衆議院

メインへスキップ



第1号 平成19年2月2日(金曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成十九年一月二十五日)(木曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 谷  公一君

   理事 葉梨 康弘君 理事 林  幹雄君

   理事 武正 公一君 理事 寺田  学君

   理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 康夫君

      福田 良彦君    渡部  篤君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      後藤  斎君    田嶋  要君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    江田 康幸君

      谷口 和史君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

平成十九年二月二日(金曜日)

    午後四時十六分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 谷口 隆義君

      井澤 京子君    石田 真敏君

      今井  宏君    浮島 敏男君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 康夫君    福田 良彦君

      御法川信英君    渡部  篤君

      江田 康幸君    谷口 和史君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     浮島 敏男君

  萩生田光一君     御法川信英君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     あかま二郎君

  御法川信英君     萩生田光一君

同日

 理事谷畑孝君一月二十四日委員辞任につき、その補欠として鈴木淳司君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月二十五日

 電気通信事業法の一部を改正する法律案(高井美穂君外二名提出、第百六十五回国会衆法第七号)

二月二日

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・無所属の会所属委員の出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

佐藤委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、日本共産党、社会民主党・市民連合及び国民新党・無所属の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に鈴木淳司君を指名いたします。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。菅総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菅国務大臣 地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 平成十八年度の補正予算により、同年度分の地方交付税が二兆千四百二十五億円増加することとなりますが、地方財政の状況にかんがみ、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を五千三百三十六億円減額するとともに、普通交付税の調整額の復活に要する額八百八十一億円を交付するほか、残余の額一兆五千二百八億円を平成十九年度分の地方交付税の総額に加算して、同年度に交付することができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官久保信保君、自治行政局長藤井昭夫君及び自治財政局長岡本保君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。葉梨康弘君。

葉梨委員 どうも御苦労さまです。自民党の葉梨康弘です。

 このような不正常な状況の中で質疑を行わなければならないことを非常に残念に思います。

 実は、私の家族も、うちに帰りますと家内と娘ばかりで、全部女性に囲まれて過ごしておりまして、うちの中でも、柳澤大臣の発言について、特に家内から相当な批判を受けておりますが、家内に申し上げているのは、実際にその発言どうこうというよりも、私に言うなという話で、大臣自身が、やはり少子化対策、あるいは国民の納得を得るということについて努力をされることが大事なんじゃないかということを申し上げています。

 そして、今回の補正予算、この絡みの地方交付税の審議ですけれども、まさに、いじめの問題あるいは児童虐待の問題、本当に国民生活に密着した問題、これについての審議を拒否するという姿勢に大変な怒りを覚えています。ある大臣が嫌いだから国民生活に密着する問題について審議を拒否してもいいのか、そういうような問題だろうと思います。大臣の問題というのは大臣の問題で、言論の府ですから、しっかりと取り上げればいいわけです。ここに出てきて、もしも不満があるのであれば話をすべきであって、出てこないで、院外においてがあがあがあがあ言っているという状況は、国会議員として非常に恥ずかしい状況であるということをまず申し上げまして、質疑に入らせていただきたいと思います。

 本日は、野党欠席とはいっても、第百六十六回国会初めての大臣に対する質疑でございます。

 昨今、夕張の問題、大きくマスコミをにぎわしています。また、各自治体の間でも、夕張の件がありましたので、次は第二の夕張になるということが、今合い言葉のように不安として広がっています。その一方で、東京のひとり勝ち、そういったこともいろいろとささやかれております。

 大臣就任以来四カ月、そして副大臣の時代も含めまして、大臣として、今地方財政の状況についてどのような認識を持たれているのか。特に破綻寸前の自治体の問題、地域間格差の問題もありましょう。そして、このような地方財政の問題について、この国会においてどのような取り組みをなされるのか、お考えをまず伺いたいと思います。

菅国務大臣 全体として非常に厳しい財政状況の中で、地方自治体は、人件費を抑制したりあるいは公共事業を削減したり、行政改革に取り組んでいただいている、このように思っております。その結果、今日の景気回復による税収増と相まって、全体として見れば、地方財政の健全化というのは進みつつあるな、そういうふうに思っております。

 しかし、御指摘をいただきましたように、景気回復が地域間で非常に大きなばらつきがある。そして、大幅に税収が増加している地域がある一方で、財政力の弱い地方というのはそうした厳しい状況からなかなか脱却できていない、これが実は現状ではないかなというふうに思います。まさに地方自治体間で、格差というんですか、財政力の差が広がっている、これが私の地方に対しての認識であります。

 そういう中で、十九年度におきましても、引き続き、この歳出抑制というのは、これは当然のことでありますけれども、財政力の弱い地域でも一定の水準の行政サービスが受けられるように、必要な一般財源総額を確保したところであります。

 今また、第二の夕張にならない、そういうお話がありました。この夕張問題というのは、私は、現在の仕組みそのものが、公社や第三セクターの財政指標というのがなかなか表に出ていない、そこに非常に大きな問題があるというふうに思っております。今度の国会に、そうした指標も事前に掌握できるような早期是正措置、そうしたものも含めての法案を提出したいというふうに思っております。言うならば、いきなりレッドカードではなくて、中間のイエローカードというんですか、それができるようなそうした仕組みをつくって監視をしていく、このことが今極めて大事な問題ではないかなというふうに思います。

 さらに今後、地方分権改革、昨年、皆さんの御理解をいただいて推進法が成立をしました。それに基づいて、これから七人の委員を国会で承認していただいて、本格的な地方分権の議論が始まるわけであります。そうした中で、やはり地方税の充実というのは極めて大事なことであります。地域間に余りばらつきのないような、例えば地方消費税、そうしたものの税制というものも必要ではないかなというふうに思っているところであります。

葉梨委員 今大臣からも、地方財政は大変厳しいという状況がありましたが、そこで、自治財政局長に二つ続けて伺いますけれども、実は、今回の地方交付税法の改正においても、既に地方交付税特会からの借入金を償還するというような項目が盛り込まれているわけです。また、よく言われる話なんですが、平成十九年度の国、地方の基礎的財政収支、これは国がマイナス九・〇兆円、地方がプラス五・九兆円ということで、既に地方においては黒字化が達成されている。これが外向けにひとり歩きしているんじゃないかという懸念を私は持っています。そして、さらには、今回の交付税法の改正ということで、既に償還をする、何か、地方財政は豊かなんじゃないか、あるいは余裕があるんじゃないか、そんな誤解を与えてはいけないなというのが私の懸念でございます。

 そこで、自治財政局長にお伺いをしたいんですけれども、総務省として、地方のプライマリーバランスが黒字化したという要因について、どのような分析をされているかということが一点。それから第二点として、この十八年度の補正予算に伴って交付税特会の借入の償還を盛り込まざるを得なかったんだろうというふうに私は思いますけれども、その理由について明解に御答弁をお願いしたいと思います。

岡本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず第一点目の、地方のプライマリーバランスが黒字に転じた要因の分析についてでございます。

 御指摘のように、地方のプライマリーバランスは黒字になっておりますが、これは、多くの地方団体で懸命の行政改革、歳出削減といったものに取り組んでいただいた結果であるというふうに私どもとしては分析をいたしておりまして、決して地方財政に余裕があるというふうには考えておりません。

 特に、財政力の弱い多くの団体におきましては、歳入が減少あるいは横ばいといったような中で、ぎりぎりの歳出削減を行って、その結果としてプライマリーバランスが黒字化してきているというふうに考えております。

 また、長期債務につきましても、現在、地方の長期債務、百九十九兆円もの債務残高を抱えておりますし、財源不足の額も、十九年度におきましても四・四兆円という大きな額に上っております。

 したがいまして、こういうような地方財政厳しい中でございます、そういう中で歳出削減の懸命の努力をするということと、財政健全化のための歩みを少しでも始めるということが喫緊の課題であるというふうに認識をいたしているわけでございます。

 そのような観点から、交付税特別会計の借入金につきましては、五十三兆円、うち地方負担三十四兆円にも上っているわけでございまして、交付税の特別会計、地方の固有財源としてのこの特別会計の持続可能性を確保するということからすれば、できる限り早期に償還を開始すべきだということは、これまでも累次この委員会で御指摘をいただいているところでございます。

 そういう中で、昨年末の地方財政対策で、十九年度につきましては、税、交付税の一般財源総額を前年度を上回って確保できましたので、財源の確保と健全化を並行的に進めていくことが必要ということで、先ほど委員御指摘のような判断をさせていただいたということでございます。

葉梨委員 私も非常に重要なポイントであろうと思います。よく私も選挙区などで国と地方の違いは何だということを申し上げるんですけれども、この点に関して言うと、一つは、地方は自治体ごとに体力等ばらつきが非常にあるということです。ですから、一概な数字だけでは言えないということ。

 それからもう一つは、国と地方の大きな違いというのは、地方にはお金を刷ることができないということです。ですから、地方の地方債ということに関しては非常にその影響というのは、国の国債が当然小さいとは言いません、非常に大きいんですけれども、地方債の影響というのが地方財政の将来あるいは地方財政の評価に与える影響というのは国よりも多分大きいんじゃないかというような考え方を持っております。その意味で、正確な理解を今回の改正においてもしていただくということが大事だと思います。

 最後に一点、大臣から伺いたいと思います。

 この法案の審議とちょっと違うんですけれども、先般、私、自民党の地方行政調査会というところの事務局長を仰せつかりました。これは、地域の教育力であるとかコミュニティーの再生を行うために、町内会あるいは自治会、それから集落などといった従来の地縁組織、これにどういうふうに光を当てていこうかということを自民党としても一生懸命考えていこう、そういう中でプロジェクトが立ち上がったわけなんです。特に、市町村合併の中で、基礎的自治体の規模というのが非常に大きくなっています。そういう中でこの足元をしっかり固めていくということは、今の時代、私は非常に大切なことではないかと。頑張る地方を応援するということ、そこに当たっては、やはりあわせて頑張る御近所、こういったものを応援する取り組みが必要と考えます。

 総務省としてもいろいろ取り組まれているということを伺っておりますけれども、大臣からも御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 太田誠一会長、葉梨事務局長のもとで、自民党地方行政調査会において、地域力の再生のためのさまざまな課題についての勉強会を立ち上げて、地域の教育力の向上やコミュニティー再生の観点から、自治会等の地縁組織に改めて光を当てようという取り組みを行っていることは、私は極めて時宜を得たものであるというふうに思っております。

 実は私自身も、日ごろ、向こう三軒両隣、こうしたことがなくなってきている、それが治安の問題やさまざまな問題につながっている、そういうふうに思っておりましたので、そういう意味で非常に、葉梨事務局長のもとでこうした問題を取り上げていただいたことを大変にうれしく思っておるところであります。特に、市町村合併が進む、あるいは道州制の議論が出ている中でありますので、そうした地域のコミュニティーは非常に大事であるというふうに思っています。

 私としても、頑張る地方とあわせて頑張る御近所を応援することを含めた地域コミュニティーの機能の充実が極めて重要であるというふうに思っておりまして、土屋政務官のもとにコミュニティ研究会を総務省としても発足させる、このことを実は指示しまして、二月七日には第一回の会合を開催する、このようになっております。

 ぜひ、党においても御支援を賜りますようにお願いを申し上げます。

葉梨委員 ありがとうございました。一緒に頑張ってまいりたいと思います。

 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 私、この委員会では初めての質問でございますが、きょうはまず一言申し上げさせていただきます。

 今年度補正予算案、この法案は、災害対策また学校の耐震化、いじめ対策、さらには障害者自立支援の特別対策等々、大変緊急性の高い案件を盛り込んでおりまして、国民の安全、安心の負託にこたえるものでございます。にもかかわらず、野党の皆さん、旧態依然とした審議拒否をなされてこのように出席されていないことに関しまして、私は、それは責任ある政党政治家のなすべきことではないと強く申し上げておきたいと思うわけでございます。

 きょうは時間もございませんので早速質問に入らせていただきますけれども、先ほど来葉梨先生の方から地方交付税に関して多くの質問があっていますが、基本的なことも含めて質問させていただきます。

 まず一つは、補正予算に伴う地方負担についてでございます。

 今回の補正予算には、公明党の強い主張を踏まえまして、先ほど申しましたように、学校の耐震化、いじめ対策、障害者の自立支援、そういうような関連予算が計上されております。児童が生活の大半を過ごして、そして災害時には地域の防災拠点にもなるという学校の耐震化におきましては、昨年の倍以上の二千三百四十一億円が計上されているところでございます。また、いじめ対策におきましても、小学校五年から中学校二年まですべての子供を対象とした緊急面談とか、二十四時間体制の電話相談などが実現するわけでございます。障害者の自立支援においては、福祉サービス事業の安定運営、小規模作業所が新サービス体系に円滑に移行できるように、事業者支援として九百六十億円が計上されているところでございます。

 このうち、特に緊急度の高い学校の耐震化につきましては、本年度中に速やかにこの事業に着手しなければ、補正予算で対応することとした趣旨が損なわれることとなるわけでございますが、また、地方公共団体がこの事業を行うためには国庫補助金の裏負担の財源をきちんと手当てしなければならないわけでございます。

 そこで、学校の耐震化を初めとする今回の補正予算に計上されました事業を円滑に行うために、補正予算に伴う地方負担についてどのように財源手当てがなされているのか、お答えをいただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答えをいたします。

 今回の補正予算に関連いたしまして、御指摘のような地方の負担を伴うものが幾つか計上をされております。そういう意味で、特に地方団体が実施するものが多いわけでございますので、この地方の財政負担には的確な財源措置を講じているところでございます。

 特に、今御指摘のございましたような投資的経費、例えば学校の耐震化を初めといたしますものにつきまして、我々の見通しでは地方負担額が四千百七十億円程度というふうに見込んでおります。これらにつきましては、地方債を一〇〇%充当するという形で、一般財源を、当面は要らないという形の財源を地方債で充てることといたしまして、後年度におきまして元利償還金の五〇%を事業量に応じて交付税の基準財政需要額に算入するという方法をとりまして、地方団体の円滑な事業執行に財源手当てをしたいというふうに考えております。

江田(康)委員 ぜひとも、この事業を円滑に行うためにも、そのようにしっかりと手当てしていただきたいと思います。

 次でございますが、補正予算に関連しまして、合併市町村補助金について質問をさせていただきます。

 全国で市町村合併が大きく進んでいるわけでございますが、私の地元の熊本県の方でも、九十四の自治体が四十八と、それこそ約半分になりました。合併した市町村の方々からは、合併した市町村ごとの行政サービスの格差是正、また電算システムの統合というような、合併直後に大きな財政需要が生じていることを聞いております。総務省におかれましては、九州の各自治体からも、そのような地方からさまざまな要望が上がっているかと思います。

 そこで、お伺いさせていただきます。

 合併市町村補助金の交付期間は十年間ということになっておるわけですが、合併直後のこうした緊急な財政需要にこたえるためにも、私はできるだけ前倒しの予算措置が必要だと思っております。今回の補正予算ではこうした合併団体からの要望に十分こたえるだけの予算が確保されているのかどうか、菅大臣の力強いお答えを期待いたします。

菅国務大臣 江田委員のおっしゃるように、やはり合併した当初というのは非常にそれぞれの市町村でお金がかかるわけでありますから、その十年という中でも私どもはできるだけ前倒しをして、市町村の要望にこたえていきたい、それが私どもの基本的な考え方であります。

 市町村合併におきましては、平成十一年三月、三千二百三十二あった地方自治体が、本年の三月には千八百四、かなりの合併が進んでいる、このように思っています。また、強化された行財政基盤を活用して、魅力あるまちづくりに取り組んでいくということが極めて大事なことであるというふうに思っています。平成十七年度には、三百二十四の合併市町村が誕生し、合併市町村補助金の対象団体が五百一になり、平成十八年度は、これらの市町村で合併後のまちづくりが本格化をしているところであります。

 今回の補正予算におきましては、地方からの要望を十分に踏まえ、住民票交付システム等の電算システムの統合整備、消防設備等の規格の統一など、新しいまちづくりのため合併後早急に適切な対応が求められる事業に係る補助金所要額として、九百八十四・三億円を追加計上いたしております。これは昨年の約倍であります。

 総務省としては、魅力ある地方をつくるために、各種の財政支援を活用して、引き続き合併市町村の新しいまちづくりを支援していきたい、こう考えております。

江田(康)委員 今、できるだけ前倒しの予算措置で対応できるようにしたいという力強いお答えをいただきましたので、そのようにしっかりと対応をお願いしていきたいと思います。

 次に、地方交付税の配分方法に関してお尋ねをさせていただきたいと思います。

 平成十九年度から、地方交付税の算定方法を簡素化するために、人口と面積、これを基本として算定する新型交付税を導入するということになっております。この新型交付税につきましては、制度の詳細が明らかになる前に幾つかの自治体が行った試算におきまして、人口の少ない都道府県の交付税額が数百億円規模で減少するという団体が生じるという結果が出たこともございまして、過疎団体を中心に、財政運営ができなくなるのではないかというような不安の声が大変大きいわけでございます。

 その後、総務省におきましては、地方公共団体との意見交換を踏まえて制度の詳細を検討していると聞いておりますが、過疎団体等の財政運営に支障を来さないような制度設計ができたのかどうか。菅大臣は、地方の状況を最もよく御存じの大臣でございます。また、地方の再生、活性化に情熱を持って取り組んでおられる方でございますので、ぜひとも地方の不安を払拭するような答弁をきょうお願いしたいと思っておるんですが、よろしくお願いします。

菅国務大臣 この新型交付税ですけれども、その基本というのは、余りにも複雑な現在の交付税制度の中で、人口と面積を中心に、将来予見可能性を高める観点からも簡素化しようということでありまして、特別、その増減ということは基本的にはありません。

 九十数項目あった算定基準というものを六十幾つに減らす。しかし、このことによって変動があっては、これは今御指摘ありましたように市町村にとっては大変なことでありますので、この制度設計に当たっては、かなりその辺のことについては気をつけて行っております。例えば、過疎団体のように人口が少ない地方公共団体ほど人口一人当たりの行政コストが割高になる、こういうことも反映できるようにしています。また、離島における通信・移動経費や寒冷地における除排雪経費等の特別な財政需要を適切に算定する仕組みも確保することにしております。

 そして、総務省でそれぞれの地方団体にこの計算方式を今説明いたしておりますので、当初のそうした不安はなくなってきている、このように思っております。

江田(康)委員 今大臣がおっしゃいましたように、そのような方向で、すなわち、人口規模とか土地の利用形態、また離島とか過疎とか、そういうような配慮をした新しいルールとして今進んでいるということでございますので、また、先ほど言ったように、百数十億円が大幅に減少するということはないということで、少額の減少であろうというお答えを、少額の変更といいますか、そういうようなものになるであろうということでございますので、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。

 きょうはもうこれで時間でございますけれども、国、地方ともにやはり効率的な歳出を進めながら、いつでもどこでもだれでもが必要なサービスを受けられて、しかも、小さくても頑張る市町村が希望を持ってやはり地域再生、活性化に取り組んでいく、そのような意味でこの地方交付税は大変に重要な交付金でございますので、しっかりとその確保に向けても努力をしていただきたいことを申し上げて、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 民主党・無所属クラブ、日本共産党及び社会民主党・市民連合の質疑者の通告が得られておりません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

佐藤委員長 速記を起こしてください。

 再度出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

佐藤委員長 速記を起こしてください。

 鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 動議を提出いたします。

 これにて本案に対する質疑を終局し、討論を省略し、直ちに採決されることを望みます。

佐藤委員長 鈴木淳司君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.