衆議院

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第11号 平成19年3月29日(木曜日)

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平成十九年三月二十九日(木曜日)

    午後二時二十三分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      井澤 京子君    石田 真敏君

      今井  宏君    岡部 英明君

      鍵田忠兵衛君    木挽  司君

      近藤三津枝君    実川 幸夫君

      田中 良生君    土屋 正忠君

      土井  亨君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    橋本  岳君

      原田 憲治君    福田 良彦君

      武藤 容治君    若宮 健嗣君

      逢坂 誠二君    後藤  斎君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      江田 康幸君    谷口 和史君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   内閣府副大臣       林  芳正君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      谷  公士君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河  幹夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           久保 信保君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  岡本  保君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  河野  栄君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十九日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     武藤 容治君

  関  芳弘君     近藤三津枝君

  渡部  篤君     原田 憲治君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤三津枝君     関  芳弘君

  原田 憲治君     若宮 健嗣君

  武藤 容治君     あかま二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  若宮 健嗣君     渡部  篤君

    ―――――――――――――

三月二十八日

 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案(内閣提出第三二号)

 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案(内閣提出第三二号)

 地方公務員法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(地方税法及び地方交付税法)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 地方自治及び地方税財政に関する件、特に地方税法及び地方交付税法について集中的に調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河幹夫君、総務省大臣官房総括審議官久保信保君、自治行政局長藤井昭夫君、自治財政局長岡本保君及び自治税務局長河野栄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 きょうは、交付税その他について、大臣を中心にお話を聞いていきたいと思いますけれども、できれば採決の前にやりたかったなというふうに思っております。

 さて、まず最初に、いわゆる「頑張る地方応援プログラム」についてお伺いをしたいのです。これについて、今、全国の市町村を回っておりますと、やはり自治体の関係者から随分と、疑問といいましょうか、どうも制度の目指すところがよくわからない、あるいはまた、単なるばらまきなのではないかというような声とか、そういうものが出てくるわけです。まず、政府参考人の方にお伺いしたいんですけれども、簡単にこの制度の概要をもう一回教えていただけますか。

岡本政府参考人 今回の「頑張る地方応援プログラム」におきましては、各地方団体におきます、それぞれの地域振興あるいは環境対策等、それぞれの地域の活力を創出するため、いろいろな取り組みが行われておりますが、その取り組みに対しまして、その取り組みの経費に係りますものを特別交付税で定額で措置をいたしますとともに、また、九つの成果指標を用いまして、その頑張った各団体の成果指標の向上に応じて普通交付税等の割り増しの算定を行おうというものでございます。

逢坂委員 まず最初に、いわゆるプロジェクトと言われるものについてお伺いをしたいんですけれども、このプログラムの説明書によれば単年度三千万円を出すんだということになっているわけですが、すべての団体が、プロジェクトというものを出せば、このプロジェクトの中身のよしあしとか、これは本当に有効であるとかないとか、そういうことというのは判断されるんでしょうか。それとも、出しさえすれば三千万ということなのでありましょうか。もちろん、三千万に満たないコストの場合は実額を限度とするということにはなっているようですが、このあたり、いかがですか。

岡本政府参考人 各地方団体で取り組まれるプロジェクトにつきましては、総務省のホームページでの公表等一定の手続をとっていただきますが、その内容の一つ一つについて審査をするということはございません。

逢坂委員 自治体の関係者からしてみると、これほど財政が厳しいと言われているのにそういうことで三千万円というのは、何かおかしいんじゃないかなという声が出るんですが、この点については後でまた大臣にお伺いをしたいと思います。

 次に、今度は、成果指標というものを幾つか準備されているわけです。これは本来、もし、先ほど言ったプロジェクトというものをよしというふうにした場合に、そういうプロジェクトをやった結果こういうふうに変わったとか、ああいうふうに変わったとかといって、また、それがよかった悪かったと判断するのなら多少はまともなのかなという気もするんです。同じ年度にこの成果指標というものを並べて、これについては二千二百億円程度の予算措置をしているということでありますけれども、この点について、政府参考人、成果指標というのは、現時点で、具体的にどう判断をするおつもりなんでしょうか。

岡本政府参考人 現段階で、この「頑張る地方応援プログラム」に係ります交付税の支援措置として考えております指標は、行政改革の実績を示す指標あるいは製造品出荷額などなど、各地方団体で行われます魅力ある地方の実現に向けました取り組みの成果を、ある意味では最大公約数的に反映する九つの成果指標を用いて、この成果指標が向上した地方団体に対して、その程度に応じて普通交付税の割り増し算定を行うということにいたしております。

 今委員御指摘のように、全国千八百余の各地方団体におきまして、それぞれごとに地域の魅力を高めるさまざまな取り組みがなされているわけでございますので、交付税の算定に反映するということから、今、九つの成果指標を用いまして、全国的、客観的な統計指標を用いまして、その変化率あるいは絶対値といったものを勘案しながら算定をしようというものでございます。

逢坂委員 今、それぞれの指標の絶対値、変化率という話がありましたけれども、それでは、変化率あるいは絶対値をつくることによって、ある種、市町村の頑張り度合いにランキングのようなものがつくのでありましょうか。政府参考人、その辺、いかがですか。

岡本政府参考人 今回も、頑張る応援プログラムにおきましては、地方の行革努力を反映するということを九つの指標のうちの一つにしておりますが、十七年度からやっております行革のインセンティブ算定等が、そういう意味では、この一つの、今までやってまいりましたケースになると思います。

 例えば徴税率といったものにつきまして、全国の現在の税の平均徴収率と比べまして高い低いでありますとか、あるいは、過去三年間の税の徴収率の平均的な向上度と比べて、その団体がどの程度向上しているかといったようなことをその指標に反映するということでございます。

 その考え方は、その団体において、徴収率の向上に努力をされているといったような場合、それをいろいろな地域振興等の努力に振り向ける、あるいは、その部分に機械化等のいろいろな一定の努力が要るであろう、そういう財政需要があるだろうということを想定しておるわけでございます。

 そういう意味で、平均に比べてそれが多いか少ないかということは客観的数値としては出てまいりますが、そのことが直ちに、今委員がおっしゃいましたようなランキングをしているというものではないというふうに思っております。

逢坂委員 何度聞いてもよくわからないところもあるんですけれども、もう一度政府参考人にお伺いをしたいんです。

 このプログラムについて、全国の自治体とさまざま意見交換されているかというふうには思うんですが、全国の自治体からこれに対してどんな評価が来ていますでしょうか。特に、プラス評価ではなくて、マイナス評価も含めて、その辺、御紹介をいただければと思うんです。全くそれは意見交換をしていないということなのかどうか、それもあわせてお願いします。

岡本政府参考人 今回のプログラムにつきまして、このプログラムを公表して以来、いろいろな会合等で意見交換をさせていただいております。また、大臣を筆頭に、全国四十七都道府県におきまして、それぞれ市町村長さんと懇談をして、この「頑張る地方応援プログラム」を中心とした議論をさせていただいております。

 私、全部承知しているわけではございませんが、私が参加をさせていただいたそれらの懇談会、会議等で、いろいろ地方団体から、こういう点がわかりにくい等の御意見はございますが、今申し上げましたような考え方について御説明をいたしますとともに、やはり、交付税の算定において、従来の平均的な算定より、いわば頑張った度合いといったものをもう少し動態的に算定をしてほしいというような意見も多数いただいております。

逢坂委員 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、この制度について、実は交付税本来の趣旨とかけ離れたものではないか。本来、もしこういうものをやるのであるならば、交付税ではなくて、補助金とか別の形なのではないか。

 交付税というのは、もう釈迦に説法でありますけれども、財政調整と財源保障というまさにその真水の部分を、地方が努力するしないにかかわらず、その足らざる部分というものをある種補っていく制度だ、しかもそれは地方固有の財源だということなわけですが、そういう交付税の趣旨からすれば、このプログラムというのはちょっといかがなものかという声が私のところには非常に多いわけですが、大臣、この点いかがですか。

菅国務大臣 委員既に御承知のとおり、交付税には、教育だとか福祉だとか、いわゆる義務的な問題、そしてまた、過疎地の問題だとか、あるいは、先ほど財政局長から答弁をしましたけれども、行革に対してのインセンティブ、このことの政策課題ですか、私は、交付税というのは二つに分けて考えることができるというふうに思っています。

 そういう意味で、今度の「頑張る地方応援プログラム」というのは、全国的な課題という形であって、そしてまた、使途を特定されない一般財源でありますから、そういう意味では、地方交付税の機能に私は違反しているとは思っていません。

逢坂委員 頑張ったところに出すというこの発想そのものが交付税の本来の趣旨とは違うのではないかという気がするわけですね。交付税はやはり、頑張れない、頑張ろうとしてもその分野をどうしても補い切れないというようなところへ、本来、必要な財源、財政の調整というものをしていくことが大事ではないかと思うんですけれども、頑張ったところに出すというのは、本当に交付税本来の趣旨に合うのでしょうか。その辺はいかがでしょうか。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、この義務的、基礎的な経費と、それと同時に、全国的に見て条件不利地域、こうした地域に対しての特別な財政需要だとか、これは十七年から始めていますけれども行革指標に基づいてのインセンティブなことについて、そうした政策課題についても交付税を、私はその考え方は二つあるというふうに思っていまして、今回は全国一律の政策的課題、そういうことで考えていますので、私は、全くその交付税本来と異なることはないというふうに思います。

逢坂委員 この点は、多分、幾ら議論をしても溝は埋まらないのだと思うのですが、でも大臣、大臣がおっしゃることを、もし百歩譲って、そうだというふうにしたとしても、いわゆる地方がやるプロジェクト、ことし五百億円程度を用意したという、各市町村に三千万ずつ出すというこのプロジェクト、その中身の評価もしないし、出しさえすれば自動的に、基本的には一自治体三千万だというのは、本当にこれは「頑張る地方応援プログラム」の大臣のその趣旨に合うのでしょうか。

菅国務大臣 頑張ろうということをその中で示すわけですから、私は全くおかしくないと思います。

逢坂委員 そうではなくて、自治体はもうさまざまな取り組みをしている。それで、頑張るというよりも、とにかく地域を何とかしなければならないということで、日常的に不断の取り組みをしているわけですよ。そこをあえて今回このプロジェクトとして提出をさせて、そして出したら黙って三千万というのは、少しおかしいのではないかなという気がするんです。しかも、これはどちらかというと中央集権的な発想なのではないかという気もするわけです。

 大臣、それでもやはりこれは趣旨にかなっているというふうにお思いですか。

菅国務大臣 そう言われれば、これは当然かなっていると私は思って、今回お願いをしておるわけです。

 そもそも、それぞれの自治体が独自の施策を展開することによって魅力ある地方に生まれ変わってほしい、そういう思いが非常に強いことです。それと同時に、やはりこのプログラム以前からも、そうした政策課題についてこの交付税を配分していた、そういうことから考えても、私は、やはりそれぞれの地方が、今一番大事なのは、そうしたやる気というんですか、それぞれの地方の抱えているさまざまな条件がありますけれども、そこで自分たちが取り組む、そういう姿勢というものを物すごく大事だというふうに思っていますので、私自身の考えは、今そういう考え方の中で必要だというふうに思っています。

逢坂委員 この点は幾ら議論をしても埋まらないというのは、先ほど私が言ったとおりだとは思うのであります。

 大臣、全国で、大臣がこれまでの経験の中で、ああ、ここの地域は頑張っているなとか、ここはよくやっているよとか、そういうようなところをどこか。先般、どこかで大臣は上勝町の話をされていたかと思うんですけれども、それ以外に大臣御自身が注目しているようなところはございますか。

菅国務大臣 私は、岩手県の宮古市ですか、そこへ実は行ってきました。そこにどうしても行きたかった理由というのは、そこの市長は、子育て日本一の市を目指しているということを掲げて取り組んでいた。それともう一つ、東京から一番遠い人口五万人以上の市だというんですね。時間のかかる、五時間半ぐらいかかるんです。そこで、ある製造業が携帯電話のノキアにさまざまな部品を供給している。よくこの議論の中で、道路がないからなかなか企業が誘致できないとかいろいろな意見、インフラを整備してくれというのがありましたけれども、東京から五時間かかるところですから、そういう意味で、私は非常に興味がありまして、行ってきました。

 例えば、子育て日本一ということを目指しているということでありましたけれども、それは、行政改革をこういう形でやる、そのお金についてはすべて子育てに入れるとか、非常に市民にとってわかりやすい仕組みだったんですね。あるいは、なぜそこの、非常に東京から遠いというんですかね、道路も整備されていないところでそうした製造業が成り立っているのか。直接お会いできなかったんですけれども、そこの社長さんは、東京から一番離れているから、余り外野に騒がれなくてゆっくりと仕事ができるからここがいいんだ、そういう発想のもとにそこを選んだということでありました。やはり私はそれなりにしっかり頑張っていたというふうに思います。

 あと、私自身、これは現地に行ってはいないんですけれども、島根県の隠岐島の海士という町、やはりここも、そこの条件不利なことを逆手にとって、牛肉をつくったりあるいは海産物をつくったりして、そこもやはり、お話を聞いてみますと、大変頑張っているなというふうに思いました。

 そういうところを挙げればまだ何カ所かありますけれども、やはりそういうしっかりと頑張っている皆さんからもいろいろな話を聞かせていただいて、全国それぞれ条件が違うわけですから、そういう魅力を生かし、特徴を生かしながら、全国そういう形で頑張っていただければいいなということを感じておるものです。

逢坂委員 今回のこの最初のというか、指標でない方のものですね、いわゆるプロジェクトというものですが、ホームページで公表するということですが、公表する理由は、政府参考人、何でしょうか。

久保政府参考人 私ども、出てきたプロジェクトについて、これがいいとか悪いとか、そういうふうなことを言うということは、もう先ほど来、ないということでございますけれども、公表して住民の方々に承知をしていただきたい、こういうふうに思って公表ということを申し上げております。

逢坂委員 それでは、次の話題に移りたいと思うんですが、今の話は後でまた出てくるかとは思います。

 次に、お手元に資料を配らせていただきました。私の名前を書いた資料一というものですが、これは平成十七年度のいわゆる自治体病院の損益収支の状況でございます。これは地方公営企業決算統計、総務省がまとめている決算統計から資料をおつくりいただいたものであります。

 これを見ると、自治体病院、単年度の純損益、これはすごい額ですね。何ぼなんですか、これ、すごい額ですね。純損益が一千四百七十六億二千三百万ですか。利益を出しているところというのは必ずしもそんなに多くない。三分の二程度の病院が実は利益を出していないというような実態にあるわけであります。単年度の損益が一千四百億だということであります。

 こういう状況なんですけれども、実は、今後、自治体の財政の再生というようなことについて総務省も取り組むということを言われているわけですが、自治体のいわゆる通常の会計とは別に、この病院会計がこんな状況になっているというのは、これは相当ゆゆしき事態なのではないかと思うわけですね。

 大臣、この数値を見られてどのようにお感じでしょうか。特に、さらに、単年度では一千四百億ですが、累積の欠損だとけたがまた一つ上がるわけでありますね。これは相当なものだと思うんですけれども、大臣、いかがですか、これ。

菅国務大臣 正直、私も横浜市議会議員をやったときに、やはり市民病院をどういう形で維持していくのか、実は大変悩んだところであります。多分、それぞれの地方自治体にとっては病院というのはある意味ではそこの中核拠点みたいになっている、そういう地方がだんだん多くなってきていますから、そういう意味で、この赤字については、私はそれなりの赤字があるということは承知をしておりましたので、この対策というのは当然考えなきゃならないということを数年前から思っていたところであります。

 そういう中で、集中改革プランによって、定員管理だとか、あるいは給与の適正化だとか、あるいは経費の節減合理化だとか、あるいはまた経営形態ですよね、効率化するために、他の医療機関との連携だとか機能分担、あるいは民営化だとか、独立行政法人の指定管理者制度の導入など、こういう経営形態の見直しというのもこれは努めなきゃならないというふうに思っているところであります。

 総務省としても、この自治体病院の経営改善の取り組みが進むように、病院の効率的な経営のノウハウを熟知している経営アドバイザーの派遣というものも今実は行っているところでありまして、この自治体の病院については非常に深刻に私自身は考えているところです。

逢坂委員 おとといの朝、私は北海道の根室管内の羅臼という町におりました。朝八時から九時にかけて羅臼という町にいたんですが、そこの羅臼の町長さんから、やはり羅臼の国保病院のことについて本当に切々と訴えられました。実は、羅臼に限らず、私の住んでいるニセコの近隣の町でもやはり同じように、一般会計の収支バランスよりも病院会計の膨大な赤字があるというような実態なわけですね。

 今大臣、ではそれへの対策はどんなことをというふうに聞きましたら、定員管理とか経営の効率化でありますとか独立行政法人化というような話をされましたが、もし仮に独立行政法人になるということになれば、それは確かに病院会計としての赤字はなくなるかもしれないんですが、例えば過疎地だとか辺地だとか、人口がまばらにしかない、いわゆる医療としての市場が必ずしも十分な状況ではないというところでそういうことをやれば、それは確かに帳面づらの赤字はなくなるかもしれませんが、医療の切り捨てになるのではないでしょうか。

 それともう一つ、やはり行政がやらなければならない、あるいは政治がやらなければならないのは、市場原理で考えてみたときには採算は合わないけれども、人が暮らし、生きていくためには、そこでどうしても医療が必要なんだ、そういうものに医療サービスをどう提供していくかという、民でできない分野をきちっとやっていくのが、実は政治や行政の仕事なのではないかと思うんです。単に病院の赤字を独立行政法人や定員の削減などで減らしていくということでは、本当の意味の医療のサービスを考えた改革にはならないのではないでしょうか。いかがでしょうか。

菅国務大臣 それはそれぞれの地方自治体の形態によって変わってくるというふうに思います。しかし、私も、やはり過疎地だとかそうした中ではなかなかそうしたことは難しいということも承知をいたしております。そういう意味では、やはり皆さんがそこで安心をして生活するための必要なものだというふうに考えておりますので、それについては当然、どこに住んでも安心をして一定水準のサービスを受けることのできるような、そういう形に取り組むのが私どもの役割だというふうに私は思っています。

逢坂委員 そういうことに取り組むのが菅総務大臣としての役割だというふうにおっしゃいました。私もまさにそういうふうに取り組んでいただかなければいけないと思うんですね。そのためにやはり税というものがあり、公権力を持っている行政というものの存在があるのだと思うのです。であるならば、大臣、先ほどの「頑張る地方応援プログラム」ですか、ああいうところに財源を使うということではなくて、本来、自治体病院の状況がこれほど切迫をしているというようなところに対して、厚生労働省とも協力しながら抜本的な対応をしていくというのが、本当に政治や行政の果たす役割なんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

菅国務大臣 私は、厚生労働省とも連携しながらその病院について取り組んでいくのは、これは当然のことだと思います。しかし同時に、そこの地域がやはり活力あるものにならなければ若い人も住まないわけでありますし、そうしたことも私ども総務省にとって極めて大事なことであるというふうに思っていますので、私どもはそれはある意味では総体的に考える責任があるというふうに思います。

逢坂委員 この問題、きょうは余り深入りはいたしませんけれども、今後、新しい自治体の財政再生法制が議論されるときに、必ず、病院会計の問題でありますとか、あるいは交通事業の問題でありますとか、そういうものが出てくることになろうかと思います。

 そのときに、まさに今大臣が発言されたように、単なる効率化や帳面上の赤字の解消だけではやはり済まない分野があるということをぜひ御理解いただいて、地域の振興もやる、でも、今の私が言った病院のサービスのようなことも、大臣は総体的にというお言葉を使われたかと思いますけれども、そちらも両方やるんだということでございますので、ぜひもう一言、では病院に対しては具体的にどんな方向で進んだらいいか、大臣の現時点での思いをちょっと聞かせていただけますか。

菅国務大臣 基本的に、先ほど申し上げましたようなことをまずきちっと行うということが第一だというふうに思いますし、それから、その上で、私は必要だというふうに思っていますから、過疎地の支援策というのは当然検討していくべき課題であるというふうに私は考えています。

逢坂委員 支援策を当然検討していくということでございましたので、きょうのところはこの議論はこの程度にしたいと思いますが、再生法制のときにまた議論をさせてください。

 それから次に、地方交付税について若干お伺いをしたいんですが、私が自治体、ニセコ町にいたときに、よく道や国の方からこんな言葉を聞かされました。農林水産省や厚生労働省などが新たな政策を何か打ち出すときに、自治体の持ち出しというものが出る、自己負担が出るというような政策の場合に、その自己負担額は極めて大きい、これは自治体の財政はもちませんぜというような話をすると、それにつきましては地方財政対策を講じておりますというような言い方をよく総務省の方はされるわけです。

 政府参考人にお伺いしたいんですが、総務省の方がよくおっしゃるこの地方財政対策、あるいは、農林水産省や厚生労働省の方も、総務省にお願いをして地財対策を講じてもらっているなどという言い方をするんですが、これは具体的に一体どういうことなんでしょうか。

岡本政府参考人 各省で、今委員が御指摘になりましたような各種の施策、例えば予算措置、補助金、負担金等を伴いながら行われる施策の中で、地方負担が一定額生ずるもの、大きな額生ずるものにつきましては、まず、その地方の負担総額を地方財政計画上計上するということによりまして、当該年度の地方の標準的負担すべきものとして、これをマクロ的に計上するということをさせていただいております。そして、その上で、それらも含めました全体の歳入歳出といったものの均衡を図るという形によりまして、その地方の新たな負担に対応いたしましても、既存の負担とあわせて全体として収支相均衡するという措置をとるということが、まず基本的な財政措置であると思っております。

 また、これを個別の各団体ごとに、その地方負担、標準的な団体でその当該施策に伴いまして発生するであろう標準的な負担額といったものを交付税の基準財政需要額に算入をいたしまして、これをこの交付税の算定の中におきまして算入をするということもまたもう一つの地方財政措置であると思いますが、この両方を一緒にやるものと、全体のマクロとしてやっているというものと、それぞれケースによって違いがあると思います。

逢坂委員 今、政府参考人の方からそれぞれケースによって違うという話がありましたが、これについて、十九年度に新たにいわゆる通常の言葉で言う地財対策を講じたものの種類と金額、あるいは、前年と比較して、十九年度において減額になったもの、廃止をしたもの、あるいは増加をしたものというようなリストが欲しいというふうに総務省にお願いをしましたら、そういうものというのはないんだ、つくっていないんだという話でございました。

 でも、地財対策を講じているんだというふうにおっしゃるのですから、何々の制度については、例えば農水省のこの事業についてはこれぐらいのことをしていますよというようなことが言えるのが普通なのではないかという気がするんですが、そういう仕組みではないのでしょうか。政府参考人、いかがですか。それは全く違うのでしょうかね。

岡本政府参考人 今委員御指摘の、多分、委員と私ども事務当局と思いますが、とのやりとりをちょっと私は承知しておりませんが、今のお尋ねについて私の知っている範囲で申し上げさせていただければ、網羅的に、例えば、今回、新たな地方負担を発生する補助金の、あるいはそういう施策の本数が何本あって、そういうものをやめたものが何本あってということを、今現在においてその数値があるかと言われれば、多分それはない。

 ただ、そういうものも含めまして、新しい古いは別にしまして、全体の国庫補助金、負担金に伴います地方の負担が幾らになるかということにつきましては、地方負担額を網羅的に調べておりますので、それについての表は私どもの方にございます。ただ、それが、新がどうで旧がどうでというふうに仕分けをしてある表があるかというお尋ねであったとすれば、それを仕分けしているものはなかったということだろうと思います。

 ただ、例えば、今委員御指摘の、十九年度でそういう新たな地方財政措置を各省との間でいろいろ議論させていただきながらやってまいりましたものというような議論の中で出ておりますのは、例えば、少子化対策についてのお話でありますとか、農水省関係での水、土地関連の施策でありますとか、細かいケースは覚えておりませんが、そういうような施策について、十九年度、そういう新たな地方財政措置を講じたということでございます。

逢坂委員 菅大臣、今の話を聞いて、何を言われているかというのは、大臣は御理解できると思いますが、一般の国民というのは理解できるでしょうかね。私は、交付税が実はわかりにくいとかと言われる一つのもとは今のような点だと思うんですね。要するに、さまざまな測定単位を設けて、それを緻密にやっていくというところがわかりづらいのではなくて、最終的にどんな経費がどう盛り込まれているのかというところが、必ずしも今の話だけでは、もちろん短い時間ですから、つまびらかではないというような気がするわけですね。

 ですから、今回、新型交付税というものを導入して、大臣がいつもおっしゃっているのは、人口、面積で交付税の予見可能性を高めるということと簡素化をするということをおっしゃっておられるわけですが、視点が私は違うような気がするんですね。人口、面積を入れることで予見可能性と簡素化ではなくて、今政府参考人が説明したようなところについて、自治体の現場では極めて不透明さを伴って交付税というものを見ざるを得ないわけですね。

 このあたり、大臣、いかがでしょうか。

菅国務大臣 私も委員と同じようなことをずっと言い続けてきました。地方自治体の財政当局からもそういう話を聞いていましたし、そういうことも私は指摘をし、できるだけ改善するように努めてきたところであります。また、反論があるかもしれませんが、その一つとして私は新型交付税というものを入れたい、それで予見可能性を高めたい、そういう発想があったということの背景には、私もそういう思いがあってこうしたことになってきたというのも一つであります。

逢坂委員 今回の新型交付税で、大臣、本当にこれは予見可能性が高まったというふうにお考えでしょうか。もちろん、取り組みの初年度ですから、十分ではないという御答弁をされるのかもしれませんが、もし仮に十分ではないとするならば、今後どういう方策によってこの交付税の予見可能性を高め、かつまた、わかりやすい仕組みにしていくのか、その辺の御見解をお聞かせください。

菅国務大臣 私は、今回第一歩だと思っています。全体的には、地方分権改革推進法を昨年成立させていただきましたけれども、やはり国と地方の役割というのを明確に分担して、権限とか財源とか税源を地方に移譲する、その仕組みをやはりきちっとつくることによってこうしたことがはっきり進んでくるというふうに思いますし、今回の新型交付税というのはその考え方の第一歩だというふうに考えています。

逢坂委員 私にはどうも第一歩には思えないのです。きょうは時間がさほどありませんのでこの点もこの程度にいたしますが、先ほど言いました地財対策という言葉の陰にある不信感を自治体の皆さんから払拭しない限りは、交付税制度というもの、私は交付税は絶対必要なものだとは思っておりますけれども、そこのところをやはりきちんと整理をしなければ、これは自治体の財政の悪化にさらに拍車をかけていくのではないかという気がするわけですね。

 自治体の現場では、先ほどいみじくも政府参考人が、ことしは例えば少子化対策、例えば農水省の土地、水、環境対策に地財対策を講じているというふうに言われていますが、例えば古くは、戸籍の電算化のコストも地財対策を講じているというような話を法務省から現場はされて、さあ電算化しなさい、しなさいと言われた、ところが実際にどこにそんな金が入っているんですかというような議論にやはりなるわけですね。だから、このあたりをやはり明確にしていくことが交付税の信頼性を高めていくということになるのではないか、私はそんなふうに思っております。

 そこで、資料をもう一枚用意いたしました。お手元に資料の二というのがございますが、「基準財政需要額に占める「地方債元利償還金分の額」の推移」ですね。要するに、基準財政需要額全体の中で、地方の借金の元金利息償還金、どれぐらい積算をしているかというものであります。これは総務省におつくりいただいた資料ですが、平成九年度から十八年度まで、基準財政需要額四十五兆に対して、平成十八年度で大体七・七兆円ぐらい元利償還金の額が入っているわけですね。比率にすると一七%であります。それで、年々この額が伸びてきているわけであります。

 これは何を意味するかといいますと、大臣、起債の元利償還のこの借金の部分というのは、これはまさに、実際に自治体がこの額を、国から来る額ですよ、本当は交付税の制度上は法律はそうではないんだけれども、国から来る額ですよというふうにほぼすべての自治体が思い込んでさまざまな財政運営をしている、そのもとになる額なわけですよね。すなわち、この額というのは、非常に自治体にとっては重要な、ここの額が狂ってしまうと、これはさまざまな現在の財政指標、起債制限比率とかそういうものが全部狂ってくるというようなものなんですけれども、こういう実態について、大臣、どう思われますか。

岡本政府参考人 委員御指摘のように、この事業費補正方式等によりまして交付税の基準財政需要額に算入されております数字は、実質公債比率でありますとか各種の指標の場合に、それぞれ私どもも理解をし、各団体においても掌握されている数字でございますので、その数値を、将来のいわば財源の見通しが立っているものというような形で、例えば将来の各団体の公債費の負担等を計算する場合にそれを控除するといったようなやり方をとっているものでございます。そういう意味で、この交付税の事業費補正方式等につきましては、重要な数値であると思っております。

 また、先ほどこれが順次ふえているというお話もございました。ただ、事業費補正方式等によりましては、これがある意味では誘導性が強過ぎるのではないかというような議論等もございまして、この事業費補正の方式については見直せというような強い方針が、これまでの累次の骨太等でも出ているところでございまして、例えばいわゆる箱物については対象外にするというような措置を講じてまいっているところでもございます。

逢坂委員 大臣、これは、私はここから将来のことを言っているのではなくて、もう既に国がこれだけ地方に対して交付税の元利償還額をある種保証しているということになるわけですね。将来の議論は、まさに今政府参考人が言ったように、この事業費補正方式というのはいろいろ問題があるだろうというふうには思うんですが、これに関してはもう既にやられて、手形を打っているものでありますから、この額というものをしっかり守らなければ、地方財政の破綻のスピードというのはより速くなるというふうに思うんですね。だから、ぜひこの額は守っていただきたいというのが一つ。

 もう一つは、それではこの額を除いてしまったら、実際に交付税の、いわゆる地方が本当に一般財源として自由に使えるものというのは極めて少ないのだという認識を持たなければいけないと私は思うんですね。この額で七兆七千億あるわけですね。実際に交付税の額というのは約十五兆ですから、だから、そこのところを認識した上で先ほどの地方財政対策もきちんとやらなければ、何でもかんでも、年々、あれも見ました、これも見ましたというのでは、交付税の信頼度合いが高まらないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

菅国務大臣 今局長が答弁しましたけれども、私どもとしては、方向性としてはだんだん少なくする、廃止の方向に努めていくのは当然のことだというふうに思っていますし、都道府県を中心に事業費補正というものも廃止をしてきたことでもありますし、都道府県の考え方等もこれから参考にしながら、聞きながら対応していきたいというふうに思っています。

逢坂委員 この部分はぜひ強く御認識をいただきたい。この元利償還額のところが狂ってしまうと、自治体は多分、財政はパンクです。

 それで、次の問題ですが、市町村合併についてお伺いをしたいんです。

 市町村合併、いろいろ進められて、約三千三百あった市町村が今千八百程度になっていますが、私、これも全国を回っていると、合併していろいろとコストが下がったよというところもあるのも事実だろうと思いますけれども、そうでない負の側面もあろうかというふうに思っています。今後、この市町村合併について大臣はどのようにお考えになっておりますか。

菅国務大臣 三千二百から約千八百になりました。将来的に、少子高齢化社会というものを考えたときに、やはり私自身も一定規模の市町村のスケールというのは必要だというふうに思っております。これからもこの合併というのは進めていくべきだというふうに考えています。そしてまた、このことによって、三役だとかあるいは市町村議員が二万一千人減少して、一千億円を超える効率化というのも図られてきているというふうに思います。

 ただ、合併してまだ日も浅いわけでありますから、全体としてのまとまりとか方向性というのはいずれにしろこれからだと思いますけれども、将来的なことを考えたら、この市町村合併というのは必要なことであるというふうに考えています。

逢坂委員 質疑時間が終わりましたので、これでやめさせていただきますが、先ほど大臣が地域の優良事例のようなことで例に出されました隠岐島の海士町、ああいうようなところというのは合併は可能だと思いますか。あるいはまた、先般大臣が例に出されました上勝町、人口二千人強、ああいう地域もやはり合併をした方がよいのでしょうか。あるいは、全国に地域づくりの優良事例としてさまざま出ている市町村、必ずしも大規模なところではない。長野県の栄村なども、道普請やさまざまなことをやられていますが、極めて小さい村であります。

 合併しようにもできないところや、合併しないでもやっていけるところというのは相当ある。こういう中で、さらに合併を進めて規模の拡大が必要だという発言をされましたが、私は、自治体の将来、これから多様性だというふうに思うのですが、大臣、そのことに対する御見解を聞いて質疑を終わりたいと思います。

菅国務大臣 先ほど私が申し上げましたそうした市町村は、それなりに頑張っています。しかし、例えば、先ほど委員から話がありましたけれども、病院の問題だとかいろいろな問題を考えたときに、やはり私は一定規模の市町村というのは必要だというふうに考えています。

逢坂委員 以上で質疑を終わります。またよろしくお願いいたします。

佐藤委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。

 きょうは、地方自治及び地方税財政に関する件ということで質問をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、石川県の能登半島での地震災害に関連してお伺いいたしたいんですけれども、私は新潟県の議員でありますので、二年半前のあの新潟県中越大地震のときに、地元の自治体の一人として本当に大変な思いをいたしました。そのときに特別交付税を配分していただいた。実は、私たち民主党の方からは、被災者生活再建支援法の改正及び再建支援の拡充ということについて、随分国会の中でも議論をさせていただいてまいりました。ところが、これは政府・与党の方から賛同が得られませんで、私たちが求めております内容にはまだなっておりません。

 何を申し上げたいかと申しますと、結局、被災した方々の生活復旧というのは、お金の出どころがどこであれ、それはしっかりとしていかなければならないわけですから、自治体が別の形で持ち出して再建支援をしているということは今までにも何度もあったわけです。新潟県でも基金をつくりまして、そこから生活再建への支援というのを行ってきたということがございました。

 今回の能登半島の地震で、特別交付税の扱いはどんな見込みになるのか。通常でいいますと十二月の交付ということになるのかと思うんですけれども、繰り上げ交付というのがあり得るのかどうか。また、生活再建支援法の改正が十分でないという現状を踏まえて、そこに配慮して行うべきではないかと考えますけれども、御見解を伺います。

菅国務大臣 災害によって生じた特別な財政需要に係る特別交付税についてでありますけれども、被害の状況や復興事業に要する経費などを基礎として算定し、交付をすることにいたしております。

 今回の能登半島地震につきましては、三月二十五日に発生しているため、今後、このような算定の基礎となる数値を確定した上で、十九年度の十二月分で対応するということになっています。

 しかし、被災をした地方公共団体においては、応急対策だとかあるいは復旧対策など、相当の財政負担が生じるものと考えております。特別交付税のみならず、地方債やあるいは普通交付税を含め適切に地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生ずることのないように、これは私どもとしては対処していきたいというふうに思います。

 なお、当面の資金需要でありますけれども、被災団体においての資金繰りの状況などを十分お聞きし、これは前向きに取り組んでいきたい。

西村(智)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、本題の法案関連の方に移っていきたいと思うんですけれども、本会議で代表質問をさせていただきました。非常に紋切り型の答弁で、とても私としては不満な点が多かったんですけれども、審議が十分なされないうちに法案がこの衆議院を通過していってしまい、また参議院で成立したということは大変残念です。この審議は本来法案成立前にここでしっかりと行いたかったということをまず申し上げたいと思います。

 その上で、お伺いしたいんですけれども、先ほど逢坂委員の質問にもありました「頑張る地方応援プログラム」についてであります。

 これは何度説明を伺っても、私もよくわかりません。何がわからないかといいますと、地方交付税の本来の性質とかけ離れたところでこれが運用されようとしているのではないかということです。あるいは、交付税の割り増し算定の基準が極めてあいまいで、お話をお伺いいたしますと、これは答弁の中でもありましたが、七月の普通交付税の決定までに検討していきたいということだそうでありますけれども、実際にもういろいろなところで、政務官なり副大臣なり大臣が頑張る地方応援懇談会というのをやられて、恐らく自治体では検討に入っているというふうに思うんですね。

 検討に入っているこの時期においてまだ算定基準がはっきりしないということでは、なおさら地方行財政というのが混乱してくるのではないか、そういう思いがあります。頑張りたくても頑張れない、どういう頑張り方をしたらいいのかわからない、こういった懸念があると思いますので、できる限りそれを払拭するような御答弁をきょうはいただきたいと思いまして、幾つか質問させていただきたいと思っております。

 まず、本会議での代表質問の答弁から振り返りますと、算定基準について菅大臣からこのように答弁をいただいております。「頑張る地方応援プログラムの交付税の支援措置として、全国的かつ客観的な指標が全国標準以上に向上した地方公共団体に対して、その程度に応じ、交付税の割り増し算定を行います。」こういうことであります。

 まず一点目、この辺は先ほどの逢坂委員の質問と重なってしまう部分かもしれませんが、特定分野の頑張りを地方に求めるということは、これはやはり地方交付税ではなくて、補助金という性格が非常に強くなっているのではないか、こういうふうに考えるんですけれども、大臣、この点についてはいかがお考えですか。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、交付税というのは、義務教育だとか福祉だとか、そういうもともと義務的な経費と、過疎地だとかあるいは行政改革のインセンティブな算定、これも政策課題、私は二つあるというふうに思っていますので、そういう意味で、この「頑張る地方応援プログラム」というのは、全国の魅力ある町をつくってもらう、全国的なそうした政策課題ということで考えていますし、また交付税も、その使途というのを特定されないものでありますから、私は補助金ではないと思いますし、ぜひ政策課題であるというふうに御理解いただきたいと思います。

西村(智)委員 そこの辺は私は納得できない、何度説明をお伺いしても理解できない点であることを申し上げたいと思います。

 そこで、先ほどの本会議での答弁に戻りますが、大臣が、全国標準以上に向上した地方公共団体に対して割り増し算定を行う、こういうふうに答弁をされておりますが、全国標準以上に向上するというのはどういう状況を意味するのでしょうか。これは読解力の問題なのかもしれませんけれども、つまりは、「頑張る地方応援プログラム」を開始したときの全国標準よりも向上した、そういう意味なのか、あるいは、全国的に変化したときの向上率が他の自治体と比べて高い、こういうことを意味しているのか、この点について具体的に御説明いただけませんか。

岡本政府参考人 今委員御指摘のものにつきまして、これも先ほど答弁させていただきましたが、具体的な算定は七月の算定までにやるわけでございますが、これまで、十七年から行革インセンティブでやっておりますものが一つの参考になると思いますので、そこの例を具体的にお示しをさせていただきたいと思います。

 例えば、行革インセンティブ等では、人件費、物件費等、そういう経費のいわば増減率といったものに着目をいたしまして、インセンティブ算定、その努力の算定の反映をさせていただいております。

 その場合のやり方といたしましては、人件費、物件費等の特定の経費の過去三年間の歳出削減率が、全国平均ですと、例えば十八年の場合は〇・四〇六%ということでございましたので、この率と当該団体の過去三年間の平均の削減率を比べるという形でその割り増しをするという形をやらせていただいております。

西村(智)委員 ということは、プログラム開始時の全国標準よりも向上したということだというふうに理解してよろしいんでしょうか。もう一回御答弁いただければと思います。

岡本政府参考人 全国の平均した、例えば人件費なら人件費を削減した率が、仮に、今〇・四と申し上げましたが、〇・四%減らしたということで、例えばある団体は三カ年平均で〇・五%減らしたという場合に、その〇・五%減らしたということに着目して、それを反映する。〇・四%の削減率を上回っているということに着目するということでございます。

西村(智)委員 今の行革インセンティブの話で、三年前の数値と比較してというお話がありました。そういたしますと、これは、その程度に応じて交付税の割り増し算定を行うというふうに御答弁いただいているわけですけれども、いつの時点のものといつの時点のものを比較するかということについてはどういう見解でいらっしゃいますか。

岡本政府参考人 今回の頑張る算定で、いつの時点といつの時点とを比べるかということが、まさにいろいろな議論の一つとしてあるわけでございます。

 ただ、いろいろな努力が各地方団体、例えば行革の努力もそうでございましょうし、それからいろいろな環境対策、ごみの削減等のいろいろな対策を講じていらっしゃいますけれども、その成果といったものを比較するという場合に、行革の場合は、三年ぐらいの努力が、三年がたったときやっと反映されてくるのではないかということから、三年という変化率を一定着目したわけでございますので、これから十九年度にやるものが必ず皆三年ということではございませんが、三年というのは一つの基準であろうかと思います。

西村(智)委員 そうしますと、例えばごみ処理量などというのも三年を一つの基準として判断することになるんでしょうか。ごみの処理量だけ十年前とか二十年前と比較するとかいうことはないということでよろしいんでしょうか。

岡本政府参考人 ごみの処理量の比較を何年前とするかということについてはまだ決めておりませんので、十年前とするかしないかというようなお答えはできませんが、今申し上げましたように、それぞれの指標に応じて、一定の努力といったものが出てくる一定の期間があろうと思いますし、また、そういうことについて、各地方団体にもいろいろ御意見があろうと思いますので、現在、各県単位でやっております地方との意見交換会等を踏まえながら、今の委員御指摘の期間といった問題についても検討してまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 まだ何も決まっていないということですね。そういたしますと、地方自治体は何を判断基準にこのプログラムの検討に入ったらいいか、これは雲をつかむような話だと思います。

 続いて、またこの「頑張る地方応援プログラム」の関係でお伺いいたしたいんですが、仮に算定基準ができ上がって割り増し算定が行われた、ところが、自分たちの自治体は、本当に総務省の算定基準を見ながら頑張った、努力したのに、交付税の割り増し分が余りにも少なくて、頑張りに対して見合っていないじゃないか、こういう声が出てきたとき、どういうふうに対処をされるんでしょうか。これは、交付税の割り増し算定分をまたふやすということになるんでしょうか。

岡本政府参考人 ぜひ御理解いただきたいのは、地方団体は、先ほど来お答えさせていただきましたように、各種の施策に取り組んでいるわけでございます。そういうもののいわば平均的な算定といったものはやっておりますが、それを従来の平均的な算定から、やはりいわば頑張り度合いというものを交付税の算定に反映させてはどうかという中から、今回の算定に変更するというものでございます。

 その場合にどのような指標を使うかといったことについては、今やっております懇談会において、御意見、御提案を踏まえて、現在検討いたしております。

 十九年度の普通交付税の決定後に、今委員御指摘のような、算定方法に関して、当然、どういう方式でやるか、それから具体的な額といったものは幾らかといったことはすべて公表してやってまいりたいと思っておりますが、その後、いろいろな御意見等も踏まえながら、二十年度に向けてその算定法を見直す際に、そういう御意見も参考にしながら検討してまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 随分しつこく聞いているような気がしますけれども、ここは大事なところだと思うんです。

 それで、例えば条件不利地域と言われているところですね。これは「頑張る地方応援プログラム」の説明資料の中でいただいたんですけれども、条件不利地域など地域の状況に配慮して、その成果指標の算定に当たる、こういうふうに書かれているわけなんですけれども、この条件不利地域というのは、どういう地域を指すのでしょうか。

 つまり、容易に想像できるのは、この九個挙がっている指標が、それほど頑張らなくても結果が出る自治体がある一方で、頑張ってもなかなかこういった数値にあらわれてこずに成果が出せない、結果が出せない、そういう自治体が恐らく出てくるということは想像できるわけなんです。

 ここで、成果指標の算定に当たっては、条件不利地域など地域の事情に配慮するということなんですけれども、この条件不利地域というのはどういう地域か、またその地域の状況というのはどういった要素を含むのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

 例えば交通機関の整備状況などは含まれるのか、あるいは気候、雪が降る地域、降らない地域、こういったところがこの地域の状況という要素に含まれてくるのか、このあたりについてはどういうことになるのでしょうか。

岡本政府参考人 それぞれ地域の置かれた状況はさまざまでございますので、そのすべてを個別に反映するということはできないわけでございますが、一般的に申し上げれば、地方団体の規模や財政力、それから今委員御指摘のような地理的な条件、社会資本の整備水準、あるいは産業構造等によって、成果を上げるといったような、いわばそのベースの条件がそれぞれ異なるということになろうかと思います。

 例えば、今回の九つの指標の中にあります転入者人口でありますが、そういうようなものを、今申し上げましたような条件で、例えば幾つかのグルーピングをした中で平均をとって区別をするといったようなやり方もあろうかと思いますし、また、先ほど来引用させていただいておりますが、これまでやってまいりました行革インセンティブ算定では、例えば、財政力指数が全国平均未満、あるいは一次産業就業者比率が全国平均を超えるような市町村といったものにつきましては、一般的な算定と別に、条件不利の地域の市町村として算定を行っているという実績はございます。

西村(智)委員 今の御答弁ですと、九つの指標ごとに条件不利地域というのを、地域の状況の要素として設定するよう考えるという御答弁であるというふうに受けとめました。

 大臣、御感想も含めて、大臣御自身のお考えを伺いたいと思うんですけれども、この九つの指標の中で、例えば農業産出額ですとか製造品の出荷額、こういったところは、いわゆる過疎地域の自治体はどれだけ頑張っても恐らく非常に厳しいんだろうというふうに思います。

 ただ、最近は、例えば団塊の世代が退職した後に中山間地の方に行って農業なりなんなりやってみたい、炭焼きをやってみたいという人たちも少しずつではありますけれども出ています。ですので、そういった転入者人口がふえるということは、これは過疎地域などにおいても恐らく可能なことなんだと思うんですね。

 さて、そこで、これは比較の問題なんですけれども、大臣御自身は、直観としてどんなふうにお考えでしょうか。

 私が考えたのは、例えば人口千人の村が一人だけ転入者が入ってきた、これは千分の一ですので、非常に比率としては大きいことになると思うんですね。本当に村が頑張って、インターネットなどでホームページを公開して、アドバイザーもつけて一生懸命やった、そして一人確保した、これはすばらしい。一方、例えば人口百万人の都市、ここは、どちらかというと集積はもう黙っていてもできる、雇用も多いということも想像できますので、人口百万人の都市で百人の人口の転入があったというのは、これはそんなに苦労しなくても恐らくできることなんだろうと思うんです。

 大臣のお考えとしては、これはどちらの自治体の方がより大きな成果があったというふうにお考えになりますか。

菅国務大臣 多分西村委員と同じだと思いますけれども、私は最初の方ですね。私どもがいわゆるプログラムを行おうとした一つのきっかけというのは、全国どこに行ってもそこの地域の特徴というのは必ずあるわけですから、そうしたものを生かし魅力ある地方をつくってほしい、活力がある地方になってほしい、そういう観点からこのプログラムというものを私どもは作成したわけであります。そういう意味では、今、私どもは九つの指標というのを考えていますけれども、しかし、いざ、これは現場に行って地方自治体の皆さんからさまざまな意見交換をする中で、今の農村と都市との交流ですか、定住しなくても、例えば去年は千人だけれどもことしは千五百人来たとか、いろいろな指標がある、そういう実は意見も言われたんです。

 ですけれども、それを何でとらまえるかということもなかなかこれは難しいものでありますけれども、少なくとも、できる限りそうしたものを私どもとすれば指標として採用したい。先ほどまだ決まっていないのかなという話がありましたけれども、地方の皆さんの声というものもできるだけ反映をさせたい。そういうことで、今、私どもが、副大臣や政務官と私がそれぞれ出向いていく中で、要望をできる限りということで、七月ぐらいになるという話をさせていただきました。

 でも、基本はその九つでありますけれども、そういう皆さんの強い声があれば、それは当然そこの中に入れていきたいというふうに思っています。そしてそれは、逆に言えば客観的な指標でなきゃならないと思うんですね。総務省が恣意的にやったということだけは、これは避けたい、こういうふうに思っていますので、そこは公表し、すべての自治体に理解をされるような形にそれはぜひしたいというふうに思っています。

 そういうことでも、先ほどの場合は、自然増ということでなくて、やはり頑張るということの方が大事だというふうに思います。

西村(智)委員 今、大臣からはとても明快な考えを示していただいたと思っております。

 「頑張る地方応援プログラム」の懇談会の中で、土屋政務官はどんなお話を聞いておられるのかわかりませんが、自治体の間での格差がこれによって助長されるのではないか、こういう声が恐らくあるのではないかというふうに考えております。ですので、今、大臣が示してくださった考え、つまり、人口千人のところに一人の転入の方が、人口百万人の都市に百人の転入があるよりもそれは重いんだ、成果としてあったんだ、そういうお考えを示していただいたことは、非常に意味のあった御答弁をいただいたなと思っております。

 いずれにいたしましても、この算定基準がやはり七月まで待たなくてはならないというのは、今三月の末ですから、あと四カ月あるわけですね。恐らく自治体はもう検討を始めていると思います。早急に示すべきではないか、また、その算定方法を明確に透明化していくべきではないかというふうに考えておりますけれども、どのような御見解でしょうか。

菅国務大臣 できるだけ早くというのは私も同じでありますけれども、ただ、地方に行って、そうした私どもが予期しないような地方の要望もあるものですから、できる限り、私どもが決めてこれだということでなくて、そうした声を反映することがいいのかなというふうに思っております。

 そして、透明的なものにする、これは約束をさせていただきたいというふうに思います。例えば、具体的な算定方法については、普通交付税に関する省令で規定するものはすべて対外的にも公表したいというふうに思っています。そして、各地方公共団体において成果指標を用いた算定結果の全体を容易に把握できるように工夫もしていきたいと思います。

西村(智)委員 これでこの項は終わりますけれども、念のため申し上げますと、私たち民主党は、「頑張る地方応援プログラム」そのものには、交付税でやるということには反対なんです。ですが、やられる以上はしっかりといいものとして機能していっていただきたいと思っておりますので、これも機会があればまた後ほど質問させていただきたいと思っております。

 次に、地方債の計画について伺いたい。

 地方債の問題でありますけれども、今度、公営企業金融公庫が廃止をされまして、地方公営企業等金融機構法案、これが近々に提案をされるんだろうというふうに思っておりますけれども、やはり地方債計画がこの間ずっと減額が続いている。新年度も、退職手当債が三千三百億円ふえる中ではあるんですけれども、前年度比で一兆四千億円の減額となっている。同時に、非常に民間資金へのシフトが進んでいるということなどを踏まえて考えましたり、あるいは郵政民営化で地方債資金の引き受けが廃止されまして、公営企業金融公庫も二〇〇八年に廃止される。ますます民間資金へのシフトは進んでいくんだろうというふうに考えております。

 ただ、財政力が弱くて財務体質が脆弱な自治体は、やはり起債が難しい、そういう状況に置かれている。こういった状況の中で、今回、全国知事会が、自治体が共同で出資して設立をする地方自治体金融機構を提案いたしまして、立法化されることになるわけなんですけれども、いろいろなところで説明を伺ったり、お話を聞いておるんですけれども、肝心かなめの部分は、やはりこの機構の運営を外部からしっかりチェックする仕組みなのではないかと思っております。

 後ほど、その法案の審議がしっかり行われるということでありますので、詳しくはそちらの方に任せたいというふうに思いますけれども、私の方からきょう確認をさせていただきたいのは、その機構の運営を外部からしっかりとチェックする仕組み、これがどんなふうに考えられているのか、このことについて伺いたいというふうに考えております。

 つまり、ガバナンスを内部で統制する、これはしっかりとやっていただかなくてはなりませんけれども、言ってみれば、これが自治体が共同運営で共同責任でやるということのテストケースのようなものになると思うんですね。そのときに、きちんとこれが運営されるように、チェックの仕組みについて現時点でどんなふうに考えられているのか、お伺いをいたします。

菅国務大臣 今国会に提出しています公営企業等金融機構法案の検討過程において、機構について、貸し手と借り手の同一性が高いことにかんがみて、十分な外部性のチェックが必要である。こういうことの観点から、実は、最高意思決定機関であります代表者会議に地方の代表者と同じ数の学識経験者を加えるとともに、外部性を有する第三者機関として、学識経験者から成る経営審議委員会というものを設置したところであります。また、公認会計士または監査法人による外部監査制度も導入をしたところであります。

 このように、十分に外部性を確保した仕組みを構築しているというふうに考えておりますので、適切な運営ができるようになるだろう、こう思っています。

西村(智)委員 次に、地方自治全般についてお伺いをしていきたいというふうに考えております。

 まず、教育委員会制度についてでありますけれども、教育再生会議で一定の結論が出て、教育三法、どうも特別委員会を設置するなどという話が出ているようでありますが、私たちはこれには反対であります。

 それはこの質問の趣旨からは少しそれるんですけれども、地方委員会制度については、地方制度調査会が既に答申を出しております。選択制の導入について検討をする、そういう答申でありますけれども、それを踏まえて、総務省の方の教育委員会制度改革に対する現時点での見解を伺いたいというふうに思います。

菅国務大臣 今回の教育委員会制度改革でありますけれども、いわゆるいじめ問題への適切な対応だとか、あるいは内閣の重要課題であります教育再生の実現に向けた関係法律の改正の一環として行われているというふうに考えています。

 改革の方向につきましては、去る三月十二日に総理指示が私にもありました。そこで、内閣の最重要課題であります教育再生と地方分権、こうしたものを両立させ、いずれも強力に推進させる、適切な判断であったというふうに私自身は考えています。

西村(智)委員 続いていきますけれども、昨年の六月に地方六団体から、地方自治法に基づく地方分権の推進に関する意見書が国会に提出をされました。これは六団体の新地方分権構想検討委員会で議論されてきた中身そのものでありまして、分権改革を、未完の改革をなし遂げたい、そういう意気込み、重みのあったものであったというふうに私は受けとめています。

 この中で、やはり私、何度見ても、ポイントになってくるのは地方共有税であるというふうに考えているんです。今回の国会で地方自治体金融機構なるものが創設をされるということの流れで、この地方共有税というものを改めてもう一度導入に向けて検討する非常にいいタイミングではないかというふうに考えているんですが、この点について総務省のお考えはどうでしょうか。

菅国務大臣 地方六団体が提案する地方共有税でありますけれども、交付税特別会計への直接の繰り入れ、法定率の引き上げなどを内容といたしております。

 この点は、総務省としても、地方の固有の財源であります地方交付税の性格の明確化、さらに大幅な財源不足への対応、そういう観点から考えるならば、本来は望ましいというふうに私どもは考えています。しかし、これは、財政当局は違った見解も持っておりまして、合意に至っていないのが現状であります。

 きょう、衆議院では地方分権委員会のメンバーを決定していただきました。この四月一日から改革推進委員会が立ち上がり、具体的な調査審議というのが開始されることになると思いますけれども、共有税というのはその中でも当然検討される重要な課題だというふうに私は考えています。

西村(智)委員 実は推進法についても伺いたいと思っているんですけれども、その前にもう一つ伺いたいことがあります。

 いわゆる税源交換の話であります。地方共有税の話とよく一緒に議論されますのは、いわゆる消費税と法人税の税源交換。大臣もこれは答弁の中でお認めになっているとおり、消費税というのは遍在性が少ない、一方で法人税は、大都市、特に東京などのひとり勝ちになりかねない、つながりかねないということでありますけれども、これについて大臣のお考えはどのようなものでしょうか。

菅国務大臣 私、前にも申し上げたかもしれませんが、地方の基幹税というのはやはり地方消費税がいいというふうに思っています。現在、法人二税が東京に集中をしている、ここについても、東京問題というのを私初めて諮問会議で指摘をさせていただきました。

 いずれにしろ、今委員からも指摘がありましたけれども、地方消費税というのはやはり偏在度が少ないわけでありますので、私はここが基本的には基幹税になることが一番いいのかなというふうに思います。法人二税の取り扱いも含めて総合的に検討していく課題だというふうに思っています。

 ただ、基本的な考え方はそのとおりです。

西村(智)委員 そこで、内閣府の方にお伺いをいたしたいと思います。きょうはお忙しいところを、ありがとうございました。

 地方分権改革推進法に基づきまして、推進委員会が内閣府に設置される。大臣先ほどおっしゃったとおり、きょう、衆議院で委員が任命、衆議院では承認ということになりました。

 それで、今後ここの委員会でいろいろな議論が進展していくんだろうというふうに考えておりますけれども、この推進法の中で、事務処理の整理合理化についての検討及び国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保のため、地方に対する国の負担金、補助金等の支出金、地方交付税、国と地方との税源配分の財政上の措置のあり方について検討して勧告を行う、こういう中身になっているわけであります。

 内閣府といたしましては、この推進委員会の議論の方向づけを政府として行うお考えがありやなしや、そこを伺いたいというふうに考えております。つまり、委員会のメンバーの自由な議論に任せて、もう完全にそこはフリーハンドで行うということなのか。あるいは、今総務大臣が答弁されたような、いろいろな財政上の措置のあり方についての検討項目というのはあるわけでありますけれども、そのことについて一定の何か方向づけというのは行うのか。どうでしょうか。

大村副大臣 ただいま委員も御指摘のとおり、きょうの衆議院の本会議で、地方分権改革推進委員会の委員につきまして、衆議院の方は御同意をいただきまして、この後、参議院の方でお諮りをするということになるわけでございます。

 そこで、今委員御指摘のように、この地方分権改革推進法に基づきまして、さまざまな論点がございます。そうしたものに積極的に私どもは取り組んでまいりたいというふうに思っておりますが、まず趣旨を申し上げますと、地方分権というのは安倍内閣の最重要の課題であるというふうに思っております。安倍総理みずから、地方の活力なくして国の活力はないということを申し上げておるわけでございまして、そういう意味で、やる気のある地方がさまざまな行政分野で自由に独自の施策を展開し、魅力あるそれぞれの地域をつくることが重要であるというふうに考えております。

 地方分権改革推進委員会では、地方分権改革推進法に基づきまして、新分権一括法案の三年以内の国会提出に向けまして、国と地方の役割分担でありますとか国の関与のあり方の見直しを行う、その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めていく、こういうことにいたしているわけでございます。

 そういう意味で、そういう柱立てはあるということでございまして、今回御同意をいただきますと、委員の先生方でこの柱立ての中でしっかり御議論をいただきまして、あくまでも新分権一括法案の三年以内の国会への提出ということに向けまして取り組みを進めていければというふうに思っております。

西村(智)委員 柱だけ立っていて、三年たっても柱だけということになりませんか。

 方向づけを行わない、今のはそういう答弁ですね。確認します。

大村副大臣 今申し上げましたように、そういった方針を踏まえまして、三年以内に、これはもう総理が今国会の冒頭の施政方針演説でも、三年以内にこの新分権一括法案を国会提出するんだということを申し上げているわけでございますので、政府を挙げてこれに向けて取り組んでまいりますが、その中身につきまして、地方分権改革推進委員会で委員の皆さんにしっかりと御議論をいただいて、具体的にどういうふうに進めていくかは、この委員会の中での御議論で方向性をつけていただければというふうに思っております。

西村(智)委員 この分権の特命大臣は菅衆議院議員でありまして、ここで本当は特命大臣としての御見解を伺いたいんですけれども、そこに座っておられるのは、きょうは特命大臣でなくて総務大臣であるということでしたので、総務大臣としての御意見を伺いたいと思っております。

 菅総務大臣としてはどうお考えですか。やはりきちんと方向づけをしてほしい、やっていくべきじゃないかと私は思います。先ほど、地方共有税についても推進委員会の中で議論されていくのではないかという御答弁がありましたけれども、大臣はどうお考えですか。

菅国務大臣 総務大臣としては、ここでもいろいろな議論がありました、やはり国と地方の役割を明確に分担して、国から地方へ権限と財源と税源を移譲する、そういう形の中でしっかりとした、私ども考えている地方分権というものが議論されるというふうに私は信じています。

西村(智)委員 信じて三年たって、まだ柱だけだったらどうするのかと、私はそっちの方がちょっと心配なんですけれども、やはり一定の方向づけといいますか、それは必要ではないかというふうに考えております。

 ちょっと飛ばしまして、最後に監査委員制度の見直しについて伺いたいと思っております。

 昨年の地方自治法の改正で、識見を有する者から選任される監査委員の定数を条例で増加できるということにしたばかりなんですけれども、この間の例えば夕張市などのあの事例を見ておりますと、監査がしっかりと行われていたらあるいは財政破綻も避けられたかもしれないのではないかというふうに考えております。

 監査委員の数そのものは二十年前と比べてそんなにふえてはいない。しかし、法改正もありまして、業務量そのものはやはりふえてきているわけでありますね。監査委員の定数の増加だけではなくて、ここは、監査のやり方、監査のあり方そのもの、そういったノウハウを含めたあり方について再検討する必要があるのではないかと考えておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。

藤井政府参考人 まず、委員御指摘のとおり、昨年、制度改正したところでございますので、私どもとしては、やはりまずそういう制度の運営をきちっとやっていただくということがまず大事だと思っております。ただ、近年、ますます監査機能の充実強化ということは方々から指摘されているところでございますし、私どももその重要性は認識しているところでございます。

 今後も、必要に応じて、いろいろ制度の見直しが必要であるということであれば見直していく必要があると思っていますが、たまたま今国会に提出中の地方公共団体の財政健全化に関する法律案におきましても、新たに監査委員が、地方公共団体の赤字や出資法人も含めた負債に関する健全化判断比率、こういうものを審査するとかして、その上で首長に意見を述べるというふうに、いろいろ監査委員の活用ということも工夫しているところでございますので、先生の御意見は受けとめながら、今後とも検討してまいりたいと思っております。

菅国務大臣 私もこの監査制度というのは極めて重要視いたしておりますので、しっかりとできる体制というものをつくっていきたいと思います。

西村(智)委員 その点についてはありがとうございます。

 先ほどの話に戻りますけれども、分権推進委員会、これは第二期分権改革を進めていく上で極めて重要な位置づけだと思っております。ただ、これが本当に内閣府に設置、内閣府の仕事としてやられるべきことなのかどうかというふうには考えております。

 ここのところ、何でもかんでも内閣府、担当特命大臣などというものが随分量産されておるようでありますけれども、やはり分権というのは自治体と深くかかわっている総務大臣のもとでやられるべきだろうというふうに考えておりますので、そういった意見、ここで申し上げても天につばするような意見になるかもしれませんが、私たちといたしましては、やはりここでしっかりと議論をして方向づけをしていきたいというふうに考えておりますので、ぜひ大臣のリーダーシップで進めていけますようにお願いをいたしまして、時間になりましたので、これで質問を終わります。道州制の担当にはわざわざ来ていただいたのに伺えませんで、申しわけありません。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 最初に政府参考人に伺いますが、三月二日に、新型交付税の導入に伴う基準財政需要額の変動額の試算を発表していますね。新型交付税で、小さな市とか町村は交付税が減らされるのではないかという危惧をしていたわけですが、もともと現行の基準財政需要額との間に大きな差を生じさせないということを前提としての試算であったことから、試算結果そのものは、当然といえば当然のものが出ているというふうに思うわけです。問題は、今回の新型交付税が自治体の財政需要を的確に算定するものになるかどうかということですね。

 そこで聞きますが、測定単位や単位費用の条文が、従来の交付税、個別算定経費と、それ以外の経費、新型交付税ということで別建てになっているわけですが、これは性格は違うものになってくるのかどうか、伺います。

岡本政府参考人 基準財政需要額は、それぞれの測定単位の数値に単位費用を乗じて得た額を合算して算定して得られるものでございます。

 測定単位につきましては、交付税法二条五号におきまして、地方行政の種類ごとに設け、かつ、この種類ごとにその量を測定する単位で、毎年度の普通交付税を交付するために用いるものというふうに定義をされております。

 この規定は、従来の算定項目でございます改正後の個別算定経費と、いわゆる新型交付税としての個別算定経費以外の経費とに共通する規定でございますので、その概念は従来の算定項目と新型交付税とで違いはないものでございます。

吉井委員 性格に違いがないということですね。

 測定単位の規定は、今もお話ありましたが地方交付税法第二条で、そこで書かれている測定単位については、これは今のお話ありました法で、測定単位については、逐条解説にも紹介されていますように、当該行政項目の財政需要を的確に捕捉できるもの、だから、つまり、測定しようという財政需要との間に高い相関関係があること、もう一つは、その数値が客観的なものであること、できれば指定統計など公信力ある資料に基づいて算定できる、こういう二つの条件を同時に満たすものでなければならない、これがこれまでの測定単位についての規定だと思います。

 ですから、この二つの要件を同時に満たすものでなければならないという点は、今お話があったのも、この立場で臨むわけですね。

岡本政府参考人 測定単位につきましては、先ほど申し上げましたように、法律の二条五号に書いてございますように、行政の種類ごとに一定の単位を設けまして、この種類ごとに財政需要を測定するにふさわしいものを算定するということにいたしているわけでございまして、このことは、先ほども申し上げさせていただきましたように、個別算定経費それから今回の新型交付税といったものについて共通のものであるというふうに考えております。

吉井委員 今の測定単位というのは第二条の第六号ですね。それで、第六号の測定単位の意義について、これは地方交付税法の逐条解説できちっと説明されておりますが、その一つが当該行政項目の財政需要を的確に捕捉できるもの、もう一つがその数値が客観的なもの、できれば指定統計など公信力のある資料に基づいて算定できる、この二つの条件を満たすものということを言っていますね。

 そこで、要するに、新型交付税の測定単位はこの二つの要件を満たしているのかどうか、ここを聞きたいと思うんです。

岡本政府参考人 今回、新型測定単位につきまして、従来から、例えば市町村の小学校費でありますと、その学校の規模と相関関係が高いという意味での学級数を測定単位としてまいりました。十九年度から新型交付税を導入し、投資的経費を中心に新型交付税に移行するということにいたしているわけでございますが、従来から申し上げておりますように、今回移行する費目につきましては、国の基準づけがない、あるいは弱いという分野に導入をしているということでございます。

 この新型交付税に移行する算定の項目につきましては、従来から人口と面積といったものを基本的な測定単位として用いているものでございまして、直接的な人口、面積といった測定単位を用いていない、例えば計画区域の人口でありますとか学級数といったものをはじいただけでございましても全体の約一五%にとどまっているということでございまして、このような財政需要を含めまして、人口、面積を測定単位として新型交付税という形で算定いたしましても、財政需要を適切に捕捉できるというふうに考えております。

吉井委員 要するに、新型交付税の測定単位はこの二つの要件を満たしているんですかということを聞いているんです。

岡本政府参考人 測定単位につきましては、それぞれの財政需要を的確に捕捉できるかという観点からその測定単位を選定したものでございまして、先ほど申し上げましたように、投資的経費を中心とした今回の算定項目のものにつきましても、適切な測定単位ということで財政上は捕捉できるというふうに考えております。

吉井委員 測定単位には、生徒の数とか農家の数とか警察の職員数とか、いろいろな測定単位があるわけですね。人口にしても、経費の種類によって、六十五歳以上の人口とか町村部の人口とか、いろいろな測定単位がとらえられてきたわけですね。面積にしても、耕地面積とか林野の面積とか、経費の種類によって違うものが使われてきていると思うんですが、それはどういう理由によるものですか。

岡本政府参考人 今回の新型交付税の導入は、交付税がいわば複雑過ぎるのではないか、また交付税制度全体に対する信頼を確保する意味で、交付税の項目の簡素化を図るということで、項目数について約三割の縮減を図るという形で、いわば投資的経費を中心に行政単位の区分といったものを従来より大くくりにしているということでございます。

 従来、今委員御指摘のように、例えば、農業行政費あるいは林野行政費等で耕地の面積といったものを測定単位として使ってまいりましたが、先ほど委員からも御紹介いただきましたように、今回の新型交付税の導入につきましても、十八年度の算定とほとんど影響がない形で新たな方式の導入という制度設計に取り組むことができました。

 また、そういうことを踏まえますと同時に、先ほど申し上げましたように、今回、新型交付税に移行します投資的経費につきましては、従来から人口と面積といったものを測定単位として用いているものが大体九割程度あるということを踏まえまして、今回の基準財政需要額、新型交付税の算定につきます測定単位といったものが適切に財政需要を捕捉しているというふうに考えております。

吉井委員 簡単にできるんだったら最初からやっているわけです。要するに、経費の種類によっては、面積、人口では財政需要を的確に算定できないものがある、だから、生徒の数とか農家の数、警察の職員数とか、人口にしても、六十五歳以上人口とか町村部の人口とか、いろいろな測定単位をとってきたわけです。面積もさっき言ったとおりです。

 要するに、経費の種類によって、より的確に基準財政需要額を反映する測定単位が選ばれてきたというのがその経過なんじゃないですか。

岡本政府参考人 交付税の基準財政需要額の算定の方法につきましては、それぞれの経費といったものを非常に細かく区分しながら、その経費として必要な財政需要を細かく積み上げていく形で積算をしていくということを従来からやってまいったということはございます。ただ、交付税の基準財政需要額の算定の方法について、そのことが結果として非常に細かく複雑になり過ぎている、わかりにくいのではないかという御指摘も累次いただいてまいったところでございます。

 したがいまして、その交付税の項目を三割ほど削減するという中で、交付税の予見可能性を高める、あるいは算定方法について国民にわかりやすい形で説明責任を果たすような形での導入はいたしているということでございますので、今回、人口と面積で投資的経費を中心にその測定単位としたわけでございます。

 また、このことによって、十八年度の算定方法と比べまして大きな影響は生じていないということでございます。

吉井委員 もともと大きな差を生じさせないという前提にして計算しているんだから、その試算がそうなるのは当たり前だと思うんです。

 実は、二〇〇一年二月二十七日のこの委員会で、これはちょうど武正さんの質問のときです、総務省の自治財政局長は、「法令によって地方団体が負担を求められる経費というのは、残念ながら人口や面積に比例するという保障はございません。」きっちりそういうふうに答弁したわけですね。

 大臣は、所信表明で「人口と面積を基本とした簡素な算定を行う新型交付税を十九年度から導入します。」と言ったわけですが、大臣、こういう答弁が既に国会ではなされてきたんだということについては、事務方の方からは聞いておられましたか。

菅国務大臣 聞いてはいませんでしたけれども、そういう算定で今日まで来たというふうには私は思っていました。

吉井委員 これはもうちょっと丁寧に、このときの政府の答弁は、

 個々の地方団体でその財政運営がやっていけるかどうかというレベルで、具体的に各地方団体にどのくらいの影響が出るかといいますと、相当大きな額になりまして、例えば私どもの方も人口、面積、一定の割合で計算しますと、全国の地方団体の数の半分以上は交付税減になってしまうというような結果が出ております。

今回はもともと差が出ないように式を立てての試算なんですが、その後、

  一方で、地方の歳出でございますけれども、義務教育でありますとか福祉あるいは公共事業といったような形で、国で法令や国庫補助負担金制度を通じまして地方団体の支出規模を実質的に決めておるという経費が大変多うございます。これらにつきましては、当然、国の責任におきまして財源保障をする必要があるわけでございます

ということにして、そして

 法令によって地方団体が負担を求められる経費というのは、残念ながら人口や面積に比例するという保障はございません。

これがそのときの答弁なんですが、要するに、人口、面積だけでは経費が的確に算定できない。

 地方交付税法二条で、測定単位について、きちっと的確に算定できる、捕捉できるものでなきゃいけないと言っているんですが、そういうものであるのに測定単位をかえて、今度、財政需要が的確に算定できるのかという問題ですよね。これは、大臣、的確に算定できるという考えですか。

菅国務大臣 今回のこの新型交付税は、人口と面積を基本として、その中でも国の基準づけがない、あるいは弱い行政分野について導入するものでありますから、それは私はできるというふうに考えています。

吉井委員 いや、今言ってまいりましたように、法律上も、もともと逐条解説できちっと言ってきた内容と違うものにしていこうというんです。

 以前武正さんへの答弁のときとも違うことを、あのときは、法令によって地方団体が負担を求められる経費というのは残念ながら人口や面積に比例するという保障はないとはっきり言ってきたわけですよ。しかし、人口、面積でやろうということなんです。これは、若干の段階補正なり特別補正なり、仮にいろいろやるとしても、そういう補正というのは以前からやっているんですよ、この補正を行っても、人口や面積に測定単位をかえれば経費を的確に算定することはできないということで来たわけですね。

 だから、今回のように人口や面積だけで算定する方法というのは導入できないというのがこれまでの総務省の見解だったと思うんですよ。その見解を変えるということですか。そこは政府参考人にちょっと聞いておきましょう。

岡本政府参考人 地方交付税の算定方法につきましては、これまで、義務教育、福祉、保健等、国が法令により地方に一定の義務づけをしている多くの事務事業について、交付税の算定方法を通じて的確に財源保障することが求められておりまして、例えばそういうような、介護でありますとか義務教育といったものを人口、面積のみで算定するような、そういう極端な簡素化を行うことはできないというふうにお答えをさせていただいております。交付税の算定方法に対しますこのような考え方については、現在も変わっておりません。

 今回導入をしようといたします新型交付税は、国の基準づけがない、あるいは弱い行政分野について導入するものでございまして、先ほど来お答えをさせていただいておりますように、人口と面積という形で地方団体とも意見交換をしながらやってまいりまして、また、十八年度と大きな影響が生じないような算定の方法といたしておりますので、このことによって、この新たな方法を導入いたしました財政需要につきましても的確に捕捉できているというふうに考えております。

吉井委員 今までは、人口、面積では残念ながらこれに比例するという保障はない、捕捉できないという立場だったんですね。今度は、一定の割合の部分ですけれども人口、面積だけでやっていくというわけですから、それは、財政需要額はきちんと捕捉できるという考え方に変わったということですね。

岡本政府参考人 従来からお答えさせていただいておりますように、国の義務づけ等が行われている分野につきましては、人口、面積等に単純に財政需要が比例をしないといった分野が当然あるわけでございまして、この分野につきまして、福祉、教育などの一定の基準づけをしている数多くの事務事業につきましては、今回の改正後の交付税法につきましても的確に財源保障をいたしているというわけでございます。

 今回、新型交付税を導入いたしました分野につきましても、今度、人口と面積を基本とした算定法によって財政需要を的確に捕捉できるというふうに考えております。

吉井委員 これは、皆さんの先輩になる方がこう言ってはりますね。

  地方交付税は地方公共団体の固有・共有の財源であり、したがって交付税配分の基礎となる各地方公共団体の財政需要額の算定方式は地方公共団体の納得と信頼が得られるものでなければならない。そのためには、各団体の標準的な財政需要をできるだけ的確に捕捉し得る合理的な方式でなければならない

と。このことをきちっとあなたの先輩も言っているわけですよ。

 この「新型交付税」問題は、扱い方いかんによっては、単に算定方式の変更にとどまらず、地方交付税が以て非なるものに変質したり、また、地方行財政の根幹をゆるがしたりという重大な結果を招来することにもなりかねない

 これは、総務省の前身の自治省の財政局長だった持永さん、事務次官をやった方ですね、「自治実務セミナー」の中で述べておられることでありますが、こういうふうに指摘されているように、今回の問題というのはまさにそういう問題を持っているんですよ。

 新型交付税の需要額の割合が全体の一〇%程度だということにしているんですが、しかし、昨年五月十日の経済財政諮問会議の竹中さんの出した分権改革工程表を読むと、新型交付税の割合を「三年間で五兆円程度規模を目指す」とあるんですね。長期的には「新分権一括法に伴い割合を拡大」するとありますが、設置が予定されている地方分権改革推進委員会は国と地方の役割分担を審議する予定で、その方向性というのは国の役割を縮小していくという方向。大臣も、国の関与を廃止縮小するということは国会でも何度か答弁してはるわけです。

 そうすると、新型交付税の方で需要額が算定される割合がどんどんふえる。その割合がふえることによって、実際にはきちんと的確に捕捉されない需要額の割合がどんどんふえるということになってきますと、これは地方交付税の性格が変わるということになってくると思うんですよね。

 これは政府参考人の方でそのことについてきちんと答えてもらいたいと思うんですが、これはどうなんですか。

岡本政府参考人 先ほど来お答えさせていただいておりますが、交付税で、義務教育、福祉、保健など一定の義務づけをしている、そういうものの的確な財源保障をするという部分につきましては、現在の改正後の交付税法におきましても、その算定を通じて的確な財源保障を行っているところでございます。

 今回、新型交付税を導入いたしました分野は、国の基準づけがない、あるいは弱い行政分野について人口、面積で需要額を算定する、その一部導入をするというものでございます。したがいまして、今後、地方分権一括法で国の関与の縮小等々が行われていった、それによって、国の基準づけがない、そういうような分野が拡大していくこととあわせて新型交付税の割合を拡大していくという考え方でございます。

吉井委員 竹中さんの出された改革工程表の中で、三年間で五兆円程度規模で新型交付税をふやしていく、長期的には新分権一括法に基づきもっと拡大するということなんですが、現時点では、別の測定単位で測定して、そしてできるだけ乖離しないようにという数式を設けて試算したので余り変わらないということですが、新型交付税の割合がどんどん広がっていったときは、そもそも比較する対象が違ってくるわけですよ。

 新型交付税を導入した影響をプラマイ十億円以内に抑えるということで現時点ではやっておるんですが、基準財政需要額に大きな変化がこれまでなかったわけですよね、だから比較の対象があったわけですが、数年後にはそもそも比較するもとの数字がどんどん変わってくるわけですよ。何しろ新型交付税の割合をうんとふやすと言っているんですから、きちんと正確に捕捉される方の基準財政需要額の方がどんどん比率として小さくなるわけですから。

 そうすると、この新型交付税問題というのは、持永さんが言っておられるように、扱い方いかんによっては、単に算定方式の変更にとどまらないで、地方交付税というのがもって非なるものに変質していく、また、地方行財政の根幹を揺るがすという重大な結果を招来することになりかねないという危惧がされているわけですが、そういうふうにならないという歯どめはどこにあるんですか。

岡本政府参考人 今回の新型交付税の導入に当たりましては、国の基準づけがない、あるいは弱い行政分野といったものから導入をしているわけでございまして、分権一括法によって国の関与が縮小していくということとパラに新型交付税の割合も拡大するということになるわけでございまして、そういうものとの連動だということになるわけでございます。

 先ほど来お答えさせていただきましたように、福祉、教育など法令によって地方に一定の基準づけをしている数多くの事務事業に係ります財政需要につきましては、現行の交付税の算定を通じて的確に財源保障をするということにいたしておりますので、交付税制度の本質において変更があるというものではないというふうに思っております。

吉井委員 現実には、三位一体改革で交付税がどんどんどんどん減ってきて、実際に大変になっているんですよ。しかし、そういうところで、きちんと正確に捕捉してもらいたい、これだけの需要額はあるんだと捕捉してもらいたいと。それで、収入額との差で交付税というのは本来おりてこなきゃいけないのに、不足しておっても出てこないものですから、財源不足で苦しんでいるというのが現場の実態なんですよ。

 そういうときに、この新型交付税は、単に人口、面積という単純化した算定方式の変更だけにとどまらない問題を持っているわけですから、やはりそれについてはきちんとした、そうならない歯どめがないことには地方の心配というものは消えないのは、これは当然のことだと思います。

 今度の方法の変更は、目的別に設定されていた行政項目を経常経費と投資的経費に細分化した一九六九年以来の大幅なもので、ある意味ではもとに戻そうというものですが、そもそも、この交付税の歴史というものを見てみれば、これは、いかに財政需要を的確にカウントするか、的確に算入するかというところから始まって、その的確に算入するということを追求してきた歴史でもあったわけですね。

 その結果が、算定項目数が九十五項目になったし、測定単位も、人や面積だけでなくて、警察費であれば警察職員数とか、教育費であれば先生や児童の数とか学級数とか、土木の河川費であれば河川の延長とか、現実に需要として見込まれるもの、できるだけ現実に近いものをと、それも、いいかげんな数字にならないように、統計数値とか公信力のあるものをということでやってきたわけでしょう。

 だから、複雑でわかりにくいからというのが今度の新型交付税導入の理由になっておりますが、算定基準が電話帳のように分厚いというのは、これは竹中さんのお話の中にもありましたけれども、しかし、交付税は十五兆円ですが、国庫支出金は十兆円で、冊子の厚さで比べれば、全省庁にわたる国庫支出金の冊子を全部足したら、これは交付税の電話帳よりもっと分厚い電話帳になってしまうわけですよ。だから、そういう冊子の厚さの比較なんかしたって意味がないわけです。

 簡素化というのは必要なんですよ。しかし、結果が地方交付税そのものの性格をゆがめることになっちゃいけない。どれだけ正確に需要をカウントするかという最大のところについては絶対にゆるがせにしちゃいけないし、その正確を緩めるようなことにならない歯どめというものをきちんと考えないままやっては、とんでもないことになるんです。

 私は、このことについて総務大臣のお考えを聞いておきたいと思います。

菅国務大臣 何か、心配御無用というふうに私は思いますね。今回、国の基準づけのない、あるいは弱い行政分野について導入させていただくわけでありますし、この地方分権改革の中で、国と地方の役割というのは明確に分担をされ、権限とか税源、そういうものがどんどんと地方に移譲される中であって、私は、そこについてはしっかりとそういう方向でないということを申し上げたいと思います。

吉井委員 そういうお話を幾らされても、現実には、三年間で五兆円、十年後には、その割合を五兆円どころかもっともっと広げるというわけですから、そして、それが人口、面積だけでカウントされるようになったときには、正確に捕捉されないままの状態で、実際には、地方自治体、弱いところについては交付税がどんどん削られるという結果を招来する、そういう問題を持っているということを重ねて指摘して、時間が参りましたので、質問を終わります。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 次に、内閣提出、国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。菅総務大臣。

    ―――――――――――――

 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案

 地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案

 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案

 地方公務員法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菅国務大臣 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案、国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案は、昨年八月八日の人事院からの育児のための短時間勤務の制度の導入等のための国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申し出を踏まえ、一般職の国家公務員について、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育するため、育児短時間勤務の制度の新設等を行うものであります。

 また、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案は、こうした国家公務員に係る対応を踏まえ、一般職の地方公務員についても同様に、育児短時間勤務の制度の新設等を行うものであります。

 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案は、昨年八月八日の人事院からの一般職の職員の自己啓発等休業に関する法律の制定についての意見の申し出を踏まえ、一般職の国家公務員について、自発的な大学等における修学のための休業または国際貢献活動のための休業に関する制度の新設等を行うものであります。

 また、地方公務員法の一部を改正する法律案は、こうした国家公務員に係る対応を踏まえ、一般職の地方公務員についても同様に、自発的な大学等における修学のための休業または国際貢献活動のための休業に関する制度の新設を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 国家公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案は、職員は、任命権者の承認を受けて、当該職員の小学校就学の始期に達するまでの子を養育するため、育児短時間勤務をすることができることとし、育児短時間勤務職員に関する一般職の職員の給与に関する法律等についての特例を定めるとともに、一週間当たりの勤務時間が二十時間である二人の育児短時間勤務職員の同一の官職への任用、後補充のための任期付短時間勤務職員の任用等について定めることとしております。

 また、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案も、同様の内容の改正を行うものであります。

 国家公務員の自己啓発等休業に関する法律案は、職員は、任命権者の承認を受けて、大学院等を含む国内外の大学の課程に在学してその課程を履修する大学等における修学のための休業または開発途上地域等における奉仕活動に参加する国際貢献活動のための休業をすることができること等について定めることとしております。

 また、地方公務員法の一部を改正する法律案も、同様の内容の改正を行うものであります。

 なお、昨年の通常国会において成立した健康保険法等の一部を改正する法律において、地方公務員等共済組合法の改正に不備がありましたので、これに対応した改正についても、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部を改正する法律案にあわせて盛り込んでいるところであります。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

佐藤委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十九分散会


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