衆議院

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第4号 平成19年2月22日(木曜日)

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平成十九年二月二十二日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      伊藤 忠彦君    石田 真敏君

      今井  宏君    上野賢一郎君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      福田 良彦君    渡部  篤君

      安住  淳君    逢坂 誠二君

      後藤  斎君    田嶋  要君

      西村智奈美君    福田 昭夫君

      森本 哲生君    江田 康幸君

      谷口 和史君    吉井 英勝君

      重野 安正君    亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           久元 喜造君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    川崎  茂君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   寺崎  明君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  実川 幸夫君     伊藤 忠彦君

  萩原 誠司君     上野賢一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     実川 幸夫君

  上野賢一郎君     萩原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成十九年度地方財政計画)

 行政機構及びその運営、公務員の制度及び給与並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 行政機構及びその運営に関する件、公務員の制度及び給与並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官久保信保君、自治行政局選挙部長久元喜造君、自治財政局長岡本保君、自治税務局長河野栄君、情報通信政策局長鈴木康雄君、統計局長川崎茂君及び政策統括官寺崎明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正でございます。

 それでは、大臣所信に対する質疑を行わせていただきます。

 格差是正国会とうたわれております今国会、格差についての認識、総務大臣に伺いたいわけでございますが、とりわけ総務省、地方自治体の行政についての担当でございますので、いわゆる地域間の格差というものについて、大臣はどのように認識をされているのかを伺いたいというふうに思っております。

 地域間の格差を示すような指標というのは数多くあろうかと思いますが、私、一つ注目するのは、厚労省のいわゆる有効求人倍率。この推移を見てみますと、ちょうど五年間、例えば十三年の十二月期、そして十八年の十二月期で比較しますと、青森県あるいは沖縄県、これが、五年前はそれぞれ〇・二六、〇・二五、全国平均〇・五一、トップは五年前は山梨でありまして、〇・七八。今、五年たってのトップは、御案内のように愛知県でございますが、当時愛知県は〇・六八ということです。その間の格差というものが、三倍、一対三というんですか、青森あるいは沖縄とトップの山梨は三倍の開きということでございました。

 それが五年たって、青森は〇・二六が〇・四六へ、沖縄は〇・二五が〇・四二へということで、二倍まではいきませんが、一・五倍強、それぞれ有効求人倍率は回復をしておりますが、依然〇・五を切るという厳しい状況でございます。御案内のように、愛知県は一・九一という有効求人倍率でございまして、それぞれ、その差が五倍近い、青森、沖縄と愛知県の違い。

 こういったところも、地域間の格差を示す指標ではないかというふうに考えておるんですけれども、総務大臣、いわゆる地域間の格差が特にこの五年間拡大をしているという認識、この有効求人倍率一つとってもですね、これについて御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 今、武正委員から指摘されました。確かに、五年前と今の有効求人倍率で格差は生じています。しかし、今も指摘の中にもありましたように、改善はされているわけですね、全国的に。今示していただきました青森とか沖縄とか、そういうところも倍近くなってきている。そして、当時〇・八だった愛知県が一・九ですか。そういう形の中で、地域ごとの状況にばらつきはあるものの、全体としては景気そのものはよくなってきている、このことは、委員の指摘から見ても、私は言えるのかなというふうに思います。

 そうした中で、産業構造だとか人口動向の違いなど、景気回復、今言われましたように、地域によって非常に差が出てきているということも事実でありますし、もっと言うと、例えば三重県でも北と南は違うとか、同じ県内でも、企業が進出したところとそうでないところが差が出てきている、そういうことも実はあるわけであります。

 今、有効求人倍率の話がありましたけれども、景気の谷ごろと比べておおむね全国的には改善しているけれども、今言われたように回復状況にばらつきがある、そういうような認識であります。

武正委員 総務大臣として、地域間の格差拡大については認めておられるということだと思います。

 また、こうした地域間あるいは個人間、企業間の格差、その原因というのは、私は、どうしてもグローバルスタンダード、あるいは世界的な競争にそれぞれ企業として対応しなきゃいけない、そういうのがあったにせよ、ある面、労働法制等、あるいは経済関連の法制の行き過ぎた規制緩和があったのかな、こういうふうに感じるわけであります。

 とりわけ、非正規雇用がふえている。これは、総務省の統計で、ついに三人に一人以上が非正規雇用者という統計も、昨年の七―九月期で総務省は発表されております。そういう意味では、とりわけ二〇〇四年の労働者派遣法の改正、製造業での派遣労働者の受け入れが始まり、ことしの四月からそれを一年から三年への拡大、これはやはり是正が必要であろうというふうに考えるところでございます。

 さて、続きまして、夕張について話を移させていただきます。

 総務大臣は、基本的に自己責任である、こういうふうに述べておられますし、そうは言っても、この三月までに夕張の再建計画を総務大臣として同意する、承認するということで、けさの報道では、きょうですか、それが行われるのか、あるいは提出されるのかということで、ほぼ内容も固まってきたやに伺っております。

 ただ、しかし、ここまで夕張が来るについては、途中途中で節目と呼ばれるような時期があったのではないのかなというふうに感じます。

 昨年末、大臣も現地に行かれておりますが、その四、五日前に私ども民主党の調査団も、鳩山幹事長を団長に、十名の国会議員で現地を調査してまいりました。市長、議長、あるいは関係団体の長の方からいろいろと伺ったところでありますが、その話を伺うと、こういう言葉が何度となく聞かれます、仕方がなかったと。仕方がなかったんだというような言葉が何人かの方から聞かれまして、最後にそれを引き取って、青年会議所の理事長でしたが、我々も責任がある、市役所も議会も市民も責任がある、ただしかし、ここはやはり我々が立ち上がって再建しなきゃいけない、我々が自発的にやるから、そのときにぜひ国を初めさまざまなサポートをと言って、その場の雰囲気ががらっと変わったところでありまして、その後は、御案内のように、成人式について、女性の方がみずから、補助金がカットされる中自立的に行って、全国からそうしたカンパが集まる、あるいは加森観光を初め、あるいはお医者さんを初め、さまざまな形で夕張再建に多くの手が今差し伸べられている。やはり、夕張の自発的な再建、これがあってのサポートなのだとは思うわけでございます。

 ただ、しかし、ここまで及んだ責任というものに国やあるいは道の責任というものがなかったのかというと、やはりあったのではないのかというふうに考えるわけですね。それは、さまざまな形で、地方債の発行、あるいは交付税、あるいは補助金、また道としてもさまざまな関与があったわけですので、まずは、国や道の責任というもの、とりわけ国としての責任、これがなかったのかどうか、大臣としての御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 委員御承知のとおり、夕張市で、一時借入金を悪用した形で、会計間で年度をまたがる貸し付け、償還を行うことによって、多額の赤字を見えなくする不適正な財務処理、これが行われてきたわけであります。そういう意味では、全く特殊なケースであるというふうに私は思っております。本来であれば議会や監査委員においてチェックされるべきことが、チェックされていなかった。私自身も昨年の暮れの二十九日に夕張市を訪問した際には、市長及び議長から、不適切な財務処理に対して反省とおわびの言葉がありました。

 そもそも北海道や国が不適正な財務処理をチェックできなかったのではないか、そう言われれば、そのことは事実であります。しかし、夕張市が行ったこの不適正な財務処理に対する責任と国の責任というのは、私は別だろうというふうに実は思っております。私も、産炭政策の転換だとかリゾート政策の転換だとか、いろいろな国の実は政策もありました、そういう中で、胸を張って責任は全くなかったとは言いませんけれども、こうした不適正な財務処理が今日の夕張市を招いた実は最大の原因であるというふうに思っております。

 加えて申し上げますと、平成十四年に、夕張市がスキー場とホテルを民間企業から取得する際に、北海道に対して、地方債を財源としたい、そういう相談がありました。そして、北海道から私ども相談があって、起債の許可は困難である、そのことを私どもは申し伝えました。その結果どうしたかといえば、市の土地開発公社が同施設を取得し、そこから市がまたそれを取得している、こういうことも実は行われてきておるわけでありますので、やはり私は、夕張市の責任というのは極めて大きい、こう思います。

武正委員 胸を張って責任がないとは言えないということで、責任は認めるということだと理解をいたしますが、特殊なケースとか別だという形で果たしてくくれるのかなというふうに思います。

 八五年のプラザ合意以来、内需拡大を求められ、政府は内需拡大に努めてまいりました。また、バブル崩壊後も、特に総務省、当時自治省にあっては、地方単独事業を盛んに行うことによって、景気回復、その手足として地方公共団体を使ってきた、これはもう否めない、その地方単独事業の推移を見れば。あわせて、地総債など、後で交付税で面倒見るから、債券を発行して、そして事業をやりなさい、とりわけ、この後指摘をする第三セクター、これを積極的につくらせてきた。今言われたリゾート法もありました。

 こういった政府による景気回復、これを担ってきた地方公共団体、これが実は夕張にも当てはまるというふうに私は考えておりまして、やはり、分権が道半ばであり、そして地方が、国から補助金あるいは交付税の、将来のということでそのツケを負わされる、こういう構図が夕張にもあったということは指摘をできるわけでありまして、やはり国、道の責任というものは重いというふうに言わざるを得ないのでございます。

 また、今指摘がありました、地方債は不許可にしたけれども、土地開発公社を通じた債務負担行為によって取得して債務が増加している、こういうようなところも、まだまだ地方公共団体がさまざまいろいろな技術を工夫、技術というか手法を工夫できるところは、やはり法律としてきちっと、それこそ国会あるいは政府、その責任があろうというふうに考えるところであります。

 そこで、今、この夕張でも第三セクターが数多くありまして、例えばマウントレースイなどのスキー場も含めて、そうした第三セクターが債務を巨額に抱えているといったところでございます。

 第三セクターに関する指針の見直しというものが平成十五年十二月に行われておりますけれども、私は、やはり今回、一般会計と特別会計、こうした第三セクターも含めて、今大臣言われたような、年度をまたがり会計をまたがり、それこそ、貸し付け、借り入れ、償還諸収入、こういった手法を駆使して、そうした表面上の赤字が見えないようなことが行われているわけでありまして、今、第三セクターについては、前年度末でありますが、九千二百八法人、出資総額五兆六千億、うち自治体の出資額は三兆五千億、六割を占め、そのうちの五%が債務超過、貸付金残高四兆四千億、損失補償契約債務残高九兆四千億、それに対して一方、情報公開で条例や要綱などを設置しているのは五割という実態であるというようなことも含めて、やはり第三セクターに関する指針の見直しを、もうそろそろ三年半になりますので、今回のことも契機に必要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 まず、先ほどの夕張の件ですけれども、私は、夕張は特殊なケースという話をさせていただきました。

 確かに、国のそうした政策はありますけれども、基本的に決めるのは、地方公共団体が、議会があって、その行政の長が決断をして決めるわけでありますから、例えば産炭政策、リゾート法、確かに国はいろいろ関与していますけれども、そういう同じような状況の中でも、ほかの地方自治体は頑張って、このような状況になっていないということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 また、委員も夕張市を視察されたと思いますけれども、実は、ちょうど私の秋田の田舎の町が、当時一万三千人ぐらいだったんです。そこにどんな施設があると数えたら、施設はほとんどないんですよね。二十九の施設がありましたから、それは全く異常なケースであるということ、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 今、第三セクターについてのお話がありました。

 平成十五年に地方自治体に通知した、第三セクターに関する指針というものを自治財政局長名において出しました。監査体制の強化、有識者による経営の点検評価の充実、積極的かつわかりやすい情報公開に努めること、こういうことを求めて地方自治体に示したわけであります。さらに、十七年に示した新行革指針においても、同様の取り組みというものを要請しています。

 しかし、現実的には、委員の指摘のように、この第三セクターがさまざまな地方自治体の財政逼迫の大きな要因になっているということも事実であります。

 そういうことで、私ども、今度の国会に提出をし、御理解をいただきたいと思っていますのは、第三セクターも含めた新しい指標、こういうものを含めて、財政の健全化を図る早期是正システム、そういうものについて今度の国会に提出をしたい、こう思っておりますので、第三セクターというのは私は極めて重要な視点であるというふうに思っています。

武正委員 今の指針では、会計監査人の監査とか外部監査、これが全部に義務づけられているわけではありませんし、また、地方議会、大臣も市議会の御出身で、私も埼玉県議会出身ですけれども、議会への報告義務が出資額二分の一以上なども含めて限定をされている点もやはり改善の必要があるだろう。ちなみに、夕張木炭製造株式会社は三四%自治体の出資ということですから、五割以上ではないといったこともあわせて、やはり改善が必要ではないのかというふうに思います。

 先ほど大臣、いや、長もしっかりと議会のチェックのもと、長の責任で行われているので、やはりある面、夕張は特殊なケースだというお話でしたけれども、じゃ、果たして自治体の長にはそれだけ権限があるのか。当然みずからの権限があって、そして市のマネジメントをそれこそその権限に基づいてできるのかというと、御案内のように、自主財源比率等含めて、やはり国からあるいは道からのさまざまなお金の流れ、そして当然それに対する報告、あるいはそれに対してのまた負担割合など、さまざまな形で自治体の長の権限あるいは自治体の権限というものは制約をされているのが現状だと思うんですね。

 私は、やはり分権、徹底して権限を与える、それは当然自律的な運営ですから責任をとってもらう、そういう意味での責任の明確化というものが必要だと思いますが、残念ながらこれまでの自治体はまだまだそれが道半ばである点。

 あわせて、じゃ、議会がチェックできるのかというと、議会もやはり、ちょうどきのうあたりは宮崎の県議会の模様が出ておりました、私は宮崎県議会は頑張っているなと思いました。知事と代表質問のやりとりを見ても、工夫しているなと思っています。でも、まだまだ、もっともっと工夫の余地は地方議会はあるんじゃないかな。そうすると、長に対するチェックと同時に、ある面、二元代表制としての提案、こういったものがもっともっと議会に与えられるような、法改正も含めて必要なのではないのかな。先ほど監査のことも言われましたが、監査委員の人選なども含めて、あるいは監査委員の権限についても、やはり私は見直しが必要ではないかなと思っております。第三セクターに関する指針については、ぜひ見直しをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、今やはり全国知事会から要望が出ておりますのは、昨年、三名の知事が逮捕をされ、宮崎もそうですが、新しい知事が生まれております。こうした知事会のプロジェクトチームから出ている提案の中に、地方公務員のいわゆる天下りについて法的な規制がないこと、これをぜひ国会あるいは政府として立法をしてほしい、こういう要請が出ているんですけれども、私は、ぜひこれは政府としてもあるいは国会としても、この全国知事会の提案を真摯に受けとめて、地方公務員もやはり天下りといわゆる官製談合、この密接な結びつきというものが指摘をされ、みずから知事会が提案をしておりますので、これはやはり前向きに取り組むべきというふうに考えますが、大臣の御所見を伺います。

菅国務大臣 昨年の十二月に、全国知事会公共調達に関するプロジェクトチームがまとめて報告書を提出しました。OB等の口きき行為については、国家公務員法の改正の動向を見据え、地方公務員法の改正を要請するということになっております。

 現在、本件に関しましては、国家公務員の再就職の適正化について行政改革推進本部事務局で検討が進められているというふうに承知をしております。再就職管理に関して、地方公務員制度においてどのような措置を講ずる必要があるのかについては、国家公務員における検討状況や国家公務員法の改正案の具体的内容、全国知事会からの要請、そういうものを踏まえてこれは検討していきたい、こう思います。

武正委員 この文書を読みますと、「企業との間に退職前五年間に担当していた職務と密接な関係を有すると認められる職員(課長級以上)については退職後最低二年間当該企業への再就職を制限するなどの措置を講じるとともに、」と。これは今、いわゆる人事院のチェックのことを言っているわけでありまして、私、前々から国会でも発言させていただいておりますが、今政府が進めておられる人事院による国家公務員に対するいわゆる天下り規制、このチェックを外すようなことは、やはり天下りをかえって助長する、私はあってはならない法改正であるというふうに思います。

 そうした法改正の動向は動向として、やはり地方公務員の天下り規制を、例えば人事委員会がやるのかわかりません、私は、総務省、総務大臣としてぜひ、地方公共団体の真摯なこうした改善、また今はたしか一般競争入札を一千万円以上にしようということで、既に埼玉県なども始めておりますが、こうした自主的に、やはりああいった知事三名の逮捕は二度と起こしてはいけない、この思いをぜひお酌み取りいただけるようお願いをしたいというふうに思います。

 そこで、次に移ります。

 教育委員会制度の抜本的見直しについてなんですけれども、昨年来、教育基本法の改正の議論をめぐって、特別委員会で伊吹大臣が、いや、地方分権一括法で文部科学省は地方の教育委員会に何もできないんですよ、こういうような極端な言い方をされて、国の権限を強めたい、あるいは地方分権一括法をもとに戻したい、こういう発言が相次いでおりまして、私は大変遺憾だなというふうに思っておりました。そうしたことも教育特別委員会でも発言もしてまいりましたが。

 ここに来て、規制改革会議も同様の見解を述べておられます。やはりこの分権の流れをとめるべきでない、今のいわゆる教育再生会議を受けての文部科学省なりのそうした見直しというものはあってはならないという見解を述べておりますが、この規制改革会議の見解について、大臣としての御所見を伺います。

菅国務大臣 地方分権改革というのは安倍内閣の最重要課題の一つであります。昨年の臨時国会において、各院の理解をいただいて地方分権改革推進法が成立をしたというのは御承知のことであろうというふうに思っております。そうしたもとに、私どもは地方分権改革に全力で今取り組んでまいります。

 同時に、教育再生、これも内閣の重要課題であります。教育再生会議の提言などを踏まえて、中央教育審議会での審議を経て必要な法律案を今国会に提出する、このように聞いています。

 そこで、今御指摘のありました規制改革会議からは、「地方分権等の流れに逆行する形で国の権限を強化し、文部科学省の裁量行政的な上意下達システムの弊害を助長することがあっては断じてならない。」等の見解が示されたところであります。教育再生会議の提言でも、「教育委員会制度は、地方分権の考え方が基本である」、こういうこともうたわれていることも事実であります。教育委員会制度の抜本的見直しの具体化にあっては、地方分権の観点からの整理が必要である、こう考えておりまして、総務省としてもこれは十分な調整というものを求めていきたいと思います。

武正委員 ぜひ分権の流れをとめることのないように、総務大臣としてお取り組みをお願いしたいと思います。

 さて、ことしは定率減税が全廃をされる年でありまして、既に当委員会でも委員から、とりわけ六月に住民税が、地方への税財源移譲三兆円、そして定率減税全廃、ダブルで住民税がはね上がること、これに対する懸念、そして政府の説明をわかりやすくということを求めているようでありますが、やはり家計に与える影響というものが大変心配をされます。

 昨日、日銀は公定歩合、金利を上げております。消費も堅調であるようなことを言っておりますが、やはり七―九月期は消費が落ち込んで、十―十二は若干回復をしておりますが、私はやはり、内需、消費、これは非常にまだ力の弱い中でのいわゆる景気回復と呼ばれるものであるというふうに考えておりますので、特にこの六月ですね、住民税が大幅に上がることの地方経済に与える影響というものを懸念するんですが、大臣としてはそれをどのように考えておられるか。

 あわせて、一昨日ですか、本会議で大臣も、この定率減税については暫定的なものである、こういうふうに答弁の中で述べられております。私は、恒久的な減税、法人減税そして定率減税、恒久的なものとして導入をされたというふうに考えて受けとめておりますし、所得税の抜本的な見直しまで、こういうことであれば、今政府が進めている、来年度、税制の抜本的改革、これまでやはり定率減税は続けてしかるべきというふうに思うわけでありますが、景気に与える影響、そしてまた定率減税を暫定的というふうに答弁した理由、以上二点、お答えをいただけますでしょうか。

菅国務大臣 まず、六月に住民税が増税をされるということでありますけれども、一月には所得税が減税されていまして、その額は全く増減ないということを申し上げたいというふうに思っています。

 その定率減税、恒久的、暫定的のお話でありますけれども、定率減税導入の際、小渕元総理は衆議院予算委員会において、一年限りでなく期限を定めないで制度改正を行い、その後特に法律改正を行わない限り継続していくという趣旨で恒久的な減税と表現したものである、こう答弁をいたしております。未来永劫に改正しないという趣旨で恒久的減税という言葉が使われたものでない、このように私は理解をいたしております。

 景気対策として導入された定率減税というのは、暫定的な税負担の軽減措置であって、経済動向を見据える中で見直しをされるべきものである、こう考えております。

武正委員 地方経済に与える影響はないということでよろしいでしょうか。

 あわせて、今、未来永劫と言いましたが、未来永劫は恒久であって、だから恒久的ということで言われたわけでありますし、当時の小渕内閣総理大臣も、また六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施することにより、という答弁を相次いで使われておりましたので、やはり恒久的であって、特に所得税の抜本改革までということでありますので、それを暫定的であると総理初め総務大臣が使うのは、今までの国会答弁を変更するものであるということで看過できないということであります。

 地方経済に与える影響はないということでよろしいでしょうか。

菅国務大臣 現在のこの景気の現状というのは、御承知のとおり、息の長い回復を続けておって、例えば民間最終消費支出は一九九八年度では名目対前年度比〇・〇%、二〇〇六年度は一・八%の増加になっております。

 さらに、我が国の経済を見るときに、企業部門の好調さが家計部門へ波及をし、国内民間需要に支えられた景気が続くものと見込まれることから、この定率減税の廃止に伴う影響は十分吸収できるものと考えております。

武正委員 先ほどから言っておりますように、定率減税に加えて地方への税財源移譲で、ダブルでその六月にはね上がる、やはりこのことが地方経済に与える影響、懸念をするところであります。

 さて、次に、質疑を通信・放送に移らせていただきますが、今国会には、いわゆるNHKの受信料の強制徴収について、あるいはまた、大臣が相次いで二割削減可能である、こういうふうに発言をされている、NHK受信料をめぐる、あるいはNHKをめぐる法改正、これを提出されるというふうに伺っております。

 昨日、朝日新聞の方ですかね、いわゆるNHKの受信料の強制徴収についての調査結果が出ておりました。アンケートですけれども、賛成反対半々というような結果でありましたが、やはり注目すべきは、年代によって分かれるんですね。つまり、六十代以上は、いいじゃないか、強制徴収してもと。それが二十代から五十代は逆転をすると。その理由がやはり、まずはテレビを見ない、あるいはNHKを見ない、こういったことが理由に挙げられているところもあるんですけれども、やはり通信・放送の融合によってテレビの見方というものが現実的に今変わろうとしている中で、この調査結果を見ても、ここで強制的な徴収をしようというのはいささか時期尚早ではないのかな、こういうふうに考えるわけであります。

 あわせて、総務大臣、この後の質問も一緒に行いますが、受信料二割削減可能である、こういうふうに述べておられますが、総務省に言っても、その根拠となる資料もくれません。ですから、どういうことで二割削減可能なのかなということであります。NHK会長は、とても無理である、あるいは、そうした審議会は九月以降設けて審議をするけれどもと。こういったところで、かなり矢継ぎ早に大臣はこの二割削減も求めようとしているわけですが、以上二点、この朝日新聞の調査結果、とりわけ二十代、五十代が反対が上回っていること、そしてまた二割削減の根拠、これをお示しいただきたいと思います。

菅国務大臣 まず、強制徴収制度ということでありますけれども、これは私導入するつもりは全くありません。これは、訴訟手続によらずにNHKが自力で受信料債権の回収を行うという強制徴収制度の導入は、私はまず検討はいたしておりません。私が検討しておりますのは受信料支払い義務化であります。

 私もきのうの朝日新聞のあの調査結果というのは承知をいたしております。

 まず、今の受信料体制で本当にいいのかどうかということを国民に、私は、今のままでいくとなかなか理解をされないんじゃないかなというふうに実は思っております。

 今言われている数字は、五千万世帯が受信料支払いの世帯だということであります。そのうち四千六百万世帯に対して何割かということで、現在は四千六百万世帯の中の七割の方に料金を納めていただいています。三割の方は最初から受信料に対してお支払いをいただいていないわけですけれども、果たして、この五千万という世帯そのものも母数として疑問がある数字じゃないかなと私は実は思っています。それは、今我が国の住宅戸数というのは五千四百万戸あります。そのほかに事業所とかホテルとかいろいろあるわけでありますから、そうしたこともやはりもう一度見直ししてもらう必要があるのかなというふうに私は思っています。

 いずれにしろ、国民から見て不平等にならないような形というものは私は物すごく大事だと思っております。

 ですから、多くの国民の皆さんに受信料の現状というものをまずわかってもらう必要があって、今の数字でも三割の人が払っていない現状というのは、支払っている人に余りにも負担がかかり過ぎている。現に私も、そうしたことをいろいろな方から指摘もされております。そういう中で、支払い義務化というものを導入する、しかし、それもやはり料金値下げとセットでなきゃならないと私は思いますし、あるいは、NHKそのものの改革というものをしっかり示さない限り国民から理解をされないということも、私は承知をいたしております。

 仮に、この受信料の支払いが一連の不祥事の前の、八〇%でした、その水準まで回復をし、さらにそのほかに受信料の義務化に伴う効果が加われば、現在の七〇%、八五%ぐらいまで高まる、私はこのように期待をしておりますし、そのことによって年間約千二百億の増収効果が見込まれます。これにさらにNHK自身による経費削減、例えば、六千億円、現在料金徴収をしておりますけれども、この六千億を徴収するのに一二%から、かつては一四%ぐらいかかったときもありますから、これは海外は四%ぐらいですから、そうした努力というものも当然私はNHKに求めたいというふうに思っています。

 そうしたことを考えるならば、二割の引き下げというのは問題のある数字じゃない、こういうふうに思っております。もし必要であれば、私は資料も提出したいと思います。

武正委員 ぜひ資料の提出をお願いしたいと思います。

 今のお話で、六千億ということで、これを単純に二割下げれば千二百億減収、それが今の、八五%になることによっての増収千二百億、ツーペイ。そうした受信料を徴収するところの改善、でも、たしかこれは数十億の話ですよね。幾らでしたっけ、改善は。まあいいです。

 そうしたことの中で一つ言えるのが、今母数を五千万と言われたところでありまして、これはいわゆる未契約も入っての数字だと思うんですね。大臣のねらわんとするところは、つまり未契約世帯の契約義務化である、こういうふうに考えるわけですが、そうすると、先ほどの不平等という話、NHKはしかしながら公共放送で、国営放送ではないわけですね。国営放送であれば平等、不平等という話が出るかもしれませんが、あくまで公共放送である。その中で、払わない人、払った人の不平等といったことで、未契約も契約をさせ、さらにまた契約世帯をふやしてというところに、私はやはり数字の根拠に無理があるのではないかというふうに考えます。

 これは、NHKが説明で使うそうした数字に未契約の世帯数が入っていない形で我々も説明を受けてきたところにもその理由があるというふうに思いますので、やはり、今大臣が言われた料金の値下げといわゆる私が使う強制徴収はセットであること、あわせてNHK改革ということが条件であるというふうに言われるのであれば、私はNHK改革の動向を見きわめるにはまだ時期尚早であるというふうに考えるところでございます。そうした点も含めて、やはり慎重な議論が必要であるというふうに考えるわけでございます。

 そこで、次に、関西テレビの放送、いわゆる捏造問題を契機とした電波法、放送法の改正も行おう、こうしてまた総務大臣がこぶしを振り上げたというふうに受けとめたわけですが、これも果たして、まず今回の関テレの案件、我々も、総務部門で二度も総務省の方に来ていただきましたが、資料も十分出していただけませんし、なかなか、関テレ自体のそうした報告書、なぜ突き返したのかも含めて、すべて口頭でしか資料が出てこない。総務省の担当課の関西テレビとの信頼関係というんでしょうか、よくわかりません。

 やはり、そうした監督、そしてまた、それこそ放送業界、放送業を振興する、監督と振興、両方相まった総務省としての限界、あるいは、これはまた後で話がありましょう、電波監理審議会の中立性、こうしたものが改めて今回問題提起がされているなと。今回の総務大臣の電波法、放送法改正ということでありますが。

 しかし、BPOなどもやはりこの点については慎重な対応を求めております。放送の中立性、独立性、あるいは放送番組自由編集、放送法三条、昨年来、命令放送でも何度となくこの場で議論をさせていただきました。やはり、ここの電波法、放送法改正を急ぐのも時期尚早ではないのか。

 というのは、まだ実態がよくわからないわけなんです。今言ったように、関テレは二十八日にまた、最終報告というか、もう一回報告を出すわけですよね。きのう、報道では、自民党に来られているようです。民主党も、関テレに総務部門に来てくれとお願いをしておりますが、そうした点の実態もまだ解明途上でありながら、ここで放送法等の改正でもし今国会に提出をされるとすれば、やはり早いと言わざるを得ないんですが、こうしたBPOの声明なども含めて、大臣としてどのようにお考えなのか、今国会で法律をあくまで出すのか、御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 放送番組ですけれども、今御承知のとおり、昨年も実は四件、行政指導を私ども出させていただいています。その中で一つ、やはり、インゲンマメ、これが健康に効くということで国民の皆さんがそのことを行ったら体調不良を起こして入院したという騒ぎもありました。その前の年もそうした行政指導を私どもさせていただいています。その際に、私ども、再発防止策というものを実は提出をいただいています。それは自主的にやっていただいていますけれども。しかし、こうしたことが引き続いて発生をしている。

 今回のこの関西テレビの問題でありますけれども、これは明らかに捏造されたものが公共の電波で国民の皆さんに見られている。そして、納豆が買い占められて、スーパーにはなかった、こういう現象が実際起きているわけでありまして、私は、もちろん報道の自由というのは当然保障しなきゃならないというふうに思っていますけれども、しかし、事実でないことを事実のように報道する自由というのは私はないと思っております。

 私は、そういう意味で、非常にこの問題を深刻にとらえておりまして、放送を所管する大臣として、果たして今のままでいいのかどうかと考えました。また、そうしたBPOの声明というものをもちろん事あるごとに私は気にしているというか参考にしていることは、これは間違いないことであります。

 そういうことを考えたときに、報道の自由というものに配慮する中で、再発防止策というのはやはり私は今必要だろうというふうに考えておりまして、そうした観点に立って今国会に法律を提出したい。

 捏造した事実が流れたということは、既に関西テレビも認めています。

武正委員 昨年のインゲンマメはTBSであって、今回関テレということで、社が違うといったことも指摘をさせていただきます。

 大臣は何度となく公共の電波というふうに言われますが、公共の電波であるならば、いわゆる国民共有の資源ですよね。国民共有の資源として、その使い方、電波の使い方については、やはり公平公正な機関がそれを決めるべきであろうというふうに考えるわけです。そうした点がされないまま、先ほども触れましたように、監督を行う省庁、そしてそうした放送業界を振興する省庁がダブっている。これはやはり分離をすべきであろう、今回の案件についてもそう考えるわけです。

 とりわけ、電監審への諮問というものを絡ませるというようなことが報道されておりますが、電監審が、昨年の命令放送を通じても、公開もしない、そして即日答申もする、関係者の意見聴取も行わない、議事録が出てきたと思えば一カ月後。こんな電監審にまた諮問をしても、結局、そうした中立、公平、公正な第三者の、BPOも含めた意見が取り入れられるとはとても思えない。

 私は、今国会での法改正の提出は時期尚早であり、それをやってしまっては、総務大臣として、やはりその職責について、要するにその見識が問われるというふうに考える次第でございます。

 近未來通信事件を契機とする電気通信事業法改正を今国会に提出するかどうか、これは質問をしたかったんですが、ちょっと時間がありませんので質問をしませんが、これも、昨年言いましたように、電気通信事業法改正、現在でも立入検査ができるわけですから、それを強化する必要はないということと、やはり、あの近未來通信事件は、既に内閣府が平成十年、十一年から情報を入手しながら、要は政府内の関係省庁の連携が悪いためにああいった形で被害が拡大をしたということであって、それを電気通信事業法改正に結びつける必要がないということを申し上げたいと思います。

 お手元には、二枚目に選挙開票透明性確保通達という資料が出ております。これをごらんいただきたいと思います。

 これは、昨年本委員会でも、習志野市ですか、選挙開票におけるテレビ放送、ポケットつきの服を着ていったり、ウエストポーチですか、あるいは電卓を持ち込んだりという、そうした映像があって、総務省にこうした点、一体開票状況はどうなっているんだと言いましたら、通達しますということで、これが一月に通達が出ているわけであります。

 しかし、そうはいっても、いろいろ話を聞いてみると、総務省が自治体の開票についてきちっと適正な指導ができるかというと、何かいろいろ説明を聞いてみると、基準もあいまいだし、それからもちろん罰則もないしということで、何か全国で果たして公平公正に開票が行われているのかなということで大変疑念を感じたわけであります。ちょっと時間もありませんので、この通達の履行の徹底を、四月に統一選も控えておりますので、改めて求めておきたいというふうに思っております。

 お手元、三枚目は、独立行政法人の監査法人名。これは昨年の予備的調査の結果でありまして、監査法人が今度解散をする、こういったこともあって、果たして独立行政法人の監査法人、この後どうなるのか、これも質問で聞きたかったんですけれども、ちょっと時間がありません。

 私は、いわゆる四大監査法人、名前で監査法人を選ぶことなく、実質的な監査ができるところ、これは先ほど言われました全国の第三セクターもそうだと思うんですよ。税理士さんも含めて全国には有能な、そうした監査ができる方々がたくさんいます。こうした名前にとらわれず、きちっとそうした監査人を選択していくことが一つ今回の教訓ではないかということを、これは指摘させていただきます。

 そこで、最後ですが、頑張る地方応援懇談会の開催について資料をごらんください。今、総務大臣、副大臣、政務官は、このような日程で全国を飛び回っておられます。後ほど同僚委員からも質疑が出る、頑張る地方応援の交付税ですね、三千億円、この説明に出ておられるというお話でございますが、この二十五日までの予定あるいは実績でございます。

 しかしながら、この頑張る地方交付税について、我が党の西村議員も本会議で指摘をしたように、いわゆるふるさと創生第二弾、いわゆるばらまきの最たるものではないのか、こういうような指摘もしているところでありますし、また、大臣はこの三月も精力的に回られるというふうに伺っておるんですね。多分これは四十七都道府県、一県一カ所あるいは二カ所ということで、全都道府県を走破しよう、こういうような勢いかと思いますが、ただ時期が時期ですよね。四月に統一選も控えておられます。

 うがった見方かもしれませんけれども、こうした統一地方選の前に担当大臣が全国を、いわゆる三千億円の交付税をこれから皆さんにお配りしますよ、頑張ってくださいということで、幾つか指標はあるようですけれども、果たしてこの時期に、なぜこれをこうやって組まれているのか。

 私は昨年も指摘をいたしましたが、選挙中に総務大臣が行って、あれは福島でしたか、県内の市町村長を集めて懇談会、やはりそうした選挙を所管する大臣とすれば、疑念を持たれるからやってはいけないんじゃないですかと。いや、そんなことありません、こういう答弁がありましたが、これもやはりそうした疑念を持たれるのではないかというふうに懸念をいたします。

 私は、地方選挙の前に四十七都道府県走破のような計画はやはり見直しをすべきではないかというふうに考えますが、最後にこのことをお伺いして、質問を終わらせていただきます。

菅国務大臣 「頑張る地方応援プログラム」というのは、地方に元気がない、地方に活力を生み出すために私どもが新しい政策として考えたものであって、七月に交付税の配分が決まりますから、それまでの間にこういう形のものを、とにかく六月ぐらいまでにやって、それ以外に、八月、九月というものも当然第二弾として考えておりまして、選挙のためにやっていることじゃない、地方の活性化のために私どもはお願いをしている、説明をしている、こういうことでありますことを御理解いただきたいと思います。

武正委員 これを見ても、出席市町村、これは全部呼んでいるわけじゃないんですよね。これは呼ばれたところと呼ばれていないところ、やはり内心複雑だと思いますよ。どういうのでこれを選んでいるのかわかりませんけれども、やはりそうしたこともありますので、こうした時期を慎重に対応されることを求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 民主党の寺田と申します。

 大臣におかれましては、本年度も、何とぞ親子ともどもよろしくお願いいたします。

 基本的に、格差認識、また自治体破綻に関して、大局的な質問をしたいのでありますが、私自身、党で国対に入っていることもありまして、細かいこともまず最初にいろいろお伺いしたいと思います。

 今国会、昨年末からですけれども、話題になっている事務所費のことについてまずはお伺いしたいと思います。

 まず、大臣自身、政治資金規正法をつかさどる省庁のトップでもあります菅大臣といたしましても、今回の事務所費問題に関して、いわゆる問題点、論点、どのようにお考えになられているか、御答弁をいただければと思います。

菅国務大臣 まず、政治資金に関しては、昨今さまざまな報道、批判が行われておりますけれども、総務省としては、本来であれば政治家は法令にのっとって政治資金を処理する、そのことが私どもそれぞれに求められているというふうに思っています。

 また、事務所費の経常経費の収支報告のあり方や、政治団体が不動産を取得することの是非などの論点、これはいろいろ言われていますけれども、こうしたことについて、その出について余り明確でない。今までは入りについてだけが規制をされていた。その出についての問題、明確でない部分がやはり今度の問題の一番大きな問題じゃないかなというふうに私は思います。

寺田(学)委員 私も、その入りについてはそれなりに詳しく規定されていることでありますが、出については、政治活動の広範さゆえにかなりアバウトになっていることは問題であると思っていまして、もちろんこのことに関しては、総務省主導ということでなくて、各党各会派でいろいろ議論していくことだと思います。

 ちなみに、大臣自身の政治資金管理団体のいわゆる事務所費というものを、ここ三年ぐらい、もし御公開いただけるんであれば教えていただきたいんですが、いかがですか。

菅国務大臣 私が代表となっています政治団体は、選挙区支部と資金管理団体の二団体であります。

 資金管理団体の事務所費でありますけれども、平成十五年から十七年分の事務所費でありますが、十五年が百七万円、十六年が二百十万、十七年が三百六十四万円であります。私の資金管理団体であります横浜政経懇話会の、議員会館に置いている事務所費はこういう額であります。

寺田(学)委員 名前が横浜何とかとありながら主たる事務所の場所は議員会館というのに多少違和感を感じつつも、事務所費額だけを見ますと、いわゆる話題になっている方々よりは非常に一般的な額であるとは思っています。

 ちなみに、菅大臣が代表となられている政治団体というものは幾つお持ちでしょうか。

菅国務大臣 二つであります。一つは自由民主党神奈川県第二選挙区支部。もう一つが、今申し上げました、東京にあるけれども横浜という政経団体です。

寺田(学)委員 その事務所費に関しては領収書の添付も必要がない。政治活動費に関しては五万円以上というくくりはありますが、経常経費の事務所費に関しては全くそういうような領収書が必要はないということで、何でもかんでも入れているんじゃないかというところが今回の事務所費問題の最たる部分だと思います。

 そういう意味を含めまして、大臣自身、百七万、二百十万、三百六十四万と、非常に想像しやすい額ではあるんですけれども、明細等を御公開されるようなおつもりはお持ちでしょうか。

菅国務大臣 私の事務所費の内容というのは、電話代だとか切手代だとか、あるいはコピー機のリース代、そういう形であります。

 これの公開については、それぞれ各党各派が、議員のあり方だとか国民への信頼の確保をどうするかとか、そういうことの議論の中で、皆さんがやられるのであれば私はやぶさかでないというふうに思います。

寺田(学)委員 ぜひとも、大臣自身は非常に少額の事務所費で、かつ想像しやすい額でもありますので、御党の非常に多額の事務所費を計上されている方の御公開というものを、党員として、大臣の方からもいろいろ御助言していただければありがたいなと思っております。

 今回、事務所費の問題が非常に新聞等々で報道される中で、そもそも政治活動に係る、または事務所運営に係るさまざまな勘定に関して、どの費目に計上したらいいかわからない部分が非常に多かったというのが、自分自身も会計の方にそれなりに関与しながら事務所運営をしていますので、自分の実感でもあります。

 そういう意味で、伊吹文部科学大臣とかは、領収書がつけられないものだから事務所費に入れるしかなかったんだよというような発言もされておりました。とはいえ、伊吹大臣いわく、総務省と協議をしてきてやってきているんだから不適正なものは一つもないというふうに明言されています。

 私自身も総務省にちょくちょくいろいろお伺いするんですが、およそ総務省とは協議できるような関係にない。総務省としても、どの費目にそのかかったお金は入れてくださいと絶対明言はしないはずなんですね。しかし、伊吹大臣は、さも、自治省、総務省がどこに入れろと言ったということをもって、私の事務所費は正当であると言っておられるのは、私は、総務省として非常にお怒りなのではないかなと。勝手にそんなことを言うなと思われていると思うんですが、大臣、いかがですか。そういうふうに協議されて、ここに入れなさい、ここに入れるのが適正ですというような言い方をされますか。大臣、いかがですか。

菅国務大臣 まず、総務省で、個々の皆さんからどんな問い合わせがあったか、そういうことの記録というのは残しておりませんので、具体的にどのようなやりとりがあったかということは確認はいたしておりません。

 ただ、収支報告書の支出項目別の記載というのは、政治資金規正法、第七号の様式に記載要項が定められており、それについて適切に処理されるものであるというふうに思っていますし、問い合わせがあった場合は、法律の規定ぶりとか、そうした一般論というものについて私どもはお答えをさせていただいている、そういうふうに私は思っております。

寺田(学)委員 それでは、伊吹大臣に限らず、どのような議員、どのような政治活動をされている方に対しても、協議をしたことはないですし、お問い合せは受けるでしょうけれども、どのように会計処理すべきだと個別具体的にお話ししたことはないということと、個別的に言うと、伊吹大臣の事務所費の内訳自体が適正であるということを総務省として保証するおつもりは一切ないということでよろしいですね。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、個々の問い合わせについては記録は残しておりませんし、過去に、具体的にどのようなやりとりがあったかということについては確認できませんけれども、私ども総務省は、基本的に、収支報告書の記載方法については、日常的にいろいろな政治団体の方から、私聞きましたら、たくさんあるそうですけれども、それについても、先ほど申し上げましたように、制度の規定ぶりだとか、その一般的なことをお答えしている。判断は、会計責任者の方がやはりされているのではないかなと思います。

寺田(学)委員 大臣自身もいろいろな方からお問い合せがあるということを御存じなんですけれども、国会議員から問い合わせがあった場合でも、一つのメモも残していませんか。

菅国務大臣 ないということを私報告を受けていますから。

寺田(学)委員 元選挙部長が苦い顔をされていますけれども、本当にないということでよろしいんですよね。まあ、それは今御答弁されましたので、もしあったときは、それはそれで一つ問題にさせていただきたいと思います。

 政治資金規正法とともに非常に解釈が分かれる問題として、公職選挙法もあると思います。

 今回、ちょっと変な、変なと言ってはなんですが、一つの資料を配らせていただきました。今、参議院選挙が近い、統一選挙が近いということで、政党活動としても非常に地元では活発に行われていると思います。ある種、今回お渡しした資料というのは、これは政党看板の一つのモデルとして書かせていただきました。

 政党看板に関しては、公職選挙法で何一つ規定をされていることはありません。ですので、非常に自由ということと解釈しておりますが、公職にある者ないしはそれに立候補しようとしている者の後援会名、ないしは個人名というものを載せることに関しては、私の記憶が確かであれば、百四十三条の方で細かく規定されていると思います。そういう意味において、政党看板とみなすか個人の看板とみなすかの分かれ目というものが、総務省においても判断の分かれるところだと思います。

 それで、選挙部長の方にお伺いしたいんですが、個人の看板であると認定する上で、どのような要件をもってこれは個人の看板じゃないかなというふうに判断されるのか。その一般的な要件をお伝えいただければと思います。

久元政府参考人 委員御指摘のとおり、公職選挙法の百四十三条は、公職の候補者、個人の立て札、看板について規制しているところでありまして、政党が設置する立て札、看板につきましては、この規定の対象外ということになっております。ですから、政党のものなのか候補者個人のものなのかということについてでありますが、それにつきましては明確な要件とか基準は定めておりません。

 一般論として申し上げますと、政党の掲示板の掲示責任者として候補者等の氏名を記載するということにつきましては、その氏名を大書きすることなどによりまして、候補者等のための文書図画であるというふうに認められない限りは、直ちに違法とはならないというふうに考えております。

寺田(学)委員 今、一般的な要件として、掲示責任者として候補者の氏名を大書きするなどという一つの要件が提示されました。あとは、色であるとか、面積であるとか、書かれている場所の数であるとか、いずれかの形でその個人の名前を売名しているんだということが、意図が明らかになるような場合は直ちにそれは個人の看板とみなされて、政党の看板ではないと。

 個人の看板となれば、選管で定められた個数しか張れないということになっていると思います。そういう意味で、今回、一つのサンプルをつくらせていただきました。やまだ太郎さん、ちょっと佐藤委員長にお顔が似ていらっしゃるんですけれども、この看板に関して今の要件に当てはめてみると、これは政党看板と言えるでしょうか、言えないでしょうか。いかがですか。

久元政府参考人 先ほど申し上げましたように、具体の事案につきましては、ここで政党なのか候補者なのかということにつきましてのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 今、紙としてお配りになったわけですけれども、この看板がどういう場所に立っているのかとか、あるいはその看板の立て方の態様とか、そういう具体的な事実に即して判断されるべきではないかというふうに思います。

寺田(学)委員 では、別の言い方でお伺いしますけれども、色であるとか立て方であるとか場所であるとか、そのようなさまざまな要件をたとえクリアしたとしたら屋外に張り得る看板である、要は、可能性、余地は残っているという判断でよろしいですか。

久元政府参考人 ですから、そのことも含めて、余地が残っているかどうかということも含めて、やはりそういうようないろいろな事象を勘案して判断されるべきではないかというふうに思います。

寺田(学)委員 では、これは張れるんですか。

 常識的に考えて、これは売名ですよ。各選管に聞いても親しい総務省の方に聞いても、これはもう売名行為ですよ。政党看板としておおよそ認められないですよ。これを張る場所や立て方によって認められるといったら、これは……。

 よくやりますよね、大臣。小さなことをつつくのもあれなんですけれども、これは一つモデルがありました。大臣自身もお気づきだと思いますけれども、菅大臣の看板をそのまま、サイズのまま写したのがこれです。

 公職選挙法を担当なさっていらっしゃる菅大臣が御地元で、これはもう明確に、言われませんけれども、明らかに公職選挙法の百四十三条の違反ですよ。指導されていない、警告されていない時点でそこの選管はいかがなものかなと思いますけれども、どうでしょう、大臣、違法性の認識はありましたか。

菅国務大臣 私も、これを見させてもらったのですが、どこかで見たなと実は思っておりました。

 実は、これはいろいろないわくつきでありまして、たしか四、五年前でありました、私の選挙区で、政党名は言いませんけれども、ある政党の人がこういうものをつくったんです。それで、選挙の際に、これは違反じゃないかなということを選管にも警察にも私どもは何回も申し上げました。しかし、これは判断できなかったんです。それで、その掲示板はそのままに実はなっていますので、私も、選挙が弱いものですから、そうであればという形で実は出させていただいて現在がある、そういう経緯があったことはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 ただ、私自身、今は所管をする責任者でありますから、その辺のことはやはり配慮したい、こう思います。

寺田(学)委員 周りの方がやられていたから僕もやりましたという理屈は、赤信号みんなで渡れば怖くないに近いもので、そういう意味で、地元の選管が何と言っているかわかりませんけれども、もし地元の選管がこれを注意していないとしたら、それは選管の怠惰ですよ。

 拡大解釈も甚だしい。もちろん、どの方がほかにやられているかどうか、私知りませんけれども、菅大臣が総務大臣になられた、公職選挙法をつかさどる総務省のトップである、そこの判断として、そこの方が御自身としてこれをやられているというのは、総務省の判断としてこれはオーケーだということになれば、百四十三条だってもっと拡大して解釈できますよ。これが許されるんだったら僕だってやりますよ、地元で。

 そういう意味で、後で御答弁いただきますけれども、今も張られていますよね。それは確認しているんです。それに対して違法性の認識があったかどうかということをお聞きしたいんです。ほかの人がやっていたからどうこうではなくて、いや、笑ってお話しされますけれども、一応法を犯している可能性、脱法及び潜脱の可能性が著しく高いんですよ。(発言する者あり)いや、決めつけちゃいけないというようなやじがありましたけれども、これはもう言いわけきかないですよ。

 大臣、いかがですか。

菅国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたけれども、たしか四、五年前に、ほかの政党の方がそれをやったものですから、おかしいじゃないですかということを私どもは警察にも選管にも何回も申し上げました。しかし、それについては違反と言い切れないということで、その人のが残っていましたから、それで私も、これはやはり選挙を戦いますから、違反でないということで残っていたと思いますので、それで同じことをした。

 だけれども、今私は大臣ですから、今言われましたように責任者でありますから、そこについては私は配慮をしたい、こう思います。

寺田(学)委員 大臣であるのであれば、総務大臣であるのであれば、一般の政治活動をしている方よりも高い見識をお持ちになるということは当然ですけれども、大臣だから守らなきゃいけない、大臣じゃなきゃやってもいいということではないと思います。そういう意味で、問題点は、これをやられている御本人と、それを注意しない選管と、それをほうっておいている総務省だと思うんです。

 選挙部長、神奈川県の選管の方に、このような看板はけしからぬ、取り締まるようにというふうに指示しなきゃいけないんでしょうかね。選挙部長、どうですか。

久元政府参考人 統一地方選挙も近づいてまいっておりますので、私どもといたしましては、違法なポスター等の掲示については適宜適切に指導また必要な措置をとるように、こういうような通知を先般も発出させていただいたところでありますので、私どもといたしましては、公職選挙法のルールが守られるように、警察当局などとも連携をとりながら対応してまいりたいというふうに思います。

寺田(学)委員 たとえ自分の親方であろうとも、間違っている部分がありましたらぜひとも中から御注意いただきたいというふうに思います。それは本当に、別に自民党だろうが大臣だろうが民主党だろうが何党であろうが、間違っているものは間違っているというふうにやってもらうのが公平なルールだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 大臣御自身もお気をつけください。いろいろなところからクレームが来ました。

 本題というにはなんですけれども、格差認識の方に移らせていただきたいと思います。

 予算委員会の方でも、今武正委員からも、格差の認識について質問がありました。改めて聞くのもなんなんですが、端的にお答えいただきたいのでもう一度お伺いするんですが、地域間の格差というものは存在すると考えていらっしゃるかどうか、改めてお伺いします。

菅国務大臣 格差の定義というのは非常に難しいと思いますけれども、例えば委員の秋田とこの東京ですね、そうした場合、所得だとか資産、そういう意味の格差というのは、当然私はあるというふうに思っています。

寺田(学)委員 まさしくその格差の定義というものが非常に重要になってくると思います。

 大臣自身、予算委員会の答弁でも、地域間の格差が出てきているということは、これは事実だと述べられています。今所得という一つの例示がされましたが、大臣が総務大臣として格差を認識する際に参考にされている定義というものは、所得以外に何があるのでしょうか。

菅国務大臣 地方公共団体の財政力というんですかね、そういう財政力指数というものが出ていますから、そういうものも当然私の格差の中には入っております。

寺田(学)委員 所得と財政力という二つの指標がありました。まだまだあると思うんです。一つ一つお伺いしたいのですけれども、その所得と財政力に関して格差は存在すると。それでは、それは拡大していっている、広がっている方向にあると認識されているかどうか、いかがですか。

菅国務大臣 先ほど武正委員の指摘にもありましたけれども、例えば有効求人倍率、これは拡大していますよね、五年前と比較をして。だけれども、底上げが成っているということも事実だと思います。

寺田(学)委員 いや、大臣自身、所得と財政力の話をされていて、有効求人倍率で縮まっているというのは、ちょっと論理が違いますので。

 所得と財政力ということを御自身で挙げられましたので、その二つが拡大されているという御認識かどうか。いかがですか。

菅国務大臣 私は、それは拡大しているというふうに思います。

寺田(学)委員 それでは、その拡大している格差というものが、もちろん存在するのは仕方がないことかもしれませんけれども、広がっている今のありよう等々に関して、これは仕方がないものだ、広い意味で健全なものだと考えられるのか、いや、改善しなきゃいけないねとお考えになられておるのか、いかがですか。

菅国務大臣 これについては総理も答弁をしていますけれども、私自身も、努力した人と汗を流した人が報われて、達成感を感じる社会にしていくということは大事だというふうに思っています。単純に、人々の努力の違い、能力の違いに目をつぶって、結果平等を目指すような社会をつくろうということは、実は私も思っておりません。

 格差が不公平、不公正な競争の結果生まれたものであってはならないと思いますし、努力が成果に結びつくこと、そうした阻害要因をそぐということが大事だというふうに思っています。

 また、地域間の財政力の格差について申し上げるならば、財政力の弱い地域であっても、やはり一定水準の行政サービス、これを受けられるようにするのが私どもの仕事だというふうに思います。

寺田(学)委員 もう少し端的にお伺いしますけれども、大臣が言われた、格差を判断する上での要因が所得と財政力。その所得と財政力に関して格差が拡大していると認識していると。その格差が拡大していること、所得と財政力ですけれども、その格差が拡大していることに関しては適当と思われるのか、いや、改善しなきゃいけないと考えられているのか、いかがですか。

菅国務大臣 今申し上げたように、努力した人が報いられる社会というのは当然必要だというふうに思いますし、財政力がいかに低くなっても、そこで一定水準の行政サービスをすることができる仕組みをつくるというのが私どもの役割だというふうに思います。

寺田(学)委員 議論がかみ合っていないんですけれども、財政力が、自治体が二千弱ぐらいあるんでしょうが、それが拡大していっていると御認識をされていて、努力なんとかいうのはその経過であって、事実として拡大されていると大臣が言われているわけですから、その拡大していっている今のトレンドに関しては是正しなきゃいけないと思っているのか、それとも、いや、それは結果の平等まで強いられないんだから、広がっていっても仕方がないんだと考えられているのか、いずれですか。

菅国務大臣 よく申し上げていますように、地域間、地方自治体、公共事業間の格差というのは、今景気がよくなっているところ、企業が進出をしたところ、そこによって拡大をしますから。しかし、それについては、地方分権を推進する、あるいは、税制改正の際、その偏在度の少ない、例えば地方消費税、そういう形で少なくしていくという必要というのは私は感じています。

寺田(学)委員 確認のためにもう一回質問しますけれども、所得と財政力が拡大していっていることは是正しなきゃいけないとお考えになられているということでよろしいですね。

菅国務大臣 地域間の財政力の格差が非常に、例えば法人税等によって違ってきていますから、それについては、やはり偏在度の少ない税制等によって格差が少なくなるようにする、それは前からずっと申し上げていることです。

寺田(学)委員 なるほど、わかりました。所得と財政力の拡大を是正するために、今財政力に過剰な差がつかないように是正すべきだとお考えになられているということですね。そういう意味で、安倍政権がしいている政策というものがそれを拡大するような要因であるとしたら、それは間違っているとお考えになられているんだと論理的には解釈いたします。

 では、その格差を引き起こす要因というのは何なのか。必ずや原因があるはずですから。所得そして財政力、大臣が挙げられた二項目について格差が拡大している原因は何であるかということ、どのようにお考えになられていますか。

菅国務大臣 景気がよくなってきて、そういう中で、企業が収益を上げている地域とそうでない地域でそうしたものが広がってきているというふうに思います。

寺田(学)委員 景気の拡大が格差を広げているということですか。

菅国務大臣 景気の拡大によって、企業が進出をした、税収が上がるところとそうでないところでできている。そういうふうに、その地域間の格差というのはそういう税制の中でできてきているというふうに私は思っています。

寺田(学)委員 ごめんなさい。僕自身、余り理解力がなくて申しわけないのですが、格差が広がっている、財政力と所得が広がっている要因は、景気が拡大されているからだという話をされていると思うんですね。

 格差が拡大している要因は何ですか。

菅国務大臣 景気の回復が地域によってばらつきがあるということだというふうに思います。そのほかに、地域の活性化の努力だとか、あるいは地域産業の動向、少子高齢化社会、そういうことだというふうに思いますけれども、景気が非常にばらつきがあるということです。

寺田(学)委員 景気の回復において地域にばらつきがある要因は何だとお考えですか。

菅国務大臣 それはさまざまな要因があるだろうというふうに私は思います。それは、企業が進出できる環境があったところが財政力についてはよくなってきている。しかし、努力をしないで、そうしたことの招致活動をしないところはやはりそのままであるということも一つではないかと思います。

寺田(学)委員 さまざまな要因があって、企業誘致をできたところであれば伸びているかもしれないだろうし、今努力を怠っているところは伸びていないかもしれないというのは、ちょっと私は納得できないお考えだなというふうに思います。

 企業進出一つをとってみても、三重の亀山工場の話をよくされますけれども、百何億円、県と市でお金を出したわけですよね。最近話題になっているのは、武田製薬の工業誘致に関して、大阪と神奈川で、うちは百億だ、うちは二百億だというふうにお金を出し合って企業誘致をしている。

 何を言いたいかというと、財政力がもともと非常に強いところがそれを背景にお金を出して企業を誘致するわけで、もともと小さい財政力しかないところ、大臣御出身の秋田でもそうですけれども、御出身の湯沢、雄勝もそうですけれども、絞り出しても出ないところというのは幾らでもあるわけですよね。結局、企業にしてみれば、やはりそれは幾らでも多く財政支援をしてくれるところに行きますよ。

 そういう意味でいうと、努力していないからだというのを一つ言われましたけれども、努力しようとしてもできない部分もあるでしょうし、企業の誘致をしようとしても、財政力が強くない限り、並みいる大都市との財政支援競争には勝てないわけですよ。そういう意味でいうと、何で格差が拡大しているか、景気の回復に地域のばらつきがあるからだ、地域のばらつきがあるのはなぜか、努力していないところもあるだろうし、企業の誘致をしたところはそれはそれで伸びているというこの二つの理由だけでおさめてしまうのは、何とも地方の実情を余り勘案されていないように感じるんですが、追加で御答弁をされるおつもりはありませんか。

菅国務大臣 先ほど私、高齢化社会の進行だとか、さまざまなことを申し上げました。

寺田(学)委員 夕張の話も後で時間があったらしたいんですけれども、大臣も先ほどの答弁の中で、人口規模というものを一つ指標にして、夕張と同じぐらいの人口規模のところでも頑張っているところがあるんだからという話をされているんです。そういう話でいうと、一つ資料があって、東京都港区、一番個人の所得が高いらしいですけれども、税収一人頭二十九・七万円だそうです。港区と同じ人口規模、港区が二十万で、同じ人口規模の十九・二万人の釧路が税収が十一・五万円と、三倍ぐらいの開きがあるんですよ。これは努力の差なのか何なのか。財政力が拡大しているわけですけれども、では、釧路は努力していないのか。

 そう言うわけにはいかないでしょう。非常に構造的な問題をはらんでいると思うんです。景気であるとか努力とか、そういうような、ある種、非構造的な要因だけではないと思うんですが、いかがですか。

菅国務大臣 確かにそういう数字はありますけれども、しかし、そこについては、地方交付税という形で私どもは調整をしておるわけであります。

寺田(学)委員 いや、交付税の話をされましたけれども、税収は景気によって伸びていくんですよ。交付税に関していうと、もちろん仕組み的に法人税が上がれば交付税額も上がっていきますけれども、今のトレンドとして交付税は縮小させていっている方向じゃないですか。縮小させないまでも、現状維持ですよ。そういう意味において、これから新型交付税等が入ってきますけれども、交付税が減らされれば、税収が上がらないところの地域というものはどんどんどんどん身を削られていくんですよね。それは当然御存じのことだと思います。

 非常に構造的な問題だと思うんです。ですので、格差の拡大が景気であるとか努力の多寡であるということではおさまらないと思うんですよね。

 一々例を挙げるまでもないですが、東京及び大都市圏はどんどん人口がふえていっています。大臣の御出身の秋田なんてどんどん減っていっていますよ。これは、ふえているのは九都道府県らしいですけれども、九都道府県が努力をしていて、それ以外の都道府県が努力をしていないという結果ではないと思うんですよね。非常に構造的な問題だと思うんです。

 もう一回、御答弁いただけますか。

菅国務大臣 まず、財政力格差の問題というのは、先ほど申し上げましたけれども、急速な景気回復に伴って、東京都は法人二税が非常に順調である、しかしそうでないところは企業進出等がないわけですからそういう税収がない、そこで東京がよくなった分差が出ている、これは事実だというふうに思います。

 ですから、そういうところについて、交付税の総額を確保して、配分をし、そこでそうした一定水準の行政サービスをできるようなそういう仕組みを私どもは行っているということでありますし、例えばことしの予算でも、公債費比率というんですかね、五%以上の借入金、約五兆円、これについては補償金なしで繰り上げ償還できる仕組みをつくりました。こういうものについても東京都などは対象から外れている、そういうことであります。

寺田(学)委員 いろいろ、財政力の格差を是正するために交付税があるじゃないかというお話をされましたけれども、それだけにとどまらない、本当に構造的な問題だと思います。

 大臣の認識自体を改めて確認したいんですが、予算委員会で前原議員から、本当に財政力の格差があるんじゃないですか、地域間の格差が出てきていますよねということに対して大臣は、御指摘のとおり地域間の格差が出てきている、これは事実だ、ただ全体として少しずつよくなってきているということも御理解いただきたいという発言をされているんですよ。

 この全体という言葉がくせ者で、伸びているところはぐんぐん伸びて、落ちているところはそれなりに落ちていって、それを平均したら全体で伸びていますねというのも全体という言葉を使えるんですよね。一番懸念していること、そして大臣自身が冒頭に格差を是正していきたいということを言われたんであれば、落ちていっている方を底上げしていかなきゃいけないわけですよ。この全体という言葉に関して、要は伸びているところと落ちていっているところの平均として上がっていっているんだということをお話しされているのか、それとも格差自体が是正されていっているんだと。どちらの認識に立たれているんですか。

菅国務大臣 例えば、たしか四、五年前ですと有効求人倍率というのは悪いところで〇・四台とかでした。いいところでも、例えば愛知県でも当時は〇・八ぐらいでしたから、格差というのは二倍ですね。今、一番下のところが例えば〇・五になったとしましょう、しかし愛知は一・九ぐらいになっていますから、格差が出ているということもそれは事実なんですね。しかし、当時と比較をして、国全体を比べたらどうかと考えるときには、やはり全体としては私はよくなっていると思います。

寺田(学)委員 いや、そもそも大臣自身、格差を認識する際に有効求人倍率を入れていないんですよ。では、大臣が総務大臣として地域間の格差を考えるときに、所得と財政力と有効求人倍率は少なくとも一つの項目として入れられているということですか。

菅国務大臣 それは、いろいろな要素というのは私はあると思いますけれども、少なくとも今のは数字上わかることですから私は掲げているということです。

 ただ、生活の実態、生活費の問題だとか、例えば私は秋田に帰れば家賃はただですから。うちがあります。そうした問題、家賃の差、これは都会と地方は全然違うわけですから、そういうものを全部含めた形で、どこに幸せを求めるかということが私は大事だというふうに思います。

 ただ、しかし、どこに住んでも一定水準の行政サービスというのは国が保障する、そのことは私は物すごく大事だというふうに思っていますので、数字の面の格差ということであれば、先ほど挙げた数字、いろいろな数字ありますけれども、そういう方向で判断するしかない、しかし、実際地域で生活をしているとそれは人によって違ってくるんじゃないかなと思います。

寺田(学)委員 家賃がかからないということは、それはそうでしょうけれども、それは御自宅があるからであって、別に御自宅がない人でも勝手に住めるようなことではないわけでしょう。幾らかかかっているわけですよ、それはそれで。

 とはいえ、港区と釧路で三倍の所得格差がついているんですよ、税収の格差ですけれども。これは尋常じゃないですよ。それで、先ほど言われたとおり、企業誘致どうこうという話でいうと、こんな財政力の格差があって対等に勝負できるわけないですよ。まあ、港区自体が用地がないからそういうようなところでは対等には比べられませんけれども。

 そういう意味でいうと、財政力の格差、所得の格差、有効求人倍率は有効求人倍率でありますけれども、本当に財政力の格差というものは深刻な状態に来ている。そして、全体という言葉を発するときに、押しなべて平均をとって上がっていればいいということではなくて、まさしく落ちていっている方、格差が拡大している負の方を底上げしていくという認識を強く持っていただいて、これからの政務に励んでいただきたいと思っております。

 時間が来ましたので、以上にします。

佐藤委員長 後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣、質問通告してありませんが、ちょうど安倍内閣がスタートして五カ月が経過をしようとしています。二つほど、通信簿ではありませんが、いわゆる採点簿というのが、大臣の評価が非常に高いということで、一つの大臣評を御紹介したいと思います。

 就任前は堅物扱いされていたが、大臣になってからやわらかくなったとの評、夕張市の財政破綻問題などでも前面に立つなど責任感も強い、期待以上の働きに赤丸急上昇と。ほかの方、何点とは言いませんが、一番大臣が、あれによると八十点だそうです。私も、一連のいろいろな大臣の御発言や行動を見ていて、前大臣とはまた違った、非常によくやられているなということを率直に御評価申し上げたいと思います。

 その中で、大臣が先ほど武正議員や寺田議員とお話をされていたいわゆる地方と都市の格差、これは、一番当初であれば、安倍総理は、いわゆる格差ということで、格差自体の存在やその是正というものに余り熱心でなかったように記憶をしております。ただ、これも菅大臣が、閣議の中とかいろいろなところで御発言なさったかどうかは別としても、その存在を認め、成長率底上げ戦略なるものもお出しになられ、政府としてもその是正に向けて対応していることはいいことだと思うんです。実は私も民主党の中で、西村さんもそうですが、格差是正プロジェクトチームの副座長をさせていただいていまして、近々、緊急措置法案なるものを国会の方にも御提出しようと思っています。

 その中で、確かに大臣言われているように、全体を底上げすれば果実が上手に分配されるという理屈も確かにあると思います。それが高度成長のときも含めてそういうふうなことをしていたと。ただ、いろいろ資料や文献を見ていくと、格差社会が固定をされ、そしてそれが拡大をしたときにどういう社会が起こるかというと、いわゆる階級社会というものが起こるというふうに、過去の歴史は証明をしています。私はそうはならないというふうに当然思いますが、ただ、今大臣が、所得と財政力と有効求人倍率、この三点が大臣の頭の中にある、都市と地方のいわゆる格差の象徴的な数字だというお話を聞いていました。

 ただ、私は、大臣、これは夕張の問題にも関連をするんですが、自治体や政府というのは一人一人の住民や国民の集合体であります。ほかの部分から見られる方もいらっしゃいますが、私は少なくともそう思っています。その中で個々人がどんな行政サービスを享受し、そしてどんな生活を送っているかというところがやはり当然最終的に帰結点にならなければいけない。自治体であれば市長さんや町村長さんが目配り、気配りをし、限られた予算を効率的に執行するというのが大前提にあって行政サービスを提供する。

 大臣、先ほどもお話がありましたが、一定水準の行政サービスというものはどういうふうにお考えになっているのか。具体的にこの辺をちょっとお尋ねしたいと思うんです。

菅国務大臣 一定水準というのは憲法で保障されていますよね、最低限の生活という形の中で。それと同時に、自分が生活していく中で、例えば町役場に行く、そういうときにも、行くのに不都合ではないというんですか、そういうことだと思いますね。

後藤(斎)委員 大臣、例えば東京と、秋田でも山梨でもいいんですが、いわゆる都市部の部分といわゆる地方と言われている部分の、大きい県単位で比べた場合、それを、例えば山梨の一番南の南部町という町があるんですが、その町の中の地域の格差、今大臣は役場に行ける距離みたいなこともおっしゃられましたが、その地域の中の当然格差もあるわけですね。

 これはちょっと順番を前後しますが、先週か今週かちょっと忘れましたが、国交省が調査をまとめて、全国の二千六百を超す町が、二千六百四十一集落ですか、十年以内またはそれに近い時期に消滅をするという調査結果が出されています。

 大臣、これはいわゆる都市と地方の格差や地域間格差を考える上で非常に大切なことだと思うんですが、集落が消滅をする、いろいろその要因は当然あるんですが、これについて、大臣、どういうふうに思われますか。

菅国務大臣 私もこのことについては非常に懸念をいたしております。地方においては人口減少だとかあるいは高齢化などのために集落の維持が困難になっている。そうした地域が御指摘のとおり予測をされている。

 その中で、今までは過疎債だとかあるいは補助金によってこうした過疎地の基幹集落の整備に対する支援を私どもは講じてまいりました。また、先般、土屋政務官に責任者になってもらって、コミュニティ研究会の場において集落のあり方についても検討してもらう、こういうことにもなっております。

 いずれにしろ、地域の活力がなければ国の活力もないわけでありますし、そうした中で、過疎対策に加えてこうしたコミュニティーのあり方というものも、私どもも省内にそうしたものをつくって対応していかなきゃならないというふうに思っていますし、そうした集落というのは、やはり日本の、ある意味では古きよき一つの象徴の場所であるというふうに思います。

 私ごとで恐縮でありますけれども、寺田委員は秋田市という都会でありますが、私のところはまさにかつての村のようなところでありますし、既に中学校もなくなっていますし、そうしたことを私自身も非常に懸念をしている一人であります。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

後藤(斎)委員 大臣、総論的には今大臣がおっしゃったことは正しいと思うんです。

 消滅が想定をされる十年ないしちょっとその後に、その二千六百四十一の集落を、大臣としたら消滅させない方がいいというふうな立場に立ってお考えになるのか。もうこれは、もっと例えば山の方にある集落であれば、平地の方に集団で移動してもらいたいというふうなことも当然あるわけですが、その点について、どちらの方向性でその検討会というか懇談会に臨まれるのかという、その認識だけ確認をさせてください。

菅国務大臣 これは私は二つの考え方があるんじゃないかなと思いますね。今のままで残そうという考え方と、あるいは市町村合併等によって集落を再編というんですか、そういう機能を残して再編するとか、そういう考え方が私はあろうというふうに思いますけれども、それは選択されるのはそこに住んでいらっしゃる方かなというふうに思います。

後藤(斎)委員 それだと、これもちょっと話が飛んで恐縮ですが、先ほども寺田委員が何度か大臣とやりとりをした、財政力、それがあるかなしやによって、当然きめ細かな、消滅をする可能性のある集落に対しても面倒が見られるのかそうではないかという、市町村の中でもちろん判断をするんでしょうけれども、大臣が、懇談会の方向性としてどうなのかというのをやはり明確にしておかないといけないというのは、先ほど触れた過疎地域等における集落の状況に関するアンケート調査というのは、もともと自立地域社会懇談会という、国交省が対応しているものです、ここに主な発言というのでいろいろ載っているのは、まさに両面があるという話をしていて、結局は自律性に任せるかどうかというのは、これから法律改正も含めて制度の中に入れ込むと思いますが。

 やはり大臣、私は少なくとも、総務大臣という菅大臣のお立場で、先ほど、評点と言うと大変失礼な言い方ですが、大臣は本当によくやっているという、私もそれを支持する一人ですが、という中であれば、それはやはりきめ細かくやるんだという大前提があって対応なさっていただかないと、これからの議論というのが、いやいや、そうではないということであれば、総務省の位置づけというもの、これから地方交付税というものがどんな位置づけで大臣は持っていかれるか後で聞きますけれども、もろもろにすべてかかわることなんです。

 少なくとも大臣は安倍内閣の重要閣僚の一人ですし、安倍総理にも一番近いと言われている方ですから、安倍内閣そのものもやはり地方に対する思いというものが問われていると思うんですけれども、その点について、大臣、いかがですか。

菅国務大臣 私のことについてはいろいろありがとうございます。また、私、大臣になってから、まさに怒濤のような日を続けていますし、とにかく一日一日全力で今過ごさせていただいているのであります。

 今のお話でありますけれども、私どもは、集落、地域の方たちがそこを維持していきたいという意向であれば、過疎債や補助金等でそこはやはり大事にしていきたい、そこの姿勢というのは変わりません。ただ、やはりそこに住んでいらっしゃる方の判断によっての結論になると思いますけれども、そこに住み続けるのであれば、そこについては私どもは政策的に支援はしていきたいということであります。

後藤(斎)委員 大臣、では、新型交付税も含めた地方交付税についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 先ほど大臣がおっしゃられた一定水準の行政サービスというところに直接関係することですが、先ほど寺田委員もお話をされたように、都市と地方の大きな格差を是正するには、やはりその地域に税収を生む企業や個人というものが存在をしなければならないというのは大前提です。そうでないところが交付税に大変依存しているというのは事実だと思うんです。

 財政力があるところは、やはり固定資産税の減免であるとかいろいろなサポートをする仕組みを持ちながら、さらにいい企業、優良企業も含めて企業誘致がされ、これは経産省の方でも閣法で、今委員会の方でもこれから議論をしますが、地域資源活性化法みたいなものとか企業誘致促進法みたいなものもいっぱい今回この国会でかかりますけれども、やはりそのときに、地方の自治体の財政力、要するに余裕があるかなしやによってその企業誘致もなかなかできないというのが現状に一つあって、財政力が豊かなところはそれがしやすい。この二極化というのは、先ほど私は、固定化や格差が拡大すると将来階級社会的になるかもしれないというお話を指摘をさせてもらいましたが、そうならないようにするために、では交付税というものが今まで厳然としてあって、それに大きく依存をしてきたものを、将来的にはもっと減額をしたいという財務省の考えもあるようですが、その点について、大臣、やはりその財政力を調整する、去年の地方六団体の提言では地方共有税みたいなものを新設しよう、前財務大臣だった谷垣さんはふるさと共同税ですか、というような発想もされている。

 やはり、ここは地方交付税ということをメーンに据えながら、あらゆる国と地方のいろいろな税源の問題もありますから、それも含めてきちっと議論をし、そしてこれからの地域の生き方、あり方というものをきちっと位置づけをしていただく必要があると思うんですが、その点について、大臣、どのようにお考えになりますか。

菅国務大臣 私はかねてから申し上げていますのは、今国と地方がよく言われていますのは、仕事は地方が六、国が四。しかし、税はこれは逆であります。私は当面の目標として、まず税において一対一というものを、これは諮問会議等でも主張しております。そして、地方分権改革推進法、さきの国会で成立をさせていただくことができました。こういう中で、地方分権が正式に行われたときには、やはり国と地方の役割をはっきり見直し、権限とか財源とか税源まで地方に移譲させる、そこが物すごく大事だというふうに思っています。

 ただ、今現状を考えるときに、地方間の財政力指数というのは非常に違いがあるわけですから、そこは、私ども、地方交付税を総額を確保し、そこでやはりきちっと対応していくということが必要であるというふうに思います。そして、もっと言うならば、これは地方分権が進んだ後でも、やはり地域間の財政力の格差というのはなかなか埋まらないというふうに私は思います。

 そういう意味で、財源の調整機能というのはやはり残しておく必要があるというふうに思います。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(斎)委員 大臣、ぜひこれはまた二十年度の予算、今十九年度をやっていますが、これが仮にこのままの形で対応なされたにしても、まだまだ不十分だという部分は当然あると思うんです。「頑張る地方応援プログラム」でも三千億という予算の確保、これは特別交付税という形で対応していますし、あと、農林水産省や経産省や、いろいろありますが、せいぜい数百億規模がマックスで対応なさっている。それで本当に一、二年の中で頑張れる地域づくりができるかというと、それも私は若干クエスチョンマークがつくんです。

 これは夕張のちょっと関連もしながら、今週号のエコノミストに、「自治体の財政破綻をどう考える?」「ネットで聞きました」という調査があります。「破綻自治体は国の財政再建の犠牲者。国は住民負担が急増しないよう最大限支援すべきだ」という方が三九・一%、「結局、破綻自治体を国が支えるなら、これまでと同じことだ」二五・七%、「破綻もやむを得ない」というのが二四・八%ということであります。

 大臣、これも、先ほどの武正議員も質問がありましたけれども、大臣は、一定水準の行政サービスは、特に高齢者の方、お子さんを中心に配慮をしていくというお話をされましたが、実際、きょうなのか、あと数日なのか知りませんが、きちっとした再建計画が出たときの大臣の判断基準はどこに置かれて、それをもう承認をするという前提で今対応をされているんですか。それとも、やはりもっと厳しく精査をするのか。それとも、市長の責任も問いながら、議会の責任も問いながら、条件つきでその再建計画を判断なさるのか。大臣、その判断の基準は何でしょうか。

菅国務大臣 私の基準というのが、やはり北海道庁が北海道のことは一番よくわかっているというふうに私思っておりますので、北海道庁の考え方というものを私は基本的に尊重をして、同意をしたいというふうに思います。

 例えば、私、昨年の暮れに夕張を視察して、私の感覚と非常に違ったのは、例えばバス代が物すごく高いんですよね。一つの市の端から端まで行くのに九百三十円かかるということでした。高齢者のパスは今廃止している団体も結構多くなってきています。ですから、私は廃止してもおかしくないんじゃないかなというふうに自分で思っていました。しかし、病院に行って帰ると二千円ぐらいかかりますから、これはやはり配慮しなきゃならないなというふうに私は行って思いました。

 ただ、そういう現実的なことは、私どもより北海道庁が、周辺の市町村も含めてよくわかっておると思いますので、そうしたことを尊重しながら、夕張市がみんなで頑張って、先ほど武正委員のお話がありましたけれども、青年会議所の理事長に私も会いましたけれども、とにかくみんなで新しい町をつくっていこう、そういうものについては私どももできる限り応援をさせていただきたいということであります。

後藤(斎)委員 多分、これからもし第二、第三の夕張市という、去年も質問させてもらいましたが、仮にあったとしたときに何が一番必要なのかというのは、人的、財源、二つだと思うんですね。人的については北海道庁が三人か四人か、新聞報道でしか知りませんが、派遣をしてお手伝いしているという話も聞いております。これからそういう、人、金両方で道がそういうふうになさるということの中で、国もそういう、人、金の部分でお手伝い、サポートをするというおつもりは、大臣、ありますか。端的で結構です。

菅国務大臣 あるかないかと言われれば、あります。

後藤(斎)委員 大臣、これは先ほどの議論とも関係するんですが、今度、統計法の改正も予定をされていますが、統計局がございますね、大臣。

 私は、我が党でもいろいろな形で資料を整理したり、こういう格差時代の日本を検証するとか、私たちのPTでもいろいろな資料をつくったりしているんですが、先ほど大臣が挙げた三つ以外にもたくさんの、もちろん格差はすべてのもの、大臣のスーツと私のスーツ、大臣の方がはるかに高いと思うんですが、一つの差というものはどんなものにもあるはずです。それは是認できるものと是認できないもの、この区分も当然必要だと思います。

 本当に個人の生活の部分まで、生活保護というものも当然ありますけれども、全体、今、本当に日本社会がどうなっているんだということを、大臣、ぜひ私は大がかりな全国調査というのを、本当に格差があるのかどうかという、何の原因で起きたかどうかということも含めて、私は、統計局を所管する大臣として、統計局の方に、ぜひその全国実態調査はしろという指示をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

菅国務大臣 前向きに考えます。

後藤(斎)委員 前向きというのはほぼやってくれるというふうに私は期待をしていますが。いろいろな御意見があると思いますが、実態あるかないか、それが原因はどうなのかというのはしておかないと、やはりどうしてもだめだと思うので、ぜひ早急に対応方お願いをしたいと思います。

 大臣、もう一つ。

 最近、大臣は、昨年のNHKの命令放送から始まって、いろいろな新しい素材を提案し、法律の枠内で対応なさっております。それで、大臣、これは、そもそも本質論なんですが、大臣は公共放送というものをどういうものだというふうに定義なさいますか。

菅国務大臣 我が国の放送というのは、民間放送と公共放送の二元体制で今行われ、お互いに切磋琢磨することによって発展をしてきているというふうに私は考えております。

 放送事業者というのは、NHKだとか民放、そういうものを問わず、公共性がまず強く求められている。特にNHKには、放送法第七条に基づいて、公共の福祉のために、あまねく全国に放送する、さらに視聴率にとらわれない、豊かでよい放送番組の提供といった高度な公共性というものを期待されているというふうに思っております。

 今後、通信だとか、あるいは放送の融合の進展、さらには視聴者の対価意識の高まりなど、時代の変化によって、NHKが提供する具体的サービスや受信料体系を不断に見直すことは必要であるというふうに私は思いますけれども、良質な放送をあまねく提供するという公共放送の基本的役割は引き続いて重要であるというふうに私は考えます。

後藤(斎)委員 大臣、所信表明の中で、放送法の改正という中に、NHKの経営委員会の抜本的改革、放送持ち株会社の制度化などを内容ということだけ触れて、放送制度の改正と言われますが、大臣、昨年のまだ今ごろは、NHK民営化論というのがございました。自民党さんでもそういう小委員会をつくって検討されたという話を聞いています。

 大臣は、今のお考えでは、NHKを民営化ないし分割するというお考えはありますか。

菅国務大臣 私は、そういう考えは今持っておりません。

後藤(斎)委員 今は持っていないということであります。

 大臣、これは、これからの放送法改正にもいろいろな意味で影響するのであえてその定義をお尋ねしたんですが、今大臣がおっしゃったことは、基本的に、放送法の中身にあるNHKの目的でございますね。

 いろいろな国の公共放送の定義というのを実はいろいろ調べてみたんですが、国によってばらばらであります。極論を言えば、民間放送にできない放送をするのが公共放送だという大胆な結論もございます。フランスでは、僕はフランスのあれが一番すごいなと思ったんですね、フランス語の振興の確保、文化的、言語的な遺産の価値の強調とか、市民権普及の促進とか、我が国の放送法にないいろいろな概念を持ちながら、公共放送を担当している社の目的として、公共放送の目的として列記をしています。

 今のNHKの持っているこの目的、あまねく云々以下のことだけで本当にいいのかどうか。これは、先ほどもお話がありましたけれども、受信料を義務化するかどうかということにも大きくかかわると思うんです。

 義務化している国もあります、していない国もあります。イギリスのように、十年ごとに、特許状か何かという名称ですが、BBCに対する許可を与えるときのあり方、税方式でやっているところ、そうではない日本方式でやっている、いろいろな形態があるわけですね。

 多分、大臣は、公共放送を今後もNHKに対応させるというお気持ちなんでしょうけれども、では、大臣、受信料の義務化をする前提条件というのは今お考えになっていますか。無条件で義務化をなさるんですか。

菅国務大臣 私は前からこれを申し上げていますけれども、NHKの受信料の義務化については、通信・放送の在り方懇談会というのを昨年私どもはやりました。それに基づいて、政府・与党合意をいたしました。その内容というのは、NHKの内部の改革をまず進めた上で、受信料の引き下げのあり方、受信料の支払いの義務について検討を早急に行い、必要な措置をとるという形であります。

 これまで義務化について、先ほども私は申し上げましたけれども、まずNHKの改革、それと料金を引き下げること、そこはセットになっているというふうに考えています。

後藤(斎)委員 大臣、このNHKの受信料は、いわゆる公共料金ではないそうなんですね。税でもない。

 百科事典を見たら、公共料金としては、例えば、電気料とかガス料金、都市ガスですね、上下水道、電話料、郵便料金、いろいろいっぱいありますが、次のようなものがあるということで今列挙しました。なお、誤解されやすいがNHK受信料は公共料金ではないという注意書きがありまして、それで、公共料金とは何かということを、大臣、私はちょっと調べてみました。

 ほとんどの公共料金の決まり方というのは、いわゆる総括原価方式という方式で対応なさっています。だれがその認可をしたり、届け出だけで済む場合もありますが、いろいろな検討をして、例えば水道法であれば、料金は能率的な経営のもとにおける適正な原価に照らしてとか、電気であれば、料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであるとか、効率的とか能率的とかいう言葉が法律の中にあるんですね。

 NHKは、確かに、十六年間、受信料は据え置いてはいます。いますが、どうやって決まっているのかなというときに、大臣がおっしゃられているように、二割下げなければ義務化はしないということであれば、総原価というものをどう考えて、それに対する収入を単価に割って料金というものを決めていくはずだと思うんですよ、普通。

 NHKさんからも総務省さんからもNHK受信料の算定根拠というものをいただきましたが、総括原価方式、これは基本的には公共料金と同じ考えでやっているということ、そして、法の規定は、放送法三十七条四項の、国会が承認をするという部分で対応している。積算は別にないわけですね。だから、これをどう見るかということで、公共料金に近い。なぜならば、金融機関に行くと公共料金のところにNHKの受信料というものもありますから、私はずっとそう思っていたんですが、そうではないという定義もあるようなんです。

 大臣、このNHKの受信料について、これは公共料金的なものであるというふうな言葉を多分おっしゃられたと思うんですが、平成十九年は六千百億ほどの予算案になるようでありますが、水準論として、総括原価方式ということであれば何らかの支出のボリュームがあると思うんですね。大臣は、そこは何だというふうにお考えになりますか。それによって二割削減なのかどうかということも含めて、多分いろいろな検討の方向性が出ると思うんです。いかがですか。

菅国務大臣 まず、NHKの料金でありますけれども、昭和五十五年の予算委員会のときに、内閣法制局長官はこのような答弁をしています。「現行法でも民放とは別にいわばナショナルミニマムとしての公共的放送の享受を国民に保障する必要があるという考え方を基礎といたしまして、その公共的放送をNHKの業務として行わせるための一種の国民的な負担として受信料をとらえている」こういうことを政府の見解として述べておるところであります。

 そして、NHKについては、先ほど私は、NHKの全国あまねく云々というお話をさせていただきました。いまだに民放では全国あまねくできていないわけですから、そういう意味で、私は、公共性というものは必要であるということを実は申し上げているところであります。

後藤(斎)委員 大臣、ですから、額が、全体で六千百億か、一番マックスの平成十五年で六千四百億かは別としても、これは、先ほど大臣も武正議員と議論をしたように、今、三千何百万世帯が積み上げた総収入なんですよ。総原価じゃないはずなんです。今回、六千百億を出してきて、大臣はやむを得ないという御判断を意見書でなさったようですけれども、受信料の本質を、それが五千億が適当なのか、七千億が本当に必要なのか、そのときの総原価でやるというふうに、NHKさんからいただいたものでも、それを基本にしているというお話があるんです。

 だから、どちらかが、今、去年のものを前提にということであれば、それはそれでいいのかもしれませんけれども、もともとの受信料という総額の設定じゃなくて、単価の設定をどうするかというところに、放送法にそれを義務化するのであれば、そこの議論を大臣がどういうふうな方向性で考えておられるのかということをきちっと委員会の場で言っていただかないと、その放送法に義務化の条項が入るかどうか、この所信の中に入っていませんけれども、大臣、そこを明確にしていただきたいんです。

菅国務大臣 NHKというのは、積み上げ方式というんですか、私は、やはり今の現行水準というものを否定することはできないと思っていますから、こういった水準の上に立って考えるべきことだと思います。

後藤(斎)委員 大臣、ちょっと話は飛びますけれども、最近のNHKは、いわゆる民放ではない公共放送の扱いの中で良質な番組を編成している、NHKさんはそういう自信もあるし、私もそういう部分があると思うんです。ただ、民間放送の方が、なぜああいう形で、いわゆる捏造的な番組をつくったりするかというのは、私は、視聴率競争というものが非常に激化をしているというその背景にあると思うんです。情報通信白書を拝見させていただいても、やはりテレビ局の広告収入みたいなものはそんなに伸びていないわけですね。むしろ、インターネットとか、そういう広告の方がウエートが高くなっている。

 一方で、今視聴率を把握している会社は一社しかない。これは、二〇〇三年に視聴率の改ざん問題みたいなものが出たときに、当時の麻生大臣が、一社だけだと困るよねみたいな話をなさっているようなことも記録に残っております。

 この体制のあり方や、視聴率競争に過度にというのは、パイが縮小というとおかしいですが、マーケットがそんなに大きく伸びない中での前提で難しい部分もあると思うんですが、やはり視聴率というものをどうとらまえて、そして総務省として、大臣としてどういうふうにそれに、例えば視聴率の会社を二社にした方がいいとかということも含めて、大臣、具体的に、なおかつ手短にちょっとお考えをお聞きしたいと思います。

菅国務大臣 委員の御指摘にありましたように、やはり視聴率を余りにも重要視する中で、番組内容をなおざりにしてまたあのような不祥事が出てきている、このことも私は事実だというふうに思っています。放送事業者というのは、視聴率に一喜一憂するのではなくて、国民・視聴者に信頼される放送というのを第一義的に考えて行っていただきたいというふうに思いますし、また一方で、視聴率についても信頼性というのは重要であります。今、一社ということでありますけれども、一社がいいのか二社がいいのかということは私どもが余り言及することではないと思いますけれども、しかし、やはり信頼性の高まるものであることの努力は関係の皆さんにしていただきたいなというふうに思います。

後藤(斎)委員 一社でも二社でも、それは信頼性があればと、私もそう思うんですが、アメリカでは一九六一年に、やはり視聴率競争の中で、本によると、番組の低俗化が非常に連邦議会の中でも議論をされ、それ以降当局、いわゆる役所が法律や行政命令によって視聴率のチェックをするという話もあったんですが、結局は、民間のメディアの業界の代表者や第三者なんかも含めて、第三者の監視機関をつくって視聴率に対して目を光らせているというふうなことのようであるんです。

 だから、私も、きょうの新聞にもありましたけれども、大臣が行政命令や法律を改正して過度に、言い方はちょっと失礼かもしれませんが、介入という言い方が適切かどうかは別としても、そういうことなのか、それとも、やはりみずからがメディアの責任としてそういう監視機関みたいなものを含めて信頼性を高めるのかという、多分二つではないかな。私は、個人的には後者の方が正しいと思っているんですが、大臣、その点についてはどういうふうにお考えになられますか。

菅国務大臣 日本では、番組のチェック機関としてBPOが設立をされて、放送倫理と番組の質の向上が図られている、このことは私も認めさせていただきたいと思います。

 しかし、今回のように、捏造したものがそのまま報道されてしまう。そういう中で、今までもそうしたことがあったときに、再発防止策というものをそれぞれの放送事業者にゆだねて提出をしていただいて行ってきたわけですけれども、しかしまたこうしたことが起きてしまった。

 私は、報道の自由だとか番組に介入する気持ちは全くないんです。しかし、事実でないことを事実のように報道するということは、これはやはり絶対許しちゃならないと思うんですね。それは非常に影響が大き過ぎますから。ですから、それは自己規制と同時に、そうしたものについても再発防止策、今回もそれぞれの放送事業者がみずから考えてもらって、それに私の意見をつけてそれを公表する、オープンにする、そういうことが私はやはり必要ではないかなというふうに今思っています。

後藤(斎)委員 その裏返しでいえば、子請、孫請みたいな委託を、実際つくるところに過度な負担というかコスト削減みたいなものもあるとか、いろいろな要因もあると思います。

 大臣は、今回の所信の中で、情報通信産業は我が国の成長力、競争力の原動力ですというお話がございます。ただ、情報通信白書を拝見させていただくと、情報通信産業で国内生産額は減少しています。一方で、情報通信産業が経済成長に与える影響ということで、寄与度が実質GDP変化の四〇%という記載も白書の中にございます。これは、減っている中であるから、いろいろな過度な行き過ぎやコストカットみたいなものも私は番組の制作に影響があると思うんです。

 だから、携帯電話もそうですし、いろいろな情報通信産業が韓国やほかの国に比べて非常に今立ちおくれているというふうに私自身は思うんですが、大臣、最後に、この情報通信産業を世界にもう一度冠たる競争力ある形にしていくんだという御決意の御答弁をぜひお願いいたします。

菅国務大臣 委員から、情報通信産業についての御指摘をいただきました。

 今の日本の成長力分野では四割が情報通信産業でありますから、そしてアジアの成長というものを考えたときに、アジアには二けた成長する国が数多くあります。人口も数多くいます。それをやはり日本の成長としてとらえることというのは私は極めて大事なことだというふうに思いますし、それはまさに情報通信産業であるというふうに思いますので、情報通信産業がそうした世界の中で、私は自動車産業と並ぶという話をさせていただいていますけれども、そういう形で成長することがやはり日本の発展につながる、非常に大事なものである。そういう観点の中から、今度懇談会などをつくったりし、また、情報通信産業を、特に成長するアジアの中で日本は何とか進出することができないかなということに非常に強い決意を持って今臨んでいるということであります。

後藤(斎)委員 ぜひ大臣、ただ、実質の生産額も雇用も減っているという前提で、さらに前向きにやはり対応していただきたいことをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私は、きょう最初に、夕張の問題について質問したいと思います。

 昨年九月三十日付の日経のインタビューを読みましたけれども、菅大臣はこういうふうに言うてはりますね。「第三セクターの破綻は、銀行にも当然責任をとらせるべきだ。自治体に対しては憲法上の問題もあると聞くが、基本は貸し手が責任をとるべきではないか。これまでは自治体がつぶれるわけがないと、どんどん融資してきた。今はそういう時代ではない」という発言を読みました。この発言は間違いないですね。

菅国務大臣 このことについては、私、当時のものを精査しました。私の発言は、「第三セクターには当然、向こうにも責任をとらせるべきだというふうに思います、それは。自治体に対してというのは、何か憲法上の問題もいろいろあるという話も聞いているのですけれども、基本はやはり私は責任をとるべきではないかなというふうに思います。」ですから、日経の記事と私のニュアンスが若干違っていることは御理解をいただきたいと思います。

吉井委員 第三セクターということで、市そのものじゃなくて、市も第三セクターも含めて今問題になっていますから、要するに、基本は貸し手責任ということを言われていた点は間違いないと思います。

 今回の破綻の背景には、政府の八〇年代の民活法、リゾート法によるリゾート開発の国策に沿ってといいますか、国策に踊ってといいますか、市自身がリゾート開発、観光開発に走ったという責任、問題はあると思うんですが、一九八八年に松下興産が大型プロジェクト、レースイリゾート開発計画を掲げてこの市に乗り込んできて、ところが一九九六年になると、リゾートブームの退潮傾向ということが明らかになってくると、夕張市にホテルなどを押しつけて買い取らせ、二〇〇二年三月には、レースイリゾートは不採算部門だとして松下興産はさっさと撤退をしていくという問題がありました。これはこの話だけじゃありませんけれども。

 いずれにしても、夕張市土地開発公社が二十六億円でこれを買い取って、マウントレースイには温泉施設を付加するなど、事業費を含めて約三十億円の負担をこうむった。松下興産の銀行債権の夕張市へのつけかえなどが決定的に財政破綻を加速したという問題があると思うんです。

 こうした経過をきちんと見たときに、昨年大臣が語っておられた、「銀行にも当然責任をとらせるべきだ。」「基本は貸し手が責任をとるべきではないか。」というこの発言の内容にかかわる事実が、つまり、銀行の貸し手責任が問われる事実があったのかどうだったのか。この点について、大臣のお考えというものを聞きたいと思います。

菅国務大臣 まず、第三セクターは独立した事業主体でありますから、それが破綻するような場合は、出資者である地方公共団体だけでなくて、債権者等関係者間の責任分担を明確にして債権債務関係の整理を行う、これが私は必要であるというふうに思っています。

 その債権債務関係の整理に当たっては、地方公共団体は、出資の範囲内の負担、損失補償契約に基づく負担を負う、これが原則だというふうに思います。

 そして、今ホテルとスキー場の話がありました。これについては、先ほども申し上げたんですけれども、地方債を充ててほしいという相談が北海道から国に対して平成十四年にありました。しかし、それは難しい、無理だということを私どもは北海道に申し上げています。その結果として、市がそういう形で取得したものだと思います。

吉井委員 私もいろいろ見ておりまして、例えば日経金融と日経新聞で、夕張市、公社、第三セクターの借り入れなどを見たときに、みずほ銀行から夕張市が借りた形をとって、その金が第三セクターへ行ったりとか、いろいろありますが、マスコミの報道をトータルすると、例えば一例を挙げると、みずほ銀行から市と公社、第三セクターへ百六億円貸し付けというのがありますが、別な資料を見ると、市の三十八億と、公社、第三セクター九十九億九千九百万円を合わせると、みずほ銀行からこの夕張の第三セクターや市などへ合計百三十八億円貸し込みがあるという問題などがあります。

 ですから、金融機関別にきちんと借金額を確定して、例えば、今大臣もおっしゃったように、これはどこが責任を負わなきゃいけないのかとか、その責任をどう分担するかとか、例えば、みずほの例を挙げましたが、みずほと市が話し合って、銀行の債権の一部を放棄するなり、あるいは財政再建のある程度のめどが立つまで一時凍結ということを考えるとか、そうすると随分再建計画というのは変わってくるんですね。

 大臣は、あなたのおっしゃった銀行の貸し手責任を明らかにさせる上でも、まず金融機関別に夕張市の借金額それから債務の状況を公表させる。要するに、市民は何もわからないまま、とにかく三百六十億があって、これがあるから我慢しろ、我慢しろだけでは、普通はとても通る話じゃないと思うんですね。これはまず債務の状況を金融機関別にきちんと公表させるということが私は大事なことだと思うんですが、大臣の考えを伺っておきます。

菅国務大臣 夕張市は、一時借入金及び地方債の借入先の金融機関名あるいは借入額については、情報公開条例の非公開情報に当たるということから公表しないということになっていることを私自身は承知をしております。第三セクター、公社の債務の借入先の金融機関名、借入額に関し夕張市が保有する情報についても同様で、公表しないということであります。

 財政に関する情報の開示というのは私は重要だというふうに思いますけれども、これは、今申し上げましたように、夕張市が判断することだというふうに思います。

吉井委員 日本共産党も、調査団で私も行きましたけれども、その後、一月二十六日に大臣に申し入れをしたときに、大臣も、市の債務状況を明らかにすることは当然だとおっしゃったわけですが、私は、とにかくこれだけ借金があるから我慢しろ、我慢しろだけの話じゃなくて、一つ一つの借金がどうしてできたのかという経緯とか、その責任は市民が負わなきゃいけないのか、どこがその一半の責任を負わなきゃいけないのかとか、それをきちっとしていく上でも、本来、債務の状況についてはきちんと公開をさせていく、それが必要だというふうに思います。

 大臣のお考えは、一月にお答えいただいたそのときの、債務公開は当然だという考えは私は変わらないと思うんですが、やはりそれを市に対して、情報公開を口にしてうやむやにすることじゃとても市民の理解を得られないだろう、そういう話はきちっとやってもらう必要があると思います。

 江戸時代の逃散のように、夕張で住めないからといって人がどんどん出てしまいますと、そういう政策をとってしまうと、これは本当の夕張市と市民生活の再生にはならないと思うんですね。産業と雇用を生み出し、所得が生まれ、暮らしも成り立つ、そこに市民が住んでこそ市税収入も入ってくるわけですし、夕張の再生が成り立つわけですね。だから、菅大臣は昨年末、調査の後、一定の行政水準、サービスは維持するということは言っておられるわけですが、私は、憲法上の規定からしても、福祉、教育、防災などの行政水準はきちんと維持していく、この立場は貫いていく必要があると思うんですが、これについても伺っておきます。

菅国務大臣 夕張市においては、一月二十六日に公表した素案、これをもとに財政再建計画を策定して、協議を行うことになっていくというふうに思っています。

 財政再建に当たっても、地方公共団体は、法令で定められた事務など、住民に対する基礎的な行政サービスの提供を続けていくということは、委員の御指摘のとおりだというふうに私も思います。

 夕張市も、こうしたことの前提の上に立って、市が抱える多額の赤字を解消するために、歳出削減、歳入確保の両面から、徹底した行政運営の見直しを検討しているというふうに思います。その上で、高齢者や特に子供に配慮するなどの再建計画の案が出されるものと思います。

吉井委員 ここは、歴史的に見ても、もともとこの夕張の山というのは国策によってつくられてきたところでもありますし、古くは、空知監獄の囚人労働を受け入れての発展とか、中国、韓国、朝鮮からの強制労働、強制連行による戦争中の炭鉱の生産活動とか、戦後、国策の転換によってなってきた問題とか、歴史的経緯が随分ありますから、そしてリゾート法などの問題があったわけですから、そういう歴史的な経過も踏まえて、やはり国として必要な支援というものをきちっとやっていくということを私は強く求めておきたいと思います。

 次に、頑張る自治体問題について質問します。

 大臣が音頭をとる形で「頑張る地方応援プログラム」というのが進められようとしていますが、この「頑張る地方応援プログラム」を始めようとした理由、これをまず伺います。

菅国務大臣 私は、総務大臣に就任をしたときに、地方に対して二つのことが必要だと思いました。

 一つは、やはり地方に安心感を持ってもらうことであります。それは、地方交付税がこれから先行きどうなるかわからない、そうした不安感を地方の首長さんが持っておりました。さまざまな話も私は聞いていました。ですから、少なくともこれから三年ぐらいのそうした交付税の予見可能性ぐらいは示す必要があるというふうに私は思いました。そして、今そのことを作業させております。

 そしてもう一つは、地方の活力なくして国の活力なしというのは安倍内閣の基本であります。私も秋田の小さな村で高校まで育ちました。全国どこに行っても、財政力指数が低くても、地方には必ず特色があって魅力がありますから、そうしたものを引き出す政策というのが私は必要だと思ったんです。

 その中で考え出したのが、この「頑張る地方応援プログラム」であります。財政力指数が低くても頑張るところには応援をしよう、そして、全国でこうしたそれぞれの地域の魅力を引き出してさまざまな町づくり、地域づくりが行われれば、国そのものも元気になるだろう、そういう私の考え方からこの「頑張る地方応援プログラム」というものを提案しました。

吉井委員 頑張る地方を応援するというこのプログラムが、自治体がこれで元気になるということよりも、もともと元気のいい自治体が一定の成果目標を達成したらそういう自治体を応援しようということのようですから、なぜ元気のある自治体に限定してくるのかということが問題になると思うんですが、これはどういう理由でこうなるんですか。

菅国務大臣 ぜひ私の考え方を御理解いただきたいんですけれども、私は副大臣になったときに、財政力指数が平均以下、〇・五幾つだと思うんですが、そこ以下のところでも、例えば行政改革をやったところについてはインセンティブを与えるべきだ、そうしたことを実は政策に反映しておりました。

 そういうことを考える中で、このプログラムについては、財政力指数の低いところでも元気になれる仕組みのプログラムであります。市町村に対して、プログラムに円滑に取り組めるように取り組み経費というものを特別交付税によって措置したいと思いますし、成果指標を普通交付税に算定する場合には条件不利地域に配慮したい、そうも思っています。

 そして、関連省庁、私はこれを行うについて、経済産業大臣、農林水産大臣、さらには国土交通大臣等にも私どもの考え方を示し、それぞれ省庁横断でやっていこう、そういうこともお願いをしまして、関係省庁と連携を図って、プロジェクトに対しては補助事業の優先採択等を行ってもらおう、こういうことも実は詰めさせていただいています。

 条件不利の地域であってもプロジェクトに取り組めるように配慮をさせていただいていますし、また、成果が上がるようにも支援をしていきたい。言うならば、条件不利地域にあっても一定水準の行政サービスができるように地方交付税で措置すると同時に、こうした頑張りもできるように特別の配慮をさせていただいているということであります。

吉井委員 条件不利地域でも、頑張るところには、一定の成果指標を達成したところは応援するというお話です。

 確認しておきますが、現在も、地域再生や地域活性化事業、わがまちづくり支援事業、地域経済新生事業、地域を支える人づくり事業など、地方自治体の自主的な取り組みが行われています。

 例えば、地域活性化事業。メニューとしては、低公害車導入、太陽光発電など循環型社会形成事業だとか、少子高齢化対策事業、都市再生事業などがありますが、こうした取り組みを応援する目的で昨年度、都道府県と市町村で九百三十九億円の起債が認められておりますね。わがまちづくり支援事業や地域経済新生事業、地域を支える人づくり事業などは、交付税を算定する際にそういう事業が展開できる財政措置がとられていますね。

 だが、今回の場合は、自治体が手を挙げて成果指標を出さないとだめだ、こうなっているわけです。なぜ、今までのような支援のやり方じゃだめなのか。これはどういう理由ですか。

菅国務大臣 「頑張る地方応援プログラム」は、地方独自のプロジェクトに円滑に取り組めるように、まずはその取り組みに要する経費に対して特別交付税を講ずることとしております。この措置は、あくまでもプロジェクトを策定した市町村を対象とするものであって、プロジェクトに取り組まない市町村にまで配分するものではありません。

 また、このプログラムの支援措置の基本は、行政改革の実績を示す指標や製品出荷額などの客観的な成果指標を用いて普通交付税の割り増し措置を行うものであり、この措置を行うに当たり頑張りの成果というものを求めておるものであって、ばらまき政策ではないというふうに思います。

吉井委員 現在もちゃんと仕組みがあるのに新たにつくろうというわけですが、そのために成果指標を出しなさいと。では、その頑張りの評価というものは今度はどこがやるんですか。

菅国務大臣 これは、私どもが今地方に出向いて、地方からもさまざまな意見を伺っています。七月までにははっきりとしたものを策定したいと思います。

吉井委員 頑張りの評価をするのは総務省でしょう。

菅国務大臣 これは、あくまでも客観的な評価指標にしたいと思います。

吉井委員 評価指標の問題じゃないんです。

 その指標をつくったにしても、評価するのは総務省でしょう。

菅国務大臣 私どもでその評価はしません。指標に基づいてというふうに考えています。

吉井委員 指標という数字がどこか別なところにあって、その数字が評価してくれるんじゃないですからね。その指標に基づいて評価するのは総務省なんですよ。そこを言っているんです。それはそのとおりでしょう。

菅国務大臣 指標が評価するんじゃないでしょうか。

 指標を出すわけですから、それについてやっていればということですから、私どもの恣意的なものは入らないということです。

吉井委員 国が指標をつくり、その指標に基づいて評価するのは総務省なんですよ。つまり、国が評価するんですよ。国が基準をつくり、国が評価する。

 財政支援ということであれば、これは国庫補助金でやればいいわけなんです。問題は、地方交付税というのはもともと地方の固有財源なんです。その地方の固有財源を国が評価して、国が決めていくということ、これは根本的におかしいんじゃないですか。

岡本政府参考人 今大臣からもお答えさせていただきました行革インセンティブでやっております考え方を、ちょっと事実関係を御説明させていただきます。

 行革インセンティブということで行革の指標をやっておりますが、例えば物件費が高いところでございますとか、そういうような徴収率を上げている団体は、そういう努力をすることによって客観的な指標としての徴収率が上がるということでありますとか、物件費が全国平均より比べて低いというようなことが、相対的にはその経費がよりかかっているだろう、そのことを基準財政需要としてとらまえて、その部分を算定しているということでございます。

吉井委員 大臣がいない間のつなぎの、いわば休憩時間みたいに今お話しいただきましたけれども、日ごろは、交付税は地方の固有財源だと言っているんですね、総務省は。交付税の配分は総務大臣の権限、これはそうなんですが、その配分については、財政需要額が財政収入額を超える地方団体に対して、公平にその超過額を補てんすることを目途として交付しなければならないというのが、御承知のように交付税法三条ですね。ところが、「頑張る地方応援プログラム」というのは、配分の基準になるのは、転入者人口、農業産出額など成果指標を掲げて、法律では、財源不足の自治体には公平に配分しなければならないとしているわけですが、これはどう考えても整合性がないということになりますね。

 大臣にそのことを伺おうと思ったら、ちょうどトイレへ行かはったんで、今の私の質問の意味、わかっておられたかどうかはあれですが、これは大臣が提案しているので、私は大臣にそこを聞いているんです。

 この頑張る地方応援、やるなと言っているんじゃないですよ、大臣、頑張るところを応援するなと言っているんじゃないんです。交付税というのは地方の固有財源なんです。しかも、財源保障するためのもので、人口がふえたとか農業産出額がふえたとか、そういうことを基準に配られるものじゃないんですね。国が自治体を応援するということはいいんですが、そのために財源が必要なら、国の財源で本来行うべきものなんですよ。交付税というのは地方独自の財源で、国の政策誘導の手段に使われるべきものじゃない。これは栃木の知事の言っておられるとおりだと思うんです。交付税を政策誘導に使うことは避けた方がいいという静岡の知事の発言も、私はそのとおりだと思うんですね。

 だから大臣、今のことを踏まえてお答えいただきたいのは、大臣は、第二次分権改革を進めると言い、今後、国と地方の役割分担の見直しをすると言っているんですね。その大臣が、やるとすれば補助金で実施すべき施策を、自分が所管している交付税を使ってそれに充てると。この交付税というのは地方の固有財源なんですから、それを使って何か補助金的に、政策誘導的にやるというのは、そんなことをやってしまったら、交付税が地方のモラルハザードを招いているとかいう話がありますが、モラルハザードを起こしているのは総務省じゃないかということになってきますね。そこのところを大臣にお答えいただきたいと思うんです。

菅国務大臣 今日の交付税の算定というのは、例えば義務教育だとか福祉、こうしたものに義務づけられた行政水準を確保するための義務的、基礎的な経費と同時に、全国の中で、過疎地などの条件不利地域の特別な財政需要だとか、あるいは行政改革等の全国共通の政策課題についての経費を対象とする、この二つが実はあります。

 そして、この頑張る地方というのは、まさに魅力ある地方を目指す全国的な指標の一つであって、そのことを交付税の算定にしようということであって、あくまでも交付税というのは使途を限定されない一般財源でありますので、これは委員の御指摘には当たらないと私は思います。

吉井委員 委員の御指摘に当たらないんじゃなくて、地方交付税というのは使途を特定しない一般財源なんでしょう。交付税というのは一種の間接課徴形態の地方税と言われているものですよ。だから、本来、地方税だから、国があれに使え、これに使えと言える話じゃないんですよ。財源不足があるから、自治体に成果指標があろうがなかろうが公平に配るというのが地方交付税ですから、そういう性格の交付税を成果指標で配るということは、これは交付税の変質、根本的に違うものにしようということですから、応援をしようというなら、国の財源である国庫補助金でやればいいことで、地方の固有財源である交付税を、成果主義と言うべき事業所数、製品出荷額などの成果指標で配分するということは、これは交付税の補助金化というものに変えてしまう、地方分権を推進する担当大臣としてはこういうことはやっちゃならないということを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 私は、きょうは二つの問題に絞って質問したいと思うんですが、まず第一は、NHK問題に対する質問、それからもう一つは、関西テレビの事案に対するさまざまな動きが出ておりますので、その点についてお伺いしたいと思います。

 まず、NHKに対する命令放送、あるいは「ETV2001 問われる戦時性暴力」問題にいたしましても、公共放送であるNHKに対する政治のあり方、あるいは政治に対するNHKのあり方、この両面から重要な論点になっていると私は受けとめております。

 そこで、まず、NHKであれ民放であれ、放送機関に対する政治のあり方として留意すべき観点あるいは立場、大臣はどのように認識しておられるか、お伺いいたします。

菅国務大臣 放送法では、表現の自由を保障するという観点から、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」として放送番組編集の自由を規定した上で、放送事業者の自主自律により放送番組の適正を図る仕組みになっております。

 こうした法の仕組みにのっとって、まずは、各放送事業者において、放送の持つ高い公共性と社会的責任を自覚し、良質な番組提供が行われる、このことを私はまず期待いたします。

 なお、電波、放送を監理する総務省としての立場でありますけれども、こうした法律で定められる番組準則や各放送事業者がみずから定める番組基準等が遵守されるように必要な対応を行ってまいる、そういうことであります。

重野委員 大臣は、就任以来今日まで、NHKの受信料を中心に、ざっと私が数えただけでも二十回近く発言をされております。中でも注目されることは、例えば一月十六日、受信料を値下げすべきである、このように断言されました。そこで聞きますが、いかなる法的根拠に基づいてこうした一連の発言を繰り返されておるか、これをお伺いいたします。

菅国務大臣 私は、放送を所管する担当大臣として、NHKを含めて放送全体の健全な発達に責任を持っている立場であります。

 NHKに関しては、放送法第三十七条の第二項の規定により、総務大臣は、NHKから提出された収支予算等について、その内容を検討した上で大臣意見を付す、こういうことになっております。この規定に基づいて、来年度NHK予算等に付した意見の中で、NHKの改革に向けた取り組み、将来の受信料額のあり方、国際放送に関して私の見解を付したところであります。

 また、放送法第三十三条は、総務大臣がNHKに対して国際放送の実施の命令を行うことができる、こうなっております。

 これらの制度を運用するに当たって、閣議後会見などで、基本的な考え方、背景などについて行政の立場を説明する、このことは当然のことであると私は思います。

重野委員 私が問題にするのは、そもそも受信料を決めるのはだれが言い出しっぺなのかということです。

 放送法三十七条、今大臣言われましたけれども、この三十七条をずっと順を追って読んでいきますと、第四項によると、「受信料の月額は、国会が、第一項の収支予算を承認することによつて、定める。」こういうふうになっております。

 そこで、その第一項を読みますと、第一項は、「協会は、毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画を作成し、総務大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」こういうふうにあります。さらに、第二項で、総務大臣は、「これを検討して意見を附し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けなければならない。」

 こういうふうな流れを見てみますと、まず、受信料などを決める、それを発するのはNHKであって、大臣ではないはずですね。大臣、この点については異論ないと思うんですが、いかがですか。

菅国務大臣 NHKの受信料額を決めるのは、今委員の御指摘にありましたように、放送法第三十七条の四項、この規定によって、国会がNHKの収支予算を承認することによって定める、こうなっていますから、これはやはり、NHKが定めるものではなくて、国会が承認するものだと私は思います。

重野委員 NHKが国会の承認を得て決めるんですね。それはそうです。

 今紙面をにぎわしている議論は、そういうことではなくて、この問題についてもっともっと掘り下げた議論をしたいと私は思うんですが、とにかく、公共放送たるNHKの根幹である受信料です。受信料をいただいているから公共放送、こういうことが言えるわけでありまして、その受信料の引き下げなどを政治が先行して口出しすることは控えるべきではないか。口出しという表現が適当かどうかは別として。

 つまり、公共放送たるNHKの性格を考えた場合、行政府は慎重な対応が求められてしかるべき。つまり、報道の自由、知る権利などを考えた場合に、公共放送たるNHK自身の運営責任によって受信料のあり方などが決められる、そのことがまず尊重されるべきであって、もちろん、政治が、国会が承認をするわけですが、しかし、だからといって、この間、大臣が繰り返し述べられていることが妥当であると私は思えない。むしろ、大臣はそういう点について抑制的でなければならない、筋論からいってこのように私は考えるんです。その点について、どうですか。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたように、国会で最終的に決める。また、放送法第三十七条の二項には、NHKから提出をされた収支予算等について、その内容を検討した上で総務大臣の意見を付与するということにも実はなっています。

 こうした制度は、国民・視聴者から徴収される受信料額の決定やその適正な支出などを確保するために設けられた仕組みであって、国民の負託にこたえるべく、行政及び国会は適切に意思というものを表明すべきだというふうに私は思います。

重野委員 私が表現がうまくないからなかなか受けとめていただけないと思うんですが、問題は、この間、この義務化の問題も、常に最初にアドバルーンが上がるのは大臣です。それに対してNHKの側がコメントする、こういうタイムラグで物事が進んでいるというところに、私はやはり問題があるという意識を持つわけです。その点について、どうですか。

 私は、やはり主体は、内容は別として、常に発信はNHK自身が発信されて、それに対し総務大臣たる菅大臣がコメントしていく、そういうやりとりが進んで結論が導き出される、そういう流れではないかと思うんです。そこのところがちょっとやはりずれている感じがいたしますが、その点はどう考えていますか。

菅国務大臣 そもそも、この問題というのは、政府・与党合意の中に実はうたわれております。NHKは経営改革をする、そして、料金の義務化の問題、引き下げの問題、こうしたものが一体となって行われる、こういうことが実は政府・与党合意の一つの事項に、正式な文書になっております。

 そして、私は、本来であれば、NHKが経営改革を行って、今の料金の現状、七割の人しかお支払いをいただいていない、もっと言うと、例えばホテルだとか業務だとか、そうしたものの料金徴収のあり方というのは非常に不公平である。私は、このことも副大臣当時から何回となく実は指摘をしてきています。そして、先ほど申し上げましたけれども、母数となる五千万、これについて正しいかどうかも含めて、そうした問題について、本来であれば、NHKがこうしたことを積極的にやって、国民の皆さんの不平等感というものを是正すべきだというふうに私は思っています。しかし、そうしたことがなかなか見られていない中で、私は、所管をする大臣として考え方を申し上げたのであります。

重野委員 この点については議論が平行線でありますが、かの大本営発表ではありませんが、そういう時代を経験して、戦争が終わって、そして戦後の歴史があり、今日がある、こういう歴史の流れの中で、いわゆる公共放送というものがどうあらねばならぬかという基本的な議論。

 私は、大臣が言うように、確かにいらいらする、不満足な部分もたくさんあると思います。しかし、それはあくまでもNHK自身がそのことを実行するということになっていかないと、それをどうするかということが決定的に重要な問題でありますけれども、いずれにしても、私は、公共放送たるNHKというものの独立性と、そして、日本でただ一つの公共放送であります、非常に価値がそこには存在しているわけですね、そのことをしっかり踏まえて、今後とも引き続きこの問題については大臣とやりとりしていかなければならぬなと思っていますので、よろしくお願いします。

 そこで、今度は民放について。

 民放についても、例の関西テレビの「あるある大事典」、これにかかわりまして、にわかに総務省とのかかわりが紙面をにぎわせておる。これも私は、やはり、放送というものに対する独立性だとか自主性というものをどう担保していくか、そのかかわりにおいて重要な意味を持っていると。

 まず、当初、関西テレビに対し報告を求めたとされておりますが、その報告を求めた法的根拠はどこにあるんですか。

菅国務大臣 さっきのNHKに一つつけ加えさせていただきたいと思いますが、今、約三千六百万世帯の人に受信料をお支払いいただいている、約一千五百万前後の人が受信料を支払っていない。こうした三千六百万前後の世帯の方に対して余りにも負担がかかっている、余りにも不平等である、こうしたことが私の大きな問題意識にあることをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 さらに、今の関西テレビの問題でありますけれども、これにつきましては、電波法第八十一条に基づいて、近畿総合通信局を通じ報告を求めたものであります。

重野委員 さらにお伺いしますが、関西テレビによる報告がなされた、けれども、その報告が不十分として追加的対応を関西テレビに求めている、このように聞いておりますが、まずその点を確認いたします。間違いない、そのことはやったというのであれば、その理由と法的根拠について説明してください。

菅国務大臣 間違いなく追加を求めました。

 内容、なぜかということでありますけれども、制作現場レベルの原因、責任についての記述に終始しており、編集責任を持つ放送会社全体としての経営レベルにおける原因、責任についての分析がなされていない。もっと言いますと、制作会社、その孫請会社の責任に終始したということであります。

 事実を曲げたか否か等、放送法上の観点からの検証が十分ではなく、また、再発防止に関する具体的な内容の記述が全くありませんでした。報道されたすべての番組についての報告がなされたわけでもありませんでした。

 さらに、一部週刊誌等で書かれていますけれども、インサイダー情報の悪用の疑いに関する報告が全くなかったということであって、非常に不十分である。そういうことで、再報告を求めました。これは、前回と同じ電波法第八十一条であります。

重野委員 「無線通信の秩序の維持その他無線局の適正な運用を確保するため必要があると認めるときは、免許人等に対し、無線局に関し報告を求めることができる。」これが八十一条です。

 非常に包括的な内容なんですが、発生した事柄とこの規定の活用という点にはいささか隔たりがありはしないかという認識を私は持つわけですが、大臣の見解をお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 関西テレビのこの番組につきましては、ただいま大臣から御答弁がございましたように、事実に反する放送を行ったということでございます。

 しかしながら、総務省としましては、今申し上げました三点、関西テレビ自体が、この番組の中に事実と異なる放送が含まれていた、すなわち捏造であるとはっきり言い切っているということ、また、一月二十日に発表されました後、現地にございます近畿総合通信局から関西テレビ放送に対して事実関係の調査報告を求めていたにもかかわらず、一月三十日まで何ら報告がなかったという点、そしてまた、当該一月七日の番組以外にも多くの疑問が、特に捏造の可能性があるという疑問があった、そうしたことから、電波法八十一条に基づいて報告を求めたものでございます。

 この電波法八十一条は今議員お読みになりましたとおりでございますが、今回の件は、無線局である放送局のその番組に問題がある可能性が高いということでございまして、放送局の適正な運用を確保するために、当該放送局の放送番組に関して報告を求めたというものでございまして、特に違和感を覚えるものではないと考えております。

重野委員 では聞きますけれども、この八十一条によって報告を得た、ではこれから先、どのような措置を講ずることになるんでしょうか。当初の報告では不十分であるから追加の報告を求める、つまり、当初の報告では問題に十分答えていないという認識に総務省は立つわけですね。そうすると、追加報告がなされます、その後いかなる措置を講ずるのかという問題が次に出てくるわけですね。行政が何らかの措置を講じようとすれば、少なくとも現行法では、電波法第七十六条による無線局の停止あるいは取り消しだけのはずですね。まさかそのような措置を考えているわけではないんでしょうねと思うんですが、とすれば、今後どのような措置を考えるんですか。

菅国務大臣 関西テレビ放送からの再報告を受けて、報告内容を見て厳正に処分したいと思います。

重野委員 今大臣は、厳正に処分をするという。処分の内容がどういうものになるのかなということを私は聞きたかったんですが、それは明らかにされておりません。

 大臣は、二月十三日、今まで行政指導をしてきたが、次から次へと事実が出てくる、何らかの再発防止策を考えなければならぬ、こういうふうに発言したと聞いております。この発言が事実とすれば、私は極めて重要な問題だと。今大臣がお答えになりましたけれども、放送法あるいは電波法、そういう法律の改正ということにつながっていくと、私は、事はまた違った意味で大変深刻な問題を提起すると思うんです。

 そうでなくとも大臣は、NHKに対する命令放送に始まって、放送に対する一連の発言等々を見て、非常に攻勢的であるというふうに私は受けとめているんです。

 問題即法改正、こういった対応が果たして正しいかという点の問題意識を私は持ちます。そういう考え方は、大臣の考え方の中にはもうまるでないのか、いや、あるけれども、しかし現実はこうなのだというのか、そこは違いがありますから、そこをもう一度答弁してください。

菅国務大臣 私は、報道の自由だとか番組編成の自由、そうしたものに立ち入ることは全く考えておりません。ただ、公共の電波というのは非常に影響力が大きいんです。捏造されたことがあたかも事実のように報道されて、所管大臣として何も発言をしないというのは、私は責任回避だというふうに思っております。

 そして、昨年もそうしたことがありました。再発防止策というものをそれぞれの放送事業者にその都度出していただいておりますけれども、それによっても実はまたこうしたことも出てきているわけですから、やはり、行政指導と行政処分の間、余りにも差があり過ぎるんです。そこの間に再発防止のための何らかのものが私は必要ではないかなというふうに実は考えました。そして、このことも当然、報道の自由、編集の自由、そうしたものに触れない形でできないかということで、今その改正について考えているところであります。

 私自身は、こうして捏造された事実が報道されることを非常に深刻に考えています。

重野委員 私は、やはりあくまでも放送会社が、あるいは業界というんですか、こういう事態をどう受けとめて、どうしようか、どうしなければならぬかという努力をするということが第一だと思いますね。放送倫理・番組向上機構というのがありますが、その中でも、今の民放における下請、孫請、ひ孫請という構造、そういう構造に起因するとはっきり言っているわけですね。そういうことに対する問題意識を持って、業界の中にある自浄機関が今やろうとしている。そのことをやはり大臣もしっかり尊重して、そこら辺にやはり目線を送りながら物事に処していかなければいけない、私はこのように思いますので、そのことを申し添えて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成十九年度地方財政計画について説明を聴取いたします。菅総務大臣。

菅国務大臣 平成十九年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、基本方針二〇〇六に沿って、歳出全般にわたり見直しを行い、その抑制に努めております。一方、地方交付税の現行法定率分を堅持しつつ、地方団体の安定的な財政運営に必要な地方税、地方交付税などの一般財源総額を確保することを基本としております。

 また、地方財政の健全化に資するため、交付税特別会計の新規借入を行わないこととし、既往の借入金について、計画的な償還を行うこととしております。

 その上で、引き続き生じる財源不足については、特例地方債の発行等により補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生じないようにしております。

 以上の方針のもとに、平成十九年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は八十三兆千二百六十一億円となり、前年度に比べ二百四十七億円の減となっております。

 以上が、平成十九年度の地方財政計画の概要であります。

佐藤委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 次に、内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。菅総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法の一部を改正する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菅国務大臣 地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 最近における社会経済情勢等にかんがみ、上場株式等の配当等及び譲渡所得等に対する税率の特例措置の適用期限の延長、高齢者等居住改修住宅に係る固定資産税の減額措置の創設、電気自動車等の低公害車に係る自動車取得税の税率の特例措置の見直しを行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化を行うほか、信託法の制定に伴う所要の規定の整備等を行う必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、個人住民税の改正であります。上場株式等の配当等に係る都道府県民税配当割及び上場株式等の譲渡所得等に係る都道府県民税株式等譲渡所得割等に係る税率を軽減する特例措置の適用期限を一年延長することとしております。

 その二は、固定資産税の改正であります。高齢者等が居住する既存住宅について、平成十九年四月一日から平成二十二年三月三十一日までの間に、一定のバリアフリー改修工事を行った場合、翌年度分の固定資産税を三分の一減額することとしております。

 その三は、自動車取得税の改正であります。電気自動車等の低公害車に係る自動車取得税の税率の特例措置について、より環境負荷の小さい自動車に重点化するなど所要の見直しを行った上、適用期限を二年延長することとしております。

 その他、非課税等特別措置の整理合理化を行うとともに、信託法の制定に伴う新たな類型の信託等に対応するため、所要の規定の整備等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等にかんがみ、地方交付税の総額の特例措置を講ずることとするほか、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金の償還方法を変更し、あわせて、地方交付税の算定方法を簡素化するとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用を改正する等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成十九年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に、交付税及び譲与税配付金特別会計における剰余金を加算した額から、同特別会計借入金償還額及び利子支払い額を控除した額十五兆二千二十七億円とすることとしております。

 次に、同特別会計における借入金のうち国が負担することとされていた額に相当する借入金を一般会計へ帰属させるとともに、残余の借入金の償還方法を変更することとしております。

 さらに、平成二十年度及び平成二十一年度における一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例を設ける等の改正を行うこととしております。

 また、地方交付税の算定方法を簡素化するため、個別算定経費以外の経費を人口と面積を基本とする簡素な基準により算定することとするとともに、平成十九年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正することとしております。

 あわせて、平成十九年度から平成二十一年度までの間に限り、地方財政法第五条の規定により起こす地方債のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため、地方債を起こすことができるものとする旨の特例を設けるとともに、地方公共団体に対して貸し付けられた旧資金運用部資金等の繰り上げ償還に伴う補償金を免除するために必要な規定を創設するほか、児童手当の拡充に伴い地方特例交付金を拡充することとしております。

 そのほか、地方公務員共済組合の事務に要する費用に係る地方公共団体の負担の特例を、平成十九年度においても適用することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

佐藤委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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