衆議院

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第10号 平成18年12月12日(火曜日)

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平成十八年十二月十二日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 谷  公一君

   理事 谷畑  孝君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 康夫君

      福田 良彦君    渡部  篤君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      後藤  斎君    鈴木 克昌君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      谷口 和史君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務副大臣        田村 憲久君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   法務大臣政務官      奥野 信亮君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            森   清君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   寺崎  明君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    寺田 逸郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   橋本 元一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   原田 豊彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   西山 博一君

   参考人

   (社団法人日本民間放送連盟報道委員会報道小委員長)            渡辺興二郎君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十二日

 辞任         補欠選任

  西村智奈美君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 克昌君     西村智奈美君

同日

 理事葉梨康弘君同月八日委員辞任につき、その補欠として葉梨康弘君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 情報通信及び電波に関する件(通信、放送)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に葉梨康弘君を指名いたします。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 情報通信及び電波に関する件、特に通信、放送について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会会長橋本元一君、理事原田豊彦君、理事西山博一君及び社団法人日本民間放送連盟報道委員会報道小委員長渡辺興二郎君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官細溝清史君、総務省情報通信政策局長鈴木康雄君、総合通信基盤局長森清君、政策統括官寺崎明君及び法務省民事局長寺田逸郎君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田真敏君。

石田(真)委員 おはようございます。自由民主党の石田真敏でございます。

 短い時間ですので、答弁いただく場合に、ぜひ簡にして要を得た答弁をお願い申し上げたいと思います。

 まず、いわゆるNHKの命令放送についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 十一月十日に放送事項の変更命令がなされたわけですが、それから約一カ月が過ぎたタイミングでございますので、きょうお越しいただいております橋本NHK会長にまずお伺いをしたいと思うわけですが、まず、命令をどのように受けとめられたのかということ、そして同時に、それを受けた後約一カ月あったわけでございますが、どのように対応されてこられたのか、お聞かせいただきたいと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 十一月十日、命令放送を受領いたしました。

 私、常々、やはり報道機関の長として、編集の自由を守り、公正中立、不偏不党、あくまでも自主自律を貫くということ、これは報道機関の生命線だ、基本だと考えております。こういうことで、この命令につきましてもお受けいたしましたし、実際にこの原則にのっとってこれまでも放送してまいってきております。今後とも、この姿勢を貫いてまいりたいと考えております。

石田(真)委員 もう少しお伺いしたいところですが、時間がありませんので、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 この問題が話題になってからいろいろな議論がなされまして、この総務委員会の場でもそういうふうな議論がなされました。例えば、命令という言葉を変えた方がいいのではないかとか、あるいはNHKの自主放送とは分離した方がいいのではないか、そのような御意見もありましたし、法自体を見直した方がいいのではないか、そういういろいろな議論があったわけでございますけれども、ただいまの橋本会長のお話を踏まえまして、現時点で菅大臣はどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

菅国務大臣 この委員会を初め、またマスコミからもいろいろな御意見がありました。私は、法律に基づいてこの命令放送というものを諮問したわけでありましたけれども、そんな状況でもありました。

 現在、放送法の改正に向けまして、次期通常国会への提出を検討いたしておるわけでありますけれども、現行のこの命令という言葉、意味はわかるけれども命令という言葉が問題だとか、いろいろな御意見もありました。そうしたことも含めて、見直しの必要性、そういうことも含めて検討をし、適切に判断をしていきたい、こう思っています。

石田(真)委員 放送法の改正についても言及いただいたわけでございます。これは非常に難しい問題もはらんでおりますので、ひとつ大臣の方で十分御検討いただいて、適切な対応をしていただきたいなというふうに思います。

 時間がございますので命令放送についてはこの辺にさせていただいて、せっかくきょうは橋本会長がお見えでございますので、以下、橋本会長にお伺いをさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 NHKの放送受信料に関してでございますけれども、先日、十八年度の上半期の報告をいただきました。それを見せていただくと、受信料の支払い督促の実施ということで頑張っていただいたということで、多少は改善しているようでございますけれども、まだ多数の不払いがあるというのも事実でございます。これを放置しておきますと、やはり、払っている世帯、それからそうでない世帯、大変な不公平を生じるわけでございます。

 こういう中で、受信料支払いの義務化というような問題が議論の対象になってきているというふうに思うわけでございまして、菅大臣の方でも、十一月十日の記者会見で、義務化するかしないかというのは三月までに考えて、それを踏まえて法案を提出したい、このように記者会見で述べられているわけでございます。これを本当に三月までに判断して進める、その前提条件というのは、一言で言えば、果たして国民の信頼を回復し、理解を得られるのか、これが一番大きな大もとになるわけでございますが、私は、そのためには幾つも、たくさんの課題があると思いますけれども、最低限クリアしなければいけないのが二つあると思います。

 そのことについてこれからお伺いしますが、第一点は、やはり何といいましても不祥事を根絶する、これがもう国民の信頼を回復する第一番になると思います。

 実は、そういいながら、御承知のように、四月にはスポーツ担当職員の不正経理問題が起こりましたし、十月には地方局長の不祥事が続いているわけでございまして、どうも職員さんの中に、受信料を基本財源に公共放送事業を担っているんだという意識が欠如しているのではないかな、そういう危惧を抱くわけでございます。また同時に、経営委員長さんの会社でも今新聞紙上をにぎわしているようなことがあるわけでございまして、倫理意識の向上それから綱紀の粛正、この問題に取り組んでいただいてそれなりの成果を出していただかなければ、私は到底国民の信頼を得られるとは思わないわけでありますけれども、この問題にどのように会長として取り組もうとされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

橋本参考人 石田委員仰せのとおり、受信料につきましては、回復の兆しというものが見えております。私も、公平負担の意識をいかに経営的につくり出していくかということに腐心しております。その中で、やはりおっしゃるとおり、公共放送人としての倫理観、あるいは受信料を大切に使うという意識、こういうものが大変基本になってくるということを重々感じてございます。

 その中で、実際にこのような不祥事が起こっている中で我々深く反省しておるわけでありますが、具体的には、不正経理あるいは公共放送人の意識というものをしっかりと点検するチェックシステム、こういうものも構築してまいっております。具体的には、不正経理をチェックアウトするコンピューターシステムの導入とか、あるいは職員の研修もそうでございますが、そういうふうなものを組み合わせて、この倫理観の形成ということを図ってまいっております。

 これからも、このようなことにつきましては大変重要なことだと思いますし、しかも、仕組みをつくって魂入れずでなくて、このために我々、いかにNHKとして公共的な意識が大事かということを職員に対しても、私を代表として、役員を職員の対話集会等にも参加させてこの意識を徹底する、この活動を一層邁進して進めてまいりたいと考えてございます。

石田(真)委員 まさしく、どう魂を入れるかということでありまして、それは、私は国民の皆さんが見ていると思いますし、来年の三月というような、そういう短期間の中でどれだけのことができるのか、本当に言葉だけでなしに、国民にわかるような形にしていくためにはどうするのか。これは本当に難しい問題だと思うんですけれども、そのハードルを越えないとなかなか次のステップに進めないというのが現実ではないかと私は思いますので、その点、十分わきまえていただいて、今後対応していただきたいというふうに思います。

 それから、国民の信頼を回復するもう一点、二点目ですけれども、やはり無駄のない経営をしてもらいたい。これはもう当然のことでございまして、これについて、ことし一月に、三カ年の経営計画を発表されました。これは私も見せていただきまして、中に、千二百人の職員を削減しますと。これは目玉の一つなんですね。ところが、同じ経営書の中に、NHKと子会社の職員数の変化という表がありました。本体の職員さんは減っているんですけれども、子会社の職員さんはふえているんですね。これはつけかえでないかとか、あるいは費用項目でいえば、人件費を委託費にかえているだけでないか、そういうことも考えられるわけで、やはりグループ全体の中でどうスリム化を図っていくのか、もう少し透明性のある対応というのを考えていかなければいけないんではないかと思いますが、私は、その点について、会長の御判断をお伺いしたい。

 もう一点、時間のかげんで続けて申し上げますけれども、私も資料を見せていただいていますと、徴収コストというのは物すごく高いんですね。八百億ですよ。経費率でいうと一三%。これは、一般的な考えからいうとちょっと高過ぎるんではないかな、一体なぜこういうふうに高くなっているのかということ。

 それからもう一つ、やはり今、政府でも市場化テストとか、いろいろな形での徴収コストというかコストの削減を求められている中で、こういうような徴収コスト八百億、経費率一三%、そのままでいいのかどうか、これは問題があると思いますね。ですから、無駄のない経営をするということは、国民の信頼を回復する、そのための大きな前提の一つになってくると私は思いますので、今申し上げた点、これはほんの例え話ですけれども、それについてまずお聞かせをいただきたいというふうに思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 まず、経営努力によるコスト削減ということでございます。

 我々、これまで長い間、この経営努力、コスト削減ということは大変重要な課題でございました。新たなメディアが立ち上がる、こういうときでも、できるだけコスト削減しながら対応してきたという経過もございます。特に、関連団体の点でいいますと、平成十年の段階では六十五あった関連団体を、現段階では三十四に整理統合してまいってきております。また、職員と関連団体職員を合わせたトータルパワーにしても、順次削減の方向で経営努力ということはやっております。そういう中で、これからまた新しいデジタル化時代ということを迎えて、当然ながら、一層それに対応した整理統合案ということは考えなきゃいけない、そういうものもあわせて、今後とも継続してスリムな体制を目指す、その努力を加えてまいりたいと考えております。

 それから、営業経費率でございます。私も、これは大変重要な課題だと考えております。一方、受信料をいただくには、訪問して、いただくということになっております。この中では、年間三百万とも言われる転居、あるいは伺っても会えない、そういう社会状態等もございますので、これに人手がかかってコストがかかるということはございますけれども、できるだけ現代的なといいますか近代的なIT手法等も使い、銀行の口座払いとかカード払い、こういうふうなものを中心とした合理的な方法に変えることによってこの一三%をさらに一層低下させたいというふうなことで、現在計画を策定中でございます。

 以上でございます。

石田(真)委員 御答弁いただいたんですが、六十五団体を三十四団体にされた、これは私もわかっているんです。ところが、本体の人数は減っているんだけれども、子会社の人数がふえているわけですね。そのあたりが、国民から見ると不透明に見えるということなんです。だから、それを含めて、これだけ我々は頑張っているんだという説明をしていただくということは大事だというふうに私は思います。

 それから徴収コストの方も、政府が、市場化テストなんて、本当に今までになかったようなことをやっているわけですから、NHKも、そういうような、本当に新しい、国民の皆さんが、おお、そこまでやるのかというようなことを打ち出していかないと国民の理解は得られないというふうに私は思います。

 時間が来たので終わりますけれども、今申し上げたのは二点ですよ。一つは、不祥事を根絶する、それからもう一つは、無駄のない経営をやる、これは国民の信頼回復、理解を得るためには最低限必要だ。ほかにもたくさんの課題があると思いますよ。そのことについてお聞きしたかったんですけれども、時間がございませんので、ほかの課題も含めて、やはり国民の理解を得られるようにオープンにしていただいて、何がどう変わったのか、そのことをこれから、短期間ですけれども、一生懸命、橋本会長のリーダーシップのもとで頑張っていただけるようにお願いをして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

佐藤委員長 次に、渡部篤君。

渡部(篤)委員 自由民主党の渡部篤であります。

 最初に、大臣に近未來通信について質問したいと思います。

 日本の情報通信分野は、イノベーション、技術革新と、あるいは電電公社の民営化による規制緩和で発展してきました。しかし、近未來通信のこの事件は、IP通信の将来をかたった詐欺事件であるとするならば、電気事業者が一万四千を超えている現状ですから、悪質な事業者がいかに参入できないシステムにするかというのが大きな課題だと思っています。

 電気通信業の枠組みは電気通信事業法でありますが、この法律は、利用者保護の観点はありますが、日本の情報通信を健全に育成していく、そういう視点がもっと政策に必要だと私は思いますが、大臣にその点をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 電気通信事業の公共性にかんがみれば、行政の視点として、今日まで、利用者の保護、そこに重点を置いて私ども取り組んできました。しかし、今委員から御指摘のございましたように、電気通信事業全体の健全性を確保していく、このことも極めて大事なことである、このように私ども考えております。御指摘のようにこの近未來通信の問題についても取り組んでいきたい、こう思っています。

渡部(篤)委員 それからもう一つ私は大臣に質問したいのは、個人投資家保護についてであります。

 資本主義とか市場経済では個人投資家は自己責任を負わなければならないと私は思っていますが、このような不正を働いている会社に対しては、総務省は、例えば今、調査したり、あるいは立入調査をしたり報告を受けたりして、それを国民の前に明らかにしていますが、私は、問題のある事業者の情報を国民にもっと明らかにして、投資家に対して情報を提供すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私ども、電気通信事業法を所管する立場からして、投資家保護にどこまで踏み込んで行うことができるかということは、非常に難しい問題であるというふうに思っています。

 ただ、今回の近未來通信についてでありますけれども、私ども、電気通信事業法の百六十六条第一項に基づいた報告徴収を踏まえ、それに基づいて立入検査をしました。そして、その結果を、公表できるものはできる限り公表しよう、そういう立場に立って事業の実態を公表させていただきました。その結果として、投資勧誘を含む事業の実態が、言われたものと実態がかなり違っていた、そういうことが明らかになってきたというふうに思っています。

 今御指摘がありましたように、さらに国民的視点に立って迅速かつ機動的に対応できないか、こういう犯罪というものを未然に防げる方法はないか、そういうことも含めて、事業の健全性というものを電気通信事業法全体の観点から今検討している、そういうところであります。

渡部(篤)委員 規制緩和というか市場に任せるというか、事前審査から事後審査に変わる、これはもう時代の流れで、ルビコン川はもう渡ったと思いますが、不正を行う、そういう事業者を規制したり、参入できないようなシステムを私は考えていくべきだなと思います。

 それから、我が国の情報通信産業ですが、国際競争力についていろいろ私は疑問に思うんですよ。例えば、我が国の技術であるとか情報通信産業のサービスについては、能力は高いと私は思っています。しかし、国際的にはどうなのか、日本のメーカーのシェアはどうなのかと見ると、低いものがあると思います。

 例えば、フィンランドのノキアであるとか、あるいはスウェーデンのエリクソンであるとか韓国のサムスンであるとか、そういう企業のシェアは、携帯電話の端末についても確実に高いものがあります。日本のメーカーのシェアがなぜ低いのか。私は、今の日本のこういう産業を育成していくためには、国家とか行政が大きな力を果たしていくべきだなと思います。ノキアだけで、エリクソンだけで、サムスンだけで彼らの業界が発展しているのではないと思います。国家が戦略をつくって、あるいは大きな枠組みをつくっているからこそ、そういう産業というものが、外国の企業が発展していくと思うんです。

 大臣は、就任早々に、大臣の懇談会としてICT国際競争力懇談会を設置しましたが、どういうふうにして情報関係の産業を国際競争力の強いものにするのか、お伺いしたいと思います。

菅国務大臣 私は、情報通信産業というのは、これからの日本を支える極めて重要な産業になっていくと思いますし、育て上げなければ日本の将来というのは非常に厳しい状況になってくるというふうに思っています。

 現実的に、日本のそうした情報産業の技術力、例えば携帯電話一つとってみても、約六割から七割の人が、日本の携帯電話というのは優秀であると、その技術力というのは外国人の研修の方も皆さん認めていらっしゃる。しかし、今御指摘がありましたように、実際、携帯電話のシェアはどうなのかといえば、今、ノキアだとかそういうところと比べればはるかに低い、十数%が世界的なシェアでありますから。

 そこで、国際競争力を強めていく、そういうことを私かねてから考えておりましたので、大臣に就任をして、その懇談会というものを設立させていただきました。例えば、ブロードバンドは世界で最も速くて安いものを日本は実現した、しかし、ネットワーク関連機器のシェアは非常に低い、海外での事業展開も非常におくれている。そういう中で、国際発展を行うために、今回、ICT国際競争力懇談会というものを設置いたしました。なぜ日本が技術力がありながら海外で活躍することができないのか、そうしたことを、それぞれの分野の責任者、例えば商社の人もその懇談会のメンバーの中に入ってもらいました。オール日本の中で何としてもこのことを育て上げたい、そういう懇談会であります。

 来年の一月には中間取りまとめ、そして四月には最終取りまとめを行って、我が国の情報通信産業が世界で先進してきた他の国々と肩を並べ、まさにそれを抜き去るような、そうしたものを育て上げたい、そんな思いで今懸命に取り組んでいるところであります。

渡部(篤)委員 例えば、日本の政治が経済を成長させて税収を上げる、まさにそのリーディング産業というのは情報分野の産業ですから、大臣にぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それから、情報セキュリティー政策について一つお聞きしたいのは、コンピューターウイルスのボットプログラムについてです。これは、日経新聞に出てびっくりしたんですが、総務省と経済産業省は撲滅に着手しているということですが、セキュリティーというのは情報産業にとって大きな問題ですから、この問題についてお伺いしたいと思います。

寺崎政府参考人 御指摘のとおり、ボットプログラムは、他人のコンピューターを無断で操作することを目的につくられたプログラムでございます。ユーザーは、自分で気づかないうちに感染してしまいまして、攻撃者に遠隔から操られたり、ひそかに内部の重要情報を外部に送信したり、特定の機関に対して一斉攻撃をしかけたりするものでございます。有害なプログラムでございます。

 そういった観点から、総務省では、このボットプログラムの撲滅に向けた対策を、経済産業省と連携し、本年度から取り組むこととしております。具体的には、ボットプログラムを安全に捕獲、分析しまして、これにより作成された駆除ツールを電気通信事業者の協力を得て感染者に配布することとしております。この一環として、本日からホームページを立ち上げ、ボットプログラムに関する情報提供等を開始いたしました。

 総務省では、ボット対策を初め、利用者が安心して利用できるネット環境を整備するため、引き続き情報セキュリティー対策を推進してまいる所存でございます。

渡部(篤)委員 私の持論ですが、情報分野、情報通信をこれから日本で活性化させていくためには何が必要なのか。もちろん、市場にゆだねる、規制緩和をして新しい産業をつくるということは絶対必要ですが、まず秩序が必要だと思います。そして、不正な人が入ってくることのできないものを、きちんと明確なものをつくること、それからコンピューターウイルスを含めてセキュリティー対策も絶対に必要です。

 そしてもう一つは、ステートキャピタリズムと私は言っているんですが、どんな産業でも、やはり国家とか政府がそれを後押ししていかなければその産業は育たないと思います。今、新古典派だか、すべて市場に任せ、そして規制緩和をして、それでいい。そうではなくて、国家がきちんとした方針を、この二十一世紀で日本が発展していくためにどういう情報産業をつくっていくのかというきちんとした理念がなければ、私は大変なことになると思います。

 国際社会の中で我が国のメーカーが海外に進出して活躍することができないというのは、やはり行政とか国家の支援が少ないのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私もおっしゃるとおりだと思います。

 ノキアという携帯電話がなぜこれだけ発展をしてきたのか。私は、副大臣のときに本社を訪問して、一時間半ぐらいでありましたけれども、いろいろなことを聞いてまいりました。そのとき非常に印象に残ったのが、国の財政事情が厳しいときでも、基礎研究については、国は一貫してお金を出して、一体となって研究をしてきた、そして連日のように国と打ち合わせをしていた、そういうことをノキアの副社長の方から私は伺いました。まさに産学官の連携という中でこのノキアがあるんだなということを痛切に感じました。

 まさに今委員指摘されましたけれども、情報通信産業というのはこれからの産業であります。GDP比で十数%が情報関連産業でありまして、さらに、成長分野を見てみますと四〇%が情報通信関連でありますから、そういう意味で、国家戦略として情報通信産業を育てていくというのは御指摘のとおりでありますので、私どもも全力で取り組んでまいりたいと思いますので、ぜひ御理解をいただき御協力を賜りますことをお願い申し上げたいと思います。

渡部(篤)委員 情報通信分野の発展は、規制緩和と市場だけではなくて、不正に入ってくる、いわゆる一万四千の事業者の中にいる不正な人に対しては厳しく規制をしたり排除すべきだと私は思います。

 そして、政府が国家戦略を明確にしていただきたいんですよ。つまり、大臣にお願いをしたいのは、日本の将来の国家戦略というものの中で情報産業を明確に位置づけて、そして世界に大きな志というのを訴えていただきたいと思います。

 大臣、どうですか。私はもう一回そのことを聞きます。

菅国務大臣 私は、やはり目標を持って取り組むべきだというふうに思っています。そういう意味におきましては、自動車産業と並ぶ産業に育て上げたい、こういう目標を掲げて、この懇談会の際に私はあいさつをさせていただきました。全力で頑張っていきたいと思います。

渡部(篤)委員 大臣に強く要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。おはようございます。

 冒頭、菅大臣にお話をさせていただきたいと思いますが、菅大臣、大臣になられて大変精力的にやっていらっしゃる、またスピード感を持ってやっていらっしゃることは大変評価をいたしております。ただ、今から質問をするNHKの命令放送に対しては、私はちょっと違和感を持っておりますので、このことについてお尋ねをいたしたいと思います。

 放送法三十三条第一項に、「総務大臣は、協会に対し、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して国際放送を行うべきことを命じ、又は委託して放送をさせる区域、委託放送事項その他必要な事項を指定して委託協会国際放送業務を行うべきことを命ずることができる。」こういう第一項があるわけです。

 これは二つから成り立っておりまして、まず初めの方は国際放送、ラジオのことですね、NHKワールド・ラジオ日本。後半の委託協会国際放送業務というのが、NHKワールドTV、テレビの方であります。ラジオとテレビに対して命ずることができるということで、私は、以前に質問をさせていただいたのは、現行のラジオのことについて申し上げたわけであります。

 十八年の十一月十日に大臣名義でNHKに対して命令書が発出されました。特に北朝鮮拉致問題に留意すべきであるというように発出されたわけでありますが、一方で、この命令放送を行うには予算措置を、国が金を出さなきゃいけません。それで、十九年度の予算を見ますと、総務省は、新規で三億円、国際放送の強化ということで要望されておられるわけであります。

 この要望のところを読みますと、「「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」に基づき、我が国の海外への情報発信力を高めるため、NHKの映像国際放送を強化するとともに、映像国際放送の一層の発展に向けた調査研究を実施」するということで、三億円、今予算編成をやっている途中でありますけれども、要望されているわけです。この三億円が今言っているテレビの命令放送のことで、この要望の状況と大臣が考えていらっしゃることとの間に私はちょっと違和感を感じておるわけです。

 それで、NHKの方に状況を聞きますと、テレビを命令放送の対象にする場合、北朝鮮の関係者が受信するわけです。拉致の方、もしくはその関係者が受信をする際に、大体直径二・五メーターから六メーターのパラボラアンテナを設置しないと受信できないわけです。あの辺の大変な状況で、そんな大きなアンテナを設置できるのかというようなこと。

 このようなことを私は考えておりまして、拉致の問題は大変重要であります。しかし、実質的な解決を図っていかなきゃいけませんので、いわば表面的に、大臣がいろいろなことをおっしゃっておりますけれども、命令放送においても、例えば口頭でおっしゃるとか、そういう放送権の侵害といいますか放送の中立性を、あえて問題提起されたのかもわかりませんけれども、このようなことを命令書の形で発出したというのはちょっと行き過ぎのように私は思うわけであります。

 そこで、まず第一点、大臣にお尋ねしたいのは、先ほども申し上げました、予算要望の三億円の趣旨と今現在考えていらっしゃることとの間にちょっと違いがあるんじゃないか、このことについてお尋ねしたいと思います。

菅国務大臣 放送法においては、委託協会国際放送業務、いわゆる映像の国際放送に対して命令を行うことができる、こういうふうになっていますけれども、従前はこの命令を行ってきておりません。

 映像国際放送については、欧米あるいはアジア諸国において、各国が映像による情報発信というものを積極的に支援しております。我が国としても、早急に海外への情報発信の強化を図る必要がある、そういう観点から、十九年度予算において、この映像国際放送に係る命令放送の実施について三億円の予算要求を行っているところであります。

 私は、この委員会で、かねてから何回か質問をいただいて答弁しておりますけれども、映像国際放送に係る命令の内容については、正式に予算が認められた段階で検討しますけれども、現時点では、短波放送による命令放送というものを基盤として、一つの流れとして検討していきたい、そういうことに踏みとどめさせていただいているところであります。

谷口(隆)委員 お答えは出なかったんですが、要するに、総務省として予算要望している内容と今現在考えていらっしゃることとの間にちょっと違いがありますよということを申し上げたわけであります。

 きょうは、大変お忙しい中、NHK会長に来ていただいております。今大臣は、予算で三億円がとれればテレビにも命令放送をしたいというようなお考えでありますけれども、先ほど私が申し上げたように、パラボラアンテナという大きなアンテナをつけて受信できるのかというようなことがあるんですが、現実的な効果という観点で、橋本会長、どのようにお考えなのか。

菅国務大臣 私の答弁が、三億円を予算要求したから命令放送をしたいということではないということで御理解をいただきたい。命令できる状況にあることはそうですけれども、するしないという判断はまだいたしておりません。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 大変具体的な御質問でございますが、実際にCバンドという周波数を用いて受信する場合には、二・五メーター以上から六メーター級の大きなパラボラアンテナで受信するという物理的な構造が必要でございますので、それを北朝鮮の中で、これは北朝鮮に限らずなんですが、こういう設備を導入して、短波でなくてテレビ国際放送を受信するということについては、費用も手間もかかりますし、大変難しいことというふうに考えております。

谷口(隆)委員 今会長がおっしゃったとおりだと思うんです。要するに、大臣の意思はよくわかるんですね。だけれども、それによる副作用があると思うんですよ。

 さっきも申し上げましたように、この命令放送によって番組編成権の自由を侵害するとか、また、放送の中立性を侵害するといったような報道関係者の受け取り方があるわけです。大臣はそのことについて幾たびも答弁されておられるわけでありますが、効果のないようなものを、あえてテレビもしたいというようなことはおっしゃらない方がいいと私は思うわけで、このような副作用があるけれども、あえてテレビに対して命令放送をしたいとおっしゃる大臣の真意をもう一度お話をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 私は、かねてからも、テレビに対して命令放送をするということは一度も言ったことはないというふうに思います。

 私は、五人の人が日本に帰国をされて、そうした人からもいろいろなお話を伺っています。北朝鮮のテレビというのは、全部ハンダづけをされているというんですね。そのハンダづけを解いただけで刑務所に行かざるを得ない、それぐらい公安が活動している。しかし、ラジオについては、小さいですから隠し持つこともできて、そのラジオの放送を聞いて勇気づけられた、そういう方からお話を伺って、私は、放送法の中で認められているラジオの短波放送について命令放送をし、自由を奪われて北朝鮮で生活をしている日本人に対して勇気を与えたい、そういう思いでラジオに対しては決断をしました。

 ですが、テレビについては、そういう状況でありますので、命令放送しても全く意味がないというのも私はわかっておりますので、ある意味ではするわけがない、このように思っています。

谷口(隆)委員 私は、ラジオもやはりちょっとどうなのかなというのがあるんです。いろいろ、実態的に拉致問題を解決するということが重要でありますから、先ほども申し上げましたように、副作用があるようなことをあえて、それをやらなきゃいかぬという意気込みは理解できますけれども、やり過ぎじゃないかと私は思っておりまして、もうこれは発出されましたから、取り消すというわけに、法的にどうなのかわかりませんけれども、そのようなことは全く考えていないと何回もおっしゃっておられるわけでありますけれども、私は大変危惧するところであります。

 今大臣がテレビの方は実質的にやらないというようなこともおっしゃったんですが、先ほど申し上げました副作用という観点で、この命令書の持つ意味をNHKの橋本会長はどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

橋本参考人 この命令放送につきましては、いろいろ影響を出しているということは十分承知しております。

 その中で、報道機関NHKとしましては、やはり基本的に自主自律、みずからの編集権で放送を行っていくという姿勢を貫いてまいりますけれども、これからこの影響というものをいかにしてなくしていくのかということは、まさにNHK自身が自主自律の基本姿勢の中で放送を行っていくということが生命線だと思っておりますので、これをしっかりと貫いてまいりたいと考えております。

谷口(隆)委員 NHKのみならず、民間放送事業者も大変心配をいたしております。ですから、本当に慎重の上にも慎重に、大臣、先ほども申し上げましたように、大変頑張って今やっていらっしゃるわけですけれども、そういうようにぜひお願いを申し上げたいと思う次第であります。

 次に、先ほども出ておりましたが、近未來通信関係のことについてお伺いをいたしたいと思います。

 その状況を聞いておりますと、投資家に対して、インターネットに電話回線をつなぐ中継装置の個人オーナーになるように呼びかけて、一人最低一千百万円資金を集め、投資の一年後には百万円近い配当があるとか、二、三年で資金回収ができるとか、非常に有利な投資である、このように言っておったようです。本来ならば二千四百六十六台の中継装置があるはずでありますけれども、総務省の立入調査の結果、わずか七台しか働いておらないことがわかったということのようであります。

 電気事業の規制体系を二十年ほど前に大幅に緩和し、現在の電気通信事業法ができておるわけでありますが、現在、その状況をお聞きしますと、登録事業者が三百十五、届け出事業者が一万三千四百五十九、全体の事業者の九八%が届け出事業者というようなことであります。規制緩和というのは、これはいいことでありますけれども、しかし一方で、このような事件が起こる可能性があるわけでございます。

 それで、届け出をする際の書面にどんなことを記載しなきゃいかぬか。届け出を出したらそれで業務がいけるわけですから、それを見ますと、氏名または名称及び住所並びに法人にあってはその代表者の氏名、二つ目に、電気通信役務の種類、態様、三点目に、事業開始予定年月日、四点目に、ネットワークの名称、これだけを記載してもらいたいという届け出になっておるわけであります。

 私は、この記載事項の中に、財政的な基盤であるとか資金調達の方法であるとか、このようなことを申請書類のところに記載させるというようなことをする必要があるんだろうと思うんですが、これに対しましてどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

森政府参考人 電気通信事業法におきましては、ただいま御指摘ございましたように、届け出事項を法定しておりますけれども、その中に財政的基盤とかあるいは資金の調達形態というのは入っておらないわけでございます。

 こうした財務内容の書類の提出を必要としないという今の届け出の制度は、一九八五年、電気通信事業法施行以来、最初からそういうふうになっておりまして、二十年以上経過しているわけでございますが、この制度のもとで、これまでは、多数の事業者が参入し、多彩なサービスを提供し、料金規制もなく、いろいろなサービスを生んできたというふうに理解しておりまして、それなりに有効に機能してきたのではないかというふうに認識をしているところでございます。

 今般、現在警察当局が捜査中のような事案が生じたということは大変残念なことでございますけれども、事業の特性等を考慮した場合には、事前規制に戻るという方向よりは、これまでのような事後規制の枠組みの中で何らかの、御指摘のような点の工夫、改善ができないかどうかというような気持ちでいるというのが正直なところでございます。

谷口(隆)委員 今局長が言われたように、やはり規制緩和の流れがありますから、それをまたもとに戻してということは必要ないんだろうと思うんです。ただ、記載事項については、財産的な要件を記載してもらうということが非常に重要なのではないかと思います。

 金融の世界では、この事件も今調査中でありますが、マルチ商法だとかネズミ講みたいな、オーナーをふやしていくと配当がもらえるといったようなやり方のようでありまして、このようなことをさせてはならないわけでありますが、金融の分野では、本年成立をいたしました金融商品取引法というのがあります。きょうは金融庁から来ていただいておりますが、金融の観点から、このような事件をどのように考えておられるか、お考えをお述べいただきたいと思います。

細溝政府参考人 委員御案内のとおり、本年、金融商品取引法が成立しております。その背景にありますのは、近年、既存の利用者保護法制の対象になっていない金融商品が次々販売され、その中に詐欺的なものも見られる。したがって、投資家が安心して投資を行える環境を整えたいということで、この金融商品取引法をお願いしたわけでございます。

 その中で、例えば、従来の証券取引法ではまさに限定列挙されておりました有価証券概念を包括化いたしまして、人から金銭等の出資、拠出を集めて、それから、その金銭を用いて何かの事業を行って、その事業から生じる収益等を出資者に分配する、いわゆる集団投資スキームと言われておりますが、その権利は、どのような法形式によるを問わず、また、出資を受けた金銭をどんな事業に用いるかを問わず、これを包括的に金融商品取引法上の有価証券とみなすということにしたわけでございます。こういうふうな権利を一般投資家向けに販売、勧誘する者には、さまざまな説明責任等の行為規制を適用するということにしております。

 ただ、今回の事案につきまして、私どもとして具体的な事実関係を把握しておりませんし、また、その立場に現時点ではございません。ただ、この権利が、今回の近未來通信のような販売方法、販売商品がこの金融商品取引法の規制対象商品に該当するかどうか。仮に該当するとすれば、該当して無登録で営業するとすれば、三年以下の懲役、三百万円以下の罰金になるわけでございまして、したがって、そうした個別事案はまさに司法当局で適切に判断されるべきものではございます。

 ただ、そういった法律改正をさきの通常国会でお願いした金融制度の企画当局として一般論として申し上げれば、現時点で報道されているようなスキームについては、金融商品取引法の規制対象に該当する可能性は高いものというふうに考えております。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

谷口(隆)委員 今細溝審議官がおっしゃっておられましたように、この案件は、金融取引の対象になる、犯罪のにおいが非常に濃い取引の可能性が高いということであります。大臣はもう既に、次期通常国会で現状の電気通信事業法を改正したい、こういうようにおっしゃっておられますが、今回のこの事件も踏まえてどのような改正を行いたいと考えていらっしゃるのか、お考えをお述べいただきたいと思います。

菅国務大臣 今回の近未來に対しては、電気通信事業法の百六十六条の第一項の規定に基づいて報告徴収や立入検査を行いました。そして、電気通信事業法の範囲内でできる限りのことは公表させていただきました。しかし、今回の事件のように、資金の調達方法が不適正である、そういうことであったとしても、電気通信サービスの利用者の方からの苦情がないような場合は、利用者保護ということに限定をされている今の法律ではなかなか未然に行うことができない。しかし、こうしたことは、また事件が予測もされるわけでありますから、もっと迅速に、機動的に対応できないかな、そういう判断の中から、電気通信事業の健全なる発展、そういうことも含めて、私ども、立入検査が可能になるような、そういう方向で今検討しているところであります。

谷口(隆)委員 事後チェックということは、私はそれで結構だと思いますけれども、立入検査ができるとか、先ほども申し上げましたように、届け出書の書面の記載事項であるとか、今回のこの事件を教訓にして、来年の電気通信事業法の改正に反映させるように、ぜひお願いをいたしたいと思います。

 次に、IP電話のトラブルが最近非常に連続して発生しております。光ファイバーを使ったIP電話がこのところ連続してトラブルが起こっておるわけでありますが、NTTの東日本と西日本両方ともトラブルを起こしておりまして、現在百七十万を超えるような加入者に影響を与えている。このIP電話というのは次世代電話網の本命という形で位置づけられておるわけでありますけれども、大変その信頼性は地に落ちているというのが現状であります。

 一つは、この料金が安いということで、どんどんこのIP電話の方に切りかえておられるようでありますし、現行の電話は高速で大量の情報を伝達するということもなかなか難しいということもありますから、これからますますこのIP電話はふえてくるだろうというように思うわけであります。料金面でも、今現在の固定電話では、市内三分九円弱、百キロを超すと八十四円。このIP通信を使うと全国どこでも八円四十銭というようなことのようでありますから、どんどんふえているというのもよく理解できるところでありますが、それに備えて、今現在、銅線から光ケーブル網を全国的に引くということをやっておるわけであります。

 しかし、今起こっておるトラブルは、これはどうもIP電話の基本的なところに問題があるんじゃないか、このように言われておるわけであります。

 そこで、大臣にお伺いをいたしたいわけでありますが、このIP電話のトラブル、今起こっておるトラブルの状況に対して一体どうお考えなのか、また、中長期的にどのようにお考えなのか、御所見をお述べいただきたいと思います。

菅国務大臣 総務省とすれば、IP電話を利用者が安心して安定的に利用できる環境をつくっていく、このことがまず基本であるというふうに思っております。そうした中で、今委員から御指摘がありましたように、昨今、IP電話の事故が続出をしている。影響が大規模化、そして長期化している傾向が顕在化いたしておりまして、ネットワークのIP化に対応した安全性、信頼性というものが非常に損なわれている。私も非常に遺憾に思っておりますし、そのために、私どもとすれば、情報通信審議会で、障害発生時の対応、予防対策等、ネットワークの安全、信頼性を確保するための具体的な方策について、来年三月を目標に今審議をいただいているところであります。

 そうした結果を踏まえて、IP電話を安心して使えるような、そうした仕組みをぜひつくっていきたい、こう考えております。

谷口(隆)委員 やはり電話は、大臣おっしゃるように、安定した送受信が行われなければ用をなさないわけでありますから、ぜひそういう観点で中長期的にも、今三月には立てられるという話でありますけれども、お願い申し上げたいと思います。

 また、別の観点で申し上げますと、災害対策で一体どうなのかというのがあるわけですね。

 この新聞報道を見ますと、本年八月に首都圏の大停電があった折に、停電から五日後に帰省から戻ってきた方が電話をしたら通じないという事態になった。これは、NTT東日本によると、利用者宅にはIP通信の接続装置、ルーターが設置されているが、停電でルーターの電源が切れて、停電回復とともに五万世帯のルーターが一斉に再接続のためにNTT東日本の中央サーバーにアクセスした。それで、サーバーがオーバーフローしたというんですね、対応し切れなくなったということで通じなくなっちゃった。

 こういうようなことのようでありますが、このIP電話、また現行の固定電話も含めて、災害時の対策を一体どのように今やっていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

森政府参考人 御指摘のような事件が、本年八月十四日、首都圏の大停電の際に障害が発生いたしました。

 それで、この件につきましては、NTT東西は、これを教訓といたしまして、再発を防止するためにIP電話のソフトを修正するという対策を本年度中に講じるということにしております。

 もっと根本的な災害対策の問題でございますが、固定電話、IP電話に限らず、電気通信事業法上、現行法上の技術基準が、既に停電対策、異常ふくそう対策、防火対策、耐震対策等々ございますけれども、IP電話につきましては、さらにこれに加えまして、ソフト的なふぐあいとか、あるいは人為的なミスに起因する事故の対策が必要であるというふうに認識しておりまして、先ほど大臣の答弁にもございましたが、情報通信審議会においてこの辺を今集中的に御審議いただいているところでございまして、これを踏まえて適切な対応をとっていきたいというふうに考えております。

谷口(隆)委員 災害のときに通信できない、電話ができないというのは非常に大変なことですから、そういう危機的な対応も含めてぜひやっていただきたいと思う次第です。

 もう一問、簡単にちょっと大臣にお伺いしたいんですが、先日、新聞報道で、ドコモ携帯の電池が破裂したというようなことのようでありますが、それで百三十万個を回収、交換するとドコモが発表しておるようであります。この電池は、三洋電機の子会社からOEMでつくったものを三菱電機が供給を受けたというようなことのようでありますが、この事件、一体どのように対応されようと考えているのか、お伺いしたいと思います。

森政府参考人 御指摘のように、NTTドコモ、それからその端末の製造を行った三菱電機から報告がございましたが、製造工程上の問題によって不良品が発生する場合があって、この不良電池パックの表面に傷とかへこみがつく程度の力が加わった場合に破裂した事例が一件あったということ、それからそのほか調査中の問題等が十七件あるということ、あるいは百三十万個を自主的に回収するということでございましたので、総務省といたしましては、NTTドコモと三菱電機、両社に対しまして、利用者保護の観点から、その取りかえ、回収に万全を期していただきたいということと、措置状況について御報告いただきたいということを要請しているところでございます。

谷口(隆)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、やはりこの電池の問題は、先日もソニーがPC向けの電池を九百六十万個回収するといったように、基本的な技術力が本当に大丈夫なのか、そういう問題提起が今起こっておるのではないかと思うので、物づくり大国である我が国の基本的な技術が崩れないようなことを、政府でもぜひ御検討をお願いいたしたいと思います。

 以上でございます。

岡本(芳)委員長代理 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一です。

 きょうは、NHK橋本会長、御出席をいただきまして、ありがとうございます。また、民放連の渡辺小委員会委員長にも御出席をお願いし、御出席をいただいておりますことに感謝を申し上げる次第です。

 さて、既に委員会で御議論をいただいておりますが、命令放送についての御見解、それぞれ、NHK会長から、また民放連の渡辺小委員会委員長からもお聞かせをいただきたいと思っております。

 この命令放送が出される前からも、さまざまな議論が当委員会でもございました。その一番は、やはり放送法三条、番組自由編集に抵触するおそれありとの懸念でございます。ただ、残念ながら、電監審への諮問、そして即日答申、翌日命令書が橋本会長に菅総務大臣から渡されるということになってしまいまして、国会で再三慎重な対応を求め、あるいは電監審での意見聴取あるいは議事の公開などを求めてきた国会の一員として、甚だ遺憾であると言わざるを得ないわけでございます。

 しかし、それに対するNHK会長の見解というものがはっきりと強く、番組編集の自由に抵触する懸念ということでそれが示されたというふうに私はまだ理解をしておりませんし、また、きょうは民放連からお見えでございますが、それぞれのテレビ局の社長さん方は懸念を表明しておりますが、民放連としてはっきりとしたコメントを出されているということもまだ承知をしておりませんので、大変御無理を言ったわけでございますが、本委員会にお出ましをいただいて、それぞれ見解をお述べいただきたいというふうに思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 命令放送にかかわる御懸念ということで御指摘いただきました。

 私ども、当然のことながら、放送番組の編集の自由ということを基本に放送してまいっております。この点、命令放送が両立しないのではないかという御懸念、あるいは、この中で具体的にこれに対して懸念を示していないというふうな御指摘がございますけれども、我々は基本的に、いかなる場合でも、報道機関としての姿勢を四六時中規範として持っている中でその放送を行っていく姿勢というものを貫くことがこの懸念をなくすことでございますけれども、こういうふうな命令放送と放送番組編集の自由というものが両立するかという懸念につきまして、いろいろな御意見がございます。御議論が出てこようと思います。現状のままでよいかという視点で、我々、こういう議論の場につきましては、しっかりと編集の自主、自律、自由というものを守ることが基本であるということを主張してまいりたいというふうに考えております。

渡辺参考人 御質問にお答えさせていただきます。

 このような機会を与えてくださいまして、まず感謝申し上げたいと思います。

 武正先生御案内のように、今回の放送命令の問題につきましては、既に東京の民放キー各社のトップがそれぞれ記者会見等で慎重にあるべしという見解を表明しているところでございますが、民放連としては、統一した見解は現段階では発表しておりません。

 そもそも放送法というのは、第一条に規定されておりますように、放送の自律を保障することによって、放送による言論、表現の自由を確保するというふうに規定されております。その上で、三条では、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というふうに書かれております。

 その意味では、放送法三十三条の国際放送等の実施命令というものは、放送法に基づくものではありますけれども、言論、表現の自由や報道の使命、責任の観点からはやはり問題が残るものというふうに思料しております。国が個別の内容を具体的に指定して放送を命じるということは、やはり放送局の編成権を侵害するおそれというものを否定できないというふうに考えるからでございます。

 もちろん、我々といたしましては、拉致問題の一刻も早い解決、それからこれに対する国際的な理解を深めるなど、国際放送の果たす役割が極めて重要であるということは十分認識しておりますが、これまでのNHKの自主自律的な取り組みを最大限尊重すべきものであると考えております。

 他方、改めて、我が国におきます国際放送に関する論議、それからその制度が成立する経緯というものを振り返ってみますと、戦中戦後の歴史的なプロセスがあったということを感じておる次第でございます。

 放送法三十三条のスキームというのは昭和二十五年に規定されまして、国際放送は昭和二十七年に再開されたと認識しておりますが、こうした実施命令が規定された時代と現在の社会では、時代環境それから社会環境も激変しておりまして、メディアを取り巻く環境、それから放送の活用の方法なども全くと言っていいほど変わっているということではないかと考えております。

 そうした状況の中で、我々は現在、民間ないしは民間放送の参加をも念頭に置いた映像国際放送について議論を重ねておりますけれども、その議論の中で、放送命令というものが行われたことによりまして同様の仕組みが映像国際放送にも適用されることが懸念されております。そのため、放送の自律、編成権の問題、言論、表現の自由などの観点から、どうしても参加には積極的にはなかなかなれないという状況にございます。放送事業者としましては、視聴者・国民から誤解されることがないよう十分に留意していくことが必要だと思います。

 いずれにしましても、今回のNHKに対する放送の実施命令の問題というものは、国際放送のあり方に関しましても国民が幅広く議論する契機になったのではないか、そのように思料しております。

 以上でございます。

武正委員 民放連としての御見解を示していただいたことに敬意を表したいと思います。

 会長にお伺いしたいんですが、命令放送をする放送法、それの中には、国の予算が海外向けの短波放送に投じられる、こういう条文がございまして、今、二十二億円でしょうか、全体が八十億円ぐらいでしょうか、国の予算が投じられている。これがやはり、放送法の、今言われた、当時できた法律のスキームとしてまた認められている。これがやはり、今回の個別的な事項、この命令の根拠にも、予算ということがある、こういうふうに言われているわけです。

 実際、海外向けのNHK短波放送への補助金というものが政府から支払われる、これは二十二億円でありますが、これがなくても、NHKとすれば、今NHK改革を進めていく中でしっかりと担保ができるのではないのかな、こういうふうにも考えるんですが、法律で書かれているからというような御答弁かもしれませんが、こういう考え方についてどのように御所見をお持ちか、お答えいただけますか。

橋本参考人 非常に具体的な御指摘をいただいたわけでありますが、実際にラジオの短波放送が育ってきた経過の中では、法律的に制度としてこういうものが行われて、それをNHKとしては運用してまいったものでございます。

 やはり交付金と命令放送という、まあ、法律的な解釈につきましては総務省さんの所掌ではございますけれども、我々、これは表裏一体のものと考えております。この中で、交付金そのものについては、これを賄っていくということで運用せざるを得ないという状況でございます。制度的にこれを準用してまいりたいというふうに考えております。

武正委員 やっていかざるを得ないというようなお答えでありましたが、法律で政府からの予算というものを出してということが、最初会長が述べられた、NHKの番組自由編集、これは守りたい、守っていかなければならないということを阻害するのであれば、やはり法律も含めて見直しが必要なのではないのかな、このように考えるわけでございます。

 そこで、電波監理審議会が即日答申をしたわけでありますが、電監審の議事録が一カ月たってようやく公開をされました。その電監審の議事録を見ておりましても、例えば電監審の公開について、議事録のどこにも、それを委員の間で審議したというような過程が見られないわけでございます。

 お手元に、きょうは理事会のお許しを得て資料を配付しておりますが、平成十一年四月二十七日の閣議決定、「審議会等の運営については、次の指針によるものとする。」ということで、その「三、議事(四)公開2」をごらんいただきますと、「会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。」こういったことが閣議決定をされております。「ただし、行政処分、不服審査、試験等に関する事務を行う審議会等で、」云々かんぬん「全部又は一部を非公開とすることができる。」、全部または一部というようなことも閣議決定をされております。

 総務大臣からは、累次の電監審の公開についての質問に対しては、いや、電監審は非公開だ、これはもう決めているんだ、こういうようなお答えが相次ぐわけでありますが、一つまずこの電監審の審議の公開について、閣議決定でもこのように決めていることもあり、また、これだけ国会でも議論を呼んだ個別的な事項変更、命令放送についての諮問を答申するその会議の持ち方。外部の聴取も行わない、あるいは、五件要請が出ておりました中にも、パブコメなどのそうしたことも行わない、こういったことが、果たして電波監理あるいは放送局の許認可、はたまた電波の有効活用あるいは電波利用料を決めていくなどなどの重要なことを審議する審議会としていかがなものか、このように考えるわけですが、改めて、なぜ電監審は非公開なのか、この点でお答えをいただけますでしょうか。

菅国務大臣 いわゆるこの電波監理審議会は、行政処分や不服審査等の審議を行うことから、審議会等の整理合理化に関する基本計画の趣旨を踏まえて、審議会の申し合わせによって、審議そのものは非公開になっております。

 電波監理審議会の審議の公開をしないかわりに、従来より、審議後、会長が記者会見を行い審議状況を公表していますし、議事要旨、審議に用いた資料等についても総務省のホームページ等で公開をいたしております。

 議事録については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の請求に基づき公開しているほか、電波監理審議会事務局においても閲覧で公開をいたしているところであります。

武正委員 お手元の資料で今大臣が言われたただし書きがあるわけですが、行政処分、不服審査、試験等に関する事務などということでありますが、この電監審への、NHKへの命令放送、個別的事項の変更がこれに当たるんでしょうか。全部または一部を非公開ということですから、当たるところは非公開でも、命令放送のところは公開してもいいのではないのか、このように考えるわけでありますが、これについて意見を伺いたいと思います。

 きょうは、それぞれ、NHKまた民放連お見えでございますので、こうした、総務大臣の個別的な命令事項が、中立な、公平、公正な審議会に付されても、どうも中立、公平、公正な審議が行われにくい仕組みになっているのではないのかという電監審の、その権能をもうちょっとやはり高めていく必要があるだろう。民主党は既に、国家行政組織法第三条の独立行政委員会に準じたような、そうした委員会の提案をしております。

 この電監審のあり方、今回の答申のあり方なども含めて、そうした民主党の提案もどのようにお考えなのか。電波監理、あるいは放送局の許認可、あるいは電波利用料を決めていく、あるいは電波の有効な活用、これからの、今の日本にとっても大変大事な役割を果たすこうした審議会のあり方について、それぞれ、NHKそして民放連からの御所見を伺いたいと思います。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

橋本参考人 お答え申し上げます。

 幾つかございますが、この審議会等でこのような、いわゆる電波行政といいますか通信あるいは放送にかかわる分野、こういうものについていかに公正中立に行っていくか、透明性を保つかということでいえば、大変、基本的に重要なアクションだと考えております。その意味で、この審議会等の整理合理化に関する基本的計画というものはもっともなものというふうに考えております。

 その中で、特にNHK、言論、報道にかかわる立場で申し上げますと、昨今の電波行政で申し上げれば、いわゆるメディアの拡大、あるいはデジタル技術、こういう進歩が大変速い、そういうふうなものにいかに的確に迅速に対応するかというふうなことも当然必要なことでございますので、こういう点で、できるだけ、まあ、行政の仕組みとしてどのような仕組みが一番いいのかということについては、なかなか申し上げにくいことでございますけれども、基本的に、国民の納得を得られるような、表現の自由の確保、あるいは報道の使命の確保、こういうところを明らかにしていくということは、NHKの基本的な、あるいはこれはもうNHKだけでなく放送事業者としての基本的使命でございますので、ぜひそういうものを、理念が堅持され、主張できる仕組みというものが必要かというふうに考えております。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 先生の御質問、一つは国家行政組織法三条に絡むところがあったと思います。現在、通信それから放送というものは、国民生活に欠くことのできない重要な社会的な基盤となっているという認識でございます。

 民主党が構想されていらっしゃいます通信・放送委員会というのは、そうした国民全体の情報インフラについて、公平性や透明性を高めて審議する場として提案なされたのではないかなと推測しております。

 この過程につきましてはさまざまな議論がありまして、現段階で民放連としてまとまった考えはございませんけれども、放送分野に関して言えば、言論、表現の自由、放送の自主自律が保障されるという民主主義社会の根幹をなす大原則が、これからのIT時代にもしっかりと維持発展されることが最も肝要であるというふうに考えております。

 通信・放送委員会の構想については、幅広く国民の意見を酌み上げた議論が必要と考えておりますので、ぜひ、まさにこの国会の場で先生方によって十分に議論を深めていただきまして、国民が納得するような施策を講じていただきたいと思っている次第でございます。

 以上です。

武正委員 先ほど電監審の公開について取り上げましたけれども、総務省の情報通信審議会については会議は原則公開となっておりますので、この閣議決定に基づいて原則公開、そして先ほどのようなただし書きがあった場合には非公開とするということが、やはりあるべき姿というふうに考える次第でございます。

 時間の関係もありますので、NHKの受信料をいわゆる強制徴収するための放送法の改正内容などについても総務大臣にも伺いたかったんですが、やはりこの命令放送ということもありますので、質問を次に移しまして、まず北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」に、具体的に今、総務省、政府として支援、検討がどういう状況なのか、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 「しおかぜ」の支援につきましては、現在、内閣官房拉致対策室と私どもの総務省の事務方が「しおかぜ」の運営団体であります特定失踪者問題調査会と三回会合を行いまして、同調査会の具体的な要望を確認しながら現在検討をいたしております。

 具体的に言えば、「しおかぜ」が国内から情報発信を行うには、かねてより申し上げていますけれども、NHKの八俣の送信所を利用するほかない。その利用の可能性について何回となく打ち合わせを今しているところであります。

 さらに、「しおかぜ」が国内から情報発信を行うためには、新たな周波数の確保が必要になる、このことを私は申し上げました。そして、そうした申し出があれば、私ども、全力を挙げてこの確保に取り組んでいきたい、そういうことも申し上げてまいりました。現在は、国際的なルールに基づいて確保のための準備を進めている、そういう状況であります。

 いずれにしろ、日本人が拉致をされています。北朝鮮の地で、自由を奪われて、助けを求めている日本人が数多くいます。そうした中で、日本から放送を発信できないということは、やはり政府として極めて遺憾なことであると私は思っていますので、こうしたことについては全面的に協力をするように指示をいたしております。

 いずれにしろ、安倍内閣総理大臣を本部長とする拉致対策本部ができました。そこと極めて綿密に連携を図りながら、このことが実現できるように最大限の努力をしていきます。

武正委員 総務大臣の意図するところは私も十分承知をしております。先ほど、同僚委員からもその点は指摘がございました。私も同じでございます。ただ、やはり放送番組自由編集に抵触するおそれ、懸念あり、この思いは変わらないということを重ねて申し上げたいと思います。

 そこで、最後になりますが、お手元の二ページ目の資料をごらんいただきますと、近未來通信に関してでございますが、たしか総務大臣は、つい最近聞いたような、そういう記者会見をされておりましたが、内閣府の国民生活局の消費者調整課、PIO―NETという、各都道府県に置かれております消費生活センターと国民生活センターをオンラインで結ぶ、これは年間百万件ほど、いわゆる消費者から苦情が寄せられている仕組みでございますが、既に平成十年度から近未來通信に関して苦情が寄せられていた。特に十四年度からは、二けたのこうした苦情が寄せられていたわけでございます。

 総務省においては、つい最近聞いたんだ、こういうようなことでございますが、どうも政府の、関係省庁の連携、連絡が大変まずいのではないのかなということを今回のこの近未來通信に対して思いますし、そうはいっても、内閣府さん、経済産業省さん、先ほどおいでの金融庁さんなどに伺うと、実はやはり業法の縦割りの壁があって、総務省が、通信業界に関することはおれたちのテリトリーだ、こういうようなところがありやなしや、こういうこともやはり言われているわけでございます。

 やはり、あくまでも利用者あるいは投資家も含めた国民の視点に立って、ですから当然、電監審もやはり国民の視点に立てば原則公開でございますが、こうした点、もう十年度から政府にはこうした情報があったこと、このことを踏まえて、私は、総務大臣、立入検査強化などと言っておられますが、実はもう電気通信事業法には立入検査の権限はあるわけですので、そうじゃなくて、省庁間の垣根を越えて、その連携連絡が実はとれていないというのがこの事件の一つの問題点である、こういうふうに認識するわけですが、この指摘についての御見解、御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 私、かねてから申し上げていますけれども、利用者からの苦情は私どもにはありません。しかし、これは、今委員が御指摘されました、投資に関する相談であったというように思います。

 しかし、私どもの電気通信事業法においては、利用者保護に立入検査が限定をされている。そういう観点から、今回のような事件が二度と起こらないように、未然に防ぐために、この法改正、こうした財務内容についても、このような新聞報道等もありましたから、そういう形の事業者についても立入検査できるような、そういう仕組みも今検討しているということで御理解をいただきたいと思います。

武正委員 重ねて、関係省庁間の連携、連絡が必要なことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

佐藤委員長 速記を起こしてください。

 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民主党の田嶋要です。

 既にほかの委員からもいろいろ出ておりますが、きょうは近未來通信に関する質問を二十五分間させていただきたいと思います。

 まず、この近未來通信という会社が、一万四千社ほどのさまざまある通信会社の一社であるということで、登録ではなくて届け出の対象企業であったということでございますが、今の電気通信事業法の中で、どういう場合に登録であり、どういう場合に届け出であるかということに関しまして、お伺いをいたします。

 電気通信の回線設備を持たない事業者、これは回線をよそから借りてくる、今回のこの近未來通信もその事業形態であったと認識をいたしておりますが、こういった事業者に関しては登録ではなくて届け出であるということのようでございます。なぜ電気通信回線設備を持たない事業者に関しては登録が必要でないか、届け出でいいかということに関して、まず総務大臣からお答えいただきたいと思います。

森政府参考人 御指摘のように、電気通信事業法は、第九条におきまして、一定の規模を超えない電気通信回線設備を設置する電気通信事業者を除き、登録を受けなければならないというふうに書いてございまして、その中に、登録を受けるべき人というのは、回線設備を持つという意味として、伝送路設備と交換設備を持つということが規定されておりまして、それ以外の人が届け出事業者になるということでございます。

 その意味ということでございますけれども、一定規模以上の電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する電気通信事業者といいますのは、一つは、我が国の電気通信ネットワークの構成全体に相当程度の影響を及ぼすものであるということ。それから二つ目に、他の事業者がサービスを提供する上での基盤となる大規模なインフラ設備を設置、運営する基幹的な事業であるということから、他の事業者、その利用者にまで広く影響が及ぶということになりますので、一定の規律を維持する観点から、その参入について総務大臣の登録ということに係らしめているわけでございます。

 一方で、電気通信回線設備を持たない事業者については、今申し上げたようなおそれが考えにくいために、届け出制となっているものでございます。

田嶋(要)委員 通信事業というのは、設備産業というふうに言われたように、もともとそういった意味では設備を自前で持つというところが当たり前の事業形態であったわけではございますけれども、昨今は軽量経営とかなるべく資産を持たない経営ということがよく言われておりますが、私は、今ここでおっしゃったような、電気通信の回線を持たないから今おっしゃられたようなおそれが考えにくい、そこに直結をしていくことが今後も本当に望ましいんだろうかという疑問を持っております。

 つまり、借りているか、資産としてバランスシートに計上されているか、その差によって社会的な影響が大きいか小さいかを即断することは、今後はますます難しくなってくるんではないか。もちろん、この近未來通信に関しまして、登録制であるべきだったとは申しませんけれども、今後のことを考えますと、資産を持っているかどうか、人から借りているかどうかという判断基準で規制の強弱に差をつけるということが、私は、今後余り意味をなさなくなってくるんではないかというふうに考えておりますが、御所見をいただきたいと思います。

森政府参考人 私の先ほどのお答えの繰り返しになるかもしれませんけれども、やはり電気通信回線設備、そしてその内訳であります伝送路設備そして交換設備、それを一体として持つということのインフラ性につきましては、電気通信事業の場合、他事業者への影響、他利用者への影響、現実に持ってやるということについての影響力は、依然なお大きいものがあるのではないかと考えさせていただいております。

田嶋(要)委員 特にこの情報通信の世界では、やはりイノベーションというか、規制当局の想像力の先を行っていろいろなビジネスモデルが出てくるわけでございますので、資産規模が小さい事業者であっても我が国の電気通信ネットワークに大きな影響を及ぼす、そういうことは十分考えられるわけでございまして、そういう意味では、私は、既に今のようなこういった枠組みが、一つはかなり限界があるのではないかなというふうな印象を持っております。

 続きまして、総務省の今回の近未來通信に関する対応に関してお伺いをいたしますけれども、先ほどの御答弁でもございましたが、今回、この近未來通信の問題が表面化をいたしましてから、通信事業の継続性、あるいは先ほども健全性ということの指摘がございました。

 そこでお伺いいたしますが、現在のこの事後規制という規制の仕方の中に、通信事業の健全性ないしは継続性に関してチェックをする、そのことは含まれているのでしょうか。

森政府参考人 近未來通信に対して行いました報告徴収及び立入検査は、利用者の利益の保護の観点から事業の実態把握のために実施したものでございまして、同社の事業の継続性を検査するということではなかったわけでございます。

田嶋(要)委員 それで、総務省としては、今後、通信事業の継続性のチェックをしていくようにしたい、そういうことでございますか。

森政府参考人 考え方の中に継続性のチェックということは含まれていなくてずっと来たわけでございまして、今後も、その点というよりはむしろ、今回の事案のような場合に、立入検査、報告徴収の範囲をもう少し広げることができるかどうか、それによって利用者保護を図れるかどうかという点にポイントがあるわけでございまして、事業の継続性を図っていく、助けていくという観点は、恐らく今後ともないものと思っております。

田嶋(要)委員 いろいろな問題が表に出てくる前に、その問題が表面に出てくる前に、当然かなりの期間があるような場合も多いと思います。そういった意味で、利用者にとって不利益が表面に出てくる以前から、その会社のことを常々チェックしていないことには、タイムリーな形でのアクションというのはとれないと思うわけであります。

 総務大臣、いち早く法律改正ということにも触れられましたが、先ほども類似の御質問がございましたけれども、改めまして、今後どういう方向性の電気通信事業法の法改正をお考えになられているか、再度御答弁をいただきたいと思います。

菅国務大臣 委員御存じのとおり、今の電気通信事業法というのは、利用者保護だけに限定をされているという法律であります。しかし、今回の事例のように、資金調達方法が非常に不適切であった。しかし、あれだけ新聞報道されていても、通信事業利用者からの苦情というのは全くなかったわけです。ですから、利用者利益というのが損なわれていなかった。現行法上の利用者保護の立場からの規定のみでは、行政庁として指導するには限界があった。

 そういう中で、しかし、このような事件がまた起こらないとも限りませんので、未然に防止をするために、もっと迅速でそして機動的に対応することができないか。そういう観点から、例えば、事業の健全性まで一歩足を踏み入れて、私ども、報告なり立入検査できないか。そういうことをすることによって、できるだけ被害を未然に防げる、そういう可能性があれば、電気通信全体の信頼感、そういうものも踏まえる中で、そういうことも私どもとしてはしっかりと検討する必要があるんじゃないかな、そういう形で検討を事務方に命じたところであります。

田嶋(要)委員 今、この近未來のケースが詐欺に当たるかどうかというのはまだ調査の途中であるというふうに思いますが、私自身の考えといたしましては、事前規制から事後規制に変わったということは、すなわち、参入障壁が非常に低くなったということでございます。つまり、いろいろな会社が自由に入ってこられるという形を国の制度としてつくった。言ってみれば、それは同時に、退出もしやすくなる、出入り自由、要するに成功する事例もあれば失敗する事例もある。

 この会社が、本当に最初から詐欺をやろうとしていたのか、最初はこのビジネスモデルが本当に成功すると信じ込んでいたけれども全然当てが外れたということなのか、その辺はよくわかりませんが、今大臣おっしゃったように、健全性ということをチェックしようといたしますと、これはもちろん財務的なチェックということが中心課題になってくるかと思います。

 私は、今、国のアクションの遅さに関して批判が一部あるのも承知をしておりますし、そういった中で、総務大臣として、所管官庁の大臣といたしまして、前向きな法改正の姿勢を表明されたという姿勢に関しては評価をするものでございますけれども、しかし、若干懸念をするのは、総務省が財務的な観点、事業の健全性まで踏み込んだ検査をすることが本当に望ましいのかなという感じも持っておるわけでございます。大臣、その点に関してはいかがお考えですか。

菅国務大臣 この規制緩和によってIP電話等が非常に安くなって、便利になったということは間違いないというふうに思います。しかし、今回のような事件が発生をしました。そういう中で、私ども総務省としてできるぎりぎりの判断がそこまでかなというふうに実は私は思っています。

田嶋(要)委員 ぜひとも、私は、法改正をする場合においても、二重規制というようなことにならないように、そもそも事後規制の形に変えたということは、まさに、先ほど大臣おっしゃったように、自動車産業に並んでこれから大きくしていかなきゃいけない産業分野、参入を自由にして、いろいろなビジネスマン、ベンチャーの方々の創意工夫をなるべく引き出せるような規制環境、行政の仕組みというふうに、やはり守っていかなきゃいけない、そういう側面はあると思います。

 一方で、しかし、もし仮に詐欺だとすると、こういう会社が六年、七年、八年と、当たり前の会社の顔をして、ずっといたこと自体、私自身も信じられない感じがするわけです。

 私はそこで、むしろ、総務省ではなくて、これはやはり金融庁の方の仕事ではないかなというふうな感触を持っております。というのは、近未來通信は通信事業でございますが、これは通信事業のユニークな問題ではないというふうに僕は思っています。これは一つの出資話で、高額のリターンがありますよ、しかも、普通考えれば、特に通信のような事業で三年以内に出資額の元が取れるなんという話はなかなかないんだろうというふうに思う人が多いんじゃないかなと思う一方、やはりうまい宣伝文句に乗ってしまったというところが投資をした方にはあるのかもしれない。

 やはりこれは、通信であれ、あるいは今後、例えばバイオテクノロジーの世界なんかでも同じような話が出てくるかもしれない。であれば、私は、監督官庁の総務省というよりは、むしろ金融庁の方の課題、特に投資家保護ということになれば、これは今後も専ら金融庁の課題として対処していくべきだというふうに考えております。

 そこで、来年の夏から金融投資サービス法が施行されます。そこで、金融庁の方に確認をさせていただきますが、この投資サービス法が施行された暁には、今回の近未來通信のようなビジネスによる投資話というのは、基本的にはどのように政府として対応されることになるのかということをお伺いしたいと思います。

細溝政府参考人 先ほども御答弁いたしましたが、近年、投資家保護の対象となっていないものも含めて新たな金融商品がいろいろ出ておって、現在、金融商品取引法を施行する段階になって、その中で対応できるものに対応していきたいといいうのは先ほど御答弁したとおりでございます。

 その金融商品取引法では、集団投資スキーム持ち分、いわゆるお金を集めて事業をしてそれを分配するスキームですが、それにつきましては、いかなる法形式を問わず、また出資を受けた金銭をどのような事業に用いるかを問わず、有価証券とみなしているというのは先ほど申し上げたとおりでございます。

 ただ、現在の近未來通信の事案に対する報道については承知しておりますが、この事案につきましては、具体的な事実関係を金融庁として把握しておらず、またする立場でもないということは先ほど申し上げたとおりでありまして、今後、この金融商品取引法を施行していく中で、投資家保護規制が施行されますから、その中で投資家保護に対して万全を期してまいりたいというふうに思っております。

田嶋(要)委員 限定列挙の時代が終わって、この法律が施行した暁には、例外なく、こういった新種のいろいろな投資話、当然クリエーティブないろいろなものが出てくるかと思いますが、その中身のいかんにかかわらず、投資家は安心して、もちろん最終的にそれがもうかるかどうかは自己判断ではございますが、それを前提にした上での情報開示、どういったリスクがこの話にはあるか、そういったことに関しては、この商品は対象外だから金融庁の管轄ではありません、こういうことはもう一切なくなるという理解でよろしいでしょうか。

細溝政府参考人 先ほども御答弁いたしましたとおり、事業のいかんを問わず、法形式を問わず、まさに、他人から金銭等の出資、拠出を集めて、その金銭を用いて事業を行い、その収益を分配するといったスキームが有価証券とみなされる、それについて金融商品取引法のいろいろな規制体系がかかってくるということでございます。

田嶋(要)委員 今の御答弁は、今回被害に遭われておる方は別といたしましても、今後においてはこういった近未來通信のような出資話は何らかの規制がかかってくるということで、投資家保護は進むということを御答弁いただいたと理解いたします。

 ただ、もう一つ私が思うのは、これは事の本質は配当にあると思っておるんですけれども、要するに、配当の支払いをもっとおくらせれば事業としてはもう少し違う形になっていたかもしれない、ある意味で、非常に早い段階から高額の配当、それはリターンということですけれども、配当を約束していたところにそもそもその事業が成り立ち得なくなった問題の根っこがあるんだと私は思っておるわけでございます。

 金融庁としては、法律がなかったからこれまで何もアクションをとらなかったということかもしれませんけれども、私は、むしろ総務省というよりは、投資家保護という観点であれば、こういった話がやはりちょっと問題があるといったような、においがするというか、仮に法律では今の時点では限定列挙であるかもしれませんが、しかし、少しこれはおかしいんじゃないかなということに関しては、何らかのアクションがとれなかったのかな、私はそういうような所感を持っておるところでございます。

 それと同時に、いろいろな滞納の問題等もございました。先ほど武正委員の方からもございましたが、この話がちょっとおかしいんじゃないかというような情報は相当前から、先ほどの消費者の関係それから東京都の関係、いろいろあったと思うんですね、そういった情報をやはり行政各所を横断的に収集、共有して、アクションをとれるような体制を私からもぜひつくっていただきたいというふうに思います。

 次に、同じく近未來通信の宣伝に関して話をさせていただきたいと思います。

 投資のおいしい話というのは普通素人には余りやってこないわけでございまして、例えば、大分マスコミも取り上げなくなりましたが、日銀総裁がファンドに投資をした。特定の人にはそういう話が来ても、一般の市民には余りリターンの大きな話というのは世の中ないのが普通、常識じゃないかなというふうに思うわけですが、では、なぜこの話が、一般の、いわゆるプロに対してアマの方々が多く投資をしたかといえば、それはもちろん、それがマスコミに載ったからであります。

 きょうお配りをした参考資料でございますが、これは実際にエコノミストという雑誌に載っておった資料でございます。大臣、これは通告はありませんが、印象で結構でございます。これというのは宣伝でしょうか、記事でしょうか。これは何だと思いますか、大臣。

菅国務大臣 見方によると思いますね。御本人がどういう形でここに載ったか、その経緯はわかりませんけれども、一般の投資家が見れば、ここに載ればやはり信頼できるというふうに思うのが自然かなというように思います。

田嶋(要)委員 これは二〇〇四年五月ですが、実は、二〇〇五年の七月とそれから二〇〇五年の十二月、私が入手できた情報でも三回、連載物でやっておりますね。毎回同じような内容ですが、しかし見事に、線が引いてあるところですが、何カ所に中継局をというその数字は、きちんと数字が毎回挙がっているんですね。そういう意味では、ある意味、一つの矛盾のないストーリーができ上がっておるわけでございます。

 私は、正直言って、エコノミストという雑誌の記事だと思いました。問い合わせてみたら、これは記事ではないということで、宣伝であるということなんですね。要するに、記事の体裁をした宣伝なんですね。

 これは、読めば、社長が私たちの会社はこうだと言う言い方になっていないわけですね。そうじゃなくて、インタビュー形式をとっている。しかし、実際には、恐らく独自取材をしたわけではなくて、この会社の言ったことがそのまま載っているだけなわけですね。そういう意味では、お金も支払われているという確認もとれていますから、これはもう純粋な広告で、こういうのを記事広告とか広告記事とかというらしいんですけれども、これはやはり、今回の事件に関して、アマの方々がこの商品に対する信用性を高めた一つの理由になっているのではないかなというふうに思います。

 これ以外に近未來の宣伝はいろいろなところで私も見たことはあるんですが、やはりこれにこういう形で載っちゃうと、だまされる人もふえるんじゃないかなという感じがするわけです。

 これに関しては、今まで何の規制というかそういうものはない、あるいは今後に関してもこういうのは仕方がないというふうにお考えかどうかということを御答弁いただきたいと思います。

森政府参考人 この記事は初めて見させていただきました。ほかにも新聞記事等の広告は見たことがございますけれども、この記事はきょう初めて見させていただきました。

 ちょっと事前のお話がなかったのであれでございますけれども、おっしゃるように、それを信じてしまうという方は確かにいるのかなという感じは、仕事の立場を離れて感じたところでございます。

田嶋(要)委員 表現の自由とかそういう御指摘もございます、そのとおりだと思います。しかしながら、こういったものによってやはり投資の意思決定をした人もいる。ここは非常にグレーだとは思うんですけれども、何らかの線引きが必要だなという感じもいたします。私自身が、見て、これは明らかに記事だというふうに思いましたので、そのことを申し上げたいと思います。

 最後に一点、決算公告に関しても質問させていただきたいと思います。

 新聞の情報によりますと、この会社の決算公告が一度もされていなかったということで、これは大きな記事がございました。これがいかに大問題かどうかは私もにわかにわからなかったわけですが、その後いろいろ調べると、決算公告なるものをやっている株式会社はほとんどないということなわけですね。中小企業で決算公告をやっている会社はほとんどないということで、これは法務省さんともお話しいたしましたが、言ってみれば、ざる法ですよね。ざる法はほかにも多いかもしれませんが、ほとんどやっている会社がないような決算公告がいまだに過料つきで義務になっているということは、何でこういう実態がずっと続くのかな、もう必要ないんだったらやめてしまえばいい、私はそういうふうに思うわけでございます。

 この会社の決算公告がちゃんと新聞かホームページで出されていれば、今よりはもう少し情報開示という意味では進んでいて、それで怪しいなというふうに感じた方もいらっしゃったかもしれない、それは終わった後の話でございますけれども。

 しかし、私が不思議に思うのは、こういった形で国として法律の中でしっかり明記されて、過料まで科しているにもかかわらず、九九%の中小企業はやっていないような、そんな実態があるようなルールというのは私は変だなというふうに思うわけでございますが、その点に関しまして、法務省の御見解を最後にちょうだいいたしたいと思います。

奥野大臣政務官 決算公告というのは、株式会社制度の特質にかんがみまして、広くステークホルダーを初めとして公衆に対して、その株式会社の財産状況、すなわち貸借対照表などに関する情報を提供するための制度として設けられている、大変大事な情報制度だろうと思っております。

 もっとも、日本には百二十万社を超えるような企業があるわけでありまして、その我が国の株式会社の大半が中小企業である。そういうことから、決算公告義務については、現状ではまだ関係者の認識が十分でない、その履行も十全なものではないというふうに認識しているわけであります。

 私ども法務省といたしましては、このような決算公告をめぐる実態というものをもう少しはっきりとらえて、まずは各会社が決算公告の重要性を認識して自発的にこれを行うような環境をつくる方が大切ではないか、こういうふうに考えておる次第であります。

 このような観点から、今世の中はIT化がどんどん進んでおるわけでありまして、平成十三年度の商法の改正において、決算公告を安く簡単にしようということで、電磁的公示、いわゆるホームページですね、そういったところに公示できるような制度もつくったわけでありまして、できれば多くの方々がそれを使って決算公告をしていただきたいな、こう思っているわけであります。

 今後とも、私どもとしては、決算公告義務及びその重要性について周知を図る努力を続けていくことと、決算公告義務の実効性を確保するために適切な措置を検討していきたい、こういうふうに考えているところであります。

田嶋(要)委員 最後におっしゃった、インターネットでの公告もできるというような環境の変化もございますので、ぜひそれに応じたアクションをお願いいたしたいというふうに思います。

 最後に、もう一点だけお願いしたいことでございますが、近未來通信の総務相への届け出時の添付資料を、委員会への提出を委員長の方にお願いいたしたいと思います。具体的には、会社の登記簿の写し、役員一覧、出資構成、その他に関しまして提出をお願いいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

佐藤委員長 理事会で協議をさせていただきます。

田嶋(要)委員 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 鈴木克昌でございます。

 お許しをいただいて、限られた時間でありますが、私からも、平成電電、近未來について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 早速御質問に入らせていただきますが、私は、去る十一月二日に本委員会で平成電電について質問をさせていただいたわけでありますが、そのとき、近未來通信も間もなく組織的詐欺として事件になるであろう、このようなことを私は申し上げました。その後、詐欺的な投資スキームで調達した四百億円規模に上がると見られる資金の行方を知る近未來通信の経営者は忽然と姿を消しておるわけでありまして、近未來通信は電気通信事業法における届け出業者であったはずでございます。

 そこで、まず、順次御質問いたしますが、電気通信事業法における一万三千七百七十六の届け出事業者の属性はいかがなものか、御答弁いただきたいと思います。

森政府参考人 届け出書に記載しております事項から属性を分析いたしますと、まず、法人、個人別という点では、法人が六六%、個人が三〇%ということでございます。

 それから、役務別の属性ということについて申し上げますと、インターネット関連サービスが約二七%、インターネット接続サービスが二〇%、IP電話が七%というようなことになっております。

 それから、地域別の属性という点もあろうかと思いますが、関東が五二%、近畿が一八%、東海が八%というような大まかな属性分類になっております。

鈴木(克)委員 今、小規模で個人が圧倒的に多い、こういう御答弁であったわけでありますけれども、いわゆる届け出事業者には定期的な報告義務もないわけであります。したがって、いわゆる事後チェックというのはほとんどできていないというふうに私は思うんですね。いわゆる届け出事業者一万三千七百七十六の事後チェックというのは私は現実には困難ではないのかと。となると、やはり出されたときの段階で、幾ら規制緩和といえども、ある程度きちっとしたチェックがなされなきゃならない、このように思うわけでございます。

 そこで、近未來通信の届け出段階のチェックがどんなものであったかということをお伺いしてまいりたいと思うんですが、今、実は私、ここにそのときに出された書類の一部を持ってきております。届け出書の別添のいわゆる資料として、近未來通信がネットワーク図をつけておるわけであります。これがそのネットワーク図でございます。手書きのこれですよ。子供でももう少し上手に書くかもしれないと思うんですが、これが実は届け出書類、平成十一年三月二十九日に出された書類なんです。

 こういうことで、私はまだほかにも実は三、四枚の資料をいただいておるのですが、例えば企業概要を拝見しますと、いっぱい間違っているんですね。しかも、それは手で線を引いて消してあるわけですよ。これが届け出書類というふうにあなた方は御判断をされておるわけですけれども、幾ら何でも、こういうことでどうやってチェックをなさったのか、御答弁をいただきたいと思います。

森政府参考人 届け出のチェックでございますが、総務省におきましては、各地方にございます地方の総合通信局で行っておりますけれども、届け出書を受け付けるに際しましては、届け出書の記載事項や必要な添付書類に不備、不足がないかどうかをもとに判断いたしておりまして、これは行政手続法第三十七条に定める届け出の取り扱い方法そのものでございます。

 今のネットワーク図等につきましても、手書きではいけないということは、制限はございません。

鈴木(克)委員 ほかの委員の皆さんにもこれを配付させていただくとよかったんですが、本当にひどいですよ。これが届け出書なのかと私はちょっと目を疑いました。こういう書類が平然と届け出書として受理をされて、そして、それによって何百億円という被害者が出ておるというこの実態を一体全体何というふうにお考えになっておるのか。

 本当に私は、今田嶋委員からもありましたけれども、この際、近未來通信が出した書類をすべて、ぜひ出していただきたいと改めて委員長にお願いを申し上げたいと思います。

佐藤委員長 理事会で協議をさせていただきます。

鈴木(克)委員 ところで、総務省は、事前に二回ほど近未來通信に対してヒアリングを行った。そして、その後立入検査に入ったということでございます。今回の立入検査の法的根拠は、通信事業法の百六十六条、私は今通信事業法を持ってまいっておりますが、この百六十六条であり、この法律の施行に必要な限度において報告徴収そして検査ができる、このようにあるわけですけれども、「必要な限度」というのは一体全体何を指しておっしゃっておるのか、御答弁いただきたいと思います。

森政府参考人 電気通信事業法でございますが、百六十六条第一項に記載がございます。

 「この法律の施行に必要な限度」ということでございますが、具体的に申し上げますと、近未來通信に関しましては、電気通信事業法第二十九条第九号の業務改善命令の発動要件でございますところの、電気通信事業者の業務の方法が適切でないかどうかとか、あるいは利用者の利益を阻害しているかどうかを判断する必要がございますので、報告徴収等を行ったわけでございます。

鈴木(克)委員 それで、なぜもっと早く立入検査ができなかったのか。私は、これは十一月二十七日ですか、二十九条の九号が適用できるというふうに御判断されたかというふうに思うんですが、なぜもっと前に判断できなかったのか、御答弁をいただきたいと思います。

森政府参考人 電気通信事業法に基づく立入検査につきましては、同法百八十八条が定めておりますけれども、万一検査を拒んだり妨げたり、あるいは忌避した場合には罰則が適用されるということでございますので、その実施に当たっては、いきなり立入検査というわけにはなかなかまいらないという事情がございまして、そうした認識のもとに、まず、立入検査に先立ちまして、任意のヒアリングを実施いたしました。それからさらに、それでは不十分だということで、電気通信事業法第百六十六条第一項に基づく報告徴収を行いました。そして、その報告徴収について、なお不十分ということで、次に立入検査を実施したということでございまして、必要なステップを踏ませていただいたというふうに考えております。

鈴木(克)委員 必要なステップを踏ませていただいたということですが、もう一度私申し上げますけれども、規制緩和で事前から事後のチェックに変わったといっても、届け出事業者一万三千七百七十六社、そして登録事業者が三百十六、合わせて一万四千九十二事業者があるわけですね。これは本当にチェックができるんですか。完全な事後チェックをやろうと思えば大変な時間と労力が必要だ、私はこのように思うんですが、今のチェック体制、チェック機能、そういうものは、本当に機能をしておる、このように御判断をされておるんですかね。

森政府参考人 もし全一万四千社余りを一斉にチェックする、立入検査するということになれば、それはもう大変な時間と労力がかかるわけでございますけれども、今回のような、非常に希有なといいましょうか、新聞報道で初めてわかったような、警察当局の捜査が入るような事例についてピンポイントで法令に基づいてチェックをするということは、現在の体制において十分可能であると考えております。

鈴木(克)委員 最後、十分可能であるというふうに御答弁されたんですか、十分可能でないというふうに御答弁されたんですか、ちょっと私、聞き漏らしたので。

森政府参考人 十分可能であるというふうに思っております。

鈴木(克)委員 いや、これは本当にびっくりしますね。

 また繰り返しになりますけれども、出された資料は先ほど申し上げましたようなこの資料ですよ。それで今、刑事事件というか、そういった新聞報道で知ったということをおっしゃりながら、現体制で十分チェックができる、可能である、こういうことをおっしゃるわけですが、私は、正直言って、少なくともこの書類を平気で受けておるような総務省がまともなチェックができておるなんて全く思えませんよ。

 本当にしかし、恥を知れとまでは言いませんけれども、もっと責任を持ってくださいよ。これで、四百億、数千人の方々が大変な被害に遭われておるじゃないですか。皆さん、一度この書類をぜひ、先ほど委員長にお願いしましたけれども、見てくださいよ。私も市長をやってきましたが、職員から書類を出されて、手書きで横線が引いてあって数字が直してあるような書類は私は一切認めませんでしたよ。こんな書類が我が国では通るんですか、総務省では通るんですか。もう一遍御答弁ください。

森政府参考人 届け出記載事項に沿って届け出項目が書いてあった場合に、手書きであっても、内容の形式上の不備がなければ、やはりこれは受理しなければいけないものだと考えております。

鈴木(克)委員 私は、手書きだからいけないとか、字がうまいから、下手だとか、そんな話は全くしません。確かにこれが本当に出される書類としていいのかなという思いはありますが、仮に、百歩譲ってこれも書類であるというのならいいですよ。

 だけれども、この中の、いわゆる企業概要、これはごらんになっておると思うんですけれども、手書きで消してあるんですよ。例えば、「高速デジタル」が、「本数」というふうにあるんですね。十五本と最初書いてあって、括弧の中に七本と書いてあって、両方とも線を引いて、下に、二本、一方は〇本となっておるんですね。もう一方、八本と書いてあるところは消して二本になっているんですよ。こんな書類が本当に通るんですか。これでチェックがなされておると言うんですか、あなた方は。信じられないですよ。どうしてこんなものが、まともにチェックがなされていると。まだあと手で訂正されたところがありますよ。

 もう一遍御答弁ください。よく見てなかったと言ってくださいよ。

森政府参考人 一部、そのような、見え消しというか、訂正部分があるようでございますけれども、トータルとしての形式あるいは内容不備がなければ受理せざるを得ないものと考えております。

鈴木(克)委員 総務省というのはすばらしい役所だというふうに思います。手書きはともかくとしても、数字が間違っておったら、普通なら捨て印をするとか例えばもう一遍きちっと書き直すとか、こういう書類が正式に受理をされて、しかも認められていくなんというのは、私は、ちょっと本当に考えられません。

 では、次に参ります。

 いずれにしましても、同様のスキームで、いわゆる平成電電も同じような形だったわけですけれども、平成電電が破綻した時期に、なぜ近未來通信についても立入検査に入らなかったのか。私は、ここのところがどうしても納得がいかないんですね。一方で入り口を広げて、そしていわゆる規制の対応が後手後手に回っておる、こういうのが現在の状況ではないかと思うんですが、もう一度聞きます。要するに、平成電電が破綻した時期に、マスコミが騒いだですよね、そのときに、これは近未來通信もおかしいんじゃないか、こういうような判断は全くなされなかったんですか。御答弁ください。

森政府参考人 今のお言葉から、平成電電の記事が出たときに近未來通信がおかしいということは気がつきませんでした。

鈴木(克)委員 いずれにしましても、ちょっとその平成電電のことに入らせていただきます。

 去年の十月に民事再生を申請したわけですよ、平成電電が。このときに、いわゆる事業の継続性に終止符が打たれ、利用者の利益を阻害する、あるいは、近未來通信と同じように、利用者の利益を阻害する可能性があると私は十分解釈できたと思うんですよ。だって、ここにあるじゃないですか。電気通信事業法、ここに、そういうときには、業務の方法が適切でないときにはいわゆる立ち入って調査できるとなっておるじゃないですか。なぜこのときになさらなかったんですか。

森政府参考人 平成電電は、二〇〇五年の十月三日に東京地方裁判所に民事再生手続の申し立てを行っております。当該手続に基づきまして、平成電電は司法の管理のもとで再生を図ることになったということでございましたので、当省といたしましては、当該手続の推移を注視していたところでございます。

 その後でございますが、平成電電の電気通信サービス、会社ではなくて事業の方は、本年の六月十六日に当時の日本テレコム株式会社、現在のソフトバンクテレコムでございますけれども、そこに事業譲渡されまして、サービスが継続されているということでございましたので、特に立入検査を行う必要まではなかったというふうに認識しております。

鈴木(克)委員 大臣、先ほど大臣は同僚議員の質問に対して、今回の近未來通信は苦情が比較的少なかった、そしていわゆる調査に限界があった、こういう御答弁をされたわけですね。だけれども、実際には苦情が少ないことはないわけでして、ここにも今、国民生活センターそれからまた各地の消費生活センターのデータでも、二百五十四件の苦情が来ておるわけですよ。これは大臣、少ないというふうに御判断をされるんですか。これが一点。

 もう一点は、調査に限界があった、こういうこともおっしゃったわけですけれども、法律にはちゃんとそういう調査ができるようになっておるわけですよ。ということは、法をつくったって法を生かせなきゃ何にもならないということですよ。仏つくって魂入れず、まあ、そんなことを言うとまた仏さんの仏罰が当たるかもしれませんけれども、それと同じようなことになるんじゃないですか。

 だから、私が申し上げたいのは、苦情が少なかったからとか調査に限界があったというのは、そうじゃなくて、やはり担当が居眠っておった、やる気がなかった、そういうふうに御答弁をされる方がいいんではないか、私はこのように思いますが、どうですか、大臣。

菅国務大臣 この電気通信事業法の調査というのは、利用者保護の観点に限られているということはぜひ御理解をいただきたいと思います。そして、現実問題として、直接通信を利用している利用者の皆さんからは全く苦情はありませんでした。今委員が御指摘されたものについては、投資に関する相談であったというふうに思っております。

 そういう中で、私どもは、法律に基づいて、電気通信事業法百六十六条第一項の規定に基づいて報告徴収、立入検査を行って、結果も積極的に公表してきたわけでありますけれども、しかし、こんなに問題になっているのになぜだというお気持ちも私はよくわかります。

 そういう中で、資金調達の方法が不適切である、これは、投資に関する中で、私ども、この電気通信事業法の中ででき得ることはやはり行わなきゃならないだろうというその判断の中で、ぎりぎりのことを何ができるか、そういうことで今事務方に検討させて、通常の通信の利用者保護じゃなくて、今回のは完全に投資でありますから、そこに私どもができるというのは限界がありますけれども、できるだけ迅速に、また機動的に対応して、このような被害が起きないように、電気通信事業法の中でもできる限りのことを模索していこう、そういう形で法改正をしたい、そういう思いであります。

鈴木(克)委員 今大臣から、本業の通信サービスに問題がなくても、経営や財務などに懸念があれば立入検査や業務改善命令ができるようにする方向だ、こういうふうにおっしゃいました。まさしくそういう方向で一刻も早く法整備をしていただきたい、私はこのように思うわけであります。

 先ほども同僚委員からありましたけれども、金融商品取引法では、いわゆる今回のような投資スキームを持った事業者は規制の対象になるわけです。私は、財務金融委員会でこれは確認をしてまいりました。

 問題は、今度はまた役所同士の責任のなすり合いということで、要するに、総務省の所管、そして金融庁の所管、その辺のところで、いわゆる問題のないような、きちっとしたすり合わせを私はぜひやっていただきたい。オレンジ共済や豊田商事の話を皆さん御記憶かもしれませんけれども、あれでも、結局、法のすき間すき間をねらわれたわけですよ。だから、今回は本当に金融庁、総務省がきちっとすり合わせをして、そういうところのすき間のないような法整備をしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 委員御指摘のように、私どもも、国民がこうした被害に遭わないようにするために、緊密に連携をとって対応させていただきたいと思います。

鈴木(克)委員 最後に、平成電電、そして近未來通信問題における国の責任ということについてお伺いをしたいというふうに思います。

 平成電電、近未來通信問題では、国が与えた事業区分、つまり平成電電であれば第一種通信事業者、近未來通信であれば一般第二種通信事業者という免許が与えられた。いわゆる通信事業において国からお墨つきをもらった業者だ。それが、先ほどのお話のように、まさに広告から宣伝から一切合財それが前面にうたわれて、多くの被害者が出ておるわけですよね。私は、こういった国のお墨つきを利用して組織的な詐欺が行われ、しかも、平成電電では四百九十億ですよ。今回はまだわかりませんけれども、恐らく四百億を超えるのではないかというような状況であります。

 もし、大臣、国がそういった二つの問題で瑕疵を認めた場合、いわゆる補償というのは考えられるんでしょうか。ということは、何が言いたいかというと、耐震偽装で国はいち早く国の瑕疵を認めて、全部ではありませんけれども、補償をしたわけですよ。今回は、先ほどから言っておるように、国のお墨つきがもとでこういう事件が起きて、これだけ多くの被害者が出たということですから、もし国に重大な瑕疵があったといったときには、その二つの問題について瑕疵を認め、そしてその後、補償ということはどんなふうにお考えなのか、御答弁いただきたいと思います。

菅国務大臣 平成電電の関係につきましては、第一種電気通信事業の許可、事業譲渡の認可に当たって、電気通信事業法にのっとり適正に審査をし、それぞれ許可と認可を行ったものであり、利用者利益の確保は図られたものと思っております。

 そして、近未來通信については、届け出事業者でありますので、事業法上、参入時等の審査はなく、今般の問題についても事業法で与えられた範囲内で最大限対応したというふうに考えております。

 いずれの場合にも、法令にのっとって適正に対応しておりまして、国に瑕疵があるということは考えておりません。

鈴木(克)委員 これで終わりますが、本当にこの被害の現実をよく見ていただいて、また繰り返しになると長くなりますが、この書類によって事が起きたわけですよ、この書類によってこれだけの被害が出たわけですから、私は、やはり国はもっともっと責任を感じながら、そして被害者の痛みの側に立って判断をしていっていただきたい。このことを申し上げて、私の質問を終わります。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、最初にNHK会長に伺いたいと思いますが、会長は、十一月二日の会見でお話しになられたことはNHKインフォメーションの方で読ませていただいておりますが、テレビ国際放送について、NHKブランドで放送を出すことが実効的な国際発信の強化につながるのではないかと主張していらっしゃいますね。これに対して、記者の方から、命令放送ではなくてという意味が言外にあるのかと質問されて、そういうことだと答えておられます。

 やはりNHKが国際的に信頼を高めていくということを考えたときに、命令放送では実効的な国際発信の強化にならない、そういう趣旨になっているものと思うんですが、まず最初に会長のお考えというものを聞いておきたいと思います。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

橋本参考人 お答え申し上げます。

 命令放送といいますか、まず、国際放送につきましては、できるだけ受信される方々の見聞きしようとする意図というものを、これが実際に見聞きしてくれるかということにつながってこようと思います。その意味では、やはりこれまでNHKは、NHKブランドといいますか、国際放送としてNHKの編集権の中で放送してまいりまして、実際に見聞きということで実績を上げてきております。そういうNHKの編集権というものを明確に出すことが、やはり視聴者の方々に実効的な視聴効果を高めることというふうに常々考えております。そういう趣旨で申し上げております。

吉井委員 引き続いてNHK会長に伺いますが、命令放送による報道、放送というのは、これは放送局の自主的な放送とは見られないということになってくると思うんですが、実は、今委員長席に座っていらっしゃる谷議員も一緒に、ことし七月に総務委員会の調査で行ってきた中にBBCがあります。それで、放送局としての基本を貫いてきたのがBBCだということを強く実感もし、お聞きもしてきました。

 例えば、有名な話で、一九八二年のフォークランド戦争のときの報道姿勢では、BBCの姿勢を世界じゅうに知らしめたものであったというふうに思います。この戦争報道に際してBBCは、イギリス軍をどう表現するかということで、アワトゥループス、我が軍と呼ばないで、ブリティッシュトゥループス、英国軍と三人称の呼称を使ったわけですね。だから、そのときのサッチャー首相の方からは非常に厳しい非難、攻撃を受けたわけですが、これに屈しなかったということですね。一九九一年の湾岸戦争でも、二〇〇三年からのイラク戦争の中でもこの態度を貫いています。

 彼らは、お話を伺っておっても、権力からの独立ということにジャーナリストとしての誇りを持っている、そういうことを非常に強くお話もされたし、受けとめてまいりました。BBCのこうした態度がBBCの国際的信用を高めていると思うんですが、BBCのこうした態度について、会長はどのように認識しておられるか、伺います。

橋本参考人 BBCも当然、公共放送、報道機関としての自主自律、編集の自由、自主自律というものに努めて、その評価を高めていることだと思います。

 我々NHKについても、NHKブランドで行う、あるいはNHKの自主自律の編成に基づく放送をすることによって、やはり報道機関としての使命、根幹を貫いてまいりたいと思います。

吉井委員 総務大臣に伺っておきたいんですけれども、命令放送、とりわけ具体的項目まで指定した命令放送、これは報道の自由とか番組編成の権力からの独立にかかわって非常に重大な問題を持っているわけですね。このことは、裏返せば、そうした命令放送による情報発信というのは、放送局の自主的な報道や放送とは受けとめられない、自主的な報道だとは受け取られないという問題が出てきます。

 それは、NHK会長のテレビ国際放送での発言を見ていても、これは当然の会長の発言だったと思うんですが、総務省は、テレビ国際放送にも命令放送を命じるために、そのための予算を要求しているわけですが、私は、こういうときにこそ考えなきゃいけないのは、放送内容に介入する余地のある放送法三十三条の命令放送制度、こういうものはやはり廃止するべきだと思うんですね。

 総務大臣に、私はこの命令放送制度というのはやめるべきだと思うんですが、考えを伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 委員御案内のとおり、放送法第三条においては「法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」しかし、それを受ける形で、国際放送等の実施の命令等、第三十三条に、協会に対し、放送区域、放送事項その他必要な事項を指定して国際放送を行うことができる、このようにうたっていることも事実でありますし、私は、法治国家である日本において、まさに拉致問題という我が国の極めて重要な問題、そして人道的な問題であることに対して、この法律に基づいて電波監理審議会に諮問をし、答申を受けたわけであります。

 今委員は、この命令放送そのものを取りやめたらどうだということでありますけれども、私はその考えは全くありません。

吉井委員 拉致被害者の救出とか拉致問題の解決は、これは当然のことなんですよ。しかし、それを理由にして放送内容に介入するとか報道の自由に介入、干渉を行うということは、これはやはり間違いなんです。

 ですから、そういう点では、命令放送制度そのものをやはり廃止するということを考えていかないと、今まではこの制度があってもこういうやり方はしなかったわけなんですから、個々の具体内容にかかわってということはなかったわけですから、やはり今、具体内容にかかわって干渉しよう、権力的介入をする、そのことにこの制度を活用しようというのであれば、私は、命令放送制度というのは廃止をするべきだというふうに考えます。

 そこで、NHK会長に引き続いて伺っておきますが、テレビの国際放送では命令放送に対して一定の見識を示されたと思うんですが、ラジオの国際放送ではそこがはっきりしていないんですね。ラジオ国際放送でも、命令放送との関係でもこれは当然当てはまってくるわけですから、ラジオ国際放送でも個別項目まで踏み込んだ命令放送を受ければ、放送局としての自律性に重大な侵害を受ける、テレビもラジオもですね。

 だから、報道機関としての信頼を失うことになりますから、ラジオ国際放送に対する個別問題まで踏み込んだ今回の命令放送に対しては、やはり放送人として毅然とした態度をとるべきだと思うんですが、これは会長に伺っておきます。

橋本参考人 ラジオの国際放送につきましても、これはラジオであれテレビであれ、やはり放送というものは報道機関としての使命をかけて、自主自律、自己の編集のもとに放送を行っていくこと、これが基本だと考えております。

 そういう面で、これまでもNHKの編集権の中で放送を行ってまいりましたし、これからもその姿勢を貫いてまいりたいと考えております。

吉井委員 私、権力の介入については、本当に毅然とした態度がとれるかどうかということが、報道機関である放送局の根幹が問われてくるし、国民的にも国際的にも、それが本当に信頼を高めることになるのか、信頼を失墜するのかということにかかってくると思っているんです。

 それで、私の手元に、「北朝鮮へ声送る家族の願い」というので、ラジオ第一で十月三十日の午後十時から五十五分番組のものですが、これについて、問い合わせ対応のQアンドAというのを事前につくっておられますね。つまりこれは、国会で議論される国際放送の命令放送を受けての放送ですかとか、菅総務大臣の発言を受けて制作したものですかとか、放送する前にあらかじめQアンドAをつくってやっているわけですが、これは、私はやはり、NHKとしても、命令を受けてやっていると思われることについてあらかじめ言いわけを準備しなきゃいけなかったということを示している資料だと思っているんです。

 私、もう時間がありませんから、この部分の質問はおいておきますけれども、BBCの毅然とした態度を見たときに、やはりNHKのこうした言いわけまで準備しながらやるようなことになると、これは国際的にも国内的にも、権力に物を言えないNHKという姿をさらけ出してしまうことになって、これはやはり信頼失墜につながると思います。

 付言すれば、権力には低姿勢なんだが、国民には受信料の強制徴収で高圧的という姿勢となると、権力に弱く国民に横柄なNHKという姿になったときには、これは本当に国民的な信頼を失って、それはまた、別な面から見ますと財政的基盤そのものを揺るがすことになってしまいますから、私は、この点については、NHKとしては毅然とした態度を貫いていくということをやっていただきたいと思います。

 最後になるかと思いますが、地上デジタル化の問題にかかわって伺っておきます。

 日本には今、一億台のテレビがあると言われています。そのうちデジタルテレビはチューナーも含めて千四、五百万台というところですから、あと五年で八千五百万台のアナログテレビを地デジ対応のテレビにしないと、電波が途切れたときにはテレビが見られない、こういうことになります。

 一般に、年間のテレビ出荷台数が大体一千万台ですから、これでいきますと大体八年半ぐらいかかるんですね。つまり、二〇一四年ないしは二〇一五年までかからないと、地デジに切りかえたらテレビを見られない人がたくさん残ってしまうということになります。これではとても二〇一一年七月にアナログ放送の停止はできないと思うんですね。だから、このままでいったら、もう間もなく全部地デジに変わりますという宣伝はやっているんだけれども、これは実行不可能の計画ということになってきます。

 そこで、テレビだけじゃなくて、同時に受信側のアンテナ問題もありますから、伺っておきたい一つは、今、VHFアンテナですが、これで見ているものを、UHF帯で使うデジタル放送ですから、新たにUHFアンテナの設置が必要となります。この世帯は今どれぐらいあるのかということをどうつかんでいるかということが一つです。

 もう一つ、共聴アンテナで受信している世帯がたくさんありますが、デジタル化のためには更新しなければならない施設がたくさんあるわけですね。例えば、難視聴僻地では二万施設、百六十四万世帯、都市部では五万施設、六百七十万世帯、集合住宅で五百万世帯と言われておりますが、どれぐらいこの対策は進んでいるのか。まず現状を、これはNHKであれ総務省であれ結構なんですが、まず、共聴アンテナ施設のデジタル対応はどの程度進んでいるか、把握そのものをしていらっしゃるかどうかを伺っておきたいと思います。

鈴木政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、三種類の共聴施設がございますが、それぞれの実態につきまして、どれだけの施設、あるいはそれによって受信されていらっしゃる世帯数がどれだけあるのかということを確認いたしたところでございまして、基本的には受信者の方の御負担で変更していただきたいと思っておりますが、いわゆるマンション共聴施設のようなものにつきましては、具体的な設備をどのようにして変えていけばいいのかという御相談にあずかるとか、あるいは辺地共聴施設については、来年度予算の中でも、一部補助したいというふうに考えておりまして、要求をしておりますので、そういったものの数を今把握しておるところでございます。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 要するに、実態がほとんどつかまれていないというのが現状なんです。

佐藤委員長 申し合わせの時間は既に経過しておりますので、御協力をお願いします。

吉井委員 このままいったら、二〇一一年にはアナログ停波ということには簡単にならないわけですから、これは国民的な真剣な検討を要するところへ来ているということを申し上げて、時間が参りましたので、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 近未來通信に絞って質問をさせていただきます。

 この間、各議員から、近未來通信についてそれぞれ質疑がなされました。聞いておって、これはもはや、近未來通信問題は詐欺問題だと言ってもいいんじゃないか、こういうような感じを強く持つわけであります。

 この間の質疑、答弁で相当程度明らかになりました。ただ、電気通信事業法との関係においてはまだ十分解明されたとは言えないのではないか、このように私は思います。

 そこで、今回総務省の行った報告徴収及び立入検査は、電気通信事業法の何条を根拠に行ったのか、まずここから始めたいと思います。

森政府参考人 近未來通信に対する報告徴収及び立入検査は、電気通信事業法第百六十六条第一項が根拠でございまして、そこの条文では、「この法律の施行に必要な限度において、電気通信事業者等に対し、その事業に関し報告をさせ、又はその職員に、電気通信事業者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、電気通信設備、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。」こう記載されております。

重野委員 百六十六条第一項に基づく報告徴収及び立ち入り、このように申されました。

 この規定には、「この法律の施行に必要な限度において、」そういう規定が冒頭にございます。この規定の意味するところは、電気通信事業法第一条において、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を確保しとありますように、利用者の利益の確保、あるいは第二十九条、是正命令の規定でも示されておりますけれども、利用者の利益を阻害している場合、初めて発動し得ることを意味する規定なんだなというふうに考えますが、そういう理解でいいのか、答弁をお願いします。

田村副大臣 ただいま説明をさせていただきましたとおり、また先生から御質問をいただいた部分でありますけれども、この百六十六条の一項の部分に関しては、「この法律の施行に必要な限度において、」と。

 それは何だろうという場合に、今回の近未來通信に関して申し上げれば、今先生おっしゃられた第二十九条の第九号におきまして、「利用者の利益を阻害している」、こういう場合には業務改善命令等々が発動できるというふうになっておりますが、ただ、これを目的とした、今回の百六十六条第一項における報告徴収及び立入検査、これの要件といたしましては、必ずしも利用者の利益を阻害しているということが確定的ではない場合も当然あり得る。つまり、そういうおそれがある場合等々、それを調べるために立入検査もしくは報告徴収をやるわけでありますから、そういう意味からいたしますと、必ずしも、それが確定している場合でなければこの百六十六条の第一項は行政行為として行えないというわけではありません。ちょっとまどろっこしい言い方で恐縮でありますけれども、もちろんそういうおそれがあるからやるわけでありますけれども、確定していなければできないというわけではないということであります。

重野委員 まどろっこしい説明ですけれども、結論から申しますと、百六十六条第一項に基づいて報告徴収及び立入検査を行うということ、そこにそもそも、今回のケースに照らして、法の適用に無理がやはりあるのではないか、このように思うんですが、それについてはどういうふうにお考えでしょうか。

田村副大臣 ですから、今申し上げましたとおり、二十九条の業務改善命令というものを目的に、今回の百六十六条に照らして報告徴収等々を命じたといいますか、行ったわけですね、行政行為として。これは、明確に例えば利用者の利益を阻害しているという事実がなくても、どうもそのおそれがあるということで今回はこのような百六十六条の一項を適用したわけでございますので、そういう意味では無理はないという話だと思います、今回の行為は。

重野委員 今、副大臣も触れましたけれども、今回のケース、だれか利用者からクレームがついたという事実があるのかどうか、電気通信役務の提供において、報告徴収及び立入検査に至る段階まで事実関係としてそのサービスの提供がなされない、そうした事実が確認されたから今回のいわゆる行動をとったのかという点についてはどうなんですか。

森政府参考人 事実関係につきましては、実は八月の末、二十九日だったと記憶しておりますが、新聞報道がなされました。二紙掲載されましたけれども、一紙が近未來通信の所得隠しという内容、もう一紙が自転車操業かというような内容で記事が掲載されまして、所得隠しの方は、私ども特段直接の関係はないかなと思いましたけれども、自転車操業かというところの段階で、これはひょっとして利用者に影響を与えることはないだろうかという発想を抱いたわけでございますが、その時点において、利用者からの苦情は一件もございませんでした。

 したがって、どうするかということになりますと、では、任意で近未來通信にお越しいただいて、事情をいろいろ聞かせていただきました。そうしましたら、いろいろ確認できないこと、不十分な点がございましたので、任意の事情聴取を重ねた上で、今度は百六十六条第一項に基づく報告徴収を実施することにいたしました。そして、それでもその内容が古いデータであったり、一部どうしても回答がないということでございましたので、立入検査の実施に至ったということでございます。

重野委員 今、私がここのところを執拗に聞くのは、近未來通信だけではない、このような事態が今後予想されるというふうに私は思いますから、念を押しているわけです。

 実は、この問題、近未來通信に限って言えば、昨年の十月二十九日、週刊東洋経済という経済誌に、近未來通信は本当にもうかるのかという、疑問符のついた記事が出されております。一般投資家に対するどうも怪しげな金集めをしているんじゃないか、こういうふうな内容の記事であります。

 専門誌ですから、当然そういうふうな記事等は総務省としても目を通していたんだろうと思うんですが、そういうたぐいの記事等々について、総務省はずっと目を通しているのかどうか、確認したい。

森政府参考人 先生御指摘の東洋経済の記事とか、先ほどエコノミストでございますか、配付された記事というのは、担当のレベルではもちろん読んでいたと思いますし、またそれ以外でも派手な広告が載っているなとは思ってはいたものの、先ほども申し上げましたように、利用者からの苦情が一件もないという段階において、利用者の利益の確保というのを目指す電気通信事業法を所管する立場からは、その辺の疑念を抱くまでには、利用者への影響ということを心配するに至るまでには至らなかったということでございます。

重野委員 そこのところがやはり私は納得いかないというのは、この近未來だけではなしに、二〇〇五年の平成電電とか、二〇〇一年のエムティーシーアイとか、それからスリーディコム、ジャパンメディアネットワークとか、いろいろな企業がそういうふうな同じたぐいの状況にあるんですね。

 それは、今言うように、うちの守備範囲ではない、確かに利用者が被害を受けていない、届け出がないというふうなゆえをもってそういうふうにおっしゃる、それはわからぬでもないんですが、しかし、それが回り回って国民に多大な迷惑をかけることにつながっていくんだろうというふうに思うとき、こういう問題について、やはりそういうふうな立場で放置しておったというか、手を出さなかったという点について、私は、極めて消極的な姿勢ではないのか、こういうふうに言わざるを得ないんですが、それについてはいかがですか。

森政府参考人 電気通信事業法上の目的が利用者の利益の保護ということにございますので、利用者からの直接の苦情なり、あるいは関係者を含めて利用者への影響があるぞということがない限りにおきましては、なかなかこれまでは、発動といいましょうか、いろいろな調査に至らなかったというのは事実でございまして、その点を踏まえて、今後どうするかということについては、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

重野委員 今回のこの近未來通信、さらには平成電電を含めて、私が言っているのは、それ以前に同じようなことが起こっているではないか、そのときに総務省が何らかの手を打つということをしておれば、その後に起こる平成電電から近未來の問題を含めて、かなりその被害というか状況を抑制することができたのではないか、そういうふうに思うから、私はそのことをあえて言うんです。

 その点について、くどいようですけれども、もう一度確認したい。

森政府参考人 今回の事案のように、警察の捜索が入るというような事例、極めて希有な事例だとは思いますけれども、こうした件がほかにあったというのは実は私も承知していないわけでございますけれども、そういうような極めてアブノーマルな状況においては何らかの対応がとれたかもしれませんけれども、ちょっと繰り返しになりますけれども、利用者への影響がないとか、あるいは利用者へのその事業自体は引き継がれていくと言っているような場合には、なかなかその経営の実態まで踏み込んでやることは残念ながらできなかったということでございます。

重野委員 一万四千数百社あるというんですね、同じような会社が。だから、この対策、対応を誤る、あるいは甘さが残るような対応をしたら、私は、今後また同じようなことが起こってくるんだろうと。そういう意味では、確かに投資をした人が被害を受けたんだ、それを、いわゆる利用者は被害を受けていないというふうな区分けをして、だから我々は手は出さないんだというのは、私は問題があると。

 これはやはり、まだ規制緩和の流れの中で、私は、もともとこの問題は規制緩和という問題が根っこにあると思うんですよ、だって一万四千数百社同じような会社があるというんですから。それが今後起こらぬためにも、そこのところはやはりちょっと視点を変えてきちっとした対策をしていかないと、またぞろ同じようなことが、この場で質問しなきゃならぬようなことになるかもしれませんよ。そこのところをやはり認識として持ってもらいたい。

 その点についてはどうですか。大臣、どうですか。

菅国務大臣 この近未來通信の事例というのは、直接の利用者からは全く苦情がなかった。しかし、そこに投資をしている国民が、マスコミ等で騒いでいました。もっと国民の目線に立つならば、そうした段階でも早く私ども立入検査できなかったのかというのが国民の声でもあろうというふうに思います。

 しかし、残念ながら、現在の電気通信法の中においては現実的な利用者保護というものに限られておりましたので、そうした国民の皆さんの声というものも私ども考慮する中で、この電気通信事業法の中でどれぐらいのことができるかという、ぎりぎりのことについて、法改正をし、こうした事例にできるだけ迅速に機動的に対応できるように、今検討し、次の国会に何としても出したい、そういう思いであります。

重野委員 以上で終わります。

佐藤委員長 次に、亀井久興君。

亀井(久)委員 国民新党の亀井久興です。

 限られた時間でございますから、きょうはNHKの問題に絞って若干の質問をしたいと思います。

 今発売されております週刊ダイヤモンドという週刊誌がございます。その週刊誌に大変興味深い記事が出ておりましたので、まずそのことを御紹介しておきたいと思います。

 「二〇〇六年度版 企業イメージ調査 百四十社ランキング」、こういう記事なんですが、この週刊ダイヤモンドの定期購読者の方々をランダムにサンプリングして、約一万人の方を対象にして調査をした。十六の評価項目を設けまして、それぞれの評価を聞いて、そのトータルの評価を出してランキングをしている、こういうことなんですが、日本の代表的な国際的企業でありますトヨタであるとかホンダであるとかキヤノンであるとか、そういう企業が上位の方にずらずらっと出ておるわけです。

 そうした中で大変興味深いと思いましたのは、このことに関連をして、NHKが一般の企業だという仮定をして、NHKに対する評価をしてもらっているわけでございます。同じ質問項目で評価を聞いているわけですけれども、結果として、NHKの評価は総合評価としてどのくらいに位置づけられているか。これをごらんになったかどうかわかりませんけれども、菅総務大臣、大体の見当でいいですけれども、どのぐらいだと思われますか。

菅国務大臣 全く見てもおりませんし、予想がつきにくいのかなと思っています。

亀井(久)委員 会長、いかがですか。

橋本参考人 私もその記事そのものを拝見していませんので承知していませんが、別の面でいいますと、いわゆるリクルートの評判というのが、不祥事発生以前というものは一けた台であったものが、最近は本当に二けたも三けたに近い方に落ちているというふうなことで、国民・視聴者の信頼を損なっているということでは大変残念なことだと思いますし、できるだけこれを早く回復しなきゃいけないなというふうに考えているところでございます。

亀井(久)委員 直接はお答えいただけなかったんですが、会長の方は大変謙虚に今受けとめられたなというように思っております。

 皆様方あるいは御承知かもしれませんけれども、大変残念なことでございますが、NHKの総合評価というのは百三十六番目でございます。私、これを見て愕然といたしまして、皆様のNHKと言われているわけでございますが、今回のこの調査が国民全体の評価であるかということについては異論があるかもしれませんけれども、やはり相当の権威のあるこうした雑誌において総合評価がそこまで低いのかということに愕然としたわけです。

 その中で、いろいろな評価項目がございますけれども、経営陣への評価ですね、経営能力がどうなんだというその評価が実に百四十一番目、最下位ですね。それから、自己革新力がどうなのかという評価、これも百四十位です。それで、公共放送として安定した経営を続けているはずですから、長期的な安定性、そういう評価はかなり高いのが当たり前だと思うんですが、それでも百二十三位という評価ですね。一番深刻だなと思いますのは、今の経営能力の評価以上に、広告宣伝・自己PRの評価という項目があるんですが、これがやはり百四十一位なんですね。

 私は、放送メディアというものは、情報をいかにして国民に正しく伝えていくか、またNHKの公共放送としての役割というものを国民にいかにPRしていくかということが一番大事だと思っておりますけれども、そのことに対する評価が百四十一番、最下位ということ、私は、これは一般の企業でしたら、もう経営陣が総退陣を迫られるような、そういう事態ではないかと思うんです。

 そのことを前提にして若干お伺いしたいと思いますが、先ほど来、菅総務大臣が先般出された命令放送のことでございますけれども、私は、菅総務大臣にもこの間質問のときに申し上げたし、また竹中総務大臣にも、相当しつこいと思いましたが、公共放送としてのNHKのあり方、スタンスについて私の意見を申し上げたわけでありまして、先ほどBBCの話がありましたが、私、竹中大臣にも、BBCのとってきた道、またNHKの今日に至るまでとってきた道筋ということについてもお話をした上で、やはりNHKのあり方として、権力に対する一定の距離を保つという、そのことが国民の信頼を得るために絶対に必要なことだということを申し上げてきたわけであります。

 今、国際放送全体のあり方について情報通信審議会の方で議論をしておられるようでありますし、それを踏まえて法案を提出されるというようなことも聞いているわけでございますけれども、この権力との一定の距離の保ち方というのは、NHKサイドにとっても重要なことですけれども、それを所管されている総務省、総務大臣としても、やはりNHKの公共放送としての役割と責任というものは絶えず意識をしておられるべきだと思うんですね。ですから、せっかく今全体としてそういう議論があるときですから、何も急いで、法律にあるからといって国際放送の命令を出すというようなことは私は控えられるべきではなかったのかな、もっと慎重にされるべきではなかったのかな。

 一般の方々に聞いておりますと、何かNHKというのはいつの間に国営放送になったんだというような受けとめ方をされる向きもあるわけですから、そこのところは、これ以上は申し上げませんが、私の意見として、やはり総務大臣としても、NHKのとってきたスタンスというもの、これをお互いに守っていくんだという意識がないと、私はNHKの将来はますます大変なことになると思いますので、あえて苦言を呈しておきたいと思います。

 それから、もう一つ、経営委員会のことでございます。

 経営委員会がこれからNHKにとって大変重要な存在になるということは、先般来、私申し上げてきているわけでございますけれども、今、経営委員会のあり方についても情報通信審議会の方でまた幅広く検討されるということを聞いておりますけれども、私は、経営委員会というのは、どうも地方におりますと、各地方からも経営委員の方は出られますけれども、いずれもいわば名誉職としてやっているんだという、そんな意識が定着をしてきているように思います。

 私は、今こそ経営委員会の存在というものがしっかりとしていかなくてはいけないと思いますし、また、経営委員会の委員長を含め委員の方々が兼職で務めておられるということに大きな問題があるということも指摘をしているわけでございまして、そのこともいずれ結論は出てくると思いますし、また専任の事務局がなかったということについても、これでは経営委員会の能力が発揮しようがないわけで、執行部の方々の決められたことをただ追認するとかオーソライズするとか、その程度の役割しか果たしていないということでは、本来の経営委員会の役割というのは果たせないだろうというように私は思います。

 そこに加えて、御承知のとおり、今の経営委員長さんは保険業界のリーダーですよね。また、東京海上日動のトップでもあるわけでございますけれども、今保険業界で大きな国民的な関心事というのは、保険金の不払いの問題でしょう。これがどんどんどんどん広がってきている。一社ではとどまらずに、どんどん広がってきているということで、これは私は、どうも、今その広がり方を見ておりますと、何か過ってそういうことをやったということではなくて、組織的にそうしたことが行われてきたのではないかという疑いすら持ち始めているわけでございますが、将来これは訴訟問題に発展をしてくる可能性だってあるわけですね。

 そういう保険業界のリーダーの方がNHKの経営委員会の委員長に座っておられて果たして、NHKの今これだけの非常事態、さっきの企業ランキングにもあらわれましたように、企業であればもう倒産寸前になりかかっている、そういう評価を国民からも受けている。そのNHKの経営に深く関与をしている経営委員長さんが、自分の本業の方で降りかかった火の粉を払うのに精いっぱい。そういうような状況の中で、本当に経営委員会のあり方というものを健全化できるのかどうか、そのことについて私は大変強い懸念を持っているわけでございますが、そのことについての総務大臣の御見解と会長の御見解を承りたいと思います。

菅国務大臣 NHKの経営委員会は、NHKの経営方針その他の業務運営に関する重要事項を決定する、ある意味では最高の意思決定機関であります。そういう中で、NHKが公共放送として国民の皆さんから期待される役割を果たしていくためには、やはりこの経営委員会によるNHKのガバナンスというものが極めて大事であるというふうに思っています。

 そして今、経営委員長について委員から御指摘をいただきました。私どもとすれば、お願いをして経営委員会の委員長に、委員に御就任をいただいておるわけでありますから、それはやはり、私どもというより御本人が御判断をされることだというふうに思いますし、NHKの経営委員会で御判断していただければありがたいということであります。

橋本参考人 御指摘のように、NHKは、大変厳しい改革に取り組んでいる中で、経営委員会からいろいろ具体的な御指摘等もいただきながら改革に取り組んでいるところでございます。

 その中で、経営委員長の会社につきましては、損保協会の不払いの問題というものが大変大きな話題になっております。経営委員長につきましては、やはり御自身のいわゆるリーダーシップといいますか、そういうところをお願いするということでしかないと思います。

 いろいろ調査も徹底的に行うというふうなことでありますので、そういう推移の中で、私としても、事態につきましては注目してまいりたいというふうに思っておりますけれども、基本的に、経営委員会そのものにつきまして申し上げますと、やはりNHKの改革というものに対して、実務的な監督権といいましょうか、しっかりと執行部を監督する、こういう力をつけていただくということで、経営委員会そのものの、人選も含めていろいろ御議論いただいていると思います。

 つきましては、我々、この執行部に実効力ある監督権を発揮していただけるような体制を期待したいというふうに考えております。

亀井(久)委員 NHKの受信料の不払いの動きが広がったということは、やはりNHKの相次ぐ不祥事が明るみに出た、そのことも大きいわけでございますから、今いわゆる法令遵守、コンプライアンスの徹底ということもかねてから会長は強く力説しておられますけれども、法令をきちっと守らなくてはいけない、そういうことをNHK自体が打ち出していかなくてはいけないその中で、経営委員長がそうした法令を果たして守っているんだろうかというような、そういう批判を浴びているということは、私はやはりNHKの将来にとって大変な事態ではないかなというように思います。

 私は、あえてきょうは経営委員長さん御本人をお呼びすることは控えたわけでございますけれども、こうしたNHKの今置かれている非常事態というものをかんがみれば、経営委員長さん御自身が御自身で責任をきちっととられるべきではないかということを、あえて私の意見として申し上げておきたいと思います。

 いずれにしても、NHK、多くの職員の人たちがやる気を出さなくてはいけないわけで、さっき申し上げたような企業イメージの中で、新しい、いい人たちがどんどんどんどん入ってくるとは思えませんね。やはり企業ランキングの上位のところに新卒の人たちは集中するわけで、NHKはいい人材を集めていくということが何よりも大切でございますから、そのためにもNHKのイメージをみんなでとにかく守っていくんだというそのことに、大臣もまた会長も力を合わせて頑張っていただきますことを心から申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十七分散会


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