衆議院

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第3号 平成19年2月20日(火曜日)

会議録本文へ
平成十九年二月二十日(火曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      木挽  司君    清水鴻一郎君

      関  芳弘君    田中 良生君

      土屋 正忠君    土井  亨君

      萩生田光一君    萩原 誠司君

      橋本  岳君    福田 康夫君

      福田 良彦君    渡部  篤君

      逢坂 誠二君    後藤  斎君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      江田 康幸君    谷口 和史君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   総務副大臣        大野 松茂君

   総務副大臣        田村 憲久君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    縄田  修君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  石田 直裕君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   寺崎  明君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           御園慎一郎君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  実川 幸夫君     清水鴻一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  清水鴻一郎君     実川 幸夫君

    ―――――――――――――

二月二十日

 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長縄田修君、総務省大臣官房総括審議官久保信保君、行政管理局長石田直裕君、自治行政局長藤井昭夫君、自治財政局長岡本保君、自治税務局長河野栄君、情報通信政策局長鈴木康雄君、政策統括官寺崎明君、消防庁次長大石利雄君及び厚生労働省大臣官房審議官御園慎一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木淳司でございます。

 第百六十六回国会冒頭、総務委員会で質問の機会をいただきまして、まことに光栄に存じます。本日、菅総務大臣は予算委員会に御出席ということでありますけれども、安倍内閣の重要閣僚として、また若手の改革派のリーダーとして、ぜひともこれからも引き続き頑張っていただきたいなと期待をする次第であります。

 さて、きょうは、交付税改革、地方税の充実並びに地方自立の促進と国との関係についてお尋ねをしたいと思います。大臣所信に対する質問で、またすべての議論のスタートでありますので、いささか理念的な話になろうかと思いますけれども、どうぞお許しいただきたいと思います。

 まず、交付税改革について、地方交付税制度に内在する課題の認識についてお伺いをいたします。

 私は、十数年ほど前、かつて地方議会の議員、これは焼き物の町、瀬戸市でありますが、その地方議員をしていたときに、こんな経験をしたことがございます。

 瀬戸市は、人口十二万四千人余の町、名古屋市の隣接で地場産業都市。財政力指数は一を少し下回り、おおむね〇・九五から九八前後を推移する状況が続いておりました。

 あるとき、人口も同規模で、また就業構造も似通った類似団体でありますが、四国のとある町、名前は特に伏せますけれども、その町に視察に行ったわけであります。その町は、財政力指数は〇・七前後であるにもかかわらず、駅前の整備や区画整理事業、あるいは下水道整備、鉄道高架も進んで、財政的に極めて豊かに感じられた次第であります。

 一方、我が町はといえば、財政力指数は一に限りなく近いとはいえ、また自主財源比率は高くても、当時インフラ整備は遅々として進まず、一人当たり一般会計予算は、当時三千二百四十余りありました基礎自治体の中で、全国でも下から二けた、特に一番少ないときでは下から六番目ということもありましたけれども、そうした小さな財政規模でありました。

 それに比べて、その四国の町は、市税収入総額も財政力指数も、あるいは自主財源比率も当市よりもはるかに低いにもかかわらず、一般会計予算規模は我が町のそれより一五%以上も大きく、町並みの整備も進み、実感として果たしてどちらが本当に豊かな町かということを心底考えさせられる気がいたしました。

 この二つの町の財政構造を詳細に調べてみますと、交付税をもらい補助金を活用しながらインフラ整備を鋭意進めていく町と、交付税も少なく補助事業も限定的な町の差で、いわば、財政の拡大再生産の町、財政の拡大再生産の構造と単純再生産の構造の違いにあるように思いました。すなわち、種芋を植えながら順に芋をふやしていける町と、拡大生産できずに単純再生産するばかりか、さらには種芋すら食い尽くし始めていく、そんな町の差があるように感じた次第であります。

 御案内のように、地方交付税の算定は基準財政需要額と基準財政収入額との差によるものでありますけれども、ここで、基準財政需要額の算定の計算式には、人口等のほかに、整備された道路の総延長や総面積、下水道整備等のインフラ整備状況、起債の償還金等が算入され、それが次の交付税を呼び込む基となります。

 全国各地が、裏負担を伴うものの、国の補助金をもとに事業を拡大し、それでまた交付税額をふやしていこうとすれば、地方行政の肥大化は必然であります。そこに疑問を感じながらも、現にそのルールで交付税が交付されている以上、他市との競争上、そこに伍して交付税をもらっていく方が自治体経営上有利ではないか、そんな矛盾した思いが当時からぬぐえないものでありました。

 地方交付税制度が全国の地方自治体の財源確保、財政安定に果たした役割が大きいことは無論言うまでもありません。しかし他方、補助金制度とも相まって、この地方交付税制度、特に基準財政需要額の算定式の中に、結果的に地方の国への依存の体質と地方行政の肥大化を招く仕組みが内在していなかったかどうかの分析が必要かと思われますけれども、果たして、このところをいかにお考えでありましょうか。

 以上、地方交付税制度に本質的に内在する課題の認識について、大野副大臣にお尋ねをいたします。

大野副大臣 菅大臣にこれはお尋ねでございますが、御理解いただいて、副大臣からお答えをさせていただきます。

 地方交付税の基準財政需要額につきましては、義務教育あるいは社会保障等につきまして、法令で定められている行政水準を客観的な統計指標により算定することを基本といたしております。河川や港湾等の公共事業につきましては、特定の地域または年度によりまして事業量に大きな偏りがありますことから、一部、現実の事業費に応じた算定を行ってきているところでございます。

 このうち、地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入する仕組みにつきましては、基本方針において、「地方が自分で効果的な事業を選択し、効率的に行っていこうという意欲を損なっている面がある。」こういう指摘がされているところでございます。御指摘のとおりでございます。

 こうしたことから、平成十四年度、算定方法の抜本的見直しを行ったところでございまして、具体的には、元利償還金の算入率をおおむね二分の一に引き下げるとともに、特に単独事業につきましては、施設、いわゆる箱物でございますが、これらを原則として対象外としたところでございます。あわせて、平成十七年度から、地方公共団体の経営努力に対応した算定として、行革インセンティブ算定を創設いたしました。

 この交付税算定のあり方につきましては、国と地方の役割分担の見直しがどのようになるのか、あるいはまた、これに応じた税源配分の見直しや国庫補助負担金の見直しがどのようになるのかなどによりまして決まってくるものでもございます。交付税だけを単体でとらえるのではなくして、今後とも、これらと一体的に不断の検討を加えていくことになる、こう考えているところでございます。

鈴木(淳)委員 それでは次に、「頑張る地方応援プログラム」に関してお尋ねをいたします。

 頑張った分だけ税収増等により地方交付税が減額されるまでは、結果的に、地方が頑張るインセンティブが働かないのではないかという認識のもと、それを財政的にも支援するべく、「頑張る地方応援プログラム」が試みられておりまして、その理念は私も共有するものであります。しかし、今回、全体から見れば少額とはいえ、その原資を地方交付税に求めることは、地方交付税の意味の質的転換につながりかねないことも一方で懸念されるところであります。

 地方交付税制度は、従来、多様な自治体間の財源調整や財源保障の意味で論じられてまいりましたけれども、「頑張る地方応援プログラム」をここで導入することは地方交付税制度のあり方、基本理念を根本的に変えることにつながるのか否か、果たして、地方交付税の意味とは何かについての認識をお尋ねいたします。

大野副大臣 御指摘でありましたように、努力をしたところが報われるということは大事なことだと思っておりますが、先ほど交付税の算定につきましてお答えもいたしたとおり、義務教育や福祉等の、法令によって義務づけられました行政水準を確保するために必要な義務的そして基礎的な経費に加えまして、条件不利地域の特別な財政需要や行政改革等の全国共通の政策課題に係る経費を対象といたしているのが交付税の算定でございます。

 今回、この「頑張る地方応援プログラム」を進めているところでございますが、交付税の支援措置についてでございますが、魅力ある地方を目指した取り組みが全国的に求められている政策課題の一つであることを踏まえまして、その取り組みに対する財政需要を成果指標を用いて捕捉いたしまして、交付税の算定に反映しようとするものでございます。交付税の基本的な機能である財源保障機能や財源調整機能を変えるものではございません。

 また、交付税は使途を特定されない一般財源であります。こうした算定を含めて、行政経費全体の算定結果として交付される交付税の使途につきましては、それぞれの地方公共団体の創意と工夫にゆだねるものであります。

 したがいまして、こうした措置は交付税のあり方や基本理念を根本的に変えるものではないことを御理解いただきたいと思います。

鈴木(淳)委員 それでは次に、不交付団体の増加目標についてお尋ねをいたします。

 菅総務大臣は、平成十八年十月二十四日の経済財政諮問会議に「地方分権改革について」の資料を出されましたけれども、その中には、二〇一〇年代初頭までに不交付団体を総人口比の半分程度とすることを目標に、当面、人口二十万人以上の市の半分程度、これは総人口比四〇%でありますが、それに増加することを目指すという記述がございます。

 そこでお尋ねいたしますけれども、この目標数値というものは、改革の成果、結果としての結果的達成目標か、それとも、それを目指して強力に改革を進めていくところのいわゆる当初目標設定型の数値か、そのどちらでありましょうか。

大野副大臣 申し上げるまでもないことでございますが、地方の真の自立のためには、地方交付税に依存しないでみずからの財源である地方税によって財政運営を行うことが理想でございます。

 将来的には不交付団体を総人口比の半分程度とすることを、ただいま御指摘いただきましたように、当面、人口二十万以上の市の半分程度、総人口比で四〇%程度を不交付団体とすることを目指したいと考えていることを表明したところでもございます。

 あわせて、地方財政の歳出歳入一体改革として、基本方針二〇〇六に基づく地方歳出の抑制、地域経済の活性化による地方税収の増、国と地方の税収比一対一を実現することを目指して、税源移譲を含めた税源配分の見直しによる地方税の充実、こうした点を着実に進めていくことも極めて重要であると認識をいたしております。

 不交付団体に関する目標につきましては、このような改革の成果として実現するものと考えているところでございます。例えば、目標を達成するために、財政力の高い団体の交付税を一律に削減するというようなことは考えておらないところでございます。

鈴木(淳)委員 それでは、引き続き地方分権を支える地方税の充実に関して二点お尋ねをいたしたいと思います。

 まず、今年度に行われます三兆円分の税源移譲の広報体制についてお尋ねをいたします。

 今年度三兆円分が、国税、所得税から地方税へ税源移譲されるわけでありますけれども、地方税への課税通知の段階で、国民の間に新たな増税との誤解と不満が広がるおそれが指摘をされております。政府も国税から地方税への移管という意味の周知に鋭意努めておられると思いますが、個人所得の伸び悩みの中、定率減税の廃止とも相まって、国民の間に不満が一気に高まる可能性が懸念をされるわけであります。

 私も今手元に、これは総務省、全国地方税務協議会作成でありますが、その案内のチラシを持っておりますけれども、果たして本件の周知に関して政府、総務省の広報体制は一体どのようになっているのか、またそれで十分とお考えかどうかについてお尋ねをいたします。

河野政府参考人 少し具体的なことも含めまして、私からお答えをさせていただきたいと思います。

 今回の税源移譲に当たりましては、所得税と個人住民税を合わせました個々の納税者の税負担は変わらないように制度設計をいたしておるところでございます。しかしながら、所得税と個人住民税の税額に影響が出る時期が異なりますこと、また定率減税の廃止の影響がございますことから、税源移譲による税額の変動につきまして、納税者の十分な理解が得られるよう適切な周知、広報を徹底することが必要でございます。

 このため、国と地方が協力をいたしまして、効果的な周知活動に努めているところでございます。

 まず、政府におきましては、内閣府、総務省、財務省など関係府省が連携をいたしまして周知、広報を実施しておりまして、幾つか具体的に申し上げますと、まずテレビの政府広報番組による広報、あるいは全国紙、地方紙を合わせまして七十一紙への新聞広告の掲載、また雑誌への広告掲載等を行っております。またさらに、全国の税務署から源泉徴収義務者に対しまして、給与所得者へのリーフレットの配付等を依頼しておりますし、また総務省のホームページにおきまして税源移譲コーナーを設けるなどの取り組みを行っておるところでございます。

 また、地方公共団体に対しましては、都道府県の担当課長会議の開催等によりまして、税源移譲の円滑な実施に向けた周知、広報活動への取り組みを要請いたしております。先ほど御紹介いただきましたけれども、地方団体でつくっております全国地方税務協議会におきまして、ポスター七万枚あるいはリーフレット百八十万枚を作成いたしまして、各地方団体に配付をいたしておるところでございます。また、各地方団体におきましても、住民向けの広報誌の活用や説明会の開催、あるいはリーフレットの配布など、きめ細かい周知、広報活動に努めていただいているところでございます。

 今後とも、関係府省、地方団体と連携をいたしまして、税源移譲が円滑に実施されますようにしっかりと取り組んでまいりたいと存じております。

 以上でございます。

鈴木(淳)委員 次に、地方税の充実と、偏在度の小さい地方税体系の構築についてお尋ねをいたします。

 国と地方の税収比は現在六対四と言われておりますけれども、少なくとも当面はその税収比を五対五の実現に向けて地方税の充実を図っていく必要があります。その際、税収の偏りが小さい税目の充実を図らない限り、都市部と田舎部では格段の税収比が存在するままとなります。

 偏在度の小さい地方税体系の構築に向けて、政府はいかなる取り組みを考えておられるのかについてお尋ねをいたします。

大野副大臣 御指摘のように、この地方の自由度を拡大して、自主性と自律性に基づく責任ある行政を行うことによりまして、魅力ある地方、自立する地方をつくることは極めて重要でございます。そのためにも、地方分権を支える地方税を充実することが必要と認識をいたしております。

 今後の地方分権改革や税制の抜本改革を通じまして、税源移譲を含む国と地方の税源配分の見直しを行う。そして、国と地方の税収比一対一を目指して、地方税のさらなる充実を図ってまいる所存でもございます。その際には、偏在度の小さい地方税体系を構築するという観点からも、地域間の税収の偏在が小さな基幹税目、例えば地方消費税などでございますが、これらの充実を図るべきと考えているところでございます。

鈴木(淳)委員 それでは次に、市町村合併と、それに続くべき都道府県合併についてお尋ねをいたします。

 市町村合併の促進の結果、本年三月末には市町村の数は千八百四となる予定でございます。しかしながら、他方、都道府県合併の機運はまだないというふうに思います。今日議論が進められておりますところの道州制は、基礎自治体の体力強化とともに廃県置州の推進がセットでありまして、現行都道府県の枠組みを超えた新たな広域行政単位の形成もあわせて視野に入れて進める必要があると思います。

 道州制は担当大臣が別でありますので、ここでの質問は控えますけれども、国と地方の役割分担の議論の促進、事務事業の整理とあわせて、市町村合併に続く都道府県合併について総務省はいかにお考えなのかについてお尋ねをいたします。

大野副大臣 都道府県合併についてでございますが、地方自治法においては、特別の法律でこれを定めることとされておりますほかに、都道府県の発意により自主的に合併を行うことができるように既に定められているところでございます。

 我が国の将来を見通しますと、人口のさらなる減少や、都市化と過疎化の同時進行が見込まれております。広域的な対応が求められることとなる課題は一層増加すると思っております。こうした課題には、それぞれの地域において、都道府県の区域を越える広域の圏域を単位として、広域的に分散する機能等を集中して活用することが必要となると考えているところでございます。

 これらを踏まえますならば、都道府県の区域を越える広域行政課題に適切に対応するために、都道府県合併を含めた広域行政の検討が行われることとなるものと考えております。

 引き続き御理解をお願いしたいと思います。

鈴木(淳)委員 時間が参りましたので、これで質問は終わりますけれども、地方の自立を促進し、権限と財源の移譲、規制緩和等を通じてそれぞれの自治体が自由度を高め、行財政運営の効率を高めることはもちろん必要であります。また他方、同時に、国としては、全体としての統一性、効率性、整合性もまた図っていかなければならない、これも事実であります。

 部分益の総和が全体益にならないということはよくありますから、したがって、基本的には、地域主権の確立、地方への権限移譲の流れは妨げるものではありませんけれども、他方、そうした観点からもぜひ一度議論を進めていきたい。こんなことを申し上げまして、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、福田良彦君。

福田(良)委員 自由民主党の福田良彦であります。

 実は、きょう、ちょっと風邪を引いておりまして、若干お聞き苦しいと思いますが、お許しを願いたいと思います。

 それでは、時間も限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 十九年度地方財政についてお尋ねいたします。

 十九年度の地方財政対策は、今争点となっておりました地方交付税の法定率について、法定率を堅持された上で交付税の総額が確保され、また、地方税、地方交付税等の一般財源総額については、前年度を若干上回る額を確保されたとされております。このことにつきましては、法定率の堅持等一定の評価はされております。

 しかしながら、十九年度の地方財政計画は、地方税収の高い伸びを前提としており、本当に税収が伸びるかどうか不透明ではないかと少し危惧されております。その計画はマクロベースであり、マクロで税収が伸びたとしても、地域間格差の拡大が指摘される中、個々の自治体によっては、税収が伸びず、一般財源総額が本当に確保されるかが心配な面もあるわけであります。

 税収が計画どおり伸びないような場合にはどのような対策を講じられるのか、まずお尋ねいたします。

大野副大臣 御案内のように、交付税は、標準的な行政運営を行う場合に必要な経費でありますところの基準財政需要額から、標準的な税収入見込み額の一定割合でありますところの基準財政収入額を控除して算定していることから、税収が伸びない地方公共団体にありましても一定の行政水準を確保するために必要な財源が確保される仕組みとなっております。

 各地方公共団体の基準財政収入額の算定に当たりましては、基本的には、前年度の地方税収入実績に地方財政計画を基礎とした統一的な伸び率を乗じる方法によることといたしております。

 このため、特に、景気の動向が反映されやすい法人関係税等につきましては、基準財政収入額と実際の収入額に差が生ずることがございます。このうち、基準財政収入額で見込んだように税収が伸びない場合におきましては、翌年度以降の算定において精算いたしますほか、算定年度において減収補てん債の発行を認めることによりまして、各地方公共団体の財政運営に支障が生じないようにしているところでございます。

福田(良)委員 地方自治体の財政運営は厳しい状況にあるわけであります。また、今日、団塊世代の大量退職による退職金の大幅増の時代がやってまいりました。地方自治体が職員に支払うその財源を賄うため自治体が発行する退職手当債は、二〇〇七年度約五千九百億円と、二〇〇六年度の二倍以上に膨らむという見通しであります。

 通常の地方債でありましたら、返済分の一部は地方交付税の配分によりその一部が軽減されるわけでありますが、しかし、この退職手当債は自治体が全額返済しなければなりません。そのため、自治体の職員の退職金を将来の住民税などで賄うということになります。自治体によっては、退職直前に特別昇給、そういった慣例もあるやに聞くわけでありますが、いずれにせよ、巨額の退職手当債発行につきましては、退職金をめぐる制度そのものの改善、また、先ほど申しました慣行の見直しを図る等、いろいろな必要性もあるやに思うわけであります。

 退職手当債の大幅拡充について、どのような基準で認められようとしているのか、お尋ねをいたします。

大野副大臣 御指摘の退職手当債についてでございますが、団塊の世代の大量退職に対処しつつ総人件費の削減を図るために、定員管理・給与適正化計画の提出を義務づけた上で、総務省令で定める額の範囲内で、許可により、定年退職の一定部分に対象を拡充したところでございます。

 一月末から、既に各地方団体に対するヒアリングを始めたところでございますが、定員削減等による将来の総人件費の削減で償還が賄えるか、また、定員管理・給与適正化計画に基づく給与の適正化の内容が適切かどうかなどにつきまして、要望額とあわせて状況の聴取を行っております。

 特に、ヒアリングにおいては、重点事項といたしまして、次の三点に力点を置いてヒアリングをしております。

 一つには、給与構造改革実施の状況や予定、二つには、地域手当の支給水準、これは国との均衡の問題であります。三つには、健康保険組合の事業主負担割合、これらについての状況を伺いますほか、御指摘の退職時の特別昇給についても是正予定等を伺っているところでございます。

 これらにつきましては、特に問題がない団体には、近日中に、要望どおり同意等予定額を通知することといたしております。一方で、看過できない問題のある団体につきましては、同意等予定額を留保いたしまして、定員管理・給与適正化計画の再検討を要請することも含めまして、現在、その扱いを検討中でございます。

福田(良)委員 第二期分権改革について二点お尋ねいたします。

 昨年末、地方分権改革推進法が成立しました。第二期分権改革が新たな一歩を踏み出したわけでありますが、三位一体の改革では、三兆円の税源移譲の実現がなされたことは評価できるものの、真に地方の自由度の拡大にはつながっていないという面も否めず、未完の改革に終わっているという感もあります。

 これを踏まえ、第二期分権改革においては、未完の改革に終わらせることなく、分権社会に向け、国と地方の役割分担の一層の明確化、国の関与のあり方の見直し、さらには二重行政の解消などが行われねばならないというふうに考えております。

 まず一点目でありますが、今回の推進法は三年間という短い期間でありますが、この間、第二期分権改革に向けてどのように取り組まれるのか、まずお尋ねいたします。

大野副大臣 総理の、地方の活力なくして国の活力なし、この考え方に立ちまして、やる気のある地方がさまざまな行政分野で自由に独自の施策を展開して、魅力あるそれぞれの地域をつくることが重要、こう認識をいたしております。

 このために、昨年の十二月に成立した地方分権改革推進法に基づきまして、新分権一括法案の国会提出を含め、地方分権改革推進委員会の勧告等を踏まえての地方分権改革推進計画の作成から実施までを三年間で集中的かつ一体的に推進することといたしております。このためには、政府一体となって改革に取り組むことが必要でありまして、政治のリーダーシップが発揮されるような推進体制を整備していく所存でもございます。

 この法律に基づきまして、国と地方の役割分担を徹底して見直し、そして権限や財源を地方にできる限りゆだねることによりまして、新たな地方分権改革を推進して、地方の自立と責任を確立するための取り組みを行っていく所存でございます。

福田(良)委員 きょうは大村副大臣も御出席いただいています。ありがとうございます。

 それで、地方分権改革推進委員会の人選についてお尋ねいたします。

 地方からこういう声が多いわけであります。やはりしっかり地方の意見を反映する必要があると。そういったことで、この地方分権改革推進委員会の人選について見解をお尋ねいたします。

大村副大臣 地方分権改革推進委員会の人選につきましては、現在、鋭意進めているところでございます。

 地方分権改革の推進に当たりましては、すぐれた識見を有する方に参加をしていただきたいというふうに考えておりまして、その際、福田委員御指摘のように、地方の実情、現場の実情を十分にわかっている、精通をした方に入っていただくよう、しっかりと人選に当たってまいりたいというふうに考えております。またよろしくお願い申し上げます。

福田(良)委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に入ります。

 「頑張る地方応援プログラム」についてでありますが、このプログラムは、転入者人口や農業産出額など九項目の成果指標を交付税の算定に反映させるということでありますが、こうした数字が芳しくないところ、大変すぐれた取り組みを行っているが、過疎地など、頑張ろうにも頑張れない自治体もあるのではないかというふうに思うわけであります。

 こうした自治体への対応はどのように考えているのか、また、この九項目の成果指標は交付税にどのように具体的に算定しようとしているのか、お尋ねをいたします。

大野副大臣 「頑張る地方応援プログラム」におきましては、御指摘のように、地場産品発掘・ブランド化、都市農村交流など、さまざまな取り組みを例示いたしております。要するに、地域の特色や強みを生かした独自のプロジェクトであれば、施策の分野を問わず支援することといたしております。

 したがいまして、それぞれの地域においてみずからの特色や強みが何かについて議論を深め、「頑張る地方応援プログラム」を活用して、魅力ある地方の創出に向けて取り組んでいただきたい、こう考えているところでもございます。

 今、現実に、各地方をお訪ねして市町村長との懇談も重ねているところでございますが、そうした中で、過疎地などの条件不利地域であってもプロジェクトに取り組めるようにしてほしい、こういう御発言も数々ございます。その取り組みに要する経費に対しまして、特別交付税措置を講じるとともに、成果指標の算定に当たりましても、条件不利地域などに配慮することといたしているところでございまして、こうした御理解の上で、このプロジェクトを推進してまいりたいと思っております。

福田(良)委員 それでは、ちょっと違う質問に入りたいと思います。

 先般、会計検査院の報告によりますと、地域イントラネット基盤施設整備事業によって整備した設備等の一部が、市町村合併の結果、有効に利用されていない場合があったと指摘されておりました。その事実関係と総務省の対応をちょっとお伺いいたしたいと思います。

寺崎政府参考人 お答え申し上げます。

 会計検査院の平成十七年度決算報告によりますと、市町村が合併前に地域イントラネット基盤整備事業等によって整備いたしましたネットワークのサーバーとかソフトウエア等につきまして、先生御指摘のとおり、合併後使われずに遊休化していた事例が一部の市町村にございます。これは、旧市町村がそれぞれ管理していたホームページが新市町村で一つに統合されたこと、さらには旧市町村議会が廃止されたこと等の理由により生じてございます。

 総務省といたしましては、昨年十月、各都道府県知事に対して、遊休設備を速やかに利活用して、それが困難な場合には、有償で譲渡、売却等の手続をとるよう要請したところでございます。

 現在、各市町村におきまして、事業の当初目的に沿った利活用の検討を進めているところではございますが、利活用が困難な設備につきましては、年度内を目途に、該当する設備等の全体を把握した上で、必要な財産処分の手続をとり、適正化を図るということで作業を進めているところでございます。

福田(良)委員 合併はしたが、そういった情報格差が出ないように、そういった情報通信のインフラ整備をしっかりと行っていってもらいたい、また指導してもらいたいなというふうに思うわけであります。

 次は、先般からニュースでもよく取り上げられておりますが、「あるある大事典2」とかそういった情報番組の捏造の問題が上がっております。視聴率さえとれればいいという視聴率至上主義や、下請や孫請に対する無理な要求をするという業界構造が、今回の事件の背景にあるのではないかという、一つ問題意識。

 また、報道の自由は尊重すべきではありますが、放送法においては「報道は事実をまげないですること。」と規定されております。放送が公共電波を使用していることを踏まえ、放送業界が番組制作におけるコンプライアンスを徹底するよう総務省がしっかりと指導すべきではないかとの問題意識。

 この二点の問題意識につきまして、見解をお願いいたします。

田村副大臣 私もちょっと風邪ぎみでございますので、声が出ない点をお許しいただきたいと思います。

 今先生おっしゃられました、関西テレビ放送の番組「発掘!あるある大事典2」の問題でありますけれども、これに関しまして、今まで判明してきた事実、これを総合してまいりますと、まさに事実でないものを事実のごとく放送したということで、これは放送法に違反しているという認識であります。

 二月七日に関西テレビ放送から報告書の提出をいただきました。ただ、この中においてまだまだ報告の内容が不十分であるということでございまして、二月末を期限に追加報告を受けた上で、これに関しましては厳正に対処をしていきたい、このように思っております。

 一方で、今回の件に関しましては、一月の三十日に民放連の会長をお招きいたしまして、再発防止、このお願いをさせていただいたわけでありますけれども、NHK及び民放十五社に対しまして、放送番組のチェック体制等のヒアリングを行った上で、その結果をきょう実は公表させていただく予定であります。NHKまた民放連に対しまして、再発防止等の検討に関しましてぜひともお願いをいたした上で、これをまた活用していただく、このような形で要請をしてまいりたい、このように思っております。

 そしてまた一方で、いろいろなこういう問題が出てくる中におきまして、放送事業者の番組編成の自由度、これには十分に注意を払いながらではありますけれども、再発防止のための新たな法的な改正、これを含めて現在検討中でございますので、どうか御理解をいただきますようによろしくお願いいたします。

 以上でございます。

福田(良)委員 報道の自由は確保されなければなりませんが、そういった、しっかりと公共放送の必要性、またこれは視聴者側も、しっかりとした情報を自分なりに選び取るといいますか、見る目ということも大事ではないかというふうに思うわけであります。

 ありがとうございました。

 最後の質問でありますが、消防団員についてであります。

 消防団員は、火災対応の重要性は今なお大きいわけでありますが、この消防団員、コミュニティーの中核であります。そしてさまざまな地域活動のリーダーでもあります。また、国民保護法の関係からも、地域において大変役割が高まってきております。

 その反面、団員数は、かつて二百万人いたのが、今九十万人ぐらいでしょうか、かなり減少してきております。安全確保の観点からも、大変憂慮される事態であると私は思っておるわけであります。

 そういったことから、消防団員の増員対策について、お尋ねいたします。

大野副大臣 消防団に対しまして御理解ある御指摘をいただきまして、まことにありがとうございます。

 消防団は、通常の消火活動はもとよりでございますが、大規模災害の対応や、あるいは有事における国民保護の必要性から考えますと、地域住民の安心、安全を確保するために欠かせない組織でございます。そして、防火訓練等の火災予防活動や、防火指導を兼ねた独居老人宅への戸別訪問など、あるいはまた地域コミュニティーの維持あるいは振興にも貢献をされておりまして、地域住民から大きな期待を持って、今日まで活動を展開していただいているところでございます。

 しかしながら、社会環境の変化等に伴いまして、かつて、例えば昭和二十九年には二百万人もいた消防団員が、現在九十万人を割ろうとしておりまして、団員数の減少また高齢化等といった課題に実は直面をしております。地域の防災力向上のため、消防団員の確保はまさに喫緊の課題でございまして、総務省として、都道府県、市町村等と一体となって、消防団員確保に全力で取り組んでいるところでございます。

 今、具体的な対策といたしましては、一つには、特定の役割、活動を行う機能別団員や機能別分団等の制度の導入によりまして、消防団に参加しやすくすること。二つには、現在、全消防団員数の約一・六%にとどまっている女性の入団を促進すること。三つには、事業所の消防団への支援、協力を顕彰する消防団協力事業所表示制度、これの導入をすること。四つ目に、退団者の多くなる一月から三月を消防団員入団促進キャンペーン期間と位置づけまして、現在全国的な広報展開をいたしているところでございますが、こうしたことに力点を置いて、それぞれその対応を進めているところでございます。

 今後とも、消防団への入団促進や活動環境の整備のための施策を推進しながら、消防団の充実強化や活性化に取り組んでまいる所存でございます。一層の御理解をお願いいたします。

福田(良)委員 実は私も消防団員でありまして、ちょうどきょう、まさに二十日でありますが、日本消防協会におきまして、消防団の意見交換、また地域の消防団の表彰式も行われているということであります。消防庁長官もそちらの方にいらっしゃるということであります。

 これからの消防行政もしっかりとまたよろしくお願いいたしまして、時間となりましたので、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

佐藤委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。おはようございます。

 まず初めに、大臣、今お着きになって早々にお伺いをするのはあれなんですが、本論と申しますか本日の質問の第一項目があるんですが、その前に、先ほど出ておりました関西テレビの「発掘!あるある大事典2」の件でお伺いをいたしたいと思います。

 この捏造問題というのは非常に悪質で問題なわけでありますが、どうも報道を見ておりますと、菅大臣が電波法だとか放送法の改正に言及されたということを聞いております。これも先ほど出ておりましたが、放送法においては、番組捏造などの場合に、総務省は文書や口頭による厳重注意、警告などの行政指導ができるものとなっておる。これより重いものは、電波法に基づく電波の停止、また無線局免許取り消しの罰則がある。しかし、この電波法の関係で申しますと、この法律ができて以降、発動されたことはないというような状況のようであります。

 それで、まず初めに大臣の今のお考えを、この事件に関して放送法なり電波法なりの改正に言及されたと聞いておりますけれども、お考えをまずお伺いをいたしたいと思います。

菅国務大臣 私ども総務省は電波を監理しているわけであります。公の電波をそれぞれの放送事業者に私どもは割り振りをさせていただいております。放送法においても、事実と反した放送をしてはならないということも明確にうたわれております。

 関西テレビですか、このあるある事典というのは、事実を捏造されている、そうしたものが報道をされたわけであります。やはり公の電波というのは国民のものでありますから、そういう中で、事実と異なったことを報道する自由はないという話を私は実は記者会見でも申し上げていますけれども、そういう認識に立って、ただ、ここ一回だけではなくて、昨年も実は私ども四件行政指導をさせていただきました。例えば、インゲンマメが減量に効くということで、それを食べた方が入院した、そういうこともありました。

 そして、今委員の御指摘がありましたように、私どもは、行政指導、それとあと電波法によって電波をとめる、あるいは免許取り消し、そこしか私どもの考え方として行うことができない。余りにもそこの間に差があり過ぎるのではないかなというふうに思っていますし、こうして事実と異なることが報道されたということについて、私は電波を所管する大臣として実は非常に深刻に考えておりまして、そういう考え方の中で、再発防止策を法改正も含めて行う必要があるんじゃないかなというふうに実は思っておりまして、そうしたものに今取り組んでいるところであります。

 もちろん報道の自由というのは担保されるのは当然のことでありますし、そうした前提の上に立って再発防止策を考えておる、そういうように御理解いただければありがたいと思います。

谷口(隆)委員 最近の報道を見ますと、業務改善命令は出さないというような報道があったわけでありますが、これはやはり今大臣御自身がおっしゃったように、放送に関する報道の自由の侵害と申しますか、侵しかねないとか、公権力が放送界に介入することに対しては大変慎重な意見が多いわけでございます。今、第三者機関で放送倫理・番組向上機構、BPOというのがありますが、これも大変緊張感を持っておるようでございます。

 そこで、ちょっと私の方から申し上げたいことがあるわけでありますが、今、社団法人日本民間放送連盟、いわゆる民放連と言われる団体があります。この団体の中に各放送事業者は加入をして会員になっておるわけでありますが、この民放連の中の自主規制機能を高める、例えば民放連の中の定款に会員の指導監督だとかこういう業務を入れていただいて、業界内でこのようなことを起こさせないような自主規制機能を強化していくというようなことで、政府がそこに介入しないといったようなことの方が私は望ましいと思うわけでありますが、手短に大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 BPOも、今回のこの報道を非常に深刻に受けとめておりまして、大変厳しい声明を出しているということも私は承知をいたしております。

 そういう中で、当然業界は業界として再発防止策というものを、みずからの中において自浄作用というものをぜひやってほしい、それは私も気持ちは全く同じであります。ただ、私ども公共の電波を預かっている総務省として、昨年実は四件あり、その前もたしか二件か、そういう問題がありました。そういう中で、再発防止というものを、やはりオープンにして、法的なもので何らかの整備ができないかなということを今模索している、そういうことでありますので、業界は業界としてぜひ頑張ってほしいと思っております。

谷口(隆)委員 私は、業界にお任せをするといったようなことが望ましいとまた重ねて申し上げたいと思いますが、ぜひその観点でこの問題に対応していただきたいというように思います。

 それで、本来の質問に入りたいと思います。

 大臣の所信の中に、子供の見守りシステムのことを言及されておられましたが、きょう私はひとり暮らしの御高齢の方の孤独死のことをお伺いいたしたいと思うわけであります。

 国勢調査によりますと、全国のひとり暮らしの高齢者が二〇〇五年度で四百五万人、高齢者全体の一五・一%で、五年前に比べて百二万人増加をいたしておるようであります。これに伴いまして、高齢者がだれにもみとられず放置をされる、いわゆる孤独死が増加をいたしておるというような状況でございます。

 報道によりますと、東京都内の都営住宅と旧公団住宅で、二〇〇四年度に四百十人が自宅でだれにもみとられず孤独死をしていた。八割が六十五歳以上の高齢者で、遺体発見まで三カ月放置された例もあった。一週間以上放置された例が二割もあったようだ。そういうような報道ぶりでありました。

 では、このような孤独死の実態把握ができておるのかというと、十分できておらないようであります。

 まず初めに、きょうは厚生労働省から来ていただいておりますが、この孤独死という定義そのものも定まっておらないというようなことを聞いております。この孤独死の定義について、厚生労働省から、御見解といいますか、状況を御報告いただきたいと思います。

御園政府参考人 御質問の孤独死、私どもは孤立死というような言葉を使わせていただいております。

 私どもは、支援を必要としておられる高齢者の皆さんに幅広く必要な支援を提供させていただきたいというふうに考えております。したがいまして、もちろん一番の孤立死の対象になるのは独居の高齢者ということになりますけれども、それだけではなくて、要介護者を抱えた高齢者だけの老老介護をされておられる御世帯、それから、失業を初めとして複雑な家庭環境の中で実質上孤独な生活を送られている高齢者という方もおられます。

 そういういろいろな要因を背景とした、すそ野の広い高齢者の対策というのを私ども考えたいと思っておりますので、そういう意味でいいますと、定義ということになりますと、定義をしたことによって、我々がカバーしたい対象の範囲が逆に限定されてしまうのではないかというようなことも懸念しておりまして、そういう意味で、私ども、現段階におきましては定義ということはしておりません。

 ただ、独居高齢者のみを想起させるような孤独死という言葉を使うのがいかがかというようなことも考えまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、孤立死という言葉を使わせていただいておりますが、いずれにしても、これからの日本社会の急速な高齢化の中で、御指摘のような問題は大変重要な問題でございますので、十九年度の予算においても必要な対策をとる、孤立死ゼロ・プロジェクトというようなことも発足させて、対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

谷口(隆)委員 今おっしゃっていただいたように、孤独死と一般的には私たち言うわけですけれども、厚生労働省は孤立死と言ったり、そのあたりがどうも実態がつかめない原因であるのではないかと思うわけであります。

 自治体の中でこの孤独死の実態把握をしておるのは、現場に行かれるやはり警察の方なんだろうと思いますね。警察任せというのが一般的のようでございますが、きょうは警察からも来ていただいておりますが、その現状について簡単に御報告いただきたいと思います。

縄田政府参考人 お答え申し上げます。

 警察におきましては、警察官が死体を発見した場合、あるいは死体があるという旨の届け出を受けた場合に、明らかな犯罪死体を除きまして、死因を究明し、当該死体が犯罪に起因するか否かの判断を適切に行うために、医師の立ち会いを求めて検視等の業務を行っているところでございます。

 これらの過程で、お尋ねのお一人でお住まいの高齢者の方々が亡くなられたようなケースにつきましても取り扱うことになりますけれども、これらのケースすべてを警察で扱うというわけでもございません。片や、先ほど申し上げましたように、犯罪捜査の視点からの捜査業務でございまして、総数等につきましては、警察庁において把握をしている、こういう状況にはございません。

谷口(隆)委員 今警察の方からおっしゃっていただいたように、やはり、変死案件といいますか、そういう場合に警察の方が行かれて状況を把握するというようなことであるようでございます。

 しかし、この孤独死という問題は非常にこれから重要なことになるんだろうと思いますが、その対応は、やはり、今現在縦割りの行政対応になっておるのを、例えば警察の方だとか、また消防、地域住民、このような人たちがネットワークを張りめぐらせてやっていかないとなかなか解決できない問題だ、こういう認識にあるわけでございます。

 そこで、先ほど厚生労働省の方でおっしゃっておられた、もう既に、孤立死ゼロ・プロジェクトというんですか、こういうようなことで、十九年度予算で一億七千万程度、予算をとってやっていらっしゃるということでございますが、ごく簡単にこの概要を教えていただきたいと思います。

御園政府参考人 孤立死防止を推進すること、その点に当たりまして、国の画一的な施策による対応ではなくて、市町村や地域の社会資源やネットワークを生かして地域の実情を踏まえた対応が必要という認識のもとに、行政、民生委員、介護サービス事業者、社会福祉協議会、近隣の住民といったような、高齢者を取り巻く地域のネットワークによって、支援が必要な世帯を早期に発見して把握し支援していく、このためのプロジェクトを立ち上げたところでありまして、それが御指摘の孤立死ゼロ・プロジェクトでございます。

 これは、市町村におけるモデル地域を選定いたしまして、地域における見守り活動なりネットワークづくりを初めとして、孤立死ゼロを目的とした取り組みを地域の創意と工夫で、地域の実情を十分視野に入れて、地域の実情に応じた個性的なあるいは先進的な取り組みが行われることを期待しているところであります。

 あわせまして、自治体における取り組みだけではなくて、私ども政府といたしましても啓発活動が必要であると考えておりますので、こちらの方も関係省庁との御協力を得ながら進めてまいる、こういう中身でございます。

谷口(隆)委員 今、そういうプロジェクトチームがこれからスタートをするということでありますが、これは重要な問題でありますが、社会一般に、やはり高齢化によってかなり社会が変質しているというようなところがあります。

 平成十八年十一月二十一日に発表されました内閣府の世帯類型に応じた高齢者の生活実態等に関する意識調査によりますと、ひとり暮らしの高齢者のうち、近所づき合いに関して、つき合いがないと回答している人は、男性は二四・三%、女性は七・一%となっておる。また、親しい友人の有無については、いないと回答した人は、男性は四一・三%、女性は二二・四%。男性は女性の倍ぐらいあるんですが、ほとんど半分程度は友人がいない。また、老人クラブや町内会などグループ活動について、所属をしていないという男性は四七・六%、女性は三七%ということで、ほとんど社会との接触を持っていない方がたくさんいらっしゃる。

 このような地域社会におけるひとり暮らし高齢者の状況について、大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 今、具体的な数字を挙げて御説明をいただきました。

 確かに、高齢化社会、男性が今七十八・五ですか、女性が八十五・五、そうした時代の中で、まさにさらに高齢化が進展していく。それと同時に、社会のコミュニティーそのものが崩壊をされている。こうしたものが今の孤独死というか、そうしたものにつながってくるだろうというふうに思っております。

 私ども総務省の調査におきましても、これは国勢調査でありますけれども、高齢者のひとり暮らしというのは非常にふえる傾向になっております。ですから、この問題というのは極めて深刻な問題でありまして、私どもは、今答弁のありました厚生労働省やあるいは警察庁、そうしたものと連携をしながら、一人であっても安心して生活をすることができるような、そんな地域づくりのために取り組んでいきたいと思っております。

谷口(隆)委員 このような事案といいますか、御高齢の方が例えば病気をされておうちの中にいらっしゃるといった場合でも、地域住民がそこに参りますと、やはりプライバシーの問題があるんですね。個人情報保護ということがありますからなかなか進まないというのは、地域の皆さんもそういうことをおっしゃるわけであります。

 それで、特に都会ではこういう御高齢の方のひとり暮らしの方の問題が非常に重要視されておるわけでありますが、先ほども申し上げました、ほかから干渉されないで個人好みの生活スタイルができるのは都市生活の魅力である。しかし、これほどの孤独死を許してまで個を重視する都市生活が果たして正常と言えるのか、こういうようなことがあります。

 都会では、個の重視の流れがどんどん加速をしておりまして、防犯面ではオートロックのマンションがたくさんできたりしておるわけでございますが、一方で、町会名簿もつくれないような状況になっておる。このような状況をやはり何とかやっていかないと、ますます地域の情報が入ってこない。コミュニティーを維持するというのは、近所づき合いであって、他者への関心である。隣人の名前を知り、あいさつし、世話ばなしをするというような、いわば世話やき社会、このような社会にするという一つの方法も、よりいい方法じゃないかというように思うわけでございます。

 そんな中で、先ほど厚労省の方でもおっしゃっていただいたようなプロジェクトが今予算化されたわけでありますが、このような問題に対応するには、自治体、消防、ネットワーク、警察、このような果たすべき方がたくさんいらっしゃるわけで、これをネットワーク化するというのが非常に重要なのではないか。特に、通信テクノロジーを利用したような地域ネットワークシステムによる見守り体制をつくっていくのは総務省の所管だと思うわけでございます。

 このような状況を踏まえて、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 高齢化社会が進展をして、地域のコミュニティーが崩壊をしていく。そして、今委員指摘のような孤独死を初めさまざまな問題が出ております。日本の古きよき、向こう三軒両隣というんですかね、そうした、何となく温かさというものが今崩壊されてきているというふうに思っております。しかし、これから地域社会を支えるためには、そうしたコミュニティーが極めて大事である、そういう観点に立ちまして、私ども、土屋政務官のもとにコミュニティ研究会というものを過日発足させていただきました。

 そして、現在、単身高齢者の問題につきましては、自治体、地域において、それぞれの実情に応じて、民生委員の人や消防団の独居老人宅への戸別訪問や、そして御指摘のありました通信機器を活用しながら安否確認の対応、そうしたものがしっかり行われるように取り組んでいきたいというふうに思っています。

 地方自治体、消防、地域のネットワーク、通信によるこうしたネットワーク関係者等すべて、総務省の施策を展開する中で、そうした人が減り、少なくともこれ以上多くならないように、安心して生活ができるような、そんなために私どもも全力で取り組んでいきたいと思います。

谷口(隆)委員 子供の見守りシステムは、この十九年度予算で、全国二十カ所予算計上いたしました。ですから、今申し上げた独居老人、おひとり暮らしの高齢の方の見守りシステムは、非常に通信テクノロジーに適しているところであると思いますので、ぜひこの予算化をして、本格的に進んでいっていただきたいということを申し上げたいと思います。

 一言だけおっしゃっていただいて、これで終わりたいと思います。

菅国務大臣 ぜひそのようにさせていただきます。

佐藤委員長 次回は、来る二十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十二分散会


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