衆議院

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第2号 平成18年10月26日(木曜日)

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平成十八年十月二十六日(木曜日)

    午前九時十二分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 萩生田光一君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    長島 忠美君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      馳   浩君    広津 素子君

      福田 康夫君    福田 良彦君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      谷口 和史君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務副大臣        大野 松茂君

   総務副大臣        田村 憲久君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   厚生労働大臣政務官    菅原 一秀君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  石田 直裕君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            森   清君

   政府参考人

   (総務省郵政行政局長)  須田 和博君

   政府参考人

   (国税庁次長)      加藤 治彦君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            渡邊  東君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小林 良介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中川 潤一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   石村英二郎君

   参考人

   (日本郵政公社副総裁)  高橋 俊裕君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     長島 忠美君

  福田 康夫君     馳   浩君

  渡部  篤君     広津 素子君

  逢坂 誠二君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  長島 忠美君     鍵田忠兵衛君

  馳   浩君     福田 康夫君

  広津 素子君     渡部  篤君

  北神 圭朗君     逢坂 誠二君

同日

 理事萩生田光一君同日理事辞任につき、その補欠として谷畑孝君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会理事小林良介君、理事中川潤一君、理事石村英二郎君及び日本郵政公社副総裁高橋俊裕君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官久保信保君、人事・恩給局長戸谷好秀君、行政管理局長石田直裕君、自治行政局長藤井昭夫君、自治財政局長岡本保君、自治税務局長河野栄君、情報通信政策局長鈴木康雄君、総合通信基盤局長森清君、郵政行政局長須田和博君、国税庁次長加藤治彦君及び国土交通省国土計画局長渡邊東君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本芳郎君。

岡本(芳)委員 おはようございます。自由民主党の岡本芳郎でございます。

 まず、菅新総務大臣には、御就任大変おめでとうございます。地方分権改革など重要課題が山積しておりますが、どうか、敏腕を振るって、活力ある地方の再生に御尽力していただきますようお願いいたしたいと思います。

 本日は、新しい総務委員会の初日のトップバッターということで質問できることを大変光栄に思っております。短い時間ではありますが、基本的事項について質問いたしたいと思います。

 まず、地方の活性化についてでございますが、世の中、イザナギ景気を上回る景気回復等々言われておりますが、地方にはまだその実感がなくて、ますます中央との格差が拡大しているのではないか、そういうふうに感じております。

 安倍新内閣では、地方の活力なくして国の活力なし、そういうことを言われておりますが、総務大臣として、地方に活力を出させるために、どのような夢、構想を持っているのか、国民にわかるように具体的に説明していただきたいと思います。

菅国務大臣 おはようございます。

 お答えをいたします。

 実は、私の選挙区は今人口も三百六十万の横浜市です。一方、私が高校まで育ったのは平成の大合併で市になった秋田県の湯沢市というところでありまして、今も過疎化が進んでおります。私は、年に一回ふるさとにも帰っています。

 そういう中で総務大臣を拝命し、総理が所信表明演説の中で、地方の活力なくして国の活力なし、こう表明しています。このことは私も全くそのとおりであるというふうに思います。

 ただ、都会には都会のよさ、地方には地方のよさというのがこれはあると思いますから、地方がその魅力を引き出すことのできるような、そうした政策をぜひ私、総務大臣として行っていきたい、就任に当たりそのことを一番考えたところであります。

 地方の山とか川とか、あるいは自然、あるいは人情、そういうところでやはり最低限の水準以上の生活をできる仕組みをつくり上げていくのが私の役割、こういうふうに思っておりますので、微力ですが全力で頑張っていきたい、こう思います。

岡本(芳)委員 しっかりお願いいたしたいと思います。

 中央と地方の格差、これは具体的にどういうものかというのはデータが余りないんですね。それで、私、独自でちょっと調べてみました。財政力指数がベストファイブの県とワーストファイブの県の一人当たりの県内生産額及び一人当たりの県民所得額、これの推移を調べてみたんです。そうすると、やはり、ベストファイブの方はいずれも上昇傾向にあります。そして、ワーストファイブの方は下降傾向にある。これは平成十六年まででございますが。そういう感じで、格差はどんどん広がってきております。

 大臣の場合は、確かに両方見ておられますので、よくわかると思うんですが、こういった傾向の格差是正、これにはやはり産業振興等を行わなければ、これはどんどん開いていくわけですね。そういう点、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 二つ目は、地方交付税改革について御質問いたします。

 御承知のとおり、地方財政は非常に厳しい状況にあります。しかしながら、最近の財政審議会等では、割高な地方公務員給与等から地方交付税は下げるべきだというような声が随分聞かれてきております。

 総務大臣としての交付税に対する基本的スタンスをお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 財政審でいろいろな主張も言われていることも承知をいたしております。しかし、今地方の格差というものもありました。地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保する、このこともまた極めて必要なことであるというふうに思っています。

 現在、国、地方とも極めて厳しい財政状況にあって、基本方針の二〇〇六に従って、国と地方が同一の歩調で歳出削減改革を続けていくことは必要であります。しかし一方で、基本方針二〇〇六においては、歳出削減努力とあわせて、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、交付税の一般財源の確保、そのことも実は明記をいたしております。大きな税源偏在のある地域間の行財政格差を調整し、一定水準の行政を確保することが必要であり、基本方針二〇〇六に掲げた方針に従って必要な交付税総額を確保してまいりたい、こういうふうに思っています。

 大切なのは、交付税削減によりいたずらに格差を拡大させることではなくて、地方の活力を高めることである、こう思います。そういう意味におきましては、先ほど冒頭申し上げましたけれども、地方の活力なくして国の活力なし、ここの考え方に基づいて、これからの政策を各省とも合わせながら推進をしていきたいと思います。

岡本(芳)委員 次に、地方交付税改革で新型交付税というのを導入するようでございますが、主としてこれは投資的経費を対象として行われるように聞いております。それを人口と面積で配分するということになっておるようでございますが、この趣旨、これはわかりやすくするためなのか、あるいは適正化するためなのか、その辺のことをお伺いしたいのと、あわせて、人口の規模が尺度になるということは、これは大都市優先の配分になってしまうんじゃないかと心配するわけですが、その点、いかがでございますか。

菅国務大臣 この新型交付税でありますけれども、各委員の皆さんも、交付税の算定基準というのは非常にわかりにくい、このことは私、共通認識であろうというふうに思います。やはりもっとわかりやすく、そして透明なものにすべきであるというふうに私は考えております。

 まさに地方行財政の各分野にわたり、国の法令や補助金等により細かな規制、関与が行われていることに対応して、地方交付税の基準財政需要額の算定方法は複雑であり、地方分権推進計画やその基本方針においても、これは簡素化すべきである、こういうことが指摘をされています。このため、人口と面積でもっとわかりやすくすべきである、こういう中でこの新型交付税を導入することにいたしました。

 新型交付税の設計に当たっては、財政運営に支障が生じないよう、変動額を最小限に抑えることができるような、そういう中でこの新型交付税を導入していきたい、こういうふうに思っていますから、そんなに格差がある、今までと変わることがないような形にということは考えております。

岡本(芳)委員 くれぐれも都市優先というようなことにならないように、よろしくお願いいたしたいと思います。

 また、大臣は新しい方針として、頑張る地方に交付税で上乗せしようというような応援を考えておられるようでございます。これは大変結構なことだとは思うんですが、交付税をこのように一つの行政目的に使うようにするのは、これは一種の交付税の補助金化につながらないかというような感じがするわけですね。あるいはまた、各省の施策との重複、そういったものも心配されるわけでございますが、その点、どのように整理されておるのでしょうか。

菅国務大臣 交付税の算定におきましては、必要な地方財源を的確に保障するという交付税制度の趣旨を踏まえ、算定の簡素化と、離島、過疎などの条件不利地域への配慮や、行政改革や地域振興など地域の直面する政策課題への実情に対応したきめ細かな算定のバランスを保つことが必要であるというふうに思います。

 今回の「頑張る地方応援プログラム」の交付税の支援措置は、全国の共通の政策課題であります魅力ある地方を目指した取り組みに要する経費について、きめ細かな算定の一環として行う、こう考えております。

 言うまでもなく、交付税は使途を特定されていない一般財源であり、こうした算定が交付税制度の趣旨に反し、交付税の補助金化ということにはならない、このように考えています。

岡本(芳)委員 大臣所信表明の中にいろいろ例示を挙げられておるわけでございますが、地方で最も影響のある農林水産業の振興みたいな話が書いてない、入ってない。ちょっと寂しいわけでございますので、ぜひそういう点を配慮していただきたいと思います。

 次に、地方分権改革推進法の関連でお伺いしたいと思います。

 まだ出ておりませんが、いろいろ聞いておりますと、さらなる市町村合併でやるんだとか、あるいは道州制、あるいは財源としての消費税、こういった非常に大きな問題が基本方針には全く書かれていないわけでございます。そういう大きなものを触れずに、この法律で言う地方分権改革推進計画なるものが果たしてちゃんとできるのかどうか、非常に心配するところでございますが、大臣はどのように議論を整理するつもりなのか、教えていただきたいと思います。

菅国務大臣 この地方分権改革推進法は、今国会にぜひ提出をさせていただいて、地方にできることは地方が自由と責任とそして自律を持って行える、そういう仕組みをぜひつくっていきたい、こう考えております。

 今回のこの分権法案は、これまでの市町村合併の進展などを踏まえて、国と地方の役割分担などを改めて見直し、一層の地方分権改革を進める、こういう内容でありまして、本案は三年の期限を切って集中的に改革を進めることとしておりますけれども、こうした地方分権改革の着実な実施が将来の道州制の本格的な導入につながっていく、このように考えております。そのため、最終的には国と地方の税収比率も一対一にできるようなことも考えていきたい、こう思っています。

岡本(芳)委員 余りはっきりしたお答えがないようでございますが、大変これは難しい問題だと思いますので、今後よく検討していただきたいと思います。

 ただ、心配するのは、最近地方で不祥事が頻発しております。どんどん信頼をなくしているところでございますが、このような状態で地方分権なんという話は、まさに何をか言わんやという感じでございます。総務省のこういった不祥事に対する対応方針はいかがなものでございましょうか。

菅国務大臣 最近、地方で幾つかの地方公共団体行政に関しての不祥事が発生しています。このことは、地方自治の信頼を揺るがす意味で非常に遺憾なことであるというふうに思っております。

 地方分権の推進に当たっては、地方公共団体に対する国民の信頼を確保しつつ進めることが肝要であって、また、地方公共団体みずからが、行政及び財政の改革を推進するとともに、行政の公正の確保、透明性の向上等に努めていくことが必要であると認識をしております。

 一方で、地方分権の推進というのは喫緊の課題である、このように思っています。

岡本(芳)委員 総務省は、御存じのとおり、各県に、副知事だとか総務部長だとかあるいは財政課長とか、非常に大切なポストに職員を派遣しておるわけです。そういう観点から、地方行政に対する責任というのは総務省は相当重いんですね。そういう点をよく認識してやっていただきたいと思います。

 次に、NHKの受信料問題についてちょっとお伺いしたいわけでございます。

 最近、不払い受信料を契約者に督促するというのを表明した途端に支払いが急増しているというのを聞いております。大変これは結構なことなのでありますが、そもそも、受信料は、契約者よりももっと問題のある未契約者の問題、未契約者に対する対応、放送法では、受信設備を設置した者は協会と受信についての契約をしなければならない、こういうことになっておるわけでございますが、時代の変化によって、テレビが一家に何台もある、あるいはホテルだとか病院の病室であるだとか、あるいは企業内のテレビであるだとか、あるいは最近では、ワンセグであるとかカーナビであるだとか、多様なテレビの普及があるわけでございます。非常に複雑になっております。

 ですから、法律に書いてあることと実態とが大分乖離しているのではないかという感じがするわけでございます。こういった点をちゃんと整理するのが緊急の課題ではないかと思うわけでございまして、もし法律が悪いのならば直すべきだと思いますが、どのようにお考えでございましょうか。

鈴木政府参考人 放送法の三十二条では、先生御指摘のとおり受信設備を設置した者に受信契約を義務づけておりまして、受信料徴収単位につきましては、NHKが定めて総務大臣が認可をいたしました日本放送協会放送受信規約において規定されております。

 その中で、個人にありましては国民の生活単位である世帯、事業所にあっては社会活動の単位である事業所等の部屋ごとの設置場所を受信単位として定めておりまして、それなりの合理性があるものと考えております。今御指摘、具体例として出されましたワンセグ放送の携帯用受信機、あるいは自家用自動車の受信機につきましては、設置者の住居ごとに契約をしていただく、ただし、世帯で受信契約をしていれば新たに契約は不要となっております。

 NHKにおきましても、平成十八年度からの経営三カ年計画におきまして、社会経済状況の変化に対応して、親元を離れて暮らす学生及び単身赴任者を対象にいたしまして、口座振替料額の三三%を割り引く受信料の家族割引という制度の導入など、受信料体系をより公平で合理的なものに改める取り組みを行っているところでございます。

 私ども総務省といたしましても、受信料体系は、固定的なものではなくて、放送技術の発達と社会生活や国民生活の多様化に応じまして不断に見直されるべきものと考えております。今後も、受信料制度の将来のあり方について適切に検討してまいりたいと考えております。

岡本(芳)委員 しっかりとお願いいたしたいと思います。

 次に、個別の問題でございますが、二〇一一年のテレビのデジタル化の観点でございます。

 これは、聞くところによると特殊らしいんですが、例えば、我が地元徳島では、今のアナログ放送というのは放送区域外の大阪の放送が徳島にも飛んできてテレビで見ることができるんですね。ところが、デジタルになると電波が飛んでこなくて見えなくなる。現在徳島では、一、三、四、六、八、十、十二、計七チャンネルのテレビが見えます、一部ですけれども。ところが、デジタルになると、これが一、三、十二の三チャンネルになってしまうわけでございます。

 ある日突然ぱっとテレビが見えなくなる。これはほとんどの県民の方は知りません。こういうことが起こるようでは、大変困って、パニックになるのではないかと思いますので、どのような対応をしていただけるのかお伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、徳島県におきましてはNHKが二波、民放が一波のみの放送となっておりまして、徳島県内のほとんどの視聴者の方は、ケーブルテレビ、共聴施設あるいは電波の直接受信によりまして、近畿広域局その他の区域外の放送番組を視聴しているものと承知しておりますが、デジタル放送につきましても、現在の受信方法あるいは高性能アンテナあるいはアンテナを高くするということによって、かなりの世帯で視聴が可能になるものと考えております。

 ただし、アナログ放送からデジタル放送への移行によりまして、技術的な理由から、徳島県外からの受信が困難になるという地点も想定されます。今後、約一万五千世帯加入しております、三百ございます辺地共聴施設のデジタル化の改修、あるいは、本年の十二月に開局される予定でございます岡山県の金甲山局から届く電波、あるいは再来年の平成二十年二月ごろ開局予定になっております和歌山県の御坊放送局、あるいは御坊中継局から届きます直接の電波の受信によりまして可能になるものと考えられますので、引き続き実態を注視してまいりたいと考えております。

 また、徳島県の場合、強く県が推進しておりますFTTHを中心とします全県CATV網構想の進展が期待されておりますので、そういった方法によりましても視聴が可能になると考えられますが、その場合には民間放送同士の区域外再送信同意が必要になりますので、そちらの方につきましても円滑に進むよう私どもとしても見守ってまいりたいと思っております。

 なお、先生御指摘の県民への周知につきましては、私どもだけではなくて、自治体、放送局あるいは販売代理店等も含めて、今後一層周知に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

岡本(芳)委員 十分配慮していただきたいと思います。

 最後に、公務員の天下り問題について少々お伺いしたいわけでございます。

 なぜ公務員が天下りするのか。やはりこれは退職後の生活の問題なんですね。公務員は、今現在五十五から六十ぐらいまでの間に大体退職するわけでございますが、その後六十歳から六十五歳まで、年金が出るまでの間は仕事がないわけですね。そうなると、どうしても民間への天下りをするだとか、あるいはいろいろな公益団体をつくってそこに天下りするとか、そういうことが行われるわけなんですね。

 したがって、天下りはいろいろ問題があるので、そういうのをなくすためには、もうちょっと公務員の六十五までの生活設計ができるような制度、こういったものをやはり考えていかないと非常に無責任であるし、また、そういうような状態では優秀な人材が公務員に来ない、そういう感じがするわけでございます。

 今までの人事院勧告にしろ、総務省の方針にしろ、一切そういうことは言われていないし、党の行革関係でもそういう話はないわけでございます。これはゆゆしき問題でございますので、ぜひ考えていただきたいと思います。

 何かいい考えがあったら教えていただきたいと思います。

戸谷政府参考人 お答えいたします。

 いい考えといいますか、現在取り組んでいるところのことについて御報告申し上げたいと思います。

 国家公務員の退職後の生活のあり方ということでこれまで、一つは、個々の職員がみずからの問題として主体的に考えていただくということを念頭に置きまして、退職後のいろいろな生活を視野に入れた職員の生活設計、こういうものを考えていただこうということで、ガイドブックの作成あるいは講習会等、退職準備・生涯生活設計プログラムと銘打ってこのようなことをやっているところでございます。

 それから、雇用につきましては、再任用制度の活用、やはりこれが私どもとしては基本となるということでございまして、長年培った知識経験を公務部内で生かしていただく、それから、お話ございました雇用と年金の連携を図るということで、再任用制度の活用、各省いろいろ工夫をしていただいております。まだまだ数は足りないのでございますが、現在千名を超える方がこの再任用という形で仕事をしていただいております。

 それから、私どもといたしまして、知識経験を社会で活用する、こういう道もあるというふうには承知しております。ただ、なかなか、これにつきまして、今これをやっていきたいということを申し上げる段階ではございませんが、再就職の支援のあり方の検討、これは進めてまいりたいというふうに考えております。

 なかなか、これからおやめになる方も、数もふえてまいりますので大変な問題でございますが、各省庁、いろいろな面で工夫を重ねて、こういう高齢国家公務員の雇用の推進というものに努めていく。私どもとしても、その推進のいろいろな面で一つの旗を振るということは努力していかなきゃいけないというふうに考えております。

岡本(芳)委員 この問題は、行革とも絡んで、緊急の問題なんですね。もっと真剣に、これは人事院もそうですし、総務省もやはり考えていただきたいと思っておるところでございます。

 大臣、一言何か、いかがでございますか。

菅国務大臣 委員の御意見を十分に踏まえながら検討させていただきたい、こう思います。

岡本(芳)委員 ありがとうございました。

 質問の予定時間が参りましたので、これで終わります。

 どうもありがとうございました。

佐藤委員長 次に、井澤京子君。

井澤委員 おはようございます。自由民主党の井澤京子でございます。

 私は、今国会より総務委員会に所属させていただき、早速、先日の大臣あいさつに対する質問の機会を与えていただきましたことを感謝申し上げます。ありがとうございます。

 総務省の所轄事項は多岐にわたるものであり、私自身もこれからしっかりと勉強してまいりたいと思いますので、佐藤委員長を初め皆様の御指導のほど、よろしくお願いいたします。

 まずは、安倍新内閣発足に伴い、菅総務大臣を初め副大臣、大臣政務官に御就任されました皆様に心からお祝い申し上げます。皆様それぞれのお立場で、安倍総理の目指す「活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、世界に開かれた美しい日本」実現のため、御活躍を期待しております。

 さて、最初に、私の地元の話に触れたいと思います。

 私の選挙区は、京都府南部地域を地盤とする京都六区です。ここには、二十八年前に構想がスタートした、世界的に新しい先端技術拠点を目指す関西文化学術研究都市、とりわけ総務省とも関係の深いATRなどがあります。この地域の人口増加率は三〇%、全国トップを誇っている一方、宇治茶に代表される第一次産業を中心にして頑張っているにもかかわらず、高齢化、過疎化が急速に進む町村とも隣接しているというのが現状です。

 これまで、政府としては、平成十二年に施行された地方分権一括法により、全国で市町村合併を積極的に推進されてこられました。結果、平成十一年三月末の時点で三千二百三十二あった自治体が平成十九年の三月末見込みで千八百十団体にスリム化され、実に六割以上の市町村が合併にかかわったことになります。京都府でも、四十四あった市町村が二十八市町村となり、来年三月には、私の選挙区でも、三町が一緒になって木津川市が誕生します。

 しかし、本当に大変なのはこれからです。合併によりインフラ整備の需要が高まる中で、合併推進債という起債だけでは賄えません。まちづくりの観点から、基盤道路の整備など、国土交通省を初め関係各省との調整などに非常に苦心されている自治体も出てきているのではないでしょうか。

 その観点から見ると、合併後の市町村について、きめ細やかな支援や対策が必要と考えますが、菅大臣の御所見をお願いいたします。

菅国務大臣 合併後の市町村に対しましても、政府としては、新市町村合併支援プラン、これによって各省庁と連携して着実に支援をしていきたいというふうに思っています。

 また、その市町村におきましては、みずからの努力と責任のもとに、地域の課題や声にこたえて、住民サービスの向上と魅力あるまちづくりを行っていく、このことが必要であるというふうに思います。

 既に、合併前では十分実施できなかった子育て支援だとかあるいは地域の雇用対策や地域の活性化といった分野の施策を充実させるなど、新しいまちづくりに積極的に取り組んでいる市町村も数多く見られております。

 合併後の市町村に対しては、この合併支援プランに基づいて支援をしていきたいと思いますし、また、総務省として、市町村合併や合併後の新しいまちづくりに取り組む市町村を応援するために発足させました合併サポーター制度や新しいまちづくり取り組み事例についての情報提供、各種財政支援等によって着実に支援をしていきたい、こう思っています。

井澤委員 ありがとうございました。

 今お話がありましたように、全国各地方自治体における取り組みや合併の効果などについて検証をさらに進めていただき、それぞれの地域の実情に合った施策の推進で強い地方をつくっていただきたいと思います。

 そこで次に、地方交付税を初めとした地方の財源について質問します。

 地方行政にあっては、時代に対応するために構造改革が不可欠であることは私も同感です。しかしながら、国民の皆さんには、裕福な方とそうでない方の経済格差、また都市と地方といった地域格差が広がっているのではないかという不安があるのも事実です。特に、地方の暮らしにあっては、生活困難によりその地域から離れる方々がふえ、世帯数の減少などからコミュニティーの崩壊すら招いてしまうのではないかと私は大変な危機感を持っております。

 そこで、先日、大臣が述べられた「頑張る地方応援プログラム」は、まさしく魅力ある強い地方をつくるため、疲弊が加速しつつある地方に対し光を当てるものだと私は大いに期待しているところでございます。

 しかし、前向きにさまざまなアイデアを駆使しようとしても、その元手となる財源がなければ、独自性を発揮し、思い切った政策を打ち出すことができません。地方自治体の最大の関心事の一つは、その元手となる財源、今さらに削減の動きがある交付税の総額がどうなるかということではないでしょうか。

 その点について、狭山市長として地方行政経験も豊富な大野副大臣より、御見解と、交付税総額確保に向けた強い御決意をお願いいたします。

大野副大臣 お答えいたします。

 実態として、現実、地域間には大きな税源偏在のある中で、地域間の財政力格差を調整して、そして一定水準の行政を確保することが必要であります。これは基本方針二〇〇六の中にも掲げられたところでございますが、この方針に沿って、必要な交付税総額を確保してまいることが大事である、こう承知をいたしております。

 現在、多くの地方団体が懸命の行政改革に励んでおりまして、相当スリム化してきている、私自身の経験からいたしましてもそう思っております。大変な努力を重ねておいででございます。しかし、交付税がどこまで削減されるのか予想がつかない、そしてまた前向きな政策に取り組めなくなってきている、このように危惧している関係者も多いもの、こう感じております。ましてや、御指摘のように、地方が歳出削減などに努力いたしましても、交付税総額が削減されて国の財政収支の改善となるのでは、地方の頑張りが報われない、地方が疲弊するばかりである、こうした声も既に耳にいたしております。

 大切なことは、交付税削減によりいたずらに格差を拡大させることではなくして、地方が前向きな政策に取り組める環境をつくること、地方の活力を高めることであります。地方が頑張ることが報われる方策を講ずることである、こう思っているところであります。

 地方の活力なくして国の活力なしという考え方のもとで、このための政策を各省とも連携しながら取り組んでまいりたいと決意しているところでございます。何分よろしくお願いいたします。

井澤委員 ありがとうございました。

 御経験を踏まえたお考えを示していただきました。地方の活力なくして国の活力なしということで、ぜひ実現できるように頑張っていただきたいと思います。

 では次に、先日、大臣は、集中改革プランの着実な実施及び行財政改革の推進のお話と、情報通信政策の進行のお話をされました。

 実は、私は、IT系ベンチャー企業に勤務していた経験がございます。民間企業では、ワン・ツー・ワン・マーケティングなどの顧客サービスの向上とともに、管理業務などはコンピューター処理により固定費の圧縮が行われ、経営革新にITを広く活用しております。これを行政に当てはめますと、住民サービスの向上とコスト圧縮という、一見相反する要請に対して、ITが大きな効果を発揮することになります。特に、地方自治体では、行政改革によってサービスを廃止すれば、だれもそれをフォローしてくれません。したがって、集中改革プランの実施とともに、住民サービスを維持してほしいという要請が当然求められるのではないかと思います。

 そこで、総務省として、行政運営の効率化をさらに進め、住民サービスを維持向上させるために、特にITの活用にどう対応していかれるのか、政府参考人にあわせて御所見をお伺いいたします。

久保政府参考人 地方公共団体におけます行政の簡素化、効率化と住民サービスの向上、これを同時に実現するといった手法として、御指摘のようにITの活用というのは大変有効ではないかと考えております。

 そこで、私どもといたしましては、まず、組織全体を通じた業務、システムの最適化、これを図る設計手法と言われておりますいわゆるEA、エンタープライズ・アーキテクチャー、これを導入することを推進するとか、複数の自治体が共同してシステムの運用を行ういわゆる共同アウトソーシング、これを推進することを今図っているという段階でございます。

 また、行政サービス向上の観点からは、本年の一月に決定されましたIT新改革戦略、この中に掲げられておりますけれども、国も地方公共団体も二〇一〇年度までに電子申請、電子届け出等のオンライン利用率を五〇%以上にするんだ、こういう目標がございますので、先般七月に地方公共団体に対しまして、この目標実現に関して、オンライン利用促進指針というのを策定いたしまして、この方向に沿って地方公共団体も実現に努力するように要請をいたしたところでございます。

 今後とも、地方公共団体におけますITを活用した行政運営の効率化、簡素化、そして行政サービスの向上に向けた取り組みに対しまして、地方の実態も踏まえながら、必要な助言あるいは支援を行ってまいりたいと考えております。

井澤委員 ありがとうございました。

 一つ、私からお願いがあります。私が今回質問をさせていただくに当たり、総務省のホームページを拝見したところ、申し上げにくいのですが、かなり見にくいというのが第一印象でした。聞くところによりますと、ホームページの訪問者は瞬時の第一印象で見るか見ないかを決めると言われています。大臣が積極的に取り組まれようとしているu―Japan構想についても、小さく右下に項目があり、見つけにくかったようです。世界最先端のIT国家を目指す中で、まずは国民とのコミュニケーションに配慮した工夫をお願いしたいと思います。

 では、もう一問、情報通信政策について質問いたします。

 先日、大臣あいさつの中で、次世代ブロードバンド戦略二〇一〇に基づきブロードバンド・ゼロ地域の解消を図る旨について述べられました。

 我が国のブロードバンドは、e―Japan戦略等による官民を挙げた取り組みによって普及され、世界最高水準の環境にあります。しかし一方で、国民生活や産業社会の構築に必要不可欠な社会インフラであるにもかかわらず、過疎地域等の条件が不利な地域、地域特性などで、投資効率が悪いとの理由から民間主導だけでは整備が進まず、いまだブロードバンドサービスが利用できない、いわゆるブロードバンド・ゼロ地域が発生しています。

 本年九月、私の地元、南山城村に対して、総務省から地域情報通信基盤整備推進交付金の交付を決定していただきました。南山城村は、田村副大臣の御地元とは少し違いますが、同じ三重県にある伊賀上野と隣接する非常に山深い地域でもあります。そこに交付決定をしていただいたということで、地元住民が大変喜んでおります。

 今後、ブロードバンドの全国的な整備促進に向けて、総務省としてどのように取り組まれるのか、ぜひ田村副大臣よりその意気込みを伺いたいと思います。

田村副大臣 御質問ありがとうございます。

 私の地元も非常に山深いところを多々抱えておりますので、同じ問題、いろいろと悩みながら進めてきておるわけでありますけれども、先生おっしゃいますとおり、日本の国、このブロードバンドの整備を民間主導で今まで着実に進めてきておりますが、やはり一方で、格差といいますか、かなり未整備地域、差が出てきております。

 県で言って恐縮なんですけれども、岩手県などはまだ二一%がブロードバンド・ゼロの世帯比率があるということでございまして、そういう意味では、今おっしゃっていただいた三重県、それから富山県等々は非常にブロードバンド整備が進んでおる、また大阪府あたりもほぼ九九%ブロードバンドが進んできておるわけであります。

 一方で、やはり今のような問題が起こっておりますのは、先生御指摘のとおり、投資効率の問題、こういう問題が非常に大きいというふうに思っております。全国で今、三十三町村がブロードバンド・ゼロ、世帯数でいきますと二百七十九万世帯、まだこの世帯数のブロードバンド・ゼロ地域があるわけであります。

 こういうことを踏まえまして、二〇〇六年一月、IT戦略本部で決定されましたIT新改革戦略等におきまして、二〇一〇年度を目途にブロードバンド等の整備というものを進めていこうということで、総務省といたしましても、次世代ブロードバンド戦略二〇一〇、今言われた戦略を推し進めておるわけであります。これを八月から策定いたしまして進めてきておりますが、一つは、二〇〇八年にブロードバンド・ゼロ市町村を解消しよう、さらには二〇一〇年にはブロードバンド・ゼロ地域自体を解消しよう、このような目標を置かせていただいております。あわせて、二〇一〇年に超高速ブロードバンド、ひかりでありますけれども、これを九〇%以上進めていこう、こういう方針で今頑張っております。

 具体的に、いろいろとブロードバンドを進めていく上で、ケーブルテレビなんかが非常に進んでいるところはやはりそれに付随してブロードバンドというものが進んでおるんですね。そういうことも踏まえながらなんですけれども、事業者また都道府県、市町村、こういうところが連携をしながら、一つには、ブロードバンドを整備する推進体制、こういうものをつくっていかなければならない。全国レベル、都道府県レベルでこれを進めていこうということで、ロードマップをつくったり、またマニュアルを整備いたしまして、連携を進めていこう、こういうことをさせていただいております。

 いずれにいたしましても、総務省はこれからも今の戦略をもとに頑張ってまいりたいと思っておりますけれども、各種支援策がございます。今おっしゃられました地域情報通信基盤整備推進交付金、これは新しい制度でございますけれども、この予算も、本年度は五十二・六億円でありますけれども、来年度に向かって九十六・八億円を要望いたしております。さらには、電気通信基盤充実臨時措置法というものがございまして、これで低利融資でありますとか利子助成、税制優遇等々の措置をしております。さらには、地域イントラネット基盤施設整備事業というのがございまして、これは、公の学校でありますとか図書館、さらには公民館、市役所、こういうものを高速のブロードバンドでつなぐというような事業であります。こういうものを活用しながら、ぜひともこの目標を達成するよう総務省として頑張ってまいりたい、このように思っております。

 ありがとうございます。

井澤委員 力強い御答弁、ありがとうございました。

 私は、地方にこそ必要なインフラ整備を重点的に推進することで、人、物、情報が流通し、日本全国どこにいても豊かさと安心を実感できる格差のない国づくりが実現し、情報ユビキタス社会ができると思います。二〇一〇年に向け、推進体制を整えられ、一日も早いブロードバンド・ゼロ地域の解消に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 では次に、安倍総理大臣は、総理に就任される以前より、北朝鮮による拉致被害者に関する問題に全身全霊で取り組まれ、また、先日行われたとされる北朝鮮による核実験に対しても、国民の生命財産は守るという断固たる姿勢で、多くの国民から共感と支持を得ていることは御承知のとおりでございます。

 北朝鮮による拉致被害者に関する問題は安倍内閣にとって最重要課題であり、菅大臣は先日の予算委員会の質疑においても、電波の割り当て、周波数調整の手続について前向きな御答弁がありました。また一昨日、二十四日には、電波監理審議会に対し、NHKの国際放送を拉致問題に留意するよう命令を行うことについて諮問する方針を表明されたと伺っております。

 そこで、二点について質問いたします。

 まず、総務省で拉致問題に関する日本からの情報発信についてどのような検討、取り組みを進めているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

 あわせて、NHKの国際放送に関し、拉致問題に留意するよう命令を行うことについて、一部の報道には、報道の自由との関係を懸念する意見もあります。この点に関する総務省のお考えをお願いいたします。

菅国務大臣 安倍総理は、発足後に、内閣に拉致問題対策本部を設置しました。総理が本部長、私ども全閣僚が本部員であります。拉致問題の解決に向けて政府として総合的に対策を推進する中、日本からの情報発信についても、積極的に検討、取り組みを進めているところであります。

 今御指摘のありました「しおかぜ」でありますけれども、これにつきましても、関係者から、先週の金曜日、具体的な要望をお聞きしました。そして、私どもとしては、できることは何なりと行っていきたい、そういう決意で臨んでいきたいと思います。

 例えば、新たな短波放送のための周波数の確保が必要ということであれば、それは国際的なルールに従って、国際電気通信連合に働きかける、こういう措置もとっていきたいというふうに思いますし、また現実的に、国内から情報発信を行うとすれば、NHKが国際放送を行っています茨城県の八俣送信所を利用するしか方法がないわけでありまして、利用の可能性についても実は検討をいたしているところであります。

 また先般、NHKのラジオ国際放送に対して、私、命令の中で、拉致問題に留意する、こうしたことも行いたいということも実は発言をしまして、今事務当局に指示をいたしておるところであります。この命令放送というのは、国際放送に関してのみ行われるものであって、国内放送については行われることはありません。

 このことについて、いろいろ今議論があります。放送法第三条において、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」こうされています。

 一方、放送法第三十三条第一項においては、「総務大臣は、協会に対し、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して国際放送を行うべきこと」を命じることができるとされており、法律上、指定する事項についての制限はありません。

 なお、命令放送の実施に当たっては、従前からNHKの編集権に配慮して行うべきとの考えに従ってその制度を運用してきたところであり、北朝鮮による日本人拉致問題について特に留意して放送を行うよう命令した場合であっても、個別具体的な番組の内容まで指示するものではありません。

 以上であります。

鈴木政府参考人 ただいま委員御指摘の、報道の自由に関する部分につきましても、大臣が今お答えいたしましたとおり、放送法三条にございます基本がございますが、命令放送につきましては、放送法三十三条一項において、大臣が国際放送の命令を行うことができると明確に規定しているところでございます。

 以上でございます。

井澤委員 ありがとうございました。

 御答弁にあったように、法律は問題がないということですが、この件は大変デリケートな側面があります。拉致被害者やその御家族との議論やきめ細かい支援が最も大切かと思います。

 いずれにしても、拉致被害者全員の帰国に向けて、政府一丸となって取り組みを心から期待申し上げます。

 時間が限られておりますので、最後にもう一度、菅大臣にお伺いいたします。

 大臣は、再チャレンジ支援議員連盟の中心的メンバーとして、現在においても、安倍総理が提唱する総合的な再チャレンジ支援策のいわば旗振り役として、積極的にその支援策推進に向け御活躍いただいております。

 これまで竹中前総務大臣のもと、副大臣として総務行政を引っ張ってこられ、引き続き今度は大臣というお立場で二年目を迎えられました。御就任からちょうどきょうで一カ月がたちましたが、この一カ月を振り返って、御感想と、さらに今後に向けての御決意をお伺いしたいと思います。お願いいたします。

菅国務大臣 一カ月、早いようで、時間がたったなという思いもいたしております。

 ただ、私は、大臣に就任したからには、国民の皆さんの要望にこたえるために、全力で、思い切って政策を進行していきたい、そう思って、この一カ月の間に地方分権改革推進法案を国会に提出するように努力をしてまいりました。まさに地方が自由に物事を決めて、そして自立し、責任を持つ、そうした魅力ある地方をつくるために、このことは何としてもやっていきたい。

 さらに、「頑張る地方応援プログラム」、このことも、応援室も総務省内に設置して、今、それぞれの地方からこれからヒアリングをやって、頑張る地方にとって何が必要なのか、そういったことも含めて行っています。

 もう一つ、情報通信でありますけれども、携帯電話とか情報通信の技術というのは、日本は非常にすぐれています。六割か七割が日本の技術で海外のそうした情報通信も行われているわけですけれども、例えば携帯電話のシェアというのは世界でたった一五%ぐらいでありますから、情報通信分野を、自動車産業のような形で、世界に日本の情報通信がどんどんと進出できるような、そういうことのために、ICT国際競争力懇談会、こういうものも設置し、とにかく全力で頑張っていきたいと思いますので、どうぞ御支援をよろしくお願いします。

井澤委員 ありがとうございました。

 以上で私の質問を終わります。

佐藤委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 おはようございます。公明党の谷口隆義でございます。

 大臣所信に対する質疑ということでございます。菅大臣は竹中大臣のときに副大臣をされていらっしゃいまして、私も何回かお話をさせていただきました。副大臣のときにも大変精力的に動いておられて、総務大臣は、非常に範囲が広くて大変な役所でございますけれども、ふさわしい方だというように思っております。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それで、主に菅大臣が所信のときにおっしゃったことを中心にして本日はお伺いをいたしたいと思います。

 まず初めに、再建法制また地方公会計についてお話をお伺いいたしたいと思います。

 先日、諮問会議がございまして、十月二十四日の諮問会議で菅大臣は、地方分権改革、総務相、菅大臣提出の資料を拝見させていただきますと、地方の自己規律による財政健全化を促すために、財政情報の開示の徹底・義務化、財政が悪化した団体の自主的改善義務化等、新たな再建制度を二年以内に整備するというように諮問会議でおっしゃったようでございます。たしか竹中大臣は三年以内にというようにおっしゃっておったと思うわけでありますけれども、そうしますと、この再建制度、再建法制を一年前倒しでやりたいというような御意向のようであります。

 それで、この再建法制をやる前提として、地方公会計制度、統一した公会計制度を導入しなければいけない。まさに先ほどの総務相提出のところに書いてあったとおりでありますけれども、各地公体が同一の基準によって財政状況の情報を公開するということが必要だと思っておるわけです。

 先日、御存じのとおり再建団体の申請をするということに決まりました北海道の夕張市で、どうも聞いておりますと、夕張市においては、予算上一般会計から他会計に繰り出すべき予算を貸付金として措置するなどし、一般会計と他会計との間で、出納整理期間中に次年度の他会計から当該年度の一般会計に償還する、年度をまたがる会計間の貸し付け、償還が行われてきた。年度をまたがっておるわけであります。このような年度をまたがる会計間の貸し付け、償還という手法は夕張市において長年にわたって行われてきたところであり、実質的な赤字を見えなくするとともに多額の赤字を累積してきたことから、持続不可能な財政運営であり、不適正な財務処理である、このように調査の結果が出ているわけであります。

 ですから、これは民間企業でいいますと、粉飾しておった、こういうことになるわけでありますけれども、このようなベースで再建法制を導入するということは、そもそも前提が整っていないというように考えておるわけであります。

 そうしますと、では、この再建法制を二年以内に整備するということになりますと、地方公会計は一体どうなるものかということになるわけでありますが、地方公会計制度で研究会報告書というのが出ております。これを見ますと、推進団体、都道府県、人口三万人以上の都市は三年目途である、未作成団体であるとか人口三万人未満の都市、町村は三年程度を準備期間として、こういうように研究会報告では出ております。

 先ほど申し上げましたように、竹中大臣のときに、三年で再生法制をやると言うんだったら、大体三年、三年ですから合うわけでありますが、菅大臣が一年前倒しでやられるということをおっしゃったわけでありますが、一方で、この地方公会計制度を一年前倒しでやるというようにお考えなのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

菅国務大臣 委員は専門的な立場からの御指摘であろうと思います。

 新たな再生制度につきましては、一昨日の経済財政諮問会議において、二年以内に整備するということを御指摘のとおり申し述べました。財政悪化の早い段階から自主的な改善を義務化することなどによって、自己規律による財政健全化を促していく、そういう趣旨から実は申し上げたものであります。

 御指摘のとおり、この再生制度を実効あるものにしていくためには、やはり地方公共団体の公会計の整備というのも当然重要な課題である、このように認識をいたしております。

 八月に告知をした地方行革新指針においては、新地方公会計制度研究会の報告を踏まえて、全地方公共団体に対して、取り組み状況や団体に応じて、御指摘のありましたように三年後ないし五年後までに公会計の整備に取り組むよう要請したところでもあります。しかし、少しでも早く公会計の整備を進めることが、正確な財政情報及びその情報の徹底した開示に基づく再生制度を実現していくためにも重要である、こう思っています。

 八月の通知はあるものの、私としては、取り組みが進んでいる団体、これについては少しでも早く公会計を整備するよう促し、新しい再生制度と相まって、地方の規律ある財政運用、この早期実現に努めていきたい、こう思います。

 そしてまた、夕張市の粉飾の問題について御指摘がありました。

 この夕張問題を受けまして、地方公共団体の新たな再生制度について、八月に総務省内に有識者による新しい地方財政再生制度研究会というものを設置いたしました。

 研究会においては、九月にそれまでの議論の経過を中間的に整理していただきまして、早期是正・再生スキームを適時的確に機能させるためのフロー指標及びストック指標を整備するとともに、明確、透明なルールによる財政情報の開示を徹底することが必要である、これは中間報告を受けております。

 そのためには、指標やその基礎となる財政情報の正確性を担保することが必要でありまして、研究会の中間的整理においては、監査機能のあり方の必要な措置を検討すべきということも実は指摘をされております。

 研究会においてさらに実際に機能する仕組みについて検討を深めていただいて、総務省としてもその報告を受けて対応していきたい、このように思います。

谷口(隆)委員 大臣がおっしゃったように、夕張であったようなことを防ぐためには、しっかりとした監査を行って、その監査の結果の指標に基づいて判断したいということですが、やはり一番望ましいのは、会計そのものを全国統一の公会計でやっていただくということが一番望ましいわけでございますので、なるべく早く、今二年ということですから、二年を目安でやっていただくようなことでもう既にできておるようでありますから、ただ、受け入れ側の問題もあるんだろうと思いますけれども、ぜひそういう努力をお願いいたしたいと思います。

 もう一度、ちょっと答弁を。

菅国務大臣 そのように対応させていただきます。

谷口(隆)委員 ありがとうございました。

 次に、一昨日、二十四日から番号ポータビリティー制度というのがスタートいたしました。これは、御存じのとおり、携帯電話を持っていらっしゃる方が契約会社を変えても今までのとおり電話番号が使えるというもので、非常に便利なものであります。

 従来から、我が党は、公明党は、携帯電話会社の競争促進を促して、料金引き下げの効果がそこで期待できるということで、一生懸命取り組んでおったわけであります。特に、党の青年局を中心にして署名活動を行いまして、平成十五年の七月から九月までの間に、何と一千十二万人を超える署名を集めたんですよ。この署名を集めて、小泉前総理のところへ持ってまいりまして、このような番号ポータビリティー制度をぜひ実施してもらいたいというようなことを申し上げたわけであります。その後も、国会の委員会等で歴代の総務大臣にも申し上げてきたわけです。そういうことで、今回、十月二十四日に番号ポータビリティー制度がスタートしたということは、感慨深いものがあるわけであります。

 総務大臣の御感想、御所見をちょっとお聞きいたしたいと思います。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 総務省としては、多くの国民の皆さんが便利で使いやすい、そうした仕組みをつくるのが私どもの大きな役割であります。

 この番号ポータビリティーにつきましては、今委員の御指摘がありましたように、何回となく公明党よりこの導入についての大きな要望がありました。また、国民の皆さんからも、社会的な関心、そしてこれに対しての実現に向けた希望があった。そういう中で、利用者利便の向上及び携帯電話事業者間の競争を促進する、そういう観点から、本年十一月一日から導入を義務づけておりまして、去る二十四日に開始をされたところであります。

 携帯電話の番号ポータビリティーの開始に向け、既に携帯電話事業者からは新しい端末や新たな料金プランなどが発表されて、国民の関心も受けているところであります。

 このように、携帯電話番号ポータビリティーによって、携帯電話事業者間の競争が促進をされ、より魅力的なサービスが国民に提供される、このことは全体の便益にもつながるすばらしいことである、このように理解をしています。

谷口(隆)委員 大臣おっしゃっていただきましたように、我が党もこの実現に向けまして頑張ってまいったわけでありますが、今回、この番号ポータビリティー制度がスタートすることに伴って、大臣の方からも今若干言及されましたが、ソフトバンクは、自社の携帯電話同士なら料金は無料だというようなプランが出てきたり、携帯電話の料金そのものが今引き下げの方向にあるわけであります。これはそういう競争の中から生まれ出たもので、国民、利用者の皆さんは大変喜んでいらっしゃると思うんです。

 しかし、いまだにまだ携帯料金が高過ぎるというようなことをおっしゃる方が多いわけであります。現状を見ますと、携帯電話市場への参加を表明しておる通信事業者も数社あるということでございまして、このような通信事業者が市場に参入してくるといったようなことだとか、またいろいろなプランが出てまいりますと料金引き下げの方向に行くんだろうと思いますが、さらなる料金の引き下げを私どもは実現してまいりたいというように思っております。

 大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 御指摘のとおり、番号ポータビリティーの導入や新規事業者への周波数割り当てを初め、移動通信市場における事業者間の競争促進を通じて、さらなる料金の低廉化やサービスの多様化を図って利用者利益の最大化を図っていく、このことはやはり重要な政策課題である、このように認識しています。

 このため、総務省は、本年の九月、電気通信市場の一層の活性化を図る観点から、新競争促進プログラム二〇一〇を策定し、公表し、移動通信を含む広範な分野について、競争促進に向けた施策展開に着手をしたところであります。

 具体的には、新しいブロードバンド無線アクセス技術の導入促進、既存の移動通信事業者のサービスに付加価値をつけてサービス提供を行う事業の新規参入の促進、移動通信市場におけるビジネスモデルの多様化を図るための環境整備などのさまざまな観点から着実に施策を展開していきたい、こう思っております。

 こうした一連の施策がさらなる料金の低廉化やサービスにつながる、このように思っています。

谷口(隆)委員 大臣、ありがとうございました。より一層引き下げるために、また私どもも努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 次に、先ほども出ておりましたが、NHKの放送法三十三条の命令放送、このことについてお伺いをいたしたいと思います。

 これも先ほど出ておりましたが、大臣は、電波監理審議会にこの諮問をするというようなことを表明されたようであります。北朝鮮の拉致の問題は非常に重要でありまして、私も拉致議連に入れていただいておりますけれども、拉致被害者の方の一刻も早い帰還、帰国を何とかやらなきゃいかぬというのはよくわかるわけでありますが、一方で、放送法三十三条の命令放送につきましては、自治であるとか、国の重要な施策であるとか、国際問題に関する政府見解であるというような、いわばNHKの自主性だとか編成権だとか、こういうことを考慮し、抽象的な表現になっておるわけでございます。

 NHKから取り寄せました資料を見ますと、北朝鮮拉致関連報道についてNHKがどの程度放送したのかということで見ますと、二〇〇六年一月からこの十月十七日までに扱った北朝鮮関連ニュースは約二千五百本ある、このうち、被害者家族の動静や国内の動きを含め、拉致問題関連では七百二十本余りということで、大体約三分の一程度は拉致関連の報道をしておるわけであります。また、番組等においても、拉致関連の報道もやっておるわけでございます。

 今回、大臣の方は、特に拉致問題ということで内容を特定していらっしゃるわけでございます。従来は、放送法三十三条の中で、かつて我が国がこのようなことをやったことはありませんし、諸外国においても、このような特定のテーマに絞った国際放送は異例だというのが一般的なんであります。

 大臣のお気持ちはよく理解できるわけでありますが、一方で、先ほど申し上げました放送の自主性だとか編成権だとか報道の中立性だとか、そういうようなことを考えても、今回、審議会の方に諮問されるかどうか、もう一度お伺いをいたしたいと思います。私は、個人的には、これは慎重に取り扱うべき問題であるというように思っておるわけであります。

菅国務大臣 私は、総務大臣に就任をして、そして政府に拉致問題対策本部が、総理が本部長のもとにできて、私ども全閣僚が本部員、そういう中で、拉致家族の皆さんに私ども政府ができることはやはり何でもやるべきである、こう私は思っております。

 今、この時点でも、北朝鮮の工作員に拉致された横田めぐみさんを初め多くの日本の国民が救出を待ちわびながら生活している、私はこういうふうに思っています。そしてまた、北朝鮮当局の監視下に置かれて、制約の中で、そして不自由な生活を強いられている、そして場合によっては生命の安全さえ脅かされている、私はそういう可能性だってあるというふうに思います。

 そういう人たちに私ども国家としてできることは、やはり日本の国民も家族も、そして国家も、見捨てないで救出をしているというメッセージを与えるということは大きな希望になるというふうに私は思いました。そして、今までジェンキンスさんや、あるいは蓮池さんの著書や、あるいは報道、その中にも、ラジオの放送を聞いて、そういう救出作業を日本で行っている、非常に生きがいを覚えた、生きる希望を持った、あるいは新聞の報道でそうしたことを知って、それでお互いに励まし合いながら生きてきた、そうしたことを報道されていました。

 今どういう状況にあるかといえば、日本は、拉致家族の皆さんは、「しおかぜ」という放送は、海外の配信会社にお願いをして、海外から日本に短波放送しているのが実態であります。

 私は、総務大臣として、こうしたことを考えたときに、やはり北朝鮮の中で必死に生き抜いているそうした拉致被害者の皆さんに勇気と希望を与えるのが私どもの責任である、こういう思いの中から実はこのような決断をしたわけであります。そして、当然、表現の自由だとかあるいは報道の自由、こうしたものは絶対守らなきゃならない、そう思っていますので、番組の編成内容まで私は口を挟むことはしません。

 以上です。

谷口(隆)委員 番組の放送内容まで口を挟まないと大臣がおっしゃったわけでありますけれども、しかし、いずれにしても、特定項目について言及するということは放送内容にそれなりの影響があるだろうということを念頭に入れたお話なんだろうと思うんですね。

 それで、きょうはNHKからも来ていただいておるわけでありますが、仮に、この命令放送を諮問されて、三十三条に基づき拉致報道についてNHKに命令放送が来た場合に、NHKはどのような対応をされようと考えていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。

石村参考人 お答えいたします。

 これまでの命令では、放送効果の向上を図るために、放送番組の編集及び放送というのは、NHKの本来業務として行います国際放送と一体として行うこととされております。実態上は、NHKの自主的な編集のもとで長い間放送を行ってきた。

 拉致問題について今回留意すべしということですけれども、NHKとしましては、この問題というのは非常に重要だというのは当然考えておりますし、これまでも国際放送のニュース番組の中ではしっかり分厚く他社にも負けない形で報道してきた、放送してきた、これは自負しております。

 今後ですけれども、これまでどおり、やはり報道機関として当然、自主自律の立場で自主的な編成を貫いていく立場には、この基本的姿勢には変わりはございません。

 以上でございます。

谷口(隆)委員 今NHKからおっしゃったわけでありますけれども、自主自律の精神で番組を編成していきたいということで、今後、仮に命令が出て、NHKがどういう対応をとられるかわかりませんが、どういう対応をとられても、大臣の方はそれに対してその後また何かおっしゃるということは多分ないんだろうと思いますが、一度確認のためにお伺いをいたしたいと思います。

菅国務大臣 当然、これは、私が命令をしたところでも、電波監理審議会というのがありますから、そこで審議をした結果になるわけであります。当然、そのことに私は従いますし、またその結果について言及することはありません。

 それと、今まで、命令放送でありましたけれども、かつては、外国の国慶に対する慶祝をすべきだとか、そういうことも命令としてした事実もあることも御理解をいただきたいと思いますし、この命令放送というのは、あくまでも国際放送に関してのみでありまして、国内放送についてのことは触れられていないわけでありますから、そういうこともぜひ御理解をいただきたいと思います。

谷口(隆)委員 国際放送は八十五億円程度の予算で、国が二十二億五千万ほど出しているわけですね。国が出しているということもあって命令放送ということになるわけでありますが、今度の予算では三億円程度テレビにも入れて、今はテレビは命令放送できませんが、テレビもそれが実現いたしますとその範疇に入ってくるわけであります。もしそうなれば、テレビも含めてそのような命令放送を行いたいというようなことを念頭に入れていらっしゃるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 国際テレビについては、十九年度予算において、三億円の予算要求を行っているところであります。これは、まだ予算も確定しておりませんので、仮定については控えさせていただきたいと思います。

谷口(隆)委員 気持ちはよくわかりますが、慎重に考えていただければというように思っております。

 あとそんなに時間がありませんが、もう一問、電子政府、eガバメントについてお伺いをいたしたいと思います。

 この電子政府の取り組みについて、今、政府は一体となって頑張っていただいておるわけであります。それで、いろいろな問題があるんだろうと思います。

 一つは、住基カードが余り普及していないというようなこと。それでまた、主要三分野、この主要三分野というのは、登記、国税、社会保険・労働保険、このような主要三分野でも必ずしも普及していないわけです。一番国民に近いのは、国税、電子申告なんだろうと思います。この状況を見ておっても、e―Taxで〇・〇二%程度の普及だということであります。

 菅大臣、電子申告をやられたことはありますか。

菅国務大臣 恥ずかしながら、ありません。

谷口(隆)委員 これをやると、私は公認会計士であり税理士であるわけでありますけれども、なかなか難しいんですね。私が言うんですから、普通の人はなかなかできないんですよ。

 そういうような状況というのは、一体どうしてこうなったのかといろいろ考えましたが、どうも政府が、本来あるべき姿のシステムを構築して、その構築したものをどうか国民、利用者の方に利用していただきたいというようなことになった結果、どうも国民の目線、利用者の目線が欠けておったのではないかというように思うわけです。

 行政管理局長、きょう来ていらっしゃるので、ちょっと一遍答えてくれますか。一遍やっていただいたんですよ。大変だということがわかったというので、ちょっと一遍答弁してもらいたいと思います。

石田政府参考人 お答えいたします。

 私もやらせていただきましたけれども、これはシミュレーションという形でございましたが、確かにやはり初期設定に相当時間がかかる。実は、大臣室でも大臣にちょっと見ていただいて、かなり時間がかかるなということで、いただいております。

 ただ、あえて申し上げますと、一回目の初期設定がちょっと時間がかかるわけですけれども、二回目以降は迅速に進むということで、年に何回も申請される方にとりましては非常に便利なものじゃないかというふうに認識しております。

谷口(隆)委員 年に一回ですからね。これは電子申告ですから、頻繁に使うというわけじゃないんですよ。だけれども、国民全般に影響のあることですから。ですから、壮大な無駄遣いに終わらないようにしてもらいたいという話なんです。しっかり大臣も見てくださいよ。

 それで、きょうは国税庁からも来てもらっているんです。利用率が〇・〇二%しかない、これを二十二年度には五〇%に引き上げたいというんですが、どういうようなことをもってそこまで引き上げようと考えていらっしゃるのか。国税庁、よろしくお願いします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、電子申告、e―Taxの普及というのは、政府全体の電子申請の中でも極めて重要なウエートを持っておるということで、私どもも積極的に取り組んでおります。

 今までいろいろ議論をして、具体的に普及を推進する方策としては、基本的には、御指摘のように非常に難しい問題がありますので、まず税理士の方の御協力を得ていくということで、税理士の方に御協力いただいた場合には電子署名を省略するとか、あと、e―Taxを利用すれば早期還付ができるようにするとか、こういういろいろな施策を講じています。

 ただ、今御指摘のように、なかなか最初の導入の部分が難しいという御指摘もございます。今、私どもが考えておりますのは、e―Taxのソフトを使わないで、直接国税庁のホームページから確定申告書を作成してそのまま申請できるという、これを今、いわゆる十八年の申告に間に合うように努力しております。これが実現すれば、一般の個人の確定申告につきましては、先ほどの初期の設定の困難さというのがかなり解消されるのではないかと思っております。

 それ以外にも、またいろいろ御指摘もいただきながら、改善に努力していきたいと思っております。

谷口(隆)委員 いろいろな問題がまだありまして、もう時間がありませんので、例えば、e―Taxをやりますと、従来なら申告書を税務署へ持っていくでしょう、押印してくれるわけですよ。その押印したものを銀行へ持っていって融資を受けるわけです。銀行は、押印していないものだからだめだ、こう言うわけですよ。そういうように、周りのことも含めて非常に支障があるということなんです。

 ぜひ大臣も、周りのことも含めて、これは非常に重要なことですから、一方では、非常に効率性をこれによって上げることができるわけで、しかし、そのために乗り越えていかなきゃいかぬ障害もたくさんありますから、ぜひきめ細かくやっていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、これで終わりにしたいと思います。

佐藤委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一です。

 本日は、大臣のあいさつということでありますが、大臣所信に対して質疑を行わせていただきます。

 次の内閣という民主党の組織の中で、総務省の担当責任者として総務部門の取りまとめ役を仰せつかっております。そうした立場からも、きょうは、大臣、そしてまた厚生労働省の菅原政務官にもお見えいただいておりますので、政治家同士の議論をということで質疑をさせていただきたいと思います。

 まず大臣に、これは通告していなかったので大変恐縮なんですが、これは今、それこそ各大臣に民主党としてぜひ確認をしたいということでお聞きをしたいと思っております。

 それは、政府・与党の幹部あるいは内閣の主要閣僚から、核の保有論議について、これをやることはやぶさかではない、こういうような発言が出ております。また、つい先日も外務大臣の方から、北朝鮮が核を持った、こういうふうに言われることによって北東アジア情勢は一変したんだ、こういうような発言も出てきているので、論議すればいいということももちろん問題でありますが、非核三原則を堅持する政府・与党、そしてまた閣僚としての発言として、そうしたまた認識の変化ということで、さらにまた踏み込んだ発言も出ているんですが、核保有論議をしてもいいじゃないか、こういうような発言を菅総務大臣としてはどのようにお考えになられますか。また、御持論があれば御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 私は、これまでの政府見解でいいと思います。

武正委員 政府見解と同じということはどのようなことか、つまびらかにしていただけますでしょうか。

菅国務大臣 非核三原則を維持し、そして、核保有についての議論はまだ今はすべきじゃないということです。

武正委員 それでは質問に移らせていただきます。

 まず、先ほど来質疑に取り上げられております命令放送でございますが、私も拉致議連のメンバーでもありますし、また、この三月、日英二十一世紀委員会でロンドンに行った折も、ストロー前外相に、国連人権非難決議を議長国としてイギリスが取りまとめてくれたことのお礼も直接伝えた経験もありまして、特にヨーロッパ各国が北朝鮮と国交を結んでいるものですから、やはり世界的な、言うなれば包囲網というんですかね、これが必要だ、こういったことも含めて、拉致被害者、そしてまた特定失踪者、その一日も早い救出、これをやらなければならないということで、私も及ばずながら尽力をしてきた、このように自負をしております。

 ただ、やはりこの命令放送ということは、放送の独立性に対する侵害ということのおそれありということで、大変危惧を覚えております。というのは、これまで民主党として当委員会に、放送の独立性を堅持すべきということで、免許更新制、その許認可権を放送局に対して総務大臣が有しているものですから、やはり五年に一回の免許更新をしてもらう大臣あるいは政府、内閣に対してどうしてもおもねるところがありやなしや、こういうことも危惧するところから、許認可は独立した行政委員会に、こういう法案を複数年次にわたって提出してきた経緯もあるからでございます。

 そこで、まず事の発端が、衆議院の予算委員会での民主党の中川正春委員への答弁、これがスタートだったというふうに記憶をしております。これは、先ほど来大臣から話がありましたように、「今、委員から申し出がありました「しおかぜ」の件でありますけれども、新たにこうした申し出があれば、私は、責任者として、周波数確保のために、国際的なルールに基づいて前向きにぜひ取り組んでいきたい、こう思っております。」こういうような答弁がありまして、その後、翌々日ですかね、今度は命令放送というようなことを閣議後の記者会見で述べられておりますので、まずは「しおかぜ」への支援、これが発端だったというふうに私は思うんですね。

 それへの取り組み状況は先ほどお答えをいただいたので重複は避けますが、ただ、特定失踪者の調査会の代表である荒木さんが二十五日、調査会メールニュースでこのように流しておられます。通信施設の利用については、現在の英国経由の放送をこちら、というのは茨城の八俣に変えるわけではなくて、プラスアルファする形になると思いますと。ただ、費用負担の問題が出てくると。この費用負担というのがやはり課題だということは述べておられます。それから、これから「しおかぜ」プロジェクトに加えてバルーンプロジェクトなどをやっていく、こういうようなことも述べておられました。

 私は、「しおかぜ」に対する支援というのはやるべきだ、こういう立場でありますが、まず、この八俣の送信所、先ほど可能性を検討ということでありましたし、先週金曜日、それこそ荒木さんと総務省も接触をしたというふうに聞いておりますが、例えば、今の費用負担なども含め、あるいは先ほどの周波数確保ということで努力をされるということですが、いま一度、こうした荒木さんの発言も踏まえて、どのような形で支援ができるのか、お答えをいただけますでしょうか。

菅国務大臣 今委員の御指摘がありましたように、そもそもこの問題は、予算委員会で中川委員から、海外でなくて国内でできないか、実はそういう質問が発端でありました。私、全くこれは思いが同じでありましたから、国内でできることは最大限、私どもとすれば、できることはやろうと。そういう中で事務当局に指示をして、どういう可能性があるか。そこから出てきたのが、周波数を確保するのであれば、世界のルールがあるので、そこに、必要であれば私どもとしては申請する意思がある。そして、国内では、先ほど来ありますけれども、茨城県の八俣送信所、ここしか利用はできないだろう。そこを利用できるかどうか、もし利用するとすれば幾らでか、そういうところまで含め、実は検討をするように私は指示をしました。

 そして、先週、内閣の拉致対策本部、そこと私どもの事務方が「しおかぜ」の関係者から具体的な話を先週の金曜日に伺った、そういう報告を受けております。

武正委員 荒木さんは、このメールで、そうした八俣の送信所でのことが実現に向かうには、例えばITUは年に二回周波数のそうした変更の会議があったり、またいろいろと手続などをいうと、どうしても来年度中になってしまうだろう、先になってしまうだろうということも含めて、プラスアルファというようなことを述べておられるわけなんですね。

 ですから、私は、それはやはりプラスアルファであって、費用の面とかぜひ御支援をいただいて、それから、周波数の確保に全力を挙げていただきたい、このようにお願いをしたいと思います。

 そこで、これも報道があったんですけれども、前総務大臣のときの命令放送、この命令放送については、いわゆる三つということで、これまでどおりの、時事とかそうした三つの点を渡しているんですが、このときに、口頭で、統括官というんですか、大規模災害、テロ、拉致に留意をということを伝えた、こういう報道があるんですが、こうした事実はあるんでしょうか。お答えいただけますか。

菅国務大臣 ことし四月一日付のNHKのラジオ国際放送に対する命令書を交付する際に、当時の清水政策統括官から橋本NHK会長に対し、拉致、テロ、自然災害について重点的に扱ってほしい旨を口頭により伝えた、このことは事実であります。

武正委員 こうした命令放送の文書を手渡すときに、過去、このような形で口頭で要望を伝えたことがあるのか、特に拉致問題についての留意をということも含めて、お答えいただけますか。

菅国務大臣 今までのことを全部調査しました。それで、口頭で留意事項を伝えたということはほかにないということです。しかし、命令放送に関し、文書で局長名で要請をした事実はあります。それは、平成十三年の十月九日にアメリカ中枢多発テロに伴う要請、十四年十月二十五日にインドネシア等における爆発事件の発生に伴う要請、十五年三月十八日、イラク情勢の緊迫化に伴う要請、この三点であります。

武正委員 緊急避難、それからそうした大規模災害、あるいはテロ、それが起きたときにそうした形で文書で出した、こういったことがあるということでございます。ただ、口頭で命令放送とともに伝えたことは過去なかった、こういったことでございます。

 そこで、先ほど来、電監審への諮問を行うんだというお話なんですけれども、電波監理審議会は、御存じのように、独立行政委員会といっても八条委員会でありまして、いわゆる三条委員会に比べると、大臣に対しての権能というんですか、それがやはり弱い委員会というふうに私は承知をしております。ですから、民主党がこれまで通信・放送委員会設置法案を出しているときは、それは三条委員会にすべし、そして、しっかりと、放送局のそれこそ許認可に対して大変な影響を持つ担当大臣に対して言うべきことは言える、そういう独立行政委員会であるべしということを主張し、法案を提出してきた経緯がございます。

 先ほど、電監審に諮問するんだ、こういうようなお話で、電監審の答申結果に従うんだということでしたが、電監審に対して、命令放送ですね、拉致問題について重視をするようにというような形なんでしょうか、これを諮問するということになりますと、過去、例えば勧告という形でその担当大臣なりの諮問に異議を唱えるというか、これはやめた方がいいとか、おかしいと思う、こういうふうに言ったのが、昭和二十年代に二回あったきりで、それ以降ずっとそうした勧告も使われていない、こういった経緯もありますので、私は、ここで総務大臣から、命令放送にこれまでなかった拉致問題についての記述をしてその諮問をするというのは、かなり電監審にとっては重たい諮問になろうかというふうに思っております。事実上これは、もうそれをやるんだ、それについてのいろいろな検討をしてくれ、こういうような形になるというふうに思いますので、電監審への諮問前ではありますが、この放送法の独立性からいって、三条にある編集権、「放送番組編集の自由」に対する侵害に対する危惧が大変強いんですが、このことについてはどのようにお考えでございますか。

菅国務大臣 きょうの報道でも、あるメディアの社長の、要請にすべきだということが載っていました。しかし、要請というのはこれは行政指導ですから、先ほど、今まで三通の要請があったという報告を私もしましたけれども、あれは大臣なり副大臣の決裁なく局長が、それぞれの、当然テロだとか大震災だとか、そういうところであるのでという形で出したというふうに思っていますから、やはり法治国家でありますので、公明正大に、法律に基づいて、オープンにした形でやるのが適切じゃないかなという判断を実は私はしたんです。それは、例えば私が要請をしていればこのことは表に出なかったわけですから。そういうこともぜひ御理解をいただきたいと思います。

 もう一つの引き金となったのは、参議院の予算委員会で民主党の森議員から、なぜNHKの秋田放送、北朝鮮に近いから、その電波を使わないんだという質問も実はあったんです。ですから、私とすれば、いずれにしろ、先ほど申し上げましたけれども、やはり拉致被害者の方というのは生命の安全だとかそうした危機にある可能性があるわけですから、そういう意味の中で私は実はこの命令をという決断をしました。

 それで、先ほどの要請の問題、口頭の問題、これよりも、私は、やはりオープンな形で、放送法三十三条第一項に基づいてやった方がいいだろう、そういう判断で命じましたので、このことはぜひ御理解をいただきたい。

武正委員 先ほどの荒木さんのメールにNHKの命令放送についても書いてあるわけなんですが、私たちは命令放送としてNHKで「しおかぜ」を流してもらいたいとは思いません。ただし、北朝鮮の体制崩壊時に、拉致被害者の皆さん、どこどこに避難してくださいというような緊急放送は命令放送でやっていただくしかないと思っています。これは荒木さんの考えです。もちろん、現在の「しおかぜ」も緊急放送に使いますと。

 そういった意味では、荒木さんが言っておられるように、私は、では命令放送でいいかどうかはわかりません、ここではあえてコメントはしませんが、先ほど言われたその三件というのは、例えば荒木さんのこの表現をかりれば北朝鮮の体制崩壊時に当たるのではないのかということであって、ここで、これだけいろいろと議論が巻き起こっております放送の自由編集権の侵害の危惧ということで、あえて命令放送に踏み込まれなくてもよろしいのではないかな、こういうふうに思うんであります。

 荒木さんのこうした指摘について、また菅大臣の強い決意はわかるんですが、こうした被害者の皆さんあるいは特定失踪者の調査会の皆さんの声というものもいろいろ聞いていただいて、いま一度慎重な御検討をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私は、今日まで、家族会の方とか、いろいろな方からお話を伺いました。

 ぜひ委員には御理解をいただきたいんですけれども、「しおかぜ」と命令放送、これは別々だというふうに私は思っています。「しおかぜ」としてできることは、私どもは支援することは行ってあげたい。しかし、NHKにも、拉致問題について、日本の家族や国民、そして政府が救出のために見捨てないでみんなで努力しているということを知ることが、北朝鮮に拉致をされて今不自由な生活をしている人たちにとって最大の希望である、こう私は思ってNHKに命令放送をということであります。「しおかぜ」は「しおかぜ」でできることは支援をしていきたい。しかし、私ども役所として、総務大臣としてできることは、放送法の中で命令放送ができますのでそういう判断をした、こういうふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

武正委員 まさしく大臣が認めておられるように、事は、先ほど触れたように、十月十一日の衆議院の予算委員会、民主党の中川正春委員の質問に「しおかぜ」に対する支援ということでお答えになられたわけなんです。それが、翌々日の閣議後の記者会見でNHKの命令放送と、今も大臣が言われたように別な観点から今度は発言をされているわけなんです。

 私は、初期の「しおかぜ」への支援、立法府から行政府の長に対する質問、それに対して前向きな、同僚に聞くと、そのときの予算委員会でもどよめきというか、そこまで踏み込んだかと思ったというふうに同僚議員は言っておりました。ただ、大臣のやむにやまれぬ思いからのそうした答弁、あるいは今までの拉致問題への取り組み、それからの答弁だとすれば、ぜひ「しおかぜ」への支援を頑張っていただきたい、応援をしたいというふうに私は思っています。

 ただ、今のNHKの命令放送について、あえてBBCとの比較をさせていただきますと、BBCも、海外放送について、ワールドサービスについては税金をそれこそ半分投入している。NHKの場合は四分の一ですよね。

 しかし、ことしの七月に政府とBBCは合意をしております。それは、あくまでもBBCのそうした海外放送を含めて英国が信頼される国になることを目的と、これをまず合意しているんですね。シチズンジャーナリズムという英語だそうですが、そうしたことを合意するけれども、政府が海外放送の内容に介入することはないということでありまして、あくまでも公共の価値ということをキーワードにBBCは独立性を保っている。しかも、政府はそれをしっかりと保障している。これが、BBCが世界各国で大変影響を持った、信頼される放送たるゆえんだと私は確信をしております。

 これから、より以上、海外でのNHKの番組の信頼性、これを高めてほしいというふうに切に思います。それがひいては、それこそイギリスでBBCと英国政府が合意をしたように、日本に置きかえれば、日本が信頼される国になることを目的と、これが唯一の目的なんだ、世界各国で、これがどれだけ日本の国益に資するか、ひいては拉致問題の解決に資するか、こういったことを私は考えます。

 「しおかぜ」と公共放送のNHKに対する命令放送は別だという大臣の御所見でありますので、BBCの、政府が介入することはない、しかし、当然、税金を海外放送の半分出している、しかも先ほど言った目的を合意している、こういったこともぜひ御勘案の上、再度御検討をいただきたいというふうに思います。よろしいですか。何かあれば。

菅国務大臣 「しおかぜ」の件とNHKの命令放送、私どもとすればできることはすべてやりたい、そういう中から出てきたことでありますので、それは確かに別々でありますけれども、事は生命の安全にかかわることでありますので、すべてやりたい、そういう思いの中で今回の決断をした、こういうことを御理解いただきたいというふうに思います。

 また、BBCの御指摘が今ありましたけれども、私は、これを事務当局から資料として取り寄せました。ここは、外務大臣が事前に承認した地域に対し、また言語により、外務大臣等の同意を得て設定される目標及び順位に従って放送しなければならない。あるいは、BBCは外務省と協議し、及び協力しなければならない。また、BBCはワールドサービスが高水準の編集上の自律性を維持することを確保しなきゃならない、こういう縛りがあるということを事務当局から、今回のことを決断するに当たり、こういうことも政府との協定書に定められている、そういうふうに私は理解をしておりました。

武正委員 BBCについては、そういうような縛りがある中で、それに対して、文句を言うというか、これはおかしいじゃないかと言うことがちゃんと権利として保障されているんですね。そこがやはりNHKと違う。予算は国会審議、許認可は大臣という中で、そうした政府からの命令とかいろいろなやりとりに対して異議を唱える権利がBBCにはしっかり確保されている、この点がNHKと違うということを改めて指摘して、ちょっと時間の関係もありますので、再度慎重な御検討をお願いしたいと私は思います。

 そこで、NHKについてなんですが、督促、未契約者への民事訴訟、今回は四十八件の督促を行ったんですが、その絞り込み方、二十三区で絞り込んで、未払いの人が十九万件あって、そこから七百件を抽出して、そしてその中からいろいろとやりとりをして四十八件に絞った、こういうような絞り込み方がいかがなものかなということ。

 それから、未契約者が九百十七万件に対して、民事訴訟も辞さない、こういうようなことを発表されているわけなんですけれども、それこそNHK改革がどこまでできているのか、そしてまた、こうした強制的なことを放送法を盾に行おうとされておりますが、それが本当に法的に、例えば裁判に持ち込んだ場合に、果たして放送法のみで有効なのか、こうしたこともいろいろな意見が出ているわけなんです。

 今回のこうしたNHKの督促、未契約者の民事訴訟について、担当大臣としてどのようにお考えになりますか。

菅国務大臣 まず、現在、国民全体に支えられているNHKについて、約三割が未払いになっている、この現状については私は非常に遺憾に思っています。

 総務省としては、NHKが組織を挙げて全力で、受信料の公平負担確保のためあらゆる措置を講じるとともに、経営改革に一層取り組む、このことをまず期待をいたしています。

 そして、NHKとしても、国会承認を受けた平成十八年度の事業計画に、努力を重ねてもなおお支払いいただけない場合の最後の方法として、放送法を遵守する立場から、平成十八年四月以降準備ができ次第、民事手続による支払い督促の申し立てを実施する、このことが実は国会承認の中に盛り込んであります。今般は、その準備が整ったところから、十一月以降実施する旨を公表した、このように承知をしています。

 そして、支払い督促の具体的な件数の絞り込み方や未契約者への民事訴訟の実施等については、NHKが適切に判断をしていくもの、こう思います。

武正委員 その準備ができたかどうかというようなところでやはり分かれると思うんですね。やはり、国民への周知とか、あるいはこうしたやり方が果たしてよかったのかどうかを含めて、また、では、いわゆるNHK改革はこの半年間でもう完璧に終わったのかどうか、それこそ、NHKの高コスト体質とか、あるいは今のさまざまな変化の潮流に対して組織が対応できているのかどうかも含めて、やはりこれは検証が必要だと思うんですね。ですから、そういった意味で私はまだ拙速ではないのかなというふうに思わざるを得ないわけでございます。

 さて、そうしたNHKでありますので、先ほどの命令放送もそうであります、またここで、督促、未契約者への民事訴訟もそうでありますが、総務省のかかわりというんでしょうか、やはり所管省庁の関係が大変強い組織になっております。ですから、やはりNHKの独立性を高めるような法的な仕組みが必要でありますし、当然NHKもその努力をしていただきたいというふうに私は思うわけでございます。

 さて、分権改革推進法に移らせていただきますが、あした閣議決定というふうに聞いておりますが、その内容が報道されておりますので、こうしたものを中心に伺わざるを得ないわけですけれども、ちょうど内閣委員会では道州制特区法案が趣旨説明、これから審議に入るわけであります。三十三のそれこそ権限の移譲要望が北海道からは出ていながらそれが八つになってしまったこと。そしてまた、道州制特区法案が出ていながら今回の分権改革推進法では道州制についての記述が削除された、これは同じ内閣の提出法案として矛盾をするのではないのかなと。地方分権の、平成七年ですか、十年ぶりの大変重たい法律を提出しながらなぜこの道州制の部分を外してしまったのか。一方で特区法案の審議を行っている政府としての担当大臣、御見解をお願いいたします。

菅国務大臣 今国会に提出すべく準備をしています地方分権改革推進法、これは、新たな地方分権改革の推進体制の整備を進めるものであり、地方分権改革を推進するための基本理念、地方分権改革推進委員会の設置などについて規定している内容であります。そして、この委員会においては、権限移譲や、義務づけ、枠づけの見直し、関与の整理合理化等が主要な課題になるものと見込んでおりますけれども、道州制について直接に調査審議の対象とすることは想定をしないということで、本法案について道州制を特記することはしなかったわけであります。

 道州制に関する検討は重要な課題と受けとめておりまして、道州制担当大臣がおります、このもとで行われます道州制の本格的な導入に向けた道州制ビジョンの策定に私としても緊密に連携をしながら取り組んでいきたい、こう思っています。

武正委員 道州制ビジョンは佐田大臣がつくるということなんですけれども、道州制ビジョンはこれからつくりますよと言いながら道州制特区法案はもう出ている、ここにも私は矛盾があると思うんですけれども、この点はどうお考えでしょうか。

菅国務大臣 今度の法案は、一つの例として北海道という形で出ているわけでありますから、道州制そのものというのは、私は、やはり国民の中で道州制へのイメージが出てくるまでにかなり時間を要するというふうに思っていますから、そういう議論をする中で、私どもの推進法案というのは、やはりこの一括法も含めてまずきっちり進めていく、その先に道州制がある、こういう理解を私はしています。

武正委員 ですから、道州制の例というふうに言われましたけれども、例ということは、全体像があるから例があるわけですよね。全体像とかビジョンはこれからやるのに例があるとは思えませんので、私は、この法案というのは何のために出すのかな、ビジョンはこれからつくるのにということで、この法案がどういう意図で出されるのか大変疑問でありますし、それは道州制ビジョンをしっかりと早く政府が出す中で、法案として全国的にどのようにするのかということで対応されるべきということを改めて指摘をしたいと思います。

 そこで、この分権推進法案には、それこそ十年前は、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図る、このように述べていたわけですが、今回は、国庫補助負担金、地方交付税、国と地方公共団体の税源配分などの財政のあり方について検討ということで、次の質問とも絡みますが、三位一体改革でも三兆円の税源移譲ということで、やはり地方自治体への税財源の確保という点が、十年前と比べても、結局何か今回の法案は、検討ということで後退しているんじゃないかな、弱いんじゃないかなというふうに思うんです。それこそ、これから税財源の地方自治体への移譲、きのうも経済財政諮問会議ですか、発言をされているようですけれども、この法案での位置づけ、弱いんじゃないかという指摘。

 それから、これからどのような形で担当大臣として、三兆円に続いて五兆円とかいう報道も出ておりますが、取り組まれていくのか。民主党は、一括交付金ということで、これは過渡的措置でありますが、すべて、交付税の相当額になりましょうか、これはもう地方に預けて、そこで使い方については、五分類というくくりはありましても、そこで自由に自治体で考えてもらおう、こういうような考えをしております。もちろん、道州制についても、その道州制も、それぞれの自治体のやはり自治という中で都道府県が、都道府県連合なども含めて、そうした道州制ということがあり得るということで、あくまでも補完性の原理ということにのっとって考えているということでございます。

 今の二点。今の法案でのやはり位置づけ、地方への税財源の移譲ということが、財政上のあり方についての検討ということで弱いのではないか。それからもう一点が、では、これからどうやろうとしているのか。経済財政諮問会議でも財務大臣が待ったをかけたような報道もありますが、以上二点についてお答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 今度の法案はあくまでこの理念に立ったというか、そういうことに位置しまして、三年以内に分権一括法を策定する、そういう形になりますので、そこの中で明確にしていきたいというふうに思います。

 諮問会議の中で、やはり国と地方の財源というのは一対一、これが望ましい、こういうことの発言をしておりますし、それは私はこの一括法の中でそういう形にしていきたい、こう思います。

武正委員 前回の一括法のときには、雇用政策とか保険政策ということで、それまで道府県の県庁にいらっしゃった国から出向されていた方々が全員国に引き揚げて、例えば、それこそ労働局というような形で厚生労働省に帰っていった、こういった経緯はかえって地方分権に逆行しているのではないか、こういった指摘があり、私も過日、おかわりになりましたが、川崎前大臣ともそんな質疑もさせていただいたところでございます。

 さて、厚生労働政務官、お待たせいたしました。続いて、救急車の搬送時間が延びているということについて触れさせていただきます。

 お手元の資料の一ページをごらんください。

 救急車の搬送時間が延びているのは御承知のとおりで、それはやはり救急出場件数が、十六年度でそれこそ搬送人員が四百七十四万ということで、毎年の伸び率ということで括弧で出ておりますような形で伸びているということでございます。

 それこそ現場への到着時間は、十五年度六・三分が十六年度の六・四分、〇・一分延び。それから今度は搬送時間、現地から病院への搬送が、十五年度二十九・四分が十六年度三十分に延びたということでございます。

 こうした中で、過日、大変痛ましい事件、事故が起きました。これは、奈良県で、高崎実香さんという三十二歳の方が、妊婦ということで町立大淀病院に入院をされておりましたが、八月八日午前零時十四分、意識を失われました。子癇発作ということでございました。それから、受け入れ先、県立医大病院では受け入れられないということでどこかの転送先を探したわけですが、十八病院に断られて、国立循環器病センターに決まったのが午前四時半、このときにはもう、それこそ後でわかるんですが、脳疾患、脳内出血も起きていたわけでありまして、本当はCT検査を行っていればという報道もありますが、結果として、大阪の循環器病センターに転送されまして、実香さんは亡くなられたわけでございます。この場をかりて、心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 これは、救急車での搬送について担当する大臣としてどのようにお考えになるか、御所見を伺いたいと思います。

 というのは、大臣所信では、全体的な広域救急というか、広域消防体制ということは触れておりますが、特に救急車での搬送部分についての直接的なコメントがなかったものですから、今回の事件についての御所見と、こうして救急車の搬送時間が延びている点、そしてまた、搬送人数が年々こうして伸びている点についての御所見を伺います。

菅国務大臣 今回の奈良県の事案におきましては、まことに痛ましい事故であり、もう二度とこうしたことを繰り返すことのないように、救急医療体制の一層の充実が必要であり、心から御冥福を申し上げたい、こう思います。

 今委員からいろいろ御指摘がありました。現場に行く時間あるいは病院までの時間あるいはその件数、確かに委員の御指摘のとおりであります。近年、高齢化の進展などによって救急車の要請件数が言われたように急増しています。そして時間がおくれて救命効果の低下、このことに私も非常に懸念を持っております。

 そういう中で、消防庁としては、真に緊急を要する傷病者への対応がおくれることがないように、昨年度来検討を進めて、救急車の適正利用の啓発はもとより、民間の患者等搬送事業者など代替的な移送サービスの紹介、病院情報の提供、さらには緊急度・重症度選別の仕組みの検討など、総合的に対策を進めております。

 そして、今委員から御指摘のありました広域問題についても、訓練をし、マニュアルをつくってやらさせていただいているところであります。

武正委員 政務官に伺いますけれども、医療計画というものが、各都道府県でつくっているがために、県境を越えたこういう例について取り組みが弱いというふうに私は感じて、当選後から厚生委員会やあるいは予算委員会の分科会で指摘をし、その改善を求めてまいりました。ただしかし、今回もこうした痛ましい事件、事故が起きてしまいました。報道によると、特にやはり産科医が不足をしているということから、奈良県では妊婦の県外搬送率が三七・二%、こういう報道もあるわけですね。ですから、県境を越えた広域、ブロックでの救急医療体制の充実というものがやはり欠かせないわけです。

 ただしかし、総務大臣、頑張っているとおっしゃいましたが、搬送側の救急車は、それこそ特定医療三行為の規制緩和なども含めて頑張っています。ただやはり、受け入れ側に受け入れていただかなかったら、今のように十八病院結局受け入れてくれないまま推移をしてしまうわけなんですね。前から両省庁の連携ということは言っておられますが、こうした広域での取り組みの必要性について、政務官としての御所見とともに、患者調査をやっておられますので、以前も、平成八年のデータの分析をしていただいて、県外にどのぐらい搬送しているのか、それの分析をお願いしたんです。平成十四年の調査も出ておりますし、もうすぐ十七年の調査もでき上がってきますので、ぜひ、広域でどのように救急患者が移動しているのか、その実態把握も、分析もあわせて行っていただきたいと思いますが、以上二点についてお答えをいただきたいと思います。

菅原大臣政務官 かねてから武正委員が救急医療問題に関して大変な御関心を持ち、取り組んでこられたことを認識いたしております。

 前段の奈良県の今回の件につきましては、厚生労働省といたしましても大変痛切な思いを感じておりまして、今後二度とこのようなことがないように、いわゆる周産期医療ネットワーク体制をしっかり整備すべく努めてまいりたい、このように考えております。

 そして、今お話ありました、都道府県を越えた救急医療体制、これにつきましては、従前、都道府県と消防機関等とが緊密な連携のもとに、大都市においても、あるいは地方においても安心できる体制をつくるべく努めていたところでございますけれども、やはりいついかなる状況で、どこで事故に遭い、病気になり、あるいは自然災害に遭うかわからない、あすは我が身というような状況の中におきましては、救急医療体制、来年の四月一日に施行されます今回の改正医療法におきまして、各都道府県に対して、しっかり他県との連携をとり広域医療の拡充に努められるように、厚生労働省としてもリーダーシップを発揮してまいりたい、このように考えております。

 また、データについての検討、これにつきましては、全国的に交通事故も含めて大変いろいろなケースがございます。大変膨大な資料から、本来は体系的にしっかりまとめてその体制づくりをすべきである、このように考えておりますが、実際問題として、二十四時間の予後も含めて、統計をまとめていくということはなかなか困難であるという現実もありますけれども、今武正委員の指摘も踏まえまして、積み重ねをしてまいりたい、このように考えております。

武正委員 後の質問までお答えになってしまったのかもしれませんが、前回もやっていただいたので、分析はできるんですよね。すぐにとは申しませんので、こうした事件がまた起きておりますので、都道府県間の救急患者の移動状況、その分析をぜひ御提出いただきたい、お願いをいたします。

 今答えてしまわれたんですが、私の方で先に答えますが、要は、下の表を見ていただくとわかるんですが、病院に救急車で搬送したときの状況がどうだったか、四百七十三万人の内訳をごらんください。残念ながらその場でもう亡くなられた方が六万人、重症者が四十七万八千人、中等症者が百七十四万人、こうした分類でございます。要は、重症者が、四十七万人搬送したときに、それからそれこそ二十四時間後どうだったんですかということなんですが、多分総務省は当然把握をしておられない。搬送までが総務省ですから。そして今、厚生労働省は、なかなか大変なんだ、把握はなかなかできません、こういうお答えなんですね。

 平成十三年に予算委員会の第五分科会でこのことを質問しまして、当時の伊藤政府参考人から、きちっと計画的な、成績が検証できる、成績というのは要は二十四時間後どうなっているか、検証できるデータをとるよう検討していきたい、こういうふうに言っておられて、もう既に五年を経過しているんですね。

 救急車で、やはり隊員はもう何とか命を救おうと頑張るわけです。特定医療三行為もする。そして、搬送した後、ではどうだったのか、そういうデータがまた消防庁なり救急車にフィードバックしないと、やはり特定医療三行為をやっている救急車とすればわからないわけなんですね。やはりこのデータの把握を、五年前検討すると言っておられるわけですから、ぜひ前向きに検討するとか、やはり五年たっても変わらないというのだったら、どうなんでしょうか、政務官。

菅原大臣政務官 武正委員の五年前の予算委員の質問、私もひもといてみました。非常に重要な御指摘でございまして、当時の政府委員からも答弁をさせていただきました。

 今日に至って、現実問題、あらゆるデータを統計的に、また科学的に評価し得るためには、やはり各関係機関との協力や、あるいは医療機関の協力も当然必要でございます。この点は、ある意味ではじくじたる思いもいたしております。しっかり今後、厚生労働省のリーダーシップを発揮すべく取り組みを進めていきたい、このように考えております。

武正委員 総務大臣、お聞きになっていて、お考え、感じるところがあると思うんですね。拉致問題にこれまでも大変先頭に立って取り組んできた大臣であります。それは、やはり国民の生命財産を守るというのが政治のそれこそ第一義である、このようにお考えになっているからだと思うんですね。

 実際にこういう形で、四十七万人の重症者が、一生懸命救急隊員が搬送しても、その後どうなったか厚生労働省が把握していない、こういった実態であります。やはり総務省として強く厚生労働省に働きかける、あるいは内閣としてこれは取り組む必要があると思うんですが、このことについての御所見、総務大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私も、当然のことである、このように考えておりますので、内閣としてさらに全力で取り組んでいきたいと思います。

 ただ、委員の御指摘を受けまして、十七年から、重症者のうち特に緊急度の高い心肺停止傷病者に限って、消防機関と医療機関の連携によって、一カ月後の生存率の把握をしている、努力をしていることはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 さらにこれからそのように努めていきたい、こう思います。

武正委員 時間が来ましたので、あとの質問はまたに譲らせていただきますが、お手元の資料をごらんいただきますと、独立行政法人の役員、総務省所管でありますが、本省出身者が多いこと。それからまた、随意契約の見直しについて、公益法人については取り組まれておりますが、やはり七割の民間企業との随意契約、総務省も七割以上、五百万円以上については一社単独受注の随意契約ということでありますので、これについても改めて見直しの取り組みを求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田学と申します。

 まずは、菅大臣、他党ではありますが、同じ秋田県出身ということもありまして、御就任、本当におめでとうございます。大臣も秋田出身ですので、秋田弁で質疑でもさせてもらえればと思うんですが、恐らく速記の方が解読不可能だと思いますので、泣く泣く標準語でさせていただきたいと思います。(発言する者あり)まず夜は早く寝ねねすべ、わかんねえすべ。夜は早く寝てくださいという意味です。

 そういう意味で、秋田のよしみということもありまして、地方のこともよく御存じと思いますので、何とぞ真摯な御回答をいただければと思います。

 まずは、命令放送の方から大臣にお伺いしたいと思います。

 武正先生を含め、公明党の先生も御質問されましたが、この命令放送、来年からは国際テレビの方にも予算をつけていくということが方針として決まっているようでございます。ということは、来年、国際テレビにおいてもこの命令放送というものを、大臣として命令をしていくおつもりがあるのかどうか、まずは御回答いただければと思います。

菅国務大臣 同郷のよしみということで温かいエールを送っていただいて、ありがとうございます。

 国際放送でありますけれども、先ほども答弁させていただきましたけれども、来年、概算要求で三億円を要求いたしております。そういう段階中のことでありますので、そのことについては、どうするかということは控えさせていただきたい、こう思います。

寺田(学)委員 実際に命令を行うかどうかということも判断ではあるでしょうが、では考え方をお聞きしますけれども、国際テレビ放送においても、来年予算をつけた場合においては命令し得るというふうにお考えになられていますか。

菅国務大臣 やはり短波放送と同じような考え方に、もしその時点で予算がなったら、そういう形になるのが自然だと思います。

寺田(学)委員 ラジオの件に関してはもう既に命令をされることをお決めになられているということですが、それと同じようにできる環境にあるテレビに関してはわからない、まだ仮定のことなのでわからないということを言われるんですけれども、だとすれば、テレビとラジオの間に何か違いはあるとお考えになられていますか。

菅国務大臣 例えば、拉致問題に特化して言えば、北朝鮮というのは、テレビは全部ハンダづけされていて、チャンネルが変えられないんですね。チャンネルを変えただけで刑務所に行くというような国だそうです。しかし、ラジオは意外に自由に聞ける可能性が高いということを帰ってこられた方にも伺いました。そういう人道的なことも考えて、私はラジオでそういう命令をという指示をした、そういうことです。

寺田(学)委員 では、その有効性というか、北朝鮮に住まわれている、拉致されている方々も含めて、そこの国の状況を考えて、テレビとラジオは違うんだという御回答で、確認したいんですが、よろしいですか。

菅国務大臣 ラジオについては、北朝鮮の拉致問題についてはやはりラジオが一番有効で、こういう過程にあるから私は命令放送を今回指示したということです。

 テレビは来年予算化され、今概算要求中ですから、その時点で、正式になった時点での考え方になると思いますけれども、自然の流れとすれば、ラジオと同じように扱うのが考え方としては同じじゃないかなというふうに私は思います。

寺田(学)委員 今回の件、命令される項目が北朝鮮の拉致の問題ということになっていますので、この拉致問題に関しては、党派を超えて解決しなければいけないという、だれしもが疑わない課題であると思います。

 この命令放送に関して言うと、北朝鮮の拉致問題がどうこうということではなくて、一般的に、政府いわば権力者と、あとは報道の自由、そこの兼ね合いの一般論のことをお伺いして、大臣のお考えを聞きたいと思っていますので、今回、まず拉致問題ということはちょっとわきに置きまして、報道の自由、編集権ということに関してこれからお伺いしていきたいと思います。

 では、大臣。

菅国務大臣 拉致問題というのは、人道的というんですかね、今の段階でも生命の安全を脅かされる可能性がある、私、そう思っていましたので、このことをラジオで出そう、実はそういうことです。全体であれば、これは法律に、三十三条にあるわけですから、それは法律に基づいて透明にやろう、そういう判断をしたということです。

 テレビについては、今概算予算を三億円を要求しているところでありまして、来年、皆さんに審議をいただいて、予算が認められた時点での立場になると思いますけれども、考え方としてはラジオと同じような形になるだろう、私はこのことを申し上げています。

寺田(学)委員 繰り返しになりますが、報道の自由、編集権ということに関して大臣自身がどのようにお考えになられているか、拉致問題の重要性どうこうではなくて、その部分でお伺いしたいと思っております。

 その上で、今まで命令放送に関しては、お歴々の大臣の方々は、ある種本当に大きな項目だけでとどめておられた、国の重要事項というような非常に抽象的な形で命令書を出されていたということは役所の方からお伺いしました。ですので、今回、菅大臣が、いや、これは拉致問題という具体的な項目に関して命令するという、ある種一つの価値判断をされたと思います。ですので、編集権の制約、制限、それに対しての一つの威圧みたいなものがどの時点から出てくるのかを今具体的にお伺いしたいと思います。

 もちろん、これは確認するまでもないんですが、ある具体的な項目に関してこのような視点から報道しろと言うのは、もう内容にかかわることですので、もう御答弁いただく前から、これは報道権の侵害に当たるというふうに考えられていると思います。

 そこから確認しますけれども、それでは、具体的な項目、今回は拉致問題ということでしたけれども、日米関係とか、例えばそういうような項目を命令書に挙げることは、報道権の自由、編集権の自由というものが侵害されるかどうか。どのようにお考えになられていますか。

菅国務大臣 放送法第三十三条の第一項に、「総務大臣は、協会に対し、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して国際放送を行うべきこと」を命じることができるとされておりまして、法律上は必要な事項についての制限はない、こう思います。

寺田(学)委員 ちょっと端的に確認させてもらいます。

 項目を命令することは侵害には当たらないと考えられているんですか。

菅国務大臣 そう思います。

寺田(学)委員 では次に、回数に関して、要は、今回であれば拉致ですけれども、日米関係でもいいですが、日米関係に関して、今の回数じゃ足りないからもっと回数をふやせというような命令をすることに関しては、編集権の侵害に当たると考えられますか。

菅国務大臣 回数については、それはNHKが判断することだというふうに私は思います、放送するしないについては。

寺田(学)委員 確認させてもらいます。

 とすれば、今の御回答であれば、回数を命令することは編集権の侵害に当たるとお考えになられているんですか。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、放送法によれば、必要な事項を指定して国際放送を行うことができるということになっていますので、必要な事項という判断が正しいのかなと思います。

寺田(学)委員 いや、御答弁になっていないと思います。

 回数を命令することは編集権の侵害に当たりますか。項目のときは当たりますとか当たりませんとか、端的に答えられたとおり、回数を命令することは編集権の侵害に当たるとお考えになられていますかどうか、御答弁ください。

菅国務大臣 私ども、放送法は必要事項ということになっていますので、回数まで制限するしないというのは、私がこの場で答えることじゃないなというふうに思います。

寺田(学)委員 いや、特段、僕は難しい話を聞いているわけではなくて、いわば命令をされる段階で具体的にこういう報道をしろと言うのは侵害に当たると言われました。ただ、今回、拉致問題ですけれども、拉致問題とか日米関係とか、もっと言えば郵政問題という項目を挙げることは特段編集権の侵害に当たらないという解釈を言われました。では、いわば命令放送というものを今まで具体的なことをやらない間で、今回は命令放送に踏み切られたわけですから、どういう尺度で物事を考えられているのかなというのをお聞きしたいんです。

 そういう意味において、もう少しこの項目の放送回数、頻度を上げなさいというような命令は、言われるとおり、その放送事項、必要事項の中に含まれていると考えているのか、含まれていないと考えているのか。政府としてやるべきではないと考えているのか、やってもいいと考えられているのか。その辺、端的にお答えください。

菅国務大臣 私は、先ほど来何回も申し上げていますけれども、そうした事項は法律で認められています。その回数や具体的な放送の内容については、それはやはりNHKの判断にゆだねる、こう思っています。

寺田(学)委員 回数は関係ない、頻度に対しては、それはNHKに任せるべきことだと。言いかえれば、編集権の侵害に当たりかねないと御判断をされているんだと思います。

 今回、四月の段階ですからちょっと記憶が定かじゃないんですが、幹部の方から口頭要請という形があったり、今までの場合でいうと、そういうのもなしに、非常に概括的な項目を挙げてとどめていた。それを今回、あえて命令という形に価値判断をかじを切られた、その理由はどこにあるんですか。

菅国務大臣 私は、この時点でも、やはり生命の安全が脅かされている、そういう可能性の高い、そういう中で、政府として、被害者の方たちを勇気づけ、また救出するために、政府としてできることはすべてやろうという判断の中で、今回、命令という形の指示をしたということです。

寺田(学)委員 今回、拉致の重要性という具体的なところに出られましたけれども、ある種、今まで命令というのをやられない中で命令に踏み切られたわけです。そこの理由は、今ちょっと自分なりの解釈をすると、それは拉致問題だからだ、拉致問題という政策のプライオリティーを上げたから今回は命令というものに踏み切ったんだ、そういうことでよろしいんですか。

菅国務大臣 それは大臣の判断だというふうに私は思います。

 それと、先ほども申し上げましたけれども、口頭で要請する、あるいは文書で要請する、これは表に出ないことですから、どこまで要請したかどうかということは委員の皆さんにも明らかにならないですね、要請ですと。私は、この命令をすることによって、法律に基づいて明らかにして、そういう形の中で今回決断したということです。私は、要請というのは行政指導じゃないか、もっと透明にした方がいいという考え方であります。

寺田(学)委員 今透明性の話をされましたが、正直言うと、編集権の侵害に当たるかどうかに関して、透明性どうこうというのは、国民に対して明らかにするかどうか、その部分においては意味があるんでしょうけれども、編集権どうこうということに関しては本質的には関係ない話だと思っています。ある種、いや、口頭要請ではクローズドだから命令という新しい形にしたんだという違いはあろうとも、要請という形から命令という形に変えたわけですよね。

 僕は余り国語能力がないもので、広辞苑で引っ張ってみると、「要請」は「強く請いもとめること」です。「命令」は「行政機関が特定人に対し義務を課する具体的な処分」です。これは大きな差がありますよね。その認識はありますか。

菅国務大臣 私はそういう認識をしています。

寺田(学)委員 ということは、NHKに対して義務を与えたということですよね。

菅国務大臣 法律に基づいて命令をするということです。

寺田(学)委員 その法律に関して、命令に変えたということは義務を課するということなんです。広辞苑が間違っているとしたら、それはあれでしょうけれども。義務を課したということの判断でよろしいんですか、よろしいんですよね。

菅国務大臣 ですから、私は、法律に基づいて電波監理審議会に諮問する、そういうことを指示したということです。

寺田(学)委員 先ほどから、放送法、法律にのっとって、基づいてと言われますが、放送法三条の放送番組編集の自由という部分に抵触するかもしれないどうこうということで、前の大臣の片山さんも含めて慎重な態度をとられていて、今回、新たに菅大臣が一歩踏み出されたわけです。踏み出された内容というのが、要請という強く請い求めるところから、行政が義務を課したわけです。それは物すごく大きな理由があると思うんです。これを拉致問題の重要性どうこうで判断すると、編集権の自由、編集権を守るどうこうということと少しオーバーラップして議論がかみ合わないので、本当に報道の自由、編集権の自由ということに関して侵害をされていないかということを詳しくお聞きしたいんです。

 今回、もちろん、命令放送という、法律にのっとってNHKに義務を課されたわけです。だとしたら、NHKがその義務に従っているかどうかを判断されるのが命令権者としての当然の役割だと思うんですけれども、命令をした後にNHKがどのような報道をしたかを判断されるんですか、されないんですか。

菅国務大臣 今まで各大臣、命令を申してきました。それは御存じだと思います。時事だとか国内・国外問題、あるいは国際問題に対しての日本の見解、そういうことを前大臣は命令放送を行っていました。

 NHKに対しては、命令において、週間番組表の提出、実施報告書の提出を求めています。これらの資料により、放送事項に係る放送番組の放送時間、放送内容等を総合的に勘案して、命令が適正に実施されたかどうかということを今までは判断しました。

 なお、具体的な放送内容についてはNHKの判断にゆだねるもので、NHKの放送が不十分なものになるとは懸念していない、そう思います。

寺田(学)委員 シンプルにお伺いしたいんですけれども、番組表等々を報告してもらうということなんですが、要請であれば、どうされたかというものに対して強く口出しはできませんけれども、命令して義務を課した以上、その義務を守っているかどうかを判断しなければならないと思います。それを客観的に判断されるのか、主観的に判断されるのか。その命令に対してどのような対応をしたかはどう判断されるんですか。

菅国務大臣 命令をして、報告を受けて、そこの対応については、それはNHKに判断をゆだねたい。

寺田(学)委員 命令した本人が命令された側の人間の判断に合わせるというのは、普通の一般常識から考えると、おかしい話だと思うんですよね。

 僕もサラリーマン時代がありました。上司からあれをしろと言われて、自分なりの判断で、できたかどうかなんて考えなくて、やはり命令した人間がその命令した内容を完遂しているかどうかを判断するのが当然の役割だと思います。総務大臣として、総務省の方に何かしらの、これをしろと命令したときに、役人側の方ができましたと言ってきたらそれでオーケーだと思うのは、命令権者としての責任が余りにも希薄だと思うんです。

 繰り返し聞きますけれども、命令された以上、命令された内容が完遂されているかどうかをどのようにはかられるんですか。

菅国務大臣 私は記者会見で、命令の中で、表現の自由だとか報道の自由、これは絶対守らなきゃならない、編集内容について言及することはないということを明言しています。ですから、どういう放送があったかどうかということについては、NHKの放送にゆだねるということです。

寺田(学)委員 命令しっ放しじゃないですか。だとしたら、何が要請と命令で違うのか、いまいちわからないんですよ。

 そこら辺、オープンにしたい、どうこうというお考えはあるのかもしれないですけれども、論点となっているのは、編集権の自由が守られているかどうかというところと、ある種、その編集権に対して、放送をつかさどる大臣が一歩踏み込んで義務を課したわけです。その取り扱いをどうするか。命令された以上、今後、NHK側がまさしく自主的な判断を持っていろいろ放送されると思うんですけれども、一応命令されているわけですから、その放送のあり方自体がどうであったかは国会の方で御報告されたりしないんですか。いかがですか。

菅国務大臣 国際放送については、八十五億の予算の中で、国が二十二億お金を拠出しています。そういう中で、放送法の中に、命令放送ができると、国際放送に限ってあるわけです。

 そういう中で、やはり国民の生命というものは物すごく大事、この生命財産を守るのが私ども政府の役割だというふうに思っています。そして、今の時点でさえその生命とか安全が脅かされている可能性が非常に高いわけですから、そうした人のことに対して政府は命令を出すべきである、そういう考え方で私は今回諮問をすることにしたわけであります。

寺田(学)委員 僕が質問したことに直接的にお答えいただいていないので非常に残念なんですが、今まで質疑した中で明らかになったことは、この命令放送においては、命令の具体的な項目を出すことは侵害に当たらないという価値判断を大臣がされた、ただし、回数に関して口出しすること、命令することは侵害に当たると考えられたと。そういうような状態の上で、これから命令を出して、審議会の方にかけられて、オーケーされて、命令を出しましたと。それで、ある一定期間の報道内容を見てどう判断するのかということに関して、全く基準がないわけです。

 頻度を上げろということを言っているのであれば、それも編集権に当たらないとお考えであれば、要は、百回だったのが二百回になったから命令義務が完遂されたと考えるのか、はたまた、完全に主観的に、回数なんて関係ない、ただいいと思えばいい。たとえ今まで百回やっていたものが、十回、二十回、例えば一回ぐらいまで落ち込んだとしても、それは我が方の命令に従ったんだと考えるのか、いまいちよくわからないんです。

 命令が完遂されたかどうか、命令が受け入れられたかどうかをどこかの場で明らかにする、そのようなおつもりはないですか。

菅国務大臣 編集の内容に私は言及しないということを先ほど申し上げました。ですから、どういう放送内容なのか、あるいは何回やるのかということには言及しないということです。

寺田(学)委員 プラン・ドゥー・シー、横文字は好きじゃないですけれども、基本的にそういうものだと思いますよ。

 命令しっ放しで、どうやったかに関しては、客観的な指標もないし、主観的に判断することもないし、自分の考え方、命令した本人が命令が完遂されたかどうかを対外的に話すこともしないというのであれば、非常にいびつな命令になるんだなということを思います。

 そういうこともあるので、今までの大臣の方々はかなり概括的な項目を並べて命令放送というものを行ってきた。この命令放送自体、いわゆる放送法三条の編集権の自由、報道の自由というものと物すごくすれすれの部分で存在しているような法律でもありますから、今までの大臣はそうされてきたんだと思います。

 今議論した上で、大臣のお考えとしては、命令放送をするに当たって、こちら側から命令できることは具体的な項目ぐらいであろう。その上で、命令、義務を課したにもかかわらず、その後どのような報道をされたか、自分が出した命令がしっかり受けとめられたかどうかを判断もせずに、NHK側がどうやったかの自己評価に任せるという形になるわけですね。その仕切りでよろしいですか。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたように、編集の内容には言及しませんし、回数にも言及をしない。私どもは報告は受けることになっていますから、それについて、内容がどうだった、こうだったということも言及をしない、こういうことです。

寺田(学)委員 何も言及をされないということでよろしいですか。

菅国務大臣 そうです。

 ただ、このことによって、北朝鮮で拉致被害に遭った方が日本の短波放送を聞いて、家族とか国民とか政府が見捨てないで、救出を待ちわびている、みんなで頑張っている、そういうことの勇気を与える、そのことが私の最大の目的であります。

寺田(学)委員 北朝鮮の問題、拉致問題を解決する、そのためにできることのすべてを尽くすことは、私もそのとおりだと思いますし、応援はします。

 何度も申し上げているとおり、北朝鮮の問題の重要性を議論するのはこの場ではなくて、まさしく総務委員会ですから、報道の自由、放送というものに関してどう考えるかをお聞きしたいので、今まで聞きました。

 私自身として、北朝鮮問題を全く解決する気はないと毛頭思っているわけじゃありません。秋田にも拉致された方がいらっしゃるということですので、そういうものに関しても非常に積極的に関与をしたいと思っております。そこだけは誤解なさらないようにしていただきたいと思います。

 地方分権の方に質問を移したいと思います。

 先日、財政諮問会議に、「地方分権改革について」、菅大臣の方から資料を出されました。その出された資料の中身にのっとって、いろいろお伺いしていきたい。そしてまた、大臣が今まで発言された言葉を一つ一つ確かめる意味で質問をしたいと思います。

 まず、「地方分権改革について」という提出された資料の中で、「都市と地方の格差を拡大させるのではなく、」という文言が使われています。本当に基本的な確認で申しわけないんですが、「都市と地方の格差を拡大」という言葉を使われていますので、財政的な面で結構です、財政的な面で都市が優位で、地方、対義語は農村でしょうけれども、農村が劣位にある、そういう意味の格差だと。財政的な面でです。そういう意味の格差だという認識でよろしいですか。

菅国務大臣 今の仕組みではそう思っています。

寺田(学)委員 都市側の方が優位にあるという御回答だと思います。

 大臣が御就任された後に、大臣のホームページもいろいろ拝見させていただきました。非常に充実されているホームページで、読みごたえがあって勉強になりました。大臣が何を考えられているのか、さまざま勉強させていただいたんです。

 そのホームページの中で、「都市生活者の思いをカタチに」という項目で、大臣が思われていることをいろいろ書かれております。その中で、都市で集められた国税の大部分が地方に投資されており、その効果にも疑問がありますと。結びの方では、立ちおくれている都市政策を充実させるためには、都市と地方の予算配分の見直しこそ必要ですと。

 ホームページの方では、都市の方が地方にお金をとられていて劣位にあるんだというような話をされているんですが、この考えと諮問会議に出された話が、僕にとってみると矛盾するような感じがするんです。これはどちらがお考えとして正しいんですか。

菅国務大臣 私、衆議院に出て十年ですけれども、衆議院に出馬する以前は横浜の市会議員をしていました。当時、私が十二年前に市会から国会に出馬を表明したときですけれども、そのときのホームページだというふうに思います。

 当時は、国税、例えば横浜市の場合では、還元率が二〇%以下でありました。地方に、多いところは二六〇とか三〇〇とか、そういう配分をされた時期でありました。そういうものを私は地方議員としてやはり是正したい、それが私の出馬の一つの大きな、公約の一つでありました。

 しかし、今、時代が変わってきているということも事実でありますので、例えば、東京に集中しているということは、これはだれしもが認めていることでありますから、そういうことも含めて、この十四、五年の間に地方も非常に変わったと思いますので、そういう中で、私はこの諮問会議の中で述べたのであります。

寺田(学)委員 とすれば、今までホームページに書かれていたことは、時代の変遷によってやや考え方としては希薄化したというとらえ方でよろしいですか。

菅国務大臣 当時とはかなり都市と地方の関係は変わってきたなというふうに思っています。

寺田(学)委員 大臣が御就任されたときに、まさしく御自身でお話しされていたとおり、大臣が生まれた故郷というのは秋ノ宮、秋田の本当に情緒漂う温泉街というか、温泉の町でもありましたし、今でいうと非常に過疎が進んでいる、合併されて湯沢市の方になりましたけれども、そういう地方の、過疎だと言われているところのお生まれで、十八年間そこで育てられて、その上で、就職という形で大都市の方に来られて、そしてそこの場で市議会議員もなさって、本当に両方を御存じになられているということは心強いことだと思っております。

 何よりも、その秋田の、秋田だけにかかわらないですけれども、今過疎に苦しんでいるところの御事情も御存じだということは非常に心強く思うんですが、知っていることと、では重心をどちらに置くか。

 都市にとってもありがたい話で、もちろん地方の田舎にとってもありがたい話というのはあると思いますが、税源配分どうこうという話をとってみると、結構その部分は、地方と都市部というものは対立するものだと思っています。ですので、これはどっちもいい思いをさせるということじゃなくて、どちらかを説得しつつ、どちらに対して国としての責任を果たすという形は、バランスとしてとらざるを得ないという思いがありますので、今、対立している部分がありましたので確認をさせていただきました。

 参議院の予算委員会の方でも、我が県選出の、自民党の先生ですけれども、金田先生と議論されているのを議事録で拝見しました。その中で、金田先生も非常に手厳しいことを言われていて、大臣は、地方は頑張れば何とかなるという話もされるけれども、頑張っても頑張っても何ともならないところってあるんだよというような話をされておりました。私は、党派は違いましたが、そのとおりだと思います。大臣御自身もその実情があることは御存じかと思います。

 そういう意味も含めて、この地域、日本のいろいろな自治体がありますけれども、そこの財政格差が生まれる理由というのは、大臣自身、何だと思われていますか。

菅国務大臣 やはり今の偏在度が高過ぎる税の仕組みにあるのかなというふうに実は思っています。

 それと、私どもは、交付税というものを確保して、それぞれの地方の自治体も一定水準の行政運営ができる、このためにはやはり交付税確保も必要だ、このことも理解をしています。

寺田(学)委員 今、偏在度が高い税によって地方の格差が生まれているという御説明をいただいたと思います。ですので、私としては、これから地方を、本当に自立する、しっかりとした自治体にするためには、税目交換というのは非常に大事だと思います。

 そういう意味も含めて、今大臣が御自身で言われた、偏在度の高い税という話をされましたけれども、偏在度の高い税というのは今のところ何だ、何税だと大臣自身はお考えになられていますか。

菅国務大臣 法人税だというふうに思っています。

寺田(学)委員 先ほど申し上げたとおり、都会と地方では、税財源のことに関していうと、残念ながら利益が対立する部分が多いということをお話ししました。

 ちょっと資料なんですけれども、大都市財政の実態に即応する財源拡充についての重要要望、政令指定都市の方々が出された要望書の中身なんですが、もちろん大臣が選出されている横浜も入っているんですけれども、そこの方々が、ある種、提言として、大都市特有の財政需要に対応するため、都市税源、特に消費・流通課税及び法人所得課税などの配分割合の拡充強化ということをお願いしております。

 今お話しされた、偏在度が高いのが今のところ地方の格差を生んでいる、その偏在度が高い税は法人税だと。しかし、大都市の方々は、法人課税のことに関して、もうちょっと地方に多くやるように税源移譲してくれというお話をされています。この御意見に対しては、時代の変遷があったと先ほど言われましたけれども、そのことを踏まえた上でどのようにお考えになられますか。

菅国務大臣 私、諮問会議で申し上げたんですけれども、偏在度の少ない地方消費税、ここにあてがうのがいいのかなという発言をしました。

寺田(学)委員 明確に、具体的になんですけれども、法人課税のことについては、これからの税源移譲に関して、これから三位一体の第二弾、第三弾が進んでいくと思いますけれども、地方分権を進めていく上で、税目交換には法人所得課税は、これから地方に多くもらうということに関してはふさわしくないというお考えでよろしいですか。

菅国務大臣 全体の税体系を考える中でまた議論していくべきだというふうに思っています。

寺田(学)委員 では、今のところ、法人所得課税のことに関しても、地方はこれから多くもらうということを踏まえてというか、法人所得課税の税源移譲、地方がこれからより一層もらえるような税源移譲も考え得るということでよろしいんですか。

菅国務大臣 私も、全体の中で一番その偏在度が少ないのが地方消費税ですから、これは税体系を変えるわけですから、そういう全体の議論の中で、いろいろな皆さんからの議論を受けながら方向性というものを出していくべきだというふうに思います。

寺田(学)委員 今まで議論されていた中で、今のところ、地方税目が偏在度の高いものがあるから格差が生まれている、その偏在度の高い税というのは何かといったら法人税だと。これからも、諮問会議の方で、法人税という明言はしませんけれども、偏在を是正しつつ地方税を充実とか、偏在度の少ない税を使いますという話をされていますので、論理的に言うと、非常に法人課税というものは偏在度を今後高めるような要因になりかねないということがあるので、慎重に御判断をいただきたいと思います。

 今回、地方頑張るプランでしたか、ちょっと正式名称はわからないんですけれども、ここも安倍総理のもと新しい考え方に踏み込まれたと思っております。

 大臣が交付税に関して発言されている内容を、図書館を使って全部調べてもらいました。その中で、いろいろ交付税について発言されているんですが、新聞記事になっている日経の九月三十日付で、交付税に関してはもっと透明でわかりやすく配分すべきだという発言をされています。透明でということは、今不透明だというふうに御自身考えられているんですか。

菅国務大臣 私は、市会議員当時から、地方交付税というのは非常に不透明だ、わかりにくい、このように考えております。

寺田(学)委員 不透明とわかりにくいは違うと思うんですよ。わかりにくくても透明性の高いものはあると思うんです。

 僕は、少なからず地方交付税に関しては、ある一部分を除いて、まさしく総務委員会で法律を審議して、国会でオーケーを出してやっている制度なので、難しくはありますが、不透明とはその部分に関しては言わないです。

 ただ、大臣自身、透明でわかりやすくした方がいいと。言ってみれば、不透明でわかりにくいんだと言われているんだと思うんです。その不透明な部分というのは、どこのことを指していらっしゃるんですか。

菅国務大臣 算定項目がまず非常に多過ぎますよね、九十幾つですから。そういうことも含めて、私は、もっとわかりやすく、そして、交付税というのは、少なくとも全国最低限の水準の生活ができる、そのための税でありますから、必要なものは確保していく。

 それと同時に、私、不透明という話をよくしていますのは、例えば企業なんかを誘致して税収を上げると交付税が減ってしまう、そういう部分も実はあります。あるいは、全国の町村会の会長さん、町長さんが来られて、非常に財政力指数の低いところですけれども、そこでも行政改革を頑張ってやっている、しかし、片一方の同じようなところは、何もやっていなくてもそっちの方が多い、こういう意見もいろいろ実は聞こえてきます。

 私は、やはりわかりやすく、そして、最低水準の行政水準は確保しながらも、頑張るところは、やはり頑張ればよくなる、そういう仕組みをつくる、このことが物すごく大事なことであるというふうに思いますし、地方には、それぞれ地方のよさというのがあります、いろいろな魅力があります。そうした地場ブランドだとか地方が頑張れる仕組みというものを私はぜひつくりたい。そういう形で、私は総務大臣に就任したときに申し上げました。

寺田(学)委員 いや、わかりにくいということは、そして複雑だということはお話しいただきましたが、どこが不透明かということはお話しされていないんですよね。

 恐らく、一応審議をした上で法律を可決していくので、その前段階の地財計画をつくるという部分に関しては、ある種オープンにどのように議論されているかはわからない。その部分は法律として国会の場で審議していませんので、報告は受けていますけれども、どのように作成されたかに関しては不透明であるということは言わざるを得ないので、その部分を指されているのだとしたらなおさらのこと、そこを透明にしていただけるような施策を考えていただきたいと思います。

 地財計画の策定に関して、透明性を上げることをお考えになられますか。

菅国務大臣 私はやはり、予見性も含めて、しっかりとわかりやすくしたいと思います。

寺田(学)委員 大臣の方が、いろいろな発言を拾ってみるんですけれども、チャレンジする自治体に交付税をしっかりつける新しい基準を考えたいと総理が言われて、行政改革を懸命にやった自治体にこそ多く配分されるような仕組みをつくる、今の制度のままでは頑張らない自治体ばかりにお金が流れるというような発言をされています。

 ですが、僕も総務省の方から、交付税とは何ぞやということを、まさしく複雑な部分はあるんですが、勉強させていただくと、一応仕組みとしては、地財計画も含めて、地方からのヒアリングを含めて、これぐらい地方自治体ではお金がかかりますね、これぐらいお金が入ってきますね、あら、足りないですね、その部分を交付税としてお渡ししましょうという部分なんです。だから、その制度の建前にのっとって言うと、頑張っていようが頑張っていまいが、流れるお金は財政の需要にのっとってお渡しをされているというのが今までの交付税だと思うんです。

 その部分を、御自身も今、最低限の財源を確保するための税だと言われつつ、新しく今、頑張ったところにお金を上げますよというような税制、交付税改革をしようとされているのは、ある種、今までの交付税の哲学というか存在意義というものを、やや一線を越えたような形になっているのではないかなと私は危惧しているんです。

 新しく、頑張る地方応援プランでしたか、そういうものに関して、もう既に具体案というのは決まっているんでしょうか。項目と予算規模、もうある程度、あらかた決まっているなら、御教示ください。

菅国務大臣 十月十三日に、総務省の中に頑張る地方応援室というものを設置しました。ここで、現場で頑張っている市町村長の意見を聞いたり、あるいは地域に活力を与えている専門家と言われるそうした人たちからさまざまな意見を聞いて、年内には応援プログラムというのをまとめていきたいというふうに思います。

寺田(学)委員 内々にもまだ全然決まっていないんですか。大臣、いかがですか。

菅国務大臣 私は、最終的には十二月、年内に、そういういろいろな市町村長の皆さんから意見を聞いて、あるいは専門家の意見を聞いて、決めたいというふうに思います。

 ただ、私も今まで、副大臣当時、秋田に行って、市町村合併をされた市長さん、三市ぐらい、実は会いました。そういう人たちからもさまざまな意見も聞いています。自分のところで地場の例えば農産物を売り出したいとか、あるいはUターンに力を入れたいとか、いろいろなことをやっているという話も聞きました。やはりほかと比べてUターンでも多く来たら応援するとか、いろいろなことが私はあっていいのかなというふうに実は思っていますので、そういうことをこれから、室をつくったばかりですから、そういうことを描きながら、地方で本当に頑張ろう、そういう人たちを応援できるものをつくれればいい、こう思っています。

寺田(学)委員 私も、Uターンであるとか、人口がふえたとか、子供が生まれる数がふえたとかいうことは喜ばしいことだとは思いますが、私が問いたいのは、そのようなことに対して、御自身で言われている最低限の財源を確保するためにできた税、交付税を、まさしく頑張ったでしょうという形でお金を出すというのは、そもそもの交付税のあり方にはやや反した形というか、やや趣旨違いな制度だと私は思うんです。

 交付税の無駄遣いがされているということも大臣はさんざん言われていると思います。交付税が無駄遣いされているのかどうかわかりませんが、まだ地方の方には無駄を削る部分がたくさんあると思います。まさしく行革をどんどん進めていかなければならない。ある程度の文化とか価値観を守りつつ、効率化できるところは効率化していくというのがやり方だと思います。

 しかし、この地方頑張るプランにおいては、頑張ったところにお金は出すけれども、行革のための効果は一つもないはずです。もちろん、今まで、行革を頑張った自治体にはインセンティブを上げますという形で、行革のインセンティブの交付税の使い方がありました。このことも、自分たちの財政需要が行革によって減ったにもかかわらず、足らず前のためのお金がふえるという、かなり矛盾を抱えたものでしたけれども、そういう矛盾を抱えながらも行革を進めたいという総務省の意思は、私はそれなりに理解をしています。

 しかし、今回のこの地方頑張るプラン、名前を間違えて済みませんけれども、それだけはほぼ政策誘導な交付税になっていると言わざるを得ないと思うんですよね。この今の頑張る地方応援プランが、本来の交付税のあり方そのもの、役割そのものであるともお考えになられていますか。

菅国務大臣 二年前から行革インセンティブ算定を行っています。これは行革を推進するためであります。今度やろうとしているこの「頑張る地方応援プログラム」というのは、地方の活力を創出する、そういう異なる観点から地方自治体の自立を支援したい、そう思います。

寺田(学)委員 行革に関して言うと、僕は、インセンティブをつけるのはやむを得ないことだと思うんです。行革しようともしまいとも交付税によって補てんされるから行革しなくていいと考える人もいると思うんです。ただ、いろいろ資料を調べて見ていますけれども、人口がふえたとか子供がふえたとか企業が誘致されたとかどうこうというのは、それは、お金がもらえるからどうこうではなくて、自治体の人間として、その地域を活性化させるために何がなくとも頑張る話だと思うんです。それをわざわざお金をつけてやるということに、私は、逆に交付税の無駄遣いになるんじゃないかなと。

 聞くところによると、一千億以上のお金をこれに予算として割くということも聞いています。それに割くぐらいだったら、もっと本当に地方の財政をきめ細やかに、どのように使われるのか、まさしく大臣が生まれたところなんて雪が二メートル、三メートル積もるところです、そういうところの財政需要をしっかりと捕捉するということは必要だと思うんですが、その点においては、今度は逆に、大臣自身、役人たちが余り賛成しなかったけれども自分でかなり強引に入れたんだよと言う新型交付税の話が出てくるわけです。

 新型交付税の話でいうと、面積と人口、そういうものだけで将来的には交付税の額の三分の一を算定する以上、大臣が住まわれていた、生まれたところの、雪がいっぱい降るどうこうとか、ちっちゃな自治体だから効率化できる限界があるとか、そういうところの財政状況、財政事情というものを今よりより粗い形で捕捉する形になると思います。そういう形でもこれからの地方行政のためにはいいと思っているんですか。いかがですか。

菅国務大臣 私は、透明性を確保するために必要だというふうに思っています。

 ただ、この新型交付税に移動する中では、今までの財政運営に支障を来さないように、行政コスト、これはかなり差がありますから、そういうものを反映しながら取り組んでいきたい、こう思います。

寺田(学)委員 地方の自治体がどれぐらい財政需要があるかどうこうというのは、複雑とはいいつつも、それなりにしっかりと把握する必要があると思うんです。それを一緒くたに人口と面積だといって渡しちゃうとすれば、大臣がさっき言われている、最低限の財源を確保するための税だというところの哲学を変えてやらなきゃいけないと思います。

 その部分も時間があればやりたかったんですが、もう時間がほぼないところですので、発言の中で一つ気になることがあったので、その点だけお伺いします。

 時事通信のインタビューで、交付税総額を減らすべきだという意見もあるのではという問いに対して、副大臣時代ですけれども、それは無理だと言われているんです。一般財源規模ではなくて、交付税総額を減らすべきだという意見があるがどうかと言われて、それは無理だと言われているんです。この考えは変わりませんか。

菅国務大臣 先ほど来何回も言っていますけれども、最低限、一定以上の行政水準のための交付税額を減らすことは無理だというふうに実は考えています。結果として税収が伸びる、結果として減ることはあるかと思いますけれども、ただ、全体としては、それをやはり確保するのは私どもの役割だと思います。

寺田(学)委員 終わりますけれども、交付税総額を減らすのはどうかと聞かれて無理だと言っているのは、ともすれば大事なお話になると思うので、一般財源総額であるならそれはまだしも、交付税総額と言われていますから、その部分は御訂正されるなら訂正された方がいいと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 それはどういう形で記事になったか、私もう一度精査してみますけれども、私の考えは今申し述べたとおりです。

寺田(学)委員 以上です。

佐藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十四分開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 さきの通常国会におきましては、大臣は副大臣というお立場で、そして一カ月前の九月二十六日は、初入閣ということで、総務大臣になられまして、心からお祝い申し上げたいと思います。

 通常国会の中では、たくさんの法案がありましたので、大臣とたくさんのほかの課題について議論がなかなかできなかったもので、きょうはたくさんの課題について大臣と議論をしたいと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 委員長、御就任おめでとうございます。これからも公正な議事運営にぜひ努めていただきますようによろしくお願い申し上げます。

 まず大臣、きょう、十月二十六日、くしくもというか、福島県知事選挙が告示となった日でございます。この問題については多くを語る必要はないかもしれませんが、特に大臣、多選という問題について、ぜひ御認識をお伺いしたいと思います。

 と申しますのは、地方自治法において、当然、住民の方から選挙によって選ばれるということで、明定はありませんが、いろいろな個人の候補者の思いの中で、私は一期だけ挑戦する、二期だけよとか、期限を区切った中で対応なさっている方はいらっしゃいますが、やはり多選の問題というのがこの福島知事選挙が今回実施されるに当たっての大きな要因になったというふうに、いろいろな報道や、また私ども含めて、そうではないかなという思いがいたします。私どもは、党としては、原則、知事や政令市長については三選までというふうなルールを政党として決めているところでもございます。

 地方自治法の最高責任者として、総務大臣は、政府のという見解はなかなか難しいかもしれませんが、総務大臣個人としてでも結構ですから、大臣の御見解をまず冒頭お伺いしたいと思います。

菅国務大臣 福島の事件あるいはまた他県でも、多選にまつわるようなさまざまな事件が起きているということも事実であります。

 そうした中で、首長の多選については、政治の独裁化やあるいは人事が偏り過ぎる、そういういろいろな批判がありますし、また一方では立候補の自由だとか職業選択の自由、実はいろいろな、それぞれ賛否両論があるわけであります。過去にも、多選禁止法案、議員立法として三本提出された歴史がありますけれども、実はそれぞれ審議未了で廃案となった経緯があります。

 この問題は、地方自治の観点を初めさまざまな論点もあり、幅広い視点から慎重に検討すべき問題である、こういうふうに考えますが、後藤委員があえて個人的にということを述べていただきましたので、私の考えは、アメリカの大統領というのは二期八年でありますから、それをやはり参考にしながら多選問題というのは考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。

後藤(斎)委員 質問通告してありませんが、大臣、さきの国会の中で地方自治法の改正がございました。その中で、出納長、収入役の廃止、副知事、副市長という形で、助役ですか、組織変更をした条項がございます。

 それはなぜそうしたかというと、いろいろな、都道府県議長会であるとか市町村議長会であるとか、たくさんの要望事項の中から今できることをということで、あれはまず第一歩だったと思うんですが、本来であれば、議会というものが知事を含めた首長のチェック機能、監視機能であるべき姿が、やはり多選という形を続けていくとオール与党体制になり、チェック機能が十分働かなかった。これは後でちょっと触れさせていただきますが、夕張市の事例も、まさに議会のチェック機能が市長、当局に対して十分働かなかったということだと思うんです。

 ですから、私は、これから分権一括法がまた出るというふうなお話を、先ほど、午前中、大臣もしておりましたが、地方自治法についても、やはり議会がもっと監視、チェック機能を出せるような形に制度的にしていく。これはさきの通常国会で、まだ私は積み残しだと思っているんですが、やはり都道府県議長会の研究会の報告にもかなり理想的な形があるわけですので、ぜひ私はその点も含めてこれから総務省の中でも議論をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私は、議論する価値というのは十分あると思っています。

後藤(斎)委員 そして、大臣が副大臣時代に、地方分権二十一世紀ビジョン懇の報告書を竹中大臣と一緒におまとめになられました。座長は、今経済財政担当大臣の大田さんです。そして、これもかなり意欲的なものだと私は思っていますし、これに基づいて、昨日、経済財政諮問会議で菅ビジョンと言われるような御提言をなさっているのも、ある意味ではかなり共通項があるというふうに私は認識をしております。

 大臣、ただ、これはさきの国会の中でもかなりこの委員会で議論をされましたが、やはり、小規模自治体、合併できないような状況に置かれている自治体について、小規模についても配慮するということはあるんですが、やはりその点が一番不十分だと私は思うんです。

 大臣も中にいておまとめになっておりますから、これについて、いや、余り悪い点がたくさんあるとは言えないというお立場だということは十分わかるんですが、評価をすべきは評価をし、そして大臣が、やはりここはちょっと不十分だと。これはまた後で触れますが、先ほどの命令放送もそうだと思うんです。大臣が副大臣時代も、もしかしたら、三十三条の規定で命令放送をすれば、竹中大臣とお話をして命令放送を出せばよかったはずなんです。でも大臣になって、やはり、総務大臣として総務省のトップに立たれて、責任者として指示を今出して審議会にかけることにこれからなる。

 同じように、大臣、これについても本当は不十分な点があるというふうに、多分、小規模自治体の件も含めてあると思うんです。その点について、大臣、この竹中ビジョン、地方分権に関する点で結構ですから、どういうふうに御評価をして、この点はもっと改良すべきであるという点をぜひ御披露していただきたいと思います。

菅国務大臣 実は、私も副大臣としてこのビジョン懇に参加をしました。地方に自由と責任と自立、そういうことを求める観点からこの懇談会の方向性を打ち出したわけでありますけれども、基本的には、私は、自分がかかわっていたから言うわけじゃないんですけれども、それは一定の方向性を出したな、出せたなというふうに実は思っています。それで、あと、私の仕事というのは、このことをもとに、やはりこれをいかに実行していくかということだというふうに思います。

 今、後藤委員から、小規模団体への問題がありました。

 私どもは、この合併推進の新法の中で、できるだけそれぞれの都道府県の計画をお願いし、合併の方向で今お願いをしておりますので、これはそうしたことも十分踏まえながら検討していくべき課題だなというふうに思います。

後藤(斎)委員 大臣、平成の大合併というのは今年度中で千八百程度になる。三年前であれば三千を超す市町村があったという中で、そういう意味では、その方向性自体は、以前政府・与党でお取りまとめをされた、決定をされた最高千まで持っていきたいという目標。我が民主党では、本当は三百基礎自治体がベースにあればもっと違った意味での、財政力もあり、なおかつ住民の皆さんにもサービスが行き届くという自治体のベースができるという意識は持っております。

 あえてお尋ねをしますが、大臣、市町村合併というのは、確かに方向性は正しいと思うんです。ただ、市町村合併をされた住民の方で、いやいや、前の方がよかったよと思っている方は、特に一年、二年、三年、石の上にも三年という言葉がありますけれども、たくさんいらっしゃるはずなんです。

 いろいろ総務省ともお話ししてみましたら、いわゆる合併というのがありていに言えば市町村の結婚の規定だとしますと、市町村の離婚の規定が、地方自治法第七条の「市町村の廃置分合及び境界変更」、ここが当たるそうです。

 よくよく読みますと、ここでも、まず市町村議会の議決を経て、そして県議会の議決を経て、そして総務大臣にその旨を届けるということでありますが、この七条の条文が、どう読んでも順番が少し逆かなというふうな思いがありまして、その二項で、知事はあらかじめ総務大臣と協議をし、その同意を得なければならないと、やはりかなり縛りが強いわけなんです。

 みずからの意思で、やはりちょっと、本当はもう少し我慢すればいいかもしれないけれどもここが潮どきだなというまとまった住民の方や議会の合意もあったら、やはり方向性は市町村合併というのは私は正しいと思うんですよ、思うんですが、やはり別れるときの規定もきちっとお知らせをしておく必要があると私は思うんです。

 ずっと我慢をして、この二十一世紀の、先ほど大臣が自立であるとかいろいろな問題意識を、自由と責任、個性の競争とか、この五つの方向性というのが、これは私は正しいと思うんです、方向性としたら。でも、本当にちょっと困ったなというときに相談する相手もいない、悶々として何か萎縮するばかりの地方自治であっては決していけないと私は思うんです。

 大臣、この七条の規定、本当であれば局長にお尋ねをしなければならないかもしれないんですが、この規定は、私、十二分にPRをしろとはあえて言いませんよ、ただ、やはりこういう規定があってというのを、総務省、これは局長で結構なんですが、今までこの事例で、離婚と言うと大変失礼なんですが、廃置分合をされた事例がまずあるのかどうか、その一点だけお尋ねをします。

藤井政府参考人 分立した事例についてのお尋ねでございますが、これは現実にございまして、例えば岐阜県笠原町でございますが、これは昭和二十七年四月に多治見市から分立しているわけです。ただ、今回改めて多治見市と合併するというふうな形で、過去幾つかあります。

後藤(斎)委員 大臣、このビジョン懇をこれから具体化をされていくのがやはり大臣の役目だというお話も先ほど大臣されました。私もそうだと思うんですが、これから地方分権という部分で、大きいか小さいかというよりも、やはりこの五つの目標に向かって市町村合併をこれからも大臣は原則としたら進めていきたいというお気持ちが当然ある。でも、どうしても取り残される部分があるわけですよね。

 多分大臣の今の御地元は違うかもしれませんが、私の地元でも、今人口が千人を切ろうとする、昔、以前だと八千人近くいましたが、もう五分の一くらいになった、そういう本当の過疎の町がございます。そういうところは、周辺を見ても、合併をするような体力もないし、なかなかお見合いしてもだめだというふうに言われている。大臣、やはりそういうところに対する配慮というものがあって、もしどうしてもだめだったら戻ってこいよ、国が支えるのか県が支えるのか別としても、お互い共生という中でやっていこうよというものがあってそれを推し進めているということの方向性の方が私は正しいと思うんですが、大臣、その点いかがでしょうか。

菅国務大臣 ある地域が合併になって、その周辺の市町村の財政力が弱いから合併はなくなる、いろいろあることも事実。ただ、それについては、さまざまな合併の促進策というものをやはり考えていかなければならない、こういうことで私も考えているということも御理解いただいていると思います。

 ただ、逆の場合ですよね。当然これについては、分立する場合、合併する場合と同じような条件のことになっていますので、指摘されるように、私たちは合併することが頭にずっとあったものですから、そこのこともやはり配慮していかなければならないなと今の議論の中で理解をしています。

後藤(斎)委員 ちょっと具体的に違う事例でお話をしたいと思います。

 夕張市の問題が、ちょうど閉会をした直後ですか、ことしの六月の二十日に、夕張市長が法の規定に基づき財政再建に取り組む決意を表明。現在に至っては、ちょうど九月の二十九日、九月の末に地方財政再建特別措置法の規定に基づき、財政再建の申し出を議会で決議をしています。これから年度内に多分、総務大臣、総務省と協議をして大臣が同意をしていくというスケジュールになるらしいのです。

 大臣、この夕張市が発表した財政再建の基本的な考え方、ポイントという九月四日に発表されたもの、これを二行だから読み上げますと、「夕張市は、これまでの不適切な財政運営を深く反省し、これを改め、多額な債務を確実に返済することとし、」「不退転の決意で財政再建に取り組む」ということがポイントで書かれております。

 この不適切かどうかというのは議論をおいておいて、それ以外、「夕張市」という言葉とこの「不適切な」という言葉を除けば、私は、今かなりの自治体で、多額な財政債務をしょっている自治体は都道府県も含めてあり、市町村でもたくさんあり、そして、この夕張市の問題が起こったときに、これは一時借入金ということで実態調査をされたらしいのですが、一時借入金だけで、これが夕張市が財政再建をしなきゃならないメーンの要因だったかもしれませんが、やはり、今市町村や都道府県が、夕張市と同じような問題で多額の財政債務を持っている都道府県、市町村はたくさんあるわけですね、大臣。不退転に財政再建に取り組まないとという都道府県、市町村もたくさんあるわけなんです。

 だから、もっと広げて、後ほどお尋ねをしますが、財政再建の新たな法体系もこのビジョン懇の中で取りまとめをされて、大臣も、先ほどお話しした、二年くらいで法案をつくっていきたいというお話を午前中もされました。それも関連して、やはり今地方自治体がどういうふうな状況なのかということを明確にわかっておかなければ、その手当てというものはできないはずなんです。幾ら紙の上で書いてもだめだと思うのですが、まず大臣、その実態調査というのを総務省はやられたのでしょうか。

菅国務大臣 あの夕張の事例があって、その一時借り入れ等の中の調査はすぐさせました。そして、全体の財政状況についても、都道府県を通じて調査をしていくことになっています。

後藤(斎)委員 その際にぜひお願いをしたいのは、やはりトータルとしての債務状況や財政状況だけではなく、以前、通常国会のときにもたくさんの議員の方からも御指摘をしたように、やはり特別会計の部分も、一般会計、特別会計も含めた連結の部分での数字をぜひ早目に、まだたくさんの市町村でそれができていないということで、住民監視や議会監視といっても、それが実際できない状況になっていることを考えれば、早くその指導もしていただきたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。

岡本政府参考人 今委員御指摘のように、地方団体の財政状況につきましては、第三セクター、公社、公営企業を含めました連結のバランスシートをつくることで相互に比較できるような公会計の整備を進めるということが重要な課題であると存じております。ただ、現在、残念ながら、状況といたしましては、都道府県、政令市では、この連結のバランスシートをほぼ一〇〇%作成をいただいて、これを既に公表していただいておりますが、その他の市町村では三・四%の市町村にとどまっております。

 したがいまして、私どもも、いろいろな通知や会議の際、できるだけこれを早期に取り組んでいただけるよう、標準的なモデルの作成でありますとか、これをできるだけ簡便に、特に小規模の町村でやっていただけるような方法についても、研究会をつくって、またそれで全国各地のブロックで御説明をしながら、導入に入っていただきたいというふうに思っております。

 午前中の答弁でも、大臣からも早期に導入するというふうに申し上げさせていただいておりますが、そういうものを踏まえて、市町村におきましても連結のバランスシートが早期に整備できるように取り組んでまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 夕張市の前の財政再建の事例というのが、直近は福岡県の赤池町でありました。このときには、歳出を、人件費の削減や普通建設事業の削減、さらには商工会等への助成金の削減、そして歳入確保ということで、公共料金、水道料金や公共施設料金を二・六%ほど上げたということで財政再建をしています。夕張市は、今考えているのは、事務事業の抜本見直し、歳入確保ということで、市税負担、使用料、手数料の見直し、総人件費の大幅な削減等々に今取り組んでいるというふうなことでありますが、赤池町のときには、平成三年から施行され、十年間でこの財政再建はとりあえず終わったということになります。

 多分、夕張市は早くても来年度以降ということですから、国が財政的に余裕が、まあ十年以上前ですから、あった時代と今ではかなり、国が関与をする、例えば総務省、総務大臣が協議をして財政再建の計画に同意を出すわけですから、その国の関与の仕方には、過去の十数年前の赤池町と今回の夕張市の事例では差があるのでしょうか。例えば、補助金で交付税を少し手厚くやって早くチャラにするよとか、そういうことはあるのでしょうか。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員御指摘のように、現在、夕張では、現行の再建促進法に基づきます再建申請の手続を、九月の議会議決を踏まえて計画の策定中であるというふうに承知しております。

 現在、どういう計画にされるのか、私どもとまだ具体的なお話がある段階ではございませんので、私どもとしては、先ほど御紹介いただきました市の基本的な方針にもございますが、歳入面、歳出面、両面にわたって聖域なく徹底した見直しをしていただくということで、どのようなものになるのかということをまずは見せていただきたい。国のお手伝いというものが、あるいは道がいろいろなお手伝いをするという場面もあるかと思いますが、それは、まず市の自主的な努力といったものがどこまで行われるのかということが第一であろうと思っております。

 そういう意味では、前の例でございます福岡の赤池町においても基本的な考え方は同じ。もちろん、法体系も今の段階においては同じ法のもとにおける再建をするということになりますので、現段階では、赤池と夕張について具体的な差があるということではございません。

後藤(斎)委員 これはちょっと時間があれですから指摘だけしておきたいのですが、今、新しい破産法の法体系、要するに、フローだけの部分からストックをも含めた法体系に変えようとしている。夕張市も多分、その切りかえの途中になるはずだと思うのです。それは、どちらかを選択することができるのか、それとも後法優先の法則で行くのか、その辺はその時点にならなきゃわからないと多分お答えになるからあえて聞きませんが、その点もぜひ十二分に配慮をして、やはり、自治体によって差があるとか、そして新しい法体系の中で、多分より厳しくなるはずなんです。ストック部分までどういうふうに返すのか、そういう見通しがないとだめよということに多分なると思うのですが、その点はぜひ、やはり市町村によって、自治体によって差がないような形にはぜひお願いをしたいということだけ要望しておきたいと思います。

 大臣、ちょっとまた頭を切りかえていただいて、午前中の武正、寺田両理事から質問があった件で、引き続き、ちょっと放送法の部分で、NHKの問題も含めて御質問申し上げたいと思います。

 きょう、お昼を過ぎてから寺田議員とお話をされた件で、質と量の関係で、編成権あるやなしやということで、三十三条の命令放送の部分と三条の編集の自由の部分、この質と量の話を多分していたと私は思うのです。

 大臣、私、やはりNHKの、交付金と称して予算を政府からNHKにラジオ国際放送ということで、例えば平成十八年度であれば、人件費、放送費、管理費、受信改善費ということで、これを積み上げた中で二十二億五千六百十三万七千円という積算があります。大臣が仮に命令をどうかと審議会にかけてオーケーが出て、やはりそれを検証するには、数が今までよりもふえているかどうか、それが趨勢で見えるかどうかは、午前中にNHKの理事もお答えになったように、既に七百本以上か何かやっているんだということだと思うんですよ。

 大臣がやったやらないでそれが決まるのであれば、先ほども、大臣が副大臣時代になぜ拉致問題に、大臣がやられたということも副大臣時代もよくお聞きをしていますが、ということとやはり整合性がとれなくなると思うんですよ。

 ですから、大臣としたら、命令書に書く書かないは別として、やはりその命令、法三十三条に基づいて、それ以降のNHKが独自にやるにしても、一つのメルクマールはやはり放送の時間ないし放送の回数。時間ですよね、トータルしていけば。時間がふえたということが一つのメルクマールであると。でも、トータルで八十八億あるうちの二十三億しか、国際ラジオ放送で予算の二五%、二、三割くらいですね。三分の二はもう自分でやっているわけですね、NHKさん、いろいろな番組を。

 だから、そこを比較することができないから私はあえてそういうふうに言わないんだというふうにお答えをしていただいた方が、多分、寺田さんもリーズナブルにすとんと自分の気持ちに落ちたんじゃないかなというふうに思うんですよ。

 大臣にその点をもう一度お聞きしますが、三条と三十三条の関係は、三条にもちろん十二分に配慮する、私はそこには手をつけないと。それは質の話だと思うんです。

 それで、三十三条の部分は、基本的には三十五条の部分で予算手当てもしてNHKに対応させているわけですね、国際ラジオ放送を。だから、そこの量はふえることを私は期待をしているけれどもというくらいのことを言ってその部分の対応は処理をした方が、私は個人的にはいいと思うんですが、大臣、その点について、簡単で結構ですから、お答えいただけますか。

菅国務大臣 NHKへの命令の実施状況については、NHKから提出される週間番組表、実施報告書によって確認をいただいている、このことは先ほど申し上げました。

 そこで何時間とか内容がどうだったとか、そういうことに踏み込みますと編集権の問題だとかそういうことがありますので、そこについては、私どもとしては、NHKから報告書を出してもらうことによって確認を行う、そうする予定です。

後藤(斎)委員 では、NHKの方にお尋ねをいたします。

 私は、これは、この放送法三十五条の規定によって国際放送、ラジオ、テレビという明定はございませんから、今はラジオしかございませんので、今の二十二億六千万ほど、これを交付金としてNHKさんが交付をされている、だから、それとの関係で、三十三条の法律の規定で総務大臣から命令をされても、要するに編成権や報道の自由というものにクロスをしてしまうと思うんです。

 だから、逆に言えば、一番すっきりしているのは、NHKさんが、いやいや、もう時事とか三項目のものは私たちの編成権の中でも十二分にやるし、二十二億五千万のものは、今までもらってきたけれども、これからはもっと自主性を出したいので、公共放送としての本来の立場に戻りたいので、あえてそれは返上してやるという形になれば、その問題は解消されると思うんですが、その点について、交付金をお返しになるつもりは、NHKさん、ございませんか。

石村参考人 今御指摘の点ですけれども、放送法の中では、総務大臣は国際放送について命令をすることができる、これは三十三条、その業務に要する費用は国が負担する、三十五条と規定されているんですけれども、私どもは、これは別々というより、いわゆるセット論的な話になっているんではないか、御指摘の点については、現行放送法上の規定としては、交付金を返上するということがこの法律上できるのかどうか、その辺は難しいのではないかなと考えております。

後藤(斎)委員 そうであれば、では、この国際放送、ラジオの運営経費が八十五億ございます。そのうち交付金は先ほど指摘したとおりであります。であれば、この差額の六十二億四千万円、これは何にどうやって対応しているんですか。

石村参考人 その点につきましては、自主放送というのはかなり、NHK独自にやっている番組等も多いということで、そういうことに充てるということになります。

後藤(斎)委員 ですから、大臣にもぜひこのお話を聞いておいていただきたいんですが、交付金が仮になかりせば、そこの問題は、基本的には、内容にどうこうという話ではなかったはずだと私は思っているんです。

 これは、テレビの方もこれからですね。これは松原ビジョン懇でありますけれども、国際テレビについても今検討会を総務省でもう対応なさっていますよね。もう一つ、この中で、情報と通信の法体系について、これももう研究会をこれがまとまってから二度ほど対応なさっています。

 そもそも、この放送法というもの自体が、前の国会でもいろいろな議員の方からも、私も含めて議論をさせていただきましたが、やはりかなり古い法体系であることは事実なんです。国際放送というものも、ラジオだけ念頭にあって、テレビは別に念頭にある法律体系になっていないわけです。読めば読めるかもしれませんが。

 ですから、そういうものの中で、これからNHKが、午前中も議論があったように、東京を中心に催促をしながら、その後、結果によったら司法の手をかりてという話にもなりますよね。それで、このビジョン懇の中でも指摘をされたように、これからNHKの受信料は義務化をいずれし、これは放送法を直すときに多分そういう議論が出てくると思いますが、罰則規定もいずれ置くという、まあ、罰則規定を置くかどうかは別として、そういう流れになる可能性もあるわけですね。可能性についてはお答えできないということでは困るんですが。

 ただ、やはり今の法体系の中で、できるだけわかりやすく今のNHKが置かれた立場、これはこの一年、二年のいろいろな不祥事も含めた、受信料が非常に少なくなった時点で、一時期六千五百億を超えた受信料が三百億、四百億減って、ただ、それでも例えばこの二十二億というのは、NHKにも一緒に聞いておいてもらいたいんですが、ある意味ではカバーが受信料の中でできる金額だと私は思うんです。

 それで、テレビになったらどの程度かかるかというのは別なんですが、要するに、これは前の大臣ともお話しさせてもらって、そもそも受信料とは何のものですか、税に近いんですか、それとも、テレビジョンという受信機に対して今払っているという説明を放送法の規定についてあれした。私の携帯はたまたまワンセグにはなっていませんが、多分ワンセグを持たれている方もいらっしゃいますし、私の車は後でつけましたが、一応カーナビでテレビが見られます。そこには受信料を今かけていないんです。

 ですから、そういう議論も含めて、法律があるから、総務省も、NHKに交付金を二十二億、二十三億を毎年国際ラジオの部分で流している。積算についてはこの四項目を積み上げただけ。NHKのこの一、二年のいろいろなものがなければそういう問題はもしかしてなかったかもしれませんが、やはり今、それもクロスして議論がどうしても出てきてしまう。このビジョン懇でも、これからのNHK改革のあり方も議論を当然している、受信料のあり方も議論をしている。

 だから大臣、私は、そこはすっきり、命令放送云々という前に、国際テレビ、ラジオの部分も含めてこれからどうするかという議論が一方でこれから流れていって、大臣が命令をしてという、やはり命令というのはこれも古い言葉なんですよ。要請放送というのもこれは変な話ですけれども、言葉は後で考えるにしても、そういう時代背景の中で、そこは大臣のお立場では、この三条の問題であるとかそういうものも、一条の本旨も含めて、やはりきちっと御留意をされた上で発言をなさっていると思うんです。そこについて、大臣は、三十三条の関係、三十五条の関係、そして一条、二条の関係、これは今までどおり、放送法というのは、その根幹は、新法を仮に検討するにしてもきちっと守っていくという御見解だと思うんですが、その点についてお聞きをしたいと思います。

菅国務大臣 私も、今度のことで条文を読み直しました。その中で、これはたしか昭和二十五年の法律でありまして、命令という形に実はなっています。そうしたら、これだけ時代の流れの中で、また、来年三月までには、NHKの放送への問題も含めて今研究会も開いておりますので、こうしたこともやはり考える必要があるのかなと、今回の一連の中で私自身としては今思っているところです。

後藤(斎)委員 NHKさんとして、前から、この一、二年の不祥事の問題、それでこのビジョン懇、私は、NHKさんはこの放送・通信融合に関する検討会の報告書を一〇〇%了としていないというふうに思いますけれども、やはり大きな時代の流れの中で、大臣が改めて今、電波審議会の方に命令放送で項目を明文化してやるということにもいろいろな変化をしてまいりました。

 NHKとしては、これから、受信料のあり方とか、そしてこの命令放送をどういうふうにとらえて、例えば国際テレビがいずれ出てくるというものに対して、どんな形で臨み、それをどういう形で視聴者の皆さんに御説明をしていくというお立場なんでしょうか。

石村参考人 今の御質問、私としては、テレビの国際映像のあり方ということをお聞きになったのかなと思うので、その点についてお答えいたしますけれども、国際放送を充実して日本の情報を発信していこう、これは非常に重要なことでありますし、NHKとしても全力を挙げてやっていきたいと思います。

 それで、今のテレビの国際映像の問題点といいますと、やはり非常に受信環境が整備されていないということが一つあります。

 今、いろいろな場所で、総務省の研究会を中心にいろいろな検討が行われていますけれども、NHKとしては、国際番組、情報発信強化という意味では、やはり大きな問題は、一つは編集権をきちんと確保していくことと、それから財源の問題で、今のNHKの中で受信環境も含めてすべてを単独で受信料で賄えるか、そういった点については非常に苦しい、この二点についてはやはりいろいろ皆さんの御理解を得ていきたいな、そういうふうに考えております。

後藤(斎)委員 今のお話は、またいずれ時間を見ながら、ちょっと引き続き議論を深めたいと思います。

 大臣、私は実は、麻生大臣か竹中大臣のときもお話ししましたが、子供が三人おりまして、高二の女の子と中一男、小二男ということで、私は青少年の部分にかなりの部分を、自分個人として、親として関心がありまして、昨年もお聞きをしたんですが、特にテレビのいわゆる有害情報。私は本当に時々しか、子供と一緒にテレビを見る時間は、多分皆さんもそうなんですが、見られないんです。ただ、八時、九時、十時の初めくらいの時間帯に余りどぎつい性描写やそういうものがあると、ちょっとまず私の方が顔を赤らめてしまう、家内と二人で赤らめてしまうんです。

 いろいろな有害情報をどういうふうにしているかというのを調べてみましたら、文部科学白書の中でも若干指摘がありまして、平成十年以降、テレビ、これは映画も含めてですが、関係業界に、有害情報を流さないという自主規制の要請を行っている。

 以前も総務省もいろいろな課長会議等を通じてやっているというお話は聞いているんですが、大臣、やはりこれは、お役所がこういう形でやっていただくのは当然結構なんですが、今いじめの問題やいろいろな、きのうも急に、四日ほどいなかった十二歳の女の子が三十一歳の男の人といて、これも携帯で出会いメールみたいなものなのか、こっちの方のあれか、メールはいずれにしても使われて、そういう犯罪が起こっているということを踏まえて、もっときちっとした、やはり閣僚も含めて、大臣が率先してやるのかどうかは別ですけれども、少なくともテレビという部分、放送という部分では大臣が率先してやっていただきたいと思うんです。

 その辺の、青少年への有害情報をできるだけやはり自粛していただくということについては、大臣、どのようにお考えになられますでしょうか。

菅国務大臣 今、文部科学省のお話がありました。

 総務省でも、平成十年の十二月に、青少年と放送に関する調査研究会を開催して、青少年向け番組の充実や放送時間の配慮などの提言を実は受けました。

 これをもとに、放送事業者の皆さんは、平成十二年の四月に、視聴者からの意見に基づき審議し必要に応じて提言などを公表する第三者機関として、放送と青少年に関する委員会をNHK及び民放連が共同で設置し、児童及び青少年の視聴に配慮する時間帯を設定するなど、自主的な取り組みを行ってきている。

 その時間帯が、実は夕方の五時から九時までなんですね。五時から九時で果たしていいのかどうか、私はこれもやはり非常に問題意識を持っています。

 いずれにしろ、放送は子供に最も影響を与える身近なメディアでありますので、この時間帯も含めて、やはりこれだけの問題が出ていますので、検討する必要がある、これは私もそう思います。

後藤(斎)委員 またちょっと第三のテーマにきりっと頭を切りかえて、お話をあと二点だけ、時間がありませんが、したいと思います。

 大臣、十月の九日、大臣はどこにおられたか、ちょっと後でお聞きをしますが、北朝鮮による核実験が行われたという報道があって、きょう、あすあたりで最終的に結論が出るというきのうの報道だったと思いますが、資料を見せていただいたら、大臣は十月九日の四時の安全保障会議には出席をされているとあります。

 大臣は、この北朝鮮による核実験の事案について、いつ、何時ぐらいにまず第一報をお聞きになられましたでしょうか。

菅国務大臣 正式に聞いたのは十二時前だったと思います。ただ、そういう予兆があるというんですか、そういうことはもう前に聞いていました。

後藤(斎)委員 大臣はそれはどこでお聞きになられましたでしょうか。

菅国務大臣 役所だったかマスコミでしたか、その前に、北朝鮮にそういう動きがあるのではないかなということは聞いていました。どこからというのはまだ思い出しませんけれども、役所かマスコミのどっちかだったと思います。

後藤(斎)委員 大臣、いわゆる有事の危機管理の情報伝達については、予算委員会でもいろいろな形でいろいろな質疑がありました。私は、特に総務大臣というお立場で、これから二点お聞きをしたいと思います。

 一点目は、住民の方がどんな形で実際避難ができるかどうか、大規模なものかどうかというのは別として、やはり地方自治体が果たすべき役割というのは非常に大きいと思うんです。

 これは平成十六年にできたいわゆる国民保護法の部分に基づいて、平成十七年度中に都道府県で国民保護計画がつくられております。この実績は、ことしの三月までに、都道府県段階での国民保護計画は一応全体、四十七都道府県でできているということになっています。

 ただ、実際の住民に一番近いところの市町村について言うと、資料をいただきましたら、とりあえず、それを相談する国民保護協議会というのは八月一日現在で九二・三%、千七百の市町村で協議会は設置されている。ただ、この国民保護計画の策定はまだ六市町村、作成率〇・三%。これはいずれも鳥取県の市町村であります。

 大臣、一番住民に近いところの市町村がそれができていないということは、あと五カ月、今年度いっぱいあるよと言えばそれまでなんですが、あの問題が起こる前も、七月にもミサイル発射の問題があったはずなんです。それで十月の九日に起こり、それから本当は一気呵成に、多分、私は、消防庁や総務省がもっと早く策定した方がいいですよと言ったのかどうかも含めて、ちょっとこの達成率は余りにも不安なんです。

 大臣、この数字をごらんになっていかがですか。

菅国務大臣 まず先ほどの問いですけれども、私は、最初に一報を聞いたのは十一時四十一分であります。これは役所からの報告です。

 今委員言われましたように、都道府県では全部行われているけれども、実際はやはりどうしても市町村。その市町村が六市町村だけだということで、十八年度中ということでもありますけれども、それにしても少ない数字であるなということは認識をしています。

 ただ、市町村においては、通常の大規模災害等の避難訓練というのは今どこの市町村でも行っているわけでありますから、これが策定されるまでの間はそうしたものを活用しながら国民の保護に努めていきたい、こう思っています。

後藤(斎)委員 大臣、お言葉を返すようで大変恐縮なんですが、消防白書にかなり細かく書いてあるんですね、今後の課題というのが二百六十六ページに。

 委員の皆さんもぜひお時間があったら消防白書をよくごらんになっていただきたいのですが、今後の課題について、一つは、もっと住民、国民の皆さんにこの国民保護法ないし計画の重要性について普及啓発をする、研修、教育をする。特に、消防署や警察の職員だけじゃなくて、自治体の防災担当の職員にもきちっと訓練や教育をさせるというのが一つあります。

 先ほど大臣が触れられました、警報伝達のシステムをもっと充実しろと。これは、市町村の防災行政無線の整備率はまだ七〇%である、三割はないわけですよ。多分、時間がかかりますからあれですけれども。

 それと、三番目にはやはり体制整備ということで、二十四時間体制、これは多分まずほとんどなっていないはずです、消防を除けば。四番目が訓練、五番目が安否情報の収集、提供のシステム、六番が特殊標章等の取り扱いということで、私は初めてじっくり読ませてもらったのですが、非常にいいことが書いてあるんです。

 ほとんどが多分、今実態として、市町村の現場では十二分に行われていないというふうに思うんです。ですから、本当の有事の際は、幾ら例えば総務省や防衛庁や大きな部分で枠をこさえても、実際の市町村や住民の部分にきちっと連絡がなければ、絵にかいたもちどころか、本当にこの国民保護法の趣旨なんて生かせないと思うんです。

 この七〇%防災無線のものはいずれあれですが、大臣、やはりこういう実態の中で、これから、先ほどの〇・三%か四%というところに督促をしてもらい、さらには、やはり大臣として、もっとこういうものについて具体的に、その指示も含めてやっていかないと、本当の有事のときにどこに逃げたらいい、地震じゃありませんから、例えば生物化学兵器か何かが空から降ってくれば、小中学校の校庭に逃げるわけにはいかないんですよね、大臣。

 だから、そういうことも含めて、かなり詰めたいろいろなパターン分けをしながらやっていく必要が実際ある中で、それはもう、この七月と十月の部分で大きな警告、実際実験をしたかどうかは別としてもそういう大きなものがあって、これもテレビや新聞の報道を見ましたが、韓国で核があったときにどうするかという訓練を百万人くらいがしたときには、実施はできたけれども何か身が入らないというインタビューのあれがありました。

 やはり、有事というのはいつあるかわかりませんけれども、平時の中ではそれをやっておく、訓練をしておく。でも、平時だとなかなか有事のことを考えて対応ができない部分がありますが、市町村、住民に一番近い部分をやっている大臣ですから、その点をもっと役所の皆さんや県や市町村に対して、ここはやはりきちっと、こういう事例があって、大臣がどこで、十一時四十四分というのは、ちょうど消防庁がTBSで核実験を覚知して情報収集体制を強化したということで、この消防庁からいただいた資料でも、TBSのテレビで核実験情報を覚知と書いてありますね、これを知ったと。その前に、十時半以降というのは、外務省を通じて大臣や防衛庁長官へと、こういう流れがあったにもかかわらず、これは十一時四十四分なんですよ。このタイムラグや市町村の体制をもっときちっと指導しながら、市町村における国民保護計画の早期に取りまとめができるようにより一層の指導をぜひしていただきたいんですが、最後、その点についてお聞きをして質問を終わりたいと思います。

菅国務大臣 実は、前回のミサイル発射の際、いろいろな批判も受けたこともありまして、今回については、都道府県に対しての情報連絡というのは逐次行わせていただきました。今、都道府県との間では共同で実践的な訓練を行っておりますけれども、委員言われるように、まだ市町村が、実際は市町村が行動するわけでありますので、このことも含めて、全力を尽くして、有事というのはいつあるかわかりませんから、早急にできるように対処していきたい、こう思います。

後藤(斎)委員 また改めて質問させていただきます。きょうはこれで終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは、皆さんからも質問がありましたが、私も、菅大臣がNHKの短波ラジオ国際放送で北朝鮮の拉致問題についての留意を求める命令書を出す、重点的に取り上げるよう命令する意向を表明したという問題ですが、十一月の電波監理審議会に諮問するとしていることですが、これについて聞きたいと思います。

 拉致問題の解決のために努力するのは、これは当然のことと思います。菅大臣は放送の自由は守ると会見で言っているんですが、どんな問題であれ、政府がNHK、放送局に対して放送内容にかかわって命令を発するということは、これは番組編集の自由という放送の大原則を侵すことになると思うんですが、まず、このことから質問したいと思います。

菅国務大臣 先ほど来申し上げていますけれども、放送法の第三十三条の中に、必要な事項を指定して命令をすることができる、こういうことになっています。当然私は、法治国家ですから、法律に基づいて指示した、そういうことです。

吉井委員 続いて、私、政府参考人に先に伺っておきたいと思いますが、国際放送実施命令書、これを私ずっと見せていただきましたが、一九五二年、昭和二十七年五月一日の塚田郵政大臣が最初ですね。ことし四月一日の竹中総務大臣まで国際放送実施命令書というのがありますが、五十六年間に、これまでの命令放送における放送事項というのは、時事、国の重要な政策、国際問題に関する政府の見解、これに関する報道や解説なんですね。時事や国の重要な政策の個別の内容を定めて実施命令を出した、こういう例があったのかどうか、政府参考人に伺います。

鈴木政府参考人 今御指摘のとおり、昭和二十六年度から、NHKに対して、放送事項を指定して国際放送の実施を命令いたしております。

 これまで具体的に指定してきた放送の内容につきましては、各国の国慶日等に対する慶祝その他、年度ごとに異なりますけれども、昭和五十九年四月一日の実施命令以降は、時事、国の重要な政策、国際問題に関する政府の見解に関する報道及び解説となっております。

 国際放送の実施命令におきましては、放送区域、放送事項その他……(吉井委員「長々はいいですよ、同じものを見ているんだから」と呼ぶ)法律上の特段の制限はございません。

吉井委員 要するに、五十六年分がここにあるんですよね。五十六年分の国際放送実施命令書の中で、放送の内容にかかわって命令したという例はないんですよ。

 それで、これまで命令放送といっても、時事、国の重要な政策、国際問題ということで来たわけですが、これも政府参考人に伺いますが、何を取り上げて、どう報道し、どのように解説するか、これはNHKの編集の自由にゆだねられてきたと思うんですね。何か内容に立ち入って命令したものはありますか。

鈴木政府参考人 何をもって放送の内容というかということはございますけれども、時事、国の重要な政策、国際問題に関する政府の見解ということでございますから、それが放送の内容とも言えると思います。

 個別の内容については定めたことはございません。個別の放送事項については定めたことはございません。

吉井委員 ですから、どのように報道せいとか解説せいとか含めて、内容に踏み込んで命令したという例は五十六年間全くないんですよ。

 それで、年度途中に変更した例というのは一応あったと思うんですが、公正を期すために、どういうことで変更したことがあるかを伺っておきます。

鈴木政府参考人 これまで変更した例でいいますと、直近の例でいいますと、平成十三年十一月に、アメリカの中枢多発テロ事件に係りますアフガニスタンの有事関連情報提供の拡充のため交付金を追加した例がございます。

 なお、個別の事項というべきかどうか、内容について、どこをもって個別というか、あるいは内容というかということはありますが、先ほど申し上げたように、それぞれの国の国慶行事について放送しろという命令をしたことはございます。

吉井委員 あらかじめ事前に資料をいただいているんですが、これまで年度途中で変更した例の主なものといえば、一九九〇年の湾岸戦争のときに、要するに放送時間を延長するために経費がかかりますね、そのために予算額の変更はあるんですよ。それは、九〇年十二月十八日、九一年二月一日、三月一日とか、例はありますし、二〇〇一年九・一一テロで放送時間延長に伴う予算増額の措置、それで変更というのはあるんですが、いずれも個別内容に踏み込んだ命令の変更というのはないんですね。

 命令放送をやろうというわけですが、そこで大臣に伺っておきたいんですけれども、命令どおりに国際放送は行われているのか、あるいは命令に従っていないと判断するのか、この判断はだれがやるのかという問題がありますが、これは総務大臣が判断するということになるんですね。

鈴木政府参考人 これまで大臣が御答弁申し上げていますように、NHKに命令をいたします際に、実施状況について、NHKから、週間番組表、それと翌月十五日までに実施報告書を提出いただいておりまして、それをもって確認をいたしております。こうした資料によりまして、放送事項に係る放送番組の放送時間、放送内容等がわかりますので、それを総合的に勘案して総務大臣が判断しているというものでございます。

吉井委員 だから、命令に従ったかどうかを判断するのは大臣ということですね。大臣命令に従っているか、あるいは従わない放送かを何で評価、判断するのか、その判断の基準は何かというのを、議論もありましたが、私がレクチャーで伺ったところでは、放送時間の長さとか頻度とか内容とか、これらを見て総合的に判断するというお話ですが、この判断の基準というのはそういうことですか。

鈴木政府参考人 ただいまお答え申し上げましたように、総合的に判断をするということでございます。

吉井委員 要するに、総合的に判断ですから、何をもって、何がこの命令放送に従っているか従っていないかという基準がさっぱりわからない。要するに、だれもがなるほどと納得できる、そういう客観的な判断基準はないということですね。これは大臣の裁量に任されているということなんじゃないですか。ここは大臣に伺っておきます。

鈴木政府参考人 先ほどからお答え申し上げておりますように、放送番組の時刻表、その中に具体的な、こういうものを放送するということがございますし、また、実施状況報告をいただいておりますので、その中に、命令書の中に書かれております時事、国の政策あるいは政府の見解が述べられているかどうかを確認するということでございます。

吉井委員 私、大臣に聞いたらあなたが出てくるんだけれども、あなたはまた大臣になったら出てきてお答えいただいたらいいので、私は、政府参考人に聞くときは参考人と言ってあなたを指名しているので、大臣と言っているときに、いつの間にか大臣になったような気分になってもらっちゃ困るということを言っておきたいと思います。

 放送法上、本来業務としての国際放送と、これと一体のものとして行う命令放送とが混然一体としてあるわけですね。本来業務としての国際放送は、当然、命令放送の対象外です。実際には一体のものとして放送局で編集される国際放送ですから、これは本来業務の国際放送で、こっちの方は命令放送の国際放送でということはわからないんですよ。大体、短波放送を聞いている人にも、ただいまから命令放送になります、そんなアナウンスはないんです。

 ですから、そういう中で、それは命令放送の国際放送で、それが命令どおり放送を行っているなどということは、そもそも判断することはできないんじゃないですか。

鈴木政府参考人 御指摘のとおり、放送法四十四条三項に基づくNHKの国際放送と命令によって行う三十三条に基づく命令放送とがございます。それらは一体として編集され、行われておるわけでございますが、その中で、実施命令の中にありますような内容を、そういう項目として時刻表に載り、あるいは実施報告書に載っているかどうかを確認するということでございます。

吉井委員 判断基準は大臣の裁量に任され、そもそもどれが命令放送分かもわからないというふうな状態なんですよ。混然一体で編集されている国際放送ですね。これは、自主的にやる方だって拉致を扱うんです。拉致については、自主的判断で編集したものは実は見てもらえないというかカウントしてもらえない方になって、政府の命令に従うものだけ評価する、こういうことはできないわけですよ。それを命令してやらせるとなると、結局これは放送への権力的介入、検閲につながってくる問題になります。そういう国策放送になってしまったら、今度はNHKへの信頼や国際的評価をおとしめて、拉致問題にとってもマイナスになるというふうに思うんですよ。

 大臣に伺っておきますが、だから、報道の自由、NHKの編集権を尊重する、命令は下さないという立場を、これは大臣として貫くべきだと私は思うんです、五十六年間やってきたように。大臣に伺います。

菅国務大臣 私、先ほど来申し上げていますけれども、今のこの時点でも、北朝鮮の工作員に拉致をされた日本の被害者が、まさに日本の家族や国民や、そして政府が救出してくれるのを待ちわびながら生活していると私は思っているんです。そして、場合によっては生命の安全だって脅かされかねない、そんな可能性だと私は思いますよ。

 そういう中で、これは人道的にも、こうした人たちにやはり希望を与えるためにも、そうしたラジオで、国内でそうした活動が行われている、そうしたことは希望を与えることであって、そして必死に今生き抜いている被害者の皆さんに、私は希望と勇気を与える、このことだというふうに思いますし、目的もただそれだけなんです。このことを私どもは今この放送法という中でできるわけですから、それについて私が命令をするということでありますので、まさに生命の安全ということも考えてのことである、このことをぜひ御理解いただきたい。

吉井委員 最初に言いましたように、拉致問題解決のために努力する、当然のことなんです。

 今問題になっているのは、これまで、放送事項三項目ですね、その表現の範囲にとどめて、憲法二十一条の表現の自由の保障とか検閲の禁止に反することにならないように、放送の自由、番組編成権、編集権の自由を尊重するという立場で臨んできたわけですよ。これは、国家が国際放送を含めて放送の編集に介入することをしないというのは歴史の教訓でもあるんですね。

 NHKの出している「20世紀放送史」でも、海外放送というのは太平洋戦争の開戦とともに姿なき武器として宣伝活動を展開したということも書いてあるし、日中戦争開始以来海外放送は急速に国策宣伝を強化していった、時事解説に軍人が登場しているとも紹介しているんですね。大本営発表で国民に道を誤らせたことは、戦前のNHKだけじゃなくて他のマスコミもありましたから、だから、戦後の出発に当たっては、読売にしても朝日にしても毎日にしても、社説に書いて、政府や軍部追随の誤りや宣伝機関化したことへの反省の弁を語っているわけですね。海外でも、BBCは、政府交付金が出ている国際放送でも国家の介入を許さないで編集権の尊重が守られている。

 やはりそれぐらい、放送に対して国家権力が介入するということは厳しく排除するということを、五十六年間、政府自身やってきているわけですよ。どういう問題を扱う場合でも、要請をしたことはありますけれども、放送の内容に命令を下すということはないわけですね。それはやっちゃならないというのが、私は、これはやはり最低限きちんと守るべきところだと思うんですよ。これは一言でいいですから、もう一遍そこは聞いておきましょう。

菅国務大臣 放送法第三条の話をされましたけれども、表現の自由というのは、憲法において保障された「表現の自由」を受けて、放送における表現の自由を保障するため、「法律に定める権限に基く場合でなければ、」という条件もついています。ですから、私は先ほど来申していますけれども、この事項ということで命令放送ができる、そこで、各大臣も今まで命令事項を指定してその命令放送をやってきたわけです。

 今回、私は、拉致問題救済のためにそうしたことに留意してほしいと。全く表現の自由だとか放送の自由だとか、そういうものに抵触しない、こう私は思います。

吉井委員 今までは、そういうことは五十六年間、実施命令書にないんです。内容については、だからこそ抑制的にということで、大臣の中で、いい悪いは別として、口頭で、できるだけこういうことは配慮してほしいとか、いろいろおっしゃった方はおられるかもしれないけれども、しかし、命令で内容に踏み込むということはなかったんです。それはやっちゃならないということです。

 放送局の番組編集の自由というのは、これは放送法の根幹中の根幹なんですね。国際放送に関する命令というのは、現行の放送法の制定時にはそもそも大臣の権限じゃなかったんですよ。これは最初は行政委員会であった電波監理委員会の権限だったんですね。これは、放送法が悪い方に変えられてしまって、それで、本来NHKにゆだねられていた放送法が変えられて、電波監理委員会の制度が廃止されて、命令放送の権限は郵政大臣に移っていった、国家権力がこういう形で関与するというようになったというのが歴史的経過ですよ。

 だから、そういうこともあるから、歴代の郵政大臣は、やはり、おっしゃったように、本来業務の方と命令放送があるわけですね、しかし、命令放送というのは条文上あるんだけれども、抑制的に臨むということで、内容には踏み込まないということをやってきたんです。

 私は特に心配しておりますのは、「ETV2001」の女性国際戦犯法廷の番組が政治家の介入で問題になったときに、これはことしの三月のこの委員会でもやりましたけれども、国民の信頼を失ってしまった問題ですよ。そういうところへやはり問題が出てきているわけです。ですから、それだけに、NHKの歴史の教訓もそうですけれども、やはり改めて、私は最後に大臣の考えというものを聞いておきたいと思うんです。

 大臣は著書の中で、ここに持ってきておりますが、「歴史教科書への疑問」という中で、従軍慰安婦の問題について考えることができ有意義であったと思います、有識者の皆様の検証によって従軍慰安婦の強制連行など実際になかったことが明らかになっている、従軍慰安婦に軍が深く関与していたという誤った情報を教科書に載せているだけでも問題ですが、青少年にゆがんだ認識を与え誤った国家観を抱くことを助長することはもっと問題です、政治が主体的にこの誤った認識を直さなければならないというのが、あなたのこの共著の中に出てくるわけです。

 この間の本会議で、安倍総理大臣は「従軍慰安婦の問題についての政府の基本的立場は、平成五年八月四日の河野官房長官談話を受け継いでおります。」と。だから、あなたはこれは間違いだと言う。しかし、河野官房長官は、政府の立場として、この従軍慰安婦の事実を認めて、軍や国家権力が深く関与したということで、その痛みを受けとめておわびをするということとかを発言された談話ですね。しかし、それに対して、あなたは、それは間違いだったと言う、政治的に正すということを過去には言ってきたんだけれども、今は河野官房長官談話を受け継ぐという立場なのか、もともとの持論をこれからも貫いていかれるのか、これを伺います。

菅国務大臣 私は、内閣の一員でありますから、安倍総理もこのことを安倍内閣として認めていますので、それに従います。

吉井委員 私は、あなたの個人的な考え方で命令放送を出すとか、そういうことになっていったら本当に大変だ、これは極めて日本の報道の自由とか根幹にかかわってくる問題だということで取り上げましたけれども、内閣が終わったらまたもとの持論でやっていくんだ、それは本当にいいかげんな政治家としての立場になりますよということだけ申し上げて、政治家としてならば、今おっしゃった官房長官談話を貫くという立場をやはり貫いていかれるべきだろう、このことを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 二十分間という時間をいただいておりますので、簡潔に大臣並びに参考人に質問をしたいと思います。

 まず、質問に入る前に大臣に確認をしておきたいのでありますが、大臣は、小泉前内閣のもとで総務副大臣を務められていました。ですから、所管行政については精通しているものと思いますが、就任直後のマスコミ会見でこういうことを言っておられます。交付税配分の改革に関する判断基準を盛り込んだガイドラインをつくりたい、大阪などの大都市は基本的に不交付団体になるべきだ。私は、この発言は随分な発言だなというふうに受けとめたわけであります。

 そこで、大臣は、選挙区は横浜市、大都市中の大都市、そういうところに住んでおられる大臣でありますから、大都市財政については私たちよりもはるかに見識を持っておられると思うんですが、念のため確認いたします。これは質問じゃありません、確認です。

 今年度当初ベースの数値で結構でありますが、横浜市に対する総務省の普通交付税額、知っていますか。

菅国務大臣 百十二億です。

重野委員 私のつかんだ数字とほぼ同じ額、私は、百十五億五千三百万、こういうふうに聞いたんです。

 そこで、質問に入りますが、大臣の言う大都市というのは政令指定都市を指すものと私は考えております。そうなりますと、一応十五大都市に限る話になるわけですが、この十五都市のうちで、平成十八年度当初ベース、不交付団体となっているのは、千葉、川崎、名古屋の三つである。もっとも、本算定分ではさいたま市を加えますと四団体と言っていいのかもしれませんが、いずれにいたしましても、これらを除き他の大都市を不交付団体とする必要がある、こういうことになるわけですね。

 この大都市を不交付団体とするという発言をされた、どういう理由から真っ先にこの点を取り上げたのでしょうか。

菅国務大臣 私は、地方は、やはり基本的には自由に、そして責任を持ってそれぞれの自治体を運営していく、このことができるのが理想だというふうに思っています。そういう意味で、先日の諮問会議においても、人口二十万を超える団体については四割ぐらい不交付団体、こういうことを目標にしたい、こういうふうにも申し上げました。それは当然、徹底した歳出削減と同時に、やはり税源移譲、そうしたものをしながら、私は、こうした都市において、不交付団体として自由に運営できる、そういう仕組みをつくりたい、そういう思いの中で発言したことであります。

重野委員 私が申し上げるまでもなく、自治体が不交付団体となるか否かという、この分かれ目は、基準財政需要額が基準財政収入額を下回る、税収が行政需要を上回る、こういう形ですね。

 そこで、もう一度聞きますが、今申されました、全部不交付団体にするということは、税源を移譲する、あるいは行政需要をカットする、その二つしかないわけですね。そのとき、大臣はどういうふうな方法で、この発言をするに至るプロセスの中で、大臣として、こういう方法ならできるという思いを持っておられるか、その点について聞きます。

菅国務大臣 まず、徹底した地方歳出の見直し、地方税収の増、さらに税源移譲を含めた税源配分の見直し、こうしたことを考えています。

重野委員 先ほどから徹底した歳出の削減というふうに言われますが、そのときに大臣の頭の中にはイメージがあると思うんですね。どういう部分が削減できるというふうに思っておられますか。

菅国務大臣 私は、民間委託や市場化テスト、そういうものを含め、あるいは人員も含めて削減できる、こう思っています。

重野委員 では、具体的に数字を挙げて大臣の考え方を聞きたいと思うんです。

 平成十六年度で見ますと、全国の市町村の歳入総額が約四十九兆九千五百億、これに対して普通交付税は約六兆七千五百七十三億円、全体にして一三・五%でありました。そのうち、今言います大都市の交付税額が約六千三百七十三億、これが十六年の数字です。ですから、全体の約一割が大都市に配分されている、こういうことになるわけです。同様に十七年、十八年と見ていきますと、ほぼそれとそう変わらない。六千三百七十三億、六千億を超すという大きなお金でありまして、大都市の財政需要あるいは財源不足という点を、私はそんなに簡単に過小評価すべきではない額だ、このように思います。

 そういうふうに見ていきますと、大都市をすべて不交付団体という大臣の発言でありますが、果たしてそんなことができるのかな、結論的に。その点について、大臣は確信を持っているんですか。

菅国務大臣 私は、冒頭申し上げましたけれども、将来的に人口二十万以上については四割、やはりそうしたい。それは当然、財源移譲という話もしました、経費削減もしました。特に大都市問題については、法令や国庫補助、国が基準づけを行っている経費以外の行財政運営の実態を踏まえて算定している経費、こういうこともやはり参考にすべきだということも私は指摘しております。

重野委員 今の大臣の答弁は事務方の答弁なんですね。大臣の答弁として、冒頭に言ったような話をしたというその大臣の答弁としては、いささか話が小さいなと。だって大臣は、繰り返し申しますけれども、大阪などの大都市は基本的に不交付団体になるべきだ、こう断言しているんですよ。だから、そのことを言うということは、そこに財源問題も含めて大臣は確信を持っているから、そのことを言ったんです。どういう確信を持っているんですか。

菅国務大臣 たまたま大阪という話がありましたので、私の考えを言わせていただきたいと思います。

 今、横浜市の人口は三百六十万人です。職員は二万八千人です。大阪は人口が二百六十万、職員は五万人です。人口が百万も違う中で、職員が二万人も多い。やはり私は、こうしたことは指摘されてもおかしくないというふうに思います。私は、横浜に税収を余分にということじゃないんです、これはぜひ誤解をしないでほしいんですけれども。やはりどう考えても、大阪市に地方交付税がたしか四百五十億ぐらい行っています。それは当然、私ども総務省からすれば算定基準に基づいて配分をしていると思いますけれども、結果から見れば、やはり国民からしてみれば、百万人人口が少ない市にそんなに交付税が行くというのは結果論としておかしいのじゃないかなというふうに、私はこれはずっと疑問を持っていましたので、発言をしました。

重野委員 それは大臣としては、単純に言っておかしいな、そういう感じですね、大臣は。どうするという、私はこれを言う以上どうするんだということが、もう大臣になったんだから。

菅国務大臣 私は、大臣になる前、副大臣でした。副大臣のときに、大阪の市長に来てもらって、このことは指摘しました。大阪市はこのことについて改善計画も出しています。当初は七千人削減する予定でした、五年間。現在はプラス五千五百というふうに聞いています。

重野委員 ちょっと話が私の思ったことを脱線しているんですね。ちょっと修正します。

 交付税、これはあくまでも基準財政収入額と需要額の差ですね。それは大都市であろうと中小都市であろうと同じです。収入額から需要額を引いた差、足らない部分は交付税で見る、これが仕組みですよね。

 そういうふうなときに、大都市を名指しして不交付団体化するとの発言というのは、地方交付税制度の基本に触れる発言じゃありませんか。その上で、どうしたいという議論はまた別の話です。今、収入額と需要額の差し引き勘定で交付税は決まるという、これは決まりです。それに照らして大臣の発言はおかしいんじゃないですかという私の指摘です。どうなんですか。

菅国務大臣 私は、先ほど来申し上げていますけれども、これはすぐではないわけです。地方分権改革推進法という法案を今回提出させていただきます。さらに、一括法を三年以内にやる、そして、税源も国、地方は一対一にしたい、こういうことも明言をしています。

 そうした中で、先ほど来申し上げていますけれども、地方公共団体の中で人口二十万を超えるところの人口の四割ぐらいは不交付団体にできればいいな、そういう目的で実は話しておりますし、大都市についてもそういうことが可能になる、そういう私の考え方から申し上げてきています。

重野委員 私が今俎上に上げています大都市の交付税が五千億を超える巨額になる。この五千億という数字、積み上げていくとそういうふうな数字になるわけですが、それを承知の上で、この地方自治体、大都市の交付税は打ち切るべきだ。

 では、この五千数百億というお金はどうするんですか。どうするということは念頭にあって、そのことを言われているんですか。

菅国務大臣 全体の税源移譲の中でこれは考えていきたい。これも先ほど来ずっと言っていますけれども、そういう中で、私の目標とすれば、人口二十万以上の都市で約四割の人口はそうしたい、そういう思いで言い続けています。

重野委員 そうすると、税源移譲のプロセス、大臣が思っている像に近づくために、税源移譲を具体的に今どういうふうな考えを持っておられるんですか。

菅国務大臣 私は、全体の税源移譲の改革の中で、偏在度の少ない消費税が一つのものではないかなというふうに思っています。

重野委員 それをどうするかということはまだ今からです、しかし地方交付税はもうカットすべきだというのは、ちょっと話の順番からして乱暴であると思いませんか。

菅国務大臣 私は、全国の地方の中において一定の行政水準を保つものを財源は確保するということも言っています。その結果として交付税が減ることもあるかもしれませんけれども、一定の行政水準を守るということは明確に発言をしていると思います。

重野委員 もう時間もなくなりました。まだほかの質問も用意していますので、今の問題は、大臣、ずうっと今後とも議論を闘わせていきましょう。

 次に、NHKの問題に入ります。

 NHK問題は皆さん取り上げておりますので重複すると思いますが、お許しをいただきたいと思うんです。

 ただ、時間的な話を押さえていくと、私は、ちょっとこの問題、NHKとそして政府との関係においておかしいなという気がするんです。NHKに対して、拉致者向けの放送をしなさいということになるわけです。

 私もいろいろ調べてみましたけれども、現にNHKは、そういうラジオ国際放送を通じて、随分拉致問題も取り上げてやっておるんですね。十月十八日のNHKの幹部の記者会見の記録を見ますと、拉致報道、北朝鮮関連二千本、そのうち七百本拉致問題について放送しているという、これは事実そうなんですね。

 そうすると、時間的に見ますと、今民間の団体が委託をして、午前中五時三十分から六時まで、午後が十時から十時三十分まで、トータル一時間ですが、放送している。その時間に照らしてみて、現に、言われなくても、NHKは公共放送ですから、そういう取り組みもやっているという現実があるにもかかわらず、今問題になっているような大臣の発言とかその後のNHKとの関係が出てくるという点については、私はやはりおかしいと思うんですね。

 私は、放送内容にまで立ち至ってするということはやらないというのが政府の方針ですから、それに照らしてみても、今NHKは公共放送として、それから政府から相当な額の補助金をもらってやっておる、そのことは十分踏まえてやってきたんだろうと。なのになぜ、いまだかつてない、初めてですよ、内容について大臣が命令をする、こういう事態になっていくのかというところに私はなぜかというような気がするんですよね。

 その点について、今までの経過と、それから、NHKがこの間に総務省の審議会の答申を受けて新年度の放送にかかわっていった、その中に対する大臣のそういう指摘というのがどうして出てくるのかという点について、もう一度説明してくれませんか。

菅国務大臣 私は、先ほど来申し上げていますけれども、拉致被害者の方の生命と安全にかかわることであるからであります。私は、この放送を決断するに当たって、被害者の方からもいろいろなお話を聞きました。向こうで生活しているときに、やはり日本の短波放送というのは強いそうです、ほかの国と比べて。それを聞いて勇気を持てたとか、そういう話も実は伺っています。

 そうしたことを考えた中で、国として、今救出を待ちわびている北朝鮮の拉致された被害者の方にやはり勇気を与えるというのは、私は政府として当然のことである、こう実は思いまして、このことを命令しよう、こう考えたわけです。

重野委員 最後に、実際今、電波を送り続けている方、録音や編集を担当する理事の方がおります。この人の発言は私は重要な意味を持っていると思うんですね。こう言っているんです。放送命令発言に不安を感じる、NHKは番組で「しおかぜ」を紹介するなど、拉致問題に熱心だと思っている、支援はありがたいが、命令という形で政府が介入すると、活動に制約が出るのではないか、不安だ。

 今第一線でやっておられる方がそのように言っているんですが、感想はどうですか。

菅国務大臣 拉致家族の会長は、今までなぜNHKが放送してくれなかったか、早くやってほしい、こういうことも正式な会として表明していることも御理解をいただきたいと思います。

重野委員 終わります。

佐藤委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興でございます。

 限られた時間でございますけれども、大臣の先般の所信に関連して、若干の質問をしたいと思います。

 まず、安倍総理が先般の所信表明演説の中でも言っておられましたけれども、地方の活力なくして国の活力はないんだということであります。そのことからいたしましても、地方振興のために責任を持っておられます総務省並びに総務大臣の役割は極めて大きいというように思っております。

 大臣所信の中で、「美しい国、日本」を実現するために各般の施策の推進をする、そうしたことを述べておられますけれども、大臣にとって「美しい国、日本」というのはどういうイメージですか。まず、そのことを伺いたいと思います。

菅国務大臣 日本の歴史や伝統や文化を大事にし、そして自分のふるさと、こうしたもとに誇りを持って、それぞれの地域の人が生きがいを持って、また規律を持って生活する、そうした国かなというふうに思います。

亀井(久)委員 先般、予算委員会のときに総理にも申し上げたんですが、私は、ちょうど今から八年前になりますけれども、橋本内閣当時に担当大臣として、「二十一世紀の国土のグランドデザイン」という国土計画をまとめました。そのときに、随分多くの方々の御意見をちょうだいいたしました。もちろん、各中央省庁の人たち、そしてまた経済界、あるいはまた地方の首長さん、学識経験者、いろいろな方々の御意見を伺いながらまとめたわけでございます。

 その「二十一世紀の国土のグランドデザイン」、その中に、私自身の非常な思い入れもございましたので、あえてサブタイトルをつけまして、そのサブタイトルは「地域の自立の促進と美しい国土の創造」、そういう副題をつけたわけでございます。私は、まさに「美しい国、日本」をつくりたい、そういう思いがあったわけですが、今、大臣のイメージというものを承って、そう違わないのかなというようには思います。

 ちょうど幕末維新のころに、随分外国からもいろいろな人がやってきて、日本の中を見て回った。そういう人たちの書いた著書等もあの当時随分読みましたけれども、東京のような大都市を見て、そういう人たちが美しいと思っていたわけではないんですね。やはり地方のありようというものを見て、美しいと言っている。その美しさというのは、自然環境の美しさだけを言っているのではないので、美しい自然と、そこと調和をして非常に生き生きとした豊かな生活を享受している、その生活様式、そこのいわば文化、そういうものを美しいとあの人たちは思ったわけですね。

 ですから、やはりただ単に自然環境を守ればいいということではなくて、そこに個性的な生活様式というものがおのずから根づいて、個性的な伝統文化というものがそこに根づいている、それが美しいんだということだと思います。

 ですから、美しい日本をつくるということのためには、私は、やはり一つのビジョンが必要だ、はっきりとした目指すべき国の形というもの、姿というものがあって、そしてそれをどう実現していくかという計画がなくてはいけないというように思います。その中で、地方自治がどうあるべきなのかということだろうと思うんです。

 今、国土計画というのが、どうも小泉政治の間不在になってしまいまして、私は、聖域なき構造改革と言われるんだから、国土構造をどう変えるかということは大変な構造改革じゃないですかということを言い続けたんですけれども、竹中大臣と私はもう天敵みたいな関係で、絶えずいろいろな政策でぶつかっておりましたけれども、あの方は国土政策の中に競争原理を入れようとした、それは私は完全な間違いだと思います。やはり国土計画というものは、国土政策というのは、経済合理性というものを乗り越えて、政治の意思として私はやっていくべきものだと思っていますので、そこが違う。

 しかも、もう一つ非常に違うのは、均衡ある国づくりというのを竹中さんは否定されるわけですよ。均衡ある国づくりを国土政策の理念にしちゃったから、全国どこに行っても同じところばかりになっちゃった、こういうことを言われる。ところが、私どもが言っている均衡ある国づくりというのは、そういう意味で言っているんじゃないんですよね。竹中さんが言われるのは、手段の話で言われている。何か手段が目的みたいになってしまうことがあの方は多いんですけれども。とにかく、あの均衡ある国づくりというのは、せっかく広い国土があるんだから、もっとバランスよくうまく使いましょうということを私どもは言っているわけです。

 大臣は横浜という大都市の御出身でございますけれども、今、首都圏、東京、千葉、埼玉、神奈川、一都三県を首都圏といいますけれども、そこの占める面積というものがどのくらいか。もう答弁を求めないで私が言いますけれども、全国土面積三十七万平方キロの中のわずか三・六%ですよね。三・六%のところに二六%強の人が集まり、物が集まり、情報が集まり、お金が集まっている。そして、過疎地域自立促進法、あの法律の指定を受けている市町村の面積を集めると、国土の約半分ですよ。国土の半分のところに一〇%もいないんですよ。正確に言うと、六・三%しか人はいない。そういうゆがんだ国土の使い方をやっていって、美しい国なんかできますか。

 ですから、私は、バランスのとれた国土の使い方をもっとやっていくべきじゃないだろうか、それには経済合理性も乗り越えた一つの意思というものが政治から示されるべきだということをずっと力説してきたわけです。

 ですから、今大臣が、地方の財政運営をやっていくために交付税や地方税の総額を確保したい、その思いはわかりますけれども、そのことだけで本当に美しい日本ができるとは私は思わないわけでございます。

 今、あの二十一世紀のグランドデザインというのは、どこかお蔵に入ってかぎを閉められちゃったみたいなんですけれども、それにかわって国土形成計画法というものがあるということのようですが、その辺、国土交通省と総務省とが、同じ政府ですから、きちっとやはり調整をもっととっていただいて、連携を強めていただいて、こういう国をつくるんだという一つのはっきりとしたビジョンの中で地方行政もやっていただきたい、そのことを特にお願いをしたいと思います。

 国交省、来ていると思いますが、今の形成計画法がどうなっているか、ちょっと教えてください。

渡邊政府参考人 委員御質問の国土形成計画でございますが、人口減少、東アジアの成長等、経済社会情勢が大きく転換する中で、地域の自立に向けた国土全体の枠組みを示す新たな国土計画の策定が求められているというように認識しております。このため、現在、国土交通省では、全国総合開発計画にかわる新しい国土計画であります国土形成計画の策定に取り組んでいるところでございます。

 このうち、全国計画につきましては、国土審議会に計画部会を設置し検討を行っているところであり、平成十九年中ごろを目途に計画を策定することを予定しております。策定中の計画では、広域ブロックを単位とする地方が、その有する資源を最大限に生かして地域戦略を描き、特色ある独自の発展を目指すこととしております。

 また、全国計画の策定に続きまして広域地方計画を策定し、圏域整備を実施していく上で必要な具体的な施策、事業等を示していくこととしております。広域地方計画につきましては、国の関係行政機関、地方公共団体、地方経済界等から成る広域地方計画協議会が計画及びその実施についての協議を行うということになっておりまして、関係省庁を初めとして、関係自治体間の緊密な連携がこれまで以上に図られるものと考えております。

 これらを通じまして、官民の連携による地域支援の再生や、地域雇用の創出などの取り組みの促進に向けた環境整備を行い、地域の活性化を支援してまいりたいというふうに考えております。

亀井(久)委員 さっき大臣が地域の自立性ということを言われたわけで、もちろん、地方の人たちが自分の頭で考えて自分の足で立つという、その意欲を忘れてしまったら成り立たないから、それが一番大事なことだと思うんですけれども、「頑張る地方応援プログラム」なんという、まだ中身がよく見えていませんけれども、例えば外国企業の誘致なんということをその一つの例示として出されているけれども、外国企業の誘致を今やれるような地方が一体どこにあるんですかということを私は言いたいですね。

 もちろん、地域間競争を激しくやって、そのことによって活力ある国土をつくるというのも一つの手法としてわからないことはないけれども、そのためには、やはり競争条件というものを同じにしなければ公正な競争というのはできませんよね。東京のような社会資本が十分に充実をしているところと地方と同じスタート台に立たせて、さあ、自分の頭で考えて自分の足で立て、走れといったって、それはますます差がついてしまうのは当たり前のことですよね。だから、今の格差が中央と地方と拡大しているということにも、ただ競争さえすればそれで地方がよくなるんだ、そういうことでは割り切れないのが私は地方の実態だと思います。

 ですから、競争条件を同じようにするということは、当然、社会資本整備というものもそれに伴ってくるわけで、必要な社会資本整備というものは大胆に、これは経済原理とかそういうことを超越して戦略的に私はやっていくべきものだと思います。その点のお考えをちょっと伺いたい。

菅国務大臣 やはり、基本的には地方にまず安心感を与える、それと、地方にも頑張る何か仕掛けというのが私は必要だというふうに思っています。財政力指数が低くても、そこの地域の魅力を生かす何かできることは私は必ずあると思っていますから、そうしたものを引き出せる、こういうこともぜひ考えた中で、「頑張る地方応援プログラム」というのを、今それをこれから、地方の市町村長さんからも意見を聞きながら、年内かけてつくり上げていきたいというふうに思います。

 ただ、今地方分権一括法、今回の国会でその理念とかいうものを実は出させていただいています。こうしたもので、地方が自由に自分で物事を考えて、責任を持って、また自立できる、そんな仕組みはぜひ必要だというふうに思いますし、道州制というのも、やはり私は、将来的にそういうグランドデザインの中でこの国というのがあるべき、そう思います。

亀井(久)委員 大臣の言われることもわからぬことはないんですけれども、とにかく地方が本当に頑張れるその環境づくりをするのがやはり政治の大きな責任だと思いますから、そこはまたはっきりとした計画、目標というものを示すという、そのことも関連しまして、よく政府の中でしっかり調整してやっていただきたいというように思います。

 郵政の民営化担当大臣でもありますので、郵政の民営化についても質問したいと思ったんですが、もう時間がなくなってきました。

 この間の予算委員会のときにちょっとお話ししましたが、やはり経営形態を含めてこれはもう一度見直さないと、今の状況ではいろいろな矛盾がどんどんどんどん出てくる。今まだ公社の段階でございますけれども、もう既に、サービス低下というように多くの地方の人たちが受けとめている実態があるわけですから、そういう中で、三事業の一体性というものをもう一度しっかりと担保していく何らかの措置がなければ、私は地方の郵便局はもたないだろうというように思っていますので、そのことについてはまた改めて御議論したいと思います。

 それから、NHKに関連してちょっと伺います。

 私、ことしの三月のNHK予算のときに、竹中大臣に相当厳しいことを申し上げましたけれども、イギリスのBBCとNHKとよく比較されるので、私もその比較をしながら質問したんです。

 BBCというのは、イギリスの国民は非常に信頼をしております。その信頼のもとはどういうところにあるかというと、政治権力といつも一定の距離を置いているという、そこに国民の信頼のもとがあると私は思っています。これは、あれが保守党政権だろうがあるいは労働党政権だろうが同じであって、サッチャー政権のときも厳しくBBCはぶつかったし、ブレア政権のときも厳しくぶつかった。やはりそこに、政治権力と一定の距離を置いているという、そこにBBCの信頼性というものはあると思う。

 NHKも、もともとは民間法人として出発をしたわけですけれども、戦前、戦中のいろいろな反省があって、新しい放送法のもとで公共放送としての新たなスタートを切っておるわけでございます。その公共放送としての今の役割というもの、これを国民はそれなりに評価しているだろう、支持しているというように私は思います。受信料の不払い等、不祥事が原因になってそういうことがある、それは厳しくNHKの内部で自律してもらわなくちゃいけませんけれども、やはり公共放送としてのNHKの役割というものは非常に大きいということは、私はみんな思っていることだろうと思います。

 そういう中で、NHKは特殊法人ではあるんですけれども、国の役割をかわってやってもらっているという、そういう特殊法人とは基本的に性格が違うわけですね。やはりNHKの独立性というもの、政治権力と一定の距離を置いて独立してやっていく、そういうことがNHKのNHKたるよさだろうというように私は思っております。

 竹中前大臣にこの点を確認いたしましたら、竹中大臣も私の考え方に賛成されて、NHKの公共性に関連して国の使命という言葉を使われたから、国の使命というのはまさか国の権力を肩がわりしてやってもらうという意味での使命じゃないですねということを言ったら、そうじゃありません、とにかく中身についてあれこれ言うようなことじゃなくて、独立した一つの経営形態というものを維持しながら、その中で自主的にやってもらえる大きな枠組みをきちっと守っていくことが国の役割だ、そういう答弁をされたわけです。その竹中前大臣の考え方と菅大臣はまさか違うとは思いませんけれども、それを確認したいと思います。

菅国務大臣 今委員の御意見にありましたように、我が国は、広告収入の民放と受信料のNHK、二元の中でお互いに切磋琢磨して今日まで来ているわけですけれども、特にNHKについては、受信料をもとにする特殊法人であって、その放送については、第七条に基づき、あまねく全国における放送から国際放送の実施まで、民放とは異なる社会的使命を担っておるわけでありまして、今後ともそうした使命を引き続き担っていくこと、このことがやはり重要なことであるというふうに思います。

 総務省としては、NHKが放送法及び番組基準に従い、視聴者の意向に不断に耳を傾けて、公共放送としての特徴というものを十分に生かして、これから国民の皆さんに親しまれる放送として発展することを望んでいるところであります。

亀井(久)委員 先ほど来、各委員が命令放送のことについて指摘をしておられましたけれども、法律上問題がないからやるんだということによって、結果的に、政治権力が公共放送たるNHKに関与している、あるいは命令をしている、そういう印象を与えてしまうということはNHKのこれからのためにも決していいことではないというように私は思いますので、その点は、NHKの公共性を守る、その観点で総務大臣にしっかり対応していただきたいということを申し上げたいと思います。

 終わりに、NHKからも一言、今の問題に関連して何かコメントがあったらお願いします。

中川参考人 申し上げます。

 NHKとしましても、公共の財産でございます電波をお預かりしまして、しかも受信料ということをいただきまして運営しております公共放送でございますので、その使命は非常に重いということを考えております。

 特に、その使命の中で、民主主義の健全な発展に資するということを放送を通じてやらせていただいているということで、的確な情報、正しい情報、あるいはまた日本のすぐれた文化財産、こういったものを放送を通じて御紹介する、そのために、何よりも、どんな圧力からも自由である編集権の自主自律というものが最も根本的なところである、これは公共放送としての極めて重要なことであるというふうな認識のもとで、日々運営をさせていただいているところでございます。

亀井(久)委員 終わります。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 この際、理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事萩生田光一君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に谷畑孝君を指名いたします。

 次回は、来る三十一日火曜日午後零時十分理事会、午後零時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十三分散会


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