衆議院

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第8号 平成19年3月13日(火曜日)

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平成十九年三月十三日(火曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      あかま二郎君    井澤 京子君

      石田 真敏君    今井  宏君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      川崎 二郎君    木挽  司君

      実川 幸夫君    関  芳弘君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    中川 泰宏君

      西本 勝子君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      広津 素子君    福田 良彦君

      馬渡 龍治君    逢坂 誠二君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      江田 康幸君    谷口 和史君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務副大臣        田村 憲久君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (総務省情報通信政策局長)            鈴木 康雄君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原 邦夫君

   参考人

   (日本放送協会会長)   橋本 元一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   原田 豊彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   畠山 博治君

   参考人

   (日本放送協会理事)   小林 良介君

   参考人

   (日本放送協会理事)   中川 潤一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   衣奈 丈二君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     中川 泰宏君

  渡部  篤君     西本 勝子君

  逢坂 誠二君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 泰宏君     鍵田忠兵衛君

  西本 勝子君     馬渡 龍治君

  北神 圭朗君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     渡部  篤君

    ―――――――――――――

三月九日

 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

 独立行政法人の組織等に関する予備的調査についての報告


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省情報通信政策局長鈴木康雄君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。菅総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菅国務大臣 日本放送協会の平成十九年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、総務大臣の意見を付して国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が六千三百四十八億円、事業支出が六千三百七億円となっており、事業収支差金四十一億円の全額を債務償還に使用することとしております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入、資本支出がともに七百四十八億円となっております。また、建設費が七百七億円となっております。

 次に、事業計画につきましては、信頼される公共放送のための経営の改革や、国際放送による海外への情報発信の強化等が盛り込まれております。

 資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。

 これに付する総務大臣の意見につきましては、受信料収入が不祥事発覚前の水準を大きく下回る状況にあるものの、放送サービスの充実やコンプライアンス関係経費に予算を重点配分しつつ、経費削減により収支均衡を維持しているところであり、協会の平成十九年度の収支予算等については、やむを得ない内容と認めるとしております。

 その上で、収支予算等の実施に当たり、経営委員会は、協会内のガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底に向け指導的役割を果たすこと、口座振替の推進及びホテル等の受信実態等を勘案した事業所向け受信料体系の抜本的見直しなど、あらゆる措置について早急に検討の上、全力で取り組むこと、国民・視聴者からの信頼回復や経営改革の努力により見込まれる増収等については、真に必要な経費を見きわめつつ、将来の受信料の減額を検討すること、契約収納関係経費については、政府の市場化テストに準じて、可能な限りの外部委託を行うなど契約収納業務の抜本的な見直しを早急に検討し、経費削減の具体的数値目標を設定することなど、特に配慮すべき八点を付記しているものであります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことを願います。

佐藤委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長橋本元一君。

橋本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成十九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。

 平成十九年度は、三カ年経営計画の二年目として、計画の達成を確実なものとし、これからの事業運営の基盤を整備していく重要な年であると考えております。

 協会は、放送内容をより一層充実させるとともに、デジタル時代にふさわしい公共放送を目指してみずから積極的に改革を進め、コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化を図り、視聴者の信頼をより強固なものにしてまいります。

 事業運営の基本となる放送サービスにおいては、放送の自主自律を堅持し、緊急報道や質の高い番組の制作に取り組み、NHKだからできる放送を通じて、社会に役立つ公共放送を運営してまいります。

 同時に、デジタル技術を活用した新たなサービスの開発や、新しい放送文化の創造を目指した放送技術の研究開発、国際放送による世界へ向けた情報発信の強化に積極的に取り組んでまいります。

 あわせて、協会の主たる財源である受信料収入の回復のため、公平負担の徹底に向けた取り組みを一層強化するとともに、契約収納関係経費の削減に向け、効率的な業務体制の構築を図ってまいります。このため、合理的な受信料体系への改定を引き続き検討してまいります。

 また、平成十八年度に続いて、徹底した業務改革とスリム化を進め、効果的かつ効率的な業務運営を行ってまいります。

 次に、建設計画におきましては、平成二十三年の地上デジタルテレビジョン放送への完全移行に向け、放送設備の整備などを計画的に実施いたします。

 以上の事業計画に対応する収支予算につきましては、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千三百四十八億九千万円、国内放送費などの支出六千三百七億八千万円を計上しております。事業収支差金四十一億一千万円につきましては、債務償還に使用することとしております。

 また、資本収支につきましては、支出において建設費など総額七百四十八億一千万円を計上し、収入には、それに必要な財源として、減価償却資金など総額七百四十八億一千万円を計上しております。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものであります。

 以上、平成十九年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、NHKの改革に向けたこれらの施策を一つ一つ誠実かつ着実に実行し、視聴者の期待にこたえていく所存でございます。

 委員各位の変わらざる御理解と御支援をお願いし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本芳郎君。

岡本(芳)委員 自由民主党の岡本芳郎でございます。

 私は、今、自由民主党の郵政総務専任部会長を承っておりまして、その立場からNHK予算等についてお伺いしたいと思います。

 まず、質問に入る前に、さっき電話がかかってまいりまして、このテレビ放送が深夜に行われるということに対して強い抗議の電話がありましたのをNHKの会長さんに申しておきます。要するに、皆さん方、興味が深いんですね。そういう点をよく配慮していただきたいと思います。

 そこで、最初に、この十九年度予算の目玉といいますか、どういう点が特に配慮したかという点について、そのポイントをまず説明していただきたいと思います。

橋本参考人 御説明申し上げます。

 十九年度予算で財政的に一番ポイントになりますのは、当然ながら事業運営の基本であります放送サービスでございます。この点で、緊急報道や質の高い番組の制作、いわゆるNHKだからできる放送ということ、これは当然ながら、公共放送として放送の自主自律を堅持しながら、視聴者に対して、生活を守る放送、これがまずポイントであろうかと思いますし、この中には、地域放送ということの充実についても十九年度は特段に配慮しているところということであります。

 このほかに、これまでの視聴者からの大変強い期待がありますが、コンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化という点につきましても、やはり視聴者の信頼をより強固なものとするために必要だと考えております。

 また、当然のことながら、これから完全デジタル時代を迎えるわけでございますので、デジタル時代にふさわしい放送、デジタル技術を活用した新しいサービスの開発、こういう点もございます。

 また、国際放送につきましても、世界に向けた情報発信力の強化ということで、英語化率を高める等、こういうポイントを持っております。

 また、受信料収納面では、以前から取り組んでおりますけれども、公平負担の徹底ということが大変重要な課題でございます。当然ながら、契約収納関係経費を削減しながら、この公平負担について一層強力に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、十八年度に続き、業務改革、あるいはスリムな、効率的、効果的な業務運営というものを考えております。

 以上でございます。

岡本(芳)委員 予算としては相当いろいろ配慮されているように思うわけでございますが、大臣にお伺いいたしたいと思います。

 そういった努力した予算に対して、総務大臣意見ということでは「やむを得ない内容と認める。」ということになっておるわけでございます。やむを得ないというのは、渋々ですよね。嫌々ながら認めるというような感じでございますが、予算は予算、改善すべき点は改善すべき点ということで、やはりはっきりとそれは区別して意見を出すべきだと思うんですが、その点について、大臣の真意をお伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 平成十九年度の収支予算等につきましては、受信料収入というものが不祥事の発覚前の水準を大きく下回っている状況にあるということであります。また一方、NHKにおいては、平成十八年度から二十年度にかけて経営計画というものを行っておりまして、国民・視聴者の信頼回復、受信料収入の回復、業務の効率化に向けた取り組みを今進めておる途上である、さらに、放送サービスの充実等に予算を重点配分しつつ、経費削減により事業収支の均衡を維持している。こういうことから、私は、やむを得ないとの意見を付したものであります。

 しかしながら、NHKにおいては、受信料未契約世帯の割合が全体の三割、また、受信契約、収納に多額の経費を要することなど、受信料の公平負担の徹底や業務効率化の観点からもなお改善すべき点がある、この点についても大臣意見というものを付しているところであります。

 NHKにおいては、国民・視聴者の信頼を回復するとともに、大臣意見を踏まえて経営改革に真摯に取り組んでいただきたい、こう思います。

岡本(芳)委員 やむを得ないという表現を使われたわけでございますが、NHK会長としては、やはり不本意な表現じゃないかというふうに私は感じるわけでございますが、どういうふうに受けとめておるのか、御意見をいただきたいと思います。

橋本参考人 今大臣から御発言がございましたように、財政的な規模で申し上げますと、不祥事前の状況にはまだ戻っていないわけであります。現在、財政的な回復については、その基調というものを我々獲得したわけでありますが、まだ一層の財政的な改革、回復に当然ながら努めていかなければならないと思っております。

 また、諸改革、特に受信料収納面の改革等につきましても、当然重たい課題を抱えているわけであります。これについてしっかり果たしていかないといけないと思っております。そういう面で、我々、今後も継続して力を絞ってこの改革に取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(芳)委員 しっかり頑張っていただいて、来年はこういう表現がないように、よろしくお願いいたしたいと思います。

 そこで、経費の面でございますが、特に契約収納費につきましてお伺いしたいと思います。

 トータルコストとして七百六十一億円。これは、受信料収入六千百三十億円の一二・四%という大変効率の悪いことをやっておるわけでございます。これは、イギリスのBBCでは五・二%と聞いておりますので、相当高いわけでございます。

 そこで、この七百六十一億円の内訳を見ますと、人件費、減価償却費等が約百七十億円、地域スタッフ・事業者等への委託関連経費三百五十六・六億円、契約収納対策費百五・三億円、システム費百三十・二億円、こうなっておるわけでございますが、まず最初に、この百七十億円の人件費、減価償却費等の内容についてお伺いしたいと思います。

小林参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきました百七十億円の人件費、厳密には百六十八億円が十九年度予算で組んでございますけれども、これにつきましては、営業職員、千二百十八人でございますけれども、これに対するものである。

 業務内容につきましては、法人、事業所の契約取次あるいは委託取次収納員の指導育成管理あるいは受信料制度の理解促進活動、営業システム運行管理などに充てられてございます。

岡本(芳)委員 さらに、口座振替の利用率が八〇%以上と高いのにもかかわらず、地域スタッフ・事業者等への委託関連経費というのが三百五十億円余り、大変大きな数字になっておるわけでございます。これにかかわっている地域スタッフの数が五千七百人ですか、それと先ほどの千二百人を合わせますと約七千人の方がこの収納費にかかわっているというふうに思われるわけでございますが、これに対して、私は相当高いと思うわけでございますけれども、どういうふうに思っておるところか、お答え願いたいと思います。

小林参考人 ただいま先生御指摘のとおりの人数でやっておりますけれども、なお、それ以外にも、法人、例えば引っ越し業者の方でありますとか電器店、運送会社さんあるいは不動産屋さん等々幅広く委託してございまして、その関係でそれだけコストがかかってございますけれども、営業経費率、先ほどございましたように一二・四%、これが十九年度予算でございます。これは、平成二年度の決算で申し上げますと一四・二%であるということで、それから申し上げますとかなり圧縮はしてきているつもりでございますけれども、なお一層今後ともその圧縮に努めてまいりたい。

 ただ、一点御理解願いたいと思いますのは、それだけのパワーをかけてやっていながらそれだけコストがかかるという理由でございますけれども、視聴者の皆さんからの契約あるいは収納に関しての自主的な申し出が極めて少ないという現状にございまして、全国のお宅を一軒一軒回らざるを得ないという事情がございます。そういったことをしないとなお公平負担の徹底が図れないといった事情がございます。そういう点もぜひ御理解いただきたいというふうに考えております。

岡本(芳)委員 これをマクロ的に見たらちょっとひどいんですよね。七〇%の方々が払っているわけですね。払っている人が七割。その八〇%少々がいわゆる口座振替だとか継続等でやっているわけでございまして、約六〇%の人は口座振り込みでお金がかからないというふうになっておるわけでございます。払っている人七〇%から六〇%の人を引きますと、一〇%の人のためにほとんどの金が使われているということになるわけですね。一〇%というのは収入費にして約六百億円です。それにかかっている経費が七百六十億ですか。何かばかみたいな話になっておるわけでございますが、これは相当やはり効率が悪いのじゃないかと思うわけでございます。

 そういう点について、全体としてどう見るのか、説明願いたいと思います。

小林参考人 今先生御指摘いただきましたように、契約率は、全体の契約対象者の約二割少ない八割、八割弱でございますけれども、さらに、その契約者の中でまだお払いをいただけない方がいらっしゃるということで、お払いいただいている方は本来の契約対象者の約七一%でございます。

 それで、なお口座の方がかなりいるというのになぜそれだけかかるかということでございますけれども、御承知のように、NHKは、年間三百万件レベルの移動の把握等をさせていただいている、常に流動している情報をつかむ必要がある。それは口座の方も全く同じでございまして、先ほど申し上げたように、我々の委託収納員等が一軒一軒回らざるを得ないという事情がございます。そういった中で捕捉させていただくのにはどうしても人海戦術がかかる、それには当然コストがかかるということでございます。

 一方、先ほどBBCの話がございましたけれども、BBCとNHKとの基本的な違いというのがいろいろございまして、NHKの場合は、BBCのように公的情報で移動情報等を得るすべを持たないということがございまして、先ほど申し上げたように一軒一軒回らざるを得ない。BBCで申しますと、設置者からの通報義務がありましたり、いろいろな制度がある。その他の国では、公的情報、住基ネット的なものを活用できるといったことがございます。そういったものがないNHKでございますので、どうしてもそこがやむを得ずかかってしまうことは、ぜひ御理解いただきたいと思っています。

岡本(芳)委員 そういう説明になるのかと思いますけれども、これはやはり高いんですよね。そして、ずっと、毎年それが続いているわけですよね。長いことこのぐらいのお金を使ってきたわけでございますので、そういうところはやはり改善する余地が多々あるのではないかというふうに思うわけでございます。マンネリ化しているのがやはり僕は問題だと思いますので、今後、十分検討していただきたいと思います。

 そこで、次に受信料の支払い義務化の問題でございます。NHKの受信料を定期的に取っていくためには、やはり支払いの義務化というのが話題になってくるわけでございます。

 そこで、最近、新聞紙上等で大臣の発言だとか会長の言い方だとかいろいろ言われておりますが、この場でお互いの意見をはっきりとお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 まず大臣、お願いします。

菅国務大臣 今、岡本委員から、契約収納費が非常に高いという話がありました。それに対して、今NHKの理事からも説明がありましたけれども、しかし、今の質疑を聞いて多くの国民の皆さんは理解できないというふうに私は思っています。間違いなく、この一二・数%、六千億円のNHK予算の中で七百六十億円収納費にかかるというのは、やはりもっと改善の余地というのははるかにある、私はこう思っております。

 さらに、この受信料を支払う対象の方で約三割の方が支払っていないわけでありますから、もっと言うと、それ以外の方に非常に負担がかかっていっている、非常に不公平だということ、これが多くの国民の声であるというふうに私は思っています。

 そういう中で、昨年の「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」、この中では、まずNHKの内部改革を行う、さらに、料金の義務化、値下げ、こうしたものについてはセットとして考えるべきであるということを政府・与党間で合意されたわけであります。私は、それに基づいて、この三点のことについてNHKに強く申し上げているところであります。

橋本参考人 この支払い義務化につきまして、基本的に現在の法律上は、もう御承知のとおり、放送法の上で契約義務がございます。また、放送法に規定されました受信規約という中で支払い義務という二段階の制度というふうなことになっていますが、これを、放送法の中で支払いそのものを明確に書き込むということは、視聴者の皆さんに公平負担を御理解いただく上、あるいはこの公平負担を徹底するという点で大変わかりやすい、役に立つ制度整備だと考えております。

 その上で、私どもも、先ほどの受信料収納に大変経費がかかるというふうなことの中で、従来より、高い水準から着実にこの経費を削減する努力を積み重ねてまいりました。今回、こういうふうな中で、やはり支払い義務化といいますか支払い義務の明確化、あるいはいろいろな改革をあわせて行うこと、この受信料収納にかかわる経費というものを削減していく努力ということは積極的に続けてまいりたいと思います。

 また、従来、アナログテレビというシステムの中では、この方法論、具体的に視聴者の方々の移動を把握する情報がなかなかとりにくかったのでありますけれども、デジタルの時代になって、そういう方法論も技術的に可能な面がございます。

 そういうものもあわせて、これから完全デジタル化時代に向けて、私どもがどのようにこの収納経費等を含めて改善、改革していくかということを、デジタル時代、完全にデジタルになる二〇一一年度以降も含めた中長期的な計画の中でお示ししてまいりたいと考えております。

岡本(芳)委員 今のNHKに対する国民の信頼度等から見ますと、なかなかこの問題は難しい問題だとは思いますが、NHKは、やはり信頼回復、そういったものを早く行って、国民が納得できるような支払い方法ができるように、早急に検討していただきたいと思います。

 余り時間がないので一つお聞きしたいのでございますが、先般、昨年十一月ですが、総務大臣は、NHKのラジオ短波国際放送で拉致問題を重点的に取り上げるよう命令した。その命令を受けてNHKは具体的にどのような対応をしたのか、お聞かせ願いたいと思います。命令の前と後で、放送時間とか回数とか、そういうものに変化があるのかどうか、明確にお答え願いたいと思います。

原田参考人 お答えいたします。

 北朝鮮による拉致問題に特に留意するよう求める命令が、平成十八年、去年の十一月十日付でラジオ国際放送に対して出されております。

 拉致問題に関しましては、NHKは、この命令が出る前も後も、報道機関といたしまして自主的な編集判断のもとで放送に当たっているところでございます。

 命令が出た日を基準に、その前二カ月、それからその後二カ月の原稿の本数を比較いたしますと、後半の方が多うございます。これは、この間、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議が開催をされる、そうした動きがありましたり、拉致の被害者の家族の皆さんの国際会議など、さまざまな動きもございました。そうしたさまざまな動きが集中したということで後半の方がふえているというふうに考えておりますが、こうしたニュースもNHKの判断できちっと伝えておるところでございます。

岡本(芳)委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 自由民主党の鈴木淳司でございます。

 橋本会長を初めとするNHKの関係の皆様方におかれましては、本日、御多忙の中、当委員会にお出かけをいただきまして、本当にありがとうございます。また、日ごろの公共放送の充実に対しての御尽力に心から敬意を表したいというふうに思います。

 さて、まず、私ごとから話を始めて恐縮でありますけれども、仕事柄どうしても夜遅く帰宅することがあります。そうした場合に、テレビをつけますと、よく「新日本紀行」とか、そうした古い番組をやっていることがあります。初めは見るともなく見るわけでありますけれども、次第に引き込まれるわけですね。郷愁を帯びたテーマ曲と同時に、まさに時代の断片を切り取ったすばらしい番組だなということを実感するわけでありますけれども、こうした番組をつくり、また放送できるのも、ある面で視聴率に左右されない公共放送だからかな、こういうふうな考えを持つわけであります。

 さて、昨今、民放の番組の捏造問題などが多発しまして、放送の信頼性に対する国民の厳しい目というものがあるわけでありますけれども、しかし、だからこそ、今日におきましては、視聴率の呪縛から解かれた公共放送NHKに対する認識と期待というものが高まるのではないか、こういうふうに思うわけであります。

 質問に先立ちまして、私は、NHKに対する視聴者の声というものをいろいろと聞いてみました。また、インターネット上に掲載されている幾つかの意見も拾い集めてみました。私の予測では、かつて不祥事が続きましたNHKでありますから、かなり厳しい意見が続くのかな、こう思ったわけでありますけれども、あに図らんや、意外にも公共放送の意義に対する理解と期待が高いことに驚きを持ちました。

 ここで、ネット上に掲載をされておりました、ある視聴者の意見を紹介してみたいと思います。

 これは五十代の女性であります。「今回の一連の事件をきっかけに、私はなぜ長い間受信料を払い続けてきたのか考えてみました。それはNHKの公共性を守るためだと思いました。真実をありのままに伝えてくれる。流行や視聴率のためでない文化を守り育ててくれる。税でもなく、投資でもなく、見なくても払い続けるのは、もしものとき、だれかに都合のよい報道がされないように、退廃的な文化がはびこらないようにという願いからです。」

 あるいは、これは四十代の男性でありますけれども、「公共放送であるNHKは、民放のようにスポンサーに制限されるような金銭的な価値観で報道してはいけない。だからといって、公共という意味で政府等の広報部隊となってしまうのは愚の骨頂である。常に本来のジャーナリズムに立脚をした真実を追求する公正な立場、姿勢が必要ではないかと思う。」

 すばらしい意見なんですね。これらはかつて不祥事が続いたころのNHKに対する意見でありましたけれども、その中におきましても、視聴率を超越した公共放送の役割を見据えた意見が多かった。これは意外でありまして、また、健全な国民感覚はうれしいなというふうに思ったわけであります。

 ただ、それと同時に多かったのが、受信料を払わない人が払っている人と同等にNHKが視聴できるという不満でありますし、また、受信料を払わない人が多いことに対する不公平感と、その是正が必要だ、そういう声であります。すなわち、国民の多くは、公共放送の意義と役割は理解するものの、その維持のためにも、それを支える受信料の負担の公平性の確保が重要だ、こういう意見かというふうに思います。

 そこで、質問に入るわけでありますけれども、最初に、公共放送のよって立つべきところの受信料の公平負担と効率的な契約、収納に向けた取り組みについてお尋ねをしたいと思います。

 まず初めに、現状の理解として、受信料を払っていない世帯がどのぐらいあるのかについてお尋ねをいたします。

 平成十六年三月の当委員会の質疑におきましては、その当時でありますけれども、事業所等を除く有料契約対象世帯総数に対しての実際の契約世帯数は八二%、七百八十万世帯以上の未契約受信者のために失われている収入が毎月約百億円、また、単身世帯の契約率が約六〇%と低い、こういうことが報告をされているわけであります。

 そこで、今日の状況を知りたいわけでありますが、現状はいかになっているのでありましょうか。契約対象世帯に対して未契約世帯の比率と、未契約世帯への対応の分析というのはどうなっているのでありましょうか。お尋ねをいたします。

小林参考人 お答えいたします。

 これは十八年度末の推計でございますけれども、世帯におけます契約数は、十八年度末には三千四百九万件になると見込んでおります。契約率は七八・六%でございます。なお、それ以外に、支払っている方の率でございます、いわゆる支払い者率でございますけれども、これにつきましては、七一・一%というふうに推計してございます。

 それから、未契約者の状況でございますけれども、転居等に伴います、一時的にまだ捕捉できずに未契約状態となっている方が約二百十万件ございます。それ以外に、お会いする数を繰り返しながらもなかなか面接が困難であるという方が約三百三十万件。その他、現在なお対応中、あるいは明確な契約を拒否される方が五十万件ほどございますけれども、そういった方も含めますと大体四百六十万、トータルでは約一千万件ぐらいが未契約となっているというふうに思われます。

鈴木(淳)委員 一千万の未契約、確かに多いと思います。

 さて、NHKの予算を見ると、先ほども話がありましたけれども、契約収納費比率が、七百六十一億円、事業支出全体の一二・一%と高いわけであります。この契約収納費の低減化というのが大きな課題であることは論をまたないわけであります。また、皆で支える公共放送を維持するためにも、やはり契約率の向上、収納率の向上が不可欠であります。また、実際、これを克服しないといわゆるモラルハザードになるわけであります。

 さて、昨今は収納率が少し向上しているというふうに聞くわけでありますけれども、その背景は一体何でありましょうか。恐らく、民法上の措置をとることとしたことのアナウンス効果が大きいのではないかと思われますけれども、NHKの分析はどうでありましょうか。また、その上昇傾向を受けて、来年度の予算も受信料の収納率の上昇が盛り込まれておりますけれども、そのあたりの見込みは大丈夫でありましょうか。

小林参考人 ただいま委員御指摘いただきましたように、ここのところ収納率は改善の兆しを見せております。ありがたいと思っておりますけれども、十八年度で申しますと、支払い者の方が三十一万件増加してございます。したがいまして、先ほど申し上げました支払い率は、昨年度末が七〇・七%でございましたけれども、今年度末は七一・一%、また、さらにそれを引き延ばしまして、来年度、十九年度につきましては七二%、さらに上げていこうということで、今取り組んでいるところでございます。

 もちろん、これではまだ十分信頼回復と言い切れませんけれども、こうした努力をしていく中で我々としてはある一定の御理解もいただきつつあるものという理解をしてございます。

 その理由につきましては、日々の活動の中で、職員が信頼回復活動を全部で三万五千人やっております。そういった中で支払い再開をいただいていたり、いろいろなさまざまな努力を重ねる中でこうした成果があらわれている。その最も根本的なところを申し上げますと、今ございましたように、やはり我々は放送事業でございます。放送サービスがよりよきものでなきゃならない、そこの信頼性も向上しなきゃいけないということでございます。そういった面でも少しずつ評価をいただいているのではないかというふうには考えておるところでございます。

鈴木(淳)委員 契約率の向上のために今地域スタッフが懸命に頑張っているということは理解をするわけでありますけれども、やはり一軒一軒訪ね歩いて契約を迫る現状の契約形態というのは、精神論はともかくとして、そこにはどうしても一定の限界があるだろう、こういうふうに思うわけであります。

 契約・収納率の向上、とりわけ契約率の向上に向けて、これはもうさまざまな角度から検討が必要であろうというふうに思うわけでありますけれども、今後どのような検討並びに取り組みをされようとしているのかについてお尋ねをいたします。

小林参考人 契約率の向上につきましては、先ほども御説明しましたとおり、なかなかお会いできない等という事情がございます。しかしながら、そこを何としてもお会いできるような仕組みを何とか設けようということで努力しているところでございますけれども、残念ながら今なかなか面接が困難な事情が深まっているという中で、我々としては、未契約の方に関しましては、我々自身の取り組みだけではなくて、各お宅に訪問、お邪魔できる不動産会社の方でありますとか、あるいは宅配業者の方でありますとか、電器店、さまざまな形の中で契約率の向上に向けて今努力しているところでございます。

鈴木(淳)委員 視聴者の御意見の中には、素朴な疑問として、衛星放送のように、いわゆる契約者以外には見られないようにするスクランブル化などの検討ができないか、こういう意見がありました。私自身は、このスクランブル化という意見に必ずしもくみするものではありませんけれども、視聴者の率直な気持ちは理解できるわけであります。

 これは、聞くところによれば技術的には不可能ではないということでありますけれども、この方法の採用は可能でありましょうか。また、もし採用ができないとするなら、その理由は何でしょうか。

 以上、スクランブル化に関する見解を求めたいと思います。

中川参考人 お答え申し上げます。

 スクランブル化というのは、料金をお支払いくださる方だけが視聴できるようになるという方法でございますけれども、これは、通信の分野では当然そういうことになっておりまして、一見合理的なように見えますけれども、ただ、私ども放送、特に公共放送といたしましては、全国どこでも分け隔てなく情報をお伝えする、また、それをいつでも受信していただけるということが大変大事な公共放送の理念であるというふうに考えております。

 そういう中で、受信料制度のNHKと広告収入による民放ということの二元体制の中で切磋琢磨するということでやってまいりました。とりわけその中でも公共放送の特に地上波でございますが、総合テレビ、教育テレビというのはいわば基幹的なメディアとしまして国民生活の大変重要な情報の部分を担っているということでございまして、そういったところにスクランブル化をかけるということはその公共放送の理念と合わないというふうに私どもは考えております。

 また、実際面においても、民放さんと先ほどの二元体制ということでやってまいりましたので、そういった面からもそぐわないのではないかなというふうに今現在は考えておるところでございます。

鈴木(淳)委員 先ほども議論がありましたけれども、契約率の向上に関して、イギリスのBBCのように、受信機器の購入時点で購入者の情報が放送事業者に通知されるシステムというものが検討されてしかるべきではないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、このような仕組みというものは採用できないんでしょうか。

 個人情報の第三者提供という難しい問題はあることは承知をしますけれども、国民全体で公共放送を支える上ではいわゆる利害の比較考量があってもいいのではないか、こう思うわけでありますが、その検討はいかなる状況でありましょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、イギリスにおいては、電器店その他に対しまして、受信機の購入者に関する情報をBBCに提供することが義務づけられております。しかしながら、NHKの受信料徴収のために受信機の購入情報を活用することにつきましては、ただいま委員御自身の御指摘がございましたように、個人情報の保護の面や、あるいは、NHKとの受信契約の権利関係にないわけでございます受信機の売り主あるいは販売店に新たな義務を課すということになりますので、慎重な議論を必要とするものと考えております。

 また、受信料の徴収に関しまして、例えば住民票の除票の写しを活用して転居した受信者の住所の確認を行うというふうなことも可能でございまして、まずはNHKにおいて現在の制度のもとで受信料の最大限効率的な徴収に努めることが必要かと考えます。

 こうしたNHKの最大限の努力が行われていない段階においては、受信機の購入者情報の通知というのは、国民全体のコンセンサスを得るのは困難ではないかと今考えております。

 以上でございます。

鈴木(淳)委員 それでは、次に、公平で合理的な受信料体系の構築についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 さきにも述べたとおり、視聴者の認識というものは、公共放送は必要だと思うし、受信料の必要性も理解できる、ただ、現状のままでは公平負担が確立されていないというものが大半であります。公共放送が社会的に認知されるためにも、公平負担を一層進めて、広く薄く、国民全体で支えるシステムが必要だというふうに思うわけであります。

 NHK予算の説明の中で、公平で合理的な受信料体系の改定を行う旨の記述がありますけれども、さきに発表されたところの、事業所の受信料徴収方法の見直しや、その他、受信料の減免、家族割引の検討等がこの中に含まれるというふうに思いますけれども、今後いかなる方向での検討がされるのか、お尋ねいたします。

小林参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のホテル、病院などの事業所の契約でございますけれども、これはホテルグループの間で契約率がまちまちであるといった会計検査院の御指摘もございました。国会でもいろいろ議論いただきました。そういった中で、事業所の受信料体系につきましては、そうした御指摘を踏まえながら、新しいルールを設けて公平負担の徹底を図るために、平成二十年度中の受信料体系の見直しをすることを先月二十七日に公表したものでございます。

 具体的な内容につきましては、事業所につきましては基本的には敷地単位でございますけれども、敷地内の二契約目からは半額程度で見直す方向で検討するという旨を公にさせていただいたものでございます。

 なお、一般世帯のあり方につきましても、既に昨年十二月から家族割引等を実施してございますけれども、これも十九年九月末までの総合的な検討の中で必要な見直しをしていこうというものでございます。

鈴木(淳)委員 それでは、以上の議論を踏まえて、改めて確認の意味でここでお尋ねをしたいと思います。

 公共放送としてのNHKの意義と役割というのは一体何なのか。改めて確認でありますが、総務大臣並びにNHKの会長にお尋ねしたいと思います。また、国営放送ではなくて公共放送としてのNHK、その維持のためには必要不可欠であるところの国民の理解と支持を得る努力というのをいかにしていくのか。それについてもあわせてお尋ねをいたしたいと思います。

菅国務大臣 NHKというのは、放送法の第七条に基づいて、公共の福祉のために、あまねく全国における放送、視聴率にとらわれない豊かでよい放送番組の提供といった高度な公共性というものが期待をされているというふうに思っています。そしてまた、国民の皆さんの理解を得られるためには、NHKのガバナンスを初めとする公共放送のあり方というものが問われているというふうに思っています。

 NHKにおいては、職員の不祥事再発防止はもとよりでありますけれども、経営改革、良質な番組の提供というものを通じて、何よりも失われた国民に対しての信頼を取り戻す、このことが非常に私は大事なことであるというふうに思います。

 そうした中で、先ほども申し上げましたけれども、政府・与党合意の中で、NHKの内部の改革、そして義務化、そして料金の値下げ、そうしたものを、やはり広く公平に国民の皆さんの負担によって良質な番組を提供することが極めて大事だというふうに思います。

橋本参考人 冒頭、NHKの番組につきまして大変評価をいただきましてありがとうございます。

 我々、日常努力しているところが視聴者の方々から評価されることは大変うれしいことでございますけれども、そのように、NHKの役割というのは、放送法にございますが、放送法の中では、全国あまねく放送を普及させること、あるいは豊かでよい番組による国内放送、あるいは放送と受信の進歩発展の業務、あるいは国際放送というふうなことがございますし、NHKが持つ性格として、報道の自主自律、不偏不党といいますか、こういうこともうたわれております。

 この中で改めて今日的なNHKの意義ということで私考えておりますけれども、四点ほどございます。

 まず一点は、デジタル技術の進歩、インターネット等含めて、情報が大変あふれる時代の中で、やはり視聴者・国民の方々から頼りにしていただける情報を提供すること。それから、大変孤立しがちな社会の中で、国民の方々がお互い助け合う、こういうふうな共助の精神というものを持っていただけるような場をNHKがつくっていくことが必要ではなかろうかと思っています。それから、当然ながら、そういう中で必要なことは、情報の格差をなくしていくということが大事だろうと思いますし、一方、いろいろな情報の格差ということにつながるかもしれませんが、日本としての伝統文化、あるいは地域の伝統文化、こういうものについても、地域を大事にしていくというふうな観点もNHKの大事な役割かというふうに考えております。

 こういうものを基調にして、一層頑張ってまいりたいと思います。

鈴木(淳)委員 時間が参りました。ぜひ、国民の理解の中で公共放送の充実を図っていただきますように、よろしくお願いいたします。

 終わります。

佐藤委員長 次に、谷口隆義君。

谷口(隆)委員 公明党の谷口隆義でございます。

 本日は、十九年度のNHK予算につきましてお伺いをいたしたいと思います。

 従来から、NHKの決算、予算につきましては、私、NHK本体と、また関連会社、子会社、関連公益法人等について今までお聞きをしてまいったわけでございますが、本日もそういう観点からお伺いをいたしたいというように思う次第でございます。

 NHKの本体の決算をされまして、また、関連会社、子会社、関連公益法人等の決算も合算をして、連結財務諸表というものがもう既にNHKで作成をされていらっしゃいます。ですから、NHK単体だけではなくて、子会社等の業況もすべて含んだ形で出てきておるのは承知しておるわけでございますが、しかし、そういう観点で申し上げますと、NHK本体は、その子会社、関連会社、関連公益法人にも経営責任が及ぶものであるという認識でいらっしゃることだろうと思うわけでございます。

 前回、私もNHKの子会社等の財務諸表をつまびらかに見せていただきまして、そうしますと、財務余力といいますか、財政状況が結構いいんですね。ですから、先ほど大臣もおっしゃっておられたように、今受信料が三割も落ちているということで、NHKの業況は受信料が入っておるときに比べますと大変圧迫されているというような状況の中で、この子会社、関連会社の配当を考えられて、本体に財政上の貢献、このような観点で行うことも必要なのではないか、そういう配当政策だとか配当率をお考えいただくことが必要なのではないかということを申し上げたわけであります。

 今現在、もう既に実行されておられることがあればそのことを、また、今後行おうとされておられることがおありであれば、そのことも含めてお伺いをいたしたいと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 谷口委員仰せのとおり、これは受信料収入そのものが大変厳しい中で、子会社からの配当というものに期待する、こういう政策というものも財政上大変重要なことと考えております。

 実際に、そういう目的で十八年度にNHKに対して子会社から還元してもらう配当につきまして申し上げますと、いわゆる業績連動の考え方を導入してまいりましたし、一定の体力を持つ子会社からは、当然、当期利益を上回る規模の大型配当を実施させております。その結果、十八年度配当総額は四十九億八千万、これは子会社全体の配当総額四十九億八千万でございますが、そのうち、NHKについては三十六億六千万円の配当を受け取ったということがございます。

 子会社につきましても、現段階では大変厳しい状況がございます。以前は、「冬のソナタ」というふうなドラマの二次利用等が大変爆発的にふえましてこういう成果が出ておりますが、そういう目玉がなくなりますと大変厳しい財政状況になります。そういう中でも、事業運営状況あるいは資産状況等を見ながら、当然ながら内部留保というものをNHK側からも検証しまして、可能な限りNHKの財政に貢献させるようこれからも努めてまいりますけれども、来期の配当総額については、およそ三十億規模のうち十六億円の受取配当というものを見込んでございます。

谷口(隆)委員 NHKにおかれましては、いろいろな経営努力を今されておられるということで、ぜひNHKグループ一体となった経営のあり方を考えていただきたいと思う次第でございます。後の質問でこれに関したことを申し上げたいと思いますけれども。

 現在、お聞きしますと、子会社、子会社というのは出資割合が五〇%を超えるものですね、この子会社が十九社、関連会社が四社、関連公益法人等が九社、合計三十二社あるわけですね。今ちょうど公益法人の改革も進んでおるような状況もございまして、また、当初、子会社、関連会社をおつくりになった後、もう一度やはり見直しをしていかなきゃいかぬなというところもおありなんだろうと思うんです。

 それで、今現在三十二社ございますけれども、NHKが今大変熱心にやっていらっしゃる、まず初めにやはり内部改革をやっていかなきゃいけませんから、順序でいうと、受信料の問題はまずは内部改革をやった後にということになるんだろうと思いますが、このような関連団体の統合だとか、また再編を行う必要があると私は思いますが、どのようなお考えなのか、どういうことをお考えになっておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。

中川参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃいましたように、今、子会社の整理統合につきましては、まず何よりも透明性を確保したグループ全体の経営、これを一層推進したいということでございまして、また、特に放送・通信の融合時代というふうに言われておりまして、そういったものが進む中で、新しい時代に対応できる体制を構築したいということで、検討を重ねてまいったところでございます。この結果、平成二十年度より具体的な整理統合に着手するということを考えております。

 さらに具体的に申し上げますと、一つは、地域に所在する地域子会社というものが六社ございます。これは、例えば大阪にございますきんきメディアプランとか、あるいは名古屋の場合は中部ブレーンズということで、ほかに広島、福岡、仙台、札幌と六社ございますが、こういった地域の会社は比較的財務体質が弱いということでございますので、そういったものの強化。それから、さらに、地域放送サービスの担い手として、特に私どもは全中発信と言っておりますけれども、全国に地域の情報を発信する機能を高めるといったふうなことで、これを一社に統合して、できれば二十年の四月から統合したいということで考えております。

 もう一つは、放送のデジタル化あるいは情報システムの高度化といった状況の中で、特にIT関連業務の基盤を強化するという目的がございまして、NHKテクニカルサービスという会社がございます。これは、現在、NHKの放送制作にかかわる部分でございます。例えば、中継とかスタジオとか編集、こういった業務、それから運行、送出業務、こういったものを担っておるところでございますけれども、この会社と、もう一つ、NHKコンピューターサービスという会社がございまして、これはNHK全体の情報システムの開発、運用等を担っている会社でございますが、この会社を統合いたします。これも同じく二十年の四月を予定しているというところでございます。

 また、今ちょっと株主さんともいろいろ協議を重ねておるところでございまして、ちょっとまだ公表は差し控えさせていただきたいと思いますが、放送分野につきましても、ぜひ、今の時代にマッチした統合再編を考えているというところでございます。

 それで、現在、委員は先ほど子会社が三十二社とおっしゃいましたけれども、実はそのほかに、エンタープライズには二社、NHKから見ると孫会社になるものでございますけれども、これを含めて我々は三十四団体をNHKの関連団体として総称しておりますけれども、この数を二十数団体にするという考え方を持っております。

 また、関連公益法人の改革も、国の方で制度改革が進んでおりますので、そういう見直しに対応した検討も考えているというところでございます。

谷口(隆)委員 もう既にそういうように考えていらっしゃって、先ほどお聞きしますと、地域子会社の六社を一社にするとか、テクニカルサービス、コンピューターサービスを統合するとか、これはぜひやっていただきたいと思います。

 統合再編の効果というのは、役員も少なくなりますし、業務が重なっている場合がありますから、コストが要らなくなってくる、軽減できる、こういうようなことだとか、NHK全体の求心力が高まるとか、いろいろな効果がありますので、ぜひ、これにとどまらずに今後もやっていただければと思う次第でございます。

 それで、次にお伺いをいたしたいのは、昨年でございましたが、関連団体の決算書を見ますと、役員退職慰労金というところが勘定科目としてあったわけであります。この役員退職慰労金というのは、基本的に民間企業でもあるわけでございます。大体、在任中の会社への貢献、功労をねぎらうものであるということですけれども、一方でお手盛りという危険性があるわけで、ですから、株式会社等であれば、定款に記載されたり株主総会の決議が要ったり、こういう非常に慎重な対応を求められておるものでございます。

 最近は業績に連動して一本化するというような方向もあるようでございますが、今、この役員退職慰労金、関連会社の中で計上されておられるところもありますが、このようなことについて、今どのようにお考えか、改革をされようとしているか、お伺いをいたしたいと思います。

中川参考人 お答え申し上げます。

 委員今おっしゃられましたとおり、退任慰労金制度というのはこれまでございましたけれども、ただ、これは、役員の在任期間に応じてふえるということでございまして、多分に年功的な要素が強かったということでございます。

 そういった反省を踏まえまして、実は、今年度、この関連会社の退任慰労金制度というものを廃止いたしました。そのかわりに、業績主義と申しますか、子会社等の職員、社員を含めました業績主義の賃金制度をとりたいということを考えておりまして、まず、役員につきましては、今後、決算の目標でございますとか、あるいは事業計画の達成状況、そういったものに合わせまして、そういった業績と連動型の報酬制度にいたしました。

 今年度、昨年の六月でございますが、こういったものを実施いたしましたので、この四月に本体であります私どもの方の橋本会長以下関係役員等集まりまして、まず、関連団体の業績評価をしたいというふうに考えておりまして、これをもって翌年度のトップの報酬を決めて反映させてまいりたい。それから、関連各団体はトップがそれぞれの役員に対して同じようなやり方で臨むということで、こういった業績評価の運用をもって慰労金制度にかえたいということを考えております。

谷口(隆)委員 今民間企業もそういう方向でいっていますので、やはりやる気を出すということも必要でありますから、ぜひそういう方向でいっていただきたいと思います。

 その次に、NHKの本体から関連団体に、世間で言ういわゆる天下り的な、NHKの方が関連会社の役員をするといったようなことがあるようでございます。今の状況をお伺いいたしたいと思いますが、関連団体の常勤役員が今何人いらっしゃって、そのうちNHKから行っていらっしゃる方が今何人いらっしゃるのか。まず初めにお伺いをいたしたいと思います。

中川参考人 お答えします。

 十八年の七月一日現在でございますが、関連の団体が三十四団体ございまして、そのうちいわゆる常勤の役員数は百五十六人でございます。そのうち百三十六人がNHKの退職者でございまして、およそ八六%に当たります。

谷口(隆)委員 これは政府系の金融機関でもそうですけれども、やはりプロパーの人が一生懸命やってもなかなか報われないと、その団体そのものの働く意欲も減退するということにもなりかねません。ですから、そんなことも考慮に入れていただいて、関連団体の中でいろいろな御事情があると思いますが、NHKとして、今後どのような方針でいかれようとされておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。

中川参考人 お答えします。

 関連団体の社員、職員でございますが、これは現在五千四百三十五名おります。そのうち、いわゆるプロパーという、最初からその関連団体の職員、社員であった者が三千七百六十三人、およそ七〇%近くおります。こういう人たちも、順次、業務をやる中で力をつけてきております。

 そういうことの中で、今後は、NHKから退職してすぐ関連団体の役員になるというようなことをできるだけ抑制するということで、NHKからの役員を向こう三年間で四十名程度を削減して、そのかわりに、そういったいわゆるプロパーとして育ってきている、それで実力のある方々を役員に登用するということを考えてまいりたいというふうに考えております。

谷口(隆)委員 大体、きょう私が申し上げた関連団体とNHK本体との間のことを今お伺いいたしたわけでございます。かなり、私が思っている以上に、やる気を出して今やっていらっしゃるように思います。

 それで、今回の十九年度予算に対する総務大臣の意見の中に、子会社等について言及されておられます。「子会社等についても、その整理・統合計画を速やかに取りまとめて公表するとともに、これに基づき、協会と一体となった人員削減や統廃合等の経営改革を行うことにより、その合理化・効率化を推進する」というように大臣の意見も付されておるわけでございますが、今NHKがおっしゃったことに対して、総務大臣としてどのようにお考えなのか、お伺いいたしたいと思います。

菅国務大臣 今、谷口委員が専門的見地から、NHKのいわゆる子会社、関連会社について質疑がありました。

 多くの国民の皆さんは、NHKの子会社の整理合理化そして人員削減というのは、何も去年だとか今始まった話じゃなくて、これは数年前から実は言われてきていることでありまして、そういう意味で、二十年度から、今三十四ある関連会社について二十幾つにするということでありますけれども、私は、もっとスピード感を持って国民の期待にこたえてほしい、そういう思いであります。

 NHKの公共放送としての役割、厳しい経営環境を踏まえて、抜本的見直しをしてほしいなというのが私の思いでありまして、そういう思いの中で今回のこの大臣意見につながってきた、こういうふうに理解をいただきたいと思います。

 子会社の整理合理化については、やはりスピード感を持って行って、国民の皆さんの期待におこたえをしてほしい、これが私の意見であります。

谷口(隆)委員 やはり、私も監査の現場、ビビッドな企業の現場におりましたから、なかなか、理想的なことを言ってもできないんですね。ある程度の時間も必要だろうし、そこには一定の整合性も必要だろうと思います。非常にわかりやすいというのは、一方では非常に問題をその中に含んでおる可能性もあるわけで、ですから、私は、現にNHKの方で大変な改革を今やっていらっしゃるということのまずは評価をし、今後は、大臣がおっしゃっておられるように、将来を見据えて、公共放送としての立場でやっていただくということを私たちも期待したいというように思うわけでございまして、ぜひそういうことを期待いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 以上でございます。

佐藤委員長 次に、萩生田光一君。

萩生田委員 自由民主党の萩生田光一でございます。

 昨年も私はNHKの予算質疑に立たせていただいて、当時は総務委員会の理事でもございましたし、また改革三年計画の元年でもありましたので、橋本会長以下、役員の皆さんに熱いエールを送ったつもりでいるんですけれども、率直に申し上げて、この一年間、冷静に一NHKの応援団としても見てまいりましたけれども、この一年の取り組みを、良識ある国民の皆さんの声を代弁するならば、NHKはよくやっていると、この場でとても言える状況にはないというふうに私は思います。エールを送ったわけですけれども、ある意味では裏切られた感がしてならないわけであります。

 この一年間を振り返って、NHKが一体、何がどう変わったのか、非常にわかりづらいと私は思うんです。この一年間も、子会社を含め、複数の不祥事がございました。綱紀粛正の徹底あるいは職員の危機感がある意味では感じられないんじゃないか。委員会や党に配られる資料には、コンプライアンスですとかガバナンスですとか受信料収入の回復に全力ですと、言うならば言葉遊びのように毎回同じ言葉が使われるわけですけれども、年末の紅白のDJオズマの件をもっても、言葉がないというふうに私は思います。

 公共放送の使命と役割を明確にして、NHKならではの放送に徹すべきだと昨年申し上げ、そのことを期待してまいりましたけれども、まだまだその改革の実は上がっていないんじゃないか、私はこう言わざるを得ないというふうに思います。

 先ほど鈴木理事は、夜、NHKのチャンネルをつけるといい番組をやっていてほっとする、こういうお話がありましたけれども、私は最近、夜帰ってチャンネルをつけると、どこがNHKだかよくわからない。色遣いですとかあるいは出演者、こういったもので、何かNHKが、視聴率ばかりを意識して民放と同じような番組構成になっているんじゃないか、こんなことも感じずにはいられないわけです。

 私は、やはりNHKは、たとえ不採算であっても、国民に有益な情報あるいは映像、視聴率に振り回されない番組制作を心がけるべきだというふうに思っているところでございまして、そういった意味で、若干厳しい指摘を申し上げながら、質疑を進めてまいりたいと思います。

 受信料の不払いが改善しつつあるという御答弁が先ほどからございました。確かに収入が三年ぶりに増加をしますけれども、多くの委員から指摘がありましたように、受信料の徴収コスト、これは相変わらず一二・四%という大変大きな数字であります。そして、本来、回復にあるんだと言うのであれば、平成十五年度ベースに戻さなくてはいけない、こういう大きな使命があるというふうに思います。

 私は、この一二・四%というのは異常な数字だと思うんですけれども、ずっと過去の資料を見ますと、不祥事以前からこの比率というのはほとんど変わっていないんですね。一二・七、一二・六、一二・九。ですから、回復傾向にあると言いながら、やっていることは不祥事前と変わらないと言わざるを得ないというふうに思うんです。そこから回復傾向にあるという数字を引くと、では一体だれがどんな努力をして受信料を支払っていただく方がふえてきたのか、この辺が疑問でならないわけであります。

 先ほどから、六千億を集めるのに約八百億をかけている、大臣からもこんな発言がありました。契約者の八割が口座振替を活用いただいているのに、未払いと未契約への新規加入等促進のために、千二百十八人の営業スタッフに加え、五千六百人の地域スタッフが働いていらっしゃる。この人たちは平均年収が五百十万ということです。一人当たり四百二十件の契約を大体とっていらっしゃるということです。そうしますと、五千六百と四百二十を掛けますと、年間二百三十五万二千件の契約をとっていることになるんです。

 本来でしたら、これだけのパワーで前へ進むんだったら、未加入も解決できると思いますし、また、支払いを拒否している皆さん方の解消にも必ずつながるんだと私は思うんです。ところが、残念ながら、数字の上では余り変わっていない。すなわち、先ほどお話があったように、自動振替をしていない人たちのところを順番に回って四百二十件の担当を持っている、こういう状況にあるんじゃないかと言わざるを得ない状況にあります。私は、この数値一つをもっても、やはりNHKのこの一年間の努力というのは一体何だったのかと言わざるを得ないと思います。

 菅大臣が、支払いの義務化と料金の値下げはセットだということを言い張ってまいりました。橋本会長は、二月六日のインタビューで、その根拠がわからないとおっしゃいましたけれども、私は、今申し上げた、例えば地域スタッフの皆さんの頑張り、あるいは本来の営業スタッフの頑張り、またさまざまなコストの削減をすれば、この二割という数字は決してでたらめな数字じゃないというふうに思います。根拠として十分確かなものだというふうに思います。こういったことを考えますと、やはり二割程度の値下げは可能だと思いますし、またそれだけの営業努力はするべきだというふうに思います。

 そこで、お尋ねしたいんですが、まず、橋本会長、この一年間でNHKは一体何が変わった、こう御答弁ができるんでしょうか。あわせて、今でも二割の根拠というのはわからないという認識なのか、お尋ねしたいと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 NHK自体の改革計画が大変生ぬるいという御意見でございます。

 実際に、我々、この三カ年計画の中で、改革計画を提出し、これに基づいて着実に成果を出そうというふうなことで努力してまいりました。まだまだ、御指摘のように、不祥事発生前の十五年度財政規模まで回復はいたしておりません。その意味では、やはりそこへ向けて全力投球していかなければならないというふうに覚悟しております。

 この一年間、十八年度の実際の計画、改革計画の中では、視聴者の方々から大変大きく求められている点として、やはりコンプライアンスの徹底といいますか、不祥事というものをいかにしてなくしていくのか、特に不正経理、こういうふうなものについて我々取り組んでまいりました。これは、日本全国の放送局を含めて、過去七年間のおよそ三千万件の証票類について、もう本当に過去の不正についてはすべてうみを出し切るという決意を持ってこの作業に取り組んで、昨年暮れに発表させていただいたわけでございます。

 それから、現在進行中でございますけれども、経理的にこのようなことを起こさないチェックシステムというふうなものについて、昨年八月にはコンピューターシステムも変えて、こういうふうなものを実際に運用しているところでございます。

 それから、監査的な目というものも当然業務の中へ、日常の現場の業務の中までこの監査の手法を取り込んで、いわゆるCOSOフレームワーク、こういうふうなものも取り込んでおります。

 また、経営委員会の方でもコンプライアンスにかかわる委員会等も設け、執行部、我々に対する監督を強化して御指導をいただいているところであります。

 また、我々、確かに、昨年暮れの紅白でのDJオズマの件については視聴者の方々にNHKの品格という点で大変御迷惑をおかけいたしましたけれども、やはりこういう点については強く反省した上、今後、視聴者の方々にNHKらしい番組というものを提供するように放送面でも努力してまいりたいというふうに思っております。

 総じて、NHKの番組として、我々一生懸命努力した中で、番組そのもの、総体としてはおおむね好評ということで、そういうものが総体としての受信料回復の基調というものをつくってまいったと思っています。

 昨年の大臣の意見書の中で、受信料の回復というものが信頼回復の大きなバロメーターだというふうな御指摘もいただいていますので、我々、全体的に受信料の回復ということ、これが具体的数字としてあらわれていくことがやはり大きな課題だと考えて、引き続き、公平負担ということも踏まえて努力してまいりたいと考えております。

萩生田委員 きょうは、お忙しい中、経営委員会の石原委員長にもお見えいただいております。

 日本を代表する民間企業の経営者として、一二%を超える受信料コストというのは適切だというふうに委員長として御判断されているかどうか、また今後の業務の効率化についてお尋ねをしたいと思います。

 あわせて、大変失礼な質問になるかもしれませんが、経営委員会の皆さんはそれぞれ専門性を持った大変立派な方々だというふうに思いますけれども、これだけの多様な問題に対峙するためには、定期的に集まる今の経営委員会スタイルで本当にNHKの再建がかなうのかどうか、委員長としての御所見をお聞かせいただきたいと思います。

石原参考人 ただいま先生から御質問ございました第一点でございます。一二%という営業経費の点についてでございます。

 先ほど来NHK執行部の方からも御説明申し上げておりますとおり、受信料体系そのものを見直す、あるいは受信料の徴収方法というものにつきまして今日的な角度で見直す中で、やはり受信料を収納するための営業経費を、いかにコストを安くしていくかということが問題かというふうに思っております。

 先ほど、口座振替八割にもかかわらずパーセンテージが非常に多いんじゃないかというお話もございました。NHKといたしましても、そういった意味ではできるだけ現金収納をなくす。それから、現在、スタッフの皆さんも、集金のほかに、従来はNHKの信頼回復のために相当な視聴者の方々との窓口になって活躍いただいております。そういった意味におきましては、単に営業経費というにとどまらず、NHK全体の信頼回復のためのコストというものを踏まえて考える必要があるのではないか。いずれにいたしましても、体系そのものも含めまして見直していく必要があるんではないかということを私どもとしても強く思っているところでございます。

 次に、経営委員会の機能について御質問がございました。

 私ども十二人のメンバーによって成り立っております。八人が地方選出、そして四人がそれぞれの識見をベースとしてNHKを見る。NHKの経営委員会に求められておりますのは、NHKに対する監督管理ということかと存じます。特にそういった観点から申しますと、いかにNHKとは中立で、なおかつ多様な観点から、しかも国民あるいは視聴者の立場に立ってNHKの執行というのを見ていく必要があるのではないか、これは、十二人のメンバーひとしく思っているところでございます。

 先ほどお話がございましたが、私ども、実際の、例えば日常の行動等につきまして、事務局の活用あるいは事務局の強化、そして同時に私どもが任命しております監事との連携、これを高めるということを現在行っております。同時に、NHKの経営委員会の中に、先ほど来お話ございました評価・報酬部会というのがございます。NHKの執行部一人一人と対話を重ねつつ、一年間の目標を立て、その遂行状況を見ていくということをやっております。また、直下のものといたしましてコンプライアンス委員会、第三者の識見を利用いたしまして、そういった観点からの御指摘をいただき、NHKのコンプライアンス対策の全きを望むという形でもやっております。

 いずれにいたしましても、私ども、NHKの会長以下と緊張感を持ちつつ、なおかつ我々に課せられた使命を日々果たしていくべく、それぞれが一生懸命やっているところでございます。その成果というものをぜひ見ていただきたいと思いますし、また私どもとしても、これらの改革につきまして、自分たちの改革も含めてスピード感を持って当たりたい、こういうふうに思っている次第でございます。

萩生田委員 次に、十九年度から本格的な取り組みの始まりますアーカイブ・オンディマンドについてお尋ねをしたいと思います。

 NHKの持つ六十万本に及ぶ映像ストックを、見たい方たちに見たいとき提供するこのサービスは、私は当然進めるべきだというふうに思います。しかし、冷静に考えたときに、受信料収入で制作をしたNHKの番組というものが、将来にわたってNHKだけのものであったり、あるいはその制作に携わった人たちの著作権等々の権利を継承しながら維持していかなくてはならないのかというと、いささかちょっと疑問があるんですね。民間でしたらともかく、受信料収入でつくった番組を、これは国民のある意味では共有の財産だというふうに私は思っています。契約者の皆さんに、番組をつくる前にあるいは放送日や放送内容まで契約しているわけじゃないわけですから、見たくてもどうしても見られない人たちもいる。

 そうすると、せっかくアーカイブを活用するんでしたら、私は、一定期間は無料で開放するようなことも考えていかなくてはいけないんじゃないか、あるいは受益者負担という観点から、当然のことながら見たい人が一定の費用負担をするんだとすれば、ではその費用の根拠となるものは何なのかということも国民に知らしめていかなくてはならないというふうに思います。

 といいますのは、現在ではNHKの番組制作費については細かく公表されておりません。例えば出演者の出演料が幾らなのかとか、あるいは脚本に幾らかかったのかというのはだれもわからないわけです。先ほどから多くの皆さんから子会社のお話が出ました。圧倒的多くのOBが役員を占める子会社の皆さんは、本来だったら、NHK本体で行うには小回りのきかない仕事をしてもらうために子会社が数多くあるにもかかわらず、そこに生え抜きのNHKのOBが陣取っているわけですから、果たしてそれで本当に小回りがきくのかというと、私は疑問でならないんですね。そういう皆さんが本当に民間と同じようなコスト感覚を持って番組制作に当たっているのかといえば、多分、私は、突き詰めていくとNHKの番組コストというのは非常に高いものがあるんだろうというふうに思います。

 誤解を恐れず申し上げれば、冒頭申し上げたように、私、たとえそれが高くても、NHKならではの番組ならそれでいいんだと思うんです。そして、そのことがたった一度のバージン放送だけじゃなくて、何度も国民の皆さんの資産、財産としてお互いに共有ができるんだったら、これは幾らかかってもいいんじゃないかという思いがありまして、このアーカイブ・オンディマンドについてどういう方向でこれから進んでいくのか、お尋ねしたいと思います。

中川参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるとおり、アーカイブスには今五十万本を超える番組が蓄積されておりますけれども、これはいってみれば国民の貴重な文化遺産だというふうに考えておりまして、これにつきましては、既に番組公開ライブラリーといたしまして、全国五十六カ所の各放送局におきまして自由にごらんになれるという番組がございまして、これが今大体六千本を超えてございます。そのほか、学校放送番組の映像クリップという、二、三分の大変短い映像でございますが、これらをおよそ三千八百本ほど、これも無償で提供しております。

 こういった無償の提供につきましても、実は取材先の了解を得ましたり、場合によってはその権利処理を行うということで、必ずしも経費がゼロということではございません。

 一方、関連団体につきましては、そういったNHKの放送いたしましたものを利用しつつ、例えばDVDとかビデオでございますとか、そういったものをつくりまして、それを販売することによって収入を得て、その一部を副次収入としてNHKに還元してもらうということで、NHKの財政には若干寄与しているというところがございます。

 今後、これは放送法の改正絡みでございまして、今の段階で私どもとして確たることを申し上げるわけにはまいりませんけれども、いずれにしても、もしブロードバンドでそのようなアーカイブスの番組を提供できるということになれば、当然、受信料を使って制作いたしまして放送した番組でございますから、それをそのまま無償で提供するということは、既にそういう市場がございますので、受信料を有利に使ってそこに参入したというふうにも受け取られかねません。そういった意味で、いかに公正な競争を行っていくかというあたりから価格設定ということは考えるべきものかというふうに思っております。

 いずれにしましても、まだそのような検討を進めておりませんで、放送法がもし改正されて、そのようなことが可能になるということでございますれば、直ちに、その提供のスキームでありますとか提供価格、そういったものをやってまいりたい。ただ、その場合にも、明確な区分経理といいますか、会計を分離いたしまして、透明性を図って、どれぐらいの経費でどれぐらいの収入があるのかということを明確に御説明できるようにしてまいりたいというふうに考えております。

萩生田委員 これからの時代を考えれば、必要があれば、私は、公共放送としてのNHKは番組制作の段階で民放とは違う著作権処理の方法、あるいは必要な法改正があるならばそういった提案もしていって、公共放送としての差別化をしていっていいんじゃないかと。変なところでイコールフッティングを意識するんじゃなくて、皆さんの受信料でつくった番組は皆さんがいつでも見られるという環境にあって、それは決して民間を圧迫することにならないというふうに私は思いますので、検討していただきたいと思います。

 時間がありませんので、最後に一点だけ。

 私は、公共放送であるNHKは法律をきちんと守って、法の改正には敏感でなくてはならないということを申し上げてまいりました。

 昨年の暮れ、教育基本法が六十年ぶりに改正をされたわけでありますけれども、平成十九年度の事業計画の中に、この法改正が明らかにわかるような番組制作というのが見当たりません。NHKの場合は三チャンネル、教育チャンネルというのを持っているわけですから、私は、六十年かけて国会があれだけ多くの議論の中で法律を変えた、だとするならば、やはりそれを直ちに読み砕いて、番組構成にもそれを発揮させるべきだというふうに思うんですけれども、その辺について、最後、会長の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

原田参考人 お答えいたします。

 教育テレビにつきましては、十九年度は、次の世代を担います子供、青少年向け番組の充実を図りたいということで、今取り組んでいるところでございます。豊かな情操をはぐくんだり、あるいは公共の精神、あるいは伝統と文化を尊重する、そういったことは教育の上で極めて大切だというふうに認識をしております。

 子供たちがこれから育っていく上で、こうした点にポイントを置いた番組をぜひ教育テレビの上でもポイントにして充実をさせてまいりたいと考えております。

萩生田委員 終わります。

    〔委員長退席、谷委員長代理着席〕

谷委員長代理 次に、萩原誠司君。

萩原委員 自民党の萩原でございます。きょうはよろしくお願いいたします。

 まず、きょうの中心的なテーマの一つになりかかっている受信料問題なんですが、これは、会長、いわゆる未契約、それから不払い、それから徴収費用の問題、この三点がメーンだと考えてよろしいですね。問題は明確になっているんですが、対応策が何回聞いてもちょっと不明確という印象を与えていますし、週末に地元でいろいろな方々の話を聞いてみても、このところ、NHKの動きがようわからぬな、大臣は何か明確なことを言っておられるようだけれども、NHKの方々はどっちに行こういうんかはっきりせぬな、きちっと聞いてくれというのが、国民の皆さんというか、私の選挙区の皆さんの声でありました。

 そこで伺いたいんですけれども、先ほども、経営改善計画の成果がどうのこうのとか、あるいは二〇一一年度に中期計画がとかいう話があったんですけれども、一体、その三つの問題エリアについて、目標というか計画というのは今言えるものがあるんですか。お答えいただきたいと思います。

小林参考人 御指摘いただきました三つの点でございますけれども、一つは未契約でございますが、未契約は、先ほど御説明したとおり、約一千万件ございます。それに対して個別にどうするかという対策を立てないとなかなか解決していかないということでございまして、まず大きいのが転居に伴います一時的な未契約ということですけれども、これにつきましては、インターネット等も含めまして自主的な申し出をなるべくどうすればいいかということを検討してまいりたい。面接困難世帯がございまして、これに対しても多様なパワーでもって見出していきたいと考えております。

 それから、未払いの方等につきましても、実は、不祥事による契約拒否はピーク時百二十八万ございましたけれども、それにつきましても、現在九十五万件というふうに圧縮しております。これについては、徹底して限りなくゼロに近づけるように努力していかなければならない。

 そういった個別の努力をまず重ねていくという中で目標を設定していくべきだと思いますけれども、それにつきましても、どういうツールでどういうふうにやっていくのかといったことを含めていかないと、単純にただ数字だけ目標にするわけにまいらないということでございますので、それを含めまして、ことしの九月末までに、我々としてはどういう形でどういうふうにやっていくのか、それによってどういう目標を設定していくのかということを含めまして検討してまいりたいと思っています。

萩原委員 今のお話を聞いてわかることは、非常に簡単なことで、目標がないということなんです。

 やはり経営というものは目標をしっかりつくって、それに向かってやっていく。もちろん目標と計画は違って、計画になってくると、今お話があったように、個々の具体的な動きや、あるいはやり方というものを想定しながら進んでいかなきゃいけないんですけれども、何の目標もないというのは、田村副大臣、どうなんですか。経営を見るサイドとして、目標がないのにやらせているということについて、私は、総務省として少し、御指導されるのか、あるいは、副大臣の立場から指導できないからNHKに平身低頭お願いするのかは別として、何らかのリアクション、目標もないということについてのリアクションをお示しになるべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

田村副大臣 通告がございませんでしたけれども、今のお話をお聞かせいただきまして、目標が全くないわけではないんだろうと思います。ただ、明確に外部にわかりやすい形では、ないというふうに今先生がおとらえになられたんだと思うわけであります。

 我々といたしましては、いずれにいたしましても、やはりNHKの経営がしっかりと成り立っていただかないことには国民に公共放送として安心して見ていただけないということがありますので、これからも、大臣の意見を踏まえまして、いろいろと御意見の方もしていきたい、このように思っております。

萩原委員 その際、先ほどからの橋本会長のお話を聞いていると、例えば目標というのが、努力をすることが目標であって、その努力をもっと努力するみたいな表現にどうしても聞こえちゃうんですね。

 一千万件ある、これはみんな知っている。あるいは、不払いで三百四十万件ある、これもみんな知っている。一体、どこまでいけるんだろうかと。例えば、BBCという似たような会社があって、彼らのレベルでいくとどこまでだ、それは目標にはできないんですか。数値として、レベルとして、BBCのレベルを目指すんだというふうなことは、NHKとしてはおっしゃれない目標なんでしょうか。会長の御意見を伺いたいと思います。

橋本参考人 お答えいたします。

 現在私どもが持っております目標というのは、昨年公表させていただきました十八年度から二十年度にかけての三カ年計画の中で具体的な、受信料にかかわるいわゆる支払い率を、対象の世帯をどれだけ確保していくか、あるいは総体として受信料を幾ら回復していくのか、全体の財務状況としてこう目標を掲げるという形で計画をお示ししております。

 この中で、十八年度も、初年度現在進行中でございますが、着実にそれを努力していこうということで示しているわけでありますし、また、その結果でいえば、十八年度につきましては、不祥事前までの数字には至っていませんけれども、およそ百億を超える規模の回復というものがもたらされてきているわけでありますし、それをベースに十九年度の事業についても計画を示しているわけであります。

 ただ、これでとどまるわけではございませんから、当然、これから来年度以降の実際の我々の受信料収納にかかわる目標というものを現段階で改めて見直してつくり直していこうという決意で進めてまいりたいと思います。

萩原委員 ありがとうございます。

 そこで、次の問題が出てくるんですね。現段階で目標をまた考え出さなきゃならない。つまり、現段階というのは、放送法の改正が視野に入っていたり、いろいろな意味で中長期的な姿を描いて、それを国民の方々に示して、示す中で、過去何度かあった不祥事その他について、我々はこういうことをするんだからまた信頼を頼むよということをしっかり示すという、大変重要であり、かつまた長期的な視野の要る時期だからと私は思っておりますけれども、ではなぜそれが、例えば今回放送法の議論もあったり予算の審議もある中で、九月になったら議論をしようということになるのか、ここに国民の方々はわけがわからぬなという気持ちを持っているんですね。

 さらに、一説というか流布されているうわさによると、参議院の選挙があるから、そうしたら内閣もかわるからもういいんじゃないかというふうになるかもしれぬみたいな言われ方をしちゃったら、これはもう大変大きな問題になってくるというふうに思うんですね。私は、なるべく早目に的確に議論をすべきと。もちろん、値下げの問題だけじゃないですよ。いろいろな考え方があります。

 そこで、まず大まかに聞いておきたいんですけれども、受信料を一生懸命に徴収する、現に成果も上がっている。そして、将来的には約二千七百億円ぐらいの回復余地がある。そういったものが実現できるときに、一体これをどう使うべきかということについての基本的な考え方を御披瀝いただきたいと思うんです。

橋本参考人 私ども、いわゆる放送事業を行う中で、やはり視聴者・国民の方々が期待される放送というものをどのように時々刻々時代に合わせて行っていくかということで具体的な番組あるいは編成というものを考えなければいけないと思っています。

 この中で、番組そのものをどういうふうな時代といいますか時期に合わせながらつくっていくかということをかなり先を予測してつくっていくというふうな中で、やはり番組制作に対していかに重点的にお金を使っていくかということが大変大事なときだと思っています。特に、地域の方々に対する番組を強化する、これは地域の情報を全国発信あるいは場合によっては海外に向けての発信、こういうふうなところに経費を重点的に使うことは当然であると思っております。

 それから、我々、大変残念な教訓を得たコンプライアンスの点での不正経理、こういう点についても、やはり増収分についてしっかりと、こういうことを再発しないようなことで、具体的には十九年度も六億、これまで一億もなかった対策経費等も六億積んだりして強化していくというふうなことをやっていますけれども、そういうふうな形で視聴者の方々がどういう点について期待されるかということをしっかりはかりながら、測定しながら、それに対する還元策というものを考えていきたい。

 当然ながら、長い中長期の計画の中でございますから、デジタル時代になってどのような時代的な手法というものが通用していくかということも見据えながら、この還元策、当然この中では、いろいろ受信料にかかわる考え方というものもつくってまいりたいと思っております。

萩原委員 長いお話、ありがとうございました。要約すると、国民に還元するということですね。要約すれば、国民に何らかの形で還元をすると。それであればよくわかります。

 そして、その内容として、番組の方がこんなにあって、いわゆる料金の方はちょろっとありましたけれども、それは額によって違いますよね。さっき申し上げたように、今改善可能額は、一千万件の未契約、三百四十万件の不払い、そして、例えばBBC並みに徴収コストが下がれば二千七百億あるんです。二千七百億の改善可能額。これが全部取れたら、全部それが番組改善だけにも行かない。しかし一方では、確かに番組改善というのは必要。そのバランスをぜひNHKとして考えて、なるべく早い時点で菅さんに話をしたらどうですか。議論をしたらどうですか。選挙が終わったらというような感じじゃなくて、早目に議論をすることの方が私は意味が大きいというふうに思います。

 次に、内容について若干お尋ねをしたいんですけれども、災害報道、これはNHKにとっても我々国民にとっても大変重要な分野、NHKの計画の中でも、充実をすると、まさに三カ年計画の中にもたしか書いてあったように思うんです。

 ところが、さきに、NHKで全国報道会議というのがあるんですか、そこで全国の方々が集まってきて、いや大変だ、なかなか災害報道もきついかもしれない、記者は引っぺがされているし何たらかんたらといって、地震があっても行けないかもしれないというような異論というかおそれというか、そういうのがあったという議論もあります。さらに、報道の関係ですと、職員を報道関係は百人へずるんだ、つまり減少するんだと。人員削減は一方では必要なんだけれども、その百人を補充するためにOBを充てるんだみたいな話もあったりする。そうなってくると、災害ということを考えたときに、本当に大丈夫かという疑問も出る。

 そういうところにNHKが注力することについては、私が見る限り、多くの国民の方々は是とするという感じを持っておられるんじゃないかなというふうに思います。

 一体NHKは今、災害について前向きに考えているのか、それとも、実は前向きに考えているふりをしながらちょっとやっているのか。どうなんですか、これは。副大臣、よろしくお願いします、総務省としてどう思っておられるか。

原田参考人 お答えいたします。

 今議員がお話しのように、もう言うまでもなく、国民の暮らしを守る、そういう意味では、災害報道は公共放送NHKとして極めて大切な分野であるというふうに考えております。日ごろからこうした放送に当たりましては実践的に訓練、研修を積み重ねるということももちろん大事でございますし、それから、今全国にヘリコプター十三機を配備しておりますけれども、こうしたヘリにハイビジョンカメラをすべて据える、いざという場合には迅速に正確でわかりやすい映像、情報をお伝えするという体制を整えるようにしております。

 それから、ことしのことで申し上げますと、気象庁が、地震の初期微動、P波と申しますけれども、これから推定しました大きな地震の揺れを事前に知らせる緊急地震速報というものを予定しております。NHKは、この放送を速やかに伝えて被害の予防に役立ちたいということで、今そうした準備もしております。

 いずれにいたしましても、安全、安心を守るための防災報道、災害報道に全力で取り組んでまいります。

田村副大臣 私の方から、NHKに限らず、放送事業者に対する災害放送の考え方でありますけれども、放送法第六条の二の方に、放送事業者に関しまして、「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、その被害を軽減するために役立つ放送をするようにしなければならない。」とされておりますし、また、災害対策基本法第五十七条には、都道府県知事または市町村長は、災害に関する「通知、要請、伝達又は警告が緊急を要するものである場合において、」「放送事業者に放送を行うことを求めることができる。」というふうになっております。

 これをもとに各放送事業者は都道府県知事等と災害時の放送要請に関する協定を締結していただいているものと承知しておるわけでありますけれども、事実上要請というものがなされたということは、我々としてはまだ確認いたしておりません。それまでにそのようなものを適切に放送事業者がやっていただいておるということであろうと思います。

 それから、平成十六年の新潟県での豪雨の際に、防災行政無線がないという中で大変な災害が起こったということがございました。そこで、消防庁から全都道府県に対しまして、市町村等と連絡会を開催しまして、その中において避難勧告等の伝達体制をしっかり確立できるような検討を要請いたしております。

 その連絡会においていろいろな検討をしていただく中において、また、NHKや地上波放送、地上の一般放送ですね、一般事業者等々百九十三社に対してでありますけれども、積極的にこの連絡会に参加をしていただくような、そんな要請もいたしておるわけであります。

 国民の生命と財産を守る、これは国にとって大変重要な役割でありますし、そのために放送の役割というものは大きなものがあると思いますので、これからも放送事業者の方にそのようなお願いをしていきたい、このように思っております。

萩原委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、災害の報道、これが人命を救う可能性がある、財産を守る可能性がある、そういう意味で、いろいろな方々がNHKの今後の役割の中で災害というものについては大変重視をしている、そのことを総務省サイドにおかれても念頭に置いていただいた上で、今後の国民還元のあり方についても御議論を賜りたいし、逆に、NHKの方にお願いしたいのは、報道や番組内容も当然国民への還元であるけれども、一方で、受信料の値下げということもまた明確でかつ非常にすっきりする国民への還元方法なのである、そのことも念頭に置いた上で、いい形で協議をしていただきたい、この点についてはお願いをしておきたいと思うんです。

 もう一つ、最後になりますけれども、実は、私の仲間のNHKの方々の声の中に、あるいは仲間であった自治体の関係の方々の声の中に、災害との絡みも含めて、NHKの局舎がもつのかみたいな話もあるんですね。岡山の場合には、かつて私が市長をさせていただいたころに、一緒になってかなりいい形で処理をしておきましたので、その感想を伺いながら、今後、NHKという、非常に重要な役割を担っている、特に災害も含めた役割を担っている公共主体として、全国の基盤というものをどう考えていくんだ、そのことについてぜひお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。

    〔谷委員長代理退席、委員長着席〕

橋本参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、岡山のNHKの放送会館、駅前の大変立地条件のいいところへ御指導いただきまして、大変活用されております。地元の方々の御利用率というのも大変ふえている。それからまた、会館設備の内容も、デジタル放送送出というデジタル化に合わせて設備も拡充されております。そういう面で、地域の情報発信拠点として大変役に立っているということでございます。

 しかし、一方、現在、これは例の不祥事による財政が大変危機的状況になりまして、相当の規模の財政難ということになりまして、地域の各放送局のいわゆる更新、建てかえ計画というものをストップしてまいりました。

 現在は、もう実際に自治体との話がその段階で進められておりました数局を除いて、あとは現在未整備の状態ということで凍結しておりますけれども、これから災害という、ここでNHKが果たすべき役割、これをしっかり果たすためにはやはりしっかりした放送局が必要だ、それからまた、当然ながら、新しい時代のデジタルサービスというものにこたえる放送内容にするためにも、内部的な設備、これを含めて新しい局舎が要るということは十分考えております。

 これについては、財政回復状況を見ながら、やはりできるだけ早く回復してまいりたいというふうに考えております。

萩原委員 国民に対するさまざまな還元をしっかり行う上でも、早急に明確な経営改善の目標を設定し、具体的に実行可能計画をつくり、総務省と協議をさせていただいた上で実行されることを期待して、終わります。

佐藤委員長 次に、土井亨君。

土井(亨)委員 自由民主党の土井亨でございます。六番目でございまして、質問も重複するところも多いかと思いますが、お許しをいただきたいというふうに思います。

 先ほど、萩生田委員から大変厳しい御指摘をされました。NHKの改革といいますか、そういうものがまだまだ進んではいないのではないか、そういう御指摘もございました。

 三カ年計画の二年目ということで、一生懸命取り組まれているとも思っておりますし、また、十九年度予算の事業計画等々、いろいろな資料を読ませていただいても、コンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化ということと、視聴者の皆様方の信頼を回復するというような強い意気込みは感じられるんですが、一方通行的な表現なんだろうというふうに私は思っております。

 やはり、一番大切なのは、国民また視聴者の皆さん方が今NHKに何を求めて何を期待しているのか、そういうものをしっかりととらえてNHKの改革というのは一緒に進んでいかなければならないと思っておりますが、その点、私自身ちょっと物足りなさを感じるところがございますので、改めて会長に、会長自身は視聴者が今NHKに何を求めて何を期待しているのかというふうなとらえ方をしていらっしゃるのか、お伺いさせていただきたいと存じます。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 実際にNHKとしましては、視聴者の方々からどのような期待をNHKに寄せているのかという今日的な、現段階でのアンケートといいますか、調査を行って、データを持っております。

 この内容でいいますと、一番率が高いのが、やはり視聴者がいてこそNHKが支えられるんだというこの意識、私も着任以来、視聴者第一主義と言っていますけれども、この意識というものを全協会的に役職員一同が持ってもらいたいということが第一番に挙げられております。それから、次に、不払いの方がそのままほうっておかれていいのか、不公平がないように公平感をしっかりつくってくれというふうなことが二番目にございます。それから三番目が、災害報道あるいは福祉番組、こういう点について、民放ではできないような番組をしっかりと守ってくれというふうな御意見がございます。

 以下、いろいろ項目がございますけれども、やはりここでいえば、貴重な受信料を大事に使っていく、視聴者あってのNHKという姿をみずから我々自身が持つということを求められている。その結果、いろいろ番組も、その視点に立てば、おのずと視聴者の立場に立った番組になっていくし、それから、受信料ということはやはり公共放送としての自主自律の立場というものを形づくる根拠になってくる、そういうところが相まっております。

 したがって、その視聴者第一という意識、これをまず大事にする、また、受信料の中では、公平負担の御理解を徹底していくというふうなことが我々に求められていることだと考えております。

土井(亨)委員 今、視聴者第一、それから公平負担が求められているという、大まか、要点はその二つだというふうに思っております。

 そういう中で、やはりNHKは、受信料は予算の大宗を占めているわけでありますから、国民の皆さんの支持を得て、信頼を得て事業が成り立っている。私自身、そういう考えを持ちながら今の会長のお話を聞いておりますと、それならば、なぜ今、民事手続による支払い督促の実施をやっているのかな、ちょっと順番が逆なのではないかなという思いを常に持っております。

 今NHKが、本当に国民の皆さんから信頼される、そんな新しいNHKに立ち返る努力を真摯に本気になってやっていらっしゃるということであれば、そういうものがしっかりと国民の皆さんに理解された後、やはりNHKは必要なんだ、自分たちが受信料を払うことによって運営されているんだ、そういう納得があって初めて私は民事手続のようなものが理解をされるんだろうというふうに思いますので、今なぜ、受信料がなかなか未払いが多い、そういう中で民事手続を強行すると言うと変ですが、やらなければいけないのか、ちょっと順番が逆だなという思いがあるものですから、NHK会長が視聴者側に立ってどう考えているか、お話を伺わせていただいたところでございます。

 先ほどから問題になっておりました地域スタッフの問題でありますけれども、これはちょっと重複するかもわかりませんが、契約収納費三百五十六億円ですね、これは地域スタッフと事業者への委託関連ということで。これは六千億円の予算からすると相当な金額になるんですが、ずっとこういう形で予算組みをしてきたということは、やはり費用対効果というものも考えながら予算組みをされてきたんだろうというふうに思っていますので、そういう費用対効果という面についてどういうふうな判断をされてこの予算がつくられているのか、お話しいただければと思います。

小林参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の地域スタッフ、いわゆる委託取次収納員でございますけれども、その経費につきましては、十九年度、要員数で申しますと五千六百人を考えておりまして、その経費は十八年度比で八億円マイナスの三百五億円でございます。その他の外部パートを含めまして、御指摘のように三百五十六億円ということでございます。

 こうした地域スタッフ、あるいは、これはもちろん基幹的なパワーでございますけれども、それを加え、その他の、例えばケーブルテレビ事業者の方、あるいは電器店、量販店などの多様な戦力を外部委託してございます。そういったものを活用しながら成果を得ていこうということでございまして、その成果目標としては、十九年度の予算にございますように、契約総数がプラス二十万件、衛星契約もプラス四十万件、それから、いわゆるお支払いいただいていない方の回復を三十二万圧縮したいということでございます。その結果、受信料収入、十八年度比では百九十億円の増収を図ろう、これを成果目標としているところでございます。

土井(亨)委員 成果は上がっているんだという。だとすると、私は、なぜ訪問集金廃止に向かって二十年度以降準備をするというふうになるのか不思議でたまらないんですが、私自身の考え方からすると、ここに矛盾があるんだというふうに思っております。地域スタッフや事業者に委託をして、先ほど萩生田先生がお話しになったように、ただ取れるところから、納めてもらえるところから集金に行って、それでいいんだというような考え方、そしてまた電化店やらいろいろなところに頼んで、不動産に頼んで、引っ越ししたらそこを教えてください、NHKに契約してくれるように頼んでくださいとそこに行く。それだけならば、私は、地域スタッフという人に対しての活用が間違っているのではないかというふうに思っております。

 やはり地域スタッフというのはいろいろな契約形態があって地域スタッフがいるんでしょうけれども、NHKの公共放送としての価値、またあり方、そういうものをしっかりと説明ができるような地域スタッフでなければ、納めていただけるところにはどんどん行って納めてもらう、でも嫌なところには行かないんだということであれば、私は、地域スタッフそれから事業者の委託というものに対してこれからも間違った方向に行くような気がしてならないものですから、あえてちょっとお話をさせていただき、聞かせていただきますが、この訪問集金、それと事業者への委託ということでやられていて、何か問題やら、国民の皆さんからいろいろな苦情がもしあればどういうものか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

小林参考人 地域スタッフにつきましては、全国で現在五千七百人ですけれども、それが日夜訪問活動を続けながら取り組みを進めている。その活動は大きく言って二つでございます。訪問による新しい契約をいただく取り組み、引っ越し等も含めます。それから集金をさせていただくという取り組みでございます。

 我々としては、今、営業コスト削減ということが経営としても重要な課題であるという観点を踏まえまして、そういう中で最も時代に見合った合理的な手法は何かということで、その訪問活動の二つの要素のうちの一つの集金活動を見直しさせていただきたい、それを担っています地域スタッフのパワー等を契約開発等に振り向けていこう、それで一千万という未契約をより解消してまいりたい、そういう取り組みをしているという中でありますけれども、その活動だけじゃございませんで、先生が御指摘のように、地域スタッフというのはあくまでも視聴者の皆さんとの接点の最前線に当たるという活動をしています。したがいまして、当然ながら地域スタッフは、公共放送は何たるものかということを徹底教育させていただいております。そういう中で、その説明をしながらお客様との対話をさせていただく、そこでいただいた声を持ち帰って反映させていただく仕組みはできております。そういった中でやっているということでございまして、もちろん、そういった活動を含めて、地域スタッフというのは極めて重要な戦力であるというふうに認識しておるところでございます。

土井(亨)委員 ぜひ実りのある、実効性のある、NHKとしては、私は、地域スタッフというのは、先ほど申し上げましたとおり、地域の皆さんの声をしっかり酌み取ることができる一番の現場で頑張っていらっしゃる方だと思いますので、その地域スタッフの皆さんの活用と言うと変ですけれども、頑張ってもらう土壌、そういうものをしっかりつくっていただければ、もっともっと私はNHKさんに対する理解度が末端の地域の皆さん方からも上がってくるのではないかな、そういう思いがございますので、よろしくお願いをさせていただきたいと存じます。

 続いて、会長にお伺いをさせていただきますが、この事業計画を見ておりまして、総合テレビは一日二十四時間放送なんだ、衛星放送も二十四時間放送だ、教育テレビは二十一時間放送、まあ基本的にそういう形だというふうに書いてありました。そしてまた、私は、公共放送として一番大切な地域とのかかわり、まさしくNHKさんは津々浦々放送局があって常に情報が全国に流せるわけでありますから、その地域放送というのもしっかりと頑張っていらっしゃるんだろうなという思いがございましたら、地域放送は一日三時間だというような基本的な考え方、事業計画に書いてありました。

 私自身、NHKさん、なぜ二十四時間なんだろうな、二十四時間じゃなくてもいいんではないか、それこそ災害やら緊急なときにしっかり二十四時間報道していただく、これが視聴者の皆さん、国民の皆さんの安心、また情報伝達というものに役立つんだろうと思いますから、それも否定しませんが、通常なぜ二十四時間にこだわるのかなという思いがあります。

 それで、二十四時間やって深夜どのぐらい経費がかかるんですかねというふうなお話を伺いましたら、〇・四億円ぐらいで、再放送が主なんで著作権分ぐらいですねというようなお答えなんですね。だとすれば、私は、何も二十四時間である必要がないと思いますし、その分、視聴者が求めるいろいろな報道、また災害時に対する備え、やはりそういうものにもう少し視点を置かれた方がいいのではないかなというふうな思いもございます。

 また、教育テレビも二十一時間、教育番組を教育テレビで深夜まで見ていらっしゃる方、どのぐらいいるのかな。そういうことからすれば、学校教育の中でのテレビ教育というものの充実を図ったり、もう少し視点を変えることによって教育テレビの充実を図る、総合テレビの充実を図る。

 また、地域放送という意味で、公共放送、まさにいろいろな地域で頑張っているようなところをしっかりと全国に発信していく、そういう視点が重要なんだろうというふうに私は思っておりますが、会長として、その辺についてのお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

原田参考人 お答えいたします。

 まず、総合テレビでなぜ二十四時間放送をするのかということでございますけれども、先ほども災害報道のことがございました、今議員も御指摘でございました。災害報道に当たりましては、いざというときに即お伝えできるという体制が必要でございます。放送をとめてしまいますと、放送を立ち上げるまでにやはり少し時間がかかります。そういう意味では、ライフラインとも言える総合テレビであったり、ラジオ第一放送であったり、こうしたものは二十四時間、今の時代はやはり放送していくことが必要であるというふうに私ども認識をしております。

 それから、地域放送のお話がございました。

 地域放送につきましては、私ども、十八年度から力を入れてまいりましたけれども、十九年度、さらに力を入れてまいりたいというふうに思っております。今、日本の地域社会、どこもさまざまな課題、経済の活性化であるとか、医療の問題であるとか、高齢化の問題であるとか、本当にさまざまな課題を抱えているというふうに思いますけれども、それぞれの地域放送局がその地域のそうした課題に向き合って、視聴者の皆さんと一緒にその地域の先を考えていく、そういう取り組みを十九年度はぜひさらに強めて、そうした放送を全国放送につなげて全国発信をしていくというふうに考えておりまして、放送を通して地域を元気にする、活性化させる、あるいはさらにきずなを強めていく、そういうふうに役立つ地域放送を目指してやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

土井(亨)委員 緊急報道のときに立ち上げるのが大変時間がかかるのでということであれば、それはそれで当然なんだろうと思いますが、であるならば、やはり深夜放送というものをもう少し考えた形で、私も再放送とかよく見るんですが、何でこんなのを深夜に再放送しなきゃいけないんだというものもあると私も感じております。せっかく二十四時間、そういう緊急時のために放送し続けるということであれば、中身ももう少し吟味をしたものをぜひ放送していただきたいというふうに思っております。

 最後に、NHKとよく比較されるBBC、これと比較するのは大変不本意なことだと私自身思います。BBCはBBCの運営があるんだろうし、日本放送協会、NHKはNHKで、やはり日本の公共放送としてのしっかりとしたものを築いていただきたいというふうに思っておりますので、比較は余りしたくないんですが、ただ、やはりNHKの経営委員会というのは生命線だというふうに私は思っております。

 私は、経営委員会というのは、やはり独立性がなければ、運営事業に対して、また経営に対してしっかりとした物が言えないのではないかという疑念も持っているものですから、経営委員会の独立性というものを、これは副大臣、どのようにお考えになっていらっしゃるのか。

 事務局スタッフ七人、これはまたNHKさんの職員だろうというふうに思っておりますので、職員の皆さんが七人のスタッフで、どういう形で独立性を持って、いろいろな情報を収集しながらしっかりとした情報を経営委員会の皆さん方に伝えることができるんだろうかという私自身の思いもあるものですから、経営委員会の独立性と事務局のスタッフ充実というものを副大臣としてどうお考えか、お伺いをさせていただき、また、会長、通告しておりませんが、もし会長のお考えもあればお話をいただきたいと思います。

田村副大臣 経営委員会でありますけれども、現在の体制の中でそれぞれ頑張っていただいてはおるんですが、しかし、結果として、NHKのいろいろな不祥事の問題がある中において、国民的な信頼をNHKは失ってしまったという事実がございます。でありますから、この経営委員会をどのように強化していくか、これはガバナンスの強化、喫緊の課題だというふうに我が省としても受けとめております。

 そういう中での今からの制度整備という話であるわけでありますけれども、今回いろいろと御意見をいただいたりだとか、「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」、こういうものを踏まえて考えますと、例えば、この経営委員会の中において、今までも経営の基本方針やコンプライアンス、こういうものに関しては当然のごとく担当をしていただいておったわけでありますが、これをしっかりと議決事項に追加していこう、こういうようなことを入れたりだとか、コンプライアンス委員会の方はもうできておりますけれども、こういうものを整備したりだとか、また常勤化でありますとか、いろいろなことを進めていくわけであります。ある意味、監査委員会というものをつくってNHKをしっかり見ていこうと。

 当然、こうやって委員会、委員の先生方にいろいろな役割が入ってまいりますと、これは事務局も充実をしていかなければならないんであろう。今の七名という先生のお話ありました、BBCがいいかどうかは別でありますけれども、しかし、今までよりも経営委員会の役割がさらに大きく強くなるわけでありますから、やはりそれに相当した事務局の強化というものは、我々といたしましてもぜひともお願いをいたしたい、このように思っております。

橋本参考人 経営委員会の重要性についてお答え申し上げます。

 特に、今NHKが抱えている中で、経営委員会の監督機能の強化という点は大変重要だと思っております。その中で、今副大臣から御説明ありましたような具体的な措置がとられております。

 現在、経営委員会の事務局については、すべてがNHKの職員ということではなくて、外部の方々も入っていただいて運営しております。NHKの仕事の進め方ということを経営委員の方々にもよく御理解を得るためには、NHKの職員が入っていくという役割もあろうかと思いまして、そういう形になっております。

 それから、委員御指摘のように、経営委員会の独立性というものも大変重要な問題だと思っています。これは、執行部からも独立して、しっかりと執行部を監督するという役目もございます。

 それから、先ほども委員から話がありましたように、いかにして視聴者の声をこの経営委員会の場を通じて執行部に提示するかということも大事だと思います。

 それからまた、当然ながら、NHKは報道機関として、言論の自由といいますか、自主自律という性格も守っていかなければならない。

 こういう点について、BBCの場合も大変考えているわけでありますけれども、やはりそういう面で、経営委員会という機能が、執行部に対して独立した形で、いろいろな立場から独立した形で執行部を指導監督していくという、ここは大変重要なことでありますし、我々も、そういうふうな経営委員会の改革、改善というものを、時代に対応しまして事業運営を行っていきたいと思っております。

土井(亨)委員 終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、あかま二郎君。

あかま委員 自由民主党のあかまでございます。

 先ほど来の議論を伺っておる中で、NHKに対する大変厳しい意見、議論というものが続いております。もちろん、受信料の問題を一つ例にとっても、今現在、約七割の受信料の支払い率、平成十六年末、つまり不祥事前の受信料の収受の率からすればまだほど遠い現況の中で、まだまだNHKの経営改善の努力というものが求められるというふうなことが言えると思いますし、大臣のお話にもございました、この受信料の率というものが国民さらには視聴者の信用をあらわす一つのバロメーターだということが言えるならば、今、ゆゆしき問題、状況にあることを改めてNHKにはまた認識していただきたいし、その認識の上に立って、結果、成果、効果、これが出る取り組みというものが求められるんだろうと思っております。

 そういった観点に立って、幾つか質問をさせていただきます。

 まず、受信料の問題でございますけれども、例の不祥事以降、いわゆる受信料の不払いというものがふえた。一方で、いわゆる民法上の督促ということを踏まえて、ここ一年、二年という中で多少の改善傾向がある。しかし、依然として、現段階でも九十万人のいわゆる不祥事に起因する不払い、一千万の未契約のうち九十万人が、不祥事が嫌だから受信料を払わぬという、そうした事情、理由に起因する不払い者があること、これを厳しく受けとめる中で、そういった方々に対する説明、理解、周知、それから受信料の収受にかかわる、直接的にそれらに結びつく取り組みというものがなされてきたのか、お答えいただきたいと思います。

小林参考人 先生御指摘の、いわゆる不祥事を理由とした支払い拒否・保留の方でありますけれども、今先生もおっしゃいましたように、現在約九十五万件でございます。これは、ピーク時に比べますと、ピーク時は百二十八万でございますので、かなり減少させていただいているところでございます。

 そういう方に対しましては、これまでやってきた取り組みでありますけれども、まず第一は職員による継続的な信頼回復活動。まずは公共放送を御理解いただく、不祥事撲滅をしている旨をお伝えするといった活動を、これまで六次にわたりまして実施してございます。職員を合わせますと、延べ三万五千人の職員が五十万件の視聴者の方々と対応させていただく、電話、訪問等で対応させていただいております。

 また、この支払い拒否・保留の方に対しましては、それ以外にも、当然、特別チームを編成いたしまして、集中的な、御理解いただく活動を展開中でございます。当然ながら、それ以外には、郵便による支払いのお願い、あるいは電話によるお願い等もあわせてやっているところでございます。

あかま委員 今、延べ三万五千人にわたって継続的に、いわば人海戦術でそうした方々に対する理解を求める展開をしているという話がございました。もちろん、そうした地域スタッフと呼ばれる方々が一生懸命なされている、不祥事案に対しての謝罪であり、また今後の再発防止の取り組みというものについて、こういうふうなことを今やっているという話であるんだけれども、そうした戸別、一戸一戸の説明が重要である一方で、経営陣、執行部として、こうしたいわゆる不払い者に対するきちんとした説明、また新たな意思表明というものが必要なのかな、そうしたNHK総体としての意思表示というものがこうした九十万人に対してきちんと示されることが特に重要なんだろうと思っておりますけれども、そうした執行部としての考え、表明というものはどういった形でなされたのか、もしくはなされる予定、考えがおありなのか、お尋ねいたします。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 我々、この不祥事以降の経営を行うに当たって、業務の改革、改善というものが当然ながら柱になってまいります。こういうものについて、十八年度から二十年度にかけての三カ年計画という中で具体的な項目を挙げて改善目標を掲げ、これを着実に実行してきている。この内容自体につきましては、NHKの広報番組等を通じ、またいろいろなマスコミ対応、こういうふうな中を通じて御説明申し上げてきておりますけれども、まだまだ不十分な点はあろうかと思います。こういう点についてはこれからも十分気を配って行っていきたいと思いますし、この計画自体も、やはり現段階でまた新しい改革の方向性というものも打ち出してまいりたいというふうに考えております。

あかま委員 今、十八年度から三カ年のいわゆる経営計画という中でNHK総体としての考え方を示しているというお話がございました。九十万のいわゆる不祥事に起因する不払い者にとって、それぞれの地域スタッフに文句、不平不満、思いを言うのとは別に、やはり執行部にきちんと物を言いたいし、その顔色が見える、見えてほしい、そんな思いであろうと思いますし、さまざまな折につけ、執行部としてきちんとした説明責任であり、経過の報告であり、意思表示というものを期待するところでございます。

 いわゆる未払い、不払いといった中で、そういった不祥事に起因するもの以外に、最近のいわゆる生活形態の変化というんでしょうか、日中に集金に伺ってもいらっしゃらない、夜になってもいない、深夜にならないと帰ってこない、そういった方々に対して、受信料のお支払いを求めに行く地道な努力をされておるんだろうと思います。しかしながら、今、オートロックのマンションであるとか、なかなかそういった受信者にアクセスできない環境という中でいけば、いわゆる面接困難世帯というんでしょうか、そういった方々に対する受信料の支払い率アップに向けた取り組みというのが極めて重要であろうし、それらに対して新規の取り組みとして、こうしています、ああしていますというようなお話がございますでしょうか、お尋ねをいたします。

小林参考人 お答えいたします。

 今先生が御指摘のように、面接困難という問題が我々の活動としては極めて重大なテーマでございます。そういう中でどういう対応をしているか。これは、新規に今、急に新しいものがあるかと申し上げますと、これまで逐年いろいろなものを加味しながらやってきたということでございまして、それらを今はやっているということでございます。

 とりわけ地域スタッフでございますと、例えば、朝早い時間、夜間、休日等を含めて、なるべくいらっしゃる時間を想定して訪問するといった活動、あるいは訪問しなくても収納ができればもちろん一番ベターであるということでございますので、当然ながら、口座振替あるいはクレジット支払い等につきまして文書等でお願いしているということでございます。

 そういった、いろいろな、さまざまな手を使いながらですけれども、なお地域スタッフだけでは困難であるというケースが多うございますので、今御指摘のオートロックマンション、行っても現実にはなかなかお会いできないということがありますので、引っ越し業者の方でありますとかいろいろな外部の方を活用させていただきまして、いろいろな取り組みをしているというのが現状でございます。

あかま委員 今、面接困難世帯についてさまざまな取り組みによってという話、物理的に困難な時間帯、建物についてもうまくという話がございましたけれども、もちろん、この面接困難世帯といった方々、いわゆる未契約と呼ばれる方々に対しては、恐らく一番は、公共放送のあり方、公共放送の支え方、いわゆる善意によって支えられているこの制度に対する理解というものが不十分なんであろうと思っております。

 NHKが、先ほど来お話しございました公共放送としての役割、その存在意義は依然としてこれまで以上に引き続きあるんだという強い意思がある中で、NHKのその存在、役割、意味、意義というものをしっかりと周知すること、そんな形が望まれるのであろうし、そうした取り組み、アプローチについてはいかがなっていますでしょうか、お答えいただければと思います。

小林参考人 NHKは、これまでも相当な活動を行いまして、受信料制度あるいは公共放送への御理解をいただく活動をしておりますけれども、残念ながら、まだ公共放送そのものを必ずしも御理解いただいていない方もたくさんいらっしゃるということでございまして、そういった方に対して、放送、あるいは一部新聞等での広告、あるいは訪問活動の中で、いろいろな活動でNHKを理解するようにいただいているということでございますけれども、実は、まだ未契約あるいはお支払いいただいていない方の理由の中に、隣が契約していないから契約しない、あるいは払っていないから払わないといった方もいろいろいらっしゃいまして、なかなか説明、説得に苦慮する部分はございますけれども、我々としては、これは粘り強く公共放送の存在をアピールさせていただきながら、契約・収納活動にもつなげていきたいというふうに考えているところでございます。

あかま委員 今、制度の周知についてはきっちりとこれまでどおりというお話がございました。先ほどの話で、いわゆる不祥事に起因する九十万、この改善が一生懸命やりながらもまだまだですと。一方で、面接困難世帯、これに対して、あれやこれややりながらも、いわゆる抜本的な改善策、これが見当たらないという話だ。

 一方で、いわゆる未払いの中には、経済的事情で払えないという方がいらっしゃろうかと思いますけれども、この不払いについて、実態というのはどの程度であり、なお、今のいわゆる景気状況、動向というものを踏まえるならば、経済的事情、これによる不払いというものは今後どうなると見通しを立てていらっしゃるのか、お尋ねいたします。

小林参考人 経済的理由でお払いいただけない、あるいは契約いただけない方については、残念ながら数そのものは特定できておりません。NHKの営業活動、契約・収納活動におきましては、経済的理由をこちらからお伺いするわけにはなかなかまいらないということでございまして、そのことを申し上げられる方はいらっしゃいます、そういう方につきましては、丁寧に、あるいは繰り返し繰り返し、やはり受信料収入についてのお願いをするということでございます。

 なお、もちろん、生活扶助等につきましては規定により免除がございますけれども、それ以外の方につきましては、お支払いを繰り返しお願いするということになります。

 それから、これからそういう方たちがどういう傾向になるのかということでございますけれども、それにつきましても、我々としては、どういう形でふえるか、経済変動がございますので何とも申し上げられませんけれども、これからも、そういう経済的理由を理由にしましてお払いいただけない方が、決して減ることはないというふうに考えております。

あかま委員 今お答え、お話がございましたとおり、いわゆる経済的な事情による不払い、これも決して減ることはないだろうという話。一方で、いわゆる物理的な事情で払ってもらえない、また、不祥事に起因して払わないという方、そういった受信料の収受率というんでしょうか、支払ってもらう率が早急に改善できない状況の中で、いわゆる支払い率が、十八年度が七一・一%、新年度、十九年度には七二%を目標としている、見通しをしているというお話でございますけれども、不祥事前が八割の受信料の支払い率であったことを考えるならば、先ほどの質疑の中にもございました、しっかりとしたいわゆる目標、数値、年度、率というものが掲げられない限り、なかなかその状況というものは変わらないのであろうと思っているし、新年度以降についてはこれからという話なのか、八割を目指す努力についてはこうしますという確固たる意思があるのか。

 冒頭お話し申し上げたとおり、この受信料の支払い率というものが、いわゆる視聴者・国民の信用、これにニアイコールだということで考えれば、このアップというのが緊急の課題なんだろうし、それを明示することは当然なんだろうと思っております。これについての見解をお聞かせいただければと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 この信頼回復、いわゆる受信料収納面での財政回復という点につきましては、これが信頼回復のバロメーターであるということから、大変重要な努力が必要なものだと考えております。一たん非常に信頼を損ねたわけでございますから、そういう点で、この回復努力というのは並大抵のものではないと私は考えております。しかし、三カ年計画の中で、およそ十九年度百億、二十年度百億という具体的に受信料収納の目標を掲げながらこれを進めてまいったわけでございますけれども、一層こういう支払い率を高める努力ということは、これは私、緻密な努力で着実に積み上げていくしかないというふうに考えておりますし、その一方、当然ながら、非常に効率的な収納の方法論、こういうものも編み出さなければならないと思っています。

 それから、あかま委員御指摘の周知活動についても、大変NHKはこれが足りなかった点ということを考えておりますので、よりアピールの度合いが強い方法、こういうふうなものも、現在NHKの中でタスクフォースをつくって行っているところであります。

あかま委員 今、NHK会長の方から御答弁ございました。

 先ほど私、質疑の中でこういう話をしていたと思います。いわゆる不払い者に対してきちっと説明していく、いわゆる地域スタッフの努力とともに、見える形で執行部が意思を示すことが肝要だという話。会長も御理解いただけたと思う。受信料のいわゆる支払い率について、今七一%です、七二%です、では、不祥事前の八〇%に戻すならあと八年なのかと、単純にそう思ってしまう。ならば、いわゆるマニフェストではないけれども、数値目標をきちっと掲げる、そのことによって執行部としての意思、これを明確にする必要があるのではないか、そう考えますが、改めて御答弁お願いします。

橋本参考人 今申し上げました三カ年計画というのも、実効的にほぼ一年前倒しの形で財政的な回復も実現してまいりましたので、当然ながら新しい経営計画というものを、二十年度をスタートとして、当然、その後の完全デジタル時代を見越したところまでスパンを広げて、中期的な計画というものをつくらないといけないと思っています。この中で、いわゆる我々の具体的な努力目標というものも、しっかりと数字で数値目標というものを掲げて示してまいりたいと思っております。

あかま委員 今、会長の方から、中長期的な経営目標を掲げてというお話がございました。先ほど来の議論を踏まえる中でいけば、過去一年という中でNHKの改革、努力はしてもその成果というのが視聴者に国民に見えづらいということであるならば、総務省として、今のNHKの取り組んでいる努力また改善計画について期待するところ、さらには、より一層ハッパをかけたいと思うところがあれば、御所見を伺いたいと思います。

田村副大臣 今も委員の方から、なかなか数値が見えづらいというお話がございました。できれば、目標がわかりやすいような数値を出していただければというふうには思います。

 あわせて、今、例の義務の明確化の問題、この問題とあわせて受信料の引き下げという問題もございます。ここら辺、やはり国民の皆様方の信頼というものであるならば、みずからひとつそういう目標をしっかり立てていただきたい。受信料を、例えば義務化という話であるならば、それに対してあえて二割引き下げる、こういうみずからの不退転の決意を出していただくことによって国民の信頼を取り戻していただきたい、そういう方向性もあるのではないかと我々は思っております。

あかま委員 質疑時間が終了いたしました。

 今、総務副大臣からのお話、お答えありましたとおり、きちっとした明確な意思表示、数値というものが出て信頼回復たり得るんだろうと思っております。ぜひ期待をいたします。

 以上です。

佐藤委員長 次に、橋本岳君。

橋本委員 自由民主党の橋本岳でございます。

 大変質疑も長くなっておりまして、皆さんお疲れの色も見えるわけでありますけれども、会長それから石原委員長もお越しいただきまして、ありがとうございます。もう二人でございますので、よろしくお願いいたします。

 それから、先に申し上げますが、田村副大臣は、最後に所感を伺いますので、ぜひ集中をしておいていただければと思っております。

 今、質問に向けた資料を配っていただいておりますけれども、そちらを見ながら質問させていただきたいと思っております。まず、平成十七年度NHK約束評価の報告書というのが出ました。こちらについて伺わせていただきます。

 ちょうど、ほぼ一年ぐらい前の同じこの総務委員会の場で、このNHKの約束の評価について私から橋本会長それから石原委員長にも質問させていただきまして、資料一としてそのときの抜粋をつけさせていただいております。昨年の三月で、そのときはまだ報告書はできていなかったわけですけれども、こうして六月に報告書がまとまりまして、しっかり目を通させていただいた次第でございます。ところで、会長はごらんになりましたか。では、ごらんになっているということで、その前提でお話をします。

 これは内容がとても充実していて、興味があるいろいろなデータが出ておりますので、ぜひ皆さんごらんいただければいいんじゃないかと思っておりますが、昨年の質疑におきまして私から、この評価というのをどのように受け取られますかというようなことを聞かせていただいたときに、「できるだけ早く迅速に可能なものから結果を経営の中へ反映してまいりたい」という形で会長から御答弁をいただきました。

 昨年の六月に報告は出たわけですから、きょうの議題の十九年度予算に反映されているだろうと思うわけですけれども、どのあたりで反映されているか教えていただければと思います。

橋本参考人 お答え申し上げます。

 私も、いわゆる約束評価活動といいますか、これに大変力を注いでいるところでございます。これはなぜかといいますと、やはり基本的には視聴者の方々に対して約束を示して、それに対する評価をいただくという、一つの視聴者との回路といいますか、これが形成できるというふうに思っております。この役割以上に、そこでいただいた内容で我々の努力すべき目標というものも立案できる、そういう点でこの運動というものをスタートさせたわけであります。

 着任早々やってきたわけでありますけれども、大変難しいのは、物づくりと違って、放送という非常にイメージ的な努力目標というものをどう定量化するか、数値化するか、これが大変難しい問題でございました。そういう点で、この約束評価にかかわっていただく先生方にも、まずは、そういう一種の文化的活動といいますか、そういうふうなものをどう数値化するのかという手法開発から始めていただいたわけでございます。そういう点で大変時間はかかっておりますし、現段階でもなかなか数値化が難しいところがございます。こういうところは、継続して、どのような手法があるかを考えていただいています。

 やはり具体的なそういう評価というものを経営の中へ反映するという考え方をどう実現するかということが大事になりますので、この実効性というものをどう重要視するかだと思います。はっきり言いまして、PDCA、これを経営の中へどう取り込むかということについて私は重要視しておりますし、この中ではやはり、具体的にいただいた評価が悪い点、不正の根絶、こういう点については実際のコンプライアンス経費として十九年度の予算の中に埋め込むとか、あるいは、放送時間帯の視聴時間というテーマにつきましては編成上これを盛り込む、そういうふうな具体的な計画としてこれを使ってございます。

橋本委員 言い忘れましたけれども、余り時間が長くないので、答弁は簡潔にお願いしたいと思います。

 コンプライアンス経費など、あるいは編成などに生かしておられるということでありまして、それ自体はいいことだなと思います。今おっしゃったように、本当にこの評価委員会の委員の方々は御苦労されたんだと思います。すごい熱心にされて、私は高く評価をしたいと思っているんです。

 ただ、ちょっと限界がどうしてもあるところがある。それは、去年、ちょうど私の質問の方にも指摘をさせていただいているんですけれども、要するに、客観的に数字で今現状はこうですというのが出ました、いろいろな形で集めました、それについて、よかったのか悪かったのかという判断をする判断基準というのがすごく大事ですという指摘をたまたまさせていただいております。二重棒線を引いてあります。

 ところが、資料の二の方をごらんいただきますと、一つの例ですけれども、顧客期待度と顧客満足度という囲みの記事の部分でありまして、ここで、顧客期待度については八〇%より上のものを五段階評価の五にする、それから、五、四、三、二、一と二〇%ごとに区切るのだと。しかしながら、顧客満足度については、いろいろ理由は書いてあるんですけれども、全体の五〇%を超えて満足があれば五段階の五だ、高い評価だと言っていいのだ、そういう形でやりますよというふうに書いてあるわけであります。

 この辺のことは決めごとですから、こういうふうに決められてやったということが書いてあることはいいことですが、要は、この満足度が例えば五五%だとか五二%だった、では五段階評価の五でいいのかというところはやはり議論があるだろうと思うんですね。そういう形で、これは客観的な判断基準だと言いがたいと私は思っています。別に、これが間違っていると言いたいのではなくて、こういうところに甘さが残っているという意味です。

 これは委員の方々も多分作業をされている中でお気づきになったのだと思いますが、資料三の方、三枚目になりますけれども、報告書の一番最後のページのコピーでございます。アンダーラインのところを読みますと、「個々の約束に盛り込まれたものには抽象的な内容のものが多く、全ての評価項目や評価基準に定量的・客観的な指標を設定して評価するには相当の困難が伴った」ものと。いや本当に苦労されたんだと私も思います。それで、その下、「より明確かつ定量的な要素を含んだ目標を付加していくことが必要である。」こういう指摘があるわけであります。

 これは昨年の六月に出た平成十七年度の評価ですから、その次に出るのは平成十八年度の約束になるわけですけれども、一枚めくっていただくと、その平成十八年度の約束があります。明確かつ定量的な要素を含んだ目標というのがないんですね。だから、評価を反映させていくのだとおっしゃっていただいているんですけれども、この約束のメカニズムについて評価委員会の方が一生懸命努力をされたことが反映されていないということになるわけであります。これは大変残念なことです。でも、一カ月しか時間がなかったんだからできなかったんだとか、そういうこともあるのでしょう。

 ですから、過去について伺おうとは思いませんけれども、またことしも、六月、七月になりましたら平成十九年度の約束というのを出されることになろうかと思います。これについて、ぜひ、この評価委員会の先生方が書かれたように、定量的かつ具体的な目標というのを掲げていただきたい。これまでにも、きょうの議事でもありましたけれども、決して徴収率だけが目標じゃなくて、いろいろなことをNHKは公共放送でやっている。その目標というのを数値化する、そのための検討をこの委員の先生方はたくさんしてくださったわけですから、どこを目指すんだということをしっかりあらわしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

橋本参考人 現在、具体的に十九年度の約束というものを策定中でございます。これがまた近々のうちに発表できるようになろうと思います。

 この十八年度、先ほども私が、非常に定量化できない、数値化しにくい目標があるというのは、例えば特に番組面で、NHKだからできる放送というのはどういうふうに数値化したらいいのか、こういう点を視聴率とは違う形でどうあらわすか、こういう困難性があります。一方、非常に数値化しやすいもの、例えば番組の字幕率とかあるいは国際放送の英語化率、こういうものは年度計画でしっかりと数値化できるんですが、そうでないところも含めて、現在、この項目をブレークダウンして、どういうふうに数値化可能かという手法を探っていただきながら、十九年度はより数値化できやすい目標にして策定中でございます。

橋本委員 数値化されているんですよ。一生懸命アンケートされたり何されたりということで、どう指標ではかるかというのを具体的に提案されているわけです。それに、どこを目指すのかというのを、目標を設定するのはNHKさんですから、難しいとか困難と言うだけではなくて、やってもらっているんですから、それにちゃんとこたえていただきたいと思いますし、そうでないと意味がないなと、大変残念に思います。

 次に移ります。

 その報告書の中で、六ページ、資料五をごらんいただければと思うんですけれども、不正の根絶や説明責任について、視聴者は期待半分、懐疑的な見方半分、そういった見方をされています。あるいは、透明性、説明責任を重視する事業運営というものについて、満足度は一四・八%にとどまっている、そういう厳しい指摘があって、信頼回復、道半ばであるということなんだと思います。こういうところにも出ています。

 ところが、これは残念なことですけれども、資料六をめくっていただきますと、NHKさんとしてはいろいろな努力をされている、ただ、しかしながら、経営委員長が社長をされている東京海上日動火災が時を同じくして保険金の不払いなどの不祥事ということが出ておりまして、なお調査中でもありますし、また、これは資料に間に合わなかったんですけれども、きょうの朝のNHKさんのホームページにこれは載っていたんですけれども、東京海上日動には三カ月程度の業務停止、一部の業務停止をするよう命じることを軸に調整していますというのがきょうのNHKのサイトに出ていました。

 このような状態にある中で、もちろん、東京海上日動さんの信頼回復の取り組みというのは、それは社長でされると思うんですけれども、信頼回復に取り組むべきNHK、その最高意思決定機関である経営委員会の委員長の会社がこのような状況にあるということは大変ふさわしくないことではないのかなというふうに思っているんですが、このことにつきまして、経営委員長にどのように責任を考えておられるのか、それから会長にも御所感をお伺いしたいと思います。ちょっと短目にいただければと思います。

石原参考人 私ども損害保険業界における一連の問題につきまして、保険契約者を初め関係各方面の信頼を損ねておりますこと、まことに反省いたしております。猛省している次第でございます。現在、東京海上日動個社はもちろんでございますけれども、損害保険業界全体を挙げまして、この信頼回復に向け、工程を定めまして具体的策を講じ、日々懸命に努力しているところでございます。

 一方、この点につきましては、NHKの経営委員長としても全く同じ姿勢でございます。NHKの改革、ある意味ではまだ緒についたばかりぐらいの気持ちを持ちまして、NHK改革の取り組みをさらにスピードを上げて推進していくことが私に課せられた使命であると日々努力している次第でございます。

橋本参考人 今、経営委員長御自身からお話ございましたように、この責任というものを深く自覚なさいながら、NHKの経営委員長という職責につきましても真摯に取り組んでいただいていらっしゃるというふうに承知しております。

橋本委員 まだ調査中、あるいはこれから処分が出るところということでございますから、またそれを受けてお考えがあるかと思いますけれども、NHKにとってはふさわしくないことだと思います。ぜひ猛省をと思っております。

 ちょっと時間がないのではしょりますけれども、資料七をごらんいただきたいと思います。

 これは、菅大臣の義務化とそれから二割受信料削減というのはセットだというような発言に対するコメントとして、会長の三月一日の記者会見の要旨の抜粋、それから、同じ三月一日の、NHK経営委員会「放送法の改正に対する経営委員会委員の見解」よりの抜粋というのを抜かしていただきました。

 ここで、会長のコメントの方で、「視聴者への還元策を検討し、九月に示していく。」ということで、すぐ回答できないんだということをおっしゃっておられるわけです。これはなぜかということを聞こうと思ったんですが、ちょっと時間がないので飛ばさせていただきまして、ここに書いてあることを読み上げると、「受信料の今後の収納状況、公共放送事業を実施していくために真に必要な経費を精査したうえで、」云々、還元策を九月にということを会長はおっしゃっておられますが、そもそも受信料義務化の話というのは去年の政府・与党合意で、それは七月の話ですね、議論されている。

 当然ながら、議論はその前からあったわけでありまして、何で今ごろ、受信料の今後の収納状況を見ないといけないのだとか、あるいは、NHKは公共放送というのを五十年ばかりしてきていると思うんですけれども、「公共放送事業を実施していくために真に必要な経費を精査したうえで、」というのは、何でことしの三月一日になってこういう言葉が出てくるのか、私にはわからないんです。だって、ここで必要な経費を精査するのだとおっしゃるのであれば、きょうのテーマになっている平成十九年度予算は精査されていないのかという話に私は思えて仕方がないんですね。総務大臣がやむを得ない内容と認めるという冒頭の発言がありましたが、私もその気持ちがわかる気がするんです。

 あるいは、その下の方の経営委員会委員の見解、これは委員の見解であって委員会の見解じゃないのがよくわからないんですけれども、「フルデジタル時代を目前にNHKの放送・サービスはどうあるべきか。NHKは視聴者にいかなる公共放送の価値を提供すべきか。」何で今ごろこんな問いかけをしているんですか。公共放送、五十年やっているんですよね。アナログ放送がデジタル放送になったって、公共の価値というのはそんなに変わると僕は思いません。それをもう持っていて、示しているのがNHKさんなのではないか、そうあるべきではないかと思うし、今ごろこういった見解が出るということは私にはよくわからないのであります。

 改めてお伺いします。NHKが果たすべき公共放送としての役割というものをどのように思っておられるか、会長及び委員長、お答えいただけませんでしょうか。

橋本参考人 公共放送としての役割につきましては、今委員がおっしゃったように、その公共性という内容、言葉の中にあります視聴者・国民から期待されるところ、災害放送等のライフライン、生命財産を守る非常時の放送だとか、そういうふうな個々の役割がございますけれども、基本的には、国民・視聴者の方々の生活をどう守っていくのかという放送だと考えております。

 その中でいろいろ、当然ながら、必要な緊急情報も流し、また、日常的に必要な生活に密着した情報も提供し、また、日々の生活を力づける番組、こういうものを提供してまいりたいと思いますし、従来の放送法にあります、分け隔てなく国民・視聴者の方々に提供していく、これが公共放送の変わらぬ役割だと存じております。

石原参考人 先ほど先生が御指摘されました約束評価委員会の資料がございます。まさにこの資料三でございますね。公共放送を実現するバリュードライバー、企業価値創造要因ということが書いてございますけれども、言ってみれば、公共放送にふさわしいコストというものはどのぐらいであるかということにつきましては、公共放送そのものの定義によって随分変わってまいります。私は、公共放送とは、人々の判断の材料になる一つの基準を提供すること、また、日本の文化をはぐくみ、さらにそれを継承していくこと、さらにそれを世界に発信していく、いろいろな要素があろうかと存じます。

 そういったNHKの公共放送としての目的を達するためのコスト、これにつきましては、不断の努力の中で低減化に努めますとともに、現在、受信料が相当低迷しているわけでございますから、これを回復するためにより一層努力する必要がある。そのためのコスト、そして支払いについてのシミュレーションというものを一刻も早く算定しながらあるべき受信料の姿というものを出していくべきではないか、こういうことを申し上げているところでございます。

橋本委員 後の経営委員長のお話というのは、これはわかるんですね。そういうことはちゃんと試算しないといけないんです、だから早急に答えられません、だったらそうおっしゃっていただければいいのであって、新たな公共放送のあり方云々なんという言葉は要らないんじゃないかと思いますし、逆に約束評価報告書の方でも、これは資料をつけていませんけれども、当事者としてのNHKがどう考えるかは、新たな公共放送のあり方についてNHKはどう考えるかを打ち出す時期に差しかかっているという指摘もされている。これも半年前の話ですね。その新たなものを打ち出すにしろ、今までのものを守っていくにしろ、そこのところを今から考えていくのだというようなことは、私には残念な答弁だな、もしくはお考えだなという考えを持っております。いろいろな努力をされているということは理解をいたしますので、まさにやむを得ないものかなというふうに思うわけであります。

 最後に、ちょっと時間がもうオーバーしていますけれども、田村副大臣、総務省として御所感をいただければと思います。

田村副大臣 放送の公共性というものがあり、さらに公共放送は、公共放送でありますから、それ以上に公共性というものは非常に高い。でありますから、受信料というものでNHKの財政というものが成り立っておるわけでありますが、それが非常に支払いの率が悪くなってきておるというのは、今ほど来いろいろなお話があったNHKの信頼性の問題であるんだと思います。それもすべてではないにしても、大きな一因であると思います。

 そういう中において、それを上げるための一つの義務化、もちろん公平性という意味もあります、それを図ろうという流れの中において、当然、それでは支払いの方をどうするのか、受信料の支払いの金額をどうするべきであるか。これは、我々としては、もう大臣が以前から申し上げておりますとおり、引き下げるのがワンセットである。それはなぜならば、やはりNHKという公共放送が国民の皆様方の受信料で成り立っているのであるならば、それの引き上げ、つまり受信料支払い率が上がるということを前提に考えるならば、当然のごとく、その利益をだれに還元するんだ、それはまさに公共放送の受け手である国民の皆様方、視聴者の皆様方であり、契約者の皆様方でありますから、そういうことをぜひともワンセットでこれからもNHKはお考えをいただきたい、これが感想でございます。

橋本委員 以上で終わります。

佐藤委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、NHK予算について、基本的な課題について私の方から質問をさせていただきたいと思っております。

 早速に質問に入らせていただきます。

 NHKに関するさまざまな問題、これは平成十六年夏以降に発覚した一連の不祥事を契機としまして、国民・視聴者の皆様から集めた受信料が果たして適切に使われているのかといった点につきまして、国民・視聴者の間で不信感が高まったことによるところは大きいと思います。

 現在、NHKには最高意思決定機関としまして経営委員会が設置されております。この経営委員会の定めるところに従って会長以下が業務執行をする仕組みとなっておるわけでございますが、しかし、この三者がきちんと役割分担をして適切に協会の監視機能といいますか、ガバナンスをきかせてきたのか少々疑問でございます。NHKはみずからのガバナンスの現状についてどのようにお考えか、まずお答えしていただきたいと思います。

石原参考人 まず経営委員会の方からお答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、経営委員会は、放送法に定める重要な責務を果たすべく設置されているわけでございまして、主たる任務と申しますか、あくまでも中立あるいは多様な立場から、なおかつ国民・視聴者の立場に立って、NHKの執行に対する監督を強化するということにあろうかと存じます。

 それに向けての努力でございますけれども、NHK経営委員会の個人の努力はもちろんのこと、私ども現在やっておりますのは、先ほど来出ております、例えばNHKの経営委員会に直結しておりますコンプライアンス委員会、ここに第三者の知見を活用する。あるいは、評価・報酬部会あるいは指名委員会等の委員会をその中に設けまして、先ほど申し上げました実効性をより高めるための努力を行っております。そのための資料あるいは情報の収集等につきましては、経営委員会の事務局の充実によって行っているところでございます。

 まだまだそれに向けての努力は必ずしも十分ではないとみずから認識しておりまして、さらにその努力を継続することによりましてガバナンスの効果を上げていきたいというふうに思っているわけでございます。

 一方、私ども経営委員会が指名いたします監事という制度がございます。監事は、NHKの執行業務につきまして、日常業務を踏まえながら、業務内容を監督し、その監査の結果というものを別の立場から、執行部とは、あるいは経営委員会とは独立した立場から経営委員会に報告をいたします。この内容をさらに踏まえながら、先ほど申し上げました執行部、そしてNHKの経営委員会、監事、これが三位一体となって、公共性の追求に向けて、あるいは視聴者の皆様の利便性に向けて努力している、こういう仕組みでございます。

 その道についてまだまだ不十分であるというようなことであることにつきましては、我々としてはさらに一層の努力をしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。

江田(康)委員 今ございましたように、このガバナンスの機能強化につきましては、今回の総務大臣の意見におきましても、経営委員会が指導的役割を果たすべきことが述べられているわけでございます。また、去る三月の一日には、経営委員会がみずからのあり方についてその見解を公表したということは承知しております。先ほども申されましたように、法改正を待つまでもなく、この事務局の強化など、みずからできることも多いわけでございますので、そのような方向でさらにこの強化を図っていかれるものと思ってはおります。

 総務省にお聞きいたしますが、現在、経営委員会の抜本的な強化に向けて、必要な制度的な検討を行っていると聞いております。現在のNHKのガバナンスの現状等を踏まえて、今後どのような姿勢で取り組んでいく考えなのか。これは田村副大臣にお願いいたします。

田村副大臣 先生おっしゃられましたとおり、NHKをどうしていくかという問題、経営委員会の強化という問題を含めて、「通信・放送の在り方に関する政府与党合意」等々でいろいろな議論をいただきました。

 それを受けまして、例えば、会長等の執行部に対する経営委員会の監督権限の明確化でありますとか、経営委員の一部を常勤とすること、さらには、コンプライアンス体制の整備を経営委員会の決定事項とすること、また、経営委員から構成される監査委員会の設置や外部監査制度の導入、このような措置を通じて監査機能を強化していくこと、いろいろなこのようなものをこれから放送法改正の中に盛り込みまして検討を進めてまいりたいな、このように思っておるような次第であります。

江田(康)委員 今、田村副大臣がおっしゃいましたように、この経営委員会の権限の強化等を初めとするそういう取り組みは、今後放送法の改正等でも審議をしていくことになるかと思いますので、その議論についてはそこの場でと思っておりますが、やはり今回、国民の皆さんの間で不信感が高まったことによって受信料等においても大幅に低下しているというようなこともございますので、しっかりと国民に向けて説明責任を果たしていくという意味で、このガバナンスの強化は非常に大事な観点であるかと思いますので、しっかりと審議を進めてまいりたいと思います。

 余り時間がございませんので質問を先に進めさせていただきますけれども、次に受信料の関係についてお伺いをさせていただきます。

 平成十九年度の収支予算における受信料の収入というのは、前年度と比べまして百九十億円の増加はございます。回復傾向にあるというのはわかりますが、依然として、先ほどから審議いただいておりますように、不払い比率というのは約三割に上っておるわけでございまして、支払い者にとって不公平感が生じているのも事実でございます。

 この不払い比率約三割の内訳は、先ほどからもございますけれども、未契約件数が一千万件にも上る、二一・七%でございます。また、支払い拒否を含めた未収件数というのも三百二十五万件、七%にも上る。そういう不払い比率が三割にも上っている、このことが不公平感を生じさせているわけでございますが、この不公平感を放置しておけばやはり受信料制度の崩壊にもつながるわけでございまして、政府において制度的な措置を検討することは必要と考えておりますが、同時に、NHK自身も、受信料制度の意義を理解してもらう努力を重ねていくことが大変不可欠であると思っております。

 そこでお伺いをしたいわけでございますが、NHKにおかれましては、この受信料の公平負担に向けてこれまでどのような施策をとってきたのか、また、その効果がどの程度であったのか、改めてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

小林参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、NHKとしてどんなことが自主的にできるのか、今はそれを徹底してやることが最大の課題であるというふうに考えておりまして、その意味で、何よりも受信料の公平負担に徹する施策をやっていくということが大事だということでこれまで取り組んでまいりました。

 支払い者率の向上のためには、職員による信頼回復活動の継続実施、あるいは電話、郵便による繰り返しの支払いの御請求、あるいは、最後まで御理解いただけない場合は民事手続による支払い督促の実施に着手しております。この民事、第一次を既に都内を中心にやってございますけれども、三十三件の支払い督促の申請に対して、既に二十五件の方から支払い済み、あるいは支払いのお約束をいただいております。

 それから、契約水準の向上、契約率の向上に関しましては、これも当然ながら、視聴者の在宅時間を踏まえました訪問活動を徹底する、あるいは不動産会社等、外部パワーを活用させていただくといったことで契約率向上に努めているというところでございます。

 こうした支払い者率の向上あるいは契約率の向上のための施策がそれぞれ相乗的な効果を発揮し始めているというふうに、もちろん十全ではございませんけれども、一定の向上につながっていると考えております。

 収納水準につきましては、十七年十一月末の支払い拒否・保留者百二十八万件がピークでありましたけれども、現在、九十五万件にまで減少してございます。さらに、その支払い拒否者を含めます未収者総体につきましても、ピーク時は十七年十一月末、三百九十八万件でございました。これがこの一月末では三百二十五万件という形で減少をさせていただいております。

 また、契約水準の向上につきましても、契約総数、これは十七年度四十四万件減少してしまいましたけれども、十八年度、今年度につきましてはプラス一万件の見込みでございます。プラスに転じると。また、衛星契約の方につきましても、目標どおり三十五万件の増を図れるというふうに考えております。

 そういった成果を得られておりますけれども、なお、まだまだこれから取り組むべきことは多いということで、自主的な努力は徹底して続けてまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 今、支払い率の向上また契約率の向上に向けて努力をなされている中で一定の効果があるということでございますが、その曙光というか、そういうものが見えてくるのはなかなかまだ難しいものではあるなと思いますが、この受信料を広く受信者に負担してもらうため、受信料体系の見直しというのも喫緊の課題であると私思います。

 今回の総務大臣の意見でも指摘されております事業所に関する契約につきましては、例えば、ホテルにおいてはグループによって支払い率に大きな差があるという報道もなされているところでございます。あるところでは八〇%、あるところでは五%というようなかなりな大きな差があるということも聞いております。また、まじめにホテルの全部屋分の受信料を支払っても、一方で地上契約については大口の割引がない、そういうような見直すべき点もあるのではないかと思います。

 今後、この事業所に設置された受信機を正しく把握し、今までなかなかそれが把握されてこなかったというようなことも報道がなされましたけれども、どのような事業所向けの受信料体系を構築する予定か、そこのところを含めてお伺いをしたいと思います。

小林参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、ホテル、病院につきましては、いわゆる事業所契約と称してございますけれども、契約率がまちまちであるという御指摘を報道でもいただきましたし、会計検査院の御指摘もいただいたところでございます。

 そういった点を踏まえまして、事業所の受信料体系につきまして、新しいルールを設けまして公平負担を徹底していこうということで、平成二十年度中に受信料体系を見直すことを目標にしまして検討するということを先月公表したところでございます。

 具体的には、テレビ設置数の申告を求めまして、適正な申告をいただいたということが確認いただければ、敷地内の設置場所全数分、何契約あるか報告をいただきまして、その全数分をお支払いいただくときに限りまして、衛星契約あるいは地上契約ともに、敷地内の二契約目以降の受信料を半額程度としたいというものでございます。そういう形で検討を今進めているということでございます。

 なお、申告の際に、ではどうやって確認するのかということがございますので、例えば設置場所の見取り図をいただくなどにより、契約が全数分であると把握したものにつきましてそういう措置を講じていきたいということで、そういった形で、より公平負担の徹底と、多数契約についての割引制度を設けていきたいということでございます。

江田(康)委員 このような努力すべきことが大変残されていると思うんですが、事業所等の契約においては、今もありましたように、平成二十年度から、受信料体系を見直す中で、テレビ設置数の申告に従って割引もしていく、半額にもしていく、そういうような対応をなされるということでございますので、期待はされるところでございますが、公平な負担というものに向けて努力をしていく、これがまた今求められているところだと思いますし、そういうものが国民の不信をなくす大変重要なところだと思います。

 世帯また事業所を問わず不払いを減らすということによって受信料収入が増加すれば、そこに時間的な誤差があるかどうかはわかりませんけれども、いずれはこれを国民に還元していくというのはやはり大事なことではなかろうかと思います。質問はいたしませんけれども、今焦点になっている受信料の引き下げ等、それを含めて、この還元方法というのもいずれ国民にも示していくべきものであると私は思うわけでございます。

 今後の放送法の改正の中で、そこのところはさらに深く審議をしていくべきところであると思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 時間もなくなってきましたが、私、NHKのアーカイブスというのは大変好きでございまして、先ほどもお話がありましたけれども、NHKの「新日本紀行」等を初めとして、自然とか科学、また歴史、文化、そういうものに関する番組というのは私もよく見させていただいておりまして、多くの人の心を動かす、大変すばらしい内容のものがございます。NHKの放送番組というのは、やはり公共放送でございますので、このような番組は国民共有の財産というように思います。

 NHKは、これまで長い放送の歴史を通じてたくさんの放送番組の蓄積があると思いますが、国民の皆さんも大変関心を持っているのは、どれほどの番組アーカイブをどのように保存されていて、また、これからどのように活用されていくのか、そういうところにおいて御意見をお伺いしたいと思います。

原田参考人 お答えいたします。

 放送番組をアーカイブスとして保存して継承し、さらに活用していく、そのことは公共放送の大切な役割であるというふうに日ごろ考えております。

 現在、NHKが保存している放送番組は、番組の数につきましてはおよそ五十七万番組、それからニュースの項目については三百六十五万項目というものでございます。

 これらは主に川口市にありますNHKアーカイブスで保存しておりますけれども、フィルムとか古いアナログテープで保存されているものは、品質の劣化を防ぐために逐次デジタルテープへの変換を進めたり、あるいは傷ついた画像の処理、最新のデジタル技術で修復をするというふうなことも行っております。

 日常的には、NHKで放送するさまざまな番組のアーカイブスを活用する「新日本紀行ふたたび」その他でございます。そして、こうした番組は、全国、全部で五十六カ所のNHKの局所に番組公開ライブラリーというのを置きまして、こちらにおいでいただけましたら、テレビでおよそ五千四百番組を視聴いただけるようになっております。

 この後、アーカイブスをオンディマンドで、ネットで直接お届けできないかということ、これはこれから法改正も必要なことでございますし、著作権処理についてもさまざまなルールをつくっていくということは必要でございますけれども、そういうことに向けてもNHKとしては積極的な準備を進めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 もう時間が来ておりますので終わらなければなりませんけれども、これからはデジタル化時代でございますので、このような番組アーカイブに積極的に国民がインターネットを使ってアクセスするというのが望ましいわけでございます。しかし、このようなインターネットを活用した番組アーカイブの提供というのは、現状としてはまだまだやはり取り組みがおくれているところだと思います。

 今後、NHKがこの番組アーカイブについてブロードバンドを通じて有料で公開するということを可能とするための必要な対応を行うと、政府・与党合意においても昨年六月に行われたところでございますので、この点に関しても、国民の皆様のニーズに合う、そのような番組アーカイブのインターネットでの活用等も大いに広げていきたい、そのように思うわけでございますので、またこれも放送法の改正の中でしっかりと議論をしていくべき大事なところでもあると思います。

 以上で、時間となりましたので質問を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 この際、御報告いたします。

 昨年十一月二十四日、本委員会から調査局長に命じました独立行政法人の組織等に関する予備的調査につきまして、去る六日、その報告書が提出されましたので、御報告いたします。

 なお、報告書につきましては、同日、私から議長に対し、その写しを提出いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十八分散会


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