衆議院

メインへスキップ



第13号 平成19年4月12日(木曜日)

会議録本文へ
平成十九年四月十二日(木曜日)

    午後三時十五分開議

 出席委員

   委員長 佐藤  勉君

   理事 岡本 芳郎君 理事 鈴木 淳司君

   理事 谷  公一君 理事 葉梨 康弘君

   理事 林  幹雄君 理事 武正 公一君

   理事 寺田  学君 理事 谷口 隆義君

      井澤 京子君    石田 真敏君

      今井  宏君    浮島 敏男君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      木挽  司君    実川 幸夫君

      関  芳弘君    土屋 正忠君

      土井  亨君    萩生田光一君

      萩原 誠司君    福田 良彦君

      逢坂 誠二君    後藤  斎君

      田嶋  要君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    森本 哲生君

      江田 康幸君    谷口 和史君

      吉井 英勝君    重野 安正君

      亀井 久興君

    …………………………………

   総務大臣         菅  義偉君

   総務副大臣        田村 憲久君

   総務大臣政務官      谷口 和史君

   総務大臣政務官      土屋 正忠君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    川崎  茂君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   橋口 典央君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          長   清君

   参考人

   (日本放送協会理事)   石村英二郎君

   総務委員会専門員     太田 和宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     浮島 敏男君

  橋本  岳君     遠藤 宣彦君

  渡部  篤君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     あかま二郎君

  遠藤 宣彦君     橋本  岳君

  小里 泰弘君     渡部  篤君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 統計法案(内閣提出第三四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、統計法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事石村英二郎君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続きお諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省統計局長川崎茂君、政策統括官橋口典央君及び農林水産省大臣官房統計部長長清君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美でございます。統計法案、トップバッターとして質問させていただきます。

 今回の統計法案は、六十年ぶりですか、抜本的な見直しで、しかも法律の全面改正ということで、非常に大きな改正だというふうに思っておりますし、またそのようにも言われているところです。統計のあり方そのものが根本的に変わる重要な法案だと思っておりまして、特に、概要で説明いただいた内容では、公的統計を体系的に整備するということ、もう一つは統計データのいわゆる二次利用、これが非常に大きな項目なんだろうというふうに思っております。

 ここの統計法の改正に至るまでの経過というのは、私は極めて速いテンポで来たというふうに見ておりまして、昨年の六月の五日に、これは全く同じ日でしたが、内閣府に設置されておりました統計制度改革検討委員会、それから総務省に設置されておりました統計法制度に関する研究会、これがそれぞれ報告を出した、それが昨年の六月の五日でありました。

 その後、七月の七日にいわゆる基本方針二〇〇六が閣議決定をされて、この中で統計法の見直しということで方針が決定されているんですけれども、この中で、このように基本方針二〇〇六には書かれております。「統計整備の「司令塔」機能の中核を成す組織を内閣府に置くこととし、同組織は、基本計画の調査審議や内閣総理大臣等への建議等を行う統計委員会(仮称)として設置する方向で検討する。」こういうことであります。

 これまで政府の行ってきた公的統計、非常にむらがあるということは多くの方々が指摘したとおりです。重なっているところは重なっている、だけれども、穴になっているところはそのまま穴になっているということ、言ってみれば効率が悪いということなんだろうと思います。そこで、司令塔機能が必要だ、こういうことになったんだと思いますけれども、まず冒頭お伺いいたしますのは、そもそもこの司令塔機能というのは何を指して呼ぶのでしょうか。

菅国務大臣 委員が今御指摘されましたけれども、統計制度改革検討委員会、昨年の六月五日、これにおいても指摘をされておりますように、統計整備の司令塔機能というのは、公的統計の整備に関する基本的な計画の案の作成や個別統計の作成に関する調整といった企画立案・調整機能、さらに、国民経済計算などの包括的な勘定体系の整備や政府横断的、共通的な統計の作成といった基本的な統計の整備機能、各府省が行う統計調査の共通の母集団情報の整備、提供や研究開発といった統計の基盤整備機能と考えており、中でも、この企画立案・調整機能が最も重要なことであるというふうに考えております。

西村(智)委員 大臣、この法案の趣旨説明をされたときにもそのように述べておられます。企画立案それから調整機能の強化を図るためということなんですけれども、改めて確認をいたしたいんですが、今、統計業務にかかわる企画や調整、これは実際に、現段階では総務省の統計局それから内閣府の経済社会総合研究所国民経済計算部、こういったところが中核となってやられているんだろうというふうに思います。

 今回、新しい統計法の中で統計委員会というのが新たに設置されるということなんですけれども、これからいわゆる司令塔機能を担っていくのはどの組織なのでしょうか。

菅国務大臣 いわゆる基本的な統計の整備機能、また基盤整備機能を担う組織というのは、御指摘がありましたように、総務省の統計基準担当政策統括官と統計局、内閣府の経済社会総合研究所、さらには、これらの機関が所掌事務を遂行するに当たって第三者的な立場から意見を述べる統計委員会であります。

 統計委員会は、専門・中立的な立場から基本計画案の調査審議や法律の施行状況に関する意見具申などを行うことによって司令塔機能の中核的な役割を果たすということになるというふうに考えています。

西村(智)委員 そういたしますと、今の御答弁がちょっとはっきりしなかったんですけれども、総務省統計局は総務省統計局として、内閣府の中にあります研究所の国民経済計算部はそれとして、そこも司令塔機能を担うんだけれども、司令塔機能の中核を統計委員会が担う、こういう理解でよろしいんですか。

菅国務大臣 委員の御指摘のとおりです。

西村(智)委員 そうなんですか。

 では、その三つが司令塔機能を担う、しかし、その中でも統計委員会が司令塔を担うということですね。それは少し想定外の答弁で驚きました。

 いずれにしても統計委員会が司令塔機能の中核を担うということなんですけれども、法案を細かく全部見てみました。そうしましたら、実は、この統計委員会というのが本当に司令塔機能の中核的な機能を担う組織たり得るのかということを疑問に思わざるを得ない点が出てきたわけです。

 つまり、何かといいますと、統計委員会の役割というのは、総務大臣が何か諮問をしたときに、それに対して答申を行う、言ってみればアクションに対してリアクションをする、そういう役目のようでありまして、例えば基本計画をつくる、行政機関の長の基幹統計調査を行うこと、また、変更、中止を承認すること、行政機関の長の基幹統計の作成方法について意見を述べること、統計基準を定めること、基幹統計を作成するときに行政機関の長への必要な資料の提供など協力を求めること、基幹統計調査に係る匿名データを作成すること、そういう際に総務大臣があらかじめ統計委員会の意見を聞かなければならないというふうになっているんですけれども、このことを指して司令塔機能の中での中核の機能というのでしょうか。

 これは結局、アクションを一番最初に起こすのは、本当に司令塔機能というのがそこにあるのであれば、本来は統計委員会だと私は思うんですね。ところが、この法文を見ている限り、むしろ総務大臣の方が中核的な役割をどうも果たしているように思うんですけれども、この点については大臣はどんな御見解ですか。

菅国務大臣 統計委員会は、企画立案・調整機能の一環としての基本計画の案の作成など、総務大臣等の関係大臣からの諮問を受けて調査審議を行う。そのほかに、統計整備の司令塔機能の中核をなす組織として、専門・中立的な見地からこの法律の施行全般について能動的に幅広い意見を述べることが可能であるというふうになっております。

西村(智)委員 いや、専門・中立的に意見を出す、しかも能動的にというふうにつけたようにおっしゃいましたけれども、これはどの委員会でも専門・中立的に意見を出すということはできるはずですよね。ですから、わざわざ能動的にという言葉はつけていただかなくても結構であります。

 専門的、中立的な見地から意見を言うのが統計委員会。しかし、その業務の多くは、総務大臣がアクションを起こして初めてそれに対してこたえるような形になっている。

 そもそもこの法案の最大のポイントは、言ってみれば司令塔の機能の強化です。これは、内閣府の統計制度改革検討委員会の報告書の中でまさに目玉として出されているこの司令塔機能という言葉が、果たして本当にこれでいいのか。この法案の中身を見ている限り、これで司令塔機能の強化が行われたと言えるのかどうか、このことについては甚だ疑問なのでありますけれども、大臣、もう一度、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、企画立案・調整機能、これが基本になるわけでありますけれども、その一環としての基本計画案の作成をこの委員会で行うことができる。さらに、総務大臣初め関係大臣からの諮問を受けて調査審議を行うほか、幅広く意見を述べられる。何といっても、企画立案・調整機能の一環としての基本計画案の作成というのはやはり司令塔として大きな役割だというふうに私は考えます。

西村(智)委員 ただ、今大臣の御説明を伺っていますと、統計委員会というのは、私の耳に入ってくるとやはりアドバイザリーボードとしか聞こえないんですよね。しかも、基本計画をつくるときにだれが原案を作成するんですか。どこが原案を作成するんですか。統計委員会ですか。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 基本計画は、政府が総務大臣の策定した案について閣議決定をするということになってございます。このときに、あらかじめ統計委員会の意見を聞かなければならないということになってございます。

 それから、先ほど御質問のございました能動的なアクションということでございますけれども、これは、法案の第五十五条で、総務大臣が毎年この法律の施行状況について報告を各行政機関等に求めます。そして、その報告を取りまとめまして、その概要を公表するとともに、委員会に報告することになってございます。そして、この報告を受けたときに、この法律の施行全般に関しまして、委員会は内閣総理大臣、総務大臣、関係行政機関の長に対しまして意見を述べることができるとなってございます。これについては、個々の事項にこだわらず、また、そういう施行状況の報告を受けられたときには、タイミングを問わずそういう意見を申し述べることができるという権限を与えられている。これが委員会に与えられた非常に大きな権限ではなかろうかというふうに思っております。

西村(智)委員 御丁寧に、伺っていないことも御説明いただきました。

 結局、基本計画は、政府の方が原案をつくる、総務省の方が原案を作成するというふうに伺っております。このこと一つとってみても、統計委員会の司令塔機能というのが本当に機能するのか。

 また、今五十五条という説明もあったんですけれども、委員会は意見を述べることができるというふうになっておりまして、結局これは、設置された統計委員会の言ってみれば意欲によるところが大きくて、法律の中では積極的に動いてもらうような書き方にはなっていないと私は思うんですよね。ですので、この司令塔機能の強化という点一つとってみても、やはりこれまでの検討委員会などで目玉として挙げられてきた項目が条文化されたにしては余りに弱過ぎるし、ここは、本来であればよくよく法律の細かい規定をしておくべきだったのではないか、もっと積極的な、能動的な書き方をしておくべきだったのではないかというふうに考えております。

 この統計委員会の件に関係してもう一点お伺いしたいんですけれども、基本的な計画を策定するということで、統計委員会に諮って閣議決定する、そういうお話でありました。今は基幹統計ではなくて指定統計ですか、名称は違うと思うんですけれども、既に、例えば公的な統計をどこでどう調整していくかということについては、各省の統計担当者による会議体というのが存在しているというふうに承知をしております。

 いわゆる公的統計の整備のための作業というのは、この改正統計法案の登場を待たずともこれまでやられてきたはずなんですけれども、今回、この改正統計法が掲げているスキームで本当に公的統計がきちんと整理されていくのでしょうか。司令塔機能も、私が今述べたように、非常に弱い、不十分なものだと思いますが、これで十分整理が図られるんでしょうか。

菅国務大臣 御指摘のとおり、これまでも、政府内で統計主管部局長等会議によって取りまとめられた「統計行政の新たな展開方向」などを踏まえて統計行政は進められてきておりますけれども、こうした取り組みは、統計関係部局以外も含めた政府全体の方針として強力なものにはなっていなかったというふうに思っています。

 今回は、こうした状況を踏まえて、基本計画に明確な法的根拠を与える。公的統計整備に関する府省間の調整機能の強化、見直し等の各プロセスにおける統計委員会の調査審議を通じた専門性や適時性の確保、統計整備への国民的参加の促進といった目的の実現が可能になり、公的統計を総合的かつ計画的に整備することができる、このように考えています。

西村(智)委員 本当にそうなっていくかどうか、もう少し質問を進めていきまして、確認をできればさせていただきたいなと思っております。私は、この司令塔機能の強化についてはやはり不十分だという点を申し上げたい。

 次に、統計業務のスリム化についてお尋ねをいたします。公的統計の整備の中には、やはり統計業務全体のスリム化というのも一つの課題として入ってくるんだろうと思います。

 先般、報道でも出されておったようでありますけれども、統計業務にかかわってきた職員の方々がほかの省庁に転出されたというような報道もありましたけれども、確認も含めて伺いたいと思います。

 先般、成立、施行いたしました行政改革推進法、ここの中で、農林水産省の地方支分部局が所掌する統計について、減量に向けた検討を加えて、その結果に基づき必要な措置を講ずるものとするというふうに規定をされているんですけれども、公務員の数、それから統計の本数、それぞれについて減量というのはなされたのかなされないのか、確認をいたします。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる行革推進法を受けまして昨年六月に閣議決定されました「国の行政機関の定員の純減について」におきまして、農林統計部門四千百三十二人については、実地調査の原則廃止、企画、取りまとめ業務の合理化、管理業務の合理化により、平成二十二年度までに定員千九百四人の純減を行うこととされております。

 この実績でございますけれども、平成十八年度に定員二百三十人、十九年度に定員四百四十二人の合理化が行われたと承知しております。

西村(智)委員 数の減量は行われたということです。これは今月の四月二日の報道でありましたけれども、国家公務員の配置転換が行われて、農林水産省の農林統計部門の方からも、どこに行かれたのでしょうか、刑務所か、入管か、あるいは国税局かというところなのかもしれませんけれども、そのように数は減っていると。

 それでは、続いて伺うんですけれども、今度は地方支分部局全体の方です。行政改革推進法にはまた、地方支分部局が行う統計に関する事務について、民間への委託その他の方法による減量を行うことと規定をされているんですけれども、この点において、公務員の数そしてまた統計の本数、これは減量なされたのかどうか伺います。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 統計の関係の合理化、効率化、これについては、例えば調査方法の改善、いわゆる調査員調査から郵送調査等に改善する、あるいは統計調査そのものの統廃合、あるいは調査客体の減、こういったものを通じて、先ほど申し上げましたような定員の合理化を行っているということでございます。

 個別的にその本数がどのくらいかということについては、今のところまだ把握してございません。

西村(智)委員 まだ把握していないと言われると、もうそれ以上質問のしようがないんですけれども、つまり、何かと申しますと、先ほどの司令塔機能の話にも重なるんですが、結局、公的統計をやはり整理統合するというのは相当な力わざなんだと思うんですね。その力わざをこれからやるというときに、それだけの体制がちゃんとでき上がっているのか、また、そういった意気込みというのがどうなのかということが問われるんだろうと思っております。

 公的統計、国の統計業務、これから整理統合が図られていく。そのときには、もちろん統計委員会の意見を聞くということにもなるんでしょうが、しかし原案をつくるのは総務省だということで、お伺いをいたしたいんですが、整理統合が必要と考えられる統計業務、これは具体的に何でしょうか。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、平成十五年六月に策定いたしました「統計行政の新たな展開方向」に基づきまして、すべての統計調査について計画的な見直しを行うに当たっての指針を策定するなど、統計調査の整理合理化に努めてきたところでございます。

 今御質問のございました、今後整理統合が必要な統計につきましては、基本計画の策定過程におきまして、統計委員会の御意見も踏まえつつ検討してまいりたいというふうに考えております。

西村(智)委員 統計委員会の意見も聞きながらということですけれども、でも、原案をつくるのは総務省ですよね。

 では、今全くの白紙だ、全く白紙の考えです、こういうことですか。

橋口政府参考人 基本計画につきましては、総務大臣がその案を策定し、統計委員会にお諮りするということになってございます。その案につきましては白紙ということでございます。これから検討していくということになるかと思います。

西村(智)委員 そうすると、この法律が通った後に実際に国の統計業務というのがどこまで整備されるかという像が見えないわけですよ。全く手探り、手で探っても何もつかめない、そういうことなんだろうと思います。

 つまり、私たちは、公的統計の体系的整備をきちんとやるための統計法案の改正だと思っているわけでして、その公的統計の体系的整備の姿がかけらも見えないというのは、これは法案の審議の中ではちょっとやはり準備不足のような気がしております。そこのところは明確にお答えいただきたかった部分でありますけれども、それでは、ちょっと角度を変えてお伺いいたします。

 計画の中で決めていくということでありますけれども、改正統計法の中では基幹統計という新しいカテゴリーをつくるということになっております。現在は、この基幹統計というのは存在しなくて、指定統計、そういうカテゴリーがあるだけなんですけれども、今度は、その指定統計の看板をかえて、それで基幹統計にするということなんですが、今伺っていても、実際にどれだけの統計業務が整理統合されるのかというのは全く明らかになっていない。ということは、統計の数を減らす、そういう合理化が行われるわけじゃないんだなというふうに私は判断をいたします。

 そうすると、指定統計の看板が基幹統計というのにかけかわるだけで、実際にその整理合理化が何も行われないというのであれば、これは改革とは呼べないんじゃないでしょうか。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございましたように、指定統計につきましては、附則第五条の規定によりまして、本法案の施行時点において総務大臣が公示いたしますことによりまして、新法における基幹統計として移行することにしております。

 そうしまして、今おっしゃいました個別の基幹統計となるものの整理合理化、これにつきましては、新たに発足した統計委員会での御審議もいただきながら、計画案の策定の中で検討されていくというふうに考えております。

西村(智)委員 そうしますと、統計委員会の方が、現在の指定統計の中に含まれている公的統計はどれも減らす必要がない、そして、これは全部基幹統計に移してよろしいんだ、そういう意見であったならば、統計の数を減らすなどの合理化は行われずにそのままになっている可能性もあるという理解でよろしいですか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 この法律案をお認めいただきましたときには、公布の日より半年以内に統計委員会に関する規定が施行になります。そうしまして、その統計委員会のもとで御意見を賜りながら新たな基本計画が策定されるということになるわけでございます。

 その中では、今の指定統計がこの法案全体の施行のときに新しい基幹統計になるということでございますけれども、それが公布の日から二年以内、施行が二年以内というふうにされております。したがいまして、その間の計画案の検討の中で、その基幹統計、現在の指定統計をどういうふうにするかも含めて検討が行われるものと考えております。

西村(智)委員 スケジュールについて私は伺ったのではありませんで、要するに、指定統計、その移行期間はあるでしょう、そして意見を述べる期間というのもあるでしょう、ただ、その期間が経過した後で、それはそっくりそのままで、数は減らさなくてもいいですよと統計委員会が意見を言ったときには、それでは統計の数が減らない可能性もあるということですね。どうでしょうか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 この新法に基づきまして公的統計の整備に関する基本的な計画を定めるということにされているわけでございますけれども、この策定によりまして、全体として整合性のとれた統計整備が推進されるということでございます。その中で、個別統計調査に関する厳格な審査、承認とあわせまして、公的統計の効率的な整備を行うことが可能となるものでございます。

 この新法の趣旨を踏まえまして、既存統計調査についても効率化、合理化を推進していくということでございます。

西村(智)委員 ぜひこの統計委員会がきちんと機能するように、総務省の方は、細かいところは全部統計委員会にお任せしますということのようでありますけれども、やはりこれまで統計調査の大部分を担ってきたのは総務省でありますから、もう少し責任を持って、明確にその方針を示していただくこと、これはやはり私は大事なことだと思っております。

 引き続きまして、今度はちょっと視点を変えてみたいと思います。

 今回の統計法案というのは、大変大きな改正、全面改正で、この後、同僚の委員からも多角的な質問があると思います。独立行政法人の改革の問題ですとか、本当にたくさんの論点があると思いますけれども、きょう、私、これからは、いわゆる統計調査を受ける市民の側、国民の側の感覚に立って少し質問をしたいというふうに考えております。

 今回、国の行政改革の流れの中で、行政機関同士で統計のデータをやりとりするといいますか連携をするということ、これは意味のあることだと思っております。また、そのデータの二次利用ということについても、いわゆる学術目的の方々や教育目的の方々が高い経費をかけずに国民の一般的な状況などについて知るというためにいわゆる二次利用ができるようになる、公にできるようになるということは、これも意味のあることだと思います。

 ただ、その統計調査を受ける市民の側に立ってみたときに、私たちは、例えば統計調査が行われるときに、実は余りその目的というのをはっきりと知らされていないことが多いのではないか。また、今回、そういうふうにしてとられた情報なりが、私たちの手を離れたところで二次的に加工されて、それが全くまた別のところで提供されているということは、見えないところで行われているがゆえに少し肌寒い感じがするところでもあるんですね。

 ですので、そういう懸念を払拭するためにこれから質問していきたいというふうに考えておりますけれども、今回の法案のそういった意味からのポイントは、私は法律の十三条かなと思っております。

 十三条は報告義務でして、結局、個人や法人は、調査を求められたときにはそれに対して報告を拒んではならない、また虚偽の報告をしてはならないというふうに書かれております。こういうふうに義務がある以上、いわゆるその情報の保有者である個人や法人の思いや気持ち、考えなりは少し考慮されるべきではないかということであります。

 そういった点から、少し具体的に伺っていきたいと思いますけれども、まず一点目は、法律の二十九条の関係でございます。

 この二十九条で「協力の要請」、何度も申し上げますけれども、この協力の要請自体に私は反対しているわけではありません。ただ、この法律と同種の法律でちょっと考えてみたいんですけれども、例えば行政機関の個人情報保護法あるいは自治体が作成している個人情報保護条例、こういった中では、個人情報の目的外での外部提供を、法令等に基づく場合はそれは例外的にできます、そういうことを定めております。

 今回の改正統計法の二十九条で、行政記録情報を求めるということは、これは従うべき義務という扱いになるのでしょうか。それが妥当な提供の求めであるということは、やはりどこかできちんと担保されるべきだと思いますけれども、どこで担保をされるのか、またどの範囲で行政記録情報の提供を求めることになるのか、この点について伺います。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 第二十九条、行政記録情報の提供の求め及び統計調査以外の方法による基幹統計の作成は、基幹統計が公的統計の中で特に重要性が高い統計であるということから、個人情報保護法第八条第二項第三号に該当するものと考えております。

 今申し上げました規定でございますが、どういう規定かと申しますと、個人情報保護法の第八条第二項第三号は、他の行政機関等に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、法令の定める事務または業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるときには目的外の利用ができるというふうな規定でございます。これと趣旨を同じくして、この二十九条の行政記録情報の提供の求めができるというふうに考えております。

西村(智)委員 それで、続いて第三十二条の関係なんですけれども、ここで調査票情報の二次利用ということが規定をされております。

 実は、調査票情報の二次利用と類似と言えるんだと思いますが、現行の統計法の十五条に、目的外使用について規定があります。この現行の統計法第十五条の目的外での統計票情報の利用というのと改正統計法の三十二条の二次利用というのと、これは同じなのでしょうか、それとも異なるのでしょうか。趣旨として同じことなのかどうか、この点について伺います。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 現行の統計法第十五条は、総務大臣の承認を得た場合に限って調査票の目的外使用を認めているものでございます。

 その場合の承認の要件でございますけれども、これは運用でございますが、原則行政機関や地方公共団体などによる行政目的による使用のみといたしまして、民間研究者等については、行政機関等との共同研究、行政機関等からの委託を受けた研究等、行政との関連性を有する場合に限って使用を認めてきたところでございます。

 今回の法案でございますけれども、これは現行法とは異なりまして、調査票情報を利用し得る場合を法律上明記する。それは、まず第一点が、統計の作成または統計的研究を行う場合、それから、統計を作成するための調査に係る名簿を作成する場合ということに限りまして、その範囲で各府省が判断することができるということとしたところでございます。

西村(智)委員 現行法の目的外利用については、現在は公示することになっていますよね。目的外利用をしたケースについて公示するんでしたでしょうか、するケースについてだったでしょうか、いずれにいたしましても、公示制度というのがある。

 改正法については、これはどういう形でその状況について明らかにすることになるのでしょうか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 調査票情報の利用提供制度の適正な運用を確保するために、各府省において具体的にどのような場合に調査票情報が利用され、または提供されているのかということにつきましては、これを明らかにしておく必要があるというふうに考えております。

 このために、第五十五条の規定によりまして本法の施行状況の報告を求めるということになってございますので、この際、各府省から調査票情報の利用、提供の状況につきましても報告を求めまして、その概要を公表することを想定しているところでございます。

西村(智)委員 そうしましたら、次に、法律の第十五条の関係であります。

 十三条には、基幹統計等について被調査者に報告義務が課せられていまして、被調査者は調査にこたえるという以外の選択の余地がない、そういう構成になっております。

 それで、その後の第十五条に「立入検査等」とあるんですけれども、法の第十三条で報告義務を課している上に第十五条で立入検査等を行うということは、これは何に対して立入検査を行うということになるんでしょうか。この報告義務違反に対して立入検査を行う、つまり報告義務に違反した個人や法人に検査を行う、こういうことになるのか、どういうものに対して行うことになるのでしょうか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 第十五条の規定は、「基幹統計調査の報告を求められた者に対し、その報告に関し資料の提出を求め、又はその統計調査員その他の職員に、必要な場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」と規定してございます。今御指摘のございましたような申告義務違反の事案に対して立入検査を行うということも想定されると思います。

 また、それだけでなく、例えばオートロックマンションであることから入居者と接触できない、このためマンションの管理者に入居状況を質問する必要があるような場合、こういったこともあり得るだろうというふうに考えております。

西村(智)委員 もう少しそのあたりを明確にしてから法案の審議に入るべきではないかと思うんです。

 これは、現時点で、例えば今オートロックマンションのようなケースということでお話しになりましたけれども、それ以外はどういう場合に行使することになると考えていらっしゃいますか。ほかにあったら、ぜひ答弁をいただきたいと思います。ほかにないのであれば、ほかにないで結構です。

橋口政府参考人 事業所などに対しまして、外見からわからない、あるいは名簿等で把握できていないといったような場合、こういう場合が想定されるのではなかろうかなというふうに思います。

西村(智)委員 ちょっとこのあたりは、もう一度研究して、質問の機会があればというふうに思います。

 次に、法の第二十六条ですけれども、統計調査以外での基幹統計の作成という項目でありますが、ここで「統計調査以外の方法により基幹統計を作成する場合」とあるんですけれども、これは一体何を指すのか。つまり、行政機関が保有している個人情報を目的外利用することがあるということをここは意味しているのでしょうか。法人情報の利用なども含めて、何を根拠に基幹統計の作成に本来の作成取得目的以外で情報を利用して統計調査を行うことになるのでしょうか。

    〔委員長退席、岡本(芳)委員長代理着席〕

橋口政府参考人 お答えいたします。

 法案では、行政機関の長等は、この法律または条例に特別の定めがある場合を除き、その行った統計調査の目的以外の目的のために利用することを禁止している、調査票情報の利用目的については禁止しているということでございますが、ここで、調査票情報の利用が認められる法律に特別な定めがある場合とは、具体的には、総務大臣が事業所母集団情報を整備する場合、行政機関等が統計の作成等を行う場合、行政機関等が民間研究者の委託によりそのニーズに応じた統計の作成等を行う場合、学術研究のために提供する匿名データを作成する場合でございます。

西村(智)委員 次に、三十二条についてもう一度戻って伺いたいと思います。

 統計を作成するための調査に係る名簿でありますけれども、この利用範囲ですね。調査票情報は統計調査によって集められたものだというふうに法案の中で定義をされております。この場合に、原則として調査票情報の統計以外での利用を禁止しているんですけれども、調査に係る名簿は調査によって収集されるものとは限りません。

 調査票情報の利用方法に関してどのような制限をかけているのか、この点について伺います。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 第三十二条に規定いたします名簿とは、統計を作成するための調査に係る調査対象名簿のことを申します。調査対象名簿は、あくまで統計を作成するための調査の実施のみに用いられる名簿であって、その調査の結果を受けて統計が作成されることとなるものでありまして、最終的には個体が識別されない形で利用されることになるものでございます。したがいまして、個人情報保護の観点からの問題はないものと考えております。

 それで、調査対象名簿を利用する者に対しましては、本法におきまして、守秘義務、適正管理義務を課すとともに、罰則規定を整備しているところでございます。

西村(智)委員 守秘義務で罰則規定を科すというところは、それはその法律の意思として私も理解をいたしました。理解をいたしましたけれども、いわゆるそれが匿名データというものになったときに、本当にその匿名性というのが担保されるのかどうか。これはちょっと技術的なことになってしまうんだろうとは思ったんですけれども、ここは大きな問題点だと思います。つまり、匿名データの提供を求めるところというのは学術研究者であったりいろいろな方がいらっしゃるのでしょうけれども、そういった匿名データを求めるところというのは、言ってみれば、特別な調査を行うことのできる、そういうところもあるというふうに考えられます。

 これは、具体的に何と指して言っているのではありませんが、恐らくそうだということが考えられるということで、つまり、そういうときにどういう状態であれば匿名性が担保できるというふうに考えているのか。つまり、大きな町内で何歳から何歳までのどういう条件の人といったときには、人口の多いところであれば、それは特定はかなり難しいと思います。ですけれども、例えば、集落が非常に小さいところで、四軒とか五軒しかないときに、名前を排していわゆる匿名性をつけたと外見的に私たちがそう思ったとしても、いわゆる特別な調査をしたりすれば個人が特定される、個人識別ができてしまう、そういうケースというのはあると思うんです。

 そういうように、つまり、地域性などの情報を排除すれば特別な調査を行っても個人識別は不可能であるというふうに考えられるんですけれども、地域的なくくりでデータの提供を求められると、限られた地域においては特別な調査で個人や事業者が特定される可能性はあるということからいたしますと、この匿名データの提供先についてもやはり明らかに、公にすべきではないかというふうに考えます。つまり、そこが言ってみれば歯どめのようなものになるのではないかと考えるんですけれども、この点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 匿名データの利用制度の適正な運用を確保するため、各府省において具体的にどのような場合に匿名データが提供されているのかについて、やはりこれは明らかにしておく必要があるだろうというふうに考えております。

 このため、先ほども申し上げましたけれども、第五十五条の規定による本法の施行状況の報告の中で、各府省から匿名データの提供の状況につきまして報告を求め、その概要を公表するということを想定しているところでございます。

西村(智)委員 その匿名データの状況の公表項目の中に匿名データの提供先というのを含めるお考えはありませんか。これは法律事項ではなくて政令事項になるんだろうかと思いますけれども、どうでしょうか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 今後検討してまいりたいと思います。

西村(智)委員 後ろで丸が出ていたのに、今後検討でというようなことは、もう一歩踏み込んで答えていただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。

 先ほど私、めちゃくちゃ言いましたけれども、匿名データの提供先をちゃんと統計委員会に報告するということは、一定程度やはり匿名性の確保という点からはかなり大きなハードルになってくると思うんです。この点について、ぜひこの項目の中に含めていただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 その方向で検討させていただきます。

西村(智)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 この項目の最後に、調査票の保存年限について伺いたいと思います。

 調査票そのものは個人名や法人名が特定されることになりますが、これが一体どのくらいの期間保存されるのか。また、その保存の形態はどういうことでしょうか。また、調査票情報等の提供を受けた者がどのくらいの期間調査票情報を保存することになるのか、この点について伺います。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 まず第一点目の、調査票の保存期間、保存形態でございますけれども、これは、各統計調査によって異なっております。総務省における調査の一例を申し上げますと、国勢調査につきましては、紙の調査票は三年、氏名を除く調査票の内容を転写した電磁的記録は永年保存、また、労働力調査につきましては、紙の調査票は一年、氏名を除く調査票の内容を転写した電磁的記録は永年保存、事業所・企業統計調査につきましては、紙の調査票は三年、調査票の内容を転写した電磁的記録は永年保存と、それぞれ省令で定めているところでございます。

 これは、各府省の統計調査におきましてもおおむね同様に、紙の調査票は一年ないし三年程度保存した後廃棄する、そして調査票の内容を転写した電磁的記録は永年保存しているものが多いという状況でございます。

 それから、調査票の提供を受けた者がどの程度の期間当該情報を保有することになるのかという御質問でございましたけれども、調査票情報の提供を求める際には、その情報の使用目的、希望する使用期間、使用後の処置を明記させることを想定しております。そして、調査票情報を提供する機関がその妥当性について確認することになるというふうに考えております。

 したがいまして、調査票情報の提供を受けた者は、当該情報の使用目的を達成するために必要最小限の期間に限って当該情報を保有することになるということでございます。

 なお、調査票情報の提供を受けた者による当該情報の適正管理については、要領等を作成し徹底してまいりたい、こういうふうに考えております。

西村(智)委員 細かい点について本当はここでもっと詰めていきたいとは思うんですけれども、残り時間も少なくなっておりますので、これはまた別の機会に回すことにいたします。

 最後に、国勢調査の件について伺いたいと思います。平成二十二年ですので三年後に行われる国勢調査についてであります。

 現在、国勢調査の実施に関する有識者懇談会、また、平成二十二年国勢調査の企画に関する検討会、これが開催をされているようなんですけれども、この両方の懇談会と検討会の中で住民基本台帳の活用が検討されているというふうに伺っております。

 つまり、国勢調査はこのところ非常に回収率も悪くて、調査員の方々はもう二度とやりたくないというような声も多いようであります。そういった状況の中で、調査員が調査票を配付するために担当調査区の世帯名簿を作成するに当たって、不在世帯など情報が確認できない世帯については住民基本台帳を活用するということが検討されているようなんですけれども、これは実施する方向で検討が現在進んでいるのでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘の有識者懇談会の報告でございますが、この中では、世帯がその場所に住んでいるかどうかという居住状況の把握、こういったことにつきまして住民基本台帳を活用するという方策について検討するということが提言されております。

 私ども総務省といたしましては、この提言を踏まえまして、今後、有識者あるいは地方公共団体などの意見もよく聞きながら、法令上の観点なども含めまして、国勢調査が円滑かつ正確に実施されるように幅広く検討してまいりたいと考えております。

西村(智)委員 先般、NHKの受信料徴収の問題のときに、ちょっとこれはどういう趣旨だったのかはっきりとつかみかねるんですが、受信料徴収のときに住基を活用できるのではないか、そういう話になったときに、総務省の事務次官が、法的根拠や個人データ保護など問題がいろいろ出てくるというふうに述べられて、慎重な姿勢を示されたということです。

 今回、国勢調査に関して実施する、つまり住民基本台帳を利用するということになったときには、今まさにおっしゃいましたけれども、関係法令の整備が必要になってくるんだと思うんです。これは、事実といいますか、そういう関係法令の整備が必要だということに当然なると思いますが、いかがでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 この検討におきましては、さまざまな観点からの検討が必要でございまして、まず調査方法を一義的には確定させまして、その上で、さまざまな観点、法令上の観点も含めまして検討していかなければいかぬというふうに思っておりまして、どのような形になるか、今後とも引き続きまして検討してまいりたいと思っております。

西村(智)委員 この住民基本台帳の整備をどんなふうにされるのか、今まだ明確な答弁じゃないんですけれども、今後、住民基本台帳の転用に大きく道が開かれるおそれがあるというふうに私は考えております。非常に重大な問題だと思っておりますので、今後とも慎重に見きわめていきたいと思っております。

 次に、この項目の次なんですが、国勢調査で、オートロックマンションが非常にふえてきたということから困難になってきているというふうに指摘をされております。

 それで、平成二十二年の国勢調査の際には、マンション管理会社などへの協力依頼及び連携が検討されているようなんです。管理会社の職員が調査員になるなども含めて、管理会社の所有する個人情報がそのまま国勢調査票に転記される、こういう事態が発生するおそれがありますけれども、この点についてはどのような見解でしょうか。

川崎政府参考人 有識者懇談会の方で提言がございます。

 確かに、先生御指摘のように、オートロックマンションの調査というのは非常に難しくなっておることは事実でございまして、調査員が立ち入りにくい状況が現実に発生しております。

 そのような中で、この有識者懇談会は、こういう状況を解決するための方策の一つといたしまして、管理会社に業務の委託をするというようなことを提言しているというふうに理解しておりますが、これは、調査の方法としてそのようなことも考えられるということが言われているのでございまして、管理会社が所有する個人情報を国勢調査の調査票に転記するということを意図したものではないというふうに私どもとしては理解しております。

 そういうことで、今後、先生の御懸念の点も含めまして、これからどのような対応ができるかということを検討いたしまして、世帯が安心して協力できる調査となるように努めてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 当然、意図していないということはわかります。わかりますけれども、そういう事態が発生するおそれがあるということは十分御理解をいただきたいと思います。

 時間になりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

岡本(芳)委員長代理 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、連日お疲れさまでございます。

 法案に入る前に、一点、ちょっと確認をしておきたい点がございます。

 私、別の委員会で、経済産業委員会に所属をしております。原子力の安全にかかわる一般質疑が昨日の午後あったんですが、その中で少しNHKの話題が出まして、これが事実かどうかというのを端的に確認したいと思います。

 近藤議員の質問、これは昨日の朝の五時、六時、七時で、NHKが、トップニュース、志賀原子力発電の事故は即発臨界かというニュースを三回にわたって流したということであります。そして、この中で甘利大臣が、いろいろ修飾語はあるんですが、今回これは極めていたずらに国民の不安をあおる報道になってしまっております、事実を事実として報道することは結構ですが、正確に報道していただかないと、極めて国民の心情をパニック状態に陥らしめる場合があります、この点については、正確な情報を原子力保安院からNHKにきちっと申し入れまして、報道は正確に、いたずらに不安をあおる報道に結果としてならないように申し入れをするつもりですという御答弁がございました。

 NHK、理事に来ていただいておりますが、このニュースの事実関係は事実でしょうか。

石村参考人 きのうの朝のニュースで放送いたしました即発臨界の可能性については、取材の結果で明らかになった事実を正確にお伝えしたものです。きのう、日本原子力技術協会の石川理事長もこれに関連した記者会見をして、こうした事実を認められた発言をされていると聞いております。

    〔岡本(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(斎)委員 もう一点、この記事に関係して、一番最後のところに、今理事がお話しいただいたように日本原子力技術協会のコメントが載って、これについて経済産業省の原子力安全・保安院は、原子炉の安全にかかわる重大な問題だとして、国としても詳しく解析し対応することにしていますという、最後のつけ足しというか念押しがございます。それについては、原子力安全・保安院の院長が、報道にありますようなことは私どもはNHKには言っておりませんというコメントを、大臣の後の質疑の中で言っておるんです。ここの部分も、今理事がおっしゃったように、いろいろな部分を総合して当然やったんでしょうけれども、こういうふうなことが委員会で出るということは少し残念だなというふうに思うものの、もちろん放送法にのっとって対応しているということでありますので、広瀬院長は、少なくともこの最後のコメントは言っていないということはおっしゃっているんですが、この点については、事実関係はいかがですか。

石村参考人 院長自身かどうかははっきりしませんけれども、とにかく、原子力安全・保安院の関係者に取材を行って原稿を書いたのは事実でございます。

後藤(斎)委員 いずれにしても、これ以上、理事、この報道について個別にどうこうと言うつもりはありませんが、いずれにしても、放送法の趣旨にのっとったきちっとした対応をすることをぜひお願いして、本論に移らせていただきます。

 今回のこの統計法、六十年ぶりの大改正ということであります。大改正というよりも、私は実は、大臣、今の法律の数をちょっと調べてみました。これは、国会図書館は憲法も含めて二千四十五件あると言うんですが、法務省に聞くと、法律は千七百九十七、ちょっと数字が違うんですが、いずれにしても、千八百近くある法律のうち、二百八十四件が立法後一度も改正をされていない、見直していないということのようであります。六十年たった今、社会経済がいろいろな変化をする中で、私は方向性としたら正しいと思います。

 ただ、大臣、私は、もう一度やはり、なぜこの統計法というものが制定をされたかという六十年前の原点に戻って、少し考えてみなければいけないかなという気がします。

 実は、いろいろな資料や本を見せていただいた中で、この「統計法案のポイント」というのにも、行政のための統計から社会情報基盤としての統計へというふうな表題というか副題がございます。もっとさかのぼってみれば、古代エジプトや古代ローマ、ギリシャ、要するに、徴税、税を取ったり徴兵をしたり強制労働をしたりということで、人数を把握したりということに、もともと、統計なる数字を政府、国家が決めてきた。

 ただ、それはやはりおかしかろうということで、少なくとも近代国家の中に入って、いろいろな統計部局が、後で触れますが、分散型、集中型といろいろな統計機構の形はあるものの、来た。もっと戦中みたいなものにさかのぼってみれば、要するに、私どもの先人の戦中の間違った、事実に反するいろいろな報道、さらには、虚偽のことを国民に対して説明していた。それではやはりおかしいだろうと。ですから、六十年前の先人たちは、真実をきちっと伝えるということを目的の一番大きな柱で入れてあります。今回、それが落とされています。

 これは、大臣、この公的統計、少なくとも、いろいろな関連の事業まで含めれば、分散型で、各省庁、総務省から農水省、いろいろな省庁が対応している。三百億を超える費用を使い、五千人近くの政府職員の方がお仕事をなされるという部分で対応している。ですから、もともとこの公的統計、要するに政府統計というものはまず何かということをきちっと、もう一度その六十年前に戻る必要はありませんが、議論をしながら対応をしなければいけない。

 いろいろな歴史を見ると、この統計法、六十年前の三月二十六日だったというふうにお聞きをしていますが、当時はまだGHQの占領下にありました。そして、アメリカのライス博士が報告書を出されて、それは一つは、占領目的の完遂の上、統計制度の充実は大切であるという点と、日本に対するアメリカの総合政策と関連を有しているという二点目、三番目は、日本は将来国際会議に籍を置くことになるが、国際機関はすべてその基礎を国際的統計に置いている、だから今から統計制度を整備する必要がある、この三点を中心に勧告をし、旧統計法ができているということを、説明というか、もう一度勉強させてもらいました。

 ですから、大臣、目的をきちっと、今回変化をしているわけですし、その中で、公的統計という、要するに政府統計というのはもともと何なのかという意義をもう一度やはりきちっと定義しておく必要があると思うんですが、その点について、大臣、まず冒頭、お伺いをしたいと思います。

菅国務大臣 まず、六十年ぶりのこの大改正の中で、六十年前と今の現状は大きく変わってきておるわけでありまして、そしてまた、多分当時も大事だったと思いますけれども、当時と比較をして、統計の重要度というのは今日は非常に大きくなってきているというふうに私は思っております。そういう中で、今委員から御指摘がありましたように、やはりその意義というものをしっかりと国民の皆さんに私ども御説明をしながら取り組んでいかなきゃならない、これは全く同感であります。

 この公的統計というのは、国とかあるいは地方公共団体にとって、基本的な政策運営だとか、あるいは個別の行政施策の企画立案などを行う上で欠かすことのできない基礎的情報である。さらにまた、最近では、政策の事前事後、その評価を行う上で、その合理性だとかあるいは客観性を担保するための情報としても活用されているところであります。

 また、国民や事業者から見ても、公的統計によって示される各種の情報だとかは、中長期の事業計画や生活設計、当面の資金調達や投資、消費、貯蓄といった経済活動や学術的な研究活動といった社会へのかかわりの中で、合理的な意思決定を支える重要な指標であるというふうに思っています。

 さらに、この公的統計によって、国際的な比較や経済分野などの横断的比較も可能になってくる。そういう点からも、そういう意味で極めて重要なものであるというふうに考えています。

後藤(斎)委員 大臣がおっしゃったように、まさに政府が、自治体も含めてかもしれませんが、国の要するに社会や経済の実際の動きを、真実に基づいて正確に取りまとめをし、国民に提供する。ですから、大臣、先ほどもお話をしましたように、現在の統計法においては、一条で「この法律は、統計の真実性を確保し、」ということを明確に述べられておるんですね。それが、新しい法律の中にはなくなってしまった。

 これは、大臣、繰り返しになりますが、私どもが一番忘れてはいけない歴史の教訓は、権力が何かという議論はあるかもしれませんが、時の権力者が真実をゆがめた数字を国民に情報提供してはならないという大きな歴史の教訓があると私は思うんです。ですから、これを除いた理由を、大臣でなくても結構ですから、教えてください。

菅国務大臣 新法の理念規定において、公的統計というのは「信頼性が確保されるように作成されなければならない。」とされています。この信頼性は、統計の正確性だとかあるいは必要な精度を確保し、統計技術的に合理的な範囲で統計を作成することをも意味するものであって、御指摘の統計の真実性の確保について、この信頼性の確保の中に含まれるだろう、このように考えております。

 なお、この新法の目的規定においては、「公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報である」、こういうふうにもとらまえておるわけでありまして、国民の側に立つ統計という視点というものをこの法律改正の中では明確に打ち出させていただいているというふうに考えております。

後藤(斎)委員 大臣、そこは、やはり今大臣がお答えいただいたように、含まれているということ。それは、確かにこの統計法、私も昔統計の仕事をさせていただいたことがあるんですが、大変地味な仕事であります。しかし、数字はうそをつかないというのもこれは事実であります。その信頼関係が、統計と国民、行政の中で非常にバランスがとれていかなければ、先ほど申し上げたように、今、大臣は権力者かどうかというのは別としても、本当に一部のそういう人たちに利益配分をするだけのものではないというものをきちっとやはりメーンに据えた中で、この統計法が論じられなければいけないと思います。

 そしてもう一つは、先ほど西村委員もお話をされたように、今回、司令塔機能で大きな中心になると言われている統計委員会というものが新しくできる。これも、昭和二十二年の、戦後スタートの統計組織の中では統計委員会があり、それが昭和二十七年、五年たった時点で統計審議会ですかというものにかわりながら、少しずつ変化をして現在に至っているということであります。

 ひとつ、もう少し大臣、しなければいけないのは、いわゆる行政統計みたいな、要するに業務にすぐ使う、もっとあれなのは、民間であれば、要するにマーケティングみたいなものをして、何が売れるかとかいう、非常に直接的にその会社や個人の利害になるもの、それが統計とか数字だと思っている方、国民の方はほとんどは多分そちらの方で、政府の統計を、一々と言うと大変あれですが、よっぽど興味のない限りは、それを、例えば家計調査や国民計算統計みたいな厚いものを全部読み切るなんという人はいないという前提でお話をさせてもらうと、これだけ六十年後に統計調整法も含めて新たな法体系にするということは、僕は、国民の皆さんにもたくさんの人に理解をしていただかないと、空気や水と同じように、いつでもどこでもあって当たり前だ、これはきのう経済産業委員会では電力もそうだという話をさせてもらったんですが、多分、統計の数字もそうだと思うんです、あって当たり前であって、それにどれだけのコストがかかり、どれだけの人的な費用がかかり、なぜそれをしなければいけないかという原点が、先ほど私は大臣とお話をしたものだと思っています。

 もう一つここで言いたいのは、今いろいろな行政改革の中で、人数も大きく減っておりますし、人件費も入れた予算というものは大きく減っているんでしょうけれども、アメリカなんかは、行政ニーズというものが政権がかわるごとにいろいろな統計の対象が広がるということも含めてのようですが、予算も結構ふえている。

 これは、「統計制度論」というのは私もつい二日ほど前に発見をしまして、昭和五十年代の半ばに統計局長をやられた島村史郎さんという大先輩、もう八十近くになられておるそうですが、これを読ませてもらって、このはしがきの後ろの方になるんですが、このようなことが書いてあります。ちょうど昭和五十三年から五十六年、三年か四年統計局長にあった方が、その後、いろいろな資料をまとめるときにいろいろな方にお会いをしたり海外に行って、「我が国の統計制度はこの二十年間、数次の行政改革によって弱体化し、統計職員は減少し、活動は硬直化し、消極的になっていった。一方、国際的に我が国の統計は孤立化の方向に進んでいる。欧米主要国の統計制度と我が国の統計制度を比較すると、欧米諸国では集中化が進んでいるが、我が国では終戦後の分散化がそのまま維持され、しかも統計の総合調整機関が十分に機能しているとは言い難い。」という指摘を、昨年の、ちょうどいろいろな議論が進んでいるときにおまとめになられたものであります。

 私は、今いろいろな方とお話をさせていただいても、先ほどもお話しして、最後にも触れますが、大変地味なものなんですね。あって当たり前で、なければ、何で政府はそういうものをちゃんと調べておかないんだというふうにおしかりを受けるのが常なんですが、やはり専門性というものがなければ、本当に真実の社会の鏡になっているのか、経済の鏡になっているのかというのはわからない。

 ですから、統計部局というのは、分散化といってそれぞれの省庁に所属をしてやっても、ある意味では独立性を持った組織にすべての省庁がなっています、部、昔局があったところもありますけれども。そして、ある程度専門家をその中で育てています。ですから、これからの新しい統計法の中でも、やはり統計の部局の機構の独立性と専門性を持たせなければいけない。それは、今度新たに新法の中に入った統計委員会もしかりであります。

 その二点について、大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。

菅国務大臣 まず、統計でありますけれども、非常に地味な仕事でありますけれども、非常に重要な仕事である、このことは私も認識をさせていただいています。さらに、委員から今御指摘されましたけれども、国民の皆さんに統計の重要さというものをもっとわかりやすく私どもは説明する必要があるのかなということを感じております。

 いずれにしろ、国民の理解を得るために、公的統計を役立つ統計として整備をし、国民からも信頼をされる、そういうものにぜひ今回の改正の中でしていきたいというふうに思います。

 また、統計局の独立性と専門性のお話でありますけれども、正確そして信頼性のある公的統計を整備するに当たっては、それにふさわしい専門性を兼ね備えた職員の確保というのも、やはりこれは大事なことであるというふうに思っています。

 また、効率的な統計整備が求められていることから、統計業務の民間開放等を進める中にあっても、引き続き国がみずから実施すべきものについては、それなりの組織と専門性を兼ね備えた職員、これを確保していく、このことが重要であると考えています。

後藤(斎)委員 そういう中で、先ほど大臣が、国民の皆さんにも統計の重要性というものをできるだけわかりやすく説明していくんだというお話をいただきました。

 あわせて、ちょっと西村委員の論点とは違うんですが、この新しい新法の中で、報告義務が十三条で加わります。あわせて、個人情報の問題とか、六十年前になかったプライバシー権みたいな、いろいろなプライバシーの問題もたくさんあります。

 ですから、大臣、私は、人権の一部のプライバシーの問題と、これは個人情報の問題と表裏なのかもしれませんが、それと、真実を正確に、個人であれ法人であれ伝えていただく、その趣旨をきちっと理解していただく努力は、統計の重要性とあわせて、やはり国民の皆さんに、十三条の「報告義務」という、義務なり命令というのは、大臣、ちょっと嫌なあれかもしれませんが、二十九条も「協力の要請」とか、もう少しやわらかいというか、義務権利の関係だからしようがない、法律だからしようがないかもしれませんが、そういうことも含めて、やはりそれは求めることができるんですね。

 ですから、そこは、なぜそうしなければいけないということを、国民、個人であれ法人であれ、やはり理解をしていただくことがまずあって、ですから、先ほどの国勢調査の問題は、本当に一番大きなセンサス、もちろん、まさに国家がやらなければいけない一番大切な事業であることは、だれも異論を挟む人はいないと思うんです。

 そういうことをどんな形で、例えば、それは子供たちの小学校教育であるとか、そういうものに何らかの関連をつけて、今、食育とか環境教育とか、いろいろなものが学校教育の中にいろいろな形で入っていきますけれども、やはり本当の真実というものは何かというのを見る力と、それにはたくさんのコストといろいろな国民の協力が必要なんだという、そういうものをきちっと理解してもらうということが、この六十年ぶりの大改正、本当に、あって当たり前みたいな世界から、今回こうやって、あすも議論をするということになっている中でのこういう国会の議論ですから、大臣、そこを私はきちっと、委員の皆さんもそうですし、国民の皆さんにもそういう点をやはり理解してもらう必要があると思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

菅国務大臣 全くそのとおりだというふうに私は思っています。信頼性のある統計を作成していくためには、個人の秘密やあるいは企業の営業上の秘密にかかわることも含めて、正確な報告をいただく、このことは必要なことであるというふうに思います。

 そのためには、やはり国民の皆さんに、その統計の必要性だとか重要性というものを理解してもらって、協力を得ることが大事であるというふうに思います。

 本法案におきましては、基幹統計調査について報告義務を課しておりますし、その一方で、統計調査一般について、調査実施者に情報を厳格に管理すること、このことも義務づけをしておるとともに、秘密漏えい等の違反行為に関する罰則を規定することによって、プライバシーというものに対する懸念に対応させていただく、このように考えております。

後藤(斎)委員 今大臣が基幹統計というお話をされたので、ちょっと細かな部分に入らせてもらいます。

 旧法というか現統計法の中では、基幹統計ではなく指定統計という言葉を使っています。昭和二十二年以降、百二十一指定をされ、現在、五十五本が作成をされている。要するに、廃止規定がないので、百二十一引く五十五ですから六十六本は、名称か何かで残っているんでしょうけれども、実際作成はされていないということであります。

 先ほど大臣が、というか私からも言ったように、報告義務、十三条で、基幹統計調査を行う場合には報告を求めることができると。要するに、基幹統計というのは非常に重要なわけですね。ですから、例えば、今指定統計である五十五本は、これは多分二条の四項に基づく部分だと思いますが、自動的に指定統計から基幹統計になるんでしょうか。

菅国務大臣 新法の施行時点において、現に作成されております指定統計について、附則第五条の規定により、総務大臣が公示することによって新法における基幹統計として移行するということになっております。

 なお、公的統計の重要性にかんがみて、新たな基幹統計の指定についても、統計委員会の意見もいただきながら適切に処理をしていきたい、こう思います。

後藤(斎)委員 大臣、もう一点、これはもう少し細かな点なんですが、この基本計画を四条で決める際に統計委員会の意見もお聞きになるということでありますが、基幹統計に新たに、今五十五本がベースで基本的に移動しているとしても、それにプラスに、いろいろな部分で新しい統計、必要な統計というものが入ってくると思うんですが、何を基準にするかということがこの法律の中にはまだ決められておりません。

 やはりそれが、十三条で、基幹統計を行う場合には個人、法人に報告を求めるという報告義務規定がございます。ですから、ほかの統計よりも、この基幹統計というのは、はるかにというかウエートは非常に重いわけですよね。ですから、その基準というものは今どんな形になっているのか、ちょっと、簡単で結構ですから教えてください。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 現在の指定統計の指定基準につきましては、特段の定めはございません。個々の統計につきまして、統計審議会の御意見を賜りながら指定をさせていただいている、こういう状況でございます。

後藤(斎)委員 ただ、この統計委員会というのが、先ほども西村委員からもお話があったんですが、第五章で四十四条から五十一条まで、特に五十一条では、法律に規定するもののほかは必要な事項は政令で定めるという規定があるんですが、この委員会のお仕事というのが、この法律を見ただけではよくわからないんですね。

 昨年出された統計制度改革検討委員会の報告の中で、この司令塔の有すべき機能であるとか組織のあり方というのが書いてあるんです。先ほどちょっと大臣がお触れをいただいたように、司令塔の有すべき機能というこの機能が大切だと思うんですが、企画立案・調整機能、基本的な統計の整備機能、それと統計の基盤整備という部分、この三つが一体的、相乗的、継続的に効果を発揮し得るということのようなんです。

 大臣、私、一つ抜けているものがあると思って。通常、独立したこういう委員会をつくって、大臣にきちっとした意見を言って、大臣はそれをもちろん尊重なさるんでしょうけれども、この規定の置き方はともかくとして、そこにやはり、例えば今、実質分散型ですから、その委員会は各省庁に対して何らかの意見をきちっと言える機能、ですからチェックや監視をする機能というものが、この中には、少なくともこの報告書の中には、どこかにもしかしたらよく読むと書いてあるのかもしれませんが、やはり必要ではないかな。

 それとあわせて、大臣、この統計委員会は基本的には非常勤であります。四十八条五項の規定、非常勤であります。なおかつ、ちょっと一つ戻ると四十七条、委員及び臨時委員は学識経験のある者から内閣総理大臣が任命すると。要するに、学者の先生方と非常勤であるという二つなんです。

 昔、日本の統計制度がスタートをした明治の初めのころを見せていただくと、例えば、そのときは貴族院と衆議院ですか、その議員であるとか、要するに、学者以外のいろいろな、例えば労働界であるとか、各国を見てもそうなんですが例えば経済界の代表であるとか、その中に学識経験者みたいな、いろいろなバランスをとってやっているという仕組みを持ちながら、司令塔かどうかは別としても、少なくとも中立的、独立的な位置づけできちっと意見を言っていくというものになっているケースが多いようであるんです。

 大臣、その点、この統計委員会に、大臣が先ほどおっしゃっていただいて、私も言ったこの三つの機能以外に、各省が正しく、例えば実際にそれをやっているかどうかみたいなことを、チェックと言うとおかしいかもしれませんが、専門性を持たれている方ですから、そういうチェック機能、監視機能をやはり持っていただく必要がないと、何のためのこの統計委員会なのか。特に、非常勤というものの中でやっているということも含めて、その点について大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。

菅国務大臣 まず、この統計委員会ですけれども、企画立案・調整機能の一環として基本計画の作成など、総務大臣等関係大臣からの諮問を受けて調査審議を行うほかに、この司令塔的機能の中核をなす組織としてさまざまな意見が言える、こういうふうになっておりまして、法律の全般の施行について幅広く意見を述べることができるということになっていますので、私は、今委員が懸念されたことはないというふうに考えております。

 それと、委員及び臨時委員は学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命する、そういうことですから、必ずしも学者には限らないのかなというふうに思います。

後藤(斎)委員 先ほどもちょっと西村委員との議論の中で、要するに、ここは十三人以内の委員の先生方がメーンなんですが、もちろん、事務局体制というものがどうなるのか、それは先ほど大臣のお話ですと、総務省のどこかの部局がおやりになる、内閣府ではないということなんでしょうけれども、やはりそこの事務局がどんなメンバーでやるのかというのは、これは、四年前か、最近できた食品安全委員会にしても、新たないろいろな委員会機能というのが、すべて事務局がいろいろな情報を収集し、ある程度の素案をつくり、最終的に委員会にかけて、もちろん御承認をいただいたり、委員会としての意見を大臣にお述べになるというふうに思うんです。

 事務局をどうするかという議論も、大臣、これはやはり一緒にしていかないと、大臣がすべてやればいいというものではありませんし、先ほどもお話をさせていただいたように、やはり独立性、専門性がある機関だということが、これは国内だけではなくて、後でちょっと触れますが、国際統計というものがこれからもっともっと重要になるし、実際、今、統計部局で政府の職員、地方公共団体の職員としてお仕事なさった方が、海外に行ってそういう統計の技術指導をしたりということが事例としてこれからもっと出てくると思うんですね。

 私、一昨年、アフリカに出張させていただいたときに、統計なんというのは、はっきり言ってほとんどないという国がまだまだたくさんあるし、やはりその数字をどういうふうに見るかというのは、冒頭申し上げた非常に重要なことですから、大臣、だから、この統計委員会の機能というのは、そこの実務というか事務局体制とセットでやはり議論をする必要があると思うんですが、その点について大臣はどういうふうな御見解をお持ちでしょうか。

菅国務大臣 総務省の職員が併任をするということももちろん考えていますけれども、それ以外にも、今、委員の御指摘にありましたように、やはり事務局体制というのは極めて大事というふうに私は考えておりますので、その体制そのものについてもまた検討させていただきたいというふうに思います。

後藤(斎)委員 大臣、もう一つちょっと大臣とお話をさせていただきたいのは、いわゆる分散型、集中型、特に集中型は、過去、社会主義経済体制の国であるとか、ヨーロッパの国もそれに近いとか、アメリカは分散型。日本は、明治、戦前までは、要するにドイツ型の統計部局が基本的にはあったというふうに言われていますが、戦後はアメリカ型の、先ほどのライス教授以下のいろいろな方向性でやってきたという部分で、分散型に現在なっています。

 司令塔機能を、統計委員会を中心に大臣に意見を言うということですから、大臣と同格と言うと大変失礼な言い方かもしれませんが、権能的には、そこでアドバイザー的に助言をするという機能を当然持つわけです。

 でも、それはあくまでも各省の、別の言葉で言えば、分散型というのは縦割りの形ですよね、というものは維持をされた方が、現実を踏まえればそうなるのかもしれませんが、大臣は、日本の統計情報機能の、組織の機能として、本当にこれから向かうべきは、社会の情報基盤としての統計というものを考えて国民のスタンスに立ったときに、分散型の統計情報機能の方がよりその目的が達成できるんでしょうか。それとも、集中型の、例えば統計委員会の司令塔機能をもっと強化して対応した方がいい、どちらだというふうにお考えでしょうか。

菅国務大臣 どちらがいいと言われれば非常に答えが難しいと思いますけれども、ただ、日本の今日までの歴史ですよね、分散型で行ってきている。しかし、そこによって、同じようなものをそれぞれの縦割り行政の中でやってきている部分というのはありますから、そういう分散型のデメリットですか、そういうものを今回この司令塔機関を置くことによって排除して、これからの時代によりふさわしいものにしていく。

 それについて言えば、集中型になるのか分散型、どちらかという、表現はわかりませんけれども、集中型のいいところも取り入れて分散型を行う、こういうふうに考えています。

後藤(斎)委員 では、大臣、折衷型、集中・分散型と言ってもいいかもしれませんが、いいところを取り入れる。

 一方で、大臣は地方分権を担当する大臣ですから。ただ、大臣、地方の統計組織も非常に今疲弊をしていますね。疲弊というのは、これは地方交付税で、機関委任事務でやらせたり委託でやらせたりと、いろいろな手法をとって、大臣、これもこの資料で私も知ったんですが、統計調査の実施を地方公共団体に委任をしている国は、日本と中国とドイツとスイスの四カ国に見られる非常に珍しい現象だ。ほかの国では、中央の統計局が地方に支所を持ち、そしてその地方支所が統計調査を実施しているというのが、実はこの島村先生の著書の中に書いてありまして、私も全部検証したわけじゃないから、もしかしたら今変わっているのかもしれませんが、少なくとも昨年の時点ではそうである。

 ですから、これは大臣、ちょっと頭を地方自治の部分に戻していただくと、地方行政にとっても非常に有意義だといっても、これもよく言われることなんですが、では、知事さんや市町村の首長さんや地方の議会の議員の方が、本当に統計の組織の人を割り当て、張りつけて予算をきちっと組むかというと、そうではない部分が、政府、霞が関の統計人員も、先ほどもお話ししたようにどんどんどんどん減っているわけですね。地方の統計部局の職員も非常に減っているというふうに言われています。

 これは、財政の事情や職員の有効利用と、いろいろな部分で、ある意味ではやむを得ない部分があると思うんです。大臣、本当に真実を唯一述べる部分の数字というものが、これは地方、国を問わず、どんどん人的な部分が減っているということについて、大臣はこれからのあり方として、確かに限られた予算ですからやむを得ないという点もあると思いますが、その点について、先ほどもちょっと事例を聞かせてもらった、アメリカはそうではない、新しいニーズを踏まえた形で統計業務を拡充しているという話もお聞きをしています。

 その点について、大臣は、これから公的統計のあるべき姿、そこに予算や人というものをどういうふうに張りつけていくのかということをちょっと教えていただけますか。

菅国務大臣 今日は、ありとあらゆる部分で効率化というのは当然求められております。しかし、私は、統計というのは、やはり国が中心になって行う極めて重要な政策の一つだというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたけれども、その効率化は、行うことは行いながらも、しかし専門性の大事な部分についてはしっかりと育成をしていく、そういう方向で取り組んでいきたいと思います。

後藤(斎)委員 組織的な部分でいえば、大臣、もっと具体的に言えば、いろいろな、行革、財政的な問題、これは当たり前のことですし、そしてそれが国民のニーズに合うかどうかという。そのニーズというのが、ややもすれば、非常に地味なところはやはりカットするということも当然、人間ですからあると思います。

 数字を挙げさせていただくと、統計職員が、昭和二十四年から、ちょっと古い数字で、平成十八年くらいまでの六十年弱の部分で、大体人数は、中央統計というか、国家公務員としての統計職員の方は五分の一に減少しています。都道府県の部分は、そうはいっても兼任とかいろいろなことで工夫なさっているようで、二分の一に減少しているということであります。特に農林省では八〇%、この間、人数が大きく減少し、お話を聞くと、さらに平成二十二年までにそれが半減をしていく、現在よりも半分に減っていくというお話を聞いております。

 これは農林省だけということかどうかは別としても、大きくこれから、大臣が必要な部分だというふうにおっしゃっても、実際の現実は、確かにもっと合理化をしなければいけない、行革をしなければいけないということはあるんですが、必要なものは、きちっと真実を伝える唯一のツールであるということを考えれば、いろいろな多様性や、食や環境や食料安全保障や、いろいろなものが絡んでいる中で、何か五分の一以上で平均的に減っている中で、農林省は八〇%減になっているということも数字的にはあるんです。

 その点、きょう農林省に来ていただいていますが、これからの、多角的農業をやるとか安全保障をとかいうふうないろいろな課題がある中で、本当に大丈夫なんでしょうか。

長政府参考人 お答えいたします。

 農林水産統計につきましては、これまでも政策ニーズに対応した調査の見直し、あるいはアウトソーシングの導入といったことで、調査の効率化に努めてまいりました。しかしながら、農林魚家等を対象にするといった性格上、主に国の職員が直接調査を行うという特徴を有しておりました。

 これに対しまして、政府全体での総人件費改革といった対応の中で、この調査を抜本的に見直してまいることといたしまして、職員調査を原則廃止していく、全面的にアウトソーシングを導入していくといったことを通じまして、大幅な定員の合理化、削減に現在取り組み始めたところでございます。

 この場合に、今委員御指摘がありましたように、統計の質の低下を来すことのないように、私どもとしましては、全国の農山漁村におきましてもきちんと統計の調査員の方々を確保して、指導等により調査技術の維持向上に努めます。あるいはまた、調査内容の簡素化といったことでしっかり対応していくということでございます。

 また他方で、やはり財政支出を伴う政策に直結している農家の所得の統計ですとか、あるいはお米の生産統計といったことにつきましては、当面は一部職員調査を継続するといったことで支障のないようにしてまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、農林統計といいますのは、やはりそういった農政改革を推進する上でも不可欠なだけではなくて、国民の方々に農林水産業ですとか農山漁村の実態を知っていただくという上でも極めて重要な役割を持っておるということは今後とも変わりはないというふうに考えておりますので、引き続き、またしっかりと対応してまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、最後に、昭和二十四年に初代の統計委員会の委員長になられた大内兵衞先生が、統計が民主主義の基礎であると。これは、先ほど言った、権力者によっていろいろな数字の改ざんや何らかに、一つは中立性ある、公平性ある、一つは真実を国民に見せるべきだという、戦前のいろいろな反省からの意見なんですが、やはり地味な部分が確かにあります。しかし、大臣も先ほど御答弁いただいたように、大変大切な部分だというふうに私は思っています。

 ですから、大臣ぜひ、先ほど大臣がおっしゃっていただいた、国民の皆さんに周知をし理解を得ながら、やはりよりよく、本当に正しい数字を守っていかなければ、大内先生がおっしゃった、統計は民主主義の基礎であるという言葉、もう一度六十年前に、現在の統計法がスタートした時点にやはり戻って考えるべきだと私は思うんですが、最後に、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 大内先生というのは私が尊敬している中の一人でもありますし、まさにそこに統計の真実があるというふうに思っておりますので、そこの基本部分を大事にしながら取り組んでいきたいと思います。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 統計学では、標本と確率論とそれから相関関係の分析など評価、こういうところが中心的な問題になってくるかと思うんですが、そのときに問われてくるのは、やはり調査対象をどう選ぶかということと、それから調査の対象の回答が正確であるかどうかとか、それから調査者側の調査の手法がきちっとしているか。つまり、調査の信頼性と精度をどう高めるかということが非常に大事な問題になってくると思うんですが、この信頼性と精度をどのように高めていくのか。

 この大事な問題について、まず政府参考人の方に伺っておきたいと思います。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 統計調査の信頼性を確保するとともに統計の精度を高めるためには、まず、統計調査の企画立案に当たりまして、調査目的を明確にした上で、母集団情報の的確な把握を行い、目標精度の適切な設定等、必要な精度が得られるよう適切に標本設計を行うことが重要であると認識しております。

 また、実査、調査におきましては、適切な調査方法の選定、調査員への十分な指導等によりまして、未記入、誤記入を防止し、正確な回答を確保することが重要であると認識しております。

 さらに、調査実施後、評価の段階でございますけれども、達成精度について検証する。それとともに、事後の検証結果を次回調査の設計に活用していくことが重要である、こういうふうに認識しております。

吉井委員 現行の統計法では、先ほども議論ありましたけれども、まず第一条、法目的で「統計の真実性を確保し、」と。だから、統計というのは、基本になるのはやはり真実の追求ですね。その点で、今度の法改正で、真実性の確保、信頼性や精度は高まるのかどうか、また、それはどの条文によって、その真実性の確保と、法目的からは消えているんですが、それをやり抜こうとしているのか、これは基本的なところですから、大臣に伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 統計調査の信頼性を確保するとともに統計の精度を高めていくためには、統計調査の企画立案に当たって、まず調査目的というものを明確にする。その上で、この母集団情報の的確な把握を行って、目標精度の適切な設定など、必要な精度が得られるように標本設計を行う、こういうことも大事であるというふうに私は思っています。

 そして、この新法の理念規定において、公的統計は、信頼性が確保されるように作成されなきゃならないとされております。この信頼性は、統計の正確性や必要な精度を確保し、統計技術的に合理的な範囲で統計を作成することをも意味するものであって、御指摘の統計の真実性の確保については、この信頼性の確保の中に含まれているというふうに考えております。

吉井委員 真実性の追求という点では、統計にはいろいろなものがありまして、国勢調査もあればいろいろな政府統計や政府調査があるんですけれども、例えば、統計法制度に関する研究会報告を見てみますと、「これまで統計調査の委託先からの漏洩事件等は発生していない」などの記述等はあるんですけれども、実は、調査の信頼性を損なう事件としてはいろいろこれまでからあったと思うんです。

 政府参考人に伺いますが、例えば二〇〇五年の日本銀行の生活意識調査でデータ捏造が発覚したと思うんですが、こうした調査における問題について報告を求めたいと思います。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のあった、二〇〇五年の日銀の不正発覚の問題でございますけれども、これは、日銀で実施いたしました「生活意識に関するアンケート調査」であり、不正なデータ収集、例えば、知人に回答させた、あるいは集めやすい対象を任意に選定したといったような問題であるというふうに、新聞報道等により私ども把握していたところでございます。

 なお、同調査は、統計法及び統計報告調整法の対象となります承認統計調査あるいは届け出調査には該当しないものであるということでございます。

吉井委員 日銀の方の調査では、二千九百九十七件の調査をして九百八十七件、二一%余りが不正だったんですね。二割が不正なものをやっておった。

 そこで、その不正なデータ捏造をやった業者と同一業者を総務省の方が使って、家計消費状況調査を委託したんじゃありませんか。このときはどんな問題が起こっていますか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの承認統計でございます家計消費状況調査というものがございます。これにおきましては、平成十七年度の受託業者におきまして、平成十七年の六月及び七月の客体のうち、約二万七千世帯がございますが、そのうちの五十二世帯で、調査員がみずから調査票を作成して提出するという不正な調査が行われたことが判明いたしました。

 これは、先生御指摘の日本銀行の調査で問題が発覚いたしましたので、私どもも同じ会社を使っていたということで急遽調べてみたら、そのことがわかったということでございます。そのために、結果の公表を延期するなど、さまざまな対策を講じたというところでございます。

吉井委員 従来から、委託調査の場合、随分データ捏造とか不正があったと思うんですね。今おっしゃった社団法人新情報センター、総務省のも請け負っておったんですが、全部、政府の側は随意契約でもって、形は一般競争入札だけれども、結局二社しか入らなくて随意契約とか。

 それで、こういうところに落ちる仕組みをつくって、小売店舗等に関する世論調査とか水害・土砂災害等に関する世論調査とか地球温暖化対策に関する世論調査とか自衛隊・防衛問題に関する世論調査とか、随分使ってこういうことをやっているわけですが、このほかにも、地域再生に関する特別世論調査で、データの信頼性が覆されるという問題があって、私も内閣府の資料を見ていて驚いたんですが、例えば、住んでいる地域に元気があると思うかといったら、最初のデータからデータそのものが変わってきて、回答の比率が全部違ってしまったとか。

 そうすると、政府が行ういろいろな調査とか、そういうものの信頼性というものが本当に揺らいできてしまうじゃないかということが今、やはり統計ということを考えるときには基本になる、調査者がきちんとやるのかどうかというところが問題になってくると思うんです。

 問題になったような委託調査の場合、委託業者が不正を働いた事例というのは、本当に統計調査への信頼を失わしめる問題であったと思うんです。内閣府では調査が公正かどうかを監査する仕組みを導入するということにしていますが、総務省としては、そういうデータ捏造等が入らないようにする、再発防止にどのように取り組んでいるか、伺います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの方では、民間委託をしております統計調査というのは、今申し上げました家計消費状況調査が基本でございますが、これにつきまして、一つには、まず業者の方も、十七年度の問題がございましたので、改めまして入札を行いまして、十八年度からはまた新たな業者で調査を行うようにしております。その中で、業者自身にも、きちんと調査員が正しい仕事をしているということを監査するように義務づける契約をしております。また、私ども自身も、調査員の活動をきちっと把握できるように、世帯の側にも直接サンプリングによりましてコンタクトをとって、そうやって確認をするということをやっております。

 そのようなことで、今回の事件をきっかけに、私どもとしても万全を尽くしておるというところでございます。

吉井委員 労働局の不正経理問題では、虚偽の書類を作成して、統計調査員らを雇用したように装って裏金をつくったという事件もありましたけれども、そうした雇用実態のない統計調査員の旅費をプールしたなどの事例もあるわけです。統計調査員の雇用実態というのは簡単に偽装できるようなものじゃ困るわけで、これはどういうふうになっているんでしょうか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 統計調査における調査員につきましては、これは都道府県が任命をいたします。そして、それについての御報告をいただいている、こういう状況でございます。

吉井委員 統計調査員の場合、偽装できないように身分証に写真を貼付するとか、要するに、相手の方がだまされることがないように、これをやることも当然だし、役所の側が偽装して水増しというのは論外としても、役所の側も、下請等に出していたところがとんでもないことをやられておったということになっちゃいけないので、その点は、簡単に偽装できない、そういう仕組みというのはちゃんとやっておるわけですね。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のあった身分証明証、当然ながらこれにも写真を張っております。そうしまして、それを提示して調査を行うということでございます。

吉井委員 そこで、現行の統計法に基づくきちっとした調査については、指定統計調査の調査員方式による場合は、国、地方公共団体による統計調査員の設置、調査対象者に対する申告義務、実地調査権、それから罰則等を定めてきちっとやっているわけですね。

 それはやはり、調査に罰則も含めてということは、かなり、責任を持って調査をしなきゃいけないということだと思うんですが、現在の統計法では、民間委託ということについては前提としていないもの、そういうところからこれは出てきていると思うんですが、一方、さっき言いましたような内閣府の一部のアンケート調査的なものは、民間委託の中でさまざまな問題が出ておりますが、少なくとも、統計法に基づくものではそういうことはないという立場でやってきたわけですね。それを伺っておきます。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 罰則の適用につきましては、民間委託、いわゆる受託業者につきましてもこれは適用するということでございます。ただ、それが明文上明確でなかったということで、今回の新法案におきましては、そこを明文で規定しているということでございます。

吉井委員 ことし二月の統計法施行令改正によって、就業構造基本調査、全国物価統計調査を市町村が民間委託として行えるようにした、それは既にあるわけですね。統計調査員とは別に民間事業者に雇用された調査員が実地調査をすることになってきますが、この場合、調査対象者は、この民間調査員に対して答えることとなっている、つまり、申告義務を負うということになってくるのか、答えなかった場合には申告義務違反として調査対象者の側が罰則適用されることになるのか、ここはどういうふうになるんですか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の報告義務、これは調査対象者と直接やりとりをいたします従事者、調査員、今の場合は民間の委託事業者、こういった方々に対して負っていただくものではないということでございます。民間企業に実査業務を委託した場合も含めまして、調査の実施主体である行政機関との関係で生じるものということでございます。

吉井委員 委託業者のアルバイターなりなんなりの調査員の方が行っても、調査される側は申告義務違反で罰則を受けることはない。今のお答えでそこはわかりました。

 次に、就業構造基本調査、全国物価統計調査はいずれも法定受託事務でありますが、民間事業者が不正行為を行って調査データの信頼性、精度に問題が生じた場合、そのとき、市町村には調査をやり直すなどの責任が発生してくるかと思うんですが、そういう責任が発生することになるのかどうかということと、市町村が処理する事務処理条例というのは都道府県で定めているわけですが、都道府県にはどういう責任というものが求められてくるのか、これも伺いたいと思うんです。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 統計調査の民間委託を行う場合には、当然のことでございますが、統計の正確性や信頼性の確保、また、調査対象の秘密保護が前提となるものでございます。

 このため、私どもといたしましては、調査を所管する立場といたしまして、実査事務を担当する地方公共団体に対しまして、入札や契約あるいは民間事業者の監督方法等についての基準や条件を提示いたしまして、適正に民間業者が選定されるように、また、事務が適切に実施されるように措置することが重要と考えておりまして、現在、先ほど委員御指摘の調査につきましても、その内容等について検討を行っているというところでございます。

 受託業者が不適正な行為を行った場合、どういうふうに対応しなければいけないかということでございますが、このような事態、そもそもあってはならないことではございますが、万が一そのような不適正な行為が行われた場合には、仮定のお話ですのでなかなかお答えしにくいところはございますが、個別の事案に即しまして適切な措置が講じられるように、万全の措置を期してまいりたいと考えております。

 その場合の地方公共団体の責任でございますが、地方公共団体としては、事業者を適正に監督していただくというところが責任としてございます。

吉井委員 適正に管理するのは、監督するのは当たり前な話なんですけれども、実際問題が起こったときに、法定受託事務で中身がだめだったら、またやり直さなきゃいけませんね。これはまた財政的に地方に二重に負担がかかる場合もありますから、そういうことも含めてきっちりと、やはり正しい統計調査ができるように、誤りあればそれを正させるのは当然として。法定受託事務でやっていたんだけれども、自治体の側もだまされてしまったということもあり得るわけで、そのときに、自治体の財政負担だけでやるんじゃなくて、そうしたこともきちっと正されるように、財政措置も含めて正していけるようにやっていただきたいと思います。

 委託業者が雇ったアルバイト調査員などが個人情報を漏らした場合、これはもちろん調査員本人の守秘義務違反ということはあるんですけれども、同時に、調査員への教育をきちっと行わなかった者の守秘義務違反というものを本来問われなきゃいけないと思うんですよ。

 しかし現実には、さっきの社団法人新情報センターなんかにしても、たしか五カ月ぐらいの指名停止で終わってしまっているんですね。企業の側は指名停止程度で終わっているんですけれども、実際は、被害を受けるのは、個人情報を流出された被害者はたくさんいるわけですよ。一人一人の被害者の償いには、指名停止ぐらいじゃならないわけですね。

 実は、国の統計調査といっても、本来、国民の皆さんとの信頼関係が高くないと質の高いデータというのは得られないんですね。ですから、そういう点では、実際に調査に行った者が守秘義務違反の刑罰は受けることになるにしても、実は不十分な教育をやった者についても、きちんとした刑罰も含めた責任というものが問われる。何より怖いのは、国民との信頼関係が失われたら次からの調査がなかなかうまくいかないわけです。そうすると、本当に調査データの質が落ちるということになりますから、そういうことにならないように取り組む必要があると思うんですが、それはどういうふうにきちんとやっていくのか、政府参考人に伺っておきます。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございましたように、国民の方々との信頼関係、これが一番重要であるというふうに思っております。

 それで、実査事務を委託された民間企業には、調査票情報を適正に取り扱う措置を講ずる義務がございます。この一環として、雇用したアルバイトに対しても指導監督を適切に行う義務があるということでございます。

 ただし、アルバイトが、雇用した企業の指導監督に反して秘密漏えいを行ったという場合については、その企業の長に罰則を科すことは適切ではないだろうというふうに考えられます。

 また、民間企業において指導監督が不十分であるという場合も想定されないことはないと思われますが、秘密漏えいの罰則は故意犯を罰するものであるということから、このような場合については、契約上の取り扱いにおいて対応すべきというふうに考えております。

吉井委員 そこで、アルバイターの方が反してやるのは、これは罰を受けるのは当然としても、守秘義務違反に問われるのは当然としても、やはり教育不十分、安上がりだからとにかく雇ってということで、きちんと目的とかその重要性が知らされないままやるような場合、それは本来、アルバイターの責任以上に、そういうことをやっている者の責任が問われてくるので、それが指名停止の段階だけで、それ以上の責任が問われないというのは、やはりそれは非常に甘い話だと私は思うんです。

 大臣に伺っておきたいんですけれども、法定受託事務との関係で今のようなやりとりを少ししたんですが、国において適正な処理を特に確保する必要があるというのがこの法定事務ですね。しかし、それを地方自治体にということになるんですが。統計というのは国民の共有財産であるだけじゃなしに、国際比較にとってもなくてはならないものでありますし、日本の統計の正確性にもし疑問が出てしまったら、これは取り返しのつかないことになりますから。

 統計というのは、官がやっても民がやっても、結局、大半はやはり人件費なんですね。人件費を買いたたいて安いことを効率的だとしてしまうと、きちんとした統計はできないということになれば、これは統計そのものの評価が軽くなる、国際的にも評価されないということになると思うんですが、この点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。

菅国務大臣 基本的に、統計は真実じゃなきゃならない、先ほど来出ていますけれども、そのことがまず一番大事だというふうに私は考えております。さらに、その上で、やはり効率性というのも当然追求されるべきだというふうに思います。

 ただ、あくまでも、基本は信憑性の高さであると思います。

吉井委員 さらに、その真実の追求の上で、統計の充実を進める上で、一つは統計の専門家の育成ということと、それから実際に調査に当たる統計調査員の育成。経験を積み、しょっちゅう日がわりのようにアルバイターを雇って済むような話じゃないですから。それから、国民の間で統計への理解を広げるということもまた大事なことで、それが、統計調査員が来たときにきちんとした回答をしてもらうということにつながるわけです。そういう点では、学校教育や広報、啓発によってそうしたことを進めていく、これは国として統計の充実ということに取り組むことは大事だと思うんです。

 これについても大臣に伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 今委員が指摘されたことは、私も全く同感であります。

吉井委員 そこで、一般論としてじゃなくて、統計学を含めた統計調査の専門家を育てることで、統計職員というのは、中央官庁にしても都道府県の専任統計員も、一般行政職として大体二年程度で異動を繰り返しているんですね。だから、専門性を高めるとか人材の育成という点からすると、非常に安定性を欠いてしまっている。経験の蓄積等が必ずしもなされないという問題があるように思われるんです。

 これは政府参考人に伺っておきますが、そういう分野の職員の養成にどんな対策をとっていますか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 今おっしゃいましたように、専門性の養成は非常に重要な事柄であると思っております。これは、部内研修はもとよりでございますが、私ども総務省にも施設等機関といたしまして研修所がございます、こういったところでの研修。

 それから、ローテーションを組んで人事をやっておりますと、長年の勤務というのがなかなか難しい状況もございますけれども、それでもやはり複数回、一度経験し、また戻ってきてその経験をする、ほかの行政分野もやりながら統計の実務あるいは統計学的なことも身につけて、他の行政にもいろいろそういった経験を生かしていく、こういうことも必要でございますので、そういったことも考えながら、技術的な養成に努めていきたいというふうに思っております。

吉井委員 統計というのは、本来的にそういう質の高い統計データを得ないと、国としても国民にとっても大変なことですから、その統計について、行政の担当者や研究者、事業者だけのものではなくて、国民の共有財産として活用され、民主社会の基盤となっていくべきものなんですが、統計の実査ですね、この実査というのは、厳格な秘密保護や信頼感という角度から、民間委託されて先ほど言ったような問題が起こったりしていると、これはやはり信頼感は失われますし、またそういうこともあるから、民間委託されたというのは世界的にも余り例がないわけですね。

 総務省の統計調査の民間開放・市場化テストに関する研究会では、統計調査についての民間開放ということを検討しているようですが、統計調査のどういうところを民間開放しようと検討しているのか、これを伺います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの統計調査の中でも、現在、二本の調査について検討を進めておりまして、それが委員御指摘の研究会の方で検討の素材となっております。

 一つは、科学技術研究調査という、郵送によります企業に対する調査でございます。それからもう一つは、個人企業経済調査という調査でございますが、これにつきましても検討を行っておりまして、これらにつきまして、実際にいろいろアンケート調査を行うなり、あるいは試験的に民間委託を行うなどのテストを行いまして、そういう確認を行いながら、調査対象者との信頼関係あるいは統計の信頼性、そのようなものに影響が出るかどうかといったことを実験をもって検証しながら進めておるところでございます。

 その中で、既に科学技術研究調査という郵送による調査でございますが、これにつきましては実質的に今のところ影響は見られないということで、この郵送の調査につきまして民間委託を行うということをやっております。

 それから、個人企業経済調査につきましては、現在、その結果を分析しておりまして、今後、その結果を踏まえまして対応を考えていきたいと思っております。

 また、このような実験の検証結果を踏まえながら、この後の進め方についても、信頼を失わないように、かつ効率性を高めるようなやり方で民間委託の活用の仕方を検討してまいりたいということで、そのような研究の内容となっております。

吉井委員 ですから、最初に取り上げましたように、民間委託の中で、現実に、総務省の分についても日銀についても、それから内閣府についてもデータ捏造があったんですね。そういうことがあると統計のそもそも信頼性も失われる、統計そのものもそうですけれども、国民と国の調査との間で信頼性が損なわれてしまうと、統計というのは基礎そのものが揺らいでしまう。これは統計学の面から見ても大変重大な問題だと思うんです。

 統計というのは、国民共有財産であるだけじゃなくて、国際比較にもなくてはならないものですから、日本の統計は正確性に疑問ありなどとなってしまったら、これは取り返しがつかない問題ですから、統計調査そのものの信頼性と精度を高めていく上で、こういう分野では民間開放、市場化テストなどという発想に簡単に走ることのないように、このことを申し上げて、質問を終わります。

佐藤委員長 次に、木挽司君。

木挽委員 大臣が御都合で退席されまして、非常に寂しい中、質問をさせていただくことになりました。冒頭からハプニングでございますが、かわりに田村さん、都合いただけるということでございます、副大臣の方にお願いしたいと思います。

 私は、もともと物づくりの企業を立ち上げ経営してまいりました、いわゆる中小企業のおやじでございますが、自分でやっておる中で、いつもある特定の時期になりますと、こういう国勢調査のたぐいの、工業統計調査でございますか、そういったものが舞い込みました。物づくりの企業でございますから、現場におりる、設計図を見る、あるいは資金繰りも自分でやる中で、こういった調査が舞い込むと、ああ、面倒くさいな、またこの時期になったのかと。大体こういうときに集中するんですね。工業統計調査もあれば、また同じような項目で商工会議所あたりから同じような調査が来たりする。もうこんなものは本当に役に立っているのかなと。大体見ましたら、この調査は、我が国産業の将来、産業施策に資するため、国民の利益に役に立つためみたいなことが書いてありましたけれども、本当にこれがそのものに役に立つのかなといつも思いながらつくらせていただいておりました。

 そこで、今回の法案の中で、政府のための統計から社会の情報基盤としての統計へというふうに書かれています。まさに今私が申したようなことなんです。

 そこでお伺いしたいんですが、この法案によって公的な統計が具体的にどう変わることになるのか。私はもう一つわかっていないんですよ。質問する立場でこんなことを言ってはなんなんですけれども。配付されている法案概要にもさっきみたいなことが書いてある。一体どう変わるんでしょうか。それで、特に国民だとか事業者にとって何のメリットがあるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

田村副大臣 この統計法は、戦後間もなく制度が制定をされたわけでありまして、そういう意味では、社会経済情勢は大きく変化をいたしておりますし、国民のニーズというものも大きく変わってきておるわけでありまして、そういうものにこたえていくために、今回、抜本的な改正をさせていただくということであります。

 この法案が成立をいたしますとどうなるんだという御質問でありましたけれども、公的統計の整備に関する基本計画というものを策定いたします。これは今先生から御説明になられた政府全体という話でありまして、今まで個々の統計調査についての審査、調整による統計の整備、これがなされてきておったわけでありますが、今回、政府全体ということでありますから、総合的に、計画的にそういうものに関して統計の整備が行われるわけであります。

 ある意味、今までよりもニーズに即した、いろいろな利用しやすいものに変えていく必要があろうと思っておりますし、あわせて、統計情報自体も、今お話があった、同じようなものを何遍も何遍もというような話がなるべく減るように、無駄な調査というものも省いていく、そういう話になりますし、そういうことになれば、当然、情報自体もそう何度も同じようなものばかりとるということもなくなってくるんであろうと思います。

 もっと言いますと、行政記録情報ですね。これは統計用にとった情報だけじゃなくて、いろいろな行政の記録情報があります。これも提供を求めることができるというふうになっておりますので、求めて、それぞれの省が出せる出せないという問題はあると思いますけれども、そういう情報もいろいろと利用しながら、国民や事業者の報告負担というものの軽減、こういうものが図られるとともに、あわせて、先ほど来言っておりますとおり、いろいろなニーズにこたえるためには、いろいろな情報を二次利用みたいな形でいろいろな加工をして、こういう情報が欲しいんだ、国全体の情報はこうだけれども、統計はこうだけれども、例えばこの県の統計をその中で抜き出してほしいなんというような話があったときに、それにも対応できるような、そんな方向に進めてまいりたいな、このように思っておるような次第であります。

木挽委員 まさに記入する側で見ていれば同じような項目が重なっている。何でこれがうまく機能していないのかなと。書く方からすれば、同じような項目ですから、女子の職員に、会社の担当の人間の方にバトンタッチするときでも、ああ、そのまま写して書いておけばいいやというようなことが実態としてあったわけですね。そういったことで、やはり国や県、市、公共のやっていることというのは実に無駄が多いのかなというのを私いつも感じながらやっていたわけなんですね。

 内容の方にまた質問を移したいとは思うんですが、その前にもう一つ。

 さっき民主党の後藤先生が御質問されておりましたが、国際的な位置づけみたいなことで、中国の統計調査だとかアメリカの統計調査ということで質問の中でおっしゃっていましたけれども、いま一度、日本の統計というもの、その精度だとか、そのあり方だとか、国際的に見て、ちょっと雑駁な言い方かも知れませんけれども、その位置づけというものについてどのようにとらえていらっしゃるか、お答えいただけたらと思います。お願いいたします。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の統計の整備状況でございますけれども、これは、国連、OECD等の国際機関に対しまして、人口、産業、労働、貿易等の各統計、あるいは国民経済計算等の各種統計データを幅広く提供しておりまして、また、各分野における主要統計の整備状況から見ましても、欧米先進諸国に引けをとらない水準にあるというふうに認識しております。

 また、国連等の国際機関での活動でございますけれども、例えば、国連の国際標準産業分類の改定におきましては、経済活動の実情を踏まえた我が国の知見が活用されております。人口・住宅センサスにつきましての国際勧告に関しましては、専門家会合の議長として取りまとめに貢献しております。あるいは、世銀の通貨の購買力平価等に関する国際比較プログラム事業への参加、協力など、積極的に貢献を行ってきているところでございます。

 さらに、国連アジア太平洋統計研修所といったものを我が国に招致、支援しておりまして、アジア太平洋地域を中心といたしまして、国際的な統計能力向上、人材育成に大きく寄与しております。この研修所設立以来、ESCAP域内国等から一万人以上の研修生を受け入れまして、研修生の中からは、その国の統計局長等、幹部職員を輩出しているところでございます。

 このように、我が国は、質の高い統計を作成し、また、統計の国際協力において主要な役割を果たし、その実績、知見が高く評価されているという点から見まして、国際的に見てもすぐれた地位を有しているのではないかと思っているところでございます。

 ただ一方で、統計作成への行政記録の活用とか、あるいは統計調査結果の利用促進などにつきましては、これは諸外国の先進事例に学ぶべき点があると思っております。新しい統計制度のもとで、このような点について改善を図りつつ、日本の統計が国際的にも高い水準を維持できるように努力してまいりたい、このように思っております。

木挽委員 すぐれた点はいろいろなことであるんだとは思います。先ほど来からの皆さんからの質疑の応答を聞かせていただく中にあっても、すぐれた点がある中にあっても、そうした二次利用についてはまだまだ促進していかなきゃいけないというのは聞いていて理解するところではございます。

 その二次利用の話については時間がある中でまた質問させていただきたいと思うんですが、ちょうど平成十五年六月に策定されました「統計行政の新たな展開方向」、これに基づいて、これまで統計行政にかかわるさまざまな取り組みが進められてきたと私も思っておりますし、承知しております。その中で、具体的な成果というものは、現在までどんなものがあったんでしょうか。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 統計行政の新たな展開におきましては、取り上げられました諸課題につきまして、その推進体制を整備しながら、各府省と連携協力して鋭意取り組んできたところでございますが、その推進状況につきましては、毎年取りまとめて公表しております。

 例えばでございますけれども、これまで、社会経済の変化に対応した統計の整備という観点からは、経済センサスの枠組み及びこれに関連した大規模統計調査等の統廃合等を決定しております。

 また、統計調査の効率的、円滑な実施の観点からは、オンライン化を推進しておりまして、これまでに百二十四の統計調査でオンライン化が実現しているところでございます。

 さらに、調査結果の利用の拡大の観点からは、各府省の調査結果にアクセスできる統計データ・ポータルサイトを構築いたしまして、平成十六年一月から本格運用を開始している、こういったような状況でございます。

木挽委員 続いて、もう一つお聞きしたいんですが、今の「統計行政の新たな展開方向」、御説明いただきましたが、その中で、各府省の統計主管部局長でございますか、その申し合わせで統計行政を進めていくことに何か今まで不都合な点というのはあったんでしょうか。また、今回基本計画を制度化することによって、不都合な点があるとすれば、それが改善されるんでしょうか。御説明いただきたいと思います。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 これまで統計行政は、今御指摘のありました「統計行政の新たな展開方向」、こういったものを踏まえまして推進されてきたところでございますけれども、それを取りまとめたところが政府部内の統計主管部局長等会議ということでございます。そういうこともございまして、その関係部局以外も含めた政府全体の方針としては強力ではなかったんではなかろうかというふうに感じているところでございます。

 今回、基本計画に明確な法的根拠が与えられまして、これが閣議決定ということになることによりまして、まず公的統計整備に関する府省間の調整機能の強化が図られる、見直し等の各プロセスにおきまして統計委員会の調査審議を通じた専門性や適時性が確保される、あるいは、統計整備への国民的参加が推進されるといったようなことが期待されます。

 こういったことで公的統計を総合的かつ計画的に整備することができるようになる、こういうふうに考えております。

木挽委員 では、続いてまた副大臣に御質問したいと思いますが、基本計画の策定における統計委員会の役割についてお尋ねしたいと思います。

 今回の法案の目玉の一つとして、分散型統計機構をとる我が国日本でございますが、公的統計を総合的、計画的に整備するために、政府全体で基本計画を定めることが挙げられると思います。この基本計画の案ですが、統計委員会の意見を聞いて総務大臣が作成することになる。先ほど来の説明からもあります。この統計委員会については、これまで総務省に置かれていた統計審議会を発展的に改組する形で、統計整備の司令塔の中核をなす組織として内閣府に設置される。これも先ほど来からの質疑応答で確認させていただきました。

 この第三者機関である統計委員会、これが統計整備の司令塔の中核としての役割を十二分に発揮するため、これは当然その力を発揮してもらわなければいけないんですが、この法案の目玉である基本計画の作成に当たって、総務大臣のサポートあるいは協力を受けつつも、統計委員会において専門的見地から活発に御議論いただき、そして、総務大臣はその結果を最大限に尊重して計画をおつくりになる必要がある、私はこのように考えております。

 基本計画の策定に当たって、総務大臣と統計委員会そのものとの関係ですね、これはどうあるべきだとお考えでしょうか。お願いできたらと思います。

田村副大臣 先生おっしゃりましたとおり、基本計画の策定に当たりまして、総務大臣は統計委員会の意見を聞かなければならないというふうになっておるわけでありますが、基本計画は、統計行政の方向性を示しつつ、具体性を持った内容でなければならないわけでありまして、その際に、今おっしゃったとおり、統計整備の司令塔機能の中核をなす組織として、この統計委員会における専門的さらには中立的な立場からの調査審議、これが非常に重要であるというふうな認識があるわけであります。

 そういう意味からいたしますと、どういう関係であるかというお話でありましたけれども、あくまでもこの基本計画は大臣が作成するものでありますが、その作成をする過程もしくは作成した後に、いろいろとこの統計委員会の中で御議論をいただいて、そしてよりよいものにこの基本計画というものをなし得る、作成できるという形になるようにサポートをする部分もあれば、いろいろな御意見をいただきながら、それにのっとってよりよいものをつくるというような、そういう役割、関係になっておるというようなことでございます。

木挽委員 ありがとうございます。

 では続いて、あと事務方にお聞きしたいんですが、この法案のもとになりました統計制度改革検討委員会の報告を読みましたら、基本計画の作成に当たっては統計のユーザーの意見を反映する必要があるとの指摘がなされているようですね。このような統計のユーザーの意見を反映させる方法として、具体的にどのような方法を想定しているんでしょうか。それでまた、初回の計画についてはどのようなスケジュール観を持って作成することを考えていらっしゃるのか。想定している内容を、現時点で結構でございますので、お答えいただけたらと思います。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 基本計画の策定に当たりましては、統計委員会で御審議をいただくとともに、総務省令で定めるところによりまして、国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるということになってございます。

 具体的には、いわゆるパブリックコメント、あるいは多様な利用者との意見交換、統計委員会による公開ヒアリングなどが想定されますけれども、その具体策については今後さらに検討していきたいと考えております。

 また、策定スケジュールでございますけれども、法の公布後六カ月以内に予定される統計委員会の発足となりますが、その発足後速やかに諮問が行えるよう準備を進めるとともに、統計委員会での御審議、国民の意見を反映するための手続を経まして、公布後二年以内の法の全面施行に間に合うように基本計画案を策定し、閣議決定をお願いしていくということになると考えております。

木挽委員 それでは、もう一度統計委員会についてお聞かせいただきたいと思います。

 先ほども質問したんですが、この統計委員会は、基本計画だけではなくて、統計整備に関する広範な事項について御議論いただくことになるというふうに伺ったと思います。統計委員会が内閣総理大臣のおひざ元にあって公的統計全般にわたって目を光らせつつ専門性を大いに発揮して統計整備を積極的にリードしていただく、これは本当に私もいいことだと思います。中立公平な統計行政を進める上でも非常に大事なことだと思っております。

 そのため、内閣総理大臣あるいは総務大臣を初めとする関係大臣が統計委員会をしっかり補助するというかサポートしていく、政府全体としてよりよい統計が作成されるよう協力していくという体制がつくられるべきだというふうにも考えております。さっきもお話がありましたが、我が国のような分散型の統計組織によって統計体系を整備する上でのそれがいわゆる勘どころといったところになってくるんじゃないかなと。

 その考えの中で、統計に関する調整役である総務大臣、今、田村副大臣に来ていただいておりますが、統計委員会に期待する役割、そして、大臣のような立場で、総務大臣あるいは総務省が統計委員会とどういったかかわりを持って、どうあるべきかというお考えをさっきもお聞かせいただいたと思うんです。先ほど基本計画に絡んで御質問させていただきましたが、いま一度、できましたらもう少し広い観点からの所見をいただけたらなと思うんですが、よろしいですか。

田村副大臣 統計委員会に期待するところでありますけれども、今もお話がいろいろとありましたとおり、内閣全体でという流れの中において、この統計行政を一層発展させていくために、先ほども言いましたとおり、指令塔機能の中核をなす組織として期待をさせていただいておりますし、内閣府の中に設置をされておるわけであります。専門性はもちろんのことでありますが、やはり中立的な立場、中立性というものを発揮をいただきながら、統計整備を積極的にリードしていただきたいな、そんな期待を持たせていただいております。

 同時に、総務大臣でありますけれども、今お話がありましたとおり、統計制度を所管する大臣でありますから、そういう意味では、統計委員会の仕事がよりやりやすくなるような意味でのいろいろなサポート、このお手伝いは当然のごとくさせていただかなければならないというふうに思っております。

 一方で、責任を持って全体を、基本計画を言うなれば提出するといいますかつくるのは総務大臣の仕事でもあるわけでありますから、そこはそこ、そして、それをもとに統計委員会の方でそれがよりよいものになるように審査をいただくということでございますから、そこの関係は、やはり中立性を持ちながら、いろいろな意味でいろいろな御助言でありますとか提言、それをいただいた上で、総務大臣としては、お話を聞かせていただきながらよりよい計画をつくっていくという話になってこようか、このように思っております。

木挽委員 ありがとうございます。

 公的統計を、そういったサポートもいただきながら、しっかりと広範な見地を持ちながら進めていく。その中にあって、その整備において地方公共団体にかなり役割を負荷している部分があるということは私も認識しております。それはまた非常に重要なことでもあると考えておるのでございますけれども、今回、この法案自体が地方分権改革の精神を踏まえて立案されたものなのかどうか、これを一つ質問したいと思います。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、国の行政機関が作成いたします基幹統計を中心として統計体系を整備するためのさまざまな規定を設けているところでございますけれども、この法案におきます地方公共団体の立場というものは二つあるというふうに考えております。一つ目が、法定受託事務として国の行政機関が行う基幹統計調査の実施事務の一部を分担していただく立場でございます。もう一つが、独自に統計調査を実施される立場ということでございます。

 そのうちのまず初めの法定受託事務につきましては、全国的観点から実施する基幹統計調査の円滑かつ効率的な実施のために必要不可欠なものであるとともに、当該事務を遂行する中で当該地方公共団体自身の統計が整備されることになるものでございます。このようなことから、現行の指定統計調査と同様に、引き続き地方公共団体に担っていただくべきものと考えております。

 それから二つ目の、地方公共団体が独自に実施される統計調査につきましては、基幹統計調査の実施に影響があるおそれがある場合の変更、中止の求め、国の関与はこういう最小限のものとしております。

 このように、地方分権改革の精神を十分踏まえたものと考えているところでございます。

木挽委員 ありがとうございました。

 一応地方公共団体についてはかかわりの中で御説明いただいたんですが、もう一つ、統計調査を整備していく中にあっては、官民の役割の分担という中で、より民間に委託するのを推進していくというような方向も示されておると思います。

 統計調査における民間委託の推進について、政府全体を調整する立場からどのように取り組まれていくつもりなんでしょうか。いま一度御説明いただきたいと思います。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 統計調査の民間委託につきましては、平成十八年三月に、規制改革・民間開放推進三か年計画、閣議決定がございます。この計画におきまして、「総務省は、他府省所管の指定統計調査等に係る市場化テスト・民間開放を促すため、ガイドラインの改定等所要の措置を速やかに講ずる。」こととされているところでございます。

 このため、総務省としましては、指定統計調査における調査員調査方式を含みまして民間開放を推進していくために、昨年十月に関係府省から成ります検討の場を設置いたしまして、検討を行っているところでございます。

 今後は、本年五月末までに、推進対象業務の拡大、質を確保するための新たな措置などを内容とするガイドラインの改定を行いまして、関係府省における民間委託の取り組みを推進してまいりたい、このように考えております。

木挽委員 ありがとうございます。

 官民の役割のあり方については、今後とも、もっとどっしりと腰を据えた関係を確立するべく協議していくことが必要だと私も考えております。

 地方公共団体あるいは民間、それぞれに役割をお願いしつつ統計調査を進めていく中にあって、先ほど来から、調査環境が厳しいという言葉が随分話の中で聞かれておりまして、私もそう認識しております。統計調査に対する協力を求めていくためには、調査対象となる国民や事業者などの報告負担をできる限り軽減する必要があると私は思っております。

 そういった意味で、政府横断的な調整を行う立場から具体的にどのような取り組みを行ってきているのか、御報告いただきたいと思います。

橋口政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、現行の統計法及び統計報告調整法に基づきまして、各府省が実施する統計調査につきまして、統計の体系的整備、統計の真実性の確保、報告者負担の軽減等の観点から必要な審査を実施し、調査事項の整理統合等、政府横断的な調整を行ってきているところでございます。

 例えば、平成十五年六月に策定いたしました「統計行政の新たな展開方向」に基づきまして、すべての統計調査につきまして計画的に見直しを行うに当たっての指針を策定するなど、統計調査の整理合理化にも努めてきているところでございます。

 具体的には、事業所・企業統計調査、サービス業基本調査、商業統計調査、この三本の調査の同時実施、あるいは行政記録の活用による船員調査の廃止、標本抽出の見直しによる調査客体の削減、こういったもので報告者負担の軽減に資する取り組みを推進してきたところでございます。

 また、企業等を対象といたします統計調査につきましては、報告者負担の軽減等の観点から、各府省が実施する統計調査につきまして、各事業所が調査対象となった履歴等を登録するデータベースを整備いたしまして、可能な限り、各統計調査で調査対象が重複することのないよう、必要な是正措置を講じているところでございます。

木挽委員 時間が迫ってまいりまして非常にあれなんですが、基本理念にあって、公的統計の体系的整備、中立性、信頼性の確保、国民による利用、秘密の保護などを規定している。その中にあって、報告者負担の軽減に関する理念をなぜ設けなかったのかというのが、私一つ疑念があるんです。

 近年の統計調査が非常に困難である、厳しい状況にあるという中にあって、それを踏まえると、調査対象者が統計調査に協力すべきという理念規定を設ける必要はなかったんでしょうか。

橋口政府参考人 お答え申し上げます。

 報告者負担の軽減に関する理念の規定の件でございますけれども、本法案では、第三条の「基本理念」におきまして、公的統計は適切かつ合理的な方法により作成されなければならないとされております。これは、作成者の側のみならず、報告者の側にとりましても、適切かつ合理的な方法によらなければならないということを意味するものでございまして、御指摘の報告者負担の軽減に関する理念につきましては、この適切かつ合理的な方法の中に包含されているものと考えております。

 また、正確な統計を作成するためには、国民や事業者の協力が不可欠であるということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、国民や事業者の方々に対しまして、理念として一律に、統計調査に協力すべきといった責務を負わせるということは適当ではないというふうに考えております。

 本法案では、調査拒否への対応や調査への協力に関しましては、公的統計の中核となる基幹統計調査について、個別に義務や罰則を定めている、こういうところでございます。

木挽委員 データの二次利用とかそういった内容についても質問したかったんですが、もう時間の方がございません。

 今御説明いただきましたが、こうした公的統計は、やはり国民に広く理解を持っていただいて、その重要性についても納得いただいた上で御協力いただくということが非常に肝要だと私は思っております。

 しかしながら、何といっても、冒頭申しましたが、国民の利益に資するということが、そういったデータであるということが最も大事なところでもございます。そのことを含めていただいて、より積極的に御協力いただくということが重要だということをあえて国民にもっともっと理解していただく取り組みが大事だと私も思っている。そういった私の意見を踏まえた上で、最後、副大臣に御所見をいただけたらと思います。

田村副大臣 大変重要なところだと思います。前回の国勢調査ですか、あのときも、報道なんかで、かなり協力されない方がふえてきた、こういう報道があったように記憶いたしておりますけれども、今先生おっしゃいましたとおり、こういういろいろな統計調査自体が、どういう役割があって、国民の生活や、また企業の活動にどれだけメリットがあるか、これをやはり十分に我々も啓蒙していく必要があるな、このように思っております。

 ちょうど十月十八日というのを統計の日というふうに決めておりまして、この日を中心にいろいろな活動をさせていただきたいと思っておりますし、今もしておるわけでありますけれども、あわせて、子供たち、児童や生徒にも、こういうような教育、統計教育というものを進めていかなければならないなというふうにも思っております。やはり国民にわかりやすくこういうことを説明することが最終的には御理解をいただくということになってこようと思っておりますので、これからも一生懸命、国民の皆様方にそのような統計の重要性を御理解いただく活動を進めてまいりたい、このように思っております。

木挽委員 初めて知りました。十月十八日は私の誕生日でございまして、この統計法の質問に当たったのも何かの縁だと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 次回は、明十三日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.