれども、そういったことが非常に重要であろうと思います。

 そしてまた、採用時におきましては、まだ実際社会の経験がございませんので、それなりの覚悟を持ち、知識を持っておると申しましても、それはやはりどちらかと申しますと机上のものでございますので、職場の中で、実際仕事をしていく中でそういう意欲を固めていくという仕事のあり方、これが非常に重要だろうと思うわけでございます。

 もちろん私どもとしましては、いろいろな制度の面の整備ということをしますけれども、同時に、具体的な仕事の進め方、あり方の問題としまして、業務分担、仕事の進め方の改善、いろいろ働きがいを阻害するような問題を除去すること、それから、やはり職場の先達、特に幹部職員が身をもってその範を示すことといったような努力をあらゆる面でしていくことが非常に重要ではないかというふうに思っております。

竹中国務大臣 先ほども一部御答弁をさせていただいたかと思いますけれども、やはりやりがい、達成感をなかなか公務員全体として、特に若い方が持つのが今難しくなっている。その中で一種の閉塞感のようなものが生じているというふうに私も危惧をしております。そういうことが象徴的に、留学した後、帰国した人に、行動にあらわれているんだと思います。

 その意味では、留学費用の返還というのは、それは必要最低限としてやりますけれども、より抜本的なところでしっかりとした対応をしていかなければいけないという委員の指摘は、もう全くそのとおりだと思います。

 今人事院総裁からも話がありましたように、やはり選別の段階で志のある人をしっかりと選別していくということ、そして、それぞれ適材適所、人事配置においてはしっかりとその適性、やりがいが実現されるような形をとるということ、そして何よりも、実績、能力による評価を行うことによって、その達成感、皆さんに納得した仕事をしていただけるようにすること、そういうことを総合的に行っていかなければいけないと思っております。

吉井委員 これで終わりますけれども、さっき指摘しましたように、派遣者の中でMBAへの派遣者が三〇・三%を占め、退職者総数の五一・一%と。MBAへ行った人たちが随分たくさんおやめになって、外資系ファンドなりそういうところへ行って、そういう中で今回の村上ファンドの問題とかホリエモンの逮捕の問題など、何か社会のひずみということをおっしゃったけれども、そのこととやはりかかわってくる問題、このことをやはりしっかり見て、規制緩和推進一本やりのこれまでのやり方では、こうした公務員問題に至るまで問題を抱えておりますから、これはきちっと正していくべきだ、このことを申し上げまして、質問を終わります。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

中谷委員長 次に、重野安正君。

重野委員 質問の最後になりますと質問内容が時には重複する部分もあるかもしれませんが、なるべく重複しないようにいたしますけれども、お許しをいただきたいと思います。

 まず第一に、国費をもって海外の大学院に研究に行ったにもかかわらず、帰国後その成果を生かすことなく早期退職をするということ、これは非常に残念なことであります。同時に、それは国民感情から見てもなかなか許容しがたいものがあるんではないか、そうした観点から幾つか質問をいたします。

 まず、基本認識について総務大臣にお伺いいたしますが、現在の国家公務員採用において、大学あるいは大学院を卒業し、その上難関と言われる採用試験にパスをして公務員となった、そういう者を多額の国費でさらに国内外に留学させるには、当然社会的にもそれを必要とする積極的な理念であるとかあるいは価値認識、そういう理由があると考えるんですが、その点についての大臣の見解をお聞かせください。

竹中国務大臣 留学制度そのものをどのように位置づけ考えているのかという根本的な御質問でございます。

 私自身もよく考えるのでありますけれども、政府の中の仕事、行政の仕事というのは、仕事の性格としては極めて人的資本依存型の仕事であると思います。いわゆる資本集約的な仕事、大規模な設備を使うような仕事ではなくて、これはやはり人間に非常に依存した仕事なんだと思っております。

 そういう意味では、その中にどのような人材をつくっていくのか。そうすると、今日のような国際社会の中で、国際的な視野、感覚、そして国際的に通用する高い専門性、そういうことが求められるであろう。さらには、幅広い人的ネットワークを持った人材も求められるであろう。留学制度というのは、まさにそうした点を踏まえて長期的な視点から人材育成を行うというもの、それを目指しているというふうに思います。

 しかし、残念ながら、委員も大変残念だというふうにおっしゃいましたが、帰国後、早期に政府の職場を離れてしまうという方が多いわけであります。そういうことを食いとめるためには、この留学の趣旨というのを徹底して、そして、派遣によって得た知見、人的ネットワークを生かせるような、そういう人材活用できるような、そして国家戦略として、国全体が戦略性を持ってやっていけるような形に総合的に持っていかなければいけないと考えております。

重野委員 今、大臣も申されましたけれども、そういう理念が該当者にどのように受けとめられておるのかというのが問題なんですね。今後、その点はずっと追求していかなければならぬと思うんです。

 そこで、人事院総裁にお聞きしますが、最近五年間の長期在外研究員、あるいは国内研究員、あるいは大学院コースへの派遣状況等々、資料が出されております。それはそれとして承知をしておりますが、人事院としてもそういう実態を踏まえて、そして今回の意見の申し出、こういうことにつながっていったんだろうと思うんです。この意見の申し出を行った趣旨あるいは目的、それを法律として制定してもらいたい、これが人事院の申し出の趣旨だというふうに受けとめていますが、その点について総裁の認識をお聞かせください。

谷政府特別補佐人 国家公務員の主たる留学制度の一つでございますこの行政官長期在外研究員制度、これは昭和四十一年に、国際化が進みつつあります行政に対応するため、国際活動に必要な行政官の育成を図り、もって公務の能率的な運営に資するという趣旨で設けられたものでございます。

 ところが、近年に至りまして、最近はちょっと安定しておりますけれども、留学から帰国後、短期間で離職するという方が増加するようになってまいりました。このための対応といいますのは、運用上の対応というのは幾つかやってみたわけでございますけれども、このようなことが続きますと、留学制度の趣旨が損なわれるということだけではなくて、公正を欠く、国民の御信頼を損なうということになるわけでございます。

 そういう意味で、職員の留学の実効性を確保いたしますとともに、職員の留学に対する国民の御信頼を確保し、公務の能率的な運営に資することを目的としまして、やはりここは法律ではっきりとした仕組みをつくっておくべきではないかと考えまして、留学費用償還法制定の意見の申し出をさせていただいたところでございます。

重野委員 その中身に触れる、研究専攻別の退職者数等々、事前に通告をしておきましたけれども、時間の都合もありますのでこれは省略いたします。お許しください。

 そこで、これまでの長期在外研究経験者は、帰国いたしますと、例えば本省の課長、さらにはずっと幹部になっていくわけですが、この在外研修を受けた方々が、その後どういうポストについておられるのかというのに私は関心があるわけです。そのポストには一定の傾向があるのかどうか。それが一つ。そして、任用に当たってこの在外研究経験というものが本当に生かされているのか。そのことが、今問題になっています早期退職の問題とかかわってくる問題でもあろうかと思います。

 そこで、派遣実績の最も多い経産省のその点についての説明をお願いします。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御承知のとおり、経済の国際化が進展しておりまして、そうした中で、通商問題への対応あるいは経済協力の実施はもちろんでございますけれども、国内制度を整備する際にも、諸外国の制度の概要なり運用についての知識が大変重要になってきておりまして、経済産業省におきましても、多くの政策課題に十分に対応するために、語学力、国際感覚、専門的知識等がこれまで以上に求められる状況になってきております。

 こうした中で、語学力が一定レベル以上であることを事前に審査いたしました上で、諸外国の大学院に派遣をして専門的な知識、語学力、国際感覚等を高めて帰任をいたします行政官長期在外研究員経験者につきましては、基本的に、身につけた能力、知見を活用できるよう、通商あるいは経済協力などのポストに配置をしてきております。

 また、身につけました能力、知見をこれらのポストを経験する中で一層高めまして、管理職レベルになりまして、通商交渉の責任者になりましたり、あるいは在外ポストに着任するなどいたしまして、こうした在外研究員としての経験を生かしております。

 任用についてのお尋ねでございますけれども、任用に当たりましては、職員の適性、経験、能力等と、それぞれのポストの課題、求められる能力、適性等を十分に勘案いたしまして、適材適所で任用を行うというのが基本的な考え方でございます。

 こうした中で、行政官長期在外研究員制度の経験は重要な一要素として、この経験から得られる能力、知見を活用できるような、そうした任用というものに努めている次第でございます。

重野委員 そこで、ちょっと話を変えまして、人事院の意見の申し出と本法案との関係について聞いておきたいと思うんです。

 意見の申し出に基づく法案要綱を人事院が出しておられますが、その定義には、職員の同意という文言はどこを見ても見当たりません。ところが、提出されております本案の二条の二項にはこれが明記されております。法案化においてこの文言を入れたのは一体なぜか。

 これは当然、留学費用の償還問題とかかわるものと考えるのでありますが、そもそもこの留学は職務命令に基づくものではないのか。そうだとすれば、そもそも職員の同意は必要ないことになるし、その場合、留学費用の償還義務の法的性格というのは一体どのようになるのか、この点について総務省の答弁を求めます。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃられたように、留学命令は職務命令でございますので、必ずしも職員の同意を得なければならないものではないわけでございますが、同意なしの留学にまで償還義務を課すことは適当でないというふうに考えまして、償還の対象となる留学の要件として、職員の同意を必要とするというふうにさせていただいたところでございます。

 民間におきまして、留学費用の返還が争われた裁判例があるわけでございますが、やはり労働者の自発的な意思に基づく留学であることが判断の要素とされておりまして、同意を要件としても、民間企業において行われている留学費用の返還との権衡上の問題はないというふうに考えております。

 それから、償還義務でございますが、留学費用の償還義務というのは、留学費用、滞在費、授業料等、それ自体の返還を求めるというものではございませんで、言葉としても、留学をさせるために国が支出した留学費用に相当する金額の全部または一部を償還させる、こういう言葉を使っておりまして、償還させることを内容とするものでございまして、この法律の要件を留学された方が具備することに至ったということによりまして発生する固有の金銭債務というふうに考えております。

重野委員 次に、人事院に聞きますが、本法案の留学に該当することとなっている研修ですが、これは人事院規則で定めるようになっております。具体的にどのようなものがあるのかというのが一つと、そのほか、各府省が独自に実施している海外派遣というのがあると思うんですが、それは本案に定める留学に含まれるのか含まれないのか、その点についての見解をお聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 本法案での留学というのは、大学院等の課程を履修するための研修を対象としているところでございまして、具体的には、人事院が実施しております行政官長期在外研究員制度、行政官国内研究員制度の大学院コースのものが対象になりますけれども、このほかに、各府省が独自に実施している研修のうちで大学院等の課程を履修することを内容とするものもこの法律に言う留学に該当することになるというふうに考えております。

重野委員 次に、今度の申し出はあくまでも一般職員の留学費用の償還にかかわるものと承知をしておりますが、本案では裁判所職員や防衛庁職員についても準用している。ここまで適用対象を拡大した理由は那辺にあるのでしょうか。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 確かに、意見の申し出では一般職の職員ということでございましたが、法律案は、全体として留学中またはその終了後早期に離職される、こういう場合に国が支出した留学費用の全部または一部を償還させる制度等を設けることにより、留学について、その成果を公務に活用させる、あるいは国民の信頼を確保し、もって公務の能率的な運営に資することを目的とするというものでございます。

 特別職の国家公務員でございますが、裁判所職員及び防衛庁職員につきましても、国の行政機関の一般職の職員と同様の留学制度が設けられておりまして、若干名の退職者もあるというような状況にございますので、本法律案に基づき償還義務を課す対象に含めることとしたところでございます。

重野委員 もう時間も余りありませんので、事前に通告した点、飛ばしますが、お許しいただきたいと思います。

 ちょっとまた話は趣をかえまして、本年度国家公務員の採用試験申込者数は、前年度に比べて1種で一五・六%、2種で二二・六%減っている、このように承知をしております。

 私は、風潮として、合理性を欠いた公務員削減論あるいは無用論、加えて民間での採用枠の拡大、こういうふうなものが複雑に絡み合って、学卒者の敬遠を招いているのではないかと推測するのでありますが、公務労働における多様な知識、経験を持つ有為な人材の確保、育成は、特定の政治状況に左右されることのない不変の課題と考えます。

 その点について、人事院総裁は現状をどういうふうに認識し、将来にわたってどうあるべきなのかという見識を持っておられるか、その点についてお聞かせください。

谷政府特別補佐人 行政の複雑化、高度化、国際化などが進みます中で、公務員には高度な知識と広い視野を持つ人材が求められているところでございまして、さらに、世界のグローバル化の中で、各国と競争し、折衝し、かつまた共同して働ける能力というのは非常に重要になってきていると考えております。

 内外の環境が大きく変化をいたします中で、政治による主導性ということが極めて重要であるということは言をまちませんけれども、行政に携わる公務員に有為の人材を確保し、それを適切に育成していくということの重要性もまた従来に増して高まってきているものと考えております。

 他方、御指摘もありましたいろいろな事情がございます中で、公務部門の魅力に陰りが生じているのではないかという懸念というのは、私どもも非常に重要に考えておるところでございまして、私どものできることといたしましては、試験制度の改革、それからまた、新卒だけではなくて経験者採用のための新たな仕組み、それから各種研修の機会拡大あるいは新しい研修の開発、それからさらに、公務員を希望する方々あるいは広く国民一般の方々に公務についての重要性を御認識いただくための努力、それから公務部内における実績をしっかりお示しすることの必要性、こういったいろいろな施策を行っていく必要があると考えておりまして、今後、そのようなことでできる限りの努力をしてまいらなきゃいけないと考えております。

重野委員 今のところは、ああそうですかと、満足したものではありません。これは重要な問題ですから、今後、機会あるごとにこの問題は皆さんと討論していきたいと思います。

 最後になりますが、総務大臣に聞きます。

 本案の対象となっております留学した者以外にも若手公務員の早期退職というのが問題となっている。そういう現状を大臣はどのように認識しておられるか。また、そうした貴重な人材の流出について、どのように取り組む決意を持っておられるか。その点について、大臣の認識あるいは見解をお聞かせください。

竹中国務大臣 留学生に限らず、若い中堅のそういう前途ある公務員の方々が従来とは違った形でおやめになっていくということ、私もそばで見ていて、大変残念に、歯がゆく思うことが多くございます。

 やはり、いろいろ拝見していると、やりがいとか達成感とかを得ることができなくて、これは環境が大変厳しくなっている、そして一般の公務員に対する見方も厳しい中で、一種の閉塞感を感じながらそういう状況が進展していっているというところだと思っています。

 しかし、こういうことは、人材育成、よい公務をしていただく、よい行政をしていただくという観点から、やはり食いとめなければいけないと思います。若い人の意欲と能力を引き出す、そしてちゃんとその能力が生かせるような、そういう仕組みをトータルとして構築していくことだと思います。

 きょう何度か御答弁をさせていただきましたけれども、選抜の段階で、本当に志のある方をしっかりと選ぶということ、そしてその人の能力が生かせるようなローテーションをきめ細かく行うということ、そういうことをトータルでやっていく、そして能力評価、実績評価をしっかりと行っていくということだと思います。

 同時に、今委員はその流出を防ぐということをおっしゃいましたけれども、社会全体の雇用が流動化する中で、私は、あきらめないでできるだけ流出を抑えるように努力はもちろんしたいと思いますが、ある程度の流出はやはりこれからも続くのかもしれません。そういうときには、さらに外部から新しい人を入れる流入の制度というのも同時に考えていく必要があるのではないかなという思いがございます。もちろん、しかし、まずは、せっかく志を持って入った方々がしっかりとやりがいを持って公務に従事していただけるように全力を尽くしたいと思っております。

重野委員 時間が参りましたので終わりますけれども、やはり人である、いかに人材を蓄積していくか、その点は極めて重要な点であるという点を強調して、終わります。

中谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 国家公務員の留学費用の償還に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中谷委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、谷公一君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・日本・無所属の会の六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。後藤斎君。

後藤(斎)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により、趣旨の説明にかえさせていただきます。

    国家公務員の留学費用の償還に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、本法施行に当たり、次の事項に十分に配慮すべきである。

 一 行政官長期在外研究員制度等の派遣研修については、研修のため派遣された職員が研修中又は研修終了後早期に離職することを防止するため、本法の適切な運営と併せて、留学費用の償還以外の方策についても幅広く検討を行い早急な具体化に努めること。

 二 研究機関等への派遣等本法の対象となる留学に類するものについて、本法に基づく留学費用の償還に相当する措置をとる必要性を検討し、必要に応じ対応を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中谷委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。竹中総務大臣。

竹中国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

中谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

中谷委員長 次に、内閣提出、参議院送付、住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。竹中総務大臣。

    ―――――――――――――

 住民基本台帳法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹中国務大臣 住民基本台帳法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、個人情報に対する意識の高まりに的確に対応するため、住民基本台帳の一部の写しの閲覧の制度を見直し、あわせて偽りその他不正の手段による閲覧等に対する罰則を強化するものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国または地方公共団体の機関は、法令で定める事務の遂行のために必要である場合には、住民基本台帳の一部の写しの閲覧を請求することができることとするとともに、閲覧の際の手続等を整備することとしております。

 第二に、個人または法人が住民基本台帳の一部の写しを閲覧することができる場合について、一、統計調査、世論調査等のうち公益性が高いと認められるもの、二、公共的団体が行う地域住民の福祉の向上に寄与する活動のうち、公益性が高いと認められるもの等に限定するとともに、閲覧の際の手続等を整備することとしております。

 第三に、偽りその他不正の手段による閲覧等に対する制裁措置を強化することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

中谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

中谷委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 情報通信及び電波に関する件の調査に関し、今後の通信・放送のあり方について、来る九日金曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る八日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十五分散会


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